事業の概要
- 医療用医薬品の製造販売住友ファーマグループは、日本、北米、アジアを中心に医療用医薬品の製造、仕入れ、販売を行っています。特に日本では、住友ファーマプロモがオーソライズド・ジェネリック品(AG品)の製造販売を手がけ、幅広い医薬品を提供しています。これにより、多様な医療ニーズに応え、安定的な収益基盤を構築しています。
- 再生・細胞医薬分野への注力S-RACMO株式会社は、親会社である住友化学との合弁で、再生・細胞医薬の製法開発や製造受託を行っています。また、株式会社RACTHERAは再生医療等製品の研究開発を担っており、将来の成長ドライバーとして新たな医療技術の創出を目指しています。これは、従来の医薬品事業に加え、先進医療分野への投資を強化していることを示します。
- グローバルな事業展開北米ではSumitomo Pharma America, Inc.が医療用医薬品の製造販売を担い、アジアでは丸紅ファーマシューティカルズ株式会社が医療用医薬品等の製造販売を行っています。これにより、特定の地域に依存しない多様な市場で事業を展開し、地域ごとの医療ニーズに対応しながら収益を上げています。特に北米市場は売上収益の大きな割合を占めています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 日本事業売上1408.98億円、営業利益383.07億円。日本国内での医療用医薬品の製造、仕入れ、販売が主な事業内容です。住友ファーマプロモによるオーソライズド・ジェネリック品(AG品)の製造販売や、再生・細胞医薬分野の製法開発・製造受託、研究開発なども含まれます。国内市場での安定した収益基盤を形成しています。
- 北米事業売上1978.89億円、営業利益832.88億円。Sumitomo Pharma America, Inc.他が医療用医薬品の製造および販売を行っており、グループ全体の売上収益の大部分を占める稼ぎ頭です。特に「オルゴビクス」や「ジェムテサ」といった主力製品がこの地域で大きな収益を上げており、会社の業績を牽引しています。
- 医薬品事業売上3679.78億円、営業利益1311.42億円。これは地域別セグメントの合計ではなく、医薬品事業全体としての実績を示している可能性があります。日本、北米、中国を含むグローバルでの医療用医薬品の製造販売活動全体を指し、グループの中核をなす事業であり、最も大きな売上と利益を創出しています。
FY2017 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| Japan | 事業 | 1,409 | 383 | 27.2% |
| NorthAmerica | 事業 | 1,979 | 833 | 42.1% |
| China | 事業 | 176 | 67 | 38.3% |
| Medicine | 事業 | 3,680 | 1,311 | 35.6% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社グループは、2026年3月31日現在、当社、親会社、子会社10社および関連会社4社で構成されています。当社グループが営んでいる主な事業内容と当社グループを構成している各会社の当該事業に係る位置付けの概要およびセグメントとの関連は次のとおりです。 (1) 日本当社が医療用医薬品の製造、仕入および販売を行っています。住友ファーマプロモ株式会社が、医療用医薬品(オーソライズド・ジェネリック品(AG品))の製造および販売を行っています。S-RACMO株式会社(以下、「S-RACMO」)は、当社と親会社である住友化学株式会社(以下、「住友化学」)が設立した合弁会社であり、再生・細胞医薬分野の製法開発、製造等の受託を行っています。株式会社RACTHERA(以下、「RACTHERA」)は、当社と親会社である住友化学が共同出資する合弁会社であり、再生医療等製品等の研究開発を行っています。上記の他に子会社4社および関連会社1社があり、国内グループ会社のビジネスサポート業務等の各種サービス業務等を行っています。 (2) 北米Sumitomo Pharma America, Inc.他1社が、医療用医薬品の製造および販売を行っています。上記の他に子会社3社があり、グループ会社のビジネスサポート業務等を行っています。 (3) アジア丸紅ファーマシューティカルズ株式会社は、当社と丸紅グローバルファーマ株式会社が共同出資する合弁会社であり、医療用医薬品等の製造および販売等を行っています。なお、2025年度において、住友制葯投資(中国)有限公司、住友制葯(蘇州)有限公司およびSumitomo Pharma Asia Pacific Pte. Ltd.ならびにそれらの子会社を、丸紅ファーマシューティカルズ株式会社に吸収分割の方法により承継させた上で同社持分の一部を譲渡したことに伴い、連結の範囲から除外しました。 以上に述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりです。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 各国政府による薬価・医療制度改革や薬剤費抑制策の影響を受けるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 規制 医薬品の製造販売には各国所轄官庁の厳しい審査と許可が必要。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | ディフェンシブ |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:新製品の研究開発に関わるリスク / 連結売上収益に関するリスク / 知的財産権に関わるリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
住友ファーマは、長年にわたる研究開発で培われた医薬品に関する特許やノウハウを無形資産として保有している。特に中枢神経系疾患領域におけるパイプラインは、将来的な収益源となりうる。しかし、新薬開発の成功確率は低く、特許切れリスクも存在する。
スイッチングコスト★★☆☆☆
医療用医薬品は、医師の処方箋に基づいて使用されるため、一度採用された薬剤は、有効性や安全性が確認されれば、他の薬剤への切り替えには一定のハードルが存在する。しかし、ジェネリック医薬品の普及や、より効果的な新薬の登場により、スイッチング・コストは限定的。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
医薬品の価値は個々の製品の有効性や安全性に依存するため、ユーザーが増えることで価値が増大するネットワーク効果は基本的に見られない。
コスト優位★☆☆☆☆
医薬品の研究開発費は莫大であり、製造コストも高度な品質管理が求められるため、構造的なコスト優位性を築くことは難しい。一部、製造効率の改善やサプライチェーンの最適化によるコスト削減の可能性はある。
規模の経済★★☆☆☆
グローバルな医薬品市場において、住友ファーマの規模は大手製薬企業と比較して中堅レベルであり、圧倒的な効率規模の優位性はない。しかし、特定の疾患領域においては一定のシェアを確保しており、今後のM&A等による規模拡大の可能性はある。
- がん・精神神経領域への集中住友ファーマは、がん領域と精神神経領域を重点疾患領域と定め、医薬品、再生・細胞医薬など多様なアプローチで研究開発を進めています。この選択と集中により、特定の専門分野での競争力を高め、高い医療ニーズに応えることで、市場での優位性を確立しようとしています。
- 再生医療分野の技術力株式会社RACTHERAとの連携により、世界初のiPS細胞由来製品の実用化を目指し、パーキンソン病治療薬「アムシェプリ」の製造販売承認(条件及び期限付承認)を取得しました。これは、最先端の再生医療技術を保有し、新たな治療法を市場に提供できる独自の強みであり、将来的な成長の大きな柱となる可能性があります。
- 強固な知的財産権ポートフォリオ同社グループは、主となる物質特許だけでなく、用途、製法、製剤などの関連特許を含むパテントポートフォリオを構築し、製品および開発品の総合的な保護を図っています。これにより、競合他社からの模倣を防ぎ、長期的な収益源を確保するための重要な競争優位性を保持しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- グローバル・スペシャライズド・プレーヤー(GSP)の確立住友ファーマは、2033年に「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー(GSP)」の地位を確立することを目標としています。これは、特定の領域や技術において世界的に専門性の高い企業となることを目指し、持続的なイノベーションと社会貢献を通じて企業価値を高めるという長期的なビジョンを示しています。
- 主力製品の売上拡大と財務基盤強化2028年度までの成長計画「Boost 2028」では、北米における進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」と過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」の価値最大化に注力し、売上収益の拡大を図ります。また、規律あるコストマネジメントを継続し、財務基盤の強化に取り組むことで、安定した経営基盤を築き、将来の成長に向けた投資余力を確保する方針です。
- 次世代の収益基盤育成と研究開発推進がん領域のenzomenibおよびnuvisertibの開発に資源を集中させ、日米欧アジアでの治験施設拡大により、最速上市を目指します。また、再生医療分野ではiPS細胞由来製品の実用化を推進するなど、将来の成長シーズの確保に力を入れています。これにより、現在の主力製品に続く新たな収益源を確立し、持続的な成長を実現しようとしています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社は、「人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する」を企業理念として掲げ、事業活動を進めています。少子高齢化社会の進展などの社会課題を背景に、がん領域および精神神経領域の医療ニーズは拡大していくことが予想されます。また、医療ニーズはますます高度化しており、多様なモダリティを駆使し、デジタルとリアルが融合した生活と人々の価値観に寄り添うヘルスケア課題の解決が社会から期待されています。かかる環境において、当社グループは、変わりゆくヘルスケア課題の解決に貢献するため、2019年4月に策定したビジョン「もっと、ずっと、健やかに。最先端の技術と英知で、未来を切り拓く企業」に基づき、がん領域および精神神経領域を重点疾患領域とし、医薬品、再生・細胞医薬等による多様なアプローチで人々の健康で豊かな生活に貢献してまいります。また、その他領域においても、保有アセットを生かし、確かな価値を患者さんに届けてまいります。これにより、2033年に「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー(GSP)」の地位を確立することを目指します。当社は、2025年度に、財務目標等を中心とする2027年度までの活動計画「Reboot 2027 ~力強い住友ファーマへの再始動~」(以下、「Reboot 2027」)を策定し、「価値創造サイクル」の再構築に向けた事業運営に取り組んだ結果、財務目標の前倒しでの達成が見込まれる状況となりました。この状況を受けて、今後の成長を加速させるべく、2028年度までの成長計画である「Boost 2028 -力強い住友ファーマの加速-」(以下、「Boost 2028」)を発表しました。 なお、当社は、グループ一体経営を推進するため、米国グループ会社の再編を契機に、2023年7月1日付けで理念体系を再構成し、理念、バリューおよび行動宣言をグループ全体で共有するフィロソフィとして、グループ内への浸透を進めています。併せて、当社の理念の実践により、持続可能な社会実現に貢献し持続的な企業価値向上につなげることを「サステナビリティ経営」と定義しています。 理念(当社の存在意義、社会に対する約束・使命)人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する バリュー(全役員・従業員が共有すべき価値観)Patient FirstAlways with IntegrityOne Diverse Team 行動宣言(日々の業務において守るべき行動規範)1."Innovation today, healthier tomorrows" の実現に取り組みます2.誠実な企業活動を行います3.積極的な情報開示と適正な情報管理を行います4.自らの能力を高め、協働します5.人権を尊重します6.地球環境問題に積極的に取り組みます7.社会との調和を図ります 活動方針当社は、2023年度において多額の損失を計上し、厳しい経営環境に陥りました。この状況に対し、大幅な人員削減を含むグループをあげた抜本的構造改革を断行し、事業面では、再生・細胞医薬事業、アジア事業およびフロンティア事業を再編しました。これらの取組と主力製品の売上伸長の結果、2024年度においてはコア営業損益および最終損益の黒字化を達成しました。この状況を受けて、改めてGSPの地位確立に向けて全社一丸となって取り組むべく、2025年5月に、2027年度までの活動計画であるReboot 2027を発表しました。2025年度は、規律あるコストマネジメントの下、主力製品の売上拡大と研究開発活動の推進に取り組み、Reboot 2027で掲げた財務目標の達成に向けて、想定を上回る進捗を示しました。この状況を受けて、2026年3月に、Reboot 2027の計画を更新し2028年度までの成長計画であるBoost 2028を発表しました。Boost 2028では、規律あるコストマネジメントを継続しつつ、主力製品の売上をさらに伸長させ、財務基盤の強化を図るとともに、研究開発の推進を通じた次世代の収益基盤の育成に取り組むことで当社の成長を加速させてまいります。 価値創造サイクル(Reboot 2027 / Boost 2028より) (注)当社は、特定の領域・技術において「価値創造サイクル」を力強く循環させ、継続的にイノベーションを創出・社会実装します。これにより、人々の健康で豊かな生活に貢献しグローバルに「住友ファーマ」ブランドを確立することでGSPの地位確立を目指します。 当社グループは、がん2品目(enzomenibおよびnuvisertib)の開発方針確定後に策定を予定している中期経営計画に向け、財務規律を維持しつつ、再成長に向けた事業基盤を拡充し、2026年新たに発表したR&D基本戦略に沿った研究開発活動を推進すべく、以下の方針に従って事業を運営してまいります。 ① 売上収益の拡大北米においては、進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」および過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」の価値最大化に最注力してまいります。「オルゴビクス」については、強い成長トレンドを維持し、本剤の進行性前立腺がん治療におけるアンドロゲン除去療法の標準治療薬としての位置付け獲得を目指します。また、薬剤給付制度の変更により2025年1月から患者さんの自己負担額の上限が引き下げられたこと、NCCN(National Comprehensive Cancer Network)ガイドラインで他の抗がん剤との併用が支持されるようになったこと、および、ホルモン療法における唯一の経口剤であるという製品特性を有することを周知するなどのプロモーション活動を泌尿器科クリニック、大学病院、グループ病院等に対して行うことで、さらなるシェアの拡大に努めてまいります。「ジェムテサ」については、競合品に対するジェネリック品の市場参入により過活動膀胱におけるβ3作動薬市場が拡大するなか、本剤の臨床的有用性および前立腺肥大症を伴う過活動膀胱に対する適応を有する唯一のβ3作動薬であることを訴求し、DTC(Direct to Consumer)広告を通じて疾患啓発および製品認知度の拡大を図るとともに、営業体制を最適化することにより、さらなる販売拡大に取り組んでまいります。日本においては、ヤンセンファーマ株式会社との販売提携品である持効性抗精神病剤「ゼプリオン」および「ゼプリオンTRI」ならびにノボ ノルディスク ファーマ株式会社とのプロモーション提携品である2型糖尿病治療薬「オゼンピック皮下注」および肥満症治療薬「ウゴービ皮下注」の情報提供活動に取り組みました。これらの提携品についても、非定型抗精神病薬「ラツーダ」および2型糖尿病治療剤「ツイミーグ」とともに注力製品と位置付け、価値最大化を図ってまいります。 ②将来の成長シーズの確保2026年度も規律あるコストマネジメントを継続し、がん2品目(enzomenibおよびnuvisertib)に資源を集中させ、日米に加えて欧州・アジアに治験施設を拡大することで、競合の激しいがん領域において、臨床試験を力強く推進し、最速上市を目指します。適応拡大などの価値最大化に向けては、適切なタイミングでの提携を軸に開発方針を検討してまいります。enzomenibについては、急性白血病の単剤療法の承認申請に向けたフェーズ2試験および併用療法のフェーズ1/2試験を引き続き推進してまいります。nuvisertibについては、骨髄線維症を対象とした単剤療法および併用療法のフェーズ1/2試験を引き続き推進いたします。精神神経領域では、株式会社RACTHERAと連携し、世界初のiPS細胞由来製品の実用化に向け、日本において他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞の「アムシェプリ」(効能、効果又は性能:レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病患者の運動症状の改善)の製造販売承認(条件及び期限付承認)を2026年3月6日に取得しました。本製品がパーキンソン病治療のゲームチェンジャーとなり、より多くの患者さんに届けられるよう、本承認取得を目指し、製造販売後臨床試験および使用成績調査を実施するとともに、米国においてもフェーズ1/2試験を着実に推進してまいります。また、他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞については、網膜色素上皮裂孔を対象とした日本でのフェーズ1/2試験を、他家iPS細胞由来網膜シートについては、網膜色素変性治療に関する米国でのフェーズ1/2試験を着実に推進してまいります。特長ある低分子の初期臨床開発品目群については、2030年代のグループ収益を支える優先品目を選抜し、次のフェーズへの移行に向けた取組を推進してまいります。その他領域では、ユニバーサルインフルエンザワクチンについて、ベルギーでのフェーズ1試験の中間解析において良好な結果が得られており、引き続き試験を推進してまいります。なお、ユニバーサルインフルエンザワクチンの研究開発は、日本医療研究開発機構(AMED)からの委託研究開発費を活用しています。また、自社イノベーションを基軸とした連続性のある新薬創出の実現を目指して、がん領域および精神神経領域を注力すべき領域とし、社内に蓄積する非臨床および臨床のノウハウ、バイオマーカー等の活用により成功確度の向上を図りながら探索研究を進めてまいります。 当社グループは、今後も全社一丸となって事業活動を推進し、患者さん、ご家族および介護者の皆さんへも貢献できる新しい価値を一日も早く提供するために、スピード感をもって取り組んでまいります。 株主還元当社は、業績に裏付けられた成果を適切に配分することを重視しており、安定的な配当に加えて、業績向上に連動した増配を行うことを配当の基本方針としています。当連結会計年度の業績は、北米における収益の伸長に加え、アジア事業の一部譲渡による利益を計上したことから、コア営業利益は1,059億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,069億円と大幅な増益となりました。一方、当社は本年3月に公表したBoost 2028に基づく成長戦略を推進するため、本年4月に公募増資等による資金調達を実施しました。調達資金については、研究開発を中心とした投資の加速や財務の健全化へ優先的に配分することとし、2026年3月期の期末配当については、期初の予想のとおり無配といたします。2027年3月期はコア営業利益910億円を見込みますが、「オルゴビクス」の販売マイルストンの受領を前提としたものであり、さらに米国における価格政策、関税施策の発動、紛争に起因するコストの増大など不透明な環境にあることから、2027年3月期の中間配当・期末配当については未定とし、今後の業績動向等を踏まえて決定いたします。株主の皆様には、ご理解と引き続きのご支援を賜りますようお願い申しあげます。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社は、「人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する」を企業理念として掲げ、事業活動を進めています。少子高齢化社会の進展などの社会課題を背景に、がん領域および精神神経領域の医療ニーズは拡大していくことが予想されます。また、医療ニーズはますます高度化しており、多様なモダリティを駆使し、デジタルとリアルが融合した生活と人々の価値観に寄り添うヘルスケア課題の解決が社会から期待されています。かかる環境において、当社グループは、変わりゆくヘルスケア課題の解決に貢献するため、2019年4月に策定したビジョン「もっと、ずっと、健やかに。最先端の技術と英知で、未来を切り拓く企業」に基づき、がん領域および精神神経領域を重点疾患領域とし、医薬品、再生・細胞医薬等による多様なアプローチで人々の健康で豊かな生活に貢献してまいります。また、その他領域においても、保有アセットを生かし、確かな価値を患者さんに届けてまいります。これにより、2033年に「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー(GSP)」の地位を確立することを目指します。当社は、2025年度に、財務目標等を中心とする2027年度までの活動計画「Reboot 2027 ~力強い住友ファーマへの再始動~」(以下、「Reboot 2027」)を策定し、「価値創造サイクル」の再構築に向けた事業運営に取り組んだ結果、財務目標の前倒しでの達成が見込まれる状況となりました。この状況を受けて、今後の成長を加速させるべく、2028年度までの成長計画である「Boost 2028 -力強い住友ファーマの加速-」(以下、「Boost 2028」)を発表しました。 なお、当社は、グループ一体経営を推進するため、米国グループ会社の再編を契機に、2023年7月1日付けで理念体系を再構成し、理念、バリューおよび行動宣言をグループ全体で共有するフィロソフィとして、グループ内への浸透を進めています。併せて、当社の理念の実践により、持続可能な社会実現に貢献し持続的な企業価値向上につなげることを「サステナビリティ経営」と定義しています。 理念(当社の存在意義、社会に対する約束・使命)人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する バリュー(全役員・従業員が共有すべき価値観)Patient FirstAlways with IntegrityOne Diverse Team 行動宣言(日々の業務において守るべき行動規範)1."Innovation today, healthier tomorrows" の実現に取り組みます2.誠実な企業活動を行います3.積極的な情報開示と適正な情報管理を行います4.自らの能力を高め、協働します5.人権を尊重します6.地球環境問題に積極的に取り組みます7.社会との調和を図ります 活動方針当社は、2023年度において多額の損失を計上し、厳しい経営環境に陥りました。この状況に対し、大幅な人員削減を含むグループをあげた抜本的構造改革を断行し、事業面では、再生・細胞医薬事業、アジア事業およびフロンティア事業を再編しました。これらの取組と主力製品の売上伸長の結果、2024年度においてはコア営業損益および最終損益の黒字化を達成しました。この状況を受けて、改めてGSPの地位確立に向けて全社一丸となって取り組むべく、2025年5月に、2027年度までの活動計画であるReboot 2027を発表しました。2025年度は、規律あるコストマネジメントの下、主力製品の売上拡大と研究開発活動の推進に取り組み、Reboot 2027で掲げた財務目標の達成に向けて、想定を上回る進捗を示しました。この状況を受けて、2026年3月に、Reboot 2027の計画を更新し2028年度までの成長計画であるBoost 2028を発表しました。Boost 2028では、規律あるコストマネジメントを継続しつつ、主力製品の売上をさらに伸長させ、財務基盤の強化を図るとともに、研究開発の推進を通じた次世代の収益基盤の育成に取り組むことで当社の成長を加速させてまいります。 価値創造サイクル(Reboot 2027 / Boost 2028より) (注)当社は、特定の領域・技術において「価値創造サイクル」を力強く循環させ、継続的にイノベーションを創出・社会実装します。これにより、人々の健康で豊かな生活に貢献しグローバルに「住友ファーマ」ブランドを確立することでGSPの地位確立を目指します。 当社グループは、がん2品目(enzomenibおよびnuvisertib)の開発方針確定後に策定を予定している中期経営計画に向け、財務規律を維持しつつ、再成長に向けた事業基盤を拡充し、2026年新たに発表したR&D基本戦略に沿った研究開発活動を推進すべく、以下の方針に従って事業を運営してまいります。 ① 売上収益の拡大北米においては、進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」および過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」の価値最大化に最注力してまいります。「オルゴビクス」については、強い成長トレンドを維持し、本剤の進行性前立腺がん治療におけるアンドロゲン除去療法の標準治療薬としての位置付け獲得を目指します。また、薬剤給付制度の変更により2025年1月から患者さんの自己負担額の上限が引き下げられたこと、NCCN(National Comprehensive Cancer Network)ガイドラインで他の抗がん剤との併用が支持されるようになったこと、および、ホルモン療法における唯一の経口剤であるという製品特性を有することを周知するなどのプロモーション活動を泌尿器科クリニック、大学病院、グループ病院等に対して行うことで、さらなるシェアの拡大に努めてまいります。「ジェムテサ」については、競合品に対するジェネリック品の市場参入により過活動膀胱におけるβ3作動薬市場が拡大するなか、本剤の臨床的有用性および前立腺肥大症を伴う過活動膀胱に対する適応を有する唯一のβ3作動薬であることを訴求し、DTC(Direct to Consumer)広告を通じて疾患啓発および製品認知度の拡大を図るとともに、営業体制を最適化することにより、さらなる販売拡大に取り組んでまいります。日本においては、ヤンセンファーマ株式会社との販売提携品である持効性抗精神病剤「ゼプリオン」および「ゼプリオンTRI」ならびにノボ ノルディスク ファーマ株式会社とのプロモーション提携品である2型糖尿病治療薬「オゼンピック皮下注」および肥満症治療薬「ウゴービ皮下注」の情報提供活動に取り組みました。これらの提携品についても、非定型抗精神病薬「ラツーダ」および2型糖尿病治療剤「ツイミーグ」とともに注力製品と位置付け、価値最大化を図ってまいります。 ②将来の成長シーズの確保2026年度も規律あるコストマネジメントを継続し、がん2品目(enzomenibおよびnuvisertib)に資源を集中させ、日米に加えて欧州・アジアに治験施設を拡大することで、競合の激しいがん領域において、臨床試験を力強く推進し、最速上市を目指します。適応拡大などの価値最大化に向けては、適切なタイミングでの提携を軸に開発方針を検討してまいります。enzomenibについては、急性白血病の単剤療法の承認申請に向けたフェーズ2試験および併用療法のフェーズ1/2試験を引き続き推進してまいります。nuvisertibについては、骨髄線維症を対象とした単剤療法および併用療法のフェーズ1/2試験を引き続き推進いたします。精神神経領域では、株式会社RACTHERAと連携し、世界初のiPS細胞由来製品の実用化に向け、日本において他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞の「アムシェプリ」(効能、効果又は性能:レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病患者の運動症状の改善)の製造販売承認(条件及び期限付承認)を2026年3月6日に取得しました。本製品がパーキンソン病治療のゲームチェンジャーとなり、より多くの患者さんに届けられるよう、本承認取得を目指し、製造販売後臨床試験および使用成績調査を実施するとともに、米国においてもフェーズ1/2試験を着実に推進してまいります。また、他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞については、網膜色素上皮裂孔を対象とした日本でのフェーズ1/2試験を、他家iPS細胞由来網膜シートについては、網膜色素変性治療に関する米国でのフェーズ1/2試験を着実に推進してまいります。特長ある低分子の初期臨床開発品目群については、2030年代のグループ収益を支える優先品目を選抜し、次のフェーズへの移行に向けた取組を推進してまいります。その他領域では、ユニバーサルインフルエンザワクチンについて、ベルギーでのフェーズ1試験の中間解析において良好な結果が得られており、引き続き試験を推進してまいります。なお、ユニバーサルインフルエンザワクチンの研究開発は、日本医療研究開発機構(AMED)からの委託研究開発費を活用しています。また、自社イノベーションを基軸とした連続性のある新薬創出の実現を目指して、がん領域および精神神経領域を注力すべき領域とし、社内に蓄積する非臨床および臨床のノウハウ、バイオマーカー等の活用により成功確度の向上を図りながら探索研究を進めてまいります。 当社グループは、今後も全社一丸となって事業活動を推進し、患者さん、ご家族および介護者の皆さんへも貢献できる新しい価値を一日も早く提供するために、スピード感をもって取り組んでまいります。 株主還元当社は、業績に裏付けられた成果を適切に配分することを重視しており、安定的な配当に加えて、業績向上に連動した増配を行うことを配当の基本方針としています。当連結会計年度の業績は、北米における収益の伸長に加え、アジア事業の一部譲渡による利益を計上したことから、コア営業利益は1,059億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,069億円と大幅な増益となりました。一方、当社は本年3月に公表したBoost 2028に基づく成長戦略を推進するため、本年4月に公募増資等による資金調達を実施しました。調達資金については、研究開発を中心とした投資の加速や財務の健全化へ優先的に配分することとし、2026年3月期の期末配当については、期初の予想のとおり無配といたします。2027年3月期はコア営業利益910億円を見込みますが、「オルゴビクス」の販売マイルストンの受領を前提としたものであり、さらに米国における価格政策、関税施策の発動、紛争に起因するコストの増大など不透明な環境にあることから、2027年3月期の中間配当・期末配当については未定とし、今後の業績動向等を踏まえて決定いたします。株主の皆様には、ご理解と引き続きのご支援を賜りますようお願い申しあげます。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。 (1) 重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(以下「IFRS」)に準拠して作成しています。連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記3.重要性がある会計方針」に記載しています。連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの財政状態又は経営成績に重要な影響を及ぼす会計上の見積りおよび判断は、以下のとおりです。 ・のれん及び無形資産のれん及び無形資産の減損テストにおける処分コスト控除後の公正価値は、将来キャッシュ・フローの見積額を資金生成単位ごとに設定した加重平均資本コスト等を割引率として用いて現在価値に割り引いて算定しています。上市後の無形資産の将来キャッシュ・フローの見積りには、対象となる製品の販売価格、関連する疾患領域における患者数及び当該製品のシェア等に基づく製品の収益予測及び固定費の予測等の多くの前提条件が含まれています。また、のれんを含む資金生成単位の将来キャッシュ・フローの見積りは、上述の前提条件に加え、開発品に係る研究開発活動の成功確率等を勘案した開発品の収益予測等の前提条件が含まれています。これらの前提条件や割引率は、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があり、翌連結会計年度の連結財務諸表において、のれん及び無形資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。 ・引当金引当金は、期末日における将来の債務の決済時期及び決済に必要と予想されるキャッシュ・フロー等に関する最善の見積りに基づいて算定しています。特に、米国で販売している製品に適用される売上割戻引当金の見積りに用いられる将来の販売数量や割戻率等は、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があり、翌連結会計年度の連結財務諸表において、引当金の金額に重要な影響を与える可能性があります。 ・繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産は、将来減算一時差異等を利用できる将来課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しています。当該回収可能性の判断は、当社グループの事業計画に基づいて見積もった将来の各事業年度の課税所得を前提としています。当該将来の課税所得の見積りは、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があり、翌連結会計年度の連結財務諸表において、繰延税金資産の金額に重要な影響を生じさせる可能性があります。 ・条件付対価契約に関する金融資産、および条件付対価契約に関する金融負債子会社売却に伴い生じた条件付対価契約に関する金融資産および企業結合の結果生じる条件付対価契約に関する金融負債の公正価値は、特定の開発品の開発進捗に応じて発生する開発マイルストンや販売後の売上収益に応じて発生する販売マイルストンを考慮して、それらが達成される可能性や貨幣の時間的価値を考慮して算定しています。これらの見積りは、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があり、翌連結会計年度の連結財務諸表において、条件付対価契約に関する金融資産および金融負債の金額に重要な影響を与える可能性があります。 (2) 経営成績当連結会計年度の医薬品業界においては、世界的に医療費抑制の動きが継続するなか、革新的な医薬品の創出や医薬品の安定供給の重要性が一層高まり、各国・地域において、創薬力の強化に向けた研究開発環境の整備や、サプライチェーンの強靭化を含む製造体制の強化に向けた取組が進展しました。このような状況のもと、当社グループは、グローバル・スペシャライズド・プレーヤー(GSP)の地位確立に向けて全社一丸となって取り組むべく、2025年5月に、2027年度までの活動計画であるReboot 2027を策定しました。2025年度はその初年度として、規律あるコストマネジメントのもと、主力製品の売上拡大を図る一方、注力領域に経営資源を集中させることを目指しアジア事業を再編するなど、再成長を目指して事業活動を進めてまいりました。日本においては、2025年2月からヤンセンファーマ株式会社と「ゼプリオン」および「ゼプリオンTRI」の共同プロモーション活動を開始し、2026年1月以降、順次当社が流通を担う形に変更しました。また、「オゼンピック皮下注」および「ウゴービ皮下注」について、それぞれ2025年7月および2025年11月よりノボ ノルディスク ファーマ株式会社と共同プロモーション活動を開始しました。「ラツーダ」および「ツイミーグ」については、引き続き価値最大化に注力しました。再生・細胞医薬事業においては、iPS細胞由来の再生・細胞医薬品として世界初の製品となる、他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞「アムシェプリ」について、当社が日本における製造販売承認(条件及び期限付承認)を2026年3月に取得しました。北米においては、「オルゴビクス」、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」および「ジェムテサ」(以下「基幹3製品」)について、競合剤に対して優位性のある製品特性等を医療関係者および患者さんに訴求することによる認知度の向上や、営業体制の最適化等を通じ販売拡大に引き続き注力しました。小児先天性無胸腺症向け培養ヒト胸腺組織「リサイミック」については、米国内の自社細胞製品製造施設の立ち上げ準備を推進しました。また、米国での基幹3製品の売上収益が当社グループの売上収益を支える状況となるなか、当社は、2025年8月に基幹3製品の特許権を含む実質的に全ての資産等を、当社の完全子会社であるSumitomo Pharma Switzerland GmbHおよびUrovant Sciences GmbHより譲り受けました。これにより、当社が基幹3製品の事業運営に直接的に関与する体制を構築しました。そうしたなか、Reboot 2027で掲げた財務目標の前倒しでの達成が見込まれる状況となりました。この状況を受けて、2028年度までの成長戦略であるBoost 2028を策定しました。なお、当社は新株式発行を2026年4月8日の取締役会において決議し、このうち公募による新株式発行については、同年4月24日に978億円の払込を受領しました。また、当社は、金融機関からの借入債務等につき、当社の親会社である住友化学株式会社による債務保証を受けていましたが、公募による新株式発行と併せて、同社の債務保証を受けない借入金への借り換えを実施しました。 (業績管理指標として「コア営業利益」を採用)当社グループでは、IFRSの適用にあたり、会社の収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しています。「コア営業利益」は、営業利益から一部の項目を除外したものとなります。除外する主なものは、減損損失、事業構造改善費用、条件付対価公正価値の変動額等です。 当連結会計年度の当社グループの連結業績は、以下のとおりです。(単位:億円) 前連結会計年度(2025年3月期)当連結会計年度(2026年3月期)増減増減率(%)売上収益3,9884,53354513.7コア営業利益4321,059628145.4営業利益2881,073785272.6税引前当期利益1761,003827469.8親会社の所有者に帰属する当期利益2361,069832352.2 ■ 売上収益は、4,533億円(前連結会計年度比13.7%増)となりました。日本およびアジアは減収となりましたが、北米において「オルゴビクス」および「ジェムテサ」の売上が拡大したことに加え、「オルゴビクス」の販売マイルストン収入を計上したこと等により増収となりました。 ■ コア営業利益は、1,059億円(前連結会計年度比145.4%増)となりました。増収に加え、事業構造改善効果の発現や再生・細胞医薬事業の再編等により販売費及び一般管理費ならびに研究開発費が減少したこと、アジア事業の一部持分を譲渡したことにより関係会社持分譲渡益をその他の収益に490億円計上したことから、コア営業利益は大幅な増益となりました。 ■ 営業利益は、1,073億円(前連結会計年度比272.6%増)となりました。コア営業利益の増益に加え、事業構造改善費用が減少したことにより、営業利益は大幅な増益となりました。 ■ 税引前当期利益は、1,003億円(前連結会計年度比469.8%増)となりました。営業利益の増益の影響が大きく、税引前当期利益は大幅な増益となりました。 ■ 親会社の所有者に帰属する当期利益は、1,069億円(前連結会計年度比352.2%増)となりました。税引前当期利益の増益の影響が大きく、親会社の所有者に帰属する当期利益は大幅な増益となりました。 (セグメント業績指標として「コアセグメント利益」を採用)セグメント別の業績では、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用しています。「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益などを除外したセグメント別の利益となります。 セグメント別の経営成績は次のとおりです。 <日本>■ 売上収益は、924億円(前連結会計年度比7.5%減)となりました。「ツイミーグ」の売上が伸長し、「ゼプリオン」および「ゼプリオンTRI」の販売を開始しましたが、2型糖尿病治療剤「エクア」「エクメット」の独占販売期間が終了したことによる売上減少の影響が大きく、減収となりました。■ コアセグメント利益は、124億円(前連結会計年度比8.2%増)となりました。減収により売上総利益は減少しましたが、前連結会計年度に実施した早期退職等に伴う事業構造改善効果により販売費及び一般管理費が減少した影響が大きく、増益となりました。 <北米>■ 売上収益は、3,379億円(前連結会計年度比34.2%増)となりました。抗てんかん剤「アプティオム」について独占販売期間が終了したことにより売上が減少しましたが、「オルゴビクス」および「ジェムテサ」の売上拡大ならびに「オルゴビクス」の販売マイルストン収入計上の影響が大きく、増収となりました。■ コアセグメント利益は、757億円(前連結会計年度比77.8%増)となりました。増収による売上総利益の増加の影響が大きく、大幅な増益となりました。 <アジア>■ 売上収益は、230億円(前連結会計年度比51.2%減)となりました。連結子会社であった住友制葯投資(中国)有限公司およびSumitomo Pharma Asia Pacific Pte. Ltd.ならびにそれらの子会社を通じて運営するアジア事業の一部持分を譲渡したことに伴い、当該会社が連結子会社でなくなったことにより、減収となりました。■ コアセグメント利益は、95億円(前連結会計年度比60.5%減)となりました。アジア事業の一部持分の譲渡により、減益となりました。 (3) 生産、受注及び販売の実績① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額 (百万円)前期比 (%)日本66,1635.7北米318,089106.8アジア23,907△46.8合計408,16056.2 (注) 1 金額は販売価格により換算したものです。2 セグメント間取引については相殺消去しています。3 当連結会計年度において、北米セグメントにおける生産実績が著しく増加しました。これは、「オルゴビクス」および「ジェムテサ」の売上が拡大したことによるものです。4 当連結会計年度において、アジアセグメントにおける生産実績が著しく減少しました。これは、アジア事業の一部持分を譲渡したことによるものです。 ② 仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額 (百万円)前期比 (%)日本13,531△42.4北米3,193△51.7アジア--合計16,724△44.4 (注) 金額は仕入価格によっています。 ③ 受注状況当社グループの生産は見込生産で、受注生産は行っていません。 ④ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称金額 (百万円)前期比 (%)日本92,365△7.5北米337,92334.2アジア23,006△51.2合計453,29413.7 (注) 1 セグメント間取引については相殺消去しています。2 当連結会計年度において、北米セグメントにおける販売実績が著しく増加しました。これは、「オルゴビクス」および「ジェムテサ」の売上が拡大したことによるものです。3 当連結会計年度において、アジアセグメントにおける販売実績が著しく減少しました。これは、アジア事業の一部持分を譲渡したことによるものです。4 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額 (百万円)割合 (%)金額 (百万円)割合 (%)Cencora, Inc.(米国)73,30418.4102,43822.6McKesson Corporation(米国)71,28717.993,50020.6Cardinal Health, Inc.(米国)53,69713.569,15215.3 (4) 財政状態資産については、前連結会計年度末に比べ620億円増加し、8,046億円となりました。非流動資産では、アジア事業の一部持分を譲渡したことにより持分法で会計処理されている投資が増加したため、前連結会計年度末に比べ359億円増加しました。流動資産では、売却目的で保有する資産や棚卸資産が減少しましたが、営業債権及びその他の債権や現金及び現金同等物が増加した結果、前連結会計年度末に比べ261億円増加しました。負債については、借入金や繰延税金負債等が減少した結果、前連結会計年度末に比べ610億円減少し、5,121億円となりました。資本合計は、当期利益の計上により利益剰余金が増加したため、前連結会計年度末に比べ1,230億円増加し、2,925億円となりました。なお、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は36.4%となりました。 (5) キャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローは、当期利益が大きく増加したこと等により、前連結会計年度に比べ552億円増加し、717億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、アジア事業の一部持分の譲渡に伴う子会社の支配喪失による収入がありましたが、前連結会計年度にはRoivant Sciences Ltd.株式等の投資有価証券の売却による多額の収入があったこと等により、前連結会計年度に比べ772億円収入が減少し、225億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度の借入金の返済等による支出が前連結会計年度の返済額を下回った結果、前連結会計年度に比べ176億円支出が減少し、913億円の支出となりました。上記のキャッシュ・フローに、売却目的で保有する資産の振替および現金及び現金同等物に係る換算差額を加味した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は443億円となり、前連結会計年度末に比べ212億円増加しました。
事業リスク
- 新製品の研究開発リスク新薬開発は非常に難易度が高く、計画通りに進まず、開発の遅延や中止に至る可能性があります。特に、大型化を期待している研究開発品目で問題が発生した場合、多額の投資が無駄になり、会社の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。これは、医薬品業界特有の不確実性の高いリスクです。
- 主力製品の売上収益に関するリスク同社グループの連結売上収益の55%を占める北米の「オルゴビクス」および「ジェムテサ」は、有力な競合品の出現やサプライチェーンの問題により売上が減少する可能性があります。これらの製品の売上が大きく落ち込んだ場合、会社の経営成績に直接的かつ重大な悪影響を及ぼす恐れがあります。
- 知的財産権に関わるリスク同社グループが保有する知的財産権が十分に保護されない場合や、第三者から侵害された場合、または逆に第三者の知的財産権を侵害してしまう可能性があります。特に米国での特許訴訟は、ジェネリック医薬品の早期参入を招き、主力製品の収益を大きく損なう可能性があるため、競争優位性の維持に重要な影響を与えます。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。当社は、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の防止または最小化に努めるとともに、発生した場合には的確な対応に努めていく方針です。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。また、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。 (1) 新製品の研究開発に関わるリスク当社グループは、独創性が高く国際的に通用する有用な新製品の開発に取り組んでいます。しかしながら、新薬開発の難度が高まる中、開発が必ずしも計画どおりに進み承認・発売に至るとは限らず、有効性や安全性の観点から開発が遅延し、または開発を中止しなければならない事態も起こり得ます。大型化を期待している研究開発品目においてそのような事態が発生した場合には、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは研究開発リスクも踏まえつつ、医薬品および再生医療等製品の研究開発に注力し、がん領域、精神神経領域およびその他領域(感染症領域等)における選択と集中を進めています。また、戦略的な計画の策定、効率的な研究開発をグローバルで連携して推進しています。当社では、開発ステージの移行時期にあわせて計画修正の是非等を確認する会議体などを通じて適宜研究開発方針を見直し、適切にポートフォリオを管理しています。 (2)連結売上収益に関するリスク当社グループの収益の柱である、「オルゴビクス」および「ジェムテサ」(以下「当該製品」)の当連結会計年度の北米での売上収益は、当社連結売上収益の55%を占めています。当該製品の有力な競合品の出現(これには先発医薬品メーカーによる競合品の上市のほか、後発医薬品メーカーによる当該製品の競合品の発売が含まれますが、これらに限りません。)または原材料調達を含むサプライチェーンへの影響その他の予期せぬ事情等により、売上収益が減少した場合には、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (3) 知的財産権に関わるリスク当社グループは研究開発において種々の知的財産権を保有していますが、当社グループの技術を十分な範囲で権利化できない場合、競合他社が当社グループの知的財産権を回避した場合、または当社が厳格に管理しているノウハウなどの営業秘密が予期せぬ事態により外部に流出した場合には、競争上の優位性を確保できない可能性があります。また、当社グループの事業は多くの知的財産権によって保護されていますが、保有する知的財産権が第三者に侵害された場合のほか、知的財産権の有効性や帰属を巡る係争が発生した場合には、競争上の優位性を十分に保持できない可能性があります。例えば、米国においては、特許期間内であっても、ジェネリック医薬品やバイオシミラー品の申請が可能であり、ジェネリック医薬品やバイオシミラー品の申請を行った企業との間で特許権の有効性や侵害の有無を争う特許侵害訴訟の制度があります。それら特許訴訟の結果によっては、ジェネリック医薬品やバイオシミラー品が当該特許期間満了より早期に参入する可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。他方、当社グループは、事業活動に必要な知的財産権について適法に使用する権限を有していると認識していますが、当該認識の範囲外で第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。 当社グループでは、主となる物質特許のみならず、用途、製法、製剤などの関連特許を含めたパテントポートフォリオを構築し、製品および開発品の総合的な保護を図っています。 (4) 医療制度改革について国内においては、少子高齢化の急速な進展等により国家財政が悪化する中、先発医薬品の価格抑制や長期収載品の選定療養の導入、毎年の薬価改定などの薬剤費抑制策が図られ、あわせて医療制度改革の論議も続けられています。また、米国においては、先発医薬品の価格抑制に関する新たな規則や政策が提案されており、今後これらが実施される可能性があります。さらに、中国においては国家医療保険償還医薬品リスト収載による価格引き下げや集中購買制度による安価な後発医薬品の使用が推進されています。医薬品市場は各国の政策による様々な規制を受けており、これら各国の薬価・医療制度改革の方向性によっては当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (5) 副作用に関わるリスク医薬品および再生医療等製品は開発段階において試験を実施し、世界各国の所轄官庁の厳しい審査を受けて承認されていますが、市販後に新たな副作用が見つかることも少なくありません。当社グループが販売する医薬品および再生医療等製品について市販後に予期せぬ副作用が発生した場合は、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、国内外で収集された安全性情報をデータベースで一元管理して評価し、医薬品および再生医療等製品の安全性確保ならびに適正使用のために必要な対策を立案し、タイムリーな安全対策の実施につなげています。このような活動は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」や「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令」を遵守した医薬品安全性監視活動として実践しています。 (6) 品質に関わるリスク当社グループは、自社もしくは委託先の製造所において、厳格な品質保証の下で製品の製造を行っていますが、重大な品質問題が発生した場合には、製品回収、行政処分、社会的信用の毀損等により、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社製品のグローバルな製造および流通については、関係各国の薬事法、医薬品等の製造管理及び品質管理の基準(GMP)、再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準(GCTP)等の薬事関連法規や、医薬品規制調和国際会議(ICH)ガイドライン等に準拠するとともに、厚生労働省所管の独立行政法人である独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)、米国食品医薬品局(FDA)等の所管当局の厳しい査察を受け、許可を得ています。また、これら製造所に対しては当社グループにて定期的な品質監査を行い、重大な品質問題や法令違反がないことを確認しています。さらにグローバル品の製造所に対しては、海外提携企業からの品質監査も受けており、グローバルレベルの厳しい品質基準もクリアする、高い品質保証体制や構造設備基準を整えています。 (7) 主要な事業活動の前提となる事項について当社グループの主な事業は医療用医薬品事業であり、国内においては、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」等の薬事に関する法令に基づき、その研究開発および製造販売等を行うにあたり、「第一種医薬品製造販売業」、「第二種医薬品製造販売業」(いずれも有効期間5年)等の許可等を取得しています。また、海外においても医療用医薬品事業を行うにあたっては、当該国の薬事関連法規等の規制を受け、必要に応じて許可等を取得しています。これらの許可等については、各法令で定める手続きを適切に実施しなければ効力を失います。また各法令に違反した場合、許可等の取消し、または期間を定めてその業務の全部もしくは一部の停止等を命ぜられることがある旨が定められています。当社グループは、現時点において、許可等の取消し等の事由となる事実はないものと認識していますが、将来、当該許可等の取消し等を命ぜられた場合には、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、コンプライアンスの推進を全ての事業活動の土台と位置付け、「行動宣言」において誠実な企業活動を行うことを宣言し、法令および企業倫理の遵守に努めています。当社では、「コンプライアンス行動基準」を制定し、事業活動における具体的な行動の規範としています。また、当社および国内外におけるグループ会社のコンプライアンスに関する事項を統括するコンプライアンス担当執行役員を設置しています。コンプライアンス担当執行役員は、当社のコンプライアンス委員会に加えて、国内グループ会社コンプライアンス委員会および海外グループ会社コンプライアンス委員会の委員長を務めるとともに、各委員会の活動状況を取締役会に報告しています。 (8) 訴訟に関わるリスク当社グループの事業活動に関連して、医薬品および再生医療等製品の副作用、製造物責任、公正取引等に関連し、訴訟を提起される可能性があります。これらの訴訟およびその他の訴訟には性質上不確実性があり、その動向によっては、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (9) サプライチェーンマネジメントに関するリスク当社グループの工場や原材料調達先、外部製造委託先などのサプライヤーが、品質や技術上の問題、火災、地震、その他の災害、サイバー攻撃、感染症拡大等により閉鎖または操業停止となり、製品の供給が遅滞もしくは休止した場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、予測を超える急激な需要変動が生じた場合、製品の安定供給に支障をきたす可能性があります。当社では、事業継続計画(BCP)の定期的な見直しおよび教育訓練の実施、製品在庫の適正化、原材料調達先の複数化、サプライヤーとの連携強化、製品別リスクアセスメントの推進など、医薬品の安定供給体制を整備し、サプライチェーン全体でリスクの低減を図っています。また、サプライヤーにも「住友ファーマ ビジネスパートナーのためのサステナブル行動指針」の遵守をお願いすることで、当社グループと同様のサステナビリティへの取組を求めています。 (10) 非金融資産の減損損失リスク当社グループは、持続的成長のために、企業買収や開発品の導入等を行っていますが、これに伴い、のれんおよび特許権や仕掛研究開発等の無形資産を計上しています。前連結会計年度において、「ツイミーグ」に係る特許権(無形資産)42億円を減損するなど、総額55億円の減損損失を計上しました。今後も、開発の中止や当初想定した利益の実現が見込めないこと等による期待する将来利益の低下、金利動向による割引率の上昇等により、買収および導入等から見込まれる回収可能価額が、のれんや無形資産の帳簿価額を下回ると想定される場合、減損損失が発生し、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、定期的にこれらののれんや無形資産の減損テストを通じて評価額を把握し、適切に処理しています。 (11) 金融資産に関わるリスク当社グループは、他社株式等の金融資産を保有しています。これら保有する金融資産の市場価額または公正価値が帳簿価額を下回った場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社は、企業提携、重要な取引先との取引関係の構築・維持その他事業上の必要性のある場合を除き、新たに他社の株式を保有しないこととしています。また、定期的にこれらの金融資産の評価額変動の把握および必要な処理を行っています。 (12) 金融市況および為替変動による影響について金利や株価などの金融市況の変動によっては、借入金等の支払利息が増加するほか、確定給付制度債務の増加や制度資産の減少など、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、為替相場の変動によっては、外貨建て金融資産および連結子会社業績等の円換算において、重要な影響を受ける可能性があります。 (13) 資金調達に関するリスク当社は、過去の企業買収などに関連して、金融機関からの借り入れや社債などにより資金を調達していました。これらの債務の中には、財務制限条項が付されているものもありましたが、新たに締結したブリッジローンへの借り換えにより、本有価証券報告書提出日現在(6月23日)において当該借入契約は終了しています。 また、将来、当社の財務状況の悪化などによる信用格付けの引き下げや、世界的な経済状況の変化により、資金調達が計画どおりに実施できない場合、支払利息の増加や、当社が希望する条件で資金調達することが困難になり、当社グループの経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (14) 親会社との取引について当社と親会社である住友化学との間で、研究所および工場の土地賃借、これらの事業所等で使用する用役や主に原薬を製造する際に使用する原料の購入契約を締結しています。当該契約等は、一般的な市場価格を参考に双方協議のうえ合理的に価格が決定され、当事者からの申し出がない限り1年ごとに自動更新されるものです。また、当社グループの金融機関からの借入金等について、親会社による債務保証を受けていましたが、新たに締結したブリッジローンへの借り換えにより、本有価証券報告書提出日現在(6月23日)において親会社による債務保証は解消されています。このほか、親会社から出向者の受入を行っています。今後も当該取引等を継続していく方針ですが、親会社との契約・取引内容等に変化が生じた場合には、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社が親会社と行う重要な取引等については、当社の企業価値の向上の観点からその公正性および合理性を確保するために、グループ会社間取引利益相反監督委員会への諮問を経て取締役会において承認を得ることとするなど、重要性に応じて適切に監督しています。 (15) 海外事業展開、大規模災害・感染症等に関するリスク当社グループは、北米、中国、東南アジアを中心にグローバルな事業活動を展開していますが、各国の規制・制度変更や外交関係の悪化、政情不安、紛争等のリスクが内在しており、このようなリスクに直面した場合、当社グループの事業計画が達成できず、経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。例えば、米国での医薬品事業やそのサプライチェーンに影響を及ぼす関税政策の導入・変更、それに対する各国対抗措置等がコストを上昇させ、経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、大規模災害や感染症の大流行に直面した場合、当社グループの事業計画が達成できず、経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社では、事業活動に影響を及ぼすリスクに対応するため「リスクマネジメント規則」を制定し、社長がリスクマネジメントを統括することを明確にするとともに、リスクごとにマネジメントを推進する体制を整備しています。大規模災害発生・感染症の大流行に際しては、直ちに対策本部を設置して全社的な対応体制を構築するとともに、医薬品企業の使命として製品供給を第一に考え、生産・供給体制を整備いたします。 (16) 情報管理に関するリスク当社グループは、各種情報システムを使用しているため、システムの障害やコンピューターウィルス等により、業務が阻害される可能性があります。また、個人情報を含め多くの機密情報を保有していますが、これらが社外に漏洩した場合には、損害賠償、行政処分、社会的信用の毀損等により、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに、サイバー攻撃により、当社グループまたはビジネスパートナーのシステムやネットワークに障害が発生し、または当社グループの機密情報が漏洩した場合は、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、記録・情報の取扱いおよびITセキュリティに関するルールを定め、継続的に社員教育を実施し、適切な運用に努めています。また、サイバー攻撃への対策として、Computer Security Incident Response Team(CSIRT)を設置し、外部からの不正アクセスを常時監視するとともに、有事の際に迅速かつ適切に対処する体制を整備しています。 (17) 環境保全に関するリスク当社グループは、研究開発および製品製造のために種々の化学物質を使用しており、重大な環境問題が発生した場合には、操業停止、行政処分、社会的信用の毀損等により、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、将来の環境関連法規制等の強化、環境負荷低減の追加的な義務等による環境保全に関連する費用が増加した場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。更には、地球規模の課題である気候変動およびそれに関連する水リスクに関して、大型台風や集中豪雨等の自然災害の増加が国内外事業所および調達先での操業に影響した場合や炭素税導入などの規制強化によって原材料・用役コストが増加した場合にも、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。気候変動に関するリスクと機会については、TCFD(Task Force on Climate Related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った取り組みを進め情報開示を行っています。今後もステークホルダーとの対話を大切にし、様々な視点から気候変動によるリスクと機会を見つめなおし、「緩和」と「適応」の両面から考えることで、より一層のリスク低減を図るとともに、的確に機会をとらえていきます。 なお、上記以外にもさまざまなリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。