4553

東和薬品(4553)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

医薬品 医薬品

事業の概要

  • 医療用医薬品の製造販売
    東和薬品グループは、主に医療機関向けの医薬品を製造・販売しています。特に、新薬の特許期間が切れた後に開発される「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」を中心に事業を展開しており、これが収益の柱となっています。新薬と同じ有効成分で、効能・効果、用法・用量が同等なため、患者さんの医療費負担軽減にも貢献しています。
  • ジェネリック医薬品のビジネスモデル
    ジェネリック医薬品は、新薬に比べて開発コストが低く抑えられるため、より安価に提供できるのが特徴です。東和薬品は、自社の営業所を通じて直接医療機関に販売するほか、代理店や医薬品卸、他の医薬品メーカーにも製品を供給することで、幅広い販路を確保し収益を上げています。
  • 国内外での事業展開
    事業は「国内セグメント」と「海外セグメント」の二つに分かれています。国内では、ジェイドルフ製薬が製品の売買や製造受託、大地化成が原薬の研究・製造受託、グリーンカプス製薬がソフトカプセルの製造受託、三生医薬が健康食品・医薬品の受託製造を行うなど、グループ会社が連携して事業を支えています。海外では、Towa Pharma International Holdingsが欧米でのジェネリック医薬品事業を統括し、研究開発・製造・販売を行っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 国内事業
    国内セグメントは、東和薬品グループの主要な収益源であり、売上高2,061.03億円、営業利益272.16億円を計上しています。主に日本国内の医療機関向けにジェネリック医薬品を製造・販売しており、自社営業所や医薬品卸を通じて広範な顧客に製品を届けています。グループ会社が原薬の研究・製造受託や製剤の製造受託を行うことで、国内市場での安定供給と競争力強化を図っています。
  • 海外事業
    海外セグメントは、欧米でのジェネリック医薬品事業を集約する持株会社Towa Pharma International Holdings, S.L.を中心に展開しており、売上高534.9億円、営業利益4.49億円を計上しています。欧州に研究開発・製造拠点を持ち、ジェネリック医薬品の販売や受託研究開発・製造事業を行っています。国内事業に比べると規模は小さいですが、グローバル展開を通じて事業の多角化と成長を目指しています。
  • ジェネリック医薬品が事業の中心
    両セグメントともに、ジェネリック医薬品の製造販売が事業の中核を占めています。国内では、グループ会社が連携して研究開発から製造、販売までを一貫して行い、市場シェアの拡大と収益性の改善を目指しています。海外では、欧米市場での事業展開を通じて、新たな成長機会の獲得と国際競争力の強化を図っています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Domestic 事業 2,061 272 13.2%
Overseas 事業 535 4 0.8%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|694 文字
3【事業の内容】 当社グループ(当社及び連結子会社)は、主要な事業として医療用医薬品の製造販売を営んでおります。当社グループの医薬品事業の主な扱い品目はジェネリック医薬品(後発医薬品)と呼ばれるもので、新薬(先発医薬品)の有効性と安全性が一定期間にわたって確認された後に上市される、有効成分が同一でかつ効能・効果、用法・用量が同等の医薬品です。 当社グループは、「国内セグメント」と「海外セグメント」の2つを報告セグメントとしており、各社の事業内容及び当社と連結子会社の当該事業に係る位置づけ及びセグメントとの関連は、次の通りであります。 (国内セグメント) 当社は、製造した医薬品を当社の営業所を通じて直接医療機関へ販売するほか、代理店、医薬品卸及び他の医薬品メーカーへも販売しております。 ジェイドルフ製薬株式会社は、当社及び他の医薬品メーカーとの間で製品等の売買及び製造を受託しております。 大地化成株式会社は、当社より原薬等の研究及び製造を受託しております。 グリーンカプス製薬株式会社は、当社よりソフトカプセルの製造を受託しております。 三生医薬株式会社は、健康食品・医薬品等の企画・開発・受託製造業等を展開しております。 (海外セグメント) Towa Pharma International Holdings, S.L.は、欧米でのジェネリック医薬品事業を集約する持株会社であり、同社のグループ会社は欧州に研究開発、製造拠点を有し、ジェネリック医薬品販売事業及び受託研究開発・製造事業を展開しております。 また、当社は同社のグループ会社に研究開発及び製造を委託しております。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
薬価は原則2年に1回改定され、多くで引き下げられるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
医薬品医療機器等法及び関連法規等による規制、各種許認可、免許の取得が必要。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか ディフェンシブ
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:医療制度及び薬事規制による薬価引き下げ / 特許権侵害訴訟や再審査期間延長による影響 / 競合激化による売上収益との乖離
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 11 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

東和薬品は後発医薬品メーカーであり、先発医薬品のような強力な特許やブランド力は限定的。ただし、長年の実績と信頼に基づく「品質」への評価は一定の無形資産となりうる。ジェネリック医薬品の普及に伴い、一定の認知度は確保している。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

医療用医薬品は、医師の処方箋に基づき調剤されるため、患者が自由に製薬会社を変更することは難しい。また、医療機関や薬局側も、採用している医薬品の切り替えには、品質、供給安定性、コストなどの評価が必要であり、一定のスイッチングコストが発生する。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

医薬品の製造・販売にはネットワーク効果は基本的に見られない。個々の製品の品質や価格、供給体制が重要となる。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

後発医薬品メーカーとして、研究開発費やマーケティング費を抑え、先発品よりも低価格で提供することに強みを持つ。製造プロセスの効率化やスケールメリットによるコスト削減努力が競争力の源泉となる。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

後発医薬品市場は競争が激しいが、東和薬品は国内有数の後発医薬品メーカーであり、一定の生産規模と販売網を有している。これにより、多様な製品ラインナップと安定供給能力を維持している。

  • ジェネリック医薬品の専門性
    東和薬品はジェネリック医薬品に特化しており、新薬の特許満了後に迅速に同等品を市場に投入するノウハウと体制を持っています。これにより、開発期間やコストを抑えつつ、医療費削減に貢献する製品を提供できる点が強みです。
  • 安定供給体制と品質管理
    国内外に複数の生産拠点を持ち、工場間のバックアップ体制や原薬の複数購買、配送拠点の増設などにより、製品の安定供給に努めています。医薬品は人々の健康に関わるため、高い品質管理体制を維持し、信頼性を確保していることも競争優位性につながります。
  • グループ内連携による効率化
    国内セグメントでは、原薬の研究・製造から製剤化、販売までをグループ会社が分担・連携することで、効率的な生産体制を構築しています。これにより、コスト競争力を高め、市場での優位性を保つことが可能となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針当社は、「私達は 人々の健康に貢献します」「私達は こころの笑顔を大切にします」を理念に掲げております。そして、企業活動を通じて理念を実現するために、私達の誓い「T-SMILE」を掲げております。私達の誓い「T-SMILE」・Truthful:誠実で、正直であり続けます。公正な心を持って適正を貫き、人々から喜ばれ、信頼される存在になります。・Speed:意思決定、実行、情報共有などを迅速に行います。先見性を持って、変化に俊敏に対応します。・Mission:世界中で地域社会の人々の健康に役立つという強い使命感と、その実現への情熱を持ち続けます。・Idea:発想力と想像力を駆使して、前例にとらわれない変革にチャレンジします。常に能動的に行動します。・Linkage:人や情報と幅広く結びつき、協力します。認め合える相手と切磋琢磨し、お互いを高めます。・Excellence:最善の品質を求め、サイエンスを大切にしながら、時代にあった最適の技術でそれをかなえます。 当社は、優れた製品とサービスを創造することによって、人々の健康に貢献します。そして私達の企業活動を通して、患者さん、医療関係者の皆様、地域社会をはじめとするすべての方々にこころから喜ばれ、求められる企業を目指していきます。ジェネリック医薬品事業をコア事業として、新たな健康関連事業へ展開していきます。 (2) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題国内ジェネリック医薬品業界では、2024年3月の社会保障審議会医療保険部会において、「医薬品の安定的な供給を基本としつつ、後発医薬品の数量シェアを2029年度末までにすべての都道府県で80%以上」とする主目標とともに、新たに「後発医薬品の金額シェアを2029年度末までに65%以上」とするという副次目標が掲げられました。さらに、2024年10月からは後発医薬品のある先発医薬品の一部において追加で自己負担が発生する「長期収載品の選定療養」の導入が開始されました。その結果、2025年10-12月期の後発医薬品の数量シェアは90.0%(日本ジェネリック製薬協会調べ)となりました。一方、2021年度以降は薬価改定が毎年行われており、医薬品業界にとって極めて厳しい状況となっております。さらに、2020年に発覚した複数のジェネリック医薬品企業における品質問題を起因とした一連の供給不安によりジェネリック医薬品に対する信頼感は低下し、ジェネリック医薬品業界の置かれた環境は厳しさを増しております。このような状況の中、2024年5月に厚生労働省から公表された「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会 報告書」において、「5年程度の集中改革期間を設定して、製造管理・品質管理体制の確保および安定供給能力の確保、持続可能な産業構造の実現を目指す」ことが示されました。また、2025年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太方針2025)」では、「少量多品目構造解消に向けた後発医薬品業界の再編を推進する」という記載がなされました。これらの方針を踏まえ、2026年度薬価改定では、企業の安定供給体制を評価する企業指標において各企業の評価が公表されることに加え、要件を満たした品目は価格帯集約を行わないことになりました。また、乖離率の要件を満たした品目は昨年に引き続き最低薬価の引き上げが行われたほか、医療上の必要性が特に高い品目に対する不採算品再算定も実施されました。さらに、後発品の適切な競争環境の形成・維持のため、オーソライズド・ジェネリック(AG)は2026年10月以降の新規収載時に先発品と同額の薬価になることが決まりました。一方、薬剤の自己負担制度について、長期収載品の選定療養における自己負担額が薬価差4分の1から2分の1に引き上がることになったほか、新たにOTC類似薬の一部において薬剤費の4分の1が保険外負担になることが決まりました。以上のような状況の中、当社グループは、品質向上を最優先課題と位置付け、グループ役員及び社員が一丸となって、どの時代においても、どの地域においても、その地域に居住する人々に必要とされる企業であり続けることを目指しております。また、これまでに蓄積した知見や技術に加え、新技術の導入及び最新知見との融合を推進することで、技術革新と製品価値の向上を図り、人々の健康に貢献してまいります。当社グループは2024年6月に、第6期中期経営計画2024-2026「PROACTIVE Ⅲ」を策定しました。この中期経営計画においては、以下の3つのグループ基本方針に基づき、各種施策を推進しております。 方針1. 国内ジェネリック医薬品事業の新たなステージに向けた進化国内ジェネリック医薬品市場においては、複数企業における品質問題を背景に、医薬品全体で供給不安が続いております。このような市場環境の中、当社は「ジェネリック医薬品の供給は、人々の健康を支える社会基盤である」との認識のもと、以下の取り組みを実施しております。1. 安定供給体制の整備当社は、安定供給責任を果たすため、さらなる生産能力の増強に取り組んでおります。2025年10月に、新設した山形工場第三固形製剤棟に導入した全ての設備の立上げが完了し、本格稼働を開始いたしました。これにより、自社工場の年間生産能力は175億錠体制となりました。また、近年の労働力不足に対応するため、設備の自動化及び省人化を推進し、持続可能な供給体制構築にも取り組んでおります。2026年4月には、アドラゴスファーマ川越株式会社との間で、2033年までに約15億錠規模の医薬品製造委受託提携に関する基本合意を締結し、また、株式会社三和化学研究所との間では、2028年度を目途に約7億錠規模のバックアップ生産体制の構築を目的とした協業に合意しました。これらは供給体制のさらなる強化を目的とした戦略的協業であり、今後も自社工場の能力増強とともに、企業間連携を通じた安定供給体制の整備を進めてまいります。2. サプライチェーンマネジメントの高度化2025年2月に医薬品供給プロセスの効率化に向けた取り組みを開始しております。この取り組みにより、製造・販売・在庫の状況、製造設備の稼動状況など、供給に関わる判断に必要な情報を可視化することで、供給に関する意思決定の迅速化及び省人化を実現し、安定供給の強化を図ります。3. 信頼性保証の維持と強化信頼性保証の強化の取り組みとして、2024年1月から既存のMES(製造実行管理システム)やLIMS(試験情報管理システム)に加えて、品質マネジメントシステム(以下「MCシステム」という。)を採用しました。2025年2月からは、MCシステムの「品質イベント管理」及び「文書管理」を開発段階まで拡大運用することで、製造管理・品質管理のさらなる向上を図っています。4. 持続可能な産業構造への対応当社は、政府の「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」報告書を踏まえ、国内医薬品供給体制に係る課題解決に向けた方針「東和ビジョン」を策定しました。本ビジョンは、ジェネリック医薬品メーカーのみならず、先発医薬品メーカーや医薬品受託製造(CMO)事業者等と連携・協業することで、先発医薬品の特許満了を契機とした「特許満了医薬品」(特許が満了した先発医薬品及び同成分のジェネリック医薬品)を一つの統合市場として捉え、将来にわたり治療上必要とされる医薬品を安定的かつ持続的に供給するエコシステムを構築することを目的としています。これにより、当社は医薬品供給の安定化と業界全体の健全な循環モデルの実現に寄与してまいります。また、2026年1月には大塚製薬株式会社との間で、医薬品製造に関する協業体制構築についての基本合意を締結したことを公表しました。本協業は「東和ビジョン」実現に向けた第一弾であり、国内医薬品産業の持続的成長と健全な発展に寄与する重要な取り組みです。当社は本協業を「長期必須医薬品の安定供給エコシステム構想」の実現に向けた重要な一歩と位置づけ、今後も同趣旨に賛同いただける企業との連携を推進し、社会的要請に応えるべく取り組みを継続してまいります。5. 製品ポートフォリオの拡充当社は、継続的な研究開発を通じて、製品ポートフォリオの戦略的な拡充を図り、競争力の維持・強化に努めております。2025年度には新たに7成分14品目(リバルエン®LAパッチを含む。)を上市し、自社製品数は合計316成分742品目となりました。これからも市場カバレッジの拡大と収益基盤の強化を進め、安定的かつ持続的な中長期の企業価値向上に取り組んでまいります。 方針2. 新規市場・新規事業の基盤確立とグループシナジーの実現1. 海外医薬品事業における基盤整備海外医薬品事業においては、「世界中の人々の健康に貢献する」というミッションのもと、Towa Pharma International Holdings, S.L. (以下「Towa INT」という。)を中心に、日米欧3極体制を構築しております。第7期中期経営計画以降には、55か国以上への市場拡大を目指し、欧州及び米国市場での新製品投入を通じて収益基盤の強化を図ります。 2. ニトロソアミン類混入リスクへの対応世界各国で、医薬品中にニトロソアミン類が検出され、製品回収に至る事例が頻発しており、その原因究明と対策が急務とされています。当社は、原薬及び製剤製造工程における空気中の窒素酸化物(NOx)がニトロソアミンの生成・混入の一因であることを、2023年末に世界で初めて発表しました。また、一連の研究の成果として、NOxを極限まで低減させた環境下でアトモキセチン錠を製造し、許容限度値を下回る製剤の製造に、世界で初めて成功いたしました。本研究の成果は、原薬・製剤及び製造環境における管理体制の改善に資するものであり、医薬品中へのニトロソアミン混入抑止に向けた実効的な対策の一助となることが期待されます。今後も、これらの取り組みを通じて、安全で安心な医薬品の提供を目指してまいります。3. 健康関連事業の推進健康関連事業では、健康長寿社会の実現を見据えた医療・介護体制の構築や、未病ケア及び予防活動へのシフトを推進しております。・「ヘルスケアパスポートplus」の提供開始(2026年7月以降~)2040年を見据えた地域包括ケアシステムの深化へのさらなる貢献を目指し、TIS株式会社のクラウド型健康・医療情報双方向連携サービス「ヘルスケアパスポートplus」を、2026年7月以降に順次提供することを公表しました。この「ヘルスケアパスポートplus」を、地域住民の健康を支える、かかりつけ医が日常診療の中で、無理なく活用できるPHR基盤サービスとして展開していきます。当社は、地域の多様な関係者と協働しながら、健康寿命の延伸と持続可能な地域医療に貢献していきます。・三生医薬株式会社との連携強化三生医薬株式会社(以下「三生医薬」という。)の健康食品CDMO(受託開発製造)事業における高い製剤技術力と、当社の製剤技術を融合することで、研究開発の促進及び新たなイノベーション創出を目指しております。・新医薬品「リバルエン®LA パッチ」の発売2025年5月に、日本初の持続放出性アルツハイマー型認知症治療用貼付剤「リバルエン®LAパッチ25.92mg/51.84mg」が薬価収載され発売しました。この製品は、従来の毎日投薬に比べて服薬頻度を週2回に低減することで、患者及び介護者の負担軽減が期待されております。当社はこれからも、認知症ケアの質の向上及び生活の質(QOL)の向上に貢献してまいります。 方針3. 持続的成長を支えるサステナビリティ経営の強化と基盤の整備持続的な成長により社会に貢献することを目指し、以下の取り組みを推進しています。1.環境負荷の低減(グリーンケミストリー)原薬製造における環境負荷を最小化するため、次世代の製法として連続フロー精密合成技術の研究開発を進めております。この技術は、自然環境への負荷を低減するだけでなく、製造現場で働く人々にも配慮した安全性の高い製剤開発を可能にします。当社は、これらの取り組みを通じて、安全で安心な製品の提供に努めてまいります。2.ドラッグ・リポジショニング既存薬から新たな薬効を発見し、別の治療薬として開発する「ドラッグ・リポジショニング」に取り組んでいます。2025年6月には、当社は京都大学iPS細胞研究所(CiRA)及び三重大学大学院医学系研究科と、家族性アルツハイマー病の治療を目的に、ブロモクリプチンの第2/3相企業治験を開始いたしました。このアプローチにより、安全性が確立された既存薬を活用した、新たな製品価値の創出を目指してまいります。3.働きがいのある職場環境の整備と人材育成当社は、事業の持続可能性を支える人材開発の基盤構築を、経営の重要課題と位置づけています。社員一人ひとりが自身の仕事の価値や会社への貢献を実感し、働きがいを感じられる職場環境を整えるため、各種人事制度の改革を進めるとともに、人材研修センターを設立し社員のキャリア形成を支援しています。また、経理財務領域の人材確保及び高度化・国際化を目指すため、知見を持つ外部企業と連携し、専門人材の採用・育成プログラムを強化するとともに、当社グループ会社間の会計ルールやシステムを見直して業務を集約・効率化を進めます。さらにAI(決算自動化エージェント等)を導入し、決算精度と処理スピードを向上させることで、経理財務部門が付加価値の高い経営支援業務に注力できる体制を構築します。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針当社は、「私達は 人々の健康に貢献します」「私達は こころの笑顔を大切にします」を理念に掲げております。そして、企業活動を通じて理念を実現するために、私達の誓い「T-SMILE」を掲げております。私達の誓い「T-SMILE」・Truthful:誠実で、正直であり続けます。公正な心を持って適正を貫き、人々から喜ばれ、信頼される存在になります。・Speed:意思決定、実行、情報共有などを迅速に行います。先見性を持って、変化に俊敏に対応します。・Mission:世界中で地域社会の人々の健康に役立つという強い使命感と、その実現への情熱を持ち続けます。・Idea:発想力と想像力を駆使して、前例にとらわれない変革にチャレンジします。常に能動的に行動します。・Linkage:人や情報と幅広く結びつき、協力します。認め合える相手と切磋琢磨し、お互いを高めます。・Excellence:最善の品質を求め、サイエンスを大切にしながら、時代にあった最適の技術でそれをかなえます。 当社は、優れた製品とサービスを創造することによって、人々の健康に貢献します。そして私達の企業活動を通して、患者さん、医療関係者の皆様、地域社会をはじめとするすべての方々にこころから喜ばれ、求められる企業を目指していきます。ジェネリック医薬品事業をコア事業として、新たな健康関連事業へ展開していきます。 (2) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題国内ジェネリック医薬品業界では、2024年3月の社会保障審議会医療保険部会において、「医薬品の安定的な供給を基本としつつ、後発医薬品の数量シェアを2029年度末までにすべての都道府県で80%以上」とする主目標とともに、新たに「後発医薬品の金額シェアを2029年度末までに65%以上」とするという副次目標が掲げられました。さらに、2024年10月からは後発医薬品のある先発医薬品の一部において追加で自己負担が発生する「長期収載品の選定療養」の導入が開始されました。その結果、2025年10-12月期の後発医薬品の数量シェアは90.0%(日本ジェネリック製薬協会調べ)となりました。一方、2021年度以降は薬価改定が毎年行われており、医薬品業界にとって極めて厳しい状況となっております。さらに、2020年に発覚した複数のジェネリック医薬品企業における品質問題を起因とした一連の供給不安によりジェネリック医薬品に対する信頼感は低下し、ジェネリック医薬品業界の置かれた環境は厳しさを増しております。このような状況の中、2024年5月に厚生労働省から公表された「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会 報告書」において、「5年程度の集中改革期間を設定して、製造管理・品質管理体制の確保および安定供給能力の確保、持続可能な産業構造の実現を目指す」ことが示されました。また、2025年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太方針2025)」では、「少量多品目構造解消に向けた後発医薬品業界の再編を推進する」という記載がなされました。これらの方針を踏まえ、2026年度薬価改定では、企業の安定供給体制を評価する企業指標において各企業の評価が公表されることに加え、要件を満たした品目は価格帯集約を行わないことになりました。また、乖離率の要件を満たした品目は昨年に引き続き最低薬価の引き上げが行われたほか、医療上の必要性が特に高い品目に対する不採算品再算定も実施されました。さらに、後発品の適切な競争環境の形成・維持のため、オーソライズド・ジェネリック(AG)は2026年10月以降の新規収載時に先発品と同額の薬価になることが決まりました。一方、薬剤の自己負担制度について、長期収載品の選定療養における自己負担額が薬価差4分の1から2分の1に引き上がることになったほか、新たにOTC類似薬の一部において薬剤費の4分の1が保険外負担になることが決まりました。以上のような状況の中、当社グループは、品質向上を最優先課題と位置付け、グループ役員及び社員が一丸となって、どの時代においても、どの地域においても、その地域に居住する人々に必要とされる企業であり続けることを目指しております。また、これまでに蓄積した知見や技術に加え、新技術の導入及び最新知見との融合を推進することで、技術革新と製品価値の向上を図り、人々の健康に貢献してまいります。当社グループは2024年6月に、第6期中期経営計画2024-2026「PROACTIVE Ⅲ」を策定しました。この中期経営計画においては、以下の3つのグループ基本方針に基づき、各種施策を推進しております。 方針1. 国内ジェネリック医薬品事業の新たなステージに向けた進化国内ジェネリック医薬品市場においては、複数企業における品質問題を背景に、医薬品全体で供給不安が続いております。このような市場環境の中、当社は「ジェネリック医薬品の供給は、人々の健康を支える社会基盤である」との認識のもと、以下の取り組みを実施しております。1. 安定供給体制の整備当社は、安定供給責任を果たすため、さらなる生産能力の増強に取り組んでおります。2025年10月に、新設した山形工場第三固形製剤棟に導入した全ての設備の立上げが完了し、本格稼働を開始いたしました。これにより、自社工場の年間生産能力は175億錠体制となりました。また、近年の労働力不足に対応するため、設備の自動化及び省人化を推進し、持続可能な供給体制構築にも取り組んでおります。2026年4月には、アドラゴスファーマ川越株式会社との間で、2033年までに約15億錠規模の医薬品製造委受託提携に関する基本合意を締結し、また、株式会社三和化学研究所との間では、2028年度を目途に約7億錠規模のバックアップ生産体制の構築を目的とした協業に合意しました。これらは供給体制のさらなる強化を目的とした戦略的協業であり、今後も自社工場の能力増強とともに、企業間連携を通じた安定供給体制の整備を進めてまいります。2. サプライチェーンマネジメントの高度化2025年2月に医薬品供給プロセスの効率化に向けた取り組みを開始しております。この取り組みにより、製造・販売・在庫の状況、製造設備の稼動状況など、供給に関わる判断に必要な情報を可視化することで、供給に関する意思決定の迅速化及び省人化を実現し、安定供給の強化を図ります。3. 信頼性保証の維持と強化信頼性保証の強化の取り組みとして、2024年1月から既存のMES(製造実行管理システム)やLIMS(試験情報管理システム)に加えて、品質マネジメントシステム(以下「MCシステム」という。)を採用しました。2025年2月からは、MCシステムの「品質イベント管理」及び「文書管理」を開発段階まで拡大運用することで、製造管理・品質管理のさらなる向上を図っています。4. 持続可能な産業構造への対応当社は、政府の「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」報告書を踏まえ、国内医薬品供給体制に係る課題解決に向けた方針「東和ビジョン」を策定しました。本ビジョンは、ジェネリック医薬品メーカーのみならず、先発医薬品メーカーや医薬品受託製造(CMO)事業者等と連携・協業することで、先発医薬品の特許満了を契機とした「特許満了医薬品」(特許が満了した先発医薬品及び同成分のジェネリック医薬品)を一つの統合市場として捉え、将来にわたり治療上必要とされる医薬品を安定的かつ持続的に供給するエコシステムを構築することを目的としています。これにより、当社は医薬品供給の安定化と業界全体の健全な循環モデルの実現に寄与してまいります。また、2026年1月には大塚製薬株式会社との間で、医薬品製造に関する協業体制構築についての基本合意を締結したことを公表しました。本協業は「東和ビジョン」実現に向けた第一弾であり、国内医薬品産業の持続的成長と健全な発展に寄与する重要な取り組みです。当社は本協業を「長期必須医薬品の安定供給エコシステム構想」の実現に向けた重要な一歩と位置づけ、今後も同趣旨に賛同いただける企業との連携を推進し、社会的要請に応えるべく取り組みを継続してまいります。5. 製品ポートフォリオの拡充当社は、継続的な研究開発を通じて、製品ポートフォリオの戦略的な拡充を図り、競争力の維持・強化に努めております。2025年度には新たに7成分14品目(リバルエン®LAパッチを含む。)を上市し、自社製品数は合計316成分742品目となりました。これからも市場カバレッジの拡大と収益基盤の強化を進め、安定的かつ持続的な中長期の企業価値向上に取り組んでまいります。 方針2. 新規市場・新規事業の基盤確立とグループシナジーの実現1. 海外医薬品事業における基盤整備海外医薬品事業においては、「世界中の人々の健康に貢献する」というミッションのもと、Towa Pharma International Holdings, S.L. (以下「Towa INT」という。)を中心に、日米欧3極体制を構築しております。第7期中期経営計画以降には、55か国以上への市場拡大を目指し、欧州及び米国市場での新製品投入を通じて収益基盤の強化を図ります。 2. ニトロソアミン類混入リスクへの対応世界各国で、医薬品中にニトロソアミン類が検出され、製品回収に至る事例が頻発しており、その原因究明と対策が急務とされています。当社は、原薬及び製剤製造工程における空気中の窒素酸化物(NOx)がニトロソアミンの生成・混入の一因であることを、2023年末に世界で初めて発表しました。また、一連の研究の成果として、NOxを極限まで低減させた環境下でアトモキセチン錠を製造し、許容限度値を下回る製剤の製造に、世界で初めて成功いたしました。本研究の成果は、原薬・製剤及び製造環境における管理体制の改善に資するものであり、医薬品中へのニトロソアミン混入抑止に向けた実効的な対策の一助となることが期待されます。今後も、これらの取り組みを通じて、安全で安心な医薬品の提供を目指してまいります。3. 健康関連事業の推進健康関連事業では、健康長寿社会の実現を見据えた医療・介護体制の構築や、未病ケア及び予防活動へのシフトを推進しております。・「ヘルスケアパスポートplus」の提供開始(2026年7月以降~)2040年を見据えた地域包括ケアシステムの深化へのさらなる貢献を目指し、TIS株式会社のクラウド型健康・医療情報双方向連携サービス「ヘルスケアパスポートplus」を、2026年7月以降に順次提供することを公表しました。この「ヘルスケアパスポートplus」を、地域住民の健康を支える、かかりつけ医が日常診療の中で、無理なく活用できるPHR基盤サービスとして展開していきます。当社は、地域の多様な関係者と協働しながら、健康寿命の延伸と持続可能な地域医療に貢献していきます。・三生医薬株式会社との連携強化三生医薬株式会社(以下「三生医薬」という。)の健康食品CDMO(受託開発製造)事業における高い製剤技術力と、当社の製剤技術を融合することで、研究開発の促進及び新たなイノベーション創出を目指しております。・新医薬品「リバルエン®LA パッチ」の発売2025年5月に、日本初の持続放出性アルツハイマー型認知症治療用貼付剤「リバルエン®LAパッチ25.92mg/51.84mg」が薬価収載され発売しました。この製品は、従来の毎日投薬に比べて服薬頻度を週2回に低減することで、患者及び介護者の負担軽減が期待されております。当社はこれからも、認知症ケアの質の向上及び生活の質(QOL)の向上に貢献してまいります。 方針3. 持続的成長を支えるサステナビリティ経営の強化と基盤の整備持続的な成長により社会に貢献することを目指し、以下の取り組みを推進しています。1.環境負荷の低減(グリーンケミストリー)原薬製造における環境負荷を最小化するため、次世代の製法として連続フロー精密合成技術の研究開発を進めております。この技術は、自然環境への負荷を低減するだけでなく、製造現場で働く人々にも配慮した安全性の高い製剤開発を可能にします。当社は、これらの取り組みを通じて、安全で安心な製品の提供に努めてまいります。2.ドラッグ・リポジショニング既存薬から新たな薬効を発見し、別の治療薬として開発する「ドラッグ・リポジショニング」に取り組んでいます。2025年6月には、当社は京都大学iPS細胞研究所(CiRA)及び三重大学大学院医学系研究科と、家族性アルツハイマー病の治療を目的に、ブロモクリプチンの第2/3相企業治験を開始いたしました。このアプローチにより、安全性が確立された既存薬を活用した、新たな製品価値の創出を目指してまいります。3.働きがいのある職場環境の整備と人材育成当社は、事業の持続可能性を支える人材開発の基盤構築を、経営の重要課題と位置づけています。社員一人ひとりが自身の仕事の価値や会社への貢献を実感し、働きがいを感じられる職場環境を整えるため、各種人事制度の改革を進めるとともに、人材研修センターを設立し社員のキャリア形成を支援しています。また、経理財務領域の人材確保及び高度化・国際化を目指すため、知見を持つ外部企業と連携し、専門人材の採用・育成プログラムを強化するとともに、当社グループ会社間の会計ルールやシステムを見直して業務を集約・効率化を進めます。さらにAI(決算自動化エージェント等)を導入し、決算精度と処理スピードを向上させることで、経理財務部門が付加価値の高い経営支援業務に注力できる体制を構築します。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況当社グループにおいては、「人々の健康に貢献し、こころの笑顔を大切にする」ことを企業理念として、2024年6月に発表した「第6期 中期経営計画2024-2026 PROACTIVEⅢ」に基づき、国内でのジェネリック医薬品事業をコア事業としつつ、新規市場及び新規事業における基盤の確立と各子会社とのグループシナジーの実現を目指し、各種課題に取り組んでまいりました。国内ジェネリック医薬品事業においては、当社としての安定供給責任を果たすため、さらなる生産能力の増強に取り組んでおります。2023年11月に山形工場 第三固形製剤棟及び第二無菌製剤棟の建設工事が完了し、2024年4月から第三固形製剤棟で製造した製品の出荷を開始、2025年10月から第三固形製剤棟に導入した全ての設備の立上げが完成し、本格稼働を開始いたしました。3工場の年間生産能力は、2024年3月末の140億錠から2026年度より175億錠に増加いたしました。また、社会的課題となっている医薬品の供給不安の解消を図るため、2026年1月に大塚製薬株式会社と医薬品製造における戦略的な協業体制の構築に関する基本合意を締結しました。さらに、2026年4月にアドラゴスファーマ川越株式会社及び株式会社三和化学研究所の各社と特許満了医薬品の安定供給に向けた協業について合意しました。東和薬品では、医薬品業界全体の課題に対し、先発医薬品企業、ジェネリック医薬品企業、医薬品製造受託企業が相互に連携した協業体制の構築に取り組み、特許期間が満了した先発医薬品とジェネリック医薬品を1つの特許満了医薬品市場として捉え、将来にわたり治療上必要とされる医薬品を持続的に安定供給するエコシステムの構築と社会全体の健全な循環モデルの実現を目指しております。本構想の実現に向け、各社との協業を通じて、医薬品の安定供給に向けた製造キャパシティの確保と相互バックアップ体制の構築に取り組んでまいります。製造管理及び品質管理面では、医薬品の製造管理及び品質管理の基準であるGMP省令やその他関連する法令遵守はもちろんのこと、国際的基準であるPIC/S GMPやICHガイドラインも積極的に取り入れ、独自の制度・教育訓練により、医薬品の適切な品質と安全性の確保に取り組んでおります。また、従前より導入しているMES(製造実行管理システム)及びLIMS(医薬品の品質試験を統括管理するシステム)に加え、QMS(品質マネジメントシステム)を導入しました。人為的な誤りを未然に防止することを目指し、今後も製造管理・品質管理の向上に取り組んでまいります。さらに、安定供給体制の維持・強化のため、原薬の複数購買化や製造所の監査等を推進し、グループ全体として原薬製造から製剤製造、物流、販売に至るまで、ガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底に向けた取り組みを継続して行っております。販売面では、2025年5月に日本初の持続放出性リバスチグミン経皮吸収型製剤-週2回製剤-「リバルエン®LA パッチ25.92mg/51.84mg」、2025年6月に新製品1成分2品目、2025年12月に新製品4成分7品目、2026年3月に当社として2成分目のオーソライズド・ジェネリックとなる『プラスグレル錠2.5mg/3.75mg/5mg「トーワ」』および『プラスグレルOD錠20mg「トーワ」』の販売を開始いたしました。当社のジェネリック医薬品の製品数は316成分742品目(2025年12月時点)となります。なお、2026年6月追補収載予定の新製品は7成分12品目となります。健康関連事業の展開においては、地域包括ケアシステム等の新しい医療体制に対応するため、「ヘルスケアパスポート」を中心に位置付け、治療・予防・介護支援の観点から各子会社間及び既存事業とのシナジーを形成し、健康維持・増進のための製品やサービスを増加させることで、健康関連事業の多角的な展開を実現すべく取り組んでおります。海外セグメントにおいては、海外医薬品事業の強化と拡大に向け、Towa INTを通じて、欧州及び米国市場でのジェネリック医薬品事業を展開しております。将来の成長に向けて必要な研究開発・設備への投資を強化しつつ、既存ビジネスの維持・強化及び市場・地域のさらなる拡大によって売上高とセグメント利益の確保を目指してまいります。また、生産シナジーの成果としてTowa INTのマルトレージャス工場にて日本国内向けエソメプラゾールカプセルの製造を行っているほか、研究開発シナジー創出の一環として共同開発も開始いたしました。今後も、開発・製造技術においてグループシナジーを形成できるよう、各部門との交流・情報共有を行ってまいります。Towa INTが持つ欧州複数国及び米国での販売網と、欧州にある欧米等の基準に準拠した製造拠点を活用し、日米欧の3極から世界中の患者に高品質で付加価値のあるジェネリック医薬品を提供できるグローバル事業基盤の確立に向けて取り組んでおります。このような活動の結果、当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、売上高273,710百万円(前期比5.4%増)、売上原価174,606百万円(同5.9%増)、売上総利益99,104百万円(同4.6%増)、販売費及び一般管理費76,001百万円(同6.3%増)、営業利益23,102百万円(同0.6%減)、経常利益28,079百万円(同7.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,250百万円(同72.3%減)となりました。セグメント別の業績は、国内セグメントが、売上高216,976百万円(前期比5.3%増)、セグメント利益27,097百万円(同0.4%減)となりました。海外セグメントは、売上高57,630百万円(前期比7.0%増)、セグメント利益458百万円(同2.0%増)となりました。これら報告セグメントのセグメント利益につきましては、のれん償却前の数値となっております。 (資産)当連結会計年度末における総資産は、475,290百万円となり、前連結会計年度末比4,466百万円の増加となりました。その主な要因は、のれんの減少18,647百万円があったものの、棚卸資産の増加15,139百万円、デリバティブ債権の増加5,384百万円、有形固定資産の増加2,220百万円等があったことによるものです。(負債)負債につきましては、297,186百万円となり、同2,012百万円減少しました。その主な要因は、1年内返済予定の長期借入金の増加3,748百万円、支払手形及び買掛金の増加3,391百万円、短期借入金の増加2,401百万円があったものの、長期借入金の減少11,741百万円等があったことによるものです。(純資産)純資産につきましては、178,103百万円となり、同6,478百万円増加しました。その主な要因は、為替換算調整勘定の増加5,068百万円、利益剰余金の増加1,313百万円等があったことによるものです。その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は37.5%となりました。 ②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に対して648百万円減少し、44,811百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは30,429百万円の収入(前連結会計年度比7,028百万円増)となりました。主な要因は、棚卸資産の増加13,790百万円(同6,585百万円増)等があったものの、減価償却費18,347百万円(同2,670百万円増)や減損損失14,729百万円(同14,716百万円増)、税金等調整前当期純利益13,165百万円(同13,165百万円減)等によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、25,660百万円の支出(前連結会計年度比5,627百万円減)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出22,277百万円(同6,459百万円減)等によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、6,828百万円の支出(前連結会計年度は21,567百万円の収入)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入10,898百万円(前連結会計年度比15,466百万円減)等があったものの、長期借入金の返済による支出19,343百万円(同6,860百万円増)等によるものであります。 ③生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。薬効セグメントの名称国内海外合計金額(百万円)前期比(%)金額(百万円)前期比(%)金額(百万円)前期比(%)循環器官用薬55,776108.327538.956,051107.4中枢神経系用薬34,844110.48,53273.143,376100.3消化器官用薬24,903113.514,01898.738,921107.7血液・体液用薬21,295118.046550.821,761114.7その他の代謝性医薬品19,437108.41974.919,457108.4抗生物質製剤6,13191.3--6,13191.3化学療法剤4,722159.664609.54,787161.2腫瘍用薬4,27383.6--4,27383.6アレルギー用薬33,188117.6309102.333,498117.4その他41,77594.0△51△30.041,72393.6合計246,349107.923,63484.4269,983105.3 (注)上記金額は売価換算で表示しております。 b.商品仕入実績 当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。薬効セグメントの名称国内海外合計金額(百万円)前期比(%)金額(百万円)前期比(%)金額(百万円)前期比(%)循環器官用薬461372.54,474124.64,936132.8中枢神経系用薬200-5,228109.75,428113.4消化器官用薬123333.233091.8454114.4血液・体液用薬1,244222.0948146.52,192181.6その他の代謝性医薬品172-697384.9870480.2抗生物質製剤47-1,063108.11,111112.9化学療法剤28-145119.4173142.3腫瘍用薬11681.32,780242.82,896224.9アレルギー用薬177-39598.1573142.0その他84356.31,275110.22,11879.8合計3,416143.517,339129.820,755131.9 (注)上記金額は実際仕入額で表示しております。 c.受注実績 当社グループは、主として見込み生産を行っているため、記載を省略しております。d.販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。薬効セグメントの名称国内海外合計金額(百万円)前期比(%)金額(百万円)前期比(%)金額(百万円)前期比(%)循環器官用薬48,643100.87,209113.855,852102.3中枢神経系用薬30,297104.420,10394.850,400100.3消化器官用薬21,644102.915,882110.337,527105.9血液・体液用薬18,644106.71,81181.020,456103.8その他の代謝性医薬品18,873120.2632209.419,506121.9抗生物質製剤4,774101.41,419104.76,193102.1化学療法剤2,832115.3474149.63,307119.2腫瘍用薬5,032123.44,993141.210,026131.7アレルギー用薬24,952110.0898116.225,850110.2その他41,280101.53,310109.644,591102.1合計216,976105.356,734106.1273,710105.4 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)㈱スズケン37,57414.538,52414.1東邦薬品㈱--27,39410.0(注)前連結会計年度における東邦薬品㈱の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、100分の10未満であるため記載を省略しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。 この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要な事項について、会計基準等の範囲内で合理的な会計上の見積りを行っております。重要な会計方針及び見積りの詳細等につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度における当社グループの経営成績等は、売上高273,710百万円(前期比5.4%増)、営業利益23,102百万円(同0.6%減)、経常利益はデリバティブ評価益5,384百万円が発生したことで28,079百万円(同7.4%増)となりましたが、三生医薬の業績が悪化していることから将来キャッシュ・フローを見直した結果、のれんの減損損失14,729百万円を計上することとなり、親会社株主に帰属する当期純利益は5,250百万円(同72.3%減)となりました。売上高は、当社において販売数量と単価がともに伸びたことと、Towa INTにおいて欧州の売上がBtoBとBtoCともに伸長したことで増収となりました。一方で営業利益は、三生医薬の事業ミックス悪化による売上原価率の上昇を補いきれず、減益となりました。国内セグメントの業績につきましては、売上高は、当社において、生産数量の増加に伴い市場への供給数量が増加したことと近年追補品の拡売によるセールスミックスの改善や仕切り価戦略の効果で単価も上昇したことにより、216,976百万円(前期比5.3%増)となりました。一方でセグメント利益は、三生医薬において利益率の良いニューアプリケーション事業の落ち込みにより事業ミックスが悪化して売上原価率が上昇したため、27,097百万円(同0.4%減)となりました。海外セグメントの業績につきましては、米国でのニトロソアミン問題による主力製品の売上悪化が続いているものの、欧州BtoBで3Qに発生した欧州のニトロソアミン基準厳格化前の駆け込み需要による受託製造の増加と、欧州BtoCで主力製品が伸びたこと等により、売上高57,630百万円(前期比7.0%増)、セグメント利益458百万円(同2.0%増)となりました。なお、これら報告セグメントのセグメント利益につきましては、のれん償却前の数値となっております。次期の見通しにつきましては、毎年行われる薬価改定に加え、品質確保や医薬品の安定供給に関する問題も重なり、国内ジェネリック医薬品業界は厳しい環境下で変革を求められる時期となっております。また、地政学的リスクに伴う物価上昇、原材料高騰等、先行き不透明な状況が続くものと想定しております。このような状況のもとではありますが、当社グループは2024年6月に発表した「第6期 中期経営計画2024-2026 PROACTIVEⅢ」に基づき、コア事業である国内ジェネリック医薬品事業の新たなステージに向けた進化、新規市場及び新規事業における基盤の確立と各子会社とのグループシナジーの実現を目指し、各事業に取り組んでまいります。 ③資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、主な資金需要は、製品製造のための原材料購入費用及び製造費用、研究開発費を含む販売費及び一般管理費、生産能力増強のための製造設備への投資費用等であります。これらの資金需要につきましては、主に自己資金及び金融機関からの借入による資金調達にて対応しております。

事業リスク

  • 医療制度・薬価改定の影響
    医療用医薬品は、厚生労働大臣が定める薬価基準に収載され、原則2年に1回、市場実勢価格を反映して薬価が引き下げられます。2021年度以降は毎年薬価改定が行われるため、医療費抑制政策の強化や薬価制度の変更は、東和薬品グループの売上や利益に直接影響を与える可能性があります。
  • 特許・再審査制度のリスク
    ジェネリック医薬品は新薬の特許期間満了後に製造販売承認されるため、新薬の特許期間延長や再審査期間の再設定は、新製品の発売時期に影響を及ぼします。また、発売後に原薬の結晶形や製剤に関する特許訴訟を提起される可能性もあり、これが経営成績に悪影響を与えるリスクがあります。
  • 競合激化と供給安定性
    ジェネリック医薬品市場は競争が激しく、他社のオーソライズド・ジェネリック投入や供給状況の変化が、東和薬品グループの売上計画に影響を与える可能性があります。また、自然災害や技術的問題による生産停滞、原薬・材料の調達難、原材料価格の高騰、為替変動なども、製品の安定供給や収益性にリスクをもたらします。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|4,590 文字
3【事業等のリスク】 当社グループの取り扱う製品・商品は主として医療用医薬品であり、その中のジェネリック医薬品が中心です。ジェネリック医薬品は新薬の有効性と安全性が一定期間にわたって確認された後に上市され、有効成分が同一でかつ効能・効果、用法・用量が同等の医薬品です。そのために当社グループには医薬品製造販売業としてのリスクに加えジェネリック医薬品メーカーとしての特有のリスクなどがあります。 これらのリスク発生の可能性を認識した上で、リスクに迅速且つ的確に対応することが、当社グループの存続・発展に不可欠であると考えております。当社グループでは、リスクの未然防止、並びに、リスク発生時の利害関係者の利益喪失及び企業経営への影響度の最小化を図ることを基本方針として、リスクマネジメント委員会の下で重要リスクの特定と対策の進捗管理を実施しております。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 ①医療制度及び薬事規制等 当社グループの主要製品、商品である医療用医薬品を販売するためには、厚生労働大臣が定める薬価基準への収載が必要です。薬価収載された医療用医薬品は原則として2年に1回、市場実勢価格の調査を行い、公定価格である薬価に市場実勢価格等を反映させます。その際、多くの品目で薬価が引き下げられています。また、2021年度以降は薬価制度の抜本改革により、中間年においても薬価改定が行われ、毎年薬価改定となりました。増大する医療費の抑制を目的として医療保険制度の見直しや、薬価制度の更なる大幅な変更、医療費抑制政策の強化が行われると、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。 また、当社グループの事業は医薬品医療機器等法及び関連法規等により規制を受けております。各種許認可、免許の取得を必要とするため、上記規制に関する違反が生じた場合、所管官庁等から行政処分が行われ、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があり、この他にも、国際的に変異原性物質の規制が強化される中、基準を満たさない等の問題が発見された場合には、当該製品の回収や廃棄、販売中止のリスクが生じます。 このようなリスクに対応するために、当社グループでは医療制度や関連法規等の情報収集に努め、法令及び社会や行政の期待に沿った対応を実施しております。製品の価値に見合った適正価格での販売に努めるとともに、近年追補製品のシェア拡大を推進して収益性の改善を図る一方、全社的なコンプライアンス推進計画の策定、体制の整備を行っております。 ②特許及び再審査 当社グループのコア事業であるジェネリック医薬品事業は、その性質上、先発企業等の特許権に大いに影響を受けます。新薬の有効成分は通常、特許権により保護されており、その特許期間は出願日から20年間(更に5年を限度とする期間延長が可能)となっています。ジェネリック医薬品は特許期間の満了後に製造販売承認されるため、この期間が延長されることがあれば、当社グループの新製品(追補品)の発売に影響を及ぼします。 また、新薬については、一定期間後にその医薬品の有効性・安全性等を再確認する再審査制度があり、その再審査期間は原則として新薬の製造販売承認日から8年間となっています。ジェネリック医薬品はこの期間の経過後に製造販売承認申請しますが、新薬の効能追加等により再審査期間が再度設定された場合には、新薬と効能・効果、用法・用量が異なることがあるため、当社グループの新製品の発売に影響を及ぼします。 その他にも、当社グループが発売するジェネリック医薬品には、発売後も原薬の結晶形、製剤、用途等に関する特許権が存続していることがあります。このような特許権に関しては、正確にこれを理解して回避することができれば、競争優位性を得る機会となる一方、特許権所有者から特許訴訟を提起されるリスクもあり、そうした場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 上記のようなリスクに対応するために、当社グループでは特許情報及び再審査期間情報の収集に努め、技術部門と開発部門など関連部門間の連携強化を行っております。これにより、新薬の特許期間満了後に速やかに効能追加等の一部変更承認を得る、または再審査期間満了後に一部変更承認申請を行うことで、効能不一致の解消に努めるとともに、他社が有する特許を回避した製剤の開発を行っております。 ③競合状況によるリスク ジェネリック医薬品の競争市場は、先発医薬品からの切り替えが多くの構成割合を占め、その販促会社数による影響を大きく受けます。また、近年ではオーソライズド・ジェネリックの投入等の諸施策を講じる企業も多く、これらの動向次第で当社グループが計画していた売上収益との乖離が想定されます。この他にも、競合他社の供給状況は当社グループ製品への需要に影響を及ぼすため、他社の供給不安や販売中止等は市場シェア獲得の機会となる一方で、当社製品の安定供給上のリスクとなる可能性もあります。 このようなリスクに対応するために、当社グループでは、設備投資による生産能力の向上や製造所のバックアップ体制を整備しております。また、2025年度からは、需要量と在庫水準の日々のモニタリングによって生産面・販売面からの安定供給に努めるための専門組織を新設して機能強化を図るとともに、透明性のある情報開示による信頼確保にも努めております。 ④生産の停滞、遅延 当社グループは大阪府、岡山県、山形県、滋賀県、沖縄県、兵庫県、静岡県、千葉県及びスペイン・カタルーニャ州に生産拠点を配置しておりますが、自然災害や技術上・規制上の問題の発生により、生産拠点の操業が停止し、製品の安定供給に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは山形工場の第三固形製剤棟のフル稼働により国内需要に応えることを前提とした事業計画を策定しているため、生産の停滞や遅延が生じた場合には、市場獲得の機会を大きく損ない当該事業計画にも影響を及ぼす可能性があります。さらに、生産の停滞や遅延は、当社製品の安定供給にも支障を来し、結果として競争環境における不利や当社ブランド価値の毀損につながる可能性があります。 このようなリスクに対応するために、当社グループでは、国内外における工場間のバックアップ体制の整備、配送拠点の増設、原薬の複数購買の推進に努めております。また、国内市場における需要の増加に対応すべく、2021年より山形工場への更なる設備投資を進めてきた一方で、これらがスムーズに稼働し会社利益に貢献できるよう、組織機能の強化と人材配置・人材育成に努めております。加えて、これらのリスクが顕在化した場合においても早期の復旧を図ることができるよう、平時から行政当局との連携強化及び関係構築に努めております。 ⑤原薬及び材料の調達 当社グループは原薬及び材料を国内外より調達しており、昨今の原材料価格の高騰により、製品原価に影響を及ぼす場合や、原材料の需給バランスの変動、国内外の規制又は原材料メーカーによる供給停止等により、原材料の入手が長期的に困難となるリスクがあります。また、円安でコストが上昇してもわが国の薬価制度のもとではそれを販売価格に転嫁することは極めて困難であり、このような調達リスクや為替リスクは、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 このようなリスクに対応するため、サプライチェーンマネジメントの強化策として、原薬及び材料について、サプライヤーの複数化を積極的に推進しております。また、重要製品の原薬については、当社グループの大地化成株式会社において原薬の自製化も進めております。この他にも、円安によるコストアップのリスクを回避し、長期的な安定供給を担保するために、当社は長期のデリバティブ取引を行っています。決算時にはこれを時価評価しますが、前期末に比べて円高、また日米の長期金利差が拡大すれば評価損が出る構造になっていますので、為替レート、日米の金利動向によっては評価損が生じる可能性があります。また、逆の場合には評価益が生じる可能性があります。なお、当社では、将来における外貨建て輸入取引量を見積り、その範囲内で長期のデリバティブ取引を行っております。これにより、デリバティブ取引が投機的にならないように留意しております。 ⑥M&A及び協業に関するリスク 当社グループは、事業拡大、競争力強化及び新規事業領域への進出等を目的として、企業買収や業務提携等の協業を実施することがあります。これらの実施にあたっては、事業計画、財務状況、市場動向、シナジー効果等を総合的に勘案しておりますが、買収後又は協業開始後において、事業環境の変化や競争状況の激化、想定したシナジー効果の未達等により、当初見込んだ成果が得られない可能性があります。その結果として、のれんや関連資産について減損損失等を計上する必要が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 このようなリスクに対応するため、実施後においても、統合・協業の進捗状況、事業計画の達成状況及び投資採算性等を継続的にモニタリングし、必要に応じて事業計画の見直しその他の改善措置を講じております。 ⑦人材の確保と人材育成 当社グループは、事業活動における適切な人材の確保と育成を重要な経営課題と認識しております。適切な人材を十分に確保し、育成することができなければ、事業の持続的な成長と競争力の維持が困難となり、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 このようなリスクに対応するため、当社は、多様な背景を持つ人材の積極的な採用や育成、そして柔軟な働き方を支える職場環境の整備により、多様な人材が最大限能力を発揮できる組織づくりの推進に努めています。社内資格制度の導入や人材研修センターの設立など、成長事業の収益拡大と基盤事業の競争力強化の源泉となる人材育成を進めています。一方では、少子高齢化の進展による労働力人口減少といった課題にも対応するため、全工場のスマートファクトリー化を掲げ、自動化や省人化についても積極的な取り組みを推進しております。 ⑧ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク 当社グループは、事業活動を通じてセンシティブな個人情報を含む大量の機密情報を保有しております。こういった機密情報については、サイバーアタックや内部不正による情報漏洩のリスクを無視することはできず、また個人情報保護のための法令制定や個人情報に関する権利意識の高まりも相まって、情報管理はより一層その重要性を増しております。仮に重要な機密情報が流出した場合には、法的な損害だけに止まらず、グループ会社全体の社会的な信頼の失墜を招く可能性があります。 このようなリスクに対応するために、当社グループでは、情報セキュリティ意識を高めるための社内教育を継続的に実施しつつ、当社グループ会社のTスクエアソリューションズ株式会社とも連携しつつセキュリティ強化に努めております。

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