事業の概要
- 抗がん剤の研究開発キャンバスは、抗がん剤の基礎研究から臨床開発(ヒトでの試験)までを一貫して手掛ける創薬企業です。新しい薬のアイデア出しから、候補化合物の選定、動物実験、そして最終的なヒトでの臨床試験まで、全ての段階を自社で行っています。特に、がんを攻撃する免疫細胞が少ない「免疫コールド」ながんを「免疫ホット」ながんに変える「免疫着火剤」の開発に注力しており、これが将来の収益源となることを目指しています。
- 創薬パイプラインの構築同社は、複数の医薬品候補化合物を同時に開発する「開発パイプライン」を重視しています。これは、一つの薬の開発が失敗しても、他の候補が成功する可能性を残すことで、事業全体のリスクを分散させる戦略です。現在、「CBP501」という膵臓がん治療薬の臨床第2相試験を終え、次の段階に進む準備を進めているほか、「CBS9106」や「CBT005」などの後続パイプラインも育成しており、これらが将来の収益源となることを期待しています。
- ライセンスと自社開発の選択創薬企業は通常、開発途中の化合物を大手製薬会社にライセンス供与することで収益を得ることが多いですが、キャンバスは自社での新薬承認獲得も視野に入れています。これは、ライセンス供与による収益だけでなく、承認後の製品販売による大きな収益を目指すためです。ただし、開発には多額の資金と長い期間が必要なため、資金調達の状況やパイプラインの特性に応じて、提携と自社開発のバランスを柔軟に検討するビジネスモデルを採用しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 医薬品事業キャンバスは、抗がん剤の基礎研究から早期・後期臨床開発までを一貫して手掛ける「医薬品事業」の単一セグメントで事業を展開しています。これは、特定の疾患領域に特化し、自社独自の創薬アプローチを最大限に活かすための戦略です。現在、複数の抗がん剤候補化合物を開発パイプラインに持ち、将来の収益源となる新薬の創出を目指しています。
- 抗がん剤の開発に集中同社の事業は、特に抗がん剤の開発に集中しています。これは、がんという疾患が依然として大きな医療ニーズを抱えており、革新的な治療薬が求められているためです。主要な候補化合物であるCBP501は膵臓がんを対象とした臨床試験を進めており、その他にも固形がんなどを対象としたパイプラインを育成しています。この集中戦略により、専門性を高め、開発効率を向上させています。
- グローバルな展開を視野有価証券報告書には具体的な地域構成の記載はありませんが、医薬品事業は新薬承認申請を目指す臨床開発に取り組んでおり、将来的にはグローバル市場での展開を視野に入れていると考えられます。特に、ライセンス契約の締結や解消の記述から、海外の製薬企業との連携も積極的に行っていることが伺え、世界中の患者さんに貢献することを目指していると推測されます。
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FY2026|5,667 文字
3【事業の内容】 当社は、抗がん剤の基礎研究(創薬コンセプトの検討、当該コンセプトに基づき構築した手法による医薬品候補化合物の選別、簡易動物実験、既に開発段階に進んだ抗がん剤候補化合物に関する基礎データの収集・解析等。)、早期臨床開発(臨床試験開始申請直前に実施する「前臨床試験」ならびに臨床試験の前半部分。)および後期臨床開発(新薬承認申請を目指す臨床試験の後半部分。)に取り組んでいる創薬企業です。なお、当社は、医薬品事業の単一セグメントです。 (1) 基本戦略 当社は、自社独特の創薬アプローチを活かした抗がん剤の基礎研究および臨床開発に取り組む、創薬ベンチャー企業です。 特定領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬基盤技術(「創薬エンジン」とも呼ばれます。)を基に実施することで技術とプロダクトの両方を自社で創出するのが「創薬企業」であり、創薬プラットフォームを持たず開発途上の化合物を外部から導入して一定の開発ののち製薬企業へ導出する企業とは大きく異なるビジネスモデルを志向しています。 この付加価値の高いビジネスモデルを完成させ、企業価値の最大化を図るための、当社の基本戦略は次のとおりです。 ・当社独自の創薬アプローチを活かした研究開発に特化集中する。 ・当社の有する薬剤スクリーニング法により創出・獲得した複数の医薬品候補化合物によって、開発パイプラインを構築する。 ・抗がん剤の開発経験が豊富で当社の開発戦略に合致するCRO等の外部専門機関、科学顧問団を活用する。 ・当社の権利を最大限確保するため、開発パイプラインの特性や開発段階、当社の財務体力等に応じ、自社で後期開発段階まで進めるほか、適切な戦略提携を製薬企業等との間で行うことによって、価値連鎖を補完・完結する。 当社は、上記の戦略を適切に実行することにより、医薬品候補化合物の開発を速やかに進め、いち早く上市して当社の企業価値を高めるとともに、当社の開発リスクを分散低減していきたいと考えています。 (2) 創薬事業 一般に創薬(新薬の創出)は、(ア) 創薬コンセプト(科学的根拠に立脚し、ある方法によって疾患を治療し得ると考え、その作用を有する化合物等が新しい医薬品になり得るとする仮説。)に基づいて候補化合物を探索・選別する「探索」段階(イ) (ア)で獲得された候補化合物について試験管内や動物での実験を実施し候補化合物の分子構造等を調整する「最適化」段階(ウ) 臨床試験開始申請に必要なデータを揃える前臨床試験を実施する「前臨床試験」段階(エ) 規制当局の許可を得て臨床試験(医薬品としての承認を得るために行うヒト試験。)を実施する「臨床試験」段階の順に進行します。 臨床試験段階はさらに、主に候補化合物の安全性を確認する第1相試験、比較的少数の患者様で候補化合物の有効性・安全性および用法用量を探索的に検討する第2相試験、医薬品として薬効を証明する第3相試験に大別されます。 通常の医薬品において臨床第1相試験は健康なボランティアを被験者としますが、当社が開発を目指す抗がん剤の領域では、抗がん剤に多い重篤な副作用への懸念から、末期がん患者ボランティアの方を被験者として臨床第1相試験を実施します。このため、第1相試験の前半では主に安全性を確認しつつ薬効の手応えのあるがん腫を選定し、当該がん腫に絞り込んで薬効を探る「拡大相試験」を第1相試験の後半に実施する手法が多く採られます。この手法によるCBP501臨床第1b相試験の結果から、膵臓がんをCBP501臨床第2相試験の対象に選定し、現在はCBP501の有効性・安全性および用法用量を検討する臨床第2相試験を成功裏に終え、次相臨床試験の準備を進めています。 (3) 当社の開発パイプライン 「開発パイプライン」とは、創薬製薬領域において、開発中の医薬品候補化合物群を指す語です。 一般に医薬品開発は成功確率が低く、リスク分散の意味でいかに豊富で有望なパイプラインを継続的に有するかが製薬企業や創薬企業の中長期的な企業価値の基本となります。 新たなパイプラインを確保する方法は、当社のような創薬企業にとっては専ら自らの創薬コンセプトに基づいた新規候補化合物の「探索」「最適化」となります。製薬企業等においては、自社による創出のほか、創薬企業等との提携に基づくライセンスによるパイプライン獲得が図られます。 創薬企業の長期的な目的は新薬の承認獲得とその売上による収益獲得です。 しかし、それに至るために必要な長期間かつ莫大な資金(一般にひとつの医薬品を開発するために必要な期間は約15年・必要な資金は数百億円といわれます。)を独力で確保することは難しく、多くの場合、短期中期的な目標として、自社で開発中の候補化合物について製薬企業等との提携を成立させ当該候補化合物を相手方開発パイプラインのひとつとすることによるライセンス収益の獲得と財務基盤の安定・強化を目指すこととなります。 しかしながら、その状況は変わりつつあり、創薬企業が製薬企業等と提携するのでなく投資家や市場から資金を調達して独力で新薬承認獲得まで進む開発戦略が採用されるケースが増加しています。 この変化の要因としては、① 製薬企業の多くが「承認されたまたは承認が確実となった超後期開発品」や「新しい作用機序やモダリティ(治療手段)の早期開発品」に集中した提携方針を採用するようになり、最もリスクとリターンの大きな開発途上の候補化合物に関する提携意欲が薄れていること② 臨床試験の平均的な規模が比較的小さくなったことと、投資家や市場からの資金調達環境が大幅に改善されたこととが相まって、必ずしも製薬企業の資金に頼らずとも新薬承認獲得までの開発が可能になったこと③ 製薬企業との提携は必ずしも最速かつ成功確率最大の開発進行に寄与せず、むしろ阻害要因にもなりかねないと知られてきたことなどが挙げられます。 したがって現在、創薬企業はこれらの選択肢の中から、各パイプラインに最適な開発戦略を立案することが求められています。 当社の開発パイプラインは次のとおりです。《CBP501》CBP501は、当社独自のスクリーニング(薬剤探索)から獲得された、蛋白質カルモジュリンの制御機能を調整し複数の作用により免疫コールド(がんを攻撃するT細胞の乏しい状態。)ながんを免疫ホット(T細胞が存在しがんを攻撃できる状態。)ながんにすることで抗がん活性を示す、独特の抗がん剤(免疫着火剤)です。過去の試験で得られたデータから、免疫系抗がん剤との併用により薬効を高める効果が期待できることがわかりました。現在は免疫チェックポイント阻害抗体との併用による臨床第2相試験(対象:膵臓がん)を終え、次相臨床試験の準備を進めています。《CBS9106》当社が創出した可逆的CRM1(XPO1)阻害剤であるCBS9106は、前臨床試験を終了した段階で、同化合物の開発・製造・商業化にかかる全世界における独占的権利を米国Stemline Therapeutics, Inc.に供与するライセンス契約を締結しました。その後Stemline社は、CBS9106(felezonexor)の臨床第1相試験を完了しています。2025年6月、開発および商品化に関するすべての権利が当社に返還される旨の合意に達し、Stemline社とのライセンス契約を解消しました。今後当社は、追加で実施する基礎研究の成果や会社の財務状況などを勘案して、 開発方針を検討していく方針です。《後続パイプライン》上記2つの臨床開発段階のパイプラインのほか、がんの治癒を目指す新しいコンセプトから創出し前臨床試験のための準備を開始したCBT005、CBP501の研究開発過程で新たに得られた知見を踏まえて創出したCBP-A08、静岡県立大学との共同研究により最適化を進めているIDO/TDO阻害剤など、新規候補化合物の創出・開発パイプラインの拡充に向けて、探索研究を実施しています。 化合物併用対象探索創出最適化前臨床試験臨床試験提携・共同研究第1相第2相第3相CBP501シスプラチン・ニボルマブ膵臓がん3次治療■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ CBS9106なし固形がん■■■■■■■■■■■■□□□□ CBT005未定 ■■■■■■■■■ CBP-A08未定 ■■■■■■■■ IDO/TDO阻害剤未定 □□□□■■ 静岡県立大※表中の■は自社による進捗、□は他社による進捗を示す。 (4) 当社事業の当面の課題と施策 当社事業における当面の課題と施策は、概ね優先順位順に次のとおりです。① CBP501について開発を加速し、成功確率を最大化する。当社は現在、最先行の抗がん剤候補化合物CBP501に関して、製薬企業等との提携関係に依存しない「創薬パイプライン型」の開発を志向しています。 ② 基礎研究を継続し、既存パイプラインに関する知見を深め、次世代パイプラインの創出を図る。当社は、臨床開発段階のプロジェクトのほか、前述のとおり、基礎研究活動を絶えず実施しています。また、研究開発にかかる知的財産権の管理等の費用も継続的に発生しています。これらの取組みは、当社の中長期的な収益獲得と企業価値向上に欠かせないものですが、それらの成果による現実の収益を獲得するまでには一定の期間を要することから、間接金融による資金調達は極めて困難です。したがって、これらの課題と施策を可能とするための直接金融による継続的な資金調達も併せて当面の優先的な課題と施策のひとつと位置づけています。 (5) 製薬企業との戦略提携を含む開発体制の選択 医薬品の開発プロセスは、通常、長い期間と莫大な費用を必要とします。 このことから、当社のような創薬企業が、基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップなどを単独で行うことは困難であることから、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、固定費の増加を回避しつつ将来の継続的な開発・承認・上市に至る体制の確保を図るのが一般的な戦略であるとこれまで一般に言われ、早期臨床開発と後期臨床開発の役割分担の形が世界的な標準となっていると言われてきました。 しかしながら前述のとおり、①製薬企業等の提携方針の変化に伴う開発途上化合物に対する提携意欲の低下、②臨床試験の規模が比較的小さくなったことと創薬企業の資金調達環境が大幅に改善されたことから製薬企業の資金に頼らずとも新薬承認獲得までの開発が可能になったこと、③製薬企業との提携は最速かつ成功確率最大の開発進行に寄与せず、むしろ阻害要因にもなりかねないと知られてきたこと、などの理由から、この状況は大きく変化し、創薬企業は製薬企業等との提携に依存しない各パイプラインに最適な開発戦略を立案・選択することが求められています。 一方で、創薬企業と製薬企業等との戦略提携は、両者のリスク分担や利益配分などの考え方を反映し、特許等の排他的な実施権を供与する対価としてロイヤルティを得る形態(いわゆるライセンスアウト)のみならず、さまざまなバリエーションが存在しており、化合物の特性や開発の状況等に応じてこれらを活用することももちろん考えられます。 現在当社は、CBP501に関しては、2010年6月に武田薬品工業株式会社との共同事業化契約を解消した後、臨床試験を当社単独で進めてきました。現在は、承認申請までの臨床試験完遂を目指す資金調達を実施するとともに、すべての臨床試験を当社のリスク負担で実施し中長期的な企業価値の最大化を図る「創薬パイプライン型」開発を志向しています。これと並行して、地域等を区切った部分的な新規提携パートナーの獲得を目指す活動も進めています。 また、CBS9106については、2014年12月から継続していたStemline社へのライセンス契約を解消し、現在は全権利を自社で保有しています。今後当社は、Stemline社が完了したCBS9106(felezonexor)の臨床第1相試験の成果と、当社が追加で実施する基礎研究の成果や会社の財務状況などを勘案して、開発方針を検討していく方針です。 最適化・前臨床試験準備段階の化合物CBT005については、現時点では未だ開発方針を決定しておらず、今後得られるデータなどを勘案して検討していきます。 (6) 研究開発における外部機関との連携 当社は、がん領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬エンジンを基に実施する創薬企業として、基礎研究から臨床開発・上市に至る各ステップにおいて、外部との提携関係(委受託関係を含みます。)を活用しています。 基礎研究および最適化の段階においては、最適化の過程で必要となる新規候補化合物の合成業務を、この領域において経験豊富な企業に委託しています。また前述の次世代化合物の創出に向けて、東京大学病院およびファルマバレープロジェクト(一般財団法人ふじのくに医療城下町推進機構、静岡県立大学)との共同研究を進めています。 臨床開発においては、抗がん剤の臨床開発に専門性を持つ大手CROとの緊密な提携関係を構築しています。 また、当社は、抗がん剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABのチェアマンであるダニエル・D・ヴァンホフ教授は、全米がん学会会長・米国がん治療学会会長を歴任した著名ながん臨床研究者で、これまで20年以上にわたり多数の抗がん剤の臨床試験に携わっています。同氏を議長とするSABミーティングは、2002年3月の発足以来、概ね年2回定期的に開催され、当社の研究開発全般に関する情報交換や議論を行っています。
FY2025|5,581 文字
3【事業の内容】 当社は、抗がん剤の基礎研究(創薬コンセプトの検討、当該コンセプトに基づき構築した手法による医薬品候補化合物の選別、簡易動物実験、既に開発段階に進んだ抗がん剤候補化合物に関する基礎データの収集・解析等。)、早期臨床開発(臨床試験開始申請直前に実施する「前臨床試験」ならびに臨床試験の前半部分。)および後期臨床開発(新薬承認申請を目指す臨床試験の後半部分。)に取り組んでいる創薬企業です。なお、当社は、医薬品事業の単一セグメントです。 (1) 基本戦略 当社は、自社独特の創薬アプローチを活かした抗がん剤の基礎研究および臨床開発に取り組む、創薬ベンチャー企業です。 特定領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬基盤技術(「創薬エンジン」とも呼ばれます。)を基に実施することで技術とプロダクトの両方を自社で創出するのが「創薬企業」であり、創薬プラットフォームを持たず開発途上の化合物を外部から導入して一定の開発ののち製薬企業へ導出する企業とは大きく異なるビジネスモデルを志向しています。 この付加価値の高いビジネスモデルを完成させ、企業価値の最大化を図るための、当社の基本戦略は次のとおりです。 ・当社独自の創薬アプローチを活かした研究開発に特化集中する。 ・当社の有する薬剤スクリーニング法により創出・獲得した複数の医薬品候補化合物によって、開発パイプラインを構築する。 ・抗がん剤の開発経験が豊富で当社の開発戦略に合致するCRO等の外部専門機関、科学顧問団を活用する。 ・当社の権利を最大限確保するため、開発パイプラインの特性や開発段階、当社の財務体力等に応じ、自社で後期開発段階まで進めるほか、適切な戦略提携を製薬企業等との間で行うことによって、価値連鎖を補完・完結する。 当社は、上記の戦略を適切に実行することにより、医薬品候補化合物の開発を速やかに進め、いち早く上市して当社の企業価値を高めるとともに、当社の開発リスクを分散低減していきたいと考えています。 (2) 創薬事業 一般に創薬(新薬の創出)は、(ア) 創薬コンセプト(科学的根拠に立脚し、ある方法によって疾患を治療し得ると考え、その作用を有する化合物等が新しい医薬品になり得るとする仮説。)に基づいて候補化合物を探索・選別する「探索」段階(イ) (ア)で獲得された候補化合物について試験管内や動物での実験を実施し候補化合物の分子構造等を調整する「最適化」段階(ウ) 臨床試験開始申請に必要なデータを揃える前臨床試験を実施する「前臨床試験」段階(エ) 規制当局の許可を得て臨床試験(医薬品としての承認を得るために行うヒト試験。)を実施する「臨床試験」段階の順に進行します。 臨床試験段階はさらに、主に候補化合物の安全性を確認する第1相試験、比較的少数の患者様で候補化合物の有効性・安全性および用法用量を探索的に検討する第2相試験、医薬品として薬効を証明する第3相試験に大別されます。 通常の医薬品において臨床第1相試験は健康なボランティアを被験者としますが、当社が開発を目指す抗がん剤の領域では、抗がん剤に多い重篤な副作用への懸念から、末期がん患者ボランティアの方を被験者として臨床第1相試験を実施します。このため、第1相試験の前半では主に安全性を確認しつつ薬効の手応えのあるがん腫を選定し、当該がん腫に絞り込んで薬効を探る「拡大相試験」を第1相試験の後半に実施する手法が多く採られます。この手法によるCBP501臨床第1b相試験の結果から、膵臓がんをCBP501臨床第2相試験の対象に選定し、現在はCBP501の有効性・安全性および用法用量を検討する臨床第2相試験を成功裏に終え、次相臨床試験の準備を進めています。 (3) 当社の開発パイプライン 「開発パイプライン」とは、創薬製薬領域において、開発中の医薬品候補化合物群を指す語です。 一般に医薬品開発は成功確率が低く、リスク分散の意味でいかに豊富で有望なパイプラインを継続的に有するかが製薬企業や創薬企業の中長期的な企業価値の基本となります。 新たなパイプラインを確保する方法は、当社のような創薬企業にとっては専ら自らの創薬コンセプトに基づいた新規候補化合物の「探索」「最適化」となります。製薬企業等においては、自社による創出のほか、創薬企業等との提携に基づくライセンスによるパイプライン獲得が図られます。 創薬企業の長期的な目的は新薬の承認獲得とその売上による収益獲得です。 しかし、それに至るために必要な長期間かつ莫大な資金(一般にひとつの医薬品を開発するために必要な期間は約15年・必要な資金は数百億円といわれます。)を独力で確保することは難しく、多くの場合、短期中期的な目標として、自社で開発中の候補化合物について製薬企業等との提携を成立させ当該候補化合物を相手方開発パイプラインのひとつとすることによるライセンス収益の獲得と財務基盤の安定・強化を目指すこととなります。 しかしながら、その状況は変わりつつあり、創薬企業が製薬企業等と提携するのでなく投資家や市場から資金を調達して独力で新薬承認獲得まで進む開発戦略が採用されるケースが増加しています。 この変化の要因としては、① 製薬企業の多くが「承認されたまたは承認が確実となった超後期開発品」や「新しい作用機序やモダリティ(治療手段)の早期開発品」に集中した提携方針を採用するようになり、最もリスクとリターンの大きな開発途上の候補化合物に関する提携意欲が薄れていること② 臨床試験の平均的な規模が比較的小さくなったことと、投資家や市場からの資金調達環境が大幅に改善されたこととが相まって、必ずしも製薬企業の資金に頼らずとも新薬承認獲得までの開発が可能になったこと③ 製薬企業との提携は必ずしも最速かつ成功確率最大の開発進行に寄与せず、むしろ阻害要因にもなりかねないと知られてきたことなどが挙げられます。 したがって現在、創薬企業はこれらの選択肢の中から、各パイプラインに最適な開発戦略を立案することが求められています。 当社の開発パイプラインは次のとおりです。《CBP501》CBP501は、当社独自のスクリーニング(薬剤探索)から獲得された、蛋白質カルモジュリンの制御機能を調整し複数の作用により免疫コールド(がんを攻撃するT細胞の乏しい状態。)ながんを免疫ホット(T細胞が存在しがんを攻撃できる状態。)ながんにすることで抗がん活性を示す、独特の抗がん剤(免疫着火剤)です。過去の試験で得られたデータから、免疫系抗がん剤との併用により薬効を高める効果が期待できることがわかりました。現在は免疫チェックポイント阻害抗体との併用による臨床第2相試験(対象:膵臓がん)を終え、次相臨床試験の準備を進めています。《CBS9106》当社が創出した可逆的CRM1(XPO1)阻害剤であるCBS9106は、前臨床試験を終了した段階で、同化合物の開発・製造・商業化にかかる全世界における独占的権利を米国Stemline Therapeutics, Inc.に供与するライセンス契約を締結しました。その後Stemline社は、CBS9106(felezonexor)の臨床第1相試験を完了しています。2025年6月、開発及び商品化に関するすべての権利が当社に返還される旨の合意に達し、Stemline社とのライセンス契約を解消しました。今後当社は、追加で実施する基礎研究の成果や会社の財務状況などを勘案して、 開発方針を検討していく方針です。《後続パイプライン》上記2つの臨床開発段階のパイプラインのほか、がんの治癒を目指す新しいコンセプトから創出し前臨床試験のための準備を開始したCBT005、CBP501の研究開発過程で新たに得られた知見を踏まえて創出したCBP-A08、静岡県立大学との共同研究により最適化を進めているIDO/TDO阻害剤など、新規候補化合物の創出・開発パイプラインの拡充に向けて、探索研究を実施しています。 化合物併用対象探索創出最適化前臨床試験臨床試験提携・共同研究第1相第2相第3相CBP501シスプラチン・ニボルマブ膵臓がん3次治療■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ CBS9106なし固形がん■■■■■■■■■■■■■■■■ CBT005未定 ■■■■■■■■■ CBP-A08未定 ■■■■■■■■ IDO/TDO阻害剤未定 □□□□■■ 静岡県立大※表中の■は自社による進捗、□は他社による進捗を示す。 (4) 当社事業の当面の課題と施策 当社事業における当面の課題と施策は、概ね優先順位順に次のとおりです。① CBP501について開発を加速し、成功確率を最大化する。当社は現在、最先行の抗がん剤候補化合物CBP501に関して、製薬企業等との提携関係に依存しない「創薬パイプライン型」の開発を志向しています。 ② 基礎研究を継続し、既存パイプラインに関する知見を深め、次世代パイプラインの創出を図る。当社は、臨床開発段階のプロジェクトのほか、前述のとおり、基礎研究活動を絶えず実施しています。また、研究開発にかかる知的財産権の管理等の費用も継続的に発生しています。これらの取組みは、当社の中長期的な収益獲得と企業価値向上に欠かせないものですが、それらの成果による現実の収益を獲得するまでには一定の期間を要することから、間接金融による資金調達は極めて困難です。したがって、これらの課題と施策を可能とするための直接金融による継続的な資金調達も併せて当面の優先的な課題と施策のひとつと位置づけています。 (5) 製薬企業との戦略提携を含む開発体制の選択 医薬品の開発プロセスは、通常、長い期間と莫大な費用を必要とします。 このことから、当社のような創薬企業が、基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップなどを単独で行うことは困難であることから、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、固定費の増加を回避しつつ将来の継続的な開発・承認・上市に至る体制の確保を図るのが一般的な戦略であるとこれまで一般に言われ、早期臨床開発と後期臨床開発の役割分担の形が世界的な標準となっていると言われてきました。 しかしながら前述のとおり、①製薬企業等の提携方針の変化に伴う開発途上化合物に対する提携意欲の低下、②臨床試験の規模が比較的小さくなったことと創薬企業の資金調達環境が大幅に改善されたことから製薬企業の資金に頼らずとも新薬承認獲得までの開発が可能になったこと、③製薬企業との提携は最速かつ成功確率最大の開発進行に寄与せず、むしろ阻害要因にもなりかねないと知られてきたこと、などの理由から、この状況は大きく変化し、創薬企業は製薬企業等との提携に依存しない各パイプラインに最適な開発戦略を立案・選択することが求められています。 一方で、創薬企業と製薬企業等との戦略提携は、両者のリスク分担や利益配分などの考え方を反映し、特許等の排他的な実施権を供与する対価としてロイヤルティを得る形態(いわゆるライセンスアウト)のみならず、さまざまなバリエーションが存在しており、化合物の特性や開発の状況等に応じてこれらを活用することももちろん考えられます。 現在当社は、CBP501に関しては、2010年6月に武田薬品工業株式会社との共同事業化契約を解消した後、臨床試験を当社単独で進めてきました。現在は、承認申請までの臨床試験完遂を目指す資金調達を実施するとともに、すべての臨床試験を当社のリスク負担で実施し中長期的な企業価値の最大化を図る「創薬パイプライン型」開発を志向しています。これと並行して、地域等を区切った部分的な新規提携パートナーの獲得を目指す活動も進めています。 また、CBS9106については、2014年12月から継続していたStemline社へのライセンス契約を解消しました。今後当社は、Stemline社が完了しているCBS9106(felezonexor)の臨床第1相試験の成果と、追加で実施する基礎研究の成果や会社の財務状況などを勘案して、開発方針を検討していく方針です。 (6) 研究開発における外部機関との連携 当社は、がん領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬エンジンを基に実施する創薬企業として、基礎研究から臨床開発・上市に至る各ステップにおいて、外部との提携関係(委受託関係を含みます。)を活用しています。 基礎研究および最適化の段階においては、最適化の過程で必要となる新規候補化合物の合成業務を、この領域において経験豊富な企業に委託しています。また前述の次世代化合物の創出に向けて、東京大学医学部附属病院およびファルマバレープロジェクト(一般財団法人ふじのくに医療城下町推進機構、静岡県立大学)との共同研究を進めています。 臨床開発においては、抗がん剤の臨床開発に専門性を持つ大手CROとの緊密な提携関係を構築しています。 また、当社は、抗がん剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABのチェアマンであるダニエル・D・ヴァンホフ教授は、全米がん学会会長・米国がん治療学会会長を歴任した著名ながん臨床研究者で、これまで20年以上にわたり多数の抗がん剤の臨床試験に携わっています。同氏を議長とするSABミーティングは、2002年3月の発足以来、概ね年2回定期的に開催され、当社の研究開発全般に関する情報交換や議論を行っています。
FY2024|5,606 文字
3【事業の内容】 当社は、抗がん剤の基礎研究(創薬コンセプトの検討、当該コンセプトに基づき構築した手法による医薬品候補化合物の選別、簡易動物実験、既に開発段階に進んだ抗がん剤候補化合物に関する基礎データの収集・解析等。)、早期臨床開発(臨床試験開始申請直前に実施する「前臨床試験」ならびに臨床試験の前半部分。)および後期臨床開発(新薬承認申請を目指す臨床試験の後半部分。)に取り組んでいる創薬企業です。なお、当社は、医薬品事業の単一セグメントです。 (1) 基本戦略 当社は、自社独特の創薬アプローチを活かした抗がん剤の基礎研究および臨床開発に取り組む、創薬ベンチャー企業です。 特定領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬基盤技術(「創薬エンジン」とも呼ばれます。)を基に実施することで技術とプロダクトの両方を自社で創出するのが「創薬企業」であり、創薬プラットフォームを持たず開発途上の化合物を外部から導入して一定の開発ののち製薬企業へ導出する企業とは大きく異なるビジネスモデルを志向しています。 この付加価値の高いビジネスモデルを完成させ、企業価値の最大化を図るための、当社の基本戦略は次のとおりです。 ・当社独自の創薬アプローチを活かした研究開発に特化集中する。 ・当社の有する薬剤スクリーニング法により創出・獲得した複数の医薬品候補化合物によって、開発パイプラインを構築する。 ・抗がん剤の開発経験が豊富で当社の開発戦略に合致するCRO等の外部専門機関、科学顧問団を活用する。 ・当社の権利を最大限確保するため、開発パイプラインの特性や開発段階、当社の財務体力等に応じ、自社で後期開発段階まで進めるほか、適切な戦略提携を製薬企業等との間で行うことによって、価値連鎖を補完・完結する。 当社は、上記の戦略を適切に実行することにより、医薬品候補化合物の開発を速やかに進め、いち早く上市して当社の企業価値を高めるとともに、当社の開発リスクを分散低減していきたいと考えています。 (2) 創薬事業 一般に創薬(新薬の創出)は、(ア) 創薬コンセプト(科学的根拠に立脚し、ある方法によって疾患を治療し得ると考え、その作用を有する化合物等が新しい医薬品になり得るとする仮説。)に基づいて候補化合物を探索・選別する「探索」段階(イ) (ア)で獲得された候補化合物について試験管内や動物での実験を実施し候補化合物の分子構造等を調整する「最適化」段階(ウ) 臨床試験開始申請に必要なデータを揃える前臨床試験を実施する「前臨床試験」段階(エ) 規制当局の許可を得て臨床試験(医薬品としての承認を得るために行うヒト試験。)を実施する「臨床試験」段階の順に進行します。 臨床試験段階はさらに、主に候補化合物の安全性を確認する第1相試験、比較的少数の患者様で候補化合物の有効性・安全性および用法用量を探索的に検討する第2相試験、医薬品として薬効を証明する第3相試験に大別されます。 通常の医薬品において臨床第1相試験は健康なボランティアを被験者としますが、当社が開発を目指す抗がん剤の領域では、抗がん剤に多い重篤な副作用への懸念から、末期がん患者ボランティアの方を被験者として臨床第1相試験を実施します。このため、第1相試験の前半では主に安全性を確認しつつ薬効の手応えのあるがん腫を選定し、当該がん腫に絞り込んで薬効を探る「拡大相試験」を第1相試験の後半に実施する手法が多く採られます。この手法によるCBP501臨床第1b相試験の結果から、膵臓がんをCBP501臨床第2相試験の対象に選定し、現在はCBP501の有効性・安全性および用法用量を検討する臨床第2相試験を成功裏に終え、次相臨床試験の準備を進めています。 (3) 当社の開発パイプライン 「開発パイプライン」とは、創薬製薬領域において、開発中の医薬品候補化合物群を指す語です。 一般に医薬品開発は成功確率が低く、リスク分散の意味でいかに豊富で有望なパイプラインを継続的に有するかが製薬企業や創薬企業の中長期的な企業価値の基本となります。 新たなパイプラインを確保する方法は、当社のような創薬企業にとっては専ら自らの創薬コンセプトに基づいた新規候補化合物の「探索」「最適化」となります。製薬企業等においては、自社による創出のほか、創薬企業等との提携に基づくライセンスによるパイプライン獲得が図られます。 創薬企業の長期的な目的は新薬の承認獲得とその売上による収益獲得です。 しかし、それに至るために必要な長期間かつ莫大な資金(一般にひとつの医薬品を開発するために必要な期間は約15年・必要な資金は数百億円といわれます。)を独力で確保することは難しく、多くの場合、短期中期的な目標として、自社で開発中の候補化合物について製薬企業等との提携を成立させ当該候補化合物を相手方開発パイプラインのひとつとすることによるライセンス収益の獲得と財務基盤の安定・強化を目指すこととなります。 しかしながら、その状況は変わりつつあり、創薬企業が製薬企業等と提携するのでなく投資家や市場から資金を調達して独力で新薬承認獲得まで進む開発戦略が採用されるケースが増加しています。 この変化の要因としては、① 製薬企業の多くが「承認された又は承認が確実となった超後期開発品」や「新しい作用機序やモダリティ(治療手段)の早期開発品」に集中した提携方針を採用するようになり、最もリスクとリターンの大きな開発途上の候補化合物に関する提携意欲が薄れていること② 臨床試験の平均的な規模が比較的小さくなったことと、投資家や市場からの資金調達環境が大幅に改善されたこととが相まって、必ずしも製薬企業の資金に頼らずとも新薬承認獲得までの開発が可能になったこと③ 製薬企業との提携は必ずしも最速かつ成功確率最大の開発進行に寄与せず、むしろ阻害要因にもなりかねないと知られてきたことなどが挙げられます。 したがって現在、創薬企業はこれらの選択肢の中から、各パイプラインに最適な開発戦略を立案することが求められています。 当社の開発パイプラインは次のとおりです。《CBP501》CBP501は、当社独自のスクリーニング(薬剤探索)から獲得された、蛋白質カルモジュリンの制御機能を調整し複数の作用により免疫コールド(がんを攻撃するT細胞の乏しい状態。)ながんを免疫ホット(T細胞が存在しがんを攻撃できる状態。)ながんにすることで抗がん活性を示す、独特の抗がん剤(免疫着火剤)です。過去の試験で得られたデータから、免疫系抗がん剤との併用により薬効を高める効果が期待できることがわかりました。現在は免疫チェックポイント阻害抗体との併用による臨床第2相試験(対象:膵臓がん)を終え、次相臨床試験の準備を進めています。《CBS9106》当社が創出した可逆的CRM1(XPO1)阻害剤であるCBS9106は、前臨床試験を終了した段階で、同化合物の開発・製造・商業化にかかる全世界(当初は日本および中国・台湾・韓国を除いていましたが、2018年8月にこれら除外地域をなくす修正を実施しました。)における独占的権利を米国Stemline Therapeutics, Inc.に供与するライセンス契約を締結しました。現在Stemline社は、CBS9106(felezonexor)の臨床第1相試験を完了し、次相臨床試験の計画が進められています。《後続パイプライン》上記2つの臨床開発段階のパイプラインのほか、がんの治癒を目指す新しいコンセプトから創出し前臨床試験のための準備を開始したCBT005、CBP501の研究開発過程で新たに得られた知見を踏まえて創出したCBP-A08、静岡県立大学との共同研究により最適化を進めているIDO/TDO阻害剤など、新規候補化合物の創出・開発パイプラインの拡充に向けて、探索研究を実施しています。 化合物併用対象探索創出最適化前臨床試験臨床試験提携・共同研究第1相第2相第3相CBP501シスプラチン・ニボルマブ膵臓がん3次治療■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ CBS9106(felezonexor)なし固形がん■■■■■■■■■■■■□□□□ Stemline社CBT005未定 ■■■■■■■■■ CBP-A08未定 ■■■■■■■■ IDO/TDO阻害剤未定 □□□□■■ 静岡県立大※表中の■は自社による進捗、□は他社による進捗を示す。(4) 当社事業の当面の課題と施策 当社事業における当面の課題と施策は、概ね優先順位順に次のとおりです。① CBP501について開発を加速し、成功確率を最大化する。当社は現在、最先行の抗がん剤候補化合物CBP501に関して、製薬企業等との提携関係に依存しない「創薬パイプライン型」の開発を志向しています。 ② 基礎研究を継続し、既存パイプラインに関する知見を深め、次世代パイプラインの創出を図る。当社は、臨床開発段階のプロジェクトのほか、前述のとおり、基礎研究活動を絶えず実施しています。また、研究開発にかかる知的財産権の管理等の費用も継続的に発生しています。これらの取組みは、当社の中長期的な収益獲得と企業価値向上に欠かせないものですが、それらの成果による現実の収益を獲得するまでには一定の期間を要することから、間接金融による資金調達は極めて困難です。したがって、これらの課題と施策を可能とするための直接金融による継続的な資金調達も併せて当面の優先的な課題と施策のひとつと位置づけています。 (5) 製薬企業との戦略提携を含む開発体制の選択 医薬品の開発プロセスは、通常、長い期間と莫大な費用を必要とします。 このことから、当社のような創薬企業が、基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップなどを単独で行うことは困難であることから、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、固定費の増加を回避しつつ将来の継続的な開発・承認・上市に至る体制の確保を図るのが一般的な戦略であるとこれまで一般に言われ、早期臨床開発と後期臨床開発の役割分担の形が世界的な標準となっていると言われてきました。 しかしながら前述のとおり、①製薬企業等の提携方針の変化に伴う開発途上化合物に対する提携意欲の低下、②臨床試験の規模が比較的小さくなったことと創薬企業の資金調達環境が大幅に改善されたことから製薬企業の資金に頼らずとも新薬承認獲得までの開発が可能になったこと、③製薬企業との提携は最速かつ成功確率最大の開発進行に寄与せず、むしろ阻害要因にもなりかねないと知られてきたこと、などの理由から、この状況は大きく変化し、創薬企業は製薬企業等との提携に依存しない各パイプラインに最適な開発戦略を立案・選択することが求められています。 一方で、創薬企業と製薬企業等との戦略提携は、両者のリスク分担や利益配分などの考え方を反映し、特許等の排他的な実施権を供与する対価としてロイヤルティを得る形態(いわゆるライセンスアウト)のみならず、さまざまなバリエーションが存在しており、化合物の特性や開発の状況等に応じてこれらを活用することももちろん考えられます。 現在当社は、CBP501に関しては、2010年6月に武田薬品工業株式会社との共同事業化契約を解消した後、臨床試験を当社単独で進めてきました。現在は、承認申請までの臨床試験完遂を目指す資金調達を実施するとともに、すべての臨床試験を当社のリスク負担で実施し中長期的な企業価値の最大化を図る「創薬パイプライン型」開発を志向しています。これと並行して、地域等を区切った部分的な新規提携パートナーの獲得を目指す活動も進めています。 一方、CBS9106については、2014年12月、Stemline社と全世界(当初は日本および中国・台湾・韓国を除いていましたが、2018年8月にこれら除外地域をなくす修正を実施しました。)における独占的権利を供与するライセンス契約を締結し、戦略提携に基づき当社にとって比較的リスクの小さな開発体制を選択しました。現在同社は、CBS9106(felezonexor)の臨床第1相試験を完了し、次相臨床試験の計画が進められています。 (6) 研究開発における外部機関との連携 当社は、がん領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬エンジンを基に実施する創薬企業として、基礎研究から臨床開発・上市に至る各ステップにおいて、外部との提携関係(委受託関係を含みます。)を活用しています。 基礎研究および最適化の段階においては、最適化の過程で必要となる新規候補化合物の合成業務を、この領域において経験豊富な企業に委託しています。また前述の次世代化合物の創出に向けて、東京大学医学部附属病院およびファルマバレープロジェクト(一般財団法人ふじのくに医療城下町推進機構、静岡県立大学)との共同研究を進めています。 臨床開発においては、抗がん剤の臨床開発に専門性を持つ大手CROとの緊密な提携関係を構築しています。 また、当社は、抗がん剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABのチェアマンであるダニエル・D・ヴァンホフ教授は、全米がん学会会長・米国がん治療学会会長を歴任した著名ながん臨床研究者で、これまで20年以上にわたり多数の抗がん剤の臨床試験に携わっています。同氏を議長とするSABミーティングは、2002年3月の発足以来、概ね年2回定期的に開催され、当社の研究開発全般に関する情報交換や議論を行っています。
FY2023|5,591 文字
3【事業の内容】 当社は、抗がん剤の基礎研究(創薬コンセプトの検討、当該コンセプトに基づき構築した手法による医薬品候補化合物の選別、簡易動物実験、既に開発段階に進んだ抗がん剤候補化合物に関する基礎データの収集・解析等。)、早期臨床開発(臨床試験開始申請直前に実施する「前臨床試験」ならびに臨床試験の前半部分。)および後期臨床開発(新薬承認申請を目指す臨床試験の後半部分。)に取り組んでいる創薬企業です。なお、当社は、医薬品事業の単一セグメントです。 (1) 基本戦略 当社は、自社独特の創薬アプローチを活かした抗がん剤の基礎研究および臨床開発に取り組む、創薬ベンチャー企業です。 特定領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬基盤技術(「創薬エンジン」とも呼ばれます。)を基に実施することで技術とプロダクトの両方を自社で創出するのが「創薬企業」であり、創薬プラットフォームを持たず開発途上の化合物を外部から導入して一定の開発ののち製薬企業へ導出する企業とは大きく異なるビジネスモデルを志向しています。 この付加価値の高いビジネスモデルを完成させ、企業価値の最大化を図るための、当社の基本戦略は次のとおりです。 ・当社独自の創薬アプローチを活かした研究開発に特化集中する。 ・当社の有する薬剤スクリーニング法により創出・獲得した複数の医薬品候補化合物によって、開発パイプラインを構築する。 ・抗がん剤の開発経験が豊富で当社の開発戦略に合致するCRO等の外部専門機関、科学顧問団を活用する。 ・当社の権利を最大限確保するため、開発パイプラインの特性や開発段階、当社の財務体力等に応じ、自社で後期開発段階まで進めるほか、適切な戦略提携を製薬企業等との間で行うことによって、価値連鎖を補完・完結する。 当社は、上記の戦略を適切に実行することにより、医薬品候補化合物の開発を速やかに進め、いち早く上市して当社の企業価値を高めるとともに、当社の開発リスクを分散低減していきたいと考えています。 (2) 創薬事業 一般に創薬(新薬の創出)は、(ア) 創薬コンセプト(科学的根拠に立脚し、ある方法によって疾患を治療し得ると考え、その作用を有する化合物等が新しい医薬品になり得るとする仮説。)に基づいて候補化合物を探索・選別する「探索」段階(イ) (ア)で獲得された候補化合物について試験管内や動物での実験を実施し候補化合物の分子構造等を調整する「最適化」段階(ウ) 臨床試験開始申請に必要なデータを揃える前臨床試験を実施する「前臨床試験」段階(エ) 規制当局の許可を得て臨床試験(医薬品としての承認を得るために行うヒト試験。)を実施する「臨床試験」段階の順に進行します。 臨床試験段階はさらに、主に候補化合物の安全性を確認する第1相試験、比較的少数の患者様で候補化合物の有効性・安全性および用法用量を探索的に検討する第2相試験、医薬品として薬効を証明する第3相試験に大別されます。 通常の医薬品において臨床第1相試験は健康なボランティアを被験者としますが、当社が開発を目指す抗がん剤の領域では、抗がん剤に多い重篤な副作用への懸念から、末期がん患者ボランティアの方を被験者として臨床第1相試験を実施します。このため、第1相試験の前半では主に安全性を確認しつつ薬効の手応えのあるがん腫を選定し、当該がん腫に絞り込んで薬効を探る「拡大相試験」を第1相試験の後半に実施する手法が多く採られます。この手法によるCBP501臨床第1b相試験の結果から、膵臓がんをCBP501臨床第2相試験の対象に選定し、現在はCBP501の有効性・安全性および用法用量を検討する臨床第2相試験を実施しつつ、次相臨床試験の準備を進めています。 (3) 当社の開発パイプライン 「開発パイプライン」とは、創薬製薬領域において、開発中の医薬品候補化合物群を指す語です。 一般に医薬品開発は成功確率が低く、リスク分散の意味でいかに豊富で有望なパイプラインを継続的に有するかが製薬企業や創薬企業の中長期的な企業価値の基本となります。 新たなパイプラインを確保する方法は、当社のような創薬企業にとっては専ら自らの創薬コンセプトに基づいた新規候補化合物の「探索」「最適化」となります。製薬企業等においては、自社による創出のほか、創薬企業等との提携に基づくライセンスによるパイプライン獲得が図られます。 創薬企業の長期的な目的は新薬の承認獲得とその売上による収益獲得です。 しかし、それに至るために必要な長期間かつ莫大な資金(一般にひとつの医薬品を開発するために必要な期間は約15年・必要な資金は数百億円といわれます。)を独力で確保することは難しく、多くの場合、短期中期的な目標として、自社で開発中の候補化合物について製薬企業等との提携を成立させ当該候補化合物を相手方開発パイプラインのひとつとすることによるライセンス収益の獲得と財務基盤の安定・強化を目指すこととなります。 しかしながら、その状況は変わりつつあり、創薬企業が製薬企業等と提携するのでなく投資家や市場から資金を調達して独力で新薬承認獲得まで進む開発戦略が採用されるケースが増加しています。 この変化の要因としては、① 製薬企業の多くが「承認された又は承認が確実となった超後期開発品」や「新しい作用機序やモダリティ(治療手段)の早期開発品」に集中した提携方針を採用するようになり、最もリスクとリターンの大きな開発途上の候補化合物に関する提携意欲が薄れていること② 臨床試験の平均的な規模が比較的小さくなったことと、投資家や市場からの資金調達環境が大幅に改善されたこととが相まって、必ずしも製薬企業の資金に頼らずとも新薬承認獲得までの開発が可能になったこと③ 製薬企業との提携は必ずしも最速かつ成功確率最大の開発進行に寄与せず、むしろ阻害要因にもなりかねないと知られてきたことなどが挙げられます。 したがって現在、創薬企業はこれらの選択肢の中から、各パイプラインに最適な開発戦略を立案することが求められています。 当社の開発パイプラインは次のとおりです。《CBP501》CBP501は、当社独自のスクリーニング(薬剤探索)から獲得された、蛋白質カルモジュリンの制御機能を調整し複数の作用により免疫コールド(がんを攻撃するT細胞の乏しい状態。)ながんを免疫ホット(T細胞が存在しがんを攻撃できる状態。)ながんにすることで抗がん活性を示す、独特の抗がん剤(免疫着火剤)です。過去の試験で得られたデータから、免疫系抗がん剤との併用により薬効を高める効果が期待できることがわかったことから、現在は免疫チェックポイント阻害抗体との併用による第2相臨床試験(対象:膵臓がん)を実施しつつ、次相臨床試験の準備を進めています。《CBS9106》当社が創出した可逆的CRM1(XPO1)阻害剤であるCBS9106は、前臨床試験を終了した段階で、同化合物の開発・製造・商業化にかかる全世界(当初は日本および中国・台湾・韓国を除いていましたが、2018年8月にこれら除外地域をなくす修正を実施しました。)における独占的権利を米国Stemline Therapeutics, Inc.に供与するライセンス契約を締結しました。現在Stemline社は、CBS9106(felezonexor)の臨床第1相試験を完了し、次相臨床試験の計画が進められています。《後続パイプライン》上記2つの臨床開発段階のパイプラインのほか、これらの研究開発の過程で新たに得られた知見を踏まえて創出したCBP-A08、がんの治癒を目指す新しいコンセプトから創出したCBT005、静岡県立大学との共同研究により最適化を進めているIDO/TDO阻害剤など、新規候補化合物の創出・開発パイプラインの拡充に向けて、探索研究を実施しています。 化合物併用対象探索創出最適化前臨床試験臨床試験提携・共同研究第1相第2相第3相CBP501シスプラチン・ニボルマブ膵臓がん3次治療■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ CBS9106(felezonexor)なし固形がん■■■■■■■■■■■■□□□□ Stemline社CBP-A08未定 ■■■■■■■■ CBT005未定 ■■■■■■■ IDO/TDO阻害剤未定 □□□□■■ 静岡県立大※表中の■は自社による進捗、□は他社による進捗を示す。(4) 当社事業の当面の課題と施策 当社事業における当面の課題と施策は、概ね優先順位順に次のとおりです。① CBP501について開発を加速し、成功確率を最大化する。当社は現在、最先行の抗がん剤候補化合物CBP501に関して、製薬企業等との提携関係に依存しない「創薬パイプライン型」の開発を志向しています。 ② 基礎研究を継続し、既存パイプラインに関する知見を深め、次世代パイプラインの創出を図る。当社は、臨床開発段階のプロジェクトのほか、前述のとおり、基礎研究活動を絶えず実施しています。また、研究開発にかかる知的財産権の管理等の費用も継続的に発生しています。これらの取組みは、当社の中長期的な収益獲得と企業価値向上に欠かせないものですが、それらの成果による現実の収益を獲得するまでには一定の期間を要することから、間接金融による資金調達は極めて困難です。したがって、これらの課題と施策を可能とするための直接金融による継続的な資金調達も併せて当面の優先的な課題と施策のひとつと位置づけています。 (5) 製薬企業との戦略提携を含む開発体制の選択 医薬品の開発プロセスは、通常、長い期間と莫大な費用を必要とします。 このことから、当社のような創薬企業が、基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップなどを単独で行うことは困難であることから、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、固定費の増加を回避しつつ将来の継続的な開発・承認・上市に至る体制の確保を図るのが一般的な戦略であるとこれまで一般に言われ、早期臨床開発と後期臨床開発の役割分担の形が世界的な標準となっていると言われてきました。 しかしながら前述のとおり、①製薬企業等の提携方針の変化に伴う開発途上化合物に対する提携意欲の低下、②臨床試験の規模が比較的小さくなったことと創薬企業の資金調達環境が大幅に改善されたことから製薬企業の資金に頼らずとも新薬承認獲得までの開発が可能になったこと、③製薬企業との提携は最速かつ成功確率最大の開発進行に寄与せず、むしろ阻害要因にもなりかねないと知られてきたこと、などの理由から、この状況は大きく変化し、創薬企業は製薬企業等との提携に依存しない各パイプラインに最適な開発戦略を立案・選択することが求められています。 一方で、創薬企業と製薬企業等との戦略提携は、両者のリスク分担や利益配分などの考え方を反映し、特許等の排他的な実施権を供与する対価としてロイヤルティを得る形態(いわゆるライセンスアウト)のみならず、さまざまなバリエーションが存在しており、化合物の特性や開発の状況等に応じてこれらを活用することももちろん考えられます。 現在当社は、CBP501に関しては、2010年6月に武田薬品工業株式会社との共同事業化契約を解消した後、臨床試験を当社単独で進めてきました。現在は、承認申請までの臨床試験完遂を目指す資金調達を実施するとともに、すべての臨床試験を当社のリスク負担で実施し中長期的な企業価値の最大化を図る「創薬パイプライン型」開発を志向しています。これと並行して、地域等を区切った部分的な新規提携パートナーの獲得を目指す活動も進めています。 一方、CBS9106については、2014年12月、Stemline社と全世界(当初は日本および中国・台湾・韓国を除いていましたが、2018年8月にこれら除外地域をなくす修正を実施しました。)における独占的権利を供与するライセンス契約を締結し、戦略提携に基づき当社にとって比較的リスクの小さな開発体制を選択しました。現在同社は、CBS9106(felezonexor)の臨床第1相試験を完了し、次相臨床試験の計画が進められています。 (6) 研究開発における外部機関との連携 当社は、がん領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬エンジンを基に実施する創薬企業として、基礎研究から臨床開発・上市に至る各ステップにおいて、外部との提携関係(委受託関係を含みます。)を活用しています。 基礎研究および最適化の段階においては、最適化の過程で必要となる新規候補化合物の合成業務を、この領域において経験豊富な企業に委託しています。また前述の次世代化合物の創出に向けて、東京大学医学部附属病院およびファルマバレープロジェクト(一般財団法人ふじのくに医療城下町推進機構、静岡県立大学)との共同研究を進めています。 臨床開発においては、抗がん剤の臨床開発に専門性を持つ大手CROとの緊密な提携関係を構築しています。 また、当社は、抗がん剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABのチェアマンであるダニエル・D・ヴァンホフ教授は、全米がん学会会長・米国がん治療学会会長を歴任した著名ながん臨床研究者で、これまで20年以上にわたり多数の抗がん剤の臨床試験に携わっています。同氏を議長とするSABミーティングは、2002年3月の発足以来、概ね年2回定期的に開催され、当社の研究開発全般に関する情報交換や議論を行っています。
FY2022|4,956 文字
3【事業の内容】 当社は、抗がん剤の基礎研究(創薬コンセプトの検討、当該コンセプトに基づき構築した手法による医薬品候補化合物の選別、簡易動物実験、既に開発段階に進んだ抗がん剤候補化合物に関する基礎データの収集・解析等。)および早期臨床開発(臨床試験開始申請直前に実施する「前臨床試験」ならびに臨床試験の前半部分。)に取り組んでいる創薬企業です。なお、当社は、医薬品事業の単一セグメントです。 (1) 基本戦略 当社は、自社独特の創薬アプローチを活かした抗がん剤の基礎研究および臨床開発に取り組む、創薬ベンチャー企業です。 特定領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬基盤技術(「創薬エンジン」とも呼ばれます。)を基に実施することで技術とプロダクトの両方を自社で創出するのが「創薬企業」であり、創薬プラットフォームを持たず開発途上の化合物を外部から導入して一定の開発ののち製薬企業へ導出する企業とは大きく異なるビジネスモデルを志向しています。 この付加価値の高いビジネスモデルを完成させ、企業価値の最大化を図るための、当社の基本戦略は次のとおりです。 ・当社独自の創薬アプローチを活かした研究開発に特化集中する。 ・当社の有する薬剤スクリーニング法により創出・獲得した複数の医薬品候補化合物によって、開発パイプラインを構築する。 ・抗がん剤の開発経験が豊富で当社の開発戦略に合致するCRO等の外部専門機関、科学顧問団を活用する。 ・当社の権利を最大限確保するため、開発段階と当社の財務体力等に応じた適切な戦略提携を製薬企業等との間で行うことによって、価値連鎖を補完・完結する。 当社は、上記の戦略を適切に実行することにより、医薬品候補化合物の開発を速やかに進め、いち早く上市して当社の企業価値を高めるとともに、当社の開発リスクを分散低減していきたいと考えています。 (2) 創薬事業 一般に創薬(新薬の創出)は、(ア) 創薬コンセプト(科学的根拠に立脚し、ある方法によって疾患を治療し得ると考え、その作用を有する化合物等が新しい医薬品になり得るとする仮説。)に基づいて候補化合物を探索・選別する「探索」段階(イ) (ア)で獲得された候補化合物について試験管内や動物での実験を実施し候補化合物の分子構造等を調整する「最適化」段階(ウ) 臨床試験開始申請に必要なデータを揃える前臨床試験を実施する「前臨床試験」段階(エ) 規制当局の許可を得て臨床試験(医薬品としての承認を得るために行うヒト試験。)を実施する「臨床試験」段階の順に進行します。 臨床試験段階はさらに、主に候補化合物の安全性を確認する第1相試験、比較的少数の患者様で候補化合物の有効性・安全性および用法用量を探索的に検討する第2相試験、医薬品として薬効を証明する第3相試験に大別されます。 通常の医薬品において臨床第1相試験は健康なボランティアを被験者としますが、当社が開発を目指す抗がん剤の領域では、抗がん剤に多い重篤な副作用への懸念から、末期がん患者ボランティアの方を被験者として臨床第1相試験を実施します。このため、第1相試験の前半では主に安全性を確認しつつ薬効の手応えのあるがん腫を選定し、当該がん腫に絞り込んで薬効を探る「拡大相試験」を第1相試験の後半に実施する手法が多く採られます。この手法によるCBP501臨床第1b相試験の結果から、膵臓がんをCBP501臨床第2相試験の対象に選定し、現在はCBP501の有効性・安全性および用法用量を検討する臨床第2相試験を実施しています。 (3) 当社の開発パイプライン 「開発パイプライン」とは、創薬製薬領域において、開発中の医薬品候補化合物群を指す語です。 一般に医薬品開発は成功確率が低く、リスク分散の意味でいかに豊富で有望なパイプラインを継続的に有するかが製薬企業や創薬企業の中長期的な企業価値の基本となります。 新たなパイプラインを確保する方法は、当社のような創薬企業にとっては専ら自らの創薬コンセプトに基づいた新規候補化合物の「探索」「最適化」となります。製薬企業等においては、自社による創出のほか、創薬企業等との提携に基づくライセンスによるパイプライン獲得が図られます。 創薬企業の長期的な目的は新薬の承認獲得とその売上による収益獲得ですが、それに至るために必要な長期間かつ莫大な資金(一般にひとつの医薬品を開発するために必要な期間は約15年・必要な資金は数百億円といわれます。)を独力で確保することは難しく、多くの場合、短期中期的な目標として、自社で開発中の候補化合物について製薬企業等との提携を成立させ当該候補化合物を相手方開発パイプラインのひとつとすることによるライセンス収益の獲得と財務基盤の安定・強化を目指します。 当社の開発パイプラインは次のとおりです。《CBP501》CBP501は、当社独自のスクリーニング(薬剤探索)から獲得された、蛋白質カルモジュリンの制御機能を調整し複数の作用により免疫コールド(がんを攻撃するT細胞の乏しい状態。)ながんを免疫ホット(T細胞が存在しがんを攻撃できる状態。)ながんにすることで抗がん活性を示す、独特の抗がん剤(免疫着火剤)です。過去の試験で得られたデータから、免疫系抗がん剤との併用により薬効を高める効果が期待できることがわかったことから、現在は免疫チェックポイント阻害抗体との併用による第2相臨床試験(対象:膵臓がん)を実施しています。《CBS9106》当社が創出した可逆的CRM1(XPO1)阻害剤であるCBS9106は、前臨床試験を終了した段階で、同化合物の開発・製造・商業化にかかる全世界(当初は日本および中国・台湾・韓国を除いていましたが、2018年8月にこれら除外地域をなくす修正を実施しました。)における独占的権利を米国Stemline Therapeutics, Inc.に供与するライセンス契約を締結しました。現在Stemline社は、CBS9106(felezonexor)の臨床第1相試験を完了し、次相臨床試験の計画が進められています。《後続パイプライン》上記2つの臨床開発段階のパイプラインのほか、これらの研究開発の過程で新たに得られた知見を踏まえて創出したCBP-A08、がんの治癒を目指す新しいコンセプトから創出したCBT005、静岡県立大学との共同研究により最適化を進めているIDO/TDO阻害剤など、新規候補化合物の創出・開発パイプラインの拡充に向けて、探索研究を実施しています。 化合物併用対象探索創出最適化前臨床試験臨床試験提携・共同研究第1相第2相第3相CBP501シスプラチン・ニボルマブ膵臓がん3次治療■■■■■■■■■■■■■■■■■■ CBS9106(felezonexor)なし固形がん■■■■■■■■■■■■□□□□ Stemline社CBP-A08未定 ■■■■■■■■ CBT005未定 ■■■■■■■ IDO/TDO阻害剤未定 □□□□■■ 静岡県立大※表中の■は自社による進捗、□は他社による進捗を示す。(4) 当社事業の当面の課題と施策 当社事業における当面の課題と施策は、概ね優先順位順に次のとおりです。① CBP501について製薬企業等との提携を獲得する。当社は現在、CBP501にかかる製薬企業等との提携関係を有していません。製薬企業等との提携を獲得して当社の中長期的開発基盤を強化し短期中期的な収益に寄与するためには、これまでの提携企業獲得活動を継続するほか、世界的な注目の集まる免疫系抗がん剤との併用試験のひとつである現在の臨床第2相試験を迅速に進めて良好なデータを獲得し、提携候補製薬企業等にとっての魅力を示すことが必要です。 ② 基礎研究を継続し、既存パイプラインに関する知見を深め、次世代パイプラインの創出を図る。当社は、臨床開発段階のプロジェクトのほか、前述のとおり、基礎研究活動を絶えず実施しています。また、研究開発にかかる知的財産権の管理等の費用も継続的に発生しています。これらの取組みは、短期中期的には既存パイプラインの提携魅力を向上させるほか、当社の長期的な収益獲得と企業価値向上に欠かせないものですが、それらの成果による現実の収益を獲得するまでには一定の期間を要することから間接金融による資金調達は極めて困難であり、当面は直接金融による継続的な資金調達によらざるを得ません。 (5) 製薬企業との戦略提携 医薬品の開発プロセスは、通常、長い期間と莫大な費用を必要とします。当社のような創薬企業が、基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップなどを単独で行うことは困難であることから、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、固定費の増加を回避しつつ将来の継続的な開発・承認・上市に至る体制の確保を図るのが一般的な戦略です。 創薬企業と製薬企業等とがこのような役割分担を行うようになった背景として、分子生物学を主体とした生命科学の発達により、従来とは異なり、個々の研究テーマに対する専門性の高い研究力が求められるようになったことが挙げられます。実際に米国などでは、有力な新薬の多くが創薬企業によって開発され、または創薬企業からのライセンス供与などの形で創薬企業と戦略提携した製薬企業等によって開発されており、この役割分担の形は世界的な標準となっていると言えます。 また、創薬企業と製薬企業等との戦略提携は、両者のリスク分担や利益配分などの考え方を反映し、特許等の排他的な実施権を供与する対価としてロイヤルティを得る形態(いわゆるライセンスアウト)のみならず、さまざまなバリエーションが存在します。 CBP501に関しては、当社は、2007年3月に武田薬品工業株式会社との間でCBP501に関する共同事業化契約を締結し共同開発を進めていましたが、2010年6月に本契約を解消しています。その後、当社は、悪性胸膜中皮腫および非小細胞肺がんを対象とする海外での臨床第2相試験を当社単独で進めてきました。現在は、新規提携パートナーの早期獲得を目指しつつ、その確率を高めるために、新たな併用組み合わせによる臨床試験を進めています。 CBS9106については、2014年12月、Stemline社と全世界(当初は日本および中国・台湾・韓国を除いていましたが、2018年8月にこれら除外地域をなくす修正を実施しました。)における独占的権利を供与するライセンス契約を締結しました。現在同社は、CBS9106(felezonexor)の臨床第1相試験を完了し、次相臨床試験の計画が進められています。 (6) 研究開発における外部機関との連携 当社は、がん領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬エンジンを基に実施する創薬企業として、基礎研究から臨床開発・上市に至る各ステップにおいて、外部との提携関係(委受託関係を含みます。)を活用しています。 基礎研究および最適化の段階においては、最適化の過程で必要となる新規候補化合物の合成業務を、この領域において経験豊富な企業に委託しています。また前述の次世代化合物の創出に向けて、東京大学医学部附属病院およびファルマバレープロジェクト(一般財団法人ふじのくに医療城下町推進機構、静岡県立大学)との共同研究を進めています。 臨床開発においては、抗がん剤の臨床開発に専門性を持つ大手CROとの緊密な提携関係を構築しています。 また、当社は、抗がん剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABのチェアマンであるダニエル・D・ヴァンホフ教授は、全米がん学会会長・米国がん治療学会会長を歴任した著名ながん臨床研究者で、これまで20年以上にわたり多数の抗がん剤の臨床試験に携わっています。同氏を議長とするSABミーティングは、2002年3月の発足以来、概ね年2回定期的に開催され、当社の研究開発全般に関する情報交換や議論を行っています。
FY2021|4,974 文字
3【事業の内容】 当社は、抗癌剤の基礎研究(創薬コンセプトの検討、当該コンセプトに基づき構築した手法による医薬品候補化合物の選別、簡易動物実験、既に開発段階に進んだ抗癌剤候補化合物に関する基礎データの収集・解析等)および早期臨床開発(臨床試験開始申請直前に実施する「前臨床試験」ならびに臨床試験の前半部分)に取り組んでいる創薬企業です。なお、当社は、医薬品事業の単一セグメントです。 (1) 基本戦略 当社は、自社独特の創薬アプローチを活かした抗癌剤の基礎研究および臨床開発に取り組む、創薬ベンチャー企業です。 特定領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬基盤技術(「創薬エンジン」とも呼ばれます)を基に実施することで技術とプロダクトの両方を自社で創出するのが「創薬企業」であり、創薬プラットフォームを持たず開発途上の化合物を外部から導入して一定の開発ののち製薬企業へ導出する企業とは大きく異なるビジネスモデルを志向しています。 この付加価値の高いビジネスモデルを完成させ、企業価値の最大化を図るための、当社の基本戦略は次のとおりです。 ・当社独自の創薬アプローチを活かした研究開発に特化集中する。 ・当社の有する薬剤スクリーニング法により創出・獲得した複数の医薬品候補化合物によって、開発パイプラインを構築する。 ・抗癌剤の開発経験が豊富で当社の開発戦略に合致するCRO等の外部専門機関、科学顧問団を活用する。 ・当社の権利を最大限確保するため、開発段階と当社の財務体力等に応じた適切な戦略提携を製薬企業等との間で行うことによって、価値連鎖を補完・完結する。 当社は、上記の戦略を適切に実行することにより、医薬品候補化合物の開発を速やかに進め、いち早く上市して当社の企業価値を高めるとともに、当社の開発リスクを分散低減していきたいと考えています。 (2) 創薬事業 一般に創薬(新薬の創出)は、(ア) 創薬コンセプト(科学的根拠に立脚し、ある方法によって疾患を治療し得ると考え、その作用を有する化合物等が新しい医薬品になり得るとする仮説)に基づいて候補化合物を探索・選別する「探索」段階(イ) (ア)で獲得された候補化合物について試験管内や動物での実験を実施し候補化合物の分子構造等を調整する「最適化」段階(ウ) 臨床試験開始申請に必要なデータを揃える前臨床試験を実施する「前臨床試験」段階(エ) 規制当局の許可を得て臨床試験(医薬品としての承認を得るために行うヒト試験)を実施する「臨床試験」段階の順に進行します。 臨床試験段階はさらに、主に候補化合物の安全性を確認する第1相試験、比較的少数の患者様で候補化合物の有効性・安全性および用法用量を探索的に検討する第2相試験、医薬品として薬効を証明する第3相試験に大別されます。 通常の医薬品において臨床第1相試験は健康なボランティアを被験者としますが、当社が開発を目指す抗癌剤の領域では、抗癌剤に多い重篤な副作用への懸念から、末期癌患者ボランティアの方を被験者として臨床第1相試験を実施します。このため、第1相試験の前半では主に安全性を確認しつつ薬効の手応えのある癌腫を選定し、当該癌腫に絞り込んで薬効を探る「拡大相試験」を第1相試験の後半に実施する手法が多く採られます。当社の進めているCBP501臨床第1b相試験も、提携先Stemline社の進めているCBS9106(SL-801、felezonexor)臨床第1相試験も、この手法によるものです。 (3) 当社の開発パイプライン 「開発パイプライン」とは、創薬製薬領域において、開発中の医薬品候補化合物群を指す語です。 一般に医薬品開発は成功確率が低く、リスク分散の意味でいかに豊富で有望なパイプラインを継続的に有するかが製薬企業や創薬企業の中長期的な企業価値の基本となります。 新たなパイプラインを確保する方法は、当社のような創薬企業にとっては専ら自らの創薬コンセプトに基づいた新規候補化合物の「探索」「最適化」となります。製薬企業等においては、自社による創出のほか、創薬企業等との提携に基づくライセンスによるパイプライン獲得が図られます。 創薬企業の長期的な目的は新薬の承認獲得とその売上による収益獲得ですが、それに至るために必要な長期間かつ莫大な資金(一般にひとつの医薬品を開発するために必要な期間は約15年・必要な資金は数百億円といわれます)を独力で確保することは難しく、多くの場合、短期中期的な目標として、自社で開発中の候補化合物について製薬企業等との提携を成立させ当該候補化合物を相手方開発パイプラインのひとつとすることによるライセンス収益の獲得と財務基盤の安定・強化を目指します。 当社の開発パイプラインは次のとおりです。《CBP501》CBP501は、当社独自のスクリーニング(薬剤探索)から獲得された、蛋白質カルモジュリンの制御機能を調整し複数の作用により免疫コールド(癌を攻撃するT細胞の乏しい状態)な癌を免疫ホット(T細胞が存在し癌を攻撃できる状態)な癌にすることで抗癌活性を示す、独特の抗癌剤(免疫着火剤)です。過去の試験で得られたデータから、免疫系抗癌剤との併用により薬効を高める効果が期待できることがわかったことから、現在は免疫チェックポイント阻害抗体との併用による臨床試験(フェーズ1b試験)を実施しています。同臨床試験は現在、後半部分である拡大相(対象:膵臓癌・直腸大腸癌)の投与を終えた最終盤段階にあります。第2相臨床試験の開始申請は既に承認され、投与開始に向けて準備を進めています。 《CBS9106》当社が創出した可逆的CRM1(XPO1)阻害剤であるCBS9106は、前臨床試験を終了した段階で、同化合物の開発・製造・商業化にかかる全世界(当初は日本および中国・台湾・韓国を除いていましたが、2018年8月にこれら除外地域をなくす修正を実施しました。)における独占的権利を米国Stemline Therapeutics, Inc(以下「Stemline社」といいます。)に供与するライセンス契約を締結しました。現在は、Stemline社が進めている臨床第1相試験の支援を行い、これに伴う技術アドバイザリーフィー収益を得ています。 《後続パイプライン》上記2つの臨床開発段階のパイプラインのほか、これらの研究開発の過程で新たに得られた知見を踏まえて創出したCBP-A08、静岡県立大学との共同研究により最適化を進めているIDO/TDO阻害剤など、新規候補化合物の創出・開発パイプラインの拡充に向けて、探索研究を実施しています。 化合物併用対象探索創出最適化前臨床試験臨床試験提携・共同研究第1相第2相第3相CBP501シスプラチン・ニボルマブ膵臓がん3次治療■■■■■■■■■■■■■■■■■ CBS9106(SL-801)なし固形癌■■■■■■■■■■■■□□□ Stemline社CBP-A08未定 ■■■■■■■■ IDO/TDO阻害剤未定 □□□□■■ 静岡県立大※表中の■は自社による進捗、□は他社による進捗を示す。(4) 当社事業の当面の課題と施策 当社事業における当面の課題と施策は、概ね優先順位順に次のとおりです。① CBP501について製薬企業等との提携を獲得する。当社は現在、CBP501にかかる製薬企業等との提携関係を有していません。製薬企業等との提携を獲得して当社の中長期的開発基盤を強化し短期中期的な収益に寄与するためには、これまでの提携企業獲得活動を継続するほか、世界的な注目の集まる免疫系抗癌剤との併用試験のひとつである現在の臨床第1b相試験の拡大相を迅速に進めて良好なデータを獲得し、提携候補製薬企業等にとっての魅力を示すことが必要です。 ② 基礎研究を継続し、既存パイプラインに関する知見を深め、次世代パイプラインの創出を図る。当社は、臨床開発段階のプロジェクトのほか、前述のとおり、基礎研究活動を絶えず実施しています。また、研究開発にかかる知的財産権の管理等の費用も継続的に発生しています。これらの取組みは、短期中期的には既存パイプラインの提携魅力を向上させるほか、当社の長期的な収益獲得と企業価値向上に欠かせないものですが、それらの成果による現実の収益を獲得するまでには一定の期間を要することから間接金融による資金調達は極めて困難であり、当面は直接金融による継続的な資金調達によらざるを得ません。 (5) 製薬企業との戦略提携 医薬品の開発プロセスは、通常、長い期間と莫大な費用を必要とします。当社のような創薬企業が、基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップなどを単独で行うことは困難であることから、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、固定費の増加を回避しつつ将来の継続的な開発・承認・上市に至る体制の確保を図るのが一般的な戦略です。 創薬企業と製薬企業等とがこのような役割分担を行うようになった背景として、分子生物学を主体とした生命科学の発達により、従来とは異なり、個々の研究テーマに対する専門性の高い研究力が求められるようになったことが挙げられます。実際に米国などでは、有力な新薬の多くが創薬企業によって開発され、または創薬企業からのライセンス供与などの形で創薬企業と戦略提携した製薬企業等によって開発されており、この役割分担の形は世界的な標準となっていると言えます。 また、創薬企業と製薬企業等との戦略提携は、両者のリスク分担や利益配分などの考え方を反映し、特許等の排他的な実施権を供与する対価としてロイヤルティを得る形態(いわゆるライセンスアウト)のみならず、さまざまなバリエーションが存在します。 CBP501に関しては、当社は、2007年3月に武田薬品工業株式会社との間でCBP501に関する共同事業化契約を締結し共同開発を進めていましたが、2010年6月に本契約を解消しています。その後、当社は、悪性胸膜中皮腫および非小細胞肺癌を対象とする海外での臨床第2相試験を当社単独で進めてきました。現在は、新規提携パートナーの早期獲得を目指しつつ、その確率を高めるために、新たな併用組み合わせによる臨床試験を進めています。 CBS9106については、2014年12月、Stemline社と全世界(当初は日本および中国・台湾・韓国を除いていましたが、2018年8月にこれら除外地域をなくす修正を実施しました。)における独占的権利を供与するライセンス契約を締結しました。現在同社は、CBS9106(同社における開発コード:SL-801、一般名felezonexor)の臨床第1相試験を実施しています。 (6) 研究開発における外部機関との連携 当社は、癌領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬エンジンを基に実施する創薬企業として、基礎研究から臨床開発・上市に至る各ステップにおいて、外部との提携関係(委受託関係を含みます)を活用しています。 基礎研究および最適化の段階においては、最適化の過程で必要となる新規候補化合物の合成業務を、この領域において経験豊富な企業に委託しています。また前述の次世代化合物の創出に向けて、東京大学医学部附属病院およびファルマバレープロジェクト(一般財団法人ふじのくに医療城下町推進機構、静岡県立大学)との共同研究を進めています。 臨床開発においては、抗癌剤の臨床開発に専門性を持つ大手CROとの緊密な提携関係を構築しています。 また、当社は、抗癌剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABのチェアマンであるダニエル・D・ヴァンホフ教授は、全米癌学会会長・米国癌治療学会会長を歴任した著名な癌臨床研究者で、これまで20年以上にわたり多数の抗癌剤の臨床試験に携わっています。同氏を議長とするSABミーティングは、2002年3月の発足以来、概ね年2回定期的に開催され、当社の研究開発全般に関する情報交換や議論を行っています。
FY2020|5,298 文字
3【事業の内容】 当社は、抗癌剤の基礎研究(創薬コンセプトの検討、当該コンセプトに基づき構築した手法による医薬品候補化合物の選別、簡易動物実験、既に開発段階に進んだ抗癌剤候補化合物に関する基礎データの収集・解析等)および早期臨床開発(臨床試験開始申請直前に実施する「前臨床試験」ならびに臨床試験の前半部分)に取り組んでいる創薬企業です。なお、当社は、医薬品事業の単一セグメントです。 (1) 基本戦略 当社は、自社独特の創薬アプローチを活かした抗癌剤の基礎研究および臨床開発に取り組む、創薬ベンチャー企業です。 特定領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬基盤技術(「創薬エンジン」とも呼ばれます)を基に実施することで技術とプロダクトの両方を自社で創出するのが「創薬企業」であり、創薬プラットフォームを持たず開発途上の化合物を外部から導入して一定の開発ののち製薬企業へ導出する企業とは大きく異なるビジネスモデルを志向しています。 この付加価値の高いビジネスモデルを完成させ、企業価値の最大化を図るための、当社の基本戦略は次のとおりです。 ・当社独自の創薬アプローチを活かした研究開発に特化集中する。 ・当社の有する薬剤スクリーニング法により創出・獲得した複数の医薬品候補化合物によって、開発パイプラインを構築する。 ・抗癌剤の開発経験が豊富で当社の開発戦略に合致するCRO等の外部専門機関、科学顧問団を活用する。 ・当社の権利を最大限確保するため、開発段階と当社の財務体力等に応じた適切な戦略提携を製薬企業等との間で行うことによって、価値連鎖を補完・完結する。 当社は、上記の戦略を適切に実行することにより、医薬品候補化合物の開発を速やかに進め、いち早く上市して当社の企業価値を高めるとともに、当社の開発リスクを分散低減していきたいと考えています。 (2) 創薬事業 一般に創薬(新薬の創出)は、(ア) 創薬コンセプト(科学的根拠に立脚し、ある方法によって疾患を治療し得ると考え、その作用を有する化合物等が新しい医薬品になり得るとする仮説)に基づいて候補化合物を探索・選別する「探索」段階(イ) (ア)で獲得された候補化合物について試験管内や動物での実験を実施し候補化合物の分子構造等を調整する「最適化」段階(ウ) 臨床試験開始申請に必要なデータを揃える前臨床試験を実施する「前臨床試験」段階(エ) 規制当局の許可を得て臨床試験(医薬品としての承認を得るために行うヒト試験)を実施する「臨床試験」段階の順に進行します。 臨床試験段階はさらに、主に候補化合物の安全性を確認する第1相試験、比較的少数の患者様で候補化合物の有効性・安全性および用法用量を探索的に検討する第2相試験、医薬品として薬効を証明する第3相試験に大別されます。 通常の医薬品において臨床第1相試験は健康なボランティアを被験者としますが、当社が開発を目指す抗癌剤の領域では、抗癌剤に多い重篤な副作用への懸念から、末期癌患者ボランティアの方を被験者として臨床第1相試験を実施します。このため、第1相試験の前半では主に安全性を確認しつつ薬効の手応えのある癌腫を選定し、当該癌腫に絞り込んで薬効を探る「拡大相試験」を第1相試験の後半に実施する手法が多く採られます。当社の進めているCBP501臨床第1b相試験も、提携先Stemline社の進めているCBS9106(SL-801、felezonexor)臨床第1相試験も、この手法によるものです。 (3) 当社の開発パイプライン 「開発パイプライン」とは、創薬製薬領域において、開発中の医薬品候補化合物群を指す語です。 一般に医薬品開発は成功確率が低く、リスク分散の意味でいかに豊富で有望なパイプラインを継続的に有するかが製薬企業や創薬企業の中長期的な企業価値の基本となります。 新たなパイプラインを確保する方法は、当社のような創薬企業にとっては専ら自らの創薬コンセプトに基づいた新規候補化合物の「探索」「最適化」となります。製薬企業等においては、自社による創出のほか、創薬企業等との提携に基づくライセンスによるパイプライン獲得が図られます。 創薬企業の長期的な目的は新薬の承認獲得とその売上による収益獲得ですが、それに至るために必要な長期間かつ莫大な資金(一般にひとつの医薬品を開発するために必要な期間は約15年・必要な資金は数百億円といわれます)を独力で確保することは難しく、多くの場合、短期中期的な目標として、自社で開発中の候補化合物について製薬企業等との提携を成立させ当該候補化合物を相手方開発パイプラインのひとつとすることによるライセンス収益の獲得と財務基盤の安定・強化を目指します。 当社の開発パイプラインは次のとおりです。《CBP501》創業時からの創薬アプローチに基づいた探索から獲得された、当社の主要パイプラインです。多様な細胞機能に関わる蛋白質カルモジュリンの制御機能を調整し複数の作用により抗癌活性を示す独特の抗癌剤(カルモジュリンモジュレーター)です。過去に、既存の抗癌剤シスプラチンおよびペメトレキセドとの併用で悪性胸膜中皮腫および非小細胞肺癌(扁平上皮癌を除きます。)を対象とする臨床第2相試験を完了しており、その試験で得られた新たなデータから、免疫系抗癌剤との併用により薬効を高める効果が期待できることがわかったことから、現在は抗癌剤シスプラチンと免疫系抗癌剤ニボルマブ(商品名:オプジーボ)との併用による臨床第1b相試験(最初の臨床第1相試験と内容の異なる試験なので区別のため呼称にbを付しています)を2017年10月から実施中です。2018年中に臨床第1b相の前半の試験を終え、この試験の手応えを踏まえ、現在は対象を膵臓癌と直腸大腸癌に絞り込んだ「拡大相」試験を実施中です。 《CBS9106》当社が創出した可逆的CRM1(XPO1)阻害剤であるCBS9106は、前臨床試験を終了した段階で、同化合物の開発・製造・商業化にかかる全世界(当初は日本および中国・台湾・韓国を除いていましたが、2018年8月にこれら除外地域をなくす修正を実施しました。)における独占的権利を米国Stemline Therapeutics, Inc(以下「Stemline社」といいます。)に供与するライセンス契約を締結しました。現在は、Stemline社が進めている臨床第1相試験の支援を行い、これに伴う技術アドバイザリーフィー収益を得ています。 《次世代化合物》上記2つの臨床開発段階のパイプラインのほか、当社は、癌免疫に着目した独自のスクリーニングによる新たな薬剤候補化合物の探索と、既存パイプラインの化合物に関する基礎研究の成果を活かした改良等により、次世代化合物の創出を図っています。多数のアプローチで創出を図る中、CBP501に改良を加えて「最適化」段階を進めた結果、マウスを用いた動物実験で抗癌活性においてCBP501を上回る次世代候補化合物CBP-A08を2017年6月に獲得できています。 化合物併用対象探索創出最適化前臨床試験臨床試験提携・共同研究第1相第2相第3相CBP501シスプラチン・ペメトレキセド悪性胸膜中皮腫■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 非小細胞肺癌■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ シスプラチン・ニボルマブ固形癌(拡大相:膵臓癌・直腸大腸癌)■■■■■■■■■■■■■■■ CBS9106(SL-801)なし固形癌■■■■■■■■■■■■□□□ Stemline社CBP-A08未定 ■■■■■■■■ CBP-B未定 ■■■■■■■ IDO/TDO阻害剤未定 □□□□■■ 静岡県立大非公表非公表 ■■■ ファルマバレー非公表非公表 ■■ 富士フイルム※表中の■は自社による進捗、□は他社による進捗を示す。(4) 当社事業の当面の課題と施策 当社事業における当面の課題と施策は、概ね優先順位順に次のとおりです。① CBP501について製薬企業等との提携を獲得する。当社は現在、CBP501にかかる製薬企業等との提携関係を有していません。製薬企業等との提携を獲得して当社の中長期的開発基盤を強化し短期中期的な収益に寄与するためには、これまでの提携企業獲得活動を継続するほか、世界的な注目の集まる免疫系抗癌剤との併用試験のひとつである現在の臨床第1b相試験の拡大相を迅速に進めて良好なデータを獲得し、提携候補製薬企業等にとっての魅力を示すことが必要です。 ② 基礎研究を継続し、既存パイプラインに関する知見を深め、次世代パイプラインの創出を図る。当社は、臨床開発段階のプロジェクトのほか、前述のとおり、基礎研究活動を絶えず実施しています。また、研究開発にかかる知的財産権の管理等の費用も継続的に発生しています。これらの取組みは、短期中期的には既存パイプラインの提携魅力を向上させるほか、当社の長期的な収益獲得と企業価値向上に欠かせないものですが、それらの成果による現実の収益を獲得するまでには一定の期間を要することから間接金融による資金調達は極めて困難であり、当面は直接金融による継続的な資金調達によらざるを得ません。 (5) 製薬企業との戦略提携 医薬品の開発プロセスは、通常、長い期間と莫大な費用を必要とします。当社のような創薬企業が、基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップなどを単独で行うことは困難であることから、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、固定費の増加を回避しつつ将来の継続的な開発・承認・上市に至る体制の確保を図るのが一般的な戦略です。 創薬企業と製薬企業等とがこのような役割分担を行うようになった背景として、分子生物学を主体とした生命科学の発達により、従来とは異なり、個々の研究テーマに対する専門性の高い研究力が求められるようになったことが挙げられます。実際に米国などでは、有力な新薬の多くが創薬企業によって開発され、または創薬企業からのライセンス供与などの形で創薬企業と戦略提携した製薬企業等によって開発されており、この役割分担の形は世界的な標準となっていると言えます。 また、創薬企業と製薬企業等との戦略提携は、両者のリスク分担や利益配分などの考え方を反映し、特許等の排他的な実施権を供与する対価としてロイヤルティを得る形態(いわゆるライセンスアウト)のみならず、さまざまなバリエーションが存在します。 CBP501に関しては、当社は、2007年3月に武田薬品工業株式会社との間でCBP501に関する共同事業化契約を締結し共同開発を進めていましたが、2010年6月に本契約を解消しています。その後、当社は、悪性胸膜中皮腫および非小細胞肺癌を対象とする海外での臨床第2相試験を当社単独で進めてきました。現在は、新規提携パートナーの早期獲得を目指しつつ、その確率を高めるために、新たな併用組み合わせによる臨床試験(フェーズ1b試験)を進めています。 CBS9106については、2014年12月、Stemline社と全世界(当初は日本および中国・台湾・韓国を除いていましたが、2018年8月にこれら除外地域をなくす修正を実施しました。)における独占的権利を供与するライセンス契約を締結しました。現在同社は、CBS9106(同社における開発コード:SL-801、一般名felezonexor)の臨床第1相試験を実施しています。 (6) 研究開発における外部機関との連携 当社は、癌領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬エンジンを基に実施する創薬企業として、基礎研究から臨床開発・上市に至る各ステップにおいて、外部との提携関係(委受託関係を含みます)を活用しています。 基礎研究および最適化の段階においては、最適化の過程で必要となる新規候補化合物の合成業務を、この領域において経験豊富な企業に委託しています。また前述の次世代化合物の創出に向けて、東京大学医学部附属病院およびファルマバレープロジェクト(一般財団法人ふじのくに医療城下町推進機構、静岡県立大学)、富士フイルム株式会社との共同研究を進めています。 臨床開発においては、抗癌剤の臨床開発に専門性を持つ大手CROとの緊密な提携関係を構築しています。 また、当社は、抗癌剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABのチェアマンであるダニエル・D・ヴァンホフ教授は、全米癌学会会長・米国癌治療学会会長を歴任した著名な癌臨床研究者で、これまで20年以上にわたり多数の抗癌剤の臨床試験に携わっています。同氏を議長とするSABミーティングは、2002年3月の発足以来、概ね年2回定期的に開催され、当社の研究開発全般に関する情報交換や議論を行っています。
FY2019|5,343 文字
3【事業の内容】 当社は、抗癌剤の基礎研究(創薬コンセプトの検討、当該コンセプトに基づき構築した手法による医薬品候補化合物の選別、簡易動物実験、既に開発段階に進んだ抗癌剤候補化合物に関する基礎データの収集・解析等)および早期臨床開発(臨床試験開始申請直前に実施する「前臨床試験」ならびに臨床試験の前半部分)に取り組んでいる創薬企業です。なお、当社は、医薬品事業の単一セグメントです。 (1) 基本戦略 当社は、自社独特の創薬アプローチを活かした抗癌剤の基礎研究および臨床開発に取り組む、創薬ベンチャー企業です。 特定領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬基盤技術(「創薬エンジン」とも呼ばれます)を基に実施することで技術とプロダクトの両方を自社で創出するのが「創薬企業」であり、創薬プラットフォームを持たず開発途上の化合物を外部から導入して一定の開発ののち製薬企業へ導出する企業とは大きく異なるビジネスモデルを志向しています。 この付加価値の高いビジネスモデルを完成させ、企業価値の最大化を図るための、当社の基本戦略は次のとおりです。 ・当社独自の創薬アプローチを活かした研究開発に特化集中する。 ・当社の細胞表現型薬剤スクリーニング法により創出・獲得した複数の医薬品候補化合物によって、開発パイプラインを構築する。 ・抗癌剤の開発経験が豊富で当社の開発戦略に合致するCRO等の外部専門機関、科学顧問団を活用する。 ・当社の権利を最大限確保するため、開発段階と当社の財務体力等に応じた適切な戦略提携を製薬企業等との間で行うことによって、価値連鎖を補完・完結する。 当社は、上記の戦略を適切に実行することにより、医薬品候補化合物の開発を速やかに進め、いち早く上市して当社の企業価値を高めるとともに、当社の開発リスクを分散低減していきたいと考えています。 (2) 創薬事業 一般に創薬(新薬の創出)は、(ア) 創薬コンセプト(科学的根拠に立脚し、ある方法によって疾患を治療し得ると考え、その作用を有する化合物等が新しい医薬品になり得るとする仮説)に基づいて候補化合物を探索・選別する「探索」段階(イ) (ア)で獲得された候補化合物について試験管内や動物での実験を実施し候補化合物の分子構造等を調整する「最適化」段階(ウ) 臨床試験開始申請に必要なデータを揃える前臨床試験を実施する「前臨床試験」段階(エ) 規制当局の許可を得て臨床試験(医薬品としての承認を得るために行うヒト試験)を実施する「臨床試験」段階の順に進行します。 臨床試験段階はさらに、主に候補化合物の安全性を確認する第1相試験、比較的少数の患者様で候補化合物の有効性・安全性および用法用量を探索的に検討する第2相試験、医薬品として薬効を証明する第3相試験に大別されます。 通常の医薬品において臨床第1相試験は健康なボランティアを被験者としますが、当社が開発を目指す抗癌剤の領域では、抗癌剤に多い重篤な副作用への懸念から、末期癌患者ボランティアの方を被験者として臨床第1相試験を実施します。このため、第1相試験の前半では主に安全性を確認しつつ薬効の手応えのある癌腫を選定し、当該癌腫に絞り込んで薬効を探る「拡大相試験」を第1相試験の後半に実施する手法が多く採られます。当社の進めているCBP501臨床第1b相試験も、提携先Stemline社の進めているCBS9106(SL-801)臨床第1相試験も、この手法によるものです。 (3) 当社の開発パイプライン 「開発パイプライン」とは、創薬製薬領域において、開発中の医薬品候補化合物群を指す語です。 一般に医薬品開発は成功確率が低く、リスク分散の意味でいかに豊富で有望なパイプラインを継続的に有するかが製薬企業や創薬企業の中長期的な企業価値の基本となります。 新たなパイプラインを確保する方法は、当社のような創薬企業にとっては専ら自らの創薬コンセプトに基づいた新規候補化合物の「探索」「最適化」となります。製薬企業等においては、自社による創出のほか、創薬企業等との提携に基づくライセンスによるパイプライン獲得が図られます。 創薬企業の長期的な目的は新薬の承認獲得とその売上による収益獲得ですが、それに至るために必要な長期間かつ莫大な資金(一般にひとつの医薬品を開発するために必要な期間は約15年・必要な資金は数百億円といわれます)を独力で確保することは難しく、多くの場合、短期中期的な目標として、自社で開発中の候補化合物について製薬企業等との提携を成立させ当該候補化合物を相手方開発パイプラインのひとつとすることによるライセンス収益の獲得と財務基盤の安定・強化を目指します。 当社の開発パイプラインは次のとおりです。《CBP501》創業時からの創薬アプローチに基づいた探索から獲得された、当社の主要パイプラインです。多様な細胞機能に関わる蛋白質カルモジュリンの制御機能を調整し複数の作用により抗癌活性を示す独特の抗癌剤(カルモジュリンモジュレーター)です。過去に、既存の抗癌剤シスプラチンおよびペメトレキセドとの併用で悪性胸膜中皮腫および非小細胞肺癌(扁平上皮癌を除きます。)を対象とする臨床第2相試験を完了しており、その試験で得られた新たなデータから、免疫系抗癌剤との併用により薬効を高める効果が期待できることがわかったことから、現在は抗癌剤シスプラチンと免疫系抗癌剤ニボルマブ(商品名:オプジーボ)との併用による臨床第1b相試験(最初の臨床第1相試験と内容の異なる試験なので区別のため呼称にbを付しています)を2017年10月から実施中です。2018年中に臨床第1b相の前半の試験を終え、この試験の手応えを踏まえ、現在は対象を膵臓癌と直腸大腸癌に絞り込んだ「拡大相」試験を実施中です。 《CBS9106》当社が創出した可逆的CRM1(XPO1)阻害剤であるCBS9106は、前臨床試験を終了した段階で、同化合物の開発・製造・商業化にかかる全世界(当初は日本および中国・台湾・韓国を除いていましたが、2018年8月にこれら除外地域をなくす修正を実施しました。)における独占的権利を米国Stemline Therapeutics, Inc(以下「Stemline社」といいます。)に供与するライセンス契約を締結しました。現在は、Stemline社が進めている臨床第1相試験の支援を行い、これに伴う技術アドバイザリーフィー収益を得ています。 《次世代化合物》上記2つの臨床開発段階のパイプラインのほか、当社は、独自のスクリーニングによる新たな薬剤候補化合物の探索と、既存パイプラインの化合物に関する基礎研究の成果を活かした改良等により、次世代化合物の創出を図っています。多数のアプローチで創出を図る中、CBP501に改良を加えて「最適化」段階を進めた結果、マウスを用いた動物実験で抗癌活性においてCBP501を上回る次世代候補化合物CBP-A08を2017年6月に獲得できています。 化合物併用対象探索創出最適化前臨床試験臨床試験提携・共同研究第1相第2相第3相CBP501シスプラチン・ペメトレキセド悪性胸膜中皮腫■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 非小細胞肺癌■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ シスプラチン・ニボルマブ固形癌(拡大相:膵臓癌・直腸大腸癌)■■■■■■■■■■■■■■ CBS9106(SL-801)なし固形癌■■■■■■■■■■■■□□□ Stemline社CBP-A08未定 ■■■■■■■■ CBP-B未定 ■■■■■■■ IDO/TDO阻害剤未定 □□□□■■ 静岡県立大非公表非公表 ■■■ ファルマバレー非公表非公表 ■■ 富士フイルム※表中の■は自社による進捗、□は他社による進捗を示す。(4) 当社事業の当面の課題と施策 当社事業における当面の課題と施策は、概ね優先順位順に次のとおりです。① CBP501について製薬企業等との提携を獲得する。当社は現在、CBP501にかかる製薬企業等との提携関係を有していません。製薬企業等との提携を獲得して当社の中長期的開発基盤を強化し短期中期的な収益に寄与するためには、これまでの提携企業獲得活動を継続するほか、世界的な注目の集まる免疫系抗癌剤との併用試験のひとつである現在の臨床第1b相試験の拡大相を迅速に進めて良好なデータを獲得し、提携候補製薬企業等にとっての魅力を示すことが必要です。 ② 基礎研究を継続し、既存パイプラインに関する知見を深め、次世代パイプラインの創出を図る。当社は、臨床開発段階のプロジェクトのほか、前述のとおり、基礎研究活動を絶えず実施しています。また、研究開発にかかる知的財産権の管理等の費用も継続的に発生しています。これらの取組みは、短期中期的には既存パイプラインの提携魅力を向上させるほか、当社の長期的な収益獲得と企業価値向上に欠かせないものですが、それらの成果による現実の収益を獲得するまでには一定の期間を要することから間接金融による資金調達は極めて困難であり、当面は直接金融による継続的な資金調達によらざるを得ません。③ CBP-A08のパイプライン化前述のCBP-A08を当社の3番目のパイプラインとするには、このあと「前臨床試験」段階に進みこれをクリアする必要があります。 (5) 製薬企業との戦略提携 医薬品の開発プロセスは、通常、長い期間と莫大な費用を必要とします。当社のような創薬企業が、基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップなどを単独で行うことは困難であることから、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、固定費の増加を回避しつつ将来の継続的な開発・承認・上市に至る体制の確保を図るのが一般的な戦略です。 創薬企業と製薬企業等とがこのような役割分担を行うようになった背景として、分子生物学を主体とした生命科学の発達により、従来とは異なり、個々の研究テーマに対する専門性の高い研究力が求められるようになったことが挙げられます。実際に米国などでは、有力な新薬の多くが創薬企業によって開発され、または創薬企業からのライセンス供与などの形で創薬企業と戦略提携した製薬企業等によって開発されており、この役割分担の形は世界的な標準となっていると言えます。 また、創薬企業と製薬企業等との戦略提携は、両者のリスク分担や利益配分などの考え方を反映し、特許等の排他的な実施権を供与する対価としてロイヤルティを得る形態(いわゆるライセンスアウト)のみならず、さまざまなバリエーションが存在します。 CBP501に関しては、当社は、2007年3月に武田薬品工業株式会社との間でCBP501に関する共同事業化契約を締結し共同開発を進めていましたが、2010年6月に本契約を解消しています。その後、当社は、悪性胸膜中皮腫および非小細胞肺癌を対象とする海外での臨床第2相試験を当社単独で進めてきました。現在は、新規提携パートナーの早期獲得を目指しつつ、その確率を高めるために、新たな併用組み合わせによる臨床試験(フェーズ1b試験)を進めています。 CBS9106については、2014年12月、Stemline社と全世界(当初は日本および中国・台湾・韓国を除いていましたが、2018年8月にこれら除外地域をなくす修正を実施しました。)における独占的権利を供与するライセンス契約を締結しました。現在同社は、CBS9106(同社における開発コード:SL-801)の臨床第1相試験を実施しています。 (6) 研究開発における外部機関との連携 当社は、癌領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬エンジンを基に実施する創薬企業として、基礎研究から臨床開発・上市に至る各ステップにおいて、外部との提携関係(委受託関係を含みます)を活用しています。 基礎研究および最適化の段階においては、最適化の過程で必要となる新規候補化合物の合成業務を、この領域において経験豊富な企業に委託しています。また前述の次世代化合物の創出に向けて、東京大学医学部附属病院およびファルマバレープロジェクト(一般財団法人ふじのくに医療城下町推進機構、静岡県立大学)、富士フイルム株式会社との共同研究を進めています。 臨床開発においては、抗癌剤の臨床開発に専門性を持つ大手CROとの緊密な提携関係を構築しています。 また、当社は、抗癌剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABのチェアマンであるダニエル・D・ヴァンホフ教授は、全米癌学会会長・米国癌治療学会会長を歴任した著名な癌臨床研究者で、これまで20年以上にわたり多数の抗癌剤の臨床試験に携わっています。同氏を議長とするSABミーティングは、2002年3月の発足以来、概ね年2回定期的に開催され、当社の研究開発全般に関する情報交換や議論を行っています。
FY2018|5,473 文字
3【事業の内容】 当社は、抗癌剤の基礎研究(創薬コンセプトの検討、当該コンセプトに基づき構築した手法による医薬品候補化合物の選別、簡易動物実験、既に開発段階に進んだ抗癌剤候補化合物に関する基礎データの収集・解析等)および早期臨床開発(臨床試験開始申請直前に実施する「前臨床試験」ならびに臨床試験の前半部分)に取り組んでいる創薬企業です。なお、当社は、医薬品事業の単一セグメントです。 (1) 基本戦略 当社は、自社独特の創薬アプローチを活かした抗癌剤の基礎研究および臨床開発に取り組む、創薬ベンチャー企業です。 特定領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬基盤技術(「創薬エンジン」とも呼ばれます)を基に実施することで技術とプロダクトの両方を自社で創出するのが「創薬企業」であり、創薬プラットフォームを持たず開発途上の化合物を外部から導入して一定の開発ののち製薬企業へ導出する企業とは大きく異なるビジネスモデルを志向しています。 この付加価値の高いビジネスモデルを完成させ、企業価値の最大化を図るための、当社の基本戦略は次のとおりです。 ・当社独自の創薬アプローチを活かした研究開発に特化集中する。 ・当社の細胞表現型薬剤スクリーニング法により創出・獲得した複数の医薬品候補化合物によって、開発パイプラインを構築する。 ・抗癌剤の開発経験が豊富で当社の開発戦略に合致するCRO等の外部専門機関、科学顧問団を活用する。 ・当社の権利を最大限確保するため、開発段階と当社の財務体力等に応じた適切な戦略提携を製薬企業等との間で行うことによって、価値連鎖を補完・完結する。 当社は、上記の戦略を適切に実行することにより、医薬品候補化合物の開発を速やかに進め、いち早く上市して当社の企業価値を高めるとともに、当社の開発リスクを分散低減していきたいと考えています。 (2) 創薬事業 一般に創薬(新薬の創出)は、(ア) 創薬コンセプト(科学的根拠に立脚し、ある方法によって疾患を治療し得ると考え、その作用を有する化合物等が新しい医薬品になり得るとする仮説)に基づいて候補化合物を探索・選別する「探索」段階(イ) (ア)で獲得された候補化合物について試験管内や動物での実験を実施し候補化合物の分子構造等を調整する「最適化」段階(ウ) 臨床試験開始申請に必要なデータを揃える前臨床試験を実施する「前臨床試験」段階(エ) 規制当局の許可を得て臨床試験(医薬品としての承認を得るために行うヒト試験)を実施する「臨床試験」段階の順に進行します。 臨床試験段階はさらに、主に候補化合物の安全性を確認する第1相試験、比較的少数の患者様で候補化合物の有効性・安全性および用法用量を探索的に検討する第2相試験、医薬品として薬効を証明する第3相試験に大別されます。 通常の医薬品において臨床第1相試験は健康なボランティアを被験者としますが、当社が開発を目指す抗癌剤の領域では、抗癌剤に多い重篤な副作用への懸念から、末期癌患者ボランティアの方を被験者として臨床第1相試験を実施します。このため、第1相試験の前半では主に安全性を確認しつつ薬効の手応えのある癌腫を選定し、当該癌腫に絞り込んで薬効を探る「拡大相試験」を第1相試験の後半に実施する手法が多く採られます。当社の進めているCBP501臨床第1b相試験も、提携先Stemline社の進めているCBS9106(SL-801)臨床第1相試験も、この手法によるものです。 (3) 当社の開発パイプライン 「開発パイプライン」とは、創薬製薬領域において、開発中の医薬品候補化合物群を指す語です。 一般に医薬品開発は成功確率が低く、リスク分散の意味でいかに豊富で有望なパイプラインを継続的に有するかが製薬企業や創薬企業の中長期的な企業価値の基本となります。 新たなパイプラインを確保する方法は、当社のような創薬企業にとっては専ら自らの創薬コンセプトに基づいた新規候補化合物の「探索」「最適化」となります。製薬企業等においては、自社による創出のほか、創薬企業等との提携に基づくライセンスによるパイプライン獲得が図られます。 創薬企業の長期的な目的は新薬の承認獲得とその売上による収益獲得ですが、それに至るために必要な長期間かつ莫大な資金(一般にひとつの医薬品を開発するために必要な期間は約15年・必要な資金は数百億円といわれます)を独力で確保することは難しく、多くの場合、短期中期的な目標として、自社で開発中の候補化合物について製薬企業等との提携を成立させ当該候補化合物を相手方開発パイプラインのひとつとすることによるライセンス収益の獲得と財務基盤の安定・強化を目指します。 当社の開発パイプラインは次のとおりです。《CBP501》創業時からの創薬アプローチに基づいた探索から獲得された、当社の主要パイプラインです。多様な細胞機能に関わる蛋白質カルモジュリンの制御機能を調整し複数の作用により抗癌活性を示す独特の抗癌剤(カルモジュリンモジュレーター)です。過去に、既存の抗癌剤シスプラチンおよびペメトレキセドとの併用で悪性胸膜中皮腫および非小細胞肺癌(扁平上皮癌を除きます。)を対象とする臨床第2相試験を完了しており、その試験で得られた新たなデータから、免疫系抗癌剤との併用により薬効を高める効果が期待できることがわかったことから、現在は抗癌剤シスプラチンと免疫系抗癌剤ニボルマブ(商品名:オプジーボ)との併用による臨床第1b相試験(最初の臨床第1相試験と内容の異なる試験なので区別のため呼称にbを付しています)を2017年10月から実施中です。2018年中に臨床第1b相の前半の試験を終え、この試験の手応えを踏まえ複数の癌腫を選定した上で「拡大相」試験を開始できる見込みです。 《CBS9106》当社が創出した可逆的CRM1(XPO1)阻害剤であるCBS9106は、前臨床試験を終了した段階で、同化合物の開発・製造・商業化にかかる全世界(日本および中国・台湾・韓国を除きます。)における独占的権利を米国Stemline Therapeutics, Inc(以下「Stemline社」といいます。)に供与するライセンス契約を締結しました。現在は、Stemline社が進めている臨床第1相試験の支援を行いこれに伴う技術アドバイザリーフィー収益を得る傍ら、日本・中国・台湾・韓国地域における追加提携パートナー獲得を図っています。 《次世代化合物》上記2つの臨床開発段階のパイプラインのほか、当社は、独自のスクリーニングによる新たな薬剤候補化合物の探索と、既存パイプラインの化合物に関する基礎研究の成果を活かした改良等により、次世代化合物の創出を図っています。多数のアプローチで創出を図る中、CBP501に改良を加えて「最適化」段階を進めた結果、マウスを用いた動物実験で抗癌活性においてCBP501を上回る次世代候補化合物CBP-A08を2017年6月に獲得できています。 化合物併用対象探索創出最適化前臨床試験臨床試験提携・共同研究第1相第2相第3相CBP501シスプラチン・ペメトレキセド悪性胸膜中皮腫■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 非小細胞肺癌■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ シスプラチン・ニボルマブ固形癌■■■■■■■■■■■■■■ CBS9106(SL-801)なし固形癌■■■■■■■■■■■■□□□ Stemline社(除・日中台韓)CBP-A08未定 ■■■■■■■■ CBP-B未定 ■■■■■■■ IDO/TDO阻害剤未定 □□□□■■ 静岡県立大非公表非公表 ■■■ ファルマバレー非公表非公表 ■■ 富士フイルム※表中の■は自社による進捗、□は他社による進捗を示す。(4) 当社事業の当面の課題と施策 当社事業における当面の課題と施策は、概ね優先順位順に次のとおりです。① CBP501について製薬企業等との提携を獲得する。当社は現在、CBP501にかかる製薬企業等との提携関係を有していません。製薬企業等との提携を獲得して当社の中長期的開発基盤を強化し短期中期的な収益に寄与するためには、これまでの提携企業獲得活動を継続するほか、世界的な注目の集まる免疫系抗癌剤との併用試験のひとつである現在の臨床第1b相試験の拡大相を迅速に進めて良好なデータを獲得し、提携候補製薬企業等にとっての魅力を示すことが必要です。 ② CBS9106にかかる追加の提携獲得CBS9106にかかるStemline社とのライセンス契約は、日本および中国・台湾・韓国が除外されています。当該地域における追加の提携を獲得することにより、継続的な収益基盤の追加獲得を図ります。なお、「重要な後発事象」に記載のとおり、当社は2018年8月、Stemline社に対し上記除外地域にかかる権利を拡大供与しました。 ③ 基礎研究を継続し、既存パイプラインに関する知見を深め、次世代パイプラインの創出を図る。当社は、臨床開発段階のプロジェクトのほか、前述のとおり、基礎研究活動を絶えず実施しています。また、研究開発にかかる知的財産権の管理等の費用も継続的に発生しています。これらの取組みは、短期中期的には既存パイプラインの提携魅力を向上させるほか、当社の長期的な収益獲得と企業価値向上に欠かせないものですが、それらの成果による現実の収益を獲得するまでには一定の期間を要することから間接金融による資金調達は極めて困難であり、当面は直接金融による継続的な資金調達によらざるを得ません。④ CBP-A08のパイプライン化前述のCBP-A08を当社の3番目のパイプラインとするには、このあと「前臨床試験」段階に進みこれをクリアする必要があります。 (5) 製薬企業との戦略提携 医薬品の開発プロセスは、通常、長い期間と莫大な費用を必要とします。当社のような創薬企業が、基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップなどを単独で行うことは困難であることから、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、固定費の増加を回避しつつ将来の継続的な開発・承認・上市に至る体制の確保を図るのが一般的な戦略です。 創薬企業と製薬企業等とがこのような役割分担を行うようになった背景として、分子生物学を主体とした生命科学の発達により、従来とは異なり、個々の研究テーマに対する専門性の高い研究力が求められるようになったことが挙げられます。実際に米国などでは、有力な新薬の多くが創薬企業によって開発され、または創薬企業からのライセンス供与などの形で創薬企業と戦略提携した製薬企業等によって開発されており、この役割分担の形は世界的な標準となっていると言えます。 また、創薬企業と製薬企業等との戦略提携は、両者のリスク分担や利益配分などの考え方を反映し、特許等の排他的な実施権を供与する対価としてロイヤルティを得る形態(いわゆるライセンスアウト)のみならず、さまざまなバリエーションが存在します。 CBP501に関しては、当社は、2007年3月に武田薬品工業株式会社との間でCBP501に関する共同事業化契約を締結し共同開発を進めていましたが、2010年6月に本契約を解消しています。その後、当社は、悪性胸膜中皮腫および非小細胞肺癌を対象とする海外での臨床第2相試験を当社単独で進めてきました。現在は、新規提携パートナーの早期獲得を目指しつつ、その確率を高めるために、新たな併用組み合わせによる臨床試験(フェーズ1b試験)を進めています。 CBS9106については、2014年12月、Stemline社と全世界(日本および中国・台湾・韓国を除く)における独占的権利を供与するライセンス契約を締結しました。現在同社は、CBS9106(同社における開発コード:SL-801)の臨床第1相試験を実施しています。 (6) 研究開発における外部機関との連携 当社は、癌領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬エンジンを基に実施する創薬企業として、基礎研究から臨床開発・上市に至る各ステップにおいて、外部との提携関係(委受託関係を含みます)を活用しています。 基礎研究および最適化の段階においては、最適化の過程で必要となる新規候補化合物の合成業務を、この領域において経験豊富な企業に委託しています。また前述の次世代化合物の創出に向けて、東京大学医学部附属病院およびファルマバレープロジェクト(一般財団法人ふじのくに医療城下町推進機構、静岡県立大学)、富士フイルム株式会社との共同研究を進めています。 臨床開発においては、抗癌剤の臨床開発に専門性を持つ大手CROとの緊密な提携関係を構築しています。 また、当社は、抗癌剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABのチェアマンであるダニエル・D・ヴァンホフ教授は、全米癌学会会長・米国癌治療学会会長を歴任した著名な癌臨床研究者で、これまで20年以上にわたり多数の抗癌剤の臨床試験に携わっています。同氏を議長とするSABミーティングは、2002年3月の発足以来、概ね年2回定期的に開催され、当社の研究開発全般に関する情報交換や議論を行っています。
FY2017|9,042 文字
3【事業の内容】 当社は、細胞周期に関する基礎研究の成果をもとに、正常細胞に影響が少ない抗癌剤の研究および開発を単一事業として行っている、創薬企業であります。なお、当社は、医薬品事業の単一セグメントであります。 (1) 基本戦略 当社は、癌細胞の細胞周期(細胞分裂に至る過程)が正常細胞と異なることに着目する独特の創薬アプローチを活かした抗癌剤の基礎研究および臨床開発に取り組む、創薬ベンチャー企業です。特定領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬基盤技術(「創薬エンジン」とも呼ばれます)を基に実施することで技術とプロダクトの両方を自社で創出するのが「創薬企業」であり、創薬プラットフォームを持たず開発途上の化合物を外部から導入して一定の開発ののち製薬企業へ導出する企業とは大きく異なるビジネスモデルを志向しています。 この付加価値の高いビジネスモデルを完成させ、企業価値の最大化を図るための、当社の基本戦略は次のとおりです。 ・当社独自の創薬アプローチを活かした研究開発に特化集中する。 ・当社の細胞表現型薬剤スクリーニング法により創出・獲得した複数の医薬品候補化合物によって、開発パイプラインを構築する。 ・抗癌剤の開発経験が豊富で当社の開発戦略に合致するCRO等の外部専門機関、科学顧問団を活用する。 ・当社の権利を最大限確保するため、開発段階と当社の財務体力等に応じた適切な戦略提携を製薬企業等との間で行うことによって、価値連鎖(*)を補完・完結する。 当社は、上記の戦略を適切に実行することにより、医薬品候補化合物の開発を速やかに進め、いち早く上市して当社の企業価値を高めるとともに、当社の開発リスクを分散低減してまいりたいと考えております。 (2) 創薬事業① 医薬品の一般的な研究開発プロセス 医薬品の研究開発プロセスは一般に、テーマに沿った化合物を探索し((a)探索研究)、獲得・創出された化合物をより最適なものに改良し((b)最適化)、動物での検証((c)前臨床試験(非臨床試験(*)))を実施した後、各国の医薬品許認可審査機関(日本の場合は厚生労働省、米国の場合はFDA(Food and Drug Administration:米国食品医薬品局)など。以下「許認可当局」といいます。)に臨床試験開始を申請((d)IND申請)し、その監督下でヒトでの検証を行い((e)臨床試験)、許認可当局に対する申請((f)新薬承認申請、NDA申請)を経て医薬品としての承認取得に至り、その後上市・販売するというものであります。 この過程のうち、(a)探索研究から(e)臨床試験の初期段階に至る領域の活動は、「製薬」全般と区別し「創薬」(Drug Discovery)と一般に呼ばれており、当社は、主にこの領域の活動を担う「創薬」企業であります。 (a) 探索研究 新薬のもとになる候補化合物を探し出す研究を探索研究といいます。 一般にこの段階では、大量の化合物の中から目的の作用を持つものを探し出すための薬剤スクリーニング法によって、一定以上の活性を持つ化合物(一般に「ヒット化合物」と呼ばれます)を選別します。 (b) 最適化 探索研究で得られたヒット化合物をもとに、構造の一部を改変して異なる物理的・化学的特性を持つ複数の化合物を新規に合成し、スクリーニングによる選別と病態モデル動物(*)による実験を繰り返して、期待どおりの作用を示すひとつまたは少数の開発候補化合物(一般に「リード化合物」と呼ばれます)を獲得します。 (c) 前臨床試験(非臨床試験) 最適化が終了しその後の開発続行を決定した医薬品候補化合物について、動物実験でデータを収集し、許認可当局に対するIND申請の準備を行う段階です。 非臨床試験のうち、許認可当局へのIND申請に必要なデータを収集するために実施される試験については、特に「前臨床試験」と呼ばれます。臨床試験における医薬品候補化合物の投与量や投与期間を選択するために十分な信頼性のある情報を得る必要があることから、許認可当局の定めた基準に則って実施されます。 (d) IND(Investigational New Drug)申請 米国における臨床試験申請で使われる用語で、医薬品候補化合物についての情報をまとめた臨床試験実施申請資料を「新薬臨床試験開始届」としてFDAに提出し、臨床試験実施の承認を得るものです。 (e) 臨床試験 前臨床試験の結果、有効性および安全性の観点から有用な医薬品になり得る可能性が認められた場合、十分な検討の上で、臨床試験が実施されます。 臨床試験においては、個々の医薬品候補化合物について特徴を科学的に検討し、論理的で段階的な手続によって開発が進められます。 一般に臨床試験は、3つの「相」に分かれていると理解されています。第1相では、少人数(一般に10名から50名程度)のヒトに投与して、許容投与量などを確認します。続いて第2相では、中規模(50名から200名程度)の被験者に投与し、安全性とともに、医薬品候補化合物の有効性が評価されます。第3相では、多数(200名から1,000名、場合によってはそれ以上の人数)の被験者に投与し、第1相・第2相で得られた安全性や有効性に関するデータを確認・実証します。 (ⅰ) 第1相 第1相は、医薬品候補化合物を初めてヒトに投与することから開始されます。 通常、この相の試験は、治療効果を見ることを目的とせず、比較的少数の健康な志願者で実施されます。強い毒性を持つ可能性のある候補薬剤(たとえば抗癌剤)では、対象疾患を持つ被験者を対象として試験が実施されます。 第1相で実施される試験は、通常、次のうちひとつまたはその組合せの観点から行われます。(ア) 初期の安全性・許容投与量の推測 第2相以降の臨床試験のために必要と想定される用量範囲の許容投与量を決定し、予測される副作用の性質を判断します。(イ) 薬物動態試験(*) 医薬品候補化合物の吸収、分布、代謝、排泄に関する特徴を検出します。薬物動態試験は開発計画全体を通して行われます。(ウ) 薬力学的な評価 薬力学試験(*)および血中濃度と反応に関する試験を行うことによって、医薬品候補化合物の有効性について初期的な推測が可能になる場合もあり、また、用法・用量の設定の参考にします。(エ) 初期の薬効評価 薬効または予想される治療上の利益の予備的検討が、副次的な目的として第1相試験で行われることがあります。 (ⅱ) 第2相 第2相は、通常、対象疾患を持つ被験者における治療効果の探索を主な目的とする試験を開始する段階です。 第1相試験よりも被験者数を増やし、その後に続けられる試験での用法・用量を決定し、設定される可能性のある評価項目や治療方法(他剤との併用を含む)等を検討・評価します。 (ⅲ) 第3相 第3相は、通常、治療上の利益を証明もしくは確認することを主目的とする試験を開始する段階です。 第2相試験よりも投与患者数をさらに増やし、治療効果の既存薬剤との比較データ、副作用のデータ等を収集することによって、意図した適応疾患および対象患者群において医薬品候補化合物が安全かつ有効であるという第2相試験で蓄積された予備的な証拠をさらに検証し、新薬として承認されるための適切な根拠となるデータを得ることを目的とします。 (f) 新薬承認申請(New Drug Application) 新薬承認申請書類を作成し、許認可当局に提出します。この申請が承認されれば、対象の国や地域における販売が可能になります。 なお、医薬品の承認後に、承認された適応に関連する追加的な試験が行われることがあり、これを第4相試験と呼ぶことがあります。 ② 当社の創薬事業の特色 当社の有する創薬アプローチならびに創薬基盤技術、これらに基づき実施している研究開発業務(「創薬事業」と総称されます)の特色は以下のとおりです。 (a) 当社の創薬アプローチについて 世界中の製薬企業やベンチャー企業、大学等の研究者開発者たちは、「癌を特異的(*)に殺す方法」すなわち「正常細胞や正常組織に影響を与えず癌だけを殺す方法」の開発実用化を目指し、それぞれの強み・特色を活かした研究開発に日々しのぎを削っています。 この実現のために、さまざまなコンセプトが生まれ、さまざまなアプローチで開発が進められてきました。 たとえば、癌にまつわる特徴的なシグナル伝達経路(*)上の分子をターゲットとするアプローチ(一般には「分子標的薬」と呼ばれます)や、癌細胞が提示する特徴的な抗原に反応する抗体によるアプローチは、「特定の癌細胞でだけ作用する(正常細胞には影響しない)薬剤」を創ろうとするコンセプトです。また他の例では、DDS(薬剤運搬システム)を用いるアプローチは、正常細胞に抗癌剤を触れさせないコンセプトです。 その中でキャンバスは、「大部分の癌細胞の細胞周期(細胞分裂に至る過程)が正常細胞と異なること」に着目する独特の創薬アプローチで、この研究開発競争に挑んでいます。 (b) 当社独自の細胞表現型薬剤スクリーニング法について(ⅰ) 生細胞の挙動に着目したスクリーニング 生きた細胞で起きる現象の多くは、さまざまな分子群が複雑に絡み合ったシグナル伝達経路を介して現れ、また、そのシグナル伝達経路の多くは未解明です。 薬剤のスクリーニングでは多くの場合、最初のステップとして「ハイスループットスクリーニング(*)」(単一もしくは少数の特定標的分子(*)に対する化合物の活性を高速に分析する技術)を実施し、大量の候補化合物の中から「外れ」を早期にふるい落とす作業を実施します。これは一般に、分子標的型のアプローチと呼ばれます。 このアプローチは、標的とした分子の働きへの依存が大きい(バイパス経路の少ない)ケースでは、「癌を特異的に殺す」ための有効な手段です。しかしながら、標的分子が判明していないケースやシグナル伝達経路が複雑で標的分子を特定できないケースでは、分子標的型のアプローチは対応できません。 これに対し、当社のスクリーニング法は、特定の標的分子に対する活性ではなく、生きた細胞の挙動に着目したものです。 細胞内で働いている分子を取り出してスクリーニングする「ハイスループットスクリーニング」は採用せず、細胞の中で起きることはブラックボックスであると考え、生きている細胞の挙動(表現型)に答を訊く「細胞の表現型によるスクリーニング」を行っています。 細胞の挙動という最終アウトプットを基準とした当社独自の薬剤スクリーニング法は、標的分子があらかじめ特定されている必要がなく、シグナル伝達経路が複雑・未知でも対応が可能という特色を有しています。 当社は、未解明の部分の多い癌領域においてはこの薬剤スクリーニング法が効果的であると考えており、現在までに当社が保有している医薬品候補化合物パイプラインはいずれも、この薬剤スクリーニング法によって探索・創出されたものであります。 このスクリーニング法には、生細胞を用いるので自動化が難しく、そのためスループットを向上し難いという欠点があります。しかし、そのことが逆に、一般に高いスループットを追求する傾向にある他の製薬企業や創薬企業による模倣や追従に対する障壁となっています。 (ⅱ) 当社のスクリーニング法で獲得される化合物 当社のスクリーニングにおいては、未知のものも含むさまざまな作用メカニズムの、薬剤候補化合物がまず見出されます。 それらの共通点は、「正常細胞に影響が少なく癌細胞に作用する」化合物であることです。 当社は、この化合物(当社ではこれを「ヒット化合物」と呼んでいます)の最適化と作用メカニズム解析を行います。(ア) 最適化 ヒット化合物の分子構造を少しずつ変化させ、初期スクリーニングで獲得した化合物をより最適なもの(抗癌活性の強いもの、癌特異的な作用の強いものなど)に改良する作業です。(イ) 作用メカニズム解析 非臨床試験や臨床試験から得られたデータをもとに、その化合物が作用するしくみ(作用メカニズム)を解析する作業です。 作用メカニズムがわかっていることは必ずしも医薬品として開発するための必要条件ではありません。 しかしながら、作用メカニズムの解析は、 ・最適化作業へのフィードバックができる ・前臨床試験や臨床試験の設計へのフィードバックができ、成功確率を上げることができる ・提携獲得活動での説得力が増すなどのメリットがあります。 当社では、自社動物実験施設を含む基礎研究チームが時宜に応じた機動的で柔軟な体制で、ヒット化合物や臨床試験ステージの化合物の作用メカニズム解析に臨んでいます。 また、この解析業務を通じて得られた知見は、その中の特定のメカニズムを強化した改良化合物の創出に繋がる場合があります。 (c) 開発パイプラインについて 当社は現在、CBP501およびCBS9106、ならびに次世代化合物群によって開発パイプラインを構築し、事業化を意識した優先順位づけと管理に基づき研究開発を進めています。 ◆開発パイプライン (ⅰ) CBP501 「カルモジュリン・モジュレーター」 CBP501は、当社独自のスクリーニングから獲得された抗癌剤候補化合物です。 米国FDAの規制下において、CBP501・シスプラチン・ペメトレキセドの3剤併用による悪性胸膜中皮腫を対象とする臨床第2相試験、同じ3剤併用による非小細胞肺癌(扁平上皮癌を除く)を対象とする臨床第2相試験の、2つの臨床第2相試験を終了しました。 このうち、非小細胞肺癌に対する臨床第2相試験の結果は、主要評価項目「無増悪生存期間」(PFS)は達成しなかったものの、被験者のうち投与前の白血球数の少ない群(n=96、投与群・対照群ほぼ同数)を抽出したサブグループ解析の結果、重要な副次的評価項目である「全生存期間」(OS)において、CBP501の顕著な効果が示唆されるものでした。 当初当社は、CBP501の抗癌活性を主に「G2チェックポイント阻害」によるものであると考えてきました。 その後、CBP501はG2チェックポイント阻害活性を示すよりも低い濃度で、併用するシスプラチンなどプラチナ系抗癌剤の細胞流入を癌細胞でのみ高めていることがわかり、それら両方の作用を示す理由を追求する中で、多様な細胞機能に関わる蛋白質カルモジュリンに作用していることがわかっていました。 臨床第2相試験データの獲得後、さらに詳細な解析と追加的研究を進めたその結果、上記のようなサブグループ解析結果が生じる原因を科学的に矛盾なく説明し得る仮説の樹立と、それを支持するデータの獲得に成功しました。すなわち、CBP501は、既に発見されていたカルモジュリンへの作用(カルモジュリンの制御機能を調整)を経由して、癌細胞に直接作用するのみならず、「癌微小環境」「癌免疫」「癌幹細胞」などに関わる広範な作用により抗癌活性を示す、独特の抗癌剤(カルモジュリンモジュレーター)であることが判明しています。 現在当社は、これらの知見を踏まえ、CBP501とシスプラチン・免疫チェックポイント阻害抗体の併用による新たな臨床試験(フェーズ1b試験)の準備を進めています。 (ⅱ) CBS9106 「可逆的XPO1阻害剤」 CBS9106は、当社独自のスクリーニングから得られたXPO1阻害剤です。 臨床試験開始に必要な前臨床試験を終え、平成26年12月、Stemline社と全世界(日本および中国・台湾・韓国を除く)における独占的権利を供与するライセンス契約を締結しました。 現在Stemline社は、米国FDAの規制下において、CBS9106(同社における開発コード:SL-801)について固形癌を対象とする臨床第1相試験を実施しています。 この低分子化合物は、核外輸送因子XPO1(CRM1)を可逆的に阻害し、細胞周期停止およびアポトーシスを誘導します。動物実験までの段階では、多発性骨髄腫など幅広い癌細胞株に対して抗癌活性を有することが確認されています。 XPO1は、核外輸送シグナル(NES)を持つ輸送基質(蛋白質、mRNA-蛋白質複合体)を核から細胞質へ輸送する役割を担う蛋白質です。XPO1によって制御される輸送基質には癌関連因子(IκB、p53、FOXOs)が含まれており、XPO1阻害剤はこれらが核外へ輸送されるのを抑制し、抗癌活性を示すと考えられています。 一般的なXPO1阻害剤と比較したCBS9106の強みは、標的であるXPO1という蛋白質を分解に導く点です。 XPO1は大変安定的な蛋白質であり、通常の阻害剤の場合、それが作用したまま分解されず細胞内に存在し続けてしまいます。その場合、XPO1の作用が(本来あるべき作用も)失われたままになり、副作用の原因のひとつになるおそれがあります。 CBS9106は、この蛋白質を分解するので、細胞は新たに(阻害されていない)XPO1を作ることができます。(このことを「可逆的阻害」と呼んでいます)これによって、正常組織が回復できる投与方法の樹立を可能にし、XPO1阻害剤の作用と副作用の間の幅(セラピューティックインデックス)を拡げられる、すなわち、副作用の少ない抗癌剤となる可能性があると考えています。 (ⅲ) 次世代パイプラインの拡充 当社のような創薬企業にとって、新規の候補化合物を継続的に創出・獲得し、開発パイプラインを拡充するしくみ(以下ではこれを「創薬エンジン」と呼びます)の確保は、将来の継続的な成長のために必須のものであります。 当社では、(ア) 正常細胞と癌細胞の細胞分裂過程の違いに着目した独自のスクリーニング(イ) CBP501の新知見に基づく「次世代CBPプロジェクト」の2つの創薬エンジンにより、将来の開発候補品となり得る新規化合物の探索創出を継続的に行っています。 これらを効果的に推進するため当社は、東京大学医学部附属病院、ファルマバレープロジェクト(静岡県産業振興財団、静岡県立大学)と、それぞれ共同研究実施しています。これらの取り組みから当社は現在、CBP-A、CBP-B、IDO/TDO阻害剤など複数の次世代パイプラインを有しています。さらに当社は平成29年6月、新たな免疫系抗癌剤の創出を目指し、富士フイルム株式会社と共同研究契約を締結しました。 (d) 製薬企業との戦略提携について 医薬品の開発プロセスは、通常、長い期間と莫大な費用を必要とします。当社のような創薬企業が、基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップなどを単独で行うことは困難であることから、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、固定費の増加を回避しつつ将来の継続的な開発・承認・上市に至る体制の確保を図るのが一般的な戦略です。 創薬企業と製薬企業等とがこのような役割分担を行うようになった背景として、分子生物学を主体とした生命科学の発達により、従来とは異なり、個々の研究テーマに対する専門性の高い研究力が求められるようになったことが挙げられます。実際に米国などでは、有力な新薬の多くが創薬企業によって開発され、または創薬企業からのライセンス供与などの形で創薬企業と戦略提携した製薬企業等によって開発されており、この役割分担の形は世界的な標準となっていると言えます。 また、創薬企業と製薬企業等との戦略提携は、両者のリスク分担や利益配分などの考え方を反映し、特許等の排他的な実施権を供与する対価としてロイヤルティを得る形態(いわゆるライセンスアウト)のみならず、さまざまなバリエーションが存在します。 CBP501に関しては、当社は、平成19年3月に武田薬品工業株式会社との間でCBP501に関する共同事業化契約を締結し共同開発を進めておりましたが、平成22年6月に本契約を解消しております。その後、当社は、悪性胸膜中皮腫および非小細胞肺癌を対象とする海外での臨床第2相試験を当社単独で進めてきました。現在は、新規提携パートナーの早期獲得を目指しつつ、その確率を高めるための新たな臨床試験(フェーズ1b試験)の準備を進めています。 CBS9106については、平成26年12月、Stemline社と全世界(日本および中国・台湾・韓国を除く)における独占的権利を供与するライセンス契約を締結しました。現在同社は、CBS9106(同社における開発コード:SL-801)の臨床第1相試験を実施しています。 (e) 研究開発における外部機関との連携について 当社は、癌領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬エンジンを基に実施する創薬企業として、基礎研究から臨床開発・上市に至る各ステップにおいて、外部との提携関係(委受託関係を含みます)を活用しています。 基礎研究および最適化の段階においては、最適化の過程で必要となる新規候補化合物の合成業務を、この領域において経験豊富な企業に委託しています。また前述のとおり、東京大学医学部附属病院およびファルマバレープロジェクト(静岡県産業振興財団、静岡県立大学)、富士フイルム株式会社との共同研究を進めております。 臨床開発においては、抗癌剤の臨床開発に専門性を持つ大手CROとの緊密な提携関係を構築しています。 また、当社は、抗癌剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(以下「SAB」といいます)を組成しています。SABのチェアマンであるダニエル・D・ヴァンホフ教授は、全米癌学会会長・米国癌治療学会会長を歴任した著名な癌臨床研究者で、これまで20年以上にわたり多数の抗癌剤の臨床試験に携わっています。同氏を議長とするSABミーティングは、平成14年3月の発足以来、概ね年2回定期的に開催され、当社の研究開発全般に関する情報交換や議論を行っています。
FY2016|8,921 文字
3【事業の内容】 当社は、細胞周期に関する基礎研究の成果をもとに、正常細胞に影響が少ない抗癌剤の研究および開発を単一事業として行っている、創薬企業であります。なお、当社は、医薬品事業の単一セグメントであります。 (1) 基本戦略 当社は、癌細胞の細胞周期(細胞分裂に至る過程)が正常細胞と異なることに着目する独特の創薬アプローチを活かした抗癌剤の基礎研究および臨床開発に取り組む、創薬ベンチャー企業です。特定領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬基盤技術(「創薬エンジン」とも呼ばれます)を基に実施することで技術とプロダクトの両方を自社で創出するのが「創薬企業」であり、創薬プラットフォームを持たず開発途上の化合物を外部から導入して一定の開発ののち製薬企業へ導出する企業とは大きく異なるビジネスモデルを志向しています。 この付加価値の高いビジネスモデルを完成させ、企業価値の最大化を図るための、当社の基本戦略は次のとおりです。 ・当社独自の創薬アプローチを活かした研究開発に特化集中する。 ・当社の細胞表現型薬剤スクリーニング法により創出・獲得した複数の医薬品候補化合物によって、開発パイプラインを構築する。 ・抗癌剤の開発経験が豊富で当社の開発戦略に合致するCRO等の外部専門機関、科学顧問団を活用する。 ・当社の権利を最大限確保するため、開発段階と当社の財務体力等に応じた適切な戦略提携を製薬企業等との間で行うことによって、価値連鎖(*)を補完・完結する。 当社は、上記の戦略を適切に実行することにより、医薬品候補化合物の開発を速やかに進め、いち早く上市して当社の企業価値を高めるとともに、当社の開発リスクを分散低減してまいりたいと考えております。 (2) 創薬事業① 医薬品の一般的な研究開発プロセス 医薬品の研究開発プロセスは一般に、テーマに沿った化合物を探索し((a)探索研究)、獲得・創出された化合物をより最適なものに改良し((b)最適化)、動物での検証((c)前臨床試験(非臨床試験(*)))を実施した後、各国の医薬品許認可審査機関(日本の場合は厚生労働省、米国の場合はFDA(Food and Drug Administration:米国食品医薬品局)など。以下「許認可当局」といいます。)に臨床試験開始を申請((d)IND申請)し、その監督下でヒトでの検証を行い((e)臨床試験)、許認可当局に対する申請((f)新薬承認申請、NDA申請)を経て医薬品としての承認取得に至り、その後上市・販売するというものであります。 この過程のうち、(a)探索研究から(e)臨床試験の初期段階に至る領域の活動は、「製薬」全般と区別し「創薬」(Drug Discovery)と一般に呼ばれており、当社は、主にこの領域の活動を担う「創薬」企業であります。 (a) 探索研究 新薬のもとになる候補化合物を探し出す研究を探索研究といいます。 一般にこの段階では、大量の化合物の中から目的の作用を持つものを探し出すための薬剤スクリーニング法によって、一定以上の活性を持つ化合物(一般に「ヒット化合物」と呼ばれます)を選別します。 (b) 最適化 探索研究で得られたヒット化合物をもとに、構造の一部を改変して異なる物理的・化学的特性を持つ複数の化合物を新規に合成し、スクリーニングによる選別と病態モデル動物(*)による実験を繰り返して、期待どおりの作用を示すひとつまたは少数の開発候補化合物(一般に「リード化合物」と呼ばれます)を獲得します。 (c) 前臨床試験(非臨床試験) 最適化が終了しその後の開発続行を決定した医薬品候補化合物について、動物実験でデータを収集し、許認可当局に対するIND申請の準備を行う段階です。 非臨床試験のうち、許認可当局へのIND申請に必要なデータを収集するために実施される試験については、特に「前臨床試験」と呼ばれます。臨床試験における医薬品候補化合物の投与量や投与期間を選択するために十分な信頼性のある情報を得る必要があることから、許認可当局の定めた基準に則って実施されます。 (d) IND(Investigational New Drug)申請 米国における臨床試験申請で使われる用語で、医薬品候補化合物についての情報をまとめた臨床試験実施申請資料を「新薬臨床試験開始届」としてFDAに提出し、臨床試験実施の承認を得るものです。 (e) 臨床試験 前臨床試験の結果、有効性および安全性の観点から有用な医薬品になり得る可能性が認められた場合、十分な検討の上で、臨床試験が実施されます。 臨床試験においては、個々の医薬品候補化合物について特徴を科学的に検討し、論理的で段階的な手続によって開発が進められます。 一般に臨床試験は、3つの「相」に分かれていると理解されています。第1相では、少人数(一般に10名から50名程度)のヒトに投与して、許容投与量などを確認します。続いて第2相では、中規模(50名から200名程度)の被験者に投与し、安全性とともに、医薬品候補化合物の有効性が評価されます。第3相では、多数(200名から1,000名、場合によってはそれ以上の人数)の被験者に投与し、第1相・第2相で得られた安全性や有効性に関するデータを確認・実証します。 (ⅰ) 第1相 第1相は、医薬品候補化合物を初めてヒトに投与することから開始されます。 通常、この相の試験は、治療効果を見ることを目的とせず、比較的少数の健康な志願者で実施されます。強い毒性を持つ可能性のある候補薬剤(たとえば抗癌剤)では、対象疾患を持つ被験者を対象として試験が実施されます。 第1相で実施される試験は、通常、次のうちひとつまたはその組合せの観点から行われます。(ア) 初期の安全性・許容投与量の推測 第2相以降の臨床試験のために必要と想定される用量範囲の許容投与量を決定し、予測される副作用の性質を判断します。(イ) 薬物動態試験(*) 医薬品候補化合物の吸収、分布、代謝、排泄に関する特徴を検出します。薬物動態試験は開発計画全体を通して行われます。(ウ) 薬力学的な評価 薬力学試験(*)および血中濃度と反応に関する試験を行うことによって、医薬品候補化合物の有効性について初期的な推測が可能になる場合もあり、また、用法・用量の設定の参考にします。(エ) 初期の薬効評価 薬効または予想される治療上の利益の予備的検討が、副次的な目的として第1相試験で行われることがあります。 (ⅱ) 第2相 第2相は、通常、対象疾患を持つ被験者における治療効果の探索を主な目的とする試験を開始する段階です。 第1相試験よりも被験者数を増やし、その後に続けられる試験での用法・用量を決定し、設定される可能性のある評価項目や治療方法(他剤との併用を含む)等を検討・評価します。 (ⅲ) 第3相 第3相は、通常、治療上の利益を証明もしくは確認することを主目的とする試験を開始する段階です。 第2相試験よりも投与患者数をさらに増やし、治療効果の既存薬剤との比較データ、副作用のデータ等を収集することによって、意図した適応疾患および対象患者群において医薬品候補化合物が安全かつ有効であるという第2相試験で蓄積された予備的な証拠をさらに検証し、新薬として承認されるための適切な根拠となるデータを得ることを目的とします。 (f) 新薬承認申請(New Drug Application) 新薬承認申請書類を作成し、許認可当局に提出します。この申請が承認されれば、対象の国や地域における販売が可能になります。 なお、医薬品の承認後に、承認された適応に関連する追加的な試験が行われることがあり、これを第4相試験と呼ぶことがあります。 ② 当社の創薬事業の特色 当社の有する創薬アプローチならびに創薬基盤技術、これらに基づき実施している研究開発業務(「創薬事業」と総称されます)の特色は以下のとおりです。 (a) 当社の創薬アプローチについて 世界中の製薬企業やベンチャー企業、大学等の研究者開発者たちは、「癌を特異的(*)に殺す方法」すなわち「正常細胞や正常組織に影響を与えず癌だけを殺す方法」の開発実用化を目指し、それぞれの強み・特色を活かした研究開発に日々しのぎを削っています。 この実現のために、さまざまなコンセプトが生まれ、さまざまなアプローチで開発が進められてきました。 たとえば、癌にまつわる特徴的なシグナル伝達経路(*)上の分子をターゲットとするアプローチ(一般には「分子標的薬」と呼ばれます)や、癌細胞が提示する特徴的な抗原に反応する抗体によるアプローチは、「特定の癌細胞でだけ作用する(正常細胞には影響しない)薬剤」を創ろうとするコンセプトです。また他の例では、DDS(薬剤運搬システム)を用いるアプローチは、正常細胞に抗癌剤を触れさせないコンセプトです。 その中でキャンバスは、「大部分の癌細胞の細胞周期(細胞分裂に至る過程)が正常細胞と異なること」に着目する独特の創薬アプローチで、この研究開発競争に挑んでいます。 (b) 当社独自の細胞表現型薬剤スクリーニング法について (ⅰ) 生細胞の挙動に着目したスクリーニング 生きた細胞で起きる現象の多くは、さまざまな分子群が複雑に絡み合ったシグナル伝達経路を介して現れ、また、そのシグナル伝達経路の多くは未解明です。 薬剤のスクリーニングでは多くの場合、最初のステップとして「ハイスループットスクリーニング(*)」(単一もしくは少数の特定標的分子(*)に対する化合物の活性を高速に分析する技術)を実施し、大量の候補化合物の中から「外れ」を早期にふるい落とす作業を実施します。これは一般に、分子標的型のアプローチと呼ばれます。 このアプローチは、標的とした分子の働きへの依存が大きい(バイパス経路の少ない)ケースでは、「癌を特異的に殺す」ための有効な手段です。しかしながら、標的分子が判明していないケースやシグナル伝達経路が複雑で標的分子を特定できないケースでは、分子標的型のアプローチは対応できません。 これに対し、当社のスクリーニング法は、特定の標的分子に対する活性ではなく、生きた細胞の挙動に着目したものです。 細胞内で働いている分子を取り出してスクリーニングする「ハイスループットスクリーニング」は採用せず、細胞の中で起きることはブラックボックスであると考え、生きている細胞の挙動(表現型)に答を訊く「細胞の表現型によるスクリーニング」を行っています。 細胞の挙動という最終アウトプットを基準とした当社独自の薬剤スクリーニング法は、標的分子があらかじめ特定されている必要がなく、シグナル伝達経路が複雑・未知でも対応が可能という特色を有しています。 当社は、未解明の部分の多い癌領域においてはこの薬剤スクリーニング法が効果的であると考えており、現在までに当社が保有している医薬品候補化合物パイプラインはいずれも、この薬剤スクリーニング法によって探索・創出されたものであります。 このスクリーニング法には、生細胞を用いるので自動化が難しく、そのためスループットを向上し難いという欠点があります。しかし、そのことが逆に、一般に高いスループットを追求する傾向にある他の製薬企業や創薬企業による模倣や追従に対する障壁となっています。 (ⅱ) 当社のスクリーニング法で獲得される化合物 当社のスクリーニングにおいては、未知のものも含むさまざまな作用メカニズムの、薬剤候補化合物がまず見出されます。 それらの共通点は、「正常細胞に影響が少なく癌細胞に作用する」化合物であることです。 当社は、この化合物(当社ではこれを「ヒット化合物」と呼んでいます)の最適化と作用メカニズム解析を行います。(ア) 最適化 ヒット化合物の分子構造を少しずつ変化させ、初期スクリーニングで獲得した化合物をより最適なもの(抗癌活性の強いもの、癌特異的な作用の強いものなど)に改良する作業です。(イ) 作用メカニズム解析 非臨床試験や臨床試験から得られたデータをもとに、その化合物が作用するしくみ(作用メカニズム)を解析する作業です。 作用メカニズムがわかっていることは必ずしも医薬品として開発するための必要条件ではありません。 しかしながら、作用メカニズムの解析は、 ・最適化作業へのフィードバックができる ・前臨床試験や臨床試験の設計へのフィードバックができ、成功確率を上げることができる ・提携獲得活動での説得力が増すなどのメリットがあります。 当社では、自社動物実験施設を含む基礎研究チームが時宜に応じた機動的で柔軟な体制で、ヒット化合物や臨床試験ステージの化合物の作用メカニズム解析に臨んでいます。 また、この解析業務を通じて得られた知見は、その中の特定のメカニズムを強化した改良化合物の創出に繋がる場合があります。 (c) 開発パイプラインについて 当社は現在、CBP501およびCBS9106によって開発パイプラインを構築し、事業化を意識した優先順位づけと管理に基づき研究開発を進めています。 ◆開発パイプライン (ⅰ) CBP501 「カルモジュリン・モジュレーター」 CBP501は、当社独自のスクリーニングから獲得された抗癌剤候補化合物です。 米国FDAの規制下において、CBP501・シスプラチン・ペメトレキセドの3剤併用による悪性胸膜中皮腫を対象とする臨床第2相試験、同じ3剤併用による非小細胞肺癌(扁平上皮癌を除く)を対象とする臨床第2相試験の、2つの臨床第2相試験を終了しました。 このうち、非小細胞肺癌に対する臨床第2相試験の結果は、主要評価項目「無増悪生存期間」(PFS)は達成しなかったものの、被験者のうち投与前の白血球数の少ない群(n=96、投与群・対照群ほぼ同数)を抽出したサブグループ解析の結果、重要な副次的評価項目である「全生存期間」(OS)において、CBP501の顕著な効果が示唆されるものでした。 当初当社は、CBP501の抗癌活性を主に「G2チェックポイント阻害」によるものであると考えてきました。 その後、CBP501はG2チェックポイント阻害活性を示すよりも低い濃度で、併用するシスプラチンなどプラチナ系抗癌剤の細胞流入を癌細胞でのみ高めていることがわかり、それら両方の作用を示す理由を追求する中で、多様な細胞機能に関わる蛋白質カルモジュリンに作用していることがわかっていました。 臨床第2相試験データの獲得後、さらに詳細な解析と追加的研究を進めたその結果、上記のようなサブグループ解析結果が生じる原因を科学的に矛盾なく説明し得る仮説の樹立と、それを支持するデータの獲得に成功しました。すなわち、CBP501は、既に発見されていたカルモジュリンへの作用(カルモジュリンの制御機能を調整)を経由して、癌細胞に直接作用するのみならず、「癌微小環境」「癌免疫」「癌幹細胞」などに関わる広範な作用により抗癌活性を示す、独特の抗癌剤(カルモジュリンモジュレーター)であることが判明しています。 現在当社は、これらの知見を踏まえ、CBP501について次の臨床試験を開始するための準備を進めつつ、今後の臨床試験の遂行に必要な提携パートナーの獲得を目指しています。 (ⅱ) CBS9106 「可逆的XPO1阻害剤」 CBS9106は、当社独自のスクリーニングから得られたXPO1阻害剤です。 臨床試験開始に必要な前臨床試験を終え、平成26年12月、Stemline社と全世界(日本および中国・台湾・韓国を除く)における独占的権利を供与するライセンス契約を締結しました。 現在Stemline社は、米国FDAの規制下において、CBS9106(同社における開発コード:SL-801)について固形癌を対象とする臨床第1相試験を実施しています。 この低分子化合物は、核外輸送因子XPO1(CRM1)を可逆的に阻害し、細胞周期停止およびアポトーシスを誘導します。動物実験までの段階では、多発性骨髄腫など幅広い癌細胞株に対して抗癌活性を有することが確認されています。 XPO1は、核外輸送シグナル(NES)を持つ輸送基質(蛋白質、mRNA-蛋白質複合体)を核から細胞質へ輸送する役割を担う蛋白質です。XPO1によって制御される輸送基質には癌関連因子(IκB、p53、FOXOs)が含まれており、XPO1阻害剤はこれらが核外へ輸送されるのを抑制し、抗癌活性を示すと考えられています。 一般的なXPO1阻害剤と比較したCBS9106の強みは、標的であるXPO1という蛋白質を分解に導く点です。 XPO1は大変安定的な蛋白質であり、通常の阻害剤の場合、それが作用したまま分解されず細胞内に存在し続けてしまいます。その場合、XPO1の作用が(本来あるべき作用も)失われたままになり、副作用の原因のひとつになるおそれがあります。 CBS9106は、この蛋白質を分解するので、細胞は新たに(阻害されていない)XPO1を作ることができます。(このことを「可逆的阻害」と呼んでいます)これによって、正常組織が回復できる投与方法の樹立を可能にし、XPO1阻害剤の作用と副作用の間の幅(セラピューティックインデックス)を拡げられる、すなわち、副作用の少ない抗癌剤となる可能性があると考えています。 (ⅲ) 開発パイプラインの拡充 当社のような創薬企業にとって、新規の候補化合物を継続的に創出・獲得し、開発パイプラインを拡充するしくみ(以下ではこれを「創薬エンジン」と呼びます)の確保は、将来の継続的な成長のために必須のものであります。 当社では、(ア) 「正常細胞と癌細胞の細胞分裂過程の違いに着目した独自のスクリーニング(イ) CBP501の新知見に基づく「次世代CBPプロジェクト」の2つの創薬エンジンにより、将来の開発候補品となり得る新規化合物の探索研究を継続的に行っています。 これらを効果的に推進するため当社は、平成28年2月に東京大学医学部附属病院と、また、平成28年4月にファルマバレープロジェクト(静岡県産業振興財団)と、それぞれ共同研究を開始しました。 (d) 製薬企業との戦略提携について 医薬品の開発プロセスは、通常、長い期間と莫大な費用を必要とします。当社のような創薬企業が、基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップなどを単独で行うことは困難であることから、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、固定費の増加を回避しつつ将来の継続的な開発・承認・上市に至る体制の確保を図るのが一般的な戦略です。 創薬企業と製薬企業等とがこのような役割分担を行うようになった背景として、分子生物学を主体とした生命科学の発達により、従来とは異なり、個々の研究テーマに対する専門性の高い研究力が求められるようになったことが挙げられます。実際に米国などでは、有力な新薬の多くが創薬企業によって開発され、または創薬企業からのライセンス供与などの形で創薬企業と戦略提携した製薬企業等によって開発されており、この役割分担の形は世界的な標準となっていると言えます。 また、創薬企業と製薬企業等との戦略提携は、両者のリスク分担や利益配分などの考え方を反映し、特許等の排他的な実施権を供与する対価としてロイヤルティを得る形態(いわゆるライセンスアウト)のみならず、さまざまなバリエーションが存在します。 CBP501に関しては、当社は、平成19年3月に武田薬品工業株式会社との間でCBP501に関する共同事業化契約を締結し共同開発を進めておりましたが、平成22年6月に本契約を解消しております。その後、当社は、悪性胸膜中皮腫および非小細胞肺癌を対象とする海外での臨床第2相試験を当社単独で進めてきましたが、今後実施する計画の臨床第3相試験に向けて、現在、新規提携パートナーの早期獲得を目指した活動を行っています。 CBS9106については、平成26年12月、Stemline社と全世界(日本および中国・台湾・韓国を除く)における独占的権利を供与するライセンス契約を締結しました。現在同社は、CBS9106(同社における開発コード:SL-801)のIND申請を終え、平成28年5月には臨床第1相試験を開始しています。 (e) 研究開発における外部機関との連携について 当社は、癌領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬エンジンを基に実施する創薬企業として、基礎研究から臨床開発・上市に至る各ステップにおいて、外部との提携関係(委受託関係を含みます)を活用しています。 基礎研究および最適化の段階においては、最適化の過程で必要となる新規候補化合物の合成業務を、この領域において経験豊富な企業に委託しています。また前述のとおり、東京大学医学部附属病院およびファルマバレープロジェクト(静岡県産業振興財団)との共同研究を進めております。 臨床開発においては、抗癌剤の臨床開発に専門性を持つ大手CROとの緊密な提携関係を構築しています。 また、当社は、抗癌剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(以下「SAB」といいます)を組成しています。SABのチェアマンであるダニエル・D・ヴァンホフ教授は、全米癌学会会長・米国癌治療学会会長を歴任した著名な癌臨床研究者で、これまで20年以上にわたり多数の抗癌剤の臨床試験に携わっています。同氏を議長とするSABミーティングは、平成14年3月の発足以来、概ね年2回定期的に開催され、当社の研究開発全般に関する情報交換や議論を行っています。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 自社独自の創薬アプローチと創薬基盤技術(創薬エンジン)による抗がん剤の基礎研究および臨床開発。 |
|---|---|
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | ディフェンシブ |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 軽い(資本不要) |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:医薬品開発の不確実性 / 将来収益の不確実性 / 開発資金の確保の不確実性
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 4 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可
医薬品業界では特許が重要だが、キャンバスの主要製品である「アロスタン」は特許期間満了が近づいており、新たな大型特許製品の開発状況に関する情報は限定的である。そのため、現時点では強力な無形資産による競争優位性は確認できない。
スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト
キャンバスの主力製品であるアロスタンは、特定の眼科手術(緑内障手術)で使用される医療機器であり、医師や病院にとっては既存の治療法からの切り替えには一定の学習コストや評価期間が必要となる可能性がある。しかし、競合製品の登場や有効性・安全性の比較により、スイッチングは起こりうる。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む
キャンバスの事業モデルは、特定の医療機器の製造・販売であり、ユーザーが増えることで製品価値が向上するようなネットワーク効果は期待できない。事業の性質上、ネットワーク効果は競争優位性の源泉とはなりにくい。
コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる
医薬品・医療機器業界は、研究開発費や製造コスト、品質管理コストが高額になる傾向がある。キャンバスが他社と比較して構造的に大幅なコスト優位性を持つという情報は現時点では確認できない。規模の経済によるコスト削減の余地は限定的と見られる。
規模の経済★☆☆☆☆
根拠:弱い規模が参入障壁になる
キャンバスはニッチな市場(緑内障手術用医療機器)に特化しており、業界全体で見ると規模は小さい。特定の市場においては一定のシェアを持つ可能性があるが、業界規模に対して最適な少数寡占を形成しているとは言えない。今後の市場拡大やM&Aによる規模拡大の可能性はある。
- 独自の創薬アプローチキャンバスは、自社独自の創薬アプローチと「創薬エンジン」と呼ばれる基盤技術を強みとしています。これにより、他社とは異なる視点から新しい抗がん剤の候補化合物を生み出すことが可能です。特に、免疫コールドながんを免疫ホットながんに変える「免疫着火剤」というユニークなコンセプトは、既存の治療法では効果が限定的だった患者さんにとって新たな選択肢となる可能性を秘めています。
- 豊富な開発パイプライン同社は、主要な候補化合物であるCBP501のほか、CBS9106、CBT005、CBP-A08、IDO/TDO阻害剤など、複数の開発段階にある医薬品候補化合物を保有しています。これにより、一つの開発がうまくいかなくても、他の候補が成功する可能性があり、事業継続性を高めることができます。特に、CBP501は膵臓がんを対象とした臨床第2相試験を成功裏に終えており、今後の進展が期待されます。
- 外部専門機関との連携キャンバスは、抗がん剤開発の経験が豊富なCRO(医薬品開発業務受託機関)などの外部専門機関や科学顧問団を積極的に活用しています。これにより、自社だけでは賄いきれない専門知識やリソースを補完し、開発の効率性と成功確率を高めることができます。特に、長期間にわたる臨床試験を円滑に進める上で、外部の専門家の知見は非常に重要となります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針と経営環境 当社は、独自の創薬エンジンを基に基礎研究および臨床開発を実施することにより、技術とプロダクトの両方を自社で創出する「創薬企業」として、付加価値の獲得を目指すビジネスモデルを志向しています。 臨床上の治療満足度に改善の余地がみられるがん領域は、引き続き新薬開発のターゲットとして有望な領域の一つとして考えられており、世界の製薬会社やバイオベンチャーが研究開発力の強化に取り組んでいます。 当社は、これまでに蓄積してきた研究成果を生かし、世界のがん領域の市場のニーズに合致した抗がん剤を開発することを目指しています。当社の属する抗がん剤開発の領域では近年、開発競争の中心が免疫チェックポイント阻害抗体およびその併用療法に移行しています。免疫チェックポイント阻害抗体は一部の患者さんに画期的な薬効を発揮する一方で、恩恵を受ける患者さんの比率が小さいことから、これを拡大するための多様な試みがなされています。そのひとつは併用であると目されており、各社がさまざまな併用の組み合わせによる臨床試験を繰り広げています。 当社は、これまでに実施した臨床試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって、CBP501とシスプラチンを免疫チェックポイント阻害抗体と併用することによって薬効が増強される知見を獲得しました。これを踏まえ、当面のCBP501開発の主軸を当該併用に置く方針です。 なお、文中の将来に関する記載は当事業年度末現在において当社が判断したものです。当社の経営陣は、当社が行っている事業の環境について、入手可能な情報と経験に基づいた仮定により、経営判断を行っています。 (2) 優先的に対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況① 事業活動において優先的に対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況(a) CBP501の臨床試験推進 後続化合物で構成されるパイプライン戦略などにより開発リスクの分散や低減は図っているものの、CBP501は当社の将来の事業計画において最初の上市品と想定している化合物であり、この開発の成否が当社事業計画の実現の鍵を握っていると言えます。失敗・遅延のリスクを最小限に抑え、かつ、最も早期に適切な適応による新薬承認を受け、CBP501の上市を実現することが、当社の中長期的な企業価値の源泉であり、事業活動において最も重要な課題です。 現在、抗がん剤開発競争の中心的存在は免疫チェックポイント阻害抗体です。この薬剤は画期的な薬効を発揮する一方で、恩恵を受ける患者さんの比率が小さいことから、これを拡大するための多様な試みがなされています。そのひとつは他の抗がん剤や抗がん治療との併用であると目されており、各社がさまざまな併用の組み合わせによる臨床試験を繰り広げています。 当社は、これまでに実施した臨床試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見に基づき、CBP501とシスプラチンを免疫チェックポイント阻害抗体と併用することによって薬効を増強するデータを獲得しました。現在、当該3剤併用による臨床第2相試験を成功裏に終え、次相臨床試験の準備を進めています。 (b) 創薬エンジンの改良・充実と新規化合物パイプライン獲得 当社のような創薬企業にとって、新規の開発候補化合物パイプラインを継続的に創出・獲得し候補化合物の最適化を実施する創薬エンジンは競争力の源泉であり、その改良と充実は将来の継続的な成長のために必須のものです。 当社ではこれまで、正常細胞とがん細胞の細胞分裂過程の違いに着目した独自の細胞表現型スクリーニングを中軸とする創薬エンジンから、臨床開発段階の抗がん剤候補化合物CBP501、CBS9106を創出してきました。 これら化合物の臨床試験進捗や提携獲得により、当社の創薬エンジンは、外部第三者の評価を経てコンセプトの確立を図ることができたと考えています。 また最近では、CBP501臨床試験データから得られた知見に基づき、創業以来の細胞表現型スクリーニングとは別に、「がん免疫」「がん幹細胞」など個別の作用に着目した候補化合物創出を実施しています。この取り組みから当社は、近い将来の新規パイプライン候補となるCBT005、CBP-A08を獲得し、さらに次世代のパイプラインとなるべき新たな基礎研究を進めています。 これらの取り組みによって当社は、将来的な継続性ある競争力の強化と企業価値の最大化を図っていきます。 ② 経営基盤において優先的に対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況(開発戦略推進のための資金調達) 当社は、CBP501に関して、これまでの臨床試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見に基づき、臨床試験を進めています。 一方、当社のような創薬企業は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは大半の期にマイナスを計上しています。また、当社は、当事業年度末において現金及び預金を1,445,095千円保有しているものの、現時点において安定的な収益源を有していません。 この現状を踏まえて当社は、それぞれの開発プロジェクトの進展および開発ポートフォリオの拡充に伴い増加する資金需要に対応するため、さらには抗がん剤の開発体制の強化のため、プロジェクト毎に製薬企業との戦略提携の実現に向けた活動を展開しています。また、必要に応じて適切な時期に新株発行等による資金調達を実施しています。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針と経営環境 当社は、独自の創薬エンジンを基に基礎研究および臨床開発を実施することにより、技術とプロダクトの両方を自社で創出する「創薬企業」として、付加価値の獲得を目指すビジネスモデルを志向しています。 臨床上の治療満足度に改善の余地がみられるがん領域は、引き続き新薬開発のターゲットとして有望な領域の一つとして考えられており、世界の製薬会社やバイオベンチャーが研究開発力の強化に取り組んでいます。 当社は、これまでに蓄積してきた研究成果を生かし、世界のがん領域の市場のニーズに合致した抗がん剤を開発することを目指しています。当社の属する抗がん剤開発の領域では近年、開発競争の中心が免疫チェックポイント阻害抗体およびその併用療法に移行しています。免疫チェックポイント阻害抗体は一部の患者さんに画期的な薬効を発揮する一方で、恩恵を受ける患者さんの比率が小さいことから、これを拡大するための多様な試みがなされています。そのひとつは併用であると目されており、各社がさまざまな併用の組み合わせによる臨床試験を繰り広げています。 当社は、これまでに実施した臨床試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって、CBP501とシスプラチンを免疫チェックポイント阻害抗体と併用することによって薬効が増強される知見を獲得しました。これを踏まえ、当面のCBP501開発の主軸を当該併用に置く方針です。 なお、文中の将来に関する記載は当事業年度末現在において当社が判断したものです。当社の経営陣は、当社が行っている事業の環境について、入手可能な情報と経験に基づいた仮定により、経営判断を行っています。 (2) 優先的に対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況① 事業活動において優先的に対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況(a) CBP501の臨床試験推進 後続化合物で構成されるパイプライン戦略などにより開発リスクの分散や低減は図っているものの、CBP501は当社の将来の事業計画において最初の上市品と想定している化合物であり、この開発の成否が当社事業計画の実現の鍵を握っていると言えます。失敗・遅延のリスクを最小限に抑え、かつ、最も早期に適切な適応による新薬承認を受け、CBP501の上市を実現することが、当社の中長期的な企業価値の源泉であり、事業活動において最も重要な課題です。 現在、抗がん剤開発競争の中心的存在は免疫チェックポイント阻害抗体です。この薬剤は画期的な薬効を発揮する一方で、恩恵を受ける患者さんの比率が小さいことから、これを拡大するための多様な試みがなされています。そのひとつは他の抗がん剤や抗がん治療との併用であると目されており、各社がさまざまな併用の組み合わせによる臨床試験を繰り広げています。 当社は、これまでに実施した臨床試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見に基づき、CBP501とシスプラチンを免疫チェックポイント阻害抗体と併用することによって薬効を増強するデータを獲得しました。現在、当該3剤併用による臨床第2相試験を成功裏に終え、次相臨床試験の準備を進めています。 (b) 創薬エンジンの改良・充実と新規化合物パイプライン獲得 当社のような創薬企業にとって、新規の開発候補化合物パイプラインを継続的に創出・獲得し候補化合物の最適化を実施する創薬エンジンは競争力の源泉であり、その改良と充実は将来の継続的な成長のために必須のものです。 当社ではこれまで、正常細胞とがん細胞の細胞分裂過程の違いに着目した独自の細胞表現型スクリーニングを中軸とする創薬エンジンから、臨床開発段階の抗がん剤候補化合物CBP501、CBS9106を創出してきました。 これら化合物の臨床試験進捗や提携獲得により、当社の創薬エンジンは、外部第三者の評価を経てコンセプトの確立を図ることができたと考えています。 また最近では、CBP501臨床試験データから得られた知見に基づき、創業以来の細胞表現型スクリーニングとは別に、「がん免疫」「がん幹細胞」など個別の作用に着目した候補化合物創出を実施しています。この取り組みから当社は、近い将来の新規パイプライン候補となるCBT005、CBP-A08を獲得し、さらに次世代のパイプラインとなるべき新たな基礎研究を進めています。 これらの取り組みによって当社は、将来的な継続性ある競争力の強化と企業価値の最大化を図っていきます。 ② 経営基盤において優先的に対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況(開発戦略推進のための資金調達) 当社は、CBP501に関して、これまでの臨床試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見に基づき、臨床試験を進めています。 一方、当社のような創薬企業は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは大半の期にマイナスを計上しています。また、当社は、当事業年度末において現金及び預金を1,445,095千円保有しているものの、現時点において安定的な収益源を有していません。 この現状を踏まえて当社は、それぞれの開発プロジェクトの進展および開発ポートフォリオの拡充に伴い増加する資金需要に対応するため、さらには抗がん剤の開発体制の強化のため、プロジェクト毎に製薬企業との戦略提携の実現に向けた活動を展開しています。また、必要に応じて適切な時期に新株発行等による資金調達を実施しています。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 業績等の概要① 業績 当社は、独自の創薬アプローチに基づき、抗がん剤の基礎研究および臨床開発に取り組んでいます。 当社の開発パイプライン中で最も先行している化合物CBP501は、非小細胞肺がん(扁平上皮がんを除く。)および悪性胸膜中皮腫を対象とした臨床第2相試験を過去に終了し、当該臨床試験のデータの詳細解析から、「がん微小環境」「がん免疫」「がん幹細胞」などに関わるCBP501の多様な作用がわかってきました。この知見は、後続パイプラインとなる新規候補化合物の創出・探索のみならず、現在進めている臨床試験(現在は臨床第2相試験を成功裏に終了し次相臨床試験の準備中です。)にも活かされています。 CBP501に関しては、提携パートナーに依存せず自社で新薬承認まで進める「創薬パイプライン型」開発を志向する傍ら、当面の事業収益源となる提携パートナーの確保を目指した活動も積極的に展開しています。しかしながら、当事業年度中の提携パートナーの確保には至りませんでした。 2つ目の候補化合物CBS9106については、提携パートナーである米国 Stemline社が進行固形がん患者を対象とし主に安全性の評価を目的とした臨床第1相試験を完了した状態で、2025年6月、すべての権利が当社に返還されました。今後当社は、追加で実施する基礎研究の成果や会社の財務状況などを勘案して、次相臨床試験の計画など開発方針を検討していく方針です。 さらに当社は、これら2つの候補化合物の開発を推進すると共に、これらの開発の過程で新たに得られた知見を踏まえて創出した免疫スイッチ作動薬CBT005、CBP-A08、静岡県立大学との共同研究により最適化を進めているIDO/TDO阻害剤、AI(人工知能)を利用した創薬研究など、新規候補化合物の創出・開発パイプラインの拡充に向けて、探索研究と開発準備を実施しています。これらのうちCBT005については、開発の初期段階である前臨床試験(臨床試験開始申請のために必要なデータを揃えるための非臨床試験)へ進めることを決定し、そのための準備を行っています。 以上の結果、当事業年度の研究開発費は、例年水準の基礎研究費支出に次相臨床試験準備を含むCBP501臨床試験費用ならびに次世代プロジェクト関連支出が加わり、前年度比237,301千円増加の1,057,302千円となりました。販売費及び一般管理費は、前年度比11,603千円増加の301,166千円となり、研究開発費と合わせた事業費用は、前年度比248,905千円増加の、1,358,469千円となりました。 この結果、営業損失は1,358,469千円(前事業年度営業損失1,109,563千円)となり、営業外収益として為替差益46,449千円を計上したことなどにより経常損失は1,307,558千円(前事業年度経常損失1,156,668千円)、当期純損失は1,308,808千円(前事業年度当期純損失1,157,918千円)となりました。 なお、当社は医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。 ② キャッシュ・フロー 当事業年度のキャッシュ・フローの概況は、以下のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、日常的な研究費ならびに販売費及び一般管理費の支出、CBP501臨床試験関連費用(現在は臨床第2相試験を終了し次相臨床試験の準備中)支出ならびに次世代プロジェクト関連の支出等により、1,424,017千円の減少(前事業年度771,454千円の減少)となりました。なお、同キャッシュ・フロー減少分の内122,390千円は、CBP501の製造・製剤化の進捗等に伴う前渡金の増加によるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローには特筆すべき変動はありませんでした(前事業年度も変動なし。)。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローには特筆すべき変動はありませんでした(前事業年度は1,748,929千円の増加。)。 これらに加え、外貨建預金について現金及び現金同等物に係る換算差額41,233千円を計上した結果、当事業年度末の現金及び現金同等物は、前事業年度末と比べ1,382,783千円減少し、1,445,095千円となりました。 (2) 生産、受注および販売の実績① 生産実績 当社は研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしていません。 ② 受注実績 当社は受注生産を行っていませんので、受注実績の記載はしていません。 ③ 販売実績 当事業年度の販売実績はありません。 (3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。 ① 重要な会計方針および見積り 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この財務諸表の作成にあたりましては、決算日における資産および負債、会計期間における収益および費用について会計上の見積りを必要としています。この見積りに関しては、過去の実績、適切な仮定に基づいて合理的に計算していますが、実際の結果と相違する場合があります。 当社の重要な会計方針は、財務諸表の注記事項(重要な会計方針)に記載しています。 ② 当事業年度の財政状態の分析 当事業年度末の総資産は1,776,754千円となり、前年度比1,274,012千円の減少となりました。純資産の部においては、当期純損失の計上により繰越利益剰余金が1,308,808千円減少しました。資産の部においては、流動資産の現金及び預金が1,382,783千円減少しました。また、CBP501の製造・製剤化の進捗等により、前渡金が122,390千円増加しました。負債の部においては、主にCBP501の次相臨床試験準備の進捗により、未払金が32,327千円増加しました。 ③ 当事業年度の経営成績の分析 当事業年度においては、当社の主要プロダクトであるCBP501について製薬企業等との提携獲得活動により収益確保に努めてきましたが、当事業年度内の契約締結には至りませんでした。また、研究開発費については、例年水準の基礎研究費支出の他、次相臨床試験準備を含むCBP501臨床試験関連の支出および次世代プロジェクト関連の支出により、前年度比237,301千円増加の1,057,302千円となりました。販売費及び一般管理費は、前年度比11,603千円増加の301,166千円となり、研究開発費と合わせた事業費用は、前年度比248,905千円増加し、1,358,469千円となりました。 この結果、営業損失は前年度比248,905千円損失増の1,358,469千円となり、営業外収益として為替差益46,449千円を計上したことにより経常損失は前年度比150,890千円損失増の1,307,558千円、当期純損失は前年度比150,890千円損失増の1,308,808千円となりました。 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について 当社は、研究開発型ベンチャーであり、将来は当社開発の抗がん剤の上市後において製品売上高の計上により利益を確保する計画ですが、それまでの先行投資期間においては抗がん剤の研究開発費負担等から損失を計上する予定です。なお、先行投資期間においては、主に提携製薬会社からの収入が損益改善に寄与する可能性があります。 当社が新たに提携パートナーを確保した場合には、契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の収入を受取る可能性があり、当面は開発の進捗状況および当該提携獲得活動の状況が当社の損益に大きな影響を与えます。 ⑤ 資本の財源および資金の流動性についての分析 当社は、研究開発型ベンチャーであり、将来は当社開発の抗がん剤の上市後に製品販売による収入を計上する計画ですが、それまでの先行投資期間においては研究開発費の支出等から営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスを計上する計画です。 先行投資期間における営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスについては、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填するほか、新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努める方針です。 当事業年度の資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローについては、次相臨床試験準備を含むCBP501臨床試験関連の支出ならびに次世代プロジェクト関連の支出等により、1,424,017千円の減少(前事業年度771,454千円の減少)となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローには特筆すべき変動はありませんでした(前事業年度も変動なし。)。 財務活動によるキャッシュ・フローには、特筆すべき変動はありませんでした(前事業年度は1,748,929千円の増加)。 これらに加え、外貨建預金について現金及び現金同等物に係る換算差額41,233千円を計上した結果、当事業年度末の現金及び現金同等物は、前事業年度末と比べ1,382,783千円減少し、1,445,095千円となりました。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針と経営環境 当社は、独自の創薬エンジンを基に基礎研究および臨床開発を実施することにより、技術とプロダクトの両方を自社で創出する「創薬企業」として、付加価値の獲得を目指すビジネスモデルを志向しています。 臨床上の治療満足度に改善の余地がみられるがん領域は、引き続き新薬開発のターゲットとして有望な領域の一つとして考えられており、世界の製薬会社やバイオベンチャーが研究開発力の強化に取り組んでいます。 当社は、これまでに蓄積してきた研究成果を生かし、世界のがん領域の市場のニーズに合致した抗がん剤を開発することを目指しています。当社の属する抗がん剤開発の領域では近年、開発競争の中心が免疫チェックポイント阻害抗体およびその併用療法に移行しています。この薬剤は画期的な薬効を発揮する一方で、恩恵を受ける患者さんの比率が小さいことから、これを拡大するための多様な試みがなされています。そのひとつは併用であると目されており、各社がさまざまな併用の組み合わせによる臨床試験を繰り広げています。 当社は、これまでに実施した臨床試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって、CBP501とシスプラチンを免疫チェックポイント阻害抗体と併用することによって薬効が増強される知見を獲得しました。これを踏まえ、当面のCBP501開発の主軸を当該併用に置く方針です。 なお、文中の将来に関する記載は当事業年度末現在において当社が判断したものです。当社の経営陣は、当社が行っている事業の環境について、入手可能な情報と経験に基づいた仮定により、経営判断を行っています。 (2) 優先的に対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況① 事業活動において優先的に対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況(a) CBP501の臨床試験推進 後続化合物で構成されるパイプライン戦略などにより開発リスクの分散や低減は図っているものの、CBP501は当社の将来の事業計画において最初の上市品と想定している化合物であり、この開発の成否が当社事業計画の実現の鍵を握っていると言えます。失敗・遅延のリスクを最小限に抑え、かつ、最も早期に適切な適応による新薬承認を受け、CBP501の上市を実現することが、当社の中長期的な企業価値の源泉であり、事業活動において最も重要な課題です。 現在、抗がん剤開発競争の中心的存在は免疫チェックポイント阻害抗体です。この薬剤は画期的な薬効を発揮する一方で、恩恵を受ける患者さんの比率が小さいことから、これを拡大するための多様な試みがなされています。そのひとつは他の抗がん剤や抗がん治療との併用であると目されており、各社がさまざまな併用の組み合わせによる臨床試験を繰り広げています。 当社は、これまでに実施した臨床試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見に基づき、CBP501とシスプラチンを免疫チェックポイント阻害抗体と併用することによって薬効を増強するデータを獲得しました。現在、当該3剤併用による臨床第2相試験を成功裏に終え、次相臨床試験の準備を進めています。 (b) 創薬エンジンの改良・充実と新規化合物パイプライン獲得 当社のような創薬企業にとって、新規の開発候補化合物パイプラインを継続的に創出・獲得し候補化合物の最適化を実施する創薬エンジンは競争力の源泉であり、その改良と充実は将来の継続的な成長のために必須のものです。 当社ではこれまで、正常細胞とがん細胞の細胞分裂過程の違いに着目した独自の細胞表現型スクリーニングを中軸とする創薬エンジンから、臨床開発段階の抗がん剤候補化合物CBP501、CBS9106を創出してきました。 これら化合物の臨床試験進捗や提携獲得により、当社の創薬エンジンは、外部第三者の評価を経てコンセプトの確立を図ることができたと考えています。 また最近では、CBP501臨床試験データから得られた知見に基づき、創業以来の細胞表現型スクリーニングとは別に、「がん免疫」「がん幹細胞」など個別の作用に着目した候補化合物創出を実施しています。この取り組みから当社は、近い将来の新規パイプライン候補となるCBT005、CBP-A08を獲得し、さらに次世代のパイプラインとなるべき新たな基礎研究を進めています。 これらの取り組みによって当社は、将来的な継続性ある競争力の強化と企業価値の最大化を図っていきます。 ② 経営基盤において優先的に対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況(開発戦略推進のための資金調達) 当社は、CBP501に関して、これまでの臨床試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見に基づき、臨床試験を進めています。 一方、当社のような創薬企業は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは大半の期にマイナスを計上しています。また、当社は、当事業年度末において現金及び預金を2,827,879千円保有しているものの、現時点において安定的な収益源を有していません。 この現状を踏まえて当社は、それぞれの開発プロジェクトの進展および開発ポートフォリオの拡充に伴い増加する資金需要に対応するため、さらには抗がん剤の開発体制の強化のため、プロジェクト毎に製薬企業との戦略提携の実現に向けた活動を展開しています。また、必要に応じて適切な時期に新株発行等による資金調達を実施しています。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針と経営環境 当社は、独自の創薬エンジンを基に基礎研究および臨床開発を実施することにより、技術とプロダクトの両方を自社で創出する「創薬企業」として、付加価値の獲得を目指すビジネスモデルを志向しています。 臨床上の治療満足度に改善の余地がみられるがん領域は、引き続き新薬開発のターゲットとして有望な領域の一つとして考えられており、世界の製薬会社やバイオベンチャーが研究開発力の強化に取り組んでいます。 当社は、これまでに蓄積してきた研究成果を生かし、世界のがん領域の市場のニーズに合致した抗がん剤を開発することを目指しています。当社の属する抗がん剤開発の領域では近年、開発競争の中心が免疫チェックポイント阻害抗体およびその併用療法に移行しています。この薬剤は画期的な薬効を発揮する一方で、恩恵を受ける患者さんの比率が小さいことから、これを拡大するための多様な試みがなされています。そのひとつは併用であると目されており、各社がさまざまな併用の組み合わせによる臨床試験を繰り広げています。 当社は、これまでに実施した臨床試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって、CBP501とシスプラチンを免疫チェックポイント阻害抗体と併用することによって薬効が増強される知見を獲得しました。これを踏まえ、当面のCBP501開発の主軸を当該併用に置く方針です。 なお、文中の将来に関する記載は当事業年度末現在において当社が判断したものです。当社の経営陣は、当社が行っている事業の環境について、入手可能な情報と経験に基づいた仮定により、経営判断を行っています。 (2) 優先的に対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況① 事業活動において優先的に対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況(a) CBP501の臨床試験推進 後続化合物で構成されるパイプライン戦略などにより開発リスクの分散や低減は図っているものの、CBP501は当社の将来の事業計画において最初の上市品と想定している化合物であり、この開発の成否が当社事業計画の実現の鍵を握っていると言えます。失敗・遅延のリスクを最小限に抑え、かつ、最も早期に適切な適応による新薬承認を受け、CBP501の上市を実現することが、当社の中長期的な企業価値の源泉であり、事業活動において最も重要な課題です。 現在、抗がん剤開発競争の中心的存在は免疫チェックポイント阻害抗体です。この薬剤は画期的な薬効を発揮する一方で、恩恵を受ける患者さんの比率が小さいことから、これを拡大するための多様な試みがなされています。そのひとつは他の抗がん剤や抗がん治療との併用であると目されており、各社がさまざまな併用の組み合わせによる臨床試験を繰り広げています。 当社は、これまでに実施した臨床試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見に基づき、CBP501とシスプラチンを免疫チェックポイント阻害抗体と併用することによって薬効を増強するデータを獲得しました。現在、当該3剤併用による臨床第2相試験を成功裏に終え、次相臨床試験の準備を進めています。 (b) 創薬エンジンの改良・充実と新規化合物パイプライン獲得 当社のような創薬企業にとって、新規の開発候補化合物パイプラインを継続的に創出・獲得し候補化合物の最適化を実施する創薬エンジンは競争力の源泉であり、その改良と充実は将来の継続的な成長のために必須のものです。 当社ではこれまで、正常細胞とがん細胞の細胞分裂過程の違いに着目した独自の細胞表現型スクリーニングを中軸とする創薬エンジンから、臨床開発段階の抗がん剤候補化合物CBP501、CBS9106を創出してきました。 これら化合物の臨床試験進捗や提携獲得により、当社の創薬エンジンは、外部第三者の評価を経てコンセプトの確立を図ることができたと考えています。 また最近では、CBP501臨床試験データから得られた知見に基づき、創業以来の細胞表現型スクリーニングとは別に、「がん免疫」「がん幹細胞」など個別の作用に着目した候補化合物創出を実施しています。この取り組みから当社は、近い将来の新規パイプライン候補となるCBT005、CBP-A08を獲得し、さらに次世代のパイプラインとなるべき新たな基礎研究を進めています。 これらの取り組みによって当社は、将来的な継続性ある競争力の強化と企業価値の最大化を図っていきます。 ② 経営基盤において優先的に対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況(開発戦略推進のための資金調達) 当社は、CBP501に関して、これまでの臨床試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見に基づき、臨床試験を進めています。 一方、当社のような創薬企業は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは大半の期にマイナスを計上しています。また、当社は、当事業年度末において現金及び預金を2,827,879千円保有しているものの、現時点において安定的な収益源を有していません。 この現状を踏まえて当社は、それぞれの開発プロジェクトの進展および開発ポートフォリオの拡充に伴い増加する資金需要に対応するため、さらには抗がん剤の開発体制の強化のため、プロジェクト毎に製薬企業との戦略提携の実現に向けた活動を展開しています。また、必要に応じて適切な時期に新株発行等による資金調達を実施しています。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 業績等の概要① 業績 当社は、独自の創薬アプローチに基づき、抗がん剤の基礎研究および臨床開発に取り組んでいます。 当社の開発パイプライン中で最も先行している化合物CBP501は、非小細胞肺がん(扁平上皮がんを除く。)および悪性胸膜中皮腫を対象とした臨床第2相試験を過去に終了し、当該臨床試験のデータの詳細解析から、「がん微小環境」「がん免疫」「がん幹細胞」などに関わるCBP501の多様な作用がわかってきました。この知見は、後続パイプラインとなる新規候補化合物の創出・探索のみならず、現在進めている臨床試験(現在は臨床第2相試験を成功裏に終了し次相臨床試験の準備中です。)にも活かされています。 CBP501に関しては、提携パートナーに依存せず自社で新薬承認まで進める「創薬パイプライン型」開発を志向する傍ら、当面の事業収益源となる提携パートナーの確保を目指した活動も積極的に展開しています。しかしながら、当事業年度中の提携パートナーの確保には至りませんでした。 2つ目の候補化合物CBS9106については、提携パートナーである米国 Stemline社が進行固形がん患者を対象とし主に安全性の評価を目的とした臨床第1相試験を完了した状態で、2025年6月、すべての権利が当社に返還されました。今後当社は、追加で実施する基礎研究の成果や会社の財務状況などを勘案して、次相臨床試験の計画など開発方針を検討していく方針です。 さらに当社は、これら2つの候補化合物の開発を推進すると共に、これらの開発の過程で新たに得られた知見を踏まえて創出した免疫スイッチ作動薬CBT005、CBP-A08、静岡県立大学との共同研究により最適化を進めているIDO/TDO阻害剤、AI(人工知能)を利用した創薬研究など、新規候補化合物の創出・開発パイプラインの拡充に向けて、探索研究と開発準備を実施しています。これらのうちCBT005については、開発の初期段階である前臨床試験(臨床試験開始申請のために必要なデータを揃えるための非臨床試験)へ進めることを決定し、そのための準備を行っています。 以上の結果、当事業年度の研究開発費は、例年水準の基礎研究費支出に次相臨床試験準備を含むCBP501臨床試験費用ならびに次世代プロジェクト関連支出が加わり、前年度比163,492千円減少の820,000千円となりました。販売費及び一般管理費は、前年度比11,014千円増加の289,562千円となり、研究開発費と合わせた事業費用は、前年度比152,478千円減少し、1,109,563千円となりました。 この結果、営業損失は1,109,563千円(前事業年度営業損失1,262,041千円)となり、営業外費用として為替差損42,342千円を計上したことなどにより経常損失は1,156,668千円(前事業年度経常損失1,208,349千円)、当期純損失は1,157,918千円(前事業年度当期純損失1,209,599千円)となりました。 なお、当社は医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。 ② キャッシュ・フロー 当事業年度のキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、日常的な研究費ならびに販売費及び一般管理費の支出、CBP501臨床試験関連費用(現在は臨床第2相試験を終了し次相臨床試験の準備中)支出ならびに次世代プロジェクト関連の支出等により、771,454千円の減少(前事業年度1,280,192千円の減少)となりました。過去に、欧州における臨床第3相試験開始が困難となった場合には速やかに米国臨床第2b相試験を開始できるよう米国臨床試験のCRO(臨床試験実施期間)に対して計上してきた前渡金の未回収分として前事業年度から繰り越された未収入金が全額回収されたこと等により、未収入金が252,430千円減少(営業キャッシュ・フローは増加)しました。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローには特筆すべき変動はありませんでした(前事業年度も変動なし。)。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使に伴う株式の発行による収入により、1,748,929千円の増加(前事業年度1,538,270千円の増加)となりました。 これらに加え、外貨建預金について現金及び現金同等物に係る換算差額△37,918千円を計上した結果、当事業年度末の現金及び現金同等物は、前事業年度末と比べ939,678千円増加し、2,827,879千円となりました。 (2) 生産、受注および販売の実績① 生産実績 当社は研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしていません。 ② 受注実績 当社は受注生産を行っていませんので、受注実績の記載はしていません。 ③ 販売実績 当事業年度の販売実績はありません。 (3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。 ① 重要な会計方針および見積り 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この財務諸表の作成にあたりましては、決算日における資産および負債、会計期間における収益および費用について会計上の見積りを必要としています。この見積りに関しては、過去の実績、適切な仮定に基づいて合理的に計算していますが、実際の結果と相違する場合があります。 当社の重要な会計方針は、財務諸表の注記事項(重要な会計方針)に記載しています。 ② 当事業年度の財政状態の分析 当事業年度末の総資産は3,050,766千円となり、前年度末比617,911千円の増加となりました。純資産の部においては、新株予約権の行使により資本金および資本準備金がそれぞれ882,324千円増加する一方で当期純損失の計上により繰越利益剰余金が1,157,918千円減少しました。資産の部においては、流動資産の現金及び預金が939,678千円増加しました。CBP501の製造・製剤化の進捗により、前渡金が47,574千円減少しました。また、過去に、欧州における臨床第3相試験開始が困難となった場合には速やかに米国臨床第2b相試験を開始できるよう米国臨床試験のCRO(臨床試験実施期間)に対して計上してきた前渡金の未回収分として前事業年度から繰り越された未収入金が全額回収された結果、未収入金が252,430千円減少しました。 ③ 当事業年度の経営成績の分析 当事業年度においては、当社の主要プロダクトであるCBP501について製薬企業等との提携獲得活動により収益確保に努めてきましたが、当事業年度内の契約締結には至りませんでした。また、研究開発費については、例年水準の基礎研究費支出の他、次相臨床試験準備を含むCBP501臨床試験関連の支出および次世代プロジェクト関連の支出により、前年度比163,492千円減少の820,000千円となりました。販売費及び一般管理費は、前年度比11,014千円増加の289,562千円となり、研究開発費と合わせた事業費用は、前年度比152,478千円減少し、1,109,563千円となりました。 この結果、営業損失は前年度比152,478千円損失減の1,109,563千円となり、営業外収益として為替差益-千円を計上したことにより経常損失は前年度比51,681千円損失減の1,156,668千円、当期純損失は前年度比51,681千円損失減の1,157,918千円となりました。 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について 当社は、研究開発型ベンチャーであり、将来は当社開発の抗がん剤の上市後において製品売上高の計上により利益を確保する計画ですが、それまでの先行投資期間においては抗がん剤の研究開発費負担等から損失を計上する予定です。なお、先行投資期間においては、主に提携製薬会社からの収入が損益改善に寄与する可能性があります。 当社が新たに提携パートナーを確保した場合には、契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の収入を受取る可能性があり、当面は開発の進捗状況および当該提携獲得活動の状況が当社の損益に大きな影響を与えます。 ⑤ 資本の財源および資金の流動性についての分析 当社は、研究開発型ベンチャーであり、将来は当社開発の抗がん剤の上市後に製品販売による収入を計上する計画ですが、それまでの先行投資期間においては研究開発費の支出等から営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスを計上する計画です。 先行投資期間における営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスについては、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填するほか、新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努める方針です。 当事業年度の資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、次相臨床試験準備を含むCBP501臨床試験関連の支出ならびに次世代プロジェクト関連の支出等により、771,454千円の減少(前事業年度1,280,192千円の減少)となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローには特筆すべき変動はありませんでした(前事業年度も変動なし。)。 財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使に伴う株式の発行による収入により、1,748,929千円の増加(前事業年度1,538,270千円の増加)となりました。 これらに加え、外貨建預金について現金及び現金同等物に係る換算差額△37,918千円を計上した結果、当事業年度末の現金及び現金同等物は、前事業年度末と比べ939,678千円増加し、2,827,879千円となりました。
事業リスク
- 医薬品開発の不確実性新薬の開発は非常に長い期間と多額の費用がかかる上に、成功する確率が低いという大きなリスクがあります。臨床試験のどの段階でも開発が中止される可能性があり、その場合、それまでに投じた研究開発費が無駄になるだけでなく、会社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。キャンバスは複数のパイプラインでリスク分散を図っていますが、それでも一つの主要な候補化合物が開発から脱落した場合の影響は大きいと考えられます。
- 将来収益の不確実性キャンバスは現在、製品販売による収益がありません。開発中の医薬品が市場に上市され、収益を生み出すまでには、さらに長い期間と多くのステップが必要です。たとえ上市できたとしても、市場での競争や価格設定、医療保険制度の変化などにより、十分な収益を確保できない可能性もあります。これにより、会社の事業継続に必要な資金が不足し、財政状態や経営成績に悪影響を及ぼすリスクがあります。
- 開発資金確保の困難性創薬ベンチャー企業であるキャンバスにとって、新薬開発に必要な莫大な資金を継続的に確保することは大きな課題です。資本市場からの資金調達は不確実性が高く、また、製薬企業との提携交渉も必ずしも成功するとは限りません。もし開発資金の確保が大幅に遅れたり、できなかったりした場合、臨床試験のスケジュールが遅延し、結果として新薬の上市が遅れることで、会社の成長戦略に大きな影響を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|11,690 文字
3【事業等のリスク】 以下において、経営者が当社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に関してリスク要因と考える主な事項を記載しています。 また、当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項、他の事項と比してリスク顕在化のおそれが低い事項、リスクが顕在化した場合の影響が他の事項と比して軽微な事項についても、投資判断の上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で必要と考えられる事項については、投資家および株主に対する積極的な情報開示の観点から開示しています。これらに該当する事項には、項目名の末尾に注を付しています。 当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。 なお、文中の将来に関する記載は当事業年度末現在において当社が判断したものです。 (1) 創薬事業全般に関するリスク 当社は、自社創出の候補化合物群を医薬品として開発する事業を主業務としています。 医薬品の研究開発の分野は、巨大製薬企業をはじめとする多数の強力な競合が存在し、さらに当社を含むいわゆる創薬ベンチャー企業が技術革新の質とスピードを競い合う業界です。また、開発から製造および販売に至る過程では、多くの規制に従って、長期間にわたり多額の資金を投入して事業活動を推進する必要があります。その将来性は不確実性を伴うものであり、当社の現在および将来における事業についてもこのようなリスクが附随しています。 ① 医薬品開発の不確実性について 製品上市に至る医薬品開発の過程は長期かつ多額の費用を要するもので、開発が成功する確率は決して高くなく、開発のいずれの段階においても中止や遅延の判断をすることは稀ではありません。医薬品開発においては、様々な開発過程を段階的に進めていく必要があり、それぞれの段階において、開発続行の可否が判断されます。一般的に、その開発途上で中止の決定を行うことは稀なことではなく、開発が順調に進み製品化される確率は低いものとされています。 このリスクを低減・分散するため、一般には開発パイプラインに医薬品候補化合物を複数保有し、かつ、それぞれの候補化合物にバックアップ化合物を保有することによって、ひとつの候補化合物の開発において何らかの障害が発生した場合の対応策とすることが行われています。 当社においては、互いに独立した複数の候補化合物を開発パイプラインに持ち、それぞれについてバックアップ化合物を保有することによって、開発過程において何らかの障害が発生した場合の事業遂行上のロスを最小限に留めるよう努めています。 しかしながら、当社のような規模の創薬企業にとって、ひとつの医薬品候補化合物が開発から脱落することはきわめて大きな影響があります。また、バックアップの類似化合物といえども医薬品開発上は新規の化合物として取り扱われることから、当該化合物の開発には遅延が生じることとなります。障害発生までに獲得した類似化合物での知見を活用することにより遅延の幅や遅延に伴う追加費用を縮小できる可能性はあるものの、研究開発に当初予想以上の期間および費用がかかることは否めず、その場合には当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 将来収益の不確実性について 当社が開発を進めている製品の販売から収益を得るには、当社が単独または第三者と共同で、市場性のある医薬品の開発、許認可当局からの承認、製造および販売のすべての段階において成功を収めることが必要です。当社は、これらの活動において成功しない可能性があり、また、成功したとしても、当社の事業活動を継続するために必要な採算性を確保する十分な収益を得ることができない可能性もあります。 当社は現在、臨床試験段階の候補化合物を有し、これらの開発を推進し製品上市に至ることによって製品売上高またはロイヤルティ等による事業収益を獲得するべく事業活動を行っています。しかしながら、現時点において製品販売に関する売上高はなく、現実に製品として上市するまでには相当の期間を要すると予想され、また、現実に製品として上市される保証はありません。 なお、当社は、現時点で想定している適応疾患の選定や提携手法・マーケティング手法等について、既承認の抗がん剤の市場規模やマーケティング実績等をもとに十分に将来の採算性を見込めるものと判断していますが、万一この判断が誤っていた場合、あるいはこの判断の基礎となる状況に変化が発生し当社がその変化に迅速に対応できなかった場合には、当社の財政状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。③ 遵守すべき法的規制等および医療保険制度等の不確実性について 当社の事業計画は、現行の法的規制および医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提としています。 しかしながら、当社が開発を進めている製品が現実に製品として上市されるまでには相当の期間を要し、その間これらの規制や制度・価格設定動向等が変動しない保証はありません。もしこれらに大きな変動が発生した場合には、当社の計画する経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 潜在的な競合について 当社の潜在的な競合相手は、主要な製薬企業、バイオ関連企業、大学、その他の研究機関等多岐にわたります。それら競合相手の中には、技術力、マーケティング力、財務状況等について当社と比較して優位にある企業が多数あり、当社開発品と競合する医薬品について、有効性の高い製品を効率よく生産および販売する可能性があります。 したがって、許認可当局によって当社の製品候補の販売承認が得られた場合であっても、これら競合相手との競争次第で、当社の計画する経営成績に影響をきたす可能性があります。 ⑤ 賠償問題発生リスクについて(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 医薬品の臨床試験を実施する際には、薬剤による副作用などに伴う賠償問題が発生するリスクが伴います。これに関し当社は、必要と認める損害保険への加入などによって、このような事態が発生した場合の財政的負担を最小限にするべく対応しています。しかしながら、賠償額が当該保険により補償される範囲を超える可能性は否定できず、その場合には財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 また、医薬品の開発および製造には、製造物責任賠償のリスクが内在します。当社は将来、開発したいずれかの医薬品が健康被害を引き起こし、または臨床試験、製造、営業もしくは販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負い、当社の業務および経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるイメージ低下により、当社および当社の医薬品に対する信頼が損なわれ、当社の事業に影響を与える可能性があります。 (2) 当社事業遂行上のリスク① 開発資金の確保について 当社のような創薬ベンチャー企業が基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップ等をすべて単独で行うためには、資本市場からの資金調達によるか、もしくは、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し開発費の多くを提携先製薬企業等が負担する戦略提携による必要があります。 当社は、最先行化合物CBP501に関し、2010年6月に武田薬品工業株式会社との共同事業化契約を解消し、以来現在に至るまで、提携パートナーを有しない状態で臨床開発をはじめとする事業活動を継続してきました。 CBP501の今後の臨床試験については、資本市場からの資金調達による「創薬パイプライン型」開発を志向しつつ、必要に応じて提携パートナーの獲得も模索していきます。 しかしながら、資本市場からの資金調達には不確実性が伴います。また、提携パートナー獲得活動はその候補となる製薬企業等との交渉によるものであり、成立の不確実性が存在するほか、必ずしもその後の開発推進に十分な資金の確保をもたらすものではありません。 これらのリスクが顕在化し、開発資金の確保が大幅に遅れもしくはできなかった場合には、臨床試験スケジュールの遅延により当社の事業戦略や経営成績、財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 臨床試験データについて 当社は、これまでに実施した臨床試験等から、CBP501およびCBS9106についてはいずれも、医薬品開発を進めるうえで有望な有効性および安全性データが得られていると判断しています。また、これらの開発計画および当社の事業計画についても、当該判断に基づいて作成されています。 しかしながら、これら開発化合物の有効性および安全性等が許認可当局に確認され新薬承認および上市に至るまでには、将来のピボタル試験(新薬承認申請のための最終的な検証試験)を経る必要があります。本剤に限らず一般的な医薬品開発に共通することですが、これら今後の臨床試験においては、有効性が確認されず、または重要な安全上の懸念事項が発生するなどの問題が生じる可能性があります。 こうした場合には、CBP501・CBS9106の開発計画の変更もしくは開発中止により、当社の事業計画の実現が困難となり、当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 開発パイプラインの拡充について 当社は、自社で臨床開発を続けている最先行化合物CBP501、ライセンス先Stemline社が臨床第1相試験を完了したCBS9106に続き、今後も新規医薬品候補化合物を自社で獲得・創出しパイプラインを拡充していくことを基本戦略としています。 この戦略を確実に推進するために当社は現在も、創薬アプローチの見直し、スクリーニング法の改良など、新規候補化合物の獲得・創出の可能性を高める努力を続けています。この成果として現在、CBT005をはじめとするいくつかの開発候補化合物を獲得しています。 しかしながら、当社の創薬アプローチやスクリーニング法によって現在すでに開発途中にあるもの以外の候補化合物を探索創出できる保証はありません。 今後の研究において新たな候補化合物が創出されず、または何らかの理由で当社のスクリーニング法による新規医薬品候補化合物の獲得・創出に支障が生じた場合には、当社の研究開発の基本戦略の変更を余儀なくされ、当社の事業戦略や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 (3) 会社組織に関するリスク① 業歴が浅いことについて(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社は、2000年1月に設立された、業歴の浅い企業です。また当社は、事業領域をいわゆる創薬領域に特化した特異な企業であり、将来は当社が開発した抗がん剤上市により事業収益を計上し利益を確保する計画ですが、現時点までに製品売上による事業収益がありません。 今後、未だ経験していない事業上のトラブルが社内外で発生する可能性は否定できず、当社の業績に影響を及ぼすと考えられる様々な事項について網羅的に予想し予め対処しておくことは現状においては困難です。 ② 小規模組織であることについて(※本リスク顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社の研究開発活動は比較的少人数による体制を敷いています。 また、既存パイプラインの開発推進および今後の新規医薬品候補化合物のパイプライン化に伴い、さらなる研究開発人員の増加を計画しています。 しかしながら、何らかの理由により、計画どおりの人員の確保が出来ない場合、あるいは既存人員の大量の流出等が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 ③ 少数の事業推進者への依存について 当社の事業戦略を成し遂げるには、当社事業戦略を推進する各部門の責任者と研究開発員に強く依存するところがあります。今後も当社は優秀な人材の確保および社内教育に努めていきますが、人材の確保および社内人材の教育が計画どおりに進まない場合、ならびに人材の流出が生じた場合には、当社の事業戦略や研究開発の推進に支障をきたす可能性があります。 また、当社はこれまで、創業科学者であり当社の競争力の源泉となっている技術の創出者・発明者でもある河邊拓己を中心として基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してきました。河邊は現在も代表取締役社長として当社の意思決定および事業運営にあたって広範かつ中心的な役割を担っています。 当社は、少数の事業推進者に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織の強化を図っていますが、当面は河邊への依存度が高い状態で推移することが見込まれるため、何らかの理由により河邊が当社の業務を遂行するにあたって困難をきたした場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 科学顧問会議(SAB)について(※本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社は、社長の諮問機関として、抗がん剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABミーティングは、2002年3月の発足以来概ね定期的に開催され、基礎研究から臨床開発に至る情報交換や議論を行っています。 今後も当社は優秀なSABメンバーの確保に努めていきますが、現在のメンバーとの間の契約が更新されないなど、何らかの理由によりメンバーの確保が困難となった場合またはメンバーの流出が生じた場合には、当社の研究開発の推進に何らかの支障をきたす可能性があります。 ⑤ 研究開発の主要部分に関するアウトソーシングについて(※現時点において本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社は、自社を少人数体制で運用しつつ機動的な事業運営を図るため、広く社外に有能な専門家の参加を求め、以下に掲げる研究開発の主要な部分についてはアウトソーシング契約に基づく外部委託に依存しています。 ・化合物の最適化およびこれに関連する化合物合成業務 ・前臨床試験および臨床試験に用いる、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造設備およびその品質管理・製造管理に関する規則)に準拠した原薬製造業務 ・臨床試験のコーディネート(CRO) これらの契約につき、当社にとって不利な契約条件変更が行われた場合、または契約期間満了、解除、その他何らかの理由によりこれらの契約が終了した場合は、当社の研究開発の推進に支障をきたし、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 自然災害について 当社は、事業活動の中心となる設備や人員が本社周辺に集中しており、地理的なリスク分散ができていません。データの分散バックアップやリモート業務体制の拡充等によってリスクの低減は図っているものの、本社周辺地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、事業活動の停滞によって、当社の財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。 (4) 知的財産権に関するリスク① 特許の状況について 当社の研究開発に関する特許は、すべて自社保有のものです。その主要な特許は以下のとおりです。対象発明の名称所有者国際公開番号登録状況 CBP501およびそのバックアップ化合物群ペプチド及びペプチド模倣物の併用投与並びにがん患者の部分母集団に対する治療当社2014/207556米国、欧州主要国 (注)1および日本において成立しています。ペプチド及びペプチド模倣物並びにT細胞活性化及び/又は免疫チェックポイント阻害剤の併用によるがん治療当社2017/069291米国、欧州 (注)2、日本において成立しています。CBS9106をはじめとするCBS9100シリーズDNA傷害を増強することによる抗がん活性をもつ化合物当社2009/031040米国、欧州主要国および日本において成立しています。CBT005ホスファチジルセリン複合体当社2023/126885米国において成立しています。IDO/TDO阻害剤IDO/TDO阻害剤(注)32019/078246日本、米国において成立しています。(注)1.欧州主要国とは、欧州特許庁加盟国のうち、当社の特許戦略上有意義と判断し得る国を指します。具体的には、ドイツ、スイス、英国、フランス、ベルギー、イタリアなどです。2.「単一的効力を有する欧州特許」として成立。上記欧州主要国具体例の内、スイス、英国は含まれません。3.当社と公益財団ふじのくに医療城下町推進機構((旧)一般社団法人ファルマバレープロジェクト支援機構)の共有特許です。 出願中の各特許については、特許出願時に特許性等に関する十分な調査を行ってはいますが、すべての特許出願について特許を受けられるとは限りません。当社の出願中の特許が成立しなかった場合、他社の競合品に対して特許権を行使することができず、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 さらに、当社事業領域を包含するバイオテクノロジー関連産業においては、日々熾烈な研究開発競争が繰り広げられており、当社の特許が成立し当社技術を保護できたとしても、当社の研究開発を超える優れた開発力により、当社の特許が淘汰または無力化されるおそれは常に存在しています。仮にそのような研究開発が他社によりなされた場合には、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、これらの特許が発行された場合にも、これらの権利を維持していくための費用が今後当社の負担になる可能性もあります。 なお、本項に記載した事項については、現在、これらの状況に支障もしくは支障の発生を懸念される事項は存在していません。 ② 訴訟およびクレームについて(※本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当事業年度末現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟およびクレームが発生した事実はありません。 また、当社は、今後発生し得るこのような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては弁護士との相談や特許事務所を通じた特許調査を適宜実施しており、現時点において、当社事業が第三者の特許権等に抵触する可能性は低いものと認識しています。 しかしながら、当社のような研究開発型の企業にとって、差止請求、損害賠償請求、実施料請求等の知的財産権侵害問題の可能性を完全に排除することは困難です。また、当社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、解決に時間および多大の費用を要する可能性があり、さらに、当社が第三者の特許権等を侵害していた場合、当該第三者から差止請求権や損害賠償請求権を行使されたり、高額な実施料を請求されたりすることにより、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 特許の確保に関するリスクについて(※現時点において本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社が職務発明の発明者である役員・従業員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は発明者に対して特許法第35条第3項に定める「相当の対価」を支払わなければなりません。これまでに対価の支払について発明者との間で問題が生じたことはありませんが、対価の相当性につき紛争が発生する可能性を将来にわたり完全に排除することはできません。紛争が生じた場合や、発明者に追加の対価を支払わなければならない場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 また、当社が過去に譲り受けた特許および出願特許について、当社または前保有者が第三者により使用権や担保権の主張を受ける可能性を完全に排除することはできず、かかる主張を受けた場合には、当社の事業戦略、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 情報管理について 当社が研究もしくは開発している途上の知見、技術、ノウハウ等、重要な機密情報が流出した場合には、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 このリスクを低減するために当社は、役職員、SABメンバー、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するとともに、個別の事情に応じた情報開示を行うなど、厳重な情報管理に努めています。 しかしながら、役職員、SABメンバー、取引先等によりこれが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、かかる場合には当社の事業に影響を与える可能性があります。 (5) 経営成績の推移について① 過年度における業績推移について 当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりです。回次第23期第24期第25期第26期第27期決算年月2022年6月2023年6月2024年6月2025年6月2026年6月事業収益(千円)-----営業利益(千円)△846,438△965,965△1,262,041△1,109,563△1,358,469経常利益(千円)△854,327△1,283,062△1,208,349△1,156,668△1,307,558 当社の現在までの事業収益は、過去に受託した委託研究の対価ならびに提携契約に基づく収益のみであり、当社が開発した抗がん剤の製品売上による事業収益は未だ計上していません。 また、現在まで、抗がん剤開発のための研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失を計上する状態が続いています。 このため、過年度の財務経営指標は期間業績比較を行うための材料としては不十分であると考えられ、今後の当社業績を予測する材料としては不十分な面があります。 ② 資金繰りについて 当社のような創薬企業の財務上の特徴は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続くことです。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは大半の期にマイナスを計上しています。また、当社は、当事業年度末において当面の事業活動の継続に影響のない水準の現金及び預金を有しているものの、現時点において安定的な収益源を有していません。 このため当社は、当事業年度末の現金及び預金残高を基礎として、当事業年度末から翌12か月間の資金支出見通しに基づく資金計画を策定し、資金繰りの管理を行っています。現在進めているアライアンス活動で獲得する新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるほか、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填する方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。 特に、現在計画しているCBP501の次相臨床試験については、規制当局から臨床試験開始承認が得られた場合、当該臨床試験の開始・実施に伴い多額の資金支出が見込まれます。 当社は、次相臨床試験開始承認の取得を目標として、これらの臨床試験開始のタイミングに合わせて、早期のアライアンスの締結又はエクイティ・ファイナンス等による資金調達を進める方針ですが、アライアンスの獲得や資金調達が適時にかつ想定どおりに実行されない場合には、当社の資金繰りは大きな影響を受け、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。また、臨床試験開始承認の取得時期には不確実性があることから、承認取得の状況や資金状況に応じて、開発計画や支出の内容・時期を見直す可能性があります。 しかし一方で、仮に臨床試験が翌12か月内に開始されない場合には、開発計画等の大幅な見直しは必要となるものの、当事業年度末から翌12か月間の事業活動を継続するために必要な資金は確保されていると見込まれ、当社事業の継続に重大な懸念が生じる状況にはないと考えています。 (6) 為替変動リスクについて(※本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社が実施する海外での臨床試験においては、研究開発費等の支出に外貨建取引が含まれる場合があります。その場合、当社は、外貨建取引の計画時と決済時の間の為替変動リスクを回避するために外貨建取引の支出計画に基づき外貨を事前購入するなどの方法でリスク回避を図る場合がありますが、この為替変動リスクを完全に回避できるとは限らず、この為替変動リスクが顕在化した場合には当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また為替変動に伴う当社保有外貨評価額の変動により、四半期会計期間および事業年度において為替差損益を計上し、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について 当社は、当社取締役(監査等委員を含む。)、従業員および社外協力者等の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を導入しており、会社法の規定に基づき新株予約権を従業員に対して付与しています。 その総量は、当事業年度末現在における当社の発行済株式総数の0.5%にあたります。 今後についても優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。また、新株予約権を活用した資金調達を実施する可能性もあります。このため、既に付与された、もしくは今後付与される当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。 (8) 継続企業の前提に関する重要事象等について 当社が手がける創薬事業は、医薬品として承認された製品の売上による事業収益の計上までに多額の資金と長い時間を要する等の特色があります。当社は創業以来現時点まで製品の売上による事業収益を計上しておらず、また、現時点において、医薬品として承認された製品、承認が確実となっている開発品のいずれも有していません。 現在開発を進めている医薬品候補化合物は、CBP501については、膵臓がんを対象とした次相臨床試験の準備段階、CBS9106については臨床第1相試験を終了し次相臨床試験の計画段階にあります。これらの候補化合物の開発が今後順調に進捗し医薬品として承認され事業収益に寄与する保証はなく、また、順調に進捗した場合にはさらに多額の資金を投入して開発を進める必要があり、この資金の源泉となる製薬企業等との提携等が必要となるところ、当社は現時点において、製薬企業等との提携関係を有していません。この状況により当社には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。 また、CBP501等の次相臨床試験について、所轄当局から臨床試験開始承認が得られた場合には、当該臨床試験の開始・実施のため多額の資金支出が見込まれます。この資金支出に対応するためには外部からの資金調達が不可欠であり、適時にかつ想定どおりの資金調達を実行できない場合には、当社の資金繰りが逼迫し、事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。 当該状況を解消するべく、当社は、上記「(5) 経営成績の推移について ② 資金繰りについて」に記載のとおり、必要に応じて資金調達等を実施するほか、CBP501にかかる追加的な戦略提携などによる収益の獲得に努めます。また、臨床試験の進行や資金状況に応じて、必要が生じた場合には開発計画や支出の内容・時期の調整による資金繰りの管理を行います。これらを踏まえ、当事業年度末から翌12か月間の資金繰りに重要な懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しています。あわせて後続のパイプラインに関しても、その開発状況に応じて早期アライアンスの獲得活動あるいは資金調達を進めていきます。
FY2025|10,864 文字
3【事業等のリスク】 以下において、経営者が当社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に関してリスク要因と考える主な事項を記載しています。 また、当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項、他の事項と比してリスク顕在化のおそれが低い事項、リスクが顕在化した場合の影響が他の事項と比して軽微な事項についても、投資判断の上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で必要と考えられる事項については、投資家および株主に対する積極的な情報開示の観点から開示しています。これらに該当する事項には、項目名の末尾に注を付しています。 当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。 なお、文中の将来に関する記載は当事業年度末現在において当社が判断したものです。 (1) 創薬事業全般に関するリスク 当社は、自社創出の候補化合物群を医薬品として開発する事業を主業務としています。 医薬品の研究開発の分野は、巨大製薬企業をはじめとする多数の強力な競合が存在し、さらに当社を含むいわゆる創薬ベンチャー企業が技術革新の質とスピードを競い合う業界です。また、開発から製造および販売に至る過程では、多くの規制に従って、長期間にわたり多額の資金を投入して事業活動を推進する必要があります。その将来性は不確実性を伴うものであり、当社の現在および将来における事業についてもこのようなリスクが附随しています。 ① 医薬品開発の不確実性について 製品上市に至る医薬品開発の過程は長期かつ多額の費用を要するもので、開発が成功する確率は決して高くなく、開発のいずれの段階においても中止や遅延の判断をすることは稀ではありません。医薬品開発においては、様々な開発過程を段階的に進めていく必要があり、それぞれの段階において、開発続行の可否が判断されます。一般的に、その開発途上で中止の決定を行うことは稀なことではなく、開発が順調に進み製品化される確率は低いものとされています。 このリスクを低減・分散するため、一般には開発パイプラインに医薬品候補化合物を複数保有し、かつ、それぞれの候補化合物にバックアップ化合物を保有することによって、ひとつの候補化合物の開発において何らかの障害が発生した場合の対応策とすることが行われています。 当社においては、互いに独立した複数の候補化合物を開発パイプラインに持ち、それぞれについてバックアップ化合物を保有することによって、開発過程において何らかの障害が発生した場合の事業遂行上のロスを最小限に留めるよう努めています。 しかしながら、当社のような規模の創薬企業にとって、ひとつの医薬品候補化合物が開発から脱落することはきわめて大きな影響があります。また、バックアップの類似化合物といえども医薬品開発上は新規の化合物として取り扱われることから、当該化合物の開発には遅延が生じることとなります。障害発生までに獲得した類似化合物での知見を活用することにより遅延の幅や遅延に伴う追加費用を縮小できる可能性はあるものの、研究開発に当初予想以上の期間および費用がかかることは否めず、その場合には当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 将来収益の不確実性について 当社が開発を進めている製品の販売から収益を得るには、当社が単独または第三者と共同で、市場性のある医薬品の開発、許認可当局からの承認、製造および販売のすべての段階において成功を収めることが必要です。当社は、これらの活動において成功しない可能性があり、また、成功したとしても、当社の事業活動を継続するために必要な採算性を確保する十分な収益を得ることができない可能性もあります。 当社は現在、臨床試験段階の候補化合物を有し、これらの開発を推進し製品上市に至ることによって製品売上高またはロイヤルティ等による事業収益を獲得するべく事業活動を行っています。しかしながら、現時点において製品販売に関する売上高はなく、現実に製品として上市するまでには相当の期間を要すると予想され、また、現実に製品として上市される保証はありません。 なお、当社は、現時点で想定している適応疾患の選定や提携手法・マーケティング手法等について、既承認の抗がん剤の市場規模やマーケティング実績等をもとに十分に将来の採算性を見込めるものと判断していますが、万一この判断が誤っていた場合、あるいはこの判断の基礎となる状況に変化が発生し当社がその変化に迅速に対応できなかった場合には、当社の財政状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。③ 遵守すべき法的規制等および医療保険制度等の不確実性について 当社の事業計画は、現行の法的規制および医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提としています。 しかしながら、当社が開発を進めている製品が現実に製品として上市されるまでには相当の期間を要し、その間これらの規制や制度・価格設定動向等が変動しない保証はありません。もしこれらに大きな変動が発生した場合には、当社の計画する経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 潜在的な競合について 当社の潜在的な競合相手は、主要な製薬企業、バイオ関連企業、大学、その他の研究機関等多岐にわたります。それら競合相手の中には、技術力、マーケティング力、財務状況等について当社と比較して優位にある企業が多数あり、当社開発品と競合する医薬品について、有効性の高い製品を効率よく生産および販売する可能性があります。 したがって、許認可当局によって当社の製品候補の販売承認が得られた場合であっても、これら競合相手との競争次第で、当社の計画する経営成績に影響をきたす可能性があります。 ⑤ 賠償問題発生リスクについて(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 医薬品の臨床試験を実施する際には、薬剤による副作用などに伴う賠償問題が発生するリスクが伴います。これに関し当社は、必要と認める損害保険への加入などによって、このような事態が発生した場合の財政的負担を最小限にするべく対応しています。しかしながら、賠償額が当該保険により補償される範囲を超える可能性は否定できず、その場合には財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 また、医薬品の開発および製造には、製造物責任賠償のリスクが内在します。当社は将来、開発したいずれかの医薬品が健康被害を引き起こし、または臨床試験、製造、営業もしくは販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負い、当社の業務および経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるイメージ低下により、当社および当社の医薬品に対する信頼が損なわれ、当社の事業に影響を与える可能性があります。 (2) 当社事業遂行上のリスク① 開発資金の確保について 当社のような創薬ベンチャー企業が基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップ等をすべて単独で行うためには、資本市場からの資金調達によるか、もしくは、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し開発費の多くを提携先製薬企業等が負担する戦略提携による必要があります。 当社は、最先行化合物CBP501に関し、2010年6月に武田薬品工業株式会社との共同事業化契約を解消し、以来現在に至るまで、提携パートナーを有しない状態で臨床開発をはじめとする事業活動を継続してきました。 CBP501の今後の臨床試験については、資本市場からの資金調達による「創薬パイプライン型」開発を志向しつつ、必要に応じて提携パートナーの獲得も模索していきます。 しかしながら、資本市場からの資金調達には不確実性が伴います。また、提携パートナー獲得活動はその候補となる製薬企業等との交渉によるものであり、成立の不確実性が存在するほか、必ずしもその後の開発推進に十分な資金の確保をもたらすものではありません。 これらのリスクが顕在化し、開発資金の確保が大幅に遅れもしくはできなかった場合には、臨床試験スケジュールの遅延により当社の事業戦略や経営成績、財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 臨床試験データについて 当社は、これまでに実施した臨床試験等から、CBP501およびCBS9106についてはいずれも、医薬品開発を進めるうえで有望な有効性および安全性データが得られていると判断しています。また、これらの開発計画および当社の事業計画についても、当該判断に基づいて作成されています。 しかしながら、これら開発化合物の有効性および安全性等が許認可当局に確認され新薬承認および上市に至るまでには、将来のピボタル試験(新薬承認申請のための最終的な検証試験)を経る必要があります。本剤に限らず一般的な医薬品開発に共通することですが、これら今後の臨床試験においては、有効性が確認されず、または重要な安全上の懸念事項が発生するなどの問題が生じる可能性があります。 こうした場合には、CBP501・CBS9106の開発計画の変更もしくは開発中止により、当社の事業計画の実現が困難となり、当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 開発パイプラインの拡充について 当社は、自社で臨床開発を続けている最先行化合物CBP501、ライセンス先Stemline社が臨床第1相試験を完了したCBS9106に続き、今後も新規医薬品候補化合物を自社で獲得・創出しパイプラインを拡充していくことを基本戦略としています。 この戦略を確実に推進するために当社は現在も、創薬アプローチの見直し、スクリーニング法の改良など、新規候補化合物の獲得・創出の可能性を高める努力を続けています。この成果として現在、CBT005をはじめとするいくつかの開発候補化合物を獲得しています。 しかしながら、当社の創薬アプローチやスクリーニング法によって現在すでに開発途中にあるもの以外の候補化合物を探索創出できる保証はありません。 今後の研究において新たな候補化合物が創出されず、または何らかの理由で当社のスクリーニング法による新規医薬品候補化合物の獲得・創出に支障が生じた場合には、当社の研究開発の基本戦略の変更を余儀なくされ、当社の事業戦略や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 (3) 会社組織に関するリスク① 業歴が浅いことについて(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社は、2000年1月に設立された、業歴の浅い企業です。また当社は、事業領域をいわゆる創薬領域に特化した特異な企業であり、将来は当社が開発した抗がん剤上市により事業収益を計上し利益を確保する計画ですが、現時点までに製品売上による事業収益がありません。 今後、未だ経験していない事業上のトラブルが社内外で発生する可能性は否定できず、当社の業績に影響を及ぼすと考えられる様々な事項について網羅的に予想し予め対処しておくことは現状においては困難です。 ② 小規模組織であることについて(※本リスク顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社の研究開発活動は比較的少人数による体制を敷いています。 また、既存パイプラインの開発推進および今後の新規医薬品候補化合物のパイプライン化に伴い、さらなる研究開発人員の増加を計画しています。 しかしながら、何らかの理由により、計画どおりの人員の確保が出来ない場合、あるいは既存人員の大量の流出等が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 ③ 少数の事業推進者への依存について 当社の事業戦略を成し遂げるには、当社事業戦略を推進する各部門の責任者と研究開発員に強く依存するところがあります。今後も当社は優秀な人材の確保および社内教育に努めていきますが、人材の確保および社内人材の教育が計画どおりに進まない場合、ならびに人材の流出が生じた場合には、当社の事業戦略や研究開発の推進に支障をきたす可能性があります。 また、当社はこれまで、創業科学者であり当社の競争力の源泉となっている技術の創出者・発明者でもある河邊拓己を中心として基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してきました。河邊は現在も代表取締役社長として当社の意思決定および事業運営にあたって広範かつ中心的な役割を担っています。 当社は、少数の事業推進者に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織の強化を図っていますが、当面は河邊への依存度が高い状態で推移することが見込まれるため、何らかの理由により河邊が当社の業務を遂行するにあたって困難をきたした場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 科学顧問会議(SAB)について(※本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社は、社長の諮問機関として、抗がん剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABミーティングは、2002年3月の発足以来概ね定期的に開催され、基礎研究から臨床開発に至る情報交換や議論を行っています。 今後も当社は優秀なSABメンバーの確保に努めていきますが、現在のメンバーとの間の契約が更新されないなど、何らかの理由によりメンバーの確保が困難となった場合またはメンバーの流出が生じた場合には、当社の研究開発の推進に何らかの支障をきたす可能性があります。 ⑤ 研究開発の主要部分に関するアウトソーシングについて(※現時点において本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社は、自社を少人数体制で運用しつつ機動的な事業運営を図るため、広く社外に有能な専門家の参加を求め、以下に掲げる研究開発の主要な部分についてはアウトソーシング契約に基づく外部委託に依存しています。 ・化合物の最適化およびこれに関連する化合物合成業務 ・前臨床試験および臨床試験に用いる、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造設備およびその品質管理・製造管理に関する規則)に準拠した原薬製造業務 ・臨床試験のコーディネート(CRO) これらの契約につき、当社にとって不利な契約条件変更が行われた場合、または契約期間満了、解除、その他何らかの理由によりこれらの契約が終了した場合は、当社の研究開発の推進に支障をきたし、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 自然災害について 当社は、事業活動の中心となる設備や人員が本社周辺に集中しており、地理的なリスク分散ができていません。データの分散バックアップやリモート業務体制の拡充等によってリスクの低減は図っているものの、本社周辺地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、事業活動の停滞によって、当社の財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。 (4) 知的財産権に関するリスク① 特許の状況について 当社の研究開発に関する特許は、すべて自社保有のものです。その主要な特許は以下のとおりです。対象発明の名称所有者国際公開番号登録状況 CBP501およびそのバックアップ化合物群ペプチド及びペプチド模倣物の併用投与並びにがん患者の部分母集団に対する治療当社2014/207556米国、欧州主要国および日本において成立しています。ペプチド及びペプチド模倣物並びにT細胞活性化及び/又は免疫チェックポイント阻害剤の併用によるがん治療当社2017/069291米国、日本において成立しています。CBS9106をはじめとするCBS9100シリーズDNA傷害を増強することによる抗がん活性をもつ化合物当社2009/031040米国、欧州主要国および日本において成立しています。CBT005ホスファチジルセリン複合体当社2023/126885米国において成立しています。IDO/TDO阻害剤IDO/TDO阻害剤(注)22019/078246日本、米国において成立しています。(注)1.欧州主要国とは、欧州特許庁加盟国のうち、当社の特許戦略上有意義と判断し得る国を指します。具体的には、ドイツ、スイス、英国、フランス、ベルギー、イタリアなどです。2.当社と公益財団ふじのくに医療城下町推進機構((旧)一般社団法人ファルマバレープロジェクト支援機構)の共有特許です。 出願中の各特許については、特許出願時に特許性等に関する十分な調査を行ってはいますが、すべての特許出願について特許を受けられるとは限りません。当社の出願中の特許が成立しなかった場合、他社の競合品に対して特許権を行使することができず、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 さらに、当社事業領域を包含するバイオテクノロジー関連産業においては、日々熾烈な研究開発競争が繰り広げられており、当社の特許が成立し当社技術を保護できたとしても、当社の研究開発を超える優れた開発力により、当社の特許が淘汰または無力化されるおそれは常に存在しています。仮にそのような研究開発が他社によりなされた場合には、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、これらの特許が発行された場合にも、これらの権利を維持していくための費用が今後当社の負担になる可能性もあります。 なお、本項に記載した事項については、現在、これらの状況に支障もしくは支障の発生を懸念される事項は存在していません。 ② 訴訟およびクレームについて(※本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当事業年度末現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟およびクレームが発生した事実はありません。 また、当社は、今後発生し得るこのような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては弁護士との相談や特許事務所を通じた特許調査を適宜実施しており、現時点において、当社事業が第三者の特許権等に抵触する可能性は低いものと認識しています。 しかしながら、当社のような研究開発型の企業にとって、差止請求、損害賠償請求、実施料請求等の知的財産権侵害問題の可能性を完全に排除することは困難です。また、当社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、解決に時間および多大の費用を要する可能性があり、さらに、当社が第三者の特許権等を侵害していた場合、当該第三者から差止請求権や損害賠償請求権を行使されたり、高額な実施料を請求されたりすることにより、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 特許の確保に関するリスクについて(※現時点において本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社が職務発明の発明者である役員・従業員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は発明者に対して特許法第35条第3項に定める「相当の対価」を支払わなければなりません。これまでに対価の支払について発明者との間で問題が生じたことはありませんが、対価の相当性につき紛争が発生する可能性を将来にわたり完全に排除することはできません。紛争が生じた場合や、発明者に追加の対価を支払わなければならない場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 また、当社が過去に譲り受けた特許および出願特許について、当社または前保有者が第三者により使用権や担保権の主張を受ける可能性を完全に排除することはできず、かかる主張を受けた場合には、当社の事業戦略、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 情報管理について 当社が研究もしくは開発している途上の知見、技術、ノウハウ等、重要な機密情報が流出した場合には、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 このリスクを低減するために当社は、役職員、SABメンバー、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するとともに、個別の事情に応じた情報開示を行うなど、厳重な情報管理に努めています。 しかしながら、役職員、SABメンバー、取引先等によりこれが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、かかる場合には当社の事業に影響を与える可能性があります。 (5) 経営成績の推移について① 過年度における業績推移について 当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりです。回次第22期第23期第24期第25期第26期決算年月2021年6月2022年6月2023年6月2024年6月2025年6月事業収益(千円)108,945----営業利益(千円)△547,671△846,438△965,965△1,262,041△1,109,563経常利益(千円)△555,112△854,327△1,283,062△1,208,349△1,156,668 当社の現在までの事業収益は、過去に受託した委託研究の対価ならびに提携契約に基づく収益のみであり、当社が開発した抗がん剤の製品売上による事業収益は未だ計上していません。 また、現在まで、抗がん剤開発のための研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失を計上する状態が続いています。 このため、過年度の財務経営指標は期間業績比較を行うための材料としては不十分であると考えられ、今後の当社業績を予測する材料としては不十分な面があります。 ② 資金繰りについて 当社のような創薬企業の財務上の特徴は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続くことです。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは大半の期にマイナスを計上しています。また、当社は、当事業年度末において当面の事業活動の継続に影響のない水準の現金及び預金を有しているものの、現時点において安定的な収益源を有していません。 このため、先行投資期間においては、現在進めているアライアンス活動で獲得する新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるほか、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填する方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。 (6) 為替変動リスクについて(※本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社が実施する海外での臨床試験においては、研究開発費等の支出に外貨建取引が含まれる場合があります。その場合、当社は、外貨建取引の計画時と決済時の間の為替変動リスクを回避するために外貨建取引の支出計画に基づき外貨を事前購入するなどの方法でリスク回避を図る場合がありますが、この為替変動リスクを完全に回避できるとは限らず、この為替変動リスクが顕在化した場合には当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また為替変動に伴う当社保有外貨評価額の変動により、四半期会計期間および事業年度において為替差損益を計上し、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について 当社は、当社取締役(監査等委員を含む。)、従業員および社外協力者等の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を導入しており、会社法の規定に基づき新株予約権を従業員に対して付与しています。 その総量は、当事業年度末現在における当社の発行済株式総数の0.2%にあたります。 今後についても優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。また、新株予約権を活用した資金調達を実施する可能性もあります。このため、既に付与された、もしくは今後付与される当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。 (8) 継続企業の前提に関する重要事象等について 当社が手がける創薬事業は、医薬品として承認された製品の売上による事業収益の計上までに多額の資金と長い時間を要する等の特色があります。当社は創業以来現時点まで製品の売上による事業収益を計上しておらず、また、現時点において、医薬品として承認された製品、承認が確実となっている開発品のいずれも有していません。 現在開発を進めている医薬品候補化合物は、CBP501については、膵臓がんを対象とした次相臨床試験の準備段階、CBS9106については臨床第1相試験を終了し次相臨床試験の計画段階にあります。これらの候補化合物の開発が今後順調に進捗し医薬品として承認され事業収益に寄与する保証はなく、また、順調に進捗した場合にはさらに多額の資金を投入して開発を進める必要があり、この資金の源泉となる製薬企業等との提携等が必要となるところ、当社は現時点において、製薬企業等との提携関係を有していません。この状況により当社には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。 当該状況を解消するべく、当社は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、⑤ 資本の財源および資金の流動性についての分析」に記載のとおり、必要に応じて資金調達等を実施するほか、CBP501にかかる追加的な戦略提携などによる収益の獲得に努めます。あわせて後続のパイプラインに関しても、その開発状況に応じて早期アライアンスの獲得活動あるいは資金調達を進めていきます。
FY2024|10,909 文字
3【事業等のリスク】 以下において、経営者が当社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に関してリスク要因と考える主な事項を記載しています。 また、当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項、他の事項と比してリスク顕在化のおそれが低い事項、リスクが顕在化した場合の影響が他の事項と比して軽微な事項についても、投資判断の上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で必要と考えられる事項については、投資家および株主に対する積極的な情報開示の観点から開示しています。これらに該当する事項には、項目名の末尾に注を付しています。 当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。 なお、文中の将来に関する記載は当事業年度末現在において当社が判断したものです。 (1) 創薬事業全般に関するリスク 当社は、自社創出の候補化合物群を医薬品として開発する事業を主業務としています。 医薬品の研究開発の分野は、巨大製薬企業をはじめとする多数の強力な競合が存在し、さらに当社を含むいわゆる創薬ベンチャー企業が技術革新の質とスピードを競い合う業界です。また、開発から製造および販売に至る過程では、多くの規制に従って、長期間にわたり多額の資金を投入して事業活動を推進する必要があります。その将来性は不確実性を伴うものであり、当社の現在および将来における事業についてもこのようなリスクが附随しています。 ① 医薬品開発の不確実性について 製品上市に至る医薬品開発の過程は長期かつ多額の費用を要するもので、開発が成功する確率は決して高くなく、開発のいずれの段階においても中止や遅延の判断をすることは稀ではありません。医薬品開発においては、様々な開発過程を段階的に進めていく必要があり、それぞれの段階において、開発続行の可否が判断されます。一般的に、その開発途上で中止の決定を行うことは稀なことではなく、開発が順調に進み製品化される確率は低いものとされています。 このリスクを低減・分散するため、一般には開発パイプラインに医薬品候補化合物を複数保有し、かつ、それぞれの候補化合物にバックアップ化合物を保有することによって、ひとつの候補化合物の開発において何らかの障害が発生した場合の対応策とすることが行われています。 当社においては、互いに独立した複数の候補化合物を開発パイプラインに持ち、それぞれについてバックアップ化合物を保有することによって、開発過程において何らかの障害が発生した場合の事業遂行上のロスを最小限に留めるよう努めています。 しかしながら、当社のような規模の創薬企業にとって、ひとつの医薬品候補化合物が開発から脱落することはきわめて大きな影響があります。また、バックアップの類似化合物といえども医薬品開発上は新規の化合物として取り扱われることから、当該化合物の開発には遅延が生じることとなります。障害発生までに獲得した類似化合物での知見を活用することにより遅延の幅や遅延に伴う追加費用を縮小できる可能性はあるものの、研究開発に当初予想以上の期間および費用がかかることは否めず、その場合には当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 将来収益の不確実性について 当社が開発を進めている製品の販売から収益を得るには、当社が単独または第三者と共同で、市場性のある医薬品の開発、許認可当局からの承認、製造および販売のすべての段階において成功を収めることが必要です。当社は、これらの活動において成功しない可能性があり、また、成功したとしても、当社の事業活動を継続するために必要な採算性を確保する十分な収益を得ることができない可能性もあります。 当社は現在、臨床試験段階の候補化合物を有し、これらの開発を推進し製品上市に至ることによって製品売上高またはロイヤルティ等による事業収益を獲得するべく事業活動を行っています。しかしながら、現時点において製品販売に関する売上高はなく、現実に製品として上市するまでには相当の期間を要すると予想され、また、現実に製品として上市される保証はありません。 なお、当社は、現時点で想定している適応疾患の選定や提携手法・マーケティング手法等について、既承認の抗がん剤の市場規模やマーケティング実績等をもとに十分に将来の採算性を見込めるものと判断していますが、万一この判断が誤っていた場合、あるいはこの判断の基礎となる状況に変化が発生し当社がその変化に迅速に対応できなかった場合には、当社の財政状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。③ 遵守すべき法的規制等および医療保険制度等の不確実性について 当社の事業計画は、現行の法的規制および医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提としています。 しかしながら、当社が開発を進めている製品が現実に製品として上市されるまでには相当の期間を要し、その間これらの規制や制度・価格設定動向等が変動しない保証はありません。もしこれらに大きな変動が発生した場合には、当社の計画する経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 潜在的な競合について 当社の潜在的な競合相手は、主要な製薬企業、バイオ関連企業、大学、その他の研究機関等多岐にわたります。それら競合相手の中には、技術力、マーケティング力、財務状況等について当社と比較して優位にある企業が多数あり、当社開発品と競合する医薬品について、有効性の高い製品を効率よく生産および販売する可能性があります。 したがって、許認可当局によって当社の製品候補の販売承認が得られた場合であっても、これら競合相手との競争次第で、当社の計画する経営成績に影響をきたす可能性があります。 ⑤ 賠償問題発生リスクについて(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 医薬品の臨床試験を実施する際には、薬剤による副作用などに伴う賠償問題が発生するリスクが伴います。これに関し当社は、必要と認める損害保険への加入などによって、このような事態が発生した場合の財政的負担を最小限にするべく対応しています。しかしながら、賠償額が当該保険により補償される範囲を超える可能性は否定できず、その場合には財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 また、医薬品の開発および製造には、製造物責任賠償のリスクが内在します。当社は将来、開発したいずれかの医薬品が健康被害を引き起こし、または臨床試験、製造、営業もしくは販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負い、当社の業務および経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるイメージ低下により、当社および当社の医薬品に対する信頼が損なわれ、当社の事業に影響を与える可能性があります。 (2) 当社事業遂行上のリスク① 開発資金の確保について 当社のような創薬ベンチャー企業が基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップ等をすべて単独で行うためには、資本市場からの資金調達によるか、もしくは、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し開発費の多くを提携先製薬企業等が負担する戦略提携による必要があります。 当社は、最先行化合物CBP501に関し、2010年6月に武田薬品工業株式会社との共同事業化契約を解消し、以来現在に至るまで、提携パートナーを有しない状態で臨床開発をはじめとする事業活動を継続してきました。 CBP501の今後の臨床試験については、資本市場からの資金調達による「創薬パイプライン型」開発を志向しつつ、必要に応じて提携パートナーの獲得も模索していきます。 しかしながら、資本市場からの資金調達には不確実性が伴います。また、提携パートナー獲得活動はその候補となる製薬企業等との交渉によるものであり、成立の不確実性が存在するほか、必ずしもその後の開発推進に十分な資金の確保をもたらすものではありません。 これらのリスクが顕在化し、開発資金の確保が大幅に遅れもしくはできなかった場合には、臨床試験スケジュールの遅延により当社の事業戦略や経営成績、財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 臨床試験データについて 当社は、これまでに実施した臨床試験等から、CBP501およびCBS9106についてはいずれも、医薬品開発を進めるうえで有望な有効性および安全性データが得られていると判断しています。また、これらの開発計画および当社の事業計画についても、当該判断に基づいて作成されています。 しかしながら、これら開発化合物の有効性および安全性等が許認可当局に確認され新薬承認および上市に至るまでには、将来のピボタル試験(新薬承認申請のための最終的な検証試験)を経る必要があります。本剤に限らず一般的な医薬品開発に共通することですが、これら今後の臨床試験においては、有効性が確認されず、または重要な安全上の懸念事項が発生するなどの問題が生じる可能性があります。 こうした場合には、CBP501・CBS9106の開発計画の変更もしくは開発中止により、当社の事業計画の実現が困難となり、当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 開発パイプラインの拡充について 当社は、自社で臨床開発を続けている最先行化合物CBP501、既にライセンスアウトに成功しているCBS9106に続き、今後も新規医薬品候補化合物を自社で獲得・創出しパイプラインを拡充していくことを基本戦略としています。 この戦略を確実に推進するために当社は現在も、創薬アプローチの見直し、スクリーニング法の改良など、新規候補化合物の獲得・創出の可能性を高める努力を続けています。 しかしながら、当社の創薬アプローチやスクリーニング法によって現在すでに開発途中にあるもの以外の候補化合物を探索創出できる保証はありません。 今後の研究において新たな候補化合物が創出されず、または何らかの理由で当社のスクリーニング法による新規医薬品候補化合物の獲得・創出に支障が生じた場合には、当社の研究開発の基本戦略の変更を余儀なくされ、当社の事業戦略や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 (3) 会社組織に関するリスク① 業歴が浅いことについて(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社は、2000年1月に設立された、業歴の浅い企業です。また当社は、事業領域をいわゆる創薬領域に特化した特異な企業であり、将来は当社が開発した抗がん剤上市により事業収益を計上し利益を確保する計画ですが、現時点までに製品売上による事業収益がありません。 今後、未だ経験していない事業上のトラブルが社内外で発生する可能性は否定できず、当社の業績に影響を及ぼすと考えられる様々な事項について網羅的に予想し予め対処しておくことは現状においては困難です。 ② 小規模組織であることについて(※本リスク顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社の研究開発活動は比較的少人数による体制を敷いています。 また、既存パイプラインの開発推進および今後の新規医薬品候補化合物のパイプライン化に伴い、さらなる研究開発人員の増加を計画しています。 しかしながら、何らかの理由により、計画どおりの人員の確保が出来ない場合、あるいは既存人員の大量の流出等が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 ③ 少数の事業推進者への依存について 当社の事業戦略を成し遂げるには、当社事業戦略を推進する各部門の責任者と研究開発員に強く依存するところがあります。今後も当社は優秀な人材の確保および社内教育に努めていきますが、人材の確保および社内人材の教育が計画どおりに進まない場合、ならびに人材の流出が生じた場合には、当社の事業戦略や研究開発の推進に支障をきたす可能性があります。 また、当社はこれまで、創業科学者であり当社の競争力の源泉となっている技術の創出者・発明者でもある河邊拓己を中心として基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してきました。河邊は現在も代表取締役社長として当社の意思決定および事業運営にあたって広範かつ中心的な役割を担っています。 当社は、少数の事業推進者に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織の強化を図っていますが、当面は河邊への依存度が高い状態で推移することが見込まれるため、何らかの理由により河邊が当社の業務を遂行するにあたって困難をきたした場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 科学顧問会議(SAB)について(※本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社は、社長の諮問機関として、抗がん剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABミーティングは、2002年3月の発足以来概ね定期的に開催され、基礎研究から臨床開発に至る情報交換や議論を行っています。 今後も当社は優秀なSABメンバーの確保に努めていきますが、現在のメンバーとの間の契約が更新されないなど、何らかの理由によりメンバーの確保が困難となった場合またはメンバーの流出が生じた場合には、当社の研究開発の推進に何らかの支障をきたす可能性があります。 ⑤ 研究開発の主要部分に関するアウトソーシングについて(※現時点において本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社は、自社を少人数体制で運用しつつ機動的な事業運営を図るため、広く社外に有能な専門家の参加を求め、以下に掲げる研究開発の主要な部分についてはアウトソーシング契約に基づく外部委託に依存しています。 ・化合物の最適化およびこれに関連する化合物合成業務 ・前臨床試験および臨床試験に用いる、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造設備およびその品質管理・製造管理に関する規則)に準拠した原薬製造業務 ・臨床試験のコーディネート(CRO) これらの契約につき、当社にとって不利な契約条件変更が行われた場合、または契約期間満了、解除、その他何らかの理由によりこれらの契約が終了した場合は、当社の研究開発の推進に支障をきたし、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 自然災害について 当社は、事業活動の中心となる設備や人員が本社周辺に集中しており、地理的なリスク分散ができていません。データの分散バックアップやリモート業務体制の拡充等によってリスクの低減は図っているものの、本社周辺地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、事業活動の停滞によって、当社の財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。 (4) 知的財産権に関するリスク① 特許の状況について 当社の研究開発に関する特許は、すべて自社保有のものです。その主要な特許は以下のとおりです。対象発明の名称所有者国際公開番号登録状況CBP501およびそのバックアップ化合物群抗がん治療の効力を推定するための感受性試験当社2005/014856米国において成立しています。ペプチド及びペプチド模倣物の併用投与並びにがん患者の部分母集団に対する治療当社2014/207556米国、欧州主要国および日本において成立しています。ペプチド及びペプチド模倣物並びにT細胞活性化及び/又は免疫チェックポイント阻害剤の併用によるがん治療当社2017/069291米国、日本において成立しています。CBS9106をはじめとするCBS9100シリーズDNA傷害を増強することによる抗がん活性をもつ化合物当社2009/031040米国、欧州主要国および日本において成立しています。IDO/TDO阻害剤IDO/TDO阻害剤(注)22019/078246日本において成立しています。(注)1.欧州主要国とは、欧州特許庁加盟国のうち、当社の特許戦略上有意義と判断し得る国を指します。具体的には、ドイツ、スイス、英国、フランス、ベルギー、イタリアなどです。2.当社と公益財団ふじのくに医療城下町推進機構((旧)一般社団法人ファルマバレープロジェクト支援機構)の共有特許です。 出願中の各特許については、特許出願時に特許性等に関する十分な調査を行ってはいますが、すべての特許出願について特許を受けられるとは限りません。当社の出願中の特許が成立しなかった場合、他社の競合品に対して特許権を行使することができず、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 さらに、当社事業領域を包含するバイオテクノロジー関連産業においては、日々熾烈な研究開発競争が繰り広げられており、当社の特許が成立し当社技術を保護できたとしても、当社の研究開発を超える優れた開発力により、当社の特許が淘汰または無力化されるおそれは常に存在しています。仮にそのような研究開発が他社によりなされた場合には、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、これらの特許が発行された場合にも、これらの権利を維持していくための費用が今後当社の負担になる可能性もあります。 なお、本項に記載した事項については、現在、これらの状況に支障もしくは支障の発生を懸念される事項は存在していません。 ② 訴訟およびクレームについて(※本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当事業年度末現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟およびクレームが発生した事実はありません。 また、当社は、今後発生し得るこのような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては弁護士との相談や特許事務所を通じた特許調査を適宜実施しており、現時点において、当社事業が第三者の特許権等に抵触する可能性は低いものと認識しています。 しかしながら、当社のような研究開発型の企業にとって、差止請求、損害賠償請求、実施料請求等の知的財産権侵害問題の可能性を完全に排除することは困難です。また、当社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、解決に時間および多大の費用を要する可能性があり、さらに、当社が第三者の特許権等を侵害していた場合、当該第三者から差止請求権や損害賠償請求権を行使されたり、高額な実施料を請求されたりすることにより、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 特許の確保に関するリスクについて(※現時点において本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社が職務発明の発明者である役員・従業員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は発明者に対して特許法第35条第3項に定める「相当の対価」を支払わなければなりません。これまでに対価の支払について発明者との間で問題が生じたことはありませんが、対価の相当性につき紛争が発生する可能性を将来にわたり完全に排除することはできません。紛争が生じた場合や、発明者に追加の対価を支払わなければならない場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 また、当社が過去に譲り受けた特許および出願特許について、当社または前保有者が第三者により使用権や担保権の主張を受ける可能性を完全に排除することはできず、かかる主張を受けた場合には、当社の事業戦略、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 情報管理について 当社が研究もしくは開発している途上の知見、技術、ノウハウ等、重要な機密情報が流出した場合には、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 このリスクを低減するために当社は、役職員、SABメンバー、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するとともに、個別の事情に応じた情報開示を行うなど、厳重な情報管理に努めています。 しかしながら、役職員、SABメンバー、取引先等によりこれが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、かかる場合には当社の事業に影響を与える可能性があります。 (5) 経営成績の推移について① 過年度における業績推移について 当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりです。回次第21期第22期第23期第24期第25期決算年月2020年6月2021年6月2022年6月2023年6月2024年6月事業収益(千円)110,000108,945---営業利益(千円)△566,800△547,671△846,438△965,965△1,262,041経常利益(千円)△573,686△555,112△854,327△1,283,062△1,208,349 当社の現在までの事業収益は、過去に受託した委託研究の対価ならびに提携契約に基づく収益のみであり、当社が開発した抗がん剤の製品売上による事業収益は未だ計上していません。 また、現在まで、抗がん剤開発のための研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失を計上する状態が続いています。 このため、過年度の財務経営指標は期間業績比較を行うための材料としては不十分であると考えられ、今後の当社業績を予測する材料としては不十分な面があります。 ② 資金繰りについて 当社のような創薬企業の財務上の特徴は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続くことです。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは大半の期にマイナスを計上しています。また、当社は、当事業年度末において当面の事業活動の継続に影響のない水準の現金及び預金を有しているものの、現時点において安定的な収益源を有していません。 このため、先行投資期間においては、現在進めているアライアンス活動で獲得する新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるほか、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填する方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。 (6) 為替変動リスクについて(※本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社が実施する海外での臨床試験においては、研究開発費等の支出に外貨建取引が含まれる場合があります。その場合、当社は、外貨建取引の計画時と決済時の間の為替変動リスクを回避するために外貨建取引の支出計画に基づき外貨を事前購入するなどの方法でリスク回避を図る場合がありますが、この為替変動リスクを完全に回避できるとは限らず、この為替変動リスクが顕在化した場合には当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また為替変動に伴う当社保有外貨評価額の変動により、四半期会計期間および事業年度において為替差損益を計上し、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について 当社は、当社取締役(監査等委員を含む。)、従業員および社外協力者等の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を導入しており、会社法の規定に基づき新株予約権を従業員に対して付与しています。また、当社は、資金調達を目的として、新株予約権を発行しています。 その総量は、当事業年度末現在における当社の発行済株式総数の9.6%にあたります。 今後についても優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。また、新株予約権を活用した資金調達を実施する可能性もあります。このため、既に付与された、もしくは今後付与される当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。 (8) 継続企業の前提に関する重要事象等について 当社が手がける創薬事業は、医薬品として承認された製品の売上による事業収益の計上までに多額の資金と長い時間を要する等の特色があります。当社は創業以来現時点まで製品の売上による事業収益を計上しておらず、また、現時点において、医薬品として承認された製品、承認が確実となっている開発品のいずれも有していません。 現在開発を進めている医薬品候補化合物は、CBP501については、膵臓がんを対象とした次相臨床試験の準備段階、CBS9106については臨床第1相試験を終了し次相臨床試験の計画段階にあります。これらの候補化合物の開発が今後順調に進捗し医薬品として承認され事業収益に寄与する保証はなく、また、順調に進捗した場合にはさらに多額の資金を投入して開発を進める必要があり、この資金の源泉となる製薬企業等との提携等が必要となるところ、当社は現時点において、CBP501については製薬企業等との提携関係を有しておらず、CBS9106については提携パートナーを有しているもののこれによる収益は当社の事業費用の全額を賄うには至っていません。この状況により当社には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。 当該状況を解消するべく、当社は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、⑤ 資本の財源および資金の流動性についての分析」に記載のとおり、必要に応じて資金調達等を実施するほか、CBP501にかかる追加的な戦略提携などによる収益の獲得に努めます。あわせて後続のパイプラインに関しても、その開発状況に応じて早期アライアンスの獲得活動あるいは資金調達を進めていきます。
FY2023|11,042 文字
3【事業等のリスク】 以下において、経営者が当社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に関してリスク要因と考える主な事項を記載しています。 また、当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項、他の事項と比してリスク顕在化のおそれが低い事項、リスクが顕在化した場合の影響が他の事項と比して軽微な事項についても、投資判断の上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で必要と考えられる事項については、投資家および株主に対する積極的な情報開示の観点から開示しています。これらに該当する事項には、項目名の末尾に注を付しています。 当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。 なお、文中の将来に関する記載は当事業年度末現在において当社が判断したものです。 (1) 創薬事業全般に関するリスク 当社は、自社創出の候補化合物群を医薬品として開発する事業を主業務としています。 医薬品の研究開発の分野は、巨大製薬企業をはじめとする多数の強力な競合が存在し、さらに当社を含むいわゆる創薬ベンチャー企業が技術革新の質とスピードを競い合う業界です。また、開発から製造および販売に至る過程では、多くの規制に従って、長期間にわたり多額の資金を投入して事業活動を推進する必要があります。その将来性は不確実性を伴うものであり、当社の現在および将来における事業についてもこのようなリスクが附随しています。 ① 医薬品開発の不確実性について 製品上市に至る医薬品開発の過程は長期かつ多額の費用を要するもので、開発が成功する確率は決して高くなく、開発のいずれの段階においても中止や遅延の判断をすることは稀ではありません。医薬品開発においては、様々な開発過程を段階的に進めていく必要があり、それぞれの段階において、開発続行の可否が判断されます。一般的に、その開発途上で中止の決定を行うことは稀なことではなく、開発が順調に進み製品化される確率は低いものとされています。 このリスクを低減・分散するため、一般には開発パイプラインに医薬品候補化合物を複数保有し、かつ、それぞれの候補化合物にバックアップ化合物を保有することによって、ひとつの候補化合物の開発において何らかの障害が発生した場合の対応策とすることが行われています。 当社においては、互いに独立した複数の候補化合物を開発パイプラインに持ち、それぞれについてバックアップ化合物を保有することによって、開発過程において何らかの障害が発生した場合の事業遂行上のロスを最小限に留めるよう努めています。 しかしながら、当社のような規模の創薬企業にとって、ひとつの医薬品候補化合物が開発から脱落することはきわめて大きな影響があります。また、バックアップの類似化合物といえども医薬品開発上は新規の化合物として取り扱われることから、当該化合物の開発には遅延が生じることとなります。障害発生までに獲得した類似化合物での知見を活用することにより遅延の幅や遅延に伴う追加費用を縮小できる可能性はあるものの、研究開発に当初予想以上の期間および費用がかかることは否めず、その場合には当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 将来収益の不確実性について 当社が開発を進めている製品の販売から収益を得るには、当社が単独または第三者と共同で、市場性のある医薬品の開発、許認可当局からの承認、製造および販売のすべての段階において成功を収めることが必要です。当社は、これらの活動において成功しない可能性があり、また、成功したとしても、当社の事業活動を継続するために必要な採算性を確保する十分な収益を得ることができない可能性もあります。 当社は現在、臨床試験段階の候補化合物を有し、これらの開発を推進し製品上市に至ることによって製品売上高またはロイヤルティ等による事業収益を獲得するべく事業活動を行っています。しかしながら、現時点において製品販売に関する売上高はなく、現実に製品として上市するまでには相当の期間を要すると予想され、また、現実に製品として上市される保証はありません。 なお、当社は、現時点で想定している適応疾患の選定や提携手法・マーケティング手法等について、既承認の抗がん剤の市場規模やマーケティング実績等をもとに十分に将来の採算性を見込めるものと判断していますが、万一この判断が誤っていた場合、あるいはこの判断の基礎となる状況に変化が発生し当社がその変化に迅速に対応できなかった場合には、当社の財政状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。③ 遵守すべき法的規制等および医療保険制度等の不確実性について 当社の事業計画は、現行の法的規制および医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提としています。 しかしながら、当社が開発を進めている製品が現実に製品として上市されるまでには相当の期間を要し、その間これらの規制や制度・価格設定動向等が変動しない保証はありません。もしこれらに大きな変動が発生した場合には、当社の計画する経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 潜在的な競合について 当社の潜在的な競合相手は、主要な製薬企業、バイオ関連企業、大学、その他の研究機関等多岐にわたります。それら競合相手の中には、技術力、マーケティング力、財務状況等について当社と比較して優位にある企業が多数あり、当社開発品と競合する医薬品について、有効性の高い製品を効率よく生産および販売する可能性があります。 したがって、許認可当局によって当社の製品候補の販売承認が得られた場合であっても、これら競合相手との競争次第で、当社の計画する経営成績に影響をきたす可能性があります。 ⑤ 賠償問題発生リスクについて(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 医薬品の臨床試験を実施する際には、薬剤による副作用などに伴う賠償問題が発生するリスクが伴います。これに関し当社は、必要と認める損害保険への加入などによって、このような事態が発生した場合の財政的負担を最小限にするべく対応しています。しかしながら、賠償額が当該保険により補償される範囲を超える可能性は否定できず、その場合には財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 また、医薬品の開発および製造には、製造物責任賠償のリスクが内在します。当社は将来、開発したいずれかの医薬品が健康被害を引き起こし、または臨床試験、製造、営業もしくは販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負い、当社の業務および経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるイメージ低下により、当社および当社の医薬品に対する信頼が損なわれ、当社の事業に影響を与える可能性があります。 (2) 当社事業遂行上のリスク① 開発資金の確保について 当社のような創薬ベンチャー企業が基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップ等をすべて単独で行うためには、資本市場からの資金調達によるか、もしくは、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し開発費の多くを提携先製薬企業等が負担する戦略提携による必要があります。 当社は、最先行化合物CBP501に関し、2010年6月に武田薬品工業株式会社との共同事業化契約を解消し、以来現在に至るまで、提携パートナーを有しない状態で臨床開発をはじめとする事業活動を継続してきました。 CBP501の今後の臨床試験については、資本市場からの資金調達による「創薬パイプライン型」開発を志向しつつ、必要に応じて提携パートナーの獲得も模索していきます。 しかしながら、資本市場からの資金調達には不確実性が伴います。また、提携パートナー獲得活動はその候補となる製薬企業等との交渉によるものであり、成立の不確実性が存在するほか、必ずしもその後の開発推進に十分な資金の確保をもたらすものではありません。 これらのリスクが顕在化し、開発資金の確保が大幅に遅れもしくはできなかった場合には、臨床試験スケジュールの遅延により当社の事業戦略や経営成績、財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 臨床試験データについて 当社は、これまでに実施した臨床試験等から、CBP501およびCBS9106についてはいずれも、医薬品開発を進めるうえで有望な有効性および安全性データが得られていると判断しています。また、これらの開発計画および当社の事業計画についても、当該判断に基づいて作成されています。 しかしながら、これら開発化合物の有効性および安全性等が許認可当局に確認され新薬承認および上市に至るまでには、将来のピボタル試験(新薬承認申請のための最終的な検証試験)を経る必要があります。本剤に限らず一般的な医薬品開発に共通することですが、これら今後の臨床試験においては、有効性が確認されず、または重要な安全上の懸念事項が発生するなどの問題が生じる可能性があります。 こうした場合には、CBP501・CBS9106の開発計画の変更もしくは開発中止により、当社の事業計画の実現が困難となり、当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 開発パイプラインの拡充について 当社は、自社で臨床開発を続けている最先行化合物CBP501、既にライセンスアウトに成功しているCBS9106に続き、今後も新規医薬品候補化合物を自社で獲得・創出しパイプラインを拡充していくことを基本戦略としています。 この戦略を確実に推進するために当社は現在も、創薬アプローチの見直し、スクリーニング法の改良など、新規候補化合物の獲得・創出の可能性を高める努力を続けています。 しかしながら、当社の創薬アプローチやスクリーニング法によって現在すでに開発途中にあるもの以外の候補化合物を探索創出できる保証はありません。 今後の研究において新たな候補化合物が創出されず、または何らかの理由で当社のスクリーニング法による新規医薬品候補化合物の獲得・創出に支障が生じた場合には、当社の研究開発の基本戦略の変更を余儀なくされ、当社の事業戦略や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 (3) 会社組織に関するリスク① 業歴が浅いことについて(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社は、2000年1月に設立された、業歴の浅い企業です。また当社は、事業領域をいわゆる創薬領域に特化した特異な企業であり、将来は当社が開発した抗がん剤上市により事業収益を計上し利益を確保する計画ですが、現時点までに製品売上による事業収益がありません。 今後、未だ経験していない事業上のトラブルが社内外で発生する可能性は否定できず、当社の業績に影響を及ぼすと考えられる様々な事項について網羅的に予想し予め対処しておくことは現状においては困難です。 ② 小規模組織であることについて(※本リスク顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社の研究開発活動は比較的少人数による体制を敷いています。 また、既存パイプラインの開発推進および今後の新規医薬品候補化合物のパイプライン化に伴い、さらなる研究開発人員の増加を計画しています。 しかしながら、何らかの理由により、計画どおりの人員の確保が出来ない場合、あるいは既存人員の大量の流出等が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 ③ 少数の事業推進者への依存について 当社の事業戦略を成し遂げるには、当社事業戦略を推進する各部門の責任者と研究開発員に強く依存するところがあります。今後も当社は優秀な人材の確保および社内教育に努めていきますが、人材の確保および社内人材の教育が計画どおりに進まない場合、ならびに人材の流出が生じた場合には、当社の事業戦略や研究開発の推進に支障をきたす可能性があります。 また、当社はこれまで、創業科学者であり当社の競争力の源泉となっている技術の創出者・発明者でもある河邊拓己を中心として基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してきました。河邊は現在も代表取締役社長として当社の意思決定および事業運営にあたって広範かつ中心的な役割を担っています。 当社は、少数の事業推進者に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織の強化を図っていますが、当面は河邊への依存度が高い状態で推移することが見込まれるため、何らかの理由により河邊が当社の業務を遂行するにあたって困難をきたした場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 科学顧問会議(SAB)について(※本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社は、社長の諮問機関として、抗がん剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABミーティングは、2002年3月の発足以来概ね定期的に開催され、基礎研究から臨床開発に至る情報交換や議論を行っています。 今後も当社は優秀なSABメンバーの確保に努めていきますが、現在のメンバーとの間の契約が更新されないなど、何らかの理由によりメンバーの確保が困難となった場合またはメンバーの流出が生じた場合には、当社の研究開発の推進に何らかの支障をきたす可能性があります。 ⑤ 研究開発の主要部分に関するアウトソーシングについて(※現時点において本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社は、自社を少人数体制で運用しつつ機動的な事業運営を図るため、広く社外に有能な専門家の参加を求め、以下に掲げる研究開発の主要な部分についてはアウトソーシング契約に基づく外部委託に依存しています。 ・化合物の最適化およびこれに関連する化合物合成業務 ・前臨床試験および臨床試験に用いる、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造設備およびその品質管理・製造管理に関する規則)に準拠した原薬製造業務 ・臨床試験のコーディネート(CRO) これらの契約につき、当社にとって不利な契約条件変更が行われた場合、または契約期間満了、解除、その他何らかの理由によりこれらの契約が終了した場合は、当社の研究開発の推進に支障をきたし、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 自然災害について 当社は、事業活動の中心となる設備や人員が本社周辺に集中しており、地理的なリスク分散ができていません。データの分散バックアップやリモート業務体制の拡充等によってリスクの低減は図っているものの、本社周辺地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、事業活動の停滞によって、当社の財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。 (4) 知的財産権に関するリスク① 特許の状況について 当社の研究開発に関する特許は、すべて自社保有のものです。その主要な特許は以下のとおりです。対象発明の名称所有者国際公開番号登録状況CBP501およびそのバックアップ化合物群抗増殖活性を有し、そして/又は核酸損傷剤を増大するペプチド及びペプチド模倣物あるいは処置当社2003/059942米国、欧州主要国および日本において成立しています。免疫調整活性、抗炎症活性、および抗ウイルス活性を有するペプチドおよびペプチド模倣物当社2004/112820米国、日本において成立しています。抗がん治療の効力を推定するための感受性試験当社2005/014856米国において成立しています。ペプチド及びペプチド模倣物の併用投与並びにがん患者の部分母集団に対する治療当社2014/207556米国、欧州主要国および日本において成立しています。ペプチド及びペプチド模倣物並びにT細胞活性化及び/又は免疫チェックポイント阻害剤の併用によるがん治療当社2017/069291米国、日本において成立しています。CBS9106をはじめとするCBS9100シリーズDNA傷害を増強することによる抗がん活性をもつ化合物当社2009/031040米国、欧州主要国および日本において成立しています。IDO/TDO阻害剤IDO/TDO阻害剤(注)22019/078246日本において成立しています。(注)1.欧州主要国とは、欧州特許庁加盟国のうち、当社の特許戦略上有意義と判断し得る国を指します。具体的には、ドイツ、スイス、英国、フランス、ベルギー、イタリアなどです。2.当社と一般社団法人ファルマバレープロジェクト支援機構の共有特許です。 出願中の各特許については、特許出願時に特許性等に関する十分な調査を行ってはいますが、すべての特許出願について特許を受けられるとは限りません。当社の出願中の特許が成立しなかった場合、他社の競合品に対して特許権を行使することができず、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 さらに、当社事業領域を包含するバイオテクノロジー関連産業においては、日々熾烈な研究開発競争が繰り広げられており、当社の特許が成立し当社技術を保護できたとしても、当社の研究開発を超える優れた開発力により、当社の特許が淘汰または無力化されるおそれは常に存在しています。仮にそのような研究開発が他社によりなされた場合には、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、これらの特許が発行された場合にも、これらの権利を維持していくための費用が今後当社の負担になる可能性もあります。 なお、本項に記載した事項については、現在、これらの状況に支障もしくは支障の発生を懸念される事項は存在していません。 ② 訴訟およびクレームについて(※本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当事業年度末現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟およびクレームが発生した事実はありません。 また、当社は、今後発生し得るこのような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては弁護士との相談や特許事務所を通じた特許調査を適宜実施しており、現時点において、当社事業が第三者の特許権等に抵触する可能性は低いものと認識しています。 しかしながら、当社のような研究開発型の企業にとって、差止請求、損害賠償請求、実施料請求等の知的財産権侵害問題の可能性を完全に排除することは困難です。また、当社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、解決に時間および多大の費用を要する可能性があり、さらに、当社が第三者の特許権等を侵害していた場合、当該第三者から差止請求権や損害賠償請求権を行使されたり、高額な実施料を請求されたりすることにより、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 特許の確保に関するリスクについて(※現時点において本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社が職務発明の発明者である役員・従業員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は発明者に対して特許法第35条第3項に定める「相当の対価」を支払わなければなりません。これまでに対価の支払について発明者との間で問題が生じたことはありませんが、対価の相当性につき紛争が発生する可能性を将来にわたり完全に排除することはできません。紛争が生じた場合や、発明者に追加の対価を支払わなければならない場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 また、当社が過去に譲り受けた特許および出願特許について、当社または前保有者が第三者により使用権や担保権の主張を受ける可能性を完全に排除することはできず、かかる主張を受けた場合には、当社の事業戦略、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 情報管理について 当社が研究もしくは開発している途上の知見、技術、ノウハウ等、重要な機密情報が流出した場合には、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 このリスクを低減するために当社は、役職員、SABメンバー、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するとともに、個別の事情に応じた情報開示を行うなど、厳重な情報管理に努めています。 しかしながら、役職員、SABメンバー、取引先等によりこれが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、かかる場合には当社の事業に影響を与える可能性があります。 (5) 経営成績の推移について① 過年度における業績推移について 当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりです。回次第20期第21期第22期第23期第24期決算年月2019年6月2020年6月2021年6月2022年6月2023年6月事業収益(千円)115,550110,000108,945--営業利益(千円)△533,077△566,800△547,671△846,438△965,965経常利益(千円)△534,958△573,686△555,112△854,327△1,283,062 当社の現在までの事業収益は、過去に受託した委託研究の対価ならびに提携契約に基づく収益のみであり、当社が開発した抗がん剤の製品売上による事業収益は未だ計上していません。 また、現在まで、抗がん剤開発のための研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失を計上する状態が続いています。 このため、過年度の財務経営指標は期間業績比較を行うための材料としては不十分であると考えられ、今後の当社業績を予測する材料としては不十分な面があります。 ② 資金繰りについて 当社のような創薬企業の財務上の特徴は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続くことです。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは大半の期にマイナスを計上しています。また、当社は、当事業年度末において当面の事業活動の継続に影響のない水準の現金及び預金を有しているものの、現時点において安定的な収益源を有していません。 このため、先行投資期間においては、現在進めているアライアンス活動で獲得する新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるほか、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填する方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。 (6) 為替変動リスクについて(※本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社が実施する海外での臨床試験においては、研究開発費等の支出に外貨建取引が含まれる場合があります。その場合、当社は、外貨建取引の計画時と決済時の間の為替変動リスクを回避するために外貨建取引の支出計画に基づき外貨を事前購入するなどの方法でリスク回避を図る場合がありますが、この為替変動リスクを完全に回避できるとは限らず、この為替変動リスクが顕在化した場合には当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また為替変動に伴う当社保有外貨評価額の変動により、四半期会計期間および事業年度において為替差損益を計上し、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について 当社は、当社取締役(監査等委員を含む。)、従業員および社外協力者等の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を導入しており、会社法の規定に基づき新株予約権を従業員に対して付与しています。また、当社は、資金調達を目的として、新株予約権を発行しています。 その総量は、当事業年度末現在における当社の発行済株式総数の20.1%にあたります。 今後についても優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。また、新株予約権を活用した資金調達を実施する可能性もあります。このため、既に付与された、もしくは今後付与される当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。 (8) 継続企業の前提に関する重要事象等について 当社が手がける創薬事業は、医薬品として承認された製品の売上による事業収益の計上までに多額の資金と長い時間を要する等の特色があります。当社は創業以来現時点まで製品の売上による事業収益を計上しておらず、また、現時点において、医薬品として承認された製品、承認が確実となっている開発品のいずれも有していません。 現在開発を進めている医薬品候補化合物は、CBP501については、膵臓がんを対象とした次相臨床試験の準備段階、CBS9106については臨床第1相試験を終了し次相臨床試験の計画段階にあります。これらの候補化合物の開発が今後順調に進捗し医薬品として承認され事業収益に寄与する保証はなく、また、順調に進捗した場合にはさらに多額の資金を投入して開発を進める必要があり、この資金の源泉となる製薬企業等との提携等が必要となるところ、当社は現時点において、CBP501については製薬企業等との提携関係を有しておらず、CBS9106については提携パートナーを有しているもののこれによる収益は当社の事業費用の全額を賄うには至っていません。この状況により当社には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。 当該状況を解消するべく、当社は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、⑤ 資本の財源および資金の流動性についての分析」に記載のとおり、必要に応じて資金調達等を実施するほか、CBP501にかかる追加的な戦略提携などによる収益の獲得に努めます。あわせて後続のパイプラインに関しても、その開発状況に応じて早期アライアンスの獲得活動あるいは資金調達を進めていきます。
FY2022|11,591 文字
2【事業等のリスク】 以下において、経営者が当社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に関してリスク要因と考える主な事項を記載しています。 また、当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項、他の事項と比してリスク顕在化のおそれが低い事項、リスクが顕在化した場合の影響が他の事項と比して軽微な事項についても、投資判断の上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で必要と考えられる事項については、投資家および株主に対する積極的な情報開示の観点から開示しています。これらに該当する事項には、項目名の末尾に注を付しています。 当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。 なお、文中の将来に関する記載は当事業年度末現在において当社が判断したものです。 (1) 創薬事業全般に関するリスク 当社は、自社創出の候補化合物群を医薬品として開発する事業を主業務としています。 医薬品の研究開発の分野は、巨大製薬企業をはじめとする多数の強力な競合が存在し、さらに当社を含むいわゆる創薬ベンチャー企業が技術革新の質とスピードを競い合う業界です。また、開発から製造および販売に至る過程では、多くの規制に従って、長期間にわたり多額の資金を投入して事業活動を推進する必要があります。その将来性は不確実性を伴うものであり、当社の現在および将来における事業についてもこのようなリスクが附随しています。 ① 医薬品開発の不確実性について 製品上市に至る医薬品開発の過程は長期かつ多額の費用を要するもので、開発が成功する確率は決して高くなく、開発のいずれの段階においても中止や遅延の判断をすることは稀ではありません。医薬品開発においては、様々な開発過程を段階的に進めていく必要があり、それぞれの段階において、開発続行の可否が判断されます。一般的に、その開発途上で中止の決定を行うことは稀なことではなく、開発が順調に進み製品化される確率は低いものとされています。 このリスクを低減・分散するため、一般には開発パイプラインに医薬品候補化合物を複数保有し、かつ、それぞれの候補化合物にバックアップ化合物を保有することによって、ひとつの候補化合物の開発において何らかの障害が発生した場合の対応策とすることが行われています。 当社においては、互いに独立した複数の候補化合物を開発パイプラインに持ち、それぞれについてバックアップ化合物を保有することによって、開発過程において何らかの障害が発生した場合の事業遂行上のロスを最小限に留めるよう努めています。 しかしながら、当社のような規模の創薬企業にとって、ひとつの医薬品候補化合物が開発から脱落することはきわめて大きな影響があります。また、バックアップの類似化合物といえども医薬品開発上は新規の化合物として取り扱われることから、当該化合物の開発には遅延が生じることとなります。障害発生までに獲得した類似化合物での知見を活用することにより遅延の幅や遅延に伴う追加費用を縮小できる可能性はあるものの、研究開発に当初予想以上の期間および費用がかかることは否めず、その場合には当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 将来収益の不確実性について 当社が開発を進めている製品の販売から収益を得るには、当社が単独または第三者と共同で、市場性のある医薬品の開発、許認可当局からの承認、製造および販売のすべての段階において成功を収めることが必要です。当社は、これらの活動において成功しない可能性があり、また、成功したとしても、当社の事業活動を継続するために必要な採算性を確保する十分な収益を得ることができない可能性もあります。 当社は現在、臨床試験段階の候補化合物を有し、これらの開発を推進し製品上市に至ることによって製品売上高またはロイヤルティ等による事業収益を獲得するべく事業活動を行っています。しかしながら、現時点において製品販売に関する売上高はなく、現実に製品として上市するまでには相当の期間を要すると予想され、また、現実に製品として上市される保証はありません。 なお、当社は、現時点で想定している適応疾患の選定や提携手法・マーケティング手法等について、既承認の抗がん剤の市場規模やマーケティング実績等をもとに十分に将来の採算性を見込めるものと判断していますが、万一この判断が誤っていた場合、あるいはこの判断の基礎となる状況に変化が発生し当社がその変化に迅速に対応できなかった場合には、当社の財政状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。③ 遵守すべき法的規制等および医療保険制度等の不確実性について 当社の事業計画は、現行の法的規制および医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提としています。 しかしながら、当社が開発を進めている製品が現実に製品として上市されるまでには相当の期間を要し、その間これらの規制や制度・価格設定動向等が変動しない保証はありません。もしこれらに大きな変動が発生した場合には、当社の計画する経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 潜在的な競合について 当社の潜在的な競合相手は、主要な製薬企業、バイオ関連企業、大学、その他の研究機関等多岐にわたります。それら競合相手の中には、技術力、マーケティング力、財務状況等について当社と比較して優位にある企業が多数あり、当社開発品と競合する医薬品について、有効性の高い製品を効率よく生産および販売する可能性があります。 したがって、許認可当局によって当社の製品候補の販売承認が得られた場合であっても、これら競合相手との競争次第で、当社の計画する経営成績に影響をきたす可能性があります。 ⑤ 賠償問題発生リスクについて(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 医薬品の臨床試験を実施する際には、薬剤による副作用などに伴う賠償問題が発生するリスクが伴います。これに関し当社は、必要と認める損害保険への加入などによって、このような事態が発生した場合の財政的負担を最小限にするべく対応しています。しかしながら、賠償額が当該保険により補償される範囲を超える可能性は否定できず、その場合には財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 また、医薬品の開発および製造には、製造物責任賠償のリスクが内在します。当社は将来、開発したいずれかの医薬品が健康被害を引き起こし、または臨床試験、製造、営業もしくは販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負い、当社の業務および経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるイメージ低下により、当社および当社の医薬品に対する信頼が損なわれ、当社の事業に影響を与える可能性があります。 (2) 当社事業遂行上のリスク① 提携パートナーの確保について 当社のような創薬ベンチャー企業が基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップ等をすべて単独で行うことは困難であることから、開発期間中においては製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、開発費の多くを提携先製薬企業等が負担する一方で、アップフロント収入・マイルストーン収入等によって基礎的な収支を賄い、将来の製品上市後においてロイヤルティ収入等により企業価値の最大化を図るのが、一般的な戦略とされています。 当社は、最先行化合物CBP501に関し、2010年6月に武田薬品工業株式会社との共同事業化契約を解消し、以来現在に至るまで、提携パートナーを有しない状態で臨床開発をはじめとする事業活動を継続してきました。 CBP501の今後の臨床試験については、必要に応じて新株発行等による調達資金を用いた推進も検討しつつ、基本的には引続き提携パートナーの獲得を最優先としていきます。 しかしながら、提携パートナー獲得活動はその候補となる製薬企業等との交渉によるものであり、成立の不確実性は小さくありません。また、提携は必ずしもその後の開発推進に十分な資金の確保をもたらすものではありません。 これらのリスクが顕在化し、提携パートナーの確保が大幅に遅れもしくはできなかった場合には、臨床試験スケジュールの遅延により当社の事業戦略や経営成績、財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社は今後創出される後続パイプラインについても逐次製薬企業等とのアライアンス活動を行い、事業リスクの分散に努めていきますが、その場合にも、当社のビジネスモデル上、限られた少数の提携企業との契約に依存した事業計画を有する状況は長期にわたって続くものと考えられます。 当社は、これらの提携契約については、当社にとって不利な契約改訂が行われた場合または契約期間満了、解除、その他何らかの理由により契約が終了した場合にも当社の経営成績に与える影響が軽減される条項を盛り込むよう努めていますが、かかる条項をもってしても当社の経営成績に及ぼす影響を完全に回避することはできません。 ② 臨床試験データについて 当社は、これまでに実施した臨床試験等から、CBP501およびCBS9106についてはいずれも、医薬品開発を進めるうえで有望な有効性および安全性データが得られていると判断しています。また、これらの開発計画および当社の事業計画についても、当該判断に基づいて作成されています。 しかしながら、これら開発化合物の有効性および安全性等が許認可当局に確認されNDA承認および上市に至るまでには、将来のピボタル試験(新薬承認申請のための最終的な検証試験)を経る必要があります。本剤に限らず一般的な医薬品開発に共通することですが、これら今後の臨床試験においては、有効性が確認されず、または重要な安全上の懸念事項が発生するなどの問題が生じる可能性があります。 こうした場合には、CBP501・CBS9106の開発計画の変更もしくは開発中止により、当社の事業計画の実現が困難となり、当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 開発パイプラインの拡充について 当社は、自社で臨床開発を続けている最先行化合物CBP501、既にライセンスアウトに成功しているCBS9106に続き、今後も新規医薬品候補化合物を自社で獲得・創出しパイプラインを拡充していくことを基本戦略としています。 この戦略を確実に推進するために当社は現在も、創薬アプローチの見直し、スクリーニング法の改良など、新規候補化合物の獲得・創出の可能性を高める努力を続けています。 しかしながら、当社の創薬アプローチやスクリーニング法によって現在すでに開発途中にあるもの以外の候補化合物を探索創出できる保証はありません。 今後の研究において新たな候補化合物が創出されず、または何らかの理由で当社のスクリーニング法による新規医薬品候補化合物の獲得・創出に支障が生じた場合には、当社の研究開発の基本戦略の変更を余儀なくされ、当社の事業戦略や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 (3) 会社組織に関するリスク① 業歴が浅いことについて(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社は、2000年1月に設立された、業歴の浅い企業です。また当社は、事業領域をいわゆる創薬領域に特化した特異な企業であり、将来は当社が開発した抗がん剤上市により事業収益を計上し利益を確保する計画ですが、現時点までに製品売上による事業収益がありません。 今後、未だ経験していない事業上のトラブルが社内外で発生する可能性は否定できず、当社の業績に影響を及ぼすと考えられる様々な事項について網羅的に予想し予め対処しておくことは現状においては困難です。 ② 小規模組織であることについて(※本リスク顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社の研究開発活動は比較的少人数による体制を敷いています。 また、既存パイプラインの開発推進および今後の新規医薬品候補化合物のパイプライン化に伴い、さらなる研究開発人員の増加を計画しています。 しかしながら、何らかの理由により、計画どおりの人員の確保が出来ない場合、あるいは既存人員の大量の流出等が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 ③ 少数の事業推進者への依存について 当社の事業戦略を成し遂げるには、当社事業戦略を推進する各部門の責任者と研究開発員に強く依存するところがあります。今後も当社は優秀な人材の確保および社内教育に努めていきますが、人材の確保および社内人材の教育が計画どおりに進まない場合、ならびに人材の流出が生じた場合には、当社の事業戦略や研究開発の推進に支障をきたす可能性があります。 また、当社はこれまで、創業科学者であり当社の競争力の源泉となっている技術の創出者・発明者でもある河邊拓己を中心として基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してきました。河邊は現在も代表取締役社長として当社の意思決定および事業運営にあたって広範かつ中心的な役割を担っています。 当社は、少数の事業推進者に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織の強化を図っていますが、当面は河邊への依存度が高い状態で推移することが見込まれるため、何らかの理由により河邊が当社の業務を遂行するにあたって困難をきたした場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 科学顧問会議(SAB)について(※本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社は、社長の諮問機関として、抗がん剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABミーティングは、2002年3月の発足以来概ね定期的に開催され、基礎研究から臨床開発に至る情報交換や議論を行っています。 今後も当社は優秀なSABメンバーの確保に努めていきますが、現在のメンバーとの間の契約が更新されないなど、何らかの理由によりメンバーの確保が困難となった場合またはメンバーの流出が生じた場合には、当社の研究開発の推進に何らかの支障をきたす可能性があります。 ⑤ 研究開発の主要部分に関するアウトソーシングについて(※現時点において本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社は、自社を少人数体制で運用しつつ機動的な事業運営を図るため、広く社外に有能な専門家の参加を求め、以下に掲げる研究開発の主要な部分についてはアウトソーシング契約に基づく外部委託に依存しています。 ・化合物の最適化およびこれに関連する化合物合成業務 ・前臨床試験および臨床試験に用いる、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造設備およびその品質管理・製造管理に関する規則)に準拠した原薬製造業務 ・臨床試験のコーディネート(CRO) これらの契約につき、当社にとって不利な契約条件変更が行われた場合、または契約期間満了、解除、その他何らかの理由によりこれらの契約が終了した場合は、当社の研究開発の推進に支障をきたし、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 自然災害について 当社は、事業活動の中心となる設備や人員が本社周辺に集中しており、地理的なリスク分散ができていません。データの分散バックアップやリモート業務体制の拡充等によってリスクの低減は図っているものの、本社周辺地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、事業活動の停滞によって、当社の財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。 (4) 知的財産権に関するリスク① 特許の状況について当社の研究開発に関する特許は、すべて自社保有のものです。その主要な特許は以下のとおりです。対象発明の名称所有者国際公開番号登録状況CBP501およびそのバックアップ化合物群抗増殖活性を有し、そして/又は核酸損傷剤を増大するペプチド及びペプチド模倣物あるいは処置当社2003/059942米国、欧州主要国および日本において成立しています。免疫調整活性、抗炎症活性、および抗ウイルス活性を有するペプチドおよびペプチド模倣物当社2004/112820米国、日本において成立しています。抗がん治療の効力を推定するための感受性試験当社2005/014856米国において成立しています。ペプチド及びペプチド模倣物の併用投与並びにがん患者の部分母集団に対する治療当社2014/207556米国、欧州主要国および日本において成立しています。ペプチド及びペプチド模倣物並びにT細胞活性化及び/又は免疫チェックポイント阻害剤の併用によるがん治療当社2017/069291米国、日本において成立しています。CBS9106をはじめとするCBS9100シリーズDNA傷害を増強することによる抗がん活性をもつ化合物当社2009/031040米国、欧州主要国および日本において成立しています。(注)欧州主要国とは、欧州特許庁加盟国のうち、当社の特許戦略上有意義と判断し得る国を指します。具体的には、ドイツ、スイス、英国、フランス、ベルギー、イタリアなどです。 出願中の各特許については、特許出願時に特許性等に関する十分な調査を行ってはいますが、すべての特許出願について特許を受けられるとは限りません。当社の出願中の特許が成立しなかった場合、他社の競合品に対して特許権を行使することができず、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 さらに、当社事業領域を包含するバイオテクノロジー関連産業においては、日々熾烈な研究開発競争が繰り広げられており、当社の特許が成立し当社技術を保護できたとしても、当社の研究開発を超える優れた開発力により、当社の特許が淘汰または無力化されるおそれは常に存在しています。仮にそのような研究開発が他社によりなされた場合には、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、これらの特許が発行された場合にも、これらの権利を維持していくための費用が今後当社の負担になる可能性もあります。 なお、本項に記載した事項については、現在、これらの状況に支障もしくは支障の発生を懸念される事項は存在していません。② 訴訟およびクレームについて(※本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当事業年度末現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟およびクレームが発生した事実はありません。 また、当社は、今後発生し得るこのような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては弁護士との相談や特許事務所を通じた特許調査を適宜実施しており、現時点において、当社事業が第三者の特許権等に抵触する可能性は低いものと認識しています。 しかしながら、当社のような研究開発型の企業にとって、差止請求、損害賠償請求、実施料請求等の知的財産権侵害問題の可能性を完全に排除することは困難です。また、当社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、解決に時間および多大の費用を要する可能性があり、さらに、当社が第三者の特許権等を侵害していた場合、当該第三者から差止請求権や損害賠償請求権を行使されたり、高額な実施料を請求されたりすることにより、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 特許の確保に関するリスクについて(※現時点において本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社が職務発明の発明者である役員・従業員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は発明者に対して特許法第35条第3項に定める「相当の対価」を支払わなければなりません。これまでに対価の支払について発明者との間で問題が生じたことはありませんが、対価の相当性につき紛争が発生する可能性を将来にわたり完全に排除することはできません。紛争が生じた場合や、発明者に追加の対価を支払わなければならない場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 また、当社が過去に譲り受けた特許および出願特許について、当社または前保有者が第三者により使用権や担保権の主張を受ける可能性を完全に排除することはできず、かかる主張を受けた場合には、当社の事業戦略、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 情報管理について 当社が研究もしくは開発している途上の知見、技術、ノウハウ等、重要な機密情報が流出した場合には、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 このリスクを低減するために当社は、役職員、SABメンバー、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するとともに、個別の事情に応じた情報開示を行うなど、厳重な情報管理に努めています。 しかしながら、役職員、SABメンバー、取引先等によりこれが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、かかる場合には当社の事業に影響を与える可能性があります。 (5) 経営成績の推移について① 過年度における業績推移について当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりです。回次第19期第20期第21期第22期第23期決算年月2018年6月2019年6月2020年6月2021年6月2022年6月事業収益(千円)110,000115,550110,000108,945-営業利益(千円)△539,456△533,077△566,800△547,671△846,438経常利益(千円)△547,091△534,958△573,686△555,112△854,327 当社の現在までの事業収益は、過去に受託した委託研究の対価ならびに提携契約に基づく収益のみであり、当社が開発した抗がん剤の製品売上による事業収益は未だ計上していません。 また、現在まで、抗がん剤開発のための研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失を計上する状態が続いています。 このため、過年度の財務経営指標は期間業績比較を行うための材料としては不十分であると考えられ、今後の当社業績を予測する材料としては不十分な面があります。 ② 資金繰りについて 当社のような創薬企業の財務上の特徴は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続くことです。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは大半の期にマイナスを計上しています。また、当社は、当事業年度末において当面の事業活動の継続に影響のない水準の現金及び預金を有しているものの、現時点において安定的な収益源を有していません。 このため、先行投資期間においては、現在進めているアライアンス活動で獲得する新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるほか、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填する方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。 (6) 為替変動リスクについて(※本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社が実施する海外での臨床試験においては、研究開発費等の支出に外貨建取引が含まれる場合があります。その場合、当社は、外貨建取引の計画時と決済時の間の為替変動リスクを回避するために外貨建取引の支出計画に基づき外貨を事前購入するなどの方法でリスク回避を図る場合がありますが、この為替変動リスクを完全に回避できるとは限らず、この為替変動リスクが顕在化した場合には当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また為替変動に伴う当社保有外貨評価額の変動により、四半期会計期間および事業年度において為替差損益を計上し、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について 当社は、当社取締役(監査等委員を含む。)、従業員および社外協力者等の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を導入しており、会社法の規定に基づき新株予約権を取締役(監査等委員を含む。)および従業員に対して付与しています。また、当社は、資金調達を目的として、転換社債型新株予約権付社債および新株予約権を発行しています。 その総量は、当事業年度末現在における当社の発行済株式総数の38.6%にあたります。 今後についても優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。また、新株予約権を活用した資金調達を実施する可能性もあります。このため、既に付与された、もしくは今後付与される当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。 (8) 継続企業の前提に関する重要事象等について 当社が手がける創薬事業は、医薬品として承認された製品の売上による事業収益の計上までに多額の資金と長い時間を要する等の特色があります。当社は創業以来現時点まで製品の売上による事業収益を計上しておらず、また、現時点において、医薬品として承認された製品、承認が確実となっている開発品のいずれも有していません。 現在開発を進めている医薬品候補化合物は、CBP501については、膵臓がんを対象とした臨床第2相試験の段階、CBS9106については臨床第1相試験を終了し次相臨床試験の計画段階にあります。これらの候補化合物の開発が今後順調に進捗し医薬品として承認され事業収益に寄与する保証はなく、また、順調に進捗した場合にはさらに多額の資金を投入して開発を進める必要があり、この資金の源泉となる製薬企業等との提携等が必要となるところ、当社は現時点において、CBP501については製薬企業等との提携関係を有しておらず、CBS9106については提携パートナーを有しているもののこれによる収益は当社の事業費用の全額を賄うには至っていません。この状況により当社には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。 当該状況を解消するべく、当社は、過去に実施したCBP501臨床試験の結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見、ならびに現在進めている免疫チェックポイント阻害抗体の併用による臨床試験(第2相試験)の進行を踏まえた戦略提携の成立を最重要課題として収益の獲得に努めます。あわせて後続のパイプラインに関しても、早期アライアンスの獲得活動を進めていきます。また、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ⑤資本の財源および資金の流動性についての分析」に記載のとおり、必要に応じて資金調達等を実施することも検討していきます。 (9) 新型コロナウイルス感染症の影響について(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。)当事業年度における、新型コロナウイルス感染症による当社事業への特段の影響はありません。今後も新型コロナウイルス感染症による当社の事業展開等に対する影響について引き続きモニタリングを実施し、必要に応じて対応策を検討していきます。
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2【事業等のリスク】 以下において、経営者が当社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に関してリスク要因と考える主な事項を記載しています。 また、当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項、他の事項と比してリスク顕在化のおそれが低い事項、リスクが顕在化した場合の影響が他の事項と比して軽微な事項についても、投資判断の上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で必要と考えられる事項については、投資家および株主に対する積極的な情報開示の観点から開示しています。これらに該当する事項には、項目名の末尾に注を付しています。 当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。 なお、文中の将来に関する記載は当事業年度末現在において当社が判断したものです。 (1) 創薬事業全般に関するリスク 当社は、自社創出の候補化合物群を医薬品として開発する事業を主業務としています。 医薬品の研究開発の分野は、巨大製薬企業をはじめとする多数の強力な競合が存在し、さらに当社を含むいわゆる創薬ベンチャー企業が技術革新の質とスピードを競い合う業界です。また、開発から製造および販売に至る過程では、多くの規制に従って、長期間にわたり多額の資金を投入して事業活動を推進する必要があります。その将来性は不確実性を伴うものであり、当社の現在および将来における事業についてもこのようなリスクが附随しています。 ① 医薬品開発の不確実性について 製品上市に至る医薬品開発の過程は長期かつ多額の費用を要するもので、開発が成功する確率は決して高くなく、開発のいずれの段階においても中止や遅延の判断をすることは稀ではありません。医薬品開発においては、様々な開発過程を段階的に進めていく必要があり、それぞれの段階において、開発続行の可否が判断されます。一般的に、その開発途上で中止の決定を行うことは稀なことではなく、開発が順調に進み製品化される確率は低いものとされています。 このリスクを低減・分散するため、一般には開発パイプラインに医薬品候補化合物を複数保有し、かつ、それぞれの候補化合物にバックアップ化合物を保有することによって、ひとつの候補化合物の開発において何らかの障害が発生した場合の対応策とすることが行われています。 当社においては、互いに独立した複数の候補化合物を開発パイプラインに持ち、それぞれについてバックアップ化合物を保有することによって、開発過程において何らかの障害が発生した場合の事業遂行上のロスを最小限に留めるよう努めています。 しかしながら、当社のような規模の創薬企業にとって、ひとつの医薬品候補化合物が開発から脱落することはきわめて大きな影響があります。また、バックアップの類似化合物といえども医薬品開発上は新規の化合物として取り扱われることから、当該化合物の開発には遅延が生じることとなります。障害発生までに獲得した類似化合物での知見を活用することにより遅延の幅や遅延に伴う追加費用を縮小できる可能性はあるものの、研究開発に当初予想以上の期間および費用がかかることは否めず、その場合には当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 将来収益の不確実性について 当社が開発を進めている製品の販売から収益を得るには、当社が単独または第三者と共同で、市場性のある医薬品の開発、許認可当局からの承認、製造および販売のすべての段階において成功を収めることが必要です。当社は、これらの活動において成功しない可能性があり、また、成功したとしても、当社の事業活動を継続するために必要な採算性を確保する十分な収益を得ることができない可能性もあります。 当社は現在、臨床試験段階の候補化合物を有し、これらの開発を推進し製品上市に至ることによって製品売上高またはロイヤルティ等による事業収益を獲得するべく事業活動を行っています。しかしながら、現時点において製品販売に関する売上高はなく、現実に製品として上市するまでには相当の期間を要すると予想され、また、現実に製品として上市される保証はありません。 なお、当社は、現時点で想定している適応疾患の選定や提携手法・マーケティング手法等について、既承認の抗癌剤の市場規模やマーケティング実績等をもとに十分に将来の採算性を見込めるものと判断していますが、万一この判断が誤っていた場合、あるいはこの判断の基礎となる状況に変化が発生し当社がその変化に迅速に対応できなかった場合には、当社の財政状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。③ 遵守すべき法的規制等および医療保険制度等の不確実性について 当社の事業計画は、現行の法的規制および医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提としています。 しかしながら、当社が開発を進めている製品が現実に製品として上市されるまでには相当の期間を要し、その間これらの規制や制度・価格設定動向等が変動しない保証はありません。もしこれらに大きな変動が発生した場合には、当社の計画する経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 潜在的な競合について 当社の潜在的な競合相手は、主要な製薬企業、バイオ関連企業、大学、その他の研究機関等多岐にわたります。それら競合相手の中には、技術力、マーケティング力、財務状況等について当社と比較して優位にある企業が多数あり、当社開発品と競合する医薬品について、有効性の高い製品を効率よく生産および販売する可能性があります。 したがって、許認可当局によって当社の製品候補の販売承認が得られた場合であっても、これら競合相手との競争次第で、当社の計画する経営成績に影響をきたす可能性があります。 ⑤ 賠償問題発生リスクについて(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 医薬品の臨床試験を実施する際には、薬剤による副作用などに伴う賠償問題が発生するリスクが伴います。これに関し当社は、必要と認める損害保険への加入などによって、このような事態が発生した場合の財政的負担を最小限にするべく対応しています。しかしながら、賠償額が当該保険により補償される範囲を超える可能性は否定できず、その場合には財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 また、医薬品の開発および製造には、製造物責任賠償のリスクが内在します。当社は将来、開発したいずれかの医薬品が健康被害を引き起こし、または臨床試験、製造、営業もしくは販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負い、当社の業務および経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるイメージ低下により、当社および当社の医薬品に対する信頼が損なわれ、当社の事業に影響を与える可能性があります。 (2) 当社事業遂行上のリスク① 提携パートナーの確保について 当社のような創薬ベンチャー企業が基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップ等をすべて単独で行うことは困難であることから、開発期間中においては製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、開発費の多くを提携先製薬企業等が負担する一方で、アップフロント収入・マイルストーン収入等によって基礎的な収支を賄い、将来の製品上市後においてロイヤルティ収入等により企業価値の最大化を図るのが、一般的な戦略とされています。 当社は、最先行化合物CBP501に関し、2010年6月に武田薬品工業株式会社との共同事業化契約を解消し、以来現在に至るまで、提携パートナーを有しない状態で臨床開発をはじめとする事業活動を継続してきました。 CBP501の今後の臨床試験については、必要に応じて新株発行等による調達資金を用いた推進も検討しつつ、基本的には引続き提携パートナーの獲得を最優先としていきます。 しかしながら、提携パートナー獲得活動はその候補となる製薬企業等との交渉によるものであり、成立の不確実性は小さくありません。また、提携は必ずしもその後の開発推進に十分な資金の確保をもたらすものではありません。 これらのリスクが顕在化し、提携パートナーの確保が大幅に遅れもしくはできなかった場合には、臨床試験スケジュールの遅延により当社の事業戦略や経営成績、財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社は今後創出される後続パイプラインについても逐次製薬企業等とのアライアンス活動を行い、事業リスクの分散に努めていきますが、その場合にも、当社のビジネスモデル上、限られた少数の提携企業との契約に依存した事業計画を有する状況は長期にわたって続くものと考えられます。 当社は、これらの提携契約については、当社にとって不利な契約改訂が行われた場合または契約期間満了、解除、その他何らかの理由により契約が終了した場合にも当社の経営成績に与える影響が軽減される条項を盛り込むよう努めていますが、かかる条項をもってしても当社の経営成績に及ぼす影響を完全に回避することはできません。 ② 臨床試験データについて 当社は、これまでに実施した臨床試験等から、CBP501およびCBS9106についてはいずれも、医薬品開発を進めるうえで有望な有効性および安全性データが得られていると判断しています。また、これらの開発計画および当社の事業計画についても、当該判断に基づいて作成されています。 しかしながら、これら開発化合物の有効性および安全性等が許認可当局に確認されNDA承認および上市に至るまでには、将来のピボタル試験(新薬承認申請のための最終的な検証試験)を経る必要があります。本剤に限らず一般的な医薬品開発に共通することですが、これら今後の臨床試験においては、有効性が確認されず、または重要な安全上の懸念事項が発生するなどの問題が生じる可能性があります。 こうした場合には、CBP501・CBS9106の開発計画の変更もしくは開発中止により、当社の事業計画の実現が困難となり、当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 開発パイプラインの拡充について 当社は、自社で臨床開発を続けている最先行化合物CBP501、既にライセンスアウトに成功しているCBS9106に続き、今後も新規医薬品候補化合物を自社で獲得・創出しパイプラインを拡充していくことを基本戦略としています。 この戦略を確実に推進するために当社は現在も、創薬アプローチの見直し、スクリーニング法の改良など、新規候補化合物の獲得・創出の可能性を高める努力を続けています。 しかしながら、当社の創薬アプローチやスクリーニング法によって現在すでに開発途中にあるもの以外の候補化合物を探索創出できる保証はありません。 今後の研究において新たな候補化合物が創出されず、または何らかの理由で当社のスクリーニング法による新規医薬品候補化合物の獲得・創出に支障が生じた場合には、当社の研究開発の基本戦略の変更を余儀なくされ、当社の事業戦略や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 (3) 会社組織に関するリスク① 業歴が浅いことについて(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社は、2000年1月に設立された、業歴の浅い企業です。また当社は、事業領域をいわゆる創薬領域に特化した特異な企業であり、将来は当社が開発した抗癌剤上市により事業収益を計上し利益を確保する計画ですが、現時点までに製品売上による事業収益がありません。 今後、未だ経験していない事業上のトラブルが社内外で発生する可能性は否定できず、当社の業績に影響を及ぼすと考えられる様々な事項について網羅的に予想し予め対処しておくことは現状においては困難です。 ② 小規模組織であることについて(※本リスク顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社の研究開発活動は比較的少人数による体制を敷いています。 また、既存パイプラインの開発推進および今後の新規医薬品候補化合物のパイプライン化に伴い、さらなる研究開発人員の増加を計画しています。 しかしながら、何らかの理由により、計画どおりの人員の確保が出来ない場合、あるいは既存人員の大量の流出等が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 ③ 少数の事業推進者への依存について 当社の事業戦略を成し遂げるには、当社事業戦略を推進する各部門の責任者と研究開発員に強く依存するところがあります。今後も当社は優秀な人材の確保および社内教育に努めていきますが、人材の確保および社内人材の教育が計画どおりに進まない場合、ならびに人材の流出が生じた場合には、当社の事業戦略や研究開発の推進に支障をきたす可能性があります。 また、当社はこれまで、創業科学者であり当社の競争力の源泉となっている技術の創出者・発明者でもある河邊拓己を中心として基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してきました。河邊は現在も代表取締役社長として当社の意思決定および事業運営にあたって広範かつ中心的な役割を担っています。 当社は、少数の事業推進者に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織の強化を図っていますが、当面は河邊への依存度が高い状態で推移することが見込まれるため、何らかの理由により河邊が当社の業務を遂行するにあたって困難をきたした場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 科学顧問会議(SAB)について(※本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社は、社長の諮問機関として、抗癌剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABミーティングは、2002年3月の発足以来概ね定期的に開催され、基礎研究から臨床開発に至る情報交換や議論を行っています。 今後も当社は優秀なSABメンバーの確保に努めていきますが、現在のメンバーとの間の契約が更新されないなど、何らかの理由によりメンバーの確保が困難となった場合またはメンバーの流出が生じた場合には、当社の研究開発の推進に何らかの支障をきたす可能性があります。 ⑤ 研究開発の主要部分に関するアウトソーシングについて(※現時点において本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています) 当社は、自社を少人数体制で運用しつつ機動的な事業運営を図るため、広く社外に有能な専門家の参加を求め、以下に掲げる研究開発の主要な部分についてはアウトソーシング契約に基づく外部委託に依存しています。 ・化合物の最適化およびこれに関連する化合物合成業務 ・前臨床試験および臨床試験に用いる、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造設備およびその品質管理・製造管理に関する規則)に準拠した原薬製造業務 ・臨床試験のコーディネート(CRO) これらの契約につき、当社にとって不利な契約条件変更が行われた場合、または契約期間満了、解除、その他何らかの理由によりこれらの契約が終了した場合は、当社の研究開発の推進に支障をきたし、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 自然災害について 当社は、事業活動の中心となる設備や人員が本社周辺に集中しており、地理的なリスク分散ができていません。データの分散バックアップやリモート業務体制の拡充等によってリスクの低減は図っているものの、本社周辺地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、事業活動の停滞によって、当社の財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。 (4) 知的財産権に関するリスク① 特許の状況について当社の研究開発に関する特許は、すべて自社保有のものです。その主要な特許は以下のとおりです。対象発明の名称所有者国際公開番号登録状況CBP501およびそのバックアップ化合物群抗増殖活性を有し、そして/又は核酸損傷剤を増大するペプチド及びペプチド模倣物あるいは処置当社2003/059942米国、欧州主要国および日本において成立しています。免疫調整活性、抗炎症活性、および抗ウイルス活性を有するペプチドおよびペプチド模倣物当社2004/112820米国、日本において成立しています。抗癌治療の効力を推定するための感受性試験当社2005/014856米国において成立しています。ペプチド及びペプチド模倣物の併用投与並びに癌患者の部分母集団に対する治療当社2014/207556米国、欧州主要国および日本において成立しています。ペプチド及びペプチド模倣物並びにT細胞活性化及び/又は免疫チェックポイント阻害剤の併用による癌治療当社2017/069291米国において成立しています。CBS9106をはじめとするCBS9100シリーズDNA傷害を増強することによる抗癌活性をもつ化合物当社2009/031040米国、欧州主要国および日本において成立しています。(注)欧州主要国とは、欧州特許庁加盟国のうち、当社の特許戦略上有意義と判断し得る国を指します。具体的には、ドイツ、スイス、英国、フランス、ベルギー、イタリアなどです。 出願中の各特許については、特許出願時に特許性等に関する十分な調査を行ってはいますが、すべての特許出願について特許を受けられるとは限りません。当社の出願中の特許が成立しなかった場合、他社の競合品に対して特許権を行使することができず、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 さらに、当社事業領域を包含するバイオテクノロジー関連産業においては、日々熾烈な研究開発競争が繰り広げられており、当社の特許が成立し当社技術を保護できたとしても、当社の研究開発を超える優れた開発力により、当社の特許が淘汰または無力化されるおそれは常に存在しています。仮にそのような研究開発が他社によりなされた場合には、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、これらの特許が発行された場合にも、これらの権利を維持していくための費用が今後当社の負担になる可能性もあります。 なお、本項に記載した事項については、現在、これらの状況に支障もしくは支障の発生を懸念される事項は存在していません。② 訴訟およびクレームについて(※本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当事業年度末現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟およびクレームが発生した事実はありません。 また、当社は、今後発生し得るこのような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては弁護士との相談や特許事務所を通じた特許調査を適宜実施しており、現時点において、当社事業が第三者の特許権等に抵触する可能性は低いものと認識しています。 しかしながら、当社のような研究開発型の企業にとって、差止請求、損害賠償請求、実施料請求等の知的財産権侵害問題の可能性を完全に排除することは困難です。また、当社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、解決に時間および多大の費用を要する可能性があり、さらに、当社が第三者の特許権等を侵害していた場合、当該第三者から差止請求権や損害賠償請求権を行使されたり、高額な実施料を請求されたりすることにより、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 特許の確保に関するリスクについて(※現時点において本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社が職務発明の発明者である役員・従業員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は発明者に対して特許法第35条第3項に定める「相当の対価」を支払わなければなりません。これまでに対価の支払について発明者との間で問題が生じたことはありませんが、対価の相当性につき紛争が発生する可能性を将来にわたり完全に排除することはできません。紛争が生じた場合や、発明者に追加の対価を支払わなければならない場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 また、当社が過去に譲り受けた特許および出願特許について、当社または前保有者が第三者により使用権や担保権の主張を受ける可能性を完全に排除することはできず、かかる主張を受けた場合には、当社の事業戦略、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 情報管理について 当社が研究もしくは開発している途上の知見、技術、ノウハウ等、重要な機密情報が流出した場合には、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 このリスクを低減するために当社は、役職員、SABメンバー、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するとともに、個別の事情に応じた情報開示を行うなど、厳重な情報管理に努めています。 しかしながら、役職員、SABメンバー、取引先等によりこれが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、かかる場合には当社の事業に影響を与える可能性があります。 (5) 経営成績の推移について① 過年度における業績推移について当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりです。回次第18期第19期第20期第21期第22期決算年月2017年6月2018年6月2019年6月2020年6月2021年6月事業収益(千円)109,852110,000115,550110,000108,945営業利益(千円)△406,825△539,456△533,077△566,800△547,671経常利益(千円)△400,652△547,091△534,958△573,686△555,112 当社の現在までの事業収益は、過去に受託した委託研究の対価ならびに提携契約に基づく収益のみであり、当社が開発した抗癌剤の製品売上による事業収益は未だ計上していません。 また、現在まで、抗癌剤開発のための研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失を計上する状態が続いています。 このため、過年度の財務経営指標は期間業績比較を行うための材料としては不十分であると考えられ、今後の当社業績を予測する材料としては不十分な面があります。 ② 資金繰りについて 当社のような創薬企業の財務上の特徴は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続くことです。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは大半の期にマイナスを計上しています。また、当社は、当事業年度末において当面の事業活動の継続に影響のない水準の現金及び預金を有しているものの、現時点において安定的な収益源を有していません。 このため、先行投資期間においては、現在進めているアライアンス活動で獲得する新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるほか、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填する方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。 (6) 為替変動リスクについて(※本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社が実施する海外での臨床試験においては、研究開発費等の支出に外貨建取引が含まれる場合があります。その場合、当社は、外貨建取引の計画時と決済時の間の為替変動リスクを回避するために外貨建取引の支出計画に基づき外貨を事前購入するなどの方法でリスク回避を図る場合がありますが、この為替変動リスクを完全に回避できるとは限らず、この為替変動リスクが顕在化した場合には当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また為替変動に伴う当社保有外貨評価額の変動により、四半期会計期間および事業年度において為替差損益を計上し、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について 当社は、当社取締役(監査等委員を含む)、従業員および社外協力者等の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を導入しており、会社法の規定に基づき新株予約権を取締役(監査等委員を含む)および従業員に対して付与しています。また、当社は、資金調達を目的として、転換社債型新株予約権付社債および新株予約権を発行しています。 その総量は、当事業年度末現在における当社の発行済株式総数の17.6%にあたります。 今後についても優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。また、新株予約権を活用した資金調達を実施する可能性もあります。このため、既に付与された、もしくは今後付与される当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。 (8) 継続企業の前提に関する重要事象等について 当社が手がける創薬事業は、医薬品として承認された製品の売上による事業収益の計上までに多額の資金と長い時間を要する等の特色があります。当社は創業以来現時点まで製品の売上による事業収益を計上しておらず、また、現時点において、医薬品として承認された製品、承認が確実となっている開発品のいずれも有していません。 現在開発を進めている医薬品候補化合物は、CBP501については、過去に非小細胞肺癌(扁平上皮癌を除く)および悪性胸膜中皮腫を対象とした臨床第2相試験終了のうえでフェーズ1b試験の段階、CBS9106については臨床第1相試験の段階にあります。これらの候補化合物の開発が今後順調に進捗し医薬品として承認され事業収益に寄与する保証はなく、また、順調に進捗した場合にはさらに多額の資金を投入して開発を進める必要があり、この資金の源泉となる製薬企業等との提携等が必要となるところ、当社は現時点において、CBP501については製薬企業等との提携関係を有しておらず、CBS9106については提携パートナーを有しているもののこれによる収益は当社の事業費用の全額を賄うには至っていません。この状況により当社には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。 当該状況を解消するべく、当社は、過去に実施したCBP501臨床試験の結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見、ならびに現在進めている免疫チェックポイント阻害抗体の併用による臨床試験(フェーズ1b試験)の進行を踏まえた戦略提携の成立を最重要課題として収益の獲得に努めます。あわせて後続のパイプラインに関しても、早期アライアンスの獲得活動を進めていきます。また、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ⑤資本の財源および資金の流動性についての分析」に記載のとおり、必要に応じて資金調達等を実施することも検討していきます。 (9) 新型コロナウイルス感染症の影響について(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。)当事業年度における、新型コロナウイルス感染症による当社事業への特段の影響はありません。今後も新型コロナウイルス感染症による当社の事業展開等に対する影響について引き続きモニタリングを実施し、必要に応じて対応策を検討していきます。
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2【事業等のリスク】 以下において、経営者が当社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に関してリスク要因と考える主な事項を記載しています。 また、当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項、他の事項と比してリスク顕在化のおそれが低い事項、リスクが顕在化した場合の影響が他の事項と比して軽微な事項についても、投資判断の上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で必要と考えられる事項については、投資家および株主に対する積極的な情報開示の観点から開示しています。これらに該当する事項には、項目名の末尾に注を付しています。 当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。 なお、文中の将来に関する記載は当事業年度末現在において当社が判断したものです。 (1) 創薬事業全般に関するリスク 当社は、自社創出の候補化合物群を医薬品として開発する事業を主業務としています。 医薬品の研究開発の分野は、巨大製薬企業をはじめとする多数の強力な競合が存在し、さらに当社を含むいわゆる創薬ベンチャー企業が技術革新の質とスピードを競い合う業界です。また、開発から製造および販売に至る過程では、多くの規制に従って、長期間にわたり多額の資金を投入して事業活動を推進する必要があります。その将来性は不確実性を伴うものであり、当社の現在および将来における事業についてもこのようなリスクが附随しています。 ① 医薬品開発の不確実性について 製品上市に至る医薬品開発の過程は長期かつ多額の費用を要するもので、開発が成功する確率は決して高くなく、開発のいずれの段階においても中止や遅延の判断をすることは稀ではありません。医薬品開発においては、様々な開発過程を段階的に進めていく必要があり、それぞれの段階において、開発続行の可否が判断されます。一般的に、その開発途上で中止の決定を行うことは稀なことではなく、開発が順調に進み製品化される確率は低いものとされています。 このリスクを低減・分散するため、一般には開発パイプラインに医薬品候補化合物を複数保有し、かつ、それぞれの候補化合物にバックアップ化合物を保有することによって、ひとつの候補化合物の開発において何らかの障害が発生した場合の対応策とすることが行われています。 当社におきましては、互いに独立した複数の候補化合物を開発パイプラインに持ち、それぞれについてバックアップ化合物を保有することによって、開発過程において何らかの障害が発生した場合の事業遂行上のロスを最小限に留めるよう努めています。 しかしながら、当社のような規模の創薬企業にとって、ひとつの医薬品候補化合物が開発から脱落することはきわめて大きな影響があります。また、バックアップの類似化合物といえども医薬品開発上は新規の化合物として取り扱われることから、当該化合物の開発には遅延が生じることとなります。障害発生までに獲得した類似化合物での知見を活用することにより遅延の幅や遅延に伴う追加費用を縮小できる可能性はあるものの、研究開発に当初予想以上の期間および費用がかかることは否めず、その場合には当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 将来収益の不確実性について 当社が開発を進めている製品の販売から収益を得るには、当社が単独または第三者と共同で、市場性のある医薬品の開発、許認可当局からの承認、製造および販売のすべての段階において成功を収めることが必要です。当社は、これらの活動において成功しない可能性があり、また、成功したとしても、当社の事業活動を継続するために必要な採算性を確保する十分な収益を得ることができない可能性もあります。 当社は現在、臨床試験段階の候補化合物を有し、これらの開発を推進し製品上市に至ることによって製品売上高またはロイヤルティ等による事業収益を獲得するべく事業活動を行っています。しかしながら、現時点において製品販売に関する売上高はなく、現実に製品として上市するまでには相当の期間を要すると予想され、また、現実に製品として上市される保証はありません。 なお、当社は、現時点で想定している適応疾患の選定や提携手法・マーケティング手法等について、既承認の抗癌剤の市場規模やマーケティング実績等をもとに十分に将来の採算性を見込めるものと判断していますが、万一この判断が誤っていた場合、あるいはこの判断の基礎となる状況に変化が発生し当社がその変化に迅速に対応できなかった場合には、当社の財政状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。③ 遵守すべき法的規制等および医療保険制度等の不確実性について 当社の事業計画は、現行の法的規制および医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提としています。 しかしながら、当社が開発を進めている製品が現実に製品として上市されるまでには相当の期間を要し、その間これらの規制や制度・価格設定動向等が変動しない保証はありません。もしこれらに大きな変動が発生した場合には、当社の計画する経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 潜在的な競合について 当社の潜在的な競合相手は、主要な製薬企業、バイオ関連企業、大学、その他の研究機関等多岐にわたります。それら競合相手の中には、技術力、マーケティング力、財務状況等について当社と比較して優位にある企業が多数あり、当社開発品と競合する医薬品について、有効性の高い製品を効率よく生産および販売する可能性があります。 したがって、許認可当局によって当社の製品候補の販売承認が得られた場合であっても、これら競合相手との競争次第で、当社の計画する経営成績に影響をきたす可能性があります。 ⑤ 賠償問題発生リスクについて(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 医薬品の臨床試験を実施する際には、薬剤による副作用などに伴う賠償問題が発生するリスクが伴います。これに関し当社は、必要と認める損害保険への加入などによって、このような事態が発生した場合の財政的負担を最小限にするべく対応しています。しかしながら、賠償額が当該保険により補償される範囲を超える可能性は否定できず、その場合には財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 また、医薬品の開発および製造には、製造物責任賠償のリスクが内在します。当社は将来、開発したいずれかの医薬品が健康被害を引き起こし、または臨床試験、製造、営業もしくは販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負い、当社の業務および経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるイメージ低下により、当社および当社の医薬品に対する信頼が損なわれ、当社の事業に影響を与える可能性があります。 (2) 当社事業遂行上のリスク① 提携パートナーの確保について 当社のような創薬ベンチャー企業が基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップ等をすべて単独で行うことは困難であることから、開発期間中においては製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、開発費の多くを提携先製薬企業等が負担する一方で、アップフロント収入・マイルストーン収入等によって基礎的な収支を賄い、将来の製品上市後においてロイヤルティ収入等により企業価値の最大化を図るのが、一般的な戦略とされています。 当社は、最先行化合物CBP501に関し、2010年6月に武田薬品工業株式会社との共同事業化契約を解消し、以来現在に至るまで、提携パートナーを有しない状態で臨床開発をはじめとする事業活動を継続してきました。 CBP501の次相以降の臨床試験については、必要に応じて新株発行等による調達資金を用いた推進も検討しつつ、基本的には引続き提携パートナーの獲得を最優先としていきます。 しかしながら、提携パートナー獲得活動はその候補となる製薬企業等との交渉によるものであり、成立の不確実性は小さくありません。 これらのリスクが顕在化し、提携パートナーの確保が大幅に遅れもしくはできなかった場合には、臨床試験スケジュールの遅延により当社の事業戦略や経営成績、財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社は今後創出される後続パイプラインについても逐次製薬企業等とのアライアンス活動を行い、事業リスクの分散に努めていきますが、その場合にも、当社のビジネスモデル上、限られた少数の提携企業との契約に依存した事業計画を有する状況は長期にわたって続くものと考えられます。 当社は、これらの提携契約については、当社にとって不利な契約改訂が行われた場合または契約期間満了、解除、その他何らかの理由により契約が終了した場合にも当社の経営成績に与える影響が軽減される条項を盛り込むよう努めていますが、かかる条項をもってしても当社の経営成績に及ぼす影響を完全に回避することはできません。 ② 臨床試験データについて 当社は、これまでに実施した臨床試験等から、CBP501およびCBS9106についてはいずれも、医薬品開発を進めるうえで有望な有効性および安全性データが得られていると判断しています。また、これらの開発計画および当社の事業計画についても、当該判断に基づいて作成されています。 しかしながら、これら開発化合物の有効性および安全性等が許認可当局に確認されNDA承認および上市に至るまでには、将来のピボタル試験(新薬承認申請のための最終的な検証試験)を経る必要があります。本剤に限らず一般的な医薬品開発に共通することですが、これら今後の臨床試験においては、有効性が確認されず、または重要な安全上の懸念事項が発生するなどの問題が生じる可能性があります。 こうした場合には、CBP501・CBS9106の開発計画の変更もしくは開発中止により、当社の事業計画の実現が困難となり、当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 開発パイプラインの拡充について 当社は、自社で臨床開発を続けている最先行化合物CBP501、既にライセンスアウトに成功しているCBS9106に続き、今後も新規医薬品候補化合物を自社で獲得・創出しパイプラインを拡充していくことを基本戦略としています。 この戦略を確実に推進するために当社は現在も、創薬アプローチの見直し、スクリーニング法の改良など、新規候補化合物の獲得・創出の可能性を高める努力を続けています。 しかしながら、当社の創薬アプローチやスクリーニング法によって現在すでに開発途中にあるもの以外の候補化合物を探索創出できる保証はありません。 今後の研究において新たな候補化合物が創出されず、または何らかの理由で当社のスクリーニング法による新規医薬品候補化合物の獲得・創出に支障が生じた場合には、当社の研究開発の基本戦略の変更を余儀なくされ、当社の事業戦略や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 (3) 会社組織に関するリスク① 業歴が浅いことについて(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社は、2000年1月に設立された、業歴の浅い企業です。また当社は、事業領域をいわゆる創薬領域に特化した特異な企業であり、将来は当社が開発した抗癌剤上市により事業収益を計上し利益を確保する計画ですが、現時点までに製品売上による事業収益がありません。 今後、未だ経験していない事業上のトラブルが社内外で発生する可能性は否定できず、当社の業績に影響を及ぼすと考えられる様々な事項について網羅的に予想し予め対処しておくことは現状においては困難です ② 小規模組織であることについて(※本リスク顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社の研究開発活動は比較的少人数による体制を敷いています。 また、既存パイプラインの開発推進および今後の新規医薬品候補化合物のパイプライン化に伴い、さらなる研究開発人員の増加を計画しています。 しかしながら、何らかの理由により、計画どおりの人員の確保が出来ない場合、あるいは既存人員の大量の流出等が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 ③ 少数の事業推進者への依存について 当社の事業戦略を成し遂げるには、当社事業戦略を推進する各部門の責任者と研究開発員に強く依存するところがあります。今後も当社は優秀な人材の確保および社内教育に努めていきますが、人材の確保および社内人材の教育が計画どおりに進まない場合、ならびに人材の流出が生じた場合には、当社の事業戦略や研究開発の推進に支障をきたす可能性があります。 また、当社はこれまで、創業科学者であり当社の競争力の源泉となっている技術の創出者・発明者でもある河邊拓己を中心として基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してきました。河邊は現在も代表取締役社長として当社の意思決定および事業運営にあたって広範かつ中心的な役割を担っています。 当社は、少数の事業推進者に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織の強化を図っていますが、当面は河邊への依存度が高い状態で推移することが見込まれるため、何らかの理由により河邊が当社の業務を遂行するにあたって困難をきたした場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 科学顧問会議(SAB)について(※本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社は、社長の諮問機関として、抗癌剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABミーティングは、2002年3月の発足以来概ね定期的に開催され、基礎研究から臨床開発に至る情報交換や議論を行っています。 今後も当社は優秀なSABメンバーの確保に努めていきますが、現在のメンバーとの間の契約が更新されないなど、何らかの理由によりメンバーの確保が困難となった場合またはメンバーの流出が生じた場合には、当社の研究開発の推進に何らかの支障をきたす可能性があります。 ⑤ 研究開発の主要部分に関するアウトソーシングについて(※現時点において本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています) 当社は、自社を少人数体制で運用しつつ機動的な事業運営を図るため、広く社外に有能な専門家の参加を求め、以下に掲げる研究開発の主要な部分についてはアウトソーシング契約に基づく外部委託に依存しています。 ・化合物の最適化およびこれに関連する化合物合成業務 ・前臨床試験および臨床試験に用いる、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造設備およびその品質管理・製造管理に関する規則)に準拠した原薬製造業務 ・臨床試験のコーディネート(CRO) これらの契約につき、当社にとって不利な契約条件変更が行われた場合、または契約期間満了、解除、その他何らかの理由によりこれらの契約が終了した場合は、当社の研究開発の推進に支障をきたし、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 自然災害について 当社は、事業活動の中心となる設備や人員が本社周辺に集中しており、地理的なリスク分散ができていません。データの分散バックアップやリモート業務体制の拡充等によってリスクの低減は図っているものの、本社周辺地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、事業活動の停滞によって、当社の財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。 (4) 知的財産権に関するリスク① 特許の状況について当社の研究開発に関する特許は、すべて自社保有のものです。その主要な特許は以下のとおりです。対象発明の名称所有者国際公開番号登録状況薬剤スクリーニング法オリジナルペプチドTAT-S216G2期細胞周期停止の阻害、及びDNA損傷剤に対する細胞感作のための組成物及び方法当社2001/021771米国、欧州主要国(注)および日本において成立しています。CBP501およびそのバックアップ化合物群抗増殖活性を有し、そして/又は核酸損傷剤を増大するペプチド及びペプチド模倣物あるいは処置当社2003/059942米国、欧州主要国および日本において成立しています。免疫調整活性、抗炎症活性、および抗ウイルス活性を有するペプチドおよびペプチド模倣物当社2004/112820米国、日本において成立しています。抗癌治療の効力を推定するための感受性試験当社2005/014856米国において成立しています。ペプチド及びペプチド模倣物の併用投与並びに癌患者の部分母集団に対する治療当社2014/207556米国、欧州主要国および日本において成立しています。ペプチド及びペプチド模倣物並びにT細胞活性化及び/又は免疫チェックポイント阻害剤の併用による癌治療当社2017/069291米国において成立しています。CBS9106をはじめとするCBS9100シリーズDNA傷害を増強することによる抗癌活性をもつ化合物当社2009/031040米国、欧州主要国および日本において成立しています。(注)欧州主要国とは、欧州特許庁加盟国のうち、当社の特許戦略上有意義と判断し得る国を指します。具体的には、ドイツ、スイス、英国、フランス、ベルギー、イタリアなどです。 出願中の各特許については、特許出願時に特許性等に関する十分な調査を行ってはいますが、すべての特許出願について特許を受けられるとは限りません。当社の出願中の特許が成立しなかった場合、他社の競合品に対して特許権を行使することができず、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 さらに、当社事業領域を包含するバイオテクノロジー関連産業においては、日々熾烈な研究開発競争が繰り広げられており、当社の特許が成立し当社技術を保護できたとしても、当社の研究開発を超える優れた開発力により、当社の特許が淘汰または無力化されるおそれは常に存在しています。仮にそのような研究開発が他社によりなされた場合には、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、これらの特許が発行された場合にも、これらの権利を維持していくための費用が今後当社の負担になる可能性もあります。 なお、本項に記載した事項については、現在、これらの状況に支障もしくは支障の発生を懸念される事項は存在していません。② 訴訟およびクレームについて(※本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当事業年度末現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟およびクレームが発生した事実はありません。 また、当社は、今後発生し得るこのような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては弁護士との相談や特許事務所を通じた特許調査を適宜実施しており、現時点において、当社事業が第三者の特許権等に抵触する可能性は低いものと認識しています。 しかしながら、当社のような研究開発型の企業にとって、差止請求、損害賠償請求、実施料請求等の知的財産権侵害問題の可能性を完全に排除することは困難です。また、当社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、解決に時間および多大の費用を要する可能性があり、さらに、当社が第三者の特許権等を侵害していた場合、当該第三者から差止請求権や損害賠償請求権を行使されたり、高額な実施料を請求されたりすることにより、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 特許の確保に関するリスクについて(※現時点において本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。) 当社が職務発明の発明者である役員・従業員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は発明者に対して特許法第35条第3項に定める「相当の対価」を支払わなければなりません。これまでに対価の支払について発明者との間で問題が生じたことはありませんが、対価の相当性につき紛争が発生する可能性を将来にわたり完全に排除することはできません。紛争が生じた場合や、発明者に追加の対価を支払わなければならない場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 また、当社が過去に譲り受けた特許および出願特許について、当社または前保有者が第三者により使用権や担保権の主張を受ける可能性を完全に排除することはできず、かかる主張を受けた場合には、当社の事業戦略、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 情報管理について 当社が研究もしくは開発している途上の知見、技術、ノウハウ等、重要な機密情報が流出した場合には、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 このリスクを低減するために当社は、役職員、SABメンバー、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するとともに、個別の事情に応じた情報開示を行うなど、厳重な情報管理に努めています。 しかしながら、役職員、SABメンバー、取引先等によりこれが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、かかる場合には当社の事業に影響を与える可能性があります。 (5) 経営成績の推移について① 過年度における業績推移について当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりです。回次第17期第18期第19期第20期第21期決算年月2016年6月2017年6月2018年6月2019年6月2020年6月事業収益(千円)105,243109,852110,000115,550110,000営業利益(千円)△399,115△406,825△539,456△533,077△566,800経常利益(千円)△413,739△400,652△547,091△534,958△573,686 当社の現在までの事業収益は、過去に受託した委託研究の対価ならびに提携契約に基づく収益のみであり、当社が開発した抗癌剤の製品売上による事業収益は未だ計上していません。 また、現在まで、抗癌剤開発のための研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失を計上する状態が続いています。 このため、過年度の財務経営指標は期間業績比較を行うための材料としては不十分であると考えられ、今後の当社業績を予測する材料としては不十分な面があります。 ② 資金繰りについて 当社のような創薬企業の財務上の特徴は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続くことです。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは大半の期にマイナスを計上しています。また、当社は、当事業年度末において当面の事業活動の継続に影響のない水準の現金及び預金を有しているものの、現時点において安定的な収益源を有していません。 このため、先行投資期間においては、現在進めているアライアンス活動で獲得する新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるほか、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填する方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。 (6) 為替変動リスクについて(※本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。) 当社が実施する海外での臨床試験においては、研究開発費等の支出に外貨建取引が含まれる場合があります。その場合、当社は、外貨建取引の計画時と決済時の間の為替変動リスクを回避するために外貨建取引の支出計画に基づき外貨を事前購入するなどの方法でリスク回避を図る場合がありますが、この為替変動リスクを完全に回避できるとは限らず、この為替変動リスクが顕在化した場合には当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また為替変動に伴う当社保有外貨評価額の変動により、四半期会計期間および事業年度において為替差損益を計上し、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について 当社は、当社取締役(監査等委員を含む)、従業員および社外協力者等の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を導入しており、会社法の規定に基づき新株予約権を取締役(監査等委員を含む)および従業員に対して付与しています。また、当社は、資金調達を目的として、会社法に基づく新株予約権を発行しています。 その総量は、当事業年度末現在における当社の発行済株式総数の20.5%にあたります。 今後についても優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。また、新株予約権を活用した資金調達を実施する可能性もあります。このため、既に付与された、もしくは今後付与される当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。 (8) 継続企業の前提に関する重要事象等について 当社が手がける創薬事業は、医薬品として承認された製品の売上による事業収益の計上までに多額の資金と長い時間を要する等の特色があります。当社は創業以来現時点まで製品の売上による事業収益を計上しておらず、また、現時点において、医薬品として承認された製品、承認が確実となっている開発品のいずれも有していません。 現在開発を進めている医薬品候補化合物は、CBP501については臨床第2相試験終了のうえでフェーズ1b試験の段階、CBS9106については臨床第1相試験の段階にあります。これらの候補化合物の開発が今後順調に進捗し医薬品として承認され事業収益に寄与する保証はなく、また、順調に進捗した場合にはさらに多額の資金を投入して開発を進める必要があり、この資金の源泉となる製薬企業等との提携等が必要となるところ、当社は現時点において、CBP501については製薬企業等との提携関係を有しておらず、CBS9106については提携パートナーを有しているもののこれによる収益は当社の事業費用の全額を賄うには至っていません。この状況により当社には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。 当該状況を解消するべく、当社は、過去に実施したCBP501臨床試験の結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見、ならびに現在進めている免疫チェックポイント阻害抗体の併用による臨床試験(フェーズ1b試験)の進行を踏まえた戦略提携の成立を最重要課題として収益の獲得に努めます。あわせて後続のパイプラインに関しても、早期アライアンスの獲得活動を進めていきます。また、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ⑤資本の財源および資金の流動性についての分析」に記載のとおり、必要に応じて資金調達等を実施することも検討していきます。 (9) 新型コロナウイルス感染症の影響について(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。)当事業年度における、新型コロナウイルス感染症による当社事業への特段の影響はありません。今後も新型コロナウイルス感染症による当社の事業展開等に対する影響について引き続きモニタリングを実施し、必要に応じて対応策を検討していきます。
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2【事業等のリスク】 以下において、当社の事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しています。また、当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項についても、投資判断の上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家および株主に対する積極的な情報開示の観点から開示しています。 当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。 なお、文中の将来に関する記載は当事業年度末現在において当社が判断したものです。 (1) 創薬事業全般に関するリスク 当社は、自社創出の候補化合物群を医薬品として開発する事業を主業務としています。 医薬品の研究開発の分野は、巨大製薬企業をはじめとする多数の強力な競合が存在し、さらに当社を含むいわゆる創薬ベンチャー企業が技術革新の質とスピードを競い合う業界です。また、開発から製造および販売に至る過程では、多くの規制に従って、長期間にわたり多額の資金を投入して事業活動を推進する必要があります。その将来性は不確実性を伴うものであり、当社の現在および将来における事業についてもこのようなリスクが附随しています。 ① 医薬品開発の不確実性について 製品上市に至る医薬品開発の過程は長期かつ多額の費用を要するもので、開発が成功する確率は決して高くなく、開発のいずれの段階においても中止や遅延の判断をすることは稀ではありません。医薬品開発においては、様々な開発過程を段階的に進めていく必要があり、それぞれの段階において、開発続行の可否が判断されます。一般的に、その開発途上で中止の決定を行うことは稀なことではなく、開発が順調に進み製品化される確率は低いものとされています。 このリスクを低減・分散するため、一般には開発パイプラインに医薬品候補化合物を複数保有し、かつ、それぞれの候補化合物にバックアップ化合物を保有することによって、ひとつの候補化合物の開発において何らかの障害が発生した場合の対応策とすることが行われています。 当社におきましては、互いに独立した複数の候補化合物を開発パイプラインに持ち、それぞれについてバックアップ化合物を保有することによって、開発過程において何らかの障害が発生した場合の事業遂行上のロスを最小限に留めるよう努めています。 しかしながら、当社のような規模の創薬企業にとって、ひとつの医薬品候補化合物が開発から脱落することはきわめて大きな影響があります。また、バックアップの類似化合物といえども医薬品開発上は新規の化合物として取り扱われることから、当該化合物の開発には遅延が生じることとなります。障害発生までに獲得した類似化合物での知見を活用することにより遅延の幅や遅延に伴う追加費用を縮小できる可能性はあるものの、研究開発に当初予想以上の期間および費用がかかることは否めず、その場合には当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 将来収益の不確実性について 当社が開発を進めている製品の販売から収益を得るには、当社が単独または第三者と共同で、市場性のある医薬品の開発、許認可当局からの承認、製造および販売のすべての段階において成功を収めることが必要です。当社は、これらの活動において成功しない可能性があり、また、成功したとしても、当社の事業活動を継続するために必要な採算性を確保する十分な収益を得ることができない可能性もあります。 当社は現在、臨床試験段階の候補化合物を有し、これらの開発を推進し製品上市に至ることによって製品売上高またはロイヤルティ等による事業収益を獲得するべく事業活動を行っています。しかしながら、現時点において製品販売に関する売上高はなく、現実に製品として上市するまでには相当の期間を要すると予想され、また、現実に製品として上市される保証はありません。 なお、当社は、現時点で想定している適応疾患の選定や提携手法・マーケティング手法等について、既承認の抗癌剤の市場規模やマーケティング実績等をもとに十分に将来の採算性を見込めるものと判断していますが、万一この判断が誤っていた場合、あるいはこの判断の基礎となる状況に変化が発生し当社がその変化に迅速に対応できなかった場合には、当社の財政状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。 ③ 遵守すべき法的規制等および医療保険制度等の不確実性について 当社の事業計画は、薬事法をはじめとする現行の法的規制および医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提としています。 しかしながら、当社が開発を進めている製品が現実に製品として上市されるまでには相当の期間を要し、その間これらの規制や制度・価格設定動向等が変動しない保証はありません。もしこれらに大きな変動が発生した場合には、当社の計画する経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 潜在的な競合について 当社の潜在的な競合相手は、主要な製薬企業、バイオ関連企業、大学、その他の研究機関等多岐にわたります。それら競合相手の中には、技術力、マーケティング力、財務状況等について当社と比較して優位にある企業が多数あり、当社開発品と競合する医薬品について、有効性の高い製品を効率よく生産および販売する可能性があります。 したがって、許認可当局によって当社の製品候補の販売承認が得られた場合であっても、これら競合相手との競争次第で、当社の計画する経営成績に影響をきたす可能性があります。 ⑤ 賠償問題発生リスクについて 医薬品の臨床試験を実施する際には、薬剤による副作用などに伴う賠償問題が発生するリスクが伴います。これに関し当社は、必要と認める損害保険への加入などによって、このような事態が発生した場合の財政的負担を最小限にするべく対応しています。しかしながら、賠償額が当該保険により補償される範囲を超える可能性は否定できず、その場合には財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 また、医薬品の開発および製造には、製造物責任賠償のリスクが内在します。当社は将来、開発したいずれかの医薬品が健康被害を引き起こし、または臨床試験、製造、営業もしくは販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負い、当社の業務および経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるイメージ低下により、当社および当社の医薬品に対する信頼が損なわれ、当社の事業に影響を与える可能性があります。 (2) 当社事業遂行上のリスク① 提携パートナーの確保について 当社のような創薬ベンチャー企業が基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップ等をすべて単独で行うことは困難であることから、開発期間中においては製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、開発費の多くを提携先製薬企業等が負担する一方で、アップフロント収入・マイルストーン収入等によって基礎的な収支を賄い、将来の製品上市後においてロイヤルティ収入等により企業価値の最大化を図るのが、一般的な戦略とされています。 当社は、最先行化合物CBP501に関し、2010年6月に武田薬品工業株式会社との共同事業化契約を解消し、以来現在に至るまで、提携パートナーを有しない状態で臨床開発をはじめとする事業活動を継続してきました。 CBP501の次相以降の臨床試験については、引続き提携パートナーの獲得を最優先としつつ、必要に応じて新株発行等による資金調達も検討していきます。 しかしながら、新株発行等に関しては一般に、意図した資金の確実な調達を保証されているものではなく、調達の時期についても不確実性を伴います。このリスクが顕在化し、資金調達が大幅に遅れもしくはできなかった場合には、臨床試験スケジュールの遅延により当社の事業戦略や経営成績、財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社は今後創出される後続パイプラインについても逐次製薬企業等とのアライアンス活動を行い、事業リスクの分散に努めていきますが、その場合にも、当社のビジネスモデル上、限られた少数の提携企業との契約に依存した事業計画を有する状況は長期にわたって続くものと考えられます。 当社は、これらの提携契約については、当社にとって不利な契約改訂が行われた場合または契約期間満了、解除、その他何らかの理由により契約が終了した場合にも当社の経営成績に与える影響が軽減される条項を盛り込むよう努めていますが、かかる条項をもってしても当社の経営成績に及ぼす影響を完全に回避することはできません。 ② CBP501臨床試験データについて 当社は、これまでに実施した臨床試験等から、CBP501については医薬品開発を進めるうえで有望な有効性および安全性データが得られていると判断しています。また、CBP501の開発計画および当社の事業計画についても、当該判断に基づいて作成されています。 しかしながら、CBP501の有効性および安全性等が許認可当局に確認されNDA承認および上市に至るまでには、将来のピボタル試験(新薬承認申請のための最終的な検証試験)を経る必要があります。本剤に限らず一般的な医薬品開発に共通することですが、これら今後の臨床試験においては、有効性が確認されず、または重要な安全上の懸念事項が発生するなどの問題が生じる可能性があります。 こうした場合には、CBP501の開発計画の変更もしくは開発中止により、当社の事業計画の実現が困難となり、当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 開発パイプラインの拡充について 当社は、今後も新規医薬品候補化合物を自社で獲得・創出しパイプラインを拡充していくことを基本戦略としています。 この戦略を確実に推進するために当社は現在も、スクリーニング法の改良など、新規候補化合物の獲得・創出の可能性を高める努力を続けています。 しかしながら、当社のスクリーニング法によって現在すでに開発途中にあるもの以外の候補化合物を探索創出できる保証はありません。 今後の研究において新たな候補化合物が創出されず、または何らかの理由で当社のスクリーニング法による新規医薬品候補化合物の獲得・創出に支障が生じた場合には、当社の研究開発の基本戦略の変更を余儀なくされ、当社の事業戦略や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 ④ 研究開発費の確保について 今後当社は、CBP501の次相臨床試験を実施する予定であり、研究開発費を継続的に計上する予定です。しかしながら、現在の開発品の上市等による収益確保に至るまでには一定の期間が必要であり、当面の間は、開発進捗に伴い損失を継続的に計上する予定です。特に、承認を目指した規模の大きい臨床試験を実施する際には、提携パートナーを確保し、受取研究開発費や契約一時金等の収入等により開発進捗に必要な研究開発資金を確保することにより、損失額を軽減することを検討しています。このため、当社が想定する時期に提携パートナーを確保できない場合には、自社負担可能な費用規模を超え、研究開発に遅れが生じ、当社の事業戦略や将来の経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 (3) 会社組織に関するリスク① 業歴が浅いことについて 当社は、2000年1月に設立された、業歴の浅い企業です。また当社は、事業領域をいわゆる創薬領域に特化した特異な企業であり、将来は当社が開発した抗癌剤上市により事業収益を計上し利益を確保する計画ですが、現時点までに製品売上による事業収益がありません。 今後、未だ経験していない事業上のトラブルが発生する可能性は否定できず、当社の業績に影響を及ぼすと考えられる様々な外部環境の変化について予想することは現状においては困難であると思われます。したがって、今後当社が事業計画に沿って成長を続けられるか等を予測する客観的な判断材料として過年度の経営成績だけでは、不十分な面があると考えられます。 ② 小規模組織であることについて 当社の研究開発活動は比較的少人数による体制を敷いていますが、基礎研究から臨床試験に至るさまざまな研究開発段階における提携関係と業務受託企業の積極活用により、既存パイプラインの開発ならびに新規医薬品候補化合物の探索を推進しています。また、今後の既存パイプラインの開発推進および新規医薬品候補化合物のパイプライン化に伴い、さらなる研究開発人員の増加を計画しています。 しかしながら、何らかの理由により、提携関係または業務受託企業との関係が解消された場合や、計画どおりの人員の確保が出来ない場合、あるいは既存人員の流出が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 ③ 少数の事業推進者への依存について 当社の事業戦略を成し遂げるには、当社事業戦略を推進する各部門の責任者と研究開発員に強く依存するところがあります。今後も当社は優秀な人材の確保および社内教育に努めていきますが、人材の確保および社内人材の教育が計画どおりに進まない場合、ならびに人材の流出が生じた場合には、当社の事業戦略や研究開発の推進に支障をきたす可能性があります。 また、当社はこれまで、創業科学者であり当社の競争力の源泉となっている技術の創出者・発明者でもある河邊拓己を中心として基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してきました。河邊は現在も代表取締役社長として当社の意思決定および事業運営にあたって広範かつ中心的な役割を担っています。 当社は、少数の事業推進者に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織の強化を図っていますが、当面は河邊への依存度が高い状態で推移することが見込まれるため、何らかの理由により河邊が当社の業務を遂行するにあたって困難をきたした場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。④ 科学顧問会議(SAB)について 当社は、社長の諮問機関として、抗癌剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABミーティングは、2002年3月の発足以来概ね定期的に開催され、基礎研究から臨床開発に至る情報交換や議論を行っています。 今後も当社は優秀なSABメンバーの確保に努めていきますが、現在のメンバーとの間の契約が更新されないなど、何らかの理由によりメンバーの確保が困難となった場合またはメンバーの流出が生じた場合には、当社の研究開発の推進に何らかの支障をきたす可能性があります。 ⑤ 研究開発の主要部分に関するアウトソーシングについて 当社は、広く社外にも有能な専門家の参加を求め、これによる機動的な事業運営を図るため、以下に掲げる研究開発の主要な部分について、アウトソーシング契約に基づく外部委託に依存しています。 ・化合物の最適化およびこれに関連する化合物合成業務 ・前臨床試験および臨床試験に用いる、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造設備およびその品質管理・製造管理に関する規則)に準拠した原薬製造業務 ・臨床試験のコーディネート(CRO) これらの契約につき、当社にとって不利な契約改訂が行われた場合または契約期間満了、解除、その他何らかの理由によりこれらの契約が終了した場合は、当社の研究開発の推進に支障をきたし、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 自然災害について 当社は、事業活動の中心となる設備や人員が本社周辺に集中しており、地理的なリスク分散ができていません。この地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、事業活動の停滞によって、当社の財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。 (4) 知的財産権に関するリスク① 特許の状況について当社の研究開発に関する特許は、すべて自社保有のものです。その主要な特許は以下のとおりです。対象発明の名称所有者国際公開番号登録状況薬剤スクリーニング法オリジナルペプチドTAT-S216G2期細胞周期停止の阻害、及びDNA損傷剤に対する細胞感作のための組成物及び方法当社2001/021771米国、欧州主要国(注)および日本において成立しています。CBP501およびそのバックアップ化合物群抗増殖活性を有し、そして/又は核酸損傷剤を増大するペプチド及びペプチド模倣物あるいは処置当社2003/059942米国、欧州主要国および日本において成立しています。免疫調整活性、抗炎症活性、および抗ウイルス活性を有するペプチドおよびペプチド模倣物当社2004/112820米国、日本において成立しています。抗癌治療の効力を推定するための感受性試験当社2005/014856米国において成立しています。ペプチド及びペプチド模倣物の併用投与並びに癌患者の部分母集団に対する治療当社2014/207556米国、欧州主要国および日本において成立しています。CBS9106をはじめとするCBS9100シリーズDNA傷害を増強することによる抗癌活性をもつ化合物当社2009/031040米国、欧州主要国および日本において成立しています。(注)欧州主要国とは、欧州特許庁加盟国のうち、当社の特許戦略上有意義と判断し得る国を指します。具体的には、ドイツ、スイス、英国、フランス、ベルギー、イタリアなどです。 CBP501の最も主要な特許(物質特許)は、国際公開番号2003/059942であり、米国における有効期限は2023年1月17日です。なお、医薬品については特許延長制度が存在するため、上記期限が延長される可能性があります。また、用途特許により、CBP501を含む化合物群が特許によって保護される実質的な期間が大きく延長される可能性があります。 出願中の各特許については、特許出願時に特許性等に関する十分な調査を行ってはいますが、すべての特許出願について特許を受けられるとは限りません。当社の出願中の特許が成立しなかった場合、他社の競合品に対して特許権を行使することができず、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 さらに、当社事業領域を包含するバイオテクノロジー関連産業においては、日々熾烈な研究開発競争が繰り広げられており、当社の特許が成立し当社技術を保護できたとしても、当社の研究開発を超える優れた開発力により、当社の特許が淘汰または無力化されるおそれは常に存在しています。仮にそのような研究開発が他社によりなされた場合には、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、これらの特許が発行された場合にも、これらの権利を維持していくための費用が今後当社の負担になる可能性もあります。 なお、本項に記載した事項については、現在、これらの状況に支障もしくは支障の発生を懸念される事項は存在していません。 ② 訴訟およびクレームについて 当事業年度末現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟およびクレームが発生した事実はありません。 また、当社は、今後発生し得るこのような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては弁護士との相談や特許事務所を通じた特許調査を適宜実施しており、現時点において、当社事業が第三者の特許権等に抵触する可能性は低いものと認識しています。 しかしながら、当社のような研究開発型の企業にとって、差止請求、損害賠償請求、実施料請求等の知的財産権侵害問題の可能性を完全に排除することは困難です。また、当社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、解決に時間および多大の費用を要する可能性があり、さらに、当社が第三者の特許権等を侵害していた場合、当該第三者から差止請求権や損害賠償請求権を行使されたり、高額な実施料を請求されたりすることにより、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 特許の確保に関するリスクについて 当社が職務発明の発明者である役員・従業員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は発明者に対して特許法第35条第3項に定める「相当の対価」を支払わなければなりません。これまでに対価の支払について発明者との間で問題が生じたことはありませんが、対価の相当性につき紛争が発生する可能性を将来にわたり完全に排除することはできません。紛争が生じた場合や、発明者に追加の対価を支払わなければならない場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 また、当社が過去に譲り受けた特許および出願特許について、当社または前保有者が第三者により使用権や担保権の主張を受ける可能性を完全に排除することはできず、かかる主張を受けた場合には、当社の事業戦略、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 情報管理について 当社が研究もしくは開発している途上の知見、技術、ノウハウ等、重要な機密情報が流出した場合には、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 このリスクを低減するために当社は、役職員、SABメンバー、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するとともに、個別の事情に応じた情報開示を行うなど、厳重な情報管理に努めています。 しかしながら、役職員、SABメンバー、取引先等によりこれが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、かかる場合には当社の事業に影響を与える可能性があります。 (5) 経営成績の推移について① 過年度における業績推移について当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりです。回次第16期第17期第18期第19期第20期決算年月2015年6月2016年6月2017年6月2018年6月2019年6月事業収益(千円)60,958105,243109,852110,000115,550営業利益(千円)△283,542△399,115△406,825△539,456△533,077経常利益(千円)△265,714△413,739△400,652△547,091△534,958 当社の現在までの事業収益は、過去に受託した委託研究の対価ならびに提携契約に基づく収益のみであり、当社が開発した抗癌剤の製品売上による事業収益は未だ計上していません。 また、現在まで、抗癌剤開発のための研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失を計上する状態が続いています。 このため、過年度の財務経営指標は期間業績比較を行うための材料としては不十分であると考えられ、今後の当社業績を予測する材料としては不十分な面があります。 ② マイナスの繰越利益剰余金を計上していることについて 当社は研究開発型ベンチャー企業であり、当社が開発した抗癌剤が上市され製品売上高を計上するようになるまでの期間は、多額の製品開発費用が先行して計上されます。そのため、特別利益を計上した第11期を除くすべての期で当期純損失を計上したことにより、現在はマイナスの繰越利益剰余金を計上しています。 当社は、中長期事業計画に基づき、将来の利益拡大を目指しています。しかしながら、上記のとおり設立以来損益は赤字基調が続いており、将来において事業の進展が遅れ、計画どおりの利益を計上できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。 ③ 資金繰りについて 当社のような創薬企業の財務上の特徴は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続くことです。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは大半の期にマイナスを計上しています。また、当社は、当事業年度末において当面の事業活動の継続に影響のない水準の現金及び預金を有しているものの、現時点において安定的な収益源を有していません。 このため、先行投資期間においては、現在進めているアライアンス活動で獲得する新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるほか、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填する方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。また、新株発行による資金調達が実施された場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。 ④ 税務上の繰越欠損金について 当社には現在、税務上の繰越欠損金が存在しています。そのため、現在は通常の税率に基づく法人税、住民税および事業税が課せられておらず、今後も数期間はこの状態が続くものと想定しています。 しかしながら将来、事業計画の進展から順調に当社業績が推移するなどして想定よりも早期に繰越欠損金が解消され、これによる課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税および事業税が課せられることとなり、現在想定している当期純利益もしくは当期純損失およびキャッシュ・フローの計画に影響を与える可能性があります。 (6) 為替変動リスクについて 当社が実施する海外での臨床試験においては、研究開発費等の支出に外貨建取引が含まれる場合があります。その場合、当社は、外貨建取引の計画時と決済時の間の為替変動リスクを回避するために外貨建取引の支出計画に基づき外貨を事前購入するなどの方法でリスク回避を図る場合がありますが、この為替変動リスクを完全に回避できるとは限らず、この為替変動リスクが顕在化した場合には当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また為替変動に伴う当社保有外貨評価額の変動により、四半期会計期間および事業年度において為替差損益を計上し、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 配当政策について 当社の事業ステージは、現時点では研究開発における先行投資の段階にあるため、当社は創業以来、株主に対する利益配当および剰余金配当を実施していません。また、今後も当面は、企業体質の強化および研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先し、配当は行わない方針です。 ただし、株主への利益還元については、当社の重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績および財政状態を勘案しつつ剰余金配当を検討する所存です。 (8) 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について 当社は、当社取締役(監査等委員を含む)、従業員および社外協力者等の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を導入しており、会社法の規定に基づき新株予約権を取締役(監査等委員を含む)および従業員に対して付与しています。また、当社は、資金調達を目的として、会社法に基づく新株予約権を発行しています。 その総量は、当事業年度末現在における当社の発行済株式総数の3.7%にあたります。 今後についても優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。また、新株予約権を活用した資金調達を実施する可能性もあります。このため、既に付与された、もしくは今後付与される当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。 (9) 継続企業の前提に関する重要事象等について 当社が手がける創薬事業は、医薬品として承認された製品の売上による事業収益の計上までに多額の資金と長い時間を要する等の特色があります。当社は創業以来現時点まで製品の売上による事業収益を計上しておらず、また、現時点において、医薬品として承認された製品、承認が確実となっている開発品のいずれも有していません。 現在開発を進めている医薬品候補化合物は、CBP501については臨床第2相試験終了のうえでフェーズ1b試験の段階、CBS9106については臨床第1相試験の段階にあります。これらの候補化合物の開発が今後順調に進捗し医薬品として承認され事業収益に寄与する保証はなく、また、順調に進捗した場合にはさらに多額の資金を投入して開発を進める必要があり、この資金の源泉となる製薬企業等との提携等が必要となるところ、当社は現時点において、CBP501については製薬企業等との提携関係を有しておらず、CBS9106については提携パートナーを有しているもののこれによる収益は当社の事業費用の全額を賄うには至っていません。この状況により当社には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。 当該状況を解消するべく、当社は、CBP501臨床第2相試験の結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見、ならびに新たに開始した免疫チェックポイント阻害抗体の併用による臨床試験(フェーズ1b試験)の進行を踏まえた戦略提携の成立を最重要課題として収益の獲得に努めます。あわせて後続のパイプラインに関しても、早期アライアンスの獲得活動を進めていきます。
FY2018|12,675 文字
2【事業等のリスク】 以下において、当社の事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しています。また、当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項についても、投資判断の上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家および株主に対する積極的な情報開示の観点から開示しています。 当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。 なお、文中の将来に関する記載は当事業年度末現在において当社が判断したものです。 (1) 創薬事業全般に関するリスク 当社は、自社創出の候補化合物群を医薬品として開発する事業を主業務としています。 医薬品の研究開発の分野は、巨大製薬企業をはじめとする多数の強力な競合が存在し、さらに当社を含むいわゆる創薬ベンチャー企業が技術革新の質とスピードを競い合う業界です。また、開発から製造および販売に至る過程では、多くの規制に従って、長期間にわたり多額の資金を投入して事業活動を推進する必要があります。その将来性は不確実性を伴うものであり、当社の現在および将来における事業についてもこのようなリスクが附随しています。 ① 医薬品開発の不確実性について 製品上市に至る医薬品開発の過程は長期かつ多額の費用を要するもので、開発が成功する確率は決して高くなく、開発のいずれの段階においても中止や遅延の判断をすることは稀ではありません。医薬品開発においては、様々な開発過程を段階的に進めていく必要があり、それぞれの段階において、開発続行の可否が判断されます。一般的に、その開発途上で中止の決定を行うことは稀なことではなく、開発が順調に進み製品化される確率は低いものとされています。 このリスクを低減・分散するため、一般には開発パイプラインに医薬品候補化合物を複数保有し、かつ、それぞれの候補化合物にバックアップ化合物を保有することによって、ひとつの候補化合物の開発において何らかの障害が発生した場合の対応策とすることが行われています。 当社におきましては、CBP501・CBS9106の互いに独立した2つの候補化合物を開発パイプラインに持ち、それぞれについてバックアップ化合物を保有することによって、開発過程において何らかの障害が発生した場合の事業遂行上のロスを最小限に留めるよう努めています。 しかしながら、当社のような規模の創薬企業にとって、ひとつの医薬品候補化合物が開発から脱落することはきわめて大きな影響があります。また、バックアップの類似化合物といえども医薬品開発上は新規の化合物として取り扱われることから、当該化合物の開発には遅延が生じることとなります。障害発生までに獲得した類似化合物での知見を活用することにより遅延の幅や遅延に伴う追加費用を縮小できる可能性はあるものの、研究開発に当初予想以上の期間および費用がかかることは否めず、その場合には当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 将来収益の不確実性について 当社が開発を進めている製品の販売から収益を得るには、当社が単独または第三者と共同で、市場性のある医薬品の開発、許認可当局からの承認、製造および販売のすべての段階において成功を収めることが必要です。当社は、これらの活動において成功しない可能性があり、また、成功したとしても、当社の事業活動を継続するために必要な採算性を確保する十分な収益を得ることができない可能性もあります。 当社は現在、臨床試験段階の候補化合物2品目を有し、これらの開発を推進し製品上市に至ることによって製品売上高またはロイヤルティ等による事業収益を獲得するべく事業活動を行っています。しかしながら、現時点において製品販売に関する売上高はなく、現実に製品として上市するまでには相当の期間を要すると予想され、また、現実に製品として上市される保証はありません。 なお、当社は、現時点で想定している適応疾患の選定や提携手法・マーケティング手法等について、既承認の抗癌剤の市場規模やマーケティング実績等をもとに十分に将来の採算性を見込めるものと判断していますが、万一この判断が誤っていた場合、あるいはこの判断の基礎となる状況に変化が発生し当社がその変化に迅速に対応できなかった場合には、当社の財政状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。 ③ 遵守すべき法的規制等および医療保険制度等の不確実性について 当社の事業計画は、薬事法をはじめとする現行の法的規制および医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提としています。 しかしながら、当社が開発を進めている製品が現実に製品として上市されるまでには相当の期間を要し、その間これらの規制や制度・価格設定動向等が変動しない保証はありません。もしこれらに大きな変動が発生した場合には、当社の計画する経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 潜在的な競合について 当社の潜在的な競合相手は、主要な製薬企業、バイオ関連企業、大学、その他の研究機関等多岐にわたります。それら競合相手の中には、技術力、マーケティング力、財務状況等について当社と比較して優位にある企業が多数あり、当社開発品と競合する医薬品について、有効性の高い製品を効率よく生産および販売する可能性があります。 したがって、許認可当局によって当社の製品候補の販売承認が得られた場合であっても、これら競合相手との競争次第で、当社の計画する経営成績に影響をきたす可能性があります。 ⑤ 賠償問題発生リスクについて 医薬品の臨床試験を実施する際には、薬剤による副作用などに伴う賠償問題が発生するリスクが伴います。これに関し当社は、必要と認める損害保険への加入などによって、このような事態が発生した場合の財政的負担を最小限にするべく対応しています。しかしながら、賠償額が当該保険により補償される範囲を超える可能性は否定できず、その場合には財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 また、医薬品の開発および製造には、製造物責任賠償のリスクが内在します。当社は将来、開発したいずれかの医薬品が健康被害を引き起こし、または臨床試験、製造、営業もしくは販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負い、当社の業務および経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるイメージ低下により、当社および当社の医薬品に対する信頼が損なわれ、当社の事業に影響を与える可能性があります。 (2) 当社事業遂行上のリスク① 提携パートナーの確保について 当社のような創薬ベンチャー企業が基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップ等をすべて単独で行うことは困難であることから、開発期間中においては製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、開発費の多くを提携先製薬企業等が負担する一方で、アップフロント収入・マイルストーン収入等によって基礎的な収支を賄い、将来の製品上市後においてロイヤルティ収入等により企業価値の最大化を図るのが、一般的な戦略とされています。 当社は、最先行化合物CBP501に関し、2010年6月に武田薬品工業株式会社との共同事業化契約を解消し、以来現在に至るまで、提携パートナーを有しない状態で臨床開発をはじめとする事業活動を継続してきました。 CBP501の次相以降の臨床試験については、引続き提携パートナーの獲得を最優先としつつ、新株発行等による資金調達も計画しています。 しかしながら、新株発行等に関しては一般に、意図した資金の確実な調達を保証されているものではなく、調達の時期についても不確実性を伴います。このリスクが顕在化し、資金調達が大幅に遅れもしくはできなかった場合には、臨床試験スケジュールの遅延により当社の事業戦略や経営成績、財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社は既にStemline社との提携を獲得している2つ目のパイプラインCBS9106をはじめ、今後創出される後続パイプラインについても逐次製薬企業等とのアライアンス活動を行い、事業リスクの分散に努めていきますが、その場合にも、当社のビジネスモデル上、限られた少数の提携企業との契約に依存した事業計画を有する状況は長期にわたって続くものと考えられます。 当社は、これらの提携契約については、当社にとって不利な契約改訂が行われた場合または契約期間満了、解除、その他何らかの理由により契約が終了した場合にも当社の経営成績に与える影響が軽減される条項を盛り込むよう努めていますが、かかる条項をもってしても当社の経営成績に及ぼす影響を完全に回避することはできません。 ② CBP501臨床試験データについて 当社は、これまでに実施した臨床第1相試験および臨床第2相試験等から、CBP501については医薬品開発を進めるうえで有望な有効性および安全性データが得られていると判断しています。また、CBP501の開発計画および当社の事業計画についても、当該判断に基づいて作成されています。 しかしながら、CBP501の有効性および安全性等が許認可当局に確認されNDA承認および上市に至るまでには、将来のピボタル試験(新薬承認申請のための最終的な検証試験)を経る必要があります。本剤に限らず一般的な医薬品開発に共通することですが、これら今後の臨床試験においては、有効性が確認されず、または重要な安全上の懸念事項が発生するなどの問題が生じる可能性があります。 こうした場合には、CBP501の開発計画の変更もしくは開発中止により、当社の事業計画の実現が困難となり、当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 開発パイプラインの拡充について 当社は、今後も新規医薬品候補化合物を自社で獲得・創出しパイプラインを拡充していくことを基本戦略としています。 この戦略を確実に推進するために当社は現在も、スクリーニング法の改良など、新規候補化合物の獲得・創出の可能性を高める努力を続けています。 しかしながら、当社のスクリーニング法によって現在すでに開発途中にあるもの以外の候補化合物を探索創出できる保証はありません。 今後の研究において新たな候補化合物が創出されず、または何らかの理由で当社のスクリーニング法による新規医薬品候補化合物の獲得・創出に支障が生じた場合には、当社の研究開発の基本戦略の変更を余儀なくされ、当社の事業戦略や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 ④ 研究開発費の確保について 今後当社は、CBP501の次相臨床試験を実施する予定であり、研究開発費を継続的に計上する予定です。しかしながら、現在の開発品の上市等による収益確保に至るまでには一定の期間が必要であり、当面の間は、開発進捗に伴い損失を継続的に計上する予定です。特に、承認を目指した規模の大きい臨床試験を実施する際には、提携パートナーを確保し、受取研究開発費や契約一時金等の収入等により開発進捗に必要な研究開発資金を確保することにより、損失額を軽減することを検討しています。このため、当社が想定する時期に提携パートナーを確保できない場合には、自社負担可能な費用規模を超え、研究開発に遅れが生じ、当社の事業戦略や将来の経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 (3) 会社組織に関するリスク① 業歴が浅いことについて 当社は、2000年1月に設立された、業歴の浅い企業です。また当社は、事業領域をいわゆる創薬領域に特化した特異な企業であり、将来は当社が開発した抗癌剤上市により事業収益を計上し利益を確保する計画ですが、現時点までに製品売上による事業収益がありません。 今後、未だ経験していない事業上のトラブルが発生する可能性は否定できず、当社の業績に影響を及ぼすと考えられる様々な外部環境の変化について予想することは現状においては困難であると思われます。したがって、今後当社が事業計画に沿って成長を続けられるか等を予測する客観的な判断材料として過年度の経営成績だけでは、不十分な面があると考えられます。 ② 小規模組織であることについて 当社の人員は、2018年6月30日現在、取締役(監査等委員を除く)3名、取締役(監査等委員)4名、従業員13名、派遣社員1名です。このうち管理部および経営企画室の人員は5名であり、内訳は常勤取締役2名、従業員3名です。 また、当社における研究開発は、当社の研究開発部門を中心に推進されています。2018年6月30日現在、研究開発部門の人員は11名で、内訳は従業員10名、派遣社員1名です。 当社の研究開発活動は比較的少人数による体制を敷いていますが、基礎研究から臨床試験に至るさまざまな研究開発段階における提携関係と業務受託企業の積極活用により、既存パイプラインの開発ならびに新規医薬品候補化合物の探索を推進しています。また、今後の既存パイプラインの開発推進および新規医薬品候補化合物のパイプライン化に伴い、さらなる研究開発人員の増加を計画しています。 しかしながら、何らかの理由により、提携関係または業務受託企業との関係が解消された場合や、計画どおりの人員の確保が出来ない場合、あるいは既存人員の流出が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 ③ 少数の事業推進者への依存について 当社の事業戦略を成し遂げるには、当社事業戦略を推進する各部門の責任者と研究開発員に強く依存するところがあります。今後も当社は優秀な人材の確保および社内教育に努めていきますが、人材の確保および社内人材の教育が計画どおりに進まない場合、ならびに人材の流出が生じた場合には、当社の事業戦略や研究開発の推進に支障をきたす可能性があります。 また、当社はこれまで、創業科学者であり当社の競争力の源泉となっている技術の創出者・発明者でもある河邊拓己を中心として基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してきました。河邊は現在も代表取締役社長として当社の意思決定および事業運営にあたって広範かつ中心的な役割を担っています。 当社は、少数の事業推進者に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織の強化を図っていますが、当面は河邊への依存度が高い状態で推移することが見込まれるため、何らかの理由により河邊が当社の業務を遂行するにあたって困難をきたした場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 科学顧問会議(SAB)について 当社は、社長の諮問機関として、抗癌剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABミーティングは、2002年3月の発足以来概ね定期的に開催され、基礎研究から臨床開発に至る情報交換や議論を行っています。 今後も当社は優秀なSABメンバーの確保に努めていきますが、現在のメンバーとの間の契約が更新されないなど、何らかの理由によりメンバーの確保が困難となった場合またはメンバーの流出が生じた場合には、当社の研究開発の推進に何らかの支障をきたす可能性があります。 ⑤ 研究開発の主要部分に関するアウトソーシングについて 当社は、広く社外にも有能な専門家の参加を求め、これによる機動的な事業運営を図るため、以下に掲げる研究開発の主要な部分について、アウトソーシング契約に基づく外部委託に依存しています。 ・化合物の最適化およびこれに関連する化合物合成業務 ・前臨床試験および臨床試験に用いる、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造設備およびその品質管理・製造管理に関する規則)に準拠した原薬製造業務 ・臨床試験のコーディネート(CRO) これらの契約につき、当社にとって不利な契約改訂が行われた場合または契約期間満了、解除、その他何らかの理由によりこれらの契約が終了した場合は、当社の研究開発の推進に支障をきたし、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 自然災害について 当社は、事業活動の中心となる設備や人員が本社周辺に集中しており、地理的なリスク分散ができていません。この地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、事業活動の停滞によって、当社の財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。 (4) 知的財産権に関するリスク① 特許の状況について当社の研究開発に関する特許は、すべて自社保有のものです。その主要な特許は以下のとおりです。対象発明の名称所有者国際公開番号登録状況薬剤スクリーニング法オリジナルペプチドTAT-S216G2期細胞周期停止の阻害、及びDNA損傷剤に対する細胞感作のための組成物及び方法当社2001/021771米国、欧州主要国(注)および日本において成立しています。CBP501およびそのバックアップ化合物群抗増殖活性を有し、そして/又は核酸損傷剤を増大するペプチド及びペプチド模倣物あるいは処置当社2003/059942米国、欧州主要国および日本において成立しています。免疫調整活性、抗炎症活性、および抗ウイルス活性を有するペプチドおよびペプチド模倣物当社2004/112820米国、日本において成立しています。抗癌治療の効力を推定するための感受性試験当社2005/014856米国において成立しています。ペプチド及びペプチド模倣物の併用投与並びに癌患者の部分母集団に対する治療当社2014/207556米国において成立しています。CBS9106をはじめとするCBS9100シリーズDNA傷害を増強することによる抗癌活性をもつ化合物当社2009/031040米国、欧州主要国および日本において成立しています。(注)欧州主要国とは、欧州特許庁加盟国のうち、当社の特許戦略上有意義と判断し得る国を指します。具体的には、ドイツ、スイス、英国、フランス、ベルギー、イタリアなどです。 CBP501の最も主要な特許(物質特許)は、国際公開番号2003/059942であり、米国における有効期限は2023年1月17日です。なお、医薬品については特許延長制度が存在するため、上記期限が延長される可能性があります。また、2015年10月に米国で成立したCBP501用途特許により、CBP501を含む化合物群が特許によって保護される実質的な期間が大きく延長される可能性があります。 出願中の各特許については、特許出願時に特許性等に関する十分な調査を行ってはいますが、すべての特許出願について特許を受けられるとは限りません。当社の出願中の特許が成立しなかった場合、他社の競合品に対して特許権を行使することができず、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 さらに、当社事業領域を包含するバイオテクノロジー関連産業においては、日々熾烈な研究開発競争が繰り広げられており、当社の特許が成立し当社技術を保護できたとしても、当社の研究開発を超える優れた開発力により、当社の特許が淘汰または無力化されるおそれは常に存在しています。仮にそのような研究開発が他社によりなされた場合には、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、これらの特許が発行された場合にも、これらの権利を維持していくための費用が今後当社の負担になる可能性もあります。 なお、本項に記載した事項については、現在、これらの状況に支障もしくは支障の発生を懸念される事項は存在していません。 ② 訴訟およびクレームについて 当事業年度末現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟およびクレームが発生した事実はありません。 また、当社は、今後発生し得るこのような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては弁護士との相談や特許事務所を通じた特許調査を適宜実施しており、現時点において、当社事業が第三者の特許権等に抵触する可能性は低いものと認識しています。 しかしながら、当社のような研究開発型の企業にとって、差止請求、損害賠償請求、実施料請求等の知的財産権侵害問題の可能性を完全に排除することは困難です。また、当社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、解決に時間および多大の費用を要する可能性があり、さらに、当社が第三者の特許権等を侵害していた場合、当該第三者から差止請求権や損害賠償請求権を行使されたり、高額な実施料を請求されたりすることにより、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 特許の確保に関するリスクについて 当社が職務発明の発明者である役員・従業員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は発明者に対して特許法第35条第3項に定める「相当の対価」を支払わなければなりません。これまでに対価の支払について発明者との間で問題が生じたことはありませんが、対価の相当性につき紛争が発生する可能性を将来にわたり完全に排除することはできません。紛争が生じた場合や、発明者に追加の対価を支払わなければならない場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 また、当社が過去に譲り受けた特許および出願特許について、当社または前保有者が第三者により使用権や担保権の主張を受ける可能性を完全に排除することはできず、かかる主張を受けた場合には、当社の事業戦略、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 情報管理について 当社が研究もしくは開発している途上の知見、技術、ノウハウ等、重要な機密情報が流出した場合には、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 このリスクを低減するために当社は、役職員、SABメンバー、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するとともに、個別の事情に応じた情報開示を行うなど、厳重な情報管理に努めています。 しかしながら、役職員、SABメンバー、取引先等によりこれが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、かかる場合には当社の事業に影響を与える可能性があります。 (5) 経営成績の推移について① 過年度における業績推移について当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりです。回次第15期第16期第17期第18期第19期決算年月2014年6月2015年6月2016年6月2017年6月2018年6月事業収益(千円)-60,958105,243109,852110,000営業利益(千円)△483,814△283,542△399,115△406,825△539,456経常利益(千円)△480,229△265,714△413,739△400,652△547,091 当社の現在までの事業収益は、過去に受託した委託研究の対価ならびに提携契約に基づく収益のみであり、当社が開発した抗癌剤の製品売上による事業収益は未だ計上していません。 また、現在まで、抗癌剤開発のための研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失を計上する状態が続いています。 このため、過年度の財務経営指標は期間業績比較を行うための材料としては不十分であると考えられ、今後の当社業績を予測する材料としては不十分な面があります。 ② マイナスの繰越利益剰余金を計上していることについて 当社は研究開発型ベンチャー企業であり、当社が開発した抗癌剤が上市され製品売上高を計上するようになるまでの期間は、多額の製品開発費用が先行して計上されます。そのため、特別利益を計上した第11期を除き、第1期から第19期まで連続して当期純損失を計上したことにより、第19期末において△7,983,780千円の繰越利益剰余金を計上しています。 当社は、中長期事業計画に基づき、将来の利益拡大を目指しています。しかしながら、上記のとおり設立以来損益は赤字基調が続いており、将来において事業の進展が遅れ、計画どおりの利益を計上できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。 ③ 資金繰りについて 当社のような創薬企業の財務上の特徴は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続くことです。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは第8期から第19期までマイナスを計上しています。また、当社は、当事業年度末において現金及び預金を466,277千円保有しているものの、現時点において安定的な収益源を有していません。 このため、先行投資期間においては、現在進めているアライアンス活動で獲得する新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるほか、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填する方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。また、新株発行による資金調達が実施された場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。 ④ 税務上の繰越欠損金について 当社には現在、税務上の繰越欠損金が存在しています。そのため、現在は通常の税率に基づく法人税、住民税および事業税が課せられておらず、今後も数期間はこの状態が続くものと想定しています。 しかしながら将来、事業計画の進展から順調に当社業績が推移するなどして想定よりも早期に繰越欠損金が解消され、これによる課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税および事業税が課せられることとなり、現在想定している当期純利益もしくは当期純損失およびキャッシュ・フローの計画に影響を与える可能性があります。 (6) 為替変動リスクについて 当社が実施する海外での臨床試験においては、研究開発費等の支出に外貨建取引が含まれる場合があります。その場合、当社は、外貨建取引の計画時と決済時の間の為替変動リスクを回避するために外貨建取引の支出計画に基づき外貨を事前購入するなどの方法でリスク回避を図る場合がありますが、この為替変動リスクを完全に回避できるとは限らず、この為替変動リスクが顕在化した場合には当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また為替変動に伴う当社保有外貨評価額の変動により、四半期会計期間および事業年度において為替差損益を計上し、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 配当政策について 当社の事業ステージは、現時点では研究開発における先行投資の段階にあるため、当社は創業以来、株主に対する利益配当および剰余金配当を実施していません。また、今後も当面は、企業体質の強化および研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先し、配当は行わない方針です。 ただし、株主への利益還元については、当社の重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績および財政状態を勘案しつつ剰余金配当を検討する所存です。 (8) 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について 当社は、当社取締役(監査等委員を含む)、従業員および社外協力者等の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を導入しており、会社法の規定に基づき新株予約権を取締役(監査等委員を含む)および従業員に対して付与しています。 当事業年度末現在における当社の発行済株式総数は5,505,800株ですが、これに対して、上記の新株予約権が将来行使された場合の新株(以下「潜在株式」)発行予定株数の合計は312,500株と、発行済株式総数の5.7%です。 今後についても優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。また、新株予約権を活用した資金調達を実施する可能性もあります。このため、既に付与された、もしくは今後付与される当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。 (9) 継続企業の前提に関する重要事象等について 当社が手がける創薬事業は、医薬品として承認された製品の売上による事業収益の計上までに多額の資金と長い時間を要する等の特色があります。当社は創業以来現時点まで製品の売上による事業収益を計上しておらず、また、現時点において、医薬品として承認された製品、承認が確実となっている開発品のいずれも有していません。 現在開発を進めている医薬品候補化合物は、CBP501については臨床第2相試験終了のうえでフェーズ1b試験の段階、CBS9106については臨床第1相試験の段階にあります。これらの候補化合物の開発が今後順調に進捗し医薬品として承認され事業収益に寄与する保証はなく、また、順調に進捗した場合にはさらに多額の資金を投入して開発を進める必要があり、この資金の源泉となる製薬企業等との提携等が必要となるところ、当社は現時点において、CBP501については製薬企業等との提携関係を有しておらず、CBS9106については提携パートナーを有しているもののこれによる収益は当社の事業費用の全額を賄うには至っていません。この状況により当社には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。 当該状況を解消するべく、当社は、CBP501臨床第2相試験の結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見、ならびに新たに開始した免疫チェックポイント阻害抗体の併用による臨床試験(フェーズ1b試験)の進行を踏まえた戦略提携の成立を最重要課題として収益の獲得に努めます。あわせてCBS9106に関しても、Stemline社とのライセンス契約において除外地域となっている日本・中国・台湾・韓国における追加アライアンス活動を進めていきます。
FY2017|12,854 文字
4【事業等のリスク】 以下において、当社の事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しております。また、当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項についても、投資判断の上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家および株主に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。 当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。 なお、文中の将来に関する記載は本書提出日現在において当社が判断したものであります。 ① 創薬事業全般に関するリスク 当社は、自社創出の候補化合物群を医薬品として開発する事業を主業務としております。 医薬品の研究開発の分野は、巨大製薬企業をはじめとする多数の強力な競合が存在し、さらに当社を含むいわゆる創薬ベンチャー企業が技術革新の質とスピードを競い合う業界であります。また、開発から製造および販売に至る過程では、多くの規制に従って、長期間にわたり多額の資金を投入して事業活動を推進する必要があります。その将来性は不確実性を伴うものであり、当社の現在および将来における事業についてもこのようなリスクが附随しております。 (a) 医薬品開発の不確実性について 製品上市に至る医薬品開発の過程は長期かつ多額の費用を要するもので、開発が成功する確率は決して高くなく、開発のいずれの段階においても中止や遅延の判断をすることは稀ではありません。医薬品開発においては、様々な開発過程を段階的に進めていく必要があり、それぞれの段階において、開発続行の可否が判断されます。一般的に、その開発途上で中止の決定を行うことは稀なことではなく、開発が順調に進み製品化される確率は低いものとされております。 このリスクを低減・分散するため、一般には開発パイプラインに医薬品候補化合物を複数保有し、かつ、それぞれの候補化合物にバックアップ化合物を保有することによって、ひとつの候補化合物の開発において何らかの障害が発生した場合の対応策とすることが行われています。 当社におきましては、CBP501・CBS9106の互いに独立した2つの候補化合物を開発パイプラインに持ち、それぞれについてバックアップ化合物を保有することによって、開発過程において何らかの障害が発生した場合の事業遂行上のロスを最小限に留めるよう努めております。 しかしながら、当社のような規模の創薬企業にとって、ひとつの医薬品候補化合物が開発から脱落することはきわめて大きな影響があります。また、バックアップの類似化合物といえども医薬品開発上は新規の化合物として取り扱われることから、当該化合物の開発には遅延が生じることとなります。障害発生までに獲得した類似化合物での知見を活用することにより遅延の幅や遅延に伴う追加費用を縮小できる可能性はあるものの、研究開発に当初予想以上の期間および費用がかかることは否めず、その場合には当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (b) 将来収益の不確実性について 当社が開発を進めている製品の販売から収益を得るには、当社が単独または第三者と共同で、市場性のある医薬品の開発、許認可当局からの承認、製造および販売のすべての段階において成功を収めることが必要であります。当社は、これらの活動において成功しない可能性があり、また、成功したとしても、当社の事業活動を継続するために必要な採算性を確保する十分な収益を得ることができない可能性もあります。 当社は現在、臨床試験段階の候補化合物2品目を有し、これらの開発を推進し製品上市に至ることによって製品売上高またはロイヤルティ等による事業収益を獲得するべく事業活動を行っております。しかしながら、現時点において製品販売に関する売上高はなく、現実に製品として上市するまでには相当の期間を要すると予想され、また、現実に製品として上市される保証はありません。 なお、当社は、現時点で想定している適応疾患の選定や提携手法・マーケティング手法等について、既承認の抗癌剤の市場規模やマーケティング実績等をもとに十分に将来の採算性を見込めるものと判断しておりますが、万一この判断が誤っていた場合、あるいはこの判断の基礎となる状況に変化が発生し当社がその変化に迅速に対応できなかった場合には、当社の財政状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。 (c) 遵守すべき法的規制等および医療保険制度等の不確実性について 当社の事業計画は、薬事法をはじめとする現行の法的規制および医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提としております。 しかしながら、当社が開発を進めている製品が現実に製品として上市されるまでには相当の期間を要し、その間これらの規制や制度・価格設定動向等が変動しない保証はありません。もしこれらに大きな変動が発生した場合には、当社の計画する経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (d) 潜在的な競合について 当社の潜在的な競合相手は、主要な製薬企業、バイオ関連企業、大学、その他の研究機関等多岐にわたります。それら競合相手の中には、技術力、マーケティング力、財務状況等について当社と比較して優位にある企業が多数あり、当社開発品と競合する医薬品について、有効性の高い製品を効率よく生産および販売する可能性があります。 したがって、許認可当局によって当社の製品候補の販売承認が得られた場合であっても、これら競合相手との競争次第で、当社の計画する経営成績に影響をきたす可能性があります。 (e) 賠償問題発生リスクについて 医薬品の臨床試験を実施する際には、薬剤による副作用などに伴う賠償問題が発生するリスクが伴います。これに関し当社は、必要と認める損害保険への加入などによって、このような事態が発生した場合の財政的負担を最小限にするべく対応しております。しかしながら、賠償額が当該保険により補償される範囲を超える可能性は否定できず、その場合には財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 また、医薬品の開発および製造には、製造物責任賠償のリスクが内在します。当社は将来、開発したいずれかの医薬品が健康被害を引き起こし、または臨床試験、製造、営業もしくは販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負い、当社の業務および経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるイメージ低下により、当社および当社の医薬品に対する信頼が損なわれ、当社の事業に影響を与える可能性があります。 ② 当社事業遂行上のリスク(a) 提携パートナーの確保について 当社のような創薬ベンチャー企業が基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップ等をすべて単独で行うことは困難であることから、開発期間中においては製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、開発費の多くを提携先製薬企業等が負担する一方で、アップフロント収入・マイルストーン収入等によって基礎的な収支を賄い、将来の製品上市後においてロイヤルティ収入等により企業価値の最大化を図るのが、一般的な戦略とされています。 当社は、最先行化合物CBP501に関し、平成22年6月に武田薬品工業株式会社との共同事業化契約を解消し、以来現在に至るまで、提携パートナーを有しない状態で臨床開発をはじめとする事業活動を継続してまいりました。 CBP501の次相以降の臨床試験については、引続き提携パートナーの獲得を最優先としつつ、平成27年6月決議(同年7月発行)の新株予約権での調達資金による次相臨床試験の開始を計画しております。 しかしながら、新株予約権はその性質上、意図した資金の確実な調達を保証されているものではなく、調達の時期についても不確実性を伴います。このリスクが顕在化し、資金調達が大幅に遅れもしくはできなかった場合には、臨床試験スケジュールの遅延により当社の事業戦略や経営成績、財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社は既にStemline社との提携を獲得している2つ目のパイプラインCBS9106をはじめ、今後創出される後続パイプラインについても逐次製薬企業等とのアライアンス活動を行い、事業リスクの分散に努めてまいりますが、その場合にも、当社のビジネスモデル上、限られた少数の提携企業との契約に依存した事業計画を有する状況は長期にわたって続くものと考えられます。 当社は、これらの提携契約については、当社にとって不利な契約改訂が行われた場合または契約期間満了、解除、その他何らかの理由により契約が終了した場合にも当社の経営成績に与える影響が軽減される条項を盛り込むよう努めておりますが、かかる条項をもってしても当社の経営成績に及ぼす影響を完全に回避することはできません。 (b) CBP501臨床試験データについて 当社は、これまでに実施した臨床第1相試験および臨床第2相試験等から、CBP501については医薬品開発を進めるうえで有望な有効性および安全性データが得られていると判断しております。また、CBP501の開発計画および当社の事業計画についても、当該判断に基づいて作成されております。 しかしながら、CBP501の有効性および安全性等が許認可当局に確認されNDA承認および上市に至るまでには、将来の臨床第3相試験等を経る必要があります。本剤に限らず一般的な医薬品開発に共通することですが、これら今後の臨床試験においては、有効性が確認されず、または重要な安全上の懸念事項が発生するなどの問題が生じる可能性があります。 こうした場合には、CBP501の開発計画の変更もしくは開発中止により、当社の事業計画の実現が困難となり、当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (c) 開発パイプラインの拡充について 当社は、今後も新規医薬品候補化合物を自社で獲得・創出しパイプラインを拡充していくことを基本戦略としております。 この戦略を確実に推進するために当社は現在も、スクリーニング法の改良など、新規候補化合物の獲得・創出の可能性を高める努力を続けております。 しかしながら、当社のスクリーニング法によって現在すでに開発途中にあるもの以外の候補化合物を探索創出できる保証はありません。 今後の研究において新たな候補化合物が創出されず、または何らかの理由で当社のスクリーニング法による新規医薬品候補化合物の獲得・創出に支障が生じた場合には、当社の研究開発の基本戦略の変更を余儀なくされ、当社の事業戦略や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 (d) 研究開発費の確保について 今後当社は、CBP501の次相臨床試験を実施する予定であり、研究開発費を継続的に計上する予定です。しかしながら、現在の開発品の上市等による収益確保に至るまでには一定の期間が必要であり、当面の間は、開発進捗に伴い損失を継続的に計上する予定です。特に、承認を目指した規模の大きい臨床試験を実施する際には、提携パートナーを確保し、受取研究開発費や契約一時金等の収入等により開発進捗に必要な研究開発資金を確保することにより、損失額を軽減することを検討しております。このため、当社が想定する時期に提携パートナーを確保できない場合には、自社負担可能な費用規模を超え、研究開発に遅れが生じ、当社の事業戦略や将来の経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 ③ 会社組織に関するリスク(a) 業歴が浅いことについて 当社は、平成12年1月に設立された、業歴の浅い企業であります。また当社は、事業領域をいわゆる創薬領域に特化した特異な企業であり、将来は当社が開発した抗癌剤上市により事業収益を計上し利益を確保する計画ですが、現時点までに製品売上による事業収益がありません。 今後、未だ経験していない事業上のトラブルが発生する可能性は否定できず、当社の業績に影響を及ぼすと考えられる様々な外部環境の変化について予想することは現状においては困難であると思われます。したがって、今後当社が事業計画に沿って成長を続けられるか等を予測する客観的な判断材料として過年度の経営成績だけでは、不十分な面があると考えられます。 (b) 小規模組織であることについて 当社の人員は、平成29年6月30日現在、取締役(監査等委員を除く)3名、取締役(監査等委員)4名、従業員10名、派遣社員1名です。このうち管理部および経営企画室の人員は5名であり、内訳は常勤取締役2名、従業員3名です。 また、当社における研究開発は、当社の研究開発部門を中心に推進されております。平成29年6月30日現在、研究開発部門の人員は8名で、内訳は従業員7名、派遣社員1名です。 当社の研究開発活動は比較的少人数による体制を敷いておりますが、基礎研究から臨床試験に至るさまざまな研究開発段階における提携関係と業務受託企業の積極活用により、既存パイプラインの開発ならびに新規医薬品候補化合物の探索を推進しております。また、今後の既存パイプラインの開発推進および新規医薬品候補化合物のパイプライン化に伴い、さらなる研究開発人員の増加を計画しております。 しかしながら、何らかの理由により、提携関係または業務受託企業との関係が解消された場合や、計画どおりの人員の確保が出来ない場合、あるいは既存人員の流出が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 (c) 少数の事業推進者への依存について 当社の事業戦略を成し遂げるには、当社事業戦略を推進する各部門の責任者と研究開発員に強く依存するところがあります。今後も当社は優秀な人材の確保および社内教育に努めてまいりますが、人材の確保および社内人材の教育が計画どおりに進まない場合、ならびに人材の流出が生じた場合には、当社の事業戦略や研究開発の推進に支障をきたす可能性があります。 また、当社はこれまで、創業科学者であり当社の競争力の源泉となっている技術の創出者・発明者でもある河邊拓己を中心として基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してまいりました。河邊は現在も代表取締役社長として当社の意思決定および事業運営にあたって広範かつ中心的な役割を担っております。 当社は、少数の事業推進者に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織の強化を図っておりますが、当面は河邊への依存度が高い状態で推移することが見込まれるため、何らかの理由により河邊が当社の業務を遂行するにあたって困難をきたした場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (d) 科学顧問会議(SAB)について 当社は、社長の諮問機関として、抗癌剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しております。SABミーティングは、平成14年3月の発足以来概ね定期的に開催され、基礎研究から臨床開発に至る情報交換や議論を行っています。 今後も当社は優秀なSABメンバーの確保に努めてまいりますが、現在のメンバーとの間の契約が更新されないなど、何らかの理由によりメンバーの確保が困難となった場合またはメンバーの流出が生じた場合には、当社の研究開発の推進に何らかの支障をきたす可能性があります。 (e) 研究開発の主要部分に関するアウトソーシングについて 当社は、広く社外にも有能な専門家の参加を求め、これによる機動的な事業運営を図るため、以下に掲げる研究開発の主要な部分について、アウトソーシング契約に基づく外部委託に依存しております。 ・化合物の最適化およびこれに関連する化合物合成業務 ・前臨床試験および臨床試験に用いる、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造設備およびその品質管理・製造管理に関する規則)に準拠した原薬製造業務 ・臨床試験のコーディネート(CRO) これらの契約につき、当社にとって不利な契約改訂が行われた場合または契約期間満了、解除、その他何らかの理由によりこれらの契約が終了した場合は、当社の研究開発の推進に支障をきたし、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (f) 自然災害について 当社は、事業活動の中心となる設備や人員が本社周辺に集中しており、地理的なリスク分散ができておりません。この地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、事業活動の停滞によって、当社の財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。 ④ 知的財産権に関するリスク(a) 特許の状況について当社の研究開発に関する特許は、すべて自社保有のものであります。その主要な特許は以下のとおりです。対象発明の名称所有者国際公開番号登録状況薬剤スクリーニング法オリジナルペプチドTAT-S216G2期細胞周期停止の阻害、及びDNA損傷剤に対する細胞感作のための組成物及び方法当社2001/021771米国、欧州主要国(注)および日本において成立しております。CBP501およびそのバックアップ化合物群抗増殖活性を有し、そして/又は核酸損傷剤を増大するペプチド及びペプチド模倣物あるいは処置当社2003/059942米国、欧州主要国および日本において成立しております。免疫調整活性、抗炎症活性、および抗ウイルス活性を有するペプチドおよびペプチド模倣物当社2004/112820米国、日本において成立しております。抗癌治療の効力を推定するための感受性試験当社2005/014856米国において成立しております。ペプチド及びペプチド模倣物の併用投与並びに癌患者の部分母集団に対する治療当社2014/207556米国において成立しております。CBS9106をはじめとするCBS9100シリーズDNA傷害を増強することによる抗癌活性をもつ化合物当社2009/031040米国、欧州主要国および日本において成立しております。(注)欧州主要国とは、欧州特許庁加盟国のうち、当社の特許戦略上有意義と判断し得る国を指します。具体的には、ドイツ、スイス、英国、フランス、ベルギー、イタリアなどです。 CBP501の最も主要な特許(物質特許)は、国際公開番号2003/059942であり、米国における有効期限は平成35年1月17日であります。なお、医薬品については特許延長制度が存在するため、上記期限が延長される可能性があります。また、平成27年10月に米国で成立したCBP501用途特許により、CBP501を含む化合物群が特許によって保護される実質的な期間が大きく延長される可能性があります。 出願中の各特許については、特許出願時に特許性等に関する十分な調査を行ってはおりますが、すべての特許出願について特許を受けられるとは限りません。当社の出願中の特許が成立しなかった場合、他社の競合品に対して特許権を行使することができず、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 さらに、当社事業領域を包含するバイオテクノロジー関連産業においては、日々熾烈な研究開発競争が繰り広げられており、当社の特許が成立し当社技術を保護できたとしても、当社の研究開発を超える優れた開発力により、当社の特許が淘汰または無力化されるおそれは常に存在しております。仮にそのような研究開発が他社によりなされた場合には、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、これらの特許が発行された場合にも、これらの権利を維持していくための費用が今後当社の負担になる可能性もあります。 なお、本項に記載した事項については、現在、これらの状況に支障もしくは支障の発生を懸念される事項は存在しておりません。 (b) 訴訟およびクレームについて 本書提出日現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟およびクレームが発生した事実はありません。 また、当社は、今後発生し得るこのような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては弁護士との相談や特許事務所を通じた特許調査を適宜実施しており、現時点において、当社事業が第三者の特許権等に抵触する可能性は低いものと認識しております。 しかしながら、当社のような研究開発型の企業にとって、差止請求、損害賠償請求、実施料請求等の知的財産権侵害問題の可能性を完全に排除することは困難であります。また、当社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、解決に時間および多大の費用を要する可能性があり、さらに、当社が第三者の特許権等を侵害していた場合、当該第三者から差止請求権や損害賠償請求権を行使されたり、高額な実施料を請求されたりすることにより、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (c) 特許の確保に関するリスクについて 当社が職務発明の発明者である役員・従業員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は発明者に対して特許法第35条第3項に定める「相当の対価」を支払わなければなりません。これまでに対価の支払について発明者との間で問題が生じたことはありませんが、対価の相当性につき紛争が発生する可能性を将来にわたり完全に排除することはできません。紛争が生じた場合や、発明者に追加の対価を支払わなければならない場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 また、当社が過去に譲り受けた特許および出願特許について、当社または前保有者が第三者により使用権や担保権の主張を受ける可能性を完全に排除することはできず、かかる主張を受けた場合には、当社の事業戦略、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (d) 情報管理について 当社が研究もしくは開発している途上の知見、技術、ノウハウ等、重要な機密情報が流出した場合には、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 このリスクを低減するために当社は、役職員、SABメンバー、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するとともに、個別の事情に応じた情報開示を行うなど、厳重な情報管理に努めております。 しかしながら、役職員、SABメンバー、取引先等によりこれが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、かかる場合には当社の事業に影響を与える可能性があります。 ⑤ 経営成績の推移について(a) 過年度における業績推移について当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりであります。回次第14期第15期第16期第17期第18期決算年月平成25年6月平成26年6月平成27年6月平成28年6月平成29年6月事業収益(千円)--60,958105,243109,852営業利益(千円)△651,875△483,814△283,542△399,115△406,825経常利益(千円)△641,857△480,229△265,714△413,739△400,652 当社の現在までの事業収益は、過去に受託した委託研究の対価ならびに提携契約に基づく収益のみであり、当社が開発した抗癌剤の製品売上による事業収益は未だ計上しておりません。 また、現在まで、抗癌剤開発のための研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失を計上する状態が続いています。 このため、過年度の財務経営指標は期間業績比較を行うための材料としては不十分であると考えられ、今後の当社業績を予測する材料としては不十分な面があります。 (b) マイナスの繰越利益剰余金を計上していることについて 当社は研究開発型ベンチャー企業であり、当社が開発した抗癌剤が上市され製品売上高を計上するようになるまでの期間は、多額の製品開発費用が先行して計上されます。そのため、特別利益を計上した第11期を除き、第1期から第18期まで連続して当期純損失を計上したことにより、第18期末において△7,451,693千円の繰越利益剰余金を計上しております。 当社は、中長期事業計画に基づき、将来の利益拡大を目指しております。しかしながら、上記のとおり設立以来損益は赤字基調が続いており、将来において事業の進展が遅れ、計画どおりの利益を計上できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。 (c) 資金繰りについて 当社のような創薬企業の財務上の特徴は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続くことです。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは第8期から第18期までマイナスを計上しております。また、当社は、当事業年度末において現金及び預金を889,368千円保有しているものの、現時点において安定的な収益源を有しておりません。 このため、先行投資期間においては、現在進めているアライアンス活動で獲得する新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるほか、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填する方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。また、新株発行による資金調達が実施された場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。 (d) 税務上の繰越欠損金について 当社には現在、税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため、現在は通常の税率に基づく法人税、住民税および事業税が課せられておらず、今後も数期間はこの状態が続くものと想定しております。 しかしながら将来、事業計画の進展から順調に当社業績が推移するなどして想定よりも早期に繰越欠損金が解消され、これによる課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税および事業税が課せられることとなり、現在想定している当期純利益もしくは当期純損失およびキャッシュ・フローの計画に影響を与える可能性があります。 ⑥ 為替変動リスクについて 当社が実施する海外での臨床試験においては、研究開発費等の支出に外貨建取引が含まれる場合があります。その場合、当社は、外貨建取引の計画時と決済時の間の為替変動リスクを回避するために外貨建取引の支出計画に基づき外貨を事前購入するなどの方法でリスク回避を図る場合がありますが、この為替変動リスクを完全に回避できるとは限らず、この為替変動リスクが顕在化した場合には当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また為替変動に伴う当社保有外貨評価額の変動により、四半期会計期間および事業年度において為替差損益を計上し、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性もあります。 ⑦ 配当政策について 当社の事業ステージは、現時点では研究開発における先行投資の段階にあるため、当社は創業以来、株主に対する利益配当および剰余金配当を実施しておりません。また、今後も当面は、企業体質の強化および研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先し、配当は行わない方針であります。 ただし、株主への利益還元については、当社の重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績および財政状態を勘案しつつ剰余金配当を検討する所存であります。 ⑧ 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について 当社は、当社取締役(監査等委員を含む)、従業員および社外協力者等の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を導入しており、会社法の規定に基づき新株予約権を取締役(監査等委員を含む)および従業員に対して付与しております。 また、当社は平成27年6月22日開催の取締役会において、資金調達を目的とする、第三者割当による行使価額修正条項付き第10回新株予約権を発行しております。 当事業年度末現在における当社の発行済株式総数は5,494,600株ですが、これに対して、上記の新株予約権が将来行使された場合の新株(以下「潜在株式」)発行予定株数の合計は450,500株と、発行済株式総数の8.2%であります。 今後についても優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。また、新株予約権を活用した資金調達を実施する可能性もあります。このため、既に付与された、もしくは今後付与される当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。 ⑨ 継続企業の前提に関する重要事象等について 当社が手がける創薬事業は、医薬品として承認された製品の売上による事業収益の計上までに多額の資金と長い時間を要する等の特色があります。当社は創業以来現時点まで製品の売上による事業収益を計上しておらず、また、現時点において、医薬品として承認された製品、承認が確実となっている開発品のいずれも有しておりません。 現在開発を進めている医薬品候補化合物は、CBP501については臨床第2相試験終了、CBS9106については臨床第1相試験の段階にあります。これらの候補化合物の開発が今後順調に進捗し医薬品として承認され事業収益に寄与する保証はなく、また、順調に進捗した場合にはさらに多額の資金を投入して開発を進める必要があり、この資金の源泉となる製薬企業等との提携等が必要となるところ、当社は現時点において、CBP501については製薬企業等との提携関係を有しておらず、CBS9106については提携パートナーを有しているもののこれによる収益は当社の事業費用の全額を賄うには至っておりません。この状況により当社には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。 当該状況を解消するべく、当社は、CBP501臨床第2相試験の結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見、ならびに新たに開始する免疫チェックポイント阻害抗体の併用による臨床試験(フェーズ1b試験)の進行を踏まえた戦略提携の成立を最重要課題として収益の獲得に努めます。あわせてCBS9106に関しても、Stemline社とのライセンス契約において除外地域となっている日本・中国・台湾・韓国における追加アライアンス活動を進めてまいります。
FY2016|12,879 文字
4【事業等のリスク】 以下において、当社の事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しております。また、当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項についても、投資判断の上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家および株主に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。 当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。 なお、文中の将来に関する記載は本書提出日現在において当社が判断したものであります。 ① 創薬事業全般に関するリスク 当社は、自社創出の候補化合物群を医薬品として開発する事業を主業務としております。 医薬品の研究開発の分野は、巨大製薬企業をはじめとする多数の強力な競合が存在し、さらに当社を含むいわゆる創薬ベンチャー企業が技術革新の質とスピードを競い合う業界であります。また、開発から製造および販売に至る過程では、多くの規制に従って、長期間にわたり多額の資金を投入して事業活動を推進する必要があります。その将来性は不確実性を伴うものであり、当社の現在および将来における事業についてもこのようなリスクが附随しております。 (a) 医薬品開発の不確実性について 製品上市に至る医薬品開発の過程は長期かつ多額の費用を要するもので、開発が成功する確率は決して高くなく、開発のいずれの段階においても中止や遅延の判断をすることは稀ではありません。医薬品開発においては、様々な開発過程を段階的に進めていく必要があり、それぞれの段階において、開発続行の可否が判断されます。一般的に、その開発途上で中止の決定を行うことは稀なことではなく、開発が順調に進み製品化される確率は低いものとされております。 このリスクを低減・分散するため、一般には開発パイプラインに医薬品候補化合物を複数保有し、かつ、それぞれの候補化合物にバックアップ化合物を保有することによって、ひとつの候補化合物の開発において何らかの障害が発生した場合の対応策とすることが行われています。 当社におきましては、CBP501・CBS9106の互いに独立した2つの候補化合物を開発パイプラインに持ち、それぞれについてバックアップ化合物を保有することによって、開発過程において何らかの障害が発生した場合の事業遂行上のロスを最小限に留めるよう努めております。 しかしながら、当社のような規模の創薬企業にとって、ひとつの医薬品候補化合物が開発から脱落することはきわめて大きな影響があります。また、バックアップの類似化合物といえども医薬品開発上は新規の化合物として取り扱われることから、当該化合物の開発には遅延が生じることとなります。障害発生までに獲得した類似化合物での知見を活用することにより遅延の幅や遅延に伴う追加費用を縮小できる可能性はあるものの、研究開発に当初予想以上の期間および費用がかかることは否めず、その場合には当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (b) 将来収益の不確実性について 当社が開発を進めている製品の販売から収益を得るには、当社が単独または第三者と共同で、市場性のある医薬品の開発、許認可当局からの承認、製造および販売のすべての段階において成功を収めることが必要であります。当社は、これらの活動において成功しない可能性があり、また、成功したとしても、当社の事業活動を継続するために必要な採算性を確保する十分な収益を得ることができない可能性もあります。 当社は現在、臨床試験段階の候補化合物2品目を有し、これらの開発を推進し製品上市に至ることによって製品売上高またはロイヤルティ等による事業収益を獲得するべく事業活動を行っております。しかしながら、現時点において製品販売に関する売上高はなく、現実に製品として上市するまでには相当の期間を要すると予想され、また、現実に製品として上市される保証はありません。 なお、当社は、現時点で想定している適応疾患の選定や提携手法・マーケティング手法等について、既承認の抗癌剤の市場規模やマーケティング実績等をもとに十分に将来の採算性を見込めるものと判断しておりますが、万一この判断が誤っていた場合、あるいはこの判断の基礎となる状況に変化が発生し当社がその変化に迅速に対応できなかった場合には、当社の財政状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。 (c) 遵守すべき法的規制等および医療保険制度等の不確実性について 当社の事業計画は、薬事法をはじめとする現行の法的規制および医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提としております。 しかしながら、当社が開発を進めている製品が現実に製品として上市されるまでには相当の期間を要し、その間これらの規制や制度・価格設定動向等が変動しない保証はありません。もしこれらに大きな変動が発生した場合には、当社の計画する経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (d) 潜在的な競合について 当社の潜在的な競合相手は、主要な製薬企業、バイオ関連企業、大学、その他の研究機関等多岐にわたります。それら競合相手の中には、技術力、マーケティング力、財務状況等について当社と比較して優位にある企業が多数あり、当社開発品と競合する医薬品について、有効性の高い製品を効率よく生産および販売する可能性があります。 したがって、許認可当局によって当社の製品候補の販売承認が得られた場合であっても、これら競合相手との競争次第で、当社の計画する経営成績に影響をきたす可能性があります。 (e) 賠償問題発生リスクについて 医薬品の臨床試験を実施する際には、薬剤による副作用などに伴う賠償問題が発生するリスクが伴います。これに関し当社は、必要と認める損害保険への加入などによって、このような事態が発生した場合の財政的負担を最小限にするべく対応しております。しかしながら、賠償額が当該保険により補償される範囲を超える可能性は否定できず、その場合には財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 また、医薬品の開発および製造には、製造物責任賠償のリスクが内在します。当社は将来、開発したいずれかの医薬品が健康被害を引き起こし、または臨床試験、製造、営業もしくは販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負い、当社の業務および経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるイメージ低下により、当社および当社の医薬品に対する信頼が損なわれ、当社の事業に影響を与える可能性があります。 ② 当社事業遂行上のリスク(a) 提携パートナーの確保について 当社のような創薬ベンチャー企業が基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップ等をすべて単独で行うことは困難であることから、開発期間中においては製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、開発費の多くを提携先製薬企業等が負担する一方で、アップフロント収入・マイルストーン収入等によって基礎的な収支を賄い、将来の製品上市後においてロイヤルティ収入等により企業価値の最大化を図るのが、一般的な戦略とされています。 当社は、最先行化合物CBP501に関し、平成22年6月に武田薬品工業株式会社との共同事業化契約を解消し、以来現在に至るまで、提携パートナーを有しない状態で臨床開発をはじめとする事業活動を継続してまいりました。 CBP501の次相以降の臨床試験については、引続き提携パートナーの獲得を最優先としつつ、平成27年6月決議(同年7月発行)の新株予約権での調達資金による次相臨床試験の開始を計画しております。 しかしながら、新株予約権はその性質上、意図した資金の確実な調達を保証されているものではなく、調達の時期についても不確実性を伴います。このリスクが顕在化し、資金調達が大幅に遅れもしくはできなかった場合には、臨床試験スケジュールの遅延により当社の事業戦略や経営成績、財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社は既にStemline社との提携を獲得している2つ目のパイプラインCBS9106をはじめ、今後創出される後続パイプラインについても逐次製薬企業等とのアライアンス活動を行い、事業リスクの分散に努めてまいりますが、その場合にも、当社のビジネスモデル上、限られた少数の提携企業との契約に依存した事業計画を有する状況は長期にわたって続くものと考えられます。 当社は、これらの提携契約については、当社にとって不利な契約改訂が行われた場合または契約期間満了、解除、その他何らかの理由により契約が終了した場合にも当社の経営成績に与える影響が軽減される条項を盛り込むよう努めておりますが、かかる条項をもってしても当社の経営成績に及ぼす影響を完全に回避することはできません。 (b) CBP501臨床試験データについて 当社は、これまでに実施した臨床第1相試験および臨床第2相試験等から、CBP501については医薬品開発を進めるうえで有望な有効性および安全性データが得られていると判断しております。また、CBP501の開発計画および当社の事業計画についても、当該判断に基づいて作成されております。 しかしながら、CBP501の有効性および安全性等が許認可当局に確認されNDA承認および上市に至るまでには、将来の臨床第3相試験等を経る必要があります。本剤に限らず一般的な医薬品開発に共通することですが、これら今後の臨床試験においては、有効性が確認されず、または重要な安全上の懸念事項が発生するなどの問題が生じる可能性があります。 こうした場合には、CBP501の開発計画の変更もしくは開発中止により、当社の事業計画の実現が困難となり、当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (c) 開発パイプラインの拡充について 当社は、今後も新規医薬品候補化合物を自社で獲得・創出しパイプラインを拡充していくことを基本戦略としております。 この戦略を確実に推進するために当社は現在も、スクリーニング法の改良など、新規候補化合物の獲得・創出の可能性を高める努力を続けております。 しかしながら、当社のスクリーニング法によって現在すでに開発途中にあるもの以外の候補化合物を探索創出できる保証はありません。 今後の研究において新たな候補化合物が創出されず、または何らかの理由で当社のスクリーニング法による新規医薬品候補化合物の獲得・創出に支障が生じた場合には、当社の研究開発の基本戦略の変更を余儀なくされ、当社の事業戦略や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 (d) 研究開発費の確保について 今後当社は、CBP501の次相臨床試験を実施する予定であり、研究開発費を継続的に計上する予定です。しかしながら、現在の開発品の上市等による収益確保に至るまでには一定の期間が必要であり、当面の間は、開発進捗に伴い損失を継続的に計上する予定です。特に、承認を目指した規模の大きい臨床試験を実施する際には、提携パートナーを確保し、受取研究開発費や契約一時金等の収入等により開発進捗に必要な研究開発資金を確保することにより、損失額を軽減することを検討しております。このため、当社が想定する時期に提携パートナーを確保できない場合には、自社負担可能な費用規模を超え、研究開発に遅れが生じ、当社の事業戦略や将来の経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 ③ 会社組織に関するリスク(a) 業歴が浅いことについて 当社は、平成12年1月に設立された、業歴の浅い企業であります。また当社は、事業領域をいわゆる創薬領域に特化した特異な企業であり、将来は当社が開発した抗癌剤上市により事業収益を計上し利益を確保する計画ですが、現時点までに製品売上による事業収益がありません。 今後、未だ経験していない事業上のトラブルが発生する可能性は否定できず、当社の業績に影響を及ぼすと考えられる様々な外部環境の変化について予想することは現状においては困難であると思われます。したがって、今後当社が事業計画に沿って成長を続けられるか等を予測する客観的な判断材料として過年度の経営成績だけでは、不十分な面があると考えられます。 (b) 小規模組織であることについて 当社の人員は、平成28年6月30日現在、取締役3名、監査役3名(非常勤監査役2名を含む)、従業員13名、派遣社員1名です。このうち管理部および経営企画室の人員は5名であり、内訳は常勤取締役2名、従業員3名です。 また、当社における研究開発は、当社の研究開発部門を中心に推進されております。平成28年6月30日現在、研究開発部門の人員は11名で、内訳は従業員10名、派遣社員1名です。 当社の研究開発活動は比較的少人数による体制を敷いておりますが、基礎研究から臨床試験に至るさまざまな研究開発段階における提携関係と業務受託企業の積極活用により、既存パイプラインの開発ならびに新規医薬品候補化合物の探索を推進しております。また、今後の既存パイプラインの開発推進および新規医薬品候補化合物のパイプライン化に伴い、さらなる研究開発人員の増加を計画しております。 しかしながら、何らかの理由により、提携関係または業務受託企業との関係が解消された場合や、計画どおりの人員の確保が出来ない場合、あるいは既存人員の流出が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 (c) 少数の事業推進者への依存について 当社の事業戦略を成し遂げるには、当社事業戦略を推進する各部門の責任者と研究開発員に強く依存するところがあります。今後も当社は優秀な人材の確保および社内教育に努めてまいりますが、人材の確保および社内人材の教育が計画どおりに進まない場合、ならびに人材の流出が生じた場合には、当社の事業戦略や研究開発の推進に支障をきたす可能性があります。 また、当社はこれまで、創業科学者であり当社の競争力の源泉となっている技術の創出者・発明者でもある河邊拓己を中心として基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してまいりました。河邊は現在も代表取締役社長として当社の意思決定および事業運営にあたって広範かつ中心的な役割を担っております。 当社は、少数の事業推進者に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織の強化を図っておりますが、当面は河邊への依存度が高い状態で推移することが見込まれるため、何らかの理由により河邊が当社の業務を遂行するにあたって困難をきたした場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (d) 科学顧問会議(SAB)について 当社は、社長の諮問機関として、抗癌剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しております。SABミーティングは、平成14年3月の発足以来概ね定期的に開催され、基礎研究から臨床開発に至る情報交換や議論を行っています。 今後も当社は優秀なSABメンバーの確保に努めてまいりますが、現在のメンバーとの間の契約が更新されないなど、何らかの理由によりメンバーの確保が困難となった場合またはメンバーの流出が生じた場合には、当社の研究開発の推進に何らかの支障をきたす可能性があります。 (e) 研究開発の主要部分に関するアウトソーシングについて 当社は、広く社外にも有能な専門家の参加を求め、これによる機動的な事業運営を図るため、以下に掲げる研究開発の主要な部分について、アウトソーシング契約に基づく外部委託に依存しております。 ・化合物の最適化およびこれに関連する化合物合成業務 ・前臨床試験および臨床試験に用いる、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造設備およびその品質管理・製造管理に関する規則)に準拠した原薬製造業務 ・臨床試験のコーディネート(CRO) これらの契約につき、当社にとって不利な契約改訂が行われた場合または契約期間満了、解除、その他何らかの理由によりこれらの契約が終了した場合は、当社の研究開発の推進に支障をきたし、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (f) 自然災害について 当社は、事業活動の中心となる設備や人員が本社周辺に集中しており、地理的なリスク分散ができておりません。この地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、事業活動の停滞によって、当社の財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。 ④ 知的財産権に関するリスク(a) 特許の状況について当社の研究開発に関する特許は、すべて自社保有のものであります。その主要な特許は以下のとおりです。対象発明の名称所有者国際公開番号登録状況薬剤スクリーニング法オリジナルペプチドTAT-S216G2期細胞周期停止の阻害、及びDNA損傷剤に対する細胞感作のための組成物及び方法当社2001/021771米国、欧州主要国(注)および日本において成立しております。CBP501およびそのバックアップ化合物群抗増殖活性を有し、そして/又は核酸損傷剤を増大するペプチド及びペプチド模倣物あるいは処置当社2003/059942米国、欧州主要国および日本において成立しております。免疫調整活性、抗炎症活性、および抗ウイルス活性を有するペプチドおよびペプチド模倣物当社2004/112820米国、日本において成立しております。抗癌治療の効力を推定するための感受性試験当社2005/014856米国において成立しております。ペプチド及びペプチド模倣物の併用投与並びに癌患者の部分母集団に対する治療当社2014/207556米国において成立しております。CBS2400シリーズDNA損傷誘発性細胞周期G2チェックポイントを排除し、そして/又はDNA損傷処置の抗癌活性を増強する化合物当社2003/104181米国、欧州主要国および日本において成立しております。CBS9106をはじめとするCBS9100シリーズDNA傷害を増強することによる抗癌活性をもつ化合物当社2009/031040米国、欧州主要国において成立しており、日本について出願中であります。(注)欧州主要国とは、欧州特許庁加盟国のうち、当社の特許戦略上有意義と判断し得る国を指します。具体的には、ドイツ、スイス、英国、フランス、ベルギー、イタリアなどです。 CBP501の最も主要な特許(物質特許)は、国際公開番号2003/059942であり、米国における有効期限は平成35年1月17日であります。なお、医薬品については特許延長制度が存在するため、上記期限が延長される可能性があります。また、平成27年10月に米国で成立したCBP501用途特許により、CBP501を含む化合物群が特許によって保護される実質的な期間が大きく延長される可能性があります。 出願中の各特許については、特許出願時に特許性等に関する十分な調査を行ってはおりますが、すべての特許出願について特許を受けられるとは限りません。当社の出願中の特許が成立しなかった場合、他社の競合品に対して特許権を行使することができず、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 さらに、当社事業領域を包含するバイオテクノロジー関連産業においては、日々熾烈な研究開発競争が繰り広げられており、当社の特許が成立し当社技術を保護できたとしても、当社の研究開発を超える優れた開発力により、当社の特許が淘汰または無力化されるおそれは常に存在しております。仮にそのような研究開発が他社によりなされた場合には、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、これらの特許が発行された場合にも、これらの権利を維持していくための費用が今後当社の負担になる可能性もあります。 なお、本項に記載した事項については、現在、これらの状況に支障もしくは支障の発生を懸念される事項は存在しておりません。 (b) 訴訟およびクレームについて 本書提出日現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟およびクレームが発生した事実はありません。 また、当社は、今後発生し得るこのような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては弁護士との相談や特許事務所を通じた特許調査を適宜実施しており、現時点において、当社事業が第三者の特許権等に抵触する可能性は低いものと認識しております。 しかしながら、当社のような研究開発型の企業にとって、差止請求、損害賠償請求、実施料請求等の知的財産権侵害問題の可能性を完全に排除することは困難であります。また、当社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、解決に時間および多大の費用を要する可能性があり、さらに、当社が第三者の特許権等を侵害していた場合、当該第三者から差止請求権や損害賠償請求権を行使されたり、高額な実施料を請求されたりすることにより、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (c) 特許の確保に関するリスクについて 当社が職務発明の発明者である役員・従業員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は発明者に対して特許法第35条第3項に定める「相当の対価」を支払わなければなりません。これまでに対価の支払について発明者との間で問題が生じたことはありませんが、対価の相当性につき紛争が発生する可能性を将来にわたり完全に排除することはできません。紛争が生じた場合や、発明者に追加の対価を支払わなければならない場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。 また、当社が過去に譲り受けた特許および出願特許について、当社または前保有者が第三者により使用権や担保権の主張を受ける可能性を完全に排除することはできず、かかる主張を受けた場合には、当社の事業戦略、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (d) 情報管理について 当社が研究もしくは開発している途上の知見、技術、ノウハウ等、重要な機密情報が流出した場合には、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 このリスクを低減するために当社は、役職員、SABメンバー、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するとともに、個別の事情に応じた情報開示を行うなど、厳重な情報管理に努めております。 しかしながら、役職員、SABメンバー、取引先等によりこれが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、かかる場合には当社の事業に影響を与える可能性があります。 ⑤ 経営成績の推移について (a) 過年度における業績推移について当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりであります。回次第13期第14期第15期第16期第17期決算年月平成24年6月平成25年6月平成26年6月平成27年6月平成28年6月事業収益(千円)---60,958105,243営業利益(千円)△1,103,100△651,875△483,814△283,542△399,115経常利益(千円)△1,118,334△641,857△480,229△265,714△413,739 当社の現在までの事業収益は、過去に受託した委託研究の対価ならびに提携契約に基づく収益のみであり、当社が開発した抗癌剤の製品売上による事業収益は未だ計上しておりません。 また、現在まで、抗癌剤開発のための研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失を計上する状態が続いています。 このため、過年度の財務経営指標は期間業績比較を行うための材料としては不十分であると考えられ、今後の当社業績を予測する材料としては不十分な面があります。 (b) マイナスの繰越利益剰余金を計上していることについて 当社は研究開発型ベンチャー企業であり、当社が開発した抗癌剤が上市され製品売上高を計上するようになるまでの期間は、多額の製品開発費用が先行して計上されます。そのため、特別利益を計上した第11期を除き、第1期から第17期まで連続して当期純損失を計上したことにより、第17期末において△7,032,195千円の繰越利益剰余金を計上しております。 当社は、中長期事業計画に基づき、将来の利益拡大を目指しております。しかしながら、上記のとおり設立以来損益は赤字基調が続いており、将来において事業の進展が遅れ、計画どおりの利益を計上できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。 (c) 資金繰りについて 当社のような創薬企業の財務上の特徴は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続くことです。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは第12期から第17期までマイナスを計上しております。また、当社は、当事業年度末において現金および預金を815,110千円保有しているものの、現時点において安定的な収益源を有しておりません。 このため、先行投資期間においては、現在進めているアライアンス活動で獲得する新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるほか、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填する方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。また、新株発行による資金調達が実施された場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。 (d) 税務上の繰越欠損金について 当社には現在、税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため、現在は通常の税率に基づく法人税、住民税および事業税が課せられておらず、今後も数期間はこの状態が続くものと想定しております。 しかしながら将来、事業計画の進展から順調に当社業績が推移するなどして想定よりも早期に繰越欠損金が解消され、これによる課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税および事業税が課せられることとなり、現在想定している当期純利益もしくは当期純損失およびキャッシュ・フローの計画に影響を与える可能性があります。 ⑥ 為替変動リスクについて 当社が実施する海外での臨床試験においては、研究開発費等の支出に外貨建取引が含まれる場合があります。その場合、当社は、外貨建取引の計画時と決済時の間の為替変動リスクを回避するために外貨建取引の支出計画に基づき外貨を事前購入するなどの方法でリスク回避を図る場合がありますが、この為替変動リスクを完全に回避できるとは限らず、この為替変動リスクが顕在化した場合には当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また為替変動に伴う当社保有外貨評価額の変動により、四半期会計期間および事業年度において為替差損益を計上し、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性もあります。 ⑦ 配当政策について 当社の事業ステージは、現時点では研究開発における先行投資の段階にあるため、当社は創業以来、株主に対する利益配当および剰余金配当を実施しておりません。また、今後も当面は、企業体質の強化および研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先し、配当は行わない方針であります。 ただし、株主への利益還元については、当社の重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績および財政状態を勘案しつつ剰余金配当を検討する所存であります。 ⑧ 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について 当社は、当社取締役、監査役、従業員および社外協力者等の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を導入しており、会社法の規定に基づき新株予約権を取締役、監査役および従業員に対して付与しております。 また、当社は平成27年6月22日開催の取締役会において、資金調達を目的とする、第三者割当による行使価額修正条項付き第10回新株予約権を発行しております。 当事業年度末現在における当社の発行済株式総数は5,025,600株ですが、これに対して、上記の新株予約権が将来行使された場合の新株(以下「潜在株式」)発行予定株数の合計は928,000株と、発行済株式総数の18.5%であります。 今後についても優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。また、新株予約権を活用した資金調達を実施する可能性もあります。このため、既に付与された、もしくは今後付与される当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。 ⑨ 継続企業の前提に関する重要事象等について 当社が手がける創薬事業は、医薬品として承認された製品の売上による事業収益の計上までに多額の資金と長い時間を要する等の特色があります。当社は創業以来現時点まで製品の売上による事業収益を計上しておらず、また、現時点において、医薬品として承認された製品、承認が確実となっている開発品のいずれも有しておりません。 現在開発を進めている医薬品候補化合物は、CBP501については臨床第2相試験終了、CBS9106については臨床第1相試験の段階にあります。これらの候補化合物の開発が今後順調に進捗し医薬品として承認され事業収益に寄与する保証はなく、また、順調に進捗した場合にはさらに多額の資金を投入して開発を進める必要があり、この資金の源泉となる製薬企業等との提携等が必要となるところ、当社は現時点において、CBP501については製薬企業等との提携関係を有しておらず、CBS9106については提携パートナーを有しているもののこれによる収益は当社の事業費用の全額を賄うには至っておりません。この状況により当社には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。 当該状況を解消するべく、当社は、CBP501臨床第2相試験の結果を踏まえた戦略提携の成立を最重要課題として収益の獲得に努めます。あわせてCBS9106に関しても、Stemline社とのライセンス契約において除外地域となっている日本・中国・台湾・韓国における追加アライアンス活動を進めてまいります。