4901

富士フイルムホールディングス(4901)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

化学 素材・化学

事業の概要

  • 主力は多角化事業
    富士フイルムホールディングスは、ヘルスケア、エレクトロニクス、ビジネスイノベーション、イメージングの4つの主要事業セグメントで収益を上げています。かつての写真フィルム事業から大きく転換し、医療機器や医薬品、半導体材料、オフィスソリューションなど、幅広い分野で事業を展開しています。
  • 高付加価値製品・サービス
    各セグメントにおいて、高度な技術を要する製品やソリューションを提供することで収益を確保しています。例えば、ヘルスケアではバイオ医薬品の開発・製造受託、エレクトロニクスでは半導体材料など、専門性の高い分野が収益源となっています。
  • グローバル展開による収益
    海外売上高比率が約66%と高く、世界中の市場で製品やサービスを提供することで収益を上げています。これにより、特定の地域経済に依存せず、多様な市場からの収益獲得を目指すビジネスモデルを構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • ヘルスケア事業
    医療システム機材、バイオ医薬品製造受託、創薬支援材料、医薬品、化粧品・サプリメントなどを手掛けています。病気の診断から治療、予防、健康維持まで幅広い製品・サービスを提供し、人々の健康に貢献する事業です。富士フイルム富山化学や富士フイルム和光純薬などが主要会社です。
  • エレクトロニクス事業
    半導体材料、ディスプレイ材料、産業機材、ファインケミカルなどを提供しています。半導体製造プロセスに不可欠な材料や、高機能ディスプレイ向けの材料など、先端技術を支える製品が中心です。富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズなどが主要会社です。
  • ビジネスイノベーション事業
    ソリューション・サービス、デジタル複合機、グラフィックコミュニケーションシステム機材、インクジェット機材などを扱っています。オフィス業務の効率化やDX推進を支援するITソリューションや、印刷関連のシステムを提供しています。富士フイルムビジネスイノベーションが主要会社です。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,019 文字
3 【事業の内容】 当社は、米国会計基準によって連結財務諸表を作成しており、「関係会社」については米国会計基準の定義に基づいて開示しております。「第2 事業の状況」、「第3 設備の状況」においても同様であります。 当社は、創立90周年を機に、グループパーパス「地球上の笑顔の回数を増やしていく。」を制定しました。創業以来、先進的かつ独自の技術に基づいた商品やサービスの提供を通じて、人々の「笑顔」に寄り添ってきました。これから迎える100周年、さらにその先においても、当社は全事業を通じて社会課題の解決に貢献するとともに、世界中の人々に幸せな笑顔が何度も訪れるよう、従業員一人ひとりが「アスピレーション(志)」を持って挑み続けていきます。 各事業区分の主要製品並びに主要会社は次のとおりであります。また、この事業区分はセグメント情報における区分内容と同一であります。 なお、当社は特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。事業区分及び主要製品主要会社ヘルスケアメディカルシステム機材、バイオ医薬品製造開発受託、細胞・培地・試薬等の創薬支援材料、医薬品、化粧品・サプリメント等富士フイルム㈱、富士フイルム富山化学㈱富士フイルムヘルスケアマニュファクチャリング㈱富士フイルムメディカル㈱、富士フイルム和光純薬㈱FUJIFILM Diosynth Biotechnologies U.S.A.,Inc.FUJIFILM SonoSite, Inc.FUJIFILM Biosciences Inc.FUJIFILM Healthcare Americas CorporationFUJIFILM Diosynth Biotechnologies UK LimitedFUJIFILM Diosynth Biotechnologies Denmark ApSFUJIFILM (China) Investment Co.,Ltd.FUJIFILM Asia Pacific Pte.Ltd.エレクトロニクス半導体材料、ディスプレイ材料、産業機材、ファインケミカル等富士フイルム㈱、富士フイルム和光純薬㈱富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ㈱FUJIFILM Electronic Materials U.S.A.,Inc.FUJIFILM North America CorporationFUJIFILM Electronic Materials (Europe) NVFUJIFILM Electronic Materials Taiwan Co., Ltd.FUJIFILM (China) Investment Co.,Ltd.ビジネスイノベーションソリューション・サービス、デジタル複合機、グラフィックコミュニケーションシステム機材、インクジェット機材等富士フイルムビジネスイノベーション㈱富士フイルムビジネスイノベーションジャパン㈱富士フイルムシステムサービス㈱富士フイルムマニュファクチャリング㈱富士フイルムグラフィックソリューションズ㈱富士フイルムサービスクリエイティブ㈱FUJIFILM Business Innovation Asia Pacific Pte.Ltd.FUJIFILM Dimatix, Inc.FUJIFILM North America CorporationFUJIFILM Business Innovation Australia Pty LtdFUJIFILM Business Innovation (China) Corp.FUJIFILM Business Innovation Hong Kong LimitedFUJIFILM Manufacturing Shenzhen Corp.FUJIFILM Manufacturing Hai Phong Co., Ltd.イメージングインスタントフォトシステム、カラーフィルム、写真プリント用カラーペーパー・サービス・機器、デジタルカメラ、光学デバイス等富士フイルム㈱富士フイルムイメージングシステムズ㈱FUJIFILM North America CorporationFUJIFILM Germany GmbHFUJIFILM Asia Pacific Pte.Ltd.FUJIFILM Manufacturing Europe B.V.FUJIFILM Imaging Systems (Suzhou) Co.,Ltd.FUJIFILM (China) Investment Co.,Ltd. 2026年3月31日現在の子会社数は258社、関連会社数は27社であります。 以上に述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりになります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
原材料価格高騰時に適切な売価への反映を検討する対策があるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
高度な画像処理技術・AI技術、化合物合成・設計力、ナノテクノロジー、一定条件製造技術、品質管理技術。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:経済情勢・為替変動による業績への影響 / ヘルスケア領域における環境変化・競合 / エレクトロニクス領域における環境変化・競合
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 11 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★★☆
根拠:強いブランド・特許・許認可

富士フイルムは長年培ってきた写真フィルム事業で培った高度な化学技術、特に有機合成技術、高分子設計技術、評価解析技術を核に、ヘルスケア(医薬品、再生医療、化粧品)、高機能材料(ディスプレイ材料、半導体材料)など多角的な事業展開に成功。これらの技術は容易に模倣できず、強力な無形資産となっている。特に、医薬品分野における独自の創薬プラットフォームや、化粧品分野でのコラーゲン技術はブランド力と結びついている。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

ヘルスケア分野では、製薬会社が特定の医薬品サプライヤーを変更する際には、品質保証や規制対応の観点から一定のスイッチングコストが発生する可能性がある。しかし、顧客(製薬会社)が富士フイルムの製品・サービスに完全に依存しているわけではなく、代替サプライヤーも存在するため、スイッチングコストは限定的。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

富士フイルムの主要事業において、ネットワーク効果が競争優位の源泉となっている明確な証拠はない。各事業は個別の技術力や製品力に依存している。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

長年の製造ノウハウやスケールメリットにより、一部の化学製品や材料においてはコスト競争力を持つ可能性がある。特に、写真フィルム事業で培われた精密塗布技術などは、他の分野でも効率的な生産に寄与していると考えられる。しかし、ヘルスケア分野など高付加価値事業ではコスト優位性が主たる競争力ではない。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

ヘルスケア、ディスプレイ材料、半導体材料など、複数の成長分野で一定の規模を確保しており、業界内での存在感を示している。特に、医薬品受託製造(CDMO)事業などでは、規模の経済がコスト効率に寄与する可能性がある。しかし、グローバルな巨大企業と比較すると、まだ最適規模には達していない分野もある。

  • 先進技術と研究開発力
    富士フイルムは、長年の写真フィルム開発で培った高度な化学技術や光学技術、画像処理技術を基盤としています。これらの技術をヘルスケア(医療機器、医薬品)、エレクトロニクス(半導体材料)、ビジネスイノベーション(AI活用ソリューション)など、多様な分野に応用し、競争優位性を確立しています。
  • 多角的な事業ポートフォリオ
    ヘルスケア、エレクトロニクス、ビジネスイノベーション、イメージングという多岐にわたる事業を展開することで、特定の市場変動リスクを分散しています。これにより、一つの事業が不振でも他の事業でカバーできる体制を構築し、安定的な経営基盤を築いています。
  • 強固な顧客基盤と直販体制
    特にビジネスイノベーション領域では、日本およびアジア・オセアニア地域における強固な直販体制と優良な顧客基盤を保有しています。これにより、顧客の複雑な経営課題に対応するソリューションを直接提供し、長期的な信頼関係を構築することで安定した収益源を確保しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1)経営方針、経営環境 当社は、創立90周年を機に、グループパーパス「地球上の笑顔の回数を増やしていく。」を制定しました。創業以来、先進的かつ独自の技術に基づいた商品やサービスの提供を通じて、人々の「笑顔」に寄り添ってきました。これから迎える100周年、さらにその先においても、当社は全事業を通じて社会課題の解決に貢献するとともに、世界中の人々に幸せな笑顔が何度も訪れるよう、従業員一人ひとりが「アスピレーション(志)」を持って挑み続けていきます。このグループパーパスを実現するためには、①事業の持続的成長につながる新製品開発や設備投資、②環境・人権・サプライチェーンマネジメント等のESG課題への取組み、③人材育成や労働環境の向上、賃金引き上げ等、従業員の働きがいや能力発揮につながる取組み、④株主への還元を確実に実行し、多様なステークホルダーに価値を提供することが成功の鍵となります。当社グループは、これらの活動の原資となる利益を生み出すために、競争優位性を長期にわたって維持できる力強いビジネスにフォーカスすることで「稼げる力」を向上させ、経済的価値と社会的価値の両方を追求しながら、「稼げる会社」に進化させていきます。そして、獲得した利益を上記①②③④に再投資することにより、永続的な好循環を実現させます。 当社は、2017年8月に長期CSR計画「Sustainable Value Plan 2030」(以下、「SVP2030」と記載します。)を策定しました。2024年4月に発表した中期経営計画「VISION2030」(以下、「VISION2030」と記載します。)は「SVP2030」の具体的なアクションプランとして位置付けています。「VISION2030」では、収益性と資本効率を重視した経営により当社グループの価値を向上させ、世界TOP Tierの事業の集合体として、世界をひとつずつ変え、様々なステークホルダーの価値(笑顔)を生み出すことを「2030年度のあるべき姿」としました。「VISION2030」の2年目にあたる2025年度においては「売上高」は4期連続、「営業利益」は5期連続、「当社株主帰属当期純利益」は6期連続で過去最高を更新しました。「事業ポートフォリオマネジメント」と「キャッシュフローマネジメント」の強化により確保した原資を、バイオCDMO事業や半導体材料事業を中心とした成長分野の設備投資に充てる等、「VISION2030」達成に向けて順調に歩みを進めています。 2026年度の世界経済は、ロシア・ウクライナ情勢やイスラエル・パレスチナ情勢に加え、足元でのイラン情勢の混乱長期化懸念等の地政学的要因や、エネルギー市場の変動、人工知能(AI)の急速な発展に伴う社会構造の変化、各国の保護主義的な貿易政策やレアアース等の希少資源をめぐる資源安全保障の強化等、不確実性が高い状況が続いています。国内では賃金上昇と金利のある環境が徐々に定着する一方、長く続く円安が材料費の高騰を招き、あらゆる製品の価格見直しが迫られています。このような状況下において当社グループは、リスクを見据え、各種の変化にいち早く対応する柔軟性・機敏性と多様な事業ポートフォリオを武器に、全事業の収益力向上に努め、安定的なキャッシュ創出を進めるとともに、ヘルスケア部門・エレクトロニクス部門の成長加速や、持続的な成長を可能とする強靭な事業基盤を構築して、「稼げる会社」へと進化させていきます。 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。 (単位:億円) 2025年度2026年度(次期の見通し)対前年度 2026年度(中期経営計画)売上高33,57034,7001,130 34,500営業利益3,5023,650148 3,600当社株主帰属当期純利益2,7672,80033 2,700ROE7.7%7.8%0.1ポイント増 8.1%ROIC5.5%5.6%0.1ポイント増 5.8% (2)対処すべき課題「ヘルスケア部門の成長戦略」 ヘルスケア部門では、高齢化社会におけるQOL(Quality Of Life)向上や新興国における医療環境の整備といった医療分野の社会課題に対し、当社独自のAI技術やバイオ技術等、最先端の技術を駆使した製品やサービスを提供し続けます。これにより、2026年度は、ヘルスケア部門として、2024年度、2025年度に引き続き売上高1兆円を上回る、さらなる増収を目指します。 メディカルシステム事業では、AI・画像技術を価値創出のエンジンとして、医療機器・ITサービスに実装し、当社にしかできない新たな臨床価値(術前・術中支援ソリューション等)を創出するとともに、サービス・消耗品等のリカーリングビジネスの拡大を確実に進めていきます。また、新興国向けに展開している健診センター「NURA」は、AIを活用した診断支援や、当社独自のAIを搭載し、画像からのノイズ除去により高画質化を実現したCT等の最先端機器により、国や地域を問わず、均質で高水準な健診サービスを提供することに成功しており、これまでに5ヵ国へ展開をしています。引き続き「NURA」を通し、健診事業としての価値提供に留まらず、その運営を通じて得られる現場の課題や潜在ニーズをAI技術の高度化や新製品開発に反映させることで、メディカルシステム事業の競争優位性を高めていきます。 バイオCDMO事業では、抗体医薬品の旺盛な需要に応えるべく、2024年度のデンマーク拠点における能力増強に引き続き、2025年度は米国ノースカロライナ拠点にて新規の大型製造工場を開設し、第一次投資設備である20,000リットル動物細胞培養タンク8基の稼働を開始しました。米国ノースカロライナ拠点においては、Johnson & JohnsonグループのJanssen Supply Group, LLC及びRegeneron Pharmaceuticals, Inc.との長期製造契約を締結している等、受託が順調に進展しています。米国で高 まる製造需要を背景に、同拠点への第二次投資の稼働時期前倒しを進めており、2026年度は引き続き先行投資の時期となりますが、今後の大型製造設備を中心とした事業を加速させていきます。 LSソリューション事業のうち、ライフサイエンス事業では、創薬支援分野において、基礎研究から製造・安全性・品質試験までの広範囲にわたり、顧客ニーズに対応した培地・試薬・細胞等の多種多様な製品とサービスを大手製薬会社やバイオテック企業向けに提供していきます。医薬品事業では、ペニシリン等の抗菌剤の製造販売を進めていきます。また、2025年には、既存の富山拠点を活用し、国内最大級のバイオ医薬品CDMO工場を竣工し、2027年度からの稼働を予定しています。新工場では、平時は顧客ニーズに応じた抗体医薬品や抗体薬物複合体(ADC)等のバイオ医薬品を製造し、パンデミック時はmRNAワクチン・遺伝子組換えタンパクワクチンの製造が可能なデュアルユース体制を構築します。CRO事業では、当社独自のペプチド探索技術をコアコンピテンシーとし、AIやiPS細胞を用いた評価技術等を駆使した特徴的なサービスを国内外へ展開し、主に基礎研究から非臨床試験までの創薬初期段階の顧客に広めていきます。コンシューマーヘルスケア事業では、主力ブランドのASTALIFT(化粧品)、メタバリア(サプリメント)の通販強化に加え、男性向け化粧品「ASTALIFT MEN」や、機能性表示食品の「ヒザテクト」の拡販を進めます。 「エレクトロニクス部門の成長戦略」 エレクトロニクス部門では、「エレクトロニクス戦略本部」の下、同領域の顧客アプリケーション軸での製品ポートフォリオの構築・戦略マネジメントを通じて既存事業の拡大と新規事業の開発を進めていきます。 半導体市場は、AI半導体を中心に需要が引き続き拡大しており、半導体のパフォーマンス向上のため、微細化に加えて、後工程での高集積化が加速するとみています。当社半導体材料事業では、半導体の殆どの製造プロセスに材料を供給している強みを生かし、単一材料では解決できない複雑な顧客課題を解決する「ワンストップソリューション」を提供することで事業成長を加速させます。また、地産・地消・“地援*1”を重視し、日・米・欧・アジアの拠点への積極的な投資が顧客の成長を支えるとともに、紛争によるサプライチェーンの混乱等、地政学リスクの軽減にも寄与しています。さらに、半導体市場の成長が期待されるインドでは、製造拠点用の土地を取得する等、現地進出の準備を着実に進めており、新市場の開拓にも積極的に取り組んでいます。当社の重点製品であるフォトレジストについては、2026年2月に開催された半導体関連技術の国際カンファレンス「SPIE Advanced Lithography + Patterning 2026」にて次世代EUV技術を中心とした先端レジストの最新技術を発表し、さらに2026年4月にはネガ型液浸ArF領域で世界初となるフッ素フリーのレジスト開発を発表しました。これらEUVやArF等の新技術に対し、顧客から高い評価を頂き、引き合いも着実に増えています。また、後工程材料においては、インターポーザーの大型化やビルドアップ基板の微細化ニーズの高まりに伴い、フィルム型ポリイミドの需要増加が見込まれています。加えて、ハイブリッドボンディングといった先端パッケージング工程において高い精度で平坦化するCMPスラリーも用途検討が進んでいます。これらについて、先端パッケージング分野の複数の顧客からも大きな期待が寄せられており、本格的なサンプル評価が開始され、採用に向けた取組みを順調に拡大しています。 AF材料事業では、ディスプレイ向けTAC製品の強いマーケットポジションの維持、OLED向け材料のシェア向上を推進するとともに、ストレージ需要拡大に伴い世界中で新規開設が著しいデータセンターで使用されるデータテープや、半導体・ディスプレイ等エレクトロニクスデバイス製造工程に使用される圧力測定フィルム「プレスケール」、市場拡大する半導体材料向けのポリマー・光酸発生剤等、当社が持つ技術を駆使して、エレクトロニクス分野向けに差別化した製品の供給を拡大します。*1「地援」とは、顧客の課題に現地で対応できるサポート体制を指します。 「ビジネスイノベーション部門の成長戦略」 ビジネスイノベーション部門では、2025年度にデバイス及びソリューションへのAI実装を本格化させ、オフィスから商業印刷(アナログ・デジタル)・産業印刷まで全領域をカバーする業界唯一の「ソリューションパートナー」として価値創出を進めています。また、事業環境の変化を踏まえ、構造改革を集中的に進めるとともに、成長領域への経営資源シフトを加速し、持続的成長に向けた基盤を確立します。 ビジネスソリューション事業では、基幹・IT・業務の各領域において、セキュリティ及びAIを成長ドライバーとし、顧客のステージに応じたソリューションを展開することで、提供価値の高度化とリカーリングビジネスの拡大を推進していきます。基幹ソリューション領域では、「Microsoft Dynamics 365」を主力としたERPの提供体制強化を目的に、2026年3月にETG Global Information Technology Services Inc.を買収(同月より社名をFUJIFILM ETG Global Inc.に変更)し、今後のグローバル展開加速に向け、欧州・北米へとビジネス拡大を進めていきます。ITソリューション領域では、ITリソースが不足する中堅・中小企業向けに、ITインフラ環境の運用・管理を支援する「IT Expert Services」を展開しています。業務ソリューション領域では、顧客企業のインフラのクラウド化、顧客企業の業務プロセス変革・DXを支援するクラウドサービス「FUJIFILM IWpro(アイダブリュプロ)」を提供しています。2025年1月に「FUJIFILM IWpro Intelligent Assistant」オプションを搭載して以来、AI機能の強化を続けており、2026年3月には「AIチャット機能」を搭載する等、新たな価値提供を進めています。 オフィスソリューション事業では、プリントボリュームが漸減する中で、当社がトップレベルのシェアを有するA3カラー領域に注力し、環境対応と生産基盤の強化を図ります。販売では、効率的な販売体制への転換による収益性の維持・向上、及び欧州各国や北米の有力代理店による当社複合機の新規取り扱いや新規OEM等、新たな市場での販売拡大を目指します。また、AI活用によるサービス高度化の取組みとして、全国のセブン‐イレブンに設置されているマルチコピー機の利便性向上を目的に、マイクロソフトが提供する生成AIアシスタント「Microsoft Copilot」を活用した新たなプリント支援機能の開発に着手しており、2026年度中の提供開始を目指しています。当社のマルチコピー機においては、今後もAIをはじめとするデジタル技術の活用を通じて、提供サービスの拡充に向けた取組みを進めていきます。 グラフィックコミュニケーション事業では、商業印刷・パッケージ印刷市場におけるトレンドシフトに対応しています。大ロットのアナログ印刷やモノクロ印刷が減少する一方で多品種・小ロット印刷やカラー印刷の需要が増加する中、当社は刷版、デジタル印刷機、産業用ヘッドにおいてトップレベルのシェアを持つ強固な顧客基盤を中心に販売を拡大し、デジタルシフトをさらに加速させます。2025年12月には、ハイエンドプロ市場向けフラッグシップモデルとして、独自のAI技術によりお客様の印刷業務を自動化・効率化するプロダクションプリンター「Revoria Press PC2120」を国内にて先行発売しました。インクジェットインク・ヘッドについては、生産体制の再編で収益性改善を図るとともに、高生産性・高品質を誇るヘッドや安定性の高い水系顔料分散技術等の特長のある製品・技術により、成長が期待される商業印刷及びパッケージ印刷のデジタル市場や、インクジェット技術の向上により市場拡大が見込まれる新領域での事業拡大を進めていきます。 「イメージング部門の成長戦略」 コンシューマーイメージング事業では、音と静止画の組み合わせを進化させたハイブリッドインスタントカメラ「instax mini LiPlay+」(2025年11月発売)や、静止画に加えて動画の撮影を可能とし、1930~2020年代の映像を再現する「ジダイヤル」を搭載した“動画を手渡せる”インスタントカメラ「instax mini Evo Cinema」(2026年1月発売)等をはじめとした魅力的な新製品を持続的に市場投入し、ユーザー層の拡大を図ります。また、業務用途フォトプリンターの展開拡大や異業種パートナーとのアライアンスによる若い世代との新たなタッチポイント創出等を通じて、新規プリント需要の掘り起こしを進めていきます。 プロフェッショナルイメージング事業では、デジタルに最適化された色再現が特徴のデジタルカメラ「Xシリーズ」「GFXシリーズ」のマルチブランド戦略を強化することで、スマートフォンでは満足できない潜在ニーズを掘り起こし、当社ファンの拡大を図ります。また、2025年10月に発売した当社初の映像制作用カメラ「FUJIFILM GFX ETERNA 55」にて映像制作市場へ本格参入し、豊かな階調表現と立体感のある映像表現が国内外において好評を得ております。また、プロジェクター・遠望監視カメラの新規用途・エリア展開、最先端の光学技術・画像処理技術・AIを駆使したインフラ点検DXといった新規ソリューション分野の立ち上げも加速させていきます。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1)経営方針、経営環境 当社は、創立90周年を機に、グループパーパス「地球上の笑顔の回数を増やしていく。」を制定しました。創業以来、先進的かつ独自の技術に基づいた商品やサービスの提供を通じて、人々の「笑顔」に寄り添ってきました。これから迎える100周年、さらにその先においても、当社は全事業を通じて社会課題の解決に貢献するとともに、世界中の人々に幸せな笑顔が何度も訪れるよう、従業員一人ひとりが「アスピレーション(志)」を持って挑み続けていきます。このグループパーパスを実現するためには、①事業の持続的成長につながる新製品開発や設備投資、②環境・人権・サプライチェーンマネジメント等のESG課題への取組み、③人材育成や労働環境の向上、賃金引き上げ等、従業員の働きがいや能力発揮につながる取組み、④株主への還元を確実に実行し、多様なステークホルダーに価値を提供することが成功の鍵となります。当社グループは、これらの活動の原資となる利益を生み出すために、競争優位性を長期にわたって維持できる力強いビジネスにフォーカスすることで「稼げる力」を向上させ、経済的価値と社会的価値の両方を追求しながら、「稼げる会社」に進化させていきます。そして、獲得した利益を上記①②③④に再投資することにより、永続的な好循環を実現させます。 当社は、2017年8月に長期CSR計画「Sustainable Value Plan 2030」(以下、「SVP2030」と記載します。)を策定しました。2024年4月に発表した中期経営計画「VISION2030」(以下、「VISION2030」と記載します。)は「SVP2030」の具体的なアクションプランとして位置付けています。「VISION2030」では、収益性と資本効率を重視した経営により当社グループの価値を向上させ、世界TOP Tierの事業の集合体として、世界をひとつずつ変え、様々なステークホルダーの価値(笑顔)を生み出すことを「2030年度のあるべき姿」としました。「VISION2030」の2年目にあたる2025年度においては「売上高」は4期連続、「営業利益」は5期連続、「当社株主帰属当期純利益」は6期連続で過去最高を更新しました。「事業ポートフォリオマネジメント」と「キャッシュフローマネジメント」の強化により確保した原資を、バイオCDMO事業や半導体材料事業を中心とした成長分野の設備投資に充てる等、「VISION2030」達成に向けて順調に歩みを進めています。 2026年度の世界経済は、ロシア・ウクライナ情勢やイスラエル・パレスチナ情勢に加え、足元でのイラン情勢の混乱長期化懸念等の地政学的要因や、エネルギー市場の変動、人工知能(AI)の急速な発展に伴う社会構造の変化、各国の保護主義的な貿易政策やレアアース等の希少資源をめぐる資源安全保障の強化等、不確実性が高い状況が続いています。国内では賃金上昇と金利のある環境が徐々に定着する一方、長く続く円安が材料費の高騰を招き、あらゆる製品の価格見直しが迫られています。このような状況下において当社グループは、リスクを見据え、各種の変化にいち早く対応する柔軟性・機敏性と多様な事業ポートフォリオを武器に、全事業の収益力向上に努め、安定的なキャッシュ創出を進めるとともに、ヘルスケア部門・エレクトロニクス部門の成長加速や、持続的な成長を可能とする強靭な事業基盤を構築して、「稼げる会社」へと進化させていきます。 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。 (単位:億円) 2025年度2026年度(次期の見通し)対前年度 2026年度(中期経営計画)売上高33,57034,7001,130 34,500営業利益3,5023,650148 3,600当社株主帰属当期純利益2,7672,80033 2,700ROE7.7%7.8%0.1ポイント増 8.1%ROIC5.5%5.6%0.1ポイント増 5.8% (2)対処すべき課題「ヘルスケア部門の成長戦略」 ヘルスケア部門では、高齢化社会におけるQOL(Quality Of Life)向上や新興国における医療環境の整備といった医療分野の社会課題に対し、当社独自のAI技術やバイオ技術等、最先端の技術を駆使した製品やサービスを提供し続けます。これにより、2026年度は、ヘルスケア部門として、2024年度、2025年度に引き続き売上高1兆円を上回る、さらなる増収を目指します。 メディカルシステム事業では、AI・画像技術を価値創出のエンジンとして、医療機器・ITサービスに実装し、当社にしかできない新たな臨床価値(術前・術中支援ソリューション等)を創出するとともに、サービス・消耗品等のリカーリングビジネスの拡大を確実に進めていきます。また、新興国向けに展開している健診センター「NURA」は、AIを活用した診断支援や、当社独自のAIを搭載し、画像からのノイズ除去により高画質化を実現したCT等の最先端機器により、国や地域を問わず、均質で高水準な健診サービスを提供することに成功しており、これまでに5ヵ国へ展開をしています。引き続き「NURA」を通し、健診事業としての価値提供に留まらず、その運営を通じて得られる現場の課題や潜在ニーズをAI技術の高度化や新製品開発に反映させることで、メディカルシステム事業の競争優位性を高めていきます。 バイオCDMO事業では、抗体医薬品の旺盛な需要に応えるべく、2024年度のデンマーク拠点における能力増強に引き続き、2025年度は米国ノースカロライナ拠点にて新規の大型製造工場を開設し、第一次投資設備である20,000リットル動物細胞培養タンク8基の稼働を開始しました。米国ノースカロライナ拠点においては、Johnson & JohnsonグループのJanssen Supply Group, LLC及びRegeneron Pharmaceuticals, Inc.との長期製造契約を締結している等、受託が順調に進展しています。米国で高 まる製造需要を背景に、同拠点への第二次投資の稼働時期前倒しを進めており、2026年度は引き続き先行投資の時期となりますが、今後の大型製造設備を中心とした事業を加速させていきます。 LSソリューション事業のうち、ライフサイエンス事業では、創薬支援分野において、基礎研究から製造・安全性・品質試験までの広範囲にわたり、顧客ニーズに対応した培地・試薬・細胞等の多種多様な製品とサービスを大手製薬会社やバイオテック企業向けに提供していきます。医薬品事業では、ペニシリン等の抗菌剤の製造販売を進めていきます。また、2025年には、既存の富山拠点を活用し、国内最大級のバイオ医薬品CDMO工場を竣工し、2027年度からの稼働を予定しています。新工場では、平時は顧客ニーズに応じた抗体医薬品や抗体薬物複合体(ADC)等のバイオ医薬品を製造し、パンデミック時はmRNAワクチン・遺伝子組換えタンパクワクチンの製造が可能なデュアルユース体制を構築します。CRO事業では、当社独自のペプチド探索技術をコアコンピテンシーとし、AIやiPS細胞を用いた評価技術等を駆使した特徴的なサービスを国内外へ展開し、主に基礎研究から非臨床試験までの創薬初期段階の顧客に広めていきます。コンシューマーヘルスケア事業では、主力ブランドのASTALIFT(化粧品)、メタバリア(サプリメント)の通販強化に加え、男性向け化粧品「ASTALIFT MEN」や、機能性表示食品の「ヒザテクト」の拡販を進めます。 「エレクトロニクス部門の成長戦略」 エレクトロニクス部門では、「エレクトロニクス戦略本部」の下、同領域の顧客アプリケーション軸での製品ポートフォリオの構築・戦略マネジメントを通じて既存事業の拡大と新規事業の開発を進めていきます。 半導体市場は、AI半導体を中心に需要が引き続き拡大しており、半導体のパフォーマンス向上のため、微細化に加えて、後工程での高集積化が加速するとみています。当社半導体材料事業では、半導体の殆どの製造プロセスに材料を供給している強みを生かし、単一材料では解決できない複雑な顧客課題を解決する「ワンストップソリューション」を提供することで事業成長を加速させます。また、地産・地消・“地援*1”を重視し、日・米・欧・アジアの拠点への積極的な投資が顧客の成長を支えるとともに、紛争によるサプライチェーンの混乱等、地政学リスクの軽減にも寄与しています。さらに、半導体市場の成長が期待されるインドでは、製造拠点用の土地を取得する等、現地進出の準備を着実に進めており、新市場の開拓にも積極的に取り組んでいます。当社の重点製品であるフォトレジストについては、2026年2月に開催された半導体関連技術の国際カンファレンス「SPIE Advanced Lithography + Patterning 2026」にて次世代EUV技術を中心とした先端レジストの最新技術を発表し、さらに2026年4月にはネガ型液浸ArF領域で世界初となるフッ素フリーのレジスト開発を発表しました。これらEUVやArF等の新技術に対し、顧客から高い評価を頂き、引き合いも着実に増えています。また、後工程材料においては、インターポーザーの大型化やビルドアップ基板の微細化ニーズの高まりに伴い、フィルム型ポリイミドの需要増加が見込まれています。加えて、ハイブリッドボンディングといった先端パッケージング工程において高い精度で平坦化するCMPスラリーも用途検討が進んでいます。これらについて、先端パッケージング分野の複数の顧客からも大きな期待が寄せられており、本格的なサンプル評価が開始され、採用に向けた取組みを順調に拡大しています。 AF材料事業では、ディスプレイ向けTAC製品の強いマーケットポジションの維持、OLED向け材料のシェア向上を推進するとともに、ストレージ需要拡大に伴い世界中で新規開設が著しいデータセンターで使用されるデータテープや、半導体・ディスプレイ等エレクトロニクスデバイス製造工程に使用される圧力測定フィルム「プレスケール」、市場拡大する半導体材料向けのポリマー・光酸発生剤等、当社が持つ技術を駆使して、エレクトロニクス分野向けに差別化した製品の供給を拡大します。*1「地援」とは、顧客の課題に現地で対応できるサポート体制を指します。 「ビジネスイノベーション部門の成長戦略」 ビジネスイノベーション部門では、2025年度にデバイス及びソリューションへのAI実装を本格化させ、オフィスから商業印刷(アナログ・デジタル)・産業印刷まで全領域をカバーする業界唯一の「ソリューションパートナー」として価値創出を進めています。また、事業環境の変化を踏まえ、構造改革を集中的に進めるとともに、成長領域への経営資源シフトを加速し、持続的成長に向けた基盤を確立します。 ビジネスソリューション事業では、基幹・IT・業務の各領域において、セキュリティ及びAIを成長ドライバーとし、顧客のステージに応じたソリューションを展開することで、提供価値の高度化とリカーリングビジネスの拡大を推進していきます。基幹ソリューション領域では、「Microsoft Dynamics 365」を主力としたERPの提供体制強化を目的に、2026年3月にETG Global Information Technology Services Inc.を買収(同月より社名をFUJIFILM ETG Global Inc.に変更)し、今後のグローバル展開加速に向け、欧州・北米へとビジネス拡大を進めていきます。ITソリューション領域では、ITリソースが不足する中堅・中小企業向けに、ITインフラ環境の運用・管理を支援する「IT Expert Services」を展開しています。業務ソリューション領域では、顧客企業のインフラのクラウド化、顧客企業の業務プロセス変革・DXを支援するクラウドサービス「FUJIFILM IWpro(アイダブリュプロ)」を提供しています。2025年1月に「FUJIFILM IWpro Intelligent Assistant」オプションを搭載して以来、AI機能の強化を続けており、2026年3月には「AIチャット機能」を搭載する等、新たな価値提供を進めています。 オフィスソリューション事業では、プリントボリュームが漸減する中で、当社がトップレベルのシェアを有するA3カラー領域に注力し、環境対応と生産基盤の強化を図ります。販売では、効率的な販売体制への転換による収益性の維持・向上、及び欧州各国や北米の有力代理店による当社複合機の新規取り扱いや新規OEM等、新たな市場での販売拡大を目指します。また、AI活用によるサービス高度化の取組みとして、全国のセブン‐イレブンに設置されているマルチコピー機の利便性向上を目的に、マイクロソフトが提供する生成AIアシスタント「Microsoft Copilot」を活用した新たなプリント支援機能の開発に着手しており、2026年度中の提供開始を目指しています。当社のマルチコピー機においては、今後もAIをはじめとするデジタル技術の活用を通じて、提供サービスの拡充に向けた取組みを進めていきます。 グラフィックコミュニケーション事業では、商業印刷・パッケージ印刷市場におけるトレンドシフトに対応しています。大ロットのアナログ印刷やモノクロ印刷が減少する一方で多品種・小ロット印刷やカラー印刷の需要が増加する中、当社は刷版、デジタル印刷機、産業用ヘッドにおいてトップレベルのシェアを持つ強固な顧客基盤を中心に販売を拡大し、デジタルシフトをさらに加速させます。2025年12月には、ハイエンドプロ市場向けフラッグシップモデルとして、独自のAI技術によりお客様の印刷業務を自動化・効率化するプロダクションプリンター「Revoria Press PC2120」を国内にて先行発売しました。インクジェットインク・ヘッドについては、生産体制の再編で収益性改善を図るとともに、高生産性・高品質を誇るヘッドや安定性の高い水系顔料分散技術等の特長のある製品・技術により、成長が期待される商業印刷及びパッケージ印刷のデジタル市場や、インクジェット技術の向上により市場拡大が見込まれる新領域での事業拡大を進めていきます。 「イメージング部門の成長戦略」 コンシューマーイメージング事業では、音と静止画の組み合わせを進化させたハイブリッドインスタントカメラ「instax mini LiPlay+」(2025年11月発売)や、静止画に加えて動画の撮影を可能とし、1930~2020年代の映像を再現する「ジダイヤル」を搭載した“動画を手渡せる”インスタントカメラ「instax mini Evo Cinema」(2026年1月発売)等をはじめとした魅力的な新製品を持続的に市場投入し、ユーザー層の拡大を図ります。また、業務用途フォトプリンターの展開拡大や異業種パートナーとのアライアンスによる若い世代との新たなタッチポイント創出等を通じて、新規プリント需要の掘り起こしを進めていきます。 プロフェッショナルイメージング事業では、デジタルに最適化された色再現が特徴のデジタルカメラ「Xシリーズ」「GFXシリーズ」のマルチブランド戦略を強化することで、スマートフォンでは満足できない潜在ニーズを掘り起こし、当社ファンの拡大を図ります。また、2025年10月に発売した当社初の映像制作用カメラ「FUJIFILM GFX ETERNA 55」にて映像制作市場へ本格参入し、豊かな階調表現と立体感のある映像表現が国内外において好評を得ております。また、プロジェクター・遠望監視カメラの新規用途・エリア展開、最先端の光学技術・画像処理技術・AIを駆使したインフラ点検DXといった新規ソリューション分野の立ち上げも加速させていきます。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度における連結売上高は、バイオCDMO、半導体材料、イメージング等を中心に売上を伸ばし、3,356,969百万円(前年度比5.0%増)となりました。営業利益は、350,210百万円(前年度比6.1%増)となりました。税金等調整前当期純利益は366,629百万円(前年度比7.6%増)、当社株主帰属当期純利益は276,735百万円(前年度比6.0%増)となりました。 事業セグメント別の業績は次のとおりであります。 (事業セグメント別の連結売上高)セグメント前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)増減率(%)ヘルスケア1,047,7541,098,92551,1714.9エレクトロニクス407,607456,15748,55011.9ビジネスイノベーション1,198,4941,174,800△23,694△2.0イメージング541,973627,08785,11415.7連結合計3,195,8283,356,969161,1415.0 ヘルスケア部門の連結売上高は、前年度の1,047,754百万円に対し、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業等で売上を伸ばしたことにより51,171百万円増加し、1,098,925百万円となりました。エレクトロニクス部門の連結売上高は、前年度の407,607百万円に対し、半導体材料事業、ディスプレイ材料事業等で売上を伸ばしたことにより48,550百万円増加し、456,157百万円となりました。ビジネスイノベーション部門の連結売上高は、前年度の1,198,494百万円に対し、市況低迷や低採算機種の販売絞り込み等により23,694百万円減少し、1,174,800百万円となりました。イメージング部門の連結売上高は、前年度の541,973百万円に対し、コンシューマーイメージング事業、プロフェッショナルイメージング事業で売上を伸ばしたことにより85,114百万円増加し、627,087百万円となりました。 (事業セグメント別の営業利益)セグメント前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)増減率(%)ヘルスケア79,88263,637△16,245△20.3エレクトロニクス75,068100,88325,81534.4ビジネスイノベーション74,61463,712△10,902△14.6イメージング139,214160,00320,78914.9全社費用等△38,623△38,025598-連結合計330,155350,21020,0556.1※当連結会計年度より、AF(アドバンストファンクショナル)材料事業に含まれていたケミカル試薬をエレクトロニクスセグメントからヘルスケアセグメントへ移管しております。前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の区分方法により作成したものを記載しております。 ヘルスケア部門の営業利益は、前年度の79,882百万円に対し、為替や銀価格高騰による原材料価格影響等により16,245百万円減少し、63,637百万円となりました。エレクトロニクス部門の営業利益は、前年度の75,068百万円に対し、生成AI向け半導体材料の増収に伴う増益等により25,815百万円増加し、100,883百万円となりました。ビジネスイノベーション部門の営業利益は、前年度の74,614百万円に対し、市況低迷やアジアパシフィック地域体質強化に係る一時費用増加等により10,902百万円減少し、63,712百万円となりました。イメージング部門の営業利益は、前年度の139,214百万円に対し、インスタントフォトシステムやデジタルカメラの販売好調により20,789百万円増加し、160,003百万円となりました。 当連結会計年度末では、総資産は有形固定資産の増加等により803,868百万円増加し、6,053,776百万円(前年度末比15.3%増)となりました。負債は社債及び長期借入金の増加等により312,165百万円増加し、2,209,391百万円(前年度末比16.5%増)となりました。純資産は当社株主帰属当期純利益の計上等により491,703百万円増加し、3,844,385百万円(前年度末比14.7%増)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」と記載します。)は、前連結会計年度末より1,558百万円減少し、当連結会計年度末において170,553百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の営業活動により得られた資金は410,555百万円となり、受取債権、棚卸資産が増加したこと等に起因して、前連結会計年度と比較して17,607百万円減少(前年度比4.1%減)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の投資活動に使用した資金は554,604百万円となり、前連結会計年度と比較して12,651百万円増加(前年度比2.3%増)しておりますが、これは有形固定資産の購入額が増加したこと等によるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の財務活動により得られた資金は120,249百万円となり、前連結会計年度と比較して11,366百万円増加(前年度比10.4%増)しておりますが、これは長期債務による調達等によるものです。③ 生産、受注及び販売の実績 当社グループの生産・販売品目は多種多様であり、同種の製品であっても、その容量・構造・形式等は必ずしも一様ではなく、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。 販売の実績につきましては、「① 財政状態及び経営成績の状況」の記載に含めております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 資本の財源及び資金の流動性ⅰ)キャッシュ・フロー 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。(連結キャッシュ・フロー指標) 前連結会計年度当連結会計年度株主資本比率(%)63.863.4時価ベースの株主資本比率(%)65.359.1キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)1.62.2インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)48.982.2 (注)株主資本比率:株主資本/総資産時価ベースの株主資本比率:株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数*)/総資産*自己株式を除くキャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(社債、短期・長期借入金)/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い(支払利息) ⅱ)財務政策 当社グループの資金需要には、運転資金需要及び投資を目的とした資金需要、株主還元のための資金需要が含まれます。 運転資金需要のうち主なものは、原材料等の購入費用、製造費用、販売費及び一般管理費、研究開発費等の営業費用によるものであり、投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資、事業買収を含む投融資等によるものであります。また、株主還元の方針は次のとおりであります。 (株主還元方針) 配当につきましては、連結業績を反映させるとともに、成長事業のさらなる拡大に向けたM&A、設備投資、研究開発投資等、将来にわたって企業価値を向上させていくために必要となる資金の水準等も考慮した上で決定します。また、その時々のキャッシュ・フローを勘案し、株価推移に応じて自己株式の取得も機動的に実施していきます。株主還元方針については、配当を重視し、配当性向30%を目安としております。 これらの資金は、主として内部資金により充当し、必要に応じ金融機関からの借入や社債による資金調達を実施しています。 なお、当連結会計年度末における短期の社債及び借入金の残高は287,913百万円、長期の社債及び借入金の残高は607,034百万円であります。 ② 経営成績 ⅰ)売上高、営業費用及び営業利益 当連結会計年度の売上高は、前年度の3,195,828百万円に対し、161,141百万円増加し、3,356,969百万円(前年度比5.0%増)となりました。国内売上高は1,168,682百万円(前年度比6.3%増)、海外売上高は2,188,287百万円(前年度比4.4%増)となりました。実績為替レートは151円/米ドル(前年度比1円高)、175円/ユーロ(前年度比11円安)となりました。 販売費及び一般管理費は、前年度の806,525百万円に対し、54,987百万円増加し、861,512百万円(前年度比6.8%増)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は25.7%となりました。 研究開発費は、前年度の163,399百万円に対し、5,609百万円減少し、157,790百万円(前年度比3.4%減)となりました。研究開発費の売上高に対する比率は4.7%となりました。 事業セグメント別の業績は次のとおりであります。 「ヘルスケア部門」 本部門の連結売上高は、1,098,925百万円(前年度比4.9%増)となりました。営業利益は、63,637百万円(前年度比20.3%減)となりました。 メディカルシステム事業では、日本・米国・欧州をはじめとする主要市場で販売が好調に推移した内視鏡や、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」を中心としたシステム・サービス販売が日本・米国・欧州・中東等で好調に推移した医療ITの他、血液生化学検査「富士ドライケム」機器・材料の販売が好調に推移した体外診断(IVD)等で売上が伸長しました。一方で、中国における医療材料の需要減等により、事業全体では前年度並みの売上となりました。2026年3月には、検査ワークフローの効率化に貢献する軽量・小型の携帯型X線撮影装置「CALNEO Xair PLUS」、及び気管支用スコープの新ラインアップとして、HDイメージCMOSセンサーを搭載した気管支用スコープ「EB-840S」「EB-840T」を発売しました。当社は、今後も独自技術を生かし、様々な医療現場のニーズに応える幅広い製品・サービスの提供を通じて、さらなる診断の効率化と医療の質の向上、人々の健康の維持・増進に貢献していきます。 バイオCDMO事業では、前年度に稼働開始したデンマーク拠点の大型製造設備による売上寄与、及び前年度に稼働調整を実施していたテキサス拠点の中小型製造設備における稼働回復等により、売上が増加しました。当年度は、米国ノースカロライナ州にて新規の大型製造工場を開設し、第一次投資設備である20,000リットル動物細胞培養タンク8基の稼働を開始したことに加え、2026年2月には、英国拠点に抗体医薬品の原薬製造棟及びプロセス開発ラボを開設しました。当社は、急速に拡大する抗体医薬品の製造委託ニーズに対応することで、事業成長を一段と加速していきます。 LS(ライフサイエンス)ソリューション事業*では、ライフサイエンス事業において、大手製薬会社の当社培地使用量増加による培地の販売伸長に加え、市況回復により試薬の販売が好調に推移したことや、医薬品事業において、COVID-19国産ワクチンの治験薬受託製造が増加したこと等により、売上が増加しました。*ライフサイエンス事業・医薬品事業・コンシューマーヘルスケア事業・CRO事業から構成 「エレクトロニクス部門」 本部門の連結売上高は、456,157百万円(前年度比11.9%増)となりました。営業利益は、100,883百万円(前年度比34.4%増)となりました。 半導体市場は、半導体が自動車や家電製品等多くの製品に使われ、安定して成長してきた時代を経て、現在はAI半導体の需要増加により市場が大きく成長しています。当社半導体材料事業は、AI半導体需要を着実に取り込み、売上が大きく増加しました。大手ファウンドリー向け販売が好調を継続し、米国や韓国の大手半導体メーカー向け販売も回復しています。製品別では、先端レジストや、世界トップシェアのNTI現像液、同じく世界トップシェアの銅配線用CMPスラリーが、微細化と配線層の積層数増加に伴い販売が伸長し、後工程材料分野でも、AI半導体向け先端パッケージングの需要拡大に伴い、チップ間接続に使用される層間絶縁膜用の液型ポリイミドの販売が伸長しました。2026年2月には、最先端ロジック半導体の量産を目指すRapidus㈱への50億円の出資を完了しました。本出資を通じ、最先端半導体の国内量産化実現と日本の半導体産業の発展へコミットするとともに、幅広い半導体材料と技術をRapidusに提供することで、同社の最先端半導体の開発・製造を力強く支援していきます。また、Rapidusと密に連携して次世代プロセス開発に取り組む中で技術力を磨き、次世代半導体向け材料の開発を加速していきます。 AF(アドバンストファンクショナル)材料事業は、新規ディスプレイ材料の採用が進んだことに加えて、半導体用レジスト材料の販売好調等により、売上が増加しました。 「ビジネスイノベーション部門」 本部門の連結売上高は、1,174,800百万円(前年度比2.0%減)となりました。営業利益は、63,712百万円(前年度比14.6%減)となりました。 ビジネスソリューション事業では、国内におけるWindows 10サポート終了に伴う買い替え需要を梃子にしたDX関連ソリューションや自治体向けサービスの販売伸長等により、売上が増加しました。2026年3月には、トルコのETG Global Information Technology Services Inc.を買収しました。当社がこれまで培ってきた事業基盤に、同社の技術力とIT人材基盤を掛け合わせることで基幹システム販売・導入支援事業をグローバルに拡大していきます。 オフィスソリューション事業では、中国・オセアニアの市況低迷や低採算機種の販売終了等を背景としたアジア・パシフィック地域における販売減少や欧米向け輸出の減少等により、売上が減少しました。 グラフィックコミュニケーション事業では、アナログ印刷分野における刷版材料の欧米向けの販売減少や製版材料の低採算品の販売終了等により、売上が減少しました。2025年12月には、独自のAI技術によりお客様の印刷業務を自動化・効率化するプロダクションプリンター「Revoria Press PC2120」を発売、また2026年3月には、印刷生産管理業務をAIで効率化するクラウドサービス「Revoria Cloud Production」の提供を開始しました。 「イメージング部門」 本部門の連結売上高は、627,087百万円(前年度比15.7%増)となりました。営業利益は、160,003百万円(前年度比14.9%増)となりました。 コンシューマーイメージング事業では、累計販売台数1億台を突破したインスタントフォトシステム「instax」の伸長により、売上が増加しました。主力機種である「instax mini 12」や「instax mini Evo」に加え、前年度に発売した「instax WIDE 400」、「instax mini Link 3」、「instax WIDE Evo」等の異なるユーザー層に向けた多彩な製品の販売が引き続き好調に推移しています。2025年4月にはクラシックデザインのエントリーモデル「instax mini 41」を、2025年11月には音と静止画の組み合わせを進化させた「instax mini LiPlay+」を発売しました。さらに、2026年1月には静止画に加えて動画の撮影を可能とし、1930~2020年代の映像を再現する「ジダイヤル」を搭載した“動画を手渡せる”インスタントカメラ「instax mini Evo Cinema」、及びスマホプリンター「mini Link」シリーズの上位モデル「instax mini Link+」を発売し、これまでにない新しいチェキプリントの楽しみ方も提案しています。また、2025年12月には instax“チェキ”フィルムの生産設備増強を発表し、世界的な需要拡大への対応を進めています。今後も、撮影したその場でプリントを楽しめる「instax」の魅力を広げるとともに、写真の価値と楽しさを伝えていきます。 プロフェッショナルイメージング事業では、デジタルカメラの販売伸長により、売上が増加しました。前年度に発売した機種に加え、当年度に発売した「FUJIFILM GFX100RF」、「X half(製品名:FUJIFILM X-HF1)」、「FUJIFILM X-E5」、「FUJIFILM X-T30 III」等の新製品が牽引し、販売が好調に推移しています。また、当年度は当社初の動画専用機となる映像制作用カメラ「FUJIFILM GFX ETERNA 55」を発売し、当社の色再現、ラージフォーマットによる描写力、光学性能により、映像制作の現場にも新たな価値を提供していきます。今後も「GFX シリーズ」ではラージフォーマットによる圧倒的高画質を、「X シリーズ」では画質とサイズのベストバランスを実現することに加えて、「FUJIFILM GFX100RF」や「X half」、「FUJIFILM GFX ETERNA 55」のような新しいコンセプトのカメラを生み出すことで、デジタルカメラユーザーや映像業界に魅力的な製品を提供していきます。 ⅱ)営業外損益及び税金等調整前当期純利益 営業外収益及び費用は、前年度10,439百万円の営業外収益に対し5,980百万円増加し、16,419百万円の営業外収益となりました。 税金等調整前当期純利益は、前年度の340,594百万円に対し26,035百万円増加し、366,629百万円となりました。 ⅲ)法人税等 法人税等は、前年度の77,595百万円に対し13,666百万円増加し、91,261百万円となりました。 ⅳ)持分法による投資損益及び非支配持分帰属損益 持分法による投資損益は、前年度1,320百万円の損失に対し3,249百万円増加し、1,929百万円の利益となりました。 非支配持分帰属損益は、前年度の728百万円の損失に対し166百万円増加し、562百万円の損失となりました。 ⅴ)当社株主帰属当期純利益 当社株主帰属当期純利益は、前年度の260,951百万円に対し15,784百万円増加し、276,735百万円となりました。基本的1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の216.67円に対し、229.65円となりました。また、希薄化後1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の216.46円に対し、229.45円となりました。 ③ 次期の見通し (単位:億円) 2026年度(次期の見通し)2025年度(実績)増減率・増減額売上高34,70033,5703.4%営業利益3,6503,5024.2%税金等調整前当期純利益3,7503,6662.3%当社株主帰属当期純利益2,8002,7671.2%ROE(%)7.87.70.1ポイント増ROIC(%)5.65.50.1ポイント増為替レート(円/米ドル)150円151円△1円為替レート(円/ユーロ)175円175円- 2026年度業績は、連結売上高は3兆4,700億円(前年度比3.4%増)、営業利益は3,650億円(前年度比4.2%増)、税金等調整前当期純利益は3,750億円(前年度比2.3%増)、当社株主帰属当期純利益は2,800億円(前年度比1.2%増)を予想しております。 通期での対米ドル円為替レートを150円、対ユーロ円為替レートを175円で想定しております。 ④ 重要な会計上の見積り 当社の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた会計基準に準拠して作成されております。これらの財務諸表の作成にあたっては、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす見積り及び仮定を行う必要があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは次のとおりであります。ⅰ)企業結合 企業結合は取得法で処理しております。取得法では、取得した全ての資産及び引き受けた全ての負債を、支配獲得日における公正価値に基づき認識及び測定します。公正価値の決定には、将来キャッシュ・フローの予測、割引率及び永久成長率等の、重要な見積りを伴います。 企業結合の処理における公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化に伴い公正価値が修正され、取得した資産の将来における減損損失の計上、引き受けた負債の増加につながる可能性があります。 ⅱ)営業権の減損 営業権は償却せず、毎年1月1日時点で減損の有無を検討しております。営業権の減損テストは、当社の報告単位毎に見積将来キャッシュ・フローの現在価値に基づく公正価値に基づいて行われており、使用される割引率は、報告単位のWACC(加重平均資本コスト)に基づいて算出しております。また、客観的事実や状況の変化により当該資産の公正価値が帳簿価額を下回る可能性がある場合には、その都度減損の有無を検討しております。 見積将来キャッシュ・フローの現在価値に基づく公正価値の算定には、将来キャッシュ・フローの予測、割引率及び永久成長率等の、重要な見積りを伴います。 営業権の減損判定に使用した公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化によって公正価値が減少し、将来において営業権の減損損失を認識することになる可能性があります。 なお、事業セグメント毎の営業権の残高については、連結財務諸表注記「8 営業権及びその他の無形固定資産」に記載しております。 ⅲ)長期性資産の減損 営業権及び耐用年数を確定できないその他の無形固定資産を除く、保有及び使用予定の長期性資産について、客観的事実や状況の変化により当該資産の帳簿価額の回収可能性に疑いのある場合には、減損の有無を検討しております。減損の兆候があると判断されるときは、その資産に関連する見積割引前将来キャッシュ・フローとその資産の帳簿価額を比較し、帳簿価額の減額が必要かどうかを検討しております。この結果、帳簿価額が割引前将来キャッシュ・フローを超過すると判断される場合は、当該資産の帳簿価額を見積公正価値へ減額処理しております。公正価値を決定するにあたり、当社は市場取引価格又はその他の評価方法を使用しております。市場取引価格を利用できない場合には、主に資産の使用や最終的な処分から生じる見積将来キャッシュ・フローに基づく割引現在価値法、ロイヤルティ免除法又は超過収益法を使用しております。 これらの手法は、将来見積利益又はキャッシュ・フローの予測及び割引率等の、重要な見積りを伴います。 長期性資産の減損判定に使用した公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化によって公正価値が減少し、将来において長期性資産の減損損失を認識することになる可能性があります。 ⅳ)退職給付引当金及び退職給付費用 当社の一部の子会社は確定給付企業年金制度を採用しており、当該制度に係る退職給付引当金及び退職給付費用は、数理計算上の仮定に基づいて算出しております。これらの仮定には、割引率、年金資産の長期期待収益率、予想再評価率、退職率、死亡率等が含まれております。 数理計算上の仮定は、最善の見積りにより決定しておりますが、見直しが必要となった場合には、退職給付引当金及び退職給付費用が増加する可能性があります。 なお、数理計算上の仮定については連結財務諸表注記「10 退職給付制度」に記載しております。 ⅴ)信用損失引当金 金融資産の信用損失引当金は、残存期間において将来的に発生すると予測される全ての信用損失を見積っています。 信用損失引当金の計上において、当社は、信用の質を一括評価債権及び個別評価債権として管理しており、債務者の財政状態や支払の延滞状況等、過去の信用損失実績及び合理的かつ裏付け可能な予測に基づき、金融資産について一括評価及び個別評価を行っています。 なお、信用損失引当金の残高については、連結財務諸表注記「20 金融資産の信用の質及び信用損失引当金」に記載しております。 ⅵ)繰延税金資産 資産及び負債の財務会計上の金額と税務上の金額の差異に基づいて繰延税金資産及び負債を認識しており、その算出にあたっては差異が解消される年度に適用される税率及び税法を適用しております。また、繰延税金資産のうち回収されない可能性が高い部分については、評価性引当金を計上しております。 回収可能性の検討にあたっては、評価時点で利用可能な情報に基づいた最善の見積りを行っておりますが、見積りの前提とした仮定や条件に変更が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性の評価を見直す可能性があります。 なお、繰延税金資産の残高については、連結財務諸表注記「11 法人税等」に記載しております。 ⅶ)棚卸資産 棚卸資産については、原則として移動平均法による低価法により評価しております。また、当社は定期的に陳腐化、滞留、又は過剰在庫の有無を検討し、該当する場合には正味実現可能価額まで評価減しております。 評価損の見積りにあたっては、過去の出荷実績や評価時点で入手可能な情報等を基に、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で判断しておりますが、市場環境が予測より悪化して正味実現可能価額が下落する場合には、追加の評価損計上が必要となる可能性があります。

事業リスク

  • 経済・為替変動リスク
    海外売上高比率が約66%と高いため、世界経済の動向や為替レートの変動が業績に大きく影響します。特に円高は海外での売上を円換算した際に減少させる要因となり、年間で米ドル1円変動あたり約10億円、ユーロ1円変動あたり約8億円の営業利益影響があると試算されています。
  • ヘルスケア領域の競争激化と規制
    バイオ医薬品の需要拡大に伴い市場は成長していますが、医療制度改革や法規制の強化、新薬開発の難易度上昇、競合他社との競争激化がリスクです。これらの環境変化に対応できない場合や、必要な許認可を適時に取得できない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 原材料高騰とサプライチェーン
    生産に必要な原材料や部品の価格が急激に高騰したり、自然災害やサプライヤーの予期せぬ事態により製造が中止されたりするリスクがあります。これにより、収益性の低下や販売機会の喪失につながる可能性があり、代替材料の探索や複数調達先の確保で対策を講じています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|8,003 文字
3 【事業等のリスク】 当社グループは、グループ全体のリスクマネジメントの基本方針及びリスクマネジメント体制を定めた「リスクマネジメント規程」に基づき、事業を取り巻く様々なリスクに対し、未然防止のための課題抽出とクライシス事案発生時の適切な対応を実施しており、特に重要項目については当社の社長を委員長とするESG委員会を設置し、審議及び対応方針を決定しております。 ESG委員会の活動は定期的に取締役会に報告され、取締役会により、グループ全体のリスクマネジメント活動の有効性を担保しております。また、監査役会にて内部統制の仕組みが適切に機能しているかを監査しております。 当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があると認識している主なリスクには以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。(1)経済情勢・為替変動による業績への影響に係るリスク 当社グループは、世界の様々なマーケットにおいて製品及びサービスを提供しており、連結ベースでの海外売上高比率は当連結会計年度において約65%です。当社の連結財務諸表は世界中の各子会社の現地通貨ベースの業績を円換算して作成していることから、世界各地の経済情勢、とりわけ為替レートの変動は業績に大きく影響を及ぼすリスクがあります。 為替レートの変動が連結営業利益に与える影響は、米ドルに対して円が1円変動した場合は年間約10億円、ユーロに対して円が1円変動した場合は年間約8億円と試算しております。 当社グループでは、為替変動による業績への影響を軽減するため、米ドル、ユーロにおいて先物予約を中心としたヘッジを行う等で対策を行っておりますが、為替の変動の程度によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、設備投資に関わる建築資材や人件費及びエネルギー関連の費用、関税引き上げ等の経済情勢によって左右される費用の変動も、程度によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(2)ヘルスケア領域における環境変化・競合に係るリスク ヘルスケア領域においては、がんや希少疾患、新たな感染症等に対する治療・予防手段として、バイオ医薬品の需要が拡大しており、生産プロセスの開発や製造を受託するCDMO事業の市場規模は年率13%(当社推定)で成長していく一方で、医療制度改革による予測できない大規模な医療行政の方針変更や医療機器における法規制の強化、創薬難易度が高まる中での製薬企業における新薬開発の延期・中止や経営環境の変化、技術革新によるバイオ医薬品のプロセス開発・製造受託市場の競争激化等を主なリスクと考えております。その環境変化に対応できない場合や、事業活動に必要な各国の許認可を適時に取得することができない場合、製造設備の稼働率が想定を下回ることによる利益率の低下や減損損失の計上等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、高度な画像処理技術・AI技術、化合物合成・設計力やナノテクノロジー、一定条件製造技術や品質管理技術を保有しているという競争優位性を活かして、今後も技術に裏付けされた新たな製品・サービスの研究開発と、これをサポートするマーケティング活動を継続的に実施してまいりますが、その成否によっては売上の減少等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(3)エレクトロニクス領域における環境変化・競合に係るリスク エレクトロニクス領域においては、生成AI・ITインフラの発展やEV・自動運転の普及等により半導体産業が長期的に成長し、また車載用途等TV・モニター以外での液晶や有機EL向けディスプレイ材料の需要が拡大している一方で、資源価格高騰に伴う原材料費の高騰や、新技術の開発・実用化による代替素材との競争激化に加え、経済安全保障意識の高まりや経済ブロック化による原材料調達リスク及びサプライチェーンの混乱等を主なリスクとして考えております。 当社グループでは、機能性分子技術や高度な製膜・塗布技術等の先進・独自の技術を保有しているという競争優位性を活かして、今後も技術に裏付けされた新たな製品・サービスの研究開発とこれをサポートするマーケティング活動を継続的に実施してまいりますが、その成否によっては売上の減少等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(4)ビジネスイノベーション領域における環境変化・競合に係るリスク ビジネスイノベーション領域においては、サイバー攻撃の脅威やリモートワークの普及等を背景にした、セキュリティ・ネットワーク等を強化したオフィス・ITインフラ環境の構築・運用支援ニーズが拡大し、オフィス業務のDX・生産性向上を実現するAIやクラウドを活用した業務ソリューション・サービス市場も拡大している一方で、ペーパーレス化の流れやリモートワークの普及によるオフィスでのプリントボリュームの長期的な減少傾向を主なリスクとして考えております。 当社グループでは、日本及びアジア・オセアニア地域における強固な直販体制を強みに構築した優良な顧客基盤、お客様の複雑化・多様化する経営課題の解決を支援できる強力な営業力、課題解決のためのソリューション・サービスのラインアップと、それを支えるドキュメント関連の独自技術、大手市場からSMB(Small to Medium Size Business)市場までの幅広いお客様との強固な信頼関係という競争優位性を活かしてまいりますが、こうした市場動向に対応した製品やサービスを提供できない場合、売上の減少等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(5)イメージング領域における環境変化・競合に係るリスク イメージング領域においては、インスタントフォトシステムを始めとするプリントビジネスやデジタルカメラの需要拡大、映像の4K/8K化によるレンズ需要の増加や、需要が増加しているインフラ点検分野に貢献する新規ビジネス伸長等により事業機会が拡大している一方で、ハイエンドミラーレスデジタルカメラ市場の競争環境の激化、環境関連の法規制強化、地政学的リスク等によるサプライチェーンの混乱等をリスクとして考えております。 当社グループでは、入力(撮影)から出力(プリント)までのサービスを提供できる総合力や、高度な光学技術・精密加工・組立技術等を保有しているという競争優位性を活かして、ユーザーのニーズをとらえたイノベーティブな新たな製品・サービス等を提供してまいりますが、その成否によっては、製品販売単価の下落、代替製品の出現等による売上の減少、製品ライフサイクルの短縮化による研究開発コストの増加等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(6)生産活動に係るリスク 当社グループでの生産に必要な原材料・部品等について、急激な価格高騰や、自然災害又は人災、サプライヤーの不測な事態による製造中止等をリスクとして考えております。 当社グループでは、急激な原材料価格高騰時には適切な売価への反映を検討するとともに、製品開発及び量産化検討時において、代替材料の探索や可能な限り複数調達先の検討を行うことでリスク分散化の対策を行っておりますが、想定を上回る市況の変化や不測の事態が発生した場合には、収益性の低下や販売機会の消失等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(7)製品品質・製造物責任に係るリスク 当社グループは、厳しい品質管理基準に従い各種製品を生産しておりますが、将来にわたり製品に欠陥が発生する可能性がないとは言えず、重大な製品事故や製品に対する安全性や環境問題において懸念が発生するリスクがあります。 当社グループでは、新製品開発にあたっては、品質の到達度だけでなく、法規制を遵守し、環境・安全に配慮した製品開発を行うとともに、製品安全情報のお客様への周知や製品安全に関する従業員への教育を徹底する等の対策を図り、万一、製品事故等が発生した場合の体制構築等を整えておりますが、実際にこうした事態が発生した場合には、その対応費用が発生するだけでなく、企業ブランドや製品ブランドが毀損され当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(8)物流に係るリスク 当社グループの事業活動において、原油価格の高騰等を原因とする運賃の高騰は、当社グループの物流コストの増加をもたらす可能性があります。また、地震・津波・洪水等の大規模災害の発生、国際的な政治・経済の状況及び戦争や紛争の発生、長期化等により、人的・物的被害や物流機能の麻痺、インフラ機能断絶等が生じ、当社グループの生産・販売活動に支障が生じるリスクがあります。 当社グループでは、生産拠点を複数の地域に分散化する等の対策を図り、不測の事態により一部の地域で生産・販売活動が停止した場合でも影響を軽減できるような体制をとっておりますが、完全に影響をゼロにすることはできず、こうした事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(9)特許及びその他の知的財産権に係るリスク 当社グループは、様々な特許、ノウハウ等の知的財産権を保有し、競争上の優位性を確保していますが、将来、特許の権利存続期間の満了や代替技術等の出現に伴って、優位性の確保が困難となることが起こり得ます。 当社グループが関連する幅広い事業分野においては、多数の企業が高度かつ複雑な技術を保有しており、また、かかる技術は著しい勢いで進歩しています。事業を展開する上で、他社の保有する特許やノウハウ等の知的財産権の使用が必要となるケースがありますが、このような知的財産権の使用に関する交渉が成立しないことのリスクがあります。 当社グループでは、他社の知的財産権の調査を行い、他社の権利を侵害することがないよう常に注意を払って事業展開をしておりますが、訴訟に巻き込まれるリスクを完全に回避することは困難であります。このような場合、係争費用や敗訴した場合の賠償金等の負担により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(10)企業買収・業務提携等に係るリスク 当社グループは、持続的な成長のため、これまでに複数の企業買収を実施しており、今後も実施する可能性があります。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、当社グループの成長のための施策として重要なものであります。 当社グループでは、企業買収にあたって慎重に検討を行い、一定の社内基準をもとに、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合のみ企業買収を実行するとともに、重要な投資案件に対しては業績が当初計画から大きく乖離していないかを確認し、必要に応じて業績改善のための対策を講じておりますが、景気動向の悪化や政情不安、法令や規則の変更、対象会社もしくはパートナーの業績不振、業務統合に想定以上の時間を要する等により、期待していた買収効果や利益を実現することができなくなる可能性があります。また、当社グループは、企業買収に伴う営業権及びその他の無形固定資産を貸借対照表に計上しておりますが、予測される将来キャッシュ・フローの低下により、投資に対する回収可能性が低下した場合には減損損失を認識することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(11)人材の確保に係るリスク 当社グループの将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きく、それらの人材を採用・育成し、良好な関係を維持していくことが重要になります。一方、当社グループの事業領域での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきており、研究開発、製造、マーケティング及び販売、ICT、マネジメント分野等に関する高度な専門性を持った人材を確保していく必要がありますが、そのような人材には高い需要があり、必要な人材を確保できない可能性があります。 当社グループでは、人材を企業価値の源泉の一つと位置付け、社会の変化に対応し、自らイノベーションを起こすことのできるグローバル人材や基幹人材の育成に長期的な視点で注力するとともに、多様な人材が能力を発揮できる環境作りに努めておりますが、そうした人材が育成できなかった場合や社外に流出してしまった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(12)内部統制に係るリスク 当社グループは、財務報告の適正性と信頼性並びに業務の有効性と効率性を確保するため、内部統制体制を構築・整備し、運用するとともに、継続的な改善を図っています。また、「人権の尊重」を企業が果たすべき概念と認識し、自社及びビジネス・パートナーに対して、人権への悪影響の防止、軽減に努めております。しかしながら、想定外の問題が発生して内部統制が有効に機能しなかった場合、従業員等の悪意あるいは重大な過失に基づく行動等、様々な要因により内部統制システムが適切に機能しない可能性があります。 当社グループでは、富士フイルムグループ企業行動憲章・行動規範を定め、法令及び社会倫理に則った活動、行動の徹底を図るとともに、当社グループ内外にコンプライアンスに関連した相談・連絡・通報を受ける窓口を設置して、違反行為の早期発見に努めております。また、内部監査体制を整え、自ら問題の早期発見を行っておりますが、このような対策が適切に機能しなかった場合、法令違反や当社グループの財務報告に関する投資家の信頼低下による当社株価の下落、当社グループの社会的信用の失墜により事業に悪影響が生じる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(13)情報システムに係るリスク 当社グループは、様々な情報システムを使用して業務を遂行しており、適切なシステム管理体制の構築やICT人材の確保、セキュリティ対策等を行っておりますが、サイバー攻撃等による不正アクセス、従業員等の悪意あるいは重大な過失に基づく行動や、停電、災害等の要因により、データの改ざん、破壊、個人情報の漏洩、情報システムの障害、事業活動に支障をきたす等の事態が起こる可能性があります。 当社グループでは、ソフトウェアや機器によるセキュリティ対策の実施や、定期的に従業員への教育及び訓練を実施し、本件リスクが顕在化しないよう努めておりますが、万一、こうした事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(14)公的規制に係るリスク 当社グループが事業を展開している地域においては、事業・投資等の許認可、輸出入、通商、公正取引、知的財産、消費者保護、租税、為替管理、環境、薬事等の法規制の適用も受けており、万一、規制に抵触した場合、制裁金等が課される可能性があります。 当社グループでは、国内外の法的規制に関する情報収集を行うとともに、事業活動に係る法規制の遵守を徹底すべく各種ガイドライン・マニュアル等を制定し、定期的な従業員への教育等を通じてコンプライアンス徹底を図っておりますが、今後規制が強化・大幅な変更等なされた場合、当社グループの活動の制限や、規制遵守のため、あるいは規制内容の改廃に対応するためのコストが発生する等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(15)環境規制に係るリスク 当社グループは、気候変動対策、製品リサイクルを含む資源保全、有害物質の使用制限、土壌・地下水・大気汚染防止及び廃棄物処理等に関する様々な環境関連法令の適用を受けており、これらの規制により法的又は社会的責任の観点から、環境に関する費用負担や賠償責任が発生するリスクがあります。 当社グループでは、製品の企画・開発の段階から環境負荷の低減を考慮し、生産、物流、使用、リサイクル又は廃棄に至るライフサイクル全体を対象とし、CO2の排出削減、資源循環の促進、製品・化学物質の安全確保等に取り組んでおります。さらには、各事業場において環境マネジメントシステムを活用し、所在国・地域の法規制遵守、環境汚染の防止、化学物質の適正使用、生物多様性の保全を徹底しております。しかし、将来、環境に関する規制の厳格化や義務の拡大等の変化が生じた場合、あるいは社会的な環境意識の高まりに伴い当社グループが環境問題への取組みをより一層推進する場合には、かかる取組みへの支出の増加や、当社グループの事業活動への制限等を受ける可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(16)気候変動に係るリスク 気候変動に伴う移行リスクとして、今後各国・地域における脱炭素社会に向けた政策の強化、炭素排出に関連する法令等の改定・新規制定が想定外の短期間で実施された場合に、かかる取組みへの支出の増加や、当社グループの事業活動への制限等を受ける可能性があります。 当社グループは、パリ協定に代表される脱炭素社会への動き等、気候変動への対応に対して世界的に関心が高まるなか、いち早くその重要性を受け止め、1990年代から生産プロセスでエネルギー利用効率を高める活動を開始しました。現在も、「2030年度までに当社が使用するエネルギーによるCO2排出を50%削減(2019年度比)、2040年度までに当社が使用するエネルギーによるCO2排出実質ゼロ」を目標に掲げ、エネルギー利用効率の最大化及び再生可能エネルギーの導入・活用によるCO2排出削減を進めております。なお、2030年度の温室効果ガス(GHG)排出削減目標は、「Science Based Targets initiative(SBTi)」より、パリ協定の「1.5℃目標」を達成するための科学的根拠に基づいた目標として認定されています。 さらに、当社グループは、2018年12月に「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同を表明し同提言に則った情報開示を進めており、2019年4月には事業活動での100%再生可能なエネルギー利用を目指す国際的なイニシアチブ「RE100」に加盟しております。 また、当社グループでは、気候変動が顕在化した場合の物理リスクへの対応として、調達・生産拠点の分散、BCP(事業継続計画)の策定等の対策を行っているものの、異常気象による原材料・部品の供給停止・価格高騰や、工場操業停止、サプライチェーンの寸断による製品サービスの中止等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(17)大規模災害・感染症等に係るリスク 当社グループは、世界各地で生産・販売等の事業活動を行っております。このため、地震、津波、洪水等の大規模な自然災害に見舞われた場合や、火災、テロ、戦争、感染症の蔓延といった要因により、事業活動に支障をきたすリスクがあります。 当社グループでは、自然災害が発生した際にいち早く従業員の安否を確認できるよう安否確認システムを導入するとともに、定期的に地震・火災に備えた訓練を実施しております。また、実際に災害が発生した際には早急に被災地の被害状況を把握した上で対策を講じられるように事業継続への影響を軽減できる体制を整えておりますが、事業活動の復旧までに長期の時間を要した場合や施設等の改修に多額の費用が発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

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