事業の概要
- 多角的なインフラ事業インフロニア・ホールディングスは、建築、土木、舗装、機械、インフラ運営といった幅広い事業を展開する総合インフラサービス企業です。グループ全体で114の子会社と30の関連会社を持ち、建設工事から再生可能エネルギー、公共インフラの運営まで多岐にわたるサービスを提供することで収益を上げています。
- 建設工事が主力建築事業では集合住宅や工場、物流施設、土木事業では橋梁やトンネルの建設工事を前田建設工業(株)が中心となって手掛けています。舗装事業は前田道路(株)が舗装工事やアスファルト合材の製造・販売を行い、これらがグループの主要な収益源となっています。
- インフラ運営も展開インフラ運営事業では、日本風力開発(株)による風力発電事業や、愛知道路コンセッション(株)などによる道路・工業用水・空港の運営・維持管理を手掛けています。これにより、建設だけでなく、長期的なインフラ運営からも安定した収益を確保するビジネスモデルを構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 建築事業売上2154.65億円、営業利益87.33億円。集合住宅や工場・物流施設などの建設工事が中心で、グループ内で最も売上高が大きい事業の一つです。前田建設工業(株)が主要な役割を担い、安定した収益を上げています。
- 土木事業売上1520.32億円、営業利益168.15億円。橋梁やトンネルなどの建設工事を手掛けており、売上高は建築事業に次ぐ規模ですが、営業利益率はグループ内で最も高い事業です。前田建設工業(株)が中心となり、高い収益性を維持しています。
- 舗装事業売上2436.97億円、営業利益40.39億円。舗装工事やアスファルト合材の製造・販売が主な事業で、グループ内で最も売上高が大きいセグメントです。前田道路(株)が中心となっており、インフラ整備に不可欠な事業として貢献しています。
2023-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| BuildingReportableSegment | 事業 | 2,155 | 87 | 4.1% |
| CivilEngineeringReportableSegment | 事業 | 1,520 | 168 | 11.1% |
| RoadPavingReportableSegment | 事業 | 2,437 | 40 | 1.7% |
| MachineryReportableSegment | 事業 | 373 | 13 | 3.6% |
| InfrastructureManagementReportableSegment | 事業 | 225 | 80 | 35.4% |
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3 【事業の内容】当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、前田建設工業(株)、前田道路(株)、(株)前田製作所、日本風力開発(株)及び三井住友建設(株)をはじめとする子会社152社及び関連会社(共同支配企業を含む)39社で構成され、建築事業、土木事業、舗装事業、機械事業及びインフラ運営事業を主な事業とし、さらにホテル事業から不動産事業まで幅広く展開しています。当社グループの事業に係る位置づけ及び事業の種類別セグメントとの関係は、次のとおりです。なお、当該区分は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に記載された区分と同一です。また、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 (建築事業) 建築事業は、集合住宅や工場・物流施設を中心とする建設工事及び付帯する事業を展開しています。子会社である前田建設工業(株)や三井住友建設(株)等が営んでおり、これらの会社は施工する工事の一部及び資材納入等を関係会社に発注しています。 (土木事業) 土木事業は、橋梁やトンネルを中心とする建設工事及び付帯する事業を展開しています。子会社である前田建設工業(株)や三井住友建設(株)等が営んでおり、これらの会社は施工する工事の一部及び資材納入等を関係会社に発注しています。 (舗装事業)舗装事業は、舗装工事等の建設工事並びにアスファルト合材の製造・販売事業を中心に展開しています。子会社である前田道路(株)や三井住建道路(株)等が営んでおり、これらの会社は施工する工事の一部及び資材納入等を関係会社に発注しています。 (機械事業)機械事業は、建設機械の製造・販売及びレンタル事業を展開しています。子会社である(株)前田製作所等が営んでおり、これらの会社は建設機械の一部を関係会社に販売・賃貸しています。 (インフラ運営事業)インフラ運営事業は、太陽光・風力発電事業等の開発や建設、運営・維持管理、売却までの事業投資を行う再生可能エネルギー事業及び公共インフラ等の運営権を取得し建設、運営・維持管理を手掛けるコンセッション事業を中心に展開しています。子会社である日本風力開発(株)が風力発電事業の案件開発や運営・維持管理事業、愛知道路コンセッション(株)が道路の維持管理・運営事業、みおつくし工業用水コンセッション(株)が工業用水の維持管理・運営事業、関連会社である仙台国際空港(株)が空港の維持管理・運営事業を営んでおり、子会社である前田建設工業(株)等が建設工事を受注しています。 (その他)その他の事業は、ホテル事業、ソフトウェア開発事業、建設用資材の販売及び不動産事業等まで幅広く展開しています。子会社である(株)ジェイシティーはホテル事業、(株)リアルテックはソフトウェア開発事業を営んでいます。関連会社である光が丘興産(株)は建設用資材の販売、土地・建物の賃貸や販売を中心に不動産事業を営んでいます。 事業の系統図は次のとおりです。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 LCA評価支援システム「CO2-Scope」や画像生成AIの著作権利用対価モデルなど、技術開発を推進。 |
|---|---|
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:国内事業領域拡大における競争環境変化やM&Aリスク / 海外事業拡大における地政学的リスクや現地企業提携リスク / グループ全体戦略の機能不全や企業文化の醸成不足
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 0 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
インフロニア・ホールディングス(優先株式)は、財務サマリのデータが未収録であり、具体的な無形資産に関する情報も不足しているため、現時点では評価不能。
スイッチングコスト☆☆☆☆☆
顧客の乗り換えに関する具体的なデータや、乗り換えによる損失の大きさを判断できる情報が不足しているため、スイッチング・コストの優位性は評価不能。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
ネットワーク効果に関する具体的なデータや、ユーザー数の増加が価値向上に繋がる構造についての情報が不足しているため、ネットワーク効果の優位性は評価不能。
コスト優位☆☆☆☆☆
建設業という業種特性上、コスト優位性の有無は判断が難しい。具体的な生産・提供コストに関する情報が不足しているため、コスト優位性は評価不能。
規模の経済☆☆☆☆☆
時系列財務データが未収録のため、業界規模に対する効率性や寡占度を判断する材料がない。規模の経済に関する優位性は評価不能。
- 総合的な事業展開力建築、土木、舗装、機械、インフラ運営といった幅広い事業領域を持つことで、多様な顧客ニーズに対応し、景気変動や市場の変化に強い事業ポートフォリオを構築しています。これにより、特定の事業に依存せず、安定した収益基盤を築いていると考えられます。
- グループ連携による効率化前田建設工業(株)や前田道路(株)など、各事業を担う子会社が連携し、工事の一部発注や資材納入をグループ内で行うことで、効率的な事業運営とコスト削減を実現しています。これにより、競争力の強化や収益性の向上に繋がっていると推測されます。
- インフラ運営の実績再生可能エネルギー事業や公共インフラのコンセッション事業において、開発から運営・維持管理まで一貫して手掛ける実績を持っています。特に、道路や空港といった公共性の高いインフラ運営は、安定した収益源となり、長期的な事業基盤を強化する強みと言えます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社は、2021年10月1日に、前田建設工業(株)、前田道路(株)及び(株)前田製作所の完全親会社として設立されました。「どこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。」の実現をビジョンに掲げ、「インフラストラクチャー・ビジネスの既成概念に挑み、イノベーティブなアイデアで世界中に最適なサービスを提供する。」を果たすべき使命と定め、企業活動を通じて、環境・社会課題の解決にとどまらず、社会そして地球の持続可能な発展に貢献する「総合インフラサービス企業」を目指しています。「社会・地域の安全安心とサステナビリティ」をステークホルダーに提供するバリューと位置づけ、これを当社グループ共通の価値観として醸成していきます。また、企業が果たすべき社会的責任についての理解をグループで共有し、各種施策を実行していくことで、ステークホルダーの皆様の理解と共感が得られる開かれた経営に努めます。ステークホルダーの皆様の権利を尊重し、経営の監督機能と業務執行機能を明確に分離することにより経営の公正性・透明性を確保するとともに、適切な情報開示とステークホルダーの皆様との対話を通じ、良好かつ円滑な関係を維持しながら信頼関係を構築していくことで、共同の利益や長期的な価値を協創し、社会価値の創造に貢献します。 当社の理念 (2) 中長期的な会社の経営戦略当社は、当社グループ全体として永続的成長を遂げることを目的に、中長期的に目指す姿を「総合インフラサービス企業」と定め、事業会社の従来の事業における強みを活かしつつ、事業領域を拡大し安定的に高収益を上げ続けるビジネスモデルへ転換することや、生産性改革に向けたデジタル化戦略、技術開発及び人材育成等の協働推進による経営基盤強化に取り組んでいます。また、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により迅速かつ適正な経営を実現し、社会変化への対応力を強化することで、「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」を目指しています。今後も、既成概念にとらわれない自由な発想で、社会・地域・お客様とともにインフラの可能性を広げ、享受する一人ひとりにとって最適なインフラサービスを提供していきます。これらの実現のため、現行の『INFRONEER Medium-term Vision 2027 中期経営計画』で定める当社グループの「目指す姿」、それを実現するための経営ビジョンは以下のとおりです。 ①経営環境認識 (建設市場)・防災や国防、カーボンニュートラルにより、公共投資額は堅調に推移し、横ばいか微増と予測・建築着工床面積は微減傾向だが、労務単価や資材費の高騰に加え、建物用途や要求スペックの変化により、建設投資額は当面の間、高水準が維持されると予測・道路事業の舗装新設量は徐々に減少、補修量は徐々に増加し、中長期的には横ばいで推移すると予測 (官民連携市場)・インフラの老朽化が社会問題として顕在化してきている・道路を含めた多くのインフラの維持管理の在り方がいよいよ大きく見直される可能性があると予測・PPP/PFIアクションプランは引き続き政府によって推進され、特に水分野は「ウォーターPPP」の導入に伴い案件化の促進が見込まれる・地方創生に繋がるスタジアム/アリーナの導入が加速中 (再生可能エネルギー市場)・半導体工場・データセンター新増設に伴う産業用電力消費を主因として電力需要が増加・第7次エネルギー基本計画で風力の導入目標が引き上げられ、今後の導入加速が期待される・再生可能エネルギーの導入を加速するため、需給バランスの調整・電力系統の安定化が必要・上記課題解決のため、系統用蓄電池事業の導入推進が急務となる見込み (その他の環境認識)・担い手不足に対して、働き方改革、抜本的な生産性改革の推進が必須・長期的な企業成長のため、サステナビリティ経営の更なる推進、より高い水準のガバナンス体制が必須・デジタル技術の急激な進展による社会変化の加速に対し、迅速かつ機動的な経営体制の確立が急務 ②我々が目指す姿当社グループが「目指す姿」は、以下のとおりです。・外的要因に左右されずに持続的成長を実現するビジネスモデルの確立を目指し、インフラ運営の上流から下流までをワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」をグループ全体戦略として強力に推進する・グループ各社のエンジニアリング力の集結と、積極的なM&Aによる事業領域の拡大により、競争力を早期に最大化し、外的要因に左右されない「高収益かつ安定的な新たな収益基盤」を確立する・さらに、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により、迅速かつ適正な経営を実現し、「社会変化への対応力」を強化することで、「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」を目指す ③戦略三本柱と重点施策当社グループが「目指す姿」の実現に向けた戦略三本柱とそれぞれの主な重点施策の内容は、以下のとおりです。・「インフロニアのビジネスモデルに基づく収益基盤の確立」・「付加価値の最大化」・「体質強化・改善」 ④マルチステークホルダーに対する付加価値分配方針当社が生み出す付加価値を、社会からの要請に応えつつあらゆるステークホルダーへバランスよく配分することで、付加価値を最大化するサイクルを構築し、持続的な成長を実現していきます。・人財投資:モチベーション向上や人財の成長や豊かさに繋がる従業員への還元策の推進・成長投資・恒常的投資:安全で質の高いインフラサービス、M&A、IT・DX投資等への「攻めの投資」と、生産設備投資の最適化や重複資産の統廃合等の「守りの投資」の両輪により、付加価値を最大化・事業パートナー(連携企業、協力会社など):パートナーのニーズに合わせて付加価値を分配し、競争力の強化、事業領域の拡大、経営の安定化、生産性向上をともに目指し、質の良い供給力・体制を確立・株主・市場:タイムリーな情報開示や対話といった「定性的な還元」と、配当や資本政策に応じた戦略的自社株買い等の「定量的な還元」により、市場からの信頼を獲得し当社株価の継続的な上昇を目指す (3) 経営環境と対処すべき課題、現中期経営計画の概要①経営環境と対処すべき課題当社グループを取り巻く経営環境においては、人口減少による税収減、高齢化の進展による社会保障費の増大により、国や地方公共団体の財政がますます厳しくなる一方で、高度経済成長期に整備された膨大な数の社会インフラが一斉に老朽化していくため、新規建設はおろか、既存インフラの維持管理・更新への投資もままならない状況になると予想されます。また、少子高齢化に伴う生産年齢人口減少の影響による担い手不足の更なる深刻化や、デジタル化への変革、地球環境問題等への対応が不可避であることも考えると、建設産業においても従来の価値観が変わり、産業構造そのものが変化していくと考えられます。このような社会課題の解決や、景気や国の政策等の外部要因による需給バランスの影響を強く受けるという特徴のある、建設業の請負ビジネスが本質的に持つボラティリティの高さに向き合うため、当社グループは、「造る」「建てる」といった請負の枠を超え、既存インフラをどのように維持し価値を高め続けるかという、投資や運営も含めたインフラのライフサイクル全体に関わるビジネスモデルの構築に挑戦してきました。当社グループは引き続き、前田建設工業(株)、前田道路(株)、(株)前田製作所、日本風力開発(株)、三井住友建設(株)をはじめとしたグループ各社が有する従来の事業における強みを活かしながら、インフラに関わる事業領域の拡大と、企画提案、施工、運営・維持管理、再投資等の、インフラの上流から下流までを一貫してマネジメントする「総合インフラサービス企業」への転換に挑戦し、目指す未来である「どこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。」の実現に向けて取り組んでまいります。 ②三井住友建設(株)との経営統合及びPMI 当社は、三井住友建設(株)に対する株式公開買付けを実施し、2025年12月23日をもって当社の完全子会社となりました。当社グループにおいては、高い技術力、営業力、調達力や施工供給力の確保に加え、新しいテクノロジーの更なる活用が競争力を高めていくために急務となっています。三井住友建設(株)は、土木分野における橋梁を中心とした公共工事、建築分野における超高層建築を代表とする高い技術力、アジアを中心とした海外事業における豊富な実績を強みとして有しており、同社を当社グループに迎え入れることにより、直面する諸課題に対応するケイパビリティを確保し、「総合インフラサービス企業」の実現の鍵となるエンジニアリング力の強化を狙っています。2025年9月の三井住友建設(株)の連結子会社化後は、同社とのシナジーを最大限発揮するため、統合委員会や分野ごとに組成した分科会を通じて、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)に取り組んでいます。 ③『INFRONEER Medium-term Vision 2027 中期経営計画』の概要と進捗『INFRONEER Medium-term Vision 2024 中期経営計画』(以下、前中期経営計画)における取り組みと成果を踏まえ、当社は、2025年度から2027年度までの3年間を対象期間とする現中期経営計画を策定し、2025年3月に公表しました。2025年11月には、三井住友建設(株)のグループ入りに伴う見直しを行い、改訂版の現中期経営計画を公表しています。現中期経営計画は、2030年度までを対象期間とする『INFRONEER Vision 2030 中長期経営計画』で掲げている目指す姿の実現に向けて、前中期経営計画での成長を基盤に今後3年間を「投資事業拡大フェーズ」と位置づけ、財務規律に則り、バリュー思考に基づく積極的な成長投資を推進します。事業活動から生み出される実質的な収益力を示すEBITDAを重要指標とし、特にインフラ事業における持続的成長を目指します。また、当社は、2021年10月の設立時から機関設計として「指名委員会等設置会社」を採用し、取締役の過半数を独立社外取締役とするガバナンス体制を構築しています。2025年6月からは、取締役7名のうち6名を独立社外取締役で構成し、取締役会の監督機能の強化と執行側のスピード感ある意思決定を実現する体制の一層の推進を図っています。経営の監督と執行の機能を明確に分離し、透明・公正かつ果断な意思決定を行うための仕組みであるコーポレート・ガバナンスのあるべき体制をさらに進化させ、未来志向の事業戦略と実行力で企業価値向上と社会貢献の両立を実現してまいります。 ビジネスモデル当社は、インフラの上流から下流までをワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」を目指し、グループ全体が外的要因に左右されずに持続的な成長を実現するビジネスモデルの確立に取り組んでいます。請負事業の強化と脱請負事業の拡大により、成長サイクルの好循環を目指してまいります。 現中期経営計画の位置づけ当社は、現中期経営計画の3年間を、「投資事業拡大フェーズ」と位置づけています。官民連携事業や再生可能エネルギー事業への投資拡大や、請負を活かした新事業の実行、M&Aの更なる推進に注力してまいります。 業績目標 2027年度の業績目標について、以下のとおり定めています。 2024年度実績2025年度実績2027年度目標事業利益485億円841億円1,000億円EBITDA(注1)839億円1,287億円1,510億円当期利益324億円765億円630億円付加価値額(注2)1,777億円2,724億円3,340億円 (注)1.事業利益に減価償却費を加算して算出します。2.加算法または控除法により算出します。加算法による場合、事業利益、総人件費、減価償却費、研究開発費の総和により算出される額とします。控除法による場合、売上高から外部購入費用を控除して算出される額とします。 なお、2030年度の業績目標については以下のとおり定めています。 2030年度目標事業利益1,300億円EBITDA1,900億円 資本戦略・還元方針資本戦略・還元方針について、以下のとおり定めています。資産の効率化と収益性の向上を通じてROEを12.0%まで引き上げるほか、自己資本比率30%以上を維持し、D/Eレシオを1.0倍以下に抑えることで、財務健全性を確保します。また、2026年度からは年間配当金の下限を普通株式1株当たり60円から90円に引き上げ、配当性向の目標を前中期経営計画の30%以上から引き上げ40%以上とすることで、安定かつ成長に連動した還元を維持してまいります。政策保有株式については2027年度までに保有ゼロを目標とし、保有不動産については現中期経営計画期間中に100億円以上の売却を推進します。これらの売却により得られる経営資源を官民連携事業や再生可能エネルギー事業等の成長投資に振り向け、事業領域の拡大と利益の最大化を目指します。 2024年度実績2025年度実績2027年度目標ROE7.1%13.6%12.0%自己資本比率35.8%30.2%30%以上D/Eレシオ0.8倍0.9倍1.0倍以下政策保有株式/純資産割合14.7%15.2%0%保有不動産の売却13億円-累計100億円以上配当性向48.3%40.6%40%以上配当60円/株120円/株下限配当90円/株 ④三井住建道路(株)に対する公開買付けによる完全子会社化について当社の子会社である三井住友建設(株)は、同社の子会社である三井住建道路(株)に対し、完全子会社化を目的として、公開買付けを実施することを決定し、2026年4月22日に本公開買付けが成立しました。今後、スクイーズアウト手続きを経て、完全子会社となる見込みです。三井住友建設(株)と三井住建道路(株)の両社は、これまで以上に緊密な連携の下で経営リソースを持ち寄り、施工・営業・調達・技術・開発等において一体化・最適化を推進することが一層の競争力強化に繋がると判断しました。また、完全子会社化(非上場化)により一般株主との間で生じる利益相反関係を解消し、インフロニアグループとして最適な資源配分・投資等を迅速に実施を可能にすることが見込まれます。 ⑤水ing(株)の株式取得(完全子会社化)について当社は、2026年4月14日、水ing(株)の全株式を(株)荏原製作所、日揮ホールディングス(株)及び三菱商事(株)(以下、3社)から取得することを決定し、3社との間で株式譲渡契約を締結しました。譲渡実行日は2026年7月1日を予定しており、同日付で同社は当社の完全子会社となる見込みです。水ing(株)は、水処理設備のEPC・運転・維持管理(O&M)を主力事業とし、官民連携による水道事業の運営等を通じて、国内において高い実績を有しています。また、水道・下水道をはじめとする各種水処理分野において、設計・建設から運転管理まで幅広いサービスを提供しています。水ing(株)の完全子会社化により、同社グループが保有する水処理エンジニアリング力及び運転管理体制と、当社グループが保有する事業の最適化や効率化を推進するプロジェクトマネジメント能力及び土木建築技術・ノウハウを相互に活用し、上下水道事業の設計・建設・維持管理・運営において一体的なサービス提供が可能になります。また、水ingグループが保有する維持管理拠点を起点として、当社グループが推進する「総合インフラサービス」としての道路や公共施設管理への展開・拡大も可能となり、当社グループ及び水ingグループの更なる企業価値向上に寄与するものと考えています。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社は、2021年10月1日に、前田建設工業(株)、前田道路(株)及び(株)前田製作所の完全親会社として設立されました。「どこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。」の実現をビジョンに掲げ、「インフラストラクチャー・ビジネスの既成概念に挑み、イノベーティブなアイデアで世界中に最適なサービスを提供する。」を果たすべき使命と定め、企業活動を通じて、環境・社会課題の解決にとどまらず、社会そして地球の持続可能な発展に貢献する「総合インフラサービス企業」を目指しています。「社会・地域の安全安心とサステナビリティ」をステークホルダーに提供するバリューと位置づけ、これを当社グループ共通の価値観として醸成していきます。また、企業が果たすべき社会的責任についての理解をグループで共有し、各種施策を実行していくことで、ステークホルダーの皆様の理解と共感が得られる開かれた経営に努めます。ステークホルダーの皆様の権利を尊重し、経営の監督機能と業務執行機能を明確に分離することにより経営の公正性・透明性を確保するとともに、適切な情報開示とステークホルダーの皆様との対話を通じ、良好かつ円滑な関係を維持しながら信頼関係を構築していくことで、共同の利益や長期的な価値を協創し、社会価値の創造に貢献します。 当社の理念 (2) 中長期的な会社の経営戦略当社は、当社グループ全体として永続的成長を遂げることを目的に、中長期的に目指す姿を「総合インフラサービス企業」と定め、事業会社の従来の事業における強みを活かしつつ、事業領域を拡大し安定的に高収益を上げ続けるビジネスモデルへ転換することや、生産性改革に向けたデジタル化戦略、技術開発及び人材育成等の協働推進による経営基盤強化に取り組んでいます。また、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により迅速かつ適正な経営を実現し、社会変化への対応力を強化することで、「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」を目指しています。今後も、既成概念にとらわれない自由な発想で、社会・地域・お客様とともにインフラの可能性を広げ、享受する一人ひとりにとって最適なインフラサービスを提供していきます。これらの実現のため、現行の『INFRONEER Medium-term Vision 2027 中期経営計画』で定める当社グループの「目指す姿」、それを実現するための経営ビジョンは以下のとおりです。 ①経営環境認識 (建設市場)・防災や国防、カーボンニュートラルにより、公共投資額は堅調に推移し、横ばいか微増と予測・建築着工床面積は微減傾向だが、労務単価や資材費の高騰に加え、建物用途や要求スペックの変化により、建設投資額は当面の間、高水準が維持されると予測・道路事業の舗装新設量は徐々に減少、補修量は徐々に増加し、中長期的には横ばいで推移すると予測 (官民連携市場)・インフラの老朽化が社会問題として顕在化してきている・道路を含めた多くのインフラの維持管理の在り方がいよいよ大きく見直される可能性があると予測・PPP/PFIアクションプランは引き続き政府によって推進され、特に水分野は「ウォーターPPP」の導入に伴い案件化の促進が見込まれる・地方創生に繋がるスタジアム/アリーナの導入が加速中 (再生可能エネルギー市場)・半導体工場・データセンター新増設に伴う産業用電力消費を主因として電力需要が増加・第7次エネルギー基本計画で風力の導入目標が引き上げられ、今後の導入加速が期待される・再生可能エネルギーの導入を加速するため、需給バランスの調整・電力系統の安定化が必要・上記課題解決のため、系統用蓄電池事業の導入推進が急務となる見込み (その他の環境認識)・担い手不足に対して、働き方改革、抜本的な生産性改革の推進が必須・長期的な企業成長のため、サステナビリティ経営の更なる推進、より高い水準のガバナンス体制が必須・デジタル技術の急激な進展による社会変化の加速に対し、迅速かつ機動的な経営体制の確立が急務 ②我々が目指す姿当社グループが「目指す姿」は、以下のとおりです。・外的要因に左右されずに持続的成長を実現するビジネスモデルの確立を目指し、インフラ運営の上流から下流までをワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」をグループ全体戦略として強力に推進する・グループ各社のエンジニアリング力の集結と、積極的なM&Aによる事業領域の拡大により、競争力を早期に最大化し、外的要因に左右されない「高収益かつ安定的な新たな収益基盤」を確立する・さらに、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により、迅速かつ適正な経営を実現し、「社会変化への対応力」を強化することで、「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」を目指す ③戦略三本柱と重点施策当社グループが「目指す姿」の実現に向けた戦略三本柱とそれぞれの主な重点施策の内容は、以下のとおりです。・「インフロニアのビジネスモデルに基づく収益基盤の確立」・「付加価値の最大化」・「体質強化・改善」 ④マルチステークホルダーに対する付加価値分配方針当社が生み出す付加価値を、社会からの要請に応えつつあらゆるステークホルダーへバランスよく配分することで、付加価値を最大化するサイクルを構築し、持続的な成長を実現していきます。・人財投資:モチベーション向上や人財の成長や豊かさに繋がる従業員への還元策の推進・成長投資・恒常的投資:安全で質の高いインフラサービス、M&A、IT・DX投資等への「攻めの投資」と、生産設備投資の最適化や重複資産の統廃合等の「守りの投資」の両輪により、付加価値を最大化・事業パートナー(連携企業、協力会社など):パートナーのニーズに合わせて付加価値を分配し、競争力の強化、事業領域の拡大、経営の安定化、生産性向上をともに目指し、質の良い供給力・体制を確立・株主・市場:タイムリーな情報開示や対話といった「定性的な還元」と、配当や資本政策に応じた戦略的自社株買い等の「定量的な還元」により、市場からの信頼を獲得し当社株価の継続的な上昇を目指す (3) 経営環境と対処すべき課題、現中期経営計画の概要①経営環境と対処すべき課題当社グループを取り巻く経営環境においては、人口減少による税収減、高齢化の進展による社会保障費の増大により、国や地方公共団体の財政がますます厳しくなる一方で、高度経済成長期に整備された膨大な数の社会インフラが一斉に老朽化していくため、新規建設はおろか、既存インフラの維持管理・更新への投資もままならない状況になると予想されます。また、少子高齢化に伴う生産年齢人口減少の影響による担い手不足の更なる深刻化や、デジタル化への変革、地球環境問題等への対応が不可避であることも考えると、建設産業においても従来の価値観が変わり、産業構造そのものが変化していくと考えられます。このような社会課題の解決や、景気や国の政策等の外部要因による需給バランスの影響を強く受けるという特徴のある、建設業の請負ビジネスが本質的に持つボラティリティの高さに向き合うため、当社グループは、「造る」「建てる」といった請負の枠を超え、既存インフラをどのように維持し価値を高め続けるかという、投資や運営も含めたインフラのライフサイクル全体に関わるビジネスモデルの構築に挑戦してきました。当社グループは引き続き、前田建設工業(株)、前田道路(株)、(株)前田製作所、日本風力開発(株)、三井住友建設(株)をはじめとしたグループ各社が有する従来の事業における強みを活かしながら、インフラに関わる事業領域の拡大と、企画提案、施工、運営・維持管理、再投資等の、インフラの上流から下流までを一貫してマネジメントする「総合インフラサービス企業」への転換に挑戦し、目指す未来である「どこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。」の実現に向けて取り組んでまいります。 ②三井住友建設(株)との経営統合及びPMI 当社は、三井住友建設(株)に対する株式公開買付けを実施し、2025年12月23日をもって当社の完全子会社となりました。当社グループにおいては、高い技術力、営業力、調達力や施工供給力の確保に加え、新しいテクノロジーの更なる活用が競争力を高めていくために急務となっています。三井住友建設(株)は、土木分野における橋梁を中心とした公共工事、建築分野における超高層建築を代表とする高い技術力、アジアを中心とした海外事業における豊富な実績を強みとして有しており、同社を当社グループに迎え入れることにより、直面する諸課題に対応するケイパビリティを確保し、「総合インフラサービス企業」の実現の鍵となるエンジニアリング力の強化を狙っています。2025年9月の三井住友建設(株)の連結子会社化後は、同社とのシナジーを最大限発揮するため、統合委員会や分野ごとに組成した分科会を通じて、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)に取り組んでいます。 ③『INFRONEER Medium-term Vision 2027 中期経営計画』の概要と進捗『INFRONEER Medium-term Vision 2024 中期経営計画』(以下、前中期経営計画)における取り組みと成果を踏まえ、当社は、2025年度から2027年度までの3年間を対象期間とする現中期経営計画を策定し、2025年3月に公表しました。2025年11月には、三井住友建設(株)のグループ入りに伴う見直しを行い、改訂版の現中期経営計画を公表しています。現中期経営計画は、2030年度までを対象期間とする『INFRONEER Vision 2030 中長期経営計画』で掲げている目指す姿の実現に向けて、前中期経営計画での成長を基盤に今後3年間を「投資事業拡大フェーズ」と位置づけ、財務規律に則り、バリュー思考に基づく積極的な成長投資を推進します。事業活動から生み出される実質的な収益力を示すEBITDAを重要指標とし、特にインフラ事業における持続的成長を目指します。また、当社は、2021年10月の設立時から機関設計として「指名委員会等設置会社」を採用し、取締役の過半数を独立社外取締役とするガバナンス体制を構築しています。2025年6月からは、取締役7名のうち6名を独立社外取締役で構成し、取締役会の監督機能の強化と執行側のスピード感ある意思決定を実現する体制の一層の推進を図っています。経営の監督と執行の機能を明確に分離し、透明・公正かつ果断な意思決定を行うための仕組みであるコーポレート・ガバナンスのあるべき体制をさらに進化させ、未来志向の事業戦略と実行力で企業価値向上と社会貢献の両立を実現してまいります。 ビジネスモデル当社は、インフラの上流から下流までをワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」を目指し、グループ全体が外的要因に左右されずに持続的な成長を実現するビジネスモデルの確立に取り組んでいます。請負事業の強化と脱請負事業の拡大により、成長サイクルの好循環を目指してまいります。 現中期経営計画の位置づけ当社は、現中期経営計画の3年間を、「投資事業拡大フェーズ」と位置づけています。官民連携事業や再生可能エネルギー事業への投資拡大や、請負を活かした新事業の実行、M&Aの更なる推進に注力してまいります。 業績目標 2027年度の業績目標について、以下のとおり定めています。 2024年度実績2025年度実績2027年度目標事業利益485億円841億円1,000億円EBITDA(注1)839億円1,287億円1,510億円当期利益324億円765億円630億円付加価値額(注2)1,777億円2,724億円3,340億円 (注)1.事業利益に減価償却費を加算して算出します。2.加算法または控除法により算出します。加算法による場合、事業利益、総人件費、減価償却費、研究開発費の総和により算出される額とします。控除法による場合、売上高から外部購入費用を控除して算出される額とします。 なお、2030年度の業績目標については以下のとおり定めています。 2030年度目標事業利益1,300億円EBITDA1,900億円 資本戦略・還元方針資本戦略・還元方針について、以下のとおり定めています。資産の効率化と収益性の向上を通じてROEを12.0%まで引き上げるほか、自己資本比率30%以上を維持し、D/Eレシオを1.0倍以下に抑えることで、財務健全性を確保します。また、2026年度からは年間配当金の下限を普通株式1株当たり60円から90円に引き上げ、配当性向の目標を前中期経営計画の30%以上から引き上げ40%以上とすることで、安定かつ成長に連動した還元を維持してまいります。政策保有株式については2027年度までに保有ゼロを目標とし、保有不動産については現中期経営計画期間中に100億円以上の売却を推進します。これらの売却により得られる経営資源を官民連携事業や再生可能エネルギー事業等の成長投資に振り向け、事業領域の拡大と利益の最大化を目指します。 2024年度実績2025年度実績2027年度目標ROE7.1%13.6%12.0%自己資本比率35.8%30.2%30%以上D/Eレシオ0.8倍0.9倍1.0倍以下政策保有株式/純資産割合14.7%15.2%0%保有不動産の売却13億円-累計100億円以上配当性向48.3%40.6%40%以上配当60円/株120円/株下限配当90円/株 ④三井住建道路(株)に対する公開買付けによる完全子会社化について当社の子会社である三井住友建設(株)は、同社の子会社である三井住建道路(株)に対し、完全子会社化を目的として、公開買付けを実施することを決定し、2026年4月22日に本公開買付けが成立しました。今後、スクイーズアウト手続きを経て、完全子会社となる見込みです。三井住友建設(株)と三井住建道路(株)の両社は、これまで以上に緊密な連携の下で経営リソースを持ち寄り、施工・営業・調達・技術・開発等において一体化・最適化を推進することが一層の競争力強化に繋がると判断しました。また、完全子会社化(非上場化)により一般株主との間で生じる利益相反関係を解消し、インフロニアグループとして最適な資源配分・投資等を迅速に実施を可能にすることが見込まれます。 ⑤水ing(株)の株式取得(完全子会社化)について当社は、2026年4月14日、水ing(株)の全株式を(株)荏原製作所、日揮ホールディングス(株)及び三菱商事(株)(以下、3社)から取得することを決定し、3社との間で株式譲渡契約を締結しました。譲渡実行日は2026年7月1日を予定しており、同日付で同社は当社の完全子会社となる見込みです。水ing(株)は、水処理設備のEPC・運転・維持管理(O&M)を主力事業とし、官民連携による水道事業の運営等を通じて、国内において高い実績を有しています。また、水道・下水道をはじめとする各種水処理分野において、設計・建設から運転管理まで幅広いサービスを提供しています。水ing(株)の完全子会社化により、同社グループが保有する水処理エンジニアリング力及び運転管理体制と、当社グループが保有する事業の最適化や効率化を推進するプロジェクトマネジメント能力及び土木建築技術・ノウハウを相互に活用し、上下水道事業の設計・建設・維持管理・運営において一体的なサービス提供が可能になります。また、水ingグループが保有する維持管理拠点を起点として、当社グループが推進する「総合インフラサービス」としての道路や公共施設管理への展開・拡大も可能となり、当社グループ及び水ingグループの更なる企業価値向上に寄与するものと考えています。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1) 経営成績 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあり、緩やかに回復してきました。一方で、中東情勢をはじめとする世界経済の不透明感や金融資本市場の変動、米国の政策動向による影響等に注視すべき状況が続いています。 建設業界においては、住宅建設に弱さが見られるものの、設備投資は堅調な企業収益や省力化投資への対応等を背景に持ち直しの動きが続いているほか、公共投資はインフラ老朽化対策や国土強靭化の推進等の関連予算の執行により底堅く推移しています。 このような状況の中、当社は、「どこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。」の実現に向けて、目指す姿を、インフラに関わる事業の企画提案、施工、運営・維持管理、再投資等のインフラのライフサイクル全体をマネジメントする「総合インフラサービス企業」と定め、グループ全体が外的要因に左右されずに持続的な成長を実現するビジネスモデルの確立に取り組んできました。請負事業の強化と脱請負事業の拡大により、成長サイクルの好循環を目指してまいります。 また、当社は、三井住友建設(株)に対し株式公開買付けを実施し、2025年12月に同社を完全子会社化しました。今後は、同社が有する技術力・事業基盤と当社グループの経営資源を融合することにより、グループ全体での経営資源の有効活用を図り、DX、技術開発、サステナビリティ戦略及び人材育成を共同で推進するとともに、新規事業機会の創出に取り組むことで、当社グループの更なる企業価値向上を図ってまいります。 当連結会計年度の経営成績は、売上高は前期比2,773億円(32.7%)増の1兆1,248億円、事業利益は前期比355億円(73.3%)増の841億円となり、税引前利益は前期比574億円(115.5%)増の1,072億円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益については、前期比441億円(136.2%)増の765億円となりました。 ※事業利益は、売上高から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除し、持分法による投資損益及び関連会社投資に係る売却損益を加えた、当社の経常的な事業の業績を測る利益指標です。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。なお、当連結会計年度より、当社グループはグループシナジー強化を図るため経営管理区分の見直しを行っており、前連結会計年度との比較・分析は、変更後の区分に基づいています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に記載のとおりです。 (建築事業) 建築事業は、集合住宅や工場・物流施設を中心とする建設工事及び付帯する事業を展開しており、国内建築工事において再開発事業等の大型工事を含む手持工事が順調に進捗したことから、売上高は前期比1,342億円(36.9%)増の4,977億円となりました。セグメント利益は、期首手持工事の利益改善により、前期比79億円(55.8%)増の221億円となりました。なお、当期の業績には、連結子会社化後の三井住友建設(株)の業績が含まれています。 (土木事業) 土木事業は、橋梁やトンネルを中心とする建設工事及び付帯する事業を展開しており、国内土木工事において期首手持工事及び当期受注工事の進捗が順調であったことなどから、売上高は前期比1,185億円(81.0%)増の2,649億円となりました。セグメント利益は、当期完成工事における設計変更の獲得及び施工効率化・工期短縮により、前期比102億円(65.1%)増の260億円となりました。なお、当期の業績には、連結子会社化後の三井住友建設(株)の業績が含まれています。 (舗装事業) 舗装事業は、舗装工事等の建設工事並びにアスファルト合材等の製造・販売を中心に展開しており、売上高は堅調に推移した結果、前期比191億円(7.3%)増の2,822億円となりました。セグメント利益は、建設工事における受注時利益率の向上及びアスファルト合材販売における外部環境に応じた適切な販売価格の維持により、前期比14億円(7.4%)増の213億円となりました。なお、当期の業績には、連結子会社化後の三井住建道路(株)の業績が含まれています。 (機械事業) 機械事業は、建設機械の製造・販売を中心に展開しており、建設機械関連商品の販売は堅調に推移したものの、クレーン等自社製品の販売が伸び悩んだことから、売上高は前期比15億円(3.7%)減の395億円となり、セグメント利益は前期比3億円(15.4%)減の19億円となりました。 (インフラ運営事業) インフラ運営事業は、再生可能エネルギー事業及びコンセッション事業を中心に展開しており、大洲バイオマス発電(株)が通期稼働したことに加え、(匿)菰野ヴィラプロジェクトにおける不動産売却等により、売上高は前期比66億円(21.6%)増の374億円となりました。利益面では、(匿)菰野ヴィラプロジェクトで不動産売却があったものの、日本風力開発(株)において風力発電所を売却から保有へと方針転換したことや、国立競技場を運営する(株)ジャパンナショナルスタジアム・エンターテイメントでは、開業初年度に伴う費用の発生等により、セグメント損失は17億円(前期はセグメント損失21億円)となりました。 (その他) その他の事業は、ホテル事業、ソフトウェア開発事業、建設用資機材の製作・販売、ビル管理及び不動産事業等を中心に展開しており、売上高は前期比1億円(6.6%)増の30億円となりました。セグメント利益は、持分法適用関連会社である東洋建設(株)の株式譲渡に伴い、前期比136億円(736.7%)増の154億円となりました。 (2) 財務状態 当連結会計年度における資産は、三井住友建設(株)の連結子会社化に伴い、のれんなどを計上したことに加え、現金及び現金同等物や契約資産などの諸資産を受け入れたことにより、前連結会計年度末に比べ5,723億円(39.5%)増加し、2兆231億円となりました。負債は、三井住友建設(株)の連結子会社化に伴う諸負債の受け入れに加え、同社の株式取得資金としての借入金の増加、並びに日本風力開発(株)においてA種優先株式を発行したことなどにより、前連結会計年度末に比べ4,699億円(51.8%)増加し、1兆3,778億円となりました。また資本は、前連結会計年度末に比べ1,023億円(18.9%)増加し、6,452億円となりました。 以上の結果、親会社の所有者に帰属する持分は6,106億円となり、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度の35.8%から30.2%となりました。 (3) キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益を1,072億円計上したほか、営業債権及びその他の債権の減少が574億円あったことなどにより、1,862億円(前期は396億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が429億円あった一方、関連会社株式の売却による収入が281億円あったことなどにより、△327億円(前期は△275億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、株式公開買付けによる三井住友建設(株)の連結子会社化に伴う短期借入による収入や、その他の金融負債の増加による収入などにより、866億円(前期は△48億円)となりました。以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末の1,195億円から2,414億円増加し、3,609億円となりました。 (4) 資本の財源及び資金の流動性 当社グループの運転資金需要のうち、主なものは、建設工事の立替資金のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要のうち、主なものは、M&A、設備投資等によるものです。 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入・社債の発行、インフラ運営事業については、ノンリコースでの資金調達を基本としています。 なお、当連結会計年度末における有利子負債(リース負債及び公共施設等運営権に係る負債を除く。)の残高は、前連結会計年度末の3,951億円から1,781億円増加し、5,733億円となりました。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。 なお、連結財務諸表の作成に用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。 (6) 生産、受注及び販売の実績 当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建築事業及び土木事業では請負形態をとっているため、生産を定義することが難しく、生産実績及び販売実績を正確に示すことは困難です。 また、連結子会社が営んでいるインフラ運営事業等のように、受注生産形態をとっていない事業もあるため、当該事業においては生産実績及び受注実績を示すことはできません。 以上の理由で、生産、受注及び販売の実績を示すことはできませんが、当社グループの受注及び施工等の大半を占める事業会社である前田建設工業(株)、三井住友建設(株)、前田道路(株)及び三井住建道路(株)の受注及び売上等の実績は次のとおりです。 a.事業会社別受注高・売上高及び次期繰越高 ・前事業年度(自2024年4月1日~至2025年3月31日)(単位:百万円) 区分前期繰越高当期受注高計当期売上高次期繰越高建築事業 前田建設工業(株)438,959436,072875,032360,696514,336 三井住友建設(株)(316,374)320,247178,147498,394249,266249,127計759,206614,2191,373,426609,962763,463土木事業 前田建設工業(株)263,651170,308433,960146,820287,139 三井住友建設(株)(415,288)416,209146,448562,657183,092379,565計679,860316,757996,618329,913666,704舗装事業 前田道路(株)73,869281,493355,362267,88887,474 三井住建道路(株)10,87128,58639,45830,1579,300計84,741310,079394,821298,04596,775 ・当事業年度(自2025年4月1日~至2026年3月31日)(単位:百万円) 区分前期繰越高当期受注高計当期売上高次期繰越高建築事業 前田建設工業(株)514,336489,9981,004,335397,280607,054 三井住友建設(株)(249,127)246,879220,107466,986195,584271,402計761,215710,1061,471,321592,864878,457土木事業 前田建設工業(株)287,139216,204503,343169,445333,898 三井住友建設(株)(379,565)379,275166,231545,506174,849370,656計666,414382,4351,048,850344,294704,555舗装事業 前田道路(株)87,474272,344359,819273,49386,325 三井住建道路(株)9,30031,17440,47529,17011,305計96,775303,519400,295302,66497,630 (注)1.上記数値は、各事業会社の連結数値に基づき表示しています。2.当期売上高には、セグメント間取引が含まれています。3.前期繰越高の上段( )内表示は、前期における次期繰越高を表し、下段表示額は当期において為替相場が変動したため、前期繰越高を修正したものです。 b.事業会社別受注工事高の受注方法別比率工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。 ・前事業年度(自2024年4月1日~至2025年3月31日)(単位:%) 区分特命競争計建築事業 前田建設工業(株)54.046.0100.0 三井住友建設(株)60.839.2100.0土木事業 前田建設工業(株)49.750.3100.0 三井住友建設(株)47.652.4100.0舗装事業 前田道路(株)83.316.7100.0 三井住建道路(株)81.618.4100.0 ・当事業年度(自2025年4月1日~至2026年3月31日)(単位:%) 区分特命競争計建築事業 前田建設工業(株)73.826.2100.0 三井住友建設(株)70.229.8100.0土木事業 前田建設工業(株)63.236.8100.0 三井住友建設(株)57.942.1100.0舗装事業 前田道路(株)91.18.9100.0 三井住建道路(株)81.019.0100.0 (注)上記数値は、各事業会社の単体数値に基づき表示しています。 c.事業会社別完成工事高 ・前事業年度(自2024年4月1日~至2025年3月31日)(単位:百万円) 区分国内官公庁国内民間海外計建築事業 前田建設工業(株)58,700290,43211,562360,696 三井住友建設(株)15,424178,21855,624249,266計74,124468,65067,187609,962土木事業 前田建設工業(株)86,02359,7221,074146,820 三井住友建設(株)109,29435,75638,041183,092計195,31895,47839,116329,913 (単位:百万円) 区分舗装工事土木工事製造・販売その他計舗装事業 前田道路(株)154,25532,48180,217932267,888 三井住建道路(株)18,2056,4025,5034630,157計172,46038,88385,721979298,045 ・当事業年度(自2025年4月1日~至2026年3月31日)(単位:百万円) 区分国内官公庁国内民間海外計建築事業 前田建設工業(株)51,924337,2148,141397,280 三井住友建設(株)17,312133,14845,123195,584計69,237470,36253,264592,864土木事業 前田建設工業(株)93,36275,895187169,445 三井住友建設(株)109,48234,30031,066174,849計202,845110,19531,254344,294 (単位:百万円) 区分舗装工事土木工事製造・販売その他計舗装事業 前田道路(株)141,02248,54382,5461,380273,493 三井住建道路(株)14,8558,5285,7374829,170計155,87757,07288,2841,429302,664 (注)1.上記数値は、各事業会社の連結数値に基づき表示しています。 (注)2.当事業年度の完成工事のうち、主なものは次のとおりです。発注者工事名称千葉市千葉市新清掃工場建設工事三井不動産レジデンシャル(株)、NTT都市開発(株)、日鉄興和不動産(株)、住友商事(株)、住友不動産(株)、大和ハウス工業(株)、東急不動産(株)、東京建物(株)、野村不動産(株)、三菱地所レジデンス(株)(仮称)晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業5-5街区タワー棟新築工事南池袋二丁目C地区市街地再開発組合南池袋二丁目C地区第一種市街地再開発事業に伴う施設建築物等の新築工事(北街区)森ビル(株)虎ノ門・麻布台地区市街地再開発事業に係るB-1街区施設建築物等新築建築工事国土交通省近畿地方整備局大野油坂道路 大谷トンネル大谷地区工事西日本高速道路(株)新名神高速道路 大戸川橋他2橋(PC上部工)工事日揮(株)仙台港バイオマスパワー発電所建設プロジェクト木質ペレットサイロ設備工事日本下水道事業団戸田市雨水貯留管建設工事国土交通省北陸地方整備局R6 能越道越の原横田舗装復旧工事東日本高速道路(株)道東自動車道 帯広管内舗装補修工事 (注)3.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。 d.事業会社別手持工事高(2026年3月31日現在) (単位:百万円) 区分国内官公庁国内民間海外計建築事業 前田建設工業(株)140,066465,6711,317607,054 三井住友建設(株)25,642190,55855,201271,402計165,709656,22956,518878,457土木事業 前田建設工業(株)187,868146,030-333,898 三井住友建設(株)190,94181,88997,826370,656計378,809227,91997,826704,555 (単位:百万円) 区分舗装工事土木工事製造・販売その他計舗装事業 前田道路(株)58,22928,095--86,325 三井住建道路(株)7,3024,003--11,305計65,53232,098--97,630 (注)1.上記数値は、各事業会社の連結数値に基づき表示しています。 (注)2.手持工事のうち、主なものは次のとおりです。発注者工事名称小田急不動産(株)、小田急電鉄(株)(仮称)海老名駅間C棟マンション計画 新築工事天神一丁目761プロジェクト(同)、福岡地所(株)(仮称)天神ビジネスセンター2期計画新築工事プライフーズ(株)プライフーズ株式会社南郷工場新築工事THAI YOKOREI CO.,LTDタイヨコレイ スワンナプーム物流センター新築工事(タイ)国土交通省北陸地方整備局大町ダム等再編土砂輸送用トンネル工事長崎県4債工国地改第4-1号 主要地方道長崎南環状線道路改良工事((仮称)江川トンネル)日本下水道事業団東京都芝浦水再生センター・森ヶ崎水再生センター間連絡管建設工事その5フィリピン共和国運輸省マニラ首都圏地下鉄事業(フェーズ1)CP103工区成田国際空港(株)A滑走路北側HB整備/A1・A誘導路改修/K・C誘導路他補修舗装工事防衛省北関東防衛局入間(5)給水施設等整備土木その他工事
事業リスク
- 国内事業の競争激化国内市場における事業領域拡大を進める中で、競争環境の急激な変化や顧客ニーズの多様化により、既存戦略が陳腐化する可能性があります。需要予測の不確実性も増大し、計画通りの事業拡大が困難になることで、収益性に影響を及ぼすリスクがあります。
- M&Aと事業売却のリスクM&Aでは、対象企業の評価誤りや情報不足により、期待したシナジー効果が得られない可能性があります。また、事業売却では、適切な管理を怠ると不利な条件での売却に至るリスクがあります。さらに、買収後の企業価値低下により、のれんの減損処理が必要となる可能性があり、業績に悪影響を与える恐れがあります。
- 海外事業の地政学的リスク海外での事業拡大において、進出先の政治的安定性の欠如、規制・法律の変化、紛争などの地政学的リスクが事業運営に直接影響を及ぼす可能性があります。現地関係機関との連携不足や資機材調達の遅延・コスト増加も懸念され、計画通りの事業展開が困難になるリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
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3 【事業等のリスク】当社グループは、事業運営における多様なリスクを認識し、適切に管理することを重要な経営課題と位置づけています。リスク管理委員会を四半期ごとに開催し、経営層及び各部門の責任者が参加する体制を構築しています。この委員会では、事業活動や外部環境の変化に伴うリスクを網羅的に洗い出し、評価・優先順位づけを行い、重要なリスク項目を特定しています。さらに、各リスクに対する具体的な対応策を策定し、その実行状況をモニタリングすることで、リスク管理の精度を向上させています。また、リスク要因の相関性を考慮した定期的な見直しを実施し、内部統制との連携を強化することで、全社的なリスクマネジメントを推進しています。当社グループは、リスク管理において単なるリスク回避に留まらず、リスクを認識した上で適切にリスクテイクを行うことで企業価値の向上と持続可能な成長を目指しています。この取り組みはグループ全体で共有され、すべての事業活動において実践されています。当社グループは、中期経営計画「INFRONEER Medium-term Vision 2027」において、戦略の三本柱並びに重点施策を策定・推進しており、それに伴いリスク管理の枠組みを強化しました。具体的には、前期までの取り組みを踏まえつつ、「ガバナンス・コンプライアンス・開示と報告」、「戦略と計画」、「業務運営と経営」の視点から、各重点施策に係るリスクの見直しを行いました。この取り組みにより、事業とリスクの関連や影響をより正確に把握し、発生時には迅速かつ適切な対応が可能となっています。また、リスク管理プロセスにおいては、各重点施策に関連するリスクを網羅的に抽出し、その中でも特に影響が大きいと判断される重点リスクを特定しています。これら重点リスクについては、リスクの発生可能性や影響度を評価した上で、優先的に対応策を講じており、その内容を以下に記載しています。このアプローチにより、当社グループが直面するリスクの重要性を明確化し、効果的な対応を進めています。こうした中、三井住友建設(株)のグループ入りに伴い引き続き内部環境が変化するほか、中東情勢の緊迫化等により外部環境も大きく変化していることから、十分注意を払いながらリスク管理に努めます。なお、以下に記載する内容は当連結会計年度末日(2026年3月31日)において判断したものであり、当社株式への投資に関するすべてのリスクを網羅するものではありません。実際のリスク事象においては、その発生時期、影響の程度が異なる可能性があるため、これらの点に留意する必要があります。 (リスクマネジメントフロー) (各重点施策に関連するリスク)(注)各重点施策に関して特定されたリスクを○で示しています。また、その中でも特に影響が大きいと判断される重点リスクを◎で示しています。 1.国内における事業領域・インフラサービス事業の更なる拡大 リスク認識 競争環境の急激な変化や顧客ニーズの多様化によって、既存戦略が陳腐化する可能性があります。新たな市場参入や事業拡大計画においては、需要予測の不確実性が増大し、計画の実現可能性に影響を及ぼす可能性があります。 M&A及び事業売却では、対象企業の評価プロセスにおける情報不足や価値評価の誤りが発生する可能性が考えられます。これにより、統合後に期待されるシナジー効果が十分に発揮されず、事業ポートフォリオのバランスが崩れる可能性があります。また、事業売却の際には、売却プロセスの適切な管理が求められ、これを怠ると不利な条件での売却に至る可能性があります。さらに、対象企業の経営成績の悪化等により企業価値が低下した場合には、のれんの減損処理を行う必要が生じる可能性があります。 経済情勢の変動において、インフレや金利の上昇、規制の強化が、当社グループの事業収益性や成長性に直接的な影響を与える可能性があります。こうした経済情勢の変動は、計画通りの事業運営を困難にするだけでなく、予期しないコスト増加を引き起こす可能性があります。対応策 事業戦略に関して、詳細な市場調査と競合分析を継続的に行い、データに基づいた戦略を策定、必要に応じて事業戦略の見直しを行います。このプロセスでは、市場の動向や顧客ニーズの変化を的確に捉え、戦略の適切性を維持し、外部環境の変化にも迅速に対応できるようにしていきます。 M&A及び事業売却について、詳細なデューデリジェンスを徹底し、対象企業の財務状況、法的リスク、事業シナジーを包括的に分析して価値評価の正確性を確保します。また、組織統合プロセスでは、従業員や取引先との透明性の高いコミュニケーションを通じて、マイナスの影響を最小限に抑える取り組みを進めます。事業売却に際しては、適切な価値評価と売却プロセスの透明性を重視し、最適な事業ポートフォリオを追及します。のれんの減損を未然に防ぐために、買収前のデューデリジェンスにおいて対象企業の収益性や成長可能性を慎重に評価します。また、買収後の対象企業の事業計画や経営成績を業績評価指標(KPI)に基づき継続的にモニタリングすることで、経営課題を特定・改善するための支援を行います。 経済情勢の変動に対して、経済指標や市場動向のモニタリングを強化し、経済情勢の変動に伴うリスクを早期に察知し、必要に応じて戦略転換の検討を行います。 2.海外における事業領域拡大・インフラサービス事業への参入 リスク認識 地理的・政治的要因として、進出先国や地域における政治的安定性の欠如、規制や法律の変化、紛争や制裁措置などの地政学リスクが、事業運営に直接的な影響を及ぼす可能性があります。また、現地関係機関との連携が不十分な場合、プロジェクトの遅延や中止といった事態の発生も懸念されます。現地企業との提携において、対象企業の財務状況や事業環境に対する理解不足や、企業文化・組織運営の違いにより統合プロセスや提携効果への悪影響が懸念されます。 資機材調達では、現地の調達網や物流インフラの未整備、輸送リスク、関税や規制の影響により、調達遅延やコスト増加が生じる可能性があります。 現地市場の需要や競争環境を正確に把握していない場合、目標とする事業拡大が達成できない可能性があります。対応策 地理的・政治的要因への対応に関して、進出先国や地域の政治・経済情勢を継続的にモニタリングし、地政学リスクに対する早期警戒体制を構築していきます。また、現地の規制や法律に精通した専門家やコンサルタントを活用し、法的リスクの最小化を図るとともに、現地関係機関やパートナーとの協力体制を強化します。現地企業との提携では、デューデリジェンスを徹底し、対象企業の財務状況や事業環境を詳細に分析するとともに、企業文化・組織運営に係る相互理解を促進することで、提携効果を最大化します。 資機材調達について、必要に応じて調達先の分散を進め、現地調達ネットワークの構築や物流インフラの改善を推進することで、供給の安定性を確保していきます。 事業戦略に対し、進出先市場の詳細な調査を実施し、需要や競争環境を的確に把握した上で、現地市場に適応したビジネスモデルやサービスを設計・実行します。また、施策の進捗状況を定期的にレビューし、柔軟に修正を加える仕組みを整備していきます。 3.バリュー思考に基づく、価値創造プロセスの最適化リスク認識 グループ全体戦略が機能不全に陥ることにより、市場の変化や競争環境の激化に適切に対応できない、価値創造プロセスが期待した成果を十分に発揮できないなど、企業としての持続可能性が損なわれる可能性があります。 企業文化の醸成が不十分である場合、従業員間の協働が阻害され、モチベーションや組織へのコミットメントが低下し、結果として価値創造プロセスへの貢献度が減少し、経済的価値と社会的価値の両立が困難になる可能性があります。 多様な人材の採用・育成が不十分な場合、社内の創造性や革新性が低下し、価値創造プロセスの最適化が達成されない可能性があります。また、従業員の離職率が上昇することで企業の競争力が低下する可能性があります。対応策 市場動向や競争環境を詳細に分析し、柔軟かつ持続可能なビジネスモデルを構築するとともに、価値創造プロセスの進捗状況を定期的にレビューし、必要に応じて戦略を見直すことで変化する環境に迅速に対応します。 透明性の高いコミュニケーション体制を整備し、従業員の声を積極的に取り入れる仕組みを構築することで、従業員の満足度を向上させ、組織全体の協働と創造性を促進します。 ジェンダーを含む多様なバックグラウンドを持つ人材の採用・育成を推進し、社内でのインクルージョンを促進することで、従業員が自身の能力を最大限に発揮できる環境を整備し、組織全体の創造性と革新性を向上させます。 4.グループ連携による利益の最大化リスク認識 グループ会社間の相互補完性の欠如や市場変化への適応の遅れが、効率の低下や利益創出の阻害を招く可能性があります。 グループ間での価値観や目標の共有が不十分である場合、信頼関係が弱まり、連携が阻害される可能性があります。 従業員エンゲージメントが低下することで、モチベーションや組織へのコミットメントが低下し、価値創造への貢献度が低下する可能性があります。対応策 定期的な市場分析や競合調査を行い、環境変化に柔軟に対応できる仕組みを構築します。また、グループ内での資源共有を促進し、相互補完性を高める体制を整備します。 グループ内での価値観や目標の共有を推進し、信頼関係を深めるためのコミュニケーション施策を導入します。共通の研修やイベントを通じて、グループ間の一体感を醸成します。 透明性の高い評価制度を導入し、従業員が能力を最大限に発揮できる環境を整備します。さらに、従業員の声を積極的に取り入れる仕組みを構築し、従業員エンゲージメントの向上を図ります。 5.安定かつ低コストな資金調達の実現 リスク認識 金利の上昇、為替変動、市場の不安定化など外部環境の変化により、資金調達コストが増加する可能性があります。 財務健全性や信用力の低下により資金調達が困難となり、調達条件が悪化する可能性があります。 情報発信の不備や不透明な経営等に起因する企業活動や経営方針に対する批判、不適切な情報の流布などにより、投資家や金融機関などステークホルダーからの信頼が低下し、資金調達に悪影響を与える可能性があります。対応策 資金調達のタイミングを適切に管理し、多様な調達手法を組み合わせることでリスク分散を図ります。 経済動向や市場環境により、迅速に意思決定を行う体制を整えます。 財務健全性を維持するため、最適な資本構成を検討しつつ、キャッシュ・フロー管理を徹底します。財務情報の透明性を高めることで金融機関や投資家からの信頼を強化し、信用格付けの向上を目指します。 グループのレピュテーションを守るため、透明性の高い経営を徹底し、正確かつ適時な情報開示を行います。また、内部統制を強化し信頼性を向上させるとともに、株主や取引先、地域社会との積極的な対話を通じて、企業活動への理解を深め、評判の毀損を未然に防ぎます。 6.付加価値創出に繋がる視点での固定費・管理費の適正化リスク認識 過度なコスト削減が製品やサービスの差別化を損ない、顧客満足度やブランド価値を低下、更にはビジネスの持続性や成長の阻害要因になる可能性があります。 リソースの適正化が不十分な場合、新規事業や成長市場への投資余力が不足し、長期的な競争優位性が損なわれる可能性があります。対応策 無駄の最小化は引き続き強化しつつ、生産活動によるCO2削減やサプライチェーンとの連携にも十分配慮しながら固定費・管理費を付加価値創出のための投資として捉え、投入に対する効果を意識した運用への転換を図ります。 リソース適正化で生み出された余力を新規事業や成長分野へ振り向け、長期的な競争力を高めます。柔軟なリソース管理体制を構築し、市場や環境変化に迅速に対応できる事業基盤を整備します。 7.グループ人財戦略の推進 リスク認識 グループの価値観や行動指針が組織全体に十分浸透しない場合、従業員の一体感が低下し、業務効率や迅速な意思決定が阻害される可能性があります。また、グループの文化が時代や市場の変化に対応できない場合、競争力の低下が懸念されます。 人材労務では、適切な労働環境が整備されていない場合、優秀な人材の流出や生産性の低下を招く可能性があります。さらに、労務管理の不備がコンプライアンス違反や労務トラブルを引き起こし、企業の信頼性やブランドイメージに悪影響を及ぼす恐れがあります。 人材多様性において、多様な人材の能力を活用できない場合、イノベーションの停滞や意思決定の質の低下につながり、競争力を失う可能性があります。多様性推進が不足していると、心理的安全性が欠けた職場環境となり、従業員間の協力やコミュニケーションが阻害される可能性もあります。対応策 グループの価値観や行動基準を明確化し、それを業務プロセスに反映させる仕組みを構築します。 安全で働きやすい職場環境を整備し、安全衛生基準の向上と労務管理体制の強化により、コンプライアンスの徹底とトラブルの未然防止を図ります。 ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン施策を導入し、多様な価値観や背景を持つ人材が協力できる環境を整備します。さらに、意見交換や対話の場を定期的に設け、従業員間の信頼関係を深めます。 8.社内外の環境に対応した最適なガバナンスの追求 リスク認識 国内外の法律や規制への対応が不十分な場合、罰則や訴訟リスクを招くだけでなく、社会的信用を失う恐れがあります。 内部通報制度が十分に活用されない場合、不正や問題行動の早期発見や是正が妨げられ、リスク管理が不十分になる可能性があります。 サイバー攻撃や情報漏洩が発生した場合、顧客や取引先の信頼を損なうだけでなく、事業運営に深刻な影響を与える可能性があります。特に、機密情報や個人情報の管理が不十分な場合、法的責任や多額の損害賠償を求められる可能性があります。 また、当社グループにおいては、連結子会社の施工案件に関する訴訟が係争中であり、今後の判決の内容によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。なお、本件の詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断 (3) 偶発損失引当金」に記載のとおりです。対応策 国内外の法規制に関する最新情報を定期的に収集・共有する体制を整備します。また、定期的な監査を実施し、法令遵守の徹底及び腐敗防止を図ります。 内部通報制度の周知と利用促進のための啓発活動を行い、社内外の通報者が安心して利用できる環境を整備します。通報内容には迅速かつ適切に対応する体制を確保し、リスク管理を強化します。 情報セキュリティに対して、最新のセキュリティ技術を活用した対策を導入し、サイバー攻撃や情報漏洩のリスクを低減します。さらに、従業員へのセキュリティ教育を定期的に実施し、情報管理意識を向上させます。加えて、情報セキュリティの状況を定期的に監査し、必要に応じて改善を行う体制を整備します。 9.投資規律(基準・モニタリング)のレベルアップ リスク認識 世界的な景気変動や地政学リスク、金利や為替の変動といった経済情勢が、投資案件の収益性やリスクプロファイルに影響を及ぼす可能性があります。 投資判断が中長期的な戦略と整合しない場合、各セグメントの事業ポートフォリオのバランスが崩れ、競争力や収益性の低下を招く恐れがあります。 過剰な投資や不適切な資金配分が行われた場合、キャッシュ・フローの悪化や財務健全性の低下を招き、企業全体の持続可能性が損なわれる可能性があります。対応策 外部環境の変化を継続的にモニタリングし、投資案件のリスク評価を適切に行います。 各セグメントの中長期的な戦略に基づく投資基準を明確化し、その時々に応じた最適な事業ポートフォリオを追求します。 資金配分の適正化とキャッシュ・フロー管理の強化を図り、財務健全性を維持します。