事業の概要
- 環境事業の多角化: NGKグループは、自動車の排ガス浄化部品やセンサー、一般産業用セラミックス製品・機器装置の製造・販売をグローバルに展開しています。特に自動車関連では、世界各地に製造・販売拠点を持ち、環境規制強化の動きに対応した製品を提供することで収益を上げています。
- デジタル社会を支える事業: 半導体製造装置用製品、電子工業用製品、ベリリウム銅製品、金型製品など、デジタル化の進展に不可欠な高機能素材や部品を提供しています。半導体市場の成長と連動し、技術革新を背景に事業を拡大しています。
- エネルギーインフラへの貢献: NAS®電池や電力用がいし・機器の製造・販売を通じて、電力インフラの安定供給とエネルギー貯蔵に貢献しています。特にNAS®電池は電力販売にも活用され、エネルギー分野での新たな収益源を構築しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 環境事業: 自動車排ガス浄化用部品やセンサー、一般産業用セラミックス製品・機器装置の製造・販売が主な事業内容です。売上高は3903.71億円、営業利益は682.54億円と、NGKグループの稼ぎ頭であり、グローバルな環境規制強化の恩恵を受けています。
- デジタルソサエティ事業: 半導体製造装置用製品、電子工業用製品、ベリリウム銅製品、金型製品などを扱っています。売上高は1715.87億円、営業利益は171.91億円で、AIの拡大やデータ量の増加に伴う半導体市場の成長を背景に、今後の成長が期待される事業領域です。
- エネルギー&インダストリー事業: NAS®電池や電力用がいし・機器の製造・販売、NAS®電池を活用した電力販売を行っています。売上高は575.53億円ですが、営業利益は-41.96億円と赤字であり、NAS®電池事業の製造・販売活動終了が決定されるなど、事業構造転換の対象となっています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| EnvironmentReportableSegment | 事業 | 3,904 | 683 | 17.5% |
| DigitalSocietyReportableSegment | 事業 | 1,716 | 172 | 10.0% |
| EnergyAndIndustryBusinessReportableSegment | 地域 | 576 | -42 | -7.3% |
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3【事業の内容】 当社グループの企業集団は、当社、子会社53社(うち連結子会社46社、持分法適用会社1社)及び関連会社1社で構成され、その主な事業内容と、各構成会社の当該事業に係る位置づけは次の通りです。 なお、次の3事業区分は「第5 経理の状況1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 〔エンバイロメント事業〕 当事業は、自動車排ガス浄化用部品、センサー及び一般産業用セラミックス製品・機器装置の製造・販売を行っております。 自動車排ガス浄化用部品の製造は、国内では当社、米国ではNGK CERAMICS USA,INC.、欧州ではNGK CERAMICS EUROPE S.A.、NGK CERAMICS POLSKA SP. Z O.O.、インドネシアではP.T.NGK CERAMICS INDONESIA、中国ではNGK(蘇州)環保陶瓷有限公司、メキシコではNGK CERAMICS MEXICO, S. DE R.L.DE C.V.、タイではNGK CERAMICS (THAILAND) CO., LTD.が行っております。 また自動車排ガス浄化用部品の販売は、国内では当社、米国ではNGK AUTOMOTIVE CERAMICS USA,INC.、欧州ではNGK EUROPE GmbH、インドネシアではP.T.NGK CERAMICS INDONESIA、中国ではNGK(蘇州)環保陶瓷有限公司、タイではNGK CERAMICS (THAILAND) CO., LTD.が行っております。なお南アフリカのNGK CERAMICS SOUTH AFRICA (PTY) LTD.につきましては、現在清算手続きを進めております。 センサーの製造は、国内では当社及びエヌジーケイ・セラミックデバイス㈱、欧州ではNGK CERAMICS POLSKA SP. Z O.O.が行い、販売は国内では当社、欧州ではNGK EUROPE GmbHが行っております。 化学工業用耐蝕機器の製造・販売は、当社及びエヌジーケイ・ケミテック㈱が行っております。液・ガス用膜分離装置の製造・販売は、当社及びエヌジーケイ・フィルテック㈱が行っております。加熱装置及び耐火物の製造は、国内ではエヌジーケイ・キルンテック㈱、エヌジーケイ・アドレック㈱、中国ではNGK(蘇州)熱工技術有限公司、タイではSIAM NGK TECHNOCERA CO.,LTD.が行い、販売は、国内では当社及びエヌジーケイ・キルンテック㈱、中国ではNGK(蘇州)熱工技術有限公司、タイではSIAM NGK TECHNOCERA CO.,LTD.が行っております。低レベル放射性廃棄物用処理装置の製造及び販売は、当社が行っております。 NGK NORTH AMERICA,INC.は、米国における持株会社です。 〔デジタルソサエティ事業〕 当事業は、半導体製造装置用製品、電子工業用製品、ベリリウム銅製品、金型製品の製造・販売を行っております。 半導体製造装置用製品の製造は、国内では当社及びエヌジーケイ・セラミックデバイス㈱、米国ではFM INDUSTRIES,INC.が行い、販売は国内では当社、米国ではNGK ELECTRONICS USA,INC.が行っております。 電子工業用製品の製造はエヌジーケイ・セラミックデバイス㈱、NGKエレクトロデバイス㈱グループ、販売は当社、NGKエレクトロデバイス㈱グループ、NGK EUROPE GmbHが行っております。 ベリリウム銅製品の製造は、国内では当社及びエヌジーケイ・メテックス㈱が行い、販売は当社が行っております。海外については、米国ではNGK METALS CORPORATIONが製造・販売を行っております。欧州ではNGK BERYLCO FRANCEが製造・販売を行い、NGK BERYLCO U.K. LTD.が加工・販売、NGK DEUTSCHE BERYLCO GmbHが販売支援を行っております。中国では恩基客(中国)投資有限公司が販売支援を行っております。金型製品については、エヌジーケイ・ファインモールド㈱にて製造・販売を行っております。 〔エネルギー&インダストリー事業〕 当事業は、NAS®電池及び電力用がいし・機器の製造・販売を行っているほか、NAS®電池を活用した電力の販売を行っております。 NAS®電池の製造・販売は、当社が行っております。また、NAS®電池を活用した電力の販売は恵那電力㈱、あばしり電力㈱が行っております。 がいしの製造は、国内では当社と明知ガイシ㈱、米国でNGK-LOCKE,INC.が行っております。販売は国内では当社、米国ではNGK-LOCKE,INC.、豪州ではNGK STANGER PTY.LTD.が行っております。中国では恩基客(中国)投資有限公司が調達支援を行っております。なお米国のLOCKE INSULATORS,INC.及び中国のNGK唐山電瓷有限公司につきましては、現在清算手続きを進めております。 配電用機器の製造は、国内ではエナジーサポート㈱グループ、豪州ではNGK STANGER PTY.LTD.が行い、販売は国内では当社及びエナジーサポート㈱グループ、豪州ではNGK STANGER PTY.LTD.が行っております。(注)当社は、2025年10月31日開催の取締役会において、エナジーストレージ事業として展開するNAS®電池の製造及び販売活動を終了し、新規受注の獲得を行わない方針を決定いたしました。 (その他の事業) 保険代理業及びゴルフ場経営のエヌジーケイ・ライフ㈱等があります。主要な事業の系統図は次の通りであります。(連結子会社合計46社)
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 新製品や高機能品の開発、独自の技術対応力や製品供給力により競争力を強化。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 ファインセラミックスを中心とした材料技術とプロセス技術、独自の技術対応力と製品供給力。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 中程度 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:内燃機関車のEV/FCVへの置き換わりによる需要変動 / 半導体製造装置用製品の需要が半導体需給や規制に左右される / 長時間用途蓄電池市場の立ち上がりの遅れ
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
NGKの持つセラミックス技術は長年の研究開発の賜物であり、一部製品で特許を取得している。しかし、競合他社も類似技術を開発しており、絶対的な独占性は限定的。
スイッチングコスト★★☆☆☆
一部の産業用セラミックス製品は、顧客の生産ラインに組み込まれており、代替品への切り替えには多大なコストと時間を要する。しかし、汎用品や新規顧客獲得においてはスイッチングコストは低い。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
NGKの事業は、特定のプラットフォームやサービスを介したユーザー間の相互作用に依存しないため、ネットワーク効果は期待できない。
コスト優位★★☆☆☆
長年の製造ノウハウと一部自動化により、一定のコスト競争力はある。しかし、原材料価格の変動や新興国メーカーの台頭により、構造的なコスト優位性は確立されていない。
規模の経済★★★☆☆
碍子(がいし)事業においては、電力インフラ向けに長年の実績と高いシェアを持ち、業界内で一定の規模の経済を享受している。しかし、事業ポートフォリオは多岐にわたり、全社的な効率規模は限定的。
- 独自のセラミック技術: NGKグループは長年培ってきた独自のセラミック技術を基盤としており、これが自動車排ガス浄化用部品や半導体製造装置用製品など、多岐にわたる高機能製品の開発・製造を可能にしています。この技術力は、他社が容易に模倣できない競争優位性となっています。
- グローバルな生産・販売体制: 世界17カ国に33のグループ会社を展開し、うち18社で製造を行うグローバルな生産・販売ネットワークを構築しています。これにより、各地域の需要に迅速に対応し、サプライチェーンのリスク分散と効率的な事業運営を実現しています。
- 環境規制対応と技術革新: 自動車排ガス浄化用セラミックス製品は、各国の厳しい排ガス規制に対応する高機能品であり、環境意識の高まりとともに需要が安定しています。また、EVやFCVへの移行を見据え、新製品開発や高機能化に継続的に取り組むことで、市場の変化に適応する力を備えています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- 「第三の創業」と事業構造転換: 2050年のカーボンニュートラルとデジタル社会の進化を新たな発展機会と捉え、「第三の創業」として事業構成の転換を目指しています。NAS®電池事業の終了や社名変更など、既存の枠にとらわれず社会課題解決に貢献する意思を示しています。
- ROE重視の資本効率経営: 自己資本利益率(ROE)を主要な経営指標とし、資本効率を重視した経営を推進しています。ROE10%以上(デジタルソサエティ事業は12%)を目標に掲げ、事業資産の効率的な活用や株主還元策(純資産配当率3.5%、配当性向35%以上)を通じて企業価値向上を図っています。
- 成長領域への重点投資と研究開発: デジタルソサエティ事業を成長ドライバーと位置づけ、半導体製造装置用セラミックス製品の工場新設など、大型投資による生産能力増強を加速しています。また、研究開発とマーケティングに注力し、2030年に新事業化品売上高1,000億円以上を目指す「New Value 1000」を目標に掲げています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
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経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。(1)会社の経営の基本方針 当社グループが掲げる「NGKグループ理念」と「NGKグループビジョン Road to 2050」は以下の通りです。 <NGKグループ理念> https://www.ngk.co.jp/info/philosophy/私たちの使命「社会に新しい価値を そして、幸せを」 私たちが目指すもの「人材 挑戦し高めあう」「製品 期待を超えていく」「経営 信頼こそが全ての礎」 <NGKグループビジョン Road to 2050> https://www.ngk.co.jp/info/vision/ 2050年の未来社会を見据え、カーボンニュートラルの実現とデジタル社会への爆発的進化という大きな流れを新たな発展機会と捉え、①サステナビリティ経営の推進、②収益力向上、③研究開発への注力、④商品開花への注力、⑤DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進の5つの変革に取り組み“Surprising Ceramics.”をスローガンに当社独自のセラミック技術を活かし、「第三の創業」に向けて事業構成の転換を図ってまいります。 (2)主要な経営指標と資本政策当社グループは、自己資本利益率(ROE)を主要な経営指標とし、資本効率を重視した経営を推進しております。関連性の高い投下資本利益率(NGK版ROIC)を管理指標に採用し、投下資本の代わりに事業資産(売掛債権、棚卸資産、固定資産)、税引後利益の代わりに事業部門の営業利益を用いることにより、事業部門が自ら目標管理できるようにしております。既存事業の収益力の向上と共に、2030年に新事業化品売上高を1,000億円以上とする「New Value 1000」を目標に掲げ、研究開発とマーケティングに注力することにより売上高成長率の維持・向上を実現し、利益成長を目指します。中長期の観点でROE10%以上を意識して資本効率の改善に取り組んでおりますが、成長領域と位置付けるデジタルソサエティ事業の収益拡大を目指して、水準を12%へと引き上げます。適正な事業ポートフォリオの構築と株主・投資家との透明で適切なコミュニケーションを通じて資本コストの引き下げに努めると共に、これを上回る収益性確保に向けて事業計画の立案や投資の意思決定プロセスを回してまいります。資本政策については、持続的な企業価値の向上に資するよう事業リスクの変化に適合させつつ積極的な株主還元に努めてまいります。配当金については従来の水準から引き上げ、3年程度の期間業績(ROE)とのリンクも勘案し、純資産配当率3.5%、配当性向35%以上を目途とすることとしました。財務健全性との両立を図りつつ、ROEを構成する利益率、資本回転率、財務レバレッジを事業戦略と整合した健全な水準に維持することを目指してまいります。更に、当社の企業価値向上に資する管理指標として、営業利益にCO2排出コストや労務費、研究開発費、ESG目標達成率を加味したNGK版付加価値(NGK Value-added)を使用しております。環境負荷の低減や人権尊重への取組みなど多岐にわたる社会的責任を果たすと共に、将来の競争力の源泉である人的資本や研究開発への投資を積極的に行いつつ、着実に利益成長を実現できるよう付加価値の拡大に努めてまいります。 (3)中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき事業上、財務上の課題当社グループを取り巻く経営環境は、中東情勢の悪化に起因する資源・エネルギー価格の高騰や調達の不安定化など、先行きは不透明な状況が続いております。カーボンニュートラルの動向については、長期的な方向性に変化は無いものの、足元では進展に減速感が見られます。一方で、AI(人工知能)の活用が急速に拡大するなど社会の構造的な変化が目覚ましく、デジタル社会化は飛躍的に進行しております。このような環境の下、当社グループは2021年4月に公表した「NGKグループビジョン Road to 2050」で定めたありたい姿「独自のセラミック技術でカーボンニュートラルとデジタル社会に貢献する」の実現に向けて変革を進めております。2025年10月には、エナジーストレージ事業として展開するNAS®電池の製造及び販売活動の終了とセラミックパッケージ事業の体制再編を決定し、事業構成の転換を前進させました。また、2026年4月には、2050年の事業領域や果たすべき役割の広がりを踏まえ、祖業の「ガイシ(INSULATORS)」の記載を社名から外し、「NGK株式会社(NGK Corporation)」に変更しました。新社名には、長年培ってきたセラミック技術を基盤に、従来の枠にとらわれず社会課題の解決に貢献しグローバルに挑戦していく意思を込めております。当社グループは、社会の変化を好機とし、経営基盤の強化を図りつつ、既存事業の収益を最大化し、カーボンニュートラルの布石を打つと共に、デジタルソサエティ事業で成長を牽引し、事業構成を転換してまいります。 ① 事業構成の転換当社グループは、全社の視点から企業価値を高めるために事業ポートフォリオ方針を定め、NGK版ROICを用いた収益性と、売上高成長率を用いた成長性の二軸で精査しております。コア事業や今後の成長が期待される事業群への経営資源の投入を検討する一方、低成長・低収益事業に対しては、立て直しの可否判断を迅速に行うための「事業再生・撤退検討プロセス」を2026年度から「事業ポートフォリオマネジメントに関する規程」として新たに導入いたしました。対象事業・製品については、意思決定指標と評価期限を反映したディシジョン・ツリーを設定し、定期的なモニタリングを実施いたします。エンバイロメントやガイシといった成熟事業については収益を最大化し、デジタルソサエティを中心とする成長事業に対しては重点的なインプットを実施すると共に新規事業の早期立ち上げを推し進め、事業ポートフォリオの変革を進めてまいります。当社グループの中核であるエンバイロメント事業においては、各国の雇用や財政、経済安保等の背景により自動車の電動化の進展にやや減速がみられるほか、グローバルには排ガス規制の強化も暫く続くことが想定されます。自動車関連製品については、新製品のガソリンセンサの市場投入やGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)の拡販などを進め需要を獲得してまいります。また、生産性の改善やグローバル生産体制の最適化を推進し、当社グループの収益基盤を支える事業としての位置付けを維持してまいります。ガイシやエネルギープラント事業に関しては、データセンターの増設等により国内外の電力関連投資が安定的に実施されており、市場や競合、コスト等の動向を見極めながら、継続的な収益の確保を図ってまいります。今後の成長を見込むデジタルソサエティ領域においては、AIの拡大やそれに伴うデータ量の増加は想定を上回る勢いで進展しており、半導体製造装置用製品やハイセラムキャリア等の市場についても大きな拡大を見込んでおります。当社グループはこの成長機会を逸することなく大型投資による生産能力の増強など、スピード感を持って重点的に経営資源を投下してまいります。2026年3月には700億円超の資金を投じ、石川県の自動車関連製品工場の隣接地に半導体製造装置用セラミックス製品の工場を新設し、国内の生産能力を約2割増強することを決定いたしました。半導体等の高性能化の流れは止まることなく進行することが予見されることから、当社グループは既存事業の強みを活かし、周辺領域における研究開発を強化して新製品を創出してまいります。今後一層重要性を増すデジタルインフラ領域における地位を高め、デジタルソサエティを当社グループの成長のドライバーとしてまいります。カーボンニュートラル領域の本格需要に向けて事業開発を推進する開発製品に関しては、各国の政策動向の変化により、足元では再生可能エネルギーの浸透や脱炭素化へのシフトに遅れが生じておりますが、長期的な方向性に変化は無いと捉えております。大気中のCO2を直接回収するDAC、CO2、窒素、水素などを分子レベルで分離するサブナノセラミック膜など、社会の環境ニーズに貢献できる製品については、準備期間が延びたことを好機と捉えて、製品性能の高度化や原価低減等を推し進め競争力を強化してまいります。新規事業の創出に関しては、重要指標として、2030年に新事業化品売上高を1,000億円以上とする「New Value 1000」を掲げております。マーケティング機能を主体としたNV推進本部、セラミックス材料技術や要素技術など当社独自の差異化技術を有する研究開発本部、生産技術・エンジニアリングなどの製造技術本部の3本部が各事業本部との連携を強め「研究開発」から「商品開花」へのスピードを高めてまいります。2025年度には、社内外の知見を融合し、新しい価値創造に挑戦するオープンイノベーションの場として「NGK Collaboration Square DIVERS」をオープンいたしました。当社グループのコア技術を起点に社会課題の解決に資するテーマ創出、価値を共創するパートナーシップの構築を強化してまいります。研究開発に関しては、「NGKグループビジョン」において2021年から10年間で3,000億円、うち8割をカーボンニュートラルとデジタル社会関連に配分する計画とし、これまでの5年間で1,426億円を投じてまいりました。将来の有望なテーマの事業性を高め、変革を加速させるべく、2026年から5年間で2,000億円規模の研究開発を実施することを計画しております。開発スピードを上げつつこれまで以上の差異化技術を創造すべく、早い段階から生産技術・エンジニアリングと連携したコンカレント開発に取り組んでまいります。更には、当社グループの事業や技術とのシナジーが期待される企業のM&A、ベンチャーキャピタルやスタートアップ企業への出資など、外部とのアライアンスを活用した新製品・新規事業の創出も積極的に推進し、事業構成の転換を図ってまいります。 ② 経営基盤の強化 当社グループは、持続的な成長と将来のありたい姿への変容を支える経営基盤の整備を継続してまいります。 ≪サステナビリティ経営≫NGKグループ理念「社会に新しい価値を そして、幸せを」に基づき、当社グループは独自のセラミック技術を通じて持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しております。サステナビリティの視点を経営の中核に据え、ステークホルダーからの信頼を礎にカーボンニュートラルとデジタル社会の実現に貢献してまいります。この基本的な考え方に沿って、社長を委員長とするサステナビリティ統括委員会のもと課題に取り組み、取締役会がこれを適切に監督してまいります。持続的な利益成長と将来の企業価値の源泉となる人的資本や知的資本への投資を両立させ、同時に環境負荷の低減や人権尊重への取組みなどサステナビリティに関する取組みを総合的に評価するため、管理指標としてNGK版付加価値(NGK Value-added)を導入しております。短期の収益性や中長期の成長性に加え、超長期の社会性をバランス良く高めていくことにより財務価値と財務諸表に表れない非財務価値の両面から企業価値向上につなげてまいります。 〔環境に関する取組み〕当社グループは、2050年までにCO2排出量ネットゼロとする目標を掲げ、カーボンニュートラル、循環型社会、自然との共生への寄与を骨子とした「NGKグループ環境ビジョン」を策定し、具体的な行動計画として「カーボンニュートラル戦略ロードマップ」と「環境行動5カ年計画」を定め、その実現を目指しております。第5期環境行動5カ年計画の最終年度となる2025年度は、Scope1及びScope2におけるCO2排出量55万トン(2013年度比25%削減)とした当初目標値に対して、50万トン(同32%削減)へと目標を引き上げ、これを達成する事ができました。マイルストーン(中間目標)とする2030年度の同37万トンの排出量(同50%削減)についても、海外拠点を中心とした使用電力の再生可能エネルギー由来への切り替え、国内外の製造拠点への太陽光発電設備の導入などにより達成を目指してまいります。更に、水素やアンモニアなどカーボンニュートラル燃料によるセラミックス焼成技術、ガス分離膜や大気中のCO2を直接回収するDACの開発、CO2を再利用するメタネーションの実証試験を進めており、当社グループ内での適用を図るなどカーボンニュートラル関連製品・サービスの開発に取り組んでおります。また、バリューチェーンを通じた温室効果ガスの排出削減の取組みについては、2050年までにScope3におけるCO2排出量を90%以上削減(2022年度比)することを目標とし、これを達成するためのステップとして2030年までに25%削減する計画について認証機関SBT(Science Based Targets)イニシアチブの認証を受けて取組みを開始しております。当社ウェブサイト等では気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に関する情報を開示していると共に、自然との共生への対応については自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)のアーリーアダプター(早期採用者)として賛同を表明し、2025年度に関連情報を開示しております。このような取組みが評価され、気候関連情報開示に関する国際的な非営利団体のCDP(旧称:カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)から「CDP水セキュリティ」及び「サプライヤーエンゲージメント評価」の最高評価であるAリスト企業に2年連続で選定されました。また、2026年1月には、環境省が環境先進企業を認定する「エコ・ファースト企業」にも選出されております。 〔ガバナンスに関する取組み〕コーポレートガバナンスについては、取締役会の更なる機能発揮の観点から、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に資する独立社外取締役を選任し、その数を全取締役の3分の1以上としております。また、経営の透明性を確保し取締役会の監督・監視機能を強化するため、独立社外取締役を過半数として構成する指名・報酬諮問委員会で役員の人事及び報酬決定等に係る公正性の確保及び透明性の向上を図ると共に、社外役員を主要な構成員とし役員等が関与する不正及び法令違反等への対応を取り扱う経営倫理委員会を設置し、取締役会への答申または報告、勧告等を行うこととしております。役員等が関与する不正・法令違反に歯止めをかける仕組みとして、従業員からの相談・報告を受けるヘルプライン制度とは別に、社外弁護士を通じて経営倫理委員会に直接報告するホットライン制度を設置し、経営陣から独立した通報体制を設けるなど、コンプライアンス体制の充実を図っております。当社グループで働く全ての人が倫理観を持って正しい事業活動を行うための道しるべとして「NGKグループ企業行動指針」及び「NGKグループ行動規範」の周知徹底にも取り組んでおります。更に様々な領域で取り組むコンプライアンス活動を国際的な水準に照らして評価検証し、共通の理解と価値観に基づき継続的に改善する仕組み作りを行うため、「コンプライアンス活動基本要領」を制定しております。また当社は、競争法及び腐敗行為防止に係る法令等をはじめとする国内外の法令遵守のために、経営トップによる継続的なメッセージ発信、国内外グループ会社の役員・従業員向けのコンプライアンス教育、国際的基準に則った競争法遵守プログラムの運用、「競争法遵守ハンドブック」の活用促進を行っていることに加え、「NGKグループ腐敗防止方針」を策定しております。品質コンプライアンスについては、品質委員会での経営層による直接指導などの仕組みを備えると共に、経営層と従業員との対話の促進や教育の徹底、現場にムリ、ムダを生じさせない仕組みへの見直しなどにより、組織風土と業務の改善に取り組んでおります。また、従業員等の労働安全衛生面では、リスクアセスメントの推進による重大災害のリスク特定と未然防止に継続的に取り組むと共に、グループ全体の現場マネジメント力の強化を図り、業務災害の低減に取り組んでまいります。当社グループは、自社及びサプライチェーンにおける人権を尊重する取組みを展開することで、事業活動が影響を及ぼす全ての人々の人権が侵害されることのない社会づくりに貢献いたします。国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、「NGKグループ人権方針」を定めたほか、英国現代奴隷法に関する声明を開示、また「子どもの権利とビジネス原則」を支持し事業活動において子どもの権利を尊重し、子どもの権利の推進に向けた社会貢献活動等に取り組むことを宣言しております。当社は、内閣府、中小企業庁が推進する「パートナーシップ構築宣言」を公表しております。当社グループのサプライチェーンにおいては、サプライチェーンを構成する調達パートナーと公正・公平な取引を行い、共に繁栄を図るため、「社会的協調」「門戸開放」「共存共栄」を調達の基本軸に掲げ、地球環境の保全、人権尊重、労働環境などに配慮した「NGKグループ調達方針」を定めております。またサプライチェーン全体で持続可能な調達を実現すべく「NGKグループサプライヤー行動規範」を策定し、サプライヤー訪問やセルフアセスメント要請等を通じて、サプライチェーンにおけるリスクの把握や取組み状況の評価を行っております。リスクマネジメントについては、経営レベルの視点から重要と考えるリスクを外部環境、戦略、オペレーションに分類し継続的に見直しを行っております。当社グループのサステナビリティ課題を含む個別のリスク事項については、各種の委員会を設置してリスク管理を行っておりますが、国内外の環境変化が加速する中、部門を横断し全社視点で取締役会につながる統合的なリスク管理の仕組みを構築するため、社長直轄の統括委員会として「リスク統括委員会」を設置し、重点フォローリスクについて取締役会の決議を経て対応策を検討しております。 〔人的資本経営〕当社グループでは、中長期的な成長に向けた事業構成の転換を進める中で、その変化を担う人材の確保・育成・活躍を通じて、戦略の実行力を高め、持続的な企業価値向上を実現することが重要な経営課題であると認識しております。当社グループは、NGKグループ理念の中で、「挑戦し高めあう人材」を私たちが目指すものの1つと位置付け、NGKグループビジョンの実現に向けた「5つの変革」に取り組んでおります。これらを成し遂げるためには、人材一人ひとりの活躍が不可欠であります。「NGKグループ人的資本経営方針」、「人材育成方針」並びに「社内環境整備方針」に基づき、採用や育成を通じた人材の充実と、その人材が持てる力を発揮するための環境整備を推進しております。特に、事業構成の転換に伴い、求められる人材像やスキルの構成が変化する中で、人材のスキルや専門性の可視化を進め、現有人材の強みを踏まえた育成や成長機会を通じて、戦略的な配置につなげる取組みを推進してまいります。2025年度は管理職の人事制度を改定し、年齢や在籍年数にとらわれない多様な人材の活躍と自律的な行動を促進したほか、社員が株主としての視点を持ち企業価値の持続的な向上を実現するため、一定の条件を満たす管理職に対し譲渡制限付株式を支給するインセンティブ制度を開始いたしました。また、テレワークの活用をはじめとする柔軟な働き方の推進や、長時間労働の削減など、従業員が心身ともに健康に働き続けられる社内環境の整備にも引き続き取り組んでおります。多様な人材の活躍を支える取組みとしては、新卒採用に占める女性比率の数値目標の設定や配属先・異動先での職域拡大を図ると共に、育休・産休取得者のキャリア早期再開支援や男性育休制度の拡充など、性別を問わず仕事と家庭の両立を支援する取組みを進めております。加えて、経営層・管理職を中心とした講演会の開催などを通じて、制度面にとどまらない意識や職場文化の醸成にも取り組んでおります。当社は、経済産業省及び東京証券取引所が共同で実施する「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」に3年連続で選定されております。海外人材については、当社グループは従業員約20,000人のうち、約6割が海外に所在しております。グループ運営において、それぞれの地域の事情、文化、習慣に基づく素早く適切な意思決定を行うためには現地人材の活躍が不可欠と考えており、海外拠点の幹部層の積極的な現地化に努めております。 ≪DXの推進≫DXの推進については、当社グループが目指す将来のありたい姿に向けた変革の推力と位置付けています。NGKグループデジタルビジョンのロードマップに則り、インフラ整備によるデジタル活用基盤作りや推進を牽引するDX人材の育成が順調に進捗しております。2025年度には、2030年の目標としていたデータ活用人材の育成1,000名を前倒しで達成いたしました。モノづくり領域に加え、開発とマーケティング領域では、新規材料の開発リードタイムを短縮するマテリアルズ・インフォマティクスや知財戦略へのIPランドスケープの活用、当社の要素技術(シーズ)と社会課題(ニーズ)を高精度に掛け合わせる独自AIによる新規用途探索の加速等による価値の創造を進めております。本社や間接部門を含めた全社では、社内情報を学習した自社専用の対話型生成AIを活用することや、グループ全体のデータ統合基盤の構築を進め業務をシームレスに繋ぐことで業務効率化を後押しし、固定費の削減やデータに基づく業務履行と意思決定へと変革を推進いたします。 当社グループは、こうした取組みを通じて経営基盤の更なる強化に努め、資本効率重視、株主重視の経営を継続すると共に、持続的な成長と企業価値の向上を通して将来のありたい姿の実現を目指してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。(1)会社の経営の基本方針 当社グループが掲げる「NGKグループ理念」と「NGKグループビジョン Road to 2050」は以下の通りです。 <NGKグループ理念> https://www.ngk.co.jp/info/philosophy/私たちの使命「社会に新しい価値を そして、幸せを」 私たちが目指すもの「人材 挑戦し高めあう」「製品 期待を超えていく」「経営 信頼こそが全ての礎」 <NGKグループビジョン Road to 2050> https://www.ngk.co.jp/info/vision/ 2050年の未来社会を見据え、カーボンニュートラルの実現とデジタル社会への爆発的進化という大きな流れを新たな発展機会と捉え、①サステナビリティ経営の推進、②収益力向上、③研究開発への注力、④商品開花への注力、⑤DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進の5つの変革に取り組み“Surprising Ceramics.”をスローガンに当社独自のセラミック技術を活かし、「第三の創業」に向けて事業構成の転換を図ってまいります。 (2)主要な経営指標と資本政策当社グループは、自己資本利益率(ROE)を主要な経営指標とし、資本効率を重視した経営を推進しております。関連性の高い投下資本利益率(NGK版ROIC)を管理指標に採用し、投下資本の代わりに事業資産(売掛債権、棚卸資産、固定資産)、税引後利益の代わりに事業部門の営業利益を用いることにより、事業部門が自ら目標管理できるようにしております。既存事業の収益力の向上と共に、2030年に新事業化品売上高を1,000億円以上とする「New Value 1000」を目標に掲げ、研究開発とマーケティングに注力することにより売上高成長率の維持・向上を実現し、利益成長を目指します。中長期の観点でROE10%以上を意識して資本効率の改善に取り組んでおりますが、成長領域と位置付けるデジタルソサエティ事業の収益拡大を目指して、水準を12%へと引き上げます。適正な事業ポートフォリオの構築と株主・投資家との透明で適切なコミュニケーションを通じて資本コストの引き下げに努めると共に、これを上回る収益性確保に向けて事業計画の立案や投資の意思決定プロセスを回してまいります。資本政策については、持続的な企業価値の向上に資するよう事業リスクの変化に適合させつつ積極的な株主還元に努めてまいります。配当金については従来の水準から引き上げ、3年程度の期間業績(ROE)とのリンクも勘案し、純資産配当率3.5%、配当性向35%以上を目途とすることとしました。財務健全性との両立を図りつつ、ROEを構成する利益率、資本回転率、財務レバレッジを事業戦略と整合した健全な水準に維持することを目指してまいります。更に、当社の企業価値向上に資する管理指標として、営業利益にCO2排出コストや労務費、研究開発費、ESG目標達成率を加味したNGK版付加価値(NGK Value-added)を使用しております。環境負荷の低減や人権尊重への取組みなど多岐にわたる社会的責任を果たすと共に、将来の競争力の源泉である人的資本や研究開発への投資を積極的に行いつつ、着実に利益成長を実現できるよう付加価値の拡大に努めてまいります。 (3)中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき事業上、財務上の課題当社グループを取り巻く経営環境は、中東情勢の悪化に起因する資源・エネルギー価格の高騰や調達の不安定化など、先行きは不透明な状況が続いております。カーボンニュートラルの動向については、長期的な方向性に変化は無いものの、足元では進展に減速感が見られます。一方で、AI(人工知能)の活用が急速に拡大するなど社会の構造的な変化が目覚ましく、デジタル社会化は飛躍的に進行しております。このような環境の下、当社グループは2021年4月に公表した「NGKグループビジョン Road to 2050」で定めたありたい姿「独自のセラミック技術でカーボンニュートラルとデジタル社会に貢献する」の実現に向けて変革を進めております。2025年10月には、エナジーストレージ事業として展開するNAS®電池の製造及び販売活動の終了とセラミックパッケージ事業の体制再編を決定し、事業構成の転換を前進させました。また、2026年4月には、2050年の事業領域や果たすべき役割の広がりを踏まえ、祖業の「ガイシ(INSULATORS)」の記載を社名から外し、「NGK株式会社(NGK Corporation)」に変更しました。新社名には、長年培ってきたセラミック技術を基盤に、従来の枠にとらわれず社会課題の解決に貢献しグローバルに挑戦していく意思を込めております。当社グループは、社会の変化を好機とし、経営基盤の強化を図りつつ、既存事業の収益を最大化し、カーボンニュートラルの布石を打つと共に、デジタルソサエティ事業で成長を牽引し、事業構成を転換してまいります。 ① 事業構成の転換当社グループは、全社の視点から企業価値を高めるために事業ポートフォリオ方針を定め、NGK版ROICを用いた収益性と、売上高成長率を用いた成長性の二軸で精査しております。コア事業や今後の成長が期待される事業群への経営資源の投入を検討する一方、低成長・低収益事業に対しては、立て直しの可否判断を迅速に行うための「事業再生・撤退検討プロセス」を2026年度から「事業ポートフォリオマネジメントに関する規程」として新たに導入いたしました。対象事業・製品については、意思決定指標と評価期限を反映したディシジョン・ツリーを設定し、定期的なモニタリングを実施いたします。エンバイロメントやガイシといった成熟事業については収益を最大化し、デジタルソサエティを中心とする成長事業に対しては重点的なインプットを実施すると共に新規事業の早期立ち上げを推し進め、事業ポートフォリオの変革を進めてまいります。当社グループの中核であるエンバイロメント事業においては、各国の雇用や財政、経済安保等の背景により自動車の電動化の進展にやや減速がみられるほか、グローバルには排ガス規制の強化も暫く続くことが想定されます。自動車関連製品については、新製品のガソリンセンサの市場投入やGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)の拡販などを進め需要を獲得してまいります。また、生産性の改善やグローバル生産体制の最適化を推進し、当社グループの収益基盤を支える事業としての位置付けを維持してまいります。ガイシやエネルギープラント事業に関しては、データセンターの増設等により国内外の電力関連投資が安定的に実施されており、市場や競合、コスト等の動向を見極めながら、継続的な収益の確保を図ってまいります。今後の成長を見込むデジタルソサエティ領域においては、AIの拡大やそれに伴うデータ量の増加は想定を上回る勢いで進展しており、半導体製造装置用製品やハイセラムキャリア等の市場についても大きな拡大を見込んでおります。当社グループはこの成長機会を逸することなく大型投資による生産能力の増強など、スピード感を持って重点的に経営資源を投下してまいります。2026年3月には700億円超の資金を投じ、石川県の自動車関連製品工場の隣接地に半導体製造装置用セラミックス製品の工場を新設し、国内の生産能力を約2割増強することを決定いたしました。半導体等の高性能化の流れは止まることなく進行することが予見されることから、当社グループは既存事業の強みを活かし、周辺領域における研究開発を強化して新製品を創出してまいります。今後一層重要性を増すデジタルインフラ領域における地位を高め、デジタルソサエティを当社グループの成長のドライバーとしてまいります。カーボンニュートラル領域の本格需要に向けて事業開発を推進する開発製品に関しては、各国の政策動向の変化により、足元では再生可能エネルギーの浸透や脱炭素化へのシフトに遅れが生じておりますが、長期的な方向性に変化は無いと捉えております。大気中のCO2を直接回収するDAC、CO2、窒素、水素などを分子レベルで分離するサブナノセラミック膜など、社会の環境ニーズに貢献できる製品については、準備期間が延びたことを好機と捉えて、製品性能の高度化や原価低減等を推し進め競争力を強化してまいります。新規事業の創出に関しては、重要指標として、2030年に新事業化品売上高を1,000億円以上とする「New Value 1000」を掲げております。マーケティング機能を主体としたNV推進本部、セラミックス材料技術や要素技術など当社独自の差異化技術を有する研究開発本部、生産技術・エンジニアリングなどの製造技術本部の3本部が各事業本部との連携を強め「研究開発」から「商品開花」へのスピードを高めてまいります。2025年度には、社内外の知見を融合し、新しい価値創造に挑戦するオープンイノベーションの場として「NGK Collaboration Square DIVERS」をオープンいたしました。当社グループのコア技術を起点に社会課題の解決に資するテーマ創出、価値を共創するパートナーシップの構築を強化してまいります。研究開発に関しては、「NGKグループビジョン」において2021年から10年間で3,000億円、うち8割をカーボンニュートラルとデジタル社会関連に配分する計画とし、これまでの5年間で1,426億円を投じてまいりました。将来の有望なテーマの事業性を高め、変革を加速させるべく、2026年から5年間で2,000億円規模の研究開発を実施することを計画しております。開発スピードを上げつつこれまで以上の差異化技術を創造すべく、早い段階から生産技術・エンジニアリングと連携したコンカレント開発に取り組んでまいります。更には、当社グループの事業や技術とのシナジーが期待される企業のM&A、ベンチャーキャピタルやスタートアップ企業への出資など、外部とのアライアンスを活用した新製品・新規事業の創出も積極的に推進し、事業構成の転換を図ってまいります。 ② 経営基盤の強化 当社グループは、持続的な成長と将来のありたい姿への変容を支える経営基盤の整備を継続してまいります。 ≪サステナビリティ経営≫NGKグループ理念「社会に新しい価値を そして、幸せを」に基づき、当社グループは独自のセラミック技術を通じて持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しております。サステナビリティの視点を経営の中核に据え、ステークホルダーからの信頼を礎にカーボンニュートラルとデジタル社会の実現に貢献してまいります。この基本的な考え方に沿って、社長を委員長とするサステナビリティ統括委員会のもと課題に取り組み、取締役会がこれを適切に監督してまいります。持続的な利益成長と将来の企業価値の源泉となる人的資本や知的資本への投資を両立させ、同時に環境負荷の低減や人権尊重への取組みなどサステナビリティに関する取組みを総合的に評価するため、管理指標としてNGK版付加価値(NGK Value-added)を導入しております。短期の収益性や中長期の成長性に加え、超長期の社会性をバランス良く高めていくことにより財務価値と財務諸表に表れない非財務価値の両面から企業価値向上につなげてまいります。 〔環境に関する取組み〕当社グループは、2050年までにCO2排出量ネットゼロとする目標を掲げ、カーボンニュートラル、循環型社会、自然との共生への寄与を骨子とした「NGKグループ環境ビジョン」を策定し、具体的な行動計画として「カーボンニュートラル戦略ロードマップ」と「環境行動5カ年計画」を定め、その実現を目指しております。第5期環境行動5カ年計画の最終年度となる2025年度は、Scope1及びScope2におけるCO2排出量55万トン(2013年度比25%削減)とした当初目標値に対して、50万トン(同32%削減)へと目標を引き上げ、これを達成する事ができました。マイルストーン(中間目標)とする2030年度の同37万トンの排出量(同50%削減)についても、海外拠点を中心とした使用電力の再生可能エネルギー由来への切り替え、国内外の製造拠点への太陽光発電設備の導入などにより達成を目指してまいります。更に、水素やアンモニアなどカーボンニュートラル燃料によるセラミックス焼成技術、ガス分離膜や大気中のCO2を直接回収するDACの開発、CO2を再利用するメタネーションの実証試験を進めており、当社グループ内での適用を図るなどカーボンニュートラル関連製品・サービスの開発に取り組んでおります。また、バリューチェーンを通じた温室効果ガスの排出削減の取組みについては、2050年までにScope3におけるCO2排出量を90%以上削減(2022年度比)することを目標とし、これを達成するためのステップとして2030年までに25%削減する計画について認証機関SBT(Science Based Targets)イニシアチブの認証を受けて取組みを開始しております。当社ウェブサイト等では気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に関する情報を開示していると共に、自然との共生への対応については自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)のアーリーアダプター(早期採用者)として賛同を表明し、2025年度に関連情報を開示しております。このような取組みが評価され、気候関連情報開示に関する国際的な非営利団体のCDP(旧称:カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)から「CDP水セキュリティ」及び「サプライヤーエンゲージメント評価」の最高評価であるAリスト企業に2年連続で選定されました。また、2026年1月には、環境省が環境先進企業を認定する「エコ・ファースト企業」にも選出されております。 〔ガバナンスに関する取組み〕コーポレートガバナンスについては、取締役会の更なる機能発揮の観点から、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に資する独立社外取締役を選任し、その数を全取締役の3分の1以上としております。また、経営の透明性を確保し取締役会の監督・監視機能を強化するため、独立社外取締役を過半数として構成する指名・報酬諮問委員会で役員の人事及び報酬決定等に係る公正性の確保及び透明性の向上を図ると共に、社外役員を主要な構成員とし役員等が関与する不正及び法令違反等への対応を取り扱う経営倫理委員会を設置し、取締役会への答申または報告、勧告等を行うこととしております。役員等が関与する不正・法令違反に歯止めをかける仕組みとして、従業員からの相談・報告を受けるヘルプライン制度とは別に、社外弁護士を通じて経営倫理委員会に直接報告するホットライン制度を設置し、経営陣から独立した通報体制を設けるなど、コンプライアンス体制の充実を図っております。当社グループで働く全ての人が倫理観を持って正しい事業活動を行うための道しるべとして「NGKグループ企業行動指針」及び「NGKグループ行動規範」の周知徹底にも取り組んでおります。更に様々な領域で取り組むコンプライアンス活動を国際的な水準に照らして評価検証し、共通の理解と価値観に基づき継続的に改善する仕組み作りを行うため、「コンプライアンス活動基本要領」を制定しております。また当社は、競争法及び腐敗行為防止に係る法令等をはじめとする国内外の法令遵守のために、経営トップによる継続的なメッセージ発信、国内外グループ会社の役員・従業員向けのコンプライアンス教育、国際的基準に則った競争法遵守プログラムの運用、「競争法遵守ハンドブック」の活用促進を行っていることに加え、「NGKグループ腐敗防止方針」を策定しております。品質コンプライアンスについては、品質委員会での経営層による直接指導などの仕組みを備えると共に、経営層と従業員との対話の促進や教育の徹底、現場にムリ、ムダを生じさせない仕組みへの見直しなどにより、組織風土と業務の改善に取り組んでおります。また、従業員等の労働安全衛生面では、リスクアセスメントの推進による重大災害のリスク特定と未然防止に継続的に取り組むと共に、グループ全体の現場マネジメント力の強化を図り、業務災害の低減に取り組んでまいります。当社グループは、自社及びサプライチェーンにおける人権を尊重する取組みを展開することで、事業活動が影響を及ぼす全ての人々の人権が侵害されることのない社会づくりに貢献いたします。国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、「NGKグループ人権方針」を定めたほか、英国現代奴隷法に関する声明を開示、また「子どもの権利とビジネス原則」を支持し事業活動において子どもの権利を尊重し、子どもの権利の推進に向けた社会貢献活動等に取り組むことを宣言しております。当社は、内閣府、中小企業庁が推進する「パートナーシップ構築宣言」を公表しております。当社グループのサプライチェーンにおいては、サプライチェーンを構成する調達パートナーと公正・公平な取引を行い、共に繁栄を図るため、「社会的協調」「門戸開放」「共存共栄」を調達の基本軸に掲げ、地球環境の保全、人権尊重、労働環境などに配慮した「NGKグループ調達方針」を定めております。またサプライチェーン全体で持続可能な調達を実現すべく「NGKグループサプライヤー行動規範」を策定し、サプライヤー訪問やセルフアセスメント要請等を通じて、サプライチェーンにおけるリスクの把握や取組み状況の評価を行っております。リスクマネジメントについては、経営レベルの視点から重要と考えるリスクを外部環境、戦略、オペレーションに分類し継続的に見直しを行っております。当社グループのサステナビリティ課題を含む個別のリスク事項については、各種の委員会を設置してリスク管理を行っておりますが、国内外の環境変化が加速する中、部門を横断し全社視点で取締役会につながる統合的なリスク管理の仕組みを構築するため、社長直轄の統括委員会として「リスク統括委員会」を設置し、重点フォローリスクについて取締役会の決議を経て対応策を検討しております。 〔人的資本経営〕当社グループでは、中長期的な成長に向けた事業構成の転換を進める中で、その変化を担う人材の確保・育成・活躍を通じて、戦略の実行力を高め、持続的な企業価値向上を実現することが重要な経営課題であると認識しております。当社グループは、NGKグループ理念の中で、「挑戦し高めあう人材」を私たちが目指すものの1つと位置付け、NGKグループビジョンの実現に向けた「5つの変革」に取り組んでおります。これらを成し遂げるためには、人材一人ひとりの活躍が不可欠であります。「NGKグループ人的資本経営方針」、「人材育成方針」並びに「社内環境整備方針」に基づき、採用や育成を通じた人材の充実と、その人材が持てる力を発揮するための環境整備を推進しております。特に、事業構成の転換に伴い、求められる人材像やスキルの構成が変化する中で、人材のスキルや専門性の可視化を進め、現有人材の強みを踏まえた育成や成長機会を通じて、戦略的な配置につなげる取組みを推進してまいります。2025年度は管理職の人事制度を改定し、年齢や在籍年数にとらわれない多様な人材の活躍と自律的な行動を促進したほか、社員が株主としての視点を持ち企業価値の持続的な向上を実現するため、一定の条件を満たす管理職に対し譲渡制限付株式を支給するインセンティブ制度を開始いたしました。また、テレワークの活用をはじめとする柔軟な働き方の推進や、長時間労働の削減など、従業員が心身ともに健康に働き続けられる社内環境の整備にも引き続き取り組んでおります。多様な人材の活躍を支える取組みとしては、新卒採用に占める女性比率の数値目標の設定や配属先・異動先での職域拡大を図ると共に、育休・産休取得者のキャリア早期再開支援や男性育休制度の拡充など、性別を問わず仕事と家庭の両立を支援する取組みを進めております。加えて、経営層・管理職を中心とした講演会の開催などを通じて、制度面にとどまらない意識や職場文化の醸成にも取り組んでおります。当社は、経済産業省及び東京証券取引所が共同で実施する「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」に3年連続で選定されております。海外人材については、当社グループは従業員約20,000人のうち、約6割が海外に所在しております。グループ運営において、それぞれの地域の事情、文化、習慣に基づく素早く適切な意思決定を行うためには現地人材の活躍が不可欠と考えており、海外拠点の幹部層の積極的な現地化に努めております。 ≪DXの推進≫DXの推進については、当社グループが目指す将来のありたい姿に向けた変革の推力と位置付けています。NGKグループデジタルビジョンのロードマップに則り、インフラ整備によるデジタル活用基盤作りや推進を牽引するDX人材の育成が順調に進捗しております。2025年度には、2030年の目標としていたデータ活用人材の育成1,000名を前倒しで達成いたしました。モノづくり領域に加え、開発とマーケティング領域では、新規材料の開発リードタイムを短縮するマテリアルズ・インフォマティクスや知財戦略へのIPランドスケープの活用、当社の要素技術(シーズ)と社会課題(ニーズ)を高精度に掛け合わせる独自AIによる新規用途探索の加速等による価値の創造を進めております。本社や間接部門を含めた全社では、社内情報を学習した自社専用の対話型生成AIを活用することや、グループ全体のデータ統合基盤の構築を進め業務をシームレスに繋ぐことで業務効率化を後押しし、固定費の削減やデータに基づく業務履行と意思決定へと変革を推進いたします。 当社グループは、こうした取組みを通じて経営基盤の更なる強化に努め、資本効率重視、株主重視の経営を継続すると共に、持続的な成長と企業価値の向上を通して将来のありたい姿の実現を目指してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1)経営成績 当連結会計年度における日本経済は、米国の関税政策の影響を受けたものの、企業業績の改善や設備投資の増加を背景に、緩やかな回復が続きました。米国経済は、雇用環境や個人消費に調整の動きがみられましたが、AI関連分野を中心とした設備投資が牽引し、底堅く推移しました。中国経済は、政府による景気下支え策が講じられておりますが、不動産市場の調整が続く中で消費が伸び悩み回復は小幅にとどまりました。欧州経済は、物価上昇率の低下などを背景に内需に持ち直しの動きがみられたものの、中国向け輸出の低迷もあり、製造業を中心に力強さを欠く状況が続きました。 このような情勢のもと、当社グループのエンバイロメント事業においては、自動車関連製品が上期の関税率引き上げを意識した駆け込み需要に加え、下期も堅調を維持し出荷が増加したほか、デジタルソサエティ事業では、半導体製造装置用製品において、AI用途の半導体需要の増加や一部客先における在庫の積み増しにより販売が増加したこと等により全社の売上高は前期比8.2%増の6,701億25百万円となりました。利益面につきましては、営業利益は売上高の増加に伴い、同16.9%増の949億97百万円、経常利益は、同21.7%増の952億2百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、NAS®電池の製造及び販売活動終了に係る事業構造改革費用199億59百万円を特別損失に計上したことから、同9.1%増の599億36百万円となりました。 当社グループは、自己資本利益率(ROE)を主要な経営指標とし、資本効率を重視した経営を推進しております。関連性の高い投下資本利益率(NGK版ROIC)を管理指標に採用し、投下資本の代わりに事業資産(売掛債権、棚卸資産、固定資産)、税引後利益の代わりに事業部門の営業利益を用いることにより、事業部門が自ら目標管理できるようにしております。中長期の観点でROE10%以上の水準を意識し、持続的な企業価値の向上に資するよう事業リスクの変化に適合した資本政策を展開します。 当連結会計年度におけるROEは、親会社株主に帰属する当期純利益が増加したものの自己資本も増加したことから7.8%(前年同期と同水準)となり、目標である10%以上の水準を下回りました。今後は当社グループの成長領域と位置付けるデジタルソサエティ事業の収益拡大を進めていくことで、2030年度の目標であるROE12%の達成に向けてROEの継続的な改善・向上に努めてまいります。 セグメントの業績は次の通りであります。〔エンバイロメント事業〕 当事業の売上高は、4,014億42百万円と前期に比して2.7%増加いたしました。 自動車関連製品において、上期の米国の関税率引き上げを見越した駆け込み需要に加え、下期も需要が堅調に推移したほか、関税率や貴金属価格の上昇に対する販売価格への反映が進んだことから増収となりました。 営業利益は、売上高増加の一方でDAC(Direct Air Capture:直接空気回収)やサブナノセラミック膜といったカーボンニュートラル領域の研究開発費用が増加したことなどから前期比0.5%増の686億17百万円となりました。 〔デジタルソサエティ事業〕 当事業の売上高は、2,054億9百万円と前期に比して19.7%増加いたしました。 AI用途の半導体需要が増加したことに加え、一部顧客の在庫積み増しもあり半導体製造装置用製品の需要が増加しました。また、旺盛なデータセンター投資が継続したことにより、ハードディスクドライブ(HDD)用圧電マイクロアクチュエーターの出荷も堅調に推移したことなどから、セグメント合計でも増収となりました。 営業利益は、半導体製造装置用製品の売上高増加が牽引し前期比63.5%増の281億5百万円となりました。 〔エネルギー&インダストリー事業〕 当事業の売上高は、659億13百万円と前期に比して12.9%増加いたしました。 米国のデータセンター投資や国内の電力インフラ更新投資等によりがいしの需要が底堅く堅調に推移したこと等により増収となりました。 営業損益は、がいしが堅調であった一方で、2025年10月に製造及び販売活動の終了を決定したNAS®電池の赤字により、13億22百万円の営業損失となりました。 生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。①生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前年同期比(%)エンバイロメント事業(百万円)398,904103.5デジタルソサエティ事業(百万円)217,580122.2エネルギー&インダストリー事業(百万円)47,31775.6合計(百万円)663,802106.0(注)1.購入品仕入実績については区分して記載することが困難なため、生産実績に含めて記載しております。2.上記は、販売価格をもって表示しております。3.セグメント間取引については、相殺消去しております。 ②受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)エンバイロメント事業400,993104.531,845107.5デジタルソサエティ事業227,309119.9157,409122.9エネルギー&インダストリー事業58,724107.334,99285.8合計687,028109.4224,247113.0(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。 ③販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前年同期比(%)エンバイロメント事業(百万円)399,469102.3デジタルソサエティ事業(百万円)205,402119.7エネルギー&インダストリー事業(百万円)65,253113.4合計(百万円)670,125108.2(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。 (2)財政状態 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比し8.8%増加し1兆2,433億30百万円となりました。 流動資産は、有価証券や売掛金などが増加したことから、前期比9.2%増の7,306億38百万円となりました。固定資産は、前期比8.1%増の5,126億91百万円となりました。 流動負債は、未払法人税等が増加した一方で、短期借入金や契約負債等が減少したことから、前期比6.6%減の1,670億56百万円となりました。固定負債は、事業構造改革引当金の計上などにより、9.4%増の2,589億21百万円となりました。 純資産は、為替換算調整勘定や利益剰余金などが増加したことから、前期比12.3%増の8,173億52百万円となりました。 これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は65.0%(前連結会計年度末63.0%)となり、1株当たり純資産は2,811.27円と、前期を355.40円上回りました。 セグメントごとの資産は、次の通りであります。〔エンバイロメント事業〕 当事業の総資産は、資金や売上債権が増加したことなどにより前期比4.5%増加の5,391億62百万円となりました。 〔デジタルソサエティ事業〕 当事業の総資産は、棚卸資産が増加したほか、増産投資により有形固定資産が増加したことなどにより前期比12.2%増加の2,427億82百万円となりました。 〔エネルギー&インダストリー事業〕 当事業の総資産は、棚卸資産が減少したことなどにより前期比14.8%減少の714億60百万円となりました。 (3)キャッシュ・フロー 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動による1,379億89百万円の収入、投資活動による771億21百万円の支出、及び財務活動による482億77百万円の支出などにより、前期末に比し219億35百万円増加し、当期末残高は1,996億43百万円となりました。 〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益838億32百万円に減価償却費を加え、合計では1,379億89百万円の収入となりました。前期との比較では、413億31百万円の収入増となりました。 〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、自動車関連製品や半導体製造装置用製品を中心とした設備投資に加え、有価証券の取得による支出もあり、合計で771億21百万円の支出となりました。前期との比較では、220億40百万円の支出増となりました。 〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、将来の設備投資などへ充当するため長期借入れを実施した一方、長期借入金の返済や配当金の支払い、自己株式の取得や短期借入金の減少等による支出から、合計で482億77百万円の支出となりました。前期との比較では、140億58百万円の支出増となりました。 資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの運転資金需要のうち主なものは原材料の購入費用、労務費等の製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な資金の調達について、調達手段の多様化を図ることで、低コストかつ安定的に資金を確保するよう努めております。また、グループ各社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、国内外でCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。 (4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載しております。
事業リスク
- 地政学的リスクとサプライチェーン: 海外17カ国に拠点を持ち、各国の政治・経済情勢、法律、規制、税制、インフラ整備、関税などが事業運営の前提条件となっています。地政学的緊張の高まりや経済安全保障政策の動向により、原材料調達や生産、物流のサプライチェーンが不安定化し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
- 環境事業の需要変動リスク: エンバイロメント事業の主力である自動車排ガス浄化用セラミックス製品は、EVやFCVなどの非内燃機関車への置き換わりや消費者の価値観の変化により需要が変動するリスクがあります。中国市場では競合の台頭による市場シェア喪失のリスクも認識されており、新製品開発や柔軟な生産対応が求められます。
- デジタルソサエティ事業の市場変動リスク: 半導体・電子部品業界は技術革新のペースが速く、主要顧客のニーズに合わせた新技術開発や製品投入が遅れると市場シェアを失う可能性があります。半導体の需給状況、最終消費財の販売動向、データセンター投資動向、各国の輸出規制など、外部環境の変化に大きく左右されるリスクがあります。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 当社グループは、「NGKグループビジョン Road to 2050(以下、グループビジョン)」(https://www.ngk.co.jp/info/vision/)の実現に影響を与える不確実性をリスクと捉え、以下の体制及び役割によりグループ全体のリスクマネジメントを行っております。・当社はグループ全体のリスク課題を横断的に統括するため、リスク統括委員会を設置しております。・リスク統括委員は担当領域におけるリスク対応について、各本部・部門に対する指示・支援を行うなどのマネジメントをしております。・各本部・部門は、業務に関するリスク対応策を策定・実行するとともに、リスクの顕在化状況を継続的にモニタリングし、その状況をリスク統括委員会に報告しております。・取締役会は、重要なリスクについて決議を行うとともに、当社グループのリスクマネジメントの状況を監督しております。 なお、リスク統括委員会は年3回開催され、その活動内容について年1回以上取締役会に報告しております。 リスク統括委員会では、重要なリスクの管理サイクルに基づき、定期的にリスクの分析・評価を行い、管理すべき重要なリスクを特定・見直しています。管理すべき重要なリスクの選定にあたっては内外環境の変化や前年度と比較して新たに高まったリスクを踏まえて見直し、委員会での審議を経て取締役会にて決定されます。 決定された重要なリスクについては、主管する委員会・部門がリスク顕在化状況のモニタリング及びリスク対応策の策定・実施等を行い、その進捗状況が取締役会へ報告されております。外部環境に起因するリスクの発生は当社で直接的なコントロールが難しいことから、外部環境に関連するテーマについて経営層によるディスカッションを実施することで、顕在化時の発生事象や事業・経営への影響を具体的に想定しております。こうしたリスク管理体制及び手法を整備することで、経営全体の持続性の強化を図っております。 上記プロセスを通じ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクを以下のように認識しております。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月22日現在)において当社グループが判断したものであります。 (1)事業運営におけるリスク 当社グループは、海外17ヵ国に33のグループ会社を展開し、うち18社において製造を行っております。各国・地域の政治や対日感情の安定、法律、規制、税制、インフラの整備、関税を含むインセンティブ等が各事業の前提条件となっております。また、近年の地政学的緊張の高まりや経済安全保障を巡る各国の政策動向を踏まえ、原材料・部品の調達、生産、物流に至るサプライチェーンの安定性についても、事業運営を行う上での重要な前提条件の一つと認識しております。当社は様々な観点から拠点を分散し、グローバルに代替可能な体制構築に取り組んでおりますが、デモ、テロ、戦争、感染症、自然災害等による社会的混乱などを含め、これらの事業運営を取り巻く諸条件に関して、急激な環境変化や想定を超える事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。 当社グループの主要な製品の需要動向、競争や収益環境に関するリスク認識につきましては以下の通りです。 ① エンバイロメント事業 当事業の主力製品である自動車排ガス浄化用セラミックス製品(ハニセラム®、センサ製品群)について、2030年段階において内燃機関車の市場はピークアウトしているものの、各国の排ガス規制の強化もあり、当社製品需要は引き続き一定の規模で推移すると予想しております。当事業に関するリスク認識につきましては以下の通りです。リスク概要・当社製品を搭載する内燃機関車がEV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)等の非内燃機関車に置き換わることや、消費者の価値観やビジネスモデルの変化によって、当社の自動車排ガス浄化用セラミックス製品の需要が変動するリスクがあります。・中国においては、競合が台頭するリスクや、競合が当社の想定を上回る競争力を得た場合、市場シェアの一部を喪失するリスクがあります。対応策・新製品や高機能品の開発、市場投入を行い、需要の変動に伴う収益への影響に対応いたします。また、需要動向を継続的にモニタリングし、柔軟な生産対応を行うことで変化に適応してまいります。・中国においては、環境規制を先取りした技術対応力や安定した供給力により競争力を強化してまいります。残存リスク・上記の対応策を講じてもなお、内燃機関車の減少につながる変化が当社の想定を超えて進捗した場合の他、強化された排ガス規制などの環境規制に対する取組みが十分でない場合や対応の遅延がある場合には、期待する業績を達成できないリスクがあります。・中国においては、上記の対応策を講じてもなお、競合が当社グループの想定を上回る競争力を得た場合には、市場シェアの一部を喪失するリスクがあります。 また、産業機器関連製品については、医薬品製造プロセスで使われる医薬用水設備での成長が見込まれます。当製品群に関するリスク認識につきましては以下の通りです。リスク概要・競合が当社グループの想定を上回る競争力を得た場合には、市場シェアを喪失するリスクがあります。対応策・競争力の維持、向上に努め、競合他社の状況等を十分にモニタリングします。残存リスク・上記の対応策を講じてもなお、景況の悪化等による市況変化が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。 ② デジタルソサエティ事業 当事業は、半導体製造装置メーカー向けの部材、スマートフォン向け高性能SAWフィルター用複合ウエハー、データセンターに用いられる大容量HDDヘッド用のアクチュエーター、AI向けなど先端半導体の製造プロセスで用いられるセラミック製サポートウエハー、データセンター向け光通信用セラミックパッケージ、自動車部品・家電・情報通信機器等のスイッチやコネクターに用いられるベリリウム銅展伸材等を供給しております。社会のデジタルシフトと共に半導体の物量は増大し、当該事業も中長期に成長すると見込んでおります。当事業に関するリスク認識につきましては以下の通りです。リスク概要・半導体・電子部品業界では、技術革新やモデルチェンジのペースが速いため、主要顧客のニーズに即した新技術開発や製品投入をタイムリーに行えない場合には市場シェアを喪失するリスクがあります。・半導体の需給状況、最終消費財の販売動向、データセンターへの投資動向等に大きく左右されるリスクがあります。・革新的な発明により半導体製造プロセスが大幅に変更された場合などにおいて、期待する成長水準を達成できないリスクがあります。・半導体に関する各国の輸出規制はより複雑化しており、当局への確認、対応の遅延などによる業績へのリスクがあります。対応策・各国の輸出規制並びに直接の顧客である半導体製造装置メーカーからの需要情報や半導体市場及び大手半導体メーカーの設備投資動向を踏まえて、都度、設備能力や人員・生産体制等を見直しております。また、当社独自の技術対応力や製品供給力を高めることで業界トップのポジションを維持してまいります。・法規制の動向については、各事業本部への情報共有、必要な規程・マニュアルの整備により対応しております。残存リスク・上記の対応策を講じてもなお、想定を上回って競合メーカーが伸長した場合や想定を上回る規模で需要が減少した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。 ③ エネルギー&インダストリー事業 当事業は、電力絶縁用がいし及び機器類を供給しております。がいしや機器類については、各国のエネルギー政策や電力会社の設備投資の動向に大きく左右されます。当事業に関するリスク認識につきましては以下の通りです。 リスク概要・国内では、磁器製に比べ長期性能に懸念があるものの、比較的安価で軽量なポリマー製がいしが採用されるリスクが一部であります。・海外では競合企業の動向や各国の電力政策が影響し、収益が減少するリスクがあります。対応策・当社製がいしの使用実績に基づく長期信頼性を顧客にアピールすることで継続採用を促してまいります。・高い品質を維持しつつ、生産性改善とサプライチェーン強化をもってコスト競争力向上を図ることにより安定的な需要確保につなげます。残存リスク・上記の対応策を講じてもなお、想定を上回る規模で需要が減少した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。 (2)研究開発に関するリスク 当社グループは、創業以来強みとして培ってきたセラミックスの材料及びプロセス技術を核として、既存製品の高性能化のみならず有望テーマの探索にも継続的に取り組んでおります。また、研究開発の推進にあたっては、自社開発に加え、必要に応じて外部の技術やリソースを取り込むなど、多様な手段を活用しております。 研究開発投資については、事業規模の拡大に応じて連結売上高の5%程度を目安に、グループビジョンに基づき、2021年から2030年までの10年間で総額3,000億円の研究開発投資を計画し、その約80%をカーボンニュートラル分野及びデジタルソサエティ分野に配分する方針のもと、これまでの5年間で1,426億円を投じてまいりました。 今後は、将来有望なテーマの事業性を高め、変革を加速させることを目的として、2026年から5年間で2,000億円規模の研究開発を実施するとともに、これらの取組みにより、2030年時点での新製品・新規事業の売上高1,000億円を実現する「New Value 1000」を目指しております。研究開発に関するリスクの認識は以下の通りです。リスク概要・市場/顧客価値の追求や要求時期への対応といったマーケットフィットが実現できないことで、新商品創出や事業化が予定通りに進捗せず、New Value 1000を達成することができないリスクがあります。対応策・NV推進本部、研究開発本部、製造技術本部の3本部が事業本部と協働し、加えて外部からの技術やリソースを積極的に獲得することで新製品創出や事業化を推進してまいります。なお、開発・事業化委員会にて研究開発にかけるリソース配分を適宜見直しております。残存リスク・上記の対応策を講じたとしても、技術開発、製品開発には不確実要素が多く、また技術間競争も複雑化していることから、インプットが十分な成果に結びつかず業績に影響を及ぼすリスクがあります。 (3)人材におけるリスク① 人材確保・人材管理 当社グループは、NGKグループ理念の中で、挑戦し高めあう人材を私たちが目指すものの一つと位置づけており、NGKグループ人的資本経営方針の下で目指すべき人材の継続的な確保・育成に向けて様々な施策を講じております。人材確保・人材管理に関するリスク認識につきましては以下の通りです。リスク概要・人材の流動化や雇用環境の変化等の社会変動において、優秀人材の獲得競争は激化しております。その結果、変革を推し進める原動力となるDX人材やグローバル人材を含め、事業戦略に即した人材が獲得できないリスクがあります。・とくに研究開発・新規事業創出領域において、失敗を恐れず挑戦するマインドを持つ人材の確保・育成ができず、機会損失や重要な意思決定に悪影響がでるリスクがあります。対応策・事業構造転換に向けた人材ポートフォリオを描くため、人材に関するさまざまな要素を複合的に可視化する仕組みの検討を行っています。また、事業戦略に即した人材の獲得のために、求める人材像や採用活動の在り方について議論と検討を行い、新卒・キャリアともに採用方式の多様化・最適化を図ってきました。今後も事業戦略実現のための最適な人材の獲得に継続的に取り組んでまいります。・DX人材とグローバル人材の確保・育成に注力し、デジタル技術を集中的に学ぶ社内DX留学制度や資格取得推奨、語学研修、異文化理解を基礎としたコミュニケーション・マネジメント研修、各国エリアスタディなどのセミナーを実施しております。併せて、日本国外からの人材獲得も視野に入れ活動しています。・積極的な事業機会の創出、変革への挑戦を継続できるよう、挑戦に関連した社内外の交流の場を設け多様な挑戦マインドに触れる機会を創出したり、新規事業提案プログラムなど通常業務の外でも挑戦の機会を提供したりするなど従業員が適切なリスクテイクを行いながら挑戦できるように、会社が従業員をサポートできるような社内環境整備の取組みを進めています。残存リスク・上記の対応策を講じてもなお、求める人材の確保・育成が計画通りに進まなかった場合は、事業の遂行能力が向上しないために、グループビジョンやNew Value 1000といった事業目標を達成できず、業績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。 ② ダイバーシティ&インクルージョンへの対応 当社グループは、NGKグループ人的資本経営方針に示した求める人材像に合わせ、多様性確保に向けた人材育成方針や社内環境整備方針を定め、ダイバーシティ&インクルージョンを積極的に推進し、多様な人材が各々の能力を発揮して挑戦し、活躍できるよう努めております。ダイバーシティ&インクルージョンに関するリスク認識につきましては以下の通りです。リスク概要・人材の多様化が進まない場合は、過去からの人材の同質性が継続し既存の価値観から脱却できず、イノベーションが生まれない、あるいは事業を取り巻く環境の急激な変化が起きる際に対応が遅れるなどのリスクがあります。・ダイバーシティ&インクルージョンに消極的な企業と認識されることで、採用競争力低下や業績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。対応策・従業員エンゲージメント調査の対象とするグループ会社を海外にも広げていくなど、国内外の全てのグループ会社と人的資本経営方針(人材育成方針・社内環境整備方針)にもとづいた人事施策を実施できているか確認し、グループ一丸となってビジョン達成ができるような体制の構築を進めています。・階層別教育やキャリア自律サポート、部門を超えたジョブローテーション制度等の人事施策を進め、また、新卒・キャリア採用を問わず幅広い人材の採用を実施し、個の多様性を育む取組みに注力してまいります。残存リスク・上記の対応策を講じてもなお、ダイバーシティ&インクルージョンの推進が期待通りに進まない場合、イノベーションや新規事業の創出が滞り、グループビジョンやNew Value 1000といった事業目標を達成できず、業績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。 (4)法令遵守、人権・安全、品質に関するリスク① 法令などの遵守に関するリスク 当社グループは、他社との技術差別化により高い市場シェアを占める製品をグローバルに供給しており、競争法、輸出入関連法規、労働関連法規、腐敗行為防止等、国内外にわたる関連法規制を遵守して事業活動を行っております。法令等の遵守に関するリスク認識は以下の通りです。リスク概要・各種法令・規制への違反や、人権の尊重、契約遵守等の社会的規範に反した行動があった場合には、処罰や訴訟の提起、社会的制裁を受けるおそれがあります。その結果、当社グループの社会的信用・レピュテーションが低下し、事業収益にまで影響が及ぶリスクがあります。対応策・NGKグループ企業行動指針及びNGKグループ行動規範に基づく誠実な事業活動を行うことを最重要課題の一つとして位置付け、期初におけるトップメッセージ発信のほか、従業員への各種教育の実施や13か国語に翻訳したNGKグループ行動規範ガイドブックなどによる関連法規制の周知徹底とコンプライアンス意識の一層の向上に取り組んでおります。・コンプライアンス活動を国際的な水準に照らし評価・検証し、共通の理解と価値観に基づき継続的に改善する仕組み作りを行うため、「コンプライアンス活動基本要領」を制定しております。・重大な不正事案や法令違反については、社外役員とコンプライアンスを担当する社内取締役から構成される経営倫理委員会で予防と監視に当たってまいります。・国内外で内部通報制度に関する規程を整備し、従業員からの相談・報告を受けるヘルプライン制度や、経営倫理委員会に直結する内部通報制度「ホットライン」を設置することにより、当社役員や従業員が関与する法令違反や社会的規範に反する行為等の発生可能性の低減を図っております。残存リスク・上記の対応策を講じてもなお、予想し得ない問題が発生した場合には、当社グループの社会的信用、事業活動及び業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。 ② 人権・安全に関するリスク 当社は従業員の健康増進に力を入れており、2026年3月に経済産業省と日本健康会議が共同で進める「健康経営優良法人」の認定を8年連続で受けました。従業員の労働災害や疾病・身体・メンタルヘルス問題については以下の通りリスク認識をしております。リスク概要・ルールの不履行やリスク認識の欠如により業務災害が発生した場合、従業員の生命が脅かされるとともに、一時的な製造停止や当社及び当社グループのレピュテーションの低下が生じるリスクがあります。・従業員のメンタルヘルス悪化に伴う休職・退職が続き、部門単位で人材不足となり、日々の業務運営が滞るリスクがあります。・グループの事業活動にともない、グループ従業員のみならず、サプライチェーンや当社製品を通じて、当社の事業活動に関わる全ての人々の人権を侵害するリスクがあります。対応策・安全衛生基本方針に基づき重大災害リスクの特定とリスクアセスメントによる未然防止対策強化を図ると共に、長時間労働者へのフォローや階層別メンタルケア教育にも力を入れております。・国連「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする人権に関する国際規範を遵守し、「NGKグループ人権方針」を定めています。NGK及び国内外のグループ会社を対象にRBA行動規範(注)を参考としたセルフチェックを定期的に実施しています。主要取引先に対しては、新規取引開始、及び取引継続にあたり定期的に「NGKグループサプライヤー行動規範」遵守の同意をお願いしています。また、従業員の理解を向上させるために、e-ラーニングや各種研修を通じて、人権侵害リスクの防止、軽減に努めております。残存リスク・上記の対応策を講じてもなお、当社グループの予想し得ない問題が発生した場合には、取引の縮小・停止等が生じることにより、業績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。(注) Responsible Business Alliance:製造業のサプライチェーンにおいて、安全な労働環境、労働者の保護、環境負荷等に対する責任を促進するための基準を示し、その監査を実施する枠組み。 ③ 品質と製品の安全性に関するリスク 当社グループは、エネルギー・エコロジー・エレクトロニクスの分野でお客さまの要求や法令に準拠したセラミックス製品をグローバルに生産・販売しており、お客さまと世の中に信頼される製品つくりに努めております。品質と製品の安全性に関するリスク認識につきましては以下の通りです。リスク概要・重大な市場クレームや契約違反等、業務の不備によるブランド・レピュテーションの毀損、訴訟の提起等の品質と製品の安全性に関わるリスクがあります。対応策・「NGKグループ企業行動指針」に基づく品質方針の下、品質経営部が主導してグループ横断で品質と製品安全に関するリスクを管理しております。品質活動は「お客さまの信頼を高める活動」を軸とした活動を実施しており、その中で特に、品質コンプライアンス推進と、製品・サービスの品質リスク低減、の二点に重点的に取り組んでおります。・品質コンプライアンスの推進については、全社品質コンプライアンスプログラムとして、経営層による意思表明、規程・ルールの整備、教育、監査及びモニタリング、未然防止活動を継続し、各部門の自律的な取組の定着を進めております。・製品・サービスの品質リスク低減については、全社共通の「品質活動ルール」の整備・運用、QRE-P(品質リスク排除の実践手法)の全社展開、市場不具合分析やQFD(顧客要求を製品・工程に反映する手法)の活用、要求仕様・保証内容の確認強化等により未然防止を図るとともに、リスク認知時の顧客通知・迅速対応体制を整備しております。残存リスク・上記の対応策を講じてもなお、当社グループが製造・販売する製品とサービスにおいて、予想し得ない品質問題が生じた場合には、業績に重大な影響を及ぼすリスクがあります。 (5)デジタル技術活用及び情報システム・情報セキュリティに関するリスク 当社グループでは、競争力の維持・向上を目的として、DXや生成AIを含むデジタル技術の活用を推進しています。一方で、受注・販売、生産管理、会計、研究開発等の業務においてITシステムを広く活用しており、当社グループの事業活動及びデジタル技術活用を支える情報システム基盤の安全性・安定性が損なわれた場合、事業運営等へ重大な影響を及ぼす可能性があります。このため、デジタル技術活用に関する「攻め」の取組みと、それを支える情報基盤に関する「守り」の両面から、リスク認識及び対応を行っています。 2025年度は重要な情報システムに対するサイバーセキュリティインシデント発生時等の有事に備え、「サイバーセキュリティ対策本部」を設置し、迅速かつ的確な復旧対応を行う体制を整備しました。デジタル技術活用及び情報システム・情報セキュリティに関するリスク認識につきましては以下の通りです。 ① デジタル技術活用に関するリスクリスク概要・DXや生成AIを含むデジタル技術の活用は、当社グループの競争力の維持・向上に資する重要な取組みである一方で、これらの推進が十分に進まない場合には、競争力の低下やビジネス機会の喪失につながるリスクがあります。対応策・社内で利用されている生成AIツールについて、利用状況を定量的に把握し、全社員のAI活用が当たり前となり、AI活用による競争力が維持・向上されているかを確認するため、利用状況の推移を定期的に確認しています。・従業員のDX・AIリテラシーの向上を目的として、アンケート等を通じた状況把握を行い、教育施策や支援施策の改善につなげることで組織全体のレベル向上を図っております。・デジタル技術に関する最新動向や他社の取組みを把握するため社外交流を行い、多様な企業との比較・ベンチマークを通じて、当社グループの取組み水準の把握に努めております。残存リスク・上記の対策を講じてもなお、DX化の推進が期待通りに進まない場合、競争力の低下やビジネス機会の損失につながるリスクがあります。 ② 情報システム・情報セキュリティに関するリスクリスク概要・外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、システム不具合やセキュリティ上の問題によりデータ処理の停止、データの盗難・破壊・改ざん・喪失等が発生するリスクがあります。対応策・NGKグループ情報セキュリティ方針に基づき当社グループのITセキュリティ対策を統制し、定期的にグループ各社の取組みをグループ全体で共有することで全体的な対策レベルの向上を図っております。・社内の情報資産及び外部のクラウドサービスを適正に管理・運用し、セキュリティ事故の防止に努めております。・従業員に対する定期的な情報セキュリティ教育を実施し、情報の漏えい事故防止及びソフトウエアの適正利用に努めております。・セキュリティインシデント発生時に迅速かつ的確に対応できるよう、サイバーセキュリティ対策本部の対応マニュアルに基づいた訓練と経営層による対応訓練を定期的に実施することでインシデント対応能力の向上に努めております。残存リスク・上記の対応策を講じたとしても、サイバー攻撃は年々激化、高度化しているほか、デジタル技術の活用拡大に伴い情報システムへの依存度が高まっていることから、不具合等が発生した場合には、当社グループの社会的信用や業務の継続、経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼすリスクがあります。 (6)為替、資金調達のリスク 当社グループは、グローバルに製品の生産・販売を行っており、海外売上高比率は7割を超える水準にあります。為替、資金調達に関するリスク認識につきましては以下の通りです。リスク概要・円高は売上高・利益の減少要因となって業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。・設備投資などの資金調達を行う場合には、地域により大きな金融危機などで資金調達が困難となり、当社グループの事業運営や業績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。対応策・需要地生産、現地通貨での資金調達等の対策を実施し、短期的な変動に対しては先物為替予約などによりリスクヘッジをしております。残存リスク・上記の対応策を講じてもなお、当社の想定を大きく超えて為替が変動した場合や、想定外の事態により資金調達が困難となった場合は、当社グループの事業運営や業績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。 (7)資材調達に関するリスク 当社グループは、事業活動に必要な原材料、部品、エネルギー等を、国内外の取引先から調達しております。調達にあたっては、品質、コスト、納期等を考慮し、安定的な供給の確保に努めております。資材調達に関するリスク認識につきましては以下の通りです。リスク概要・資材調達については、各地域における素材価格やエネルギーコスト、物流費の上昇により、製造・販売コストが増加し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。・地政学的リスクや災害、パンデミック等によるサプライチェーンの混乱、本国または調達元における法令・規制の変更への対応の遅れ等により、資材調達の遅延や生産・出荷への支障が生じる可能性があります。・特に重要資材については、特定地域・供給先への依存度や各国の経済安全保障政策の動向により、供給制約や価格変動が生じ、当社グループの事業運営、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。対応策・素材価格やエネルギーコスト等の上昇に対しては適正な売価への反映、競争購買、設計見直しによるコストダウンなどに取り組みます。また、サプライチェーンについては、海外拠点先からも情報を入手して状態監視を行い、在庫管理や調達先の多様化を図る等リスク低減に努めてまいります。・重要資材については事業部と連携して継続的に情報交換を行うとともに、業界動向を注視し、各国当局の施策・方針を踏まえた調達対応を進めてまいります。・原産地や調達先が限定される資材については、複数購買化の検討や適正在庫水準の見直しを通じて、安定調達及び供給リスクの低減に努めてまいります。残存リスク・上記の対応策を講じてもなお、国際情勢の急激な変化や想定を超えるサプライチェーンの混乱等により、資材調達が困難となった場合には、当社グループの事業運営、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8)気候変動と災害のリスク① 気候変動に関するリスク 当社グループは、金融安定理事会により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、TCFDの枠組みに沿って気候変動に関するリスクを識別・評価しております。気候変動に関する詳細なリスク認識及び対応状況については、当社ウェブサイト(TCFD提言に基づく開示)をご参照ください。リスク概要・炭素価格制度の導入・強化、各国規制の強化、情報開示要請の進展、エネルギー構成の転換等により、事業コストの増加や事業運営への影響が生じるリスクがあります。・気候変動対応の遅れや目標未達により、ステークホルダーからの評価低下や事業機会の損失が生じるリスクがあります。対応策・当社グループの目指すべき将来像として策定したNGKグループ環境ビジョン及びカーボンニュートラル戦略ロードマップ、環境行動計画に基づき、気候変動対応を推進しております。・推進にあたり、関連する法規制や制度動向を把握し、社内体制の整備や情報開示の高度化に努めています。また、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの活用拡大等を通じて、事業への影響低減に取り組んでいます。残存リスク・TCFDで想定したシナリオ以外の事象が発生した場合には、追加的費用が生じて業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。また、外部環境の変化や社会的要請の高度化等により、気候変動対応目標が未達となった場合には、顧客などのステークホルダーの評価が下がり、更にはブランド価値の毀損やビジネス機会の損失が生じるリスクがあります。 ② 大規模災害に関するリスク 当社グループは人命尊重と地域協力を旨とし、事業継続計画の維持管理を行う組織として、社長を責任者とするBCP(事業継続計画)対策本部を設置し、グループ全体でBCPを推進しております。大規模災害に関するリスク認識については以下の通りです。リスク概要・大規模な地震や火災、風水害、感染症等の災害により操業困難な拠点が発生する可能性があります。対応策・BCPや関連規程類の見直し、訓練等を通じ、災害発生時の事業継続や早期復旧のための対応力向上に取り組んでおります。・主力事業の製造拠点の分散化や購買先の複数化、建物・設備の減災、従業員の安全確保等の各種対策に取り組んでおります。残存リスク・上記の対応策を講じてもなお、想定を超える事象によって主要製造拠点の生産設備に深刻な被害が発生した場合や、工場が立地する地域のインフラ側に長期の供給支障が生じた場合などには相当期間、生産活動が停止し、業績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。