事業の概要
- 国内鉄鋼事業共英製鋼グループは、日本国内で電気炉を使い、鉄スクラップを溶かして土木・建設用の鉄鋼製品を製造・販売しています。主な製品は異形棒鋼や構造用棒鋼などで、これらは建物の骨組みや道路の建設に使われます。また、鉄鋼製品の仕入れ販売や運搬も行い、国内の建設需要を支える基盤事業です。
- 海外鉄鋼事業ベトナムや北米を中心に、海外でも電気炉で鉄スクラップを加工し、土木・建設用や鉱石粉砕用の鉄鋼製品を製造・販売しています。異形棒鋼や線材などが主要製品で、成長著しい海外市場のインフラ整備に貢献しています。これにより、国内市場の縮小リスクを分散し、グローバルな収益源を確保しています。
- 環境リサイクル事業医療廃棄物や産業廃棄物の中間・最終処理、再生砕石事業を展開しています。特に「メスキュードシステム」では、医療廃棄物を電気炉で無害化処理し、環境負荷の低減に貢献しています。また、産業廃棄物から燃料ガスを製造し、自社の鉄鋼事業で再利用するなど、資源循環型社会の実現を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 国内鉄鋼事業日本国内で電気炉を用いて鉄スクラップから土木・建設用鋼材(異形棒鋼、構造用棒鋼など)を製造・販売する事業です。売上高は1,426.02億円、営業利益は173.65億円と、グループの主要な収益源の一つとなっています。
- 海外鉄鋼事業ベトナムや北米を中心に、電気炉で鉄鋼製品(異形棒鋼、線材など)を製造・販売する事業です。売上高は1,690.16億円とグループ内で最も大きいですが、営業利益は-17.13億円と赤字であり、今後の収益改善が課題です。
- 環境リサイクル事業医療廃棄物や産業廃棄物の中間・最終処理、再生砕石などを手掛ける事業です。売上高は62.43億円、営業利益は6.73億円と規模は小さいものの、安定した収益を上げており、資源循環型社会への貢献を目指しています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| STEEL | 事業 | 1,426 | 174 | 12.2% |
| STEELOVERSEAS | 事業 | 1,690 | -17 | -1.0% |
| MATERIALRECYCLING | 事業 | 62 | 7 | 10.8% |
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3【事業の内容】 当社グループは、当社、連結子会社16社、持分法適用関連会社3社により構成されており、国内鉄鋼事業、海外鉄鋼事業、環境リサイクル事業を主たる事業としています。 当社グループの事業内容および当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりです。 なお、次の3事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一です。 (1)国内鉄鋼事業…………国内鉄鋼事業におきましては、電気炉を使用して鉄スクラップを溶融し、精錬・圧延成形を施して土木・建設用鋼材を中心とした鉄鋼製品を製造し、販売しています。主要な製品は異形棒鋼、構造用棒鋼、平鋼、山形鋼、I形鋼、ネジ節鉄筋(タフネジバー®)、ビレット(半製品)、鉄筋加工製品等です。また、鉄鋼製品の仕入販売および鉄鋼製品の運搬事業も行っています。① 鉄鋼製品の製造販売事業…………… 枚方事業所および関東事業所にて異形棒鋼の製造販売、名古屋事業所にて異形棒鋼、ネジ節鉄筋(タフネジバー®)の製造販売、山口事業所にて異形棒鋼、構造用棒鋼、平鋼、山形鋼、I形鋼の製造販売、枚方事業所、山口事業所および名古屋事業所にてビレット(半製品)の製造販売を行っています。② 鉄鋼製品の仕入・加工販売事業…… 連結子会社である共英産業株式会社および共英加工販売株式会社にて鉄鋼製品の仕入販売および鉄筋加工製品の製造販売を行っています。③ 鉄鋼製品の運搬事業………………… 連結子会社である共英産業株式会社にて鉄鋼製品の運搬事業を行っています。<主要な会社> 当社、共英産業株式会社、共英加工販売株式会社 (2)海外鉄鋼事業…………海外鉄鋼事業におきましては、自社電気炉にて鉄スクラップを溶融・精錬した半製品、または外部より購入した半製品に圧延成形を施して土木・建設・鉱石粉砕用鋼材を中心とした鉄鋼製品を製造し、販売しています。主要な製品は異形棒鋼、ネジ節鉄筋、線材、鉱石粉砕用丸鋼、鉱石粉砕鉄球用丸鋼、ビレット(半製品)です。① 鉄鋼製品の製造販売事業…………… ビナ・キョウエイ・スチール社にて異形棒鋼、ネジ節鉄筋、線材の製造販売、キョウエイ・スチール・ベトナム社およびベトナム・イタリー・スチール社にて異形棒鋼、線材の製造販売、ビントン・スチール社にて異形棒鋼、鉱石粉砕鉄球用丸鋼の製造販売、アルタ・スチール社にて異形棒鋼、鉱石粉砕用丸鋼、鉱石粉砕鉄球用丸鋼の製造販売、ベトナム・イタリー・スチール社にてビレット(半製品)の製造販売を行っています。<主要な会社> ビナ・キョウエイ・スチール社、キョウエイ・スチール・ベトナム社、ビントン・スチール社 ビントン・メタル・プロセッシング社、米国共英製鋼会社、ベトナム・イタリー・スチール社 アルタ・スチール社、メイプル・リーフ・メタル社 (3)環境リサイクル事業…主な事業は医療廃棄物、産業廃棄物の中間および最終処理、再生砕石事業等です。① 医療廃棄物の中間および最終処理事業… 山口事業所、連結子会社である株式会社共英メソナにて医療廃棄物の中間および最終処理事業を行っています。契約医療機関に専用容器を設置し、回収後電気炉にて無害化溶融処理を行う「メスキュードシステム」を確立しています。(メスキュード®)② 産業廃棄物の中間および最終処理事業… 枚方事業所、山口事業所、名古屋事業所、関東事業所、連結子会社である株式会社共英メソナおよび共英リサイクル株式会社にて産業廃棄物の中間および最終処理事業を行っています。共英リサイクル株式会社では、ガス化溶融炉を用いて産業廃棄物の中間処理を行うと同時に燃料ガスを製造しています。この燃料ガスは山口事業所の圧延工程にて利用しています。③ 再生砕石事業…………………………… 連結子会社である共英産業株式会社にて再生砕石事業を行っています。 <主要な会社>当社、共英産業株式会社、株式会社共英メソナ、共英リサイクル株式会社(4)その他…………主な事業は港湾事業、鋳物事業および保険代理店業等です。① 港湾事業……………………………… 連結子会社であるチー・バイ・インターナショナル・ポート社で港湾事業を行っています。② 鋳物事業……………………………… 連結子会社である共英産業株式会社、株式会社吉年およびビナ・ジャパン・エンジニアリング社で鋳物事業を行っています。③ 保険代理店業………………………… 連結子会社である共英産業株式会社で保険代理店業を行っています。<主要な会社>共英産業株式会社、チー・バイ・インターナショナル・ポート社、株式会社吉年、ビナ・ジャパン・エンジニアリング社 <事業系統図>
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 競合メーカー多数、構造的な供給能力過剰問題、国内市場の縮小により販売価格下落の可能性 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 設備 電気炉や圧延設備、廃棄物処理施設など大規模な設備投資が必要。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:日本製鉄株式会社との関係 / 原材料・副資材およびエネルギーの価格上昇 / 国内鉄鋼市場の縮小に伴う市況の悪化
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
- 資源循環型ビジネスモデル同社は鉄スクラップを主原料とする電気炉メーカーであり、使用済み鉄製品をリサイクルして新たな鉄鋼製品を製造しています。さらに、医療・産業廃棄物の処理事業も展開し、廃棄物から燃料ガスを生成して自社工場で利用するなど、資源を循環させる独自のビジネスモデルを確立しています。これは環境意識の高まりの中で、持続可能性とコスト効率の両面で強みとなります。
- グローバルな事業展開日本、ベトナム、北米の3極で鉄鋼事業を展開しており、特定の地域市場の変動リスクを分散しています。特に成長が見込まれる海外市場への積極的な進出は、国内市場の縮小傾向に対する有効な戦略です。各地域の需要に応じた製品供給体制を構築することで、安定的な収益基盤を築いています。
- 廃棄物処理技術とノウハウ医療廃棄物の無害化処理システム「メスキュードシステム」や、産業廃棄物から燃料ガスを生成する技術など、独自の環境リサイクル技術とノウハウを有しています。これは、環境規制が厳しくなる中で、他社との差別化要因となり、新たな収益源を創出するだけでなく、企業全体の環境負荷低減にも貢献しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は以下のとおりです。なお、文中における将来の事項については、有価証券報告書提出日(2026年6月23日)現在において判断したものです。当社グループは、鉄鋼事業を中核とした資源循環型事業を通じて社会と共生し、日本経済および地域社会の発展に貢献することを経営理念に定めています。この理念の実現に向け、安全とコンプライアンスを徹底する経営風土の確立、進取と変革に挑戦する企業風土の醸成、メーカーの原点である現場重視の経営体制の構築を行動指針とし、グループ一丸となって取り組んでいます。当社グループは、「100年企業」に向け、創業の精神である“Spirit of Challenge”を原点とし、社会のインフラづくりや環境保全に貢献する企業、すべてのステークホルダーに貢献し信頼される企業、そして安定した収益力を備えた強靭な企業集団を目指しています。 (1) 中期経営計画について当社は、2026年度を最終年度とする中期経営計画「NeXuSⅡ 2026」を2024年4月に公表しました。本中期経営計画では、「グループ内をつなぐ力」「外部とつなぐ力」「次代につなぐ力」という三つの視点を定性面の中核に据え、事業の成長と経営基盤の強化に取り組んできました。一方で、計画策定以降、国内外の事業環境は大きく変化しています。国内では、建設分野を中心とした需要環境の変動や人手不足の深刻化、原材料やエネルギー価格の上昇などが継続しています。海外においても、地域ごとに事業環境の濃淡が生じており、経営としてより慎重かつ柔軟な対応が求められる局面となっています。こうした環境変化を踏まえ、当社グループは、本中期経営計画において掲げてきた重点的な取り組みを、現時点における重要な経営課題として再整理し、対応を進めています。 当社は創業以来「鉄づくりを通じて社会に貢献する」ことを企業理念として、業容を拡大してきました。当社グループの中核である電炉事業は、鉄スクラップを鉄鋼製品に再生し、社会に送り出す資源循環型事業であり、持続可能な社会の実現に貢献しうる存在です。当社は「100年企業」に向け、創業の精神である“Spirit of Challenge”という経営理念のもと、「世界のインフラづくりや地球の環境保全に貢献する企業」「すべてのステークホルダーに貢献する企業」「安全で働きやすい職場づくりを進める企業」「コンプライアンスや品質を重視する信頼性の高い企業」をありたい姿とし、社会の発展と地球環境との調和に貢献する「エッセンシャル・カンパニー」を目指します。 ①本中期経営計画「NeXuSⅡ 2026」の進捗と現状認識本中期経営計画の策定に際して、当社グループは、事業の成長性と財務の健全性を両立させる観点から、計画期間を通じた目標水準として、定量目標・KPI(重要業績評価指標)を設定しました。下表は、これらの定量目標について、初年度からの実績および次期(2027年3月期)の業績予想を、策定時の当初目標とともに示したものです。 <財務KPI> 2025年3月期2026年3月期2027年3月期実績実績計画(業績予想)中計策定時目標(当初)売上高3,228億円3,151億円3,600億円3,800億円経常利益157億円162億円140億円250億円出荷量313万トン328万トン360万トン400万トン体制(国内)(海外)145万トン168万トン138万トン190万トン140万トン220万トン160万トン240万トンROE5.4%4.8%4.2%8.0%以上自己資本比率57.5%56.7%55.9%50%以上ネットDEレシオ※0.10倍0.08倍0.30倍0.5倍以下配当性向36.2%39.7%33.8%30~35%設備投資・事業投資171億円162億円526億円1,100億円/3年859億円/3年※ネットDEレシオの算出に際しては、信託口座保管分(IRB)、譲渡性預金(有価証券)、リース債務を含んでいます。なお、信託口座保管分(IRB)は、当社の連結子会社であるビントン・スチール社における、Vinton Steelプロジェクト向けIRB(産業歳入債)の免税起債枠を用いた資金調達に関連して、信託契約に基づき受託者が管理する信託口座に預託された資金であり、当連結会計年度末において、その他流動資産に9,668百万円計上しています。 設備投資については、維持更新投資のほか、海外鉄鋼事業、特に北米事業の強化に向けての戦略投資、人的資本やブランド価値など無形資産への投資、CO2削減に向けた環境投資などを中心に、前中期経営計画で実行が後ろ倒しとなった投資も含めて、3ヶ年累計で約1,100億円を計画しています。なお、このうちおよそ500億円を米国拠点における大型設備投資計画に充当します。 非財務KPIについては、以下を目標に定めています。当期の実績を併せてお示しいたします。 <非財務KPI> 最終年度目標2026年3月期実績CO2排出量※50%削減(2013年度対比 2030年度目標:国内生産4拠点)37%削減(2024年度確定値)女性総合職比率15%以上(単体)16.3%管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合3.0%以上(単体)3.7%教育研修費/人15万円(単体)※2022年度の1.5倍14.4万円社会貢献活動支出額連結当期純利益の0.5%程度0.48%※2025年度のCO2排出量は速報値を当社ウェブサイトに掲載しています。(https://www.kyoeisteel.co.jp/ja/csr/esg/Mate-utsukusii/Mate-utsukusiiCO2.html) ②重点的に対処すべき課題本中期経営計画において、当社グループが重点的に取り組むべき事項として掲げてきた以下の6項目については、計画策定後の事業環境の変化やこれまでの取り組み状況を踏まえ、引き続き重要な経営課題であると認識し、対応を進めています。 <事業の成長に向けた取り組み>a.海外鉄鋼事業:北米事業の強化とベトナム事業の再構築海外鉄鋼事業については、計画策定時の事業環境に基づき、ベトナム事業の再構築と北米事業の収益基盤強化を重要な課題として取り組んできました。計画策定からの2年において、ベトナムでは政府の政策転換により需要が回復に向かいました。これに対し、ベトナムの各拠点では、従前より進めてきた販売体制の見直しやコスト削減策、北部で計画通りに稼働を開始した新圧延工場(製鋼・圧延生産一貫体制の完成)によるコスト競争力の強化を通じ、事業の安定化と質的向上を図っています。北米については、良好な需要環境を捉えつつ、米国における設備老朽化対応を主眼に、中長期的な競争力強化に向けた取り組みを進めています。カナダにおいても、堅調な需要のもと、生産効率を高め、収益増を目指します。 b.国内鉄鋼事業:国内4事業所体制による連携強化と質的向上国内鉄鋼事業については、国内4事業所体制のもと、需要環境やコスト構造の変化に対応しながら、安定供給体制の維持と収益力の確保を図るとともに、最大需要地である関東圏における当社の存在感の向上を目指しています。また、2025年度に本格的に営業活動を開始した「エシカルスチール」(後述)を軸としたブランド戦略を進めており、資源循環型社会における同製品の価値の浸透を図りつつ、採用増に向けた販売活動に取り組んでいます。併せて、各事業所間の連携強化や、生産・販売・物流を含めたオペレーション全体の最適化を進めています。 c.環境リサイクル事業および鉄鋼周辺事業環境リサイクル事業および鉄鋼周辺事業については、資源循環型社会への移行に伴う社会的要請の高まりを背景に、当社グループの強みを生かした事業基盤の強化と持続的な成長に向けた取り組みを進めています。特に、難処理廃棄物への対応力強化や、安定した事業運営に資する施策を講じています。鉄鋼周辺事業については、国内とベトナムで展開する鋳物事業の安定した成長を図ります。 <成長を支える基盤強化>d.無形資産投資に向けた取り組み強化人的資本やブランド価値などの無形資産については、中長期的な企業価値向上に不可欠な経営基盤と位置づけ、引き続き投資と施策の充実に努めています。人材の確保・育成、働きやすい職場環境づくり、「エシカルスチール」を軸としたブランド価値の幅広い浸透など、企業価値の向上に向けた取り組みを進めています。 e.「100年企業」を目指したESG経営ESGへの取り組みについては、長期的な視点に立ち、環境負荷低減への対応、地域社会との共生、適切なガバナンス体制の構築を通じ、持続可能な経営の実現を目指しています。また、カーボンニュートラルに向けた取り組みや、社会貢献活動を継続しています。 f.経営基盤の強化経営基盤の強化については、安全・安定操業の確保を最優先としつつ、DXの推進や業務プロセスの高度化などを通じて、事業環境の変化に柔軟に対応できる体制整備を進めています。また、財務規律を維持しながら、持続的な経営を支える基盤強化を進めています。 ③資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応当社の2026年3月期のROEは、4.8%と目標である8.0%には未達であり、また株主資本コスト(7%程度)も下回っている状況です。海外鉄鋼事業の業績の安定性への懸念などから、現状では市場からの評価は十分に得られておらず、PBR(株価純資産倍率)は1.0倍を下回る水準で推移しています。こうした状況に対し当社は、上記重点方針にある「事業の成長に向けた取り組み」を一つひとつ実現することで、ROE(株主資本利益率)8.0%以上を達成し、安定した収益基盤を確立することを目指しています。株主還元については、2024年4月に配当方針を見直し、配当性向の目途を従来の「25~30%」から「30~35%」に引き上げました。当事業年度の配当については、結果として配当性向が当該目途を上回る水準となっています。これは、自己資本比率やネットDEレシオなどの財務指標が中期経営計画で掲げる水準を満たしており、当社の財務体質は健全な水準を維持していることから、成長投資の着実な実行と財務規律の両立を図りつつ、短期的な業績変動局面においても安定的な株主還元を重視する姿勢を示すものとして、総合的に判断したものです。併せて、「成長を支える基盤強化」の取り組みである人的資本やブランディングなどの無形資産投資も積極的に行い、さらにIR活動の強化などを通じ、PBRの改善に取り組んでまいります。その結果が、「100年企業」に向けた持続可能な経営、そして「資源循環型社会の実現に貢献するエッセンシャル・カンパニーになる」ことの実現につながると考えています。 (2) 2027年3月期(2026年度)の対処すべき課題本中期経営計画2年目となる当事業年度は、国内では想定以上に厳しい事業環境となりましたが、海外ではベトナムの需要回復などにより、全体では前期を上回る利益水準となりました。3年目となる2027年3月期(2026年度)においては、中長期的な成長に向け、特に海外鉄鋼事業を軸とした成長投資の着実な実行を最重要課題と位置づけ、引き続き以下の3つの取組みに注力いたします。1つ目は、当社グループの中長期的成長をけん引する取り組みとして位置付けている、北米における成長投資の着実な実行です。2025年度に、米国拠点のビントン・スチール社では、老朽化対策として、製鋼工場の新設・圧延ラインの大規模リニューアルに着手しました。その過程において、同社の位置するテキサス州の鉄鋼需要が米国内でも特に堅調であることから、今年1月、当初計画からの生産能力拡大を決定しました。これに伴い、投資額は327百万ドル(約500億円)、稼働開始時期は製鋼工場が2027年3月、圧延工場が同年9月へと変更となりました。当社創立以来最大規模の投資となる本リニューアルの完遂に向けて、全社一丸となって取り組んでまいります。2つ目は、国内鉄鋼事業における非価格競争力の強化を通じた収益構造の転換です。当社は国内の主要需要地にある4つの拠点で事業を展開していますが、需要動向は地域により違いがあります。近年は、国内の鉄鋼需要が低迷する中でも、首都圏を含む関東圏は、再開発案件などにより引き続き堅調な需要を維持しています。こうした状況を踏まえ、本中期経営計画では、従来他の地域に比べて希薄であった関東圏における当社の存在感向上を重点項目として位置付けています。当社が生産する付加価値製品の拡販や鉄筋加工を手掛けるグループ会社との連携強化などにより、取り組みを進めてまいります。また、2024年5月に公表した「エシカルスチール」を軸としたブランド戦略の推進も大きな要素です。「エシカルスチール」は、電気炉による廃棄物処理から鉄鋼製品の生産・出荷までトレーサビリティを確保した製品です。地球の資源を有効活用する資源循環型社会の実現に貢献する企業集団を目指していく、という思いをブランド化した製品であり、様々な施策を通じて積極的に発信しています。2025年度からは、「ウルトラマン」をキャラクターに採用した販促活動や、取引先や施主に向けた営業活動を本格的に展開し、受注件数も徐々に伸びてきています。環境意識の高い需要家に採用いただくことにより、地産地消が基本である鉄筋ビジネスにおいて、非価格競争の実現を図っていきたいと考えています。3つ目は、従前より当社グループの事業の柱の一つとして位置付けている環境リサイクル事業における、新たな収益軸の模索です。当社は1989年より、35年以上にわたって、電気炉による医療廃棄物・産業廃棄物の溶融処理を中心とした環境リサイクル事業を手掛けています。使用済み注射針の不法投棄問題に着想を得、電気炉の高温を活用して鉄の生産と同時に廃棄物を処理するこの事業は、社会的意義があり、また安定した収益源となるユニークな事業であると認識しています。しかし近年は、焼却炉による処理業者の参入による競合環境の激化や廃棄物排出量の減少など、事業環境は厳しさを増しています。当社は、電気炉による溶融処理の強みを生かし、アスベストなど難処理廃棄物の処理案件の獲得に、より一層注力しつつ、各事業所による許認可取得や他社との提携による処理品目の拡大、スラグ製品の新たな用途開発、また、「エシカルスチール」を軸とした新顧客の開拓など、新たな収益の軸を模索しています。企画部門の強化など体制の見直しも行いながら、独自性のあるこの事業のもう一段の飛躍を図りたいと考えています。足下では、中東情勢の緊迫化などにより世界経済の行方が見通しにくい状況となっています。当社グループにおいても、エネルギー費や物流費など、徐々に影響が出てくるものと想定していますが、当社グループは今後も「世界3極体制」のもと、それぞれの地域で地産地消を中心とした鉄筋のビジネスを行いつつ、国内外での連携を強化し、グループ総合力を以て難局を乗り切っていく考えです。当社グループは、今後も資源循環型社会に貢献するエッセンシャル・カンパニーを目指し、強い会社、安定した収益力を備えた企業集団となるべく努めてまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は以下のとおりです。なお、文中における将来の事項については、有価証券報告書提出日(2026年6月23日)現在において判断したものです。当社グループは、鉄鋼事業を中核とした資源循環型事業を通じて社会と共生し、日本経済および地域社会の発展に貢献することを経営理念に定めています。この理念の実現に向け、安全とコンプライアンスを徹底する経営風土の確立、進取と変革に挑戦する企業風土の醸成、メーカーの原点である現場重視の経営体制の構築を行動指針とし、グループ一丸となって取り組んでいます。当社グループは、「100年企業」に向け、創業の精神である“Spirit of Challenge”を原点とし、社会のインフラづくりや環境保全に貢献する企業、すべてのステークホルダーに貢献し信頼される企業、そして安定した収益力を備えた強靭な企業集団を目指しています。 (1) 中期経営計画について当社は、2026年度を最終年度とする中期経営計画「NeXuSⅡ 2026」を2024年4月に公表しました。本中期経営計画では、「グループ内をつなぐ力」「外部とつなぐ力」「次代につなぐ力」という三つの視点を定性面の中核に据え、事業の成長と経営基盤の強化に取り組んできました。一方で、計画策定以降、国内外の事業環境は大きく変化しています。国内では、建設分野を中心とした需要環境の変動や人手不足の深刻化、原材料やエネルギー価格の上昇などが継続しています。海外においても、地域ごとに事業環境の濃淡が生じており、経営としてより慎重かつ柔軟な対応が求められる局面となっています。こうした環境変化を踏まえ、当社グループは、本中期経営計画において掲げてきた重点的な取り組みを、現時点における重要な経営課題として再整理し、対応を進めています。 当社は創業以来「鉄づくりを通じて社会に貢献する」ことを企業理念として、業容を拡大してきました。当社グループの中核である電炉事業は、鉄スクラップを鉄鋼製品に再生し、社会に送り出す資源循環型事業であり、持続可能な社会の実現に貢献しうる存在です。当社は「100年企業」に向け、創業の精神である“Spirit of Challenge”という経営理念のもと、「世界のインフラづくりや地球の環境保全に貢献する企業」「すべてのステークホルダーに貢献する企業」「安全で働きやすい職場づくりを進める企業」「コンプライアンスや品質を重視する信頼性の高い企業」をありたい姿とし、社会の発展と地球環境との調和に貢献する「エッセンシャル・カンパニー」を目指します。 ①本中期経営計画「NeXuSⅡ 2026」の進捗と現状認識本中期経営計画の策定に際して、当社グループは、事業の成長性と財務の健全性を両立させる観点から、計画期間を通じた目標水準として、定量目標・KPI(重要業績評価指標)を設定しました。下表は、これらの定量目標について、初年度からの実績および次期(2027年3月期)の業績予想を、策定時の当初目標とともに示したものです。 <財務KPI> 2025年3月期2026年3月期2027年3月期実績実績計画(業績予想)中計策定時目標(当初)売上高3,228億円3,151億円3,600億円3,800億円経常利益157億円162億円140億円250億円出荷量313万トン328万トン360万トン400万トン体制(国内)(海外)145万トン168万トン138万トン190万トン140万トン220万トン160万トン240万トンROE5.4%4.8%4.2%8.0%以上自己資本比率57.5%56.7%55.9%50%以上ネットDEレシオ※0.10倍0.08倍0.30倍0.5倍以下配当性向36.2%39.7%33.8%30~35%設備投資・事業投資171億円162億円526億円1,100億円/3年859億円/3年※ネットDEレシオの算出に際しては、信託口座保管分(IRB)、譲渡性預金(有価証券)、リース債務を含んでいます。なお、信託口座保管分(IRB)は、当社の連結子会社であるビントン・スチール社における、Vinton Steelプロジェクト向けIRB(産業歳入債)の免税起債枠を用いた資金調達に関連して、信託契約に基づき受託者が管理する信託口座に預託された資金であり、当連結会計年度末において、その他流動資産に9,668百万円計上しています。 設備投資については、維持更新投資のほか、海外鉄鋼事業、特に北米事業の強化に向けての戦略投資、人的資本やブランド価値など無形資産への投資、CO2削減に向けた環境投資などを中心に、前中期経営計画で実行が後ろ倒しとなった投資も含めて、3ヶ年累計で約1,100億円を計画しています。なお、このうちおよそ500億円を米国拠点における大型設備投資計画に充当します。 非財務KPIについては、以下を目標に定めています。当期の実績を併せてお示しいたします。 <非財務KPI> 最終年度目標2026年3月期実績CO2排出量※50%削減(2013年度対比 2030年度目標:国内生産4拠点)37%削減(2024年度確定値)女性総合職比率15%以上(単体)16.3%管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合3.0%以上(単体)3.7%教育研修費/人15万円(単体)※2022年度の1.5倍14.4万円社会貢献活動支出額連結当期純利益の0.5%程度0.48%※2025年度のCO2排出量は速報値を当社ウェブサイトに掲載しています。(https://www.kyoeisteel.co.jp/ja/csr/esg/Mate-utsukusii/Mate-utsukusiiCO2.html) ②重点的に対処すべき課題本中期経営計画において、当社グループが重点的に取り組むべき事項として掲げてきた以下の6項目については、計画策定後の事業環境の変化やこれまでの取り組み状況を踏まえ、引き続き重要な経営課題であると認識し、対応を進めています。 <事業の成長に向けた取り組み>a.海外鉄鋼事業:北米事業の強化とベトナム事業の再構築海外鉄鋼事業については、計画策定時の事業環境に基づき、ベトナム事業の再構築と北米事業の収益基盤強化を重要な課題として取り組んできました。計画策定からの2年において、ベトナムでは政府の政策転換により需要が回復に向かいました。これに対し、ベトナムの各拠点では、従前より進めてきた販売体制の見直しやコスト削減策、北部で計画通りに稼働を開始した新圧延工場(製鋼・圧延生産一貫体制の完成)によるコスト競争力の強化を通じ、事業の安定化と質的向上を図っています。北米については、良好な需要環境を捉えつつ、米国における設備老朽化対応を主眼に、中長期的な競争力強化に向けた取り組みを進めています。カナダにおいても、堅調な需要のもと、生産効率を高め、収益増を目指します。 b.国内鉄鋼事業:国内4事業所体制による連携強化と質的向上国内鉄鋼事業については、国内4事業所体制のもと、需要環境やコスト構造の変化に対応しながら、安定供給体制の維持と収益力の確保を図るとともに、最大需要地である関東圏における当社の存在感の向上を目指しています。また、2025年度に本格的に営業活動を開始した「エシカルスチール」(後述)を軸としたブランド戦略を進めており、資源循環型社会における同製品の価値の浸透を図りつつ、採用増に向けた販売活動に取り組んでいます。併せて、各事業所間の連携強化や、生産・販売・物流を含めたオペレーション全体の最適化を進めています。 c.環境リサイクル事業および鉄鋼周辺事業環境リサイクル事業および鉄鋼周辺事業については、資源循環型社会への移行に伴う社会的要請の高まりを背景に、当社グループの強みを生かした事業基盤の強化と持続的な成長に向けた取り組みを進めています。特に、難処理廃棄物への対応力強化や、安定した事業運営に資する施策を講じています。鉄鋼周辺事業については、国内とベトナムで展開する鋳物事業の安定した成長を図ります。 <成長を支える基盤強化>d.無形資産投資に向けた取り組み強化人的資本やブランド価値などの無形資産については、中長期的な企業価値向上に不可欠な経営基盤と位置づけ、引き続き投資と施策の充実に努めています。人材の確保・育成、働きやすい職場環境づくり、「エシカルスチール」を軸としたブランド価値の幅広い浸透など、企業価値の向上に向けた取り組みを進めています。 e.「100年企業」を目指したESG経営ESGへの取り組みについては、長期的な視点に立ち、環境負荷低減への対応、地域社会との共生、適切なガバナンス体制の構築を通じ、持続可能な経営の実現を目指しています。また、カーボンニュートラルに向けた取り組みや、社会貢献活動を継続しています。 f.経営基盤の強化経営基盤の強化については、安全・安定操業の確保を最優先としつつ、DXの推進や業務プロセスの高度化などを通じて、事業環境の変化に柔軟に対応できる体制整備を進めています。また、財務規律を維持しながら、持続的な経営を支える基盤強化を進めています。 ③資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応当社の2026年3月期のROEは、4.8%と目標である8.0%には未達であり、また株主資本コスト(7%程度)も下回っている状況です。海外鉄鋼事業の業績の安定性への懸念などから、現状では市場からの評価は十分に得られておらず、PBR(株価純資産倍率)は1.0倍を下回る水準で推移しています。こうした状況に対し当社は、上記重点方針にある「事業の成長に向けた取り組み」を一つひとつ実現することで、ROE(株主資本利益率)8.0%以上を達成し、安定した収益基盤を確立することを目指しています。株主還元については、2024年4月に配当方針を見直し、配当性向の目途を従来の「25~30%」から「30~35%」に引き上げました。当事業年度の配当については、結果として配当性向が当該目途を上回る水準となっています。これは、自己資本比率やネットDEレシオなどの財務指標が中期経営計画で掲げる水準を満たしており、当社の財務体質は健全な水準を維持していることから、成長投資の着実な実行と財務規律の両立を図りつつ、短期的な業績変動局面においても安定的な株主還元を重視する姿勢を示すものとして、総合的に判断したものです。併せて、「成長を支える基盤強化」の取り組みである人的資本やブランディングなどの無形資産投資も積極的に行い、さらにIR活動の強化などを通じ、PBRの改善に取り組んでまいります。その結果が、「100年企業」に向けた持続可能な経営、そして「資源循環型社会の実現に貢献するエッセンシャル・カンパニーになる」ことの実現につながると考えています。 (2) 2027年3月期(2026年度)の対処すべき課題本中期経営計画2年目となる当事業年度は、国内では想定以上に厳しい事業環境となりましたが、海外ではベトナムの需要回復などにより、全体では前期を上回る利益水準となりました。3年目となる2027年3月期(2026年度)においては、中長期的な成長に向け、特に海外鉄鋼事業を軸とした成長投資の着実な実行を最重要課題と位置づけ、引き続き以下の3つの取組みに注力いたします。1つ目は、当社グループの中長期的成長をけん引する取り組みとして位置付けている、北米における成長投資の着実な実行です。2025年度に、米国拠点のビントン・スチール社では、老朽化対策として、製鋼工場の新設・圧延ラインの大規模リニューアルに着手しました。その過程において、同社の位置するテキサス州の鉄鋼需要が米国内でも特に堅調であることから、今年1月、当初計画からの生産能力拡大を決定しました。これに伴い、投資額は327百万ドル(約500億円)、稼働開始時期は製鋼工場が2027年3月、圧延工場が同年9月へと変更となりました。当社創立以来最大規模の投資となる本リニューアルの完遂に向けて、全社一丸となって取り組んでまいります。2つ目は、国内鉄鋼事業における非価格競争力の強化を通じた収益構造の転換です。当社は国内の主要需要地にある4つの拠点で事業を展開していますが、需要動向は地域により違いがあります。近年は、国内の鉄鋼需要が低迷する中でも、首都圏を含む関東圏は、再開発案件などにより引き続き堅調な需要を維持しています。こうした状況を踏まえ、本中期経営計画では、従来他の地域に比べて希薄であった関東圏における当社の存在感向上を重点項目として位置付けています。当社が生産する付加価値製品の拡販や鉄筋加工を手掛けるグループ会社との連携強化などにより、取り組みを進めてまいります。また、2024年5月に公表した「エシカルスチール」を軸としたブランド戦略の推進も大きな要素です。「エシカルスチール」は、電気炉による廃棄物処理から鉄鋼製品の生産・出荷までトレーサビリティを確保した製品です。地球の資源を有効活用する資源循環型社会の実現に貢献する企業集団を目指していく、という思いをブランド化した製品であり、様々な施策を通じて積極的に発信しています。2025年度からは、「ウルトラマン」をキャラクターに採用した販促活動や、取引先や施主に向けた営業活動を本格的に展開し、受注件数も徐々に伸びてきています。環境意識の高い需要家に採用いただくことにより、地産地消が基本である鉄筋ビジネスにおいて、非価格競争の実現を図っていきたいと考えています。3つ目は、従前より当社グループの事業の柱の一つとして位置付けている環境リサイクル事業における、新たな収益軸の模索です。当社は1989年より、35年以上にわたって、電気炉による医療廃棄物・産業廃棄物の溶融処理を中心とした環境リサイクル事業を手掛けています。使用済み注射針の不法投棄問題に着想を得、電気炉の高温を活用して鉄の生産と同時に廃棄物を処理するこの事業は、社会的意義があり、また安定した収益源となるユニークな事業であると認識しています。しかし近年は、焼却炉による処理業者の参入による競合環境の激化や廃棄物排出量の減少など、事業環境は厳しさを増しています。当社は、電気炉による溶融処理の強みを生かし、アスベストなど難処理廃棄物の処理案件の獲得に、より一層注力しつつ、各事業所による許認可取得や他社との提携による処理品目の拡大、スラグ製品の新たな用途開発、また、「エシカルスチール」を軸とした新顧客の開拓など、新たな収益の軸を模索しています。企画部門の強化など体制の見直しも行いながら、独自性のあるこの事業のもう一段の飛躍を図りたいと考えています。足下では、中東情勢の緊迫化などにより世界経済の行方が見通しにくい状況となっています。当社グループにおいても、エネルギー費や物流費など、徐々に影響が出てくるものと想定していますが、当社グループは今後も「世界3極体制」のもと、それぞれの地域で地産地消を中心とした鉄筋のビジネスを行いつつ、国内外での連携を強化し、グループ総合力を以て難局を乗り切っていく考えです。当社グループは、今後も資源循環型社会に貢献するエッセンシャル・カンパニーを目指し、強い会社、安定した収益力を備えた企業集団となるべく努めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。 ①財政状態および経営成績の状況a. 財政状態(資産)流動資産は、前連結会計年度末に比べて9,760百万円(4.6%)増加し、221,057百万円となりました。これは、その他流動資産が9,216百万円、有価証券(譲渡性預金)が6,000百万円、原材料及び貯蔵品が2,711百万円増加し、売掛金が3,538百万円、電子記録債権が1,783百万円、現金及び預金が1,548百万円減少したこと等によります。なお、その他流動資産の増加には、当社の連結子会社であるビントン・スチール社のVinton Steelプロジェクト向けIRB(産業歳入債)に関連して、信託契約に基づき受託者が管理する信託口座に預託された資金9,668百万円が含まれます。固定資産は、前連結会計年度末に比べて10,539百万円(7.4%)増加し、152,070百万円となりました。これは、機械装置及び運搬具が7,872百万円、建物及び構築物が3,284百万円、退職給付に係る資産が2,480百万円増加し、建設仮勘定が4,337百万円、繰延税金資産が497百万円減少したこと等によります。この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて20,300百万円(5.8%)増加し、373,127百万円となりました。(負債)流動負債は、前連結会計年度末に比べて582百万円(0.6%)減少し、102,677百万円となりました。これは、1年内償還予定の社債が10,000百万円、支払手形及び買掛金が2,503百万円、電子記録債務が1,319百万円増加し、短期借入金が9,414百万円、その他流動負債が2,928百万円、未払法人税等が2,095百万円減少したこと等によります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて11,230百万円(27.8%)増加し、51,642百万円となりました。これは、長期借入金が10,618百万円増加したこと等によります。この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて10,648百万円(7.4%)増加し、154,319百万円となりました。(純資産)純資産は、前連結会計年度末に比べて9,651百万円(4.6%)増加し、218,808百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を9,864百万円計上し、退職給付に係る調整累計額が1,388百万円、為替換算調整勘定が1,284百万円、非支配株主持分が978百万円増加した一方で、利益剰余金の配当により3,911百万円減少したこと等によります。この結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べて199円59銭増加し、4,870円38銭となりました。また、自己資本比率は、前連結会計年度末の57.5%から56.7%となりました。 b. 経営成績当連結会計年度における当社グループの連結売上高は前期対比7,743百万円(2.4%)減収の315,106百万円、連結営業利益は同1,634百万円(10.7%)増益の16,967百万円、連結経常利益は同466百万円(3.0%)増益の16,211百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、同926百万円(8.6%)減益の9,864百万円となりました。 セグメント別の経営成績は次のとおりです。 国内鉄鋼事業当事業部門については、国内の建設・物流現場での人手不足による建設工事の遅延・見直しや資材価格高騰などの影響により、建設鋼材需要は低調に推移しました。そうした状況のもと、当社の製品出荷量も前期対比7.1万トン減少し、138.0万トンとなりました。価格面では、原材料(鉄スクラップ)価格は、通期では前期対比3.5千円(7.4%)下落しましたが、第4四半期においては、円安の進行に加え、中東情勢の緊迫化を背景とした国際市況の変動等の影響によって輸出価格が上昇し、国内価格も急騰しました。当社は製品価格の引き上げに努めたものの、需要環境の影響などから通期で同7.6千円(7.4%)下落し、売買価格差(製品価格と原材料価格の差異)は同4.0千円(7.3%)縮小しました。以上の結果、売上高は前期対比17,075百万円(12.0%)減収の125,527百万円、営業利益は同6,107百万円(35.2%)減益の11,258百万円となりました。 海外鉄鋼事業当事業部門については、ベトナムおよび北米(米国・カナダ)にて鉄鋼事業を展開しており、いずれも決算期は12月です。ベトナムにおいては、経済成長重視の政策に転換した政府によるインフラ投資を中心に、年度を通じて旺盛な鋼材需要が続きました。南北拠点ともに製品出荷量は前期対比増加したほか、従前からのコスト削減策の効果も相まって、全拠点で営業黒字を計上しました。また、北部拠点で2025年6月に稼働を開始した新圧延工場では立ち上げが順調に進み、概ね計画通りの生産・販売を記録しました。北米においては、堅調な鋼材需要のもと、米国拠点では設備老朽化による操業上の課題に対処しながらの生産が続きました。通期では前期に続き赤字を計上しましたが、下期には操業の安定化や製品市況の上昇などにより営業黒字を計上しました。カナダ拠点では、利益率の高い細物鉄筋の拡販等により、前期を上回る利益を計上しました。以上の結果、売上高は前期対比9,973百万円(5.9%)増収の178,988百万円、営業利益は同7,856百万円増益(前期は1,713百万円の営業損失)の6,143百万円となりました。 環境リサイクル事業当事業部門については、医療廃棄物処理分野において厳しい競合環境が続く中、下期は産業廃棄物処理分野における大型の個別案件の寄与により業績が改善しましたが、処理量の減少に伴うコスト増などの影響により、売上高は前期対比298百万円(4.8%)減収の5,945百万円、営業利益は同127百万円(18.9%)減益の546百万円となりました。 その他当事業部門については、ベトナムでの港湾事業や国内およびベトナムでの鋳物事業などを行っています。売上高は前期対比342百万円(6.9%)減収の4,646百万円となり、営業利益は同23百万円(5.1%)減益の425百万円となりました。 ②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて8,306百万円増加し、46,359百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りです。 営業活動によるキャッシュ・フローは、24,730百万円の収入となりました。収支の主な内訳は、税金等調整前当期純利益15,145百万円、減価償却費7,877百万円、売上債権の減少額4,800百万円、棚卸資産の増加額2,088百万円、仕入債務の増加額3,961百万円、退職給付に係る資産の増加額1,352百万円、利息の支払額2,320百万円、法人税等の支払額5,976百万円等によります。 投資活動によるキャッシュ・フローは、15,433百万円の支出となりました。収支の主な内訳は、定期預金等の預入による支出24,956百万円、定期預金等の払戻による収入28,788百万円、有形固定資産の取得による支出17,942百万円等によります。 財務活動によるキャッシュ・フローは、1,303百万円の支出となりました。収支の主な内訳は、短期借入金の純減額7,535百万円、長期借入れによる収入5,725百万円、長期借入金の返済による支出5,061百万円、社債の発行による収入9,947百万円、配当金の支払額3,911百万円等によります。 ③生産、受注および販売の状況a. 生産実績 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日) 前年同期比(%)国内鉄鋼事業(百万円)101,07788.3海外鉄鋼事業(百万円)144,250106.3環境リサイクル事業(百万円)4,82598.0その他(百万円)3,80998.0合計(百万円)253,96198.0(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。2 金額は、製造原価によっています。 b. 受注実績 当社グループの販売実績のうち、見込生産形態によるものが大半を占めるため記載を省略しています。 c. 販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日) 前年同期比(%)国内鉄鋼事業(百万円)125,52788.0海外鉄鋼事業(百万円)178,988105.9環境リサイクル事業(百万円)5,94595.2その他(百万円)4,64693.1合計(百万円)315,10697.6(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。相手先前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日) 当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日) 金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)阪和興業株式会社32,92010.2--3 当連結会計年度における阪和興業株式会社への販売実績は総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しています。 主要な原材料価格および販売価格の変動については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況」に記載しています。(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ①財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容2026年度(2027年3月期)を最終年度とする中期経営計画「NeXuSⅡ 2026」の2年目となる当連結会計年度においては、国内鉄鋼事業における減益の影響があったものの、海外鉄鋼事業の収益改善により、全体としては当連結会計年度中に修正した利益目標を達成しました。最終年度については、「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(P.10)の項でも記載のとおり、利益面では最終年度目標との間に乖離が生じている状況ですが、出荷量については最終目標に近付きつつあり、将来に向けた収益基盤の強化は、一定程度進めることができました。当連結会計年度の国内鉄鋼事業については、建設工事の工期の遅れ・長期化の影響による出荷量の減少に加え、円安や中東情勢を背景にスクラップ価格の上昇幅が拡大し、売買価格差が縮小したことを主因として、前期対比減収減益となりました。当社は国内の鉄筋トップメーカーとして製品価格の引き上げを進め、市況の改善に努めましたが、年度末近くになっての原材料価格の急騰には、当連結会計年度中には追い付くことができませんでした。一方で、当社のブランド戦略の軸である「エシカルスチール」の認知度向上を図りつつ販促活動を展開し、当会計年度は7,000トンを受注しました。中長期的に鋼材需要の減退が想定される国内市場において、将来に向けた当社独自の取り組みを進めています。海外鉄鋼事業については、ベトナム・北米ともに前期の赤字から大幅増益となる61億円の営業利益を計上することができました。ベトナムでは、競争環境は依然として厳しいものの、経済成長重視に方針を転じたベトナム政府によるインフラ投資にけん引される形で、ベトナム国内の鋼材需要は本格的に回復し、旺盛な状況が続きました。各拠点では出荷量の増加とそれに伴う稼働率の改善効果、継続的に取り組んできたコスト削減の成果などにより、南北ともに黒字を計上しました。加えて、北部のベトナム・イタリー・スチール社では、ハイフォン工場で建設を進めていた新圧延工場が2025年6月に完成し、その後も順調に稼働しています。ベトナム事業は、当社がこれまで行ってきた投資の効果が顕在化しつつあり、収益基盤は改善に向かっています。北米では、米国拠点の設備老朽化に起因する生産不調に対し、日本からの技術支援や操業指導により、次第に生産が安定しつつある状態です。通期では赤字が残ったものの、下期には黒字に転換し、堅調な鋼材需要のもと、当連結会計年度末時点では黒字基調となっています。成長戦略として位置付けている、同拠点での製鋼工場新設・圧延工場大幅リニューアル計画は、2027年10月の製鋼圧延一貫での生産開始を目指し、建設を進めています。カナダ拠点については、利益率の高い細物鉄筋の販売が好調であり、引き続き堅調に推移しています。海外鉄鋼事業については、中期経営計画の最終年度の利益目標を超過達成する見通しであり、米国における大型設備投資の進捗が今後の業績に影響を与える要因の一つと認識しています。環境リサイクル事業については、医療廃棄物処理分野における競合先との価格競争の継続に加え、排出元のリサイクル意識の変化により、廃棄物の受託量そのものが減少傾向にあるという厳しい状況にあります。そうした環境下において、当社が得意とする難処理廃棄物、例えば近年で受入量が増加しているフロン等の処理や、大手ゼネコンと協働して行っている、鉛等の有害物質が付着した金属廃棄物の収集・処理の拡大に向けた取り組みを進めています。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容 「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しています。 なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりです。 2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期2026年3月期 自己資本比率51.9%53.2%54.9%57.5%56.7% 時価ベースの自己資本比率18.5%20.7%29.6%23.2%27.0% キャッシュ・フロー対有利子負債比率-523.9%387.0%215.6%387.9% インタレスト・カバレッジ・レシオ-8.1倍6.9倍13.5倍10.7倍(注)1.各指標の算出は以下の算式を使用しています。- 自己資本比率:自己資本/総資産- 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産- キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー- インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い2.いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。3.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。4.2022年3月期については、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオを記載していません。 b. 資本の財源および資金の流動性当社グループの運転資金需要のうち主なものは原材料である鉄スクラップ、合金鉄等の副資材の購入費用、その他製造費用、販売費および一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は製造設備の更新等の設備投資、M&Aによる株式取得等によるものです。当社グループは、原材料価格と製品販売価格の市況変動に対応可能な事業資金を安定的に確保することを基本方針としています。短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等の投資資金は金融機関からの長期借入および社債の発行を基本としています。また、経営基盤である財務の健全性や経営の透明性を高めるとともに、資金調達の多様化や安定化を図り、経営環境の変化に対応した機動的な資金調達を可能にするため、当社は株式会社日本格付研究所から格付けを取得しており、本報告書提出時点において、格付は「A-(見通し:安定的)」となっています。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しています。 ③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されています。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。当社グループは、特に次の重要な会計方針が、財政状態および経営成績に大きな影響を及ぼすと考えています。 固定資産の減損当社グループは、固定資産の減損の検討にあたり、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会))および「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号)等を適用しています。将来、企業収益が大幅に低下する場合、経済環境の著しい悪化および市場価格の著しい下落等により、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。
事業リスク
- 日本製鉄との関係性日本製鉄が筆頭株主であり、議決権の28.1%を保有しているため、同社の経営に影響を及ぼす可能性があります。日本製鉄の利益と共英製鋼の他の株主の利益が一致しない場合、経営判断に影響が出るリスクがあります。
- 原材料・エネルギー価格変動鉄スクラップ、電極、石油、液化天然ガスなどの原材料やエネルギー資源の価格は、グローバルな需給や地政学的要因により変動しやすく、価格上昇や供給不足が発生すると製造コストや輸送コストが増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 国内鉄鋼市場の縮小日本の人口減少や公共事業・民間建設需要の長期的な減少により、国内の鉄鋼市場は縮小傾向にあります。競合他社との競争激化や工事量の減少が重なると、販売価格の下落や出荷量の減少につながり、国内鉄鋼事業の業績に影響を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
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3【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項(事業等のリスク)には次のようなものがあります。これらのリスク発生の可能性を的確に認識し、リスクの軽減と発生の回避、リスクが顕在化した際の迅速な対応にグループの総力を挙げて取り組んでいきます(リスクマネジメント体制については、「第4、4、(1)、②、『3 リスク管理体制の整備状況』」のとおりです)。 なお、文中における将来の事項については、有価証券報告書提出日(2026年6月23日)現在において判断したものです。 (1) 日本製鉄株式会社との関係について 2026年3月末日現在、日本製鉄株式会社は当社発行済株式の28.1%(間接保有を含む)の議決権を保有する当社の筆頭株主であり、当社は同社の持分法適用関連会社です。しかしながら、当社は自ら経営責任を負い、独立した経営を行っており、今後もかかる経営を継続していく方針です。ただし、同社は当社に対して相応の株式を保有していることから、当社の筆頭株主として議決権行使等により当社の経営等に影響を及ぼし得る立場にあり、同社の利益は当社の他の株主の利益と一致しない可能性があります。 (2) 原材料・副資材およびエネルギーの価格上昇ならびに調達制約について 当社グループが使用する原材料(鉄スクラップ)、副資材(電極、合金鉄等)やエネルギー資源(石油、液化天然ガス等)は、グローバルな需給要因による価格変動リスクにさらされています。特に副資材やエネルギー資源は、原産地が世界的に遍在しており、各国ともに輸入に大きく依存している状況にあります。中東情勢など地政学的要因等により、これらについて価格上昇や供給不足が生じた場合、製造コスト、輸送コストの増加や、生産量、販売量の減少などを通じ、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 当社グループでは、世界3極(日本・ベトナム・北米)に事業展開する強みを活かし、世界各地の最新のマーケット情報を収集しながら、調達価格・時期等について的確な判断を行うとともに、安定的な原材料、副資材調達のため、サテライトヤードの設置や、信頼できる複数の調達先とのアライアンス強化等に取り組みます。また、電力原単位の低減や操業におけるAI等の技術活用を中心とした生産性の向上等、コスト削減の取り組みや、営業力強化、製品品質の向上および付加価値製品の開発等、競争力の向上のための具体的取り組みにより、コスト上昇の影響を吸収するよう努めるとともに、コスト上昇を製品価格に適切に転嫁できるよう、商慣習の見直しに向けて取り組んでいます。 (3) 国内鉄鋼市場の縮小に伴う市況の悪化および需要の減少について 当社グループの中核事業である国内鉄鋼事業は、競合する電炉メーカーが多数存在し、構造的な供給能力過剰問題を抱えています。他方、国内の建設現場での人手不足・働き方改革や資材価格高騰等による建設工事の遅延・見直しなどの影響により、建設鋼材需要は今後とも減少傾向が続くと考えられます。そのため、競合メーカーとの競争に伴う販売価格の下落および出荷量の減少により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 当社グループでは、人口増加や経済発展により建設需要の見込まれる海外へ積極的に進出しています。現在、世界3極体制(日本・ベトナム・北米)を盤石とするため、グローカル・ニッチ戦略のもと、各エリアにおいて事業投資を進めるとともに、積極的な設備投資を行い、グループ全体で業績の最大化・安定化に取り組んでいます。また、国内外に多数の拠点を有する強みを活かし、国内外の最新のマーケット情報を収集しながら、国内市場における鉄鋼需要を的確に捕捉するとともに、海外市場の需給と経済先行きを注視し、全社横断的な営業社員育成などによる営業力の強化、新規事業推進室を中心とした新規顧客の開拓、開発室による付加価値製品の開発、「エシカルスチール」を軸としたブランド戦略といった取り組みを通じ、競争力の向上を図っています。特に、最大需要地である関東圏においては、2024年3月の吸収合併により当社事業所となった関東事業所を中心に、グループ会社間の協業を一層強化して、同地域における当社グループのプレゼンス向上に注力します。 (4) 気候変動に係るリスクについて 気候変動リスクへの対応が世界的に進む中、温室効果ガス排出規制の強化、カーボンプライシングの導入、情報開示義務の拡大、脱炭素化に向けた技術開発や設備投資負担など、カーボンニュートラル社会へ移行する過程で生じる「移行リスク」や、地球温暖化などの気候変動に伴う台風、洪水、猛暑など異常気象の深刻化による当社グループの工場操業停止、また仕入れ先企業などの事業活動の停滞による原材料調達の困難化、加えて、従業員の安全・健康への悪影響などの「物理的リスク」により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 当社グループは、気候変動問題への対応を重要な経営課題の一つと位置付け、リスクマネジメント委員会傘下の気候変動部会において、定期的に気候変動リスクのアセスメントと評価について議論していく体制を整備しています。気候変動部会においては、気候変動が当社の事業活動に与える影響についてTCFDの枠組みに基づいてシナリオ分析し、課題を整理した上で、課題に対する対応として、様々な取り組みを進めています。具体的には、製造工程で排出するCO₂の排出量削減のため、エネルギー原単位の低減や燃料転換、太陽光パネルの設置による自家発電、緑化事業などに取り組んでいます。また、夏場の暑熱対策や省人化・自動化に向けた設備投資等により、気候変動に伴い過酷化する職場環境の整備を進めるとともに、事業継続計画(BCP)を策定して、有事の際に従業員の安全と製品の安定供給を確保するための手順等を定めています。これらのシナリオ分析に基づくリスクおよび収益機会に関する情報、課題への取り組みについては、有価証券報告書や統合報告書、ホームページなどにおいて継続的な開示を行っています(詳細については、「第2、2、(2)、『■美しい地球環境に向けて:気候変動問題への対応(TCFD提言に沿った取り組み)』」をご参照ください)。 (5) 企業の成長に必要な人材の確保に関わるリスクについて 少子化等による労働市場の需給逼迫や人材流動化が進展する中、「資源循環型社会のエッセンシャル・カンパニー」になるという当社の長期シナリオの達成に貢献できる人材を獲得・育成できないことで、中長期的に当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、人的資本に係る取り組みを重要な経営課題の一つと位置付け、「物質的メリット」、「自己実現」、「連帯感・チームワーク」、「企業理念への共感」を4つのテーマとして、種々の施策を実施しています(詳細については、「第2、2、(2)、『■より安全で働きやすい職場に向けて:人的資本に係る取り組み』」をご参照ください)。 (6) 自然災害、感染症、戦争・テロ行為等の発生について 当社グループは日本、ベトナム、米国、カナダに製造、販売等の拠点を設け事業を展開しています。これらの国あるいは地域において、地震、火災、台風および洪水等の自然災害、新たな感染症、戦争・テロ行為やそれらによる軍事的緊張等が発生した場合、さらに当社グループの事業展開がない国あるいは地域でこのような事象が発生した場合、当社グループの事業活動そのものの停滞、または仕入れ先企業等の事業活動の停滞による原材料調達の困難化等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、これらの事象等に係るリスクに備え、事業継続計画(BCP)の策定・訓練の実施、耐震対策、在庫の確保、世界3極(日本・ベトナム・北米)に事業展開する強みを活かした製品・半製品や設備予備品等の拠点間融通など、従業員の安全確保、製品の安定供給のための体制を整備するとともに、損害保険への加入等を通じてリスクの移転に努めています。 (7) 為替および金利の変動について 当社グループのカナダやベトナムの海外子会社は、主に米ドル建ての鉄鋼製品の販売や原材料(鉄スクラップ)等の輸入取引を行っています。また、海外子会社の財政状態や経営成績は連結財務諸表上で日本円に換算されます。そのため、想定を超えた為替相場の変動が生じた場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 当社グループでは、為替予約の締結や同一外貨建ての債権債務ポジションの保有により、一定の為替変動リスクの低減を図っています。 当社グループは、事業資金の一部を金融機関からの借入、社債の発行等により調達しています。金利が急激に上昇した場合、資金調達コストの増加により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 当社グループでは、固定金利借入による資金調達や金利スワップ導入による金利の固定化により、金利変動リスクの低減に努める他、棚卸資産の圧縮、売掛・買掛期間の適正化やグループ内資金の有効活用等により資金効率を高めることで、金利負担の削減にも取り組んでいます。 (8) 人権に関するリスクについて 当社グループにおいて、長時間労働やハラスメントその他の人権問題が生じた場合、従業員の心身両面における健康が毀損され、ひいては生産性や従業員エンゲージメントが低下することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、事業拠点ごとに実施するアセスメント、従業員意識調査や相談窓口の運用等を通じて、上記諸問題の端緒を早期に把握することに努めるとともに、省人化・自動化に向けた設備投資や教育機会の充実等を通じて、職場環境の整備、適正な企業風土の醸成に取り組んでいます。 また、当社グループの事業活動にかかわるサプライチェーンにおいて生じ得る種々の人権問題に対して関心を払わず、あるいは放置した場合、レピュテーションの低下、訴訟対応等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、経営方針として人権尊重に取り組むことを人権ポリシーとして明文化して社内外に公表しています。当該方針に基づき、当社の事業活動における人権への影響評価と、影響評価を基礎とした適切な予防・是正措置の実施およびモニタリングを進めていきます。 (9) コンプライアンスに反する事象の発生について 当社グループが展開する事業に関しては、製品の品質・取引関係・環境・労務・安全衛生・会計基準・税務等の多岐にわたる法規制や、種々の社会的要請が存在することから、コンプライアンス関連のリスクを完全に回避することは困難です。そのため、法規制や社会的要請に反する事象が発生した場合、許認可その他の事業資格の喪失や、レピュテーションの低下、訴訟対応等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、行動指針に高い倫理観を持ち、公正・誠実を旨として行動すべきことを謳い、リスクマネジメント委員会およびリスク・コンプライアンス部会における議論や役員・従業員に対する啓蒙・教育の実施等を通じてコンプライアンス体制を構築するとともに、事業拠点毎にコンプライアンス推進計画を策定・実践するなど、自主的・自律的なコンプライアンス活動の推進に努めています。また、コンプライアンスに関する疑義が生じた場合に、当社グループの役員・従業員等が相談または内部通報できる「コンプライアンス相談窓口」を社内外に設置し、コンプライアンスに反する事象の発生を早期に把握し、自浄作用を発揮できる体制を整備しています。 (10) 情報セキュリティおよび情報システム障害リスクについて 当社グループでは、情報技術を広範囲に活用しており、サイバー攻撃等が発生した場合、業務や操業の停止等の可能性がある他、情報漏洩による機密情報の悪用、情報保有主体との間における紛争の発生およびレピュテーションの低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、ネットワーク境界線の防御、定期的なデータのバックアップ、機器の脆弱性検知や監視サービスの活用等、情報セキュリティインフラ基盤の整備を図るとともに、リスクマネジメント委員会および情報セキュリティ部会におけるリスクの特定や対応方法の検討等の情報セキュリティマネジメントの推進、社員へのセキュリティ教育の実施、セキュリティ専門会社との連携等、機器強化と運用強化の両面で情報セキュリティリスクの回避、低減に努めています。 また、情報システムやネットワークに障害が発生した場合、業務や操業の停止等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、システム稼働状況の監視、ネットワーク回線の冗長化、障害発生時の復旧手段の標準化、緊急時対応体制の整備等、障害発生の未然防止と速やかな復旧体制の確保に努めています。 (11) 海外事業固有のリスクについて 当社は、ベトナム、米国およびカナダに子会社を所有していますが、各国での予期し得ない政治または法令・規制・社会制度等の変化等により事業活動が停滞する等の事態に陥った場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 当社グループでは、現地経営陣から定期的に現地の経済状況・鋼材市況や業績の報告を求めるとともに、進出先の国あるいは地域の法令・税制やその変更点等について、外部専門家を活用しながら能動的に情報収集を行っています。 当該子会社が外国資本との合弁会社である場合、意思決定や事業運営に一定の制約が生じます。この結果、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 当社グループでは、子会社の合弁相手先との意思決定の方法や事業運営の役割分担について、当社グループに不利益のないよう合弁契約等において明確に定め運用するとともに、合弁相手先と定期的に子会社の経営に関する情報交換を行う等、連携強化を図り円滑な事業運営に努めています。 海外事業においては信用リスクが相対的に高く、取引先の業績悪化などで予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し、損失・引当の計上が必要となった場合には、当社グループの業績または財務状況に影響が及ぶ可能性があります。 当社グループでは、取引先の信用状態を評価・判断の上で取引先別の与信限度額を設定し、必要に応じ担保・保証を取得することで保全を図るとともに、与信管理を徹底することで、貸倒れリスクのミニマイズ化を図っています。 (12) 環境リサイクル事業固有のリスクについて 環境リサイクル事業においては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃掃法)により定められた許可を要しますが、法規制に反する事象が発生した場合、許認可その他の事業資格の喪失等により事業が継続できないことで、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 当社グループでは、廃掃法を遵守するよう役員・従業員に対する啓蒙・教育の場を設けるとともに、法令等に関する最新の情報を社内で共有するなど管理体制強化を図っており、廃棄物処理の実務における法令遵守状況の管理強化に努めています。 また、排出事業者の排出方法に起因して収集および仕分・処理中に事故が発生し、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 当社グループでは、排出事業者に対し、適切な排出方法を遵守するよう適宜啓蒙・指導を行い、廃棄物処理の実務における安全環境の構築に努めています。 マテリアルリサイクルおよびケミカルリサイクルの拡大に加え、長期的に廃棄物の排出量の減少が見込まれる中、有力な競争事業者も増加しており、排出事業者からより高度なリサイクル方法への要求が高まっています。このような環境下において、新たなリサイクル技術の開発や設備導入に係る費用の増大、技術開発・設備導入の遅延などに起因する顧客の減少により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 当社グループでは、機密性の高い完全溶融処理、4大都市圏に処理拠点を構えた全国的な展開、全国にある代理店による小口回収という強みを活かした営業の推進、他社処理施設とのネットワーク構築によるワンストップ体制の強化、資源循環型社会の実現に向けたサーキュラーエコノミーへの取り組み強化等を通じて需要を捕捉するとともに、鉄鋼事業と医療廃棄物・産業廃棄物処理を一体として行ってきた当社グループの特性や社会貢献性をブランド化、見える化して訴求力を高め、新たな需要を喚起していきます。 (13) 品質に関する問題の発生について 当社グループの製品に関する品質については、産業標準化法に基づくJISや建築基準法、評定等の公的規準ならびに取引先との品質保証に関する契約等によって規定されています。また、近年各業界において、品質違反、品質偽装等の問題が発生して社会的な耳目を集める状況下、当社グループの製品は、不特定多数の生命・財産に影響を及ぼす建設物や工作物に関連するものが多く、その品質には社会的にも強い関心が寄せられているものと認識しています。品質に関する問題が発生した場合、公的認証や取引の喪失、レピュテーションの低下等により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 当社グループでは、品質管理室においてグループ横断的な品質統括管理を行い、計画的に品質監査を実施するとともに、中央品質管理委員会において、品質監査で把握された品質管理に関する重要課題に改善指示を行ない、グループ全体の品質問題発生リスクを早期に検出できるようガバナンス強化に努めています。また、複数の生産拠点においてISO9001(品質マネジメントシステム)を取得し、品質管理のための体制整備を行っています。さらに製造工程においては、製品の微細な疵を検出する装置や本数を画像でカウントする機器等を、検査・試験工程においては、手介入によるデータ改竄・誤入力のリスクを低減する自動測定機器や自動伝送システムをそれぞれ導入するなど、ハード面においても品質管理上の問題発生を抑制するための対応を進めています。 (14) 環境に関する問題の発生について 当社グループが展開する鉄鋼事業および環境リサイクル事業(廃棄物処理業)は、操業に伴いばい煙やばい塵、残さが不可避的に発生するという性質上、各種環境法令の規制を受ける他、当社グループの実施する環境保全施策については、生産拠点の所在する近隣住民をはじめ、高い社会的関心が寄せられているものと認識しています。そのため、規制対応や環境保全施策の実施等が不十分であること等によって環境問題が発生した場合には、行政処分等に基づく事業停止やレピュテーションの低下等により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 当社グループでは、環境監査において法令に基づく環境データの測定や測定結果の照合を行うとともに、環境問題が発生するリスクが残存していないか確認しています。また、複数の拠点において環境マネジメントシステムISO14001 を取得し、環境保全のための体制整備を行っています。排ガス集塵機など環境設備の維持更新、排水量の総量削減のための工場で使用する冷却水のクローズドシステムの構築など、環境保全に資するハード面の整備にも取り組んでいます。さらに、鉄鋼生産および廃棄物処理時に発生する副産物を有効利用するために外部研究機関や技術保有企業と連携を行い、ゼロエミッションの実現に取り組んでいます。加えて、鉄鋼製品については「SuMPO EPD」環境ラベルを取得し、製品の環境負荷データを開示しています。 (15) 製造設備のトラブルおよび安全に関するリスクについて 当社グループが展開する鉄鋼事業は、様々な設備を使用しており、予期せぬ設備故障等のトラブルが発生した場合には、設備の復旧に相当の期間を要して業績に大きな影響を与える可能性があります。 そこで設備面においては、各種センサー等のIoT技術を用いた予兆保全に取り組むとともに、日頃から設備の老朽化にも留意して綿密な設備管理を行い、製造設備の定期的な保全および計画的な更新に取り組んでいます。また、世界3極(日本・ベトナム・北米)に事業展開する強みを活かし、製品・半製品や設備予備品等を拠点間融通できる体制を構築しています。さらに、エンジニアリング部門を強化し、国内外の製造拠点の設備および操業をチェックし、製造・操業技術を伝承する仕組みや、電気炉炉床耐火物管理システムや取鍋耐火物計測システムの導入により、安全安定操業が実現可能となる仕組みの更なる強化に取り組んでいきます。 当社グル-プが展開する鉄鋼事業においては、高所作業、高温作業、重量物の運搬、可燃ガスの取扱い等リスクを伴う作業もあり、他業種と比較して類型的に事故や災害が発生しやすい環境にあります。 当社グループでは、生産活動のすべてのプロセスにおいて社員の安全を最優先すべく各種施策を実施していますが、万一、事故や災害が発生した場合には、当社グループおよび協力会社の社員等の生命・身体が害されることはもちろん、当社グループの業績にも影響を与える可能性があります(安全面の取り組みについては、「第2、2、(2)、『■より安全で働きやすい職場に向けて:人的資本に係る取り組み』」をご参照ください)。 (16) 企業買収や資本提携等に係るリスクについて 当社グループは、今後の事業拡大に向けて企業買収や資本提携等が重要かつ有効であると認識していますが、買収後に偶発債務の発生等、未認識の債務が判明し損失が発生する可能性も否定できません。また、買収後の事業環境や競合状況の変化等により買収当初の事業計画遂行に支障が生じ、計画どおりに進まない場合は、のれん等の減損損失等の損失が発生する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、企業買収や資本提携等を検討する場合、対象会社の事業・財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行うとともに、コストアプローチ法、インカムアプローチ法などにより、買収対象たる企業や事業等の価値を多角的に検証・精査することで、極力リスクを回避するように努めています。なお、企業買収に係るのれんの当連結会計年度末の連結貸借対照表計上額は6億円です。 (17) 固定資産の減損リスクについて 当社グループは、国内鉄鋼事業、海外鉄鋼事業を中心に生産設備や土地等の固定資産を有していますが、設備投資による効果が得られないこと等により、保有資産から得られる将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用による減損損失が発生し、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 当社グループでは、事業成長や老朽化に伴う維持更新を目的とした設備投資を行う中で、特に大規模な設備投資については投資効果・採算性の検証等、投資可否判断の厳格化、精度向上に取り組んでいます。また、製造技術・ノウハウ・営業情報をグループ横断的に展開し、事業収益性の継続的な維持、確保を図ることで減損リスクの低減に努めています。 (18) 中期経営計画の未達リスクについて 当社グループは、2024年4月に中期経営計画「NeXuSⅡ 2026」を公表し、当該計画に掲げた取り組みを実行していきます。当該計画は、策定当時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定していますが、こうした情報や分析等には不確定要素が含まれており、当該計画に掲げた取り組みが完了しても、目的の効果が得られない可能性があります。また、当該計画は、上記記載の(1)ないし(17)に記載した事項を含む様々なリスク要因の影響を受けるため、取り組みが思うように進捗せず、当初掲げた目標を計画した期間内に達成できない、または全く達成できない可能性があります。