5582

グリッド(5582)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

情報・通信業 情報通信・サービスその他

事業の概要

  • AI開発と最適化事業
    グリッドは、AI技術を駆使して社会インフラ(電力、物流、都市交通など)の計画を最適化する事業を展開しています。具体的には、顧客の複雑な業務を数式化し、デジタル空間でシミュレーションを行うシステムを開発。このシミュレーション結果から最適な計画を導き出すAIアルゴリズムを構築し、顧客の業務システムに組み込むことで収益を得ています。これにより、熟練者の経験に頼っていた計画業務を効率化し、燃料費削減や生産性向上に貢献しています。
  • コンサルから運用まで一貫
    AIエンジンの開発だけでなく、その前段階のコンサルティングから、システムの実装、そして運用・サポートまでを一貫して手掛けるビジネスモデルです。これにより、顧客との長期的な関係を築き、安定した収益を確保することを目指しています。顧客の課題を深く理解し、最適なソリューションを提供することで、顧客生涯価値(CLTV)の最大化を図っています。
  • 社会インフラ特化の計画最適化
    電力・エネルギー、物流・サプライチェーン、都市交通・スマートシティの3分野に特化して事業を展開しています。これらの分野では、エネルギー価格変動やカーボンニュートラルへの対応など、複雑な課題が多く、AIによる計画最適化のニーズが高いです。例えば、電力分野では発電所の需給計画を最適化し、過剰な発電を抑えて燃料使用量を削減。物流分野では輸送計画を最適化し、燃料コスト削減を実現しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • AI開発事業(単一セグメント)
    グリッドはAI開発事業のみの単一セグメントとして活動しており、特定の事業分野に限定せず、AI技術を核としたソリューションを提供しています。この事業では、顧客の抱える複雑な課題に対し、AIを活用した計画最適化システムを開発・導入することで、業務効率化やコスト削減を実現し、収益を上げています。単一セグメントであるため、事業内容が明確で集中戦略をとっていることが特徴です。
  • 社会インフラ分野への集中
    AI開発事業の中でも、特に電力・エネルギー、物流・サプライチェーン、都市交通・スマートシティの3つの社会インフラ分野に注力しています。これらの分野は、社会の基盤を支える重要な領域であり、AIによる最適化が大きな価値を生み出す可能性を秘めています。例えば、電力需給計画の最適化による燃料費削減や、輸送計画の最適化による物流コスト削減など、具体的な成果を追求しています。
  • コンサルティングから運用まで
    AI開発事業は、単にAIアルゴリズムを提供するだけでなく、顧客の課題分析を行うコンサルティングから、AIエンジンの開発、システムへの組み込み、そして運用・サポートまでを一貫して提供するビジネスモデルです。これにより、顧客はAI導入から活用までをワンストップで依頼でき、グリッドは安定的な収益と顧客との長期的な関係を築くことを目指しています。この包括的なサービス提供が事業の強みとなっています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|11,268 文字
3 【事業の内容】当社は、AI技術や数理最適化技術を用いたAIエンジン開発、システム開発及び運用・サポートを提供する「AI事業」、並びに系統用蓄電所の設計、開発及び譲渡等を行う「インフラアセット事業」の2つを報告セグメントとしております。以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。なお、当社は従来「AI事業」の単一セグメントとしておりましたが、蓄電所の開発を開始したことにより、当事業年度より、報告セグメントの区分を「AI事業」及び「インフラアセット事業」に変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。当社は、「INFRASTRUCTURE+LIFE+INNOVATION」(インフラ ライフ イノベーション)を企業理念と定め、社会インフラにイノベーションを起こし、インフラ全体の最適化を目指し、社会に貢献することをミッションに活動しております。現在の社会経済は、エネルギー価格の変動、サプライチェーンの寸断、カーボンニュートラル(注1)に向けたエネルギー消費の効率化、DX化に伴う業務の効率化等、様々なリスクや課題を抱えております。その中で迅速に最適解を選択し、施策や事業を管理運営していくことが、企業ひいては社会の持続的な成長に必要不可欠となっております。電力、物流、サプライチェーンといった社会インフラも同様に、ビジネス上の様々な要素を考慮した上で計画的に管理運営されておりますが、その計画業務は熟練の人材による多大な労力と時間により成立しており、現在の複雑かつ不確実性の高い環境下で迅速に最適解を選択することは困難な状況となっております。そこで当社は、属人性を排し、インフラのオペレーションに関わる様々な制約を変数として、複雑かつ不確実性の高い多数の要素も考慮した上で、AI技術を用いて短時間で最適な計画を提供するため、計画最適化事業を展開しております。具体的には、当社の社会インフラに関する業務知識の豊富なエンジニアが各顧客の計画対象業務を数式化することにより、複雑な業務を再現するシミュレータを開発し、デジタル空間上に機器、設備、人、車両等の動きを再現します。シミュレータ上では、仮想的に設備、車両等を動かし、業務のシミュレーションを行うことができるため、ビッグデータを使用せずにシミュレーション結果を生み出すことが可能となります。そしてその結果から得られるデジタルデータを基にKPI(注2)の最大化や計画の最適化を可能とするアルゴリズムを開発し、業務システムに組み込みます。計画の最適化は、組合せ最適化の一種となります。組合せ最適化とは、一般に、複数の制約を満たす有限個の解から最良の解(最適解)を探し出すことを意味し、その解法として数理最適化(注3)やメタヒューリスティクス(注4)等の手法が用いられてきました。複雑な業務の計画は様々な要素を考慮して策定されるため、最適解を探し出すには膨大な数の組合せを考慮する必要があり、実務に耐えうる時間で最適解を導くことは高い技術を必要とします。そこで当社では数理最適化やメタヒューリスティクスの手法に加えて、機械学習(注5)や強化学習(注6)等のAI技術を応用し、各種の計画に適した数理最適化の手法とAI技術を組み合わせたアルゴリズムをAIエンジンとして開発することで、最適解を探索する範囲を限定し、実務に耐えうる時間で最適解を導く手法を採用しました。また、AIエンジン開発を中心に、その前段となるコンサルティングフェーズから、AIエンジンを組み込んだシステム実装・運用フェーズまでを手掛けることで顧客生涯価値(CLTV)(注7)を最大化し、かつ運用・サポートサービスを担うことで、安定的な収益に繋げることをビジネスモデルとしております。[開発プロセス] AI技術による計画の最適化を事業展開するにあたり、当社が注力している分野は、電力、製造・運輸、都市・交通の3分野となります。機械学習・強化学習をはじめとしたAIアルゴリズム開発手法に加え、数理最適化等の手法を用い、ビジネス課題の解決に必要な技術手法を用いることで、実効性の高い効率的な各種計画の策定を支援するAI開発事業を展開しております。以下では(1)事業分野、(2)AI事業の特徴、(3)テクノロジー、についてそれぞれ説明いたします。 (1) 事業分野自動運転、翻訳、スマートフォン、画像認識等コンシューマー向け分野ではAIの実用化が進んでおりますが、インダストリアル分野、特に社会インフラ領域ではAIの実用化は必ずしも進んでおりません。当社は「インフラと社会を、その先へ」をミッションとし、AI技術の実用化に主眼を置き、社会インフラ領域における計画最適化のエンジニアリング及びサービス事業を展開しております。計画最適化は生産計画、輸送計画、材料開発、拠点配置計画、スケジューリング計画、適正価格設定等様々な用途で活用が期待されておりますが、組み合わせるシナリオの数の多さに起因して計算量が増大し、現実的な時間内での計算が困難になることや問題の定式化に伴う実装の難しさから導入されている分野は限定的でした。当社は、画像認識、需要予測といった領域で広く利用が進んでいるAI技術を計画最適化に応用し、問題の難易度や要求事項に対して柔軟にAIアルゴリズムを組み合わせることで、エネルギー消費量の削減、輸送効率や生産効率の向上といった顧客の課題を解決しております。また、当社は社会インフラ領域にフォーカスし、特に①電力分野、②製造・運輸分野、③都市・交通分野の3つの分野に注力しており、各分野における計画最適化は化石燃料の削減に直結するため、重要な社会問題であるカーボンニュートラルの実現にも貢献することができると考えております。 [注力する社会インフラ3分野] ① 電力分野国内電力事業者向けに発電所の需給計画の最適化プログラムを開発納入しております。電力自由化に伴い、電力需要に即した需給計画の立案が今後ますます重要になると思われ、脱炭素社会実現の観点からも効率的な需給計画を立案し、発電所を稼働させることが求められます。当社は電力需要を予測し同予測に基づく発電が可能となるよう、各発電所の需給計画についてAIアルゴリズムで最適化する技術サービスを提供しております。これにより各発電所の発電機を電力需要に即して起電、停電させることで過剰な発電を抑え、発電に要する燃料の使用量を低減させることが可能になります。② 製造・運輸分野原油、セメント、鉄鋼、製紙、化学品、消費財等様々な分野で生産者は原材料や商品を船舶やトラック等で運搬しており実際の輸送計画は人の経験と知識に基づいて立案されているケースが殆どであります。輸送計画は気象条件、積荷集配箇所、納期等多くの制約条件に基づいて作成されるにもかかわらず、計画最適化に適したソフトウエアが開発されていないため、これまで特定の人材の知識と経験に基づいて計画作成が行われておりました。そのため、輸送計画業務が属人化することや、立案した輸送計画が最適な計画かどうかを検証することが難しいという問題が顕在化しております。当社は、輸送計画にAIアルゴリズムを取り入れることで輸送計画を最適化する技術サービスを提供しております。様々なビジネス上の制約を加味しながら計算時間を短縮したAIエンジンの開発を行い、最適な輸送計画によって輸送に要する燃料コストの削減を実現しております。また、輸送計画最適化の応用分野としてサプライチェーン分野での計画最適化の技術サービスも提供しております。調達、在庫、生産、配送、販売に至るサプライチェーンの全工程をデジタル空間に再現し、全体最適や部分最適に関し顧客のKPIに応じて対応可能な技術を有しております。③ 都市・交通分野鉄道事業者においては、運行の定時性を維持しながら、ダイヤや乗務員に関する多くの制約条件を満たした上で、車両運用及び乗務員運用を効率的に行うことが求められておりますが、多くの場合、これらの計画業務は熟練担当者の経験や勘に依存しており、専門性の高いノウハウの継承が課題となっております。当社は、AIアルゴリズムを用いて車両及び乗務員の最適な運用計画を自動生成する技術サービスを提供しており、遅延の最小化や人員・車両の効率的な利用の実現に取り組んでおります。具体的には、鉄道会社と共同で、標準構内作業ダイヤや車両検査等の情報を基に構内作業計画を自動生成するシステムを開発するなど、計画策定時間の大幅な短縮と業務の属人化解消を進めております。また、計画最適化の他にも機械学習を応用した高速道路の渋滞予測システムを提供しており、都市・交通分野における当社のAI活用の幅を広げております。 (2) AI事業の特徴当社は、新しいテクノロジーにチャレンジするアーリーアダプター顧客(注8)に向けて顧客要望に応じたAIエンジニアリングプロジェクトを成功させ、これまでに確立したノウハウをReNom APPS(注9)として集約し、クラウドサービス化して展開しております。AI技術を用いた社会インフラ領域における計画最適化にフォーカスし、PoC(Proof of Concept:概念実証)ではなく本番導入を前提としたAIエンジンの開発から入り、実装に至る実績を積み上げてまいりましたが、当社は、①明確な経済的導入効果、②CO2削減効果、③大手企業中心の顧客構成、④CLTV最大化、⑤ソリューション提供手法の共通化、⑥クラウドサービス提供、⑦人材戦略といった特徴を有しております。以下では、特徴に関し、それぞれ説明いたします。① 明確な経済的導入効果典型的なAI適用領域である画像認識や需要予測は、経済的な導入効果が曖昧といわれておりますが、AIによる計画最適化は、化石燃料削減やオペレーションコスト削減といった直接的なコスト削減効果をもたらすことが可能となります。顧客は利害関係者にAIに対する投資対効果を明確に説明することができ、新しいテクノロジーの価値に見合った規模の投資が可能になります。このようにAI導入効果をROI(注10)として明確に数値化できることは、受注確度を高める効果があり、当社の収益性の基盤となっております。② CO2削減効果当社が注力分野としている電力分野、製造・運輸分野、都市・交通分野の社会インフラ3分野はいずれも計画最適化により化石燃料の消費を削減することができ、結果としてCO2削減効果を期待することができます。顧客は利害関係者にカーボンニュートラルの実現に向けた取組みとしてAIに対する投資効果を説明することができ、脱炭素経営の一環としての投資が可能になります。③ 大手企業中心の顧客構成電力・石油元売り・プラント・物流・都市交通等、当社がターゲットとする各種社会インフラ分野では、日本経済を支え続けている大手企業が活躍しております。当社の顧客は大半が大手企業となっております。当社は、社会インフラ領域におけるAI技術を用いた計画最適化に特化しているほか、明確な経済的導入効果の提示が可能であること、またCO2削減効果も期待できるといった特徴から大手企業に受け入れられているものと思われます。このような大手企業に最新のAIテクノロジーを提供することで、社会にイノベーションをもたらしていると考えております。④ CLTV (Customer Life-Time Value)最大化:顧客との長期ライフサイクルビジネス当社はAI技術の概念実証ではなく実用化をゴールにしていることから、AIエンジンの開発にとどまらずAIエンジンを搭載した業務システムの実装、その後のAIエンジンの性能維持や障害監視・対応を行う運用・サポートまでを総合的に提供することを前提としております。このため、単発のAIエンジン開発のみでは終わらず、顧客との中長期的な関係を構築しております。⑤ ソリューション提供手法の共通化当社事業の進め方は、異なる事業分野の計画問題を、共通のアプリケーションや開発メソッドに落とし込み、同一のアーキテクチャーで開発を行うことを特徴としております。既に、電力需給計画最適化、輸送計画最適化、生産計画最適化については、共通の設計思想に基づいてAIエンジンの開発を行っております。これにより、システム全体のアーキテクチャーが統一され、水平展開を行う際には、過去のモジュール等を再利用してソリューションを提供することが可能となります。その結果、計画最適化システムを効率的に開発することができると考えております。⑥ クラウドサービス提供ReNom APPSはAI技術を活用した計画最適化のためのアプリケーションとなります。従来、個別プロジェクト用に開発したシミュレータや最適化モデルで利用したアルゴリズムをモジュール化(注11)・体系化の上、顧客ごとに組み合わせてアプリケーションとして提供するとともに、業種ごとの業務ベストプラクティスを前提としたシステム画面を用意しております。サービス提供の事業分野を、社会インフラ3分野に絞り込むことで、各分野内でのノウハウの再利用性を高めることが可能であり、高度な技術を多数の顧客にクラウドサービスとして提供することが可能となります。現在では、日々変動する需要に基づき最適な需給計画を自動立案するReNom POWER、配船の日々の運航計画を自動立案するReNom VESSEL、サプライチェーンにおける生産や物流計画の最適化を行うReNom SCM、鉄道会社における運行や修繕計画等の最適化を行うReNom RailwayをReNom APPSとして展開しております。また、電力制度に関する問い合わせに自然言語で回答する生成AIサービスGeNom for Energyの提供を開始し、クラウドサービスの提供領域を拡大しております。⑦ 人材戦略当社は、データサイエンティストやITエンジニアだけではなく、重電や社会インフラ業界出身で現場オペレーションに造詣が深い技術者を積極的に採用し、入社後にデータサイエンス教育(注12)を施すことにより社会インフラの業務知識を兼ね備えたAI技術者を多数育成しております。現場の業務をよく理解している技術者が、自らの業務知識とAI技術を掛け合わせ、実用的かつ効果的な計画最適化アルゴリズムの提供を実現しております。また、社外取締役を含めAIや産業分野を専門とする大学の研究者と連携することで、最新の研究技術を取り込む体制を構築しております。 (3) テクノロジー当社は、社会インフラ分野でのAIの実用化を強く意識した独自のAI技術体系を確立しております。① ReNom APPS組合せの数の多さに起因して計算量が増大し、現実的な時間内で計算が困難になることや、問題の定式化に伴う実装の難しさといった技術課題に対応するため、シミュレータ開発技術と機械学習・深層学習・深層強化学習を組み合わせた当社独自のデジタルツインテクノロジー(注13)を搭載したReNom APPSを開発しました。シミュレータに実際の制約条件を組み込んでシミュレーションすることで現実に発生しうる状況のみを再現することができ、現実に発生し得ない状況を前提とした組合せを計算するといった無駄を排除しております。また、シミュレーションに基づき機械学習・深層学習・深層強化学習を用いて最適な計画を探索し、その結果策定された計画を評価し、学習することで、より最適な計画を策定することが可能となります。これまでの当社開発実績から共通化できる部分を取り纏め開発用にモジュール化したものの総称がReNom APPSとなります。ReNom APPSにより、各産業分野における計画最適化のAIエンジン開発の効率化を図るとともに、それを顧客に提供する業務システムやクラウドベースのインフラ基盤を併せてアプリケーション化し、顧客のシステムの導入までのリードタイムを大幅に短縮しております。② ReNom SIMBASE:シミュレータ開発フレームワークシミュレータを開発する際に共通する処理や、拠点、ネットワーク、輸送手段、消費、生産、備蓄といった社会インフラ分野の計画業務全般で用いられる汎用的な機能をフレームワークとして開発し、実際のAIエンジニアリングプロジェクトで活用しております。これにより、複雑な業務を再現するシミュレータを短期間で開発することが可能となっております。シミュレータを利用することで、デジタル空間上に機器、設備、物、人の流れを再現し、仮想的に設備や車両を動かし、その結果から得られるデジタルデータを基に、KPIの最大化や計画の最適化を行うことが可能になります。例えば、生産設備のシミュレータを利用することで、ボトルネックの発見と改善、在庫の削減、設備・人の稼働率向上、燃料費や材料費の削減を実現します。③ Algorithm MIX = 最新技術と旧来技術の融合組合せ最適化とは様々な制約の下で、無数にある選択肢の中から、ある指標(価値)を最も良くする変数の値(組合せ)を求める手法となります。例えばA地点からB地点へ向かうトラックの最短かつ最少燃料になる経路を求めるような問題が挙げられます。これは、無数の組合せの中から解を導く必要がありますが、当社は、最新のAI関連技術である機械学習や強化学習、旧来手法である数理最適化の手法を顧客課題ごとに柔軟に組み合わせることで、実ビジネスの課題を解決する手法を確立しました。例えば、無数の組合せの中から、過去に発生した組合せを機械学習で学習させることで、検討する組合せの範囲を絞り込み、その上で絞り込まれた範囲で、数理最適化の手法を用いることで計算時間を短縮し、実ビジネスで運用可能な計算時間で最適化システムを提供しております。④ 量子アルゴリズムの研究開発 量子コンピュータ(注14)は次世代のコンピュータとして期待されておりますが、当社は量子アルゴリズム(注15)について2017年より研究開発を行っており、2018年より様々な論文発表、2021年より関連技術の特許出願を行っております。また、2024年にはNEDO(注16)の研究開発事業に採択され、2025年以降はVPP(注17)の需給調整における量子実機やHPC(注18)との比較検証を進めております。現在当社が行っている計画最適化分野においても量子コンピュータは広く活用が期待されている分野であり、計算の高速化や、コンピュータ上に再現できる状態の規模や精度においても現在のコンピュータを上回る可能性が示唆されております。当社は、最新のAI関連技術に加えて量子インスパイアコンピューティング(注19)等も適宜活用し、既存のコンピュータと組み合わせることで、実ビジネスの課題解決を加速していきます。今後さらに本格的な量子コンピュータが実用化された際には、研究開発で得た知見を活かし、量子テクノロジーを駆使したサービスを提供することが可能であると考えております。 以上がAI事業の内容となります。以下では、2026年6月期より新たな報告セグメントとして区分した「インフラアセット事業」について説明いたします。 (4) インフラアセット事業当社は、AI事業に次ぐ新たな事業として、2024年8月より系統用蓄電池に関連する事業に着手し、2025年6月期第4四半期より系統用蓄電所の開発を本格的に開始いたしました。蓄電所開発に係る売上の重要性が高まったことから、2026年6月期より「AI事業」と並ぶ報告セグメントとして「インフラアセット事業」を新設し、系統用蓄電所の設計、開発及び譲渡、並びに電力系統接続に関する調査及び申込みの名義変更等の接続支援業務その他の蓄電所関連業務を提供しております。再生可能エネルギーの導入拡大や、生成AIの普及に伴うデータセンター等における電力需要の増加を背景に、電力系統の安定運用に必要な調整力及び供給力の確保を目的として、系統用蓄電池の整備が全国的に進められております。当社は、AI事業において培った電力需給計画の最適化に関する技術及び知見を活かし、系統用蓄電池の需給管理システムの開発から、蓄電所そのものの開発及び運用に至るまでを一気通貫で提供することで、社会全体の電力の安定供給及び再生可能エネルギーの有効活用に貢献してまいります。① 事業モデルインフラアセット事業では、独自のネットワークを活用した土地の選定、電力系統への接続申込み及び空き容量の確認、蓄電所の設計、EPC(注20)の各プロセスを経て蓄電所を開発し、開発した蓄電所を事業主へ譲渡するデベロップ&セル型の事業モデルを展開しております。加えて、充放電計画を自動制御する当社独自のAIエンジンを活用し、卸電力市場(JEPX)(注21)、需給調整市場(注22)、容量市場(注23)及び長期脱炭素電源オークション(注24)等の複数の電力市場を横断した収益機会の獲得に資する運用支援サービスを事業主に提供しております。系統用蓄電池の運用においては、電力市場価格や需給状況等の変動要因を踏まえた高頻度かつ即応的な充放電制御が求められることから、AI技術による自動化が有効であると考えております。② 案件規模の拡大当社は、出力数数MW級の設備を配電用変電所へ接続する高圧プロジェクトに加え、開発リードタイムは長いものの案件当たりの収益規模が大きい、出力数数十MW級の設備を一次変電所等へ接続する特別高圧プロジェクトへと、開発案件規模の拡大を進めております。③ 今後の事業展開当社は、系統用蓄電所の開発を通じて蓄積したノウハウ及び独自のAI技術を活用し、再生可能エネルギーにおける出力変動の吸収、データセンターにおける電力需要増への対応やBCP(事業継続計画)への貢献、各種産業分野における電力コストの最適化等、蓄電池を活用した事業領域の拡大を目指しております。 (注) 1.カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを指します。2.KPIとは、Key Performance Indicatorの略で、組織の目標達成の度合いを定義する補助となる計量基準群を指します。3.数理最適化とは、利用可能な値の集合体から、ある条件に対して最も良い値を選択する手法で、複数の変数及び制約条件が与えられた関数(目的関数)を最大又は最小にする変数の値、並びに最大値、最小値を求める数学的方法を指します。4.メタヒューリスティクスとは、現実空間において膨大な組合せが発生する最適化問題を解くための経験的手法(ヒューリスティクス)を有機的に結合させたアルゴリズムを指します。ある組合せをスタートに、少しずつ変化させていき、その組合せが良ければ採用、良くなければ別の変化を試す、といったことを繰り返して探索することを基本的な考え方とする手法となります。5.機械学習とは、経験からの学習により自動で改善するコンピュータアルゴリズム又はその研究領域で、人工知能の一種であるとみなされている手法であり、訓練データ又は学習データと呼ばれるデータを使って学習し、その学習結果を用いて何らかのタスクをこなす手法を指します。6.強化学習とは、人工知能の一種であり、訓練データ又は学習データを使わずに、選択した行動に対する報酬を最大化するようにシステム自身が試行錯誤しながら、行動を最適化する手法を指します。7.CLTVとは、Customer Life-Time Value(顧客生涯価値)の略で、マーケティングでは、企業にとってある一人の顧客が将来の関係全体に寄与する価値の予測を指します。8.アーリーアダプター顧客とは、米・スタンフォード大学の社会学者、エベレット・M・ロジャース教授(Everett M. Rogers)が提唱したイノベーション普及に関する理論で、流行に敏感で、情報収集を自ら行い、判断する人であり、他の消費層への影響力が大きく、オピニオンリーダーとも呼ばれる顧客のことを指します。9.ReNom APPSとは、シミュレータや最適化モデルを部品化・体系化し、計画最適化サービスをプラットフォームとして提供するためのアプリケーションを指します。10.ROIとは、return on investmentの略で、投じた費用に対してどれだけの利益を上げられるかを示す指標を指します。11.モジュール化とは、計画最適化システムのプログラムソースコードを、当該システムを構成する機能単位で分解することを指します。これにより顧客の要望に応じた機能ごとにモジュールを組み合わせて提供することが可能となります。12.データサイエンス教育とは、データを扱う手法である情報科学、統計学、アルゴリズム等を横断的に扱うための教育で、統計学、パターン認識、機械学習、データマイニング、可視化等、データサイエンティストを育成するための教育を指します。13.デジタルツインテクノロジーとは、物理空間(現実空間)にある情報を基にデジタル空間上に当該物理空間を再現する技術をいい、当社では顧客のビジネス環境や業務環境全体をデジタル空間上に再現する技術を指します。14.量子コンピュータとは、重ね合わせや量子もつれといった量子力学的な現象を用いて従来のコンピュータでは現実的な時間や規模で解けなかった問題を解くことが期待されるコンピュータを指します。15.量子アルゴリズムとは、量子コンピュータ上で動作するアルゴリズムを指します。16.NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)とは、エネルギー及び産業技術に関する研究開発の推進等を行う国立研究開発法人を指します。17.VPP(仮想発電所)とは、Virtual Power Plantの略で、分散する太陽光発電設備や蓄電池等のエネルギーリソースをIoT等の技術を用いて統合的に制御し、あたかも一つの発電所のように機能させる仕組みを指します。18.HPC(高性能計算)とは、High Performance Computingの略で、大規模かつ高速な演算処理を可能にするコンピュータシステムを指します。19.量子インスパイアコンピューティングとは、量子コンピュータで表現される量子の特性を従来のコンピュータ上で擬似的に表現する技術を指します。20.EPCとは、Engineering(設計)、Procurement(調達)及びConstruction(建設)の略で、設備の設計から資機材の調達、建設工事までを一括して請け負う契約方式を指します。21.卸電力市場(JEPX)とは、日本卸電力取引所(Japan Electric Power eXchange)が運営する、電気事業者間で電力を売買するための市場を指します。22.需給調整市場とは、一般送配電事業者が電力の需給バランスを維持するために必要な調整力を調達するための市場を指します。23.容量市場とは、将来にわたる電力の安定供給に必要な供給力(kW価値)を取引する市場を指します。24.長期脱炭素電源オークションとは、脱炭素電源への新規投資を促進するため、電源等の固定費を長期間にわたり回収できる収入を確保する入札の仕組みを指します。 [AI事業 事業系統図] [インフラアセット事業 事業系統図]

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
社会インフラ分野に特化したノウハウと大手企業への導入実績による先行優位性。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
社会インフラ分野に特化した計画最適化システムの開発ノウハウと最適化技術。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 軽い(資本不要)
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 低い
会社が挙げる主要リスク:景気動向及び業界動向の変化 / 競合の激化 / プロジェクト収支の悪化
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 4 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

現時点では、グリッド社が保有する特許、ブランド、規制ライセンス、独占的IPなどの無形資産に関する具体的な情報は公開されておらず、その競争優位性の源泉としての評価は困難です。今後の情報開示が待たれます。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

グリッド社が提供する電力需給調整市場向けプラットフォームは、既存の電力システムとの連携が不可欠であり、導入後のシステム変更には一定のコストと手間が想定されます。しかし、市場の成熟度や代替技術の出現可能性を考慮すると、スイッチング・コストは限定的と考えられます。

ネットワーク効果★☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

電力需給調整市場という特性上、参加者(発電事業者、需要家、アグリゲーター等)が増えることでプラットフォームの価値が高まる可能性はありますが、現時点ではネットワーク効果が顕著に現れているとは言えません。市場の拡大と参加者の増加が今後の鍵となります。

コスト優位☆☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

グリッド社は、電力需給調整市場というニッチな分野で事業を展開しており、現時点で他社と比較して構造的に低コストで生産・提供できる優位性を示す具体的な情報は確認できません。技術開発やオペレーション効率化によるコスト削減努力は継続していると考えられます。

規模の経済★☆☆☆☆
根拠:弱い規模が参入障壁になる

電力需給調整市場は比較的新しい市場であり、グリッド社が業界規模に対して最適な少数寡占を形成しているとは現時点では言えません。市場の成長に伴い、規模の経済が働く可能性はありますが、現時点での優位性は限定的です。

  • 社会インフラ特化のノウハウ
    グリッドは、電力・エネルギー、物流・サプライチェーン、都市交通・スマートシティといった社会インフラ分野に特化して計画最適化システムを開発してきました。この分野での開発を通じて蓄積された専門的な業務知識とノウハウは、他社にはない先行優位性となっており、新規参入企業にとって高い参入障壁となっています。これにより、顧客の複雑な課題に対して、より実用的なAIソリューションを提供できます。
  • 実績と導入企業との連携
    既に複数の大手企業に計画最適化システムを実装し、運用・サポートサービスを提供している実績があります。これにより、技術の実証だけでなく、実際のビジネス現場での効果を証明しており、新規顧客からの信頼獲得に繋がっています。大手企業との連携を通じて得られるフィードバックは、さらなる技術改善やサービス向上に活かされ、競争力を強化しています。
  • 数理最適化とAIの融合技術
    従来の数理最適化やメタヒューリスティクスといった手法に加え、機械学習や強化学習といった最先端のAI技術を組み合わせた独自のアルゴリズムを開発しています。これにより、複雑な業務計画において膨大な組み合わせの中から、実務に耐えうる短時間で最適な解を導き出すことが可能です。この高度な技術力は、他社との差別化要因となり、顧客の多様なニーズに応えることを可能にしています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、別段の表記がない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1) 経営方針私たちは、「INFRASTRUCTURE+LIFE+INNOVATION」を企業理念に掲げ、アルゴリズムとテクノロジーでこれまでのインフラを再定義し、未来の社会を支えるインフラを創造していくことをミッションにして活動しております。テクノロジーはいつの時代も、暮らしを豊かに、そして社会を大きく変えてきました。しかし世界は今、持続可能な社会の実現という課題に直面しております。「未来につづく社会を実現するためには社会の基盤であるインフラにイノベーションを起こすからこそ、新たな未来が拓ける」私たちのテクノロジーでインフラを進化させ、そしてその先もつづく持続可能な社会をつくることを目指しております。 (2) 経営環境当社が事業展開している産業分野ごとの経営環境を次のとおり認識しております。① 国内AIシステム市場国内AIシステム市場では、生成AIを活用した「生産性ユースケース (コンテンツ作成支援、ドキュメントの要約、プログラミング支援など)」を実現する機能がソフトウエアに本格的に組み込まれたことによって、急速にAIアシスタントが普及しました。また、先駆的な企業における「ビジネス機能ユースケース(企業の有するデータを用いてマーケティング、人事、財務、ITなどの業務の最適化/自動化といった業務改善)」の導入が始まりました。他方、生成AIと比較すると存在感が低下しているものの、以前から利用されている予測系/認識系AIも順調に成長を遂げました。結果、2025年の国内AI市場は2兆3,725億円(支出額ベース)となりました。同市場は2024年から2029年にかけて年平均成長率36.0%で拡大し、2029年には6兆8,897億円(2025年比2.9倍)になると予測されています。(参考:IDC Japan 株式会社「Worldwide AI and Generative AI Spending Guide, 2026V1」、2026年3月18日発表)② 電力関連市場電力関連市場では、電力取引を巡る新たな市場が導入されたこと等により、最も経済的な電力需給計画を策定する作業がより複雑化・高度化してきております。電力需給計画の立案においては、電力需要や卸電力市場価格、再生可能エネルギーの発電量など各種データの変動に対する影響を適切に評価することが不可欠となっております。また、直近ではエネルギー価格の高止まりを受けて再生可能エネルギーの価値が再評価されており、脱炭素の流れからも、再生可能エネルギーの普及が一層加速しております。しかし太陽光や風力といった再生可能エネルギーは発電量が天候などによって左右されてしまうことからコントロールが難しく、電力系統の制約にも課題が生じております。こうした背景から電力会社を中心にAIを活用した電力需給計画やエネルギーリソース制御が取り組まれており、経済産業省の「次世代の分散型エネルギーシステムの形成に向けた取組について」においても、分散型エネルギーシステムに対応したグリッド形成の推進が次世代投資として重要であると示されております。(参考:一般社団法人エネルギー情報センター「電力・エネルギー×AI。AIを活用した国内の最新エネルギービジネス事例①」)また、生成AIの普及等を背景としたデータセンターや半導体関連製造拠点の新設・増設等により電力需要が増加しており、2035年度までに需要電力量が568億kWh増加すると想定されるなど(出典:電力広域的運営推進機関「全国及び供給区域ごとの需要想定(2026年度)」、2026年1月21日公表)、電力の安定供給に向けた電力需給計画の重要性は一段と高まっております。 ③ 物流・サプライチェーン関連市場物流・サプライチェーン関連市場では、調達、製造、在庫管理、輸送とロジスティクス、カスタマーサポートサービス等、分野ごとの問題や課題に対応しつつ、サプライチェーン全体での最適化への取組みが始まっております。特に物流領域では、EC市場拡大等による輸送の少量多頻度化や2024年問題等により、更なる需給逼迫が懸念され、AIやロボティクス、IoTといった先端技術を活用した自動化・デジタル化の取組みが一層加速すると見込まれております。そのため2030年には物流DX(物流におけるワイヤレスネットワーク・IoT、ロボティクスオートメーション、ロボティクスファシリティ、ラストワンマイル配送ロボットオペレーション)の国内市場規模が約1.2兆円にまで達すると予測されております。(参考:KPMG「2030年市場展望と人材要件:運輸(物流DX)」)また、労働力人口の減少を背景に、対策を講じない場合、2030年には輸送能力が約34%(約9億トン相当)不足するとの試算もあり(出典:関係閣僚会議「物流革新に向けた政策パッケージ」)、限られた人員・車両で輸送力を最大化する計画最適化技術への期待は一層高まっております。④ エネルギーマネジメント関連市場エネルギーマネジメント関連市場では、脱炭素やDXといったメガトレンドの中、製造業を中心に脱炭素対策への注力度が高まっており、サプライチェーンにおけるCO2の総排出量(SCOPE3)把握ニーズが高まったことで、エネルギーの見える化を実施する企業が大企業だけでなくサプライチェーンに関わる中小規模の企業へと広がっております。また、再エネの自家消費に関連した太陽光発電システム関連設備や蓄電システムのニーズも高まっております。DX化に関連するものとしては、半導体関連製造拠点やデータセンターの新設・増設が活発であり、それに伴う設備投資の影響で主に関連ハードウェア市場に好影響をもたらしております。将来的には見える化を経てエネルギー削減のフェーズへ移行し、運用改善や省エネ、再エネ利用に関するシステムやサービスの市場が拡大していくと予想されております。また、同市場の拡大は脱炭素の要請に加え、労働力不足やコスト高騰等への対応によっても後押しされるものと見込まれております。(参考:株式会社富士経済「エネルギーマネジメント・パワーシステム関連市場実態総調査2026」)⑤ 国内脱炭素関連市場国内脱炭素関連市場では、日本政府が2050年カーボンニュートラルの実現に向けて「グリーン成長戦略」を策定しており、中でも成長が期待される産業として14分野が挙げられております。具体的には、ⅰ)エネルギー関連産業:①洋上風力・太陽光・地熱、②水素・燃料アンモニア、③次世代熱エネルギー、④原子力、ⅱ)輸送・製造関連産業:⑤自動車・蓄電池、⑥半導体・情報通信、⑦船舶、⑧物流・人流・土木インフラ、⑨食料・農林水産業、⑩航空機、⑪カーボンリサイクル・マテリアル、ⅲ)家庭・オフィス関連産業:⑫住宅・建築物・次世代電力マネジメント、⑬資源循環関連、⑭ライフスタイル関連であります。政府はこれらの施策による経済効果を2030年に年約140兆円、2050年には年約290兆円と見込んでおり、目標年度(2050年度)に向けて企業のグリーン投資が長期的に活発化していくと見られております。民間企業においても大企業を中心にこれらの政策に歩調を合わせて研究開発等が進められております。(出典:経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」)ただし、これらの技術革新や社会インフラにおいては、急激な変化に伴う社会混乱を避けるためにも、既存の技術や設備等との併用並びに緩やかな移行が行われるものと推測されます。当社の持つ最適化技術は、各企業の判断をサポートする有効なツールになるものと考えております。⑥ 系統用蓄電所(インフラアセット)関連市場系統用蓄電所(インフラアセット)関連市場では、社会全体でのAI普及に伴うデータセンターや半導体工場の新増設等により、2035年度までに需要電力量が新たに568億kWh必要となると見込まれるなど、電力不足の深刻化が大きな社会課題となっております。さらに、日本政府の第7次エネルギー基本計画において2040年度に再生可能エネルギーの比率を40~50%に拡大する方針が示され、主力電源としての導入が加速しております。これらを背景に、太陽光や風力等の再生可能エネルギーの天候等による出力変動を吸収し、昼夜の需給ギャップを解消するための調整力・補助電源として、系統用蓄電池のニーズが急速に高まっております。こうした市場環境を背景に、系統用蓄電所の開発・譲渡及び運用支援を行う事業者に対する需要が拡大しているものと認識しております。(出典:資源エネルギー庁「第7次エネルギー基本計画」等) (3) 中期的な経営戦略当社は社会インフラ領域で人々の生活に変革をもたらすことを目指し、主にAIアルゴリズムの技術を用いた「計画最適化」の研究開発と社会実装を通じて様々な社会問題を解決し、より良い未来の実現に貢献するべく事業を展開しております。社会インフラ領域において、当社は電力、製造・運輸、都市・交通の3分野に注力しております。また、2025年6月期より系統用蓄電所関連サービスを開始し、2026年5月には系統用蓄電所の開発案件を受注して開発に着手したことに伴い、当事業年度(2026年6月期)より、AIエンジンの開発・システム開発・運用サポートを一貫して提供する「AI事業」に加え、系統用蓄電所の開発及び譲渡等を行う「インフラアセット事業」を新たな収益の柱と位置付け、2事業セグメント体制へ移行しております。AI事業において提供している各分野における最適化のソリューションは、顧客のコア業務である計画業務に関わっており、企業活動の中心的な業務をサポートするという性質上、今後そこから派生する様々な計画業務に拡張・展開していくことが可能となります。また、計画最適化は高度な技術を要求されるため、一般的なITベンダーの参入障壁が高い分野であります。当社はそのような市場環境と、顧客ニーズに対してアルゴリズムの技術を用いた計画最適化ソリューションを展開することにより事業成長を目指してまいります。加えて、各産業に特化した計画最適化システムをアプリケーションにて提供するReNom APPSやAIによる開発の半自動化の研究開発、最適化技術を用いた材料開発等、関連領域の研究開発を進め、事業成長の加速に繋げてまいります。インフラアセット事業においては、独自のネットワークを活用した土地選定から、系統接続の申込み・空き容量の確保、蓄電所の設計及びEPC(設計・調達・建設)までを一気通貫で行い、開発した蓄電所を事業主へ売却する「デベロップ&セル」の開発モデルを展開しております。また、売却後においても、充放電計画を自動制御する独自のAIエンジンを活用した運用支援サービスを提供し、開発から運用まで一貫して手掛けております。案件規模については、高圧の系統用蓄電所開発から、大規模な特別高圧の開発へと段階的な拡大を図り、複数の案件を推進してまいります。 (4) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等当社は、フリー・キャッシュ・フローの拡大が企業価値向上に寄与するものと考え、持続的な成長を実現するため、売上及び営業利益の拡大を重視しております。売上の拡大にあたっては、顧客基盤の拡大に加え、一顧客に対してAIエンジン開発、システム開発、運用・サポートを一貫して提供し、その後もアップセル・クロスセルを続け、中長期的な関係を構築してまいります。このことはストック型売上の拡大や既存顧客売上比率(リピート率)の維持につながり、持続的な売上の成長の実現に寄与するものと考えております。また、当社の運用・サポートは生産性の高いストック型売上であり、開発と比較してエンジニアの数を要しないため、持続的な営業利益の成長にも寄与するものと考えております。また、インフラアセット事業においては、系統用蓄電所の開発・譲渡を主軸としつつ、系統接続支援等による収益を組み合わせる収益構造としております。今後は、高圧の系統用蓄電所開発から大規模な特別高圧の開発へと案件規模の大型化を進めることで、1案件当たりの収益インパクトを高め、AI事業とあわせて全社の売上高及び営業利益の拡大に寄与するものと考えております。以上より、売上高成長率及び営業利益率を企業経営の基本的な指標とし、会社の成長ステージに合わせて適切な水準を定め、持続的な成長とともに企業価値向上を図ってまいります。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等当社の対処すべき主要な課題は次のとおりであります。① 開発体制の強化 安定的かつ着実な事業拡大を図る上では、常に最新技術の動向を把握・検証し、必要に応じて当社事業へ取り込みながら、顧客サービスのパフォーマンスを維持・向上させ、高い収益率を確保することが重要であると考えております。そのために、優秀な人材の積極採用、開発プロセスの継続的見直し、社内におけるノウハウ共有や教育訓練等の実施のみならず、エンジニアが能力を十分に発揮できる環境づくりも含めて、より強固な開発体制の構築に向けて取り組んでまいります。② 営業体制の強化 顧客の課題解決に向けて高い価値を提供するためには、当社の技術的可能性を十分に理解した上で、潜在的なものを含め顧客ニーズを明確に把握し、サービスを提案できる人材及び組織が必要であると考えております。今後の事業拡大に合わせて十分な体制を維持強化すべく、コンサルティング営業人材の積極採用、情報やノウハウのシェア、一元管理等を効率的・効果的に行う営業組織の仕組み化に取り組んでまいります。③ 顧客基盤の拡大 持続的な成長を維持するためには、継続して顧客基盤を拡大していく必要があると認識しております。当社サービスの対象となる企業は、社会インフラを支える巨大企業が多いため、一つの部門にとどまらず、様々な部門へのサービス提供の可能性があります。したがいまして、新規顧客を開拓することはもとより、一顧客の別部門を開拓することも重要であると考えております。プレスリリース、既存顧客からの紹介、ウェビナー開催、展示会出展等を通じてのプル型営業だけでなく、積極的なプッシュ型営業も組み合わせて顧客基盤の拡大を図ってまいります。④ ストック型売上の拡大 当社のAI事業においては、AIエンジンの開発(AI開発)、AIエンジンを搭載した業務システムの顧客への導入(システム開発)、運用・サポートの順で一貫してプロジェクトを進めるビジネスモデルを展開しており、運用・サポートの売上をストック型売上として定義しております。当社が提供するサービスは顧客のコア業務を支えるシステムであるため、スイッチングコストが高く、継続的な契約が見込まれます。したがいまして、安定した成長と収益を確保するために、ストック型売上の拡大を図ってまいります。 ⑤ 系統用蓄電所開発案件の積上げ 当社のインフラアセット事業においては、2026年5月に系統用蓄電所の開発案件を受注し、開発を開始しており、開発の実績及び経験について、今後も積上げが必要な段階にあります。営業、開発プロセス及びプロジェクト収支を管理するための内部体制強化が求められる状況にあるため、営業体制の強化、開発プロセスの継続的な見直しと社内におけるノウハウ共有、収支管理体制の構築・運用に取り組んでまいります。⑥ 内部管理体制の強化 当社は、事業拡大に向けて、エンジニアを中心に積極的な採用を行っており、事業・組織両面での成長を続けている段階にあります。業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が一層求められる状況にあるため、経営管理体制の整備を推進するとともに経営の公正性・透明性を確保し、より強固な内部管理体制の構築に取り組んでまいります。⑦ 情報セキュリティの強化 当社は、サービス提供過程において、秘密情報や個人情報を取り扱う可能性があり、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、情報セキュリティ管理規程等に基づき管理を徹底しておりますが、今後も社内教育・研修の実施やシステムの整備等を継続して行ってまいります。⑧ 新技術への対応 当社が強みとするAI関連の技術は、将来的な利用可能性の高さから世界的に研究開発が活発に行われております。当社は2017年より量子コンピュータ上で動作する量子アルゴリズムの研究開発を行っており、複数の特許を出願しております。今後さらに増大していく計算量への対応策として先行して開発成果を実用化させることにとどまらず、様々な分野の新技術動向を注視し当社の成長に繋げてまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、別段の表記がない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1) 経営方針私たちは、「INFRASTRUCTURE+LIFE+INNOVATION」を企業理念に掲げ、アルゴリズムとテクノロジーでこれまでのインフラを再定義し、未来の社会を支えるインフラを創造していくことをミッションにして活動しております。テクノロジーはいつの時代も、暮らしを豊かに、そして社会を大きく変えてきました。しかし世界は今、持続可能な社会の実現という課題に直面しております。「未来につづく社会を実現するためには社会の基盤であるインフラにイノベーションを起こすからこそ、新たな未来が拓ける」私たちのテクノロジーでインフラを進化させ、そしてその先もつづく持続可能な社会をつくることを目指しております。 (2) 経営環境当社が事業展開している産業分野ごとの経営環境を次のとおり認識しております。① 国内AIシステム市場国内AIシステム市場では、生成AIを活用した「生産性ユースケース (コンテンツ作成支援、ドキュメントの要約、プログラミング支援など)」を実現する機能がソフトウエアに本格的に組み込まれたことによって、急速にAIアシスタントが普及しました。また、先駆的な企業における「ビジネス機能ユースケース(企業の有するデータを用いてマーケティング、人事、財務、ITなどの業務の最適化/自動化といった業務改善)」の導入が始まりました。他方、生成AIと比較すると存在感が低下しているものの、以前から利用されている予測系/認識系AIも順調に成長を遂げました。結果、2025年の国内AI市場は2兆3,725億円(支出額ベース)となりました。同市場は2024年から2029年にかけて年平均成長率36.0%で拡大し、2029年には6兆8,897億円(2025年比2.9倍)になると予測されています。(参考:IDC Japan 株式会社「Worldwide AI and Generative AI Spending Guide, 2026V1」、2026年3月18日発表)② 電力関連市場電力関連市場では、電力取引を巡る新たな市場が導入されたこと等により、最も経済的な電力需給計画を策定する作業がより複雑化・高度化してきております。電力需給計画の立案においては、電力需要や卸電力市場価格、再生可能エネルギーの発電量など各種データの変動に対する影響を適切に評価することが不可欠となっております。また、直近ではエネルギー価格の高止まりを受けて再生可能エネルギーの価値が再評価されており、脱炭素の流れからも、再生可能エネルギーの普及が一層加速しております。しかし太陽光や風力といった再生可能エネルギーは発電量が天候などによって左右されてしまうことからコントロールが難しく、電力系統の制約にも課題が生じております。こうした背景から電力会社を中心にAIを活用した電力需給計画やエネルギーリソース制御が取り組まれており、経済産業省の「次世代の分散型エネルギーシステムの形成に向けた取組について」においても、分散型エネルギーシステムに対応したグリッド形成の推進が次世代投資として重要であると示されております。(参考:一般社団法人エネルギー情報センター「電力・エネルギー×AI。AIを活用した国内の最新エネルギービジネス事例①」)また、生成AIの普及等を背景としたデータセンターや半導体関連製造拠点の新設・増設等により電力需要が増加しており、2035年度までに需要電力量が568億kWh増加すると想定されるなど(出典:電力広域的運営推進機関「全国及び供給区域ごとの需要想定(2026年度)」、2026年1月21日公表)、電力の安定供給に向けた電力需給計画の重要性は一段と高まっております。 ③ 物流・サプライチェーン関連市場物流・サプライチェーン関連市場では、調達、製造、在庫管理、輸送とロジスティクス、カスタマーサポートサービス等、分野ごとの問題や課題に対応しつつ、サプライチェーン全体での最適化への取組みが始まっております。特に物流領域では、EC市場拡大等による輸送の少量多頻度化や2024年問題等により、更なる需給逼迫が懸念され、AIやロボティクス、IoTといった先端技術を活用した自動化・デジタル化の取組みが一層加速すると見込まれております。そのため2030年には物流DX(物流におけるワイヤレスネットワーク・IoT、ロボティクスオートメーション、ロボティクスファシリティ、ラストワンマイル配送ロボットオペレーション)の国内市場規模が約1.2兆円にまで達すると予測されております。(参考:KPMG「2030年市場展望と人材要件:運輸(物流DX)」)また、労働力人口の減少を背景に、対策を講じない場合、2030年には輸送能力が約34%(約9億トン相当)不足するとの試算もあり(出典:関係閣僚会議「物流革新に向けた政策パッケージ」)、限られた人員・車両で輸送力を最大化する計画最適化技術への期待は一層高まっております。④ エネルギーマネジメント関連市場エネルギーマネジメント関連市場では、脱炭素やDXといったメガトレンドの中、製造業を中心に脱炭素対策への注力度が高まっており、サプライチェーンにおけるCO2の総排出量(SCOPE3)把握ニーズが高まったことで、エネルギーの見える化を実施する企業が大企業だけでなくサプライチェーンに関わる中小規模の企業へと広がっております。また、再エネの自家消費に関連した太陽光発電システム関連設備や蓄電システムのニーズも高まっております。DX化に関連するものとしては、半導体関連製造拠点やデータセンターの新設・増設が活発であり、それに伴う設備投資の影響で主に関連ハードウェア市場に好影響をもたらしております。将来的には見える化を経てエネルギー削減のフェーズへ移行し、運用改善や省エネ、再エネ利用に関するシステムやサービスの市場が拡大していくと予想されております。また、同市場の拡大は脱炭素の要請に加え、労働力不足やコスト高騰等への対応によっても後押しされるものと見込まれております。(参考:株式会社富士経済「エネルギーマネジメント・パワーシステム関連市場実態総調査2026」)⑤ 国内脱炭素関連市場国内脱炭素関連市場では、日本政府が2050年カーボンニュートラルの実現に向けて「グリーン成長戦略」を策定しており、中でも成長が期待される産業として14分野が挙げられております。具体的には、ⅰ)エネルギー関連産業:①洋上風力・太陽光・地熱、②水素・燃料アンモニア、③次世代熱エネルギー、④原子力、ⅱ)輸送・製造関連産業:⑤自動車・蓄電池、⑥半導体・情報通信、⑦船舶、⑧物流・人流・土木インフラ、⑨食料・農林水産業、⑩航空機、⑪カーボンリサイクル・マテリアル、ⅲ)家庭・オフィス関連産業:⑫住宅・建築物・次世代電力マネジメント、⑬資源循環関連、⑭ライフスタイル関連であります。政府はこれらの施策による経済効果を2030年に年約140兆円、2050年には年約290兆円と見込んでおり、目標年度(2050年度)に向けて企業のグリーン投資が長期的に活発化していくと見られております。民間企業においても大企業を中心にこれらの政策に歩調を合わせて研究開発等が進められております。(出典:経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」)ただし、これらの技術革新や社会インフラにおいては、急激な変化に伴う社会混乱を避けるためにも、既存の技術や設備等との併用並びに緩やかな移行が行われるものと推測されます。当社の持つ最適化技術は、各企業の判断をサポートする有効なツールになるものと考えております。⑥ 系統用蓄電所(インフラアセット)関連市場系統用蓄電所(インフラアセット)関連市場では、社会全体でのAI普及に伴うデータセンターや半導体工場の新増設等により、2035年度までに需要電力量が新たに568億kWh必要となると見込まれるなど、電力不足の深刻化が大きな社会課題となっております。さらに、日本政府の第7次エネルギー基本計画において2040年度に再生可能エネルギーの比率を40~50%に拡大する方針が示され、主力電源としての導入が加速しております。これらを背景に、太陽光や風力等の再生可能エネルギーの天候等による出力変動を吸収し、昼夜の需給ギャップを解消するための調整力・補助電源として、系統用蓄電池のニーズが急速に高まっております。こうした市場環境を背景に、系統用蓄電所の開発・譲渡及び運用支援を行う事業者に対する需要が拡大しているものと認識しております。(出典:資源エネルギー庁「第7次エネルギー基本計画」等) (3) 中期的な経営戦略当社は社会インフラ領域で人々の生活に変革をもたらすことを目指し、主にAIアルゴリズムの技術を用いた「計画最適化」の研究開発と社会実装を通じて様々な社会問題を解決し、より良い未来の実現に貢献するべく事業を展開しております。社会インフラ領域において、当社は電力、製造・運輸、都市・交通の3分野に注力しております。また、2025年6月期より系統用蓄電所関連サービスを開始し、2026年5月には系統用蓄電所の開発案件を受注して開発に着手したことに伴い、当事業年度(2026年6月期)より、AIエンジンの開発・システム開発・運用サポートを一貫して提供する「AI事業」に加え、系統用蓄電所の開発及び譲渡等を行う「インフラアセット事業」を新たな収益の柱と位置付け、2事業セグメント体制へ移行しております。AI事業において提供している各分野における最適化のソリューションは、顧客のコア業務である計画業務に関わっており、企業活動の中心的な業務をサポートするという性質上、今後そこから派生する様々な計画業務に拡張・展開していくことが可能となります。また、計画最適化は高度な技術を要求されるため、一般的なITベンダーの参入障壁が高い分野であります。当社はそのような市場環境と、顧客ニーズに対してアルゴリズムの技術を用いた計画最適化ソリューションを展開することにより事業成長を目指してまいります。加えて、各産業に特化した計画最適化システムをアプリケーションにて提供するReNom APPSやAIによる開発の半自動化の研究開発、最適化技術を用いた材料開発等、関連領域の研究開発を進め、事業成長の加速に繋げてまいります。インフラアセット事業においては、独自のネットワークを活用した土地選定から、系統接続の申込み・空き容量の確保、蓄電所の設計及びEPC(設計・調達・建設)までを一気通貫で行い、開発した蓄電所を事業主へ売却する「デベロップ&セル」の開発モデルを展開しております。また、売却後においても、充放電計画を自動制御する独自のAIエンジンを活用した運用支援サービスを提供し、開発から運用まで一貫して手掛けております。案件規模については、高圧の系統用蓄電所開発から、大規模な特別高圧の開発へと段階的な拡大を図り、複数の案件を推進してまいります。 (4) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等当社は、フリー・キャッシュ・フローの拡大が企業価値向上に寄与するものと考え、持続的な成長を実現するため、売上及び営業利益の拡大を重視しております。売上の拡大にあたっては、顧客基盤の拡大に加え、一顧客に対してAIエンジン開発、システム開発、運用・サポートを一貫して提供し、その後もアップセル・クロスセルを続け、中長期的な関係を構築してまいります。このことはストック型売上の拡大や既存顧客売上比率(リピート率)の維持につながり、持続的な売上の成長の実現に寄与するものと考えております。また、当社の運用・サポートは生産性の高いストック型売上であり、開発と比較してエンジニアの数を要しないため、持続的な営業利益の成長にも寄与するものと考えております。また、インフラアセット事業においては、系統用蓄電所の開発・譲渡を主軸としつつ、系統接続支援等による収益を組み合わせる収益構造としております。今後は、高圧の系統用蓄電所開発から大規模な特別高圧の開発へと案件規模の大型化を進めることで、1案件当たりの収益インパクトを高め、AI事業とあわせて全社の売上高及び営業利益の拡大に寄与するものと考えております。以上より、売上高成長率及び営業利益率を企業経営の基本的な指標とし、会社の成長ステージに合わせて適切な水準を定め、持続的な成長とともに企業価値向上を図ってまいります。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等当社の対処すべき主要な課題は次のとおりであります。① 開発体制の強化 安定的かつ着実な事業拡大を図る上では、常に最新技術の動向を把握・検証し、必要に応じて当社事業へ取り込みながら、顧客サービスのパフォーマンスを維持・向上させ、高い収益率を確保することが重要であると考えております。そのために、優秀な人材の積極採用、開発プロセスの継続的見直し、社内におけるノウハウ共有や教育訓練等の実施のみならず、エンジニアが能力を十分に発揮できる環境づくりも含めて、より強固な開発体制の構築に向けて取り組んでまいります。② 営業体制の強化 顧客の課題解決に向けて高い価値を提供するためには、当社の技術的可能性を十分に理解した上で、潜在的なものを含め顧客ニーズを明確に把握し、サービスを提案できる人材及び組織が必要であると考えております。今後の事業拡大に合わせて十分な体制を維持強化すべく、コンサルティング営業人材の積極採用、情報やノウハウのシェア、一元管理等を効率的・効果的に行う営業組織の仕組み化に取り組んでまいります。③ 顧客基盤の拡大 持続的な成長を維持するためには、継続して顧客基盤を拡大していく必要があると認識しております。当社サービスの対象となる企業は、社会インフラを支える巨大企業が多いため、一つの部門にとどまらず、様々な部門へのサービス提供の可能性があります。したがいまして、新規顧客を開拓することはもとより、一顧客の別部門を開拓することも重要であると考えております。プレスリリース、既存顧客からの紹介、ウェビナー開催、展示会出展等を通じてのプル型営業だけでなく、積極的なプッシュ型営業も組み合わせて顧客基盤の拡大を図ってまいります。④ ストック型売上の拡大 当社のAI事業においては、AIエンジンの開発(AI開発)、AIエンジンを搭載した業務システムの顧客への導入(システム開発)、運用・サポートの順で一貫してプロジェクトを進めるビジネスモデルを展開しており、運用・サポートの売上をストック型売上として定義しております。当社が提供するサービスは顧客のコア業務を支えるシステムであるため、スイッチングコストが高く、継続的な契約が見込まれます。したがいまして、安定した成長と収益を確保するために、ストック型売上の拡大を図ってまいります。 ⑤ 系統用蓄電所開発案件の積上げ 当社のインフラアセット事業においては、2026年5月に系統用蓄電所の開発案件を受注し、開発を開始しており、開発の実績及び経験について、今後も積上げが必要な段階にあります。営業、開発プロセス及びプロジェクト収支を管理するための内部体制強化が求められる状況にあるため、営業体制の強化、開発プロセスの継続的な見直しと社内におけるノウハウ共有、収支管理体制の構築・運用に取り組んでまいります。⑥ 内部管理体制の強化 当社は、事業拡大に向けて、エンジニアを中心に積極的な採用を行っており、事業・組織両面での成長を続けている段階にあります。業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が一層求められる状況にあるため、経営管理体制の整備を推進するとともに経営の公正性・透明性を確保し、より強固な内部管理体制の構築に取り組んでまいります。⑦ 情報セキュリティの強化 当社は、サービス提供過程において、秘密情報や個人情報を取り扱う可能性があり、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、情報セキュリティ管理規程等に基づき管理を徹底しておりますが、今後も社内教育・研修の実施やシステムの整備等を継続して行ってまいります。⑧ 新技術への対応 当社が強みとするAI関連の技術は、将来的な利用可能性の高さから世界的に研究開発が活発に行われております。当社は2017年より量子コンピュータ上で動作する量子アルゴリズムの研究開発を行っており、複数の特許を出願しております。今後さらに増大していく計算量への対応策として先行して開発成果を実用化させることにとどまらず、様々な分野の新技術動向を注視し当社の成長に繋げてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。① 財政状態の状況(資産)当事業年度末における総資産は5,135百万円となり、前事業年度末と比較して717百万円増加いたしました。流動資産は4,607百万円となり、444百万円増加いたしました。これは主に契約資産が664百万円、その他に含まれる前払金が212百万円増加した一方で、現金及び預金が348百万円、売掛金が116百万円減少したことによるものであります。固定資産は527百万円となり、272百万円増加いたしました。これは主に本社移転に伴い建物附属設備が142百万円、その他に含まれる敷金及び保証金が112百万円、工具、器具及び備品が68百万円増加した一方で、ソフトウエアが40百万円減少したことによるものであります。(負債)当事業年度末における負債は843百万円となり、前事業年度末と比較して365百万円増加いたしました。流動負債は843百万円となり、365百万円増加いたしました。これは主に、契約負債が173百万円、未払法人税等が87百万円、買掛金が48百万円増加したことによるものであります。 (純資産)当事業年度末における純資産は4,291百万円となり、前事業年度末と比較して351百万円増加いたしました。これは主に当期純利益の計上により利益剰余金が345百万円増加したことによるものであります。 ② 経営成績の状況当事業年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費の持ち直しや、旺盛な設備投資需要により、緩やかな回復基調で推移いたしました。地政学リスクの高まりが見られた中東情勢については、米国・イラン間の暫定合意により情勢の緩和が進みエネルギー供給の安定化が期待されるものの、依然として先行きを注視していく必要があります。エネルギー価格の変動の影響を大きく受ける電力に関しては、EVの普及やIT機器の利活用等により今後も旺盛な需要が続くと見込まれ、一層の安定的かつ経済的な供給体制が求められております。昨今は生成AIの需要の高まりに伴い、大規模な電力消費を伴うデータセンターの設置や増強が加速しております。また、大量のデータを必要とする社会全体のデジタル化に伴い、製造に膨大な電力を必要とする半導体の需要も急速に増加しております。電力広域的運営推進機関によると、データセンターや半導体工場の新増設に伴う需要電力量は2035年度までに568億kWh増加し、電力需要全体でも増加の見通しとなっております(出典:全国及び供給区域ごとの需要想定(2026年度)、2026年1月21日公表)。このような状況下、当社は電力会社に対して、AI技術や数理最適化技術を用いた電力需給計画の最適化を提供しており、AIエンジン開発、システム開発、運用・サポートまで一貫したサービスを展開し、電力会社のエネルギー消費量の削減を実現してまいりました。今後も電力会社におけるサービス拡大を進めつつ、大口需要家に対しても蓄電池の充放電最適化のシステムを搭載した蓄電所を開発・提供し、社会全体のエネルギー消費量の削減に貢献してまいります。また、製造・運輸、都市・交通分野にも注力し、配船計画、生産計画、鉄道運行計画等の最適化も提供してまいりました。これまでの計画業務は、オペレーションを熟知した熟練人材による多大な労力により成立しておりましたが、AI技術や数理最適化技術を用いた当社の計画最適化サービスは、複雑かつ不確実性の高いビジネス環境下でも短時間で最適な計画を提供し、属人性を排することを可能としております。このことから、今後の労働人口減少から想定される社会インフラの人材不足とサービスの安定供給という課題に対して、当社のサービスは有力な解決方法と考えられ、当社の事業に対する期待は一層高まっております。また、当社は開発体制の強化に向けて優秀なエンジニアの積極採用を行うことで今後の事業拡大に向けた取組みを進めており、当事業年度末におけるエンジニアは93名(前期比27.4%増)となりました。加えて、管理体制の強化も進めており、営業・管理部門は46名(前期比27.8%増)となりました。このことから、製造費用におけるエンジニアの人件費は910百万円(前期比20.0%増)、販管費における営業・管理部門の人件費は517百万円(前期比26.9%増)となりました。以上より、2026年6月期について、売上高は3,119百万円(前期比51.2%増)となり、営業利益459百万円(前期比7.3%増)、経常利益466百万円(前期比8.9%増)、当期純利益345百万円(前期比15.7%増)となりました。 当社は従来、「AI事業」の単一セグメントとしておりましたが、蓄電所の開発を開始したことから当事業年度より、報告セグメントを「AI事業」及び「インフラアセット事業」に変更しております。なお、前事業年度のセグメント情報については、変更後の報告セグメント区分に基づき作成したものを記載しております。セグメントごとの業績は以下のとおりです。(AI事業)AI事業においては、AIエンジンの開発(AI開発)、AIエンジンを搭載した業務システムの顧客への導入(システム開発)及び運用・サポートを提供しております。AI事業は、引き続き、電力、製造・運輸、都市・交通の3分野に注力いたしましたが、予算規模が大きい電力会社からの継続した追加受注や本番導入開発により、電力分野の売上がAI事業全体の約6割を占めることとなりました。製造・運輸分野については、配船計画の本番導入開発が完了し保守案件へ移行したことから売上が減少し全体の約2割を占める結果となりました。都市・交通分野については、鉄道会社案件の売上が堅調に推移し全体の約2割を占める結果となりました。当社は、AI事業においてAIエンジン及びシステム開発をフロー型売上、運用・サポートをストック型売上として定義しておりますが、2026年6月期のAI事業の合計売上高は2,362百万円(前期比17.9%増)、うちフロー型売上は1,723百万円(前期比15.4%増)でストック型売上は639百万円(前期比25.2%増)となりました。ドメイン別では、電力分野の合計売上高は1,407百万円(前期比22.0%増)、うちフロー型売上は1,166百万円(前期比18.9%増)でストック型売上は241百万円(前期比39.9%増)、製造・運輸分野の合計売上高は477百万円(前期比15.4%減)、うちフロー型売上は173百万円(前期比42.9%減)でストック型売上は304百万円(前期比16.8%増)、都市・交通分野の合計売上高は402百万円(前期比86.6%増)、うちフロー型売上は309百万円(前期比123.4%増)でストック型売上は93百万円(前期比20.9%増)、社会インフラ3分野に分類されないその他の合計売上高は75百万円(前期比6.3%増)となりました。また、ストック型売上比率は27.1%(前期比1.6ポイント増)、全体の顧客平均売上は60.5百万円(前期比17.9%増)、取引先数は39社(前期比増減なし)、うちAI開発、システム開発、運用・サポートの3区分では、顧客平均売上は63.9百万円(前期比16.5%増)、取引先数は36社(前期比増減なし)となりました。以上より、AI事業の2026年6月期について、売上高は2,362百万円(前期比17.9%増)、セグメント利益は848百万円(前期比12.5%増)となりました。 (インフラアセット事業)インフラアセット事業においては、系統用蓄電所の設計、開発及び譲渡、並びに電力系統接続支援業務その他の蓄電所関連業務を提供しております。インフラアセット事業は、第4四半期より蓄電所開発に着手し工事が順調に進捗したことに加え、電力系統接続申請支援についても売上を計上いたしました。以上より、インフラアセット事業の2026年6月期について、売上高は756百万円(前期比1,173.9%増)、セグメント利益は100百万円(前期比164.7%増)となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,849百万円となり、前事業年度末と比較して348百万円減少いたしました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果使用した資金は28百万円(前期は405百万円の資金の獲得)となりました。主な収入要因は、税引前当期純利益466百万円、契約負債の増加173百万円、減価償却費69百万円である一方、主な支出要因は、売掛金及び契約資産の増加548百万円によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は320百万円(前期は46百万円の資金の使用)となりました。主な支出要因は、本社移転に伴う有形固定資産の取得218百万円、敷金及び保証金の差入による支出133百万円によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果獲得した資金は0百万円(前期は62百万円の資金の使用)となりました。収入要因は、ストックオプションの行使による収入6百万円である一方、主な支出要因は、長期借入金の返済5百万円によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a 生産実績当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。b 受注実績当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。c 販売実績当事業年度の販売実績は次のとおりであります。セグメントの名称売上高(千円)前期比(%)AI事業2,362,82317.9インフラアセット事業756,2551,173.9合計3,119,07951.2 (注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前事業年度(自 2024年7月1日 至 2025年6月30日)当事業年度(自 2025年7月1日 至 2026年6月30日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)九州電力株式会社124,9256.1542,14717.4株式会社エー・ディー・ワークス--488,35515.7北海道電力株式会社550,34826.7180,8725.8 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容(売上高)当事業年度における売上高は3,119百万円(前期比51.2%増)となり、前事業年度と比較して1,055百万円の増収となりました。これは主にインフラアセット事業において、当期より蓄電所開発に着手し工事が順調に進捗したことから売上高が696百万円増加したことによるものであります。また、AI事業においても、電力分野を中心とする継続的な追加受注や都市・交通分野の堅調な推移により、売上高が358百万円増加しました。(売上原価、売上総利益)当事業年度における売上原価は1,244百万円(前期比126.9%増)となりました。これは主に、蓄電所開発に着手したことによる外注費及びエンジニアの人件費の増加によるものであります。この結果、売上総利益は1,875百万円(前期比23.8%増)となりました。(販売費及び一般管理費、営業利益)当事業年度における販売費及び一般管理費は1,415百万円(前期比30.2%増)となりました。主な内訳は、営業・管理の人件費、研究開発費、技術販管費であります。この結果、営業利益は459百万円(前期比7.3%増)となりました。(営業外収益、営業外費用、経常利益)当事業年度において、営業外収益は9百万円、営業外費用は2百万円発生しました。これは主に受取利息6百万円、補修費用2百万円が発生したことによるものであります。この結果、経常利益は466百万円(前期比8.9%増)となりました。(当期純利益)当事業年度において、税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)を121百万円を計上した結果、当期純利益は345百万円(前期比15.7%増)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与手当、プロジェクトに必要なソフトウエア関連費用、蓄電所開発に必要な外注費、地代家賃等の販売費及び一般管理費の営業費用であり、営業活動によるキャッシュ・フローでまかなうことを基本としております。また、事業運営上必要な資金を安定的に確保するとともに、M&Aや新たな事業への投資を行っていく中で最適な資本構成を構築するため、その際には自己資金だけではなく金融機関からの借入も積極的に行っていくことを考えております。当社は3行の金融機関との間で合計900百万円の当座貸越契約を締結(当事業年度末現在で借入実行残高はありません)しており、手許資金の流動性が不足すると想定される場合には、当座貸越契約を活用し金融機関からの短期借入金を通じて、必要な資金残高を確保することを考えております。 キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ③ 経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズに合った製品やサービスの展開等により、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応してまいります。 ④ 経営者の問題意識と今後の方針に関して経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、様々な課題に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者は常に外部環境の変化に関する情報を入手・分析し、現在及び将来における事業環境を認識した上で、当社の経営資源を最適に配分し、有効な解決策を実施していく方針であります。 ⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、売上高成長率及び営業利益率を基本的な経営指標としております。過年度における当社の各指標等の進捗は次のとおりであります。 (単位:千円) 前事業年度(自 2024年7月1日 至 2025年6月30日)当事業年度(自 2025年7月1日 至 2026年6月30日) 通期実績通期実績前期比(%)売上高全社2,063,4153,119,07951.2 AI事業2,004,0502,362,82317.9 インフラアセット事業59,364756,2551,173.9営業利益全社428,297459,4207.3 AI事業754,470848,52712.5 インフラアセット事業37,883100,266164.7 本社費△364,055△489,373- 当事業年度は、インフラアセット事業における蓄電所開発の順調な進捗が寄与し、売上高成長率は51.2%となり計画を達成いたしました。営業利益につきましては、各事業セグメントの増益により459百万円となりました。営業利益率につきましては、新たに事業として立ち上がったインフラアセット事業は既存のAI事業と異なる収益構造であることから、14.7%と前事業年度から低下したものの、計画(14.5%)を上回り、目標を達成いたしました。 ⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されておりますが、この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、当社の実態等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、当社が行っております会計上の見積りのうち特に重要なものは次のとおりであります。(進捗度に基づく収益認識)財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる場合には、進捗度に基づき収益を認識しております。進捗度の測定は、AIシステム開発等においては各報告期間の期末日までに発生した工数が、総工数の見積りに占める割合、蓄電所開発においては各報告期間の期末日までに発生した原価が、総原価の見積りに占める割合に基づいて行っております。進捗度に基づく収益計上の基礎となる総工数及び原価の見積りの算定はプロジェクトごとに行っておりますが、その基礎となる作業内容に不確実性を伴っております。総工数及び原価の見積りはプロジェクトの進行に応じて適宜見直しが行われ、見積り時点では予見できなかった仕様変更や納期変更、施工上の問題の発生等により見積りの変更が発生し、その結果進捗度が変動する可能性があり、翌事業年度の財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。(繰延税金資産の計上)当社は繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることに加え、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提となる条件や仮説に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額が変動し、当期純利益に影響を与える可能性があり、重要と考えております。

事業リスク

  • 景気変動と技術革新への対応
    AI技術を用いた計画最適化市場は拡大が予想されますが、景気動向やAI関連技術の急速な進歩によって事業環境が変化する可能性があります。経済情勢の変化や技術革新への対応が遅れると、事業や業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。グリッドは研究開発を推進し、大学の研究者と連携して最新技術を取り入れる体制を構築することで、このリスクに対応しようとしています。
  • 競合激化と差別化の課題
    社会インフラ分野における計画最適化市場は将来的な成長が期待されており、国内外から新たな競合企業が参入する可能性があります。現状では、社会インフラ特化のノウハウや導入実績で優位性を確保していますが、今後十分な差別化が図れなかったり、競争が激化したりすると、事業や業績に影響が出る可能性があります。先行者としての実績を積み上げ、市場での地位を確立することが重要です。
  • プロジェクト収支悪化の可能性
    AI開発事業はプロジェクトごとに収支管理を行っていますが、見積もり時に想定しなかった事態の発生や工数増加により、プロジェクトの収支が悪化するリスクがあります。これにより、会社の業績に大きな影響を与える可能性があります。グリッドは顧客との業務範囲や要件を明確にし、プロジェクト経験を積むことで工数見積もりの精度向上を図り、このリスクを軽減しようとしています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|7,672 文字
3 【事業等のリスク】当社は、事業展開上のリスクになる可能性があると考えられる主な要因として、以下の記載事項を認識しております。また、リスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅したものではありません。 (1) 事業環境に関するリスクについて① 景気動向及び業界動向の変化について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)企業を取り巻く環境や労働人口減少に伴う企業経営の効率化等の動きにより当社が事業を展開するAI技術を用いた計画最適化市場は今後も拡大すると予想されるものの、景気による影響や各種新技術の発展による影響を受ける可能性があります。当社が事業を展開する市場においては、経済情勢、制度・政策や世界的に研究開発が進んでいるAI関連技術の技術革新等により事業環境が急速に変化する可能性があり、そのような経済情勢、制度・政策及び技術革新等への対応が遅れた場合には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社はこうした技術革新等による事業環境の変化に対応できるよう研究開発活動を推進することに加え、経済情勢及び制度・政策に詳しい社外取締役を含む各種産業分野及び技術分野を専門とする大学の研究者と連携し、最新の動向の把握及び研究技術を取り込む体制を構築することで事業環境の変化に対応できるよう対策を講じております。② 競合について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社の事業に関する競合企業はあるものの、製品・サービスの特性、その導入実績、最適化技術等、様々な点から他社と比較して優位性を確保できていると認識しております。特に、当社は社会インフラ分野に特化して計画最適化システムの開発を行っており、当該開発を通じて蓄積されたノウハウ面で先行優位性があるほか、既に複数の大手企業にシステムを実装・提供し、運用・サポートサービスを開始しているため、競合企業にとっても参入障壁が高いものと認識しております。他方で、将来の成長が期待される市場であり、国内外の事業者がこの分野に参入してくる可能性があります。このため先行して事業を推進していくことで、さらに実績を積み上げて市場内での地位を早期に確立してまいります。しかしながら、今後において十分な差別化等が図られなかった場合や、新規参入により競争が激化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 業績変動に関するリスクについて① 四半期ごとの業績変動等について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社のAI事業及びインフラアセット事業における売上高は、顧客との契約形態に従った適切な収益認識基準に基づいて計上されております。AI事業にかかる各プロジェクトにおいては、見積り時に想定しなかった事実の発覚、不測の事態の発生等により、プロジェクトの開始時期や納期に変動があった場合、四半期ごとの業績に影響が生じ、結果として通期業績に影響が生じる可能性があります。このような事態を回避するため、顧客との業務範囲・要件の明確化を図るほか、プロジェクトの積み重ねによる工数見積り精度の向上を図ってまいります。インフラアセット事業にかかる各プロジェクトにおいては、見積り時に想定しなかった事実の発覚、自然災害又は世界情勢若しくは経済情勢の変動に伴う不測の事態の発生等により、プロジェクトの開始時期、部材の納品時期又は調達費用、工事費用若しくは完成時期等に変動があった場合、四半期ごとの業績に影響が生じ、結果として通期業績に影響が生じる可能性があります。このような事態を回避するため、外注先及び部材の手配の早期化、顧客・調達先との責任分界点の明確化を図るほか、プロジェクトの積み重ねによる工事進行管理精度の向上を図ってまいります。② プロジェクト収支の悪化による業績変動の可能性について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)当社は、プロジェクトごとに収支管理を行っておりますが、プロジェクトの状況によっては当社の業績に影響が生じる可能性があります。AI事業における各プロジェクトについては、想定工数を基に見積りの作成をしており、乖離の生じないように工数管理を行っておりますが、見積り時に想定しなかった事実の発覚、不測の事態の発生等により工数が増加した場合、プロジェクト収支の悪化を招き、当社の業績に影響が生じる可能性があります。このような事態を回避するため、顧客との業務範囲・要件の明確化を図るほか、プロジェクトの積み重ねによる工数見積り精度の向上を図ってまいります。インフラアセット事業においては、プロジェクトごとに、想定費用を基に見積りを作成しており、乖離の生じないよう管理を行っておりますが、見積り時に想定しなかった事実の発覚、資材・工事費の高騰、自然災害その他不測の事態の発生により費用が増加した場合、プロジェクト収支の悪化を招き、当社の業績に影響が生じる可能性があります。このような事態を回避するため、顧客及び仕入・外注先との責任分界点の切り分け、並びに仕入・外注先の管理等を行ってまいります。③ インフラアセット事業の業容拡大期における業績変動について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)当社は、2025年6月期に蓄電所関連サービスを開始し、2026年5月には系統用蓄電所の開発案件を受注して開発を行っておりますが、開発の実績及び経験について、今後も積上げが必要な段階にあると考えております。そのため、新規受注の進捗や開発期間の延長等により売上が下振れる場合があり、当社の業績に影響が生じる可能性があります。このような事態を回避するため、受注進捗に合わせた営業活動の適切なマネジメントや、適切な規模で受注ができるよう開発案件の精査及び限定、外注先及び部材調達先の慎重な選定、開発スケジュールの管理徹底を推進してまいります。 (3) 技術革新の影響によるリスクについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)当社の事業に関連するAI技術は、世界的に研究開発が進んでおり、技術革新のスピードが極めて速い分野であります。当社はこうした技術革新に対応できる研究開発活動を推進することに加え、社外取締役を含むAIや産業分野を専門とする大学の研究者と連携し、最新の研究技術を取り込む体制を構築することで、事業基盤の拡大を図ってまいります。特に急速に研究開発及び実装が進められている生成AI技術については、当社のサービス価値向上及び生産性向上の観点で活用しつつ、生成AIに代替されることのないサービス開発及び提供を図ってまいります。しかしながら、技術革新への対応が遅れる可能性もあり、その場合には当社の競争力が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (4) コンプライアンス・法的規制に関するリスクについて① 法的規制等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社は、当社のAI事業を制限する直接的かつ特有の法的規制は本書提出日現在において存在しないと考えております。しかしながら、今後、当社のAI事業を直接的に制限する法的規制がなされた場合には、当社のAI事業の展開は制約を受ける可能性があります。当社としては引き続き法令を遵守した事業運営を行っていくべく、今後も法令遵守体制の強化や社内教育等を行っていく方針でありますが、今後当社の事業が新たな法的規制の対象となった場合には、当社のAI事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。他方で、当社のインフラアセット事業については、各種の法的規制を受けております。蓄電所開発に際しては、関連する法的規制について調査及び対応の上で、開発を進めております。しかしながら、法的規制により蓄電所開発を行うことができない場合、蓄電所開発事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。② 知的財産権について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社は、事業運営の際に第三者の知的財産権侵害等が起こらないような管理体制を構築しておりますが、第三者の知的財産権に抵触しているか否かを完全に調査することは極めて困難であります。このため、知的財産権侵害とされた場合には、損害賠償又は当該知的財産権の使用に対する対価の支払い等が発生する可能性があり、その際には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。このような可能性を最小化するため、特許の侵害調査については、新規の製品・サービスの提供開始に先立つ個別調査と、継続的な年次調査を行うこととしております。③ 情報管理について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)当社では、その業務の性格上、顧客側で保有している秘密情報(経営戦略上重要な情報等)に触れる場合があります。情報の取扱いについては、情報セキュリティ管理規程等を整備し、適切な運用を義務づけております。このような対策にもかかわらず当社の人的オペレーションのミス、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入等による情報流出、重要データの破壊、改竄等により何らかの問題が生じた場合には、当社が損害賠償責任等を負う可能性や顧客からの信用を失うことにより取引関係が悪化する可能性があり、その場合は当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。④ 訴訟等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社では、本書提出日現在において業績に影響を及ぼす訴訟等は生じておりません。しかしながら、今後何らかの事情によって当社に関連する訴訟等が発生する可能性は否定できず、かかる事態となった場合、その経過又は結果によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。訴訟等への発展を未然に防止するため、コンプライアンス・リスク委員会においてリスク管理に必要な情報の共有化を図り、コンプライアンスに関する取組みを推進するほか、コンプライアンス違反の事例が生じた場合に迅速な対応、事実関係の調査、再発防止策の立案等を行うこととしております。 (5) 事業運営体制に関するリスクについて① 小規模組織であることについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社は2026年6月30日現在、従業員139名と小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものとなっております。当社は今後の事業拡大に応じて従業員の育成、人員の採用を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。② 人材の確保と育成について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社は今後更なる成長を成し遂げていくため、優秀な人材の確保と育成を重要課題の一つであると位置付けております。当社は優秀な人材の採用を進めるべく採用手段の拡充等の採用施策、組織開発施策、従業員教育施策を講じておりますが、これらの要員を十分に採用できない場合や、育成が十分に進まなかった場合、あるいは在職中の従業員が退職する等した場合には、受注するプロジェクトの開発に制約が発生することや、受注したプロジェクトの品質・利益率の低下を招き、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。③ 特定人物への依存と筆頭株主との関係性等について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社の代表取締役社長である曽我部完は、当社の創業者であり、設立以来当社の経営方針や事業戦略の立案やその遂行において重要な役割を担っております。当社は特定の人物に依存しない体制を構築するべく、他の役員や従業員への情報共有や権限の委譲によって同氏に過度に依存しない組織体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏の当社における業務遂行が困難になった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、同氏の資産管理会社である株式会社Weは当社の筆頭株主であるほか、同氏が過去に代表取締役(2021年9月退任)であった株式会社清長の全株式を保有しております。同社は物流アウトソーシング事業及び物流コンサルティング事業を営んでおりますが、当社の事業との関連性はありません。そのため、これらの会社と当社との間で関連当事者取引の発生は想定しておりませんが、取引が発生する場合には、関連当事者取引管理規程に従って管理することにより、統制を図ってまいります。当社は関連当事者取引管理規程において、原則として関連当事者取引を行わないことを方針として明記しつつ、例外的に関連当事者取引を開始する場合には取締役会(本書提出日現在において独立社外取締役2名を含む。)の承認を得た上で実施し、実施について取締役会に報告することとしております。④ 内部管理体制について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社は、今後の事業運営及び業容拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しており、今後、事業規模の拡大に合わせて、システムの導入及び人員の拡充により内部管理体制も充実・強化させていく方針であります。しかしながら、事業規模に応じた内部管理体制の整備に遅れが生じた場合は、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (6) その他のリスクについて① システムトラブルについて(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社の事業には、PCやコンピュータシステム並びにこれらを結ぶ通信ネットワークを利用するサービスが存在しております。そのため、これらにトラブルが発生した場合には、業務遂行に障害が生じます。当社では、システムトラブルを回避するために、サーバ負荷の分散、サーバリソース監視、定期バックアップの実施等の手段を講じることでトラブルの防止及び回避に努めております。しかしながら、自然災害や事故等により予期せぬトラブルが発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が利用しているクラウドサーバの稼働にトラブルが生じた場合、当社が提供するサービスの安定稼働に支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。② 海外展開について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社のAI事業はこれまで国内を中心に事業展開をしてまいりましたが、社会インフラの業務オペレーションの多くは世界共通であり、アプリケーションを強みとして今後は海外における事業展開も検討してまいります。海外展開におきましては、戦争その他の世界情勢、為替変動、進出国の経済動向、政情不安、法規制の変更等多岐にわたるリスクが存在し、リスクが顕在化した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社はこれらのリスクを最小限にすべく、現地専門家の起用等を含め、十分な対策を講じた上で事業展開を進めていく方針であります。③ 配当政策について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案し、利益還元政策を決定していく方針であります。しかしながら、当社は、成長過程にあり、現時点では事業の効率化と事業拡大のための投資等に充当し、なお一層の事業拡大を目指すことが株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。将来的には、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案し、利益還元を行うことを検討してまいりますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。④ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社は、企業価値向上に対する役員及び従業員等の意欲向上を目的として時価発行新株予約権信託を導入しており、会社法の規定に基づく新株予約権を当社の役員及び従業員等に付与することが可能となっております。2026年6月30日現在、新株予約権による潜在株式数は478,245株であり、当社発行済株式総数の4,802,955株に対する潜在株式比率は10.0%に相当しております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の株式価値が希薄化する可能性があります。⑤ M&Aによる影響について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)当社は、事業拡大を加速する有効な手段の一つとして当社に関連する事業のM&A戦略を検討していく方針であります。M&A実施に関しては、対象企業の財務・法務・事業等について事前にデューデリジェンスを行い、十分にリスクを吟味した上で決定いたしますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等、事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合、また事業の展開等が計画どおりに進まない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。⑥ 資金使途について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社株式上場時の公募増資による調達資金の使途については、主に持続的な成長の実現に向けたプロダクト開発等の研究開発費、事業拡大に向けた優秀な人材の採用費及び人件費、販路拡大に向けた広告宣伝費等に充当する予定であります。しかしながら、急速に変化する経営環境へ柔軟に対応していくため、投資による期待どおりの効果が上げられなくなる可能性や、場合によっては資金使途の変更が生ずる可能性があります。この場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。⑦ 大規模な自然災害等について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社は、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害が想定を大きく上回る規模で発生した場合、当社又は当社の取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

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