5698

エンビプロ・ホールディングス(5698)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

鉄鋼 鉄鋼・非鉄

事業の概要

  • 資源循環の中核事業
    エンビプロ・ホールディングスは、工場や解体現場から出る金属スクラップや産業廃棄物(一部一般廃棄物も含む)を主要な対象としています。これらを収集・運搬し、中間処理工場でせん断、溶断、手解体、破砕、選別、圧縮、固形化といった工程を経て、鉄スクラップ、銅、アルミニウム、ステンレス、プラスチック、ゴムなどのリサイクル資源を生産し、国内外に販売することで収益を得ています。これにより、廃棄物の再資源化を促進し、持続可能な社会に貢献しています。
  • グローバルな資源トレーディング
    自社で生産したリサイクル資源だけでなく、同業者から仕入れたリサイクル資源も全国の集荷拠点に集め、国内外に販売しています。さらに、リサイクル資源の輸入や、日本を介さない第三国間貿易も手掛けています。輸出入業者向けの物流代行サービスも提供しており、ベトナムに駐在所、英国とオランダに支店を設けるなど、国際的なネットワークを活かした事業展開が特徴です。
  • 次世代のリサイクル事業と多角化
    リチウムイオン電池リサイクル事業では、電池工場からの工程廃材や使用済み電池を乾燥・破砕・選別し、コバルト、ニッケル、リチウムなどのレアメタルを含む「ブラックマス」を生産・販売しています。これに加え、大手企業向けに環境経営やESG投資対応のアドバイスを行う「環境経営コンサルティング事業」や、障がいのある方の就職支援を行う「障がい福祉サービス事業」も展開し、事業の多角化を進めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 資源循環事業
    この事業は、工場や解体現場から排出される金属スクラップや産業廃棄物を収集・運搬し、中間処理(せん断、破砕、選別など)を経て、鉄スクラップ、非鉄金属(銅、アルミニウム、ステンレスなど)、プラスチック、ゴムといったリサイクル資源を生産・販売しています。主な販売先は国内の大手電炉・高炉メーカーや非鉄精錬メーカーなどで、2025年6月期の売上高は162億5,203万円と、グループの中核を担う事業の一つです。
  • グローバルトレーディング事業
    自社で生産したリサイクル資源に加え、同業者から仕入れたリサイクル資源を国内外に販売しています。鉄スクラップ、非鉄金属、故紙、バイオマス燃料、中古自動車・部品など多岐にわたる商品を取り扱い、海外への輸出や三国間貿易も積極的に行っています。また、輸出入業者向けの物流代行サービスも提供しており、2025年6月期の売上高は312億9,730万円と、グループ最大の収益源となっています。
  • リチウムイオン電池リサイクル事業
    この事業では、電池工場から排出される工程廃材や使用済みのリチウムイオン電池を対象に、乾燥・破砕・選別を行うことで、コバルト、ニッケル、リチウムなどのレアメタルを含んだ「ブラックマス」を生産し、国内外の非鉄商社や非鉄精錬メーカーに販売しています。環境負荷の低減と資源の有効活用に貢献する成長分野であり、2025年6月期の売上高は10億8,724万円となっています。
2025-06 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
ResourceCirculationBusinessReportableSegment 地域 163 − −
GlobalTradingBusinessReportableSegment 地域 313 − −
LithiumIonBatteriesRecyclingBusinessReportableSegment 地域 11 − −
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,892 文字
3 【事業の内容】 当社グループは純粋持株会社制を導入しており、当社及び連結子会社11社(株式会社エコネコル、株式会社NEWSCON、株式会社サイテラス、株式会社アストコ、株式会社ブライトイノベーション、株式会社VOLTA、日東化工株式会社、他4社)、持分法適用関連会社2社(株式会社アビヅ、株式会社富士エコサイクル)、持分法非適用関連会社1社で構成され、「資源循環事業」「グローバルトレーディング事業」「リチウムイオン電池リサイクル事業」などの事業を展開しております。 なお、2025年7月1日付で当社の連結子会社である株式会社エコネコルが株式会社Genauを吸収合併しております。 資源循環事業においては、工場や解体物件等から排出される金属スクラップ及び産業廃棄物(一部、一般廃棄物を含む。以下、「廃棄物」という。) を主要な取扱い対象としており、これらの廃棄物を収集運搬し、中間処理工場にて、せん断・溶断、手解体、破砕・選別、圧縮・固形を行い、鉄スクラップ、非鉄金属(銅、アルミニウム、ステンレス等)、プラスチック、ゴム等のリサイクル資源等を生産し、グローバルトレーディング事業を含めた国内外に販売しております。 グローバルトレーディング事業においては、当社グループにおいて生産したリサイクル資源等並びに同業者等から仕入れたリサイクル資源を全国に保有する集荷拠点に集荷し、国内外への販売を行っております。また、リサイクル資源の輸入及び三国間貿易にも取り組んでおります。加えて、輸出入業者を対象とした輸出入に係る物流代行サービスの提供も行っております。海外拠点は、金属スクラップ等の販売において、ベトナムに駐在所、英国とオランダに支店を有しております。 リチウムイオン電池リサイクル事業においては、電池工場等から排出される工程廃材や使用済みの電池を主な取扱い対象としており、これらを乾燥・破砕・選別することでコバルト、ニッケル及びリチウム等のレアメタルが含有されたブラックマスを生産し販売をしております。 この3つの事業区分以外に、大手企業の環境経営やESG投資対応をアドバイスする「サステナビリティコンサルティング事業」、就職を希望する障がいのある方に対して就職に向けた技能、知識の習得や、適切な仕事の提供を行う「障がい福祉サービス事業」を展開しております。 以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。 事 業 区 分名 称資源循環事業株式会社エコネコル(その他1社)日東化工株式会社 持分法適用関連会社(株式会社アビヅ)(株式会社富士エコサイクル) 持分法非適用関連会社1社グローバルトレーディング事業株式会社NEWSCON株式会社3WM(3WM CHILE IMPORT EXPORT LIMITADA)株式会社サイテラスリチウムイオン電池リサイクル事業株式会社VOLTA(その他1社)その他 障がい福祉サービス事業 サステナビリティコンサルティング事業株式会社アストコ株式会社ブライトイノベーション 各事業区分の主要な商品及び製品、販売地域、販売先は次のとおりです。 当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 事 業 区 分商品・製品・サービス販 売 地 域販 売 先資源循環事業鉄スクラップ国内大手電炉、高炉メーカー等非鉄金属(銅、アルミニウム、ステンレス等)国内非鉄商社、非鉄精錬メーカー等故紙国内製紙メーカー、故紙商社等プラスチック国内プラスチックメーカー、製紙メーカー等ゴム国内工事店、ゴム専門商社、タイヤメーカー等廃棄物の処理国内工場、事業所、解体現場、地方自治体、個人等グローバルトレーディング事業鉄スクラップ国内、海外大手電炉、高炉メーカー等非鉄金属(銅、アルミニウム、ステンレス等)国内、海外非鉄商社、非鉄精錬メーカー等故紙国内、海外製紙メーカー、故紙商社等その他(プラスチック、古着等)国内、海外プラスチックメーカー、製紙メーカー等物流代行サービス国内、海外輸出入業者等リチウムイオン電池リサイクル事業非鉄金属、レアメタル(銅、コバルト、ニッケル、リチウム等)国内、海外非鉄商社、非鉄精錬メーカー等廃棄物の処理国内工場、事業所等その他障がい福祉サービス国内一般企業、一般消費者等サステナビリティコンサルティングサービス国内一般企業等 事業の系統図は、次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
原材料、製・商品の仕入価格と販売価格は、基本的には相場に連動するため
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
廃棄物処理法、建設業法等の各種業法、環境関連法など広範かつ多岐にわたる法令が適用される
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:原材料、製・商品の相場変動リスク / 原材料・商品の調達環境リスク / 特定の販売先への集中リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

エンビプロ・ホールディングスは、リサイクル事業を主軸としており、特定の強力なブランド、特許、規制ライセンス、独占的IPによる無形資産の優位性は現時点では確認できません。事業の性質上、技術的な差別化よりもオペレーション効率が重視される傾向があります。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

産業廃棄物処理やリサイクルサービスは、顧客(企業)にとって、法規制遵守やCSR活動の観点から、信頼できる業者との継続的な取引が望ましい場合があります。しかし、価格やサービス内容で競合他社への乗り換えも十分に考えられるため、スイッチングコストは限定的と評価します。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

エンビプロ・ホールディングスの事業モデルは、ユーザー数の増加がサービスの価値を直接的に高めるネットワーク効果を生み出す構造ではありません。リサイクル事業は、個別の取引や処理能力に依存する側面が強く、プラットフォーム型ビジネスのようなネットワーク効果は期待できません。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

同社は、独自の高度な選別・破砕技術や、全国に広がるリサイクル拠点を活用し、効率的な資源回収・処理プロセスを構築しています。これにより、他社よりも低コストでのサービス提供や、高付加価値な再生資源の生産が可能となり、一定のコスト優位性を有していると考えられます。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

エンビプロ・ホールディングスは、国内有数の総合リサイクル企業として、広範な事業ネットワークと処理能力を有しています。特に、複数のグループ会社を統合し、全国規模での事業展開を進めることで、規模の経済を追求し、効率的なオペレーションを実現しています。この規模は、新規参入者にとって大きな障壁となり得ます。

  • 広範な廃棄物処理と再資源化能力
    工場や解体物件から排出される多様な金属スクラップや産業廃棄物を、収集運搬から中間処理(せん断、溶断、破砕、選別、圧縮など)まで一貫して行い、鉄、非鉄金属、プラスチック、ゴムなどの高品位なリサイクル資源を生産する技術と設備を有しています。これにより、幅広い種類の廃棄物に対応し、資源循環を効率的に実現できる点が強みです。
  • 国内外に広がるトレーディングネットワーク
    自社生産のリサイクル資源に加え、同業者から仕入れた資源を全国の集荷拠点に集約し、国内外に販売する強固な流通網を持っています。特に、ベトナム、英国、オランダに海外拠点を持ち、リサイクル資源の輸入や三国間貿易、物流代行サービスも手掛けることで、グローバルな市場での競争力を高め、多様な顧客ニーズに対応できる点が優位性です。
  • 成長分野への戦略的投資と多角化
    リチウムイオン電池リサイクル事業では、使用済み電池からコバルト、ニッケル、リチウムといったレアメタルを回収する「ブラックマス」生産に注力しており、将来的な需要増が見込まれる分野での技術とノウハウを蓄積しています。また、環境経営コンサルティングや障がい福祉サービスといった関連性の高い事業を展開することで、収益源の多角化と社会貢献を両立し、持続的な成長基盤を構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針当社グループは、当社グループを取り巻く社会環境がどのように変化しても揺らぐことのない、すべての行動の規範として、創業企業・循環企業・求道企業という3つの企業理念を制定しております。この企業理念に基づき、当社グループは「持続可能社会実現の一翼を担う」をミッションとして掲げ、その実現に向けた挑戦を続けております。当社は純粋持株会社として、この理念とミッションのもとに、グループ各社の経営管理を行っております。 (2) 重要な決断当社の独自性は、一つの決断にさかのぼります。静岡県富士宮市の鉄スクラップ問屋として出発した当社は、平成に入り鉄鋼生産量が頭打ちとなり鉄スクラップの需給が緩むなか、日本で初めて鉄スクラップの輸出に踏み出し、営業の領域を全国へ拡げました。しかし物流にとどまる限り先行きは限られるとの判断から、1997年、使用済みの自動車や家電製品を資源化するための大型破砕機を導入いたしました。当時の当社経営基盤からすると無謀とも言われるほどの大きな投資でありましたが、安易な道を選ばず、人のやらないことに挑むこの決断は、当社の企業理念そのものの現れでありました。この決断が、廃棄物から価値ある資源を選り分け、再生する破砕・選別技術の確立につながり、以来、当社の中核技術となっております。企業理念に根ざして生まれたこの技術は、「技術ドリブンで環境課題を解決する」という一貫した軸として、今日まで当社グループの事業を貫いております。 (3) 経営環境についての経営者の認識当社グループを取り巻く経営環境は、構造的に変化しております。世界的なブロック経済化の進展や資源ナショナリズムの台頭により、重要鉱物資源の確保競争が激しさを増し、再生資源の国外流出をいかに抑えるかが課題となっております。こうした状況は、国内での資源循環の重要性を一段と高めております。あわせて、DX・GXの進展を背景に重要鉱物の需要は拡大し、その価格は高止まりする一方、電炉や非鉄製錬における再生原料の活用が広がるなど、再生原料の市場そのものが新たに形成されつつあります。さらに、サプライチェーン全体での脱炭素化の要請が強まるなか、再生資源のもたらす低炭素価値が顕在化しグリーンマテリアルへの需要が高まっております。これらの変化は、再生資源を扱う当社グループにとって、事業機会の拡大を意味しております。当社はこの環境変化を、長期ビジョンと戦略を再構築する前提と位置づけております。こうした環境認識のもと、当社は事業を通じて解決すべき社会課題と、それを支える経営基盤を「重要課題(マテリアリティ)」として特定しております(詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております)。 (4) 長期ビジョン当社グループは、変化する経営環境を機会と捉え、2036年6月期を到達点とする長期ビジョン「En-Vision2035」を掲げております。それは、廃棄物を価値ある資源へと再生し、社会の資源循環の全体を担う存在、すなわち「サーキュラーエコノミー総合プラットフォーム企業になる」ことであります。この長期ビジョンは、当社グループがかねてより掲げてきた「サーキュラーエコノミーをリードする」という戦略コンセプトを、明確な到達点として描き直したものであります。このビジョンにおいて、当社グループは3つの役割を担ってまいります。すなわち、資源を出す側と使う側をつなぎ資源循環の仕組みを設計・運営するサーキュラーエコノミー・サプライチェーンコーディネーター、低炭素なプロセスによりグリーンマテリアルを製造するグリーンマテリアルメーカー、そして自治体の廃棄物処理機能の受け皿となり地域の資源循環を支える資源循環インフラパートナーであります。当社グループでは、グリーンマテリアルを、廃棄物から低炭素なプロセスによって製造される再生素材と定義しております。当社グループは、これら3つの役割を一気通貫でつなぐことにより、グリーンマテリアルの価値を最大化し、資源循環に関わる企業や地域をつなぐプラットフォームとしての役割を担ってまいります。そして、この長期ビジョンから現在を逆算し、その実現に向けた戦略を組み立てております。 (5) 長期戦略長期ビジョンの実現に向けた当社グループの戦略は、事業の拠って立つ領域を定める戦略と、その領域で収益力を高める手段、そしてこれらを支える事業基盤インフラで構成されております。事業の拠って立つ領域を定めるのが、グリーンマテリアル戦略であります。当社グループは、サーキュラーエコノミーと脱炭素という付加価値を備えたグリーンマテリアルを、企業と地域に供給する事業者としての立ち位置を確立してまいります。ベースメタル、プレシャスメタル、レアメタル、レアアース、ポリマーを対象素材とし、資源を回収し、再生して供給するまでの動静脈にわたるサプライチェーンを構築することで、そのサプライチェーンに深く組み込まれ、価格決定力と継続的な需要を確立することを目指しております。この立ち位置を確かなものとするため、当社グループは、独自の強みを持つ領域に経営資源を集中するニッチトップの考え方のもと、競合が追随しにくい優位性を確立してまいります。企業と地域の双方にグリーンマテリアルを供給することを通じて、当社グループは社会課題の解決に深く関与してまいります。これらの領域において収益力を高める手段が、循環マネジメント力強化、広域拠点展開及び中核技術深化の3つであります。第一に、循環マネジメント力強化として、グループ各機能の高度化と連携により、動静脈をつなぐスキームの構築・管理能力を強化してまいります。第二に、広域拠点展開として、確立した事業モデルを各地に展開し、特定地域への偏りを避けながら、安定した供給と収益基盤の強靱化を図ってまいります。第三に、中核技術深化として、当社グループの中核となる技術をさらに深め、その技術的な優位を活かして事業を築いてまいります。この戦略の源泉にあるのが、「(2) 重要な決断」に述べた当社グループの独自性、すなわち破砕・選別の技術であります。当社グループは、日本人が古くから大切にしてきた「もったいない」の精神を原点に、廃棄物という複合物のなかから価値ある資源を選り分けてまいりました。資源に価値がある限り、より細かく、より幅広く分けようと工夫を重ね、その積み重ねが技術となって蓄積されてきました。この蓄積を土台として、高度選別技術をはじめとする技術の発展を重ね、扱う対象を拡げてまいりました。これらの技術は、他社が容易に模倣できない自社独自のプラントエンジニアリングと、それを使いこなす人の手によって支えられており、当社グループは、あらゆる事業を貫くこの独自性を磨き上げながら、資源循環のサプライチェーンを築いてまいります。これらの戦略と手段は、当社グループの事業基盤インフラによって支えられております。人的資本の充実、AI・DXの活用、財務規律の徹底に加え、グループが一体となって総合力を発揮する経営と、長期を見据えた時間軸での経営を通じて、当社グループは戦略の実行を支えてまいります。 これらの戦略を長期にわたり牽引する成長の柱が、3つの重要戦略事業であります。金銀滓事業は、自治体の焼却灰やシュレッダーダスト等から、金・銀・銅・プラチナ・パラジウム等の有用な金属を回収する事業であります。資源化が困難とされてきた対象を高付加価値な資源へと転換する当社グループ独自のモデルであり、拠点の展開を通じて安定した供給と収益力を確立し、当社グループの成長を早期に牽引する主力事業へと育ててまいります。リチウムイオン電池リサイクル事業は、社会課題の解決に直結する事業であります。リチウム、ニッケル、コバルト等は、その多くを輸入に依存する重要鉱物であり、使用済み電池からの再資源化は、国内における安定的な供給網の確保につながります。あわせて、リチウムイオン電池を使用した製品の普及に伴い、廃棄の過程での発熱・発火を原因とする収集運搬車両や処理施設の火災事故が全国で相次いでおり、廃棄時の適切な分別と安全な処理ルートの確保が喫緊の課題となっております。一方で、自治体による回収・処理は、処理事業者の少なさやコスト負担の大きさといった課題を抱えております。当社グループは、使用済みのリチウムイオン電池を安全かつ適正に回収し、再資源化する体制を各地に広げることで、こうした社会課題の解決に貢献するとともに、2030年以降の成長を牽引する事業へと拡大してまいります。ポリマーサーキュラーエコノミー事業は、廃プラスチックやゴムを再生する事業であります。当社グループは、熱として回収するサーマルリカバリー、再び素材として利用するマテリアルリサイクル、化学的に分解して原料に戻すケミカルリサイクルの3つのアプローチを組み合わせて対応してまいります。とりわけケミカルリサイクルは、脱炭素と資源循環に資する将来を担う技術と位置づけ、長期的な社会実装を目指して技術の確立に取り組んでまいります。当社グループは、これらの戦略を長期の時間軸で実行することにより、長期ビジョンの実現を目指してまいります。 (6) 優先的に対処すべき課題「(5) 長期戦略」に掲げた長期の戦略を着実に実行するため、当社グループは、優先的に対処すべき課題を、重要戦略事業の推進と事業基盤の構築の2つの側面から認識しております。 (a) 重要戦略事業の推進金銀滓事業につきましては、従前から手掛けてきた焼却灰からの金銀滓回収を一層拡大してまいります。貴金属・非鉄金属価格の変動に対応して生産フローを最適化するとともに、自治体や関係各社等との連携を通じて、取扱品目の拡大と集荷体制の強化を進めてまいります。リチウムイオン電池リサイクル事業につきましては、これまで取り組んできた自動車・エネルギー貯蔵システム用途を中心とする大型のリチウムイオン電池への対応を継続しながら、民生用途を中心とする小型のリチウムイオン電池への取組を強化してまいります。排出事業者や同業者との連携により回収ネットワークを拡大するとともに、高品位・高効率なブラックマスの製造技術の研究を進め、既存工場の品質・生産性を高めつつ、新たな拠点の展開を進めてまいります。ポリマーサーキュラーエコノミー事業につきましては、3つのアプローチを組み合わせ、ポリマーの資源循環を促進してまいります。低炭素燃料の製造・供給を強化するとともに、廃ゴム・廃プラスチックの再生素材としての供給を拡大してまいります。また、パートナー企業との協働によるケミカルリサイクルの実証を継続し、将来の社会実装に向けた事業化の可能性を検討してまいります。 (b) 事業基盤の構築長期の戦略を支える事業基盤を強化するため、当社グループは、次の課題に取り組んでまいります。安全の確保は、すべてに優先する課題であります。当社グループは、労働災害の防止を経営の最重要課題と位置づけ、繰り返しの教育による意識の改革と設備面の対策の両面から、各事業所の責任者と一体となって、安全な職場環境の構築に取り組んでまいります。人材の確保・育成は、労働力人口が減少する社会において、事業の持続性を左右する課題であります。人材そのものが当社グループの力であり、その成長が企業の成長に直結いたします。当社グループは、継続的な待遇改善と成長機会の提供を通じて一人ひとりの成長を促すとともに、次世代の経営層の選抜・育成を進めてまいります。生産性の向上は、当社グループの事業に直結する課題であります。当社グループは、AIの積極的な活用を全社で進めるとともに、グループが一体となって総合力を発揮する経営と業務プロセスの最適化を通じて、生産性と業務の実効性を高めてまいります。コンプライアンス及びガバナンスの強化は、上場企業として社会の信頼に応え続けるための基盤であります。当社グループは、規律の徹底と内部統制の運用により法令遵守を浸透させ、内部監査によりその実効性を検証してまいります。あわせて、企業価値の向上に資する取締役会の監督機能の強化を図り、ガバナンス体制の一層の充実に取り組んでまいります。財務規律の徹底は、長期の戦略を実行するための前提であります。長期ビジョンの実現には、成長投資と財務の健全性の両立が不可欠であり、当社グループは、投資基準の遵守と資本効率を意識した経営のもと、創出した資金を成長投資に振り向け、企業価値の向上を図ってまいります。これらの事業基盤に関する取組の詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。 なお、当社グループは、10年先を見据えつつ、翌期を着実に実行する時間軸で経営してまいります。 (7) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、事業を通じて社会の課題解決に取り組み、その積み重ねによって企業価値を高めてまいります。その実現に向けて、長期ビジョン「En-Vision2035」に掲げる「サーキュラーエコノミー総合プラットフォーム企業になる」ことを、10年後に目指すべき姿としております。一方、そこに至る経営計画につきましては、将来の環境変化を前提とした仮説と位置づけ、変化に応じて実行の内容を柔軟に見直すことを基本としております。当社グループは、これまで中期経営計画をローリング方式により毎年策定してまいりましたが、直近3か年に公表した各計画において、いずれも初年度に業績予想の下方修正を行うこととなりました。当社グループの業績は、資源価格、為替及び制度の変更等の外部環境の影響を大きく受け、各連結会計年度において変動いたします。このような事業環境のもとで長期の財務数値目標を掲げた場合、前提条件の変動のたびに目標の見直しを要し、本来、事業の実行と改善に充てるべき経営資源が計画の策定に向けられるほか、目標の達成そのものが目的となりかねないと考えております。 こうした考えのもと、当社グループは、2026年8月に長期ビジョン「En-Vision2035」及び長期戦略を策定し、事業の方向性を明確にお示しすることができるようになりました。これにより、長期については、財務数値目標によらず、長期ビジョン及び長期戦略により目指す姿と方向性をお示しし、短期については単年度の具体的な利益計画及び財務指標を公表し、その確実な達成を積み重ねてまいります。なお、2025年8月20日公表の「中期経営計画取り下げに関するお知らせ」において掲げておりました自己資本利益率(ROE)に関する目標(中期10%、長期15%)につきましては、上記の方針に基づき、固定的な到達目標としては掲げず、株主資本コストを上回る資本収益性を継続的に実現するという考え方に改めることといたしました。資本効率につきましては、当社グループの株主資本コストを10%程度(当社試算)と認識しており、これを上回る資本収益性を維持・向上させることを基本方針としております。その結果につきましては、ROEにより毎期検証し、実績をお示しいたします。当連結会計年度のROEは13.6%であります。また、株価純資産倍率(PBR)をはじめとする市場からの評価につきましても、その水準と要因の分析を継続的に行い、その結果を経営に反映してまいります。外部環境による業績の変動につきましては、その影響も含めて当社グループの実績として受け止め、改善に取り組んでまいります。なお、サステナビリティに関する指標及び目標については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針当社グループは、当社グループを取り巻く社会環境がどのように変化しても揺らぐことのない、すべての行動の規範として、創業企業・循環企業・求道企業という3つの企業理念を制定しております。この企業理念に基づき、当社グループは「持続可能社会実現の一翼を担う」をミッションとして掲げ、その実現に向けた挑戦を続けております。当社は純粋持株会社として、この理念とミッションのもとに、グループ各社の経営管理を行っております。 (2) 重要な決断当社の独自性は、一つの決断にさかのぼります。静岡県富士宮市の鉄スクラップ問屋として出発した当社は、平成に入り鉄鋼生産量が頭打ちとなり鉄スクラップの需給が緩むなか、日本で初めて鉄スクラップの輸出に踏み出し、営業の領域を全国へ拡げました。しかし物流にとどまる限り先行きは限られるとの判断から、1997年、使用済みの自動車や家電製品を資源化するための大型破砕機を導入いたしました。当時の当社経営基盤からすると無謀とも言われるほどの大きな投資でありましたが、安易な道を選ばず、人のやらないことに挑むこの決断は、当社の企業理念そのものの現れでありました。この決断が、廃棄物から価値ある資源を選り分け、再生する破砕・選別技術の確立につながり、以来、当社の中核技術となっております。企業理念に根ざして生まれたこの技術は、「技術ドリブンで環境課題を解決する」という一貫した軸として、今日まで当社グループの事業を貫いております。 (3) 経営環境についての経営者の認識当社グループを取り巻く経営環境は、構造的に変化しております。世界的なブロック経済化の進展や資源ナショナリズムの台頭により、重要鉱物資源の確保競争が激しさを増し、再生資源の国外流出をいかに抑えるかが課題となっております。こうした状況は、国内での資源循環の重要性を一段と高めております。あわせて、DX・GXの進展を背景に重要鉱物の需要は拡大し、その価格は高止まりする一方、電炉や非鉄製錬における再生原料の活用が広がるなど、再生原料の市場そのものが新たに形成されつつあります。さらに、サプライチェーン全体での脱炭素化の要請が強まるなか、再生資源のもたらす低炭素価値が顕在化しグリーンマテリアルへの需要が高まっております。これらの変化は、再生資源を扱う当社グループにとって、事業機会の拡大を意味しております。当社はこの環境変化を、長期ビジョンと戦略を再構築する前提と位置づけております。こうした環境認識のもと、当社は事業を通じて解決すべき社会課題と、それを支える経営基盤を「重要課題(マテリアリティ)」として特定しております(詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております)。 (4) 長期ビジョン当社グループは、変化する経営環境を機会と捉え、2036年6月期を到達点とする長期ビジョン「En-Vision2035」を掲げております。それは、廃棄物を価値ある資源へと再生し、社会の資源循環の全体を担う存在、すなわち「サーキュラーエコノミー総合プラットフォーム企業になる」ことであります。この長期ビジョンは、当社グループがかねてより掲げてきた「サーキュラーエコノミーをリードする」という戦略コンセプトを、明確な到達点として描き直したものであります。このビジョンにおいて、当社グループは3つの役割を担ってまいります。すなわち、資源を出す側と使う側をつなぎ資源循環の仕組みを設計・運営するサーキュラーエコノミー・サプライチェーンコーディネーター、低炭素なプロセスによりグリーンマテリアルを製造するグリーンマテリアルメーカー、そして自治体の廃棄物処理機能の受け皿となり地域の資源循環を支える資源循環インフラパートナーであります。当社グループでは、グリーンマテリアルを、廃棄物から低炭素なプロセスによって製造される再生素材と定義しております。当社グループは、これら3つの役割を一気通貫でつなぐことにより、グリーンマテリアルの価値を最大化し、資源循環に関わる企業や地域をつなぐプラットフォームとしての役割を担ってまいります。そして、この長期ビジョンから現在を逆算し、その実現に向けた戦略を組み立てております。 (5) 長期戦略長期ビジョンの実現に向けた当社グループの戦略は、事業の拠って立つ領域を定める戦略と、その領域で収益力を高める手段、そしてこれらを支える事業基盤インフラで構成されております。事業の拠って立つ領域を定めるのが、グリーンマテリアル戦略であります。当社グループは、サーキュラーエコノミーと脱炭素という付加価値を備えたグリーンマテリアルを、企業と地域に供給する事業者としての立ち位置を確立してまいります。ベースメタル、プレシャスメタル、レアメタル、レアアース、ポリマーを対象素材とし、資源を回収し、再生して供給するまでの動静脈にわたるサプライチェーンを構築することで、そのサプライチェーンに深く組み込まれ、価格決定力と継続的な需要を確立することを目指しております。この立ち位置を確かなものとするため、当社グループは、独自の強みを持つ領域に経営資源を集中するニッチトップの考え方のもと、競合が追随しにくい優位性を確立してまいります。企業と地域の双方にグリーンマテリアルを供給することを通じて、当社グループは社会課題の解決に深く関与してまいります。これらの領域において収益力を高める手段が、循環マネジメント力強化、広域拠点展開及び中核技術深化の3つであります。第一に、循環マネジメント力強化として、グループ各機能の高度化と連携により、動静脈をつなぐスキームの構築・管理能力を強化してまいります。第二に、広域拠点展開として、確立した事業モデルを各地に展開し、特定地域への偏りを避けながら、安定した供給と収益基盤の強靱化を図ってまいります。第三に、中核技術深化として、当社グループの中核となる技術をさらに深め、その技術的な優位を活かして事業を築いてまいります。この戦略の源泉にあるのが、「(2) 重要な決断」に述べた当社グループの独自性、すなわち破砕・選別の技術であります。当社グループは、日本人が古くから大切にしてきた「もったいない」の精神を原点に、廃棄物という複合物のなかから価値ある資源を選り分けてまいりました。資源に価値がある限り、より細かく、より幅広く分けようと工夫を重ね、その積み重ねが技術となって蓄積されてきました。この蓄積を土台として、高度選別技術をはじめとする技術の発展を重ね、扱う対象を拡げてまいりました。これらの技術は、他社が容易に模倣できない自社独自のプラントエンジニアリングと、それを使いこなす人の手によって支えられており、当社グループは、あらゆる事業を貫くこの独自性を磨き上げながら、資源循環のサプライチェーンを築いてまいります。これらの戦略と手段は、当社グループの事業基盤インフラによって支えられております。人的資本の充実、AI・DXの活用、財務規律の徹底に加え、グループが一体となって総合力を発揮する経営と、長期を見据えた時間軸での経営を通じて、当社グループは戦略の実行を支えてまいります。 これらの戦略を長期にわたり牽引する成長の柱が、3つの重要戦略事業であります。金銀滓事業は、自治体の焼却灰やシュレッダーダスト等から、金・銀・銅・プラチナ・パラジウム等の有用な金属を回収する事業であります。資源化が困難とされてきた対象を高付加価値な資源へと転換する当社グループ独自のモデルであり、拠点の展開を通じて安定した供給と収益力を確立し、当社グループの成長を早期に牽引する主力事業へと育ててまいります。リチウムイオン電池リサイクル事業は、社会課題の解決に直結する事業であります。リチウム、ニッケル、コバルト等は、その多くを輸入に依存する重要鉱物であり、使用済み電池からの再資源化は、国内における安定的な供給網の確保につながります。あわせて、リチウムイオン電池を使用した製品の普及に伴い、廃棄の過程での発熱・発火を原因とする収集運搬車両や処理施設の火災事故が全国で相次いでおり、廃棄時の適切な分別と安全な処理ルートの確保が喫緊の課題となっております。一方で、自治体による回収・処理は、処理事業者の少なさやコスト負担の大きさといった課題を抱えております。当社グループは、使用済みのリチウムイオン電池を安全かつ適正に回収し、再資源化する体制を各地に広げることで、こうした社会課題の解決に貢献するとともに、2030年以降の成長を牽引する事業へと拡大してまいります。ポリマーサーキュラーエコノミー事業は、廃プラスチックやゴムを再生する事業であります。当社グループは、熱として回収するサーマルリカバリー、再び素材として利用するマテリアルリサイクル、化学的に分解して原料に戻すケミカルリサイクルの3つのアプローチを組み合わせて対応してまいります。とりわけケミカルリサイクルは、脱炭素と資源循環に資する将来を担う技術と位置づけ、長期的な社会実装を目指して技術の確立に取り組んでまいります。当社グループは、これらの戦略を長期の時間軸で実行することにより、長期ビジョンの実現を目指してまいります。 (6) 優先的に対処すべき課題「(5) 長期戦略」に掲げた長期の戦略を着実に実行するため、当社グループは、優先的に対処すべき課題を、重要戦略事業の推進と事業基盤の構築の2つの側面から認識しております。 (a) 重要戦略事業の推進金銀滓事業につきましては、従前から手掛けてきた焼却灰からの金銀滓回収を一層拡大してまいります。貴金属・非鉄金属価格の変動に対応して生産フローを最適化するとともに、自治体や関係各社等との連携を通じて、取扱品目の拡大と集荷体制の強化を進めてまいります。リチウムイオン電池リサイクル事業につきましては、これまで取り組んできた自動車・エネルギー貯蔵システム用途を中心とする大型のリチウムイオン電池への対応を継続しながら、民生用途を中心とする小型のリチウムイオン電池への取組を強化してまいります。排出事業者や同業者との連携により回収ネットワークを拡大するとともに、高品位・高効率なブラックマスの製造技術の研究を進め、既存工場の品質・生産性を高めつつ、新たな拠点の展開を進めてまいります。ポリマーサーキュラーエコノミー事業につきましては、3つのアプローチを組み合わせ、ポリマーの資源循環を促進してまいります。低炭素燃料の製造・供給を強化するとともに、廃ゴム・廃プラスチックの再生素材としての供給を拡大してまいります。また、パートナー企業との協働によるケミカルリサイクルの実証を継続し、将来の社会実装に向けた事業化の可能性を検討してまいります。 (b) 事業基盤の構築長期の戦略を支える事業基盤を強化するため、当社グループは、次の課題に取り組んでまいります。安全の確保は、すべてに優先する課題であります。当社グループは、労働災害の防止を経営の最重要課題と位置づけ、繰り返しの教育による意識の改革と設備面の対策の両面から、各事業所の責任者と一体となって、安全な職場環境の構築に取り組んでまいります。人材の確保・育成は、労働力人口が減少する社会において、事業の持続性を左右する課題であります。人材そのものが当社グループの力であり、その成長が企業の成長に直結いたします。当社グループは、継続的な待遇改善と成長機会の提供を通じて一人ひとりの成長を促すとともに、次世代の経営層の選抜・育成を進めてまいります。生産性の向上は、当社グループの事業に直結する課題であります。当社グループは、AIの積極的な活用を全社で進めるとともに、グループが一体となって総合力を発揮する経営と業務プロセスの最適化を通じて、生産性と業務の実効性を高めてまいります。コンプライアンス及びガバナンスの強化は、上場企業として社会の信頼に応え続けるための基盤であります。当社グループは、規律の徹底と内部統制の運用により法令遵守を浸透させ、内部監査によりその実効性を検証してまいります。あわせて、企業価値の向上に資する取締役会の監督機能の強化を図り、ガバナンス体制の一層の充実に取り組んでまいります。財務規律の徹底は、長期の戦略を実行するための前提であります。長期ビジョンの実現には、成長投資と財務の健全性の両立が不可欠であり、当社グループは、投資基準の遵守と資本効率を意識した経営のもと、創出した資金を成長投資に振り向け、企業価値の向上を図ってまいります。これらの事業基盤に関する取組の詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。 なお、当社グループは、10年先を見据えつつ、翌期を着実に実行する時間軸で経営してまいります。 (7) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、事業を通じて社会の課題解決に取り組み、その積み重ねによって企業価値を高めてまいります。その実現に向けて、長期ビジョン「En-Vision2035」に掲げる「サーキュラーエコノミー総合プラットフォーム企業になる」ことを、10年後に目指すべき姿としております。一方、そこに至る経営計画につきましては、将来の環境変化を前提とした仮説と位置づけ、変化に応じて実行の内容を柔軟に見直すことを基本としております。当社グループは、これまで中期経営計画をローリング方式により毎年策定してまいりましたが、直近3か年に公表した各計画において、いずれも初年度に業績予想の下方修正を行うこととなりました。当社グループの業績は、資源価格、為替及び制度の変更等の外部環境の影響を大きく受け、各連結会計年度において変動いたします。このような事業環境のもとで長期の財務数値目標を掲げた場合、前提条件の変動のたびに目標の見直しを要し、本来、事業の実行と改善に充てるべき経営資源が計画の策定に向けられるほか、目標の達成そのものが目的となりかねないと考えております。 こうした考えのもと、当社グループは、2026年8月に長期ビジョン「En-Vision2035」及び長期戦略を策定し、事業の方向性を明確にお示しすることができるようになりました。これにより、長期については、財務数値目標によらず、長期ビジョン及び長期戦略により目指す姿と方向性をお示しし、短期については単年度の具体的な利益計画及び財務指標を公表し、その確実な達成を積み重ねてまいります。なお、2025年8月20日公表の「中期経営計画取り下げに関するお知らせ」において掲げておりました自己資本利益率(ROE)に関する目標(中期10%、長期15%)につきましては、上記の方針に基づき、固定的な到達目標としては掲げず、株主資本コストを上回る資本収益性を継続的に実現するという考え方に改めることといたしました。資本効率につきましては、当社グループの株主資本コストを10%程度(当社試算)と認識しており、これを上回る資本収益性を維持・向上させることを基本方針としております。その結果につきましては、ROEにより毎期検証し、実績をお示しいたします。当連結会計年度のROEは13.6%であります。また、株価純資産倍率(PBR)をはじめとする市場からの評価につきましても、その水準と要因の分析を継続的に行い、その結果を経営に反映してまいります。外部環境による業績の変動につきましては、その影響も含めて当社グループの実績として受け止め、改善に取り組んでまいります。なお、サステナビリティに関する指標及び目標については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (経営成績等の状況の概要)当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。 (1) 財政状態及び経営成績の状況当社グループの事業領域においては、各国が経済安全保障の観点から重要鉱物を戦略的に位置づけ、安定的な供給網の確保に向けた取り組みを背景に、資源循環の重要性が一層高まりました。一方で、中東地域の緊迫化等の地政学リスク、各国の金融政策の動向などにより、資源市況全体として先行き不透明感の強い状況が続きました。各市況につきましては、鉄スクラップ価格(東京製鐵田原海上特級価格)は中国からの安価な半製品輸出の圧迫を受けつつも、国内発生量の減少や高炉メーカーの電炉化推進、円安水準の維持に伴う輸出価格の下支えにより、第2四半期以降は上昇傾向で推移いたしました。この結果、当連結会計年度の鉄スクラップ平均価格は45,616円/tと、前期の42,732円/tを上回りました。非鉄金属・貴金属相場につきましては、地政学リスクや各国の金融政策を背景とした投機的資金の流入に加え、世界的な供給懸念が顕在化し、銅や金・銀などの価格が史上最高値を更新いたしました。足元は高値圏での調整が見られるものの、第2四半期以降は総じて歴史的な高値圏で推移いたしました。リチウムイオン電池の主原料であるコバルト、ニッケル、リチウムの平均価格は、供給制約等を背景に堅調に推移いたしました。このような環境下において、当社グループは強みである独自の選別技術をさらに深化させ、社会的に不可欠かつ高付加価値品の回収・販売を強化し、将来に向けた準備を進めてまいりました。さらに、継続的に取り組んできた構造改革の成果が着実に顕在化したことにより、収益性の改善に寄与いたしました。今後におきましても、「サーキュラーエコノミー(CE)をリードする」という戦略コンセプトのもと、CEの具体的な事業化・サービス事業の拡大を進めるとともに、価値提供方法の多様化とポートフォリオの組み換えを推進してまいります。これにより、資源価格の変動に左右されにくい強靱な事業体質の構築を目指してまいります。 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高は44,430百万円(前期比9.5%減)、営業利益は3,224百万円(前期比231.6%増)、経常利益は3,582百万円(前期比194.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,423百万円(前期比106.2%増)となりました。 セグメント別の業績は以下のとおりであり、売上高についてはセグメント間の内部売上高又は振替高を含めた売上高で表示しております。 セグメント別業績の概要≪売上高≫ (単位:百万円) 第16期 (前連結会計年度)第17期 (当連結会計年度)増減比(%)資源循環事業21,01523,94013.9グローバルトレーディング事業31,59024,730△21.7リチウムイオン電池リサイクル事業1,6932,64155.9その他491450△8.2調整額△5,700△7,332-合 計49,09044,430△9.5 ≪セグメント利益≫ (単位:百万円) 第16期(前連結会計年度)第17期(当連結会計年度)増減比(%)資源循環事業1,1592,627126.7グローバルトレーディング事業269703161.1リチウムイオン電池リサイクル事業223704215.2その他9540△57.2調整額△531△494-合 計1,2163,582194.6 (注)セグメント利益は連結損益計算書の経常利益と調整を行っております。 ①資源循環事業資源循環の重要性の高まりを受け、主要金属価格が上昇傾向で推移したことを追い風に、当社グループが強みとする独自の選別技術を更に深化させ、高付加価値品の回収・販売を強化したことが収益性を押し上げました。また、ゴム関連事業においては、組織再編等の構造改革の成果が着実に顕在化し、取引条件の適正化が進んだことに加え、受注も好調に推移しました。以上の結果、資源循環事業の売上高は23,940百万円(前期比13.9%増)、セグメント利益は2,627百万円(前期比126.7%増)となりました。 ②グローバルトレーディング事業物流代行サービスにおいては、需給バランスを見極め、適正価格でサービスを提供したことにより、概ね堅調に推移しました。一方、ホルムズ海峡の事実上の封鎖を受け、ドバイ向けの貨物に影響が生じました。金属原料のトレーディング事業では、取引形態の変更に伴う収益認識基準の適用により、形式上は大幅な減収となりました。しかしながら、構造改革の成果が徐々に顕在化する中、新たな販路及び商材の開拓と利幅(スプレッド)の改善により収益性は大きく向上し、大幅な増益を達成しました。以上の結果、グローバルトレーディング事業の売上高は24,730百万円(前期比21.7%減)、セグメント利益は703百万円(前期比161.1%増)となりました。 ③リチウムイオン電池リサイクル事業電池材料に用いられるリチウム、コバルト及びニッケル相場が堅調に推移したことに加え、加工受託案件を中心に取扱量が増加したことにより増収増益となりました。今後も国内シェア拡大を目指すとともに、将来の成長に向けた設備投資を積極的に推進してまいります。 以上の結果、リチウムイオン電池リサイクル事業の売上高は2,641百万円(前期比55.9%増)、セグメント利益は704百万円(前期比215.2%増)となりました。 ④その他障がい福祉サービス事業は、登録利用者の減少等により、また、サステナビリティコンサルティング事業においても受注減少により、それぞれ減収減益となりました。以上の結果、その他事業の売上高は450百万円(前期比8.2%減)、セグメント利益は40百万円(前期比57.2%減)となりました。 財政状態の状況は次のとおりであります。 当連結会計年度末の資産合計は34,712百万円(前連結会計年度末比3,413百万円の増加、前連結会計年度末比10.9%増)となりました。流動資産は19,065百万円(前連結会計年度末比3,190百万円の増加、前連結会計年度末比20.1%増)となりました。これは、受取手形が37百万円減少したものの、商品及び製品が1,282百万円、売掛金が1,251百万円、現金及び預金が489百万円、その他流動資産が171百万円増加したこと等によります。固定資産は15,647百万円(前連結会計年度末比222百万円の増加、前連結会計年度末比1.4%増)となりました。これは、建設仮勘定が205百万円、建物及び構築物が106百万円減少したものの、投資有価証券が366百万円、機械装置及び運搬具が97百万円増加したこと等によります。 当連結会計年度末の負債合計は15,582百万円(前連結会計年度末比1,593百万円の増加、前連結会計年度末比11.4%増)となりました。流動負債は10,861百万円(前連結会計年度末比2,132百万円の増加、前連結会計年度末比24.4%増)となりました。これは、短期借入金が460百万円減少したものの、買掛金が1,367百万円、未払法人税等が669百万円、その他流動負債が469百万円増加したこと等によります。固定負債は4,720百万円(前連結会計年度末比539百万円の減少、前連結会計年度末比10.3%減)となりました。これは、長期借入金が581百万円減少したこと等によります。 当連結会計年度末の純資産合計は19,129百万円(前連結会計年度末比1,819百万円の増加、前連結会計年度末比10.5%増)となりました。これは、利益剰余金が1,993百万円増加したこと等によります。 (2) キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ522百万円増加し、7,386百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増減額1,416百万円、売上債権の増減額1,214百万円、持分法による投資利益513百万円等の支出があったものの、税金等調整前当期純利益3,366百万円、減価償却費1,396百万円、仕入債務の増減額1,367百万円等の収入により、3,071百万円の収入(前期は3,469百万円の収入)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出947百万円等の支出により、910百万円の支出(前期は1,328百万円の支出)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入500百万円等の収入があったものの、長期借入金の返済による支出1,007百万円、短期借入金の純減少額460百万円、配当金の支払額429百万円等の支出により、1,669百万円の支出(前期は2,075百万円の支出)となりました。 (3)生産、受注及び販売の状況① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメント名称金額 (千円)前期比 (%)資源循環事業14,036,6136.7リチウムイオン電池リサイクル事業1,170,36330.3その他25,62020.8調整△382,492-合計14,850,1057.7 (注) 金額は、製造原価によっております。 ② 仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメント名称金額 (千円)前期比 (%)資源循環事業4,768,7686.8グローバルトレーディング事業22,168,808△13.9リチウムイオン電池リサイクル事業902,836117.3調整△6,930,455-合計20,909,959△17.2 (注) 金額は、仕入価格によっております。 ③ 受注実績当社は、主に基準在庫量及び販売の実需見込みに基づいた生産方式を採用しておりますので、該当事項はありません。 ④ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメント名称金額 (千円)前期比 (%) 資源循環事業23,940,44313.9 グローバルトレーディング事業24,730,896△21.7 リチウムイオン電池リサイクル事業2,641,16055.9 その他450,733△8.2 調整△7,332,992-合計44,430,241△9.5 (注) 最近2連結会計年度の主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。 相手先前連結会計年度当連結会計年度販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)SEAH BESTEEL4,902,50710.04,962,73611.2 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、必要と思われる見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、これらは不確実性を伴うため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。当社グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容「(経営成績等の状況の概要)(1)財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 (3) キャッシュ・フローの状況の分析、検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの資金調達としては、運転資金に関しては、手元流動性資金を勘案の上不足が生じる場合には短期借入金による調達で賄っております。設備資金に関しては、手元資金(利益等の内部留保金)、長期借入金及び無担保社債による調達を基本としております。ただし、設備資金の不足が生じる期間が短期間である場合には、短期借入金による調達で賄っております。長期資金の調達に際しては、金利動向並びに発行費用等の調達コストも含めて総合的に検討し、銀行借入に比較して有利な条件に限り社債発行を行うこととしております。また、株式の発行に関しては、資本政策に基づき株式価値の希薄化や配当金の負担等を考慮して実施しております。資金の流動性については、財務部が適時に資金繰り計画を作成・更新するとともに手元流動性の維持等により流動性リスクを管理しております。なお、当社グループのキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 (経営成績等の状況の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 (4) 経営者の問題認識と今後の方針について経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

事業リスク

  • 原材料・製品の相場変動リスク
    鉄スクラップや非鉄金属といった主要な原材料・製品の価格は、鉄鉱石や銅鉱石などの資源価格、金属製品価格に大きく影響されます。仕入れ価格と販売価格は相場に連動するものの、急激な価格変動があった場合、契約内容によっては利益が減少したり、損失が発生したりする可能性があります。また、在庫の価値も相場の影響を受けるため、業績に不安定さをもたらすことがあります。
  • 原材料調達環境と業績変動のリスク
    原材料となる金属スクラップや産業廃棄物は、工場の生産活動や最終製品の消費動向に左右されるため、発生量が減少する可能性があります。原材料の減少は、売買数量や生産設備の稼働率に直接影響し、結果として売上高や利益の減少につながる恐れがあります。また、為替変動も業績に影響を与えるため、複数の要因が複合的に作用し、業績が大きく変動する可能性があります。
  • 特定の販売先への集中と物流コスト上昇リスク
    2025年6月期の売上高の約24.55%が国内、韓国、ベトナムの主要鉄鋼メーカー上位3社に集中しており、これらの取引先の事情や各国の法規制、関税率の変化などにより、取引条件の悪化や関係解消が生じた場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、鉄スクラップ等の調達・加工・販売における物流は車両や船舶に依存しており、原油価格高騰や人件費上昇、需給逼迫による配車・配船難により、物流コストが増加し、利益を圧迫するリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|6,587 文字
3 【事業等のリスク】本書に記載した当社グループにおける事業概況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でおりますが、記載内容及び将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在していること、並びに投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんのでご留意ください。 (1) 経済・市場のリスク① 市場動向と競合当社グループの主要な事業領域である資源リサイクル市場においては、国内の人口減少や産業構造の変化に伴い、中長期的に廃棄物の発生量や資源の国内発生源が縮小する可能性があります。また、資源循環への社会的関心の高まりを背景に、同業他社や異業種からの新規参入により競争が激化した場合、取扱量の減少や利幅の低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、独自の強みを持つ領域に経営資源を集中し、確固たる地位を築くニッチトップの取組により、競争環境の変化の影響の低減を図っております。 ② 相場変動・業績変動当社グループにおける原材料、製・商品である鉄スクラップや非鉄金属の価格は、鉄鉱石や銅鉱石といった資源価格や金属製品価格等の影響を受けます。仕入価格と販売価格は基本的には相場に連動いたしますが、相場の急激な変化の影響を受けて、契約内容によっては利益の減少や損失が発生する場合があります。また、製・商品の在庫価値についても相場の影響を受ける可能性があるほか、物価上昇に伴う処理費用や資材費等のコストの増加も収益を圧迫する要因となり得ます。当社グループは、相場変動の影響を受けにくい収益構造への転換を進めることで、業績変動の低減を図っております。1トン当たりの鉄スクラップ価格(東京製鐵田原海上特級価格の平均)の推移は、下表のとおりであります。 鉄スクラップ価格 単位:円/トン第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期通期第15期 2023.7~2024.649,56050,79352,30851,02250,916第16期 2024.7~2025.647,21241,28840,65041,72542,732第17期 2025.7~2026.640,51143,44645,34453,24245,616 (注) 鉄スクラップ価格は、東京製鐵田原海上特級の日々の価格を合計し各四半期会計期間の日数で除して算出しております。 当社グループの業績は、下表のとおりであります。第17期(自 2025年7月1日 至 2026年6月30日) 第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期通期金額(百万円)比率(%)金額(百万円)比率(%)金額(百万円)比率(%)金額(百万円)比率(%)金額(百万円)比率(%)売上高9,99122.511,53726.011,12825.011,77226.544,430100経常利益44012.393526.11,04629.21,15932.43,582100 (注) 比率は、通期に対する四半期の割合であります。 ③ 原材料等の調達当社グループにおける原材料・商品は、主に工場の生産工程から発生する金属スクラップ及び産業廃棄物や市中発生の老廃屑(解体工事や工場ライン撤去に伴い発生する鉄スクラップや非鉄金属)であり、工場の生産動向、最終製品の消費動向等の影響により発生が減少する可能性があります。原材料・商品の発生の減少や集荷競争の激化は、売買数量や生産設備の稼働率に影響を与えるほか、調達コストや選別・処理の過程で生じる副産物の処理費用の上昇は、収益を圧迫する要因となります。当社グループは、集荷体制の強化と調達スキームの多様化を進めるとともに、調達した資源の全量価値化に取り組むことで、これらのリスクの低減を図っております。 ④ 主要顧客への依存当社グループの2026年6月期の売上高に占める上位三社である国内、韓国及びベトナムの鉄鋼メーカーを合わせた売上高比率は22.1%であります。各社とは円滑な取引関係を継続しておりますが、取引先の個別の事情や相手国の事情、法規制や関税率の変化といった理由により、取引条件の悪化や取引関係の解消又は契約内容の大幅な変更等が生じる場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、販売先の多様化と新たな販路の開拓を進めることで、特定の取引先への依存によるリスクの低減を図っております。 ⑤ 外部委託先への依存当社グループは、加工、収集運搬、処分等の事業活動の一部について外部の事業者へ委託しており、対象によっては委託可能な事業者が限られる場合があります。委託先の操業状況や取引条件の変化により委託の継続が困難となった場合、当社グループの生産能力や事業活動に制限が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、委託先の分散や代替手段の確保を進めることで、特定の委託先への依存によるリスクの低減を図っております。 (2) 法的規制・コンプライアンスのリスク① 法的規制・許認可当社グループは、廃棄物処理・再資源化を中心とする事業活動において、多数の許認可及び法令に基づく運営を求められております。主な関係法令としては、廃棄物処理法、建設業法、貨物運送事業法、各種リサイクル法(小型家電リサイクル法等)、古物営業法、金属盗対策法、水質汚濁防止法、消防法、労働安全衛生法、PRTR法及び公益通報者保護法等があります。これらの法令違反・規制違反が生じた場合には、許認可の取消・停止、行政処分又は罰則の適用を受ける可能性があり、事業の継続に重大な影響を及ぼすとともに、社会的信頼の低下を招くおそれがあります。また、グループ会社の拡大に伴い管理領域が複雑化・高度化しており、元請責任、下請管理、契約の事前締結、再委託要件等をめぐる法令適合の徹底が課題となっております。当社グループは、コンプライアンス委員会を通じて遵守体制を構築・運用し、法改正に関する情報を早期に把握して全社へ展開することで、これらのリスクの低減を図っております。 ② 環境規制・汚染当社グループの事業特性上、排水、大気、危険物、指定可燃物等の管理に不備が生じた場合には、環境汚染につながるリスクがあります。具体的には、水質汚濁防止法に基づく排水基準の超過や、有害物質貯蔵指定施設・特定事業場としての管理の不備、危険物・指定可燃物の指定数量の超過や無届・不適正な保管、作業環境測定における管理区分Ⅲ等の作業環境の悪化が想定されます。これらが生じた場合には、行政指導・行政処分や周辺環境への影響、及びこれらに伴う社会的信頼の低下を招くおそれがあります。当社グループは、各グループ会社の環境測定を一覧化して定期的に実施・モニタリングし、その結果をコンプライアンス委員会で共有しております。基準の超過や管理区分Ⅲに該当した場合には、原因を深掘りしたうえで対処しております。 ③ 知的財産当社グループは、金銀滓事業、リチウムイオン電池リサイクル事業、ポリマーサーキュラーエコノミー事業を重要戦略事業と位置づけており、これらの推進過程で成した発明その他知的財産を保護するために、知的財産権の取得に努めております。また、法務課と連携のうえ、共同研究開発における知的財産の帰属・利用条件及び権利範囲を適切に取り決め、当社の知的財産権の保護に努めております。当社グループでは、他者の知的財産権を侵害しないように技術開発その他知的財産の創出に努めておりますが、見解の相違等により他者の知的財産権を侵害する可能性があります。一方、他者が当社グループの知的財産権を侵害する場合には、その保護のため訴訟提起等をすることがあります。 (3) 事業運営のリスク① 安全・労働災害当社グループの事業においては、機械設備やプラント、重機等を擁する工場や拠点における製造・リサイクル工程で労働災害が発生するリスクがあります。重大な労働災害が発生した場合、操業停止や補償費用の発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。安全衛生の推進体制及び具体的な対応策については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりであります。 ② 火災・設備事故当社グループの事業においては、機械設備やプラント、重機等を擁する工場や拠点において、火災等の環境異常や設備の故障・破損が発生するリスクがあります。特に火災については、規模によっては外部環境への被害や人的被害につながるおそれがあります。このため、設備の計画的な保守・点検や安全装置の設置、危険予知活動や各拠点の巡視による危険箇所の早期発見・是正、火災検知機・火災検知システム等の導入といった予防策に取り組んでおりますが、これらの事象が発生した場合、設備の損失、操業停止、復旧費用の発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。詳細な対応策については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりであります。 ③ 財務a. 為替変動:当社グループの貿易取引では、円建のほか外貨建でも取引を行っており、取引及び在庫価値並びに外貨預金残高について為替変動の影響を受けております。外貨取引については、為替予約規程に基づき為替予約等を利用することで、為替変動リスクの低減に努めておりますが、著しい為替変動があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。b. 有利子負債:2026年6月30日現在において、当社グループの有利子負債は6,767百万円、総資産に対する割合は19.5%となっております。引き続き財務バランスを総合的に勘案してまいりますが、今後の経済情勢・金融環境の変化・市中金利動向等によって、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。c. 減損:事業環境の変化等により固定資産及びのれんの収益性が低下した場合、減損損失の計上により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。d. 債権回収:取引先の信用状況の悪化により、債権の回収に支障が生じる可能性があります。e. 潜在株式:当社は、役員の退職慰労金の目的及び役員と従業員等へのインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。2026年6月30日現在における潜在株式数は1,139,681株であり、発行済株式総数の3.8%に相当いたします。この新株予約権が行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があるほか、株式市場で同時期に大量に売却された場合は、需給バランスに変動を生じ、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 事業投資・事業開発当社グループは、重要戦略事業の推進に向けて、積極的な設備投資やM&Aを実施してまいります。設備投資においては、資材価格の高騰、納期の長期化に加え、新技術の評価・技術実装における難易度の高さ等により、当初想定していた稼働時期が延期となるリスクがあります。また、M&Aにおきましては、対象会社の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを実施しリスクの極小化を図るものの、M&Aを行った後に偶発債務や簿外債務が判明するリスクがあります。さらに、外部環境の変化等各種の要因により、当初期待したシナリオどおりの事業シナジーや収益が得られないリスクがあります。当社グループでは、リスク許容度を踏まえ慎重な意思決定・投資管理に努めてまいりますが、これらの事象が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 人材の確保・育成当社グループは、企業価値の持続的向上のためには、優秀な人材の確保及び育成が不可欠であると認識しております。特に、「企業理念」及び組織イメージ「創発的能力を備えた自律した個人の規律ある集団」の実現に向けては、自律的に行動しうる組織風土の醸成と強い企業文化の形成が重要な経営課題であると捉えております。そのため、内部統制委員会の下部組織である人事労務改革委員会を中心に、外部人材の積極的な採用や次世代経営層・リーダー層育成施策の強化、待遇改善等人的資本経営の観点からの人材戦略に取り組んでおります。しかしながら、産業界全体での人材獲得競争の激化などを背景に、いずれも継続的な人材の確保を保証するものではなく、適切な人材の確保及び育成が困難となった場合には、当社グループの事業運営や成長戦略の推進、業績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 情報システム・AI活用サイバー攻撃、システム障害による可用性の低下、AI・DX活用の進展に伴う新たなリスクは、当社グループの事業継続や信頼性に影響を及ぼす可能性があります。具体的な管理体制・対応策は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 安全・コンプライアンス・ガバナンス」に記載のとおりであります。AI・DX活用に関しては、技術進化の速度にガバナンス整備が追いつかず、想定していた利用前提が変化するリスクや、特定の外部AIサービス・クラウド基盤への依存度が高まることに伴い、当該サービスに障害が生じた場合に業務継続へ影響が及ぶリスクが存在いたします。当社グループは、デジタル化推進委員会を中心に、活用ルールの継続的な見直しと利用状況の管理を通じて、これらのリスクの低減に努めております。 ⑦ 物流当社グループでは、鉄スクラップ等の調達、加工、販売の流通において主に車両及び船舶を利用しております。原油価格や人件費の高騰、需給逼迫等による配車・配船難等により物流コストが上昇する可能性があるほか、ドライバー不足の深刻化により集荷・配送の体制の維持が困難となる可能性があります。また、船舶会社から傭船し販売する場合、一船当たりの販売量は1,500トンから5,000トン単位となり、悪天候等の不測の事態により適時に傭船が行えない可能性があります。これらにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、拠点の展開による輸送距離の短縮と物流網の最適化を進めることで、これらのリスクの低減を図っております。 (4) 外部環境のリスク① 地政学・グローバル事業環境当社グループは、輸出や三国間貿易を実施しており、オランダ支店、イギリス支店及びベトナム駐在所等の海外拠点を有しております。世界的なブロック経済化の進展や資源ナショナリズムの台頭を背景に、貿易・通商規制、再生資源の輸出入規制、税制、予期しない法律又は規制の変更及びそれらの解釈の相違、あるいは政変、戦争、感染症の流行等が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、こうした環境変化を踏まえ、国内での資源循環の強化に軸足を置く戦略を採っており、海外市場の動向を注視しながら、商流の見直し等の対応を機動的に行うことで、影響の低減を図っております。 ② 自然災害・パンデミック(BCP)当社グループでは、自然災害・感染症等による事業中断リスクに備え、各グループ会社の各拠点ごとに事業継続計画(BCP)を策定し、定期的な訓練を実施、見直しを行い従業員の安全を確保するとともに被害を最小限にとどめ、速やかな事業再開・継続ができるように準備しております。 ③ 気候変動自然災害の増加などの物理的リスクのみならず、炭素税の導入や再生可能エネルギー電力への切り替えに伴う経費の増大なども、脱炭素社会への移行に係るリスク要因となり得ます。今後、気候変動課題に関連した様々な分野で新たな規制が導入された場合や、気候変動に伴う市場や情勢の変化があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このページのバフェット流コメンタリーは順次自動生成中です。生成されると、ここに「数値の読み解き方」「同業比較」「投資判断のポイント」を表示します。

もっと深く分析したい?

モート先生 AI が エンビプロ・ホールディングス の事業を 4 賢人の理論で詳しく解説します

モート先生に聞く →