5713

住友金属鉱山(5713)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

非鉄金属 鉄鋼・非鉄

事業の概要

  • 資源開発から製品まで一貫
    住友金属鉱山は、鉱山での資源採掘から、それらを精錬して金属製品にする工程、さらに電池材料や機能性材料といった高付加価値製品の製造・販売までを一貫して手掛けています。これにより、原材料の安定確保と製品の品質管理を徹底し、多岐にわたる産業へ貢献するビジネスモデルを構築しています。
  • 非鉄金属と先端材料が柱
    銅、ニッケル、金などの非鉄金属の製錬・販売が主要な収益源です。加えて、電気自動車のバッテリーに使われる水酸化ニッケルやリチウムイオン電池材料、スマートフォンや半導体に使われる粉体材料や結晶材料といった、成長分野向けの先端材料事業も重要な柱となっています。これにより、安定した基盤事業と成長性の高い事業の両輪で収益を上げています。
  • グローバルな事業展開
    国内だけでなく、北米、南米、オセアニア、アジアなど世界各地で資源探査・開発・生産を行い、製錬拠点や販売網もグローバルに展開しています。これにより、特定の地域や市場に依存することなく、世界経済の動向に対応しながら安定的な事業運営を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 資源事業
    国内及び海外での非鉄金属資源の探査・開発・生産、および生産物の販売が主な事業内容です。金銀鉱の採掘・販売や銅精鉱の生産・販売などを行い、住友金属鉱山グループの原材料供給源となっています。売上高は1,590.67億円で、グループの基盤を支える重要な部門です。
  • 製錬事業
    銅、ニッケル、フェロニッケル、亜鉛などの非鉄金属や、金、銀、白金、パラジウムといった貴金属の製錬・販売を手掛けています。資源事業で採掘された鉱石を加工し、高純度の金属製品として市場に供給する役割を担っています。売上高は6,708.28億円と、グループ内で最も大きな売上を占める中核事業です。
  • 材料事業
    電池材料(水酸化ニッケル、ニッケル酸リチウムなど)や機能性材料(粉体材料、結晶材料、パッケージ材料など)の製造・販売を行っています。電気自動車や電子機器など、成長分野向けの先端材料を提供しており、グループの将来の成長を牽引する事業です。売上高は1,853.5億円で、高付加価値製品で収益性を高めています。
FY2018 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
MineralResources 事業 1,591 − −
SmeltingAndRefining 事業 6,708 − −
Materials 事業 1,854 − −
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,924 文字
3【事業の内容】 当社グループは、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在、当社及び連結子会社50社、持分法適用会社13社により構成され、資源開発、非鉄金属製品の製造・販売、電池材料及び機能性材料の製造・販売を主たる業務とし、その他これらに関連する事業活動を展開しております。 当社グループの事業内容と主な会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。 なお、次の4区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。 (1)資源セグメント資源開発…………………… 国内及び海外における非鉄金属資源の探査・開発・生産及び生産物の販売(金銀鉱の採掘・販売、銅精鉱及びSX-EW法による銅の生産・販売等)当社、Sumitomo Metal Mining America Inc.、Sumitomo Metal Mining Arizona Inc.、SMM Morenci Inc.、SMMA Candelaria Inc.、Sumitomo Metal Mining Canada Ltd.、SMM GOLD COTE INC.、SMM Exploration Corporation、Sumitomo Metal Mining Oceania Pty.Ltd.、SMM PERTH PTY LTD、SMM Resources Inc.、SMM Cerro Verde Netherlands B.V.、SMMCV Holding B.V.、Sumitomo Metal Mining Peru S.A.、Sumitomo Metal Mining Chile LTDA.、SMM Quebrada Blanca SpA、SMMQB Holding SpA、Compania Contractual Minera Candelaria、Sociedad Minera Cerro Verde S.A.A.、Compania Contractual Minera Ojos del Salado、Quebrada Blanca Holdings SpA、Cordillera Exploration Company Inc.地質調査・土木工事……… 資源開発技術から発展した地質調査業及び掘削技術を中心とした土木工事業住鉱資源開発㈱ (2)製錬セグメント金属製錬…………………… 銅・ニッケル・フェロニッケル・亜鉛等の製錬・販売及び金・銀・白金・パラジウム等の貴金属の製錬・販売等当社、㈱日向製錬所、㈱四阪製錬所、住鉱物流㈱、Coral Bay Nickel Corporation、Taganito HPAL Nickel Corporation、Sumitomo Metal Mining Philippine Holdings Corporation、GH Nickel Pty Ltd、住友金属鉱山管理(上海)有限公司、住友金属鉱山(香港)有限公司、㈱アシッズ、エム・エスジンク㈱、FIGESBAL SA、金隆銅業有限公司、Nickel Asia Corporation金属加工…………………… 伸銅品等の製造・販売三井住友金属鉱山伸銅㈱ (3)材料セグメント電池材料…………………… 水酸化ニッケル・ニッケル酸リチウム等の製造・販売当社、住鉱エナジーマテリアル㈱、SMM VIETNAM CO.,LTD 機能性材料………………… 粉体材料(ペースト・ニッケル粉・近赤外線吸収材料・磁性材料等)・結晶材料(タンタル酸リチウム基板等)・パッケージ材料(テープ材・プリント配線板等)の製造・加工・販売当社、大口電子㈱、住鉱国富電子㈱、㈱SMMプレシジョン、㈱グラノプト、新居浜電子㈱、㈱伸光製作所、韓国住鉱株式会社、上海住鉱電子漿料有限公司、東莞住鉱電子漿料有限公司、台住電子材料股份有限公司、格藍光学材料貿易(深圳)有限公司、伸光商貿(中山市)有限責任公司 その他……………………… 潤滑剤・自動車排ガス処理触媒・化学触媒・石油精製脱硫触媒等の製造・販売等住鉱潤滑剤㈱、住鉱潤滑剤貿易(上海)有限公司、エヌ・イー ケムキャット㈱、日本ケッチェン㈱ (4)その他エンジニアリング事業、環境保全設備・装置の設計・製造・施工、機械設備の設計・製作、建設業等当社、住友金属鉱山エンジニアリング㈱、ヰゲタハイム㈱、㈱ジェー・シー・オー、日本照射サービス㈱、住鉱技術サービス㈱、住鉱テクノリサーチ㈱ 以上に述べた事項の概略図は次頁のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
銅、ニッケル、金などの非鉄金属の価格は国際市場で決定され、変動の影響を受ける。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
資源開発、非鉄金属製錬、電池材料、機能性材料における独自のプロセス・技術開発。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:優良鉱山の減少及び鉱山投資の不確実性増大 / 開発の長期化 / 人的資本経営の取組遅れ
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

住友ブランドによる信頼性は一定程度存在するが、特許やIPによる明確な競争優位性は限定的。資源開発権は無形資産だが、価格変動リスクを伴う。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

顧客との長期契約はあるものの、代替材料への切り替えリスクはゼロではない。特に銅などの汎用金属においてはスイッチングコストは低い。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

非鉄金属の製造・販売事業であり、ネットワーク効果は期待できない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

長年の操業で培われた鉱山開発・精錬技術、および住友グループとしての調達力・販売網は、一定のコスト優位性をもたらしている可能性がある。特に、新規参入企業にとっては、鉱山開発の初期投資と技術蓄積は大きな障壁となる。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

世界有数の銅生産能力と、ニッケル・金などの多様な資源ポートフォリオを持つ。特に銅においては、大規模鉱山運営による効率化と安定供給能力は、業界内での地位を確立している。規模の経済を活かした事業運営が可能。

  • 一貫生産体制による強み
    資源の探査・開発から、製錬、そして最終製品の製造・販売までを一貫して行う体制が強みです。これにより、原材料の安定調達、品質管理の徹底、コスト競争力の維持が可能となり、サプライチェーン全体での効率化と安定供給を実現しています。
  • 高度な技術力とノウハウ
    長年にわたる鉱山開発、非鉄金属製錬、先端材料開発で培われた独自の技術力とノウハウが競争優位の源泉です。特に、電池材料分野では水酸化ニッケルやリチウム酸ニッケルなどの製造技術において高い評価を得ており、技術革新が激しい市場で優位性を保っています。
  • グローバルな資源権益とネットワーク
    世界各地に広がる鉱山権益と、海外のビジネスパートナーとの強固な連携により、優良な非鉄金属資源を安定的に確保できる体制を構築しています。これにより、資源価格の変動リスクを一部吸収しつつ、長期的な事業基盤を維持しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 (1)住友の事業精神 当社グループは430余年にわたり「ものづくり」の会社として必要とされる製品を安定的にお客様に供給することを社会的責務とし、時代の変化に臨機応変に対応しながら事業を継続してきました。こうした思想、理念は「住友の事業精神」として創業から長きにわたり受け継いできました。当社グループは、この先人達が築き上げてきた「住友の事業精神」の持つ価値観、倫理観の重要性を今一度十分に認識し、当社グループの事業と事業に対する社会からの信頼を確固たるものにするべく、これからも努力を重ねてまいります。 第1条わが住友の営業は信用を重んじ、確実を旨とし、もってその鞏固(きょうこ)隆盛を期すべし第2条わが住友の営業は時勢の変遷理財の得失を計り、弛張(しちょう)興廃することあるべしといえども、いやしくも浮利に趨(はし)り軽進すべからず(1928年 住友合資会社社則「営業の要旨」より抜粋) (2)経営理念と経営ビジョン 当社グループは、住友の事業精神に基づき、当社が社会的な使命と責任を果たしていく指針として、次のとおりグループ経営理念とグループ経営ビジョンを定め、事業を進めています。 「SMMグループ経営理念」・住友の事業精神に基づき、地球および社会との共存を図り、健全な企業活動を通じて社会への貢献とステーク ホルダーへの責任を果たし、より信頼される企業をめざします・人間尊重を基本とし、その尊厳と価値を認め、明るく活力ある企業をめざします 「SMMグループ経営ビジョン」・技術力を高め、ものづくり企業としての社会的な使命と責任を果たします・コンプライアンス、環境保全および安全確保を基本としたグローバルでの企業活動により、資源を確保し、 非鉄金属、機能性材料などの高品質な材料を提供し、企業価値の最大化をめざします (3)長期ビジョン 当社グループは、上記の経営理念や経営ビジョンを受け、その到達すべき目標として長期ビジョン「世界の非鉄リーダー」とそのターゲットを定めています。当社グループは、経営理念や経営ビジョンを基盤とし、資源を確保し、非鉄金属や電池・機能性材料など高品質な商品の提供を通じて、成長性と持続性を拡大させ、当社の企業価値を高めていきます。 「世界の非鉄リーダー」とは・資源権益やメタル生産量において、グローバルでの存在感(=世界Top5に入るメタル)がある・資源メジャーでも容易に模倣できない、卓越した技術や独自のビジネスモデルを有している・持続的成長を実現し、安定して一定規模の利益をあげている・SDGs等の社会課題に積極的に取り組んでいる・従業員がいきいきと働いている 長期ビジョンのターゲット・ニッケル:生産量15万トン/年・ 銅:権益分生産量30万トン/年・ 金:優良権益獲得による鉱山オペレーションへの新規参画・材料事業:ポートフォリオ経営による税引前当期利益250億円/年の実現・ 利益:親会社の所有者に帰属する当期利益 1,500億円/年 (4)重要課題と2030年のありたい姿 「住友金属鉱山グループサステナビリティ方針」では、社会の持続的発展に貢献する経営課題に取り組み、事業の持続的な成長と企業価値の向上を図るとしています。当社グループは、このサステナビリティ方針に従い2020年3月に重要課題を定め、その重要課題に対応する「2030年のありたい姿」を実現するためにサステナビリティ活動に取り組んでまいりました。その後、気候変動の状況やDXをはじめとする技術革新などの変化を受け、持続可能な社会実現への貢献と企業価値の向上に対する社会的要請の高まりを踏まえ、11の重要課題を6つに集約しました。 また各重要課題における「2030年のありたい姿」を整理し、それぞれのありたい姿の実現度合いを測定するKPI及び目標を設定しました。なお、6つの「重要課題」の詳細については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ全般 ② 戦略」をご参照ください。 (5)中期経営計画2027 当社グループは、長期ビジョンとターゲットの達成に向け中期経営計画を3年ごとに策定しています。2025年5月に2025年度から2027年度を対象とする「中期経営計画 2027」(以下、「中計27」という)を公表しました。当社グループでは、本中計期間を長期ビジョン『世界の非鉄リーダー』実現にむけた正念場と位置づけ、「ものづくり力」を高めて収益力を取り戻し、企業価値を持続的に向上していく基盤を再構築するとともに、足元の課題克服と並行して、長期的な目線で企業価値の向上に取り組んでおります。 なお、文中における将来に関する事項は、中計27を公表した時点において当社グループが判断したものであります。 ① 当社を取り巻く経営環境 「中計27」の策定に際して考慮すべき中期的な経営環境として以下を挙げております。 a.資源開発の難易度は今後も上昇・資源ナショナリズムの高揚・鉱山の高地・奥地・深部・低品位化・地域社会との良好な関係性構築の難度上昇・環境規制強化・投資及び電力・資材代などのランニングコスト上昇 b.非鉄金属の需給バランスは当面供給過多で推移・ニッケルは中国、インドネシアでの生産増、電気自動車(EV)普及速度の低下により供給過多の状況が継続・世界の銅地金の生産能力は増加が見込まれる反面、銅精鉱の供給増は限定的で、製錬マージン(TC/RC)の回復は2030年以降の想定 c.材料事業はまだら模様で回復には力強さを欠く・電池材料はEV需要の鈍化と海外電池メーカーの台頭により事業環境が急速に変化し、価格・技術競争が激化・機能性材料については、EV需要の鈍化と生成AI以外の牽引役不在のなか、ブロック経済の進行などにより先行きは不透明 なお、足元の経営環境は、緊迫した状況が続く中東情勢など地政学的リスクの長期化や不動産不況による中国経済の低迷、米国の関税政策をはじめとする国際的な貿易摩擦や金融市場の調整に伴う各国・地域におけるインフレ再燃リスクなど、不確実性の高い状況が継続しています。 非鉄金属の需給については、銅は、中東情勢や各国政策などの不確実性が需要を鈍らせ、供給過多となると見込まれています。一方、ニッケルは、需要が緩やかに増加する一方、インドネシアを中心に増産に制約がかかり、供給過多は次第に改善すると見込まれます。 また、材料事業の関連業界においては、生成AIをはじめとする先端技術の普及の進展や成長を続けるデータセンター用途での需要の増加は見込まれていますが、世界経済の先行きが不透明なことから市場の成長が鈍化するリスクもあり、予断を許さない状況にあります。 ② 中計27の基本戦略とその進捗 a.事業環境変化への対処・ケブラダ・ブランカ銅鉱山とコテ金鉱山の戦力化 JVパートナーとの協働による操業の安定化、さらなる生産性向上追求・電池材料事業の立て直し 事業規模に見合った体制への再構築、徹底した生産性改善、コスト削減の実施 全固体電池用/Ni系次世代電池材料、LFP電池材料等の開発継続・製錬事業の競争力強化 高効率、低コスト操業の追求、原料対応力強化・事業ポートフォリオ管理(ROCE経営の推進) フェロニッケル事業:ニッケルマット製造炉新設による当社ニッケル事業全体のサプライチェーン強化 LT/LN事業(結晶):製造拠点集約、用途拡大追求 b.次の成長への準備・ニッケル・銅・金開発プロジェクト カルグーリー・ニッケル・プロジェクト グーンガリーハブ(オーストラリア)の推進 ウィヌ銅・金プロジェクト(オーストラリア)の推進・リチウムイオン二次電池リサイクル事業 計画どおりのリサイクルプラント建設推進と稼働開始・SiC(シリコンカーバイド)貼り合わせ基板 SiC貼り合わせ基板 SiCkrest®(8インチ)の拡販 貼り合わせ支持基板となるSiC多結晶の拡販・近赤外線吸収材料の推進・拡大 SOLAMENT®農業領域への参入、新規用途開拓 c.持続的成長を支える資産・技術・人材の活用 優良な鉱山資産、卓越した技術、DX基盤、成長戦略を支える人材の活用による「ものづくり力(稼ぐ力)」の強化 d.経営基盤の維持・強化・サーキュラーエコノミーやカーボンニュートラル社会への貢献をはじめとするサステナビリティ活動の推進 「2030年のありたい姿」に沿った重要課題への取り組みによる、社会課題への対応と事業の持続的な発展・企業価値向上の実現 2050年カーボンニュートラルに向けた「ロードマップ」に基づいた、GHG排出量の削減と低炭素貢献技術の開発推進・資本コストや株価を意識した経営の推進 これまで推進してきた成長戦略の確実な刈り取り 棚卸資産圧縮、政策保有株式縮減などを含む資本効率の追求 ROCE経営の推進 株主還元の強化(下限指標DOEの水準引き上げ、機動的な自己株式の取得)・コーポレートガバナンス体制の検討 役員株式報酬制度導入検討 取締役会をはじめとしたガバナンス体制の見直し検討 中期27の初年度となる当期の進捗状況及び今後の戦略の内容については、資源事業では、当社が25%の権益を持つケブラダ・ブランカ銅鉱山フェーズ2開発プロジェクト(チリ)において2025年4月にプロジェクトファイナンス契約で定める完工条件を全て達成しました。生産量は、期央にかけては尾鉱堆積場の制約による影響を受けましたが、期末にかけて徐々に制約が解消されました。コテ金開発プロジェクト(カナダ)では、順調に商業生産を継続しました。また、Rio Tinto PLC(英国 ロンドン)が保有するウィヌ銅・金プロジェクトの権益のうち 30%を取得することについて、契約を締結しました。 製錬事業では、銅製錬を行う東予工場(愛媛県)、ニッケル製錬を行うニッケル工場(愛媛県)や播磨事業所(兵庫県)において安定した操業を継続するとともに、使用済みのリチウムイオン二次電池から銅、ニッケル、コバルト、リチウムを回収するリサイクルプラントの建設や世界最大規模のニッケル資源量を有するカルグーリー・ニッケル・プロジェクト グーンガリーハブの検討などの将来を見据えた戦略投資を進めています。 材料事業では、電池材料事業は、新たな増産のため建設を進めてきた新居浜工場(愛媛県)が完工し、2025年5月に竣工式を行いました。機能性材料事業では、データセンター関連の電子部品向け部材や、触媒等の需要が堅調に推移しました。また、SOLAMENT®(近赤外線吸収材料:CWO)のブランディング戦略を推進しました。 また、2025年3月に見直した6つの重要課題と各重要課題に対応する13の「2030年のありたい姿」に基づき、社会の持続的発展に貢献する経営課題への取り組みを進めています。 ③ 目標とする経営指標 「世界の非鉄リーダー」実現に向けては、健全な財務体質に裏打ちされた大型プロジェクトやM&Aへの機動的な対応が欠かせません。当社グループは2026年2月に財務戦略の基本方針を見直し、財務体質の健全性を示す指標として連結自己資本比率を50%超とし、また、資本コストを意識した経営を推進するため、その適正水準を55%と位置づけ、株主還元等を強化し2028年3月期までに58%とすることを目指すこととしました。 (6)その他 ㈱ジェー・シー・オーは、施設の維持管理、低レベル放射性廃棄物の保管管理、施設の廃止措置に向けた準備のため、施設の解体や除染等を推進するための諸施策を進めております。当社は、同社がこれらに万全の態勢で取り組むことができるよう引き続き支援を行ってまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 (1)住友の事業精神 当社グループは430余年にわたり「ものづくり」の会社として必要とされる製品を安定的にお客様に供給することを社会的責務とし、時代の変化に臨機応変に対応しながら事業を継続してきました。こうした思想、理念は「住友の事業精神」として創業から長きにわたり受け継いできました。当社グループは、この先人達が築き上げてきた「住友の事業精神」の持つ価値観、倫理観の重要性を今一度十分に認識し、当社グループの事業と事業に対する社会からの信頼を確固たるものにするべく、これからも努力を重ねてまいります。 第1条わが住友の営業は信用を重んじ、確実を旨とし、もってその鞏固(きょうこ)隆盛を期すべし第2条わが住友の営業は時勢の変遷理財の得失を計り、弛張(しちょう)興廃することあるべしといえども、いやしくも浮利に趨(はし)り軽進すべからず(1928年 住友合資会社社則「営業の要旨」より抜粋) (2)経営理念と経営ビジョン 当社グループは、住友の事業精神に基づき、当社が社会的な使命と責任を果たしていく指針として、次のとおりグループ経営理念とグループ経営ビジョンを定め、事業を進めています。 「SMMグループ経営理念」・住友の事業精神に基づき、地球および社会との共存を図り、健全な企業活動を通じて社会への貢献とステーク ホルダーへの責任を果たし、より信頼される企業をめざします・人間尊重を基本とし、その尊厳と価値を認め、明るく活力ある企業をめざします 「SMMグループ経営ビジョン」・技術力を高め、ものづくり企業としての社会的な使命と責任を果たします・コンプライアンス、環境保全および安全確保を基本としたグローバルでの企業活動により、資源を確保し、 非鉄金属、機能性材料などの高品質な材料を提供し、企業価値の最大化をめざします (3)長期ビジョン 当社グループは、上記の経営理念や経営ビジョンを受け、その到達すべき目標として長期ビジョン「世界の非鉄リーダー」とそのターゲットを定めています。当社グループは、経営理念や経営ビジョンを基盤とし、資源を確保し、非鉄金属や電池・機能性材料など高品質な商品の提供を通じて、成長性と持続性を拡大させ、当社の企業価値を高めていきます。 「世界の非鉄リーダー」とは・資源権益やメタル生産量において、グローバルでの存在感(=世界Top5に入るメタル)がある・資源メジャーでも容易に模倣できない、卓越した技術や独自のビジネスモデルを有している・持続的成長を実現し、安定して一定規模の利益をあげている・SDGs等の社会課題に積極的に取り組んでいる・従業員がいきいきと働いている 長期ビジョンのターゲット・ニッケル:生産量15万トン/年・ 銅:権益分生産量30万トン/年・ 金:優良権益獲得による鉱山オペレーションへの新規参画・材料事業:ポートフォリオ経営による税引前当期利益250億円/年の実現・ 利益:親会社の所有者に帰属する当期利益 1,500億円/年 (4)重要課題と2030年のありたい姿 「住友金属鉱山グループサステナビリティ方針」では、社会の持続的発展に貢献する経営課題に取り組み、事業の持続的な成長と企業価値の向上を図るとしています。当社グループは、このサステナビリティ方針に従い2020年3月に重要課題を定め、その重要課題に対応する「2030年のありたい姿」を実現するためにサステナビリティ活動に取り組んでまいりました。その後、気候変動の状況やDXをはじめとする技術革新などの変化を受け、持続可能な社会実現への貢献と企業価値の向上に対する社会的要請の高まりを踏まえ、11の重要課題を6つに集約しました。 また各重要課題における「2030年のありたい姿」を整理し、それぞれのありたい姿の実現度合いを測定するKPI及び目標を設定しました。なお、6つの「重要課題」の詳細については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ全般 ② 戦略」をご参照ください。 (5)中期経営計画2027 当社グループは、長期ビジョンとターゲットの達成に向け中期経営計画を3年ごとに策定しています。2025年5月に2025年度から2027年度を対象とする「中期経営計画 2027」(以下、「中計27」という)を公表しました。当社グループでは、本中計期間を長期ビジョン『世界の非鉄リーダー』実現にむけた正念場と位置づけ、「ものづくり力」を高めて収益力を取り戻し、企業価値を持続的に向上していく基盤を再構築するとともに、足元の課題克服と並行して、長期的な目線で企業価値の向上に取り組んでおります。 なお、文中における将来に関する事項は、中計27を公表した時点において当社グループが判断したものであります。 ① 当社を取り巻く経営環境 「中計27」の策定に際して考慮すべき中期的な経営環境として以下を挙げております。 a.資源開発の難易度は今後も上昇・資源ナショナリズムの高揚・鉱山の高地・奥地・深部・低品位化・地域社会との良好な関係性構築の難度上昇・環境規制強化・投資及び電力・資材代などのランニングコスト上昇 b.非鉄金属の需給バランスは当面供給過多で推移・ニッケルは中国、インドネシアでの生産増、電気自動車(EV)普及速度の低下により供給過多の状況が継続・世界の銅地金の生産能力は増加が見込まれる反面、銅精鉱の供給増は限定的で、製錬マージン(TC/RC)の回復は2030年以降の想定 c.材料事業はまだら模様で回復には力強さを欠く・電池材料はEV需要の鈍化と海外電池メーカーの台頭により事業環境が急速に変化し、価格・技術競争が激化・機能性材料については、EV需要の鈍化と生成AI以外の牽引役不在のなか、ブロック経済の進行などにより先行きは不透明 なお、足元の経営環境は、緊迫した状況が続く中東情勢など地政学的リスクの長期化や不動産不況による中国経済の低迷、米国の関税政策をはじめとする国際的な貿易摩擦や金融市場の調整に伴う各国・地域におけるインフレ再燃リスクなど、不確実性の高い状況が継続しています。 非鉄金属の需給については、銅は、中東情勢や各国政策などの不確実性が需要を鈍らせ、供給過多となると見込まれています。一方、ニッケルは、需要が緩やかに増加する一方、インドネシアを中心に増産に制約がかかり、供給過多は次第に改善すると見込まれます。 また、材料事業の関連業界においては、生成AIをはじめとする先端技術の普及の進展や成長を続けるデータセンター用途での需要の増加は見込まれていますが、世界経済の先行きが不透明なことから市場の成長が鈍化するリスクもあり、予断を許さない状況にあります。 ② 中計27の基本戦略とその進捗 a.事業環境変化への対処・ケブラダ・ブランカ銅鉱山とコテ金鉱山の戦力化 JVパートナーとの協働による操業の安定化、さらなる生産性向上追求・電池材料事業の立て直し 事業規模に見合った体制への再構築、徹底した生産性改善、コスト削減の実施 全固体電池用/Ni系次世代電池材料、LFP電池材料等の開発継続・製錬事業の競争力強化 高効率、低コスト操業の追求、原料対応力強化・事業ポートフォリオ管理(ROCE経営の推進) フェロニッケル事業:ニッケルマット製造炉新設による当社ニッケル事業全体のサプライチェーン強化 LT/LN事業(結晶):製造拠点集約、用途拡大追求 b.次の成長への準備・ニッケル・銅・金開発プロジェクト カルグーリー・ニッケル・プロジェクト グーンガリーハブ(オーストラリア)の推進 ウィヌ銅・金プロジェクト(オーストラリア)の推進・リチウムイオン二次電池リサイクル事業 計画どおりのリサイクルプラント建設推進と稼働開始・SiC(シリコンカーバイド)貼り合わせ基板 SiC貼り合わせ基板 SiCkrest®(8インチ)の拡販 貼り合わせ支持基板となるSiC多結晶の拡販・近赤外線吸収材料の推進・拡大 SOLAMENT®農業領域への参入、新規用途開拓 c.持続的成長を支える資産・技術・人材の活用 優良な鉱山資産、卓越した技術、DX基盤、成長戦略を支える人材の活用による「ものづくり力(稼ぐ力)」の強化 d.経営基盤の維持・強化・サーキュラーエコノミーやカーボンニュートラル社会への貢献をはじめとするサステナビリティ活動の推進 「2030年のありたい姿」に沿った重要課題への取り組みによる、社会課題への対応と事業の持続的な発展・企業価値向上の実現 2050年カーボンニュートラルに向けた「ロードマップ」に基づいた、GHG排出量の削減と低炭素貢献技術の開発推進・資本コストや株価を意識した経営の推進 これまで推進してきた成長戦略の確実な刈り取り 棚卸資産圧縮、政策保有株式縮減などを含む資本効率の追求 ROCE経営の推進 株主還元の強化(下限指標DOEの水準引き上げ、機動的な自己株式の取得)・コーポレートガバナンス体制の検討 役員株式報酬制度導入検討 取締役会をはじめとしたガバナンス体制の見直し検討 中期27の初年度となる当期の進捗状況及び今後の戦略の内容については、資源事業では、当社が25%の権益を持つケブラダ・ブランカ銅鉱山フェーズ2開発プロジェクト(チリ)において2025年4月にプロジェクトファイナンス契約で定める完工条件を全て達成しました。生産量は、期央にかけては尾鉱堆積場の制約による影響を受けましたが、期末にかけて徐々に制約が解消されました。コテ金開発プロジェクト(カナダ)では、順調に商業生産を継続しました。また、Rio Tinto PLC(英国 ロンドン)が保有するウィヌ銅・金プロジェクトの権益のうち 30%を取得することについて、契約を締結しました。 製錬事業では、銅製錬を行う東予工場(愛媛県)、ニッケル製錬を行うニッケル工場(愛媛県)や播磨事業所(兵庫県)において安定した操業を継続するとともに、使用済みのリチウムイオン二次電池から銅、ニッケル、コバルト、リチウムを回収するリサイクルプラントの建設や世界最大規模のニッケル資源量を有するカルグーリー・ニッケル・プロジェクト グーンガリーハブの検討などの将来を見据えた戦略投資を進めています。 材料事業では、電池材料事業は、新たな増産のため建設を進めてきた新居浜工場(愛媛県)が完工し、2025年5月に竣工式を行いました。機能性材料事業では、データセンター関連の電子部品向け部材や、触媒等の需要が堅調に推移しました。また、SOLAMENT®(近赤外線吸収材料:CWO)のブランディング戦略を推進しました。 また、2025年3月に見直した6つの重要課題と各重要課題に対応する13の「2030年のありたい姿」に基づき、社会の持続的発展に貢献する経営課題への取り組みを進めています。 ③ 目標とする経営指標 「世界の非鉄リーダー」実現に向けては、健全な財務体質に裏打ちされた大型プロジェクトやM&Aへの機動的な対応が欠かせません。当社グループは2026年2月に財務戦略の基本方針を見直し、財務体質の健全性を示す指標として連結自己資本比率を50%超とし、また、資本コストを意識した経営を推進するため、その適正水準を55%と位置づけ、株主還元等を強化し2028年3月期までに58%とすることを目指すこととしました。 (6)その他 ㈱ジェー・シー・オーは、施設の維持管理、低レベル放射性廃棄物の保管管理、施設の廃止措置に向けた準備のため、施設の解体や除染等を推進するための諸施策を進めております。当社は、同社がこれらに万全の態勢で取り組むことができるよう引き続き支援を行ってまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容は次のとおりであります。(注)「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載している金額のうち、「(1)経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容 ⑤ キャッシュ・フロー」は、消費税等を含んだ金額であります。 ① 経営成績(単位:百万円) 売上高税引前当期利益親会社の所有者に帰属する当期利益当連結会計年度1,741,586255,680176,290前連結会計年度1,593,34831,38316,487増減148,238224,297159,803増減率(%)9.3714.7969.3 (年間平均海外相場、年間平均為替相場) 単位前連結会計年度当連結会計年度増減(△は減少)銅$/t9,37010,8161,446ニッケル$/lb7.517.08△0.43金$/TOZ2,584.73,939.11,354.4為替(TTM)円/$152.58150.78△1.80 当連結会計年度の世界経済は、米国の保護主義的な関税政策や中東情勢の緊迫化などによる景気の下押し圧力が強まったものの、概ね成長を維持しました。米国では、関税政策などによる物価上昇が個人消費を抑制し、また雇用情勢にも悪化傾向が見られましたが、AI関連投資が下支えとなり、景気は緩やかに拡大しました。欧州では、国や産業により違いはあるものの、物価の安定や実質賃金の上昇を背景に内需は総じて回復傾向となり、成長を維持しました。中国では、米国向け以外の輸出や景気刺激策が下支えしましたが、長引く不動産市況の低迷や景気刺激策の効果一巡により、成長は力強さを欠きました。 主要非鉄金属価格につきましては、銅価格は、AI関連投資向けの需要拡大や銅鉱石の供給不足などを背景に、2026年1月には史上最高値を記録するなど、期を通して上昇基調で推移し、平均価格は前連結会計年度を上回りました。ニッケル価格は、インドネシアにおける増産などにより供給過多の状況が継続したため、期の大半は前連結会計年度に比べて低い水準で推移しました。このような状況を背景に、インドネシア政府によるニッケル鉱石採掘量割当の削減が発表されて以降は価格が上昇したものの、通期での平均価格は前連結会計年度を下回りました。金価格は、地政学的リスクの高まり、通貨に対する信認の低下や米国の利下げ観測などを背景に、2026年1月には史上最高値を記録するなど上昇基調で推移し、平均価格は前連結会計年度を大幅に上回りました。 為替相場につきましては、日本の積極的な財政政策を受けて期の後半は円安が進行しましたが、期の前半は円高で推移したことから、平均為替レートは前連結会計年度に比べて円高となりました。 材料事業の関連業界におきましては、電気自動車やハイブリッド車の需要は国や地域等で濃淡があり、車載用電池材料の需要は前連結会計年度に比べ緩やかな伸長となりました。一方、電子部品向け部材につきましては、データセンター向け部材や半導体関連の需要が市場を牽引し、緩やかであるものの需要は回復傾向となりました。 このような状況のなか、当連結会計年度の連結売上高は、銅及び金などの平均価格が前連結会計年度を上回ったことや期央以降の円安基調で推移した為替の影響などにより、前連結会計年度に比べ1,482億38百万円増加し、1兆7,415億86百万円となりました。 連結税引前当期利益は、コテ金鉱山(カナダ)や国内のニッケル工場などにおける順調な操業に加え、銅及び金などの非鉄金属価格の上昇を受け、多額の減損損失の影響を受けた前連結会計年度に比べ2,242億97百万円増加し、2,556億80百万円となりました。 親会社の所有者に帰属する当期利益は、連結税引前当期利益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ1,598億3百万円増加し、1,762億90百万円となりました。 セグメントの業績は、次のとおりであります。 (資源セグメント)(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率(%)売上高210,716302,57791,86143.6セグメント利益101,836167,83165,99564.8 セグメント利益は、銅及び金などの非鉄金属価格の上昇に加え、コテ金鉱山の順調な操業などにより、前連結会計年度を上回りました。 主要鉱山の概況は以下のとおりであります。 菱刈鉱山は順調な操業を継続し、販売金量は計画どおりの3.5tとなりました。 モレンシー銅鉱山(米国)の生産量は、前連結会計年度並みの314千tとなりました(うち非支配持分を除く当社権益は25.0%)。 セロ・ベルデ銅鉱山(ペルー)の生産量は、給鉱品位の低下などにより前連結会計年度を下回り、391千tとなりました(うち非支配持分を除く当社権益は16.8%)。 ケブラダ・ブランカ銅鉱山(チリ)の生産量は、尾鉱堆積場の処理能力に一時的な制約が生じたことで前連結会計年度を下回る183千tとなりました(うち非支配持分を除く当社権益は25.0%)。 コテ金鉱山の生産量は、順調な操業により計画を上回る12.4tとなりました(うち非支配持分を除く当社権益は30.0%)。 (製錬セグメント)(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率(%)売上高1,230,6941,350,058119,3649.7セグメント利益又は損失(△)△7,14791,59398,740- (当社の主な製品別生産量)製品単位前連結会計年度当連結会計年度増減(△は減少)銅t442,960412,591△30,369金kg18,70914,261△4,448電気ニッケルt60,10866,1556,047フェロニッケルt3,3174,8001,483(注)生産量には、受委託分を含めて表示しております。 セグメント損益は、海外ニッケル製錬子会社における減損損失の影響を受けた前連結会計年度に比べ、当連結会計年度は銅の買鉱条件が悪化したものの、金などの非鉄金属価格が上昇したことなどにより前連結会計年度を上回りました。 電気銅の生産量及び販売量は、東予工場の定期炉修(大型休転)を実施したことにより前連結会計年度を下回りましたが、電気ニッケル及びフェロニッケルの生産量及び販売量はともに前連結会計年度を上回りました。なお、電気ニッケルの生産量は過去最高を達成しました。 Coral Bay Nickel Corporation(フィリピン)の生産量は前連結会計年度を若干下回りましたが、Taganito HPAL Nickel Corporation(フィリピン)の生産量は前連結会計年度を上回りました。(材料セグメント)(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率(%)売上高296,513284,509△12,004△4.0セグメント利益又は損失(△)△54,23115,29069,521- セグメント損益は、電池材料における減損損失の影響を受けた前連結会計年度に比べ、電子部品向け部材は通信デバイス向け部材等が増益となったことも加わり、上回りました。 ② 経営成績に重要な影響を与える要因について 主な要因として、資源・製錬セグメントは、非鉄金属価格及び為替レートの変動、材料セグメントは、市場動向の変化が挙げられます。詳細及び他の要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 ③ 財政状態(単位:百万円) 前連結会計年度末当連結会計年度末増減資産合計3,068,6223,559,006490,384負債合計1,019,2361,267,008247,772資本合計2,049,3862,291,998242,612 当連結会計年度末の資産合計は、非鉄金属価格の上昇による棚卸資産の増加及び株価急騰による非流動資産のその他の金融資産の増加に加えて、ウィヌ銅・金プロジェクト(オーストラリア)に係る権益を取得したことにより無形資産及びのれんに含まれる鉱業権等が増加したことから、前連結会計年度末に比べ増加しました。 負債合計は、短期社債の発行や短期借入金の増加などにより流動負債の社債及び借入金が増加したことに加え、繰延税金負債が増加したことから、前連結会計年度末に比べ増加しました。 資本合計は、自己株式の取得やその他の資本の構成要素に含まれる在外営業活動体の換算差額が円高により減少しましたが、親会社の所有者に帰属する当期利益の増加やその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産が株価上昇により増加したため、前連結会計年度末に比べ増加しました。 ④ 財務指標 当社は「財務戦略の基本方針、株主還元方針の変更」を2026年2月に公表しました。財務戦略の基本方針である「連結自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)50%超を維持」を掲げつつ、新たに、その適正水準を55%と位置づけました。なお、当連結会計年度の連結自己資本比率は、自己株式の取得など施策の実施により58.3%となりました。 ⑤ キャッシュ・フロー(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減営業活動によるキャッシュ・フロー149,644101,810△47,834投資活動によるキャッシュ・フロー△138,884△185,248△46,364財務活動によるキャッシュ・フロー△6,18036,73642,916換算差額4,1103,758△352現金及び現金同等物の期首残高151,022159,7128,690現金及び現金同等物の期末残高159,712116,768△42,944 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益や営業債務及びその他の債務などが増加したものの、棚卸資産、営業債権及びその他の債権が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ収入が減少しました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出は減少したものの、権益譲渡による収入がなくなり、投資有価証券の売却による収入も減少した上、権益取得による支出が発生したことなどから、前連結会計年度に比べ支出は増加しました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済による支出、社債の償還による支出や自己株式の取得による支出が増加したものの、短期借入れによる収入や社債の発行による収入が増加したことなどから、収入が支出を上回り、当連結会計年度は収入に転じました。 ⑥ 資本の財源及び資金の流動性a)財務戦略の基本的な考え方 当社グループでは、減耗する資源を取り扱っており、常に新たな資源権益獲得のための大型開発プロジェクト参画やM&Aに備える必要があります。また、新たな製錬所建設も含め、資源・製錬の開発プロジェクトは、投資を実行してから回収するまでに、比較的長期間を要します。従い一時的な大きなキャッシュ・アウトフローに耐えうる健全な財務体質を維持していくことが重要であると考えております。 一方で、資本構成の最適化と資本効率の向上を図りながら資本コストを意識した経営を推進していくことも重要だと考えており、2026年2月付で財務戦略の基本方針を見直しております。具体的には、連結自己資本比率 を50%超としつつ、その適正水準を55%と位置づけ、株主還元等を強化し2028年3月期までに58%とすることを目指す方針としております。 b)資金調達と流動性マネジメント 当社は事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金を確保することを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融のバランスを見極めつつ、その時々のマーケット状況での有利手段を追求しています。資源・製錬事業における海外大型プロジェクトでは、現地のカントリーリスクにさらされることも多く、政府系金融機関による各種支援メニューや複数の金融機関による協調型融資の活用、プロジェクトファイナンスの組成など、その都度最適な資金調達方法を検討しております。 また、当社はそのような大型プロジェクトや材料事業における戦略的増強対応など将来の投資計画を含めた全体の資金需要に対応しつつ、経営の安定化の観点から一定の手元流動性を維持することも必要であると考えています。 当社は、手元流動性の水準を考えるにあたり、流動性リスクとして連結売上高1.5ヶ月分と半年以内返済予定の借入金等の合計額を想定し、これに対し、現金・預金及び現金同等物(以下「手元現預金」)及びコマーシャル・ペーパー(CP)発行可能枠の未使用額を合わせた金額で賄うことで対応することとしています。また、金融市場の動向によりCPによる調達が一時的に困難になるリスクも想定し、発行に際してはコミットメントライン契約に基づく借入限度額の範囲内にとどめることを原則としています。 さらに、手元現預金が中長期にわたり必要額に満たなくなると想定される場合には、社債の発行や金融機関からの借入金等を通じて、必要な現預金残高を確保することを考えております。 なお、当社は、日本国内の市場において株式会社日本格付研究所(JCR)から「ダブルAマイナス」の長期発行体格付及び「J-ワンプラス」の国内CP格付を取得しており、資金調達にあたっては十分な信用力を保持しております。また、主要な国内金融機関と円貨及び外貨でのコミットメントライン契約を締結しており、金融・資本市場の流動性が逼迫した状況下でも、コミットメントラインを使用することによって十分な流動性を確保することができると考えております。 ⑦ 重要性がある会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要性がある会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 及び 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。 (2)生産、受注及び販売の実績① 生産実績及び受注実績 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また連結会社間の取引が複雑で、報告セグメントごとの生産実績及び受注実績を正確に把握することは困難なため、当社の主要な品目等についてのみ「(1)経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容」において、各報告セグメントの業績に関連付けて記載しております。 ② 販売実績 当連結会計年度における販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(百万円)前連結会計年度比(%)資源302,57743.6製錬1,350,0589.7材料284,509△4.0報告セグメント計1,937,14411.5その他10,972△1.7調整額△206,530-連結財務諸表計上額1,741,5869.3(注)1.セグメント間の販売実績は、各セグメントに含めて表示しております。 2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)パナソニックホールディングス㈱260,18816.3246,92214.2住友電気工業㈱172,58810.8181,63110.4田中貴金属工業㈱143,5629.0175,11410.1

事業リスク

  • 優良鉱山の減少と投資不確実性
    新たに発見される鉱床が、高地化、奥地化、低品位化する傾向にあり、優良な鉱山権益の獲得競争が激化しています。これにより、開発・参入コストが増大し、追加投資や採鉱コスト上昇の負担、あるいは投資断念が、財政状態や経営成績を悪化させるリスクがあります。
  • 材料開発の長期化と競争激化
    材料事業では、顧客ニーズの多様化と商品寿命の短期化が進む一方で、新商品開発や既存品改良には長期の開発期間と多大な経営資源(資金、人材)が必要です。他社の新技術・商品により、自社技術・商品がコスト面で競争優位性を失い、財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 地政学リスクと経済情勢変動
    鉱山開発、製造拠点、販売市場が国際的に広範にわたるため、政情不安、紛争、法令・規制変更、資源ナショナリズムの高まりといった地政学的・社会情勢の変化がサプライチェーンや事業継続に影響を与えるリスクがあります。また、銅やニッケルなどの非鉄金属価格は国際需給や為替、投機的取引に影響され変動するため、収益に大きな影響を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|6,111 文字
3【事業等のリスク】(1)リスクマネジメント① リスクの考え方 当社グループでは、リスクには目的に対して「好ましいもの」と「好ましくないもの」の両方があると捉え、事業及び組織における目的の達成に影響を及ぼし、価値の保護及び創造を不確かにする事象をリスクと定義しています。リスクマネジメントによって「好ましいもの」を最大化するよう目標及び施策などを見直し、「好ましくないもの」を最小化するようプロセスを点検し改善して「中期経営計画」の達成、さらに「2030年のありたい姿」や「長期ビジョン」の実現をより確実にしています。 ② リスクマネジメント(RM)の体制・枠組 1999年に子会社である株式会社ジェー・シー・オーが起こした臨界事故を厳粛に受けとめ、リスクマネジメント方針及び重点施策の全社的取組など、リスクマネジメントの推進及び監視を行う機関として「リスクマネジメント分科会」を設置、社長を最高責任者として、当社グループを取り巻くリスク及びその変化に対応する体制(図1参照)を整えています。この体制によって運用される当社のリスクマネジメントは3つの枠組で構成され(図2参照)、経営RMにおいては、社長をはじめとする執行役員により議論され、成長戦略・事業戦略の遂行に伴う経営・事業リスクの中で特に重要なリスクを特定、対応方針及び責任部門を定め機関決定し、リスクマネジメント分科会が取組状況をモニタリングします。また拠点RMでは、主に産業事故、コンプライアンス違反、品質問題及び環境事故など、当社の経営基盤の安定を損なう個々の拠点に潜在する固有のリスクには拠点長が責任者となって取り組むことにしています。なお、社会的に影響が大きい産業事故や震災、感染症、海外有事などの緊急事態に対しては、全社危機管理体制で対処する枠組を整えています。 (2)事業等のリスク 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。 ① 優良鉱山の減少及び鉱山投資の不確実性増大 原料の安定確保に向けた鉱山開発・投資を行っていく中、新たに発見される鉱床の高地化・奥地化・低品位化などによって優良案件の権益獲得競争が激化するとともに、開発・参入コストは増大しています。これら鉱山投資の不確実性に起因する追加投資や採鉱コスト上昇の負担あるいは投資実行の断念が、当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながるリスクがあります。 このような状況に対し当社グループは、将来の鉱山権益獲得のために各地の探鉱活動を継続するとともに、候補案件の情報収集と評価を進め、あわせて海外等のビジネスパートナーとの連携を強化し、業界内のプレゼンス向上を図ることで、開発・投資案件候補のパイプライン拡充に努めています。また、長年にわたる探鉱経験及び鉱山評価ノウハウの蓄積に基づく慎重な採算性判断により、厳選した投資を実行することで、開発の準備段階よりかかる不確実性リスクの軽減・回避に努めています。 ② 開発の長期化 材料事業が対象とする市場では、顧客要求が多様化し商品寿命が短くなる一方で、新商品の開発や既存商品の改良が長期化し、資金や人材など、多くの経営資源の投入を要することがあります。また、他社が開発した新技術・商品により当社技術・商品がコスト面等で競争優位性を喪失する可能性もあり、それが当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすリスクが考えられます。 当社グループでは、顧客との関係を深め、顧客及び市場ニーズを的確に把握し、それに基づく新商品開発を進めるために必要な営業及び開発体制を敷き、影響の軽減を図っています。また、国の支援制度の活用や社外との共同開発、産学連携等を通じて、開発を加速させていきます。 ③ 人的資本経営の取組遅れ 当社グループは安定操業の継続と新規プロジェクトへの参入などの事業拡大を進めていくために必要な人材の確保・育成・活用に取り組んでいます。一方で国内における生産年齢人口の減少、若年層の就労観の変化に伴う採用競争の激化、社員の退職による労働力の不足への対応が急務です。 このような状況に対し当社グループでは、DXなどの導入によって合理化・省力化を進め労働時間の低減を進めるとともに、多様な人材が活躍できる組織であるために、経営戦略と連動した人材戦略の策定と実行、従業員一人ひとりの自律的な成長やキャリア形成を促進する人材育成体系・制度の構築、女性活躍、社員のライフスタイルに合った働き方推進やDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の理解・浸透、健康経営の推進などの社内環境の整備を進め、従業員エンゲージメントの向上に取り組んでいます。また、広報・ブランディング活動等による新卒・キャリアの採用競争力強化にも積極的に取り組んでいます。 ④ 気候変動への社会的責任 気候変動や地球温暖化の原因とされるGHG排出量の削減を目的とした取組が世界的に進められ、環境対策に必要な設備投資の実施やカーボンフットプリントの削減、炭素税などの負担を排出責任者として果たしていくことが求められています。これにより、企業としての社会的責任が今まで以上に高まることが考えられます。 当社グループは2050年のGHG排出量ネットゼロに向けて、2030年度に向けた削減目標と、2050年に向けた取り組みのロードマップを策定しています。当社はこのロードマップに沿って工場の省エネ・高効率化、LNG・木質バイオマス燃料への転換、再エネ電力の利用拡大などによりGHG排出量の削減を進めるとともに、カーボンニュートラル社会の実現に資する低炭素貢献製品・技術の研究開発にも取り組んでいます。 ⑤ 製造物責任及び請求訴訟 製造・販売する製品・サービスにおいて、厳しい品質管理の下、顧客からの要求事項を満足する品質の確保に努めています。しかしながら、例えば車載製品においては、欠陥がある製品が搭載された最終商品のリコール及びそれに伴う当社への損害賠償の発生、また製造物賠償責任保険でカバーできない賠償額の負担を求められることで、当社の信頼失墜及び巨額の財務負担が生じるリスクがあります。 当社グループでは顧客満足を得られる製品・サービスを提供するため、国際標準であるISO9001に基づき、当社グループが求める品質マネジメントシステムのあるべき姿として「SMM品質標準」を制定・運用し、品質の改善・向上やトレーサビリティの強化に取り組んでいます。また、品質分科会を運営し、品質方針・全社品質目標を定めて、施策の審議と実施状況の確認を行うとともに、当社製品が使われている最終商品のリコールが起きた場合への体制も構築し、リスク軽減を図っています。 ⑥ 政治・社会情勢の変化 当社グループは、鉱山開発や投資を始め、製品の製造拠点及び販売の市場を海外に求め、国際的に事業を展開しています。また、銅精鉱やニッケルマットなどの主要原材料や資機材の一部については海外からの調達を行っており、これらの国々における、政情不安、紛争、法令及び規制の変化あるいは資源ナショナリズムの高まりといった政治的、社会的情勢の変化が当社のサプライチェーン、ひいては事業継続に影響を与えるリスクがあります。 なお、米国トランプ政権による追加関税を含む保護主義政策の強化は、各国による対抗措置と相まって販売価格の上昇、消費者の購買意欲の低下、世界的なサプライチェーンの混乱を招き、当社顧客の米国向け販売の減速や当社への値下げ要求などを引き起こし、当社事業に影響を及ぼす可能性があります。さらに、中国の輸出規制や中東情勢悪化によるホルムズ海峡封鎖などにより、レアアースや石油製品の供給の途絶や価格の高騰が生じ、当社の生産活動に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、これらのリスクに対応するために、事業部門及び国内外拠点との連携あるいは海外ビジネスパートナーの協力も得ながら、政治的・社会的情勢やサプライチェーンの変化をモニタリングし当社事業への影響を分析のうえ、サプライチェーンの多角化を含めた対策を講じています。 ⑦ 経済情勢の変化a. 非鉄金属価格の変動 銅、ニッケル、金などの非鉄金属の価格は、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場において決定されます(以下、それらの市場において決定された価格を、LME相場等という)。LME相場等は、国際的な需給バランス、為替の状況、政治の状況、投機的取引などの影響を受けて変動し、当社グループの経営成績にプラスもしくはマイナスの影響を及ぼすリスクがあります。 当社グループでは、資源事業及び製錬事業のコスト低減を図るとともに、非鉄金属価格の変動の影響を比較的受けにくい材料事業の収益安定化をめざし、また必要に応じて、非鉄金属価格のリスクヘッジを目的とした商品先物取引、商品オプション取引を利用しています。b. 為替レートの変動 銅精鉱、ニッケルマットなどの輸入原料だけでなく、非鉄金属地金の国内価格も米ドル建てのLME相場等を基準に決定されることから、当社が製錬事業から得る製錬マージンは実質的に米ドル建てであり、海外への鉱山投資や製品等の輸出から得られる収入も外国通貨建てになります。したがって、為替レートの変動の状況及び期間しだいで、当社グループの経営成績にプラスもしくはマイナスの影響を及ぼす可能性がありま す。 当社グループは、為替レートの変動に対し、必要に応じて為替予約取引、通貨オプション取引、外国通貨建て口座の活用などにより対応しています。 2026年度の業績予想において、非鉄金属価格及び為替レートの変動が連結税引前利益に与える影響は、以下のとおり試算しております。変動要素変動幅連結税引前利益に与える影響銅±100$/t35億円ニッケル±10¢/lb16億円金±100$/TOZ37億円為替レート(米ドル)±1円/$20億円(注)上記の為替レート変動の影響額は国内の製錬収入及び海外換算為替差の合計となります。 ⑧ 拠点における事故・災害 当社グループが展開する国内外の製造拠点において、設備・計器の故障や誤操作、事故による破損などで有害物質の漏洩や火災・爆発のリスクがあります。また、国内各地に保有する休廃止鉱山では集中豪雨や地震などによる鉱害リスクがあります。 このようなリスクに対し当社グループでは、設備・計器の定期点検と予備品の確保、管理手順書の整備・更新と定期教育、堆積場の保全及び耐震補強工事や坑廃水の水質管理を徹底しています。さらに、それらの取組状況をチェックするための日常的なパトロールに加え、本社の専門部門による定期的な巡視と是正指導も実施しています。 なお、各拠点においては、日常的なリスクマネジメント活動として、これらのリスクの前提となる環境や条件、例えば事業環境、操業環境、人、装置、作業手順、管理基準などに変化や変更があったとき、または毎年9 月に全社一斉に実施するリスク認識強化月間で対策内容を見直し、リスクの低減、事故・災害の未然防止に取り組んでいます。 ⑨ 大規模自然災害や新型強毒性感染症、海外緊急事態 当社グループの製造拠点は、顧客との関係、原料調達上の有利性、グループ内関連事業との連携、経営資源の有効活用などの点を考慮し立地していますが、それらの地域で大規模な地震や風水害等により生産設備等が損壊する事態、海外においては政情不安による治安悪化、誘拐やテロ、国家間の紛争等により社員の身体生命の安全にかかわる事態、そしてそのような事態によって操業停止や生産性が大幅に低下するリスクがあります。また、今後新たな感染症の発生・流行により、従業員の感染、急激な需要収縮やサプライチェーンの途絶による操業停止など、当社グループの業績に影響が及ぶリスクもあります。 このようなリスクに対し当社グループでは、激甚化した自然災害対策として建屋の耐震補強や津波発生時における浸水対策工事、排水処理能力の増強、貯水タンク増設等を進め、二次的な影響を抑えるための体制の整備として、可能かつ妥当な範囲で保険を付保しています。また、感染症の発生や拡大、地政学リスクの顕在化なども含めた緊急事態による操業やサプライチェーンへの影響を軽減するために原料などの代替調達先の確保などにも取り組み、生産縮小・停止による供給障害を極小化させるBCP(Business Continuity Plan)を整えています。海外緊急事態へは、外務省からの情報を始め、コンサルティング会社やセキュリティ会社も活用して海外危機情報を駐在員や出張者へ提供し、ケガや病気の際は医療サービス会社から支援を受けられる体制を整えて海外での安全確保を図り、新たな海外進出にあたってはカントリーリスクを総合的に考慮した上で経営判断を行っています。 また、拠点単独で対応できないような事態に備えるために常設機関として危機管理担当役員を委員長とする危機管理委員会を設け、危機に関する情報共有、事前対策の策定と改善、例えば事業継続については、2022年5月に東京都が見直した首都直下型地震の被害想定に基づき、他所支援を含めた全社震災対策本部体制や当社グループの事業継続のため本社機能の継続体制の構築、海外におけるテロ・暴動・誘拐等を想定した訓練を実施し、危機管理機能の維持及び強化に取り組んでいます。 ⑩ サイバーセキュリティ 経営基盤の一部であるITにおいて、内部者の故意、過失による機密情報の流失のほか、テレワーク・クラウド利用等の増加といった環境変化により、ランサムウエア攻撃に代表される第三者からの意図的又は無差別な情報システムへの侵入・攻撃などが増加・増大しており、それらにより、工場の操業や製品品質への影響、さらには社会的な影響が大きい産業事故の発生、ステークホルダーの当社に対する信用が失われるリスクがあります。 これらに対し当社グループでは、従業員に対する情報セキュリティ教育のほか、外部からの攻撃・侵入を防止する事前対策として、利用環境を問わず社内外のシステムを安全に利用できる仕組(ゼロトラストネットワーク)や高度なセキュリティ機能を持つクラウドサービスへの移行に取り組んでいます。また各拠点においても、第三者の侵入により被害を受けたシステムの復旧対策や、システムの一定期間停止を想定した業務・操業継続のためのBCP整備を進めており、さらに、大規模な首都直下型地震が発生した場合に想定し得るシステムと本社機能の一時停止への対策の想定も加え、サプライチェーンの強化を図っています。

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