有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
FY2026 FY2025 FY2024 FY2018
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 (1) 経営の基本方針当社グループは、変化する事業環境の中で、世界に点在する当社グループ企業の全従業員が、共通する使命感、価値観のもとでグループとしての一体感を高めていくことを目的に、Mission、Vision、Values、いわゆるMVVを制定しております。 ◆グループ・ミッション(使命):“Engineering for Sustainable Growth of the Global Community”世界水準のエンジニアリングの提供によって、多様な顧客各社の課題を総合的に解決し、顧客ニーズの充足を実現するとともに、エネルギー・素材等の供給と環境保全を調和させ、持続性のある地球社会の実現に貢献します。 ◆グループ・ビジョン(目指す企業像):“Global Leading Engineering Partner”世界第一級のエンジニアリング企業グループとして、顧客の立場に立脚し共に課題を解決することによって、品質、HSE(健康・安全・環境)、納期、価格等を含む総合的な価値を提供し、顧客にとって最も信頼できる継続的なパートナーとなります。 ◆グループ・バリュー(価値観・行動基準):“Integrity, Creativity, Diversity, Learning, Team”東洋エンジニアリンググループで働く一人ひとりの役職員は、これらの価値観を共有して行動します。Integrity:誠意と責任を持って業務を遂行します。Creativity:知恵と創造力を発揮し、顧客とともに、もしくは自ら、新たな価値を創造します。Diversity:個性、人格、ならびに各国、各地域の文化、慣習を尊重します。Learning:進取の気性で、新たな経験、技能、知識を獲得します。Team:自社グループ内はもとより、顧客や協業先とのチームプレイを通じて、成果を実現します。 上記の経営方針に基づき、当社グループは、5つの強み(プロジェクトマネジメント力、受注前リスク管理・案件選別力、技術・共創による事業創出力、アライアンス構築力、グローバル事業推進力)を一体的に発揮し、顧客への価値提供と当社の収益性の向上を実現します。そのうえで、長期ビジョン「TOYO VISION 2040」で掲げるフロー型ビジネスとストック型ビジネスによる二軸収益モデルの構築に向け、2026年度から2030年度までの中期経営計画において、経営基盤を一層強靱にしつつ、「EPCの枠を超え、社会価値を共創・実装するパートナー」への進化を目指してまいります。 (2) 経営環境当連結会計年度における世界経済全体としては、金融環境の改善やAI関連投資の好調等もあり底堅い成長を維持しましたが、今後は、中東情勢を始めとする地政学リスクの高まりに起因するエネルギー価格の上昇、サプライチェーンの混乱、先行きの不確実性上昇等に伴う各国経済の下振れリスク、AI開発・利活用に不可欠な電力・半導体の不足など供給制約が深刻化した場合の混乱リスク等に注視が必要です。地域別に見ると、米国経済は、トランプ政権下での減税や関税合意等に基づく対米投資拡大、AI需要の拡大を背景に、国内生産回帰に向けた設備投資やデータ・エネルギー関連の設備投資が堅調に推移する見込みです。一方、中東情勢への関与や関税政策などの対外政策については、先行きの不確実性が極めて高く、景気や金融市場に与える影響に注視が必要です。欧州経済は、堅調な雇用・所得環境に伴う個人消費の拡大とデジタル・脱炭素・防衛分野の設備投資の本格化が見込まれますが、地政学リスクの高まりやEUの中心であるフランスの大統領選挙の結果によっては、金融市場の混乱やEUの政策調整の難航に伴う競争力の低下、個人消費の下振れが懸念されます。中国経済は、景気刺激策の効果一巡により成長が鈍化しています。今後、米国からの対中圧力が高まり緊張が再燃するリスク、AI投資の調整を契機とした都市部消費の落ち込みやそれに伴う不動産市況の更なる冷え込みなどのリスクに注視が必要です。日本経済は、中東情勢の緊迫化により、物価上昇が個人消費を抑制することが見込まれるものの、企業の賃上げ継続に伴う実質賃金の改善が個人消費を下支えし、企業の設備投資は、デジタル化・脱炭素・サプライチェーン強靭化に向けた取り組みを背景に拡大傾向が続く見込みです。一方で人手不足が深刻化しており、引き続き労働力の確保および限られた労働力の下での生産性向上が課題となっております。 このような経済状況を受け、当社グループの事業環境としては、① カーボンニュートラル事業については、米国のパリ協定再離脱、米国IRA(インフレ抑制法)におけるクリーン水素生産控除(45V)の支援対象期間終了の前倒し等による政策進捗の鈍化がみられるものの、全世界的に脱炭素化や経済安全保障上のレジリエンス強化の観点から、政府支援で民間投資を後押しする動きは今後も継続していくものと見られます。中東情勢の悪化によるエネルギー供給不安は、短期的には原油・ガス価格の上昇や化石燃料依存の強化を通じてエネルギー安全保障を圧迫する一方で、化石燃料の地政学リスクが改めて意識され、再生可能エネルギーを軸とするエネルギートランジションを中長期的に後押しする契機になっています。インドネシアにおけるグリーンアンモニア製造、バンカリング(船舶への燃料供給行為)向け燃料アンモニア供給事業に関しては、2024年8月にPupuk Indonesia Holding Companyおよび伊藤忠商事株式会社と共同開発契約を締結し、2025年11月にFEED(基本設計)を完了しましたが、国際海事機関(IMO)のネットゼロ・フレームワーク(NZF)の審議・採択を1年延期するとの決議を受け、事業化の時期は検討中です。CCS(CO2回収・貯留)に関しては、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)により、2030年度までのCO2貯留開始に向けた先進的CCS事業候補が選定され、当社においてもFS(事業化調査)/Pre-FEED(概念設計)が進捗しております。地熱発電に関しては、インドネシアの政府および民間企業とインドネシアにおける包括的な地熱活用のマスタープラン策定に関する覚書を締結の上、2024年12月から2026年2月まで経済産業省のグローバルサウス未来志向型共創等事業委託費におけるマスタープラン策定等調査事業を実施しました。マスタープランに基づいた社会実装に向けインドネシア地熱事業者との協議を開始しています。一方、日本国内においては、2025年4月に次世代型地熱推進官民協議会が立ち上がり、当社も協議メンバーとして参加しております。そして、2025年10月から2026年3月までJOGMECの次世代型地熱発電技術に関する実現可能性調査で「日本国内における同軸二重管方式『クローズドループ地熱発電技術』の実現可能性調査」を実施しました。SAF(持続可能な航空燃料)に関しては、世界的な市場規模の拡大を見据え、日揮株式会社との国内アライアンスにおける早期実績作りに向け注力、インドやマレーシアでは廃食油をベースとしたSAFのFEED案件が進んでおります。また、脱炭素・低炭素化に直結するプラントの省エネ化に関しては、当社独自技術であるSUPERHIDICTMとAIによる数理最適化技術を活用したHERO(Hybrid Energy system Re-Optimization)で着実に実績を積み上げ、温室効果ガス排出量削減に貢献しており、プラント省エネ化の確実な手法として改めて高い関心を集めています。特にタイ大手石油化学会社向けには、主要プラントに対してHEROの初期検討を実施し、将来に向けた脱炭素化のロードマップ作成に寄与しており、同社とは、複数プラントに対するFS、PDP(プロセス基本設計)作成、改造実施後の性能確認に関する契約を締結しています。② 石油化学・肥料プラント等の既存事業については、海外では、米国の関税政策に関して日本を含む主要国は合意に至り、対米輸出の抑制圧力は軽減されましたが、合意を経ても関税コストが今後企業収益の抑制に繋がれば景況感が悪化する可能性があり、未だ国際市場はその趨勢の見極めに時間を要しております。その中でも肥料案件は人口増加と地政学リスクによる需給バランスの変化、そして世界的な食糧安全保障問題の高まりに伴い中長期的には堅調な需要増が見込まれ、足元では事業化を見据えたFS・FEED案件や既存設備の増強・更新を含む投資機会、またアフリカ地域でこれまでの輸入代替・自国生産化を目指す新規投資が期待されます。石油化学案件については、中国での需要減退に伴い石油化学製品の需給が緩和継続の一方、世界のエチレン・ポリマー市場では、相対的に競争力の高いエタン分解炉の追設や低炭素化への動きも織り込みながら今後も一定程度の成長が見込まれています。また既存製油所設備の転換(SAF製造設備への転換等)や高度化等構造改革も交え、選別的ではあるものの中東やインドを中心に引き続き設備投資が見込まれます。インフラ市場においては、主にアジアで低炭素/再生可能エネルギー/地熱、廃棄物等の発電事業分野等で設備投資が見込まれます。一方、国内では、EV(電気自動車)や半導体用の高機能化学品の需要の回復が見込まれ、それらの材料に関する設備投資が期待されます。③ FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)事業については、2023年以降の10年間はGolden Ageと呼ぶに相応しい活況を呈する市況が予想される中、石油メジャー・国営石油会社による投資が加速しており、引き続き旺盛な需要が期待されます。当社グループのエンジニアリングとプロジェクトマネジメント力、複数の戦略的拠点の活用による最適化および三井海洋開発株式会社(MODEC)の知見との融合による差別化を武器に、MODECとの合弁会社であるOFS(Offshore Frontier Solutions Pte. Ltd.)にてEPCI(設計・調達・工事・据付)案件を当連結会計年度に2件受注しており、中長期的にも更なる受注が期待されます。 (3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題当社グループでは、2021年度から5年間にわたる中期経営計画に基づき、事業基盤の強化および将来成長に向けた諸施策を推進してまいりました。当連結会計年度末をもって、当該期間を終え、これまでの取り組みについて総括し、検証を行う節目を迎えております。こうした認識のもと、当社グループの持続的な成長および企業価値の向上に向け、2021年度~2025年度中期経営計画の振り返りを行うとともに、その結果を踏まえた2026年度~2030年度の中期経営計画についてご説明いたします。 ① 『2021年度~2025年度 中期経営計画』振り返り当社グループは、2021年度から2025年度までの中期経営計画において、「EPC強靭化」および「新技術・事業開拓」という二つの戦略軸を掲げ、収益基盤の強化と将来の成長に向けた事業機会の創出に取り組んでまいりました。この間、尿素ライセンス案件やEPs(設計・調達支援)案件等の非EPC領域での粗利拡大が進展するとともに、構想段階から顧客と共創する案件の創出、OFSの安定的な利益貢献、インドネシア連結子会社であるIKPT(PT. Inti Karya Persada Tehnik)における地熱案件の継続受注等、当社グループの強みを活かした成果が着実に現れております。一方で、国内案件およびブラジル連結子会社におけるガス火力発電案件等において損失を計上し、案件ごとの採算変動や収益のボラティリティを十分に抑制できませんでした。また、拠点案件を含むリスク審査やリソース配分の徹底、一部新規領域における収益化の進捗にも課題を残しました。こうした反省を踏まえ、当社グループは、受注前から完工までのプロジェクトリスク管理を一層強化するため、2025年1月にプロジェクト管理本部を新設し、当社主体の案件のみならず拠点独自案件も含めた包括的かつ独立的なリスクマネジメント体制の整備を進めております。今後も、案件選別力の強化、契約条件管理および履行中案件へのモニタリング徹底を通じて、規律ある判断のもと、リスクに見合わない案件を的確に見極めて排除し、安定的に利益を創出できる事業基盤の確立を進めてまいります。② 『2026年度~2030年度 中期経営計画』について当社グループは、長期ビジョンである「TOYO VISION 2040」の実現に向け、2026年度から2030年度に向けた中期経営計画において、経営基盤を一層強靱にしつつ、「EPCの枠を超え、社会価値を共創・実装するパートナー」へ進化していくことを大きな方向性としております。その実現に向けては、EPCを核とした確かな遂行力を前提に、構想・設計・建設・運用・保全・改修まで、プラントライフサイクル全体で価値を創出する事業モデルへの転換を進めてまいります。あわせて、O&M(運転・保守)、ファインケミカル、バイオ医薬、次世代地熱、重要鉱物といった分野を成長ドライバーとし、注力重点地域であるインド・中央アジア・アフリカに戦略的に資源を配分してまいります。また、2026年4月1日付で実施した組織改正は、この方向性を支える基盤整備を先行して進めたものであり、プロジェクト遂行力の強化、新規事業創出力の強化、およびコーポレート機能の戦略性向上を通じて、中長期的な企業価値向上を下支えしてまいります。なお、外部環境が大きく変化し得る中、当社グループは、計画を固定的に捉えることなく、適時に、必要に応じた見直しを通じて戦略の優先順位や資源配分を見直してまいります。これにより、利益の安定化、事業ポートフォリオの高度化、人財力の強化を着実に進めてまいります。 今後の重点課題としては、第一に、受注前審査・契約条件管理・履行中モニタリングの更なる徹底を通じたEPC事業の収益安定化、第二に、当社グループの強みが活かせる市場・商品・地域への集中による高付加価値化、第三に、技術・人財・DXを組み合わせたライフサイクルサービスおよび新規事業の育成であると認識しております。これらの課題に着実に取り組むことで、当社グループは持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。 (4) 2027年3月期連結業績予想 (単位:百万円) 連結受注高200,000完成工事高190,000営業利益3,000経常利益7,500親会社株主に帰属する当期純利益6,000 [本業績見通しにおける想定為替レート]1米ドル=150円
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 (1) 経営の基本方針当社グループは、変化する事業環境の中で、世界に点在する当社グループ企業の全従業員が、共通する使命感、価値観のもとでグループとしての一体感を高めていくことを目的に、Mission、Vision、Values、いわゆるMVVを制定しております。 ◆グループ・ミッション(使命):“Engineering for Sustainable Growth of the Global Community”世界水準のエンジニアリングの提供によって、多様な顧客各社の課題を総合的に解決し、顧客ニーズの充足を実現するとともに、エネルギー・素材等の供給と環境保全を調和させ、持続性のある地球社会の実現に貢献します。 ◆グループ・ビジョン(目指す企業像):“Global Leading Engineering Partner”世界第一級のエンジニアリング企業グループとして、顧客の立場に立脚し共に課題を解決することによって、品質、HSE(健康・安全・環境)、納期、価格等を含む総合的な価値を提供し、顧客にとって最も信頼できる継続的なパートナーとなります。 ◆グループ・バリュー(価値観・行動基準):“Integrity, Creativity, Diversity, Learning, Team”東洋エンジニアリンググループで働く一人ひとりの役職員は、これらの価値観を共有して行動します。Integrity:誠意と責任を持って業務を遂行します。Creativity:知恵と創造力を発揮し、顧客とともに、もしくは自ら、新たな価値を創造します。Diversity:個性、人格、ならびに各国、各地域の文化、慣習を尊重します。Learning:進取の気性で、新たな経験、技能、知識を獲得します。Team:自社グループ内はもとより、顧客や協業先とのチームプレイを通じて、成果を実現します。 上記の経営方針に基づき、当社グループは、5つの強み(プロジェクトマネジメント力、受注前リスク管理・案件選別力、技術・共創による事業創出力、アライアンス構築力、グローバル事業推進力)を一体的に発揮し、顧客への価値提供と当社の収益性の向上を実現します。そのうえで、長期ビジョン「TOYO VISION 2040」で掲げるフロー型ビジネスとストック型ビジネスによる二軸収益モデルの構築に向け、2026年度から2030年度までの中期経営計画において、経営基盤を一層強靱にしつつ、「EPCの枠を超え、社会価値を共創・実装するパートナー」への進化を目指してまいります。 (2) 経営環境当連結会計年度における世界経済全体としては、金融環境の改善やAI関連投資の好調等もあり底堅い成長を維持しましたが、今後は、中東情勢を始めとする地政学リスクの高まりに起因するエネルギー価格の上昇、サプライチェーンの混乱、先行きの不確実性上昇等に伴う各国経済の下振れリスク、AI開発・利活用に不可欠な電力・半導体の不足など供給制約が深刻化した場合の混乱リスク等に注視が必要です。地域別に見ると、米国経済は、トランプ政権下での減税や関税合意等に基づく対米投資拡大、AI需要の拡大を背景に、国内生産回帰に向けた設備投資やデータ・エネルギー関連の設備投資が堅調に推移する見込みです。一方、中東情勢への関与や関税政策などの対外政策については、先行きの不確実性が極めて高く、景気や金融市場に与える影響に注視が必要です。欧州経済は、堅調な雇用・所得環境に伴う個人消費の拡大とデジタル・脱炭素・防衛分野の設備投資の本格化が見込まれますが、地政学リスクの高まりやEUの中心であるフランスの大統領選挙の結果によっては、金融市場の混乱やEUの政策調整の難航に伴う競争力の低下、個人消費の下振れが懸念されます。中国経済は、景気刺激策の効果一巡により成長が鈍化しています。今後、米国からの対中圧力が高まり緊張が再燃するリスク、AI投資の調整を契機とした都市部消費の落ち込みやそれに伴う不動産市況の更なる冷え込みなどのリスクに注視が必要です。日本経済は、中東情勢の緊迫化により、物価上昇が個人消費を抑制することが見込まれるものの、企業の賃上げ継続に伴う実質賃金の改善が個人消費を下支えし、企業の設備投資は、デジタル化・脱炭素・サプライチェーン強靭化に向けた取り組みを背景に拡大傾向が続く見込みです。一方で人手不足が深刻化しており、引き続き労働力の確保および限られた労働力の下での生産性向上が課題となっております。 このような経済状況を受け、当社グループの事業環境としては、① カーボンニュートラル事業については、米国のパリ協定再離脱、米国IRA(インフレ抑制法)におけるクリーン水素生産控除(45V)の支援対象期間終了の前倒し等による政策進捗の鈍化がみられるものの、全世界的に脱炭素化や経済安全保障上のレジリエンス強化の観点から、政府支援で民間投資を後押しする動きは今後も継続していくものと見られます。中東情勢の悪化によるエネルギー供給不安は、短期的には原油・ガス価格の上昇や化石燃料依存の強化を通じてエネルギー安全保障を圧迫する一方で、化石燃料の地政学リスクが改めて意識され、再生可能エネルギーを軸とするエネルギートランジションを中長期的に後押しする契機になっています。インドネシアにおけるグリーンアンモニア製造、バンカリング(船舶への燃料供給行為)向け燃料アンモニア供給事業に関しては、2024年8月にPupuk Indonesia Holding Companyおよび伊藤忠商事株式会社と共同開発契約を締結し、2025年11月にFEED(基本設計)を完了しましたが、国際海事機関(IMO)のネットゼロ・フレームワーク(NZF)の審議・採択を1年延期するとの決議を受け、事業化の時期は検討中です。CCS(CO2回収・貯留)に関しては、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)により、2030年度までのCO2貯留開始に向けた先進的CCS事業候補が選定され、当社においてもFS(事業化調査)/Pre-FEED(概念設計)が進捗しております。地熱発電に関しては、インドネシアの政府および民間企業とインドネシアにおける包括的な地熱活用のマスタープラン策定に関する覚書を締結の上、2024年12月から2026年2月まで経済産業省のグローバルサウス未来志向型共創等事業委託費におけるマスタープラン策定等調査事業を実施しました。マスタープランに基づいた社会実装に向けインドネシア地熱事業者との協議を開始しています。一方、日本国内においては、2025年4月に次世代型地熱推進官民協議会が立ち上がり、当社も協議メンバーとして参加しております。そして、2025年10月から2026年3月までJOGMECの次世代型地熱発電技術に関する実現可能性調査で「日本国内における同軸二重管方式『クローズドループ地熱発電技術』の実現可能性調査」を実施しました。SAF(持続可能な航空燃料)に関しては、世界的な市場規模の拡大を見据え、日揮株式会社との国内アライアンスにおける早期実績作りに向け注力、インドやマレーシアでは廃食油をベースとしたSAFのFEED案件が進んでおります。また、脱炭素・低炭素化に直結するプラントの省エネ化に関しては、当社独自技術であるSUPERHIDICTMとAIによる数理最適化技術を活用したHERO(Hybrid Energy system Re-Optimization)で着実に実績を積み上げ、温室効果ガス排出量削減に貢献しており、プラント省エネ化の確実な手法として改めて高い関心を集めています。特にタイ大手石油化学会社向けには、主要プラントに対してHEROの初期検討を実施し、将来に向けた脱炭素化のロードマップ作成に寄与しており、同社とは、複数プラントに対するFS、PDP(プロセス基本設計)作成、改造実施後の性能確認に関する契約を締結しています。② 石油化学・肥料プラント等の既存事業については、海外では、米国の関税政策に関して日本を含む主要国は合意に至り、対米輸出の抑制圧力は軽減されましたが、合意を経ても関税コストが今後企業収益の抑制に繋がれば景況感が悪化する可能性があり、未だ国際市場はその趨勢の見極めに時間を要しております。その中でも肥料案件は人口増加と地政学リスクによる需給バランスの変化、そして世界的な食糧安全保障問題の高まりに伴い中長期的には堅調な需要増が見込まれ、足元では事業化を見据えたFS・FEED案件や既存設備の増強・更新を含む投資機会、またアフリカ地域でこれまでの輸入代替・自国生産化を目指す新規投資が期待されます。石油化学案件については、中国での需要減退に伴い石油化学製品の需給が緩和継続の一方、世界のエチレン・ポリマー市場では、相対的に競争力の高いエタン分解炉の追設や低炭素化への動きも織り込みながら今後も一定程度の成長が見込まれています。また既存製油所設備の転換(SAF製造設備への転換等)や高度化等構造改革も交え、選別的ではあるものの中東やインドを中心に引き続き設備投資が見込まれます。インフラ市場においては、主にアジアで低炭素/再生可能エネルギー/地熱、廃棄物等の発電事業分野等で設備投資が見込まれます。一方、国内では、EV(電気自動車)や半導体用の高機能化学品の需要の回復が見込まれ、それらの材料に関する設備投資が期待されます。③ FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)事業については、2023年以降の10年間はGolden Ageと呼ぶに相応しい活況を呈する市況が予想される中、石油メジャー・国営石油会社による投資が加速しており、引き続き旺盛な需要が期待されます。当社グループのエンジニアリングとプロジェクトマネジメント力、複数の戦略的拠点の活用による最適化および三井海洋開発株式会社(MODEC)の知見との融合による差別化を武器に、MODECとの合弁会社であるOFS(Offshore Frontier Solutions Pte. Ltd.)にてEPCI(設計・調達・工事・据付)案件を当連結会計年度に2件受注しており、中長期的にも更なる受注が期待されます。 (3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題当社グループでは、2021年度から5年間にわたる中期経営計画に基づき、事業基盤の強化および将来成長に向けた諸施策を推進してまいりました。当連結会計年度末をもって、当該期間を終え、これまでの取り組みについて総括し、検証を行う節目を迎えております。こうした認識のもと、当社グループの持続的な成長および企業価値の向上に向け、2021年度~2025年度中期経営計画の振り返りを行うとともに、その結果を踏まえた2026年度~2030年度の中期経営計画についてご説明いたします。 ① 『2021年度~2025年度 中期経営計画』振り返り当社グループは、2021年度から2025年度までの中期経営計画において、「EPC強靭化」および「新技術・事業開拓」という二つの戦略軸を掲げ、収益基盤の強化と将来の成長に向けた事業機会の創出に取り組んでまいりました。この間、尿素ライセンス案件やEPs(設計・調達支援)案件等の非EPC領域での粗利拡大が進展するとともに、構想段階から顧客と共創する案件の創出、OFSの安定的な利益貢献、インドネシア連結子会社であるIKPT(PT. Inti Karya Persada Tehnik)における地熱案件の継続受注等、当社グループの強みを活かした成果が着実に現れております。一方で、国内案件およびブラジル連結子会社におけるガス火力発電案件等において損失を計上し、案件ごとの採算変動や収益のボラティリティを十分に抑制できませんでした。また、拠点案件を含むリスク審査やリソース配分の徹底、一部新規領域における収益化の進捗にも課題を残しました。こうした反省を踏まえ、当社グループは、受注前から完工までのプロジェクトリスク管理を一層強化するため、2025年1月にプロジェクト管理本部を新設し、当社主体の案件のみならず拠点独自案件も含めた包括的かつ独立的なリスクマネジメント体制の整備を進めております。今後も、案件選別力の強化、契約条件管理および履行中案件へのモニタリング徹底を通じて、規律ある判断のもと、リスクに見合わない案件を的確に見極めて排除し、安定的に利益を創出できる事業基盤の確立を進めてまいります。② 『2026年度~2030年度 中期経営計画』について当社グループは、長期ビジョンである「TOYO VISION 2040」の実現に向け、2026年度から2030年度に向けた中期経営計画において、経営基盤を一層強靱にしつつ、「EPCの枠を超え、社会価値を共創・実装するパートナー」へ進化していくことを大きな方向性としております。その実現に向けては、EPCを核とした確かな遂行力を前提に、構想・設計・建設・運用・保全・改修まで、プラントライフサイクル全体で価値を創出する事業モデルへの転換を進めてまいります。あわせて、O&M(運転・保守)、ファインケミカル、バイオ医薬、次世代地熱、重要鉱物といった分野を成長ドライバーとし、注力重点地域であるインド・中央アジア・アフリカに戦略的に資源を配分してまいります。また、2026年4月1日付で実施した組織改正は、この方向性を支える基盤整備を先行して進めたものであり、プロジェクト遂行力の強化、新規事業創出力の強化、およびコーポレート機能の戦略性向上を通じて、中長期的な企業価値向上を下支えしてまいります。なお、外部環境が大きく変化し得る中、当社グループは、計画を固定的に捉えることなく、適時に、必要に応じた見直しを通じて戦略の優先順位や資源配分を見直してまいります。これにより、利益の安定化、事業ポートフォリオの高度化、人財力の強化を着実に進めてまいります。 今後の重点課題としては、第一に、受注前審査・契約条件管理・履行中モニタリングの更なる徹底を通じたEPC事業の収益安定化、第二に、当社グループの強みが活かせる市場・商品・地域への集中による高付加価値化、第三に、技術・人財・DXを組み合わせたライフサイクルサービスおよび新規事業の育成であると認識しております。これらの課題に着実に取り組むことで、当社グループは持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。 (4) 2027年3月期連結業績予想 (単位:百万円) 連結受注高200,000完成工事高190,000営業利益3,000経常利益7,500親会社株主に帰属する当期純利益6,000 [本業績見通しにおける想定為替レート]1米ドル=150円
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」と記載します。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態および経営成績の状況a. 財政状態(流動資産)当連結会計年度末における流動資産の残高は2,137億円で、前連結会計年度末から305億円減少しております。現金預金が149億円増加した一方、受取手形・完成工事未収入金等が366億円減少したことなどが主な原因であります。 (固定資産)当連結会計年度末における固定資産の残高は474億円で、前連結会計年度末から50億円増加しております。投資その他の資産が59億円増加したことなどが主な原因であります。 (流動負債)当連結会計年度末における流動負債の残高は1,821億円で、前連結会計年度末から5億円減少しております。短期借入金が192億円、未成工事受入金が36億円それぞれ増加した一方、支払手形・工事未払金等が295億円減少したことなどが主な原因であります。 (固定負債)当連結会計年度末における固定負債の残高は353億円で、前連結会計年度末から84億円減少しております。長期借入金が101億円減少したことなどが主な原因であります。 (純資産)当連結会計年度末における純資産の残高は437億円で、前連結会計年度末から165億円減少しております。親会社株主に帰属する当期純損失を149億円計上したほか、配当金14億円の支払などが主な原因であります。 b. 経営成績(完成工事高)当連結会計年度における完成工事高は、主にタイ向け石油化学プラント、トルクメニスタン向け石油化学プラント等の複数のプロジェクトが進捗した一方、大型プロジェクトの期間進捗率が前年同期と比較して減少した結果、前連結会計年度比951億円(34.2%)減の1,829億円となりました。 (完成工事総利益)当連結会計年度における完成工事総利益は、主にブラジル向けガス火力発電案件における収支悪化により、前連結会計年度比196億円(75.3%)減の64億円となりました。 (営業損益)当連結会計年度における営業損失は、前述の完成工事総利益の減少に加え、販売費及び一般管理費が増加した結果、190億円(前連結会計年度は営業利益25億円)となりました。 (経常損益)当連結会計年度における経常損失は、持分法による投資利益83億円を計上した一方、営業損失の計上により、113億円(前連結会計年度は経常利益64億円)となりました。 (税金等調整前当期純損益)当連結会計年度における税金等調整前当期純損失は、113億円(前連結会計年度は税金等調整前当期純利益50億円)となりました。 (親会社株主に帰属する当期純損益)当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は、税金費用を35億円計上した結果、149億円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益20億円)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」と記載します。)の残高は、前連結会計年度末と比較し144億円増加し、869億円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失113億円の計上および仕入債務の減少があった一方で、売上債権の減少や、利息及び配当金の受取額の増加などにより、93億円の資金増加(前連結会計年度は230億円の資金減少)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出、投資有価証券の売却による収入などにより、1億円の資金増加(前連結会計年度は197億円の資金減少)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による支出、借入金の収支などにより、62億円の資金増加(前連結会計年度は6億円の資金増加)となりました。 ③ 生産、受注および販売の実績a. 受注実績当連結会計年度における当社および当社の連結子会社の受注実績は次のとおりであります。 期別工事別期首繰越工事高(百万円)期中受注工事高(百万円)計(百万円)期中完成工事高(百万円)次期繰越工事高(百万円)前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)海外 石油化学71,83529,428101,26436,75760,951石油・ガス66,59635,960102,55771,38559,770発電・交通システム等16,89653,91470,81118,04066,819化学・肥料84,93638,500123,43781,70146,043医薬・環境・産業施設2,3401,5663,9062,0751,885その他3,6701,3254,9963,1051,887小計246,277160,695406,973213,065237,356国内 石油化学11,47115,94427,41610,74116,636石油・ガス3158,7439,0586,9512,106発電・交通システム等32,1301,19533,32528,2553,830化学・肥料3878,4468,8331,6317,202医薬・環境・産業施設9,02236,74345,76511,24734,513その他706,1956,2656,19767小計53,39777,268130,66665,02564,356合計※10,705299,675237,964537,639278,091※2,242301,713当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)海外 石油化学60,95185,452146,40358,74085,198石油・ガス59,7707,25167,02234,64924,390発電・交通システム等66,8191,78768,60614,23741,968化学・肥料46,04328,57974,62338,01536,794医薬・環境・産業施設1,8853,0254,9103,6741,216その他1,8872,4154,3032,4031,865小計237,356128,512365,869151,720191,434国内 石油化学16,63652517,1626,38710,628石油・ガス2,1067,7059,8115,7534,054発電・交通システム等3,8303094,1391,436694化学・肥料7,20229,78636,9886,21030,787医薬・環境・産業施設34,5136,68841,2019,08231,723その他672,3582,4262,34876小計64,35647,373111,72931,22077,964合計※2,242301,713175,885477,598182,941※△558269,399 (注) 1 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前連結会計年度8,451百万円、当連結会計年度1,302百万円)を含んでおります。2 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前連結会計年度33,712百万円、当連結会計年度△26,560百万円)を含んでおります。3 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。 (参考情報) 当連結会計年度における持分法適用関連会社の当社持分相当の期中受注工事高は244,611百万円、次期繰越工事高は233,026百万円であります。 当連結会計年度の受注実績は、インド向け石油化学プラント、トルクメニスタン向け石油化学プラント、韓国向け化学プラント等を受注し、1,758億円(前連結会計年度比26.1%減)となりました。なお、持分法適用関連会社の当社持分相当の受注高を含めた総受注高は4,204億円、総受注残高は5,024億円となりました。 なお、提出会社における受注実績は次のとおりであります。 期別工事別期首繰越工事高(百万円)期中受注工事高(百万円)計(百万円)期中完成工事高(百万円)次期繰越工事高(百万円)前事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)海外 石油化学51,5258,12659,65222,33832,857石油・ガス8,4037219,1246,0663,352発電・交通システム等2,473―2,47392,236化学・肥料59,82413,64273,46654,80521,405医薬・環境・産業施設―161616―その他1,29201,2921,227―小計123,51922,506146,02584,46259,852国内 石油化学10,7003,27913,9799,3684,549石油・ガス30413343735681発電・交通システム等32,1301,19533,32528,2553,830化学・肥料3878,0708,4571,5706,887医薬・環境・産業施設827,10427,11290126,211その他68592883小計43,53639,86883,40540,54041,563合計※4,021167,05662,375229,431125,002※△75101,415当事業年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)海外 石油化学32,85745,93578,79336,33341,739石油・ガス3,3523,8327,1842,6982,729発電・交通システム等2,236342,271342,236化学・肥料21,4051,04422,44911,71610,111医薬・環境・産業施設―――――その他―202020―小計59,85250,867110,71950,80256,818国内 石油化学4,5493474,8973,4321,318石油・ガス8194175171―発電・交通システム等3,8303094,1391,436694化学・肥料6,88729,75736,6445,85630,787医薬・環境・産業施設26,2113,63029,8414,52025,321その他32327260小計41,56334,16275,72515,44558,122合計※△75101,41585,029186,44566,248※△21114,940 (注) 1 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前事業年度3,134百万円、当事業年度△14百万円)を含んでおります。2 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前事業年度△6,147百万円、当事業年度△5,242百万円)を含んでおります。3 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。 b. 売上実績当社グループはEPC事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。主な相手先別の売上実績および総売上実績に対する割合は、次のとおりであります。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)Indorama Fertilizer FZE48,99917.62―― (注) 1 当連結会計年度のIndorama Fertilizer FZEについては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。 2 当連結会計年度については、当該割合が100分の10以上を占める相手先が存在しないため、記載を省略しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a. 財政状況概要は「(1)経営成績等の概要 ①財政状態および経営成績の状況 a.財政状態」に記載したとおりです。受取手形・完成工事未収入金等の減少の影響等により、総資産の残高は2,611億円となり、前連結会計年度末から254億円減少しました。総負債につきましても、支払手形・工事未払金等の減少等に伴い、残高は前連結会計年度末から89億円減少の2,174億円となりました。純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純損失149億円の計上、配当金の支払等に伴い、残高は前連結会計年度末から165億円減少の437億円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度の20.9%から16.7%へと推移しました。 b. 経営成績概要は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」および「(1)経営成績等の概要 ①財政状態および経営成績の状況 b.経営成績」に記載したとおりです。 当期の期初に公表した業績見込みとの比較は以下のとおりです。 (単位:億円) 2025年5月15日公表業績見込み2026年3月期実績受注高1,7001,758完成工事高2,0001,829営業利益または営業損失(△) 15△190経常利益または経常損失(△) 65△113親会社株主に帰属する当期純利益または親会社株主に帰属する当期純損失(△) 50△149 持分法適用関連会社の当社持分相当の2026年3月期受注実績は2,446億円となりました。 完成工事高は、タイ向け石油化学プラント、トルクメニスタン向け石油化学プラント等の複数のプロジェクトが順調に進捗したものの、主にブラジル向けガス火力発電案件における収益の減額により、期初予想の2,000億円から171億円減少し、1,829億円となりました。営業損益は、主にブラジル向けガス火力発電案件における収支の悪化により、期初予想の営業利益15億円から205億円減少し、190億円の営業損失となりました。経常損益は、持分法による投資利益の増加等による改善があったものの、営業損失の計上により、期初予想の経常利益65億円から178億円減少し、113億円の経常損失となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、税金費用35億円を計上した結果、期初予想の親会社株主に帰属する当期純利益50億円から199億円減少し、149億円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。 ブラジル向けガス火力発電案件におきましては、契約対価の改訂および工期の見直し等について、顧客と協議を継続しておりましたが、最終的に合意に至らず、当社グループは2025年7月に仲裁を申し立てております。一方、顧客は工期遅延に関わる予定損害賠償金の適用を主張し、当社グループが既に履行した役務に対する対価の支払を2025年10月以降停止したこともあり、顧客による支払留保額が累積する形となりました。このような状況、並びに、仲裁手続きの長期化・顧客の信用状況等を総合的に勘案し、当連結会計年度において、顧客からの契約対価の回収可能性を保守的に評価するとともに、工事の完成までに要する費用を再精査の上で、工事損失を追加計上しています。今後、当社グループといたしましては、仲裁手続きを確実に行い、損失の回復と債権回収に努めてまいります。当連結会計年度におきましては、業績の悪化により、株主・投資家をはじめとするステークホルダーの皆様からの信頼を損なう結果となりましたことを心からお詫び申し上げます。 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載したとおりです。また、当社グループの経営成績における先行指標となります受注実績の概要につきましては、「(1)経営成績等の概要 ③生産、受注および販売の実績」に記載のとおりです。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」に記載した状況を受けて、当連結会計年度の受注実績は1,758億円となりました。持分法適用関連会社の当社持分相当の受注高を含めた総受注高は4,204億円、総受注残高は5,024億円となりました。分野別では、「石油化学」分野の受注実績が860億円(受注実績合計に対して48.9%)と最も大きく、以下、「化学・肥料」分野の受注実績が583億円、「石油・ガス」分野の受注実績が149億円となりました。なお、当社グループはEPC事業のみの単一セグメントであり、セグメント別の記載を省略しております。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関わる情報a. キャッシュ・フローの分析当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」と記載します。)は、主に営業活動による資金の増加93億円の影響により、前連結会計年度末から144億円増加し、869億円となりました。概要は「(1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりです。当連結会計年度における資金の増加の主な要因は、進行中の一部のプロジェクトにおいて顧客からの資金回収が進捗したことや、持分法適用会社からの受取配当金が増加したことなどによるものです。 b. キャッシュ・フロー指標のトレンド経営成績 2023年3月期2024年3月期2025年3月期2026年3月期キャッシュ・フロー対有利子負債比率2.36.0△2.26.6インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)18.08.3△19.14.5 (注) キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い * 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。 * キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。 * 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象と しております。 c. 資本の財源および資金の流動性に関わる情報(資金需要) 当社グループは、現金及び現金同等物ならびに営業活動によるキャッシュ・フローを資金の源泉としております。資金需要の主なものは、進行中プロジェクトの遂行に関わる機器資材の購入や外注費等の費用、従業員給料手当等の人件費、営業費用・DX・研究開発に係る活動費といった販売費及び一般管理費、IT基盤の充実に関わる設備投資等となります。当連結会計年度における損失計上を踏まえ、財務基盤の回復・安定化を優先させつつ、株主還元の実施および、将来の成長に資する人的資本・戦略領域への選択的な投資を計画してまいります。 (資金調達)当社グループは、円滑な事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持および健全な財務状態の維持を財務方針としており、資金需要に対して必要充分な水準の手元流動性として月商の2.5ヶ月分程度の資金残高を確保すべく、自己資金のほか、銀行からの借入による資金調達を行っております。当連結会計年度末の資金残高は869億円となり、必要な流動性水準を維持しました。なお、安定的な経常運転資金枠の確保、マーケット環境の一時的な変化等の不測の事態への対応手段確保の観点から、取引銀行10行と総額90億円の貸出コミットメント契約を締結しております。なお、これら契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高はありません。 (財務上の課題)当社グループの財務上の課題は、安定的な配当の継続と自己資本の着実な蓄積を両立させ、企業価値の向上に向けた成長軌道に乗せることです。当社グループは、2021年度~2025年度中期経営計画の振り返りを行うとともに、その結果を踏まえ、経営基盤を一層強靱にしつつ、「EPCの枠を超え、社会価値を共創・実装するパートナー」へ進化していくことを大きな方向性とする、2026年度~2030年度中期経営計画を策定いたしました。新中期経営計画においては、収益力のさらなる強化に向け、以下の取り組みを推進してまいります。 1. EPCを核とした確かな遂行力を前提に、構想・設計・建設・運用・保全・改修まで、プラントライフサ イクル全体で価値を創出する事業モデルへの転換を進めてまいります。2. O&M(運転・保守)、ファインケミカル、バイオ医薬、次世代地熱、重要鉱物といった分野を成長ドライ バーとし、注力重点地域であるインド・中央アジア・アフリカに戦略的に資源を配分してまいります。 これらの取り組みにより、2030年度までに自己資本を750億円前後まで積み上げることを目標といたします。ROEについては資本コストを上回る12%を維持することを目指し、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。 (株主還元)当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題として位置づけております。具体的な株主還元方針の内容については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。 (事業等のリスクに記載した重要事象等関連)当社グループは、当連結会計年度末において、金融機関との間で締結している借入契約に付された財務制限条項に抵触しておりましたが、「3 事業等のリスク (9)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、有価証券報告書提出日現在、当該金融機関と財務制限条項の見直しに関して変更契約を締結したことにより、当該抵触は解消しており、金融機関からの支援体制も十分に確保されております。 ③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、経営者による会計方針の選択や適用、また、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を与える見積りおよび仮定を用いております。経営者は、これらの見積りおよび仮定に基づく数値について過去の実績や状況に応じ合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性が存在する為、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。なお、なかでも特に重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (a)完成工事高および完成工事原価「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り) 1 一定の期間にわたり履行義務を充足し認識する収益」に記載しております。 (b)工事損失引当金当連結会計年度末において損失の発生が見込まれる未引渡工事に係る将来の損失に備えるため、その損失見込額を計上しています。工事施工の途中において見積りを超える原価が発生した場合、引当金の追加計上、追加損失の計上が必要となる可能性があります。 (c)貸倒引当金営業債権、貸付金等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率に基づき、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に債権の回収可能性を検討し、回収不能見込額を引当金として計上しています。顧客の財政状況が悪化し、その支払い見通しが変動した場合、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。 (d)退職給付に係る資産または負債退職給付債務および退職給付費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算定しており、これらの前提条件には、割引率、予定昇給率、退職率、死亡率および年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。前提条件の変動により、将来の退職給付に係る資産または負債、および退職給付費用の金額に影響を与える可能性があります。 (e)繰延税金資産「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り) 2 繰延税金資産の評価」に記載しております。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 (1) 経営の基本方針当社グループは、変化する事業環境の中で、世界に点在する当社グループ企業の全従業員が、共通する使命感、価値観のもとでグループとしての一体感を高めていくことを目的に、Mission、Vision、Values、いわゆるMVVを制定しております。 ◆グループ・ミッション(使命):“Engineering for Sustainable Growth of the Global Community”世界水準のエンジニアリングの提供によって、多様な顧客各社の課題を総合的に解決し、顧客ニーズの充足を実現するとともに、エネルギー・素材等の供給と環境保全を調和させ、持続性のある地球社会の実現に貢献します。 ◆グループ・ビジョン(目指す企業像):“Global Leading Engineering Partner”世界第一級のエンジニアリング企業グループとして、顧客の立場に立脚し共に課題を解決することによって、品質、HSE(健康・安全・環境)、納期、価格等を含む総合的な価値を提供し、顧客にとって最も信頼できる継続的なパートナーとなります。 ◆グループ・バリュー(価値観・行動基準):“Integrity, Creativity, Diversity, Learning, Team”東洋エンジニアリンググループで働く一人ひとりの役職員は、これらの価値観を共有して行動します。Integrity:誠意と責任を持って業務を遂行します。Creativity:知恵と創造力を発揮し、顧客とともに、もしくは自ら、新たな価値を創造します。Diversity:個性、人格、ならびに各国、各地域の文化、慣習を尊重します。Learning:進取の気性で、新たな経験、技能、知識を獲得します。Team:自社グループ内はもとより、顧客や協業先とのチームプレイを通じて、成果を実現します。 上記の経営方針に基づき、当社グループは、5つの強み(プロジェクトマネジメント力・技術力・アライアンス構築力・総合エンジニアリング力・グローバル対応力)を発揮し、「EPC強靭化」戦略と「新技術・事業開拓」戦略を軸として、多様化、個別化する顧客の課題に対し、最適なソリューションを提供しています。 (2) 経営環境当連結会計年度における世界経済全体としては、若干のインフレ緩和による実質所得の持ち直しを背景に底堅い成長を維持しましたが、引き続き、米国トランプ政権の保護主義政策による貿易紛争の拡大、それに伴う中国経済の失速、米欧国債の信用不安等の下振れリスクが想定されます。地域別に見ると、米国経済は、トランプ政権下での保護主義政策を背景に、国内生産回帰に向けた設備投資やデータ・エネルギー関連の設備投資が堅調に推移する見込みである一方、関税政策については、先行きの不確実性が極めて高く、景気や金融市場に与える影響に注視が必要な状況です。欧州経済は、堅調な雇用所得環境と物価上昇の減速から個人消費の拡大が見込まれますが、EUの中心であるフランスとドイツの政権基盤の不安定に伴う指導力低下による経済政策への影響が懸念されます。中国経済は、景気刺激策により株価が持ち直し、富裕層を中心に消費・投資需要が醸成され、不動産市況も緩やかな改善を見せました。しかし、米国との貿易紛争のエスカレートにより、輸出が失速すれば、株価の低迷、雇用の悪化により、再び不動産市況が冷え込むリスクがあり、注視が必要な状況です。日本経済は、物価上昇は継続するものの、実質賃金の改善、消費者マインドの改善を背景に個人消費の緩やかな持ち直しが見込まれます。また、企業の設備投資は、米国の経済政策およびそれに伴う世界経済の減速の影響を受けながらも、デジタル化・脱炭素化・サプライチェーン強靭化に向けた取り組みを背景に拡大傾向が続く見込みです。一方で人手不足が深刻化しており、引き続き労働力の確保および限られた労働力の中での生産性向上が課題となっております。 このような経済状況を受け、当社グループの事業環境としては、① カーボンニュートラル事業については、ロシア・ウクライナ情勢、米国のパリ協定再離脱等での政策後退が一部みられるものの、全世界的に脱炭素化や経済安全保障上のレジリエンス強化の観点から、政府支援で民間投資を後押しする動きは継続しています。日本においても代替エネルギー製品について、製造・輸送等に係る、従来製品との価格差に着目した支援制度ならびに拠点整備支援制度への申請が開始されております。燃料アンモニアに関しては、アンモニア製造からアンモニア受入基地およびアンモニア分解による水素製造までの一連のサプライチェーンを構築する複数の案件で、FEED(基本設計)実施に向けた協議が進展しています。インドネシアにおけるグリーンアンモニア製造、バンカリング向け燃料供給事業に関し、2024年8月にPupuk Indonesia Holding Companyおよび伊藤忠商事株式会社と共同開発契約を締結しFEEDを開始、2024年11月には合弁会社設立に向けた株主間契約書を締結しました。CCS(CO2回収・貯留)に関しては、独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)により、2030年度までのCO2貯留開始に向けた先進的CCS事業候補が選定され、FS(事業化調査)/Pre-FEED(概念設計)が進捗しており、当社は複数案件でFEED実施に向けた協議を開始しています。CO2資源化に関しては、燃料としてのメタノールの需要増加が今後期待され、国内市場においては、国内元売り会社が海外で合成燃料を製造し、輸入する動きが継続すると見込まれます。このような動きを見据え、当社グループにおいては、インドにおけるe-メタノールのFSを完了しております。地熱発電に関しては、インドネシアの政府および民間企業とインドネシアにおける包括的な地熱活用のマスタープラン策定に関する覚書を締結しております。また、地熱マスタープラン策定等調査事業は、経済産業省のグローバルサウス未来志向型共創等事業委託費におけるマスタープラン策定等調査事業に採択されており、引き続き社会実装に向け注力しています。SAF(持続可能な航空燃料)に関しては、世界的な市場規模の拡大を見据え、日揮株式会社との国内アライアンスにおける早期実績作りに向け注力しています。② 石油化学・肥料プラント等の既存事業については、海外では、2024年11月の米国大統領選以降、各種の設備投資計画が再開し始めましたが、新政権による新たな関税政策導入等により未だ国際市場はその影響の見極めに時間を要しております。その中でも肥料案件は人口増加と世界的な食糧安全保障問題の高まりに伴う堅調な需要増が見込まれます。石油化学案件については、中国での需要減退に伴い石油化学製品の需給が緩和した一方、世界のエチレン・ポリマー市場では、低炭素化への動きも織り込みながら今後も成長が見込まれており、既存製油所設備の転換等構造改革も交え、特に中東やインドを中心に引き続き設備投資が見込まれます。インフラ市場においては、主にアジアで再生可能エネルギー、廃棄物等の発電事業分野等で設備投資が見込まれます。一方、国内では、EV(電気自動車)や半導体用の高機能化学品の需要の回復が見込まれ、それらの材料に関する設備投資が期待されます。③ FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)事業については、2023年以降の10年間はGolden Ageと呼ぶに相応しい活況を呈する市況が予想される中、石油メジャー・国営石油会社による投資が加速しており、引き続き旺盛な需要が期待されます。このような状況下で、ブラジル・ガイアナ等の中南米のほか、オーストラリア、ナミビア等の新規市場の案件も多く、当社グループのエンジニアリングとプロジェクトマネジメント力、複数の戦略的拠点の活用による最適化および三井海洋開発株式会社(MODEC)の知見との融合による差別化を武器に、MODECとの合弁会社であるOFS(Offshore Frontier Solutions Pte. Ltd.)にてEPCI(設計・調達・工事・据付)案件の更なる受注が期待されます。 (3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題当社グループでは、2021年度から取り組んでいる中期経営計画を、「EPC強靭化」および「新技術・事業開拓」という2つの戦略を軸に推進し、KGI(Key Goal Indicator)の達成を目指して取り組んでいます。その結果、業績の回復を進め、2023年度には期末配当を復活することができました。2024年度については、業務変革が進展する前に受注した一部の案件で進捗遅れ等による下振れ要素も生じていますが、体質強化に向けた取り組みを緩めることなく、2026年度からの次期中期経営計画を下支えする強固な基盤の構築を着実に推進しています。 ① 中期経営計画を振り返って2024年度は現在の中期経営計画の4年目で、2025年度が最終年度になります。EPC強靭化においては、その一翼を担うDXoT(Digital Transformation of TOYO)を推進し、DX適用の事業領域(プロジェクト、設計、調達、工事)が拡大しています。案件受注フェーズでは、DX活用による良質な案件の選定と人員配置やスケジュールの最適化を高めており、案件遂行フェーズにおいても、DXを活用した案件数が増え、それらの案件で生産性向上や工期短縮といった効果が出ています。EPC強靭化のもう一つの軸である拠点強化では、EPC拠点(インド・インドネシア・中国・韓国・マレーシア・ブラジル・日本)それぞれが案件受注から完工引き渡しまでを自律的に遂行する力を着実に鍛えています。2024年度にはリスクマネジメントを個社ではなくグループ全体でより強化するための議論を進めてきました。その推進・実行組織としてプロジェクト管理本部を2025年1月に設立しました。従来から取り組んできた案件遂行フェーズでの対応力強化に加えて、案件受注フェーズで良質案件の選別において、リスク感度の向上、Lessons Learnt(過去案件からの教訓・フィードバック)の積極的な活用、ならびにリスク受容度の適正な評価を徹底し、案件選別力の強化に取り組んでいます。将来の成功に資するチャレンジは厭わない姿勢を維持しつつ、無理・無謀な案件取り組みを確りと排除する仕組み・運営が回り始めています。一方、新技術・事業開拓においては、2024年度までの進捗として、カーボンニュートラル政策に対応する技術開発分野で、CCUS(CO2回収・有効利用・貯留)や合成ガス技術の研究を推進し、環境負荷の低減に貢献しています。バイオマス発電においては、日本国内で連続受注した12件が順次完工・引き渡しを迎えています。地熱分野では、インドネシアで地熱発電案件を継続的に受注するとともに、継続的かつ安定的に発電できる地熱資源の利用促進・最適化を進める「カーボンニュートラルパーク」構想も検討しており、インドネシア・エネルギー鉱物資源省との地熱マスタープラン策定に関する覚書を締結しました。また、将来的な循環型社会の実現に向け、廃棄物のリサイクル技術や省エネルギー技術の開発も推進しています。 ② 今後の中期経営計画に関する重点課題現在の中期経営計画は2025年度が最終年度であり、KGI/KPIの達成に向けた取り組みを引き続き推進するとともに、4年間を振り返って総括を行います。この総括では、未決事項や仕掛り中の事項の確認、これまでの成功・失敗事例の深掘りから得られる様々なLessons Learntを取りまとめてまいります。それらを次期中期経営計画(2026年度から2030年度まで)にも織り込んだ上で、品質関連損失コストを極小化、各案件の成果および全社的な業績の向上を実現し、社会課題の解決を通じた価値提供に確りと活かしてまいります。特に留意すべき取り組み課題として、以下の三点を認識しています。 (技術革新の継続)自社開発技術や他社提携技術における優位性を保持しつつ、市場競争力のある事業を展開し、持続可能な社会を実現するためには、絶え間ない技術の向上が不可欠です。 (人財育成)技術革新・事業開発を推進するためには、優秀な人財の育成と確保が重要で、適切な資本投下を行い、多彩な人財がいきいきと働ける環境と制度の充実を図ってまいります。 (事業ポートフォリオの転換)EPC案件の受注および個別案件の成否による大きな業績のブレを解消し、安定的な収益基盤の構築と持続的な成長を実現するため、既存事業の強化と新規事業の開拓を進め、収益構造の転換・多様化を図る必要があります。 これらの課題に向き合いつつ、当社グループは持続可能な社会の実現に向けた取り組みを更に強化し、企業価値の向上を図ってまいります。 (4) 2026年3月期連結業績予想 (単位:百万円) 連結受注高170,000完成工事高200,000営業利益1,500経常利益6,500親会社株主に帰属する当期純利益5,000 受注高については、「(2)経営環境」および「(3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題」に記載した全般的状況を踏まえて算出しました。持分法適用関連会社の当社持分相当の受注目標2,300億円を含めますと、受注目標は4,000億円となります。なお、持分法適用関連会社であるOFSはブラジル向けFPSOプロジェクトを2025年3月に、南米ガイアナ向けFPSOプロジェクトを2025年4月に、各々契約調印、受注しております。 [本業績見通しにおける想定為替レート]1米ドル=140円
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 (1) 経営の基本方針当社グループは、変化する事業環境の中で、世界に点在する当社グループ企業の全従業員が、共通する使命感、価値観のもとでグループとしての一体感を高めていくことを目的に、Mission、Vision、Values、いわゆるMVVを制定しております。 ◆グループ・ミッション(使命):“Engineering for Sustainable Growth of the Global Community”世界水準のエンジニアリングの提供によって、多様な顧客各社の課題を総合的に解決し、顧客ニーズの充足を実現するとともに、エネルギー・素材等の供給と環境保全を調和させ、持続性のある地球社会の実現に貢献します。 ◆グループ・ビジョン(目指す企業像):“Global Leading Engineering Partner”世界第一級のエンジニアリング企業グループとして、顧客の立場に立脚し共に課題を解決することによって、品質、HSE(健康・安全・環境)、納期、価格等を含む総合的な価値を提供し、顧客にとって最も信頼できる継続的なパートナーとなります。 ◆グループ・バリュー(価値観・行動基準):“Integrity, Creativity, Diversity, Learning, Team”東洋エンジニアリンググループで働く一人ひとりの役職員は、これらの価値観を共有して行動します。Integrity:誠意と責任を持って業務を遂行します。Creativity:知恵と創造力を発揮し、顧客とともに、もしくは自ら、新たな価値を創造します。Diversity:個性、人格、ならびに各国、各地域の文化、慣習を尊重します。Learning:進取の気性で、新たな経験、技能、知識を獲得します。Team:自社グループ内はもとより、顧客や協業先とのチームプレイを通じて、成果を実現します。 上記の経営方針に基づき、当社グループは、5つの強み(プロジェクトマネジメント力・技術力・アライアンス構築力・総合エンジニアリング力・グローバル対応力)を発揮し、「EPC強靭化」戦略と「新技術・事業開拓」戦略を軸として、多様化、個別化する顧客の課題に対し、最適なソリューションを提供しています。 (2) 経営環境当連結会計年度における世界経済全体としては、若干のインフレ緩和による実質所得の持ち直しを背景に底堅い成長を維持しましたが、引き続き、米国トランプ政権の保護主義政策による貿易紛争の拡大、それに伴う中国経済の失速、米欧国債の信用不安等の下振れリスクが想定されます。地域別に見ると、米国経済は、トランプ政権下での保護主義政策を背景に、国内生産回帰に向けた設備投資やデータ・エネルギー関連の設備投資が堅調に推移する見込みである一方、関税政策については、先行きの不確実性が極めて高く、景気や金融市場に与える影響に注視が必要な状況です。欧州経済は、堅調な雇用所得環境と物価上昇の減速から個人消費の拡大が見込まれますが、EUの中心であるフランスとドイツの政権基盤の不安定に伴う指導力低下による経済政策への影響が懸念されます。中国経済は、景気刺激策により株価が持ち直し、富裕層を中心に消費・投資需要が醸成され、不動産市況も緩やかな改善を見せました。しかし、米国との貿易紛争のエスカレートにより、輸出が失速すれば、株価の低迷、雇用の悪化により、再び不動産市況が冷え込むリスクがあり、注視が必要な状況です。日本経済は、物価上昇は継続するものの、実質賃金の改善、消費者マインドの改善を背景に個人消費の緩やかな持ち直しが見込まれます。また、企業の設備投資は、米国の経済政策およびそれに伴う世界経済の減速の影響を受けながらも、デジタル化・脱炭素化・サプライチェーン強靭化に向けた取り組みを背景に拡大傾向が続く見込みです。一方で人手不足が深刻化しており、引き続き労働力の確保および限られた労働力の中での生産性向上が課題となっております。 このような経済状況を受け、当社グループの事業環境としては、① カーボンニュートラル事業については、ロシア・ウクライナ情勢、米国のパリ協定再離脱等での政策後退が一部みられるものの、全世界的に脱炭素化や経済安全保障上のレジリエンス強化の観点から、政府支援で民間投資を後押しする動きは継続しています。日本においても代替エネルギー製品について、製造・輸送等に係る、従来製品との価格差に着目した支援制度ならびに拠点整備支援制度への申請が開始されております。燃料アンモニアに関しては、アンモニア製造からアンモニア受入基地およびアンモニア分解による水素製造までの一連のサプライチェーンを構築する複数の案件で、FEED(基本設計)実施に向けた協議が進展しています。インドネシアにおけるグリーンアンモニア製造、バンカリング向け燃料供給事業に関し、2024年8月にPupuk Indonesia Holding Companyおよび伊藤忠商事株式会社と共同開発契約を締結しFEEDを開始、2024年11月には合弁会社設立に向けた株主間契約書を締結しました。CCS(CO2回収・貯留)に関しては、独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)により、2030年度までのCO2貯留開始に向けた先進的CCS事業候補が選定され、FS(事業化調査)/Pre-FEED(概念設計)が進捗しており、当社は複数案件でFEED実施に向けた協議を開始しています。CO2資源化に関しては、燃料としてのメタノールの需要増加が今後期待され、国内市場においては、国内元売り会社が海外で合成燃料を製造し、輸入する動きが継続すると見込まれます。このような動きを見据え、当社グループにおいては、インドにおけるe-メタノールのFSを完了しております。地熱発電に関しては、インドネシアの政府および民間企業とインドネシアにおける包括的な地熱活用のマスタープラン策定に関する覚書を締結しております。また、地熱マスタープラン策定等調査事業は、経済産業省のグローバルサウス未来志向型共創等事業委託費におけるマスタープラン策定等調査事業に採択されており、引き続き社会実装に向け注力しています。SAF(持続可能な航空燃料)に関しては、世界的な市場規模の拡大を見据え、日揮株式会社との国内アライアンスにおける早期実績作りに向け注力しています。② 石油化学・肥料プラント等の既存事業については、海外では、2024年11月の米国大統領選以降、各種の設備投資計画が再開し始めましたが、新政権による新たな関税政策導入等により未だ国際市場はその影響の見極めに時間を要しております。その中でも肥料案件は人口増加と世界的な食糧安全保障問題の高まりに伴う堅調な需要増が見込まれます。石油化学案件については、中国での需要減退に伴い石油化学製品の需給が緩和した一方、世界のエチレン・ポリマー市場では、低炭素化への動きも織り込みながら今後も成長が見込まれており、既存製油所設備の転換等構造改革も交え、特に中東やインドを中心に引き続き設備投資が見込まれます。インフラ市場においては、主にアジアで再生可能エネルギー、廃棄物等の発電事業分野等で設備投資が見込まれます。一方、国内では、EV(電気自動車)や半導体用の高機能化学品の需要の回復が見込まれ、それらの材料に関する設備投資が期待されます。③ FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)事業については、2023年以降の10年間はGolden Ageと呼ぶに相応しい活況を呈する市況が予想される中、石油メジャー・国営石油会社による投資が加速しており、引き続き旺盛な需要が期待されます。このような状況下で、ブラジル・ガイアナ等の中南米のほか、オーストラリア、ナミビア等の新規市場の案件も多く、当社グループのエンジニアリングとプロジェクトマネジメント力、複数の戦略的拠点の活用による最適化および三井海洋開発株式会社(MODEC)の知見との融合による差別化を武器に、MODECとの合弁会社であるOFS(Offshore Frontier Solutions Pte. Ltd.)にてEPCI(設計・調達・工事・据付)案件の更なる受注が期待されます。 (3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題当社グループでは、2021年度から取り組んでいる中期経営計画を、「EPC強靭化」および「新技術・事業開拓」という2つの戦略を軸に推進し、KGI(Key Goal Indicator)の達成を目指して取り組んでいます。その結果、業績の回復を進め、2023年度には期末配当を復活することができました。2024年度については、業務変革が進展する前に受注した一部の案件で進捗遅れ等による下振れ要素も生じていますが、体質強化に向けた取り組みを緩めることなく、2026年度からの次期中期経営計画を下支えする強固な基盤の構築を着実に推進しています。 ① 中期経営計画を振り返って2024年度は現在の中期経営計画の4年目で、2025年度が最終年度になります。EPC強靭化においては、その一翼を担うDXoT(Digital Transformation of TOYO)を推進し、DX適用の事業領域(プロジェクト、設計、調達、工事)が拡大しています。案件受注フェーズでは、DX活用による良質な案件の選定と人員配置やスケジュールの最適化を高めており、案件遂行フェーズにおいても、DXを活用した案件数が増え、それらの案件で生産性向上や工期短縮といった効果が出ています。EPC強靭化のもう一つの軸である拠点強化では、EPC拠点(インド・インドネシア・中国・韓国・マレーシア・ブラジル・日本)それぞれが案件受注から完工引き渡しまでを自律的に遂行する力を着実に鍛えています。2024年度にはリスクマネジメントを個社ではなくグループ全体でより強化するための議論を進めてきました。その推進・実行組織としてプロジェクト管理本部を2025年1月に設立しました。従来から取り組んできた案件遂行フェーズでの対応力強化に加えて、案件受注フェーズで良質案件の選別において、リスク感度の向上、Lessons Learnt(過去案件からの教訓・フィードバック)の積極的な活用、ならびにリスク受容度の適正な評価を徹底し、案件選別力の強化に取り組んでいます。将来の成功に資するチャレンジは厭わない姿勢を維持しつつ、無理・無謀な案件取り組みを確りと排除する仕組み・運営が回り始めています。一方、新技術・事業開拓においては、2024年度までの進捗として、カーボンニュートラル政策に対応する技術開発分野で、CCUS(CO2回収・有効利用・貯留)や合成ガス技術の研究を推進し、環境負荷の低減に貢献しています。バイオマス発電においては、日本国内で連続受注した12件が順次完工・引き渡しを迎えています。地熱分野では、インドネシアで地熱発電案件を継続的に受注するとともに、継続的かつ安定的に発電できる地熱資源の利用促進・最適化を進める「カーボンニュートラルパーク」構想も検討しており、インドネシア・エネルギー鉱物資源省との地熱マスタープラン策定に関する覚書を締結しました。また、将来的な循環型社会の実現に向け、廃棄物のリサイクル技術や省エネルギー技術の開発も推進しています。 ② 今後の中期経営計画に関する重点課題現在の中期経営計画は2025年度が最終年度であり、KGI/KPIの達成に向けた取り組みを引き続き推進するとともに、4年間を振り返って総括を行います。この総括では、未決事項や仕掛り中の事項の確認、これまでの成功・失敗事例の深掘りから得られる様々なLessons Learntを取りまとめてまいります。それらを次期中期経営計画(2026年度から2030年度まで)にも織り込んだ上で、品質関連損失コストを極小化、各案件の成果および全社的な業績の向上を実現し、社会課題の解決を通じた価値提供に確りと活かしてまいります。特に留意すべき取り組み課題として、以下の三点を認識しています。 (技術革新の継続)自社開発技術や他社提携技術における優位性を保持しつつ、市場競争力のある事業を展開し、持続可能な社会を実現するためには、絶え間ない技術の向上が不可欠です。 (人財育成)技術革新・事業開発を推進するためには、優秀な人財の育成と確保が重要で、適切な資本投下を行い、多彩な人財がいきいきと働ける環境と制度の充実を図ってまいります。 (事業ポートフォリオの転換)EPC案件の受注および個別案件の成否による大きな業績のブレを解消し、安定的な収益基盤の構築と持続的な成長を実現するため、既存事業の強化と新規事業の開拓を進め、収益構造の転換・多様化を図る必要があります。 これらの課題に向き合いつつ、当社グループは持続可能な社会の実現に向けた取り組みを更に強化し、企業価値の向上を図ってまいります。 (4) 2026年3月期連結業績予想 (単位:百万円) 連結受注高170,000完成工事高200,000営業利益1,500経常利益6,500親会社株主に帰属する当期純利益5,000 受注高については、「(2)経営環境」および「(3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題」に記載した全般的状況を踏まえて算出しました。持分法適用関連会社の当社持分相当の受注目標2,300億円を含めますと、受注目標は4,000億円となります。なお、持分法適用関連会社であるOFSはブラジル向けFPSOプロジェクトを2025年3月に、南米ガイアナ向けFPSOプロジェクトを2025年4月に、各々契約調印、受注しております。 [本業績見通しにおける想定為替レート]1米ドル=140円
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」と記載します。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態および経営成績の状況a. 財政状態(流動資産)当連結会計年度末における流動資産の残高は2,442億円で、前連結会計年度末から61億円減少しております。受取手形・完成工事未収入金等が314億円増加した一方、現金預金が295億円、未成工事支出金が93億円それぞれ減少したことなどが主な原因であります。 (固定資産)当連結会計年度末における固定資産の残高は423億円で、前連結会計年度末から67億円増加しております。有形固定資産が34億円、投資その他の資産が32億円それぞれ増加したことなどが主な原因であります。 (流動負債)当連結会計年度末における流動負債の残高は1,826億円で、前連結会計年度末から109億円減少しております。未成工事受入金が88億円減少したことなどが主な原因であります。 (固定負債)当連結会計年度末における固定負債の残高は437億円で、前連結会計年度末から154億円増加しております。長期借入金が161億円増加したことなどが主な原因であります。 (純資産)当連結会計年度末における純資産の残高は602億円で、前連結会計年度末から39億円減少しております。親会社株主に帰属する当期純利益を20億円計上した一方、配当金の支払7億円や、為替換算調整勘定が24億円、退職給付に係る調整累計額が20億円それぞれ減少したことなどが主な原因であります。 b. 経営成績(完成工事高)当連結会計年度における完成工事高は、主に複数の国内向けバイオマス発電所、タイ向け石油化学プラント、中国向け化学プラント等の複数のプロジェクトの進捗により、前連結会計年度比172億円(6.6%)増の2,780億円となりました。 (完成工事総利益)当連結会計年度における完成工事総利益は、ブラジルのガス火力発電案件、国内の医薬関連プラントおよびバイオマス発電案件2件における追加費用の発生に伴う採算悪化などにより、前連結会計年度比23億円(8.1%)減の260億円となりました。 (営業利益)当連結会計年度における営業利益は、前述の完成工事総利益の減少に加え、販売費及び一般管理費が増加した結果、前連結会計年度比41億円(61.4%)減の25億円となりました。 (経常利益)当連結会計年度における経常利益は、持分法による投資利益41億円を計上した一方、営業利益の減少により前連結会計年度比5億円(7.7%)減の64億円となりました。 (特別損益および税金等調整前当期純利益)当連結会計年度において、特別利益として段階取得に係る差益41億円、特別損失として固定資産減損損失13億円、のれん減損損失41億円をそれぞれ計上した結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比67億円(56.9%)減の50億円となりました。 (親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、子会社等の税金費用を30億円計上した結果、前連結会計年度比78億円(79.4%)減の20億円となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」と記載します。)の残高は、連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増加額53億円を加え725億円となり、前連結会計年度末と比較し365億円の減少となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益50億円の計上、仕入債務の減少、未成工事受入金の減少、売上債権の増加などにより、結果として230億円の資金減少(前連結会計年度は60億円の資金増加)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入や短期貸付金の増加などにより、197億円の資金減少(前連結会計年度は73億円の資金増加)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による支出、借入金の収支などにより、6億円の資金増加(前連結会計年度は10億円の資金減少)となりました。 ③ 生産、受注および販売の実績a. 受注実績当連結会計年度における当社および当社の連結子会社の受注実績は次のとおりであります。 期別工事別期首繰越工事高(百万円)期中受注工事高(百万円)計(百万円)期中完成工事高(百万円)次期繰越工事高(百万円)前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)海外 石油化学44,41662,961107,37735,18271,835石油・ガス67,83840,465108,30446,46966,596発電・交通システム等14,8739,70224,5766,97216,896化学・肥料106,33323,176129,51047,54784,936医薬・環境・産業施設4342,9653,4001,0522,340その他4,3272,1606,4872,8453,670小計238,224141,432379,656140,069246,277国内 石油化学31,6466,02837,67526,20311,471石油・ガス1,9532,4844,4384,123315発電・交通システム等100,6271,016101,64464,32332,130化学・肥料1,5885962,1851,797387医薬・環境・産業施設24,9492,41927,36918,2829,022その他2015,8926,0946,02370小計160,96818,438179,406120,75553,397合計※4,276399,192159,870559,063260,825※10,705299,675当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)海外 石油化学71,83529,428101,26436,75760,951石油・ガス66,59635,960102,55771,38559,770発電・交通システム等16,89653,91470,81118,04066,819化学・肥料84,93638,500123,43781,70146,043医薬・環境・産業施設2,3401,5663,9062,0751,885その他3,6701,3254,9963,1051,887小計246,277160,695406,973213,065237,356国内 石油化学11,47115,94427,41610,74116,636石油・ガス3158,7439,0586,9512,106発電・交通システム等32,1301,19533,32528,2553,830化学・肥料3878,4468,8331,6317,202医薬・環境・産業施設9,02236,74345,76511,24734,513その他706,1956,2656,19767小計53,39777,268130,66665,02564,356合計※10,705299,675237,964537,639278,091※2,242301,713 (注) 1 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前連結会計年度10,751百万円、当連結会計年度8,451百万円)を含んでおります。2 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前連結会計年度△9,314百万円、当連結会計年度33,712百万円)を含んでおります。なお、当連結会計年度より、TS Participações e Investimentos S.A.の株式を追加取得したことにより、同社および同社の子会社であるTSE S.A.とEstaleiros do Brasil Ltda.を連結子会社化したため、その影響額40,910百万円を前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分および次期繰越工事高に含めております。3 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。 (参考情報) 当連結会計年度における持分法適用関連会社の当社持分相当の期中受注工事高は6,279百万円、次期繰越工事高は108,447百万円であります。 当連結会計年度の受注実績は、国内向けリチウムイオン電池用電解質製造プラント、複数のインドネシア向け地熱発電所、インド向けLNG関連設備等を受注し、2,379億円(前連結会計年度比48.8%増)となりました。なお、持分法適用関連会社の当社持分相当の受注高を含めた総受注高は2,442億円、総受注残高は4,101億円となりました。 なお、提出会社における受注実績は次のとおりであります。 期別工事別期首繰越工事高(百万円)期中受注工事高(百万円)計(百万円)期中完成工事高(百万円)次期繰越工事高(百万円)前事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)海外 石油化学23,46844,01767,48514,81851,525石油・ガス9,3605,81715,1777,2338,403発電・交通システム等4,742―4,7427122,473化学・肥料61,72710,42372,15012,61059,824医薬・環境・産業施設―232323―その他2,285592,3451,0101,292小計101,58360,340161,92336,409123,519国内 石油化学28,4964,19832,69521,99510,700石油・ガス158435594289304発電・交通システム等100,6271,016101,64464,32332,130化学・肥料1,5885962,1851,797387医薬・環境・産業施設3,1608944,0554,0008その他1591362962896小計134,1917,279141,47092,69743,536合計※777235,77467,619303,394129,107※4,021167,056当事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)海外 石油化学51,5258,12659,65222,33832,857石油・ガス8,4037219,1246,0663,352発電・交通システム等2,473―2,47392,236化学・肥料59,82413,64273,46654,80521,405医薬・環境・産業施設―161616―その他1,29201,2921,227―小計123,51922,506146,02584,46259,852国内 石油化学10,7003,27913,9799,3684,549石油・ガス30413343735681発電・交通システム等32,1301,19533,32528,2553,830化学・肥料3878,0708,4571,5706,887医薬・環境・産業施設827,10427,11290126,211その他68592883小計43,53639,86883,40540,54041,563合計※4,021167,05662,375229,431125,002※△75101,415 (注) 1 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前事業年度1,556百万円、当事業年度3,134百万円)を含んでおります。2 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前事業年度△8,787百万円、当事業年度△6,147百万円)を含んでおります。3 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。 b. 売上実績当社グループはEPC事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。主な相手先別の売上実績および総売上実績に対する割合は、次のとおりであります。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)Indorama Fertilizer FZE――48,99917.62 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a. 財政状況概要は「(1)経営成績等の概要 ①財政状態および経営成績の状況 a.財政状態」に記載したとおりです。受取手形・完成工事未収入金等の増加の影響等により、総資産の残高は2,865億円となり、前連結会計年度末から6億円増加しました。総負債につきましても、長期借入金の増加等に伴い、残高は前連結会計年度末から45億円増加の2,263億円となりました。純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益20億円の計上による株主資本の積み上げは有りましたが、配当金の支払、その他の包括利益累計額において為替換算調整勘定や退職給付に係る調整累計額の減少等に伴い、残高は前連結会計年度末から39億円減少の602億円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度の22.4%から20.9%へと推移しました。 b. 経営成績概要は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」および「(1)経営成績等の概要 ①財政状態および経営成績の状況 b.経営成績」に記載したとおりです。 当期の期初に公表した業績見込みとの比較は以下のとおりです。 (単位:億円) 2024年5月15日公表業績見込み2025年3月期実績受注高2,5002,379完成工事高2,7002,780営業利益 50 25経常利益 75 64親会社株主に帰属する当期純利益 60 20 持分法適用関連会社の当社持分相当の2025年3月期受注実績は62億円となりました。 完成工事高につきましては、国内向けバイオマス発電所、タイ向け石油化学プラント、中国向け化学プラントなど、複数のプロジェクトが順調に進捗したことにより、2,780億円となり、期初の業績予想をやや上回る結果となりました。完成工事総利益については、ブラジルのガス火力発電案件、国内の医薬関連プラントおよびバイオマス発電案件2件において、追加費用の発生により採算が悪化しました。一方、インドや中国を中心とする複数の海外案件では、追加収入の獲得等により採算が改善したものの、採算悪化の影響を完全に補うには至らず、営業利益は期初予想の50億円に対し、25億円減少の25億円となりました。営業外損益については、持分法による投資利益の増加等により改善し、経常利益は期初予想の75億円に対して11億円減少し、64億円となりました。第1四半期に実施した、ブラジルの持分法適用関連会社の子会社化に際しては、特別利益として段階取得に係る差益41億円、特別損失としてのれんの減損損失41億円をそれぞれ計上しましたが、両者が相殺されたことにより、業績への影響は中立となりました。一方、第4四半期には、ブラジル子会社が保有する固定資産について減損処理を実施し、固定資産減損損失を特別損失として計上しました。また、インドおよび中国の子会社では、収益性の改善に伴い税金費用が増加しました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、期初予想の60億円に対し、40億円減少し、20億円となりました。 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載したとおりです。当社グループは、2021~2025年度の5年間にわたる中期経営計画を推進しており、「EPC強靭化」と「新技術・事業開拓」の2つの戦略を軸に、KGIの達成を目指して取り組んでおります。 また、当社グループの経営成績における先行指標となります受注実績の概要につきましては、「(1)経営成績等の概要 ③生産、受注および販売の実績」に記載のとおりです。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」に記載した状況を受けて、当連結会計年度の受注実績は2,379億円となりました。持分法適用関連会社の当社持分相当の受注高を含めた総受注高は2,442億円、総受注残高は4,101億円となりました。分野別では、「発電・交通システム等」分野の受注実績が551億円(受注実績合計に対して23.2%)と最も大きく、以下、「化学・肥料」分野の受注実績が469億円、「石油化学」分野の受注実績が454億円となりました。なお、当社グループはEPC事業のみの単一セグメントであり、セグメント別の記載を省略しております。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関わる情報a. キャッシュ・フローの分析当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」と記載します。)の期末残高は、連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増加額53億円を加え725億円となり、前連結会計年度末から365億円の減少となりました。これは主に、営業活動による資金の減少230億円、投資活動による資金の減少197億円などによるものです。概要は「(1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりです。当連結会計年度における資金の減少の主な要因は、一部のプロジェクトにおいて前々期および前期において資金流入が先行した反動により、当期は資金流出側に転じたことによるものです。加えて、投資キャッシュ・フローにおいては、定期預金の預入、DX投資や事務所移転に伴う固定資産関連支出、ならびに子会社化したブラジル持分法適用関連会社に対する貸付等が資金減少の要因となりました。 b. キャッシュ・フロー指標のトレンド経営成績 2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期キャッシュ・フロー対有利子負債比率△5.42.36.0△2.2インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)△15.818.08.3△19.1 (注) キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い * 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。 * キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。 * 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象と しております。 c. 資本の財源および資金の流動性に関わる情報(資金需要) 当社グループは、現金及び現金同等物ならびに営業活動によるキャッシュ・フローを資金の源泉としております。資金需要の主なものは、進行中プロジェクトの遂行に関わる機器資材の購入や外注費等の費用、従業員給料手当等の人件費、営業費用・DX・研究開発に係る活動費といった販売費及び一般管理費、IT基盤の充実に関わる設備投資等となります。将来の成長のため、財務規律の徹底を図りつつ、DX・研究開発に係る活動費および投資支出の拡大を計画しております。 (資金調達)当社グループは、円滑な事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持および健全な財務状態の維持を財務方針としており、資金需要に対して必要充分な水準の手元流動性として月商の2.5ヶ月分程度の資金残高を確保すべく、自己資金のほか、銀行からの借入による資金調達を行っております。当連結会計年度末の資金残高は725億円となり、必要な流動性水準を維持しました。なお、安定的な経常運転資金枠の確保、マーケット環境の一時的な変化等の不測の事態への対応手段確保の観点から、取引銀行10行と総額90億円の貸出コミットメント契約を締結しております。なお、これら契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高はありません。 (財務上の課題)当社グループの財務上の課題は、安定的な配当の継続と自己資本の着実な蓄積を両立させ、企業価値の向上に向けた成長軌道に乗せることです。今後も中期経営計画の柱である「EPC強靭化」および「新技術・事業開拓」戦略の遂行に注力してまいります。具体的には、以下の取り組みを通じて、収益力のさらなる強化を図ります。 1. 既存EPC事業の安定強化 DX適用範囲の拡大、FPSO事業からの収益計上、地域・商品別にバランスの取れた事業ポートフォリオの構築を推進します。2. リスクマネジメントの強化 新設したプロジェクト管理本部を中心に、案件取組み初期からプロジェクト完了までの全期間において、リスク管理を徹底し、品質関連損失コストの低減を図ります。3. 非EPC事業の拡大 非EPC事業の割合および絶対額を高めることで、収益源の多様化と安定化を図ります。4. 新規事業領域での収益化 カーボンニュートラル関連をはじめとする新規事業領域におけるEPC受注を通じて、当社収益への本格的な貢献を実現します。 これらの取り組みにより、自己資本比率は25%超、自己資本は750億円前後まで積み上げることを当面の目標といたします。また、ROEについては資本コストを勘案し、安定的に10%超を維持することを目指し、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。 (株主還元)当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題として位置づけております。当面は、配当性向を25%以上とすることを基本的な方針といたします。具体的な株主還元方針の内容については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。 ③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、経営者による会計方針の選択や適用、また、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を与える見積りおよび仮定を用いております。経営者は、これらの見積りおよび仮定に基づく数値について過去の実績や状況に応じ合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性が存在する為、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。なお、なかでも特に重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (a)完成工事高および完成工事原価「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り) 1 一定の期間にわたり履行義務を充足し認識する収益」に記載しております。 (b)工事損失引当金当連結会計年度末において損失の発生が見込まれる未引渡工事に係る将来の損失に備えるため、その損失見込額を計上しています。工事施工の途中において見積りを超える原価が発生した場合、引当金の追加計上、追加損失の計上が必要となる可能性があります。 (c)貸倒引当金営業債権、貸付金等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率に基づき、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に債権の回収可能性を検討し、回収不能見込額を引当金として計上しています。顧客の財政状況が悪化し、その支払い見通しが変動した場合、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。 (d)退職給付に係る資産または負債退職給付債務および退職給付費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算定しており、これらの前提条件には、割引率、予定昇給率、退職率、死亡率および年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。前提条件の変動により、将来の退職給付に係る資産または負債、および退職給付費用の金額に影響を与える可能性があります。 (e)繰延税金資産「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り) 2 繰延税金資産の評価」に記載しております。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 (1) 経営の基本方針当社グループは、変化する事業環境の中で、世界に点在する当社グループ企業の全従業員が、共通する使命感、価値観のもとでグループとしての一体感を高めていくことを目的に、Mission、Vision、Values、いわゆるMVVを制定しております。 ◆グループ・ミッション(使命):“Engineering for Sustainable Growth of the Global Community”世界水準のエンジニアリングの提供によって、多様な顧客各社の課題を総合的に解決し、顧客ニーズの充足を実現するとともに、エネルギー・素材等の供給と環境保全を調和させ、持続性のある地球社会の実現に貢献します。 ◆グループ・ビジョン(目指す企業像):“Global Leading Engineering Partner”世界第一級のエンジニアリング企業グループとして、顧客の立場に立脚し共に課題を解決することによって、品質、HSE(健康・安全・環境)、納期、価格等を含む総合的な価値を提供し、顧客にとって最も信頼できる継続的なパートナーとなります。 ◆グループ・バリュー(価値観・行動基準):“Integrity, Creativity, Diversity, Learning, Team”東洋エンジニアリンググループで働く一人ひとりの役職員は、これらの価値観を共有して行動します。Integrity:誠意と責任を持って業務を遂行します。Creativity:知恵と創造力を発揮し、顧客とともに、もしくは自ら、新たな価値を創造します。Diversity:個性、人格、ならびに各国、各地域の文化、慣習を尊重します。Learning:進取の気性で、新たな経験、技能、知識を獲得します。Team:自社グループ内はもとより、顧客や協業先とのチームプレイを通じて、成果を実現し ます。 上記の経営方針に基づき、当社グループは、5つの強み(プロジェクトマネジメント力・技術力・アライアンス構築力・総合エンジニアリング力・グローバル対応力)を発揮し、「EPC強靭化」戦略と「新技術・事業開拓」戦略を軸として、多様化、個別化する顧客の課題に対し、最適なソリューションを提供しています。 (2) 経営環境当連結会計年度における世界経済全体としては、引き締めによる需要抑制的な金融環境を背景として、緩やかな減速傾向が継続しました。物価上昇は一巡したものの各国・地域で高金利政策が維持されたことにより需要が抑制され、それに伴う貿易の低迷が、輸出依存度の高い国を中心とする各国の経済活動を抑制しました。今後、利上げの累積効果、中国の不動産問題、地政学リスクの高まり等の不確実性を伴いつつも、来年以降にかけて巡航速度の成長軌道へと回帰するものと見込まれます。地域別に見ると米国経済は、今後は利上げ効果が顕在化し、成長減速が見込まれるものの、底堅い雇用・所得環境に支えられ景気の大幅な悪化は回避すると見込まれます。 欧州経済は、実質賃金の増加により消費は持ち直すものの、金融引き締めの影響が経済活動を抑制することが見込まれます。中国経済は、従来の不動産投資の低迷に加え、賃金上昇による製造業の競争力低下と雇用吸収力の低下に起因する需要不足、過剰設備および欧米向け輸出の伸び悩み等による下押し圧力がかかることが見込まれます。一方、日本経済は、高めの賃金上昇、物価上昇の鈍化、経済対策などが個人消費を押し上げ、設備投資の拡大傾向も継続するなど、内需主導で底堅い成長軌道に復することが見込まれますが、一方で人手不足が深刻化しており、如何に労働力を確保するかが課題となりつつあります。 このような経済状況を受け、当社グループの事業環境としては、①カーボンニュートラル事業については、全世界的に、脱炭素化や経済安全保障上のレジリエンス強化の観点から、政府支援で民間投資を後押しする動きが強まっております。燃料アンモニアに関しては、アンモニア製造およびアンモニア分解による水素製造の複数のFS(事業化調査)/Pre-FEED(概念設計)が進捗しており、2024年度には複数案件のFEED(基本設計)実施が予定されております。SAF(持続可能な航空燃料)に関しては、世界的な市場規模の拡大を見据えた日揮株式会社との国内アライアンスにおける早期実績作りに向け注力しています。CO2資源化に関しては、燃料としてのメタノールの需要増加が今後期待され、国内市場においては、国内元売り会社が海外で合成燃料を製造し、輸入する動きが継続すると見込まれます。地熱に関しては、PT Geo Dipa Energi、PT Medco Power Indonesiaと各々インドネシアにおける地熱の包括利用に関する覚書を締結し、社会実装に向け注力します。②既存事業については、海外では、各種の設備投資計画が再開に向け動き始めております。肥料案件は人口増加と世界的な食糧安全保障問題の高まりに伴う堅調な需要増が見込まれ、石油化学案件については、中国で大規模なコンプレックスが相次いで稼働開始し石油化学製品の需給が緩和した一方、世界のエチレン・ポリマー市場は今後も安定した成長が見込まれており、特に中東やインドにおいて引き続き設備投資が見込まれます。インフラ市場においては、中南米でFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)が引き続き計画され、アジアでは再生可能エネルギーやバイオマス、廃棄物等の発電事業分野等で設備投資が見込まれます。一方、国内では、高機能化学品の需要の回復が見込まれます。 (3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題当社グループは、2021年度から、更なる企業価値の向上を目指し、ポストコロナとカーボンニュートラルへの移行を見据えた中期経営計画を推進しています。この中期経営計画では、「EPC強靭化」戦略と「新技術・事業開拓」戦略の2つの戦略を軸に取り組んでいる諸施策の結果を収益化し、KGI(Key Goal Indicator)の達成を目指すとともに、2026年度以降の次期中期経営計画へと繋がる強固な基盤を築いてまいります。 ① 中期経営計画を振り返って「新技術・事業開拓」戦略においては、昨年度に引き続き燃料アンモニアやSAFなどでの案件形成に向けた取り組みを積極的に推進し、FS、FEED、更にはEPC(設計・調達・工事)フェーズへの展開に向けた取り組みを進めています。一例としては、日本水素エネルギー株式会社が取り組む液化水素サプライチェーンに関するFEEDを効率的に進めるために締結した、川崎重工業株式会社、日揮グローバル株式会社、千代田化工建設株式会社との4社JV協定書の締結が挙げられます。また、地熱発電設備については、インドネシアPT Geo Dipa Energiと地熱の包括利用に係る共同研究に関する覚書を締結し、地熱クローズドループ技術や地熱発電からのグリーン水素製造なども行うカーボンニュートラルパークの可能性を検討しています。地熱エネルギーの活用については、他にもPT Medco Power Indonesiaとの地熱エネルギー利用最適化における全体開発計画に関する覚書も締結しております。こうした様々な切り口からカーボンニュートラル社会の実現に向けて貢献してまいります。また、従来からの事業の軸であるハイドロカーボン領域の当連結会計年度の主な受注では、タイにおけるアセチレンブラック製造設備の詳細設計・調達業務案件や、三井海洋開発株式会社(MODEC)との合弁会社であるOFS(Offshore Frontier Solutions Pte. Ltd.)を通じてガイアナ共和国向けFPSO、および、ブラジル向けFPSOの2件のEPCI(設計・調達・工事・据付)案件などがありました。「EPC強靭化」戦略のもと、こうした大型プロジェクトに対しても効率的に対応する体制を敷いて着実に推進してまいります。当社グループは、自社の強みであるプロジェクトマネジメント力・技術力を更に磨き、他企業とも連携しながら、社会課題に応える価値の提供を目指します。 ② 今後の中期経営計画に関する重点課題当社は過年度の工事損失により、過去6期にわたり無配が続いておりましたが、当期の期末配当をもって復配することといたしました。財務基盤を着実に強化し、安定的に配当を継続できる体制とするため、以下の取り組み等を通じて、事業ポートフォリオの拡充と、その成果を支える人財力の向上を図ってまいります。 (事業ポートフォリオ拡充の礎としての技術力向上と連携)「新技術・事業開拓」戦略においては、新たな可能性を拓くため、様々な挑戦が必要です。そのため、当社の技術力はもちろんのこと、それぞれのテーマにおける社外との連携も重要と考えております。当社は、より広く設備が充実した環境で技術開発を加速させるために、本年3月に技術研究所を千葉市の千葉土気緑の森工業団地に移転・拡張しております。社外との連携事例としては、燃料としての用途で注目されているアンモニア関連で以下の開発テーマが挙げられます。国立大学法人東京工業大学(東工大)の原亨和教授らが開発した鉄-ヒドリド触媒を、燃料用アンモニア製造システムに適用することを目指し、実証に向けた触媒商業化の開発に共同で取り組む覚書を、東工大、Ammon Fields株式会社、株式会社エフ・シー・シーと締結しております。このほか、KBR(KELLOGG BROWN & ROOT LLC)と、KBRが保有するHydrogen from Ammonia CrackingTechnology(アンモニア分解技術からの水素製造)の商業化推進に関する覚書をEPCパートナーとして初めて締結しております。当社自身の技術力の向上、そして社外との協業を通じて、社会への新たな価値提供、その結果としての当社の事業ポートフォリオの拡充を目指し、取り組みを進めてまいります。 (価値創出の源泉である人財力の向上)当社は、本社を現在の千葉県習志野市から千葉市幕張新都心、幕張テクニカルセンターに移転することを決定いたしました。新オフィスでの業務開始は2025年1月を予定しております。更に、千葉ロッテマリーンズが掲げる地域提携の強化についてのVision(地域コミュニティと共に成長し、地域経済にも貢献する)に共感し、今回の移転を機に千葉ロッテマリーンズとのオフィシャルスポンサー契約を締結しております。「多彩な人がいきいきと働く」環境の整備・向上を重要経営課題の1つとして取り組み続けている当社にとって、オフィス移転や地域との結びつきの強化は、従業員の個性を生かしながら多様性を認め合い、働くモチベーションを更に向上させていくものと考えています。 (4) 2025年3月期連結業績予想 (単位:百万円) 連結受注高250,000完成工事高270,000営業利益5,000経常利益7,500親会社株主に帰属する当期純利益6,000 受注高については、「(2)経営環境」および「(3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題」に記載した全般的状況を踏まえて算出しました。 [本業績見通しにおける想定為替レート]1米ドル=150円
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 (1) 経営の基本方針当社グループは、変化する事業環境の中で、世界に点在する当社グループ企業の全従業員が、共通する使命感、価値観のもとでグループとしての一体感を高めていくことを目的に、Mission、Vision、Values、いわゆるMVVを制定しております。 ◆グループ・ミッション(使命):“Engineering for Sustainable Growth of the Global Community”世界水準のエンジニアリングの提供によって、多様な顧客各社の課題を総合的に解決し、顧客ニーズの充足を実現するとともに、エネルギー・素材等の供給と環境保全を調和させ、持続性のある地球社会の実現に貢献します。 ◆グループ・ビジョン(目指す企業像):“Global Leading Engineering Partner”世界第一級のエンジニアリング企業グループとして、顧客の立場に立脚し共に課題を解決することによって、品質、HSE(健康・安全・環境)、納期、価格等を含む総合的な価値を提供し、顧客にとって最も信頼できる継続的なパートナーとなります。 ◆グループ・バリュー(価値観・行動基準):“Integrity, Creativity, Diversity, Learning, Team”東洋エンジニアリンググループで働く一人ひとりの役職員は、これらの価値観を共有して行動します。Integrity:誠意と責任を持って業務を遂行します。Creativity:知恵と創造力を発揮し、顧客とともに、もしくは自ら、新たな価値を創造します。Diversity:個性、人格、ならびに各国、各地域の文化、慣習を尊重します。Learning:進取の気性で、新たな経験、技能、知識を獲得します。Team:自社グループ内はもとより、顧客や協業先とのチームプレイを通じて、成果を実現し ます。 上記の経営方針に基づき、当社グループは、5つの強み(プロジェクトマネジメント力・技術力・アライアンス構築力・総合エンジニアリング力・グローバル対応力)を発揮し、「EPC強靭化」戦略と「新技術・事業開拓」戦略を軸として、多様化、個別化する顧客の課題に対し、最適なソリューションを提供しています。 (2) 経営環境当連結会計年度における世界経済全体としては、引き締めによる需要抑制的な金融環境を背景として、緩やかな減速傾向が継続しました。物価上昇は一巡したものの各国・地域で高金利政策が維持されたことにより需要が抑制され、それに伴う貿易の低迷が、輸出依存度の高い国を中心とする各国の経済活動を抑制しました。今後、利上げの累積効果、中国の不動産問題、地政学リスクの高まり等の不確実性を伴いつつも、来年以降にかけて巡航速度の成長軌道へと回帰するものと見込まれます。地域別に見ると米国経済は、今後は利上げ効果が顕在化し、成長減速が見込まれるものの、底堅い雇用・所得環境に支えられ景気の大幅な悪化は回避すると見込まれます。 欧州経済は、実質賃金の増加により消費は持ち直すものの、金融引き締めの影響が経済活動を抑制することが見込まれます。中国経済は、従来の不動産投資の低迷に加え、賃金上昇による製造業の競争力低下と雇用吸収力の低下に起因する需要不足、過剰設備および欧米向け輸出の伸び悩み等による下押し圧力がかかることが見込まれます。一方、日本経済は、高めの賃金上昇、物価上昇の鈍化、経済対策などが個人消費を押し上げ、設備投資の拡大傾向も継続するなど、内需主導で底堅い成長軌道に復することが見込まれますが、一方で人手不足が深刻化しており、如何に労働力を確保するかが課題となりつつあります。 このような経済状況を受け、当社グループの事業環境としては、①カーボンニュートラル事業については、全世界的に、脱炭素化や経済安全保障上のレジリエンス強化の観点から、政府支援で民間投資を後押しする動きが強まっております。燃料アンモニアに関しては、アンモニア製造およびアンモニア分解による水素製造の複数のFS(事業化調査)/Pre-FEED(概念設計)が進捗しており、2024年度には複数案件のFEED(基本設計)実施が予定されております。SAF(持続可能な航空燃料)に関しては、世界的な市場規模の拡大を見据えた日揮株式会社との国内アライアンスにおける早期実績作りに向け注力しています。CO2資源化に関しては、燃料としてのメタノールの需要増加が今後期待され、国内市場においては、国内元売り会社が海外で合成燃料を製造し、輸入する動きが継続すると見込まれます。地熱に関しては、PT Geo Dipa Energi、PT Medco Power Indonesiaと各々インドネシアにおける地熱の包括利用に関する覚書を締結し、社会実装に向け注力します。②既存事業については、海外では、各種の設備投資計画が再開に向け動き始めております。肥料案件は人口増加と世界的な食糧安全保障問題の高まりに伴う堅調な需要増が見込まれ、石油化学案件については、中国で大規模なコンプレックスが相次いで稼働開始し石油化学製品の需給が緩和した一方、世界のエチレン・ポリマー市場は今後も安定した成長が見込まれており、特に中東やインドにおいて引き続き設備投資が見込まれます。インフラ市場においては、中南米でFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)が引き続き計画され、アジアでは再生可能エネルギーやバイオマス、廃棄物等の発電事業分野等で設備投資が見込まれます。一方、国内では、高機能化学品の需要の回復が見込まれます。 (3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題当社グループは、2021年度から、更なる企業価値の向上を目指し、ポストコロナとカーボンニュートラルへの移行を見据えた中期経営計画を推進しています。この中期経営計画では、「EPC強靭化」戦略と「新技術・事業開拓」戦略の2つの戦略を軸に取り組んでいる諸施策の結果を収益化し、KGI(Key Goal Indicator)の達成を目指すとともに、2026年度以降の次期中期経営計画へと繋がる強固な基盤を築いてまいります。 ① 中期経営計画を振り返って「新技術・事業開拓」戦略においては、昨年度に引き続き燃料アンモニアやSAFなどでの案件形成に向けた取り組みを積極的に推進し、FS、FEED、更にはEPC(設計・調達・工事)フェーズへの展開に向けた取り組みを進めています。一例としては、日本水素エネルギー株式会社が取り組む液化水素サプライチェーンに関するFEEDを効率的に進めるために締結した、川崎重工業株式会社、日揮グローバル株式会社、千代田化工建設株式会社との4社JV協定書の締結が挙げられます。また、地熱発電設備については、インドネシアPT Geo Dipa Energiと地熱の包括利用に係る共同研究に関する覚書を締結し、地熱クローズドループ技術や地熱発電からのグリーン水素製造なども行うカーボンニュートラルパークの可能性を検討しています。地熱エネルギーの活用については、他にもPT Medco Power Indonesiaとの地熱エネルギー利用最適化における全体開発計画に関する覚書も締結しております。こうした様々な切り口からカーボンニュートラル社会の実現に向けて貢献してまいります。また、従来からの事業の軸であるハイドロカーボン領域の当連結会計年度の主な受注では、タイにおけるアセチレンブラック製造設備の詳細設計・調達業務案件や、三井海洋開発株式会社(MODEC)との合弁会社であるOFS(Offshore Frontier Solutions Pte. Ltd.)を通じてガイアナ共和国向けFPSO、および、ブラジル向けFPSOの2件のEPCI(設計・調達・工事・据付)案件などがありました。「EPC強靭化」戦略のもと、こうした大型プロジェクトに対しても効率的に対応する体制を敷いて着実に推進してまいります。当社グループは、自社の強みであるプロジェクトマネジメント力・技術力を更に磨き、他企業とも連携しながら、社会課題に応える価値の提供を目指します。 ② 今後の中期経営計画に関する重点課題当社は過年度の工事損失により、過去6期にわたり無配が続いておりましたが、当期の期末配当をもって復配することといたしました。財務基盤を着実に強化し、安定的に配当を継続できる体制とするため、以下の取り組み等を通じて、事業ポートフォリオの拡充と、その成果を支える人財力の向上を図ってまいります。 (事業ポートフォリオ拡充の礎としての技術力向上と連携)「新技術・事業開拓」戦略においては、新たな可能性を拓くため、様々な挑戦が必要です。そのため、当社の技術力はもちろんのこと、それぞれのテーマにおける社外との連携も重要と考えております。当社は、より広く設備が充実した環境で技術開発を加速させるために、本年3月に技術研究所を千葉市の千葉土気緑の森工業団地に移転・拡張しております。社外との連携事例としては、燃料としての用途で注目されているアンモニア関連で以下の開発テーマが挙げられます。国立大学法人東京工業大学(東工大)の原亨和教授らが開発した鉄-ヒドリド触媒を、燃料用アンモニア製造システムに適用することを目指し、実証に向けた触媒商業化の開発に共同で取り組む覚書を、東工大、Ammon Fields株式会社、株式会社エフ・シー・シーと締結しております。このほか、KBR(KELLOGG BROWN & ROOT LLC)と、KBRが保有するHydrogen from Ammonia CrackingTechnology(アンモニア分解技術からの水素製造)の商業化推進に関する覚書をEPCパートナーとして初めて締結しております。当社自身の技術力の向上、そして社外との協業を通じて、社会への新たな価値提供、その結果としての当社の事業ポートフォリオの拡充を目指し、取り組みを進めてまいります。 (価値創出の源泉である人財力の向上)当社は、本社を現在の千葉県習志野市から千葉市幕張新都心、幕張テクニカルセンターに移転することを決定いたしました。新オフィスでの業務開始は2025年1月を予定しております。更に、千葉ロッテマリーンズが掲げる地域提携の強化についてのVision(地域コミュニティと共に成長し、地域経済にも貢献する)に共感し、今回の移転を機に千葉ロッテマリーンズとのオフィシャルスポンサー契約を締結しております。「多彩な人がいきいきと働く」環境の整備・向上を重要経営課題の1つとして取り組み続けている当社にとって、オフィス移転や地域との結びつきの強化は、従業員の個性を生かしながら多様性を認め合い、働くモチベーションを更に向上させていくものと考えています。 (4) 2025年3月期連結業績予想 (単位:百万円) 連結受注高250,000完成工事高270,000営業利益5,000経常利益7,500親会社株主に帰属する当期純利益6,000 受注高については、「(2)経営環境」および「(3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題」に記載した全般的状況を踏まえて算出しました。 [本業績見通しにおける想定為替レート]1米ドル=150円
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」と記載します。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態および経営成績の状況a. 財政状態(流動資産)当連結会計年度末における流動資産の残高は2,503億円で、前連結会計年度末から275億円増加しております。受取手形・完成工事未収入金等が165億円、現金預金が113億円それぞれ増加したことなどが主な原因であります。 (固定資産)当連結会計年度末における固定資産の残高は356億円で、前連結会計年度末から21億円増加しております。土地が43億円減少した一方で、投資その他の資産が71億円増加したことなどが主な原因であります。 (流動負債)当連結会計年度末における流動負債の残高は1,935億円で、前連結会計年度末から187億円増加しております。未成工事受入金が151億円減少した一方、支払手形・工事未払金等が264億円増加したことなどが主な原因であります。 (固定負債)当連結会計年度末における固定負債の残高は282億円で、前連結会計年度末から41億円減少しております。長期借入金が48億円減少したことが主な原因であります。 (純資産)当連結会計年度末における純資産の残高は641億円で、前連結会計年度末から150億円増加しております。親会社株主に帰属する当期純利益を98億円計上したほか、為替換算調整勘定が32億円、退職給付に係る調整累計額が23億円それぞれ増加したことなどが主な原因であります。 b. 経営成績(完成工事高)当連結会計年度における完成工事高は、主に複数の国内向けバイオマス発電所と石油化学プラント、中国向け化学プラント、インド向け石油精製プラント等の複数のプロジェクトの進捗により、前連結会計年度比679億円(35.2%)増の2,608億円となりました。 (完成工事総利益)当連結会計年度における完成工事総利益は、完成工事高が増加した結果、前連結会計年度比41億円(17.0%)増の283億円となりました。 (営業利益)当連結会計年度における営業利益は、販売費及び一般管理費は増加した一方、完成工事総利益が増加した結果、前連結会計年度比19億円(40.9%)増の67億円となりました。 (経常利益)当連結会計年度における経常利益は、営業利益が増加したほか、為替換算調整勘定取崩益の計上および為替差損の改善により、前連結会計年度比31億円(79.9%)増の69億円となりました。 (特別損益および税金等調整前当期純利益)当連結会計年度において、固定資産売却による特別利益66億円および、減損損失による特別損失18億円を計上した結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比78億円(203.0%)増の117億円となりました。 (親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、子会社等の税金費用を19億円計上した結果、前連結会計年度比81億円(496.3%)増の98億円となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」と記載します。)は、前連結会計年度末と比較し132億円増加し、1,090億円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益117億円の計上、仕入債務の増加、未成工事受入金の減少、売上債権の増加などにより、結果として60億円の資金増加(前連結会計年度は155億円の資金増加)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入などにより、73億円の資金増加(前連結会計年度は94億円の資金減少)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、ファイナンス・リース債務の返済による支出、借入金の収支などにより、10億円の資金減少(前連結会計年度は15億円の資金減少)となりました。 ③ 生産、受注および販売の実績a. 受注実績当連結会計年度における当社および当社の連結子会社の受注実績は次のとおりであります。 期別工事別期首繰越工事高(百万円)期中受注工事高(百万円)計(百万円)期中完成工事高(百万円)次期繰越工事高(百万円)前連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)海外 石油化学49,60022,88572,48526,82744,416石油・ガス32,48356,48588,96824,19067,838発電・交通システム等20,7913,79024,58210,61314,873化学・肥料61,78278,707140,49035,028106,333医薬・環境・産業施設2,6193,1135,7335,486434その他1,2525,6306,8822,5384,327小計168,529170,612339,141104,686238,224国内 石油化学40,0383,51443,55311,90631,646石油・ガス3,2004,6407,8415,4421,953発電・交通システム等161,4611,583163,04458,652100,627化学・肥料―1,7841,7841961,588医薬・環境・産業施設8,52224,36232,8857,48524,949その他2014,5414,7424,539201小計213,42440,426253,85088,222160,968合計※4,478381,954211,038592,992192,908※4,276399,192当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)海外 石油化学44,41662,961107,37735,18271,835石油・ガス67,83840,465108,30446,46966,596発電・交通システム等14,8739,70224,5766,97216,896化学・肥料106,33323,176129,51047,54784,936医薬・環境・産業施設4342,9653,4001,0522,340その他4,3272,1606,4872,8453,670小計238,224141,432379,656140,069246,277国内 石油化学31,6466,02837,67526,20311,471石油・ガス1,9532,4844,4384,123315発電・交通システム等100,6271,016101,64464,32332,130化学・肥料1,5885962,1851,797387医薬・環境・産業施設24,9492,41927,36918,2829,022その他2015,8926,0946,02370小計160,96818,438179,406120,75553,397合計※4,276399,192159,870559,063260,825※10,705299,675 (注) 1 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前連結会計年度6,486百万円、当連結会計年度10,751百万円)を含んでおります。2 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前連結会計年度△7,378百万円、当連結会計年度△9,314百万円)を含んでおります。3 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。 (参考情報) 当連結会計年度における持分法適用関連会社の当社持分相当の期中受注工事高は302,465百万円、次期繰越工事高は250,732百万円であります。 当連結会計年度の受注実績は、タイ向け石油化学プラント、インドネシア向け排ガス利用の火力発電所等を受注し、1,598億円(前連結会計年度比24.2%減)となりました。なお、持分法適用関連会社の2件のFPSOの当社持分相当の受注高3,024億円を含めた総受注高は4,623億円、総受注残高5,504億円となりました。 なお、提出会社における受注実績は次のとおりであります。 期別工事別期首繰越工事高(百万円)期中受注工事高(百万円)計(百万円)期中完成工事高(百万円)次期繰越工事高(百万円)前事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)海外 石油化学32,3614,46436,82611,32423,468石油・ガス3,65411,07414,7287,2299,360発電・交通システム等8,999179,0174,5304,742化学・肥料4,84361,81166,6544,90661,727医薬・環境・産業施設―――――その他3602,9953,3561,0562,285小計50,22080,362130,58229,047101,583国内 石油化学32,1572,39134,5486,05228,496石油・ガス4677781,2461,088158発電・交通システム等161,4611,583163,04458,651100,627化学・肥料―1,7841,7841961,588医薬・環境・産業施設5,3781055,4832,2873,160その他162254417257159小計199,6276,897206,52568,532134,191合計※1,059249,847 87,260 337,107 97,580※777235,774当事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)海外 石油化学23,46844,01767,48514,81851,525石油・ガス9,3605,81715,1777,2338,403発電・交通システム等4,742―4,7427122,473化学・肥料61,72710,42372,15012,61059,824医薬・環境・産業施設―232323―その他2,285592,3451,0101,292小計101,58360,340161,92336,409123,519国内 石油化学28,4964,19832,69521,99510,700石油・ガス158435594289304発電・交通システム等100,6271,016101,64464,32332,130化学・肥料1,5885962,1851,797387医薬・環境・産業施設3,1608944,0554,0008その他1591362962896小計134,1917,279141,47092,69743,536合計※777235,77467,619303,394129,107※4,021167,056 (注) 1 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前事業年度2,742百万円、当事業年度1,556百万円)を含んでおります。2 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前事業年度△6,495百万円、当事業年度△8,787百万円)を含んでおります。3 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。 b. 売上実績当社グループはEPC事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。主な相手先別の売上実績および総売上実績に対する割合は、前連結会計年度、当連結会計年度ともに当該割合が100分の10以上を占める相手先が存在しないため、記載を省略しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a. 財政状況概要は「(1)経営成績等の概要 ①財政状態および経営成績の状況 a.財政状態」に記載したとおりです。現金預金や受取手形・完成工事未収入金等の増加の影響等により、総資産の残高は2,859億円となり、前連結会計年度末から296億円増加しました。総負債につきましては、支払手形・工事未払金等の増加に伴い、残高は前連結会計年度末から146億円増加の2,218億円となりました。純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益98億円の計上による株主資本の積み上げ、その他の包括利益累計額において為替換算調整勘定等の増加に伴い、残高は前連結会計年度末から150億円増加の641億円となりました。この結果、自己資本比率は22.4%となり、前連結会計年度の19.1%から改善しました。 b. 経営成績概要は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」および「(1)経営成績等の概要 ①財政状態および経営成績の状況 b.経営成績」に記載したとおりです。 当期の期初に公表した業績見込みとの比較は以下のとおりです。 (単位:億円) 2023年5月12日公表業績見込み2024年3月期実績受注高1,2001,598完成工事高2,4002,608営業利益 30 67経常利益 45 69親会社株主に帰属する当期純利益 30 98 持分法適用関連会社の当社持分相当の2024年3月期受注実績は3,024億円となりました。 完成工事高につきましては、期初業績予想値2,400億円に対し、208億円増収の2,608億円となりました。主にインド、中国で進行中の一部のプロジェクトの進捗が想定を上回り、増収となったことによるものです。営業利益につきましては、完成工事高の増収効果に加えて、粗利率が相対的に高い非EPC案件が堅調に推移していること、一部の海外プロジェクトでの追加収入の獲得等により、期初業績予想値30億円に対し、37億円増益の67億円となりました。経常利益につきましては、営業利益の増益効果、一部海外子会社の清算に伴う為替換算調整勘定取崩益の計上、持分法による投資損失の計上等により、期初業績予想値45億円に対し、24億円増益の69億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、当社固定資産の譲渡による特別損益の計上、繰延税金資産の計上による税金費用の減少等により、期初業績予想値30億円に対し、68億円増益の98億円となりました。 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載したとおりです。当社グループは、2021~2025年度の5年間にわたる中期経営計画を推進しており、「EPC強靭化」と「新技術・事業開拓」の2つの戦略を軸に、段階的な取り組みを進めております。また、当社グループの経営成績における先行指標となります受注実績の概要につきましては、「(1)経営成績等の概要 ③生産、受注および販売の実績」に記載のとおりです。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」に記載した状況を受けて、当連結会計年度の受注実績は1,598億円となりました。持分法適用関連会社の2件のFPSOの当社持分相当の受注高3,024億円を含めた総受注高は4,623億円となりました。分野別では、「石油化学」分野の受注実績が688億円(受注実績合計に対して43.2%)と最も大きく、以下、「石油・ガス」分野の受注実績が430億円、「化学・肥料」分野の受注実績が238億円となりました。なお、当社グループはEPC事業のみの単一セグメントであり、セグメント別の記載を省略しております。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関わる情報a. キャッシュ・フローの分析当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」と記載します。)は、主に営業活動による資金の増加60億円、投資活動による資金の増加73億円等の影響により、前連結会計年度末から132億円増加し、1,090億円となりました。概要は「(1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりです。当連結会計年度における資金の増加の主な要因は、当社固定資産の譲渡に伴う資金流入などによるものです。 b. キャッシュ・フロー指標のトレンド経営成績 2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期キャッシュ・フロー対有利子負債比率1.6△5.42.36.0インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)49.8△15.818.08.3 (注) キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い * 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。 * キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。 * 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象と しております。 c. 資本の財源および資金の流動性に関わる情報(資金需要) 当社グループは、現金及び現金同等物ならびに営業活動によるキャッシュ・フローを資金の源泉としております。資金需要の主なものは、進行中プロジェクトの遂行に関わる機器資材の購入や外注費等の費用、従業員給料手当等の人件費、営業費用・DX・研究開発に係る活動費といった販売費及び一般管理費、IT基盤の充実に関わる設備投資等となります。将来の成長のため、財務規律の徹底を図りつつ、DX・研究開発に係る活動費および投資支出の拡大を計画しております。 (資金調達)当社グループは、円滑な事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持および健全な財務状態の維持を財務方針としており、資金需要に対して必要充分な水準の手元流動性として月商の2.5ヶ月分程度の資金残高を確保すべく、自己資金のほか、銀行からの借入による資金調達を行っております。当連結会計年度末の資金残高は1,090億円となり、工事関係収支の入金超過相当を除いてもやや高水準の残高となっております。銀行からの借入水準については、今後の資金残高の推移や金利動向、更に在外拠点における独自与信確保の必要性も踏まえて決定します。なお、安定的な経常運転資金枠の確保、マーケット環境の一時的な変化等の不測の事態への対応手段確保の観点から、取引銀行10行と総額90億円の貸出コミットメント契約を締結しております。なお、これら契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高はありません。 (財務上の課題)当社グループの財務上の課題は、復配を実現させながら、自己資本の蓄積を図り、企業価値向上への安定成長軌道に乗せることです。当社は過年度の工事損失により、過去6期にわたり無配が続いておりましたが、当期の期末配当をもって復配することといたしました。総合エンジニアリング会社として、EPC事業を円滑に遂行するための財務基盤を強化し、安定的に配当を継続できる体制とするため、引き続き中期経営計画の柱である「EPC強靭化」「新技術・事業開拓」戦略の遂行に注力し、収益力を一層高めて、自己資本比率は25%超、自己資本は750億円前後まで積み上げることが当面の目標です。また、ROEについては資本コスト水準を勘案して2025年度以降、安定的に10%超とすることを目標とし、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。 (株主還元)当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題として位置づけております。当面は、配当性向を25%とすることを基本的な方針といたします。具体的な株主還元方針の内容については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。 ③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、経営者による会計方針の選択や適用、また、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を与える見積りおよび仮定を用いております。経営者は、これらの見積りおよび仮定に基づく数値について過去の実績や状況に応じ合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性が存在する為、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。なお、なかでも特に重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (a)完成工事高および完成工事原価「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り) 1 一定の期間にわたり履行義務を充足し認識する収益」に記載しております。 (b)工事損失引当金当連結会計年度末において損失の発生が見込まれる未引渡工事に係る将来の損失に備えるため、その損失見込額を計上しています。工事施工の途中において見積りを超える原価が発生した場合、引当金の追加計上、追加損失の計上が必要となる可能性があります。 (c)貸倒引当金営業債権、貸付金等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率に基づき、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に債権の回収可能性を検討し、回収不能見込額を引当金として計上しています。顧客の財政状況が悪化し、その支払い見通しが変動した場合、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。 (d)退職給付に係る資産または負債退職給付債務および退職給付費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算定しており、これらの前提条件には、割引率、予定昇給率、退職率、死亡率および年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。前提条件の変動により、将来の退職給付に係る資産または負債、および退職給付費用の金額に影響を与える可能性があります。 (e)繰延税金資産「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り) 2 繰延税金資産の評価」に記載しております。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営の基本方針当社グループは、変化する事業環境の中で、世界に点在する当社グループ企業の全従業員が、共通する使命感、価値観のもとでグループとしての一体感を高めていくことを目的に、Mission、Vision、Values、いわゆるMVVを制定しております。 ◆グループ・ミッション(使命):“Engineering for Sustainable Growth of the Global Community”世界水準のエンジニアリングの提供によって、多様な顧客各社の課題を総合的に解決し、顧客ニーズの充足を実現するとともに、エネルギー・素材等の供給と環境保全を調和させ、持続性のある地球社会の実現に貢献します。 ◆グループ・ビジョン(目指す企業像):“Global Leading Engineering Partner”世界第一級のエンジニアリング企業グループとして、顧客の立場に立脚し共に課題を解決することによって、品質、HSSE(健康・安全・セキュリティ・環境)、納期、価格等を含む総合的な価値を提供し、顧客にとって最も信頼できる継続的なパートナーとなります。 ◆グループ・バリュー(価値観・行動基準):“Integrity, Creativity, Diversity, Learning, Team”東洋エンジニアリンググループで働く一人ひとりの役職員は、これらの価値観を共有して行動します。Integrity:誠意と責任を持って業務を遂行します。Creativity:知恵と創造力を発揮し、顧客とともに、もしくは自ら、新たな価値を創造します。Diversity:個性、人格、ならびに各国、各地域の文化、慣習を尊重します。Learning:進取の気性で、新たな経験、技能、知識を獲得します。Team:自社グループ内はもとより、顧客や協業先とのチームプレイを通じて、成果を実現しま す。 (2) 対処すべき課題当連結会計年度は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容」に記載のとおり、米国向けエチレン製造設備プロジェクトの更なる収支悪化により、親会社株主に帰属する当期純損失268億円という結果となりました。対処すべき課題として、当社グループは、何よりもまず米国向けエチレン製造設備プロジェクトを現行計画どおり完工し、EPC事業を黒字化することが最重要であると認識しております。また、今回の大幅な収支悪化により自己資本を毀損していることから、この回復が急務であると認識しております。このような状況認識の下、当社グループは、信頼回復に向け「再生計画」を定め、その取り組みを強化してまいります。今後の基本方針として、短期的には、事業構造を変革し、かつ管理・仕組み面を強化することでリスクを抑制・分散し、黒字化を必達するとともに、中長期的には、人材(リソース)の強化による事業遂行能力の向上・収益力の改善を進め、主要事業における収益の最大化を図ってまいります。また、これら基本方針と並行して、財務基盤の強化を図ってまいります。具体的には以下のとおりです。●米国向けエチレン製造設備プロジェクト対応当社および工事業者3社との新たな体制を軌道に乗せ工事管理の強化と生産性向上を徹底させることにより、安全および品質の確保を図りつつ、工期遅延・コスト増を防止し完工に向け鋭意取り組んでまいります。また、今般の費用負担等につき、工事会社等との協議の早期決着を図ってまいります。●事業構造の変革プラント事業中心の事業ポートフォリオから、プラント事業とインフラ事業の2本柱へと変革を推し進めます。受注規模については現状の3,000億円規模を継続しつつ、プラント事業では商品群、地域の選択と集中を進め、インフラ事業では当社の強みを活かし事業の拡大を図ってまいります。また、新規事業としてDigital Fertilizer、SUPERHIDICの受注活動を推し進めるとともに、DXoT (Digital Transformation of TOYO)による業務効率化・コスト削減を図るなど、イノベーションを推進してまいります。●組織力の強化再建計画(平成28年3月期策定)における品質関連損失コスト削減タスクで得た成果を徹底し、またコア技術やノウハウを継続的に強化し、品質改善に取り組んでまいります。再建計画(平成28年3月期策定)による受注管理強化施策およびプロジェクト実行管理施策はその効果が出てきていることから、これらを一層強化する形で継続してまいります。国内リソースにおいては、上記事業ポートフォリオ変革に合わせプラント事業からインフラ事業への人員シフトを推し進めます。また、各海外EPC拠点の役割の再検証および利益水準をはじめとした評価基準の明確化ならびにこれらを踏まえたグループ全体としての業務平準化により、海外EPC拠点の最適化を図ります。 ●財務基盤の強化財務基盤の強化に向け、事業の黒字化による利益の積み上げにより自己資本の回復を目指すことはもちろんのこと、固定費の圧縮を含め、様々な方策を検討・実施してまいります。 平成28年3月期に再建計画を策定以来、取り組んでまいりました受注管理強化策およびプロジェクトにおけるグローバル業務連携・管理強化策は浸透しつつあります。当連結会計年度の受注高は3,093億円と売上総利益を確保しつつ目標(2,500億円)を達成し、また、米国向けエチレン製造設備プロジェクト以外ではプロジェクトの収支は順調に推移しております。当社グループは、上記「再生計画」に全力で取り組み、一日も早くステークホルダーの皆様の信頼を回復できるよう一丸となって邁進してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営の基本方針当社グループは、変化する事業環境の中で、世界に点在する当社グループ企業の全従業員が、共通する使命感、価値観のもとでグループとしての一体感を高めていくことを目的に、Mission、Vision、Values、いわゆるMVVを制定しております。 ◆グループ・ミッション(使命):“Engineering for Sustainable Growth of the Global Community”世界水準のエンジニアリングの提供によって、多様な顧客各社の課題を総合的に解決し、顧客ニーズの充足を実現するとともに、エネルギー・素材等の供給と環境保全を調和させ、持続性のある地球社会の実現に貢献します。 ◆グループ・ビジョン(目指す企業像):“Global Leading Engineering Partner”世界第一級のエンジニアリング企業グループとして、顧客の立場に立脚し共に課題を解決することによって、品質、HSSE(健康・安全・セキュリティ・環境)、納期、価格等を含む総合的な価値を提供し、顧客にとって最も信頼できる継続的なパートナーとなります。 ◆グループ・バリュー(価値観・行動基準):“Integrity, Creativity, Diversity, Learning, Team”東洋エンジニアリンググループで働く一人ひとりの役職員は、これらの価値観を共有して行動します。Integrity:誠意と責任を持って業務を遂行します。Creativity:知恵と創造力を発揮し、顧客とともに、もしくは自ら、新たな価値を創造します。Diversity:個性、人格、ならびに各国、各地域の文化、慣習を尊重します。Learning:進取の気性で、新たな経験、技能、知識を獲得します。Team:自社グループ内はもとより、顧客や協業先とのチームプレイを通じて、成果を実現しま す。 (2) 対処すべき課題当連結会計年度は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容」に記載のとおり、米国向けエチレン製造設備プロジェクトの更なる収支悪化により、親会社株主に帰属する当期純損失268億円という結果となりました。対処すべき課題として、当社グループは、何よりもまず米国向けエチレン製造設備プロジェクトを現行計画どおり完工し、EPC事業を黒字化することが最重要であると認識しております。また、今回の大幅な収支悪化により自己資本を毀損していることから、この回復が急務であると認識しております。このような状況認識の下、当社グループは、信頼回復に向け「再生計画」を定め、その取り組みを強化してまいります。今後の基本方針として、短期的には、事業構造を変革し、かつ管理・仕組み面を強化することでリスクを抑制・分散し、黒字化を必達するとともに、中長期的には、人材(リソース)の強化による事業遂行能力の向上・収益力の改善を進め、主要事業における収益の最大化を図ってまいります。また、これら基本方針と並行して、財務基盤の強化を図ってまいります。具体的には以下のとおりです。●米国向けエチレン製造設備プロジェクト対応当社および工事業者3社との新たな体制を軌道に乗せ工事管理の強化と生産性向上を徹底させることにより、安全および品質の確保を図りつつ、工期遅延・コスト増を防止し完工に向け鋭意取り組んでまいります。また、今般の費用負担等につき、工事会社等との協議の早期決着を図ってまいります。●事業構造の変革プラント事業中心の事業ポートフォリオから、プラント事業とインフラ事業の2本柱へと変革を推し進めます。受注規模については現状の3,000億円規模を継続しつつ、プラント事業では商品群、地域の選択と集中を進め、インフラ事業では当社の強みを活かし事業の拡大を図ってまいります。また、新規事業としてDigital Fertilizer、SUPERHIDICの受注活動を推し進めるとともに、DXoT (Digital Transformation of TOYO)による業務効率化・コスト削減を図るなど、イノベーションを推進してまいります。●組織力の強化再建計画(平成28年3月期策定)における品質関連損失コスト削減タスクで得た成果を徹底し、またコア技術やノウハウを継続的に強化し、品質改善に取り組んでまいります。再建計画(平成28年3月期策定)による受注管理強化施策およびプロジェクト実行管理施策はその効果が出てきていることから、これらを一層強化する形で継続してまいります。国内リソースにおいては、上記事業ポートフォリオ変革に合わせプラント事業からインフラ事業への人員シフトを推し進めます。また、各海外EPC拠点の役割の再検証および利益水準をはじめとした評価基準の明確化ならびにこれらを踏まえたグループ全体としての業務平準化により、海外EPC拠点の最適化を図ります。 ●財務基盤の強化財務基盤の強化に向け、事業の黒字化による利益の積み上げにより自己資本の回復を目指すことはもちろんのこと、固定費の圧縮を含め、様々な方策を検討・実施してまいります。 平成28年3月期に再建計画を策定以来、取り組んでまいりました受注管理強化策およびプロジェクトにおけるグローバル業務連携・管理強化策は浸透しつつあります。当連結会計年度の受注高は3,093億円と売上総利益を確保しつつ目標(2,500億円)を達成し、また、米国向けエチレン製造設備プロジェクト以外ではプロジェクトの収支は順調に推移しております。当社グループは、上記「再生計画」に全力で取り組み、一日も早くステークホルダーの皆様の信頼を回復できるよう一丸となって邁進してまいります。
MD&A(経営者による分析)
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」と記載します)の状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態および経営成績の状況a. 財政状態(流動資産)当連結会計年度末における流動資産の残高は2,231億円で、前連結会計年度末から585億円減少しております。受取手形・完成工事未収入金等が263億円、未成工事支出金が177億円それぞれ減少したことが主な原因であります。 (固定資産)当連結会計年度末における固定資産の残高は297億円で、前連結会計年度末から55億円減少しております。投資有価証券が57億円減少したことが主な原因であります。 (流動負債)当連結会計年度末における流動負債の残高は1,984億円で、前連結会計年度末から386億円減少しております。工事損失引当金が98億円増加した一方で、未成工事受入金が246億円、支払手形・工事未払金等が187億円減少したことが主な原因であります。 (固定負債)当連結会計年度末における固定負債の残高は293億円で、前連結会計年度末から7億円増加しております。退職給付に係る負債が4億円減少した一方、繰延税金負債が11億円増加したことが主な原因であります。 (純資産)当連結会計年度末における純資産の残高は251億円で、前連結会計年度末から261億円減少しております。親会社株主に帰属する当期純損失を268億円計上したことが主な原因であります。 b. 経営成績(完成工事高)当連結会計年度における完成工事高は、保有プロジェクトの進捗などにより、前連結会計年度比962億円(22.3%)減の3,356億円となりました。 (完成工事総損益)当連結会計年度における完成工事総損失は、米国向けエチレン製造設備プロジェクトにおける工事コストの大幅な増加に伴う収支悪化などにより125億円(前連結会計年度は完成工事総利益159億円)となりました。 (営業損益)当連結会計年度における営業損失は、前述の完成工事総損失に加え、販売費及び一般管理費がプロポーザル活動の活発化等により前連結会計年度比で24億円増加し、204億円を計上したことにより、329億円(前連結会計年度は営業損失20億円)となりました。 (経常損益)当連結会計年度における経常損失は、営業損失を329億円計上した一方、持分法による投資利益を59億円計上したことなどにより、278億円(前連結会計年度は経常利益16億円)となりました。 (特別損益および税金等調整前当期純損益)当連結会計年度において、特別利益を54億円(投資有価証券売却益27億円、関係会社株式売却益23億円、固定資産売却益3億円)計上しました。その結果、税金等調整前当期純損失は223億円(前連結会計年度は税金等調整前当期純利益58億円)となりました。 (親会社株主に帰属する当期純損益)当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は、268億円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益14億円)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」と記載します)の残高は1,065億円で、前連結会計年度末から161億円減少しております。なお、これにはジョイントベンチャーでの工事遂行案件において当社がジョイントベンチャーから預かっている資金の残高73億円が含まれております。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、228億円の資金減少となりました。売上債権の減少により資金が262億円増加した一方、税金等調整前当期純損失を223億円計上したこと、未成工事受入金の減少により資金が245億円減少したことなどによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、63億円の資金増加となりました。投資有価証券や関係会社株式の売却により資金が67億円増加したことなどによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、11億円の資金減少となりました。借入金の収支が7億円減少したことや、配当金の支払い3億円などによるものです。 ③ 生産、受注および販売の実績a. 受注実績当連結会計年度における当社および当社の連結子会社の受注実績は次のとおりであります。 期別工事別期首繰越工事高(百万円)期中受注工事高(百万円)計(百万円)期中完成工事高(百万円)次期繰越工事高(百万円)前連結会計年度(自 平成28年4月1日至 平成29年3月31日)海外 石油化学492,2045,943498,147244,590249,368石油・ガス20,29820,88741,18634,0555,321発電・交通システム等86,69861,847148,54554,32793,537化学・肥料105,0912,927108,01922,27779,174医薬・環境・産業施設1101,6021,712767938その他7,0051,4298,4344,8663,066小計711,40994,636806,046360,884431,406国内 石油化学2,5038093,3123,24863石油・ガス1,2656,3667,6326,1671,464発電・交通システム等103,9171,446105,36348,84855,015医薬・環境・産業施設1,5955,1366,7313,4893,241その他2,3758,39410,7709,2781,491小計111,65722,153133,81071,03261,276合計※△9,392823,066116,790939,856431,917※△14,145492,682当連結会計年度(自 平成29年4月1日至 平成30年3月31日)海外 石油化学249,36843,524292,892139,777141,082石油・ガス5,32125,91731,2388,50420,858発電・交通システム等93,53723,490117,02763,71253,339化学・肥料79,174134,930214,10450,257161,608医薬・環境・産業施設9389,47410,4123,3006,872その他3,0665673,6341,603778小計431,406237,904669,310267,155384,540国内 石油化学636,7146,7773926,328石油・ガス1,4644,8016,2663,6293,286発電・交通システム等55,01549,617104,63252,73651,865医薬・環境・産業施設3,2414,4487,6895,9232,581その他1,4915,8407,3315,86027小計61,27671,421132,69768,54264,089合計※△14,145492,682309,325802,008335,697※△6,946448,629 (注) 1 当連結会計年度より、当社グループが遂行するEPC事業の工事別区分を現況を踏まえ、見直しを行っております。この区分の見直しにより、前連結会計年度の受注関連情報も組替えを行っております。 2 記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しており、消費税等は含まれておりません。3 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前連結会計年度△12,187百万円、当連結会計年度△9,970百万円)を含んでおります。4 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前連結会計年度△3,068百万円、当連結会計年度△7,711百万円)を含んでおります。5 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。 なお、当連結会計年度の受注実績は、前連結会計年度と比較して1,925億円(164.9%)増加しております。これは、海外の化学・肥料分野において、インド向け化学肥料コンプレックス、ナイジェリア向け化学肥料製造設備、また海外の石油化学分野において、インドネシア向けポリエチレン製造設備を当連結会計年度に受注したことなどによる影響であります。 なお、提出会社における受注実績は次のとおりであります。 期別工事別期首繰越工事高(百万円)期中受注工事高(百万円)計(百万円)期中完成工事高(百万円)次期繰越工事高(百万円)前事業年度(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)海外 石油化学198,1701,108199,279129,77271,218石油・ガス6,4177,25113,6698,2275,067発電・交通システム等86,16360,720146,88453,69193,046化学・肥料50,6501,83452,48514,00432,304医薬・環境・産業施設19―1916―その他214522662537小計341,63670,966412,602205,967201,644国内 石油化学360217578578―石油・ガス1,2651261,3921,3856発電・交通システム等103,9171,446105,36348,84855,015医薬・環境・産業施設9542998352―その他923023914792小計106,5062,051108,55851,01355,114合計※8,433448,14273,018521,161 256,980※2,505256,758当事業年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)海外 石油化学 71,2186,60077,81842,84225,650石油・ガス5,0673,1418,2084,0552,285発電・交通システム等93,04613,194106,24159,82146,457化学・肥料32,30468,526100,83018,84581,892医薬・環境・産業施設―14814829118その他7087―小計201,64491,611293,255125,601156,404国内 石油化学―3,9433,9432683,674石油・ガス6620626141485発電・交通システム等55,01548,679103,69452,28351,347医薬・環境・産業施設―1,1991,1991401,059その他9217626822441小計55,11454,619109,73353,05956,607合計※2,505256,758146,230402,988 178,660※△295213,012 (注) 1 当事業年度より、当社が遂行するEPC事業の工事別区分を現況を踏まえ、見直しを行っております。この区分の見直しにより、前事業年度の受注関連情報も組替えを行っております。2 記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しており、消費税等は含まれておりません。3 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前事業年度3,305百万円、当事業年度931百万円)を含んでおります。4 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前事業年度10,728百万円、当事業年度12,247百万円)を控除しております。5 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。 b. 売上実績当社グループはEPC事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。主な相手先別の売上実績および総売上実績に対する割合は、次のとおりであります。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)PRPC REFINERY AND CRACKER SDN.BHD.95,21622.071,50121.3Chambal Fertilisers and Chemicals Limited――40,64312.1瀬戸内Kirei未来創り合同会社――34,43610.3Shintech Louisiana,LLC62,73314.533,81710.1 (注) 1 前連結会計年度のChambal Fertilisers and Chemicals Limitedおよび瀬戸内Kirei未来創り合同会社については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。2 記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しており、消費税等は含まれておりません。 なお、当連結会計年度の売上実績は、前連結会計年度と比較して962億円(22.3%)減少しております。これは、米国向けエチレン製造設備、マレーシア向けエチレンコンプレックスの当連結会計年度における期間進捗率が前年同期と比較して減少したことや、前連結会計年度の受注高が、プラント分野における市場冷え込みにより1,167億円にとどまったことなどによる影響であります。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 ① 重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針等に関する詳細につきましては、後掲の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載したとおりであります。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容a. 概況当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境の改善が続く中、底堅い内外需を背景に、個人消費、企業の生産活動、輸出、設備投資が持ち直し、緩やかに回復しております。また、世界経済も緩やかな回復が続いておりますが、中東情勢や北朝鮮情勢等の地政学的リスクや、中国を始めアジア新興国等の経済の先行き、政策に関する不確実性による影響、米国の保護主義的な経済政策や金融政策の動向、為替変動、原油価格の動向等に対する警戒感は依然根強く、日本経済および世界経済とも先行きが不透明な状況が続いております。プラント分野においては、アップストリーム(産油・産ガス国におけるエネルギー開発・各種関連設備)への設備投資は抑制された状態が続いており、また、ダウンストリーム(石油化学プラントや化学肥料プラント等)への設備投資においては、一部には最終投資判断が遅延するなどの慎重な姿勢が依然見られる一方で、各地域の底堅い需要を反映し、案件が具体化し始めています。インフラ分野では、国内において、電力自由化を背景とした発電所等の設備投資が続いており、また、海外においても、東南アジア等で電力需要は増大しており、今後も安定的な設備投資が見込まれます。資源エネルギー分野では、既存油田の改修等のサービス業務など、将来の資源開発に向けたソフト業務の需要がでてきております。 b. 受注高こうした状況の中、当連結会計年度の実績は、次のとおりとなりました。受注高は、インド向け化学肥料コンプレックス、インドネシア向けポリエチレン製造設備、インドネシア向けガス処理設備、タイ向け天然ガス焚きコジェネレーション発電所(全12基中の12基目)、ナイジェリア向け化学肥料製造設備、国内エチレン製造設備、いわきメガソーラー、神栖バイオマス発電所等の受注により3,093億円(前連結会計年度比164.9%増)となりました。その結果、当連結会計年度末における受注残高は、前連結会計年度末から440億円減少して4,486億円となりました。経営としての対応の方針と方法は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)対処すべき課題」に記載したとおりであります。 c. 経営成績売上高(完成工事高)は、米国向けエチレン製造設備、マレーシア向けエチレンコンプレックス、トルクメニスタン向けガス化学コンプレックス、タイ向け天然ガス焚きコジェネレーション発電所、瀬戸内メガソーラー等のプロジェクトの進捗により、3,356億円(前連結会計年度比22.3%減)となりました。営業損益は、米国向けエチレン製造設備プロジェクトにおいて工事コストが大幅に増加したことにより収支が悪化し、全社的な経費節減や役員報酬の減額等を行ったものの、プロポーザル活動の活発化による販売費・一般管理費の増加もあり、営業損失329億円(前連結会計年度は営業損失20億円)となりました。当該プロジェクトにつきましては、工事初期の地盤・杭問題に起因する土建工事の遅延回復のため、昨年春以降、増員・夜間作業等の工事促進策を実施しましたが、例年にない長雨やハリケーン等の影響も加わり作業が捗らない状況下、第3四半期において、当該工事促進策を見直し、また今後のコストへの影響を第3四半期末時点までの間接費・工事体制および工事要員の生産性等を踏まえて見直した結果、大幅なコストの増加が判明しました。さらに当第4四半期において、工事業者と生産性改善施策を講じながら工事を進めてまいりましたが、配管工事の段階に入り工事業者の溶接工の動員力不足等による遅れが後続の電気・計装工事にも影響し、現工事業者1社が工事を統括する現場体制のままでは、工事全体の進捗の遅れとともに工事費用の更なる増加が懸念される事態となりました。これに対し、動員力増強と生産性向上による工事進捗の回復と加速化を図るべく、新たに工事業者を2社起用して全工事残量の約50%を移管し、また、当社と工事業者がより一体化して適時に対応できるよう現場体制を強化いたしました。その結果、これらの対策にかかる工事費用および当社人件費につき大幅な増加を見込まざるを得ず、誠に遺憾ながら営業損失につき第3四半期決算発表時予想(営業損失180億円)より約150億円の悪化となりました。経常損失は、持分法による投資利益、受取利息の計上等により278億円(前連結会計年度は経常利益16億円)、税金費用控除後の親会社株主に帰属する当期純損失は、投資有価証券売却益、関係会社株式売却益、法人税の計上等により268億円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益14億円)となり、前連結会計年度比では減収減益となりました。当連結会計年度におきましては、第3四半期連結会計期間に続く業績の悪化となり、株主・投資家をはじめとするステークホルダーの皆様からの信頼を損なう結果となりましたことを心からお詫び申し上げます。今回の大幅な収支悪化およびこれに伴う自己資本の毀損を受け、当社の経営者は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)対処すべき課題」に示したとおり、当該プロジェクトを現行計画どおり完工し、EPC事業を黒字化することが最重要であると認識しており、再生計画の下、その取り組みを強化してまいります。 d. 資金の状況当社グループの資本の財源および資金の流動性について、当社の経営者は、円滑な事業活動に必要な水準の流動性を確保すべく、自己資金のほか、銀行からの借入による資金調達を行っております。運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行とコミットメント契約を締結しているほか、支払金利の変動リスクを回避するための金利スワップ取引をヘッジ手段として利用しております。詳細につきましては、後掲の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に記載したとおりであります。当連結会計年度における当社グループの資金状況について、当連結会計年度末における資金の残高は、米国向けエチレン製造設備プロジェクトにおける工事コストの大幅な増加に伴い営業活動によるキャッシュ・フローが228億円の資金減少(前連結会計年度は189億円の資金増加)となったことなどにより、前連結会計年度末から161億円減少し、1,065億円となりましたが、引き続き、円滑な事業活動に必要な水準の流動性を確保しております。また、当該プロジェクトから生じた多額の営業損失により財政状態が著しく悪化したため、当連結会計年度末において、金融機関との間で締結している借入契約等に付されている財務制限条項に抵触することとなりましたが、「2 事業等のリスク (4) 継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、再生計画の下で当社の経営者は、着実に業績を回復し、財務体質の強化を図ってまいります。また、当連結会計年度末において実行されているシンジケートローン・コミットメントライン等の借入契約につきましては、有価証券報告書提出日現在、すべての契約において財務制限条項の適用免除および変更契約の締結に至り、金融機関の支援体制は充分確保されております。 なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。 平成27年3月期平成28年3月期平成29年3月期平成30年3月期自己資本比率(%)17.215.816.29.9時価ベースの自己資本比率(%)23.017.516.915.3キャッシュ・フロー対有利子負債比率△7.60.71.7△1.4インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)△5.5132.052.8△71.4 (注) 自己資本比率:自己資本/総資産 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い * 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。 * 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式総数をベースに計算しております。 * キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。 * 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象と しております。