6330

東洋エンジニアリング(6330)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

建設業 建設・資材

事業の概要

  • EPC事業が主力
    東洋エンジニアリンググループは、石油、ガス、化学、発電、医薬など多岐にわたる産業分野で、プラントの研究開発協力、企画、設計、機器調達、建設、試運転、技術指導までを一貫して手掛ける「EPC事業」を主な収益源としています。これは、顧客の工場や施設をゼロから作り上げる総合エンジニアリングビジネスであり、大規模なプロジェクトを通じて収益を上げています。
  • グローバルな事業展開
    同社グループは、世界中の顧客ニーズに対応するため、グローバルな体制で事業を展開しています。これにより、特定の地域や産業に依存することなく、多様な市場からの受注機会を捉え、安定的な事業運営を目指しています。世界各地でのプロジェクト遂行能力が、同社のビジネスモデルの核となっています。
  • 単一セグメントでの運営
    同社グループの事業は、前述のEPC事業とそれに付随する事業のみで構成されており、単一セグメントとして運営されています。これは、事業内容が多岐にわたるプラント建設に特化していることを意味し、専門性と効率性を追求していることがうかがえます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • EPC事業
    東洋エンジニアリンググループの主要な事業であり、唯一のセグメントです。石油、ガス、石油化学、一般化学、水、発電、高度生産システム、医薬、ファインケミカル、バイオ、環境、資源開発、人工知能など、非常に多岐にわたる産業分野のプラント建設を手掛けています。この事業は、研究・開発協力から企画、設計、機器調達、建設、試運転、技術指導までを一貫して提供する総合エンジニアリングサービスです。
  • 付帯事業
    EPC事業に付随する事業もこの単一セグメントに含まれます。具体的な内容は記載されていませんが、プラントの保守・メンテナンス、部品供給、技術コンサルティングなどが含まれる可能性があります。これらは、主力であるEPC事業を補完し、顧客との長期的な関係構築や安定的な収益確保に貢献すると考えられます。
  • グローバルな事業展開
    同社グループは、当社および31の関係会社(子会社23社、関連会社8社)から構成されており、グローバルな体制で事業を展開しています。これにより、世界中の多様な顧客ニーズに対応し、地域に偏らず幅広い市場から収益を得ることを目指しています。このグローバル展開が、同社グループの事業規模と安定性を支える重要な要素です。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|382 文字
3 【事業の内容】当社グループは、当社および当社の関係会社30社(子会社23社、関連会社7社)により構成されており、主な事業内容であるEPC事業は、石油、ガス、石油化学、一般化学、水、発電、高度生産システム、医薬、ファインケミカル、バイオ、環境、資源開発、人工知能その他各種産業におけるプラントの研究・開発協力、企画、設計、機器調達、建設、試運転、技術指導などを内容としており、当社および当社のグループ会社が、グローバルな体制で、変化する顧客ニーズにフレキシブルに応える総合エンジニアリングビジネスを展開しております。なお、当社グループは、EPC事業ならびにこれらの付帯事業の単一セグメントであります。 事業の系統図は次のとおりであります。 (注) 1 上記事業の系統図に記載のほか、子会社13社、関連会社6社があります。2 ○ 連結子会社 * 持分法適用関連会社

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
工事従事者の不足・賃金高騰、機器資材価格高騰に対し、価格転嫁等の対策を講じる。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
プラントの研究・開発協力、企画、設計、機器調達、建設、試運転、技術指導まで一貫して行う技術力。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:プロジェクトの受注および遂行に伴う共通リスク / 感染症によるリスク / カントリーリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

東洋エンジニアリングは、プラント建設における長年の実績とノウハウを持つが、特許やブランド力が決定的な無形資産となっているとは言えない。特定の技術やノウハウは存在するものの、競合他社も類似技術を持つ可能性があり、明確な独占的IPとは評価しにくい。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

プラント建設は、顧客(エネルギー企業、化学メーカー等)にとって、建設後の運用・保守を含めると、建設業者の変更に伴うリスクやコストは大きい。しかし、プロジェクト毎に最適な業者を選定する傾向もあり、スイッチング・コストが決定的な優位性とはなりにくい。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

プラント建設事業において、ネットワーク効果は直接的に見られない。顧客基盤の拡大やサプライヤーとの関係強化はあるが、ユーザー数の増加がサービス価値を指数関数的に高めるような構造ではない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

大規模プロジェクトの遂行能力は一定のコスト効率を生む可能性があるが、建設業全体として、資材価格や人件費の変動の影響を受けやすく、構造的なコスト優位性を確立しているとは言えない。海外での調達や現地法人活用による効率化は図っている。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

東洋エンジニアリングは、特にLNGプラントや石油化学プラント分野において、世界でも有数のEPC(設計・調達・建設)コントラクターとしての地位を確立している。大規模プロジェクトを遂行できる能力と実績は、業界内での競争優位性をもたらしている。

  • 多様な産業への対応力
    石油、ガス、石油化学、医薬、発電、水処理など、非常に幅広い産業分野のプラント建設に対応できる技術力とノウハウを持っています。これにより、特定の産業の景気変動に左右されにくく、多様な顧客ニーズに応えることで安定的な受注機会を確保しています。
  • グローバルな事業体制
    世界各国に展開する関係会社31社(子会社23社、関連会社8社)と連携し、グローバルな体制でプロジェクトを遂行できる点が強みです。これにより、世界中のどこでも大規模なプラント建設プロジェクトに対応でき、国際的な競争力を維持しています。
  • 総合エンジニアリング力
    プラントの研究・開発協力から企画、設計、機器調達、建設、試運転、技術指導まで、プラント建設の全工程を一貫して手掛ける総合的なエンジニアリング能力を有しています。これにより、顧客は複数の業者と契約する手間を省け、効率的かつ高品質なプラント建設を実現できるため、顧客からの信頼を得やすいと考えられます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 (1) 経営の基本方針当社グループは、変化する事業環境の中で、世界に点在する当社グループ企業の全従業員が、共通する使命感、価値観のもとでグループとしての一体感を高めていくことを目的に、Mission、Vision、Values、いわゆるMVVを制定しております。 ◆グループ・ミッション(使命):“Engineering for Sustainable Growth of the Global Community”世界水準のエンジニアリングの提供によって、多様な顧客各社の課題を総合的に解決し、顧客ニーズの充足を実現するとともに、エネルギー・素材等の供給と環境保全を調和させ、持続性のある地球社会の実現に貢献します。 ◆グループ・ビジョン(目指す企業像):“Global Leading Engineering Partner”世界第一級のエンジニアリング企業グループとして、顧客の立場に立脚し共に課題を解決することによって、品質、HSE(健康・安全・環境)、納期、価格等を含む総合的な価値を提供し、顧客にとって最も信頼できる継続的なパートナーとなります。 ◆グループ・バリュー(価値観・行動基準):“Integrity, Creativity, Diversity, Learning, Team”東洋エンジニアリンググループで働く一人ひとりの役職員は、これらの価値観を共有して行動します。Integrity:誠意と責任を持って業務を遂行します。Creativity:知恵と創造力を発揮し、顧客とともに、もしくは自ら、新たな価値を創造します。Diversity:個性、人格、ならびに各国、各地域の文化、慣習を尊重します。Learning:進取の気性で、新たな経験、技能、知識を獲得します。Team:自社グループ内はもとより、顧客や協業先とのチームプレイを通じて、成果を実現します。 上記の経営方針に基づき、当社グループは、5つの強み(プロジェクトマネジメント力、受注前リスク管理・案件選別力、技術・共創による事業創出力、アライアンス構築力、グローバル事業推進力)を一体的に発揮し、顧客への価値提供と当社の収益性の向上を実現します。そのうえで、長期ビジョン「TOYO VISION 2040」で掲げるフロー型ビジネスとストック型ビジネスによる二軸収益モデルの構築に向け、2026年度から2030年度までの中期経営計画において、経営基盤を一層強靱にしつつ、「EPCの枠を超え、社会価値を共創・実装するパートナー」への進化を目指してまいります。 (2) 経営環境当連結会計年度における世界経済全体としては、金融環境の改善やAI関連投資の好調等もあり底堅い成長を維持しましたが、今後は、中東情勢を始めとする地政学リスクの高まりに起因するエネルギー価格の上昇、サプライチェーンの混乱、先行きの不確実性上昇等に伴う各国経済の下振れリスク、AI開発・利活用に不可欠な電力・半導体の不足など供給制約が深刻化した場合の混乱リスク等に注視が必要です。地域別に見ると、米国経済は、トランプ政権下での減税や関税合意等に基づく対米投資拡大、AI需要の拡大を背景に、国内生産回帰に向けた設備投資やデータ・エネルギー関連の設備投資が堅調に推移する見込みです。一方、中東情勢への関与や関税政策などの対外政策については、先行きの不確実性が極めて高く、景気や金融市場に与える影響に注視が必要です。欧州経済は、堅調な雇用・所得環境に伴う個人消費の拡大とデジタル・脱炭素・防衛分野の設備投資の本格化が見込まれますが、地政学リスクの高まりやEUの中心であるフランスの大統領選挙の結果によっては、金融市場の混乱やEUの政策調整の難航に伴う競争力の低下、個人消費の下振れが懸念されます。中国経済は、景気刺激策の効果一巡により成長が鈍化しています。今後、米国からの対中圧力が高まり緊張が再燃するリスク、AI投資の調整を契機とした都市部消費の落ち込みやそれに伴う不動産市況の更なる冷え込みなどのリスクに注視が必要です。日本経済は、中東情勢の緊迫化により、物価上昇が個人消費を抑制することが見込まれるものの、企業の賃上げ継続に伴う実質賃金の改善が個人消費を下支えし、企業の設備投資は、デジタル化・脱炭素・サプライチェーン強靭化に向けた取り組みを背景に拡大傾向が続く見込みです。一方で人手不足が深刻化しており、引き続き労働力の確保および限られた労働力の下での生産性向上が課題となっております。 このような経済状況を受け、当社グループの事業環境としては、① カーボンニュートラル事業については、米国のパリ協定再離脱、米国IRA(インフレ抑制法)におけるクリーン水素生産控除(45V)の支援対象期間終了の前倒し等による政策進捗の鈍化がみられるものの、全世界的に脱炭素化や経済安全保障上のレジリエンス強化の観点から、政府支援で民間投資を後押しする動きは今後も継続していくものと見られます。中東情勢の悪化によるエネルギー供給不安は、短期的には原油・ガス価格の上昇や化石燃料依存の強化を通じてエネルギー安全保障を圧迫する一方で、化石燃料の地政学リスクが改めて意識され、再生可能エネルギーを軸とするエネルギートランジションを中長期的に後押しする契機になっています。インドネシアにおけるグリーンアンモニア製造、バンカリング(船舶への燃料供給行為)向け燃料アンモニア供給事業に関しては、2024年8月にPupuk Indonesia Holding Companyおよび伊藤忠商事株式会社と共同開発契約を締結し、2025年11月にFEED(基本設計)を完了しましたが、国際海事機関(IMO)のネットゼロ・フレームワーク(NZF)の審議・採択を1年延期するとの決議を受け、事業化の時期は検討中です。CCS(CO2回収・貯留)に関しては、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)により、2030年度までのCO2貯留開始に向けた先進的CCS事業候補が選定され、当社においてもFS(事業化調査)/Pre-FEED(概念設計)が進捗しております。地熱発電に関しては、インドネシアの政府および民間企業とインドネシアにおける包括的な地熱活用のマスタープラン策定に関する覚書を締結の上、2024年12月から2026年2月まで経済産業省のグローバルサウス未来志向型共創等事業委託費におけるマスタープラン策定等調査事業を実施しました。マスタープランに基づいた社会実装に向けインドネシア地熱事業者との協議を開始しています。一方、日本国内においては、2025年4月に次世代型地熱推進官民協議会が立ち上がり、当社も協議メンバーとして参加しております。そして、2025年10月から2026年3月までJOGMECの次世代型地熱発電技術に関する実現可能性調査で「日本国内における同軸二重管方式『クローズドループ地熱発電技術』の実現可能性調査」を実施しました。SAF(持続可能な航空燃料)に関しては、世界的な市場規模の拡大を見据え、日揮株式会社との国内アライアンスにおける早期実績作りに向け注力、インドやマレーシアでは廃食油をベースとしたSAFのFEED案件が進んでおります。また、脱炭素・低炭素化に直結するプラントの省エネ化に関しては、当社独自技術であるSUPERHIDICTMとAIによる数理最適化技術を活用したHERO(Hybrid Energy system Re-Optimization)で着実に実績を積み上げ、温室効果ガス排出量削減に貢献しており、プラント省エネ化の確実な手法として改めて高い関心を集めています。特にタイ大手石油化学会社向けには、主要プラントに対してHEROの初期検討を実施し、将来に向けた脱炭素化のロードマップ作成に寄与しており、同社とは、複数プラントに対するFS、PDP(プロセス基本設計)作成、改造実施後の性能確認に関する契約を締結しています。② 石油化学・肥料プラント等の既存事業については、海外では、米国の関税政策に関して日本を含む主要国は合意に至り、対米輸出の抑制圧力は軽減されましたが、合意を経ても関税コストが今後企業収益の抑制に繋がれば景況感が悪化する可能性があり、未だ国際市場はその趨勢の見極めに時間を要しております。その中でも肥料案件は人口増加と地政学リスクによる需給バランスの変化、そして世界的な食糧安全保障問題の高まりに伴い中長期的には堅調な需要増が見込まれ、足元では事業化を見据えたFS・FEED案件や既存設備の増強・更新を含む投資機会、またアフリカ地域でこれまでの輸入代替・自国生産化を目指す新規投資が期待されます。石油化学案件については、中国での需要減退に伴い石油化学製品の需給が緩和継続の一方、世界のエチレン・ポリマー市場では、相対的に競争力の高いエタン分解炉の追設や低炭素化への動きも織り込みながら今後も一定程度の成長が見込まれています。また既存製油所設備の転換(SAF製造設備への転換等)や高度化等構造改革も交え、選別的ではあるものの中東やインドを中心に引き続き設備投資が見込まれます。インフラ市場においては、主にアジアで低炭素/再生可能エネルギー/地熱、廃棄物等の発電事業分野等で設備投資が見込まれます。一方、国内では、EV(電気自動車)や半導体用の高機能化学品の需要の回復が見込まれ、それらの材料に関する設備投資が期待されます。③ FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)事業については、2023年以降の10年間はGolden Ageと呼ぶに相応しい活況を呈する市況が予想される中、石油メジャー・国営石油会社による投資が加速しており、引き続き旺盛な需要が期待されます。当社グループのエンジニアリングとプロジェクトマネジメント力、複数の戦略的拠点の活用による最適化および三井海洋開発株式会社(MODEC)の知見との融合による差別化を武器に、MODECとの合弁会社であるOFS(Offshore Frontier Solutions Pte. Ltd.)にてEPCI(設計・調達・工事・据付)案件を当連結会計年度に2件受注しており、中長期的にも更なる受注が期待されます。 (3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題当社グループでは、2021年度から5年間にわたる中期経営計画に基づき、事業基盤の強化および将来成長に向けた諸施策を推進してまいりました。当連結会計年度末をもって、当該期間を終え、これまでの取り組みについて総括し、検証を行う節目を迎えております。こうした認識のもと、当社グループの持続的な成長および企業価値の向上に向け、2021年度~2025年度中期経営計画の振り返りを行うとともに、その結果を踏まえた2026年度~2030年度の中期経営計画についてご説明いたします。 ① 『2021年度~2025年度 中期経営計画』振り返り当社グループは、2021年度から2025年度までの中期経営計画において、「EPC強靭化」および「新技術・事業開拓」という二つの戦略軸を掲げ、収益基盤の強化と将来の成長に向けた事業機会の創出に取り組んでまいりました。この間、尿素ライセンス案件やEPs(設計・調達支援)案件等の非EPC領域での粗利拡大が進展するとともに、構想段階から顧客と共創する案件の創出、OFSの安定的な利益貢献、インドネシア連結子会社であるIKPT(PT. Inti Karya Persada Tehnik)における地熱案件の継続受注等、当社グループの強みを活かした成果が着実に現れております。一方で、国内案件およびブラジル連結子会社におけるガス火力発電案件等において損失を計上し、案件ごとの採算変動や収益のボラティリティを十分に抑制できませんでした。また、拠点案件を含むリスク審査やリソース配分の徹底、一部新規領域における収益化の進捗にも課題を残しました。こうした反省を踏まえ、当社グループは、受注前から完工までのプロジェクトリスク管理を一層強化するため、2025年1月にプロジェクト管理本部を新設し、当社主体の案件のみならず拠点独自案件も含めた包括的かつ独立的なリスクマネジメント体制の整備を進めております。今後も、案件選別力の強化、契約条件管理および履行中案件へのモニタリング徹底を通じて、規律ある判断のもと、リスクに見合わない案件を的確に見極めて排除し、安定的に利益を創出できる事業基盤の確立を進めてまいります。② 『2026年度~2030年度 中期経営計画』について当社グループは、長期ビジョンである「TOYO VISION 2040」の実現に向け、2026年度から2030年度に向けた中期経営計画において、経営基盤を一層強靱にしつつ、「EPCの枠を超え、社会価値を共創・実装するパートナー」へ進化していくことを大きな方向性としております。その実現に向けては、EPCを核とした確かな遂行力を前提に、構想・設計・建設・運用・保全・改修まで、プラントライフサイクル全体で価値を創出する事業モデルへの転換を進めてまいります。あわせて、O&M(運転・保守)、ファインケミカル、バイオ医薬、次世代地熱、重要鉱物といった分野を成長ドライバーとし、注力重点地域であるインド・中央アジア・アフリカに戦略的に資源を配分してまいります。また、2026年4月1日付で実施した組織改正は、この方向性を支える基盤整備を先行して進めたものであり、プロジェクト遂行力の強化、新規事業創出力の強化、およびコーポレート機能の戦略性向上を通じて、中長期的な企業価値向上を下支えしてまいります。なお、外部環境が大きく変化し得る中、当社グループは、計画を固定的に捉えることなく、適時に、必要に応じた見直しを通じて戦略の優先順位や資源配分を見直してまいります。これにより、利益の安定化、事業ポートフォリオの高度化、人財力の強化を着実に進めてまいります。 今後の重点課題としては、第一に、受注前審査・契約条件管理・履行中モニタリングの更なる徹底を通じたEPC事業の収益安定化、第二に、当社グループの強みが活かせる市場・商品・地域への集中による高付加価値化、第三に、技術・人財・DXを組み合わせたライフサイクルサービスおよび新規事業の育成であると認識しております。これらの課題に着実に取り組むことで、当社グループは持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。 (4) 2027年3月期連結業績予想 (単位:百万円) 連結受注高200,000完成工事高190,000営業利益3,000経常利益7,500親会社株主に帰属する当期純利益6,000 [本業績見通しにおける想定為替レート]1米ドル=150円
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 (1) 経営の基本方針当社グループは、変化する事業環境の中で、世界に点在する当社グループ企業の全従業員が、共通する使命感、価値観のもとでグループとしての一体感を高めていくことを目的に、Mission、Vision、Values、いわゆるMVVを制定しております。 ◆グループ・ミッション(使命):“Engineering for Sustainable Growth of the Global Community”世界水準のエンジニアリングの提供によって、多様な顧客各社の課題を総合的に解決し、顧客ニーズの充足を実現するとともに、エネルギー・素材等の供給と環境保全を調和させ、持続性のある地球社会の実現に貢献します。 ◆グループ・ビジョン(目指す企業像):“Global Leading Engineering Partner”世界第一級のエンジニアリング企業グループとして、顧客の立場に立脚し共に課題を解決することによって、品質、HSE(健康・安全・環境)、納期、価格等を含む総合的な価値を提供し、顧客にとって最も信頼できる継続的なパートナーとなります。 ◆グループ・バリュー(価値観・行動基準):“Integrity, Creativity, Diversity, Learning, Team”東洋エンジニアリンググループで働く一人ひとりの役職員は、これらの価値観を共有して行動します。Integrity:誠意と責任を持って業務を遂行します。Creativity:知恵と創造力を発揮し、顧客とともに、もしくは自ら、新たな価値を創造します。Diversity:個性、人格、ならびに各国、各地域の文化、慣習を尊重します。Learning:進取の気性で、新たな経験、技能、知識を獲得します。Team:自社グループ内はもとより、顧客や協業先とのチームプレイを通じて、成果を実現します。 上記の経営方針に基づき、当社グループは、5つの強み(プロジェクトマネジメント力、受注前リスク管理・案件選別力、技術・共創による事業創出力、アライアンス構築力、グローバル事業推進力)を一体的に発揮し、顧客への価値提供と当社の収益性の向上を実現します。そのうえで、長期ビジョン「TOYO VISION 2040」で掲げるフロー型ビジネスとストック型ビジネスによる二軸収益モデルの構築に向け、2026年度から2030年度までの中期経営計画において、経営基盤を一層強靱にしつつ、「EPCの枠を超え、社会価値を共創・実装するパートナー」への進化を目指してまいります。 (2) 経営環境当連結会計年度における世界経済全体としては、金融環境の改善やAI関連投資の好調等もあり底堅い成長を維持しましたが、今後は、中東情勢を始めとする地政学リスクの高まりに起因するエネルギー価格の上昇、サプライチェーンの混乱、先行きの不確実性上昇等に伴う各国経済の下振れリスク、AI開発・利活用に不可欠な電力・半導体の不足など供給制約が深刻化した場合の混乱リスク等に注視が必要です。地域別に見ると、米国経済は、トランプ政権下での減税や関税合意等に基づく対米投資拡大、AI需要の拡大を背景に、国内生産回帰に向けた設備投資やデータ・エネルギー関連の設備投資が堅調に推移する見込みです。一方、中東情勢への関与や関税政策などの対外政策については、先行きの不確実性が極めて高く、景気や金融市場に与える影響に注視が必要です。欧州経済は、堅調な雇用・所得環境に伴う個人消費の拡大とデジタル・脱炭素・防衛分野の設備投資の本格化が見込まれますが、地政学リスクの高まりやEUの中心であるフランスの大統領選挙の結果によっては、金融市場の混乱やEUの政策調整の難航に伴う競争力の低下、個人消費の下振れが懸念されます。中国経済は、景気刺激策の効果一巡により成長が鈍化しています。今後、米国からの対中圧力が高まり緊張が再燃するリスク、AI投資の調整を契機とした都市部消費の落ち込みやそれに伴う不動産市況の更なる冷え込みなどのリスクに注視が必要です。日本経済は、中東情勢の緊迫化により、物価上昇が個人消費を抑制することが見込まれるものの、企業の賃上げ継続に伴う実質賃金の改善が個人消費を下支えし、企業の設備投資は、デジタル化・脱炭素・サプライチェーン強靭化に向けた取り組みを背景に拡大傾向が続く見込みです。一方で人手不足が深刻化しており、引き続き労働力の確保および限られた労働力の下での生産性向上が課題となっております。 このような経済状況を受け、当社グループの事業環境としては、① カーボンニュートラル事業については、米国のパリ協定再離脱、米国IRA(インフレ抑制法)におけるクリーン水素生産控除(45V)の支援対象期間終了の前倒し等による政策進捗の鈍化がみられるものの、全世界的に脱炭素化や経済安全保障上のレジリエンス強化の観点から、政府支援で民間投資を後押しする動きは今後も継続していくものと見られます。中東情勢の悪化によるエネルギー供給不安は、短期的には原油・ガス価格の上昇や化石燃料依存の強化を通じてエネルギー安全保障を圧迫する一方で、化石燃料の地政学リスクが改めて意識され、再生可能エネルギーを軸とするエネルギートランジションを中長期的に後押しする契機になっています。インドネシアにおけるグリーンアンモニア製造、バンカリング(船舶への燃料供給行為)向け燃料アンモニア供給事業に関しては、2024年8月にPupuk Indonesia Holding Companyおよび伊藤忠商事株式会社と共同開発契約を締結し、2025年11月にFEED(基本設計)を完了しましたが、国際海事機関(IMO)のネットゼロ・フレームワーク(NZF)の審議・採択を1年延期するとの決議を受け、事業化の時期は検討中です。CCS(CO2回収・貯留)に関しては、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)により、2030年度までのCO2貯留開始に向けた先進的CCS事業候補が選定され、当社においてもFS(事業化調査)/Pre-FEED(概念設計)が進捗しております。地熱発電に関しては、インドネシアの政府および民間企業とインドネシアにおける包括的な地熱活用のマスタープラン策定に関する覚書を締結の上、2024年12月から2026年2月まで経済産業省のグローバルサウス未来志向型共創等事業委託費におけるマスタープラン策定等調査事業を実施しました。マスタープランに基づいた社会実装に向けインドネシア地熱事業者との協議を開始しています。一方、日本国内においては、2025年4月に次世代型地熱推進官民協議会が立ち上がり、当社も協議メンバーとして参加しております。そして、2025年10月から2026年3月までJOGMECの次世代型地熱発電技術に関する実現可能性調査で「日本国内における同軸二重管方式『クローズドループ地熱発電技術』の実現可能性調査」を実施しました。SAF(持続可能な航空燃料)に関しては、世界的な市場規模の拡大を見据え、日揮株式会社との国内アライアンスにおける早期実績作りに向け注力、インドやマレーシアでは廃食油をベースとしたSAFのFEED案件が進んでおります。また、脱炭素・低炭素化に直結するプラントの省エネ化に関しては、当社独自技術であるSUPERHIDICTMとAIによる数理最適化技術を活用したHERO(Hybrid Energy system Re-Optimization)で着実に実績を積み上げ、温室効果ガス排出量削減に貢献しており、プラント省エネ化の確実な手法として改めて高い関心を集めています。特にタイ大手石油化学会社向けには、主要プラントに対してHEROの初期検討を実施し、将来に向けた脱炭素化のロードマップ作成に寄与しており、同社とは、複数プラントに対するFS、PDP(プロセス基本設計)作成、改造実施後の性能確認に関する契約を締結しています。② 石油化学・肥料プラント等の既存事業については、海外では、米国の関税政策に関して日本を含む主要国は合意に至り、対米輸出の抑制圧力は軽減されましたが、合意を経ても関税コストが今後企業収益の抑制に繋がれば景況感が悪化する可能性があり、未だ国際市場はその趨勢の見極めに時間を要しております。その中でも肥料案件は人口増加と地政学リスクによる需給バランスの変化、そして世界的な食糧安全保障問題の高まりに伴い中長期的には堅調な需要増が見込まれ、足元では事業化を見据えたFS・FEED案件や既存設備の増強・更新を含む投資機会、またアフリカ地域でこれまでの輸入代替・自国生産化を目指す新規投資が期待されます。石油化学案件については、中国での需要減退に伴い石油化学製品の需給が緩和継続の一方、世界のエチレン・ポリマー市場では、相対的に競争力の高いエタン分解炉の追設や低炭素化への動きも織り込みながら今後も一定程度の成長が見込まれています。また既存製油所設備の転換(SAF製造設備への転換等)や高度化等構造改革も交え、選別的ではあるものの中東やインドを中心に引き続き設備投資が見込まれます。インフラ市場においては、主にアジアで低炭素/再生可能エネルギー/地熱、廃棄物等の発電事業分野等で設備投資が見込まれます。一方、国内では、EV(電気自動車)や半導体用の高機能化学品の需要の回復が見込まれ、それらの材料に関する設備投資が期待されます。③ FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)事業については、2023年以降の10年間はGolden Ageと呼ぶに相応しい活況を呈する市況が予想される中、石油メジャー・国営石油会社による投資が加速しており、引き続き旺盛な需要が期待されます。当社グループのエンジニアリングとプロジェクトマネジメント力、複数の戦略的拠点の活用による最適化および三井海洋開発株式会社(MODEC)の知見との融合による差別化を武器に、MODECとの合弁会社であるOFS(Offshore Frontier Solutions Pte. Ltd.)にてEPCI(設計・調達・工事・据付)案件を当連結会計年度に2件受注しており、中長期的にも更なる受注が期待されます。 (3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題当社グループでは、2021年度から5年間にわたる中期経営計画に基づき、事業基盤の強化および将来成長に向けた諸施策を推進してまいりました。当連結会計年度末をもって、当該期間を終え、これまでの取り組みについて総括し、検証を行う節目を迎えております。こうした認識のもと、当社グループの持続的な成長および企業価値の向上に向け、2021年度~2025年度中期経営計画の振り返りを行うとともに、その結果を踏まえた2026年度~2030年度の中期経営計画についてご説明いたします。 ① 『2021年度~2025年度 中期経営計画』振り返り当社グループは、2021年度から2025年度までの中期経営計画において、「EPC強靭化」および「新技術・事業開拓」という二つの戦略軸を掲げ、収益基盤の強化と将来の成長に向けた事業機会の創出に取り組んでまいりました。この間、尿素ライセンス案件やEPs(設計・調達支援)案件等の非EPC領域での粗利拡大が進展するとともに、構想段階から顧客と共創する案件の創出、OFSの安定的な利益貢献、インドネシア連結子会社であるIKPT(PT. Inti Karya Persada Tehnik)における地熱案件の継続受注等、当社グループの強みを活かした成果が着実に現れております。一方で、国内案件およびブラジル連結子会社におけるガス火力発電案件等において損失を計上し、案件ごとの採算変動や収益のボラティリティを十分に抑制できませんでした。また、拠点案件を含むリスク審査やリソース配分の徹底、一部新規領域における収益化の進捗にも課題を残しました。こうした反省を踏まえ、当社グループは、受注前から完工までのプロジェクトリスク管理を一層強化するため、2025年1月にプロジェクト管理本部を新設し、当社主体の案件のみならず拠点独自案件も含めた包括的かつ独立的なリスクマネジメント体制の整備を進めております。今後も、案件選別力の強化、契約条件管理および履行中案件へのモニタリング徹底を通じて、規律ある判断のもと、リスクに見合わない案件を的確に見極めて排除し、安定的に利益を創出できる事業基盤の確立を進めてまいります。② 『2026年度~2030年度 中期経営計画』について当社グループは、長期ビジョンである「TOYO VISION 2040」の実現に向け、2026年度から2030年度に向けた中期経営計画において、経営基盤を一層強靱にしつつ、「EPCの枠を超え、社会価値を共創・実装するパートナー」へ進化していくことを大きな方向性としております。その実現に向けては、EPCを核とした確かな遂行力を前提に、構想・設計・建設・運用・保全・改修まで、プラントライフサイクル全体で価値を創出する事業モデルへの転換を進めてまいります。あわせて、O&M(運転・保守)、ファインケミカル、バイオ医薬、次世代地熱、重要鉱物といった分野を成長ドライバーとし、注力重点地域であるインド・中央アジア・アフリカに戦略的に資源を配分してまいります。また、2026年4月1日付で実施した組織改正は、この方向性を支える基盤整備を先行して進めたものであり、プロジェクト遂行力の強化、新規事業創出力の強化、およびコーポレート機能の戦略性向上を通じて、中長期的な企業価値向上を下支えしてまいります。なお、外部環境が大きく変化し得る中、当社グループは、計画を固定的に捉えることなく、適時に、必要に応じた見直しを通じて戦略の優先順位や資源配分を見直してまいります。これにより、利益の安定化、事業ポートフォリオの高度化、人財力の強化を着実に進めてまいります。 今後の重点課題としては、第一に、受注前審査・契約条件管理・履行中モニタリングの更なる徹底を通じたEPC事業の収益安定化、第二に、当社グループの強みが活かせる市場・商品・地域への集中による高付加価値化、第三に、技術・人財・DXを組み合わせたライフサイクルサービスおよび新規事業の育成であると認識しております。これらの課題に着実に取り組むことで、当社グループは持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。 (4) 2027年3月期連結業績予想 (単位:百万円) 連結受注高200,000完成工事高190,000営業利益3,000経常利益7,500親会社株主に帰属する当期純利益6,000 [本業績見通しにおける想定為替レート]1米ドル=150円
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」と記載します。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態および経営成績の状況a. 財政状態(流動資産)当連結会計年度末における流動資産の残高は2,137億円で、前連結会計年度末から305億円減少しております。現金預金が149億円増加した一方、受取手形・完成工事未収入金等が366億円減少したことなどが主な原因であります。 (固定資産)当連結会計年度末における固定資産の残高は474億円で、前連結会計年度末から50億円増加しております。投資その他の資産が59億円増加したことなどが主な原因であります。 (流動負債)当連結会計年度末における流動負債の残高は1,821億円で、前連結会計年度末から5億円減少しております。短期借入金が192億円、未成工事受入金が36億円それぞれ増加した一方、支払手形・工事未払金等が295億円減少したことなどが主な原因であります。 (固定負債)当連結会計年度末における固定負債の残高は353億円で、前連結会計年度末から84億円減少しております。長期借入金が101億円減少したことなどが主な原因であります。 (純資産)当連結会計年度末における純資産の残高は437億円で、前連結会計年度末から165億円減少しております。親会社株主に帰属する当期純損失を149億円計上したほか、配当金14億円の支払などが主な原因であります。 b. 経営成績(完成工事高)当連結会計年度における完成工事高は、主にタイ向け石油化学プラント、トルクメニスタン向け石油化学プラント等の複数のプロジェクトが進捗した一方、大型プロジェクトの期間進捗率が前年同期と比較して減少した結果、前連結会計年度比951億円(34.2%)減の1,829億円となりました。 (完成工事総利益)当連結会計年度における完成工事総利益は、主にブラジル向けガス火力発電案件における収支悪化により、前連結会計年度比196億円(75.3%)減の64億円となりました。 (営業損益)当連結会計年度における営業損失は、前述の完成工事総利益の減少に加え、販売費及び一般管理費が増加した結果、190億円(前連結会計年度は営業利益25億円)となりました。 (経常損益)当連結会計年度における経常損失は、持分法による投資利益83億円を計上した一方、営業損失の計上により、113億円(前連結会計年度は経常利益64億円)となりました。 (税金等調整前当期純損益)当連結会計年度における税金等調整前当期純損失は、113億円(前連結会計年度は税金等調整前当期純利益50億円)となりました。 (親会社株主に帰属する当期純損益)当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は、税金費用を35億円計上した結果、149億円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益20億円)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」と記載します。)の残高は、前連結会計年度末と比較し144億円増加し、869億円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失113億円の計上および仕入債務の減少があった一方で、売上債権の減少や、利息及び配当金の受取額の増加などにより、93億円の資金増加(前連結会計年度は230億円の資金減少)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出、投資有価証券の売却による収入などにより、1億円の資金増加(前連結会計年度は197億円の資金減少)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による支出、借入金の収支などにより、62億円の資金増加(前連結会計年度は6億円の資金増加)となりました。 ③ 生産、受注および販売の実績a. 受注実績当連結会計年度における当社および当社の連結子会社の受注実績は次のとおりであります。 期別工事別期首繰越工事高(百万円)期中受注工事高(百万円)計(百万円)期中完成工事高(百万円)次期繰越工事高(百万円)前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)海外 石油化学71,83529,428101,26436,75760,951石油・ガス66,59635,960102,55771,38559,770発電・交通システム等16,89653,91470,81118,04066,819化学・肥料84,93638,500123,43781,70146,043医薬・環境・産業施設2,3401,5663,9062,0751,885その他3,6701,3254,9963,1051,887小計246,277160,695406,973213,065237,356国内 石油化学11,47115,94427,41610,74116,636石油・ガス3158,7439,0586,9512,106発電・交通システム等32,1301,19533,32528,2553,830化学・肥料3878,4468,8331,6317,202医薬・環境・産業施設9,02236,74345,76511,24734,513その他706,1956,2656,19767小計53,39777,268130,66665,02564,356合計※10,705299,675237,964537,639278,091※2,242301,713当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)海外 石油化学60,95185,452146,40358,74085,198石油・ガス59,7707,25167,02234,64924,390発電・交通システム等66,8191,78768,60614,23741,968化学・肥料46,04328,57974,62338,01536,794医薬・環境・産業施設1,8853,0254,9103,6741,216その他1,8872,4154,3032,4031,865小計237,356128,512365,869151,720191,434国内 石油化学16,63652517,1626,38710,628石油・ガス2,1067,7059,8115,7534,054発電・交通システム等3,8303094,1391,436694化学・肥料7,20229,78636,9886,21030,787医薬・環境・産業施設34,5136,68841,2019,08231,723その他672,3582,4262,34876小計64,35647,373111,72931,22077,964合計※2,242301,713175,885477,598182,941※△558269,399 (注) 1 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前連結会計年度8,451百万円、当連結会計年度1,302百万円)を含んでおります。2 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前連結会計年度33,712百万円、当連結会計年度△26,560百万円)を含んでおります。3 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。 (参考情報) 当連結会計年度における持分法適用関連会社の当社持分相当の期中受注工事高は244,611百万円、次期繰越工事高は233,026百万円であります。 当連結会計年度の受注実績は、インド向け石油化学プラント、トルクメニスタン向け石油化学プラント、韓国向け化学プラント等を受注し、1,758億円(前連結会計年度比26.1%減)となりました。なお、持分法適用関連会社の当社持分相当の受注高を含めた総受注高は4,204億円、総受注残高は5,024億円となりました。 なお、提出会社における受注実績は次のとおりであります。 期別工事別期首繰越工事高(百万円)期中受注工事高(百万円)計(百万円)期中完成工事高(百万円)次期繰越工事高(百万円)前事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)海外 石油化学51,5258,12659,65222,33832,857石油・ガス8,4037219,1246,0663,352発電・交通システム等2,473―2,47392,236化学・肥料59,82413,64273,46654,80521,405医薬・環境・産業施設―161616―その他1,29201,2921,227―小計123,51922,506146,02584,46259,852国内 石油化学10,7003,27913,9799,3684,549石油・ガス30413343735681発電・交通システム等32,1301,19533,32528,2553,830化学・肥料3878,0708,4571,5706,887医薬・環境・産業施設827,10427,11290126,211その他68592883小計43,53639,86883,40540,54041,563合計※4,021167,05662,375229,431125,002※△75101,415当事業年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)海外 石油化学32,85745,93578,79336,33341,739石油・ガス3,3523,8327,1842,6982,729発電・交通システム等2,236342,271342,236化学・肥料21,4051,04422,44911,71610,111医薬・環境・産業施設―――――その他―202020―小計59,85250,867110,71950,80256,818国内 石油化学4,5493474,8973,4321,318石油・ガス8194175171―発電・交通システム等3,8303094,1391,436694化学・肥料6,88729,75736,6445,85630,787医薬・環境・産業施設26,2113,63029,8414,52025,321その他32327260小計41,56334,16275,72515,44558,122合計※△75101,41585,029186,44566,248※△21114,940 (注) 1 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前事業年度3,134百万円、当事業年度△14百万円)を含んでおります。2 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前事業年度△6,147百万円、当事業年度△5,242百万円)を含んでおります。3 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。 b. 売上実績当社グループはEPC事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。主な相手先別の売上実績および総売上実績に対する割合は、次のとおりであります。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)Indorama Fertilizer FZE48,99917.62―― (注) 1 当連結会計年度のIndorama Fertilizer FZEについては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。 2 当連結会計年度については、当該割合が100分の10以上を占める相手先が存在しないため、記載を省略しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a. 財政状況概要は「(1)経営成績等の概要 ①財政状態および経営成績の状況 a.財政状態」に記載したとおりです。受取手形・完成工事未収入金等の減少の影響等により、総資産の残高は2,611億円となり、前連結会計年度末から254億円減少しました。総負債につきましても、支払手形・工事未払金等の減少等に伴い、残高は前連結会計年度末から89億円減少の2,174億円となりました。純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純損失149億円の計上、配当金の支払等に伴い、残高は前連結会計年度末から165億円減少の437億円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度の20.9%から16.7%へと推移しました。 b. 経営成績概要は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」および「(1)経営成績等の概要 ①財政状態および経営成績の状況 b.経営成績」に記載したとおりです。 当期の期初に公表した業績見込みとの比較は以下のとおりです。 (単位:億円) 2025年5月15日公表業績見込み2026年3月期実績受注高1,7001,758完成工事高2,0001,829営業利益または営業損失(△) 15△190経常利益または経常損失(△) 65△113親会社株主に帰属する当期純利益または親会社株主に帰属する当期純損失(△) 50△149 持分法適用関連会社の当社持分相当の2026年3月期受注実績は2,446億円となりました。 完成工事高は、タイ向け石油化学プラント、トルクメニスタン向け石油化学プラント等の複数のプロジェクトが順調に進捗したものの、主にブラジル向けガス火力発電案件における収益の減額により、期初予想の2,000億円から171億円減少し、1,829億円となりました。営業損益は、主にブラジル向けガス火力発電案件における収支の悪化により、期初予想の営業利益15億円から205億円減少し、190億円の営業損失となりました。経常損益は、持分法による投資利益の増加等による改善があったものの、営業損失の計上により、期初予想の経常利益65億円から178億円減少し、113億円の経常損失となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、税金費用35億円を計上した結果、期初予想の親会社株主に帰属する当期純利益50億円から199億円減少し、149億円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。 ブラジル向けガス火力発電案件におきましては、契約対価の改訂および工期の見直し等について、顧客と協議を継続しておりましたが、最終的に合意に至らず、当社グループは2025年7月に仲裁を申し立てております。一方、顧客は工期遅延に関わる予定損害賠償金の適用を主張し、当社グループが既に履行した役務に対する対価の支払を2025年10月以降停止したこともあり、顧客による支払留保額が累積する形となりました。このような状況、並びに、仲裁手続きの長期化・顧客の信用状況等を総合的に勘案し、当連結会計年度において、顧客からの契約対価の回収可能性を保守的に評価するとともに、工事の完成までに要する費用を再精査の上で、工事損失を追加計上しています。今後、当社グループといたしましては、仲裁手続きを確実に行い、損失の回復と債権回収に努めてまいります。当連結会計年度におきましては、業績の悪化により、株主・投資家をはじめとするステークホルダーの皆様からの信頼を損なう結果となりましたことを心からお詫び申し上げます。 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載したとおりです。また、当社グループの経営成績における先行指標となります受注実績の概要につきましては、「(1)経営成績等の概要 ③生産、受注および販売の実績」に記載のとおりです。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」に記載した状況を受けて、当連結会計年度の受注実績は1,758億円となりました。持分法適用関連会社の当社持分相当の受注高を含めた総受注高は4,204億円、総受注残高は5,024億円となりました。分野別では、「石油化学」分野の受注実績が860億円(受注実績合計に対して48.9%)と最も大きく、以下、「化学・肥料」分野の受注実績が583億円、「石油・ガス」分野の受注実績が149億円となりました。なお、当社グループはEPC事業のみの単一セグメントであり、セグメント別の記載を省略しております。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関わる情報a. キャッシュ・フローの分析当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」と記載します。)は、主に営業活動による資金の増加93億円の影響により、前連結会計年度末から144億円増加し、869億円となりました。概要は「(1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりです。当連結会計年度における資金の増加の主な要因は、進行中の一部のプロジェクトにおいて顧客からの資金回収が進捗したことや、持分法適用会社からの受取配当金が増加したことなどによるものです。 b. キャッシュ・フロー指標のトレンド経営成績 2023年3月期2024年3月期2025年3月期2026年3月期キャッシュ・フロー対有利子負債比率2.36.0△2.26.6インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)18.08.3△19.14.5 (注) キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い * 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。 * キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。 * 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象と しております。 c. 資本の財源および資金の流動性に関わる情報(資金需要) 当社グループは、現金及び現金同等物ならびに営業活動によるキャッシュ・フローを資金の源泉としております。資金需要の主なものは、進行中プロジェクトの遂行に関わる機器資材の購入や外注費等の費用、従業員給料手当等の人件費、営業費用・DX・研究開発に係る活動費といった販売費及び一般管理費、IT基盤の充実に関わる設備投資等となります。当連結会計年度における損失計上を踏まえ、財務基盤の回復・安定化を優先させつつ、株主還元の実施および、将来の成長に資する人的資本・戦略領域への選択的な投資を計画してまいります。 (資金調達)当社グループは、円滑な事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持および健全な財務状態の維持を財務方針としており、資金需要に対して必要充分な水準の手元流動性として月商の2.5ヶ月分程度の資金残高を確保すべく、自己資金のほか、銀行からの借入による資金調達を行っております。当連結会計年度末の資金残高は869億円となり、必要な流動性水準を維持しました。なお、安定的な経常運転資金枠の確保、マーケット環境の一時的な変化等の不測の事態への対応手段確保の観点から、取引銀行10行と総額90億円の貸出コミットメント契約を締結しております。なお、これら契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高はありません。 (財務上の課題)当社グループの財務上の課題は、安定的な配当の継続と自己資本の着実な蓄積を両立させ、企業価値の向上に向けた成長軌道に乗せることです。当社グループは、2021年度~2025年度中期経営計画の振り返りを行うとともに、その結果を踏まえ、経営基盤を一層強靱にしつつ、「EPCの枠を超え、社会価値を共創・実装するパートナー」へ進化していくことを大きな方向性とする、2026年度~2030年度中期経営計画を策定いたしました。新中期経営計画においては、収益力のさらなる強化に向け、以下の取り組みを推進してまいります。 1. EPCを核とした確かな遂行力を前提に、構想・設計・建設・運用・保全・改修まで、プラントライフサ イクル全体で価値を創出する事業モデルへの転換を進めてまいります。2. O&M(運転・保守)、ファインケミカル、バイオ医薬、次世代地熱、重要鉱物といった分野を成長ドライ バーとし、注力重点地域であるインド・中央アジア・アフリカに戦略的に資源を配分してまいります。 これらの取り組みにより、2030年度までに自己資本を750億円前後まで積み上げることを目標といたします。ROEについては資本コストを上回る12%を維持することを目指し、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。 (株主還元)当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題として位置づけております。具体的な株主還元方針の内容については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。 (事業等のリスクに記載した重要事象等関連)当社グループは、当連結会計年度末において、金融機関との間で締結している借入契約に付された財務制限条項に抵触しておりましたが、「3 事業等のリスク (9)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、有価証券報告書提出日現在、当該金融機関と財務制限条項の見直しに関して変更契約を締結したことにより、当該抵触は解消しており、金融機関からの支援体制も十分に確保されております。 ③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、経営者による会計方針の選択や適用、また、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を与える見積りおよび仮定を用いております。経営者は、これらの見積りおよび仮定に基づく数値について過去の実績や状況に応じ合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性が存在する為、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。なお、なかでも特に重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (a)完成工事高および完成工事原価「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り) 1 一定の期間にわたり履行義務を充足し認識する収益」に記載しております。 (b)工事損失引当金当連結会計年度末において損失の発生が見込まれる未引渡工事に係る将来の損失に備えるため、その損失見込額を計上しています。工事施工の途中において見積りを超える原価が発生した場合、引当金の追加計上、追加損失の計上が必要となる可能性があります。 (c)貸倒引当金営業債権、貸付金等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率に基づき、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に債権の回収可能性を検討し、回収不能見込額を引当金として計上しています。顧客の財政状況が悪化し、その支払い見通しが変動した場合、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。 (d)退職給付に係る資産または負債退職給付債務および退職給付費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算定しており、これらの前提条件には、割引率、予定昇給率、退職率、死亡率および年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。前提条件の変動により、将来の退職給付に係る資産または負債、および退職給付費用の金額に影響を与える可能性があります。 (e)繰延税金資産「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り) 2 繰延税金資産の評価」に記載しております。

事業リスク

  • プロジェクト遂行の共通リスク
    グローバルな環境下での長期間にわたるプラント建設工事は、政治・経済情勢の変化、自然災害、顧客や取引先の状況など、多くの外的要因に影響されます。これにより、受注額の大幅な減少やプロジェクトの中止・延期が発生し、収益悪化や工事代金回収不能のリスクがあり、経営成績や財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • カントリーリスクと為替変動
    世界各国で事業を展開しているため、戦争、内乱、テロ、貿易・金融政策の変更、為替レートの著しい変動といった「カントリーリスク」に常に晒されています。これらのリスクが顕在化すると、プロジェクトの中止や中断、収支の悪化、工事代金回収不能などが発生し、同社のグローバル事業に深刻な影響を与える可能性があります。
  • 気候変動と事業機会
    気候変動に関する政策強化は、従来の化石燃料関連プラントの需要減少やコスト増大を招く可能性があります。また、新技術開発や省エネ対応の遅れは事業機会の逸失につながり、自然災害の激甚化はプロジェクト遂行に影響を及ぼす恐れがあります。これらのリスクに適切に対応できない場合、財務状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|3,226 文字
3 【事業等のリスク】投資者の判断に重要な影響を与える可能性のあるリスクの内容および程度につき当社グループが認識している事項は以下のとおりであります。但し、列挙した項目は例示であり、限定的なものではありません。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 (1) 当社グループ事業としてのプロジェクトの受注および遂行に伴う共通リスク当社グループはグローバルな環境における長期間に渡るプラント建設工事を主たる事業としているため、当社グループ内の各種リソースの状況等の内的要因や、客先や取引先をはじめとする各ビジネスパートナーの状況、各国・各地域の政治・経済情勢および自然災害等の外的要因に起因して、受注額が大きく減少したり、プロジェクトの中止、中断または延期等による収支の悪化や工事代金の回収不能等によって、当社グループの経営成績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループはこのようなプロジェクトの受注および遂行に関するリスクに対して、受注前の情報収集を密にして、プロジェクトの内容を審査し、併せてリスクの把握と評価に努めることによって、合理的な対応策を策定するとともに、受注後も定期的な報告とモニタリングを通じた適切な対応策を講じることで、リスクの軽減に努めております。 (2) 感染症によるリスク各種感染症の流行により、当社グループの事業の遂行に影響を与える可能性があります。感染症が発生した場合、当社グループは、協力会社を含めた従業員およびその家族、更に地域の方々の安全を最優先とし、テレワークや時差出勤の推奨、事業所および建設現場内での感染拡大防止対策に取り組みます。 (3) カントリーリスク 当社グループは、世界各国・各地域の拠点、パートナー、顧客、取引先等と連携し、グローバルに事業活動を行っているため、戦争、内乱、テロ等の非常事態の発生や貿易、金融政策等の各種政策の変更、為替レートの著しい変動等のカントリーリスクの顕在化によって、プロジェクトの中止、中断または延期等による収支の悪化や工事代金の回収不能等の様々な影響が生じる可能性があります。このようなリスクに対応するため、各地の情勢や政策等に関する情報収集を行い、リスクに応じた契約条件の設定(契約建値の設定、支払い条件、顧客とのリスク分担条項等)、為替予約、機器・資材の調達先や工事発注先の分散化等の可能な対策を講じ、プロジェクト収支の維持・向上に努めております。 (4) コンプライアンスに関するリスク当社グループの事業は、国内外の労働法規、個人情報保護法、税法、輸出入管理規制、不正競争防止法等の広範な法律や規制に服しており、これらの法令の変更、予測しえない解釈等により、法令遵守対応の負担が増加する可能性があります。法令に違反する行為または疑義を持たれる行為が万が一発生した場合、当社グループに追加の負担、営業の中断や信用の低下等が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。当社グループはこのようなリスクに対して、役職員行動規範、コンプライアンス・マニュアル等の周知徹底、当社グループ統一の内部通報制度の整備・運用およびChief Compliance Officer(CCO)を委員長とするコンプライアンス委員会を中心とした啓蒙・推進活動の実施により、法令遵守体制の強化に努めております。 (5) 情報セキュリティに関するリスク当社グループは、当社グループおよび当社グループと取引関係にある法人または個人の技術上および営業上その他の業務上の企業秘密情報および個人情報を保持・管理しておりますが、コンピューターウイルスの感染、外部からの不正アクセスやサイバー攻撃等によりシステム障害、情報の漏洩、破壊または改ざん等があった場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。当社グループは、情報資産マネジメント規程およびHSE・品質・情報セキュリティ基本方針に従い、事業継続のために必要な情報セキュリティに関する管理計画の策定・維持、SQE統括担当部門による各部門の情報セキュリティマネジメント活動の推進、情報セキュリティマネジメントに関する啓発教育、各部門の情報セキュリティマネジメント活動の監査および監査結果のICT委員会への報告等を行い、リスクの軽減に努めております。 (6) 投資等に関するリスク当社グループは、新会社の設立や事業会社の買収等の事業投資を行うことがあります。それらの事業投資において多額の資本拠出や投資先に対する貸付・保証等の信用供与を行う場合がありますが、事業環境の変化等により、業績の停滞等に伴い投資にかかわる損失が発生するリスクがあります。当社が出資しているグループ各社の事業運営に関しては、グループ経営管理部門がグループ会社の状況を適時に把握するよう努めており、上述のようなリスクが起こらぬよう努めております。 (7) 気候変動に関するリスク当社グループの事業における気候変動に関するリスクとしては、各種関連政策等による従来型プラントの需要の減少やコストの増大、新技術の開発や省エネ対応への遅れによる事業機会の逸失、電源構成・商品等の市場の変化、自然災害の激甚化等によるプロジェクト遂行への影響が想定されます。こうしたリスクに適切に対応できない場合、財務状態や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。一方、当社グループでは、気候変動に関する課題への対応は、新たな事業機会獲得にもつながる重要な経営課題であると認識しております。技術、製品・サービスや市場の観点からは、新たな技術を適用した非従来型プラントやアンモニア・水素/合成ガス技術/CO2資源化等のノウハウ・実績を活用した受注機会の増加、また、省エネ、廃プラ・再生プラ等の循環型分野や高機能素材分野の受注機会の増加等が想定されます。当社グループとしては、ステークホルダーとの協調、技術・製品・ソリューションの提供により、引き続き、気候変動対策に取り組んでまいります(上記「2 サステナビリティに関する考え方及び取組、(2)気候変動への対応 (TCFD提言への取組み)」参照)。 (8) 工事従業者および機器資材に関するリスク プラント建設地、機器資材の調達地において、工事従事者の不足・賃金の高騰、機器資材の価格高騰が発生した場合、建設工事の遅延および建設工事費の増加等の様々な影響が生じるリスクがあります。このようなリスクに対応するため、継続的に市場動向をモニタリングし、工事従事者の不足・賃金の高騰に対しては、モジュール工法の採用による工事最適化等の対策、機器資材の価格高騰に対しては、調達先候補の多様化、調達先との交渉、客先への価格転嫁、予定調達先の振替等の対策によりリスクの軽減に努めてまいります。 (9) 継続企業の前提に関する重要事象等 当社グループは、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおり、当連結会計年度において、ブラジル向けガス火力発電案件における収支悪化により財政状態が悪化したことから、当連結会計年度末において、金融機関との間で締結している借入契約に付された財務制限条項に抵触しておりました。 しかしながら、有価証券報告書提出日までに、当該金融機関と財務制限条項の見直しに関して変更契約を締結したことにより、当該抵触は解消しております。加えて、金融機関からの支援体制も十分に確保されていることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況は存在していないものと判断しております。

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