事業の概要
- 水環境事業の展開月島ホールディングスは、上下水道や汚泥処理、バイオマス利活用設備といった水環境インフラの設計・建設を主力としています。浄水場や下水処理場のプラント建設から、脱水機や焼却炉などの単体機器の設計・販売まで幅広く手掛け、社会の重要なインフラを支える事業です。
- 官民連携事業への参画PFIやDBO方式といった官民連携事業にも積極的に参加しており、下水処理場での消化ガス発電事業など、公共性の高いプロジェクトを通じて収益を上げています。プラントの運転・維持管理・補修サービスも提供し、長期的な安定収益源を確保しています。
- 産業インフラと環境事業化学分野やライフサイエンス、二次電池製造に関連する産業インフラ設備の設計・建設・補修工事も行っています。また、廃液や固形廃棄物処理などの環境関連設備も手掛け、晶析装置やろ過機などの単体機器の製造・販売も行い、多岐にわたる産業の基盤を支えています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 水環境事業上下水道や汚泥処理、バイオマス利活用設備など、水環境インフラの設計・建設・維持管理を担う事業です。浄水場や下水処理場のプラント、脱水機や焼却炉などの単体機器の提供、PFIやDBOといった官民連携事業も含まれます。売上高は926.89億円、営業利益は61.36億円と、グループの主要な稼ぎ頭となっています。
- 産業事業化学分野、ライフサイエンス、二次電池製造関連の産業インフラ設備や、廃液・固形廃棄物処理などの環境関連設備の設計・建設・補修工事を行う事業です。晶析装置やろ過機、遠心分離機などの単体機器の製造・販売も手掛けています。売上高は452.08億円、営業利益は21.22億円であり、水環境事業に次ぐ規模です。
- その他事業物流施設や事務所ビル、駐車場の不動産管理・賃貸、大型図面や各種書類の印刷・製本など、上記二つの主要事業以外の業務を指します。具体的な売上や利益の数値は示されていませんが、グループ全体の事業を補完する役割を担っています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| WaterEnvironmentalBusiness | 地域 | 927 | 61 | 6.6% |
| IndustrialBusiness | 地域 | 452 | 21 | 4.7% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社グループは、当連結会計年度末現在、当社と子会社41社および関連会社15社で構成され、上下水道および汚泥再生処理・バイオマス利活用設備を主要マーケットとする水環境事業と、化学分野やライフサイエンス分野などに関連する産業インフラ設備および廃液・固形廃棄物処理や廃ガス・廃水処理などの環境関連設備を主要マーケットとする産業事業の2つを主たる事業と位置付けており、それら以外の事業をその他としておりますが、その主要な事業内容は以下のとおりであります。なお、以下の事業区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 事業区分主要な事業内容 水環境事業1)浄水場・下水処理場、汚泥再生処理・バイオマス利活用向けプラントなどの設計・建設 2)前項1)に使用される脱水機、乾燥機、焼却炉など各種単体機器の設計・販売 3)前項1)のプラントに関連するPFI、DBO、下水処理場における消化ガス発電事業、関連するサービス業務などの官民連携事業 4)前項1)のプラント・機器の運転・維持管理・補修およびこれらに付随する業務 産業事業 1)化学分野および二次電池製造関連設備、廃液・固形廃棄物処理などのプラントの設計・建設・補修工事 2)上記プラントに使用される晶析装置、ろ過機、遠心分離機、乾燥機、ガスホルダ、酸回収装置、攪拌機等の各種単体機器の設計・製造・販売 3)一般・産業廃棄物処理事業 その他1)事務所ビル・駐車場などの不動産管理・賃貸 2)大型図面・各種書類等の印刷・製本 <主な関係会社>(水環境事業)月島JFEアクアソリューション㈱、月島ジェイテクノメンテサービス㈱、月島ジェイアクアサービス機器㈱、寒川ウォーターサービス㈱、尾張ウォーター&エナジー㈱、㈱バイオコール京都鳥羽、横浜西谷ウォーターサービス㈱、市原バイオサイクル㈱、㈱bay eggs、㈱横浜Bay Link、箱根水道パートナーズ㈱、㈱豊橋バイオウィル、㈱長岡バイオキューブ、アクアペックスおやま㈱、アクアペックスさかい㈱、小山エナジーサイクル㈱、グリーンサイクルパワーいわき㈱、つばめ・やひこウォーターサービス㈱ (産業事業)月島機械㈱、月島環境エンジニアリング㈱、三進工業㈱、プライミクス㈱、サンエコサーマル㈱、BOKELA有限会社、テーエスケーエンジニアリング(タイランド) Co., Ltd. (その他)月島ビジネスサポート㈱ 当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 各事業における当社および関係会社の位置づけは次のとおりとなります。 事業の系統図(2026年3月31日現在)
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 個別受注生産のため資材調達価格や外注費の変動、設計変更による追加コストが発生する。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 浄水場・下水処理場、汚泥再生処理・バイオマス利活用プラントなどの設計・建設技術。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 中程度 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:公共投資・設備投資の変動 / 地政学的リスク・世界経済の不透明感 / 海外事業展開に伴う為替・政情不安リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
月島ホールディングスは、特定の強力なブランド、特許ポートフォリオ、または規制ライセンスに依存する事業モデルではなく、主にエンジニアリング能力と顧客との関係構築に強みを持つと見られる。そのため、無形資産による競争優位性は限定的である。
スイッチングコスト★★★☆☆
プラントエンジニアリングや食品機械分野では、顧客の生産ラインやプロセスに深く組み込まれるため、サプライヤー変更に伴うコストやリスクが大きい。特に、カスタマイズされた大型設備や長期的なメンテナンス契約は、スイッチング・コストを高める要因となる。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
同社の事業は、特定のプラットフォームやサービスを共有するユーザーが増えることで価値が増大するネットワーク効果を持つものではない。個々の顧客との個別契約が中心であり、プラットフォーム型のビジネスモデルではない。
コスト優位★☆☆☆☆
製造業としての規模の経済や効率化の努力は存在するが、競合他社と比較して構造的に大幅なコスト優位性を確立しているという明確な証拠はない。設計・製造・据付・保守といった一連のプロセスにおける効率化が競争力の源泉の一つである。
規模の経済★★★☆☆
プラントエンジニアリングや食品機械分野において、一定の業界規模と実績を持つ企業は限られており、同社は主要プレイヤーの一つとして、プロジェクト遂行能力やサプライチェーン管理において効率規模の恩恵を受けていると考えられる。特に大型プラント案件では、規模が重要となる。
- 水環境事業の総合力浄水場や下水処理場といった社会インインフラの設計から建設、維持管理までを一貫して手掛ける総合力が強みです。特に、汚泥再生処理やバイオマス利活用設備といった環境負荷低減に貢献する技術は、持続可能な社会へのニーズが高まる中で競争優位性となります。
- 多様な単体機器の技術力脱水機、乾燥機、焼却炉、晶析装置、ろ過機など、多種多様な単体機器の設計・製造・販売を行っており、それぞれの分野で培われた専門技術が強みです。これにより、顧客の多様なニーズに応じた最適なソリューションを提供できる点が競争優位に繋がります。
- 官民連携事業の実績とノウハウPFIやDBO、消化ガス発電事業など、地方自治体との官民連携事業に多数参画しており、その実績とノウハウは大きな強みです。公共性の高い事業において、信頼性と安定した運営能力が求められる中で、長年の経験が競争優位性を確立しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 中長期的な会社の経営方針当社グループは、上下水道および汚泥再生処理・バイオマス利活用設備を主要マーケットとする水環境事業と、化学分野やライフサイエンス分野などに関連する産業インフラ設備および廃液・固形廃棄物処理や廃ガス・廃水処理などの環境関連設備を主要マーケットとする産業事業の2つを主たる事業と位置付けており、それら以外の事業をその他としております。当社グループは、持続的な成長を目指すために、「サステナビリティ経営の推進」「事業領域の拡充とグループ収益力の強化」「資本効率の向上と株主還元の拡充」を基本方針とした中期経営計画(2023年4月~2027年3月)を推進することで、企業価値の向上に取り組んでまいりました。中期経営計画の最終年度となる2027年3月期の数値目標については、連結売上高1,520億円、連結営業利益110億円、親会社株主に帰属する当期純利益85億円を目指してまいります。 (2) 目標とする経営指標当社グループでは、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益を重要な経営指標と位置付けており、2027年3月期は営業利益110億円、親会社株主に帰属する当期純利益85億円の達成を目標としております。 2025年3月期(実績)2026年3月期(実績)2027年3月期(目標値)営業利益8,915百万円9,842百万円11,000百万円親会社株主に帰属する当期純利益6,669百万円16,910百万円8,500百万円 (3) 会社の対処すべき課題当社グループの事業環境に関する今後の景況感につきましては、米国の関税政策およびロシアによるウクライナ侵攻の長期化などの地政学的リスクの影響により先行きが不透明な状況が続いております。国内では、企業の設備投資活動が堅調に推移しているものの、中東における軍事衝突の発生に伴う原材料・原油価格の高騰、石油関連製品の調達や為替・資源価格の変動などが経済活動に与える影響に留意する必要があります。国内の上下水道分野は、水インフラ関連の投資は設備の老朽化対応を背景とした更新需要は引き続き堅調に推移していくものと推測されますが、中長期的には人口減による市場規模の縮小、および競争の激化等により事業環境が厳しくなることが予想されております。当社グループは事業基盤の安定化と規模の拡大に向けた取組として、2023年10月にJFEエンジニアリング株式会社との国内水エンジニアリング事業の統合を実施したほか、2026年1月には水処理、下水処理の運転管理業務を展開する東日本エンジニアリング株式会社を子会社化した上で、同年4月に同社を月島ジェイテクノメンテサービス株式会社は吸収合併いたしました。今後も引き続き持続的な成長に向けた施策に取り組んでまいります。民間の設備投資については、化学分野において汎用化学品から高付加価値品への移行や、温室効果ガス削減への対応を背景とした環境対応技術の導入需要が、堅調に推移すると見込んでおります。一方で、中東情勢の緊迫化が顧客の投資判断に影響を与える懸念があることから、その動向を注視してまいります。当社グループは、こうした市場環境の変化を捉え、継続的な技術力強化や新商品開発を通じて、化学やライフサイエンス、環境関連分野などの機器・プラントの受注拡大に取り組んでまいりました。今後も、リチウムイオン二次電池など中長期的な需要が見込まれる分野を中心に、競争力強化と受注確保に努めてまいります。また、事業ポートフォリオマネジメントを実行するための戦略投資として、DX推進およびM&A、アライアンスの具現化に取り組んでまいります。 ① サステナビリティ経営の推進当社グループは、持株会社体制の移行に伴い、目指す方向性と存在意義を明確化するため、パーパスとして「環境技術で世界に貢献し未来を創る」を定義いたしました。また、従来の企業理念をグループ企業理念として再定義し、2030年に向けた長期ビジョン「豊かな生活・文化の創造に貢献し、快適でサステナブルな社会を実現する」を新たに制定いたしました。当社グループは、様々な環境・社会問題の解決を通じステークホルダーの皆様とともに事業の持続的な成長を実現するため、サステナビリティ経営に取り組んでまいります。事業を通じた温室効果ガス削減への貢献については、最重要KPIとして脱炭素(ネットゼロ)社会へ貢献する事業の売上高比率を水環境・産業事業ともに20%以上、脱炭素(ネットゼロ)社会へ貢献する研究開発費の比率を30%以上と掲げております。当連結会計年度における売上高比率は水環境事業で38%、産業事業で42%、研究開発費は35%となりました。引き続き、気候変動などの環境課題の解決に取り組み、事業を通じて温室効果ガス削減へ貢献するため、カーボンニュートラルな資源である下水汚泥のエネルギー活用や、電気自動車などで利用されるリチウムイオン二次電池の材料を製造する設備の拡販を推進してまいります。当社グループでは、月島ホールディングス代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会ならびにその下部組織である4つの分科会において、サステナビリティ経営に関連する各種施策の検討および推進に取り組んでおります。2025年度の主要な実施事項は次のとおりです。1.社員向けエンゲージメント調査に基づく経営施策の継続的実行:福利厚生の充実、ダイバーシティ&インクルージョンやキャリアアップに関する研修の実施、首都圏大地震を想定した事業継続計画(BCP)訓練の実施、経営陣とのタウンホールミーティングの開催、くるみん認定の取得等2.温室効果ガス:八千代R&Dセンターへ太陽光発電設備の設置稼働、Scope3の算出等3.人権尊重関連:サプライヤーアンケートの実施、人権ハンドブックに基づいた社内教育の実施4.DX推進:基幹・人事システム刷新プロジェクトの推進 当社グループは、今後とも働きがいのある職場環境と制度の整備、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んでまいります。 ② 事業領域の拡充とグループ収益力の強化水環境事業においては、2023年10月にJFEエンジニアリング株式会社の国内水エンジニアリング事業を統合しました。国内上下水道分野の設備老朽化に伴い更新需要が見込まれるなか、両社の経営資源・ノウハウを集約させ、技術・サービスを高度化し、強固な事業基盤を構築することで、水インフラ業界において強固な地位を確立し、リーディングカンパニーを目指してまいります。再生可能エネルギーを生み出す下水汚泥燃料化、消化ガス発電事業などの創エネルギー事業や、両社の技術を融合させた汚泥焼却炉『OdySSEA-TurboTM(オデッセアターボ)』の拡販などに取り組んでまいります。近年、案件数が増加しているPFI、DBO事業や包括O&M業務などの官民連携事業については、統合効果によりノウハウと実績を積み重ねることで対応力を強化してまいります。技術開発については、循環型社会の構築に貢献する下水からのリン回収技術やICT/AI活用技術に取り組んでおり、事業基盤および競争力の強化に努めてまいります。当事業年度における成果の一例として、遠隔支援やAIによる自律制御などを統合した、水インフラ運営向け次世代型総合デジタルソリューション『OPTINOA®(オプティノア)』の提供を開始しました。産業事業においては、産業インフラ分野では月島機械株式会社がリチウムイオン二次電池の性能を左右する正極材活物質の製造に不可欠な晶析などの微粒子製造技術の強化を進めており、新たに開発した「超微粒子晶析装置」のテスト機を受注しました。また、化粧品・食品・医薬などのライフサイエンス分野向けではプライミクス株式会社の高速攪拌機、環境分野では月島環境エンジニアリング株式会社の廃液燃焼設備や固形廃棄物焼却設備などの受注が好調に推移しています。さらに各分野においてアフターサービスの強化にも注力し、安定的な受注の確保と収益基盤の強化に取り組んでまいります。 両事業に共通する施策として、温室効果ガス削減に貢献する環境ビジネスや成長性が見込める官民連携事業など付加価値の高い領域を「重点領域」と定義して事業領域をシフトし、2027年3月期は売上高1,520億円、営業利益110億円を目指してまいります。水環境事業では、2026年1月に水処理、下水処理の運転管理業務を展開する東日本エンジニアリング株式会社を子会社化した上で、同年4月に同社を月島ジェイテクノメンテサービス株式会社は吸収合併し、事業基盤を強化いたしました。産業事業では、アンモニア関連技術の活用を推進しており、半導体工場におけるアンモニア廃水処理案件の受注を拡大しております。引き続き、温室効果ガス削減に貢献するため、アンモニアなどの次世代エネルギー技術の開発・活用に取り組んでまいります。また、事業戦略会議を活用し、グループ横断での成長戦略に関する議論を推進することで、持続的な成長を目指してまいります。 ③ 資本効率の向上と株主還元の拡充当社グループは、ROEとROICを経営指標に設定し、資本効率の向上と資本コストを意識した企業価値経営を推進してまいります。また、中期経営計画で策定したキャピタルアロケーションに基づいて、創出した営業キャッシュ・フローに加え政策保有株式の売却を実施し、通常の設備投資に加えデジタルトランスフォーメーション(DX)や人的資本などの戦略投資、株主還元に配分してまいります。M&Aなどの大規模投資には必要に応じて負債等による調達を活用し最適資本構成を目指します。当事業年度では、市川工場跡地における有形固定資産(物流施設)を売却しました。政策保有株式の売却については本中期経営計画の期間内に120億円以上としており、この3年間で93億円の売却を実施しております。売却により生じた資金については、中長期的な企業価値向上に向け、M&Aなどの成長投資や株主還元に最適配分してまいります。株主還元につきましては、後掲「第4 提出会社の状況 3 配当政策」記載のとおり、適宜株主還元方針の見直しを行っております。機動的な自己株式の取得にも取り組んでおり、2025年8月8日に120億円を上限とする自己株式取得(2025年8月12日~2026年8月10日)を決定し、同年10月3日までに上限額(約390万株)までの取得を実行しました。また、同年12月5日には、400万株の自己株式の消却も行いました。今後も収益力の強化と株主還元の充実を図ることで、持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 中長期的な会社の経営方針当社グループは、上下水道および汚泥再生処理・バイオマス利活用設備を主要マーケットとする水環境事業と、化学分野やライフサイエンス分野などに関連する産業インフラ設備および廃液・固形廃棄物処理や廃ガス・廃水処理などの環境関連設備を主要マーケットとする産業事業の2つを主たる事業と位置付けており、それら以外の事業をその他としております。当社グループは、持続的な成長を目指すために、「サステナビリティ経営の推進」「事業領域の拡充とグループ収益力の強化」「資本効率の向上と株主還元の拡充」を基本方針とした中期経営計画(2023年4月~2027年3月)を推進することで、企業価値の向上に取り組んでまいりました。中期経営計画の最終年度となる2027年3月期の数値目標については、連結売上高1,520億円、連結営業利益110億円、親会社株主に帰属する当期純利益85億円を目指してまいります。 (2) 目標とする経営指標当社グループでは、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益を重要な経営指標と位置付けており、2027年3月期は営業利益110億円、親会社株主に帰属する当期純利益85億円の達成を目標としております。 2025年3月期(実績)2026年3月期(実績)2027年3月期(目標値)営業利益8,915百万円9,842百万円11,000百万円親会社株主に帰属する当期純利益6,669百万円16,910百万円8,500百万円 (3) 会社の対処すべき課題当社グループの事業環境に関する今後の景況感につきましては、米国の関税政策およびロシアによるウクライナ侵攻の長期化などの地政学的リスクの影響により先行きが不透明な状況が続いております。国内では、企業の設備投資活動が堅調に推移しているものの、中東における軍事衝突の発生に伴う原材料・原油価格の高騰、石油関連製品の調達や為替・資源価格の変動などが経済活動に与える影響に留意する必要があります。国内の上下水道分野は、水インフラ関連の投資は設備の老朽化対応を背景とした更新需要は引き続き堅調に推移していくものと推測されますが、中長期的には人口減による市場規模の縮小、および競争の激化等により事業環境が厳しくなることが予想されております。当社グループは事業基盤の安定化と規模の拡大に向けた取組として、2023年10月にJFEエンジニアリング株式会社との国内水エンジニアリング事業の統合を実施したほか、2026年1月には水処理、下水処理の運転管理業務を展開する東日本エンジニアリング株式会社を子会社化した上で、同年4月に同社を月島ジェイテクノメンテサービス株式会社は吸収合併いたしました。今後も引き続き持続的な成長に向けた施策に取り組んでまいります。民間の設備投資については、化学分野において汎用化学品から高付加価値品への移行や、温室効果ガス削減への対応を背景とした環境対応技術の導入需要が、堅調に推移すると見込んでおります。一方で、中東情勢の緊迫化が顧客の投資判断に影響を与える懸念があることから、その動向を注視してまいります。当社グループは、こうした市場環境の変化を捉え、継続的な技術力強化や新商品開発を通じて、化学やライフサイエンス、環境関連分野などの機器・プラントの受注拡大に取り組んでまいりました。今後も、リチウムイオン二次電池など中長期的な需要が見込まれる分野を中心に、競争力強化と受注確保に努めてまいります。また、事業ポートフォリオマネジメントを実行するための戦略投資として、DX推進およびM&A、アライアンスの具現化に取り組んでまいります。 ① サステナビリティ経営の推進当社グループは、持株会社体制の移行に伴い、目指す方向性と存在意義を明確化するため、パーパスとして「環境技術で世界に貢献し未来を創る」を定義いたしました。また、従来の企業理念をグループ企業理念として再定義し、2030年に向けた長期ビジョン「豊かな生活・文化の創造に貢献し、快適でサステナブルな社会を実現する」を新たに制定いたしました。当社グループは、様々な環境・社会問題の解決を通じステークホルダーの皆様とともに事業の持続的な成長を実現するため、サステナビリティ経営に取り組んでまいります。事業を通じた温室効果ガス削減への貢献については、最重要KPIとして脱炭素(ネットゼロ)社会へ貢献する事業の売上高比率を水環境・産業事業ともに20%以上、脱炭素(ネットゼロ)社会へ貢献する研究開発費の比率を30%以上と掲げております。当連結会計年度における売上高比率は水環境事業で38%、産業事業で42%、研究開発費は35%となりました。引き続き、気候変動などの環境課題の解決に取り組み、事業を通じて温室効果ガス削減へ貢献するため、カーボンニュートラルな資源である下水汚泥のエネルギー活用や、電気自動車などで利用されるリチウムイオン二次電池の材料を製造する設備の拡販を推進してまいります。当社グループでは、月島ホールディングス代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会ならびにその下部組織である4つの分科会において、サステナビリティ経営に関連する各種施策の検討および推進に取り組んでおります。2025年度の主要な実施事項は次のとおりです。1.社員向けエンゲージメント調査に基づく経営施策の継続的実行:福利厚生の充実、ダイバーシティ&インクルージョンやキャリアアップに関する研修の実施、首都圏大地震を想定した事業継続計画(BCP)訓練の実施、経営陣とのタウンホールミーティングの開催、くるみん認定の取得等2.温室効果ガス:八千代R&Dセンターへ太陽光発電設備の設置稼働、Scope3の算出等3.人権尊重関連:サプライヤーアンケートの実施、人権ハンドブックに基づいた社内教育の実施4.DX推進:基幹・人事システム刷新プロジェクトの推進 当社グループは、今後とも働きがいのある職場環境と制度の整備、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んでまいります。 ② 事業領域の拡充とグループ収益力の強化水環境事業においては、2023年10月にJFEエンジニアリング株式会社の国内水エンジニアリング事業を統合しました。国内上下水道分野の設備老朽化に伴い更新需要が見込まれるなか、両社の経営資源・ノウハウを集約させ、技術・サービスを高度化し、強固な事業基盤を構築することで、水インフラ業界において強固な地位を確立し、リーディングカンパニーを目指してまいります。再生可能エネルギーを生み出す下水汚泥燃料化、消化ガス発電事業などの創エネルギー事業や、両社の技術を融合させた汚泥焼却炉『OdySSEA-TurboTM(オデッセアターボ)』の拡販などに取り組んでまいります。近年、案件数が増加しているPFI、DBO事業や包括O&M業務などの官民連携事業については、統合効果によりノウハウと実績を積み重ねることで対応力を強化してまいります。技術開発については、循環型社会の構築に貢献する下水からのリン回収技術やICT/AI活用技術に取り組んでおり、事業基盤および競争力の強化に努めてまいります。当事業年度における成果の一例として、遠隔支援やAIによる自律制御などを統合した、水インフラ運営向け次世代型総合デジタルソリューション『OPTINOA®(オプティノア)』の提供を開始しました。産業事業においては、産業インフラ分野では月島機械株式会社がリチウムイオン二次電池の性能を左右する正極材活物質の製造に不可欠な晶析などの微粒子製造技術の強化を進めており、新たに開発した「超微粒子晶析装置」のテスト機を受注しました。また、化粧品・食品・医薬などのライフサイエンス分野向けではプライミクス株式会社の高速攪拌機、環境分野では月島環境エンジニアリング株式会社の廃液燃焼設備や固形廃棄物焼却設備などの受注が好調に推移しています。さらに各分野においてアフターサービスの強化にも注力し、安定的な受注の確保と収益基盤の強化に取り組んでまいります。 両事業に共通する施策として、温室効果ガス削減に貢献する環境ビジネスや成長性が見込める官民連携事業など付加価値の高い領域を「重点領域」と定義して事業領域をシフトし、2027年3月期は売上高1,520億円、営業利益110億円を目指してまいります。水環境事業では、2026年1月に水処理、下水処理の運転管理業務を展開する東日本エンジニアリング株式会社を子会社化した上で、同年4月に同社を月島ジェイテクノメンテサービス株式会社は吸収合併し、事業基盤を強化いたしました。産業事業では、アンモニア関連技術の活用を推進しており、半導体工場におけるアンモニア廃水処理案件の受注を拡大しております。引き続き、温室効果ガス削減に貢献するため、アンモニアなどの次世代エネルギー技術の開発・活用に取り組んでまいります。また、事業戦略会議を活用し、グループ横断での成長戦略に関する議論を推進することで、持続的な成長を目指してまいります。 ③ 資本効率の向上と株主還元の拡充当社グループは、ROEとROICを経営指標に設定し、資本効率の向上と資本コストを意識した企業価値経営を推進してまいります。また、中期経営計画で策定したキャピタルアロケーションに基づいて、創出した営業キャッシュ・フローに加え政策保有株式の売却を実施し、通常の設備投資に加えデジタルトランスフォーメーション(DX)や人的資本などの戦略投資、株主還元に配分してまいります。M&Aなどの大規模投資には必要に応じて負債等による調達を活用し最適資本構成を目指します。当事業年度では、市川工場跡地における有形固定資産(物流施設)を売却しました。政策保有株式の売却については本中期経営計画の期間内に120億円以上としており、この3年間で93億円の売却を実施しております。売却により生じた資金については、中長期的な企業価値向上に向け、M&Aなどの成長投資や株主還元に最適配分してまいります。株主還元につきましては、後掲「第4 提出会社の状況 3 配当政策」記載のとおり、適宜株主還元方針の見直しを行っております。機動的な自己株式の取得にも取り組んでおり、2025年8月8日に120億円を上限とする自己株式取得(2025年8月12日~2026年8月10日)を決定し、同年10月3日までに上限額(約390万株)までの取得を実行しました。また、同年12月5日には、400万株の自己株式の消却も行いました。今後も収益力の強化と株主還元の充実を図ることで、持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況a.経営成績の状況当連結会計年度における当社グループを取り巻く市場環境は、米国の関税政策およびロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東における軍事衝突の発生といった地政学的リスクの高まりなどにより先行きが不透明な状況が続きました。国内では、企業の設備投資活動が堅調に推移したものの、物価上昇や為替の変動などが経済活動に与える影響について留意する必要がありました。このような環境の下で当社グループは、持続的な成長を目指すために「サステナビリティ経営の推進」、「事業領域の拡充とグループ収益力の強化」、「資本効率の向上と株主還元の拡充」を基本方針とした中期経営計画(2023年4月~2027年3月)を推進することで、企業価値の向上に取り組んでまいりました。具体的な取り組みとして、有形固定資産(物流施設)を売却したほか、自己株式の取得および消却、政策保有株式の売却を実施しております。セグメント別の取り組みは、次のとおりです。水環境事業においては、上下水道設備や汚泥再生処理・バイオマス利活用設備などの水インフラの増設・更新需要の取り込みや、設備の維持管理業務、補修工事などの営業活動を展開してまいりました。また、温室効果ガス削減に貢献する創エネルギー事業、および水インフラを安定的に維持・運営していくために設備の建設と長期の維持管理業務が一体となったPFI(*l)、DBO事業(*2)や、包括O&M業務(*3)、FIT(*4)を活用した発電などの官民連携事業の受注拡大に取り組んでまいりました。一方、産業事業においては、化学分野や化粧品・食品・医薬などのライフサイエンス分野向けプラント・単体機器や持続可能な社会の実現に貢献する二次電池製造関連設備などの産業インフラ関連設備および廃液・固形廃棄物処理や廃ガス・廃水処理などの環境関連設備の営業活動を推進してまいりました。その結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、次のとおりとなりました。受注高は1,542億1百万円(前期比15.4%減)当期は水環境事業の大型案件の端境期であることから前期比で大幅な減少となりましたが、設備更新・増設需要は引き続き堅調に推移しております。売上高は1,489億54百万円(前期比7.0%増)と過去最高となりました。また、損益面につきましては、営業利益は98億42百万円(前期比10.4%増)、経常利益は109億87百万円(前期比7.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は169億10百万円(前期比153.6%増)となり過去最高となりました。 *1:PFI(Private Finance Initiative)施設整備を伴う公共サービスにおいて、民間の有する資金、技術、効率的な運用ノウハウなどを活用する仕組み*2:DBO(Design Build Operate)事業事業会社に施設の設計(Design)、建設(Build)、運営(Operate)を一括して委ね、施設の保有と資金の調達は行政が行う方式*3:包括O&M業務設備の運転管理業務だけでなく、設備の補修工事や薬品等の供給も含めた包括的な維持管理業務*4:FIT(Feed-in Tariff) 再生可能エネルギーを用いて発電された電気を、一定価格で電気事業者が買い取ることを義務付けた制度(固定価格買取制度) 当社グループは、当社と子会社41社および関連会社15社で構成され、上下水道および汚泥再生処理・バイオマス利活用設備を主要マーケットとする水環境事業と、化学分野やライフサイエンス分野などに関連する産業インフラ設備および廃液・固形廃棄物処理や、廃ガス・廃水処理などの環境関連設備を主要マーケットとする産業事業の2つを主たる事業と位置付けており、それら以外の事業をその他としております。当連結会計年度におけるセグメント別の業績は、次のとおりであります。 (水環境事業)水環境事業は、水インフラ(機器・プラントの設計・建設)とライフサイクルビジネス(運転・メンテナンス・補修工事・サービス業務)により構成されております。事業環境につきましては、国内の水インフラ関連投資は堅調に推移しております。また、複数年および包括O&M業務や設備建設と長期の維持管理業務を一体化した官民連携事業などの発注は増加しております。一方で、物価上昇や為替の変動などが経済活動に与える影響について留意する必要がありました。このような状況の下で当社グループは、国内の上下水道および汚泥再生処理設備の増設・更新需要を取り込むために、下水処理場向け汚泥処理設備や浄水場向け排水処理設備、し尿処理設備などの営業活動を推進してまいりました。O&M業務においては補修工事および包括O&M業務の営業活動を展開してまいりました。その実績として、下水処理場向け過給式流動焼却システム、汚泥処理設備、浄水場向け薬品注入設備などの受注を果たしました。また、メンテナンスなどのアフターサービス事業をより一層強化するために、包括O&M業務や補修工事の営業活動に注力し、受注高を確保してまいりました。加えて、温室効果ガス削減に貢献する技術開発および民間企業のノウハウを活用した官民連携事業の提案を推進してまいりました。その結果、当連結会計年度における水環境事業の受注高は936億円(前期比31.6%減)となりました。当期は大型案件の端境期であることから前期比で大幅な減少となりましたが、設備更新・増設需要は引き続き堅調に推移しております。売上高は985億78百万円(前期比6.4%増)、営業利益は58億5百万円(前期比5.4%減)となりました。 (産業事業)産業事業は、産業インフラ(機器・プラントの設計・製造・建設)と環境(環境保全設備の設計・製造・建設、廃棄物処理事業)により構成されております。事業環境につきましては、米国の関税政策およびロシアによるウクライナ侵攻、中東での軍事衝突の発生などの地政学的リスクの高まりなどにより、先行きが不透明な状況が続きました。国内では、温室効果ガス削減に向けた環境関連投資による設備投資の増加が見込まれるものの、物価上昇や為替の変動などが経済活動に与える影響について留意する必要がありました。このような状況の下で当社グループは、化学分野や化粧品・食品・医薬などのライフサイエンス分野向けプラント・単体機器や温室効果ガス削減に貢献する二次電池製造関連設備などの産業インフラ関連設備の設備更新需要を取り込むために、国内外における各種プラント設備および晶析装置、乾燥機、分離機、ろ過機、ガスホルダ、攪拌機などの単体機器の営業活動を展開してまいりました。環境分野においては、国内外向けに廃液燃焼システム、固形廃棄物焼却設備、廃ガス・廃水処理設備や補修工事の営業活動を展開してまいりました。また、微粒子製造技術の競争力強化やアフターセールスの強化に取り組んでまいりました。その実績として、廃液処理や固形廃棄物処理などの環境関連設備、ろ過機や乾燥機の単体機器などの受注を果たしました。その結果、当連結会計年度における産業事業の受注高は599億60百万円(前期比36.5%増)、売上高は497億35百万円(前期比10.0%増)、営業利益は41億48百万円(前期比95.5%増)となりました。 (その他) その他事業は、主に不動産管理、賃貸に関する事業であり、その大半が市川工場跡地において三井不動産株式会社と共同で開発した物流施設の事業になります。なお、当該物流施設につきましては、2025年8月8日付で公表した「固定資産(信託受益権)の譲渡及び特別利益の計上並びに業績予想の修正に関するお知らせ」に記載のとおり、2025年9月1日付で譲渡が完了しております。当連結会計年度における受注高は6億40百万円(前期比52.1%減)、売上高は6億40百万円(前期比52.1%減)、営業損失は1億37百万円(前期は営業利益6億80百万円)となりました。 b.財政状態の状況当連結会計年度末の資産合計は2,030億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ107億73百万円増加しました。これは主に、物流施設売却などによる有形固定資産の減少123億3百万円などがあったものの、契約資産の増加112億78百万円や有価証券の増加99億99百万円、株価上昇による投資有価証券の増加26億96百万円などによる資産の増加があったことによるものです。負債合計は855億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ53億62百万円増加しました。これは主に、1年内返済予定を含む長期借入金の減少39億25百万円などがあったものの、未払法人税等の増加63億9百万円や支払手形及び買掛金の増加12億58百万円、契約負債の増加10億59百万円などによる負債の増加があったことによるものです。純資産合計は1,174億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ54億11百万円増加しました。これは主に、その他有価証券評価差額金の増加25億93百万円や利益剰余金の増加17億51百万円、退職給付に係る調整累計額の増加9億81百万円などによる純資産の増加があったことによるものです。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は381億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ、107億円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、51億61百万円となりました(前連結会計年度は184億63百万円の獲得)。これは主に、売上債権及び契約資産の増加104億円および法人税等の支払27億27百万円などの資金の減少要因があった一方、税金等調整前当期純利益の計上260億93百万円などの資金の増加要因があったことによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果得られた資金は、271億68百万円となりました(前連結会計年度は14億34百万円の獲得)。これは主に、物流施設などの売却に伴う有形固定資産の売却による収入221億58百万円および有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入50億96百万円などの資金の増加要因があったことによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、216億38百万円となりました(前連結会計年度は204億73百万円の支出)。これは主に、自己株式の取得による支出127億97百万円、配当金の支払いによる支出39億37百万円および長期借入金の返済による支出39億25百万円などの資金の減少要因があったことによるものです。 ③ 生産、受注及び販売の状況a.生産実績当連結グループは、生産実績の表示は困難であります。 b.受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりとなります。 セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)水環境事業93,600△31.6271,543△1.8産業事業59,96036.551,97324.5報告セグメント計153,560△15.1323,5171.6その他640△52.1--合計154,201△15.4323,5171.6 (注) セグメント間取引については、相殺消去しております。 c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりとなります。 セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)水環境事業98,5786.4産業事業49,73510.0報告セグメント計148,3147.6その他640△52.1合計148,9547.0 (注) セグメント間取引については、相殺消去しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)が判断したものであります。 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容 (受注高)当連結会計年度の受注高は、前連結会計年度に比べ15.4%減少の1,542億1百万円となりました。水環境事業では、当年度は大型案件の端境期であったことから前期比で大幅な減少となりましたが、設備更新・増設需要は引き続き堅調に推移しております。一方、産業事業では、化学向けの単体機器、環境関連設備などを獲得しました。なお、セグメント別の受注状況につきましては、「(1) 経営成績等の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績の状況」に記載のとおりであります。 (売上高)当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ7.0%増収の1,489億54百万円となりました。これは、両事業ともに豊富な受注済みの案件が順調に進捗し増収となったことによるものです。なお、セグメント別の売上高につきましては「(1) 経営成績等の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績の状況」に記載のとおりであります。 (営業利益)当連結会年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ10.4%増益の98億42百万円となりました。これは、両事業の増収効果に加えて、産業事業において採算性が向上した案件が寄与したことによるものです。なお、セグメント別の営業利益につきましては、「(1) 経営成績等の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績の状況」に記載のとおりであります。 (親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度においては、支払利息などの営業外費用を5億21百万円計上した一方で、受取配当金などの営業外収益を16億66百万円計上し、経常利益は前連結会計年度に比べ7.2%増益の109億87百万円となりました。また、物流施設売却等による固定資産売却益120億32百万円、投資有価証券売却益33億14百万円などの特別利益を156億19百万円計上した一方で、特別損失を5億13百万円計上しました。その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ153.6%増益の169億10百万円となりました。 (財政状態)当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「(1) 経営成績等の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 b.財政状態の状況」をご参照ください。当連結会計年度末における自己資本比率は48.4%(前期末48.4%)となりました。 (3) 経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループの主力製品は個別受注生産であり、様々な外部要因によって、売上高および利益が計画どおりに計上されない可能性があります。 なお、詳細は「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 (4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報について当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「(1) 経営成績等の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。当社グループは、持続的な成長を目指すために「サステナビリティ経営の推進」、「事業領域の拡充とグループ収益力の強化」、「資本効率の向上と株主還元の拡充」を基本方針とした中期経営計画(2023年4月~2027年3月)を推進することで、企業価値の向上に取り組んでまいりました。この基本方針を実現するため、中期経営計画期間においては、研究開発投資、M&A投資、基幹システム更新などの戦略投資を実行してまいります。また、当連結会計年度は、当社でのIT関連等のほか、連結子会社である月島JFEアクアソリューション株式会社の研究開発資産等で、総額16億4百万円の設備投資を実施いたしました。当社グループは、中期経営計画に基づく持続的成長を支えるために、以下の「財務戦略」を掲げております。 ① 調達方針当社グループは運転資金および定常的な設備投資・研究開発につきましては、原則、営業活動によるキャッシュ・フローおよび自己資金にて賄っておりますが、キャッシュ・フローを超える大型の設備投資やM&Aについては外部調達にて対応します。当社グループは、資本コストを意識し外部調達を有効活用して「最適資本構成」(注1)を確立してまいります。 ② 財務規律財務基盤の安定を企図して以下の財務規律を定めております。a.自己資本比率 40%~50%程度b.D/Eレシオ(注2) 0.8倍以内c.手許現預金を月商の2か月分確保 ③ キャピタルアロケーション当社グループは、ROEとROICを経営指標に設定し、資本効率の向上と資本コストを意識した企業価値経営を推進してまいります。また、中期経営計画で策定したキャピタルアロケーションに基づいて、創出した営業キャッシュ・フローに加え政策保有株式および物流施設の売却により得られた資金を、通常の設備投資に加えデジタルトランスフォーメーション(DX)や人的資本などの戦略投資、株主還元に配分してまいります。M&Aなどの大規模投資には必要に応じて負債等による調達を活用し最適資本構成を目指します。具体的施策として、当事業年度には物流施設を売却しました。政策保有株式の売却については本中期経営計画の期間内に120億円以上としており、この3年間で93億円の売却を実施しております。売却により生じた資金については、中長期的な企業価値向上に向け、M&Aなどの成長投資や株主還元に最適配分してまいります。 (注1)最適資本構成とは、株式会社の資本構成要素である他人資本(借入)と自己資本の比率や内容・内訳などがその企業によって最適なバランスをとり、資本コストが最適になる構成のこと。資本コストが最小に抑えられる。(注2)D/Eレシオとは、負債が自己資本の何倍にあたるかを示す指標。 ④ 株主還元方針当社は、財務体質と経営基盤の強化を図りつつ、毎期の業績、新規投資、連結配当性向等を総合的に勘案しながら、安定配当に努めることを利益配分の基本方針としております。2023年4月からの中期経営計画期間(2023年4月~2027年3月)におきましては、策定したキャピタルアロケーションに基づいて、営業キャッシュ・フローと投資有価証券や不動産等の資産売却額を原資に、企業価値向上のための投資や株主還元を実施することとしております。中期経営計画における株主還元の水準といたしましては、総還元性向50%以上、配当性向40%以上を目標としておりましたが、2026年3月期からは、安定した配当を行う姿勢をより明確に示すため株主資本配当率(DOE)を新たに目標として追加いたしました。変更後の株主還元方針は、「安定配当の水準は、株主資本配当率(DOE)3.5%を下限とし、総還元性向50%以上とする」としております。機動的な自己株式の取得については、前掲「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等の(3)会社の対処すべき課題、③資本効率の向上と株主還元の拡充」に記載のとおりであり、引き続き安定的な配当の継続に努めるとともに、機動的な自己株式の取得にも取り組んでまいります。 (5) 経営者の問題認識と今後の方針について今後の景況感につきましては、米国の関税政策およびロシアによるウクライナ侵攻の長期化などの地政学的リスクの影響により先行きが不透明な状況が続いております。国内では、企業の設備投資活動が堅調に推移しているものの、中東における軍事衝突の発生に伴う原材料・原油価格の高騰、石油関連製品の調達や為替・資源価格の変動などが経済活動に与える影響に留意する必要があります。国内の上下水道分野は、水インフラ関連の投資は設備の老朽化対応を背景とした更新需要は引き続き堅調に推移していくものと推測されますが、中長期的には人口減による市場規模の縮小、および競争の激化等により事業環境が厳しくなることが予想されております。当社グループは事業基盤の安定化と規模の拡大に向けた取組として、2023年10月にJFEエンジニアリング株式会社との国内水エンジニアリング事業の統合を実施したほか、2026年1月には水処理、下水処理の運転管理業務を展開する東日本エンジニアリング株式会社を子会社化した上で、同年4月に同社を月島ジェイテクノメンテサービス株式会社は吸収合併いたしました。今後も引き続き持続的な成長に向けた施策に取り組んでまいります。民間の設備投資については、化学分野において汎用化学品から高付加価値品への移行や、温室効果ガス削減への対応を背景とした環境対応技術の導入需要が、堅調に推移すると見込んでおります。一方で、中東情勢の緊迫化が顧客の投資判断に影響を与える懸念があることから、その動向を注視してまいります。当社グループは、こうした市場環境の変化を捉え、継続的な技術力強化や新商品開発を通じて、化学やライフサイエンス、環境関連分野などの機器・プラントの受注拡大に取り組んでまいりました。今後も、リチウムイオン二次電池など中長期的な需要が見込まれる分野を中心に、競争力強化と受注確保に努めてまいります。また、事業ポートフォリオマネジメントを実行するための戦略投資として、DX推進およびM&A、アライアンスの具現化に取り組んでまいります。当社グループは、持続的な成長を目指すために、「サステナビリティ経営の推進」、「事業領域の拡充とグループ収益力の強化」、「資本効率の向上と株主還元の拡充」を基本方針とした中期経営計画(2023年4月~2027年3月)を推進することで、企業価値の向上に取り組んでまいりました。2027年3月期の数値目標については、連結売上高1,520億円、連結営業利益110億円、連結経常利益117億円、親会社株主に帰属する当期純利益85億円を目指してまいります。 *上記の業績予想は、現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断したものです。実際の業績は、今後様々な要因によりこれらの業績予想とは異なる結果になる可能性があります。 (6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されており、経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき見積りや判断を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。財政状態および経営成績に関する主要な点は以下のとおりであります。 a.当社グル-プの売上高は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用し、工事契約に基づく収益を、一定の期間にわたり充足される履行義務について、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき一定の期間にわたり収益を認識するものと、履行義務が全て充足された一時点で全ての収益を認識するものに分けております。 b.退職給付費用および債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。したがって、実際の年金資産運用収益が前提条件に基づく期待運用収益に満たない場合等は、認識される費用および計上される債務に影響を及ぼします。 c.当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討しております。当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対しては評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得の見積額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。 d.のれんについては、今後の事業展開から期待される将来の超過収益力であり、取得原価と被取得事業の識別可能な資産及び負債の企業結合日時点の公正価値との差額で識別しております。当社グループは、識別可能資産の認識及び測定の実施と、その結果として顧客関連資産への取得原価の配分にあたっては、外部専門家を利用し、顧客関連資産の評価を将来キャッシュ・フローの現在価値として算定することにより行っております。取得原価の配分に当たっては、専門的な知識を必要とする複雑な会計上の見積りが含まれており、不確実性や経営者による主観的な判断が伴うため、市場環境等の変化により将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響が生じた場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。 e.当社グループは、原則として各グループ会社において資産のグルーピングを行っています。資産グループについて営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなっている場合等に減損の兆候があると判定されます。減損の兆候がある場合は、当該資産又は資産グループについて事業計画を基礎とした割引前将来キャッシュ・フローの総額と有形固定資産および無形固定資産の帳簿価額を比較し減損損失を認識するかどうかの判定を行います。減損が必要と判定された場合は帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上します。なお、減損損失の認識の判定に利用した将来の事業計画等は、受注状況や事業環境などの重要な仮定を置いて算定されており、不確実性を伴うため、市場環境の変化等により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。 f.当社は、関係会社株式の評価について、超過収益力を反映した実質価額と帳簿価額を比較し、実質価額の著しい低下の有無を判定しております。判定の結果、実質価額の著しい低下が見られる株式に対して相当の減額を行い、帳簿価額の減少額を関係会社株式評価損として計上しております。超過収益力の評価にあたっては、当該関係会社の翌事業年度以降の事業計画を基礎として見積もっておりますが、その前提となる事業計画は、直近の損益実績や経営環境および事業計画の達成状況を踏まえた仮定に基づいております。事業計画については、将来の不確実な経済条件の変動などによって影響を受ける可能性があります。実績が事業計画と乖離した場合には、翌事業年度の財務諸表に影響を与える可能性があります。
事業リスク
- 公共投資の変動リスク水環境事業は地方自治体からの公共投資に大きく依存しており、国の財政状況や政策変更により公共投資が変動した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。特に、年度末に工事完了が集中する傾向があり、受注案件のずれ込みも業績に影響を与えることがあります。
- 地政学的・経済的リスク産業事業は、米国の関税政策、ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢などの地政学的リスクや、中国経済の減速、原材料価格の高騰、為替変動といった世界経済の不透明感に影響を受けやすいです。これにより、顧客の設備投資動向が変化し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 個別受注生産特有のリスク個別受注生産が中心のため、資材調達価格や外注費用の高騰、工事途中の設計変更などにより、契約時の見積もりと実際のコストに差異が生じる可能性があります。また、製品の不具合やプラントの欠陥による補償費用、賠償請求が発生するリスクも存在し、業績に影響を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項につきましては、下記のようなものがあります。なお、下記項目における将来の予想に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において判断したものであります。 〈区分〉リスク項目リスクの内容対策〈自然災害〉大規模災害等の発生当社グループの生産拠点や事業所、工事現場、ならびに取引先の事業拠点において、地震・洪水・火災・雪害等の大規模自然災害やその他の災害が発生した場合、生産設備や製品等の破損およびライフラインの破損等による生産機能の低下若しくは停止により、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、首都圏直下地震などの災害を想定し、事業継続および早期復旧のための事業継続計画(BCP)を策定するとともに、定期的な訓練によりBCPの実効性を高めています。〈外部環境・市場変動〉気候変動に関するリスク気候変動に関するリスクとしては、当社グループの既存顧客が脱炭素化に向けた規制強化により業態や製造プロセスを変化させることによる当社機器・プロセスの需要減少、平均気温の上昇による建設現場や製造現場での生産性低下による工期遅延、自然災害の増加による損害および復旧・対応コストの増加などが当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループは、気候変動リスクを重要な社会課題として認識しており、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明し、気候変動がもたらすリスクおよび機会が経営に与える影響を評価しております。脱炭素化への対応については、下水汚泥のエネルギー利用の推進や、リチウムイオン二次電池材料を製造する機器・プラントの展開を推進しています。建設および製造現場における気温上昇の対応については、作業時間の見直し等の勤怠管理の徹底に加え、各種ツールを活用した体調管理の強化等により対応しております。〈外部環境・市場変動〉需要・市場環境当社グループの事業のうち、水環境事業につきましては、人口減少に伴う市場の変化、主な顧客である地方自治体における浄水場、下水処理場等への公共投資の変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。産業事業につきましては、米国の関税政策やロシアによるウクライナ侵攻の長期化、中東における軍事衝突の発生などの地政学的リスクに留意する必要があります。また、中国経済の減速、原材料価格の高騰、為替の変動など世界経済の見通しに対する不透明感に加え、AIの進展による産業構造の変化等により、化学、鉄鋼、食品および環境・エネルギー関連の業界における当社グループの顧客の設備投資動向が業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、様々な環境・社会問題の解決を通じた持続的な成長を実現するため、サステナビリティを経営の軸に据え、温室効果ガス削減に貢献する環境ビジネスや成長が見込める官民連携事業等、付加価値の高い事業領域へシフトしています。水環境事業においては、事業統合やM&Aによる強固な事業基盤を構築することで、更新需要がメインとなる市場において政府が推進するウォーターPPPやPFI、DBOMなどの官民連携事業を強化しています。産業事業においては、リチウムイオン二次電池の性能を左右する正極材活物質の製造に不可欠な晶析等の微粒子製造技術を強化し、電池分野以外への展開も進めています。また、アンモニア関連技術を活用した半導体工場の廃水処理設備等の営業活動に注力しています。 〈区分〉リスク項目リスクの内容対策〈外部環境・市場変動〉海外事業展開に伴うリスク当社グループの海外事業におきましては、為替相場や原油、資源価格の変動のほか、米国の関税政策、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、中東における軍事衝突の発生など各国における政情不安や体制変更、テロの発生、新型コロナウイルスのような感染症等によるロックダウン、経済状況の急激な変動、予期しない法規制や税制の変更があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、個別受注生産を中心とする事業特性を踏まえ、為替相場や資材価格の変動等のリスクに対し、案件毎に原価を見積もり、リスクフィーの織り込み等を行うことで、採算性の低下の抑制に努めています。外貨建て取引の場合には、為替予約等のヘッジ取引により変動リスクを低減しています。また、テロ、感染症等、海外での危機対応には、人命を最優先とした対応を行います。〈外部環境・市場変動〉株式相場の変動当社は株式等の投資有価証券を保有しており、株式相場の急激な変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。当社では、資本効率を向上させる上で、保有する投資有価証券(政策保有株式)の縮減を経営課題として捉え対応しております。〈ビジネスリスク〉当社グループ事業の特性当社グループは、個別受注生産による産業機械の製造・販売、プラント建設を事業の中核としており、事業活動を行う上での潜在的なビジネスリスク(主要なものは以下のとおり)を認識しております。①見積もりコストからのコスト上昇リスク②工事途中での設計変更に伴うコストや手直し工事による追加コストの発生リスク③納入した製品の不具合対応のための補償コストの発生リスク④顧客等に損害を与えた場合の損害賠償リスク⑤顧客による追加コスト精算の遅延リスク⑥長期契約(PFI、DBOや包括O&M)における物価上昇リスク⑦熱中症や感染症等による従業員の大量離脱による納期遅延リスクこれらが顕在化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、潜在的なビジネスリスクに対して、以下の対策を講じることで、リスクの低減を図っております。① 見積もり条件の精緻化、コンティンジェンシーの計上等②③契約に基づくプロジェクト遂行手順の順守、フロントエンドローディングの徹底等④⑤契約によるリスクヘッジ、QCDの徹底等、保険の付保⑥ 契約によるエスカレーション条項の設定等⑦ 各種ツールを活用した熱中症対策や感染症罹患の早期隔離また、アフターセールスビジネスを強化することで、収益基盤の安定化をはかっております。〈オペレーショナルリスク〉設備工事および機器製造における事故および災害当社グループが建設中または建設したプラントおよび単体機器の製造現場において、予期しない事故や災害等、偶発事象が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、適切な品質および安全性を確保するため、品質保証安全管理の担当部署を設けており、品質保証システムと労働安全マネジメントシステムの構築・維持に努めてまいります。また、定期的に現場における安全パトロールを行い、重大事故の予防に努めております。 〈区分〉リスク項目リスクの内容対策〈オペレーショナルリスク〉人材国内においては少子高齢化、熟練技術者の減少等により、専門性を有する人材を継続的に確保することが困難となり、円滑な事業活動に支障が生じる場合には、当社グループの事業、業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、サステナビリティ経営を実現にあたりその基盤となる経営資源は、人的資本と考えております。人的資本を充実させるため、採用および人材育成への投資を行っています。マテリアリティの一つである「魅力的で働きがいのある職場環境整備」を通じ、従業員に安心・安全な環境を提供すると共に、働きがいを高め働き続けたいと思う会社を目指していきます。そのためには、人口減少が進む将来を見据え業務効率化および生産性向上に資するAIの活用が重要と認識しております。〈オペレーショナルリスク〉情報セキュリティ当社グループは、事業活動を通して得た顧客・取引先の情報や、事業上の機密情報等を保有しております。これら機密情報に対して、想定を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルスの感染等により、情報流出、重要データの破壊、改ざん、システム停止等を引き起こす可能性が高まっており、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、情報セキュリティに関する事件や事故の発生を防止するために「情報セキュリティ基本規程」および「情報セキュリティ対策基準」を定め、それに基づく人的側面と情報システム面の両面からの情報セキュリティ対策を実施しております。人的側面においては従業員教育や情報セキュリティに対する考え方の周知・徹底など啓蒙活動を推進すると共に、システム面においては、常にセキュリティ対策を最新にすべく継続的な改善・向上を図ることで、リスクの最小化に努めております。〈オペレーショナルリスク〉サプライチェーンリスク当社グループは、原材料・部品の調達から製品の製造・販売に至るプロセスで様々な取引先とサプライチェーンを構築しております。このため、以下のような事象が発生した場合、当社グループの事業活動および業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。・災害、感染症の拡大、事故等によるサプライヤーの操業停止・財務悪化や後継者不在によるサプライヤーの倒産、廃業・原材料・部品の供給不足または価格高騰・地政学的リスクや規制変更による物流停滞・特定サプライヤーへの依存による供給途絶これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、調達先の分散化、在庫水準の適正管理、代替サプライヤーの確保、により、当該リスクの低減に努めております。恒常的な取引先とは、協力会社会を組成し、様々な情報交換を通じて、相互の発展に寄与するよう努めております。また、状況に応じて、業界団体等を通じた情報収集や適切なコミュニケーションを図りつつ、当社として必要な対応を講じ、重大な影響の回避・解決およびリスクの最小化に努めております。 〈区分〉リスク項目リスクの内容対策〈コンプライアンス〉法的規制当社グループは、建設業法、製造物責任法、計量法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等さまざまな法規制の適用を受けております。当社グループでは法令遵守の徹底を図っておりますが、法律・規制等が強化された場合、または予期し得ない法律・規則等の導入・改正等があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります当社グループでは、ISO規格に基づくマネジメントシステムを構築し、全社の基本業務フローを定めております。環境関連の法令遵守については、ISO14001の業務プロセスに包含されております。その他の法令遵守については、関連する部門が部門業務の一環として対応しておりますが、法令改正等への対応を担保するため、法務部による支援がなされる体制を構築しております。加えて、外部機関による情報提供サービスを活用し、法令改正に対応しております。なお、当社グループの法令遵守状況については、会社が定めるコンプライアンス月間(毎年10月)において、内部点検を実施することとしております。〈コンプライアンス〉知的財産当社グループは、単体機器およびプロセスの競争力を確保するため、知的財産権の獲得と適切な管理、活用に努めております。国内外で事業を展開するなかで、新興国等で当社グループの保有する知的財産権が侵害される可能性があります。また、第三者が保有する知的財産権を侵害する可能性があり、そのような場合には、損害賠償責任を負うなど当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループは、知的財産権の重要性を認識し、研究開発段階から知的財産の権利化、重点的に強化する分野・技術における特許網の構築を推進しております。また、外部専門家と連携した対応体制を構築し、当社保有知財の侵害行為に対しては毅然とした対応をするほか、第三者が保有する知的財産権を尊重し適切に対応していきます。〈組織体制〉持株会社としてのリスク当社グループは2023年4月より持株会社体制へ移行いたしましたが、適切な経営資源配分、グループ戦略の見直しおよびグループ会社の監視・監督等といった持株会社統治、グループ管理の効果が十分発揮されなかった場合、当社グループの業績および財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、持株会社の収入の大部分は、当社が直接保有している事業子会社からの経営指導料、業務受託料、受取配当金であります。事業子会社が十分な利益を計上できない場合は、当社に対する受取配当金を支払えなくなる可能性があります。当社は、持株会社としてサステナビリティ委員会、コンプライアンス委員会、危機管理委員会他、様々な横串機能を設置し、事業子会社をモニタリングする体制を整えると共に、中期経営計画の策定、それに基づく単年度予算策定やその進捗管理を通じて、グループ全体として適切な戦略判断と経営資源の配分を行っています。