6594

ニデック(6594)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気機器 電機・精密

事業の概要

  • 精密小型モータ事業
    ニデックは、HDD(ハードディスクドライブ)の心臓部であるモータや、その他小型モータの製造・販売を主力としています。PC市場の成熟でHDD需要は変化していますが、データセンター向けのニアラインHDDやAIサーバ向け水冷モジュールなど、新たな成長分野に注力し、収益を上げています。
  • 車載用製品事業
    自動車の電動化(CASE革命)の波に乗り、電動パワーステアリング用モータやブレーキ用モータ、電動オイルポンプなどを提供しています。特にEVトラクションモータは、中国でのコスト競争に対応しつつ、欧州での量産開始により事業を拡大し、収益の柱の一つとしています。
  • 家電・商業・産業用製品事業
    世界の電力消費の約半分を占めるモータにおいて、高効率な製品を提供しています。洗濯機や冷蔵庫などの家電用モータに加え、エアコン向けモータ、産業用ロボットモジュール、データセンター向け非常用電源、バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)など、幅広い分野で事業を展開し、安定した収益源となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 精密小型モータ事業(SPMS)
    HDD用モータやその他小型モータの製造・販売を行っています。データセンター向けニアラインHDDの需要増加や、AIサーバ向け水冷モジュール、電動二輪車向けモータなど、新たな成長分野を開拓し、事業の拡大を図っています。
  • 車載用製品事業(AMEC)
    自動車の電動化に対応した車載用モータ(電動パワステ用、ブレーキ用など)や電動ポンプなどを提供しています。特にEVトラクションモータは、中国市場でのコスト競争に対応しつつ、欧州での量産開始により、今後の成長が期待される主要な事業セグメントです。
  • 家電・商業・産業用製品事業(MOEN/ACIM)
    家電製品(洗濯機、冷蔵庫など)、商業施設(エアコン、ロボット)、産業分野(農業、ガス、鉱業、上下水道、海洋)向けのモータや関連製品を提供しています。高効率モータへの置き換え需要や、データセンター向け非常用電源、バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)など、社会インフラを支える製品が主要な稼ぎ頭となっています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,649 文字
3【事業の内容】当社グループ(当社、連結子会社341社、持分法適用関連会社4社を中心に構成)は、精密小型モータ、車載用製品、家電・商業・産業用製品、機器装置、電子・光学部品等の製造・販売を主な事業内容としています。当社は、IFRS会計基準に準拠して連結財務諸表を作成しており、関係会社の範囲についてもIFRS会計基準の定義に基づいています。セグメント区分に関しては、6つの報告対象セグメントにより構成されています。各セグメントの内容は次のとおりです。なお、このセグメント区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の連結財務諸表注記に掲げるセグメントをはじめ、本有価証券報告書の当連結会計年度に関するセグメントの区分と全て同一です。名称主要製品主要な会社SPMSHDD用モータ及びその他小型モータ当社、ニデックエレクトロニクスタイランド㈱、ニデックモータ(香港)有限公司、ニデックプレシジョンタイ㈱、ニデックベトナム㈱、ニデックCCI股份有限公司、ニデックモータ(東莞)有限公司、ニデック(上海)国際貿易有限公司、ニデック台湾股份有限公司AMEC車載用製品ニデック自動車モータ(浙江)有限公司、ニデックモータ(大連)有限公司、ニデックGPM GmbH、ニデックモーターズ アンド アクチュエーターズドイツ㈲、ニデックモーターズ アンド アクチュエーターズポーランド㈲、ニデック凱宇汽車電器(江蘇)有限公司、ニデック自動車モータ・アメリカ合同会社、ニデック(上海)国際貿易有限公司MOEN家電・商業・産業用製品ニデックホールディングアメリカ㈱、Nidec ASI㈱、ニデックコントロール・テクニクス社ACIM家電・商業・産業用製品ニデックグローバル・アプライアンス・ブラジル社機械事業機器装置、工作機械ニデックマシンツール㈱、ニデックミンスター㈱グループ会社事業車載用製品、家電・商業・産業用製品、機器装置、電子部品及びその他小型モータ、その他ニデックモビリティ㈱、ニデックインスツルメンツ㈱、ニデックパワートレインシステムズ㈱、ニデックテクノモータ(浙江)有限公司、ニデックアドバンステクノロジー㈱、ニデックパワートレインシステムズ(ベトナム)会社、ニデックプレシジョン㈱、ニデックコンポーネンツ㈱ 当社グループの主要な製品の内容に係る当社及び主要な連結子会社の位置づけは次のとおりです。主要な製品の内容主要な会社精密小型モータHDD用モータ当社、ニデックエレクトロニクスタイランド㈱、ニデックモータ(香港)有限公司、ニデックプレシジョンタイ㈱その他小型モータ当社、ニデックインスツルメンツ㈱、ニデックモータ(香港)有限公司、ニデックベトナム㈱、ニデックCCI股份有限公司、ニデックモータ(東莞)有限公司、ニデック(上海)国際貿易有限公司、ニデック台湾股份有限公司、ニデックコンポーネンツ㈱車載当社、ニデックモビリティ㈱、ニデック自動車モータ(浙江)有限公司、ニデックモータ(大連)有限公司、ニデックGPM GmbH、ニデックモーターズ アンド アクチュエーターズドイツ㈲、ニデックモーターズ アンド アクチュエーターズポーランド㈲、ニデックパワートレインシステムズ㈱、ニデックパワートレインシステムズ(ベトナム)会社、ニデック凱宇汽車電器(江蘇)有限公司、ニデック自動車モータ・アメリカ合同会社、ニデック(上海)国際貿易有限公司家電・商業・産業用ニデックホールディングアメリカ㈱、ニデックグローバル・アプライアンス・ブラジル社、ニデックテクノモータ(浙江)有限公司、Nidec ASI㈱、ニデックコントロール・テクニクス社機器装置ニデックインスツルメンツ㈱、ニデックマシンツール㈱、ニデックアドバンステクノロジー㈱、ニデックプレシジョン㈱、ニデックミンスター㈱電子・光学部品ニデックインスツルメンツ㈱、ニデックプレシジョン㈱その他 ニデックインスツルメンツ㈱ [事業系統図]

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
競合激化や原材料価格高騰による価格競争の激化リスクがあるため
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
モータ全般の要素技術研究、電子回路、熱、騒音・振動、制御といった要素技術の高度化
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:政治・経済状況の変動に係るリスク / 技術環境・産業構造の変化に係るリスク / 競合に係るリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 13 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

ニデックは、長年にわたり培ってきたモーター技術に関するノウハウや、特定の産業分野(例:ハードディスクドライブ用モーター)における高い技術力は無形資産となり得る。しかし、特許の有効性やブランド認知度に関する具体的な情報は限定的であり、明確な競争優位性を示すには至っていない。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

HDD用モーターや車載モーターなど、顧客の製品性能に直結する部品を供給しており、仕様変更やサプライヤー変更には開発コストや時間的ロスが伴うため、一定のスイッチング・コストが存在する。特に、高度なカスタマイズが求められる分野では、顧客の乗り換えは容易ではない。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ニデックの事業モデルは、特定のプラットフォーム上でユーザーが増えることで価値が増大するネットワーク効果を直接的に生み出すものではない。個々の顧客との取引関係が中心であり、プラットフォーム型のビジネスではない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

グローバルな生産体制と、M&Aによる規模拡大を通じて、一定のコスト競争力を確保している。特に、汎用品モーターにおいては、効率的な生産プロセスとサプライチェーン管理により、価格競争力を維持していると考えられる。

規模の経済★★★★★
根拠:強い規模が参入障壁になる

ニデックは、HDD用モーター市場で圧倒的なシェアを誇り、また、車載モーターや家電用モーターなど、複数の分野で世界トップクラスの生産能力を持つ。この規模の経済性は、競合他社が容易に追随できない強力な競争優位性となっている。

  • グローバルな生産・販売体制
    ニデックは世界40カ国以上に300社を超えるグループ会社を持ち、海外売上高比率が約9割と非常に高いです。これにより、特定の国や地域への依存を避け、各市場の特性に応じた事業戦略を展開し、リスクを分散しながら事業を拡大できる強みがあります。
  • 技術革新と多角的な製品ポートフォリオ
    精密小型モータから車載用、家電・商業・産業用、機器装置、電子・光学部品まで多岐にわたる製品を手掛けています。特にAIサーバ向け水冷モジュールや電動二輪車向けモータなど、成長分野への先行投資と技術開発により、常に新しい市場を開拓し、競争優位性を維持しています。
  • 地産地消戦略とサプライチェーンの強靭化
    主要市場において開発・生産・販売・サービスまでの一貫体制を構築する「地営地開/地産地消」戦略を推進しています。これにより、関税などの貿易障壁や地政学的変動の影響を低減し、また重要部品の複数購買化や代替サプライヤー開拓により、サプライチェーンの柔軟性と耐性を高めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • 高収益構造への転換
    2027年度をターゲットとする新中期経営計画「Conversion2027」では、不採算・ノンコア事業の見直しによる高収益事業ポートフォリオへの転換を目指しています。技術力による材料費削減や品質向上、拠点統廃合、人員削減による固定費削減を進めつつ、システム・DX投資や先行開発投資に売上高の1%を目途に戦略投資枠を確保し、利益率12%の達成を目指します。
  • 成長を支える事業5本柱の確立
    AI社会を支える事業、サステナブル・インフラとエネルギー、産業の生産効率化、より良い生活の追求(Better Life)、モビリティイノベーションの5つの注力事業領域を「事業5本柱」として明確化しています。各地域の需要に応じた地産地消をベースに、既存事業の枠を超えたシナジーを追求し、顧客目線での「One Nidec」活動を通じて成長を図ります。
  • 真のグローバル体制への転換
    スピーディーな経営体制を実現するため、チーフオフィサー制(CxO)の強化と執行役員のスリム化を図ります。また、高度な技術・技能・知識を持つ「フェロー」と次世代の役員候補者である「理事」を新設し、グローバルでリーンな組織体制を構築することで、変化の速い市場環境に対応できる強固な経営基盤を築きます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。(1)会社の経営の基本方針当社は、2025年10月28日に東京証券取引所より特別注意銘柄に指定されました。当社グループにおける不適切な会計処理及び品質・検査に関する不適切な行為により、株主、投資家、お客様、お取引先その他の関係者の皆様の信頼を大きく損ねたことを、経営として重く受け止めています。当社は、「必ず正しく」を経営の最優先方針に据え、過年度の会計処理を検証・訂正し、正確かつ透明性のある財務情報を開示するとともに、原因究明と責任の明確化を進め、改善計画に基づく再発防止策をグループ全体で実行しています。その第一歩として、取締役会の独立性と監督機能を高める新たな取締役体制に移行するとともに、執行体制も大幅に刷新しました。また、従来の業績至上主義と過度なトップダウンから脱却し、各事業が事業環境と自らの実力に即した計画を主体的に策定し、健全な議論と検証を経て実行する経営への転換を進めています。現在、一日も早い信頼回復を目指し、改善計画に基づく各施策を着実に実行するとともに、その実効性を継続的に検証し、内部管理体制の適切な整備及び運用に取り組んでいます。こうした取組みを通じて、特別注意銘柄の指定解除に向け、グループの全役職員が一体となって改善を進めています。さらに、従来掲げてきたConversion2027を見直し、2026年度から2030年度を対象期間とする“Re-Definition”ニデック経営改革5カ年プランの基本方針を2026年5月13日に公表しました。現在、この基本方針に基づき、各事業の戦略及び計数計画を含む中期経営計画の策定を進めています。①組織風土とガバナンスの刷新当社は、今般の会計不正及び品質に関する不適切な行為の背景に、短期的な利益を優先し、目標未達を許容しない企業風土、特定の経営者への権限集中、内部統制およびグループ会社管理の脆弱性があったと認識しています。これを踏まえ従来のトップダウンから、経営を担う経営層と現場の従業員が双方向の対話を通じて一体となった組織へ転換を図り、自由闊達で透明性が高く、全社員がやりがいや社会的意義を感じて業務に取り組む組織・風土へと変革を進めてまいります。トップ自らが対話の先頭に立ち、社員と直接対話を行うタウンホールミーティングの開催や、社員の声を経営に直結させるため「声を発することで会社が変わる」文化の醸成に向けた「Culture Transformation Lab」の活動に取り組んでおります。また、研修・教育プログラムの展開も強化し、全世界の経理、営業・購買、生産管理従事者に向けた継続的な教育プログラムを展開しております。これにより、短期的な数値目標による過度なプレッシャーを排除し、健全な成長を促すガバナンス体制を全拠点に定着させてまいります。このような取り組みを通じて、部署間・拠点間の横断的な連携を強化するとともに、心理的安全性の確保と自由で風通しのよい風土を醸成し、失敗や懸念、不正の兆候を隠さず報告・是正できる仕組みを構築します。 ②取締役体制の刷新と監督機能の強化第三者委員会の報告書における、監査等委員および社外取締役の牽制機能の不全や、役員の多様性不足に関する指摘を重く受け止め、取締役の専門性の多様化を通じた監督機能の強化を図ります。具体的には、取締役のスキルマトリクスに新たに「企業経営経験」や「資本市場に対する知見」を追加しました。この新基準に基づき、企業再建やガバナンス改革において豊富な実務経験を有する経営経験者や、機関投資家としての視点を持つ専門家等を社外取締役に選任しております。また、取締役会の独立性と業務執行に対する監督機能をより一層強化するため、取締役会議長を独立社外取締役の中から選定する体制へと移行し、持続的な企業価値向上を支える強固な取締役体制を構築します。執行体制についても、高い倫理観とコンプライアンス意識、組織構築・人材育成、将来を見据えた戦略立案・実行力を重視する選任基準に改め、選任・解任プロセスの透明性と客観性を高めています。取締役会による監督と執行側の責任を明確に分け、重要な経営課題とリスクを適時に共有・審議する体制を定着させてまいります。 ③企業価値向上に向けての“Re-Definition”ニデック経営改革5カ年プラン正しい経営の再構築を起点に、高収益構造への転換と真のグローバル企業への変革を図るべく、事業ポートフォリオの見直しや事業再編、成長領域への投資を組み合わせた事業の選択と集中を強化し、グループ全社の経営資源の再配分と抜本的な構造改革を推し進め、ROICを向上させることで企業価値の最大化に取り組みます。 (2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略当社は、2026年5月13日に公表した「“Re-Definition”ニデック経営改革5か年プラン」において、①5本柱を軸とした事業の再編、②事業ポートフォリオ見直し、③グループ再編、④全社IT基盤改革を迅速に着手します。現在、これらの方針を基礎として、各事業の成長性、収益性、資本効率及び実行可能性を改めて検証し、2026年度から2030年度を対象とする中期経営計画の策定を進めています。なお、これらの5本柱は、2030年度に向けた中長期の事業戦略及び経営管理の方向性を示すものであり、当連結会計年度における財務報告上の報告セグメントとは異なります。今後の事業運営及び経営管理体制を踏まえ、5本柱を軸とした業績管理及び資源配分の仕組みを段階的に構築してまいります。①5本柱を軸とした事業の再編現在法人別に保有している販社や工場などを5本柱に合わせて集約することで、事業内容に応じたグループ管理を強化します。今後、当社は5本柱を構成するBetter Life、Electrification & Energy Infrastructure、Digital Society Solutions、Advanced Manufacturing Solutions、Mobility Innovationを軸に事業再編を推進します。ニデックのグループ各社に点在していた強みを、グループ全体で横断的に活用し、協業とシナジーの発揮による事業の拡大を目指します。同時に、顧客目線・要望を意識し、グループ内の強みを結集し、新たな価値を創出します。これらの5つの事業領域において、グローバル本社(HQ)がコンプライアンス、ポートフォリオマネジメント、キャピタルアロケーションなどを立案し、各柱で連結事業のアカウンタビリティを負う構造へ転換を図ることで、資本市場に対して説明責任を果たす、グローバルで強力なガバナンス体制を構築します。 ②事業ポートフォリオの見直し当社の強みであるモノづくり技術を再認識し、長年培ってきた技術力、豊富な経験、知見を再確認し、成長性と収益性観点から事業ポートフォリオの抜本的な組み換えを実行します。成長領域は、AIデータセンターやエネルギー、半導体関連等で高収益性と市場成長が見込まれ、これらの領域には積極的に投資を行い、ソリューション等新しいビジネスモデルへの展開を図ります。新規領域への投資は技術革新や社会変革をチャンスと捉え、高成長市場に新規領域を設定し、現有の自社開発技術を基盤として、今後の成長が見込まれる新たな分野への事業展開に取り組みます。他方、低成長や収益性の低い事業については、事業の撤退や売却を速やかに進めます。これらの施策を通じて、ROICをはじめとする資本効率及びキャッシュ創出力の継続的な向上を図り、持続的な企業価値の向上を目指します。また、財務健全性を確保しながら、成長投資と株主還元の適切なバランスを図ります。 ③グループ再編事業ポートフォリオの見直しを踏まえて全社的な構造改革を実行し、ガバナンス強化、固定費削減・ROIC向上に努めます。2026年5月に公表した経営改革方針では、2026年3月時点で248ある拠点を160~180拠点に、353ある法人を160~180法人に集約することを目標として掲げています。今後、各拠点及び法人の事業上の必要性、顧客対応、供給体制、法務・税務、システム並びに再編コスト等を検証し、事業継続とリスク管理に支障を生じさせないことを前提として、順次再編を進めます。 ④全社IT基盤改革グループIT基盤の刷新と全社共通エンジニアリングプラットフォームの導入により、正しい経営の基盤構築と業務効率化を同時に実現すべく取り組んでまいります。IT基盤の刷新においては、個社毎に分断されていたシステムを全社および5本柱で統合し、内部統制の強化と経営情報の可視化を具現化するため、今後5年間で積極的にIT投資を実施します。これにより、正しい経営を支える強固な基盤を構築するとともに、業務効率の大幅な改善を図ります。また、全社共通エンジニアリングプラットフォーム(One Nidec Motor Engineering Agent)を導入します。各事業領域を跨いでグループ内のモータに関するエンジニアリング知見を網羅的に紐付け・共有することで、モノづくりを支える強固な基盤を構築してまいります。 上記の一連の経営改革を実行するために、当社では新規事業領域の強化に向けたM&Aや、事業再編、拠点の統廃合のために事業売却を効果的に活用し、事業ポートフォリオの組み換えを機動的に行い、事業の選択を強化してまいります。 ESGの取り組みについて当社は現在、ステークホルダーの皆様からの信頼回復と経営基盤の再構築を最優先課題と位置付けております。従来のサステナビリティ推進体制を根本から見直し、経営陣の強いコミットメントのもとで重要課題(マテリアリティ)の再特定と経営計画への統合を進めることで、より実効性の高いガバナンス体制へと進化させ、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。詳細につきましては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 (3)改善計画・状況報告書の実施状況①会計問題の概要当社に係る会計不正問題により、株主、投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、心より深くお詫び申し上げます。当社は、過年度において、複数の国内外の連結子会社を含むグループ内で、不適切な会計処理及び貿易取引上の問題が発生したことが判明し、2025年3月期有価証券報告書の連結財務諸表について監査意見を表明しない旨の監査報告書を受領しました。また、これら一連の事態を受け、株式会社東京証券取引所より当社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められたことから、2025年10月28日付で特別注意銘柄に指定されました。これを受けて、当社は、特別注意銘柄の指定解除に向け、内部管理体制等の抜本的な改善を目的として、2026年1月28日付で「改善計画・状況報告書」、同年4月27日付で「改善計画・状況報告書(改訂版)」を株式会社東京証券取引所へ提出しました。「改善計画・状況報告書(改訂版)」については、2025年11月に設置したニデック再生委員会によるヒアリング結果に基づき改善計画を策定した後、2026年2月27日及び同年4月17日に受領した第三者委員会の調査報告書の内容を踏まえて、不適切な会計処理・内部統制の不備に繋がる原因を再検討し、原因の分析及びその分析に基づいた再発防止に向けた改善措置の改訂版を策定しました。原因分析については、2026年4月27日付「改善計画・状況報告書(改訂版)」のとおり、(1)成長を示し続けるための過度な株価至上主義、(2)短期的な利益を最優先し、目標未達を許容しない企業風土、(3)永守氏への権限集中と同氏の意向を優先する風土、(4)ガバナンスの脆弱性、(5)内部統制の脆弱性、(6)グループ会社管理体制の脆弱性の6つの構造的・複合的な要因が重なり合って生じたものと考えています。 ②改善計画書に記載している改善措置の進捗状況について当社は、特別注意指定銘柄の解除に向けて4月27日付で公表しました「改善計画・状況報告書(改訂版)」について適宜対応を進めております。改善措置の進捗状況は以下のとおりです。1)FIR事案(FIR 社に関する貿易取引上の問題及び関税問題)に係る改善措置・状況(ⅰ)コンプライアンス最優先の意識/企業風土の醸成(a)当社取締役会から当社グループ内に対する明確なメッセージの発信2025年9月26日付で当社取締役会からコンプライアンス違反に対する厳格な姿勢と迅速な対応方針を中核とするコンプライアンス最優先の明確なメッセージを発信しており、また、経営トップからグローバル幹部に対して、コンプライアンス最優先を企業文化として根付かせることを経営の最優先課題とすること、全役職員が高い倫理観、誠実性を持って自律的に行動することの明確なメッセージを継続的に発信しています。第三者委員会の調査報告書受領の翌日である2026年3月4日や新年度開始日の4月1日には、経営トップより全役職員に対して正しさを最優先にすること等のメッセージを映像で配信しました。加えて、2026年7月に実施したグループ全役職員向けコンプライアンス研修においては、コンプライアンスの重要性について映像でメッセージを発信しています。 (b)人事処分を通じたコンプライアンスを最優先にした対応の必要性の周知徹底第三者委員会による調査結果及びその他の社内調査結果も踏まえて、厳正な人事処分を実施しています。その内容を従業員にも公表することで、コンプライアンスを最優先にした対応の必要性の周知徹底を図ります。 (c)法務・コンプライアンス部門の機能強化内部通報対応及び調査については、法務・コンプライアンス部門において、2025年7月1日付でCLO(Chief Legal Officer:最高法務責任者)と、同年10月1日付で部長クラスに、それぞれ新たに社内弁護士を配置し、専門知識を活用して対応できる体制を整備しました。 (ⅱ)組織・体制の強化(a)貿易コンプライアンス体制の強化2025年12月1日付で、関税専門家(WCO(世界税関機構)勤務経験者)を当社貿易コンプライアンス室長(貿易管理室を改組)として任命するとともに、貿易規制分野の進展状況を統括する専門家及び有識者からなるグローバル貿易戦略チームを設置しました。また、米国に係る全ての貿易手続について、米国関税の専門家が複数所在するニデックホールディングアメリカ㈱ 法務部が主体となって一元的に管理し、米国におけるトレードコンプライアンスに関する権限もニデックホールディングアメリカ㈱に付与しました。 (b)グローバルコンプライアンス体制の強化CLO(Chief Legal Officer:最高法務責任者)の役職を設けて専門的知見と経験を有する人物を配置するとともに、北米にコンプライアンス専門家を配置しました。当社コンプライアンス部と各地域のコンプライアンスオフィサーとの会議を、2025年10月から2026年9月にかけて計38回実施しました。主なアジェンダは各地域における内部通報対応状況の確認、コンプライアンス関連施策に関する情報連携(規程の改訂、当社で策定した対応マニュアルの共有、全従業員向け研修の進捗確認等)などです。また、CLO及びCCO(Chief Compliance Officer:最高コンプライアンス責任者)に対しては、週報や隔週のコンプライアンス部内会議でリスク情報を共有しており、グローバルで通報案件や課題に迅速に対応できるように体制を強化しております。 (ⅲ)手順・規程・仕組みの改善(a)当社グループの報告体制の改善FIR事案では情報伝達の停滞が生じましたが、今後は同様の情報伝達の停滞を防ぐため、下記を規程で明文化しました。ⅰ)各地域コンプライアンスオフィサー及び当社コンプライアンス部が重要なリスク情報を把握した場合は、直接当社の最高コンプライアンス責任者(CCO)に報告すること。ⅱ)各地域コンプライアンスオフィサーが法令違反行為及び法令違反のおそれがある行為を認識した場合は、当社コンプライアンス部に報告すること。 (b)当社グループの法務・コンプライアンス部門間の情報共有海外の法務・コンプライアンス担当者と定期的な情報共有の場を設け、その情報を当社の法務・コンプライアンス部門内の主要メンバー間で共有します。訴訟案件に関するリスク情報の報告については、直近では7月に第1四半期末時点の訴訟情報を各地域法務担当者から収集し、法務部内で共有しました。また、2026年4月に実施されたグローバル会議では、CLOや米国統括会社の法務コンプライアンス部門の最高責任者、主要地域の地域コンプライアンスオフィサー、主要国の法務部門の責任者等が参加し、3日間にわたって各部門の活動内容や活動実績、事業部紹介等の情報共有や、今後解決すべき課題、施策にかかる協議を行いました。 (c)内部統制の適切な整備四半期決算ごとに行う経理部門から法務部に対するリスク情報の問い合わせは、グローバルベースに拡大し、経理部門が認識している重要なリスク情報が網羅的であるかどうかを確かめるプロセスを導入しました。法務部が各地域法務担当者から報告を受ける訴訟案件に関するリスク情報について、一覧性のあるデータベースを構築してリスク分析も実施するようにし、その情報を経理部門に共有する体制を整備しました。2026年7月には、当社法務部が各地域法務担当者から2027年3月期第1四半期末時点の訴訟情報を収集し、480件の訴訟案件を当社経理部門に共有しました。共有を受けた当社経理部門は、請求金額、訴訟の進捗状況、発生可能性その他の重要性を踏まえ、重要な案件については、必要な引当金等が適切に計上されているか又は連結財務諸表上、開示が必要な案件が無いかを個別に確認しています。さらに、内部通報に関する情報についても、当社コンプライアンス部が通報者特定につながり得る情報を削除、編集等し、閲覧権者を限定した上で、2026年1月から9月にかけて、四半期に1度以上の頻度で当社経理部門に共有しました。 (ⅳ)FIR社における改善措置 (a)体系的な研修教育体制米国関税法遵守の周知徹底のため、米国関税専門の弁護士に委託して、貿易コンプライアンスの専門研修を継続的に実施しています。具体的には、事案発覚直後の2025年7月にFIR社の調達部門や物流部門等を対象として再発防止を目的とした教育を実施しました。また、2026年3月には、最新の米国関税制度の修得を目的とした研修を貿易コンプライアンスに関わる部門を対象として実施しました。また、FIR社を含むグループ全体の取り組みとして、2026年5月には、貿易に関与する役職員を対象として、違反事例を通じたリスクの理解と社内の運用体制および相談・報告ルートの周知を図ることにより、現場での適切な判断と行動の定着を目的としたe-ラーニング研修を実施しました。加えて、同年同月に、貿易管理に関する遵守事項を業務プロセス別に一覧化したマニュアルや、注意すべき事項をまとめたハンドブックを展開し、社内ポータルに掲載しました。 (b)原産国表示判定に係る内部統制FIR社において、米国輸出に関する原産国表示判定に関する内部統制が適切に整備されていなかったため、これらの内部統制を整備し運用を開始しております。具体的には、ニデックグローバル貿易管理基本規程第10条を新たに規定し、米国向け貨物の原産国判定において、ニデックホールディングアメリカ㈱ 法務部との連携、及び外部の貿易管理専門家との協議を必須とするプロセスを整備しました。これにより、最新の法令や重要な部品・BOM(部品構成表)の変更を適時に反映し、専門的知見に基づいた正確な原産国判定を継続的に行う体制を構築しております。 (v)FIR事案の調査等踏まえた貿易コンプライアンスに係る追加改善措置(a)貿易コンプライアンスに関するe-ラーニング研修の実施2026年5月に、違反事例に関する相談・報告ルートを改めて周知するとともに、貿易に関与する役職員を対象として、貿易コンプライアンスに関するe-ラーニング研修を実施しました。これにより、貿易管理に携わる役職員に対し、遵守すべき基本事項の理解を改めて促すとともに、違反又はその懸念を認識した場合に適切に相談・報告することの重要性について周知徹底を図りました。 (b)「関税対応マニュアル」及び「関税対応ハンドブック」の整備・展開2026年5月には、原産地国判定、関税分類及び自由貿易協定に関する業務について、貿易管理上の遵守事項を業務プロセス別に整理した「関税対応マニュアル」及び実務上注意すべき事項を取りまとめた「関税対応ハンドブック」を新たに作成し、関係者へ展開しました。これにより、従来、各拠点や担当者の知識・経験に依存する部分があった貿易管理業務について、実務において参照すべき共通ルールを明確化し、業務の標準化に向けた取組みを進めています。 (c)コンプライアンスの重要性についての継続的な発信2026年7月に実施したグループ全役職員を対象とするコンプライアンス研修において、改めてコンプライアンスの重要性について映像メッセージを発信しました。貿易管理に直接携わる従業員に対する専門的な教育に加え、グループの全役職員に対してコンプライアンスを事業活動の前提として徹底することの重要性を改めて発信することで、グループ全体におけるコンプライアンス意識の一層の浸透を図っています。 (d)SOP(標準業務手順書)の整備・展開上記の教育・ルール整備にとどまらず、各拠点の実際の業務プロセスにおいて貿易コンプライアンスの実効性を確保するため、本社部門が主体となって各拠点の貿易管理プロセスを確認し、把握した課題の改善及びSOP(標準業務手順書)の整備・展開・定着に取り組んでいます。特に米国においては、関税調査を過去の申告誤り及び財務影響を確認するための調査にとどめず、貿易管理体制そのものを改善する機会と位置付け、本社の貿易管理担当者が現地担当者及び関係部門と一体となり、実際の輸入取引及び業務プロセスの確認、必要な情報の収集・検証並びに判明した課題の是正を進めてきました。こうした本社・現地一体での取組みを通じ、現地担当者が実際の取引に即して関税分類、原産地国判定等の貿易管理実務に関する知識・経験を蓄積するなど、現地における実務対応力の向上にもつなげています。また、実際の業務プロセスを踏まえて課題を把握・改善する経験を重ねることで、各拠点の実態に即したSOPの整備及び実効的な運用に活用できる知見・ノウハウを蓄積しています。現在、米国を含む各グループ拠点において、プロセスの確認・是正やSOPの整備を並行して進めています。今後は、各拠点での取組みや米国で得られた知見・ノウハウを相互に活用しながら、業務手順の標準化とその定着・運用状況の継続的な確認を進めることで、教育・ルール整備から実際の業務プロセスへの定着まで、一連の改善措置を継続的に運用し、グループ全体の貿易コンプライアンスの実効性を高めてまいります。 (ⅵ)人事処分第三者委員会による調査結果及びその他の社内調査結果を踏まえて、FIR社に関する責任の明確化を行い、既に主要な責任者は解雇もしくは辞任にて4名が退職しております。その他の対象者に対しては、書面での戒告処分や口頭での厳重な処分を行う予定です。 2)不適切な会計処理の疑義を踏まえた改善措置(i)中期経営計画策定のプロセスの再整備(a)中期経営計画策定のルールの再定義や明文化中長期的な視点での競争力強化と事業成長を実現することを目指し、研究開発など具体的な実効性を伴う戦略を明確に示すべく、事業本部・国内グループ会社が、CFO・CMO・CDO・CTOといった当社グループ全体に横串を通す機能を担う役職員とも連携し、計画の立案及び検証を行うことを含め、成長を実現するための中期経営計画の実現可能性を高めるルールとなる中期経営計画策定規程を2026年6月に新設し、その後、中期経営計画策定ポリシーとして当社グループ各社への周知を完了しました。これに基づき、2026年度より中期経営計画策定プロセスの運用を開始しています。 (b)中期経営計画検討体制(チーム制)の構築個々の事業本部・国内グループ会社における責任者が、中期経営計画を自ら策定し、機関決定を経て、その実行に責任を負うことを明確化しました。また、そうした責任者を支援するチーム体制を構築し、チームによる十分な議論を経た上で個々の事業本部・国内グループ会社が計画を策定する体制を整えるとともに、当社事務局及び当社グループ全体に横串を通す機能を担う役職員が、各チーム及び実務担当者と連携して計画を検討する体制も整備しました。加えて、中期経営計画の策定に当たっては、社内での有為な人材の知見を広く集約するとともに外部専門家の知見も活用しながら進めております。 (c)中期経営計画策定プロセスの強化全社としての経営の方向性を定め、かかる方向性に基づき、個々の事業本部・国内グループ会社の業績責任を担うチームで十分な戦略議論を行い、合理的な中期経営計画となるようプロセスを改めました。各事業本部・国内グループ会社が当社に対して説明責任を果たしたうえで機関決定(経営会議・取締役会承認等)を行うことで、当社の一部の経営層による属人的・恣意的な計画の策定や変更の防止を進めております。そして、これらの施策に基づき、2026年度において、既に策定済の2027年度までの計画の見直しと2028年度以降の計画の策定を進めております。具体的には、2026年5月13日に公表した“Re-Definition”ニデック経営改革5カ年プラン(FY26-30)を基に、同月29日の経営会議及び同年6月3日の取締役会において中期経営計画策定の方向性及び検討プロセスを協議し、同月に事業本部、当社グループ会社の長及び当社経営層が参加する説明会を開催して策定プロセスを開始しました。現在は、事業特性が共通する事業をまとめた新たな事業軸である「5本柱」(Better Life、Electrification & Energy Infrastructure、Digital Society Solutions、Advanced Manufacturing Solutions、Mobility Innovation)の枠組みの下、各事業領域に設置した戦略検討チームが主体となり、「5本柱」の長の意向のみで計画を定めるのではなく、市場環境、自社の強み・技術要素、同一事業領域に属する会社間のシナジー等を検証しながら中期経営計画の策定を進めています。例えばある事業での戦略議論においては、従来の売上規模の拡大と製品のフルラインナップ整備を前提とした取組みに対し、製品ごとのポートフォリオを再検討し、競争力の低い製品については選択と集中への転換を検討するなど事業の競争力を踏まえた議論を進めており、外部専門家の知見も活用し、実態や将来予測を踏まえながら、自らの意思で成長に向けた計画を検討している事例として把握しております。加えて、ガバナンス向上や全体最適を目的とした組織体制・経営モデルの変革という観点からも、法人の統廃合、生産事業所の最適化、販社及び工場のコストセンター化といった施策の検討を進めております。 (ⅱ)事業計画策定プロセスの再整備(a)事業計画策定のルールの再定義2026年3月に事業計画管理規程を新設し、事業計画管理ポリシーとして当社グループ各社への周知を完了しました。これらについては2026年度より運用を開始しており、2027年度の事業計画に反映される予定です。(b)事業計画検討体制(チーム制)の構築及びプロセスの強化2026年1月に、改善計画・状況報告書記載の考え方に基づく事業計画策定プロセスの説明会を実施し、各事業本部・国内グループ会社において事業計画の策定を開始しました。同月末から2月初旬にかけて、各事業本部・国内グループ会社と当社との間で、策定プロセスの進捗確認並びに疑問・懸念の解消を目的とした進捗確認会を実施しました。 その後、2026年3月に事業計画共有会を開催し、親和性のある事業ごとに外部環境や事業特性に照らした計画の合理性を相互に確認しました。これらのプロセスを経て、同月28日の経営会議及び同月31日の取締役会において総連結計画を協議し、2026年度事業計画を承認しました。策定過程では、一部の経営層による非現実的な目標設定を改めることと、成長に向けて健全な挑戦を追求することは両立すべきであるとの議論や、保守的な計画ではなく自らの意思でチャレンジを検討する事例も報告されました。各事業の従来の実態は一様ではないことを踏まえ、各事業による主体的な計画策定と当社による合理性の検証を進めてまいります。今後の事業計画策定、予実管理及び事業評価を適切に運用する上での根拠文書となる事業計画管理規程を2026年3月に新設し、事業計画管理ポリシーとして各当社グループ会社への周知が完了しております。事業計画の基礎となる中期経営計画の策定が完了したのち、2027年度の事業計画より運用します。 (ⅲ)予実管理プロセスの適正化(a)予実管理における業績管理値の変更事業部門の判断を伴う月次見込値を日次で報告する管理体制及び業績会議を2025年9月末に廃止し、2026年4月実績以降は、簡易連結による月次財務実績値を中心とした新たな予実管理を開始しています。2026年4月分については同年5月29日の経営会議及び同年6月3日の取締役会に、同年5月分については同年6月24日の経営会議及び同年7月8日の取締役会に、それぞれ報告しました。同年6月分以降については、2026年3月期および2027年3月期第1四半期の決算と整合した財務実績値での予実管理が可能となり次第報告を行い、以降は通常の報告サイクルで予実管理を行う予定です。 (b)実績分析及び対策の検討、次期計画精度向上2026年3月に新設した事業計画管理規程に基づき、同年度の予実管理に関する具体的なプロセス及びフォーマットを含むガイダンスを整備し、各事業本部・国内グループ会社への周知を完了しました。2026年4月実績以降、上記(a)に記載した予実管理において、計数に加えて各事業本部・国内グループ会社による事業状況分析も報告対象とし、経営会議において討議を行っています。また、2026年9月には事業ごとに通期見通し確認会を開催し、2026年度事業計画に対する直近時点の見通し・確度及び計画策定時からの状況変化等について討議し、その結果を取り纏めた総連結の通期見通しを同月9日の経営会議及び30日の取締役会に報告しました。乖離理由の分析、挽回余地の検討及び計画見直し等についても、決算と整合した通常の報告サイクルにおいて、四半期予実管理会議での確認・協議を実施する予定です。 (ⅳ)業績評価基準の見直し(a)計数項目の見直し2026年3月に新設した事業計画管理規程において、事業本部・グループ会社の事業評価指標を売上高、営業利益、FCF(フリーキャッシュフロー)及びROIC(投下資本利益率)と定め、各事業本部・グループ会社が事業特性に応じて所定の範囲内で評価比重を申告し、当社による検証を経て決定する仕組みを明文化しました。これにより、利益目標達成のみに対する過度に厳しいプレッシャーが生じることを抑止します。 (b)評価項目の追加事業計画管理規程に基づく新たな事業評価の考え方及びプロセスについて、各事業本部・国内グループ会社に対する説明会を実施しました。また、2026年度の事業計画策定に並行し、中長期を見据えた課題と目的に対応する手段として複数の中長期重点施策を事業本部・グループ会社自身で策定し、またそれらについて2026年度内に到達すべきマイルストーンと評価基準についても設定しました。決算と整合した通常の報告サイクルにおいて、上記(ⅲ)(b)に記載した予実管理会議にて売上高・営業利益に加えてFCF及びROICを含む指標について協議するとともに、中長期重点施策の進捗状況について、短期的な利益目標達成のみならず中長期的な会社の成長に向けた取り組みの進捗状況を確認いたします。また、事業年度終了後には、上記(a)で記載した財務指標とともに中長期重点施策について通年での検証・評価を行い、経営会議等への報告及び戦略上の議論に活用いたします。 (ⅴ)経理機能の事業部門からの独立性の確保(a)経理機能の独立性の確保不適切な会計処理の発生を防止するため、経理機能の事業部門からの独立性を確保し、正しい会計処理を行うことを最優先とする体制の整備を進めました。その一環として、当社は、2026年2月に事業本部及び国内グループ会社に対し、経理機能と事業管理機能の役割を明確化するため、業務分掌規程や職務記述書の見直し及び改訂を行うよう通知しました。これを受け、事業本部及び国内グループ会社各社は、業務分掌規程や職務記述書を改訂し、2026年4月以降は、当社の経理担当役員の下、適切な制度決算を担う経理機能と経営戦略実行のモニタリング等を担う事業管理機能に分化しています。また、事業本部及び国内グループ会社の経理機能を当社の経理機能の管掌下に置くとともに、人事面についても当社が関与する体制としました。具体的には、事業本部及び国内グループ会社のCEOがCFOの選解任を決定する場合は、当社CFOが事前にその内容を確認し、特に解任の場合にはその理由の妥当性を確認することとしました。また、事業本部及び国内グループ会社の経理責任者に対する人事評価については、事業本部及び国内グループ会社のCFOが評価結果及びその理由を当社CFOに報告する義務を負うものとし、当社CFOが評価の公正さと適正さを確認できる体制としました。これらの人事プロセスの変更は2026年4月に事業本部及び国内グループ会社各社に対して通知しています。当該プロセスを通じて、CFO及び経理責任者が不当な評価や解任を受けることを防止し、経理組織が事業部門の業績目標や意向から独立して適切な会計判断を行える状態を確保することで、経理部門が事業部門と一体となって利益目標の達成を目指すという従前の構造を解消し、第2線のディフェンスラインとして適切に牽制機能を発揮することを目指しています。さらに、業績が目標未達か過達かに関わらず、組織として正しい実績値を報告できる体制を担保するため、デュアルレポートラインを2026年4月に整備しました。具体的には、事業本部及び国内グループ会社のCFOのレポートラインは、所属組織のCEO及び当社CFOとしました。また、事業本部及び国内グループ会社の経理責任者のレポートラインは、所属組織のCFO及び当社経理責任者としました。上記内容については、当社から、事業本部及び国内グループ会社各社に対してデュアルレポートに関するインストラクションを展開し、経理機能の独立性を確保する体制として運用の定着を図っています。本体制の整備により、当社CFO及び当社経理責任者と、事業本部及び国内グループ会社各社のCFO及び経理責任者との間で、直接的なコミュニケーションが定常的に図られるようになりました。特に、事業本部及び国内グループ会社各社のCFO及び経理責任者は、月1回の業務報告を通じて、それぞれが管掌する業務の運営状況、認識している課題及び重要な論点等を当社CFO及び当社経理責任者に直接報告し、必要な助言及び支援を受けるとともに、今後の対応方針等について相互に意見交換を行っています。これにより、業績の達成状況にかかわらず正しい実績値を率直に報告・共有できる環境が醸成されつつあり、経理機能の独立性確保にとどまらず、適正な会計処理を尊重する組織風土の改善にも寄与しているものと認識しています。 (b)経理リソースの確保経理税務部の連結会計グループの人員リソースの補強は途上にありますが、引き続き新卒及び中途採用に加え、他部門からの配置転換等を通じて、連結会計グループの人員体制の補強を進めてまいります。もっとも、当面は改善施策の実行や、現行決算対応等に人員が割かれるため、決算品質を確保するための当面の対応として、外部専門人材を活用した決算対応体制を敷いており、実際の連結決算業務も外部リソースの関与を得て進めております。これにより、当社の人員リソースのみでは対応が困難な決算実務やレビュー機能が補完され、外部の客観的知見も踏まえた決算品質の確保を図っています。あわせて、比較的引継ぎが容易な業務については経理税務部内の他グループ及び経営管理部からの協力を得るとともに、連結決算の実務経験を有する事業部やグループ会社への出向者等による支援も活用することで、組織全体としての決算対応力の底上げを図っています。また、今後1~2年程度かけて外部専門人材の指導による経理人材の育成も踏まえ、徐々に内製化・自走化を図るとともに、並行して経理業務の集約化・効率化の施策を実行します。 (c)経理に関する意識改革・教育経理部門及びその他の部門に対する意識改革・教育を実施しています。2026年3月には、投資家・市場をはじめとするステークホルダーに対して誠実に対応し、適正な財務報告を行うことの重要性やコンプライアンスに対する基本姿勢を周知徹底するため、経営トップから全従業員に向けてトップメッセージを発信するとともに、経営幹部、経理業務に従事する役職員、購買・生産管理部門及び営業部門に従事する役職員約12,000名を対象に、投資家・市場に対する誠実な姿勢の徹底、適正な財務報告の確保及びコンプライアンスに対する理解と意識の向上を目的としたe-ラーニング研修を実施しました。具体的には、会計不正に至った背景及びその社会的影響について理解を深めるとともに、実際に発生した会計不正事案を題材として、現場において認識すべき会計上・決算上のリスクの兆候や、それらを把握した場合に求められる適切な行動の在り方について、ケーススタディ形式で学習しました。これは第三者委員会から提言のあった投資家・市場に対する誠実さの徹底に資するものと判断しています。また、2026年9月には、会計不正の再発防止に向けて、当社グループの経理部門に従事する従業員を対象としたe-ラーニング研修を実施しました。本研修は、会計不正事案及び再発防止策に対する理解を深めるとともに、経理人材として求められる行動原則を周知・浸透させ、経理部門として適正な決算及び財務報告を担保することを目的としたものです。単なる知識習得にとどまらず、経理従事者一人ひとりが果たすべき役割を理解し、日々の決算・財務報告業務において適切な判断と行動を実践できるよう、意識付けを図りました。これらの研修は、一過性の取り組みにとどめることなく、今後も継続的かつ反復的に実施していく方針であり、次回は2027年2月頃の実施を予定しています。こうした継続的な取り組みを通じて、当社グループの経理部門をはじめとする全社の財務報告に対する意識及び感度を持続的に高め、会計不正の再発防止に資する研修としての実効性の確保に万全を期してまいります。 (d)経理ガバナンスの強化経理ガバナンスの強化を図るため、会計自己点検(第三者委員会の管理・監督の下、大部分のグループ会社における2020年3月期から2026年3月期第1四半期までの会計処理の適切性を調査する取組み)の経験により、当社・事業本部・国内グループ会社、その傘下会社が効率的・効果的にコミュニケーションを図る関係性が構築されつつあり、NIAP(Nidec global Accounting Policy)(2017年のIFRS導入に伴い規程化され、グループ全社への展開・運用が行われているグループ会計方針です)の展開等の各種施策を着実に実行しています。また、2026年3月期末決算より、各グループ会社の決算において生じ得るリスク情報を当社経理税務部へ報告するプロセスを新たに構築したことにより、減損リスクをはじめとする各社の重要な会計上・決算上のリスク情報を、当社において一元的に把握・管理することが可能となりました。そして、事業管理機能を担う経営管理部が、この新たなプロセスを通じて集約されたリスク情報に関して、事業環境の変化や財務データ等を統合的に分析し、当初の事業計画や投資計画が現場の実情に基づいた実現可能性の高いものとなっていたかどうかを適切に評価するとともに、経理税務部とも情報連携を図っています。さらに、重要な会計上・決算上のリスク情報については、当社CFOが、経営会議及び取締役会に適時に共有する体制としており、2026年3月期末及び2027年3月期第1四半期に関する重要な会計上・決算上のリスク情報については、2026年8月26日開催の経営会議において共有しています。加えて、当社CFOが、グループ横断的な観点からの分析・対応を行い、当社・事業本部・国内グループ会社の各CFO・経理責任者・事業管理責任者と定期的(年に3回程度)なミーティングを実施することにより横串機能の強化も図っていきます。直近では、2026年4月にミーティングを実施し、当該プロセスの趣旨を共有しており、2026年12月上旬に開催を予定しているミーティングにおいて、重要な会計上・決算上のリスク情報及び再発防止策の運用状況等について共有・確認を行う予定です。また、投資家・市場に対して誠実な財務報告を行う前提として、会計監査人に対して適正かつ透明性のある情報提供を行うことが不可欠であることに鑑み、重要な会計上・決算上のリスク情報を適切なタイミングで会計監査人とも共有する運用としており、2026年3月期末及び2027年3月期第1四半期の状況も決算期間中に適宜共有しています。これにより、監査上の重要な判断に影響を与え得る情報が網羅的かつ遅滞なく会計監査人に伝達される体制を確保しています。これらの取組みにより、当社グループ全体の経理ガバナンスの高度化を図るとともに、不適切な会計処理の未然防止及び早期是正の実効性を高めています。 (ⅵ)会計方針の明確化と運用の適正化(a)グループ会計方針の見直し、例外申請の廃止グループ会計方針の見直しについては、本事案及び各事業の実態に基づき2026年6月に実施しました。具体的には、従前は必ずしも明確でなかった会計処理の判断基準について、2026年3月以降、事業本部及び国内グループ会社各社との間で複数回にわたるコミュニケーションを実施し、事業実態に即した具体的なガイダンスを追加することにより、判断指針の明確化を図っています。また、NIAPの運用形骸化の要因となっていた例外申請は2026年3月期末決算から廃止しており、例外申請を認めない運用を継続しています。今後も、当社経理部門がNIAPの運用状況を継続的に確認し、必要に応じてガイダンスの整備や改訂を行うことにより、会計処理のばらつき、不適切な拡大解釈及びNIAPからの逸脱の防止を徹底します。 (b)グループ会計方針の展開M&Aで取得したグループ会社を含めた全グループ会社に対してNIAPの内容の周知徹底を図っています。具体的には、事業本部・国内グループ会社のCFO及び経理責任者に対して2026年6月に実施した説明会や全ての事業本部・国内グループ会社に対して2026年6月及び7月に発出した通達を通じて改訂後のNIAPを展開するとともに、社内情報基盤上にも掲載することで、経理部門に限らず広く関係者への浸透を図っています。特にグローバルの経理メンバーに対する説明会の実施に当たっては、従来のような通訳を介した説明にとどまらず、経理税務部の責任者が日本語及び英語を用いて直接説明を行い質疑応答にも対応しました。これにより、NIAP改訂の趣旨や具体的な判断基準、実務上の留意事項をより正確に伝達し、NIAPのより一層の理解促進及び浸透を図りました。また、四半期決算ごとに当社経理税務部からレポーティングパッケージ提出会社に対して発出している決算上のトピックスや留意事項に関する通達においても、NIAPに基づく処理の徹底を継続的に周知しています。直近では、2026年9月に2027年3月期第2四半期決算に向けた通達を発出しており、NIAPの周知徹底を図っております。なお、レポーティングパッケージ提出会社がサブ連結(子会社グループで連結決算をした上でレポーティングパッケージに入力し報告)の親会社である場合は、サブ連結親会社がサブ連結子会社へ展開するようにしています。これらの取り組みを継続することにより、グループ全体としての会計処理の一貫性の確保を図っています。 (c)グループ会計方針の準拠性の宣誓2027年3月期第1四半期より、各グループ会社がレポーティングパッケージ提出前にNIAPへの準拠性を確認・宣誓するプロセスを導入し、運用しています。具体的には、本事案における会計自己点検の結果等に基づき作成した主要な会計論点のチェックリストを用いて、事業本部・国内グループ会社の経理責任者がNIAPへの準拠状況を確認の上、宣誓する運用としています。 (d)事業本部・国内グループ会社に対するレビュー各グループ会社が適切に決算を行っているかを当社経理部門が四半期ごとにレビューすることにより、事業本部・国内グループ会社の経理部門に対する監督の強化を図っています。レビュー対象には、レポーティングパッケージ提出会社に加え、サブ連結の単位に含まれる子会社も含めており、グループ全体をカバーすることとしています。本レビューでは、NIAPの正しい理解のもと、各グループ会社から当社経理税務部に報告される決算上のリスク情報が適時に連携され、会計上の対応状況や会計監査人との協議状況が継続的にモニタリングされる体制を通じて、決算品質の向上及び本社の監督機能の強化を図ることを目的としています。具体的には、各四半期の決算期末前と決算期中において、各グループ会社から報告される決算上のリスク情報の提出状況や記載内容を確認し、不備があれば各拠点に個別に連絡のうえ、必要に応じて更新・再提出を依頼しており、2026年3月期末決算から運用を開始しています。さらに、各四半期の決算後に各拠点における重要な会計判断を明文化した文書を収集し、必要項目が適切に記載されているかをモニタリングします。本手続は2026年12月から運用を開始する予定です。 (ⅶ)企業風土の変革(a)企業風土改革を推進する新組織の設立企業風土改革を戦略的かつ機動的に推進し、意思決定プロセスの透明性と迅速性を向上するため、2026年2月1日より、CHRO(Chief Human Resource Officer:最高人事責任者)直下に新組織(Culture Transformation Lab)を設立しました。Culture Transformation Labでは、グループ会社にて製品開発・人事責任を担ってきた人物を組織長とし、共に若手の親睦会本部会長を務めた人物が専任でチームリーダを務めています。Culture Transformation Labの設立以来、CEOやCHROとの定例会、グループ各社との定例会、親睦会やグループ各社の労働組合等との定例会を設け、意見収集を進めています。今後も、これらの各種会議体を定例的に開催し、従業員から寄せられた意見を継続的に収集・審議するとともに、経営層への確実な伝達と迅速な意思決定を通じて、施策への反映を進めてまいります。 (b)階層別企業風土研修の実施永守氏の掲げる経営理念の影響を見直すべく、当社では「挑戦への道」の朝の輪読を廃止し、永守氏の価値観や意向が強く反映された社内の掲示物(ポスター等)についても、国内外全拠点で、撤去を実施しました。企業風土改革の取組みに関する社員の理解を促進し、当社のあるべき姿の土台となる「正しい姿」の共通認識を浸透させ、行動変容につなげることを目的として、役員・管理職・一般社員(従業員層)を対象としたオンライン研修を、2026年7月30日に国内外主要グループ会社に向けて展開しました。 (c)社員との対話機会の創出主要拠点ワークショップ及び拠点インタビュー、経営層が参加するタウンホールミーティング等を通じたコミュニケーションを実施します。参加者間で意見を共有し相互理解を深める場を整備するとともに、企業風土について考え、望ましい姿や行動について意見交換・議論できる仕組みを整備しました。2026年9月末時点で、国内本社を含む国内15社、海外28社においてワークショップ及び拠点インタビューを実施しています。経営層自らが国内外の各拠点を訪問し、自らの変革の意思を伝えるとともに、現場社員の生の声に耳を傾けるタウンホールミーティングを実施しています。なお、タウンホールミーティングにおいて経営層に寄せられた意見を収集し、ワークショップで収集した意見と同様に、施策の検討につなげています。施策の内容に応じてCEO・CHROとの定例会の機会を活用し、適宜承認を得ることで迅速な意思決定を図り、関係部門の協力を得ながら実現に向けた取組みを推進しています。2026年8月末時点で、経営トップのタウンホールミーティングを国内外で延べ21拠点にて実施しました。また、施策の検討・実施状況については、社内ポータルサイト「NiDEPO」に定期的に掲載することで、意見がどのように検討・反映されているかを把握できるようにしています。 (d)経営層による行動変革改善計画・状況報告書(改訂版)に記載した上記(a)から(c)の活動の他にも、当社では企業風土変革に必要と認めた施策を実施しています。当社経営層と社員それぞれによる行動変革施策の実施状況は、本(d)及び下記(e)のとおりです。第三者委員会の設置後、経営トップから全従業員に向けたトップメッセージを継続的に発信し、率直に意見を表明することを呼びかけています。こうした継続的に発信されるメッセージが従業員により伝わりやすくなるよう、毎月実施している全体会同において経営層のメッセージを発信する際には、資料の投影のみならず登壇者の表情がわかる映像を映し、内容によっては経営トップのみならず担当役員自らが登壇して従業員に直接説明するよう、運用を変更しました。また、「『永守氏の会社』からの脱皮」を実現し、新たな経営体制の下で当社グループの変革を着実に推進するため、経営トップを中心として、今後の改革の方向性および当社グループが目指すべき姿を示す「Re-Definition宣言」を策定し、2026年4月1日に社内に発表しました。策定したRe-Definition宣言を受けて、当社の今後の方向性の共有及びRe-Definition宣言の浸透等を目的とした役員合宿を開催しました。本合宿には海外拠点の役員含む、当社の役員が全員参加し、グローバルな視点も踏まえながら、当社グループの目指すべき姿や今後の企業風土変革の進め方等について、活発な議論を行いました。なお、Re-Definition宣言は、あくまで現時点における当社グループの方向性を暫定的に再定義したものです。当社では、これを基礎として、より根本的な企業理念(パーパス)の検討も併せて進めており、2026年度中の策定を目指しています。 (e)社員による行動変革社員から収集した意見を反映した施策も実施しています。例えば、社員間のコミュニケーションにおける心理的負荷を軽減し、相互に意見を述べやすい職場環境を醸成することを目的として、役職や立場にかかわらず「さん」付けで呼び合う取組みを推進しました。また、従業員の声に従って働く環境の整備を推進することで、当グループの細部にまで浸透していた短期利益やコスト削減を最優先する価値観からの脱却を図るとともに、会社が一人ひとりを大切にし、その声を尊重する姿勢を具体的な形で示しています。併せて、社員同士の自然な交流やコミュニケーションが生まれやすい職場環境づくりを進めています。さらに、社員間のつながりを一層強固にし、日常のコミュニケーションを活性化させることを目的として、会社として敢えて感謝を伝える機会を設ける「感謝ウィーク」を実施しました。普段は感謝を伝える機会が少ないなかで、会社が主体的にその場を用意することで、社員間のつながりを深め、普段のコミュニケーションのあり方そのものを変えていきたいとの狙いによるものです。その結果、多くの感謝のメッセージが寄せられ、社員からは「普段はなかなか伝える機会がなかったため、良い取組みだった」との声も寄せられました。 (f)本社各部門・グループ会社・グローバル各社での活動上記(a)から(e)の活動は当社の各部門やグループ会社、グローバルの各社にも少しずつ広がっており、当社では、その状況を社内外に示しています。Culture Transformation Labによる活動と並行して、当社の各部門及びグループ会社においても、それぞれの職場の課題に応じた改善活動が始まっています。当社総務部では、社員から寄せられた意見を踏まえ、執務室内で軽食を購入できるサービスを導入しました。当社の小型モータ事業本部並びに国内グループ会社であるニデックプレシジョンやニデックドライブテクノロジー等では、Culture Transformation Labとは別に、企業風土変革を推進するため、それぞれの組織や職場が抱える課題を踏まえた施策を主体的に検討し、実行する取組が始まっています。これらの取組とCulture Transformation Labは適宜連携し、情報連携等を通じて相互の施策推進を加速させています。こうした取組みを受けて、「これまで接する機会の少なかった役員が現場に足を運び、直接対話してくれるようになったことで、会社が変わろうとしていることを実感するようになった」との声も寄せられています。変革の動きは、国内にとどまらずグローバルにも広がり始めています。これまで各地域・拠点を中心に運営されてきた人事機能について、グローバルで相互に連携する取組を進めています。その一環として、各地域・拠点の人事担当者が一堂に会し、相互理解を深めるとともに、今後のグローバルな連携強化に向けて意見交換を行うイベントを開催しました。あわせて、Culture Transformation Labがこうしたグローバルに連携する人事機能との結びつきを一層強めることにより、各国の人事機能と歩調を合わせ、人事領域における企業風土変革を力強く推進してまいります。また、本件事案を教訓として、各拠点においても自主的な取組が進められています。例えば、車載事業本部傘下のニデック自動車モータ(浙江)では、改善計画書を中国語に翻訳した上で、本件事案を自拠点にも関わる課題として捉え、その内容を共有するとともに、自拠点における課題や今後の取組について議論する勉強会を実施しました。この他にも、小型モータ事業本部傘下のニデックフィリピンでは、Re-Definition宣言を受けて、利益偏重から脱却し、正しさと品質を前面に打ち出した拠点方針を策定し、当該会社の全体朝礼で共有したうえで、各部への展開を依頼しました。 (g)実施状況の透明性確保Culture Transformation Labにて検討し、各部門・各グループ会社で実施している施策は、社内ポータルサイト「NiDEPO」にて公開し、検討状況や対応の方向性を順次更新しています。これにより、社員から寄せられた意見への対応状況を社員自身が把握できるようにし、社員からの意見の取扱手続の透明性の向上を図っています。さらに、改革の状況や今後の取組み、その進捗を社外のステークホルダーに対しても継続的かつ透明性をもって発信することを目的として、2026年7月9日に「Nidec Journal」を立ち上げました。同媒体を通じて改革の進捗や具体的な取組みを継続的に発信することにより、当社グループへの理解の促進および信頼の回復・向上につなげてまいります。このように、当社グループでは、企業風土変革に向けた各種取組を進めており、現時点では限定的ながらも、その変化を実感する社員の声や具体的な事例が徐々に現れ始めています。一部の社員からは、「会社が取り組んでいることが以前よりも見えるようになり、身近なところでも変化が起き始めていることから、今後の変革に期待している」との声が寄せられています。もっとも、当社は、企業風土が変わり始めているとはいえ、すべての人がその変化を実感している状態にまでは至っていません。ワークショップ等では、「Culture Transformation Labが活動していることは認識しているものの、自分たちの職場や会社が変わったとは感じられない」との声も寄せられています。現時点で生じている変化は、一部の職場や社員が変化の兆しを感じ始めた段階にとどまり、現場において具体的な変化を実感できていない社員も依然として多いものと認識しています。そうした認識の下、社員の意識や職場の実態を定量的に把握するため、2026年10月にエンゲージメントサーベイを実施する予定です。エンゲージメントサーベイについては、これまで各社が個別に実施していた事例はあったものの、グループ全体でグローバルに統一して実施するのは、今回が初めての取組みです。今後は、同サーベイの結果を分析し、明らかとなった課題に対応する改善活動を立案するとともに、引き続き社員から寄せられる声を具体的な施策につなげ、その進捗及び結果を社員に示してまいります。当社グループは、経営層が率先して変革の姿勢を示すとともに、社員一人ひとりが自ら考え、行動することを促し、経営層と社員の双方から企業風土改革に向けた取組を着実に進めてまいります。また、これらの取組を一過性のものとすることなく、各施策の実施状況や効果を継続的に検証し、その結果を踏まえて必要な見直しや改善を重ねてまいります。こうした取組を継続的に積み重ねることで、社員一人ひとりの意識や行動の変化につなげるとともに、それらを組織全体に定着させ、当グループ全体の企業風土の変革を推進してまいります。 (ⅷ)グループガバナンス体制の再構築2026年4月に当社グループ全体に適用するグループガバナンスの考え方を示した基本原則としてグループガバナンスポリシーを策定し、グループ全体に展開・周知しました。また、2026年4月にグループグローバル基準の稟議事項決裁者一覧を策定し、当社グループ内の各法人で行われる一定金額以上の重要な投資・費用支出については事前に当社の承認を得るルールを明確にしました。グループガバナンスポリシー等の当社グループの全法人に周知すべき規程等(グループポリシー)については、通達で各法人に伝達するだけでなく、グループ各社からアクセス可能な社内ポータルサイト(NiDEPO)に掲載するとともに、それぞれの規程を策定・発出する主管部門が中心となって説明会・説明動画配信等の周知活動を行いました。また各法人で規程等の周知を担当する役員・管理職から、グループポリシーの周知の必要性を理解した旨の確認(アンケートへの回答)を行い、当社グループの全法人にグループポリシーが周知されるように促しております。 (ⅸ)コンプライアンス教育の充実(a)入社時・定期研修におけるコンプライアンス教育の充実2026年1月より、毎月入社する中途入社社員に対し、対面又はオンラインでのコンプライアンス研修を実施しています。加えて、2026年6月の新任マネジメント層向け研修の一環として、新規昇格者を対象としてコンプライアンスの観点で管理職に期待される役割や、管理職として特に気を付けるべき重要なトピックスを学ぶコンプライアンス研修をオンラインで実施しました。 (b)グループ全体へのコンプライアンス教育の徹底と本事案の継続的な周知2026年3月には、経営幹部、経理業務に従事する役職員、購買・生産管理部門及び営業部門に従事する役職員約12,000名を対象に、投資家・市場に対する誠実な姿勢の徹底、適正な財務報告の確保及びコンプライアンスに対する理解と意識の向上を目的として、e-ラーニング研修を、実際に発生した会計不正事案を題材として実施しました。グループ全体でのコンプライアンス意識の継続的な維持を目的として、2026年7月に、グループの全役職員を対象として、本事案における経緯、原因、教訓等を役職員に周知し、本事案を題材としたコンプライアンス教育をオンラインで実施しました。これは第三者委員会から提言のあった投資家・市場に対する誠実さの徹底にも資するものと判断しています。 (ⅹ)人事評価制度の見直し(a)業績以外の目標設定と評価の徹底人事評価制度の見直しに関しては、管理職の目標設定項目の見直しに加え、人材情報の一元管理並びに人事評価および従業員育成の強化に向けて、グローバル人事システムの導入を決定し、導入準備を進めています。 (b)制度理解向上施策の実施適正な人事評価の運用の徹底に向けて、2026年3月に当社の全従業員向け説明会を実施するとともに、評価者に対しては、4月に目標設定研修を、9月に評価者研修を実施しました。また、国内グループ各社においても、従業員向け説明および評価者向けに同様の研修を4月と9月に実施しています。4月の目標設定研修、9月の評価者研修では、適切な目標設定の考え方や評価制度の趣旨、公平・公明・公正な評価の実施方法に加え、評価者として求められる役割や評価結果のフィードバックについて取り上げました。あわせて、管理職層の目標設定時に必須としたコンプライアンスに関する目標についても研修内容に含め、業績面のみならずコンプライアンスを重視し、常に正しいことを優先して判断・行動することを求める内容としています。さらに、当社の管理職には近年実施できていなかった階層別研修を実施し、管理職としての役割の再認識や、人材育成、組織運営に対する意識向上を図りました。部長クラスでは「組織風土診断」を活用して自組織の課題分析と職場実践計画の策定を行い、グループリーダー、チームリーダークラスでは「リーダーシップ診断」を通じて自身の強みや課題を把握し、組織運営や人材育成に関する実践的な内容としています。また、適正な人事評価運用が行われているかを継続的にモニタリングするため、2026年5月から6月にかけて、グループ会社における評価シートを対象に、今期の目標設定方針に沿った目標設定が行われているかをサンプリングベースで確認し、必要に応じて修正を行いました。あわせて、グループ各社の管理職の目標設定内容やウェイト配分についても確認を実施し、グループで定める方針との整合性が確保されているかを検証するとともに、適切な運用がなされていない従業員に対しては人事部門から是正を促すなど、運用の徹底を図りました。さらに、2026年12月には目標設定及び評価面談に関するアンケートを実施し、評価制度の趣旨に沿った評価運用がなされているかを確認するとともに、その結果を踏まえ、必要に応じて制度や運用方法の改善策を検討・実施します。 (xi)取締役会・監査等委員会の実効性向上(a)業績目標の妥当性に対する取締役会の監督の実効性向上事業計画の策定及び計画の進捗状況のフォローアップのため、2026年3月に取締役会規程を改訂し、事業計画に関連する取締役会付議事項を整理するとともに、「取締役会審議スケジュール」を取締役会の承認のもとで策定し、事業計画に係る審議を取締役会にて行う仕組みを整備しました。これらに基づき、2026年度事業計画を3月31日の取締役会に付議し、審議・決議しております。当該取締役会審議においては、経営リスクの織り込みや、各事業からのボトムアップの情報を中心に策定した計画に対する評価などが審議されました。事業計画の進捗状況のフォローアップについては、2026年4月分については同年5月29日の経営会議及び同年6月3日の取締役会に、同年5月分については同年6月24日の経営会議及び同年7月8日の取締役会に、それぞれ報告しました。 (b)重要リスク情報共有体制の整備と監督機能の強化2026年5月にリスク管理規程と危機管理規程を見直し、取締役会に報告すべき重要なリスク情報の定義や報告要否判断の基準を明確に定めました。また2026年3月に取締役会規程を改訂し、リスク管理委員会、コンプライアンス委員会及び最高コンプライアンス責任者(CCO)が把握したリスク情報の中で、取締役会に報告すべき重要なリスク情報が検出された場合には、当該重要なリスク情報を取締役会へ報告することを定め、重要なリスク情報が取締役会に確実に報告される体制を構築しました。なお2026年9月末までの期間においては、重要なインシデント(例:台湾子会社におけるランサムウェア被害)の取締役会への報告は、執行側報告事項の一部として担当役員から行われており、リスク管理委員会・コンプライアンス委員会からの重要リスク情報の該当案件の報告はありませんでした。また、経理部門(CFOライン)で確認した重要リスク情報の状況について、2026年8月26日にグループ経営会議、9月3日に取締役会への報告を行いました。今後も四半期ごとに報告する予定です。グループ経営会議を重要な事業リスクや経営課題を幅広く議論する場としたことから、グループ経営会議における議論の結果は取締役会にも共有しています。直近では、2026年7月8日開催の取締役会において、執行側報告事項としてリスク案件(台湾子会社におけるランサムウェア被害、特定事業に係る事業リスク)について報告を行いました。またグループ経営会議の議事録を取締役全員に共有ドライブを通じて共有することにより、グループ経営会議で議論されたリスクを取締役が把握することが可能になっています。なお、監査等委員はオブザーバーとしてグループ経営会議に毎回出席しており、執行側の審議状況や重要リスク情報を直接把握できる機会として活用しております。加えて、社外取締役のみの意見交換を定時取締役会終了後にランチミーティングとして実施しております。 (c)監査等委員会の実効性向上経営管理監査部から監査等委員会への内部監査結果(監査実施内容・結果の概要、主な発見事項等)の定期的な報告(年4回:2026年4月22日・7月22日開催の監査等委員会にて報告実施済)、監査等委員会・経営管理監査部・会計監査人の三者による統制上の課題の共有等を目的とした定期的な意見交換会(年4回:2026年4月22日・7月22日に実施済)を行っています。また、監査等委員会監査(業務監査)の一環として業務執行取締役及び執行役員との意見交換の強化を図りました(2026年2月7日・5月8日・8月4日にCLO、4月4日・7月8日にCFO代行、6月3日・9月3日にCEOとの意見交換を実施済)。 (d)取締役の専門性の多様化による監督機能の強化2026年5月9日の指名委員会において、「取締役に求める専門性と経験」を示すスキルマトリクスを見直し、これに基づき選任取締役候補者案を決定し、同年5月13日の取締役会にて答申報告しました。具体的には、社外取締役については、特に重視するスキルとして「法務・コンプライアンス」「財務・会計」「ガバナンス・リスク管理」「企業経営経験」「資本市場に対する知見」を充足する人材の選任を検討すること、また、社内取締役については、コンプライアンス及びリスク管理面からの問題提起を十分に行うため管理系担当である執行役員の取締役への登用を検討することが含まれています。上記、指名委員会の答申に基づき取締役会にて選任取締役候補者を決定し、2026年6月開催の定時株主総会において提案した結果、当社が提案したすべての取締役候補の選任が承認されています。新たな取締役会の構成については、2026年5月27日付「第53期定時株主総会招集ご通知」及び同年6月18日付「第53期定時株主総会決議ご通知」記載のとおりです。 (e)社外取締役をサポートする体制の拡充取締役会事務局の機能を強化するため、2026年6月1日付で取締役会室を新設しました。また、社外取締役から外部専門家を活用する場合の窓口を担うことを取締役会室の業務分掌として明記しました。一例として、取締役監査等委員から日本監査役協会への加盟・研修受講の要望があった際に、取締役会室が窓口として対応し、協会加盟等の橋渡しをしました。加えて、先の定時株主総会で選任された社外取締役就任時のサポートとして、2026年6月以降、執行側から会社・組織概要、事業内容、当社が抱える課題とその対策進捗、経営改革5か年プランなどについて、複数回の情報提供を行いました。 (xii)執行役員指名の基準見直しと実効性の強化(a)選任基準の見直し・解任基準の策定執行役員の選任基準を、当社グローバル経営幹部及び国内グループ会社CEOにグローバルかつ統一的に適用される選任基準へとアップデートし執行役員規程を改訂しました。具体的には、執行役員の要件として、高い倫理観とコンプライアンス意識、組織構築と人材育成を通じたリーダーシップ、将来を見据えた戦略立案・実行等の観点を追加し、当社グローバル経営幹部及び国内グループ会社CEOにも適用されるよう、適用範囲を拡大しました。加えて、経営環境に応じて特に重要視すべき点を指名委員会で審議し、選任判断に反映する運用としています。さらに、執行役員の解任基準も策定し、選任基準を満たさない事象が生じた場合や不正の行為又は法令もしくは社内規程に違反する重大な事実が生じた場合には解任の審議を行えるようにしています。 (b)執行役員選任プロセスの実効性向上指名委員会では、より客観的かつ透明性の高い選任プロセスの構築に向けて、新たな選任基準を2026年4月に策定しました。なお、その策定に先立って2026年4月選任時の執行役員候補者については、外部アセスメントを実施しております。また、今後も指名候補者に関するコンプライアンスチェック結果、社内における評価・実績情報、外部アセスメント結果等を体系的に指名委員会へ提供し、より多面的な観点から選任判断を行う体制を整備していきます。さらに、指名委員である社外取締役から、指名委員会と指名候補者との面談等の機会を充実させる必要がある旨の指摘があったことも踏まえ、執行役員を選任する際には早期の段階から候補者との面談を実施しています。加えて、取締役会の事前説明会での事案説明や、拠点訪問時にはランチミーティングなど、候補者との接点を充実させることで、候補者に対する理解を深める運用としています。 (xiii)役員報酬評価基準と報酬決定プロセスの実効性強化(a)役員報酬評価基準の見直し役員報酬評価基準の見直しについては、役員報酬評価基準の再設計を行い、STI(短期インセンティブ)では単年度の売上・営業利益・FCF(フリーキャッシュフロー)に加えて、2026年度は内部管理体制の視点からの要素も組み込んだ新たな役員報酬評価基準を同年3月に策定し、プロセスや中長期の観点への意識付けを行っています。また、当社グループ全体における報酬体系の一貫性を確保するために、2026年4月に役員報酬評価基準をグローバルに統一し、適用範囲を拡大しました。今後は、これらの施策の運用状況や有効性を検証するとともに、事業環境や経営課題の変化も踏まえながら、最適な報酬制度のあり方について継続的に検討し、必要に応じて見直しを行ってまいります。 (b)報酬決定プロセスに関する実効性の向上課題と対応策報酬委員会については、2026年度に入ってから、新たな報酬委員会規程のもとで4月から6月までに計3回開催しました。報酬委員会では、検討対象となる候補者の状況に応じてポジション別の役員報酬のベンチマーク情報とを比較し適正水準を検討しました。また、国内グループ会社のCEOの報酬額案を当社人事部門に集約し、グループ全体で新たに規定した統一基準を用いて算定されて
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。(1)会社の経営の基本方針当社は、2025年10月28日に東京証券取引所より特別注意銘柄に指定されました。当社グループにおける不適切な会計処理及び品質・検査に関する不適切な行為により、株主、投資家、お客様、お取引先その他の関係者の皆様の信頼を大きく損ねたことを、経営として重く受け止めています。当社は、「必ず正しく」を経営の最優先方針に据え、過年度の会計処理を検証・訂正し、正確かつ透明性のある財務情報を開示するとともに、原因究明と責任の明確化を進め、改善計画に基づく再発防止策をグループ全体で実行しています。その第一歩として、取締役会の独立性と監督機能を高める新たな取締役体制に移行するとともに、執行体制も大幅に刷新しました。また、従来の業績至上主義と過度なトップダウンから脱却し、各事業が事業環境と自らの実力に即した計画を主体的に策定し、健全な議論と検証を経て実行する経営への転換を進めています。現在、一日も早い信頼回復を目指し、改善計画に基づく各施策を着実に実行するとともに、その実効性を継続的に検証し、内部管理体制の適切な整備及び運用に取り組んでいます。こうした取組みを通じて、特別注意銘柄の指定解除に向け、グループの全役職員が一体となって改善を進めています。さらに、従来掲げてきたConversion2027を見直し、2026年度から2030年度を対象期間とする“Re-Definition”ニデック経営改革5カ年プランの基本方針を2026年5月13日に公表しました。現在、この基本方針に基づき、各事業の戦略及び計数計画を含む中期経営計画の策定を進めています。①組織風土とガバナンスの刷新当社は、今般の会計不正及び品質に関する不適切な行為の背景に、短期的な利益を優先し、目標未達を許容しない企業風土、特定の経営者への権限集中、内部統制およびグループ会社管理の脆弱性があったと認識しています。これを踏まえ従来のトップダウンから、経営を担う経営層と現場の従業員が双方向の対話を通じて一体となった組織へ転換を図り、自由闊達で透明性が高く、全社員がやりがいや社会的意義を感じて業務に取り組む組織・風土へと変革を進めてまいります。トップ自らが対話の先頭に立ち、社員と直接対話を行うタウンホールミーティングの開催や、社員の声を経営に直結させるため「声を発することで会社が変わる」文化の醸成に向けた「Culture Transformation Lab」の活動に取り組んでおります。また、研修・教育プログラムの展開も強化し、全世界の経理、営業・購買、生産管理従事者に向けた継続的な教育プログラムを展開しております。これにより、短期的な数値目標による過度なプレッシャーを排除し、健全な成長を促すガバナンス体制を全拠点に定着させてまいります。このような取り組みを通じて、部署間・拠点間の横断的な連携を強化するとともに、心理的安全性の確保と自由で風通しのよい風土を醸成し、失敗や懸念、不正の兆候を隠さず報告・是正できる仕組みを構築します。 ②取締役体制の刷新と監督機能の強化第三者委員会の報告書における、監査等委員および社外取締役の牽制機能の不全や、役員の多様性不足に関する指摘を重く受け止め、取締役の専門性の多様化を通じた監督機能の強化を図ります。具体的には、取締役のスキルマトリクスに新たに「企業経営経験」や「資本市場に対する知見」を追加しました。この新基準に基づき、企業再建やガバナンス改革において豊富な実務経験を有する経営経験者や、機関投資家としての視点を持つ専門家等を社外取締役に選任しております。また、取締役会の独立性と業務執行に対する監督機能をより一層強化するため、取締役会議長を独立社外取締役の中から選定する体制へと移行し、持続的な企業価値向上を支える強固な取締役体制を構築します。執行体制についても、高い倫理観とコンプライアンス意識、組織構築・人材育成、将来を見据えた戦略立案・実行力を重視する選任基準に改め、選任・解任プロセスの透明性と客観性を高めています。取締役会による監督と執行側の責任を明確に分け、重要な経営課題とリスクを適時に共有・審議する体制を定着させてまいります。 ③企業価値向上に向けての“Re-Definition”ニデック経営改革5カ年プラン正しい経営の再構築を起点に、高収益構造への転換と真のグローバル企業への変革を図るべく、事業ポートフォリオの見直しや事業再編、成長領域への投資を組み合わせた事業の選択と集中を強化し、グループ全社の経営資源の再配分と抜本的な構造改革を推し進め、ROICを向上させることで企業価値の最大化に取り組みます。 (2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略当社は、2026年5月13日に公表した「“Re-Definition”ニデック経営改革5か年プラン」において、①5本柱を軸とした事業の再編、②事業ポートフォリオ見直し、③グループ再編、④全社IT基盤改革を迅速に着手します。現在、これらの方針を基礎として、各事業の成長性、収益性、資本効率及び実行可能性を改めて検証し、2026年度から2030年度を対象とする中期経営計画の策定を進めています。なお、これらの5本柱は、2030年度に向けた中長期の事業戦略及び経営管理の方向性を示すものであり、当連結会計年度における財務報告上の報告セグメントとは異なります。今後の事業運営及び経営管理体制を踏まえ、5本柱を軸とした業績管理及び資源配分の仕組みを段階的に構築してまいります。①5本柱を軸とした事業の再編現在法人別に保有している販社や工場などを5本柱に合わせて集約することで、事業内容に応じたグループ管理を強化します。今後、当社は5本柱を構成するBetter Life、Electrification & Energy Infrastructure、Digital Society Solutions、Advanced Manufacturing Solutions、Mobility Innovationを軸に事業再編を推進します。ニデックのグループ各社に点在していた強みを、グループ全体で横断的に活用し、協業とシナジーの発揮による事業の拡大を目指します。同時に、顧客目線・要望を意識し、グループ内の強みを結集し、新たな価値を創出します。これらの5つの事業領域において、グローバル本社(HQ)がコンプライアンス、ポートフォリオマネジメント、キャピタルアロケーションなどを立案し、各柱で連結事業のアカウンタビリティを負う構造へ転換を図ることで、資本市場に対して説明責任を果たす、グローバルで強力なガバナンス体制を構築します。 ②事業ポートフォリオの見直し当社の強みであるモノづくり技術を再認識し、長年培ってきた技術力、豊富な経験、知見を再確認し、成長性と収益性観点から事業ポートフォリオの抜本的な組み換えを実行します。成長領域は、AIデータセンターやエネルギー、半導体関連等で高収益性と市場成長が見込まれ、これらの領域には積極的に投資を行い、ソリューション等新しいビジネスモデルへの展開を図ります。新規領域への投資は技術革新や社会変革をチャンスと捉え、高成長市場に新規領域を設定し、現有の自社開発技術を基盤として、今後の成長が見込まれる新たな分野への事業展開に取り組みます。他方、低成長や収益性の低い事業については、事業の撤退や売却を速やかに進めます。これらの施策を通じて、ROICをはじめとする資本効率及びキャッシュ創出力の継続的な向上を図り、持続的な企業価値の向上を目指します。また、財務健全性を確保しながら、成長投資と株主還元の適切なバランスを図ります。 ③グループ再編事業ポートフォリオの見直しを踏まえて全社的な構造改革を実行し、ガバナンス強化、固定費削減・ROIC向上に努めます。2026年5月に公表した経営改革方針では、2026年3月時点で248ある拠点を160~180拠点に、353ある法人を160~180法人に集約することを目標として掲げています。今後、各拠点及び法人の事業上の必要性、顧客対応、供給体制、法務・税務、システム並びに再編コスト等を検証し、事業継続とリスク管理に支障を生じさせないことを前提として、順次再編を進めます。 ④全社IT基盤改革グループIT基盤の刷新と全社共通エンジニアリングプラットフォームの導入により、正しい経営の基盤構築と業務効率化を同時に実現すべく取り組んでまいります。IT基盤の刷新においては、個社毎に分断されていたシステムを全社および5本柱で統合し、内部統制の強化と経営情報の可視化を具現化するため、今後5年間で積極的にIT投資を実施します。これにより、正しい経営を支える強固な基盤を構築するとともに、業務効率の大幅な改善を図ります。また、全社共通エンジニアリングプラットフォーム(One Nidec Motor Engineering Agent)を導入します。各事業領域を跨いでグループ内のモータに関するエンジニアリング知見を網羅的に紐付け・共有することで、モノづくりを支える強固な基盤を構築してまいります。 上記の一連の経営改革を実行するために、当社では新規事業領域の強化に向けたM&Aや、事業再編、拠点の統廃合のために事業売却を効果的に活用し、事業ポートフォリオの組み換えを機動的に行い、事業の選択を強化してまいります。 ESGの取り組みについて当社は現在、ステークホルダーの皆様からの信頼回復と経営基盤の再構築を最優先課題と位置付けております。従来のサステナビリティ推進体制を根本から見直し、経営陣の強いコミットメントのもとで重要課題(マテリアリティ)の再特定と経営計画への統合を進めることで、より実効性の高いガバナンス体制へと進化させ、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。詳細につきましては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 (3)改善計画・状況報告書の実施状況①会計問題の概要当社に係る会計不正問題により、株主、投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、心より深くお詫び申し上げます。当社は、過年度において、複数の国内外の連結子会社を含むグループ内で、不適切な会計処理及び貿易取引上の問題が発生したことが判明し、2025年3月期有価証券報告書の連結財務諸表について監査意見を表明しない旨の監査報告書を受領しました。また、これら一連の事態を受け、株式会社東京証券取引所より当社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められたことから、2025年10月28日付で特別注意銘柄に指定されました。これを受けて、当社は、特別注意銘柄の指定解除に向け、内部管理体制等の抜本的な改善を目的として、2026年1月28日付で「改善計画・状況報告書」、同年4月27日付で「改善計画・状況報告書(改訂版)」を株式会社東京証券取引所へ提出しました。「改善計画・状況報告書(改訂版)」については、2025年11月に設置したニデック再生委員会によるヒアリング結果に基づき改善計画を策定した後、2026年2月27日及び同年4月17日に受領した第三者委員会の調査報告書の内容を踏まえて、不適切な会計処理・内部統制の不備に繋がる原因を再検討し、原因の分析及びその分析に基づいた再発防止に向けた改善措置の改訂版を策定しました。原因分析については、2026年4月27日付「改善計画・状況報告書(改訂版)」のとおり、(1)成長を示し続けるための過度な株価至上主義、(2)短期的な利益を最優先し、目標未達を許容しない企業風土、(3)永守氏への権限集中と同氏の意向を優先する風土、(4)ガバナンスの脆弱性、(5)内部統制の脆弱性、(6)グループ会社管理体制の脆弱性の6つの構造的・複合的な要因が重なり合って生じたものと考えています。 ②改善計画書に記載している改善措置の進捗状況について当社は、特別注意指定銘柄の解除に向けて4月27日付で公表しました「改善計画・状況報告書(改訂版)」について適宜対応を進めております。改善措置の進捗状況は以下のとおりです。1)FIR事案(FIR 社に関する貿易取引上の問題及び関税問題)に係る改善措置・状況(ⅰ)コンプライアンス最優先の意識/企業風土の醸成(a)当社取締役会から当社グループ内に対する明確なメッセージの発信2025年9月26日付で当社取締役会からコンプライアンス違反に対する厳格な姿勢と迅速な対応方針を中核とするコンプライアンス最優先の明確なメッセージを発信しており、また、経営トップからグローバル幹部に対して、コンプライアンス最優先を企業文化として根付かせることを経営の最優先課題とすること、全役職員が高い倫理観、誠実性を持って自律的に行動することの明確なメッセージを継続的に発信しています。第三者委員会の調査報告書受領の翌日である2026年3月4日や新年度開始日の4月1日には、経営トップより全役職員に対して正しさを最優先にすること等のメッセージを映像で配信しました。加えて、2026年7月に実施したグループ全役職員向けコンプライアンス研修においては、コンプライアンスの重要性について映像でメッセージを発信しています。 (b)人事処分を通じたコンプライアンスを最優先にした対応の必要性の周知徹底第三者委員会による調査結果及びその他の社内調査結果も踏まえて、厳正な人事処分を実施しています。その内容を従業員にも公表することで、コンプライアンスを最優先にした対応の必要性の周知徹底を図ります。 (c)法務・コンプライアンス部門の機能強化内部通報対応及び調査については、法務・コンプライアンス部門において、2025年7月1日付でCLO(Chief Legal Officer:最高法務責任者)と、同年10月1日付で部長クラスに、それぞれ新たに社内弁護士を配置し、専門知識を活用して対応できる体制を整備しました。 (ⅱ)組織・体制の強化(a)貿易コンプライアンス体制の強化2025年12月1日付で、関税専門家(WCO(世界税関機構)勤務経験者)を当社貿易コンプライアンス室長(貿易管理室を改組)として任命するとともに、貿易規制分野の進展状況を統括する専門家及び有識者からなるグローバル貿易戦略チームを設置しました。また、米国に係る全ての貿易手続について、米国関税の専門家が複数所在するニデックホールディングアメリカ㈱ 法務部が主体となって一元的に管理し、米国におけるトレードコンプライアンスに関する権限もニデックホールディングアメリカ㈱に付与しました。 (b)グローバルコンプライアンス体制の強化CLO(Chief Legal Officer:最高法務責任者)の役職を設けて専門的知見と経験を有する人物を配置するとともに、北米にコンプライアンス専門家を配置しました。当社コンプライアンス部と各地域のコンプライアンスオフィサーとの会議を、2025年10月から2026年9月にかけて計38回実施しました。主なアジェンダは各地域における内部通報対応状況の確認、コンプライアンス関連施策に関する情報連携(規程の改訂、当社で策定した対応マニュアルの共有、全従業員向け研修の進捗確認等)などです。また、CLO及びCCO(Chief Compliance Officer:最高コンプライアンス責任者)に対しては、週報や隔週のコンプライアンス部内会議でリスク情報を共有しており、グローバルで通報案件や課題に迅速に対応できるように体制を強化しております。 (ⅲ)手順・規程・仕組みの改善(a)当社グループの報告体制の改善FIR事案では情報伝達の停滞が生じましたが、今後は同様の情報伝達の停滞を防ぐため、下記を規程で明文化しました。ⅰ)各地域コンプライアンスオフィサー及び当社コンプライアンス部が重要なリスク情報を把握した場合は、直接当社の最高コンプライアンス責任者(CCO)に報告すること。ⅱ)各地域コンプライアンスオフィサーが法令違反行為及び法令違反のおそれがある行為を認識した場合は、当社コンプライアンス部に報告すること。 (b)当社グループの法務・コンプライアンス部門間の情報共有海外の法務・コンプライアンス担当者と定期的な情報共有の場を設け、その情報を当社の法務・コンプライアンス部門内の主要メンバー間で共有します。訴訟案件に関するリスク情報の報告については、直近では7月に第1四半期末時点の訴訟情報を各地域法務担当者から収集し、法務部内で共有しました。また、2026年4月に実施されたグローバル会議では、CLOや米国統括会社の法務コンプライアンス部門の最高責任者、主要地域の地域コンプライアンスオフィサー、主要国の法務部門の責任者等が参加し、3日間にわたって各部門の活動内容や活動実績、事業部紹介等の情報共有や、今後解決すべき課題、施策にかかる協議を行いました。 (c)内部統制の適切な整備四半期決算ごとに行う経理部門から法務部に対するリスク情報の問い合わせは、グローバルベースに拡大し、経理部門が認識している重要なリスク情報が網羅的であるかどうかを確かめるプロセスを導入しました。法務部が各地域法務担当者から報告を受ける訴訟案件に関するリスク情報について、一覧性のあるデータベースを構築してリスク分析も実施するようにし、その情報を経理部門に共有する体制を整備しました。2026年7月には、当社法務部が各地域法務担当者から2027年3月期第1四半期末時点の訴訟情報を収集し、480件の訴訟案件を当社経理部門に共有しました。共有を受けた当社経理部門は、請求金額、訴訟の進捗状況、発生可能性その他の重要性を踏まえ、重要な案件については、必要な引当金等が適切に計上されているか又は連結財務諸表上、開示が必要な案件が無いかを個別に確認しています。さらに、内部通報に関する情報についても、当社コンプライアンス部が通報者特定につながり得る情報を削除、編集等し、閲覧権者を限定した上で、2026年1月から9月にかけて、四半期に1度以上の頻度で当社経理部門に共有しました。 (ⅳ)FIR社における改善措置 (a)体系的な研修教育体制米国関税法遵守の周知徹底のため、米国関税専門の弁護士に委託して、貿易コンプライアンスの専門研修を継続的に実施しています。具体的には、事案発覚直後の2025年7月にFIR社の調達部門や物流部門等を対象として再発防止を目的とした教育を実施しました。また、2026年3月には、最新の米国関税制度の修得を目的とした研修を貿易コンプライアンスに関わる部門を対象として実施しました。また、FIR社を含むグループ全体の取り組みとして、2026年5月には、貿易に関与する役職員を対象として、違反事例を通じたリスクの理解と社内の運用体制および相談・報告ルートの周知を図ることにより、現場での適切な判断と行動の定着を目的としたe-ラーニング研修を実施しました。加えて、同年同月に、貿易管理に関する遵守事項を業務プロセス別に一覧化したマニュアルや、注意すべき事項をまとめたハンドブックを展開し、社内ポータルに掲載しました。 (b)原産国表示判定に係る内部統制FIR社において、米国輸出に関する原産国表示判定に関する内部統制が適切に整備されていなかったため、これらの内部統制を整備し運用を開始しております。具体的には、ニデックグローバル貿易管理基本規程第10条を新たに規定し、米国向け貨物の原産国判定において、ニデックホールディングアメリカ㈱ 法務部との連携、及び外部の貿易管理専門家との協議を必須とするプロセスを整備しました。これにより、最新の法令や重要な部品・BOM(部品構成表)の変更を適時に反映し、専門的知見に基づいた正確な原産国判定を継続的に行う体制を構築しております。 (v)FIR事案の調査等踏まえた貿易コンプライアンスに係る追加改善措置(a)貿易コンプライアンスに関するe-ラーニング研修の実施2026年5月に、違反事例に関する相談・報告ルートを改めて周知するとともに、貿易に関与する役職員を対象として、貿易コンプライアンスに関するe-ラーニング研修を実施しました。これにより、貿易管理に携わる役職員に対し、遵守すべき基本事項の理解を改めて促すとともに、違反又はその懸念を認識した場合に適切に相談・報告することの重要性について周知徹底を図りました。 (b)「関税対応マニュアル」及び「関税対応ハンドブック」の整備・展開2026年5月には、原産地国判定、関税分類及び自由貿易協定に関する業務について、貿易管理上の遵守事項を業務プロセス別に整理した「関税対応マニュアル」及び実務上注意すべき事項を取りまとめた「関税対応ハンドブック」を新たに作成し、関係者へ展開しました。これにより、従来、各拠点や担当者の知識・経験に依存する部分があった貿易管理業務について、実務において参照すべき共通ルールを明確化し、業務の標準化に向けた取組みを進めています。 (c)コンプライアンスの重要性についての継続的な発信2026年7月に実施したグループ全役職員を対象とするコンプライアンス研修において、改めてコンプライアンスの重要性について映像メッセージを発信しました。貿易管理に直接携わる従業員に対する専門的な教育に加え、グループの全役職員に対してコンプライアンスを事業活動の前提として徹底することの重要性を改めて発信することで、グループ全体におけるコンプライアンス意識の一層の浸透を図っています。 (d)SOP(標準業務手順書)の整備・展開上記の教育・ルール整備にとどまらず、各拠点の実際の業務プロセスにおいて貿易コンプライアンスの実効性を確保するため、本社部門が主体となって各拠点の貿易管理プロセスを確認し、把握した課題の改善及びSOP(標準業務手順書)の整備・展開・定着に取り組んでいます。特に米国においては、関税調査を過去の申告誤り及び財務影響を確認するための調査にとどめず、貿易管理体制そのものを改善する機会と位置付け、本社の貿易管理担当者が現地担当者及び関係部門と一体となり、実際の輸入取引及び業務プロセスの確認、必要な情報の収集・検証並びに判明した課題の是正を進めてきました。こうした本社・現地一体での取組みを通じ、現地担当者が実際の取引に即して関税分類、原産地国判定等の貿易管理実務に関する知識・経験を蓄積するなど、現地における実務対応力の向上にもつなげています。また、実際の業務プロセスを踏まえて課題を把握・改善する経験を重ねることで、各拠点の実態に即したSOPの整備及び実効的な運用に活用できる知見・ノウハウを蓄積しています。現在、米国を含む各グループ拠点において、プロセスの確認・是正やSOPの整備を並行して進めています。今後は、各拠点での取組みや米国で得られた知見・ノウハウを相互に活用しながら、業務手順の標準化とその定着・運用状況の継続的な確認を進めることで、教育・ルール整備から実際の業務プロセスへの定着まで、一連の改善措置を継続的に運用し、グループ全体の貿易コンプライアンスの実効性を高めてまいります。 (ⅵ)人事処分第三者委員会による調査結果及びその他の社内調査結果を踏まえて、FIR社に関する責任の明確化を行い、既に主要な責任者は解雇もしくは辞任にて4名が退職しております。その他の対象者に対しては、書面での戒告処分や口頭での厳重な処分を行う予定です。 2)不適切な会計処理の疑義を踏まえた改善措置(i)中期経営計画策定のプロセスの再整備(a)中期経営計画策定のルールの再定義や明文化中長期的な視点での競争力強化と事業成長を実現することを目指し、研究開発など具体的な実効性を伴う戦略を明確に示すべく、事業本部・国内グループ会社が、CFO・CMO・CDO・CTOといった当社グループ全体に横串を通す機能を担う役職員とも連携し、計画の立案及び検証を行うことを含め、成長を実現するための中期経営計画の実現可能性を高めるルールとなる中期経営計画策定規程を2026年6月に新設し、その後、中期経営計画策定ポリシーとして当社グループ各社への周知を完了しました。これに基づき、2026年度より中期経営計画策定プロセスの運用を開始しています。 (b)中期経営計画検討体制(チーム制)の構築個々の事業本部・国内グループ会社における責任者が、中期経営計画を自ら策定し、機関決定を経て、その実行に責任を負うことを明確化しました。また、そうした責任者を支援するチーム体制を構築し、チームによる十分な議論を経た上で個々の事業本部・国内グループ会社が計画を策定する体制を整えるとともに、当社事務局及び当社グループ全体に横串を通す機能を担う役職員が、各チーム及び実務担当者と連携して計画を検討する体制も整備しました。加えて、中期経営計画の策定に当たっては、社内での有為な人材の知見を広く集約するとともに外部専門家の知見も活用しながら進めております。 (c)中期経営計画策定プロセスの強化全社としての経営の方向性を定め、かかる方向性に基づき、個々の事業本部・国内グループ会社の業績責任を担うチームで十分な戦略議論を行い、合理的な中期経営計画となるようプロセスを改めました。各事業本部・国内グループ会社が当社に対して説明責任を果たしたうえで機関決定(経営会議・取締役会承認等)を行うことで、当社の一部の経営層による属人的・恣意的な計画の策定や変更の防止を進めております。そして、これらの施策に基づき、2026年度において、既に策定済の2027年度までの計画の見直しと2028年度以降の計画の策定を進めております。具体的には、2026年5月13日に公表した“Re-Definition”ニデック経営改革5カ年プラン(FY26-30)を基に、同月29日の経営会議及び同年6月3日の取締役会において中期経営計画策定の方向性及び検討プロセスを協議し、同月に事業本部、当社グループ会社の長及び当社経営層が参加する説明会を開催して策定プロセスを開始しました。現在は、事業特性が共通する事業をまとめた新たな事業軸である「5本柱」(Better Life、Electrification & Energy Infrastructure、Digital Society Solutions、Advanced Manufacturing Solutions、Mobility Innovation)の枠組みの下、各事業領域に設置した戦略検討チームが主体となり、「5本柱」の長の意向のみで計画を定めるのではなく、市場環境、自社の強み・技術要素、同一事業領域に属する会社間のシナジー等を検証しながら中期経営計画の策定を進めています。例えばある事業での戦略議論においては、従来の売上規模の拡大と製品のフルラインナップ整備を前提とした取組みに対し、製品ごとのポートフォリオを再検討し、競争力の低い製品については選択と集中への転換を検討するなど事業の競争力を踏まえた議論を進めており、外部専門家の知見も活用し、実態や将来予測を踏まえながら、自らの意思で成長に向けた計画を検討している事例として把握しております。加えて、ガバナンス向上や全体最適を目的とした組織体制・経営モデルの変革という観点からも、法人の統廃合、生産事業所の最適化、販社及び工場のコストセンター化といった施策の検討を進めております。 (ⅱ)事業計画策定プロセスの再整備(a)事業計画策定のルールの再定義2026年3月に事業計画管理規程を新設し、事業計画管理ポリシーとして当社グループ各社への周知を完了しました。これらについては2026年度より運用を開始しており、2027年度の事業計画に反映される予定です。(b)事業計画検討体制(チーム制)の構築及びプロセスの強化2026年1月に、改善計画・状況報告書記載の考え方に基づく事業計画策定プロセスの説明会を実施し、各事業本部・国内グループ会社において事業計画の策定を開始しました。同月末から2月初旬にかけて、各事業本部・国内グループ会社と当社との間で、策定プロセスの進捗確認並びに疑問・懸念の解消を目的とした進捗確認会を実施しました。 その後、2026年3月に事業計画共有会を開催し、親和性のある事業ごとに外部環境や事業特性に照らした計画の合理性を相互に確認しました。これらのプロセスを経て、同月28日の経営会議及び同月31日の取締役会において総連結計画を協議し、2026年度事業計画を承認しました。策定過程では、一部の経営層による非現実的な目標設定を改めることと、成長に向けて健全な挑戦を追求することは両立すべきであるとの議論や、保守的な計画ではなく自らの意思でチャレンジを検討する事例も報告されました。各事業の従来の実態は一様ではないことを踏まえ、各事業による主体的な計画策定と当社による合理性の検証を進めてまいります。今後の事業計画策定、予実管理及び事業評価を適切に運用する上での根拠文書となる事業計画管理規程を2026年3月に新設し、事業計画管理ポリシーとして各当社グループ会社への周知が完了しております。事業計画の基礎となる中期経営計画の策定が完了したのち、2027年度の事業計画より運用します。 (ⅲ)予実管理プロセスの適正化(a)予実管理における業績管理値の変更事業部門の判断を伴う月次見込値を日次で報告する管理体制及び業績会議を2025年9月末に廃止し、2026年4月実績以降は、簡易連結による月次財務実績値を中心とした新たな予実管理を開始しています。2026年4月分については同年5月29日の経営会議及び同年6月3日の取締役会に、同年5月分については同年6月24日の経営会議及び同年7月8日の取締役会に、それぞれ報告しました。同年6月分以降については、2026年3月期および2027年3月期第1四半期の決算と整合した財務実績値での予実管理が可能となり次第報告を行い、以降は通常の報告サイクルで予実管理を行う予定です。 (b)実績分析及び対策の検討、次期計画精度向上2026年3月に新設した事業計画管理規程に基づき、同年度の予実管理に関する具体的なプロセス及びフォーマットを含むガイダンスを整備し、各事業本部・国内グループ会社への周知を完了しました。2026年4月実績以降、上記(a)に記載した予実管理において、計数に加えて各事業本部・国内グループ会社による事業状況分析も報告対象とし、経営会議において討議を行っています。また、2026年9月には事業ごとに通期見通し確認会を開催し、2026年度事業計画に対する直近時点の見通し・確度及び計画策定時からの状況変化等について討議し、その結果を取り纏めた総連結の通期見通しを同月9日の経営会議及び30日の取締役会に報告しました。乖離理由の分析、挽回余地の検討及び計画見直し等についても、決算と整合した通常の報告サイクルにおいて、四半期予実管理会議での確認・協議を実施する予定です。 (ⅳ)業績評価基準の見直し(a)計数項目の見直し2026年3月に新設した事業計画管理規程において、事業本部・グループ会社の事業評価指標を売上高、営業利益、FCF(フリーキャッシュフロー)及びROIC(投下資本利益率)と定め、各事業本部・グループ会社が事業特性に応じて所定の範囲内で評価比重を申告し、当社による検証を経て決定する仕組みを明文化しました。これにより、利益目標達成のみに対する過度に厳しいプレッシャーが生じることを抑止します。 (b)評価項目の追加事業計画管理規程に基づく新たな事業評価の考え方及びプロセスについて、各事業本部・国内グループ会社に対する説明会を実施しました。また、2026年度の事業計画策定に並行し、中長期を見据えた課題と目的に対応する手段として複数の中長期重点施策を事業本部・グループ会社自身で策定し、またそれらについて2026年度内に到達すべきマイルストーンと評価基準についても設定しました。決算と整合した通常の報告サイクルにおいて、上記(ⅲ)(b)に記載した予実管理会議にて売上高・営業利益に加えてFCF及びROICを含む指標について協議するとともに、中長期重点施策の進捗状況について、短期的な利益目標達成のみならず中長期的な会社の成長に向けた取り組みの進捗状況を確認いたします。また、事業年度終了後には、上記(a)で記載した財務指標とともに中長期重点施策について通年での検証・評価を行い、経営会議等への報告及び戦略上の議論に活用いたします。 (ⅴ)経理機能の事業部門からの独立性の確保(a)経理機能の独立性の確保不適切な会計処理の発生を防止するため、経理機能の事業部門からの独立性を確保し、正しい会計処理を行うことを最優先とする体制の整備を進めました。その一環として、当社は、2026年2月に事業本部及び国内グループ会社に対し、経理機能と事業管理機能の役割を明確化するため、業務分掌規程や職務記述書の見直し及び改訂を行うよう通知しました。これを受け、事業本部及び国内グループ会社各社は、業務分掌規程や職務記述書を改訂し、2026年4月以降は、当社の経理担当役員の下、適切な制度決算を担う経理機能と経営戦略実行のモニタリング等を担う事業管理機能に分化しています。また、事業本部及び国内グループ会社の経理機能を当社の経理機能の管掌下に置くとともに、人事面についても当社が関与する体制としました。具体的には、事業本部及び国内グループ会社のCEOがCFOの選解任を決定する場合は、当社CFOが事前にその内容を確認し、特に解任の場合にはその理由の妥当性を確認することとしました。また、事業本部及び国内グループ会社の経理責任者に対する人事評価については、事業本部及び国内グループ会社のCFOが評価結果及びその理由を当社CFOに報告する義務を負うものとし、当社CFOが評価の公正さと適正さを確認できる体制としました。これらの人事プロセスの変更は2026年4月に事業本部及び国内グループ会社各社に対して通知しています。当該プロセスを通じて、CFO及び経理責任者が不当な評価や解任を受けることを防止し、経理組織が事業部門の業績目標や意向から独立して適切な会計判断を行える状態を確保することで、経理部門が事業部門と一体となって利益目標の達成を目指すという従前の構造を解消し、第2線のディフェンスラインとして適切に牽制機能を発揮することを目指しています。さらに、業績が目標未達か過達かに関わらず、組織として正しい実績値を報告できる体制を担保するため、デュアルレポートラインを2026年4月に整備しました。具体的には、事業本部及び国内グループ会社のCFOのレポートラインは、所属組織のCEO及び当社CFOとしました。また、事業本部及び国内グループ会社の経理責任者のレポートラインは、所属組織のCFO及び当社経理責任者としました。上記内容については、当社から、事業本部及び国内グループ会社各社に対してデュアルレポートに関するインストラクションを展開し、経理機能の独立性を確保する体制として運用の定着を図っています。本体制の整備により、当社CFO及び当社経理責任者と、事業本部及び国内グループ会社各社のCFO及び経理責任者との間で、直接的なコミュニケーションが定常的に図られるようになりました。特に、事業本部及び国内グループ会社各社のCFO及び経理責任者は、月1回の業務報告を通じて、それぞれが管掌する業務の運営状況、認識している課題及び重要な論点等を当社CFO及び当社経理責任者に直接報告し、必要な助言及び支援を受けるとともに、今後の対応方針等について相互に意見交換を行っています。これにより、業績の達成状況にかかわらず正しい実績値を率直に報告・共有できる環境が醸成されつつあり、経理機能の独立性確保にとどまらず、適正な会計処理を尊重する組織風土の改善にも寄与しているものと認識しています。 (b)経理リソースの確保経理税務部の連結会計グループの人員リソースの補強は途上にありますが、引き続き新卒及び中途採用に加え、他部門からの配置転換等を通じて、連結会計グループの人員体制の補強を進めてまいります。もっとも、当面は改善施策の実行や、現行決算対応等に人員が割かれるため、決算品質を確保するための当面の対応として、外部専門人材を活用した決算対応体制を敷いており、実際の連結決算業務も外部リソースの関与を得て進めております。これにより、当社の人員リソースのみでは対応が困難な決算実務やレビュー機能が補完され、外部の客観的知見も踏まえた決算品質の確保を図っています。あわせて、比較的引継ぎが容易な業務については経理税務部内の他グループ及び経営管理部からの協力を得るとともに、連結決算の実務経験を有する事業部やグループ会社への出向者等による支援も活用することで、組織全体としての決算対応力の底上げを図っています。また、今後1~2年程度かけて外部専門人材の指導による経理人材の育成も踏まえ、徐々に内製化・自走化を図るとともに、並行して経理業務の集約化・効率化の施策を実行します。 (c)経理に関する意識改革・教育経理部門及びその他の部門に対する意識改革・教育を実施しています。2026年3月には、投資家・市場をはじめとするステークホルダーに対して誠実に対応し、適正な財務報告を行うことの重要性やコンプライアンスに対する基本姿勢を周知徹底するため、経営トップから全従業員に向けてトップメッセージを発信するとともに、経営幹部、経理業務に従事する役職員、購買・生産管理部門及び営業部門に従事する役職員約12,000名を対象に、投資家・市場に対する誠実な姿勢の徹底、適正な財務報告の確保及びコンプライアンスに対する理解と意識の向上を目的としたe-ラーニング研修を実施しました。具体的には、会計不正に至った背景及びその社会的影響について理解を深めるとともに、実際に発生した会計不正事案を題材として、現場において認識すべき会計上・決算上のリスクの兆候や、それらを把握した場合に求められる適切な行動の在り方について、ケーススタディ形式で学習しました。これは第三者委員会から提言のあった投資家・市場に対する誠実さの徹底に資するものと判断しています。また、2026年9月には、会計不正の再発防止に向けて、当社グループの経理部門に従事する従業員を対象としたe-ラーニング研修を実施しました。本研修は、会計不正事案及び再発防止策に対する理解を深めるとともに、経理人材として求められる行動原則を周知・浸透させ、経理部門として適正な決算及び財務報告を担保することを目的としたものです。単なる知識習得にとどまらず、経理従事者一人ひとりが果たすべき役割を理解し、日々の決算・財務報告業務において適切な判断と行動を実践できるよう、意識付けを図りました。これらの研修は、一過性の取り組みにとどめることなく、今後も継続的かつ反復的に実施していく方針であり、次回は2027年2月頃の実施を予定しています。こうした継続的な取り組みを通じて、当社グループの経理部門をはじめとする全社の財務報告に対する意識及び感度を持続的に高め、会計不正の再発防止に資する研修としての実効性の確保に万全を期してまいります。 (d)経理ガバナンスの強化経理ガバナンスの強化を図るため、会計自己点検(第三者委員会の管理・監督の下、大部分のグループ会社における2020年3月期から2026年3月期第1四半期までの会計処理の適切性を調査する取組み)の経験により、当社・事業本部・国内グループ会社、その傘下会社が効率的・効果的にコミュニケーションを図る関係性が構築されつつあり、NIAP(Nidec global Accounting Policy)(2017年のIFRS導入に伴い規程化され、グループ全社への展開・運用が行われているグループ会計方針です)の展開等の各種施策を着実に実行しています。また、2026年3月期末決算より、各グループ会社の決算において生じ得るリスク情報を当社経理税務部へ報告するプロセスを新たに構築したことにより、減損リスクをはじめとする各社の重要な会計上・決算上のリスク情報を、当社において一元的に把握・管理することが可能となりました。そして、事業管理機能を担う経営管理部が、この新たなプロセスを通じて集約されたリスク情報に関して、事業環境の変化や財務データ等を統合的に分析し、当初の事業計画や投資計画が現場の実情に基づいた実現可能性の高いものとなっていたかどうかを適切に評価するとともに、経理税務部とも情報連携を図っています。さらに、重要な会計上・決算上のリスク情報については、当社CFOが、経営会議及び取締役会に適時に共有する体制としており、2026年3月期末及び2027年3月期第1四半期に関する重要な会計上・決算上のリスク情報については、2026年8月26日開催の経営会議において共有しています。加えて、当社CFOが、グループ横断的な観点からの分析・対応を行い、当社・事業本部・国内グループ会社の各CFO・経理責任者・事業管理責任者と定期的(年に3回程度)なミーティングを実施することにより横串機能の強化も図っていきます。直近では、2026年4月にミーティングを実施し、当該プロセスの趣旨を共有しており、2026年12月上旬に開催を予定しているミーティングにおいて、重要な会計上・決算上のリスク情報及び再発防止策の運用状況等について共有・確認を行う予定です。また、投資家・市場に対して誠実な財務報告を行う前提として、会計監査人に対して適正かつ透明性のある情報提供を行うことが不可欠であることに鑑み、重要な会計上・決算上のリスク情報を適切なタイミングで会計監査人とも共有する運用としており、2026年3月期末及び2027年3月期第1四半期の状況も決算期間中に適宜共有しています。これにより、監査上の重要な判断に影響を与え得る情報が網羅的かつ遅滞なく会計監査人に伝達される体制を確保しています。これらの取組みにより、当社グループ全体の経理ガバナンスの高度化を図るとともに、不適切な会計処理の未然防止及び早期是正の実効性を高めています。 (ⅵ)会計方針の明確化と運用の適正化(a)グループ会計方針の見直し、例外申請の廃止グループ会計方針の見直しについては、本事案及び各事業の実態に基づき2026年6月に実施しました。具体的には、従前は必ずしも明確でなかった会計処理の判断基準について、2026年3月以降、事業本部及び国内グループ会社各社との間で複数回にわたるコミュニケーションを実施し、事業実態に即した具体的なガイダンスを追加することにより、判断指針の明確化を図っています。また、NIAPの運用形骸化の要因となっていた例外申請は2026年3月期末決算から廃止しており、例外申請を認めない運用を継続しています。今後も、当社経理部門がNIAPの運用状況を継続的に確認し、必要に応じてガイダンスの整備や改訂を行うことにより、会計処理のばらつき、不適切な拡大解釈及びNIAPからの逸脱の防止を徹底します。 (b)グループ会計方針の展開M&Aで取得したグループ会社を含めた全グループ会社に対してNIAPの内容の周知徹底を図っています。具体的には、事業本部・国内グループ会社のCFO及び経理責任者に対して2026年6月に実施した説明会や全ての事業本部・国内グループ会社に対して2026年6月及び7月に発出した通達を通じて改訂後のNIAPを展開するとともに、社内情報基盤上にも掲載することで、経理部門に限らず広く関係者への浸透を図っています。特にグローバルの経理メンバーに対する説明会の実施に当たっては、従来のような通訳を介した説明にとどまらず、経理税務部の責任者が日本語及び英語を用いて直接説明を行い質疑応答にも対応しました。これにより、NIAP改訂の趣旨や具体的な判断基準、実務上の留意事項をより正確に伝達し、NIAPのより一層の理解促進及び浸透を図りました。また、四半期決算ごとに当社経理税務部からレポーティングパッケージ提出会社に対して発出している決算上のトピックスや留意事項に関する通達においても、NIAPに基づく処理の徹底を継続的に周知しています。直近では、2026年9月に2027年3月期第2四半期決算に向けた通達を発出しており、NIAPの周知徹底を図っております。なお、レポーティングパッケージ提出会社がサブ連結(子会社グループで連結決算をした上でレポーティングパッケージに入力し報告)の親会社である場合は、サブ連結親会社がサブ連結子会社へ展開するようにしています。これらの取り組みを継続することにより、グループ全体としての会計処理の一貫性の確保を図っています。 (c)グループ会計方針の準拠性の宣誓2027年3月期第1四半期より、各グループ会社がレポーティングパッケージ提出前にNIAPへの準拠性を確認・宣誓するプロセスを導入し、運用しています。具体的には、本事案における会計自己点検の結果等に基づき作成した主要な会計論点のチェックリストを用いて、事業本部・国内グループ会社の経理責任者がNIAPへの準拠状況を確認の上、宣誓する運用としています。 (d)事業本部・国内グループ会社に対するレビュー各グループ会社が適切に決算を行っているかを当社経理部門が四半期ごとにレビューすることにより、事業本部・国内グループ会社の経理部門に対する監督の強化を図っています。レビュー対象には、レポーティングパッケージ提出会社に加え、サブ連結の単位に含まれる子会社も含めており、グループ全体をカバーすることとしています。本レビューでは、NIAPの正しい理解のもと、各グループ会社から当社経理税務部に報告される決算上のリスク情報が適時に連携され、会計上の対応状況や会計監査人との協議状況が継続的にモニタリングされる体制を通じて、決算品質の向上及び本社の監督機能の強化を図ることを目的としています。具体的には、各四半期の決算期末前と決算期中において、各グループ会社から報告される決算上のリスク情報の提出状況や記載内容を確認し、不備があれば各拠点に個別に連絡のうえ、必要に応じて更新・再提出を依頼しており、2026年3月期末決算から運用を開始しています。さらに、各四半期の決算後に各拠点における重要な会計判断を明文化した文書を収集し、必要項目が適切に記載されているかをモニタリングします。本手続は2026年12月から運用を開始する予定です。 (ⅶ)企業風土の変革(a)企業風土改革を推進する新組織の設立企業風土改革を戦略的かつ機動的に推進し、意思決定プロセスの透明性と迅速性を向上するため、2026年2月1日より、CHRO(Chief Human Resource Officer:最高人事責任者)直下に新組織(Culture Transformation Lab)を設立しました。Culture Transformation Labでは、グループ会社にて製品開発・人事責任を担ってきた人物を組織長とし、共に若手の親睦会本部会長を務めた人物が専任でチームリーダを務めています。Culture Transformation Labの設立以来、CEOやCHROとの定例会、グループ各社との定例会、親睦会やグループ各社の労働組合等との定例会を設け、意見収集を進めています。今後も、これらの各種会議体を定例的に開催し、従業員から寄せられた意見を継続的に収集・審議するとともに、経営層への確実な伝達と迅速な意思決定を通じて、施策への反映を進めてまいります。 (b)階層別企業風土研修の実施永守氏の掲げる経営理念の影響を見直すべく、当社では「挑戦への道」の朝の輪読を廃止し、永守氏の価値観や意向が強く反映された社内の掲示物(ポスター等)についても、国内外全拠点で、撤去を実施しました。企業風土改革の取組みに関する社員の理解を促進し、当社のあるべき姿の土台となる「正しい姿」の共通認識を浸透させ、行動変容につなげることを目的として、役員・管理職・一般社員(従業員層)を対象としたオンライン研修を、2026年7月30日に国内外主要グループ会社に向けて展開しました。 (c)社員との対話機会の創出主要拠点ワークショップ及び拠点インタビュー、経営層が参加するタウンホールミーティング等を通じたコミュニケーションを実施します。参加者間で意見を共有し相互理解を深める場を整備するとともに、企業風土について考え、望ましい姿や行動について意見交換・議論できる仕組みを整備しました。2026年9月末時点で、国内本社を含む国内15社、海外28社においてワークショップ及び拠点インタビューを実施しています。経営層自らが国内外の各拠点を訪問し、自らの変革の意思を伝えるとともに、現場社員の生の声に耳を傾けるタウンホールミーティングを実施しています。なお、タウンホールミーティングにおいて経営層に寄せられた意見を収集し、ワークショップで収集した意見と同様に、施策の検討につなげています。施策の内容に応じてCEO・CHROとの定例会の機会を活用し、適宜承認を得ることで迅速な意思決定を図り、関係部門の協力を得ながら実現に向けた取組みを推進しています。2026年8月末時点で、経営トップのタウンホールミーティングを国内外で延べ21拠点にて実施しました。また、施策の検討・実施状況については、社内ポータルサイト「NiDEPO」に定期的に掲載することで、意見がどのように検討・反映されているかを把握できるようにしています。 (d)経営層による行動変革改善計画・状況報告書(改訂版)に記載した上記(a)から(c)の活動の他にも、当社では企業風土変革に必要と認めた施策を実施しています。当社経営層と社員それぞれによる行動変革施策の実施状況は、本(d)及び下記(e)のとおりです。第三者委員会の設置後、経営トップから全従業員に向けたトップメッセージを継続的に発信し、率直に意見を表明することを呼びかけています。こうした継続的に発信されるメッセージが従業員により伝わりやすくなるよう、毎月実施している全体会同において経営層のメッセージを発信する際には、資料の投影のみならず登壇者の表情がわかる映像を映し、内容によっては経営トップのみならず担当役員自らが登壇して従業員に直接説明するよう、運用を変更しました。また、「『永守氏の会社』からの脱皮」を実現し、新たな経営体制の下で当社グループの変革を着実に推進するため、経営トップを中心として、今後の改革の方向性および当社グループが目指すべき姿を示す「Re-Definition宣言」を策定し、2026年4月1日に社内に発表しました。策定したRe-Definition宣言を受けて、当社の今後の方向性の共有及びRe-Definition宣言の浸透等を目的とした役員合宿を開催しました。本合宿には海外拠点の役員含む、当社の役員が全員参加し、グローバルな視点も踏まえながら、当社グループの目指すべき姿や今後の企業風土変革の進め方等について、活発な議論を行いました。なお、Re-Definition宣言は、あくまで現時点における当社グループの方向性を暫定的に再定義したものです。当社では、これを基礎として、より根本的な企業理念(パーパス)の検討も併せて進めており、2026年度中の策定を目指しています。 (e)社員による行動変革社員から収集した意見を反映した施策も実施しています。例えば、社員間のコミュニケーションにおける心理的負荷を軽減し、相互に意見を述べやすい職場環境を醸成することを目的として、役職や立場にかかわらず「さん」付けで呼び合う取組みを推進しました。また、従業員の声に従って働く環境の整備を推進することで、当グループの細部にまで浸透していた短期利益やコスト削減を最優先する価値観からの脱却を図るとともに、会社が一人ひとりを大切にし、その声を尊重する姿勢を具体的な形で示しています。併せて、社員同士の自然な交流やコミュニケーションが生まれやすい職場環境づくりを進めています。さらに、社員間のつながりを一層強固にし、日常のコミュニケーションを活性化させることを目的として、会社として敢えて感謝を伝える機会を設ける「感謝ウィーク」を実施しました。普段は感謝を伝える機会が少ないなかで、会社が主体的にその場を用意することで、社員間のつながりを深め、普段のコミュニケーションのあり方そのものを変えていきたいとの狙いによるものです。その結果、多くの感謝のメッセージが寄せられ、社員からは「普段はなかなか伝える機会がなかったため、良い取組みだった」との声も寄せられました。 (f)本社各部門・グループ会社・グローバル各社での活動上記(a)から(e)の活動は当社の各部門やグループ会社、グローバルの各社にも少しずつ広がっており、当社では、その状況を社内外に示しています。Culture Transformation Labによる活動と並行して、当社の各部門及びグループ会社においても、それぞれの職場の課題に応じた改善活動が始まっています。当社総務部では、社員から寄せられた意見を踏まえ、執務室内で軽食を購入できるサービスを導入しました。当社の小型モータ事業本部並びに国内グループ会社であるニデックプレシジョンやニデックドライブテクノロジー等では、Culture Transformation Labとは別に、企業風土変革を推進するため、それぞれの組織や職場が抱える課題を踏まえた施策を主体的に検討し、実行する取組が始まっています。これらの取組とCulture Transformation Labは適宜連携し、情報連携等を通じて相互の施策推進を加速させています。こうした取組みを受けて、「これまで接する機会の少なかった役員が現場に足を運び、直接対話してくれるようになったことで、会社が変わろうとしていることを実感するようになった」との声も寄せられています。変革の動きは、国内にとどまらずグローバルにも広がり始めています。これまで各地域・拠点を中心に運営されてきた人事機能について、グローバルで相互に連携する取組を進めています。その一環として、各地域・拠点の人事担当者が一堂に会し、相互理解を深めるとともに、今後のグローバルな連携強化に向けて意見交換を行うイベントを開催しました。あわせて、Culture Transformation Labがこうしたグローバルに連携する人事機能との結びつきを一層強めることにより、各国の人事機能と歩調を合わせ、人事領域における企業風土変革を力強く推進してまいります。また、本件事案を教訓として、各拠点においても自主的な取組が進められています。例えば、車載事業本部傘下のニデック自動車モータ(浙江)では、改善計画書を中国語に翻訳した上で、本件事案を自拠点にも関わる課題として捉え、その内容を共有するとともに、自拠点における課題や今後の取組について議論する勉強会を実施しました。この他にも、小型モータ事業本部傘下のニデックフィリピンでは、Re-Definition宣言を受けて、利益偏重から脱却し、正しさと品質を前面に打ち出した拠点方針を策定し、当該会社の全体朝礼で共有したうえで、各部への展開を依頼しました。 (g)実施状況の透明性確保Culture Transformation Labにて検討し、各部門・各グループ会社で実施している施策は、社内ポータルサイト「NiDEPO」にて公開し、検討状況や対応の方向性を順次更新しています。これにより、社員から寄せられた意見への対応状況を社員自身が把握できるようにし、社員からの意見の取扱手続の透明性の向上を図っています。さらに、改革の状況や今後の取組み、その進捗を社外のステークホルダーに対しても継続的かつ透明性をもって発信することを目的として、2026年7月9日に「Nidec Journal」を立ち上げました。同媒体を通じて改革の進捗や具体的な取組みを継続的に発信することにより、当社グループへの理解の促進および信頼の回復・向上につなげてまいります。このように、当社グループでは、企業風土変革に向けた各種取組を進めており、現時点では限定的ながらも、その変化を実感する社員の声や具体的な事例が徐々に現れ始めています。一部の社員からは、「会社が取り組んでいることが以前よりも見えるようになり、身近なところでも変化が起き始めていることから、今後の変革に期待している」との声が寄せられています。もっとも、当社は、企業風土が変わり始めているとはいえ、すべての人がその変化を実感している状態にまでは至っていません。ワークショップ等では、「Culture Transformation Labが活動していることは認識しているものの、自分たちの職場や会社が変わったとは感じられない」との声も寄せられています。現時点で生じている変化は、一部の職場や社員が変化の兆しを感じ始めた段階にとどまり、現場において具体的な変化を実感できていない社員も依然として多いものと認識しています。そうした認識の下、社員の意識や職場の実態を定量的に把握するため、2026年10月にエンゲージメントサーベイを実施する予定です。エンゲージメントサーベイについては、これまで各社が個別に実施していた事例はあったものの、グループ全体でグローバルに統一して実施するのは、今回が初めての取組みです。今後は、同サーベイの結果を分析し、明らかとなった課題に対応する改善活動を立案するとともに、引き続き社員から寄せられる声を具体的な施策につなげ、その進捗及び結果を社員に示してまいります。当社グループは、経営層が率先して変革の姿勢を示すとともに、社員一人ひとりが自ら考え、行動することを促し、経営層と社員の双方から企業風土改革に向けた取組を着実に進めてまいります。また、これらの取組を一過性のものとすることなく、各施策の実施状況や効果を継続的に検証し、その結果を踏まえて必要な見直しや改善を重ねてまいります。こうした取組を継続的に積み重ねることで、社員一人ひとりの意識や行動の変化につなげるとともに、それらを組織全体に定着させ、当グループ全体の企業風土の変革を推進してまいります。 (ⅷ)グループガバナンス体制の再構築2026年4月に当社グループ全体に適用するグループガバナンスの考え方を示した基本原則としてグループガバナンスポリシーを策定し、グループ全体に展開・周知しました。また、2026年4月にグループグローバル基準の稟議事項決裁者一覧を策定し、当社グループ内の各法人で行われる一定金額以上の重要な投資・費用支出については事前に当社の承認を得るルールを明確にしました。グループガバナンスポリシー等の当社グループの全法人に周知すべき規程等(グループポリシー)については、通達で各法人に伝達するだけでなく、グループ各社からアクセス可能な社内ポータルサイト(NiDEPO)に掲載するとともに、それぞれの規程を策定・発出する主管部門が中心となって説明会・説明動画配信等の周知活動を行いました。また各法人で規程等の周知を担当する役員・管理職から、グループポリシーの周知の必要性を理解した旨の確認(アンケートへの回答)を行い、当社グループの全法人にグループポリシーが周知されるように促しております。 (ⅸ)コンプライアンス教育の充実(a)入社時・定期研修におけるコンプライアンス教育の充実2026年1月より、毎月入社する中途入社社員に対し、対面又はオンラインでのコンプライアンス研修を実施しています。加えて、2026年6月の新任マネジメント層向け研修の一環として、新規昇格者を対象としてコンプライアンスの観点で管理職に期待される役割や、管理職として特に気を付けるべき重要なトピックスを学ぶコンプライアンス研修をオンラインで実施しました。 (b)グループ全体へのコンプライアンス教育の徹底と本事案の継続的な周知2026年3月には、経営幹部、経理業務に従事する役職員、購買・生産管理部門及び営業部門に従事する役職員約12,000名を対象に、投資家・市場に対する誠実な姿勢の徹底、適正な財務報告の確保及びコンプライアンスに対する理解と意識の向上を目的として、e-ラーニング研修を、実際に発生した会計不正事案を題材として実施しました。グループ全体でのコンプライアンス意識の継続的な維持を目的として、2026年7月に、グループの全役職員を対象として、本事案における経緯、原因、教訓等を役職員に周知し、本事案を題材としたコンプライアンス教育をオンラインで実施しました。これは第三者委員会から提言のあった投資家・市場に対する誠実さの徹底にも資するものと判断しています。 (ⅹ)人事評価制度の見直し(a)業績以外の目標設定と評価の徹底人事評価制度の見直しに関しては、管理職の目標設定項目の見直しに加え、人材情報の一元管理並びに人事評価および従業員育成の強化に向けて、グローバル人事システムの導入を決定し、導入準備を進めています。 (b)制度理解向上施策の実施適正な人事評価の運用の徹底に向けて、2026年3月に当社の全従業員向け説明会を実施するとともに、評価者に対しては、4月に目標設定研修を、9月に評価者研修を実施しました。また、国内グループ各社においても、従業員向け説明および評価者向けに同様の研修を4月と9月に実施しています。4月の目標設定研修、9月の評価者研修では、適切な目標設定の考え方や評価制度の趣旨、公平・公明・公正な評価の実施方法に加え、評価者として求められる役割や評価結果のフィードバックについて取り上げました。あわせて、管理職層の目標設定時に必須としたコンプライアンスに関する目標についても研修内容に含め、業績面のみならずコンプライアンスを重視し、常に正しいことを優先して判断・行動することを求める内容としています。さらに、当社の管理職には近年実施できていなかった階層別研修を実施し、管理職としての役割の再認識や、人材育成、組織運営に対する意識向上を図りました。部長クラスでは「組織風土診断」を活用して自組織の課題分析と職場実践計画の策定を行い、グループリーダー、チームリーダークラスでは「リーダーシップ診断」を通じて自身の強みや課題を把握し、組織運営や人材育成に関する実践的な内容としています。また、適正な人事評価運用が行われているかを継続的にモニタリングするため、2026年5月から6月にかけて、グループ会社における評価シートを対象に、今期の目標設定方針に沿った目標設定が行われているかをサンプリングベースで確認し、必要に応じて修正を行いました。あわせて、グループ各社の管理職の目標設定内容やウェイト配分についても確認を実施し、グループで定める方針との整合性が確保されているかを検証するとともに、適切な運用がなされていない従業員に対しては人事部門から是正を促すなど、運用の徹底を図りました。さらに、2026年12月には目標設定及び評価面談に関するアンケートを実施し、評価制度の趣旨に沿った評価運用がなされているかを確認するとともに、その結果を踏まえ、必要に応じて制度や運用方法の改善策を検討・実施します。 (xi)取締役会・監査等委員会の実効性向上(a)業績目標の妥当性に対する取締役会の監督の実効性向上事業計画の策定及び計画の進捗状況のフォローアップのため、2026年3月に取締役会規程を改訂し、事業計画に関連する取締役会付議事項を整理するとともに、「取締役会審議スケジュール」を取締役会の承認のもとで策定し、事業計画に係る審議を取締役会にて行う仕組みを整備しました。これらに基づき、2026年度事業計画を3月31日の取締役会に付議し、審議・決議しております。当該取締役会審議においては、経営リスクの織り込みや、各事業からのボトムアップの情報を中心に策定した計画に対する評価などが審議されました。事業計画の進捗状況のフォローアップについては、2026年4月分については同年5月29日の経営会議及び同年6月3日の取締役会に、同年5月分については同年6月24日の経営会議及び同年7月8日の取締役会に、それぞれ報告しました。 (b)重要リスク情報共有体制の整備と監督機能の強化2026年5月にリスク管理規程と危機管理規程を見直し、取締役会に報告すべき重要なリスク情報の定義や報告要否判断の基準を明確に定めました。また2026年3月に取締役会規程を改訂し、リスク管理委員会、コンプライアンス委員会及び最高コンプライアンス責任者(CCO)が把握したリスク情報の中で、取締役会に報告すべき重要なリスク情報が検出された場合には、当該重要なリスク情報を取締役会へ報告することを定め、重要なリスク情報が取締役会に確実に報告される体制を構築しました。なお2026年9月末までの期間においては、重要なインシデント(例:台湾子会社におけるランサムウェア被害)の取締役会への報告は、執行側報告事項の一部として担当役員から行われており、リスク管理委員会・コンプライアンス委員会からの重要リスク情報の該当案件の報告はありませんでした。また、経理部門(CFOライン)で確認した重要リスク情報の状況について、2026年8月26日にグループ経営会議、9月3日に取締役会への報告を行いました。今後も四半期ごとに報告する予定です。グループ経営会議を重要な事業リスクや経営課題を幅広く議論する場としたことから、グループ経営会議における議論の結果は取締役会にも共有しています。直近では、2026年7月8日開催の取締役会において、執行側報告事項としてリスク案件(台湾子会社におけるランサムウェア被害、特定事業に係る事業リスク)について報告を行いました。またグループ経営会議の議事録を取締役全員に共有ドライブを通じて共有することにより、グループ経営会議で議論されたリスクを取締役が把握することが可能になっています。なお、監査等委員はオブザーバーとしてグループ経営会議に毎回出席しており、執行側の審議状況や重要リスク情報を直接把握できる機会として活用しております。加えて、社外取締役のみの意見交換を定時取締役会終了後にランチミーティングとして実施しております。 (c)監査等委員会の実効性向上経営管理監査部から監査等委員会への内部監査結果(監査実施内容・結果の概要、主な発見事項等)の定期的な報告(年4回:2026年4月22日・7月22日開催の監査等委員会にて報告実施済)、監査等委員会・経営管理監査部・会計監査人の三者による統制上の課題の共有等を目的とした定期的な意見交換会(年4回:2026年4月22日・7月22日に実施済)を行っています。また、監査等委員会監査(業務監査)の一環として業務執行取締役及び執行役員との意見交換の強化を図りました(2026年2月7日・5月8日・8月4日にCLO、4月4日・7月8日にCFO代行、6月3日・9月3日にCEOとの意見交換を実施済)。 (d)取締役の専門性の多様化による監督機能の強化2026年5月9日の指名委員会において、「取締役に求める専門性と経験」を示すスキルマトリクスを見直し、これに基づき選任取締役候補者案を決定し、同年5月13日の取締役会にて答申報告しました。具体的には、社外取締役については、特に重視するスキルとして「法務・コンプライアンス」「財務・会計」「ガバナンス・リスク管理」「企業経営経験」「資本市場に対する知見」を充足する人材の選任を検討すること、また、社内取締役については、コンプライアンス及びリスク管理面からの問題提起を十分に行うため管理系担当である執行役員の取締役への登用を検討することが含まれています。上記、指名委員会の答申に基づき取締役会にて選任取締役候補者を決定し、2026年6月開催の定時株主総会において提案した結果、当社が提案したすべての取締役候補の選任が承認されています。新たな取締役会の構成については、2026年5月27日付「第53期定時株主総会招集ご通知」及び同年6月18日付「第53期定時株主総会決議ご通知」記載のとおりです。 (e)社外取締役をサポートする体制の拡充取締役会事務局の機能を強化するため、2026年6月1日付で取締役会室を新設しました。また、社外取締役から外部専門家を活用する場合の窓口を担うことを取締役会室の業務分掌として明記しました。一例として、取締役監査等委員から日本監査役協会への加盟・研修受講の要望があった際に、取締役会室が窓口として対応し、協会加盟等の橋渡しをしました。加えて、先の定時株主総会で選任された社外取締役就任時のサポートとして、2026年6月以降、執行側から会社・組織概要、事業内容、当社が抱える課題とその対策進捗、経営改革5か年プランなどについて、複数回の情報提供を行いました。 (xii)執行役員指名の基準見直しと実効性の強化(a)選任基準の見直し・解任基準の策定執行役員の選任基準を、当社グローバル経営幹部及び国内グループ会社CEOにグローバルかつ統一的に適用される選任基準へとアップデートし執行役員規程を改訂しました。具体的には、執行役員の要件として、高い倫理観とコンプライアンス意識、組織構築と人材育成を通じたリーダーシップ、将来を見据えた戦略立案・実行等の観点を追加し、当社グローバル経営幹部及び国内グループ会社CEOにも適用されるよう、適用範囲を拡大しました。加えて、経営環境に応じて特に重要視すべき点を指名委員会で審議し、選任判断に反映する運用としています。さらに、執行役員の解任基準も策定し、選任基準を満たさない事象が生じた場合や不正の行為又は法令もしくは社内規程に違反する重大な事実が生じた場合には解任の審議を行えるようにしています。 (b)執行役員選任プロセスの実効性向上指名委員会では、より客観的かつ透明性の高い選任プロセスの構築に向けて、新たな選任基準を2026年4月に策定しました。なお、その策定に先立って2026年4月選任時の執行役員候補者については、外部アセスメントを実施しております。また、今後も指名候補者に関するコンプライアンスチェック結果、社内における評価・実績情報、外部アセスメント結果等を体系的に指名委員会へ提供し、より多面的な観点から選任判断を行う体制を整備していきます。さらに、指名委員である社外取締役から、指名委員会と指名候補者との面談等の機会を充実させる必要がある旨の指摘があったことも踏まえ、執行役員を選任する際には早期の段階から候補者との面談を実施しています。加えて、取締役会の事前説明会での事案説明や、拠点訪問時にはランチミーティングなど、候補者との接点を充実させることで、候補者に対する理解を深める運用としています。 (xiii)役員報酬評価基準と報酬決定プロセスの実効性強化(a)役員報酬評価基準の見直し役員報酬評価基準の見直しについては、役員報酬評価基準の再設計を行い、STI(短期インセンティブ)では単年度の売上・営業利益・FCF(フリーキャッシュフロー)に加えて、2026年度は内部管理体制の視点からの要素も組み込んだ新たな役員報酬評価基準を同年3月に策定し、プロセスや中長期の観点への意識付けを行っています。また、当社グループ全体における報酬体系の一貫性を確保するために、2026年4月に役員報酬評価基準をグローバルに統一し、適用範囲を拡大しました。今後は、これらの施策の運用状況や有効性を検証するとともに、事業環境や経営課題の変化も踏まえながら、最適な報酬制度のあり方について継続的に検討し、必要に応じて見直しを行ってまいります。 (b)報酬決定プロセスに関する実効性の向上課題と対応策報酬委員会については、2026年度に入ってから、新たな報酬委員会規程のもとで4月から6月までに計3回開催しました。報酬委員会では、検討対象となる候補者の状況に応じてポジション別の役員報酬のベンチマーク情報とを比較し適正水準を検討しました。また、国内グループ会社のCEOの報酬額案を当社人事部門に集約し、グループ全体で新たに規定した統一基準を用いて算定されて
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 43.追加情報(不適切な会計処理等について)」に記載のとおり、当社は2025年9月3日に日本弁護士連合会が定める「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠した第三者委員会を設置し、第三者委員会より2026年2月27日に調査報告書、同年4月17日に、最終報告としての調査報告書(追補)を受領しました。また、当社は品質に関する不適切行為の疑義に対する社内調査や貿易取引及び関税に係る諸問題等の社内調査等を実施しました。調査報告書において、当社及び当社グループ会社において多岐にわたる拠点で不正及び誤謬による多数の不適切な会計処理が指摘されており、当社は、自己点検の結果を含む第三者委員会の最終報告を踏まえ、過年度において重要性の観点から訂正を行っていなかった事項や調査の過程で追加的に判明した事項に関連する誤謬の訂正も含め、これらの不適切な会計処理等に伴う虚偽表示を遡って修正再表示しております。以下の分析数値等はこれらの修正再表示を反映した第52期連結会計年度の連結財務諸表をもとにしたものとなっております。(1)重要性のある会計方針及び重要な見積り当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定により、IFRS会計基準に準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成において、連結決算日における資産・負債の金額と連結会計年度の収益・費用に影響を及ぼす見積り・判断・仮定が必要となります。これらの実際の結果は見積り・判断・仮定と異なる場合があります。もし会計上の見積りが行われる時点で高い不確実性に対する見積りを作成しなければならない場合、その会計上の見積りは、直近の会計期間にて合理的に見積った見積りや、該当する発生期間において合理的に見積ることができる場合とは異なり、財政状態やその変化、経営成績に重要な影響を与えると予想されます。重要性のある会計方針及び重要な見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性のある会計方針 4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定」に記載しています。 (2)経営成績の状況当連結累計期間の世界経済は、インフレ抑制のための各国政策等により全体として底堅く推移し、緩やかな回復が見られました。一方で、米国の通商・関税政策の影響や中東地域における地政学的リスクの高まり、金融市場の変動等により、依然として不透明な状況が続いています。 このような経済状況の中、当社及び当社グループの製品グループ別の取り組みについては次のとおりです。まず、精密小型モータは、水冷モジュールやニアライン用途のHDD用モータをはじめとするAI社会を支えるデータセンター向け各製品群において、市場の爆発的成長を支えるべく求められる進化に対応した製品の開発及び販売拡大に取り組んでいます。これらの取り組みに加え、不採算機種の見直しにも取り組むことで収益性の更なる押し上げを進めています。次に、車載においては、多種多様な製品や関連モジュールを通じて、モビリティの電動化・自動化の推進に貢献するモビリティイノベーションを引き続き市場に提供しながらも、不採算機種の受注見直しや固定費削減を徹底することで収益性の改善に取り組んでいます。また、家電産業事業本部(ACIM)に車載オーガニック(既存事業)の統合を進めると共に、2025年4月1日付でニデックモビリティ株式会社とニデックエレシス株式会社が合併する等、組織運営体制の再構築を通じた事業再編を推進しています。家電・商業・産業用では、データセンターの非常用電源向け発電機やグリーンイノベーションの進展に伴うバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)の需要が引き続き右肩上がりで推移しています。これらの旺盛な需要に応えるためにインド・フランス・北中米にて生産能力の増強投資を鋭意進めると共に、バリューチェーンの下流領域の保守・点検等のリカーリングビジネスも強化を図っています。機器装置については、世界的に「省人化・無人化」や「高速化・高精度化」を志向した設備投資が進む中、受注の獲得に注力しています。近年のM&Aによって取得した企業とグループ各社とのシナジーを創出しながら、設備投資需要を着実に捉え世界のモノづくりを牽引する存在を目指します。 当社及び当社グループは、引き続き高い技術力とモノづくり力を活かし、サステナブルな循環型社会の実現に貢献するリーディングカンパニーとして、高収益を生み出し続けることを追求していきます。 当連結会計年度における主な経営成績は次のとおりです。 (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率 (修正再表示後) 売上高2,606,3472,708,705102,3583.9%営業利益(△損失)128,222△518,978△647,200-(利益率)(4.9%)---税引前当期利益(△損失)124,576△496,214△620,790-継続事業からの当期利益(△損失)79,409△622,910△702,319-非継続事業からの当期損失△204△51153-親会社の所有者に帰属する当期利益(△損失)84,672△564,624△649,296- 当期の継続事業からの連結売上高は、前期比3.9%増収の2兆7,087億5百万円となりました。営業損益は、当期に非金融資産の減損損失6,321億35百万円を計上した結果、前期比6,472億円減少の5,189億78百万円の損失となりました。税引前当期損益は、為替差益約147億円を計上した影響も含め、前期比6,207億90百万円減少の4,962億14百万円の損失、親会社の所有者に帰属する当期損益は前期比6,492億96百万円減少の5,646億24百万円の損失となりました。当期の対米ドル平均為替レート(1ドル当たり150.77円)は前年比約1%の円高、対ユーロ平均為替レート(1ユーロ当たり174.79円)は前期比約7%の円安となりました。なお、当期の売上高、営業損益への為替影響は下記のとおりです。 - 売上高:前期比約1億円の減収- 営業損益:前期比約30億円の減益 セグメント別の経営成績は次のとおりです。(単位:百万円) 総売上高営業損益 前連結会計年度当連結会計年度増減額前連結会計年度当連結会計年度増減額 (修正再表示後) (修正再表示後) SPMS395,695406,98311,28844,38662,84418,458AMEC354,953370,08315,13053△25,089△25,142MOEN577,832706,529128,69768,919△72,573△141,492ACIM467,849443,991△23,85835,668△289,333△325,001機械事業216,890211,588△5,302△84,926△13,82771,099グループ会社事業666,073635,347△30,72679,175△131,711△210,886調整及び消去/全社△72,945△65,8167,129△15,053△49,289△34,236連結2,606,3472,708,705102,358128,222△518,978△647,200 (注)総売上高は外部顧客に対する売上高とセグメント間の売上高の合計です。 「SPMS」の総売上高は4,069億83百万円(前年度比112億88百万円増)、営業利益は628億44百万円(前年度比184億58百万円増)となりました。 「AMEC」の総売上高は3,700億83百万円(前年度比151億30百万円増)となりました。営業損益は、当期に非金融資産の減損損失183億87百万円を計上した結果、250億89百万円(前年度比251億42百万円減)の損失となりました。 「MOEN」の総売上高は7,065億29百万円(前年度比1,286億97百万円増)となりました。営業損益は、前期にニデックPSAイーモーターズ連結子会社化に伴う段階取得に係る差益を計上した結果に加え、当期に非金融資産の減損損失1,162億87百万円を計上した結果、725億73百万円(前年度比1,414億92百万円減)の損失となりました。 「ACIM」の総売上高は4,439億91百万円(前年度比238億58百万円減)、営業損益は、当期に非金融資産の減損損失2,988億円を計上した結果、2,893億33百万円(前年度比3,250億1百万円減)の損失となりました。 「機械事業」の総売上高は2,115億88百万円(前年度比53億2百万円減)、営業損益は前期に非金融資産の減損損失952億77百万円を計上した結果に加え、当期に非金融資産の減損損失70億27百万円を計上した結果、138億27百万円(前年度比710億99百万円増)の損失となりました。 「グループ会社事業」の総売上高は6,353億47百万円(前年度比307億26百万円減)、営業損益は、当期に非金融資産の減損損失1,896億99百万円を計上した結果、1,317億11百万円(前年度比2,108億86百万円減)の損失となりました。 製品グループ別の経営成績は次のとおりです。(単位:百万円) 売上高営業損益 前連結会計年度当連結会計年度増減額前連結会計年度当連結会計年度増減額 (修正再表示後) (修正再表示後) 精密小型モータ487,994498,69610,70261,65129,995△31,656車載666,791718,30951,51825,255△250,536△275,791家電・商業・産業用1,052,3081,104,60552,297107,655△251,124△358,779機器装置310,532298,782△11,750△64,609△93063,679電子・光学部品85,19084,560△63013,2812,415△10,866その他3,5323,753221134508374消去/全社---△15,145△49,306△34,161連結2,606,3472,708,705102,358128,222△518,978△647,200 「精密小型モータ」製品グループの売上高は前期比2.2%増収の4,986億96百万円となりました。HDD用モータの売上高は前期比9.8%増収の1,101億52百万円となりました。その他小型モータの売上高は前期比0.2%増収の3,885億44百万円となりました。営業利益は前期比51.3%減益の299億95百万円となりました。なお、当期の売上高、営業利益への為替影響は下記のとおりです。- 売上高:前期比約2億円の増収- 営業利益:前期比約7億円の増益 「車載」製品グループの売上高は前期比7.7%増収の7,183億9百万円となりました。営業損益は当期に非金融資産の減損損失2,310億85百万円を計上した結果、前期比2,757億91百万円減少の2,505億36百万円の営業損失となりました。なお、当期の売上高、営業利益への為替影響は下記のとおりです。- 売上高:前期比約71億円の増収- 営業損益:前期比約27億円の減益 「家電・商業・産業用」製品グループの売上高は前期比5.0%増収の1兆1,046億5百万円、営業損益は当期に非金融資産の減損損失3,351億39百万円を計上した結果、前期比3,587億79百万円減少の2,511億24百万円の営業損失となりました。なお、当期の売上高、営業損益への為替影響は下記のとおりです。- 売上高:前期比約108億円の減収- 営業損益:前期比約13億円の減益 「機器装置」製品グループの売上高は前期比3.8%減収の2,987億82百万円、営業損益は前期比636億79百万円増加の9億30百万円の営業損失となりました。なお、当期の売上高、営業損益への為替影響は下記のとおりです。- 売上高:前期比約31億円の増収- 営業損益:前期比約1億円の増益 「電子・光学部品」製品グループの売上高は前期比0.7%減収の845億60百万円、営業利益は前期比81.8%減益の24億15百万円となりました。なお、当期の売上高、営業利益への為替影響は下記のとおりです。- 売上高:前期比約3億円の増収- 営業利益:前期比約1億円の増益 「その他」製品グループの売上高は前期比6.3%増収の37億53百万円、営業利益は前期比279.1%増益の5億8百万円となりました。 (3)財政状態の状況NIDECの現金及び現金同等物は、当連結会計年度末は8,522億4百万円であり、前連結会計年度末は2,462億54百万円で6,059億50百万円増加いたしました。この主な要因は、営業キャッシュ・フローが2,342億18百万円の収入と財務キャッシュ・フローが4,182億46百万円の収入となった一方で、有形固定資産の取得等による投資キャッシュ・フローが1,362億38百万円の支出となったことによります。また、手元現金の有効活用のため、日本、中国及び米国等各地域内においてキャッシュマネジメントシステム(CMS)を活用したグループ間での余剰資金活用を継続しており、更に各国を結ぶCMSを既に導入し、全世界ベースでCMS網を拡大させています。なお、当連結会計年度末時点において、現金及び現金同等物の約48%を日本以外の子会社で保有しています。NIDECの資金の効率化を高めるため、海外子会社を含めたグループ間のノーショナルプーリングシステムを特定の金融機関と構築しており、特定の金融機関に対する預入総額を上限に参加会社は借入を行っています。そのため、現金及び現金同等物に含まれる銀行預金には、単一の会計単位として認識したノーショナルプーリングシステムにおける預入金及び借入金の純額が含まれています。グループ会社間での送金には、一部の特定された状況下において制限事項があります。特定地域における送金制限は、資金の効率的なグループ内移動、特に海外子会社から当社への送金を妨害する場合がありますが、後述の継続的なキャッシュ・フロー、外部借入を通じて流動性の需要を満たすように努めています。なお、この制限によるNIDECの流動性や財政状態、経営成績への重大な影響はございません。短期借入金は前年度比4,933億16百万円増加の5,870億26百万円となりました。当連結会計年度末時点での短期借入金は主に銀行からの円建の借入で構成されています。1年以内返済予定長期債務は前年度比691億39百万円減少の951億6百万円となりました。これは主に1年内返済予定長期借入金への振り替えにより404億40百万円増加、1年内返済予定社債への振り替えにより200億円の増加、1年内返済予定社債の償還により1,310億40百万円減少したことによります。当連結会計年度末時点での1年以内返済予定長期債務は主に、無担保社債で構成されています。長期債務は前年度比500億35百万円増加の4,312億72百万円となりました。これは主に1年内返済予定長期借入金への振り替えにより404億40百万円の減少、借入により957億71百万円増加したことによります。当連結会計年度末時点での長期債務は主に、銀行からの円建の借入及び無担保社債で構成されています。 社債について、期末時点で連結財政状態計算書に含まれる額面総額は次のとおりです。銘柄発行月額面総額償還期限資金使途第11回無担保社債(社債間限定同順位特約付) (グリーンボンド)2019年11月200億円2026年11月電気自動車向けトラクションモータの製造第14回無担保社債(社債間限定同順位特約付)2022年7月200億円2032年7月社債の償還及び短期借入金の返済第16回無担保社債(社債間限定同順位特約付)2022年11月500億円2027年11月社債の償還及び短期借入金の返済 なお、上記社債は2019年3月に関東財務局長へ提出した2019年4月5日から2020年4月4日の期間に有効となる3,000億円の社債発行登録書及び2020年4月に関東財務局長へ提出した2020年4月9日から2021年4月8日期間に有効となる3,000億円の社債発行登録書及び2022年4月に関東財務局長へ提出した2022年4月9日から2024年4月8日の期間に有効となる6,000億円の社債発行登録書を基に発行しています。本発行登録は、資金調達手段の多様化による財務安定性の向上を企図し、金融機関からの間接金融による資金調達等と合わせて、NIDECの必要資金を機動的に調達できる体制を構築することを目的としています。NIDECの無担保資金調達の大部分は、当社が調達した後、それぞれのグループ会社の資本要件を満たすために貸与しています。NIDECは、資金調達コストの低減及び十分な信用枠を維持し、グループ会社全体の機動的な資金を確保いたします。NIDECは、将来のM&A、研究開発活動、設備投資のために追加融資を検討しています。また、今後もM&A、研究開発活動、及び設備投資を機動的に行う基盤構築のため、追加的な資金を得ることを検討しています。2025年5月27日開催の取締役会において、2025年5月28日から2026年5月27日の期間に13百万株及び350億円を上限とする自己株式の取得が決議されていましたが、2025年10月23日の取締役会において、自己株式の取得を中止することが決議されています。当プログラムにおいて2025年5月28日から2026年10月23日の期間には自己株式の取得はありませんでした。NIDECは、これらの資金源と営業活動から得るキャッシュ・フロー及び未実行の与信枠は、将来の資金需要に十分対応するものであると考えています。 NIDECの資産合計残高は、前期末(2025年3月末)比1,878億57百万円増加の3兆1,076億21百万円となりました。これは主に現金および現金同等物が6,059億50百万円増加した一方で、有形固定資産が2,187億89百万円、のれんが1,854億56百万円減少したことによります。負債合計残高は、前期末比6,898億60百万円増加の2兆3,428億95百万円となりました。これは主に営業債務及びその他の債務が892億42百万円増加し、有利子負債が4,742億13百万円増加したことによります。ワーキングキャピタル(流動資産-流動負債)は5,982億88百万円で前年度比1,382億41百万円の増加となりました。また、売上債権(営業債権及びその他の債権)回転率(売上高÷売上債権)は3.7で、前年度比0.1ポイントの減少となりました。棚卸資産回転率(売上原価÷棚卸資産)は3.9で、前年度比0.0ポイントの増加となりました。親会社の所有者に帰属する持分は、4,456億50百万円減少の7,941億64百万円となりました。これは主に利益剰余金が5,807億60百万円減少し、在外営業活動体の換算差額を主因にその他の資本の構成要素が1,349億26百万円増加したことによります。親会社所有者帰属持分比率は25.6%(前期末42.5%)となりました。 (4)キャッシュ・フローの状況①資金需要の状況NIDECの資金需要は、主に設備投資・研究開発費・材料購入のための支払・従業員への給料、賃金やその他人件費の支払・関係会社に対する投資・長期及び短期債務の返済・自己株式の取得があります。当連結会計年度末時点において、NIDECは営業債務及びその他の債務を7,047億12百万円、短期借入金を5,870億26百万円、1年以内返済予定長期債務を含む長期債務を5,263億78百万円保有しています。当連結会計年度の設備投資による支払は1,304億82百万円であります。また、当連結会計年度末の固定資産購入契約残高は286億36百万円であります。当連結会計年度の研究開発活動に係る支出額(無形資産に計上された開発費の支出額を含む)は1,298億87百万円であります。 ②資金調達の状況NIDECの必要資金については、営業活動によるキャッシュ・フローに加えて、良好な取引関係にある複数の金融機関からの借入や国内社債発行登録枠に基づく社債の発行等により調達を行っており、資金調達手段の多様化を図っています。また、流動性リスクに備えるため取引金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、当面の運転資金及び設備資金に加え、一定の戦略的投資機会にも備えられる現預金水準を確保しています。なお、グループ会社については原則として金融機関からの資金調達を行わず、統括会社のキャッシュマネジメントシステム等を利用したグループ内ファイナンスにより、資金調達の一元化と資金効率化を継続して推進しています。 (5)生産、受注及び販売の実績①生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年度比(%)SPMS355,529122.1AMEC305,307102.7MOEN596,657117.7ACIM437,857101.8機械事業177,81696.7グループ会社事業673,18795.9合計2,546,353105.6 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。 ②受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称受注高(百万円)前年度比(%)受注残高(百万円)前年度比(%)SPMS404,451102.829,671109.4AMEC365,632105.616,792126.8MOEN800,419125.3534,485132.6ACIM435,96394.961,72698.5機械事業203,00197.2113,107102.5グループ会社事業435,73196.584,170108.3合計2,645,197105.9839,951121.0 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。 ③販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年度比(%)SPMS403,997103.2AMEC363,330103.8MOEN702,824122.5ACIM441,19095.4機械事業203,77697.3グループ会社事業593,58895.8合計2,708,705103.9 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

事業リスク

  • 政治・経済状況の変動リスク
    ニデックはグローバルに事業を展開しているため、米中間の通商問題、保護主義的な貿易政策、レアアース等の輸出規制、地政学的リスクなどが、製品需要の変動、原材料調達難、サプライチェーンの寸断、製造・物流コスト上昇、為替レートの急激な変動などを引き起こし、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 技術環境・産業構造の変化リスク
    AIの進化や自動運転技術の進展など、急速な技術革新や産業構造の変化は、従来の製品に対する需要を急激に減少させる可能性があります。これにより、ニデックのビジネスモデルが陳腐化し、売上や利益が減少するリスクがあります。
  • M&Aに係るリスク
    ニデックは成長戦略としてM&Aを積極的に活用していますが、買収後の統合が計画通りに進まない場合や、買収した事業の収益性が期待を下回る場合、多額の減損損失が発生するなど、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|25,626 文字
3【事業等のリスク】(1)リスク管理体制と運用状況 当社は、2026年4月27日付で公表した「改善計画・状況報告書(改訂版)」に基づき、グループ全体におけるリスク情報の把握、報告、審議及びモニタリングの体制・プロセスを見直しました。具体的には、重要なリスク情報の報告ルートの明確化、取締役会への重要リスク情報の報告及び内部監査によるリスク管理体制の確認等を含む新たな運用を順次開始しています。これにより、リスク発生時の対応力不足による損失拡大等を防止するとともに、危機事象の発生時においても事業継続及び早期復旧を可能とする実効性のある体制及び仕組みを構築し、その実効性の向上に取り組んでいます。当社は、これらの体制及びプロセスの運用状況を継続的にモニタリングし、その結果及び事業環境の変化を踏まえて、ガバナンスの強化と企業価値の向上を図るとともに、グループの持続的な成長及びステークホルダーからの信頼獲得・向上を目指しています。 図1 全社リスク管理体制図上記管理体制図に掲載された組織等の役割は、以下のとおりです。 ・取締役会「年次活動基本方針及び年次活動計画」や「委員会運営に係るKPI」などのリスク管理に関する重要事項について、レビュー及び承認を行います。また、リスク管理委員会からの定期報告を受け、リスク管理体制の適切な運営状況や重大インシデントの傾向等に対する監督機能を発揮します。さらに、全社的なリスク管理の枠組みを定める「ニデックグローバルリスク管理基本方針」や「リスク管理規程」の改廃に係る決議を行います。 ・経営会議グループ経営の業務執行に係る意思決定機関として、リスク管理委員会から付議・報告される重要なリスクの評価結果及び対応戦略について審議し、経営資源の配分を含む対応方針を決定します。また、決定した対応戦略に基づく施策の進捗状況をモニタリングし、事業運営への影響が重大なリスクについては、取締役会に対して適時に報告を行います。 ・リスク管理委員会リスク管理最高責任者を委員長とし、担当業務におけるリスクに対する管理体制や実務実態に即した議論の促進を担う委員により構成されます。グループ経営の業務執行及び専門的な目線で議論し、リスク管理に必要な資源配分の適切性を常時見直します。また、重要なリスクに対する対応の戦略等について経営機関への諮問又は審議を行うとともに、委員会の運営状況や課題、重大インシデントの傾向等を取締役会へ定期的に報告します。 ・リスク管理責任者Nidecグループにおけるリスク管理活動について責任を負い、リスク管理活動を推進します。リスク管理委員会の委員長として委員会を主催し、議論を統括するとともに、経営会議や取締役会等の経営機関への報告の役割を担います。 ・リスク管理委員会事務局(リスク管理室)当社のリスク管理委員会の事務局業務を担い、委員長の指示により、委員会の招集手続き、事務処理及び議事録の作成等を担当します。また、グループグローバル業務主管部署と協力し、下位階層(事業本部・グループ会社本社階層および拠点・事業所階層)における体制の整備に関する支援を行います。 ・リスク管理推進責任者/リスク管理マネジャーリスク管理の各階層において、事業本部・グループ会社本社階層(L2)の「リスク管理推進責任者」、および拠点・事業所階層(L1)の「リスク管理マネジャー」として、それぞれの階層におけるリスク管理活動について責任を負い、リスク管理体制の整備と推進を行います。 ・グループグローバル業務主管部署各担当役員(CxO)の管掌のもと、担当業務領域のリスクオーナーとして、当該領域のリスク情報の集約・分析及びモニタリングを行うとともに、リスク管理体制の整備に関してニデックグループに対する指導及び支援を担います。 (2)事業等のリスクNIDECの経営成績、株価、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNIDECが判断したものです。 リスク項目1) ガバナンスリスク① 内部統制に係るリスク※株式会社東京証券取引所による措置に関するリスクは欄外に記載② 適正決算に係るリスク③ 経営継承に係るリスク2) 経営戦略リスク① 先行投資に係るリスク② M&Aに係るリスク③ 政治・経済状況の変動に係るリスク④ 技術環境・産業構造の変化に係るリスク⑤ 競合に係るリスク3) 事業運営リスク① 関税に係るリスク② 製品の品質に係るリスク③ 情報セキュリティに係るリスク④ 高度な専門性を有した人材の採用・保持に係るリスク⑤ 研究開発に係るリスク⑥ 原材料・部品調達に係るリスク⑦ 知的財産権に係る訴訟リスク⑧ 人権に係るリスク⑨ 為替に係るリスク⑩ 金利の変動に係るリスク⑪ 資金の流動性に係るリスク⑫ 繰延税金資産の不確実性に係るリスク4) 偶発的リスク① 自然災害・人的災害に係るリスク② 気候変動に係るリスク 1)ガバナンスリスク①内部統制に係るリスクリスク内容(貿易コンプライアンスに関する内部統制)前連結会計年度に、当社の連結子会社において、製造したモータの原産国申告の誤りに伴う未払関税額の過少計上が判明し、問題認識後に適時に連結財務諸表に反映できなかった親会社としての当社に主な原因があったものと認識し、前連結会計年度の全社的な内部統制(情報と伝達)及び経理決算プロセスの内部統制に開示すべき重要な不備を識別しました。当社は、以下の再発防止策を実施してはいるものの、当連結会計年度において新たに全社的な内部統制(統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達及びモニタリング)及び全社的な観点で評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制に開示すべき重要な不備を識別したことから、開示すべき重要な不備の是正には至っていないものと評価しております。(1)コンプライアンス最優先の意識/企業風土の醸成・当社取締役会から当社グループ内に対する明確なメッセージの発信・人事処分を通じたコンプライアンスを最優先にした対応の必要性の周知徹底・法務コンプライアンス部門の機能強化・権限強化(2)組織・体制の強化・貿易コンプライアンス体制の強化・グローバルコンプライアンス体制の強化(3)手順・規程・仕組みの改善・当社グループのレポーティングラインの改善・当社グループ法務・コンプライアンス部門間の情報共有・内部統制の適切な整備(4)人事処分・適切な人事処分の実施 また、当連結会計年度において、上記連結子会社以外における貿易コンプライアンス上の類似問題の有無等について外部専門家に委嘱して調査を行ったところ、当社グループの対米輸出において原産地国表示の誤りが発見されました。このため、当社の各拠点からの対米輸出(2021年3月期から2026年3月期まで)に係る主要な輸入拠点の全取引を対象に統計的サンプリング調査を実施した結果、米国への輸入申告における関税分類、原産地国、通商優遇協定に基づく特恵適用及び輸入価格に関し、一部に誤りがあることが判明しました。この誤りは、関係者の貿易知識やコンプライアンス意識が十分でなかったことに加え、当社グループにおいて貿易業務の標準化が十分でなかったことが原因として挙げられることから、全社的な内部統制(統制環境及び統制活動)に係る不備を識別しております。この不備は、当社の財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高いことから、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。当社は、再発防止の取り組みを今後も継続的に実行し、内部統制の強化を図ってまいりますが、内部統制には固有の限界があるため、再発防止の取り組みが有効に機能しなかった場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。 ①内部統制に係るリスクリスク内容(資産性にリスクのある資産に関する評価減の時期の恣意的な調整等の連結財務諸表全体に重要な影響を及ぼす可能性のある不適切な会計処理に関する内部統制)当社は、当社及びグループ会社の一部の経営陣の関与又は認識の下で行われた資産性にリスクのある資産に関する評価減の時期の恣意的な調整等、連結財務諸表全体に重要な影響を及ぼす可能性のある不適切な会計処理の疑義を認識したため、2025年9月3日に日本弁護士連合会が定める「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠した第三者委員会の設置を決議し、第三者委員会から2026年2月27日に調査報告書、同年4月17日に調査報告書追補を受領しました。その結果、過年度を含め、当社グループの多岐にわたる拠点で多数の会計不正(以下、調査報告書及び調査報告書追補で明らかになった事実を「本事案」といいます。)が判明しました。判明した会計不正の主な内容は以下のとおりであり、その内容は多岐にわたっていました。・将来の使用見込み及び販売見込みが極めて低く資産性がない原材料及び製品等について資産性が認められると偽ることによる棚卸資産評価損の計上回避・固定資産の減損テストの前提となる売上計画の中に実現確度が低い案件を含めることによる減損損失の計上回避・転用困難な固定資産についての虚偽の説明による減損損失の計上回避・製品の開発中止に伴う契約損失引当金の未計上・不良債権に係る貸倒引当金の未計上・棚卸資産の実地棚卸結果を偽ることによる棚卸資産の過大計上・固定資産に計上することが適切ではない人件費を付随費用として資産計上し減価償却を通じて費用化することによる費用計上時期を先延ばし・将来の経済的便益の獲得に寄与しないと判断されていた品質改善費用や研究開発費用の意図的な資産計上・未出荷販売としての実態を伴わない売上の先行計上当社は、本事案に関する第三者委員会による調査及び第三者委員会の管理・監督の下で会計処理の適切性を調査する自己点検により判明した事実とその原因分析に関する報告等を踏まえ、財務報告に係る内部統制の再評価を行った結果、当社及び連結子会社の全社的な内部統制(統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達及びモニタリング)と全社的な観点で評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制の不備を識別しており、これらの不備は、当社の財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高いことから、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。また、全社的な内部統制(統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達及びモニタリング)と全社的な観点で評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制の不備の影響が重要かつ広範であり、業務プロセスに係る内部統制が有効に機能する基盤を欠いていた状況であり、評価対象とした全ての業務プロセスについても不備を識別し、いずれも財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高いため、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために再発防止策を速やかに策定し、その実行に取り組んでおります。もっとも、当連結会計年度末において再発防止策の実行は完了しておらず、内部統制には固有の限界があるため、再発防止の取り組みが有効に機能しなかった場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。なお、当社は、当社及びグループ会社において、不適切な会計処理等に関与、指示、又は認識していた、あるいは会計監査人に対して虚偽の説明を行った役職員の一部を特定し、適切な人事的是正措置を決定するための評価及び人事的是正措置を進めているものの、その一部は完了しておりません。その結果、不適切な会計処理等に関与、指示、又は認識していた、あるいは会計監査人に対して虚偽の説明を行った役職員の一部は、現時点において、当社及びグループ会社の財務報告プロセスにおいて責任ある立場を担っているため、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。 ①内部統制に係るリスク主要な対応策当社は、2026年3月期の全社的な内部統制(統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達及びモニタリング)及び全社的な観点で評価することが適切な決算・財務報告プロセス、並びに経理決算プロセスの開示すべき重要な不備を是正するため、以下の対応策を策定しております。これらの対応策を確実に実行し、その実行状況を継続的にモニタリングすることにより、これらのリスクの回避及び最小化に努めております。 (貿易コンプライアンスに関する内部統制)(1)教育研修の実施・貿易コンプライアンスに関する研修の実施・コンプライアンスの重要性についての継続的な発信 (2)SOP(標準業務手順書)の策定・展開・「関税対応マニュアル」及び「関税対応ハンドブック」の策定・展開・SOP(標準業務手順書)の策定・展開 (資産性にリスクのある資産に関する評価減の時期の恣意的な調整等の連結財務諸表全体に重要な影響を及ぼす可能性のある不適切な会計処理に関する内部統制)(1)企業風土の変革、コンプライアンス教育の充実①企業風土の変革・企業風土改革を推進する新組織の設立による従業員からの意見収集・階層別企業風土研修の実施・社員との対話機会の創出・経営層による行動変革・社員による行動変革・当社各部門・グループ会社・グローバル各社での改善活動・施策の実施状況の透明性確保②コンプライアンス教育の充実・入社時・定期研修におけるコンプライアンス教育の充実・グループ全体へのコンプライアンス教育の徹底と本事案の継続的な周知③責任の明確化・役員責任調査委員会の設置・執行役員より下の階層の職員及び当社グループ会社役職員に対する必要な処分の実施・第三者委員会の調査報告書等を受けての人事対応 ①内部統制に係るリスク主要な対応策(2)人事関連制度の見直し①人事評価制度の見直し・業績以外の目標設定と評価の徹底・制度理解向上施策の実施②役員報酬評価基準の見直しと報酬決定プロセスの実効性強化・役員報酬評価基準の見直し・報酬決定プロセスの実効性向上のための対応策実施③執行役員指名の基準見直しと実効性の強化・選任基準の見直し及び解任基準の策定・執行役員選任プロセスの実効性向上のための対応策実施 (3)事業計画策定・管理方法の見直し①中期経営計画・事業計画策定プロセスの再整備・中期経営計画・事業計画策定ルールの再定義及び明文化・中期経営計画・事業計画検討体制(チーム制)の構築・中期経営計画・事業計画策定プロセスの強化②予実管理プロセスの適正化・予実管理における業績管理値の変更・実績分析及び対策の検討、次期計画精度向上のための対応策実施③事業評価基準の見直し・計数項目の見直し・評価項目の追加 ①内部統制に係るリスク主要な対応策(4)取締役会及び監査等委員会の実効性向上・業績目標の妥当性に対する取締役会の監督の実効性向上のための対応策実施・重要リスク情報共有体制の整備と監督機能の強化・監査等委員会の実効性向上のための対応策実施・取締役会の専門性の多様化による監督機能の強化・社外取締役のサポート体制の拡充 (5)経理機能の事業部門からの独立性の確保・経理機能の独立性の確保・経理リソースの確保・経理に関する意識改革・教育・経理ガバナンスの強化 (6)内部監査体制の強化・監査等委員会との連携による独立性の強化・内部監査の対象法人の拡大と監査品質向上のための対応策実施 (7)会計方針の明確化と運用の適正化・NIAPの見直し及び例外申請の廃止・NIAPの周知徹底・NIAPの準拠性宣誓の仕組みの導入・事業本部・国内グループ会社に対するレビュー ※特別注意銘柄指定による上場廃止リスクへの対応当社は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)特別注意銘柄の指定について」に記載のとおり、株式会社東京証券取引所より特別注意銘柄に指定されています。指定を受けた理由、指定日及び指定期間の詳細については、同項をご参照ください。当社は、同項に記載のとおり、特別注意銘柄の指定解除に向け、内部管理体制等の改善に取り組んでいます。ただし、株式会社東京証券取引所の有価証券上場規程に基づく審査の結果、内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認められない場合には、当該指定が継続され、又は当社株式が上場廃止となる可能性があります。当社は、指定解除に向け、内部管理体制等の実効性を確保するための取組を着実に推進してまいります。 ②適正決算に係るリスクリスク内容当社は、当社グループにおける不適切な会計処理の疑義について、徹底的な調査および原因究明を行うために、2025年9月3日、独立した第三者委員会を設置いたしました。第三者委員会による調査が継続中であったことにより、連結財務諸表に重要かつ広範な影響を及ぼす可能性があること等から、2025年3月期の有価証券報告書の連結財務諸表に係る監査報告書について監査意見を表明しない旨の監査報告書を当社の会計監査人より受領しました。このような状況を受けて、2025年10月28日に、当社は上場している東京証券取引所から、内部管理体制等について改善の必要性が高いとして「特別注意銘柄」の指定を受けました。その後、2026年2月27日の中間報告を経て、2026年4月17日に第三者委員会より最終報告書を受領いたしました。これらの中で、当社グループにおける一連の会計不正に関する事実関係の認定、原因分析、および再発防止に向けた提言が記載されています。主要な対応策当社は、2026年4月17日に第三者委員会より調査報告書を受領したことを受け、認定された事実、原因分析および再発防止に向けた提言を真摯に受け止め、改善計画を2026年4月27日に公表いたしました。改善計画で公表した、経理機能・会計方針の強化について以下の対応策を講じています。・経理組織の独立性確保経理機能と経営戦略実行のモニタリング等を担う事業管理機能を分化し、経理機能の人事権を本社経理機能へ集約し、また、デュアルレポートライン(事業本部及び国内グループ会社のCFOのレポートラインとして所属組織のCEO及び当社CFO、並びに事業本部及び国内グループ会社の経理責任者のレポートラインとして、所属組織のCFO及び当社経理責任者)の整備を行い、経理部門が事業部門と連携して利益目標の達成を目指すという構造を解消します。・会計方針の厳格な統一グループ全体で、当社グループ会計方針(NIAP)の見直しを行い、明確かつ客観的なルールに基づく会計処理の徹底及び恣意的な判断の排除を実現します。なお、NIAPの運用形骸化の要因となっていた例外申請は、2026年3月期末決算で廃止しました。なお、改善計画の進捗状況の詳細は、「事業の状況 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題」に記載しています。 ③経営継承に係るリスクリスク内容NIDECのこれまでの成長は創業者の強力なリーダーシップと経営手腕に大きく依存していました。しかしながら、特定の個人に権限が集中する経営体制は迅速な意思決定を可能にする一方で、適正な監督機能やブレーキが十分に働かず、ガバナンス上の課題を誘発しました。第三者委員会の調査報告書において指摘された通り、経営トップに対する牽制機能の不足はコンプライアンス意識の希薄化や健全な組織風土の阻害を招き、結果として当社グループの社会的信用を著しく毀損させる要因となりました。現在、当社グループは新体制のもとで集団経営体制への移行を進めておりますが、創業者の影響力からの脱却が不十分である場合、あるいは次世代を担うリーダー層による自律的な統治機能が定着しない場合、投資家からの信頼回復が遅れ、中長期的な企業価値および事業継続性に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。主要な対応策創業者に依存した経営から透明性の高い仕組みと組織による経営への転換を最優先課題とし、以下の対策を講じています。・チーフオフィサー(CxO)制による組織的経営の徹底2025年4月よりチーフオフィサー制を核とするグローバル本社体制を導入し、権限を各CxOに委譲しています。このように各機能部門と事業部門が相互に連携・牽制し合うことで、スピーディーかつ健全な経営判断を下す「仕組み化された組織」を構築しています。・次世代リーダーの育成と選抜プロセスの透明化高いコンプライアンス意識とガバナンス能力を兼ね備えた経営人材を育成します。取締役・執行役員については、倫理観やコンプライアンス、市場規律の観点を含めたグローバル共通の選任基準に基づき、指名委員会が多角的な評価を実施するとともに、その選定プロセスの透明性と客観性を担保することで特定の個人に依存しない持続可能な経営承継体制を確立しています。・健全な組織文化への変革経営トップが率先して風通しの良い組織風土への改革を推進しています。内部通報制度の信頼性向上や、現場の意見が経営層に届くコミュニケーションラインの整備を通じ、ボトムアップの知見とトップの戦略が健全に融合する組織体への変革を図っています。 2)経営戦略リスク①先行投資に係るリスクリスク内容NIDECは、需要の拡大を予測した場合、受注に先駆けて生産設備を拡張したり、リードタイムを考慮して部品や材料を先行発注することがあります。これには以下のリスクが伴います。・需要が予測を大きく下回った場合、固定資産の減損や過剰在庫の発生による棚卸資産の評価減が生じ、経営成績に悪影響を及ぼすリスク・技術の非連続な変化により、先行投資した設備や部材が急速に陳腐化するリスク・需要を過小に見積もることによる供給機会の喪失および市場シェアの恒久的な低下主要な対応策収益性と規律ある投資を両立させるため、以下の対応策を講じています。・ROIC(投下資本利益率)経営ROICを経営指標のひとつとして定着させ、収益性と資本効率の両面から改善活動を推進します。・投資判断に資する仕組みの導入投資判断に当たり、相対的に収益率の高い事業分野や将来の成長が見込める分野を明確にし、事業により創出した資金を最適に配分できるよう、事業ポートフォリオ戦略を支える体制を構築します。・フレキシブルな生産体制の構築特定拠点への投資集中を避け、グローバルでの生産融通や、モジュール化による設備転用の容易化を推進し、需要変動に対する耐性を高めます。 ②M&Aに係るリスクリスク内容NIDECはこれまで、事業の成長に必要な技術、製品、販売網、顧客基盤を所有する他社の買収や他社への資本提携を通じて大幅な成長を達成してきました。しかしながら、M&Aによる非連続な成長に過度に依存する事業戦略は、投資判断の透明性や買収後のグループ統治といったガバナンスの形骸化、あるいは自社内での技術育成やオーガニック(自律的)な成長を阻害するリスクを孕んでいます。加えて、市場が急速に変化する中で、M&Aのみを成長の手段とした場合、適切な買収・出資対象先を見つけることができない事態に陥ると、市場の成長スピードに追随できず、NIDECの事業、経営成績、財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。買収した資産に関して、買収した事業の効率的な統合により得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えていますが、事業環境の悪化等により予想どおりの収益が得られないと判断された場合、NIDECはこれらの資産について減損を認識しなければならず、NIDECの経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 主要な対応策M&Aリスクの低減とオーガニック成長の両立に向け、以下の対応策を講じています。・オーガニック成長への投資とバランスの取れた成長戦略の推進M&Aに過度に依存せず、自社内での研究開発、既存事業の付加価値向上、人材育成等のオーガニックな成長に向けた投資を強化し、事業ポートフォリオの強靭化を図ります。・適正価格での買収買収対象企業は、当社事業戦略に沿った企業を選定・事前調査を徹底し、適正価格で買収します。・買収後の迅速かつ徹底したPMI(買収後統合)当社のコンプライアンス方針やガバナンス体制を適切に統合し、基盤・プラットフォームを統一化し、当社グループ入りによるシナジー効果を創出しながら、買収対象企業の企業価値を向上してのれん減損リスクを極小化します。・M&A活動に係る広報戦略の事前準備適切な情報開示と誠実なメディアコミュニケーションを通じて、NIDECの買収方針に対する正確な理解を促進し、レピュテーションリスクの回避に注力しています。・ガバナンスとモニタリングの継続買収後の事業計画の進捗状況を定期的にモニタリングし、当初の想定と乖離が生じた場合には、早期に改善策を講じる、あるいは事業ポートフォリオの見直しを行うなど、機動的なリスク管理を実践しています。 ③政治・経済状況の変動に係るリスクリスク内容NIDECは、世界40カ国以上に300社を超えるグループ会社を有し、海外売上高比率が約9割に達する等、グローバルに事業を展開しています。このため、事業を展開する各国・地域の政治・経済情勢の変動は、当社グループの経営成績および財政状態に直接的な影響を及ぼし得る重要な不確実性です。特に、以下の地政学的リスクの深刻化・長期化は、サプライチェーンの分断やコスト構造の大きな変化を招く恐れがあります。・米中対立および経済安全保障規制先端技術の輸出管理、投資規制、特定国を排除するサプライチェーン再編の加速。・地域紛争の激化と長期化ウクライナ情勢や中東情勢等に伴う、エネルギー価格の高騰および主要物流ルート(海峡等)の遮断。・資源ナショナリズムの台頭EV化に不可欠なレアアースや重要鉱物に関する輸出制限、および特定の原材料に対する特定国への過度な依存。これらの事象が顕在化した場合、製品需要の減退、部品調達の停滞、エネルギー・物流コストの上昇、為替市場の変動幅の増大、さらには現地資産の毀損や事業停止など、当社グループの業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。主要な対応策これら不可避な外部環境の変化に対し、経営の柔軟性と強靭性を高めるため、以下の対策を継続的に強化しています。・「地産地消(メイド・イン・マーケット)」体制の深化主要市場において開発・生産・販売・サービスを一貫して行う「地営地開・地産地消」体制を徹底しています。これにより、現地顧客のニーズへ迅速に対応するだけでなく、関税などの貿易障壁や物流寸断、為替変動による影響を最小化し、地政学的な変化に対する耐性を高めています。・サプライチェーンの強靭化と経済安全保障への適応重要部品や原材料の特定調達先への依存を回避するため、複数購買化(マルチソース化)や代替サプライヤーの開拓を常時推進しています。また、経済安全保障の観点から、サプライチェーンの多極化を推し進めるとともに、在庫管理の高度化により、不測の事態においても事業を継続できる柔軟な供給体制を構築しています。・事業ポートフォリオの最適化と市場分散特定の国・地域への過度な依存を排し、グローバルな市場分散を図っています。成長市場への積極的な投資や、製品・技術開発による事業領域の多角化を推進することで、一部地域における情勢悪化がグループ全体の業績に与える影響を抑制しています。・情報収集体制の改善と機動的な意思決定の構築各国の政治情勢、通商政策、法規制の変更を早期に捉え、経営層へタイムリーにフィードバックするためにシステムを活用し、情報収集体制を迅速化させます。これにより、生産拠点の移管や事業戦略の修正など、環境変化を先取りした機動的な意思決定を実践していきます。 ④技術環境・産業構造の変化に係るリスクリスク内容急速な技術革新や産業構造の変化は、当社グループのビジネスモデルに深刻な影響を与える可能性があります。特に、生成AIの普及に伴うデータセンターの熱対策ニーズの変容や、SDV(Software Defined Vehicle)化を背景とした自動運転技術の進展は、従来の製品構成に対する需要を急激に変化させるリスクを含んでいます。例えば、E-Axleに代表される電動駆動システムの統合化やセンサ技術の高度化は、従来の単体機械部品の需要を代替・減少させる可能性があります。また、技術のオープン化やデジタル・ツインの活用による開発期間の短縮は、異業種を含む新たな競合プレイヤーの参入を加速させ、当社グループの市場シェアを脅かす要因となります。これらの技術パラダイムシフトに対して、研究開発や事業転換が適切かつ迅速に進まない場合、製品の陳腐化や市場競争力の低下を招き、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。主要な対応策当社グループは、これら技術環境・産業構造の変化を重要な経営課題と捉え、持続的な競争力を維持・強化するために以下の対応策を講じています。・モジュール化・システム化への転換とソリューション提案力の強化単体モータの提供に留まらず、制御技術や冷却システムを組み合わせたシステムソリューションの開発・提案を推進し、顧客の付加価値向上と他社との差別化を図ります。・研究開発体制の強化とオープンイノベーションの推進次世代技術(熱対策・電動化・センシング等)への研究開発投資を集中させるとともに、スタートアップ企業をはじめとする外部機関との戦略的提携・アライアンスを積極的に活用し、革新的な技術・知見を迅速に取り込む体制を構築しています。・マーケティング機能の強化とポートフォリオの最適化市場動向や顧客ニーズの変化を的確に捉えるマーケティングリサーチを強化し、中長期的な技術ロードマップに基づいた最適な製品ポートフォリオへの迅速な見直しを行います。・高度技術人材の育成とナレッジ共有社内専門家による定期的なワークショップの開催や外部リスキリングプログラムの活用により、最新技術(AI、デジタル開発ツール等)に関する知識を全社で共有し、変化に柔軟に対応できる高度技術人材を育成・配置しています。 ⑤競合に係るリスクリスク内容NIDECが事業を展開する精密小型モータ、車載、家電・商業・産業用、機器装置などの各市場では、グローバルで極めて激しい競争環境にあります。特に、新興国における地場メーカーの急速な台頭や、既存の競合他社による技術革新の加速により、以下のような状況においてNIDECの競争力や収益性に重大な影響を及ぼし得る要因となります。・技術開発と市場投入スピードの逆転競合他社が当社を上回る速度で次世代技術(AI統合製品や高効率モータ等)を製品化し、デファクトスタンダードを確保する場合。・コスト競争力の相対的低下原材料価格の変動やエネルギーコストの上昇に対し、競合他社がより効率的な調達・生産体制を構築することで、価格競争において劣位に立たされる場合。・ビジネスモデルの変革への適応遅滞ソフトウェア定義の進展やサービス化など、製品単体ではない新たな付加価値競争において、顧客の支持を失う場合。・業界再編による競争環境の激変競合他社間の大規模な合併・提携や、異業種からの参入(ビッグテック企業等)により、市場シェアや価格決定権が損なわれる場合。・地域固有の規制・標準への未対応各国独自の環境規制やセキュリティ基準、地域特有のニーズに対し、適時かつ適切な製品投入ができない場合。主要な対応策NIDECは、激化する競争環境において持続的な優位性を確保するため、「グループシナジーの最大化」と「高付加価値領域へのリソース集中」を柱とし、社会課題の解決を起点とした以下の5領域を定め、グループ各社の技術とリソースを結集することで、競合他社に対する差別化を図っています。・AI社会を支えるAIサーバー向け冷却システムや高精度アクチュエータの提供。・サステナブル・インフラとエネルギーの追求再生可能エネルギー関連やBESS(蓄電システム)への注力。・産業の生産効率化ロボティクスおよび工場の自動化ソリューション。・より良い生活の追求(Better Life)省エネ・高機能な家電向けモータ・ソリューション。・モビリティ・イノベーションE-Axleを中心とした次世代モビリティへの貢献。(※注力領域の詳細は、最新の統合報告書および決算説明資料をご参照ください。) 3)事業運営リスク①関税に係るリスクリスク内容NIDECは、世界各国において製品の製造・販売を行っており、各国・地域の関税法令、輸出入規制、原産地規則その他の通商関連法令の適用を受けております。当社グループの一部の子会社において、関税申告に関する不適切な取扱いが確認されております。当社は、外部専門家を起用して調査を実施し、米国における一部の輸入取引について、関係当局への自主申告および追加関税等の納付を行っております。また、その他の米国輸入拠点についても同様の調査を実施するとともに、米国以外の国・地域におけるグループ内の輸出入取引については、商流分析等を通じて関税・通商上のリスク評価を実施しております。これらの調査およびリスク評価の結果を踏まえ、必要な会計上の影響を財務諸表へ反映するとともに、各輸出入拠点において是正措置を順次実施しております。今後の追加的な調査・確認等により、関税申告その他の通商関連法令への対応が適切に行われていない事案が新たに判明した場合には、追加関税、加算税、延滞税その他の金銭的負担が発生するほか、関係当局による行政上または法的な措置を受ける可能性があります。また、新たな事実の判明や関係当局による判断等により、現時点で当社が認識している影響を上回る追加的な負担が生じる可能性があります。これらの事象の内容、今後新たに判明する事実および関係当局による判断等によっては、追加的な金銭的負担や法的責任が生じるほか、取引先との関係悪化や社会的信用の低下等を通じて、当社グループの業績、財政状態およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。主要な対応策関税に係るリスクを低減するため、以下の対策を講じています。・外部専門家を活用し、関税申告に関する問題について調査及び原因分析を行うとともに、類似事案の有無を確認するため、調査対象をその他の輸出入拠点及び取引にも拡大しております。また、調査の結果を踏まえ、必要な申告・納付等の対応を行うとともに、各輸出入拠点において必要な是正措置を順次実施しております。・また、グループ全体の貿易コンプライアンス体制の高度化に向け、関連規程の改正、グローバルで統一した貿易コンプライアンス体制への刷新を進めるとともに、各地域・各拠点間の情報収集・情報共有及び連携体制を強化し、グループ横断で貿易コンプライアンスを管理する体制を整備しております。・さらに、輸出入業務を担うロジスティック部門と、法令遵守及び貿易管理を所管する法務・貿易管理部門との連携を強化することにより、貿易管理に係るガバナンス体制の強化を図っております。・原産地判定、関税分類及び自由貿易協定の適用に関するガイドラインの整備、輸出入取引に係る業務プロセスの見直し、内部監査及びモニタリングの強化に加え、従業員に対する貿易コンプライアンスを含む体系的・包括的な研修を実施しております。・併せて、経済安全保障への対応を強化するため、輸出管理や経済制裁等に関する法令・規制を適切に遵守するための体制整備を進めております。・これらの取組みにより、通商関連法令の遵守を徹底するとともに、再発防止及び関税リスクの低減に取り組んでおります。 ②製品の品質に係るリスクリスク内容近年、顧客の製品品質、安全性、信頼性及びコンプライアンスに対する要求レベルは一層高度化しています。当社グループが安全で高品質な製品を継続的に提供できない場合、製品自体の故障のみならず、物損や人命に係る事故、顧客製品の品質問題、顧客の生産活動への影響等につながる可能性があります。 その結果、不良品回収・修理、代替生産、顧客補償、損害賠償、調査対応、是正措置及び再発防止策の実施等に伴う多額の費用が発生する可能性があります。また、ブランドイメージ及び社会的信用の低下により、販売の落込み、受注機会の喪失、主要顧客との取引縮小、人材流出等が発生し、財務的な負担や人的資源の喪失を通じて、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。主要な対応策当社は、2025 年10月30日付で設置した「ニデック再生委員会」による内部管理体制の改善の一環として、品質管理体制及び変更管理プロセスの実態を確認し、品質面での課題の把握、必要な是正措置並びに再発防止策の検討につなげることを目的に、当社グループの生産拠点・開発拠点を対象とした品質総点検を2026年1月8日より開始しました。具体的には、各生産拠点における従業員へのヒアリング、工程変更・設計変更等に関する記録の照合、及び全従業員を対象とした品質管理に関する懸念の情報提供を受け付ける通報窓口(以下「品質意見箱」といいます。)の開設等を実施し、過去2020年にまで遡って当社グループの生産活動に関する自主的な点検を行いました。品質総点検の結果、当社及びグループ会社が製造する一部の製品について、お客様の確認を受けずに行われた部材・工程・設計等の変更等の不適切行為の疑いが判明いたしました。複数の拠点において不適切行為の疑いが報告されたことから、より詳細な事実関係の解明、原因の究明及び製品品質へのコミットメントを強化するための実効的な改善策の検討のためには、同種事案の調査に豊富な経験や専門性を有する外部専門家による客観的な調査が必要であると判断し、調査委員会を2026年5月13日付で設置いたしました。調査委員会による調査は完了し、2026年9月2日に調査報告書を受領しております。品質不適切行為等の背景として認められた過度な業績プレッシャーや物言えぬ風土等の当社の経営姿勢や風土に関わる課題については、会計問題の原因とも共通するものであるため、引き続き改善計画書上の風土改革の取組みを着実に推進するとともに、品質コンプライアンス風土の醸成・定着も進めてまいります。また、共通の風土課題に加え、品質保証固有の制度及びプロセスに関する課題については、品質保証組織による監督・牽制強化を通じて改善に取り組んでまいります。・品質コンプライアンス風土の醸成・定着品質意見箱を常設化するとともに、2026年7月から9月にかけて全従業員に対してCQO Re-Definition宣言として、品質第一でお客様を大切にする誇りあるものづくりに向けて進んでいく旨のメッセージを発信しました。また、2026年9月7日の全体会同においても、CEO・CCO・CSCOによる再発防止・信頼回復に向けたメッセージを全従業員向けに発信しました。これらメッセージの発信に加え、2026年9月には本社経営陣や事業本部長、グループ会社社長を対象に外部弁護士を講師とした品質コンプライアンス研修を実施しました。今後、全従業員を対象とした品質コンプライアンスに係る研修を展開し、今回発覚した、お客様の確認を受けずに行われた部材・工程・設計等の変更や試験・検査データに関する不適切な取扱いが品質コンプライアンス違反行為であることを改めて示すとともに、そのような事態を見聞きした際には然るべきレポートラインに報告することや品質意見箱に投書することを周知してまいります。・品質保証組織による監督・牽制強化2026年9月にグローバル品質保証基本規程を改訂し、各事業本部・グループ会社の品質保証責任者が製造・営業等の他部門から独立して出荷停止を判断できる権限を明確化するとともに、4M変更および検査プロセスに対する品質保証部門の関与・統制を強化しました。これら規程の準拠状況を確認するために、2026年10月以降、当社グローバル品質統括部門による品質監査を実施してまいります。また、CQO及び本社グローバル品質統括本部と各事業本部・グループ会社及びその傘下のグループ会社の品質保証責任者とのエスカレーションルール及びレポートラインを見直し、グループ内における品質コンプライアンスに関する情報が速やかに当社へ報告・対処される体制を再構築してまいります。 ③情報セキュリティに係るリスクリスク内容NIDECは、グローバルな事業活動を通じて、顧客、取引先、従業員に関する機密情報や個人情報を広範に保有しています。また工場のスマート化(DX)の進展により、生産現場の知的財産や稼働データも重要な資産となっています。これらの情報を適切に保護することは、競争優位性の確保およびステークホルダーとの信頼維持において重要な経営課題です。しかしサイバー攻撃は高度化・巧妙化しており、以下の要因により情報セキュリティリスクが顕在化する可能性があります。・高度なサイバー攻撃ランサムウェア攻撃、生成AIを悪用した精緻なフィッシング詐欺や標的型攻撃による情報の窃取やシステムの停止。・サプライチェーンへの影響海外拠点を含む当社グループのネットワークや基幹システムがサイバー攻撃を受け機能不全に陥ることで、部品供給の停滞など、サプライチェーン全体へ深刻な影響を及ぼすリスク。・内部要因役職員による不正行為、業務委託先の管理不備、あるいは設定ミスなどの人的要因に起因する情報漏洩。万一、重大な情報漏洩やシステムダウンが発生した場合、法的責任に伴う多額の賠償金や課徴金の支払い、社会的信用の失墜による受注機会の喪失、さらには生産ラインの停止による納期遅延などが発生し、NIDECの業績および財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。主要な対応策NIDECは、ますます増大する脅威に対抗するため、グループ全体で均質なセキュリティレベルを維持すべく、技術的・組織的な防御および監視体制の強化を進めています。・グローバル・ガバナンスと監視体制の統合最高情報セキュリティ責任者(CISO)のもとでグループ横断の情報セキュリティ管理体制を運用しています。さらに、セキュリティ運用センター(SOC)への統合・集約により、世界各拠点の機器等を24時間365日監視し、インシデントの予兆を早期に検知・対処する体制整備を進めています。・アタックサーフェスマネジメントによる外部境界の防御当社が起因となるサプライチェーンの機能不全を防ぐため、国内外の拠点を含めたグループ全体の「アタックサーフェス(サイバー攻撃の対象となる公開サーバーや外部接続機器など)」を網羅的に可視化・管理する取り組みを強化しています。サイバー攻撃の侵入口となりやすいこれらの資産の脆弱性を継続的に点検し、最新の修正パッチ適用などの是正措置を迅速に講じることで、外部境界における「弱点」を徹底的に排除しています。・従業員の意識向上と文化の醸成全役職員を対象とした継続的なセキュリティ教育(注意を促すコンテンツの配布や標的型攻撃メール訓練等)を実施し、情報セキュリティに関する認識の向上と維持を図っています。また最新の脅威トレンドや被害事例の説明・解説などを行い、ヒューマンエラーによる漏洩防止に努めています。 ④高度な専門性を有した人材の確保・保持に係るリスクリスク内容NIDECが持続的な成長を遂げ、社会課題の解決を通じて企業価値を向上させていくためには、高度な専門性を持つ技術・経営人材、およびグローバルに活躍できる多様な人材の確保が不可欠です。しかしながら、国内外における人材獲得競争の激化に加え、当社グループの社会的信用やブランド価値の劣化、コンプライアンスに関わる企業風土に対する外部評価の低下により計画通りの人材採用が困難になる、または既存の優秀な人材が流出するリスクがあります。特に独自技術の承継を担う専門人材や次世代リーダー層の流出が生じた場合、研究開発の遅延等を招き、当社グループの長期的成長および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。主要な対応策持続的な成長の源泉は「人」であるとの認識のもと、以下の施策を通じて基盤再構築と人材の保持に注力しています。・企業文化の変革と組織風土の健全化ステークホルダーからの信頼を早期に回復し、社員が誇りを持って働ける環境を整えるべく、コンプライアンス意識の徹底と風通しの良い組織風土への改革を全社挙げて推進しています。これらの進捗を透明性高く発信し、健全なガバナンス体制を訴求することで人材の定着と獲得を目指します。・戦略的な人材採用事業部門の要望を適切に吸い上げ、ターゲットを明確にした採用計画を策定しています。特に新卒採用においては大学や専門機関との連携の強化や、部門とも協力したインターンシッププログラムを通じて優秀な人材の早期獲得を行っています。・キャリア、スキル開発支援上司・若手向けキャリア研修、キャリアプランシートを活用した上司とのキャリア面談や社内公募を通じて社員の自律的なキャリア形成を後押ししています。・スキル開発支援社員の現在や今後の業務に役立つ知識・スキルの習得を支援するためのプログラムを導入し、社員のスキル開発を支援しています。・グローバル人事戦略コミッティ事業・地域の枠を超えた適所適材を実現すべく、専門性を有した人材の発掘・開発等グローバルに優先すべき人事課題や施策について、事業・地域の人事キーパーソンが集まり、議論・推進しています。 ⑤研究開発に係るリスクリスク内容当社グループは、AIサーバー冷却,航空宇宙(防衛),ヒト型ロボット,エネルギー貯蔵(BESS),半導体関連産業をはじめとする高成長領域において、社会課題の解決を見据えた先端技術開発に経営資源を優先的に投入しております。しかしながら、研究開発活動においては以下のリスクを内包しています。・技術の非連続な変化によるR&D資産の陳腐化リスク技術革新のスピードが極めて速い領域において、不連続なイノベーション(非連続な技術変化)が発生した場合、あるいはハードウェアとソフトウェアが高度に統合された「システム・ソリューション」への転換が遅れた場合、先行して蓄積した技術アセットや研究開発投資が急速に陳腐化するリスクがあります。・市場トレンドの見誤りによる開発リソースの不適合リスク技術トレンドや市場ニーズの変化を適時かつ正確に捉えられなかった場合、高成長(g)領域へのタイムリーなリソース配分ができず、競合他社に対して開発スピードで劣後し、将来の市場地位を喪失する可能性があります。・R&D投資の分散化に伴う資本効率(EV)の毀損リスク事業部門間で要素技術開発の重複が発生した場合、またはコモディティ化した汎用品分野のR&Dにリソースを漫然と投入し続けた場合、研究開発の投資効率が低下し、中長期的な企業価値の創出を阻害するリスクがあります。主要な対応策研究開発投資の効率性を最大化し、競争優位性を永続的なものとするため、R&Dセクターにおいて以下の対応策を講じています。・自律進化型R&Dガバナンスと厳格なステージゲート規律の徹底すべてのR&Dプロジェクトの投資対効果をROICや企業価値への貢献度をベースに評価しています。開発プロセスには「ステージゲート制」を導入し、WACC(資本コスト)を下回る低収益なプロジェクトや、将来性の乏しいコモディティ化事業のR&Dから高成長分野へのリソースシフトする規律を徹底します。・事業部門横断の「共通技術プラットフォーム」による開発効率の最大化「回る/動く」「熱マネ」「エネルギ変換」といったコア技術をベースに、事業部門の枠を超えて製品・生産技術の資産を共有化する「共通技術プラットフォーム」を構築しています。これにより、要素技術開発の重複を排除し、研究開発のスピード加速と投資効率の最大化を同時に達成します。・高認証・高信頼性市場への戦略的リソースシフト航空宇宙(eVTOL)や医療など、極めて高い認証と信頼性が要求される模倣困難な領域へR&Dリソースをシフトします。これにより、ハード・ソフトが融合した高付加価値なシステム・ソリューションを確立し、強固な参入障壁を構築します。 ⑥原材料・部品調達に係るリスクリスク内容NIDECは、製品の製造に不可欠な原材料(鋼材、銅、アルミ、レアアース等)および電子部品の多くを外部から調達しています。これらの需給環境が極端に悪化した場合、生産計画の停滞や納期遅延を招き、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。特に近年、以下の要因が調達リスクを複雑化させています。・地政学的緊張と関税障壁国家間の対立に伴う輸出規制や、特定の国・地域からの輸入に対する高関税措置(関税障壁)の導入により、従来の調達ルートの維持が困難になる、あるいは調達コストが急騰するリスク。・経済安全保障に関わる政策変更環境保護、人権保護(強制労働の排除)、または安全保障上の観点から、各国政府が原材料の産地や部品のトレーサビリティ(追跡可能性)に関する規制を強化しており、これらへの適応が調達の制約となる可能性。・供給網の寸断地域紛争や大規模災害による物流網の遮断、および特定サプライヤーへの過度な依存に起因する供給停止リスク。主要な対応策NIDECは、調達環境の激変に耐えうる「強靭なサプライチェーン」の構築に向け、以下の対応策を強化しています。・サプライヤーのマルチソース化と地域分散特定の供給先や特定の国・地域に依存しない「地産地消(メイド・イン・マーケット)」に基づいたグローバルな調達体制を構築しています。これにより、地政学的リスクや関税措置による供給寸断が発生した際も、代替ルートから迅速に調達できる体制を整えています。・持続可能な調達(ESGデュー・デリジェンス)の徹底サプライヤー選定に際しては、品質・価格・納期に加え、環境負荷、人権遵守、労働環境、および資源入手可能性(責任ある鉱物調達等)への配慮を厳格に事前確認しています。規制変更への迅速な対応に向け、サプライチェーン全体の透明性向上に注力しています。・戦略的在庫管理と長期契約による安定確保重要性の高い原材料や汎用性の低い部品については、長期契約の締結により優先的な供給枠と価格の安定を図っています。また、AIを活用した需要予測に基づき、安全在庫の最適配置と調達拠点の多元化を進めることで、突発的な需要変動や物流リスクへの耐性を高めています。・代替材料・技術の開発推進特定国からの輸出規制リスクがある材料(レアアース等)については、使用量を削減する技術開発や、代替材料への切り替えを加速させることで、外部環境の変化に左右されない製品設計を推進しています。 ⑦知的財産権に係る訴訟リスクリスク内容NIDECは、コア技術の優位性を保つため知的財産権による保護を行っていますが、以下のリスクを認識しています。・当社製品が第三者の知的財産権を侵害したと主張され、巨額の損害賠償、差止請求、あるいは不当なライセンス料(ロイヤリティ)の支払いを求められるリスク・M&Aによって新たに加わった事業において、過去の知財係争が顕在化、あるいは知財管理体制に不備があるリスク・従業員の流動化や共同開発を通じ、長年蓄積した製造ノウハウや営業秘密が不当に流出するリスク・各国の法制度の違いにより、既存の知的財産権が無効になる等のリスク主要な対応策知的財産に関連するリスクを最小限に抑えるため、以下の対策を講じています。・製品開発の初期段階から第三者の知的財産権に対する包括的かつ継続的な調査を徹底し、第三者の知的財産権を侵害するリスクの排除を行っています。必要に応じ、外部の法律事務所と連携し、迅速かつ適切な対応を図っています。・当社の独自技術保護による競争力維持のため、コア技術に関する積極的な知的財産権の取得、維持管理、他社製品の監視、事業活動の保護対応を行うと共に、従業員に対する情報管理教育を徹底、機密情報の流出を防止しています。・各国の知的財産権の法制度に応じた適切な知的財産権の取得、維持管理を行うことで、国際的な事業の保護を強化しています。これらの対策により、NIDECは知的財産に関連するリスクを最小限に抑え、持続的な事業成長を目指します。 ⑧人権に係るリスクリスク内容グローバルな事業展開が加速するなか、人権尊重に対する企業の社会的責任は極めて重要視されており、人権デューディリジェンスが不十分であると見なされた場合、あるいは当社グループの社会的信用の動向等により人権に対する企業の姿勢への疑義が生じた場合、外部評価が著しく低下するリスクがあります。これらは法的制裁やブランド価値の毀損に留まらず、グローバルなサプライチェーンからの排除、不買運動を招き、当社グループの売上、市場シェアおよび事業継続性に影響を及ぼす可能性があります。主要な対応策NIDECは、国際ガイドラインに基づき人権尊重の重要性を認識し、強制労働や児童労働の禁止、差別の排除、適切な労働条件の確保に取り組むと共に、サプライチェーンを活かしてビジネスパートナーやサプライヤーも含めた取り組みを行っています。具体的な活動は以下のとおりです。・人権方針の徹底経営の透明性向上と信頼回復に向けた活動の一環として、「NIDECグループ人権基本方針」に基づき、全役員・従業員およびビジネスパートナーに対する周知徹底を継続しています。2024年の基本方針改定を踏まえ、最新の社会情勢に対応したコンプライアンス意識の醸成を図るとともに、取締役会による監督機能を強化し、人権尊重を経営の根幹に据えています。・人権デューディリジェンスの実効性向上当社グループおよびサプライチェーンを対象にセルフアセスメント(SAQ)を継続的に実施しています。回収したデータに基づき、人権への負の影響が発生した場合の「深刻度」と「発生可能性」の2軸でリスクを評価し、対応の優先順位付けを明確化しています。 2023年度の約300拠点および主要サプライヤーへの調査結果を踏まえ、2024年度は特に東南アジア地域を重点領域として設定しました。 同地域の拠点への直接ヒアリング等を通じて情報の精度を高め、地域特性に応じたリスクの特定・評価に向けた情報収集に着手しています。・人権への取組体制整備定期的なモニタリングや教育・研修を通じて職場環境の改善や人権意識の向上を図り、問題発生時には迅速に是正・救済に取り組む体制を整えています。特に内部通報制度の周知徹底と通報者保護を強化し、潜在的なリスクの早期把握に努めています。また、社長を議長とするサステナビリティ推進会議及び担当部門により構成される人権分科会の日々の活動を通じて、負の影響の停止・防止・軽減を図っています。人権分科会の取り組みは取締役で構成されるサステナビリティ委員会により監督されており、定期的に報告されています。また、サステナビリティ委員会への報告事項はサステナビリティ委員長より、取締役会に報告されます。 ⑨為替に係るリスクリスク内容当社の事業はグローバルに展開しており、売上の多くが日本円以外の通貨(米ドル、ユーロ、中国元、タイバーツ等)で構成されています。このため、為替レートの変動は当社の業績に直接的な影響を及ぼす可能性があります。特に円高が進行した場合、海外での売上が円換算で減少し、結果として営業利益や当期利益が圧迫されることになります。また、海外子会社の業績を連結財務諸表に統合する際、為替変動による影響が大きく、特に新興市場における通貨の不安定さがリスク要因となります。更に、外貨建ての資産や負債の変動が為替差損益を引き起こし、財務状況に悪影響を与えることも懸念されます。主要な対応策為替リスクを軽減するため、以下の対応策を講じています。・売上と仕入の外貨建て取引を相殺し、ナチュラルヘッジを活用します。・定期的に為替リスクの状況をモニタリングし、必要に応じて取引通貨の見直しを実施しています。・海外市場における多様な通貨での取引を行い、特定通貨への依存度を低下させることでリスク分散を図ります。 ⑩金利の変動に係るリスクリスク内容NIDECは、固定金利や変動金利の長期債権、短期債権、及び有利子負債を保有しており、これらの金利の変動が資金調達コストや投資収益に重大な影響を及ぼす可能性があります。金利が上昇する場合、借入コストが増加し、これが直接的に利益率やキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす恐れがあります。主要な対応策金利変動リスク低減のため、以下の対応策を講じています。・金利スワップや金利オプション等のデリバティブ商品を活用し、予測可能な資金調達コストを確保します。・定期的に金利の動向をモニタリングし、資産及び負債の構成を見直すことでリスクの分散を図ります。また、金利に敏感な資産や負債の比率を最適化します。・長期的な資金計画においては、複数のシナリオを想定したストレステストを実施し、金利変動に対する耐性を評価することで、迅速な意思決定を支援します。・経済動向や金融政策の変化を注視し、必要に応じて資金調達戦略を柔軟に見直します。・借入金や社債の返済・償還期日が特定の時期に集中しないよう、調達期間を平準化させることで、高金利環境下での大規模な借り換えを余儀なくされるリスクを低減します。 ⑪資金の流動性に係るリスクリスク内容NIDECは、事業の成長や運営に必要な資金を、主に金融機関からの借入や資本市場からの調達に依存しています。金融市場の変動や経済環境の不確実性により、金融機関による貸付条件の厳格化や、資金調達の機会が制限されるリスクがあります。特に、グローバルな経済状況が悪化した場合、信用格付けの低下や投資家のリスク回避行動が強まり、必要な資金を適切な条件で調達できない可能性が高まります。このような状況下では、運転資金の不足や設備投資の遅延が生じ、結果として事業の成長戦略や競争力に深刻な影響を及ぼすことがあります。また、資金調達コストの上昇や資金繰りの悪化が、財務状況の悪化を招く懸念もあります。主要な対応策資金の流動性リスク低減のため、以下の対応策を講じています。・流動性の確保金融市場の混乱など予期せぬ資金需要に備え、主要な取引金融機関との間でコミットメントライン契約を設定しており、事業の継続に十分な流動性を確保しています。・資金調達の多様化銀行融資や社債発行等の資金調達手段を検討し、資金源を広げます。特に、長期的な資金計画を策定し、短期的な資金需要に対するリスクを軽減するためのストレステストを定期的に実施します。・運転資金の効率的な管理在庫管理や売掛金の回収プロセスを見直すことで、キャッシュ・フローを安定化させ、急な資金需要にも迅速に対応できる体制を構築します。・信用格付けの維持・向上財務健全性を重視した経営を推進し、透明性の高い財務報告を行います。・グローバルなキャッシュ・マネジメント・システム各地域の余剰資金を集約することで、資金の効率的な配分を図ります。 ⑫繰延税金資産の不確実性に係るリスクリスク内容NIDECは、繰延税金資産が将来の課税所得から回収可能であるかどうかを継続的に評価する必要があります。経済情勢の変化や業績の悪化、又は新たな規制の導入があった場合、繰延税金資産の回収可能性が大きく影響を受ける可能性があります。このため、当社が繰延税金資産の一部又は全てについて回収不能と判断するリスクが存在し、その結果、利益が減少することが予想されます。特に、競争の激化や市場の変動が影響を及ぼす要因となり、当社の財務健全性に対する圧力が高まることが懸念されます。主要な対応策繰延税金資産の不確実性リスク低減のため、以下の対応策を講じています。・繰延税金資産の回収可能性に関する定期的な評価を実施し、業績や市場動向に応じて計上額の見直しを行うためのフレームワークを整備します。・税務戦略の策定においては、将来の課税所得の見込みを精緻に分析し、シナリオプランニングを通じてリスクを可視化します。・専門の税務アドバイザーと連携し、最新の税制改正や業界動向に基づいた情報収集を強化し、迅速な意思決定を支援する体制を構築します。 4)偶発的リスク①自然災害・人的災害に係るリスクリスク内容NIDECが事業を展開する国内外の地域において、自然災害(地震、台風、洪水等)や人的災害(戦争、紛争、テロ等)は、企業活動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、主要な製造拠点やサプライチェーンが集中する地域で大規模な災害が発生した場合、製品の生産や供給が停滞し、顧客への納品遅延や生産コストの上昇を招く恐れがあります。また、これに伴い、企業のブランドイメージや顧客信頼度が低下し、長期的な収益に悪影響を与える可能性があります。主要な対応策自然災害・人的災害に係るリスク低減のため、以下の対策を講じています。・リスクモニタリング世界の各拠点に設置したリスク管理者を中心に、事業継続を妨げる要因の早期の察知と的確な対応に努めています。・リスク分散生産拠点の地理的分散やサプライチェーンの二重化により、災害発生時の影響を最小限に抑えることに努めています。・リスク転嫁損害保険を付保し、損害発生時の財務的な影響の低減を図ります。・事業継続管理事業の中断に備え、「BCP(Business Continuity Plan: 事業継続計画)基本方針」を整備し、国内外の拠点で訓練を実施しています。 ②気候変動に係るリスクリスク内容気候変動は、企業の持続可能性や競争力に対する重大な脅威であり、特に製造業においてはその影響が顕著です。以下に挙げるリスク事象の現実化はNIDECの財務状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。気候変動に係るリスクの詳細及び対応策につきましては「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組(参考)事業インパクトの大きい気候変動リスク・機会及び対応策」をご参照ください。主要な対応策「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組(参考)事業インパクトの大きい気候変動リスク・機会及び対応策」をご参照ください。

このページのバフェット流コメンタリーは順次自動生成中です。生成されると、ここに「数値の読み解き方」「同業比較」「投資判断のポイント」を表示します。

もっと深く分析したい?

モート先生 AI が ニデック の事業を 4 賢人の理論で詳しく解説します

モート先生に聞く →