6740

ジャパンディスプレイ(6740)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気機器 電機・精密

事業の概要

  • ディスプレイ製品の開発・製造・販売: ジャパンディスプレイグループは、ディスプレイパネルとその関連製品の開発、設計、製造、販売を一貫して手掛けています。主な製品は、自動車のダッシュボードやスマートウォッチ、デジタルカメラなどに搭載される小型・中型ディスプレイで、電子機器の映像出力装置として重要な役割を担っています。
  • 単一セグメントでの事業展開: 同社グループの事業は「ディスプレイ事業」の単一セグメントで構成されており、事業内容がディスプレイ関連に特化していることを示しています。これにより、事業の全体像を把握しやすくなっていますが、一方で事業の多角化は進んでいない状況です。
  • 技術を基盤とした事業構造: ディスプレイ技術を核としており、特に「世界初、世界一」を目指す独自技術の開発に注力しています。これは、技術優位性を競争力の源泉とし、高付加価値製品を提供することで収益を上げるビジネスモデルであることを示唆しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • ディスプレイ事業(主力事業): ジャパンディスプレイグループの主要事業であり、自動車向け、スマートウォッチ向け、デジタルカメラ向けなどのディスプレイパネルの開発、設計、製造、販売を行っています。電子機器の「顔」となる部分を担っており、長年の技術蓄積とノウハウが強みですが、市場競争が激しく、コモディティ化が進む厳しい環境にあります。
  • センサー事業(成長分野): ディスプレイ技術で培ったノウハウを応用し、X線センサー、革新的なインターフェース「ZINNSIA」、高精度指紋センサーなどを手掛けています。医療、産業、ヘルスケア、セキュリティなど多岐にわたる分野で活用されており、社会の安全性と利便性向上に貢献する、今後の成長が期待される事業分野です。
  • 先端半導体パッケージング事業(新規参入): 高密度配線技術や薄膜・ガラス加工技術といったディスプレイ事業の強みを活かし、高密度・高集積化が進む半導体パッケージの開発・製造に参入しています。IoT、5G、ADAS、AIなどの情報技術の進化を支える重要な技術であり、パートナー企業との連携を通じて高性能な半導体パッケージを提供し、新たな収益源とすることを目指しています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|315 文字
3 【事業の内容】当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、海外製造子会社1社、海外販売子会社7社及び国内子会社1社で構成されており、主な事業内容は、ディスプレイ及びその関連製品の開発、設計、製造及び販売事業です。ディスプレイは、電子機器の出力装置として文字、写真、動画等の画像を表示する電子部品です。当社グループが手掛けるディスプレイは、主として車載機器、デジタルカメラ、産業機器に搭載されています。なお、当社グループの事業は、ディスプレイ事業の単一セグメントであるため、事業別セグメント情報の記載を省略しています。 [事業系統図]以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。(2026年3月31日時点)

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
競合他社との競争激化により販売価格が低下する可能性。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
高度な技術を必要とするディスプレイの製造・販売を行っており、技術優位性の確保が重要。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:市場動向・競争環境の変動 / 資金調達の困難化 / 上場維持基準への不適合
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

長年のディスプレイ技術開発で培われたノウハウや、一部顧客との関係性は無形資産となりうるが、特許の陳腐化リスクや競合のキャッチアップにより、明確なブランド力や独占的IPとしての強みは限定的。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

大手顧客との取引実績はあるものの、ディスプレイパネルは汎用品化が進んでおり、顧客が他社へ乗り換える際の直接的な損失は比較的小さい。特定の高度なカスタマイズ案件を除き、スイッチングコストは低い。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ディスプレイパネル製造・販売事業には、ユーザーが増えることで価値が増すようなネットワーク効果は基本的に存在しない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

長年の量産経験による製造ノウハウや、一部の生産拠点の効率化努力はコスト競争力に寄与する可能性があるが、中国・韓国メーカーの規模の経済や技術革新に追随するには限界がある。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

かつては日本のディスプレイ産業の中核を担い、一定の生産規模を有していた。しかし、グローバルな競争環境においては、他社に比べて規模の優位性は低下しており、最適化された少数寡占の一角とは言えない状況。

  • 独自技術による製品優位性: ジャパンディスプレイは、次世代OLED「eLEAP」など、「世界初、世界一」を目指す独自のディスプレイ技術を開発しています。これにより、他社との差別化を図り、高付加価値製品を提供することで、市場での競争優位性を確保しようとしています。
  • 高度な専門技術と研究開発力: ディスプレイ製造には高度な技術が不可欠であり、同社グループは長年の経験と研究開発を通じて培った専門技術を有しています。継続的な技術革新への投資とリスキリング教育により、技術優位性の維持・向上に努めており、これが競争力の源泉となっています。
  • 多様な分野への応用可能性: ディスプレイ事業で培った高密度配線技術や薄膜・ガラス加工技術は、センサー事業や先端半導体パッケージング事業など、新たな成長分野への参入を可能にしています。これにより、既存技術を多角的に活用し、事業領域を広げることで競争力を強化する戦略です。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • 「BEYOND DISPLAY戦略」による事業変革: 同社グループは、早急な黒字転換と持続的成長を目指し、「BEYOND DISPLAY戦略」を推進しています。これは、ディスプレイ事業の収益改善と並行して、高成長が見込まれるセンサー事業と先端半導体パッケージング事業に経営資源を投入し、事業ポートフォリオを大きく転換するものです。
  • 生産体制の再編とコスト削減: 茂原工場でのパネル生産を2026年3月までに終了し、国内生産を固定費の低い石川工場に集約する計画です。石川工場を「MULTI-FAB」として活用し、高付加価値ディスプレイ、センサー、先端半導体パッケージの同時生産を行うことで、柔軟性、生産性、コスト競争力に優れた生産体制を構築し、収益改善を図ります。
  • 新たな成長分野への注力: ディスプレイ事業で培った独自技術を最大限に活用し、センサー事業と先端半導体パッケージング事業を新たな事業の柱と位置付けています。センサー技術は医療や産業、ヘルスケア分野で、先端半導体パッケージング技術はIoTやAIなどの情報技術の進化に貢献することで、持続的な成長と企業価値向上を目指します。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは、「今までにない発想と、限りない技術の追求をもって、人々が躍動する世界を創造し続ける。」を企業理念に掲げています。この理念のもと、当社独自の高い技術力を経営基盤とし、よりよい社会の実現に貢献する製品・サービスを世界のお客様に提供しています。ディスプレイ事業で培った有形・無形のアセットを最大限に活用し、新たな事業領域への参入や事業モデルの見直しを積極的に行い、競争力強化に取り組んでいます。これにより、持続的な成長を実現し、製品・サービスを通じて社会と人の課題解決に貢献することで、企業価値を高めるとともに、全てのステークホルダーの皆様に対して持続的な価値を提供し続けることを目指してまいります。 (2) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、ディスプレイ事業で培った技術を基盤として事業領域の拡大を図り、収益力の向上及び企業価値向上を図る成長戦略「BEYOND DISPLAY」を推進しております。本戦略のもと、ディスプレイ事業の収益構造改革を進めるとともに、センサー事業及び先端半導体パッケージング事業への展開を推進しております。 ① ディスプレイ事業ディスプレイ事業については、アセットライト化及び高付加価値製品への集中により収益構造の改善を図っており、2025年11月に茂原工場におけるパネル生産を終了し、国内の生産機能を石川工場に集約いたしました。石川工場は、高付加価値ディスプレイをはじめとする製品の生産を担うMULTI-FABとして活用し、多様な製品の同時生産が可能な体制を構築することで、柔軟性及び生産性の向上を図り、顧客ニーズへの対応力を強化しております。また、ファウンドリーパートナーとの協業により、アセットライトな生産体制を構築し、売上規模の早期拡大と生産性向上を目指します。加えて、地政学的リスクの高まりに伴うサプライチェーン再構築の動きを踏まえ、特定地域に依存しない安定的な供給体制の構築を進めることで、受注の獲得を図ってまいります。 ② センサー事業当社はディスプレイ技術を基盤とした事業領域の拡大を進めており、センサー事業においては、「高解像度面センシング技術」を中核とし、物理世界の見えない情報をデータ化することで、医療用X線センサー、様々な素材表面をタッチパネル化する技術「ZINNSIA(ジンシア)」、セキュリティ認証用の指紋センサー、通信アンテナ等の分野における用途展開を図っております。あわせて、国内生産を基盤とした安定的かつ高品質な供給体制のもと、顧客要求への対応から製品化までを一貫して推進しております。 ③ 先端半導体パッケージング事業先端半導体パッケージング事業については、ディスプレイ事業で培った高密度配線技術や薄膜・ガラス加工技術を活用し、パートナー企業との連携のもと共同開発を推進しております。当該事業は中長期的な成長領域として位置付けており、引き続き開発及びパートナー企業との連携の強化に取り組んでまいります。 これらに加えて、米国におけるディスプレイ事業については、その実施の有無及び具体的なスキームについて現在検討を進めております。当社グループは、これらの取組みにより、収益構造の改善と新たな事業機会の創出を両立させ、持続的な成長及び企業価値の向上に努めてまいります。 (3) 目標とする財務指標当社は、収益改善及び財務健全化に向け、BEYOND DISPLAY戦略のもと事業構造の転換を進めております。また、人員削減や工場再編等の固定費削減を実施し、構造改革を通じた収益構造の改善に取り組んでおります。今後の資産売却や新株予約権行使要請等の財務施策の内容・時期、並びに米国ディスプレイ事業に関する当社の取組みの具体的な内容や実施有無によって、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、これらの状況を総合的に勘案するとともに、債務超過の解消及び財務基盤の改善の進捗を踏まえた上で、新たな財務目標を適切なタイミングで設定する予定です。 (4) 経営環境及び対処すべき課題当社グループを取り巻く事業環境は、ディスプレイ需要の構造的変化やコスト競争の激化に加え、地政学的リスクの高まり等により、引き続き不透明な状況が続いております。このような環境のもと、当社グループは、持続的な事業運営及び中長期的な企業価値の回復・向上を実現するため、財務状況の健全化及び収益力の抜本的な改善を最重要課題と位置付けるとともに、東京証券取引所プライム市場の上場維持基準への適合に向けた取組みを進めております。以下に、当社グループが優先的に対処すべき主要な課題及びその取組み状況について記載いたします。 ① 財務状況の健全化と収益力の抜本的改善当社グループは、早期の業績改善及び財務基盤の安定化を最優先課題と位置付け、当期に公表した構造改革施策を着実に実行いたしました。具体的には、茂原工場での生産を終了し石川工場に集約したことに加え、希望退職者の募集等による人員適正化を通じた固定費削減を進めております。これらの施策により、今後、損益分岐点の引下げ等を通じた収益構造の改善が見込まれます。また、事業構造の見直しと並行して、債務超過の解消に向けた取組みとして、保有資産の売却及び財務施策を通じた財務構造の改善に取り組んでおります。具体的には、2025年7月に知的財産子会社の譲渡を完了し、2026年3月に鳥取工場について譲渡契約を締結いたしました。茂原工場については、引き続き複数の売却候補先と協議中です。財務施策としては、2026年5月13日付のいちごトラスト(以下「いちご」といいます。)による第14回新株予約権の一部行使に伴い、約96億円を調達いたしました。当該新株予約権の未行使分につきましても、引き続きいちごに対して行使要請してまいります。これらの資産売却や財務施策を通じて、債務超過の解消、負債の削減及び支払利息の低減を図り、財務体質の改善を進めてまいります。加えて、当社はBEYOND DISPLAY戦略のもと、成長分野と位置付けるセンサー及び先端半導体パッケージング等の新事業への取組みを積極的に進めており、開発やパートナー企業との連携は順調に進展しております。これらの取組みを通じ、既存事業の収益改善と新たな成長機会の創出を両立させ、持続的な事業基盤の構築を目指してまいります。 ② 上場維持基準への適合当社は、2026年3月末現在、東京証券取引所プライム市場の上場維持基準のうち、純資産の額及び流通株式比率について基準に適合しておりません。純資産の額については、純資産の額が正であることが上場維持基準とされており、2027年3月までに基準に適合しない場合には上場廃止となります。当社はこの状況を厳粛に受け止め、上記①に記載のとおり、生産体制の再構築、人員適正化、資産売却、並びに第14回新株予約権のいちごに対する行使要請を含めた財務施策を実行することで財務基盤の改善を図り、2027年3月末までの債務超過解消を目指してまいります。流通株式比率については、事業再生支援を目的としたいちごとの資本提携に基づき、2028年3月末まで特例適用が認められております。この期間内での基準適合に向け、必要な取組みを継続してまいります。2026年5月には、いちごによる第14回新株予約権行使に伴う普通株式の発行があった一方、いちごの保有する当社株式の一部売却が行われました。引き続きいちごの保有比率の低下が必要となることから、当社は今後もいちごとの協議を継続するとともに、業績改善及び財務健全化の進捗を踏まえ、当社株式の新たな保有先となり得る投資家の獲得に向けた取組みを進めてまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは、「今までにない発想と、限りない技術の追求をもって、人々が躍動する世界を創造し続ける。」を企業理念に掲げています。この理念のもと、当社独自の高い技術力を経営基盤とし、よりよい社会の実現に貢献する製品・サービスを世界のお客様に提供しています。ディスプレイ事業で培った有形・無形のアセットを最大限に活用し、新たな事業領域への参入や事業モデルの見直しを積極的に行い、競争力強化に取り組んでいます。これにより、持続的な成長を実現し、製品・サービスを通じて社会と人の課題解決に貢献することで、企業価値を高めるとともに、全てのステークホルダーの皆様に対して持続的な価値を提供し続けることを目指してまいります。 (2) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、ディスプレイ事業で培った技術を基盤として事業領域の拡大を図り、収益力の向上及び企業価値向上を図る成長戦略「BEYOND DISPLAY」を推進しております。本戦略のもと、ディスプレイ事業の収益構造改革を進めるとともに、センサー事業及び先端半導体パッケージング事業への展開を推進しております。 ① ディスプレイ事業ディスプレイ事業については、アセットライト化及び高付加価値製品への集中により収益構造の改善を図っており、2025年11月に茂原工場におけるパネル生産を終了し、国内の生産機能を石川工場に集約いたしました。石川工場は、高付加価値ディスプレイをはじめとする製品の生産を担うMULTI-FABとして活用し、多様な製品の同時生産が可能な体制を構築することで、柔軟性及び生産性の向上を図り、顧客ニーズへの対応力を強化しております。また、ファウンドリーパートナーとの協業により、アセットライトな生産体制を構築し、売上規模の早期拡大と生産性向上を目指します。加えて、地政学的リスクの高まりに伴うサプライチェーン再構築の動きを踏まえ、特定地域に依存しない安定的な供給体制の構築を進めることで、受注の獲得を図ってまいります。 ② センサー事業当社はディスプレイ技術を基盤とした事業領域の拡大を進めており、センサー事業においては、「高解像度面センシング技術」を中核とし、物理世界の見えない情報をデータ化することで、医療用X線センサー、様々な素材表面をタッチパネル化する技術「ZINNSIA(ジンシア)」、セキュリティ認証用の指紋センサー、通信アンテナ等の分野における用途展開を図っております。あわせて、国内生産を基盤とした安定的かつ高品質な供給体制のもと、顧客要求への対応から製品化までを一貫して推進しております。 ③ 先端半導体パッケージング事業先端半導体パッケージング事業については、ディスプレイ事業で培った高密度配線技術や薄膜・ガラス加工技術を活用し、パートナー企業との連携のもと共同開発を推進しております。当該事業は中長期的な成長領域として位置付けており、引き続き開発及びパートナー企業との連携の強化に取り組んでまいります。 これらに加えて、米国におけるディスプレイ事業については、その実施の有無及び具体的なスキームについて現在検討を進めております。当社グループは、これらの取組みにより、収益構造の改善と新たな事業機会の創出を両立させ、持続的な成長及び企業価値の向上に努めてまいります。 (3) 目標とする財務指標当社は、収益改善及び財務健全化に向け、BEYOND DISPLAY戦略のもと事業構造の転換を進めております。また、人員削減や工場再編等の固定費削減を実施し、構造改革を通じた収益構造の改善に取り組んでおります。今後の資産売却や新株予約権行使要請等の財務施策の内容・時期、並びに米国ディスプレイ事業に関する当社の取組みの具体的な内容や実施有無によって、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、これらの状況を総合的に勘案するとともに、債務超過の解消及び財務基盤の改善の進捗を踏まえた上で、新たな財務目標を適切なタイミングで設定する予定です。 (4) 経営環境及び対処すべき課題当社グループを取り巻く事業環境は、ディスプレイ需要の構造的変化やコスト競争の激化に加え、地政学的リスクの高まり等により、引き続き不透明な状況が続いております。このような環境のもと、当社グループは、持続的な事業運営及び中長期的な企業価値の回復・向上を実現するため、財務状況の健全化及び収益力の抜本的な改善を最重要課題と位置付けるとともに、東京証券取引所プライム市場の上場維持基準への適合に向けた取組みを進めております。以下に、当社グループが優先的に対処すべき主要な課題及びその取組み状況について記載いたします。 ① 財務状況の健全化と収益力の抜本的改善当社グループは、早期の業績改善及び財務基盤の安定化を最優先課題と位置付け、当期に公表した構造改革施策を着実に実行いたしました。具体的には、茂原工場での生産を終了し石川工場に集約したことに加え、希望退職者の募集等による人員適正化を通じた固定費削減を進めております。これらの施策により、今後、損益分岐点の引下げ等を通じた収益構造の改善が見込まれます。また、事業構造の見直しと並行して、債務超過の解消に向けた取組みとして、保有資産の売却及び財務施策を通じた財務構造の改善に取り組んでおります。具体的には、2025年7月に知的財産子会社の譲渡を完了し、2026年3月に鳥取工場について譲渡契約を締結いたしました。茂原工場については、引き続き複数の売却候補先と協議中です。財務施策としては、2026年5月13日付のいちごトラスト(以下「いちご」といいます。)による第14回新株予約権の一部行使に伴い、約96億円を調達いたしました。当該新株予約権の未行使分につきましても、引き続きいちごに対して行使要請してまいります。これらの資産売却や財務施策を通じて、債務超過の解消、負債の削減及び支払利息の低減を図り、財務体質の改善を進めてまいります。加えて、当社はBEYOND DISPLAY戦略のもと、成長分野と位置付けるセンサー及び先端半導体パッケージング等の新事業への取組みを積極的に進めており、開発やパートナー企業との連携は順調に進展しております。これらの取組みを通じ、既存事業の収益改善と新たな成長機会の創出を両立させ、持続的な事業基盤の構築を目指してまいります。 ② 上場維持基準への適合当社は、2026年3月末現在、東京証券取引所プライム市場の上場維持基準のうち、純資産の額及び流通株式比率について基準に適合しておりません。純資産の額については、純資産の額が正であることが上場維持基準とされており、2027年3月までに基準に適合しない場合には上場廃止となります。当社はこの状況を厳粛に受け止め、上記①に記載のとおり、生産体制の再構築、人員適正化、資産売却、並びに第14回新株予約権のいちごに対する行使要請を含めた財務施策を実行することで財務基盤の改善を図り、2027年3月末までの債務超過解消を目指してまいります。流通株式比率については、事業再生支援を目的としたいちごとの資本提携に基づき、2028年3月末まで特例適用が認められております。この期間内での基準適合に向け、必要な取組みを継続してまいります。2026年5月には、いちごによる第14回新株予約権行使に伴う普通株式の発行があった一方、いちごの保有する当社株式の一部売却が行われました。引き続きいちごの保有比率の低下が必要となることから、当社は今後もいちごとの協議を継続するとともに、業績改善及び財務健全化の進捗を踏まえ、当社株式の新たな保有先となり得る投資家の獲得に向けた取組みを進めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1) 経営成績当連結会計年度(以下「当期」といいます。)において、当社は収益改善及び財務健全性の確保を最重要課題として、事業構造改革及び資産売却を中心とした各種施策を推進してまいりました。構造改革の一環として、固定費負担の大きかった茂原工場(千葉県茂原市)での生産を2025年11月までに終了し、国内生産を石川工場(石川県能美郡)へ集約いたしました。石川工場は、ディスプレイに加え、センサー等のディスプレイ以外の製品を同時に生産できるMULTI-FAB工場として再編し、BEYOND DISPLAY戦略の中核拠点として位置付けております。また、希望退職者の募集等による国内外の人員削減も進行中であり、国内では2025年8月25日の募集期間終了までに1,483名の応募があり、当期において1,319名が退職し、事業規模に合わせた組織体制への移行が進んでおります。財務健全化に向けた施策としては、2025年7月に当社及び当社子会社の知的財産の一部を移管した新設子会社の株式の全部をいちごトラストの子会社へ譲渡しております。加えて、2025年3月に生産を終了しました鳥取工場の譲渡に向けて最終契約を締結しており、物件の引き渡しは2026年9月末を予定しております。また、茂原工場につきましても、引き続き複数の売却候補先と交渉を継続しており、最終契約締結に向けて尽力してまいります。これら構造改革及び資産売却の施策による固定費削減効果は、今後段階的に業績数値へ反映されていく見通しです。こうした基盤整備を進める一方で、当社はBEYOND DISPLAY戦略を掲げ、ディスプレイ製造で培ってきた技術や製造基盤を活用し、ディスプレイ分野にとどまらない新たな事業領域への展開を進めております。当期においては、これら新事業に関する量産に向けた開発が進展しており、BEYOND DISPLAY戦略の具体化に向けた取組みを継続しております。 上記の結果、当期の売上高は、撤退に向けて戦略的に縮小を進めてきた液晶スマートフォン向けディスプレイの売上高が極めて僅少な水準まで低下したことに加え、鳥取工場及び茂原工場の生産終了に伴う受注減少の影響により、前期比29.6%減の132,328百万円となりました。売上高は大幅に減少したものの、希望退職者の募集等による国内外の人員削減や役職員の賞与減額による人件費削減に加え、鳥取工場及び茂原工場の生産終了に伴う工場経費減少等によりコスト削減が進み、キャッシュ収益指標であるEBITDAはマイナス14,820百万円(前期はマイナス33,048百万円)、営業損失は18,692百万円(前期は37,068百万円の損失)と、損失額は前期比で縮小しました。経常損失は、支払利息8,733百万円の計上等により、30,462百万円(前期は40,415百万円の損失)となりました。また、茂原工場の生産終了決定や希望退職者の募集に伴う事業構造改善費用9,423百万円の計上の一方、関係会社株式売却益18,533百万円の計上等により、親会社株主に帰属する当期純損失は19,810百万円(前期は78,220百万円の損失)となりました。なお、当期の対米ドルの平均為替レートは150.8円(前期は152.6円)でした。 売上高の事業体別状況は次のとおりです。 事業体別売上高 (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度前期比金額割合金額割合金額増減率民生・産業機器62,15533.1%23,53317.8%△38,621△62.1%車載125,85766.9%108,79482.2%△17,062△13.6% (民生・産業機器)当事業体は、従来「スマートウォッチ・VR等」と「液晶スマートフォン」に区分していた売上高分野を統合したものであり、デジタルカメラ等の民生機器用ディスプレイ、医療用モニター等の産業用ディスプレイ、センサー、特許収入等を含みます。当期の当事業体の売上高は、23,533百万円(前期比62.1%減)となりました。これは主に、液晶スマートフォン向けディスプレイが戦略的縮小により極めて僅少な水準となったことに加え、茂原工場の生産終了によりスマートウォッチ用OLEDディスプレイの出荷が減少したことによるものです。 (車載)当事業体は、計器クラスターやヘッドアップディスプレイ等の自動車用ディスプレイを含みます。当期の当事業体の売上高は、108,794百万円(前期比13.6%減)となりました。これは主に、低採算品からの撤退に加え、顧客の生産計画の変更の影響や、鳥取工場及び茂原工場の生産終了に伴う受注減少によるものです。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。① 生産実績当社グループの生産品目は、広範囲かつ多種多様であり、その性能、構造、形式、販売条件等は一様ではないこと、受注生産形態をとらない製品も多いこと等から、販売価格による生産額の集計は行っておりません。また、当社グループの生産体制は、主として国内の生産拠点で担っている前工程、海外の製造子会社による後工程に区分して管理されております。そのため、前工程及び後工程の生産量の単純合計がそのまま連結ベースの生産量ともならないことから、生産実績を金額又は数量で示すことはしておりません。 ② 受注実績当社グループは顧客から提示された生産計画に基づく見込生産を行っているため、記載を省略しております。 ③ 販売実績当連結会計年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社のグループは単一セグメントであるため、事業体別に記載を行っております。 (単位:百万円)事業体当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前年同期比(%)民生・産業機器23,533△62.1車載108,794△13.6合計132,328△29.6 (注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 (単位:百万円)相手先前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)金額割合(%)金額割合(%)株式会社デンソー31,59916.832,99524.9Forvia SE15,3798.216,49112.4日本精機株式会社21,65111.514,83211.2Apple Inc.グループ30,58716.33,3452.5 (2) 財政状態当期末の資産合計は、前期末(2025年3月31日)比23,783百万円減少し、124,248百万円となりました。これは主に、子会社株式の譲渡及び短期借入により現金及び預金が増加したほか、退職給付に係る資産も増加した一方で、鳥取工場及び茂原工場での生産終了に伴う前倒し生産分の出荷進展により棚卸資産が減少したこと、並びに売掛金及び未収入金が減少したことによるものです。負債合計は、前期末比9,479百万円減少し、131,661百万円となりました。これは主に、茂原工場での生産終了に伴う前倒し生産の実施により顧客から受領した前受金が増加した一方、生産を終了した工場に関連する支払の進捗により事業構造改善引当金が減少したことに加え、買掛金及び有償支給に係る負債が減少したことによるものです。純資産合計は、前期末比14,303百万円減少し、7,412百万円の債務超過となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が減少したことによるものです。 (3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析① キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金が改善したものの、税金等調整前当期純損失の計上等により、23,286百万円の支出(前期は25,450百万円の支出)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、関係会社株式の売却による収入等により、22,851百万円の収入(前期は8,161百万円の支出)となりました。この結果、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと固定資産の取得による支出の合計)は、24,480百万円の支出(前期は35,965百万円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加等により、5,050百万円の収入(前期は25,693百万円の収入)となりました。これらの結果及び為替の影響により、当期末における現金及び現金同等物の残高は27,186百万円となり、前期末に比べ6,753百万円の増加となりました。 ② 資金需要及び資金調達の状況当社グループの主な資金需要は、生産、販売活動に必要な運転資金、先端技術の開発や生産性及び品質の向上を目的とした研究開発費及び設備投資です。他方、当社グループでは、過年度に実施した大規模な設備投資や事業環境の急速な変化等の結果、当期純損失の計上が継続していることから、これらの資金需要が当社グループのキャッシュ・フローで賄えておらず、当連結会計年度まで長期にわたりフリー・キャッシュ・フローの赤字が継続しております。こうした状況を踏まえ、当社グループは後述の財務戦略の基本方針に基づき、資金需要の状況に応じて適時適切な資金調達を実施する方針です。 ③ 財務戦略の基本的な考え方当社グループは、将来の成長のための設備投資等の資金需要に対応しつつ、流動性リスクを軽減し、経営の安定化を図るため一定の手許流動性を維持することが重要だと考えており、手許流動性の水準については、連結売上高1.0か月分を目安とし、手許現預金及び追加ファイナンスにより確保する方針です。また、事業活動を支える資金調達及び資金管理に関しては、安定的に資金確保し、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)改善によるキャッシュ・フロー創出、グループ内CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)等による資金効率化を進め、財務体質の強化を図っています。さらに、世界的なインフレの進行やサプライチェーンにおけるリスクの継続に備えて手許資金確保は引き続き重要な経営課題と認識しています。このため、資金需要に応じた機動的な借入実施、低効率資産の売却、営業債権等の流動化に加え、いちごトラストによる第14回新株予約権の行使への対応も含め、引き続き多様な資金調達策を適時適切に活用してまいります。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

事業リスク

  • 市場変動と競争激化のリスク: ディスプレイ製品市場は、景気変動や消費者嗜好の変化、競合他社の動向に大きく左右されます。市場が縮小したり、競争が激化したりすると、売上高の減少、過剰在庫、工場稼働率の低下、販売価格の下落などが発生し、業績に大きな影響を与える可能性があります。
  • 資金調達の困難性と財務負担: 運転資金の調達をいちごトラストからの借入に依存しており、今後の資金需要に対して借入が困難になったり、その他の資金調達手段が機能しなかったりするリスクがあります。また、借入に伴う金利負担の増加や、新株予約権の行使による株式希薄化も財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 技術優位性の相対的低下リスク: 高度な技術を要するディスプレイ事業において、他社の技術開発が進んだ場合や、自社の技術が顧客に採用されない場合、技術優位性が相対的に低下する可能性があります。これにより、製品の競争力が失われ、売上高の減少を通じて業績や財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|12,397 文字
3 【事業等のリスク】当社グループでは、「内部統制システムの基本方針」に規定する「損失の危機の管理」に基づき、リスクの未然防止及び発生時の影響最小化を目指し、「リスク管理規則」等の必要な規則及び体制を整備しています。リスク管理規則では「リスクを特定・分析し、対策を講じる」プロセスを毎年実行し、持続的かつ円滑な事業運営を図ることを目的としたリスク管理の運用ルールを定めています。その運用は、広報IR部が主管部門となって運用を行っています。具体的には、リスク管理フローに基づき、担当各部門が想定されるリスクの発生可能性(頻度)とその影響度(売上・利益への影響等)を評価し、重要度の高いリスクに対しては優先的に回避策・軽減策・移転策を検討・立案・実行しています。これらの対策について、担当各部門に対して広報IR部がヒアリング等を通じて実施状況の確認及び有効性の評価を行っています。年度毎のリスク評価結果は、マネジメントレビューを経て取締役会に報告され、全社員に展開されます。また、事業計画や中期事業計画等の策定においては、策定プロセスでのリスク分析と対策を計画に織り込んでいます。当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重大な影響を与える可能性がある主要なリスクを以下に記載します。ただし、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクからの影響を将来的に受ける可能性もあります。なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 戦略リスク① 市場動向・競争環境の変動発生可能性:高影響度:大リスク当社グループの売上の大半を占めるディスプレイ製品は、それを搭載する製品市場の変動や競争環境の影響を受けます。具体的には、景気の変動、消費者嗜好の変化、季節性等により市場が大幅に変動した場合、売上高の減少、過剰在庫に伴うコスト増加や評価損、さらには工場稼働率の低下による機会損失が発生する可能性があります。さらに、競合他社との競争が激化した場合、売上高が減少し、販売価格が低下する可能性もあります。対応策・顧客の需要動向を注視し、適切な在庫管理や生産管理に努めるとともに、BEYOND DISPLAY戦略のもと、製品ポートフォリオの変革を通じた売上高の維持・拡大、及び販売価格の維持・適正化を目指しています。・ディスプレイ事業においては、生産体制の見直しを進め、茂原工場での生産終了及び国内生産の石川工場への集約を通じて、生産効率の向上に取り組んでいます。また、製品構成の最適化等を通じて、収益性を重視した事業運営を行っています。・センサー及び先端半導体パッケージング事業では、当社グループがディスプレイ事業で培った独自技術を活用するとともに、外部企業との協業等を通じて競合他社との差別化を図り、競争優位性を確保します。・自社の競争環境をより正確に把握するため、競合分析と外部環境分析を継続します。 ② 技術・研究開発発生可能性:低影響度:大リスク当社グループは、高度な技術を必要とするディスプレイの製造・販売を行っており、その技術優位性の確保は、当社グループの競争力にとって極めて重要です。そのため、高い技術優位性の維持・向上のために弛まぬ研究開発活動を推進しています。しかしながら、当社グループの技術が顧客に採用されない場合や、他社の技術開発により当社グループの技術優位性が相対的に低下した場合は、売上高の減少により当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対応策当社グループは独自技術を基盤とする「技術立社」として、社会と人々の課題解決に取り組んでいます。技術の研究開発においては、競合他社の開発・製品化情報の把握や顧客のニーズを考慮した当社の技術戦略のもと、研究開発対象の厳選、開発段階での進捗レビュー及び継続是非の判断を行っています。また、中長期的な視点から、技術開発に必要な知識・スキルの向上や、開発・製造プロセスの効率化に取り組んでおり、こうした取組みを通じて、技術競争力の維持・強化を図っていく方針です。 ③ 他社との協業・提携発生可能性:中影響度:大リスク当社グループは、競争力強化や収益性向上、長期的な供給体制の維持、及び新技術・新製品の開発のため、部材サプライヤー、装置メーカー、顧客を含む外部企業との協業を行っています。今後も競争力強化のため、新たな協業の推進、戦略的提携、出資・買収等を実施する可能性があります。これらの企業戦略が、資金の制約、戦略上の目標変更、技術管理又は製品開発等における問題の発生、あるいは関係当局からの許認可等の規制、市場の変動等により、維持又は実施できなくなった場合、又は実施後に十分な成果が得られない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対応策当社グループは、協業や出資等の企業連携に際して、対象となる市場や事業並びに相手先企業の経営状況等のリスク分析を行った上で判断をしています。また、実行中は協業や提携の進捗をモニタリングし、必要に応じて戦略の軌道修正や組織再編を行い、事業ポートフォリオマネジメントの実行に取り組んでいます。 (2) 財務リスク① 資金調達発生可能性:高影響度:大リスク当社グループでは、運転資金の調達を目的としたいちごトラストからの借入を行っています。しかしながら、いちごトラストや金融機関等からの借入が困難となった場合、その他の資金調達手段が十分に機能しない場合、あるいは資産売却が計画どおりに進まない場合には、必要な資金を確保できず、当社の事業遂行に支障をきたす可能性があります。また、借入に伴う金利の増加による負担が当社の財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、新株予約権の行使がなされない、又は一部のみの行使にとどまった場合には、資金不足に陥るリスクがあり、一方で、新株予約権が行使された場合には、株式の希薄化により既存株主の持分比率が低下し、株主価値に影響を及ぼす可能性があります。対応策当社グループでは、希望退職の実施及び茂原工場での生産終了等の構造改革を通じて、固定費の削減を含む事業構造の改善に取り組んできました。また、2026年5月13日付のいちごトラストによる第14回新株予約権の一部行使に伴う普通株式発行により、約96億円を調達しております。引き続き当該新株予約権のいちごトラストに対する行使要請をするとともに、BEYOND DISPLAY戦略の推進による業績改善を図ることで、キャッシュ・フローの改善及び財務基盤の強化に努めるとともに、キャッシュマネジメントの高度化を通じて、資金調達手段の多様化と安定性の向上を目指しております。引き続き、外部資金への依存度の抑制を含め、財務の健全性確保に向けた取組みを進めてまいります。 ② 為替変動発生可能性:高影響度:中リスク当社グループの顧客や取引先には、欧米や中国等の海外企業が多く含まれており、為替相場の変動は外貨建てで取引される製品・サービスの売価や費用に影響を与え、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、海外子会社の現地通貨建ての資産・負債は、連結財務諸表作成時に円換算されるため、当社グループの財政状態もまた為替相場の変動により影響を受けます。対応策当社グループでは、主要通貨の短期的な為替変動の影響を最小限に抑えるため、ドル建ての支払いとドル建ての回収を組み合わせる為替マリーや、外貨建債権・債務の決済期間を短縮するネッティング等のオペレーショナルヘッジを活用し、為替変動リスクを低減しています。現在、当社では長期的なヘッジ取引の設定に制約を受けていますが、当社の信用状況が改善した際には、改めて最適なヘッジ戦略の検討を行う予定です。 ③ 支配株主との関係発生可能性:高影響度:大リスクいちごトラストは、2026年3月31日現在、当社の議決権の78.2%を保有する支配株主であり、株主総会における決議に対して重大な影響力を有しています。また、当社の取締役であるスコット キャロン氏は、いちごトラストとの間の投資一任契約に基づき、いちごトラストから投資運用に関する権限を受託しているいちごアセットマネジメント・インターナショナル・ピーティーイー・リミテッドへの投資助言を行う、いちごアセットマネジメント株式会社の代表取締役社長であり、当社の経営判断において、いちごトラストの利益との間で利益相反が生じ得る関係にあります。さらに、いちごトラストが当社株式を売却する場合、その方式や規模によっては、当社株式の需給関係や市場価格に影響を及ぼす可能性があります。対応策当社は、2021年3月期に指名委員会等設置会社へ移行し、社外取締役が過半数を占める監査委員会、指名委員会、報酬委員会を設置することで、経営の独立性と透明性の確保を図っています。また、取締役会全体でも独立取締役が過半数を占め、支配株主の影響を適切に監視・抑制する体制を整備しています。さらに、いちごトラスト及びその関係会社との取引については、利益相反の懸念を回避するため、スコット キャロン氏は当該取引に関する取締役会の審議及び決議には参加しない運用を徹底しています。加えて、東京証券取引所プライム市場の上場維持基準への適合のために、株主構成の多様化に向けた施策を推進するとともに、株式売却に際しては市場への影響に十分配慮する観点から、独立した経営判断を前提に適切な情報共有を行っています。 ④ 上場維持基準への不適合発生可能性:高影響度:大リスク当社は、2026年3月31日現在、債務超過となり、東京証券取引所プライム市場における純資産の額に係る上場維持基準に適合しておりません。このため、2027年3月末までに債務超過を解消できない場合には、当社株式が上場廃止となります。加えて、当社の流通株式比率は20.1%であり、プライム市場の上場維持基準(35%以上)を満たしておりません。当社は、いちごトラストとの資本提携により、2028年3月末までを適合に向けた計画期間とする特例の適用を受けておりますが、この期間内に基準を満たせない場合には、当社株式が上場廃止となります。優先株式の転換又は新株予約権の行使等により、流通株式比率が低下する場合には、当該基準への適合が一層困難となる可能性があります。当社は、資産売却や財務施策等を通じた純資産の改善、並びに、当社株式の株主構成の改善が想定どおりに進まない場合には、当社株式が上場廃止となる可能性があります。対応策当社は、純資産の額に係る上場維持基準への適合に向けて、保有資産の売却による譲渡益の計上を目指すとともに、新株予約権の追加行使要請を含む各種財務施策を検討しております。2025年11月に生産を終了した茂原工場については、引き続き複数の売却候補先との協議を行っており、早期の売却に向けて取り組んでおります。また、中長期的な財務健全化に向けては、2025年度より実施している構造改革による固定費削減、並びにBEYOND DISPLAY戦略の推進による収益力の強化に引き続き取り組んでまいります。一方、流通株式比率に係る上場維持基準への適合に向けては、支配株主であるいちごトラストの持株比率の低下が重要であると認識しており、当社株式の保有先の多様化に向けて、業績の改善に加え、その取組み状況や進捗、将来の展望について、積極的な情報開示や決算説明会等を通じ、市場関係者の理解促進に努めてまいります。 ⑤ 継続企業の前提に関する重要事象等発生可能性:高影響度:大リスク当社グループは、当連結会計年度において継続して営業損失、減損損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上したほか、当連結会計年度末において債務超過の状態にあることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。加えて、依然として厳しい競争環境が継続しており、米国の関税政策の影響、世界的なインフレによる原材料費・エネルギー費・輸送費等のコストの高止まり、半導体・メモリ不足や地政学的リスクの高まりによるサプライチェーンへの影響、及び顧客需要の低下に伴う売上減少から、早期の業績回復による黒字転換が遅延するリスクがあります。加えて、資金調達及び資本増強策は相手方との交渉を含め実施途上にあるため、その結果によっては当社グループの資金繰りに重要な影響を及ぼす可能性があります。以上を勘案すると、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。対応策当社グループは、これまでのディスプレイ専業メーカーから脱却し、センサー及び先端半導体パッケージングを新たな事業の柱に加えるBEYOND DISPLAY戦略を推進しております。これにより、製品及び事業ポートフォリオの再編を通じて、早期の黒字体質への転換と事業成長を目指しております。ディスプレイ事業においては、茂原工場の生産終了及び鳥取工場の譲渡契約締結を当期に実施し、石川工場への生産集約と高付加価値製品への注力による収益改善を図っております。また、生産拠点再編後の事業規模に応じた体制構築を目的として、希望退職者の募集等による国内外の人員削減も進行中です。財務面では、他社への茂原工場資産の譲渡、資金需要に応じた機動的な借入実施、低効率資産の売却及び営業債権等の流動化のほか、新株予約権のいちごに対する継続行使要請も含め、引き続き適時適切な資金調達及び資本増強策を講じてまいります。 (3) ハザードリスク① 大地震・自然災害・感染症等発生可能性:中影響度:大リスク大地震や気候変動に伴う大型台風、洪水等の自然災害によって、従業員、設備、サプライチェーン等が被害を受けたことにより、市場への製品供給に大きな支障をきたした場合、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、火災、爆発事故等により従業員や周辺地域に大きな被害が発生した場合、経営成績に重大な影響を及ぼすとともに、社会の信用を失う可能性があります。パンデミックが発生した場合、ロックダウンや当社グループの拠点やサプライチェーン上での集団感染の発生により、製品やサービス提供に支障が生じる可能性があります。これらの災害による損害に備え、当社グループは適切と判断するレベルの補償範囲をカバーする各種保険に加入していますが、全ての損害額がカバーされるものではありません。対応策・当社グループは、不測の事態による生産活動への影響を最小化し、早期復旧を図ることを目的としたBCP規則を定め、危機管理委員会を設置しています。有事が発生した場合は、災害エスカレーションによる最新状況の共有と対策本部の設置を行い、関連部門と連携して正確で迅速な行動が取れる体制を構築しています。また、安全衛生基本方針や安全関連規則等を制定し、安全衛生管理推進体制を構築することで、火災、爆発及び化学物質漏洩を防止し、安全で安定した操業を維持しています。・大規模自然災害や事故への対応として、全社員を対象とした防災訓練や安否確認システムの利用訓練等を定期的に実施しています。また、製造拠点では火災の発生や使用する薬液・ガス体の漏洩等、様々なリスクに対する緊急事態想定訓練を定期的に実施しています。・パンデミックへの対応は、ガイドラインと行動計画を定めて運用しています。状況に応じて出勤・出張・面会等を制限し感染リスクを低減するとともに、従業員の同居家族を含む陽性者が発生した場合の社内アクションや出社条件等を設定し、感染拡大を防止し事業活動への影響を最小化しています。 ② 情報セキュリティ発生可能性:中影響度:中リスク当社グループは、自社・顧客・サプライヤーの技術、研究開発、製造、販売及び営業活動に関する機密情報、並びにステークホルダーの個人情報を多様な形態で保有しています。これらの情報を保護するために適切な管理を行っていますが、かかる管理が将来にわたって保証されるわけではありません。サイバー攻撃等により当社グループが管理・保有する情報が流出し、第三者がこれを不正に取得又は利用する事態が生じた場合、損害賠償訴訟の提起等により、当社グループの事業、業績、財政状態、及び社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。対応策・当社グループは、不正行為等による機密情報の紛失、漏洩等の防止を目的に、情報セキュリティ方針や情報セキュリティ規則を定め、情報セキュリティ委員会を設置し、国際標準(ISO27001)に準拠したセキュリティマネジメントを実施しています。 ・セキュリティリスク対応としては、ネットワークの監視や定期的な侵入テストによる潜在的な脆弱性への対策、ワークスタイル変化へのセキュリティ強化、及び全社員を対象としたセキュリティ教育やサイバー攻撃対策訓練の定期的な実施等によりリスク低減を図っています。 ・情報セキュリティ事故発生時は、対応フローによるエスカレーションにて最新状況の共有を行い、関連部門と連携して正確で迅速な行動が取れる体制を構築しています。 ➂ 地政学的リスク発生可能性:低影響度:大リスク当社グループは、日本とフィリピンに製造拠点を有し、中国と台湾に後工程の製造委託をしています。また、グローバルに販売拠点を有し、海外顧客への売上高が当社グループ全体の売上高の大きな割合を占めています。海外事業の展開にあたっては、地政学的リスク要因として、外国における経済情勢や政治情勢の不安定化、現地従業員との関係悪化、外国為替管理の強化、予期しない法規制の新設又は変更、税制、法制度及び事業環境の差異及びその変更による不利益、課税等の行政上の措置、戦争及びテロ等の軍事的影響、反日感情による非買運動等があり、これらの要因が当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、近年の地政学的な緊張の高まりを背景に、特定の国・地域に依存しないサプライチェーンの構築を求める動きが顧客側で強まっており、こうした要請に対応できない場合には、受注機会の喪失や取引条件の悪化等を通じて、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。対応策当社グループでは、地政学的リスクの高まりが見られる国や地域に対して、多方面から情報を収集し、迅速に対応できる体制の構築に努めております。また、特定の国・地域に過度に依存しないサプライチェーン体制の構築に向けて、調達先や製造委託先の多様化を検討・推進することなど、サプライチェーン全体のマルチ化を進めています。また、サプライチェーンの混乱や半導体不足による顧客の生産調整、部材・エネルギー・輸送費高騰等の影響を最小化するよう事業活動を進めています。 (4) オペレーションリスク① 品質発生可能性:低影響度:大リスク当社グループは、国内外の製造拠点及び生産委託先において厳格な品質保証体制を構築し、顧客に対して高性能かつ信頼性の高い製品及びサービスを提供しています。しかしながら、万が一、当社グループの製品又はサービスに欠陥が発生した場合、製造物責任その他の責任を負う可能性があります。さらに、大規模な訴訟やリコールの発生が、顧客の信頼や社会的信用の低下を引き起こし、企業ブランドの価値と当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対応策・当社グループは、品質方針に基づき、品質マネジメントシステムを構築し、企画・設計・製造・販売・サービスに携わる全ての部門がPDCAサイクルを運用し、サプライヤーの協力のもとで継続的な改善を実施しています。・ディスプレイ製品に関してはグループ全体で品質マネジメントシステムであるISO9001:2015の認証を取得しており、車載用のディスプレイの製造拠点では自動車の製造領域に特化した品質マネジメントシステムIATF16949:2016の認証も取得しています。・製品の品質・製造物責任に対する予防・対応プロセスとして、FMEA(故障モード影響解析)運用規則、製品安全規則等を制定し運用しています。・万が一、品質上の問題が発生した場合に備え、迅速かつ確実な是正措置及び顧客対応が行える体制を整備しています。 ② 原材料・部品調達発生可能性:高影響度:大リスク当社グループは、原材料・部品等を複数のサプライヤーから購入しています。そのため、供給遅延、供給不足又は価格高騰等が生じた場合は、生産遅延、代替調達による費用増加、調達コストの上昇等が生じる可能性があります。さらに、調達した原材料や部品に欠陥・瑕疵や、仕様の不備があった場合、顧客への製品供給の遅延や顧客からの返品、製品の評価減の発生、又はクレームや訴訟といった問題が発生する可能性があります。当社グループは、仕入品の品質管理やサプライヤーの多様化によるこれらリスクの低減に努めておりますが、原材料・部品等の一部については、その特殊性からサプライヤーが限定されているものやサプライヤーの切替えが困難なものもあり、これら調達品に係るリスクが顕在化した場合は、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。対応策・当社グループは、原材料価格の上昇に対し、製品売価への転嫁要請や原価低減策を行い、影響の軽減を目指しています。安定調達については、適正在庫の確保やサプライチェーンの複線化、仕入先のBCP体制の事前確認等を通じてリスクの軽減を図っています。また、サプライヤーの生産地域等をデータベース化し、災害発生時に迅速にサプライヤーと連携できる体制を整えています。・持続可能かつ責任ある調達の推進に向けては、「JDIサプライチェーンサステナビリティ推進ガイドブック」を全ての1次サプライヤー及び商社経由の調達先である2次サプライヤーに配布し、遵守を要請しています。さらに、「JDIサプライヤーサステナビリティ自己監査票」による定期的な自己監査を行い、サプライヤーの遵守状況を確認しています。 ③ 気候変動・環境規制発生可能性:中影響度:大リスク慢性的な気温上昇に伴う自然災害の頻発化・甚大化によるサプライチェーンの混乱や生産性の低下、BCP対応コストの増加に加え、今後の脱炭素化(カーボンニュートラル)への取組み強化に伴う費用負担の増加や、顧客要求水準未満の取組みによる取引の減少、将来的なカーボンプライシングの導入等が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、国内外の様々な環境関連法規制の強化に伴う遵守対応費用の増加や、法規制の違反が発生した場合には、当社グループの業績や社会的評価に影響を与える可能性があります。対応策・当社グループは、気候変動問題を経営重要課題の一つと認識し、環境最高責任者であるCEOの下で、環境活動を推進しています。また、TCFDの枠組みに基づくシナリオ分析を実施し、気候変動に伴うリスクと機会を明確化しています。・気候変動による物理的影響への適応策として、サプライヤーの複線化や製品在庫の一定量確保を行い、BCP検証に基づく原材料・部品の適正在庫量を検討し、外部製造委託の拡大を計画的に進めていく方針です。・環境規制に対しては、環境マネジメントシステムを構築し、環境関連法の遵守徹底と規制変化へのタイムリーな対応を行っています。また、環境パフォーマンスデータを開示し、温室効果ガス排出量(Scope3)データの算定を行い開示しています。また、カーボンプライシング導入等への対応として、省エネ・再エネ活動をさらに推進していきます。 ④ 内部統制とコンプライアンス発生可能性:中影響度:大リスク当社グループは、2020年3月期に、過年度決算において不適切な会計処理が行われていたことが判明し、財務報告に係る内部統制に重要な不備がありました。これにより損害を被ったとして、2020年7月に株主から当社及び元取締役10名に対し、約3,858百万円の損害賠償請求が提起されています。この不備を是正するため、ガバナンス向上委員会を設置し、再発防止策を全社で実行いたしました。その結果、2021年3月期末には重要な不備が解消され、これまで有効な内部統制報告が確保されています。しかしながら、再発防止に取組みつつも、対応が有効に機能せず、又は新たな内部統制の不備が発生した場合には、財務報告の信頼性に影響が出る可能性があります。また、当社グループは、国内外で商取引、独占禁止法、知的財産権、製造物責任、環境保全、人権、労働安全、輸出入規制等様々な公的規制を受けています。これらの違反が発生した場合、課徴金納付命令、刑事罰、取引停止、社会的信用の失墜等、会社に甚大な損害を与えるリスクがあります。対応策・不適切会計処理の再発防止に向けては、会計業務のシステム化等に継続して対応しています。訴訟の提起については、原告の主張を踏まえて適切に対応してまいります。・「コンプライアンス基本規則」に基づき、コンプライアンス推進体制や諸制度の確立、浸透、定着を目的に、関連部門が集まり諸施策を審議・推進する場としてコンプライアンス委員会を設置しています。また、コンプライアンス違反の是正を図り、社会的信頼を確保することを目的として「内部通報制度」を設けているほか、コンプライアンス遵守状況の把握、内部通報の掘り起しを目的として、従業員へのコンプライアンスアンケートを定期的に行っています。・独占禁止法及び各国競争法の遵守徹底のため、各国競争法の遵守、教育活動及び発生時対応の強化に努めています。 ⑤ 人財確保発生可能性:中影響度:大リスク当社グループは、事業の継続及び円滑な運営に必要な人財の確保及び維持が重要であると認識しております。当期に実施した希望退職等により人員規模が縮小する中で、既存事業の安定的な運営継続、新規事業の立ち上げや事業領域の拡大を進めるにあたり、必要な人員やスキルを有する体制を十分に確保できない場合や、特定の人財への業務依存の高まりが生じた場合には、事業の立ち上げや推進が計画どおりに進まない可能性があります。また、当社を取り巻く事業環境や業績動向等を背景として、人財の退職やモチベーションの低下が生じた場合には、人財育成や技術・ノウハウの継承が円滑に進まない可能性があります。これらにより、当社グループの事業活動の継続や業務効率の低下、新規事業の成長の遅延等を通じて、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対応策当社グループでは、事業規模及び事業戦略を踏まえ、限られた人員体制の下においても既存事業及び新規事業を円滑に推進できる体制の構築に取り組んでおります。具体的には、業務プロセスの見直しや業務の集約・効率化を進めるとともに、事業の優先順位を明確化した上で、適切な人員配置や役割分担を行うことにより、人財の強みが発揮される組織運営を図っております。また、AIの活用を通じて業務の効率化や負荷軽減を進めるとともに、OJTを中心とした知識・技術の共有や、複数人が業務を担える体制づくりを推進することで、特定の人財への業務集中を緩和し、組織としての業務遂行能力の維持・向上に努めております。これらの取組を通じて、事業環境の変化に対応しつつ、新規事業の推進を含めた人財基盤の安定化を図ってまいります。 ⑥ 知的財産権発生可能性:中影響度:中リスク当社グループは、自社の競争力の源泉である技術を活用して事業を展開しており、当該事業の遂行にあたっては、知的財産権の適切な管理及び活用が重要であると認識しております。当社は、特許権等の知的財産権の一部を、いちごトラストの子会社に譲渡し、当該知的財産権について無償の実施権の許諾を受けた上で事業を行っておりますが、当該実施権を前提とする事業運営において、契約上の前提条件や当社の事業内容に変化が生じた場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、新規の技術開発を通じて新たな知的財産を創出しておりますが、知的財産権を取得できない場合や、第三者の知的財産権を侵害するおそれが生じた場合、あるいは第三者から必要な実施許諾を不利な条件でしか得られない場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。これらの要因により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対応策当社グループでは、いちごトラストの子会社に譲渡した知的財産権について無償の実施権を確保した上で、契約内容の適切な管理を行い、安定的な事業運営が可能となるよう関係先との連携を図っております。今後創出される知的財産については、事業戦略や研究開発と連動させた適切な管理・活用を行うとともに、万が一、知的財産権侵害の指摘や実施許諾条件の変更等が生じた場合に備え、専門人財の配置及び外部専門家との連携を通じて、適切に対応する体制を整えております。なお、新規の技術開発や設計にあたっては、先行技術調査や第三者の知的財産権調査を徹底し、各国の知的財産法、審査基準及びプロセスを十分に把握した上で、知的財産権の取得及び活用の精度向上に努めております。 ⑦ 人権発生可能性:中影響度:大リスクサプライチェーン上における強制労働や児童労働等の人権侵害が発生した場合、原材料・部品調達が困難となることや、顧客や他のサプライヤーとの取引停止により、当社グループの業績、財務状況、社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。対応策・当社グループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」に沿った対策を推進しています。サプライチェーン上の人権課題に対しては、「JDIサプライチェーンサステナビリティ推進ガイドブック」を配布し、遵守を要請しています。また、自己監査を定期的に実施し、遵守状況を確認しています。・責任ある鉱物調達のため、紛争鉱物調査を実施し、武装勢力への資金供給がないことを確認しています。・人権、ハラスメント問題等の注意喚起のため従業員教育も定期的に行っています。

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