7004

カナデビア(7004)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

機械 機械

事業の概要

  • 環境ソリューション提供: カナデビアグループは、ごみ焼却発電施設や水処理施設、エネルギーシステムなど、環境問題解決に貢献するプラントの設計、製造、据付、販売、保守、運営を一貫して手掛けています。特に、ごみ焼却発電は廃棄物処理とエネルギー創出を両立させる主力事業です。
  • 機械・インフラ設備の提供: 自動車製造に不可欠なプレス機械、ボイラ、プラスチック機械、食品・医薬機械、さらには橋梁や水門扉、煙突といった社会インフラ設備まで、幅広い機械装置やインフラ設備の設計、製造、販売、保守を行っています。多岐にわたる産業を支える基盤技術を提供しています。
  • 脱炭素化技術の開発・提供: 地球温暖化対策として注目される脱炭素化分野にも注力しており、船舶のエンジン(舶用原動機)、排ガス浄化のための脱硝触媒、原子力関連設備、電解・PtG(Power to Gas)技術、風力発電など、CO2排出量削減に貢献する製品やシステムを提供しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 環境システム事業: ごみ焼却発電・リサイクル施設、水・汚泥処理施設、エネルギーシステム、海水淡水化プラントなど、環境保全とエネルギー創出に関わる各種プラントの設計、製造、据付、販売、保守、運営を手掛けています。この事業は売上高4,534.71億円、営業利益254.03億円と、グループの稼ぎ頭であり、最も規模の大きい事業です。
  • 機械事業: 自動車用プレス機械、ボイラ、プラスチック機械、食品機械、医薬機械、精密機器、エレクトロニクス・制御システムなど、幅広い産業機械の設計、製造、販売、保守を行っています。売上高829.89億円、営業利益10.16億円で、環境システム事業に次ぐ規模を持ち、多様な産業を支える基盤技術を提供しています。
  • 脱炭素化事業: 舶用原動機、脱硝触媒、圧力容器などのプロセス機器、原子力関連設備機器、電解・PtG、風力発電といった、脱炭素社会の実現に貢献する製品やシステムを提供しています。売上高702.47億円、営業利益1.01億円で、今後の成長が期待される分野であり、環境負荷低減への貢献を目指しています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
EnvironmentalSystems 事業 4,535 254 5.6%
Machinery 事業 830 10 1.2%
Element 事業 702 1 0.1%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|953 文字
3【事業の内容】当社グループは、主として環境装置・プラント、機械装置、インフラ設備等の設計、製作、据付、販売、修理、保守・保全及び運営等を主な事業としており、当社、連結子会社168社及び持分法適用会社37社で構成されている。セグメントごとの主な事業内容と、当社及び主な関係会社の位置づけは次のとおりである。(主な事業内容)環境…………………ごみ焼却発電・リサイクル施設、水・汚泥処理施設、エネルギーシステム(発電設備)、バイオマス利用システム、海水淡水化プラント等各種プラント、電力卸売機械・インフラ……プラスチック機械、食品機械、医薬機械、精密機器、エレクトロニクス・制御システム、橋梁、水門扉、煙突、海洋土木、シールド掘進機、防災システム、ボイラ脱炭素化……………脱硝触媒、圧力容器等各種プロセス機器、原子力関連設備機器、電解・PtG、風力発電その他………………寮・社宅等施設運営管理 (当社及び主な関係会社の位置づけ)[環境]当社が製造・販売を行うほか、Kanadevia Inova AG.、Kanadevia Inova Steinmüller GmbHがごみ焼却発電設備、カナデビアE&E㈱が各種廃棄物処理施設の製造・販売等、また、大館エコマネジ㈱、長岡環境テクノロジー㈱及び御殿場小山環境テクノロジー㈱などが廃棄物処理施設の運営等を行うほか、カナデビア環境サービス㈱などがごみ焼却施設等の運転業務を受託している。また、㈱カナデビアエンジニアリングが各種構造物の非破壊検査・計測・診断業務及び化学プラントの製造・販売等を行っているほか、Osmoflo Holdings Pty Ltd及びその関係会社が海水淡水化・産業用水処理システムの設計、製造、販売及び運営等を行っている。[機械・インフラ]当社が製造・販売を行うほか、㈱アイメックスがボイラ他各種機械の製造・販売等を行っている。[脱炭素化] 当社が製造・販売を行うほか、NAC International Inc.が使用済核燃料保管・輸送機器の設計、輸送及びコンサルティング業務を行っている。[その他]カナデビア総合サービス㈱が寮・社宅等施設運営管理業務、㈱エーエフシーがファイナンス業務等を行っている。 事業の系統図は次頁に記載している。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
主要製品・事業が成熟市場にあり、競合企業が多く、受注価格が下落傾向にあるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
ごみ焼却発電施設、舶用原動機、自動車用プレス機械、圧力容器等各種プロセス機器、橋梁等の技術。
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:個別受注案件のリスク / 価格競争 / 素材価格の高騰
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 4 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

カナデビアの財務サマリデータが未収録のため、ブランド力、特許、規制ライセンス、独占的IPなどの無形資産に関する具体的な評価は困難です。公開情報からは、特定の強力な無形資産の存在を示す明確な証拠は見当たりません。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

産業用ボイラーや熱交換器などの製品は、一度導入すると入れ替えにコストや手間がかかる可能性があります。しかし、顧客が特定の製品に強く依存している状況や、他社製品への乗り換えが容易でないことを示す具体的なデータは不足しています。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

カナデビアの事業内容(ボイラー、熱交換器、環境装置など)は、ユーザー数が増えることでサービスの価値が向上するネットワーク効果が働きにくいビジネスモデルと考えられます。直接的なネットワーク効果を示す要素は見当たりません。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

機械製造業においては、生産効率や調達コストが競争力に影響しますが、カナデビアが他社と比較して構造的に優位なコスト構造を持っていることを示す具体的な情報は現時点では確認できません。標準的な製造業のコスト構造と推測されます。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

産業用ボイラーや熱交換器市場において、カナデビアは一定のシェアを占めている可能性がありますが、業界全体に対する規模の経済性や寡占度に関する具体的なデータが不足しています。市場全体を支配するような圧倒的な規模の優位性は見られません。

  • 環境技術と実績: 長年にわたり培ってきたごみ焼却発電・リサイクル施設、水・汚泥処理施設などの環境装置に関する高い技術力と豊富な実績が強みです。国内外で多数のプラントを手掛けており、その信頼性が競争優位につながっています。
  • 多角的な事業展開: 環境、機械・インフラ、脱炭素化といった幅広い分野で事業を展開している点が特徴です。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、多様な顧客ニーズに対応できる総合力を有しています。例えば、自動車用プレス機械から橋梁、舶用原動機まで多岐にわたる製品を提供しています。
  • グローバルな事業体制: ドイツのKanadevia Inova AG.やオーストラリアのOsmoflo Holdings Pty Ltdなど、海外の連結子会社を通じて、ごみ焼却発電設備や海水淡水化プラントなどを世界各地で展開しています。これにより、国内市場の縮小リスクに対応し、海外市場での成長機会を捉える体制を構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。(1) 経営方針、経営戦略等① 経営方針当社グループでは、基本理念である「Kanadevia Value」を定めており、本基本理念の下、長期ビジョン、経営戦略等を実施していく経営体系を構築している。 当社グループの基本理念「Kanadevia Value」 ② 経営戦略等当社グループでは、基本理念「Kanadevia Value」の下、2050年に目指す姿である「サステナブルビジョン」及び2030年に向けた長期ビジョン「2030 Vision」を掲げるとともに、2023年度を初年度とする3か年の中期経営計画「Forward 25」を実施してきた。「サステナブルビジョン」では、「環境負荷をゼロにする」、「人々の幸福を最大化する」を目標に、ビジョン実現に不可欠な要素である7項目(「カーボンニュートラル」、「資源の完全循環」、「環境復元力の最大化」、「災害激甚化への対応」、「サステナブル調達」、「人々の幸福の最大化」、「コーポレート・ガバナンスの高度化」)を、「成功の柱(マテリアリティ)」として設定している。これら「成功の柱(マテリアリティ)」ごとに、関連する社会課題の認識、課題に対する施策を明確化し、2050年までの目標(KPI)とロードマップを策定し、各種取組みを推進していく。また、「2030 Vision」では、「サステナブルで、安全・安心な社会の実現に貢献するソリューションパートナー」として、「脱炭素化」、「資源循環」、「安全で豊かな街づくり」の各事業分野における社会課題の解決に積極的に取り組み、既存事業の持続的成長と、成長事業の創出・拡大を目指していく。そして、2023年度~2025年度の3か年の中期経営計画「Forward 25」では、グローバルな社会的課題の解決に向け、以下のとおり3つの基本方針に基づく重点施策に取り組んできた。次期中期経営計画については、日鉄エンジニアリング株式会社との経営統合の検討及び事業ポートフォリオ・マネジメントの加速を背景として、公表を当面延期することとし、2026年度については、以下の「Forward 25」の基本方針に基づく重点施策を継続して推進する。 中期経営計画「Forward 25」1.既存事業の持続的成長(1)海外事業の伸長Waste to X(廃棄物の物質・エネルギー転換)事業、原子力関連事業、水事業を中心に、当社グループで協力して事業伸長に取り組んでいる。2025年度はKanadevia Inova AG.のWaste to X(特に廃棄物のガス・エネルギー転換によるRenewable Gas)事業の伸長により、当社グループ全体の海外売上高比率が51%となった。Kanadevia Inova AG.及びそのグループ会社は、積極的なM&Aや事業投資を継続しており、米国で、ごみ焼却発電プラント関連企業であるMatrix Power Services, Inc(現 Kanadevia Inova Matrix Services US LLC)を買収したほか、デンマークでBabcock & Wilcox A/Sからごみ焼却発電プラントの燃焼装置等に関する知的財産権の取得を行った。当社では、マレーシアでごみ焼却発電プラントの建設工事を受注するなど、東南アジア地域における事業拡大を進めており、タイに東南アジア事業の統括拠点を開設した。当該統括拠点を中心として、東南アジア地域の事業開発を加速していく。(2)事業構造改革の推進社会のサステナビリティと会社のサステナビリティの観点から事業評価を行い、事業ポートフォリオの見直し・改革を進めている。2025年度は橋梁事業からの撤退(2026年2月5日付で新規案件営業活動停止、2026年度中の工場操業終了および2030年度中の事業撤退を予定)、日立造船マリンエンジン株式会社株式の一部譲渡(2026年3月31日付)、株式会社ブイテックスの全株式譲渡(2026年6月1日付)、全固体電池事業の譲渡(2026年7月1日付)等を決定した。また、日鉄エンジニアリング株式会社との経営統合の検討を優先課題として進めていく。(3)継続的事業の拡大及び新設事業の収益改善2025年度に継続的事業の売上高比率50%、新設事業の黒字化を目指し、新たな事業モデルの創出、DX推進による製品・事業の高付加価値化等に取り組み、収益力の強化を図ってきた。2025年度は、継続的事業の売上高比率が44%になりやや低い水準に留まった。当社およびKanadevia Inova AG.及びそのグループ会社とも継続的事業の売上高自体は伸張しているものの、事業全体の売上高の伸長に伴い比率の伸びとしては鈍化している状況である。新設事業の収益改善については、近年の物価上昇、金利上昇などの影響もあり、環境部門をはじめ複数の機種において黒字化が未達成の状況であり、引き続き生産性の改善に取り組んでいく。2.成長事業の創出・拡大重点投資分野である脱炭素化事業、資源循環事業、水事業等において、積極的な投資を行っている。2025年度は、水電解装置事業のグローバルな案件形成と戦略的パートナーシップの統合の加速に向けて、Japan HydrogenFundへの出資を行った。また、Waste to Energy、Power to Gas、浮体式洋上風力発電等の分野において、補助金事業を活用した投資を継続している。3.持続可能な経営の推進(企業価値の向上) 人的資本の強化、事業活動の脱炭素化、DX戦略の推進、リスク管理の徹底に取り組んでいる。 人的資本の強化については、経営戦略と連動した戦略的な取組みを充実させていくことを目的とし、2025年10月1日付けで「ピープル&カルチャー本部」を新設した。今後は同本部のもと、人的資本経営の推進、ダイバーシティマネジメントの推進、健康経営の推進、職員のエンゲージメント向上を図っていく。また、特に健康経営においては、取締役社長を責任者として、産業医や健康保険組合等とも課題を共有し、健康経営優良法人「ホワイト500」の認定を受けるなど、各種施策を推進している。DX戦略の推進については、生成AIの業務活用基盤の整備を行っており、生産性向上を進めている。また、DX人材の育成も併せて進めていく。リスク管理の徹底については、重要な戦略リスクの特定、リスク許容度の定義およびこれに基づく戦略的なリスク管理を行う仕組みを導入、推進するERM室の統括の下に、グループリスクのマネジメントを進めている。③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、2026年度における目標を、受注高8,100億円、売上高6,400億円、営業利益255億円(営業利益率4.0%)としている。また、長期ビジョン「2030 Vision」では、2030年に営業利益率10%の達成、ROE10%超、海外事業比率50%、継続的事業の比率50%超、2030年代のできるだけ早い時期に売上高1兆円の事業規模を目指す。 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 中期経営計画「Forward 25」の最終年度(2025年度)の業績は、海外子会社のKanadevia Inova AG.及びそのグループ会社の伸長等に加え、円安の影響もあって、受注高、売上高は期初公表数値を上回ったものの、営業利益、経常利益、及び親会社株主に帰属する当期純利益はKanadevia Inova AG.における技術トラブル等に関する対応等により、いずれも期中2度の業績予想の下方修正を行う結果となった。2026年度については、中期経営計画「Forward 25」の基本方針に基づく重点施策を継続して実行することで、収益力強化を推進し確実に成果をあげることを目指すとともに、当社グループが持続的な成長と企業価値の向上を目指すうえで重要な課題となる、安全管理及びコンプライアンスの徹底にも引き続き取り組んでいく。コンプライアンスについては、複雑化かつ多様化した法的リスクへの対応及び知的財産の戦略的活用を基軸とした企業の健全な成長を目的として、2026年1月1日付で、法務・知的財産本部を設立した。 当社グループにおける不適切行為に対する再発防止策について当社グループにおける舶用エンジン、可燃ごみ焼却施設、し尿処理施設、橋梁、鋳物製品、特殊バルブ等の事業・製品の一部における不適切行為について、2025年3月25日、同年4月30日に公表した再発防止策に基づき、再発防止に取り組んでいる。主な取組み事項は以下のとおりであり、今後も継続して風土改革、業務プロセス改善等に取り組んでいく。<再発防止策の内容>① 経営トップによるコミットメント 経営トップのリーダーシップにより、不正と決別する姿勢を役職員および社外に示す。 例)社長新年度等挨拶でのメッセージ発信、社内外向けの公表サイトの開設② 組織風土改革・意識改革 全職員が不正を拒絶できる倫理観を持つことができるよう、組織風土変革・教育を含む人事施策に取り組 む。 例)役員研修、管理職研修、幅広い職員の参画による企業理念改定の検討、経営層と職員との懇談会、人 事ローテーション活性化の検討、管理職評価における行動規範に沿った行動の考慮③ 業務プロセスの改善 不正につながるプロセスの排除や業務プロセスの効率化を進め、不正を防止できる業務管理規程に改訂す る。 例)不適合報告・改ざん防止のためのデジタルツール導入、不適合管理規程見直し④ 品質不正防止の取組み 経営トップが品質管理状況をタイムリーに把握・発信し、また、各職員が気軽に相談できる仕組みを構築 する。 例)品質コンプライアンス委員会の開催、再発防止策進捗社内説明会の実施、チャットボットの運用⑤ 品質保証機能の強化 品質保証部門の人員を補強するとともに、必要な素養・スキルが得られる研修・教育を実施する。 例)品質保証部門からの情報発信の充実、品質コンプライアンスeラーニングの実施⑥ 取締役の監督機能強化 取締役会への報告を増やし、また重大なコンプライアンスリスク情報を共有するレポートラインを明確化 する。 例)品質不正再発防止推進室の設置、コンプライアンス委員会活動状況の取締役会への定期報告(年2 回) <再発防止策の実効性評価> 再発防止策には、ルールや仕組みの構築に代表されるハードの施策と、教育や風土改革に代表されるソフト の施策がある。当社では、ソフトな施策の実効性評価として、組織としての「ありたい姿」を実現するための 「役職員に求める具体的な行動」を定義した上で、各施策が行動変容にどの程度寄与しているかを中長期的に 検証していく。また、再発防止策の実効性の検討は、第三者である専門家からの評価も受けながら進めてお り、進捗状況については、継続的に発信していく。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。(1) 経営方針、経営戦略等① 経営方針当社グループでは、基本理念である「Kanadevia Value」を定めており、本基本理念の下、長期ビジョン、経営戦略等を実施していく経営体系を構築している。 当社グループの基本理念「Kanadevia Value」 ② 経営戦略等当社グループでは、基本理念「Kanadevia Value」の下、2050年に目指す姿である「サステナブルビジョン」及び2030年に向けた長期ビジョン「2030 Vision」を掲げるとともに、2023年度を初年度とする3か年の中期経営計画「Forward 25」を実施してきた。「サステナブルビジョン」では、「環境負荷をゼロにする」、「人々の幸福を最大化する」を目標に、ビジョン実現に不可欠な要素である7項目(「カーボンニュートラル」、「資源の完全循環」、「環境復元力の最大化」、「災害激甚化への対応」、「サステナブル調達」、「人々の幸福の最大化」、「コーポレート・ガバナンスの高度化」)を、「成功の柱(マテリアリティ)」として設定している。これら「成功の柱(マテリアリティ)」ごとに、関連する社会課題の認識、課題に対する施策を明確化し、2050年までの目標(KPI)とロードマップを策定し、各種取組みを推進していく。また、「2030 Vision」では、「サステナブルで、安全・安心な社会の実現に貢献するソリューションパートナー」として、「脱炭素化」、「資源循環」、「安全で豊かな街づくり」の各事業分野における社会課題の解決に積極的に取り組み、既存事業の持続的成長と、成長事業の創出・拡大を目指していく。そして、2023年度~2025年度の3か年の中期経営計画「Forward 25」では、グローバルな社会的課題の解決に向け、以下のとおり3つの基本方針に基づく重点施策に取り組んできた。次期中期経営計画については、日鉄エンジニアリング株式会社との経営統合の検討及び事業ポートフォリオ・マネジメントの加速を背景として、公表を当面延期することとし、2026年度については、以下の「Forward 25」の基本方針に基づく重点施策を継続して推進する。 中期経営計画「Forward 25」1.既存事業の持続的成長(1)海外事業の伸長Waste to X(廃棄物の物質・エネルギー転換)事業、原子力関連事業、水事業を中心に、当社グループで協力して事業伸長に取り組んでいる。2025年度はKanadevia Inova AG.のWaste to X(特に廃棄物のガス・エネルギー転換によるRenewable Gas)事業の伸長により、当社グループ全体の海外売上高比率が51%となった。Kanadevia Inova AG.及びそのグループ会社は、積極的なM&Aや事業投資を継続しており、米国で、ごみ焼却発電プラント関連企業であるMatrix Power Services, Inc(現 Kanadevia Inova Matrix Services US LLC)を買収したほか、デンマークでBabcock & Wilcox A/Sからごみ焼却発電プラントの燃焼装置等に関する知的財産権の取得を行った。当社では、マレーシアでごみ焼却発電プラントの建設工事を受注するなど、東南アジア地域における事業拡大を進めており、タイに東南アジア事業の統括拠点を開設した。当該統括拠点を中心として、東南アジア地域の事業開発を加速していく。(2)事業構造改革の推進社会のサステナビリティと会社のサステナビリティの観点から事業評価を行い、事業ポートフォリオの見直し・改革を進めている。2025年度は橋梁事業からの撤退(2026年2月5日付で新規案件営業活動停止、2026年度中の工場操業終了および2030年度中の事業撤退を予定)、日立造船マリンエンジン株式会社株式の一部譲渡(2026年3月31日付)、株式会社ブイテックスの全株式譲渡(2026年6月1日付)、全固体電池事業の譲渡(2026年7月1日付)等を決定した。また、日鉄エンジニアリング株式会社との経営統合の検討を優先課題として進めていく。(3)継続的事業の拡大及び新設事業の収益改善2025年度に継続的事業の売上高比率50%、新設事業の黒字化を目指し、新たな事業モデルの創出、DX推進による製品・事業の高付加価値化等に取り組み、収益力の強化を図ってきた。2025年度は、継続的事業の売上高比率が44%になりやや低い水準に留まった。当社およびKanadevia Inova AG.及びそのグループ会社とも継続的事業の売上高自体は伸張しているものの、事業全体の売上高の伸長に伴い比率の伸びとしては鈍化している状況である。新設事業の収益改善については、近年の物価上昇、金利上昇などの影響もあり、環境部門をはじめ複数の機種において黒字化が未達成の状況であり、引き続き生産性の改善に取り組んでいく。2.成長事業の創出・拡大重点投資分野である脱炭素化事業、資源循環事業、水事業等において、積極的な投資を行っている。2025年度は、水電解装置事業のグローバルな案件形成と戦略的パートナーシップの統合の加速に向けて、Japan HydrogenFundへの出資を行った。また、Waste to Energy、Power to Gas、浮体式洋上風力発電等の分野において、補助金事業を活用した投資を継続している。3.持続可能な経営の推進(企業価値の向上) 人的資本の強化、事業活動の脱炭素化、DX戦略の推進、リスク管理の徹底に取り組んでいる。 人的資本の強化については、経営戦略と連動した戦略的な取組みを充実させていくことを目的とし、2025年10月1日付けで「ピープル&カルチャー本部」を新設した。今後は同本部のもと、人的資本経営の推進、ダイバーシティマネジメントの推進、健康経営の推進、職員のエンゲージメント向上を図っていく。また、特に健康経営においては、取締役社長を責任者として、産業医や健康保険組合等とも課題を共有し、健康経営優良法人「ホワイト500」の認定を受けるなど、各種施策を推進している。DX戦略の推進については、生成AIの業務活用基盤の整備を行っており、生産性向上を進めている。また、DX人材の育成も併せて進めていく。リスク管理の徹底については、重要な戦略リスクの特定、リスク許容度の定義およびこれに基づく戦略的なリスク管理を行う仕組みを導入、推進するERM室の統括の下に、グループリスクのマネジメントを進めている。③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、2026年度における目標を、受注高8,100億円、売上高6,400億円、営業利益255億円(営業利益率4.0%)としている。また、長期ビジョン「2030 Vision」では、2030年に営業利益率10%の達成、ROE10%超、海外事業比率50%、継続的事業の比率50%超、2030年代のできるだけ早い時期に売上高1兆円の事業規模を目指す。 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 中期経営計画「Forward 25」の最終年度(2025年度)の業績は、海外子会社のKanadevia Inova AG.及びそのグループ会社の伸長等に加え、円安の影響もあって、受注高、売上高は期初公表数値を上回ったものの、営業利益、経常利益、及び親会社株主に帰属する当期純利益はKanadevia Inova AG.における技術トラブル等に関する対応等により、いずれも期中2度の業績予想の下方修正を行う結果となった。2026年度については、中期経営計画「Forward 25」の基本方針に基づく重点施策を継続して実行することで、収益力強化を推進し確実に成果をあげることを目指すとともに、当社グループが持続的な成長と企業価値の向上を目指すうえで重要な課題となる、安全管理及びコンプライアンスの徹底にも引き続き取り組んでいく。コンプライアンスについては、複雑化かつ多様化した法的リスクへの対応及び知的財産の戦略的活用を基軸とした企業の健全な成長を目的として、2026年1月1日付で、法務・知的財産本部を設立した。 当社グループにおける不適切行為に対する再発防止策について当社グループにおける舶用エンジン、可燃ごみ焼却施設、し尿処理施設、橋梁、鋳物製品、特殊バルブ等の事業・製品の一部における不適切行為について、2025年3月25日、同年4月30日に公表した再発防止策に基づき、再発防止に取り組んでいる。主な取組み事項は以下のとおりであり、今後も継続して風土改革、業務プロセス改善等に取り組んでいく。<再発防止策の内容>① 経営トップによるコミットメント 経営トップのリーダーシップにより、不正と決別する姿勢を役職員および社外に示す。 例)社長新年度等挨拶でのメッセージ発信、社内外向けの公表サイトの開設② 組織風土改革・意識改革 全職員が不正を拒絶できる倫理観を持つことができるよう、組織風土変革・教育を含む人事施策に取り組 む。 例)役員研修、管理職研修、幅広い職員の参画による企業理念改定の検討、経営層と職員との懇談会、人 事ローテーション活性化の検討、管理職評価における行動規範に沿った行動の考慮③ 業務プロセスの改善 不正につながるプロセスの排除や業務プロセスの効率化を進め、不正を防止できる業務管理規程に改訂す る。 例)不適合報告・改ざん防止のためのデジタルツール導入、不適合管理規程見直し④ 品質不正防止の取組み 経営トップが品質管理状況をタイムリーに把握・発信し、また、各職員が気軽に相談できる仕組みを構築 する。 例)品質コンプライアンス委員会の開催、再発防止策進捗社内説明会の実施、チャットボットの運用⑤ 品質保証機能の強化 品質保証部門の人員を補強するとともに、必要な素養・スキルが得られる研修・教育を実施する。 例)品質保証部門からの情報発信の充実、品質コンプライアンスeラーニングの実施⑥ 取締役の監督機能強化 取締役会への報告を増やし、また重大なコンプライアンスリスク情報を共有するレポートラインを明確化 する。 例)品質不正再発防止推進室の設置、コンプライアンス委員会活動状況の取締役会への定期報告(年2 回) <再発防止策の実効性評価> 再発防止策には、ルールや仕組みの構築に代表されるハードの施策と、教育や風土改革に代表されるソフト の施策がある。当社では、ソフトな施策の実効性評価として、組織としての「ありたい姿」を実現するための 「役職員に求める具体的な行動」を定義した上で、各施策が行動変容にどの程度寄与しているかを中長期的に 検証していく。また、再発防止策の実効性の検討は、第三者である専門家からの評価も受けながら進めてお り、進捗状況については、継続的に発信していく。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、経営成績等という。)の概要は次のとおりである。 ①経営成績科目前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)前期比(百万円)前期比(%)売上高610,523645,22234,6995.7営業利益26,94612,192△14,754△54.8経常利益24,32913,621△10,708△44.0親会社株主に帰属する当期純利益22,10311,137△10,965△49.6 当連結会計年度の経済情勢について、景気は緩やかに回復しており、先行きについても、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、中東情勢の影響を注視する必要がある。また、金融資本市場の変動の影響や米国の通商政策をめぐる動向等に注意する必要がある。 こうした中で、当社グループでは、2023年度からスタートした中期経営計画「Forward 25」のもと、既存事業の持続的成長、成長事業の創出・拡大、持続可能な経営の推進(企業価値向上)を基本方針として、各種重点施策を鋭意推進してきた。 当連結会計年度の経営成績については、売上高は主に環境部門の増加により、前連結会計年度に比べ34,699百万円(5.7%)増加の645,222百万円となった。損益面では、営業利益は、主に環境部門の悪化により、前連結会計年度に比べ14,754百万円(54.8%)減少の12,192百万円となった。これに伴い、経常利益は、前連結会計年度に比べ10,708百万円(44.0%)減少の13,621百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益については、前連結会計年度に比べ10,965百万円(49.6%)減少の11,137百万円となった。 ②財政状態科目前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)前期比(百万円)前期比(%)連結総資産609,666718,640108,97317.9流動資産357,114423,15266,03818.5固定資産252,532295,42742,89517.0負債の部411,771515,239103,46825.1純資産の部197,895203,4005,5042.8 当連結会計年度末の財政状態について、連結総資産は前連結会計年度末に比べ108,973百万円増加の718,640百万円となった。このうち、流動資産は、前連結会計年度末の357,114百万円から66,038百万円(18.5%)増加し、423,152百万円となった。これは、主として受取手形、売掛金及び契約資産の増加によるものである。固定資産は、前連結会計年度末の252,532百万円から42,895百万円(17.0%)増加し、295,427百万円となった。これは、主として当連結会計年度にKanadevia Inova Ireland Ltd.及びKanadevia Inova Biogas Veendam B.V.を連結の範囲に含めたことによるものである。負債の部は、前連結会計年度末の411,771百万円から103,468百万円(25.1%)増加し、515,239百万円となった。これは、主として契約負債及び有利子負債の増加によるものである。純資産の部は、前連結会計年度末の197,895百万円から5,504百万円(2.8%)増加し、203,400百万円となった。これは、主として利益剰余金の増加によるものである。 ③キャッシュ・フローの状況科目前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)前期比(百万円)営業活動によるキャッシュ・フロー24,76911,647△13,122投資活動によるキャッシュ・フロー△56,573△48,0358,537財務活動によるキャッシュ・フロー30,15041,54411,393現金及び現金同等物の期末残高68,70777,3048,597 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動及び財務活動により獲得した資金が、投資活動により使用した資金を上回ったことにより、前連結会計年度末に比べ8,597百万円(12.5%)増加の77,304百万円となった。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、前連結会計年度を13,122百万円(53.0%)下回る11,647百万円となった。これは、主として税金等調整前当期純利益の計上等を反映したものである。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、前連結会計年度を8,537百万円(15.1%)下回る48,035百万円となった。これは、主として固定資産の取得による支出及び子会社株式の取得による支出等を反映したものである。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は、前連結会計年度を11,393百万円(37.8%)上回る41,544百万円となった。これは、主として借入金の増加等を反映したものである。 ④生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)環境512,48912.0機械・インフラ117,584△1.8脱炭素化71,754△0.9その他17,9860.9合計719,8147.8(注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去している。 b.受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)環境726,02717.62,142,68911.5機械・インフラ89,479△1.983,30733.7脱炭素化79,95148.058,30622.5その他2,280△31.6464△0.9合計897,73917.22,284,76812.4(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。2.受注残高の前期比の算出にあたっては、為替レート変動による影響額を前期末受注残高において修正している。 c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)環境505,23011.4機械・インフラ68,468△17.5脱炭素化69,238△1.4その他2,284△40.1合計645,2225.7(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。2.主な相手先別の販売実績については、総販売実績に対し10%以上に該当する販売先がないため、記載を省略している。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。 ①重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、連結財務諸表の作成に当たっての重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。また、工事契約に係る収益認識、貸倒引当金、保証工事引当金及び工事損失引当金等の重要な引当金の計上、固定資産の減損ならびに繰延税金資産の回収可能性の判断などの見積りについては、それぞれ合理的な基準に基づいて実施している。連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。 ②当連結会計年度の経営成績の分析a.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度は、期初時点の見通しと比較して、売上高は計数目標を達成することができたが、海外環境子会社及びインフラ事業における収益悪化により、利益項目は未達となった。一方、SDGs(持続可能な開発目標)の概念が世界的に広がり、持続可能な開発・循環型社会の実現に向けて社会は動き出している。この動きは、事業・製品を通じてサステナブル(持続可能)で、安全・安心な社会の実現に貢献するという当社グループの事業の方向性と一致している。こうした状況を踏まえ当社は、2023年度を初年度とする3か年の中期経営計画「Forward 25」を実施してきた。詳細は「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針、経営戦略等」に記載している。 b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報(財務戦略の基本的な考え方)当社グループは、流動性の確保と財務体質の強化を基本方針として掲げている。流動性の確保については、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の短縮等による営業キャッシュ・フローの底上げ、国内のグループ会社間でのキャッシュマネジメントシステムによるグループ内の余剰資金の有効活用により、流動性確保、資金効率化を図っている。また、資本市場へのアクセスの継続等により、長期安定資金の確保に対応するとともに、国内金融機関においてコミットメントライン300億円を設定し、マーケット環境の一時的な変化等不測の事態にも対応できる体制を整えている。財務体質の強化については、格付向上を目指し、自己資本の更なる充実と有利子負債のコントロールに努めていく。当社グループは、グローバルな社会課題を背景とする構造的な成長機会を捉え、資源循環・エネルギー供給を担う環境インフラ企業としての成長を目指している。その実現に向け、戦略的な事業投資および開発投資の着実な実行に加え、事業ポートフォリオ改革を加速させることで、成長事業の創出と拡大を一層推進していく。また、成長投資を推進する一方で、財務健全性の維持・向上との両立を図り、成長に応じた増配および予見性の高い安定的な株主還元を継続的に実施することにより、企業価値の向上に努めていく。 (資金調達に関する考え方)当社グループは、流動性の確保と資金調達の多様化を目的とし、金融機関からの借入およびグリーンボンドを含む社債発行による調達を行っている。地球温暖化対策や再生可能エネルギー等の事業に取り組む当社グループでは、今後もグリーンボンドをはじめとするグリーンファイナンスを積極的に活用していく。 c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、2023年度からスタートした中期経営計画「Forward 25」にて、2030年度は売上高900,000百万円レベル、2030年度営業利益率10%の目標を掲げている。2026年度は、売上高640,000百万円、営業利益25,500百万円となる見通しである。また、中東情勢、金融資本市場の変動及び米国の通商政策等の影響が今後さらに拡大する、もしくは影響が長期化するといった状況になれば、収益目標の達成にマイナスの影響が生じるリスクがあるものの、現時点ではそうした影響を織り込んでいない。 d.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容セグメント前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)前期比(百万円)売上高営業利益売上高営業利益売上高営業利益環境453,47125,403505,23016,70751,758△8,696機械・インフラ82,9891,01668,468△2,416△14,521△3,433脱炭素化70,24710169,238△2,467△1,008△2,568その他3,8144962,284412△1,529△83セグメント計610,52327,018645,22212,23634,699△14,782調整額-△72-△44-28合計610,52326,946645,22212,19234,699△14,754 (環境)売上高は、海外子会社の売上増加により、前連結会計年度に比べ51,758百万円(11.4%)増加の505,230百万円となった。セグメント利益は、高採算案件の減少及び海外子会社の技術トラブルの影響等により、前連結会計年度に比べ8,696百万円(34.2%)減少の16,707百万円となった。 (機械・インフラ)売上高は、プレス事業の売却により、前連結会計年度に比べ14,521百万円(17.5%)減少の68,468百万円となった。セグメント損益は、インフラの収益悪化等により、前連結会計年度に比べ3,433百万円悪化し、2,416百万円の損失計上となった。(脱炭素化)売上高は、風力発電の減少等により、前連結会計年度に比べ1,008百万円(1.4%)減少の69,238百万円となった。セグメント損益は、プロセス機器の収益悪化等により、前連結会計年度に比べ2,568百万円悪化し、2,467百万円の損失計上となった。(その他)売上高は前連結会計年度に比べ1,529百万円(40.1%)減少の2,284百万円、セグメント利益は83百万円(16.9%)減少の412百万円となった。

事業リスク

  • 個別受注案件の収益悪化: ごみ焼却発電施設などの大型プロジェクトは、設計・調達・建設(EPC)の各段階で、見積もり以上のコスト発生、工期遅延、技術トラブルによるペナルティが発生する可能性があります。これらの問題は、会社の利益や資金繰りに重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 市場競争と素材価格変動: ごみ焼却発電施設や舶用原動機、自動車用プレス機械などの主要製品は、競合他社が多く、価格競争が激しい成熟市場にあります。さらに、鋼材や非鉄金属、原油などの素材価格が高騰すると、製品コストが増加し、収益性が悪化する可能性があります。
  • 海外事業とカントリーリスク: 東南アジア、中国、インド、欧州、米国など世界中で事業を展開しており、進出先の政治情勢不安、貿易問題、文化や法制度の違い、特殊な労使関係などが事業運営を妨げる可能性があります。これにより、海外事業の収益が悪化し、会社全体の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|9,354 文字
3【事業等のリスク】(1)リスクマネジメントの体制当社は、当社グループ全体を対象とするエンタープライズリスクマネジメント(以下、ERMという)を導入するため、2025年3月にERM室を新設し、同年7月に第1回リスクマネジメント委員会を開催した。当社グループは、企業価値の最大化を図るため、事業活動にかかるリスク(機会と脅威の不確実性)を一元的に把握・整理・可視化のうえ対応策を検討している。当社グループでは、取締役会がリスクマネジメント方針の決定と最終的な監督責任を負い、リスクマネジメント委員会を中心とする執行側のリスクマネジメント体制の運用状況を評価し、必要な是正措置を行う構造としている。また、当社グループは、事業部門、リスクマネジメントを所管する部門及び内部監査部門がそれぞれの役割を担い、相互に連携するスリーラインモデルに基づき、リスクマネジメント及びガバナンス体制の実効性向上を図っている。取締役会及びリスクマネジメント委員会は、中期経営計画策定及び事業計画策定に際し、経営戦略又は事業戦略実現に係るトップリスクを見直すための審議を行う。取締役会は、リスクマネジメント方針を決定し、リスクマネジメント委員会の運用状況を監督する。リスクマネジメントに関する議題を扱う取締役会は、年2回開催する。リスクマネジメント委員会は、委員長を取締役社長、委員会メンバーを経営戦略会議メンバー等で構成する。本委員会では、当社グループにおけるリスクマネジメント方針を立案するとともに、取締役会で決定された方針を運用する。当社グループにおいては、事業部門及び連結子会社が、自らの業務に内在するリスクの管理及び対応策の実行に責任を有し、リスクマネジメント統括部門は、グループ全体の視点からリスクマネジメントの枠組みを整備するとともに、各部門の取組状況を把握し、必要な指示・指導を行っている。内部監査部門は、これらの活動とは独立した立場から、当社グループのガバナンス、リスクマネジメント及び内部統制の有効性について評価を行い、取締役会及び経営層に対して合理的な保証を提供している。 ERM室は、リスクマネジメント委員会の事務局として、ERMの推進を一元的に担うとともに、リスクマネジメントにかかわる方針の立案やリスク管理実行に必要な指示・指導・支援、リスクに関する情報収集、分析、評価等を行っており、トップリスクに対する対応策の進捗状況を経営陣に報告し、経営陣が適時に問題を認識し対処するための体制を整えている。 (2)リスクマネジメント体制の運用リスクとは、事象が発生し、戦略や事業目標の達成に影響を与える可能性をいう。このうち、事象発生時にグループに重大な影響を及ぼすものを重要リスクといい、トップリスクは、その中でも事象発生時に、企業理念やグループの戦略に重大な影響を及ぼすものをいう。トップリスクは経営アジェンダであることから、経営陣のコミットメントとしてリスクを管理し、対応状況を含め、取締役会へ報告する。 リスクの特定においては、内部環境・短期的視点のリスクだけでなく、外部環境・中長期的視点のリスクを加え、内外環境変化に対応できるようリスク分類を整備する。また、リスクの重要性は、リスクの影響度と発生可能性をそれぞれ定量的、定性的要因を考慮し総合的に判断する。 (3)主要なリスク当社グループは、企業の社会的責任を果たし社会倫理を守ることで存続することができる。したがって、品質リスク、労働安全衛生リスク、法令等違反によるリスク、人権リスクが発現した場合、多様かつ長期的な悪影響が生じ、社会からの信頼を失い、最終的に当社グループは存続できなくなる。このため、これらのリスクを極めて重要度の高いリスクと位置付け、徹底的に対策を講じる。また、これら以外のリスクについても、その性質、内容に応じたリスク対応方針を設定し対策を講じている。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとその対応策は、以下のとおりである。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。 No.リスク名称上段:リスクシナリオ / 下段:対応策1品質リスク品質基準を満たさない製品やサービスを顧客に納入した結果、納入した製品・サービスが社会的に重大な事故や環境汚染を引き起こしたり、顧客からの契約解除や指名停止等の行政処分を受けたりする可能性がある。「(4)品質不適切行為への対応」参照2重大労働災害リスク国内外の工事・運転・保全等の現場(海外派遣・長期出張を含む)において、安全措置の不備や不安全行動、ならびに過重労働・心理的負荷の蓄積等により、死亡・重大傷病(精神障害を含む)等の重大労働災害が発生し、操業停止、行政処分、訴訟・賠償、レピュテーション毀損等が生じる可能性がある。従業員が重大な労働災害に遭う可能性を低減するため、労働安全衛生リスクマネジメントシステムを再構築し、リスクアセスメント、設備管理体制・作業標準の整備、教育・啓発を徹底する。加えて海外派遣者については、派遣前の研修・適性確認、労働時間の客観的管理と是正、独立した相談窓口と定期面談、医療支援・緊急帰国体制、ハラスメント防止措置を組み合わせ、災害防止のPDCA(Plan-Do-Check-Act)を強化する。3法令違反等によるリスク当社グループの事業は、国や地方自治体が行う入札により受注することが多く、独占禁止法違反その他の法令違反等が発生した場合、刑事罰や行政処分(指名停止等)を受けたり、又は損害賠償請求等の法的紛争になる可能性がある。当社グループでは、コンプライアンスの徹底を経営の最重要課題の一つとして位置付け、コンプライアンス委員会を設置し、そのための諸施策を継続的に実施している。具体的には、当社グループの役職員全員が遵守すべき倫理行動指針である「カナデビアグループ倫理行動憲章」を制定し、経営トップによる積極的なメッセージの発信、社内規程の整備・運用、定期的なコンプライアンス教育の実施、内部通報体制の整備等に力を注いでいる。 No.リスク名称上段:リスクシナリオ / 下段:対応策4人権リスク企業活動において、当社グループはもちろん、サプライチェーン全体の人権尊重が社会的要請となっており、人権に関する法規制が強化されている国もある。当社グループ又は当社グループのサプライチェーンで人権問題が生じると、顧客や仕入先が自らのレピュテーションリスクを懸念して取引を停止したり、当社グループが人権侵害に加担しているとして提訴されたりする可能性がある。当社グループでは、「人権方針」を定め、従業員、顧客、サプライヤー、地域社会等のすべてのステークホルダーとの関係において人権を尊重することの重要性を認識し、人権尊重の取組をさらに推進している。事業活動における人権リスクの特定、管理、予防、軽減を目的に人権デュー・デリジェンスに取り組むとともに、「カナデビアグループ調達基本方針」を定め、強制労働・児童労働・ハラスメント排除等の当社が持つあらゆる人権尊重の理念と価値観をサプライヤーに対しても理解を求めている。5サイバーリスク当社グループの社内情報システム及び当社製品の遠隔監視サービス等(制御系システムを含む)に対し、不正アクセス、マルウェア感染、ランサムウェア等のサイバー攻撃や設定不備等が発生した場合、顧客設備の操業への影響、当社業務の停止、機密情報や顧客情報等の漏えい・改ざん等が生じ、復旧費用の増加、損害賠償、信用毀損等により事業継続に影響を及ぼす可能性がある。当社グループでは、情報セキュリティの確保を重要な経営課題と位置付け、「情報セキュリティ委員会」を設置し、情報セキュリティを専門とする「サイバーセキュリティセンター」が中心となって、規程・要領・手順書に基づき、アクセス権管理、ウイルス対策、インシデント発生時の連絡・初動対応、社内周知・教育等の基本的対策を推進・管理している。当連結会計年度末現在、当社の連結子会社に対する情報セキュリティ対応の強化として、規程類の見直しやインシデント対応要領の整備を進めている。6災害リスク災害激甚化により、ひとたび自然災害が発生すると、工場・設備の被災、操業停止、工期の遅延、サプライチェーンの寸断等が生じ、当社グループの事業運営に必要な機能を復旧するのに長期間を要し、事業運営が停止する可能性がある。安全確保や当社グループが担う社会インフラの運転継続のための対策を講じるとともに、すべての拠点にBCPを整備したうえで、計画的に要員のバックアップ体制整備や設備の代替手段確保を推進する。また、サプライヤーの災害対策状況を順次調査・評価し、結果に応じて代替調達先の確保等の対策を検討する。さらに、当社グループは顧客から委託を受け、当社グループが建設したWtE施設(WtEは、Waste to Energy(ごみ焼却発電)の略称。「WtE施設」とは、ごみ焼却発電施設)等の運転管理を行う場合があるところ、建設前においては顧客が実施したリスクアセスメント(自然災害リスクの評価を含む)を踏まえた事業運営計画を立案し、顧客とともに災害リスクの最小化に向けた検討を行う。 No.リスク名称上段:リスクシナリオ / 下段:対応策7安定調達リスク本リスクは、世界情勢全般によるリスク(No.11)等の外部環境変化が、資材・エネルギーの調達に波及した場合に顕在化する。当社グループは、事業運営および製造・建設工程において、燃料としてLNGを使用する比率が高く、また主要原材料として鉄鋼製品の使用量が大きい。これら資材・エネルギーについて、地政学的緊張、輸出規制、海上輸送制約、需給逼迫等を背景に、供給制限、調達リードタイムの長期化、価格の急騰が発生する可能性がある。加えて、ネオジム等のレアメタル・レアアースを含む一部品目は、特定国・地域への依存や規制動向の影響を受けやすく、入手性の悪化が機器・部材の長納期化や代替調達コストの増加を通じて、工期遅延、原価上昇、機会損失につながるおそれがある。当社グループは、恒常的に取引を行う主要サプライヤーと連携し、資材・エネルギーの安定確保に向け、①長納期化品目の早期把握と先行手配、②代替材・代替サプライヤーの検討・確保、③一定量の安全在庫の確保、④調達先の環境・人権等の観点を含むサステナブル調達の実効性向上(サプライヤーとのエンゲージメント強化)を継続している。特に、輸出規制等により入手性が悪化し得るレアメタル・レアアースを含む品目については、在庫確保や代替調達先の探索に加え、材料置換・仕様代替・技術開発を進めることで、供給途絶時の事業影響を最小化する。8人材確保リスク人口減少トレンドの日本に限らず、当社グループが事業展開する国において技術人材が不足し、新規技術の開発力や競争力が低下する可能性がある。また、各国で労働力が不足し、工事の遂行や製品の製造に遅延が頻繁に生じ、事業運営に支障をきたす可能性がある。事業戦略に必要な人材を外部から迅速に確保しつつ、人事制度改革や最適配置、DE&I推進、研修強化により職員が能力を発揮できる環境を整える。また、DX・AI活用による効率化やグローバル人材交流を進め、多様な人材ポートフォリオを維持しながら、限られた要員でも持続的に事業を支える体制を構築する。9ESGリスク環境、社会、ガバナンスの観点での社会動向変化により、当社グループの戦略や事業が影響を受ける可能性がある。例えば、環境よりも経済性を重視する傾向が強まり(又は弱まり)、環境分野に注力する当社グループの企業価値が大きく毀損(又は拡大)する可能性がある。前述「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照。10市場形成リスク将来の社会・業界・技術動向、顧客・競合動向の分析・予測を踏まえ、将来の主力事業となる新たな製品・サービスの開発に取り組んでいるが、期待どおりに市場が立ち上がらない可能性がある。その場合、事業の拡大時期が遅れたり、逆に急速に市場が拡大し、主力事業に成長したりする可能性がある。当社経営企画部を中心に、各事業及び各社が連携して社会トレンドや業界動向、技術動向、顧客・競合動向を分析し、市場把握に努め、市場形成リスクを認識して中期経営計画や事業計画を策定する体制としている。11世界情勢全般によるリスク地政学リスク等、外部環境によりグループの戦略や事業が影響を受けるリスクである。近年、中東情勢、ロシア・ウクライナ情勢や米中の対立等、国際情勢が大きく変化しており、先行きが不透明である。当社グループは、日本、アジア、オーストラリア、欧州、中東、アフリカ、北米、南米で事業活動を行っていることから、該当地域に影響が及ぶことで事業活動に支障をきたすほか、当社グループ各社において製品の輸出・原材料の輸入、技術者の派遣等に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある(資材・エネルギーの安定確保に関する影響はNo.7「安定調達リスク」を参照)。当社グループでは、外部専門機関等からの情報・サポートを含め、海外拠点において国際情勢や戦争等のリスク情報、経済制裁等の情報を収集し、経営戦略会議において迅速に対応を決定する体制としている。(4)品質不適切行為への対応当社は、当社グループのうち舶用エンジン事業を行っている連結子会社において不適切行為が行われていたことが判明したことを受け、特別調査委員会による調査を実施した結果、2025年3月25日、同年4月30日及び11月6日に公表した通り、他の事業・製品等についても、一部に不適切行為が行われていたことが判明した。当社グループとしては、これらの不適切行為が明らかになったことを厳粛に受け止め、特別調査委員会の提言をもとに6つの再発防止策を策定・実施している。主な取組は次のとおりである。① 経営トップによるコミットメント新年度挨拶、訓示等を通じたメッセージ発信はもちろん、特別調査委員会による調査内容の報告会及び再発防止策進捗説明会を当社各事業所で実施し、取締役社長からメッセージを発信し、質疑応答を行った。報告会・説明会当日の質問と回答及び会場外での質問と回答を社内イントラネットで公開している。② 組織風土改革・意識改革当社グループは、「私達は、技術と誠意で社会に役立つ価値を創造し、豊かな未来に貢献します」を企業理念として掲げ、「安全最優先」「品質の追求」「コンプライアンスの徹底」「社会との共生」を経営姿勢としている。品質不適切行為の判明を重く受け止め、改めて役員研修、PMVVワークショップ(PMVVとは、Purpose、Mission、Vision、Valueの各頭文字)、職員向けアンケート等を行い、企業理念の浸透に力を注ぎ、「求める行動」を当社グループの一人ひとりに浸透させる活動を行っている。また、不適切行為を未然に防止するには、役職員の間に心理的安全性が確保され、お互いに注意したり賞賛しあったりできる関係が不可欠である。まず、経営層と職員の間のコミュニケーションを向上させるため、経営層と職員との懇談会や取締役社長のタウンホールミーティングを随時開催している。他方で、不正を許さない姿勢を明確に示すことも重要であるので、不適切行為に伴う懲戒処分を役職員に公表し、信賞必罰を徹底している。③ 業務プロセスの改善品質不適切行為があった部門を優先的に業務プロセスの是正、可視化・標準化を行い、順次運用を開始している。具体的には、事業部門・連結子会社における品質管理、品質検査、品質保証業務を明確化し、品質保証統括部がこれらの業務プロセスが適切に実施されていることを監督する。また、デジタルツールを利用した改ざん防止の仕組みづくりを推進している。④ 品質不正防止の取組み当社グループが生産・提供する製品やサービスにおける品質に関する法令、規制、社内規程、顧客との契約条件遵守についての指導及び監督、当社グループにおける品質保証体制の強化ならびに問題の予防・早期発見と是正措置実施により、顧客及び社会からの信頼を維持・向上することを目的として、2025年4月に品質コンプライアンス委員会を設置した。品質コンプライアンス委員会は年4回実施し、その運営状況は、コンプライアンス委員会へ報告する。また、品質相談機能を充実させるため、チャットボットを設置し、運用している。⑤ 品質保証機能の強化当社品質保証統括部の人員を増強し、品質不適切行為を発生させた部門及び連結子会社に対する品質保証機能強化を推進している。品質保証機能強化を効果的・効率的に進めるため、当社品質保証部門及び事業部門の責任と権限をISO9001規格に従い再整理し関連社則を改正するとともに、当社の連結子会社においても同様の目的で社内体制を再整備している。また、品質に対する職員の知識と感度を向上させるため、品質教育にも力を注いでいる。具体的には、e-ラーニングを継続的に実施するとともに、新入職員向け教育や昇格時教育を充実させ、定期的に品質に対する意識調査を実施し、課題を洗い出し、教育内容の改善を図っている。⑥ 取締役会の監督機能強化品質不正再発防止推進室を設置し、再発防止策実行状況を定期的に取締役会に報告するとともに、内部通報への対応状況等コンプライアンス委員会の活動状況を定期的に取締役会へ報告している。 (5)プロジェクトリスク当社グループは、ERMによりグループ全体のリスクの把握・管理を進めている一方で、当社グループの事業が個別受注案件の積み上げによって価値を創出する事業構造であることから、案件単位で顕在化するリスクの管理が経営上重要であると認識している。個別案件に係るリスク(契約条件、技術的成立性、工事完工能力、製造能力等)については、当連結会計年度末現在、主としてプロジェクトリスク管理の枠組みの中で管理されているが、これらのリスクが経営成績に与える影響の大きさを踏まえ、次期連結会計年度以降、ERMとの関係性について整理を行い、経営としてのリスク認識の高度化を図ることが課題であると認識している。当社グループの事業では、自治体や民間事業者が発行するRFP(Request for Proposalの略、日本では要求水準書又は発注仕様書と称される)に基づき設計し、調達・製造した部材や機器を投入して、建設事業者と連携して施設を建設し、引き渡す形態が多く存在する。施設等は当社グループで長期間運営する場合も多い。このようなプロジェクトにおいては、受注時の見積コストを上回る費用の発生、工程遅延による納期遅れ、あるいは技術・製品トラブル等に基づくペナルティが発生した場合には、プロジェクトの収益が悪化し、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がある。そこで、前述のグループ全体のリスクマネジメント体制とは別に、これらのプロジェクトリスクの回避及びリスクが顕在化した場合の損失の最小化のため、次のとおりリスク管理に取り組んでいる。 ① 受注時におけるプロジェクトリスク管理プロジェクトの見積段階において、プロジェクトに関係する部門が、技術、コスト、納期、契約条件等に関するリスクの抽出及び評価を行い、対策を検討する。プロジェクトの規模や条件(輸出・海外案件、新機種・新技術を含むか否か等)を踏まえたリスクの大きさに応じ、全社リスク検討会又は事業部リスク検討会に付議され、リスク低減対策の妥当性や見積コストの妥当性について検討のうえ、所定の要件を満たす場合には、受注意思決定会議や経営戦略会議等を開催し、様々な観点からリスクを検討したうえで、受注の可否を判断する。② 受注後におけるプロジェクトリスク管理所定の要件を満たす大型プロジェクトについては、受注後も継続してフォローする体制を敷き、徹底した収益管理を行っている。特に重要な案件については、取締役社長が議長を務めるトップマネジメント・レビュー会議で進捗状況を確認し、必要に応じて経営幹部による指示・指導を行っている。工事が完了した後は、プロジェクト成果報告会を開催し、各工事における成果、課題等を水平展開することで、現在進行中のプロジェクトや将来のプロジェクトの収益管理強化及びトラブルの未然防止を図っている。③ 海外子会社が受注したプロジェクトのリスク管理当社の連結子会社のうち、Kanadevia Inova AG.、Osmoflo Holdings Pty Ltd.、NAC International Inc.等の主要な海外子会社のプロジェクトについては、その規模や契約条件等に鑑み、大きなリスクが想定される場合には、当社の経営戦略会議の事前承認を受けることを義務付けている。さらに、Kanadevia Inova AG.については、プロジェクトの進捗状況、収益状況等をタイムリーに把握するために、モニタリング組織を同社内に設置し、当社から人員を派遣して個別のプロジェクトのリスク管理体制を強化している。 (6)その他のリスク上記の他、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があるその他のリスクについて、投資家の理解に資する観点から、以下のとおり補足する。(a) 金利上昇及び為替変動リスク:当社グループは、有利子負債の削減を軸に財務体質の強化を進めるとともに、社内管理規程に基づき、金利変動リスク及び為替変動リスクをヘッジしているが、想定以上の金利上昇や為替変動が発生した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。(b) 固定資産の減損リスク:当社グループが保有する固定資産について、時価が著しく下落した場合や事業の損失が継続するような場合には、固定資産の減損損失の計上により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。(c) 繰延税金資産の回収可能性:当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を合理的に見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上している。将来の課税所得については、経営環境の変化などを踏まえ適宜見直しを行っているが、結果として繰延税金資産の全額または一部に回収可能性がないと判断し、繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

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