事業の概要
- 多角的な重工業川崎重工業グループは、航空宇宙から船舶、鉄道車両、ロボット、二輪車まで、非常に幅広い分野で製品とサービスを提供しています。これは、特定の産業の景気変動に左右されにくい安定した収益構造を持つことを意味します。
- グローバル展開売上の約半分が海外向けであり、米国や中国をはじめとする多くの国に生産・販売拠点を持ち、原材料の調達から製品の輸出までグローバルなサプライチェーンを構築しています。これにより、世界中の多様な市場ニーズに対応し、収益機会を最大化しています。
- 技術と製造力航空機エンジンや鉄道車両、産業用ロボット、水素関連設備など、高度な技術と大規模な製造能力が求められる製品を多く手掛けています。これらの事業は、長年の経験と研究開発によって培われた独自の技術力が収益の源泉となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- パワースポーツ&エンジン事業二輪車やオフロード四輪車、水上オートバイ「ジェットスキー」、汎用エンジンなどを製造・販売しており、売上高4479.27億円、営業利益373.38億円とグループの稼ぎ頭です。特に海外市場での販売が好調で、消費者向けの製品が中心です。
- 精密機械・ロボット事業油圧機器や産業用ロボットの製造・販売を手掛けており、売上高2526.78億円、営業利益166.07億円と高い収益性を誇ります。工場の自動化や省力化ニーズの高まりを背景に、今後の成長が期待される分野です。
- 航空宇宙システム事業航空機本体や航空機用エンジン、宇宙関連機器などを製造・販売していますが、売上高2982.12億円に対し営業利益は-97.02億円と赤字です。大型プロジェクトの進捗や開発費が影響している可能性があります。
2022-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| AerospaceSystems | 事業 | 2,982 | -97 | -3.3% |
| RollingStock | 事業 | 1,267 | 33 | 2.6% |
| EnergySolutionAndMarineReportableSegment | 事業 | 2,973 | 12 | 0.4% |
| PrecisionMachineryAndRobot | 事業 | 2,527 | 166 | 6.6% |
| MotorcycleAndEngine | 事業 | 4,479 | 373 | 8.3% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社グループは、当社(提出会社)、子会社136社及び関連会社(共同支配企業を含む)31社により構成されており、当社を中心として航空宇宙システム事業、車両事業、エネルギーソリューション&マリン事業、精密機械・ロボット事業、パワースポーツ&エンジン事業及びその他事業を営んでいます。これらの6事業区分はセグメント情報の報告セグメントの区分と同一です。当社グループの主な事業内容と当社及び主要関係会社の位置づけを概説すれば、以下のとおりです。 [主な事業内容]航空宇宙システム事業航空機、航空機用エンジン、宇宙関連機器等の製造・販売車両事業鉄道車両、除雪機械等の製造・販売エネルギーソリューション&マリン事業エネルギー関連機器・システム、水素関連設備、舶用推進関連機器・システム、プラント関連機器・システム、船舶、破砕機等の製造・販売精密機械・ロボット事業油圧機器、産業用ロボット等の製造・販売パワースポーツ&エンジン事業二輪車、オフロード四輪車(SxS、ATV)、パーソナルウォータークラフト(PWC)「ジェットスキー」、汎用ガソリンエンジン等の製造・販売その他事業商業、販売・受注の仲介・斡旋、福利施設の管理等 [当社及び主要関係会社の位置づけ]航空宇宙システム事業当社で製造・販売を行っているほか、日本飛行機㈱(連結子会社)が独自に製造・販売並びに製造の一部分担を行っています。車両事業川崎車両㈱(連結子会社)で製造・販売を行っているほか、海外向け鉄道車両についてはKawasaki Rail Car, Inc.(連結子会社)が一部の製造・販売を、Kawasaki Rail Car Lincoln, Inc.(連結子会社)が一部の製造を行っています。エネルギーソリューション&マリン事業当社で製造・販売を行っているほか、川重冷熱工業㈱(連結子会社)がボイラ及び空調機器の製造・販売を独自に行い、㈱カワサキマシンシステムズ(連結子会社)が産業用ガスタービンの販売を、㈱アーステクニカ(連結子会社)が破砕機等の製造・販売を、安徽海螺川崎工程有限公司(持分法適用関連会社)他が産業機械、環境装置等の製造・販売を、南通中遠海運川崎船舶工程有限公司、大連中遠海運川崎船舶工程有限公司(いずれも持分法適用関連会社)が独自に船舶の製造・販売を行っています。精密機械・ロボット事業当社で製造・販売を行っているほか、Flutek, Ltd. (連結子会社)他が油圧機器の製造・販売を、川崎精密機械(蘇州)有限公司(連結子会社)他が製造を、川崎精密機械商貿(上海)有限公司(連結子会社)他が販売を独自に行っています。また、Kawasaki Robotics (USA) Inc.、川崎機器人(昆山)有限公司、川崎機器人(天津)有限公司(いずれも連結子会社)他が産業用ロボットを、㈱メディカロイド(持分法適用関連会社)が医療用ロボットの製造・販売を行っています。パワースポーツ&エンジン事業カワサキモータース㈱(連結子会社)で製造・販売を行っているほか、製造については二輪車、オフロード四輪車(SxS、ATV)、PWC「ジェットスキー」、汎用ガソリンエンジンをKawasaki Motors Manufacturing Corp., U.S.A.、Kawasaki Motores de Mexico S.A. de C.V.、Kawasaki Motors Enterprise (Thailand) Co., Ltd.(いずれも連結子会社)他がそれぞれ製造しています。また、販売面においては、国内向け二輪車他を㈱カワサキモータースジャパン(連結子会社)が、海外向け二輪車他をKawasaki Motors Corp., U.S.A.、Kawasaki Motors Europe N.V.、Kawasaki Motors (Phils.) Corporation、PT. Kawasaki Motor Indonesia(いずれも連結子会社)他が、それぞれ販売しています。その他事業川重商事㈱(連結子会社)他が商業を、㈱カワサキライフコーポレーション(連結子会社)他が商業及び福利施設管理等の諸事業を営んでいます。 以上で述べた事項を事業系統図によって示せば、次のとおりです。 (注) 1 実線枠は連結子会社、点線枠は持分法適用関連会社であり、主要な会社のみ記載しています。2 他3社は安徽海螺川崎装備製造有限公司、安徽海螺川崎節能設備製造有限公司、上海海螺川崎節能環保工程有限公司です。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 インフレによる調達品価格高騰に対し、販売契約へのエスカレーション条項織込みや販売価格への反映で対応 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 航空宇宙、精密機械・ロボット、エネルギーソリューションなど多岐にわたる製品の製造・開発技術 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:コンプライアンス違反 / 製品の欠陥や品質不備 / プロジェクトの契約・履行における損失
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
川崎重工業は、航空宇宙、鉄道車両、船舶、エネルギー・プラントなどの分野で長年の実績と技術力を有する。特に防衛関連や宇宙関連では、高度な技術力と政府との関係性が参入障壁となり得るが、明確な特許やブランドによる独占的優位性は限定的。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
顧客は、航空機メーカーや鉄道会社、エネルギー企業など、特定の仕様や信頼性が求められる分野の企業が多い。一度採用された部品やシステムは、認証やテストに時間がかかるため、切り替えにはコストと時間がかかる可能性がある。しかし、技術革新やコスト競争力で代替されるリスクもある。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
川崎重工業の事業は、特定のプラットフォーム上でユーザーが増えることで価値が増大するようなネットワーク効果は基本的に見られない。
コスト優位★★☆☆☆
大規模な生産設備と長年の製造ノウハウにより、一定のコスト競争力を持つ。特に、大量生産が可能な分野(例:一部の鉄道車両や汎用エンジン)では効率的な生産が可能。しかし、受注生産やカスタムメイドが多い分野では、コスト優位性は限定的。
規模の経済★★★★☆
航空宇宙、鉄道車両、船舶、ガスタービン・機械、油圧機器などの多岐にわたる事業分野で、それぞれ業界内で一定以上のシェアと規模を持つ。特に、大型プラントや船舶、航空機関連では、巨額の設備投資と高度な技術力を持つプレイヤーが限られており、規模の経済が働く。
- 広範な技術力航空宇宙から精密機械、エネルギー分野まで多岐にわたる事業を展開しており、それぞれの分野で培われた高度な技術が強みです。例えば、水素関連技術やロボット技術は、今後の成長が期待される分野で競争優位性をもたらす可能性があります。
- グローバルな生産・販売網世界中に生産拠点と販売網を持つことで、各地域の市場ニーズに迅速に対応し、効率的なサプライチェーンを構築しています。これにより、特定の地域に依存しない安定した事業運営が可能となり、規模の経済も享受しやすいと考えられます。
- ブランドと信頼性川崎重工業は長年にわたり、高品質で信頼性の高い製品を提供してきた実績があります。特に、航空機や鉄道車両、船舶といった社会インフラを支える製品においては、そのブランド力と信頼性が顧客からの継続的な受注につながる重要な要素となります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。[経営の基本方針]当社グループは、カワサキグループ・ミッションステートメントにおいて、「世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する“Global Kawasaki”」をグループミッションとして掲げ、最先端の技術で新たな価値を創造し、顧客や社会の可能性を切り拓く企業グループを目指しています。また、「質主量従」「リスクマネジメント」を指針とし、資本コストを上回る利益を安定的に創出するとともに、社会課題に対するソリューションの提供を通じてSDGs達成に貢献すべく、経済的価値・社会的価値の2つの軸で企業価値を高める経営を推進していきます。 [中長期的な会社の経営戦略・対処すべき課題]当社グループが2030年に向けて目指す将来像として示した「グループビジョン2030」は今年で制定6年目となり、その実現に向けて各種施策を推進しています。既存事業の強化、事業間シナジー促進による将来の柱となる新事業育成、新たな社会課題のソリューションを提供することで持続的な成長を追求しています。 《注力するフィールド》地球環境問題や高齢化社会・労働力不足への対応等に加え、防災・防衛・エネルギー・資源・食料の観点から国家の安全保障に対する関心が高まっており、以下の3つのフィールドに注力しています。 「安全安心リモート社会」-安全安心の新しい価値を創出医療・ヘルスケア、介護、ものづくり、産業インフラ等様々な分野で、当社グループが有するAI・遠隔操作・情報技術、ロボティクス技術等を活用することで、働き方の変革に加え、防災・防衛等あらゆる場面を想定し、すべての人々が安全・安心に暮らせる社会の実現に向けて取り組んでいます。 「近未来モビリティ」-新しい輸送システムで人とモノの移動を変革物流量の増加や少子高齢化に伴う労働力不足の中で、新しい輸送・移動手段の提案を通じて、豊かでスマートかつシームレスな移動の実現に取り組んでいます。災害時の物資輸送と合わせて、民需に限らず様々なケースに対応したソリューションの一つとして日本の安全保障や社会インフラ強化にも貢献していきます。 「エネルギー・環境ソリューション」-クリーンエネルギーの安定供給に向けて中東情勢悪化の影響を受けて、当社グループが進めている水素事業はカーボンニュートラル需要に加えて、エネルギー安全保障としての重要性がますます高まっています。このような状況のもと、水素社会実現に向け、液化水素サプライチェーン商用化実証を目的として、液化水素基地建設や液化水素運搬船の建造などのプロジェクトを着実に進めています。 取組の詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) 戦略並びに指標及び目標 《事業を通じて創出する社会・環境価値~3つの注力フィールド~》」をご参照下さい。 《成長シナリオ》「グループビジョン2030」は成長シナリオに沿って着実に進捗しています。2025年度は、受注・売上・利益において過去最高を更新し、すべての事業で黒字を確保できる体質へと転換しました。2030年度の目標値である事業利益率10%に既に到達した事業もあり、全社で2027年度の目標8%へ到達することの蓋然性が高まってきました。引き続きすべての事業において事業利益率10%超を目指して活動するとともに、水素や医療ロボット等の新事業の早期事業化を目指します。成長シナリオを一層進めるために、AI活用の推進や、“やりがい”“成長”を実感できる働き方等を実現していきます。更に、従業員の多様性を尊重した上で個性と能力を発揮できる環境をつくり、一人ひとりが自ら高い目標を掲げ、その達成に向かって挑戦し続ける風土・文化を醸成します。 《コンプライアンス強化、組織風土・意識改革に向けて》2024年に判明した当社グループの潜水艦修繕事業及び舶用エンジン事業における不正事案については、取締役会決議に基づき社外有識者で構成する特別調査委員会を設置し、中間報告を同年12月及び2025年1月に公表しました。また、両事案に関する類似案件の有無に係る追加調査についても、その調査結果を2025年12月に公表しました。同追加調査をもって特別調査委員会による調査は完了しましたが、当社グループでは度重なるコンプライアンス事案の判明並びに両事案の特別調査委員会からの報告を重く受け止めるとともに、提言された再発防止策も踏まえて、引き続き社長を委員長とするコンプライアンス特別推進委員会主導のもと、特別調査委員会からの提言も踏まえ、「膿を出し切る」という強い覚悟で主体的にグループ全体の組織風土・ガバナンスにおける課題に向き合い、実効性の高い再発防止策に徹底して取り組んでいます。検査プロセスの自動化をはじめとする「不正ができない仕組みの構築」、経費精算データ監査といった「不正発見の強化」、風通しの良い職場環境の醸成を目指した「組織風土・意識改革」を改革の3本柱として、その進捗状況を定期的に取締役会へ報告しています。また、2024年には本社に防衛事業管理本部を設立し、防衛事業に関わる情報の一元管理、渉外活動を中心とする対外的な窓口を一本化するとともに、ガバナンス、コンプライアンス並びにセキュリティ体制を強化しています。2025年には法務組織を本部に格上げし、これまで以上に法務機能を強化するとともに、当社グループの監査組織体制を見直し、監査機能を集約する等、第2線、第3線の体制を整備しました。加えて、社内取締役だけに留まらず、執行役員や社外取締役も対象者とする役員報酬返還規程を新たに設け、取締役及び執行役員に対する更なるコンプライアンス意識の向上を図っています。2026年4月からは監査総括部長を執行役員とし経営への関与を高める体制としたほか、組織体制においても人事本部内に新たに「組織風土改革・コンプライアンス総括部」を設置し、信頼と対話を基盤とした風通しの良い組織風土への改革を加速させていきます。また、品質保証機能の更なる高度化及びガバナンス体制の確立のために、事業部門内の品質保証体制を見直すとともに、社長直下に「品質保証総括部」も新設しました。第1線、第2線、第3線それぞれの体制整備と機能強化を実施しつつ再発防止策を強力に推進し、川崎重工グループ全体のコンプライアンス・ガバナンス体制の強化に引き続き取り組んでいきます。「不正ができない仕組みの構築」「不正発見の強化」「組織風土・意識改革」における主な取組は以下のとおりです。 ①不正ができない仕組みの構築 ・舶用エンジン事業における不正事案を受け、全グループで2024年度に試験・検査プロセスにおける不正リスクについて調査を実施し、不正リスクが確認されたプロセスについては対策を実施しました。 ・検査工程等においてデータを書き換えることができない自動システムの導入に全社的に取り組んでおり、各事業部門でロードマップを作成し、それに従った対応を推進するとともに、毎年度末に自動化の進捗状況を確認する調査を実施する予定です。 ・潜水艦修繕事業における不正事案では、修繕部門において取引先への架空発注が可能になっていたことが不正の原因の一つとなっていたことを踏まえ、2025年10月末までに、全グループで「調達等プロセス調査」を実施し、調達プロセス上の不正リスクを抽出の上、不正リスクが確認されたプロセスについては是正を行いました。 ②不正発見の強化 ・適切な経理処理はコンプライアンスの基礎であるという観点から、従業員が業務遂行時に使用する費用の精算について、社内規程や運用ルールの厳格化を図ったほか、当社グループ従業員の経費精算データを監視するデータ監査の運用を開始し、経費不正の抑止や早期発見を図っています。 ・不正への抑止力として、個別の不正行為を能動的に発見するため、試験・検査プロセスまで踏み込んだ監査を導入するなど、品質に関する監査を強化しています。 ・2024年4月に内部通報制度の受付窓口となる弁護士を増員して3名体制として運営体制を増強するとともに、通報により問題が是正された事例を社内報で紹介するなど、内部通報制度の利用の呼びかけを強化しました。 ③組織風土・意識改革 ・長年にわたり継続的に行われてきたコンプライアンス違反の背景には、前例踏襲や事なかれ主義、困りごとを抱え込んでしまう組織風土がありました。そこで、組織風土や意識の改革のため、職場環境の客観的把握や経営層と従業員の対話、新入社員やキャリア採用者などの従来と異なる視点・観点による気づきの重視、人財交流の活性化など、風通しの良い職場環境の醸成を進めています。加えて、2026年4月に人事本部内に新たに設置した「組織風土改革・コンプライアンス総括部」は、困難な課題に直面した際にも部門の枠を超えて協力し合い適切に課題解決が図られる組織の構築を目指すとともに、従業員が不安や問題を抱えた場合に安心して相談できる窓口を設けるなど、従業員に寄り添う文化の醸成を推進します。 ・2025年1月に、「あらゆる局面でコンプライアンスは全てのことに優先し、法令や社会的ルールに違反した企業活動並びに活動によって得られた利益は無意味であること」というコンプライアンスファーストの考え方を明記した「法務・コンプライアンス基本方針」を制定しました。 ・行動規範の読み合わせ活動やeラーニングなどの従業員に向けたコンプライアンス教育のほか、コンプライアンスの重要性に関する社長メッセージの定期的な発信など、従業員のコンプライアンス意識強化を進めています。 ・従業員に不正事案の発生原因や社会に与える負のインパクトを正しく認識してもらうとともに、不正事案の風化防止を目的として、神戸工場内に恒久的なコンプライアンス啓発施設を設置する予定です。 当社グループは、この機会にすべての膿を出し切り、これまでの体制を見直すだけでなく、風土・文化を抜本的に変える覚悟を持ってコンプライアンス・ガバナンス体制を再構築し、再発防止策を徹底していきます。再び皆様からの信頼を得られるよう、全社一丸となって改革に全力で取り組んでまいります。 [経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題]世界経済は、中東情勢を発端とする原油価格高騰と供給制約により各国において景気減速やインフレなどのリスクが顕在化しています。更に、長期化する中国経済の停滞や米中関係の緊張、米国関税の影響も重なり、先行きは不透明さを増しています。国内においては、好調な雇用・所得環境や個人消費の回復、設備投資の拡大など内需主導で緩やかな景気回復が続いているものの、今後の中東情勢や各国の政策、金融資本市場の変動などの経済への影響には引き続き注視が必要です。特に中東情勢の動向については、原油の供給制約により一部の事業で操業に影響が出始めており、当社グループ全体としても慎重に見極めて対応していきます。このような状況のもと、当社グループは収益性の向上に向け、適正な販売価格の実現やコスト競争力の強化、サプライチェーンの多様化に継続的に取り組んでいきます。また、経営資源の投入については、案件の厳選に努めつつも、注力する3つのフィールドについては、スピード感をもって積極的な投資を実行するなど、メリハリのある意思決定を行っていきます。資金面に関しても、上述の収益性向上や投資選別のほか、適正在庫の実現、資産圧縮などの対応策を進めることで、キャッシュ・フロー創出力の強化及び有利子負債の削減に努めていきます。 [経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等]経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を、事業利益率及び税後ROIC※とし、グループ全体として事業利益率を2027年度までに8%、2030年度までに10%超、税後ROICは資本コスト(WACC)+3%以上を目標としています。これらの経営指標の改善の結果として自己資本利益率(ROE = 親会社の所有者に帰属する当期利益 ÷ 自己資本の期首・期末平均)の向上も図っていきます。 ※税後ROIC = (親会社の所有者に帰属する当期利益 + 支払利息 × (1 - 実効税率)) ÷ 投下資本 (純有利子負債の期首・期末平均 + 自己資本の期首・期末平均) [セグメントごとの戦略及び課題]① 航空宇宙システム事業・事業拡大に向けた体制整備:旺盛な需要に対応するサプライチェーン及び増産体制の再整備。新たな事業機会獲得に向け業務効率化・生産性の向上を推進。防衛航空機・ヘリコプタの既受注開発案件・量産契約の着実な推進。・防衛事業に係る活動強化:防衛省が掲げる、防衛力強化に向けた7つの重視分野への取り組み推進。・市場動向を踏まえた技術戦略の推進:防衛力強化の実現に向けた民生技術の活用を含む技術開発の促進。NEDOグリーンイノベーション基金活用による脱炭素社会に向けた環境技術開発の推進。 ② 車両事業・海外案件の納入スケジュール遵守:ダッカ6号線 2024年度 最終車両引き渡し完了、2026年度 基地設備引き渡し。米国R211 2024年度 最終車両の出車完了(Base契約)、量産車引き渡し開始(Option1契約)、2025年度 最終車両引き渡し(Base契約)。・顧客に信頼される品質レベルの達成:仕損じ、手直し費用の削減。国内外拠点でのKPS(Kawasaki Production System)による生産管理の維持。・部品・サービスの拡販、保守分野の事業拡大:北米向け軌道遠隔監視装置の拡販とサービス提供プラットフォームの構築。国内鉄道事業者向け車両状態監視事業の推進。 ③ エネルギーソリューション&マリン事業・低炭素・脱炭素社会実現に向け貢献する製品の提供:LPG/アンモニア運搬船、高効率ガスタービン/ガスエンジン、ごみ処理施設(省エネ)、舶用ハイブリッド推進システム。・脱炭素エネルギーへのトランジション製品の展開:液化水素運搬船、水素出荷・受入基地の商用化、舶用水素ボイラ・舶用水素エンジンの開発、低炭素(天然ガス炊き、水素混焼)から脱炭素(水素専焼)に対応できるガスタービン/ガスエンジンを活用した熱電供給及び省エネシステムの導入推進、豊富な実績を有するLNGタンク案件の確実な遂行、CO2分離回収技術の開発。 ④ 精密機械・ロボット事業油圧事業の発展に向けた施策・建機向け新製品開発/市場開拓:電動化・自動化に向け、高い制御技術・開発力を活用し市場を開拓。・サービス事業の強化:海外販売ネットワークの構築・拡大によるサービス事業の強化。・水素関連事業/防衛事業の強化:水素圧縮機、燃料電池システムなどの開発や、川崎重工グループ内向け防衛関連製品の拡充。 ロボット事業の戦略性のある挑戦・高付加価値領域への集中投資:半導体市場の本格的回復に向けた供給体制整備、及び新分野への事業拡大。・医療向け事業の強化:「hinotori™」の欧州展開、及び遠隔操作技術等による差別化(FORRO・mapxus Driven by Kawasaki™との連携)。・成長分野への投資加速:日中開発生産体制によるコスト競争力の強化、成長分野へのリソースシフトの加速、ソーシャルロボット事業の具体化(医療・介護)。 ⑤ パワースポーツ&エンジン事業・市場動向に応じた製品の供給:カワサキブランドに根差した魅力あるモデルの投入。在庫水準を意識した機動的な生産・販売計画推進。・四輪ビジネスの強化:北米市場でのマーケットインによる商品力向上と収益性改善の両立。北米二工場(アメリカ、メキシコ)の効率的かつ柔軟な活用による外部環境変化への迅速な対応。・脱炭素社会の実現:川崎重工の総合技術力を活用した電動化や水素エンジンなど幅広い選択肢でカーボンニュートラル社会の実現。・伊藤忠商事グループとの協業推進:2025年4月米国にて伊藤忠商事と合弁でユーザー向けファイナンス会社Kawasaki Motors Retail Finance, LLCを設立し、更なる事業拡大と顧客基盤強化。アジア・中南米・中近東・アフリカ等の新興市場における新規市場開拓等を共同推進。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。[経営の基本方針]当社グループは、カワサキグループ・ミッションステートメントにおいて、「世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する“Global Kawasaki”」をグループミッションとして掲げ、最先端の技術で新たな価値を創造し、顧客や社会の可能性を切り拓く企業グループを目指しています。また、「質主量従」「リスクマネジメント」を指針とし、資本コストを上回る利益を安定的に創出するとともに、社会課題に対するソリューションの提供を通じてSDGs達成に貢献すべく、経済的価値・社会的価値の2つの軸で企業価値を高める経営を推進していきます。 [中長期的な会社の経営戦略・対処すべき課題]当社グループが2030年に向けて目指す将来像として示した「グループビジョン2030」は今年で制定6年目となり、その実現に向けて各種施策を推進しています。既存事業の強化、事業間シナジー促進による将来の柱となる新事業育成、新たな社会課題のソリューションを提供することで持続的な成長を追求しています。 《注力するフィールド》地球環境問題や高齢化社会・労働力不足への対応等に加え、防災・防衛・エネルギー・資源・食料の観点から国家の安全保障に対する関心が高まっており、以下の3つのフィールドに注力しています。 「安全安心リモート社会」-安全安心の新しい価値を創出医療・ヘルスケア、介護、ものづくり、産業インフラ等様々な分野で、当社グループが有するAI・遠隔操作・情報技術、ロボティクス技術等を活用することで、働き方の変革に加え、防災・防衛等あらゆる場面を想定し、すべての人々が安全・安心に暮らせる社会の実現に向けて取り組んでいます。 「近未来モビリティ」-新しい輸送システムで人とモノの移動を変革物流量の増加や少子高齢化に伴う労働力不足の中で、新しい輸送・移動手段の提案を通じて、豊かでスマートかつシームレスな移動の実現に取り組んでいます。災害時の物資輸送と合わせて、民需に限らず様々なケースに対応したソリューションの一つとして日本の安全保障や社会インフラ強化にも貢献していきます。 「エネルギー・環境ソリューション」-クリーンエネルギーの安定供給に向けて中東情勢悪化の影響を受けて、当社グループが進めている水素事業はカーボンニュートラル需要に加えて、エネルギー安全保障としての重要性がますます高まっています。このような状況のもと、水素社会実現に向け、液化水素サプライチェーン商用化実証を目的として、液化水素基地建設や液化水素運搬船の建造などのプロジェクトを着実に進めています。 取組の詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) 戦略並びに指標及び目標 《事業を通じて創出する社会・環境価値~3つの注力フィールド~》」をご参照下さい。 《成長シナリオ》「グループビジョン2030」は成長シナリオに沿って着実に進捗しています。2025年度は、受注・売上・利益において過去最高を更新し、すべての事業で黒字を確保できる体質へと転換しました。2030年度の目標値である事業利益率10%に既に到達した事業もあり、全社で2027年度の目標8%へ到達することの蓋然性が高まってきました。引き続きすべての事業において事業利益率10%超を目指して活動するとともに、水素や医療ロボット等の新事業の早期事業化を目指します。成長シナリオを一層進めるために、AI活用の推進や、“やりがい”“成長”を実感できる働き方等を実現していきます。更に、従業員の多様性を尊重した上で個性と能力を発揮できる環境をつくり、一人ひとりが自ら高い目標を掲げ、その達成に向かって挑戦し続ける風土・文化を醸成します。 《コンプライアンス強化、組織風土・意識改革に向けて》2024年に判明した当社グループの潜水艦修繕事業及び舶用エンジン事業における不正事案については、取締役会決議に基づき社外有識者で構成する特別調査委員会を設置し、中間報告を同年12月及び2025年1月に公表しました。また、両事案に関する類似案件の有無に係る追加調査についても、その調査結果を2025年12月に公表しました。同追加調査をもって特別調査委員会による調査は完了しましたが、当社グループでは度重なるコンプライアンス事案の判明並びに両事案の特別調査委員会からの報告を重く受け止めるとともに、提言された再発防止策も踏まえて、引き続き社長を委員長とするコンプライアンス特別推進委員会主導のもと、特別調査委員会からの提言も踏まえ、「膿を出し切る」という強い覚悟で主体的にグループ全体の組織風土・ガバナンスにおける課題に向き合い、実効性の高い再発防止策に徹底して取り組んでいます。検査プロセスの自動化をはじめとする「不正ができない仕組みの構築」、経費精算データ監査といった「不正発見の強化」、風通しの良い職場環境の醸成を目指した「組織風土・意識改革」を改革の3本柱として、その進捗状況を定期的に取締役会へ報告しています。また、2024年には本社に防衛事業管理本部を設立し、防衛事業に関わる情報の一元管理、渉外活動を中心とする対外的な窓口を一本化するとともに、ガバナンス、コンプライアンス並びにセキュリティ体制を強化しています。2025年には法務組織を本部に格上げし、これまで以上に法務機能を強化するとともに、当社グループの監査組織体制を見直し、監査機能を集約する等、第2線、第3線の体制を整備しました。加えて、社内取締役だけに留まらず、執行役員や社外取締役も対象者とする役員報酬返還規程を新たに設け、取締役及び執行役員に対する更なるコンプライアンス意識の向上を図っています。2026年4月からは監査総括部長を執行役員とし経営への関与を高める体制としたほか、組織体制においても人事本部内に新たに「組織風土改革・コンプライアンス総括部」を設置し、信頼と対話を基盤とした風通しの良い組織風土への改革を加速させていきます。また、品質保証機能の更なる高度化及びガバナンス体制の確立のために、事業部門内の品質保証体制を見直すとともに、社長直下に「品質保証総括部」も新設しました。第1線、第2線、第3線それぞれの体制整備と機能強化を実施しつつ再発防止策を強力に推進し、川崎重工グループ全体のコンプライアンス・ガバナンス体制の強化に引き続き取り組んでいきます。「不正ができない仕組みの構築」「不正発見の強化」「組織風土・意識改革」における主な取組は以下のとおりです。 ①不正ができない仕組みの構築 ・舶用エンジン事業における不正事案を受け、全グループで2024年度に試験・検査プロセスにおける不正リスクについて調査を実施し、不正リスクが確認されたプロセスについては対策を実施しました。 ・検査工程等においてデータを書き換えることができない自動システムの導入に全社的に取り組んでおり、各事業部門でロードマップを作成し、それに従った対応を推進するとともに、毎年度末に自動化の進捗状況を確認する調査を実施する予定です。 ・潜水艦修繕事業における不正事案では、修繕部門において取引先への架空発注が可能になっていたことが不正の原因の一つとなっていたことを踏まえ、2025年10月末までに、全グループで「調達等プロセス調査」を実施し、調達プロセス上の不正リスクを抽出の上、不正リスクが確認されたプロセスについては是正を行いました。 ②不正発見の強化 ・適切な経理処理はコンプライアンスの基礎であるという観点から、従業員が業務遂行時に使用する費用の精算について、社内規程や運用ルールの厳格化を図ったほか、当社グループ従業員の経費精算データを監視するデータ監査の運用を開始し、経費不正の抑止や早期発見を図っています。 ・不正への抑止力として、個別の不正行為を能動的に発見するため、試験・検査プロセスまで踏み込んだ監査を導入するなど、品質に関する監査を強化しています。 ・2024年4月に内部通報制度の受付窓口となる弁護士を増員して3名体制として運営体制を増強するとともに、通報により問題が是正された事例を社内報で紹介するなど、内部通報制度の利用の呼びかけを強化しました。 ③組織風土・意識改革 ・長年にわたり継続的に行われてきたコンプライアンス違反の背景には、前例踏襲や事なかれ主義、困りごとを抱え込んでしまう組織風土がありました。そこで、組織風土や意識の改革のため、職場環境の客観的把握や経営層と従業員の対話、新入社員やキャリア採用者などの従来と異なる視点・観点による気づきの重視、人財交流の活性化など、風通しの良い職場環境の醸成を進めています。加えて、2026年4月に人事本部内に新たに設置した「組織風土改革・コンプライアンス総括部」は、困難な課題に直面した際にも部門の枠を超えて協力し合い適切に課題解決が図られる組織の構築を目指すとともに、従業員が不安や問題を抱えた場合に安心して相談できる窓口を設けるなど、従業員に寄り添う文化の醸成を推進します。 ・2025年1月に、「あらゆる局面でコンプライアンスは全てのことに優先し、法令や社会的ルールに違反した企業活動並びに活動によって得られた利益は無意味であること」というコンプライアンスファーストの考え方を明記した「法務・コンプライアンス基本方針」を制定しました。 ・行動規範の読み合わせ活動やeラーニングなどの従業員に向けたコンプライアンス教育のほか、コンプライアンスの重要性に関する社長メッセージの定期的な発信など、従業員のコンプライアンス意識強化を進めています。 ・従業員に不正事案の発生原因や社会に与える負のインパクトを正しく認識してもらうとともに、不正事案の風化防止を目的として、神戸工場内に恒久的なコンプライアンス啓発施設を設置する予定です。 当社グループは、この機会にすべての膿を出し切り、これまでの体制を見直すだけでなく、風土・文化を抜本的に変える覚悟を持ってコンプライアンス・ガバナンス体制を再構築し、再発防止策を徹底していきます。再び皆様からの信頼を得られるよう、全社一丸となって改革に全力で取り組んでまいります。 [経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題]世界経済は、中東情勢を発端とする原油価格高騰と供給制約により各国において景気減速やインフレなどのリスクが顕在化しています。更に、長期化する中国経済の停滞や米中関係の緊張、米国関税の影響も重なり、先行きは不透明さを増しています。国内においては、好調な雇用・所得環境や個人消費の回復、設備投資の拡大など内需主導で緩やかな景気回復が続いているものの、今後の中東情勢や各国の政策、金融資本市場の変動などの経済への影響には引き続き注視が必要です。特に中東情勢の動向については、原油の供給制約により一部の事業で操業に影響が出始めており、当社グループ全体としても慎重に見極めて対応していきます。このような状況のもと、当社グループは収益性の向上に向け、適正な販売価格の実現やコスト競争力の強化、サプライチェーンの多様化に継続的に取り組んでいきます。また、経営資源の投入については、案件の厳選に努めつつも、注力する3つのフィールドについては、スピード感をもって積極的な投資を実行するなど、メリハリのある意思決定を行っていきます。資金面に関しても、上述の収益性向上や投資選別のほか、適正在庫の実現、資産圧縮などの対応策を進めることで、キャッシュ・フロー創出力の強化及び有利子負債の削減に努めていきます。 [経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等]経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を、事業利益率及び税後ROIC※とし、グループ全体として事業利益率を2027年度までに8%、2030年度までに10%超、税後ROICは資本コスト(WACC)+3%以上を目標としています。これらの経営指標の改善の結果として自己資本利益率(ROE = 親会社の所有者に帰属する当期利益 ÷ 自己資本の期首・期末平均)の向上も図っていきます。 ※税後ROIC = (親会社の所有者に帰属する当期利益 + 支払利息 × (1 - 実効税率)) ÷ 投下資本 (純有利子負債の期首・期末平均 + 自己資本の期首・期末平均) [セグメントごとの戦略及び課題]① 航空宇宙システム事業・事業拡大に向けた体制整備:旺盛な需要に対応するサプライチェーン及び増産体制の再整備。新たな事業機会獲得に向け業務効率化・生産性の向上を推進。防衛航空機・ヘリコプタの既受注開発案件・量産契約の着実な推進。・防衛事業に係る活動強化:防衛省が掲げる、防衛力強化に向けた7つの重視分野への取り組み推進。・市場動向を踏まえた技術戦略の推進:防衛力強化の実現に向けた民生技術の活用を含む技術開発の促進。NEDOグリーンイノベーション基金活用による脱炭素社会に向けた環境技術開発の推進。 ② 車両事業・海外案件の納入スケジュール遵守:ダッカ6号線 2024年度 最終車両引き渡し完了、2026年度 基地設備引き渡し。米国R211 2024年度 最終車両の出車完了(Base契約)、量産車引き渡し開始(Option1契約)、2025年度 最終車両引き渡し(Base契約)。・顧客に信頼される品質レベルの達成:仕損じ、手直し費用の削減。国内外拠点でのKPS(Kawasaki Production System)による生産管理の維持。・部品・サービスの拡販、保守分野の事業拡大:北米向け軌道遠隔監視装置の拡販とサービス提供プラットフォームの構築。国内鉄道事業者向け車両状態監視事業の推進。 ③ エネルギーソリューション&マリン事業・低炭素・脱炭素社会実現に向け貢献する製品の提供:LPG/アンモニア運搬船、高効率ガスタービン/ガスエンジン、ごみ処理施設(省エネ)、舶用ハイブリッド推進システム。・脱炭素エネルギーへのトランジション製品の展開:液化水素運搬船、水素出荷・受入基地の商用化、舶用水素ボイラ・舶用水素エンジンの開発、低炭素(天然ガス炊き、水素混焼)から脱炭素(水素専焼)に対応できるガスタービン/ガスエンジンを活用した熱電供給及び省エネシステムの導入推進、豊富な実績を有するLNGタンク案件の確実な遂行、CO2分離回収技術の開発。 ④ 精密機械・ロボット事業油圧事業の発展に向けた施策・建機向け新製品開発/市場開拓:電動化・自動化に向け、高い制御技術・開発力を活用し市場を開拓。・サービス事業の強化:海外販売ネットワークの構築・拡大によるサービス事業の強化。・水素関連事業/防衛事業の強化:水素圧縮機、燃料電池システムなどの開発や、川崎重工グループ内向け防衛関連製品の拡充。 ロボット事業の戦略性のある挑戦・高付加価値領域への集中投資:半導体市場の本格的回復に向けた供給体制整備、及び新分野への事業拡大。・医療向け事業の強化:「hinotori™」の欧州展開、及び遠隔操作技術等による差別化(FORRO・mapxus Driven by Kawasaki™との連携)。・成長分野への投資加速:日中開発生産体制によるコスト競争力の強化、成長分野へのリソースシフトの加速、ソーシャルロボット事業の具体化(医療・介護)。 ⑤ パワースポーツ&エンジン事業・市場動向に応じた製品の供給:カワサキブランドに根差した魅力あるモデルの投入。在庫水準を意識した機動的な生産・販売計画推進。・四輪ビジネスの強化:北米市場でのマーケットインによる商品力向上と収益性改善の両立。北米二工場(アメリカ、メキシコ)の効率的かつ柔軟な活用による外部環境変化への迅速な対応。・脱炭素社会の実現:川崎重工の総合技術力を活用した電動化や水素エンジンなど幅広い選択肢でカーボンニュートラル社会の実現。・伊藤忠商事グループとの協業推進:2025年4月米国にて伊藤忠商事と合弁でユーザー向けファイナンス会社Kawasaki Motors Retail Finance, LLCを設立し、更なる事業拡大と顧客基盤強化。アジア・中南米・中近東・アフリカ等の新興市場における新規市場開拓等を共同推進。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。これらは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の経営方針・経営戦略等を踏まえて分析しています。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1) 経営成績の状況① 連結業績の概況世界経済は、中東情勢を発端とする原油価格高騰と供給制約により各国において景気減速やインフレなどのリスクが顕在化しています。更に、長期化する中国経済の停滞や米中関係の緊張、米国関税の影響も重なり、先行きは不透明さを増しています。国内においては、好調な雇用・所得環境や個人消費の回復、設備投資の拡大など内需主導で緩やかな景気回復が続いているものの、今後の中東情勢や各国の政策、金融資本市場の動向などの経済への影響には引き続き注視が必要です。特に中東情勢の動向については、原油の供給制約により一部の事業で操業に影響が出始めており、当社グループとしても慎重に見極めて対応していきます。このような経営環境の中で、当連結会計年度における当社グループの連結受注高は、航空宇宙システム事業で減少となったものの、車両事業、精密機械・ロボット事業などでの増加により、前期比で増加となりました。連結売上収益については、パワースポーツ&エンジン事業を中心とした各事業での増収により、前期比で増収となりました。利益面に関しては、事業利益は、パワースポーツ&エンジン事業での減益はあったものの、エネルギーソリューション&マリン事業、精密機械・ロボット事業での増益などにより、前期比で増益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、事業利益の増加や為替差損益の改善などにより、前期比で増益となりました。この結果、当社グループの連結受注高は前期比1,084億円増加の2兆7,391億円、連結売上収益は前期比1,819億円増収の2兆3,112億円、事業利益は前期比19億円増益の1,451億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比201億円増益の1,081億円となりました。また、事業利益率は6.3%、税後ROIC※は9.0%、ROEは13.7%となりました。なお、株価変動による資本構成の変化等を反映し、資本コスト(WACC)は約10%と算出しています。2024年に判明した当社グループの潜水艦修繕事業及び舶用エンジン事業における不正事案については、特別調査委員会による中間報告を同年12月及び2025年1月に公表しました。また、両事案に関する類似案件の有無に係る追加調査についても、その調査結果を2025年12月に公表しました。同追加調査をもって特別調査委員会による調査は完了しましたが、当社グループでは度重なるコンプライアンス事案の判明並びに両事案の特別調査委員会からの報告を重く受け止めるとともに、提言された再発防止策も踏まえて、引き続き社長を委員長とするコンプライアンス特別推進委員会主導のもと、グループ全体のコンプライアンス・ガバナンス体制の強化に向けた実効性の高い再発防止策に徹底して取り組み、皆様からの信頼回復に全力で努めてまいります。本件の影響額は当連結会計年度の期末日時点の見積もりに基づいて反映しておりますが、今後開示すべき事項が発生した場合は速やかに公表いたします。 ※ 税後ROIC = (親会社の所有者に帰属する当期利益 + 支払利息 × (1 - 実効税率)) ÷ 投下資本 (純有利子負債の期首・期末平均 + 自己資本の期首・期末平均) ② セグメント別業績の概要航空宇宙システム事業抜本的な防衛力強化や航空旅客需要の回復による需要の増加が期待される中で、連結受注高は、民間航空機向け分担製造品や民間航空エンジン分担製造品などが増加したものの、防衛省向けの大口案件の受注があった前期に比べ719億円減少の8,109億円となりました。連結売上収益は、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品などが増加したことにより、前期に比べ458億円増収の6,136億円となりました。事業利益は、増収などにより、前期に比べ66億円増益の624億円となりました。 車両事業国内市場はインバウンドの復調等により鉄道車両への投資が継続しており、海外市場は大都市の混雑緩和対策のための都市交通整備などに伴う需要が見込まれる中で、連結受注高は、前期に引き続きニューヨーク市交通局向け新型地下鉄電車を受注したことなどにより、前期に比べ675億円増加の3,191億円となりました。連結売上収益は、国内・米国向けが増加したことなどにより、前期に比べ138億円増収の2,362億円となりました。事業利益は、増収などにより、前期に比べ2億円増益の86億円となりました。 エネルギーソリューション&マリン事業国内外の分散型電源需要やエネルギーインフラ整備需要は依然根強く、国内ごみ焼却設備の老朽化更新需要も継続しています。連結受注高は、前期に複数隻を受注したLPG/アンモニア運搬船などの減少はあったものの、国内向けごみ処理施設建替工事や国内向けLNG基地大型増強工事を受注したことなどにより、前期に比べ108億円増加の5,529億円となりました。連結売上収益は、船舶海洋分野やプラント分野での増収などにより、前期に比べ354億円増収の4,335億円となりました。事業利益は、増収や持分法による投資利益の増加などにより、前期に比べ107億円増益の550億円となりました。 精密機械・ロボット事業中国建設機械市場は鉱山向け需要や輸出を中心に拡大傾向にあり、AI向け半導体の急成長と汎用メモリの深刻な不足により、半導体製造装置向けロボットの需要が高まる傾向にある中で、連結受注高は、中国建設機械市場向け油圧機器が増加したことなどにより、前期に比べ292億円増加の2,785億円となりました。連結売上収益は、中国建設機械市場向け油圧機器が好調を維持していることや半導体製造装置向けロボットが増加したことなどにより、前期に比べ176億円増収の2,591億円となりました。事業利益は、増収や持分法による投資損益の改善などにより、前期に比べ73億円増益の143億円となりました。 パワースポーツ&エンジン事業米国における関税措置を背景とした市場環境の変化やコスト構造の変化に加えて、中東情勢の影響が懸念される中で、連結売上収益は、北米向け四輪車や先進国向け二輪車の増加などにより、前期に比べ734億円増収の6,828億円となりました。事業利益は、増収はあったものの、関税コストの上昇に加え、米国パワースポーツ市場における競争環境激化を背景とした採算性の低下、増産投資に伴う固定費の増加などにより、前期に比べ251億円減益の227億円となりました。 その他事業連結売上収益は、前期に比べ43億円減収の858億円となりました。事業利益は、前期に比べ18億円増益の70億円となりました。 当社グループは「グループビジョン2030」において、注力するフィールドを「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「エネルギー・環境ソリューション」とし、手術支援ロボットや屋内配送ロボットなどの製品・サービスとAI・遠隔技術を組み合わせた病院経営の効率化支援などや、通常の物資輸送だけでなく災害時を含めた様々なケースでの活用を想定した無人ヘリコプタなどのモビリティの開発に取り組んでいます。また、水素エネルギーは我が国のカーボンニュートラルだけでなくエネルギー安全保障の観点からも重要性を増しており、液化水素サプライチェーン商用化実証を開始するなど、CO2分離・回収・利用事業などと合わせて早期実用化を目指しています。 (2) 財政状態の状況(資産)流動資産は、営業債権及びその他の債権などの増加により前期末に比べ2,321億円増加し、2兆2,560億円となりました。非流動資産は、有形固定資産の増加などにより前期末に比べ755億円増加し、1兆685億円となりました。この結果、総資産は前期末に比べ3,076億円増加の3兆3,246億円となりました。 (負債)有利子負債は、前期末に比べ863億円減少の6,061億円となりました。負債全体では、営業債務及びその他の債務や契約負債の増加などにより前期末に比べ842億円増加の2兆3,761億円となりました。 (資本)資本は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上などにより、前期末に比べ2,234億円増加の9,484億円となりました。 (3) キャッシュ・フローの状況当期末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前期末に比べ173億円減の1,154億円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、前期に比べ88億円減の1,400億円となりました。収入の主な内訳は、減価償却費及び償却費1,038億円、営業債務及びその他の債務の増加額667億円であり、支出の主な内訳は、営業債権及びその他の債権の増加額864億円、前渡金の増加額332億円です。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果支出した資金は、前期に比べ168億円増の1,280億円となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果支出した資金は、前期に比べ428億円増の332億円となりました。これは主に短期借入金の純減によるものです。 (4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析 ① 財務政策当社グループの運転資金・投資向け資金等の必要資金については、主として営業キャッシュ・フローで獲得した資金を財源としていますが、必要に応じて、短期的な資金については銀行借入やコマーシャル・ペーパーなど、設備投資資金・投融資資金等の長期的な資金については、設備投資・事業投資計画に基づき、金融市場動向や固定資産とのバランス、既存借入金及び既発行債の償還時期などを総合的に勘案し、長期借入金や社債などによって調達しています。当社グループは上述の多様な資金調達源に加え、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、事業活動に必要な資金の流動性を確保しています。また、当社と国内子会社間、また海外の一部地域の関係会社間ではキャッシュ・マネジメント・システムによる資金融通を行っており、グループ内の資金効率向上に努めています。 ② 資金需要の主な内容当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では生産活動に必要な運転資金(材料費、外注費、人件費等)、受注活動又は販売促進のための販売費、新規事業の立ち上げや製品競争力の強化のための研究開発費などがあります。投資活動に係る資金支出には、事業の遂行、新規立ち上げ、生産性向上のための設備や施設への投資などがあります。 (5) 経営方針・経営戦略及び経営指標等に照らした経営成績等の分析・検討当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を事業利益率及びROICとし、事業利益率については2027年度に8%、2030年度に10%超の水準、税後ROICについては資本コスト(WACC)+3%以上を確保すべく努めていきます。なお、株価変動による資本構成の変化等を反映し、現状のWACCは約10%と算出しています。2025年度は、事業利益1,451億円、事業利益率6.3%、税後ROIC9.0%とパワースポーツ&エンジン事業での減益はあったものの、エネルギーソリューション&マリン事業、精密機械・ロボット事業での増益などにより、前期比で増益となりました。2026年度は、各事業の増収による増益に加え、エネルギーソリューション&マリン事業の採算性改善が進み、事業利益は1,700億円、事業利益率6.6%、税後ROIC8.6%を見込んでいます。なお、中東情勢による足元の当社グループの業績への影響については一定程度反映しています。収益性の向上及び有利子負債の圧縮に取り組み、掲げた見通しの超過達成に向けて取り組んでいきます。「グループビジョン2030」においては、まずパワースポーツ&エンジン事業をはじめとする量産系事業がコロナ禍から立ち上がり、航空宇宙システム事業をはじめとする受注系事業の業績が回復・拡大し、更に水素や医療ロボットといった新規事業が収益の柱となって安定的な成長軌道を描くことを目指しています。現状はまさに受注系事業が成長軌道に回帰した段階であり、掲げた成長シナリオに沿って進捗していると考えています。為替の変動や関税政策動向をはじめ、中東情勢等、先行きへの不透明感はありますが、目標とする水準に向け、各事業における重点施策の着実な実行に加え、適正な販売価格の実現やコスト競争力の強化に継続的に取り組んでいきます。 また、2025年度のフリー・キャッシュ・フローに関しては120億円と2期連続の黒字となりました。引き続き収益性の向上及び運転資本の効率的な運用により安定的なキャッシュ・フローの獲得に努めていきます。なお、前連結会計年度及び当連結会計年度の全社及びセグメントごとの事業利益率は、次のとおりです。(単位:%)セグメントの名称前連結会計年度当連結会計年度変動航空宇宙システム9.810.20.4車両3.83.7△0.1エネルギーソリューション&マリン11.112.71.6精密機械・ロボット2.95.62.7パワースポーツ&エンジン7.93.3△4.6その他5.98.32.4全社6.76.3△0.4 精密機械・ロボット事業においては、増収や持分法による投資損益の改善などにより、前期に比べ2.7ポイント上昇しました。また、エネルギーソリューション&マリン事業においては、増収や持分法による投資利益の増加などにより、前期に比べ1.6ポイント上昇しました。一方で、パワースポーツ&エンジン事業においては、増収はあったものの、関税コストの上昇に加え、米国パワースポーツ市場における競争環境激化を背景とした採算性の低下、増産投資に伴う固定費の増加により4.6ポイント低下しました。その結果、全社では0.4ポイント低下となりました。 (6) 生産、受注及び販売の実績① 生産実績当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は、次のとおりです。セグメントの名称生産高(百万円)前期比増減(%)航空宇宙システム533,220+6.8車両211,285+10.7エネルギーソリューション&マリン347,796△0.8精密機械・ロボット223,066+3.5パワースポーツ&エンジン543,276+21.3その他93,502△5.1合計1,952,147+8.3 (注) 金額は、生産高(製造原価)によっています。 ② 受注実績当連結会計年度におけるセグメントごとの受注実績は、次のとおりです。セグメントの名称受注高(百万円)前期比増減(%)受注残高(百万円)前期比増減(%)航空宇宙システム810,923△8.21,536,199+18.0車両319,130+26.9613,581+18.0エネルギーソリューション&マリン552,900+2.0943,569+14.3精密機械・ロボット278,538+11.7110,803+21.2パワースポーツ&エンジン681,787+11.51,219△45.7その他95,917+2.851,468+22.6合計2,739,195+4.13,256,839+17.0 (注) 1 パワースポーツ&エンジン事業については、主として見込み生産を行っていることから、受注高について売上収益と同額としていましたが、前連結会計年度に個別受注案件を獲得したため、その実績を考慮して表示しています。2 セグメント間の取引については、受注高及び受注残高から相殺消去しています。 ③ 販売実績当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりです。セグメントの名称販売高(百万円)前期比増減(%)航空宇宙システム613,691+8.1車両236,203+6.3エネルギーソリューション&マリン433,574+8.9精密機械・ロボット259,146+7.3パワースポーツ&エンジン682,812+12.1その他85,839△4.8合計2,311,267+8.5 (注) 1 販売高は、外部顧客に対する売上収益です。2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合 相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)防衛省400,89018.8429,76918.6 (7) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されています。その作成においては、連結財政状態計算書上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り及び仮定を使用しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4) 重要な会計上の見積り及び判断の利用」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
事業リスク
- コンプライアンス違反法令違反や企業倫理違反が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜、製品の不買運動などにより、会社の業績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。過去には不正事案も発生しており、再発防止策の徹底が重要です。
- 品質問題の発生多岐にわたる製品を提供しているため、製品の欠陥や品質不備が発生するリスクがあります。これにより、多額の賠償責任やブランドイメージの低下を招き、会社の経営成績に悪影響を与える可能性があります。
- 地政学リスクと経済安保国際情勢の不安定化や各国の経済安全保障政策の強化は、海外売上比率が高い同社にとって、部品調達の不安定化や技術流出規制、輸出入制限など、事業活動に大きな制約をもたらす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。これらのリスクは、経営会議等での審議等を経て抽出しており、取締役会において連結財務諸表での重要性、影響度、網羅性を確認した上で選定しています。また、当社グループでは、事業等のリスクを、将来の経営成績等に与える影響の程度や発生の蓋然性等に応じて、「特に重要なリスク」「その他の重要なリスク」に分類しています。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。なお、リスクを把握し、管理する体制・枠組みについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照下さい。 (特に重要なリスク) リスクの内容リスクに対する対応策①地政学・経済安全保障 近時の国際情勢においては、地政学リスクが世界経済に大きな影響を及ぼしており、各国において経済活動を国家安全保障と同等に重要な政策課題として位置づける動きが強まっています。日本においても、2022年の経済安全保障推進法の施行をはじめとする各種法規制の整備を通じ、経済安全保障に関する取組が一層強化されています。 当社グループは、重要な社会インフラを担う企業として、日本及び主要マーケット国における経済安全保障政策に適切に対応できない場合、事業の継続性に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、中東情勢、中国における対日輸出規制、米国における関税措置の動向等に見られるように、国家間の対立が激化することにより、国際的な経済環境が悪化し、企業の事業活動や事業継続に深刻な影響を与える可能性があります。当社グループは、米国、中国、欧州をはじめとする多くの国・地域に生産・販売拠点を有しています。このため、国際的な部品・原材料の調達や製品の取引において、調達・物流の停滞やコスト上昇等の影響を受ける可能性があります。 国際情勢の変化並びに主要マーケット国における規制や制裁の動向に適時・適切に対応するため、事業に影響を及ぼすリスクの変化を継続的にモニタリングするとともに、必要な対応を迅速に実施できる社内体制を構築しています。また、関係当局、業界団体等との情報連携を通じて政策動向や規制の方向性を把握し、事業計画への反映と適切なフォローを行っています。 更に、中東情勢の不安定化による原油価格や原料調達及びマーケットへの影響、当社事業部門に関連する中国による対日輸出規制、並びに米国の関税措置等、既に顕在化している重大なリスクに対しては、影響を受ける部品・原材料の特定を行った上で、代替調達先の確保や代替材料の検討、調達先や生産拠点の分散、物流体制、販売計画の見直し等を進めています。加えて、影響を受けた製品への販売価格への反映や、ビジネス契約上の対応を行うことにより、コスト上昇や供給制約による事業への影響の最小化に努めています。 リスクの内容リスクに対する対応策②コンプライアンス 当社グループの役員・従業員が法令違反行為や企業倫理違反行為等を発生させた場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜、当社グループ製品の不買運動等に至り、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 「川崎重工グループ行動規範」を制定し、コンプライアンス違反を容認しない企業風土の醸成及び維持に努めています。また、社長を委員長とする全社コンプライアンス委員会において、企業としての社会的責任を果たすために各種施策の審議・決定、遵守状況のモニタリング等を行っています。 また、2024年に判明した当社グループの潜水艦修繕事業及び舶用エンジン事業における不正事案を受けて外部の弁護士で構成する特別調査委員会を設置しました。当該特別調査委員会による両事案の調査結果に加え、同委員会の追加調査により判明した神戸造船工場における工数付け替え事案及び潜水艦エンジンにおける燃費性能に関わる検査不正事案の調査結果については、それぞれ中間報告・最終報告を公表しています。 加えて、新たに設けたコンプライアンス特別推進委員会において、特別調査委員会からの提言を踏まえ、「不正ができない仕組みの構築」「不正発見の強化」「組織風土・意識改革」の3つを柱に掲げ、それぞれについて、再発防止策のための具体的な取組を継続的に実施しています。③品質管理 当社グループは、顧客ニーズや社会課題解決のため、多岐にわたる製品・サービスを提供しています。それらの製造・サービス提供過程においては、社内外の基準に則り厳格な品質管理を実施していますが、予期せぬ製品の欠陥や品質面での不備が発生した場合、発生した損害について賠償を求められ、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 2019年度に全社的なTQM(Total Quality Management)を推進する専門組織を立ち上げ、TQMに則った業務遂行体制の構築、品質管理教育、全員参加での品質向上に努めてきました。TQM活動においては、業務プロセスの整流化に加え、人の恣意性を排除しデジタル技術を用いた品質管理を進めています。2026年度には全社の品質保証機能強化を目的に、事業部の品質保証部門に横串を通す品質保証総括部を本社に設置し、全社の品質管理体制強化を図っていきます。④プロジェクトの契約・履行 プロジェクトに関しては、特に見積、契約条件、技術仕様、プロジェクト履行能力、債権管理等による損失リスクがあります。 プロジェクトの契約に際し、受注前のリスク検知と適正なリスク評価、適切なリスク回避策の実行に努めています。過去に多額の損失を計上した案件には、プロジェクト履行中のトラブルに関して、契約条件・条項の不備や契約相手方との解釈の相違等に起因するものが多く、法務部門による事前チェックを強化しています。 更に、受注後のプロジェクトについては、市場環境やその進捗状況に関して、経営成績等に大きな影響を与える可能性がある兆候を経営会議及び取締役会へタイムリーに報告しています。 現在履行中の大型プロジェクトのうち、当社グループが取り組んでいる大規模水素サプライチェーン構築プロジェクトについては、NEDOグリーンイノベーション基金事業で採択された各種事業を商用化に向けて進捗しており、各フェーズで発生する問題を早期に認識し、リスクを最小限に抑えながら円滑にプロジェクトを進めています。 リスクの内容リスクに対する対応策⑤インフレによる調達品等の価格高騰 国内外のインフレ進行に加え、中東情勢の緊張の高まり等に伴い、人件費、エネルギー価格、原材料価格、物流費等の上昇が続いています。 事業計画策定に当たっては一定のコスト上昇を織り込んでいますが、想定を超える価格の上昇や部品供給の不足が生じた場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 コストダウン活動を継続しつつ、販売契約へのエスカレーション条項の織込みや調達品価格の高騰を適切に販売価格へ転嫁するなどの対策を行っています。⑥脱炭素トランジション AIやデータセンターの需要拡大等により世界的に電力需要が増加する中、再生可能エネルギーや原子力による供給が追いつかない場合、当面は火力発電を含む既存電源への依存が続く可能性があります。その場合、当社グループが推進する水素関連製品への移行が進まない、又は想定よりも時間が掛かることが懸念されます。 当社グループにおいては、各国・各地域の脱炭素政策の動向を注視しつつ、ガスタービン、ガスエンジンなどのエネルギー事業を強化するとともに、カーボンニュートラル社会の到来に備えて水素関連製品、CCUSなどの開発を継続していきます。その一方で、天然ガスだけでなく水素も燃料として利用できるガスタービンやガスエンジンなど、トランジション期(移行期)の市場ニーズに応える水素Ready製品の充実を図っていきます。⑦情報セキュリティ 当社グループは、社会インフラから消費者向け製品に至るまで、多様な製品を国内外に提供しており、重要な情報資産として多岐にわたる技術・営業情報や顧客情報を蓄積・保有しています。業務プロセスのデジタル化が進む中、海外拠点を含め当社グループやサプライチェーンへのサイバー攻撃は増加傾向にあり、重要情報の漏洩やシステム停止、その復旧を条件とした身代金要求といった事象に加え、工場の生産システムやサプライチェーンが攻撃を受けることで損失が発生するリスクも高まっています。 情報セキュリティリスクに適切に対応するため、最新のセキュリティ対策製品の導入やネットワーク通信の制限制御を実施するとともに、グローバルサイバーディフェンス体制の強化や、セキュリティオペレーションの高度化・迅速化を進めるなど、セキュリティ態勢の強化を推進しています。 また、サプライチェーンにおいてセキュリティ事故が発生した場合を想定し、各サプライヤーとの情報連絡体制を構築するとともに、影響範囲の把握や情報漏洩の有無の確認等について、迅速な情報収集及び社内での情報連携を行う仕組みを整備しています。 更に、万が一、当社グループ内においてサイバー攻撃による大規模なインシデントが発生した場合でも、迅速な復旧を可能にするため、復旧手順や代替手段の検討を行うなど、事業継続に向けたサイバーBCPを整備し、各事業部門と連携しながら事業継続に向けた取組を推進しています。加えて、海外拠点を含む当社グループ全体及び当社を取り巻くサプライチェーンを対象として、経営層の指示のもとサイバーセキュリティ担当部門が対応の中心となり、セキュリティ方針、管理ルール、各種ガイドライン等の整備を行っています。 また、役員及び従業員への情報セキュリティ教育についても、eラーニングをベースに集合形式やオンライン形式での教育や訓練を継続的に実施し、情報セキュリティ意識の向上を図っています。 リスクの内容リスクに対する対応策⑧訴訟 当社グループは、事業を展開するに当たり、契約条件の明確化、知的財産権の適正な取得・使用、各種法規制の遵守等により、トラブルを未然に防止するよう努めています。 しかし、予期せぬ事象が生じた場合、損害賠償の請求や訴訟を提起されることがあり、当社グループの経営成績、社会的信用等に影響を及ぼす可能性があります。 一方で、取引相手先による契約不履行や当社グループが保有する知的財産権の侵害等が生じた時には、当社グループの権利保護を求めて訴訟を提起する場合があります。 弁護士等の外部専門家と連携する等、最善策を講じるための体制を整備しています。また、法務機能を担う人財の育成及び獲得を行い、より一層の法務対応力の強化にも取り組んでいます。 なお、当連結会計年度において、当社グループに重要な影響を及ぼす訴訟に関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(2)その他」をご参照下さい。⑨人財の獲得・維持 人財の獲得・維持は、事業活動の継続及び成長のための重要な経営課題と考えています。 しかし、少子高齢化による労働人口の減少、人財の獲得競争の激化やキャリア意識の多様化に伴う労働市場の流動化により人財の獲得・維持が困難となり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、人的資本に関する基本方針「川崎重工グループHRポリシー」を掲げ、「ともに挑み続け、ともに成し遂げる。」というスローガンのもと、従業員が自らの力を信じて挑戦できるよう、人と組織の開発に注力し、より多くの人財が働きがいと働きやすさを実感できる環境づくりに取り組んでおり、これからも職場として選んでいただける会社であり続けたいと考えています。施策の詳細については、「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (1) 人材戦略に関する基本方針等」をご参照下さい。 また、ロボットやAIの活用、DXによる業務プロセスの見える化・効率化を図ることにより、事業の成長ステージにおいても、生産性を高めることにより少ない人数で最大の成果を出せるマネジメントを推進します。更に、従業員が付加価値の高い仕事に集中することにより、“やりがい”や“成長”を実感できる働き方を実現することでキャリア意識の多様化にも対応していきます。 (その他の重要なリスク) リスクの内容リスクに対する対応策⑩景気変動 国際情勢の変化による各国の景気減速や経済成長の鈍化への警戒感の高まりなどが当社グループの事業活動に影響を及ぼし、売上収益等に影響する可能性があります。 官公庁向けと民間向け、先進国向けと新興国向け、受注生産型と見込み生産型、B to BやB to Cなど、景気サイクルの異なる多様な事業でポートフォリオを構成しており、景気変動リスクを分散させています。また、社会情勢や国際動向を注視し、社会課題、市場ニーズ等に対応した開発・受注活動を継続することで売上収益を確保するほか、見込み生産型事業においては、販売や在庫の状況をモニタリングして生産調整をタイムリーに行うなど、景気が減速する局面においても経営成績等に及ぼす影響が最小限になるように努めています。⑪資金調達・金利変動 当社グループは、金融機関からの借入や社債の発行等により資金調達を行っていますが、金融危機が発生する等、金融市場が正常に機能しない場合には、一時的に資金調達を想定どおり行うことが難しくなる可能性があります。 また、市場金利の急激な上昇によって資金調達コストが増大した場合、支払利息等の金利負担増加により金融収支が悪化し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 なお、金融機関からの借入金には、コベナンツ(財務制限条項)が付されていることがあり、コベナンツに抵触する事象が発生した場合、当該借入金についての期限の利益を喪失する可能性があるほか、その他の債務についても一括返済が求められる可能性があります。その結果、当社グループの信用力や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。 資金調達の実行リスクに対しては、資金調達手段の多様化やコミットメントラインを含む十分な融資枠を確保する等の対策を講じています。資金調達コストの増大リスクに対しては、固定金利での長期資金調達を行うこと等により、金利変動リスクの抑制に努めています。 なお、財務制限条項への抵触リスクに関して、現在の財務状況に鑑みるとその可能性は低いと考えています。 当社グループは引き続き財務体質の強化に取り組み、資金調達力の維持・向上を図るほか、サステナブルファイナンスを積極的に活用することで、資金調達の面からも「グループビジョン2030」の実現に向けて取り組んでいきます。⑫為替変動 当社グループの業績見通しにおいては、一定量の為替変動リスクが含まれています。特に中東情勢については為替相場の短期的なボラティリティを上昇させるだけでなく、原油価格の上昇を通じて長期的な影響を為替相場に与えるおそれもあります。そのため相場の変動が当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 為替変動リスクに対しては、実需の外貨建債権・債務に対し、投機的な要素を排除した形で日本円のディスカウントコストを考慮しながら為替予約等のリスクヘッジを行っています。また、パワースポーツ&エンジン事業を中心として、輸入部材価格等の為替影響分の価格転嫁、海外調達及び海外生産比率の見直し等を通じて為替リスクの低減に取り組んでいます。 リスクの内容リスクに対する対応策⑬開発投資 当社グループは、社会課題の解決と持続的な企業価値向上のため、将来の収益が期待できる分野への研究開発投資や設備投資を行っています。開発の項目や内容の選定判断を誤ることで競合に対する競争力を失い、事業・製品のシェアを低下させるリスクがあります。 また、水素利活用分野など基礎研究から実証、製品化までのプロセスには長期にわたる投資を必要とするものが多く、市場変化や顧客、競合動向、各国規制の変化等によっては開発戦略の見直しや撤退を迫られる分野もあり、過去には投入した開発費が回収できなかった事業も存在しています。 開発投資に関しては、対象分野の選定やその内容、人財投入計画等について、経営戦略や事業ポートフォリオ上の位置づけなども踏まえて決定し、進捗管理についても適宜フォローしています。 ⑭固定資産の減損 当社グループは、継続的に設備投資を行いながら事業活動を進めており、多くの固定資産を有しています。現時点において、多額の減損を計上するような懸念事項はないと考えていますが、今後外部環境の変化等により減損処理を行う必要性が生じた場合、損失が発生するリスクがあります。 大規模事業投資(設備投資を含む)案件について、大型プロジェクトの受注前プロセスと同様、投資決定前のリスク審査を強化する取組を行っています。⑮繰延税金資産の回収可能性 当社グループは、税効果会計を適用し、税務上の繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産は、事業計画を基礎として将来の課税所得の発生やタックスプランニングに基づき、回収可能性を検討しています。 なお、将来の見通しに変化が生じた際は回収可能性の見直しが必要となり、繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を稼得する可能性が高くなくなったと判断された場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 将来の見通しの変化等により事業計画にダウンサイドリスクが判明した場合には、繰延税金資産に関しての見直しの要否を適時に判断できるような体制を構築しています。