7615

京都きもの友禅ホールディングス(7615)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

小売業 小売

事業の概要

  • 呉服販売とレンタル
    京都きもの友禅ホールディングスは、主に振袖などの呉服の販売とレンタルを手掛けています。全国に店舗を展開し、成人式を迎える若者を中心に、着物とその関連商品(宝飾品など)を提供しています。また、着物に付随する写真撮影スタジオの運営やオンラインストアでの販売も行い、顧客の多様なニーズに応えています。
  • 割賦販売と積立サービス
    顧客が着物などを購入しやすくするため、販売代金の割賦販売(分割払い)業務を提供しています。さらに、「京都きもの友禅友の会」を通じて、会員が毎月一定額を積み立てる「お買物カード」を発行。積立金にはボーナス分が上乗せされ、京都きもの友禅での購入時に利用できるため、顧客の購買意欲を高め、安定的な収益確保に繋がる仕組みです。
  • グループ3社で事業を構成
    当社グループは、持株会社である京都きもの友禅ホールディングス、呉服販売・レンタルを担う京都きもの友禅株式会社、そして会員積立業務を行う株式会社京都きもの友禅友の会の3社で構成されています。これにより、販売から金融サービスまで一貫したビジネスモデルを構築し、顧客のライフイベントに寄り添ったサービスを提供しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 着物店舗運営事業
    このセグメントは、京都きもの友禅グループの主力事業であり、振袖などの呉服の販売とレンタルを全国の店舗で展開しています。最新年度の売上高は約66.54億円ですが、営業利益は約-5.19億円と赤字を計上しており、事業の収益性改善が課題となっています。主に成人式を迎える若年層をターゲットに、着物とその関連商品を提供しています。
  • その他事業
    このセグメントには、着物店舗運営事業以外の事業が含まれます。最新年度の売上高は約3.69億円、営業利益は約-0.41億円と、こちらも赤字となっています。具体的な事業内容は詳細には記載されていませんが、グループ全体の売上高に占める割合は小さく、主に主力事業を補完する役割を担っていると考えられます。
  • セグメント区分の変更
    当連結会計年度より報告セグメントの区分が変更されています。これにより、過去のデータとの比較が難しくなる可能性がありますが、事業の実態をより適切に反映させるための見直しと考えられます。各セグメントの収益状況から、特に主力である着物店舗運営事業の立て直しが喫緊の課題であることが示唆されます。
2024-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
KimonoStoreManagementBusinessReportableSegment 地域 67 -5 -7.8%
OtherBusinessReportableSegment 地域 4 -0 -11.0%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|574 文字
3 【事業の内容】当社グループは、当社、連結子会社である京都きもの友禅株式会社及び株式会社京都きもの友禅友の会の3社により構成されており、呉服等の販売を主たる業務としております。なお、当社は、特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。当社及び当社の関係会社の事業における当社及び関係会社の位置付けは、次のとおりであります。 (連結子会社)京都きもの友禅株式会社 振袖等を中心とした呉服販売及びレンタルを主とし、それに関連する宝飾品等の販売を行う全国チェーン展開による小売業を営んでおります。加えて、呉服に付随した写真撮影スタジオの運営及びオンラインストアでの呉服関連商品の販売を行っております。 また、顧客に対して販売代金等の割賦販売業務を行っております。株式会社京都きもの友禅友の会 割賦販売法に基づき会員積立業務を営む前払式特定取引業者であり、入会会員には毎月一定額を積み立てて頂く「お買物カード」を発行し、積立金利用の際には積立金額にボーナス分をプラスすることによって、京都きもの友禅株式会社の販売促進の助成(呉服販売の取次ぎ―割賦販売法第2条第5項)を行っております。 事業の系統図は、次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
呉服および加工料金が上昇傾向にあり、原価率も上昇傾向にあるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 ブランド
全国チェーン展開による小売業を営んでおり、京都きもの友禅のブランド力がある。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか ディフェンシブ
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:少子化による新成人減少 / 人材の確保及び育成の困難 / 減損損失の発生
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 5 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

「京都きもの友禅」というブランド名は一定の認知度を持つが、高級呉服市場における絶対的なブランド力や特許、独占的IPは限定的。新規参入障壁は低いと考えられる。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

成人式や卒業式などのハレの日イベントで着物を購入・レンタルする顧客は、一度購入・レンタルした店舗やブランドへの愛着を持つ可能性はあるが、価格やデザイン、利便性で他社に乗り換える可能性も十分にある。スイッチングコストは高くない。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ネットワーク効果は全く見られない。顧客が増えることでサービスの価値が向上するような構造ではない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

呉服業界全体として、製造から販売までのサプライチェーンにおけるコスト構造の優位性は確立しにくい。同社が他社より著しく低いコストで生産・販売できる根拠は乏しい。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

全国に店舗を展開しており、一定の規模を持つ。しかし、業界全体で見ると、大手百貨店や他の呉服専門店との競争の中で、絶対的な規模の経済による優位性は限定的。

  • 全国チェーン展開による顧客基盤
    京都きもの友禅は全国に店舗を展開しており、これにより広範な顧客層にアプローチできる強みがあります。特に振袖販売・レンタルにおいては、成人式という特定のライフイベントに特化することで、安定した需要を見込める顧客基盤を築いています。地域に根差した店舗網は、顧客へのきめ細やかなサービス提供にも繋がります。
  • 割賦販売と会員積立制度
    自社で割賦販売業務や会員積立サービスを提供している点は、他社との差別化要因となります。これにより、高額な呉服の購入ハードルを下げ、顧客がより手軽に商品を購入できる環境を整えています。積立制度は顧客の囲い込みにも繋がり、長期的な顧客関係を構築する上で有利に働きます。
  • 呉服関連サービスの一貫提供
    呉服の販売・レンタルだけでなく、写真撮影スタジオの運営やオンラインストアでの販売、宝飾品などの関連商品の提供まで、呉服に関する多様なサービスを一貫して提供しています。これにより、顧客は一つのグループ内で必要なサービスを完結でき、利便性の高さから顧客満足度向上に貢献していると考えられます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針・経営戦略等当社グループは、当期に策定したMission「記憶に、そして心に。」を、当社グループの存在意義及び判断・行動の基準と位置づけております。当社グループが営む和装事業は、お客様の人生の節目に深く関わる事業であり、商品そのものの品質に加え、接客、提案、顧客理解及びアフターフォロー等を通じて、お客様及びご家族の記憶と心に残る価値を提供することを経営の基本方針としております。また、当社グループは、Missionを経営の軸として、お客様の喜び・満足、社員の成長と働きがい、当社グループの収益力向上、並びに株主への還元を同時に実現し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指してまいります。 (2) 経営環境及び対処すべき課題当社グループは、2025年3月期を「再生フェーズ」、2026年3月期を「実行フェーズ」と位置づけ、構造改革及び販売改革を進めてまいりました。その結果、2026年3月期において通期営業黒字を達成し、収益改善に成果を上げることができました。 一方で、当社グループは、過去の業績低迷を一時的な外部環境の影響のみによるものではなく、複数の経営課題が顕在化した結果であると認識しております。具体的には、既存事業の収益基盤の強化、顧客導線全体の最適化、外部環境の変化に応じたビジネスモデルの見直し及び新たな施策の企画・実行、並びに成長を支える人的資本、販売品質及び経営基盤・ガバナンス体制の整備等が、引き続き重要な課題であります。これらの課題を解決し、2027年3月期を「成長フェーズ」と位置づけて持続的な成長を実現していくためには、2026年3月期の黒字化を一過性の成果にとどめず、持続的に利益を創出できる経営基盤へと高めていくとともに、当期に策定したMission「記憶に、そして心に。」のもとで、事業・組織・経営基盤の進化と、中長期的な企業価値向上に資する成長投資を通じて、持続的な成長モデルへ移行していく必要があると認識しております。 また、当社グループは、これらの課題に対して既に各種施策に着手しており、今後はその取組を一層具体化・定着させてまいります。以下、当社グループの主な対処すべき課題は次のとおりであります。 ① 収益の再現性・安定性の強化2026年3月期の黒字化を通過点とし、売上、売上総利益、販管費、店舗収益性等の管理精度を一層高めることにより、収益の再現性と安定性を強化してまいります。また、当期の黒字化は、四半期を通じた安定的な受注の確保と着実な売上計上の積み上げによるところも大きく、月次・四半期単位での着地精度の向上を図るとともに、各セグメント及び施策ごとの成果検証を継続し、環境変化に応じた迅速な改善を行うことにより、持続的に利益を創出できる経営体制の確立を進めてまいります。 ② 既存事業の収益基盤の強化振袖、一般呉服、写真、EC、友の会等の各事業を個別最適ではなく顧客導線全体で捉え直し、顧客接点の強化とLTVの最大化を通じて、既存事業の収益力向上を図ってまいります。特に、主力事業である振袖については、来店から成約、前撮り、納品後のフォロー、周辺商材に至るまでを一体的に設計し、一般呉服については、新規顧客の創出、既存顧客との継続的な関係強化及び商材の拡充を通じて、事業全体として安定的な収益基盤を強化してまいります。 ③ Missionを中核とした経営戦略の推進当期に策定したMission「記憶に、そして心に。」を、当社グループの存在意義を示す原点と位置づけ、全社の判断と行動の基準として浸透させることにより、商品販売という行為そのものを、お客様の記憶と心に残る価値提供へと高めてまいります。さらに、Missionを中核として、人的資本の強化、販売品質の向上、ガバナンス体制の進化及び成長投資を含めた経営戦略全体を一体的に推進することにより、持続的な成長モデルの構築を進めてまいります。 ④ 人的資本の強化と組織基盤の整備人事制度、教育制度、働く環境等の整備を通じて、仲間を尊重し、安心して働ける職場づくりを進めるとともに、社員一人ひとりが自分らしく力を発揮し、安心して長く働き、成長できる組織づくりを進めてまいります。また、人的資本の強化を重要な経営課題と位置づけ、店舗人材、本社、管理職、経営人材を含めた全社的な育成、適正配置及びマネジメント力の向上を図ることで、組織全体の生産性と実行力の向上につなげてまいります。 ⑤ 成長投資と事業ポートフォリオの再構築既存事業の収益基盤の強化に加え、中長期的な企業価値向上に資する成長投資やM&Aについても、資本効率、収益性、財務健全性を踏まえながら、必要に応じて検討・実行してまいります。その際、既存事業との連携可能性や投資回収の確度を見極めつつも、Missionを起点とした持続的な成長につながる事業ポートフォリオの構築を進めてまいります。 ⑥ ガバナンス体制の進化持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するため、当期に設置したグループ指名・報酬委員会の運用を通じた指名・報酬・後継者計画の審議体制の整備、意思決定プロセスの透明性・客観性の向上、並びに執行体制の実効性向上を通じて、ガバナンス体制の進化を図ってまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針・経営戦略等当社グループは、当期に策定したMission「記憶に、そして心に。」を、当社グループの存在意義及び判断・行動の基準と位置づけております。当社グループが営む和装事業は、お客様の人生の節目に深く関わる事業であり、商品そのものの品質に加え、接客、提案、顧客理解及びアフターフォロー等を通じて、お客様及びご家族の記憶と心に残る価値を提供することを経営の基本方針としております。また、当社グループは、Missionを経営の軸として、お客様の喜び・満足、社員の成長と働きがい、当社グループの収益力向上、並びに株主への還元を同時に実現し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指してまいります。 (2) 経営環境及び対処すべき課題当社グループは、2025年3月期を「再生フェーズ」、2026年3月期を「実行フェーズ」と位置づけ、構造改革及び販売改革を進めてまいりました。その結果、2026年3月期において通期営業黒字を達成し、収益改善に成果を上げることができました。 一方で、当社グループは、過去の業績低迷を一時的な外部環境の影響のみによるものではなく、複数の経営課題が顕在化した結果であると認識しております。具体的には、既存事業の収益基盤の強化、顧客導線全体の最適化、外部環境の変化に応じたビジネスモデルの見直し及び新たな施策の企画・実行、並びに成長を支える人的資本、販売品質及び経営基盤・ガバナンス体制の整備等が、引き続き重要な課題であります。これらの課題を解決し、2027年3月期を「成長フェーズ」と位置づけて持続的な成長を実現していくためには、2026年3月期の黒字化を一過性の成果にとどめず、持続的に利益を創出できる経営基盤へと高めていくとともに、当期に策定したMission「記憶に、そして心に。」のもとで、事業・組織・経営基盤の進化と、中長期的な企業価値向上に資する成長投資を通じて、持続的な成長モデルへ移行していく必要があると認識しております。 また、当社グループは、これらの課題に対して既に各種施策に着手しており、今後はその取組を一層具体化・定着させてまいります。以下、当社グループの主な対処すべき課題は次のとおりであります。 ① 収益の再現性・安定性の強化2026年3月期の黒字化を通過点とし、売上、売上総利益、販管費、店舗収益性等の管理精度を一層高めることにより、収益の再現性と安定性を強化してまいります。また、当期の黒字化は、四半期を通じた安定的な受注の確保と着実な売上計上の積み上げによるところも大きく、月次・四半期単位での着地精度の向上を図るとともに、各セグメント及び施策ごとの成果検証を継続し、環境変化に応じた迅速な改善を行うことにより、持続的に利益を創出できる経営体制の確立を進めてまいります。 ② 既存事業の収益基盤の強化振袖、一般呉服、写真、EC、友の会等の各事業を個別最適ではなく顧客導線全体で捉え直し、顧客接点の強化とLTVの最大化を通じて、既存事業の収益力向上を図ってまいります。特に、主力事業である振袖については、来店から成約、前撮り、納品後のフォロー、周辺商材に至るまでを一体的に設計し、一般呉服については、新規顧客の創出、既存顧客との継続的な関係強化及び商材の拡充を通じて、事業全体として安定的な収益基盤を強化してまいります。 ③ Missionを中核とした経営戦略の推進当期に策定したMission「記憶に、そして心に。」を、当社グループの存在意義を示す原点と位置づけ、全社の判断と行動の基準として浸透させることにより、商品販売という行為そのものを、お客様の記憶と心に残る価値提供へと高めてまいります。さらに、Missionを中核として、人的資本の強化、販売品質の向上、ガバナンス体制の進化及び成長投資を含めた経営戦略全体を一体的に推進することにより、持続的な成長モデルの構築を進めてまいります。 ④ 人的資本の強化と組織基盤の整備人事制度、教育制度、働く環境等の整備を通じて、仲間を尊重し、安心して働ける職場づくりを進めるとともに、社員一人ひとりが自分らしく力を発揮し、安心して長く働き、成長できる組織づくりを進めてまいります。また、人的資本の強化を重要な経営課題と位置づけ、店舗人材、本社、管理職、経営人材を含めた全社的な育成、適正配置及びマネジメント力の向上を図ることで、組織全体の生産性と実行力の向上につなげてまいります。 ⑤ 成長投資と事業ポートフォリオの再構築既存事業の収益基盤の強化に加え、中長期的な企業価値向上に資する成長投資やM&Aについても、資本効率、収益性、財務健全性を踏まえながら、必要に応じて検討・実行してまいります。その際、既存事業との連携可能性や投資回収の確度を見極めつつも、Missionを起点とした持続的な成長につながる事業ポートフォリオの構築を進めてまいります。 ⑥ ガバナンス体制の進化持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するため、当期に設置したグループ指名・報酬委員会の運用を通じた指名・報酬・後継者計画の審議体制の整備、意思決定プロセスの透明性・客観性の向上、並びに執行体制の実効性向上を通じて、ガバナンス体制の進化を図ってまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1)経営成績当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に、景気は緩やかな回復傾向が続きました。一方で、原材料・エネルギー価格の高騰に伴う物価上昇の継続や米国の今後の政策動向、金融市場の変動、さらには緊迫化する地政学的リスクが供給網に与える影響など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。このような環境の中、当社グループでは、2025年3月期を利益体質への転換に向けた「再生フェーズ」として進めてきた取り組みを踏まえ、当連結会計年度を、前期に進めた施策の成果を実際の業績に結びつける「実行フェーズ」とし、黒字化の実現を最優先の経営課題として、全社一丸で経営体質の改善に取り組んでまいりました。2025年3月期に策定した重点施策を基軸に、重点領域の選択と集中を実行いたしました。また、各施策の進捗と成果を主要指標により継続的に検証し、その結果を機動的に施策に反映することで、収益基盤の強化が着実に進み、2021年3月期以来となる通期での営業黒字を達成いたしました。売上面では、各種プロジェクトの効果により安定した受注確保が実現いたしました。和装事業全体として、販売プロセスの改革と営業施策の転換が奏功し、当連結会計年度の売上高については、前年同期比15.3%増の5,951百万円となりました。利益面では、当連結会計年度の粗利益率は前年同期と比較して2.8ポイント上昇し61.5%となりました。これは、在庫構成の見直し、販売単価の適正化などを通じて、主要商材の原価率が改善したことによるものです。また、不採算店舗の統廃合や適切な広告・販促費の見直し、間接コストの最適化など、一連のコスト構造改革の効果もあり、当連結会計年度における営業利益は259百万円(前年同期は営業損失734百万円)、経常利益は258百万円(同経常損失747百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は221百万円(同親会社株主に帰属する当期純損失923百万円)となり、前年同期から1,144百万円改善し、大幅な黒字転換を果たしました。 「和装事業」における売上区分別の状況は次のとおりです。(一般呉服等)「一般呉服」等については、顧客基盤への取り組み強化や収益管理の徹底により、受注確保に努めてまいりました。一方で、2025年3月期中に実施した店舗網の見直しに伴う一部閉店の影響により、受注高は前年同期比1.7%減となりました。 (振袖)「振袖」販売及びレンタルについては、当期の重点施策である集客施策の見直しとの連動強化の効果により、来店客数は前年同期比、及び計画対比のいずれにおいても大きく伸長いたしました。また、店舗営業施策との連動強化の効果もあり、振袖に関する受注高は、期を通して好調に推移し、前年同期比27.9%増となりました。 (写真撮影・オンラインストア)「写真撮影」関連については、独立店舗型の「写真スタジオクラネ」を全店閉店し、和装店舗内に撮影スタジオを併設する運営体制へ方針転換いたしました。和装店舗とのさらなる連携強化を進めており、当期においては、振袖成約者を中心とした撮影需要の取り込みが進展しております。また、前述の閉店の影響により、売上高は前年同期比12.1%減となった一方、運営効率の改善、営業利益ベースでは改善いたしました。「オンラインストア」については、自社サイト運用の改善等により自社サイトへのアクセス数が伸長し、振袖販売及びレンタルの売上が好調に推移いたしました。また、市場動向や季節需要に応じた商品ラインナップの拡充により、振袖以外の和装商品についても堅調に推移し、全体の売上高は前年同期比14.8%増となりました。 (受注、販売及び仕入の状況)(1) 受注状況 受注状況は次のとおりであります。品目別当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)受注高(千円)前年対比(%)受注残高(千円)前年対比(%)着物・裏地等1,364,17992.9237,80776.3帯879,21091.756,48236.8仕立加工629,233109.1118,86874.2和装小物438,922111.113,94929.3宝石1,084,330113.610,24411.8その他1,021,211137.3519,497159.8小計5,417,088106.3956,84988.2金融収益127,633109.8259,38783.6友の会会員値引き等△17,48995.0――合計5,527,232106.41,216,23687.2 (注) 1 友の会会員値引き等は、主として連結子会社である㈱京都きもの友禅友の会の売上原価であり、会員積立金(お買物カード)の満期使用時におけるボーナス相当分であります。2 受注高には仕立加工等を要しない現金売上高を含んでおります。 (2) 販売実績 販売実績の内訳は次のとおりであります。 イ 品目別販売実績 品目別当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)売上高(千円)前年同期比(%)着物・裏地等1,437,884112.5帯976,236115.7仕立加工670,583139.9和装小物472,571132.5宝石1,161,198127.5その他826,779115.4小計5,545,254120.9金融収益178,47883.4友の会会員値引き等△17,48995.0その他245,35664.4合計5,951,600115.3 (注) 友の会会員値引き等は、主として連結子会社である㈱京都きもの友禅友の会の売上原価であり、会員積立金 (お買物カード)の満期使用時におけるボーナス相当分であります。 ロ 地域別販売実績 地域別当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)備考売上高(千円)構成比(%)前年対比(%)北海道115,2022.1138.3 東北149,7392.772.9 関東2,537,03045.8124.7 中部916,76116.5126.2 近畿596,92010.8125.0 中国212,9773.8131.3 四国84,2091.5168.8 九州276,8605.0106.2 その他655,55311.8112.0 小計5,545,254100.0120.9 金融収益178,478―83.4 友の会会員値引き等△17,489―95.0 その他245,356―64.4 合計5,951,600―115.3 (注) 1 地域区分は、販売店舗の所在地によって分類しております。2 その他は、商品レンタル等であり地域別には分類しておりません。3 友の会会員値引き等は、主として連結子会社である㈱京都きもの友禅友の会の売上原価であり、会員積立金(お買物カード)の満期使用時におけるボーナス相当分であります。4 売上高構成比は、友の会会員値引き前の金額をもとに算出しております。 (3) 商品仕入実績商品仕入実績は次のとおりであります。 品目別当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)仕入高(千円)比率(%)前年対比(%)着物・裏地等423,06828.379.6帯212,35014.280.1和装小物147,2909.9103.6宝石538,55436.1149.5その他171,82911.5100.0合計1,493,093100.0101.5 (注) 上記反物等にかかる仕立加工は全て外注をしており、その金額は当連結会計年度277,850千円であります。 (2)財政状態(資産) 流動資産は、前連結会計年度末に比べて12.5%増加し、5,968百万円となりました。これは、売掛金が291百万円、商品及び製品が318百万円それぞれ減少したことに加え、短期借入金の返済等による支出があった一方、営業収入の増加及び新株発行の実施などにより現金及び預金が1,345百万円増加したことなどによります。 固定資産は、前連結会計年度末に比べて11.1%増加し、2,191百万円となりました。これは、主に建物が206百万円、投資有価証券が100百万円それぞれ増加し、敷金及び保証金が98百万円減少したことなどによります。 この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ12.1%増加し、8,160百万円となりました。(負債) 流動負債は、前連結会計年度末に比べて8.5%減少し、4,544百万円となりました。これは、主に賞与引当金が65百万円、契約負債が42百万円増加し、預り金が194百万円、短期借入金が330百万円それぞれ減少したことなどによります。 固定負債は、前連結会計年度末に比べて57.2%増加し、517百万円となりました。これは、主に資産除去債務が193百万円増加したことなどによります。 この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて4.5%減少し、5,061百万円となりました。(純資産) 純資産は、前連結会計年度末に比べて56.5%増加し、3,098百万円となりました。これは、新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ446百万円増加したこと、自己株式の消却により自己株式が74百万円減少したこと、また、親会社株主に帰属する当期純利益が221百万円となったことによるものであります。 (3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,352百万円増加し、3,013百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりであります。① 営業活動によるキャッシュ・フロー 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、939百万円の収入(前年同期は268百万円の支出)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が253百万円となったこと、売上債権の減少307百万円及び棚卸資産の減少315百万円等の資金増加要因と、預り金の減少194百万円等の資金減少要因によるものであります。② 投資活動によるキャッシュ・フロー 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、132百万円の支出(前年同期は13百万円の収入)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出34百万円、有形固定資産の除却による支出77百万円、投資有価証券の取得による支出97百万円、敷金の回収による収入103百万円等によるものであります。③ 財務活動によるキャッシュ・フロー 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、545百万円の収入(前年同期は554百万円の支出)となりました。これは主に、株式の発行による収入890百万円があった一方、短期借入金の純減額330百万円があったこと等によるものであります。 (4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

事業リスク

  • 少子化による振袖需要の減少
    売上の約3割を占める振袖販売・レンタルは、少子化の進行により新成人の減少が予測されており、将来的に事業に大きな影響を与える可能性があります。成人年齢引き下げによる成人式の変化も、需要に影響を及ぼす不確実性があります。
  • 人材確保と育成の困難性
    呉服販売業務では専門知識を持つ優秀な人材の確保と育成が重要ですが、採用計画を下回る状況が生じた場合、事業運営に支障をきたし、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に専門性の高い分野では、人材不足が競争力低下に直結するリスクがあります。
  • 個人情報保護規制と広告宣伝費の増加
    個人情報保護法の改正により、ダイレクトメール発送のための新規顧客情報入手が困難になっています。デジタルマーケティングへの移行を進めていますが、これにより広告宣伝費用が増加する可能性があり、業績に影響を与えるリスクがあります。また、個人情報流出が発生した場合は、社会的信用の毀損や損害賠償などにより業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,359 文字
3 【事業等のリスク】当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因により大きな影響を受ける可能性があります。以下において、当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社はこれらリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、当該リスク情報につきましては、当連結会計年度末現在の判断によるものであり、また、当社グループの事業上のリスクの全てを網羅するものではありません。 (1) 少子化について売上全体に占める「振袖」販売及びレンタルの割合が3割近くを占めております。少子化の進行に伴って新成人が減少しており、今後も継続して同様の傾向が続く場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(2) 人材の確保及び育成について当社グループが営む呉服販売業務においては、優秀な人材を適時に確保、育成していくことが重要であると考えております。しかし、要員計画数を下回る採用状況等が生じた場合において、当社グループ業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。(3) 減損損失について当社グループが保有する固定資産を使用している店舗の営業損益が悪化し、かつ短期的にその状況の回復が見込まれない場合、減損会計の適用により当該固定資産に対して減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。(4) 個人情報保護法規制及び改正について個人情報保護法の規制及び2022年4月施行の個人情報保護法の改正により、現在行っている販売促進のためのダイレクトメール発送に対する個人情報(住所、氏名等)の新規入手は困難であります。このため当社グループにおいては、ダイレクトメール発送を取りやめ、デジタルマーケティング施策へシフトし、広告宣伝の効率化を行う組織体制への転換を図っております。ただし、この広告宣伝の手法により当該費用が増加し、当社の業績に影響を与える可能性があります。(5) 個人情報の管理について顧客データベースへのアクセス環境、セキュリティシステムの改善を担当部署で対策を常に検討し、個人情報保護対策に万全を期しております。また、個人情報の取り扱いに対する意識の向上を目的とした社員教育、アクセス権限設定、相互牽制システムの構築など、個人情報に関する内部管理体制についても強化しております。現在、個人情報の流出は発生しておらず、今後も個人情報の取り扱い等に対する体制強化を徹底してまいりますが、個人情報が流出した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。(6) 成人年齢の引き下げについて成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法などが2018年6月13日、参議院本会議で可決、成立し、2022年4月1日に施行されました。本法律の施行により成人式のあり方に何らかの大きな変化(地方自治体等が主催する成人式における成人年齢の定義、成人式開催時期の変更等)があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。(7) 新規事業について当社グループでは、中期的な成長のため、Mission「記憶に、そして心に。」を起点としたカテゴリー・サービス・商材を選定し、本業とのシナジー効果が見込める事業を中心に適宜検討を行っております。新規事業を開始した場合、マーケティングコスト、IT投資コスト、広告宣伝費等の費用発生などが見込まれます。また、人員確保及びノウハウ不足等の原因により新規事業の開始が遅れる、もしくは新規事業が計画どおりに進捗しなかった場合、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。(8) コンプライアンス体制について当社グループは、法令その他諸規則等を遵守すべく、コンプライアンス体制及び内部統制システムの強化を経営上の重要課題のひとつとして位置づけ、グループ各社の従業員等に対して適切な指示、指導を実施し、反社会的勢力との関係遮断や不正行為の防止・発見のために必要な予防策を講じています。また、「内部統制システムの整備に関する基本方針」 を踏まえ、コンプライアンス・リスク管理体制を構築しており、リスク管理委員会が対応策を検討・決定し、コンプライアンス・リスクを管理します。さらにリスク発生の可能性が高まった場合、あるいはリスクが具現化した場合には、必要に応じて緊急対策本部を設置し、リスクの低減を図っていきます。しかしながら、リスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (9) 風評被害等による社会的信用の毀損当社グループでは和装事業において、呉服・振袖等きもの全般を全国に店舗展開しております。当社グループではお客様から解約請求、クレーム等を受けた場合、顧客相談課及び営業本部が連携し速やかに対応できる体制となっております。しかしながら、昨今のSNSなど普及により企業に対する風評被害等が広まることにより当社の社会的信用が毀損した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。(10) 原価率について当社グループにおいては、主要事業である呉服及び加工料金が上昇傾向にあり、それに伴い原価率も上昇傾向にあります。主な要因としては人手不足、人件費の高騰、国内外のインフレーションの進行、物流コスト、原材料等によるものです。当社グループでは、各メーカーとの関係強化や新たな取引先の開拓や分散といった調達戦略による対策や社内での原価分析を実施して原価率低減に取り組んでおります。しかしながら当該価格の上昇傾向が続く場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

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