事業の概要
- 多角的な事業展開:ニコンは、カメラやレンズで知られる「映像事業」だけでなく、半導体やディスプレイ製造装置を手がける「精機事業」、医療機器の「ヘルスケア事業」、産業用部品の「コンポーネント事業」、そして新たな成長分野として「デジタルマニュファクチャリング事業」など、幅広い分野で事業を展開しています。これにより、特定の市場変動に左右されにくい安定した収益基盤を築いています。
- グローバルな収益構造:ニコンの売上収益は、その多くが日本国外で発生しており、海外市場への依存度が高いグローバル企業です。世界各国の顧客に製品やサービスを提供することで、多様な地域の需要を取り込み、事業規模を拡大しています。この国際的な事業展開が、ニコンの収益を支える重要な柱となっています。
- 技術を核としたビジネスモデル:ニコンは、長年にわたる光学技術や精密加工技術を核に、各事業を展開しています。例えば、映像事業では高品質なカメラやレンズ、精機事業では半導体露光装置など、高度な技術力を要する製品が主力です。これらの技術を応用し、新たな製品やソリューションを開発・提供することで、収益を上げています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 映像事業:デジタルカメラや交換レンズ、関連アクセサリーなどを開発・製造・販売しています。特にミラーレスカメラ市場での競争が激しいですが、業務用動画市場の開拓に力を入れ、収益体質の強化を目指しています。ニコンのブランドイメージを支える主力事業の一つです。
- 精機事業:半導体露光装置やFPD(フラットパネルディスプレイ)露光装置などを提供しています。半導体市場は中長期的な成長が見込まれるものの、競合他社の開発状況や主要顧客の設備投資計画に収益が左右される可能性があります。高精度な光学技術が強みです。
- ヘルスケア事業、コンポーネント事業、デジタルマニュファクチャリング事業:ヘルスケア事業では医療機器などを、コンポーネント事業では産業用部品などを扱っています。デジタルマニュファクチャリング事業は、材料加工やロボットビジョンを成長ドライバーとし、SLM社買収を通じて金属アディティブマニュファクチャリングの統合ソリューション提供を進めるなど、今後の成長が期待される戦略事業です。
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3 【事業の内容】 当社グループは、株式会社ニコン(当社)及び連結子会社85社並びに持分法を適用した関連会社及び共同支配企業10社より構成されており、映像事業、精機事業、ヘルスケア事業、コンポーネント事業、デジタルマニュファクチャリング事業等を行っております。なお、当連結会計年度において、報告セグメントに変更がありました。詳細は、「第5 [経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表][連結財務諸表注記] 6.事業セグメント」をご参照ください。 事業の系統図は次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い デジタルカメラ市場での厳しい競争、部品の価格高騰や調達の遅れによる影響。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 光利用技術と精密技術をコア技術とし、多岐にわたる技術に展開している。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 中程度 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:デジタルマニュファクチャリング事業の成長鈍化 / 主要事業における市場環境悪化の可能性 / 研究開発投資の成果不足による企業価値低下
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
ニコンは長年にわたり、カメラ、顕微鏡、半導体露光装置などの分野で高いブランド認知度と技術的評判を築いてきた。特に一眼レフカメラ市場におけるブランド力は根強く、特許ポートフォリオも強みである。しかし、デジタル化の波で一部事業は競争が激化している。
スイッチングコスト★★☆☆☆
産業用機器(顕微鏡、計測機器)においては、導入済みのシステムやオペレーターの習熟度から、他社製品への切り替えには一定のコストや学習時間が発生する可能性がある。一方で、コンシューマー向けカメラではスイッチングコストは低い。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
ニコンの主要事業において、ユーザー数の増加が製品・サービスの価値を直接的に高めるネットワーク効果は限定的である。
コスト優位★☆☆☆☆
精密機器の製造は高度な技術と品質管理を要するため、構造的なコスト優位性を確立することは難しい。一部の量産部品やサプライチェーンの効率化努力は見られるものの、競合他社との決定的なコスト差を生み出すには至っていない。
規模の経済★★★☆☆
半導体露光装置や顕微鏡などの特定分野では、ニコンは業界内で一定のシェアを確保しており、研究開発や生産における規模の経済が働く場面がある。しかし、市場全体で見ると、より巨大な競合も存在する。
- 精密光学技術の優位性:ニコンは、長年にわたり培ってきた精密光学技術において高い競争優位性を持っています。これは、カメラのレンズだけでなく、半導体製造に不可欠な露光装置や医療機器など、幅広い事業分野の製品開発に応用されており、他社が容易に模倣できない技術的障壁となっています。この技術力が、高品質な製品提供の基盤です。
- 多角的な事業ポートフォリオ:映像、精機、ヘルスケア、コンポーネント、デジタルマニュファクチャリングといった多岐にわたる事業を展開している点が強みです。特定の市場の変動リスクを分散させ、安定した経営を可能にしています。例えば、カメラ市場が厳しい状況でも、半導体製造装置や医療機器の需要が補完し、全体の収益を支える構造です。
- グローバルな事業展開とブランド力:ニコンは世界中で事業を展開しており、特にカメラ分野では「Nikon」ブランドが広く認知されています。このグローバルなブランド力は、新規市場への参入や既存市場での顧客獲得において有利に働きます。また、世界中に広がる販売網やサービス体制も、競争優位性を高める要因となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループを取り巻く事業環境は、「4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (業績等の概要) (1)業績」に記載のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)中期経営計画(2022-2025年度) 中期経営計画(2022-2025年度)策定にあたっては、まず2030年のありたい姿をイメージし、その実現に向けて2025年に到達するべき目標を定め、施策を積み上げました。ニコンには、ものづくりを革新するテクノロジーや高度なソリューションをグローバルに広げる力・ブランド、そしてステークホルダーからの支持といった3つの強みがあります。これらを活かし、2030年の「人と機械が共創する社会」に新たな価値を提供し続けたいと考え、2030年のありたい姿を「人と機械が共創する社会の中心企業」としました。これに向けて、お客様と伴走し、お客様の欲しいモノやコトの「本質」を理解した上で、お客様のイノベーションを支える存在になることを目指しました。本計画においては、映像事業が比較的堅調に推移したものの、他の事業では外部環境の影響を受けやすい収益構造の改善に課題が残りました。また、新規事業への投資やM&Aの実行を通じて成長ドライバーの育成に取り組んだものの、収益性や資本効率の観点で課題を残しました。売上収益は目標とした7,000億円を複数年度で達成し、経営基盤の整備も着実に進展させた一方、市場環境の急変の中、新たな取り組みに経営資源を分散した結果、強みとするべきビジネスの改善が進まず、営業利益率及びROEは大幅未達となりました。 なお、当社グループは、2026年5月8日に、2026-2030年度を対象とする中期経営計画を発表しました。概要は以下のとおりです。 (2)中期経営計画(2026-2030年度)新たな中期経営計画(2026-2030年度)は、前中期経営計画において描いた2030年のありたい姿である「人と機械が共創する社会の中心企業」の実現に向け、その取り組みを加速する後半フェーズと位置づけています。前中期経営計画では、新たな事業の創出・育成に向けて幅広い領域に取り組みました。その中で見えてきた強み及び課題を踏まえ、本中期経営計画では、競争優位性のある事業に経営資源を集中し、選んだ事業の成長の牽引を図ります。 ① 中期経営計画全体像本中期経営計画策定にあたり、「信頼と創造」という企業理念のもと、当社グループの理念体系としてミッション、ビジョン、バリューを再定義しました。新たに定めたバリュー「お客さまのニーズ、実現したいものに挑み続ける」「コスト、スピードに挑み続ける」「製品の精度や強靭性に挑み続ける」により、ビジョンである「人と機械が共創する社会の中心企業」の実現を目指します。本中期経営計画においては、財務規律を重視しながら企業価値向上につながる注力分野に経営資源を投入することを基本方針とし、各事業の役割を明確に定め、収益性の改善と資本効率の向上を図ります。「映像」「ヘルスケア」「インダストリー*」は、安定利益創出事業として、顧客の拡大及び提供価値の強化により、全社のキャッシュ・フローを支える役割を担います。「デジタルマニュファクチャリング」「精機」は、企業価値最大化に挑戦する事業として、有望市場及び差別化領域で積極的な投資を行い、長期的な成長を目指します。 また、「事業による社会価値創造」「多様な人材と組織力の強化」「共創型バリューチェーンの深化」を価値創造のための重点テーマに設定し、経営基盤を強化するとともにサステナビリティを重視した経営を推進します。2030年度の数値目標として、売上収益1兆円、営業利益800億円、全社ROIC 7%、ROE 10%を掲げています。*当社グループは、2026年度より、報告セグメント「コンポーネント事業」の名称を「インダストリー事業」に変更しました。 ② 収益計画本中期経営計画前半では、短期的な業績回復を実現し、2030年度には800億円の営業利益達成を目指します。成長を期待するビジネスとしては、デジタルシネマカメラ、大型金属3Dプリンター、半導体露光装置・デジタル露光装置を掲げ、経営資源を重点的に配分して、2030年以降の本格的成長を目指します。計画実行に際しては、内部管理に最適化させたROIC(投下資本利益率)をベースとした投資管理、事業モニタリングを徹底し、収益性改善と統制の強化を推進します。 ③ 持続的成長を支える経営基盤当社グループは、企業理念である「信頼と創造」に基づき、持続的成長の実現に向けた経営基盤の強化に取り組んでいます。人的資本経営においては、多様な人材の育成と活躍機会の拡充を通じ、組織力の向上を図ります。ものづくりの分野では、需要変動等に対応できる柔軟な生産体制の構築と生産性向上に取り組みます。また、顧客及び従業員重視のDXを推進し、データ及びデジタル技術の活用による業務効率化、価値創出の高度化を進めます。経営管理面では、ガバナンス及びリスクマネジメントの強化を通じ、グローバル経営の実効性向上に努めます。さらに、サステナビリティに関する取り組みを重要課題として位置づけ、事業活動と一体的に推進することで、社会からの信頼の確保と中長期的な企業価値の向上を目指します。 ④ 資本配分本中期経営計画では、最大8,000億円の資本配分を行います。資本配分にあたっては、研究開発型企業としての成長と、資本効率及び財務健全性の両立を重視しながら、90%を成長投資に充当し、そのうち50%以上を、注力分野を擁する事業に集中します。こうした方針により中長期の収益向上を図るとともに、株主還元のさらなる充実を目指します。 ⑤ ありたい姿の実現ニコンのビジョンは「人と機械が共創する社会の中心企業」です。このビジョンの実現を目指し、新中期経営計画のもと、常に社会への貢献を念頭に置きながら、全ステークホルダーの期待にお応えできるよう、持続的な企業価値向上の実現を目指します。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループを取り巻く事業環境は、「4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (業績等の概要) (1)業績」に記載のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)中期経営計画(2022-2025年度) 中期経営計画(2022-2025年度)策定にあたっては、まず2030年のありたい姿をイメージし、その実現に向けて2025年に到達するべき目標を定め、施策を積み上げました。ニコンには、ものづくりを革新するテクノロジーや高度なソリューションをグローバルに広げる力・ブランド、そしてステークホルダーからの支持といった3つの強みがあります。これらを活かし、2030年の「人と機械が共創する社会」に新たな価値を提供し続けたいと考え、2030年のありたい姿を「人と機械が共創する社会の中心企業」としました。これに向けて、お客様と伴走し、お客様の欲しいモノやコトの「本質」を理解した上で、お客様のイノベーションを支える存在になることを目指しました。本計画においては、映像事業が比較的堅調に推移したものの、他の事業では外部環境の影響を受けやすい収益構造の改善に課題が残りました。また、新規事業への投資やM&Aの実行を通じて成長ドライバーの育成に取り組んだものの、収益性や資本効率の観点で課題を残しました。売上収益は目標とした7,000億円を複数年度で達成し、経営基盤の整備も着実に進展させた一方、市場環境の急変の中、新たな取り組みに経営資源を分散した結果、強みとするべきビジネスの改善が進まず、営業利益率及びROEは大幅未達となりました。 なお、当社グループは、2026年5月8日に、2026-2030年度を対象とする中期経営計画を発表しました。概要は以下のとおりです。 (2)中期経営計画(2026-2030年度)新たな中期経営計画(2026-2030年度)は、前中期経営計画において描いた2030年のありたい姿である「人と機械が共創する社会の中心企業」の実現に向け、その取り組みを加速する後半フェーズと位置づけています。前中期経営計画では、新たな事業の創出・育成に向けて幅広い領域に取り組みました。その中で見えてきた強み及び課題を踏まえ、本中期経営計画では、競争優位性のある事業に経営資源を集中し、選んだ事業の成長の牽引を図ります。 ① 中期経営計画全体像本中期経営計画策定にあたり、「信頼と創造」という企業理念のもと、当社グループの理念体系としてミッション、ビジョン、バリューを再定義しました。新たに定めたバリュー「お客さまのニーズ、実現したいものに挑み続ける」「コスト、スピードに挑み続ける」「製品の精度や強靭性に挑み続ける」により、ビジョンである「人と機械が共創する社会の中心企業」の実現を目指します。本中期経営計画においては、財務規律を重視しながら企業価値向上につながる注力分野に経営資源を投入することを基本方針とし、各事業の役割を明確に定め、収益性の改善と資本効率の向上を図ります。「映像」「ヘルスケア」「インダストリー*」は、安定利益創出事業として、顧客の拡大及び提供価値の強化により、全社のキャッシュ・フローを支える役割を担います。「デジタルマニュファクチャリング」「精機」は、企業価値最大化に挑戦する事業として、有望市場及び差別化領域で積極的な投資を行い、長期的な成長を目指します。 また、「事業による社会価値創造」「多様な人材と組織力の強化」「共創型バリューチェーンの深化」を価値創造のための重点テーマに設定し、経営基盤を強化するとともにサステナビリティを重視した経営を推進します。2030年度の数値目標として、売上収益1兆円、営業利益800億円、全社ROIC 7%、ROE 10%を掲げています。*当社グループは、2026年度より、報告セグメント「コンポーネント事業」の名称を「インダストリー事業」に変更しました。 ② 収益計画本中期経営計画前半では、短期的な業績回復を実現し、2030年度には800億円の営業利益達成を目指します。成長を期待するビジネスとしては、デジタルシネマカメラ、大型金属3Dプリンター、半導体露光装置・デジタル露光装置を掲げ、経営資源を重点的に配分して、2030年以降の本格的成長を目指します。計画実行に際しては、内部管理に最適化させたROIC(投下資本利益率)をベースとした投資管理、事業モニタリングを徹底し、収益性改善と統制の強化を推進します。 ③ 持続的成長を支える経営基盤当社グループは、企業理念である「信頼と創造」に基づき、持続的成長の実現に向けた経営基盤の強化に取り組んでいます。人的資本経営においては、多様な人材の育成と活躍機会の拡充を通じ、組織力の向上を図ります。ものづくりの分野では、需要変動等に対応できる柔軟な生産体制の構築と生産性向上に取り組みます。また、顧客及び従業員重視のDXを推進し、データ及びデジタル技術の活用による業務効率化、価値創出の高度化を進めます。経営管理面では、ガバナンス及びリスクマネジメントの強化を通じ、グローバル経営の実効性向上に努めます。さらに、サステナビリティに関する取り組みを重要課題として位置づけ、事業活動と一体的に推進することで、社会からの信頼の確保と中長期的な企業価値の向上を目指します。 ④ 資本配分本中期経営計画では、最大8,000億円の資本配分を行います。資本配分にあたっては、研究開発型企業としての成長と、資本効率及び財務健全性の両立を重視しながら、90%を成長投資に充当し、そのうち50%以上を、注力分野を擁する事業に集中します。こうした方針により中長期の収益向上を図るとともに、株主還元のさらなる充実を目指します。 ⑤ ありたい姿の実現ニコンのビジョンは「人と機械が共創する社会の中心企業」です。このビジョンの実現を目指し、新中期経営計画のもと、常に社会への貢献を念頭に置きながら、全ステークホルダーの期待にお応えできるよう、持続的な企業価値向上の実現を目指します。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(業績等の概要)(1) 業績当連結会計年度における市場・顧客動向について、映像事業においては、デジタルカメラ市場は販売台数・金額とも堅調に推移しました。精機事業においては、FPD関連分野は、中小型パネル用、大型パネル用、いずれも設備投資は堅調に推移しました。一方、半導体関連分野は、引き続きAI関連半導体の需要は堅調であったものの、それ以外のデバイスは低調に推移しました。ヘルスケア事業においては、ライフサイエンスソリューション分野で、政治・経済環境を背景に、米州を中心に一部地域において市況の停滞が見られました。アイケアソリューション分野では米州を中心に、市況は回復基調が続いており、足元は堅調に推移しました。コンポーネント事業においては、インダストリアルソリューションズ事業では、半導体や電子部品市場は回復基調にありました。カスタムプロダクツ事業では、EUV関連市場減速の影響を受け、低調に推移しました。デジタルマニュファクチャリング事業においては、金属アディティブマニュファクチャリング分野は、引き続き防衛及び宇宙領域が市場を牽引しました。 当社グループは、中期経営計画(2022-2025年度)のもと、事業を進展させるとともに、経営基盤の整備を進めました。当連結会計年度は、映像事業では、当社と子会社RED Digital Cinema, Inc.の技術を融合したデジタルシネマカメラ「ZR」を発表し、精機事業では、ニコン初となる半導体製造の後工程向けデジタル露光装置「DSP-100」の受注を開始しました。成長ドライバーの展開は着実に進捗したものの、デジタルマニュファクチャリング事業において、非金融資産に係る減損損失を計上したこと等により業績は期初の想定を大きく下回りました。当該減損損失の計上については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 15.非金融資産の減損損失 (2)認識した減損損失及び認識に至った事象及び状況 (当連結会計年度)」をご参照ください。 このような状況の下、当社グループの連結業績は、売上収益は6,771億63百万円、前期比381億22百万円(5.3%)の減収、営業損失は1,124億48百万円(前年同期は24億22百万円の営業利益)、税引前損失は1,065億11百万円(前年同期は45億33百万円の税引前利益)、親会社の所有者に帰属する当期損失は860億88百万円(前年同期は61億23百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)となりました。 セグメント情報は次のとおりです。 映像事業においては、ニコン初のデジタルシネマカメラ「ZR」が販売を牽引しました。しかし、製品ミックスの変化や競争環境の激化に伴うプロモーション費用の増加による平均販売単価の下落に加え、関税影響やMark Roberts Motion Control Limitedの株式譲渡契約に関連した一時費用等もあり、減収減益となりました。これらの結果、当事業の売上収益は2,900億53百万円、前期比1.8%減、営業利益は167億15百万円、前期比59.5%減となりました。精機事業においては、FPD露光装置分野における装置販売台数や半導体露光装置分野におけるArFドライ及び液浸露光装置の販売台数が減少し、事業全体では減収減益となりました。これらの結果、当事業の売上収益は1,672億58百万円、前期比17.2%減、営業損失は45億65百万円(前年同期は15億44百万円の営業利益)となりました。ヘルスケア事業においては、アイケアソリューション分野で欧米を中心に堅調に推移し増収となり、細胞受託生産ソリューション分野も前連結会計年度に引き続き好調に推移しました。しかしながら、ライフサイエンスソリューション分野において、米国市場の停滞や関税影響を受けたことに加え、アイケアソリューション分野においても、関税影響や一部取引に係る引当金の増額計上が利益を圧迫したことから、事業全体としては減収減益となりました。これらの結果、当事業の売上収益は1,119億22百万円、前期比3.9%減、営業利益は15億61百万円、前期比76.8%減となりました。 コンポーネント事業においては、インダストリアルソリューションズ事業では、電子部品・半導体向け画像測定システム等の販売が堅調に推移しました。産業機器事業関連での構造改革の効果や製品ミックスの変化による収益性向上もあり、増収増益となりました。カスタムプロダクツ事業では、EUV関連コンポーネントの販売がEUV関連市場減速の影響を受け、減収減益となりました。これらの結果、当事業の売上収益は761億76百万円、前期比2.8%増、営業利益は95億53百万円、前期比33.0%増となりました。デジタルマニュファクチャリング事業においては、大型装置の販売台数増加に加え、為替効果もあり増収となりました。一方で、上記のとおり非金融資産に係る減損損失を計上したこと等により、営業損失が拡大しました。これらの結果、当事業の売上収益は280億90百万円、前年同期比20.3%増、営業損失は1,062億82百万円(前年同期は152億25百万円の営業損失)となりました。 (2) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に減価償却費及び償却費430億87百万円、減損損失991億41百万円の計上があった一方、税引前損失の計上、棚卸資産の増加、仕入債務及びその他の債務の減少、前受金の減少、法人所得税の支払があり、44億39百万円の支出(前年同期は482億58百万円の収入)となりました。当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、主に投資有価証券の売却による収入が357億2百万円、有形固定資産の売却による収入が53億29百万円、事業譲渡による収入が30億円あった一方、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が557億38百万円あり、126億3百万円の支出(前年同期は699億88百万円の支出)となりました。当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払が164億47百万円、長期借入金の返済による支出が156億18百万円、社債の償還による支出が100億円、リース負債の返済による支出が80億47百万円あった一方、短期借入金の増加が351億11百万円、長期借入れによる収入が160億円あり、8億58百万円の収入(前年同期は198億8百万円の支出)となりました。上記に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額によって106億29百万円増加した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ55億54百万円減少し、1,580億36百万円となりました。 (生産、受注及び販売の状況)(1) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)映像事業177,479△6.1精機事業105,574△0.9ヘルスケア事業44,3302.9コンポーネント事業60,4531.3デジタルマニュファクチャリング事業14,5320.8合計402,368△2.5 (注) 金額は製造者販売価格によって算出し、付属品仕入額を含んでおります。 (2) 受注状況当連結会計年度における受注残高は、次のとおりであります。なお、精機事業を除いては見込生産を主としておりますので記載を省略しております。 セグメントの名称受注残高(百万円)前期比(%)精機事業112,8823.9合計112,8823.9 (3) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)映像事業290,053△1.8精機事業167,258△17.2ヘルスケア事業111,922△3.9コンポーネント事業76,1762.8デジタルマニュファクチャリング事業28,09020.3その他3,664△8.7合計677,163△5.3 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)(1) 重要性がある会計方針及び見積り当社グループは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上や、グループ内の会計基準統一による経営基盤の強化を目指し、2017年3月期有価証券報告書における連結財務諸表からIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって採用する重要性がある会計方針及び見積りは、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][連結財務諸表注記] 3.重要性がある会計方針、4.見積り及び判断の利用」をご参照ください。 (2) 財政状態の分析当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べて355億7百万円減少し、1兆750億7百万円となりました。これは主に、棚卸資産が253億40百万円、繰延税金資産が153億4百万円、未収入金等の増加によりその他の流動資産が52億75百万円、有形固定資産が42億85百万円増加した一方、使用権資産、のれん及び無形資産が710億円、退職給付に係る資産が106億89百万円、現金及び現金同等物が55億54百万円減少したためです。当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べて155億20百万円増加し、4,868億11百万円となりました。これは主に、仕入債務及びその他の債務が88億33百万円、繰延税金負債が80億90百万円、その他の金融負債が19億30百万円減少した一方、社債及び借入金が263億87百万円、その他の流動負債が43億70百万円、引当金が25億70百万円増加したためです。当連結会計年度末における資本の残高は、前連結会計年度末に比べて510億27百万円減少し、5,881億96百万円となりました。これは主に、在外営業活動体の換算差額等の増加によりその他の資本の構成要素が418億6百万円増加した一方、親会社の所有者に帰属する当期損失の計上や剰余金の配当等により利益剰余金が939億46百万円減少したためです。 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 (3) 経営成績の分析当連結会計年度における売上収益は、主に精機事業における装置販売台数減少により、381億22百万円減の6,771億63百万円(前連結会計年度は7,152億85百万円)となりました。売上原価は、減収影響に伴い、34億15百万円減の3,999億3百万円(前連結会計年度は4,033億18百万円)となりました。販売費及び一般管理費は、労務費や保守修繕費の増加の一方、研究開発費や広告宣伝費の減少により、59億8百万円減の2,892億48百万円(前連結会計年度は2,951億55百万円)となりました。その他営業収益は、土地売却益や事業譲渡益の計上により、84億69百万円増の107億10百万円となりました。その他営業費用は、固定資産の減損損失や構造改革関連費用などの計上により、945億39百万円増の1,111億70百万円となりました。これらの結果、営業損失は1,124億48百万円(前連結会計年度は24億22百万円の営業利益)となり、1,148億70百万円の減益となりました。1,148億70百万円の営業減益の影響により、1,065億11百万円の税引前損失(前連結会計年度は45億33百万円の税引前利益)となり、1,110億44百万円の減益となりました。親会社の所有者に帰属する当期損失は、法人所得税費用マイナス204億76百万円の計上により860億88百万円(前連結会計年度は61億23百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)となりました。なお、当社グループの課題につきましては、「第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]」を、またセグメント別の分析は、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](業績等の概要) (1)業績」をそれぞれご参照ください。 (4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループは、自己資本比率50%以上を目安として一定の財務健全性の確保を前提に置きながら、投資資本の運用効率を重視し、持続的な成長のために資本コストを上回る収益が見込める投資に資金を活用することで企業価値の最大化を実現すると同時に、安定的な株主還元を実施することで株主の要求にも応えることを資本管理の方針としております。運転資金や経常的に発生する設備投資資金については、現在保有する現金や預金で賄い、持続的成長に向けた投資については、配分可能な現金や預金、及び営業活動から創出されるキャッシュ・フローを源泉とした資金で賄うことを原則としております。また、機動的な資本配分を実現するため、国内外のグループ会社が保有する資金をグローバル・キャッシュ・マネージメント・システムにより効率的に管理することでグループ内の資金の流動性を高め、これを有効活用しております。なお、当社は市場の混乱や、当社が事業を遂行する上でのリスクに晒されているため、こうした要因が資金繰りを圧迫する事態への備えとして十分な手元流動性(現預金、コミットメントライン等)の確保に努めており、事業環境に急激な変化を与え得る様々な不確実性を前提としても当面安定的な経営が可能な状態にあります。 当社グループの資金状況は、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますとおり、当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは44億39百万円の支出となり、投資活動によるキャッシュ・フローは126億3百万円の支出であったため、170億41百万円のマイナスのフリー・キャッシュ・フローとなりました。また、有利子負債を控除したネットキャッシュ残高はマイナス817億72百万円になりました。なお、当連結会計年度後1年間の設備投資計画は750億円を予定しており、主に生産能力の最適化と設備の維持・更新を図るためのものであります。また、当連結会計年度後1年間の研究開発投資は735億円を予定しております。当該設備投資及び研究開発投資の資金は、主に営業キャッシュ・フローを源泉とした資金の範囲で賄うことを予定しております。設備投資計画の詳細につきましては、「第3[設備の状況]3[設備の新設、除却等の計画]」をご参照ください。 以上の記載事項のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月25日)現在において判断したものであります。また、分析に記載した実績値は百万円未満を四捨五入して記載しております。
事業リスク
- 市場成長の鈍化と競争激化:デジタルマニュファクチャリング事業では、市場の成長が想定より遅れる可能性があり、目標とする規模に達しないリスクがあります。また、映像事業のデジタルカメラ市場では、ミラーレスカメラでの競争が激しく、部品価格の高騰や調達遅延も影響しています。精機事業の露光装置も、ディスプレイや半導体市場の設備投資動向や競合他社の技術開発状況によって需要が減少する可能性があります。
- 研究開発投資の成果不確実性:ニコンの事業は、常に高度な研究開発が求められる分野であり、収益の変動にかかわらず継続的な投資が必要です。しかし、投資が十分な成果に結びつかず、新製品や次世代技術の開発・市場投入が遅れる、あるいは開発した技術が市場に受け入れられない場合、企業価値の低下や収益減少につながる可能性があります。また、技術の抜本的な変化により、既存技術が不要になるリスクも存在します。
- グローバル事業に伴う規制・地政学リスク:ニコンは海外売上比率が高く、世界各国の輸出入規制、競争法、労働法、腐敗防止、移転価格税制など、多様な法規制の適用を受けます。これらの規制変更や、政治問題、貿易摩擦、紛争、テロなどの地政学的な要因は、事業活動の費用増加、事業の制約、レピュテーションリスク、あるいは事業活動そのものに大きな障害や損失をもたらす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】(1) リスク管理体制と運用状況当社グループでは、会社の持続的発展を目的に、企業経営・事業継続に重大な影響を及ぼすあらゆるリスクに対し、識別・評価・管理が重要な課題であるという認識のもと「リスク・コンプライアンス委員会」を設置して、リスク管理を行っています。リスク・コンプライアンス委員会は、リスク管理担当役員であるCRO(Chief Risk Management Officer)を委員長とし、委員は経営委員会の構成員等として、年に2回定期的、また必要に応じて随時開催しています。全社的な見地でリスクを把握し、重点対象のリスクについて継続的なモニタリングや、機動的な支援ができる体制を構築する等、当社グループを取り巻くリスクを適切に管理する体制整備に努めています。専門的な対応が必要な事案は、サステナビリティ委員会及び品質委員会並びにそれらの傘下部会にて、リスクを把握するとともに対策を審議し、グループ全体で対応しています。当社の委員会やコーポレート・ガバナンス体制の模式図は「第4[提出会社の状況] 4[コーポレート・ガバナンスの状況等] (1)[コーポレート・ガバナンスの概要] ②企業統治の体制の概要」に記載のとおりです。 (2) リスクの把握と対策当社グループでは、当社グループが抱えるリスクを把握するため、リスクアセスメントとして「リスク把握調査」を毎年実施しています。この調査は、当社の部長相当以上及び国内・海外グループ会社社長を対象に実施しているもので、全社的な重要リスクの洗い出しや分析・評価を行い、対応状況をモニタリングしています。調査結果をもとに、回答数や影響が大きいリスクを分析し、かつ社外のリスク認識も加味した「リスク相関図」を作成した上で、経営陣との協議を通じて、重要リスク(重要戦略リスク、重要オペレーションリスク)を特定し、リスク・コンプライアンス委員会にて報告しています。また、中期経営計画の策定時に、事業部門及び管理部門において自部門に与える影響の大きさを踏まえ、特に目配りすべき重要リスクを目標や施策に展開しています。当社グループの戦略・事業その他を遂行する上で、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主なテーマは以下のとおりです。これらのリスクは、当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられるほかのリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 ① 事業、経営に関するリスク・リスク映像事業の主要製品であるデジタルカメラは、ミラーレスカメラ市場での厳しい競争に加えて、部品の価格高騰や調達の遅れによる影響が生じており、市場環境悪化の可能性があります。精機事業が扱うFPD露光装置の需要は、ディスプレイ市場自体は安定的に需要が見込める市場ですが、設備投資の縮小継続により露光装置需要の回復が伸び悩む可能性があります。半導体露光装置の対象市場である半導体市場は、大きく成長が見込まれるものの、当社グループの主要顧客が設備投資計画を変更した場合等、当社グループの収益に影響を及ぼす恐れがあります。また、デジタルマニュファクチャリング事業においては、金属付加加工における統合ソリューションをグローバルで提供する企業を買収する等、事業の拡大を進めていますが、関連する市場の成長が想定よりも鈍い場合等は、期待される規模への成長に届かない可能性があります。 ・対応映像事業は、今後拡大が見込まれる業務用動画市場の開拓を目指すため、買収した企業と協働で新製品の開発を行うとともに、生産販売面での最適化、サプライチェーンや物流の改革、徹底したコストダウン、デジタルマーケティングの強化、開発効率化等に取り組み、事業の収益体質強化を引き続き進めています。FPD装置事業は、露光装置の需要が落ち込む環境下でも一定の利益を確保するため、新規露光装置及びサービスビジネスによる収益拡大やトータルコスト低減を進めています。半導体装置事業は、収益性を重視した事業方針の下、関連領域での人員配置を見直す取り組み等を通じて、事業構造の見直しに努めています。また、ArFドライ及び液浸露光装置、デジタル露光装置の開発や既存顧客以外の開拓を積極的に進めるとともに、サービスビジネスを拡大していきます。また、デジタルマニュファクチャリング事業では、デジタル化が進む製造業に対して独自の価値を提供し、競争力のある新製品を市場に導入すること等で、新たな市場の形成を進めていきます。中期経営計画の進捗は取締役会等で定期的にモニタリングを行い、市場や競合の動向を注視しつつ、タイムリーに戦略を検討・修正できる体制としています。 ② 研究開発に関するリスク・リスク当社グループの事業分野は厳しい競争下にあり、高度な研究開発の継続によって製品の開発が常に求められています。そのため、当社グループの収益の変動にかかわらず、製品開発のための適切な投資を常に継続する必要があります。しかし、投資の成果が十分に上がらず新製品、次世代技術の開発や市場投入がタイムリーに行えない場合や、当社グループが開発した技術が市場に受け入れられなかった場合、あるいはゲームチェンジ等抜本的な変化により当社グループの技術が不要となる場合、企業価値が低下し、収益が減少する可能性があります。・対応当社グループでは「技術戦略委員会」にて、注力すべき新領域の開拓や既存事業の競争力向上につながる技術戦略を明確にし、技術開発の方向性と重点投資分野を決定しています。幅広い社会的課題やニーズに積極的に応えながら、当社グループの長期的な成長を実現していきます。 ③ 各種規制・制度変更に関するリスク・リスク当社グループはグローバルに事業を展開しているため、生産及び販売活動の多くが日本国外であり、連結売上収益に占める海外売上収益比率は高くなっています。多くの国々において、輸出入規制、情報セキュリティ、個人情報保護、競争法、労働法、腐敗防止、移転価格税制等、各種法規制の適用や企業の社会的責任を求められています。これら法規制や社会的責任として求められる内容は大きく変わる可能性があり、その変化により事業活動費用の増加や事業の制約、レピュテーションリスク等を受ける可能性があります。・対応当社グループでは、「リスク・コンプライアンス委員会」によるリスク整理・管理に加え、専門的な対応が必要なリスクに対しては、その傘下の輸出審査委員会で対応を図るとともに、サステナビリティ委員会及び品質委員会並びにそれらの傘下部会でもリスクのモニタリング及び対応をしています。その中で、規制の変更に関してグループ全体で情報を収集後、当該情報に基づいた実務プロセスへのフィードバックや規制を踏まえた戦略を立案する等、さらなる体制強化に取り組んでいます。 ④ M&A、戦略的出資に関するリスク・リスク当社グループは、新規事業の創出や既存事業領域の拡大、事業シナジー実現のために、M&Aや戦略的出資を行っています。市場環境の著しい変化や対象企業の人材流出等により所期の成果を達成できない場合、のれんや有価証券等の減損損失により、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ・対応当社グループは事業戦略に基づき、M&A対象、戦略的出資先を探索し、対象企業の価値やリスク等のデューディリジェンスを行っています。また、買収や出資後は、当初の目的に対する進捗を取締役会や経営陣による定期モニタリング等を通じて行い、必要に応じて戦略の軌道修正を図っています。 ⑤ 地政学のリスク・リスク前述のとおり、当社グループはグローバルに事業を展開しているため、海外市場への依存が大きくなっています。海外での事業展開は、世界経済全体の動向に加え、政治問題、貿易摩擦や紛争等の影響、暴動・テロ・戦争等による社会の混乱により、事業活動に大きな障害や損失が生じる可能性があります。また、外国為替相場が急激又は大幅に変動した場合は、当社グループの収益や財政状況に多大な影響を及ぼす恐れがあります。近年はとりわけ中東情勢の悪化から来るサプライチェーンの問題や米中貿易摩擦等の地政学リスクが、マクロ経済や当社グループの事業活動、半導体部品等のサプライチェーン等に影響を及ぼす恐れがあります。・対応当社グループでは、リスク・コンプライアンス委員会によるリスク整理・管理に加え、傘下の委員会や、サステナビリティ委員会及び品質委員会並びにそれらの傘下部会にて、リスクのモニタリング及び対応をしています。当該リスクが顕在化する可能性やその影響レベルについては、社会情勢等により左右されるため、具体的に予測することは困難ですが、情報収集及び事業に与える影響の分析を行い、対策を検討、実施しています。また、当社グループは、売上規模と販売地域に応じた為替ヘッジを行っています。 ⑥ 調達のリスク・リスク近年、グローバル規模の異常気象や自然災害、地政学的な影響等により、労務費、原材料価格、エネルギーコストが大きく変動しています。また、半導体メモリの不足に加え、中東情勢の緊迫化に伴う地政学的な影響により、一部供給不安や価格高騰、出荷制限の影響が出る可能性があります。これにより、従来の価格リスクに加え、必要な数量・納期での確保が困難となる供給リスクが高まり、生産継続への影響が懸念されています。加えて、サプライチェーンにおける人権、労働環境、安全衛生、脱炭素といった社会・環境課題への関心の高まりを背景に、調達リスクは多様化・複雑化しています。・対応サプライチェーンの様々な領域において、不確実性と変動性の高い状況が継続しています。このような環境下において、当社グループは供給確保を最優先としたレジリエントなサプライチェーンの構築に取り組んでいます。具体的には、サプライチェーンの可視化を強化し、生産副資材を含む逼迫品目の全社横断的な需給状況を把握するとともに、調達パートナーとの連携強化により供給ルートの複線化を推進しています。さらに、BCPの策定・高度化に加え、需要変動を踏まえたリスクシナリオ管理及び早期エスカレーション体制を整備し、温室効果ガス排出量の把握や人権デューディリジェンスの強化等を通じて、ESGの視点で持続可能な調達基盤の構築を進めています。これらの取り組みにより、急激に変化する外部環境にも柔軟かつ迅速に対応し、リスクの低減と安定供給の確保、さらには持続的な成長の実現を目指しています。 ⑦ 環境のリスク・リスク気候変動に起因する異常気象や洪水、渇水等の自然災害や感染症の拡大により、開発・生産拠点及び調達先等に甚大な損害が生じた場合、操業に影響が生じたり、生産や出荷が遅延したりする恐れがあります。また、脱炭素社会に向けた動きが加速する中、各国において炭素税等の政策・法規制の導入又は導入検討が進んでおり、エネルギーや原材料のコストが増加するリスクがあります。環境政策・法規制等により、基準の遵守や情報開示等の対応が求められ、年々強化される傾向にあります。対応が十分ではないと、行政処分等による生産への影響や課徴金、社会的信用の失墜等会社経営に甚大な損害を与える可能性があります。特に化学物質等に関連する法規制が強化された場合、必要な材料・副資材の入手が困難になる可能性があります。また、環境表示や環境訴求に関する規制も強まっており、これらを十分に踏まえた販促活動ができない場合、グリーンウォッシュと受け止められ、ブランド価値の毀損や社会的信用の低下を招く可能性があります。・対応当社グループは、気候変動や天然資源の枯渇、廃棄物問題、有害化学物質による汚染などの環境問題を自社の存続にも関わる問題と捉えて、サステナビリティ委員会や関連する委員会、部会でリスクのモニタリングを行い、さまざまな対策を講じるとともに、地球環境に配慮した経営を行っています。また、グループ全体で省エネルギー活動や再生可能エネルギーの活用、開発・生産プロセスの効率化等をはじめとしたバリューチェーン全体での温室効果ガス削減やBCPの策定に取り組んでいます。社内の規程類を整備し、担当者の教育等を実施することで、バリューチェーンを含めた管理体制を強化するほか、規制の変更等を適時に把握するよう努めています。また、法規制よりも厳しい自主基準値を設けることにより、環境汚染の未然防止を図っています。加えて、環境表示や環境訴求に関しては、関連部門が連携して内容の確認を行うことで、適切な販促活動の徹底に努めています。 ⑧ 人材に関するリスク・リスク当社グループの事業成長と競争力の維持には、高度な技術や専門知識、能力を有する多様な人材の確保が不可欠です。有能な人材を採用・育成できず、あるいは主要な人材が離職した場合、事業活動の停滞や知識・ノウハウの社外流出を招き、当社グループの成長や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に労働流動性が高い国や地域における人材流出の危険性は高いと考えられます。特に当社を含む国内グループ会社においては、過去の事業環境や採用動向等に起因する従業員の年齢構成の偏りが生じています。今後、ベテラン層の高齢化や退職が進むにあたり、中堅・若手層が不足した場合、当社グループの競争力の源泉である技術・技能の伝承や業務ノウハウの引き継ぎが適切に行われないリスクがあります。・対応当社グループは、企業理念実現の担い手となるのは「ニコングループで働く多様な人材」であるという考えのもと、経営戦略と連動した人材戦略を推進しています。従業員がその能力を最大限に発揮できるよう、多様な価値観を認め、活かし合う企業文化や職場環境を醸成するとともに、主体的な挑戦・活躍機会の提供、公正な評価・処遇を通じて人材の定着とエンゲージメント向上を図っています。国内においては、毎年一定人数の新卒採用の継続等により、従業員の年齢構成の平準化を図っています。技術・技能の伝承については、業務プロセスの標準化・システム化を進めるとともに、世代を超えた知識・ノウハウの共有を組織的に推進し、次世代を担う中堅・若手人材の計画的な育成に努めています。 ⑨ 情報資産とサイバーセキュリティのリスク・リスク当社グループは、技術情報や取引先及び顧客情報等の多くの情報資産を保有しており、サイバー攻撃や故意、過失、災害等により、情報システムの重大な障害や個人情報の不正利用、情報セキュリティ事故を生じさせた場合、当社グループの企業価値の毀損や、損害賠償請求を受けるリスクがあります。個人情報保護や、製品のセキュリティ要件に関する世界各国の法令に違反した場合、厳罰に処される可能性があります。また、デジタル化が急速に進むなか、社内システムの老朽化や業務の複雑化・属人化、基幹システムのサポート終了等が、業務の非効率となる可能性があります。 ・対応当社グループでは、個人情報保護を含む情報管理において代表取締役 兼 社長執行役員を最高責任者に定めるとともに、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に準拠した業務プロセスを構築しています。サイバー攻撃に対し高い防御力を維持し、インシデントの早期発見と対応のため、様々なセキュリティ対策を行い、グローバルで一括して監視・対応する運用体制の改善・強化を進めています。情報セキュリティレベルの向上を図るとともに、情報取り扱いに関する社内規程の整備や従業員教育等を実施しています。また、近年、他社において事業継続に重大な影響を及ぼすインシデントが多発していることを踏まえ、サイバーレジリエンス体制の強化を進めています。また、基幹システム更新プロジェクトを推進することで、デジタル化による業務の効率化、デジタルマーケティングの強化、サービスプラットフォームの整備等を強化していきます。なお、近年増加するサイバー攻撃リスクへの対応を強化するため、2026年4月から、新たにCISO(Chief Information Security Officer)を定め、リスク・コンプライアンス委員会の傘下委員会として情報セキュリティ委員会を設置しました。 ⑩ 知的財産、訴訟のリスク・リスク当社グループは、製品開発に伴って多くの知的財産権を取得、保有し、他社にライセンス供与もしています。当社グループの知的財産権を他社が無断使用すること等に起因して提訴に至った場合、大きな訴訟費用が発生する可能性があります。一方で、他社、個人等より、知的財産権を侵害したとして、製造・販売の差し止めや損害賠償請求を受ける可能性があり、当社グループの収益や財政状況に多大な影響を及ぼす可能性があります。また、事業のグローバル展開に伴い、国・地域により法制度や救済手段が異なるため、紛争の長期化や想定外のコスト・影響が生じる可能性があります。・対応既存事業の成長や新事業の創生につながる「知的財産戦略」を策定し、この戦略に従って知的財産活動を継続的に推進しています。研究開発活動によって生み出された技術や製品・サービスに関する特許、意匠、商標等の知的財産を保護しています。将来を見据えた知的財産の創生と権利化を各事業部門や研究開発部門と協働しながら行うことで、市場における競争優位の確立を図っています。また、法務・知的財産部門と関連部門で連携して、他社知的財産権の調査等を適宜実施し、他社知的財産権の侵害の未然防止に努めています。あわせて、特許・意匠・商標等を組み合わせた「知財ミックス」により、製品・サービスを包括的に保護し、各事業の「事業戦略」を知的財産の側面から支えています。知的財産活動は、知財部門・事業部門・研究開発部門が価値観と戦略を共有しながら推進しています。加えて、模倣品対策やブランド保護の観点から、ECサイト等の状況確認や関係機関との連携等を通じ、侵害の抑止・早期対応に取り組んでいます。 ⑪ 災害、感染症等のリスク・リスク大地震・火災・洪水等の自然災害(異常気象、気候変動に起因するものを含む)による水・電力・通信網等のインフラストラクチャーや物流機能の障害や感染症の拡大等に伴い、事業活動に大きな障害や損失が生じる可能性があります。当社グループの開発・製造拠点や調達先等に壊滅的な損害が生じた場合、操業が中断し、生産や出荷に遅延が生じるおそれがあります。これによって生産や販売が制約され、事業の復旧に多大な費用が生じた場合、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、大規模災害や感染症等の発生に備えてBCPを策定し、定期的に見直しています。当社では、「首都直下地震」等の大規模地震を想定し、主要事業部門のBCPの再点検・アップデートを行い、事業継続のための施策を実施しています。また、国内グループ会社を含めて、大規模地震発生時の行動についての教育や、災害時を想定した安否確認及び通信訓練等の各種訓練を実施しています。