事業の概要
- 医療機器の製造販売: オリンパスグループは、主に内視鏡と治療機器の製造販売を通じて収益を得ています。これらは医療現場で診断や治療に使われる専門性の高い製品であり、高い技術力と品質が求められます。世界中の病院やクリニックが主要な顧客となります。
- 内視鏡事業: 消化器内視鏡や外科内視鏡、関連する医療サービスを提供しています。これは、体内の様子を観察したり、小さな手術を行ったりするための機器で、早期発見や低侵襲治療に貢献し、医療の質の向上に不可欠な事業です。
- 治療機器事業: 消化器科、泌尿器科、呼吸器科などの処置具や、エネルギー・デバイス(手術で組織を切開・凝固する機器)、耳鼻咽喉科・婦人科製品などを扱っています。これらの機器は、内視鏡と組み合わせて使用されることが多く、より効果的な治療を可能にしています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 内視鏡事業: 消化器内視鏡、外科内視鏡、および関連する医療サービスを提供しています。この事業は、病気の早期発見や低侵襲治療に貢献する重要な役割を担っており、オリンパスグループの主要な収益源の一つです。世界中の医療機関が顧客となります。
- 治療機器事業: 消化器科処置具、泌尿器科製品、呼吸器科製品、エネルギー・デバイス、耳鼻咽喉科製品、婦人科製品など、幅広い治療用医療機器を扱っています。これらの製品は、内視鏡と組み合わせて使用されることが多く、より効果的な治療をサポートしています。
- 持株会社・金融投資等: オリンパス株式会社(当社)および一部の連結子会社は、グループ全体の統括や金融投資などの事業活動を行っています。これは、各事業セグメントを支える基盤であり、グループ全体の効率的な運営と成長戦略の推進に貢献しています。
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3【事業の内容】 当社グループは、オリンパス株式会社(当社)、子会社80社、関連会社2社及び共同支配企業1社で構成されており、消化器内視鏡ソリューション事業及びサージカルインターベンション事業を主な事業とし、さらに各事業に関連する持株会社及び金融投資等の事業活動を展開しています。 次の「消化器内視鏡ソリューション事業」及び「サージカルインターベンション事業」の2事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント」に掲げるセグメントの区分と同一です。 なお、当社グループは、従来「内視鏡事業」「治療機器事業」の2区分を報告セグメントとしていましたが、中間連結会計期間より、「消化器内視鏡ソリューション事業」及び「サージカルインターベンション事業」の2区分を報告セグメントとすることに変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント」をご参照ください。 区分主要製品及び事業の内容主要な会社名消化器内視鏡ソリューション消化器内視鏡、消化器科処置具、医療サービス当社(連結子会社)オリンパスメディカルシステムズ㈱、オリンパスマーケティング㈱、会津オリンパス㈱、白河オリンパス㈱、長野オリンパス㈱、青森オリンパス㈱、ティーメディクス㈱、Olympus America Inc.、Olympus Europa SE & Co. KG、Olympus Deutschland GmbH、KeyMed (Medical & Industrial Equipment) Ltd.、Olympus Winter & Ibe GmbH、Olympus (Beijing) Sales & Service Co.,Ltd.、Olympus (Suzhou) Medical Device Co., Ltd.、Olympus Korea Co., Ltd.、Olympus Singapore Pte. Ltd.、Olympus Vietnam Co.,Ltd.(共同支配企業)Swan EndoSurgical, Inc.サージカルインターベンション泌尿器科製品、呼吸器科製品、外科内視鏡、エネルギー・デバイス、耳鼻咽喉科製品、婦人科製品当社(連結子会社)オリンパスメディカルシステムズ㈱、オリンパスマーケティング㈱、白河オリンパス㈱、青森オリンパス㈱、ティーメディクス㈱、Olympus America Inc.、Olympus Europa SE & Co. KG、Olympus Deutschland GmbHGyrus ACMI, Inc.、Olympus Winter & Ibe GmbH、Olympus (Beijing) Sales & Service Co.,Ltd.、Olympus Korea Co., Ltd.、Olympus Singapore Pte. Ltd.(関連会社)ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ㈱共通持株会社、金融投資当社(連結子会社)Olympus Corporation of the Americas、Olympus Europa Holding SE、Olympus Europa SE & Co. KG、Olympus (China) Co.,Ltd.、Olympus Corporation of Asia Pacific Limited.、Olympus Global Treasury Services Limited 以上に述べた事項を事業系統図によって示すと、当社グループの2026年3月31日現在の状況は次のとおりです。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 医療費抑制や医療制度改革、競合激化により、価格競争が激しくなる可能性があるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 規制 FDAやEU-MDRをはじめ、各国の医療機器申請・登録・市販後調査に対する法規制要件が厳格化。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | ディフェンシブ |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:地政学的緊張によるサプライチェーンへの脅威、コスト増、コンプライアンスリスク / 主要市場における国内産業保護措置の実施による市場環境の変化と収益性低下 / 競争激化の中での価格・技術・品質競争力のある製品の適時投入の必要性
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 11 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
オリンパスは内視鏡分野で世界トップシェアを誇り、そのブランド力と長年の研究開発で培われた技術力は強力な無形資産となっている。特に消化器内視鏡分野では、高いシェアとブランド認知が新規参入障壁となっている。
スイッチングコスト★★★☆☆
医療機器、特に内視鏡システムは、導入に多額の初期投資が必要であり、また医師や医療スタッフの習熟度も重要となるため、病院側は容易に他社製品へ切り替えにくい。保守・メンテナンス体制もスイッチングコストを押し上げる要因。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
内視鏡システムにおいて、ユーザー(医師・病院)が増えることで医療機器自体の価値が直接的に向上するようなネットワーク効果は限定的である。
コスト優位★☆☆☆☆
精密機器製造において、一定の効率化は図られていると考えられるが、競合他社と比較して構造的に大幅なコスト優位性を持つという明確な証拠は乏しい。
規模の経済★★★★☆
内視鏡事業において、オリンパスは世界的に見てトップクラスのシェアを有しており、その規模からくる生産・販売・研究開発における効率性は高い。この規模が、競合他社に対する優位性の一因となっている。
- 専門性の高い医療技術: オリンパスは長年にわたり内視鏡分野で培ってきた高度な技術力と専門知識を持っています。これは、他社が容易に模倣できない技術的障壁となり、製品の信頼性と性能において競争優位性を確立しています。
- グローバルな事業展開: 世界81の子会社と3の関連会社からなる広範なグループ体制により、製品の製造から販売、サービスまでをグローバルに展開しています。これにより、各国の医療ニーズに合わせた製品供給とサポートが可能となり、市場での存在感を高めています。
- 医療現場との連携: 医療機関や医師との密接な連携を通じて、現場のニーズを製品開発に迅速に反映できる体制を構築しています。これにより、常に最新かつ最適な医療ソリューションを提供し、顧客からの信頼と高い評価を得ています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは、事業活動を通じて、健康・安心・心の豊かさといった世界の人々、社会の根源的な要請に応え、広く社会に貢献するという考え方を経営理念の「私たちの存在意義」として「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」と示し、すべての活動の基本思想としています。 当社グループはこれからも、経営理念実現のために、革新的な製品やサービスを社会に提供し、事業の持続的成長と企業価値向上に努めていきます。 (2) 経営戦略 当社は、2025年11月にパーパスを基軸とした新たな経営戦略を公表しました。この経営戦略のもと、持続的な成長と収益性の向上の両立を図りながら、メドテックカンパニーとしての更なる進化を目指しています。 世界的な高齢化の進展や慢性疾患の増加、医療アクセスの拡大等を背景として、内視鏡医療に対する需要は拡大を続けており、当社が事業を展開する市場は中長期的に安定した成長が見込まれています。このような事業環境のもと、当社は持続的な成長を実現するため、以下の戦略を推進しています。 (製品ポートフォリオの強化) お客様が必要とする製品を確実に提供するために、注力領域を中心に、製品ポートフォリオを強化します。製品を迅速に提供できるよう、研究開発の対象を絞り込み、スピーディーな上市の実現に取り組みつつ、今後最新の内視鏡システムとスコープのラインアップを拡充し、新たな市場を含むグローバルな展開を目指します。 (エンドスイート*1の未来へ投資を加速) 将来を牽引するテクノロジーの開発として、AI、ロボティクス、ワークフロー管理による手技とアウトカムの最適化にも取り組んでいます。 当社はインテリジェント内視鏡医療エコシステムを通じた、臨床および業務効率の向上を目的として、OLYSENSE*2プラットフォームを開発しています。OLYSENSEについては、2026年3月期には、米国および欧州の一部の国々で複数のCAD製品の販売を開始しました。2028年3月期までに、当社の基盤製品のうち、最大5%をこのクラウドとAIを活用したプラットフォームに接続し、2031年3月期までにその割合を25%まで引き上げることを見込んでいます。今後もOLYSENSEは、発売地域の拡大とともにアプリケーションの拡充を図り、ワークフロー、トレーニング、さまざまな疾患の検出と鑑別を向上させ、複雑な手技の標準化を目指します。 また、当社はエンドルミナルロボティクスの進展にも取り組んでいます。RVLHC SE Holdings, LLCと合弁会社Swan EndoSurgical,Inc.を設立し、エンドルミナルロボティクスの開発を加速しています。さらに、ロボット技術を活用した内視鏡治療向けソリューションの開発に取り組むEndoRobotics Co., Ltd.と独占的なグローバル販売契約を締結しました。ロボティクス技術には医療の新たなスタンダードを確立する潜在力があり、これまで到達が困難であった疾患に短時間かつ合併症リスクを低減させながら到達することが期待されています。加えて、内視鏡による治療をより一般化し、大腸全域での軟性内視鏡を用いたESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)のさらなる普及に寄与することが見込まれます。エンドルミナルの潜在市場は、米国だけでも2040年には約20億米ドル規模になると予想されています。 今後もこれらの取り組みを通じて、患者さんのアウトカムと医療の質のさらなる向上に貢献していきます。*1 人工知能(AI)や他のデジタルツールや技術を活用して、患者さんが体験する医療の質を向上させ、内視鏡治療の可能性を広げることができるソリューション。*2 OLYSENSEはオリンパス株式会社および/またはそのグループ会社の商標です。すべての商標、ロゴ、ブランド名は、それぞれの所有者に帰属します。(注)医薬品医療機器等法未承認品など、一部地域における未承認、未発売の技術を含む製品、デバイス情報が含まれています。 (戦略基盤) 当社グループは、3つの戦略基盤である「イノベーションによる成長」「シンプル化」「責任ある行動」を中心とした取り組みを通じて、上記の戦略の実行を図ります。 「イノベーションによる成長」においては、当社の主力事業領域である内視鏡医療において、AI、デジタル技術、ロボティクス等の先進技術を活用した製品およびソリューションの開発を推進しています。注力領域における主要製品の導入を通じた製品ポートフォリオの強化や、内視鏡医療の未来を切り拓く先進的なエコシステムの構築に注力するとともに、中国および新興国市場におけるプレゼンスを強化し、外部パートナーとの提携や企業買収を活用した技術および能力の獲得を進めています。 「シンプル化」においては、従来の地域を軸とした組織運営から、事業を主体としたシンプルなオペレーティング・モデルへの移行を推進しています。これにより、意思決定の迅速化および業務の一貫性の向上を図るとともに、顧客中心の組織運営体制を構築しています。また、組織階層の削減や業務プロセスの見直し、データおよびAIの活用を通じて、生産性向上およびコスト競争力の強化を図っています。 さらに、「責任ある行動」においては、患者さん中心の価値観を基盤とし、品質および安全を最優先とした業務運営の徹底を図っています。加えて、オーナーシップと実行力を重視した企業文化の醸成を進めるとともに、ESGへの取り組みおよびグローバルなマネジメント体制「オリンパス・マネジメント・システム」の整備を通じて、持続可能な企業価値の向上を目指しています。 これらの戦略基盤の強化により、当社は成長戦略の実行力を高めるとともに、中長期的な競争力の向上を図っています。 (財務ガイダンス) 当社は、上記戦略の実行を通じて、売上成長の加速と収益性の向上を両立し、持続的な企業価値の向上を目指しています。 具体的には、売上高について、為替影響を除いたベースで2027年3月期に前年比約3%、2028年3月期に同約4%、2029年3月期に同約5%の成長を段階的に実現することを目指しています。また、調整後営業利益率については、2026年3月期を起点として、年率約100ベーシスポイント以上の改善を継続的に実現することを目標としています。 これらの成長および収益性向上の実現により、フリーキャッシュフローの着実な改善を図るとともに、資本効率の向上に取り組んでいます。 キャピタルアロケーションにつきましては、成長ドライバーへの優先的な投資を基本としつつ、株主還元については、2027年3月期以降、配当を中心とした還元モデルから、配当と機動的な自己株式取得を組み合わせた、より柔軟な枠組みへ移行します。 これらの取り組みを通じて、売上成長、効率性の向上および利益率の改善をバランスよく実現し、持続的な成長および企業価値の向上を目指します。 1 為替前提を固定2 特殊要因調整後:その他の収益および費用を除く、為替レート変動による影響は調整せず。実際の為替レートを使用 (3) 品質カルチャーの強化 当社グループは、品質マネジメントシステムの強化と品質を最優先するカルチャーの浸透・定着を進めています。これまで、品質保証・法規制対応の変革プロジェクトである「Elevate」をグローバルかつ機能横断的に遂行してきました。2025年後半に米国食品医薬品局(FDA)から受けた指摘事項に対する是正対応については、グローバルで着実に進展しており、FDAとは建設的かつ透明性の高い対話を継続しています。また、自主的な出荷止めの影響を受けた製品の出荷再開も進んでいます。残る課題にも真摯に取り組み、患者さんや医師、規制当局の期待を上回る品質とコンプライアンスの実現を引き続き目指していきます。(注)上記は、2026年5月時点の状況です。 (4) ポートフォリオの最適化 当社グループは、キャピタルアロケーション戦略全体の枠組みの中で、すべての事業を、戦略適合性、価値向上につながる成長、投下資本利益率という一貫した基準に基づき、今後も継続的に評価していきます。サージカルインターベンション事業(SIS)の「外科内視鏡」、「その他の治療領域」に含まれている外科事業についても、これらの観点からレビューを行い、パフォーマンスの最適化とさらなる価値創出を目的として、さまざまな戦略的オプションを検討していきます。なお、これらの取り組みは、中核である消化器内視鏡ソリューション事業(GIS)、呼吸器科や泌尿器科の戦略を変更するものではなく、より高いリターンが見込める分野に規律をもって資本配分していくこととしています。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは、事業活動を通じて、健康・安心・心の豊かさといった世界の人々、社会の根源的な要請に応え、広く社会に貢献するという考え方を経営理念の「私たちの存在意義」として「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」と示し、すべての活動の基本思想としています。 当社グループはこれからも、経営理念実現のために、革新的な製品やサービスを社会に提供し、事業の持続的成長と企業価値向上に努めていきます。 (2) 経営戦略 当社は、2025年11月にパーパスを基軸とした新たな経営戦略を公表しました。この経営戦略のもと、持続的な成長と収益性の向上の両立を図りながら、メドテックカンパニーとしての更なる進化を目指しています。 世界的な高齢化の進展や慢性疾患の増加、医療アクセスの拡大等を背景として、内視鏡医療に対する需要は拡大を続けており、当社が事業を展開する市場は中長期的に安定した成長が見込まれています。このような事業環境のもと、当社は持続的な成長を実現するため、以下の戦略を推進しています。 (製品ポートフォリオの強化) お客様が必要とする製品を確実に提供するために、注力領域を中心に、製品ポートフォリオを強化します。製品を迅速に提供できるよう、研究開発の対象を絞り込み、スピーディーな上市の実現に取り組みつつ、今後最新の内視鏡システムとスコープのラインアップを拡充し、新たな市場を含むグローバルな展開を目指します。 (エンドスイート*1の未来へ投資を加速) 将来を牽引するテクノロジーの開発として、AI、ロボティクス、ワークフロー管理による手技とアウトカムの最適化にも取り組んでいます。 当社はインテリジェント内視鏡医療エコシステムを通じた、臨床および業務効率の向上を目的として、OLYSENSE*2プラットフォームを開発しています。OLYSENSEについては、2026年3月期には、米国および欧州の一部の国々で複数のCAD製品の販売を開始しました。2028年3月期までに、当社の基盤製品のうち、最大5%をこのクラウドとAIを活用したプラットフォームに接続し、2031年3月期までにその割合を25%まで引き上げることを見込んでいます。今後もOLYSENSEは、発売地域の拡大とともにアプリケーションの拡充を図り、ワークフロー、トレーニング、さまざまな疾患の検出と鑑別を向上させ、複雑な手技の標準化を目指します。 また、当社はエンドルミナルロボティクスの進展にも取り組んでいます。RVLHC SE Holdings, LLCと合弁会社Swan EndoSurgical,Inc.を設立し、エンドルミナルロボティクスの開発を加速しています。さらに、ロボット技術を活用した内視鏡治療向けソリューションの開発に取り組むEndoRobotics Co., Ltd.と独占的なグローバル販売契約を締結しました。ロボティクス技術には医療の新たなスタンダードを確立する潜在力があり、これまで到達が困難であった疾患に短時間かつ合併症リスクを低減させながら到達することが期待されています。加えて、内視鏡による治療をより一般化し、大腸全域での軟性内視鏡を用いたESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)のさらなる普及に寄与することが見込まれます。エンドルミナルの潜在市場は、米国だけでも2040年には約20億米ドル規模になると予想されています。 今後もこれらの取り組みを通じて、患者さんのアウトカムと医療の質のさらなる向上に貢献していきます。*1 人工知能(AI)や他のデジタルツールや技術を活用して、患者さんが体験する医療の質を向上させ、内視鏡治療の可能性を広げることができるソリューション。*2 OLYSENSEはオリンパス株式会社および/またはそのグループ会社の商標です。すべての商標、ロゴ、ブランド名は、それぞれの所有者に帰属します。(注)医薬品医療機器等法未承認品など、一部地域における未承認、未発売の技術を含む製品、デバイス情報が含まれています。 (戦略基盤) 当社グループは、3つの戦略基盤である「イノベーションによる成長」「シンプル化」「責任ある行動」を中心とした取り組みを通じて、上記の戦略の実行を図ります。 「イノベーションによる成長」においては、当社の主力事業領域である内視鏡医療において、AI、デジタル技術、ロボティクス等の先進技術を活用した製品およびソリューションの開発を推進しています。注力領域における主要製品の導入を通じた製品ポートフォリオの強化や、内視鏡医療の未来を切り拓く先進的なエコシステムの構築に注力するとともに、中国および新興国市場におけるプレゼンスを強化し、外部パートナーとの提携や企業買収を活用した技術および能力の獲得を進めています。 「シンプル化」においては、従来の地域を軸とした組織運営から、事業を主体としたシンプルなオペレーティング・モデルへの移行を推進しています。これにより、意思決定の迅速化および業務の一貫性の向上を図るとともに、顧客中心の組織運営体制を構築しています。また、組織階層の削減や業務プロセスの見直し、データおよびAIの活用を通じて、生産性向上およびコスト競争力の強化を図っています。 さらに、「責任ある行動」においては、患者さん中心の価値観を基盤とし、品質および安全を最優先とした業務運営の徹底を図っています。加えて、オーナーシップと実行力を重視した企業文化の醸成を進めるとともに、ESGへの取り組みおよびグローバルなマネジメント体制「オリンパス・マネジメント・システム」の整備を通じて、持続可能な企業価値の向上を目指しています。 これらの戦略基盤の強化により、当社は成長戦略の実行力を高めるとともに、中長期的な競争力の向上を図っています。 (財務ガイダンス) 当社は、上記戦略の実行を通じて、売上成長の加速と収益性の向上を両立し、持続的な企業価値の向上を目指しています。 具体的には、売上高について、為替影響を除いたベースで2027年3月期に前年比約3%、2028年3月期に同約4%、2029年3月期に同約5%の成長を段階的に実現することを目指しています。また、調整後営業利益率については、2026年3月期を起点として、年率約100ベーシスポイント以上の改善を継続的に実現することを目標としています。 これらの成長および収益性向上の実現により、フリーキャッシュフローの着実な改善を図るとともに、資本効率の向上に取り組んでいます。 キャピタルアロケーションにつきましては、成長ドライバーへの優先的な投資を基本としつつ、株主還元については、2027年3月期以降、配当を中心とした還元モデルから、配当と機動的な自己株式取得を組み合わせた、より柔軟な枠組みへ移行します。 これらの取り組みを通じて、売上成長、効率性の向上および利益率の改善をバランスよく実現し、持続的な成長および企業価値の向上を目指します。 1 為替前提を固定2 特殊要因調整後:その他の収益および費用を除く、為替レート変動による影響は調整せず。実際の為替レートを使用 (3) 品質カルチャーの強化 当社グループは、品質マネジメントシステムの強化と品質を最優先するカルチャーの浸透・定着を進めています。これまで、品質保証・法規制対応の変革プロジェクトである「Elevate」をグローバルかつ機能横断的に遂行してきました。2025年後半に米国食品医薬品局(FDA)から受けた指摘事項に対する是正対応については、グローバルで着実に進展しており、FDAとは建設的かつ透明性の高い対話を継続しています。また、自主的な出荷止めの影響を受けた製品の出荷再開も進んでいます。残る課題にも真摯に取り組み、患者さんや医師、規制当局の期待を上回る品質とコンプライアンスの実現を引き続き目指していきます。(注)上記は、2026年5月時点の状況です。 (4) ポートフォリオの最適化 当社グループは、キャピタルアロケーション戦略全体の枠組みの中で、すべての事業を、戦略適合性、価値向上につながる成長、投下資本利益率という一貫した基準に基づき、今後も継続的に評価していきます。サージカルインターベンション事業(SIS)の「外科内視鏡」、「その他の治療領域」に含まれている外科事業についても、これらの観点からレビューを行い、パフォーマンスの最適化とさらなる価値創出を目的として、さまざまな戦略的オプションを検討していきます。なお、これらの取り組みは、中核である消化器内視鏡ソリューション事業(GIS)、呼吸器科や泌尿器科の戦略を変更するものではなく、より高いリターンが見込める分野に規律をもって資本配分していくこととしています。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)業績等の概要① 業績 当期における世界経済は、緩やかに回復しているものの、中東情勢に加え、アメリカの関税をはじめとする通商政策による下振れリスクや、金融資本市場の変動等の影響、欧米の政策を巡る動きなど、国際情勢に起因する不確実性に注視する必要があります。わが国経済においても、景気は緩やかに回復している一方で、世界経済の先行きを注視する必要があります。 こうした環境下において、当社グループは、私たちの存在意義である「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」に向けて、引き続き取り組んでいます。 業績の状況 以下(1)から(10)は継続事業の業績を、(11)は継続事業と非継続事業の合計の業績をそれぞれ示しています。(単位:百万円) 2025年3月期2026年3月期増減額増減率(%)(1)売上高997,3321,010,67613,3441.3%(2)売上原価313,635356,58642,95113.7%(3)販売費及び一般管理費495,654507,08011,4262.3%(4)持分法による投資損益/その他の収益/その他の費用△25,581△49,890△24,309-(5)営業利益162,46297,120△65,342△40.2%(6)調整後営業利益188,509143,310△45,199△24.0%(7)金融損益△3,392△3,126266-(8)税引前利益159,07093,994△65,076△40.9%(9)法人所得税費用41,27025,822△15,448△37.4%(10)継続事業からの当期利益117,80068,172△49,628△42.1%(11)親会社の所有者に帰属する当期利益117,85568,172△49,683△42.2%為替レート(円/米ドル)152.58150.77△1.81-為替レート(円/ユーロ)163.75174.7911.04-為替レート(円/人民元)21.1021.250.15- (1)売上高 消化器内視鏡ソリューション事業は増収、サージカルインターベンション事業は減収となり、前期比133億44百万円増収の1兆106億76百万円となりました。詳細は以下のセグメント別の動向に関する分析に記載しています。(2)売上原価 前期比429億51百万円増加の3,565億86百万円となりました。売上原価率は、米国関税の影響やセールスミックスの悪化により、35.3%と前期比3.8ポイント悪化しました。(3)販売費及び一般管理費 前期比114億26百万円増加の5,070億80百万円となりました。販売費及び一般管理費の対売上高比率は、セールス機能及び製造機能に係る費用の増加により、50.2%と前期比0.5ポイント悪化しました。(4)持分法による投資損益/その他の収益/その他の費用 持分法による投資損益、その他の収益およびその他の費用の合算で498億90百万円の費用となり、前期比で損益は、243億9百万円悪化しました。 持分法による投資損益に関しては、エンドルミナルロボット製品の開発を目指して設立された合弁会社Swan EndoSurgical,Inc.にRVLHC SE Holdings, LLCと共同で出資し、当出資に関して約44億円の費用計上を行った影響で、前期比で41億66百万円悪化しました。 その他の収益に関しては、前期に当社の連結子会社であるOlympus (Shenzhen) Industrial Ltd.が中国・深圳市に保有する土地使用権及び建物を深圳市政府へ返還したことに伴う補償金約12億円を計上していた一方で、当期は株式会社エビデントとのライセンス使用許諾等に関する合意に基づく対価約60億円や、当社の連結子会社であるOlympus Czech Group, s.r.o.が保有する建物の売却益約12億円を計上しており、前期比で60億99百万円増加しました。 また、その他の費用に関しては、品質保証・法規制対応の変革プロジェクトElevateに係る一時的な費用が約86億円減少したことに加え、前期に計上していた社外転進支援制度の実施に伴う特別支援金等の費用約29億円がなくなったものの、グローバルレベルで組織体制を変革し、ポジションの最適化を図るための施策の実施に伴う費用約269億円や、サージカルインターベンション事業における一部の技術関連資産等の無形資産の減損損失約16億円を計上したことや、消化器内視鏡ソリューション事業およびサージカルインターベンション事業における開発資産の減損損失がそれぞれ約34億円、約25億円増加したことにより、前期比で262億42百万円増加しました。(5)営業利益 上記の要因により、前期比653億42百万円減益の971億20百万円となりました。(6)調整後営業利益 営業利益からその他の収益およびその他の費用を除外した調整後営業利益は、上記の要因により、前期比451億99百万円減益の1,433億10百万円となりました。(7)金融損益 金融収益と金融費用を合わせた金融損益は31億26百万円の損失となり、前期比で損益は2億66百万円改善しました。前期比では為替差損が縮小した一方で、当期はSwan EndoSurgical,Inc.に対するオプションの公正価値評価を計上していることに加え、借り換えによる借入利率の上昇に伴い支払利息が増加しました。(8)税引前利益 上記の要因により、前期比で650億76百万円減少となる939億94百万円となりました。(9)法人所得税費用 税引前利益が減少したことにより、前期比で154億48百万円減少し、258億22百万円となりました。(10)継続事業からの当期利益 上記の要因により、前期比で496億28百万円減少となる681億72百万円となりました。(11)親会社の所有者に帰属する当期利益 継続事業からの当期利益が減少したことにより、前期比で496億83百万円減益となる681億72百万円となりました。 (研究開発支出および設備投資) 当期においては、非継続事業を除いた継続事業で1,099億48百万円の研究開発費を投じるとともに、922億39百万円の設備投資を実施しました。 (為替影響) 為替相場は前期に対して、対米ドルは円高、対ユーロ及び人民元は円安で推移しました。期中の平均為替レートは、1米ドル=150.77円(前期は152.58円)、1ユーロ=174.79円(前期は163.75円)、1人民元=21.25円(前期は21.10円)となり、売上高では前期比で135億60百万円の増収要因、営業利益では前期比で3億39百万円の減益要因、調整後営業利益では前期比で4億90百万円の増益要因となりました。なお、為替の影響を除くと、連結売上高は前期並み、連結営業利益は前期比40.0%の減益となります。 セグメント別の動向に関する分析 当社グループは、従来「内視鏡事業」「治療機器事業」の2区分を報告セグメントとしていましたが、より効率的、かつ患者さんとお客様中心の展開とするため、事業部門の再編成を含む組織改編を実施し、中間連結会計期間より報告セグメントを「消化器内視鏡ソリューション事業」「サージカルインターベンション事業」の2区分に変更しています。 売上高営業利益又は営業損失(△)前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減率(%)前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減率(%)消化器内視鏡ソリューション674,043697,3593.5171,441136,359△20.5サージカルインターベンション322,759313,109△3.015,265△14,986-小計996,8021,010,4681.4186,706121,373△35.0その他530208△60.8△474△499-消去又は全社---△23,770△23,754-連結計997,3321,010,6761.3162,46297,120△40.2(注) 製品系列を基礎として設定された事業に、販売市場の類似性を加味してセグメント区分を行っています。 [消化器内視鏡ソリューション事業] 消化器内視鏡ソリューション事業の連結売上高は、6,973億59百万円(前期比3.5%増)、営業利益は1,363億59百万円(前期比20.5%減)となりました。 消化器内視鏡分野は、期初は軟調でしたが、当第4四半期連結会計期間には北米、欧州、アジア・オセアニアで二桁成長を達成し、前期比増収となりました。当期の成長は、特に英国をはじめ複数の国で好調に推移した欧州およびアジア・オセアニアにおける堅調な業績に支えられたものです。北米においては、前期に消化器内視鏡システム「EVIS X1」の新製品効果及び能登半島地震によるバックオーダーの解消に伴う押し上げ効果があった一方で、当期はデモンストレーションのタイミングによる影響などにより、四半期の実績には波がありましたが、当第4四半期連結会計期間にはEDOF(被写界深度拡大)技術搭載スコープや内視鏡用超音波観測装置「EU-ME3」の販促活動が奏功し、非常に好調に推移しました。中国においては、競争激化や国産優遇策といった継続的な課題により、当第4四半期連結会計期間の業績を圧迫しました。日本においては、病院層の予算執行は引き続き厳しいものの、NBI技術とTXI技術を組み合わせた観察モードを搭載した「EVIS X1」ビデオシステムセンターを第3四半期連結会計期間に発売した効果もあり、期末にかけてマイナス幅は縮小しました。 消化器科処置具分野は、一部製品の出荷止めの向かい風があったものの、各地域の強い実行力と新製品効果により前期比増収となりました。2026年1月に発売した胆管用メタリックステント「GORE VIABIL Biliary Endoprosthesis」の貢献もあった北米が、好調に推移しました。ステント関連の製品群の他、膵管や胆管などの内視鏡診断・治療に使用するERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影術)関連製品も全体の成長にプラスに寄与しました。 医療サービス分野は、好調な欧州が牽引し、前期比増収となりました。 消化器内視鏡ソリューション事業の営業損益は、品質保証・法規制対応の変革プロジェクトElevateに係る一時的な費用が約58億円減少したことや、前期に計上していた社外転進支援制度の実施に伴う特別支援金等の費用約16億円がなくなった一方で、米国関税の影響及びセールスミックスの悪化による原価率の悪化に加え、エンドルミナルロボット製品の開発を目指して設立された合弁会社Swan EndoSurgical,Inc.にRVLHC SE Holdings, LLCと共同で出資し、当出資に関して約44億円の費用計上を行ったことや、グローバルレベルで組織体制を変革し、ポジションの最適化を図るための施策の実施に伴う費用を約141億円計上したこと、開発資産の減損損失が約34億円増加したことにより、減益となりました。 なお、為替の影響を除くと、売上高は前期比2.1%の増収、営業利益は前期比21.4%の減益となっています。 [サージカルインターベンション事業] サージカルインターベンション事業の連結売上高は、3,131億9百万円(前期比3.0%減)、営業損失は149億86百万円(前期は152億65百万円の営業利益)となりました。 泌尿器科分野は、前期にバックオーダーの解消に伴う押し上げ効果などがあった一方で、当期には一部製品の出荷止めの影響を受けている北米で売上が減少したものの、英国をはじめ複数の国で好調に推移した欧州が増収となり、前期比増収となりました。BPH(前立腺肥大症)用の切除に係る製品群が堅調に推移しました。 呼吸器科分野は、北米や欧州で売上が増加し、増収となりました。一部製品の出荷止め等の向かい風があったものの、EBUS-TBNA(超音波気管支鏡ガイド下針生検)で使われる超音波気管支鏡や処置具が好調に推移しており、この影響を相殺しています。 外科内視鏡分野は、外科内視鏡システム「VISERA ELITEIII」は好調に推移しましたが、国産優遇策などの影響もあり競争環境が激化する中国や、病院層の予算制約が厳しい日本で売上が減少し、減収となりました。 その他の治療領域は、出荷止めの影響のあったサージカルデバイスなどで、減収となりました。 サージカルインターベンション事業の営業損益については、品質保証・法規制対応の変革プロジェクトElevateに係る一時的な費用が約28億円減少したものの、減収による売上利益の減少や、米国関税の影響及びサージカルデバイスの一部製品の自主回収に伴う費用約25億円引当計上したことにより原価率が悪化したことに加え、グローバルレベルで組織体制を変革し、ポジションの最適化を図るための施策の実施に伴う費用約67億円や、一部の技術関連資産等の無形資産の減損損失約16億円を計上したこと、開発資産の減損損失が約25億円増加したことにより、営業損失となりました。 なお、為替の影響を除くと、売上高は前期比4.3%の減収、営業損益は前期比286億32百万円の減益となっています。 ② 財政状態の状況 前連結会計年度末(百万円)当連結会計年度末(百万円)増 減(百万円)増減率(%)資産合計1,433,2731,537,162103,8897.2資本合計751,733812,04060,3078.0親会社所有者帰属持分比率52.4%52.8%0.4% [資産] 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から1,038億89百万円増加し、1兆5,371億62百万円となりました。当連結会計年度末の為替レートが前連結会計年度末に比べ円安に推移したこと等により、営業債権及びその他の債権が526億73百万円、有形固定資産が238億69百万円、棚卸資産が199億47百万円、その他の金融資産が179億57百万円、のれんが136億45百万円それぞれ増加しています。一方で、自己株式の取得により500億2百万円を支出したことを主因に現金及び現金同等物が644億94百万円減少しました。 [負債] 負債合計は、前連結会計年度末から435億82百万円増加し、7,251億22百万円となりました。主に未払費用が増加したことによりその他の流動負債が135億44百万円増加しました。また、当連結会計年度の財務活動および当連結会計年度末の為替レートが前連結会計年度末に比べ円安に推移したことにより、社債および借入金が104億74百万円増加しました。 [資本] 資本合計は、前連結会計年度末から603億7百万円増加し、8,120億40百万円となりました。在外営業活動体の換算差額の増加によりその他の資本の構成要素が569億83百万円増加しています。 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度の52.4%から52.8%となり、0.4ポイント増加しました。 ③ キャッシュ・フローの状況 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減(百万円)営業活動によるキャッシュ・フロー190,463100,585△89,878投資活動によるキャッシュ・フロー△65,469△87,408△21,939財務活動によるキャッシュ・フロー△211,542△87,627123,915現金及び現金同等物期末残高252,532188,038△64,494 [営業活動によるキャッシュ・フロー] 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,005億85百万円の増加(前連結会計年度は1,904億63百万円の増加)となりました。税引前当期利益939億94百万円や減価償却費及び償却費の調整672億16百万円によりキャッシュ・フローが増加した一方、法人所得税の支払623億74百万円によりキャッシュ・フローが減少したことが主因です。[投資活動によるキャッシュ・フロー] 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、874億8百万円の減少(前連結会計年度は654億69百万円の減少)となりました。有形固定資産の取得による支出555億58百万円、無形資産の取得による支出268億65百万円が主な要因です。 [財務活動によるキャッシュ・フロー] 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、876億27百万円の減少(前連結会計年度は2,115億42百万円の減少)となりました。自己株式の取得による支出500億2百万円、配当金の支払225億56百万円、リース負債の返済による支出199億10百万円が主な要因です。 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比較して644億94百万円減少し、1,880億38百万円となりました。(2)生産、受注及び販売の実績① 生産実績セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)消化器内視鏡ソリューション652,512△0.4サージカルインターベンション258,5791.4その他399△49.4計911,4910.0(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。 ② 受注実績 当社グループの製品は見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しています。③ 販売実績セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)消化器内視鏡ソリューション697,3593.5サージカルインターベンション313,109△3.0その他208△60.8計1,010,6761.3(注) セグメント間の取引については相殺消去しています。 (3)経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものです。 ① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析 2026年3月期は、FDA関連の輸入警告や自主的な出荷止め、米国関税の影響など、事業運営においてさまざまな課題に直面した1年でした。このような状況にありながらも、消化器内視鏡ソリューション事業において欧州・アジア・オセアニアを中心に需要が堅調に推移し、第4四半期には北米でも力強い成長が確認されるなど、事業基盤の強さを示す結果となりました。しかしながら、輸入警告や自主的な出荷止めの影響もあり、売上高は為替の影響を除くと前期比で横ばいとなりました。 調整後営業利益率は、前期比で4.7ポイント悪化し、14.2%となりましたが、上記の一過性要因を除けば収益性は概ね安定して推移しています。 今後も、品質対応の進展や供給の正常化に加え、新製品の投入やオペレーティングモデルの改善を通じて、持続的な売上成長と収益性の向上に取り組んでいきます。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況(i) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容 「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)業績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、当社グループは、当連結会計年度において、営業活動により資金が増加した一方で、投資活動及び財務活動による支出により、当連結会計年度末時点で保有する手元資金は1,880億38百万円(前連結会計年度末より644億94百万円減少)となりました。この手元資金規模は、安定した事業運営および財務基盤の確保に十分な水準であると認識しています。 (ⅱ) 財務政策 当社グループは、適切に財務レバレッジをコントロールすることで財務健全性の維持を図りつつ、投資機会に機動的に対応していく方針です。本方針のもと、通常時にはBBB+以上の格付け水準を維持する財務運営を行っていきます。また、戦略的なM&Aの機会を逸することのないよう、投資適格の格付け水準(BBB-以上)の維持を前提に、必要に応じたレバレッジ拡大の柔軟性も確保していきます。 なお当社は、格付投資情報センター、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン、およびムーディーズ・ジャパンより信用格付けを取得しており、2026年3月31日現在における状況は、次のとおりです。 格付投資情報センター:A+(長期、見通し安定的)、a-1(短期)S&Pグローバル・レーティング・ジャパン:BBB+(長期、見通しネガティブ)ムーディーズ・ジャパン:Baa1(長期、見通し安定的) (ⅲ) 資金需要 当社グループの運転資金需要は主に、製品の製造に必要な材料および部品の購入費、製造費のほか、人件費や広告・販売促進費用などの営業費用です。また、当社グループの投資資金需要は主に、研究開発や設備投資などの事業の運営・維持に必要な支出に加え、M&Aを含む成長を牽引する機会への投資です。 これらの資金需要に対しては、まず手元資金及び営業活動により創出されるキャッシュ・フローを充当していますが、次のとおり、必要に応じて金融機関からの借入や社債の発行による資金調達を行っています。 (ⅳ) 資金調達 当社グループは、資金調達の基盤として、主要な取引先金融機関との良好かつ安定的な取引関係に加え、複数の投資適格の信用格付けを維持していることから、国内外の社債を含む、多様な調達手段による安定的な資金調達が可能であると考えています。また、市場環境の急激な変動や一時的な資金需要の増加に備え、主要通貨建てのグローバルコミットメントラインを設定しており、必要な資金を確実かつ機動的に調達できる体制となっています。今後も(ⅱ)財務政策に記載の方針を前提に、資金調達コストの低減に努めつつ、資金需要に応じて適切な資金調達を行っていきます。 (ⅴ) キャピタルアロケーション 当社はこれまで、M&Aを含む成長を牽引する機会への投資を優先した上で、配当については、安定的かつ段階的に増配し、自己株式の取得については、投資機会と資金状況に応じて機動的に実施する方針としてきました。当期の年間配当金は、公表予想どおり、前期より10円増配の1株当たり30円としました。 当社グループの持続的な成長を実現するため、成長を牽引する機会への投資を優先していく方針に変わりはありません。その上で、株主還元については、今後は1株当たり配当金の維持を基本としていく考えですが、自己株式の取得を含む株主の皆様に価値を還元する方法については、柔軟性を確保していきます。 ③ 重要性がある会計方針および見積り 当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りにつきましては、合理的な基準に基づいて実施しています。重要性がある会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
事業リスク
- マクロ経済の変動リスク: 世界経済のインフレ進行、サプライチェーンの混乱、エネルギー価格の高騰、地政学的緊張(ウクライナ戦争、中東情勢、米中貿易摩擦など)は、原材料調達コストの増加や生産・物流の停滞を引き起こし、業績に悪影響を与える可能性があります。
- 技術革新と競争激化リスク: デジタル技術、AI、自動化の急速な進展は新たなビジネス機会を生む一方で、データプライバシーやサイバーセキュリティに関する新たな課題をもたらします。また、競合他社の技術革新や新規参入により、市場シェアや収益性が低下する可能性があります。
- 医療制度改革と規制リスク: 各国で進む医療費抑制や医療制度改革、FDAやEU-MDRなどの医療機器規制の強化は、製品開発、承認プロセス、販売戦略に大きな影響を与えます。これにより、新製品の市場投入が遅れたり、コストが増加したりする可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社グループの業績は、将来において発生する可能性のある様々なリスク(不確実性)により、影響を受ける可能性があります。当社グループは、経営理念および基本的な指針を含む事業目標の達成を目的として、包括的なグローバル・エンタープライズ・リスク・マネジメントの枠組みを構築しています。当該枠組みは、正式に定められた「リスクマネジメント及び危機対応方針」に基づき運用されています。また、当社グループは、機会と脅威の両面からエンタープライズ・リスクマネジメントに取り組んでいます。積極的かつ適切なリスクテイクを通じて機会を掴み、オリンパスグループにとって持続的な成長と価値創造を実現します。脅威は、事業目標の確実な達成およびコンプライアンス違反の防止を目的として特定し、優先順位を付けて対応しています。 グローバルの組織体制では、「アラインド・アシュアランス」の考え方の下、リスク&コントロール、コンプライアンス、第三者リスクマネジメント、情報セキュリティおよびプライバシーの5つの機能を統合し、当社グループ全体のリスクを俯瞰的に把握しています。これらの機能はグローバル・リーガル・リスク・コンプライアンス(LRC)機能傘下のグローバル・リスク・アシュアランス・アンド・コンプライアンス(RAC)を構成し、執行役であるグローバル・ジェネラル・カウンセル(GGC)の管轄下にあります。また、グローバル・チーフ・コンプライアンス・オフィサー(GCCO)は、CEO、取締役会および監査委員会に対して定期的に報告を行うとともに、グループ経営執行会議(GEC)にも継続して出席しています。 当社グループがエンタープライズ・リスクマネジメントにおいて特に注力している取り組みは以下のとおりです。・LRC機能に組み込まれたグローバルなリスク&コントロール体制の構築・グローバルなエンタープライズ・リスクマネジメント手法およびアプローチの高度化・エンタープライズ・リスクマネジメントプロセスのグローバルな一貫性の確保 これらの取り組みにより、事業計画および財務計画にリスクを適切に反映させるとともに、十分な情報に基づく意思決定を支援することで、当社グループの事業目標および経営戦略の達成を図っています。グローバルなエンタープライズ・リスクマネジメント・ポートフォリオを基盤として、本年度においてもすべての関連機能を対象にリスクアセスメントを実施し、地域別およびグローバルのリスクポートフォリオを検証・更新しました。 エンタープライズ・リスクマネジメントの組織体制 当社グループは、グローバルおよび地域レベルにおいて、グローバルおよび地域リスク・アシュアランス・コンプライアンス委員会(G-RACCおよびR-RACC、総称してRACCs)を設置しています。これらの委員会(RACCs)は、エンタープライズ・リスクへの対応および適用される方針、法令、規制の遵守に向けた枠組みを構築・実施・管理することを目的としています。提言・指針・重要なリスクについては、継続的なモニタリングを行うため、GEC、取締役会、および監査委員会に定期的に報告されています。 また、当社グループは、グローバルおよび地域の事業・機能責任者を、関係者間の協議を通じてリスクオーナーとして任命するとともに、各事業・機能にリスクコーディネーターを配置しています。各リスクオーナーは、自らが管轄するリスク領域において、必要な対策(組織体制の整備、プロセスの整備、対応策の実施等)を実行する責任を負っています。 <エンタープライズ・リスクマネジメント体制> エンタープライズ・リスクマネジメントの手法とアプローチ 当社グループは、以下の5つのリスクカテゴリーおよびそれらを具体化したサブカテゴリーに基づくグローバル・エンタープライズ・リスクマネジメントの手法とアプローチを確立し、実施しています。(1. 戦略(外部環境変化を含む)、2. オペレーション&製品、3. ファイナンス、4. ガバナンス、5. IT&デジタル) <エンタープライズ・リスクマネジメント リスクカテゴリー> また、当社グループでは、事業目標および経営戦略の達成に影響を及ぼす可能性があると合理的に判断されるリスクを、以下の3つの基準を用いて評価しています。1. エクスポージャー(リスクへの暴露度)は、リスクが顕在化する可能性と、その場合に生じる影響度によって決定されます。可能性とは、リスクが顕在化する確率を示し、影響度はリスクが顕在化した際の結果の重大性を示します。これらは、定量的基準(財務的数値)または定性的基準に基づいて評価されます。2. 脆弱性(Vulnerability)とは、リスクが顕在化した場合に、組織がそれを管理するための準備がどの程度整っているかを示します。3. 速度 (Velocity)とは、リスクが顕在化した後、当社グループがどの程度の速さでその影響を受けるかを示します。 <エンタープライズ・リスクマネジメント評価手法> これらの評価基準に基づき、当社グループはリスクを積極的に特定、低減および監視しています。リスク低減に向けた対応策については、定期的に見直しを行い、有効性の検証を実施しています。 また、リスクを効果的に可視化し、適切に管理するため、リスクのエクスポージャーと評価された脆弱性に速度の要素を組み合わせた「3Dリスクマトリックス」と呼ばれる手法を用いています。3Dリスクマトリックスは4つの象限で構成されており、それぞれの象限において、適切なリスク対応戦略に関する具体的な指針を提供しています。 さらに、統合データベースおよびダッシュボードを備えたエンタープライズ・リスク・マネジメント(ERM)用ITシステムを導入することで、データとリスクに基づく、より効果的な意思決定を可能にしています。2026年3月期は、リスクポートフォリオの網羅性を高めることを目的として、社内で設計した人工知能ツールを試験的に導入・実装し、同システムの高度化を進めました。同時に、リスク記述の明確化と理解促進を図るため、リスク記述の構造化、分類および標準化を行いました。 エンタープライズ・リスクマネジメント・プロセス 当社グループのエンタープライズ・リスクマネジメント・プロセスの主な構成要素は以下のとおりです:・リスクアセスメント(リスクの特定、分析および評価)・対応策(リスクの低減、リスクマネジメント活動の調整および実行)・リスクモニタリング(リスクモニタリングプロセスの設計、実施、および対応策の有効性評価)・リスク報告(リスクおよび対応策を集約・評価し、関係するステークホルダーに定期的に報告する。リスクマネジメントの年次計画の一環として作成し、社内に展開する。) 本プロセスは、いわゆる3線モデルの原則に基づき、リスク&コントロール機能と各事業部門・機能の強固な協働関係の下で運用されています。リスク&コントロール機能は、エンタープライズ・リスクマネジメントの手法および運用ガイダンスを提供、維持および高度化する責任を負っています。また、幅広いリスク領域で重要な役割を担う法務機能と緊密に連携することで、リスクマネジメントをさらに強化しています。 <エンタープライズ・リスクマネジメント・プロセス> マクロ経済ビジネス環境 2025年4月以降の世界経済は、底堅さを維持しているものの、依然として大きな不確実性に直面しています。GDPの成長ペースは地域ごとにばらつきがみられ、先進国では新興国に比べ、比較的緩やかな成長にとどまっています。地政学的緊張の再燃やエネルギー価格の変動により、インフレ圧力は依然として不安定な状況が続いています。特に、中東における最近の紛争はエネルギーコストの上昇やインフレ予想の高まりを招いており、金融政策や経済の安定性に影響を及ぼす可能性があります。 より広範に見れば、継続的な地政学的紛争や主要経済国間の貿易摩擦は、サプライチェーンの混乱や貿易の分断を引き起こし、政策の不確実性を招いています。さらに、関税や産業政策の活用拡大により、世界的な貿易構造や投資判断にも変化が生じています。このように、地政学的緊張は引き続き世界のマクロ経済環境における主要なリスクとなっています。 テクノロジーの進歩、特に人工知能、デジタル化、自動化の分野における進展は、生産性の向上を牽引し、経済成長を支えています。一方で、こうした進展は、サイバーセキュリティ上の脅威、データプライバシーに関する懸念、急速な技術投資サイクルに伴う市場の不均衡の可能性など、新たなリスクももたらしています。 気候変動およびサステナビリティ(持続可能性)は、引き続き世界的な重要課題となっています。各国政府や企業は二酸化炭素排出量の削減や低炭素経済への移行に向けた取り組みを加速させていますが、その過程では多額の投資が必要であり、特定の産業において構造的な変化や混乱を招く可能性があります。 業界特有のビジネス環境 上記のマクロ経済ビジネス環境に加え、メドテック業界においては、業界特有の規制、技術、および人口動態の要因による影響を受け続けています。 世界各国の医療制度は、効率性の向上、医療コスト抑制および患者さんのアウトカム向上を目的として、絶えず改革が進められています。一方で、医療機器に対する法規制要件も変化し続けており、製品開発や市場参入の複雑さとコストが増大しています。 先進的な医療ソリューションに対する需要は、主に先進国における高齢化の進展や新興国での医療アクセス拡大を背景に高まっています。この傾向は成長の機会を生み出す一方で、医療システムに対し、費用対効果と医療の質とのバランスを求める圧力を強めています。 低侵襲手技、デジタルヘルス、ロボティクス、AIを活用した診断などの分野における技術革新は、競争の激化に伴い加速しています。こうした進展は、競争環境を根本から変えつつあり、イノベーションのペースを加速させています。 感染予防、再処理要件(洗浄・消毒・滅菌)、および患者安全基準はますます複雑化しており、コンプライアンスの確保と製品の革新に向けた継続的な投資が求められています。さらに、近年の世界的な混乱を受けて、サプライチェーンのレジリエンスと現地化戦略の重要性が高まっています。また、メドテック業界全体においては有能な人材をめぐる厳しい競争が依然として続いています。人口動態の変化や働き方に対する労働者の意識の変化により離職率が上昇しており、優秀な人材の確保、育成および定着の重要性がますます高まっています。 これらのリスク評価は、国際機関、政府機関、業界団体等が公表する公開情報や、当社グループにおける事業実態および過去の経験等を踏まえて実施しています。 当社グループのリスク状況(2026年3月期) 2026年3月期に実施したグローバルリスクアセスメントに基づき、当社グループに影響を及ぼすリスクを特定、評価し、優先順位付けを行いました。 3Dリスクマトリックスにおいて「Improve」の象限に分類されたリスクについては、対応策の優先順位を高く設定しています。「Test」の象限にあるリスクについては既にコントロールが実施されています。また、定期的な監査により、既存のコントロールが適切に設計され、効果的に機能していることを確認しています。「Monitor」の象限にあるリスクについては、リスクエクスポージャーが依然として許容範囲内にあることを確認するため、あるいは必要に応じて追加の対応策を開始するために、定期的な再評価を行っています。 当社グループは、リスクカテゴリーごとに以下の主要なリスク(トップリスク)を開示しています。 リスクカテゴリー:戦略(外部環境変化を含む)リスクタイプ:機会と脅威リスク傾向:変化なし →リスクシナリオ 本リスクカテゴリーには、不可抗力(外部環境変化)、計画および資源配分、成長戦略、事業開発・投資、コミュニケーションおよびステークホルダーマネジメント、市場動向、ならびに主要プログラム・プロジェクトが含まれます。相対的に重要性が高いと評価されたリスクは、事業運営上の依存関係、競争環境の変化、および市場動向を予測し対応する能力に関するものです。・地政学的緊張は、当社グループにおいて最優先で対応すべきリスクのひとつとして認識されており、軍事紛争や貿易戦争を通じてサプライチェーンを脅かしています。これらはコスト増大を招くほか、急速に変化する制裁措置によるコンプライアンス上のリスクも生じさせています。・主要市場では、国内産業の保護措置の実施等により、市場環境が大きく変化しています。関税の変動や国内サプライヤーへの優遇措置等により収益性が低下する可能性があります。・主要市場における競争の激化は、特に技術革新のスピードが速く価格競争が生じやすい分野において、当社グループが市場での地位と収益性を維持する能力に影響を及ぼす可能性があります。・市場情報の深さや適時性の不足、ならびに市場動向、顧客ニーズ、または競合他社の動向に関する誤った判断は、戦略的意思決定や競争上の優位性を維持する能力を損なう可能性があります。・M&A活動は機会と脅威の両面を併せ持ち、厳格なデューデリジェンスと体系的な統合プロセスが必要です。リスク軽減策が不十分な場合、のれんの減損や関連費用により、事業遂行、業績、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。対応策・激化する競争から生じるリスクに対処するため、当社グループはイノベーションの効果を高め、製品開発サイクルを加速させる取り組みを推進しています。・中国では現地生産に向けた準備を進展させているほか、米国では関税の動向を継続的に注視しつつ、患者さんの安全と健康を最優先に、業界団体と緊密に連携しています。・市場情報の不足や入手遅延に関連するリスクを低減するため、当社グループは、事業部門の戦略的重要性に合わせて活動を調整することで、市場および競合他社に関する情報収集能力を強化しています。これには、実用的な知見をタイムリーに提供することに重点を置いた、標準化され部分的に自動化された分析手法の開発が含まれます。・市場におけるポジションおよび顧客ニーズに関連するリスクに対応するため、当社グループは、自社開発に加え、M&Aや戦略的提携を通じた外部技術の獲得によるイノベーションを推進するとともに、インテリジェント内視鏡医療エコシステムに用いられるような高付加価値製品への注力を進めています。・M&A活動に伴うリスクを最小限に抑えるため、当社グループは、M&Aプロセスおよびシステムを継続的に改善し、対象企業の選定、デューデリジェンス、ならびに買収後の統合における有効性の向上を図っています。経営戦略・方針との関連:イノベーションによる成長、シンプル化、責任ある行動 リスクカテゴリー:オペレーション&製品リスクタイプ:機会と脅威リスク傾向:上昇 ↑リスクシナリオ 本リスクカテゴリーには、製造・修理およびエンド・ツー・エンド・サプライチェーン、研究開発、販売、マーケティング・サービス、品質、有形資産および人的資源が含まれます。これらのリスクは、オペレーションの継続性、サプライヤーへの依存、製品およびオペレーティングモデルの変革に関連しています。・FDAから受領した警告書に係る是正活動について、製造、品質、サプライチェーンマネジメントおよび研究開発にわたり大規模な資源配分を行い、継続しています。・重要な事業基盤や物流ネットワークに障害が生じた場合、特に依存関係が集中している箇所における障害は、製品供給や事業継続、および顧客や患者さんへのサービス提供能力に悪影響を及ぼす可能性があります。・中東地域を含む地政学的緊張の高まり、制裁措置、物流網やエネルギー供給の不安定化により、原材料や部品の調達に支障が生じるおそれがあります。・特に半導体を含む重要原材料の需給逼迫や供給制約が発生した場合、生産の遅延や調整、製品供給への影響が生じる可能性があります。・製造拠点の稼働停止を含む製造業務の混乱により生産の遅延が生じた場合、顧客の需要に応える当社グループの能力に影響を及ぼす可能性があります。・単一または唯一のサプライヤーへの依存に関する透明性の欠如、およびサプライヤーの混乱は、サプライチェーンの安定性とレジリエンス(回復力)に悪影響を及ぼす可能性があります。・第三者サービス提供者におけるセキュリティ侵害や業務の中断は、重要なオペレーション、データの完全性およびサービス継続性に影響を及ぼすおそれがあります。・危機発生時にサプライヤーが所定の期間内に復旧できない場合、資材不足や生産への支障が生じるおそれがあります。・製品やサービスにおけるデジタル技術や人工知能の採用拡大に伴い、オペレーティングモデル、組織能力、ガバナンス体制の調整が必要となる可能性があります。この変革を効果的に管理できない場合、競争力や業務効率に影響を及ぼす可能性があります。対応策・製造の混乱に伴うリスクを低減するため、当社グループは、事業継続計画(BCP)の策定、重要資材および完成品の安全在庫の確保、主要な生産能力や設備の保全など、さまざまな措置を通じて事業継続力(レジリエンス)を強化しています。・サプライヤーへの依存に関連するリスクに対処するため、当社グループは、サプライヤー構造の透明性を高め、単一または唯一のサプライヤーへ依存する度合いを低減することで、サプライチェーンのレジリエンス(回復力)を強化しています。これには、調達先の多様化に向けた的を絞った取り組みや、重要資材に対する適切な安全在庫水準の設定が含まれます。・重要な事業基盤や物流ネットワークの混乱に伴うリスクを低減するため、当社グループは主要な依存関係や重要拠点を特定し、体系的な事業継続管理(BCM)フレームワークを導入しています。これには、事業継続計画(BCP)の策定と継続的な改善に加え、危機管理能力および組織的な対応体制の強化が含まれます。・第三者に起因するセキュリティリスクを低減するため、当社グループは、体系的な第三者リスクマネジメントアプローチを導入・実装しています。本アプローチでは、リスクおよびコンプライアンスの枠組みの中で専用のガバナンスを設け、外部のセキュリティリスクについて、評価、モニタリング、および管理を行っています。・危機発生時におけるサプライヤーの復旧に関連するリスクを低減するため、当社グループは、サプライチェーンの可視性を高めるとともに、サプライヤーのレジリエンスおよび事業継続能力について定期的な評価を実施しています。また、供給への支障が生じるおそれを低減するため、重要原材料については安全在庫戦略を導入しています。・デジタル化や人工知能の導入に伴うリスクを低減するため、当社グループは、ガバナンス体制の強化、技術開発プロセスの高度化、ならびにデジタル分野における能力および人材への投資を通じて、デジタルトランスフォーメーションを推進しています。これには、適切なガバナンス体制の構築や、開発およびガバナンスの枠組みの標準化が含まれます。経営戦略・方針との関連:イノベーションによる成長、シンプル化、責任ある行動 リスクカテゴリー:ファイナンスリスクタイプ:機会と脅威リスク傾向:変化なし →リスクシナリオ 本リスクカテゴリーには、財務会計・報告、資本構造、流動性・信用、収益サイクル、および税務が含まれます。当社グループの安定した財務状況および効果的なリスクマネジメントへの取り組みを背景に、当該カテゴリーにおける全体的なリスクエクスポージャーは、他のリスクカテゴリーと比較して引き続き限定的な水準にあります。・外国為替レートの変動は、重要なリスクとなる可能性があります。外貨建て取引に対するヘッジを行っていますが、円高は業績に悪影響を及ぼし、円安は業績に好影響をもたらす可能性があります。・資金調達リスクは、資本及び借入等へのアクセスに影響を与える金融市場の変動や、借入コストに影響を与える企業業績から生じます。業績の悪化や金融市場の環境変化は、資金調達オプションを制限する可能性があります。・グローバルな管轄当局における適用税法や解釈の変更により、税負担が増大する可能性があります。また、事業環境の変化や組織再編により、繰延税金資産の評価の見直しが必要になる可能性もあります。・顧客やサプライヤーの信用リスクが当社の財務の安定性に影響を与える可能性があります。対応策 当社グループは、強固な金融リスクマネジメントの枠組みを引き続き維持しています。当該枠組みには、体系的な計画策定およびモニタリングのプロセス、一元化された財務(トレジャリー)機能、ならびに流動性、為替およびその他の金融リスクを管理するための適切な統制が含まれます。これらの取り組みにより、財務の安定性を下支えするとともに、金融環境の変化に対して適時に対応することを可能にしています。・為替変動リスクを低減するため、当社グループは、為替予約や通貨スワップなどのデリバティブ取引を活用しています。これらの対応は、外貨エクスポージャー低減を目的としたグローバルなキャッシュプーリングによって補完されています。・調達コストを最適化するための公募社債発行等による資金調達方法の多様化と、金利変動を最小化するための長期債務に対する固定金利採用を組み合わせて対応しています。・繰延税金資産の回収可能性を向上するために管轄当局間の税法改正を継続的に監視し、グループ内取引ルールの適切な調整と徹底した収益性管理を行っています。経営戦略・方針との関連性:シンプル化、責任ある行動 リスクカテゴリー:ガバナンスリスクタイプ:機会と脅威リスク傾向:上昇↑リスクシナリオ 本リスクカテゴリーには、コンプライアンス、規制対応、法務、企業文化、データプライバシー、コーポレートガバナンス、レジリエンス・ガバナンス(事業継続および危機対応に関するガバナンス体制)、および第三者リスクマネジメントが含まれます。規制遵守、規制当局への対応、ならびにガバナンスおよび統制の枠組みの有効性に関連するリスクについては、体系的かつ能動的に管理しています。・製品開発および承認プロセスを規定する適用法令や規制に不遵守が生じた場合、製品の商品化の遅延、市場参入の制限、訴訟、またはその他の規制措置が講じられるおそれがあります。・現在米国食品医薬品局(FDA)から受領している警告書に関する是正が不十分または遅れた場合、およびFDAの指摘事項に対して十分に対応できない場合、FDAによりさらなる規制措置が講じられ、製品供給に影響が出るおそれがあります。・第三者リスクの管理が不十分な場合、業務への支障、コンプライアンス上のリスク、ならびに法的または評判上の影響を受ける可能性があります。対応策・規制不遵守に関連するリスクを低減するため、当社グループは、製品開発および規制対応活動におけるグローバルなプロセス、方針、モニタリング活動、教育・研修、および統制を強化し、コンプライアンスの枠組みを高度化しています。・現在FDAから受領している警告書に関する規制及び品質リスクに対処するため、FDAの懸念事項に関する是正措置を推進しました。・2025年6月24日(現地時間)、FDAは、会津オリンパス株式会社で製造された一部の医療機器に対する輸入警告を公表しました。この措置により、今後の通知があるまで、指定された医療機器の米国への輸入ができなくなります。対象となる機器は、一部の気管支鏡、腹腔鏡、尿管腎盂鏡と内視鏡洗浄消毒装置です。当社は、FDAの指摘事項に迅速に対応し、当社製品が高い品質基準を満たすよう全力を尽くしています。・2025年後半には、米国、欧州、日本の8拠点でFDA査察が実施され、当社が進めてきたオペレーションや品質改善の状況を確認する機会となりました。その結果、FDAから指摘事項が出されています。その多くは、今回の改善以前の活動に起因していますが、なかには、当社の品質システムの成熟度や一貫性を高め、統合を進める必要がある領域も含まれていました。こうした指摘に対しては、全社を挙げて横断的に取り組んでいます。具体的には、患者さんの安全を最優先としたリスクベースの製品ポートフォリオ評価を行うとともに、品質システムのグローバルな標準化を一段と進め、品質・法規制チームの強化にも注力しています。査察結果については、現在もFDAとの間でオープンに議論を重ねている状況です。当社は、当社が積極的に進めている対応について、FDAと直接コミュニケーションを取っています。・第三者管理に関連するリスクを低減するため、当社グループは、ガバナンス体制、オペレーティングモデル、およびコンプライアンスプロセスの継続的な改善を通じて、第三者リスクマネジメントの枠組みを強化しています。その一環として、リスク評価手法の高度化、透明性の向上、ならびにコンプライアンス基準を第三者全体に一貫して適用しています。経営戦略や方針との関連:イノベーションによる成長、シンプル化、責任ある行動 リスクカテゴリー:IT&デジタルリスクタイプ:機会と脅威リスク傾向:上昇↑リスクシナリオ 本リスクカテゴリーには、ITセキュリティおよびサイバー、ITアプリケーション、ITガバナンス、ITインフラおよびサービス、ならびにデジタル基盤の活用および管理が含まれます。潜在的なリスクは、サイバーセキュリティ上の脅威、ITシステムの回復力(レジリエンス)、デジタル環境に対するガバナンスおよびマネジメントの有効性に関連します。・サイバーセキュリティ上の脅威の発生頻度および高度化により、システムへの不正アクセス、データ侵害、または重要な業務への支障が生じるおそれがあります。・ITインフラおよびアプリケーションの老朽化または陳腐化(サポート終了またはライフサイクル終了を迎えたシステムを含む)により、業務への支障、システム障害、およびセキュリティ上の脆弱性のリスクが高まるおそれがあります。・分散的または非標準のITソリューションに対するガバナンスおよび管理が不十分な場合、セキュリティ上の脆弱性、データの不整合、およびコンプライアンス上のリスクへのエクスポージャーが増加するおそれがあります。・重要な基幹システムの障害や停止は、製造やサプライチェーン業務を含む中核的な業務プロセスに影響を及ぼすおそれがあります。対応策・サイバーセキュリティリスクを低減するため、当社グループは、包括的な情報セキュリティプログラムを導入・運用しています。本プログラムには、継続的なモニタリングや脅威の検知に加え、IT環境全体にわたる予防および対応の両面からのセキュリティ対策の強化が含まれます。・老朽化したITインフラおよびアプリケーションに関連するリスクを低減するため、当社グループは、システムのアップグレード、更新および移行の優先付けを含む体系的なライフサイクル管理を推進し、運用の安定性およびセキュリティの確保を図っています。・分散的または非標準のIT環境に伴うリスクを低減するため、当社グループは、非標準のIT活動を集中管理の枠組みに統合し、組織全体における監督機能、標準化およびセキュリティ統制を強化しています。・重要なシステム障害に関連するリスクを低減するため、当社グループは、復旧計画および事業継続計画(BCP)を整備するとともに、システムの可用性を確保するための措置を講じることで、ITレジリエンスの向上を図っています。経営戦略・方針との関連:イノベーションによる成長、シンプル化、責任ある行動