8030

中央魚類(8030)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

卸売業 商社・卸売

事業の概要

  • 水産物卸売事業
    中央魚類グループは、東京都中央卸売市場の豊洲市場を中心に、水産物やその加工品の卸売を主な事業としています。全国各地や海外から新鮮な魚介類を集め、市場の仲卸業者や小売業者に販売することで収益を得ています。この事業はグループの中核をなし、売上の大部分を占めています。
  • 冷蔵倉庫事業
    水産物の鮮度を保つために不可欠な冷蔵倉庫の運営も行っています。首都圏に複数の施設を保有し、冷凍・冷蔵品の保管・配送サービスを提供することで、食品物流の効率化に貢献し、安定的な収益源となっています。
  • 不動産賃貸・荷役事業
    保有する不動産の一部を賃貸することで賃料収入を得ています。また、豊洲市場内で水産物の荷役(積み下ろし)や運搬作業を行う荷役事業も展開しており、水産物卸売事業の円滑な運営を支えるとともに、グループ全体の収益に貢献しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 水産物卸売事業
    中央魚類グループの最も主要な事業で、2023年度の売上高は約1405.79億円、営業利益は約20.02億円を計上しています。東京都中央卸売市場の豊洲市場を中心に、水産物やその加工品の卸売を行い、グループ全体の収益の大部分を占める稼ぎ頭です。
  • 冷蔵倉庫事業
    水産物などの冷凍・冷蔵品の保管・配送サービスを提供しており、2023年度の売上高は約80.26億円、営業利益は約6.34億円です。首都圏に9施設を配置し、食品物流の効率化を支える重要な役割を担っており、安定した収益を上げています。
  • 不動産賃貸事業
    保有する不動産の一部を賃貸することで収益を得ており、2023年度の売上高は約6.02億円、営業利益は約5.5億円です。グループ企業の財務健全化に貢献するとともに、安定的な賃料収入が特徴です。荷役事業も売上約6.93億円、営業利益約0.41億円で、水産物卸売事業の物流を支えています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
MarineProductWholesale 事業 1,406 20 1.4%
StockFreezer 事業 80 6 7.9%
RealEstateRental 事業 6 6 91.4%
CargoWork 事業 7 0 5.9%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|896 文字
3【事業の内容】 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)は、当社、連結子会社7社及び持分法適用関連会社1社で構成され、主として水産物及びその加工製品の卸売事業を営むとともに、その事業に関連する冷蔵倉庫事業及び荷役事業等を展開しております。又、当社及び連結子会社が保有する不動産の一部を賃貸業務に供しております。 当社グループの事業内容及び当該事業における位置付けは次のとおりであります。事業区分会社名事業の内容事業における位置付け水産物卸売事業 中央魚類(株)卸売市場法に基づき東京都中央卸売市場の豊洲市場において水産物卸売事業を営んでおります。公設市場において水産物卸売事業を営む各社はそれぞれ独立した市場において営業活動を行っており、グループ会社間に一部営業上の取引があります。 柏魚市場(株)卸売市場法に基づき柏市公設総合地方卸売市場において水産物卸売事業を営んでおります。船橋魚市(株)卸売市場法に基づき船橋市地方卸売市場において水産物卸売事業を営んでおります。(株)ホウスイエビ・イカ・カニ等冷凍魚を中心として水産物卸売事業を営んでおります。グループ会社間に一部営業上の取引があります。 (株)水産流通水産物のリテールサポート事業を営んでおります。(株)せんにち水産練製品、惣菜等の製造販売を営んでおります。中央フーズ(株)鮮魚を中心として水産物卸売事業を営んでおります。冷蔵倉庫事業(株)ホウスイ首都圏において冷蔵倉庫事業を営んでおります。グループ会社間に一部営業上の取引があります。不動産賃貸事業中央魚類(株)・柏魚市場(株)保有する不動産の一部を賃貸業務に供しております。グループ会社に一部賃貸しております。(株)豊海保有する不動産を賃貸業務に供しております。グループ会社に一部賃貸しております。荷役事業マルナカロジスティクス(株)東京都中央卸売市場の豊洲市場において水産物の荷役事業等を営んでおります。主として水産物の荷役・運搬作業を当社専属で行っております。 (注) 事業区分は、セグメント情報の区分と同一であります。 事業の系統図は次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
水産物の市場入荷量や価格が、仕入面・販売面で大きな変動が生じる可能性があるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
卸売市場法、食品衛生法及びJAS法等の規制を受けており、市場ごとに取引ルールが定められる。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:市況変動(漁獲量、需給、為替など) / 法的規制(卸売市場法、食品衛生法など) / 売掛債権等の貸倒れ
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 6 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

中央魚類は卸売業であり、特許やブランド力、規制ライセンスといった無形資産による競争優位性は限定的である。特定のブランド商品や独自技術を前面に出した事業展開は確認できない。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

水産物卸売業という特性上、長年の取引関係や信頼関係に基づく顧客との結びつきは存在する。しかし、価格や品質、品揃えによっては競合他社への乗り換えも十分に考えられるため、スイッチング・コストは高くない。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

中央魚類の事業は、特定のプラットフォーム上でユーザーが増えることで価値が増大するようなネットワーク効果を生むビジネスモデルではない。サプライヤーと顧客の間の仲介業に過ぎない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

水産物の安定的な調達網や、効率的な物流・保管システムを構築している可能性はある。しかし、同業他社も同様のインフラを持つことが予想され、構造的なコスト優位性は限定的と考えられる。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

東京総合卸売センターに位置し、首都圏の広範な市場へのアクセスを持つ。水産物卸売市場においては、一定の規模を持つことで、多様なニーズに対応し、多くのサプライヤーと顧客を結びつけることができる。これは効率規模の優位性を示唆する。

  • 主要市場での強固な基盤
    東京都中央卸売市場の豊洲市場という、日本最大の水産物卸売市場を拠点としている点が大きな強みです。卸売市場法に基づく事業展開により、安定した取引基盤と広範なネットワークを構築しており、水産物の集荷・販売において優位性を持っています。
  • 多角的な事業展開
    水産物卸売だけでなく、冷蔵倉庫、不動産賃貸、荷役といった関連事業をグループ内で展開しています。これにより、水産物の調達から保管、流通、販売までを一貫して手掛けることができ、サプライチェーン全体の効率化と安定化を図っています。
  • 仕入先の多様化と情報力
    天候や漁獲量に左右されやすい水産物市場において、全国の荷主や海外の取引先との緊密な関係を築き、仕入先の多様化を進めています。広範な情報収集力と新商品開発への取り組みにより、常に豊富な品揃えを維持し、変化する消費ニーズに対応できる体制を構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • 水産物卸売事業の強化
    世界各地の生産状況や消費ニーズの変化に対応し、常に新しい商品や商材の開発に注力しています。豊富な品揃えと安全・安心な商品供給を通じて、卸売会社としての責任を果たし、集荷販売力の強化を目指しています。
  • グループ機能の連携と効率化
    冷蔵倉庫、リテールサポート、荷役、加工といったグループ各社が持つ機能を最大限に活用し、相互に連携・協働する仕組みを構築します。これにより、市場内外における水産物流通機能を強固なものにし、競争力の向上を図ります。
  • 財務体質とガバナンスの強化
    信用力の根幹である財務体質の強化とコンプライアンス体制の充実を重視しています。また、指名・報酬委員会の設置による役員人事・報酬の透明化や、関連会社管理規程の改定を通じて、グループ全体のガバナンス強化と経営の見直しを進めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針 当社グループは、東京都中央卸売市場に拠点を置く水産物卸売事業を中核として、全国各地や海外から生鮮・冷凍・塩干加工等の各水産物を集荷し販売するとともに冷蔵倉庫事業、不動産賃貸事業、荷役事業を営むグループを形成しております。 経営の基本理念として、堅実と信用を旨とし、株主、取引先、従業員そして地域社会に信頼されかつ貢献していくことを心掛けております。 水産物卸売事業におきましては、水産物の生産・加工両面での世界各地における状況や消費ニーズの変化を背景に、常に新しい商品や商材の開発を心掛け、豊富な品揃えに注力し、安全安心な商品の供給を担う卸売会社として責任を果たしてまいります。 冷蔵倉庫事業におきましては、首都圏における物流基幹各地に9施設を配置し、各種冷凍・冷蔵品の保管配送の拠点として食品物流の効率化に努めます。 不動産賃貸事業は保有する資産の有効活用を図りグループ企業の財務の健全化の一翼を担い、荷役事業は水産物卸売事業の市場内外での円滑かつ効率的な物流を担ってまいります。 (2)経営戦略等 国内外における生産需給事情の変化に即応しつつ取引先との連携を深め、広汎な情報収集と新商品開発への前向きな取組みによって集荷販売力を強化するとともに、信用力の根幹である財務体質とコンプライアンス体制の強化に努めてまいります。 また、グループ各社がもつそれぞれの機能を融合し相互に協働する仕組みを構築して、市場内外における水産物流通機能を強固なものとし、激しさ増す競争に勝ち残り続ける企業となることを目指します。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは経営方針に沿った持続的成長を目指しており連結ベースでの売上高、営業利益、経常利益、営業キャッシュ・フロー、売上高営業利益率といった経営指標を掲げております。 (4)経営環境 インバウンド消費の拡大、アメリカの通商政策、ウクライナ情勢及び為替の状況は、当社グループが取り扱う水産物をはじめとする食品全般の販売環境に影響を与えるものと思われます。 水産物卸売事業におきましては、天然水産物の漁獲量の減少、国際的な水産物の需要の高まりによる買付競争の激化、卸売市場外における水産物流通の多様化など、水産物卸売市場を取り巻く環境が大きく変化してきており、柔軟な対応が必要と思われます。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題水産物卸売事業では、需給・相場を見極めた最適な商品提案、販売先オペレーションに対応する軽加工、消費者ニーズを満たす加工商品の開発を通じ、価値訴求型の営業を強化してまいります。冷蔵倉庫事業においては、保管スペースが逼迫した状況が続き、取扱量の大幅な増加が見込みにくい環境にあります。このため、限られた施設を前提に収益性を高めるべく、オペレーションの効率化とコスト構造の改善に取り組んでまいります。不動産賃貸事業は、賃貸物件のリノベーションにより物件価値の向上を図り、賃貸収入の増加を進めてまいります。荷役事業においては、荷役事業に加えてロジスティクス事業の新規顧客開拓により売上拡大を進めるとともに、合理的な人員配置および経費削減に取り組んでまいります。当社グループでは、業務の効率化を目指してコスト削減などの経営改善に取り組む所存です。また、指名・報酬委員会による役員人事・報酬の透明化を行い、今後もガバナンス強化に努めてまいります。 当社は、卸売市場における公共的使命を担う企業として食の安全・安心の重要性を従来にも増して強く認識し、消費者が安心して食することのできる安全な商品の取り扱いに最大限の努力をしてまいる所存です。また、デジタル化推進によって、情報連携の迅速化と品質管理の強化を図り、豊富な品揃えと産地情報を活用した集荷力、販売力の向上とともに、グループ各社とのシステム連携による業務効率の向上も目指してまいります。当社グループでは、グループ全体の効率的な会社運営を目指すとともに、引き続きコスト削減などの経営改善に取り組んでまいります。さらに、コンプライアンスの向上、社会規範の順守、債権管理強化等による健全な財務体質の構築、グループ会社を横断した人的資源の相互活用や人材教育の充実にも意を用い、取引先各位に信頼され、社会から必要とされる企業グループとして努力してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針 当社グループは、東京都中央卸売市場に拠点を置く水産物卸売事業を中核として、全国各地や海外から生鮮・冷凍・塩干加工等の各水産物を集荷し販売するとともに冷蔵倉庫事業、不動産賃貸事業、荷役事業を営むグループを形成しております。 経営の基本理念として、堅実と信用を旨とし、株主、取引先、従業員そして地域社会に信頼されかつ貢献していくことを心掛けております。 水産物卸売事業におきましては、水産物の生産・加工両面での世界各地における状況や消費ニーズの変化を背景に、常に新しい商品や商材の開発を心掛け、豊富な品揃えに注力し、安全安心な商品の供給を担う卸売会社として責任を果たしてまいります。 冷蔵倉庫事業におきましては、首都圏における物流基幹各地に9施設を配置し、各種冷凍・冷蔵品の保管配送の拠点として食品物流の効率化に努めます。 不動産賃貸事業は保有する資産の有効活用を図りグループ企業の財務の健全化の一翼を担い、荷役事業は水産物卸売事業の市場内外での円滑かつ効率的な物流を担ってまいります。 (2)経営戦略等 国内外における生産需給事情の変化に即応しつつ取引先との連携を深め、広汎な情報収集と新商品開発への前向きな取組みによって集荷販売力を強化するとともに、信用力の根幹である財務体質とコンプライアンス体制の強化に努めてまいります。 また、グループ各社がもつそれぞれの機能を融合し相互に協働する仕組みを構築して、市場内外における水産物流通機能を強固なものとし、激しさ増す競争に勝ち残り続ける企業となることを目指します。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは経営方針に沿った持続的成長を目指しており連結ベースでの売上高、営業利益、経常利益、営業キャッシュ・フロー、売上高営業利益率といった経営指標を掲げております。 (4)経営環境 インバウンド消費の拡大、アメリカの通商政策、ウクライナ情勢及び為替の状況は、当社グループが取り扱う水産物をはじめとする食品全般の販売環境に影響を与えるものと思われます。 水産物卸売事業におきましては、天然水産物の漁獲量の減少、国際的な水産物の需要の高まりによる買付競争の激化、卸売市場外における水産物流通の多様化など、水産物卸売市場を取り巻く環境が大きく変化してきており、柔軟な対応が必要と思われます。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題水産物卸売事業では、需給・相場を見極めた最適な商品提案、販売先オペレーションに対応する軽加工、消費者ニーズを満たす加工商品の開発を通じ、価値訴求型の営業を強化してまいります。冷蔵倉庫事業においては、保管スペースが逼迫した状況が続き、取扱量の大幅な増加が見込みにくい環境にあります。このため、限られた施設を前提に収益性を高めるべく、オペレーションの効率化とコスト構造の改善に取り組んでまいります。不動産賃貸事業は、賃貸物件のリノベーションにより物件価値の向上を図り、賃貸収入の増加を進めてまいります。荷役事業においては、荷役事業に加えてロジスティクス事業の新規顧客開拓により売上拡大を進めるとともに、合理的な人員配置および経費削減に取り組んでまいります。当社グループでは、業務の効率化を目指してコスト削減などの経営改善に取り組む所存です。また、指名・報酬委員会による役員人事・報酬の透明化を行い、今後もガバナンス強化に努めてまいります。 当社は、卸売市場における公共的使命を担う企業として食の安全・安心の重要性を従来にも増して強く認識し、消費者が安心して食することのできる安全な商品の取り扱いに最大限の努力をしてまいる所存です。また、デジタル化推進によって、情報連携の迅速化と品質管理の強化を図り、豊富な品揃えと産地情報を活用した集荷力、販売力の向上とともに、グループ各社とのシステム連携による業務効率の向上も目指してまいります。当社グループでは、グループ全体の効率的な会社運営を目指すとともに、引き続きコスト削減などの経営改善に取り組んでまいります。さらに、コンプライアンスの向上、社会規範の順守、債権管理強化等による健全な財務体質の構築、グループ会社を横断した人的資源の相互活用や人材教育の充実にも意を用い、取引先各位に信頼され、社会から必要とされる企業グループとして努力してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や堅調なインバウンド需要を背景に、緩やかな回復基調を維持しました。一方で、食品や生活必需品の物価上昇による消費者の節約志向の高まりに加え、米国の政策に起因する国際情勢や世界経済の変動を背景として、原料相場の高止まりをはじめ各種コストの上昇が継続するなど、先行き不透明な状況が続いております。 このような状況のもと、売上高は当社グループの中核事業である水産物卸売事業において増加しました。単価高の影響とともに、数量面においても天然魚の水揚げ減少傾向が続くなか、サンマの水揚増、養殖魚の需要増により生鮮魚の取扱い数量は前年並みを確保したことや、冷凍加工業者向けの冷凍加工原料の取扱い数量は相場高により減少する一方、量販店、外食向けのエビ・カニ・サケ等の冷凍加工品の取扱い数量が増加したことにより、売上高は増加しました。営業利益は水産物卸売事業においては原材料高の影響があり、全体では若干減少となりました。冷蔵倉庫事業においては、人件費や営業費が増加しましたが、保管料・荷役料の値上げや業務の効率化に努め、利益は増加しました。 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 a.財政状態 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ8,361百万円増加の83,121百万円となりました。これは主に現金及び預金の増加1,877百万円、売掛金の増加613百万円、商品及び製品の増加3,056百万円、投資有価証券の増加3,045百万円によるものです。 負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,684百万円増加の44,633百万円となりました。これは主に短期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)の増加5,428百万円、長期借入金の減少1,983百万円によるものです。 純資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,676百万円増加の38,488百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益2,945百万円の計上、非支配株主持分69百万円の増加、剰余金の配当479百万円、その他有価証券評価差額金の増加2,110百万円によるものです。その結果、自己資本比率は44.1%(前連結会計年度末42.9%)となりました。 b.経営成績 当連結会計年度の売上高は、158,598百万円(前年同期比5.8%増)となり、営業利益は3,273百万円(前年同期比1.4%増)、経常利益は3,746百万円(前年同期比6.8%増)となりました。以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は2,945百万円(前年同期比1.5%増)となりました。 セグメント別の業績概況は次のとおりであります。 水産物卸売事業は、大衆魚の水揚が不安定でありましたが、サンマの水揚増や冷凍品の取扱い増により、セグメント売上高は149,281百万円(前年同期比6.2%増)となり、エビ・カニ・サケ等の商材を中心に、量販店や業務筋向けの販売が好調でした。一方、原材料の高騰や集荷販売経費等の増加によりセグメント利益は1,864百万円(前年同期比6.9%減)となりました。 冷蔵倉庫事業は、入出庫量の減少はありましたが、保管料等の値上げを行い、売上高は8,043百万円(前年同期比0.2%増)となりました。人件費や電力料が増加しましたが、業務の効率化に努め、セグメント利益は783百万円(前年同期比23.6%増)となりました。 不動産賃貸事業は、売上高586百万円(前年同期比2.6%減)となり、修繕費等が増加しましたが、セグメント利益は590百万円(前年同期比7.2%増)となりました。 荷役事業は、売上高は687百万円(前年同期比1.0%減)となりましたが、人件費の増加、トラックの入替による経費増により、セグメント利益は32百万円(前年同期比21.8%減)となりました。 ②キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動及び財務活動において増加したものの、投資活動において減少し、7,396百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果獲得した資金は、70百万円(前年同期3,919百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4,309百万円、減価償却費2,408百万円、売上債権の増加額613百万円、棚卸資産の増加額3,063百万円、仕入債務の減少額205百万円、法人税等の支払額1,617百万円等によるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は、656百万円(前年同期397百万円の獲得)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,216百万円、無形固定資産の取得による支出231百万円、投資有価証券の売却による収入767百万円等によるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果獲得した資金は、2,463百万円(前年同期5,894百万円の使用)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額3,861百万円、長期借入金の返済による支出1,449百万円等によるものです。 ③生産、受注及び販売の実績(1)当連結会計年度の生産実績セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)水産物卸売事業3,461105.8計3,461105.8 (注)金額は製造原価によっております。 (2)当連結会計年度の仕入実績セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)水産物卸売事業 買付品135,278105.4計135,278105.4 (注)1 本表における仕入高は、仕入金額を記載しております。2 セグメント間の取引については相殺消去しております。 (3)当連結会計年度の売上実績セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)水産物卸売事業 受託品1,494107.7買付品147,786106.2計149,281106.2冷蔵倉庫事業8,043100.2不動産賃貸事業58697.4荷役事業68799.0合計158,598105.8 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま す。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。なお、「重要な会計方針及び見積り」については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 売上高は、水揚げが不安定だったことにより生鮮魚の取扱量は減少しましたが、量販店や外食、インバウンド需要の回復基調により冷凍品の取扱いが増加し、売上高は前期比105.8%と増加しました。営業利益・経常利益はマグロ、エビ、カニ等の商材を中心に販売が好調だったことにより増加しました。インバウンド消費の拡大など新たな環境によるサービス分野での回復が期待できる一方、漁獲量の減少や気候変動による漁場の変化、労働力不足による人件費等のコスト上昇、地政学的なリスクなど先行き不透明な状況の中、当社グループではグループ各社が持つ各機能を最大限に活かし、効率的な会社運営を目指すとともに、引き続きコスト削減などの経営改善に取り組んでまいります。さらに、コンプライアンスの向上、社会規範の順守、債権管理強化等による健全な財務体質の構築、グループ会社を横断した人的資源の相互活用や人材教育の充実にも注力し、取引先各位に信頼され、社会から必要とされる企業グループとして努力してまいります。あわせて前述記載の「3 事業等のリスク」についても適時・迅速に対応し、リスク回避に努める所存であります。 ③資本の財源及び資金の流動性 当社グループの運転資金需要のうち主なものは原料・商品の仕入資金のほか、集荷に伴う運搬費等の経費、冷蔵倉庫稼動に伴う経費、一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は設備投資、システム投資等によるものであります。 当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としており、シンジケートローンや個別の銀行借入によって調達し、安定した資金繰りの確保に努めております。 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は23,858百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は7,396百万円となっております。 ④経営方針・経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループの経営方針・経営戦略については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針」及び「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等」に記載のとおりであります。 また、当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、連結ベースの売上高、営業利益、営業キャッシュ・フロー、売上高営業利益率を経営指標としており、業容拡大による利益確保とキャッシュ・フローや利益率を意識した効率的な経営を目指してまいります。 当連結会計年度の各指標の前年比較は以下のとおりであります。 経営指標前連結会計年度金額・率(百万円・%)当連結会計年度金額・率(百万円・%)売上高149,902158,598営業利益3,2293,273営業キャッシュ・フロー3,91970売上高営業利益率2.152.10 売上高は、水産卸売事業において冷凍加工品の販売増加や単価高により増加しました。営業利益は冷蔵庫事業において保管料等の値上げにより増加しました。営業利益率は、集荷販売経費等の販売費の増加により減少しました。 営業キャッシュフローにおいては、棚卸資産の増加により前年比で減少しました。 以上のとおり、売上高、営業利益は前年比で増加しましたが、営業キャッシュフローは減少しました。 当社グループは前掲の経営方針・経営戦略に基づき、引き続き各経営指標の改善に努めてまいります。 ⑤セグメントごとの財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容(水産物卸売事業) 大衆魚の水揚が不安定でありましたが、サンマの水揚増や冷凍品の取扱い増により、売上高は増加しました。営業利益は、エビ・カニ・サケ等の商材を中心に、量販店や業務筋向けの販売が好調でした。一方、原材料の高騰や集荷販売経費等の増加により利益は減少しました。高機能化された豊洲市場を活用しながら、需給・相場を見極めた最適な商品提案、販売先オペレーションに対応する軽加工、消費者ニーズを満たす加工商品の開発を通じ、価値訴求型の営業強化に注力しつつ、当社グループ会社が持つ冷蔵保管、リテールサポート、荷役、加工の各機能を最大限に活かし、サプライチェーンの拡充に努め、更なる水産物の集荷販売や商品開発に注力してまいります。 (冷蔵倉庫事業) 入出庫量の減少はありましたが、保管料等の値上げを行いました。また、人件費や電力料は増加しましたが、業務の効率化に努めたことにより、売上高、営業利益ともに増加しました。保管スペースが逼迫した状況が続いており、取扱量の増加が見込めない中、限られた施設を前提に収益性を高めるべく、オペレーションの効率化とコスト構造の改善に取り組んでまいります。 (不動産賃貸事業) 修繕費等が増加しましたが、利益は増加しました。賃貸物件のリノベーションにより物件価値を高め、賃貸収入の増加を進めてまいります。 (荷役事業) 取扱数量の減少により売上高は減少しましたが、人件費の増加、トラックの入替による経費増により、利益は減少しました。荷役事業に加えてロジスティクス事業の新規顧客開拓により売上拡大を進めるとともに、合理的な人員配置および経費削減に取り組んでまいります。

事業リスク

  • 市況変動の影響
    水産物の漁獲量や価格は、天候・海流などの自然条件、漁獲制限、需給動向、海外情勢、為替相場など多くの要因で大きく変動します。これにより、仕入れコストや販売価格が不安定になり、売上や利益に短期的な影響が出る可能性があります。
  • 法的規制と市場環境の変化
    水産物卸売事業は卸売市場法や食品衛生法などの法的規制を受けており、法改正や規制に関する事故が発生した場合、事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。特に卸売市場法の改正による市場の活性化は、競争激化につながる可能性も秘めています。
  • 売掛債権等の貸倒れ
    販売先や出荷者の企業体力低下(コロナ禍での融資返済、仕入れコスト増など)により、売掛債権や前渡金債権の貸倒れリスクが高まる可能性があります。貸倒れが発生した場合、短期的に業績に悪影響を及ぼすため、与信管理の強化が重要となります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,685 文字
3【事業等のリスク】 当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があると考えられる重要なリスクは以下のとおりです。 ① 市況変動等について 当社グループの主たる事業である水産物卸売事業においては、天候・海流等自然条件による漁獲量の変動、漁業資源に対する漁獲制限・輸出入制限、需給動向、海外情勢・為替相場などの要因により、水産物の市場入荷量や価格等、仕入面のみならず販売面でも大きな変動が生じる可能性があります。その頻度は不確定ではありますが、短期的に売上や利益に影響を与えます。その対応策としては、全国の荷主をはじめとする取引先とより緊密な関係を築くとともに、海外の荷主、買付先の開拓も含め、水産物の仕入先の多様化を図り、影響を最小限に抑えております。② 法的規制について 当社グループの主たる事業である水産物卸売事業は、市場流通面からは卸売市場法の規制を受け、食品取扱面からは食品衛生法及びJAS法等の規制を受けております。したがって、これらの法改正やこれらの法規制にかかる事故等が生じた場合は、市場業務や業績等に少なからぬ影響を与える可能性があります。なお、卸売市場法が2020年6月に改正され、市場の活性化に向け、卸売市場がこれまでの「認可制」から「認定制」へ移行されたほか、これまで原則禁止とされてきた第三者販売、直荷引き等の取引ルールは市場ごとに定めることが可能となりました。市場の活性化に向けた規制緩和は、市場業務や業績に中長期に渡り大きな影響を与えます。当社としては、規制緩和を脅威ではなくチャンスと捉え、グループ各社がもつそれぞれの機能を最大限に生かして、市場内外における水産物流通機能を強固なものにすることで対応いたします。 ③ 売掛債権等の貸倒れについて 当社グループでは、売掛債権等の貸倒れリスクについては与信管理の強化、貸倒引当金積み増しなどの対応策をとっておりますが、各市場における一部販売先にあってはコロナ禍に実施された無担保融資などの返済、海外情勢や為替相場による仕入コストの増加、市場外流通の増加などの影響により企業体力が低下し、売掛債権の貸倒れリスクが高まる可能性があります。一方、出荷者に対する前渡金債権についても、漁獲量の変動などの影響により、同様のリスクが高まる可能性があります。貸倒れ発生の頻度は予想できませんが、短期的な業績への影響を与えます。対策として情報収集、与信管理の強化、前渡金債権の圧縮、貸倒引当金の積増しなどの対応をとっております。④ コンピューターシステム障害について当社グループ会社間は高品質なネットワークで結ばれており、保守管理やセキュリティには細心の注意を払っておりますが、外部要因を含めてこれらのシステムに何らかの障害が生じた場合は、当社グループ全体の事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。その頻度は推測できませんが、短期的な影響が予想され、拠点の分散化やセキュリティ等に対する対策を進めております。⑤ 自然災害について 当社グループの事業活動は首都圏に集中しているため、この地域において地震等大規模自然災害が生じた場合は、卸売市場設備、冷蔵倉庫設備、不動産設備等が毀損して、人的被害も含めて甚大な損失が生じる可能性があり、また、当社グループにおけるすべての事業又は一部の事業が一時的又は中長期的に中断される可能性があります。大規模自然災害は数十年に一度のことではありますが、短・中期に亘る業績への影響が予想され、事業拠点の分散化、耐震診断、耐震化や免震化などの対応策をとっております。また、自然災害が生じた際の事業継続計画についても策定しております。 ⑥衛生管理について当社グループの取扱い商品は、温度管理が必要な生鮮食品、冷凍品が多いため、商品の温度管理や取扱い等をはじめとする衛生管理について厳格な注意を払っており、各種教育やマニュアルの整備を図るとともに、品質管理担当者を配置して指導、改善を行っております。しかしながら、衛生面において問題が生じ、営業に影響が及んだ場合には、業務の運営・業績に影響を与える恐れがあります。頻度については、数年に一度程度と認識しておりますが、短期業績に影響を与える可能性があります。 ⑦物流問題について 物流費増加や集荷が困難になることが予想され、当社グループの業績に一定程度の悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、デジタル化推進により情報連携の迅速化や物流ルートの再構築を図り、集荷力の強化や物流費用の抑制を進めていく予定です。また、冷蔵倉庫事業では、倉庫業務の省人化や自動化に向けた検証実験を進め、荷役作業等の効率化を図り、待機時間の短縮に努めてまいります。 ⑧訴訟等について当社グループは国内外で事業を遂行する上で、訴訟やその他の法的手段の当事者となる可能性があり、重要な訴訟等が提起された場合や事業遂行の制限が加えられた場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。頻度については予想できませんが、短期的に影響を与える可能性があり、コンプライアンス体制、リスク管理体制をさらに充実させるべく、努めております。 ⑨気候変動について 気候変動による海水温の上昇、海面上昇、異常気象などの発生が、水産資源の減少や、それに伴う漁業活動の困難化をもたらし、原材料の調達難や価格高騰につながります。また、気候変動は海洋汚染や赤潮発生のリスクを高め、食の安全性の低下にもつながり、当社グループの運営、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。対策として水産資源のトレーサビリティ強化のためのシステム開発を進めております。 ⑩労働力不足について 社員の高齢化に伴い定年退職者が増加し、一方で人口減少に伴い若年層の採用が厳しくなる中で、労働力不足となり、中長期にわたり当社グループの事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。対策として、女性、高齢者、中途採用者、障碍者、外国人といった多様な人材の登用を進めるべく、賃金格差の是正や幅広い層への人材育成の機会提供、育児介護休業制度の改定や定年再雇用制度の拡充等の働きやすい職場環境作りなどを進めております。 なお、上記事項は当連結会計年度末現在における判断であり、不確実要素が含まれております。また、当社グループにおける将来の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があると考えられる要因は上記事項に限定されるものではありません。

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