経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ●中期経営計画2026の進捗2024年度から始まった中期経営計画2026では、「No.1事業群」をテーマに掲げ、競争優位を磨き、社会課題解決を通じた飛躍的な成長を実現すべく、「強みを核とした成長」及び「成長の原動力の強化」に重点的に取り組み、「事業ポートフォリオ変革」を加速させています。2025年度は「強みを核とした成長」や「事業ポートフォリオ変革」を着実に推進した結果、過去最高となる当期利益6,003億円となりました。現中期経営計画最終年度となる2026年度については、中東情勢等の地政学的リスクの顕在化懸念もありますが、既存事業を中心とするOrganicと大型投資案件を中心とするInorganicの両面で成長を牽引することで過去最高益を更新する6,300億円を計画しています。 2025年度実績 (1) 中期経営計画2026における取組の状況① 強みを核とした成長・成長8分野につき、2023年度から2026年度の基礎的収益(注)の平均成長率が+11%となる見込み・2025年度における成長8分野での利益成長は前年度比プラス150億円・SCSKの完全子会社化を経てデジタル・AI戦略(DAIS)を策定。当社の事業現場でデジタル・AIを活用し、当社グループの収益性向上に取り組む・2026年度は、Organic成長に加えて、SCSK、米国航空機リース会社の利益貢献により成長8分野で前年度比790億円の増益を計画・デジタル・リース:実施した大型投資により更なる収益成長を目指す・不動産・エネルギーソリューション:資産回転推進による収益性向上等により収益成長を図る・鉄鋼・ヘルスケア:成長市場への経営資源投下、デジタル・AIを活用した収益性向上を図る・建機・アグリ:足元の低パフォーマンスを分析し、経営基盤強化と収益性の抜本的な改善に取り組む(注)「基礎的収益」は当期利益(親会社の所有者に帰属)から資産入替関連及び特殊損益を除いたものです。 ② 事業ポートフォリオ変革・2025年度はSCSKの完全子会社化や米国航空機リース会社の株式取得合意(2026年4月に買収完了)など、強みを更に強くする投資を実行・政策保有株式、ティーガイア社、マイダス社、北米メロン生産・販売事業、Sekal ASの売却等、資産入替も着実に進捗し、事業ポートフォリオの新陳代謝を加速・アンバトビーニッケル事業については、当社は2026年5月に譲渡契約を締結、当社保有の全出資持分を譲渡・SBU毎にROIC・WACCをモニタリング、機動的に各ビジネスの期待役割を見直し、全体としてポートフォリオの質向上を図る ③ 成長の原動力の強化・経営人財やラインマネージャーの育成、自律的なキャリア形成の促進、業務改革推進等の取組進捗。エンゲージメントは継続的に改善・都市総合開発グループではインフラ事業の知見/ノウハウを活かした海外都市開発案件等の取組進捗 (2) 定量計画① 経営環境全般世界経済は、緩やかな回復基調が続いてきたものの、米国・イスラエルとイランの軍事衝突を受けてホルムズ海峡の航行が困難となり、鉱物性燃料、化学品、金属等原材料の供給途絶とそれに伴う価格上昇が生じており、足元では先行き不透明感が増しております。先進国経済では、米国において総じて緩やかな持ち直しの動きが続いているものの、ガソリンやディーゼル等の石油製品価格の上昇が、個人消費や生産活動全般の重石となることが懸念されます。ユーロ圏経済は、財政による下支えや金融緩和の効果を背景に景気回復の動きが続いてきましたが、エネルギー不足やエネルギー価格高騰の悪影響が懸念されます。日本経済は、物価上昇ペースが一服しつつある中で、財政政策や賃金上昇の効果が徐々に表れてきた一方、物資不足や生活関連費の上昇が消費者マインドの改善の重石となっております。新興国経済では、中国において不動産市場の低迷や欧米向け輸出の伸び悩みが経済活動の下押し要因となっております。その他のアジア諸国では、米国の関税措置により景気の足取りが重くなったものの、AIデータセンター向け等の電気機器輸出が景気を下支えしてきました。しかしながら、ホルムズ海峡の混乱に伴う重要物資の供給障害及び価格高騰が、景気の先行き不透明感を一段と強めております。今後のリスク要因としては、ホルムズ海峡の実質的封鎖の長期化、不安定な鉱物性燃料供給の継続及び価格上昇を通じた世界的な物価上昇、物価抑制に向けた金融引き締め、経済活動支援に伴う各国の財政悪化に加え、北東アジア、東南アジア、アフリカ等における地政学的リスクの高まりが挙げられます。 鉄鋼グループ当グループは、鋼管・鋼材など鉄鋼製品を幅広く取り扱っております。鋼管分野では、米国市場は足元横ばいで推移しておりますが、原油価格の動向次第では価格・需要が変動する可能性があります。その他地域は、一部プロジェクトの端境期からの回復を見込む一方、中東情勢等の変化により回復時期や需要動向が左右される可能性があります。また、世界各国でエネルギー安定供給の重要性を背景に石油・ガス開発は継続するも、脱炭素に向けたエナジートランジションの動きも続く見通しです。鋼材分野では、米国で鋼材価格は上昇基調にあるものの、物価高や景気動向により需要が下振れする可能性があります。その他地域では中国での需要低迷が続き、中国材の東南アジア等への流入により各地市況が押し下げられております。他方、欧州洋上風力発電用の基礎構造物事業への出資等を通じ、収益基盤の拡大に取り組んでおります。以上を踏まえ、既存事業を堅持しつつ、強みを有する事業・地域に経営資本を重点配分して収益力を強化してまいります。また、DX・AIによる新たな価値提供に加え、再生可能エネルギーやCCS等、カーボンニュートラルに資する製品・サービスの供給を通じて産業のGXに貢献してまいります。 自動車グループ当グループは、自動車業界のバリューチェーンを俯瞰し、自動車、タイヤ、及びその他関連商品の製造、販売、リース並びにこれらの関連サービス・周辺事業を行っております。当グループを取り巻く環境では、各国の経済発展、人・モノの移動の増加を支える自動車ニーズの伸長、所有から利活用(リース・レンタル・サブスクリプション等)へのシフト、カーボンニュートラル実現へ向けた環境車の普及、循環型経済の構築へ向けた再利用・リサイクル促進へのニーズが高まっております。一方で、中東情勢をはじめとする地政学リスクがもたらすサプライチェーンの混乱、原材料コスト・人件費・金利等の上昇による経済の成長鈍化懸念があり、動向を注視しております。このような環境を踏まえ、足元の市場環境の変化への備えを確実にするとともに、自動車流通販売事業における商品や販売・サービス網の拡充による成長促進、自動車リース事業を軸とするモビリティサービス領域におけるサービス拡大、自動車エンジニアリング事業等の新たな事業機会の取り込み、部品製造事業・販売金融事業・タイヤ販売事業のバリューアップによる収益規模拡大、Beyond Mobility(移動から発生する、移動を越えた領域)の新規事業の創出・育成に取り組んでまいります。 輸送機・建機グループ当グループは、リース・ファイナンス事業、グローバルにバリューチェーンを展開する航空機・船舶海洋・建設機械事業、高い専門性を持つ防衛宇宙・安全保障ビジネスを中心に、各種取引及び事業投資を行っております。当グループを取り巻く事業環境については、足元では中東情勢の緊迫化に伴い、地政学的リスクが顕在化しております。現時点での当グループ事業への直接的な影響は限定的であるものの、市況の変動や資材・燃料価格の動向等については注視しております。一方、中長期的には、世界的な航空需要の拡大が見込まれるほか、海上貨物輸送やインフラの建設・更新需要も堅調に推移すると見込んでおります。同時に、脱炭素社会や循環経済の実現に向けた社会的な要請が一層高まっております。こうした環境を踏まえ、当グループは強みを持つ事業の収益性向上に注力してまいります。リース・ファイナンス事業では優良資産の積み上げと資産効率の向上を図り、建設機械事業では米国の関税措置といった不確実性への影響を注視しつつ、コスト削減やフリートマネジメントを柱とした収益改善施策を進めてまいります。また、航空機事業における退役機の部品販売を始めとするアフターマーケット事業、船舶海洋事業における洋上風力で使用される構造物の製造など、社会的な課題やニーズに応える事業を積極的に進め、成長を加速してまいります。 都市総合開発グループ当グループは、不動産・工業団地・サステナブルシティ・基幹インフラ及びデジタルインフラの開発・運営・アセットマネジメント事業、建材・セメントなどの建設資材関連事業、産業用設備などの機電設備関連事業、物流・保険関連事業を展開しております。不動産分野では国内不動産事業が堅調に推移したほか、工業団地分野においても引渡しが順調に進展し、期初予想を上回る実績となりました。当グループの主力ビジネスである国内不動産事業においては、今後も大都市圏を中心に需給バランスがタイトな状況が継続すると見込まれる一方で、中東情勢、金利動向、為替変動、インフレ等を取り巻く不確実性が、国内外事業におけるコストや工期を含む採算面に与える影響については、引き続き慎重な見極めが必要であると認識しております。当グループでは、こうした外部環境の変化を注視しつつ、事業のレジリエンス強化に努めております。このような環境認識のもと、資産入替や金融ストラクチャリングを積極的に活用し、自然環境に配慮するとともに災害に強い街づくりのグローバル展開を推し進めてまいります。 コミュニケーションサービスグループ当グループは、通信インフラ事業、通信サービス事業、メディア・エンターテインメント事業、金融投資事業を行っております。通信インフラ事業領域では、高速・大容量通信の需要拡大により、キャリア横断的な通信インフラの新増設とその共同利用の需要が見込まれており、当グループでは通信事業者向けの基地局シェアリング事業を拡大しております。通信サービス事業領域では、人手に依存していた公共インフラの保守・点検を通信技術とAIで置き換え、安心安全を更に向上させようという取り組みが進んでおり、異常検知AIソリューションの開発・展開を進めております。メディア・エンターテインメント事業領域では、国内最大のケーブル通信事業会社JCOM及び通販事業のジュピターショップチャンネルの企業価値最大化に加え、日本のアニメコンテンツが世界的に高い評価を受けていることを踏まえ、海外展開・二次利用事業の開発に取り組んでおります。金融投資事業領域ではスタートアップ投資やプライベートエクイティ投資を行っております。 デジタル・AIグループ当グループはネットワーク構築からシステム開発・運用およびデジタル・AI領域におけるソリューション事業を総合的に展開しております。事業環境は、既存のシステム・環境の刷新やクラウドの高度利用ニーズの拡大に支えられ、引き続き堅調に推移しております。加えて、DXの進展に伴い、顧客におけるシステム開発の主導権が情報システム部門から事業部門へと広がるとともに、AI技術の急速な発展により、AIを前提としたプロセス・業務そのものの変革ニーズが高まるなど、当グループにとって新たな事業機会が広がっております。こうした環境のもと、当グループは、従来の基幹・業務系システム開発・運用を中心とした事業基盤を強化しつつ、デジタル・AI領域へと事業の拡張を進めております。具体的には、AIを活用した開発高度化を通じた生産性向上とともに、顧客課題の発掘から事業・業務変革まで踏み込んだ提案型ビジネスの強化により、付加価値の高いサービス提供を推進してまいります。 ライフスタイルグループ当グループは、食品スーパー・ブランド等のリテイル事業、食品・食品原料や青果などの食料事業、ドラッグストア・調剤薬局及びマネージドケア・クリニック・慢性疾患患者向け在宅ヘルスケア事業などのヘルスケア事業を展開しております。リテイル及び食料分野では、消費者の価値観やライフスタイルの多様化・ニーズの細分化、食と健康に対する意識の高まりが見込まれます。一方で、地政学リスクの高まりやその一部顕在化を背景とした関連コストの上昇等により、消費マインドの抑制傾向が続く等、事業環境の不透明感が継続しております。ヘルスケア分野では、高齢化加速に伴う医療費適正化ニーズが一層高まる見通しであり、いずれも生活を支える事業として社会的重要性は引き続き高まっていくものと見ております。このような環境を踏まえ、リテイル事業では、優良な店舗基盤と顧客へのアクセスを持つ強みを生かし、データ活用によるマーケティング及びデジタル・AI活用によるオペレーションの高度化や新規事業拡大に取り組んでまいります。食料事業では、食料・食品の調達・加工・販売のノウハウとグローバルなネットワークを通じた収益基盤の強化と成長分野への展開を図ってまいります。ヘルスケア事業では、国内外での事業基盤拡大を通じ、医療費抑制・適正化に資する取り組みを進め、持続的な成長を目指してまいります。 資源グループ当グループは、金属資源等の開発・操業・生産、製品の製造・販売を展開し、トレード分野でも当社事業とのシナジー発揮や、商品デリバティブの活用等、多様な機能を提供しております。資源価格は、地政学的リスク等を背景に先行きの不透明感がある中、品目ごとの強弱はあっても底堅く推移しており、中長期の市況変動サイクル、業界におけるプレイヤー・地域の偏在性、経済安全保障・技術革新を含むバリューチェーンや需給バランスの環境変化、資源案件開発の高難度化等の諸環境を踏まえ、当社ならではの経験・強みを発揮し、社会課題解決を通じた成長を図る事業ポートフォリオ、基盤の強化を進めております。基幹産業を支えるベースメタルを中心に、既存資産の価値最大化と優良権益の拡充に取り組むとともに、市況影響を受けにくい製造業・トレード等の中下流ビジネス拡充に引き続き注力し、環境負荷低減に資する投資や機能提供の促進、気候変動緩和に寄与するバリューチェーン構築を推進しております。これら取り組みを通じて、日本及び世界の産業発展と持続可能な社会の実現に貢献し、人々の豊かな未来を創造することを目指してまいります。 化学品・エレクトロニクス・農業グループ当グループは、基礎化学品、エレクトロニクス、グリーンケミカル、医薬、化粧品、動物薬、農業資材等の分野において、材料・製品の開発、製造、販売事業を展開しております。基礎化学品分野における新興国企業の台頭やエレクトロニクス分野におけるデジタル・AIの進展、EV化等に伴う業界構造の変化、経済安全保障を背景としたサプライチェーン再構築に加え、農業資材分野では、穀物市況の低迷や高金利の状況が事業環境に影響を及ぼしております。さらに、中東情勢の先行き不透明感の高まり、為替変動や物流コストの上昇、地政学的要因等を背景に、近年、当グループを取り巻く事業環境の不確実性は高まっております。このような環境下、当グループでは外部環境の変動が継続することを想定し、事業機会の着実な取り込みとリスクへの対応に取り組んでおります。今後は、各分野における事業基盤の強化や高付加価値創出を通じ、外部環境変化に対する下振れ耐性を高めつつ、持続的な収益成長を目指してまいります。 エネルギートランスフォーメーショングループ当グループは、国内外における発電事業、国内電力小売事業、天然ガス・LNGなどのエネルギー権益開発・生産及び販売事業、海洋インフラ・船舶燃料供給事業、カーボンニュートラル社会実現に資する次世代エネルギー分野での事業開発を行っております。ベトナム発電事業持分利益の減少、欧州ガストレードの低調など一部事業に関しては前年比減益となりましたが、電力EPC案件にかかる工事損失引当の取崩益や米国ガストレードにおける契約譲渡益等の一過性利益の計上もあり、グループ全体の利益としては堅調に推移しております。 当グループを取り巻く環境としては、生成AI普及(データセンター利用増大)に伴う電力消費量の増大、及び脱炭素・循環型社会の実現に向けた要請に加え、エネルギー安全保障に関する関心の高まりやエネルギー需要構成の変化が進んでおります。こうした環境下、ガスの重要性が増大し、経済性等の制約から脱炭素化は段階的に進展していきます。一方、昨今の地政学リスクの顕在化により、先行き不透明感が増大しております。こうした環境を踏まえ、当グループは、戦略性に富み、成長が見込める事業・資産への入替を促進し、エネルギー・トランジション事業と脱炭素関連事業の両方をバランス良く取り組んでまいります。次世代エネルギー分野での事業開発については、外部環境の変化に対応し、時間軸・リソース配分について迅速に調整を行いながら着実に継続してまいります。加えて、上流ビジネスを補完しバリューを高めるトレード機能と中下流ビジネスを強化し、より収益性の高いポートフォリオの構築を目指してまいります。 ② 定量計画・利益計画2026年度は、成長8分野がデジタル、リース、不動産、エネルギーソリューションを中心に着実な成長を計画しているほか、継続的な資産入替によるポートフォリオ変革の加速により、積み上げで6,600億円の利益となります。中東情勢の緊迫化等の地政学的リスクが事業及び業績に与える影響については、現時点で見積もり可能な影響を各セグメントの見通しに織り込んでおります。一方、中東情勢における更なる不確実性などに対する備えとして△300億円のバッファーを設定し、通期業績予想は6,300億円としております。 ・キャッシュ・フローアロケーション2024年度、2025年度の実績及び2026年度中の計画については以下のとおりです。 また、財務健全性改善に向けては、資産入替の加速等により2028年度末までの3年間で財務健全性を大型投資実行前(2024年度末)の水準まで戻す計画です。一方で、現行の株主還元方針は継続、戦略的な投資も例年と同規模で実施し、更なる成長を目指します。 (3) 株主還元方針2024年度から開始した「中期経営計画2026」以降の株主還元方針については以下のとおりです。・総還元性向を40%以上として、配当及び柔軟かつ機動的な自己株式取得を実施する・累進配当(注)により、配当の更なる安定性向上及び利益成長に応じた増配を目指す(注)1株当たり年間配当金の前期実績に対して、配当維持又は増配を行うことを指します。 当社は、株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図ることを目的として、2026年5月1日開催の取締役会において、2026年7月1日を効力発生日として、普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行うことを決議しました。 2026年度の年間配当金は2026年度通期連結業績予想6,300億円を踏まえ、株式分割考慮後で1株当たり40円(株式分割考慮前で前期比10円増配となる160円)とする予定です。また、2026年5月1日の取締役会において、800億円(うち、2025年度の追加株主還元:100億円、2026年度の株主還元:700億円)を上限とする自己株式の取得を決定しました。 詳細については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」を参照願います。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ●中期経営計画2026の進捗2024年度から始まった中期経営計画2026では、「No.1事業群」をテーマに掲げ、競争優位を磨き、社会課題解決を通じた飛躍的な成長を実現すべく、「強みを核とした成長」及び「成長の原動力の強化」に重点的に取り組み、「事業ポートフォリオ変革」を加速させています。2025年度は「強みを核とした成長」や「事業ポートフォリオ変革」を着実に推進した結果、過去最高となる当期利益6,003億円となりました。現中期経営計画最終年度となる2026年度については、中東情勢等の地政学的リスクの顕在化懸念もありますが、既存事業を中心とするOrganicと大型投資案件を中心とするInorganicの両面で成長を牽引することで過去最高益を更新する6,300億円を計画しています。 2025年度実績 (1) 中期経営計画2026における取組の状況① 強みを核とした成長・成長8分野につき、2023年度から2026年度の基礎的収益(注)の平均成長率が+11%となる見込み・2025年度における成長8分野での利益成長は前年度比プラス150億円・SCSKの完全子会社化を経てデジタル・AI戦略(DAIS)を策定。当社の事業現場でデジタル・AIを活用し、当社グループの収益性向上に取り組む・2026年度は、Organic成長に加えて、SCSK、米国航空機リース会社の利益貢献により成長8分野で前年度比790億円の増益を計画・デジタル・リース:実施した大型投資により更なる収益成長を目指す・不動産・エネルギーソリューション:資産回転推進による収益性向上等により収益成長を図る・鉄鋼・ヘルスケア:成長市場への経営資源投下、デジタル・AIを活用した収益性向上を図る・建機・アグリ:足元の低パフォーマンスを分析し、経営基盤強化と収益性の抜本的な改善に取り組む(注)「基礎的収益」は当期利益(親会社の所有者に帰属)から資産入替関連及び特殊損益を除いたものです。 ② 事業ポートフォリオ変革・2025年度はSCSKの完全子会社化や米国航空機リース会社の株式取得合意(2026年4月に買収完了)など、強みを更に強くする投資を実行・政策保有株式、ティーガイア社、マイダス社、北米メロン生産・販売事業、Sekal ASの売却等、資産入替も着実に進捗し、事業ポートフォリオの新陳代謝を加速・アンバトビーニッケル事業については、当社は2026年5月に譲渡契約を締結、当社保有の全出資持分を譲渡・SBU毎にROIC・WACCをモニタリング、機動的に各ビジネスの期待役割を見直し、全体としてポートフォリオの質向上を図る ③ 成長の原動力の強化・経営人財やラインマネージャーの育成、自律的なキャリア形成の促進、業務改革推進等の取組進捗。エンゲージメントは継続的に改善・都市総合開発グループではインフラ事業の知見/ノウハウを活かした海外都市開発案件等の取組進捗 (2) 定量計画① 経営環境全般世界経済は、緩やかな回復基調が続いてきたものの、米国・イスラエルとイランの軍事衝突を受けてホルムズ海峡の航行が困難となり、鉱物性燃料、化学品、金属等原材料の供給途絶とそれに伴う価格上昇が生じており、足元では先行き不透明感が増しております。先進国経済では、米国において総じて緩やかな持ち直しの動きが続いているものの、ガソリンやディーゼル等の石油製品価格の上昇が、個人消費や生産活動全般の重石となることが懸念されます。ユーロ圏経済は、財政による下支えや金融緩和の効果を背景に景気回復の動きが続いてきましたが、エネルギー不足やエネルギー価格高騰の悪影響が懸念されます。日本経済は、物価上昇ペースが一服しつつある中で、財政政策や賃金上昇の効果が徐々に表れてきた一方、物資不足や生活関連費の上昇が消費者マインドの改善の重石となっております。新興国経済では、中国において不動産市場の低迷や欧米向け輸出の伸び悩みが経済活動の下押し要因となっております。その他のアジア諸国では、米国の関税措置により景気の足取りが重くなったものの、AIデータセンター向け等の電気機器輸出が景気を下支えしてきました。しかしながら、ホルムズ海峡の混乱に伴う重要物資の供給障害及び価格高騰が、景気の先行き不透明感を一段と強めております。今後のリスク要因としては、ホルムズ海峡の実質的封鎖の長期化、不安定な鉱物性燃料供給の継続及び価格上昇を通じた世界的な物価上昇、物価抑制に向けた金融引き締め、経済活動支援に伴う各国の財政悪化に加え、北東アジア、東南アジア、アフリカ等における地政学的リスクの高まりが挙げられます。 鉄鋼グループ当グループは、鋼管・鋼材など鉄鋼製品を幅広く取り扱っております。鋼管分野では、米国市場は足元横ばいで推移しておりますが、原油価格の動向次第では価格・需要が変動する可能性があります。その他地域は、一部プロジェクトの端境期からの回復を見込む一方、中東情勢等の変化により回復時期や需要動向が左右される可能性があります。また、世界各国でエネルギー安定供給の重要性を背景に石油・ガス開発は継続するも、脱炭素に向けたエナジートランジションの動きも続く見通しです。鋼材分野では、米国で鋼材価格は上昇基調にあるものの、物価高や景気動向により需要が下振れする可能性があります。その他地域では中国での需要低迷が続き、中国材の東南アジア等への流入により各地市況が押し下げられております。他方、欧州洋上風力発電用の基礎構造物事業への出資等を通じ、収益基盤の拡大に取り組んでおります。以上を踏まえ、既存事業を堅持しつつ、強みを有する事業・地域に経営資本を重点配分して収益力を強化してまいります。また、DX・AIによる新たな価値提供に加え、再生可能エネルギーやCCS等、カーボンニュートラルに資する製品・サービスの供給を通じて産業のGXに貢献してまいります。 自動車グループ当グループは、自動車業界のバリューチェーンを俯瞰し、自動車、タイヤ、及びその他関連商品の製造、販売、リース並びにこれらの関連サービス・周辺事業を行っております。当グループを取り巻く環境では、各国の経済発展、人・モノの移動の増加を支える自動車ニーズの伸長、所有から利活用(リース・レンタル・サブスクリプション等)へのシフト、カーボンニュートラル実現へ向けた環境車の普及、循環型経済の構築へ向けた再利用・リサイクル促進へのニーズが高まっております。一方で、中東情勢をはじめとする地政学リスクがもたらすサプライチェーンの混乱、原材料コスト・人件費・金利等の上昇による経済の成長鈍化懸念があり、動向を注視しております。このような環境を踏まえ、足元の市場環境の変化への備えを確実にするとともに、自動車流通販売事業における商品や販売・サービス網の拡充による成長促進、自動車リース事業を軸とするモビリティサービス領域におけるサービス拡大、自動車エンジニアリング事業等の新たな事業機会の取り込み、部品製造事業・販売金融事業・タイヤ販売事業のバリューアップによる収益規模拡大、Beyond Mobility(移動から発生する、移動を越えた領域)の新規事業の創出・育成に取り組んでまいります。 輸送機・建機グループ当グループは、リース・ファイナンス事業、グローバルにバリューチェーンを展開する航空機・船舶海洋・建設機械事業、高い専門性を持つ防衛宇宙・安全保障ビジネスを中心に、各種取引及び事業投資を行っております。当グループを取り巻く事業環境については、足元では中東情勢の緊迫化に伴い、地政学的リスクが顕在化しております。現時点での当グループ事業への直接的な影響は限定的であるものの、市況の変動や資材・燃料価格の動向等については注視しております。一方、中長期的には、世界的な航空需要の拡大が見込まれるほか、海上貨物輸送やインフラの建設・更新需要も堅調に推移すると見込んでおります。同時に、脱炭素社会や循環経済の実現に向けた社会的な要請が一層高まっております。こうした環境を踏まえ、当グループは強みを持つ事業の収益性向上に注力してまいります。リース・ファイナンス事業では優良資産の積み上げと資産効率の向上を図り、建設機械事業では米国の関税措置といった不確実性への影響を注視しつつ、コスト削減やフリートマネジメントを柱とした収益改善施策を進めてまいります。また、航空機事業における退役機の部品販売を始めとするアフターマーケット事業、船舶海洋事業における洋上風力で使用される構造物の製造など、社会的な課題やニーズに応える事業を積極的に進め、成長を加速してまいります。 都市総合開発グループ当グループは、不動産・工業団地・サステナブルシティ・基幹インフラ及びデジタルインフラの開発・運営・アセットマネジメント事業、建材・セメントなどの建設資材関連事業、産業用設備などの機電設備関連事業、物流・保険関連事業を展開しております。不動産分野では国内不動産事業が堅調に推移したほか、工業団地分野においても引渡しが順調に進展し、期初予想を上回る実績となりました。当グループの主力ビジネスである国内不動産事業においては、今後も大都市圏を中心に需給バランスがタイトな状況が継続すると見込まれる一方で、中東情勢、金利動向、為替変動、インフレ等を取り巻く不確実性が、国内外事業におけるコストや工期を含む採算面に与える影響については、引き続き慎重な見極めが必要であると認識しております。当グループでは、こうした外部環境の変化を注視しつつ、事業のレジリエンス強化に努めております。このような環境認識のもと、資産入替や金融ストラクチャリングを積極的に活用し、自然環境に配慮するとともに災害に強い街づくりのグローバル展開を推し進めてまいります。 コミュニケーションサービスグループ当グループは、通信インフラ事業、通信サービス事業、メディア・エンターテインメント事業、金融投資事業を行っております。通信インフラ事業領域では、高速・大容量通信の需要拡大により、キャリア横断的な通信インフラの新増設とその共同利用の需要が見込まれており、当グループでは通信事業者向けの基地局シェアリング事業を拡大しております。通信サービス事業領域では、人手に依存していた公共インフラの保守・点検を通信技術とAIで置き換え、安心安全を更に向上させようという取り組みが進んでおり、異常検知AIソリューションの開発・展開を進めております。メディア・エンターテインメント事業領域では、国内最大のケーブル通信事業会社JCOM及び通販事業のジュピターショップチャンネルの企業価値最大化に加え、日本のアニメコンテンツが世界的に高い評価を受けていることを踏まえ、海外展開・二次利用事業の開発に取り組んでおります。金融投資事業領域ではスタートアップ投資やプライベートエクイティ投資を行っております。 デジタル・AIグループ当グループはネットワーク構築からシステム開発・運用およびデジタル・AI領域におけるソリューション事業を総合的に展開しております。事業環境は、既存のシステム・環境の刷新やクラウドの高度利用ニーズの拡大に支えられ、引き続き堅調に推移しております。加えて、DXの進展に伴い、顧客におけるシステム開発の主導権が情報システム部門から事業部門へと広がるとともに、AI技術の急速な発展により、AIを前提としたプロセス・業務そのものの変革ニーズが高まるなど、当グループにとって新たな事業機会が広がっております。こうした環境のもと、当グループは、従来の基幹・業務系システム開発・運用を中心とした事業基盤を強化しつつ、デジタル・AI領域へと事業の拡張を進めております。具体的には、AIを活用した開発高度化を通じた生産性向上とともに、顧客課題の発掘から事業・業務変革まで踏み込んだ提案型ビジネスの強化により、付加価値の高いサービス提供を推進してまいります。 ライフスタイルグループ当グループは、食品スーパー・ブランド等のリテイル事業、食品・食品原料や青果などの食料事業、ドラッグストア・調剤薬局及びマネージドケア・クリニック・慢性疾患患者向け在宅ヘルスケア事業などのヘルスケア事業を展開しております。リテイル及び食料分野では、消費者の価値観やライフスタイルの多様化・ニーズの細分化、食と健康に対する意識の高まりが見込まれます。一方で、地政学リスクの高まりやその一部顕在化を背景とした関連コストの上昇等により、消費マインドの抑制傾向が続く等、事業環境の不透明感が継続しております。ヘルスケア分野では、高齢化加速に伴う医療費適正化ニーズが一層高まる見通しであり、いずれも生活を支える事業として社会的重要性は引き続き高まっていくものと見ております。このような環境を踏まえ、リテイル事業では、優良な店舗基盤と顧客へのアクセスを持つ強みを生かし、データ活用によるマーケティング及びデジタル・AI活用によるオペレーションの高度化や新規事業拡大に取り組んでまいります。食料事業では、食料・食品の調達・加工・販売のノウハウとグローバルなネットワークを通じた収益基盤の強化と成長分野への展開を図ってまいります。ヘルスケア事業では、国内外での事業基盤拡大を通じ、医療費抑制・適正化に資する取り組みを進め、持続的な成長を目指してまいります。 資源グループ当グループは、金属資源等の開発・操業・生産、製品の製造・販売を展開し、トレード分野でも当社事業とのシナジー発揮や、商品デリバティブの活用等、多様な機能を提供しております。資源価格は、地政学的リスク等を背景に先行きの不透明感がある中、品目ごとの強弱はあっても底堅く推移しており、中長期の市況変動サイクル、業界におけるプレイヤー・地域の偏在性、経済安全保障・技術革新を含むバリューチェーンや需給バランスの環境変化、資源案件開発の高難度化等の諸環境を踏まえ、当社ならではの経験・強みを発揮し、社会課題解決を通じた成長を図る事業ポートフォリオ、基盤の強化を進めております。基幹産業を支えるベースメタルを中心に、既存資産の価値最大化と優良権益の拡充に取り組むとともに、市況影響を受けにくい製造業・トレード等の中下流ビジネス拡充に引き続き注力し、環境負荷低減に資する投資や機能提供の促進、気候変動緩和に寄与するバリューチェーン構築を推進しております。これら取り組みを通じて、日本及び世界の産業発展と持続可能な社会の実現に貢献し、人々の豊かな未来を創造することを目指してまいります。 化学品・エレクトロニクス・農業グループ当グループは、基礎化学品、エレクトロニクス、グリーンケミカル、医薬、化粧品、動物薬、農業資材等の分野において、材料・製品の開発、製造、販売事業を展開しております。基礎化学品分野における新興国企業の台頭やエレクトロニクス分野におけるデジタル・AIの進展、EV化等に伴う業界構造の変化、経済安全保障を背景としたサプライチェーン再構築に加え、農業資材分野では、穀物市況の低迷や高金利の状況が事業環境に影響を及ぼしております。さらに、中東情勢の先行き不透明感の高まり、為替変動や物流コストの上昇、地政学的要因等を背景に、近年、当グループを取り巻く事業環境の不確実性は高まっております。このような環境下、当グループでは外部環境の変動が継続することを想定し、事業機会の着実な取り込みとリスクへの対応に取り組んでおります。今後は、各分野における事業基盤の強化や高付加価値創出を通じ、外部環境変化に対する下振れ耐性を高めつつ、持続的な収益成長を目指してまいります。 エネルギートランスフォーメーショングループ当グループは、国内外における発電事業、国内電力小売事業、天然ガス・LNGなどのエネルギー権益開発・生産及び販売事業、海洋インフラ・船舶燃料供給事業、カーボンニュートラル社会実現に資する次世代エネルギー分野での事業開発を行っております。ベトナム発電事業持分利益の減少、欧州ガストレードの低調など一部事業に関しては前年比減益となりましたが、電力EPC案件にかかる工事損失引当の取崩益や米国ガストレードにおける契約譲渡益等の一過性利益の計上もあり、グループ全体の利益としては堅調に推移しております。 当グループを取り巻く環境としては、生成AI普及(データセンター利用増大)に伴う電力消費量の増大、及び脱炭素・循環型社会の実現に向けた要請に加え、エネルギー安全保障に関する関心の高まりやエネルギー需要構成の変化が進んでおります。こうした環境下、ガスの重要性が増大し、経済性等の制約から脱炭素化は段階的に進展していきます。一方、昨今の地政学リスクの顕在化により、先行き不透明感が増大しております。こうした環境を踏まえ、当グループは、戦略性に富み、成長が見込める事業・資産への入替を促進し、エネルギー・トランジション事業と脱炭素関連事業の両方をバランス良く取り組んでまいります。次世代エネルギー分野での事業開発については、外部環境の変化に対応し、時間軸・リソース配分について迅速に調整を行いながら着実に継続してまいります。加えて、上流ビジネスを補完しバリューを高めるトレード機能と中下流ビジネスを強化し、より収益性の高いポートフォリオの構築を目指してまいります。 ② 定量計画・利益計画2026年度は、成長8分野がデジタル、リース、不動産、エネルギーソリューションを中心に着実な成長を計画しているほか、継続的な資産入替によるポートフォリオ変革の加速により、積み上げで6,600億円の利益となります。中東情勢の緊迫化等の地政学的リスクが事業及び業績に与える影響については、現時点で見積もり可能な影響を各セグメントの見通しに織り込んでおります。一方、中東情勢における更なる不確実性などに対する備えとして△300億円のバッファーを設定し、通期業績予想は6,300億円としております。 ・キャッシュ・フローアロケーション2024年度、2025年度の実績及び2026年度中の計画については以下のとおりです。 また、財務健全性改善に向けては、資産入替の加速等により2028年度末までの3年間で財務健全性を大型投資実行前(2024年度末)の水準まで戻す計画です。一方で、現行の株主還元方針は継続、戦略的な投資も例年と同規模で実施し、更なる成長を目指します。 (3) 株主還元方針2024年度から開始した「中期経営計画2026」以降の株主還元方針については以下のとおりです。・総還元性向を40%以上として、配当及び柔軟かつ機動的な自己株式取得を実施する・累進配当(注)により、配当の更なる安定性向上及び利益成長に応じた増配を目指す(注)1株当たり年間配当金の前期実績に対して、配当維持又は増配を行うことを指します。 当社は、株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図ることを目的として、2026年5月1日開催の取締役会において、2026年7月1日を効力発生日として、普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行うことを決議しました。 2026年度の年間配当金は2026年度通期連結業績予想6,300億円を踏まえ、株式分割考慮後で1株当たり40円(株式分割考慮前で前期比10円増配となる160円)とする予定です。また、2026年5月1日の取締役会において、800億円(うち、2025年度の追加株主還元:100億円、2026年度の株主還元:700億円)を上限とする自己株式の取得を決定しました。 詳細については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」を参照願います。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 企業環境当期の世界経済は、インフレ鎮静化が進み、景気の底堅さを実感できるような時期があった一方で米国の相互関税を巡る通商問題の拡大や地政学的リスクの増大などによる減速懸念も交錯する展開となりました。国際情勢の悪化は経済活動の重しとなりました。ウクライナ・ロシア情勢については紛争状態が長期化しています。中東情勢については、2026年2月に米国とイスラエルがイランへの軍事攻撃に踏み切ったことで、ペルシャ湾岸地域が紛争地帯となり、物流の要衝であるホルムズ海峡の航行にも大きな支障が生じています。米国はAI関連の投資継続や金融緩和策の継続等により景気の底堅さは維持されているものの成長ペースは鈍化しました。物価は安定傾向を示してきましたが、関税由来のインフレ圧力が懸念され、金融政策のバランスが問われる1年となりました。欧州では財政支出の拡大を背景に緩やかな回復軌道をたどりました。中国では政策支援により家計消費が一時的に改善しましたが、時間の経過とともにその効果は剥落しました。また、市場競争が激しくなったことで設備投資が大きな減速局面を迎え、固定資産投資が大幅なマイナスを記録しました。アジア諸国では、AI関連需要を追い風にした輸出拡大が続きましたが、米国の関税措置や中国からの輸出攻勢といった二重の景気下押し圧力に加えて、中東の紛争により石油供給が不安定になったことで景気の先行きについて予断を許さない局面を迎えました。国内経済は、物価上昇を上回る賃金の上昇が焦点となった1年でした。賃上げにより、マイナスが続いてきた実質賃金上昇率がようやくプラスへ転じる見通しとなったことで家計消費は購買力の回復とともに持ち直しの動きが見られました。企業の設備投資はAI・DX(注1)・GX(注2)関連を中心に拡大傾向が続きました。しかし、中東情勢の緊迫化による石油価格の上昇で物価が再び押し上げられる懸念が生じました。 国際商品市況は、中東情勢の緊迫化を受けてWTI原油先物が一時1バレル119ドル台と約4年ぶりの高値へ急伸したのち、先進国での備蓄放出や停戦期待が高まったことで乱高下を繰り返しています。地政学的リスクの高まりやAI関連需要を追い風に上昇基調が続いてきた非鉄金属については、金価格や銅価格が史上最高値を記録しました。為替・金融市場は、日米の金融政策の相違を反映した動きとなりました。実質金利が米国においてプラスであるのに対し、日本では引き続きマイナスであり、結果として1ドル=160円付近まで円安が進行しました。長期金利は、財政支出拡大見通しを背景に、約30年ぶりに2%台前半での推移が続いており、財政負担の増加等の影響が懸念されています。日経平均株価はAIブームや企業収益の改善期待を背景に一時6万円に迫る歴史的な高水準を記録しました。 (注)1 デジタルトランスフォーメーション(注)2 グリーントランスフォーメーション (2) 業績 (単位:億円)前期(自2024年4月1日至2025年3月31日)当期(自2025年4月1日至2026年3月31日) 増減額主な増減要因収益72,92173,373 +452 売上総利益14,44815,097 +649・SCSKにおけるネットワンシステムズのグループ化による利益増・自動車流通販売:主力市場における競争激化により減益販売費及び一般管理費△10,397△11,114 △717・SCSKにおけるネットワンシステムズのグループ化による費用増 固定資産損益 (注)1△260 +62 その他の損益△119△27 +93 利息収支 (注)2△273△255 +18 受取配当金149122 △28 有価証券損益380470 +90 持分法による投資損益2,7702,667 △103・前期 航空機リース事業における特殊利益の反動減税引前利益6,9567,020 +64 法人所得税費用△866△517 +349・繰越欠損金等に対する税効果計上当期利益6,0906,503 +413 当期利益(親会社の所有者に帰属)5,6196,003 +385 (注)1 固定資産損益=固定資産評価損益及び固定資産売却損益の合計(注)2 利息収支=受取利息及び支払利息の合計 (3) 事業セグメント当社は戦略を軸とする「Strategic Business Unit」(SBU)を基本単位とし、戦略上の親和性の高いSBUを束ねる組織として9つのセグメント(グループ)に区分しております。9つのセグメントは鉄鋼グループ、自動車グループ、輸送機・建機グループ、都市総合開発グループ、メディア・デジタルグループ、ライフスタイルグループ、資源グループ、化学品・エレクトロニクス・農業グループ、エネルギートランスフォーメーショングループから構成されております。前期及び当期の売上総利益、当期利益(親会社の所有者に帰属)の事業セグメント別実績は以下のとおりであります。 事業セグメント別売上総利益の内訳 前期(自2024年4月1日至2025年3月31日)(億円)当期(自2025年4月1日至2026年3月31日)(億円)増減額(億円)増減率(%)鉄鋼1,8831,749△134△7.1自動車1,6621,398△264△15.9輸送機・建機2,0032,167+1648.2都市総合開発1,1961,363+16714.0メディア・デジタル1,6422,175+53232.4ライフスタイル2,3622,626+26511.2資源479419△60△12.5化学品・エレクトロニクス・農業1,5391,505△34△2.2エネルギートランスフォーメーション1,6601,770+1106.6計14,42615,172+7475.2消去又は全社22△76△98-連結14,44815,097+6494.5 事業セグメント別当期利益(親会社の所有者に帰属)の内訳 前期(自2024年4月1日至2025年3月31日)(億円)当期(自2025年4月1日至2026年3月31日)(億円)増減額(億円)増減率(%)主な増減要因鉄鋼684743+598.6・鋼管:北米は油価下落による需要減、他地域は一部プロジェクト端境期による需要減・鋼材:モノパイル製造事業の利益貢献開始・当期 資産入替関連益あり自動車512632+12023.5・自動車流通:主力市場における競争激化に加え中東情勢の影響により減益・マイダス社売却益、インドネシア自動車金融事業における不良債権一括処理輸送機・建機1,015889△126△12.4・輸送機:リース事業堅調、船舶事業は売船により増益・建設機械:レンタル事業は建設需要が緩やかに回復、販売・サービス事業は堅調・前期 航空機リース事業における特殊利益の反動減都市総合開発771815+455.8・不動産:今期資産回転の積極促進及び大口案件の引渡し実行メディア・デジタル452512+6013.3・デジタル:SCSKにおけるネットワンシステムズのグループ化、SCSK追加取得に伴う持分比率上昇による増益ライフスタイル141△36△177-・欧米州青果事業:メロン事業(下期に売却済み)不調及び売却損により減益、バナナ・パイナップル事業はコスト削減効果あり・国内スーパーマーケット事業:新規出店・改装等の効果あり増益資源911823△88△9.6・豪州石炭事業:価格下落及び原料炭販売数量減少により減益・南アフリカ鉄鉱石事業:価格下落・銅事業:価格上昇等により増益化学品・エレクトロニクス・農業214265+5123.9・エレクトロニクス:堅調な半導体需要に伴う販売増・アグリ事業:ブラジル厳しい市場環境継続エネルギートランスフォーメーション9641,024+606.2・海外発電事業:ベトナム発電事業 持分利益減等・電力EPC案件における特殊利益あり計5,6645,669+50.1 消去又は全社△45335+380-・繰越欠損金等に対する税効果計上連結5,6196,003+3856.8 (4) 仕入、成約及び販売の実績① 仕入の状況 仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。 ② 成約の状況 成約は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。 ③ 販売の状況当期において、特記事項はありません。上記「(2) 業績」及び「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 4 セグメント情報」をご参照ください。 (5) 連結包括利益計算書における主要な項目以下は、連結包括利益計算書における主要な項目についての説明であります。 収益当社では、収益を、商品販売に係る収益とサービス及びその他の販売に係る収益に区分して表示しております。商品販売に係る収益としては、以下の取引に関連して発生する収益が含まれております。・卸売、小売、製造・加工を通じた商品の販売・不動産の開発販売・長期請負工事契約に係る収益 サービス及びその他の販売に係る収益としては、以下の取引に関連して発生する収益が含まれております。・ソフトウェアの開発に関連するサービス・賃貸用不動産、船舶などの貸付金、ファイナンス・リース及びオペレーティング・リース 売上総利益売上総利益は、以下により構成されております。・当社が主たる契約当事者として関与する取引における総利益・当社が代理人等として関与する取引における手数料 固定資産評価損益棚卸資産、繰延税金資産及び生物資産を除く当社の非金融資産の帳簿価額については、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積り、のれん及び耐用年数を確定できない、または未だ使用可能ではない無形資産については、回収可能価額を少なくとも年1回見積った上で、資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、減損損失を認識しております。また、減損損失の戻し入れを行った場合は当該戻し入れ金額も含めております。 固定資産売却損益当社は、資産のポートフォリオの戦略的かつ積極的な入替えを図っております。その結果、不動産等のバリューを実現するために売却する場合や、価格の下落した不動産等を売却する場合、売却損益を計上することになります。 受取配当金受取配当金には、当社の子会社及び持分法適用会社以外で、当社が株式を保有している会社からの配当金が計上されております。 有価証券損益当社は事業活動の一環として相応の規模の投資を行っております。これらの投資対象のうち、公正価値で測定し、その変動を当期利益で認識する金融資産(以下、FVTPLの金融資産)は公正価値で当初認識しております。当初認識後は公正価値の変動を当期利益で認識しております。また、償却原価で測定される金融資産は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。当初認識後、償却原価で測定される金融資産の帳簿価額については実効金利法を用いて算定し、帳簿価額の変動について、必要な場合には減損損失を認識しております。償却原価で測定される金融資産並びに子会社及び持分法適用会社への投資等を売却する際に、売却損益を認識しております。 持分法による投資損益投資戦略やビジネスチャンスの拡大に関連して、当社は、各セグメントで状況に応じ、新規または既存の会社の買収や出資、他の企業とのジョイント・ベンチャーの結成、または同業他社とのビジネス・アライアンスの組成を行っております。一般的に、当社は、出資比率が20%以上50%以下である会社の投資に対し、その持分利益や損失を計上しております。 FVTOCIの金融資産公正価値で測定し、その変動をその他の包括利益で認識する金融資産(以下、FVTOCIの金融資産)は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動をその他の包括利益で認識しております。 確定給付制度の再測定当社は、確定給付負債(資産)の純額の再測定を、その他の包括利益で認識しております。 在外営業活動体の換算差額在外営業活動体の資産・負債(取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含む)については期末日の為替レート、収益及び費用については期中平均レートを用いて日本円に換算しており、在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替換算差額はその他の包括利益で認識しております。当社のIFRS移行日以降、当該差額はその他の資本の構成要素である「在外営業活動体の換算差額」として表示しております。 キャッシュ・フロー・ヘッジデリバティブを、認識済み資産・負債、または当期利益に影響を与え得る発生可能性の非常に高い予定取引に関連する特定のリスクに起因するキャッシュ・フローの変動をヘッジするためのヘッジ手段として指定した場合、デリバティブの公正価値の変動のうちヘッジ有効部分は、その他の包括利益で認識しております。 (6) 重要性がある会計方針及び見積りIFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の資産・負債の計上や偶発資産及び偶発債務の開示、並びに期中の収益費用の適正な計上を行うため、マネジメントによる見積りや前提が必要とされます。当社は、過去の実績、または、各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき、一貫した見積りを実施しております。資産・負債及び収益費用を計上する上で客観的な判断材料が十分でない場合は、このような見積りが当社における判断の基礎となっております。従って、異なる前提条件の下においては、結果が異なる場合があります。以下、当社の財政状態や経営成績にとって重要であり、かつ相当程度の経営判断や見積りを必要とする重要性がある会計方針につき説明しております。なお、当社の主な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」を参照願います。 金融資産の減損当社は、償却原価で測定する金融資産、リース債権、契約資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に係る減損については、当該金融資産に係る予想信用損失に対して損失評価引当金を認識しております。当社は、信用リスクの変動及び予想信用損失の算定にあたっては、主に当社独自の信用格付けである Sumisho Credit Rating(SCR)を用いております。これには、債務者の過去の貸倒実績、現在の財務状態及び合理的に利用可能な将来予測情報等が含まれております。 公正価値で測定する金融資産当社は、有価証券やその他の投資等の金融資産を保有しており、FVTOCIの金融資産と、FVTPLの金融資産とに分類しております。当社は、投資先企業との取引関係の維持・強化による中長期的な収益の拡大などを目的として保有しており、公正価値の変動を業績評価指標としていない金融資産をFVTOCIの金融資産として分類し、公正価値の変動を獲得するために保有し、業績評価指標としている金融資産をFVTPLの金融資産として分類しております。当該金融資産の公正価値は、市場価格、割引将来キャッシュ・フローや純資産に基づく評価モデル等の評価方法により算定しております。 非流動資産の回収可能性当社は、様々な非流動資産を保有しており、持分法で会計処理されている投資や無形資産などの非流動資産について、帳簿価額の回収可能性を損なうと考えられる企業環境の変化や経済事象が発生した場合には、減損テストを行っております。実際に減損の兆候があるかどうかの判定に際しては、様々な見積りや前提が必要となります。例えば、キャッシュ・フローが直接的に減損の懸念がある資産に関係して発生しているのかどうか、資産の残存耐用年数がキャッシュ・フローを生み出す期間として適切かどうか、生み出すキャッシュ・フローの額が適切かどうか、及び、残存価額が適切かどうか、などを考慮しなければなりません。また、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産について、少なくとも年1回、更に減損の発生が予測される場合は、その都度、減損テストを実施しております。減損テスト時には、資産の回収可能価額を見積っております。資産または資金生成単位の回収可能価額は使用価値と処分費用控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産の固有のリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割引いております。当社では、過去の経験や社内の事業計画、及び適切な割引率を基礎として将来キャッシュ・フローを見積っております。これらの見積りは、事業戦略の変更や、市場環境の変化により、重要な影響を受ける可能性があります。なお、非流動資産の回収可能性に関連する会計上の見積りの詳細については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 11 持分法適用会社に対する投資、注記 13 無形資産」を参照願います。 繰延税金資産の回収可能性当社は、繰延税金資産の全部または一部について、回収が不確実となった場合に、マネジメントの判断により、減額しております。繰延税金資産の回収可能性の評価にあたっては、繰延税金資産計上の根拠となっている将来の一時差異の解消が見込まれる期間内、または、繰越欠損金の繰越可能期間内に、納税地において将来十分な課税所得を生み出せるかどうかを評価しなければなりません。当社では、有利・不利に関わらず、入手可能なすべての根拠・確証を用いてこの評価を実施しております。繰延税金資産の評価は、見積りと判断に基づいております。納税地での将来の課税所得に影響を与える当社の収益力に変化があった場合、現状の繰延税金資産の回収可能性の評価も変わる場合があります。 引当金の測定引当金は、過去の事象の結果として、当社が、現在の法的または推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、その債務の金額が合理的に見積り可能である場合に認識しております。引当金は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値及び当該負債に特有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割引いております。 確定給付債務の測定確定給付型年金制度は、確定拠出型年金制度以外の退職後給付制度であります。確定給付型年金制度に関連する当社の純債務は、制度ごとに区別して、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を見積り、当該金額を現在価値に割引き、制度資産の公正価値を差し引くことによって算定しております。割引率は、当社の債務と概ね同じ満期日を有するもので、期末日において信用格付AAの債券の利回りであります。この計算は、毎年、年金数理人によって予測単位積増方式を用いて行っております。 (7) 資産及び負債・資本(単位:億円)前期(2025年3月期末)当期(2026年3月期末) 増減主な増減要因資産合計116,312136,383 +20,072・営業資産の増加(貴金属リース取引に係る時価評価等)・円安の影響による増加・現金及び現金同等物の増加株主資本 (注)146,48546,286 △199・SCSK株式の追加取得による減少・配当金の支払、自己株式の取得・当期利益の計上による増加・円安の影響による増加非支配持分2,3711,066 △1,305・SCSK株式の追加取得による減少ネット有利子負債 (注)226,72531,472 +4,747・SCSK株式の追加取得による増加ネットDER (注)30.570.68 +0.11pt (注)1 株主資本=資本の内、「親会社の所有者に帰属する持分合計」(注)2 ネット有利子負債=社債及び借入金(流動・非流動)の合計から現預金を差し引いたもの。 (リース負債は含まれておりません)(注)3 ネットDER=有利子負債(ネット)/株主資本 (8) キャッシュ・フロー(単位:億円)前期(自2024年4月1日至2025年3月31日)当期(自2025年4月1日至2026年3月31日)当期実績の概要営業活動によるキャッシュ・フロー6,1238,135・コアビジネスが着実にキャッシュを創出投資活動によるキャッシュ・フロー△4,614△1,559・投資 :国内外不動産の取得・資産入替:Sekal AS株式の売却、国内外不動産の売却、ティーガイア株式の売却、SCSKによるアルゴグラフィックス株式の売却フリーキャッシュ・フロー1,5096,576 財務活動によるキャッシュ・フロー△2,474△2,525・SCSK株式の追加取得・配当金の支払、自己株式の取得・SCSKによるネットワンシステムズ株式の追加取得・短期・長期借入債務による収入 前期(2025年3月期末)当期(2026年3月期末) 現金及び現金同等物の期末残高5,70610,054 (9) 資金調達と流動性当社の財務運営は財務健全性の維持・向上を基本方針とし、低利かつ中長期にわたり、安定的な資金調達を行うこと、及び十分な流動性の保持を図ることとしております。当社グループ内での資金管理については、グループファイナンスを整備し、資金調達を当社及び金融子会社、海外現地法人に集中した上で、キャッシュ・マネジメント・システムを通じて、当社グループ内で資金を効率的に活用する体制を整えております。当社は総額4兆1,771億円の社債及び借入金を有しており、このうち短期の借入金は、前期比1,971億円増加の4,896億円で、内訳は全額が短期借入金(主として銀行借入金)となっております。一年以内に期限の到来する社債及び長期借入金4,621億円を含めた当期の社債及び長期借入金は、前期比7,253億円増加の3兆6,875億円となっております。このうち、銀行及び保険会社等からの長期借入残高は、前期比4,596億円増加の2兆7,706億円、社債残高は前期比2,656億円増加の9,170億円となっております。当社の銀行からの借入の多くは、日本の商慣行上の規定に基づいております。当社は、このような規定が当社の営業活動や財務活動の柔軟性を制限しないと確信しておりますが、いくつかの借入契約においては、特定の財務比率及び純資産の一定水準の維持が求められております。さらに、主に政府系金融機関との契約においては、当社が株式及び社債の発行等により資金を調達した際に、当該金融機関から、当該借入金の期限前返済を求められる可能性があり、また、一部の契約では当社の剰余金の配当等について当該金融機関の事前承認を請求される可能性があります。当社は、このような請求を受けたことはなく、今後も受けることはないと判断しております。詳細は、「3 事業等のリスク (3) タイプ別リスク ⑬ 資金の流動性に関するリスク」を参照願います。資金調達については、各金融機関との良好な関係に基づく銀行借入等の間接金融を中心に、コマーシャルペーパーや社債等の直接金融との適切なバランスに留意し、調達期間の長期化を通じた償還期日の分散等による安定的な調達構造を構築しております。外貨建ての資金調達については、銀行借入や外貨建て社債発行、通貨スワップの他、金融子会社、海外現地法人におけるコマーシャルペーパー、ユーロMTN等の活用によって資金調達ソースの多様化に取り組んでおります。また、2022年3月にグリーンファイナンス・フレームワークを策定し、本フレームワークに基づきグリーンボンドを発行しております。2024年2月には、本フレームワークの対象事業の拡大及びソーシャル対象事業の追加を行い、サステナブルファイナンス・フレームワークとして改定しております。なお、当社は、資本市場での直接調達を目的として、以下の資金調達プログラムを設定しており、当期末時点での当社の長期及び短期の信用格付は、ムーディーズでBaa1(見通し安定的)/P-2、スタンダード&プアーズでA-(見通しネガティブ)/A-2、格付投資情報センターでAA-(見通し安定的)/a-1+となっております。 ・当社における、3,000億円の国内及び海外公募普通社債発行登録枠・当社における、5,000億円のコマーシャルペーパー発行枠・米州住友商事における、1,500百万米ドルのコマーシャルペーパープログラム・当社及び英国のSumitomo Corporation Capital Europe(以下、「SCCE」という。)における、5,000百万米ドルのユーロMTNプログラム・SCCEにおける、1,500百万米ドルのユーロコマーシャルペーパープログラム 保有流動性については、金融市場の混乱等、複数の有事シナリオを想定し、当期末時点で現預金と国内外の主要な金融機関との総額1,210百万米ドル、及び2,850億円を上限とする以下の長期コミットメントラインを中心に、当社及び当社子会社における資金需要や一年以内に期日が到来する借入や社債の償還資金等を補完する十分な流動性を確保しております。なお、当有価証券報告書の提出日までに、これらのコミットメントラインに基づく借入はありません。また、これらのコミットメントラインには、借入の実行を制限する重大なコベナンツ、格付トリガー条項などは付されておりません。なお、これらのコミットメントラインのほかに、当社は、コミットメントベースでない借入枠を有しております。・米国及び欧州の大手銀行によるシンジケート団との間で締結した、1,060百万米ドルのマルチ・カレンシー(円・米ドル・ユーロ建)/マルチ・ボロワー(住友商事及び英国、米国、シンガポールにおける当社子会社への融資)型長期コミットメントライン・大手米銀との間に締結した、米州住友商事への100百万米ドルの長期コミットメントライン・大手欧銀との間に締結した、SCCEへの50百万米ドルのマルチ・カレンシー(円・米ドル・ユーロ・ポンド建)型長期コミットメントライン・大手邦銀のシンジケート団による1,500億円の長期コミットメントライン(内、790億円はマルチ・カレンシー型)・有力地方銀行のシンジケート団による1,350億円の長期コミットメントライン 資金調達の内訳 前期(2025年3月31日)(億円)当期(2026年3月31日)(億円)短期2,9254,896 借入金(主に銀行より調達)2,9254,896長期(一年以内期限到来分を含む)29,62336,875 担保付 借入金2,5042,520 無担保 借入金20,60525,185 社債6,5139,170有利子負債合計(グロス)32,54741,771現金及び現金同等物並びに定期預金5,82210,299有利子負債合計(ネット)26,72531,472資産合計116,312136,383親会社の所有者に帰属する持分合計46,48546,286親会社所有者帰属持分合計比率(%)40.033.9 デット・エクイティ・レシオ(グロス)(倍)0.70.9デット・エクイティ・レシオ(ネット)(倍)0.60.7 当期末時点での当社の期限別の支払債務は、以下のとおりであります。期限別内訳 社債及び借入金(億円)リース負債(億円)2026年度9,5178742027年度4,3817502028年度3,9905762029年度4,3964382030年度4,4316192031年度以降15,0562,038合計41,7715,295 当社は、資金供与に関する契約(貸付契約、出資契約)及び設備使用契約等を締結しており、当期末における契約残高は、8,944億円です。当期末時点では、資本的支出に対する重要な契約はありません。上述の契約に加えて、当社のビジネスに関連して、当社は、顧客の債務に対する保証などの様々な偶発債務を負っています。また、当社は、訴訟による偶発債務の影響を受ける可能性があります。これらの偶発債務に関する詳細は、「(10) 偶発債務」及び「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 34 契約及び偶発債務」を参照願います。当社は、現状においては、それらの偶発債務がもたらす資金需要が重大なものとはならないと判断しておりますが、仮に予想に反して、当社が保証を行っている債務に重大な不履行が生じた場合、また、訴訟の結果が、当社に大きく不利なものであった場合には、新たに、大きな資金調達が必要となる可能性があります。当社は、主に、ワーキング・キャピタル、新規や既存ビジネスへの投資や債務の返済のために、将来にわたり継続的な資金調達を行う必要があります。当社は、成長戦略として買収、株式取得または貸付による投資を行っており、当期は、有形固定資産及び投資不動産の取得に1,418億円、また、事業の取得及びその他の投資の取得に2,480億円の投資を行いました。当社は、現在、全てのセグメントにおいて、既存のコア・ビジネス及び周辺分野を中心に追加投資を検討しております。しかしながら、これらの投資は、現在、予備調査段階のものや、今後の様々な条件により、その実施が左右されるものであり、結果的に実現されない可能性もあります。また当社は、手許の現金、現在の借入枠や営業活動によるキャッシュ・インで当面必要とされる資金需要を十分に満たせると考えておりますが、それは保証されている訳ではありません。当社の営業活動によるキャッシュ・インが想定より少なかった場合、当社は、追加借入の実施、他の資金調達手段の検討、または投資計画の修正を行う可能性があります。 (10) 偶発債務当社の取引に関連して、顧客の債務に対する保証履行のような偶発債務を負うことがあります。当社は、世界各国のサプライヤーや顧客と多種多様な営業活動を行うことにより、営業債権及び保証等に係る信用リスクを分散させており、これらに関し重大な追加損失は発生しないものと見込んでおります。当社の当期末における保証に対する偶発債務の残高(最長期限2044年)は2,520億円で、このうち持分法適用会社の債務に対する保証が1,292億円、第三者の債務に対する保証が1,229億円です。これらの保証は主に持分法適用会社、サプライヤー、及び顧客の信用を補完するために行っているものであります。 (11) 市場リスクに関する定量的・定性的情報当社のビジネスは、金利、外国為替レート、商品価格、株価の変動リスクを伴い、これらのリスクマネジメントを行うため、為替予約取引、通貨スワップ・オプション取引、金利スワップ・先物・オプション取引、商品先物・先渡・スワップ・オプション取引等のデリバティブを利用しております。また、後述のリスク管理体制の下、予め決められたポジション限度・損失限度枠内で、トレーディング目的のデリバティブ取引も限定的に実施しております。 金利変動リスク当社は、事業活動の中で様々な金利変動リスクに晒されております。コーポレートグループの財務・経理・リスクマネジメントグループ長が管掌する部署では、当社のビジネスに伴う金利変動リスクをモニタリングしております。特に、金利の変動は借入コストに影響を与えます。これは、当社の借入金には変動金利で借り入れているものがあり、また、都度借換えを行う短期借入金があるためです。しかしながら、金利変動が借入コストに与える影響は、金利変動の影響を受ける資産からの収益により相殺されます。また、当社は、金利変動リスクをミニマイズするために資産・負債の金利を調整・マッチングさせるよう、金利スワップ等のデリバティブ取引を利用しております。 為替変動リスク当社は、グローバルなビジネス活動を行っており、各拠点の外貨建による売買取引、ファイナンス及び投資によって、為替変動リスクに晒されている場合があります。これらのうち、永続性の高い投資等を除いた取引については、為替変動リスクを軽減するために、各拠点において外貨借入・外貨預金等に加えて、第三者との間で、為替予約取引・通貨スワップ取引・通貨オプション取引等のデリバティブ取引を必要に応じ行っております。 商品市況変動リスク当社は、貴金属、非鉄金属、燃料、及び電力等の現物取引、並びに鉱物、石油、及びガス開発プロジェクトへの投資を行っており、関連する商品価格の変動リスクに晒されております。当社は、商品の売り繋ぎや売り買い数量・時期等のマッチング、デリバティブ等の活用によって、商品価格の変動によるリスクを減少させるよう努めております。また、予め決められたポジション限度・損失限度枠内で、トレーディング目的のデリバティブ取引も限定的に実施しております。 株価変動リスク当社は、戦略的な目的で顧客・サプライヤー等が発行する株式等への投資を行っておりますが、これらの株式投資には株価変動リスクが伴います。当社が保有する市場性のある株式の当期末における公正価値は、2,137億円であります。 リスク管理体制デリバティブや市場リスクを伴う取引を行う営業グループは、取引規模に応じてマネジメントの承認を事前に取得しなければなりません。マネジメントは、場合によってはデリバティブについて専門的知識を有するスタッフのサポートを得て、案件の要否を判断し、当該申請における、取引の目的、利用市場、取引相手先、与信限度、取引限度、損失限度を明確にします。財務・経理・リスクマネジメントグループ長が管掌する部署は、取引の実施・モニタリングに際して、以下の機能を提供しております。・金融商品及び市況商品のデリバティブに関する口座開設、取引確認、代金決済と引渡し、帳簿記録の保管等のバックオフィス業務・ポジション残高の照合・ポジションのモニタリングと全社ベースでの関連取引のリスク分析・計測、シニアマネジメントへの定期的な報告当社の子会社が市況商品取引を行う際には、上記のリスク管理体制に沿うことを要求しております。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ●中期経営計画2026の進捗中期経営計画2026では、「No.1事業群」をテーマに掲げ、競争優位を磨き、社会課題解決を通じた飛躍的な成長を実現すべく、「強みを核とした成長」及び「成長の原動力の強化」に重点的に取り組み、「事業ポートフォリオ変革」を加速させております。中期経営計画2026の一年目となる2024年度は、政治的混乱や地政学的緊張の高まり、主要先進国の成長鈍化等、事業環境の不確実性はより高まりましたが、「No.1事業群」の実現に向けた各施策を着実に実行し、期初計画を上回る利益成長を果たしました。 (1) 中期経営計画2026における取組の状況① 事業ポートフォリオ変革・主な成長分野を中心に過去最高レベルの7,300億円の投資を実行(SCSKによるネットワンシステムズ買収 等)・資産入替が着実に進捗し、事業ポートフォリオの新陳代謝を加速(ティーガイアの売却、米国タイヤ販売事業におけるマイダス社の売却(注)等)(注)2025年度中を目途に売却完了予定 ② 強みを核とした成長・主な成長分野について、建機やアグリ事業等足元低調なビジネスもあるがリースや都市総合開発、デジタル等で収益基盤を拡大・主な成長分野における進捗と今後の方針は以下のとおり ③ 成長の原動力の強化・親和性のあるビジネスを同一グループに再編したことにより、都市総合開発ではインフラ事業の知見やノウハウを活かした海外不動産案件の投資実行等のシナジーが拡大・WILL選考(注)の実施、社内公募制の拡大のように多様な“個”の意志・ポテンシャルを最大限に引き出す施策に加え、経営人財を計画的に育成する人財マネジメントサイクルと、積極的なキャリア採用や女性・若手の登用等、(属性に囚われず)真にビジネスの成長戦略を後押しする人財配置を推進(注)初期配属組織を確約する新卒向け採用選考 (2) 定量計画① 経営環境全般世界経済は、米国の関税措置を背景に先行きの不透明感が強まっており、家計や企業の経済活動に慎重姿勢が見られる中、成長ペースは鈍化していく見通しです。先進国経済では、米国は関税措置が、今後の経済活動全般に悪影響を及ぼすことが懸念されています。ユーロ圏では、物価の安定に伴い、政策当局は金融緩和方針を強めており、主要国における積極的な財政政策と相まって、景気は緩やかな回復基調を維持する見通しです。日本経済は、米国の関税措置の影響が懸念されるものの、実質賃金の改善に伴う個人消費の回復を背景に景気は緩やかな持ち直しの動きが続くと見られます。新興国経済では、中国は財政支援が景気の下支え要因となる一方で、不動産市場の低迷や米国との通商関係を巡る先行き不透明感により、成長ペースの鈍化が継続する見通しです。アジア諸国は米国の関税措置の影響により、回復の足取りは重くなると見られております。今後のリスク要因としては、政策運営の不透明感、金融市場の混乱、ロシア・ウクライナやイスラエル・パレスチナ情勢の再緊迫化、関税引き上げによる物価への影響、新興国の債務問題、アジアやアフリカなどにおける地政学的リスクの高まりなどが挙げられます。 鉄鋼グループ当グループは、鋼管・鋼材などの鉄鋼製品を幅広く取り扱っております。鋼管分野では、米国では鋼管価格が足元回復傾向にあるものの、今後の原油価格次第では鋼管需要減退の恐れもあります。その他地域向けでは一部プロジェクトの端境期となっております。また、世界各国でエネルギー安定供給の重要性から石油・ガス開発は維持され、加えて脱炭素に向けたエナジートランジションの動きも継続するものとみられます。鋼材分野では、米国では鋼材価格が上昇傾向にあるものの、物価高や景気動向による鋼材需要への影響が出る可能性があります。その他地域では中国での需要低迷が継続し、中国からの鋼材が東南アジア等に流入しており、各地市況が押し下げられております。他方、欧州洋上風力発電用の基礎構造物事業への出資等、収益基盤の拡大に取り組んでおります。このような環境を踏まえ、当グループとしては既存事業を堅持しつつ、当グループが強みを有する事業・地域に経営資本を傾注し、収益力を強化してまいります。また、DXを通じた新たな価値提供、再生可能エネルギー・CCSなどカーボンニュートラル化に資する鉄鋼製品・サービスの供給による産業のGX実現への貢献にも取り組んでいきます。 自動車グループ当グループは、自動車業界のバリューチェーンを俯瞰し、自動車、タイヤ、及びその他関連商品の製造、販売、リース並びにこれらの関連サービス・周辺事業を行っております。当グループを取り巻く環境では、各国の経済発展、人・モノの移動の増加を支える自動車ニーズの伸長、所有から利活用(リース・レンタル・サブスクリプション等)へのシフト、カーボンニュートラル実現へ向けた環境車の普及、循環型経済の構築へ向けた再利用・リサイクル促進へのニーズが高まっております。一方で、米国の関税措置の影響や地政学リスクがもたらすサプライチェーンの混乱、原材料コスト・人件費・金利等の上昇による経済の成長鈍化懸念があり、動向を注視しております。このような環境を踏まえ、足元の市場環境の変化への備えを確実にするとともに、自動車流通販売事業における商品や販売・サービス網の拡充による成長促進、自動車リース事業を軸とするモビリティサービス領域におけるサービス拡大と新たな事業機会の取り込み、部品製造事業・販売金融事業・タイヤ販売事業のバリューアップによる収益規模拡大、Beyond Mobility(移動から発生する、移動を越えた領域)の新規事業の創出・育成に取り組んでいきます。 輸送機・建機グループ当グループは、リース・ファイナンス事業、グローバルにバリューチェーンを展開する航空機・船舶海洋・建設機械事業、高い専門性を持つ防衛宇宙・安全保障ビジネスを中心に、各種取引及び事業投資を行っております。当グループを取り巻く事業環境は、米国の関税措置の影響や金利高止まりによる景気減速懸念はありますが、航空機リース市況は引き続き好況に推移し、海上貨物輸送やインフラ建設・更新の需要は堅調で、いずれも引き続き成長が見込まれます。同時に、脱炭素社会や循環経済の実現に向けた社会的な要請が一層高まっております。こうした環境を踏まえ、当グループは強みを持つ事業の収益性向上に注力します。リース・ファイナンス事業では優良資産の積み上げと資産効率の向上を図り、建設機械事業では米国の関税措置といった不確実性への影響を注視しつつ、コスト削減やフリートマネジメントを柱とした収益改善施策を進めます。また、航空機事業における退役機の部品販売を始めとするアフターマーケット事業、船舶海洋事業における洋上風力で使用される構造物の製造など、社会的な課題やニーズに応える事業を積極的に進め、成長を加速していきます。 都市総合開発グループ当グループは、不動産・工業団地・サステナブルシティ・基幹インフラの開発・運営・アセットマネジメント事業、建材、セメントなどの建設資材関連事業、産業用設備などの機電設備関連事業、物流・保険関連事業を展開しております。不動産分野では国内不動産事業や米国住宅案件が好調に推移し、期初予想を上回る水準となりました。また、国内の建設資機材及び機械設備のトレード事業や物流、保険事業においても堅調を維持しました。世界の都市開発需要は引き続き旺盛なるも、マクロ環境としては気候変動等災害や地政学リスク、各国の金利動向やコスト上昇に対するレジリエンスの重要性が増しております。このような認識のもと、流動性の高さや金融ストラクチャリングを導入しうる優良案件・市場に注力し、自然環境に配慮した安心安全で災害に強いインフラ開発及び街づくりのグローバル展開を目指していきます。 メディア・デジタルグループ当グループは、デジタルソリューション事業、情報通信事業、携帯端末流通事業、第5世代移動通信システム(5G)事業、ケーブルテレビ事業、テレビ通販事業、映像コンテンツ関連事業、グローバルCVC事業(スタートアップ投資)を行っております。デジタルソリューション事業では、デジタルやデータ活用の重要性の高まりにより、IT投資需要が拡大しており、デジタル技術の社会実装による新市場の創出・拡大も進行しております。こうした事業機会の広がりを着実に捉えるべく、国内外デジタル事業の領域拡大・機能強化に取り組んでいきます。ケーブルテレビ事業及びテレビ通販事業では、顧客や消費者のニーズ、購買行動・形態の多様化が見込まれております。こうした事業環境の変化を踏まえ、ケーブルテレビ事業では新規サービスの拡充、テレビ通販事業ではTV・デジタル・リアルを連携させたエンタメショッピングへの変革・進化に取り組んでいきます。映像コンテンツ関連事業では、日本コンテンツに対するグローバルな需要の高まりを踏まえ、アニメ等の日本コンテンツの海外事業展開を推し進めていきます。 ライフスタイルグループ当グループは、食品スーパー・ブランドなどのリテイル事業、食品・食品原料や青果などの食料事業、ドラッグストア・調剤薬局及びマネージドケア・クリニックなどのヘルスケア事業を展開しております。リテイル及び食料分野では、消費者の価値観やライフスタイルの多様化・ニーズの細分化、食と健康に関する消費者意識の高まりが見込まれます。ヘルスケア分野においては、高齢化加速に伴う医療費適正化ニーズが加速する見通しであります。また、全般的に気候変動や地政学リスクの継続や人件費・燃料費の高止まりの懸念があり、動向を注視していきますが、生活を支える事業としての社会的重要性は引き続き高いものになっていくものと見ております。このような環境を踏まえ、リテイル事業を中心に圧倒的な顧客へのアクセスを持つ強みを生かし、データ活用によるマーケティング及びDX・AI活用によるオペレーションの高度化や新規事業拡大に取り組みます。食料分野では、食料・食品の調達・加工・販売のノウハウとネットワークを生かした収益基盤の拡大と成長が見込まれる分野への事業展開を図ります。また、ヘルスケア分野では、国内外の医療費高騰の解決に向け、医療費抑制・適正化に資するビジネス実現を目指します。 資源グループ当グループは、金属資源等の開発・操業・生産、製品の製造・販売を展開し、トレード分野でも当社事業とのシナジー発揮や、商品デリバティブの活用等、多様な機能を提供しております。資源価格は、地政学リスク等を背景に先行きの不透明感が強まっておりますが、中長期の市況変動サイクル、業界におけるプレイヤー・地域の偏在性、経済安全保障・技術革新を含むバリューチェーンや需給バランスの環境変化、資源案件開発の高難度化等の諸環境を踏まえ、当社ならではの経験・強みを発揮し、社会課題解決を通じた成長を図る事業ポートフォリオ、基盤の改善・強化を進めております。下振れ耐性強化と収益基盤拡充の観点から、足元では、マダガスカル・ニッケル事業の一層の体質改善並びにそれを踏まえた方針見定めに注力すると共に、基幹産業を支えるベースメタルを中心に権益積み増し、市況影響を受けにくい製造業・トレード等の中下流ビジネス拡充に取り組み、環境負荷低減に資する投資や機能提供の促進、気候変動緩和に寄与するバリューチェーン構築を推進しております。これら取り組みを通じて、日本及び世界の産業発展と持続可能な社会の実現に貢献し、人々の豊かな未来を創造することを目指します。 化学品・エレクトロニクス・農業グループ当グループは、基礎化学品、農業資材、医薬、化粧品、動物薬、エレクトロニクス材料・製品の開発、製造、販売事業を展開しております。2024年度は、農業資材分野はブラジルでの天候不順や市況下落に起因する需要減や貸倒損失により低調な推移となりましたが、エレクトロニクス材料・製品分野、医薬品関連分野等では需要の増加を捉え業績が堅調に推移しました。2025年度は、米国の関税措置等の外的要因に起因する景況感や市況の悪化 は懸念されるものの、グループ全体では農業資材分野での業績回復による収益増を見込んでおります。このような環境を踏まえ、農業資材分野では下振れ耐性にも資するべく、更なる機能強化やバイオ農薬等の高付加価値製品の販売強化に取り組みます。基礎化学品分野では、ディストリビューション・物流の機能を更に強化して、需給バランスやトレードフローの変化を捉えたビジネス拡大に注力します。グリーンケミカル分野では、環境負荷低減や経済安全保障のニーズを踏まえた新規事業開発を継続します。エレクトロニクス分野やライフサイエンス分野においても既存事業の強化・拡大に取り組むとともに新規ビジネス創出により更なる成長を目指します。 エネルギートランスフォーメーショングループ当グループは、国内外における発電事業、国内電力小売事業、天然ガス・LNGなどのエネルギー権益開発・生産及び販売事業、海洋インフラ・船舶燃料供給事業、カーボンニュートラル社会実現に資する次世代エネルギー分野での事業開発を行っております。海外発電事業は堅調に推移しており、アジア・欧米事業を中心に収益が増加しました。また、国内電力小売事業は、猛暑の影響もあり電力需要は堅調でしたが、前年度好調だったこともあり反動減となっております。エネルギー分野においては、一部トレード事業において前年度好調の反動減があったものの、市況の高止まりや価格変動を上手く収益化したことにより、エネルギートレードビジネスは好業績で推移しました。このような環境を踏まえ、当グループでは世界的な地政学リスクの高まりに備えるためにも市況変動リスク管理を一層強化いたします。また、2050年のカーボンニュートラルを達成すべく、当社発電ポートフォリオの低炭素化を促進する新たな電力・エネルギーサービスの事業化を進め、次世代エネルギー関連事業の開発にも引き続き取り組んでいきます。不可逆的なGX潮流を事業機会と捉え、脱炭素・循環型エネルギーシステムの構築やサステナブルなカーボンサイクル実現を通じて、住友商事グループ全体のエネルギートランスフォーメーション事業を牽引していきます。 ② 定量計画・利益計画2025年度は、成長分野で昨年度低調だった鉄鋼、建機、アグリ事業の改善に加え、強みのある事業に経営資源を更に投入することで530億円の増益を計画しているほか、米国タイヤ販売事業におけるマイダス社売却などの資産入替関連及び特殊損益で400億円の利益を見込んでおり、積上げで6,100億円の利益となります。一方、米国関税措置を含めた不透明な事業環境を踏まえ△400億円のバッファーを設定し、通期業績予想は5,700億円としております。米国の関税措置が事業及び業績に与える影響等については、現時点で見積ることが困難ではあるものの、クロスボーダー取引における契約当事者としての当社への直接的な関税負担の影響は限定的ながら、間接的な影響は一定程度生じる可能性があり、その他のリスク要因も含めて、△400億円のバッファーに織り込んでおります。 *「資産入替関連及び特殊損益」は従来の一過性損益を呼び変えたもの。 ・キャッシュ・フローアロケーション株主還元後フリーキャッシュ・フロー黒字の基本方針、キャッシュ・フローアロケーション方針の変更はありません。2024年度の実績及び中期経営計画2026中の計画については以下のとおりです。 (3) 株主還元方針2024年度から開始した中期経営計画2026以降の株主還元方針については以下のとおりです。・総還元性向を40%以上として、配当及び柔軟かつ機動的な自己株取得を実施・累進配当(注)により、配当の更なる安定性向上及び利益成長に応じた増配を目指す(注)1株当たり年間配当金の前期実績に対して、配当維持または増配を行うことを指します。 2025年度の年間配当金は2025年度通期連結業績予想5,700億円を踏まえ、前期比10円増配となる1株当たり140円とする予定です。また、2025年5月1日の取締役会決議において、800億円(うち、2025年度の株主還元:600億円)を上限とする自己株式の取得を決定しました。 今後も、持続的な利益成長及び更なる収益基盤の強化に努めることで、株主還元の充実を図り、株主価値上を目指してまいります。 詳細については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」を参照願います。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ●中期経営計画2026の進捗中期経営計画2026では、「No.1事業群」をテーマに掲げ、競争優位を磨き、社会課題解決を通じた飛躍的な成長を実現すべく、「強みを核とした成長」及び「成長の原動力の強化」に重点的に取り組み、「事業ポートフォリオ変革」を加速させております。中期経営計画2026の一年目となる2024年度は、政治的混乱や地政学的緊張の高まり、主要先進国の成長鈍化等、事業環境の不確実性はより高まりましたが、「No.1事業群」の実現に向けた各施策を着実に実行し、期初計画を上回る利益成長を果たしました。 (1) 中期経営計画2026における取組の状況① 事業ポートフォリオ変革・主な成長分野を中心に過去最高レベルの7,300億円の投資を実行(SCSKによるネットワンシステムズ買収 等)・資産入替が着実に進捗し、事業ポートフォリオの新陳代謝を加速(ティーガイアの売却、米国タイヤ販売事業におけるマイダス社の売却(注)等)(注)2025年度中を目途に売却完了予定 ② 強みを核とした成長・主な成長分野について、建機やアグリ事業等足元低調なビジネスもあるがリースや都市総合開発、デジタル等で収益基盤を拡大・主な成長分野における進捗と今後の方針は以下のとおり ③ 成長の原動力の強化・親和性のあるビジネスを同一グループに再編したことにより、都市総合開発ではインフラ事業の知見やノウハウを活かした海外不動産案件の投資実行等のシナジーが拡大・WILL選考(注)の実施、社内公募制の拡大のように多様な“個”の意志・ポテンシャルを最大限に引き出す施策に加え、経営人財を計画的に育成する人財マネジメントサイクルと、積極的なキャリア採用や女性・若手の登用等、(属性に囚われず)真にビジネスの成長戦略を後押しする人財配置を推進(注)初期配属組織を確約する新卒向け採用選考 (2) 定量計画① 経営環境全般世界経済は、米国の関税措置を背景に先行きの不透明感が強まっており、家計や企業の経済活動に慎重姿勢が見られる中、成長ペースは鈍化していく見通しです。先進国経済では、米国は関税措置が、今後の経済活動全般に悪影響を及ぼすことが懸念されています。ユーロ圏では、物価の安定に伴い、政策当局は金融緩和方針を強めており、主要国における積極的な財政政策と相まって、景気は緩やかな回復基調を維持する見通しです。日本経済は、米国の関税措置の影響が懸念されるものの、実質賃金の改善に伴う個人消費の回復を背景に景気は緩やかな持ち直しの動きが続くと見られます。新興国経済では、中国は財政支援が景気の下支え要因となる一方で、不動産市場の低迷や米国との通商関係を巡る先行き不透明感により、成長ペースの鈍化が継続する見通しです。アジア諸国は米国の関税措置の影響により、回復の足取りは重くなると見られております。今後のリスク要因としては、政策運営の不透明感、金融市場の混乱、ロシア・ウクライナやイスラエル・パレスチナ情勢の再緊迫化、関税引き上げによる物価への影響、新興国の債務問題、アジアやアフリカなどにおける地政学的リスクの高まりなどが挙げられます。 鉄鋼グループ当グループは、鋼管・鋼材などの鉄鋼製品を幅広く取り扱っております。鋼管分野では、米国では鋼管価格が足元回復傾向にあるものの、今後の原油価格次第では鋼管需要減退の恐れもあります。その他地域向けでは一部プロジェクトの端境期となっております。また、世界各国でエネルギー安定供給の重要性から石油・ガス開発は維持され、加えて脱炭素に向けたエナジートランジションの動きも継続するものとみられます。鋼材分野では、米国では鋼材価格が上昇傾向にあるものの、物価高や景気動向による鋼材需要への影響が出る可能性があります。その他地域では中国での需要低迷が継続し、中国からの鋼材が東南アジア等に流入しており、各地市況が押し下げられております。他方、欧州洋上風力発電用の基礎構造物事業への出資等、収益基盤の拡大に取り組んでおります。このような環境を踏まえ、当グループとしては既存事業を堅持しつつ、当グループが強みを有する事業・地域に経営資本を傾注し、収益力を強化してまいります。また、DXを通じた新たな価値提供、再生可能エネルギー・CCSなどカーボンニュートラル化に資する鉄鋼製品・サービスの供給による産業のGX実現への貢献にも取り組んでいきます。 自動車グループ当グループは、自動車業界のバリューチェーンを俯瞰し、自動車、タイヤ、及びその他関連商品の製造、販売、リース並びにこれらの関連サービス・周辺事業を行っております。当グループを取り巻く環境では、各国の経済発展、人・モノの移動の増加を支える自動車ニーズの伸長、所有から利活用(リース・レンタル・サブスクリプション等)へのシフト、カーボンニュートラル実現へ向けた環境車の普及、循環型経済の構築へ向けた再利用・リサイクル促進へのニーズが高まっております。一方で、米国の関税措置の影響や地政学リスクがもたらすサプライチェーンの混乱、原材料コスト・人件費・金利等の上昇による経済の成長鈍化懸念があり、動向を注視しております。このような環境を踏まえ、足元の市場環境の変化への備えを確実にするとともに、自動車流通販売事業における商品や販売・サービス網の拡充による成長促進、自動車リース事業を軸とするモビリティサービス領域におけるサービス拡大と新たな事業機会の取り込み、部品製造事業・販売金融事業・タイヤ販売事業のバリューアップによる収益規模拡大、Beyond Mobility(移動から発生する、移動を越えた領域)の新規事業の創出・育成に取り組んでいきます。 輸送機・建機グループ当グループは、リース・ファイナンス事業、グローバルにバリューチェーンを展開する航空機・船舶海洋・建設機械事業、高い専門性を持つ防衛宇宙・安全保障ビジネスを中心に、各種取引及び事業投資を行っております。当グループを取り巻く事業環境は、米国の関税措置の影響や金利高止まりによる景気減速懸念はありますが、航空機リース市況は引き続き好況に推移し、海上貨物輸送やインフラ建設・更新の需要は堅調で、いずれも引き続き成長が見込まれます。同時に、脱炭素社会や循環経済の実現に向けた社会的な要請が一層高まっております。こうした環境を踏まえ、当グループは強みを持つ事業の収益性向上に注力します。リース・ファイナンス事業では優良資産の積み上げと資産効率の向上を図り、建設機械事業では米国の関税措置といった不確実性への影響を注視しつつ、コスト削減やフリートマネジメントを柱とした収益改善施策を進めます。また、航空機事業における退役機の部品販売を始めとするアフターマーケット事業、船舶海洋事業における洋上風力で使用される構造物の製造など、社会的な課題やニーズに応える事業を積極的に進め、成長を加速していきます。 都市総合開発グループ当グループは、不動産・工業団地・サステナブルシティ・基幹インフラの開発・運営・アセットマネジメント事業、建材、セメントなどの建設資材関連事業、産業用設備などの機電設備関連事業、物流・保険関連事業を展開しております。不動産分野では国内不動産事業や米国住宅案件が好調に推移し、期初予想を上回る水準となりました。また、国内の建設資機材及び機械設備のトレード事業や物流、保険事業においても堅調を維持しました。世界の都市開発需要は引き続き旺盛なるも、マクロ環境としては気候変動等災害や地政学リスク、各国の金利動向やコスト上昇に対するレジリエンスの重要性が増しております。このような認識のもと、流動性の高さや金融ストラクチャリングを導入しうる優良案件・市場に注力し、自然環境に配慮した安心安全で災害に強いインフラ開発及び街づくりのグローバル展開を目指していきます。 メディア・デジタルグループ当グループは、デジタルソリューション事業、情報通信事業、携帯端末流通事業、第5世代移動通信システム(5G)事業、ケーブルテレビ事業、テレビ通販事業、映像コンテンツ関連事業、グローバルCVC事業(スタートアップ投資)を行っております。デジタルソリューション事業では、デジタルやデータ活用の重要性の高まりにより、IT投資需要が拡大しており、デジタル技術の社会実装による新市場の創出・拡大も進行しております。こうした事業機会の広がりを着実に捉えるべく、国内外デジタル事業の領域拡大・機能強化に取り組んでいきます。ケーブルテレビ事業及びテレビ通販事業では、顧客や消費者のニーズ、購買行動・形態の多様化が見込まれております。こうした事業環境の変化を踏まえ、ケーブルテレビ事業では新規サービスの拡充、テレビ通販事業ではTV・デジタル・リアルを連携させたエンタメショッピングへの変革・進化に取り組んでいきます。映像コンテンツ関連事業では、日本コンテンツに対するグローバルな需要の高まりを踏まえ、アニメ等の日本コンテンツの海外事業展開を推し進めていきます。 ライフスタイルグループ当グループは、食品スーパー・ブランドなどのリテイル事業、食品・食品原料や青果などの食料事業、ドラッグストア・調剤薬局及びマネージドケア・クリニックなどのヘルスケア事業を展開しております。リテイル及び食料分野では、消費者の価値観やライフスタイルの多様化・ニーズの細分化、食と健康に関する消費者意識の高まりが見込まれます。ヘルスケア分野においては、高齢化加速に伴う医療費適正化ニーズが加速する見通しであります。また、全般的に気候変動や地政学リスクの継続や人件費・燃料費の高止まりの懸念があり、動向を注視していきますが、生活を支える事業としての社会的重要性は引き続き高いものになっていくものと見ております。このような環境を踏まえ、リテイル事業を中心に圧倒的な顧客へのアクセスを持つ強みを生かし、データ活用によるマーケティング及びDX・AI活用によるオペレーションの高度化や新規事業拡大に取り組みます。食料分野では、食料・食品の調達・加工・販売のノウハウとネットワークを生かした収益基盤の拡大と成長が見込まれる分野への事業展開を図ります。また、ヘルスケア分野では、国内外の医療費高騰の解決に向け、医療費抑制・適正化に資するビジネス実現を目指します。 資源グループ当グループは、金属資源等の開発・操業・生産、製品の製造・販売を展開し、トレード分野でも当社事業とのシナジー発揮や、商品デリバティブの活用等、多様な機能を提供しております。資源価格は、地政学リスク等を背景に先行きの不透明感が強まっておりますが、中長期の市況変動サイクル、業界におけるプレイヤー・地域の偏在性、経済安全保障・技術革新を含むバリューチェーンや需給バランスの環境変化、資源案件開発の高難度化等の諸環境を踏まえ、当社ならではの経験・強みを発揮し、社会課題解決を通じた成長を図る事業ポートフォリオ、基盤の改善・強化を進めております。下振れ耐性強化と収益基盤拡充の観点から、足元では、マダガスカル・ニッケル事業の一層の体質改善並びにそれを踏まえた方針見定めに注力すると共に、基幹産業を支えるベースメタルを中心に権益積み増し、市況影響を受けにくい製造業・トレード等の中下流ビジネス拡充に取り組み、環境負荷低減に資する投資や機能提供の促進、気候変動緩和に寄与するバリューチェーン構築を推進しております。これら取り組みを通じて、日本及び世界の産業発展と持続可能な社会の実現に貢献し、人々の豊かな未来を創造することを目指します。 化学品・エレクトロニクス・農業グループ当グループは、基礎化学品、農業資材、医薬、化粧品、動物薬、エレクトロニクス材料・製品の開発、製造、販売事業を展開しております。2024年度は、農業資材分野はブラジルでの天候不順や市況下落に起因する需要減や貸倒損失により低調な推移となりましたが、エレクトロニクス材料・製品分野、医薬品関連分野等では需要の増加を捉え業績が堅調に推移しました。2025年度は、米国の関税措置等の外的要因に起因する景況感や市況の悪化 は懸念されるものの、グループ全体では農業資材分野での業績回復による収益増を見込んでおります。このような環境を踏まえ、農業資材分野では下振れ耐性にも資するべく、更なる機能強化やバイオ農薬等の高付加価値製品の販売強化に取り組みます。基礎化学品分野では、ディストリビューション・物流の機能を更に強化して、需給バランスやトレードフローの変化を捉えたビジネス拡大に注力します。グリーンケミカル分野では、環境負荷低減や経済安全保障のニーズを踏まえた新規事業開発を継続します。エレクトロニクス分野やライフサイエンス分野においても既存事業の強化・拡大に取り組むとともに新規ビジネス創出により更なる成長を目指します。 エネルギートランスフォーメーショングループ当グループは、国内外における発電事業、国内電力小売事業、天然ガス・LNGなどのエネルギー権益開発・生産及び販売事業、海洋インフラ・船舶燃料供給事業、カーボンニュートラル社会実現に資する次世代エネルギー分野での事業開発を行っております。海外発電事業は堅調に推移しており、アジア・欧米事業を中心に収益が増加しました。また、国内電力小売事業は、猛暑の影響もあり電力需要は堅調でしたが、前年度好調だったこともあり反動減となっております。エネルギー分野においては、一部トレード事業において前年度好調の反動減があったものの、市況の高止まりや価格変動を上手く収益化したことにより、エネルギートレードビジネスは好業績で推移しました。このような環境を踏まえ、当グループでは世界的な地政学リスクの高まりに備えるためにも市況変動リスク管理を一層強化いたします。また、2050年のカーボンニュートラルを達成すべく、当社発電ポートフォリオの低炭素化を促進する新たな電力・エネルギーサービスの事業化を進め、次世代エネルギー関連事業の開発にも引き続き取り組んでいきます。不可逆的なGX潮流を事業機会と捉え、脱炭素・循環型エネルギーシステムの構築やサステナブルなカーボンサイクル実現を通じて、住友商事グループ全体のエネルギートランスフォーメーション事業を牽引していきます。 ② 定量計画・利益計画2025年度は、成長分野で昨年度低調だった鉄鋼、建機、アグリ事業の改善に加え、強みのある事業に経営資源を更に投入することで530億円の増益を計画しているほか、米国タイヤ販売事業におけるマイダス社売却などの資産入替関連及び特殊損益で400億円の利益を見込んでおり、積上げで6,100億円の利益となります。一方、米国関税措置を含めた不透明な事業環境を踏まえ△400億円のバッファーを設定し、通期業績予想は5,700億円としております。米国の関税措置が事業及び業績に与える影響等については、現時点で見積ることが困難ではあるものの、クロスボーダー取引における契約当事者としての当社への直接的な関税負担の影響は限定的ながら、間接的な影響は一定程度生じる可能性があり、その他のリスク要因も含めて、△400億円のバッファーに織り込んでおります。 *「資産入替関連及び特殊損益」は従来の一過性損益を呼び変えたもの。 ・キャッシュ・フローアロケーション株主還元後フリーキャッシュ・フロー黒字の基本方針、キャッシュ・フローアロケーション方針の変更はありません。2024年度の実績及び中期経営計画2026中の計画については以下のとおりです。 (3) 株主還元方針2024年度から開始した中期経営計画2026以降の株主還元方針については以下のとおりです。・総還元性向を40%以上として、配当及び柔軟かつ機動的な自己株取得を実施・累進配当(注)により、配当の更なる安定性向上及び利益成長に応じた増配を目指す(注)1株当たり年間配当金の前期実績に対して、配当維持または増配を行うことを指します。 2025年度の年間配当金は2025年度通期連結業績予想5,700億円を踏まえ、前期比10円増配となる1株当たり140円とする予定です。また、2025年5月1日の取締役会決議において、800億円(うち、2025年度の株主還元:600億円)を上限とする自己株式の取得を決定しました。 今後も、持続的な利益成長及び更なる収益基盤の強化に努めることで、株主還元の充実を図り、株主価値上を目指してまいります。 詳細については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」を参照願います。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 企業環境当期の世界経済は、緩やかな持ち直しの動きが続きましたが、多くの国での政権交代により、政策の不確実性が高まりました。特に米国の大統領選以降は、世界の政治経済の不透明感が増し、経済見通しの重しとなりました。米国は、堅調な雇用情勢を受けて家計消費が経済活動をけん引した一方で、投資活動の伸び悩みを受けて、金融政策は約2年半ぶりに緩和へと転じました。欧州ではエネルギー価格の高止まりやグリーン投資の停滞などにより景気回復は遅れ、財政支出増で対応するなど成長回帰に向けて政策を転換しました。中国は、不動産問題が依然として景気回復の重しとなり、内需は力強さを欠いています。アジア諸国は、中国からの輸出圧力の強まりや米国の関税引き上げへの対応もあって、回復基調は続いているものの、減速感が強まりました。紛争が続いているロシア・ウクライナやイスラエル・ハマス情勢については、停戦合意へ向けて歩み出す動きもあるものの、予断を許さない状況が続いています。米国がパリ協定、WHOやIPEF(インド太平洋経済枠組み)などの国際的枠組みから離脱し、また、NATOへの関与を減衰させることは、多くの企業の経営判断に影響を及ぼし、世界の貿易や投資に変化をもたらし始めました。さらに、米国を中心に反ESGや反DE&Iの動きが強まり、欧州においてもサステナビリティ関連施策の見直しが行われていることは、金融機関や事業会社による再生可能エネルギー・サステナビリティ関連投融資に影響を及ぼしました。国際商品市況は、先行き不安を反映して金価格が史上最高値を更新しました。エネルギー関連では、厳寒の影響で欧州の天然ガス価格が上昇したものの、一時的な動きに留まりました。石油では、協調減産にもかかわらず、総じて低位安定した値動きとなりました。一方、気候変動や安全保障にかかわる重要鉱物では供給不安が高まりましたが、EVや風力発電などの需要が弱まり、需給状況は不安定となっています。国内経済は、緩やかな回復基調が続き、我が国の名目国内総生産(GDP)額は初めて600兆円を超えました。GX(グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)の取組により、設備投資も回復の動きが続いています。一方、食料品を中心に物価が上昇し、実質賃金がプラス圏で安定しないため、個人消費は横ばい圏内の動きとなりました。為替レートは、約35年振りに一時1ドル160円まで円安が進行しました。また、好調な企業業績を反映して日経平均株価は最高値となる約42,000円へと上昇したものの、為替市場で一服感が強まったことや長期金利の上昇、先行き不透明感の強まりを受けて反落しました。 (2) 業績 (単位:億円)前期(自2023年4月1日至2024年3月31日)当期(自2024年4月1日至2025年3月31日) 増減額主な増減要因収益69,10372,921 +3,818 売上総利益13,42514,448 +1,023・自動車流通販売事業 堅調に推移・デジタル事業 ネットワンシステムズ 新規連結による増・海外発電事業 既存事業における収益増販売費及び一般管理費△9,276△10,397 △1,121・人件費上昇の影響 固定資産損益 (注)1△307△2 +304 その他の損益△300△119 +181 利息収支 (注)2△163△273 △109 受取配当金137149 +13 有価証券損益37380 +343・当期 ティーガイア売却関連益あり持分法による投資損益1,7242,770 +1,046・前期 ミャンマー通信事業 貸倒引当金計上の反動増・前期 マダガスカルニッケル事業 減損損失の反動増・前期 米国タイヤ販売事業 直営小売事業売却に伴う利益の反動減税引前利益5,2766,956 +1,679 法人所得税費用△1,015△866 +149 当期利益4,2616,090 +1,829 当期利益(親会社の所有者に帰属)3,8645,619 +1,755 (注)1 固定資産損益=固定資産評価損益及び固定資産売却損益の合計(注)2 利息収支=受取利息及び支払利息の合計 (3) 事業セグメント当社は戦略を軸とする「Strategic Business Unit」(SBU)を基本単位とし、戦略上の親和性の高いSBUを束ねる組織として9つのセグメント(グループ)に区分しております。9つのセグメントは鉄鋼グループ、自動車グループ、輸送機・建機グループ、都市総合開発グループ、メディア・デジタルグループ、ライフスタイルグループ、資源グループ、化学品・エレクトロニクス・農業グループ、エネルギートランスフォーメーショングループから構成されております。当社は、2024年4月1日付で、「事業部門」・「エネルギーイノベーション・イニシアチブ」及び「本部」・ 「部」を廃止し、戦略事業単位であるSBUをベースとした組織運営を行っております。これに伴い、前期のセグメント情報は組替えております。前期及び当期の売上総利益、当期利益(親会社の所有者に帰属)の事業セグメント別実績は以下のとおりであります。 事業セグメント別売上総利益の内訳 前期(自2023年4月1日至2024年3月31日)(億円)当期(自2024年4月1日至2025年3月31日)(億円)増減額(億円)増減率(%)鉄鋼1,9141,883△ 31△1.6自動車1,5641,662+986.3輸送機・建機1,8442,003+1598.6都市総合開発1,1711,196+252.1メディア・デジタル1,3361,642+30622.9ライフスタイル2,1802,362+1828.3資源464479+143.0化学品・エレクトロニクス・農業1,4721,539+674.6エネルギートランスフォーメーション1,5741,660+865.5計13,51814,426+9076.7消去又は全社△9322+116-連結13,42514,448+1,0237.6 事業セグメント別当期利益(親会社の所有者に帰属)の内訳 前期(自2023年4月1日至2024年3月31日)(億円)当期(自2024年4月1日至2025年3月31日)(億円)増減額(億円)増減率(%)主な増減要因鉄鋼692684△ 8△1.1・鋼管:北米は市況軟化も、他地域が好調に推移・鋼材:中国等における需要低迷の影響自動車518512△ 7△1.3・自動車流通販売・国内オートリース事業: 堅調に推移輸送機・建機9621,015+535.5・輸送機:リース事業・船舶事業を中心に堅調に推移・建設機械:建設需要の伸びの鈍化、 償却費等のコスト負担増により減益都市総合開発465771+30665.8・不動産事業:資産入替(仕入・売却)の促進により増益メディア・デジタル△10452+463-・国内主要事業会社:堅調に推移・エチオピア通信事業:立ち上げコスト増加等あり・当期 ティーガイア売却関連益あり・前期 ミャンマー通信事業における貸倒引当金ありライフスタイル△37141+178-・欧米州青果事業:バナナ・パイナップル事業好調、前期 固定資産減損損失あり・北米マッシュルーム事業:生産安定化施策の効果あり資源△95911+1,006-・銅・アルミ価格上昇 等・前期 マダガスカルニッケル事業 減損損失あり化学品・エレクトロニクス・農業164214+5030.6・ライフサイエンス:医薬品関連取引・ペットケア関連事業好調、前期 売却関連損失等あり・アグリ事業:前期天候不順の影響や市況下落に伴う需要減、当期 貸倒損失ありエネルギートランスフォーメーション843964+12114.3・海外発電事業:好調に推移計3,5015,664+2,16361.8 消去又は全社363△45△ 408-・社内制度変更の影響あり連結3,8645,619+1,75545.4 (4) 仕入、成約及び販売の実績① 仕入の状況 仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。 ② 成約の状況 成約は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。 ③ 販売の状況当期において、特記事項はありません。上記「(2) 業績」及び「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 4 セグメント情報」をご参照ください。 (5) 連結包括利益計算書における主要な項目以下は、連結包括利益計算書における主要な項目についての説明であります。 収益当社では、収益を、商品販売に係る収益とサービス及びその他の販売に係る収益に区分して表示しております。商品販売に係る収益としては、以下の取引に関連して発生する収益が含まれております。・卸売、小売、製造・加工を通じた商品の販売・不動産の開発販売・長期請負工事契約に係る収益 サービス及びその他の販売に係る収益としては、以下の取引に関連して発生する収益が含まれております。・ソフトウェアの開発に関連するサービス・賃貸用不動産、船舶などの貸付金、ファイナンス・リース及びオペレーティング・リース 売上総利益売上総利益は、以下により構成されております。・当社が主たる契約当事者として関与する取引における総利益・当社が代理人等として関与する取引における手数料 固定資産評価損益棚卸資産、繰延税金資産及び生物資産を除く当社の非金融資産の帳簿価額については、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積り、のれん及び耐用年数を確定できない、または未だ使用可能ではない無形資産については、回収可能価額を少なくとも年1回見積った上で、資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、減損損失を認識しております。また、減損損失の戻し入れを行った場合は当該戻し入れ金額も含めております。 固定資産売却損益当社は、資産のポートフォリオの戦略的かつ積極的な入替えを図っております。その結果、不動産等のバリューを実現するために売却する場合や、価格の下落した不動産等を売却する場合、売却損益を計上することになります。 受取配当金受取配当金には、当社の子会社及び持分法適用会社以外で、当社が株式を保有している会社からの配当金が計上されております。 有価証券損益当社は事業活動の一環として相応の規模の投資を行っております。これらの投資対象のうち、公正価値で測定し、その変動を当期利益で認識する金融資産(以下、FVTPLの金融資産)は公正価値で当初認識しております。当初認識後は公正価値の変動を当期利益で認識しております。また、償却原価で測定される金融資産は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。当初認識後、償却原価で測定される金融資産の帳簿価額については実効金利法を用いて算定し、帳簿価額の変動について、必要な場合には減損損失を認識しております。償却原価で測定される金融資産並びに子会社及び持分法適用会社への投資等を売却する際に、売却損益を認識しております。 持分法による投資損益投資戦略やビジネスチャンスの拡大に関連して、当社は、各セグメントで状況に応じ、新規または既存の会社の買収や出資、他の企業とのジョイント・ベンチャーの結成、または同業他社とのビジネス・アライアンスの組成を行っております。一般的に、当社は、出資比率が20%以上50%以下である会社の投資に対し、その持分利益や損失を計上しております。 FVTOCIの金融資産公正価値で測定し、その変動をその他の包括利益で認識する金融資産(以下、FVTOCIの金融資産)は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動をその他の包括利益で認識しております。 確定給付制度の再測定当社は、確定給付負債(資産)の純額の再測定を、その他の包括利益で認識しております。 在外営業活動体の換算差額在外営業活動体の資産・負債(取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含む)については期末日の為替レート、収益及び費用については期中平均レートを用いて日本円に換算しており、在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替換算差額はその他の包括利益で認識しております。当社のIFRS移行日以降、当該差額はその他の資本の構成要素である「在外営業活動体の換算差額」として表示しております。 キャッシュ・フロー・ヘッジデリバティブを、認識済み資産・負債、または当期利益に影響を与え得る発生可能性の非常に高い予定取引に関連する特定のリスクに起因するキャッシュ・フローの変動をヘッジするためのヘッジ手段として指定した場合、デリバティブの公正価値の変動のうちヘッジ有効部分は、その他の包括利益で認識しております。 (6) 重要性がある会計方針及び見積りIFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の資産・負債の計上や偶発資産及び偶発債務の開示、並びに期中の収益費用の適正な計上を行うため、マネジメントによる見積りや前提が必要とされます。当社は、過去の実績、または、各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき、一貫した見積りを実施しております。資産・負債及び収益費用を計上する上で客観的な判断材料が十分でない場合は、このような見積りが当社における判断の基礎となっております。従って、異なる前提条件の下においては、結果が異なる場合があります。以下、当社の財政状態や経営成績にとって重要であり、かつ相当程度の経営判断や見積りを必要とする重要性がある会計方針につき説明します。なお、当社の主な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」を参照願います。 金融資産の減損当社は、償却原価で測定する金融資産、リース債権、契約資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に係る減損については、当該金融資産に係る予想信用損失に対して損失評価引当金を認識しております。当社は、信用リスクの変動及び予想信用損失の算定にあたっては、主に当社独自の信用格付けである Sumisho Credit Rating(SCR)を用いております。これには、債務者の過去の貸倒実績、現在の財務状態及び合理的に利用可能な将来予測情報等が含まれております。 公正価値で測定する金融資産当社は、有価証券やその他の投資等の金融資産を保有しており、FVTOCIの金融資産と、FVTPLの金融資産とに分類しております。当社は、投資先企業との取引関係の維持・強化による中長期的な収益の拡大などを目的として保有しており、公正価値の変動を業績評価指標としていない金融資産をFVTOCIの金融資産として分類し、公正価値の変動を獲得するために保有し、業績評価指標としている金融資産をFVTPLの金融資産として分類しております。当該金融資産の公正価値は、市場価格、割引将来キャッシュ・フローや純資産に基づく評価モデル等の評価方法により算定しております。 非流動資産の回収可能性当社は、様々な非流動資産を保有しており、持分法で会計処理されている投資や無形資産などの非流動資産について、帳簿価額の回収可能性を損なうと考えられる企業環境の変化や経済事象が発生した場合には、減損テストを行っております。実際に減損の兆候があるかどうかの判定に際しては、様々な見積りや前提が必要となります。例えば、キャッシュ・フローが直接的に減損の懸念がある資産に関係して発生しているのかどうか、資産の残存耐用年数がキャッシュ・フローを生み出す期間として適切かどうか、生み出すキャッシュ・フローの額が適切かどうか、及び、残存価額が適切かどうか、などを考慮しなければなりません。また、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産について、少なくとも年1回、更に減損の発生が予測される場合は、その都度、減損テストを実施しております。減損テスト時には、資産の回収可能価額を見積っております。資産または資金生成単位の回収可能価額は使用価値と処分費用控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産の固有のリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割引いております。当社では、過去の経験や社内の事業計画、及び適切な割引率を基礎として将来キャッシュ・フローを見積っております。これらの見積りは、事業戦略の変更や、市場環境の変化により、重要な影響を受ける可能性があります。なお、非流動資産の回収可能性に関連する会計上の見積りのうち、重要なものは以下になります。詳細については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 11 持分法適用会社に対する投資、注記 13 無形資産」を参照願います。 ① マダガスカルニッケル事業 Ambatovy Minerals S.A.及び Dynatec Madagascar S.A.(以下両社を称して「プロジェクト会社」という)の固定資産に減損の兆候が認められ、かつ、減損テストの結果、回収可能価額が固定資産の帳簿価額を下回った場合には、当社において持分相当額を持分法投資損失として認識いたします。認識した持分法投資損失がプロジェクト会社の株式に対する持分法投資額を超える場合、実質的に純投資と考えられる貸付金等の長期持分に対して配分します。プロジェクト会社における固定資産の回収可能価額を算定する場合は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方が採用され、その見積りには、プロジェクト会社の生産数量、将来の資源価格(主にニッケル及びコバルト等の中・長期予想価格、割引率といった重要な仮定が使用されております。 当期においては、プロジェクト会社が英国裁判所に申し立てていたRestructuring Plan(英国法に基づく債務整理手続、以下「英国Restructuring Plan」という)が2024年11月に認可され、同年12月に同債務整理手続が完了しております。 プロジェクト会社に対する株主融資について足元の状況を踏まえて回収可能性を考慮した結果、英国Restructuring Planによりコミット済みの未拠出額も含めた全額につき損失計上しております。これに伴い、連結包括利益計算書において14,107百万円の損失を「持分法による投資損益」、4,752百万円の損失を「その他の損益」に計上しております。 ② 欧米州青果事業欧米州青果事業において、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テストは、複数の資金生成単位グループに分けて実施しており、回収可能価額は使用価値に基づき算定しております。使用価値は、取得価額の前提とした事業計画に対して、直近の事業環境を反映させた将来キャッシュ・フローの現在価値を用いて、独立した鑑定人の支援を受け、評価しております。使用価値に大きく影響を及ぼす仮定は、バナナ&パイン事業における販売数量・マージン・割引率等であります。 ③ 北欧駐車場事業北欧駐車場事業において、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テストは、事業全体を一つの資金生成単位グループとして実施しており、回収可能価額は使用価値に基づき算定しております。使用価値の見積りにおいては、取得価額の前提とした事業計画に対して、直近の事業環境を反映させた将来キャッシュ・フローの現在価値を用いて、独立した鑑定人の支援を受け、評価しております。使用価値に大きく影響を及ぼす仮定は、駐車場事業の収益、割引率等であります。 繰延税金資産の回収可能性当社は、繰延税金資産の全部または一部について、回収が不確実となった場合に、マネジメントの判断により、減額しております。繰延税金資産の回収可能性の評価にあたっては、繰延税金資産計上の根拠となっている将来の一時差異の解消が見込まれる期間内、または、繰越欠損金の繰越可能期間内に、納税地において将来十分な課税所得を生み出せるかどうかを評価しなければなりません。当社では、有利・不利に関わらず、入手可能なすべての根拠・確証を用いてこの評価を実施しております。繰延税金資産の評価は、見積りと判断に基づいております。納税地での将来の課税所得に影響を与える当社の収益力に変化があった場合、現状の繰延税金資産の回収可能性の評価も変わる場合があります。 引当金の測定引当金は、過去の事象の結果として、当社が、現在の法的または推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、その債務の金額が合理的に見積り可能である場合に認識しております。引当金は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値及び当該負債に特有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割引いております。 確定給付債務の測定確定給付型年金制度は、確定拠出型年金制度以外の退職後給付制度であります。確定給付型年金制度に関連する当社の純債務は、制度ごとに区別して、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を見積り、当該金額を現在価値に割引き、制度資産の公正価値を差し引くことによって算定しております。割引率は、当社の債務と概ね同じ満期日を有するもので、期末日において信用格付AAの債券の利回りであります。この計算は、毎年、年金数理人によって予測単位積増方式を用いて行っております。 (7) 資産及び負債・資本(単位:億円)前期(2024年3月期末)当期(2025年3月期末) 増減主な増減要因資産合計110,326116,312 +5,986・営業資産の増加・SCSKにおけるネットワンシステムズ 新規連結の影響株主資本 (注)144,45546,485 +2,030・当期利益の計上・配当金の支払、自己株式の取得ネット有利子負債 (注)225,23426,725 +1,491 ネットDER (注)30.60.6 ±0.0pt (注)1 株主資本=資本の内、「親会社の所有者に帰属する持分合計」(注)2 ネット有利子負債=社債及び借入金(流動・非流動)の合計から現預金を差し引いたもの。 (リース負債は含まれておりません)(注)3 ネットDER=有利子負債(ネット)/株主資本 (8) キャッシュ・フロー(単位:億円)前期(自2023年4月1日至2024年3月31日)当期(自2024年4月1日至2025年3月31日)当期実績の概要営業活動によるキャッシュ・フロー6,0896,123・コアビジネスが着実にキャッシュを創出投資活動によるキャッシュ・フロー△2,192△4,614・投融資:洋上風力発電用の基礎構造物製造事業への出資、建設機械代理店企業 BIA Groupへの出資、国内外不動産案件の取得、SCSKによるネットワンシステムズへの出資、インド都市ガス事業への出資 等・資産入替:政策保有株式の売却、ティーガイア株式の売却 等フリーキャッシュ・フロー3,8961,509 財務活動によるキャッシュ・フロー△4,155△2,474・配当金の支払、自己株式の取得 等 前期(2024年3月期末)当期(2025年3月期末) 現金及び現金同等物の期末残高6,6795,706 (9) 資金調達と流動性当社の財務運営は財務健全性の維持・向上を基本方針とし、低利かつ中長期にわたり、安定的な資金調達を行うこと、及び十分な流動性の保持を図ることとしております。当社グループ内での資金管理については、グループファイナンスを整備し、資金調達を当社及び金融子会社、海外現地法人に集中した上で、キャッシュ・マネジメント・システムを通じて、当社グループ内で資金を効率的に活用する体制を整えております。当社は総額3兆2,547億円の社債及び借入金を有しており、このうち短期の借入金は、前期比65億円増加の2,925億円で、内訳は全額が短期借入金(主として銀行借入金)となっております。一年以内に期限の到来する社債及び長期借入金2,876億円を含めた当期の社債及び長期借入金は、前期比465億円増加の2兆9,623億円となっております。このうち、銀行及び保険会社からの長期借入残高は、前期比711億円減少の2兆3,109億円、社債残高は前期比1,176億円増加の6,513億円となっております。当社の銀行からの借入の多くは、日本の商慣行上の規定に基づいております。当社は、このような規定が当社の営業活動や財務活動の柔軟性を制限しないと確信しておりますが、いくつかの借入契約においては、特定の財務比率及び純資産の一定水準の維持が求められております。さらに、主に政府系金融機関との契約においては、当社が株式及び社債の発行等により資金を調達した際に、当該金融機関から、当該借入金の期限前返済を求められる可能性があり、また、一部の契約では当社の剰余金の配当等について当該金融機関の事前承認を請求される可能性があります。当社は、このような請求を受けたことはなく、今後も受けることはないと判断しております。詳細は、「3 事業等のリスク (3) タイプ別リスク ⑬ 資金の流動性に関するリスク」を参照願います。資金調達については、各金融機関との良好な関係に基づく銀行借入等の間接金融を中心に、コマーシャルペーパーや社債等の直接金融との適切なバランスに留意し、調達期間の長期化を通じた償還期日の分散等による安定的な調達構造を構築しております。外貨建ての資金調達については、銀行借入や外貨建て社債発行、通貨スワップの他、金融子会社、海外現地法人におけるコマーシャルペーパー、ユーロMTN等の活用によって資金調達ソースの多様化に取り組んでおります。また、2022年3月にグリーンファイナンス・フレームワークを策定し、本フレームワークに基づきグリーンボンドを発行しております。2024年2月には、本フレームワークの対象事業の拡大及びソーシャル対象事業の追加を行い、サステナブルファイナンス・フレームワークとして改定しております。なお、当社は、資本市場での直接調達を目的として、以下の資金調達プログラムを設定しており、当期末時点での当社の長期及び短期の信用格付は、ムーディーズでBaa1(見通し安定的)/P-2、スタンダード&プアーズでA-(見通し安定的)/A-2、格付投資情報センターでAA-(見通し安定的)/a-1+となっております。 ・3,000億円の国内及び海外公募普通社債発行登録枠・国内における5,000億円のコマーシャルペーパー発行枠・米州住友商事により設定された、1,500百万米ドルのコマーシャルペーパープログラム・当社及び英国のSumitomo Corporation Capital Europe(以下、「SCCE」という。) が共同で設定した3,000百万米ドルのユーロMTNプログラム・SCCEが設定した1,500百万米ドルのユーロコマーシャルペーパープログラム 保有流動性については、金融市場の混乱等、複数の有事シナリオを想定し、当期末時点で現預金と国内外の主要な金融機関との総額1,210百万米ドル、及び2,850億円を上限とする以下の長期コミットメントラインを中心に、当社及び当社子会社における資金需要や一年以内に期日が到来する借入や社債の償還資金等を補完する十分な流動性を確保しております。なお、当有価証券報告書の提出日までに、これらのコミットメントラインに基づく借入はありません。また、これらのコミットメントラインには、借入の実行を制限する重大なコベナンツ、格付トリガー条項などは付されておりません。なお、これらのコミットメントラインのほかに、当社は、コミットメントベースでない借入枠を有しております。・米国及び欧州の大手銀行によるシンジケート団との間で締結した、1,060百万米ドルのマルチ・カレンシー(円・米ドル・ユーロ建)/マルチ・ボロワー(住友商事及び英国、米国、シンガポールにおける当社子会社への融資)型長期コミットメントライン・大手米銀との間に締結した、米州住友商事への100百万米ドルの長期コミットメントライン・大手欧銀との間に締結した、SCCEへの50百万米ドルのマルチ・カレンシー(円・米ドル・ユーロ・ポンド建)型長期コミットメントライン・大手邦銀のシンジケート団による1,500億円の長期コミットメントライン(内、790億円はマルチ・カレンシー型)・有力地方銀行のシンジケート団による1,350億円の長期コミットメントライン 資金調達の内訳 前期(2024年3月31日)(億円)当期(2025年3月31日)(億円)短期2,8602,925 借入金(主に銀行より調達)2,1282,925 コマーシャルペーパー732-長期(一年以内期限到来分を含む)29,15829,623 担保付 借入金2,8432,504 無担保 借入金20,97720,605 社債5,3376,513 有利子負債合計(グロス)32,01732,547現金及び現金同等物並びに定期預金6,7835,822有利子負債合計(ネット)25,23426,725資産合計110,326116,312親会社の所有者に帰属する持分合計44,45546,485親会社所有者帰属持分合計比率(%)40.340.0 デット・エクイティ・レシオ(グロス)(倍)0.70.7デット・エクイティ・レシオ(ネット)(倍)0.60.6 当期末時点での当社の期限別の支払債務は、以下のとおりであります。期限別内訳 社債及び借入金(億円)リース負債(億円)2025年度5,8018892026年度4,1167272027年度4,3276422028年度3,3624992029年度4,1323572030年度以降10,8092,175合計32,5475,289 当社は、資金供与に関する契約(貸付契約、出資契約)及び設備使用契約等を締結しており、当期末における契約残高は、9,018億円です。当期末時点では、資本的支出に対する重要な契約はありません。上述の契約に加えて、当社のビジネスに関連して、当社は、顧客の債務に対する保証などの様々な偶発債務を負っています。また、当社は、訴訟による偶発債務の影響を受ける可能性があります。これらの偶発債務に関する詳細は、「(10) 偶発債務」及び「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 36 契約及び偶発債務」を参照願います。当社は、現状においては、それらの偶発債務がもたらす資金需要が重大なものとはならないと判断しておりますが、仮に予想に反して、当社が保証を行っている債務に重大な不履行が生じた場合、また、訴訟の結果が、当社に大きく不利なものであった場合には、新たに、大きな資金調達が必要となる可能性があります。当社は、主に、ワーキング・キャピタル、新規や既存ビジネスへの投資や債務の返済のために、将来にわたり継続的な資金調達を行う必要があります。当社は、成長戦略として買収、株式取得または貸付による投資を行っており、当期は、有形固定資産及び投資不動産の取得に1,237億円、また、事業の取得及びその他の投資の取得に5,622億円の投資を行いました。当社は、現在、全てのセグメントにおいて、既存のコア・ビジネス及び周辺分野を中心に追加投資を検討しております。しかしながら、これらの投資は、現在、予備調査段階のものや、今後の様々な条件により、その実施が左右されるものであり、結果的に実現されない可能性もあります。また当社は、手許の現金、現在の借入枠や営業活動によるキャッシュ・インで当面必要とされる資金需要を十分に満たせると考えておりますが、それは保証されている訳ではありません。当社の営業活動によるキャッシュ・インが想定より少なかった場合、当社は、追加借入の実施、他の資金調達手段の検討、または投資計画の修正を行う可能性があります。 (10) 偶発債務当社の取引に関連して、顧客の債務に対する保証履行のような偶発債務を負うことがあります。当社は、世界各国のサプライヤーや顧客と多種多様な営業活動を行うことにより、営業債権及び保証等に係る信用リスクを分散させており、これらに関し重大な追加損失は発生しないものと見込んでおります。当社の当期末における保証に対する偶発債務の残高(最長期限2050年)は1,940億円で、このうち持分法適用会社の債務に対する保証が1,313億円、第三者の債務に対する保証が627億円です。これらの保証は主に持分法適用会社、サプライヤー、及び顧客の信用を補完するために行っているものであります。 (11) 市場リスクに関する定量的・定性的情報当社のビジネスは、金利、外国為替レート、商品価格、株価の変動リスクを伴い、これらのリスクマネジメントを行うため、為替予約取引、通貨スワップ・オプション取引、金利スワップ・先物・オプション取引、商品先物・先渡・スワップ・オプション取引等のデリバティブを利用しております。また、後述のリスク管理体制の下、予め決められたポジション限度・損失限度枠内で、トレーディング目的のデリバティブ取引も限定的に実施しております。 金利変動リスク当社は、事業活動の中で様々な金利変動リスクに晒されております。コーポレートグループの財務・経理・リスクマネジメントグループ長が管掌する部署では、当社のビジネスに伴う金利変動リスクをモニタリングしております。特に、金利の変動は借入コストに影響を与えます。これは、当社の借入金には変動金利で借り入れているものがあり、また、都度借換えを行う短期借入金があるためです。しかしながら、金利変動が借入コストに与える影響は、金利変動の影響を受ける資産からの収益により相殺されます。また、当社は、金利変動リスクをミニマイズするために資産・負債の金利を調整・マッチングさせるよう、金利スワップ等のデリバティブ取引を利用しております。 為替変動リスク当社は、グローバルなビジネス活動を行っており、各拠点の外貨建による売買取引、ファイナンス及び投資によって、為替変動リスクに晒されている場合があります。これらのうち、永続性の高い投資等を除いた取引については、為替変動リスクを軽減するために、各拠点において外貨借入・外貨預金等に加えて、第三者との間で、為替予約取引・通貨スワップ取引・通貨オプション取引等のデリバティブ取引を必要に応じ行っております。 商品市況変動リスク当社は、貴金属、非鉄金属、燃料、及び農産物等の現物取引、並びに鉱物、石油、及びガス開発プロジェクトへの投資を行っており、関連する商品価格の変動リスクに晒されております。当社は、商品の売り繋ぎや売り買い数量・時期等のマッチング、デリバティブ等の活用によって、商品価格の変動によるリスクを減少させるよう努めております。また、予め決められたポジション限度・損失限度枠内で、トレーディング目的のデリバティブ取引も限定的に実施しております。 株価変動リスク当社は、戦略的な目的で金融機関や顧客・サプライヤーが発行する株式等への投資を行っておりますが、これらの株式投資には株価変動リスクが伴います。これらの株式投資に関しては、継続的なヘッジ手段を講じておりません。当社が保有する市場性のある株式の当期末における公正価値は、1,968億円であります。 リスク管理体制デリバティブや市場リスクを伴う取引を行う営業グループは、取引規模に応じてマネジメントの承認を事前に取得しなければなりません。マネジメントは、場合によってはデリバティブについて専門的知識を有するスタッフのサポートを得て、案件の要否を判断し、当該申請における、取引の目的、利用市場、取引相手先、与信限度、取引限度、損失限度を明確にします。財務・経理・リスクマネジメントグループ長が管掌する部署は、取引の実施・モニタリングに際して、以下の機能を提供しております。・金融商品及び市況商品のデリバティブに関する口座開設、取引確認、代金決済と引渡し、帳簿記録の保管等のバックオフィス業務・ポジション残高の照合・ポジションのモニタリングと全社ベースでの関連取引のリスク分析・計測、シニアマネジメントへの定期的な報告当社の子会社が市況商品取引を行う際には、上記のリスク管理体制に沿うことを要求しております。