事業の概要
- 多角的な事業展開三菱商事は、地球環境エネルギー、金属資源、社会インフラ、モビリティ、食品産業など、非常に多岐にわたる事業分野で収益を上げています。これは、特定の産業に依存せず、世界経済や市場の変化に柔軟に対応できる強みとなっています。各事業は、国内外の連結子会社833社と持分法適用会社349社を通じて推進されており、幅広い商品やサービスを提供しています。
- 資源・エネルギー事業特にエネルギー資源(天然ガス、石油、LNG)や金属資源(原料炭、銅)の開発・生産・販売は、同社の主要な収益源の一つです。これらの資源は世界経済の動向に大きく左右されますが、長期的な視点での権益保有と販売を通じて安定的な収益確保を目指しています。商品市況の変動リスクを抱えつつも、グローバルな供給網と取引ネットワークを活かしています。
- 非資源分野の拡大資源分野だけでなく、自動車、食品、化学品、不動産、電力ソリューションなど、幅広い非資源分野でも事業を展開しています。例えば、自動車関連では三菱自動車工業やいすゞ自動車の販売会社、食品関連では伊藤ハム米久ホールディングスやローソンなど、私たちの身近な企業との連携も多く見られます。これにより、特定の市場変動に左右されにくいバランスの取れた収益構造を構築しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 地球環境エネルギー事業天然ガス、石油、LNG(液化天然ガス)の開発・生産・販売、再生可能エネルギー事業などを展開しています。世界的なエネルギー需要の増加や脱炭素化の流れの中で、安定供給と環境負荷低減の両立を目指しています。LNG価格は原油価格に連動するものが多く、中東情勢などの地政学リスクが市況に大きな影響を与えています。
- 金属資源事業製鉄用の原料炭や銅などの金属資源の採掘、加工、販売を行っています。中国経済の動向やインドの需要増、一部炭鉱での生産障害などが市況に影響を与え、価格変動リスクを抱えています。豪州の三菱デベロップメント社を通じて原料炭を販売し、銅についても生産者として価格変動リスクを負っています。
- 社会インフラ・モビリティ・食品産業事業社会インフラでは不動産開発、産業機械、交通インフラなどを手掛け、米国不動産市場の回復やデータセンター需要の拡大が追い風となっています。モビリティでは自動車の販売・サービスを展開し、金利高止まりやファイナンス審査厳格化による市場低迷の中で、AI・DX活用による顧客体験向上を推進しています。食品産業では穀物、水産、畜産事業を展開し、安定した需要と供給体制の強化に注力しています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社グループが営む事業の内容については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記1をご参照ください。当社は取扱商品又はサービスの内容に応じて事業を複数の営業グループに区分しており、それぞれの事業は、当社の各事業部門及びその直轄の関係会社(連結子会社 833社、持分法適用会社 349社)により推進しています。(注)連結対象会社数は、連結子会社が連結経理処理している関係会社788社を除いた場合には394社となります。 事業セグメントごとの取扱商品又はサービスの内容については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記6をご参照ください。事業セグメントごとの主要な関係会社は以下のとおりです。 主要な連結子会社主要な持分法適用会社地球環境エネルギー三菱商事エネルギーCUTBANK DAWSON GAS RESOURCESDGS JAPANDIAMOND GAS HOLDINGSDIAMOND LNG CANADAアストモスエネルギー BRUNEI LNGCAMERON LNG HOLDINGSJAPAN AUSTRALIA LNG (MIMI) マテリアルソリューション三菱商事ケミカル三菱商事プラスチック メタルワンCAPE FLATTERY SILICA MINESサウディ石油化学東洋紡エムシーMCC DEVELOPMENTMETANOL DE ORIENTE,METORMITSUBISHI CEMENT金属資源ジエコ三菱商事RtMジャパンMITSUBISHI CORPORATION RTM INTERNATIONALMITSUBISHI DEVELOPMENTANGLO AMERICAN QUELLAVECOANGLO AMERICAN SURCOMPANIA MINERA DEL PACIFICOIRON ORE COMPANY OF CANADA 社会インフラ千代田化工建設三菱商事都市開発三菱商事マシナリレンタルのニッケンDIAMOND REALTY INVESTMENTSMITSUBISHI ELEVATOR HONG KONGモビリティDIPO STAR FINANCEISUZU UTE AUSTRALIAMITSUBISHI MOTORS KRAMA YUDHA SALES INDONESIATRI PETCH ISUZU SALES三菱自動車工業TOYO TIRE食品産業三菱商事ライフサイエンスAGREX DO BRASILCERMAQINDIANA PACKERS伊藤ハム米久ホールディングスOLAM GROUPS.L.C.エム・シー・ヘルスケアホールディングス三菱商事パッケージング三菱商事ロジスティクス三菱食品 日本ケアサプライ三菱オートリース三菱HCキャピタルライフコーポレーションロイヤリティマーケティングローソン 電力ソリューション三菱商事エナジーソリューションズDIAMOND GENERATING ASIADIAMOND GENERATING CORPORATION ENECONEXAMPその他三菱商事フィナンシャルサービスMC FINANCE & CONSULTING ASIAMITSUBISHI CORPORATION FINANCE 現地法人欧州三菱商事会社北米三菱商事会社米国三菱商事会社三菱商事(上海) (注) 「その他」に含まれる取扱商品又はサービスは、財務、経理、人事、総務関連、IT、保険等です。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 商品市況や為替レートの変動リスクを負う一方、長期契約やヘッジ策を講じているため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 設備 天然ガス・石油の開発・生産事業、液化天然ガス(LNG)事業、炭鉱開発、銅鉱山プロジェクトなど大規模な設備投資を伴う事業を多数展開。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
会社が挙げる主要リスク:世界マクロ経済環境の変化によるリスク / 商品市況リスク(エネルギー資源、金属資源) / 為替リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
三菱商事は、長年にわたり築き上げてきたグローバルな事業ネットワーク、信頼性、および多様な事業ポートフォリオが強み。特に、資源・エネルギー分野における長年の取引関係や、非資源分野での新規事業開発力は無形資産と言えるが、特定のブランド力や特許による独占性は限定的。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
総合商社としてのビジネスモデルは、多岐にわたる顧客やサプライヤーとの関係性を基盤としている。しかし、個々の取引においては、価格や条件交渉が中心となり、顧客が他社へ乗り換えることによる直接的な損失は限定的である場合が多い。一部の長期契約や共同事業ではスイッチングコストが発生する可能性はある。
ネットワーク効果★★★☆☆
三菱商事は、世界中に広がる子会社・関連会社・取引先との強固なネットワークを有している。このネットワークを通じて、情報収集、事業機会の創出、リスク分散が可能となる。特に、資源開発やインフラプロジェクトなど、大規模かつ複雑な案件では、このネットワークが事業遂行の鍵となる。
コスト優位★★☆☆☆
総合商社として、規模の経済を活かした調達力や物流網の効率化は一定のコスト優位性をもたらす。しかし、事業ポートフォリオが多岐にわたるため、全ての事業セグメントで構造的なコスト優位性を確立しているとは言えない。資源価格や為替変動の影響を受けやすいビジネスモデルでもある。
- グローバルな総合力三菱商事の最大の強みは、多様な事業を世界中に展開し、多彩な人材が深く事業に関与する「総合力」です。これにより、幅広い産業知見と深い洞察力を蓄積し、時代の変化を先取りして柔軟に事業戦略を進化させています。この総合力は、新規事業の創出や既存事業の強化において、他社にはない競争優位性をもたらしています。
- 強固な事業基盤とネットワーク連結子会社833社、持分法適用会社349社という広範なグループ会社を通じて、世界各地で強固な事業基盤と広範なネットワークを構築しています。これにより、原材料の調達から製品の製造、流通、販売まで、サプライチェーン全体にわたる価値提供が可能です。特に、各地域の特性に応じた事業展開やパートナーシップは、安定的な収益源となっています。
- 多様なリスク管理体制世界マクロ経済環境の変化、商品市況の変動、為替リスク、金利リスク、信用リスクなど、多岐にわたるリスクに対して、営業グループと専門部署が連携した管理体制を整備しています。例えば、為替リスクに対しては先物為替予約、金利リスクに対してはALM(Asset Liability Management)委員会での管理を行うなど、リスクを軽減するための具体的な施策を講じています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- 「総合力」を活かした成長三菱商事は、多様な事業をグローバルに展開し、多彩な人材が深く関与することで培われた「総合力」を経営戦略の中核に据えています。この総合力を事業環境に応じて最大限に発揮し、最適な事業ポートフォリオを構築することで、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。これは、変化の激しい時代において、柔軟に対応し、新たな価値を創造するための重要な指針です。
- 成長性と効率性の両立2027年度までの定量目標として、成長性を測る「営業収益CF平均成長率10%以上」と、資本効率を意識した「ROE2027年度に12%以上」を掲げています。これにより、単なる規模の拡大だけでなく、効率的な経営を通じて収益性を高めることを目指しています。財務健全性も重視し、「Net Debt Equity Ratio:0.6倍」を上限に設定しつつ、戦略的なレバレッジ活用も視野に入れています。
- 価値創造メカニズムの推進従来の循環型成長モデルを「磨く(Enhance)」「変革する(Reshape)」「創る(Create)」に再定義し、中長期的な成長を実現するメカニズムを構築しています。「磨く」は既存事業の強化、「変革する」は事業構造の転換、「創る」は新規事業の創出を意味します。このメカニズムを加速させるため、2027年度までの3年間で更新投資約1.3兆円以上、拡張・新規投資約3.3兆円以上を計画しており、キャッシュ・フローの状況に応じて追加投資も検討しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】1. 「経営戦略2027 -総合力をエンジンに未来を創る-」当社は、2025年4月に、新しい経営戦略として「経営戦略2027-総合力をエンジンに未来を創る-」を策定・公表しました。当社を取り巻く事業環境は、かつてないほど地政学リスク、経済情勢リスクが複雑に絡み合う中、地域特性に応じた脱炭素の現実解を探る動き、AIの急速な発展に伴う様々な変化もあり、政治・経済・環境・技術等あらゆる面で不確実性が一段と高まっています。このような不確実性の高い事業環境において、変化によるリスクと機会を踏まえて柔軟に事業戦略を見直しつつ、既存事業の収益基盤の更なる強化と案件創出に取り組むべく、当社の中長期的な経営方針を「経営戦略2027」としてまとめました。 (1)経営戦略■目指す姿多様性に裏打ちされた「総合力」を事業環境に応じて発揮することで、最適な事業ポートフォリオを構築し、持続的な成長と企業価値向上を実現する企業。 総合力:多様な事業をグローバルに展開、多彩・多才な人材がオペレーションに深く関与することで、信用・信頼を築き上げ、幅広い産業知見・深いインサイトを蓄積し、時代の変化を先取りして柔軟に事業戦略を進化させる力。 ■定量目標成長性を測る新たな中核指標として「営業収益CF:平均成長率10%以上」、資本効率を意識した経営の継続・強化指標として「ROE:2027年度に12%以上」を目標に掲げ、成長性と効率性の同時実現を目指します。 ■財務健全性「Net Debt Equity Ratio:0.6倍」を上限目処に設定し、財務健全性を維持しながら、戦略的にレバレッジを活用する方針とします。 ■株主還元累進配当を維持すると共に、機動的に自己株式取得を行うとする基本方針を維持します。 (2)経営戦略2027実現のための価値創造メカニズム従来の循環型成長モデルを「磨く(Enhance)」「変革する(Reshape)」「創る(Create)」に再定義し、当社の競争優位性である総合力と、それぞれを強化する施策の掛け合わせにより、中長期的な成長を実現します。 (3)資金配分戦略2027年度までの3年間で計画していた更新投資約1兆円以上及び拡張・新規投資約3兆円以上については、堅調な営業収益キャッシュ・フローの推移、投資回収の加速、及び投資案件パイプライン(投資案件候補)の状況等を踏まえ、更新投資を約1.3兆円以上、拡張・新規投資を約3.3兆円以上へと引き上げました。また、今後もキャッシュ・フローの状況により追加配分枠が生じた場合は、投資案件パイプライン等を踏まえ、投資又は追加還元への配分を検討します。 2. 「経営戦略2027」価値創造メカニズムの進捗の状況当連結会計年度は成長性と効率性の同時実現に向け、「磨く」・「変革する」・「創る」の各取組みが着実に進捗しました。当社を取り巻く事業環境の不確実性は「経営戦略2027」の策定・公表時から更に高まっていますが、翌連結会計年度においても投資規律を保ちながら新規投資案件の実行、及び収益基盤強化に取り組み、価値創造メカニズムを加速して参ります。 3. 当連結会計年度のセグメント別の事業環境① 地球環境エネルギーグループ主要商材であるLNGの世界需要は微増し、2025年の需要は約4.2億トンとなりました。なお、アジアのLNGスポット価格(JKM)は、2026年2月までは、百万Btu(英国熱量単位)当たり9米ドル台から14米ドル台のレンジで推移しましたが、中東情勢の影響を受けた2026年3月には20米ドル超まで上昇しました。原油取引の国際的な基準価格の一つであるブレント原油価格は、世界的な供給余剰と需要減速を背景に年度初めから2026年2月まで1バレル当たり60米ドル半ばを推移する緩やかな下落基調でしたが、JKM同様に中東情勢の影響を受け、2026年3月には110米ドル超まで高騰しました(年間平均1バレル当たり約70米ドル)。 ② マテリアルソリューショングループ世界経済の不透明感が継続する中、各種素材の主要市場である中国の内需低迷を背景とした過剰輸出の継続により、各種素材の市況は軟化基調で推移しました。鉄鋼分野では、中国経済の減速や中国からの鋼材輸出増等を背景に需給が緩和する中、国内では建設分野を中心に需要の回復が限定的となり、事業環境は弱含みで推移しました。化学品分野でも市況低迷が長期化する中、地域情勢の変化等による不確実性も事業環境に影響を与えました。 ③ 金属資源グループ主力事業の一つである原料炭については、上期は中国の国内鋼材需要低迷に伴い、中国鋼材の旺盛な輸出が前年度から継続し、鋼材及び原料炭市況の低迷に繋がりました。一方で、下期以降はインドの高炉稼働率上昇に牽引された需要増に加え、一部炭鉱での生産障害や豪州における大雨の影響に伴う供給制約により、原料炭市況は回復基調に転じました。もう一つの主力事業である銅については、2025年4月以降において米国関税政策の影響、及び大型鉱山の相次ぐ生産障害による供給懸念や米国利下げ観測等を背景として市況は堅調に推移し2026年1月末に史上最高値を更新、その後は中東情勢・米国金融政策等のマクロ要因を中心にボラタイルな値動きが継続する展開となりました。 ④ 社会インフラグループ米国不動産事業では、米国利下げの進展を背景に市場流動性は回復基調にあり、不動産取引量は回復に転じました。また、データセンター分野でも国内、米国共にクラウドの普及や生成AI需要に伴い、市場拡大しました。産業機械分野では、底堅い設備投資需要や円安の影響等を受けて、事業環境は堅調に推移しました。 ⑤ モビリティグループ世界的な金利の高止まり、特にアセアンにおける実体経済の軟化や厳格なファイナンス(自動車ローン)審査の継続等により自動車市場は低迷し、競合各社が購買力のある顧客を巡り値引き競争が激化する等、厳しい事業環境にありました。その中で、アセアンをはじめとする既存の自動車バリューチェーン事業ではAI・DX活用による顧客体験の質向上・ブランドロイヤリティ強化等を推進し、インド・日本・豪州ではモビリティサービス事業の構築を推進しました。 ⑥ 食品産業グループ穀物事業では、世界的に豊作が続いたことで相場は概ね安定的に推移しました。水産事業では、例年に比べ海水温が高く養殖サーモンの成長が良好であったため、業界全体で大幅な増産となり相場は低位に推移しました。一方で中長期的な需要増加基調は維持されており、CermaqによるGrieg Seafood ASA傘下のサーモン養殖3事業の取得を通じ、生産規模拡大と安定供給体制の強化を進めました。畜産事業では、堅調な鶏肉需要を背景に国内相場は高水準が続きました。 ⑦ S.L.C.グループ国内小売・流通事業に関しては、原材料価格の高騰、インフレ、賃金上昇等のコスト圧力に対する影響等はあったものの、消費者ニーズを踏まえたマーケティング施策による売上拡大や、AI仕入施策による品揃えの最適化、オペレーション最適化により事業は堅調に推移しました。また、金融事業に関しては、金利・為替のボラティリティの影響は限定的に止まり、事業は堅調に推移しました。 ⑧ 電力ソリューショングループ主力事業の一つである再生可能エネルギー事業については、米国においてインフレ抑制法に基づく税額控除要件が減税・歳出法の成立により一部変更されたほか、欧州委員会によるクリーン産業ディール国家補助枠組みの採択、複数国における政策支援の導入・実施等、事業環境の地域によるばらつきの拡大が見られるものの、競争力のある電源として世界での導入は着実に進行しています。他方で、データセンター/AI需要や電化進展による電力需要の増加、エネルギー価格の高騰、及び地政学リスクの高まり等を背景に、エネルギー安全保障や産業競争力維持・強化への対応が重要課題となる中、安定的な電力供給が可能で環境負荷が相対的に低いガス火力発電の有用性が世界的に再認識されました。 4. 翌連結会計年度以降のセグメント別の事業環境の見通しエネルギー事業に関わる商材・機能を一元化し、地域ごとに柔軟なバリューチェーンを構築することで、エネルギートランジション期の多様なニーズに応え、最適なソリューションを提供することを目的に、地球環境エネルギーグループと電力ソリューショングループを統合し「エネルギー&パワーソリューショングループ」を設立しました。これに伴い、当連結会計年度までの8グループ体制を、翌連結会計年度から7グループ体制へと改編します。 ① エネルギー&パワーソリューショングループ脱炭素社会への移行は不可逆的な潮流である一方、世界的なエネルギー需要の増加見通しや地政学リスクの高まり等を背景として、エネルギー安全保障及び産業競争力の強化に向けた対応が各国で加速する事が想定されます。このような事業環境の下、天然ガス/LNGについては、引き続きアジア地域を中心に中長期的な需要増加が見込まれています。次世代エネルギー分野においては、上記の事業環境に加え、インフレ進行に伴うコスト上昇の影響も受け、商材並びに地域毎の事業進展のばらつきが一層顕在化しています。具体的には、コスト競争力の観点からバイオ燃料・クレジット事業が欧米を中心に先行する一方で、水素及び水素派生品については、社会実装の進展速度が相対的に鈍化しています。また、電力需要の増加や地政学リスクへの対応を背景として、既に再生可能エネルギーが競争力を持つ地域を中心に再生可能エネルギー、産油・ガス国では火力発電等、地域特性及び競争力に応じた電源の導入が進展すると想定されます。加えて、このような事業環境の下、送電容量の不足や局地的な電力需給の逼迫が社会課題となり、ガス火力発電や蓄電池等を活用した需給調整機能の重要性が更に高まる事が見込まれます。 ② マテリアルソリューショングループ中東を中心として不透明な世界情勢に加え、AI進展による素材開発の高速化等を背景に、素材産業を取り巻く事業環境は今後も変化を続けていくことが想定されます。人口増加を支える住宅・インフラ素材に加え、軽量化・電化を支える素材、デジタル社会の発展を支える素材等への需要は、今後も底堅く推移する見通しです。地域や用途によっては需要動向にばらつきが見られるものの、素材分野全体としては安定した需要環境が見込まれます。 ③ 金属資源グループ原料炭においては、インド等の新興国による需要の牽引、中国鋼材需要並びに同国鋼材輸出量の推移、天候等に起因する原料炭生産者の供給制約等、海上貿易市場へ影響を与え得る事象を注視しています。銅においては、引き続き堅調な需要と供給側の制約によりタイトな需給環境となる見込みです。中長期的には、新興国を中心とする世界経済の成長や、脱炭素・電化を背景とした再エネ・EVの普及等により、金属資源の需要は底堅く推移することが見込まれます。 ④ 社会インフラグループ米国不動産事業については、インフレ・金利動向に影響を受ける状況に変化はなく、不動産取引量を注視しています。データセンターについては、クラウドの普及や生成AI需要拡大に伴い日米共に引き続き市場拡大が見込まれています。また、社会インフラの維持・発展を支える産業機械分野は、底堅い需要増加が見込まれます。 ⑤ モビリティグループ主力地域であるアセアンの自動車市場は、厳格なファイナンス審査や競合各社との激しい競争が暫く継続する見通しであり、また、世界情勢の不安定な状況が継続し、実体経済等への影響が生じる可能性もあり、不透明な事業環境が続くと予想されます。一方、同地域での自動車市場は、潜在的な需要や自動車普及率に鑑みると、中長期的には回復・更なる拡大に転じると想定されます。また、グローバル全体での電動化・自動運転化は、普及速度に変化はあっても不可逆的に進展する見込みであり、周辺市場の成長と新たな事業機会が見込まれます。 ⑥ 食品産業グループ地政学リスクの高まりや、これに起因する通商・経済安全保障政策の変化などにより、不確実性の高い事業環境が継続すると見込まれます。一方、世界的な人口増加やバイオ燃料需要の拡大を背景に基礎食料の需要は底堅く推移するとともに、消費者のWell-being志向の高まりや嗜好の多様化に伴い、食の質的向上へのニーズも引き続き拡大していくものと見込まれます。 ⑦ S.L.C.グループ中長期的には国内の人口減少・高齢化に伴う消費市場縮小の流れ、短期的には原材料価格の高止まりや金利上昇の影響、加えて、中東情勢による調達への影響や電気代の上昇等も想定されますが、当面は安定した消費動向が続くことにより、対面市場は底堅く推移していく見通しです。また、海外でも、米国や東南アジア等を中心に、人口増加や経済成長に伴う対面市場の伸長や新たな事業機会が見込まれます。 5. 個別重要案件当連結会計年度における重要な個別案件については、「3 事業等のリスク 2.主要なリスクの概要 ⑤事業投資リスク」内の(重要な投資案件)をご参照ください。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】1. 「経営戦略2027 -総合力をエンジンに未来を創る-」当社は、2025年4月に、新しい経営戦略として「経営戦略2027-総合力をエンジンに未来を創る-」を策定・公表しました。当社を取り巻く事業環境は、かつてないほど地政学リスク、経済情勢リスクが複雑に絡み合う中、地域特性に応じた脱炭素の現実解を探る動き、AIの急速な発展に伴う様々な変化もあり、政治・経済・環境・技術等あらゆる面で不確実性が一段と高まっています。このような不確実性の高い事業環境において、変化によるリスクと機会を踏まえて柔軟に事業戦略を見直しつつ、既存事業の収益基盤の更なる強化と案件創出に取り組むべく、当社の中長期的な経営方針を「経営戦略2027」としてまとめました。 (1)経営戦略■目指す姿多様性に裏打ちされた「総合力」を事業環境に応じて発揮することで、最適な事業ポートフォリオを構築し、持続的な成長と企業価値向上を実現する企業。 総合力:多様な事業をグローバルに展開、多彩・多才な人材がオペレーションに深く関与することで、信用・信頼を築き上げ、幅広い産業知見・深いインサイトを蓄積し、時代の変化を先取りして柔軟に事業戦略を進化させる力。 ■定量目標成長性を測る新たな中核指標として「営業収益CF:平均成長率10%以上」、資本効率を意識した経営の継続・強化指標として「ROE:2027年度に12%以上」を目標に掲げ、成長性と効率性の同時実現を目指します。 ■財務健全性「Net Debt Equity Ratio:0.6倍」を上限目処に設定し、財務健全性を維持しながら、戦略的にレバレッジを活用する方針とします。 ■株主還元累進配当を維持すると共に、機動的に自己株式取得を行うとする基本方針を維持します。 (2)経営戦略2027実現のための価値創造メカニズム従来の循環型成長モデルを「磨く(Enhance)」「変革する(Reshape)」「創る(Create)」に再定義し、当社の競争優位性である総合力と、それぞれを強化する施策の掛け合わせにより、中長期的な成長を実現します。 (3)資金配分戦略2027年度までの3年間で計画していた更新投資約1兆円以上及び拡張・新規投資約3兆円以上については、堅調な営業収益キャッシュ・フローの推移、投資回収の加速、及び投資案件パイプライン(投資案件候補)の状況等を踏まえ、更新投資を約1.3兆円以上、拡張・新規投資を約3.3兆円以上へと引き上げました。また、今後もキャッシュ・フローの状況により追加配分枠が生じた場合は、投資案件パイプライン等を踏まえ、投資又は追加還元への配分を検討します。 2. 「経営戦略2027」価値創造メカニズムの進捗の状況当連結会計年度は成長性と効率性の同時実現に向け、「磨く」・「変革する」・「創る」の各取組みが着実に進捗しました。当社を取り巻く事業環境の不確実性は「経営戦略2027」の策定・公表時から更に高まっていますが、翌連結会計年度においても投資規律を保ちながら新規投資案件の実行、及び収益基盤強化に取り組み、価値創造メカニズムを加速して参ります。 3. 当連結会計年度のセグメント別の事業環境① 地球環境エネルギーグループ主要商材であるLNGの世界需要は微増し、2025年の需要は約4.2億トンとなりました。なお、アジアのLNGスポット価格(JKM)は、2026年2月までは、百万Btu(英国熱量単位)当たり9米ドル台から14米ドル台のレンジで推移しましたが、中東情勢の影響を受けた2026年3月には20米ドル超まで上昇しました。原油取引の国際的な基準価格の一つであるブレント原油価格は、世界的な供給余剰と需要減速を背景に年度初めから2026年2月まで1バレル当たり60米ドル半ばを推移する緩やかな下落基調でしたが、JKM同様に中東情勢の影響を受け、2026年3月には110米ドル超まで高騰しました(年間平均1バレル当たり約70米ドル)。 ② マテリアルソリューショングループ世界経済の不透明感が継続する中、各種素材の主要市場である中国の内需低迷を背景とした過剰輸出の継続により、各種素材の市況は軟化基調で推移しました。鉄鋼分野では、中国経済の減速や中国からの鋼材輸出増等を背景に需給が緩和する中、国内では建設分野を中心に需要の回復が限定的となり、事業環境は弱含みで推移しました。化学品分野でも市況低迷が長期化する中、地域情勢の変化等による不確実性も事業環境に影響を与えました。 ③ 金属資源グループ主力事業の一つである原料炭については、上期は中国の国内鋼材需要低迷に伴い、中国鋼材の旺盛な輸出が前年度から継続し、鋼材及び原料炭市況の低迷に繋がりました。一方で、下期以降はインドの高炉稼働率上昇に牽引された需要増に加え、一部炭鉱での生産障害や豪州における大雨の影響に伴う供給制約により、原料炭市況は回復基調に転じました。もう一つの主力事業である銅については、2025年4月以降において米国関税政策の影響、及び大型鉱山の相次ぐ生産障害による供給懸念や米国利下げ観測等を背景として市況は堅調に推移し2026年1月末に史上最高値を更新、その後は中東情勢・米国金融政策等のマクロ要因を中心にボラタイルな値動きが継続する展開となりました。 ④ 社会インフラグループ米国不動産事業では、米国利下げの進展を背景に市場流動性は回復基調にあり、不動産取引量は回復に転じました。また、データセンター分野でも国内、米国共にクラウドの普及や生成AI需要に伴い、市場拡大しました。産業機械分野では、底堅い設備投資需要や円安の影響等を受けて、事業環境は堅調に推移しました。 ⑤ モビリティグループ世界的な金利の高止まり、特にアセアンにおける実体経済の軟化や厳格なファイナンス(自動車ローン)審査の継続等により自動車市場は低迷し、競合各社が購買力のある顧客を巡り値引き競争が激化する等、厳しい事業環境にありました。その中で、アセアンをはじめとする既存の自動車バリューチェーン事業ではAI・DX活用による顧客体験の質向上・ブランドロイヤリティ強化等を推進し、インド・日本・豪州ではモビリティサービス事業の構築を推進しました。 ⑥ 食品産業グループ穀物事業では、世界的に豊作が続いたことで相場は概ね安定的に推移しました。水産事業では、例年に比べ海水温が高く養殖サーモンの成長が良好であったため、業界全体で大幅な増産となり相場は低位に推移しました。一方で中長期的な需要増加基調は維持されており、CermaqによるGrieg Seafood ASA傘下のサーモン養殖3事業の取得を通じ、生産規模拡大と安定供給体制の強化を進めました。畜産事業では、堅調な鶏肉需要を背景に国内相場は高水準が続きました。 ⑦ S.L.C.グループ国内小売・流通事業に関しては、原材料価格の高騰、インフレ、賃金上昇等のコスト圧力に対する影響等はあったものの、消費者ニーズを踏まえたマーケティング施策による売上拡大や、AI仕入施策による品揃えの最適化、オペレーション最適化により事業は堅調に推移しました。また、金融事業に関しては、金利・為替のボラティリティの影響は限定的に止まり、事業は堅調に推移しました。 ⑧ 電力ソリューショングループ主力事業の一つである再生可能エネルギー事業については、米国においてインフレ抑制法に基づく税額控除要件が減税・歳出法の成立により一部変更されたほか、欧州委員会によるクリーン産業ディール国家補助枠組みの採択、複数国における政策支援の導入・実施等、事業環境の地域によるばらつきの拡大が見られるものの、競争力のある電源として世界での導入は着実に進行しています。他方で、データセンター/AI需要や電化進展による電力需要の増加、エネルギー価格の高騰、及び地政学リスクの高まり等を背景に、エネルギー安全保障や産業競争力維持・強化への対応が重要課題となる中、安定的な電力供給が可能で環境負荷が相対的に低いガス火力発電の有用性が世界的に再認識されました。 4. 翌連結会計年度以降のセグメント別の事業環境の見通しエネルギー事業に関わる商材・機能を一元化し、地域ごとに柔軟なバリューチェーンを構築することで、エネルギートランジション期の多様なニーズに応え、最適なソリューションを提供することを目的に、地球環境エネルギーグループと電力ソリューショングループを統合し「エネルギー&パワーソリューショングループ」を設立しました。これに伴い、当連結会計年度までの8グループ体制を、翌連結会計年度から7グループ体制へと改編します。 ① エネルギー&パワーソリューショングループ脱炭素社会への移行は不可逆的な潮流である一方、世界的なエネルギー需要の増加見通しや地政学リスクの高まり等を背景として、エネルギー安全保障及び産業競争力の強化に向けた対応が各国で加速する事が想定されます。このような事業環境の下、天然ガス/LNGについては、引き続きアジア地域を中心に中長期的な需要増加が見込まれています。次世代エネルギー分野においては、上記の事業環境に加え、インフレ進行に伴うコスト上昇の影響も受け、商材並びに地域毎の事業進展のばらつきが一層顕在化しています。具体的には、コスト競争力の観点からバイオ燃料・クレジット事業が欧米を中心に先行する一方で、水素及び水素派生品については、社会実装の進展速度が相対的に鈍化しています。また、電力需要の増加や地政学リスクへの対応を背景として、既に再生可能エネルギーが競争力を持つ地域を中心に再生可能エネルギー、産油・ガス国では火力発電等、地域特性及び競争力に応じた電源の導入が進展すると想定されます。加えて、このような事業環境の下、送電容量の不足や局地的な電力需給の逼迫が社会課題となり、ガス火力発電や蓄電池等を活用した需給調整機能の重要性が更に高まる事が見込まれます。 ② マテリアルソリューショングループ中東を中心として不透明な世界情勢に加え、AI進展による素材開発の高速化等を背景に、素材産業を取り巻く事業環境は今後も変化を続けていくことが想定されます。人口増加を支える住宅・インフラ素材に加え、軽量化・電化を支える素材、デジタル社会の発展を支える素材等への需要は、今後も底堅く推移する見通しです。地域や用途によっては需要動向にばらつきが見られるものの、素材分野全体としては安定した需要環境が見込まれます。 ③ 金属資源グループ原料炭においては、インド等の新興国による需要の牽引、中国鋼材需要並びに同国鋼材輸出量の推移、天候等に起因する原料炭生産者の供給制約等、海上貿易市場へ影響を与え得る事象を注視しています。銅においては、引き続き堅調な需要と供給側の制約によりタイトな需給環境となる見込みです。中長期的には、新興国を中心とする世界経済の成長や、脱炭素・電化を背景とした再エネ・EVの普及等により、金属資源の需要は底堅く推移することが見込まれます。 ④ 社会インフラグループ米国不動産事業については、インフレ・金利動向に影響を受ける状況に変化はなく、不動産取引量を注視しています。データセンターについては、クラウドの普及や生成AI需要拡大に伴い日米共に引き続き市場拡大が見込まれています。また、社会インフラの維持・発展を支える産業機械分野は、底堅い需要増加が見込まれます。 ⑤ モビリティグループ主力地域であるアセアンの自動車市場は、厳格なファイナンス審査や競合各社との激しい競争が暫く継続する見通しであり、また、世界情勢の不安定な状況が継続し、実体経済等への影響が生じる可能性もあり、不透明な事業環境が続くと予想されます。一方、同地域での自動車市場は、潜在的な需要や自動車普及率に鑑みると、中長期的には回復・更なる拡大に転じると想定されます。また、グローバル全体での電動化・自動運転化は、普及速度に変化はあっても不可逆的に進展する見込みであり、周辺市場の成長と新たな事業機会が見込まれます。 ⑥ 食品産業グループ地政学リスクの高まりや、これに起因する通商・経済安全保障政策の変化などにより、不確実性の高い事業環境が継続すると見込まれます。一方、世界的な人口増加やバイオ燃料需要の拡大を背景に基礎食料の需要は底堅く推移するとともに、消費者のWell-being志向の高まりや嗜好の多様化に伴い、食の質的向上へのニーズも引き続き拡大していくものと見込まれます。 ⑦ S.L.C.グループ中長期的には国内の人口減少・高齢化に伴う消費市場縮小の流れ、短期的には原材料価格の高止まりや金利上昇の影響、加えて、中東情勢による調達への影響や電気代の上昇等も想定されますが、当面は安定した消費動向が続くことにより、対面市場は底堅く推移していく見通しです。また、海外でも、米国や東南アジア等を中心に、人口増加や経済成長に伴う対面市場の伸長や新たな事業機会が見込まれます。 5. 個別重要案件当連結会計年度における重要な個別案件については、「3 事業等のリスク 2.主要なリスクの概要 ⑤事業投資リスク」内の(重要な投資案件)をご参照ください。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 重要性のある会計方針及び見積り財務諸表の作成にあたり、経営者は、決算日における資産及び負債の報告金額、偶発資産及び負債の開示、報告期間における収益及び費用の報告金額に影響を与える様な見積りを行う必要があります。見積りは、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき行っており、他の情報源からは得られない資産及び負債の帳簿価額について当社及び連結子会社の判断の基礎となっています。経営者は見積りが必要となる項目に関する評価は合理的であると判断しています。ただし、これらの評価には経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なることもあります。当社及び連結子会社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目の詳細は、第5 経理の状況 連結財務諸表注記2「(5)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」をご参照ください。 (2) 当連結会計年度の業績の概況当連結会計年度においては、関税をはじめとする米国の通商政策の影響もあり、世界経済は減速しつつも総じて底堅い成長を維持しました。日本経済に関しては、雇用・所得環境が改善する中で個人消費は緩やかな成長を続けたものの、海外経済減速や先行き不透明感を背景とした輸出・設備投資の下押し等を受けて、景気はやや弱含みで推移しました。 このような環境下、当連結会計年度の業績の概況は、以下のとおりとなりました。経営戦略の進捗状況、当連結会計年度以降における主な取り組み、及び経営環境に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。(単位:億円)前連結会計年度当連結会計年度増減主な増減要因収益186,176189,160+2,984ローソン持分法適用会社化に伴う減少の一方、市況上昇による増加売上総利益18,36416,551△1,813ローソン持分法適用会社化に伴う減少販売費及び一般管理費△14,653△12,365+2,288ローソン持分法適用会社化に伴う減少有価証券損益3,056418△2,638前年度に計上したローソン持分法適用会社化に伴う再評価益の反動固定資産除・売却損益1,346△93△1,439前年度に計上した豪州原料炭事業における有形固定資産の売却益の反動固定資産減損損失及び戻入△39△74△35前年度に計上した有形固定資産減損戻入の反動その他の損益-純額765361△404前年度に計上した千代田化工建設関連引当金の戻入の反動金融収益3,4263,267△159貸付金の減少による金利収益の減少金融費用△1,706△1,785△78借入金増加による金利費用増加持分法による投資損益3,3754,679+1,305銅事業における過年度計上した減損損失の一部戻入及び前年度に計上した国内洋上風力発電事業における減損損失等の反動税引前利益13,93410,961△2,973-法人所得税△3,172△1,794+1,378前年度に計上したローソン持分法適用会社化に伴う再評価益に対する税効果の反動当期純利益10,7629,167△1,595-当期純利益(当社の所有者に帰属)(%はROE)9,50710.3%8,0058.5%△1,502△1.8%- ※四捨五入差異により縦計・横計が合わないことがあります(以下同様)。 (3) 当連結会計年度のセグメント別業績概況事業セグメント別の「当社の所有者に帰属する当期純利益」は下表のとおりです。セグメント別の事業内容及び業績の詳細は、第5 経理の状況 連結財務諸表注記6をご参照ください。(単位:億円)前連結会計年度当連結会計年度増減主な増減要因地球環境エネルギー1,9861,609△377[+]LNG北米事業(生産開始に伴う税効果の計上) [-]LNG北米事業/LNG自社持分販売事業(生産開始に伴うコスト先行)、LNGアジアパシフィック事業(市況下落・配当減少)、石油製品関連事業(生産低下に伴う取引減)、次世代エネルギー事業(評価損)マテリアルソリューション683263△420[-]汎用素材事業(サウディ石油化学・基礎化学事業における減損)、北米樹脂建材事業(市況下落)、機能素材事業(減損)、資源素材事業(取引低調)金属資源2,2782,045△233[+]銅事業(過年度減損損失の一部戻入れ・市況上昇) [-]豪州原料炭事業(前年度炭鉱売却の反動・市況下落)社会インフラ398851+453[+]千代田化工建設(前年度米国ゴールデンパスLNGプロジェクト関連損失の反動・当年度契約改定等による採算改善)、北米不動産開発事業(前年度減損・売却損の反動)モビリティ1,124576△548[-]自動車関連事業(持分法投資の減損)、インド自動車関連事業(前年度再編に伴う既存株式再評価益の反動)食品産業924833△91[+]サーモン養殖事業(Grieg Seafood傘下事業取得関連損益・生物資産の公正価値測定方法変更による評価益)、TH FOODS株式売却、国内畜産事業(市況上昇) [-]前年度日本KFCホールディングス株式売却益の反動、前年度PRINCES株式売却益の反動、海外食品原料事業(前年度税金損益の反動)S.L.C.1,850910△940[+]ローソン(過年度配当受領に伴う税効果取り崩し)、三菱食品(TOB成立に伴う持分比率上昇) [-]ローソン(前年度持分法適用会社化に伴う再評価益の反動)電力ソリューション△156434+590[+]国内洋上風力発電事業(前年度減損損失等の反動)、米州電力事業(トレーディング事業利益増加)、欧州総合エネルギー事業(トレーディング事業利益増加) [-]欧州送電事業(前年度英国事業売却益の反動)、国内電力事業(国内発電資産の減損損失) (4) 販売、仕入及び受注の状況① 販売の状況「(2) 当連結会計年度の業績の概況」及び第5 経理の状況 連結財務諸表注記24をご参照ください。 ② 仕入の状況仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しています。 ③ 受注の状況販売までの期間が1年以内の受注は販売と概ね連動しているため、記載は省略しています。販売までの期間が1年超の受注については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記24をご参照ください。 (5) 流動性と資金の源泉① 資金調達方針と流動性マネジメント当社では事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金が確保できることを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融とを機動的に選択・活用しており、その時々でのマーケット状況に応じた有利手段を追求しています。当社は資本市場でのレピュテーションも高く、加えて間接金融についても、メガバンク以外に外銀・生保・地銀等の金融機関とも幅広く好関係を維持しており、調達コストは競争力のあるものとなっています。今後とも長期資金を中心とした資金調達を継続するとともに、経営戦略2027の下、投資の順調な実行等で追加資金が必要となった際は財務健全性を維持できる範囲でレバレッジの活用も検討しながら、十分な流動性の確保を行っていく方針であり、当連結会計年度の資金調達活動としては、同方針に即して調達を行いました。これらの資金調達活動の結果は以下のとおりです。 前連結会計年度末(億円)当連結会計年度末(億円)グロス有利子負債(リース負債除く)46,17057,469ネット有利子負債(同上)30,47238,882長期資金(グロス有利子負債うち長期分)35,34445,153長期資金比率(%)77%79%流動比率(%)149%141% (注)1.当連結会計年度末におけるグロス有利子負債のうち、4,500億円はハイブリッドファイナンスであり、格付機関は残高の50%である2,250億円を資本と同等に扱っています。 2.ネット有利子負債はグロス有利子負債より現金及び現金同等物、並びに定期預金を控除したものです。 翌連結会計年度は、引き続き資金調達ソースの多様化等を通じて、中長期的に安定した調達基盤を維持する方針です。また、連結ベースでの資金効率の向上に向けた取組みも継続します。金融市場の環境は、地政学リスクや主要国の金融政策の変化など、引き続き予断を許さない状況のため、細心の注意を払って対処すべく、現預金等及び銀行融資枠(コミットメントライン)を十分に確保し、流動性を維持してまいります。連結ベースでの資金管理体制については、当社に加え、国内外の金融子会社及び特定の海外現地法人(以下、財務拠点)において集中して資金調達を行い、子会社へ資金供給するというグループファイナンス方針を原則とし、資金調達の一元化による資金効率の向上、流動性の確保を図っています。結果として、当連結会計年度末では、連結有利子負債のうち88%が当社及び財務拠点による調達となっています。当連結会計年度末時点の当社及び財務拠点でコマーシャル・ペーパー及び1年以内に償還を予定している社債を合わせた短期の市場性資金が7,361億円あるのに対して、現預金、コミットメントライン、一年以内に満期の到来する公社債が合計で3兆2,290億円あり、カバー超過額は2兆4,929億円と十分な水準にあると考えています。なお、当社のコミットメントラインについては、協調融資枠として円貨で5,100億円を国内主要銀行より、外貨で主要通貨10億米ドル、ソフトカレンシー1.5億米ドル相当を欧米を中心とした国内外の主要銀行より取得しています。当社ではグローバルな資金調達とビジネスを円滑に行うため、格付投資情報センター(R&I)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody's)、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の3社から格付けを取得しています。当連結会計年度末の当社に対する格付けは以下のとおりです。 R&IMoody'sS&P長期AA(見通し安定的)A2(見通し安定的)A(見通し安定的)短期a-1+P-1A-1 ② 資産及び負債・資本当連結会計年度末の資産及び負債・資本の概況は下表のとおりです。(単位:億円)前連結会計年度末当連結会計年度末増減主な増減要因総資産214,961241,517+26,556- 流動資産87,524101,717+14,193その他の金融資産及びその他の流動資産の増加非流動資産127,437139,800+12,363有形固定資産の増加負債113,418139,011+25,593- 流動負債58,83072,080+13,250その他の流動負債、社債及び借入金の増加非流動負債54,58866,932+12,344社債及び借入金の増加資本101,543102,506+963- 当社の所有者に帰属する持分93,68794,406+719-非支配持分7,8568,100+244- ネット有利子負債(リース負債除く)30,47238,882+8,410- また、セグメントごとの前連結会計年度及び当連結会計年度における情報は以下のとおりです。 (前連結会計年度) (単位:億円) 地球環境エネルギーマテリアルソリューション金属資源社会インフラモビリティ持分法で会計処理される投資9,5623,5186,3036,9365,478その他の投資2,6411,5745,4036341,749有形固定資産及び投資不動産 4,8211,2709,9501,825529無形資産及びのれん421633398856資産合計32,46920,21445,38121,59518,481 (単位:億円) 食品産業S.L.C.電力ソリューションその他、調整・消去連結金額持分法で会計処理される投資2,94910,8515,8191451,430その他の投資1,6383,3884432,37219,842有形固定資産及び投資不動産 2,9526616,14592129,074無形資産及びのれん2,3723553,3482337,589資産合計19,52125,87325,1216,307214,961 (当連結会計年度) (単位:億円) 地球環境エネルギーマテリアルソリューション金属資源社会インフラモビリティ持分法で会計処理される投資7,0513,2609,0306,5285,353その他の投資3,5351,7635,7936022,023有形固定資産及び投資不動産 7,7191,32211,6101,893541無形資産及びのれん53198311,003295資産合計33,39219,71459,95221,73819,427 (単位:億円) 食品産業S.L.C.電力ソリューションその他、調整・消去連結金額持分法で会計処理される投資3,07611,8755,9431352,130その他の投資1,5544,0624262,77922,537有形固定資産及び投資不動産 3,9346347,08392935,665無形資産及びのれん3,3143943,6312169,134資産合計23,34127,45527,3989,101241,517 ③ キャッシュ・フロー当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ3,048億円増加し、1兆8,415億円となりました。キャッシュ・フローの内訳は下表のとおりです。(単位:億円)前連結会計年度当連結会計年度増減当連結会計年度の内訳及び主な増減要因営業活動によるキャッシュ・フロー16,58314,900△1,683(当連結会計年度の内訳)法人所得税の支払いの一方、営業収入や配当収入により資金が増加 (主な増減要因)法人所得税の支払額増加や営業収入の減少投資活動によるキャッシュ・フロー△2,739△4,486△1,747(当連結会計年度の内訳)設備投資や持分法投資の取得により資金が減少 (主な増減要因)前年度のローソン持分法適用会社化に伴う現預金減少の反動の一方、前年度の融資回収及び原料炭事業の一部炭鉱売却収入の反動により減少フリーキャッシュ・フロー13,84410,414△3,430-財務活動によるキャッシュ・フロー△15,307△8,047+7,260(当連結会計年度の内訳)社債・借入による調達の一方、自己株式の取得、配当金の支払い、子会社持分追加取得により資金が減少 (主な増減要因)自己株式の取得による減少の一方、社債・借入による調達増加現金及び現金同等物に係る為替相場変動の影響額226681+455-売却目的保有資産に含まれる現金及び現金同等物の増減額4,088-△4,088前年度のローソン保有現金及び現金同等物の売却目的保有からの振り戻しによる資金の増加の反動現金及び現金同等物の増減2,8503,048+198- 営業収益キャッシュ・フロー9,83710,481+644(当連結会計年度の内訳)リース負債の支払いの一方、当期純利益や配当収入により資金が増加 (主な増減要因)主に減価償却費等や有価証券損益及び固定資産損益を除く当期純利益の増加 財務会計上の営業キャッシュ・フローとは別に、持続的な稼ぐ力とその成長性を測る指標として、運転資金の増減影響を控除した営業キャッシュ・フローに、事業活動における必要資金であるリース負債支払額を反映した「営業収益キャッシュ・フロー」を定義しています。 投資キャッシュ・フローの主な内容は下表のとおりです。新規・更新投資売却及び回収・サーモン養殖事業(食品産業)・天然ガス・LNG関連事業(地球環境エネルギー)・米州電力事業(電力ソリューション)・欧州総合エネルギー事業(電力ソリューション)・米国銅事業(金属資源)・豪州原料炭事業(金属資源)・フィリピンデジタル金融事業(S.L.C.) ・シンガポール医療事業(S.L.C.)・米州電力事業(電力ソリューション)・ペルー銅事業(金属資源)・豪州原料炭事業(金属資源)・北米不動産事業(社会インフラ)・海外食品事業(食品産業)・天然ガス・LNG関連事業(地球環境エネルギー)・ベトナム不動産事業(社会インフラ)・海外水事業(社会インフラ)・国内不動産事業(社会インフラ) 株主還元は、持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を継続し、自己株式の取得も機動的に実施することを基本方針としています。負債による資金調達は、流動性と財務健全性の観点で適切な水準を維持する方針としています。
事業リスク
- 世界経済の変動リスク世界的な景気減速や地域的な経済環境の変化は、個人消費や設備投資に影響を与え、商品市況の変動を通じて三菱商事の経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。米中対立、ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢などの地政学リスクや、各国の通商・金融政策の動向など、不確実性が高く、常に動向を注視する必要があります。
- 商品市況の変動リスクエネルギー資源(原油、LNG)や金属資源(原料炭、銅)の価格変動は、同社の業績に大きな影響を与えます。例えば、原油価格が1バレルあたり1米ドル変動すると、当期純利益が年間24億円増減すると試算されています。商品市況の長期的な低迷は、保有する資産の減損につながる可能性もあります。特に、中東情勢の緊迫化などにより、価格のボラティリティが高い状況が続いています。
- 為替・金利変動リスク輸出入や海外事業投資に伴う外貨建て取引では、為替レートの変動が収益に影響を与えます。米ドル・円レートが1円変動すると、当期純利益が年間約50億円増減すると試算されています。また、有利子負債の多くが変動金利であるため、金利上昇は利息負担増加のリスクがあります。ただし、金利変動の影響を受ける営業債権等との相殺効果も期待されますが、急激な金利上昇には注意が必要です。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】1. リスク管理体制当社では、営業グループと各リスクに対応したコーポレート専門部局が連携し、適切なリスク対応が可能な管理体制を整備しています。なお、以下については当連結会計年度末以降提出日までの管理体制に係る変更等を反映しています。 2. 主要なリスクの概要① 世界マクロ経済環境の変化によるリスク世界的な、又は地域的なマクロ経済環境の変化は、個人消費や設備投資と深く関係し、商品市況にも影響を及ぼします。その結果、当社がグローバルかつ多様な産業領域に展開している事業の商品・製品価格、取扱量やコストなどに変動をもたらし、経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。当連結会計年度においては、関税をはじめとする米国の通商政策の影響もあり、世界経済は減速しつつも総じて底堅い成長を維持しました。当面は緩やかな成長を維持すると見られますが、米中対立、ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢等地政学リスクに加え、米国の通商政策・金融政策の動向、中国景気の弱含み等、不確実性が非常に高く、動向を注視しています。 ② 市場リスク以下「当期純利益」は、「当社の所有者に帰属する当期純利益」を指しています。当期純利益への影響額は、他に記載のない限り、当社の当連結会計年度の連結業績を踏まえて試算した、翌連結会計年度に対する影響額を記載しています。 a. 商品市況リスク当社は、商品の売買取引や、保有する資源エネルギーの権益における生産物の販売、そして関係会社の製造する工業製品の販売などの活動を通じて、様々な商品価格の変動リスクを負っています。特にエネルギー資源及び金属資源の取引においては、売買価格の変動を通じて当社の業績に大きな影響を及ぼします。また、投資の評価においても商品価格が重要なインプットとなる場合があります。特に事業期間が長期に及ぶ場合、短期的な価格の動向よりも中長期的な価格見通しの方が、投資の評価により重要な影響を与えるため、将来の需給環境等のファンダメンタルズや、社外の金融機関等の提供するデータ等を考慮して、商品ごとに当社としての見通しを策定しています。商品市況の長期的な低迷又は上昇が想定される場合には、保有する有形固定資産や持分法で会計処理される投資などの減損及び減損戻入を通じて、業績に影響を与える可能性があります。当社の重要な投資案件については、「⑤ 事業投資リスク(重要な投資案件)」をご参照ください。 (エネルギー資源)当社は北米、東南アジア、豪州等において、天然ガス及び石油の開発・生産事業並びに液化天然ガス(LNG)事業を展開しており、原油・LNG価格は当社の業績に大きな影響を及ぼします。原油(Brent)価格については、OPECプラスによる協調減産の縮小(自主減産の段階的解除)を主因として、概ね1バレル当たり60米ドル前半から70米ドル前半のレンジで推移しましたが、足元においては中東情勢の影響を受け、原油市場は高いボラティリティを示しています。当面の原油価格は、米国・イラン関係及びホルムズ海峡の動向を含む地政学的要因に加え、世界経済の動向等が主要な価格変動要因となる見込みです。なお、当社のLNG販売の大半は長期契約であり、LNG価格は原油価格にリンクしているものが大宗となります。1バレル当たりの原油価格が1米ドル変動すると、当社の当期純利益は主に持分法による投資損益を通じて年間24億円増減すると試算されます。ただし、LNG・原油の価格変動が当社の業績に影響を及ぼすまでにはタイムラグがあるため、価格変動が直ちに業績に反映されるとは限りません。LNGスポット価格については、2025年4月から2026年2月までは、百万Btu(英国熱量単位)当たり9米ドル台から14米ドル台のレンジで推移しました。2026年3月には、中東情勢の緊迫化による影響、具体的にはホルムズ海峡閉鎖やカタールLNGの戦争被害を背景として、20米ドル超まで上昇しました。今後のLNGスポット価格については、原油価格と同様に、中東情勢をはじめとする地政学リスクの動向や、それに起因するリスクプレミアムの影響を受け、高いボラティリティを伴う状況が当面継続するものと見込まれます。 (金属資源)当社は、100%出資子会社の三菱デベロップメント社(MITSUBISHI DEVELOPMENT PTY LTD、本社:豪州ブリスベン、以下MDP社)を通じて、製鉄用の原料炭を販売しており、石炭価格の変動はMDP社の収益を通じて当社の業績に影響を与えます。また、MDP社の収益は、石炭価格の変動の他にも、豪ドル・米ドル・円の為替レートの変動や悪天候、労働争議等の要因にも影響を受けます。銅についても、生産者としての価格変動リスクを負っています。1トン当たりの価格が100米ドル変動すると当期純利益で年間26億円の変動をもたらす(1ポンド当たりの価格が0.1米ドル変動すると当期純利益で年間56億円の変動をもたらす)と試算されますが、粗鉱品位、生産・操業状況、再投資計画(設備投資)等、価格変動以外の要素からも影響を受けるため、銅の価格のみで単純に業績への影響額が算出されない場合があります。 b. 為替リスク当社は、輸出入、及び外国間などの貿易取引において外貨建ての決済を行うことに伴い、円に対する外国通貨レートの変動リスクを負っています。これらの取引では必要に応じて、先物為替予約などによるヘッジ策を講じていますが、それによって完全に為替リスクが回避される保証はありません。また、当社の海外事業に対する投資については、為替変動により、外貨建の受取配当金や海外連結子会社・持分法適用会社の持分損益の円貨換算額が増減するリスクが存在し、外国通貨に対して円高が進むと当期純利益にマイナスのインパクトを与えます。米ドル・円のレートが1円変動すると、当社の当期純利益は年間約50億円増減すると試算されます。加えて、在外営業活動体の換算差額を通じて自己資本が増減するリスクが存在するため、一部の大口の投資については主に先物為替予約を用いたヘッジ策を講じています。 c. 株価リスク当社は、当連結会計年度末時点で、取引先や関連会社を中心に1兆4,406億円(時価)の市場性のある株式を保有しており、株価変動のリスクを負っています。上記の価格は3,486億円の評価益を含んでいますが、株式の動向次第で評価益は減少するリスクがあります。また、当社の企業年金では、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しています。よって、株価の下落は年金資産を目減りさせるリスクがあります。 d. 金利リスク当社の当連結会計年度末時点の有利子負債総額(リース負債除く)は5兆7,469億円であり、一部を除いて変動金利となっているため、金利が上昇する局面では利息負担が増加するリスクがあります。しかし、この有利子負債の相当部分は金利の変動により影響を受ける営業債権・貸付金等と見合っており、金利が上昇した場合には、これらの資産から得られる収益も増加するため、金利の変動リスクは、タイムラグはあるものの、相殺されることになります。また、純粋に金利の変動リスクにさらされている部分についても、見合いの資産からもたらされる取引利益、配当金などの収益は景気変動と相関性が高いため、景気回復の局面において金利が上昇し支払利息が増加した場合には、収益も増加し、結果として影響が相殺される可能性が高いと考えられます。ただし、金利の上昇が急である場合には、利息負担が先行して増加し、その影響を見合いの資産からの収益増加で相殺しきれず、当社の業績は一時的にマイナスの影響を受ける可能性があります。このような金利などの市場動向を注視し、機動的に市場リスク対応を行う体制を固めるため、当社ではALM(Asset Liability Management)委員会で金利変動リスクの管理を行っています。 ③ 信用リスク当社は、様々な営業取引を行うことによって、売掛金、前渡金などの取引与信、融資、保証などの形で取引先に対して信用供与を行うほか、取引先に対する出資も行っており、取引先の信用悪化や経営破綻等による損失が発生する信用リスクを負っています。また、当社は主としてヘッジ目的のためにスワップ、オプション、先物などのデリバティブ取引を行っており、デリバティブ取引の契約先に対する信用リスクを負っています。当社では当該リスクを管理するために、取引先ごとに成約限度額・信用限度額を定めると同時に、社内格付制度を導入し、社内格付と与信額により定めた社内規程に基づき、与信先の信用状態に応じて必要な担保・保証などの取付けを行っていますが、信用リスクが完全に回避される保証はありません。取引先の信用状態悪化に対しては取引縮小や債権保全策を講じ、取引先の破綻に対しては処理方針を立てて債権回収に努めていますが、債権等が回収不能になった場合には当社の業績は影響を受ける可能性があります。 ④ カントリーリスク当社は、海外の会社との取引や出資において、国の政治・経済・社会情勢に起因した、代金回収や事業遂行の遅延・不能等が発生するカントリーリスクを負っています。当社はリスクの集中度を検証し必要な対応策を検討・実施すべく、コーポレート担当役員(CFO)を委員長とするALM委員会で国別ポートフォリオやリスク状況の定期モニタリングを行っています。また、各種リスク要因を踏まえた各国ごとのリスクシナリオを把握した上で、個別案件のカントリーリスクについて、保険を付保するなど、案件の状況に応じて適切なリスクヘッジ策を講じています。ロシア、ウクライナ両国宛てリスクについても、同様に管理しています。しかしながら、上記のようなリスクヘッジ策を講じていても、当社の取引先や出資先若しくは進行中のプロジェクト所在国の政治・経済・社会情勢の悪化によるリスクを完全に回避することは困難です。そのような事態が発生した場合、当社の業績は影響を受ける可能性があります。なお、ロシア・ウクライナ情勢の影響については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記2 「(5)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」をご参照ください。 ⑤ 事業投資リスク当社は、株式・持分を取得して当該企業の経営に参画し、商権の拡大やキャピタル・ゲイン獲得などを目指す事業投資活動を行っていますが、この事業投資に関連して投下資金の回収不能、撤退の場合に追加損失が発生するリスク、及び計画した利益が上がらないなどのリスクを負っています。事業投資リスクの管理については、新規の事業投資を行う場合には、投資の意義・目的を明確にした上で、リスクを定量的に把握し、事業毎の期待収益率などを踏まえて意思決定を行っています。投資実行後は、事業投資先ごとに、毎年定期的に「経営計画書」を策定しており、投資目的の確実な達成のための管理を行う一方、計画した収益を上げていない先については、持分売却・清算による撤退を含め、保有方針を明確にすることで、効率的な資産の入替を行っています。 このような投資評価の段階での案件の選別、投資実行後の管理を厳格に行っていますが、期待する利益が上がらないというリスクを完全に回避することは困難であり、事業環境の変化や案件からの撤退等に伴い、当社の業績は影響を受ける可能性があります。 なお、事業投資に含まれる商品市況リスクについては、「② a. 商品市況リスク」をご参照ください。 (重要な投資案件)a. 豪州原料炭及びその他の金属資源権益への投資当社は、1968年11月にMDP社を設立し、炭鉱開発(製鉄用の原料炭)に取り組んできました。2001年には、MDP社を通じ、約1,000億円で豪州クイーンズランド州BMA原料炭事業(以下、BMA)の50%権益を取得し、パートナーのBHP社(BHP Group Limited、本社:豪州メルボルン)と共に世界最大規模の原料炭事業を運営しています。また、当連結会計年度末時点のMDP社の有形固定資産帳簿価額は11,606億円となっています。 b. チリ銅資産権益への投資当社は、アングロ・アメリカン社(Anglo American Plc、本社:英国ロンドン、以下アングロ社)、チリ国営の銅生産会社であるCorporación Nacional del Cobre de Chile社(本社:チリ国サンチャゴ、以下コデルコ社)と三井物産株式会社の合弁会社(以下、合弁会社)と共に、チリ国銅資源権益保有会社アングロ・アメリカン・スール社(Anglo American Sur S.A.、本社:チリ国サンチャゴ、以下アングロスール社)の株式を保有しています。アングロスール社への出資比率は、アングロ社グループが50.1%、合弁会社が29.5%、当社グループが20.4%となっており、当社の取得額は45.1億米ドルです。同社は、チリ国内にロスブロンセス銅鉱山、エルソルダド銅鉱山、チャグレス銅製錬所、並びに大型の未開発鉱区等の資産を保有しています(同社合計の2025年銅生産量実績は約21万トン)。当社はアングロスール社への投資に対して持分法を適用しています。同社宛ての投資に関しては、持分法で会計処理される投資として減損の兆候判定を行っています。同社の生産・開発計画は長期間に及び、短期的な価格動向よりも中長期的な価格見通しの方が、投資評価により重要な影響を与えるため、最新の銅価見通しや開発計画を含め、中長期的な観点から評価し判断しています。当連結会計年度では、過年度に認識した減損損失の一部の戻入れとして532億円を「持分法による投資損益」を通じて計上し、当連結会計年度末の帳簿価額は2,165億円となっています。詳細については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記39をご参照ください。 c. ペルー銅資産権益への投資当社は、アングロ社と共同で、ペルー共和国ケジャベコ銅鉱山プロジェクト(以下、ケジャベコ)の権益保有会社であるアングロ・アメリカン・ケジャベコ社(Anglo American Quellaveco S.A.、本社:ペルー共和国リマ、以下AAQ社)の権益40%を保有しています。ケジャベコは約7.3百万トン(銅分換算)の埋蔵量を見込む大規模鉱山で、高いコスト競争力を有しており、2022年に銅精鉱の生産を開始しました(2025年銅生産量実績は約31万トン)。当社はAAQ社への投資に対して持分法を適用しています。AAQ社宛ての投資に関しては、持分法で会計処理される投資として減損の兆候判定を行っています。ケジャベコの生産計画は長期間に及び、短期的な価格動向よりも中長期的な価格見通しの方が、投資評価により重要な影響を与えるため、最新の銅価見通しや開発計画を含め、中長期的な観点から評価し判断しています。当連結会計年度末の投資及びAAQ社に対する融資額の帳簿価額は5,235億円となっています。 d. モントニー・シェールガス開発プロジェクト/LNGカナダプロジェクト当社は、カナダにおいて上流資源開発からLNGの生産・輸出販売に至る天然ガスバリューチェーンを構築しています。上流事業として、パートナーのOvintiv社と共に、当社100%出資子会社のCUTBANK DAWSON GAS RESOURCES LTD.(以下、CDGR社)を通じてシェールガスの開発事業を行っています。当社グループの権益保有比率は40%で、当連結会計年度末時点のCDGR社の有形固定資産帳簿価額は2,840億円となっています。なお、CDGR社における共同支配の取決めについては、第5 経理の状況 連結財務諸表注記12をご参照ください。 また、生産された天然ガスの一部をLNGとして輸出販売するため、LNGカナダプロジェクトに参画しています。同プロジェクトは、年間1,400万トンの生産能力を持つ天然ガス液化設備を建設し、日本など東アジアの需要国向けにLNGを輸出販売する事業で、2025年6月から生産を開始しています。当社は子会社であるDiamond LNG Canada傘下のDiamond LNG Canada Partnershipを通じて参画しており、パートナーであるShell社、Petronas社、PetroChina社、韓国ガス公社と共に同プロジェクトを推進しています。当連結会計年度末時点のDiamond LNG Canadaの有形固定資産帳簿価額は4,287億円、使用権資産帳簿価額は2,364億円となっています。 e. ローソン社への出資当社は、2017年に株式会社ローソン(以下、ローソン社)の発行済株式数の16.6%を株式公開買付けにより取得し、それまで保有していた33.4%と併せて、発行済株式の過半数を保有することとなり、同社を連結子会社としました。その後、KDDI株式会社(以下、KDDI)による同社株式の公開買付け(2024年4月25日付完了)及び同社株式の株式併合を用いたスクイーズアウト手続きを経て、2024年8月15日付で当社及びKDDIの出資比率を50%へ調整しました。これに伴い、株主間契約の効力が発生したことにより、当社は同社に対する単独支配を喪失し、同社を共同支配企業に分類しています。当連結会計年度末のローソン社宛て投資の帳簿価額は5,026億円となっています。詳細については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記38をご参照ください。ローソン社は、コンビニエンスストア「ローソン」のフランチャイズシステム及び直営店舗の運営を行うとともに、海外コンビニエンス事業及びそれ以外の周辺事業を運営しています。ローソン社の店舗網は、2026年2月末時点で、日本全国に約14,700店、海外に約7,800店の合計約22,500店の規模になっています。 f. Enecoへの投資当社は、2020年3月に、中部電力株式会社と共同で設立したDiamond Chubu Europe B.V.を通じて、欧州で総合エネルギー事業を展開するN.V. Eneco(以下、Eneco)の100%の株式を約5,000億円で取得しました。Enecoは、再生可能エネルギー(以下、再エネ)開発・供給事業、トレーディング事業、小売・新サービス事業それぞれの事業分野で高い競争力・適応力を有する総合エネルギー事業会社です。当社は、Enecoの再エネに関する技術力・ノウハウを活用し、欧州及び欧州外で再エネ開発を加速させ、経済価値、社会価値、環境価値の三価値同時実現に資する取り組みを強化する方針です。電力需要や欧州マクロ経済が低迷する場合には、Enecoの業績や、取得時に認識したのれんの減損などを通じて当社の業績に影響を与える可能性があります。当連結会計年度末の「のれん」の帳簿価額は1,670億円(持分比率勘案前)となっています。詳細については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記14をご参照ください。 ⑥ コンプライアンスに関するリスク当社は、国内外で多くの拠点を持ち、あらゆる産業を事業領域としてビジネスを展開していることから、関連する法令・規制は多岐にわたっています。具体的には日本の会社法、税法、金融商品取引法、独占禁止法、贈収賄関連諸法、安全保障貿易管理等貿易関連及び制裁関連諸法、環境関連諸法や各種業法を遵守する必要があり、また海外で事業を展開する上では、それぞれの国・地域での法令・規制に従う必要があります。特に、足元ではロシア・ウクライナ情勢に起因する各国経済制裁が導入・強化されていますが、当社はその動向を適時にフォローし、チーフ・コンプライアンス・オフィサーを当社最高責任者として、適切な対応を行っています。当社はコンプライアンス委員会を設け、その委員会を統括するチーフ・コンプライアンス・オフィサーが連結ベースでの法令・規制遵守を指揮・監督しています。その指揮・監督の下、各営業グループ・部門のコンプライアンス・オフィサーが、固有のコンプライアンス施策の立案・実施をするなど、コンプライアンス意識を高めることに努めています。また、当社は、子会社及び関連会社(上場会社は除く)に対して、当社と同等の水準で各社に適したコンプライアンス管理体制を構築させ、又はさせるように努めています。しかしながら、このような施策を講じてもコンプライアンス上のリスクは完全に回避できない可能性があり、関連する法令・規制上の義務を実行できない場合には、当社の業績は影響を受ける可能性があります。 ⑦ 危機事象発生による人命への被害・事業中断等のリスク地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、新型インフルエンザ・新型コロナウイルス等の新興感染症、重大事故、テロ・暴動、サプライチェーンの遮断、法令違反・サイバー事故、東アジア・欧州・中東等における地政学的要因による有事発生、その他国内外における危機的な事象が発生した場合、当社の社員・事業所・設備やシステムなどに対する被害が発生し、営業・生産活動に支障が生じる可能性があります。当社では、緊急危機対策本部を設置し、危機発生時における当社関係者の安全確保・安否確認等の初動対応、重要業務の事業継続計画(BCP)の整備、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む)、定期訓練、必要物資の備蓄等の各種対策を講じています。また、あらゆる事象を想定したリスク・影響度分析に基づく初動対応・事業継続計画(BCP)の策定、継続的なPDCAサイクルの実施等の包括的なマネジメント活動である事業継続マネジメント(BCM)を推進し、各種危機に備えています。しかし、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、かかる事象の発生時には当社の業績は影響を受ける可能性があります。 ⑧ 気候変動に関するリスク「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」の「2. リスク管理」に記載しています。