有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。 ■ 会社の経営の基本方針当社グループでは、「インパクトと利益の二項対立を乗り越える」というビジョンを掲げ、「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」という経営理念に基づき、「すべての人が『しあわせ』を感じられるインクルーシブな社会を共に創る」をミッションとしています。この実現には、私たちだけでなく、ステークホルダーの皆さまとの共創が必要です。当社グループでは、お客さまをはじめ、株主・投資家の皆さま、地域・社会、お取引先さま、社員、将来世代すべてのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」の調和を企業価値としています。ステークホルダーの皆さまと共創する共創経営を進めることで、この企業価値の拡大とビジョンの実現をめざしています。当社グループの「共創経営」の詳細については、「共創経営レポート2023」「VISION BOOK 2050」をご覧ください。 共創経営レポート(https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/lib/i-report.html)VISION BOOK 2050(https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/lib/s-report.html) ■ 経営ビジョン&戦略ストーリー2031について2031年の創業100周年に向けて、「経営ビジョン&戦略ストーリー2031」を策定しています。経営ビジョンとして高い目標を掲げ、そこからバックキャスティングして戦略ストーリーを構築し、ビジョン・インパクト・事業戦略を連動させることで社会的価値の創出を実現していきます。 1)経営ビジョン当社グループでは、2031年に向けた経営ビジョンとして「『好き』が駆動する経済」を掲げました。「好き」が駆動する経済とは、「機能と価格」という2軸で規定される「コスパ経済」の対極に位置する概念であり、一人ひとりの感情や価値観、つまり「好き」が原動力となるもう一つの経済のあり方です。この経営ビジョンの実現に向けて、これまでの小売・フィンテック・未来投資による三位一体のビジネスから、「好き」を中心に、小売やフィンテック、共創投資のノウハウ、そして、店舗やクレジットカードなどのアセットを活用する「好き」を応援するビジネスへと転換していきます。この「好き」を応援するビジネスを軸に、社会的なインパクトと利益の両立をめざすとともに、高成長と高還元の実現をめざします。 2)戦略ストーリー2031 「『好き』を応援するビジネス」を通じてめざすインパクトと、その実現に向けた戦略は以下のとおりです。 (「好き」を通じて誰かのため、社会のためへと広がる消費)・「好き」を応援するビジネスの目的は、「好き」を応援することで「自分のため」の消費が「誰かのため」となり、やがて「社会のため」へと広がっていくことでインパクトと利益を両立させることにあります。 ・当社グループの「好き」を応援するカードでは、ご利用を通じて応援したい相手に寄付ができるカードの会員が拡大しており、「誰かのため」に「寄付」することにしあわせを感じる新しいタイプの消費者が、今後もますます増えていくと予想されます。・新しいタイプの消費者にお応えすることで差別化戦略を進め、「好き」を応援するカードの会員数を2031年3月期には300万人まで拡大し、2041年3月期にはゴールドカードの会員数を上回ることをめざします。 (「好き」を応援するファイナンシャル・エンパワーメント)・当社グループはこれまで若者の自己実現を応援してきましたが、今後は「好き」を応援するファイナンシャル・エンパワーメントを通じて、すべての人の自己実現を支援していきます。・これまでのフィンテックのビジネスでは、丸井の店舗がある大都市圏を中心とした地域で「信用の共創」によりクレジットカードを発行してきましたが、今後はその対象範囲を広げ、地域を問わず、「好き」を応援するカード・イベント・グッズをかけ合わせた「『好き』を応援するユニット」を軸に全国展開を通じて会員募集を行います。・また、今後拡大する自営業、スタートアップ、フリーランスなどの多様な働き方に対する「オーナーカード」、「ランサーズカード」、日本で働く外国人の方々に対する、協業を通じた「GTNカード」を含め、会員を拡大します。(支援戦略)・これまでの自主売場・PB商品に代わる新たな顧客接点として、コンパクトな面積で、高い集客力や会員募集力、客単価や利益率の向上が期待できる「好き」を応援するユニットを全国主要都市に展開することで、インパクトと利益の両立を実現します。・また、当社グループはこれまでDXを通じた顧客体験の向上をめざして、UXの先進企業でもあるグッドパッチ社との合弁会社や新たに設立したマルイユナイトを通じて、専門人材の採用を進めるとともにアジャイルな開発体制を整備してきました。・今後はプロフェッショナル人材の活躍を通じて、デジタルのUXと「好き」を応援するユニットによるリアルの体験を融合した独自の体験価値を提供することでロイヤルカスタマー化を推進します。 (「フロー」を通じた創造性の発揮)・当社グループでは、能力と挑戦、創造性としあわせ、というビジネスにとって重要な要素を包括的にとらえることのできる「フロー」という概念に注目し、社員一人ひとりの働きがいと組織活力を高める取り組みを行ってきました。・今後は、「好き」を応援するコンクールなどを通じて自分の「好き」を仕事に活かす機会を増やし、創造性を発揮することで、アイデアやナレッジ、ノウハウなどの無形資産を活かしたビジネスを拡大し、2031年3月期までに無形資産比率を70%以上に高めることで企業価値の向上をめざします。 (ソーシャル・イントラプレナーによる事業開発)・社外の起業家とのイノベーションの創出に加え、「会社にいながら社会を変えられるソーシャル・イントラプレナー(社内起業家)」の活躍を促すために、ビジネスプロデュース推進室を設置し、さまざまな働き方を通じて社内外から人材を募集し事業開発を進めます。・中長期的な人材育成のため「ソーシャル・イントラプレナー育成財団」を設立し、大学生、中高生向けに講座を提供します。将来的には受講者の当社グループへの入社やプロジェクトへの参加を通じ、当社グループの事業開発にも活かしていきます。(探究領域)・「好き」を応援するビジネスのグローバル化に取り組み、まずは「世界から見た『好き』の対象としての日本」というテーマで世界中から人材を募集し事業開発を進めます。 3)リスク(金利上昇による金融費用増加への対応)・分割・リボ手数料については、2025年10月より手数料率を変更し、収益の増加を見込んでいます。・調達金利については、平均調達年限を短縮することで調達利率の低減を図るとともに、格付の向上をめざして格付機関との対話を強化し、金融費用の増加抑制に取り組みます。 4)資本政策と株主還元・2031年3月期には、バランスシートが1.5兆円規模に拡大する見通しとなり、セグメント別では小売の自己資本比率が50%と、当社グループが最適とする35%から乖離が見込まれるため、300億円の資本最適化をすることで連結自己資本比率16%を目標にバランスシートの見直しを進めます。・株主還元方針については、2031年3月期に向けてROE15%以上をめざすことを鑑み、株主資本配当率(DOE)10%としています。・資本配分については、6年間の基礎営業キャッシュ・フロー3,500億円を、成長投資として既存事業に900億円、DX投資・事業開発などの未来投資に600億円、資本最適化に向けた自己株式取得に300億円、株主還元に1,700億円を配分する計画です。・人的資本投資として700億円を予定しており、これを含めた高成長に向けた投資額は、合計で2,200億円となります。 □ 資本配分(26年3月期~31年3月期) 5)KPI2031年3月期におけるKPIはPBR3~4倍、EPS成長率は年率9%以上、TSR成長率は年率12%以上の高成長・高還元の実現をめざします。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。 ■ 会社の経営の基本方針当社グループでは、「インパクトと利益の二項対立を乗り越える」というビジョンを掲げ、「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」という経営理念に基づき、「すべての人が『しあわせ』を感じられるインクルーシブな社会を共に創る」をミッションとしています。この実現には、私たちだけでなく、ステークホルダーの皆さまとの共創が必要です。当社グループでは、お客さまをはじめ、株主・投資家の皆さま、地域・社会、お取引先さま、社員、将来世代すべてのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」の調和を企業価値としています。ステークホルダーの皆さまと共創する共創経営を進めることで、この企業価値の拡大とビジョンの実現をめざしています。当社グループの「共創経営」の詳細については、「共創経営レポート2023」「VISION BOOK 2050」をご覧ください。 共創経営レポート(https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/lib/i-report.html)VISION BOOK 2050(https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/lib/s-report.html) ■ 経営ビジョン&戦略ストーリー2031について2031年の創業100周年に向けて、「経営ビジョン&戦略ストーリー2031」を策定しています。経営ビジョンとして高い目標を掲げ、そこからバックキャスティングして戦略ストーリーを構築し、ビジョン・インパクト・事業戦略を連動させることで社会的価値の創出を実現していきます。 1)経営ビジョン当社グループでは、2031年に向けた経営ビジョンとして「『好き』が駆動する経済」を掲げました。「好き」が駆動する経済とは、「機能と価格」という2軸で規定される「コスパ経済」の対極に位置する概念であり、一人ひとりの感情や価値観、つまり「好き」が原動力となるもう一つの経済のあり方です。この経営ビジョンの実現に向けて、これまでの小売・フィンテック・未来投資による三位一体のビジネスから、「好き」を中心に、小売やフィンテック、共創投資のノウハウ、そして、店舗やクレジットカードなどのアセットを活用する「好き」を応援するビジネスへと転換していきます。この「好き」を応援するビジネスを軸に、社会的なインパクトと利益の両立をめざすとともに、高成長と高還元の実現をめざします。 2)戦略ストーリー2031 「『好き』を応援するビジネス」を通じてめざすインパクトと、その実現に向けた戦略は以下のとおりです。 (「好き」を通じて誰かのため、社会のためへと広がる消費)・「好き」を応援するビジネスの目的は、「好き」を応援することで「自分のため」の消費が「誰かのため」となり、やがて「社会のため」へと広がっていくことでインパクトと利益を両立させることにあります。 ・当社グループの「好き」を応援するカードでは、ご利用を通じて応援したい相手に寄付ができるカードの会員が拡大しており、「誰かのため」に「寄付」することにしあわせを感じる新しいタイプの消費者が、今後もますます増えていくと予想されます。・新しいタイプの消費者にお応えすることで差別化戦略を進め、「好き」を応援するカードの会員数を2031年3月期には300万人まで拡大し、2041年3月期にはゴールドカードの会員数を上回ることをめざします。 (「好き」を応援するファイナンシャル・エンパワーメント)・当社グループはこれまで若者の自己実現を応援してきましたが、今後は「好き」を応援するファイナンシャル・エンパワーメントを通じて、すべての人の自己実現を支援していきます。・これまでのフィンテックのビジネスでは、丸井の店舗がある大都市圏を中心とした地域で「信用の共創」によりクレジットカードを発行してきましたが、今後はその対象範囲を広げ、地域を問わず、「好き」を応援するカード・イベント・グッズをかけ合わせた「『好き』を応援するユニット」を軸に全国展開を通じて会員募集を行います。・また、今後拡大する自営業、スタートアップ、フリーランスなどの多様な働き方に対する「オーナーカード」、「ランサーズカード」、日本で働く外国人の方々に対する、協業を通じた「GTNカード」を含め、会員を拡大します。(支援戦略)・これまでの自主売場・PB商品に代わる新たな顧客接点として、コンパクトな面積で、高い集客力や会員募集力、客単価や利益率の向上が期待できる「好き」を応援するユニットを全国主要都市に展開することで、インパクトと利益の両立を実現します。・また、当社グループはこれまでDXを通じた顧客体験の向上をめざして、UXの先進企業でもあるグッドパッチ社との合弁会社や新たに設立したマルイユナイトを通じて、専門人材の採用を進めるとともにアジャイルな開発体制を整備してきました。・今後はプロフェッショナル人材の活躍を通じて、デジタルのUXと「好き」を応援するユニットによるリアルの体験を融合した独自の体験価値を提供することでロイヤルカスタマー化を推進します。 (「フロー」を通じた創造性の発揮)・当社グループでは、能力と挑戦、創造性としあわせ、というビジネスにとって重要な要素を包括的にとらえることのできる「フロー」という概念に注目し、社員一人ひとりの働きがいと組織活力を高める取り組みを行ってきました。・今後は、「好き」を応援するコンクールなどを通じて自分の「好き」を仕事に活かす機会を増やし、創造性を発揮することで、アイデアやナレッジ、ノウハウなどの無形資産を活かしたビジネスを拡大し、2031年3月期までに無形資産比率を70%以上に高めることで企業価値の向上をめざします。 (ソーシャル・イントラプレナーによる事業開発)・社外の起業家とのイノベーションの創出に加え、「会社にいながら社会を変えられるソーシャル・イントラプレナー(社内起業家)」の活躍を促すために、ビジネスプロデュース推進室を設置し、さまざまな働き方を通じて社内外から人材を募集し事業開発を進めます。・中長期的な人材育成のため「ソーシャル・イントラプレナー育成財団」を設立し、大学生、中高生向けに講座を提供します。将来的には受講者の当社グループへの入社やプロジェクトへの参加を通じ、当社グループの事業開発にも活かしていきます。(探究領域)・「好き」を応援するビジネスのグローバル化に取り組み、まずは「世界から見た『好き』の対象としての日本」というテーマで世界中から人材を募集し事業開発を進めます。 3)リスク(金利上昇による金融費用増加への対応)・分割・リボ手数料については、2025年10月より手数料率を変更し、収益の増加を見込んでいます。・調達金利については、平均調達年限を短縮することで調達利率の低減を図るとともに、格付の向上をめざして格付機関との対話を強化し、金融費用の増加抑制に取り組みます。 4)資本政策と株主還元・2031年3月期には、バランスシートが1.5兆円規模に拡大する見通しとなり、セグメント別では小売の自己資本比率が50%と、当社グループが最適とする35%から乖離が見込まれるため、300億円の資本最適化をすることで連結自己資本比率16%を目標にバランスシートの見直しを進めます。・株主還元方針については、2031年3月期に向けてROE15%以上をめざすことを鑑み、株主資本配当率(DOE)10%としています。・資本配分については、6年間の基礎営業キャッシュ・フロー3,500億円を、成長投資として既存事業に900億円、DX投資・事業開発などの未来投資に600億円、資本最適化に向けた自己株式取得に300億円、株主還元に1,700億円を配分する計画です。・人的資本投資として700億円を予定しており、これを含めた高成長に向けた投資額は、合計で2,200億円となります。 □ 資本配分(26年3月期~31年3月期) 5)KPI2031年3月期におけるKPIはPBR3~4倍、EPS成長率は年率9%以上、TSR成長率は年率12%以上の高成長・高還元の実現をめざします。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。 (1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。 (連結業績)・EPSは158.4円(前年比+11%、前年差+15.2円)、利益の増加により前年を上回り、過去最高となりました。ROEは11.6%(前年差+1.0%)と株主資本コスト(5.6%)を上回り、ROICは4.0%(前年差+0.2%)と資本コスト(WACC 2.6%)を上回りました。 ※ 企業会計基準第29号(収益認識に関する会計基準)等適用後の数値を記載しています。 ・グループ総取扱高は5兆3,921億円(前年比+9%、前年差+4,653億円)、フィンテックのカードクレジット取扱高が全体をけん引し、過去最高となりました。・売上収益は2,769億円(前年比+9%)、営業利益は502億円(前年比+13%)、経常利益は427億円(前年比+7%)、当期利益は285億円(前年比+7%)と5期連続の増収増益となりました。 ※「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」において、億円単位で記載している金額は億円未満を四捨五入しています。 ※ 企業会計基準第29号(収益認識に関する会計基準)等適用後の数値を記載しています。 営業利益増減の内訳・債権流動化による債権譲渡益を82億円(前年差+2億円)、償却額・費用等を105億円(前年差+25億円)計上したこと、また、カードキャッシングの利息返還に備えて利息返還損失引当金繰入額を15億円(前年差+15億円)計上したことにより、営業利益は38億円減少しました。・上記の特殊要因を除いた実質的な営業利益は95億円の増益(小売+26億円、フィンテック+68億円)となりました。 □ 営業利益増減の内訳 (セグメント別の状況)・小売セグメントの営業利益は前年を26億円上回る112億円(前年比+30%)、ROICは4.2%(前年差+1.1%)となりました。・フィンテックセグメントの営業利益は前年を30億円上回る470億円(前年比+7%)、ROICは4.7%(前年差△0.1%)となりました。 □ セグメント別の売上収益・営業利益 ※ 企業会計基準第29号(収益認識に関する会計基準)等適用後の数値を記載しています。 <小売セグメント>・マルイ・モディ店舗においては、リアル店舗ならではの価値創出をめざして、「売ること」を目的としない体験型テナントやスクール、飲食・サービスなどの導入を進め、非物販テナントの面積構成は70%(前年差+5%)となり、カテゴリー転換が着実に進みました。新たなテナントの導入により店舗の未稼働区画の面積は減少し、施設のバリューアップが進んだことから、営業利益は5期連続の増益となりました。 □ 非物販テナント構成の推移 ・お客さまがいつご来店されても楽しんでいただける店舗をめざし、イベントフルな店づくりを進めています。全国のマルイ・モディの出店スペースの検索から契約までをオンラインで完結することができるマルイの出店サービス「OMEMIE(おめみえ)」により、新規テナントの導入が進んでいます。その結果、新たなテナントが提供するサービスの体験会やワークショップなど、イベントのバリエーションが広がっています。 <フィンテックセグメント>・戦略的に進めている「家計シェア最大化」の取り組みにより家賃払いでのご利用、公共料金などの定期払いが伸長したことで、第4四半期のカードクレジット取扱高は1兆2,628億円(前年比+10%)、通期では4兆9,640億円(前年比+10%)とそれぞれ過去最高となりました。 □ カードクレジット取扱高の推移 ・分割・リボ取扱高は4,732億円(前年比+10%)と拡大し、流動化債権を含む分割・リボ払い残高は過去最高の4,994億円(前年比+6%)となりました。・エポスカードの新規会員数は87万人(前年差+6万人)、期末会員数は830万人(前年差+41万人)と、それぞれ過去最高となりました。・これまで事業の成長をけん引してきたゴールドカードに加えて、一人ひとりの「好き」を応援するカードの取り組みを強化しています。「好き」を応援するカードは、一般カードに比べて若者の保有比率が高く、LTV(生涯利益)が2~7倍高いカードとなっています。アニメ・ゲームやエンターテインメントとのコラボレーションカードは、熱量の高いファンが多く、SNSなどを通じて認知が広まりやすい特性もあり、ネット入会との親和性が高いことが特徴です。この「好き」を応援するカードは、フィンテックだけでなく、小売や共創投資に携わる社員からも提案が生まれており、企画数は全156企画に拡大しています。店舗では「好き」を応援するカードと連動したイベントなど、リアルでの体験の場を提供したり、ECではコラボグッズを開発・販売するなど、カード・店舗・ECを持つ当社グループならではの取り組みを行うことで、独自の体験価値を提供しています。これらの取り組みにより、「好き」を応援するカードの新規会員数は38万人(前年差+4万人)、期末会員数は138万人(前年差+26万人)となりました。今後もグループ一体となって取り組みを強化することで、ロイヤリティの高い会員を拡大し、取扱高や新規入会数のさらなる拡大につなげていきます。 □ 新規入会の推移 ※ 前年比:業界・エポスカードともに、1月~12月の12カ月間の新規カード発行枚数の前年比 □ カード会員数の推移 (LTVの安定性を表す指標)当社グループの収益構造はこれまでのビジネスモデルの転換にともない、店舗の不動産賃貸収入やカード手数料をはじめとする「リカーリングレベニュー(継続的収入)」が拡大し、売上・利益に占める構成が大きくなりました。お客さま・お取引先さまとの契約に基づく継続的収入であるリカーリングレベニューからは、翌期以降の将来収益を「成約済み繰延収益」としてとらえることが可能であり、収益の安定性を測る指標として使用できます。これらは、LTVを重視した当社グループの長期視点の経営において重要な要素であると考えています。 ・当期のリカーリングレベニュー(売上総利益ベース)は1,651億円(前年比+9%)となり、売上総利益に占める割合は67.1%(前年差+0.3%)となりました。・当期末の成約済み繰延収益は4,757億円(前年比+19%)となり、当期の売上総利益の約1.9倍の将来収益が見込まれています。なお、成約済み繰延収益の算出は、不動産賃貸収入は契約年数、分割・リボ手数料やカードキャッシング利息は返済期間、加盟店手数料(リカーリング分)はカード有効期間、家賃保証は保証期間をもとに行っています。 □ LTV経営の指標 (注)売上総利益ベースのリカーリングレベニュー、およびその構成を算出する際の売上総利益には、販管費戻り(お取引先さまから継続的にいただく経費)を含めています。 (財政状態)・営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)は、カードクレジット取扱高の拡大などにより7,137億円(前年差+839億円)となりました。総資産は1兆1,413億円(前年差+879億円)となりました。・有利子負債(リース債務を除く)は7,163億円(前年差+798億円)となりました。・自己資本は2,442億円(前年差△20億円)となり、自己資本比率は21.4%(前年差△2.0%)となりました。 □ バランスシートの状況 (キャッシュ・フローの状況)・営業キャッシュ・フローは、460億円の支出(前期は45億円の支出)となりました。営業キャッシュ・フローから営業債権等の増減を除いた基礎営業キャッシュ・フローは、税引前利益は増加したものの、法人税の支払が増加したことなどにより、前期より46億円減少し、451億円の収入となりました。・投資キャッシュ・フローは、固定資産や投資有価証券の取得による支出198億円、固定資産や投資有価証券の売却による収入195億円などにより10億円の支出(前期は137億円の支出)となりました。・財務キャッシュ・フローは、有利子負債の増加による809億円の収入や自己株式の取得による支出77億円、配当金の支払214億円などにより513億円の収入(前期は28億円の収入)となりました。 □ キャッシュ・フローの状況 (注) 当社グループでは営業キャッシュ・フローから営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)等の増減を控除した「基礎営業キャッシュ・フロー」を収益性・健全性の指標としています。 (生産、受注及び販売の状況)① 生産の状況連結財務諸表提出会社および関係会社において、該当事項はありません。 ② 受注の状況小売およびフィンテックの一部において受注による営業を行っており、当連結会計年度の受注額は11,944百万円(前年同期比80.1%)、当連結会計年度末の受注残高は7,028百万円(同88.0%)です。 ③ 販売の状況当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称金額(百万円)前年比(%)小売 定期借家テナント収入等47,291106.2商品売上高2,522132.6受託販売手数料(純額)5,955103.5消化仕入売上高(純額)3,990100.2関連事業収入21,277109.9小売計81,037107.3フィンテック195,824109.5合計276,862108.8 (注) 1 上記の金額は、外部顧客に対する売上収益を示しています。2 小売の販売実績は、2016年3月期より「消化仕入売上高」、2021年3月期より「受託販売売上高」の利益相当額を売上収益に計上する方法に変更しています。従来基準(2015年3月期以前)での売上収益に付随する販売実績(取扱高)は、354,169百万円(前年比109.2%)です。 ④ 仕入の状況当連結会計年度における商品仕入実績は次のとおりです。 セグメントの名称金額(百万円)前年比(%)小売2,038136.6 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。 ② 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの状況の分析「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しています。資本の財源および資金の流動性については「3 事業等のリスク」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 金融商品関係」に記載しています。 ■ 非財務情報と財務情報のコネクティビティ当社グループは、企業価値向上のため、ステークホルダーとの建設的な対話に資すると考えられる有益な情報については、財務情報・非財務情報にかかわらず、積極的に開示を行うことをポリシーとしています。有価証券報告書においては、リカーリングレベニュー(継続的収入)といった当社グループが経営上重要と考えているLTV(生涯利益)に関する指標やサステナビリティなどの非財務情報を開示しています。これらの非財務情報は、当社グループの企業価値の向上や毀損等をステークホルダーが評価するために有益な情報であり、非財務情報の基礎となるデータおよび仮定は連結財務諸表をはじめとした財務情報の作成において、関連する会計上の見積り等に影響を及ぼすため、当社グループは上記の情報間のコネクティビティを重視しています。具体的には、非財務情報の基礎データおよび仮定については、関連する財務情報の基礎データおよび仮定と同一のものを用いることで、非財務情報と監査証明の対象である財務情報のコネクティビティを確保しています。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。 ■ 会社の経営の基本方針当社グループでは、「インパクトと利益の二項対立を乗り越える」というビジョンを掲げ、「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」という経営理念に基づき、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブな社会をステークホルダーの皆さまと共に創ることをミッションとしています。この実現には、私たちだけでなく、ステークホルダーの皆さまとの共創が必要です。当社グループでは、お客さまをはじめ、株主・投資家の皆さま、地域・社会、お取引先さま、社員、将来世代すべてのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」の調和を企業価値としています。ステークホルダーの皆さまと共創する共創経営を進めることで、この企業価値の拡大とビジョンの実現をめざしています。当社グループの「共創経営」の詳細については、「共創経営レポート2023」「VISION BOOK 2050」をご覧ください。 共創経営レポート(https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/lib/i-report.html)VISION BOOK 2050(https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/lib/s-report.html) ■ 経営ビジョン&戦略ストーリー2031の策定について2031年の創業100周年に向けて、「経営ビジョン&戦略ストーリー2031」を策定しました。経営ビジョンとして高い目標を掲げ、そこからバックキャスティングして戦略ストーリーを構築し、ビジョン・インパクト・事業戦略を連動させることで社会的価値の創出を実現していきます。 1)経営ビジョン当社グループは、これまでの小売・フィンテック・共創投資による三位一体ビジネスから、フィンテックを中心とした「『好き』を応援するビジネス」へ転換することで、「インパクトと利益の二項対立を乗り越える」というビジョンを実現していきます。経営ビジョンの前提として、30年以上続くデフレ経済は変化の潮目を迎えており、消費者の行動にも変化が生じる中、これまでのポイント還元に代表されるコスパ消費とは対極となる「『好き』が駆動する経済」という新たな経済の可能性を見出し、この新しい市場を創造することで成長していきます。 2)戦略ストーリー 「『好き』を応援するビジネス」を通じてめざすインパクトと、その実現に向けた戦略は以下のとおりです。 (「好き」を通じて誰かのため、社会のためへと広がる消費)・「好き」を応援するビジネスの目的は、「好き」を応援することで「自分のため」の消費が「誰かのため」となり、やがて「社会のため」へと広がっていくことでインパクトと利益を両立させることにあります。・当社グループの「好き」を応援するカードでは、ご利用を通じて応援したい相手に寄付ができるカードの会員が拡大しており、「誰かのため」に「寄付」することに幸せを感じる新しいタイプの消費者が、今後もますます増えていくと予想されます。・新しいタイプの消費者にお応えすることで差別化戦略を進め、「好き」を応援するカードの会員数を2031年3月期には300万人まで拡大し、2041年3月期にはゴールドカードの会員数を上回ることをめざします。 (「好き」を応援するファイナンシャル・エンパワーメント)・当社グループはこれまで若者の自己実現を応援してきましたが、今後は「好き」を応援するファイナンシャル・エンパワーメントを通じて、すべての人の自己実現を支援していきます。・これまでのフィンテックのビジネスでは、丸井の店舗がある大都市圏を中心とした地域で「信用の共創」によりクレジットカードを発行してきましたが、今後はその対象範囲を広げ、地域を問わず小売の新たな自主運営体制の全国展開を通じて会員募集を行います。・また、今後拡大する自営業、スタートアップ、フリーランス等の多様な働き方に対しては「オーナーカード」、「ランサーズカード」、日本で働く外国人の方々に対しては協業を通じた「GTNカード」を含め、会員を拡大します。 (支援戦略)・自主・PBに代わる新たな顧客接点として、コンパクトな面積で、高い集客力や会員募集力、客単価や荒利益率の向上が期待できる「好き」を応援するイベントとグッズ、カードの新しい自主運営ユニットを全国主要都市に展開することで、インパクトと利益の両立を支援します。・また、当社グループはこれまでDXを通じた顧客体験の向上をめざして、UXの先進企業でもあるグッドパッチ社との合弁会社や新たに設立したマルイユナイトを通じて、専門人材の採用を進めるとともにアジャイルな開発体制を整備してきました。・今後はプロフェッショナル人材の活躍を通じて、デジタルのUXと新自主運営ユニットによるリアルの体験を融合した独自の体験価値を提供することでロイヤルカスタマー化を推進します。 (「フロー」を通じた創造性の発揮)・当社グループでは、能力と挑戦、創造性と幸せ、というビジネスにとって重要な要素を包括的に捉えることのできる「フロー」という概念に注目し、社員一人ひとりの働きがいと組織活力を高める取り組みを行ってきました。・今後は、「好き」を応援するコンクールなどを通じて自分の「好き」を仕事に活かす機会を増やし、創造性を発揮することで、アイデアやナレッジ、ノウハウなどの無形資産を活かしたビジネスを拡大し、2031年3月期までに無形資産比率を70%以上に高めることで企業価値の向上をめざします。 (ソーシャル・イントラプレナーによる事業開発)・社外の起業家とのイノベーションの創出に加え、「会社にいながら社会を変えられるソーシャル・イントラプレナー(社内起業家)」の活躍を促すために、ビジネスプロデュース推進室を設置し、様々な雇用形態を通じて社内外から人材を募集し事業開発を進めます。・中長期的な人材育成のため「ソーシャル・イントラプレナー育成財団」を設立し、大学生、中高生向けに講座を提供します。将来的には当社グループへの入社やプロジェクトへの参加を通じ、当社グループの事業開発にも活かしていきます。 (探究領域)・「好き」を応援するビジネスのグローバル化に取り組み、まずは「世界から見た『好き』の対象としての日本」というテーマで世界中から人材を募集し事業開発を進めます。 3)リスク(金利上昇による金融費用増加への対応)・分割・リボ手数料については、2026年3月期の期中における手数料率の変更を計画しており、収益の増加を見込んでいます。・調達金利については、平均調達年限を短縮することで調達利率の低減を図るとともに、格付の向上をめざして格付機関との対話を強化し、金融費用の増加抑制に取り組みます。 4)資本政策と株主還元(資本政策)・2031年3月期には、バランスシートが1.5兆円規模に拡大する見通しとなり、セグメント別では小売の自己資本比率が50%と、当社グループが最適とする35%から乖離する見込みのため、300億円の資本最適化をすることで連結自己資本比率16%を目標にバランスシートの見直しを進めます。・株主還元方針については、2031年3月期に向けてROE15%以上をめざすことを鑑み、株主資本配当率(DOE)10%としています。・資本配分については、6年間の基礎営業キャッシュ・フロー3,500億円を、成長投資として既存事業に900億円、DX投資・事業開発などの未来投資に600億円、資本最適化に向けた自己株式取得に300億円、株主還元に1,700億円を配分する計画です。 □ 資本配分(26年3月期~31年3月期) (株主還元)株主還元については、適正な利益配分を継続的に実施することを基本方針とします。・配当については、EPSの長期的な成長に基づく継続的な配当水準の向上に努め、「高成長」と 「高還元」の両立を図ります。・株主資本配当率(DOE)は10%程度を目安とし、長期安定的な増配の実現をめざします。・自己株式の取得については、最適資本構成、財務状況および株価水準等を総合的に勘案し、資本効率と株主利益の向上に向けて、適宜機動的に実施します。なお、取得した自己株式は原則として消却します。・配当の基準および自己株式取得の方針については、定期的に検証し適宜見直しを行います。 5)KPI2031年3月期におけるKPIはPBR3~4倍、EPS成長率は年率9%以上、TSR成長率は年率12%以上の高成長・高還元の実現をめざします。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。 ■ 会社の経営の基本方針当社グループでは、「インパクトと利益の二項対立を乗り越える」というビジョンを掲げ、「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」という経営理念に基づき、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブな社会をステークホルダーの皆さまと共に創ることをミッションとしています。この実現には、私たちだけでなく、ステークホルダーの皆さまとの共創が必要です。当社グループでは、お客さまをはじめ、株主・投資家の皆さま、地域・社会、お取引先さま、社員、将来世代すべてのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」の調和を企業価値としています。ステークホルダーの皆さまと共創する共創経営を進めることで、この企業価値の拡大とビジョンの実現をめざしています。当社グループの「共創経営」の詳細については、「共創経営レポート2023」「VISION BOOK 2050」をご覧ください。 共創経営レポート(https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/lib/i-report.html)VISION BOOK 2050(https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/lib/s-report.html) ■ 経営ビジョン&戦略ストーリー2031の策定について2031年の創業100周年に向けて、「経営ビジョン&戦略ストーリー2031」を策定しました。経営ビジョンとして高い目標を掲げ、そこからバックキャスティングして戦略ストーリーを構築し、ビジョン・インパクト・事業戦略を連動させることで社会的価値の創出を実現していきます。 1)経営ビジョン当社グループは、これまでの小売・フィンテック・共創投資による三位一体ビジネスから、フィンテックを中心とした「『好き』を応援するビジネス」へ転換することで、「インパクトと利益の二項対立を乗り越える」というビジョンを実現していきます。経営ビジョンの前提として、30年以上続くデフレ経済は変化の潮目を迎えており、消費者の行動にも変化が生じる中、これまでのポイント還元に代表されるコスパ消費とは対極となる「『好き』が駆動する経済」という新たな経済の可能性を見出し、この新しい市場を創造することで成長していきます。 2)戦略ストーリー 「『好き』を応援するビジネス」を通じてめざすインパクトと、その実現に向けた戦略は以下のとおりです。 (「好き」を通じて誰かのため、社会のためへと広がる消費)・「好き」を応援するビジネスの目的は、「好き」を応援することで「自分のため」の消費が「誰かのため」となり、やがて「社会のため」へと広がっていくことでインパクトと利益を両立させることにあります。・当社グループの「好き」を応援するカードでは、ご利用を通じて応援したい相手に寄付ができるカードの会員が拡大しており、「誰かのため」に「寄付」することに幸せを感じる新しいタイプの消費者が、今後もますます増えていくと予想されます。・新しいタイプの消費者にお応えすることで差別化戦略を進め、「好き」を応援するカードの会員数を2031年3月期には300万人まで拡大し、2041年3月期にはゴールドカードの会員数を上回ることをめざします。 (「好き」を応援するファイナンシャル・エンパワーメント)・当社グループはこれまで若者の自己実現を応援してきましたが、今後は「好き」を応援するファイナンシャル・エンパワーメントを通じて、すべての人の自己実現を支援していきます。・これまでのフィンテックのビジネスでは、丸井の店舗がある大都市圏を中心とした地域で「信用の共創」によりクレジットカードを発行してきましたが、今後はその対象範囲を広げ、地域を問わず小売の新たな自主運営体制の全国展開を通じて会員募集を行います。・また、今後拡大する自営業、スタートアップ、フリーランス等の多様な働き方に対しては「オーナーカード」、「ランサーズカード」、日本で働く外国人の方々に対しては協業を通じた「GTNカード」を含め、会員を拡大します。 (支援戦略)・自主・PBに代わる新たな顧客接点として、コンパクトな面積で、高い集客力や会員募集力、客単価や荒利益率の向上が期待できる「好き」を応援するイベントとグッズ、カードの新しい自主運営ユニットを全国主要都市に展開することで、インパクトと利益の両立を支援します。・また、当社グループはこれまでDXを通じた顧客体験の向上をめざして、UXの先進企業でもあるグッドパッチ社との合弁会社や新たに設立したマルイユナイトを通じて、専門人材の採用を進めるとともにアジャイルな開発体制を整備してきました。・今後はプロフェッショナル人材の活躍を通じて、デジタルのUXと新自主運営ユニットによるリアルの体験を融合した独自の体験価値を提供することでロイヤルカスタマー化を推進します。 (「フロー」を通じた創造性の発揮)・当社グループでは、能力と挑戦、創造性と幸せ、というビジネスにとって重要な要素を包括的に捉えることのできる「フロー」という概念に注目し、社員一人ひとりの働きがいと組織活力を高める取り組みを行ってきました。・今後は、「好き」を応援するコンクールなどを通じて自分の「好き」を仕事に活かす機会を増やし、創造性を発揮することで、アイデアやナレッジ、ノウハウなどの無形資産を活かしたビジネスを拡大し、2031年3月期までに無形資産比率を70%以上に高めることで企業価値の向上をめざします。 (ソーシャル・イントラプレナーによる事業開発)・社外の起業家とのイノベーションの創出に加え、「会社にいながら社会を変えられるソーシャル・イントラプレナー(社内起業家)」の活躍を促すために、ビジネスプロデュース推進室を設置し、様々な雇用形態を通じて社内外から人材を募集し事業開発を進めます。・中長期的な人材育成のため「ソーシャル・イントラプレナー育成財団」を設立し、大学生、中高生向けに講座を提供します。将来的には当社グループへの入社やプロジェクトへの参加を通じ、当社グループの事業開発にも活かしていきます。 (探究領域)・「好き」を応援するビジネスのグローバル化に取り組み、まずは「世界から見た『好き』の対象としての日本」というテーマで世界中から人材を募集し事業開発を進めます。 3)リスク(金利上昇による金融費用増加への対応)・分割・リボ手数料については、2026年3月期の期中における手数料率の変更を計画しており、収益の増加を見込んでいます。・調達金利については、平均調達年限を短縮することで調達利率の低減を図るとともに、格付の向上をめざして格付機関との対話を強化し、金融費用の増加抑制に取り組みます。 4)資本政策と株主還元(資本政策)・2031年3月期には、バランスシートが1.5兆円規模に拡大する見通しとなり、セグメント別では小売の自己資本比率が50%と、当社グループが最適とする35%から乖離する見込みのため、300億円の資本最適化をすることで連結自己資本比率16%を目標にバランスシートの見直しを進めます。・株主還元方針については、2031年3月期に向けてROE15%以上をめざすことを鑑み、株主資本配当率(DOE)10%としています。・資本配分については、6年間の基礎営業キャッシュ・フロー3,500億円を、成長投資として既存事業に900億円、DX投資・事業開発などの未来投資に600億円、資本最適化に向けた自己株式取得に300億円、株主還元に1,700億円を配分する計画です。 □ 資本配分(26年3月期~31年3月期) (株主還元)株主還元については、適正な利益配分を継続的に実施することを基本方針とします。・配当については、EPSの長期的な成長に基づく継続的な配当水準の向上に努め、「高成長」と 「高還元」の両立を図ります。・株主資本配当率(DOE)は10%程度を目安とし、長期安定的な増配の実現をめざします。・自己株式の取得については、最適資本構成、財務状況および株価水準等を総合的に勘案し、資本効率と株主利益の向上に向けて、適宜機動的に実施します。なお、取得した自己株式は原則として消却します。・配当の基準および自己株式取得の方針については、定期的に検証し適宜見直しを行います。 5)KPI2031年3月期におけるKPIはPBR3~4倍、EPS成長率は年率9%以上、TSR成長率は年率12%以上の高成長・高還元の実現をめざします。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。 (1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。 (連結業績)・EPSは143.2円(前年比+10%、前年差+12.5円)、利益の増加により前年を上回り、過去最高となりました。ROEは10.6%(前年差+0.7%)と株主資本コスト(6.7%)を上回り、34年ぶりに10%を超えました。ROICは3.8%(前年差+0.2%)と資本コスト(WACC 3.0%)を上回りました。 ※ 企業会計基準第29号(収益認識に関する会計基準)等適用後の数値を記載しています。 ・グループ総取扱高は4兆9,269億円(前年比+10%、前年差+4,397億円)、フィンテックのカードクレジット取扱高が全体をけん引したことにより、過去最高となりました。・売上収益は2,544億円(前年比+8%)、営業利益は445億円(前年比+9%)、経常利益は399億円(前年比+3%)、当期利益は266億円(前年比+8%)と4期連続の増収増益となりました。 ※「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」において、億円単位で記載している金額は億円未満を四捨五入しています。 ※ 企業会計基準第29号(収益認識に関する会計基準)等適用後の数値を記載しています。 営業利益増減の内訳・債権流動化による債権譲渡益(80億円)が前年に比べ6億円増加し、償却額・費用等(80億円)が7億円増加したため、営業利益は1億円減少しました。・上記の債権流動化影響を除いた実質的な営業利益は36億円の増益(小売+16億円、フィンテック+18億円)となりました。 □ 営業利益増減の内訳 (セグメント別の状況)・小売セグメントの営業利益は前年を16億円上回る86億円(前年比+24%)、ROICは3.1%(前年差+0.5%)となりました。・フィンテックセグメントの営業利益は前年を17億円上回る441億円(前年比+4%)、ROICは4.8%(前年差△0.1%)となりました。 □ セグメント別の売上収益・営業利益 ※ 企業会計基準第29号(収益認識に関する会計基準)等適用後の数値を記載しています。 <小売セグメント>・マルイ・モディ店舗においては、リアル店舗ならではの価値創出をめざして、「売ること」を目的としない体験型テナントやスクール、飲食・サービスなどの導入を進めており、当期の非物販テナントの面積構成は65%(前年差+4%)となり、カテゴリー転換が着実に進みました。新たなテナントの導入により店舗の未稼働区画の面積は減少し、施設のバリューアップが進んだことから、営業利益は4期連続の増益となりました。 □ 非物販テナント構成の推移・お客さまがいつご来店されても楽しんでいただける店舗をめざし、イベントフルな店づくりを進めています。中でも、2022年からスタートしたマルイの出店サービス「OMEMIE(おめみえ)」は、全国のマルイ・モディの出店スペースの検索から契約までをオンラインで完結することができるサービスで、D2Cブランドや個人事業主の方などに幅広くご活用いただいており、これまでマルイに出店のなかった新規テナントの導入につながっています。その結果、新たなテナントが提供するサービスの体験会やワークショップなど、イベントのバリエーションが広がっています。・ECの取扱高は、WEB専門人材を活用し、オンラインビジネス本来の取組みを進めることで、25年3月期の取扱高は過去最高の243億円となりました。 □ ECの取扱高の推移 <フィンテックセグメント>・戦略的に進めている「家計シェア最大化」の取り組みにより家賃払いやECでのご利用、公共料金などの定期払いが伸長したことで、第4四半期のカードクレジット取扱高は1兆1,517億円(前年比+10%)、通期では4兆5,305億円(前年比+10%)とそれぞれ過去最高となりました。 □ カードクレジット取引高の推移 ・分割・リボ取扱高は4,321億円(前年比+10%)と拡大し、流動化債権を含む分割・リボ払い残高は過去最高の4,693億円(前年比+8%)となりました。・エポスカードの新規会員数は82万人(前年差+1万人)、期末会員数は過去最高の790万人(前年差+31万人)となりました。・これまで事業の成長をけん引してきたゴールドカードに加えて、一人ひとりの「好き」を応援するカードの取り組みを強化しています。「好き」を応援するカードは、一般カードに比べて若者の保有比率が高く、LTV(生涯利益)が2~7倍高いカードとなっています。アニメ・ゲームやエンターテインメントとコラボレーションしたカードは、熱量の高いファンが多く、SNSなどを通じて認知が広まりやすい特性もあり、ネット入会との親和性が高いことが特徴です。この「好き」を応援するカードは、フィンテックだけでなく、小売や共創投資に携わる社員からも提案が生まれており、企画数は全115企画に拡大しています。店舗では「好き」を応援するカードと連動したイベントなど、リアルでの体験の場を提供したり、ECではコラボグッズを開発・販売するなど、カード・店舗・ECを持つ当社グループならではの取り組みを行うことで、独自の体験価値を提供しています。これらの取り組みにより、「好き」を応援するカードの新規会員数は34万人、期末会員数は111万人(前年差+21万人)となりました。今後もグループ一体となって取り組みを強化することで、ロイヤリティの高い会員を拡大し、取扱高や新規入会数のさらなる拡大につなげていきます。 □ 新規入会の推移 □ カード会員数の推移 (LTVの安定性を表す指標)当社グループの収益構造はこれまでのビジネスモデルの転換にともない、店舗の不動産賃貸収入やカード手数料をはじめとする「リカーリングレベニュー(継続的収入)」が拡大し、売上・利益に占める構成が大きくなりました。お客さま・お取引先さまとの契約に基づく継続的収入であるリカーリングレベニューからは、翌期以降の将来収益を「成約済み繰延収益」としてとらえることが可能であり、収益の安定性を測る指標として使用できます。これらは、LTVを重視した当社グループの長期視点の経営において重要な要素であると考えています。 ・当期のリカーリングレベニュー(売上総利益ベース)は1,515億円(前年比+8%)となり、売上総利益に占める割合は66.8%(前年差△0.2%)となりました。・当期末の成約済み繰延収益は3,984億円(前年比+5%)となり、当期の売上総利益の約1.8倍の将来収益が見込まれています。なお、成約済み繰延収益の算出は、不動産賃貸収入は契約残年数、分割・リボ手数料やカードキャッシング利息は返済期間、加盟店手数料(リカーリング分)はカード有効期間、家賃保証は保証期間をもとに行っています。 □ LTV経営の指標 (注)売上総利益ベースのリカーリングレベニュー、およびその構成を算出する際の売上総利益には、販管費戻り(お取引先さまから継続的にいただく経費)を含めています。 (財政状態)・営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)は、カードクレジット取扱高の拡大などにより6,298億円(前年差+396億円)となりました。総資産は1兆534億円(前年差+499億円)となりました。・有利子負債(リース債務を除く)は6,365億円(前年差+421億円)となりました。・自己株式の取得や配当金の支払などにより、自己資本は2,461億円(前年差△71億円)となり、自己資本比率は23.4%(前年差△1.8%)となりました。 □ バランスシートの状況 (キャッシュ・フローの状況)・営業キャッシュ・フローは、45億円の支出(前期は380億円の収入)となりました。営業キャッシュ・フローから営業債権等の増減を除いた基礎営業キャッシュ・フローは、税引前利益の増加などにより、前期より106億円増加し、497億円の収入となりました。・投資キャッシュ・フローは、有形および無形固定資産の取得131億円、投資有価証券の取得68億円などにより137億円の支出(前期は183億円の支出)となりました。・財務キャッシュ・フローは、有利子負債の増加による420億円の収入や自己株式の取得による支出185億円、配当金の支払195億円などにより28億円の収入(前期は79億円の支出)となりました。 □ キャッシュ・フローの状況 (注) 当社グループでは営業キャッシュ・フローから営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)等の増減を控除した「基礎営業キャッシュ・フロー」を収益性・健全性の指標としています。 (生産、受注及び販売の状況)① 生産の状況連結財務諸表提出会社および関係会社において、該当事項はありません。 ② 受注の状況小売およびフィンテックの一部において受注による営業を行っており、当連結会計年度の受注額は14,911百万円(前年同期比131.9%)、当連結会計年度末の受注残高は7,984百万円(同175.1%)です。 ③ 販売の状況当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称金額(百万円)前年比(%)小売 定期借家テナント収入等44,546107.7商品売上高1,901117.3受託販売手数料(純額)5,752104.3消化仕入売上高(純額)3,98489.1関連事業収入19,365112.3小売計75,550107.6フィンテック178,841108.4合計254,392108.1 (注) 1 上記の金額は、外部顧客に対する売上収益を示しています。2 小売の販売実績は、2016年3月期より「消化仕入売上高」、2021年3月期より「受託販売売上高」の利益相当額を売上収益に計上する方法に変更しています。従来基準(2015年3月期以前)での売上収益に付随する販売実績(取扱高)は、324,401百万円(前年比108.7%)です。 ④ 仕入の状況当連結会計年度における商品仕入実績は次のとおりです。 セグメントの名称金額(百万円)前年比(%)小売1,492116.9 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。 ② 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの状況の分析「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しています。資本の財源および資金の流動性については「3 事業等のリスク」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 金融商品関係」に記載しています。 ■ 非財務情報と財務情報のコネクティビティ当社グループは、企業価値向上のため、ステークホルダーとの建設的な対話に資すると考えられる有益な情報については、財務情報・非財務情報にかかわらず、積極的に開示を行うことをポリシーとしています。有価証券報告書においては、リカーリングレベニュー(継続的収入)といった当社グループが経営上重要と考えているLTV(生涯利益)に関する指標やサステナビリティなどの非財務情報を開示しています。これらの非財務情報は、当社グループの企業価値の向上や毀損等をステークホルダーが評価するために有益な情報であり、非財務情報の基礎となるデータおよび仮定は連結財務諸表をはじめとした財務情報の作成において、関連する会計上の見積り等に影響を及ぼすため、当社グループは上記の情報間のコネクティビティを重視しています。具体的には、非財務情報の基礎データおよび仮定については、関連する財務情報の基礎データおよび仮定と同一のものを用いることで、非財務情報と監査証明の対象である財務情報のコネクティビティを確保しています。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。 ■ 会社の経営の基本方針当社グループのミッションは、「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」という経営理念に基づき、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブで豊かな社会をステークホルダーの皆さまと共に創ることにあります。当社グループがめざすのは、お客さまをはじめ、株主・投資家の皆さま、地域・社会、お取引先さま、社員、将来世代すべてのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」の調和と拡大です。そのために、すべてをステークホルダーの視点で考え、行動することにより共有できる価値づくりに取り組み、結果として企業価値の向上を図る「共創サステナビリティ経営」を進めていきます。 当社グループの「共創サステナビリティ経営」の詳細については、「共創経営レポート2020」「VISION BOOK 2050」をご覧ください。共創経営レポート (https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/lib/i-report.html)VISION BOOK 2050 (https://www.0101maruigroup.co.jp/sustainability/lib/s-report.html) ■ 中期経営計画の策定について急速な事業環境の変化が予測される中、前中期経営計画の目標を早期に達成し、さらなる企業価値の向上を実現するため、2026年3月期を最終年度とする5ヵ年の新中期経営計画を策定しました。ⅰ.事業環境の変化2030年に向けた今後の10年においては、「現役世代から将来世代へ」、「デジタル技術は導入期から展開期へ」、「有形資産から無形資産へ」という3つの大きな転換が起き、社会の世代交代により、デジタル、サステナビリティ、ウェルビーイングといった将来世代の常識に対応できない企業は急速に支持を失うリスクがあります。 ⅱ.今後の方向性・将来世代との共創を通じて、社会課題解決と企業価値向上を両立・店舗とフィンテックを通じて、「オンラインとオフラインを融合するプラットフォーマー」をめざす・人材、ソフトウェアに加え、新規事業、共創投資への無形投資を拡大、知識創造型企業へと進化・ステークホルダーをボードメンバーに迎え、「利益としあわせの調和」に向けた共創経営を推進 ⅲ.具体的な取り組み<事業戦略>(グループ事業の全体像)・小売、フィンテックに「未来投資」を加えた三位一体のビジネスモデルを創出します。未来投資には、共創投資と新規事業投資が含まれます。 (小売)・新型コロナウイルス感染症の影響による市況の悪化が懸念される中、これまで取り組んできた百貨店業態のトランスフォメーションをさらに推進し、新たな成長を実現します。店舗を「オンラインとオフラインの融合」のプラットフォームと位置づけ、ECを中心に展開する新規事業がさまざまなイベントを開催し、このイベントが来店動機となる店づくりを進めます。また、これらのイベントをフィンテックと連携し、丸井の店舗だけでなく全国の商業施設で展開することを視野に、事業化をめざします。 (フィンテック)・4月からスタートした新カード、新アプリを通じて、UXを飛躍的に高め、LTVのさらなる向上をめざします。また、ゴールドカードに次ぐ第二の柱に成長してきた、アニメに代表されるコンテンツカードなど、「一人ひとりの『好き』を応援する」カードを拡大します。・リアル店舗中心の会員募集を見直し、ネット入会の比率を高めるほか、拡大が見込まれるEC・ネット関連サービス、家賃などを中心に家計シェア最大化の取り組みを強化することで、5年後の取扱高は2倍の5.3兆円をめざします。・また、再生可能エネルギーをエポスカード払いで50万人のお客さまにご利用いただき、CO2削減とLTV向上の両立に挑戦します。 (未来投資)・未来投資は、サステナビリティ、ウェルビーイングなどのインパクトと収益の両立をめざしてイノベーションを創出します。新規事業投資は社内からのイノベーション創出、共創投資は社外からのイノベーション導入をめざします。・新規事業は、ECを中心にメディア、店舗、フィンテックを掛け合わせた独自のビジネスモデルを構築します。・共創投資は、共創の理念に基づき、共に成長し価値をつくる取り組みを進め、小売・フィンテックへの貢献利益と、ファイナンシャルリターンの両方を追求します。 <資本政策>・小売は、店舗の定借化による業態転換にともない収益改善および利益の安定化は進んだものの、自己資本比率は依然として高い水準にあるため、余剰資本を再配分し、連結自己資本比率25%前後を目標にバランスシートの見直しを進めます。・5年間の基礎営業キャッシュ・フローを2300億円と見込み、未来投資を含めた成長投資に800億円、資本最適化のための自社株取得に500億円、株主還元に1000億円(うち配当800億円、自社株取得200億円)を配分する計画です。 <インパクト>・2019年に策定した「丸井グループビジョン2050」に基づき、サステナビリティとウェルビーイングに関わる目標を「インパクト」として定義しました。「将来世代の未来を共につくる」「一人ひとりの幸せを共につくる」「共創のプラットフォームをつくる」の3つの目標を達成すべく、主要な取り組み項目を中期経営計画の主要KPIとして設定します。・また、ステークホルダーの求める利益としあわせを共に実現する共創経営に向けて、ステークホルダーをボードメンバーに迎えることで、ガバナンス体制を進化させていきます。 ⅳ.主要KPI2026年3月期の目標として、インパクトについては、「CO2排出削減量100万トン以上」「将来世代との共創の取り組み150件以上」など6つのKPI達成をめざします。そして、これらのインパクトを実現することで、EPS200円以上、ROE13%以上、ROIC4%以上をめざします。 ■ 株主還元2021年3月期までの中期経営計画では、事業で創出されるキャッシュ・フローを有効活用し成長投資と株主還元を強化してきました。今後の利益配分については、新たに策定した2026年3月期を最終年度とする中期経営計画に基づき、成長投資と株主還元を強化します。具体的には、中期経営計画5年間の基礎営業キャッシュ・フローは2,300億円を見込み、そのうち株主還元に1,000億円程度を配分します。その内訳は、配当金800億円、自己株式の取得200億円の予定です。配当については、EPSの長期的な成長に応じた継続的な配当水準の向上に努め、「高成長」と「高還元」の両立を図ります。連結配当性向は、2024年3月期以降55%程度を目標に、長期・継続的な増配をめざします。自己株式の取得については、キャッシュ・フローの状況等を総合的に勘案し、資本効率と株主利益の向上に向けて連結総還元性向70%を目処に適切な時期に実施します。加えて、中期経営計画の期間中に、資本最適化を目的とした自己株式の取得を500億円実施する予定です。 (株主還元指標のイメージ)■ 会社の考えるサステナビリティ当社グループでは、2016年から環境への配慮、社会的課題の解決、ガバナンスへの取り組みがビジネスと一体となった未来志向の共創サステナビリティ経営への第一歩を踏み出しました。それまで取り組んできた「すべての人」に向けたビジネスを「インクルージョン(包摂)」というテーマでとらえ直し、重点テーマを整理し、取り組みを進めてきました。これらは、国連の持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」の実現にも寄与するものです。そして、2019年には本格的な共創サステナビリティ経営に向け、2050年を見据えた長期ビジョン「丸井グループビジョン2050」を策定し、「ビジネスを通じてあらゆる二項対立を乗り越える世界を創る」ことを宣言しました。前述の「中期経営計画の策定について」に記載のとおり、2021年には「丸井グループビジョン2050」に基づき、サステナビリティとウェルビーイングに関わる目標を「インパクト」として定義しました。インパクトは、「丸井グループビジョン2050」に定める取り組みをアップデートして、「将来世代の未来を共につくる」「一人ひとりの幸せを共につくる」「共創のプラットフォームをつくる」という共創をベースとする3つの目標を定め、それぞれ重点項目、取り組み方法、数値目標に落とし込んでいきます。なお、このうち主要な取り組み項目を、中期経営計画の主要KPIとして設定しています。共創サステナビリティ経営をさらに加速させ、ステークホルダーが求める「利益」と「しあわせ」を調和し、拡大していくことをめざします。 ■ 将来世代の未来を共につくる(Environment)脱炭素社会やサーキュラーエコノミーの実現により、地球と共存する持続可能な未来を将来世代につなげます。 <脱炭素社会の実現>丸井グループの排出削減(自社排出)温室効果ガス削減への取り組みとして、2019年9月に策定した新たな温室効果ガス削減の中長期目標は、国際的なイニシアチブである「Science Based Targets(SBT)イニシアチブ」により「1.5℃目標」として認定されました。グループ全体の温室効果ガス削減目標は次のとおりです。 2030年までに、2017年3月期比で・Scope1(※1)+Scope2(※2)を80%削減・Scope3(※3)を35%削減 2050年までに、2017年3月期比で・Scope1+Scope2を90%削減 2021年3月期の実績・Scope1(11,090トン)+Scope2(37,858トン)合計48,948トン 2017年3月期比 58.6%削減・Scope3(256,682トン)2017年3月期比 47.6%削減温室効果ガス排出量原単位(※4)は20.0(前年比193.1%)となりました。 2021年3月期は、新型コロナウイルスの感染拡大への対応による店舗休業等の影響で、Scope1・2・3の大幅減、原単位の大幅増となりました。また、2018年7月にRE100に加盟し、2030年までにグループの事業で使用する電力を、すべて再生可能エネルギー化していくこととしています。2020年度の再生可能エネルギー比率は52%となりました。 ※1自社の燃料の使用による温室効果ガスの排出量 ※2自社の電力等の使用による温室効果ガスの排出量 ※3自社のバリューチェーンに関わる温室効果ガスの排出量 ※4温室効果ガス排出量(トン)/連結営業利益(百万円)にて算出お客さまとの共創による社会排出の削減当社グループは、みんな電力株式会社と共に、「みんなで再エネ」プロジェクトをスタートしました。カード会員のみなさまに対し、再エネ電力をかんたんに申し込めるサービスをご提供し、お客さまと共にCO2の社会排出削減に取り組みます。2026年3月期には、50万人のお客さまとCO2100万トンの削減をめざします。 <サーキュラーエコノミーの実現>丸井グループの資源リサイクル(自社排出)ファミリー溝口など、4店舗において、施設内ゴミ集積所の設備改修や運用変更などによる分別促進および排出量削減に取り組み、2021年3月期の資源リサイクル率は66%となりました。今後もお取引先さまからのご協力や設備改修の推進によって、リサイクル率の向上に努め、2026年3月期のリサイクル率75%をめざします。お客さま・お取引先さまとの共創による社会的廃棄の削減お客さま・お取引先さまとの共創により、大量生産・大量消費・大量廃棄という社会課題解決や社会的廃棄の削減を推進していきます。お取引先さまとの共創・協業で、さまざまなサーキュラーなライフスタイルの選択肢をご提供し、2026年3月期には、100万人以上のお客さまのご利用をめざします。 <自社商品におけるサステナビリティ>責任ある調達材料の調達からモノづくり、商品の販売から廃棄されるまでのバリューチェーン全体において、生産者としての責任があると認識しています。ステークホルダーとの共創により、地域の社会貢献はもちろんサプライチェーン全体での人権や労働環境の改善につなげていきます。 ■ 一人ひとりの幸せを共につくる(Social)ウェルビーイングな社会をめざし、お客さま一人ひとりの自己実現や「好き」を応援し、一人ひとりの幸せを共につくります。信用の共創に基づく金融サービスの提供当社グループの考える「フィンテック」は、収入や世代を問わず、すべての人が必要な時に必要なサービスを受けることができるファイナンシャルインクルージョンです。一人ひとりの自己実現を応援するため、若者や在留外国人などすべての人へ金融サービスを提供します。将来世代の起業支援すべてのステークホルダーの利益としあわせにつながる新たな価値を創造するため、未来の当事者であり、デジタルネイティブ/サステナビリティネイティブである将来世代との共創によるビジネス創出が不可欠と考えています。「Future Accelerator Gateway」「Marui Co-Creation Pitch」等の共創の場をつくり、将来世代の起業を支援します。新規事業創出・共創投資パンやヴィーガン、Kコスメなどの新規事業の創出や共創投資を通じて、お客さま一人ひとりの「好き・推し」を応援する選択肢を提供します。 アフィニティカード創出アニメコンテンツカードに代表されるカードの取り組みは、当社グループの独自性の高いカード戦略です。店舗でのイベントやお取引先さまとの共創によるファンクラブサイトの運営など、独自性の高い取り組みを推進し、一人ひとりの「好き・大切」を応援するカードの創出をめざします。インクルーシブな店づくり年齢や性別に関係なく、すべてのお客さまに楽しく安心してお買物をしていただけるよう、設備環境と接客の両面から、居心地の良い店づくりに取り組んでいます。イベントフルな店づくりアニメ、エンターテインメント、食、コスメ、サステナブルをテーマに、一人ひとりの「好き・大切」を応援するイベントを拡大しています。こうしたイベントがご来店の動機となるような楽しい店づくりを推進します。 グループ社員一人ひとりが共感する力と革新する力を育て、活躍する場づくりを推進しています。一人ひとりのウェルビーイングを組織の力に転換していきます。グループ会社間異動「職種変更」2013年から本格的に推進し、2021年3月期までの累計で、全グループ社員の約69%が職種変更を経験しています。2016年実施のアンケートで、約86%が「異動後に成長を実感した」と回答しており、個人の中の多様性とレジリエンス力が育まれています。今後は、共創投資先を中心に他企業への出向も強化し、より変化に強い人材の育成も進めます。自ら手を挙げる社員がつくる「自律的」な組織10年以上にわたって続けているのが、社員自ら手を挙げる「手挙げの文化」づくりです。手挙げの文化の目的は、社員一人ひとりの自主性を促し、自律的な組織をつくり、イノベーションを創出する企業になることにあります。「グループ横断プロジェクト」「中期経営推進会議」など幅広い手挙げの機会を設け、今期は社員全体の約8割にあたる4,058名が手を挙げ参画しました。人の成長を支える「ウェルネス経営」「病気にならないこと(基盤)」だけでなく、「今よりもっと活力高く、しあわせになること(活力)」が重要と考え、「活力×基盤のウェルネス経営」を進めてきました。ウェルネス経営を戦略の1つに掲げ、グループ全体でウェルネス経営を進めています。新たな成長に向けた「人材への投資」「人のお役に立ちたい」という想いを持つ社員こそが、企業価値創造の源泉であると確信し、多様な価値観の尊重はもちろん、一人ひとりがイキイキと成長し続けられる組織風土の醸成をめざし、積極的な人材育成と採用への投資を実施します。 ■ 共創のプラットフォームを共につくる(Governance)すべてのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」の調和と拡大に向け、ステークホルダーをインクルードした経営の仕組みづくりに着手します。ステークホルダー経営ステークホルダーの求める利益としあわせを共に実現する共創経営に向けて、ステークホルダーをボードメンバーに迎えることで、ガバナンス体制を進化させていきます。サステナビリティマネジメントの推進共創サステナビリティ経営の推進に向けて適時活動を検証するとともに、サステナビリティとビジネスの両立をめざす重点指標(KPI)の進捗を確認しています。サステナビリティマネジメント体制の強化に向け、2019年にサステナビリティアドバイザーおよびサステナビリティ委員会を設置しました。2021年3月期は2回開催し、今後の丸井グループらしいグリーン・ビジネスやサステナビリティガバナンスについて対話し、取締役会にも報告しました。次世代リーダーの育成2017年4月より次世代経営者育成プログラム「共創経営塾(CMA)」を開設しました。毎年10人~20人程度を選抜し、社外取締役の監修のもと、次世代の経営を担う人材の発掘と育成をめざします。 リスクマネジメント共創サステナビリティ経営の礎として、「グループ行動規範」を定め、そのもとに「丸井グループ人権方針」「丸井グループ安全衛生方針」「丸井グループ環境方針」等を定めています。2020年度に「丸井グループお客さまエンゲージメント方針」「丸井グループ人材開発方針」「丸井グループ腐敗行為防止方針」を新たに策定しました。また、外部環境の変化に対応し、デジタル化・技術革新の事業構造転換のさらなるスピードアップに向け、CDO(Chief Digital Officer)を任命しました。2018年には、「丸井グループ情報セキュリティ方針」「丸井グループプライバシーポリシー」「丸井グループソーシャルメディアポリシー」「丸井グループ税務方針」を制定しました。さらに情報セキュリティリスクへの対応を強化するため、情報セキュリティ委員会を設置し、グループ全体の情報資産などを保護・管理する最高セキュリティ責任者としてCSO(Chief Security Officer)を配置しました。規範・各種方針は、実効性を年1回検証するとともに、研修などを通じてグループ社員へ周知を図っています。今後も適宜見直しを行い、時代に合わせたリスクマネジメントを推進していきます。 ■ 気候変動への取り組みとTCFDへの対応気候変動は、もはや気候危機としてとらえるべきことであり、当社グループは、重要な経営課題のーつと認識し、パリ協定が示す「平均気温上昇を1.5℃に抑えた世界」の実現をめざしています。「丸井グループ環境方針(2020年4月改定)」に基づき、パリ協定の長期目標を踏まえた脱炭素社会へ積極的に対応すべく、ガバナンス体制を強化するとともに、事業への影響分析や気候変動による成長機会の取り込みおよびリスクへの適切な対応への取り組みを推進しています。当社グループはFSB(金融安定理事会)により設立されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同し、有価証券報告書(2019年3月期)にて、提言を踏まえ情報を開示しました。さらに分析を重ね、有価証券報告書(2020年3月期)にて、気候変動による機会および物理的リスク等の内容を拡充しました。今後も情報開示の充実を図るとともに、TCFD提言を当社グループの気候変動対応の適切さを検証するベンチマークとして活用し、共創サステナビリティ経営を進めていきます。 <ガバナンス>気候変動に関わる基本方針や重要事項等を検討・審議する組織として、2019年5月に代表取締役を委員長とする取締役会の諮問機関、サステナビリティ委員会を設置しました。また、その下部組織として関連リスクの管理および委員会が指示した業務を遂行する機関、ESG・情報開示分科会を設置しています。事業戦略の策定や投融資等に際しては、こうした体制をもとに「丸井グループ環境方針」や気候変動に係る重要事項を踏まえ総合的に審議し決定することで、気候変動に関するガバナンスの強化を進めていきます。 <事業戦略>(事業のリスクと機会)気候変動による世界的な平均気温の4℃上昇が社会に及ぼす影響は甚大であると認識し、気温上昇を1.5℃以下に抑制することをめざす動きにともに貢献していくことが重要であると考えています。2℃以下シナリオ(1.5℃目標)への対応力を強化すべく、気候関連のリスクと機会がもたらす事業への影響を把握し、戦略の策定を進めています。当社グループは、小売・フィンテックに、経営理念やビジョンを共感しあえるスタートアップ企業等への投資により、相互の発展につなげる「未来投資」を加えた、三位一体のビジネスモデルの創出をめざしています。気候変動は、台風・豪雨等の水害による店舗・施設等への被害や規制強化にともなう炭素税の導入による費用の増加等のリスクが考えられます。一方、消費者の環境意識の向上に対応した商品・サービスの提供や環境配慮に取り組む企業への投資は当社グループのビジネスの機会であるととらえています。 (財務影響の分析・算定)事業への財務的影響については、気候変動シナリオ等に基づき分析し2050年までの期間内に想定される利益への影響額として項目別に算定しています。リスクについては、物理的リスクとして、気温上昇が1.5℃以下に抑制されたとしても急性的に台風・豪雨等での水害が発生しうると予測しています。店舗の営業休止による不動産賃貸収入等への影響(約19億円)および建物被害(約30億円)を算定。移行リスクとしては、将来のエネルギー関連費用の増加を予測し、再生可能エネルギーの調達コストの増加(約8億円)および炭素税導入による増税(約22億円)を算定しています。機会については、環境意識が高い消費者へのライフスタイル提案による店舗収益への影響(約19億円)およびカード会員の増加による長期的収益(約26億円)、環境配慮に取り組む企業への投資によるリターン(約9億円)を算定。カード会員の再生可能エネルギー電力の利用によりリカーリングが増加しゴールドカード会員化につながることでの長期的収益(約20億円)、電力小売事業への参入による調達コストの削減(約3億円)および炭素税の非課税(約22億円)を算定しています。今後もさまざまな動向を踏まえ定期的に分析し、評価の見直しと情報開示の充実を進めていきます。 (前提要件)対象期間2020年~2050年対象範囲丸井グループの全事業算定要件気候変動シナリオ(IPCC・IEA等)に基づき分析項目別に対象期間内に想定される利益影響額を算定リスクは事象が発生した際の影響額で算定機会は原則、長期的な収益(LTV)で算定公共事業等のインフラ強化やテクノロジーの進化等は考慮しない (気候変動によるリスクおよび機会) 世の中の変化丸井グループのリスクリスクの内容利益影響額物理的リスク台風・豪雨等による水害※1店舗の営業休止営業休止による不動産賃貸収入等への影響約19億円浸水による建物被害(電源設備等の復旧)約30億円システムセンターの停止システムダウンによるグループ全体の営業活動休止 対応済※2移行リスク再エネ需要の増加再エネ価格の上昇再エネ調達によるエネルギーコストの増加約8億円(年間)政府の環境規制の強化炭素税の導入炭素税による増税約22億円(年間) 世の中の変化丸井グループの機会機会の内容利益影響額機会環境意識の向上・ライフスタイルの変化サステナブルなライフスタイルの提案環境配慮に取り組むテナント導入等による収益約19億円※3サステナブル志向の高いカード会員の増加約26億円※4環境配慮に取り組む企業への投資によるリターン約9億円一般家庭の再エネ需要への対応カード会員の再エネ電力利用による収益約20億円※5 電力調達の多様化電力小売事業への参入電力の直接仕入れによる中間コストの削減約3億円(年間)政府の環境規制の強化炭素税の導入温室効果ガス排出量ゼロの達成による炭素税非課税約22億円(年間) ※ 1 ハザードマップに基づき影響が最も大きい河川(荒川)の氾濫を想定(流域の2店舗に3カ月の影響)※ 2 バックアップセンター設置済みのため利益影響は無しと想定※ 3 不動産賃貸収入の増加およびクレジットカード利用の増加※ 4 クレジットカードの新規入会や利用による収益を算定※ 5 リカーリング等でのゴールドカード会員の増加による収益を算定 <リスク管理>当社グループは、グループの事業が気候変動によって受ける影響を把握し評価するため、シナリオの分析を行い、気候変動リスク・機会を特定しています。特定したリスク・機会はサステナビリティ推進体制のもと、戦略策定・個別事業運営の両面で管理しています。グループ会社(小売業・施設運営・物流・総合ビルマネジメント等)の役員で構成されるESG・情報開示分科会で議論された内容は、サステナビリティ委員会において定期的に報告し協議を行い、案件に応じて、取締役会への報告・提言を行っています。企業戦略に影響する気候変動を含めた世の中の動向や法制度・規制変更等の外部要因の共有や、グループ各社の施策の進捗状況や今後のリスク・機会等の内部要因を踏まえて、戦略・施策等の検討を実施していきます。 <指標と目標>・温室効果ガスの削減については、グループ全体の温室効果ガス削減目標「2030年までに2017年3月期比Scope1+Scope2を80%削減、Scope3を35%削減(2050年までに2017年3月期比Scope1+Scope2を90%削減)」が、2019年9月にSBTイニシアチブにより「1.5℃目標」として認定されています。・2030年までにグループの事業活動で消費する電力の100%(中間目標:2025年までに70%)を再生可能エネルギーから調達することを目標として、2018年7月にRE100に加盟しています。 ■ 新型コロナウイルスの感染拡大への対応当社グループでは、ステークホルダーの皆さまの健康と安全を第一に考え、さまざまな対応を進めています。この未曾有の危機をともに乗り越えるために関係を見つめ直し、パートナーシップをより強固なものにしていきたいと考えています。 (お客さま)マルイ・モディ店舗においては、2020年4月から5月の緊急事態宣言期間中は食料品売場および一部テナントを除き全店舗を休業しました。宣言が解除された後は、感染防止対策を講じたうえで順次営業を再開しました。また、2021年1月から3月の緊急事態宣言期間中は一部店舗の営業時間短縮を実施しました。なお、2021年4月から5月の緊急事態宣言期間中は、一部店舗を休業しています。エポスカードにおいては、お支払い期日の変更などの対応に加え、家賃決済のお客さまには政府の住居確保給付金制度をご案内しています。 (お取引先さま)ステークホルダーの利益拡大をめざす共創理念に基づき、休業期間中の家賃全額免除をはじめとするパートナーシップ強化策を実施しています。お取引先さまとのパートナーシップを強化することでこの未曽有の危機をともに乗り越え、中長期的な企業価値向上につなげていきます。 当期に実施したパートナーシップ強化策・お取引さまの休業期間中の家賃および共益費を全額免除・消化仕入取引先の最低保証売上の撤廃(4~8月期分)・ご希望に応じて敷金1~2カ月分を返却(6カ月以上預託するお取引先さまが対象)・ご希望に応じて5~7月期のお支払いを6カ月間猶予・お取引さまに対する「家賃支援給付金申請」のサポート (株主・投資家)新型コロナウイルスの感染拡大によって世界情勢が大きく変化し先行きは不透明ですが、適時・適切に情報を開示していきます。また、事業の継続性や安定性を確保することで、株主・投資家の皆さまに信頼していただける経営を進めていきます。 (社員)店舗の休業などにより自宅待機となった社員は特別休暇とし、コールセンターや物流センターなど出社が不可欠な部門においては、事務所の分散化や飛沫感染防止の徹底など、安心して働ける環境整備を実施しました。本社においては、働き方改革の一環として進めてきたモバイルPCの導入が完了していたことで、テレワーク実施率は上昇し、感染防止とともに新たな働き方が浸透しています。 当社グループは、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブで豊かな社会の実現をめざしています。新型コロナウイルス感染症の影響は依然不透明ですが、今後もお取引先さまとの共創により、お客さまにさまざまな選択肢を提供し、魅力ある店舗づくりを推進していきます。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。 ■ 会社の経営の基本方針当社グループのミッションは、「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」という経営理念に基づき、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブで豊かな社会をステークホルダーの皆さまと共に創ることにあります。当社グループがめざすのは、お客さまをはじめ、株主・投資家の皆さま、地域・社会、お取引先さま、社員、将来世代すべてのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」の調和と拡大です。そのために、すべてをステークホルダーの視点で考え、行動することにより共有できる価値づくりに取り組み、結果として企業価値の向上を図る「共創サステナビリティ経営」を進めていきます。 当社グループの「共創サステナビリティ経営」の詳細については、「共創経営レポート2020」「VISION BOOK 2050」をご覧ください。共創経営レポート (https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/lib/i-report.html)VISION BOOK 2050 (https://www.0101maruigroup.co.jp/sustainability/lib/s-report.html) ■ 中期経営計画の策定について急速な事業環境の変化が予測される中、前中期経営計画の目標を早期に達成し、さらなる企業価値の向上を実現するため、2026年3月期を最終年度とする5ヵ年の新中期経営計画を策定しました。ⅰ.事業環境の変化2030年に向けた今後の10年においては、「現役世代から将来世代へ」、「デジタル技術は導入期から展開期へ」、「有形資産から無形資産へ」という3つの大きな転換が起き、社会の世代交代により、デジタル、サステナビリティ、ウェルビーイングといった将来世代の常識に対応できない企業は急速に支持を失うリスクがあります。 ⅱ.今後の方向性・将来世代との共創を通じて、社会課題解決と企業価値向上を両立・店舗とフィンテックを通じて、「オンラインとオフラインを融合するプラットフォーマー」をめざす・人材、ソフトウェアに加え、新規事業、共創投資への無形投資を拡大、知識創造型企業へと進化・ステークホルダーをボードメンバーに迎え、「利益としあわせの調和」に向けた共創経営を推進 ⅲ.具体的な取り組み<事業戦略>(グループ事業の全体像)・小売、フィンテックに「未来投資」を加えた三位一体のビジネスモデルを創出します。未来投資には、共創投資と新規事業投資が含まれます。 (小売)・新型コロナウイルス感染症の影響による市況の悪化が懸念される中、これまで取り組んできた百貨店業態のトランスフォメーションをさらに推進し、新たな成長を実現します。店舗を「オンラインとオフラインの融合」のプラットフォームと位置づけ、ECを中心に展開する新規事業がさまざまなイベントを開催し、このイベントが来店動機となる店づくりを進めます。また、これらのイベントをフィンテックと連携し、丸井の店舗だけでなく全国の商業施設で展開することを視野に、事業化をめざします。 (フィンテック)・4月からスタートした新カード、新アプリを通じて、UXを飛躍的に高め、LTVのさらなる向上をめざします。また、ゴールドカードに次ぐ第二の柱に成長してきた、アニメに代表されるコンテンツカードなど、「一人ひとりの『好き』を応援する」カードを拡大します。・リアル店舗中心の会員募集を見直し、ネット入会の比率を高めるほか、拡大が見込まれるEC・ネット関連サービス、家賃などを中心に家計シェア最大化の取り組みを強化することで、5年後の取扱高は2倍の5.3兆円をめざします。・また、再生可能エネルギーをエポスカード払いで50万人のお客さまにご利用いただき、CO2削減とLTV向上の両立に挑戦します。 (未来投資)・未来投資は、サステナビリティ、ウェルビーイングなどのインパクトと収益の両立をめざしてイノベーションを創出します。新規事業投資は社内からのイノベーション創出、共創投資は社外からのイノベーション導入をめざします。・新規事業は、ECを中心にメディア、店舗、フィンテックを掛け合わせた独自のビジネスモデルを構築します。・共創投資は、共創の理念に基づき、共に成長し価値をつくる取り組みを進め、小売・フィンテックへの貢献利益と、ファイナンシャルリターンの両方を追求します。 <資本政策>・小売は、店舗の定借化による業態転換にともない収益改善および利益の安定化は進んだものの、自己資本比率は依然として高い水準にあるため、余剰資本を再配分し、連結自己資本比率25%前後を目標にバランスシートの見直しを進めます。・5年間の基礎営業キャッシュ・フローを2300億円と見込み、未来投資を含めた成長投資に800億円、資本最適化のための自社株取得に500億円、株主還元に1000億円(うち配当800億円、自社株取得200億円)を配分する計画です。 <インパクト>・2019年に策定した「丸井グループビジョン2050」に基づき、サステナビリティとウェルビーイングに関わる目標を「インパクト」として定義しました。「将来世代の未来を共につくる」「一人ひとりの幸せを共につくる」「共創のプラットフォームをつくる」の3つの目標を達成すべく、主要な取り組み項目を中期経営計画の主要KPIとして設定します。・また、ステークホルダーの求める利益としあわせを共に実現する共創経営に向けて、ステークホルダーをボードメンバーに迎えることで、ガバナンス体制を進化させていきます。 ⅳ.主要KPI2026年3月期の目標として、インパクトについては、「CO2排出削減量100万トン以上」「将来世代との共創の取り組み150件以上」など6つのKPI達成をめざします。そして、これらのインパクトを実現することで、EPS200円以上、ROE13%以上、ROIC4%以上をめざします。 ■ 株主還元2021年3月期までの中期経営計画では、事業で創出されるキャッシュ・フローを有効活用し成長投資と株主還元を強化してきました。今後の利益配分については、新たに策定した2026年3月期を最終年度とする中期経営計画に基づき、成長投資と株主還元を強化します。具体的には、中期経営計画5年間の基礎営業キャッシュ・フローは2,300億円を見込み、そのうち株主還元に1,000億円程度を配分します。その内訳は、配当金800億円、自己株式の取得200億円の予定です。配当については、EPSの長期的な成長に応じた継続的な配当水準の向上に努め、「高成長」と「高還元」の両立を図ります。連結配当性向は、2024年3月期以降55%程度を目標に、長期・継続的な増配をめざします。自己株式の取得については、キャッシュ・フローの状況等を総合的に勘案し、資本効率と株主利益の向上に向けて連結総還元性向70%を目処に適切な時期に実施します。加えて、中期経営計画の期間中に、資本最適化を目的とした自己株式の取得を500億円実施する予定です。 (株主還元指標のイメージ)■ 会社の考えるサステナビリティ当社グループでは、2016年から環境への配慮、社会的課題の解決、ガバナンスへの取り組みがビジネスと一体となった未来志向の共創サステナビリティ経営への第一歩を踏み出しました。それまで取り組んできた「すべての人」に向けたビジネスを「インクルージョン(包摂)」というテーマでとらえ直し、重点テーマを整理し、取り組みを進めてきました。これらは、国連の持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」の実現にも寄与するものです。そして、2019年には本格的な共創サステナビリティ経営に向け、2050年を見据えた長期ビジョン「丸井グループビジョン2050」を策定し、「ビジネスを通じてあらゆる二項対立を乗り越える世界を創る」ことを宣言しました。前述の「中期経営計画の策定について」に記載のとおり、2021年には「丸井グループビジョン2050」に基づき、サステナビリティとウェルビーイングに関わる目標を「インパクト」として定義しました。インパクトは、「丸井グループビジョン2050」に定める取り組みをアップデートして、「将来世代の未来を共につくる」「一人ひとりの幸せを共につくる」「共創のプラットフォームをつくる」という共創をベースとする3つの目標を定め、それぞれ重点項目、取り組み方法、数値目標に落とし込んでいきます。なお、このうち主要な取り組み項目を、中期経営計画の主要KPIとして設定しています。共創サステナビリティ経営をさらに加速させ、ステークホルダーが求める「利益」と「しあわせ」を調和し、拡大していくことをめざします。 ■ 将来世代の未来を共につくる(Environment)脱炭素社会やサーキュラーエコノミーの実現により、地球と共存する持続可能な未来を将来世代につなげます。 <脱炭素社会の実現>丸井グループの排出削減(自社排出)温室効果ガス削減への取り組みとして、2019年9月に策定した新たな温室効果ガス削減の中長期目標は、国際的なイニシアチブである「Science Based Targets(SBT)イニシアチブ」により「1.5℃目標」として認定されました。グループ全体の温室効果ガス削減目標は次のとおりです。 2030年までに、2017年3月期比で・Scope1(※1)+Scope2(※2)を80%削減・Scope3(※3)を35%削減 2050年までに、2017年3月期比で・Scope1+Scope2を90%削減 2021年3月期の実績・Scope1(11,090トン)+Scope2(37,858トン)合計48,948トン 2017年3月期比 58.6%削減・Scope3(256,682トン)2017年3月期比 47.6%削減温室効果ガス排出量原単位(※4)は20.0(前年比193.1%)となりました。 2021年3月期は、新型コロナウイルスの感染拡大への対応による店舗休業等の影響で、Scope1・2・3の大幅減、原単位の大幅増となりました。また、2018年7月にRE100に加盟し、2030年までにグループの事業で使用する電力を、すべて再生可能エネルギー化していくこととしています。2020年度の再生可能エネルギー比率は52%となりました。 ※1自社の燃料の使用による温室効果ガスの排出量 ※2自社の電力等の使用による温室効果ガスの排出量 ※3自社のバリューチェーンに関わる温室効果ガスの排出量 ※4温室効果ガス排出量(トン)/連結営業利益(百万円)にて算出お客さまとの共創による社会排出の削減当社グループは、みんな電力株式会社と共に、「みんなで再エネ」プロジェクトをスタートしました。カード会員のみなさまに対し、再エネ電力をかんたんに申し込めるサービスをご提供し、お客さまと共にCO2の社会排出削減に取り組みます。2026年3月期には、50万人のお客さまとCO2100万トンの削減をめざします。 <サーキュラーエコノミーの実現>丸井グループの資源リサイクル(自社排出)ファミリー溝口など、4店舗において、施設内ゴミ集積所の設備改修や運用変更などによる分別促進および排出量削減に取り組み、2021年3月期の資源リサイクル率は66%となりました。今後もお取引先さまからのご協力や設備改修の推進によって、リサイクル率の向上に努め、2026年3月期のリサイクル率75%をめざします。お客さま・お取引先さまとの共創による社会的廃棄の削減お客さま・お取引先さまとの共創により、大量生産・大量消費・大量廃棄という社会課題解決や社会的廃棄の削減を推進していきます。お取引先さまとの共創・協業で、さまざまなサーキュラーなライフスタイルの選択肢をご提供し、2026年3月期には、100万人以上のお客さまのご利用をめざします。 <自社商品におけるサステナビリティ>責任ある調達材料の調達からモノづくり、商品の販売から廃棄されるまでのバリューチェーン全体において、生産者としての責任があると認識しています。ステークホルダーとの共創により、地域の社会貢献はもちろんサプライチェーン全体での人権や労働環境の改善につなげていきます。 ■ 一人ひとりの幸せを共につくる(Social)ウェルビーイングな社会をめざし、お客さま一人ひとりの自己実現や「好き」を応援し、一人ひとりの幸せを共につくります。信用の共創に基づく金融サービスの提供当社グループの考える「フィンテック」は、収入や世代を問わず、すべての人が必要な時に必要なサービスを受けることができるファイナンシャルインクルージョンです。一人ひとりの自己実現を応援するため、若者や在留外国人などすべての人へ金融サービスを提供します。将来世代の起業支援すべてのステークホルダーの利益としあわせにつながる新たな価値を創造するため、未来の当事者であり、デジタルネイティブ/サステナビリティネイティブである将来世代との共創によるビジネス創出が不可欠と考えています。「Future Accelerator Gateway」「Marui Co-Creation Pitch」等の共創の場をつくり、将来世代の起業を支援します。新規事業創出・共創投資パンやヴィーガン、Kコスメなどの新規事業の創出や共創投資を通じて、お客さま一人ひとりの「好き・推し」を応援する選択肢を提供します。 アフィニティカード創出アニメコンテンツカードに代表されるカードの取り組みは、当社グループの独自性の高いカード戦略です。店舗でのイベントやお取引先さまとの共創によるファンクラブサイトの運営など、独自性の高い取り組みを推進し、一人ひとりの「好き・大切」を応援するカードの創出をめざします。インクルーシブな店づくり年齢や性別に関係なく、すべてのお客さまに楽しく安心してお買物をしていただけるよう、設備環境と接客の両面から、居心地の良い店づくりに取り組んでいます。イベントフルな店づくりアニメ、エンターテインメント、食、コスメ、サステナブルをテーマに、一人ひとりの「好き・大切」を応援するイベントを拡大しています。こうしたイベントがご来店の動機となるような楽しい店づくりを推進します。 グループ社員一人ひとりが共感する力と革新する力を育て、活躍する場づくりを推進しています。一人ひとりのウェルビーイングを組織の力に転換していきます。グループ会社間異動「職種変更」2013年から本格的に推進し、2021年3月期までの累計で、全グループ社員の約69%が職種変更を経験しています。2016年実施のアンケートで、約86%が「異動後に成長を実感した」と回答しており、個人の中の多様性とレジリエンス力が育まれています。今後は、共創投資先を中心に他企業への出向も強化し、より変化に強い人材の育成も進めます。自ら手を挙げる社員がつくる「自律的」な組織10年以上にわたって続けているのが、社員自ら手を挙げる「手挙げの文化」づくりです。手挙げの文化の目的は、社員一人ひとりの自主性を促し、自律的な組織をつくり、イノベーションを創出する企業になることにあります。「グループ横断プロジェクト」「中期経営推進会議」など幅広い手挙げの機会を設け、今期は社員全体の約8割にあたる4,058名が手を挙げ参画しました。人の成長を支える「ウェルネス経営」「病気にならないこと(基盤)」だけでなく、「今よりもっと活力高く、しあわせになること(活力)」が重要と考え、「活力×基盤のウェルネス経営」を進めてきました。ウェルネス経営を戦略の1つに掲げ、グループ全体でウェルネス経営を進めています。新たな成長に向けた「人材への投資」「人のお役に立ちたい」という想いを持つ社員こそが、企業価値創造の源泉であると確信し、多様な価値観の尊重はもちろん、一人ひとりがイキイキと成長し続けられる組織風土の醸成をめざし、積極的な人材育成と採用への投資を実施します。 ■ 共創のプラットフォームを共につくる(Governance)すべてのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」の調和と拡大に向け、ステークホルダーをインクルードした経営の仕組みづくりに着手します。ステークホルダー経営ステークホルダーの求める利益としあわせを共に実現する共創経営に向けて、ステークホルダーをボードメンバーに迎えることで、ガバナンス体制を進化させていきます。サステナビリティマネジメントの推進共創サステナビリティ経営の推進に向けて適時活動を検証するとともに、サステナビリティとビジネスの両立をめざす重点指標(KPI)の進捗を確認しています。サステナビリティマネジメント体制の強化に向け、2019年にサステナビリティアドバイザーおよびサステナビリティ委員会を設置しました。2021年3月期は2回開催し、今後の丸井グループらしいグリーン・ビジネスやサステナビリティガバナンスについて対話し、取締役会にも報告しました。次世代リーダーの育成2017年4月より次世代経営者育成プログラム「共創経営塾(CMA)」を開設しました。毎年10人~20人程度を選抜し、社外取締役の監修のもと、次世代の経営を担う人材の発掘と育成をめざします。 リスクマネジメント共創サステナビリティ経営の礎として、「グループ行動規範」を定め、そのもとに「丸井グループ人権方針」「丸井グループ安全衛生方針」「丸井グループ環境方針」等を定めています。2020年度に「丸井グループお客さまエンゲージメント方針」「丸井グループ人材開発方針」「丸井グループ腐敗行為防止方針」を新たに策定しました。また、外部環境の変化に対応し、デジタル化・技術革新の事業構造転換のさらなるスピードアップに向け、CDO(Chief Digital Officer)を任命しました。2018年には、「丸井グループ情報セキュリティ方針」「丸井グループプライバシーポリシー」「丸井グループソーシャルメディアポリシー」「丸井グループ税務方針」を制定しました。さらに情報セキュリティリスクへの対応を強化するため、情報セキュリティ委員会を設置し、グループ全体の情報資産などを保護・管理する最高セキュリティ責任者としてCSO(Chief Security Officer)を配置しました。規範・各種方針は、実効性を年1回検証するとともに、研修などを通じてグループ社員へ周知を図っています。今後も適宜見直しを行い、時代に合わせたリスクマネジメントを推進していきます。 ■ 気候変動への取り組みとTCFDへの対応気候変動は、もはや気候危機としてとらえるべきことであり、当社グループは、重要な経営課題のーつと認識し、パリ協定が示す「平均気温上昇を1.5℃に抑えた世界」の実現をめざしています。「丸井グループ環境方針(2020年4月改定)」に基づき、パリ協定の長期目標を踏まえた脱炭素社会へ積極的に対応すべく、ガバナンス体制を強化するとともに、事業への影響分析や気候変動による成長機会の取り込みおよびリスクへの適切な対応への取り組みを推進しています。当社グループはFSB(金融安定理事会)により設立されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同し、有価証券報告書(2019年3月期)にて、提言を踏まえ情報を開示しました。さらに分析を重ね、有価証券報告書(2020年3月期)にて、気候変動による機会および物理的リスク等の内容を拡充しました。今後も情報開示の充実を図るとともに、TCFD提言を当社グループの気候変動対応の適切さを検証するベンチマークとして活用し、共創サステナビリティ経営を進めていきます。 <ガバナンス>気候変動に関わる基本方針や重要事項等を検討・審議する組織として、2019年5月に代表取締役を委員長とする取締役会の諮問機関、サステナビリティ委員会を設置しました。また、その下部組織として関連リスクの管理および委員会が指示した業務を遂行する機関、ESG・情報開示分科会を設置しています。事業戦略の策定や投融資等に際しては、こうした体制をもとに「丸井グループ環境方針」や気候変動に係る重要事項を踏まえ総合的に審議し決定することで、気候変動に関するガバナンスの強化を進めていきます。 <事業戦略>(事業のリスクと機会)気候変動による世界的な平均気温の4℃上昇が社会に及ぼす影響は甚大であると認識し、気温上昇を1.5℃以下に抑制することをめざす動きにともに貢献していくことが重要であると考えています。2℃以下シナリオ(1.5℃目標)への対応力を強化すべく、気候関連のリスクと機会がもたらす事業への影響を把握し、戦略の策定を進めています。当社グループは、小売・フィンテックに、経営理念やビジョンを共感しあえるスタートアップ企業等への投資により、相互の発展につなげる「未来投資」を加えた、三位一体のビジネスモデルの創出をめざしています。気候変動は、台風・豪雨等の水害による店舗・施設等への被害や規制強化にともなう炭素税の導入による費用の増加等のリスクが考えられます。一方、消費者の環境意識の向上に対応した商品・サービスの提供や環境配慮に取り組む企業への投資は当社グループのビジネスの機会であるととらえています。 (財務影響の分析・算定)事業への財務的影響については、気候変動シナリオ等に基づき分析し2050年までの期間内に想定される利益への影響額として項目別に算定しています。リスクについては、物理的リスクとして、気温上昇が1.5℃以下に抑制されたとしても急性的に台風・豪雨等での水害が発生しうると予測しています。店舗の営業休止による不動産賃貸収入等への影響(約19億円)および建物被害(約30億円)を算定。移行リスクとしては、将来のエネルギー関連費用の増加を予測し、再生可能エネルギーの調達コストの増加(約8億円)および炭素税導入による増税(約22億円)を算定しています。機会については、環境意識が高い消費者へのライフスタイル提案による店舗収益への影響(約19億円)およびカード会員の増加による長期的収益(約26億円)、環境配慮に取り組む企業への投資によるリターン(約9億円)を算定。カード会員の再生可能エネルギー電力の利用によりリカーリングが増加しゴールドカード会員化につながることでの長期的収益(約20億円)、電力小売事業への参入による調達コストの削減(約3億円)および炭素税の非課税(約22億円)を算定しています。今後もさまざまな動向を踏まえ定期的に分析し、評価の見直しと情報開示の充実を進めていきます。 (前提要件)対象期間2020年~2050年対象範囲丸井グループの全事業算定要件気候変動シナリオ(IPCC・IEA等)に基づき分析項目別に対象期間内に想定される利益影響額を算定リスクは事象が発生した際の影響額で算定機会は原則、長期的な収益(LTV)で算定公共事業等のインフラ強化やテクノロジーの進化等は考慮しない (気候変動によるリスクおよび機会) 世の中の変化丸井グループのリスクリスクの内容利益影響額物理的リスク台風・豪雨等による水害※1店舗の営業休止営業休止による不動産賃貸収入等への影響約19億円浸水による建物被害(電源設備等の復旧)約30億円システムセンターの停止システムダウンによるグループ全体の営業活動休止 対応済※2移行リスク再エネ需要の増加再エネ価格の上昇再エネ調達によるエネルギーコストの増加約8億円(年間)政府の環境規制の強化炭素税の導入炭素税による増税約22億円(年間) 世の中の変化丸井グループの機会機会の内容利益影響額機会環境意識の向上・ライフスタイルの変化サステナブルなライフスタイルの提案環境配慮に取り組むテナント導入等による収益約19億円※3サステナブル志向の高いカード会員の増加約26億円※4環境配慮に取り組む企業への投資によるリターン約9億円一般家庭の再エネ需要への対応カード会員の再エネ電力利用による収益約20億円※5 電力調達の多様化電力小売事業への参入電力の直接仕入れによる中間コストの削減約3億円(年間)政府の環境規制の強化炭素税の導入温室効果ガス排出量ゼロの達成による炭素税非課税約22億円(年間) ※ 1 ハザードマップに基づき影響が最も大きい河川(荒川)の氾濫を想定(流域の2店舗に3カ月の影響)※ 2 バックアップセンター設置済みのため利益影響は無しと想定※ 3 不動産賃貸収入の増加およびクレジットカード利用の増加※ 4 クレジットカードの新規入会や利用による収益を算定※ 5 リカーリング等でのゴールドカード会員の増加による収益を算定 <リスク管理>当社グループは、グループの事業が気候変動によって受ける影響を把握し評価するため、シナリオの分析を行い、気候変動リスク・機会を特定しています。特定したリスク・機会はサステナビリティ推進体制のもと、戦略策定・個別事業運営の両面で管理しています。グループ会社(小売業・施設運営・物流・総合ビルマネジメント等)の役員で構成されるESG・情報開示分科会で議論された内容は、サステナビリティ委員会において定期的に報告し協議を行い、案件に応じて、取締役会への報告・提言を行っています。企業戦略に影響する気候変動を含めた世の中の動向や法制度・規制変更等の外部要因の共有や、グループ各社の施策の進捗状況や今後のリスク・機会等の内部要因を踏まえて、戦略・施策等の検討を実施していきます。 <指標と目標>・温室効果ガスの削減については、グループ全体の温室効果ガス削減目標「2030年までに2017年3月期比Scope1+Scope2を80%削減、Scope3を35%削減(2050年までに2017年3月期比Scope1+Scope2を90%削減)」が、2019年9月にSBTイニシアチブにより「1.5℃目標」として認定されています。・2030年までにグループの事業活動で消費する電力の100%(中間目標:2025年までに70%)を再生可能エネルギーから調達することを目標として、2018年7月にRE100に加盟しています。 ■ 新型コロナウイルスの感染拡大への対応当社グループでは、ステークホルダーの皆さまの健康と安全を第一に考え、さまざまな対応を進めています。この未曾有の危機をともに乗り越えるために関係を見つめ直し、パートナーシップをより強固なものにしていきたいと考えています。 (お客さま)マルイ・モディ店舗においては、2020年4月から5月の緊急事態宣言期間中は食料品売場および一部テナントを除き全店舗を休業しました。宣言が解除された後は、感染防止対策を講じたうえで順次営業を再開しました。また、2021年1月から3月の緊急事態宣言期間中は一部店舗の営業時間短縮を実施しました。なお、2021年4月から5月の緊急事態宣言期間中は、一部店舗を休業しています。エポスカードにおいては、お支払い期日の変更などの対応に加え、家賃決済のお客さまには政府の住居確保給付金制度をご案内しています。 (お取引先さま)ステークホルダーの利益拡大をめざす共創理念に基づき、休業期間中の家賃全額免除をはじめとするパートナーシップ強化策を実施しています。お取引先さまとのパートナーシップを強化することでこの未曽有の危機をともに乗り越え、中長期的な企業価値向上につなげていきます。 当期に実施したパートナーシップ強化策・お取引さまの休業期間中の家賃および共益費を全額免除・消化仕入取引先の最低保証売上の撤廃(4~8月期分)・ご希望に応じて敷金1~2カ月分を返却(6カ月以上預託するお取引先さまが対象)・ご希望に応じて5~7月期のお支払いを6カ月間猶予・お取引さまに対する「家賃支援給付金申請」のサポート (株主・投資家)新型コロナウイルスの感染拡大によって世界情勢が大きく変化し先行きは不透明ですが、適時・適切に情報を開示していきます。また、事業の継続性や安定性を確保することで、株主・投資家の皆さまに信頼していただける経営を進めていきます。 (社員)店舗の休業などにより自宅待機となった社員は特別休暇とし、コールセンターや物流センターなど出社が不可欠な部門においては、事務所の分散化や飛沫感染防止の徹底など、安心して働ける環境整備を実施しました。本社においては、働き方改革の一環として進めてきたモバイルPCの導入が完了していたことで、テレワーク実施率は上昇し、感染防止とともに新たな働き方が浸透しています。 当社グループは、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブで豊かな社会の実現をめざしています。新型コロナウイルス感染症の影響は依然不透明ですが、今後もお取引先さまとの共創により、お客さまにさまざまな選択肢を提供し、魅力ある店舗づくりを推進していきます。
MD&A(経営者による分析)
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。 (連結業績)・グループ総取扱高は2兆9,192億円(前年比+1%)となりました。新型コロナウイルスの感染拡大への対応により2カ月近く店舗を休業したことや消費者行動の変化などにより上半期は取扱高が減少しましたが、下半期は前年比+5%と伸長し、累計では前年を上回りました。・第4四半期において、利息返還損失引当金繰入額を194億円追加計上したことなどにより、営業利益は153億円(前年比△63%)12期ぶりの減益となりました。休業した店舗の固定費については、臨時性のある費用と判断し73億円を販管費等から特別損失へ振替えています。・また、雇用調整助成金収入を営業外収益に6億円、特別利益に9億円を計上したことや、特別損失に上記の固定費などを「感染症関連費用」として77億円計上したことなどにより、当期利益は23億円(前年比△91%)10期ぶりの減益となりました。・当期を最終年度とする中期経営計画は、前期まで順調に推移していたものの、上記の結果、KPIであるEPS、ROE、ROICはすべて計画未達成となりました。 ※「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」において、億円単位で記載している金額は億円未満を四捨五入しています。 □ 連結業績 新型コロナウイルスの感染拡大への対応と影響および営業利益増減の主な特殊要因・マルイ・モディ店舗においては、新型コロナウイルスの感染拡大に対応し、お客さま、お取引先さま、社員の健康と安全を最優先に考え感染拡大を防止するため、2020年4月から5月の緊急事態宣言期間中は食料品売場および一部テナントを除き全店舗を休業しました。宣言が解除された後は、感染防止対策を講じたうえで順次営業を再開しました。・この未曾有の危機を店舗に出店しているお取引先さまとともに乗り越えるため、休業期間中の家賃・共益費の免除などの施策を実施しました。これにより売上収益が42億円減少しています。・店舗休業中の固定費については、小売セグメントで67億円、フィンテックセグメントで5億円を特別損失に振替えています。・上記に加えて、小売セグメントでは定借変動収入や商品荒利の減少などにより、営業利益が推定で約73億円減少し、フィンテックセグメントではカードキャッシングの取扱高が減少したことなどにより、営業利益が約26億円減少しました。・カードキャッシングの利息返還に備えるため、利息返還損失引当金繰入額232億円(前年差+187億円)を計上したことにより、営業利益が187億円減少しました。 □ 営業利益増減要因※コロナ影響:今期が、前期のコロナ前(2019年4月~2020年2月)の基調で推移したと仮定した場合との差 □ 新型コロナウイルスの感染拡大による営業利益と特別損失への影響※ 「感染症関連費用」には固定費の振替額のほか、その他の対応費用4億円を計上しています。 (セグメント別の状況)・小売セグメントの営業利益は15億円(前年比△85%)、前年を85億円下回りました。・フィンテックセグメントの営業利益は203億円(前年比△47%)、前年を181億円下回り、9期ぶりの減益となりました。 □ セグメント営業利益 <小売セグメント>・ショッピングセンター型店舗への転換による収益改善および利益の安定化に続く新たな戦略として、モノを売る店から体験価値を提供する店への転換を進めています。D2C(ダイレクトトゥコンシューマー)ブランドやコンテンツ、サブスクリプションなどのテナント導入を拡大し、体験やエンゲージメントなどアフターデジタル時代のリアル店舗ならではの価値を提供する「売らない店」をめざしています。・4月期、5月期については新型コロナウイルスの感染拡大にともなう店舗休業や外出自粛などにより取扱高が大きく減少しました。その後は、郊外店を中心に回復傾向にあるものの、年間の累計では減収減益となりました。 <フィンテックセグメント>・エポスカードのご利用客数の拡大に向け、マルイ・モディ店舗やネット・サービス領域での新規入会の促進を強化するとともに、アニメコンテンツのコラボレーションカードの発行や、全国の商業施設との提携カードの発行を進め、提携施設数は33施設(前年差+3施設)に拡大しました。また、利用率・利用額のさらなる向上に向けて、家賃保証やリカーリングなどに取り組み、家計消費におけるシェア最大化をめざしています。・取扱高については、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛などにより伸びは鈍化したものの、ショッピングクレジットは2兆1,860億円(前年比+1%)と前年を上回りました。ECの利用は前年比33%増と伸長しましたが、トラベル・エンターテインメントの利用が前年比46%減と大きく減少しました。家賃保証などのサービス取扱高は4,609億円(前年比+30%)と引き続き大きく拡大しました。・カード会員数は709万人(前年比△2%)となりました。プラチナ・ゴールド会員は、独自の家族カード「エポスファミリーゴールド」の会員増加など、お得意さまづくりを着実に進めたことにより、270万人(前年比+8%)と伸長しました。 □ フィンテックセグメントの状況 (LTVの安定性を表す指標)当社グループの収益構造はこれまでのビジネスモデルの転換にともない、店舗の不動産賃貸収入やカード手数料をはじめとする「リカーリングレベニュー(継続的収入)」(非監査情報)が拡大し、売上・利益に占める構成が大きくなりました。お客さま・お取引先さまとの契約に基づく継続的収入であるリカーリングレベニューからは、翌期以降の将来収益を「成約済み繰延収益」(非監査情報)としてとらえることが可能であり、収益の安定性を測る指標として使用できます。これらは、LTV(生涯利益)を重視した当社グループの長期視点の経営において重要な要素であると考えています。 ・当期のリカーリングレベニュー(売上総利益ベース)は店舗休業中にテナントの家賃・共益費を免除したことなどにより、1,236億円(前年比△6%)となり、売上総利益に占める割合は67.7%(前年差+2.4%)まで高まりました。・成約済み繰延収益の算出は、不動産賃貸収入は契約残年数、リボ・分割手数料やカードキャッシング手数料は返済期間、加盟店手数料(リカーリング分)はカード有効期間、家賃保証は保証期間をもとに行っています。・当期末の成約済み繰延収益は3,340億円(前年比△5%)となり、当期の売上総利益の約1.8倍の将来収益が見込まれます。 □ LTV経営の指標(注)売上総利益ベースのリカーリングレベニュー、およびその構成を算出する際の売上総利益には、販管費戻り(お取引先さまから継続的にいただく経費)を含めています。 (財政状態)・営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)は、109億円減少し5,447億円となりました。投資有価証券が時価の上昇等にともない148億円増加したことなどにより、総資産は151億円増加し9,011億円となりました。・有利子負債(リース債務、預り金を除く。)は、47億円増加し4,846億円となり、営業債権に対する有利子負債の比率は89.0%(前期末差+2.6%)となりました。・自己資本は、4億円増加し2,902億円となり、自己資本比率は32.2%(前期末差△0.5%)となりました。・当期を最終年度とする中期経営計画では、グループの事業構造に見合った「めざすべきバランスシート」の構築を掲げ、有利子負債は営業債権の9割程度での調達、営業債権の25%程度の計画的な債権流動化などの資本政策を通じて、目標としていた総資産1兆円以内、自己資本比率30%前後の最適資本構成を達成しました。 □ バランスシートの状況※1 流動化比率=債権流動化額/(営業債権+債権流動化額)※2 営業債権比=有利子負債/営業債権 (キャッシュ・フローの状況)・営業キャッシュ・フローは、222億円の収入(前期は399億円の収入)となりました。営業キャッシュ・フローから営業債権の増減等を除いた基礎営業キャッシュ・フローは、税引前利益の減少などにより、前期より184億円減少し、206億円の収入となりました。・投資キャッシュ・フローは、固定資産の取得104億円、投資有価証券の取得66億円などにより162億円の支出(前期は203億円の支出)となりました。・財務キャッシュ・フローは、有利子負債の増加による46億円の収入や配当金の支払101億円などにより56億円の支出(前期は255億円の支出)となりました。 □ キャッシュ・フローの状況 (注) 当社グループでは営業キャッシュ・フローから営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)等の増減を控除した「基礎営業キャッシュ・フロー」を収益性・健全性の指標としています。 (生産、受注及び販売の状況)① 生産の状況連結財務諸表提出会社および関係会社において、該当事項はありません。 ② 受注の状況小売およびフィンテックの一部において受注による営業を行っており、当連結会計年度の受注額は7,496百万円(前年同期比61.0%)、当連結会計年度末の受注残高は1,985百万円(同63.8%)です。(注) 上記の金額には消費税等を含めていません。 ③ 販売の状況当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称金額(百万円)前年比(%)小売 定期借家テナント収入等33,13078.0商品売上高27,54176.1消化仕入売上高(純額)5,06868.9関連事業収入19,76579.3小売計85,50577.1フィンテック135,32699.1合計220,83289.2 (注) 1 上記の金額には消費税等を含めていません。2 上記の金額は、外部顧客に対する売上収益を示しています。 ④ 仕入の状況当連結会計年度における商品仕入実績は次のとおりです。 セグメントの名称金額(百万円)前年比(%)小売17,16875.2 (注) 上記の金額には消費税等を含めていません。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。 ② 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの状況の分析「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しています。資本の財源および資金の流動性については「2 事業等のリスク」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 金融商品関係」に記載しています。