有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。「グループ経営理念」の内容は以下のとおりです。<グループ経営理念>1 経営理念小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。2 行動指針私たちは、経営理念の実現のため、3つの精神を忘れることなく、お客さまに「上質と感動」を提供します。(真摯)私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します。(進取)私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追求に挑戦します。(融和)私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との共生に取り組みます。 当社グループでは、「グループ経営理念」を実現するため、経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」を策定し、企業価値・地域価値の向上に努めています。 経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」① 全体方針「地域価値創造型企業に向けて」私たちは、小田急沿線や事業を展開する地域とともに成長するために、既成概念に捉われず常に挑戦を続けることで、お客さまの体験や環境負荷の低減など地域に新しい価値を創造していく企業に進化します。 グループ経営理念のもと、サステナビリティ経営を根幹に、地域経済圏発想での事業展開および事業ポートフォリオの最適化を図ることで、地域価値創造型企業としての持続的成長と企業価値向上を両立し、経営ビジョンの実現を目指してまいります。 (参考)経営計画体系 ② 2030年度に向けた成長ストーリー連結財務目標を達成するため、成長領域への積極投資、株主還元の強化、人的資本の拡充の3つの柱に特に重点的に取り組むことで、資本コストや株価を意識した経営の実践を加速させてまいります。 ③ 企業価値向上に向けた財務方針 エクイティ・スプレッド拡大の蓋然性向上を課題とし、ROE向上と株主資本コストのコントロールに向けた計画のさらなる具体化とバリューアップを図ってまいります。なかでもROE向上のため、「セグメント別営業利益ROAによる目標管理」「継続的な資産入替え」「財務健全性の確保・金利上昇への対応」「株主還元の強化」に注力してまいります。 ア 連結財務目標重要指標2026年度2030年度資本コストや株価を意識した経営ROE※8.0%10%以上利益の成長営業利益540億円800億円以上(昨年公表 800億円)財務健全性の確保有利子負債/EBITDA倍率7倍台でコントロール※ 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均・有価証券評価差額除く) イ 株主還元長期目標(~2030年度)・2030年度までに自己資本比率を30%に圧縮(2025年度末36.4%)・2026~2030年度累計1,800億円の株主還元(2025~2030年度累計2,000 億円)・2030年度(連結財務目標達成年度)にかけて、累進配当を目指す基本方針(2023~2026年度)自己資本比率30%の確保を前提に、2023~2026年度の平均で、連結総還元性向40%以上※を目標とした安定的な配当および機動的な自己株式取得を実施※ 4ヵ年合計総還元額/4ヵ年合計親会社株主に帰属する当期純利益額≧40% ⇒2023~2026年度平均:56%と目標を大幅に上回る見込み配当2025年度:1株当たり年間55円を予定(年間50円から配当予想を上方修正)2026年度:1株当たり年間60円を予定自己株式取得・2026年12月末までに200億円取得(自己資本比率を意識したBSコント ロール)・経営環境の変化や業績、株式需給バランス等を総合的に勘案したうえ で実施時期を検討(取得実績)2023年度・2024年度合計:327億円 (2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題インバウンド伸長や人口減少等の外部環境および豊かな沿線をはじめとする当社の強みを踏まえ、「沿線まちづくり」と「観光」による事業成長を目指すべく、重点施策として定めた事業や経営基盤の強化を推進してまいります。各施策の概要は、以下のとおりです。 ① 事業強化ア 観光需要の取り込み日本一のインバウンド観光ハブ化を目指す新宿と観光地の箱根・湘南を拠点に、沿線全体で国内外の観光客を誘引し、観光拠点での収益拡大や拠点間の移動需要最大化に努めるほか、沿線観光の多拠点化を図ることで、2030年度における観光収益1,200億円、営業利益150億円の達成を目指してまいります。具体的には、新宿駅西口地区開発計画を契機に、集客施設の拡充や駅施設の改良等を通じた魅力向上を図ることで、新宿の集客・送客機能を強化するほか、湘南等での夕景・夜景の魅力向上施策を通じた集客時期・時間帯の拡大等による観光需要の受け皿拡充に努めてまいります。加えて、新型特急ロマンスカーの導入等による魅力・利便性向上を通じて顧客増加を図るとともに、特急料金の見直しや箱根フリーパスと特急券のセット利用促進等により、顧客単価の引上げを目指してまいります。さらに、デジタルチケットの商品組成等を通じて、丹沢・大山エリアをはじめとした沿線全域への観光客誘引を図ってまいります。 イ ホテル業の拡大インフレ対応力の高いホテル業を強化し、新宿や箱根周辺地域を中心に、既存ホテルのリニューアルや新規ホテルの開発等によりインバウンド需要を取り込むことで、2030年度における営業利益50億円の達成を目指してまいります。具体的には、「箱根ハイランドホテル」、「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」のリニューアルをはじめ、高付加価値ホテルの新規開発やホテルの運営受託を推進するとともに、M&Aの活用を図ってまいります。 ウ 不動産業の強化長期保有型の開発・リニューアルや既存物件の収益性向上施策と、短期回収型の投資(回転型投資・住宅分譲・国内SPC・海外不動産)を組み合わせ、不動産業の2030年度における営業利益320億円およびROA5%の達成を目指してまいります。具体的には、新宿駅西口地区開発計画および海老名駅間地区等の沿線まちづくりを推進することで、エリアの価値向上・収益最大化を図るとともに、開発・リニューアル等に伴う地価上昇を踏まえた既存物件の賃料見直しを実施してまいります。加えて、短期回収型の手法については、外部環境や取組み実績のほか、リスク分散等を考慮しながら投資を配分し、短期収益の獲得を図ってまいります。 エ 交通業の進化安全・防災対策の強化とサービスの向上および持続可能な運営体制の構築に取り組むとともに、運賃改定等を通じた継続的な利益成長を図ることで、交通業の持続的な進化を実現してまいります。具体的には、高架橋の耐震補強工事やホームドア整備等を推進するほか、ワンマン運転の導入やAI等を活用したメンテナンス業務等の効率化・高度化により、当社鉄道事業の2035年度における要員30%削減(2020年度比)を図るなど、労働人口の減少への対策を講じてまいります。加えて、これらの取組みを着実に推進するため、利益創出を図るべく、㈱小田急箱根において新型車両を導入するほか、当社における運賃改定の認可申請に向けた検討を進めてまいります。 オ ストア・小売業の強化積極的な新規出店による事業規模の拡大を図るとともに、店舗運営力の強化やDXを通じた生産性向上に取り組むことで、2030年度における営業利益30億円および営業利益率3%超の達成を目指してまいります。具体的には、ドミナント戦略に則り、沿線を中心に新規出店を推進するほか、計画的な店舗改装により利便性・快適性を高めることで、競争力を確保してまいります。加えて、㈱ヨーク・ホールディングスと締結した業務提携基本契約を通じた商品ラインナップの拡充・運営ノウハウの相互共有、およびMD戦略やオペレーション改革を実行するほか、デジタルマーケティングの強化や少人数運営体制の構築を図ってまいります。 カ デジタルによる事業創造/その他の生活サービス業デジタル事業では、事業の選択と集中を進め、「WOOMS」等へ経営資源を集中投下することで、収益および利益を獲得してまいります。また、生活サービス業(ホテル業およびストア・小売業を除く)では、2030年度における営業利益70億円の達成を目指してまいります。具体的には、「WOOMS」において、顧客となる自治体や廃棄物収集運搬事業者への営業強化等により、早期黒字化を目指してまいります。また、国内最大級のリゾートバイト求人サイト「リゾバ.com」を運営する㈱ヒューマニックにおいて、人材派遣業の市場規模拡大を図るほか、レストラン飲食業において、「あるでん亭」や「いまがわ食堂」等の出店を強化してまいります。 ② 経営基盤強化 概要と取り組みの例人的資本の拡充構造改革の推進や人財確保をはじめとした重点課題を踏まえた人的資本の投下により、従業員エンゲージメントと労働生産性の向上を図ることで、事業成長を目指してまいります。●私鉄業界トップを目指した労働生産性の向上および人財投資の推進●職場環境の改善および福利厚生の拡充●不動産業等の成長領域における有資格者の育成や専門人財・即戦力の採用●経営管理能力や専門スキルの獲得を可能とするモデルキャリアパスの策定・運用<外部評価:当社における受賞履歴> ・キャリアオーナーシップ経営AWARD2025 企業文化の変革部門 「最優秀賞(大企業の部)」 ・人的資本経営品質2025 「シルバー(29社)」AI活用・DXの推進デジタル化やAI活用等を通じた業務改革を実現するとともに、これらの取組みの実施に向けた基盤を構築すべく、デジタル人財の育成や風土改革等を実行してまいります。●グループ共通データ分析基盤の拡充とデータ利活用の推進●DX施策が企画・実行可能な高度スキルを有する人財の育成 (2026年度までに約520名育成)ガバナンス取締役会の監督機能強化を図るほか、人権尊重の取組み等を推進してまいります。●全社戦略に関する議論の充実化等、実行性評価の結果を踏まえた取組みの推進●取引先へのサステナビリティアンケートのグループ展開環境「小田急グループ カーボンニュートラル2050」に基づき、2050年度における小田急グループのCO2排出量実質「0」を目指してまいります。●EVバス(電動バス)の仕様統一・共同調達によるコスト抑制や不動産環境性能の強化に よる脱炭素社会の実現●商業施設の食品廃棄物のリサイクル等による資源循環社会の実現●清掃活動やTNFD情報開示等の推進による自然保全と活用<外部評価:当社におけるCDP※スコア> 気候変動 A (最高評価) 水セキュリティ A-(鉄道業界最高位) ※ 環境への取組みを調査・評価・開示する国際的な非営利団体資本市場との対話強化資本市場との対話を強化し、株主資本コストの抑制および企業価値の最大化を図ってまいります。●投資家へのアプローチ施策の拡充や情報発信の強化●経営層による対話強化や対話を起点とした経営改善<外部評価:当社における受賞履歴> 2025年度全上場企業ホームページ充実度ランキング「総合部門 優良サイト」
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。「グループ経営理念」の内容は以下のとおりです。<グループ経営理念>1 経営理念小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。2 行動指針私たちは、経営理念の実現のため、3つの精神を忘れることなく、お客さまに「上質と感動」を提供します。(真摯)私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します。(進取)私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追求に挑戦します。(融和)私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との共生に取り組みます。 当社グループでは、「グループ経営理念」を実現するため、経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」を策定し、企業価値・地域価値の向上に努めています。 経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」① 全体方針「地域価値創造型企業に向けて」私たちは、小田急沿線や事業を展開する地域とともに成長するために、既成概念に捉われず常に挑戦を続けることで、お客さまの体験や環境負荷の低減など地域に新しい価値を創造していく企業に進化します。 グループ経営理念のもと、サステナビリティ経営を根幹に、地域経済圏発想での事業展開および事業ポートフォリオの最適化を図ることで、地域価値創造型企業としての持続的成長と企業価値向上を両立し、経営ビジョンの実現を目指してまいります。 (参考)経営計画体系 ② 2030年度に向けた成長ストーリー連結財務目標を達成するため、成長領域への積極投資、株主還元の強化、人的資本の拡充の3つの柱に特に重点的に取り組むことで、資本コストや株価を意識した経営の実践を加速させてまいります。 ③ 企業価値向上に向けた財務方針 エクイティ・スプレッド拡大の蓋然性向上を課題とし、ROE向上と株主資本コストのコントロールに向けた計画のさらなる具体化とバリューアップを図ってまいります。なかでもROE向上のため、「セグメント別営業利益ROAによる目標管理」「継続的な資産入替え」「財務健全性の確保・金利上昇への対応」「株主還元の強化」に注力してまいります。 ア 連結財務目標重要指標2026年度2030年度資本コストや株価を意識した経営ROE※8.0%10%以上利益の成長営業利益540億円800億円以上(昨年公表 800億円)財務健全性の確保有利子負債/EBITDA倍率7倍台でコントロール※ 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均・有価証券評価差額除く) イ 株主還元長期目標(~2030年度)・2030年度までに自己資本比率を30%に圧縮(2025年度末36.4%)・2026~2030年度累計1,800億円の株主還元(2025~2030年度累計2,000 億円)・2030年度(連結財務目標達成年度)にかけて、累進配当を目指す基本方針(2023~2026年度)自己資本比率30%の確保を前提に、2023~2026年度の平均で、連結総還元性向40%以上※を目標とした安定的な配当および機動的な自己株式取得を実施※ 4ヵ年合計総還元額/4ヵ年合計親会社株主に帰属する当期純利益額≧40% ⇒2023~2026年度平均:56%と目標を大幅に上回る見込み配当2025年度:1株当たり年間55円を予定(年間50円から配当予想を上方修正)2026年度:1株当たり年間60円を予定自己株式取得・2026年12月末までに200億円取得(自己資本比率を意識したBSコント ロール)・経営環境の変化や業績、株式需給バランス等を総合的に勘案したうえ で実施時期を検討(取得実績)2023年度・2024年度合計:327億円 (2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題インバウンド伸長や人口減少等の外部環境および豊かな沿線をはじめとする当社の強みを踏まえ、「沿線まちづくり」と「観光」による事業成長を目指すべく、重点施策として定めた事業や経営基盤の強化を推進してまいります。各施策の概要は、以下のとおりです。 ① 事業強化ア 観光需要の取り込み日本一のインバウンド観光ハブ化を目指す新宿と観光地の箱根・湘南を拠点に、沿線全体で国内外の観光客を誘引し、観光拠点での収益拡大や拠点間の移動需要最大化に努めるほか、沿線観光の多拠点化を図ることで、2030年度における観光収益1,200億円、営業利益150億円の達成を目指してまいります。具体的には、新宿駅西口地区開発計画を契機に、集客施設の拡充や駅施設の改良等を通じた魅力向上を図ることで、新宿の集客・送客機能を強化するほか、湘南等での夕景・夜景の魅力向上施策を通じた集客時期・時間帯の拡大等による観光需要の受け皿拡充に努めてまいります。加えて、新型特急ロマンスカーの導入等による魅力・利便性向上を通じて顧客増加を図るとともに、特急料金の見直しや箱根フリーパスと特急券のセット利用促進等により、顧客単価の引上げを目指してまいります。さらに、デジタルチケットの商品組成等を通じて、丹沢・大山エリアをはじめとした沿線全域への観光客誘引を図ってまいります。 イ ホテル業の拡大インフレ対応力の高いホテル業を強化し、新宿や箱根周辺地域を中心に、既存ホテルのリニューアルや新規ホテルの開発等によりインバウンド需要を取り込むことで、2030年度における営業利益50億円の達成を目指してまいります。具体的には、「箱根ハイランドホテル」、「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」のリニューアルをはじめ、高付加価値ホテルの新規開発やホテルの運営受託を推進するとともに、M&Aの活用を図ってまいります。 ウ 不動産業の強化長期保有型の開発・リニューアルや既存物件の収益性向上施策と、短期回収型の投資(回転型投資・住宅分譲・国内SPC・海外不動産)を組み合わせ、不動産業の2030年度における営業利益320億円およびROA5%の達成を目指してまいります。具体的には、新宿駅西口地区開発計画および海老名駅間地区等の沿線まちづくりを推進することで、エリアの価値向上・収益最大化を図るとともに、開発・リニューアル等に伴う地価上昇を踏まえた既存物件の賃料見直しを実施してまいります。加えて、短期回収型の手法については、外部環境や取組み実績のほか、リスク分散等を考慮しながら投資を配分し、短期収益の獲得を図ってまいります。 エ 交通業の進化安全・防災対策の強化とサービスの向上および持続可能な運営体制の構築に取り組むとともに、運賃改定等を通じた継続的な利益成長を図ることで、交通業の持続的な進化を実現してまいります。具体的には、高架橋の耐震補強工事やホームドア整備等を推進するほか、ワンマン運転の導入やAI等を活用したメンテナンス業務等の効率化・高度化により、当社鉄道事業の2035年度における要員30%削減(2020年度比)を図るなど、労働人口の減少への対策を講じてまいります。加えて、これらの取組みを着実に推進するため、利益創出を図るべく、㈱小田急箱根において新型車両を導入するほか、当社における運賃改定の認可申請に向けた検討を進めてまいります。 オ ストア・小売業の強化積極的な新規出店による事業規模の拡大を図るとともに、店舗運営力の強化やDXを通じた生産性向上に取り組むことで、2030年度における営業利益30億円および営業利益率3%超の達成を目指してまいります。具体的には、ドミナント戦略に則り、沿線を中心に新規出店を推進するほか、計画的な店舗改装により利便性・快適性を高めることで、競争力を確保してまいります。加えて、㈱ヨーク・ホールディングスと締結した業務提携基本契約を通じた商品ラインナップの拡充・運営ノウハウの相互共有、およびMD戦略やオペレーション改革を実行するほか、デジタルマーケティングの強化や少人数運営体制の構築を図ってまいります。 カ デジタルによる事業創造/その他の生活サービス業デジタル事業では、事業の選択と集中を進め、「WOOMS」等へ経営資源を集中投下することで、収益および利益を獲得してまいります。また、生活サービス業(ホテル業およびストア・小売業を除く)では、2030年度における営業利益70億円の達成を目指してまいります。具体的には、「WOOMS」において、顧客となる自治体や廃棄物収集運搬事業者への営業強化等により、早期黒字化を目指してまいります。また、国内最大級のリゾートバイト求人サイト「リゾバ.com」を運営する㈱ヒューマニックにおいて、人材派遣業の市場規模拡大を図るほか、レストラン飲食業において、「あるでん亭」や「いまがわ食堂」等の出店を強化してまいります。 ② 経営基盤強化 概要と取り組みの例人的資本の拡充構造改革の推進や人財確保をはじめとした重点課題を踏まえた人的資本の投下により、従業員エンゲージメントと労働生産性の向上を図ることで、事業成長を目指してまいります。●私鉄業界トップを目指した労働生産性の向上および人財投資の推進●職場環境の改善および福利厚生の拡充●不動産業等の成長領域における有資格者の育成や専門人財・即戦力の採用●経営管理能力や専門スキルの獲得を可能とするモデルキャリアパスの策定・運用<外部評価:当社における受賞履歴> ・キャリアオーナーシップ経営AWARD2025 企業文化の変革部門 「最優秀賞(大企業の部)」 ・人的資本経営品質2025 「シルバー(29社)」AI活用・DXの推進デジタル化やAI活用等を通じた業務改革を実現するとともに、これらの取組みの実施に向けた基盤を構築すべく、デジタル人財の育成や風土改革等を実行してまいります。●グループ共通データ分析基盤の拡充とデータ利活用の推進●DX施策が企画・実行可能な高度スキルを有する人財の育成 (2026年度までに約520名育成)ガバナンス取締役会の監督機能強化を図るほか、人権尊重の取組み等を推進してまいります。●全社戦略に関する議論の充実化等、実行性評価の結果を踏まえた取組みの推進●取引先へのサステナビリティアンケートのグループ展開環境「小田急グループ カーボンニュートラル2050」に基づき、2050年度における小田急グループのCO2排出量実質「0」を目指してまいります。●EVバス(電動バス)の仕様統一・共同調達によるコスト抑制や不動産環境性能の強化に よる脱炭素社会の実現●商業施設の食品廃棄物のリサイクル等による資源循環社会の実現●清掃活動やTNFD情報開示等の推進による自然保全と活用<外部評価:当社におけるCDP※スコア> 気候変動 A (最高評価) 水セキュリティ A-(鉄道業界最高位) ※ 環境への取組みを調査・評価・開示する国際的な非営利団体資本市場との対話強化資本市場との対話を強化し、株主資本コストの抑制および企業価値の最大化を図ってまいります。●投資家へのアプローチ施策の拡充や情報発信の強化●経営層による対話強化や対話を起点とした経営改善<外部評価:当社における受賞履歴> 2025年度全上場企業ホームページ充実度ランキング「総合部門 優良サイト」
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績当期のわが国経済は、米国の通商政策による影響がみられたものの、企業収益や雇用・所得環境が改善する中、個人消費も持ち直すなど、全体として緩やかな景気の回復が続きました。このような状況のもと、前期にグループ通算制度の適用に伴い、百貨店業およびストア・小売業において決算期を変更し13ヵ月間を連結した反動等により、営業収益は418,732百万円(前期比0.9%減)となりました。一方、交通業における輸送人員の増加等により、営業利益は52,659百万円(同2.4%増)となりました。また、経常利益は54,028百万円(同7.0%増)となったほか、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期にUDS㈱の外部譲渡に伴う関係会社株式売却益を計上した反動等により、37,368百万円(同28.1%減)となりました。セグメントごとの業績は、次のとおりです。 ア 交通業鉄道業では、輸送面において、本年3月、特急ロマンスカーの増発と長編成化および接続改善等による、通勤・通学や観光シーンでの利便性の向上を目的としたダイヤ改正を実施しました。また、通勤車両3000形2編成のリニューアルを実施のうえ、「車いす・ベビーカースペース」を全車両に設けるなど、輸送サービスの向上を図りました。営業面では、㈱小田急箱根において、昨年4月、大涌谷駅1階と駅前広場をリニューアルし、大涌谷の絶景を一望できる新展望エリア「ちきゅうの谷」をオープンするなど、積極的な旅客誘致による収益の向上に努めました。また、当社において、昨年10月、物価高や人手不足等の影響を踏まえ、「箱根フリーパス」等の料金を改定し、箱根周遊の安全性・魅力向上を目的とした設備投資を持続的に行うための体制を整備しました。施設面では、列車運行の安全性を一層高めるため、高架橋の耐震補強工事や喜多見駅をはじめとした5駅のホームドア整備等を実施したほか、車内防犯カメラについて、計画された全車両への設置を完了しました。このほか、本年1月、藤沢市と協力のうえ実施している藤沢駅改良工事の進捗により、同駅の橋上駅舎の一部が完成したことから、2階改札口の使用を開始するなど、駅施設の充実を図りました。バス業では、㈱江ノ電バスにおいて、本年3月、小児IC運賃を全路線一律で50円とするなど、「子育て応援ポリシー」に基づく取組みを実施しました。また、各社において、運転士不足が生じている状況を踏まえ、安定した輸送サービスを持続的に提供していくため、適正な労働環境の確保を目的としたダイヤ改正や待遇改善等に向けた運賃改定を実施しました。以上の結果、鉄道業において定期・定期外ともに輸送人員が増加したことに加え、バス業や箱根エリアにおいて運賃改定を実施したことなどにより、営業収益は181,261百万円(前期比3.6%増)、営業利益は29,517百万円(同11.4%増)となりました。 (提出会社の鉄道事業運輸成績表)種別単位当連結会計年度(2025.4.1~2026.3.31) 対前期増減率(%)営業日数 日3650.0営業キロ キロ120.50.0客車走行キロ 千キロ174,9851.5 定期千人410,7781.5輸送人員定期外〃301,8502.6 計〃712,6282.0 定期百万円43,0341.4旅客運輸収入定期外〃74,8832.8 計〃117,9172.3運輸雑収 〃3,121△2.4運輸収入合計 〃121,0392.1乗車効率 %43.5-(注) 乗車効率の算出方法乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)/(客車走行キロ×平均定員)×100 イ 不動産業不動産分譲業では、小田急不動産㈱において、「リーフィア新百合ヶ丘グレイスコート」等の戸建住宅や、「リーフィアレジデンス練馬中村橋」をはじめとしたマンションを分譲するなど、収益の確保に努めました。不動産賃貸業では、当社、東京地下鉄㈱および東急不動産㈱を事業主体とする新宿駅西口地区開発計画において、杭工事をはじめとした新築工事や、旧「新宿ミロード」等の解体工事を実施したほか、オフィス部分のリーシングに着手しました。また、当社および㈱小田急SCディベロップメントにおいて、昨年4月、商業施設「小田急マルシェ中央林間」を開業するなど、施設の充実および活性化を図りました。このほか、当社は、本年2月、座間駅前の「ホシノタニ団地」において、コワーキングスペースやサウナを完備した賃貸レジデンス「goodroom residence 座間ホシノタニ団地」を開業するなど、各エリアの開発計画を鋭意推進しました。以上の結果、不動産賃貸業において新宿駅西口地区開発計画の進捗に伴い「新宿ミロード」を閉館した影響があったものの、その他の商業施設やオフィスの賃料収入が増加したことなどにより、営業収益は96,226百万円(前期比0.3%増)となりました。一方、営業利益は15,473百万円(同2.4%減)となりました。 ウ 生活サービス業百貨店業では、㈱小田急百貨店町田店において、本年9月に控える開店50周年を記念し、特別企画やプロモーションを実施したほか、全店において、催事をはじめとする各種営業施策を積極的に展開するなど、収益の確保に努めました。ストア・小売業では、小田急商事㈱において、本年3月、商品供給・人材交流等の分野で協力体制を構築し、事業拡大およびサービス品質向上を図るべく、㈱ヨーク・ホールディングスと業務提携基本契約を締結しました。ホテル業では、当社および㈱小田急リゾーツにおいて、昨年12月、旧「箱根レイクホテル」を全面リノベーションし、多彩なドッグランやグルーミングルーム等の設備を充実させたドッグフレンドリーホテル「RETONA HAKONE(リトナ ハコネ)」としてオープンするなど、事業基盤の強化に努めました。レストラン飲食業では、㈱小田急レストランシステムにおいて、同社が運営する「箱根そば」の開業60周年を記念し、限定メニューの販売をはじめとした企画を実施しました。加えて、各社において、新規業態の開発や新規出店を実施するなど、集客力の強化を図りました。しかしながら、前期にグループ通算制度の適用に伴い、百貨店業およびストア・小売業において決算期を変更し13ヵ月間を連結した反動等により、営業収益は158,606百万円(前期比6.0%減)、営業利益は7,658百万円(同15.5%減)となりました。② キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益51,165百万円に減価償却費や法人税等の支払額等を加減した結果、59,915百万円の資金収入となり、前連結会計年度に比べ、4,037百万円の資金収入の増加となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、84,274百万円の資金支出と、前連結会計年度に比べ、9,778百万円の資金支出の増加となりました。これは、前期の連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入(UDS㈱外部譲渡)の反動等によるものです。この結果、これらを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは24,358百万円の資金支出となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、借入れによる収入が増加したことなどにより、29,270百万円の資金収入となりました。なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ4,911百万円増加し、39,863百万円となりました。③ 生産、受注および販売の実績当社グループは、役務の提供を主体とする事業の性格上、生産および受注の実績を金額あるいは数量で示すことはしていません。そのため生産、受注および販売の実績については、「① 経営成績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しています。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成に際し、経営者は、決算日における資産・負債および報告期間における収入・費用の金額ならびに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計方針および見積りには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当報告書提出日現在において判断したものです。また、連結財務諸表の作成における会計上の見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等〔注記事項〕(重要な会計上の見積り)」に記載しています。ア 棚卸資産の評価当社グループは、多くの棚卸資産を保有しており、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2008年9月26日)を適用しています。これらのうち、分譲土地建物については原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切り下げの方法により算定)を採用しており、市場価格が下落した場合には、簿価の切り下げにより費用が発生する可能性があります。イ 有価証券の減損当社グループは、金融機関や取引先の有価証券を保有しています。これらのうち、市場価格のない株式等以外の有価証券については、時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っています。これらの有価証券は価格変動リスクを負っているため、損失が発生する可能性があります。ウ 固定資産の減損当社グループは、多くの固定資産を保有しています。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき算出しているため、前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。エ 繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産について実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しています。評価性引当額は将来年度の課税所得の見込額等を考慮して計上しますが、将来の業績変動により課税所得の見込額が減少または増加した場合には、評価性引当額の追加計上または取崩しが必要となる場合があります。オ 退職給付債務および費用従業員の退職給付債務および費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、予想昇給率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付債務および費用に影響する可能性があります。② 財政状態および経営成績(財政状態)総資産は、分譲土地建物やSPC出資により投資有価証券が増加したことなどから、1,393,521百万円(前連結会計年度末比93,530百万円増)となりました。負債は、有利子負債が増加したことなどから、884,738百万円(同64,010百万円増)となりました。純資産は、利益剰余金が増加したことなどから、508,783百万円(同29,519百万円増)となりました。(経営成績)ア 営業収益および営業利益当連結会計年度における営業収益は418,732百万円(前期比0.9%減)、営業利益は52,659百万円(同2.4%増)となりました。なお、各セグメントの営業収益および営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しています。イ 営業外損益および経常利益経常利益は54,028百万円(同7.0%増)となりました。ウ 特別損益および親会社株主に帰属する当期純利益前期にUDS㈱の外部譲渡に伴う関係会社株式売却益を計上した反動等により、税金等調整前当期純利益は51,165百万円(同29.0%減)となり、ここから法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は37,368百万円(同28.1%減)となりました。③ 資本の財源および資金の流動性についての分析ア 設備投資による資本の投下当社グループは、鉄道事業において、安全・防災対策の強化やサービスの向上、持続可能な運営体制の構築に努めているほか、他の事業においても、沿線価値の向上を目指して継続的な設備投資を行っています。当連結会計年度は総額81,385百万円の設備投資を実施しました。なお、各セグメントの設備投資等の概要については、「第3 設備の状況」の「1 設備投資等の概要」に記載しています。イ 資金需要の主な内容と動向当社グループの主要な資金需要は、鉄道事業における安全・防災対策の強化やサービスの向上、持続可能な運営体制の構築に不可欠な設備投資や、沿線価値の向上に資する開発投資等ですが、そのほかに人件費等の事業運営のための運転資金の支出があります。また、今後の動向としては、設備投資が資金需要の中で最も高い割合を占める状況が続くと考えています。ウ 資金調達当社グループの資金調達は、鉄道事業における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債および民間金融機関からの借入金等、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しています。なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入し、資金繰りの波動により、短期的な資金需要が発生する場合には、極力グループ内資金を活用するほか、適宜、コマーシャル・ペーパー(CP)の発行等により緊急時の流動性を確保しています。エ 資金の流動性当社グループは、鉄道事業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しています。 ④ 経営指標当社グループでは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営の基本方針 ③ 企業価値向上に向けた財務方針」に記載のとおり、ROE、営業利益、有利子負債/EBITDA倍率を重要指標としています。なお、当連結会計年度については、以下のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)ROE(注)11.7%8.0%営業利益51,43152,659有利子負債/EBITDA倍率6.8倍7.2倍(注) 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均・有価証券評価差額除く) (参考) 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)借入金・社債等609,051662,276鉄道・運輸機構長期未払金43,73737,478有利子負債計(注)652,789699,754EBITDA95,38697,012(注) リース債務および社内預金は除いています。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。「グループ経営理念」の内容は以下のとおりです。<グループ経営理念>1 経営理念小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。2 行動指針私たちは、経営理念の実現のため、3つの精神を忘れることなく、お客さまに「上質と感動」を提供します。(真摯)私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します。(進取)私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追求に挑戦します。(融和)私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との共生に取り組みます。 当社グループでは、「グループ経営理念」を実現するため、経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」を策定し、企業価値・地域価値の向上に努めています。 経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」① 全体方針「地域価値創造型企業に向けて」私たちは、小田急沿線や事業を展開する地域とともに成長するために、既成概念に捉われず常に挑戦を続けることで、お客さまの体験や環境負荷の低減など地域に新しい価値を創造していく企業に進化します。 グループ経営理念のもと、サステナビリティ経営を根幹に、地域経済圏発想での事業展開および事業ポートフォリオの最適化を図ることで、地域価値創造型企業としての持続的成長と企業価値向上を両立し、経営ビジョンの実現を目指してまいります。 (参考)経営計画体系 ② 2030年度に向けた成長ストーリー新たな連結財務目標を達成するため、成長領域への積極投資、株主還元の強化、人的資本の拡充の3つの柱に特に重点的に取り組むことで、資本コストや株価を意識した経営の実践を加速させてまいります。 ③ 企業価値向上に向けた財務方針 エクイティ・スプレッドの拡大に向けたROE向上と株主資本コストのコントロールを課題とし、なかでもROE向上のため、「セグメント別営業利益ROAによる目標管理」「継続的な資産入替え」「株主還元の強化」に注力してまいります。 ア 連結財務目標重要指標2026年度計画2030年度目標資本コストや株価を意識した経営ROE※18.0%前回目標※26.2%(+1.8P)10%以上前回目標※27%以上(+3P)利益の成長営業利益540億円前回目標※2500億円(+40億円)800億円前回目標※2700億円(+100億円)財務健全性の確保有利子負債/EBITDA倍率7倍台でコントロール※1 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(有価証券評価差額除く)※2 2024年5月公表目標 イ 株主還元 2025~2030年度累計で2,000億円の株主還元を実施し、2030年度までに自己資本比率を30%に圧縮してまいります。基本方針(2023~2026年度)自己資本比率30%の確保を前提に、2023~2026年度の平均で、連結総還元性向40%以上※を目標とした安定的な配当および機動的な自己株式取得を実施※ 4ヵ年合計総還元額/4ヵ年合計親会社株主に帰属する当期純利益額≧40%配当2024年度:1株当たり年間40円を予定(年間30円から配当予想を修正)2025年度:1株当たり年間50円を予定自己株式取得経営環境の変化や業績等を総合的に勘案したうえで実施時期を検討金融機関等の当社株式売却による株式需給バランス悪化への対応も考慮(取得実績)2023年度・2024年度合計:327億円 (2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題インバウンド需要の拡大等を事業機会と捉え、重点施策として定めた事業や経営基盤の強化を推進してまいります。各施策の概要は、以下のとおりです。 ① 事業強化ア 観光需要の取り込み日本一のインバウンド観光ハブ化を目指す新宿と観光地の箱根・湘南を拠点に、沿線全体で国内外の観光客を誘引し、観光拠点での収益拡大や拠点間の移動需要最大化に努めるほか、沿線観光の多拠点化を図ることで、2030年度における観光収益1,200億円、営業利益150億円の達成を目指してまいります。具体的には、プロモーション強化やデジタル施策連携の実施等を通じて、宿泊・買い物等の需要の取り込み、および箱根・湘南での閑散期における収益の底上げに努めてまいります。加えて、特急の魅力向上等による当社線利用者・顧客単価の増加や、新たな目的地およびコンテンツの育成・増加による当社線への観光客誘引を図ってまいります。 イ ホテル業の拡大新宿や箱根周辺地域を中心に、既存ホテルのリニューアルや新規ホテルの開発等を進め、旺盛なインバウンド需要を取り込むことで、2030年度における営業利益50億円の達成を目指してまいります。具体的には、2030年度までに、「旧箱根レイクホテル※」、「箱根ハイランドホテル」、「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」のリニューアルをはじめ、高付加価値ホテルの新規開発やホテルの運営受託を推進するとともに、M&Aの活用を図ってまいります。※ 旧箱根レイクホテルは、「RETONA HAKONE」としてリニューアル開業予定(2025年12月)です。 ウ 不動産業の強化従来から取り組む長期保有型の開発・リニューアルや既存物件の収益性向上施策のみならず、短期回収型の投資手法(国内SPC・海外不動産・回転型投資・住宅分譲)を強化し、不動産業の2030年度における営業利益300億円の達成およびROA向上を目指してまいります。具体的には、新宿駅西口地区開発計画において、新たな体験を実現する商業機能や最新かつハイグレードなオフィス機能、顧客起点のビジネス創発機能の提供等により、新宿エリアの価値向上・収益最大化に取り組むとともに、引き続き海老名駅間地区の開発計画を推進するなど、沿線での不動産開発に努めてまいります。加えて、短期回収型の手法については、外部環境や取り組み実績のほか、リスク分散等を考慮しながら投資を配分し、短期収益の獲得とROA向上を図ってまいります。 エ 交通業の進化安全・防災対策の強化とサービスの向上や持続可能な運営体制の構築に取り組むほか、観光体験の付加価値向上を図ることで、収益拡大を目指してまいります。具体的には、当社鉄道事業において、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用したホームドア整備や耐震補強工事、大野総合車両所の移転をはじめとした大規模設備更新を実施するほか、労働人口の減少を見据え、ワンマン運転の導入や駅業務の省力化等により、2035年度における要員30%削減(2020年度比)を図ってまいります。加えて、これらの取り組みを着実に推進するため、適切な時期での運賃改定を目指してまいります。また、大涌谷駅における新展望エリア「ちきゅうの谷」のオープン等を通じた箱根の各施設の魅力向上を図るとともに、新型特急ロマンスカーの導入に向けた検討を進めてまいります。 オ ストア・小売業の強化/デジタルによる事業創造積極的な新規出店による事業規模の拡大を図るとともに、店舗運営力の強化やDX施策の実施等を通じた生産性向上に取り組むことで、2030年度におけるストア業の営業利益率3%超を目指してまいります。また、ソリューション開発・提供を強みとしたデジタルによる新規事業の創造に努めてまいります。具体的には、ストア・小売業において、既存店舗の改装による少人数運営体制の構築および売場面積の最大化、ならびにセルフレジやAIを活用した提案発注システムによる運営効率化等に努めるとともに、MD戦略やオペレーション改革等を実行してまいります。また、デジタル領域では、沿線起点で新規事業を検討するほか、「WOOMS」をはじめとした新規事業の早期黒字化を図ってまいります。 ② 経営基盤の強化 概要と取り組みの例人的資本の拡充構造改革の推進や人財確保をはじめとした重点課題を踏まえた人的資本の投下により、従業員エンゲージメントと労働生産性の向上を図ることで、事業成長を目指してまいります。●私鉄業界トップを目指した労働生産性の向上および人財投資の推進●エンゲージメントサーベイを活用した福利厚生施策等の実施●不動産業等の成長領域における有資格者の育成や専門人財・即戦力の採用●経営管理能力や専門スキルの獲得を可能とするモデルキャリアパスの策定・運用環境再エネ活用、バスのEV化等による脱炭素化およびTNFD提言に基づく情報開示を推進してまいります。●EVバス(電動バス)を2030年度までに約500台導入※ ※ 神奈川中央交通㈱での導入台数を含みます。●不動産(新規・既存物件)の環境性能評価の取得推進DX情報システム環境の最適化、情報セキュリティの確保および人財育成に向けた各種施策を推進してまいります。●クラウド環境の活用推進による最新技術への対応力強化●DX施策が企画・実行可能な高度スキルを有する人財の育成(2026年度末までに約520名育成)ガバナンス人権尊重への取り組み、リスクマネジメント方針に基づくコンプライアンス意識の醸成および取締役会の監督機能強化を通じてガバナンスの向上を目指してまいります。●サステナビリティアンケートの実施を通じた取引先との連携拡充●外部機関による取締役会の評価を活用した実効性向上
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。「グループ経営理念」の内容は以下のとおりです。<グループ経営理念>1 経営理念小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。2 行動指針私たちは、経営理念の実現のため、3つの精神を忘れることなく、お客さまに「上質と感動」を提供します。(真摯)私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します。(進取)私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追求に挑戦します。(融和)私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との共生に取り組みます。 当社グループでは、「グループ経営理念」を実現するため、経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」を策定し、企業価値・地域価値の向上に努めています。 経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」① 全体方針「地域価値創造型企業に向けて」私たちは、小田急沿線や事業を展開する地域とともに成長するために、既成概念に捉われず常に挑戦を続けることで、お客さまの体験や環境負荷の低減など地域に新しい価値を創造していく企業に進化します。 グループ経営理念のもと、サステナビリティ経営を根幹に、地域経済圏発想での事業展開および事業ポートフォリオの最適化を図ることで、地域価値創造型企業としての持続的成長と企業価値向上を両立し、経営ビジョンの実現を目指してまいります。 (参考)経営計画体系 ② 2030年度に向けた成長ストーリー新たな連結財務目標を達成するため、成長領域への積極投資、株主還元の強化、人的資本の拡充の3つの柱に特に重点的に取り組むことで、資本コストや株価を意識した経営の実践を加速させてまいります。 ③ 企業価値向上に向けた財務方針 エクイティ・スプレッドの拡大に向けたROE向上と株主資本コストのコントロールを課題とし、なかでもROE向上のため、「セグメント別営業利益ROAによる目標管理」「継続的な資産入替え」「株主還元の強化」に注力してまいります。 ア 連結財務目標重要指標2026年度計画2030年度目標資本コストや株価を意識した経営ROE※18.0%前回目標※26.2%(+1.8P)10%以上前回目標※27%以上(+3P)利益の成長営業利益540億円前回目標※2500億円(+40億円)800億円前回目標※2700億円(+100億円)財務健全性の確保有利子負債/EBITDA倍率7倍台でコントロール※1 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(有価証券評価差額除く)※2 2024年5月公表目標 イ 株主還元 2025~2030年度累計で2,000億円の株主還元を実施し、2030年度までに自己資本比率を30%に圧縮してまいります。基本方針(2023~2026年度)自己資本比率30%の確保を前提に、2023~2026年度の平均で、連結総還元性向40%以上※を目標とした安定的な配当および機動的な自己株式取得を実施※ 4ヵ年合計総還元額/4ヵ年合計親会社株主に帰属する当期純利益額≧40%配当2024年度:1株当たり年間40円を予定(年間30円から配当予想を修正)2025年度:1株当たり年間50円を予定自己株式取得経営環境の変化や業績等を総合的に勘案したうえで実施時期を検討金融機関等の当社株式売却による株式需給バランス悪化への対応も考慮(取得実績)2023年度・2024年度合計:327億円 (2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題インバウンド需要の拡大等を事業機会と捉え、重点施策として定めた事業や経営基盤の強化を推進してまいります。各施策の概要は、以下のとおりです。 ① 事業強化ア 観光需要の取り込み日本一のインバウンド観光ハブ化を目指す新宿と観光地の箱根・湘南を拠点に、沿線全体で国内外の観光客を誘引し、観光拠点での収益拡大や拠点間の移動需要最大化に努めるほか、沿線観光の多拠点化を図ることで、2030年度における観光収益1,200億円、営業利益150億円の達成を目指してまいります。具体的には、プロモーション強化やデジタル施策連携の実施等を通じて、宿泊・買い物等の需要の取り込み、および箱根・湘南での閑散期における収益の底上げに努めてまいります。加えて、特急の魅力向上等による当社線利用者・顧客単価の増加や、新たな目的地およびコンテンツの育成・増加による当社線への観光客誘引を図ってまいります。 イ ホテル業の拡大新宿や箱根周辺地域を中心に、既存ホテルのリニューアルや新規ホテルの開発等を進め、旺盛なインバウンド需要を取り込むことで、2030年度における営業利益50億円の達成を目指してまいります。具体的には、2030年度までに、「旧箱根レイクホテル※」、「箱根ハイランドホテル」、「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」のリニューアルをはじめ、高付加価値ホテルの新規開発やホテルの運営受託を推進するとともに、M&Aの活用を図ってまいります。※ 旧箱根レイクホテルは、「RETONA HAKONE」としてリニューアル開業予定(2025年12月)です。 ウ 不動産業の強化従来から取り組む長期保有型の開発・リニューアルや既存物件の収益性向上施策のみならず、短期回収型の投資手法(国内SPC・海外不動産・回転型投資・住宅分譲)を強化し、不動産業の2030年度における営業利益300億円の達成およびROA向上を目指してまいります。具体的には、新宿駅西口地区開発計画において、新たな体験を実現する商業機能や最新かつハイグレードなオフィス機能、顧客起点のビジネス創発機能の提供等により、新宿エリアの価値向上・収益最大化に取り組むとともに、引き続き海老名駅間地区の開発計画を推進するなど、沿線での不動産開発に努めてまいります。加えて、短期回収型の手法については、外部環境や取り組み実績のほか、リスク分散等を考慮しながら投資を配分し、短期収益の獲得とROA向上を図ってまいります。 エ 交通業の進化安全・防災対策の強化とサービスの向上や持続可能な運営体制の構築に取り組むほか、観光体験の付加価値向上を図ることで、収益拡大を目指してまいります。具体的には、当社鉄道事業において、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用したホームドア整備や耐震補強工事、大野総合車両所の移転をはじめとした大規模設備更新を実施するほか、労働人口の減少を見据え、ワンマン運転の導入や駅業務の省力化等により、2035年度における要員30%削減(2020年度比)を図ってまいります。加えて、これらの取り組みを着実に推進するため、適切な時期での運賃改定を目指してまいります。また、大涌谷駅における新展望エリア「ちきゅうの谷」のオープン等を通じた箱根の各施設の魅力向上を図るとともに、新型特急ロマンスカーの導入に向けた検討を進めてまいります。 オ ストア・小売業の強化/デジタルによる事業創造積極的な新規出店による事業規模の拡大を図るとともに、店舗運営力の強化やDX施策の実施等を通じた生産性向上に取り組むことで、2030年度におけるストア業の営業利益率3%超を目指してまいります。また、ソリューション開発・提供を強みとしたデジタルによる新規事業の創造に努めてまいります。具体的には、ストア・小売業において、既存店舗の改装による少人数運営体制の構築および売場面積の最大化、ならびにセルフレジやAIを活用した提案発注システムによる運営効率化等に努めるとともに、MD戦略やオペレーション改革等を実行してまいります。また、デジタル領域では、沿線起点で新規事業を検討するほか、「WOOMS」をはじめとした新規事業の早期黒字化を図ってまいります。 ② 経営基盤の強化 概要と取り組みの例人的資本の拡充構造改革の推進や人財確保をはじめとした重点課題を踏まえた人的資本の投下により、従業員エンゲージメントと労働生産性の向上を図ることで、事業成長を目指してまいります。●私鉄業界トップを目指した労働生産性の向上および人財投資の推進●エンゲージメントサーベイを活用した福利厚生施策等の実施●不動産業等の成長領域における有資格者の育成や専門人財・即戦力の採用●経営管理能力や専門スキルの獲得を可能とするモデルキャリアパスの策定・運用環境再エネ活用、バスのEV化等による脱炭素化およびTNFD提言に基づく情報開示を推進してまいります。●EVバス(電動バス)を2030年度までに約500台導入※ ※ 神奈川中央交通㈱での導入台数を含みます。●不動産(新規・既存物件)の環境性能評価の取得推進DX情報システム環境の最適化、情報セキュリティの確保および人財育成に向けた各種施策を推進してまいります。●クラウド環境の活用推進による最新技術への対応力強化●DX施策が企画・実行可能な高度スキルを有する人財の育成(2026年度末までに約520名育成)ガバナンス人権尊重への取り組み、リスクマネジメント方針に基づくコンプライアンス意識の醸成および取締役会の監督機能強化を通じてガバナンスの向上を目指してまいります。●サステナビリティアンケートの実施を通じた取引先との連携拡充●外部機関による取締役会の評価を活用した実効性向上
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績当期のわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境が緩やかに改善する中、個人消費に持ち直しの動きがみられるなど、全体として緩やかな景気の回復が続きました。このような状況のもと、生活サービス業を中心に増収となったことから、営業収益は422,700百万円(前期比3.1%増)、営業利益は51,431百万円(同1.3%増)となりました。また、経常利益は50,474百万円(同0.4%減)となったほか、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に小田急センチュリービルの売却に伴う固定資産売却益を計上した反動等により、51,958百万円(同36.3%減)となりました。セグメントごとの業績は、次のとおりです。なお、当社は、2030年度営業利益目標の達成に向けた事業ポートフォリオの最適化のため、業績管理区分を変更しました。これに伴い、従来「運輸業」「流通業」「不動産業」および「その他の事業」としていたセグメント区分を、当連結会計年度から、「交通業」「不動産業」および「生活サービス業」に変更しました。そのため、前連結会計年度の実績を変更後のセグメント区分に組み替えたうえで比較しています。 ア 交通業鉄道業では、輸送面において、本年3月、ご利用ニーズの高い平日夜間の特急ロマンスカー増発や、列車種別ごとの停車駅の見直し等、利便性の向上を目的としたダイヤ改正を実施しました。また、通勤車両5000形2編成を増備したほか、通勤車両3000形について、多様なお客さまのニーズに対応すべく、全車両へ「車いす・ベビーカースペース」を設けるとともに、環境面に配慮したリニューアルを実施し、3編成が営業運転を開始するなど、輸送サービスの向上を図りました。営業面では、昨年4月、特急ロマンスカーをお得にご利用いただけるサブスクリプション電子チケット「EMot(エモット)ロマンスカーパスポート」の販売を開始しました。さらに、昨年9月、インバウンド旅行者向けに、月間6,500万人が訪問する旅行・レジャー予約サイト「Klook(クルック)」で購入した交通・体験等のチケットを「EMotオンラインチケット」で発券できるデジタルチケットサービスを開始するなど、MaaSアプリケーション「EMot」を活用した諸施策を引き続き実施しました。また、多摩線開業50周年を記念した各種イベントを開催するなど、積極的な旅客誘致による収益の向上に努めました。施設面では、列車運行の安全性を一層高めるため、相模大野駅、海老名駅、中央林間駅および大和駅にホームドアを設置したほか、大規模地震による被害を抑制すべく、相模大野駅~東林間駅間の橋梁等の耐震補強工事を実施しました。また、犯罪の抑止や事件の早期解決等を目的として、特急車両2編成および通勤車両32編成に車内防犯カメラを設置しました。バス業では、小田急バス㈱において、昨年10月、乗車ポイントサービス「小田急おでかけポイント」を導入し、乗車時にPASMOを利用したお客さまに対して小田急ポイントの付与を開始するなど、利便性の向上を図りました。また、各社において、運転士不足が生じている状況を踏まえ、安定した輸送サービスを今後も持続的に提供していくため、適正な労働環境の確保を目的としたダイヤ改正や待遇改善等に向けた運賃改定を実施しました。以上の結果、鉄道業において定期・定期外ともに輸送人員が増加したことに加え、バス業において運賃改定を実施したことなどにより、営業収益は174,927百万円(前期比1.9%増)、営業利益は26,495百万円(同2.2%増)となりました。 (提出会社の鉄道事業運輸成績表)種別単位当連結会計年度(2024.4.1~2025.3.31) 対前期増減率(%)営業日数 日365△0.3営業キロ キロ120.50.0客車走行キロ 千キロ172,355△1.0 定期千人404,5562.0輸送人員定期外〃294,3152.5 計〃698,8712.2 定期百万円42,4542.3旅客運輸収入定期外〃72,8542.0 計〃115,3092.1運輸雑収 〃3,1993.7運輸収入合計 〃118,5082.2乗車効率 %43.8-(注) 乗車効率の算出方法乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)/(客車走行キロ×平均定員)×100 イ 不動産業不動産分譲業では、小田急不動産㈱において、「リーフィア狛江 蒼翠の街」等の戸建住宅や、「リーフィアレジデンス調布小島町」をはじめとしたマンションを分譲するなど、収益の確保に努めました。不動産賃貸業では、当社、東京地下鉄㈱および東急不動産㈱を事業主体とする新宿駅西口地区開発計画において、新築工事や、旧小田急百貨店新宿店本館跡地の地下部分等の解体工事を引き続き実施しました。加えて、当社は、㈱小田急SCディベロップメント等と協働のうえ、昨年6月、「藤沢市立鵠沼海浜公園」について、スケートパークのスケールアップおよび商業機能の新設等を行い、「鵠沼海浜公園HUG-RIDE PARK(ハグ-ライド パーク)」としてリニューアルオープンするなど、各エリアの開発計画を鋭意推進しました。また、㈱小田急SCディベロップメントにおいて、新宿駅西口地区開発計画の進捗に伴う「新宿ミロード」の閉館に先立ち、「新宿ミロード フィナーレキャンペーン」を開催し、各種イベントの実施を通じた集客に努めたほか、商業施設「新百合ヶ丘エルミロード」や「本厚木ミロード」のリニューアルを実施するなど、施設の充実および活性化を図りました。このほか、小田急不動産㈱において、昨年9月、物流施設「小田急不動産ロジスティクスセンター蟹江」が竣工するなど、事業規模拡大に努めました。以上の結果、不動産分譲業においてマンション販売価格が上昇したことに加え、不動産賃貸業において商業施設やオフィスの賃料収入が増加したことなどにより、営業収益は95,897百万円(前期比4.2%増)となりました。一方、不動産分譲業において前期に利益率の高い自社用地開発物件を売却した反動や販促費の増加等により、営業利益は15,852百万円(同10.7%減)となりました。 ウ 生活サービス業百貨店業では、㈱小田急百貨店の全店において、昨年9月、㈱NTTドコモが提供するポイントサービス「dポイント」を導入したことに加え、催事をはじめとする各種営業施策を積極的に展開するなど、収益の確保に努めました。ストア・小売業では、小田急商事㈱が運営するスーパーマーケット「Odakyu OX」において、愛甲石田店が新規オープンするとともに、狛江店の専門店フロアがリニューアルオープンしました。加えて、各店で買い回りしやすい売り場づくりに努めるなど、お客さまの利便性向上を図りました。ホテル業では、UDS㈱を外部譲渡したものの、㈱ホテル小田急サザンタワーが運営する「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」において、昨年6月、「サザンタワーダイニング」のメニューを充実させるとともに、眺望を楽しめる食事スペースを増席するなど、より使いやすく、居心地の良い食体験の提供に努めました。レストラン飲食業では、ジローレストランシステム㈱において新規業態を開発したほか、㈱小田急レストランシステムにおいて新規出店を実施するなど、集客力の強化を図りました。また、グループ通算制度の適用に伴い、百貨店業およびストア・小売業において決算期を変更し13ヵ月間を連結したことなどにより、増収となりました。以上の結果、営業収益は168,695百万円(前期比4.5%増)、営業利益は9,062百万円(同28.4%増)となりました。② キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益72,054百万円に減価償却費や法人税等の支払額等を加減した結果、55,877百万円の資金収入となり、前連結会計年度に比べ、15,748百万円の資金収入の減少となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、74,495百万円の資金支出となりました。この結果、これらを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは18,618百万円の資金支出となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、7,040百万円の資金支出と、前連結会計年度に比べ、95,038百万円の資金支出の減少となりました。これは、借入れや社債の発行による収入が増加したことなどによるものです。なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ25,580百万円減少し、34,952百万円となりました。③ 生産、受注および販売の実績当社グループは、役務の提供を主体とする事業の性格上、生産および受注の実績を金額あるいは数量で示すことはしていません。そのため生産、受注および販売の実績については、「① 経営成績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しています。(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成に際し、経営者は、決算日における資産・負債および報告期間における収入・費用の金額ならびに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計方針および見積りには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当報告書提出日現在において判断したものです。また、連結財務諸表の作成における会計上の見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等〔注記事項〕(重要な会計上の見積り)」に記載しています。ア 棚卸資産の評価当社グループは、多くの棚卸資産を保有しており、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2008年9月26日)を適用しています。これらのうち、分譲土地建物については原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切り下げの方法により算定)を採用しており、市場価格が下落した場合には、簿価の切り下げにより費用が発生する可能性があります。イ 有価証券の減損当社グループは、金融機関や取引先の有価証券を保有しています。これらのうち、市場価格のない株式等以外の有価証券については、時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っています。これらの有価証券は価格変動リスクを負っているため、損失が発生する可能性があります。ウ 固定資産の減損当社グループは、多くの固定資産を保有しています。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき算出しているため、前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。エ 繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産について実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しています。評価性引当額は将来年度の課税所得の見込額等を考慮して計上しますが、将来の業績変動により課税所得の見込額が減少または増加した場合には、評価性引当額の追加計上または取崩しが必要となる場合があります。オ 退職給付債務および費用従業員の退職給付債務および費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、予想昇給率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付債務および費用に影響する可能性があります。② 財政状態および経営成績(財政状態)総資産は、新宿駅西口地区開発計画の進捗に伴い建設仮勘定が増加したものの、現金及び預金が減少したことなどから、1,299,991百万円(前連結会計年度末比1,586百万円減)となりました。負債は、有利子負債が増加したものの、新宿駅西口地区開発計画に係る未払金が減少したことなどから、820,728百万円(同20,673百万円減)となりました。純資産は、自己株式を取得したものの、利益剰余金が増加したことなどから、479,263百万円(同19,086百万円増)となりました。(経営成績)ア 営業収益および営業利益当連結会計年度における営業収益は422,700百万円(前期比3.1%増)、営業利益は51,431百万円(同1.3%増)となりました。なお、各セグメントの営業収益および営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しています。イ 営業外損益および経常利益経常利益は50,474百万円(同0.4%減)となりました。ウ 特別損益および親会社株主に帰属する当期純利益前期に小田急センチュリービルの売却に伴う固定資産売却益を計上した反動等により、税金等調整前当期純利益は72,054百万円(同29.1%減)となり、ここから法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は51,958百万円(同36.3%減)となりました。③ 資本の財源および資金の流動性についての分析ア 設備投資による資本の投下当社グループは、鉄道事業において、安全・防災対策の強化やサービスの向上、持続可能な運営体制の構築に努めているほか、他の事業においても、沿線価値の向上を目指して継続的な設備投資を行っています。当連結会計年度は総額65,388百万円の設備投資を実施しました。なお、各セグメントの設備投資等の概要については、「第3 設備の状況」の「1 設備投資等の概要」に記載しています。イ 資金需要の主な内容と動向当社グループの主要な資金需要は、鉄道事業における安全・防災対策の強化やサービスの向上、持続可能な運営体制の構築に不可欠な設備投資や、沿線価値の向上に資する開発投資等ですが、そのほかに人件費等の事業運営のための運転資金の支出があります。また、今後の動向としては、設備投資が資金需要の中で最も高い割合を占める状況が続くと考えています。ウ 資金調達当社グループの資金調達は、鉄道事業における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債および民間金融機関からの借入金等、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しています。なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入し、資金繰りの波動により、短期的な資金需要が発生する場合には、極力グループ内資金を活用するほか、適宜、コマーシャル・ペーパー(CP)の発行等により緊急時の流動性を確保しています。エ 資金の流動性当社グループは、鉄道事業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しています。 ④ 経営指標当社グループでは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営の基本方針 ③ 企業価値向上に向けた財務方針」に記載のとおり、ROE、営業利益、有利子負債/EBITDA倍率を重要指標としています。なお、当連結会計年度については、以下のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)ROE(注)20.3%11.7%営業利益50,76651,431有利子負債/EBITDA倍率6.5倍6.8倍(注) 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(有価証券評価差額除く) (参考) 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)借入金・社債等576,974609,051鉄道・運輸機構長期未払金49,97643,737有利子負債計(注)626,950652,789EBITDA96,55295,386(注) リース債務および社内預金は除いています。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。「グループ経営理念」の内容は以下のとおりです。<グループ経営理念>1 経営理念小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。2 行動指針私たちは、経営理念の実現のため、3つの精神を忘れることなく、お客さまに「上質と感動」を提供します。(真摯)私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します。(進取)私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追求に挑戦します。(融和)私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との共生に取り組みます。 当社グループでは、「グループ経営理念」を実現するため、経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」を策定し、グループ価値・沿線価値の向上に努めています。 経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」① 全体方針「地域価値創造型企業にむけて」私たちは、小田急沿線や事業を展開する地域とともに成長するために、既成概念に捉われず常に挑戦を続けることで、お客さまの体験や環境負荷の低減など地域に新しい価値を創造していく企業に進化します。 グループの経営理念の実現に向けて、経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」のもと、外部環境の変化を捉えた改革を継続しつつ、飛躍的成長を目指します。加えて、「サステナビリティ経営の推進」を経営計画体系に包含するとともに、6つのマテリアリティ(重要テーマ)について、目標・モニタリング指標を設定し、社会課題の解決を通じた持続可能な成長を実現します。 (参考1)経営計画体系 (参考2)マテリアリティおよび目標・モニタリング指標マテリアリティ目標・モニタリング指標1.安全・安心◆鉄道事業における自社起因の運転事故・インシデント数:ゼロ(毎年度)◆バス・タクシー事業における死者・重傷者の発生:ゼロ(毎年度)□鉄道サービスの総合満足度2.まちづくり・地域社会□沿線エリアの人口□強化エリア主要駅の乗降客数(1日あたり)□居住地域の総合満足度□生き方(well-being)の総合満足度3.日々のくらしと観光体験□小田急ONE ID数□フリーパス販売枚数(箱根/江の島・鎌倉)□沿線観光エリアの来訪者数(箱根町/藤沢市)4.環境(カーボンニュートラル)◆小田急グループCO2排出量: 2013年度比△50%(2030年度)/実質ゼロ(2050年度)5.価値創造型人財の育成◆女性従業員(正社員)比率:20%(2030年度)/35%(2050年度)◆女性管理職比率:15%(2030年度)/30%(2050年度)◆男性育児休業取得率:100%(2030年度)/100%(2050年度)6.ガバナンス◆重大な法令違反の発生件数:ゼロ(毎年度)◆女性役員比率:30%(2030年度)□独立社外取締役比率◆目標 □モニタリング指標 ② 変革の取り組み2021年度から2023年度までを体質変革期、2024年度から2030年度までを飛躍期と定めています。 体質変革期(2021~2023年度)3つの経営課題(「利益水準の回復」、「有利子負債のコントロール」、「事業ポートフォリオの再構築」)と3つの発想(「DX(デジタルトランスフォーメーション)」、「共創」、「ローカライズ」)を通じた事業の変革に取り組んだ結果、財務健全性の回復目安を上回りました(2023年度実績:有利子負債残高6,269億円、有利子負債/EBITDA倍率6.5倍)。 飛躍期(2024~2030年度)未来の小田急の持続的な成長につながる事業創造や拡大を進め、地域価値創造型企業として次の100年を歩むため、「経営ビジョンを実現する2つの進化」により、新たな価値を生み出します。<経営ビジョンを実現する2つの進化>ア 地域経済圏発想での事業展開新宿や海老名をはじめとする中核都市それぞれを“地域経済圏”単位で捉え、地域・パートナーと連携し、4つの事業領域(「交通」、「不動産」、「デジタル」、「生活サービス」)を連動させた施策を実施します。イ 事業ポートフォリオの最適化不動産領域を収益の第一の柱としつつ、デジタル領域を新たな成長領域と位置付けます。また、4つの事業領域において、成長投資を拡大するとともに、適切なKPIの設定および進捗状況のモニタリングの実施により、2030年度営業利益目標の達成を目指します。 ③ 連結財務目標「地域価値創造型企業」を目指し、社会的価値や株主価値の向上を図りつつ、持続的な利益成長を実現します。重要指標2026年度計画2030年度目標 長期方針利益の成長営業利益500億円前回目標比※1+40億円700億円前回目標比※1+100億円 持続的な利益成長資本コストを意識した経営ROE※26.2%7%以上 さらなる向上財務健全性の確保有利子負債/EBITDA倍率7.8倍7倍程度 利益成長による改善※1 2023年4月公表目標比※2 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(有価証券評価差額除く) ④ 株主還元基本方針自己資本比率30%の確保を前提に、2023~2026年度の平均で、連結総還元性向40%以上を目標とした安定的な配当および機動的な自己株式取得を実施配当2023年度および2024年度は1株あたり年間30円を予定 ※ 2023年度は年間22円から配当予想を修正自己株式取得経営環境の変化や業績等を総合的に勘案したうえで実施時期を検討 ※ 2023年度実績:123億円 (2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題経営ビジョンの実現のため、4つの重点施策に取り組むとともに、3つの戦略およびガバナンスによる経営基盤の強化を推進します。各施策および戦略等の概要は、以下のとおりです。 ① 重点施策ア 交通領域の進化人手不足への対策と災害への耐性強化に重点的に取り組み、持続可能な運営体制を早期に確立するとともに、移動需要の喚起等による安定的な利益獲得を目指します。具体的には、少人数での鉄道事業運営体制の構築を目指し、ワンマン運転の詳細な仕様やオペレーション等の検討の深度化を図るとともに、各種業務の効率化を進めます。加えて、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用したホームドアの設置や耐震補強工事の推進により、安全・防災対策を強化しつつ、大野総合車両所の移転をはじめとした大規模な設備更新を推進するなど、持続可能な運営体制の強化に努めます。また、子育て世代への応援施策の推進や顧客データ等を活用した新たな増収施策の展開により、収益の最大化を図ります。 イ 不動産領域の強化収益の第一の柱として集中的に資本を投下し、沿線開発および投資手法・フィールドの拡大を推進することで、2030年度の営業利益300億円の達成と収益力・資産効率の向上を目指します。具体的には、新宿駅西口地区開発計画において、共同事業者等との共創によるプロジェクト価値の最大化に取り組むとともに、ハイグレードなオフィス機能や新たな顧客体験を実現する商業機能、来街者と企業等の交流を促すビジネス創発機能を提供します。また、引き続き海老名駅間地区の開発計画を推進するなど、沿線中核都市を中心とした多彩なまちづくりを進めます。加えて、回転型投資や国内SPC投資、海外不動産事業にも取り組み、獲得した資金やノウハウを、沿線開発をはじめとした更なる不動産事業の強化に活かします。 ウ デジタルを活用した新規事業の探索・成長事業創造ノウハウ・多様な人財の活用や研究開発費の投下により、社会課題の解決を起点とした新規事業を創出するとともに、デジタルの強みを活かし、沿線外にも事業展開することで、2030年度の営業利益30億円を目指します。具体的には、「MaaS Japan」や「EMot」等のMaaSプラットフォームにおいて、顧客接点および取扱額の拡大を図るとともに、資源・廃棄物の収集運搬の最適化に向けたコンサルティングサービス等を提供するウェイストマネジメント事業「WOOMS(ウームス)」や、自治体・町内会の電子回覧板や災害時の情報共有ソリューションを提供する自治会・町内会SNS「いちのいち」等の新規事業の収益・利益規模の拡大に努めます。あわせて、地域のインフラ分野を中心とした新規事業の探索・創出を図ります。 エ 観光需要の取り込み/地域を彩る生活サービス日本屈指の観光地を持つポテンシャルを活かし、インバウンドを含む旺盛な観光需要を着実に取り込みます。また、日々のくらしに密着したサービスや心躍るコンテンツの展開により、将来にわたって選ばれる沿線を目指します。具体的には、観光需要の取り込みに向けて、箱根エリアにおける既存ホテルのバリューアップ等を進めるとともに、ダイナミックパッケージの拡充により、利便性や顧客体験価値を高めます。また、生活サービスについては、ストア・小売業において、新規出店の積極的な推進や、㈱セブン&アイ・ホールディングスとの業務提携を通じたMD・オペレーションの継続的な改善等により、営業利益の拡大を図ります。さらに、地域密着型サービスプラットフォーム「小田急ONE(オーネ)」について、顧客とのデジタル接点の中心に据え、鉄道・駅ナカサービス・地域限定のサブスクリプション商品等、コンテンツを充実させることで、2026年度での会員数60万人(2023年度末:32万人)の実現に努めます。 ② 経営基盤の強化 概要と取り組みの例DX戦略リアルな資産・サービス・仕事とデジタル技術の融合により、「Smart(業務のスマート化)」、「Update(心躍る顧客体験)」、「Create(ゆたかな未来の創造)」の3つの価値を創出します。●ローコードツールの活用によるアプリケーション開発・運用を推進●当社全社員のデジタル関連基礎知識保有に向けた取り組みを推進環境戦略「小田急グループ カーボンニュートラル2050」の実現に向けた施策を具体化するとともに、資源循環の取り組みやTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示を推進します。●EVバス(電動バス)を2030年度までに約500台導入予定※ ※ 神奈川中央交通㈱での導入台数を含みます●当社グループ施設等から排出される食品廃棄物を、パートナー企業とともに飼料およびバイオガス 発電の燃料としてリサイクルし、発電された電力を利用人財戦略従業員のエンゲージメントや労働生産性の向上に資する施策を実行します。●「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」に基づき、女性活躍推進目標の達成に向けた施策や 健康経営を推進●処遇改善等の施策の推進による人財の確保・定着ガバナンス各ステークホルダーの利益の最大化や当社グループの持続的な成長、中長期的な企業価値の向上等に向けて、各種施策を推進します。●過半数が独立社外取締役で構成される指名・報酬諮問委員会や、取締役会実効性評価の仕組み等を 活用した取締役会の監督機能の強化●「小田急グループ人権方針」および「小田急グループ サステナブル サプライチェーン方針」 「小田急電鉄 マルチステークホルダー方針」に基づく取引先等とのコミュニケーションを実施
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。「グループ経営理念」の内容は以下のとおりです。<グループ経営理念>1 経営理念小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。2 行動指針私たちは、経営理念の実現のため、3つの精神を忘れることなく、お客さまに「上質と感動」を提供します。(真摯)私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します。(進取)私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追求に挑戦します。(融和)私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との共生に取り組みます。 当社グループでは、「グループ経営理念」を実現するため、経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」を策定し、グループ価値・沿線価値の向上に努めています。 経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」① 全体方針「地域価値創造型企業にむけて」私たちは、小田急沿線や事業を展開する地域とともに成長するために、既成概念に捉われず常に挑戦を続けることで、お客さまの体験や環境負荷の低減など地域に新しい価値を創造していく企業に進化します。 グループの経営理念の実現に向けて、経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」のもと、外部環境の変化を捉えた改革を継続しつつ、飛躍的成長を目指します。加えて、「サステナビリティ経営の推進」を経営計画体系に包含するとともに、6つのマテリアリティ(重要テーマ)について、目標・モニタリング指標を設定し、社会課題の解決を通じた持続可能な成長を実現します。 (参考1)経営計画体系 (参考2)マテリアリティおよび目標・モニタリング指標マテリアリティ目標・モニタリング指標1.安全・安心◆鉄道事業における自社起因の運転事故・インシデント数:ゼロ(毎年度)◆バス・タクシー事業における死者・重傷者の発生:ゼロ(毎年度)□鉄道サービスの総合満足度2.まちづくり・地域社会□沿線エリアの人口□強化エリア主要駅の乗降客数(1日あたり)□居住地域の総合満足度□生き方(well-being)の総合満足度3.日々のくらしと観光体験□小田急ONE ID数□フリーパス販売枚数(箱根/江の島・鎌倉)□沿線観光エリアの来訪者数(箱根町/藤沢市)4.環境(カーボンニュートラル)◆小田急グループCO2排出量: 2013年度比△50%(2030年度)/実質ゼロ(2050年度)5.価値創造型人財の育成◆女性従業員(正社員)比率:20%(2030年度)/35%(2050年度)◆女性管理職比率:15%(2030年度)/30%(2050年度)◆男性育児休業取得率:100%(2030年度)/100%(2050年度)6.ガバナンス◆重大な法令違反の発生件数:ゼロ(毎年度)◆女性役員比率:30%(2030年度)□独立社外取締役比率◆目標 □モニタリング指標 ② 変革の取り組み2021年度から2023年度までを体質変革期、2024年度から2030年度までを飛躍期と定めています。 体質変革期(2021~2023年度)3つの経営課題(「利益水準の回復」、「有利子負債のコントロール」、「事業ポートフォリオの再構築」)と3つの発想(「DX(デジタルトランスフォーメーション)」、「共創」、「ローカライズ」)を通じた事業の変革に取り組んだ結果、財務健全性の回復目安を上回りました(2023年度実績:有利子負債残高6,269億円、有利子負債/EBITDA倍率6.5倍)。 飛躍期(2024~2030年度)未来の小田急の持続的な成長につながる事業創造や拡大を進め、地域価値創造型企業として次の100年を歩むため、「経営ビジョンを実現する2つの進化」により、新たな価値を生み出します。<経営ビジョンを実現する2つの進化>ア 地域経済圏発想での事業展開新宿や海老名をはじめとする中核都市それぞれを“地域経済圏”単位で捉え、地域・パートナーと連携し、4つの事業領域(「交通」、「不動産」、「デジタル」、「生活サービス」)を連動させた施策を実施します。イ 事業ポートフォリオの最適化不動産領域を収益の第一の柱としつつ、デジタル領域を新たな成長領域と位置付けます。また、4つの事業領域において、成長投資を拡大するとともに、適切なKPIの設定および進捗状況のモニタリングの実施により、2030年度営業利益目標の達成を目指します。 ③ 連結財務目標「地域価値創造型企業」を目指し、社会的価値や株主価値の向上を図りつつ、持続的な利益成長を実現します。重要指標2026年度計画2030年度目標 長期方針利益の成長営業利益500億円前回目標比※1+40億円700億円前回目標比※1+100億円 持続的な利益成長資本コストを意識した経営ROE※26.2%7%以上 さらなる向上財務健全性の確保有利子負債/EBITDA倍率7.8倍7倍程度 利益成長による改善※1 2023年4月公表目標比※2 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(有価証券評価差額除く) ④ 株主還元基本方針自己資本比率30%の確保を前提に、2023~2026年度の平均で、連結総還元性向40%以上を目標とした安定的な配当および機動的な自己株式取得を実施配当2023年度および2024年度は1株あたり年間30円を予定 ※ 2023年度は年間22円から配当予想を修正自己株式取得経営環境の変化や業績等を総合的に勘案したうえで実施時期を検討 ※ 2023年度実績:123億円 (2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題経営ビジョンの実現のため、4つの重点施策に取り組むとともに、3つの戦略およびガバナンスによる経営基盤の強化を推進します。各施策および戦略等の概要は、以下のとおりです。 ① 重点施策ア 交通領域の進化人手不足への対策と災害への耐性強化に重点的に取り組み、持続可能な運営体制を早期に確立するとともに、移動需要の喚起等による安定的な利益獲得を目指します。具体的には、少人数での鉄道事業運営体制の構築を目指し、ワンマン運転の詳細な仕様やオペレーション等の検討の深度化を図るとともに、各種業務の効率化を進めます。加えて、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用したホームドアの設置や耐震補強工事の推進により、安全・防災対策を強化しつつ、大野総合車両所の移転をはじめとした大規模な設備更新を推進するなど、持続可能な運営体制の強化に努めます。また、子育て世代への応援施策の推進や顧客データ等を活用した新たな増収施策の展開により、収益の最大化を図ります。 イ 不動産領域の強化収益の第一の柱として集中的に資本を投下し、沿線開発および投資手法・フィールドの拡大を推進することで、2030年度の営業利益300億円の達成と収益力・資産効率の向上を目指します。具体的には、新宿駅西口地区開発計画において、共同事業者等との共創によるプロジェクト価値の最大化に取り組むとともに、ハイグレードなオフィス機能や新たな顧客体験を実現する商業機能、来街者と企業等の交流を促すビジネス創発機能を提供します。また、引き続き海老名駅間地区の開発計画を推進するなど、沿線中核都市を中心とした多彩なまちづくりを進めます。加えて、回転型投資や国内SPC投資、海外不動産事業にも取り組み、獲得した資金やノウハウを、沿線開発をはじめとした更なる不動産事業の強化に活かします。 ウ デジタルを活用した新規事業の探索・成長事業創造ノウハウ・多様な人財の活用や研究開発費の投下により、社会課題の解決を起点とした新規事業を創出するとともに、デジタルの強みを活かし、沿線外にも事業展開することで、2030年度の営業利益30億円を目指します。具体的には、「MaaS Japan」や「EMot」等のMaaSプラットフォームにおいて、顧客接点および取扱額の拡大を図るとともに、資源・廃棄物の収集運搬の最適化に向けたコンサルティングサービス等を提供するウェイストマネジメント事業「WOOMS(ウームス)」や、自治体・町内会の電子回覧板や災害時の情報共有ソリューションを提供する自治会・町内会SNS「いちのいち」等の新規事業の収益・利益規模の拡大に努めます。あわせて、地域のインフラ分野を中心とした新規事業の探索・創出を図ります。 エ 観光需要の取り込み/地域を彩る生活サービス日本屈指の観光地を持つポテンシャルを活かし、インバウンドを含む旺盛な観光需要を着実に取り込みます。また、日々のくらしに密着したサービスや心躍るコンテンツの展開により、将来にわたって選ばれる沿線を目指します。具体的には、観光需要の取り込みに向けて、箱根エリアにおける既存ホテルのバリューアップ等を進めるとともに、ダイナミックパッケージの拡充により、利便性や顧客体験価値を高めます。また、生活サービスについては、ストア・小売業において、新規出店の積極的な推進や、㈱セブン&アイ・ホールディングスとの業務提携を通じたMD・オペレーションの継続的な改善等により、営業利益の拡大を図ります。さらに、地域密着型サービスプラットフォーム「小田急ONE(オーネ)」について、顧客とのデジタル接点の中心に据え、鉄道・駅ナカサービス・地域限定のサブスクリプション商品等、コンテンツを充実させることで、2026年度での会員数60万人(2023年度末:32万人)の実現に努めます。 ② 経営基盤の強化 概要と取り組みの例DX戦略リアルな資産・サービス・仕事とデジタル技術の融合により、「Smart(業務のスマート化)」、「Update(心躍る顧客体験)」、「Create(ゆたかな未来の創造)」の3つの価値を創出します。●ローコードツールの活用によるアプリケーション開発・運用を推進●当社全社員のデジタル関連基礎知識保有に向けた取り組みを推進環境戦略「小田急グループ カーボンニュートラル2050」の実現に向けた施策を具体化するとともに、資源循環の取り組みやTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示を推進します。●EVバス(電動バス)を2030年度までに約500台導入予定※ ※ 神奈川中央交通㈱での導入台数を含みます●当社グループ施設等から排出される食品廃棄物を、パートナー企業とともに飼料およびバイオガス 発電の燃料としてリサイクルし、発電された電力を利用人財戦略従業員のエンゲージメントや労働生産性の向上に資する施策を実行します。●「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」に基づき、女性活躍推進目標の達成に向けた施策や 健康経営を推進●処遇改善等の施策の推進による人財の確保・定着ガバナンス各ステークホルダーの利益の最大化や当社グループの持続的な成長、中長期的な企業価値の向上等に向けて、各種施策を推進します。●過半数が独立社外取締役で構成される指名・報酬諮問委員会や、取締役会実効性評価の仕組み等を 活用した取締役会の監督機能の強化●「小田急グループ人権方針」および「小田急グループ サステナブル サプライチェーン方針」 「小田急電鉄 マルチステークホルダー方針」に基づく取引先等とのコミュニケーションを実施
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績当期のわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境が緩やかに改善する中、個人消費が持ち直すなど、全体として緩やかな景気の回復が続きました。このような状況のもと、新型コロナウイルス感染症の5類移行等により事業環境が改善し、鉄道業やホテル業において増収となったことなどにより、営業収益は409,837百万円(前期比3.7%増)、営業利益は50,766百万円(同90.8%増)となったほか、経常利益は50,670百万円(同101.7%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、小田急センチュリービルの売却に伴い固定資産売却益を計上したことなどにより、81,524百万円(同100.1%増)となりました。セグメントごとの業績は、次のとおりです。 ア 運輸業鉄道業では、輸送面において、本年3月、ホームドアの設置が予定されている特急停車駅における、ゆとりを持った運行計画への変更等を目的としたダイヤ修正を実施しました。また、通勤車両3000形について、多様なお客さまのニーズに対応すべく、各車両へ「車いす・ベビーカースペース」を1箇所設けるとともに、環境面に配慮したリニューアルを実施し、3編成が営業運転を開始するなど、輸送サービスの向上を図りました。営業面では、昨年4月、江ノ島電鉄㈱が首都圏で初めて、全駅でタッチ決済対応のカード(クレジット、デビット、プリペイド)やスマートフォン等による鉄道乗車を開始するなど、各社で決済方法を拡充し、利便性の向上を図りました。また、昨年8月、子育て応援を象徴するマスコットキャラクター「もころん」がデビューするとともに、通勤車両5000形1編成を期間限定で「もころん号」として運行するなど、「子育て応援ポリシー」に基づく取り組みを推進しました。施設面では、列車運行の安全性を一層高めるため、町田駅および本厚木駅(3、4番ホーム)にホームドアを設置したほか、大規模地震による被害を抑制すべく、町田駅~相模大野駅間等の橋梁での耐震補強工事を実施しました。また、犯罪の抑止や事件の早期解決等を目的として、通勤車両16編成および特急車両4編成に車内防犯カメラを設置しました。バス業では、各社において、安定した輸送サービスを今後も持続的に提供していくため、運賃改定を実施しました。また、小田急バス㈱、㈱江ノ電バスおよび立川バス㈱において、EVバス(電動バス)の運行を開始し、環境負荷の低減に努めました。このほか、各社でお客さまのニーズに対応したダイヤ改正等を実施し、利便性の向上を図りました。以上の結果、当社鉄道事業において、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い通勤・外出需要が増加し、定期・定期外ともに輸送人員が前期を上回ったことに加え、鉄道駅バリアフリー料金制度を適用したことなどにより、営業収益は170,304百万円(前期比12.3%増)、営業利益は25,571百万円(同202.1%増)となりました。 (提出会社の鉄道事業運輸成績表)種別単位当連結会計年度(2023.4.1~2024.3.31) 対前期増減率(%)営業日数 日3660.3営業キロ キロ120.50.0客車走行キロ 千キロ174,0780.6 定期千人396,6933.9輸送人員定期外〃287,0177.5 計〃683,7105.4 定期百万円41,4889.7旅客運輸収入定期外〃71,42613.0 計〃112,91511.8運輸雑収 〃3,0862.7運輸収入合計 〃116,00211.5乗車効率 %42.6-(注) 乗車効率の算出方法乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)/(客車走行キロ×平均定員)×100 イ 流通業百貨店業では、㈱小田急百貨店町田店において、昨年4月、新規導入ブランドを中心に13ブランドを展開し、感度の高いゴルフファッションウェアとゴルフ用品をメインに取り揃えたスポーツファッションフロア「ハルクスポーツ マチダ」がグランドオープンしました。また、全店において、催事をはじめとする各種営業施策を積極的に展開するなど、収益の確保に努めました。ストア・小売業では、小田急商事㈱が運営する「Odakyu OX」において、新百合ヶ丘店がリニューアルオープンするとともに、全店で同社の創業60周年を記念した感謝祭やキャンペーンを実施しました。加えて、「Odakyu OX MART」において、祖師谷店および町田店が新規オープンするなど、積極的な営業活動を推進しました。このほか、各店で買い回りしやすい売場づくりに努めるなど、お客さまの利便性向上を図りました。しかしながら、百貨店業において2022年10月に新宿店本館の営業終了に伴い売場面積が大幅に縮小したことに加え、㈱白鳩が株式の一部売却に伴い連結除外となったことなどにより、営業収益は87,516百万円(前期比9.0%減)となりました。一方、ストア・小売業において売場構成や運営の改善が増収・増益に寄与したことなどにより、営業利益は1,936百万円(同123.6%増)となりました。 ウ 不動産業不動産分譲業では、小田急不動産㈱において、「リーフィア世田谷桜丘ザ・ブルーム」等の戸建住宅や、「リーフィアレジデンス麻生五月台」をはじめとしたマンションを分譲するなど、収益の確保に努めました。不動産賃貸業では、当社および東京地下鉄㈱を事業主体として推進してきた新宿駅西口地区開発計画において、本年2月、プロジェクト価値の最大化を図るべく、東急不動産㈱が共同事業者として正式に参画することが決定しました。また、同計画において、旧小田急百貨店新宿店本館の解体工事を推進するとともに、本年3月、3社共同事業として新築工事に着手しました。さらに、㈱小田急SCディベロップメントにおいて、商業施設「ビナフロント」や「アコルデ代々木上原」の大規模リニューアルを実施するなど、施設の充実および活性化を図りました。しかしながら、不動産分譲業において投資用不動産の売却件数が減少したことや、不動産賃貸業において前期末に小田急第一生命ビル持分を売却した影響等により、営業収益は79,393百万円(前期比5.5%減)、営業利益は17,190百万円(同4.7%減)となりました。 エ その他の事業ホテル業では、㈱ホテル小田急サザンタワーが運営する「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」において、昨年12月、多様化する顧客ニーズに対応すべく、シングルルームからセミダブルルームへの客室形態の変更を推進するなど、収益の確保に努めました。また、当社グループが運営する各ホテルにおいて、積極的な営業施策を展開し、宿泊需要の取込みを図りました。レストラン飲食業では、㈱小田急レストランシステムにおいて、新規業態の開発や新規出店を実施するなど、各社で集客力の強化を図りました。以上の結果、ホテル業における稼働の回復やリゾート人材派遣業の需要回復等により、営業収益は100,366百万円(前期比10.6%増)、営業利益は6,031百万円(前期 営業損失821百万円)となりました。② キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益101,610百万円に減価償却費や法人税等の支払額等を加減した結果、71,626百万円の資金収入となり、前連結会計年度に比べ、8,697百万円の資金収入の増加となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、23,435百万円の資金収入と、前連結会計年度に比べ、11,276百万円の資金収入の減少となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものです。この結果、これらを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは95,062百万円の資金収入となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、102,079百万円の資金支出と、前連結会計年度に比べ、51,022百万円の資金支出の増加となりました。これは、社債の償還や自己株式の取得による支出が増加したことなどによるものです。なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ6,941百万円減少し、60,532百万円となりました。③ 生産、受注および販売の実績当社グループは、役務の提供を主体とする事業の性格上、生産および受注の実績を金額あるいは数量で示すことはしていません。そのため生産、受注および販売の実績については、「① 経営成績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しています。(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成に際し、経営者は、決算日における資産・負債および報告期間における収入・費用の金額ならびに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計方針および見積りには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当報告書提出日現在において判断したものです。また、連結財務諸表の作成における会計上の見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等〔注記事項〕(重要な会計上の見積り)」に記載しています。ア 棚卸資産の評価当社グループは、多くの棚卸資産を保有しており、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2008年9月26日)を適用しています。これらのうち、分譲土地建物については原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切り下げの方法により算定)を採用しており、市場価格が下落した場合には、簿価の切り下げにより費用が発生する可能性があります。イ 有価証券の減損当社グループは、金融機関や取引先の有価証券を保有しています。これらのうち、市場価格のない株式等以外の有価証券については、時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っています。これらの有価証券は価格変動リスクを負っているため、損失が発生する可能性があります。ウ 固定資産の減損当社グループは、多くの固定資産を保有しています。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき算出しているため、前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。エ 繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産について実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しています。評価性引当額は将来年度の課税所得の見込額等を考慮して計上しますが、将来の業績変動により課税所得の見込額が減少または増加した場合には、評価性引当額の追加計上または取崩しが必要となる場合があります。オ 退職給付債務および費用従業員の退職給付債務および費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、予想昇給率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付債務および費用に影響する可能性があります。② 財政状態および経営成績(財政状態)総資産は、新宿駅西口地区開発計画の進捗に伴い建設仮勘定が増加したことなどから、1,301,567百万円(前連結会計年度末比21,590百万円増)となりました。負債の部は、社債の償還に伴い有利子負債が減少したことなどから、841,458百万円(同50,027百万円減)となりました。純資産の部は、自己株式を取得したものの、利益剰余金が増加したことなどから、460,109百万円(同71,618百万円増)となりました。(経営成績)ア 営業収益および営業利益当連結会計年度における営業収益は409,837百万円(前期比3.7%増)、営業利益は50,766百万円(同90.8%増)となりました。なお、各セグメントの営業収益および営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しています。イ 営業外損益および経常利益営業利益の増加に伴い、経常利益は50,670百万円(同101.7%増)となりました。ウ 特別損益および親会社株主に帰属する当期純利益特別利益に小田急センチュリービルの売却に伴い固定資産売却益を計上したことなどにより、税金等調整前当期純利益は101,610百万円(同72.9%増)となり、ここから法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は81,524百万円(同100.1%増)となりました。③ 資本の財源および資金の流動性についての分析ア 設備投資による資本の投下当社グループは、鉄道事業において、安全防災対策に積極的に取り組みながら、快適かつスピーディーな鉄道運行の実現に努めているほか、他の事業においても、沿線の魅力を高めることを目指して継続的な設備投資を行っています。当連結会計年度は総額83,402百万円の設備投資を実施しました。なお、各セグメントの設備投資等の概要については、「第3 設備の状況」の「1 設備投資等の概要」に記載しています。イ 資金需要の主な内容と動向当社グループの主要な資金需要は、安心・便利・快適に鉄道をご利用いただくために不可欠な設備投資や、沿線価値の向上に資する開発投資等ですが、そのほかに人件費等の事業運営のための運転資金の支出があります。また、今後の動向としては、設備投資が資金需要の中で最も高い割合を占める状況が続くと考えています。ウ 資金調達当社グループの資金調達は、鉄道事業における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債および民間金融機関からの借入金等、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しています。なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入し、資金繰りの波動により、短期的な資金需要が発生する場合には、極力グループ内資金を活用するほか、適宜、コマーシャル・ペーパー(CP)の発行等により緊急時の流動性を確保しています。エ 資金の流動性当社グループは、鉄道事業や流通業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しています。 ④ 経営指標当社グループでは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営の基本方針 ③ 連結財務目標」に記載のとおり、営業利益、ROE、有利子負債/EBITDA倍率を重要指標としています。なお、当連結会計年度については、以下のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)営業利益26,60150,766ROE(注)11.6%20.3%有利子負債/EBITDA倍率9.5倍6.5倍(注) 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(有価証券評価差額除く) (参考) 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)借入金・社債等647,473576,974鉄道・運輸機構長期未払金(注1)59,00549,976有利子負債計(注2)706,479626,950EBITDA74,46896,552(注) 1 鉄道・運輸機構長期未払金は、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ⑤ 連結附属明細表〔借入金等明細表〕」における鉄道・運輸機構長期未払金の額とは異なり、上表では消費税等相当額を加えています。2 リース債務および社内預金は除いています。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 中長期的な経営戦略当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としております。「グループ経営理念」の内容は以下のとおりです。<グループ経営理念>1 経営理念小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。2 行動指針私たちは、経営理念の実現のため、3つの精神を忘れることなく、お客さまに「上質と感動」を提供します。(真摯)私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します。(進取)私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追求に挑戦します。(融和)私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との共生に取り組みます。 当社では、事業環境の変化に対応し、グループ経営理念の実現とさらなる事業成長を遂げるため、2020年度までに取り組むべき方向性を示した「長期ビジョン2020」を策定しております。当社グループは、「グループ経営理念」及び「長期ビジョン2020」に従って、グループ各社がそれぞれの役割を確実に実行するとともに、グループの協働を通じて将来にわたるキャッシュ・フローを最大化させ、企業価値の向上を目指してまいります。<長期ビジョン2020>① 基本方針「わたしたちの挑戦」経営理念である『お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現』に向けて、2020年度までに事業基盤をより強固なものとし、成長の種を蒔き育て、躍動的な企業グループを目指して、挑戦します。 ② グループ成長戦略基本方針を踏まえ、2つのテーマ及び当社グループのありたい姿を示す「未来フィールド」を設定し、沿線の既存事業に再投下すべき資本を継続的に確保するとともに、沿線外への進出や新規事業の開発に対する資本も確保し、新たな収益源を獲得していくことで、経営理念の実現に向けた強固な成長サイクルを確立いたします。 テーマⅠ 沿線における複々線完成後のグループ収益を最大化する複々線完成という大きな機会を捉え、強みのある既存事業やターミナル駅周辺再開発の推進を通じて沿線の魅力を高めるとともに、人口流入を促進することで、グループ各事業の主戦場である沿線エリアの事業基盤を磐石なものとします。 テーマⅡ 2020年度までに成長の種を蒔き育てる市場での成長性や競争力の高い事業については、外部パートナーとの連携やM&A等を通じて、沿線外や海外の優良なマーケットエリアに進出し、事業規模を拡大します。同様に、新規事業についても、外部パートナーとの連携やM&A等を通じて、変化するお客さまのニーズを捉え、既存事業周辺で不足しているグループ機能を充足させるなど、開発を推進します。当社グループにおいては、複々線での営業運転開始という大きな節目を迎えましたが、今後ますます不確実性が高まると予測される事業環境において、時代の変化へ対応し「新しい小田急」へと変革していくためには、既存の枠組みや考え方に捉われず、将来のありたい姿を描いたうえで、その実現に向けた挑戦を繰り返すことが必要と考えております。こうした認識のもと、当社グループが取り組むべき新たな方向性について、当社グループの各社・各組織の社員で討議を重ね、5つの「未来フィールド」を設定いたしました。「未来フィールド」は、当社グループが「お客さまや社会にどのような価値を生み出していきたいのか」、「そのために自らがどのような組織でありたいか」という当社グループのありたい姿を示すものであり、各未来フィールドが目指すありたい姿は以下のとおりです。 モビリティ × 安心・快適 ~新しい“モビリティ・ライフ”をまちに~ 90年間積み上げてきた安心・快適という普遍的な価値を揺るぎない土台としながら、これからのテクノロジーを活かして、「会いたいときに、会いたい人に、会いに行ける」、次世代の“モビリティ・ライフ”をまちに生み出します。まちづくり × 愛着 ~まちの“新しい物語”を紡ぎ出す~ まちの個性や特徴を活かした職、住、商、学・遊のシーンを創り出し、まちとつながる愛着や誇りをお客さまとともに育みます。お客さまや地域社会の課題解決を通じて、まちの“新しい物語”を紡ぎ出していきます。くらし × 楽しさ ~何気ない日々に“心が動く瞬間”を~ 変化するトレンドや多様化するお客さまの欲求をスピーディーに捉え、スポーツや音楽、食事、買い物など、何気ない日々を彩る時間や空間をさまざまなパートナーと共創することにより、安心感を上回る“心が動く瞬間”を演出していきます。観光 × 経験 ~ここでしか得られない“特別な想い出”を~ 地域の方々とともにその土地ならではの過ごし方や楽しみ方を発掘し、日本はもちろん、世界から訪れるゲストに“特別な想い出”として心に残る経験のお手伝いをすることで、日本、地域、まちの発展に貢献していきます。わくわく × イノベーション ~いつの時代もお客さまに“わくわく”を~ 社員一人ひとりが、主体性と創造性と情熱を解放し、“わくわく”をアイデアの源泉とします。お客さまに新たな価値をお届けするために、いつの時代も変化を楽しみ、未知への挑戦を続けます。③ 2020年度の連結数値目標2020年度までを「収益基盤を強化し事業成長すべき期間」と位置づけており、連結のEBITDA・有利子負債/EBITDA倍率を目標とする経営指標として設定するほか、ROA・ROEについても注視し、効率的な経営に努めてまいります。 EBITDA有利子負債/EBITDA倍率1,115億円6.7倍 (2) 経営環境及び対処すべき課題① 長期ビジョン2020の実現当社グループでは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献することを経営理念として定めております。この経営理念と2020年度までに取り組むべき方向性を示した「長期ビジョン2020」のもと各未来フィールドの実現に向けて、以下の内容を中期経営計画における重要な経営課題と認識し取り組んでまいります。モビリティ × 安心・快適 ~新しい“モビリティ・ライフ”をまちに~ 鉄道事業において、複々線効果の最大化による鉄道利用の増加、ホームドアの整備等による安全性の向上、及び先進的な技術による高度化や省力化等を推進してまいります。また、大学等との連携による自動運転バスの実証実験を行うなど、次世代のテクノロジーを活用した移動サービスの実現に向けた取組みも進めてまいります。 まちづくり × 愛着 ~まちの“新しい物語”を紡ぎ出す~複々線完成後の下北沢エリアや海老名駅間地区「ⅤⅰNA GARDENS」等において、まちの個性や特徴を活かした開発計画を推進するとともに、本年3月に開業した学生レジデンス「NODE GROWTH 湘南台」等も活用しながら、地域の賑わいや交流を創出するさまざまな仕掛けづくりを進めてまいります。また、不動産業については、積極的な成長投資を行うとともに組織能力を向上させ、事業規模のさらなる拡大に努めてまいります。くらし × 楽しさ ~何気ない日々に“心が動く瞬間”を~㈱小田急百貨店において、抜本的なリニューアル等により新たな商業施設への転換を推進するとともに、当社及び小田急商事㈱においては、本年3月に㈱セブン&アイ・ホールディングスと締結した業務提携に関する基本合意に基づき多様化する顧客ニーズへの対応を強化するなど、将来にわたりお客さまから支持される商業への変革を目指してまいります。また、大人のための学びと旅を提案する当社のオリジナル企画「小田急まなたび」を通じて、豊かで楽しいライフスタイル実現の機会と体験、集いの場を提供してまいります。このほか、当社の歴史や魅力の発信によるファンづくりの一環として、「ロマンスカーミュージアム」の開業(2021年予定)に向けた準備を進めてまいります。 観光 × 経験 ~ここでしか得られない“特別な想い出”を~御殿場プレミアム・アウトレット敷地内に「HOTEL CLAD」の建設を進めるほか、沖縄等において複数のホテルの開業を予定しており、地域の魅力を引き出す個性的なホテルの出店を進めてまいります。また、バンコク及びパリに開設した駐在員事務所や新宿に開設した「INBOUNDLEAGUE」等の情報拠点を活用しながら、新たな商品・サービスの開発に取り組むとともに、沿線観光地における魅力を発信してまいります。 わくわく × イノベーション ~いつの時代もお客さまに“わくわく”を~事業アイデア公募制度の導入等、新規事業創造やイノベーションにつながる人材とアイデアを育てる仕組みを構築するとともに、働き方改革や業務効率化及び多様な人材が活躍できる基盤づくり等を通じて、社員一人ひとりの考え方や能力等を最大限活かすための環境整備を進めてまいります。 ② 社会的責任を果たすための取組み当社グループでは、経営理念の実現を通じて社会とともに持続的に発展していくことが社会的責任(CSR)であると捉えており、以下の内容に重点的に取り組んでまいります。運輸業においては、安全を第一に快適で良質な輸送サービスを提供することが最も重要な社会的責任であると捉え、各社で制定している「安全管理規程」に基づき、安全の重要性を強く認識し日々の業務にあたるとともに、事故防止対策を含めた安全管理体制の継続的な確認や見直し・改善を実施するほか、施設面についても安全の質を高める諸施策に積極的に取り組んでまいります。当期については、当社において、大規模地震における被害を最小限に抑えるため鉄道構造物の耐震補強工事を引き続き実施したほか、ホームからの転落を防止するため新宿駅、小田原駅、藤沢駅、片瀬江ノ島駅、唐木田駅の5駅のホーム終端部に固定柵を設置いたしました。今後は、ホームドアについて、2020年度までに代々木八幡駅~梅ヶ丘駅の6駅に設置するとともに、2022年度までに1日の利用者数10万人以上の駅へ優先して設置することを予定しており、さらなる安全性の向上を図ってまいります。また、環境面については、「小田急グループ環境戦略」に基づき、当社において、地球温暖化対策や列車運行に係る騒音・振動の低減策を進めるなど、環境負荷の低減に向けた取組みに引き続き注力してまいります。さらに、沿線各地の豊かな自然環境を活かした地域団体との協働による各種イベントや、「小田急クリーンキャンペーン」をはじめとする美化活動等を通じて自然との共生にも鋭意取り組んでまいります。このほか、沿線における将来の人口動態を見据え、幅広い世代に対する暮らしやすい環境の提供にも引き続き努めてまいります。 これらの諸課題を着実に遂行することで、「日本一暮らしやすい沿線」を目指してまいります。(3) 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針当社は、2006年6月29日開催の第85回定時株主総会決議に基づき、当社の企業価値・株主共同の利益を確保、向上させることを目的として、「当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」を導入いたしました。その後、2009年6月26日開催の第88回定時株主総会、2012年6月28日開催の第91回定時株主総会及び2015年6月26日開催の第94回定時株主総会において、同対応策を継続的に導入することについて株主のみなさまのご承認をいただいてまいりましたが、2018年5月18日開催の当社取締役会において同対応策を継続しないことを決議し、2018年6月28日開催の第97回定時株主総会終結の時をもって、その有効期間は満了いたしました。2018年6月28日現在における基本方針は、以下のとおりです。 ① 基本方針の内容当社は、公開会社である当社の株式については、株主及び投資家のみなさまによる自由な取引が認められている以上、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方は、最終的には株主全体の意思により決定されるべきであり、特定の者の大規模な買付けに応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には当社株主の判断に委ねられるべきものだと考えております。しかしながら、株式の大規模な買付けの中には、その目的等から見て重要な営業用資産を売却処分するなど企業価値・株主共同の利益を損なうことが明白であるもの、買収に応じることを株主に強要するおそれがあるもの、株主のみなさまが最善の選択を行うために必要な情報が十分に提供されないものなど、当社の企業価値・株主共同の利益に資さないものもあります。当社としては、このような大規模な買付けに対しては、株主のみなさまのために適切な措置を講じることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保する必要があると考えております。② 基本方針の実現に資する特別な取組みア 「長期ビジョン2020」の実現当社グループでは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献することを経営理念として定めております。この経営理念と2020年度までに取り組むべき方向性を示した「長期ビジョン2020」のもと、「沿線における複々線完成後の収益を最大化する」、「2020年度までに成長の種を蒔き育てる」の2つのテーマ及び当社グループのありたい姿を示す「未来フィールド」を掲げ、各施策の推進を通じて、経営理念の実現に向けた強固な成長サイクルを確立いたします。イ 運輸業における安全対策の強化と輸送サービスの品質向上当社グループでは、安全を第一に快適で良質な輸送サービスを提供することが最も重要な社会的責任であると考えております。ウ コーポレート・ガバナンスの充実・強化当社におけるコーポレート・ガバナンスの充実・強化については、重要な戦略を効率的かつ迅速に決定、実行していく機能と、業務執行に対する監督機能の強化という点を重要課題として認識し、各種施策に取り組んでおります。 当社は、以上の諸施策を着実に実行し、当社の企業価値・株主共同の利益の確保、向上を図っていく所存であります。 ③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み当社取締役会は、当社株式に対する大規模買付行為を行おうとする者に対しては、株主のみなさまが適切なご判断を行うための必要かつ十分な情報の提供を求め、評価、検討したうえで当社取締役会の意見等を開示し、また、必要に応じて当該大規模買付者と交渉を行うほか、株主のみなさまの検討のための時間の確保に努める等、金融商品取引法、会社法その他関係法令の許容する範囲内において、採り得る措置を講じてまいります。 ④ 上記各取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由上記②に記載した「長期ビジョン2020」の実現、運輸業における安全対策の強化と輸送サービスの品質向上及びコーポレート・ガバナンスの充実・強化といった各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに基本方針の実現に資するものです。また、上記③に記載した取組みは、当社株式に対する大規模買付行為がなされた際に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主のみなさまが判断するために必要な情報や時間を確保すること、株主のみなさまのために当該大規模買付者と交渉を行うこと等の措置を講じることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保、向上させるためのものであり、基本方針に沿うものです。したがって、当社取締役会は、上記②及び③の取組みは、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 中長期的な経営戦略当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としております。「グループ経営理念」の内容は以下のとおりです。<グループ経営理念>1 経営理念小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。2 行動指針私たちは、経営理念の実現のため、3つの精神を忘れることなく、お客さまに「上質と感動」を提供します。(真摯)私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します。(進取)私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追求に挑戦します。(融和)私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との共生に取り組みます。 当社では、事業環境の変化に対応し、グループ経営理念の実現とさらなる事業成長を遂げるため、2020年度までに取り組むべき方向性を示した「長期ビジョン2020」を策定しております。当社グループは、「グループ経営理念」及び「長期ビジョン2020」に従って、グループ各社がそれぞれの役割を確実に実行するとともに、グループの協働を通じて将来にわたるキャッシュ・フローを最大化させ、企業価値の向上を目指してまいります。<長期ビジョン2020>① 基本方針「わたしたちの挑戦」経営理念である『お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現』に向けて、2020年度までに事業基盤をより強固なものとし、成長の種を蒔き育て、躍動的な企業グループを目指して、挑戦します。 ② グループ成長戦略基本方針を踏まえ、2つのテーマ及び当社グループのありたい姿を示す「未来フィールド」を設定し、沿線の既存事業に再投下すべき資本を継続的に確保するとともに、沿線外への進出や新規事業の開発に対する資本も確保し、新たな収益源を獲得していくことで、経営理念の実現に向けた強固な成長サイクルを確立いたします。 テーマⅠ 沿線における複々線完成後のグループ収益を最大化する複々線完成という大きな機会を捉え、強みのある既存事業やターミナル駅周辺再開発の推進を通じて沿線の魅力を高めるとともに、人口流入を促進することで、グループ各事業の主戦場である沿線エリアの事業基盤を磐石なものとします。 テーマⅡ 2020年度までに成長の種を蒔き育てる市場での成長性や競争力の高い事業については、外部パートナーとの連携やM&A等を通じて、沿線外や海外の優良なマーケットエリアに進出し、事業規模を拡大します。同様に、新規事業についても、外部パートナーとの連携やM&A等を通じて、変化するお客さまのニーズを捉え、既存事業周辺で不足しているグループ機能を充足させるなど、開発を推進します。当社グループにおいては、複々線での営業運転開始という大きな節目を迎えましたが、今後ますます不確実性が高まると予測される事業環境において、時代の変化へ対応し「新しい小田急」へと変革していくためには、既存の枠組みや考え方に捉われず、将来のありたい姿を描いたうえで、その実現に向けた挑戦を繰り返すことが必要と考えております。こうした認識のもと、当社グループが取り組むべき新たな方向性について、当社グループの各社・各組織の社員で討議を重ね、5つの「未来フィールド」を設定いたしました。「未来フィールド」は、当社グループが「お客さまや社会にどのような価値を生み出していきたいのか」、「そのために自らがどのような組織でありたいか」という当社グループのありたい姿を示すものであり、各未来フィールドが目指すありたい姿は以下のとおりです。 モビリティ × 安心・快適 ~新しい“モビリティ・ライフ”をまちに~ 90年間積み上げてきた安心・快適という普遍的な価値を揺るぎない土台としながら、これからのテクノロジーを活かして、「会いたいときに、会いたい人に、会いに行ける」、次世代の“モビリティ・ライフ”をまちに生み出します。まちづくり × 愛着 ~まちの“新しい物語”を紡ぎ出す~ まちの個性や特徴を活かした職、住、商、学・遊のシーンを創り出し、まちとつながる愛着や誇りをお客さまとともに育みます。お客さまや地域社会の課題解決を通じて、まちの“新しい物語”を紡ぎ出していきます。くらし × 楽しさ ~何気ない日々に“心が動く瞬間”を~ 変化するトレンドや多様化するお客さまの欲求をスピーディーに捉え、スポーツや音楽、食事、買い物など、何気ない日々を彩る時間や空間をさまざまなパートナーと共創することにより、安心感を上回る“心が動く瞬間”を演出していきます。観光 × 経験 ~ここでしか得られない“特別な想い出”を~ 地域の方々とともにその土地ならではの過ごし方や楽しみ方を発掘し、日本はもちろん、世界から訪れるゲストに“特別な想い出”として心に残る経験のお手伝いをすることで、日本、地域、まちの発展に貢献していきます。わくわく × イノベーション ~いつの時代もお客さまに“わくわく”を~ 社員一人ひとりが、主体性と創造性と情熱を解放し、“わくわく”をアイデアの源泉とします。お客さまに新たな価値をお届けするために、いつの時代も変化を楽しみ、未知への挑戦を続けます。③ 2020年度の連結数値目標2020年度までを「収益基盤を強化し事業成長すべき期間」と位置づけており、連結のEBITDA・有利子負債/EBITDA倍率を目標とする経営指標として設定するほか、ROA・ROEについても注視し、効率的な経営に努めてまいります。 EBITDA有利子負債/EBITDA倍率1,115億円6.7倍 (2) 経営環境及び対処すべき課題① 長期ビジョン2020の実現当社グループでは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献することを経営理念として定めております。この経営理念と2020年度までに取り組むべき方向性を示した「長期ビジョン2020」のもと各未来フィールドの実現に向けて、以下の内容を中期経営計画における重要な経営課題と認識し取り組んでまいります。モビリティ × 安心・快適 ~新しい“モビリティ・ライフ”をまちに~ 鉄道事業において、複々線効果の最大化による鉄道利用の増加、ホームドアの整備等による安全性の向上、及び先進的な技術による高度化や省力化等を推進してまいります。また、大学等との連携による自動運転バスの実証実験を行うなど、次世代のテクノロジーを活用した移動サービスの実現に向けた取組みも進めてまいります。 まちづくり × 愛着 ~まちの“新しい物語”を紡ぎ出す~複々線完成後の下北沢エリアや海老名駅間地区「ⅤⅰNA GARDENS」等において、まちの個性や特徴を活かした開発計画を推進するとともに、本年3月に開業した学生レジデンス「NODE GROWTH 湘南台」等も活用しながら、地域の賑わいや交流を創出するさまざまな仕掛けづくりを進めてまいります。また、不動産業については、積極的な成長投資を行うとともに組織能力を向上させ、事業規模のさらなる拡大に努めてまいります。くらし × 楽しさ ~何気ない日々に“心が動く瞬間”を~㈱小田急百貨店において、抜本的なリニューアル等により新たな商業施設への転換を推進するとともに、当社及び小田急商事㈱においては、本年3月に㈱セブン&アイ・ホールディングスと締結した業務提携に関する基本合意に基づき多様化する顧客ニーズへの対応を強化するなど、将来にわたりお客さまから支持される商業への変革を目指してまいります。また、大人のための学びと旅を提案する当社のオリジナル企画「小田急まなたび」を通じて、豊かで楽しいライフスタイル実現の機会と体験、集いの場を提供してまいります。このほか、当社の歴史や魅力の発信によるファンづくりの一環として、「ロマンスカーミュージアム」の開業(2021年予定)に向けた準備を進めてまいります。 観光 × 経験 ~ここでしか得られない“特別な想い出”を~御殿場プレミアム・アウトレット敷地内に「HOTEL CLAD」の建設を進めるほか、沖縄等において複数のホテルの開業を予定しており、地域の魅力を引き出す個性的なホテルの出店を進めてまいります。また、バンコク及びパリに開設した駐在員事務所や新宿に開設した「INBOUNDLEAGUE」等の情報拠点を活用しながら、新たな商品・サービスの開発に取り組むとともに、沿線観光地における魅力を発信してまいります。 わくわく × イノベーション ~いつの時代もお客さまに“わくわく”を~事業アイデア公募制度の導入等、新規事業創造やイノベーションにつながる人材とアイデアを育てる仕組みを構築するとともに、働き方改革や業務効率化及び多様な人材が活躍できる基盤づくり等を通じて、社員一人ひとりの考え方や能力等を最大限活かすための環境整備を進めてまいります。 ② 社会的責任を果たすための取組み当社グループでは、経営理念の実現を通じて社会とともに持続的に発展していくことが社会的責任(CSR)であると捉えており、以下の内容に重点的に取り組んでまいります。運輸業においては、安全を第一に快適で良質な輸送サービスを提供することが最も重要な社会的責任であると捉え、各社で制定している「安全管理規程」に基づき、安全の重要性を強く認識し日々の業務にあたるとともに、事故防止対策を含めた安全管理体制の継続的な確認や見直し・改善を実施するほか、施設面についても安全の質を高める諸施策に積極的に取り組んでまいります。当期については、当社において、大規模地震における被害を最小限に抑えるため鉄道構造物の耐震補強工事を引き続き実施したほか、ホームからの転落を防止するため新宿駅、小田原駅、藤沢駅、片瀬江ノ島駅、唐木田駅の5駅のホーム終端部に固定柵を設置いたしました。今後は、ホームドアについて、2020年度までに代々木八幡駅~梅ヶ丘駅の6駅に設置するとともに、2022年度までに1日の利用者数10万人以上の駅へ優先して設置することを予定しており、さらなる安全性の向上を図ってまいります。また、環境面については、「小田急グループ環境戦略」に基づき、当社において、地球温暖化対策や列車運行に係る騒音・振動の低減策を進めるなど、環境負荷の低減に向けた取組みに引き続き注力してまいります。さらに、沿線各地の豊かな自然環境を活かした地域団体との協働による各種イベントや、「小田急クリーンキャンペーン」をはじめとする美化活動等を通じて自然との共生にも鋭意取り組んでまいります。このほか、沿線における将来の人口動態を見据え、幅広い世代に対する暮らしやすい環境の提供にも引き続き努めてまいります。 これらの諸課題を着実に遂行することで、「日本一暮らしやすい沿線」を目指してまいります。(3) 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針当社は、2006年6月29日開催の第85回定時株主総会決議に基づき、当社の企業価値・株主共同の利益を確保、向上させることを目的として、「当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」を導入いたしました。その後、2009年6月26日開催の第88回定時株主総会、2012年6月28日開催の第91回定時株主総会及び2015年6月26日開催の第94回定時株主総会において、同対応策を継続的に導入することについて株主のみなさまのご承認をいただいてまいりましたが、2018年5月18日開催の当社取締役会において同対応策を継続しないことを決議し、2018年6月28日開催の第97回定時株主総会終結の時をもって、その有効期間は満了いたしました。2018年6月28日現在における基本方針は、以下のとおりです。 ① 基本方針の内容当社は、公開会社である当社の株式については、株主及び投資家のみなさまによる自由な取引が認められている以上、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方は、最終的には株主全体の意思により決定されるべきであり、特定の者の大規模な買付けに応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には当社株主の判断に委ねられるべきものだと考えております。しかしながら、株式の大規模な買付けの中には、その目的等から見て重要な営業用資産を売却処分するなど企業価値・株主共同の利益を損なうことが明白であるもの、買収に応じることを株主に強要するおそれがあるもの、株主のみなさまが最善の選択を行うために必要な情報が十分に提供されないものなど、当社の企業価値・株主共同の利益に資さないものもあります。当社としては、このような大規模な買付けに対しては、株主のみなさまのために適切な措置を講じることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保する必要があると考えております。② 基本方針の実現に資する特別な取組みア 「長期ビジョン2020」の実現当社グループでは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献することを経営理念として定めております。この経営理念と2020年度までに取り組むべき方向性を示した「長期ビジョン2020」のもと、「沿線における複々線完成後の収益を最大化する」、「2020年度までに成長の種を蒔き育てる」の2つのテーマ及び当社グループのありたい姿を示す「未来フィールド」を掲げ、各施策の推進を通じて、経営理念の実現に向けた強固な成長サイクルを確立いたします。イ 運輸業における安全対策の強化と輸送サービスの品質向上当社グループでは、安全を第一に快適で良質な輸送サービスを提供することが最も重要な社会的責任であると考えております。ウ コーポレート・ガバナンスの充実・強化当社におけるコーポレート・ガバナンスの充実・強化については、重要な戦略を効率的かつ迅速に決定、実行していく機能と、業務執行に対する監督機能の強化という点を重要課題として認識し、各種施策に取り組んでおります。 当社は、以上の諸施策を着実に実行し、当社の企業価値・株主共同の利益の確保、向上を図っていく所存であります。 ③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み当社取締役会は、当社株式に対する大規模買付行為を行おうとする者に対しては、株主のみなさまが適切なご判断を行うための必要かつ十分な情報の提供を求め、評価、検討したうえで当社取締役会の意見等を開示し、また、必要に応じて当該大規模買付者と交渉を行うほか、株主のみなさまの検討のための時間の確保に努める等、金融商品取引法、会社法その他関係法令の許容する範囲内において、採り得る措置を講じてまいります。 ④ 上記各取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由上記②に記載した「長期ビジョン2020」の実現、運輸業における安全対策の強化と輸送サービスの品質向上及びコーポレート・ガバナンスの充実・強化といった各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに基本方針の実現に資するものです。また、上記③に記載した取組みは、当社株式に対する大規模買付行為がなされた際に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主のみなさまが判断するために必要な情報や時間を確保すること、株主のみなさまのために当該大規模買付者と交渉を行うこと等の措置を講じることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保、向上させるためのものであり、基本方針に沿うものです。したがって、当社取締役会は、上記②及び③の取組みは、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
MD&A(経営者による分析)
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 業績当期のわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境に改善の動きが続く中、個人消費が持ち直すなど、全体として緩やかな回復基調が続きました。このような状況のもと、当社グループでは各事業にわたり積極的な営業活動を行った結果、運輸業やその他の事業で増収となったことから、営業収益は5,246億6千万円と、前連結会計年度に比べ16億2千8百万円の増加(前期比0.3%増)となりました。これに伴い、営業利益は514億6千4百万円と、前連結会計年度に比べ15億1千7百万円の増加(前期比3.0%増)、経常利益は478億9千1百万円と、前連結会計年度に比べ12億5千3百万円の増加(前期比2.7%増)となったほか、親会社株主に帰属する当期純利益は293億2千8百万円と、前連結会計年度に比べ32億6千万円の増加(前期比12.5%増)となりました。セグメントの業績は、次のとおりであります。 ア 運輸業鉄道事業につきましては、輸送面において、最重要課題かつ当社グループの長年の悲願である当社線近郊区間の複々線化について、代々木上原~梅ヶ丘間の複々線への切替工事を経て、代々木上原~登戸間で複々線での営業運転を開始いたしました。これにあわせて、複々線を活用したダイヤ改正を実施し、ラッシュ時間帯の混雑緩和や所要時間の短縮、東京メトロ千代田線直通列車増発による都心部へのアクセス向上等を図りました。また、眺望性や快適性をさらに高め、環境面にも配慮した新型ロマンスカー70000形(GSE)1編成を新造したほか、ロマンスカー30000形(EXE)や通勤車両1000形のリニューアルを引き続き実施するなど、輸送サービスの向上に努めました。営業面においては、外国人旅行客のさらなる誘致に向けて、バンコクに続き、海外2つ目の拠点となる駐在員事務所をパリに開設し、現地旅行代理店との関係性の強化等に努めたほか、新宿駅において従来の外国人旅行客向け案内所の機能を拡張し、同駅南口及び西口に小田急旅行センターを開設することで受入体制の強化を図りました。また、行楽シーズンにおける臨時列車の運行や各種キャンペーンの展開等により、箱根、江の島・鎌倉エリア等への積極的な旅客誘致に努めました。施設面においては、列車運行の安全性を一層高めるため、新宿駅や大和駅及び多摩線の駅間の高架区間等で耐震補強工事を引き続き推進したほか、栗平駅~黒川駅間等で法面改修工事を実施いたしました。さらに、駅施設の改良に努め、新宿駅西口地下改修工事の進捗にあわせ、改札内のトイレを全面リニューアルし、授乳室や子供用トイレ等の設置により利便性を高めたほか、生花や寄木細工等を活用して安らぎの空間を提供するなど、お客さまへのサービス向上を図りました。自動車運送事業につきましては、小田急バス㈱等において、車両の更新により輸送サービスの向上を図るとともに、当社線の新ダイヤでの運行開始にあわせて鉄道とバスの接続性を高めたダイヤ改正を実施し、利便性の向上に努めました。以上の結果、当社の鉄道事業において雇用環境の改善等により定期の輸送人員が増加したほか、箱根エリアの観光需要が好調に推移したことなどから、営業収益は1,761億8千3百万円と、前連結会計年度に比べ33億1千9百万円の増加(前年同期比1.9%増)となりました。一方、営業利益につきましては、当社の鉄道事業において費用が増加したことなどから、281億2千2百万円と、前連結会計年度に比べ4億7千8百万円の減少(前期比1.7%減)となりました。 (業種別営業成績表)業種別当連結会計年度(2017.4.1~2018.3.31)営業収益(百万円)対前期増減率(%)鉄道事業133,3831.3自動車運送事業37,9382.4タクシー事業3,042△0.5航路事業2,42912.0索道業2,28833.2その他運輸業1,33010.8消去△4,229―営業収益計176,1831.9(提出会社の鉄道事業運輸成績表)種別単位当連結会計年度(2017.4.1~2018.3.31) 対前期増減率(%)営業日数 日3650.0営業キロ キロ120.50.0客車走行キロ 千キロ183,3320.1 定期千人465,8890.9輸送人員定期外〃289,4390.6 計〃755,3280.8 定期百万円46,8711.2旅客運輸収入定期外〃70,4510.8 計〃117,3220.9運輸雑収 〃3,8956.4運輸収入合計 〃121,2171.1乗車効率 %46.6―(注) 乗車効率の算出方法乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)/(客車走行キロ×平均定員)×100イ 流通業百貨店業につきましては、㈱小田急百貨店新宿店の食料品フロアにおいて、2016年10月の和洋菓子売場に続き、和惣菜・弁当売場及び洋・中華惣菜売場をリニューアルするなど、既存顧客の支持拡大や新規顧客の取込みを図りました。また、全店において、催事をはじめとする各種営業施策を積極的に展開するなど、収益の確保に努めました。ストア業等につきましては、小田急商事㈱が運営するスーパーマーケット「Odakyu OX」において、秦野店が新規オープンしたほか、各店で買い回りのしやすい売場づくりや全国各地から厳選した付加価値の高い商品の提供等に努めました。また、新業態の展開にも取り組むなど事業基盤の強化及び店舗の活性化を図りました。以上の結果、百貨店業において訪日外国人客による免税売上が増加したものの、ストア業等において、外部への株式譲渡に伴いホームセンター事業を営む㈱ビーバートザンが連結除外となったことなどから、営業収益は2,144億7千9百万円と、前連結会計年度に比べ48億6百万円の減少(前期比2.2%減)となりました。一方、営業利益につきましては、百貨店業において費用が減少したことなどから、46億4千7百万円と、前連結会計年度に比べ14億7千2百万円の増加(前期比46.4%増)となりました。 (業種別営業成績表)業種別当連結会計年度(2017.4.1~2018.3.31)営業収益(百万円)対前期増減率(%) 小田急百貨店新宿店94,3463.2 小田急百貨店町田店35,656△1.5百貨店業小田急百貨店藤沢店13,036△1.0 その他7,4900.4 計150,5301.5ストア業等 71,126△9.1消去 △7,178―営業収益計214,479△2.2 ウ 不動産業不動産分譲業につきましては、小田急不動産㈱において、「リーフィア町田小山ヶ丘」等の戸建住宅や、「リーフィアレジデンス栗平」をはじめとするマンションを分譲するなど、収益の確保に努めました。また、住まいや暮らしに関するサービスをワンストップで提供する「小田急 住まいのプラザ」の新規出店と「ベンリー小田急」の開業により、リフォームや住替え支援、生活支援等の地域ニーズに即した商品やサービスの提供・開発を推進いたしました。不動産賃貸業につきましては、当社において、海老名駅間地区「ⅤⅰNAGARDENS」における飲食店中心の商業施設「TERRACE」が昨年11月に開業したほか、商業施設「小田急本厚木ミロード2」のリニューアルを実施するなど、施設の充実及び活性化を図る施策を推進いたしました。以上の結果、不動産分譲業において住宅販売戸数が増加したほか、不動産賃貸業において前期に取得した物件の賃料収入が寄与したものの、UDS㈱を不動産業からその他の事業へセグメント変更したことなどから、営業収益は685億7千8百万円と、前連結会計年度に比べ13億3千1百万円の減少(前期比1.9%減)となりました。一方、営業利益につきましては、不動産賃貸業における増益が寄与したことなどから、125億3千8百万円と、前連結会計年度に比べ1億6千万円の増加(前期比1.3%増)となりました。 (業種別営業成績表)業種別当連結会計年度(2017.4.1~2018.3.31)営業収益(百万円)対前期増減率(%)不動産分譲業32,3426.8不動産賃貸業41,9942.0その他―△100.0消去△5,758―営業収益計68,578△1.9 なお、前連結会計年度の実績に対しUDS㈱のセグメント変更を考慮した場合、前連結会計年度に比べ、営業収益は22億1千1百万円の増加(前期比3.3%増)、営業利益は2億6千5百万円の増加(前期比2.2%増)となります。 エ その他の事業ホテル業につきましては、㈱ホテル小田急が運営する「ハイアット リージェンシー 東京」において客室のリニューアルを引き続き実施したほか、㈱ホテル小田急サザンタワーが運営する「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」においてレストランのリニューアルを実施するなど、各ホテルで施設のさらなる充実を図るとともに、訪日外国人客の宿泊需要を適切に取り込み、客室稼働率・平均室料の向上に努めることで、収益の最大化を図りました。レストラン飲食業につきましては、ジローレストランシステム㈱及び㈱小田急レストランシステムにおいて、新規業態の開発とあわせ、両社で6店舗の新規出店、12店舗の改装を実施するなど、集客力の強化を図りました。以上の結果、UDS㈱を不動産業からその他の事業へセグメント変更したことによる影響のほか、ホテル業において、「ハイアット リージェンシー 東京」で、前期に実施した改修工事に伴う売止めによる反動があったことに加え、箱根のリゾートホテルも好調に推移したことなどから、営業収益は1,050億2千3百万円と、前連結会計年度に比べ55億1千1百万円の増加(前期比5.5%増)となりました。これに伴い、営業利益は59億6千7百万円と、前連結会計年度に比べ3億6百万円の増加(前期比5.4%増)となりました。 (業種別営業成績表)業種別当連結会計年度(2017.4.1~2018.3.31)営業収益(百万円)対前期増減率(%) ハイアット リージェンシー 東京11,1971.5 ホテルセンチュリー静岡3,0980.2ホテル業小田急ホテルセンチュリーサザンタワー3,7791.1 その他12,59928.3 計30,67510.8レストラン飲食業20,423△1.4旅行業5,314△1.8ビル管理・メンテナンス業20,875△2.0その他33,50212.2消去△5,768―営業収益計105,0235.5 なお、前連結会計年度の実績に対しUDS㈱のセグメント変更を考慮した場合、前連結会計年度に比べ、営業収益は17億8千3百万円の増加(前期比1.7%増)、営業利益は2億1百万円の増加(前期比3.5%増)となります。② キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益439億4千万円に減価償却費や法人税等の支払額などを加減した結果、853億9千4百万円の資金収入と、前連結会計年度に比べ、58億9千9百万円の資金収入の増加となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、526億8千1百万円の資金支出と、有形固定資産の取得による支出が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ、143億7千1百万円の資金支出の減少となりました。この結果、これらを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは327億1千2百万円の資金収入となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、80億9千9百万円の資金支出と、前連結会計年度に比べ、123億7千4百万円の資金支出の減少となりました。これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ246億1千3百万円増加し、439億7百万円となりました。 ③ 生産、受注及び販売の実績当社グループの主たる事業は、鉄道事業を中核とする運輸業、百貨店業を中核とする流通業、建物の賃貸、土地及び建物の販売を行う不動産業及びその他の事業であり、役務の提供を主体とする事業の性格上、生産及び受注の実績を金額あるいは数量で示すことはしておりません。そのため生産、受注及び販売の実績については、「(1) 経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に際し、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収入・費用の金額並びに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計方針及び見積りには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 ア たな卸資産の評価当社グループは、多くのたな卸資産を保有しており、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2008年9月26日)を適用しております。また、当社では複々線化事業により取得した用地を固定資産に計上しておりますが、工事が終了した区間の当該用地など分譲用と判断した土地については、たな卸資産に振り替えたうえで同様に評価しております。イ 有価証券の減損当社グループは、金融機関や取引先の有価証券を保有しております。これらのうち、時価のある有価証券については、時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。これらの有価証券は価格変動リスクを負っているため、損失が発生する可能性があります。ウ 固定資産の減損当社グループは、多くの固定資産を保有しております。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき算出しているため、前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。エ 繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産について実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額は将来年度の課税所得の見込額等を考慮して計上しますが、将来の業績変動により課税所得の見込額が減少又は増加した場合には、評価性引当額の追加計上又は取り崩しが必要となる場合があります。オ 退職給付債務及び費用従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響する可能性があります。 ② 財政状態及び経営成績(財政状態)総資産は1兆2,973億3千4百万円となり、前連結会計年度末と比べ272億3千2百万円増加いたしました。これは、主に現金及び預金の増加によるものであります。また、負債の部は、9,308億6千7百万円となり、前連結会計年度末と比べ、5億3千1百万円減少いたしました。これは、主に前受金の減少によるものであります。純資産の部は、3,664億6千6百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末と比べ277億6千3百万円増加いたしました。(経営成績)ア 営業収益及び営業利益当連結会計年度は、各事業にわたり積極的な営業活動を行った結果、運輸業やその他の事業で増収となったことから、営業収益は5,246億6千万円と、前連結会計年度に比べ16億2千8百万円の増加(前期比0.3%増)となりました。これに伴い、営業利益は、514億6千4百万円と、前連結会計年度に比べ15億1千7百万円の増加(前期比3.0%増)となりました。なお、各セグメントの営業収益及び営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。イ 営業外損益及び経常利益営業外損益は悪化したものの、営業利益の増加に伴い、経常利益は478億9千1百万円(前期比2.7%増)となりました。ウ 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益当連結会計年度の特別損益は、前連結会計年度に比べて29億7千5百万円の改善となりました。これは、前期に比べ、特別利益が増加したことによるものであります。これらの結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は439億4千万円となり、ここから法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は293億2千8百万円(前期比12.5%増)となりました。③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析ア 設備投資による資本の投下当社グループは、鉄道事業において、安全防災対策に積極的に取り組みながら、快適かつスピーディーな鉄道運行の実現に努めているほか、他の事業においても、沿線の魅力を高めることを目指して継続的な設備投資を行っております。当連結会計年度においては総額682億8千8百万円の設備投資を実施いたしました。なお、各セグメントの設備投資等の概要については、「第3 設備の状況」の「1 設備投資等の概要」に記載しております。イ 資金調達当社グループの資金調達は、鉄道事業における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債及び民間金融機関からの借入金など、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しております。なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入し、資金繰の波動により、短期的な資金需要が発生する場合には、極力グループ内資金を活用するほか、コマーシャルペーパー(CP)の発行も行っております。ウ 資金の流動性当社グループは、鉄道事業や流通業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しております。 ④ 経営指標当社グループでは、連結のEBITDA・有利子負債/EBITDA倍率を目標とする経営指標として設定しているほか、ROA・ROEについても注視しております。当連結会計年度については、以下のとおりであります。(EBITDA・有利子負債/EBITDA倍率) 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)借入金・社債601,735611,474鉄道・運輸機構長期未払金(注1)100,842107,723有利子負債計(注2)702,578719,197EBITDA(注3)96,88396,811有利子負債/EBITDA倍率7.3倍7.4倍(注) 1 鉄道・運輸機構長期未払金は、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑤ 連結附属明細表〔借入金等明細表〕」における鉄道・運輸機構長期未払金の額とは異なり、上表では消費税等相当額を加えております。2 リース債務及び社内預金は除いております。3 EBITDAは、営業利益に減価償却費を加えたものであります。(ROA・ROE) 前連結会計年度(%)当連結会計年度(%)ROA(総資産営業利益率)(注)4.14.2ROE(自己資本当期純利益率)(注)9.09.4(注) 総資産、自己資本からその他有価証券の時価評価による影響額を除いて算出しております。
経営方針・経営戦略
3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 中長期的な経営戦略当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としております。「グループ経営理念」の内容は以下のとおりであります。<グループ経営理念>1 経営理念小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。2 行動指針私たちは、経営理念の実現のため、3つの精神を忘れることなく、お客さまに「上質と感動」を提供します。(真摯)私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します。(進取)私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追求に挑戦します。(融和)私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との共生に取り組みます。 当社では、事業環境の変化に対応し、グループ経営理念の実現とさらなる事業成長を遂げるため、平成32年度までに取り組むべき方向性を示した「長期ビジョン2020」を策定しております。当社グループは、「グループ経営理念」及び「長期ビジョン2020」に従って、グループ各社がそれぞれの役割を確実に実行するとともに、グループの協働を通じて将来にわたるキャッシュ・フローを最大化させ、企業価値の向上を目指してまいります。<長期ビジョン2020>① 基本方針「わたしたちの挑戦」経営理念である『お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現』に向けて、2020年度までに事業基盤をより強固なものとし、成長の種を蒔き育て、躍動的な企業グループを目指して、挑戦します。 ② グループ成長戦略基本方針を踏まえ、2つのテーマを設定し、沿線の既存事業に再投下すべき資本を継続的に確保するとともに、沿線外への進出や新規事業の開発に対する資本も確保し、新たな収益源を獲得していくことで、経営理念の実現に向けた強固な成長サイクルを確立いたします。テーマⅠ 沿線における複々線完成後のグループ収益を最大化する平成29年度に予定している当社線近郊区間における複々線での営業運転開始という大きな機会を捉え、強みのある既存事業やターミナル駅周辺再開発の推進を通じて沿線の魅力を高めるとともに、人口流入を促進することで、グループ各社の主要な事業エリアである沿線における事業基盤を磐石なものとすることを目指してまいります。 テーマⅡ 2020年度までに成長の種を蒔き育てる市場での成長性や競争力の高い既存事業については、外部パートナーとの連携やM&A等を通じて、沿線外や海外の優良なマーケットエリアに進出し、事業規模を拡大いたします。同様に、新規事業についても、外部パートナーとの連携やM&A等を通じて、変化するお客さまのニーズを捉え、既存事業周辺で不足しているグループ機能を充足させるなど、開発を推進いたします。③ 事業成長に向けた取組み上述した「長期ビジョン2020」におけるテーマに対して以下の取組みを行うことで事業成長を達成します。ミッション① 既存事業の選択的強化沿線においては、鉄道事業を中心とした運輸業と不動産業が連携して、強固な事業基盤を整備することで、複々線完成後の収益最大化を目指してまいります。鉄道事業において複々線完成後の戦略的なダイヤを策定し、新規利用客の誘引を図るとともに、駅周辺の整備・再開発や、交通ネットワークの拡充に向けたバス路線との連携について検討を進めてまいります。箱根、江の島・鎌倉等の観光エリアにおいては、旺盛な旅行需要を的確に捉え、観光地間競争に打ち勝つための既存コンテンツの強化・利便性向上策を推進いたします。また、多様化する顧客ニーズに対応すべく、流通業、その他の事業等において駅周辺立地における最適なビジネスモデルを追求するなどしてサービスの拡充を図ってまいります。特に環境変化として重要な就労女性・高齢者・訪日外国人の増加等に対しては各事業でサービスを拡充するとともに収益性を強化いたします。ミッション② 中核駅周辺再開発の推進駅周辺の大規模再開発の実施可能性が高い沿線の中核駅について、再開発計画を検討、推進いたします。また、国内最大のターミナルである新宿駅周辺においてグループ収益の最大化を図るため、新宿駅西口の再開発計画の検討を進めてまいります。ミッション③ 既存事業の沿線外進出事業成長が見込まれ競争優位に立てる事業については、外部パートナーとの連携やM&Aの活用等を通じて、沿線外や海外の優良なマーケットエリアへ進出し、収益を拡大してまいります。ミッション④ 新規事業の開発既存事業の周辺関連分野において、外部パートナーとの連携やM&Aの活用等を通じて、変化する顧客ニーズを捉え、新規事業開発による収益の拡大を図るとともに、人材やビジネスノウハウ等の経営資源を獲得してまいります。また、「長期ビジョン2020」では、平成32年度までを「収益基盤を強化し事業成長すべき期間」と位置づけており、連結の営業収益・EBITDA・有利子負債/EBITDA倍率を重要な経営指標として設定するほか、ROA・ROEについても注視し、効率的な経営に努めてまいります。④ 平成32年度連結数値目標営業収益EBITDA有/E倍率6,000億円1,000億円7.0倍(上限)※ 成長投資枠として、400億円を設定(有/E倍率7.0倍を上回らない範囲) (2) 対処すべき課題① 長期ビジョン2020の実現当社グループでは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献することを経営理念として定めております。この経営理念と平成32年度までに取り組むべき方向性を示した「長期ビジョン2020」のもと、以下の内容を中期経営計画における重要な経営課題と認識し取り組んでまいります。 (沿線における事業基盤の強化)平成30年3月の当社線近郊区間における複々線での営業運転開始という大きな機会を捉え、強みのある既存事業やターミナル駅周辺再開発の推進を通じ、沿線の魅力を高めるとともに、人口流入を促進し、グループ各社の主要な事業エリアである沿線における事業基盤を磐石なものとすることを目指してまいります。複々線での営業運転開始後の運行ダイヤ策定にあたっては、利用状況の分析や将来の人口予測等を踏まえながら、お客さまの利便性・快適性の向上に努めてまいります。加えて、駅周辺の整備・再開発、バスをはじめとする交通ネットワークの拡充等により、複々線完成による効果の最大化を目指してまいります。当期については、複々線での営業運転開始後の運行ダイヤの策定を進めるとともに、複々線完成による輸送改善効果を最大化するため、登戸駅構内の4線化や代々木八幡駅のホーム10両化に向けた工事を推進いたしました。沿線における開発計画の推進については、下北沢地区上部利用計画の深度化を図るほか、乗降者数の多い中核駅周辺における再開発計画等についても行政と積極的に協議を行ってまいります。さらに、グループ収益の最大化を図るため、国内最大のターミナルである新宿駅西口の再開発計画の検討を進めてまいります。当期については、下北沢地区上部利用区間において、本年3月に下北沢駅商業施設部分の建設工事に着手いたしました。また、当社線海老名駅とJR相模線海老名駅との間に位置する当社保有地(ⅤⅰNA GARDENS)の開発に係る基本計画について、平成37年度の事業完成に向け、商業施設等の建設工事に着手したほか、湘南台駅前において学生向け賃貸レジデンスの建設工事に着手いたしました。さらに、昨年11月に川崎市と「小田急沿線まちづくり」に関する包括連携協定を締結しており、今後、当該協定に基づき、駅を中心としたまちづくりや公共交通機能の強化等に向けた取組みを連携して推進してまいります。多様化する顧客ニーズへの対応については、子育て世代や高齢者向けの住宅や施設を整備するほか、箱根、江の島・鎌倉等の観光エリアに加え、百貨店やホテルにおいて、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、ハード・ソフト両面の充実を図ることで、訪日外国人の誘客や観光需要の取込みを強化いたします。また、小田急ポイントカードや「小田急くらしサポート」を通じ、グループ全体の連携強化に努めることで、相乗効果を最大限に発揮してまいります。当期については、シニアレジデンス事業の拡充に向けて、サービス付き高齢者向け住宅を2物件オープンいたしました。また、無料公衆無線LANサービス「odakyu FreeWi-Fi」の利用エリアに江の島・鎌倉エリアを追加するなど、各事業において増加する訪日外国人客の受入体制の整備を図りました。さらに、グループ各社の連携により、プレミアムフライデーにあわせた販売促進活動を実施し、収益の拡大に努めました。(新たな収益源の獲得に向けた取組み)平成32年度までに成長の種を蒔き育てていくため、今後の市場成長性が高く競争優位に立てる既存事業の沿線外進出を進めるとともに、変化する顧客ニーズに対応した新規事業の開発を推進してまいります。なお、これらの取組みを確実に推進していくため、成長投資枠(平成32年度までに400億円)を設定するほか、積極的な外部パートナーとの連携やM&Aの活用を図ってまいります。既存事業の沿線外進出については、ホテル業、ストア業及びレストラン飲食業において出店を強化するほか、当社グループの成長に資する新規物件の取得等を進めてまいります。当期については、昨年10月にUDS㈱が運営する「ホテルカンラ京都」が増床リニューアルオープンしたほか、小田急不動産㈱において、オフィスビルやレジデンスのリノベーション賃貸事業に参入いたしました。また、平成31年に開業を予定している「(仮称)小田急御殿場ホテル」及び「(仮称)小田急御殿場温泉」について、その運営を担う㈱小田急リゾーツと連携して検討を深度化させたほか、UDS㈱においては、沖縄県でのホテル新規出店に先立ち、昨年10月に沖縄UDS㈱を設立するなど、事業基盤の拡充を図りました。新規事業の開発については、既存事業の周辺関連分野での事業開発を推進し、不足している当社グループ機能の充足を図ってまいります。当期については、神奈川中央交通㈱との共同事業として参入したアグリビジネスにおいて、「Odakyu OX」等で商品の販売を開始いたしました。また、Eコマース事業の強化に向けて、当該事業に精通する㈱白鳩との資本業務提携によりノウハウの蓄積に努めるとともに、㈱小田急百貨店において、注文した商品を新宿駅西口のコインロッカーで受け取れるサービス「小田急コスメオンライン」を開始いたしました。このほか、住替えの支援や人口流入の促進による沿線エリアの活性化等を目的として、当社及び小田急不動産㈱において、不動産系ベンチャー企業と連携し、物件オーナーによるリノベーションを前提に物件を借り上げ、入居者に貸し出すサブリース事業を開始いたしました。② 社会的責任を果たすための取組み当社グループでは、経営理念の実現を通じて社会とともに持続的に発展していくことが社会的責任(CSR)であると捉えており、以下の内容に重点的に取り組んでまいります。運輸業においては、安全を第一に快適で良質な輸送サービスを提供することが最も重要な社会的責任であると捉え、各社で制定している「安全管理規程」に基づき、安全の重要性を強く認識し日々の業務にあたるとともに、事故防止対策を含めた安全管理体制の継続的な確認や見直し・改善を実施するほか、施設面についても安全の質を高める諸施策に積極的に取り組んでまいります。当期については、当社において、駅ホームの列車非常停止ボタンや踏切に設置している非常ボタンを増設したほか、鉄道構造物の耐震補強工事を引き続き実施いたしました。さらに、新たに設計に着手した代々木八幡駅~梅ヶ丘駅の6駅におけるホームドアについて、平成32年度までの使用開始を目指すとともに、代々木八幡駅においては、ホームドアの使用開始にあわせて可動ステップを導入することで、さらなる安全性の向上を図ってまいります。また、環境面の取組みについては、「小田急グループ環境戦略」に基づき、当社において、地球温暖化対策や列車運行に係る騒音・振動の低減策を進めるなど、環境負荷の低減に向けた取組みに引き続き注力してまいります。さらに、沿線各地の豊かな自然環境を活かした地域団体との協働による各種イベントや、「小田急クリーンキャンペーン」をはじめとする美化活動等を通じて自然との共生にも鋭意取り組んでまいります。このほか、沿線における将来の人口動態を見据え、幅広い世代に対する暮らしやすい環境の提供にも引き続き努めてまいります。これらの諸課題を着実に遂行することで、「日本一暮らしやすい沿線」を目指してまいります。(3) 会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針等① 基本方針の内容当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の財務及び事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。公開会社である当社の株式については、株主及び投資家のみなさまによる自由な取引が認められている以上、当社取締役会としては、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方は、最終的には株主全体の意思により決定されるべきであり、特定の者の大規模な買付けに応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には当社株主の判断に委ねられるべきものだと考えております。また、当社は、当社株式について大規模な買付けがなされる場合であっても、これが当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。しかしながら、株式の大規模な買付けの中には、その目的等から見て重要な営業用資産を売却処分するなど企業価値・株主共同の利益を損なうことが明白であるもの、買収に応じることを株主に強要するおそれがあるもの、買収提案の内容や買収者自身について十分な情報を提供しないもの、被買収会社の取締役会が買収提案を検討し代替案を株主に提供するための時間的余裕を与えないもの、被買収会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉を必要とするものなど、被買収会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。特に、当社の企業価値の源泉は、(ア).安全輸送を担う技術と人材、(イ).長年にわたって構築された沿線エリアのお客さま・自治体等との信頼関係、(ウ).(ア)、(イ)を基礎として長期間にわたり醸成されてきた「小田急ブランド」にあると考えておりますが、当社株式の大規模な買付けを行う者は、当社の財務及び事業の内容を理解するのは勿論のこと、かかる当社の企業価値の源泉に対する理解が必要不可欠です。かかる当社の企業価値の源泉を理解したうえで、これらを中長期的に確保し、向上させることができなければ、当社の企業価値・株主共同の利益は毀損されることになります。また、買収者からの大規模な買付けの提案を受けた際に、株主のみなさまが最善の選択を行うためには、当社の企業価値を構成する有形無形の要素を適切に把握するとともに、買収者の属性、大規模な買付けの目的、買収者の当社の事業や経営についての意向、お客さま、取引先及び従業員等のステークホルダーに対する対応方針等の買収者の情報も把握したうえで、大規模な買付けが当社の企業価値・株主共同の利益に及ぼす影響を判断する必要があり、かかる情報が明らかにされないまま大規模な買付けが強行される場合には、当社の企業価値・株主共同の利益が毀損される可能性があります。当社としては、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大規模な買付けを行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大規模な買付けに対しては必要かつ相当な対抗措置を講じることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保する必要があると考えております。② 会社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み昭和2年4月に新宿~小田原間の営業を開始して以来、当社グループは、鉄道事業をはじめとする運輸業を基軸に、長期的な視点にたち、小田急線沿線地域を中心として、流通、不動産、ホテル、レストランなど暮らしに密着した様々な事業を営むとともに、沿線エリアの発展に寄与する様々な施策を実施することにより、企業価値・株主共同の利益の持続的向上に努めてまいりました。当社グループでは、安全を第一に快適で良質な輸送サービスを提供することが最も重要な社会的責任であると考えており、安全管理体制の強化や、街の集客拠点としての駅の機能強化等により、安全・便利で最もサービスの良い交通ネットワークの構築を目指してまいります。また、当社では、事業環境の変化に対応し、グループ経営理念の実現とさらなる事業成長を遂げるため、平成32年度までに取り組むべき方向性を示した「長期ビジョン2020」を策定しております。当社グループは、「グループ経営理念」及び「長期ビジョン2020」にしたがって、グループ各社がそれぞれの役割を確実に実行するとともに、グループの協働を通じて将来にわたるキャッシュ・フローを最大化させ、企業価値の向上を目指してまいります。「長期ビジョン2020」においては、「沿線における複々線完成後のグループ収益を最大化する」、「2020年度までに成長の種を蒔き育てる」という2つのテーマをグループ成長戦略として設定し、沿線の既存事業に再投下すべき資本を継続的に確保するとともに、沿線外への進出や新規事業の開発に対する資本も確保し、新たな収益源を獲得していくことで、経営理念の実現に向けた強固な成長サイクルを確立いたします。また、平成32年度までを「収益基盤を強化し事業成長すべき期間」と位置づけており、連結の営業収益・EBITDA・有利子負債/EBITDA倍率を重要な経営指標として設定するほか、ROA・ROEについても注視し、効率的な経営に努めてまいります。さらに、当社におけるコーポレート・ガバナンスの充実・強化については、重要な戦略を効率的かつ迅速に決定、実行していく機能と、業務執行に対する監督機能の強化という点を重要課題として認識し、各種施策に取り組んでおります。③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みア 当社株式の大規模買付行為に関する対応策の継続の目的当社取締役会は、基本方針に定めるとおり、当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大規模な買付けを行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えております。そして、こうした不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値・株主共同の利益に反する大規模な買付けを抑止するためには、当社株式に対する大規模な買付けが行われる際に、当社取締役会が株主のみなさまに代替案を提案したり、あるいは株主のみなさまがかかる大規模な買付けに応じるべきか否かを判断するために必要な情報や時間を確保すること、株主のみなさまのために交渉を行うこと等を可能とする仕組みが必要不可欠であると判断いたしました。イ 当社株式の大規模買付行為に関する対応策の概要当社は、平成24年6月28日開催の第91回定時株主総会決議に基づき「当社株式の大規模買付行為に関する対応策」(以下「本プラン」といいます。)を継続的に導入しましたが、本プランの有効期間が平成27年6月26日開催の第94回定時株主総会(以下「同定時総会」といいます。)の終結の時までとされていたため、本プランの失効に先立ち、平成27年5月20日開催の取締役会及び同定時総会において、所要の修正を行った上で、本プランを継続することを決定いたしました。なお、本プランの有効期間は、同定時総会終了後から平成30年3月期に係る当社定時株主総会の終結時までです。本プランは、(ア).当社が発行する株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付けその他の取得、(イ).当社が発行する株券等について、公開買付けを行う者の株券等所有割合及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付け、もしくは、(ウ).上記(ア)または(イ)に掲げる各行為がなされたか否かにかかわらず、当社の特定株主グループが、当社の他の株主(複数である場合を含みます。以下、本(ウ)において同じとします。)との間で、当該他の株主が当該特定株主グループに属する株主の共同保有者に該当するに至るような合意その他の行為、または当該特定株主グループと当該他の株主との間にその一方が他方を実質的に支配しもしくはそれらの者が共同ないし協調して行動する関係を樹立する行為(ただし、当社が発行者である株券等につき当該特定株主グループに属するすべての株主と当該他の株主との株券等保有割合の合計が20%以上となるような場合に限ります。)のいずれかに該当する買付けその他の取得もしくはこれに類似する行為またはこれらの提案(以下、あわせて「大規模買付行為」といいます。)を適用対象としています。本プランでは、株主のみなさまが適切なご判断を行うための十分な情報及び時間を確保するため、当社取締役会が、大規模買付行為を行おうとする者(以下「大規模買付者等」といいます。)に対して本プランに定める大規模買付情報の提供を要請し、当社社外取締役、当社社外監査役及び社外の有識者から構成される独立委員会が当該大規模買付行為の内容の評価、検討等を行うための手続きを定めています。独立委員会は、(ア).①大規模買付者等が本プランに定められた手続きを遵守せず、または②大規模買付行為が当社の企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれがある場合等本プランに定められる要件に該当すると独立委員会が判断し、かつ(イ).独立委員会が当該大規模買付者等による権利行使は認められないとの行使条件及び当社が当該大規模買付者等以外の者から当社株式と引換えに取得することができる旨の取得条項等が付された新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)の無償割当てを実施することが相当であると判断した場合には、当社取締役会に対し、本新株予約権の無償割当てを実施すべき旨の勧告を行います。当社取締役会は、独立委員会の上記勧告を最大限尊重し、会社法上の機関として、本新株予約権の無償割当ての実施または不実施に関する決議を行います。当社取締役会が本新株予約権の無償割当ての実施を決議した場合、当社は、本新株予約権を当該決議によって定める全ての株主に対して無償割当ての方法により割り当てます。④ 上記記載の取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由上記②に記載した企業価値向上のための取組みやコーポレート・ガバナンスの充実・強化といった各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上させるものであり、まさに基本方針の実現に資するものです。したがって、当該取組みは、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。また、上記③記載の取組みである本プランは、当社株券等に対する大規模買付行為が行われる場合に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主のみなさまが判断することを可能とし、あるいは当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保し、株主のみなさまのために大規模買付者等と協議・交渉等を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保、向上させるための枠組みであり、基本方針に沿うものであると考えております。さらに、本プランは、(ア).経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した企業価値・株主共同の利益の確保または向上のための買収防衛策に関する指針の定める三原則を充足し、また、株式会社東京証券取引所の「有価証券上場規程」第440条に定められる買収防衛策の導入に係る尊重事項を全て充足していること、(イ).株主意思を重視するものであること、(ウ).独立性の高い社外役員等のみから構成される独立委員会の判断が最大限尊重されることとされており、かつその判断の概要については株主のみなさまに情報開示をすることとされていること、(エ).合理的な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されていること、(オ).第三者専門家の意見の取得ができるものであること、(カ).デッドハンド型(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)やスローハンド型(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を防止するのに時間を要する買収防衛策)の買収防衛策に該当しないこと等の理由から、株主共同の利益を損なうものでなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。本プランの内容の詳細等につきましては、平成27年5月20日付当社プレスリリース「当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続について」をご参照ください。(当社ホームページ:http://www.odakyu.jp/ir/index.html)
対処すべき課題
3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 中長期的な経営戦略当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としております。「グループ経営理念」の内容は以下のとおりであります。<グループ経営理念>1 経営理念小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。2 行動指針私たちは、経営理念の実現のため、3つの精神を忘れることなく、お客さまに「上質と感動」を提供します。(真摯)私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します。(進取)私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追求に挑戦します。(融和)私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との共生に取り組みます。 当社では、事業環境の変化に対応し、グループ経営理念の実現とさらなる事業成長を遂げるため、平成32年度までに取り組むべき方向性を示した「長期ビジョン2020」を策定しております。当社グループは、「グループ経営理念」及び「長期ビジョン2020」に従って、グループ各社がそれぞれの役割を確実に実行するとともに、グループの協働を通じて将来にわたるキャッシュ・フローを最大化させ、企業価値の向上を目指してまいります。<長期ビジョン2020>① 基本方針「わたしたちの挑戦」経営理念である『お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現』に向けて、2020年度までに事業基盤をより強固なものとし、成長の種を蒔き育て、躍動的な企業グループを目指して、挑戦します。 ② グループ成長戦略基本方針を踏まえ、2つのテーマを設定し、沿線の既存事業に再投下すべき資本を継続的に確保するとともに、沿線外への進出や新規事業の開発に対する資本も確保し、新たな収益源を獲得していくことで、経営理念の実現に向けた強固な成長サイクルを確立いたします。テーマⅠ 沿線における複々線完成後のグループ収益を最大化する平成29年度に予定している当社線近郊区間における複々線での営業運転開始という大きな機会を捉え、強みのある既存事業やターミナル駅周辺再開発の推進を通じて沿線の魅力を高めるとともに、人口流入を促進することで、グループ各社の主要な事業エリアである沿線における事業基盤を磐石なものとすることを目指してまいります。 テーマⅡ 2020年度までに成長の種を蒔き育てる市場での成長性や競争力の高い既存事業については、外部パートナーとの連携やM&A等を通じて、沿線外や海外の優良なマーケットエリアに進出し、事業規模を拡大いたします。同様に、新規事業についても、外部パートナーとの連携やM&A等を通じて、変化するお客さまのニーズを捉え、既存事業周辺で不足しているグループ機能を充足させるなど、開発を推進いたします。③ 事業成長に向けた取組み上述した「長期ビジョン2020」におけるテーマに対して以下の取組みを行うことで事業成長を達成します。ミッション① 既存事業の選択的強化沿線においては、鉄道事業を中心とした運輸業と不動産業が連携して、強固な事業基盤を整備することで、複々線完成後の収益最大化を目指してまいります。鉄道事業において複々線完成後の戦略的なダイヤを策定し、新規利用客の誘引を図るとともに、駅周辺の整備・再開発や、交通ネットワークの拡充に向けたバス路線との連携について検討を進めてまいります。箱根、江の島・鎌倉等の観光エリアにおいては、旺盛な旅行需要を的確に捉え、観光地間競争に打ち勝つための既存コンテンツの強化・利便性向上策を推進いたします。また、多様化する顧客ニーズに対応すべく、流通業、その他の事業等において駅周辺立地における最適なビジネスモデルを追求するなどしてサービスの拡充を図ってまいります。特に環境変化として重要な就労女性・高齢者・訪日外国人の増加等に対しては各事業でサービスを拡充するとともに収益性を強化いたします。ミッション② 中核駅周辺再開発の推進駅周辺の大規模再開発の実施可能性が高い沿線の中核駅について、再開発計画を検討、推進いたします。また、国内最大のターミナルである新宿駅周辺においてグループ収益の最大化を図るため、新宿駅西口の再開発計画の検討を進めてまいります。ミッション③ 既存事業の沿線外進出事業成長が見込まれ競争優位に立てる事業については、外部パートナーとの連携やM&Aの活用等を通じて、沿線外や海外の優良なマーケットエリアへ進出し、収益を拡大してまいります。ミッション④ 新規事業の開発既存事業の周辺関連分野において、外部パートナーとの連携やM&Aの活用等を通じて、変化する顧客ニーズを捉え、新規事業開発による収益の拡大を図るとともに、人材やビジネスノウハウ等の経営資源を獲得してまいります。また、「長期ビジョン2020」では、平成32年度までを「収益基盤を強化し事業成長すべき期間」と位置づけており、連結の営業収益・EBITDA・有利子負債/EBITDA倍率を重要な経営指標として設定するほか、ROA・ROEについても注視し、効率的な経営に努めてまいります。④ 平成32年度連結数値目標営業収益EBITDA有/E倍率6,000億円1,000億円7.0倍(上限)※ 成長投資枠として、400億円を設定(有/E倍率7.0倍を上回らない範囲) (2) 対処すべき課題① 長期ビジョン2020の実現当社グループでは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献することを経営理念として定めております。この経営理念と平成32年度までに取り組むべき方向性を示した「長期ビジョン2020」のもと、以下の内容を中期経営計画における重要な経営課題と認識し取り組んでまいります。 (沿線における事業基盤の強化)平成30年3月の当社線近郊区間における複々線での営業運転開始という大きな機会を捉え、強みのある既存事業やターミナル駅周辺再開発の推進を通じ、沿線の魅力を高めるとともに、人口流入を促進し、グループ各社の主要な事業エリアである沿線における事業基盤を磐石なものとすることを目指してまいります。複々線での営業運転開始後の運行ダイヤ策定にあたっては、利用状況の分析や将来の人口予測等を踏まえながら、お客さまの利便性・快適性の向上に努めてまいります。加えて、駅周辺の整備・再開発、バスをはじめとする交通ネットワークの拡充等により、複々線完成による効果の最大化を目指してまいります。当期については、複々線での営業運転開始後の運行ダイヤの策定を進めるとともに、複々線完成による輸送改善効果を最大化するため、登戸駅構内の4線化や代々木八幡駅のホーム10両化に向けた工事を推進いたしました。沿線における開発計画の推進については、下北沢地区上部利用計画の深度化を図るほか、乗降者数の多い中核駅周辺における再開発計画等についても行政と積極的に協議を行ってまいります。さらに、グループ収益の最大化を図るため、国内最大のターミナルである新宿駅西口の再開発計画の検討を進めてまいります。当期については、下北沢地区上部利用区間において、本年3月に下北沢駅商業施設部分の建設工事に着手いたしました。また、当社線海老名駅とJR相模線海老名駅との間に位置する当社保有地(ⅤⅰNA GARDENS)の開発に係る基本計画について、平成37年度の事業完成に向け、商業施設等の建設工事に着手したほか、湘南台駅前において学生向け賃貸レジデンスの建設工事に着手いたしました。さらに、昨年11月に川崎市と「小田急沿線まちづくり」に関する包括連携協定を締結しており、今後、当該協定に基づき、駅を中心としたまちづくりや公共交通機能の強化等に向けた取組みを連携して推進してまいります。多様化する顧客ニーズへの対応については、子育て世代や高齢者向けの住宅や施設を整備するほか、箱根、江の島・鎌倉等の観光エリアに加え、百貨店やホテルにおいて、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、ハード・ソフト両面の充実を図ることで、訪日外国人の誘客や観光需要の取込みを強化いたします。また、小田急ポイントカードや「小田急くらしサポート」を通じ、グループ全体の連携強化に努めることで、相乗効果を最大限に発揮してまいります。当期については、シニアレジデンス事業の拡充に向けて、サービス付き高齢者向け住宅を2物件オープンいたしました。また、無料公衆無線LANサービス「odakyu FreeWi-Fi」の利用エリアに江の島・鎌倉エリアを追加するなど、各事業において増加する訪日外国人客の受入体制の整備を図りました。さらに、グループ各社の連携により、プレミアムフライデーにあわせた販売促進活動を実施し、収益の拡大に努めました。(新たな収益源の獲得に向けた取組み)平成32年度までに成長の種を蒔き育てていくため、今後の市場成長性が高く競争優位に立てる既存事業の沿線外進出を進めるとともに、変化する顧客ニーズに対応した新規事業の開発を推進してまいります。なお、これらの取組みを確実に推進していくため、成長投資枠(平成32年度までに400億円)を設定するほか、積極的な外部パートナーとの連携やM&Aの活用を図ってまいります。既存事業の沿線外進出については、ホテル業、ストア業及びレストラン飲食業において出店を強化するほか、当社グループの成長に資する新規物件の取得等を進めてまいります。当期については、昨年10月にUDS㈱が運営する「ホテルカンラ京都」が増床リニューアルオープンしたほか、小田急不動産㈱において、オフィスビルやレジデンスのリノベーション賃貸事業に参入いたしました。また、平成31年に開業を予定している「(仮称)小田急御殿場ホテル」及び「(仮称)小田急御殿場温泉」について、その運営を担う㈱小田急リゾーツと連携して検討を深度化させたほか、UDS㈱においては、沖縄県でのホテル新規出店に先立ち、昨年10月に沖縄UDS㈱を設立するなど、事業基盤の拡充を図りました。新規事業の開発については、既存事業の周辺関連分野での事業開発を推進し、不足している当社グループ機能の充足を図ってまいります。当期については、神奈川中央交通㈱との共同事業として参入したアグリビジネスにおいて、「Odakyu OX」等で商品の販売を開始いたしました。また、Eコマース事業の強化に向けて、当該事業に精通する㈱白鳩との資本業務提携によりノウハウの蓄積に努めるとともに、㈱小田急百貨店において、注文した商品を新宿駅西口のコインロッカーで受け取れるサービス「小田急コスメオンライン」を開始いたしました。このほか、住替えの支援や人口流入の促進による沿線エリアの活性化等を目的として、当社及び小田急不動産㈱において、不動産系ベンチャー企業と連携し、物件オーナーによるリノベーションを前提に物件を借り上げ、入居者に貸し出すサブリース事業を開始いたしました。② 社会的責任を果たすための取組み当社グループでは、経営理念の実現を通じて社会とともに持続的に発展していくことが社会的責任(CSR)であると捉えており、以下の内容に重点的に取り組んでまいります。運輸業においては、安全を第一に快適で良質な輸送サービスを提供することが最も重要な社会的責任であると捉え、各社で制定している「安全管理規程」に基づき、安全の重要性を強く認識し日々の業務にあたるとともに、事故防止対策を含めた安全管理体制の継続的な確認や見直し・改善を実施するほか、施設面についても安全の質を高める諸施策に積極的に取り組んでまいります。当期については、当社において、駅ホームの列車非常停止ボタンや踏切に設置している非常ボタンを増設したほか、鉄道構造物の耐震補強工事を引き続き実施いたしました。さらに、新たに設計に着手した代々木八幡駅~梅ヶ丘駅の6駅におけるホームドアについて、平成32年度までの使用開始を目指すとともに、代々木八幡駅においては、ホームドアの使用開始にあわせて可動ステップを導入することで、さらなる安全性の向上を図ってまいります。また、環境面の取組みについては、「小田急グループ環境戦略」に基づき、当社において、地球温暖化対策や列車運行に係る騒音・振動の低減策を進めるなど、環境負荷の低減に向けた取組みに引き続き注力してまいります。さらに、沿線各地の豊かな自然環境を活かした地域団体との協働による各種イベントや、「小田急クリーンキャンペーン」をはじめとする美化活動等を通じて自然との共生にも鋭意取り組んでまいります。このほか、沿線における将来の人口動態を見据え、幅広い世代に対する暮らしやすい環境の提供にも引き続き努めてまいります。これらの諸課題を着実に遂行することで、「日本一暮らしやすい沿線」を目指してまいります。(3) 会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針等① 基本方針の内容当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の財務及び事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。公開会社である当社の株式については、株主及び投資家のみなさまによる自由な取引が認められている以上、当社取締役会としては、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方は、最終的には株主全体の意思により決定されるべきであり、特定の者の大規模な買付けに応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には当社株主の判断に委ねられるべきものだと考えております。また、当社は、当社株式について大規模な買付けがなされる場合であっても、これが当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。しかしながら、株式の大規模な買付けの中には、その目的等から見て重要な営業用資産を売却処分するなど企業価値・株主共同の利益を損なうことが明白であるもの、買収に応じることを株主に強要するおそれがあるもの、買収提案の内容や買収者自身について十分な情報を提供しないもの、被買収会社の取締役会が買収提案を検討し代替案を株主に提供するための時間的余裕を与えないもの、被買収会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉を必要とするものなど、被買収会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。特に、当社の企業価値の源泉は、(ア).安全輸送を担う技術と人材、(イ).長年にわたって構築された沿線エリアのお客さま・自治体等との信頼関係、(ウ).(ア)、(イ)を基礎として長期間にわたり醸成されてきた「小田急ブランド」にあると考えておりますが、当社株式の大規模な買付けを行う者は、当社の財務及び事業の内容を理解するのは勿論のこと、かかる当社の企業価値の源泉に対する理解が必要不可欠です。かかる当社の企業価値の源泉を理解したうえで、これらを中長期的に確保し、向上させることができなければ、当社の企業価値・株主共同の利益は毀損されることになります。また、買収者からの大規模な買付けの提案を受けた際に、株主のみなさまが最善の選択を行うためには、当社の企業価値を構成する有形無形の要素を適切に把握するとともに、買収者の属性、大規模な買付けの目的、買収者の当社の事業や経営についての意向、お客さま、取引先及び従業員等のステークホルダーに対する対応方針等の買収者の情報も把握したうえで、大規模な買付けが当社の企業価値・株主共同の利益に及ぼす影響を判断する必要があり、かかる情報が明らかにされないまま大規模な買付けが強行される場合には、当社の企業価値・株主共同の利益が毀損される可能性があります。当社としては、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大規模な買付けを行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大規模な買付けに対しては必要かつ相当な対抗措置を講じることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保する必要があると考えております。② 会社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み昭和2年4月に新宿~小田原間の営業を開始して以来、当社グループは、鉄道事業をはじめとする運輸業を基軸に、長期的な視点にたち、小田急線沿線地域を中心として、流通、不動産、ホテル、レストランなど暮らしに密着した様々な事業を営むとともに、沿線エリアの発展に寄与する様々な施策を実施することにより、企業価値・株主共同の利益の持続的向上に努めてまいりました。当社グループでは、安全を第一に快適で良質な輸送サービスを提供することが最も重要な社会的責任であると考えており、安全管理体制の強化や、街の集客拠点としての駅の機能強化等により、安全・便利で最もサービスの良い交通ネットワークの構築を目指してまいります。また、当社では、事業環境の変化に対応し、グループ経営理念の実現とさらなる事業成長を遂げるため、平成32年度までに取り組むべき方向性を示した「長期ビジョン2020」を策定しております。当社グループは、「グループ経営理念」及び「長期ビジョン2020」にしたがって、グループ各社がそれぞれの役割を確実に実行するとともに、グループの協働を通じて将来にわたるキャッシュ・フローを最大化させ、企業価値の向上を目指してまいります。「長期ビジョン2020」においては、「沿線における複々線完成後のグループ収益を最大化する」、「2020年度までに成長の種を蒔き育てる」という2つのテーマをグループ成長戦略として設定し、沿線の既存事業に再投下すべき資本を継続的に確保するとともに、沿線外への進出や新規事業の開発に対する資本も確保し、新たな収益源を獲得していくことで、経営理念の実現に向けた強固な成長サイクルを確立いたします。また、平成32年度までを「収益基盤を強化し事業成長すべき期間」と位置づけており、連結の営業収益・EBITDA・有利子負債/EBITDA倍率を重要な経営指標として設定するほか、ROA・ROEについても注視し、効率的な経営に努めてまいります。さらに、当社におけるコーポレート・ガバナンスの充実・強化については、重要な戦略を効率的かつ迅速に決定、実行していく機能と、業務執行に対する監督機能の強化という点を重要課題として認識し、各種施策に取り組んでおります。③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みア 当社株式の大規模買付行為に関する対応策の継続の目的当社取締役会は、基本方針に定めるとおり、当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大規模な買付けを行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えております。そして、こうした不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値・株主共同の利益に反する大規模な買付けを抑止するためには、当社株式に対する大規模な買付けが行われる際に、当社取締役会が株主のみなさまに代替案を提案したり、あるいは株主のみなさまがかかる大規模な買付けに応じるべきか否かを判断するために必要な情報や時間を確保すること、株主のみなさまのために交渉を行うこと等を可能とする仕組みが必要不可欠であると判断いたしました。イ 当社株式の大規模買付行為に関する対応策の概要当社は、平成24年6月28日開催の第91回定時株主総会決議に基づき「当社株式の大規模買付行為に関する対応策」(以下「本プラン」といいます。)を継続的に導入しましたが、本プランの有効期間が平成27年6月26日開催の第94回定時株主総会(以下「同定時総会」といいます。)の終結の時までとされていたため、本プランの失効に先立ち、平成27年5月20日開催の取締役会及び同定時総会において、所要の修正を行った上で、本プランを継続することを決定いたしました。なお、本プランの有効期間は、同定時総会終了後から平成30年3月期に係る当社定時株主総会の終結時までです。本プランは、(ア).当社が発行する株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付けその他の取得、(イ).当社が発行する株券等について、公開買付けを行う者の株券等所有割合及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付け、もしくは、(ウ).上記(ア)または(イ)に掲げる各行為がなされたか否かにかかわらず、当社の特定株主グループが、当社の他の株主(複数である場合を含みます。以下、本(ウ)において同じとします。)との間で、当該他の株主が当該特定株主グループに属する株主の共同保有者に該当するに至るような合意その他の行為、または当該特定株主グループと当該他の株主との間にその一方が他方を実質的に支配しもしくはそれらの者が共同ないし協調して行動する関係を樹立する行為(ただし、当社が発行者である株券等につき当該特定株主グループに属するすべての株主と当該他の株主との株券等保有割合の合計が20%以上となるような場合に限ります。)のいずれかに該当する買付けその他の取得もしくはこれに類似する行為またはこれらの提案(以下、あわせて「大規模買付行為」といいます。)を適用対象としています。本プランでは、株主のみなさまが適切なご判断を行うための十分な情報及び時間を確保するため、当社取締役会が、大規模買付行為を行おうとする者(以下「大規模買付者等」といいます。)に対して本プランに定める大規模買付情報の提供を要請し、当社社外取締役、当社社外監査役及び社外の有識者から構成される独立委員会が当該大規模買付行為の内容の評価、検討等を行うための手続きを定めています。独立委員会は、(ア).①大規模買付者等が本プランに定められた手続きを遵守せず、または②大規模買付行為が当社の企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれがある場合等本プランに定められる要件に該当すると独立委員会が判断し、かつ(イ).独立委員会が当該大規模買付者等による権利行使は認められないとの行使条件及び当社が当該大規模買付者等以外の者から当社株式と引換えに取得することができる旨の取得条項等が付された新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)の無償割当てを実施することが相当であると判断した場合には、当社取締役会に対し、本新株予約権の無償割当てを実施すべき旨の勧告を行います。当社取締役会は、独立委員会の上記勧告を最大限尊重し、会社法上の機関として、本新株予約権の無償割当ての実施または不実施に関する決議を行います。当社取締役会が本新株予約権の無償割当ての実施を決議した場合、当社は、本新株予約権を当該決議によって定める全ての株主に対して無償割当ての方法により割り当てます。④ 上記記載の取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由上記②に記載した企業価値向上のための取組みやコーポレート・ガバナンスの充実・強化といった各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上させるものであり、まさに基本方針の実現に資するものです。したがって、当該取組みは、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。また、上記③記載の取組みである本プランは、当社株券等に対する大規模買付行為が行われる場合に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主のみなさまが判断することを可能とし、あるいは当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保し、株主のみなさまのために大規模買付者等と協議・交渉等を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保、向上させるための枠組みであり、基本方針に沿うものであると考えております。さらに、本プランは、(ア).経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した企業価値・株主共同の利益の確保または向上のための買収防衛策に関する指針の定める三原則を充足し、また、株式会社東京証券取引所の「有価証券上場規程」第440条に定められる買収防衛策の導入に係る尊重事項を全て充足していること、(イ).株主意思を重視するものであること、(ウ).独立性の高い社外役員等のみから構成される独立委員会の判断が最大限尊重されることとされており、かつその判断の概要については株主のみなさまに情報開示をすることとされていること、(エ).合理的な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されていること、(オ).第三者専門家の意見の取得ができるものであること、(カ).デッドハンド型(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)やスローハンド型(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を防止するのに時間を要する買収防衛策)の買収防衛策に該当しないこと等の理由から、株主共同の利益を損なうものでなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。本プランの内容の詳細等につきましては、平成27年5月20日付当社プレスリリース「当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続について」をご参照ください。(当社ホームページ:http://www.odakyu.jp/ir/index.html)