9007

小田急電鉄(9007)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

陸運業 運輸・物流

事業の概要

  • 交通網を基盤とした多角化
    小田急電鉄は、鉄道事業を核に、バス、タクシー、船舶、索道といった多様な交通手段を提供しています。これにより、沿線住民の日常生活だけでなく、観光客の移動ニーズも幅広く捉え、安定した収益基盤を構築しています。
  • 不動産開発と賃貸
    鉄道沿線を中心に、マンション分譲、商業施設やオフィスビルの賃貸・管理を手掛けています。交通の利便性と連携した不動産開発により、沿線価値を高め、賃料収入や物件売却益を得るビジネスモデルです。
  • 生活に密着したサービス
    百貨店、スーパー、ホテル、レストラン、旅行代理店など、人々の生活に密着した幅広いサービス事業を展開しています。これにより、交通・不動産事業で培った顧客基盤に対し、多様なサービスを提供し、グループ全体の収益力を高めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 交通事業
    鉄道、バス、タクシー、船舶、索道など、多様な交通手段を提供する事業です。売上高は1,724.85億円、営業利益は264.95億円と、グループの基幹事業であり、安定した収益源となっています。小田急電鉄本体の鉄道事業のほか、神奈川中央交通や江ノ島電鉄などが含まれ、沿線住民の移動や観光客の誘致に貢献しています。
  • 不動産事業
    不動産の分譲、賃貸、ビル管理・メンテナンスを行う事業です。売上高は848.54億円、営業利益は158.52億円で、交通事業に次ぐ収益柱です。小田急不動産や小田急SCディベロップメントなどが手掛け、沿線価値向上と収益最大化を目指し、商業施設やオフィスビル、住宅の開発・運営を行っています。
  • 生活サービス事業
    百貨店、ストア・小売、ホテル、レストラン飲食、旅行、ゴルフ場、広告代理業など、幅広いサービスを提供する事業です。売上高は1,653.59億円、営業利益は90.62億円で、売上規模は大きいものの、利益率は交通・不動産事業に比べて低い傾向にあります。小田急百貨店、小田急商事、小田急リゾーツなどが含まれ、顧客の多様なニーズに応えることでグループ全体の収益を補完しています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Transportation 事業 1,725 265 15.4%
RealEstate 事業 849 159 18.7%
LivingServices 事業 1,654 91 5.5%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|752 文字
3【事業の内容】当社グループは、当社、子会社51社および関連会社19社で構成され、その営んでいる主要な事業内容をセグメントに関連付けて示すと、次のとおりです。(1) 交通業(21社)事業の内容会社名鉄道業当社、㈱小田急箱根①、江ノ島電鉄㈱①バス業神奈川中央交通㈱③、小田急バス㈱①、立川バス㈱①、東海自動車㈱①、小田急ハイウェイバス㈱①、箱根登山バス㈱①、㈱江ノ電バス①、㈱東海バス①タクシー業小田急交通㈱①航路業㈱小田急箱根①索道業㈱小田急箱根①鋼索業㈱小田急箱根①、大山観光電鉄㈱②鉄道メンテナンス業㈱小田急エンジニアリング① その他 7社 (2) 不動産業(27社)事業の内容会社名不動産分譲業当社、小田急不動産㈱①、㈱小田急ハウジング①不動産賃貸業当社、小田急不動産㈱①、㈱小田急SCディベロップメント①ビル管理・メンテナンス業㈱小田急ビルサービス① その他 22社 (3) 生活サービス業(25社)事業の内容会社名百貨店業㈱小田急百貨店①ストア・小売業小田急商事㈱①ホテル業㈱小田急リゾーツ①、㈱ホテル小田急サザンタワー①レストラン飲食業㈱小田急レストランシステム①、ジローレストランシステム㈱①旅行業㈱小田急トラベル①ゴルフ場業㈱小田急スポーツサービス①広告代理業㈱小田急エージェンシー①人材派遣業㈱ヒューマニック①経理代行業㈱小田急フィナンシャルセンター①保険代理業㈱小田急保険サービス①物販飲食業箱根プレザントサービス㈱①食品製造業小田急食品㈱① その他 11社(注) 1 ①は連結子会社2 ②は非連結子会社3 ③は持分法適用関連会社4 各事業の会社数には当社が重複しています。 < 企 業 集 団 の 概 要 図 > (注)上図は当社、連結子会社29社、持分法適用会社1社の概要図です。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
鉄道運賃は国土交通大臣の認可が必要であり、価格設定の自由度が限定されるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
鉄道事業法、道路運送法、大規模小売店舗立地法など各種法令や公的規制が存在。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:大規模な地震・津波の発生 / 自然災害の発生 / 感染症の流行
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

小田急グループは、沿線に広がる住宅地や商業施設、観光資源(箱根など)との一体的なブランド力を有する。特に「箱根」ブランドは長年にわたり確立されており、沿線住民以外の認知度も高い。不動産開発やホテル事業とのシナジーも無形資産と言える。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

沿線住民にとって、小田急線は生活インフラであり、他の鉄道会社への乗り換えは困難。しかし、都心部への通勤・通学においては、他の鉄道路線やバス路線との選択肢が存在する。定期券購入などの利便性はスイッチングコストとなりうる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

鉄道事業自体に直接的なネットワーク効果は限定的。沿線開発や商業施設など、グループ全体で顧客接点を増やす取り組みはあるが、直接的なネットワーク効果とは言えない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

鉄道事業における大規模な設備投資や保守費用は固定費として重くのしかかる。規模の経済によるコスト優位性は限定的であり、他社との差別化要因とはなりにくい。ただし、沿線開発による不動産賃料収入などは、鉄道事業の収益を補完する側面がある。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

首都圏の鉄道事業者として一定の規模を持つ。特に小田急線沿線という特定の地域においては、主要なプレイヤーであり、その規模は競争優位性につながる。しかし、JR東日本などの巨大インフラと比較すると、規模の優位性は限定的。

  • 広範な交通ネットワーク
    小田急電鉄は、新宿から箱根、江の島といった主要観光地を結ぶ鉄道網を基盤に、バスやタクシー、ロープウェイなど多様な交通手段をグループで提供しています。これにより、沿線住民や観光客にとって利便性の高い移動手段を提供し、他社との差別化を図っています。
  • 沿線開発による相乗効果
    鉄道事業と連携した不動産開発により、駅周辺の商業施設や住宅地の価値を高め、集客力と居住魅力を向上させています。これにより、鉄道利用者の増加や不動産賃貸収入の安定化といった相乗効果を生み出し、持続的な成長を可能にしています。
  • 多様な生活サービス提供
    百貨店、ホテル、スーパー、レストラン、旅行など、多岐にわたる生活サービス事業を展開しています。これにより、沿線住民や観光客の多様なニーズに応え、グループ内での顧客囲い込みやクロスセルを促進し、収益機会を最大化しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • 地域価値創造型企業への進化
    小田急グループは「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」を経営ビジョンに掲げ、沿線や事業展開地域と共に成長することを目指しています。顧客体験の向上や環境負荷低減など、地域に新たな価値を創造することで、持続的な成長と企業価値向上を両立させる方針です。
  • 観光事業の強化と拡大
    新宿をインバウンド観光のハブとし、箱根・湘南といった観光地への誘客を強化することで、観光収益1,200億円、営業利益150億円(2030年度目標)を目指しています。具体的には、プロモーション強化、デジタル施策連携、高付加価値ホテルの開発・リニューアル、M&A活用などを通じて、観光需要の取り込みと収益拡大を図ります。
  • 不動産事業の収益性向上
    長期保有型開発に加え、国内SPC、海外不動産、回転型投資、住宅分譲といった短期回収型投資手法を強化し、不動産業の営業利益300億円(2030年度目標)とROA向上を目指します。新宿駅西口地区開発計画や海老名駅間地区開発計画を推進し、沿線価値向上と収益最大化を図るとともに、短期収益獲得とリスク分散を両立させます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。「グループ経営理念」の内容は以下のとおりです。<グループ経営理念>1 経営理念小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。2 行動指針私たちは、経営理念の実現のため、3つの精神を忘れることなく、お客さまに「上質と感動」を提供します。(真摯)私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します。(進取)私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追求に挑戦します。(融和)私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との共生に取り組みます。 当社グループでは、「グループ経営理念」を実現するため、経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」を策定し、企業価値・地域価値の向上に努めています。 経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」① 全体方針「地域価値創造型企業に向けて」私たちは、小田急沿線や事業を展開する地域とともに成長するために、既成概念に捉われず常に挑戦を続けることで、お客さまの体験や環境負荷の低減など地域に新しい価値を創造していく企業に進化します。 グループ経営理念のもと、サステナビリティ経営を根幹に、地域経済圏発想での事業展開および事業ポートフォリオの最適化を図ることで、地域価値創造型企業としての持続的成長と企業価値向上を両立し、経営ビジョンの実現を目指してまいります。 (参考)経営計画体系 ② 2030年度に向けた成長ストーリー連結財務目標を達成するため、成長領域への積極投資、株主還元の強化、人的資本の拡充の3つの柱に特に重点的に取り組むことで、資本コストや株価を意識した経営の実践を加速させてまいります。 ③ 企業価値向上に向けた財務方針 エクイティ・スプレッド拡大の蓋然性向上を課題とし、ROE向上と株主資本コストのコントロールに向けた計画のさらなる具体化とバリューアップを図ってまいります。なかでもROE向上のため、「セグメント別営業利益ROAによる目標管理」「継続的な資産入替え」「財務健全性の確保・金利上昇への対応」「株主還元の強化」に注力してまいります。 ア 連結財務目標重要指標2026年度2030年度資本コストや株価を意識した経営ROE※8.0%10%以上利益の成長営業利益540億円800億円以上(昨年公表 800億円)財務健全性の確保有利子負債/EBITDA倍率7倍台でコントロール※ 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均・有価証券評価差額除く) イ 株主還元長期目標(~2030年度)・2030年度までに自己資本比率を30%に圧縮(2025年度末36.4%)・2026~2030年度累計1,800億円の株主還元(2025~2030年度累計2,000 億円)・2030年度(連結財務目標達成年度)にかけて、累進配当を目指す基本方針(2023~2026年度)自己資本比率30%の確保を前提に、2023~2026年度の平均で、連結総還元性向40%以上※を目標とした安定的な配当および機動的な自己株式取得を実施※ 4ヵ年合計総還元額/4ヵ年合計親会社株主に帰属する当期純利益額≧40% ⇒2023~2026年度平均:56%と目標を大幅に上回る見込み配当2025年度:1株当たり年間55円を予定(年間50円から配当予想を上方修正)2026年度:1株当たり年間60円を予定自己株式取得・2026年12月末までに200億円取得(自己資本比率を意識したBSコント ロール)・経営環境の変化や業績、株式需給バランス等を総合的に勘案したうえ で実施時期を検討(取得実績)2023年度・2024年度合計:327億円 (2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題インバウンド伸長や人口減少等の外部環境および豊かな沿線をはじめとする当社の強みを踏まえ、「沿線まちづくり」と「観光」による事業成長を目指すべく、重点施策として定めた事業や経営基盤の強化を推進してまいります。各施策の概要は、以下のとおりです。 ① 事業強化ア 観光需要の取り込み日本一のインバウンド観光ハブ化を目指す新宿と観光地の箱根・湘南を拠点に、沿線全体で国内外の観光客を誘引し、観光拠点での収益拡大や拠点間の移動需要最大化に努めるほか、沿線観光の多拠点化を図ることで、2030年度における観光収益1,200億円、営業利益150億円の達成を目指してまいります。具体的には、新宿駅西口地区開発計画を契機に、集客施設の拡充や駅施設の改良等を通じた魅力向上を図ることで、新宿の集客・送客機能を強化するほか、湘南等での夕景・夜景の魅力向上施策を通じた集客時期・時間帯の拡大等による観光需要の受け皿拡充に努めてまいります。加えて、新型特急ロマンスカーの導入等による魅力・利便性向上を通じて顧客増加を図るとともに、特急料金の見直しや箱根フリーパスと特急券のセット利用促進等により、顧客単価の引上げを目指してまいります。さらに、デジタルチケットの商品組成等を通じて、丹沢・大山エリアをはじめとした沿線全域への観光客誘引を図ってまいります。 イ ホテル業の拡大インフレ対応力の高いホテル業を強化し、新宿や箱根周辺地域を中心に、既存ホテルのリニューアルや新規ホテルの開発等によりインバウンド需要を取り込むことで、2030年度における営業利益50億円の達成を目指してまいります。具体的には、「箱根ハイランドホテル」、「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」のリニューアルをはじめ、高付加価値ホテルの新規開発やホテルの運営受託を推進するとともに、M&Aの活用を図ってまいります。 ウ 不動産業の強化長期保有型の開発・リニューアルや既存物件の収益性向上施策と、短期回収型の投資(回転型投資・住宅分譲・国内SPC・海外不動産)を組み合わせ、不動産業の2030年度における営業利益320億円およびROA5%の達成を目指してまいります。具体的には、新宿駅西口地区開発計画および海老名駅間地区等の沿線まちづくりを推進することで、エリアの価値向上・収益最大化を図るとともに、開発・リニューアル等に伴う地価上昇を踏まえた既存物件の賃料見直しを実施してまいります。加えて、短期回収型の手法については、外部環境や取組み実績のほか、リスク分散等を考慮しながら投資を配分し、短期収益の獲得を図ってまいります。 エ 交通業の進化安全・防災対策の強化とサービスの向上および持続可能な運営体制の構築に取り組むとともに、運賃改定等を通じた継続的な利益成長を図ることで、交通業の持続的な進化を実現してまいります。具体的には、高架橋の耐震補強工事やホームドア整備等を推進するほか、ワンマン運転の導入やAI等を活用したメンテナンス業務等の効率化・高度化により、当社鉄道事業の2035年度における要員30%削減(2020年度比)を図るなど、労働人口の減少への対策を講じてまいります。加えて、これらの取組みを着実に推進するため、利益創出を図るべく、㈱小田急箱根において新型車両を導入するほか、当社における運賃改定の認可申請に向けた検討を進めてまいります。 オ ストア・小売業の強化積極的な新規出店による事業規模の拡大を図るとともに、店舗運営力の強化やDXを通じた生産性向上に取り組むことで、2030年度における営業利益30億円および営業利益率3%超の達成を目指してまいります。具体的には、ドミナント戦略に則り、沿線を中心に新規出店を推進するほか、計画的な店舗改装により利便性・快適性を高めることで、競争力を確保してまいります。加えて、㈱ヨーク・ホールディングスと締結した業務提携基本契約を通じた商品ラインナップの拡充・運営ノウハウの相互共有、およびMD戦略やオペレーション改革を実行するほか、デジタルマーケティングの強化や少人数運営体制の構築を図ってまいります。 カ デジタルによる事業創造/その他の生活サービス業デジタル事業では、事業の選択と集中を進め、「WOOMS」等へ経営資源を集中投下することで、収益および利益を獲得してまいります。また、生活サービス業(ホテル業およびストア・小売業を除く)では、2030年度における営業利益70億円の達成を目指してまいります。具体的には、「WOOMS」において、顧客となる自治体や廃棄物収集運搬事業者への営業強化等により、早期黒字化を目指してまいります。また、国内最大級のリゾートバイト求人サイト「リゾバ.com」を運営する㈱ヒューマニックにおいて、人材派遣業の市場規模拡大を図るほか、レストラン飲食業において、「あるでん亭」や「いまがわ食堂」等の出店を強化してまいります。 ② 経営基盤強化 概要と取り組みの例人的資本の拡充構造改革の推進や人財確保をはじめとした重点課題を踏まえた人的資本の投下により、従業員エンゲージメントと労働生産性の向上を図ることで、事業成長を目指してまいります。●私鉄業界トップを目指した労働生産性の向上および人財投資の推進●職場環境の改善および福利厚生の拡充●不動産業等の成長領域における有資格者の育成や専門人財・即戦力の採用●経営管理能力や専門スキルの獲得を可能とするモデルキャリアパスの策定・運用<外部評価:当社における受賞履歴> ・キャリアオーナーシップ経営AWARD2025 企業文化の変革部門 「最優秀賞(大企業の部)」 ・人的資本経営品質2025 「シルバー(29社)」AI活用・DXの推進デジタル化やAI活用等を通じた業務改革を実現するとともに、これらの取組みの実施に向けた基盤を構築すべく、デジタル人財の育成や風土改革等を実行してまいります。●グループ共通データ分析基盤の拡充とデータ利活用の推進●DX施策が企画・実行可能な高度スキルを有する人財の育成 (2026年度までに約520名育成)ガバナンス取締役会の監督機能強化を図るほか、人権尊重の取組み等を推進してまいります。●全社戦略に関する議論の充実化等、実行性評価の結果を踏まえた取組みの推進●取引先へのサステナビリティアンケートのグループ展開環境「小田急グループ カーボンニュートラル2050」に基づき、2050年度における小田急グループのCO2排出量実質「0」を目指してまいります。●EVバス(電動バス)の仕様統一・共同調達によるコスト抑制や不動産環境性能の強化に よる脱炭素社会の実現●商業施設の食品廃棄物のリサイクル等による資源循環社会の実現●清掃活動やTNFD情報開示等の推進による自然保全と活用<外部評価:当社におけるCDP※スコア> 気候変動 A (最高評価) 水セキュリティ A-(鉄道業界最高位) ※ 環境への取組みを調査・評価・開示する国際的な非営利団体資本市場との対話強化資本市場との対話を強化し、株主資本コストの抑制および企業価値の最大化を図ってまいります。●投資家へのアプローチ施策の拡充や情報発信の強化●経営層による対話強化や対話を起点とした経営改善<外部評価:当社における受賞履歴> 2025年度全上場企業ホームページ充実度ランキング「総合部門 優良サイト」
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。「グループ経営理念」の内容は以下のとおりです。<グループ経営理念>1 経営理念小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。2 行動指針私たちは、経営理念の実現のため、3つの精神を忘れることなく、お客さまに「上質と感動」を提供します。(真摯)私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します。(進取)私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追求に挑戦します。(融和)私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との共生に取り組みます。 当社グループでは、「グループ経営理念」を実現するため、経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」を策定し、企業価値・地域価値の向上に努めています。 経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」① 全体方針「地域価値創造型企業に向けて」私たちは、小田急沿線や事業を展開する地域とともに成長するために、既成概念に捉われず常に挑戦を続けることで、お客さまの体験や環境負荷の低減など地域に新しい価値を創造していく企業に進化します。 グループ経営理念のもと、サステナビリティ経営を根幹に、地域経済圏発想での事業展開および事業ポートフォリオの最適化を図ることで、地域価値創造型企業としての持続的成長と企業価値向上を両立し、経営ビジョンの実現を目指してまいります。 (参考)経営計画体系 ② 2030年度に向けた成長ストーリー連結財務目標を達成するため、成長領域への積極投資、株主還元の強化、人的資本の拡充の3つの柱に特に重点的に取り組むことで、資本コストや株価を意識した経営の実践を加速させてまいります。 ③ 企業価値向上に向けた財務方針 エクイティ・スプレッド拡大の蓋然性向上を課題とし、ROE向上と株主資本コストのコントロールに向けた計画のさらなる具体化とバリューアップを図ってまいります。なかでもROE向上のため、「セグメント別営業利益ROAによる目標管理」「継続的な資産入替え」「財務健全性の確保・金利上昇への対応」「株主還元の強化」に注力してまいります。 ア 連結財務目標重要指標2026年度2030年度資本コストや株価を意識した経営ROE※8.0%10%以上利益の成長営業利益540億円800億円以上(昨年公表 800億円)財務健全性の確保有利子負債/EBITDA倍率7倍台でコントロール※ 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均・有価証券評価差額除く) イ 株主還元長期目標(~2030年度)・2030年度までに自己資本比率を30%に圧縮(2025年度末36.4%)・2026~2030年度累計1,800億円の株主還元(2025~2030年度累計2,000 億円)・2030年度(連結財務目標達成年度)にかけて、累進配当を目指す基本方針(2023~2026年度)自己資本比率30%の確保を前提に、2023~2026年度の平均で、連結総還元性向40%以上※を目標とした安定的な配当および機動的な自己株式取得を実施※ 4ヵ年合計総還元額/4ヵ年合計親会社株主に帰属する当期純利益額≧40% ⇒2023~2026年度平均:56%と目標を大幅に上回る見込み配当2025年度:1株当たり年間55円を予定(年間50円から配当予想を上方修正)2026年度:1株当たり年間60円を予定自己株式取得・2026年12月末までに200億円取得(自己資本比率を意識したBSコント ロール)・経営環境の変化や業績、株式需給バランス等を総合的に勘案したうえ で実施時期を検討(取得実績)2023年度・2024年度合計:327億円 (2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題インバウンド伸長や人口減少等の外部環境および豊かな沿線をはじめとする当社の強みを踏まえ、「沿線まちづくり」と「観光」による事業成長を目指すべく、重点施策として定めた事業や経営基盤の強化を推進してまいります。各施策の概要は、以下のとおりです。 ① 事業強化ア 観光需要の取り込み日本一のインバウンド観光ハブ化を目指す新宿と観光地の箱根・湘南を拠点に、沿線全体で国内外の観光客を誘引し、観光拠点での収益拡大や拠点間の移動需要最大化に努めるほか、沿線観光の多拠点化を図ることで、2030年度における観光収益1,200億円、営業利益150億円の達成を目指してまいります。具体的には、新宿駅西口地区開発計画を契機に、集客施設の拡充や駅施設の改良等を通じた魅力向上を図ることで、新宿の集客・送客機能を強化するほか、湘南等での夕景・夜景の魅力向上施策を通じた集客時期・時間帯の拡大等による観光需要の受け皿拡充に努めてまいります。加えて、新型特急ロマンスカーの導入等による魅力・利便性向上を通じて顧客増加を図るとともに、特急料金の見直しや箱根フリーパスと特急券のセット利用促進等により、顧客単価の引上げを目指してまいります。さらに、デジタルチケットの商品組成等を通じて、丹沢・大山エリアをはじめとした沿線全域への観光客誘引を図ってまいります。 イ ホテル業の拡大インフレ対応力の高いホテル業を強化し、新宿や箱根周辺地域を中心に、既存ホテルのリニューアルや新規ホテルの開発等によりインバウンド需要を取り込むことで、2030年度における営業利益50億円の達成を目指してまいります。具体的には、「箱根ハイランドホテル」、「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」のリニューアルをはじめ、高付加価値ホテルの新規開発やホテルの運営受託を推進するとともに、M&Aの活用を図ってまいります。 ウ 不動産業の強化長期保有型の開発・リニューアルや既存物件の収益性向上施策と、短期回収型の投資(回転型投資・住宅分譲・国内SPC・海外不動産)を組み合わせ、不動産業の2030年度における営業利益320億円およびROA5%の達成を目指してまいります。具体的には、新宿駅西口地区開発計画および海老名駅間地区等の沿線まちづくりを推進することで、エリアの価値向上・収益最大化を図るとともに、開発・リニューアル等に伴う地価上昇を踏まえた既存物件の賃料見直しを実施してまいります。加えて、短期回収型の手法については、外部環境や取組み実績のほか、リスク分散等を考慮しながら投資を配分し、短期収益の獲得を図ってまいります。 エ 交通業の進化安全・防災対策の強化とサービスの向上および持続可能な運営体制の構築に取り組むとともに、運賃改定等を通じた継続的な利益成長を図ることで、交通業の持続的な進化を実現してまいります。具体的には、高架橋の耐震補強工事やホームドア整備等を推進するほか、ワンマン運転の導入やAI等を活用したメンテナンス業務等の効率化・高度化により、当社鉄道事業の2035年度における要員30%削減(2020年度比)を図るなど、労働人口の減少への対策を講じてまいります。加えて、これらの取組みを着実に推進するため、利益創出を図るべく、㈱小田急箱根において新型車両を導入するほか、当社における運賃改定の認可申請に向けた検討を進めてまいります。 オ ストア・小売業の強化積極的な新規出店による事業規模の拡大を図るとともに、店舗運営力の強化やDXを通じた生産性向上に取り組むことで、2030年度における営業利益30億円および営業利益率3%超の達成を目指してまいります。具体的には、ドミナント戦略に則り、沿線を中心に新規出店を推進するほか、計画的な店舗改装により利便性・快適性を高めることで、競争力を確保してまいります。加えて、㈱ヨーク・ホールディングスと締結した業務提携基本契約を通じた商品ラインナップの拡充・運営ノウハウの相互共有、およびMD戦略やオペレーション改革を実行するほか、デジタルマーケティングの強化や少人数運営体制の構築を図ってまいります。 カ デジタルによる事業創造/その他の生活サービス業デジタル事業では、事業の選択と集中を進め、「WOOMS」等へ経営資源を集中投下することで、収益および利益を獲得してまいります。また、生活サービス業(ホテル業およびストア・小売業を除く)では、2030年度における営業利益70億円の達成を目指してまいります。具体的には、「WOOMS」において、顧客となる自治体や廃棄物収集運搬事業者への営業強化等により、早期黒字化を目指してまいります。また、国内最大級のリゾートバイト求人サイト「リゾバ.com」を運営する㈱ヒューマニックにおいて、人材派遣業の市場規模拡大を図るほか、レストラン飲食業において、「あるでん亭」や「いまがわ食堂」等の出店を強化してまいります。 ② 経営基盤強化 概要と取り組みの例人的資本の拡充構造改革の推進や人財確保をはじめとした重点課題を踏まえた人的資本の投下により、従業員エンゲージメントと労働生産性の向上を図ることで、事業成長を目指してまいります。●私鉄業界トップを目指した労働生産性の向上および人財投資の推進●職場環境の改善および福利厚生の拡充●不動産業等の成長領域における有資格者の育成や専門人財・即戦力の採用●経営管理能力や専門スキルの獲得を可能とするモデルキャリアパスの策定・運用<外部評価:当社における受賞履歴> ・キャリアオーナーシップ経営AWARD2025 企業文化の変革部門 「最優秀賞(大企業の部)」 ・人的資本経営品質2025 「シルバー(29社)」AI活用・DXの推進デジタル化やAI活用等を通じた業務改革を実現するとともに、これらの取組みの実施に向けた基盤を構築すべく、デジタル人財の育成や風土改革等を実行してまいります。●グループ共通データ分析基盤の拡充とデータ利活用の推進●DX施策が企画・実行可能な高度スキルを有する人財の育成 (2026年度までに約520名育成)ガバナンス取締役会の監督機能強化を図るほか、人権尊重の取組み等を推進してまいります。●全社戦略に関する議論の充実化等、実行性評価の結果を踏まえた取組みの推進●取引先へのサステナビリティアンケートのグループ展開環境「小田急グループ カーボンニュートラル2050」に基づき、2050年度における小田急グループのCO2排出量実質「0」を目指してまいります。●EVバス(電動バス)の仕様統一・共同調達によるコスト抑制や不動産環境性能の強化に よる脱炭素社会の実現●商業施設の食品廃棄物のリサイクル等による資源循環社会の実現●清掃活動やTNFD情報開示等の推進による自然保全と活用<外部評価:当社におけるCDP※スコア> 気候変動 A (最高評価) 水セキュリティ A-(鉄道業界最高位) ※ 環境への取組みを調査・評価・開示する国際的な非営利団体資本市場との対話強化資本市場との対話を強化し、株主資本コストの抑制および企業価値の最大化を図ってまいります。●投資家へのアプローチ施策の拡充や情報発信の強化●経営層による対話強化や対話を起点とした経営改善<外部評価:当社における受賞履歴> 2025年度全上場企業ホームページ充実度ランキング「総合部門 優良サイト」
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績当期のわが国経済は、米国の通商政策による影響がみられたものの、企業収益や雇用・所得環境が改善する中、個人消費も持ち直すなど、全体として緩やかな景気の回復が続きました。このような状況のもと、前期にグループ通算制度の適用に伴い、百貨店業およびストア・小売業において決算期を変更し13ヵ月間を連結した反動等により、営業収益は418,732百万円(前期比0.9%減)となりました。一方、交通業における輸送人員の増加等により、営業利益は52,659百万円(同2.4%増)となりました。また、経常利益は54,028百万円(同7.0%増)となったほか、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期にUDS㈱の外部譲渡に伴う関係会社株式売却益を計上した反動等により、37,368百万円(同28.1%減)となりました。セグメントごとの業績は、次のとおりです。 ア 交通業鉄道業では、輸送面において、本年3月、特急ロマンスカーの増発と長編成化および接続改善等による、通勤・通学や観光シーンでの利便性の向上を目的としたダイヤ改正を実施しました。また、通勤車両3000形2編成のリニューアルを実施のうえ、「車いす・ベビーカースペース」を全車両に設けるなど、輸送サービスの向上を図りました。営業面では、㈱小田急箱根において、昨年4月、大涌谷駅1階と駅前広場をリニューアルし、大涌谷の絶景を一望できる新展望エリア「ちきゅうの谷」をオープンするなど、積極的な旅客誘致による収益の向上に努めました。また、当社において、昨年10月、物価高や人手不足等の影響を踏まえ、「箱根フリーパス」等の料金を改定し、箱根周遊の安全性・魅力向上を目的とした設備投資を持続的に行うための体制を整備しました。施設面では、列車運行の安全性を一層高めるため、高架橋の耐震補強工事や喜多見駅をはじめとした5駅のホームドア整備等を実施したほか、車内防犯カメラについて、計画された全車両への設置を完了しました。このほか、本年1月、藤沢市と協力のうえ実施している藤沢駅改良工事の進捗により、同駅の橋上駅舎の一部が完成したことから、2階改札口の使用を開始するなど、駅施設の充実を図りました。バス業では、㈱江ノ電バスにおいて、本年3月、小児IC運賃を全路線一律で50円とするなど、「子育て応援ポリシー」に基づく取組みを実施しました。また、各社において、運転士不足が生じている状況を踏まえ、安定した輸送サービスを持続的に提供していくため、適正な労働環境の確保を目的としたダイヤ改正や待遇改善等に向けた運賃改定を実施しました。以上の結果、鉄道業において定期・定期外ともに輸送人員が増加したことに加え、バス業や箱根エリアにおいて運賃改定を実施したことなどにより、営業収益は181,261百万円(前期比3.6%増)、営業利益は29,517百万円(同11.4%増)となりました。 (提出会社の鉄道事業運輸成績表)種別単位当連結会計年度(2025.4.1~2026.3.31) 対前期増減率(%)営業日数 日3650.0営業キロ キロ120.50.0客車走行キロ 千キロ174,9851.5 定期千人410,7781.5輸送人員定期外〃301,8502.6 計〃712,6282.0 定期百万円43,0341.4旅客運輸収入定期外〃74,8832.8 計〃117,9172.3運輸雑収 〃3,121△2.4運輸収入合計 〃121,0392.1乗車効率 %43.5-(注) 乗車効率の算出方法乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)/(客車走行キロ×平均定員)×100 イ 不動産業不動産分譲業では、小田急不動産㈱において、「リーフィア新百合ヶ丘グレイスコート」等の戸建住宅や、「リーフィアレジデンス練馬中村橋」をはじめとしたマンションを分譲するなど、収益の確保に努めました。不動産賃貸業では、当社、東京地下鉄㈱および東急不動産㈱を事業主体とする新宿駅西口地区開発計画において、杭工事をはじめとした新築工事や、旧「新宿ミロード」等の解体工事を実施したほか、オフィス部分のリーシングに着手しました。また、当社および㈱小田急SCディベロップメントにおいて、昨年4月、商業施設「小田急マルシェ中央林間」を開業するなど、施設の充実および活性化を図りました。このほか、当社は、本年2月、座間駅前の「ホシノタニ団地」において、コワーキングスペースやサウナを完備した賃貸レジデンス「goodroom residence 座間ホシノタニ団地」を開業するなど、各エリアの開発計画を鋭意推進しました。以上の結果、不動産賃貸業において新宿駅西口地区開発計画の進捗に伴い「新宿ミロード」を閉館した影響があったものの、その他の商業施設やオフィスの賃料収入が増加したことなどにより、営業収益は96,226百万円(前期比0.3%増)となりました。一方、営業利益は15,473百万円(同2.4%減)となりました。 ウ 生活サービス業百貨店業では、㈱小田急百貨店町田店において、本年9月に控える開店50周年を記念し、特別企画やプロモーションを実施したほか、全店において、催事をはじめとする各種営業施策を積極的に展開するなど、収益の確保に努めました。ストア・小売業では、小田急商事㈱において、本年3月、商品供給・人材交流等の分野で協力体制を構築し、事業拡大およびサービス品質向上を図るべく、㈱ヨーク・ホールディングスと業務提携基本契約を締結しました。ホテル業では、当社および㈱小田急リゾーツにおいて、昨年12月、旧「箱根レイクホテル」を全面リノベーションし、多彩なドッグランやグルーミングルーム等の設備を充実させたドッグフレンドリーホテル「RETONA HAKONE(リトナ ハコネ)」としてオープンするなど、事業基盤の強化に努めました。レストラン飲食業では、㈱小田急レストランシステムにおいて、同社が運営する「箱根そば」の開業60周年を記念し、限定メニューの販売をはじめとした企画を実施しました。加えて、各社において、新規業態の開発や新規出店を実施するなど、集客力の強化を図りました。しかしながら、前期にグループ通算制度の適用に伴い、百貨店業およびストア・小売業において決算期を変更し13ヵ月間を連結した反動等により、営業収益は158,606百万円(前期比6.0%減)、営業利益は7,658百万円(同15.5%減)となりました。② キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益51,165百万円に減価償却費や法人税等の支払額等を加減した結果、59,915百万円の資金収入となり、前連結会計年度に比べ、4,037百万円の資金収入の増加となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、84,274百万円の資金支出と、前連結会計年度に比べ、9,778百万円の資金支出の増加となりました。これは、前期の連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入(UDS㈱外部譲渡)の反動等によるものです。この結果、これらを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは24,358百万円の資金支出となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、借入れによる収入が増加したことなどにより、29,270百万円の資金収入となりました。なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ4,911百万円増加し、39,863百万円となりました。③ 生産、受注および販売の実績当社グループは、役務の提供を主体とする事業の性格上、生産および受注の実績を金額あるいは数量で示すことはしていません。そのため生産、受注および販売の実績については、「① 経営成績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しています。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成に際し、経営者は、決算日における資産・負債および報告期間における収入・費用の金額ならびに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計方針および見積りには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当報告書提出日現在において判断したものです。また、連結財務諸表の作成における会計上の見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等〔注記事項〕(重要な会計上の見積り)」に記載しています。ア 棚卸資産の評価当社グループは、多くの棚卸資産を保有しており、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2008年9月26日)を適用しています。これらのうち、分譲土地建物については原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切り下げの方法により算定)を採用しており、市場価格が下落した場合には、簿価の切り下げにより費用が発生する可能性があります。イ 有価証券の減損当社グループは、金融機関や取引先の有価証券を保有しています。これらのうち、市場価格のない株式等以外の有価証券については、時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っています。これらの有価証券は価格変動リスクを負っているため、損失が発生する可能性があります。ウ 固定資産の減損当社グループは、多くの固定資産を保有しています。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき算出しているため、前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。エ 繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産について実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しています。評価性引当額は将来年度の課税所得の見込額等を考慮して計上しますが、将来の業績変動により課税所得の見込額が減少または増加した場合には、評価性引当額の追加計上または取崩しが必要となる場合があります。オ 退職給付債務および費用従業員の退職給付債務および費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、予想昇給率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付債務および費用に影響する可能性があります。② 財政状態および経営成績(財政状態)総資産は、分譲土地建物やSPC出資により投資有価証券が増加したことなどから、1,393,521百万円(前連結会計年度末比93,530百万円増)となりました。負債は、有利子負債が増加したことなどから、884,738百万円(同64,010百万円増)となりました。純資産は、利益剰余金が増加したことなどから、508,783百万円(同29,519百万円増)となりました。(経営成績)ア 営業収益および営業利益当連結会計年度における営業収益は418,732百万円(前期比0.9%減)、営業利益は52,659百万円(同2.4%増)となりました。なお、各セグメントの営業収益および営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しています。イ 営業外損益および経常利益経常利益は54,028百万円(同7.0%増)となりました。ウ 特別損益および親会社株主に帰属する当期純利益前期にUDS㈱の外部譲渡に伴う関係会社株式売却益を計上した反動等により、税金等調整前当期純利益は51,165百万円(同29.0%減)となり、ここから法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は37,368百万円(同28.1%減)となりました。③ 資本の財源および資金の流動性についての分析ア 設備投資による資本の投下当社グループは、鉄道事業において、安全・防災対策の強化やサービスの向上、持続可能な運営体制の構築に努めているほか、他の事業においても、沿線価値の向上を目指して継続的な設備投資を行っています。当連結会計年度は総額81,385百万円の設備投資を実施しました。なお、各セグメントの設備投資等の概要については、「第3 設備の状況」の「1 設備投資等の概要」に記載しています。イ 資金需要の主な内容と動向当社グループの主要な資金需要は、鉄道事業における安全・防災対策の強化やサービスの向上、持続可能な運営体制の構築に不可欠な設備投資や、沿線価値の向上に資する開発投資等ですが、そのほかに人件費等の事業運営のための運転資金の支出があります。また、今後の動向としては、設備投資が資金需要の中で最も高い割合を占める状況が続くと考えています。ウ 資金調達当社グループの資金調達は、鉄道事業における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債および民間金融機関からの借入金等、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しています。なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入し、資金繰りの波動により、短期的な資金需要が発生する場合には、極力グループ内資金を活用するほか、適宜、コマーシャル・ペーパー(CP)の発行等により緊急時の流動性を確保しています。エ 資金の流動性当社グループは、鉄道事業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しています。 ④ 経営指標当社グループでは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営の基本方針 ③ 企業価値向上に向けた財務方針」に記載のとおり、ROE、営業利益、有利子負債/EBITDA倍率を重要指標としています。なお、当連結会計年度については、以下のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)ROE(注)11.7%8.0%営業利益51,43152,659有利子負債/EBITDA倍率6.8倍7.2倍(注) 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均・有価証券評価差額除く) (参考) 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)借入金・社債等609,051662,276鉄道・運輸機構長期未払金43,73737,478有利子負債計(注)652,789699,754EBITDA95,38697,012(注) リース債務および社内預金は除いています。

事業リスク

  • 大規模災害による影響
    大規模な地震や津波、集中豪雨などの自然災害が発生した場合、人的被害や建物・設備の損傷、電力不足による営業制約、消費マインドの冷え込みなどにより、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、事業エリアの一部が南海トラフ地震防災対策推進地域に含まれており、事業継続計画(BCP)や耐震補強工事などで対策を講じています。
  • 事故やシステム障害の発生
    鉄道・バスなどの交通事業や情報システムに依存する事業において、人為的ミス、機器の誤作動、テロ、サイバー攻撃などにより、重大な事故やシステム障害が発生する可能性があります。これにより、人的被害、事業中断、損害賠償責任、社会的信用の低下などが発生し、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
  • 感染症流行とコンプライアンス違反
    新型インフルエンザなどの感染症が大規模に流行した場合、施設利用者の減少や従業員の感染多発により、事業運営に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。また、法令や社会通念に反する行為が発生した場合、社会的信頼の失墜や制裁により、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|4,136 文字
3【事業等のリスク】当社グループでは、「小田急グループリスクマネジメント方針」に基づきグループ全体のリスクマネジメント体制を構築し、企業経営に重大な影響を与えるリスクの対策を検討・推進する取り組みを行っています。これらを通じて把握したリスクのうち、投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき当社グループが判断したものです。また、以下のリスクは当社グループのすべてのリスクを網羅したものではありませんのでご留意ください。その他、気候変動がもたらすリスクについては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」にも記載しています。 (1)災害等① 大規模な地震・津波の発生大規模な地震等が発生した場合、当社グループの各事業において、人的被害、建物・設備が損傷するなどの直接的被害のほか、電力不足等による営業への制約、消費マインドの冷え込みによる収益の減少といった間接的被害により、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループの事業エリアの一部は南海トラフ地震防災対策推進地域、南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域に含まれています。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、事業継続計画(BCP)の制定、建物・設備の耐震補強工事を推進するとともに、一部の駅において災害発生時の避難場所を示した案内や外国語案内の掲出、行政機関と連携した異常時対応訓練を行い、さらに、全ての駅・関係施設において災害備蓄品を整備するなどの諸施策を実施しています。② 自然災害の発生当社グループでは、集中豪雨および暴風等、大規模な自然災害が発生した場合、当社グループの各事業において、人的被害、建物・設備の損傷、被害箇所の復旧等に伴う費用の増大等のほか、列車運休等の営業上の制約、消費マインドの冷え込み等による収益の減少により、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、防災計画に基づいた警戒体制、運行規制の徹底、各種構造物に対する防護工事や雨量計、風速計の設置、危険箇所への定点観測カメラによる監視等を実施しています。③ 感染症の流行当社グループは、鉄道・バス・商業施設等多数のお客さまが利用されるサービスを展開しています。当社グループの事業エリアにおいて、新型インフルエンザ等の感染症が大規模に流行した場合、施設を利用されるお客さまの減少や、従業員の感染が多発することで、鉄道の列車運行等の事業運営に支障をきたし、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、事業継続計画(BCP)を制定し、マスクやアルコール消毒液等の備蓄、情報収集体制の構築等の諸施策を実施しています。 (2)事故等① 事故等の発生当社グループの各事業において、人為的なミスや機器の誤作動、テロ等の不法行為等によって大きな事故や火災等が発生した場合、人的被害や事業の中断等が生じるとともに、被害者に対する損害賠償責任や施設の復旧等に伴う費用が発生する可能性があります。また、顧客の信頼および社会的評価の低下により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、事業継続計画(BCP)の制定、リスク事案の共有、計画的な設備更新・点検、各種訓練・教育の充実等により類似事案の発生防止・対応力強化を図っています。② 保有資産および商品の瑕疵・欠陥当社グループが保有する資産に、瑕疵や欠陥が見つかった場合または健康や周辺環境に影響を与える可能性等が指摘された場合、改善・原状復帰、補償等にかかる費用が発生する可能性があります。また、当社グループにおいて販売した商品等について瑕疵や欠陥が見つかった場合についても、改善および補償等に伴う費用の発生や信用低下等に伴い当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、構造物への法令に基づく各種検査、商品への衛生検査・表示検査・細菌検査、外部機関による監査等の諸施策を実施しています。③ システム障害の発生当社グループの事業は、コンピューターシステムや通信ネットワークといった情報システムに大きく依存しています。そのため、事業活動に不可欠なシステムやネットワークの安定稼働に必要な対策を実施していますが、コンピューターウイルス等の第三者による妨害行為、自然災害および人為的ミス等により重大な障害が発生した場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、「小田急グループの情報システムにおける情報セキュリティ基本方針」を制定し、グループ全体で情報セキュリティに取り組んでいます。また、ネットワーク障害への耐性向上施策のほか、増加するサイバー攻撃に対して、情報セキュリティ体制の構築や、ファイアウォール等の設置、最新の脅威情報等を共有する取り組みを実施しています。(3)コンプライアンス等① コンプライアンス当社グループでは、コンプライアンスを「法令、社内規則、社会通念等のルールを守るとともに、誠実に事業活動を実践していくための考え方およびその取り組み」と定め、推進していますが、これらに反する行為が発生し、社会的信頼を損なった場合には、法令等に基づく制裁や社会的制裁等により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、コンプライアンスアンケートの実施とその結果に基づく活動計画の策定・運用の推進、問題の早期発見・対応のためのコンプライアンス・ホットライン整備、各種研修やセミナーの充実等の諸施策を実施しています。また、ステークホルダーとの健全な関係性構築に向けて、人権尊重およびそれに配慮したサプライチェーン構築へのコミットメントである「小田急グループ 人権方針」「小田急グループ サステナブル サプライチェーン方針」を策定しており、リスク対応、教育・浸透、取引先コミュニケーション等、方針に基づく具体的な運用を推進しています。② 機密情報管理当社グループはクレジットカード事業を行っているほか、各種事業において顧客情報等の個人情報を含む機密情報を保有しています。機密情報については厳正に管理していますが、何らかの理由で情報の漏洩等の事態が生じた場合、損害賠償や信用の低下等により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、事業継続計画(BCP)を制定し、情報にかかる規程類やマニュアルの整備、セキュリティ対策、定期的な研修・資格取得支援等の諸施策を実施しています。③ 情報開示人為的ミス等により不適切な情報開示等があった場合、顧客の信頼および社会的評価の低下等により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、それぞれの事業特性に応じた内部統制の整備、運用に努めることで、適時適切な情報開示に取り組んでいます。(4)経営環境等① 人財の確保当社グループの事業は労働集約型の事業が多く、労働力として質の高い人財の確保が重要となります。そのため、優秀な人財を確保、育成し、働きやすい職場環境の確保と健全な労働環境の維持に努めていますが、これを達成できない場合、当社グループの事業展開が制約され、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、採用WEBサイトの整備、中途採用や多様な採用手法の推進、36協定の順守や処遇改善、福利厚生の充実、業務のシステム化や見直しによる業務効率化等の諸施策を実施しています。② 法的規制当社グループは、鉄道事業法、道路運送法、大規模小売店舗立地法、建築基準法等の各種法令や排ガス規制をはじめとした公的規制のもとさまざまな事業を展開していますが、これらの法令・規制、特に東京都・神奈川県における諸制度の変更は当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、鉄道事業における運賃制度については以下のとおりです。鉄道運送事業者は、旅客の運賃の上限を定め、または変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されています(鉄道事業法第16条)。また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更ならびに特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっています(鉄道事業法第16条)。当社グループでは、法改正等に適切かつ迅速に対応するため、定期的な法令改正情報の共有や法令改正に対応した各種研修・セミナーの充実等の諸施策を実施しています。③ 金利の変動当社グループは鉄道事業を中心に継続的な設備投資を行っており、借入金や社債等により資金を調達しています。よって、金利の変動および当社の格付の変更が、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、有利子負債に占める長期・固定金利の割合を高く保つことで、金利が大きく変動した場合でも支払利息が急激に増えることのないよう努めています。④ 重要な訴訟当社が当事者となる重要な訴訟はありませんが、通常の業務の過程において第三者から訴訟その他の法的手段を提起されたり、行政等から調査を受けたりする可能性があります。これらの対応の負担に加え、仮に当社に不利な判決、決定等が下された場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクを回避するために、訴訟リスクの低減や法務対応力強化に向けて、契約書様式の制定・活用や顧問弁護士との連携強化、法務教育の充実等の諸施策を実施しています。

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