9021

西日本旅客鉄道(9021)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

陸運業 運輸・物流

事業の概要

西日本旅客鉄道は、主に西日本エリアで鉄道事業を展開し、新幹線や在来線による都市間・都市圏輸送を主力としています。その他、駅構内での物販・飲食、ホテル、ショッピングセンター運営、不動産販売・賃貸など、多岐にわたる事業で収益を上げています。鉄道事業が基盤でありつつ、駅や沿線開発を通じた不動産や流通事業も重要な収益源となっています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

JR西日本グループの事業セグメントは多岐にわたります。モビリティ事業は鉄道、バス、船舶などの運輸サービスが中心で、売上・営業利益ともに最大の稼ぎ頭です。流通事業は百貨店や駅構内での物販・飲食を展開しています。不動産事業は不動産販売・賃貸、ショッピングセンター運営、ホテル業を含み、安定した収益源となっています。旅行・地域ソリューション事業は旅行業などを手掛け、その他事業として広告業などがあります。これらの事業は主に西日本地域に集中しており、海外比率は低いと考えられます。

2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Mobility 事業 10,468 1,225 11.7%
Logistics 事業 2,083 138 6.6%
RealEstate 事業 2,327 389 16.7%
TravelAndRegionalSolutions 地域 1,888 11 0.6%
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FY2026|2,111 文字
3 【事業の内容】 当社及び当社の関係会社(子会社139社及び関連会社23社)が営んでいる主要な事業内容は、次のとおりであります。 事業内容の区分については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表][注記事項]」に掲げる「[セグメント情報]」における事業区分と同一であります。 なお、当社グループでは、同業種または関連事業を展開するグループ会社及び当社の各部門を一体と捉えた経営管理単位として「鉄道」、「物販・飲食」、「ホテル」、「ショッピングセンター(SC)」、「不動産」の5つのカンパニーを設置しております。各カンパニーの構成会社の概要は以下のとおりであります。 ・鉄道カンパニー:当社鉄道部門及び以下の業種の連結子会社等 鉄道事業、船舶事業、車両等設備工事業、機械等設備工事業、電気工事業、 清掃整備事業、建設事業、駅業務等運営業 ・物販・飲食カンパニー:物販・飲食業及び流通業セグメントに区分されるホテル業の連結子会社 等 ・ホテルカンパニー:ホテル業(流通業セグメントに区分されるものを除く)の連結子会社等 ・ショッピングセンター(SC)カンパニー:ショッピングセンター運営業の連結子会社等 ・不動産カンパニー:不動産販売・賃貸業及び不動産投資運用業の連結子会社等 (1)モビリティ業 鉄道事業のほかに、旅客自動車運送事業及び船舶事業を展開しております。 鉄道事業のうち、当社は、北陸、近畿、中国及び九州北部の2府16県の広いエリアを営業範囲として、新幹線、在来線の特急を中心とする都市間輸送及び京阪神都市圏や広島、岡山等の地方中核都市を中心とする地域での都市圏輸送等を行っております。 そのほか、各種工事業、清掃整備事業等を展開しております。 事業の内容主要な関係会社鉄道事業当社、嵯峨野観光鉄道㈱、関西高速鉄道㈱※、大阪外環状鉄道㈱※旅客自動車運送事業JRバス中国㈱、西日本ジェイアールバス㈱船舶事業JR西日本宮島フェリー㈱貸自動車業JR西日本レンタカー&リース㈱車両等設備工事業㈱JR西日本テクノス、㈱JR西日本新幹線テクノス機械等設備工事業㈱JR西日本テクシア電気工事業JR西日本電気テック㈱、JR西日本電気システム㈱、㈱てつでん清掃整備事業㈱JR西日本メンテック、㈱JR西日本中国メンテック、㈱JR西日本金沢メンテック建設事業大鉄工業㈱、㈱JR西日本レールテック、㈱ジェイアール西日本ビルト、広成建設㈱※その他㈱JR西日本カスタマーリレーションズ、㈱JR西日本交通サービス、㈱JR西日本中国交通サービス(注)㈱てつでんは、2026年6月1日にT-SoLinx㈱に商号変更しております。 (2)流通業 百貨店業のほかに、主要駅における物販・飲食業等を展開しております。 事業の内容主要な関係会社百貨店業㈱ジェイアール西日本伊勢丹物販・飲食業当社、㈱ジェイアール西日本デイリーサービスネット、㈱ジェイアール西日本フードサービスネット、㈱ジェイアールサービスネット広島、㈱ジェイアールサービスネット岡山、㈱ジェイアールサービスネット金沢、㈱ジェイアールサービスネット福岡、㈱ジェイアール西日本ファッショングッズ各種物品等卸売業ジェイアール西日本商事㈱ホテル業㈱JR西日本ヴィアイン (3)不動産業 保有不動産を活用した不動産販売・賃貸業のほかに、ショッピングセンター運営業、ホテル業を展開しております。 事業の内容主要な関係会社不動産販売・賃貸業当社、JR西日本不動産開発㈱、JR西日本プロパティーズ㈱不動産賃貸業京都駅ビル開発㈱、JR西日本ステーションシティ㈱不動産投資運用業JR西日本不動産投資顧問㈱ショッピングセンター運営業JR西日本SC開発㈱、JR西日本京都SC開発㈱、富山ターミナルビル㈱、山陽SC開発㈱、金沢ターミナル開発㈱、JR西日本アーバン開発㈱、中国SC開発㈱、㈱和歌山ステーションビルディング、㈱新大阪ステーションストア、JR西日本大阪開発㈱、JR西日本山陰開発㈱ホテル業㈱ジェイアール西日本ホテル開発、和歌山ターミナルビル㈱ (4)旅行・地域ソリューション業 旅行・地域ソリューション業を展開しております。 事業の内容主要な関係会社旅行・地域ソリューション業㈱日本旅行 (5)その他 広告業等を展開しております。 事業の内容主要な関係会社広告業㈱JR西日本コミュニケーションズ土木・建築等コンサルタント業ジェイアール西日本コンサルタンツ㈱空間情報コンサルタント事業アジア航測㈱※情報サービス業㈱JR西日本ITソリューションズ、鉄道情報システム㈱※その他㈱ジェイアール西日本総合ビルサービス、㈱ジェイアール西日本マルニックス、JR西日本フィナンシャルマネジメント㈱、㈱ジェイアール西日本ウェルネット、㈱JR西日本イノベーションズ、㈱TRAILBLAZER (注)※ 持分法適用関連会社であります。 以上に述べた事項の概要図は、次のとおりであります。 (注)1 ※ 持分法適用関連会社であります。2 各事業の区分ごとの会社名は主たる事業内容により記載しております。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
特有の法的規制の影響等により、適正な価格転嫁が行えない可能性があるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
鉄道事業は広範な営業エリアと大規模なインフラを必要とし、新規参入が極めて困難。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:安全の確保 / 自然災害等の発生 / 経営環境の激変
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 12 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

JR西日本のブランド力は、長年にわたり培われた信頼性と利便性からくる。特に山陽・山陰地方における鉄道網は、地域住民や観光客にとって不可欠な存在であり、そのブランドは強力な無形資産と言える。しかし、新規参入や代替交通手段の台頭により、その優位性は限定的。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

通勤・通学定期券の利用者は、運賃や利便性を考慮してJR西日本から他社への乗り換えに高いスイッチングコストを感じる。特に地方路線では代替交通手段が乏しく、生活インフラとしての側面が強い。ただし、長距離移動では高速バスや航空機との競合がある。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

鉄道事業自体に直接的なネットワーク効果は限定的。乗客が増えることで混雑は増すが、それがサービスの価値向上に直結するわけではない。ICOCAなどの共通乗車券システムは利便性を高めるが、ネットワーク効果とは異なる。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

長年のインフラ投資と規模の経済により、一定のコスト優位性は存在する。しかし、老朽化設備の更新や人件費、燃料費の高騰など、コスト削減圧力は常に存在する。新規参入企業が同等のインフラを低コストで構築することは困難。

規模の経済★★★★★
根拠:強い規模が参入障壁になる

西日本旅客鉄道は、山陽・山陰地方を中心に広範な鉄道網を保有・運営しており、その規模は圧倒的。この広範なネットワークは、新規参入企業が容易に模倣できない強力な参入障壁となっている。地域における寡占的な地位を確立している。

JR西日本グループは、西日本地域における広範な鉄道ネットワークと主要駅の立地を最大の強みとしています。これにより、安定した輸送サービスを提供し、駅や沿線での商業施設、ホテル、不動産開発といった関連事業との相乗効果を生み出しています。鉄道事業は巨額の設備投資と許認可が必要なため、新規参入が極めて困難であり、強固な参入障壁となっています。また、長年の事業で培われたブランド力と信頼性も優位性と言えます。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 当社グループを取り巻く経営環境 当社グループを取り巻く経営環境は、国内景気の緩やかな回復基調や堅調なインバウンド需要が継続してきました。一方で、自然災害の激甚化、人口減少に伴う市場の縮小や人財獲得競争の激化、ニーズや価値観の多様化、物価・金利の上昇に加え、不透明な国際情勢等、急速かつ構造的な環境変化に直面しています。 (2) 経営の基本方針 当社グループは、福知山線列車事故のような重大な事故を決して発生させないという確固たる決意のもと、被害に遭われた方々への真摯な対応、安全性向上に取り組んでいきます。 2023年4月には、未来社会におけるJR西日本グループの存在意義を見つめなおし、めざす姿として「私たちの志」を策定しました。この「私たちの志」をグループ全体の羅針盤として、グループ一丸となって取り組んでいます。 私たちの志人、まち、社会のつながりを進化させ、心を動かす。未来を動かす。私たちは、これからも安全、安心を追求し、高め続けます。人と人、人とまち、人と社会を、リアルとデジタルの場でつなぎ、西日本を起点に地域の課題を解決します。そして、持続可能で活力ある未来を創り、その先の一人ひとりが思い描く暮らしを様々なパートナーと共に実現していきます。 これまで、鉄道や駅を中心に人と人、人とまちをつなぎ、安全で豊かな社会づくりに貢献できるよう努力を積み重ねてきましたが、インフラを担う企業として、未来においても社会づくりに貢献する役割を果たし続けていくため、大きな転換期を迎えているこれからの社会の課題と向き合い、求められる価値を、事業活動を通じて提供していきます。 とりわけ、一人ひとりの暮らし、まち、社会全体が直面する課題に着目したとき、安全を基盤に広域で人と人、まち、社会をつなぐインフラサービスを提供し、またグループ全体で多くのお客様との接点、地域とのつながりを持つ当社グループは、これまで以上にお客様視点で「つながりを進化させる」ことで、大きな役割を果たしていくことができ、それこそが、未来の社会における私たちの存在意義と考えます。 引き続き、鉄道の安全性向上に向けた不断の取り組みを積み重ねていくことを基盤としつつ、様々なパートナーとの共創とイノベーションにより、「地域共生企業」として事業を通じて社会や地域の課題解決に貢献することで、社会的価値と経済的価値をあわせて創出し、よりよい未来を創り上げていきます。 (3) 中長期的経営戦略 当社グループは、「私たちの志」の実現に向け策定した「JR西日本グループ長期ビジョン2032」(以下、「長期ビジョン」)において、<実現したい未来>を掲げており、その上で、<2035年にありたい姿>を次のとおり定義しました。 <実現したい未来> [安全、安心で、人と地球にやさしい交通] 交通全体がシームレスなサービスとして認識され、定着している未来 [人々が行きかう、いきいきとしたまち] 地域の魅力が高まり、定住・交流・関係人口が増加していく未来 [一人ひとりにやさしく便利で豊かなくらし] リアルの良さとデジタルの組み合わせで、個客体験が大きく高まる未来 [持続可能な社会] 様々なパートナーとの連携を通じて、持続可能な社会システムが構築されている未来 <2035年にありたい姿> [人を起点に、徹底した顧客目線で共創と挑戦を重ね、人、まち、社会のつながりを進化させ続ける企業グループ] また、<2035年にありたい姿>や経営環境変化等を踏まえ、重要課題であるマテリアリティを再整理しました(詳細は「2[サステナビリティに関する考え方及び取組] (2)重要なサステナビリティ項目」参照)。 2026年4月に策定した「JR西日本グループ中期経営計画2030」(以下、「中期経営計画2030」)では、未来に向けた「共創と挑戦」として、「安全、良質でサステナブルなモビリティへの変革」と、グループの強み(顧客接点・データ、技術・ノウハウ等)を活かした「事業ポートフォリオの変革」を実現することを基本方針としています。 その変革に向けて、<3つの重点分野>とともに、<全社横断戦略>として、各分野が連携して成長を図るための「5つの重点戦略」と「経営基盤の強化」を掲げています。なお、各重点分野における取り組みについては、<事業戦略>に記載のとおりです。 <3つの重点分野> ① モビリティ分野 ② 生活サービス分野 ③ インフラソリューション分野 <全社横断戦略> ① 5つの重点戦略 ア.安全、良質でサステナブルなモビリティへの変革 安全性向上を最優先に、顧客体験価値向上と技術による革新で、安全、良質でサステナブルなモビリティへの変革をめざします。 〇 安全性向上 ・ 重大リスクの抑え込み ・ 社会のニーズに応じた安全対策 〇 顧客体験価値向上 ・ カスタマージャーニーに沿った体験価値の向上 ・ 一人ひとりの好奇心を起点としたツーリズム ・ 新幹線のご利用機会の拡大 ・ 地域に最適な交通モード・運行体系の構築 〇 技術による革新 ・ オペレーションの進化・メンテナンス構造改革 ・ 鉄道技術を活かしたソリューション提供 イ.まち・地域の持続性・魅力向上 交通ネットワークを軸に関西・西日本エリアの回遊を高め、地域との共創により目的地として選ばれ続けるエリアをめざします。 〇 京阪神エリア 大阪IR(統合型リゾート)・なにわ筋線開業に向けて、拠点エリア整備や地域のプレイヤーとの共創を通じ、“世界から人と資本を呼び込み続ける”まちづくりを推進 〇 西日本エリア(京阪神エリアを除く) 自治体・地域のプレイヤーとの共創を通じ、まち・地域が持つ魅力を磨き上げ、持続性を高める ウ.共創による顧客体験価値向上 一人ひとりに最適化された体験価値の提供を通じて、関係・交流人口の拡大と、移動におけるサステナブルなエコシステムの実現、及び顧客生涯価値(LTV)最大化の実現をめざします。 〇 様々なパートナーとの共創を拡げ、お客様が移動に関連した多様なサービスをシームレスに利用できる仕組みを構築し、一人ひとりに最適化された移動体験を提供 〇 顧客ロイヤルティプログラムの新設、サービスラインナップの拡大、1to1レコメンド機能の強化を通じ、顧客生涯価値(LTV)を最大化 エ.インバウンド需要の取り込み 6,000万人時代に向け、大阪IR・なにわ筋線を軸とした西日本エリア周遊、体験・滞在の消費拡大による活性化をめざします。 〇 受入体制整備・地域の魅力向上 〇 最適なルート提案・予約 〇 移動の高付加価値化 〇 体験・消費・滞在の活性化 オ.更なる成長に向けた領域拡大・事業創出 共創と挑戦による事業領域拡大と新たな事業創出による事業ポートフォリオの変革をめざします。 〇 不動産を中心とした各事業の成長 〇 次なる成長分野への挑戦 〇 M&A・提携等による非連続な成長 〇 成長の芽の探索 ② 経営基盤の強化 ア.人財戦略 共創・挑戦する人財の創出、エンゲージメント向上をDXも活用して実現し、安全を高め変革を推進します。 イ.地球環境 環境にやさしい鉄道を軸に、グループ全体のアセットを活用し持続可能な地球環境に貢献します。 ウ.ガバナンス 持続的な成長に向けた経営の機能強化とグループ全体を見通したリスクマネジメント・コンプライアンスの充実を図ります。 <事業戦略> ① モビリティ分野 福知山線列車事故を原点とした、安全性向上による安心・信頼していただける鉄道の実現を土台として、顧客体験価値向上と技術による革新で、安全、良質でサステナブルなモビリティへ変革します。 ・ 被害に遭われた方々への真摯な対応 ・ 「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2027」(以下、「安全考動計画2027」)の推進 ・ 顧客体験価値向上 ・ 技術による革新 ② 生活サービス分野 ア.流通業 集客力の高い駅立地の強みを活かし、パートナーとの共創で顧客満足と収益力の最大化をめざします。 ・ 駅ナカの魅力向上/フランチャイジー・ライセンシー戦略(物販・飲食業) ・ 「MY HOME HOTEL.」の実現によるブランド力向上/新規出店等(宿泊特化型ホテル「ヴィアイン」) ・ 生涯個客化の推進と顧客生涯価値(LTV)の最大化(百貨店業) イ.不動産業 マーケティング起点で機能価値に情緒価値を加え、経済的価値・社会的価値の同時実現をめざします。 ・ 既存物件の収益性向上/重点エリア・アセットの強化/ファンド・REIT事業の拡大/まちづくりプロジェクトの推進/海外不動産事業の展開(不動産販売・賃貸業) ・ 旗艦SC「ルクア」の成長/「ショッピング×コミュニティ」戦略/新規開発・リニューアル(ショッピングセンター運営業) ・ 顧客体験の進化/リニューアル/新規出店等(ホテル業) ③ インフラソリューション分野 JR西日本グループで培った技術を社会に展開し、顧客・地域社会の課題解決をめざしま す。 ・ 業界内への拡大(交通事業者へ販路・サービスを拡大) ・ 業界外への越境(技術の可能性を業界を超えて追求) (4) 対処すべき課題 重大な自然災害、深刻化する労働力不足やインフレ等は将来にわたる大きな脅威であり、「私たちの志」「長期ビジョン」の実現に向けて、「安全、良質でサステナブルなモビリティへの変革」と「事業ポートフォリオの変革」にグループ全体で挑戦していきます。 「中期経営計画2030」の初年度となる2026年度は、これらの変革を進めるためのスタートとなる重要な1年です。グループとして大阪・関西万博で培った、共創やつながりの進化等の「レガシー」も活かし、お客様一人ひとりのニーズを捉え、最高の体験価値を生活の様々な場面で提供することに取り組んでいきます。 また、機会を捉え、脅威を乗り越える源泉は人財であり、現場を支える人財の育成を行うとともに、キャリア開発等を通じて多様なスキルや経験を持つ人財の成長支援を進めます。あわせて、社員の自律や挑戦を後押しする心理的安全性の高い組織風土づくり、充実したキャリア形成や柔軟な働き方を支える制度づくりをグループ全体でさらに強力に推進していきます。 今後とも、安全性の向上を最優先に、グループ事業全体でシナジーを発揮しながら、「私たちの志」「長期ビジョン」の実現を加速していきます。 なお、文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日において当社グループが判断したものであります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 当社グループを取り巻く経営環境 当社グループを取り巻く経営環境は、国内景気の緩やかな回復基調や堅調なインバウンド需要が継続してきました。一方で、自然災害の激甚化、人口減少に伴う市場の縮小や人財獲得競争の激化、ニーズや価値観の多様化、物価・金利の上昇に加え、不透明な国際情勢等、急速かつ構造的な環境変化に直面しています。 (2) 経営の基本方針 当社グループは、福知山線列車事故のような重大な事故を決して発生させないという確固たる決意のもと、被害に遭われた方々への真摯な対応、安全性向上に取り組んでいきます。 2023年4月には、未来社会におけるJR西日本グループの存在意義を見つめなおし、めざす姿として「私たちの志」を策定しました。この「私たちの志」をグループ全体の羅針盤として、グループ一丸となって取り組んでいます。 私たちの志人、まち、社会のつながりを進化させ、心を動かす。未来を動かす。私たちは、これからも安全、安心を追求し、高め続けます。人と人、人とまち、人と社会を、リアルとデジタルの場でつなぎ、西日本を起点に地域の課題を解決します。そして、持続可能で活力ある未来を創り、その先の一人ひとりが思い描く暮らしを様々なパートナーと共に実現していきます。 これまで、鉄道や駅を中心に人と人、人とまちをつなぎ、安全で豊かな社会づくりに貢献できるよう努力を積み重ねてきましたが、インフラを担う企業として、未来においても社会づくりに貢献する役割を果たし続けていくため、大きな転換期を迎えているこれからの社会の課題と向き合い、求められる価値を、事業活動を通じて提供していきます。 とりわけ、一人ひとりの暮らし、まち、社会全体が直面する課題に着目したとき、安全を基盤に広域で人と人、まち、社会をつなぐインフラサービスを提供し、またグループ全体で多くのお客様との接点、地域とのつながりを持つ当社グループは、これまで以上にお客様視点で「つながりを進化させる」ことで、大きな役割を果たしていくことができ、それこそが、未来の社会における私たちの存在意義と考えます。 引き続き、鉄道の安全性向上に向けた不断の取り組みを積み重ねていくことを基盤としつつ、様々なパートナーとの共創とイノベーションにより、「地域共生企業」として事業を通じて社会や地域の課題解決に貢献することで、社会的価値と経済的価値をあわせて創出し、よりよい未来を創り上げていきます。 (3) 中長期的経営戦略 当社グループは、「私たちの志」の実現に向け策定した「JR西日本グループ長期ビジョン2032」(以下、「長期ビジョン」)において、<実現したい未来>を掲げており、その上で、<2035年にありたい姿>を次のとおり定義しました。 <実現したい未来> [安全、安心で、人と地球にやさしい交通] 交通全体がシームレスなサービスとして認識され、定着している未来 [人々が行きかう、いきいきとしたまち] 地域の魅力が高まり、定住・交流・関係人口が増加していく未来 [一人ひとりにやさしく便利で豊かなくらし] リアルの良さとデジタルの組み合わせで、個客体験が大きく高まる未来 [持続可能な社会] 様々なパートナーとの連携を通じて、持続可能な社会システムが構築されている未来 <2035年にありたい姿> [人を起点に、徹底した顧客目線で共創と挑戦を重ね、人、まち、社会のつながりを進化させ続ける企業グループ] また、<2035年にありたい姿>や経営環境変化等を踏まえ、重要課題であるマテリアリティを再整理しました(詳細は「2[サステナビリティに関する考え方及び取組] (2)重要なサステナビリティ項目」参照)。 2026年4月に策定した「JR西日本グループ中期経営計画2030」(以下、「中期経営計画2030」)では、未来に向けた「共創と挑戦」として、「安全、良質でサステナブルなモビリティへの変革」と、グループの強み(顧客接点・データ、技術・ノウハウ等)を活かした「事業ポートフォリオの変革」を実現することを基本方針としています。 その変革に向けて、<3つの重点分野>とともに、<全社横断戦略>として、各分野が連携して成長を図るための「5つの重点戦略」と「経営基盤の強化」を掲げています。なお、各重点分野における取り組みについては、<事業戦略>に記載のとおりです。 <3つの重点分野> ① モビリティ分野 ② 生活サービス分野 ③ インフラソリューション分野 <全社横断戦略> ① 5つの重点戦略 ア.安全、良質でサステナブルなモビリティへの変革 安全性向上を最優先に、顧客体験価値向上と技術による革新で、安全、良質でサステナブルなモビリティへの変革をめざします。 〇 安全性向上 ・ 重大リスクの抑え込み ・ 社会のニーズに応じた安全対策 〇 顧客体験価値向上 ・ カスタマージャーニーに沿った体験価値の向上 ・ 一人ひとりの好奇心を起点としたツーリズム ・ 新幹線のご利用機会の拡大 ・ 地域に最適な交通モード・運行体系の構築 〇 技術による革新 ・ オペレーションの進化・メンテナンス構造改革 ・ 鉄道技術を活かしたソリューション提供 イ.まち・地域の持続性・魅力向上 交通ネットワークを軸に関西・西日本エリアの回遊を高め、地域との共創により目的地として選ばれ続けるエリアをめざします。 〇 京阪神エリア 大阪IR(統合型リゾート)・なにわ筋線開業に向けて、拠点エリア整備や地域のプレイヤーとの共創を通じ、“世界から人と資本を呼び込み続ける”まちづくりを推進 〇 西日本エリア(京阪神エリアを除く) 自治体・地域のプレイヤーとの共創を通じ、まち・地域が持つ魅力を磨き上げ、持続性を高める ウ.共創による顧客体験価値向上 一人ひとりに最適化された体験価値の提供を通じて、関係・交流人口の拡大と、移動におけるサステナブルなエコシステムの実現、及び顧客生涯価値(LTV)最大化の実現をめざします。 〇 様々なパートナーとの共創を拡げ、お客様が移動に関連した多様なサービスをシームレスに利用できる仕組みを構築し、一人ひとりに最適化された移動体験を提供 〇 顧客ロイヤルティプログラムの新設、サービスラインナップの拡大、1to1レコメンド機能の強化を通じ、顧客生涯価値(LTV)を最大化 エ.インバウンド需要の取り込み 6,000万人時代に向け、大阪IR・なにわ筋線を軸とした西日本エリア周遊、体験・滞在の消費拡大による活性化をめざします。 〇 受入体制整備・地域の魅力向上 〇 最適なルート提案・予約 〇 移動の高付加価値化 〇 体験・消費・滞在の活性化 オ.更なる成長に向けた領域拡大・事業創出 共創と挑戦による事業領域拡大と新たな事業創出による事業ポートフォリオの変革をめざします。 〇 不動産を中心とした各事業の成長 〇 次なる成長分野への挑戦 〇 M&A・提携等による非連続な成長 〇 成長の芽の探索 ② 経営基盤の強化 ア.人財戦略 共創・挑戦する人財の創出、エンゲージメント向上をDXも活用して実現し、安全を高め変革を推進します。 イ.地球環境 環境にやさしい鉄道を軸に、グループ全体のアセットを活用し持続可能な地球環境に貢献します。 ウ.ガバナンス 持続的な成長に向けた経営の機能強化とグループ全体を見通したリスクマネジメント・コンプライアンスの充実を図ります。 <事業戦略> ① モビリティ分野 福知山線列車事故を原点とした、安全性向上による安心・信頼していただける鉄道の実現を土台として、顧客体験価値向上と技術による革新で、安全、良質でサステナブルなモビリティへ変革します。 ・ 被害に遭われた方々への真摯な対応 ・ 「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2027」(以下、「安全考動計画2027」)の推進 ・ 顧客体験価値向上 ・ 技術による革新 ② 生活サービス分野 ア.流通業 集客力の高い駅立地の強みを活かし、パートナーとの共創で顧客満足と収益力の最大化をめざします。 ・ 駅ナカの魅力向上/フランチャイジー・ライセンシー戦略(物販・飲食業) ・ 「MY HOME HOTEL.」の実現によるブランド力向上/新規出店等(宿泊特化型ホテル「ヴィアイン」) ・ 生涯個客化の推進と顧客生涯価値(LTV)の最大化(百貨店業) イ.不動産業 マーケティング起点で機能価値に情緒価値を加え、経済的価値・社会的価値の同時実現をめざします。 ・ 既存物件の収益性向上/重点エリア・アセットの強化/ファンド・REIT事業の拡大/まちづくりプロジェクトの推進/海外不動産事業の展開(不動産販売・賃貸業) ・ 旗艦SC「ルクア」の成長/「ショッピング×コミュニティ」戦略/新規開発・リニューアル(ショッピングセンター運営業) ・ 顧客体験の進化/リニューアル/新規出店等(ホテル業) ③ インフラソリューション分野 JR西日本グループで培った技術を社会に展開し、顧客・地域社会の課題解決をめざしま す。 ・ 業界内への拡大(交通事業者へ販路・サービスを拡大) ・ 業界外への越境(技術の可能性を業界を超えて追求) (4) 対処すべき課題 重大な自然災害、深刻化する労働力不足やインフレ等は将来にわたる大きな脅威であり、「私たちの志」「長期ビジョン」の実現に向けて、「安全、良質でサステナブルなモビリティへの変革」と「事業ポートフォリオの変革」にグループ全体で挑戦していきます。 「中期経営計画2030」の初年度となる2026年度は、これらの変革を進めるためのスタートとなる重要な1年です。グループとして大阪・関西万博で培った、共創やつながりの進化等の「レガシー」も活かし、お客様一人ひとりのニーズを捉え、最高の体験価値を生活の様々な場面で提供することに取り組んでいきます。 また、機会を捉え、脅威を乗り越える源泉は人財であり、現場を支える人財の育成を行うとともに、キャリア開発等を通じて多様なスキルや経験を持つ人財の成長支援を進めます。あわせて、社員の自律や挑戦を後押しする心理的安全性の高い組織風土づくり、充実したキャリア形成や柔軟な働き方を支える制度づくりをグループ全体でさらに強力に推進していきます。 今後とも、安全性の向上を最優先に、グループ事業全体でシナジーを発揮しながら、「私たちの志」「長期ビジョン」の実現を加速していきます。 なお、文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日において当社グループが判断したものであります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の概要当連結会計年度においては、大阪・関西万博に伴うご利用、インバウンドのお客様のご利用等が堅調に推移する一方で、労働力不足やインフレ等、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす環境の変化がより顕在化してきました。このような事業環境の中で、当社グループは、2024年4月にアップデートを行った「中期経営計画2025」のもと、「私たちの志」「長期ビジョン」の実現に向けて、大阪駅や広島駅周辺のまちづくりプロジェクトの開業効果最大化、総合インフラマネジメント事業「JCLaaS」の推進、新決済サービス「Wesmo!」を通じたWESTERワールドの拡大等、リアルとデジタルの双方で、人・まち・社会のつながりの進化に取り組みました。また、鉄道運行への再生可能エネルギー由来電力の導入を引き続き進めるとともに、国内で初めて次世代バイオディーゼル燃料を100%使用したディーゼル車両による営業列車の運行を開始するなど、地球環境保護の取り組みを推進しました。その結果、営業収益は前期比8.1%増の1兆8,458億円、営業利益は同9.9%増の1,980億円、経常利益は同10.9%増の1,836億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同11.9%増の1,274億円となりました。 これをセグメント別に示すと次のとおりとなります。 ① モビリティ業当社グループは、2005年4月25日に福知山線列車事故を発生させたことを踏まえ、引き続き、被害に遭われた方々へ真摯に対応してまいります。昨年12月には、「福知山線列車事故 車両保存施設」を整備しました。また、2023年4月にスタートした「安全考動計画2027」に基づき、「お客様を想い、ご期待にお応えする」ことを強く意識して安全性の向上に取り組むよう、安全に対する向きあい方を深め、組織風土として醸成すること等に取り組んでいます。当連結会計年度においても、ホーム柵の整備を引き続き進めるとともに、お客様の転落を検知し乗務員や駅係員に知らせるホーム安全スクリーンや、ホームと車両の段差・隙間対策等、ホームの安全対策を進めました。具体的な例としては、京都駅、神戸駅、天王寺駅等の一部ホームでホーム柵の使用を、草津駅等でホーム安全スクリーンの使用を開始しました。また、岡山駅、広島駅の新幹線ホーム等でホームと車両の段差や隙間を縮小する整備を実施しました。自然災害への対策としては、斜面防災対策や降雨時運転規制へのレーダー雨量活用をはじめとした豪雨対策を引き続き実施しました。山陽新幹線における地震対策については、耐震補強対策及び逸脱防止対策を全線に拡大すべく、主要な対策は2027年度末までの完了をめざし、着実に整備を進めました。在来線における建物・高架橋等の耐震補強等についても、計画に基づき着実に整備を進めました。鉄道事業の持続的進化に向けては、機会を捉えた需要創出や価値創造、デジタルを活用した新たな価値提供の取り組みを推進するとともに、鉄道DXによる業務プロセスの変革等、鉄道事業の持続的な運営に向けた安全性向上・生産性向上に取り組みました。 ・大阪・関西万博を契機とした需要喚起の取り組み(大阪デスティネーションキャンペーン(4月~6月)、「プラスワントリップ」(4月~10月))、アクセス輸送の整備(「エキスポライナー」の設定(~10月)、会場シャトルバスの運行(4月~10月))・地域の魅力発信、沿線誘客を目的とした車両リニューアル、記念施策(特急「まほろば」安寧編成(4月~)・同悠久編成(10月~)、特急「くろしお」60周年記念ラッピング列車(7月~))・QRチケットサービスを活用したインバウンド向け周遊乗車券「WEST QR 関西エリアパス」等の発売(4月~)・有料着席サービスのさらなる展開(「うれしート」の拡大(10月、3月)、有料着席サービスの統一ブランド「SUWALOCA(すわろか)」の立ち上げ(2月))・新幹線予約サービス「LINEからEX」の提供開始(10月~)・コト消費を訴求した旅行プロモーションの展開(「動け、好奇心。」キャンペーン(10月~)等)・光ファイバセンシング技術の鉄道分野への応用(通信用光ファイバを振動センサーとして列車位置検知や設備異常検知等に活用)に向けたNTT西日本㈱との共同検証開始(11月)・山陽本線姫路~英賀保駅間に手柄山平和公園駅開業(3月) モビリティ業セグメントでは、大阪・関西万博やインバウンドに加え、万博後も国内需要が堅調であったこと等により、営業収益は前期比5.6%増の1兆1,056億円、営業利益は同6.9%増の1,309億円となりました ② 流通業流通業セグメントでは、大阪・関西万博オフィシャルストアの出店やコラボレーション商品の開発のほか、外部との提携店舗の拡充や、地域商品作り等、将来に向けた成長の基盤づくりの取り組みを推進しました。また、流通業セグメントに区分される宿泊特化型ホテル「ヴィアイン」については、ヴィアイン品川大井町の客室内装リニューアルを実施し、競争力の向上に努めました。流通業セグメントでは、大阪・関西万博関連事業や駅構内店舗、「ヴィアイン」のご利用が好調であったこと等により、営業収益は前期比11.7%増の2,326億円、営業利益は同17.6%増の162億円となりました。 ③ 不動産業不動産業セグメントでは、大阪駅や広島駅周辺のまちづくりプロジェクトの開業効果最大化等、「駅・まち」の魅力を高める取り組みを推進しました。ショッピングセンター運営業では、「北千里グリーンプレイス」を7月に開業するとともに、昨年度開業した「うめきたグリーンプレイス」、広島駅「minamoa」等の安定した事業運営に取り組みました。ホテル業では、大阪・関西万博やインバウンドの需要を着実に取り込むとともに、さらなる事業成長をめざしてホテル運営会社の再編を実施しました。不動産販売・賃貸業では、国内での事業推進に加え、米国テキサス州ヒューストン、豪州シドニーでの集合賃貸住宅の開発等に取り組みました。不動産業セグメントでは、まちづくりプロジェクトの開業効果等によりショッピングセンター業、ホテル業が好調に推移したことや、不動産販売・賃貸を拡大したこと等により、営業収益は前期比22.8%増の2,857億円、営業利益は同19.1%増の463億円となりました。 ④ 旅行・地域ソリューション業旅行・地域ソリューション業セグメントでは、当社のアプリ内で提供する旅行プラン「tabiwaトラベル」のコンテンツ拡充と販売強化に取り組むとともに、地域の社会課題解決のニーズに応えるソリューションの総合提案を推し進めました。旅行・地域ソリューション業セグメントでは、ソリューション事業が好調であったこと等により、営業収益は前期比0.2%増の1,892億円となったものの、コストの増加等により、営業利益は同53.3%減の5億円となりました。 モビリティ業のうち、当社の鉄道事業の営業成績は以下のとおりであります。ア.輸送実績 区分単位当事業年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日) 前事業年度比営業日数日365-キロ程新幹線キロ937.7937.7 在来線キロ(28.0)3,959.8(28.0)3,959.8 計キロ(28.0)4,897.5(28.0)4,897.5 客車走行キロ新幹線千キロ616,193101.8%在来線千キロ721,206100.5 計千キロ1,337,399101.1 輸送人員定期千人1,079,125101.4 定期外千人728,864104.9 計千人1,807,990102.8 輸送人キロ新幹線定期千人キロ1,127,564108.9 定期外千人キロ21,964,913106.3 計千人キロ23,092,478106.4 在来線近畿圏定期千人キロ16,866,809101.0 定期外千人キロ10,740,426103.7 計千人キロ27,607,236102.0 その他定期千人キロ3,325,383100.8 定期外千人キロ2,941,681101.1 計千人キロ6,267,064100.9 計定期千人キロ20,192,193101.0 定期外千人キロ13,682,107103.1 計千人キロ33,874,300101.8 合計定期千人キロ21,319,758101.4 定期外千人キロ35,647,020105.0 計千人キロ56,966,779103.6 乗車効率新幹線%48.146.0 在来線%37.036.9 計%40.840.1 (注)1 キロ程欄の上段括弧書は、外数で第三種鉄道事業のキロ程であり、それ以外は第一種鉄道事業及び第二種鉄道事業のキロ程であります。また、前事業年度比は、前事業年度末の数値を記載しております。2 客車走行キロ数には、試運転、営業回送を含めておりません。3 輸送人キロ欄の近畿圏は、京都府(南部)、大阪府(一部を除く)、兵庫県(南部)、滋賀県、奈良県(一部を除く)及び三重県(一部)について記載しております。4 乗車効率欄の前事業年度比は、前事業年度の数値を記載しております。なお、乗車効率は次の方法により算出しております。乗車効率 =輸送人キロ客車走行キロ × 客車平均定員(標準定員) イ.収入実績 区分単位当事業年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日) 前事業年度比旅客運輸収入旅客収入新幹線定期百万円14,622109.6%定期外百万円533,638107.6 計百万円548,260107.6 在来線近畿圏定期百万円108,973101.3 定期外百万円209,038106.1 計百万円318,012104.4 その他定期百万円20,715101.2 定期外百万円60,976104.7 計百万円81,691103.8 計定期百万円129,688101.3 定期外百万円270,014105.8 計百万円399,703104.3 合計定期百万円144,310102.0 定期外百万円803,653107.0 計百万円947,964106.2 荷物収入百万円05.1 合計百万円947,964106.2 鉄道線路使用料収入百万円4,723102.4 運輸雑収百万円70,747102.4 収入合計百万円1,023,435105.9 (注) 旅客収入欄の近畿圏は、京都府(南部)、大阪府(一部を除く)、兵庫県(南部)、滋賀県、奈良県(一部を除く)及び三重県(一部)について記載しております。 (2) 資産、負債及び純資産の状況当連結会計年度末の総資産額は、3兆9,867億円となり、前連結会計年度末と比較し2,343億円増加しました。これは主に、現金及び預金の増加によるものです。負債総額は、2兆6,495億円となり、前連結会計年度末と比較し1,773億円増加しました。これは主に、借入金の増加によるものです。純資産総額は、1兆3,372億円となり、前連結会計年度末と比較し570億円増加しました。これは主に、利益剰余金の増加によるものです。 (3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,094億円増の2,348億円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)税金等調整前当期純利益などにより、営業活動において得た資金は3,616億円(前連結会計年度は2,814億円の収入)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)固定資産の取得などにより、投資活動において支出した資金は2,536億円(前連結会計年度は2,631億円の支出)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)社債や借入による調達と返済などにより、財務活動において得た資金は0億円(前連結会計年度は1,261億円の支出)となりました。 (4) 生産、受注及び販売の実績当社及びその連結子会社(以下「当社グループ」という。)の大多数は、受注生産形態を取らない業態であります。このため、生産、受注及び販売の状況については、「4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]」における各事業のセグメント別経営成績に関連付けて示しております。 (5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループは、基幹事業である鉄道事業において安全性の向上に全力で取り組むとともに、その他のグループ事業においては、各事業の特性を活かしたさまざまな施策の展開及び保有資産の有効活用等に努めてきました。当連結会計年度においては、大阪駅や広島駅周辺のまちづくりプロジェクトの開業効果最大化、大阪・関西万博やインバウンドによる増収等により、営業収益、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも増加しました。ア.営業収益営業収益は、前連結会計年度に比べ8.1%、1,378億円増加の1兆8,458億円となりました。モビリティ業セグメントについては、大阪・関西万博やインバウンドに加え、万博後も国内需要が堅調であったこと等により運輸収入が増加し、営業収益は前連結会計年度に比べ5.6%、588億円増加の1兆1,056億円となりました。運輸収入のうち、新幹線については、前連結会計年度に比べ7.6%、388億円増加の5,482億円、在来線については、前連結会計年度に比べ4.3%、164億円増加の3,997億円となりました。流通業セグメントについては、大阪・関西万博オフィシャルストアや駅構内店舗、流通業セグメントに区分される宿泊特化型ホテル「ヴィアイン」のご利用が好調であったこと等により、前連結会計年度に比べ11.7%、243億円増加の2,326億円となりました。不動産業セグメントについては、まちづくりプロジェクトの開業効果等によりショッピングセンター業、ホテル業が好調に推移したことや、不動産販売・賃貸を拡大したこと等により、前連結会計年度に比べ22.8%、530億円増加の2,857億円となりました。旅行・地域ソリューション業セグメントについては、ソリューション事業における取扱増等により、前連結会計年度に比べ0.2%、4億円増加の1,892億円となりました。イ.営業費用賃金・労務単価上昇に伴う人件費や修繕費の増加に加え、万博関連経費の計上等により、前連結会計年度に比べ7.9%、1,199億円増加の1兆6,477億円となりました。ウ.営業利益営業利益は、前連結会計年度に比べ9.9%、179億円増加の1,980億円となりました。エ.営業外損益営業外損益については、前連結会計年度と同水準の143億円の損失となりました。 オ.経常利益経常利益は、前連結会計年度に比べ10.9%、180億円増加の1,836億円となりました。カ.特別損益特別損益については、47億円の損失(前連結会計年度は11億円の損失)となりました。キ.親会社株主に帰属する当期純利益親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ11.9%、135億円増加の1,274億円となりました。 ② 経営成績に重要な影響を与える要因ア.収益に影響する要因[モビリティ業] モビリティ業セグメントは鉄道運輸収入が大宗を占めております。鉄道運輸収入は、主に鉄道利用者数により左右され、航空機を含めた他の輸送モード、同業他社との競争や、経済情勢、少子高齢化等、多くの要因により影響を受けます。また、鉄道利用者は、安全性、信頼性をベースに、所要時間・ネットワーク性・運賃・快適性を基準として選択を行うと考えております。 新幹線の収入は、主として、ビジネスや観光旅行客の数に左右され、経済環境や航空機との競争、訪日観光客の動向等に影響を受けます。 近畿圏の収入は経済情勢による増減やワークスタイルの変化、少子高齢化や都市化等の人口推移による影響を受けると考えております。 その他在来線のうち、都市間輸送の収入は経済情勢や高速バス、自家用車との競争による影響を受けます。また、ローカル線の収入は自家用車との競争や地域の経済情勢及び人口の推移による影響を受けます。[流通業] 流通業セグメントの収入は、主に百貨店業、物品販売業及び飲食業からの収入で構成されております。当セグメントの収入は、経済情勢及び他の百貨店、物販店舗、レストランとの競争に左右されます。当セグメントの事業の多くが駅やその周辺で行われているため、鉄道輸送量も影響を受ける要因です。また、新規店舗の開発や既存店舗の廃止によっても左右されます。[不動産業] 不動産業セグメントの収入は、主に駅やその周辺施設の賃貸収入、沿線におけるマンションの分譲販売、ホテル業により得られます。当セグメントは、経済情勢の影響や、マンション分譲事業の販売数の増減により業績が変動するほか、ホテル業の収益は、宿泊料金や他ホテルとの競争、訪日観光客の動向に影響されます。賃貸事業において、駅は比較的安定したご利用があるものの、賃貸物件の需給状況による影響を受けます。テナントは立地の利便性から駅構内及びその周辺オフィスを好むことから、同業他社に比べ、経済情勢による影響は少ないと考えております。[旅行・地域ソリューション業] 旅行・地域ソリューション業セグメントの収入は、主に他旅行業者との競争、経済情勢やテロ等旅行を妨げる状況により影響を受けます。また、官公庁や自治体の事業や公務の受託状況により影響を受けます。 イ.費用に影響する要因[人件費] 当社は、労働力不足が拡大する中、必要な人財確保の安定を図るとともに、構造改革による生産性向上を推進しつつ、新規採用等により事業運営に必要な社員数を確保してきております。当事業年度の人件費は2,199億円となっております。 人財確保については、新卒採用に加え、社会人採用やカムバック採用、リファラル採用といった幅広いチャネルを設定することで、さらに多様性のある人財ポートフォリオへの転換を図ります。当事業年度においては新卒採用及び社会人採用等合計約1,400名の採用を行いました。 また、年齢構成により退職者数が多い中で、一層円滑な技術継承を図ることなどの観点から、従来の定年退職後の再雇用制度に加え、2023年度から65歳以上の再雇用にも取り組んでいます。[物件費] 当社は、鉄道事業の特徴である、(ⅰ)多くの設備を有し、安全の確保のために必要なメンテナンスに係るコストの比重が大きい、(ⅱ)収益に連動しない「固定費用」の割合が高いなどの事情から、安全性の確保を大前提として、メンテナンスが容易な車両及び設備の導入、機械化、既存のインフラの改良等により、これらの経費を構造的に削減する取り組みを行っております。一方で、労働力不足の拡大を見据え、サプライチェーン全体の持続可能性を高めるための人財への投資などにより、今後も必要となる費用の増加が想定されます。 また、対抗輸送機関との競争力向上のため、サービスレベルの向上、販売促進のためのIT化、効率化に寄与する外注化等による費用の増加も想定されます。 さらに、電気料金の値上げを始めとした物価高騰等の継続による費用の増加が想定されます。[支払利息] 営業外費用のうち、重要なものとして支払利息があります。当社グループとしては、経営の安定性を保つために有利子負債残高や支払利息の水準を注視しております。当連結会計年度の当社グループの支払利息については217億円となり、前連結会計年度に比べ22億円増加しております。 ③ 流動性と資本の源泉ア.キャッシュ・フロー当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 イ.資本需要と設備投資 当社グループは、当連結会計年度において総額2,864億円の設備投資を実施し、そのうちモビリティ業では1,961億円、流通業では36億円、不動産業では825億円、旅行・地域ソリューション業では7億円、その他では32億円をそれぞれ実施しました。モビリティ業に関する設備投資においては、安全性の向上を中心とした鉄道インフラの整備や、老朽車両の更新等を目的とした新型車両の購入を行っております。流通業、不動産業、旅行・地域ソリューション業及びその他における当社グループの設備投資においては、新設備の建設や老朽設備の改築等を行っております。 今後も災害の激甚化を見据えた地震対策や労働人口減少を踏まえた労働生産性向上に向けた設備投資の増大が想定されます。 ウ.資金調達 資金調達については、既存債務の返済資金や設備投資資金・配当等のうち当社グループのフリー・キャッシュ・フローで賄いきれない分の調達を主としており、その調達手段は社債及び銀行等からの長期借入金等、市場動向や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しております。 また、短期的に資金を必要とする場合には、主として短期社債やコミットメントライン等で賄うことを基本としております。 なお、コミットメントラインについては、地震が発生した場合でも、あらかじめ定めた条件によって資金調達が可能な契約内容となっております。 エ.流動性 日々の収入金も確保していることから、流動性資金は十分な水準を確保しているものと考えております。 また、資金効率向上はキャッシュ・マネジメント・サービス(CMS)により、グループ内資金の有効活用を図っております。

事業リスク

主要なリスクとして、まず大規模な鉄道事故や自然災害(地震、台風、洪水など)の発生が挙げられます。これらは人命に関わるだけでなく、事業中断や復旧費用により経営に甚大な影響を及ぼす可能性があります。次に、人口減少・少子高齢化、円安・物価高騰、金利上昇といった経営環境の激変もリスクです。特に人口減少は長期的な利用客減少や人材確保の困難につながり、収益に影響を与える可能性があります。さらに、デジタル化の加速による技術革新や新たなビジネスモデルの普及が、既存事業の収益構造を大きく変える可能性も秘めています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|9,483 文字
3 【事業等のリスク】 当社グループでは、「中期経営計画2030」のもと、新たな価値創造へ積極的に挑戦していく観点から、「全社的リスクマネジメント体制」を構築しております。この取り組みの中では、「中期経営計画2030」の達成を支障しうるリスクを、当社グループにおける経営上の重要リスクと位置づけ、その管理状況をモニタリングしております。具体的には、当社内(コーポレート)の各部門及びグループ各社(カンパニー・その他グループ会社)が経営へのインパクトも勘案して抽出・選定した重要リスクについて、その管理状況を「リスク管理表」として取りまとめ、代表取締役社長を委員長とする「グループリスクマネジメント委員会」で集約・一覧化し、確認・議論しております。 とりわけグループ全体への影響や共通性をもつリスク(グループ共通重要リスク)のモニタリングに向けては、戦略リスクとオペレーショナルリスクに仕分けたうえで、社内各委員会等での議論も含めてリスク管理の責任と役割を具体化し、「グループ共通重要リスク管理表」として一覧化するなどリスクマネジメントの実効性を高めています。 また、グループリスクマネジメント委員会を通じて確認したリスク管理状況や議論等については、取締役会に報告するほか、必要な改善措置に繋げるための総括として、「リスクマネジメントレビュー」をグループ全体に向けて発信し、次年度のリスク管理の取り組みに反映しております。 これらの社内各委員会等での議論のもと、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクを以下に記載します。 なお、文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日において当社グループが判断したものです。 (1) 安全の確保 鉄道事業においては、事故が発生した場合、お客様の生命・財産に大きな被害をもたらすことがあり、これに伴うお客様への補償及び事故後の事業中断等により経営に対しても甚大な影響を及ぼすことがあります。鉄道を基幹事業とする当社グループにおいては、安全で信頼される質の高い輸送サービスを提供していくことが最重要課題であると考えております。 当社グループは、福知山線列車事故のような重大な事故を決して発生させないという確固たる決意のもと、福知山線列車事故の教訓である「安全の実現に欠かせない視点」に照らしてこれまでの取り組みについて確認した上で、「安全考動計画2027」を2023年3月に策定し、より一層の安全性向上をめざし、重大な事故や労働災害の未然防止に向けて取り組んでおります。 具体的には、ホームの安全対策として、バリアフリー料金制度対象駅のうち、乗降10万人以上の駅にはホーム柵を整備し、乗降10万人未満の駅にはホーム柵又はホーム安全スクリーンを整備する方針としており、2032年度までの完了をめざします。なお、このうち2027年度までの5年間で約400億円の整備費を見込んでおります。 踏切の安全対策として、関係行政機関と協議・連携の上、立体交差事業等による踏切の解消を実施しているほか、大型車の通行が多い踏切を対象に重点的にハード整備を実施します。踏切内に自動車が停滞している場合、運転士に音声で知らせる装置を新たに追加し、2032年度までの完了をめざします。また、第4種踏切においては、恒久対策(廃止や格上げ)に加えて、踏切ゲートの設置を進めております。 こうしたハード対策に加えて、ソフト対策として「組織全体で安全を確保する仕組み」を充実させ、その仕組みのもとで「一人ひとりの安全考動」を積み重ねていきます。これらの営みを通じて「安全最優先の風土」を育み、さらなる「仕組み」の構築・改善や「一人ひとりの安全考動」につながり、このサイクルを回し続けることで、継続的な安全性の向上を実現します。 (2) 自然災害等の発生 地震、台風、地すべり、洪水等の自然災害によって、当社グループの事業及び輸送網インフラは大きな被害を受ける可能性があります。 これに対し当社グループは、将来においても事業にもたらす影響が大きい自然災害等による被害を最小限のものとするよう、防災や減災に努めております。 具体的には、地震対策として、阪神・淡路大震災以降、地震発生確率や活断層の観点から優先順位をつけて構造物の耐震補強対策や逸脱防止ガードの整備等の地震対策を進めてきたところですが、近年、大規模地震が複数発生していることを踏まえ、地震対策を山陽新幹線全線に拡大し、2052年度末までの対策完了をめざします。なお、30年間で約3,000億円の整備費を見込んでおり、在来線についても、計画に基づき着実に整備を進めております。 津波対策としては、避難誘導標等を整備し、「津波避難誘導心得」を制定するなど、速やかな避難・誘導等に向けた取り組みを進めるとともに、実践的訓練を行っております。 また、近年、短期間に集中化する豪雨等の激甚化する災害に対して、防護設備等を整備するなど、重大な被害の発生を可能な限り回避するための取り組みを推進していきます。 なお、当社ではこれらの自然災害等に備えるため、あらかじめ定めた条件によって資金調達が可能なコミットメントラインを金融機関から導入しております。 (3) 経営環境の激変 当社グループは、日本経済の情勢の中でも、主な営業エリアである西日本地域における景気動向の影響を特に受けており、人口減少・少子高齢化、円安・物価高騰及びそれらの影響を受けた設備投資や費用支出の増大が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 とりわけ人口減少・少子高齢化の進展は最大の経営上のリスクと考えており、引き続き機械化等の設備投資や生成AIの活用による生産性向上に取り組んでいきますが、中長期的なお客様のご利用の減少に加え、当社グループの事業の運営、事業領域の拡大、新しい分野への挑戦に必要な人財の確保が一層困難となることで、当社グループの事業継続性や戦略遂行に支障をきたす可能性があります。なお、人財確保に関するリスク認識の詳細については、後述の「(4)人財の確保」に記載のとおりです。 また、円安・物価高騰、金利上昇等が長期化し、インフレーションが進展すれば、事業に係る費用の増加が見込まれますが、後述の「(10)特有の法的規制」の影響等も相まって、適正な価格転嫁が行えない場合、当社グループの収益に影響を与える可能性があります。 さらに、国際情勢・政治情勢の不安定化により、訪日外国人の動向やエネルギー価格・原材料価格の変動、サプライチェーンの機能不全等が生じ、事業運営に影響を及ぼす事象となった場合、これに連動してグループ全体の経営成績に影響を与える可能性があります。 また、デジタル化の加速等に伴う革新的な技術の発達や、新たなビジネス・価値提供の仕組みの普及が当社グループの収益に極めて大きな影響を与える可能性があります。 加えて、地球環境保護や気候変動問題対応への社会的な要請の高まりや、気候変動による災害激甚化が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 今後の社会構造等を中長期的に見据えると、過疎化の進展や都市構造の変容により都市や地域間の格差が拡大していくこと、個人の嗜好・価値観や消費行動の多様化に加え、格差の拡大により消費活動の二極化が進展していくことが想定されます。これらが顕在化した場合、大量輸送を特長とする鉄道事業が中心となる当社グループの収益に大きな影響を与える可能性があります。 以上のような経営環境に関するリスクも踏まえ、「私たちの志」の実現を加速させるべく、「中期経営計画2030」を策定しました。引き続き安全性の向上を最優先としつつ、安全、良質でサステナブルなモビリティへの変革と事業ポートフォリオの変革を通じて、未来社会においても価値を創造し続ける企業グループとなるよう、取り組みを推進しております。 ・「中期経営計画2030」 (参照URL:https://www.westjr.co.jp/company/info/plan/pdf/plan_2030.pdf) (4) 人財の確保 当社グループの営業エリアである西日本地域においても、今後生産年齢人口の減少が進展することが予測されており、当社グループの事業運営を支える人財の確保が困難になる可能性があります。 「中期経営計画2030」をはじめとした経営戦略を実現していくうえでは、基幹事業を支える技術・技能の確実な継承に加え、社会や事業環境が急速に変化する中で、挑戦や共創を通じて新たな価値創出や変革を推進できる人財を継続的に確保・育成していくことが不可欠です。こうした取り組みが停滞することがあれば、当社グループの事業継続性や戦略遂行に支障をきたす可能性があります。 こうしたリスクに対し当社グループでは、人財確保のチャネル拡充、求める人財像の明確化、人財戦略の推進により、人財の確保・育成に努めております。 人財確保のチャネル拡充として、新卒採用に加え、社会人採用やカムバック採用、リファラル採用、65歳以上の再雇用等、多様な手法を組み合わせるとともに、グループ全体の人財を確保する観点から、グループ合同での説明会の実施や応募窓口の設定等、効率的かつ効果的な採用活動を進めております。さらに、求める人財像を明確化し、人だからこそ発揮できる能力を重視し、際立つ個性や深い専門性を持つ人財等、多様な人財獲得を強化しております。 人財戦略の推進については、多様性の確保やさまざまな挑戦の機会を用意することが重要との認識のもと、「人財育成」、「ダイバーシティ&インクルージョン」及び「ワークエンゲージメント」の取り組みを中心に進めてきました。引き続き、「中期経営計画2030」と連動した人財戦略の実行を通じて、多様な人財ポートフォリオの実現・活躍による変革を推進していきます。詳細は「2[サステナビリティに関する考え方及び取組] (2)重要なサステナビリティ項目 ②人財戦略」に記載のとおりです。 (5) サプライチェーンの確保 当社グループは、鉄道の持続的な運行に必要な工事・保守関係業務を委託する協力会社をはじめ、多種多様な部品・材料等を製造・調達する取引先等、さまざまなパートナー企業に支えられてサプライチェーンを構築し、事業を推進しております。当社グループのサプライチェーンを支えるパートナー企業の操業停止や少子化に伴う労働力の減少、部品・材料等の調達ルートの寸断、需要急増等による資材調達の停滞等があった場合、鉄道運行に必要な技術力や部品・材料の提供が円滑に得られず、事業の継続に支障をきたす可能性があります。 当社グループでは、工事・保守関係業務に係る施工の平準化や労働環境のさらなる向上を通じてパートナー企業への安定的な業務委託に努めるとともに、中長期的な老朽取替計画に基づく前広な予備品の発注や代替品への置換等を進めております。 また、ビジネスにおける人権、環境問題への関心が世界的に高まっており、当社グループは、取引先の皆様とともに相互に遵守していきたい基本的な考え方と行動原則をまとめた「JR西日本グループサプライチェーン方針」を制定し、取引先の皆様に周知しております。 (6) 情報セキュリティ、情報管理 当社グループでは、鉄道運行や乗車券販売等のモビリティに関わるシステムに始まり、流通、不動産、旅行・地域ソリューション等の各事業分野全般にわたってコンピュータシステムを用いております。また、当社グループと密接な取引関係にある他の会社ともコンピュータシステムを連携しており、それぞれ重要な役割を果たしております。昨今、DXにも取り組んでおり、これによりコンピュータシステムが当社グループの事業運営において益々重要な役割を果たすようになっております。 このようなコンピュータシステムにおいて、当社及び相互に連携するシステムへのサイバー攻撃や自然災害、停電・通信障害、人的ミス等の要因によりシステム障害が生じた場合、事業の遂行に支障をきたす可能性があります。 また、情報管理不備等により個人情報、営業秘密等の機密情報が流出し、第三者や競合事業者に利用又は悪用された場合には、お客様や取引先への被害はもとより、競争優位性の喪失や当社グループの社会的な信用低下等により、収益に影響を与える可能性があります。 これらのリスクに備えるため、当社グループでは、情報セキュリティ対策状況を定期的に点検し、自社システムへの継続的な対策の見直しを行うとともに、研修の実施等による役員・従業員のITリテラシー向上を進めております。また、システム障害や情報漏えい事故及びサイバー攻撃被害が発生した場合においても、その影響を最小限のものとするよう、初動体制の整備と平時における訓練を行うとともに、外部機関との連携強化にも努めております。これらの取り組みについて、最高情報セキュリティ責任者(CISO)を委員長とした情報セキュリティ委員会を開催し、方針を決定のうえ、進捗を管理しております。 加えて、個人情報の取得・利活用に関するプライバシーガバナンス体制等を整備し、適正な業務執行と法令遵守に努めております。また、この取り組みの一環として、各種サービスにおける個人データの利活用状況を把握するためにデータマッピングを実施し、その結果を踏まえ、運用の適切性を継続的に確認・向上させております。 (7) 重大な犯罪行為・テロ等の発生 重大な犯罪行為やテロ活動、武力攻撃等により当社グループの施設・設備等が被害を受けた場合、事業の継続に支障をきたす可能性があります。 当社では、これらに備え、不審者及び不審物への警戒警備の強化や防犯対策訓練の実施、防護装備品の配備等の各種対策を行っております。特に大規模イベント時においては、当社グループ全体で警戒警備体制の強化を図り、駅・列車・重要施設における巡回強化や、最新技術を取り入れたセキュリティ対策等を実施しております。 また、国民保護法に基づく、武力攻撃事態等における対処については、的確かつ迅速な体制の確立等、具体的な取り扱いを定めているほか、自治体からの要請に基づき、緊急避難を目的とした利用に当社グループ施設の一部を供することとしております。 さらには、当社の資金移動業やクレジットカード事業では、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与が発生した場合、業務停止や制裁金等の行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの社会的な信用が低下し、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 これらのリスクに備えるため、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止のための基本方針を制定し、体制を整備するとともに、定期的にモニタリングすることで維持・改善に努め、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の防止に取り組んでおります。 (8) 感染症の発生・流行 感染症が発生・流行した場合において、お客様の外出自粛や社員の感染等により、鉄道運行をはじめとした当社グループの事業継続が脅かされ、経営成績に甚大な影響を与える可能性があります。 今後も重大な感染症の発生等のリスクに対しては、これまでの知見を活かしつつ、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく指定公共機関として、当社が定める「西日本旅客鉄道株式会社新型インフルエンザ等対策に関する業務計画」に基づき、政府関係機関や各自治体等と緊密に連携しながら、社会インフラとしての鉄道輸送サービスの継続に万全を期していきます。 (9) コンプライアンス 当社グループは、事業活動を営む上で、会社法、金融商品取引法、独占禁止法、取適法、景品表示法、個人情報保護法、不正競争防止法等、一般に適用される法令に加え、鉄道事業法等の業態ごとに適用される法令の規制を受けるほか、事業種別に応じた規制当局の監督を受けております。これらの法的規制等に違反があった場合、行政処分を受け当社グループの社会的な信用低下を招く可能性があるほか、関連諸法令の改正やガイドラインの制定等により、既存の規制が強化された場合、当社グループの事業運営や経営成績に影響を与える可能性があります。 また、法令等違反以外にも社会規範や企業倫理にもとる事象や人権を侵害する問題が発生した場合、当社グループの社会的な信用低下を招き、お客様のご利用や人財の確保に影響を与える可能性があります。 これらのリスクに対応するため、当社グループでは、法令等の遵守体制の整備・強化を図るとともに、法令等の遵守にとどまらず、社会的要請や期待に誠実に応える事業運営を通じて、当社グループの事業に対する信頼の維持・向上に取り組んでおります。この認識のもと、「JR西日本グループ行動規範」の浸透を図るとともに、グループ全体で法令遵守・コンプライアンスに関する教育・啓発を行っております。また、代表取締役社長を委員長とする「企業倫理・人権委員会」において、法令等の遵守や人権に関する経営上の重大な事項等を審議し、その議論状況を取締役会に報告することとしております。 また、2026年4月に「JR西日本グループ 内部通報・人権救済ポリシー」を策定し、内部通報制度の信頼性及び実効性を高めるとともにグループ全体のコンプライアンス体制の向上を図るべく取り組んでおります。 (10) 特有の法的規制 鉄道事業は公益的な性格を持つことから、公的サービスにおける官民の役割分担に対する政府の考え方によって、さまざまな影響を受ける可能性があります。① 鉄道事業に対する法的規制 当社は、「鉄道事業法(1986年法律第92号)」の定めにより、営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、運賃及び一定の料金の上限について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。これらの手続きや許認可の基準が変更された場合、当社グループの収益に影響を与える可能性があります。2024年4月には、鉄道運賃水準の算定の根拠となる「総括原価」の算定方法を定める「収入原価算定要領」について、持続可能な鉄道輸送サービスに資する設備投資の促進、人財確保、自然災害の激甚化等への対応を念頭に、鉄道事業の安定的・持続的な運営等を確保していく観点から見直しが行われました。 事業運営にあたっては、株主に対する配当に加え、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする適正な原資を確保することが必要であると考えており、収益の確保と経費削減を進め効率的な経営に努めておりますが、「(3)経営環境の激変」で前述したように、人口減少による収益の減少、インフレによる費用の増加等により適正な原資を確保できない場合は、「収入原価算定要領」の見直し内容も踏まえ、「中期経営計画2030」で掲げた「安全、良質でサステナブルなモビリティへの変革」に向け、適切な時期に運賃改定を実施する必要があるものと考えております。 なお、当社をJR会社法の適用対象から除外するJR会社法改正法が2001年12月1日に施行されました。すなわち、当社においては、JR会社法に定められる発行する株式等の募集及び長期借入金の認可(第5条)、重要な財産の譲渡等の認可(第8条)等の全ての規定の適用から除外されております。 一方で、本法附則により、国土交通大臣が指定するものがその事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針として以下の3点について定めることとされております。この指針は2001年11月7日に告示され、2001年12月1日から適用となっております。〈指針に定められる事項〉・会社間における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項・日本国有鉄道の改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害又はその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項 ② 整備新幹線ア.整備新幹線の建設計画 1970年に制定された全国新幹線鉄道整備法に基づき整備計画が決定された路線のうち、当社は北陸新幹線(上越市-大阪市)の営業主体となっており、建設主体である独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が建設・保有する新幹線施設の貸付けを受けて営業することとなっております。2015年3月:北陸新幹線(長野-金沢間)開業2024年3月:北陸新幹線(金沢-敦賀間)開業 イ.整備新幹線建設の費用負担 整備新幹線の建設費は、全国新幹線鉄道整備法及び関連法令に基づいて「国、地方公共団体及び旅客会社が負担すること」、「旅客会社の負担は、整備新幹線の営業主体となる旅客会社が支払う受益の範囲を限度とした貸付料等をあてること」と定められております。 なお、整備新幹線の営業主体である旅客会社が支払う貸付料の額については、「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令」第6条において、当該新幹線開業後の営業主体の受益に基づいて算定された額(定額部分)に、貸付けを受けた鉄道施設に関して同機構が支払う租税及び同機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、同機構において定めるものとされております。 北陸新幹線上越妙高-金沢間の貸付料につきましては、同機構により算定された定額部分の年額80億円が当該新幹線開業に伴う当社の受益の範囲内にあると判断し、2015年3月に同機構との合意に至るとともに、当該貸付料の額について、同機構は2015年3月に国土交通大臣の認可を受けております。北陸新幹線金沢-敦賀間の貸付料につきましては、同様の手続きにて年額93億円とし同機構は2024年3月に国土交通大臣の認可を受けております。 ウ.北陸新幹線に対する当社の考え方 敦賀以西区間については、新幹線整備により乗換が解消され、大幅な時間短縮効果が見込まれることから、早期の大阪までの全線開業が望ましいと考えております。 現在、2017年3月に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームより出された結論に基づき、「小浜京都ルート」(敦賀駅-小浜市(東小浜)附近-京都駅-京田辺市(松井山手)附近-新大阪駅)の環境影響等の検討が進められており、当社としても、引き続き今後の動向を注視していきます。 なお、全線開業に向けた着工区間の延伸に際しても「当社の負担は受益の範囲内であること」や「並行在来線の経営分離」という従前からの基本原則が守られる必要があると考えております。

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