9022

東海旅客鉄道(9022)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

陸運業 運輸・物流

事業の概要

  • 運輸業が基盤
    JR東海グループは、東海道新幹線と東海地方の在来線を中心とした鉄道事業を核としています。これは、日本の大動脈輸送を担う重要なインフラであり、安定した収益源となっています。また、バス事業も展開し、地域交通を支えています。
  • 流通業と不動産業
    駅ビル内での百貨店運営(JRセントラルタワーズなど)や駅構内での物品販売、駅ビル等の不動産賃貸・分譲事業も手掛けています。これらは鉄道事業との相乗効果を生み出し、グループ全体の収益力を強化する役割を担っています。
  • 多角的な事業展開
    ホテル業、旅行業、広告業といったサービス事業に加え、鉄道車両の製造や設備の保守・修繕も自社グループで行っています。これにより、鉄道事業を多方面からサポートし、安定的な事業運営を可能にしています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 運輸事業
    JR東海グループの最大の稼ぎ頭であり、売上高1兆4905億円、営業利益6497億円を計上しています。東海道新幹線と東海地方の在来線における鉄道事業が中心で、バス事業も含まれます。安定した基盤事業として、グループ全体の収益を牽引しています。
  • 流通・その他事業
    売上高は1631億円、営業利益は156億円です。駅構内や列車内での物品販売、JRセントラルタワーズ内の百貨店運営などが含まれます。鉄道利用者の利便性向上と、駅という立地を活かした商業展開により、鉄道事業との相乗効果を生み出しています。
  • 不動産事業
    売上高は518億円、営業利益は228億円です。駅ビル等の不動産賃貸事業や不動産分譲事業を展開しています。主要駅周辺の好立地を活かした開発により、安定した賃料収入と資産価値の向上を図り、グループの収益に貢献しています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Transportation 事業 14,905 6,497 43.6%
MerchandiseAndOther 事業 1,632 156 9.6%
RealEstate 事業 518 229 44.1%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|660 文字
3【事業の内容】 当社グループの営んでいる主要な事業内容は次のとおりです。 なお、次の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一です。 (1) 運輸業 東海道新幹線及び東海地方の在来線における鉄道事業のほか、バス事業等を営んでいます。 [主な関係会社] 当社、ジェイアール東海バス㈱ (2) 流通業 JRセントラルタワーズにおいて百貨店業を営むほか、駅構内等における物品の販売等を行っています。 [主な関係会社] ㈱ジェイアール東海髙島屋、㈱JR東海リテイリング・プラス、ジェイアール東海商事㈱ (3) 不動産業 駅ビル等不動産賃貸事業のほか、不動産分譲事業を営んでいます。 [主な関係会社] 当社、ジェイアールセントラルビル㈱、JR東海不動産㈱、新横浜ステーション開発㈱、 東京ステーション開発㈱、名古屋ステーション開発㈱、ジェイアール東海関西開発㈱ (4) その他 当社沿線等におけるホテル業のほか、旅行業、広告業等を営んでいます。 また、鉄道車両等の製造、各種設備の保守・検査・修繕等を行っています。 [主な関係会社] ホテル・サービス業 ㈱ジェイアール東海ホテルズ、㈱ジェイアール東海ツアーズ、 ㈱JR東海エージェンシーその他 日本車輌製造㈱、ジェイアール東海建設㈱、日本機械保線㈱、 JR東海テクノクリエイト㈱、新生テクノス㈱以上に述べた事項及び当社の主な関係会社の概要図は次のとおりです。(注) ※印は持分法適用の関連会社を示しています。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
鉄道事業法により運賃等の上限設定・変更には国土交通大臣の認可が必要であり、機動的な変更が難しい。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
鉄道事業法に基づく国土交通大臣の許可、運賃・料金の認可、及び大規模な設備投資が必要。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:鉄道事業法等による法的規制の変更 / 運賃及び料金の設定・変更の制約 / 航空会社や他交通機関との競合
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 12 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

JR東海は東海道新幹線という、他に代替手段が極めて少ないインフラを独占的に運営している。これは強力な無形資産だが、法規制や将来的な競合(リニア中央新幹線開業後の在来線活用など)の可能性も考慮すると、スコアは限定的。

スイッチングコスト★★★★☆
根拠:強い乗り換えの手間・コスト

東海道新幹線は、東京-新大阪間のビジネス・観光移動において、圧倒的な速さと利便性を提供しており、代替手段への乗り換えは時間的・コスト的損失が大きい。特にビジネス利用者のロイヤルティは高い。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

鉄道事業自体に直接的なネットワーク効果は限定的。乗客が増えることで運行効率が劇的に向上するわけではない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

鉄道インフラの維持・管理・更新には莫大なコストがかかる。新規参入は極めて困難だが、既存インフラの維持コストは常に存在する。規模の経済による効率化はある程度見込める。

規模の経済★★★★★
根拠:強い規模が参入障壁になる

東海道新幹線という、日本経済の生命線とも言えるドル箱路線を独占的に運営しており、その規模と収益性は圧倒的。競合が参入しにくい構造であり、効率的な寡占状態を維持している。

  • 日本の大動脈輸送
    東海道新幹線は、東京・名古屋・大阪を結ぶ日本の経済活動に不可欠な大動脈であり、その運行を担うJR東海は極めて高い公共性と安定した需要基盤を持っています。この路線は、他社が容易に参入できない独占的な事業領域を形成しています。
  • 許認可による参入障壁
    鉄道事業は、国土交通大臣の許可が必要であり、運賃・料金の設定にも国の認可が求められるなど、厳格な法的規制下にあります。これにより、新規参入が極めて困難であり、既存事業者としての強い競争優位性を確立しています。
  • 駅周辺の複合開発
    名古屋駅のJRセントラルタワーズやJRゲートタワーに代表されるように、駅という好立地を活かした商業施設やオフィスビルなどの不動産開発を積極的に行っています。これにより、鉄道利用者の利便性を高めるとともに、不動産賃貸収入という安定的な収益源を確保し、事業間の相乗効果を生み出しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • 安全最優先と大動脈の維持発展
    JR東海は、鉄道事業において安全の確保を最優先とし、東海道新幹線と東海地域の在来線網を一体的に維持・発展させることを基本方針としています。これは、日本の大動脈輸送を担う企業としての社会的使命を果たすための基盤です。
  • 中央新幹線の早期実現
    東海道新幹線の経年劣化や大規模災害への備えとして、大動脈輸送の二重系化を目的とした中央新幹線(リニア)の建設を推進しています。自己負担を前提としつつ、財政投融資も活用しながら、品川・名古屋間の開業後、速やかに名古屋・大阪間の工事に着手し、早期の全線開業を目指しています。
  • 業務改革と収益拡大
    生活様式や働き方の変化に対応するため、AIやICT技術を活用した効率的な業務執行体制の構築(業務改革)と、新しい発想による収益拡大を経営戦略の柱としています。これにより、鉄道事業の競争力強化とグループ全体の収益力向上を図り、持続的な企業価値向上を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 会社の経営の基本方針 当社は、「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」という経営理念の下、鉄道事業において、安全の確保を最優先に、お客様に選択されるサービスの提供、業務効率化等について不断の取組みを行うことにより、日本の大動脈輸送を担う東海道新幹線と東海地域の在来線網を一体的に維持・発展させることに加え、大動脈輸送を二重系化する中央新幹線の建設により、「三世代の鉄道」を運営するということを使命としており、これを長期にわたり安定的に果たし続けていくことを基本方針としています。 当社グループとしても、名古屋駅におけるJRセントラルタワーズ・JRゲートタワーの各事業展開に代表されるような鉄道事業と相乗効果を期待できる事業分野に加えて、沿線にお住まいのお客様の暮らしを豊かにするための様々なサービスを提供することで、グループ全体の収益力強化を図ります。 (2) 中長期的な会社の経営戦略 当社グループの中核をなす鉄道事業については、長期的展望を持って事業運営を行うことが極めて重要であり、生活様式や働き方の変化、労働力人口の減少等、当社を取り巻く環境が変化していることを踏まえ、AIを含め最新のICT等の技術を活用して効率的な業務執行体制を構築する「業務改革」と新しい発想による「収益の拡大」の2つを柱とした経営体力のさらなる強化に取り組みながら、主要プロジェクトを計画的に推進しています。 東海道新幹線については、これまで安全で正確な輸送を提供するとともに、不断に輸送サービスの充実に向けた取組みを進めてきました。今後についても、安全の確保を最優先に、全線を対象とした脱線・逸脱防止対策等の地震対策を進めるとともに、土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、大規模改修工事を着実に進めます。また、一部時間帯において「のぞみ」を1時間に最大13本運転するダイヤを活用した弾力的な列車設定を行うとともに、N700Sの投入を進めるなど、さらなる輸送サービスの充実に向けて取り組みます。 在来線についても、安全の確保を最優先に、地震対策、降雨対策、落石対策、踏切保安設備改良等を進めるとともに、特急列車の弾力的な増結や増発、新型特急車両385系量産先行車やハイブリッド方式の新形式普通車両HC35形を新製するなど、さらなる輸送サービスの充実に向けて取り組みます。 超電導磁気浮上式鉄道(以下「超電導リニア」という。)による中央新幹線については、当社の使命であり経営の生命線である首都圏~中京圏~近畿圏を結ぶ高速鉄道の運営を持続するとともに、企業としての存立基盤を将来にわたり確保していくため計画しているものです。現在この役割を担う東海道新幹線は開業から60年以上が経過しており、早期に大動脈輸送を二重系化し、将来の経年劣化や大規模災害に対して抜本的に備える必要があります。このため、その役割を代替する中央新幹線について、自己負担を前提として、当社が開発してきた超電導リニアにより可及的速やかに実現し、東海道新幹線と一元的に経営していくこととしています。このプロジェクトの完遂に向けて、鉄道事業における安全・安定輸送の確保と競争力強化に必要な投資を行うとともに、健全経営と安定配当を堅持し、コストを十分に精査しつつ、柔軟性を発揮しながら着実に取り組みます。その上で、中央新幹線の建設の推進を図るため、財政投融資を活用した長期借入を行ったことを踏まえ、まずは品川・名古屋間の工事を進め、その開業後連続して、名古屋・大阪間の工事に速やかに着手し、早期の全線開業を目指して、取組みを進めます。 また、このプロジェクトは自己負担により進めるものであり、プロジェクト管理を徹底します。具体的には、社内に設置した「中央新幹線工事費削減委員会」をはじめとする様々な場で、建設・運営・保守等全ての場面におけるコストを検証し、安全を確保した上で削減するとともに、プロジェクト推進に当たってリスクを早期に把握し、迅速に対処していく考えです。 鉄道以外の事業についても、「会社の経営の基本方針」に則り、諸施策を着実に推進することにより、グループ全体の収益力の強化に取り組みます。 (3) 会社の対処すべき課題 当社グループは、「会社の経営の基本方針」に基づき諸施策を推進します。次期において重点的に取り組む施策は、以下のとおりです。 鉄道事業については、地震対策をはじめとする構造物のさらなる強化として、東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策について脱線防止ガードの全線への敷設を進めるとともに、プラットホーム上家の耐震補強、在来線の高架橋柱の耐震化等を進めます。また、東海道新幹線の大規模改修工事について、技術開発の成果を踏まえ、施工方法を改善するなど、不断のコストダウンを重ねながら進めます。自然災害への対策としては、ハザードマップ等を踏まえ、鉄道設備の浸水対策を進めます。また、豪雨時における最適な運転規制に繋げるため、東海道新幹線の盛土等を強化する対策を開始します。さらに、豪雨時等に、安全を最優先に適切な運行計画の決定、適時かつ的確な案内情報の提供を行います。加えて、自然災害や不測の事態等の異常時に想定される様々な状況に適切に対応するため、実践的な訓練を繰り返し実施するとともに、車内防犯カメラの整備を進めるなど、ハード・ソフトの両面から車内のセキュリティ対策に取り組みます。このほか、半田駅及び沼津駅付近の連続立体交差化に向けた工事を進めるとともに、第20回アジア競技大会・第5回アジアパラ競技大会に対応した輸送を完遂します。 東海道新幹線については、一部時間帯において「のぞみ」を1時間に最大13本運転するダイヤを活用して、需要にあわせた弾力的な列車設定を行います。また、新たな営業車検測機能を有する編成を含めて、N700Sの投入を進めます。 在来線については、「しなの」、「ひだ」等の特急列車について、需要にあわせた弾力的な増結や増発を行います。また、新型特急車両385系量産先行車を新製し、走行試験を開始するとともに、ハイブリッド方式の新形式普通車両HC35形の設計を進めます。 旅客関連設備については、東海道新幹線について、全駅への可動柵設置に向けた設計等を進めるとともに、自動運転(GOA2)の導入に向けた開発を進め、これらの設置・導入に先行して定位置停止制御(TASC)の全駅・全営業列車での運用を開始します。在来線については、名古屋駅2番線ホームへの可動柵設置に向けた設計を進めるとともに、刈谷駅でホームの拡幅、可動柵設置等の工事を進めます。また、駅におけるエレベーターやバリアフリートイレの設置等、バリアフリー設備の整備について、国・関係自治体と連携しつつ取り組みます。さらに、「お客様サポートサービス」の導入駅を拡大するとともに、2027年春のTOICAエリアの拡大及び「南紀」のチケットレス乗車サービスの開始に向けた準備を進めます。 営業施策については、「EXサービス」について、JR他社が運営するネット予約サービスと連携するなど利便性を向上させるとともに、「EX旅パック」、「EX旅先予約」で予約できるプラン等を充実させます。需要喚起策としては、「推し旅」キャンペーンや「貸切車両パッケージ」をはじめとする営業施策を積極的に展開するとともに、京都、奈良、東京、静岡、飛騨等、魅力ある観光素材の開発に継続的に取り組みます。また、東海道新幹線の出張利用を促すとともにMICEを誘致するなど、ビジネス需要の獲得に向けた取組みを進めます。訪日外国人に対しては、国や地域ごとの旅客動向や商品のご利用の分析を進め、沿線自治体等と連携しながら、より効果的な宣伝を展開するとともに、旅行会社との連携強化による販路の拡大に取り組むなど、営業施策を強化します。加えて、東海道新幹線について、上級クラス座席(個室タイプ)のサービスを開始するとともに、2027年度中の上級クラス座席(半個室タイプ)の導入やグリーン車のサービス向上等、さらに高品質な、様々な輸送サービスの導入に向けた準備を進めます。さらに、「さわやかウォーキング」の開催や「飯田線秘境駅号」の運転等を通じて地域との連携を強化するとともに、鉄道のご利用の拡大を図ります。このほか、鉄道の競争環境の変化や物価上昇に伴う費用の増加等、当社の経営環境が大きく変化する中、将来にわたって輸送機関としての使命を果たし、より良いサービスを提供し続けるため、引き続き、関係箇所に対して、柔軟・簡便な運賃等の設定が可能となるよう働きかけます。 超電導リニアによる中央新幹線計画については、プロジェクトの完遂に向けて、健全経営と安定配当を堅持し、コストを十分に精査しつつ、柔軟性を発揮しながら着実に取り組みます。また、工事の安全、環境の保全、地域との連携を重視し、中央新幹線の早期開業に取り組みます。具体的には、品川・名古屋間の総工事費が増加する見通しとなったことを踏まえ、プロジェクト管理機能を強化するとともに、用地取得等、並びに山岳トンネル、都市部トンネル、駅等の土木を中心とした各種工事を精力的に進めます。機械及び電気設備等については、契約及び発注時期も考慮の上、低コスト化及び品質向上を図ります。南アルプストンネル静岡工区については、引き続き、トンネル掘削工事の早期着手に向けて、地域の理解と協力を得られるよう、双方向のコミュニケーションを大切にしながら、真摯に取り組みます。 一方、超電導リニア技術については、技術開発によるコストダウンとブラッシュアップに取り組みます。このうち、高温超電導磁石について、営業車両への投入を前提に一層のコストダウンを進めるとともに、安定運用に向けたさらなる検証を進めます。また、最新のICTを活用した効率的な運営体制の実現に向けた開発において、AI等による画像やビッグデータの分析システムの改良・実証等を進めます。さらに、新しいL0系改良型試験車(M10)を活用した技術開発等により営業車両の仕様策定を進め、設計を深度化します。加えて、高付加価値なサービスの追求を行うとともに、様々な形で超電導リニアの体験乗車を開催し、中央新幹線の開業に向けた期待感の醸成に取り組みます。 高速鉄道システムの海外展開については、台湾における高速鉄道について、N700Sをベースとした新型車両導入や各種設備更新に伴う技術コンサルティングを進めます。また、米国における高速鉄道プロジェクトに取り組みます。さらに、日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みを進めます。 技術開発については、地震発生時に列車をより早く停止させる情報伝達システムの開発等、地震に対する安全性を高めるための技術開発を進めます。また、車内通信環境の改善や新たな車内サービスの実現に向けた技術開発を進めます。さらに、検査や保守の高度化・省力化、設備の維持更新におけるコストダウン等による「業務改革」の推進に向けて、AIやデータ・画像分析、ロボット制御等の先端技術を活用した技術開発を進めます。 鉄道以外の事業については、当社グループの共通ポイントサービス「TOKAI STATION POINT」について、データマーケティングの強化等を進め、グループ事業と鉄道事業の双方の収益拡大を図ります。また、駅店舗について、品揃えの充実により便利で魅力ある店舗づくりを進めるとともに、ひよこ型のスイーツ「ぴよりん」の15周年記念企画の実施等、グループ事業と鉄道事業で連携した取組みを進めます。さらに、JRセントラルタワーズやJRゲートタワー等の駅ビル事業について、魅力ある施設とすることで収益力の強化に取り組むとともに、東京駅、名古屋駅等の駅商業施設を拡張・リニューアルし、岡崎駅東口の商業施設の開業等、当社グループが保有する土地・建物の有効活用を進めます。加えて、「コートヤード・バイ・マリオット京都駅」を開業し、「ヒルトン高山リゾート」、「コートヤード・バイ・マリオット新横浜駅」をリブランド開業するとともに、「ホテル 寧 奈良」の計画等を進めます。このほか、東海道新幹線の業務用室を活用した法人向け荷物輸送サービス「東海道マッハ便」等、鉄道アセットを活用した取組みを進めます。 持続可能な社会の実現に向けた取組みについては、政府による「2050年カーボンニュートラル」政策を前提に2050年のCO2排出量実質ゼロを目指すとともに、2030年度のCO2排出量についても、同政策を前提として、2013年度比で46%削減することを目指すなど、地球環境保全に資する諸施策を推進します。具体的には、当社のCO2排出量の約5%を占める「燃料の使用に伴う直接排出」の削減に向けて、ハイブリッド方式のHC35形の設計及び模擬走行試験を通じた水素動力車両(燃料電池車、水素エンジン車)に関する開発を進めるとともに、蓄電池車及びカーボンニュートラル燃料について、調査研究に取り組みます。また、残りの約95%を占める「電気の使用に伴う間接排出」の削減に向けて、省エネルギー車両であるN700Sの投入を進めるとともに、省エネルギー運転に資する技術開発を進め、防音壁へのペロブスカイト太陽電池の適用を検討するなど、再生可能エネルギーの活用にも取り組みます。さらに、鉄道各社と連携しながらPRを強化するなど、鉄道の環境優位性への社会的な理解を広め、鉄道のご利用を促進することで、脱炭素社会への移行に貢献します。加えて、「エクスプレス予約」法人会員に対する、東海道・山陽・九州新幹線におけるCO2排出量実質ゼロ化サービス「GreenEX」の導入企業を拡大します。このほか、「東海道新幹線再生アルミ」の活用等、廃棄物の削減や資源の再利用等を通じて、地球環境への負荷を低減します。 以上のように、引き続き、安全の確保を最優先に輸送機関としての使命を果たしつつ、「業務改革」と「収益の拡大」の2つを柱とした経営体力のさらなる強化を図っていきます。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 会社の経営の基本方針 当社は、「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」という経営理念の下、鉄道事業において、安全の確保を最優先に、お客様に選択されるサービスの提供、業務効率化等について不断の取組みを行うことにより、日本の大動脈輸送を担う東海道新幹線と東海地域の在来線網を一体的に維持・発展させることに加え、大動脈輸送を二重系化する中央新幹線の建設により、「三世代の鉄道」を運営するということを使命としており、これを長期にわたり安定的に果たし続けていくことを基本方針としています。 当社グループとしても、名古屋駅におけるJRセントラルタワーズ・JRゲートタワーの各事業展開に代表されるような鉄道事業と相乗効果を期待できる事業分野に加えて、沿線にお住まいのお客様の暮らしを豊かにするための様々なサービスを提供することで、グループ全体の収益力強化を図ります。 (2) 中長期的な会社の経営戦略 当社グループの中核をなす鉄道事業については、長期的展望を持って事業運営を行うことが極めて重要であり、生活様式や働き方の変化、労働力人口の減少等、当社を取り巻く環境が変化していることを踏まえ、AIを含め最新のICT等の技術を活用して効率的な業務執行体制を構築する「業務改革」と新しい発想による「収益の拡大」の2つを柱とした経営体力のさらなる強化に取り組みながら、主要プロジェクトを計画的に推進しています。 東海道新幹線については、これまで安全で正確な輸送を提供するとともに、不断に輸送サービスの充実に向けた取組みを進めてきました。今後についても、安全の確保を最優先に、全線を対象とした脱線・逸脱防止対策等の地震対策を進めるとともに、土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、大規模改修工事を着実に進めます。また、一部時間帯において「のぞみ」を1時間に最大13本運転するダイヤを活用した弾力的な列車設定を行うとともに、N700Sの投入を進めるなど、さらなる輸送サービスの充実に向けて取り組みます。 在来線についても、安全の確保を最優先に、地震対策、降雨対策、落石対策、踏切保安設備改良等を進めるとともに、特急列車の弾力的な増結や増発、新型特急車両385系量産先行車やハイブリッド方式の新形式普通車両HC35形を新製するなど、さらなる輸送サービスの充実に向けて取り組みます。 超電導磁気浮上式鉄道(以下「超電導リニア」という。)による中央新幹線については、当社の使命であり経営の生命線である首都圏~中京圏~近畿圏を結ぶ高速鉄道の運営を持続するとともに、企業としての存立基盤を将来にわたり確保していくため計画しているものです。現在この役割を担う東海道新幹線は開業から60年以上が経過しており、早期に大動脈輸送を二重系化し、将来の経年劣化や大規模災害に対して抜本的に備える必要があります。このため、その役割を代替する中央新幹線について、自己負担を前提として、当社が開発してきた超電導リニアにより可及的速やかに実現し、東海道新幹線と一元的に経営していくこととしています。このプロジェクトの完遂に向けて、鉄道事業における安全・安定輸送の確保と競争力強化に必要な投資を行うとともに、健全経営と安定配当を堅持し、コストを十分に精査しつつ、柔軟性を発揮しながら着実に取り組みます。その上で、中央新幹線の建設の推進を図るため、財政投融資を活用した長期借入を行ったことを踏まえ、まずは品川・名古屋間の工事を進め、その開業後連続して、名古屋・大阪間の工事に速やかに着手し、早期の全線開業を目指して、取組みを進めます。 また、このプロジェクトは自己負担により進めるものであり、プロジェクト管理を徹底します。具体的には、社内に設置した「中央新幹線工事費削減委員会」をはじめとする様々な場で、建設・運営・保守等全ての場面におけるコストを検証し、安全を確保した上で削減するとともに、プロジェクト推進に当たってリスクを早期に把握し、迅速に対処していく考えです。 鉄道以外の事業についても、「会社の経営の基本方針」に則り、諸施策を着実に推進することにより、グループ全体の収益力の強化に取り組みます。 (3) 会社の対処すべき課題 当社グループは、「会社の経営の基本方針」に基づき諸施策を推進します。次期において重点的に取り組む施策は、以下のとおりです。 鉄道事業については、地震対策をはじめとする構造物のさらなる強化として、東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策について脱線防止ガードの全線への敷設を進めるとともに、プラットホーム上家の耐震補強、在来線の高架橋柱の耐震化等を進めます。また、東海道新幹線の大規模改修工事について、技術開発の成果を踏まえ、施工方法を改善するなど、不断のコストダウンを重ねながら進めます。自然災害への対策としては、ハザードマップ等を踏まえ、鉄道設備の浸水対策を進めます。また、豪雨時における最適な運転規制に繋げるため、東海道新幹線の盛土等を強化する対策を開始します。さらに、豪雨時等に、安全を最優先に適切な運行計画の決定、適時かつ的確な案内情報の提供を行います。加えて、自然災害や不測の事態等の異常時に想定される様々な状況に適切に対応するため、実践的な訓練を繰り返し実施するとともに、車内防犯カメラの整備を進めるなど、ハード・ソフトの両面から車内のセキュリティ対策に取り組みます。このほか、半田駅及び沼津駅付近の連続立体交差化に向けた工事を進めるとともに、第20回アジア競技大会・第5回アジアパラ競技大会に対応した輸送を完遂します。 東海道新幹線については、一部時間帯において「のぞみ」を1時間に最大13本運転するダイヤを活用して、需要にあわせた弾力的な列車設定を行います。また、新たな営業車検測機能を有する編成を含めて、N700Sの投入を進めます。 在来線については、「しなの」、「ひだ」等の特急列車について、需要にあわせた弾力的な増結や増発を行います。また、新型特急車両385系量産先行車を新製し、走行試験を開始するとともに、ハイブリッド方式の新形式普通車両HC35形の設計を進めます。 旅客関連設備については、東海道新幹線について、全駅への可動柵設置に向けた設計等を進めるとともに、自動運転(GOA2)の導入に向けた開発を進め、これらの設置・導入に先行して定位置停止制御(TASC)の全駅・全営業列車での運用を開始します。在来線については、名古屋駅2番線ホームへの可動柵設置に向けた設計を進めるとともに、刈谷駅でホームの拡幅、可動柵設置等の工事を進めます。また、駅におけるエレベーターやバリアフリートイレの設置等、バリアフリー設備の整備について、国・関係自治体と連携しつつ取り組みます。さらに、「お客様サポートサービス」の導入駅を拡大するとともに、2027年春のTOICAエリアの拡大及び「南紀」のチケットレス乗車サービスの開始に向けた準備を進めます。 営業施策については、「EXサービス」について、JR他社が運営するネット予約サービスと連携するなど利便性を向上させるとともに、「EX旅パック」、「EX旅先予約」で予約できるプラン等を充実させます。需要喚起策としては、「推し旅」キャンペーンや「貸切車両パッケージ」をはじめとする営業施策を積極的に展開するとともに、京都、奈良、東京、静岡、飛騨等、魅力ある観光素材の開発に継続的に取り組みます。また、東海道新幹線の出張利用を促すとともにMICEを誘致するなど、ビジネス需要の獲得に向けた取組みを進めます。訪日外国人に対しては、国や地域ごとの旅客動向や商品のご利用の分析を進め、沿線自治体等と連携しながら、より効果的な宣伝を展開するとともに、旅行会社との連携強化による販路の拡大に取り組むなど、営業施策を強化します。加えて、東海道新幹線について、上級クラス座席(個室タイプ)のサービスを開始するとともに、2027年度中の上級クラス座席(半個室タイプ)の導入やグリーン車のサービス向上等、さらに高品質な、様々な輸送サービスの導入に向けた準備を進めます。さらに、「さわやかウォーキング」の開催や「飯田線秘境駅号」の運転等を通じて地域との連携を強化するとともに、鉄道のご利用の拡大を図ります。このほか、鉄道の競争環境の変化や物価上昇に伴う費用の増加等、当社の経営環境が大きく変化する中、将来にわたって輸送機関としての使命を果たし、より良いサービスを提供し続けるため、引き続き、関係箇所に対して、柔軟・簡便な運賃等の設定が可能となるよう働きかけます。 超電導リニアによる中央新幹線計画については、プロジェクトの完遂に向けて、健全経営と安定配当を堅持し、コストを十分に精査しつつ、柔軟性を発揮しながら着実に取り組みます。また、工事の安全、環境の保全、地域との連携を重視し、中央新幹線の早期開業に取り組みます。具体的には、品川・名古屋間の総工事費が増加する見通しとなったことを踏まえ、プロジェクト管理機能を強化するとともに、用地取得等、並びに山岳トンネル、都市部トンネル、駅等の土木を中心とした各種工事を精力的に進めます。機械及び電気設備等については、契約及び発注時期も考慮の上、低コスト化及び品質向上を図ります。南アルプストンネル静岡工区については、引き続き、トンネル掘削工事の早期着手に向けて、地域の理解と協力を得られるよう、双方向のコミュニケーションを大切にしながら、真摯に取り組みます。 一方、超電導リニア技術については、技術開発によるコストダウンとブラッシュアップに取り組みます。このうち、高温超電導磁石について、営業車両への投入を前提に一層のコストダウンを進めるとともに、安定運用に向けたさらなる検証を進めます。また、最新のICTを活用した効率的な運営体制の実現に向けた開発において、AI等による画像やビッグデータの分析システムの改良・実証等を進めます。さらに、新しいL0系改良型試験車(M10)を活用した技術開発等により営業車両の仕様策定を進め、設計を深度化します。加えて、高付加価値なサービスの追求を行うとともに、様々な形で超電導リニアの体験乗車を開催し、中央新幹線の開業に向けた期待感の醸成に取り組みます。 高速鉄道システムの海外展開については、台湾における高速鉄道について、N700Sをベースとした新型車両導入や各種設備更新に伴う技術コンサルティングを進めます。また、米国における高速鉄道プロジェクトに取り組みます。さらに、日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みを進めます。 技術開発については、地震発生時に列車をより早く停止させる情報伝達システムの開発等、地震に対する安全性を高めるための技術開発を進めます。また、車内通信環境の改善や新たな車内サービスの実現に向けた技術開発を進めます。さらに、検査や保守の高度化・省力化、設備の維持更新におけるコストダウン等による「業務改革」の推進に向けて、AIやデータ・画像分析、ロボット制御等の先端技術を活用した技術開発を進めます。 鉄道以外の事業については、当社グループの共通ポイントサービス「TOKAI STATION POINT」について、データマーケティングの強化等を進め、グループ事業と鉄道事業の双方の収益拡大を図ります。また、駅店舗について、品揃えの充実により便利で魅力ある店舗づくりを進めるとともに、ひよこ型のスイーツ「ぴよりん」の15周年記念企画の実施等、グループ事業と鉄道事業で連携した取組みを進めます。さらに、JRセントラルタワーズやJRゲートタワー等の駅ビル事業について、魅力ある施設とすることで収益力の強化に取り組むとともに、東京駅、名古屋駅等の駅商業施設を拡張・リニューアルし、岡崎駅東口の商業施設の開業等、当社グループが保有する土地・建物の有効活用を進めます。加えて、「コートヤード・バイ・マリオット京都駅」を開業し、「ヒルトン高山リゾート」、「コートヤード・バイ・マリオット新横浜駅」をリブランド開業するとともに、「ホテル 寧 奈良」の計画等を進めます。このほか、東海道新幹線の業務用室を活用した法人向け荷物輸送サービス「東海道マッハ便」等、鉄道アセットを活用した取組みを進めます。 持続可能な社会の実現に向けた取組みについては、政府による「2050年カーボンニュートラル」政策を前提に2050年のCO2排出量実質ゼロを目指すとともに、2030年度のCO2排出量についても、同政策を前提として、2013年度比で46%削減することを目指すなど、地球環境保全に資する諸施策を推進します。具体的には、当社のCO2排出量の約5%を占める「燃料の使用に伴う直接排出」の削減に向けて、ハイブリッド方式のHC35形の設計及び模擬走行試験を通じた水素動力車両(燃料電池車、水素エンジン車)に関する開発を進めるとともに、蓄電池車及びカーボンニュートラル燃料について、調査研究に取り組みます。また、残りの約95%を占める「電気の使用に伴う間接排出」の削減に向けて、省エネルギー車両であるN700Sの投入を進めるとともに、省エネルギー運転に資する技術開発を進め、防音壁へのペロブスカイト太陽電池の適用を検討するなど、再生可能エネルギーの活用にも取り組みます。さらに、鉄道各社と連携しながらPRを強化するなど、鉄道の環境優位性への社会的な理解を広め、鉄道のご利用を促進することで、脱炭素社会への移行に貢献します。加えて、「エクスプレス予約」法人会員に対する、東海道・山陽・九州新幹線におけるCO2排出量実質ゼロ化サービス「GreenEX」の導入企業を拡大します。このほか、「東海道新幹線再生アルミ」の活用等、廃棄物の削減や資源の再利用等を通じて、地球環境への負荷を低減します。 以上のように、引き続き、安全の確保を最優先に輸送機関としての使命を果たしつつ、「業務改革」と「収益の拡大」の2つを柱とした経営体力のさらなる強化を図っていきます。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(業績の概要) 当社グループは、事業の中核である鉄道事業における安全の確保を最優先に、サービスの一層の充実、社員の業務遂行能力の向上、設備の強化に取り組みました。その上で、生活様式や働き方の変化によりニーズが多様化していることや、労働力人口の減少により業務のあり方の変革が求められていることなど、当社を取り巻く環境の大きな変化を踏まえ、飛躍的に進化しているAIを含め最新のICT等の技術を活用して効率的な業務執行体制を構築する「業務改革」と新しい発想による「収益の拡大」の2つを柱とした経営体力の再強化に取り組みました。 東海道新幹線については、2025年日本国際博覧会(以下「大阪・関西万博」という。)に対応した輸送を完遂するとともに、「のぞみ12本ダイヤ」、さらには3月のダイヤ改正以降は一部時間帯において「のぞみ」を1時間に最大13本運転するダイヤを活用して、需要にあわせた弾力的な列車設定を行いました。また、N700Sの投入を進めるとともに、地震対策や大規模改修工事、降雨時における最適な運転規制に繋げるための取組み等を進めました。 在来線については、「しなの」、「ひだ」等の特急列車について、需要にあわせた弾力的な増結や増発を行いました。また、通勤型電車315系について、全車両の投入を完了しました。さらに、地震対策、降雨対策、落石対策、踏切保安設備改良等を進めました。 営業施策については、「EXサービス」について、ご利用の拡大を図りました。また、様々な事業者や沿線自治体と連携しながら、ご自身の「推し」に関するコンテンツを楽しんでいただく「推し旅」キャンペーンを展開するとともに、東海道新幹線を号車単位で貸し切り、車内でオリジナルイベント等を実施できる「貸切車両パッケージ」を販売しました。さらに、「そうだ 京都、行こう。」等のキャンペーンを展開しました。 超電導リニアによる中央新幹線については、工事実施計画の認可を受けた品川・名古屋間について、用地取得等を進めるとともに、山梨県駅(仮称)の工事に着手し、品川・名古屋間の全ての駅の工事を進めることとなりました。また、大深度地下をシールドマシンで掘削する第一首都圏トンネル小野路工区、第一中京圏トンネル名城工区等で本格的な掘進を開始し、長野県の伊那山地トンネル戸中・壬生沢工区と坂島工区では山梨リニア実験線を除いて初めて隣接する工区で本坑同士が貫通するなど、沿線各地で工事を進めました。こうした中、昨年10月に、物価等高騰や難工事への対応等に伴い品川・名古屋間の総工事費が7.04兆円から11.0兆円に増加する見通しとなり、これを受け、一定の前提を置いて試算した結果、工事資金を確保し、健全経営と安定配当を堅持できることを確認しました。引き続き、プロジェクトの完遂に向けて、健全経営と安定配当を堅持し、コストを十分に精査しつつ、柔軟性を発揮しながら着実に取り組むとともに、工事の安全、環境の保全、地域との連携を重視しながら各種工事を精力的に進めます。 なお、南アルプストンネル静岡工区においては、トンネル掘削工事に着手できていない状況ですが、大井川の水資源への影響及び南アルプスの環境保全について、静岡県等と対話を重ね、静岡県が示した「対話を要する事項」については、3月に全ての項目の対話が終了しました。また、1月に、大井川の中下流域の水資源の利用に影響が生じた場合の補償等に関する確認書を、国土交通省立会いの下で静岡県と締結しました。さらに、2月に静岡県とヤード用地造成等の準備工事に関する自然環境保全協定を締結し、準備工事に着手しました。加えて、昨年7月に続いて2月に大井川流域8市2町首長との意見交換会を開催するとともに、昨年3月及び4月に続いて、昨年11月から1月にかけて大井川の水を守るための取組みに関する説明会を開催しました。引き続き、静岡工区のトンネル掘削工事の早期着手に向けて、地域の理解と協力を得られるよう、双方向のコミュニケーションを大切にしながら、真摯に取り組みます。 一方、超電導リニア技術については、高温超電導磁石の営業車両への投入を前提に、山梨リニア実験線における走行試験と小牧研究施設における検証を進めるとともに、最新のICTを活用した効率的な運営体制の実現に向けた開発において、AI等による画像やビッグデータの分析システムの改良・実証等を進めるなど、一層のコストダウンとブラッシュアップに取り組みました。また、山梨リニア実験線において新しいL0系改良型試験車である中間車1両を投入し、それにより得られるデータも活用しながら営業車両の仕様策定と設計の深度化を進めました。さらに、中央新幹線の開業に向けて期待感を醸成するため、超電導リニアの体験乗車を開催しました。加えて、小学生以下のお子様を対象に、超電導リニアに使用しているパーツの展示と超電導リニアの体験乗車を組み合わせたイベント等を初めて開催しました。 高速鉄道システムの海外展開については、米国における高速鉄道プロジェクトに取り組みました。また、台湾における高速鉄道について、N700Sをベースとした新型車両導入や各種設備更新に伴う技術コンサルティングを進めました。さらに、日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みを進めました。 鉄道以外の事業については、JRセントラルタワーズとJRゲートタワーを一体的に運営し、収益の拡大を図るとともに、JRセントラルタワーズ開業25周年に当たり、これまでのご愛顧に感謝を示す記念キャンペーン等を実施しました。また、魅力ある駅店舗づくりや駅商業施設の拡張・リニューアルを進めました。さらに、当社グループの共通ポイントサービス「TOKAI STATION POINT」について、グループ事業と鉄道事業の双方の収益拡大を図るためのキャンペーン等を実施しました。加えて、東海道新幹線の業務用室を活用した荷物輸送サービス「東海道マッハ便」の内容を拡充しました。 上記の結果、当期における全体の輸送実績(輸送人キロ)は、前期比9.2%増の697億2千4百万人キロとなりました。また、営業収益は前期比9.5%増の2兆62億円、経常利益は前期比20.3%増の7,809億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比20.6%増の5,528億円となりました。 これをセグメントごとに示すと次のとおりです。 運輸業 東海道新幹線については、大阪・関西万博に対応した輸送を完遂するとともに、「のぞみ12本ダイヤ」、さらには3月のダイヤ改正以降は一部時間帯において「のぞみ」を1時間に最大13本運転するダイヤを活用して、需要にあわせた弾力的な列車設定を行いました。また、N700Sの投入を進めました。さらに、脱線防止ガードの全線への敷設をはじめとする脱線・逸脱防止対策等の地震対策を進めるとともに、不断のコストダウンを重ねながら大規模改修工事を進めました。加えて、新たな降雨運転規制の指標として長時間降雨の影響をより適切に評価できる土壌雨量を導入するとともに、豪雨時における最適な運転規制に繋げるために、営業線盛土の一部区間において、実際の降雨時における土中の水の分布を詳細に把握するモニタリングを実施するなど、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。 在来線については、「しなの」、「ひだ」等の特急列車について、需要にあわせた弾力的な増結や増発を行うとともに、より多くのお客様に安心してご利用いただくため、ご利用が集中する期間において「しなの」、「ひだ」、「南紀」を全席指定席で運行することとし、年末年始期間に開始しました。また、通勤型電車315系について、全車両の投入を完了しました。さらに、名古屋車両区検修庫の建替や高架橋柱の耐震化等の地震対策、降雨対策、落石対策、踏切保安設備改良等を進めるとともに、名古屋駅を発着する313系への車内防犯カメラの整備を進めました。加えて、名古屋駅の中央本線ホームで可動柵の使用を開始するとともに、刈谷駅でホームの拡幅、可動柵設置等に向けた工事を進め、下りホームの拡幅を完了しました。このほか、車両側面にカメラを設置した315系4両編成に、お客様の接近等を検知する画像認識技術を活用した安全確認支援装置を搭載し、ワンマン運転を開始するとともに、TOICAのエリア拡大及びモバイルICサービスの開始、「ひだ」を対象とするチケットレス乗車サービスの開始、QRコード決済の飯田線の天竜峡駅・宮木駅間への導入、「お客様サポートサービス」の東海道本線の沼津駅・興津駅間への導入といった取組みを進めるなど、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。 新幹線・在来線共通の取組みとしては、駅の吊り天井の脱落防止対策や駅のプラットホーム上家の耐震補強工事といった地震対策を進めるとともに、自然災害や不測の事態等の異常時に想定される様々な状況に適切に対応するため、実践的な訓練を繰り返し実施しました。 営業施策については、「EXサービス」について、会員登録をすることなく「LINE」上で新幹線を予約し、「PayPay」で決済いただけるサービス「LINEからEX」を開始するとともに、「EX旅パック」、「EX旅先予約」で予約できる旅行商品等を充実させました。また、「推し旅」キャンペーンを展開するとともに、「貸切車両パッケージ」を販売しました。さらに、京都、奈良、東京、静岡、飛騨等の魅力ある観光素材の開発に取り組むとともに、「そうだ 京都、行こう。」、「いざいざ奈良」、「#東京ゾクゾク」、「会いにいこう」等のキャンペーンを展開しました。加えて、東急株式会社と、クルーズトレイン「THE ROYAL EXPRESS」をこれまで運行してきた静岡県に加えて愛知県・岐阜県でも運行し、株式会社オリエンタルランドとは、東海道新幹線の特別編成「Wonderful Dreams Shinkansen」を運行しました。このほか、東海道新幹線の出張利用を促すとともに、MICEを誘致するなど、ビジネス需要の獲得に向けた取組みを進めました。訪日外国人に対しては、国や地域ごとの旅客動向や商品のご利用の分析を進め、より効果的な宣伝を展開するとともに、旅行会社との連携による販路の拡大を進めました。大阪・関西万博の開催に当たっては、関西方面の旅行商品等を拡充するとともに、訪日外国人に対して当社沿線の魅力を発信しました。 当期における輸送実績(輸送人キロ)は、東海道新幹線は前期比10.2%増の608億6千万人キロ、在来線は前期比2.6%増の88億6千4百万人キロとなりました。 バス事業については、安全の確保を最優先として、顧客ニーズを捉えた商品設定を行いました。 上記の結果、当期における営業収益は前期比10.1%増の1兆6,539億円、営業利益は前期比18.1%増の7,674億円となりました。 また、運輸業の大部分を占める当社の鉄道事業の営業成績は次のとおりです。区分単位前事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)当事業年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)新幹線在来線合計新幹線在来線合計営業日数日365365365365365365営業キロキロ552.61,418.21,970.8552.61,418.21,970.8客車走行キロ千キロ1,050,605223,9941,274,5991,089,014224,4451,313,459旅客輸送人員定期千人12,653249,171259,73213,947252,408264,032定期外千人155,202135,160279,958169,977142,844301,547計千人167,855384,331539,690183,924395,252565,579旅客輸送人キロ百万人キロ55,2108,64263,85260,8608,86469,724旅客運輸収入旅客運賃・料金定期百万円14,64932,02846,67716,17432,43348,608定期外百万円1,316,58069,2691,385,8491,463,20573,5661,536,772計百万円1,331,230101,2971,432,5271,479,380106,0001,585,380小荷物運賃・料金百万円-11-00合計百万円1,331,230101,2981,432,5281,479,380106,0001,585,381鉄道線路使用料収入百万円--3,793--3,964運輸雑収百万円--57,456--55,656収入合計百万円--1,493,778--1,645,002輸送効率%座席利用率63.8乗車効率29.7-座席利用率67.9乗車効率30.9- (注) 1 旅客運輸収入の新幹線及び在来線区分は、旅客輸送計数により区分しています。また、旅客輸送人員の合計については、新幹線、在来線の重複人員を除いて計上しています。2 輸送効率の算出方法は次のとおりです。新幹線座席利用率=旅客輸送人キロ×100 座席キロ(編成別列車キロ×座席数) 在来線乗車効率 =旅客輸送人キロ×100 客車走行キロ×平均定員3 旅客運輸収入のうち主要なJR他社(当該会社の旅行代理店等を含む。)による発売額の構成比は、次のとおりです。会社名前事業年度(%)当事業年度(%) 東日本旅客鉄道株式会社17.115.3 西日本旅客鉄道株式会社14.513.6 流通業 「ジェイアール名古屋タカシマヤ」において、開業25周年の記念キャンペーン等を実施するとともに、和洋酒売場を拡張・リニューアルし、日本最大級の品揃えの洋酒売場「ワインメゾン」を開業しました。また、駅店舗について、品揃えの充実により便利で魅力ある店舗づくりを進めました。 上記の結果、当期における営業収益は前期比6.8%増の1,830億円、営業利益は前期比1.3%増の158億円となりました。 不動産業 東京駅、浜松駅、名古屋駅、京都駅等の駅商業施設の拡張・リニューアルや名古屋駅近辺等の高架下開発を進めました。また、社宅跡地等、当社グループ保有土地の有効活用を進めました。さらに、駅構内や駅直結ビルにおけるワークスペース「EXPRESS WORK」の拡充を進めました。 上記の結果、当期における営業収益は前期比10.4%増の957億円、営業利益は前期比10.5%増の252億円となりました。 その他 ホテル業については、高品質なサービスの提供に努めるとともに、需要の喚起に向けた取組みを進めました。また、「コートヤード・バイ・マリオット京都四条烏丸」を開業しました。 旅行業については、各方面へ向けた魅力ある旅行商品や、「推し旅」キャンペーン等に関する旅行商品、「貸切車両パッケージ」を販売しました。 鉄道車両等製造業については、鉄道車両や建設機械等の受注・製造に努めました。 上記の結果、当期における営業収益は前期比7.1%増の2,919億円、営業利益は前期比57.0%増の244億円となりました。 (財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析) 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。(1) 経営成績① 営業収益営業収益は、前期比1,743億円(9.5%)増の2兆62億円となりました。運輸業においては、当社の運輸収入は前期比1,528億円(10.7%)増の1兆5,853億円となりました。東海道新幹線では、輸送実績(輸送人キロ)が前期比10.2%増加した結果、運輸収入は前期比11.1%増の1兆4,793億円となりました。また、在来線では、輸送実績(輸送人キロ)が前期比2.6%増加した結果、運輸収入は前期比4.6%増の1,060億円となりました。運輸業以外の流通業、不動産業、その他の事業においても、それぞれ前期比6.8%、10.4%、7.1%増加し、全ての事業区分において増収となりました。② 営業費営業費は、前期比469億円(4.2%)増の1兆1,760億円となりました。③ 営業利益営業利益は、前期比1,273億円(18.1%)増の8,301億円となりました。④ 営業外損益営業外損益は、前期と比べて42億円改善しました。⑤ 経常利益経常利益は、前期比1,316億円(20.3%)増の7,809億円となりました。⑥ 親会社株主に帰属する当期純利益上記に法人税等などを加減した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比944億円(20.6%)増の5,528億円となりました。 (2) 財政状態当期末の資産残高は、前期末から5,528億円増加し10兆8,761億円となりました。また、セグメント別の資産残高について、運輸業は前期末から4,468億円増加し10兆32億円、流通業は前期末から176億円増加し1,816億円、不動産業は前期末から186億円増加し4,207億円、その他は前期末から750億円増加し5,930億円となりました。当期末の負債残高は、前期末から747億円増加し5兆7,395億円となりました。なお、長期債務の当期末残高は、4兆7,684億円となりました。そのうち、中央新幹線建設長期借入金を除いた長期債務残高は1兆7,684億円となり、前期末と比べ102億円減少しました。当期末の純資産残高は、前期末から4,780億円増加して5兆1,366億円となり、自己資本比率は前期末の44.6%から当期末は46.6%になりました。 (3) 資本の財源及び資金の流動性① キャッシュ・フローの状況当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末と比べ241億円減の3,705億円となり、資金の流動性を確保していると判断しています。営業活動によるキャッシュ・フローは、7,481億円の資金の増加となりました。前期が6,245億円の資金の増加であったことと比べ、当社の運輸収入が増加したことなどから、1,236億円の増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、6,214億円の資金の減少となりました。前期が9,560億円の資金の減少であったことと比べ、資金運用による支出が減少したことなどから、3,346億円の増加となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、1,508億円の資金の減少となりました。前期が955億円の資金の減少であったことと比べ、自己株式の取得による支出が増加したことなどから、553億円の減少となりました。② 生産、受注及び販売の実績当社グループの事業内容は、受注生産形態をとらない場合が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の実績については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」におけるセグメントの業績に関連づけて示しています。③ 重要な資本的支出の予定及びその資金の源泉「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載のとおりです。④ 株主還元「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。 ⑤ 資金調達資金調達については、中央新幹線などの設備投資計画や債務償還計画等を考慮し、経済情勢、金融市場動向を踏まえた上で、必要な資金を安定的、機動的かつ低利に確保することを基本としています。設備投資や債務償還等の資金については、自己資金のほか、社債の発行や金融機関からの借入金により調達しており、当期は、長期借入金により738億円を調達しました。なお、中央新幹線の建設については、2016年度、2017年度に財政投融資を活用した長期借入を行い、当面必要となる資金を確保しています。当社では、円滑な資金調達を行うため、当期末時点でムーディーズ・ジャパン株式会社よりA1、株式会社格付投資情報センターよりAA、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社よりA+、株式会社日本格付研究所よりAAAの格付けを取得しています。また、短期的な流動性確保のため、当期末現在1,000億円のコミットメントラインを設定しています。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループにおける見積りのうち、退職給付に係る負債及び退職給付費用については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(退職給付関係)」において割引率、長期期待運用収益率等を記載しています。なお、割引率、長期期待運用収益率等に変動が生じた場合には、退職給付債務が増減することに伴い、退職給付に係る負債及び退職給付費用に増減が生じます。

事業リスク

  • 法的規制と運賃改定の制約
    鉄道事業法により、運賃や料金の上限設定・変更には国土交通大臣の認可が必要です。特に新幹線特急料金の改定は総括原価方式に基づき審査されるため、経営環境の変化に合わせた機動的な運賃改定が難しい場合があります。これにより、収益確保に影響が出る可能性があります。
  • 中央新幹線プロジェクトの負担
    中央新幹線(リニア中央新幹線)の建設は、自己負担を前提としており、巨額の投資が必要となります。建設コストの増大や工期の遅延、開業後の需要変動などにより、JR東海グループの財政状態やキャッシュ・フローに大きな影響を及ぼす可能性があります。
  • 自然災害とインフラ老朽化
    地震、台風、豪雨などの自然災害は、鉄道設備の損壊や運行停止を引き起こし、多大な復旧費用や営業損失につながるリスクがあります。また、開業から60年以上が経過した東海道新幹線をはじめとするインフラの老朽化対策も継続的な大規模投資を必要とし、経営に影響を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|9,816 文字
3【事業等のリスク】 当社グループの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しています。ただし、以下は当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。係るリスク要因のいずれによっても、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 事業に係る法律関連事項① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号) 鉄道事業者は、本法の定めに従い、営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、鉄道事業を休廃止しようとするときは、事前に国土交通大臣に届け出なければならないこととされています(第28条、第28条の2)。旅客の運賃及び料金の設定・変更については、原則としてその上限額について国土交通大臣の認可を受けなければならないこととされています(第16条)。 これらの法的規制が変更された場合には、規制を遵守するための費用の増加や事業活動の制限により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 ② 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律(平成13年法律第61号) 東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社及び西日本旅客鉄道株式会社(以下「本州旅客会社」という。)をJR会社法の適用対象から除外するための措置等を講じたJR会社法改正法が2001年12月1日から施行され、本州旅客会社はJR会社法の適用対象から除外されました。 なお本法附則において、国土交通大臣は、国鉄改革の経緯を踏まえ、利用者の利便の確保等を図るため、本州旅客会社及び本州旅客会社の鉄道事業の全部又は一部を譲受・合併・分割・相続により施行日以後経営する者のうち国土交通大臣が指定する者(以下「新会社」という。)がその事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という。)を公表するものとされ(附則第2条)、当該指針は2001年12月1日より適用となりました(平成13年国土交通省告示第1622号)。その主な内容は以下のとおりです。・会社間(新会社の間又は新会社と北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社との間をいう。以下同じ。)における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項・国鉄改革実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害又はその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項 国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保するため必要があると認めるときは新会社に対して指導及び助言をすることができ(附則第3条)、さらに、新会社が正当な理由なく指針に沿った事業経営を行っていないと認めるときなどは必要な措置をとるべき旨を勧告及び命令することができるとされています(附則第4条)。 なお、当社はこれまでも指針に定められた事項に沿った事業運営を行ってきており、この指針は今後の当社の事業運営に大きな影響を及ぼすものではないと考えています。 (2) 運賃及び料金の設定又は変更 鉄道運送事業者が旅客の運賃及び新幹線特急料金(以下「運賃等」という。)の上限を定め、又は変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないこととなっており(鉄道事業法第16条第1項)、認可に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないもの(以下「総括原価」という。)であるかどうかを審査して認可することとなっています(鉄道事業法第16条第2項)。また、認可を受けた上限の範囲内での運賃等の設定・変更又は在来線特急料金等その他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっています(鉄道事業法第16条第3項及び第8項)。その場合でも、国土交通大臣は、届出された運賃又は料金が、以下に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃又は料金を変更すべきことを命じることができるとされています(鉄道事業法第16条第9項)。 ・特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき ・他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき これらの手続きが変更される場合や、何らかの理由により手続きに基づいた運賃又は料金の変更を機動的に行えない場合には、当社グループの収益に影響を与える可能性があります。 また、当社の場合、鉄道事業法第16条第2項の定めにより、運賃等の改定が難しい状況ですが、引き続き、収入の確保と効率化を進め、能率的な経営に努めます。その上で、鉄道の競争環境の変化や物価上昇に伴う費用の増加等、当社の経営環境が大きく変化する中、将来にわたって輸送機関としての使命を果たし、より良いサービスを提供し続けるため、引き続き、関係箇所に対して、柔軟・簡便な運賃等の設定が可能となるよう働きかけます。<国土交通省の考え方> 運賃等の改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されています。a 鉄道事業の運賃等の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、総括原価を超えないものであるかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。b 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。c 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。総括原価=営業費等(注1)+事業報酬・事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率・事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)等・事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注5) (注) 1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。2 運転資本=営業費及び貯蔵品の一部3 自己資本比率は30%、他人資本比率は70%4 自己資本報酬率は、公社債応募者利回り及び全産業の自己資本利益率の過去5年平均(年数については、直近に急激な景気動向の変化があった場合等は、合理的と認められる範囲で適切に設定する。(注5)において同じ)を基に、以下の算定式により算定する。ただし、全産業の自己資本利益率が公社債応募者利回りを下回る場合には、公社債応募者利回りによる。なお、公社債利回り実績値は国債(10年もの)、地方債、政府保証債の平均の過去5年平均とし、βはTOPIXの変化率と鉄道会社の株価変化率の共分散をTOPIXの変化率の分散で除したものとする。 自己資本報酬率=公社債利回り実績値+β×(全産業(陸運業を除く)平均自己資本利益率 -公社債利回り実績値)5 他人資本報酬率は、法定債務を除き、債務実績利子率のJR旅客会社のうち北海道旅客鉄道株式会社及び四国旅客鉄道株式会社を除くグループ平均の過去5年平均とする。d なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更又はその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃又は料金が、以下に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃又は料金を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第9項)。・特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき・他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき (3) 競合等 当社グループは、鉄道事業において、航空会社及び他の鉄道会社、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合しているほか、鉄道以外の事業においても、既存及び新規の事業者と競合しています。特に、当社グループの主力事業である東海道新幹線においては、航空会社との間で、空港の発着枠の拡大、さらには空港と都市中心部とのアクセス改善等、航空機による移動の利便性向上等に起因した競争に直面しています。また、近年はリモートワークやWeb会議が浸透しており、今後も鉄道のご利用に影響を与える可能性があります。 さらに、当社グループの事業は、日本経済の情勢とりわけ主な営業エリアである首都圏、中京圏、近畿圏における景気動向等の影響を受けます。 したがって、既存及び新規の事業者との競合のほか、物価・金利・為替の動向や国際情勢の影響を受けて生じる国内経済の変化、少子高齢化等に伴う将来的な人口動態が、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 以上のような競合等に対しては、安全・安定輸送を確保しつつ、新幹線においては、一部時間帯において「のぞみ」を1時間に最大13本運転するダイヤの活用による需要にあわせた弾力的な列車設定、N700Sの投入及び「EXサービス」のさらなるご利用拡大等に取り組むとともに、在来線においては、新型特急車両385系量産先行車の走行試験やハイブリッド形式の新形式普通車両HC35形の設計を進めるなど、さらなる輸送サービスの充実に向けて取り組みます。(4) 長期債務 1987年の会社設立に際し、当社は、日本国有鉄道改革法(昭和61年法律第87号)に基づき、国鉄の長期債務のうち3,191億円を承継しました。さらに、当社は、新幹線鉄道に係る鉄道施設の譲渡等に関する法律(平成3年法律第45号)に基づき、東海道新幹線に係る鉄道施設(車両を除く。)を1991年10月1日、新幹線鉄道保有機構(以下「保有機構」という。)より5兆956億円で譲り受け、このうち4兆4,944億円については25.5年、6,011億円については60年の元利均等半年賦により鉄道整備基金に支払うことに関して、保有機構との間に契約を締結し、その譲渡価額を鉄道施設購入長期未払金として計上しました。なお、4兆4,944億円については、2017年1月に支払を完了しています。(注) 保有機構は1991年10月1日に解散し、その一切の権利及び義務は鉄道整備基金に承継されました。さらに鉄道整備基金は1997年10月1日に解散し、その一切の権利及び義務は運輸施設整備事業団に承継され、運輸施設整備事業団は2003年10月1日に解散し、その一切の権利及び義務は法律により国が承継する資産を除き、鉄道・運輸機構に承継されました。 また、2016年11月に、中央新幹線の建設の推進のため、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令(以下「鉄道・運輸機構法施行令」という。)に基づき、財政投融資を活用した長期借入の申請を鉄道・運輸機構に対して行い、2017年7月までに、長期、固定かつ低利の中央新幹線建設長期借入金について、総額3兆円の借入を行い、金利上昇リスク、資金調達リスク、償還リスクを低減しました。 これらを含めた連結長期債務残高は、当期末現在で4兆7,684億円、そのうち中央新幹線建設長期借入金を除いた長期債務残高は1兆7,684億円となっており、当期の支払利息は787億円となっています。 今後の金利動向により調達金利が変動する場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 引き続き、調達手段の多様化や低利かつ安定的な資金の確保に努めます。 (5) 自然災害等 当社グループの事業、特に東海道新幹線をはじめとする鉄道事業については、地震・豪雨・台風・火山の噴火等の自然災害、テロの発生、感染症の流行等により大きな影響が生じ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 なお、鉄道インフラについて当社は、安全の確保は最優先の課題であるとの認識の下、会社発足以来、自然災害等への対策に積極的に取り組んでいます。具体的には、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災等における他社線の被災状況等を踏まえて、東海道新幹線の橋脚及び高架橋柱について必要な箇所の耐震補強を完了し、盛土の耐震補強は協議案件と関係する一部の箇所を除き完了しました。そのほか、脱線防止ガードの全線への敷設をはじめとする脱線・逸脱防止対策等も積極的に進めています。在来線においても、構造物等の耐震補強や盛土補強、落石対策等を継続的に実施しています。また、豪雨に対しては、継続的にコンクリート被覆による盛土の強化等を行ってきており、近年激しさを増していることを踏まえて、さらに安全性を向上させるための取組みを進めています。さらに、感染症の流行時には、お客様及び社員への感染拡大防止を徹底しながら十分な輸送力の確保に努めるなど、鉄道事業への影響を最小限のものとするための取組みを行うこととしています。 (6) 安全対策 当社グループの事業、特に東海道新幹線をはじめとする鉄道事業については、仮に列車の運行により事故が発生した場合、大きな損害が生じ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 当社は、安全の確保は最優先の課題であるとの認識の下、ソフト・ハード両面にわたり、会社発足当初から安全に関する取組みを積極的に進めています。 ソフト面の取組みとしては、規程・マニュアル類を常に整備するとともに教育訓練を徹底し、社員自らが能力を高める職場風土の構築に努めることにより、社員一人ひとりが知識・技能を身につけ、規律と使命感をしっかり持って業務を遂行するように取り組んでいます。また、当社の総合研修センターにおいて、グループ一体として、安全に主眼を置いた社員教育の一層の充実に取り組んでいます。 一方、ハード面においては、保安・防災対策を一層進めているほか、車両・軌道・電気設備の維持・更新等を積極的に推進しています。新幹線においては、新ATC(自動列車制御装置)システムや新型車両を導入するなど、安全の確保のため、必要な設備投資を積極的に行っています。また、在来線においても、全線でATS-PT(パターン照査式自動列車停止装置)を導入するなど、より一層の安全性向上に努めています。 これらの結果、当期の鉄道運転事故件数(30件)は会社発足初年度である1987年度(60件)と比較して大幅に減少しました。 (7) コンピュータシステム・顧客個人情報保護 当社グループは、現在、鉄道事業や鉄道以外の事業における様々な業務分野で、多くのコンピュータシステムを用いています。また、当社グループと密接な取引関係にある他の旅行会社や鉄道情報システム㈱等においても、コンピュータシステムが重要な役割を果たしています。したがって、サイバー攻撃や自然災害、人為的ミス等によってこれらのコンピュータシステムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。また、コンピュータウイルスへの感染や人為的不正操作等によりコンピュータシステム上の顧客個人情報が外部に流出した場合等には、当社グループが提供する様々なサービスへの影響を通じて、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 当社グループでは、障害対策として、日常より最新の技術動向等を勘案しながら自社システムのセキュリティ機能の向上を図るとともに、関係する社員の教育・訓練等を充実させ、万一障害が発生した場合においても、その影響を最小限のものとするよう、速やかな初動体制及び復旧体制の構築等に努めています。 また、個人情報保護対策として、社内の管理体制を整えるとともに、社内規程やマニュアルを整備し、社員に周知徹底をしています。さらに、顧客個人情報へのアクセス権限を限定し、システムセキュリティを強化するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めています。 (8) 超電導リニアによる中央新幹線 当社は、健全経営と安定配当を堅持しながら、自己負担により、超電導リニアによる中央新幹線計画を進めています。中央新幹線計画を進める目的、必要性等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおりです。 当社は中央新幹線計画について、2007年12月に第一局面としての名古屋市までの推進を、さらには、2010年4月に大阪市までの営業主体等の指名に同意する意思があることを表明するに当たり、それぞれの時点で合理的と考えられる前提条件を置いて検討を行い、路線建設を自己負担で推進しても、健全経営の確保が十分に可能であると判断し、必要な対応を進めることを決定しました。 また、2007年12月には、全幹法の適用により設備投資の自主性や経営の自由など民間企業としての原則が阻害されることがないことを確認するため、法律の適用に係る基本的な事項を国土交通省に照会し、翌年1月にその旨の回答を得ました。 その後、全幹法の手続きが進み、国土交通大臣の諮問に係る審議を行ってきた交通政策審議会の答申を受け、2011年5月、国土交通大臣は、当社の同意を得た上で、当社を東京都・大阪市間の営業主体等に指名しました。続いて、当社の同意を得て整備計画を決定し、当社に建設の指示を行いました。 これを受けて当社は、第一局面として進める東京都・名古屋市間において、環境影響評価法の手続きを進め、2014年8月に、最終的な環境影響評価書(以下「評価書」という。)を国土交通大臣及び関係自治体の長に送付するとともに、公告しました。また、最終的な評価書の送付と同日に、国土交通大臣に対し、土木構造物を中心とした品川・名古屋間の工事実施計画(その1)の認可申請を行い、2014年10月に認可を受け、その後工事を開始しました。 品川・名古屋間の総工事費については、工事実施計画(その1)及び2018年3月に認可を受けた電気設備等を含む同(その2)の段階において、5.52兆円と見込んでいましたが、2021年4月に、難工事への対応、地震対策の充実、発生土活用先の確保等に伴い7.04兆円に増加する見通しとなり、2023年12月に、総工事費を7.04兆円とした、駅・車両基地の建築工事や設備工事、車両等の工事実施計画(その3)及び変更の認可を受けました。その後さらに工事を進める中で、2025年10月に、物価等高騰や難工事への対応等に伴い総工事費が11.0兆円に増加する見通しとなり、これを受け、一定の前提を置いて試算した結果、工事資金を確保し、健全経営と安定配当を堅持できることを確認しました。 品川・名古屋間の開業時期(工事の完了の予定時期)については、工事実施計画(その1)及び同(その2)において、2027年として認可を得ました。一方、南アルプストンネル静岡工区においては、トンネル掘削工事に着手できていない状況です。このため、2027年の開業は困難であり、新たな開業時期を見通すことができない状況を踏まえ、2023年12月に、工事の完了の予定時期を2027年以降とした工事実施計画(その3)及び変更の認可を受けました。その後、2024年3月に開催された国土交通省の「第2回リニア中央新幹線静岡工区モニタリング会議」で、静岡工区の工事計画を示し、静岡工区が品川・名古屋間の開業の遅れに直結しており、2027年の開業は実現できない旨を説明しました。引き続き、静岡工区のトンネル掘削工事の早期着手、さらには品川・名古屋間の早期開業に向けて取り組みます。 名古屋・大阪間については、品川・名古屋間と同様に、工事に着手する前段の環境影響評価法の手続きの中でルートの絞り込みや駅位置の選定を行い、工事費等を精査した上で、工事実施計画の認可申請を行います。これらは品川・名古屋間の開業が近づいた際に行う計画ですが、その時点で合理的と考えられる前提条件の下で健全経営と安定配当を堅持できることを確認した上で工事を進めます。 大阪までの全線開業については、2010年4月に大阪市までの営業主体等の指名に同意する意思があることを表明するに当たり実施した長期試算見通しにおいて、品川・名古屋間の開業後、大阪への工事に着手するまでに必要となる経営体力回復期間を設けることなどを前提として試算を行った結果、開業時期は2045年となりました。その後、政府からの提案を受け、鉄道・運輸機構から財政投融資を活用した総額3兆円の長期借入を行ったことを踏まえ、経営の自由及び投資の自主性を確保し、健全経営と安定配当を堅持しつつ、長期、固定かつ低利の貸付けによる経営リスクの低減を活かし、全線開業までの期間の最大8年前倒しを目指すこととしました。品川・名古屋間について、2027年の開業は実現できず、新たな開業時期を見通すことができない状況ですが、品川・名古屋間の開業後連続して、名古屋・大阪間の工事に速やかに着手することを目指す方針に変更はありません。 今後とも、健全経営と安定配当を堅持しつつ、中央新幹線の早期開業を目指して、計画を推進します。 中央新幹線の建設は当社の自己負担で進め、工事費に充てる資金は、営業キャッシュ・フローを主体に、不足分については資金調達によって賄います。プロジェクトの推進に当たり、次のようなリスクが考えられ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 ⅰ 建設資材の高騰等による工事費の増大 ⅱ 難工事その他による工事遅延・完成時期の遅れ ⅲ 金利上昇 ⅳ 経済停滞、人口減少による収入減 ⅴ 他輸送機関との競合による収入減 ⅵ 社会全体の物価上昇 ⅶ 訴訟の提起 このうち、ⅰからⅵの経費増、収入減を伴うリスクに対しては、仮に健全経営と安定配当を堅持できないと想定される場合には、工事のペースを調整し、十分に経営体力を回復することなどで、工事の完遂を目指します。また、インフレの影響を強く受ける場合には、将来にわたって輸送機関としての使命を果たし、より良いサービスを提供し続けるため、鉄道の運賃・料金への価格転嫁が必要になり、これは、中央新幹線の建設に必要なキャッシュ・フローの継続的な確保にも繋がると考えています。そのような観点から、インフレによるコスト増を柔軟・簡便に運賃等に反映できるような仕組みづくりに向けて関係箇所へ働きかけています。 ⅶの訴訟については、工事実施計画認可の取消し等を国に求める行政訴訟、工事差止め等を求める民事訴訟が提起されています。 <中央新幹線(東京都・名古屋市間)の路線>

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