9119

飯野海運(9119)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

海運業 運輸・物流

事業の概要

  • 海運業と不動産業の複合事業
    飯野海運グループは、外航海運業、内航・近海海運業、そして不動産業の3つの事業を柱としています。外航海運業では原油やLNGなどの基礎原料を世界中で輸送し、内航・近海海運業では日本国内や近海で同様の輸送を担っています。これにより、グローバルな物流と国内のインフラを支えることで収益を上げています。
  • 不動産賃貸・管理
    不動産業では、主に東京都心部とロンドン中心部でオフィスビルを所有し、賃貸・管理・メンテナンスを行っています。安定した賃料収入を確保することで、海運業の市況変動リスクを補完し、グループ全体の収益安定化に貢献しています。また、フォトスタジオの運営も行っています。
  • 多様な関連会社による事業展開
    提出会社である飯野海運株式会社を中心に、連結子会社67社、持分法適用会社8社、連結対象外の関係会社9社(2025年3月31日現在)で構成されています。船舶の貸渡、管理、海運仲立業、ビルの管理、不動産関連事業など、各事業を専門とする子会社が多岐にわたるサービスを提供し、グループ全体の事業基盤を強化しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 外航海運事業
    世界中の海域で原油、石油化学製品、液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、発電用石炭、肥料、木材チップなどの基礎原料の輸送を行う事業です。売上高は1,174.99億円、営業利益は131.84億円と、グループの主要な稼ぎ頭であり、グローバルな物流を支える大規模な事業を展開しています。
  • 内航・近海海運事業
    日本国内および近海を中心に、液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、石油化学ガスなどの基礎原料の輸送を行う事業です。売上高は113.43億円、営業利益は4.54億円であり、国内のエネルギー供給や産業活動を支える重要な役割を担っています。
  • 不動産事業
    東京都心部とロンドン中心部における賃貸オフィスビルの所有、運営、管理、メンテナンス、およびフォトスタジオの運営を行う事業です。売上高は130.23億円、営業利益は34.62億円と、海運事業に次ぐ収益の柱であり、安定した賃料収入がグループ全体の収益基盤を強化しています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
OceangoingShipping 事業 1,175 132 11.2%
RegionalShipping 地域 113 5 4.0%
RealEstate 事業 130 35 26.6%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|466 文字
3 【事業の内容】当社グループは、提出会社(飯野海運株式会社、以下当社という。)のほか連結対象子会社66社、持分法適用会社8社及び連結対象外の関係会社9社(2026年3月31日現在)で構成され、外航海運業、内航・近海海運業及び不動産業の3事業を行っております。各事業における当社及び関係会社の位置付けなどは次のとおりであります。 (外航海運業)船舶の運航、貸渡、用船、管理、海運仲立業及び代理店業を行っております。主な関係会社(船舶の貸渡) AZALEA TRANSPORT S.A.(船舶の管理) イイノマリンサービス㈱(海運仲立業) イイノエンタープライズ㈱ (内航・近海海運業)船舶の運航、貸渡及び管理を行っております。主な関係会社(船舶の運航、貸渡及び管理) イイノガストランスポート㈱ (不動産業)ビルの賃貸、管理及び不動産関連事業を行っております。主な関係会社(ビルの管理) イイノ・ビルテック㈱(不動産関連事業) ㈱イイノ・メディアプロ(海外不動産業) IKK HOLDING LTD 事業の系統図は、次のとおりです。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
中長期契約を主体とし安定的な営業収益確保に努めるが、市況変動の影響を受ける。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 設備
船舶や不動産といった大規模な設備投資が必要であり、新規参入には高い資本が必要。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:船舶・建物における重大な事故・事件等によるリスク / 海運市況・不動産市況の変動によるリスク / 資産価格の変動に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 6 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

飯野海運は海運業であり、特定のブランド力や特許、規制ライセンスによる強固な無形資産は確認できない。一般的な海運事業であり、参入障壁となるような独占的IPも有していない。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

海運業においては、特定の顧客との長期契約や、特殊な貨物に対応する船舶のカスタマイズなどにより、一定のスイッチング・コストが発生する可能性はある。しかし、汎用的な貨物輸送においては、代替輸送手段や競合他社への乗り換えは比較的容易であると考えられる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

飯野海運の事業モデルは、ユーザーが増えることでサービスの価値が増すネットワーク効果を生み出すものではない。個々の船舶の運航と貨物輸送が中心であり、プラットフォーム型ビジネスとは異なる。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

海運業は規模の経済や燃料効率、船舶管理の効率化がコスト競争力に影響する。飯野海運が長年の経験で培った運航ノウハウや、効率的な船舶管理体制が一定のコスト優位性をもたらす可能性はあるが、業界全体としてコスト競争は激しい。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

海運業は、船舶の保有・運航に多額の資本が必要であり、業界内での一定の規模を持つ企業は、より有利な条件で船舶を調達したり、多くの航路を確保したりできる。飯野海運は、日本郵船、商船三井、川崎汽船といった大手と比較すると規模は小さいが、特定のニッチ市場や地域においては一定の存在感を持つ。

  • 中長期契約による収益安定性
    海運業と不動産業の両方で、市況の一時的な変動に左右されないよう、中長期契約を主体としています。これにより、運賃収入や賃貸料収入の安定的な確保に努め、急激な市場変動リスクをある程度軽減し、安定した経営基盤を築いています。
  • 多角的な事業ポートフォリオ
    外航海運業、内航・近海海運業、不動産業という異なる特性を持つ3つの事業を展開しています。海運市況や不動産市況の変動リスクを相互に補完し合うことで、特定の市場に依存することなく、グループ全体の収益安定性と持続的な成長を目指せる点が強みです。
  • 安全と環境への取り組み
    企業理念として「安全の確保を最優先に」掲げ、海運業では国際基準に基づいた品質管理システムや安全管理委員会を設置し、事故防止と安全対策を徹底しています。また、環境に配慮した行動を経営方針に含めることで、社会的要請に応え、持続可能な事業運営を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • 安全と持続的成長の追求
    企業理念「安全の確保を最優先に、人々の想いを繋ぎ、より豊かな未来を築きます」に基づき、事業の基盤である安全を最優先しています。ステークホルダーや社会との対話を通じて、安全に加え多様な価値を提供し、持続的な成長を目指すことを経営の基本方針としています。
  • ポートフォリオ経営とカーボンニュートラルへの挑戦
    2023年4月からの3年間の中期経営計画「The Adventure to Our Sustainable Future」では、ポートフォリオ経営とカーボンニュートラルへの挑戦をテーマに掲げています。IINO VISION for 2030の実現に向け、事業ポートフォリオの最適化とサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)の克服を両立させる戦略を推進しています。
  • マテリアリティ克服による価値創造
    事業への影響と社会への影響の2軸で特定されたマテリアリティ(サステナビリティ重要課題)を経営戦略と結合させ、その克服を通じて社会的価値の創造を目指しています。「飯野海運グループ サステナビリティ基本方針」を策定し、サステナビリティを重視した経営により、中長期的な企業価値向上に努めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは、「安全の確保を最優先に、人々の想いを繋ぎ、より豊かな未来を築きます」という企業理念のもと、社業の基盤である安全の確保を最優先に、当社グループが持続的に成長するため、ステークホルダー・社会との対話を通じて、安全に加えて様々な価値を提供することを経営方針としております。なお、その実行にあたっては社会的要請へ適応し、環境に配慮した行動をとることとしております。 (核となる事業)企業集団の人的・物的資源を生かしながら、当社グループは引き続き次の3つの事業を核として推進します。・全世界にわたる水域で原油、石油化学製品、液化エタンガス(LEG)、液化石油ガス(LPG)、発電用石炭、肥料、木材チップなどの基礎原料の輸送を行う外航海運業・国内、近海を中心とした水域で液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、石油化学ガスなどの基礎原料の輸送を行う内航・近海海運業・東京都心とロンドン中心部における賃貸オフィスビルの所有、運営、管理及びメンテナンス並びにフォトスタジオの運営を行う不動産業 (2) 中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社は、2026年4月から開始する5年間のグループ中期経営計画 「Transformation for a Sustainable Future」 (計画期間:2026年4月~2031年3月、以下「本計画」という)を策定しました。 <前中期経営計画「The Adventure to Our Sustainable Future」の振り返り>2023年5月に発表した前中期経営計画「The Adventure to Our Sustainable Future」 (計画期間:2023年4月~2026年3月、以下「前計画」という) では、ポートフォリオ経営とカーボンニュートラルへの挑戦をテーマに、従来の海運業と不動産業を軸とするIINO MODELを出発点としつつ、持続的な成長に向けた事業ポートフォリオ経営への挑戦に踏み出しました。その結果、前計画の数値目標を3年連続で達成するとともに、計画していた成長投資についても概ね予定どおり実行しました。これらの取組みを通じて、事業ポートフォリオの安定性が向上し、当社グループの財務基盤は一段と強固なものとなりました。一方で、当社グループを取り巻く事業環境は、中東地域を中心とした地政学的な緊張により、エネルギー供給や物流への影響が顕在化する等不確実性が高まっています。また、資本市場からは、収益の安定性と資本効率の更なる向上を両立する経営への期待が、これまで以上に高まっています。こうした状況を踏まえ、短期的な課題対応に加え、構造変化や将来環境を長期的な視点で捉えた成長戦略の重要性が一層増大しています。 <新中期経営計画「Transformation for a Sustainable Future」について>本計画は、こうした環境認識の下、2050年長期ビジョン及び2035年中期ビジョンからバックキャストし、その実現に向けた最初の5年間の計画として策定しました。前計画がSustainable Futureに向けた「挑戦・冒険」であったのに対し、本計画では、Sustainable Futureを実現するために、資本効率と成長投資を両立する「変革」をテーマに掲げ、更に進化していくという意志を、「Transformation」という計画名に込めています。 <重点戦略の概要:「変革」を促す3つの戦略>本計画の重点戦略として、事業戦略、財務資本戦略及び脱炭素化戦略の3つの戦略を軸に、諸施策を実行していきます。具体的には、前計画で強化された財務基盤のもと、5年間で約2,000億円の投資を、主に成長・新規事業及び主力事業へ配分し、事業ポートフォリオのリバランスを進めます。成長投資の実行に当たっては、財務規律を守りつつ、保有不動産の価値も考慮した財務レバレッジの活用により、資本コストを上回る成長投資と資本効率の両立を目指します。加えて、この成長投資から創出される利益を原資に、配当性向40%を基準とした配当の継続を基本としつつ、新たに下限配当の導入や、機動的な自己株式の取得を実施し、株主還元をより一層充実させていきます。 <主な数値目標>本計画の財務及び非財務の数値目標は以下のとおりです。2030年度の財務数値目標として、利払前税引後利益である事業コア利益225億円、ROIC5%、ROE10%、DEレシオ1.3~1.8倍と設定しています。非財務数値目標においては、重大事故発生件数、海運業のGHG削減率に加え、稼ぐ力の底上げに関連する人的資本経営の推進目標として、業務効率化の実現及び従業員エンゲージメントの向上についても数値目標を新たに設定しています。 <企業価値向上に向けた価値創造ドライバー>本計画の推進により、持続的な事業コア利益の成長と資本効率の向上を通じて企業価値を高め、PBRの向上を図ってまいります。本計画の詳細につきましては、当社ホームページをご参照ください。https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS00371/5f112f1f/bad6/4d3a/8a65/71fffc7cace7/20260430154936543s.pdf <マテリアリティへの取り組み>当社のマテリアリティは、ステークホルダーの意見を基に、事業への影響と社会への影響を考慮し、取締役会で議論を行い特定しています。経営戦略に紐づくマテリアリティを克服していくことで社会的価値の創造を目指します。なお、当社のマテリアリティに関する取組みの詳細につきましては、当社ホームページをご参照ください。https://www.iino.co.jp/kaiun/csr/management/materiality.html
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは、「安全の確保を最優先に、人々の想いを繋ぎ、より豊かな未来を築きます」という企業理念のもと、社業の基盤である安全の確保を最優先に、当社グループが持続的に成長するため、ステークホルダー・社会との対話を通じて、安全に加えて様々な価値を提供することを経営方針としております。なお、その実行にあたっては社会的要請へ適応し、環境に配慮した行動をとることとしております。 (核となる事業)企業集団の人的・物的資源を生かしながら、当社グループは引き続き次の3つの事業を核として推進します。・全世界にわたる水域で原油、石油化学製品、液化エタンガス(LEG)、液化石油ガス(LPG)、発電用石炭、肥料、木材チップなどの基礎原料の輸送を行う外航海運業・国内、近海を中心とした水域で液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、石油化学ガスなどの基礎原料の輸送を行う内航・近海海運業・東京都心とロンドン中心部における賃貸オフィスビルの所有、運営、管理及びメンテナンス並びにフォトスタジオの運営を行う不動産業 (2) 中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社は、2026年4月から開始する5年間のグループ中期経営計画 「Transformation for a Sustainable Future」 (計画期間:2026年4月~2031年3月、以下「本計画」という)を策定しました。 <前中期経営計画「The Adventure to Our Sustainable Future」の振り返り>2023年5月に発表した前中期経営計画「The Adventure to Our Sustainable Future」 (計画期間:2023年4月~2026年3月、以下「前計画」という) では、ポートフォリオ経営とカーボンニュートラルへの挑戦をテーマに、従来の海運業と不動産業を軸とするIINO MODELを出発点としつつ、持続的な成長に向けた事業ポートフォリオ経営への挑戦に踏み出しました。その結果、前計画の数値目標を3年連続で達成するとともに、計画していた成長投資についても概ね予定どおり実行しました。これらの取組みを通じて、事業ポートフォリオの安定性が向上し、当社グループの財務基盤は一段と強固なものとなりました。一方で、当社グループを取り巻く事業環境は、中東地域を中心とした地政学的な緊張により、エネルギー供給や物流への影響が顕在化する等不確実性が高まっています。また、資本市場からは、収益の安定性と資本効率の更なる向上を両立する経営への期待が、これまで以上に高まっています。こうした状況を踏まえ、短期的な課題対応に加え、構造変化や将来環境を長期的な視点で捉えた成長戦略の重要性が一層増大しています。 <新中期経営計画「Transformation for a Sustainable Future」について>本計画は、こうした環境認識の下、2050年長期ビジョン及び2035年中期ビジョンからバックキャストし、その実現に向けた最初の5年間の計画として策定しました。前計画がSustainable Futureに向けた「挑戦・冒険」であったのに対し、本計画では、Sustainable Futureを実現するために、資本効率と成長投資を両立する「変革」をテーマに掲げ、更に進化していくという意志を、「Transformation」という計画名に込めています。 <重点戦略の概要:「変革」を促す3つの戦略>本計画の重点戦略として、事業戦略、財務資本戦略及び脱炭素化戦略の3つの戦略を軸に、諸施策を実行していきます。具体的には、前計画で強化された財務基盤のもと、5年間で約2,000億円の投資を、主に成長・新規事業及び主力事業へ配分し、事業ポートフォリオのリバランスを進めます。成長投資の実行に当たっては、財務規律を守りつつ、保有不動産の価値も考慮した財務レバレッジの活用により、資本コストを上回る成長投資と資本効率の両立を目指します。加えて、この成長投資から創出される利益を原資に、配当性向40%を基準とした配当の継続を基本としつつ、新たに下限配当の導入や、機動的な自己株式の取得を実施し、株主還元をより一層充実させていきます。 <主な数値目標>本計画の財務及び非財務の数値目標は以下のとおりです。2030年度の財務数値目標として、利払前税引後利益である事業コア利益225億円、ROIC5%、ROE10%、DEレシオ1.3~1.8倍と設定しています。非財務数値目標においては、重大事故発生件数、海運業のGHG削減率に加え、稼ぐ力の底上げに関連する人的資本経営の推進目標として、業務効率化の実現及び従業員エンゲージメントの向上についても数値目標を新たに設定しています。 <企業価値向上に向けた価値創造ドライバー>本計画の推進により、持続的な事業コア利益の成長と資本効率の向上を通じて企業価値を高め、PBRの向上を図ってまいります。本計画の詳細につきましては、当社ホームページをご参照ください。https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS00371/5f112f1f/bad6/4d3a/8a65/71fffc7cace7/20260430154936543s.pdf <マテリアリティへの取り組み>当社のマテリアリティは、ステークホルダーの意見を基に、事業への影響と社会への影響を考慮し、取締役会で議論を行い特定しています。経営戦略に紐づくマテリアリティを克服していくことで社会的価値の創造を目指します。なお、当社のマテリアリティに関する取組みの詳細につきましては、当社ホームページをご参照ください。https://www.iino.co.jp/kaiun/csr/management/materiality.html
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】業績等の概要(1) 業績当期の世界経済は、米国の関税問題や中東情勢の緊迫化など地政学的リスクの高まりから、先行きの不透明感が強まりました。米国では、堅調な企業の設備投資などにより比較的高い成長が続いたものの、雇用情勢の悪化や関税措置を巡る不確実性、中東情勢悪化に伴う原油価格上昇への懸念などから、期末にかけて景気拡大のペースは鈍化しました。欧州では、各国の回復度合いにばらつきがあるものの、良好な雇用・所得環境の改善が個人消費を下支えし、景気は緩やかに持ち直しました。中国では、政府による財政支出の拡大や外需が景気を下支えした一方、雇用環境の停滞や不動産市場の調整が続いたことなどから、内需を中心に景気は弱含みで推移しました。我が国の経済は、インバウンド需要の回復に一部足踏みが見られたものの、設備投資が堅調に推移したことに加え、賃上げなどによる所得環境の改善を背景に個人消費が持ち直すなど、全体として緩やかに回復しました。 当社グループの海運業を取り巻く市況は、大型ガス船やドライバルク船においては総じて堅調に推移したものの、当社が主力とするケミカルタンカーにおいては中国経済の低迷等により、前期と比べて軟化しました。このような状況の下、当社グループでは、支配船腹の長期契約への投入による安定収益の確保やスポット貨物の積極的な取込みによる採算向上に努めましたが、特にケミカルタンカーにおいて市況軟化と期末にかけてのホルムズ海峡の事実上の封鎖による配船制限の影響を受けました。不動産業においては、当社所有ビルが順調な稼働を継続したことに加え、堅調な賃貸市況下での契約更改が収益拡大に貢献しました。 以上の結果、売上高は1,272億95百万円(前期比10.3%減)、営業利益は134億39百万円(前期比21.4%減)、経常利益は168億85百万円(前期比2.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は153億91百万円(前期比16.2%減)となりました。 各セグメント別の状況は次のとおりです。 ① 外航海運業大型原油タンカー市況は、秋口以降活発であった大西洋域での荷動きの鈍化を受けて軟化した後、米国及びイスラエルによるイラン攻撃に端を発したホルムズ海峡の事実上の封鎖により急騰するも、実勢を捉えにくい混乱局面となりました。当社においては、支配船腹を長期契約に継続投入し、安定収入確保に努めましたが、一部の船舶においては入渠により稼働日数が減少しました。ケミカルタンカー市況は、中国経済の低迷をはじめとする世界経済の不透明さにより、前期と比べ軟化しましたが、期末にかけてのホルムズ海峡の事実上の封鎖の影響により急騰しました。当社においては、基幹航路である中東域から欧州及びアジア向けをはじめとする数量輸送契約に加え、米国出しのスポット貨物を積極的に取り込む等、採算確保に努めましたが、市況軟化と期末にかけてのホルムズ海峡の事実上の封鎖による中東域への配船制限の影響を受けました。一方で、期中に2隻の新造船が船隊に加わり稼働を開始しました。大型LPG船市況は、米中関税摩擦等による不透明感から一時弱含んだものの総じて高い水準で推移し、ホルムズ海峡の事実上の封鎖後は、米国からアジア各国への長距離航海増加が船腹需給を引き締めたことにより、一段と強含みました。当社においては、既存の中長期契約を中心に安定収益を確保したことに加え、一部の船舶が好調な市況の恩恵を受けました。また、2025年9月に当社初の大型エタン船が竣工し、2026年1月には2隻目も船隊に加わりました。ドライバルク船市況は、期初は軟調に推移するも、穀物の順調な海上荷動きに加え、石炭及びその他ばら積み貨物の底堅い輸送需要もあり夏場以降は総じて堅調に推移しました。当社においては、専用船は順調に稼働し安定収益確保に貢献しました。パナマックス型及びハンディ型を中心とする不定期船隊でも効率配船に努め、収益を確保しました。また、新たに基幹船隊に加わったパナマックス型及びハンディ型各1隻が収益に貢献しました。 以上の結果、外航海運業の売上高は1,024億64百万円(前期比12.8%減)、営業利益は87億86百万円(前期比33.4%減)となりました。 ② 内航・近海海運業内航ガス輸送の市況は、慢性的な内需の低迷から荷動きは総じて低調に推移しましたが、新造船供給等が限定的であったことから船腹需給は引き締まり、前期並みの水準を維持しました。当社においては、安定収益確保に努めたものの、運航船の入渠が重なった影響を受けました。近海ガス輸送の市況は、中国経済の減速に伴う輸送需要の低迷により低調に推移したことに加え、ホルムズ海峡の事実上の封鎖に伴うアジア各国のプラントの生産停止や減産の影響を受けました。当社においては、既存の中長期契約に基づき安定して稼働し、収益を確保しました。 以上の結果、内航・近海海運業の売上高は107億64百万円(前期比5.1%減)、営業利益は3億3百万円(前期比33.3%減)となりました。 ③ 不動産業東京都心のオフィスビル賃貸市況は、新築大型ビルへの集約移転や利用面積の拡張等の需要により、空室率が低下傾向となり、堅調に推移しました。当社所有ビルにおいては、オフィスフロアは順調な稼働を継続したことに加え、堅調な賃貸市況下での契約更改が収益拡大に貢献しました。商業フロアは入居率が高まり、飲食テナントを中心に売上が回復傾向となりました。英国ロンドンのオフィスビル賃貸市場においては、空室率の低下や高グレードな物件への需要に支えられ賃料水準は堅調に推移しました。当社所有ビルにおいては、オフィスの高グレード化に向けた長期改修工事中の物件を除いて、総じて安定的に稼働しました。イイノホール&カンファレンスセンターにおいては、文化系やビジネス系を中心とした堅調な催事需要に支えられ、安定的な稼働を維持しました。 不動産関連事業のスタジオ事業を運営する㈱イイノ・メディアプロにおいては、広告系やエンターテイメント系を中心とした案件を順調に受注し安定収益を確保しました。 以上の結果、不動産業の売上高は141億80百万円(前期比8.2%増)、営業利益は43億50百万円(前期比25.7%増)となりました。 (2) キャッシュ・フローの状況当期の「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、298億58百万円のプラス(前期は307億29百万円のプラス)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益180億10百万円と減価償却費135億42百万円によるものです。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は421億16百万円のマイナス(前期は307億86百万円のマイナス)となりました。これは主に船舶への設備投資を中心とした固定資産の取得による支出640億5百万円によるものです。「財務活動によるキャッシュ・フロー」は143億10百万円のプラス(前期は83億25百万円のマイナス)となりました。これは主に長期借入れによる収入492億70百万円が長期借入金の返済による支出245億18百万円を上回ったことによるものです。以上の結果、「現金及び現金同等物の当期末残高」は140億50百万円(前期末は115億93百万円)となりました。 生産、受注及び販売の実績この項目は「業績等の概要 (1) 業績」の記載に含めて記載しております。 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、期末日における資産・負債の報告金額及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。当社グループ経営陣は、債権の貸倒、棚卸資産、投資、法人税等、財務活動、退職金、偶発事象や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収益・費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 当社グループにおける重要な会計上の見積りに関する情報は、「第5 経理の状況 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照下さい。 (2) 経営成績及び財政状態の分析① 経営成績の分析当期における売上高は、前期比10.3%減の1,272億95百万円となりました。なお、各セグメントの売上高の概要は、「業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりであります。営業利益は前期比21.4%減の134億39百万円となりました。なお、各セグメントの営業利益の概要は、「業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりであります。経常利益は、前期比2.8%減の168億85百万円となりました。これは主に営業利益の減少によるものです。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比16.2%減の153億91百万円となりました。これは主に経常利益の減少によるものです。② 財政状態の分析当期末の総資産残高は前期末に比べ402億53百万円増加し、3,466億84百万円となりました。これは主に船舶の竣工に伴う固定資産の増加によるものです。負債残高は前期末に比べ276億8百万円増加し、1,883億94百万円となりました。これは主に船舶の竣工に伴う設備資金の借入によるものです。純資産残高は前期末に比べ126億45百万円増加し、1,582億90百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益計上に伴う利益剰余金の増加によるものです。以上の結果、当期末の連結自己資本比率は45.6%(前期末は47.5%)となりました。 (3) 流動性及び資金の源泉① 資金需要当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの外航海運業と内航・近海海運業により構成される海運業に関わる運航費、船費、借船料と不動産業に関わる管理費、営繕費等の不動産業費用、各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては船舶投資と不動産投資に加え、情報処理の為の無形固定資産投資等があります。② 財務政策当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用や金融機関からの借入により資金調達を行っており、運転資金及び設備資金につきましては、国内、海外子会社のものを含め当社において一元管理しております。当社グループの主要な事業資産である船舶の調達に当たっては、船主からの中長期用船や裸用船のバランスも考慮に入れ、当社グループ全体の有利子負債の削減を図っております。円建て、米ドル建ての借入金を含む当期末の有利子負債残高(リース債務を除く)は1,417億20百万円となりました。また、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクに晒されないよう、設備資金の借入の大部分について金利スワップなどの手段を活用しております。当社グループは国内2社の格付機関から格付を取得しており、本報告書提出時点において、日本格付研究所:「A-」、格付投資情報センター:「BBB+」となっております。また、金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転、設備資金の調達は今後も可能であると考えております。また、国内金融機関において複数年を含む合計180億円並びにUS$6千万のコミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。③ キャッシュ・フロー「業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」をご覧下さい。

事業リスク

  • 市況変動による収益影響
    海運業では海上輸送量の増減や競争激化、不動産業ではオフィス空室率の変動などにより、運賃収入や賃貸料収入が大きく変動する可能性があります。中長期契約で安定化を図っていますが、契約更改時やスポット運航では市況の影響を受けやすく、業績に影響を及ぼす可能性があります。
  • 資産価格変動と減損リスク
    保有する船舶、土地、建物、投資有価証券などの資産価格は、経済状況や市況の変動により影響を受ける可能性があります。特に海運業では運賃予測の不確実性が高く、想定外の資産売却や減損損失の認識が必要となった場合、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 燃料油価格・為替・金利変動リスク
    海運業では燃料油価格の変動がコストに直結し、また外貨建て収入が多いため為替レートの変動も損益に影響します。設備投資のための借入金には変動金利部分があり、金利上昇は資金調達コストを増加させます。ヘッジ取引でリスク軽減を図っていますが、大幅な変動は業績に影響を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|6,729 文字
3 【事業等のリスク】当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。当社グループの外航海運業と内航・近海海運業により構成される海運業及び不動産業の事業活動におきましては、船舶の就航水域・寄港地・入渠地、市場、契約先の属する国や地域、プロジェクト等の投資地域等全ての事業地域で、政治情勢、経済情勢、社会的な要因、自然災害や人災等により、当社グループの業績、株価及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的なリスクとしては以下のようなものがあります。 (1) 船舶・建物における重大な事故・事件等によるリスク当社グループは企業理念に「安全の確保を最優先に、人々の想いを繋ぎ、より豊かな未来を築きます」を掲げ、事業に使用する船舶や建物での安全優先を経営上の使命としています。各事業部門に共通する安全対策については毎月一回開催される「安全環境委員会」にてレビューされ、さらに海運業においては国際的な基準に基づいた品質管理マネジメントシステムを導入し、また「安全管理委員会」を定期的に開催して事故防止や安全対策の徹底に努め、緊急事態にも適応できる体制を構築しております。しかしながら、もし船舶や建物での不測の事故が起こり人命・財産に関わる重大な事故や事件が発生した場合、あるいは油濁等の環境汚染や所有不動産に土壌汚染が認められ搬出や浄化の必要が生じた場合には、当社グループの業績、株価及び財務状況等が影響を受ける可能性があります。 (2) 海運市況・不動産市況の変動によるリスク当社グループは海運市況や不動産市況の一時的な変動に左右されないよう、中長期契約を主体として安定的な営業収益の確保に努めておりますが、海運業においては中長期契約の更改時期やスポット運航を余儀なくされる場合に、海上輸送量の増減、競争の激化、船腹需給の変動等の影響により、運賃収入及び貸船料収入等が大きく変動する可能性があります。不動産業においては、当社グループは東京都心部のオフィスビルを中心に不動産資産を保有しており、不動産市況の動向、特に東京都心のオフィス市場の空室率が変動する等の場合、賃貸料収入等が大きく変動する可能性があります。以上の結果、当社グループの業績、株価及び財務状況等が影響を受ける可能性があります。また、前述の営業収益の安定策には、市況変動によるリスクをある程度軽減する一方、市況が逆方向へ変動することから生じたかもしれない利益を逸失している可能性があります。 (3) 資産価格の変動に関するリスク当社グループの保有する資産(船舶、土地、建物、投資有価証券等)には、経済状況、市況の変動等の要因で資産価格に変動がある可能性があります。特に、外航海運業においては、海上輸送量の増減、競争の激化、船腹需給の変動等により運賃が大きく変動することから、減損損失の認識要否の判定及び回収可能価額の算定に重要な影響を及ぼす将来の運賃予測には高い不確実性を伴います。当社グループは四半期に一度、減損の兆候がある資産の把握をする等、資産価格や市況の大きな変動を注視しております。しかしながら、想定外の当該資産の売却等に伴う損益の実現や、減損損失の認識等により、当社グループの業績、株価及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 他社との競合によるリスク 当社グループは海運業及び不動産業において、国内外で多くの企業と競合関係にあります。国内及び海外で幅広い顧客に営業展開をする等、本リスクの軽減に努めておりますが、他企業とのサービス・価格競争が激化した場合、当社グループの業績、株価及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 (5) 燃料油価格の変動によるリスク 海運業においては、当社グループが購入する舶用燃料油の価格は原油の需給バランスや産油国・地域の情勢等により変動しますが、補油地域・時期の分散や減速航海の実施等による燃料油の消費量節減、荷主との燃料油価格変動調整条項の合意等の対策を講じ、業績に与える影響を軽減するよう努めております。しかしながら、燃料油価格の著しい変動等により、当社グループの業績、株価及び財務状況等が影響を受ける可能性があります。 (6) 船舶・不動産の稼働状況に関するリスク 当社グループが使用する船舶や建物等においては天災、人災による事故、粗悪油やその他の不測の事態により、想定外の不稼働が発生する可能性があります。その他、不動産業においてはオフィス賃貸借契約の未更新や中途解約その他の事由等により不稼働が発生する場合があります。不稼働損失保険への加入や解約予告期間を長期に設定すること等で本リスクを軽減するよう努めておりますが、想定外の不稼働が発生した場合に当社グループの業績、株価及び財務状況等が影響を受ける可能性があります。 (7) 船舶の売却や中途解約等におけるリスク 海運業においては、海運市況の動向や船舶の新技術開発・導入による既存船舶の陳腐化、安全・環境規制その他の諸規則の変更等による船舶の使用制限等により、当社グループが保有する船舶を売却する場合や、当社グループが用船する船舶の用船契約を中途解約する場合があります。市場の動向を見極めた売船、自社保有や用船といった船舶の保有形態のバランスを適切に保つこと等により本リスクの低減に努めておりますが、想定外の売船や用船契約の途中解約が発生した場合、当社グループの業績、株価及び財務状況等が影響を受ける可能性があります。 (8) 為替の変動によるリスク 当社グループの事業のうち海運業においては外貨建費用に比べ外貨建収入が多く、為替レートの変動が損益に影響を与える状況にあります。また設備投資においては、外貨建の投資も多くあります。そのため、費用のドル化を進めるとともに、為替予約や通貨スワップ等のヘッジ取引により、為替レート変動の影響を軽減するよう努めております。しかしながら、為替レートが大きく変動した場合、当社グループの業績、株価及び財務状況等が影響を受ける可能性があります。なお、前述のヘッジ取引には、為替レートの変動によるリスクをある程度軽減する一方、為替レートが逆方向へ変動することから生じたかもしれない利益を逸失している可能性があります。 (9) 金利変動によるリスク 当社グループは、船舶や不動産等の取得に要する設備投資及び事業活動に要する運転資金に内部資金を充当する他、外部からも資金を調達しております。この外部資金には変動金利で調達している部分があり、金利情勢を勘案の上、金利の固定化等により、金利変動による影響を軽減するよう努めておりますが、将来の金利変動によって資金調達コストが変動し、当社グループの業績、株価及び財務状況等が影響を受ける可能性があります。また、このような金利固定化等の取引には、金利レートの変動によるリスクをある程度軽減する一方、金利レートが逆方向へ変動することから生じたかもしれない利益を逸失している可能性と、固定化した期間中に条件の変更を余儀なくされた場合、解約料を負担することがあります。 (10) 規制の実施・改廃等によるリスク 当社グループが使用する船舶の建造・登録・運航は、各種の国際条約による法的規制や、近年の環境保護や安全重視の高まりに起因する特定顧客及び船級協会等の規則や規制等の影響を受けます。その他の事業分野を含め、今後の事業活動の展開にあたって法的規制、特定顧客及び船級協会等の規則や規制等が新たに実施又は改廃された場合、それらに対応するためのコストの増加、当事業からの撤退や遵守できなかった場合の事業活動の制限等により、当社グループの業績、株価及び財務状況等が影響を受ける可能性があります。 (11) 世界各地域の政治情勢、経済情勢、社会的な要因等によるリスク 当社グループの事業活動は、日本を含むアジア、中東、欧米、その他の地域に及んでおり、各地域における政治情勢、経済情勢、社会的要因等により影響を受ける可能性があります。具体的には以下のようなリスクがあります。これらリスクに対しては当社グループ内外からの情報収集活動等を通じ、その予防と回避に努めておりますが、これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績、株価及び財務状況等が影響を受ける可能性があります。(ア) 政治的又はインフレ等の経済的要因 (イ) 事業・投資許可、税制、会計基準、為替管理、安全、環境、通商制限、私的独占の禁止等に関する公的規制及びその改廃、商慣習、実務慣行、解釈 (ウ) 他社との合弁事業・提携事業の動向 (エ) 事故、火災、戦争、暴動、テロ、海賊、感染症の流行、ストライキその他の要因による社会的混乱 なお、ホルムズ海峡の事実上の封鎖や紅海情勢等中東地域における地政学的リスクの高まりや、長期化するロシア・ウクライナ紛争、さらに米国の関税政策の変更は、世界経済の減速懸念やサプライチェーン・物流の変化等を通じて、海上輸送需要の停滞・減少や、不動産市況の悪化等の影響を当社グループに及ぼす可能性があります。当社グループは国際情勢を注視し、日々変化する状況に迅速に対応しながら事業活動に取り組んでおります。 (12) 世界各地域の自然災害及び二次災害並びにそれらに付随する風評被害によるリスク 当社グループの事業活動は、日本を含むアジア、中東、欧米、その他の地域に及んでおり、各地域における感染症の流行を含む自然災害及びその二次災害により影響を受ける可能性があります。特に、当社グループ本社所在地であり保有する不動産資産が集中している首都圏や東日本において自然災害及びその二次災害が生じた場合は、当社グループの事業活動全般に大きな影響を及ぼすことが考えられます。また、自然災害及び二次災害に付随する風評被害が当社グループの事業活動全般に影響を及ぼす可能性もあります。当社グループでは、感染症の流行を含む自然災害及び二次災害発生時にも、可能な限りの事業継続を図るため、これらの事態を想定したBCP(事業継続計画)を策定しておりますが、これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績、株価及び財務状況等が影響を受ける可能性があります。 (13) 取引先の倒産等に関するリスク 当社グループは、取引先と締結した用船契約・不動産賃貸借契約に基づき営業収益を確保しております。取引先の与信状態は契約締結時及び履行途中に調査しておりますが、輸送契約先、貸船契約先、借船契約先、テナント契約先等の取引先が抱えるリスクにより倒産等の不測の事態があった場合、当社グループにおいて不良債権の発生や、契約の中途解約、借船元の船舶差し押え・競売等が発生することが予想され、これら損失の額によっては、当社グループの業績、株価及び財務状況等が影響を受ける可能性があります。 (14) 投資計画の進捗に関するリスク 当社グループは、海運業においては船隊整備、不動産業においてはビル建設等に関する投資を計画しておりますが、今後の海運市況や不動産市況、金融情勢、造船会社や建設会社の動向等によって、これらが計画どおりに進捗しない場合、当社グループの業績、株価及び財務状況等が影響を受ける可能性があります。 (15) 情報・会計システムに関するリスク 地震等の自然災害、外部からの予期せぬ不正アクセスやコンピューターウィルス侵入等、また新システムの導入・新規機能の追加時に情報・会計システムに障害が発生した場合、業務が遅延・停止する可能性があります。日々高度化する本リスクへの対応として、適切な情報セキュリティ対策等を行っておりますが、顧客への情報提供及び業務処理が滞ることとなった場合、当社グループの業績、株価及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 (16) 中期経営計画に基づく経営目標が達成できないリスク当社グループは2026年4月に5ヵ年の中期経営計画「Transformation for a Sustainable Future」を策定し、達成に向けて取り組んでおります。しかし、本中期経営計画は、様々な外的要因により影響を受ける可能性があり、当初の目標を達成できない可能性があります。 (17) 気候変動に関するリスク 当社グループでは、経営方針にて各種社会課題の解決に貢献することを掲げており、サステナビリティ基本方針にて「内外の関連法規及び国際ルールを遵守し、事業から生ずる環境への負荷の低減・環境の保全に努めるとともに、気候変動への対応・自然環境の保護に積極的に取り組む。」と定めています。経営方針・サステナビリティ基本方針の実践のために、2026年4月に策定した中期経営計画「Transformation for a Sustainable Future」において、「環境対応による競争力強化」を掲げ脱炭素社会の実現に向けた取り組みを行っています。 当社グループは、気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について、その分析と対応を強化し、関連情報の開示拡充を進めるため、2021年7月に気候関連財務情報開示タスクフォースの提言(以下、「TCFD提言」という。)に賛同を表明しました。TCFD提言に沿って当社が抽出した主なリスクは以下のとおりです。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績、株価及び財務状況等が影響を受ける可能性があります。 ■海運業 ・化石燃料の需要減による売上の減少 ・カーボンプライシングによる操業コストの増加 ・燃費規制対応による船舶建造費の増加 ・燃費規制対応(次世代燃料使用)に向けた新技術導入コストや燃料費の増加 ■不動産業 ・建物の省エネ化に関する建設・改修費の増加 ・立地エリアにおいて保有ビルの環境性能等が劣後した場合、賃料、入居率、資産価値の下落 なお、気候変動の問題は、新たな輸送需要の創出や、保有資産の環境性能向上による差別化を促す可能性もあり、当社グループにとって新規ビジネス機会の増加につながる側面があります。 (18) 人権に関するリスク 当社グループは、グローバル企業として、全ての人々の人権を尊重することが企業として果たすべき社会的責任であることを認識し、2022年9月に国連グローバル・コンパクトに賛同しました。また、当社の企業理念に基づいた人権に関する最上位の方針として、「飯野海運グループ人権方針」を定めた他、「飯野海運グループ調達方針」、「飯野海運グループサプライヤー行動規範」を制定し、サプライチェーン全体での人権尊重の取り組みを実施しています。しかしながら、予期せぬ事態により、当社グループの事業活動を通して人権問題が発生した場合、社会的信用の失墜や賠償責任により、当社グループの業績、株価及び財務状況等が影響を受ける可能性があります。 (19) コンプライアンスに関するリスク当社グループは、サステナビリティ基本方針において「コンプライアンスの徹底」を掲げ、各法令や規則を遵守するとともに、競争法遵守・贈収賄防止体制を構築し、公正な取引を推進する旨を明記しています。また、秩序や安全を脅かす反社会的勢力・団体とは一切かかわらないことを明確にしています。「コンプライアンス規程」では、遵守すべき基本事項を定め、年4回以上開催される「コンプライアンス委員会」において、社長執行役員が指名した「コンプライアンス担当執行役員(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)」のもと、コンプライアンスに関する方針の立案とその推進を図っています。さらに、「外部通報制度運用規程」に基づき、役職員に加え取引先関係者も利用可能な外部通報窓口を設置し、通報に対応する体制を整備することで、法令違反等の早期発見と是正を推進しています。しかしながら、このような施策を講じてもコンプライアンス上のリスクは完全に回避できない可能性があり、重大なコンプライアンス違反が発生した場合には、当社グループの社会的信用の失墜や賠償責任により、当社グループの業績、株価及び財務状況等が影響を受ける可能性があります。 上記は当社グループが事業を継続する上で、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、これらに限定されるものではありません。

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