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九州旅客鉄道(9142)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

陸運業 運輸・物流

事業の概要

  • 多角的な事業展開
    JR九州グループは、鉄道事業を基盤としつつ、不動産・ホテル、流通・外食、建設、ビジネスサービスといった多岐にわたる事業を九州を中心に展開しています。これにより、鉄道利用者だけでなく、地域住民や観光客の多様なニーズに応え、収益源を分散させています。
  • 駅を核としたまちづくり
    主要駅に直結する駅ビルを開発・運営し、商業施設やオフィス、ホテルなどを集積させることで、駅周辺の価値を高めています。これは、鉄道利用者の増加だけでなく、不動産賃貸収入やホテル収入、商業施設の売上にも貢献するビジネスモデルです。
  • 地域密着型サービス
    九州新幹線や在来線といった広範な鉄道ネットワークを活かし、地域住民の通勤・通学、ビジネス、観光を支える基幹交通インフラとしての役割を担っています。また、「ななつ星in九州」のような観光列車を通じて、九州全体の魅力を高め、誘客促進にも貢献しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 運輸サービス事業
    鉄道事業とバス事業を主軸とし、売上高1,643.47億円、営業利益121.86億円を計上しています。九州全域に広がる新幹線や在来線ネットワークを運営し、通勤・通学から観光まで幅広いニーズに対応しています。グループの基盤となる事業であり、安定的な収益源です。
  • 不動産・ホテル事業
    不動産賃貸(駅ビル、オフィス、マンション)、不動産販売(分譲マンション)、ホテル運営を展開し、売上高1,383.88億円、営業利益314.83億円と、グループ内で最も高い営業利益を上げています。駅ビル開発やホテルチェーン展開により、鉄道事業との相乗効果を生み出しています。
  • 流通・外食事業
    土産専門店「銘品蔵」やコンビニエンスストア「ファミリーマート」、ファーストフード店などを展開し、売上高666.83億円、営業利益34.82億円を計上しています。駅構内や駅周辺を中心に展開することで、鉄道利用者の利便性向上と収益確保を図っています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Transportation 事業 1,643 122 7.4%
RealEstateAndHotels 事業 1,384 315 22.7%
RetailAndRestaurant 事業 667 35 5.2%
Construction 事業 431 74 17.1%
BusinessServices 地域 419 53 12.6%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,001 文字
3【事業の内容】当社グループは、当連結会計年度末現在、当社と子会社65社及び関連会社7社により構成されており、運輸サービス、不動産・ホテル、流通・外食、建設及びビジネスサービス事業を九州全域を中心に展開しております。また、当社グループは、九州新幹線をはじめとした九州の主要都市間を結ぶ鉄道ネットワークを有しております。各主要都市では当社グループが保有する駅ビルを管理・運営しており、地域に根ざした魅力的でにぎわいの溢れるまちづくりを推進しております。各事業における当社及び当社の関係会社の位置づけ等は、次のとおりであります。次の5グループは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。 (1)運輸サービスグループ運輸サービスグループでは、鉄道事業、バス事業を行っております。鉄道事業では主に九州の7県において、新幹線2路線、幹線8路線、地方交通線13路線の合計23路線を運営しており、総営業キロは2,342.6キロに及びます(2026年3月31日現在)。当社の鉄道ネットワークは、九州地域の基幹的交通機関として都市間輸送や通勤・通学をはじめとする日々の生活を支える重要な交通インフラであるとともに、「ななつ星in九州」や「D&S(デザイン&ストーリー)列車」による九州全体のブランド価値の向上と九州への誘客促進の役割を果たしております。その他、バス事業では乗合バス事業、高速バス事業、貸切バス事業を行っております。 〔主な会社〕(鉄道事業)当社、豊肥本線高速鉄道保有㈱(バス事業)JR九州バス㈱(その他) 1社 (2)不動産・ホテルグループ不動産・ホテルグループでは、不動産賃貸業(商業施設、オフィス、マンション等)、不動産販売業(分譲マンション等)、ホテル業等を行っております。不動産賃貸業では、主に九州の主要都市において当社が保有する駅ビル等の管理運営を関係会社が行っております。主な物件と管理運営主体は次のとおりです。 主な駅ビル所在地管理運営主体JR博多シティ福岡市博多区㈱JR博多シティ その他、当社において「RJR」ブランドでマンション賃貸業を行っております。不動産販売業では、当社において「MJR」ブランドで分譲マンションの販売を行っております。ホテル業では、宿泊特化型ホテルのチェーン展開を中心に九州の各拠点で合計14施設、東京で2施設、京都で1施設、沖縄で1施設、タイ・バンコクで1施設の運営を行っております。 〔主な会社〕(不動産賃貸業)当社、㈱JR博多シティ(不動産販売業)当社 (ホテル業) JR九州ホテルズアンドリゾーツ㈱(その他) 23社 (3)流通・外食グループ流通・外食グループでは、小売業、飲食業等を行っております。小売業では、土産専門店「銘品蔵」、コンビニエンスストア「ファミリーマート」等を展開しております。飲食業では、ファーストフード店等を展開しております。 〔主な会社〕(小売業)JR九州リテール㈱(飲食業)JR九州ファーストフーズ㈱(その他)5社 (4)建設グループ建設グループでは、建設業等を行っております。建設業では、鉄道の専門技術を活かし、鉄道に係る土木・軌道・建築工事やメンテナンスを事業の主体とし、土木、建築工事においては官公庁工事や民間工事も行っております。 〔主な会社〕(建設業)九鉄工業㈱(その他)11社 (5)ビジネスサービスグループビジネスサービスグループでは、建設機械販売・レンタル事業等を行っております。建設機械販売・レンタル事業では、建設機械やディーゼルエンジン、発電機等の販売・レンタル、メンテナンス及び教習を行っております。 〔主な会社〕(建設機械販売・レンタル事業)キャタピラー九州㈱(その他) JR九州セコム㈱、当社含む14社 当社グループの系統図は次のとおりであります。 お 客 さ ま 及 び 取 引 先 運輸サービスグループ 不動産・ホテルグループ 流通・外食グループ (鉄道事業)豊肥本線高速鉄道保有㈱ (バス事業)JR九州バス㈱ (その他)1社 (不動産賃貸業)㈱JR博多シティ (ホテル業)JR九州ホテルズアンドリゾーツ㈱ (その他)23社 (小売業)JR九州リテール㈱ (飲食業)JR九州ファーストフーズ㈱ (その他)5社 九 州 旅 客 鉄 道 ㈱ 運輸サービス、不動産・ホテル、ビジネスサービス 建設グループ ビジネスサービスグループ (建設業)九鉄工業㈱ (その他)11社 (建設機械販売・レンタル事業)キャタピラー九州㈱ (その他)JR九州セコム㈱※13社 (注)1 ※は持分法適用関連会社2 建設グループは当社の鉄道関連施設及び当社が保有する駅ビル等の工事を運輸サービスグループ又は不動産・ホテルグループから請け負っております。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
鉄道ネットワークは基幹的交通機関だが、他の輸送機関との競合に晒されている。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 ネットワーク
九州新幹線をはじめとした九州の主要都市間を結ぶ鉄道ネットワークを保有。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:安全の確保に関する事項 / 少子高齢化等の人口動向に関する事項 / 自然災害等に関する事項
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

JR九州というブランド力はあるが、他JRとの差別化は限定的。特定の路線や駅における地域密着性は強みとなりうるが、全国的なブランド価値としては特許やIPのような強力な無形資産とは言えない。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

鉄道利用者は運賃や利便性で選択するため、スイッチング・コストは低い。ただし、特定の地域や通勤・通学においては代替手段が限られ、一定の囲い込み効果が見られる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

鉄道事業自体に直接的なネットワーク効果は存在しない。乗客が増えても、個々の乗客の体験価値が向上するわけではない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

長年のインフラ維持管理による固定費の高さが課題。一方で、効率的な運行管理や車両保守によるコスト削減努力は継続されているが、構造的なコスト優位性は確立されていない。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

九州という特定地域における鉄道網の広範なカバー率は強み。地域インフラとしての役割は大きく、一定の寡占状態を維持している。ただし、人口減少地域が多く、規模の経済を最大限に活かしきれていない側面もある。

  • 広範な鉄道ネットワーク
    九州全域に広がる新幹線2路線、在来線21路線、総営業キロ2,342.6キロメートルという広範な鉄道ネットワークは、九州における交通インフラの要であり、他社が容易に模倣できない強固な競争優位性です。これにより、安定した運輸収入を確保しています。
  • 駅ビル開発と地域連携
    主要駅に隣接する駅ビル(JR博多シティなど)を自社グループで開発・運営している点は大きな強みです。鉄道利用者を商業施設やホテルに誘導し、不動産賃貸収入やホテル収入を得るだけでなく、地域に根ざした魅力的なまちづくりを推進することで、地域からの信頼と支持を得ています。
  • 多角的な事業ポートフォリオ
    運輸サービスだけでなく、不動産・ホテル、流通・外食、建設、ビジネスサービスといった多様な事業を展開することで、特定の事業に依存しない安定した収益構造を築いています。これにより、経済変動や特定の市場の低迷リスクを分散し、グループ全体の経営の安定性を高めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • サステナブルなモビリティサービスの実現
    運賃改定を契機に、安全性のさらなる向上とお客さま満足度の追求に注力し、持続可能な鉄道サービスを目指しています。物価高騰や人材確保のための待遇改善といったコスト増に対応しつつ、鉄道事業の安定的な収益基盤を強化することで、グループ全体の成長を牽引する方針です。
  • 事業間連携によるまちづくり
    駅を中心としたまちづくりを核に、各事業の成長と連携強化を図り、グループ全体の総合力を最大化します。JRキューポ会員の新規獲得や複数サービス利用促進を通じて、お客さま接点を強化し、利用頻度と単価の増加を目指します。また、未来市場戦略部を新設し、データ分析に基づいた新たな市場創出にも取り組んでいます。
  • 未来への種まきとレジリエンス強化
    新たな事業機会の創出と事業ポートフォリオの改善に積極的に取り組みます。ベンチャーキャピタルへの出資を通じたスタートアップとの協業などを加速し、新たな収益源の確保と既存事業の変革を目指します。また、人流依存の事業構造を改善し、資本効率性を意識した事業投資でレジリエンス(回復力)を強化する方針です。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針及び経営環境当社グループは、経営理念として「わたしたちの夢」、「使命」、「おこない」を掲げるとともに、経営理念から導出したJR九州グループが常に考えるべきことであるマテリアリティを設定しております。(経営理念) わたしたちの夢:「九州の元気を、世界へ」魅力あふれるまちづくりを通じて、九州をもっとにぎやかに、もっとおもしろく。九州に住む人、九州を訪れる人、そしてJR九州グループをご利用の世界中の人を元気にしていきます。 使命:「安全を最優先し、お客さま視点で考え、安心で快適な毎日と “わくわく”するときをつくる。」 おこない:「誠実」 常に誠実さを貫き、自分に、そして社会に誇れる仕事をする。 「共創」 人や地域、多様な仲間と未来につながる価値を共創する。 「挑戦」 柔軟な発想を持ち、成長のための挑戦を続ける。 (マテリアリティ) ①事業 「最大の使命である安全の創造とお客さま満足の追求」 ・私たちが営むあらゆる事業は、安全であるというお客さまからの信頼の上に成り立っています ・変化する世界の中でも、安心で快適な毎日をつくり出すため、誠実に手間を惜しまず安全を最優先し、 お客さまにとって価値のある商品やサービスを提供します 「モビリティサービス を軸に総合力を活かした地域との共創によるまちづくり」 ・モビリティサービスを軸に多様な商品やサービス、そこから生まれる“わくわく”の提供を通じて、 まちとまち、まちと人、人と人をつないでいきます ・地域のことを深く理解し、JR九州グループに関わるすべての人と手を取り合いながら、持続可能で魅力 あふれる、「住みたい・働きたい・訪れたい」まちづくりを推進します ②基盤 「価値創造の源泉である人づくり」・社員の誰もがやりがいを持ち、いきいきと活躍できる会社をつくるとともに、人間力・実務力を持っ た人材を育成します ・多様な価値観や能力を活かし、社員の“個”の力の最大化を図ります 「健全な企業運営」 ・情報を適切に管理・共有するとともに、法令の遵守を徹底します ・持続的な成長のための適切なリスクテイクを実現するガバナンス体制のあり方を常に検討します ・ステークホルダーとの対話を充実させ、適切に企業活動に活かしていきます 「環境と調和した事業展開」 ・環境優位性を有する鉄道輸送の提供により脱炭素社会の実現に貢献します ・効率的な資源利用による資源循環や生物多様性保全の取組みを推進します ・ビジネス機会でもある環境課題の解決を通じて、持続可能な社会の形成に貢献します (経営環境)グローバルな社会・経済情勢の変化が、当社グループを取り巻く経営環境に加速度的な変容を及ぼしている現況を的確に捉え、俯瞰的に将来の変化を見据えた経営を行うことが肝要と認識しております。特に、国内における物価高騰や労働人口の減少、働き手の価値観の変容を踏まえた待遇改善の必要性については、注視が必要な変化と捉えております。また、諸外国の政策動向や金融資本市場の変動等の影響に鑑みると、今後の経済の先行きには注意する必要があるものと考えられます。 (2)対処すべき課題2026年3月期よりスタートした「JR九州グループ中期経営計画2025-2027」では、コロナ禍からの成長軌道への復帰を果たした前中期経営計画と当社グループ内外の環境変化を踏まえて、長期的な目線で当社グループが持続的な成長を遂げていくことに主眼を置いた戦略の実行が必要との認識のもと、3つの重点戦略である「サステナブルなモビリティサービスの実現」、「事業間連携の強化によるまちづくり」、「未来への種まき」を推進するとともに、「労働市場の変化を踏まえた人的資本拡充」、「環境課題への統合的なアプローチ」、「DX活用範囲の拡大と深堀り」、「グループガバナンス強化・適切なリスクテイクを可能にするガバナンス体制構築」からなる経営基盤強化の取り組みを進めてまいります。 1.サステナブルなモビリティサービスの実現昨年4月、消費税の引き上げによるものを除き、29年ぶりに実施した運賃改定は、鉄道事業にとって大きな転換点であったと認識しております。デフレからインフレへ環境が変化する中、運賃改定により物価高騰や人材確保に向けた待遇改善等のコスト上昇に対して、より適切な対応が可能になったと考えています。運賃改定を契機として、安全やお客さま満足の更なる向上をはじめ、各種取り組みをさらに強力に推進することで、重点戦略の1つであるサステナブルなモビリティサービスの実現を達成し、グループ全体の持続的な成長につなげてまいります。また、新たに策定した「安全中期計画2026-2028」を柱として、車両データ分析等の新技術を実装し、安全性のさらなる高度化を図ってまいります。さらに、「お客さま満足向上戦略(2025~2027)」を深度化させ、モバイルIC導入や「QRチケレス」の拡充で利便性を高めるとともに、新たな車両の製造や既存D&S列車の刷新を検討するなど、お客さまへご提供する旅の魅力向上に努めます。あわせて自動運転区間の拡大や公衆回線を使用した無線式列車制御の導入準備を進め、強固で効率的な運営体制の早期構築を目指してまいります。 2.事業間連携の強化によるまちづくり駅を中心としたまちづくりを核に、各事業の成長に加え、事業間連携を強化し、グループの総合力の最大化を進めてまいります。事業間連携強化のポイントとなるのが、お客さま接点の強化です。当社グループが提供する各種サービス会員の新規獲得等、これまで推進してきたJRキューポの取り組みを強化し、お客さまに寄り添った行動の提案や、特典の付与等による複数サービスの利用促進を通じて、お客さま単価・ご利用頻度の増加につなげてまいります。また、福岡都市圏や豊肥本線沿線における大規模な開発プロジェクトを着実に進め、沿線全体の価値向上を牽引するとともに、インフレによる建設コスト増大が進む中、更なる収益拡大策として、駅ビルや商業施設などの既存アセットのリニューアル(バリューアップ)に取り組みます。 3.未来への種まき未来への種まきとして、引き続き、適切なリスクテイクを通じた新たな事業機会の創出とレジリエンスの更なる強化に積極的に取り組んでまいります。新たな事業機会の創出について、外部環境の変化に対応し、不透明な将来においても当社グループの競争力を維持するためには、新規事業への挑戦が不可欠だと認識しています。新たな収益源の確保と既存事業の変革・活性化を目指し、本中期経営計画期間においては、ベンチャーキャピタルへの出資等を通じたスタートアップとの協業等を加速してまいります。本年4月には既存事業の枠を超えた視点で新規事業創出を行うため、フロンティア創造部を立ち上げました。レジリエンスの強化について、資本効率性の向上を意識しつつ、人流依存の事業ポートフォリオの改善、お客さまとの接点の強化・拡大など、当社グループの強みが活かせる事業への投資を行ってまいります。 4.労働市場の変化を踏まえた人的資本拡充本中期経営計画期間では、昨今の激しく変化する労働市場に鑑み、長期的に事業を継続し、成長させていくという観点から待遇や働きやすさを改善するための投資を拡充していきます。加えて、マテリアリティや事業戦略と連動して各種研修を拡充するなど、持続的な成長を支える人材の育成を推進いたします。また、従業員意識調査の結果を反映させた人材戦略を推進し、DE&Iの促進や自発的に学ぶ社員への支援等を通じて、「明るく楽しい会社づくり」を推進し、経営基盤を強化してまいります。 5.環境課題への統合的なアプローチ昨年2月に「JR九州グループ環境ビジョン2050」を策定し、従前より取り組んできた気候変動に加え、資源循環や生物多様性も含めた統合的なアプローチを行うことで、自然と共生した未来を目指しています。2050年カーボンニュートラルに向けては2035年度における野心的な目標として、2023年度比でグループ全体のGHG排出量60%削減を掲げており、省エネ型車両への更新やバイオ燃料の実証試験に加え、PPA(電力購入契約)を活用した再生可能エネルギーの調達を拡大していくなど、それぞれの領域において長期的に企業価値の向上に資する取り組みを意欲的に推進してまいります。 6.DX活用範囲の拡大と深堀り 「JR九州グループDX戦略」に基づき、「デジタルの力で、まちを、お客さまを、社員を、元気に」を旗印に各種取り組みを推進するとともに、生成AIやAIエージェントの積極活用により、オペレーションの変革と生産性向上を図ります。また、並行してこれらを支えるセキュリティ基盤の強化にも積極的に取り組んでまいります。 7.グループガバナンス強化・適切なリスクテイクを可能にするガバナンス体制構築 (1)グループガバナンス強化2024年度、連結子会社であるJR九州高速船株式会社において安全確保に関わる重大な問題が発生したことを受け、当社は、再発防止策の策定とグループガバナンス強化に注力してまいりました。また、昨年4月よりグループ会社に常勤監査役を配置することを基本とし、監査体制を強化するとともに、グループ会社の非常勤取締役が各社の現地視察や社員との意見交換を実施する等を通じて、業務の実態把握を強化する取り組みを推進しております。また、これらの実施状況を半期に一度、当社の取締役会に報告することにより、グループガバナンスの更なる強化を進めてまいりました。しかしながら、昨年、連結子会社においてアルコール検査未実施の事象が発生するとともに、点呼業務を適切に実施していなかった事案も判明しました。これらの事象を受け、当社では、全グループ会社における自動車運転時のアルコール検査の実施状況を確認するとともに、アルコール検査の厳格化を図っております。また、2026年度以降、当社のグループ会社の子会社に対しても当社から監査役を派遣するなど、グループ全体の監査体制の更なる強化を進める方針です。更に、グループ会社における安全等のリスク管理の全体総括等を目的として、本年4月、当社にリスクマネジメント推進室等を新設し、グループ会社の安全等のリスク管理をより一層強化してまいります。今後も、これらの対策を継続し、その実施状況を適切にトレースすることで、グループガバナンスを強化するとともに、当社グループにおける安全意識の向上及び安全管理体制の再構築を進め、グループ全体で安全を最優先とした事業運営を行ってまいります。 (2)適切なリスクテイクを可能にするガバナンス体制構築持続的な企業価値の向上に向けて、引き続き、取締役会の独立した社外取締役の比率を原則過半数とするとともに、業績・企業価値の向上に対する動機付けをより強くする方向で役員報酬の見直しを行う等の仕組みを継続・強化していくことで、適切なリスクテイクを可能にするガバナンス体制構築をより一層促進してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針及び経営環境当社グループは、経営理念として「わたしたちの夢」、「使命」、「おこない」を掲げるとともに、経営理念から導出したJR九州グループが常に考えるべきことであるマテリアリティを設定しております。(経営理念) わたしたちの夢:「九州の元気を、世界へ」魅力あふれるまちづくりを通じて、九州をもっとにぎやかに、もっとおもしろく。九州に住む人、九州を訪れる人、そしてJR九州グループをご利用の世界中の人を元気にしていきます。 使命:「安全を最優先し、お客さま視点で考え、安心で快適な毎日と “わくわく”するときをつくる。」 おこない:「誠実」 常に誠実さを貫き、自分に、そして社会に誇れる仕事をする。 「共創」 人や地域、多様な仲間と未来につながる価値を共創する。 「挑戦」 柔軟な発想を持ち、成長のための挑戦を続ける。 (マテリアリティ) ①事業 「最大の使命である安全の創造とお客さま満足の追求」 ・私たちが営むあらゆる事業は、安全であるというお客さまからの信頼の上に成り立っています ・変化する世界の中でも、安心で快適な毎日をつくり出すため、誠実に手間を惜しまず安全を最優先し、 お客さまにとって価値のある商品やサービスを提供します 「モビリティサービス を軸に総合力を活かした地域との共創によるまちづくり」 ・モビリティサービスを軸に多様な商品やサービス、そこから生まれる“わくわく”の提供を通じて、 まちとまち、まちと人、人と人をつないでいきます ・地域のことを深く理解し、JR九州グループに関わるすべての人と手を取り合いながら、持続可能で魅力 あふれる、「住みたい・働きたい・訪れたい」まちづくりを推進します ②基盤 「価値創造の源泉である人づくり」・社員の誰もがやりがいを持ち、いきいきと活躍できる会社をつくるとともに、人間力・実務力を持っ た人材を育成します ・多様な価値観や能力を活かし、社員の“個”の力の最大化を図ります 「健全な企業運営」 ・情報を適切に管理・共有するとともに、法令の遵守を徹底します ・持続的な成長のための適切なリスクテイクを実現するガバナンス体制のあり方を常に検討します ・ステークホルダーとの対話を充実させ、適切に企業活動に活かしていきます 「環境と調和した事業展開」 ・環境優位性を有する鉄道輸送の提供により脱炭素社会の実現に貢献します ・効率的な資源利用による資源循環や生物多様性保全の取組みを推進します ・ビジネス機会でもある環境課題の解決を通じて、持続可能な社会の形成に貢献します (経営環境)グローバルな社会・経済情勢の変化が、当社グループを取り巻く経営環境に加速度的な変容を及ぼしている現況を的確に捉え、俯瞰的に将来の変化を見据えた経営を行うことが肝要と認識しております。特に、国内における物価高騰や労働人口の減少、働き手の価値観の変容を踏まえた待遇改善の必要性については、注視が必要な変化と捉えております。また、諸外国の政策動向や金融資本市場の変動等の影響に鑑みると、今後の経済の先行きには注意する必要があるものと考えられます。 (2)対処すべき課題2026年3月期よりスタートした「JR九州グループ中期経営計画2025-2027」では、コロナ禍からの成長軌道への復帰を果たした前中期経営計画と当社グループ内外の環境変化を踏まえて、長期的な目線で当社グループが持続的な成長を遂げていくことに主眼を置いた戦略の実行が必要との認識のもと、3つの重点戦略である「サステナブルなモビリティサービスの実現」、「事業間連携の強化によるまちづくり」、「未来への種まき」を推進するとともに、「労働市場の変化を踏まえた人的資本拡充」、「環境課題への統合的なアプローチ」、「DX活用範囲の拡大と深堀り」、「グループガバナンス強化・適切なリスクテイクを可能にするガバナンス体制構築」からなる経営基盤強化の取り組みを進めてまいります。 1.サステナブルなモビリティサービスの実現昨年4月、消費税の引き上げによるものを除き、29年ぶりに実施した運賃改定は、鉄道事業にとって大きな転換点であったと認識しております。デフレからインフレへ環境が変化する中、運賃改定により物価高騰や人材確保に向けた待遇改善等のコスト上昇に対して、より適切な対応が可能になったと考えています。運賃改定を契機として、安全やお客さま満足の更なる向上をはじめ、各種取り組みをさらに強力に推進することで、重点戦略の1つであるサステナブルなモビリティサービスの実現を達成し、グループ全体の持続的な成長につなげてまいります。また、新たに策定した「安全中期計画2026-2028」を柱として、車両データ分析等の新技術を実装し、安全性のさらなる高度化を図ってまいります。さらに、「お客さま満足向上戦略(2025~2027)」を深度化させ、モバイルIC導入や「QRチケレス」の拡充で利便性を高めるとともに、新たな車両の製造や既存D&S列車の刷新を検討するなど、お客さまへご提供する旅の魅力向上に努めます。あわせて自動運転区間の拡大や公衆回線を使用した無線式列車制御の導入準備を進め、強固で効率的な運営体制の早期構築を目指してまいります。 2.事業間連携の強化によるまちづくり駅を中心としたまちづくりを核に、各事業の成長に加え、事業間連携を強化し、グループの総合力の最大化を進めてまいります。事業間連携強化のポイントとなるのが、お客さま接点の強化です。当社グループが提供する各種サービス会員の新規獲得等、これまで推進してきたJRキューポの取り組みを強化し、お客さまに寄り添った行動の提案や、特典の付与等による複数サービスの利用促進を通じて、お客さま単価・ご利用頻度の増加につなげてまいります。また、福岡都市圏や豊肥本線沿線における大規模な開発プロジェクトを着実に進め、沿線全体の価値向上を牽引するとともに、インフレによる建設コスト増大が進む中、更なる収益拡大策として、駅ビルや商業施設などの既存アセットのリニューアル(バリューアップ)に取り組みます。 3.未来への種まき未来への種まきとして、引き続き、適切なリスクテイクを通じた新たな事業機会の創出とレジリエンスの更なる強化に積極的に取り組んでまいります。新たな事業機会の創出について、外部環境の変化に対応し、不透明な将来においても当社グループの競争力を維持するためには、新規事業への挑戦が不可欠だと認識しています。新たな収益源の確保と既存事業の変革・活性化を目指し、本中期経営計画期間においては、ベンチャーキャピタルへの出資等を通じたスタートアップとの協業等を加速してまいります。本年4月には既存事業の枠を超えた視点で新規事業創出を行うため、フロンティア創造部を立ち上げました。レジリエンスの強化について、資本効率性の向上を意識しつつ、人流依存の事業ポートフォリオの改善、お客さまとの接点の強化・拡大など、当社グループの強みが活かせる事業への投資を行ってまいります。 4.労働市場の変化を踏まえた人的資本拡充本中期経営計画期間では、昨今の激しく変化する労働市場に鑑み、長期的に事業を継続し、成長させていくという観点から待遇や働きやすさを改善するための投資を拡充していきます。加えて、マテリアリティや事業戦略と連動して各種研修を拡充するなど、持続的な成長を支える人材の育成を推進いたします。また、従業員意識調査の結果を反映させた人材戦略を推進し、DE&Iの促進や自発的に学ぶ社員への支援等を通じて、「明るく楽しい会社づくり」を推進し、経営基盤を強化してまいります。 5.環境課題への統合的なアプローチ昨年2月に「JR九州グループ環境ビジョン2050」を策定し、従前より取り組んできた気候変動に加え、資源循環や生物多様性も含めた統合的なアプローチを行うことで、自然と共生した未来を目指しています。2050年カーボンニュートラルに向けては2035年度における野心的な目標として、2023年度比でグループ全体のGHG排出量60%削減を掲げており、省エネ型車両への更新やバイオ燃料の実証試験に加え、PPA(電力購入契約)を活用した再生可能エネルギーの調達を拡大していくなど、それぞれの領域において長期的に企業価値の向上に資する取り組みを意欲的に推進してまいります。 6.DX活用範囲の拡大と深堀り 「JR九州グループDX戦略」に基づき、「デジタルの力で、まちを、お客さまを、社員を、元気に」を旗印に各種取り組みを推進するとともに、生成AIやAIエージェントの積極活用により、オペレーションの変革と生産性向上を図ります。また、並行してこれらを支えるセキュリティ基盤の強化にも積極的に取り組んでまいります。 7.グループガバナンス強化・適切なリスクテイクを可能にするガバナンス体制構築 (1)グループガバナンス強化2024年度、連結子会社であるJR九州高速船株式会社において安全確保に関わる重大な問題が発生したことを受け、当社は、再発防止策の策定とグループガバナンス強化に注力してまいりました。また、昨年4月よりグループ会社に常勤監査役を配置することを基本とし、監査体制を強化するとともに、グループ会社の非常勤取締役が各社の現地視察や社員との意見交換を実施する等を通じて、業務の実態把握を強化する取り組みを推進しております。また、これらの実施状況を半期に一度、当社の取締役会に報告することにより、グループガバナンスの更なる強化を進めてまいりました。しかしながら、昨年、連結子会社においてアルコール検査未実施の事象が発生するとともに、点呼業務を適切に実施していなかった事案も判明しました。これらの事象を受け、当社では、全グループ会社における自動車運転時のアルコール検査の実施状況を確認するとともに、アルコール検査の厳格化を図っております。また、2026年度以降、当社のグループ会社の子会社に対しても当社から監査役を派遣するなど、グループ全体の監査体制の更なる強化を進める方針です。更に、グループ会社における安全等のリスク管理の全体総括等を目的として、本年4月、当社にリスクマネジメント推進室等を新設し、グループ会社の安全等のリスク管理をより一層強化してまいります。今後も、これらの対策を継続し、その実施状況を適切にトレースすることで、グループガバナンスを強化するとともに、当社グループにおける安全意識の向上及び安全管理体制の再構築を進め、グループ全体で安全を最優先とした事業運営を行ってまいります。 (2)適切なリスクテイクを可能にするガバナンス体制構築持続的な企業価値の向上に向けて、引き続き、取締役会の独立した社外取締役の比率を原則過半数とするとともに、業績・企業価値の向上に対する動機付けをより強くする方向で役員報酬の見直しを行う等の仕組みを継続・強化していくことで、適切なリスクテイクを可能にするガバナンス体制構築をより一層促進してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 1 経営成績等の概要(1)経営成績当連結会計年度における我が国の経済は、個人消費の持ち直しの動きが見られ、雇用・所得環境が改善するなど、緩やかに回復してきました。しかしながら、物価上昇や金融資本市場の変動、地政学リスクの高まり等の影響により、今後の経済の先行きには引き続き注意する必要があるものと考えられます。このような状況のなか、当社グループは2025年3月に一新した経営理念とともに策定した「JR九州グループ中期経営計画2025-2027」のもと、3つの重点戦略である「サステナブルなモビリティサービスの実現」、「事業間連携の強化によるまちづくり」及び「未来への種まき」を推進するとともに、重点戦略の実行を支える4つの経営基盤強化の取り組みとして「労働市場の変化を踏まえた人的資本拡充」、「環境課題への統合的なアプローチ」、「DX活用範囲の拡大と深堀り」、「グループガバナンス強化・適切なリスクテイクを可能にするガバナンス体制構築」に注力してまいりました。この結果、営業収益は前期比10.1%増の5,003億93百万円、営業利益は前期比25.5%増の740億40百万円、EBITDAは前期比17.4%増の1,126億84百万円、経常利益は前期比24.3%増の740億32百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比4.1%増の454億68百万円となりました。当社グループの業績をセグメントごとに示すと次のとおりです。(単位:百万円)セグメントの名称営業収益営業利益EBITDA(注2)当連結会計年度前期比増減前期比増減率当連結会計年度前期比増減前期比増減率当連結会計年度前期比増減前期比増減率運輸サービス190,66821,33012.6%23,97611,78996.7%38,67013,27752.3%不動産・ホテル156,69413,2819.3%34,4032,9199.3%52,9373,3286.7% 不動産賃貸業82,9514,6776.0%18,7144992.7%33,4365701.7% 不動産販売業39,6736,77420.6%8,3461,88629.2%8,3581,88329.1% ホテル業34,0691,8305.7%7,3425337.8%11,1418748.5%流通・外食71,8104,7377.1%3,87339011.2%5,3914138.3%建設111,08710,46710.4%7,7403805.2%9,0964495.2%ビジネスサービス84,1661,5661.9%5,037△222△4.2%7,999△525△6.2%合計614,42751,3849.1%75,03115,25725.5%114,09416,94217.4%調整額(注1)△114,034△5,385-△991△194-△1,409△213-連結数値500,39345,99910.1%74,04015,06325.5%112,68416,72917.4%(注)1 調整額は、セグメント間取引消去によるものです。2 連結EBITDA=営業利益+減価償却費(セグメント間取引消去後、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)、セグメント別EBITDA=各セグメント営業利益+各セグメント減価償却費(セグメント間取引消去前、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く) ① 運輸サービスグループ鉄道事業においては、消費税率の引上げによるものを除き29年ぶりに運賃・料金改定を実施するとともに、サステナブルなモビリティサービスの実現に向け、様々な施策を展開しました。当社グループの根幹である安全を最優先事項とし、DXの推進や新技術の活用により鉄道の持続可能性と収益性を追求する「未来鉄道プロジェクト」を推進しました。具体的には、2025年12月に鹿児島本線と日豊本線の一部区間においてGoA2.0自動運転を本格導入し自動運転の対象エリアを拡大するとともに、公衆回線を使用した無線式列車制御システムの開発を推進するなど、更なる鉄道の安全性、持続可能性、収益性を追求する施策に取り組みました。営業面では、お客さま視点でのCX(顧客体験)改善をトップライン向上に繋げるべく、駅トイレのリニューアルプロジェクトである“恋するトイレプロジェクト”「HEARTFUL JR KYUSHU」など、快適な利用環境の整備を継続して推進しました。また、QRコード(注) を使用したチケットレスサービスの更なる拡充といったデジタルサービスの提供を通じて利便性を高め、窓口混雑の緩和や機器維持コストの削減に取り組むとともに、人気キャラクターとのタイアップ企画である「スーパーマリオ×JR九州 ~Let‘s GO KYUSHU!~」を展開するなど、新たな移動需要の創出に注力しました。さらに、MaaSアプリ「my route」を活用した「九州MaaS」の推進により九州各地でデジタルきっぷの実装や複数の交通機関のシームレスな連携を強化しました。これらを観光・イベント・地域交通を束ねる仕組みとして定着させることで、モビリティサービスを軸とした「地域との共創によるまちづくり」を推進しました。この結果、営業収益は前期比12.6%増の1,906億68百万円、営業利益は前期比96.7%増の239億76百万円、EBITDAは前期比52.3%増の386億70百万円となりました。(注)QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。 ② 不動産・ホテルグループ不動産賃貸業においては、株式会社JR博多シティを中心に駅ビルテナント売上高が堅調に推移したほか、オフィスビルや物流施設を取得するなど、成長投資を実施しました。不動産販売業においては、オフィスビル及び賃貸マンションを売却したほか、分譲マンション「MJR熊本ゲートタワー」や「MJR鹿児島中央駅前 ザ・ガーデン」等の引き渡しによる売上を計上しました。また、新たに分譲マンション「MJR赤坂ゲートタワー」や「MJR浦上 THE ONCE」、「リビオタワー品川」等の販売に取り組みました。ホテル業においては、インバウンド需要が堅調な中、稼働は安定して推移するとともに、効率的な事業運営に努めてまいりました。この結果、営業収益は前期比9.3%増の1,566億94百万円、営業利益は前期比9.3%増の344億3百万円、EBITDAは前期比6.7%増の529億37百万円となりました。 ③ 流通・外食グループ小売業においては、コンビニエンスストア店舗の新規出店やリニューアルによる競争力強化等に取り組みました。飲食業においては、フランチャイズ店舗の新規出店による収入拡大を図ったほか、飲食事業店舗のメニュー刷新による集客力向上等に取り組みました。また、JR九州フードサービス株式会社が株式会社スープストックトーキョーとフランチャイズ契約を締結し、本年3月より福岡県内4店舗の運営を開始しました。この結果、営業収益は前期比7.1%増の718億10百万円、営業利益は前期比11.2%増の38億73百万円、EBITDAは前期比8.3%増の53億91百万円となりました。 ④ 建設グループ建設業においては、鉄道に係る土木・軌道・建築工事やメンテナンス事業、車両機械設備工事業を通して鉄道の安全・安定輸送の確保に取り組むとともに、北海道新幹線関連工事等の官公庁工事やマンション等の民間工事の新規受注に努めました。また、生産性向上に向けた各種取り組みにより必要な施工能力を確保するとともに、人材確保への投資を継続したことで、安定した事業運営体制を維持しました。さらに、BtoB・BtoG事業を強化し、グループ全体で更なる成長を目指すため、昨年4月に明治建設株式会社及び株式会社昭和テックスを連結子会社化しました。この結果、営業収益は前期比10.4%増の1,110億87百万円、営業利益は前期比5.2%増の77億40百万円、EBITDAは前期比5.2%増の90億96百万円となりました。 ⑤ ビジネスサービスグループ建設機械販売・レンタル事業においては、積極的な営業活動を行い収益の確保に努めました。また、広告業を中心に新規受注の獲得やコスト削減に取り組みました。このほか、JR九州サービスサポート株式会社を存続会社としてJR九州リネン株式会社を吸収合併する組織再編を行い、経営基盤を強化するとともに、清掃整備とリネンサプライの一体的な提供による一層のサービス向上を通じて、受注拡大を図りました。この結果、営業収益は前期比1.9%増の841億66百万円、営業利益は前期比4.2%減の50億37百万円、EBITDAは前期比6.2%減の79億99百万円となりました。 (参考)当社の鉄道事業の営業実績① 輸送実績区分単位当事業年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日) 前年同期比(%)営業日数日365100.0営業キロ新幹線キロ358.5100.0在来線〃1,984.1100.0計〃2,342.6100.0客車走行キロ新幹線千キロ65,594100.9在来線〃202,519101.1計〃268,113101.1輸送人員定期千人210,04298.1定期外〃118,754100.8計〃328,79799.1輸送人キロ新幹線定期千人キロ242,991103.7定期外〃1,773,861101.3計〃2,016,853101.5在来線幹線定期〃3,182,53297.3定期外〃2,522,91999.1計〃5,705,45298.1地方交通線定期〃479,14396.6定期外〃291,55498.6計〃770,69897.4計定期〃3,661,67697.2定期外〃2,814,47499.0計〃6,476,15098.0合計定期〃3,904,66897.6定期外〃4,588,33599.9計〃8,493,00498.8乗車効率新幹線%46.5100.6在来線〃28.795.7計〃29.896.6(注) 乗車効率は次の方法により算出されております。乗車効率=輸送人キロ×100客車走行キロ × 客車平均定員 ② 収入実績区分単位当事業年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日) 前年同期比(%)旅客運輸収入新幹線定期百万円3,837119.8定期外〃65,350114.0計〃69,188114.3在来線定期〃33,233118.7定期外〃70,167111.9計〃103,401114.0合計定期〃37,070118.8定期外〃135,518112.9計〃172,589114.1荷物収入〃15143.3合計〃172,604114.1鉄道線路使用料収入〃547108.1運輸雑収〃15,719102.7収入合計〃188,871113.1 (2)キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、棚卸資産にかかる支出が増加したこと等により前連結会計年度に比べ238億16百万円減少し、728億53百万円となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果支出した資金は、固定資産の取得支出が減少したこと等により前連結会計年度に比べ202億79百万円減少し、871億30百万円となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果得られた資金は、長期借入れによる収入が増加したこと等により、125億9百万円となりました。(前期は69億31百万円の支出) 以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ15億41百万円減少し、442億57百万円となりました。 (3)生産、受注及び販売の実績当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また人的サービスの提供を主たる業務とする場合も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で表すことはしておりません。このため、生産、受注及び販売の実績については、「1 経営成績等の概要」におけるセグメント業績に関連付けて示しております。 2 経営者の視点による経営成績等に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。 (1)重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているため省略しております。また、当社グループの連結財務諸表の作成につきましては、決算日における資産、負債及び報告期間における損益に影響を与える事項につき、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる範囲で継続的に見積り及び判断を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性により異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた見積りや仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 (2)経営成績の分析① 営業収益営業収益は、鉄道旅客運輸収入の増、不動産・ホテルの収入増などにより、前連結会計年度に比べ10.1%増の5,003億93百万円となり、5期連続の増収となりました。 運輸サービスセグメントは、前連結会計年度に比べ12.6%増加し、1,906億68百万円となりました。これは、当社の鉄道旅客運輸収入が、前連結会計年度に比べ14.1%増の1,726億4百万円となったことなどによるものです。 不動産・ホテルセグメントは、前連結会計年度に比べ9.3%増加し、1,566億94百万円となりました。これは、不動産販売業の収入増などによるものです。 流通・外食セグメントは、前連結会計年度に比べ7.1%増加し、718億10百万円となりました。これは、外食業の収入増などによるものです。 建設セグメントは、前連結会計年度に比べ10.4%増加し、1,110億87百万円となりました。これは、工事の増などによるものです。 ビジネスサービスセグメントは、前連結会計年度に比べ1.9%増加し、841億66百万円となりました。これは、受注の増などによるものです。 ② 営業費営業費は、前連結会計年度に比べ7.8%増加し、4,263億52百万円となりました。運輸業等営業費及び売上原価は、前連結会計年度に比べ8.4%増加し、2,873億13百万円となりました。これは、不動産販売原価の増等によるものです。 販売費及び一般管理費については、前連結会計年度に比べ6.6%増加し、1,390億38百万円となりました。これは、人件費の増等によるものです。 ③ 営業利益営業利益は、前連結会計年度に比べ25.5%増加し、740億40百万円となりました。なお、営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の13.0%に対し、当連結会計年度は14.8%となりました。 ④ 営業外損益営業外収益は、前連結会計年度に比べ12.9%増加し、49億9百万円となりました。これは、受取配当金の増等によるものです。営業外費用は、前連結会計年度に比べ30.9%増加し、49億17百万円となりました。これは支払利息の増等によるものです。 ⑤ 経常利益経常利益は、前連結会計年度に比べ24.3%増加し、740億32百万円となりました。なお、営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の13.1%に対し、当連結会計年度は14.8%となりました。 ⑥ 特別損益特別利益は、前連結会計年度に比べ29.1%減少し、77億97百万円となりました。これは、工事負担金等受入額の減等によるものです。特別損失は、前連結会計年度に比べ54.8%増加し、221億88百万円となりました。これは、プロジェクト撤退損の計上等によるものです。 ⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ4.1%増加し、454億68百万円となりました。 (3)財政状態の分析当連結会計年度末の資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ7.2%増加し、1兆2,224億30百万円となりました。流動資産は、仕掛品の増等により前連結会計年度末に比べ15.7%増加し、2,477億28百万円となりました。固定資産は、有形固定資産の増等により前連結会計年度末に比べ5.2%増加し、9,747億1百万円となりました。一方、負債の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ6.7%増加し、7,275億60百万円となりました。流動負債は、コマーシャル・ペーパーの減等により前連結会計年度末に比べ3.8%減少し、2,046億3百万円となりました。固定負債は、社債の増等により前連結会計年度末に比べ11.5%増加し、5,229億56百万円となりました。また、純資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ7.9%増加し、4,948億70百万円となりました。これは、利益剰余金の増等によるものです。 (4)資本の財源及び資金の流動性① キャッシュ・フロー現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ15億41百万円減少し、442億57百万円となりました。営業活動の結果得られた資金は、棚卸資産にかかる支出が増加したこと等により前連結会計年度に比べ238億16百万円減少し、728億53百万円となりました。投資活動の結果支出した資金は、固定資産の取得支出が減少したこと等により前連結会計年度に比べ202億79百万円減少し、871億30百万円となりました。財務活動の結果得られた資金は、長期借入れによる収入が増加したこと等により125億9百万円となりました。(前期は69億31百万円の支出) ② 重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載のとおりです。 ③ 財務政策資金調達については、財務健全性を維持しつつ主として借入余力を活用した投資計画や既存債務の返済資金のうち、当社グループのキャッシュ・フローで不足する部分を調達しております。その調達手段は、主に社債の発行や金融機関からの借入等、市場や金利の動向を総合的に勘案しながら決定しております。当社グループはキャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、CMS参加各社の余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行うことで、資金効率の向上に努めております。当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を2030年及び2035年とする無担保普通社債を総額500億円発行いたしました。これらの社債は、株式会社格付投資情報センターよりAA-の格付を取得しております。当社グループは、資金の流動性確保のため、主要な取引銀行に当座借越枠を設定しております。また、コマーシャル・ペーパーについて、当社は株式会社格付投資情報センターよりa-1+の短期(CP)格付を取得しております。なお、当連結会計年度末における当座借越残高及びコマーシャル・ペーパーの発行残高はありません。 (5)経営者の問題認識と今後の方針について経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。

事業リスク

  • 自然災害による影響
    九州は地震、火山噴火、台風、豪雨などの自然災害が多い地域であり、鉄道軌道や車両、不動産などの固定資産が大規模な被害を受ける可能性があります。これにより、修繕費用や運休による収入減少、事業運営の停止など、経営成績や財政状態に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。
  • 人口減少と少子高齢化
    九州地方は国内でも人口減少率が高く、高齢化が進んでいます。これにより、通勤・通学の定期収入やビジネス・観光の定期外収入が減少し、運輸サービスグループの収益に影響を与える可能性があります。また、駅ビルやマンションの利用者・購入者の減少は、不動産・ホテル、流通・外食グループの業績にも影響を及ぼす恐れがあります。
  • 安全確保と社会的信頼
    鉄道事業における重大事故は、多額の損害賠償請求や修繕費用、運休による収入減少だけでなく、企業イメージや社会的信頼の失墜につながります。特に新幹線を含む鉄道ネットワークは相互連携しているため、小規模な事故でも広範囲に影響が及び、グループ全体の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|14,698 文字
3【事業等のリスク】当社グループは、九州新幹線をはじめとした九州主要都市間を結ぶ鉄道ネットワークを有しており、鉄道事業に加えて、鉄道事業との相乗効果の高い不動産業(駅ビル商業施設、マンション、ホテル等)、小売業、飲食業、建設業等について九州を中心に展開しております。本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 1 安全の確保に関する事項鉄道事業にかかる重大事故があった場合、第三者から損害賠償等の請求を受ける可能性があるほか、損傷した鉄道路線の修繕や交換に要する多額の支出の発生、運休による収入の減少及び当社グループの評判や社会的信頼の毀損が生じる可能性があります。なお、新幹線を中心に、鉄道ネットワークは相互連携しているため、比較的小規模な事故であっても当社グループの鉄道の運行に広範囲にわたって支障を来たす可能性があり、当社グループの収益の減少をもたらすほか、鉄道サービスや設備の安全性そのものに対する懸念を生じさせ、場合によっては当社グループの鉄道事業以外の事業に対する社会的信頼やブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおいては、基幹事業である鉄道事業の安全は最大の使命であり、企業価値の源泉であるという認識の下、経営トップの主体的関与により安全管理に係るPDCAサイクルを適切に機能させ、安全監査及び安全点検等を実施することにより、更なる安全の確保に努めています。 2 少子高齢化等の人口動向に関する事項当社グループの主な事業エリアである九州は、人口減少率が国内の他のエリアよりも高く、加えて高齢者の割合も高い傾向が続くと予測されています。今後の九州の人口減少及び少子高齢化によって、通勤や通学等の定期収入、ビジネスや旅行等の定期外収入が減少する場合、運輸サービスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの駅ビル等の商業施設や店舗等の利用者が減少する場合や、賃貸マンション・分譲マンションの利用者・購入者が減少する場合、不動産・ホテルグループや流通・外食グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。進行する人口減少に対して、当社グループは、沿線価値を高める駅ビル及びマンション開発等により沿線の定住人口を増やすとともに、ビジネスや観光、アジア各国との地理的なメリットを活かしたインバウンド需要の取り込み等により交流人口を増やし、鉄道事業の収入の確保や九州圏内の消費の活性化を図っております。 3 自然災害等に関する事項当社グループは、九州を中心として幅広い事業を展開しており、そのなかで鉄道軌道、鉄道車両、不動産といった多くの固定資産を有しているため、地震、火山の噴火、津波、台風、地滑り、豪雨、大雪、洪水等の自然災害、テロリズムや武力紛争等の人的災害が発生した場合には、かかる保有資産の大規模な修繕に加え、当社グループの業務運営の全部若しくは一部を継続できない又は重大な支障が生じる可能性があります。特に当社グループの事業が集中する九州あるいは福岡において甚大な被害が生じた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。2020年7月に発生した「令和2年7月豪雨」の影響により、久大本線及び肥薩線の鉄道施設に被害を受け、肥薩線においては、現在も一部区間において代行輸送を行っております。昨今の自然災害の頻発及び激甚化を踏まえて、着実な安全投資を行い、新幹線脱線対策や構造物の耐震補強の対策や、降雨による線路沿線斜面の落石・崩落防止等の対策を講じるほか、机上訓練や避難誘導訓練等を実施する等、ハード及びソフト両面の防災及び減災対策の強化に努めております。 4 感染症に関する事項重大な感染症が国内外において発生・流行した場合、社会経済活動の制約やお客さまの外出の自粛、社員の感染等により、鉄道事業を始めとした当社グループの正常な事業活動ができなくなり、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。新型コロナウイルス感染症が発生・流行した際には、鉄道利用者の大幅な減少、駅ビル等商業施設の休館又は営業時間短縮等による賃料収入の低迷、ホテルの休館又は客室稼働率減等に伴う売上減少等の影響が発生しました。国内外で重大な感染症拡大の恐れがある場合には、当社が定める「新型インフルエンザ等対策業務計画」に基づき、社長を対策本部長とする対策本部を設置し、政府関係機関・自治体との連携や感染防止への措置など、事業継続に向けた対策を速やかに実施します。 5 経済動向や国際情勢に関する事項当社グループは、運輸サービス、不動産・ホテル、流通・外食、建設、ビジネスサービス等の様々な事業を主に九州で展開しており、消費動向や政府による経済政策の影響等、日本全体の経済環境のほか、福岡市やその他の主要都市部をはじめとした九州の経済環境の影響下にあります。また、為替相場の変動、政治的なリスクの顕在化、中東地域を含む地政学的リスクの増大、自然災害や異常気象の発生、感染症の流行等の国内外の状況により、韓国・中国・台湾・香港等のアジア近隣諸国・地域を中心とする訪日外国人客数の増減、資材・エネルギー調達価格の変動、さらにはサプライチェーンの停滞を招く恐れがあります。これらにより、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 6 JR九州グループ会社に対するガバナンス強化策に関する事項当社は、グループ会社に対するガバナンス強化に取り組んでおりますが、グループ会社においてガバナンス強化策が着実に実行されず、安全や法令順守意識の欠如、安全管理体制の不備、法令に関する理解不足等により、社会的影響の大きい事象を発生させてしまった場合、当社グループの信用が失墜すると共に、事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は、2024年度に連結子会社であるJR九州高速船株式会社において、安全確保に関わる重大な問題が発生したことを受け、再発防止策を策定し、グループ会社に対するガバナンスの強化を図っておりますが、2025年度には連結子会社でのアルコール検査未実施や点呼業務を適切に実施していなかった事象が発生しました。新たに発生した事象における対策の確実な実行を含め、今後も取組みを継続的に推進し、当社グループにおける安全意識の向上及び安全管理体制の再構築を図ることで、安全を最優先とした事業運営を行ってまいります。 7 情報技術(IT)上の問題に関する事項当社グループにおいては、鉄道事業をはじめとする様々な事業を安全かつ適切に運営するため、様々なITシステムを利用しています。また、当社グループと取引関係にある他の会社(各旅客会社間の収入清算等の計算業務を委託している鉄道情報システム株式会社等)においても同様にITシステムが利用されております。当社グループではDX戦略を制定し、ITシステムのセキュリティ強化を進めるとともに、インシデントの早期検知や復旧等の対応能力向上に努めております。また、情報セキュリティ委員会を設置し、セキュリティリスクを経営課題としてとらえ、グループ全体の対策推進に取り組んでおります。しかしながら、それらの施策にもかかわらず、当社グループ又は当社グループと取引関係にある他の会社のITシステムに関する事故、故障、サイバー攻撃及び人為的な過誤・不正操作等により、鉄道の遅延、不具合、きっぷの発券及び予約機能の障害又は遅延をはじめとして、当社グループの事業運営に様々な問題が起こる可能性があるとともに、当社グループの安全性又は信頼性に対する懸念が生じ、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 8 個人情報保護に関する事項当社グループは、鉄道事業をはじめとする様々な事業を営んでおり、これらの性質上多数の個人・法人の顧客から様々な情報を取得し保有しております。個人情報に関して、当社グループは、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、個人情報取扱事業者として、個人情報保護に係る義務等の遵守が求められており、社内規程の整備、セキュリティ強化及び社員教育の徹底等の対策に努めております。しかしながら、当社グループが保有する顧客情報等の個人情報やその他重要な情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償請求や行政処分を受ける可能性があります。また、かかる事案に対応するための時間及び費用が生じ、当社グループの事業運営上の支障や社会的信用の低下による顧客喪失等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 9 競合に関する事項当社グループの各事業は競争に晒されています。運輸サービスグループにおいては、安全性、コスト、速達性、利便性、快適性その他の点で、他の鉄道会社に加え、自動車、バス、航空機、船舶等の他の輸送機関との間でも競合しております。特に九州では高速道路が多く利用されており、都市間を結ぶ当社グループの新幹線や特急列車と競合しています。また、不動産・ホテルグループにおいては、利便性、顧客獲得能力、価格、賃料その他の賃貸条件、ブランド力の点で、他の不動産デベロッパーやホテル事業者と競合しています。そのほか、流通・外食グループにおいては利便性、価格、施設の魅力、顧客満足度等の点で類似の小売・飲食事業者と、建設グループ及びビジネスサービスグループにおいては九州全域又はその他の地域に所在し類似サービスを提供する事業者と競合しています。当社グループが顧客の嗜好や需要の変化、技術の進展に対応できず、又は、競合他社の統合等により競争力を向上又は維持できない場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 10 保有資産の価値に関する事項当社グループは、土地その他の不動産を中心に、多くの固定資産を所有しており、経営環境の変化や収益性の低下等により当該固定資産への投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失を計上することが必要になり、また、将来かかる資産を簿価未満で売却する場合には、売却損を計上する可能性があります。当社グループは、鉄道事業において継続的に多額の設備投資を実施しているため、将来において鉄道事業の業績が予想以上に低調となった場合には、鉄道事業固定資産について減損損失を計上する可能性があります。また、当社グループの繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異について、収益力及びタックス・プランニングに基づく将来の課税所得発生額を見積り、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると認められる範囲内で計上しております。従って、将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額される可能性があります。さらに、市場金利の変動や発行主体の業績又は資産状況の悪化等により、当社が保有する投資有価証券等の金融資産の市場価値が下落する可能性があります。このような事象が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 11 外部委託先や取引先に関する事項当社グループは、事業上様々な局面において、第三者である外部事業者に対し、業務委託等を行っております。例えば、不動産・ホテルグループでは、建設業務の一部及び居住用物件の賃貸及び販売管理を第三者に委託しております。さらに、流通・外食グループ及びビジネスサービスグループでは、第三者生産者、卸売業者及びメーカーより原材料や商品の仕入れを行い、コンビニエンスストアの運営については株式会社ファミリーマートとのフランチャイズ契約に基づいております。このため、これらの第三者又はその再委託先が、当社グループの定める基準を満たす商品やサービスの提供等を怠った場合やこれらの第三者に起因する問題や事故が発生した場合、当社グループの社会的信用や当社グループの事業等に重大な影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 12 企業買収等に関する事項当社グループは、成長戦略として企業買収等を行っており、また、将来行う可能性があります。企業買収等の実施に当たっては、対象会社の財務内容等に関するデューデリジェンスを綿密に行いますが、当該デューデリジェンスの過程で検知できなかった偶発債務や未認識債務等が顕在化した場合等には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、適切な対象企業を見つけることができないこと、受入可能な取引条件を交渉・合意できないこと、買収資金を調達できないこと、必要な同意や許可等を取得できないこと、法令上の問題を解決できないこと等の理由に基づき、企業買収等を行うこと自体ができない可能性もあります。また、企業買収等実行後の事業環境の変化に伴い、対象会社の収益力が低下した場合や期待するシナジーが実現できない場合、減損損失を認識する必要が生じ、投資の回収が不可能となる等、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 13 環境規制や気候変動に関する事項当社グループは、主として運輸サービスグループ及び不動産・ホテルグループにおいて、不動産を所有しております。当社グループは、かかる不動産の取得に際し、土壌汚染、水質汚濁、建物へのアスベスト等の有害物質等の使用に関する環境調査を実施しておりますが、かかる調査によりすべての有害物質等の存在又は使用等が事前に判明する保証はありません。また、土地の所有者は、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)に基づき、さまざまな場面において、土壌汚染に関する調査を実施しなければならず、また、人体への健康被害を生じうる土壌汚染が判明した場合には、その所有者は、土壌汚染に関する帰責性の有無及び善意・悪意を問わず、当局より有害物質等の除去を命じられる可能性があります。また、建築基準法(昭和25年法律第201号)及び大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)に基づき、既存建物の解体、修繕等に関し、アスベストの除去又はその他一定の措置を講じる必要があります。有害物質等の存在は、不動産の販売、賃貸借、開発又は担保としての利用の制約となる可能性があり、また、資産価値の低下、有害物質等の除去等に要する費用の増加等を生じる可能性があります。また、同様に、ポリ塩化ビフェニルについてもポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号)に基づき適正に保管、処分等を実施するために、費用の増加等を生じる可能性があります。さらに、かかる有害物質に起因して、現実に人体への健康被害等が生じた場合には、当社グループは、損害賠償等の責任を負う可能性があります。その結果、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、2015年の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議での「パリ協定」採択を機に、世界的に脱炭素社会に向けた動きが広がっております。こうしたなか、低炭素化に向けた政策・規制の見直しが実施され、税負担、事業活動における諸材料・エネルギーの調達コスト、設備・車両の変更等の対応費用が増加する可能性があります。また、気候変動が進展し、自然災害の頻発や激甚化により設備への被害が増額した場合に、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、脱炭素社会の実現を重要課題の一つと位置付け、気候変動問題への対応を進めており、2021年2月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明するとともに、TCFDに沿った気候関連情報を開示しました。また、鉄道事業における省エネ型車両の導入、建物の省エネ化及び再生可能エネルギーの導入などの取り組みを推進するとともに、2025年2月には2050年GHG排出量実質ゼロに向けたロードマップを策定しました。しかしながら、このような取り組みにも関わらず、株主・投資家から低炭素化への取り組みが不十分である、又は気候変動に関する情報開示に的確に対応していない、などと判断され信頼・評価が低下した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループでは自然共生社会の実現を重要課題の一つと位置付け、2025年11月に「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」提言への賛同を表明し、TNFDの提言に基づき自然への依存・影響及び自然関連のリスク・機会の分析を行い開示するなどの対応を進めています。しかしながら、自然資本に関するリスクの特定・評価・管理は不確実性が高く、将来の規制動向や社会的要請の変化に適切に対応できない場合、追加的なコスト負担や事業活動の制約並びに株主・投資家からの評価低下を招く可能性があります。 14 特有の法的規制(1)鉄道事業に係る法律関連事項当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、JR会社法の適用対象からは除外されたものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)当社グループの鉄道事業においては、鉄道事業法の規制を受けております。鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃及び料金について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。この他、国土交通省の指針や事業の公益性の観点から鉄道事業において大きな方針転換を図ることができない可能性があります。 ② 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律(平成27年法律第36号)(以下「JR会社法改正法」という。)JR会社法改正法附則第2条において、当社及び当社の鉄道事業の全部又は一部を譲受け、合併等により施行日以降経営する者のうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という。)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という。)を定めると規定されております。この指針は2015年12月に告示され、2016年4月1日より適用されております。指針に定められた内容は概ね次のとおりです。・会社間(新会社との間又は、新会社と北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社又は東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、並びにその事業の全部若しくは一部を譲受、合併、分割、相続によりJR会社法の改正法(平成13年法律第61号)の施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するものとの間をいう。)における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項・国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害又はその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保するため必要があると認めるときは、新会社に対し、その事業経営について必要な指導及び助言をすることができるとされており(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業運営を行ったときには、勧告をすることができるとされております(附則第4条)。なお、当社はこれまでも指針に定められた事項に沿った事業運営を行ってきており、この指針は今後の当社の事業運営に大きな影響を及ぼすものではないと考えております。 (2)運賃及び料金の設定又は変更当社が鉄道事業における運賃及び料金を設定又は変更する際には、鉄道事業法に規定された必要な手続きを経る必要があり、何らかの理由により当該手続きに基づいた運賃及び料金の設定又は変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。手続きの詳細については以下のとおりです。① 運賃及び料金の認可の仕組みと手続き鉄道運送事業者が旅客の運賃及び新幹線特急料金(以下「運賃等」という。)の上限を定め、又は変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されております(鉄道事業法第16条第1項)。また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更及び在来線特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっております(鉄道事業法第16条第3項及び第8項)。鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、概ね次のようになっております。 (注)1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるとき又は国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。 なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客及び荷物に対する運賃及び料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃について、遠距離逓減制を加味したものとしております。 ② 運賃改定に対する当社の考え方イ 当社では、1987年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(1989年4月、1997年4月、2014年4月及び2019年10月)を除くと、1996年1月10日に初めての運賃改定(平均7.8%)を実施し、2025年4月1日に29年ぶりとなる2度目の運賃改定(平均15.0%)を実施いたしました。今後も総合的な経営判断に立ち、適正な利潤を確保し得るような運賃改定を適時実施する必要があると考えております。ロ 事業経営に当たっては、まず収入の確保と合理化努力を進め効率的な経営に努めますが、適正利潤についてはこのような努力を前提とした上で、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。ハ 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を前提とし、案件ごとに必要性等を勘案しつつ実施しております。なお、当社としましては、事業者の明確な経営責任の下で主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しているところであります。 ③ 国土交通省の考え方当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。イ 当社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という。)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。ロ 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。ハ 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当金等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。総括原価=営業費等(注1)+事業報酬・事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率・事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)・事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注5)(注)1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。2 運転資本=営業費及び貯蔵品の一部3 自己資本比率30%、他人資本比率70%4 自己資本報酬率=公社債利回り実績値+β×(全産業(陸運業除く。)平均自己資本利益率-公社債利回り実績値) ※ 公社債利回り実績値:国債(10年もの)、地方債、政府保証債の平均の過去5年平均 ※ β:(TOPIXの変化率と鉄道会社の株価変化率の共分散)÷(TOPIXの変化率の分散)5 他人資本報酬率=当社の場合、法定債務を除き、債務実績利子率の上場旅客会社4社平均の過去5年平均ニ なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、又はその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)又は(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第9項)。(a)特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき(b)他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき (3)整備新幹線についてア.整備新幹線の建設計画整備新幹線は、1970年に制定された全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)に基づき、1973年に整備計画が決定されており、当社は九州新幹線(鹿児島ルート(福岡市~鹿児島市)、西九州ルート(福岡市~長崎市))について営業主体とされました。このうち、九州新幹線(鹿児島ルート)については、2004年3月13日に新八代・鹿児島中央間、2011年3月12日に博多・新八代間がそれぞれ開業しました。九州新幹線(西九州ルート)については、武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)がフル規格で建設主体である鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構」という。)により工事が進められ、2022年9月23日に武雄温泉駅で博多・武雄温泉間を走行する在来線特急と対面乗換を行うこと(いわゆるリレー方式)により暫定開業しました。また、新鳥栖・武雄温泉間については、当初、在来線を活用する軌間可変電車を導入する予定であったものの、2017年7月14日の国土交通省の軌間可変技術評価委員会において、軌間可変電車の安全性、経済性について引き続き課題が残っているものと評価されるなど、軌間可変電車の開発状況に鑑み、2018年7月19日に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム九州新幹線(西九州ルート)検討委員会(以下「検討委員会」という。)により導入が断念されました。その後、2019年8月5日の検討委員会において、「九州新幹線(西九州ルート)の整備のあり方等に関する基本方針」が示され、武雄温泉駅での対面乗換が恒久化することはあってはならず、新鳥栖・武雄温泉間はフル規格(複線)で整備することが適当であることと、今後は、国土交通省、佐賀県、長崎県、当社の間で協議を行い、検討を深めていくべきであり、国土交通省に対し、協議の実施と検討委員会への報告を求めることとされました。以後、これまでに国土交通省と佐賀県との間で複数回の協議がなされ、この間、国土交通省と当社、国土交通省と長崎県との間でも個別に協議が行われましたが、合意には至っておりません。したがって、現時点において、新鳥栖・武雄温泉間の整備方式は決定しておりません。 イ.整備新幹線建設の費用負担整備新幹線は、鉄道・運輸機構が建設を行っており、その費用は国、地方公共団体及びJRが負担することとされていますが、当社の負担については、整備新幹線の営業主体となるJRが支払う貸付料を充てることとされています。1997年10月の北陸新幹線高崎・長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が設けられ、現在は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令(平成27年政令第392号)(以下「施行令」という。)第6条に規定されています。施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益の程度を勘案し算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して鉄道・運輸機構が支払う租税及び鉄道・運輸機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、鉄道・運輸機構において定めるものとされています。ここでいう受益は、新幹線が開業した場合の当該新幹線区間及び関連線区区間の収支と、開業しなかったと仮定した場合の並行在来線及び関連線区区間の収支を比較し、前者が後者より改善することにより営業主体が受けると見込まれる利益とされており、具体的には、開業後30年間の需要予測及び収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益の程度を勘案し算定された額については、開業後30年間は定額とされています。また、租税及び鉄道・運輸機構管理費相当額については、営業主体の当該新幹線開業後の経費として、受益算定の際に反映されています。整備新幹線の建設を行う鉄道・運輸機構は建設費の調達を行い、建設した施設を保有することとされています。当社は完成後にこの施設の貸付けを受け、開業後に上記の貸付料を支払うこととなっており、建設期間中における同機構への建設費の直接負担は原則としてないものとされています。なお、九州新幹線(鹿児島ルート)については、JR会社法改正法及び九州旅客鉄道株式会社の経営安定基金の取崩しに関する省令(平成27年国土交通省令第61号)に基づき、上記貸付料の定額部分につき、2016年4月1日から各区間の開業後30年までに係る貸付料の全額(約2,205億円)を一括して2015年度末に鉄道・運輸機構に支払っております。また、2022年9月23日に開業した武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)について、当該路線の営業主体となる当社が、建設主体である鉄道・運輸機構に支払う新幹線鉄道施設の貸付料の年額は、定額部分5.1億円に租税及び管理費相当額を加えた額となります。 ウ.並行在来線の扱い九州新幹線(鹿児島ルート)については、2004年3月の新八代・鹿児島中央間の開業時に、並行在来線である鹿児島本線八代・川内間は経営分離され、「肥薩おれんじ鉄道株式会社」に引き継がれました。また、西九州新幹線については、長崎本線江北・諫早間は経営分離せず、2022年9月23日の開業時点で上下分離し、当社は、当該開業時点から3年間は一定水準の列車運行のサービスレベルを維持するとともに、当該開業後、23年間運行を維持することを関係6者(当社、佐賀県、長崎県、検討委員会、国土交通省及び鉄道・運輸機構)にて合意しており、2022年9月の武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)の開業時に、当該合意に基づいて、長崎本線江北・諫早間の鉄道施設の一部を「一般社団法人佐賀・長崎鉄道管理センター」に譲渡し、上下分離方式へ移行しております。 エ.整備新幹線建設に関する当社の考え方イ.記載の貸付料のうち、受益の程度を勘案して算定される額は、実際の収益に関わらず定額を支払うこととされているため、収支が予測を下回る場合、当社の鉄道事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、2019年3月27日の検討委員会において、リレー方式による運営が長期化又は固定化することは、地域振興効果が極めて限定的になること等から、到底受け入れられない旨の表明をしております。また、少しでも早期に全線開業できるよう要望しており、2024年7月30日の検討委員会においても、同様の要望をしております。さらに、2019年4月12日に国土交通省より鉄道・運輸機構に対して、工事予算の増額等を主旨とする工事実施計画(武雄温泉・長崎間)の変更認可がなされました。なお、2018年11月28日の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて、当社は、整備新幹線の建設費に応じて貸付料を引上げることについて、整備新幹線の基本的なスキームを大幅に逸脱するものであり受け入れられるものではない旨の表明をしております。また、2021年6月14日に検討委員会より、九州新幹線(西九州ルート)について、新鳥栖・武雄温泉間の在来線については、JR九州が運行を維持することが不可欠である等の検討状況が示されました。なお当社は、経営上極めて重要な課題となる並行在来線の取扱いについては、・在来線の利便性の問題は、地域の皆さまにとって重要な課題である・必ずしも経営分離を前提とせず、佐賀県等から具体的な課題認識のご意見を拝聴しながら、真摯に議論を 深めたい・佐賀県と国土交通省の「幅広い協議」において、「フル規格」という選択肢にある程度の目途がつきそう な段階になれば、議論を深めたいとの考えを、国土交通省との協議において示しております。 15 不動産・ホテルグループに関する事項当社グループの不動産・ホテルグループにおいては、収益化まで長期にわたるプロジェクトの各過程で多額の投資を行います。そして、建設資材価格及び人件費の上昇による建設費の増加、金利水準並びに金融政策をはじめとする当社グループが制御できないさまざまな外部要因により、完成に要する時間と投資額等が増加し、想定していた収益を生まないことがあります。不動産販売業においては、販売価格の低下や、完成した販売用不動産を長期にわたって保有せざるを得ない場合に評価損を認識することがあります。不動産賃貸業においては、大型テナントの喪失、空室率の上昇や賃料の低下が生じる場合があり、駅ビル商業施設のテナント売上が減少した場合は、賃料収入の売上連動部分が減少します。ホテル業においては、景気動向の影響を受けやすいため、景気低迷による企業活動の縮小や個人消費の減退が続いた場合、過当な価格競争による売上減少、また、これに伴う事業収支の悪化により、有形固定資産の減損損失を計上する可能性があります。また、当社グループは、プロジェクトの完成後にも、テナント、居住者その他の利用者に生じた不測の損失、損害、被害の責任や、建築瑕疵の補償費用の負担を負うことがあります。このような事象が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

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