事業の概要
- 海運関連事業東海汽船グループは、東京諸島と本土を結ぶ旅客・貨物の定期航路を主な事業としています。具体的には、旅客船や貨物船を運航し、人々の移動や生活必需品、建設資材などの輸送を担っています。また、東京湾内での周遊事業も展開しており、観光客向けのサービスも提供しています。この事業は、離島住民の生活を支える重要なインフラとしての役割も果たしています。
- 商事料飲事業船内や船客待合所での飲食物販売、食堂経営を通じて収益を得ています。さらに、東京諸島での生活必需品や建設資材の供給、島の特産品やオリジナルグッズの販売も行い、多角的な商事活動を展開しています。これにより、海運事業の利用客に対する利便性向上と、地域経済への貢献を目指しています。
- ホテル・自動車運送事業子会社を通じて、大島でのホテル運営や島内でのバス運行、自動車整備事業も手掛けています。これは、海運事業で島を訪れる観光客や住民のニーズに対応するもので、グループ全体で観光・生活インフラを包括的に提供するビジネスモデルを構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 海運関連事業売上高124.82億円、営業利益8.75億円と、グループの売上・利益の大部分を占める主力事業です。東京諸島と本土を結ぶ旅客・貨物の定期航路事業を中心に、東京湾内周遊事業、船内サービス、海運代理店業、船舶修理業などを展開しています。離島住民の生活を支える公共性の高い事業であり、グループの基盤を形成しています。
- 商事料飲事業売上高11.83億円、営業利益1.17億円を計上しています。船内や船客待合所での料飲販売・食堂経営、東京諸島での生活必需品・建設資材の供給、島の特産品やオリジナルグッズの販売など、多岐にわたる商事活動を行っています。海運事業の利用客に対するサービス提供と、地域経済への貢献を目的としています。
- ホテル事業・旅客自動車運送事業ホテル事業は売上高3.45億円、営業利益0.15億円、旅客自動車運送事業は売上高2.79億円、営業利益0.20億円となっています。ホテル事業は東汽観光が、旅客自動車運送事業は大島旅客自動車がそれぞれ大島で事業を展開しています。これらは、海運事業で島を訪れる観光客や住民のニーズに応えるもので、グループ全体のサービス提供範囲を広げています。
2025-12 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| DevelopmentOfShippingBusiness | 地域 | 125 | 9 | 7.0% |
| CommarcialCookingDrinkingAndEatingBusiness | 地域 | 12 | 1 | 9.9% |
| Hotel | 事業 | 3 | 0 | 4.3% |
| TransportationOfPassengerCarBusiness | 地域 | 3 | 0 | 7.0% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社グループは、当社、子会社11社および関連会社1社で構成され、その事業は、海運関連事業、商事料飲事業、ホテル事業および旅客自動車運送事業であります。各事業を構成している当社および主要な関係会社において営んでいる事業の内容は次のとおりであります。 海運関連事業……………当社は、東京諸島と本土間を結ぶ旅客・貨物の定期航路事業および東京湾内周遊の事業を行っております。伊豆七島海運㈱は、東京諸島と本土間を結ぶ貨物の運送事業を行っております。東海シップサービス㈱は、船内サービス業を行っております。東海マリンサービス㈱・大島マリンサービス㈱・八丈マリンサービス㈱および伊東港運㈱は、海運代理店業を行っております。東海技術サービス㈱は、ジェットフォイルの船体、機関の整備を中心とした船舶修理業を営んでおります。小笠原海運㈱は、東京より小笠原(父島)を結ぶ旅客・貨物の定期航路の事業を行っております。商事料飲事業……………当社は、船内および船客待合所内での料飲販売・食堂の経営、東京諸島での生活必需品・建設資材の供給、島の特産品やオリジナルグッズの販売を目的とした商事活動を営んでおります。ホテル事業………………東汽観光㈱は、大島においてホテル業を営んでおります。旅客自動車運送事業……大島旅客自動車㈱は、大島島内でのバスの運行を行っております。東海自動車サービス㈱は、大島において自動車整備業を営んでおります。 以上の企業集団の概要図は次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 燃料油価格変動調整金を設定し、運賃に転嫁しているため |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 規制 公共的性格を有する離島・生活航路としての側面があり、不採算航路でも維持が必要 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 維持投資 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:利益の下期偏重 / 離島航路整備法対象航路の存在 / 燃料油価格の変動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
東海汽船は東京湾フェリー事業において、長年の歴史と地域社会からの信頼という無形資産を持つ。しかし、特定のブランド力や特許、規制ライセンスによる明確な独占性は限定的であり、参入障壁としては弱い。
スイッチングコスト★★★☆☆
東京湾フェリー事業は、特定の航路(例:竹芝~伊豆大島・利島・式根島・神津島)において、代替交通手段が限られる地域住民や観光客にとって、乗り換えに伴う時間的・金銭的コストが大きい。特に、島嶼部への定期便としての役割は、スイッチング・コストを形成する。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
東海汽船の事業モデル(フェリー・貨物船運航)には、ユーザー数の増加がサービスの価値を直接的に高めるネットワーク効果は基本的に見られない。
コスト優位★☆☆☆☆
海運業は燃料費や人件費、船舶維持費など、固定費・変動費ともに高水準になりやすい。東海汽船が構造的に圧倒的なコスト優位を持つ証拠は乏しく、燃料価格の変動リスクに晒されている。
規模の経済★★★☆☆
東京湾および周辺海域におけるフェリー・貨物船運航において、一定の規模を持つプレイヤーは限られている。特に離島航路においては、事業継続性の観点から寡占的な地位を維持している側面がある。
- 離島航路の公共性東海汽船グループの航路は、東京諸島と本土を結ぶ公共性の高い生活航路としての側面を持っています。これにより、安定的な事業運営が期待できる一方で、不採算航路の維持という社会的責任も担っています。この公共性は、新規参入が難しい事業環境を形成する要因となり得ます。
- 多角的な事業展開海運関連事業を基盤としつつ、商事料飲、ホテル、旅客自動車運送といった関連事業をグループ内で展開しています。これにより、顧客の移動から滞在、島内での移動までを一貫してサポートできる体制を構築しており、顧客の利便性向上とグループ全体の収益安定化に寄与していると考えられます。
- 長年の運航実績と信頼東京諸島と本土を結ぶ航路において、長年にわたる運航実績と地域社会からの信頼を培ってきました。これは、安全運航の徹底や地域貢献活動を通じて築かれたものであり、新規参入者には容易に模倣できない強みとなっています。特に離島住民にとっては、生活を支える不可欠な交通手段としての地位を確立しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- 安全運航と信頼構築最も重要な経営方針として、安全運航の徹底と法令遵守体制の強化を掲げています。これは、お客様、地域社会、株主からの信頼回復と向上を最優先課題とし、企業価値の向上を目指すものです。具体的な取り組みとして、運航管理体制や教育訓練の充実により、事故の未然防止と安定運航の確保に努めています。
- 収益基盤の強化と多角化コストの弾力化や固定費の圧縮によるローコスト経営体質の構築を目指し、閑散期対策や船舶の代替、船隊再編を通じて収益確保に努めています。また、新たな商品開発、ECサイト事業の本格展開、物販事業やコンテナ販売などの新規分野への展開により、海運事業に次ぐ「第三の収益の柱」の確立を目指し、事業構造の変革を進めています。
- 地域社会への貢献と連携東京諸島の生活・リゾート航路としての公共的使命を果たすことを経営の基本方針としています。グループ間の連携を強化し、安全運航と良質なサービスの提供を通じて地域社会に貢献する総合力の高い企業を目指しています。また、ホテル事業や旅客自動車運送事業においても、地域の魅力を活かした商品開発や観光施策との連携を強化し、地域全体の活性化に貢献する方針です。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループの主な事業である東京諸島と本土間を結ぶ旅客定期航路は、公共的性格を有する離島・生活航路としての側面と快適性を提供するリゾート航路としての側面を有しており、また、貨物航路も、離島の生活物資を安全、確実に輸送する責務を有し、当社グループは、これらの使命を果たすことを通して地域社会に貢献することを経営の基本方針といたしております。さらに、当社グループは海運関連事業を基軸として、商事料飲事業、ホテル事業および旅客自動車運送事業を展開しておりますが、今後ともグループ間の連携をより一層強め、「安全運航」と「良質のサービスの提供」を行う総合力の高い社会貢献企業を目指してまいります。 (2) 中長期的なグループ経営戦略及び目標とする経営指標当社グループは、長期的な戦略として、「コストの弾力化、固定費の圧縮等により、収入の変動に左右されないローコストの経営体質を作る」との方針のもとに、収入増加策として、閑散期対策に取り組み、船舶の定期的な代替、船隊再編や燃料油価格の上昇などをカバーできるような収益確保に努めてまいります。この先、環境の変化にしなやかに対応すべく、新たな商品開発、島と全国を繋ぐ物流・商流の活性化と振興、島への誘客を展望したECサイト事業の本格展開など、既存の営業方法に捉われない柔軟な発想で営業活動を強化してまいります。中期的な事業の活性化策としては、毎年スローガンを掲げて全社一丸で取り組んでおり、2026年は「Building Trust2026」をスローガンとして、安全運航の徹底と法令遵守体制の強化を基盤に、お客様・地域社会・株主の皆様からの信頼の回復と向上を最優先課題として企業価値の向上に努めてまいります。当社グループの航路は、公共的性格を有する離島・生活航路としての側面があり、また、これらの航路の中には、不採算航路でありながら公共性の観点から航路維持を図らざるを得ない航路(離島航路整備法の対象航路)もあり、一般的な経営指標の向上のみに専念するのは適切ではないと考えております。 (3) 会社の対処すべき課題当社グループを取り巻く事業環境は、東京諸島の人口減少や観光需要の回復の遅れに加え、人件費・燃料費・修繕費等の各種コスト上昇、人材確保の難しさ、気象海象リスクの増大など、依然として厳しい状況が続いております。このような状況下においても、離島航路という公共的使命を担う企業として、安全・安心な輸送サービスを安定的に提供し続けることが当社グループの最重要課題であると認識しております。2026年のスローガン「Building Trust2026」のもと、安全の徹底と収益基盤の強化を両立させ、持続可能な経営体制の構築に取り組んでまいります。海運関連事業におきましては、安全運航体制の一層の強化を最優先に、運航管理体制・教育訓練の充実により、事故の未然防止と安定運航の確保に努めてまいります。旅客部門では、自然環境型観光や体験型商品の開発、企画乗船券の拡充等により需要喚起を図るとともに、ダイヤ編成や船隊再編の最適化により収益力の向上を進めてまいります。貨物部門では、生活関連物資の安定輸送を基本としつつ、工事関連輸送の積極的な受注、冷凍・冷蔵コンテナの活用や貨物システムの高度化による輸送品質および業務効率の向上に取り組み、安定収益の確保を図ってまいります。商事料飲事業におきましては、旅客・貨物輸送量に左右されにくい事業構造の確立を目指し、自動販売機ビジネスの拡大、ECサイト事業の強化、物販事業やコンテナ販売等の新規分野への展開を推進することで、海運事業に続く「第三の収益の柱」としての成長を図ってまいります。また、業務委託化や運営効率化により固定費の圧縮を進め、収益体質の強化に努めてまいります。 ホテル事業におきましては、島の自然資源や温泉、食材といった地域の魅力を活かした商品開発と旅客部門との連携により集客力の向上を図るとともに、労働生産性の向上やコスト管理の徹底により収益性の改善に取り組んでまいります。あわせて、施設の整備やサービス品質の向上を通じて顧客満足度のさらなる向上に努めてまいります。旅客自動車運送事業におきましては、安全運行を基本としたサービスの提供を徹底するとともに、貸切バス需要の取り込みや観光施策との連携強化により収益拡大を図り、安定的な事業運営に努めてまいります。また、燃料費や人件費等のコスト上昇に対応し、持続可能な輸送体制を維持するため、2026年1月に乗合バスの運賃改定を実施し、収益基盤の強化とサービス品質の維持・向上に取り組んでまいります。 以上のとおり、各部門に亘って業績向上を図るため、一層の努力をいたす所存であります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループの主な事業である東京諸島と本土間を結ぶ旅客定期航路は、公共的性格を有する離島・生活航路としての側面と快適性を提供するリゾート航路としての側面を有しており、また、貨物航路も、離島の生活物資を安全、確実に輸送する責務を有し、当社グループは、これらの使命を果たすことを通して地域社会に貢献することを経営の基本方針といたしております。さらに、当社グループは海運関連事業を基軸として、商事料飲事業、ホテル事業および旅客自動車運送事業を展開しておりますが、今後ともグループ間の連携をより一層強め、「安全運航」と「良質のサービスの提供」を行う総合力の高い社会貢献企業を目指してまいります。 (2) 中長期的なグループ経営戦略及び目標とする経営指標当社グループは、長期的な戦略として、「コストの弾力化、固定費の圧縮等により、収入の変動に左右されないローコストの経営体質を作る」との方針のもとに、収入増加策として、閑散期対策に取り組み、船舶の定期的な代替、船隊再編や燃料油価格の上昇などをカバーできるような収益確保に努めてまいります。この先、環境の変化にしなやかに対応すべく、新たな商品開発、島と全国を繋ぐ物流・商流の活性化と振興、島への誘客を展望したECサイト事業の本格展開など、既存の営業方法に捉われない柔軟な発想で営業活動を強化してまいります。中期的な事業の活性化策としては、毎年スローガンを掲げて全社一丸で取り組んでおり、2026年は「Building Trust2026」をスローガンとして、安全運航の徹底と法令遵守体制の強化を基盤に、お客様・地域社会・株主の皆様からの信頼の回復と向上を最優先課題として企業価値の向上に努めてまいります。当社グループの航路は、公共的性格を有する離島・生活航路としての側面があり、また、これらの航路の中には、不採算航路でありながら公共性の観点から航路維持を図らざるを得ない航路(離島航路整備法の対象航路)もあり、一般的な経営指標の向上のみに専念するのは適切ではないと考えております。 (3) 会社の対処すべき課題当社グループを取り巻く事業環境は、東京諸島の人口減少や観光需要の回復の遅れに加え、人件費・燃料費・修繕費等の各種コスト上昇、人材確保の難しさ、気象海象リスクの増大など、依然として厳しい状況が続いております。このような状況下においても、離島航路という公共的使命を担う企業として、安全・安心な輸送サービスを安定的に提供し続けることが当社グループの最重要課題であると認識しております。2026年のスローガン「Building Trust2026」のもと、安全の徹底と収益基盤の強化を両立させ、持続可能な経営体制の構築に取り組んでまいります。海運関連事業におきましては、安全運航体制の一層の強化を最優先に、運航管理体制・教育訓練の充実により、事故の未然防止と安定運航の確保に努めてまいります。旅客部門では、自然環境型観光や体験型商品の開発、企画乗船券の拡充等により需要喚起を図るとともに、ダイヤ編成や船隊再編の最適化により収益力の向上を進めてまいります。貨物部門では、生活関連物資の安定輸送を基本としつつ、工事関連輸送の積極的な受注、冷凍・冷蔵コンテナの活用や貨物システムの高度化による輸送品質および業務効率の向上に取り組み、安定収益の確保を図ってまいります。商事料飲事業におきましては、旅客・貨物輸送量に左右されにくい事業構造の確立を目指し、自動販売機ビジネスの拡大、ECサイト事業の強化、物販事業やコンテナ販売等の新規分野への展開を推進することで、海運事業に続く「第三の収益の柱」としての成長を図ってまいります。また、業務委託化や運営効率化により固定費の圧縮を進め、収益体質の強化に努めてまいります。 ホテル事業におきましては、島の自然資源や温泉、食材といった地域の魅力を活かした商品開発と旅客部門との連携により集客力の向上を図るとともに、労働生産性の向上やコスト管理の徹底により収益性の改善に取り組んでまいります。あわせて、施設の整備やサービス品質の向上を通じて顧客満足度のさらなる向上に努めてまいります。旅客自動車運送事業におきましては、安全運行を基本としたサービスの提供を徹底するとともに、貸切バス需要の取り込みや観光施策との連携強化により収益拡大を図り、安定的な事業運営に努めてまいります。また、燃料費や人件費等のコスト上昇に対応し、持続可能な輸送体制を維持するため、2026年1月に乗合バスの運賃改定を実施し、収益基盤の強化とサービス品質の維持・向上に取り組んでまいります。 以上のとおり、各部門に亘って業績向上を図るため、一層の努力をいたす所存であります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態および経営成績の状況(a) 経営成績当連結会計年度におけるわが国の経済は、企業収益や個人消費の持ち直しが継続し、雇用・所得環境の改善を背景として景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、米国の政策動向や中東情勢等の地政学的リスク、原油価格の変動、物価上昇、為替相場の変動など先行き不透明な要因も多く、依然として注意を要する経営環境が続いております。当社グループの主たる事業基盤である東京諸島におきましては、観光需要は回復傾向にあるものの、都心部と比較すると回復のスピードは緩やかであり、旅客輸送数は依然としてコロナ禍以前の水準には及ばない状況が続いております。貨物輸送量につきましても、島しょ地域における人口減少の影響により漸減傾向で推移しており、事業環境は引き続き厳しい状況にあります。そのような中、主力の伊豆諸島航路においては一昨年に実施した運賃改定の効果が通期で寄与し、収益の下支えとなりました。また、2025年4月1日付で国土交通省関東運輸局より、船員法に基づく「是正命令」および海上運送法に基づく「輸送の安全確保に関する命令」を受けたことから、当社は5月1日付で改善報告書を提出するとともに、2025年のスローガン「Safety First2025」のもと、法令遵守および安全マネジメント体制の強化に全社を挙げて取り組んでまいりました。この結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は142億8千8百万円(前期146億4百万円)、営業利益は5億2千3百万円(前期5億8千2百万円)、経常利益は4億4千5百万円(前期5億5千3百万円)となりましたが、高速船ジェットフォイルの主機ガスタービン処分に伴う特別利益として、特別修繕引当金取崩額を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3億6千8百万円(前期2億9千3百万円)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。 《海運関連事業》海運関連事業におきましては、安全運航の徹底を最優先課題としつつ、更なる需要の回復に向けた営業施策を積極的に展開しました。主力の伊豆諸島航路における旅客部門では、大島最大のイベント「椿まつり」に合わせた個人向け商品の販売強化に加え、横浜~東京の夜景クルーズや行先当日告知の「ミステリーきっぷ」などの企画商品の造成、自然環境型観光をテーマとしたツアーの営業強化を図り、集客の拡大に努めました。しかしながら、夏季最盛期においてジェット船の減船や船員の労働時間管理の適正化に伴う減便運航を実施したほか、東京湾納涼船についても停泊営業「さるBEER」形式での実施となったことから利用者数が減少し、その結果、納涼船乗船客数6万9千人の減少等の影響もあり、乗船客数は64万6千人(前期74万1千人)と大幅な減少となりました。貨物部門は、引き続きお客様の利便性と集荷効率の引き上げを図り、集荷に遺漏がないように取り組み、国等の補助金を得て製作した冷凍・冷蔵コンテナを最大限活用し、貨物輸送の品質向上に努めました。また、10月に発生した台風により甚大な被害を受けた八丈島、青ヶ島へは災害発生後、東京都、八丈町、青ヶ島村と連携して速やかに復旧支援物資の輸送に努めました。しかしながら、生活関連品目はほぼ横ばいで推移したものの、工事関連品目が減少し、貨物取扱量は全島で28万4千トン(前期28万9千トン)と微減となりました。費用面では、効率の良い船隊運用や減便により、船舶燃料費、船舶修繕費を中心に費用の改善が見られました。この結果、当事業の売上高は125億5千9百万円(前期129億3千3百万円)、営業利益は8億7千5百万円(前期9億5千2百万円)となりました。 《商事料飲事業》商事料飲事業におきましては、旅客数・貨物輸送量に左右されにくい安定的な事業構造を構築し、第三の収益の柱となるべく、新規事業への参入や既存事業の販売価格見直し等に取り組みました。商事部門においては、セメント等の取扱いが好調に推移し、また料飲部門では、船内自動販売機やレストラン収入が底堅く推移したことで、東京湾納涼船の停泊営業への営業形態変更に伴う減収をカバーしました。この結果、当事業の売上高は13億7百万円(前期12億8千6百万円)、営業利益は1億1千6百万円(前期1億1千2百万円)となりました。 《ホテル事業》大島温泉ホテル事業は、三原山や富士山を望む眺望、源泉掛け流し温泉、島の食材を活かした料理など「島ならではの魅力」を前面に打ち出した営業活動を展開しました。平日の需要取り込みを目的とした柔軟な料金設定や商品プランの造成、旅客部門との連携による送客強化を進めた結果、宿泊稼働率および客室単価は改善しました。また、11月に開催されたデフリンピックによる貸切営業も売上向上に寄与しました。費用面では、食材費や人件費の適正管理、業務効率化によるコスト削減に努め、収益性の向上を図りました。この結果、当事業の売上高は3億4千5百万円(前期3億1千9百万円)、営業利益は1千4百万円(前期1千万円)となりました。 《旅客自動車運送事業》旅客自動車運送事業の中心となる大島島内におけるバス部門は、お客様に安心してご利用いただくため、「安全運行」と「良質のサービスの提供」を基本理念とした安全方針に基づき、全社一丸となって安全運行に取り組んでおり、貸切バスにおいては、日本バス協会の安全性評価制度における三ッ星を維持するなど長期優良事業者として認定を受けております。大島の最大イベント「椿まつり」において、貸切バスの利用が前年をやや下回りましたが、旅客部門と連携した観光ツアーの造成や団体利用の拡大に取り組むとともに、11月に開催されたデフリンピックにより貸切バスの売上が増加しました。この結果、当事業の売上高は2億9千2百万円(前期2億8千2百万円)、営業利益は1千9百万円(前期1千4百万円)となりました。なお、定期路線バスにおいては大島町から継続的な支援を受けております。 (b) 財政状態当連結会計年度末の総資産は207億4千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億6千2百万円減少しました。その主な要因は、受取手形、営業未収金及び契約資産が2億7千万円、投資有価証券が2億2千3百万円増加した一方で、現金及び預金が12億2千1百万円、船舶の減価償却などにより有形固定資産が9億6千9百万円減少したことによるものです。負債は138億1千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億2千8百万円減少しました。その主な要因は、借入金が16億2千5百万円、営業未払金が2億9千9百万円、未払法人税等が1億5千4百万円、特別修繕引当金が2億2千3百万円減少したことによるものです。純資産は69億2千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億6千5百万円増加しました。その主な要因は、利益剰余金が3億4千6百万円、その他有価証券評価差額金が1億5千8百万円、非支配株主持分が6千1百万円増加したことによるものです。 ② キャッシュ・フローの状況(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、6億8千5百万円のキャッシュ・イン(前期22億3千1百万円のキャッシュ・イン)となりました。その主な要因は、資金増加項目である税金等調整前当期純利益6億1百万円、減価償却費12億1千5百万円が、資金減少項目である仕入債務の減少額3億3千3百万円、売上債権の増加額2億7千万円、法人税等の支払額又は還付額2億4千2百万円を上回ったことによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、2億4千9百万円のキャッシュ・アウト(前期5億5千6百万円のキャッシュ・アウト)となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出3億7百万円、無形固定資産の取得による支出5千9百万円が、補助金の受入による収入1億2千5百万円を上回ったことによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、16億5千7百万円のキャッシュ・アウト(前期9億2千6百万円のキャッシュ・アウト)となりました。その主な要因は、借入金の返済によるものです。 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ12億2千1百万円減少し、35億4千6百万円となりました。 ③ 生産、受注及び販売の状況当社グループは、海運関連事業を主な内容としており、商事料飲事業、ホテル事業、旅客自動車運送事業を展開しております。従って、生産、受注を行っておらず、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額で示すことはしておりません。 (a) セグメントの売上高セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)海運関連事業12,559,784△2.9商事料飲事業1,307,8291.6ホテル事業345,7838.2旅客自動車運送事業292,5323.6計14,505,930△2.1調整額△217,461-合計14,288,469△2.2 (注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。 (b) 当社(東海汽船㈱)の営業実績(参考)提出会社の部門別営業実績は、下記のとおりであります。部門別前事業年度(自 2024年1月1日至 2024年12月31日)当事業年度(自 2025年1月1日至 2025年12月31日)年間(千円)構成比(%)年間(千円)構成比(%)海運業収益9,232,74787.89,009,84687.3商事収益1,286,83112.21,307,82912.7合計10,519,579100.010,317,676100.0 (注) 1 海運業収益は運賃収益(旅客・貨物)、その他海運業収益の合計であります。2 上記金額には消費税等は含まれておりません。 (c) 当社(東海汽船㈱)の主要航路及び就航状況(参考)提出会社の航路および就航船舶・就航状況は、下記のとおりであります。航路区間就航船舶(2025年1~12月)就航状況(2025年1~12月)東京~大島・神津島東京-(横浜)-大島-利島-新島-式根島-神津島貨客船さるびあ丸通年運航東京-(久里浜)-大島-利島-新島-式根島-神津島高速船ジェットフォイル通年運航東京~八丈島東京-三宅島-御蔵島-八丈島貨客船橘丸さるびあ丸通年運航熱海~大島熱海-(伊東)-大島高速船ジェットフォイル通年運航稲取~大島稲取-大島高速船ジェットフォイル季節運航東京~館山~大島東京-館山-大島高速船ジェットフォイル季節運航臨時・不定期東京-伊豆諸島-国内沿岸各地――― (注)就航船舶「ジェットフォイル」はセブンアイランド「友」「大漁」「結」の3隻であります。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 ② 経営成績等の分析「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 ③ 資本の財源及び資金の流動性当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金および設備投資であり、資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、巨額の資金需要に対応する場合等は、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保及び財務の健全性・安定性を維持するため、銀行等から借入等を行う方針です。資金調達を行う際は、期間や国内外の市場金利動向等、また自己資本比率、DEレシオ(負債資本倍率)やROEといった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、最適な調達を実施します。
事業リスク
- 利益の下期偏重旅客部門において、乗船客が夏季の多客期に集中するため、利益が下期に偏る傾向があります。これは、季節要因によって業績が大きく変動する可能性を示しており、通期の業績予測や資金繰りに影響を与える可能性があります。
- 燃料油価格の変動船舶燃料油価格の大幅な上昇は、当社グループにとって大きなコスト負担となります。燃料油価格変動調整金を設定していますが、価格の急激な変動や調整金でカバーしきれない上昇があった場合、収益性が悪化する可能性があります。また、環境規制強化による燃料油コスト増加もリスク要因です。
- 自然災害・感染症台風や低気圧による就航率の悪化、地震・噴火災害による航路維持の困難化、新型インフルエンザ等の感染症流行による乗船客減少や事業運営への支障など、自然災害や感染症の発生は事業に直接的な悪影響を及ぼす可能性があります。特に就航航路が地震・噴火の多発地帯にあることは、大きなリスク要因です。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年3月26日)現在において判断したものであります。 (1) 利益の下期偏重について当社グループは、当社、子会社11社および関連会社1社で構成され、東京諸島と本土を結ぶ旅客・貨物の定期航路を主な事業内容としております。旅客部門では、乗船客が夏季の多客期に集中するため、利益が下期に偏る傾向にあります。 (2) 離島航路整備法対象航路の存在当社グループの各航路は、公共的性格を有する離島・生活航路としての側面があり、また、これらの航路の中には、不採算航路でありながら公共性の観点から航路維持を図らざるを得ない航路もあります。 (3) 燃料油価格の変動船舶燃料油価格の上昇は、当社グループにとって大きな負担となります。このため、燃料油価格の大幅な上昇による損失を軽減すべく、旅客運賃および貨物運賃とは別にそれぞれ燃料油価格変動調整金を設定し、2004年12月より実施しております。また、2020年1月から全世界的に大気環境改善のため船舶燃料油の硫黄分濃度規制(SOx規制)が実施されたため、同年2月より燃料油価格変動調整金を環境規制に対応したものに見直しを行いました。 (4) 気象海象状況台風や低気圧の影響により、就航率が悪化することがあります。 (5) 地震・噴火災害の多発地帯就航航路および使用港湾は、地震・噴火の多発地帯にあり、災害の発生時、定期航路を維持できないこともあります。 (6) 感染症の流行等新型インフルエンザ等の感染症が大規模に流行した場合、当社グループの乗船客数が減少し、従業員が感染することにより、事業運営に支障を来す可能性があります。 (7) 固定資産の減損損失当社グループが保有する固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果、減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは有価証券の評価基準及び評価方法として、その他有価証券のうち市場価格のない株式等以外のものについては決算期末日の市場価格等に基づく時価法を採用しています。その結果、株式市況の変動による時価の下落が当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 (8) 繰延税金資産の取崩し当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税金資産の回収可能性を評価しています。収益力の低下により充分な課税所得が将来確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩して税金費用を計上することとなり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 (9) その他船舶の安全運航を阻害する要因として、テロ等の犯罪や大型海洋生物との接触などがあります。当社としては、日頃より定期的に関係官公署とも連携の上、訓練を重ね、事故の未然防止に努めております。