事業の概要
- 航空運送事業が主力スターフライヤーは、航空機を使った旅客と貨物の運送が主な収入源です。国内の主要都市間(北九州、関西、福岡、山口宇部と羽田、福岡と中部など)で定期便を運航し、乗客の運賃や貨物輸送の料金を得ています。国際線は現在運休中ですが、不定期のチャーター便も運航しています。
- 附帯事業で収益補完航空運送事業に付随する形で、教育・研修業務の受託(おもてなし研修など)、航空機の機体や機内モニターを活用した広告枠の販売、訓練施設の貸し出しやフライトシミュレーター体験といった事業も展開しています。これらは航空運送事業を補完し、収益の多角化に貢献しています。
- 高品質サービスで差別化同社は、既存の航空会社にはない高品質・高付加価値サービスを提供することで差別化を図っています。例えば、座席間隔を広げたレザーシート、電源コンセント、無料Wi-Fi、厳選された無料ドリンクなど、快適性を重視したサービスで顧客満足度を高め、リピーター獲得を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 航空運送事業スターフライヤーの主要な収益源であり、旅客と貨物の運送を行います。国内線は北九州、関西、福岡、山口宇部と羽田を結ぶ路線や、福岡と中部を結ぶ路線など、主要都市間の定期便が中心です。国際線は現在運休中ですが、不定期のチャーター便も運航しています。
- 附帯事業航空運送事業を補完する形で、多角的なサービスを提供しています。具体的には、同社のサービスノウハウを活かした「おもてなし研修」や「安全研修」などの教育・研修業務の受託、航空機の機体や機内モニターを活用した広告宣伝業務、訓練施設の貸し出しやフライトシミュレーター体験プランの販売などがあります。
- 単一セグメント構成同社は、航空運送事業を主な事業とする単一業種の事業活動を営んでいます。経営資源の配分や業績評価は会社全体で行われているため、事業セグメントは単一として扱われています。これは、同社の事業構造が航空運送とその関連業務に集約されていることを示しています。
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3【事業の内容】 当社は、既存の航空会社にはない、高品質・高付加価値サービスを提供する「感動のあるエアライン」を目指して設立された航空会社であります。当社グループは、当社および非連結子会社2社(株式会社スターフライヤービジネスサービスおよび株式会社スターフライヤーブランディングビジネス)により構成されており、航空運送事業並びにそれに付随する附帯事業を営んでおります。当社事業の概要並びに特徴は以下のとおりであります。 なお、当社は、航空運送事業を主な事業とする単一業種の事業活動を営んでおり、また、経営資源の配分の決定や業績評価は、当社全体で行っております。したがって、事業セグメントは単一であるため、セグメント情報との関連は記載しておりません。 (1)当社事業の概要① 航空運送事業 当社の航空運送事業は、航空機による旅客・貨物運送事業の総称であり、その概要は以下のとおりであります。事業概要旅客運送事業定期旅客運送事業国内定期便として、以下の路線を運航しております。 北九州-羽田線(1日11往復) 関西-羽田線(1日4往復) 福岡-羽田線(1日8往復) 福岡-中部線(1日3往復) 山口宇部-羽田線(1日3往復) 福岡-仙台線(1日2往復)国際定期便として、以下の路線を運航しております。(注) 北九州-台北(台湾桃園)線(1日1往復) 中部-台北(台湾桃園)線(1日1往復)(2026年3月31日現在)不定期旅客運送事業北九州空港を中心に国内外への不定期旅客(チャーター)便を運航しております。貨物運送事業定期旅客便の一部を活用して、航空貨物運送を行っております。 (注)国際線は2020年3月より運休しており、2026年9月より北九州-台北(台湾桃園)線の運航を週3往復で再開予定です。 ② 附帯事業 当社の附帯事業は、①航空運送事業に付随する業務を総称しており、その概要は以下のとおりであります。業務概要教育・研修業務の受託当社のサービスノウハウを基にした「おもてなし研修」や「安全研修」をはじめ、格納庫やトレーニングセンターの見学などを実施しております。広告宣伝業務機内のタッチパネル式液晶モニター等を活用した広告枠の販売を行っております。施設貸出業務当社所有の訓練施設貸出およびフルフライトシミュレーターの操縦体験プランの販売等を行っております。 (注)2026年4月に設立した100%子会社の株式会社スターフライヤーブランディングビジネスが教育・研修業務の一部を担います。 (2)当社事業の特徴 当社事業の主な特徴は以下のとおりであります。① 安全への取り組み 当社は、安全・安心を提供する航空会社として、日々安全運航に努めております。 安全運航の基本方針をはじめ、安全管理体制など、安全への取り組みをまとめた安全報告書を毎年作成しており、当社のホームページからご覧いただけます。 ② 高品質な顧客サービス 当社は、最上級のホスピタリティを提供できる航空会社をめざし、以下のような顧客サービスを提供しております。(エアバス社製A320neo型機は一部仕様が異なります。)・全ての座席をレザーシートとし、座席数を最大座席数(180席仕様)から約2割減らすことで座席の前後間隔を広くとり、お客様が機内で快適に過ごせる仕様にしております。・電源コンセント、コートフックなどビジネスユーザーを意識した機内装備としております。・座席にタッチパネル式液晶モニターがある航空機(A320型機)には様々な動画コンテンツを取り揃えています。また、座席にタッチパネル式液晶モニターがない航空機(A320neo型機)ではWi-Fiサービスを無料で提供しております。・全座席にヘッドレストやフットレストを装備し、お客様が機内でゆっくりとくつろげるように工夫しております。・当社客室乗務員が選び抜いたドリンクを無料でご提供しております。・航空機および機内等は、当社コーポレートカラーのひとつである黒を基調とした独自性の高いデザインとなっております。また、制服から機内用品に至るまで当社独自のデザインでコーディネートされ、他の航空会社とは差別化されたブランドの確立を目指しております。・国内線では日本初である機内ペット同伴サービス「FLY WITH PET!」を展開し、ペットオーナーの方も長距離のご旅行をお楽しみいただけます。・株式会社ジャパネットホールディングスと業務提携し、BS10(旧BS Japanext)で放送している番組を座席にタッチパネル式液晶モニターがある航空機(A320型機)でお楽しみいただけます。・スターフライヤー・マイレージプログラム「STAR LINK」のサービスでは、年間搭乗回数に応じてステイタスが段階的にランクアップし、ステイタス獲得条件を達成されたスターリンク会員のお客様は、ベガ/アルタイルのご優待サービスや特典をご利用いただけます。貯まったマイルはマイル数に応じて、特典航空券・アイテム・提携会社のポイントへ交換可能で、公式アプリでは店舗でご利用いただけるマイルクーポンも配信しております。 ③ 運航コストの削減と運航の効率化 当社では、使用する航空機並びにエンジンの種類を限定することで、運航乗務員や整備要員の効率的な体制の実現や整備部品在庫等のコストの削減に努めております。またこれにより整備に係る作業を標準化し、整備時間の短縮化も図ることができるため、1機・1日当たりの運航回数や飛行時間を高水準で維持し、収益性を高めることを実現しております。更に使用する航空機並びにエンジンの種類を限定することは、整備要員の機材整備技量の向上、運航乗務員の運航技量の向上、運航・整備・運送にかかわるスタッフ業務の標準化などにより、安全性の向上に寄与しております。 また、機材の導入にあたっても、中古機ではなく新造機を調達することを基本としており、経年に伴う故障等の発生の極小化を図っております。 更に、燃料消費量およびCO₂排出量が最大20%削減、騒音影響が約50%低減できる、環境にやさしい最新鋭の機材、エアバス社製A320neo型機に順次更新をしております。 こうしたコスト削減並びに効率化によって、収益性の向上と上記②に記載の顧客サービスの充実の両立を図っております。 ④ 需要が見込める路線への就航 定期旅客運送事業においては、国内6路線のうち4路線は主に東京国際空港(羽田)を発着する定期便を運航しており、ビジネスとレジャー利用双方の面で幅広いお客様にご利用いただけると見込んでおります。国内線は、夏季休暇や年末年始休暇等に旅客需要が増大するなど、一定の季節変動が生じる傾向があります。当社では、閑散期におけるプロモーションや各種キャンペーンの展開など、季節変動による影響を最小限に抑えるとともに、ビジネス需要の取り込みによって年間を通じての安定的な収入を確保するように努めています。 このような中、国内線ネットワークの見直しを実施し、2025年10月3日に福岡-仙台線の運航を開始しました。またレジャー利用のお客様の獲得に向けた取り組みとして、お子様連れのお客様にも安心してご利用いただける「Fly with Smile Kids!」を2022年11月より開始するとともに、機内ペット同伴サービス「FLY WITH PET!」を2024年1月より全路線に拡大しました。また“進撃の巨人”や当社の就航17周年と関連した“SEVENTEEN”や“刀剣乱舞”、“TOMORROW X TOGETHER”とのコラボレーションを行うなど、様々な分野で提携を行いながら、お客様にお選びいただける施策を展開してきました。 今後については、2026年9月2日に北九州-台北(台湾桃園)線の運航再開を予定しております。国際線を含めた旺盛な航空需要の取り込みのため、柔軟な生産体制を構築し、需要喚起へ向けた施策を展開してまいります。 ⑤ 他社との提携 当社では、定期旅客運送事業の国内6路線において、全日本空輸株式会社との共同運航(コードシェア)を行っております。共同運航は、当社座席の一定割合を全日本空輸株式会社に卸売りするものであり、当社営業収入の安定化に寄与するものと考えております。またこれに加えて、当社は、同社の予約販売システムを用いて定期旅客運送事業における航空券の販売を行っております。これにより、全日本空輸株式会社の代理店網を活用した航空券販売が可能となっております。当社の営業未収入金のうち当該事業の販売額は、別途契約のある一部の販売代理店や法人顧客向けのものを除き、全日本空輸株式会社より回収することとなっております。 また、定期旅客運送事業以外にも、貨物運送事業において全日本空輸株式会社との共同運航を行っております。 [事業系統図] ※1 航空運送事業並びに附帯事業の内容は(1)当社事業の概要に記載のとおりであります。※2 航空運送事業のうち、株式会社スターフライヤービジネスサービスは主として当社便の予約受付等のコールセンター業務を行っております。※3 附帯事業のうち、株式会社スターフライヤーブランディングビジネスは主として教育・研修業務を行っております。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い LCCを含む他の航空会社や新幹線等と競合関係にあり、販売価格が低下する可能性。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 規制 航空運送事業は航空法等の規制を受け、運航乗務員等の専門的な資格保持者の確保が必要。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 低い(分散) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:景気動向による旅客需要の変動 / 国際情勢の変化(紛争、テロ、伝染病) / 原油価格、為替相場の変動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 5 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
スターフライヤーは、快適な座席や機内サービスなど、独自のブランドイメージを構築している。しかし、特許や規制ライセンスといった強力な無形資産は限定的であり、競合他社も同様のサービスを提供可能。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
航空券の予約は、価格や利便性で選択されることが多く、顧客がスターフライヤーに固定されるほどのスイッチング・コストは低い。LCCや他社便への乗り換えは容易である。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
航空会社において、ネットワーク効果は限定的である。利用者が増えても、それが直接的にサービス価値の向上に繋がる構造ではない。
コスト優位★☆☆☆☆
LCCと比較すると、スターフライヤーは座席間隔の広さやサービスで差別化を図っており、コスト優位性は低い。しかし、大手航空会社と比較した場合、特定の路線やサービスにおいては効率化の余地がある可能性。
規模の経済★★☆☆☆
国内航空業界は、JAL、ANAといった大手2社が圧倒的なシェアを持つ寡占市場である。スターフライヤーは、その中でニッチな市場を狙っているが、規模の経済性においては大手には及ばない。
- 高品質な顧客体験全席レザーシート、広い座席間隔、電源コンセント、無料Wi-Fi(A320neo型機)、無料ドリンク提供など、ビジネス利用客やレジャー客の快適性を追求したサービスが強みです。これにより、他の航空会社との差別化を図り、顧客ロイヤルティを高めています。
- 効率的な運航体制使用する航空機とエンジンの種類を限定することで、運航乗務員や整備員の効率的な配置、整備部品在庫の削減を実現しています。これにより運航コストを抑えつつ、1機あたりの運航回数や飛行時間を高水準で維持し、収益性を向上させています。
- 主要路線と提携戦略国内5路線のうち4路線が羽田空港発着で、ビジネス・レジャー双方の需要が見込める主要路線に就航しています。また、全日本空輸株式会社とのコードシェア(共同運航)により、座席の一定割合を販売することで営業収入の安定化を図り、販売網も活用しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- 安全運航の徹底企業理念の根幹として「安全運航」を至上の責務と位置づけています。安全管理システム(SMS)を構築し、フライトセーフティレビュー委員会を定期開催することで、安全運航の基本方針である「安全憲章」と「安全運航のための行動指針」が確実に実行されているかを確認しています。
- 国内線基盤の確立中期経営戦略「中期経営戦略2025~国内線で経営基盤を確立し、次の飛躍へ~」を策定し、コロナ禍からの回復と成長を目指しています。この3年間で国内線を主体とした強固な経営基盤を築き、将来的な飛躍に向けた準備を進めることを最優先課題としています。
- 収益拡大と効率化収入拡大による利益創出と財務体質の健全性向上を目指し、需要が見込める路線への就航や、機材の効率的な運用による運航コスト削減に取り組んでいます。また、環境に優しい最新鋭機材(エアバスA320neo型機)の導入を進め、燃料効率の改善と環境負荷低減も図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
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経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社は、「安全運航」を至上の責務とし、安全・確実な輸送(旅客・貨物)と快適かつ質の高い移動空間・サービスの提供に努め、他社にはない新たな価値を創造し、企業理念である『感動のあるエアライン』を目指してまいります。 企業理念 私たちは、安全運航のもと、人とその心を大切に、個性、創造性、ホスピタリティをもって、『感動のあるエアライン』であり続けます。 行動指針 1.安全運航に徹します。2.コンプライアンスを徹底します。3.自らの仕事に責任と誇りを持ちます。4.お客様の視点から発想し、創造します。5.仲間とともに輝き、ともに挑戦します。6.感謝の気持ちと謙虚さをもって、人と社会に接します。 (2)経営環境 航空業界におきましては、国内旅客需要は堅調に推移する一方、原油価格や為替相場の変動、物価上昇等に伴うコスト増加圧力が継続しています。また、LCC及び大手航空会社との競争や他交通機関との競争も引き続き激化しております。 当社は現在、国内定期旅客運送事業を主たる事業としており、収入面では国内市場における需要動向及び競争環境、コスト面では原油価格や為替相場の影響を大きく受ける構造にあります。 その一方、訪日需要の拡大や東アジア地域における航空需要の成長を背景として、国際線を含めた新たな事業機会が拡大しております。 (3)中長期的な経営戦略及び当事業年度の位置付け 当社は、2023年度から2025年度を対象とする中期経営戦略に基づき、国内線を中心とした収益基盤の確立及び財務体質の改善に取り組んでまいりました。その結果、国内航空需要の取り込み等により、売上高の拡大及び事業基盤の強化に一定の成果を得ております。 一方で、当社の事業が国内線に依存する構造であることから、中長期的な成長に向けては、収益源の多様化及び事業ポートフォリオの高度化が重要な課題であると認識しております。 このような認識のもと、当社は、国内線事業における収益性の向上を図るとともに、国際線ネットワークの拡大や新規事業領域の開拓等を通じて持続的な成長を実現する方針としております。 また、当社は、これらの課題認識及び経営環境を踏まえ、当事業年度末後において、2026年度から2028年度を対象とする中期経営戦略を策定しました。東アジアを中心とした国際線ネットワークの拡大を軸に事業規模の拡大及び収益力の強化を図る成長フェーズへ移行する方針を明確化しております。 当事業年度は、国内線における基盤を維持・強化しつつ、成長戦略への移行に向けた重要な期間と位置付けております。 (4)対処すべき課題 当社が対処すべき主な課題は以下のとおりであります。①安全運航の徹底 安全運航は事業の根幹であり、引き続き最優先事項として、安全管理体制の強化及び教育の徹底により、安全性の維持・向上に努めてまいります② 国内線事業の収益性向上 当社の主たる事業である国内線において、運賃施策の高度化、搭乗率の向上、附帯収入の拡大等により、安定的な収益基盤の強化を図ってまいります。③ 事業構造の多様化 国内線中心の事業構造からの脱却に向け、国際線ネットワークの拡大や新規事業領域の開拓を推進し、中長期的な収益源の多様化を図ってまいります。④ コスト競争力の強化 燃料費や人件費の上昇に対応するため、運航効率の向上、機材ポートフォリオの最適化、生産性の改善等によりコスト構造の最適化を進めてまいります。⑤ 人材の確保及び育成 事業基盤の維持及び将来の成長を支えるため、採用の強化とともに教育・訓練の充実を図り、人材の確保・育成に取り組んでまいります。⑥ ESG経営の推進 環境負荷低減や地域社会との共生、ガバナンス強化を重要課題と位置付け、企業価値の向上に努めてまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社は、「安全運航」を至上の責務とし、安全・確実な輸送(旅客・貨物)と快適かつ質の高い移動空間・サービスの提供に努め、他社にはない新たな価値を創造し、企業理念である『感動のあるエアライン』を目指してまいります。 企業理念 私たちは、安全運航のもと、人とその心を大切に、個性、創造性、ホスピタリティをもって、『感動のあるエアライン』であり続けます。 行動指針 1.安全運航に徹します。2.コンプライアンスを徹底します。3.自らの仕事に責任と誇りを持ちます。4.お客様の視点から発想し、創造します。5.仲間とともに輝き、ともに挑戦します。6.感謝の気持ちと謙虚さをもって、人と社会に接します。 (2)経営環境 航空業界におきましては、国内旅客需要は堅調に推移する一方、原油価格や為替相場の変動、物価上昇等に伴うコスト増加圧力が継続しています。また、LCC及び大手航空会社との競争や他交通機関との競争も引き続き激化しております。 当社は現在、国内定期旅客運送事業を主たる事業としており、収入面では国内市場における需要動向及び競争環境、コスト面では原油価格や為替相場の影響を大きく受ける構造にあります。 その一方、訪日需要の拡大や東アジア地域における航空需要の成長を背景として、国際線を含めた新たな事業機会が拡大しております。 (3)中長期的な経営戦略及び当事業年度の位置付け 当社は、2023年度から2025年度を対象とする中期経営戦略に基づき、国内線を中心とした収益基盤の確立及び財務体質の改善に取り組んでまいりました。その結果、国内航空需要の取り込み等により、売上高の拡大及び事業基盤の強化に一定の成果を得ております。 一方で、当社の事業が国内線に依存する構造であることから、中長期的な成長に向けては、収益源の多様化及び事業ポートフォリオの高度化が重要な課題であると認識しております。 このような認識のもと、当社は、国内線事業における収益性の向上を図るとともに、国際線ネットワークの拡大や新規事業領域の開拓等を通じて持続的な成長を実現する方針としております。 また、当社は、これらの課題認識及び経営環境を踏まえ、当事業年度末後において、2026年度から2028年度を対象とする中期経営戦略を策定しました。東アジアを中心とした国際線ネットワークの拡大を軸に事業規模の拡大及び収益力の強化を図る成長フェーズへ移行する方針を明確化しております。 当事業年度は、国内線における基盤を維持・強化しつつ、成長戦略への移行に向けた重要な期間と位置付けております。 (4)対処すべき課題 当社が対処すべき主な課題は以下のとおりであります。①安全運航の徹底 安全運航は事業の根幹であり、引き続き最優先事項として、安全管理体制の強化及び教育の徹底により、安全性の維持・向上に努めてまいります② 国内線事業の収益性向上 当社の主たる事業である国内線において、運賃施策の高度化、搭乗率の向上、附帯収入の拡大等により、安定的な収益基盤の強化を図ってまいります。③ 事業構造の多様化 国内線中心の事業構造からの脱却に向け、国際線ネットワークの拡大や新規事業領域の開拓を推進し、中長期的な収益源の多様化を図ってまいります。④ コスト競争力の強化 燃料費や人件費の上昇に対応するため、運航効率の向上、機材ポートフォリオの最適化、生産性の改善等によりコスト構造の最適化を進めてまいります。⑤ 人材の確保及び育成 事業基盤の維持及び将来の成長を支えるため、採用の強化とともに教育・訓練の充実を図り、人材の確保・育成に取り組んでまいります。⑥ ESG経営の推進 環境負荷低減や地域社会との共生、ガバナンス強化を重要課題と位置付け、企業価値の向上に努めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要① 当期の経営成績等の概況 当事業年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果などにより、緩やかな回復傾向にある一方で、為替相場や資源価格を含む外部環境の不確実性から、先行きについては不透明な状況が続いております。このような状況のなか、当社においても、福岡-仙台線の新規就航や、臨時便や国際チャーター便の運航など、収益の拡大に努めました。また、航空需要の増加に対応すべく、旧型式のリース機材2機を返還するとともに、従来よりも座席数の多い新型機を導入しました。 (就航路線の状況) 就航路線の状況につきまして、当事業年度末における路線便数は、国内定期便1日当たり6路線31往復62便、国際定期便1日当たり2路線2往復4便であります。 なお、2020年3月より国際定期便を運休しております。 (運航実績) 運航回数につきましては、2025年10月に福岡-中部線を1日当たり3往復6便に減便し、福岡-仙台線を1日当たり2往復4便で運航開始したことにより、当事業年度の運航回数は22,251回(前期比1.8%減)となりました。項目前事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当事業年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)増減率運航回数(回)22,66322,251△1.8%飛行距離(千km)16,85516,919+0.4%飛行時間(時間)36,31835,955△1.0% (就航率、定時出発率) 就航率、定時出発率につきましては、社内で継続して就航率・定時性向上プロジェクト(ON TIME FLYER活動)を推進しておりますが、当事業年度の定時出発率は前事業年度を下回る結果となりました。項目前事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当事業年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)増減就航率(%)99.299.7+0.6pt定時出発率(%)92.791.2△1.5pt (輸送実績) 旅客状況につきましては、旧型式のリース機材2機を返還するとともに、従来よりも座席数の多い新型機を2機導入したことにより、自社提供座席キロは1,635百万席・km(前期比2.1%増)となり、旅客数は165万人(前期比3.9%増)、座席利用率は81.6%(前期比1.9ポイント増)となりました。項目前事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当事業年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)増減率提供座席キロ(百万席・km)1,6021,635+2.1%有償旅客キロ(百万人・km)1,2761,334+4.6%座席利用率(%)79.681.6+1.9pt有償旅客数(千人)1,5921,654+3.9%(注)1 上記輸送実績には、全日本空輸株式会社への座席販売分を含めておりません。2 有償旅客キロは、路線区間の有償旅客数に区間距離を乗じたものであります。3 提供座席キロは、路線区間の提供座席数に区間距離を乗じたものであります。 (販売実績) 前事業年度および当事業年度の営業実績の状況は、次のとおりであります。 なお、当社は航空運送事業を主な事業とする単一業種の事業活動を営んでおりますので、提供するサービス別に記載をしております。科目前事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当事業年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)航空運送事業収入定期旅客運送収入42,42598.944,49099.3貨物運送収入1620.41500.4不定期旅客運送収入1830.4460.1小計42,77199.744,68899.8附帯事業収入1290.31070.2合計42,900100.044,795100.0(注)1 定期旅客運送収入および貨物運送収入には、全日本空輸株式会社への座席販売および貨物輸送分を含めております。2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。なお、当該取引の内容は、主にコードシェアによる座席販売および貨物輸送分であります。相手先前事業年度当事業年度販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)全日本空輸株式会社16,12437.617,46839.0 上記により、生産量(提供座席キロ)および有償旅客数は前事業年度と比べ増加し、航空運送事業収入は44,688百万円(前期比4.5%増)となりました。また、附帯事業収入は107百万円(前期比17.3%減)となり、これらの結果として、当事業年度の営業収入は44,795百万円(前期比4.4%増)となりました。 費用面につきましては、当事業年度末の為替レートが前事業年度末と比較して円安であったことから、外貨建ての定期整備費用について、その引当金を円換算したことによる引当金繰入額が増加した結果、事業費ならびに販売費及び一般管理費の合計額である営業費用は、43,406百万円(前期比4.2%増)となりました。 これらにより、当事業年度の営業利益は1,389百万円(前期比12.9%増)、経常利益は684百万円(前期比64.6%減)、当期純利益は434百万円(前期比77.4%減)となりました。 営業利益と経常利益の差異は、営業外費用の為替差損526百万円が主たる要因です。為替差損の主な内容はファイナンス・リースにより取得した航空機の外貨建てリース債務が取得時の為替相場から円安に推移したことによるものです。 ② 当期の財政状態の概況 当事業年度において、航空機を7月にファイナンス・リースにより取得しました。この取引により、仮払消費税等が955百万円増加、リース資産が8,160百万円増加、リース債務(流動負債及び固定負債合計)が8,160百万円増加、リース取引に係る未払消費税が955百万円増加しました。 当事業年度末の流動資産合計は20,568百万円となり、前事業年度末に比べ4,242百万円増加しました。これは主として、デリバティブ債権が2,758百万円増加、上記ファイナンス・リース取引などにより未収消費税等が1,592百万円増加したことなどによるものです。固定資産合計は16,327百万円となり、前事業年度末に比べ8,121百万円増加しました。これは主として、上記ファイナンス・リース取引などによるものです。 当事業年度末の負債合計は29,673百万円となり、前事業年度末に比べ9,435百万円増加しました。これは上記ファイナンス・リース取引に加え、定期整備引当金が2,274百万円増加したことなどによるものです。なお、当事業年度末の有利子負債残高は10,820百万円となりました。 当事業年度末の純資産合計は7,222百万円となり、前事業年度末に比べ2,929百万円増加しました。 これは主として、デリバティブ取引に係る繰延ヘッジ損益が2,140百万円増加、当期純利益の計上により利益剰余金が434百万円増加、新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ179百万円増加したことなどによるものです。なお、剰余金の処分により資本剰余金が2,674百万円減少し、利益剰余金に振り替えております。 ③ 当期のキャッシュ・フローの概況 当事業年度末における現金及び現金同等物は9,220百万円となり、前事業年度末に比べ793百万円の減少(前事業年度は2,161百万円の増加)となりました。 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、1,559百万円のキャッシュ・インフロー(前事業年度は5,272百万円のキャッシュ・インフロー)となりました。 これは主として、未収消費税等の増加が1,592百万円(前事業年度は未収消費税等の減少が458百万円)あった一方で、定期整備引当金の増加が2,274百万円(前事業年度は定期整備引当金の増加が75百万円)、減価償却費が1,208百万円(前事業年度は753百万円)あったことなどによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、1,509百万円のキャッシュ・アウトフロー(前事業年度は427百万円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。 これは主として、差入保証金の差入による支出が1,249百万円(前事業年度は31百万円)、無形固定資産の取得による支出が553百万円(前事業年度は322百万円)あったことなどによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、998百万円のキャッシュ・アウトフロー(前事業年度は2,648百万円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。 これは主として、新株予約権の行使による株式の発行による収入が356百万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が850百万円(前事業年度は1,802百万円)、リース債務の返済による支出が504百万円(前事業年度は46百万円)あったことによるものです。 ④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に定期整備引当金は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。 (定期整備引当金) 航空機材の主要な定期整備の支出に備えるため、当事業年度末までに負担すべき将来の整備費用見積額を定期整備引当金として計上しております。 当社は、当事業年度末までの定期整備費用実績額や最新の契約単価を基礎として、個々の航空機材の整備計画から調達方法(購入またはリース)、リース会社との契約や当該機材の使用状況なども織り込み、将来の整備費用を見積り、定期整備引当金を計上しております。 整備計画は長期にわたることに加え、個々の航空機材の使用状況等により定期整備実施時に必要となる整備費用が変動する場合があり、定期整備引当金の残高に対して過不足が生じる可能性があります。 (収益認識) 当社は、会員顧客向けのマイレージプログラム「STAR LINK」を運営しており、旅客輸送サービス等の利用に応じて付与するマイレージは、将来当社によるサービスを受けるために利用することができます。 付与したマイレージの内、将来顧客が行使することが見込まれる分を履行義務として認識し、顧客がマイレージの利用に際して選択するサービスの構成割合を考慮して独立販売価格を見積り、取引価格はこれらの履行義務に対して独立販売価格の比率に基づいて配分しております。マイレージプログラムの履行義務に配分された取引価格は契約負債として認識し、マイレージの利用に従い収益計上しております。 当該見積りの内容は不確実性が高く、選択するサービスの構成割合が大きく変化した場合は、翌事業年度以降の財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。 (繰延税金資産) 当社は、将来減算一時差異の解消により、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると認められる範囲で繰延税金資産を認識しており、その回収可能性については、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第26号)で示されている会社分類、将来加算一時差異の解消スケジュール、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得及びタックス・プランニング等に基づいて判断しております。 当該見積りは、将来の事業計画を基礎としており、その主要な要素である売上高や利益の予測は、今後の市場動向や原油価格、為替相場の変動等の影響を受け、また、不確実性を伴うことから、繰延税金資産の回収可能性の判断に重要な影響を及ぼします。 将来の不確実な経済状況及び当社の経営状況の変化により、当該見積りに重要な影響が生じた場合には、翌事業年度以降の財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 ① 重要な会計方針及び見積り 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 当社の財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。 ② 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析 当社の財政状態および経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。 ③ 資本の財源及び資金の流動性 当事業年度の資金の主要な使途を含むキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ 当期のキャッシュ・フローの概況」に記載しております。 当社は、運転資金および設備資金につきましては、事業計画等に照らして、自己資本、銀行からの借入れまたはファイナンス・リース取引により調達しております。 なお、当事業年度末現在における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は10,820百万円であります。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は9,220百万円であります。 なお、キャッシュ・フロー関連指標は、以下のとおりであります。 前事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当事業年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)自己資本比率(%)17.419.6時価ベースの自己資本比率(%)36.820.5キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)0.66.9インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)112.07.4(注)1 自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い2 株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式総数により算出しています。3 有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち、短期借入金、長期借入金(1年内返済予定を含む)及びリース債務を対象としています。4 営業キャッシュ・フロー及び利払いは、キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いています。
事業リスク
- 景気変動と需要減少航空業界は景気動向に大きく左右され、景気低迷が長期化すると、企業の出張抑制やレジャー需要の減少により、旅客数が減少し業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特にビジネス旅客は主要顧客であるため、その減少は大きな打撃となります。
- 原油価格と為替変動航空機燃料費は原油価格に連動するため、原油価格の急激な上昇は燃料費の増加を招き、業績を圧迫します。また、航空機賃借料や整備費の一部が外貨建て(主にドル建て)であるため、円安が進行すると費用が増加し、業績に大きな影響を与える可能性があります。
- 限定機材と事故リスク同社は航空機11機で運航しており、使用機材の種類を限定しています。万が一、重大な航空事故が発生した場合、運航計画に支障が生じるだけでなく、航空需要全体の低下や、限定された機材ゆえに代替機材の確保が困難となり、業績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1)リスクマネジメント体制 当社は、企業活動の持続的発展の実現を阻害するリスクに対処するため、日常的にリスクを識別し、社内規程等に従い、損失の危険を回避・予防しております。また、重大なリスクが顕在化したときは、被害を最小限に留めるための適切な措置を講じてまいります。 当社は、「リスク管理規程」を制定し、同規程においてリスクカテゴリごとの責任部署を定め、当社のリスクを統括的に管理しております。 当社におけるリスクマネジメントの中心は、運航の安全の維持・向上です。当社は「安全管理規程」に従い、フライトセーフティレビュー委員会を定期的に開催し、安全管理システム(SMS:Safety Management System)が正しく有効に機能し、安全運航の基本方針である「安全憲章」および「安全運航のための行動指針」が、業務全般にわたり、具体的な安全施策に結びついていることを確認、評価しております。 (2)航空業界に関連するリスク 航空業界に関連するリスクとして当社が認識しているものは、以下のとおりです。 リスクの内容当該リスクに対する対応策等① 景気動向 当社が属する航空業界は、旅客需要等について景気動向等の変動による影響を受けております。景気低迷が長期化する場合には、レジャー需要とともに、企業の出張抑制等により当社の主要顧客であるビジネス旅客が減少する可能性があり、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 イベントリスク等不確実性の高い要素に大きく影響を受ける状況下において経営を持続させるため、純資産の積み上げを計画的に行っています。② 国際情勢の変化 国際紛争、大規模なテロ事件および伝染病の流行等が発生した場合、航空需要に大きな影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するための保安等の規制強化による利便性の低下も航空需要に影響を及ぼす可能性があります。さらに、これらに関連して航空保険料や保安対策費用等が増加する可能性があり、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ③ 公租公課 航空運送事業に関する公租公課には、着陸料や航行援助施設利用料をはじめとする空港使用料並びに国内線運航に使用する航空機燃料に賦課される航空機燃料税があります。 航空機燃料税については2011年4月より2028年3月末まで国による軽減措置が実施されています。このため、当該対象期間における当社事業費が軽減されることとなりますが、今後政策の転換等によって当該軽減措置に変更が生じた場合には当社業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ④ 将来の環境規制 当社が属する航空業界は、航空機の騒音、排気、有害物質の使用及び環境汚染等を管理・統制する様々な環境関連法規制の制約を受けております。現在、これらに関する法令遵守等に対して適確に取り組んでおりますが、これらに関する法令遵守又は環境改善のための追加的な義務が求められることとなった場合、関連する費用が当社の事業、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 環境改善のための追加的な義務が生じた場合は適切に対応し、事業、業績に大きな影響を及ぼさないよう関連各所と連携して対応してまいります。なお、2023年7月より燃料消費量及びCO₂排出量が最大20%削減、騒音影響が約50%低減できる、環境にやさしい最新鋭の機材、エアバス社製A320neo型機を導入いたしております。 (3)その他の主要なリスク その他の主要なリスクとして当社が認識しているものは、以下のとおりです。 リスクの内容当該リスクに対する対応策等① 原油価格、為替相場の変動 当社の行う航空運送事業は、航空機燃料を使用するため、原油価格変動の影響を受けます。今後の国際的な原油市場の需給バランス、産油国の政情不安および投機資金の原油市場への流入等に伴う原油価格水準の変動によっては、燃料費が増加し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、航空機賃借料や整備費等の一部費用について、外貨建取引(主としてドル建て)を行っているため、為替相場変動の影響も受ける環境にあり、今後の為替相場に大幅な変動が生じた場合にも、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 これらの変動リスクをヘッジ(減殺)すべく、航空機燃料関連として商品スワップ取引等、通貨関連として為替予約取引等のデリバティブ取引を行っております。 なお、当社では「市場リスク管理に関する規程」を制定し、デリバティブ取引は、市場における相場変動に対するリスクヘッジ目的のみに利用し、投機的な目的では行わない方針を定めております。② 限定された機材数と航空事故 当社は、当事業年度末現在、航空機11機により運航しております。万が一航空事故、重大インシデントが発生した場合は、安全が確認されるまで、当初計画どおりの運航は困難となります。 また、他社で航空事故、重大インシデントが発生した場合にも、その後の航空需要の低下など、利用者数の減少により当社の事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。 運航の安全性の維持・向上のため、全社をあげて安全管理システム(SMS)を構築し、管理、推進して有効に機能させております。また不安全事象の未然防止に資する重要な機能としての自発報告(ヒヤリハット報告)制度をStarflyer Treasure Voice(STV)と称して促進するなどの取り組みにより安全運航に関する意識の更なる醸成を図っております。 万が一航空事故、重大インシデントが発生した場合、損害賠償、運航機材等の修理・修復等の費用は、主に航空保険にて填補されます。 ③ 多頻度運航について 当社では、収益性を高めるため、1機・1日当たりの運航回数や飛行時間を高水準で維持することに努めております。 しかしながら、天候、安全対応等の様々な要因によって長期間欠航せざるを得ない場合や、航空機に重大な故障が生じた場合、機材の使用水準が当初計画を下回り、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 機材や社内の生産体制を全体最適の観点で調整し、効率的なダイヤを作成するよう、努めております。④ 航空機の受領計画 当社の属する航空業界において、世界のサプライチェーン混乱を受けて航空機やエンジンの製造計画に遅延が生じています。 当社におきましても予定している航空機について、受領時期が計画から遅延する可能性があります。 また、受領が大幅に遅延した場合、定期便の運航に影響する可能性があります。 航空機メーカーや航空機リース会社とのコミュニケーションにより製造の進捗を確認し、受領が遅延した場合に備えて、現在運用している航空機の重整備を実施する時期を柔軟に調整できるようにしております。 また、想定以上に航空機の受領が遅延した場合でも定期便の欠航を回避するための航空ダイヤの設定を行っております。⑤ 特定航空機材への依存と機齢上昇による整備コスト増加 当社では使用する航空機並びにエンジンの種類を限定しており、整備要員の機材整備技量の向上、運航乗務員の運航技量の向上、運航・整備・運送にかかわるスタッフ業務の標準化などにより、安全性の向上に寄与しております。また、運航乗務員や整備要員の効率的な体制、整備部品在庫等のコストの削減にもつながっております。 しかしながら、限定しているが故に当該機種・エンジンに係る仕様上の重大な欠陥等が発覚した場合、当社の運航継続について重大な懸念が生じうる可能性があります。過去における同型機の運航実績等を踏まえると、当社が使用している機種等に重大な欠陥等が存在する可能性は低いものと考えておりますが、万が一そのような事態が生じた場合はすみやかに代替できる機材がなく、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、現在のところ平均機齢は約7年で、機材の経年に伴い、将来において修繕維持費用が増加する可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 仕様上の重大な欠陥等が発覚するなどの事態が発生した場合には、機体及びエンジンのメーカー等から実施期限を設けた適切な整備プログラムが提供されます。当社はこれに基づき速やかに対応し、運航が継続できないリスクを軽減してまいります。 また、経年に関しては、機体メーカーは機材のライフサイクルを考慮した整備プログラムを用意しています。これにより将来発生する整備内容を予測し、整備機会を計画的に設定することによって、一定期間に整備費用が集中することを抑制してまいります。 リスクの内容当該リスクに対する対応策等⑥ 競合について 当社はLCC(格安航空会社)を含めた他の航空会社や新幹線等の交通機関と競合関係にあります。また今後当社が新規路線を開設する場合、当該路線にすでに就航している他の航空会社等との競合関係が生じることが想定されます。競合激化に伴い、販売価格が低下しもしくは計画した旅客数が確保できなかった場合は、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当社では、競合する他の航空会社や新幹線等の交通機関との競合において、適正な価格と旅客動向を見極めつつ、需要喚起やイールドコントロール等を適切に行い、収入機会を確保しております。⑦ 特定地域への路線集中と災害リスク 当社は、現在、国内線6路線(北九州-羽田線、関西-羽田線、福岡-羽田線、福岡-中部線、山口宇部-羽田線、福岡-仙台線)および国際線2路線(北九州-台北線、中部-台北線)を運航しております。なお、国際線は2020年3月より運休しております。 就航地域における大規模な地震、台風その他の自然災害等が生じた場合、運航及び経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に、当社の本部機能が集積している北九州空港または路線が集中している羽田空港が使用不能に陥った場合、運航及び経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。 特定路線の収入に依存しすぎることのないよう、中長期的な経営戦略において、収益源の多様化を検討し、リスクの分散を図っております。 また、大規模な地震など事業継続に大きな影響を及ぼす規模の災害が歴史的に少ない北九州に本社を置き、堅牢なデータセンターにおける安定的なシステム運用などの対策により、事業の継続が瞬時に停止するリスクの低減を図っております。 ⑧ 路線展開に関するリスク 当社は、航空機材の導入、運航便数の増加、新たな路線展開により収益拡大を図っていく計画でありますが、これらが計画どおりに進捗しない場合、将来の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 航空機は発注から受領までに一定の期間を要するため、当初計画していた路線展開が何らかの要因により不調となった場合、特に、空港発着枠を希望どおりに獲得できない場合、路線展開に大きな制約が課せられ、航空機が過剰となり、以後の計画の大幅な見直しが必要となる可能性があります。また、将来的に、羽田空港、福岡空港及び関西国際空港の発着枠の見直し等が生じた場合は、事業計画に大きな影響を受ける可能性があります。 当社では、路線展開について、十分な計画と複数の展開案を検討し、空港発着枠が取得できなかった場合でも検討した代替案に速やかに変更できるようリスク分散を行っております。 また、当社は国際および国内チャーターの実績も過去に十分に積んでおり、早朝深夜便運航、臨時便を含め、柔軟な運航体制の構築が可能です。⑨ 専門的な人材の確保 当社の行う航空運送事業は、運航乗務員、運航管理者および整備士等の専門性を有した資格保持者の確保が必要です。これらの有資格者は、雇用市場が航空業という限られたものであるため、自社での養成または同業他社からの転職者となっております。 これらの専門性を有した資格保持者の育成および確保が計画どおりにできなかった場合、又はこれらの専門性を有した資格保持者が大勢、何らかの理由により業務に就くことができなくなった場合は、当社の安定的な運航や路線展開に大きな影響を受ける可能性があります。 専門性を有した資格保持者の確保のため、採用・養成計画は常に複数年先を見据えた対応を図っております。 運航乗務員については、必要数に応じた採用活動を行っております。今後も運航計画に基づいて、適切に採用を実施し、養成していく方針です。 他職種につきましても、資格保持者の養成などにより人材を確保しております。 リスクの内容当該リスクに対する対応策等⑩ 人材確保困難によるリスク 運航乗務員等の専門性を有した資格保持者だけではなく、当社の運営に必要な人材の確保も重要です。景気の拡大や労働人口の減少による人材獲得競争がいっそう激しくなり、人材を確保できない場合は、人件費の上昇の可能性も含め、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、当社は、快適かつ質の高い移動空間・サービスの提供に努め、他社にはない新たな価値を創造し、企業理念である『感動のあるエアライン』を目指しております。このような企業理念を堅守する文化が、高品質のサービスの提供につながるものと考えており、当社の持続的な成長のために人員の採用を行っております。 社員の流失防止のため、処遇の改善だけではなく、スターフライヤーの一員としての自覚、帰属意識を醸成することで会社に対するエンゲージメントの強化を図っております。社員研修や全社プロジェクトへの参画等、乗務や専門業務だけでなく「企業理念を体現し一翼を担う社員」であることを自覚する機会の創出につながる取り組みを実施しております。 各種社内取り組みへの参画等により社内の意識醸成を進め、企業風土や文化の継承に努めております。⑪ 人事・労務に関するリスク 当社の従業員の多くは労働組合に所属しており、当社の従業員による集団的なストライキ等の労働争議が発生した場合には、当社の航空機の運航に大きな影響を及ぼす可能性があります。 集団的な闘争行為が発生しないよう、日ごろから良好な労使関係を築くようにしております。⑫ 特定会社への依存 当社は、全日本空輸株式会社との間で以下の取引を行っております。イ)コードシェア協力契約を締結して国内線の共同運航(コードシェア)を行っております。ロ)予約販売業務請負契約ならびに情報システム利用に関する契約を締結し、国内線の当社航空券の販売ならびに空港ハンドリング業務等について同社の情報システムを用いており、また当社の営業未収入金のうち当該事業の販売額は、別途契約のある一部の販売代理店や法人顧客向けのものを除き、同社より回収することとなっております。ハ)空港ハンドリング業務のうち一部を同社に委託しております。 また、ANAホールディングス株式会社は当社の筆頭株主であり、航空機リース契約を締結しております。 このように当社は、航空運送事業において特定会社に依存しております。提携等を解消するような状況となった場合には、運航に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当該の特定会社とは良好な関係を維持しております。 なお、国際線につきましては、2020年3月より運休しておりますが、全日本空輸株式会社とのコードシェアは実施しておらず、旅客システムも別会社のものを使用しております。 リスクの内容当該リスクに対する対応策等⑬ 情報システムへの依存 当社は、予約販売、搭乗手続き及び運航管理等の業務を情報システムにより管理・運用しております。当該システム及び情報システムを支える通信インフラ等に障害が生じた場合には、予約販売及び運航に大きな影響を及ぼす可能性があります。 予約販売、搭乗手続き及び運航管理等の基幹業務は全日本空輸株式会社の情報システムを使用しており、同社により様々な障害対策が講じられております。また、当社システムであるWEBサイトや会員管理システム等については、ハードウェアやネットワークを二重化するなどの障害対策を講じております。 ⑭ 法的規制 当社の行う航空運送事業は、各国との航空協定等の国際協定をはじめ航空法及び関係諸法令による規制を受けており、また、国土交通省航空局による監督を受けております。当該規制に基づき当社は、航空運送事業運営者としての「事業許可証」、各空港における事業運営のための「事業場認定書」及び「業務規程認可書」、並びに運航する全ての航空機に対する「航空機登録証明書」及び「耐空証明書」を国土交通省航空局より交付されております。 航空機の安全性を示す「耐空証明書」については、原則1年単位での検査による更新手続きが必要となっているものの、当社の整備体制が継続的に安全性を確保できるものと当局から評価されていることから、現状の整備体制を維持することで有効性が持続する「連続式耐空証明」を維持しております。 これらの規制等を遵守できなかった場合には、行政処分により当社の事業活動が制限され、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当社では、これらの規制に継続して適合させていくため、適材適所で専門性を有した人材を配置し、安全管理体制並びに品質管理体制を構築しております。なお、当事業年度末現在、許認可等の取消に係る事象はございません。 (主な許認可等の状況)許認可等の名称所管官庁有効期限事業許可国土交通省なし航空機登録証明同上なし事業場認定同上2028年1月業務規程認可同上なし耐空証明同上原則1年但し、当社は連続式耐空証明を取得しているため有効期限なし リスクの内容当該リスクに対する対応策等⑮ 顧客情報の取扱い及びサイバーセキュリティリスク 当社は顧客に関する個人情報をはじめ、顧客サービス、経営等にとって重要な情報を多数保有しております。不正アクセス等の巧妙化に伴い、その対策を回避する事案が生じて情報処理に支障が生じた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、何らかの原因により個人情報が漏洩した場合、顧客からの信用不安や社会的信用の低下により、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当社は、個人情報保護法及び個人情報保護に関する社内規程に基づいて個人情報を適切に管理・運用し、情報セキュリティの強化に取り組んでおります。 個人情報のデータベースについては、アクセスの権限や状況の管理等を実施しております。また、サイバーセキュリティ対策についても適宜強化を図っており、サイバー攻撃対策ソフトウェアや統合脅威管理機器の導入といった技術的対策に加え、不測の事態に備えて専門事業者賠償保険(サイバーリスク保険)に加入し、情報漏洩時の賠償責任リスク対策及びセキュリティ事故対応体制の強化を図っております。 ⑯ 当社の財政状態(有利子負債)について 当社では現在、一部機材を除き航空機をオペレーティング・リースにより調達し、財務諸表上はオフバランスとなっております。2026年3月期末における未経過リース料の総額は25,812百万円です。 当社はこれまで必要資金を金融機関からの借入れやファイナンス・リースにより調達した結果、2026年3月期末における有利子負債残高が10,820百万円となり、総資産に占める割合が29.3%となっております。このため、今後金融情勢が悪化することで金利負担が増加した場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。 各金融機関と良好な関係を維持するよう努めております。 当社の業績が好調な時期には、繰上げ返済を行うなど、有利子負債の削減に努めております。⑰ 将来の資金調達について 当社が事業を今後さらに拡大するためには、継続して航空機の導入等のための資金調達が必要であります。当該資金につきましては、外部からの資金調達(借入れ・リース)もしくは今後の内部留保によって確保する必要がありますが、今後適時に十分な資金を確保できない場合は、新たな路線展開等のビジネスチャンスを活かすことができなくなるため、将来の当社の業績への影響並びに当社事業計画の遅延や変更が生ずる可能性があります。 航空機材の導入に当たっては、複数のリース会社より提案を受けるなどして、幅広い選択肢から妥当なものを選択するようにしております。