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スカパーJSAT(9412)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

情報・通信業 情報通信・サービスその他

事業の概要

  • 宇宙通信サービス: スカパーJSATは、静止軌道衛星を活用し、政府機関、公共団体、国内外企業、移動体向けにデータ通信や移動体通信サービスを提供しています。広範囲をカバーし、災害にも強い衛星の特性を活かし、安定した通信インフラを支えることで収益を得ています。
  • 有料放送プラットフォーム: 有料多チャンネル放送事業者に対し、衛星回線を提供しています。また、「スカパー!」や「スカパー!プレミアムサービス」といったプラットフォームを通じて、約70~140チャンネルのデジタルテレビ放送を提供し、顧客管理や広告宣伝も行い、視聴料収入を主な収益源としています。
  • スペースインテリジェンス: 低軌道衛星から得られる画像や位置情報などのデータを解析・活用し、社会課題の解決や産業の高度化に貢献する情報・ソリューションを提供しています。これは、衛星通信の枠を超え、データ活用による新たな価値創造を目指すビジネスモデルです。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 宇宙事業: 政府・公共団体や企業向けに、データ通信や移動体通信などの衛星通信サービスを提供しています。また、有料多チャンネル放送事業者への衛星回線提供や、低軌道衛星データを活用したスペースインテリジェンス事業も展開しており、売上高606.01億円、営業利益219.78億円と、グループの主要な収益源となっています。
  • メディア事業: 「スカパー!」や「スカパー!プレミアムサービス」といった有料多チャンネル放送プラットフォームを運営し、約70~140チャンネルのデジタルテレビ放送を提供しています。顧客管理業務や広告宣伝、光ファイバー網を利用した放送再送信サービスも手掛け、売上高631.2億円、営業利益62.65億円を計上しています。
  • 事業領域の拡大と収益基盤強化: 宇宙事業では、通信関連事業の収益力強化と、スペースインテリジェンス事業を成長ドライバーとした新規領域開拓を進めています。メディア事業では、放送・配信事業の契約件数最大化とメディアソリューションサービスの受注拡大、光アライアンス事業の強化により、既存ビジネスの収益基盤を固めつつ、新たな成長機会を追求しています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
SpaceBusinessReportableSegment 地域 606 220 36.3%
MediaBusiness 地域 631 63 9.9%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,310 文字
3 【事業の内容】当社グループは、当社、子会社20社及び関連会社28社により構成されており、政府・公共団体や企業に、データ通信や移動体通信等の衛星通信サービスを提供するとともに、有料多チャンネル放送の各チャンネルを運営する放送事業者に衛星回線を提供する「宇宙事業」を展開しております。また、放送事業者に対する顧客管理業務等のプラットフォームサービスの提供に加え、通信衛星や光ファイバー等の回線を利用して放送や配信を行う「メディア事業」を行っております。 また、当社の「その他の関係会社」は、伊藤忠・フジ・パートナーズ㈱、伊藤忠商事㈱であります。各事業の内容と各関係会社の位置付けは、次のとおりであります。(各事業は、セグメント情報における報告セグメントの区分と同一であります。) なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については、連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 <宇宙事業>宇宙事業は、静止軌道上に打ち上げた通信衛星を利用し、広域性、柔軟性、耐災害性といった衛星の優位点を活かし、政府機関、公共団体、国内外企業、移動体向けに通信サービスを提供しております。また、有料多チャンネル放送の各チャンネルを運営する放送事業者に衛星回線を提供しております。 加えて、低軌道衛星から得られる画像や位置情報等の様々なデータを解析・活用し、社会課題の解決や産業の高度化に資する情報・ソリューションを提供するスペースインテリジェンス事業も展開しております。宇宙事業には、スカパーJSAT㈱の宇宙事業部門を中心として、スカパーJSAT㈱の子会社であるJSAT International Inc.、JSAT Beyond Innovation LLC、JSAT MOBILE Communications㈱、JSAT IOM Limited、㈱ディー・エス・エヌが関わっております。 <メディア事業>メディア事業は、東経110度で運用中の衛星を利用し、デジタルテレビですぐに楽しめる約70チャンネルを提供する「スカパー!」と、東経124度及び128度で運用中の衛星を利用し、より多くの約140チャンネルを提供する「スカパー!プレミアムサービス」を提供しております。当社はプラットフォーム事業者として、顧客管理業務や広告宣伝等による有料多チャンネル放送の普及促進に加え、放送信号のデジタル化・暗号化等を行っております。また、NTTグループの光ファイバー網を利用した地上波、BS、110度CS放送の再送信サービス等も提供しております。加えて、東京メディアセンター(TMC)を中核拠点とし、法人向けに映像関連サービスを提供するメディアソリューションサービスを展開しております。メディア事業には、スカパーJSAT㈱のメディア事業部門を中心に、当社の子会社で放送事業者である㈱スカパー・エンターテイメント及びスカパーJSAT㈱の子会社である㈱スカパー・ピクチャーズが関わっております。 当社グループの事業系統図

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
競合激化やユーザー視聴習慣の変化により加入者減少リスクがあるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 設備
静止軌道上の通信衛星や光ファイバー網、デジタルテレビ放送設備など大規模な設備投資が必要。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか ディフェンシブ
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:衛星通信市場における競争力低下のリスク / 通信衛星調達に関するリスク / 通信衛星の運用に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

スカパーJSATは、日本国内における衛星放送事業の主要プレイヤーであり、放送衛星(BS/CS)の運用に関するノウハウや許認可といった無形資産を有する。しかし、デジタル配信プラットフォームの台頭により、その独占性は相対的に低下している。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

既存のスカパー!サービス加入者は、特定の機器や契約体系に紐づいているため、一定のスイッチング・コストが存在する。しかし、インターネット経由での視聴サービスへの移行は比較的容易であり、顧客の囲い込み力は限定的である。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

同社の事業モデルは、プラットフォームとしてのネットワーク効果よりも、コンテンツ提供者と視聴者をつなぐ役割に重点を置いているため、明確なネットワーク効果は見られない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

衛星放送インフラの維持・運用には巨額の固定費がかかるが、新規参入障壁とはなり得るものの、コスト競争力で他社を圧倒するほどの優位性は見られない。むしろ、インターネット配信事業者の方が低コスト構造を持つ場合がある。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

衛星放送インフラの構築・運用には大規模な設備投資が必要であり、同社は日本国内において大規模な衛星ネットワークと顧客基盤を有している。この規模は、新規参入や既存事業者の規模拡大に対する一定の障壁となる。

  • 衛星通信の広域性と耐災害性: 静止軌道衛星を利用した通信サービスは、広範囲をカバーでき、地上インフラが被災しても通信を維持できる強みがあります。これにより、政府機関や公共団体、災害時の通信確保など、安定性と信頼性が求められる分野で高い競争力を持ちます。
  • 多チャンネル放送の運営ノウハウ: 「スカパー!」として約30年にわたる衛星放送の運用実績と、顧客管理や放送信号のデジタル化・暗号化といったプラットフォーム運営のノウハウを蓄積しています。これにより、多様なコンテンツ提供と安定したサービス運営が可能となり、顧客基盤を維持しています。
  • 宇宙事業における技術と経験: 40年以上にわたり培ってきた宇宙・衛星サービス分野での経験と技術は、同社の大きな強みです。通信衛星の調達・運用、スペースインテリジェンス事業の展開など、高度な専門知識と実績が新規参入企業に対する参入障壁となり、事業の優位性を確立しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • 宇宙事業の多軌道展開: 静止軌道衛星だけでなく、低軌道衛星を活用した「Multi-Orbit戦略」を推進し、事業領域を拡大することを目指しています。特にスペースインテリジェンス事業を成長ドライバーと位置づけ、防衛省の事業参画などを通じて収益拡大を図る方針です。
  • メディア事業の提携強化: 衛星放送の運用実績とノウハウを活かし、「Multi-Alliance戦略」を通じて多様なパートナー企業との協業を強化しています。これにより、放送・配信事業の契約件数最大化や光アライアンス事業の接続世帯数拡大を図り、利益水準の維持・拡大を目指します。
  • 人的資本と経営基盤の強化: 求める人材の採用・育成と抜擢・配置を行う「人材戦略」と、安心安全で挑戦を促す組織づくりのための「組織基盤の強化」を柱としています。また、資本コストや株価を意識した経営、ガバナンス及びリスク管理の高度化を通じて、持続的な企業価値向上を目指しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営理念当社グループを取り巻く競争環境が大きく変わりつつある中、この変化をチャンスととらえ、加速するデジタル社会の進展とあらゆる空間におけるビジネスフィールドの拡張を見据え、当社グループの果たすべき役割を定めたグループミッションを掲げております。 Space for your Smile不安が「安心」にかわる社会へ不便が「快適」にかわる生活へ 好きが「大好き」にかわる人生へ Space for your Smileには、私たちの目指す世界が描かれています。宇宙も、空も、海も、陸も、家族が集うリビングも、ひとりの自由な場所も、これらすべてのSpaceが笑顔で満たされるように。日常のちょっとした幸せから、まだ見ぬ未来の幸せまで、ひとりひとりの明日がよりよい日になっていく、そんな世界を創りつづけます。このグループミッションを、持続可能な社会に向けた活動を進めるための「サステナビリティ方針」としても掲げ、社会的課題を解決するとともに企業価値の向上に努めてまいります。 (2) 経営環境宇宙関連市場では、大規模な低軌道衛星コンステレーションによる通信サービスが本格的に開始され、競争環境が激化しておりますが、航空機・船舶向けの移動体衛星通信や安全保障領域における衛星データの需要が拡大しております。メディア関連市場においては、動画配信サービスとのコンテンツ及び顧客の獲得競争が継続しており、厳しい市場環境が続いております。一方、スポーツ・音楽等のライブコンテンツに対する需要は堅調に推移しており、市場機会が拡大しております。 (3) 経営方針・経営戦略当社グループは、2030年の目指す姿や社会へもたらす価値の実現に向けた成長の道程を示す価値創造ストーリーを策定しております。経営戦略としては、事業に関わる「収益基盤強化」「事業の進化」「新規領域の開拓」の3つの戦略、それらの基盤となる「人的資本強化」「経営基盤拡充」の2つの戦略を掲げております。また、宇宙事業では「Multi-Orbit戦略」のもと、スペースインテリジェンス事業を成長ドライバーとして事業領域を拡大し、メディア事業では「Multi-Alliance戦略」を通じて、放送・配信事業及び光アライアンス事業により利益水準の維持・拡大を図ってまいります。 <2030年度目標>2030年度の目標として、営業収益 1,850億円・当期純利益 350億円・EBITDA 850億円を掲げております。変化する環境を捉えながら、既存ビジネスの延長線上にとどまることなく、事業領域の拡大を進めてまいります。 <収益基盤強化・事業の進化・新規領域の開拓>宇宙事業、メディア事業は、「収益基盤強化」「事業の進化」「新規領域の開拓」の3つの戦略で事業に取り組んでまいります。両事業のビジョン、取り組みは以下になります。 (宇宙事業)40年にわたり培ってきた宇宙・衛星サービス分野での経験を活かし、静止軌道から非静止軌道へ事業領域を拡大するとともに、衛星オペレーターから宇宙ソリューションプロバイダーへの転換を進めてまいります。 収益基盤強化:通信関連事業では、衛星フリートの最適化等を実行し、収益力を一層高めてまいります。また、2027年より新衛星の打ち上げを順次予定しており、移動体向け・グローバル向け販売を拡充してまいります。事業の進化:スペースインテリジェンス事業では、2025年12月に三菱電機㈱、三井物産㈱、㈱QPS研究所、㈱Synspective、㈱アクセルスペース、三井物産エアロスペース㈱とともに、 防衛省の「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」を落札いたしました。本事業の着実な遂行を通じて、わが国の安全保障及び防衛産業基盤の強化に貢献し、成長市場における収益の拡大を目指してまいります。 新規領域の開拓:衛星量子鍵配送、宇宙状況把握、光データリレー等、新たな技術を活用したサービスの実現を目指してまいります。 (メディア事業)衛星放送における30年の運用実績、蓄積されたノウハウや資産を活かし、多様なパートナー企業との協業を通じた「Multi-Alliance戦略」により、人と人、企業、社会をつなぐエンタメプラットフォーマーとして多様で創造性豊かな社会の実現に貢献してまいります。 収益基盤強化:放送・配信事業では、「スカパー!基本プラン」や「スカパー!プロ野球セット」等の主力商品への注力により、契約件数の最大化及び継続期間の長期化を図り、収益基盤の強化に努めてまいります。 メディアソリューション事業では、放送・配信事業における既存資産や放送技術を活用し、映像中継・制作・伝送・配信等の課題を解決するソリューションサービスの更なる受注拡大に取り組んでまいります。 事業の進化:光アライアンス事業の再送信サービスでは、アライアンス先との連携強化を通じて、接続世帯数を拡大してまいります。また、CATVパススルーサービスでは、ケーブルテレビ事業者の抱える課題へのソリューション対応力を高め、利用拡大を図ってまいります。新規領域の開拓:アニメコンテンツIPビジネスの更なる成長と周辺事業の戦略的拡大を目指してまいります。 <人的資本強化>求める人財の採用・育成と抜擢・配置を図る「人財戦略」と、安心安全で挑戦を促す組織づくりのための「組織基盤の強化」の2つを柱としております。 当社グループの人的資本の考え方や取り組みにつきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本・多様性」に記載しております。 <経営基盤拡充>企業価値の向上への取り組みとして「資本コストや株価を意識した経営」と、経営の持続性を支える基盤として「ガバナンス及びリスク管理の高度化」の2つを柱としております。「資本コストと株価を意識した経営」については、以下の取組を継続的に実行し、連動させていくことで、推進してまいります。(成長投資)2025年~2027年度は累計2,200億円の投資を計画。2026年度は700億円の投資を見込む。(資金調達)投資の実行等による資金需要に対して、外部借入による調達を想定。(株主還元)配当性向50%以上、2027年3月期の1株当たり予想配当金は48円。詳細は、「第4 提出会社の状況」の「3 配当政策」に記載しております。(株式付与)株主と同じ目線での経営を一層促進すべく、役員報酬における株式報酬比率引き上げ、従業員の中長期的なコミットメントやエンゲージメント強化を目的とした株式付与制度を新たに導入。(投資管理)ハードルレートを8%に見直し、質の高い投資の実行と収支管理を徹底。 「ガバナンス及びリスク管理の高度化」については、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメント、個人情報保護、情報セキュリティマネジメントの詳細を、「3 事業等のリスク」、「第4 提出会社の状況」の「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等2026年度の連結業績目標は以下のとおりです。 営業収益 1,350億円 営業利益 390億円 経常利益 390億円 親会社株主に帰属する当期純利益 270億円 EBITDA 540億円(注)EBITDAは「営業利益+減価償却費」として算定しております。​ 算出式を、従来の「純利益+税金費用+減価償却費+のれん償却費+支払利息」から、変更しております。​ (5) 対処すべき課題宇宙事業及びメディア事業において、近年のデジタル技術の急激な進化に伴い事業環境が変化していく中で、既存サービスの顧客維持や成長市場の需要取り込みのための各種施策のほか、M&Aや事業提携にも積極的に取り組み、経営戦略に掲げる「収益基盤強化」「事業の進化」「新規領域の開拓」を図ってまいります。 (宇宙事業)宇宙事業においては、世界規模で宇宙産業市場が拡大する中、新たな事業者が宇宙ビジネスに参入し、大規模な低軌道衛星コンステレーションによる通信サービスが本格開始される等、事業環境が大きく変化しております。また、昨今の国際情勢を踏まえ、宇宙空間の重要性が高まっており、市場機会が拡大しております。このような環境下において、通信・宇宙データ・運用を組み合わせた宇宙ソリューションプロバイダーへの進化を図り、次に示す取り組みを通じて事業領域を拡大し、持続的な成長を目指してまいります。 ① 通信関連事業国内衛星通信分野においては、インフラ事業者をはじめとする既存顧客に対する通信サービスの長期契約更新の提案に加え、地上アセットを活用したサービス等を合わせて展開していくことで、事業基盤の強化を図ってまいります。また、40年にわたる衛星通信事業を通じて培ってきた知見を活かし、内閣府宇宙開発戦略推進事務局による「宇宙基本計画」などに基づく安全保障領域を含む政府主導のプロジェクトへの参画、衛星の運用、観測・監視サービスなど、積極的に活動領域を拡げてまいります。グローバル・モバイル分野においては、航空機でのインターネット利用等の成長市場に向けた高速かつ大容量の通信サービスを提供することにより、競争力の強化と収益の拡大を目指してまいります。また、衛星カバレッジの拡大や、通信容量の増強に向けた海外事業者との連携やM&Aについても検討を進め、アジア・オセアニア地域を中心に海外における営業展開を強化してまいります。更に、未来社会が求める様々な通信要件に応えるため、パートナー企業と連携しながら、静止衛星に非静止衛星などを加えた多層的な通信ネットワークを構築し、多様なユースケースに応じた柔軟な通信サービスの提供を目指してまいります。 ② スペースインテリジェンス事業低軌道衛星コンステレーションを構築及び保有し、地球観測衛星事業者等との業務提携の推進や、衛星画像販売サービスを基盤とした事業展開を強化することにより、収益の拡大を目指してまいります。また、パートナー企業とも連携しながら、地球観測衛星から得られる多様なデータを活用した顧客課題の解決に資するソリューションの開発と販売活動を推進し、安全保障や防災・減災に加え、金融、保険、農林水産、物流等、新たな市場の開拓に取り組んでまいります。 ③ 開拓領域㈱Space Compassのほかパートナー企業と連携しながら、HAPS(高高度通信プラットフォーム)を用いた通信ネットワーク及び光通信技術や宇宙コンピューティング技術を取り入れた宇宙空間でのICTインフラ基盤の構築を目指してまいります。また、衛星量子鍵配送、宇宙状況把握等、新たな技術を用いたサービスの事業化に取り組み、事業領域の更なる拡大を目指してまいります。 (メディア事業)メディア事業においては、メディア消費の多様化や国内外の動画配信サービスとのコンテンツ獲得及び顧客獲得の競争激化が継続しており、従来の延長線上にある各種施策だけでは事業基盤の維持・拡大が困難な状況にあります。このような競争環境下において、多様なパートナー企業との協業を通じた「Multi-Alliance戦略」により、収益性の改善及び新たな収益の獲得を図ってまいります。 ④ 放送・配信事業顧客基盤の維持・拡大には、魅力的かつ差別化されたコンテンツが揃っていることに加え、テレビ視聴習慣層から認知を獲得することが重要となってまいります。プロ野球、モータースポーツ、韓流といった重点ジャンルを軸とした主力商品への注力により、顧客獲得及び契約継続率向上に取り組んでまいります。テレビ1台分の料金で3台まで追加料金なしで50チャンネルが視聴可能な「スカパー!基本プラン」については、加入初期段階における視聴習慣の醸成や、顧客の嗜好に応じたコンテンツ情報の提供等により、顧客との長期的な関係を構築してまいります。プロ野球においては、2026年シーズンもセ・パ全12球団の公式戦を放送・配信し、“プロ野球を見るならスカパー!”として、引き続きファンの期待に応えられるよう取り組んでまいります。その他のスポーツジャンルにおいても、サービスの拡充を進めてまいります。また、採算性及び将来性の観点から各種施策を精査し、コスト削減や生産性の向上を通じて、持続的な事業運営を図ってまいります。 更に、放送・配信事業での収益拡大に向け、国内外の配信サービスを展開する事業者を支援する「メディアHUBクラウド」等、既存アセットを活用したメディアソリューションサービスの更なる受注拡大に取り組んでまいります。また、複数のラジオ局や地上波テレビ局を含む放送マスターの集約・運用など、新たな収益基盤の確立にも取り組んでまいります。 ⑤ 光アライアンス事業ご家庭内のインターネットブロードバンドサービスの中心となっている光回線を利用して提供している地上デジタル・BSデジタル等の再送信サービスは、提供エリアを拡大しながら拡販を図ってまいります。光アライアンス事業販路における顧客接点も強化し、新規放送顧客の獲得やアップセル等、放送サービスの基盤維持に向けても取り組んでまいります。また、有料放送市場の維持・発展に向けて、ケーブルテレビ事業者向けパススルー方式による視聴鍵管理機能の提供に引き続き取り組んでまいります。 ⑥ 開拓領域アニメを中心とした映像コンテンツの企画、製作投資、販売、及び周辺事業の推進を通じて、グローバルにビジネスを展開する「アニメコンテンツIPビジネス」の更なる成長と周辺事業の戦略的な展開を進めてまいります。また、既存事業領域にとどまらない事業変革の実現を目指し、新規事業の立ち上げをはじめ、M&Aを含む「Multi-Alliance戦略」の下、多様なパートナー企業との協業を推進してまいります。これらの取り組みを通じて、事業基盤の強化に取り組んでまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営理念当社グループを取り巻く競争環境が大きく変わりつつある中、この変化をチャンスととらえ、加速するデジタル社会の進展とあらゆる空間におけるビジネスフィールドの拡張を見据え、当社グループの果たすべき役割を定めたグループミッションを掲げております。 Space for your Smile不安が「安心」にかわる社会へ不便が「快適」にかわる生活へ 好きが「大好き」にかわる人生へ Space for your Smileには、私たちの目指す世界が描かれています。宇宙も、空も、海も、陸も、家族が集うリビングも、ひとりの自由な場所も、これらすべてのSpaceが笑顔で満たされるように。日常のちょっとした幸せから、まだ見ぬ未来の幸せまで、ひとりひとりの明日がよりよい日になっていく、そんな世界を創りつづけます。このグループミッションを、持続可能な社会に向けた活動を進めるための「サステナビリティ方針」としても掲げ、社会的課題を解決するとともに企業価値の向上に努めてまいります。 (2) 経営環境宇宙関連市場では、大規模な低軌道衛星コンステレーションによる通信サービスが本格的に開始され、競争環境が激化しておりますが、航空機・船舶向けの移動体衛星通信や安全保障領域における衛星データの需要が拡大しております。メディア関連市場においては、動画配信サービスとのコンテンツ及び顧客の獲得競争が継続しており、厳しい市場環境が続いております。一方、スポーツ・音楽等のライブコンテンツに対する需要は堅調に推移しており、市場機会が拡大しております。 (3) 経営方針・経営戦略当社グループは、2030年の目指す姿や社会へもたらす価値の実現に向けた成長の道程を示す価値創造ストーリーを策定しております。経営戦略としては、事業に関わる「収益基盤強化」「事業の進化」「新規領域の開拓」の3つの戦略、それらの基盤となる「人的資本強化」「経営基盤拡充」の2つの戦略を掲げております。また、宇宙事業では「Multi-Orbit戦略」のもと、スペースインテリジェンス事業を成長ドライバーとして事業領域を拡大し、メディア事業では「Multi-Alliance戦略」を通じて、放送・配信事業及び光アライアンス事業により利益水準の維持・拡大を図ってまいります。 <2030年度目標>2030年度の目標として、営業収益 1,850億円・当期純利益 350億円・EBITDA 850億円を掲げております。変化する環境を捉えながら、既存ビジネスの延長線上にとどまることなく、事業領域の拡大を進めてまいります。 <収益基盤強化・事業の進化・新規領域の開拓>宇宙事業、メディア事業は、「収益基盤強化」「事業の進化」「新規領域の開拓」の3つの戦略で事業に取り組んでまいります。両事業のビジョン、取り組みは以下になります。 (宇宙事業)40年にわたり培ってきた宇宙・衛星サービス分野での経験を活かし、静止軌道から非静止軌道へ事業領域を拡大するとともに、衛星オペレーターから宇宙ソリューションプロバイダーへの転換を進めてまいります。 収益基盤強化:通信関連事業では、衛星フリートの最適化等を実行し、収益力を一層高めてまいります。また、2027年より新衛星の打ち上げを順次予定しており、移動体向け・グローバル向け販売を拡充してまいります。事業の進化:スペースインテリジェンス事業では、2025年12月に三菱電機㈱、三井物産㈱、㈱QPS研究所、㈱Synspective、㈱アクセルスペース、三井物産エアロスペース㈱とともに、 防衛省の「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」を落札いたしました。本事業の着実な遂行を通じて、わが国の安全保障及び防衛産業基盤の強化に貢献し、成長市場における収益の拡大を目指してまいります。 新規領域の開拓:衛星量子鍵配送、宇宙状況把握、光データリレー等、新たな技術を活用したサービスの実現を目指してまいります。 (メディア事業)衛星放送における30年の運用実績、蓄積されたノウハウや資産を活かし、多様なパートナー企業との協業を通じた「Multi-Alliance戦略」により、人と人、企業、社会をつなぐエンタメプラットフォーマーとして多様で創造性豊かな社会の実現に貢献してまいります。 収益基盤強化:放送・配信事業では、「スカパー!基本プラン」や「スカパー!プロ野球セット」等の主力商品への注力により、契約件数の最大化及び継続期間の長期化を図り、収益基盤の強化に努めてまいります。 メディアソリューション事業では、放送・配信事業における既存資産や放送技術を活用し、映像中継・制作・伝送・配信等の課題を解決するソリューションサービスの更なる受注拡大に取り組んでまいります。 事業の進化:光アライアンス事業の再送信サービスでは、アライアンス先との連携強化を通じて、接続世帯数を拡大してまいります。また、CATVパススルーサービスでは、ケーブルテレビ事業者の抱える課題へのソリューション対応力を高め、利用拡大を図ってまいります。新規領域の開拓:アニメコンテンツIPビジネスの更なる成長と周辺事業の戦略的拡大を目指してまいります。 <人的資本強化>求める人財の採用・育成と抜擢・配置を図る「人財戦略」と、安心安全で挑戦を促す組織づくりのための「組織基盤の強化」の2つを柱としております。 当社グループの人的資本の考え方や取り組みにつきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本・多様性」に記載しております。 <経営基盤拡充>企業価値の向上への取り組みとして「資本コストや株価を意識した経営」と、経営の持続性を支える基盤として「ガバナンス及びリスク管理の高度化」の2つを柱としております。「資本コストと株価を意識した経営」については、以下の取組を継続的に実行し、連動させていくことで、推進してまいります。(成長投資)2025年~2027年度は累計2,200億円の投資を計画。2026年度は700億円の投資を見込む。(資金調達)投資の実行等による資金需要に対して、外部借入による調達を想定。(株主還元)配当性向50%以上、2027年3月期の1株当たり予想配当金は48円。詳細は、「第4 提出会社の状況」の「3 配当政策」に記載しております。(株式付与)株主と同じ目線での経営を一層促進すべく、役員報酬における株式報酬比率引き上げ、従業員の中長期的なコミットメントやエンゲージメント強化を目的とした株式付与制度を新たに導入。(投資管理)ハードルレートを8%に見直し、質の高い投資の実行と収支管理を徹底。 「ガバナンス及びリスク管理の高度化」については、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメント、個人情報保護、情報セキュリティマネジメントの詳細を、「3 事業等のリスク」、「第4 提出会社の状況」の「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等2026年度の連結業績目標は以下のとおりです。 営業収益 1,350億円 営業利益 390億円 経常利益 390億円 親会社株主に帰属する当期純利益 270億円 EBITDA 540億円(注)EBITDAは「営業利益+減価償却費」として算定しております。​ 算出式を、従来の「純利益+税金費用+減価償却費+のれん償却費+支払利息」から、変更しております。​ (5) 対処すべき課題宇宙事業及びメディア事業において、近年のデジタル技術の急激な進化に伴い事業環境が変化していく中で、既存サービスの顧客維持や成長市場の需要取り込みのための各種施策のほか、M&Aや事業提携にも積極的に取り組み、経営戦略に掲げる「収益基盤強化」「事業の進化」「新規領域の開拓」を図ってまいります。 (宇宙事業)宇宙事業においては、世界規模で宇宙産業市場が拡大する中、新たな事業者が宇宙ビジネスに参入し、大規模な低軌道衛星コンステレーションによる通信サービスが本格開始される等、事業環境が大きく変化しております。また、昨今の国際情勢を踏まえ、宇宙空間の重要性が高まっており、市場機会が拡大しております。このような環境下において、通信・宇宙データ・運用を組み合わせた宇宙ソリューションプロバイダーへの進化を図り、次に示す取り組みを通じて事業領域を拡大し、持続的な成長を目指してまいります。 ① 通信関連事業国内衛星通信分野においては、インフラ事業者をはじめとする既存顧客に対する通信サービスの長期契約更新の提案に加え、地上アセットを活用したサービス等を合わせて展開していくことで、事業基盤の強化を図ってまいります。また、40年にわたる衛星通信事業を通じて培ってきた知見を活かし、内閣府宇宙開発戦略推進事務局による「宇宙基本計画」などに基づく安全保障領域を含む政府主導のプロジェクトへの参画、衛星の運用、観測・監視サービスなど、積極的に活動領域を拡げてまいります。グローバル・モバイル分野においては、航空機でのインターネット利用等の成長市場に向けた高速かつ大容量の通信サービスを提供することにより、競争力の強化と収益の拡大を目指してまいります。また、衛星カバレッジの拡大や、通信容量の増強に向けた海外事業者との連携やM&Aについても検討を進め、アジア・オセアニア地域を中心に海外における営業展開を強化してまいります。更に、未来社会が求める様々な通信要件に応えるため、パートナー企業と連携しながら、静止衛星に非静止衛星などを加えた多層的な通信ネットワークを構築し、多様なユースケースに応じた柔軟な通信サービスの提供を目指してまいります。 ② スペースインテリジェンス事業低軌道衛星コンステレーションを構築及び保有し、地球観測衛星事業者等との業務提携の推進や、衛星画像販売サービスを基盤とした事業展開を強化することにより、収益の拡大を目指してまいります。また、パートナー企業とも連携しながら、地球観測衛星から得られる多様なデータを活用した顧客課題の解決に資するソリューションの開発と販売活動を推進し、安全保障や防災・減災に加え、金融、保険、農林水産、物流等、新たな市場の開拓に取り組んでまいります。 ③ 開拓領域㈱Space Compassのほかパートナー企業と連携しながら、HAPS(高高度通信プラットフォーム)を用いた通信ネットワーク及び光通信技術や宇宙コンピューティング技術を取り入れた宇宙空間でのICTインフラ基盤の構築を目指してまいります。また、衛星量子鍵配送、宇宙状況把握等、新たな技術を用いたサービスの事業化に取り組み、事業領域の更なる拡大を目指してまいります。 (メディア事業)メディア事業においては、メディア消費の多様化や国内外の動画配信サービスとのコンテンツ獲得及び顧客獲得の競争激化が継続しており、従来の延長線上にある各種施策だけでは事業基盤の維持・拡大が困難な状況にあります。このような競争環境下において、多様なパートナー企業との協業を通じた「Multi-Alliance戦略」により、収益性の改善及び新たな収益の獲得を図ってまいります。 ④ 放送・配信事業顧客基盤の維持・拡大には、魅力的かつ差別化されたコンテンツが揃っていることに加え、テレビ視聴習慣層から認知を獲得することが重要となってまいります。プロ野球、モータースポーツ、韓流といった重点ジャンルを軸とした主力商品への注力により、顧客獲得及び契約継続率向上に取り組んでまいります。テレビ1台分の料金で3台まで追加料金なしで50チャンネルが視聴可能な「スカパー!基本プラン」については、加入初期段階における視聴習慣の醸成や、顧客の嗜好に応じたコンテンツ情報の提供等により、顧客との長期的な関係を構築してまいります。プロ野球においては、2026年シーズンもセ・パ全12球団の公式戦を放送・配信し、“プロ野球を見るならスカパー!”として、引き続きファンの期待に応えられるよう取り組んでまいります。その他のスポーツジャンルにおいても、サービスの拡充を進めてまいります。また、採算性及び将来性の観点から各種施策を精査し、コスト削減や生産性の向上を通じて、持続的な事業運営を図ってまいります。 更に、放送・配信事業での収益拡大に向け、国内外の配信サービスを展開する事業者を支援する「メディアHUBクラウド」等、既存アセットを活用したメディアソリューションサービスの更なる受注拡大に取り組んでまいります。また、複数のラジオ局や地上波テレビ局を含む放送マスターの集約・運用など、新たな収益基盤の確立にも取り組んでまいります。 ⑤ 光アライアンス事業ご家庭内のインターネットブロードバンドサービスの中心となっている光回線を利用して提供している地上デジタル・BSデジタル等の再送信サービスは、提供エリアを拡大しながら拡販を図ってまいります。光アライアンス事業販路における顧客接点も強化し、新規放送顧客の獲得やアップセル等、放送サービスの基盤維持に向けても取り組んでまいります。また、有料放送市場の維持・発展に向けて、ケーブルテレビ事業者向けパススルー方式による視聴鍵管理機能の提供に引き続き取り組んでまいります。 ⑥ 開拓領域アニメを中心とした映像コンテンツの企画、製作投資、販売、及び周辺事業の推進を通じて、グローバルにビジネスを展開する「アニメコンテンツIPビジネス」の更なる成長と周辺事業の戦略的な展開を進めてまいります。また、既存事業領域にとどまらない事業変革の実現を目指し、新規事業の立ち上げをはじめ、M&Aを含む「Multi-Alliance戦略」の下、多様なパートナー企業との協業を推進してまいります。これらの取り組みを通じて、事業基盤の強化に取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。なお、本文中の記載金額は、億円単位の表示は億円未満四捨五入とし、百万円単位の表示は百万円未満切捨てとしております。 (1) 経営成績当連結会計年度におけるわが国経済は、米国の通商政策等による影響が一部にみられるものの、雇用・所得環境の改善等により緩やかに回復しております。当社グループを取り巻く環境としては、宇宙関連市場では、大規模な低軌道衛星コンステレーションによる通信サービスが本格的に開始され、競争環境が激化しておりますが、航空機・船舶向けの移動体衛星通信や安全保障領域における衛星データの需要が拡大しております。メディア関連市場においては、動画配信サービスとのコンテンツ及び顧客の獲得競争が継続しており、厳しい市場環境が続いております。一方、スポーツ・音楽等のライブコンテンツに対する需要は堅調に推移しており、市場機会が拡大しております。 このような経済状況の下、当連結会計年度の当社グループの連結経営成績は次のとおりとなりました。区分前期(百万円)当期(百万円)前期比(百万円)増減率営業収益123,721127,5843,8623.1%営業利益27,48835,2737,78428.3%経常利益27,29035,4208,12929.8%税金等調整前当期純利益27,93734,9086,97025.0%親会社株主に帰属する当期純利益19,10623,3114,20522.0% メディア事業における視聴料・業務手数料・基本料収入が23億円減少した一方で、宇宙事業における国内衛星通信分野の増収31億円、スペースインテリジェンス事業の増収26億円等により、営業収益は増加いたしました。また、宇宙事業における増収に伴う売上原価の増加があった一方で、メディア事業における放送事業のオペレーション最適化が奏功し、営業費用は39億円減少いたしました。この結果、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、いずれも増益となりました。なお、EBITDAは前期比50億円増加し、507億円となっております。 当社グループのセグメント別の概況は次のとおりであります。(経営成績については、セグメント間の内部営業収益等を含めて記載しております。) <宇宙事業>(通信関連事業) 2025年8月に、航空機内通信サービスを提供するルクセンブルクのSES S.A.との間で、通信衛星JSAT-136E(Superbird-C2より名称変更)のKuバンドの全容量を提供する契約を締結いたしました。本契約を通じて、現在運用中の通信衛星によるサービス提供を拡充しつつ、今後投入予定のフルデジタル衛星を活用することで、航空機向け通信需要の増加に対応してまいります。また、既存顧客との衛星通信サービス契約においても長期の契約更新をする等、事業基盤の強化に取り組んでおります。 2025年11月に、米国のSpace Exploration Technologies Corporation(SpaceX)との間で、通信衛星JSAT-31、JSAT-32の打ち上げサービス契約を締結いたしました。Superbird-9を含む3機の衛星は、2027年より順次打ち上げを予定しております。新衛星の投入によりサービス体制を拡充し、移動体分野を含む多様な市場に対応しながら、競争力の強化と持続的な成長を目指してまいります。 2026年1月に、米国航空宇宙局(NASA)が実施する有人月周回ミッション「アルテミスⅡ」において、宇宙船「Orion」からの信号を受信する地上局として選定されました。地上からシスルナ空間(地球から月までの空間)に至るインフラの整備・高度化を通じて、様々な探査ミッションの安全性と信頼性の向上に貢献してまいります。 (スペースインテリジェンス事業) 2025年12月に、三菱電機㈱(以下「三菱電機」)、三井物産㈱(以下「三井物産」)、㈱QPS研究所、㈱Synspective、㈱アクセルスペース、三井物産エアロスペース㈱とともに、防衛省の「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」を落札いたしました。2026年1月には、三菱電機、三井物産と共同で特別目的会社である㈱トライサット・コンステレーション(以下「トライサット」)を設立し、2026年2月にトライサットと防衛省との間で事業契約(契約金額(税込):2,831億円 トライサットとしての受注分)を締結いたしました。本事業の着実な遂行を通じて、わが国の安全保障及び防衛産業基盤の強化に貢献するとともに、成長市場への展開を加速し、収益の拡大を目指してまいります。 2026年3月、㈱QPSホールディングスが実施する第三者割当増資を引き受け、同社との資本関係を強化いたしました。これにより、当社グループの同社に対する持分比率は約5.9%から約13.2%に上昇いたしました。これまでの業務提携を基盤に両社の連携を一層深化させ、中長期的な事業拡大及び成長を図ってまいります。 (開拓領域)2025年11月に、衛星量子鍵配送をリードするシンガポールのSpeQtral Pte, Ltd.に出資し、戦略的協業に合意いたしました。研究開発やパートナーシップを通じて、衛星量子鍵配送サービスの事業化に向けた検討を進めてまいります。㈱Orbital Lasersにおいては、測距を目的とした宇宙用レーザー技術等の調査研究に関する契約を、2025年11月に防衛省より受注いたしました。宇宙空間の安全かつ持続可能な利用に貢献するとともに、宇宙用レーザー技術の更なる高度化と社会実装に取り組んでまいります。 ㈱Space Compassにおいては、2025年11月に、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙戦略基金(第二期)補助事業「衛星光通信を活用したデータ中継サービスの実現に向けた研究開発・実証」に採択されました(支援上限額:235億円(支援上限額は今後ステージゲート審査等により変動する可能性のある数字))。また、2026年2月に、SWISSto12 SAとの間で、GEO光データリレー衛星(1号機)の調達契約を締結いたしました。静止軌道衛星を経由した地球観測データの準リアルタイム光データリレーサービスの実現を加速し、安全保障など迅速な情報伝達ニーズが高い市場での競争優位性の確立を目指してまいります。以上の結果、当連結会計年度の宇宙事業の経営成績は次のとおりとなりました。 前期(百万円)当期(百万円)前期比(百万円)増減率営業収益 外部顧客への営業収益60,60166,0395,4389.0%セグメント間の内部営業収益等4,1003,799△300△7.3%計64,70169,8395,1377.9%営業利益21,97824,1442,1669.9%セグメント利益(親会社株主に帰属する当期純利益)15,21816,0658475.6% JAXA向け地上局サービスの提供開始等による国内衛星通信分野の増収31億円、スペースインテリジェンス事業の増収26億円等により、営業収益は増加いたしました。利益面では、増収に伴う売上原価の増加等があったものの、一部衛星の償却終了に伴う減価償却費の減少13億円等も寄与し、営業利益及びセグメント利益は増益となりました。 <メディア事業>(放送・配信事業)スポーツコンテンツの取り組みとして、「スカパー!プロ野球セット」においては、プロ野球セ・パ12球団公式戦全試合を生中継(放送・配信)いたしました。また、国内サッカー三大タイトルの一つであり、Jリーグの全60クラブが出場する「2025 JリーグYBCルヴァンカップ」の全試合や、世界最高峰のモータースポーツである「FORMULA1」を放送・配信いたしました。主力商品である「スカパー!基本プラン」においては、視聴料最大2ヶ月半額キャンペーンを実施し、新規加入のみならず、再加入及び契約追加も対象とすることで、契約件数の最大化及び継続期間の長期化を図り、収益基盤の強化に努めております。また、「スカパー!基本プラン」契約者が追加料金なしで視聴可能な音楽イベントの放送・配信を強化するなど、解約抑止及び顧客満足度の向上にも取り組んでおります。 (光アライアンス事業)光ファイバーによる地上デジタル放送・BSデジタル放送等の光再送信サービスにおいては、2026年3月末時点で提供エリアは37都道府県をカバーし、提供可能世帯数は約4,364万世帯、契約世帯数は297万世帯と増加しております。2025年12月1日には、戸建て約200万世帯を対象にテレビ視聴サービス利用料を月額(税抜)300円から450円に改定いたしました。今後ともお客様にご満足いただけるよう、高品質かつ安定したサービス提供に努めてまいります。ケーブルテレビ事業者向けパススルー方式による視聴鍵管理機能の提供サービスについては、2026年3月末時点で75局の導入が決定しております。 (開拓領域)アニメコンテンツIP領域において、連結子会社㈱スカパー・ピクチャーズは、主幹事として製作に関与する累計8作品(製作中含む)について、国内外での放送・配信展開を進めてまいりました。また、2026年1月からは、最新作「魔術師クノンは見えている」について、放送及び一部プラットフォームにおける配信を開始しております。Web3領域では、㈱オーバースとの連携にて、アイドルグループのデジタルアイテム(NFT)販売や定期公演開催等によるリアル・デジタル融合体験を提供しております。また、投票・予想サービス、ソリューション開発等の強化にも引き続き取り組んでまいります。 当連結会計年度における放送サービスの加入件数は次のとおりとなりました。 新規解約純増減累計当期511千件659千件△148千件2,454千件前期比2千件12千件△9千件△148千件 以上の結果、当連結会計年度のメディア事業の経営成績は次のとおりとなりました。 前期(百万円)当期(百万円)前期比(百万円)増減率営業収益 外部顧客への営業収益63,12061,544△1,575△2.5%セグメント間の内部営業収益等2,3932,74935514.9%計65,51464,294△1,219△1.9%営業利益6,26511,9085,64290.1%セグメント利益(親会社株主に帰属する当期純利益)4,4337,7293,29574.3% 光アライアンス事業におけるFTTH関連収入の増加18億円がありましたが、放送・配信事業における視聴料・業務手数料・基本料収入の減少23億円及び連結子会社であった㈱スカパー・カスタマーリレーションズの持分法適用会社化に伴う減収等により、営業収益は減少いたしました。一方で、スカパー東京メディアセンターの運用最適化等に伴う減価償却費の減少15億円、費用対効果の高いデジタルマーケティングへのシフト等による広告宣伝・販促費の減少7億円、並びに「ドイツ ブンデスリーガ」の放送・配信終了、㈱スカパー・カスタマーリレーションズの持分法適用会社化、前期に実施したチューナー交換施策による反動減等もあり、合計で営業費用が69億円減少したため、営業利益、セグメント利益は増益となりました。なお、コネクテッドTV事業化検証の終了決定に伴い、特別損失に減損損失8億円を計上しております。 生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。a. 生産実績当社及び連結子会社は、サービスの提供にあたり、製品の生産を行っていないため、生産実績について記載すべき事項はありません。b. 受注実績当社及び連結子会社は、受注生産を行っておりませんので記載すべき事項はありません。c. 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前期比(%)宇宙事業(百万円)66,0399.0メディア事業(百万円)61,544△2.5合計(百万円)127,5843.1 (注1) セグメント間取引については相殺消去しております。(注2) 主な相手先別の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。 (2) 財政状態当連結会計年度末における資産合計は4,078億円となり、前連結会計年度末比(以下「前期比」)43億円増加いたしました。流動資産は、現金及び預金と有価証券(償還期間3ヶ月以内)の合計額の減少367億円、Xバンド事業に関する債権回収等による売掛金の減少41億円等により、前期比419億円減少いたしました。有形固定資産及び無形固定資産は、減価償却費及び減損損失により162億円減少いたしましたが、設備投資529億円等により前期比363億円増加いたしました。投資その他の資産は、Horizons 3e事業に関する貸付金の回収等により39億円減少いたしましたが、㈱QPSホールディングスの第三者割当増資引受及び保有上場株式の時価評価等の影響で投資有価証券が160億円増加したこと等により、前期比100億円増加いたしました。 当連結会計年度末における負債合計は1,007億円となり、前期比185億円減少いたしました。 主な増加は未払法人税等の増加39億円であり、主な減少は社債の償還並びにXバンド事業及びHorizons 3e事業に関する借入金の返済等による有利子負債の減少228億円であります。 当連結会計年度末における非支配株主持分を含めた純資産は3,070億円となり、前期比229億円増加いたしました。主な増加は親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加134億円及び繰延ヘッジ損益の増加43億円であります。 (3) キャッシュ・フロー当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益と減価償却費の合計504億円に加え、売上債権の減少41億円、リース債権の減少26億円があった一方で、法人税等の支払74億円等により、537億円の収入(前期は424億円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出501億円、投資有価証券の取得による支出99億円、定期預金(預金期間3ヶ月超)の預け入れによる支出209億円等により、765億円の支出(前期は258億円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出130億円、社債の償還による支出100億円、配当金支払による支出99億円等により、323億円の支出(前期は167億円の支出)となりました。以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前期比569億円減少し、576億円となりました。なお、現金及び現金同等物576億円は、連結貸借対照表の現金及び預金勘定728億円から、預入期間3ヶ月超の定期預金202億円を除き、償還期間3ヶ月以内の有価証券50億円を加えたものであります。 (4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析(財務戦略の基本的な考え方)当社グループは、グループミッション「Space for your Smile」を、持続可能な社会に向けた活動を進めるための「サステナビリティ方針」としても掲げ、社会的課題を解決すると共に、企業価値を向上させることを目指しております。このミッションの実現のため、営業活動を通じた確かなキャッシュ創出力を基盤とする健全な財務体質を維持するとともに、投資判断においては資本コストを踏まえたハードルレートを上回るリターンの創出を徹底しております。これらにより、資本効率の向上を図りつつ、基礎収益力の向上に向けた成長分野への投資を推進することを、財務戦略の基本方針としております。 (資金需要の主な内容及び資金調達) 当社グループにおける主な資金需要は、事業活動上の必要な運転資金、宇宙事業における通信衛星設備等の調達やメディア事業における放送・配信設備の拡充等における設備投資資金、戦略的なM&A資金等であります。これらの資金需要は、主に営業キャッシュ・フローにより賄っておりますが、必要に応じて社債発行や借入による資金調達を行っております。また、機動的な資金調達を可能とすべく400億円の社債発行登録枠を確保しております。 なお当社グループでは、一定の手元流動性を維持する資金計画を作成・実行するとともに、取引金融機関とコミットメントライン契約及び当座貸越契約(合計132億円)を締結して資金の流動性リスクに備えております。また、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ内資金の活用により、資金効率の向上に努めております。 (借入金の状況と返済方針) 当連結会計年度末における借入金残高は324億円となっておりますが、このうちXバンド事業に関する金融機関からの借入金272億円については当該事業に係る防衛省に対する債権の回収により、Horizons 3e事業に関する金融機関からの借入金37億円については当該事業に係る営業キャッシュ・フローにより返済する予定としております。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって当社グループが用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。 ① 貸倒引当金売上債権や貸付金等の貸倒損失に備えるため、過去の債権回収実績や債務者の財政状態より算出した回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。このため、将来債務者の財政状態悪化により支払能力が低下した場合、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。 ② 固定資産の減損管理会計上の区分に基づいた各事業用資産グループの営業活動から生じる損益が継続してマイナス又はマイナスの見込みの場合、当該資産グループの回収可能価額を見積り、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合、その差額を減損損失として計上しております。このため、将来事業用資産グループの収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなる場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。 ③ 投資の減損所有する有価証券、投資有価証券及び出資金の投資価値が著しく下落した場合、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。このため、将来の市況悪化や投資先の業績悪化により、現在の投資簿価に反映されていない損失が発生した場合や投資簿価の回収が困難となった場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。 ④ 繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産は、将来回収が見込まれる一時差異等に係る税金の額を計上しておりますが、その回収可能性は将来の合理的な課税所得の見積りにより判断しております。このため、業績悪化による課税所得の見積りの変更等により回収可能性の見直しが必要となる場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

事業リスク

  • 衛星通信市場の競争激化: 大規模な低軌道衛星コンステレーションによる通信サービスが本格化し、新規事業者の参入により競争が激化しています。これにより、同社の主力製品やサービスの競争力が低下し、収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 通信衛星調達の不確実性: 衛星の製造遅延、打ち上げの遅延や失敗、軌道上での損傷など、通信衛星の調達には様々なリスクが伴います。これらの事由により、予定通りのサービス提供ができなくなり、収益の低下や顧客流出、予期せぬ追加費用発生の可能性があります。
  • 新規事業の技術開発遅延: 低軌道衛星コンステレーションの構築やHAPS(高高度プラットフォーム)を用いた通信ネットワーク、衛星量子鍵配送などの新規事業への取り組みは、技術開発の遅延や事業パートナーの経営状況、市場の変化などにより、当初計画と異なる状況が発生する可能性があります。これにより、事業計画の未達や投資回収の遅延が経営指標に影響を及ぼすリスクがあります。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|8,009 文字
3 【事業等のリスク】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) リスクマネジメント体制について当社はグループ経営の中核として事業運営とグループ統括機能を担っており、当社グループ全体のリスクマネジメントの推進および必要な情報の共有を図るため、グループ全体のリスク管理に関する基本方針及び管理体制を整備しております。当該基本方針及び管理体制に基づき、リスクマネジメント統括責任者を委員長とするリスクマネジメント委員会において、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの未然防止・リスクの低減に取り組んでおります。具体的には、原則半期ごとに、また必要に応じて適宜、リスクマネジメントの対象とするリスク及びリスク評価の見直しを行い、各リスクの評価結果を踏まえて、当該リスクに対する対策を策定しております。リスク評価にあたっては、各リスクの発生頻度と影響度の積をリスクレベルと定義し、これをスコア化し分析しております。その結果、一定以上のリスクレベルとなるものを重大リスク(優先的に対策を講じるべきリスク)として定めております。また、洗い出されたリスクのうち、対策の緊急度が高いものについては、リスクレベルにかかわらず重大リスクとして定めております。これらの重大リスクについては、当該リスクを所管する部署において重点施策を策定し、リスクマネジメント委員会における協議・検討を経た上で経営会議及び取締役会等に報告するとともに、定期的にその進捗状況をモニタリングする体制を構築しております。当社では、内部統制に係る各種委員会を設置し活動を行っており、リスクマネジメント委員会においても、必要に応じてこれらの委員会との間で情報共有を行っております。なお、気候変動関連のリスクについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおり、サステナビリティ委員会において別途詳細な検討を行っており、その検討結果及び内容の報告を受けた上で、リスクマネジメント委員会においても必要な協議を行っております。また、実際にリスクが顕在化した場合には、BCP(事業継続計画)、情報セキュリティ、サイバーセキュリティ等、各リスクに対応したマニュアルに従い、迅速かつ適切に対応するとともに、必要に応じてリスクマネジメント委員会を招集する体制を整え、グループ全体のリスクを適切にコントロールしております。以下に記載するリスクは、当社グループが当連結会計年度におけるリスクマネジメント委員会での審議を踏まえ、重大リスクであると認識している項目について、その対策と併せて記載したものです。なお、ここに記載したリスクは、当社グループが直面するすべてのリスクを網羅したものではありません。また、当社グループが現時点では認識していない未知のリスクや、今後その重要性が増大し、当社グループの事業、財政状態、経営成績等に重大な影響を及ぼすリスクが生じる可能性があります。 (2) 当社グループが認識する重大リスクについて<宇宙事業>リスク名称① 衛星通信市場における競争力低下のリスクリスク概要技術進展や競争環境の変化により、当社の主力製品・サービスの競争力が低下し、収益性に影響を及ぼすリスクリスクオーナー宇宙事業部門長リスクの状況世界規模で宇宙産業市場が拡大する一方、新たな事業者が宇宙ビジネスに参入し、大規模な低軌道衛星コンステレーションによる通信サービスが本格開始される等、衛星通信事業においては競争が激化しております。また、国際情勢、とりわけ、わが国を取り巻く環境の変化を受け、宇宙空間の重要性が高まっています。このような競争環境下において、事業領域を拡大し、宇宙事業の持続的な成長を目指すことが課題となっております。リスクへの対策各事業ポートフォリオの特性に応じた対策を推進してまいります。 (1)通信関連事業 国内衛星通信分野においては、既存顧客に対する長期契約の提案、衛星機器や当社グループの地上局設備を活用したサービス等の提供にて事業基盤を強化し、後継衛星についてはビームや帯域に可変性を持たせることで、お客様の多様なニーズに柔軟に対応してまいります。 また、安全保障領域を含む政府主導プロジェクトへ参画し、政府系衛星の運用、観測・監視サービス等、当社の経験と知見を活かした新たなサービスの提供を進めてまいります。 グローバル・モバイル分野においては、運用中のハイスループット衛星及び今後投入予定のフルデジタル衛星を活用し、航空機・船舶等の成長市場に向けた通信サービスの提供拡大を目指してまいります。また、アジア・オセアニア地域を中心に海外における営業展開を強化してまいります。 更に、パートナー企業と連携しながら、静止衛星に非静止衛星等を加えた多層的な通信ネットワークの構築を目指してまいります。(2)スペースインテリジェンス事業 低軌道衛星コンステレーションの構築・保有、地球観測衛星事業者等との業務提携を推進し、衛星画像販売サービスの強化による収益の拡大を目指してまいります。(3)開拓領域 ㈱Space Compassほかパートナー企業と連携しながら、HAPS(高高度プラットフォーム)を用いた通信ネットワークと、光通信技術や宇宙コンピューティング技術を取り入れた宇宙空間でのICTインフラ基盤の構築を目指してまいります。衛星量子鍵配送、宇宙状況把握等、事業領域の更なる拡大を目指してまいります。残存リスク現在想定している対策を講じていても、低軌道衛星等を利用した新たな衛星事業者の台頭によって市場環境が急速に変化する等、当社グループの提供する通信サービスが市場における競争力を維持できない可能性があります。新規事業への取り組みは、事前の調査や分析を入念に行い、事業パートナーの選定や設備投資の規模等についても、事業計画を策定した上で、必要な判断プロセスを経て実施しますが、技術開発の遅延や事業パートナーの経営状況、当該新規事業で想定した市場の状況変化等、当初計画と異なる状況が発生した場合には、当社グループの事業及び経営指標に影響を及ぼす可能性があります。 リスク名称② 通信衛星調達に関するリスクリスク概要衛星・地上設備等の調達において、納期・性能・コスト面の不確実性が顕在化し、事業計画に影響を及ぼすリスクリスクオーナー宇宙事業部門長リスクの状況通信衛星調達の際には、調達先における製造の遅延や打ち上げの遅延または失敗等のリスクがあります。これらの事由により、予定されていた通信衛星の運用開始が遅延し、継続的なサービス提供が不可能な期間が生じた場合、当該期間における収益の低下や顧客流出の可能性があります。 また、通信衛星の製造期間中に設計上その他の要因によって予定外の支出を負担することがあります。リスクへの対策調達スケジュールを設定する際には、打ち上げ失敗の場合を想定し、予備衛星や既存衛星によるフリートバックアップ対策、もしくは代替衛星の早期納入をより確実にするための代替衛星用の長納期品の先行発注等の対応策を講じております。調達先への支払いに関しては、衛星の製造、打ち上げサービスともに、進捗度に応じたマイルストーン支払いとしています。衛星の製造に関しては納期遅延時には一定額の賠償金請求ができる権利を確保することでリスク低減を図っており、打ち上げサービスに関しては、衛星の完成後できるだけ速やかに打ち上げが行えるよう、衛星の予定納期に合わせて打ち上げ予定時期を設定し、製造期間中も可能な限りの契約調整を行いますが、衛星の製造が大幅に遅延した場合等、当社の希望する条件や時期での打ち上げが行えない場合があります。 保険契約については、打ち上げ時及び軌道上における運行時それぞれの保険契約を締結しております。打ち上げ危険担保保険は、初期段階において通信衛星の全部または一部が損傷を受けた際に、通信衛星の再調達、その他修復に必要な費用を填補するもので、打ち上げ時点から、通常1年間有効となっております。残存リスク現在想定している対策を講じていても、後継衛星の製造・打ち上げが技術開発の進捗及びサプライチェーンの問題や予期せぬ事故及び地政学的な状況により遅延するリスクが想定されます。また、衛星の打上げ失敗や軌道上での損傷時の金銭補償に関しては、衛星の損傷の度合いや原因その他の要因により、打ち上げ危険担保保険では打ち上げに要する費用の全額を補償できないリスク、宇宙保険市場環境の変動による保険料高騰のリスク及び戦争危険等の絶対免責に該当する場合に損害保険の対象にならないリスクが想定されます。 リスク名称③ 通信衛星の運用に関するリスクリスク概要衛星フリートの構成や投入タイミングを誤ることで、サービス中断や顧客対応コストが発生するリスクリスクオーナー宇宙事業部門長リスクの状況当社グループが保有する通信衛星は15年以上の長期にわたって使用されますが、運用期間中に製造上の瑕疵、欠陥部品、太陽活動に伴う磁気嵐、デブリや隕石等との衝突、過度の燃料消費、衛星管制上または運用上の不具合その他の要因による衛星の機能不全または運用能力低下の可能性があります。このような事態が生じた場合、サービスの提供ができないことによる収益の低下や顧客の流出、あるいは当社グループ所有の別衛星への顧客移行に係わるコスト負担等で、収益性の低下等の悪影響を及ぼす可能性があります。リスクへの対策当社グループはこれまで、軌道上にバックアップ専用の予備衛星を保有し、運用中の衛星に不具合が生じた場合に可能な限り短期間でバックアップができる体制をとってきましたが、後継機として調達した衛星のサービス開始予定日に遅れが見込まれているため、後継衛星のサービス開始まで、バックアップ専用の予備衛星を一時的に後継機として運用する計画としました。 そのため、運用中の衛星に不具合が生じた場合は、バックアップ専用の予備衛星を維持する軌道位置ではバックアップ専用衛星への切り替えを、それ以外の軌道位置では、衛星フリート計画に基づいて、当社グループの所有する他衛星を用いたサービスの継続等可能な対応を行いますが、不具合の発生した通信衛星の能力を完全には代替できない可能性があります。当社グループでは、打ち上げ保険が期間満了となった後に効力を生じる軌道上危険担保保険契約を、打ち上げた通信衛星ごとに締結しています。ただし、この保険は通信衛星の技術上の機能不全に起因して当社グループが負う第三者賠償責任や収益の喪失等の営業上の損害を補填するものではありません。また、宇宙保険市場環境の変動による保険料高騰のリスクに対しては、適宜、補償範囲や補償金額の見直し等を行っています。残存リスク現在想定している対策を講じていても、不測の事態により、当社グループ所有衛星による代替機能が提供できないことによる収益低下リスクが想定されます。また、運用中の衛星の損傷時は、保険契約の補償範囲の設定や通信衛星の機能不全の要因により、損害保険の対象にならないリスク、当社に生じる損害の一部が補填されないリスクが想定されます。 <メディア事業>リスク名称④ 放送・配信事業の事業性低下に関するリスクリスク概要視聴環境や顧客行動の変化により、放送・配信事業の収益性が低下するリスクリスクオーナーメディア事業部門長リスクの状況加入者の獲得及びその維持は、当社グループの収益拡大にとって重要な要素です。2026年3月末において2,454千件の加入件数を有していますが、将来にわたって当社グループの計画どおりに加入件数が推移する保証はありません。今後、コンテンツの差別化やプロモーションの強化、キャンペーン等の各種マーケティング施策の実施にもかかわらず、同様のコンテンツを提供するインターネット経由での動画配信サービスの浸透等、競合サービスとの競争激化やユーザーの視聴習慣の変化により加入件数の減少が継続または急激に発生した場合、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、競争の激化によって有力コンテンツを獲得できなかったこと等により当社グループのサービスの魅力が低下し、既存加入者の解約が想定以上に多く発生する場合には、累計の加入件数の減少につながり、これにより当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。リスクへの対策各事業ポートフォリオの特性に応じた対策を推進してまいります。 (1)放送・配信事業プロ野球、モータースポーツ、韓流等の重点ジャンルを軸とした主力商品への注力により、顧客獲得および契約継続率の向上に取り組んでおります。また、採算性及び将来性の観点から各種施策を精査し、コスト削減や生産性の向上を通じて、持続的な事業運営を図ってまいります。(2)メディアソリューション事業放送・配信事業における既存資産や放送技術を活用し、映像中継・制作・伝送・配信等の課題を解決するソリューションサービスの更なる受注拡大に取り組んでまいります。(3)光アライアンス事業再送信サービスでは、アライアンス先との連携強化を通じて、接続世帯数を拡大してまいります。また、CATVパススルーサービスでは、ケーブルテレビ事業者の抱える課題へのソリューション対応力を高め、利用拡大を図ってまいります。(4)開拓領域アニメを中心とした映像コンテンツの企画、製作投資、販売及び周辺事業を推進し、グローバルに展開可能なアニメコンテンツIPビジネスの成長を図るとともに、新規事業の創出やM&Aを含むパートナー連携により新たな収益機会の獲得に取り組んでまいります。残存リスク動画配信サービスの台頭が一層進んでいること等から、従前よりリスクレベルが上がっていると認識しており、現在想定している対策を講じていてもなお、競争激化による加入者の減少が想定以上となる場合、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 <全般>リスク名称⑤ 事業投資等に関するリスクリスク概要不採算事業や新規事業の見直し・撤退判断の遅れや、出資・投資における管理不全により、経営資源の最適配分が進まず、投下資本の毀損や減損等が生じるリスクリスクオーナー経営管理部門長リスクの状況当社グループは、事業拡大のために、買収等や出資、他企業との提携及び協力体制構築等の検討を行い、その結果、将来の当社グループの事業戦略や経営成績に貢献すると判断した場合には、これらを実行いたします。しかしながら、買収等の対象事業を当社グループの経営戦略に沿って統合することができなかった場合、当社グループの期待する相乗効果が得られなかった場合、買収等の対象事業に当社グループの内部統制体制を適用することができなかった場合、または当社グループに必ずしも経験や知見の無い技術分野における問題点を含む、想定しなかった重大な問題点が買収等の後に発見された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、買収等により多額ののれん及び無形資産を計上する可能性があり、対象事業の収益性が低下した場合にはのれん及び無形資産の減損が発生するほか、事業再編等に伴う事業売却損、事業清算損その他これに伴う損失の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。リスクへの対策投資に係る規程を整備し、出資・投資に際しては、事業計画、内部収益率、撤退基準、その他リスク等を検討して審議・判断しております。加えて、大型出資案件については、各部門の会議を経て、代表取締役執行役員社長の諮問機関である経営会議にも付議し、取締役会でも決議を行う等、複数のチェック体制を取っており、慎重に多角的な検討を行っております。また、適切な内部統制構築・運用のため、必要に応じて出資先への人員派遣や当社グループで定めている規程等の遵守を求め、適正に管理を行っております。投資判断時には、マイルストーンを設定し、適切なタイミングでレビューを行っており、出資後においても、各出資先の財務状況、取組方針、収益性、資本コスト、保有意義、出資の適正性等についてレビューを行い、その結果を取締役会にて検証しております。残存リスク現在想定している対策を講じていても、市場・競争環境の変化や出資・買収後の事業管理の不徹底等により、買収等をした事業における損失の発生、投資有価証券やのれんの減損等を完全に防止することは不可能であり、投資に見合う利益を確保できる保証はありません。また、出資先でコンプライアンスに関する問題等が発生した場合には、当社グループの社会的信用を損なう可能性があります。 リスク名称⑥ 重要情報及び個人情報の流出や取扱い、サイバーセキュリティに関するリスクリスク概要サイバー攻撃や人的ミス等により、重要情報・個人情報の漏洩やシステム停止が発生し、事業運営や社会的信用の低下、対応コストの発生につながるリスクリスクオーナー経営管理部門長リスクの状況当社グループは、宇宙事業においては技術情報を含む重要な情報を、メディア事業においては提供するサービスへの加入者情報をはじめとした顧客情報をそれぞれ保有しております。当該情報がハードウェア、ソフトウェアの不具合及び人為的ミスによるシステム障害や第三者による不正アクセス等により流出した場合や、個人情報の不適切な取扱いが発生した場合は、社会的信用の低下や損害賠償その他の対応に係るコスト負担等により、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、大規模なサイバー攻撃を受けた場合、当該情報が流出するのみならず、放送・配信サービス及び衛星通信サービスの運用に支障が生じる可能性があります。リスクへの対策当社グループは、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証及びプライバシーマークを取得し、情報セキュリティ・個人情報保護マネジメントシステムを構築し、厳格な情報管理を行っております。当該活動の一環で、当社グループを対象とした情報セキュリティ管理委員会・個人情報管理委員会を設置し、情報セキュリティ管理の状況をモニタリングしております。また、セキュリティインシデント発生時の対応を行う組織としてCSIRT(シーサート、Computer Security Incident Response Team)を設置し、訓練も実施しております。一方、システム対応として、個人情報及び事業上の重要情報保管時の暗号化サーバの利用、不正侵入防止システムやウィルス対策ソフトによる感染防止、各システムによるログの取得、セキュリティ診断による脆弱性の発見等を実施しております。更に、サイバー攻撃の多様化、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進等によるサイバーセキュリティリスクの増加等を受け、最高情報セキュリティ責任者(Chief Information Security Officer)を任命し、サイバーセキュリティへの対策を実施・強化しております。その他、マルウェアや不正な通信の検知力強化や社内ネットワーク構築基準の見直しを実施しています。残存リスク現在想定している対策を講じていても、新技術を用いた高度なサイバー攻撃等、現在想定している対策を超える事態の発生により、情報流出やサービスに障害が発生する可能性があります。

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