事業の概要
- 電力供給と関連事業: 東京電力グループは、電気事業を核として多角的な事業を展開しています。具体的には、火力発電による電力の供給、送電・変電・配電網の運営、再生可能エネルギーによる発電・販売、そして顧客向けの電力販売やエネルギーソリューションの提供など、電力の生産から供給、販売までを一貫して手掛けることで収益を上げています。
- 多様なエネルギー源: 発電においては、火力発電を主力としつつ、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱など)の導入・開発にも積極的に投資しています。これにより、エネルギー源の多様化を図り、安定的な電力供給体制を構築するとともに、脱炭素社会への貢献も目指しています。
- グループ会社による専門性: ホールディングス体制のもと、フュエル&パワー(火力発電・燃料調達)、パワーグリッド(送配電)、エナジーパートナー(電力販売・ソリューション)、リニューアブルパワー(再生可能エネルギー)といった専門子会社がそれぞれの事業を担っています。これにより、各分野の専門性を高め、効率的な事業運営と収益最大化を図るビジネスモデルです。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- ホールディングス事業: グループ全体の経営サポート、各基幹事業会社への共通サービス提供、原子力発電事業などを担う中核部門です。2025年3月期における売上高は1350.77億円で、グループ全体の戦略立案と統括、および新規事業開発や投資育成も行っています。
- エナジーパートナー事業: 顧客向けの電力販売やエネルギーソリューションの提案を行う事業です。2025年3月期における売上高は53725.99億円と、グループ内で最も大きな売上を誇る稼ぎ頭であり、多様な料金プランや付加価値サービスを通じて顧客基盤を拡大しています。
- パワーグリッド事業: 送電・変電・配電による電力供給、および送配電・通信設備の建設・保守を担う事業です。2025年3月期における売上高は12101.33億円であり、電力の安定供給を支える社会インフラとしての役割を果たすとともに、設備の維持管理や更新を通じて収益を上げています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| HoldingsReportableSegment | 事業 | 1,351 | − | − |
| FuelAndPowerCompanyReportableSegment | 事業 | 38 | − | − |
| PowerGridCompanyReportableSegment | 事業 | 12,101 | − | − |
| EnergyPartnerCompanyReportableSegment | 事業 | 53,726 | − | − |
| RenewablePowerCompanyReportableSegment | 事業 | 888 | − | − |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、子会社63社及び関連会社74社(2026年3月31日現在)で構成され、電気事業を中心とする事業を行っている。報告セグメントは「ホールディングス」、「フュエル&パワー」、「パワーグリッド」、「エナジーパートナー」、「リニューアブルパワー」の5つとしている。各報告セグメントの主な事業内容は、以下のとおりである。なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当し、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなる。 [ホールディングス]経営サポート、各基幹事業会社(東京電力フュエル&パワー㈱、東京電力パワーグリッド㈱、東京電力エナジーパートナー㈱、東京電力リニューアブルパワー㈱)への共通サービスの効率的な提供、原子力発電等(主要な関係会社)東電不動産㈱、東京パワーテクノロジー㈱、東電設計㈱、㈱テプコシステムズ、テプコ・リソーシズ社、東双ファシリティ&サービス㈱、東京電力タイムレスキャピタル第二号投資事業有限責任組合、東京電力タイムレスキャピタル共同投資第一号投資事業有限責任組合、TF内幸町特定目的会社、リサイクル燃料貯蔵㈱、㈱当間高原リゾート、東双みらいテクノロジー㈱、東京レコードマネジメント㈱、東双みらい製造㈱、飯舘バイオパートナーズ㈱、㈱e-Mobility Power、KK6安全対策共同事業㈱、嬬恋蓄電所合同会社、ソーラー・ルーフトップ・シーイー・ナイン社、イーエスアール・テプコ・リニューアブルズ社、㈱日立システムズパワーサービス、エナジー・アジア・ホールディングス社、日本原燃㈱、日本原子力発電㈱、㈱東京エネシス、イーエスアール・テプコ・シンガポール1・ホールド社、イーエスアール・テプコ・シンガポール・アセット・アルファ社 [フュエル&パワー]火力発電による電力の販売、燃料の調達、火力電源の開発、燃料事業への投資(主要な関係会社)東京電力フュエル&パワー㈱、㈱JERA [パワーグリッド]送電・変電・配電による電力の供給、送配電・通信設備の建設・保守、設備土地・建物等の調査・取得・保全(主要な関係会社)東京電力パワーグリッド㈱、東京電設サービス㈱、東電タウンプランニング㈱、東電用地㈱、テプコ・ソリューション・アドバンス㈱、テプコ・パワー・グリッド・ユーケー社、東電物流㈱、ディープ・シー・グリーン・エナジー(香港)社、グリーンウェイ・グリッド・グローバル社、㈱関電工、㈱東光高岳、㈱昭栄電気産業、㈱アット東京、トライトン・ノール・オフト・ビッドコ社、トライトン・ノール・オフト社 [エナジーパートナー]お客さまのご要望に沿った最適なトータルソリューションの提案、充実したお客さまサービスの提供、安価な電源調達(主要な関係会社)東京電力エナジーパートナー㈱、テプコカスタマーサービス㈱、㈱ファミリーネット・ジャパン、日本ファシリティ・ソリューション㈱、㈱PinT、TEPCOホームテック㈱、TEPCO i-フロンティアズ㈱、T&Tエナジー㈱、東京エナジーアライアンス㈱、㈱LIXIL TEPCOスマートパートナーズ、エバーグリーン・マーケティング㈱、エナジープールジャパン㈱、虎ノ門エネルギーネットワーク㈱、東京都市サービス㈱ [リニューアブルパワー]再生可能エネルギー発電による電力の販売、設備の維持管理、国内外における再生可能エネルギー電源の新規開発・投資(主要な関係会社)東京電力リニューアブルパワー㈱、テプコ・リニューアブル・パワー・シンガポール社、フローテーション・エナジー社、東京発電㈱、グリーン・ボルト・ホールド社、セノス・ホールド社、ベト・ハイドロ社、ダリアリ・エナジー社、ベトナム・パワー・デベロップメント社、クンチャナ・エナジー・レスタリ社、オフショア・ウインド社、小安地熱㈱、グリーン・ボルト・オフショア・ウインドファーム社、セノス・オフショア・ウインドファーム社 以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次頁のとおりである。 [事業系統図]
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 燃料費調整制度及び燃料費等調整制度により、一定範囲内の変動は業績影響が緩和されるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 規制 電気事業における制度変更を含めたエネルギー政策の見直し、地球温暖化に関する環境規制の強化。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:福島第一原子力発電所の廃炉 / 電気の安定供給 / 原子力発電・原子燃料サイクル
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モート総合 12 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
東京電力は、日本の首都圏における電力供給という極めて重要なインフラ事業を担っており、新規参入が事実上不可能な規制環境下で事業を継続している。これは強力な参入障壁(規制ライセンス)として機能する。
スイッチングコスト★★☆☆☆
家庭や中小企業にとって、電力会社の切り替えは手続き上可能だが、過去の慣習や情報不足から、スイッチングコストは限定的である。大口需要家では契約内容や電力調達方法によりスイッチングのインセンティブが異なる。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
電力供給事業には、ユーザーが増えることでサービス価値が向上するようなネットワーク効果は基本的に存在しない。
コスト優位★★☆☆☆
大規模な発電設備や送配電網の維持管理には莫大なコストがかかるが、効率化努力は継続されている。しかし、燃料価格の変動や設備投資負担がコスト構造に影響を与える。
規模の経済★★★★★
東京電力は、首都圏という巨大な市場をカバーする送配電網と多数の発電設備を有しており、その規模は圧倒的である。この規模の経済性は、新規参入者にとって乗り越えがたい障壁となる。
- 広域な送配電網: 東京電力パワーグリッドが保有する広大な送電・変電・配電設備は、首都圏を含む関東一円の電力供給を支える基盤であり、新規参入が極めて困難なインフラです。これにより、安定的な電力供給を可能にし、地域社会にとって不可欠な存在としての優位性を確立しています。
- 多様な発電ポートフォリオ: 火力発電を基盤としつつ、再生可能エネルギーの開発・導入にも注力することで、エネルギー源の多様化を進めています。これにより、特定の燃料価格変動リスクや環境規制リスクを分散し、安定した電力供給能力と収益基盤を維持する上で有利な立場にあります。
- 長年の事業運営ノウハウ: 長年にわたり日本の電力供給を担ってきた経験と実績は、設備建設・保守、燃料調達、顧客サービス、リスク管理など、電力事業全般にわたる高度なノウハウと技術力を培ってきました。これは、事業の効率性や信頼性を高める上で重要な競争優位性となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営環境及び経営方針等当社グループを取り巻く事業環境は、福島第一原子力発電所の廃炉の進捗、GX・DXの進展等に伴う電力需要の増加、物価高騰等に伴う投資・費用増による厳しい財務状況等、大きく変化している。このような事業環境の変化に対応していくため、第五次総合特別事業計画(以下、「五次総特」という。)に基づき、前人未踏の領域である廃炉の貫徹に向けた改革や、GX・DX等による電力需要の増加に対応した安定供給責任の全うと事業成長に向けた取り組み、経営合理化や資産売却等を通じた財務状況の改善を進めていく。加えて、中長期的な廃炉の推進と企業価値向上の両立に向け、資金・技術・能力等の補完につながるアライアンスを追求し、大胆な改革に取り組んでいく。福島への責任を果たしていくため、五次総特のもと、福島事業・経済事業双方の改革に取り組み、賠償・廃炉に必要な資金の確保及び企業価値向上を実現していく。(https://www.tepco.co.jp/about/corporateinfo/business_plan/overall_special_plan.html) (2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等五次総特のとおり、賠償・廃炉に関して、当社グループ全体で年間約5,000億円程度の資金を確保する。加えて、2028 年度以降のフリーキャッシュフローは黒字を確保する。 (3) 経営環境及び対処すべき課題等福島第一原子力発電所の廃炉事業が燃料デブリの本格的な取り出し等、最難関の局面に入ること、GX・DXの進展やエネルギー安全保障への要請の高まりに伴い国内の電力需要の増加が見込まれること、小売事業の競争激化や物価高騰等に伴う投資・費用増により厳しい財務状況が続いていること等、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化している。このような事業環境変化への対応が、当社グループにとっての重点課題であり、福島責任の貫徹に向け、五次総特のもと、福島事業・経済事業双方の改革に取り組んでいく。福島事業では、被害者の方々に寄り添った迅速かつきめ細やかな賠償や、福島相双復興官民合同チームへの協力を通じた事業・生業や生活の再建・自立、農林水産業再生や風評払拭等に向けた取り組み等、福島復興に継続して取り組んでいく。福島第一原子力発電所の廃炉事業においては、今後より困難かつ複雑になる中でも安全かつ着実に廃炉作業を進めるため、廃炉の遂行主体の自主性・主体性を担保すべく、「福島最優先」の経営判断、廃炉事業遂行能力の向上、体制の構築の三本柱で抜本的に改革を進めていく。また、地域の皆さまとの双方向のコミュニケ―ション等を通じた地域との関係性の深化、廃炉事業を通じた地域の産業・経済基盤の創出への貢献等、「復興と廃炉の両立」に向けた取り組みを推進していく。経済事業では、GX・DXの進展等に伴う電力需要の増加に対し安定供給責任を全うするとともに、事業機会を捉え、「迅速かつプッシュ型の電力供給」「脱炭素電源の確保・カーボンニュートラルの実現」「安定化等の多様なニーズに応じた料金メニューの提供」の3つの社会的価値をお届けする取り組みを進めていく。この成長戦略を進めていくにあたっては、投資の最適化や早期の価値提供の観点から、資産回転型の投資や、様々な場面で既存の枠組みにとらわれない共創や協業・連携の実現に取り組んでいく。柏崎刈羽原子力発電所については、2025年12月に新潟県より6・7号機の再稼働への了解をいただき、本年1月に6号機の原子炉を起動、2月には送電を再開し、4月には営業運転を開始した。電力供給のレジリエンス強化やカーボンニュートラルの実現、さらには足元の中東情勢を背景としたエネルギー安全保障等の観点から、原子力発電の重要性が一層高まるなか、福島第一原子力発電所事故の当事者として反省と教訓を活かし、安全を最優先に安定的な発電所の運営を行うとともに、地域や社会のみなさまからの信頼の醸成に向けた取り組みを継続していく。また、第三者の知見も活用し、投資・費用計画を一から再検証した経営合理化策について確実に実行に移すとともに、中東情勢の影響による燃料・電力市場価格の高騰に伴う調達コストの増加等のリスクにも適切に対処し、足元の経営安定化を早期に実現していく。さらには、中長期的な廃炉の推進と企業価値向上の両立に向けて、自社の強みを活かしつつ、資金・技術・能力等を補完できるアライアンスが、当社の人財の活躍機会の拡大にもつながる最も有力かつ実効的な選択肢であり、その実現に向けて具体化を進めていく。アライアンス等を通じて成長戦略に基づく取り組みの具体化や拡大を進め、事業成長と企業価値の向上につなげ、福島責任貫徹のための資金確保を長期的に確実なものとしていく。電力供給の面では、2025年度冬季は、比較的安定した気候となり、厳気象の想定を上回るような厳しい需要は見られなかったことに加え、皆さまの省エネ・節電への継続的なご協力により、安定供給を確保することができた。2026年度夏季においては、東京エリアを含む広域ブロックにおける厳気象を想定した需要に対し、柏崎刈羽原子力発電所6号機の運転や夏季増加供給力公募の落札結果等の織り込みにより、最低限必要とされる3%の予備率は確保できる見通しである。一方で、電源の計画外停止や異常気象、燃料調達先の国際情勢の悪化等のリスクを踏まえると、予断を許さない状況である。当社としては、引き続き、国や電力広域的運営推進機関とともに安定供給を継続するため、中東情勢等の影響も注視しながら、供給・需要の両面の対策に最大限取り組んでいく。 ① 当年度の施策[ホールディングス]<福島事業>イ.福島復興に向けた取り組み当社は、これまでの賠償に加え、中間指針第五次追補等を踏まえた追加賠償等、引き続き被害者の方々に寄り添った迅速かつきめ細やかな賠償に努め、当年度末までに累計11兆6,827億円をお支払いしてきた。また、住民の方々にご帰還いただくための基盤整備に向けた環境再生・復興推進活動や、風評払拭及び販路開拓に向けた福島県産品の流通促進活動に引き続き注力している。 ロ.福島第一原子力発電所の廃炉燃料デブリの取り出しについては、2号機において、昨年4月に2回目の試験的取り出しに着手し、初回よりも原子炉格納容器の中心部に近い位置からの採取に成功した。また、3号機においては、燃料デブリ取り出し工法評価小委員会の提言を踏まえて大規模取り出しに向けた設計検討をすすめ、昨年7月に同委員会に対し、本格的な取り出し開始までの準備工程に12~15年程度を要すると評価したことを報告した。使用済燃料プールからの燃料取り出しについては、1号機において本年1月にガレキ撤去時のダスト飛散を抑制する大型カバーの設置を、2号機において本年3月に燃料取扱設備の設置をそれぞれ完了する等、取り出しに向けた準備を安全かつ着実にすすめてきた。ALPS処理水の海洋放出については、当年度も全7回の放出を計画どおりに実施し、当社、国及び福島県等が行う海域モニタリングにより安全性が確保されていることを確認している。継続して国際原子力機関(以下、「IAEA」という。)によるレビューも受けており、当年度においても、国際的な安全基準に合致し、人及び環境に与える放射線の影響は無視できる程度との評価をいただいた。また、昨年9月には、海洋放出に伴い使用しなくなったタンク12基の解体が完了し、燃料デブリの取り出し関連施設を設置する敷地を確保してきた。一部の国や地域による国産水産品の輸入停止措置が継続しているため、引き続き、事業者の方々のニーズに応じた販路開拓支援等に全力で取り組んでいく。それでもなお被害が発生した場合には必要十分な賠償を迅速かつ適切に実施していく。 <経済事業>ハ.原子力発電事業の取り組み柏崎刈羽原子力発電所では、原子力改革における取り組みを一過性のものとしないよう、継続的に改善をはかってきている。昨年10月にガバナンスの一層の強化を図る観点から、高い独立性と透明性をもって同発電所の運営を監督するとともに発電所運営に関する計画策定に社外の視点や知見を反映させるため、社外の様々な分野の専門家と社内の役員が一体となって議論を行う「柏崎刈羽原子力発電所運営会議」を設置した。原子力災害時の避難に関するご懸念の声に対しては、自治体が策定する避難計画の実効性を高めるため、新潟県との原子力防災に関する協力協定に基づき、自治体をはじめ関係機関と連携しながら、原子力防災訓練を積み重ねてきた。また、地域のみなさまには、当社の改善活動や発電所の安全対策等についてご理解いただけるよう、コミュニケーションブース等による対話や様々な媒体を活用した広報等を県域全体で展開してきた。こうしたなか、昨年12月に新潟県より、同発電所6・7号機の再稼働への了解をいただき、本年1月、6号機の原子炉を起動した。また、2月には送電を再開し、4月に営業運転を開始した。引き続き安全最優先で着実な発電所運営を行っていく。 ニ.持続的な成長の実現に向けた取り組み当社グループを取り巻く事業環境は、足元の小売電気事業における競争激化、GX・DXの進展等により増加が見込まれる電力需要へ対応していくための原子力・送配電事業投資の増加、物価の高騰等、大きく変化している。加えて、福島第一原子力発電所の廃炉工程が燃料デブリの本格的な取り出しに向けた新たな段階に移行するなか、福島事業と経済事業の双方を支える財務基盤の強化が一層重要となってきた。こうした状況を踏まえ、当年度においては、グループの総力を挙げて徹底的なコスト削減や投資の厳選、保有資産の売却を行うとともに、持続的なキャッシュフローの安定化と成長戦略の実現に向け、原子力損害賠償・廃炉等支援機構と共同で五次総特を策定した。同計画においては、中長期的な廃炉の推進と企業価値向上の両立に向けて、アライアンスを通じた大胆な改革に取り組むこととしており、本年1月の国による同計画の認定後速やかに、アライアンスパートナーの募集等も行っている。 [フュエル&パワー]・供給力確保とクリーンエネルギー供給基盤の構築燃料調達の不確実性が世界的に増大し、安定供給の重要性が高まるなか、株式会社JERAに対して、燃料の価格高騰・調達リスクを踏まえた供給力の確保や、発電所の適切な維持管理を通じた安定的な運転、さらにはカーボンニュートラル達成に向けた再生可能エネルギーと低炭素火力を組み合わせたクリーンエネルギー供給基盤の構築を求め、同社を支援・監督してきた。株式会社JERAは、米国からの新規調達に着手するなど、LNG調達戦略の見直しをすすめ、LNGポートフォリオの強靭化をはかるとともに、発電所の適切な維持管理に加え、知多火力発電所及び袖ケ浦火力発電所における発電設備のリプレース計画をすすめるなど、継続的な安定供給に向けた取り組みをすすめてきた。また、「JERAゼロエミッション2050」の実現に向けて、昨年8月に、英国のbp社との間で両社の洋上風力発電事業を統合したJERA Nex bp社の設立を完了させるなど、再生可能エネルギー事業を推進するとともに、碧南火力発電所のアンモニア転換への挑戦など、水素・アンモニアへの燃料転換にも取り組んできた。 [パワーグリッド]・送配電事業領域の基盤強化と高度化電力の安定供給と強靭性を確保しながら、事業環境の変化に対応し、地域や社会のニーズに応えるための取り組みをすすめてきた。具体的には、労務費・資材市況の上昇、施工力不足等の課題に対し、電力供給の信頼度確保や適正な価格転嫁等を前提に、優先度に応じた工事件名の精査,工事内容の合理化によるコストダウンや、工期調整・早期予報等による施工力の確保をはかった。また、GX・DXの進展等による電力需要の増加や高経年化設備の更新に対応するため、早期に電力供給が可能なエリアを示した大規模供給ポテンシャルマップを公開するとともに、新たな変電所建設スペースの情報を募集するなど、持続可能なネットワークの構築を通じた送配電事業基盤の強化をすすめた。加えて、電力需給バランスの最適化に関する技術開発や実証を行うなど、次世代ネットワークの構築に向けた送配電事業領域における取り組みの高度化をすすめてきた。 [エナジーパートナー]・お客さまのエネルギーコストの安定化に向けた取り組み国際情勢の緊迫化等により燃料・市場価格が変動するなかで、お客さまのエネルギーコストの安定化に向けて、電気料金メニューの多様化や設備サービス、電力需給の状況に応じてお客さまに需要を調整していただくデマンドレスポンスを推進してきた。法人分野では、スポット市場価格の変動を反映させる割合が異なる3つの電気料金メニューを新たに標準メニューとし、太陽光発電設備・蓄電池等の設備の導入やエネルギーマネジメントとあわせてご提案してきた。また、デマンドレスポンスの取り組みを拡大したことにより、電力需給の安定とお客さまの電気料金の低減をすすめてきた。家庭分野では、太陽光発電設備等を定額でご利用いただける「エネカリプラス」等のサービスをご提案し、これまでにグループ全体で5.5万件のご成約をいただいている。また、お客さまが設置する蓄電池・エコキュートを遠隔制御することにより電力需給の安定と再生可能エネルギーの有効活用をすすめる「エコ・省エネチャレンジ 機器制御オプション」のキャンペーンを実施し、約1,000台分の機器についてご参加いただいている。 [リニューアブルパワー]・再エネ電源の最大限活用に向けた取り組み国内の水力発電事業においては、当年度は2箇所の既設水力発電所のリプレースを完了させるとともに、DXを活用した運用ロスの低減や設備トラブルの未然防止に努め、さらなる収益向上に取り組んできた。また、治水機能の強化と水力発電の促進を両立させるハイブリッドダム公募に応札し、昨年10月、東京電力リニューアブルパワー株式会社を含むコンソーシアムが栃木県湯西川ダムの事業候補者に特定された。 国内の洋上風力発電事業においては、運転中の千葉県銚子沖、開発中の長崎県西海市江島沖での取り組みから得た知見を活かし、さらなる案件獲得に向けて、競争力強化をはかってきた。海外においては、引き続き、水力発電事業や洋上風力発電事業の拡大に取り組んできた。洋上風力発電事業については、技術・運営に関するノウハウを習得して国内での開発に活かすことをめざし、海外子会社であるフローテーション・エナジー社を通じて、英国での浮体式洋上風力発電事業の取り組みをすすめてきた。 ② 優先的に対処すべき課題[ホールディングス]<福島事業>イ.「3つの誓い」に基づく賠償と復興に向けた取り組み当社は、「3つの誓い」として掲げた「最後の一人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」、「和解仲介案の尊重」に基づき、引き続き、中間指針第五次追補等を踏まえた追加賠償について、ご請求いただいていない方々へのご案内を実施する等、個々の被害者の方に丁寧に対応しながら迅速かつ適切な賠償をすすめていく。また、福島相双復興官民合同チームへの協力を通じた事業・生業の再建や、住民の方々のご帰還に向けた環境再生・復興推進活動を継続するとともに、福島県産品の販路開拓及びブランド価値向上に資する流通促進活動に取り組んでいく。加えて、廃炉関連産業への地元企業の参入促進や、浜通り地域等への新たな産業基盤の構築をめざす取り組みの推進等を通じて、福島の復興に貢献していく。 ロ.安全確保を最優先とした福島第一原子力発電所の廃炉の貫徹燃料デブリの本格的な取り出し等、最難関の局面を迎える福島第一原子力発電所の廃炉作業を安全かつ着実にすすめていくため、現場主義を第一に、廃炉遂行主体が合理的・主体的な判断の上で必要な経営リソースを投入できるよう、経営判断・実行能力・体制の三本柱で抜本的な廃炉事業の改革に取り組んでいく。また、その実現に向けて原子力関連組織の体制を適切に見直すとともに、豊富な経験や専門的知識を有するパートナー企業の方々と一体的に協働する「ワンチーム」の体制構築を一層すすめていく。福島第一原子力発電所での廃炉作業の主な取り組みについては、2号機の原子炉格納容器の内部調査及び燃料デブリの試験的取り出しについて、作業員及び周辺環境の安全を最優先にすすめていく。また、使用済燃料プールからの燃料取り出しについても安全を最優先とし、1号機においてオペレーティングフロア上のガレキ撤去等を着実にすすめ、2号機においては使用済燃料の取り出しを開始していく。 ALPS処理水の海洋放出については、引き続き、国際原子力機関のレビューや海域モニタリングを通じて客観性・透明性の確保に努めるとともに、定期的な設備の点検を行い、安全かつ安定的に実施していく。また、一部の国や地域による輸入停止措置が継続しているため、引き続き、事業者の方々のニーズに応じた販路開拓支援等に全力で取り組んでいく。それでもなお被害が発生した場合には迅速かつ適切に賠償を実施していく。加えて、ALPS等で浄化処理を行った水のうち、安全に関する規制基準を満たしていない処理途上水の再浄化処理も実施していく。 <経済事業>ハ.原子力発電事業の取り組み電力需要の大幅な増加が見込まれる状況下において、安定供給の責務を果たし、カーボンニュートラルの実現に貢献していくため原子力事業を推進していく。柏崎刈羽原子力発電所においては、核物質防護に係る一連の不適切事案等を踏まえた原子力改革の取り組みを一過性のものとしないよう、改善を積み重ねてきている。また、営業運転を再開した同発電所6号機の安全かつ安定的な運転を継続するとともに、6・7号機の特定重大事故等対処施設の工事を安全最優先で一つひとつ着実にすすめ、発電所として長期にわたり安定した稼働を実現できる状態をめざしていく。引き続き同発電所の安全性について県民のみなさまへ丁寧な説明を行うとともに、みなさまからの信頼をいただけるよう地域との共生に向けた取り組みについてもより一層すすめていく。加えて、福島第二原子力発電所の安全で着実な廃止措置、東通原子力発電所の建設再開、原子燃料サイクル事業の推進にも取り組み、建設・運転・廃止措置の原子力ライフサイクルに一貫して取り組むとともに、原子力の持続的活用推進に向けた検討を進めていく。 ニ.当社グループの収益力拡大に向けた取り組みGX・DXの進展に伴うデータセンター需要の高まりがみられるなか、データセンター事業者にとって、早期の事業開始が可能となる電力供給やエネルギーコストの安定化脱炭素電源の確保といった観点は投資先・立地先を決める重要な要素となっている。当社グループの電力バリューチェーンの総合力を発揮するとともに、関連事業者とも連携しながら、適地の取得や誘致、お客さまとの協働による設備構築、脱炭素電源料金メニューの提供等、あらゆるソリューションを展開し、早期の電力供給をはじめとしたお客さまが求める価値を的確かつ迅速に提供することで、収益力の拡大につなげていく。 [フュエル&パワー]国際情勢の悪化を受けた燃料価格の不安定化・高騰リスクや世界的な物価上昇など、株式会社JERAを取り巻く事業環境が変化し続けるなか、同社は安定供給の確保に万全を尽くしていく。具体的には、GX・DXの進展等に伴う追加需要への迅速な対応に欠かせないLNGのバリューチェーン強化や、燃料調達の分散化・多様化に向けた取り組みを重点的に行うとともに、火力発電所の計画外停止等を最大限抑制し、安定的な運転に努めていく。加えて、「JERAゼロエミッション2050」の実現に向けた再生可能エネルギーの導入・開発や火力発電のゼロエミッション化に取り組んでいく。東京電力フュエル&パワー株式会社は、株式会社JERAにおけるこのような課題への対策が、同社の施策に随時、柔軟に反映されるよう、事業計画の策定への関与とその進捗に対するモニタリング等による質の高いコミュニケーションを通じて、株主として支援・監督していく。 [パワーグリッド]物価の高騰や工事の担い手不足といった事業環境の変化への対応に加え、GX・DXの進展等に伴う社会的ニーズへの対応、特にデータセンターを中心とした大規模需要に対し、早期に電力供給が可能となる供給体制の整備が求められている。これらの課題に対応するため、引き続きコストダウンや施工力の確保に努めながら、分散型電源や蓄電池等のお客さま設備の最大活用によるエリア需給の最適化に向けて取り組んでいく。また、電力需要が増加する地域を的確に想定したプッシュ型の設備形成と、地域の自治体や企業と協働して送配電ネットワークを構築する参加型の設備形成を通じ、適地における効率的な系統整備と早期の電力供給を実現していく。加えて、これらの取り組みにおけるお客さまとの協働等を通じ、お客さまの電力設備の構築・保守サービスを提供すること等により、安定供給の確保と持続的な成長の実現につなげていく。 [エナジーパートナー]地政学リスクの高まりや競争の激化等、外部環境が大きく変化するなか、販売と調達のポートフォリオの最適化により、収支変動リスクへの対応力を強化するとともに、お客さまとの長期にわたるパートナーシップの構築に取り組んでいく。具体的には、販売側では、お客さまニーズに応じた電気料金メニューのご提案に加え、デマンドレスポンスにより創出される調整力・供給力を需給運用や市場供出に活用し、得られるメリットをお客さまへ還元していく。また、調達側では、需給運用サービスの提供によるバランシンググループの拡大やデリバティブ取引による価格ヘッジの活用等を通じて、収支変動リスクを低減していく。これらの取り組みにより、お客さまに選んでいただけるよう努めていく。加えて、エネルギーサービスやBCPサービス等のトータルソリューションの拡充により、今後新増設が期待されるデータセンター分野を含め、多様化・高度化するお客さまニーズへのさらなる対応をすすめていく。 [リニューアブルパワー]水力発電事業については、国内における経年水力発電所のリプレースとDX推進による効率化に加え、需給バランスの調整のための揚水式発電所の活用、ハイブリッドダム事業の推進、コーポレートPPAの活用をはじめとする販売方法の多様化等により、安定供給と収益向上に取り組む。また、海外においては、これまで国内水力発電事業で培った開発・運転保守技術の強みを活かして水力発電所のバリューアップをすすめ、事業の拡大に取り組んでいく。洋上風力発電事業については、国内で着床式洋上風力発電の開発をすすめるとともに、海外ではフローテーション・エナジー社を通じた浮体式洋上風力発電の開発を引き続き推進していく。また、これらの事業を中心に、資産回転型の事業モデルの導入を検討するなど、投資キャッシュフローの最適化を実現できるよう取り組んでいく。 (注)本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営環境及び経営方針等当社グループを取り巻く事業環境は、福島第一原子力発電所の廃炉の進捗、GX・DXの進展等に伴う電力需要の増加、物価高騰等に伴う投資・費用増による厳しい財務状況等、大きく変化している。このような事業環境の変化に対応していくため、第五次総合特別事業計画(以下、「五次総特」という。)に基づき、前人未踏の領域である廃炉の貫徹に向けた改革や、GX・DX等による電力需要の増加に対応した安定供給責任の全うと事業成長に向けた取り組み、経営合理化や資産売却等を通じた財務状況の改善を進めていく。加えて、中長期的な廃炉の推進と企業価値向上の両立に向け、資金・技術・能力等の補完につながるアライアンスを追求し、大胆な改革に取り組んでいく。福島への責任を果たしていくため、五次総特のもと、福島事業・経済事業双方の改革に取り組み、賠償・廃炉に必要な資金の確保及び企業価値向上を実現していく。(https://www.tepco.co.jp/about/corporateinfo/business_plan/overall_special_plan.html) (2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等五次総特のとおり、賠償・廃炉に関して、当社グループ全体で年間約5,000億円程度の資金を確保する。加えて、2028 年度以降のフリーキャッシュフローは黒字を確保する。 (3) 経営環境及び対処すべき課題等福島第一原子力発電所の廃炉事業が燃料デブリの本格的な取り出し等、最難関の局面に入ること、GX・DXの進展やエネルギー安全保障への要請の高まりに伴い国内の電力需要の増加が見込まれること、小売事業の競争激化や物価高騰等に伴う投資・費用増により厳しい財務状況が続いていること等、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化している。このような事業環境変化への対応が、当社グループにとっての重点課題であり、福島責任の貫徹に向け、五次総特のもと、福島事業・経済事業双方の改革に取り組んでいく。福島事業では、被害者の方々に寄り添った迅速かつきめ細やかな賠償や、福島相双復興官民合同チームへの協力を通じた事業・生業や生活の再建・自立、農林水産業再生や風評払拭等に向けた取り組み等、福島復興に継続して取り組んでいく。福島第一原子力発電所の廃炉事業においては、今後より困難かつ複雑になる中でも安全かつ着実に廃炉作業を進めるため、廃炉の遂行主体の自主性・主体性を担保すべく、「福島最優先」の経営判断、廃炉事業遂行能力の向上、体制の構築の三本柱で抜本的に改革を進めていく。また、地域の皆さまとの双方向のコミュニケ―ション等を通じた地域との関係性の深化、廃炉事業を通じた地域の産業・経済基盤の創出への貢献等、「復興と廃炉の両立」に向けた取り組みを推進していく。経済事業では、GX・DXの進展等に伴う電力需要の増加に対し安定供給責任を全うするとともに、事業機会を捉え、「迅速かつプッシュ型の電力供給」「脱炭素電源の確保・カーボンニュートラルの実現」「安定化等の多様なニーズに応じた料金メニューの提供」の3つの社会的価値をお届けする取り組みを進めていく。この成長戦略を進めていくにあたっては、投資の最適化や早期の価値提供の観点から、資産回転型の投資や、様々な場面で既存の枠組みにとらわれない共創や協業・連携の実現に取り組んでいく。柏崎刈羽原子力発電所については、2025年12月に新潟県より6・7号機の再稼働への了解をいただき、本年1月に6号機の原子炉を起動、2月には送電を再開し、4月には営業運転を開始した。電力供給のレジリエンス強化やカーボンニュートラルの実現、さらには足元の中東情勢を背景としたエネルギー安全保障等の観点から、原子力発電の重要性が一層高まるなか、福島第一原子力発電所事故の当事者として反省と教訓を活かし、安全を最優先に安定的な発電所の運営を行うとともに、地域や社会のみなさまからの信頼の醸成に向けた取り組みを継続していく。また、第三者の知見も活用し、投資・費用計画を一から再検証した経営合理化策について確実に実行に移すとともに、中東情勢の影響による燃料・電力市場価格の高騰に伴う調達コストの増加等のリスクにも適切に対処し、足元の経営安定化を早期に実現していく。さらには、中長期的な廃炉の推進と企業価値向上の両立に向けて、自社の強みを活かしつつ、資金・技術・能力等を補完できるアライアンスが、当社の人財の活躍機会の拡大にもつながる最も有力かつ実効的な選択肢であり、その実現に向けて具体化を進めていく。アライアンス等を通じて成長戦略に基づく取り組みの具体化や拡大を進め、事業成長と企業価値の向上につなげ、福島責任貫徹のための資金確保を長期的に確実なものとしていく。電力供給の面では、2025年度冬季は、比較的安定した気候となり、厳気象の想定を上回るような厳しい需要は見られなかったことに加え、皆さまの省エネ・節電への継続的なご協力により、安定供給を確保することができた。2026年度夏季においては、東京エリアを含む広域ブロックにおける厳気象を想定した需要に対し、柏崎刈羽原子力発電所6号機の運転や夏季増加供給力公募の落札結果等の織り込みにより、最低限必要とされる3%の予備率は確保できる見通しである。一方で、電源の計画外停止や異常気象、燃料調達先の国際情勢の悪化等のリスクを踏まえると、予断を許さない状況である。当社としては、引き続き、国や電力広域的運営推進機関とともに安定供給を継続するため、中東情勢等の影響も注視しながら、供給・需要の両面の対策に最大限取り組んでいく。 ① 当年度の施策[ホールディングス]<福島事業>イ.福島復興に向けた取り組み当社は、これまでの賠償に加え、中間指針第五次追補等を踏まえた追加賠償等、引き続き被害者の方々に寄り添った迅速かつきめ細やかな賠償に努め、当年度末までに累計11兆6,827億円をお支払いしてきた。また、住民の方々にご帰還いただくための基盤整備に向けた環境再生・復興推進活動や、風評払拭及び販路開拓に向けた福島県産品の流通促進活動に引き続き注力している。 ロ.福島第一原子力発電所の廃炉燃料デブリの取り出しについては、2号機において、昨年4月に2回目の試験的取り出しに着手し、初回よりも原子炉格納容器の中心部に近い位置からの採取に成功した。また、3号機においては、燃料デブリ取り出し工法評価小委員会の提言を踏まえて大規模取り出しに向けた設計検討をすすめ、昨年7月に同委員会に対し、本格的な取り出し開始までの準備工程に12~15年程度を要すると評価したことを報告した。使用済燃料プールからの燃料取り出しについては、1号機において本年1月にガレキ撤去時のダスト飛散を抑制する大型カバーの設置を、2号機において本年3月に燃料取扱設備の設置をそれぞれ完了する等、取り出しに向けた準備を安全かつ着実にすすめてきた。ALPS処理水の海洋放出については、当年度も全7回の放出を計画どおりに実施し、当社、国及び福島県等が行う海域モニタリングにより安全性が確保されていることを確認している。継続して国際原子力機関(以下、「IAEA」という。)によるレビューも受けており、当年度においても、国際的な安全基準に合致し、人及び環境に与える放射線の影響は無視できる程度との評価をいただいた。また、昨年9月には、海洋放出に伴い使用しなくなったタンク12基の解体が完了し、燃料デブリの取り出し関連施設を設置する敷地を確保してきた。一部の国や地域による国産水産品の輸入停止措置が継続しているため、引き続き、事業者の方々のニーズに応じた販路開拓支援等に全力で取り組んでいく。それでもなお被害が発生した場合には必要十分な賠償を迅速かつ適切に実施していく。 <経済事業>ハ.原子力発電事業の取り組み柏崎刈羽原子力発電所では、原子力改革における取り組みを一過性のものとしないよう、継続的に改善をはかってきている。昨年10月にガバナンスの一層の強化を図る観点から、高い独立性と透明性をもって同発電所の運営を監督するとともに発電所運営に関する計画策定に社外の視点や知見を反映させるため、社外の様々な分野の専門家と社内の役員が一体となって議論を行う「柏崎刈羽原子力発電所運営会議」を設置した。原子力災害時の避難に関するご懸念の声に対しては、自治体が策定する避難計画の実効性を高めるため、新潟県との原子力防災に関する協力協定に基づき、自治体をはじめ関係機関と連携しながら、原子力防災訓練を積み重ねてきた。また、地域のみなさまには、当社の改善活動や発電所の安全対策等についてご理解いただけるよう、コミュニケーションブース等による対話や様々な媒体を活用した広報等を県域全体で展開してきた。こうしたなか、昨年12月に新潟県より、同発電所6・7号機の再稼働への了解をいただき、本年1月、6号機の原子炉を起動した。また、2月には送電を再開し、4月に営業運転を開始した。引き続き安全最優先で着実な発電所運営を行っていく。 ニ.持続的な成長の実現に向けた取り組み当社グループを取り巻く事業環境は、足元の小売電気事業における競争激化、GX・DXの進展等により増加が見込まれる電力需要へ対応していくための原子力・送配電事業投資の増加、物価の高騰等、大きく変化している。加えて、福島第一原子力発電所の廃炉工程が燃料デブリの本格的な取り出しに向けた新たな段階に移行するなか、福島事業と経済事業の双方を支える財務基盤の強化が一層重要となってきた。こうした状況を踏まえ、当年度においては、グループの総力を挙げて徹底的なコスト削減や投資の厳選、保有資産の売却を行うとともに、持続的なキャッシュフローの安定化と成長戦略の実現に向け、原子力損害賠償・廃炉等支援機構と共同で五次総特を策定した。同計画においては、中長期的な廃炉の推進と企業価値向上の両立に向けて、アライアンスを通じた大胆な改革に取り組むこととしており、本年1月の国による同計画の認定後速やかに、アライアンスパートナーの募集等も行っている。 [フュエル&パワー]・供給力確保とクリーンエネルギー供給基盤の構築燃料調達の不確実性が世界的に増大し、安定供給の重要性が高まるなか、株式会社JERAに対して、燃料の価格高騰・調達リスクを踏まえた供給力の確保や、発電所の適切な維持管理を通じた安定的な運転、さらにはカーボンニュートラル達成に向けた再生可能エネルギーと低炭素火力を組み合わせたクリーンエネルギー供給基盤の構築を求め、同社を支援・監督してきた。株式会社JERAは、米国からの新規調達に着手するなど、LNG調達戦略の見直しをすすめ、LNGポートフォリオの強靭化をはかるとともに、発電所の適切な維持管理に加え、知多火力発電所及び袖ケ浦火力発電所における発電設備のリプレース計画をすすめるなど、継続的な安定供給に向けた取り組みをすすめてきた。また、「JERAゼロエミッション2050」の実現に向けて、昨年8月に、英国のbp社との間で両社の洋上風力発電事業を統合したJERA Nex bp社の設立を完了させるなど、再生可能エネルギー事業を推進するとともに、碧南火力発電所のアンモニア転換への挑戦など、水素・アンモニアへの燃料転換にも取り組んできた。 [パワーグリッド]・送配電事業領域の基盤強化と高度化電力の安定供給と強靭性を確保しながら、事業環境の変化に対応し、地域や社会のニーズに応えるための取り組みをすすめてきた。具体的には、労務費・資材市況の上昇、施工力不足等の課題に対し、電力供給の信頼度確保や適正な価格転嫁等を前提に、優先度に応じた工事件名の精査,工事内容の合理化によるコストダウンや、工期調整・早期予報等による施工力の確保をはかった。また、GX・DXの進展等による電力需要の増加や高経年化設備の更新に対応するため、早期に電力供給が可能なエリアを示した大規模供給ポテンシャルマップを公開するとともに、新たな変電所建設スペースの情報を募集するなど、持続可能なネットワークの構築を通じた送配電事業基盤の強化をすすめた。加えて、電力需給バランスの最適化に関する技術開発や実証を行うなど、次世代ネットワークの構築に向けた送配電事業領域における取り組みの高度化をすすめてきた。 [エナジーパートナー]・お客さまのエネルギーコストの安定化に向けた取り組み国際情勢の緊迫化等により燃料・市場価格が変動するなかで、お客さまのエネルギーコストの安定化に向けて、電気料金メニューの多様化や設備サービス、電力需給の状況に応じてお客さまに需要を調整していただくデマンドレスポンスを推進してきた。法人分野では、スポット市場価格の変動を反映させる割合が異なる3つの電気料金メニューを新たに標準メニューとし、太陽光発電設備・蓄電池等の設備の導入やエネルギーマネジメントとあわせてご提案してきた。また、デマンドレスポンスの取り組みを拡大したことにより、電力需給の安定とお客さまの電気料金の低減をすすめてきた。家庭分野では、太陽光発電設備等を定額でご利用いただける「エネカリプラス」等のサービスをご提案し、これまでにグループ全体で5.5万件のご成約をいただいている。また、お客さまが設置する蓄電池・エコキュートを遠隔制御することにより電力需給の安定と再生可能エネルギーの有効活用をすすめる「エコ・省エネチャレンジ 機器制御オプション」のキャンペーンを実施し、約1,000台分の機器についてご参加いただいている。 [リニューアブルパワー]・再エネ電源の最大限活用に向けた取り組み国内の水力発電事業においては、当年度は2箇所の既設水力発電所のリプレースを完了させるとともに、DXを活用した運用ロスの低減や設備トラブルの未然防止に努め、さらなる収益向上に取り組んできた。また、治水機能の強化と水力発電の促進を両立させるハイブリッドダム公募に応札し、昨年10月、東京電力リニューアブルパワー株式会社を含むコンソーシアムが栃木県湯西川ダムの事業候補者に特定された。 国内の洋上風力発電事業においては、運転中の千葉県銚子沖、開発中の長崎県西海市江島沖での取り組みから得た知見を活かし、さらなる案件獲得に向けて、競争力強化をはかってきた。海外においては、引き続き、水力発電事業や洋上風力発電事業の拡大に取り組んできた。洋上風力発電事業については、技術・運営に関するノウハウを習得して国内での開発に活かすことをめざし、海外子会社であるフローテーション・エナジー社を通じて、英国での浮体式洋上風力発電事業の取り組みをすすめてきた。 ② 優先的に対処すべき課題[ホールディングス]<福島事業>イ.「3つの誓い」に基づく賠償と復興に向けた取り組み当社は、「3つの誓い」として掲げた「最後の一人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」、「和解仲介案の尊重」に基づき、引き続き、中間指針第五次追補等を踏まえた追加賠償について、ご請求いただいていない方々へのご案内を実施する等、個々の被害者の方に丁寧に対応しながら迅速かつ適切な賠償をすすめていく。また、福島相双復興官民合同チームへの協力を通じた事業・生業の再建や、住民の方々のご帰還に向けた環境再生・復興推進活動を継続するとともに、福島県産品の販路開拓及びブランド価値向上に資する流通促進活動に取り組んでいく。加えて、廃炉関連産業への地元企業の参入促進や、浜通り地域等への新たな産業基盤の構築をめざす取り組みの推進等を通じて、福島の復興に貢献していく。 ロ.安全確保を最優先とした福島第一原子力発電所の廃炉の貫徹燃料デブリの本格的な取り出し等、最難関の局面を迎える福島第一原子力発電所の廃炉作業を安全かつ着実にすすめていくため、現場主義を第一に、廃炉遂行主体が合理的・主体的な判断の上で必要な経営リソースを投入できるよう、経営判断・実行能力・体制の三本柱で抜本的な廃炉事業の改革に取り組んでいく。また、その実現に向けて原子力関連組織の体制を適切に見直すとともに、豊富な経験や専門的知識を有するパートナー企業の方々と一体的に協働する「ワンチーム」の体制構築を一層すすめていく。福島第一原子力発電所での廃炉作業の主な取り組みについては、2号機の原子炉格納容器の内部調査及び燃料デブリの試験的取り出しについて、作業員及び周辺環境の安全を最優先にすすめていく。また、使用済燃料プールからの燃料取り出しについても安全を最優先とし、1号機においてオペレーティングフロア上のガレキ撤去等を着実にすすめ、2号機においては使用済燃料の取り出しを開始していく。 ALPS処理水の海洋放出については、引き続き、国際原子力機関のレビューや海域モニタリングを通じて客観性・透明性の確保に努めるとともに、定期的な設備の点検を行い、安全かつ安定的に実施していく。また、一部の国や地域による輸入停止措置が継続しているため、引き続き、事業者の方々のニーズに応じた販路開拓支援等に全力で取り組んでいく。それでもなお被害が発生した場合には迅速かつ適切に賠償を実施していく。加えて、ALPS等で浄化処理を行った水のうち、安全に関する規制基準を満たしていない処理途上水の再浄化処理も実施していく。 <経済事業>ハ.原子力発電事業の取り組み電力需要の大幅な増加が見込まれる状況下において、安定供給の責務を果たし、カーボンニュートラルの実現に貢献していくため原子力事業を推進していく。柏崎刈羽原子力発電所においては、核物質防護に係る一連の不適切事案等を踏まえた原子力改革の取り組みを一過性のものとしないよう、改善を積み重ねてきている。また、営業運転を再開した同発電所6号機の安全かつ安定的な運転を継続するとともに、6・7号機の特定重大事故等対処施設の工事を安全最優先で一つひとつ着実にすすめ、発電所として長期にわたり安定した稼働を実現できる状態をめざしていく。引き続き同発電所の安全性について県民のみなさまへ丁寧な説明を行うとともに、みなさまからの信頼をいただけるよう地域との共生に向けた取り組みについてもより一層すすめていく。加えて、福島第二原子力発電所の安全で着実な廃止措置、東通原子力発電所の建設再開、原子燃料サイクル事業の推進にも取り組み、建設・運転・廃止措置の原子力ライフサイクルに一貫して取り組むとともに、原子力の持続的活用推進に向けた検討を進めていく。 ニ.当社グループの収益力拡大に向けた取り組みGX・DXの進展に伴うデータセンター需要の高まりがみられるなか、データセンター事業者にとって、早期の事業開始が可能となる電力供給やエネルギーコストの安定化脱炭素電源の確保といった観点は投資先・立地先を決める重要な要素となっている。当社グループの電力バリューチェーンの総合力を発揮するとともに、関連事業者とも連携しながら、適地の取得や誘致、お客さまとの協働による設備構築、脱炭素電源料金メニューの提供等、あらゆるソリューションを展開し、早期の電力供給をはじめとしたお客さまが求める価値を的確かつ迅速に提供することで、収益力の拡大につなげていく。 [フュエル&パワー]国際情勢の悪化を受けた燃料価格の不安定化・高騰リスクや世界的な物価上昇など、株式会社JERAを取り巻く事業環境が変化し続けるなか、同社は安定供給の確保に万全を尽くしていく。具体的には、GX・DXの進展等に伴う追加需要への迅速な対応に欠かせないLNGのバリューチェーン強化や、燃料調達の分散化・多様化に向けた取り組みを重点的に行うとともに、火力発電所の計画外停止等を最大限抑制し、安定的な運転に努めていく。加えて、「JERAゼロエミッション2050」の実現に向けた再生可能エネルギーの導入・開発や火力発電のゼロエミッション化に取り組んでいく。東京電力フュエル&パワー株式会社は、株式会社JERAにおけるこのような課題への対策が、同社の施策に随時、柔軟に反映されるよう、事業計画の策定への関与とその進捗に対するモニタリング等による質の高いコミュニケーションを通じて、株主として支援・監督していく。 [パワーグリッド]物価の高騰や工事の担い手不足といった事業環境の変化への対応に加え、GX・DXの進展等に伴う社会的ニーズへの対応、特にデータセンターを中心とした大規模需要に対し、早期に電力供給が可能となる供給体制の整備が求められている。これらの課題に対応するため、引き続きコストダウンや施工力の確保に努めながら、分散型電源や蓄電池等のお客さま設備の最大活用によるエリア需給の最適化に向けて取り組んでいく。また、電力需要が増加する地域を的確に想定したプッシュ型の設備形成と、地域の自治体や企業と協働して送配電ネットワークを構築する参加型の設備形成を通じ、適地における効率的な系統整備と早期の電力供給を実現していく。加えて、これらの取り組みにおけるお客さまとの協働等を通じ、お客さまの電力設備の構築・保守サービスを提供すること等により、安定供給の確保と持続的な成長の実現につなげていく。 [エナジーパートナー]地政学リスクの高まりや競争の激化等、外部環境が大きく変化するなか、販売と調達のポートフォリオの最適化により、収支変動リスクへの対応力を強化するとともに、お客さまとの長期にわたるパートナーシップの構築に取り組んでいく。具体的には、販売側では、お客さまニーズに応じた電気料金メニューのご提案に加え、デマンドレスポンスにより創出される調整力・供給力を需給運用や市場供出に活用し、得られるメリットをお客さまへ還元していく。また、調達側では、需給運用サービスの提供によるバランシンググループの拡大やデリバティブ取引による価格ヘッジの活用等を通じて、収支変動リスクを低減していく。これらの取り組みにより、お客さまに選んでいただけるよう努めていく。加えて、エネルギーサービスやBCPサービス等のトータルソリューションの拡充により、今後新増設が期待されるデータセンター分野を含め、多様化・高度化するお客さまニーズへのさらなる対応をすすめていく。 [リニューアブルパワー]水力発電事業については、国内における経年水力発電所のリプレースとDX推進による効率化に加え、需給バランスの調整のための揚水式発電所の活用、ハイブリッドダム事業の推進、コーポレートPPAの活用をはじめとする販売方法の多様化等により、安定供給と収益向上に取り組む。また、海外においては、これまで国内水力発電事業で培った開発・運転保守技術の強みを活かして水力発電所のバリューアップをすすめ、事業の拡大に取り組んでいく。洋上風力発電事業については、国内で着床式洋上風力発電の開発をすすめるとともに、海外ではフローテーション・エナジー社を通じた浮体式洋上風力発電の開発を引き続き推進していく。また、これらの事業を中心に、資産回転型の事業モデルの導入を検討するなど、投資キャッシュフローの最適化を実現できるよう取り組んでいく。 (注)本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。 ① 財政状態及び経営成績の状況イ.財政状態[資産・負債・純資産]当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ5,886億円増加し、15兆5,756億円となった。これは、固定資産が増加したことなどによるものである。当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ9,563億円増加し、12兆1,572億円となった。これは、災害損失引当金が増加したことなどによるものである。当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ3,677億円減少し、3兆4,183億円となった。これは、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことなどによるものである。この結果、自己資本比率は21.8%と前連結会計年度末に比べ3.3ポイント低下した。ロ.経営成績[概要]当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比7.1%減の6兆3,285億円、経常利益は同64.0%増の4,173億円、親会社株主に帰属する当期純損益は4,542億円の損失(前連結会計年度は1,612億円の利益)となった。[売上高]当連結会計年度における各セグメントの売上高(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが8,268億円(前連結会計年度比3.8%増)、フュエル&パワーが37億円(前連結会計年度比2.1%減)、パワーグリッドが2兆2,943億円(前連結会計年度比2.2%減)、エナジーパートナーが4兆9,896億円(前連結会計年度比10.3%減)、リニューアブルパワーが1,892億円(前連結会計年度比10.8%減)となった。総販売電力量は、前連結会計年度比6.7%減の2,132億kWhとなった。[経常損益]当連結会計年度における各セグメントの経常損益(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが1,289億円(前連結会計年度△507億円)、フュエル&パワーが833億円(前連結会計年度比44.4%増)、パワーグリッドが817億円(前連結会計年度比48.8%増)、エナジーパートナーが2,549億円(前連結会計年度比11.4%減)、リニューアブルパワーが403億円(前連結会計年度比24.7%減)となった。[親会社株主に帰属する当期純利益]当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は、特別利益に関係会社株式売却益を1,030億円、原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金818億円を計上した一方、特別損失に災害特別損失9,138億円、原子力損害賠償費827億円を計上したことなどから、3,943億円となった。ここに、法人税、住民税及び事業税596億円、法人税等調整額5億円、非支配株主に帰属する当期純損失3億円を計上し、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、4,542億円となった。なお、1株当たり当期純損失は283円51銭となった。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ102億円(1.1%)増加し、9,366億円となった。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、前連結会計年度比55.1%増の5,603億円となった。これは、災害損失引当金が増加したことなどによるものである。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、前連結会計年度比22.8%減の6,636億円となった。これは、投融資の回収による収入が増加したことなどによるものである。(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動による資金の収入は、前連結会計年度比43.1%減の1,104億円となった。これは、短期借入れによる収入が減少したことなどによるものである。 ③ 生産及び販売の実績当社グループは、原子力発電等を行う「ホールディングス」、火力発電等を行う「フュエル&パワー」、送電・変電・配電による電力の供給等を行う「パワーグリッド」、電気の販売等を行う「エナジーパートナー」及び再生可能エネルギー発電等を行う「リニューアブルパワー」の5つのセグメントがコスト意識を高めるとともに自発的に収益拡大に取り組みつつ、一体となって電気事業を運営している。加えて、電気事業が連結会社の事業の大半を占めており、また、電気事業以外の製品・サービスは多種多様であり、受注生産形態をとらない製品も少なくないため、生産及び販売の実績については、電気事業のみを記載している。 イ.発電実績 種別2025年度(百万kWh)前年同期比(%)発電電力量水力発電電力量9,83391.8火力発電電力量15497.0原子力発電電力量752-新エネルギー等発電電力量80108.9発電電力量合計10,81998.9 (注) 1.上記発電実績には、連結子会社の一部を含んでいる。2.2019年4月1日付けで㈱JERAが承継会社となり、東京電力フュエル&パワー㈱の燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等を吸収分割により承継させた。これにより、火力発電電力量は東京電力パワーグリッド㈱の離島における発電電力量である。 ロ.販売実績(a) 総販売電力量 種別2025年度(百万kWh)前年同期比(%) 小売販売電力量171,93391.9卸販売電力量41,30299.7総販売電力量213,23593.3 (注) 連結子会社の一部を含んでいる。 (b) 電気料収入 種別2025年度(百万円)前年同期比(%)電気料収入3,881,41190.0 (注) 1.連結子会社の一部を含んでいる。2.電気料収入は小売販売電力量に相当する。3.「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」、「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」及び「「強い経済」を実現する総合経済対策」に基づき実施される「電気・ガス料金負担軽減支援事業」により、国が定める値引き単価による電気料金の値引きを行っており、その原資として補助金(以下、「当該補助金」という。) 128,507百万円を受領している。内訳は「パワーグリッド」が348百万円、「エナジーパートナー」が128,158百万円である。電気料収入には当該補助金収入を含んでいない。 (c) 託送収入 種別2025年度(百万円)前年同期比(%)託送収益1,610,313100.8 (注) セグメント間取引消去前。 ④ 託送供給料金東京電力パワーグリッド株式会社は、2023年12月1日、電気事業法第18条第1項に規定された「託送供給等約款」の変更に係る認可申請(発電側課金制度の導入に伴う供給条件の設定及び電気事業法第17条の2第4項の規定により2023年11月24日に経済産業大臣から承認された「託送供給等に係る収入の見通し」の変更に基づく新たな料金を設定)を経済産業大臣に行い、2024年1月17日に経済産業大臣の認可を受け、2024年4月1日から実施している。主要託送供給料金は下記のとおりである。 託送供給料金表(消費税等相当額を含む料金単価) 単位料金単価(円)接続送電サービス低圧電灯定額接続送電サービス電灯料金10Wまで1灯 1か月につき35.5410W超過 20Wまで〃71.0920W 〃 40W 〃〃142.1940W 〃 60W 〃〃213.2860W 〃 100W 〃〃355.47100W 〃 100Wまでごとに〃355.47小型機器料金50VAまで1機器 1か月につき106.1750VA超過 100VAまで〃212.34100VA 〃 100VAまでごとに〃212.34電灯標準接続送電サービス基本料金実量契約1kW 1か月につき230.67SB・主開閉器契約1kVA 1か月につき152.24SB契約;5Aの場合1契約 1か月につき76.12SB契約;15Aの場合〃228.36電力量料金1kWhにつき6.97電灯時間帯別接続送電サービス基本料金実量契約1kW 1か月につき230.67SB・主開閉器契約1kVA 1か月につき152.24SB契約;5Aの場合1契約 1か月につき76.12SB契約;15Aの場合〃228.36電力量料金昼間時間1kWhにつき7.36夜間時間〃6.64電灯従量接続送電サービス〃10.76動力標準接続送電サービス基本料金実量契約1kW 1か月につき731.97主開閉器契約〃461.14電力量料金1kWhにつき4.54 単位料金単価(円)接続送電サービス低圧動力時間帯別接続送電サービス基本料金実量契約1kW 1か月につき731.97主開閉器契約〃461.14電力量料金昼間時間1kWhにつき4.79夜間時間〃4.35動力従量接続送電サービス〃16.54高圧高圧標準接続送電サービス基本料金1kW 1か月につき653.87電力量料金1kWhにつき1.84高圧時間帯別接続送電サービス基本料金1kW 1か月につき653.87電力量料金昼間時間1kWhにつき1.93夜間時間〃1.75高圧従量接続送電サービス〃12.55ピークシフト割引1kW 1か月につき555.80特別高圧特別高圧標準接続送電サービス基本料金〃423.39電力量料金1kWhにつき0.91特別高圧時間帯別接続送電サービス基本料金1kW 1か月につき423.39電力量料金昼間時間1kWhにつき0.94夜間時間〃0.89特別高圧従量接続送電サービス〃7.85ピークシフト割引1kW 1か月につき359.89予備送電サービス高圧予備送電サービスA〃87.62予備送電サービスB〃109.20特別高圧予備送電サービスA〃71.13予備送電サービスB〃86.37系統連系受電サービス基本料金1kW 1か月につき87.01基本料金(離島のお客さま)〃79.85電力量料金1kWhにつき0.28系統設備効率化割引割引AA-11kW 1か月につき30.86A-2(受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合)〃5.72A-2(受電電圧が標準電圧140,000V以下の場合)〃11.44A-3(受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合)〃2.86A-3(受電電圧が標準電圧140,000V以下の場合)〃5.72割引BB-11kW 1か月につき48.99B-2〃17.80 (注) 1.上記契約種別のほか、臨時接続送電サービス、発電量調整受電計画差対応電力、接続対象計画差対応電力、需要抑制量調整受電計画差対応電力、給電指令時補給電力がある。2.SBとは、電流制限器又はその他適当な電流を制限する装置。3.時間帯別接続送電サービスにおける「昼間時間」とは、毎日午前8時から午後10時までの時間をいい、「夜間時間」とは、「昼間時間」以外の時間をいう。ただし、日曜日、祝日(「国民の祝日に関する法律」に規定する休日)及び1月2日・3日、4月30日、5月1日・2日、12月30日・31日は、全日「夜間時間」扱いとする。4.系統設備効率化割引とは、需要地近郊や既に送配電設備が手厚く整備されている地域など、送配電設備の追加増強コストが小さい地域に接続する電源に対して、発電側課金の負担額を軽減するものである。5.従来適用してきた近接性評価割引は、新たに導入する割引制度と趣旨や割引の考え方が重複している面もあることから廃止する。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものである。 ① 経営成績等当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、小売電気事業における競争が一層激化するとともに、GX・DXの進展等を踏まえて必要な原子力・送配電事業の投資・費用が増加するなか、物価の高騰等も重なり、依然として厳しい状況が続いた。こうした状況のなか、福島への責任の貫徹に向け、グループの総力を挙げて徹底的なコスト削減や投資の厳選、保有資産の売却を行うなど不断の経営合理化に取り組んできた。また、当連結会計年度においては、福島第一原子力発電所の廃炉に関し、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の燃料デブリ取り出し工法評価小委員会の提言を受けて大規模取り出しの設計検討をすすめた結果、その取り出し準備作業に要する費用等、9,138億円の災害特別損失を計上した。当社グループの当連結会計年度の小売販売電力量は、主に特別高圧・高圧の分野において、厳しい競争環境が続いたことなどから、前連結会計年度に比べ8.1%減の1,719億kWhとなり、これに卸販売電力量を加えた総販売電力量は、前連結会計年度に比べ6.7%減の2,132億kWhとなった。当連結会計年度の連結収支については、売上高(営業収益)は、販売電力量が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ7.1%減の6兆3,285億円となった。経常損益は、販売電力量が減少したものの、燃料費等調整制度の期ずれの影響が好転したことに加え、継続的な収支改善に努めたことなどから、前年度に比べ64.0%増の4,173億円の利益となった。また、関係会社株式の売却益と原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金を合わせた1,849億円を特別利益として計上した一方、前述の災害特別損失と原子力損害賠償費を合わせ9,966億円を特別損失として計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純損益は4,542億円の損失となった。当連結会計年度における各セグメントの業績(セグメント間取引消去前)は次のとおりである。[ホールディングス]子会社の売上が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ3.8%増の8,268億円となった。また、基幹事業会社からの受取配当金が増加したことや、原子力関連費用が減少したことなどから、経常利益は前連結会計年度に比べ1,796億円増の1,289億円となった。[フュエル&パワー]持分法適用関連会社である株式会社JERAにおいて、燃料調達価格影響の改善や、海外発電事業及び再生可能エネルギー事業による利益が増加したことなどから、経常利益は前連結会計年度に比べ44.4%増の833億円となった。[パワーグリッド]需給調整に係る売上の減少があったことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ2.2%減の2兆2,943億円となった。一方、需給調整市場に係る費用が減少したことなどから、経常利益は前連結会計年度に比べ48.8%増の817億円となった。[エナジーパートナー]小売販売電力量の減少したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ10.3%減の4兆9,896億円となった。加えて、電源調達単価が増加したことなどから、経常利益は前連結会計年度に比べ11.4%減の2,549億円となった。[リニューアブルパワー]卸電力販売が減少したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ10.8%減の1,892億円となった。これに伴い、経常利益は前連結会計年度に比べ24.7%減の403億円となった。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況イ.キャッシュ・フロー等(a) キャッシュ・フロー当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。 (b) 有利子負債2026年3月31日現在の社債、長期借入金、短期借入金、コマーシャル・ペーパーについては、以下のとおりである。 当連結会計年度(2026年3月31日) 1年以内(百万円)1年超2年以内(百万円)2年超3年以内(百万円)3年超4年以内(百万円)4年超5年以内(百万円)5年超(百万円)社債220,000359,000376,000365,000350,0001,871,000長期借入金4,48324,17129,29246544,3061,692短期借入金2,926,354-----コマーシャル・ペーパー62,000-----合計3,212,838383,171405,292365,465394,3061,872,692 上記については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)2.金融商品の時価等に関する事項(注2)社債、長期借入金及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額」にも記載。 ロ.財務政策当社グループとして、総合特別事業計画(2012年5月に主務大臣より認定。)において機構から1兆円の出資を受けるとともに、取引金融機関に対し追加与信及び借換え等による与信を維持すること等をお願いしており、ご協力をいただいている。これらの機構や金融機関の支援・協力のもとで、自己資本比率の改善、公募社債市場への復帰を2017年3月に実現しており、2025年度はパワーグリッドにおいて2,900億円の公募社債を発行し、リニューアブルパワーにおいて200億円のグリーンボンドを発行した。引き続き社債の発行を継続する等、当社グループの自律的な資金調達力の回復もはかっていく。金融機関からの借入金や社債の発行により調達した資金は、電気事業等に必要な設備資金、借入金返済及び社債償還等に充当している。設備投資計画については、「第3 設備の状況」のとおりであり、借入金返済及び社債償還の予定については、「② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況 イ.キャッシュ・フロー等 (b) 有利子負債」のとおりである。また、当社グループでは、グループ全体でより効率的な資金の運用を図る観点からグループ金融制度を採用している。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。 ④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等五次総特のとおり、賠償・廃炉に関して、当社グループ全体で年間約5,000億円程度の資金を確保する。加えて、2028 年度以降のフリーキャッシュフローは黒字を確保する。
事業リスク
- 福島第一原発の廃炉作業: 福島第一原子力発電所の廃炉は、前例のない技術的課題が多く、計画通りに進まない可能性があります。燃料デブリの取り出しやALPS処理水の海洋放出におけるトラブル、地域社会からの理解不足などが生じた場合、廃炉作業の長期化や追加費用発生により、業績や財政状態に大きな影響を及ぼすリスクがあります。
- 電力の安定供給リスク: 大規模自然災害、設備事故、テロ、燃料調達の支障、感染症の発生などにより、大規模停電が発生する可能性があります。これにより、電力の安定供給が困難になった場合、社会的信用の低下や事業運営への影響に加え、業績や財政状態にも悪影響を及ぼすリスクが考えられます。
- 原子力政策・規制の見直し: 国の原子力政策や原子力規制委員会による安全規制の見直しは、原子力発電事業や原子燃料サイクル事業の運営に直接的な影響を与える可能性があります。これにより、発電所の稼働停止や追加の安全対策費用が発生した場合、業績や財政状態に大きな影響を及ぼすリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載している。また、必ずしもこれに該当しない事項についても、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示している。当社では、社長を統括責任者、最高リスク管理責任者をリスク運用・管理責任者とするリスク管理体制を整えており、各基幹事業会社の社長、リスク管理担当役員等と連携することにより、平時・リスク顕在化時における当社グループのリスク管理を統括している。取締役及び執行役は、当社及びグループ会社の事業活動に関するリスクを定期的に、また必要に応じて把握・評価し、毎年度の経営計画に適切に反映している。また、グループ全体のリスク管理が適切になされるよう社内規程を整備している。当該リスクは、社内規程に従い、業務所管箇所が、職務執行の中で管理することを基本とし、複数の所管に関わる場合は、組織横断的な委員会等で審議の上、適切に管理している。経営に重大な影響を及ぼすおそれのあるリスクについては、執行役社長を委員長とする「リスク管理委員会」において、リスクの顕在化を予防するとともに、万一顕在化した場合には迅速かつ的確に対応することにより、経営に及ぼす影響を最小限に抑制している。加えて、従業員に対して、関係法令教育や社内規程・マニュアルの教育を定期的に実施している。しかしながら、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況にあり、以下のリスクが顕在化した場合、事業に大きな影響を与える可能性がある。なお、各リスク項目の記載順序については、事業への影響度や発現可能性等を踏まえて判断した重要度に基づいている。本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。 ① 福島第一原子力発電所の廃炉 影響度特大発現可能性高想定されるリスク内容当社では、「東京電力HD(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」に基づき安全に最大限留意しつつ、廃炉作業を進めているが、これまでに経験のない燃料デブリの取り出しにかかる技術的に不透明かつ未解明な課題や、身体汚染、汚染水の漏えい等のトラブルが発生した場合には、廃止措置が計画通りに進捗しない可能性がある。ALPS処理水については、政府の基本方針を踏まえ海洋放出を開始しているが、設備の点検漏れや確認不足、操作ミス等に伴う設備停止等のトラブルの発生、ALPS処理水のモニタリング結果や設備状態に関する情報発信の不十分さ、不誠実な賠償の対応等に伴い、地域や社会の皆さまからのご理解が得られず、これを継続できない可能性がある。汚染水については、地下水流入抑制対策等の重層的な対策により着実に発生量の抑制が進められているが、大雨等により、計画通りに汚染水発生量の抑制ができない可能性がある。 こうした廃炉の取り組みが円滑に進まず、計画以上に長期に及ぶ場合には、当社グループの業績、財政状態及び事業運営に影響を及ぼす可能性がある。対応策廃炉作業は世界でも前例のない取り組みであり、今後の進むべき大きな目標である中長期ロードマップ等をベースに、徐々に得られる新たな情報や知見を踏まえ「廃炉中長期実行プラン」を策定している。「復興と廃炉の両立」を通した「福島への責任を貫徹」を目指し、地域や社会の皆さまのご理解をいただきながら進めるべく、廃炉作業の進捗と今後の見通しについて、より丁寧にわかりやすくお伝えしていく。今後も2号機燃料デブリ試験的取り出し等を通し、新たな情報や知見を一つひとつ集め、「廃炉中長期実行プラン」を進捗や課題に応じて定期的に見直しながら、30~40年後の廃止措置終了に向け、安全に最大限留意しつつ、計画に基づき着実に対応を進めていく。これまでに発生したトラブルを踏まえ、福島第一原子力発電所は、前例に乏しい取り組みが山積していることに加え、高線量下の厳しい環境であることを再認識し、作業毎にリスクを抽出して対策を考え、実行する活動を継続している。さらに、燃料デブリの試験的取り出しの中断事案等を踏まえ、当社は実施主体として、作業の準備段階から細部にわたる手順を確認する等の対策を進めてきた。また、地元企業をはじめ、廃炉に携わる企業との間で、発注側、受注側の立場を超え、廃炉の目的を共有し、達成するため「ワンチーム」をキーワードとして現場レベルでの協働体制の構築を進めていく。ALPS処理水の海洋放出にあたっては、社内において関係部署を横断的に統括する体制を整備し、①設備運用の安全・品質の確保、②迅速なモニタリングと正確な情報発信、③IAEAレビュー等を通じた透明性の確保、④風評対策、そして損害が発生した時の適切な賠償に努めていく。また、その状況を関係者や社会の皆さまに適時お伝えさせていただき、国内外から信頼いただけるよう取り組んでいく。 さらに、建屋屋根の補修や陸側遮水壁内側におけるフェーシング等の重層的な対策を講じるとともに、局所的な建屋止水を進める等の更なる抑制対策により、汚染水の発生量の抑制を図っていく。 ② 電気の安定供給 影響度特大発現可能性高想定されるリスク内容大規模自然災害、設備事故、テロ・暴動等の妨害行為、燃料調達支障、感染症の発生等により、長時間・大規模停電等が発生し、安定供給を確保できなくなる可能性がある。これらの場合、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があるとともに、社会的信用を低下させ、事業運営に影響を及ぼす可能性がある。対応策計画段階における供給力不足(予備率不足)への対応については、国及び電力広域的運営推進機関が主体となり、需給両面からの対策が検討されている。現在、供給側の対策として追加供給力調達の仕組みが議論されているが、その整理が完了する前に供給力不足が生じた場合には、一般送配電事業者を実施主体とするkW公募の実施を国から要請される可能性がある。そのような状況においても、安定供給の維持に向け、グループ一体となって適切に対応していく。また、日々の運用においては、週次で短期的な需給見通しの確認を行い、広域予備率に基づき適切なタイミングで追加の供給力電源の稼働指示やデマンドレスポンス等の発動指示並びに情報発信を行っていく。自然災害の激甚化・広域化については、電力レジリエンスの強化を軸に据え、内閣府中央防災会議等の被害想定をベースとした設備の補強を促進している。設備事故の未然防止の観点からは、計画的かつ効率的に経年設備の更新を進めることで安定供給の維持に取り組んでいる。テロ・暴動等の妨害行為へは、関係機関との平時からの緊密な連携により備えている。被害軽減の観点からは、複数の送電系統を連系する設備の多重化により、設備の故障時に停電範囲や停電時間を極小化する取り組みを進めるとともに、被災設備の早期復旧に向けては、デジタル技術の積極的活用や、分散型電源として蓄電池・電動車両等も活用した電力供給手段の多様化、復旧資機材の確保や当社グループ一体での災害対応体制の整備、各種ハザードを想定した社内訓練や海上・陸上自衛隊、海上保安庁、さらには国・自治体・一般送配電事業者等の関係者との連携・協働の強化等を図っている。燃料調達については、中東の軍事的緊張等に伴う世界的なLNG需要拡大による燃料調達リスクに対しても、株式会社JERAにおいて、米国LNG最大550万トンの新規調達等のLNGポートフォリオの強靭化を図るとともに、JERA Global Markets社を通じた燃料トレーディング等によるLNG調達の最適化により、可能な限り安定的かつ柔軟な燃料調達に努めていくとともに、当社としてモニタリングに努めていく。感染症対策については、基本的な感染対策の徹底やテレワーク・時差出勤の活用により社員の健康と安全を確保するとともに、感染症拡大に伴うエネルギー産業の構造変化、社会の動向を踏まえたビジネスモデルへの変化についても注視しながら必要な対応を適切に実施していく。 ③ 原子力発電・原子燃料サイクル 影響度特大発現可能性高想定されるリスク内容国による原子力政策の見直しや原子力規制委員会による安全規制の見直し等により、当社グループの原子力発電事業や原子燃料サイクル事業の運営は影響を受ける可能性があるとともに、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。原子力発電は、第7次エネルギー基本計画において「再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用することが必要不可欠である。」と記載されており、カーボンニュートラル実現に不可欠であることに加え、低廉で安定的な電力の供給、レジリエンス強化の観点からも重要な電源である。送電を再開した柏崎刈羽原子力発電所6号機の安定運転を継続するとともに、特定重大事故等対処施設の工事を安全最優先で一つひとつ着実に進め、発電所として安定的かつ継続的に稼働できる状態を目指していく。安定的に稼働できない場合には、火力燃料費の増加等により当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。使用済燃料の再処理、放射性廃棄物の処分、原子力発電施設等の解体のバックエンド事業については、多額の資金と長期にわたる事業期間が必要になるが、その遂行が滞ることなく適切に実施されるよう制度措置がされている。具体的には、使用済燃料の再処理や放射性廃棄物の処分、原子力発電施設等の解体については、それに要する費用を拠出する制度が措置されている。こうした国による制度措置等によりバックエンド事業に関する不確実性は低減されているが、制度措置等の見直しや制度外の将来費用の見積額の増加、日本原燃株式会社の六ヶ所再処理施設等の稼働状況、同ウラン濃縮施設に係る廃止措置のあり方等により、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。対応策原子力発電に関しては、柏崎刈羽原子力発電所6号機にて、プラント設備の健全性確認を一つひとつ慎重に進め、送電を再開した。引き続き、発電所の安全性向上や核物質防護に関する改善の取り組みに継続的に取り組むとともに、地域の皆さまに対して、発電所の取り組みを丁寧に説明していく。また、地域の皆さまの声を発電所の安全や運営の改善に活かして、地域や社会から信頼される組織や企業文化を醸成することを目指し、柏崎刈羽原子力発電所に必要な本社機能の順次移転や組織再編を検討していく。バックエンド事業に関しては、国の政策や関連する制度措置に則って適切に対応していくことで不確実性の低減を図るとともに、今後の政策、制度の動向を注視していく。また、六ヶ所再処理事業やウラン濃縮事業等の原子燃料サイクル事業の推進に協力していく。高レベル廃棄物の最終処分については、当社は、廃棄物の発生者として基本的な責任を有する立場から、お問い合わせ窓口を設置する等、国や原子力発電環境整備機構(NUMO)と連携しながら、地層処分の実現に向け、理解活動に積極的に取り組んでいる。 ④ 電源調達費用・販売価格・販売電力量 影響度特大発現可能性高想定されるリスク内容販売価格は「燃料費調整制度」及び、「市場価格調整制度」により価格が変動することで電源調達費用の変動をヘッジし、収支変動影響は緩和される。ただし、期ずれや販売と調達の構成差等により、燃料価格・市場価格が大きく変動する場合は収支が悪化する可能性がある。特に、昨今の中東情勢緊迫化を受け、今後、燃料価格・市場価格が変動し、その影響を受ける可能性がある。また、販売電力量は、気温や天候の影響、経済活動、生産活動に加え、節電や省エネルギー、カーボンニュートラル社会の実現に向けた対応等の政策面、さらに小売市場の競争状況等の影響を受ける可能性がある。これらにより、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。対応策電源調達費用、販売価格に関しては、電力デリバティブを活用したヘッジ取引、調達先の拡大等によるコスト削減等で、上述リスクの影響の最小化を図っている。また、「特別高圧・高圧」のお客さまを対象に最新の販売動向、電源調達動向を適切に料金に反映させていただくため、燃料費調整、及び市場価格調整の算定諸元の見直しをさせていただいた。販売電力量に関しても、価格変動を抑制する料金プランを求めるお客さまからのニーズに応じて、市場価格調整の割合が異なる3種類の電気料金プランの提供を開始させていただいた。加えて、中東情勢緊迫化による電力・燃料価格の大幅な価格変動影響による収支リスクの低減のために、成約済の「特別高圧・高圧」のお客さまへメニュー変更等の勧奨を行い、販売と調達の構成差の解消に努めている。今後もより一層、徹底した経営効率化に取り組むとともに、お客さまニーズや市況に応じたサービスの提供や販売価格算定における原子力発電の再稼働の一部織り込みによる卸電力市場価格等の影響幅の圧縮等も実施し、お客さまのご負担を軽減しつつ、当社グループの財政状態の改善を図っていく。 ⑤ 火力発電用燃料価格 影響度大-特大発現可能性高想定されるリスク内容LNG、原油、石炭等の価格は、燃料国際市況や外国為替相場の動向等により変動し、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。特に中東の軍事的緊張等を受けた全世界的な燃料価格の高騰により、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。対応策株式会社JERAにおいて、世界最大級の調達規模を梃子に構築している価格競争力、価格変動リスク対応力に優れた燃料ポートフォリオ、JERA Global Marketsによる燃料トレーディング及び先物市場におけるヘッジの活用等により燃料価格変動に伴うリスク対応に努めていく。 ⑥ 電気事業制度・エネルギー政策変更 影響度大-特大発現可能性中想定されるリスク内容電気事業における制度変更を含めたエネルギー政策の見直し、地球温暖化に関する環境規制の強化等、事業を進めていく上での政策面での変化への対応により、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。対応策エネルギー政策や電気事業に係る制度、環境規制に関する動向等の必要な情報を幅広く、積極的に収集し、関係箇所で連携しながら様々な場を通じて当社グループの考え方を説明するとともに、必要な対応を実施していく。 ⑦ お客さまサービス 影響度大-特大発現可能性中-高想定されるリスク内容法令に反するお客さま応対等により、お客さまからの当社グループ及び当社が提供するサービスへの満足度や社会的信用が大きく低下し、当社グループの業績、財政状態及び円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。対応策当社グループは、2021年7月に新たな経営理念を定め、その理念の下で総合特別事業計画に示す具体的戦略の実現に向けて、お客さまのために変革を恐れず挑戦する新たな企業文化を確立し、信頼され、選ばれ続ける企業になることを目指している。販売活動等を担う東京電力エナジーパートナー株式会社においては、お客さまサービスの向上のために、実務に即した研修・教育や応対スクリプトの整備等を行うとともに、電話・訪問の機会を通じて収集した「お客さまの声」を業務改善に活かしている。 また、同社社長を委員長、弁護士及び消費者団体役員を社外委員、関係役員・部室長を委員とする営業品質管理委員会(半期に1回以上開催)において、不適切事例の再発防止に向けた各種取り組み、関連法令の改正への対応状況及びお客さまのWeb手続きの改善等の営業品質向上の取り組みを社内横断的に評価・確認し、更なる業務の改善に活かしている。 ⑧ 安全確保・品質管理・環境汚染防止 影響度大-特大発現可能性中-高想定されるリスク内容当社グループは、あらゆる事業、部門、事業所において、安全確保、品質管理、環境汚染防止に加え、それらの状況について透明性・信頼性の高い情報公開の徹底に努めているが、作業ミス、法令・社内ルール違反等による事故や人身災害、大規模な環境汚染の発生、不適切な広報・情報公開により、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。対応策当社グループは、企業の社会的責任を果たすため「東京電力グループ企業行動憲章」を制定し、そのもとで、事業活動のあらゆる場面において安全を最優先に掲げ、安全管理の取り組みについて、法令の遵守及び現場を起点とした安全活動による実効性があるルール・施策を策定・展開し、継続的に評価・改善に取り組んでいる。特に、原子力事業では、管理者が現場における設備・人の状況を定期的に確認・改善する等、現地現物を重視した安全・品質の向上に加え、社外の視点や知見を積極的に取り入れる目的で新たに設置した「柏崎刈羽原子力発電所運営会議」等の外部専門家による指導・助言等も踏まえながら継続的な改善に取り組んでいる。品質管理や環境管理についても、規程・マニュアル等により遵守すべきルールを定め徹底するとともに、内部監査等によりその遵守状況を確認し、必要な改善を適宜実施している。情報公開については、お客さまや地域、社会の皆さまに必要な情報が正確に迅速に伝わることを意識して取り組んでいる。 ⑨ 企業倫理遵守 影響度大-特大発現可能性中-高想定されるリスク内容 当社グループは、企業倫理を遵守した業務運営を定着させるための取り組みに努めているが、法令違反等の企業倫理に反した行為が発生した場合、当社グループへの社会的信用が低下する等、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。 中でも、昨今、企業への要請の高まりが見られる「人権」については、社員、グループ会社社員の理解不足に起因する人権侵害が発生した場合、当社への批判等により、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。 また、原子力事業においては、安全文化醸成並びに核セキュリティ文化醸成の方針のもと、従事者に具体的に求められる行動を明確化し、一人ひとりが実践できるよう教育や対話活動等に取り組んでいる。 しかしながら、これらの取り組みが不十分な場合には、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。対応策「東京電力グループ企業行動憲章」及び「東京電力グループ企業倫理遵守に関する行動基準」を定め、会社としての方向性や役員・従業員が遵守すべき具体的行動を明確にするとともに、社長を委員長とし社外有識者を含めた委員で構成する東京電力グループ企業倫理委員会を設置し、企業倫理の定着を図るための諸施策の審議・決定及びその実践状況について指導・助言を受け、組織ごとに企業倫理責任者・企業倫理担当者を配置することにより、東京電力グループ一体となった定着活動を実施している。また、定期的に実施する意識調査において定着度合いを確認し、その結果を踏まえ、今後の活動方針を決定している。さらに、東京電力グループ大で利用できる企業倫理相談窓口を社内外に設置し、グループ全体で企業倫理に反する行為の未然防止を図っている。人権尊重の推進にあたっては、国際連合のビジネスと人権に関する指導原則に準拠した「東京電力グループ人権方針」(2021年8月)に基づき取り組んでいる。具体的には、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築、eラーニングや研修による教育、救済メカニズムとしてあらゆるステークホルダーが利用可能な通報窓口の設置等を実施しており、これら取り組みのプロセスや実効性の評価結果を積極的に情報開示している。原子力事業においては、柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護事案等を受け、経営層による所員との対話活動を通じて作成した「柏崎刈羽原子力発電所の志」に基づく発電所運営を行っている。発電所の状況変化に応じて活動を充実していくことで、内部コミュニケーションや所員のモチベーションを改善し、地域の皆さまから信頼される発電所を実現するための取り組みを継続して行っている。 ⑩ 情報管理・セキュリティ 影響度大-特大発現可能性高想定されるリスク内容サイバー事案や作業ミス、社内ルール違反等に伴い、電力供給やお客さまサービスに支障を与えた場合、及び当社グループが保有するお客さま情報や業務上の重要な情報が流出した場合には、当社グループの社会的信頼が失墜し、事業運営に甚大な影響を及ぼす可能性がある。対応策高度化・巧妙化するサイバー事案に関しては、原子力事業進展や地政学変化を踏まえた脅威分析、防御対策、常時監視、対応・復旧訓練等のあらゆる手段を用いてサイバーセキュリティ強化に努めている。 重要な情報の管理に関しては、社内規程の整備や情報流出等によって生じるお客さまや社会への影響について社員へ教育・啓発を行うとともに、社内システムの適正なアクセス制御や外部記憶媒体への情報書き出し制限等のシステム上の対策も実施している。 ⑪ 資材調達 影響度大-特大発現可能性高想定されるリスク内容大規模災害の発生、国際情勢の緊迫化、感染症の蔓延等の影響によるサプライチェーンの混乱に加え、物価上昇、建設業をはじめとする担い手不足、さらに国内外調達先の倒産・撤退や海外依存度の高い資材の供給量低下といったサードパーティリスクの高まりにより、調達コストが高騰し、計画的な調達が阻害され、当社グループの業績、財政状態及び円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。特に昨今の中東情勢等の地政学問題に起因する納品の遅れや製造不能は、電力の安定供給に支障をきたす可能性がある。また、建設業法、働き方改革関連法等の改正により、工事・委託発注及び資材調達に関わる取引の適正化や発注者としての誠実な対応が一層求められており、これらの対応が不十分な場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性がある。加えて、当社のサプライチェーンにおいて当社グループ又は調達先が万が一、環境破壊や人権侵害に加担していたことが判明した場合、社会的信用を低下させ、事業運営に影響を及ぼす可能性がある。対応策当社グループにおけるサプライチェーンの持続的な確保に向けて、調達先については、取引先登録制度を採用し、あらかじめ適格性を担保するとともに、パートナーシップ構築宣言に示す当社グループのサプライチェーン全体の共存共栄を目指し、競争と共創拡大の方針のもと、調達先の多様化を図っている。昨今の国際情勢の緊迫化等から、主要サプライヤより調達リスク情報を定期的に収集のうえ、資材の納品遅れや製造不能の発生については、早期発注に加え、代替品の検討や在庫管理の徹底と工程調整による欠品リスクの回避、予備品の確保等で対処している。加えて、物価上昇や担い手不足に対しては、サプライヤと十分に連携したうえで資材、要員確保を計画することで調達コストの抑制に努めるほか、サプライヤの動向把握や代替取引先の発掘に努めている。また、当社グループは、建設業法、働き方改革関連法等の動向を踏まえ、発注・調達体制の整備、及び取引先との適切な協議や対話を進めることにより、安定的な事業運営に努めている。さらに、環境問題・人権問題への社会的関心の高まりや、その重要性に鑑みて、「東京電力グループ調達基本方針」、「サステナブル調達ガイドライン」に則った、環境や人権問題に対する取り組み状況の確認や対話を通じた信頼関係の構築等を行うことで、サプライチェーン全体での持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいる。 ⑫ 物価・金利の変動 影響度大-特大発現可能性高想定されるリスク内容当社グループは、国内電気事業に必要な発電・送変電・配電設備等の多数の設備を保有し、これらの設備の建設・更新工事等を計画的に進めていくために多額の投資資金が必要であり、近年は減価償却費を上回る設備投資額となっている。なお、これらの必要資金に充当するため自己資金のほか金融機関からの借入及び社債の発行により資金を調達しており、当社グループの有利子負債残高は、2026年3月末時点で6兆6,337億円(総資産の43%に相当)となっている。 このため、物価・金利の変動については、設備投資・支払利息等の変動に繋がることから、今後の動向により、当社グループの業績及び財政状態に影響を受ける可能性がある。対応策設備投資については、電気の安定供給の確保を大前提とした上で、中長期にわたる徹底的な投資精査・経営合理化を図り、収益性・資本効率性の最大化を目指していく。 また、支払利息に関しては、固定金利の社債発行で資金調達を実施する等、金利変動リスクの低減に努めている。 ⑬ 気候変動等に関する取り組み 影響度大発現可能性中想定されるリスク内容気候変動に関する規制の強化やエネルギー政策の見直しにより、小売電気事業において電力調達費用が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。また、GX・DXの進展に伴う再生可能エネルギーの普及拡大等の電力需給構造の変化により、送配電事業において系統の安定性確保に向けた系統増強等の対策費用が増加する可能性がある。加えて、ESGに関する取り組み停滞により、ESG投資市場でのレピュテーション悪化につながり、当社グループの資金調達や株価に影響を及ぼす可能性がある。対応策気候変動関連の規制強化やエネルギー政策の見直しについては、国内外の制度動向を継続的かつ能動的に把握するとともに、関係箇所で連携しながら様々な場を通じて当社グループの考え方を説明するとともに、必要な対応を実施していく。また、GX・DXの進展に伴う再生可能エネルギーの普及拡大や電力需給構造の変化に対しては、分散型電源やお客さま設備の活用、需給調整力の高度化、次世代ネットワークの構築等を通じて系統の安定性向上を図るとともに、適地提案等により設備形成を計画的に推進し、安定的かつ低廉な電力供給の維持に努めていく。 ESGに関する取り組みについては、株主・投資家の皆さまとの継続的なエンゲージメントを通じて、ご意見やご関心事項を的確に把握し、これらを踏まえたESGに関する取り組みの強化及び情報開示の充実を図り、当社グループのESGへの取り組みに対する理解と信頼の向上に努めていく。加えて、金融商品取引法にもとづくサステナビリティ情報の開示義務化を見据え、体制整備やデータ管理の高度化等の必要な準備を計画的に進めていく。 ⑭ 五次総特に基づく経営改革 影響度大発現可能性中-高想定されるリスク内容五次総特の下、当社グループは、福島への責任を果たしていくために、不断の経営改革に取り組み、賠償・廃炉に必要な資金の確保及び企業価値の向上を目指している。今後、前人未踏の領域である廃炉の貫徹に向けた改革や、GX・DX等による電力需要増への安定供給責任の全うと事業成長に向けた取り組み、経営合理化や資産売却等を通じた財務状況の改善、中長期的な廃炉と企業価値向上を両立するためのアライアンスの具体化等の経営改革が計画通りに進まない場合には、当社グループの業績、財政状態及び事業運営に影響を及ぼす可能性がある。対応策五次総特に基づく経営改革を実現していくために、責任者・期限・達成すべき内容等をアクションプランとして作成し、取り組みを進めていく。また、各アクションプランの進捗状況については重要度に応じたモニタリングを実施し、PDCAを回すことで計画を達成していく。経営合理化の計画の確実な実現に向けては、改善策の進捗状況を適時確認し、変動リスクへのリカバリー対応が機動的に講じられるよう、適切なモニタリング対応を進めていく。最重要課題である廃炉事業の改革、アライアンスの実現等については、執行としての責任を果たすための体制整備や今後の最適な経営体制の整備を早急に進めていく。なお、アライアンスに関しては、社外取締役を中心とした社内委員会にて、アライアンスパートナーからの提案や枠組み・仕組み等に係る精査・評価等、詳細かつ専門的な議論を進め、実現につなげていく。また、五次総特を共同策定した原子力損害賠償・廃炉等支援機構と密に連携のうえ、当該機構の運営委員会での経営改革の実行に係る継続的な審議も踏まえながら、最重要課題への対応に関する検討、経営判断に向けた工程管理を徹底する。 ⑮ 原子力損害賠償・廃炉等支援機構による当社株式の引き受け 影響度大発現可能性中-高想定されるリスク内容当社は、2012年7月31日に原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下「機構」という。)を割当先とする優先株式(A種優先株式及びB種優先株式。以下A種優先株式及びB種優先株式をあわせて「本優先株式」という。)を発行した。A種優先株式には、株主総会における議決権のほか、B種優先株式及び普通株式を対価とする取得請求権が付されている。また、B種優先株式には、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会における議決権は付されていないが、A種優先株式及び普通株式を対価とする取得請求権が付されている。 機構は、本優先株式の引受けにより総議決権の2分の1超を保有しており、株主総会における議決権行使等により、当社グループの事業運営に影響が生じる可能性がある。今後、機構によりB種優先株式のA種優先株式を対価とする取得請求権の行使がなされた場合、又は本優先株式について、普通株式を対価とする取得請求権の行使がなされた場合には、既存株式の希釈化が進む可能性がある。特に、普通株式を対価とする取得請求権が行使された場合には、既存株式の希釈化が進む結果として、持株会社である当社の株価が下落する可能性があるほか、当該普通株式を機構が市場売却した場合には、売却時の市場環境等によっては、さらに持株会社である当社の株価に影響を及ぼす可能性がある。対応策当社グループ一体となって福島への責任貫徹を第一に、社会からの信頼回復、企業価値向上に向けて、経営合理化や原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会からの提言への対応も含め、引き続き最大限の努力を行っていく。 ⑯ 電気事業以外の事業 影響度大発現可能性高想定されるリスク内容当社グループは、海外事業を含む電気事業以外の事業を実施している。これらの事業は、当社グループの経営状況の変化に加え、国際情勢の緊迫化、気候変動、顧客ニーズの変容、市況の変化(物価高騰、金利上昇、他社動向等)、サプライチェーン上の人権侵害、従業員の生命・身体に対する脅威等により、投融資時点で想定した結果をもたらさず、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。対応策当社グループの事業や従業員の安全に影響を与えうる政治的経済的な情勢、特に地政学リスクの高まりといった変化や潮目に対する感度を高くし、海外事務所と連携しながらタイムリーに現地情報を収集する等してリスクの回避並びに低減に努めている。 また、実施案件については、実施前には建設費の高騰や金利上昇等による投資採算性のリスク評価を含む厳格な投融資審査基準を設けて案件を厳選するほか、実施中は収益性やリスクに係るモニタリングを四半期ごとに行い不採算事業は撤退・縮小する等、業績悪化リスク低減に努めている。