有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
FY2026 FY2023 FY2020 FY2019 FY2018
経営方針・経営戦略
1 【経営方針,経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において判断したものである。 (1) 会社の経営の基本方針浜岡原子力発電所の新規制基準適合性審査における基準地震動策定に係る不適切事案につきましては,現在も独立した外部専門家のみで構成される調査委員会(以下,「調査委員会」という。)による調査が継続しておりますが,ステークホルダーのみなさまから再び信頼される企業へと生まれ変わるため,先行して改善すべき事項として,「意識・行動の変革」,「組織・組織風土の変革」,「ルール・仕組みの強化」を柱とする取り組みを着実に進めております。今後,調査委員会による調査結果も踏まえ,このような不適切事案を二度と生じさせることがないよう,さらなる改善策・対応策を検討・立案し,全社を挙げて取り組んでまいります。当社は,「人と社会のつながりを,幸せのエネルギーに」という企業理念のもと,経営ビジョン2.0の達成に向けグループ一体となって事業に取り組んでまいりました。当社を取り巻く事業環境として,燃料価格につきましては,中東情勢の影響などにより,不確実性がさらに高まっております。また,物価・労務単価・金利のさらなる上昇に加え円安も進行するなど,国内外における投資環境の不透明性がこれまで以上に増しております。さらに,人口減少などに伴う社会課題が顕在化しております。中長期的には,GX(グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展などにより電力需要の見通しが増加傾向に変化しており,エネルギー安定供給確保,経済成長,脱炭素の同時実現に向けた制度設計の検討が進められております。当社は,経営ビジョン2.0の達成に向けグループ一体となって,電力の安定供給確保,分散・循環型システムが併用された安全で安心な脱炭素社会の実現,事業構造の変革を通じた新たな収益源の獲得・拡大,電化等による需要創出に取り組んでまいりました。また,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させることで,SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献し,持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。 (2) 目標とする経営指標2025年度は,中期経営計画の最終年度であり,中期経営目標として掲げた「連結経常利益2,000億円以上,ROIC3.2%以上」を達成いたしました。2026年4月には,「中部電力グループ 新中期経営計画の骨子」を公表いたしました。新たな中期経営計画につきましては,調査委員会による調査結果を踏まえ,必要な事項を反映のうえ公表いたします。 (3) 中長期的な会社の経営戦略・会社の対処すべき課題「選択と集中」を進め,エネルギー事業をコアとした成長の実現に向けて,多角化から転換し,エネルギーとシナジーが発揮できる事業に集中することで,中期的にROE(自己資本利益率)8%以上の達成を目指してまいります。具体的には,中部地域に根差した顧客基盤・ブランド力や面的拠点,エネルギー事業で培った知見・人財,挑戦を続ける開拓者精神といった当社グループの強みを活かし,需要造成・安定供給,低・脱炭素価値提供,シナジー事業の展開,グループ経営の深化を成長戦略の4つの柱と位置づけ,これらを着実に推進することで,持続的な成長を実現してまいります。また,これらの柱を実現するための基盤として,AI等の先端技術を実装し,業務変革(生産性の向上)や事業・サービスの高度化を推進してまいります。「選択と集中」の方向性については,エネルギー事業とのシナジーの発揮を前提に,成長性・資本効率の観点から事業の選択を進めるとともに,持続的な成長に向けた経営資源の適切な配分を通じて,事業ポートフォリオの見直しを図ってまいります。資本政策につきましては,自己資本比率30%半ばから後半を目安とした最適資本構成の考え方は堅持し,中期的なROE8%以上実現の観点も踏まえた資本政策を検討・実施してまいります。このような経営戦略のもと,以下の課題への対応を通じて,中部電力グループ全体の持続的成長と企業価値の向上を果たしてまいります。 (S(安全性の確保)+3E(エネルギー安定供給・経済効率性・環境適合性)の実現に向けた取り組み)中部電力グループは,特定の電源に依存せず,多様かつバランスの取れた電源構成が重要であるとの考えにもとづき,エネルギー安全保障に寄与し脱炭素効果の高い再生可能エネルギーや原子力発電の最大限の活用などに取り組んでまいります。供給力・調整力として重要な役割を担う火力発電につきましては,その担い手であるJERAにおいて,短期的には,中東情勢の影響などを踏まえ,政府の方針にもとづいた石炭火力の活用や設備の確実な運用,トレーディングも活用した燃料の安定的な確保に取り組んでまいります。中長期的には,安定供給と低炭素化の両立に資するLNG火力発電の活用等に取り組むとともに,長期安定的な燃料の確保に努めてまいります。また,JERAゼロエミッション2050のもと,非効率石炭火力の停廃止や水素・アンモニアのサプライチェーンの構築を含むゼロエミッション電源の追求など,着実な脱炭素化にも取り組んでまいります。再生可能エネルギーにつきましては,2017年度比で「2030年頃に保有・施工・保守を通じた320万kW(80億kWh)以上」の拡大を目指し,投資環境・制度動向を見極めながら開発に取り組むとともに,グループ会社による太陽光発電設備の保守・施工などを進めてまいります。さらに,中長期的な電力需要の見通しが増加傾向にある中,経済合理的な設備形成やウェルカムゾーンの公表を通じた大規模需要の適地誘導等のより良い連系サービスの提供に取り組むとともに,系統の次世代化も進めてまいります。加えて,太陽光発電をはじめとした自然変動電源の予測精度向上,他の一般送配電事業者と連携した広域的な需給運用の拡大などにより,中部エリアに加え全国の安定供給の維持に寄与してまいります。 (浜岡原子力発電所の状況)浜岡原子力発電所につきましては,新規制基準を踏まえたさらなる安全性向上対策や原子力発電の理解向上に向けた取り組みを進めるとともに,3・4号機の新規制基準適合性審査を受けておりましたが,2026年1月に公表した基準地震動策定に係る不適切事案を受け,いずれも中断しております。当社は,調査委員会による調査に全面的に協力するとともに,地域のみなさまなどに対し,本事案の概要や現在の発電所の状況をご説明するなどしております。 (エネルギー領域の成長に向けた取り組み)当社は,DXやAX(AIトランスフォーメーション)を推進する中核組織として,2026年4月にデジタル変革推進本部を設置いたしました。同本部のもと,先端技術の実装などを通じて生産性向上やビジネスモデル変革を進め,グループ全体の収益力の向上を目指してまいります。また,産業集積地である中部エリアの特性を踏まえ,産業プロセスの電化や地域産業のDX化に資するソリューションを提供し,電力需要の拡大につながる取り組みを推進してまいります。さらに,DER(分散型エネルギー資源)を活用した高度なエネルギーマネジメントを実現し,最適なエネルギー利用と多様な価値の創出を進めてまいります。 (エネルギー事業とのシナジーが見込まれる領域の取り組み)中部電力グループは,DXやAXを推進し,事業活動で得られた情報やデータの連携・利活用を進めるとともに,エネルギー事業とのシナジーが見込まれる領域で事業を展開し,新たな価値を創出してまいります。2026年4月には,社内外との連携・協業を加速し,サーキュラーエコノミーの実現に貢献する事業・サービスを機動的に展開するため,マルチユーティリティ本部を設置いたしました。同本部のもと,上下水道・資源循環事業などに取り組み,社会課題の解決に貢献してまいります。また,不動産事業につきましては,不動産事業本部が中心となり,エネルギーに加え,社会課題の解決に資する事業とのシナジーを発揮できるよう,グループ一体となってまちづくりを推進してまいります。 (資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組み)中部電力グループは,企業価値向上を重要な経営課題と考えており,東京証券取引所の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請も踏まえ,取り組みを進めております。資本効率の向上については,政策保有株の売却などに取り組んできておりますが,今後は,事業ポートフォリオの組み替えや資産の入れ替え,事業別ROICの目標化などを進めるほか,安全・安定供給に関わる投資は着実に実施したうえで成長投資とのバランスを踏まえ,自己株取得の実施余地や時期・規模の考え方を整理するなど資本政策の検討も含め,ROE8%以上の達成を目指してまいります。また,資本市場の皆さまとの対話を継続し,定量的な情報の開示充実を進め,企業価値向上に努めてまいります。なお,これらの取り組みについては,新たな中期経営計画において具体的に取りまとめ,公表させていただきます。 中部電力グループは,脱炭素社会の実現,社会課題の解決,大規模災害時における事業継続やサイバーセキュリティの高度化など,ESGの観点を踏まえた事業経営を深化させることで,SDGsの達成に貢献し,持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。今後とも,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,企業の社会的責任(CSR)を果たすことで,ステークホルダーのみなさまとともに,社会の持続的な発展(サステナビリティ)に貢献してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針,経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において判断したものである。 (1) 会社の経営の基本方針浜岡原子力発電所の新規制基準適合性審査における基準地震動策定に係る不適切事案につきましては,現在も独立した外部専門家のみで構成される調査委員会(以下,「調査委員会」という。)による調査が継続しておりますが,ステークホルダーのみなさまから再び信頼される企業へと生まれ変わるため,先行して改善すべき事項として,「意識・行動の変革」,「組織・組織風土の変革」,「ルール・仕組みの強化」を柱とする取り組みを着実に進めております。今後,調査委員会による調査結果も踏まえ,このような不適切事案を二度と生じさせることがないよう,さらなる改善策・対応策を検討・立案し,全社を挙げて取り組んでまいります。当社は,「人と社会のつながりを,幸せのエネルギーに」という企業理念のもと,経営ビジョン2.0の達成に向けグループ一体となって事業に取り組んでまいりました。当社を取り巻く事業環境として,燃料価格につきましては,中東情勢の影響などにより,不確実性がさらに高まっております。また,物価・労務単価・金利のさらなる上昇に加え円安も進行するなど,国内外における投資環境の不透明性がこれまで以上に増しております。さらに,人口減少などに伴う社会課題が顕在化しております。中長期的には,GX(グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展などにより電力需要の見通しが増加傾向に変化しており,エネルギー安定供給確保,経済成長,脱炭素の同時実現に向けた制度設計の検討が進められております。当社は,経営ビジョン2.0の達成に向けグループ一体となって,電力の安定供給確保,分散・循環型システムが併用された安全で安心な脱炭素社会の実現,事業構造の変革を通じた新たな収益源の獲得・拡大,電化等による需要創出に取り組んでまいりました。また,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させることで,SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献し,持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。 (2) 目標とする経営指標2025年度は,中期経営計画の最終年度であり,中期経営目標として掲げた「連結経常利益2,000億円以上,ROIC3.2%以上」を達成いたしました。2026年4月には,「中部電力グループ 新中期経営計画の骨子」を公表いたしました。新たな中期経営計画につきましては,調査委員会による調査結果を踏まえ,必要な事項を反映のうえ公表いたします。 (3) 中長期的な会社の経営戦略・会社の対処すべき課題「選択と集中」を進め,エネルギー事業をコアとした成長の実現に向けて,多角化から転換し,エネルギーとシナジーが発揮できる事業に集中することで,中期的にROE(自己資本利益率)8%以上の達成を目指してまいります。具体的には,中部地域に根差した顧客基盤・ブランド力や面的拠点,エネルギー事業で培った知見・人財,挑戦を続ける開拓者精神といった当社グループの強みを活かし,需要造成・安定供給,低・脱炭素価値提供,シナジー事業の展開,グループ経営の深化を成長戦略の4つの柱と位置づけ,これらを着実に推進することで,持続的な成長を実現してまいります。また,これらの柱を実現するための基盤として,AI等の先端技術を実装し,業務変革(生産性の向上)や事業・サービスの高度化を推進してまいります。「選択と集中」の方向性については,エネルギー事業とのシナジーの発揮を前提に,成長性・資本効率の観点から事業の選択を進めるとともに,持続的な成長に向けた経営資源の適切な配分を通じて,事業ポートフォリオの見直しを図ってまいります。資本政策につきましては,自己資本比率30%半ばから後半を目安とした最適資本構成の考え方は堅持し,中期的なROE8%以上実現の観点も踏まえた資本政策を検討・実施してまいります。このような経営戦略のもと,以下の課題への対応を通じて,中部電力グループ全体の持続的成長と企業価値の向上を果たしてまいります。 (S(安全性の確保)+3E(エネルギー安定供給・経済効率性・環境適合性)の実現に向けた取り組み)中部電力グループは,特定の電源に依存せず,多様かつバランスの取れた電源構成が重要であるとの考えにもとづき,エネルギー安全保障に寄与し脱炭素効果の高い再生可能エネルギーや原子力発電の最大限の活用などに取り組んでまいります。供給力・調整力として重要な役割を担う火力発電につきましては,その担い手であるJERAにおいて,短期的には,中東情勢の影響などを踏まえ,政府の方針にもとづいた石炭火力の活用や設備の確実な運用,トレーディングも活用した燃料の安定的な確保に取り組んでまいります。中長期的には,安定供給と低炭素化の両立に資するLNG火力発電の活用等に取り組むとともに,長期安定的な燃料の確保に努めてまいります。また,JERAゼロエミッション2050のもと,非効率石炭火力の停廃止や水素・アンモニアのサプライチェーンの構築を含むゼロエミッション電源の追求など,着実な脱炭素化にも取り組んでまいります。再生可能エネルギーにつきましては,2017年度比で「2030年頃に保有・施工・保守を通じた320万kW(80億kWh)以上」の拡大を目指し,投資環境・制度動向を見極めながら開発に取り組むとともに,グループ会社による太陽光発電設備の保守・施工などを進めてまいります。さらに,中長期的な電力需要の見通しが増加傾向にある中,経済合理的な設備形成やウェルカムゾーンの公表を通じた大規模需要の適地誘導等のより良い連系サービスの提供に取り組むとともに,系統の次世代化も進めてまいります。加えて,太陽光発電をはじめとした自然変動電源の予測精度向上,他の一般送配電事業者と連携した広域的な需給運用の拡大などにより,中部エリアに加え全国の安定供給の維持に寄与してまいります。 (浜岡原子力発電所の状況)浜岡原子力発電所につきましては,新規制基準を踏まえたさらなる安全性向上対策や原子力発電の理解向上に向けた取り組みを進めるとともに,3・4号機の新規制基準適合性審査を受けておりましたが,2026年1月に公表した基準地震動策定に係る不適切事案を受け,いずれも中断しております。当社は,調査委員会による調査に全面的に協力するとともに,地域のみなさまなどに対し,本事案の概要や現在の発電所の状況をご説明するなどしております。 (エネルギー領域の成長に向けた取り組み)当社は,DXやAX(AIトランスフォーメーション)を推進する中核組織として,2026年4月にデジタル変革推進本部を設置いたしました。同本部のもと,先端技術の実装などを通じて生産性向上やビジネスモデル変革を進め,グループ全体の収益力の向上を目指してまいります。また,産業集積地である中部エリアの特性を踏まえ,産業プロセスの電化や地域産業のDX化に資するソリューションを提供し,電力需要の拡大につながる取り組みを推進してまいります。さらに,DER(分散型エネルギー資源)を活用した高度なエネルギーマネジメントを実現し,最適なエネルギー利用と多様な価値の創出を進めてまいります。 (エネルギー事業とのシナジーが見込まれる領域の取り組み)中部電力グループは,DXやAXを推進し,事業活動で得られた情報やデータの連携・利活用を進めるとともに,エネルギー事業とのシナジーが見込まれる領域で事業を展開し,新たな価値を創出してまいります。2026年4月には,社内外との連携・協業を加速し,サーキュラーエコノミーの実現に貢献する事業・サービスを機動的に展開するため,マルチユーティリティ本部を設置いたしました。同本部のもと,上下水道・資源循環事業などに取り組み,社会課題の解決に貢献してまいります。また,不動産事業につきましては,不動産事業本部が中心となり,エネルギーに加え,社会課題の解決に資する事業とのシナジーを発揮できるよう,グループ一体となってまちづくりを推進してまいります。 (資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組み)中部電力グループは,企業価値向上を重要な経営課題と考えており,東京証券取引所の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請も踏まえ,取り組みを進めております。資本効率の向上については,政策保有株の売却などに取り組んできておりますが,今後は,事業ポートフォリオの組み替えや資産の入れ替え,事業別ROICの目標化などを進めるほか,安全・安定供給に関わる投資は着実に実施したうえで成長投資とのバランスを踏まえ,自己株取得の実施余地や時期・規模の考え方を整理するなど資本政策の検討も含め,ROE8%以上の達成を目指してまいります。また,資本市場の皆さまとの対話を継続し,定量的な情報の開示充実を進め,企業価値向上に努めてまいります。なお,これらの取り組みについては,新たな中期経営計画において具体的に取りまとめ,公表させていただきます。 中部電力グループは,脱炭素社会の実現,社会課題の解決,大規模災害時における事業継続やサイバーセキュリティの高度化など,ESGの観点を踏まえた事業経営を深化させることで,SDGsの達成に貢献し,持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。今後とも,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,企業の社会的責任(CSR)を果たすことで,ステークホルダーのみなさまとともに,社会の持続的な発展(サステナビリティ)に貢献してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(経営成績等の状況の概要) (1) 業績等の概要当連結会計年度におけるわが国経済は,米国の通商政策による影響が自動車産業を中心にみられたが,雇用・所得環境の改善や各種政策の効果に支えられ,緩やかな景気回復が継続した。一方で,中東情勢の影響や米国の通商政策をめぐる動向などによる景気の下押しが懸念されている。燃料価格については,中東情勢の影響などにより,不確実性がさらに高まっている。また,物価・労務単価・金利のさらなる上昇に加え円安も進行するなど,国内外における投資環境の不透明性がこれまで以上に増している。さらに,人口減少などに伴う社会課題が顕在化している。 このような中,当連結会計年度の収支状況について,連結売上高は,3兆5,460億円となり,前連結会計年度と比べ1,231億円の減収となった。連結経常損益は,2,910億円の利益となり,前連結会計年度と比べ146億円の増益となった。 (2) 生産,受注及び販売の状況当社グループは,電力・ガスの販売と各種サービスの提供を行う「ミライズ」,電力ネットワークサービスの提供を行う「パワーグリッド」,燃料上流・調達から発電,電力・ガスの卸販売を行う「JERA」等が,バリューチェーンを通じて,電気事業を運営している。当社グループにおける生産,受注及び販売の状況については,その大半を占める電気事業のうち主要な実績を記載している。 ① 発電実績種別当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)対前年増減率(%)発電電力量(百万kWh)水力8,770△5.3原子力――新エネルギー394△4.2合計9,165△5.3出水率(%)90.6― (注) 1 発電電力量及び出水率は,中部電力㈱の実績を記載している。2 出水率は,1994年度から2023年度までの30カ年平均に対する比である。3 発電電力量及び出水率は,有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において把握している実績を記載している。4 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。 ② 販売実績ア 販売電力量及び料金収入種別当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)対前年増減率(%)販売電力量(百万kWh)低圧30,260△3.2高圧・特別高圧78,7112.8合計108,9711.0料金収入(百万円)2,259,734△3.9 (注) 1 販売電力量及び料金収入は,中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。2 販売電力量は,有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において把握している実績を記載している。3 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。4 料金収入には「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」,「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」及び「「強い経済」を実現する総合経済対策」に基づく施策である「電気・ガス料金支援」により受領する補助金67,161百万円を含む。 〔参考1〕グループ合計の販売電力量(百万kWh)119,9592.3 (注) 1 中部電力ミライズ㈱及びその主要な子会社,関連会社の実績を記載している。なお,グループ内の販売電力量は除いている。2 販売電力量は,有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において把握している実績を記載している。 〔参考2〕他社販売電力量(百万kWh)21,110△1.8 (注) 1 中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。なお,中部電力ミライズ㈱の主要な子会社及び関連会社への販売電力量は除いている。2 他社販売電力量は,有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において把握している実績を記載している。 イ 中部エリアの需要電力量及び料金収入種別当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)対前年増減率(%)中部エリアの需要電力量(百万kWh)123,921△0.5料金収入(百万円)636,775△0.5 (注) 1 中部エリアの需要電力量及び料金収入は,中部電力パワーグリッド㈱の実績を記載している。2 中部エリアの需要電力量は,有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において把握している実績を記載している。3 料金収入は,接続供給託送収益(インバランスの供給に係る収益を除く)を記載している (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)当社グループに関する財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析については,連結財務諸表に基づいて分析した内容である。 (1) 財政状態の分析① 資産固定資産については,㈱JERA などの関係会社長期投資の増加により投資その他の資産が増加したことなどから,前連結会計年度末と比べ3,759億円増加し,6兆3,579億円となった。流動資産については,現金及び預金が増加したことなどから,前連結会計年度末と比べ1,519億円増加し,1兆2,947億円となった。 ② 負債有利子負債が増加したことなどから,負債合計は,前連結会計年度末と比べ1,736億円増加し,4兆4,398億円となった。 ③ 純資産配当金の支払いはあったが,親会社株主に帰属する当期純利益の計上やその他の包括利益累計額の増加などから,純資産合計は,前連結会計年度末と比べ3,542億円増加し,3兆2,128億円となった。この結果,自己資本比率は,41.0%となった。 〔資産・負債・純資産比較表(要旨)〕項 目前連結会計年度末(2025年3月31日)当連結会計年度末(2026年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)資 産固定資産59,82063,5793,7596.3 電気事業固定資産23,63324,0924591.9 その他の固定資産4,0173,965△52△1.3 固定資産仮勘定5,2105,94673614.1 投資その他の資産24,95327,5152,56210.3流動資産11,42712,9471,51913.3 現金及び預金2,9353,36643114.7 受取手形、売掛金及び契約資産3,1192,739△379△12.2 棚卸資産3,0503,2351856.1 合 計71,24876,5275,2787.4負 債 ・ 純 資 産固定負債30,09231,6191,5275.1 社債6,7606,9672063.1 長期借入金18,19519,7141,5188.3流動負債12,55012,7662161.7 1年以内に期限到来の固定負債3,3283,038△289△8.7 短期借入金2,6152,668522.0 支払手形及び買掛金2,2932,53824410.7 負債合計42,66244,3981,7364.1株主資本24,00525,7951,7907.5 利益剰余金19,09620,8821,7869.4その他の包括利益累計額3,8595,5861,72744.7非支配株主持分720745253.5 純資産合計28,58532,1283,54212.4 合 計71,24876,5275,2787.4 前連結会計年度末(2025年3月31日)当連結会計年度末(2026年3月31日)増 減増減率(%)自己資本比率(%)39.141.01.94.9有利子負債残高(億円)30,77832,3341,5555.1 (注) 1 億円未満切り捨て2 有利子負債残高の増減の内訳は,次のとおりである。 連結範囲の変更による影響 110億円 調達・返済による影響 1,445億円 (2) 経営成績の分析中部電力ミライズ㈱の販売電力量は,中部エリア内外における競争が進展する中,エリア外における契約獲得などから,前連結会計年度と比べ1.0%増加し1,090億kWhとなった。なお,中部電力ミライズ㈱及びその主要な子会社,関連会社の合計の販売電力量は,中部エリア外を中心とした契約獲得などから,前連結会計年度と比べ2.3%増加し1,200億kWhとなった。 〔販売電力量〕 前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)増 減増減率(%)低圧(億kWh)313303△10△3.2高圧・特別高圧(億kWh)766787212.8合 計1,0791,090111.0 (注) 1 販売電力量は,中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。2 販売電力量は,有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において把握している実績を記載している。3 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。 〔参考1〕グループ合計の販売電力量(億kWh)1,1731,200272.3 (注) 1 中部電力ミライズ㈱及びその主要な子会社,関連会社の実績を記載している。なお,グループ内の販売電力量は除いている。2 販売電力量は,有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において把握している実績を記載している。 〔参考2〕他社販売電力量(億kWh)215211△4△1.8 (注) 1 中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。なお,中部電力ミライズ㈱の主要な子会社及び関連会社への販売電力量は除いている。2 他社販売電力量は,有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において把握している実績を記載している。 中部エリアの需要電力量は,冬季の気温影響による暖房設備の稼動減や検針期間の日数減などから,前連結会計年度と比べ0.5%減少し1,239億kWhとなった。 〔中部エリアの需要電力量〕 前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)増 減増減率(%)中部エリアの需要電力量(億kWh)1,2451,239△6△0.5 (注) 1 中部エリアの需要電力量は,中部電力パワーグリッド㈱の実績を記載している。2 中部エリアの需要電力量は,有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において把握している実績を記載している。 収支の状況については,連結売上高は,燃料費調整額(燃調収入)等の減少などから,前連結会計年度と比べ3.4%減少し3兆5,460億円となった。連結経常損益は,浜岡原子力発電所の新規制基準適合性審査における基準地震動策定に係る不適切事案を受け,審査に関係する業務などの委託契約を解約することとし,実施済みの業務に対応した費用を計上したものの,JERAの国内火力事業における石炭の調達競争力改善などによる利益の増加などから,前連結会計年度と比べ146億円増加し2,910億円の利益となった。また,子会社などにおける減損損失160億円を特別損失に計上した。これにより,親会社株主に帰属する当期純損益は,前連結会計年度と比べ257億円増加し2,277億円の利益となった。 当連結会計年度におけるセグメント別の業績(内部取引消去前)及び取り組みは以下のとおりである。なお,㈱JERAは持分法適用関連会社のため,売上高は計上されない。 [ミライズ]〔業績〕電力・ガスの販売と各種サービスの提供に伴う売上高については,燃調収入等の減少などから,前連結会計年度と比べ3.5%減少し2兆8,592億円となった。経常損益は,燃料価格等の変動が電力販売価格に反映されるまでの期ずれが差損から差益へ転じたことや電源調達ポートフォリオの組み替えによる費用削減効果等が拡大したことなどから,前連結会計年度と比べ209億円増加し1,379億円の利益となった。〔当連結会計年度の取り組み〕電気・ガスなどのお届けを通じて築いてきたお客さまとのつながりをもとに,お客さまのくらしを豊かにするサービスや,ビジネス上の課題解決を実現するサービスを提供し,新たな価値をお届けしている。「中部電力ミライズショップ」では,ご家庭のエネルギー最適化の提案を通じて,安心で快適な住まいづくりをお手伝いしている。また,ご家庭向け銀行サービス「カテエネBANK」に加え,2025年9月には,法人・個人事業主向けに「ビジエネBANK」の提供を開始するなど,中小企業をはじめとするお客さまのビジネスに役立つサービスも提供している。脱炭素の実現に向けては,ご家庭のお客さま向けに,「ミライズGreenでんき」やふるさと納税制度を通じてCO2フリー電気を提供している。法人のお客さま向けには,「みんなで脱炭素プロジェクト」として,太陽光PPAや省エネソリューションなどの各種サービスを提供することで,お客さまとともに再生可能エネルギーを拡大・有効活用する取り組みを推進している。また,2024年度に続き,電気料金などの負担軽減策として,特別高圧・高圧とご家庭を中心とした低圧のお客さまの料金割引などを行った。2026年4月には,燃料価格及び卸電力市場価格の変動をより適切に反映させるため,特別高圧・高圧の標準料金メニューの見直しを行っている。今後も「とどける」「よりそう」「つなげる」をキーワードに,お客さまのニーズに応じた魅力的なサービスの開発・提供に努めていく。 [パワーグリッド]〔業績〕電力ネットワークサービスの提供に伴う売上高については,エリア需要の減少に伴う託送収益の減少や需給調整に係る収益の減少などから,前連結会計年度と比べ3.6%減少し9,286億円となった。経常損益は,エリア需要の減少に伴う託送収益の減少や設備関係費の増加はあったものの,需給調整に係る費用の減少などから,前連結会計年度並みの475億円の利益となった。〔当連結会計年度の取り組み〕日々の設備保守を確実に行うことに加え,再生可能エネルギーの導入拡大を踏まえた系統運用の高度化や高経年化した設備の更新を行うとともに,他の一般送配電事業者等との連携も含めた系統運用・需給調整を通じて,中部エリアの安定供給を確保し,全国の安定供給にも寄与してきた。また,中部エリアにおける電力需要の中長期的な見通しが増加傾向にある中,電力の安定供給と脱炭素を両立していくため,電源の追加調達など着実に供給力を確保し,他エリアとの電力融通の拡大に向けた設備の増強を進めている。加えて,地域の実情に応じた設備形成の最適化に取り組むとともに,系統用蓄電池を活用した電力系統の混雑対策の実証を開始するなど,電力系統の次世代化に向けた取り組みを推進している。さらに,業界全体で施工力・物流力不足などへの取り組みを推進しており,他の一般送配電事業者との共同輸送や,国内の電気工事士として活躍できる人財の海外での育成などに取り組んでいる。加えて,GX・DXの進展に伴い増加が見込まれるデータセンター需要等を踏まえ,中部エリアにおける適地の選定・公開を進めるなど,地域の持続的な経済成長に貢献していく。 [JERA]〔業績〕燃料上流・調達から発電,電力・ガスの卸販売に伴う経常損益は,国内火力事業における石炭の調達競争力改善などによる利益の増加などから,前連結会計年度と比べ268億円増加し941億円の利益となった。なお,燃料価格等の変動が電力販売価格に反映されるまでの期ずれを除いたJERAによる連結経常損益への影響は891億円程度の利益となった。〔当連結会計年度の取り組み〕燃料上流・調達から発電,電力・ガス卸販売にいたるバリューチェーンの最適運用,効率的運営に努めつつ,安定的な燃料調達などエネルギーの安定供給確保における重要な役割も担っている。燃料制約や需給ひっ迫の回避に向けては,最新鋭の火力発電設備へのリプレースに向けた検討を進めるとともに,火力発電所における補修点検時期の調整やボイラ等重要設備の重点巡視を実施するなど,安定的な供給力の確保に取り組んでいる。加えて,JERAの子会社であるJERA Global Marketsを通じた機動的な調達に取り組むとともに,将来の電力需要増加も見据え,米国産LNGの新規調達やカタール・エナジー社との長期売買契約締結を進めるなど,安定的な燃料確保にも努めている。また,エネルギーの安定供給を確保しながら,2050年時点で国内外の事業から排出されるCO₂を実質ゼロとするJERAゼロエミッション2050に向けた取り組みを進めている。具体的には,燃料アンモニアの製造や調達,輸送に向けた協業の検討を進めるなどサプライチェーン構築にも取り組むとともに,再生可能エネルギーの拡大に向けて,英国のbpと共同で,世界最大級の洋上風力発電事業会社であるJERA Nex bpを設立した。(注) JERAゼロエミッション2050は,脱炭素技術の着実な進展と経済合理性,政策との整合性を前提としている。JERAは,引き続き,自ら脱炭素技術の開発を進め,経済合理性の確保に向けて主体的に取り組んでいく。 (目標とする経営指標の達成状況等)燃料価格等の変動が電力販売価格に反映されるまでの期ずれを除いた連結経常損益は2,840億円程度の利益,ROIC(期ずれ除き)は4.4%となり,中期経営目標(2022年公表・2024年見直し)として掲げていた「連結経常利益2,000億円以上,ROIC3.2%以上」を達成した。 〔連結収支比較表〕項 目前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)経常収益営業収益(売上高)36,69235,460△1,231△3.4営業外収益7831,09130839.4合 計37,47536,552△923△2.5経常費用営業費用34,27133,159△1,111△3.2営業外費用439481419.5合 計34,71133,641△1,069△3.1(営業損益)(2,420)(2,300)(△120)(△5.0)経常損益2,7642,9101465.3渇水準備金5△7△12―特別損失6416096150.9法人税等603409△194△32.2非支配株主に帰属する当期純損益707000.1親会社株主に帰属する当期純損益2,0202,27725712.7 (注) 1 特別損失:有価証券評価損(前連結会計年度),減損損失(当連結会計年度)2 内部取引相殺消去後(億円未満切り捨て) (3) キャッシュ・フローの状況の分析営業活動によるキャッシュ・フローは,㈱JERAからの配当金の受取などから,前連結会計年度と比べ330億円増加し3,344億円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは,投融資による支出が減少したことなどから,前連結会計年度と比べ409億円支出が減少し3,507億円の支出となった。この結果,フリー・キャッシュ・フローは,前連結会計年度と比べ740億円改善し163億円の支出となった。財務活動によるキャッシュ・フローは,資金調達が増加したことなどから,前連結会計年度と比べ1,150億円増加し874億円の収入となった。これらにより,当連結会計年度末の現金及び現金同等物は,前連結会計年度末と比べ722億円増加した。 資本の財源及び資金の流動性について,当社グループは,主に電気事業の運営上必要な設備資金を,社債発行や銀行借入等により調達し,短期的な運転資金は,主に短期社債により調達することを基本としている。 〔連結キャッシュ・フロー比較表(要旨)〕項 目前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)営業活動によるキャッシュ・フロー ①3,0133,34433011.0投資活動によるキャッシュ・フロー ②△3,917△3,507409△10.5財務活動によるキャッシュ・フロー△2768741,150― フリー・キャッシュ・フロー ①+②△904△163740△81.9 項 目前連結会計年度末(2025年3月31日)当連結会計年度末(2026年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)現金及び現金同等物の期末残高2,9243,64772224.7 (注) 億円未満切り捨て (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は,わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については,「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりである。当社グループは,固定資産の評価,繰延税金資産,貸倒引当金,退職給付に係る負債及び資産,企業結合などに関して,過去の実績や当該取引の状況に照らして,合理的と考えられる見積り及び判断を行い,その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しているが,実際の結果は見積り特有の不確実性があるため,これらの見積りと異なる場合がある。また,連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち,重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針,経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において判断したものである。 (1) 会社の経営の基本方針「くらしに欠かせないエネルギーをお届けし,社会の発展に貢献する」という当社グループの企業理念を実践していくために,「中部電力グループ 経営ビジョン2.0」を掲げております。新型コロナウイルスの感染拡大を契機として,暮らしや働き方などの新しい生活様式の浸透とともに,DX(デジタルトランスフォーメーション)や脱炭素への取り組みの進展により,社会構造そのものが大きく変容しております。とりわけ,2050年カーボンニュートラル実現を見据え,GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針が閣議決定されるなど,エネルギー事業を取り巻く環境は大きな転換点を迎えております。2018年3月に制定した経営ビジョンに掲げた,「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を目指す当社グループの行動姿勢は,変わるものではありませんが,こうした事業環境の激変を新たなビジネスチャンスと捉え,2050年の社会像を見据えて果敢にチャレンジしてまいります。まちづくりへの貢献,資源循環などの地域インフラ事業による脱炭素・循環型社会の構築,医療・健康といった生活関連事業の拡大などを通じて,「新しいコミュニティの形」の提供を加速し,2050年に向け,「安心・安全で強靭な暮らしやすい社会」の実現に貢献してまいります。2030年に向けては,2050年に実現すべき社会像からのバックキャストに基づき,取り組みを加速し,「2030年には連結経常利益2,500億円以上」及び「国内エネルギー事業と新しい成長分野や海外事業などの事業ポートフォリオの比率1:1」を目指すこととしております。当社グループは,この経営ビジョンのもと,お客さまや社会が求める価値を起点に新たなサービスを創出し,エネルギーとともにお届けするビジネスモデルへの変革に,当社グループの人財一人ひとりが取り組み,2050年に向けて持続的に成長してまいります。また,脱炭素社会への貢献,社会課題の解決,大規模災害時における事業継続,コンプライアンス経営の徹底など,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させることで,SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献し,持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。今後とも,お客さまや株主・投資家のみなさまに信頼,選択されるよう努め,地域社会の発展にも貢献してまいる所存です。 (2) 目標とする経営指標2022年4月,中期経営目標として「2025年度に連結経常利益1,800億円以上,ROIC3.0%以上」を設定いたしました。当社グループは,この目標の達成に向け,グループ一丸となって様々な取り組みを進めてまいります。 (3) 中長期的な会社の経営戦略・会社の対処すべき課題当社は,2020年4月から,送配電部門を中部電力パワーグリッド,販売部門を中部電力ミライズにそれぞれ分社し,これらにJERAを加えた3つの事業会社を核とする体制といたしました。パワーグリッドにおいては,一層の中立性・公平性を図るとともに,ミライズ・JERAにおいては,それぞれの市場,お客さまと向き合い,より強靭な企業グループへの成長を目指してまいります。このような事業体制のもと,以下の課題への対応をはじめ,グループを挙げてエネルギーの安定供給に努めるとともに,お客さまの期待を超えるサービスを実現・提供することにより,中部電力グループ全体の持続的成長と企業価値の向上を果たしてまいります。 (安全・安価で安定的なエネルギーのお届け)資源価格のボラティリティの激しさや,為替変動によって,エネルギー市場の不確実性が高まり,不安定な事業環境が継続しております。当社グループとして,あらゆるコストダウンに取り組んできましたが,経営努力だけでは対応できず,お客さまに安定して電気をお届けするため,2023年4月より特別高圧電力及び高圧電力の標準メニューの見直しを実施いたしました。引き続き徹底した経営効率化に取り組むとともに,いかなる状況においても,バリューチェーン全体で良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けするという「変わらぬ使命」をグループ一丸となって完遂してまいります。このため,燃料調達の安定化を図るとともに,電源調達ポートフォリオの見直しや,電力先物,燃料先物取引などのヘッジ手法を適切に組み合わせてまいります。さらに,お客さまに電気を効率的にご利用いただくデマンドレスポンスの活用などのサービス拡充にも取り組んでまいります。自然災害の激甚化や送配電設備の高経年化など,レジリエンス向上の取り組みもより一層重要となっております。引き続き,設備のメンテナンスを確実に行いつつ,中長期的な視点から,高経年化設備の更新を計画的に進めてまいります。また,太陽光発電をはじめとした自然変動電源が大量導入され,需要の増加と太陽光発電量などの低下が重なる冬季に需給ひっ迫が生じやすくなっております。この課題に対し,休止火力発電所の再稼働などを通じ,追加供給力の確保などに取り組むとともに,他の一般送配電事業者との連携も含めた日々の系統運用・需給調整により,周波数や電圧を適切に維持し,中部エリアの安定供給に努めつつ,全国の安定供給にも寄与してまいります。なお,不透明な環境が継続する状況ではありますが,物価高騰等によりお客さまが大変厳しい状況にあることを踏まえ,足元における資源価格の下落などに,当社グループ全体で取り組んでいるコストダウンなどの経営努力を加え,2023年6月から10月にかけて電気料金の負担軽減をはじめとした施策を実施いたします。 (浜岡原子力発電所の再稼働に向けた取り組み)浜岡原子力発電所については,「福島第一原子力発電所のような事故を二度と起こさない」という固い決意のもと,安全性向上対策を進めております。3・4号機については,原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査を受けており,基準地震動・基準津波の確定に向けて着実に進捗しております。これらが概ね確定した後は,プラント関係審査に対応していくとともに,これらにもとづき安全性向上対策の有効性をはじめ浜岡原子力発電所の安全性に係る理解活動を実施してまいります。エネルギー資源の乏しいわが国において,化石燃料価格の変動や地球温暖化という課題に対処しつつ,将来にわたり安定的にエネルギーを確保していくためには,原子力を引き続き重要な電源として活用することが不可欠であると考えております。今後も,新規制基準への適合性確認を早期にいただけるよう最大限努力するとともに,地域のみなさまのご理解をいただけるようコミュニケーションを図り,安全確保を大前提に浜岡原子力発電所の再稼働に向けて取り組んでまいります。 (脱炭素社会実現に向けた取り組み)中部電力グループは,経営ビジョン2.0,ゼロエミチャレンジ2050及びJERAゼロエミッション2050にもとづき,再生可能エネルギーの拡大や,水素・アンモニアサプライチェーンの構築を含むゼロエミッション電源の追求などに取り組むとともに,社会・お客さまと一体となって進めるエネルギー利用の電化・脱炭素化を通じて,脱炭素社会の実現を目指しております。また,国の「GXリーグ基本構想」に賛同し,CO2排出量削減に向けた取り組みを着実に進めてまいります。経営ビジョン2.0で掲げた「2030年頃に,保有・施工・保守を通じた再生可能エネルギーの320万kW(80億kWh)以上の拡大に貢献」という目標の達成に向け,短期的には太陽光発電,中期的には水力・バイオマス・陸上風力発電,長期的には洋上風力・地熱発電の開発・保有拡大を全国で積極的に推進してまいります。同時に,小規模分散が主体となる太陽光発電については,グループ会社による設備の保守・施工などに加えて,お客さまのお役立ちにつながる付加価値サービスを提供してまいります。また,他エリアとの電力融通の拡大に向けた設備増強に努めるなど,再生可能エネルギーの拡大に貢献してまいります。 (新しいコミュニティの形の創造に向けた取り組み)中部電力グループは,さまざまな領域で「つながることで広がる価値」を創出し,生活の質を向上させるサービスを充足させることで,地域社会やお客さまが求める新たな価値の提供を目指してまいります。不動産事業につきましては,日本エスコン,中電不動産を中心にまちづくりに一層貢献するとともに,資源循環・上下水道・地域交通などといった地域インフラ事業については,さまざまなパートナーのみなさまと連携して脱炭素・循環型社会の構築を進めてまいります。また,医療・健康といった生活関連事業の拡大により,地域の健康寿命の延伸などに寄与してまいります。今後も,地域のみなさまやパートナーとの連携を大切にしながら,「新しいコミュニティの形」の創造に挑戦してまいります。 当社及び中部電力ミライズは,2023年3月30日,中部地区等における特別高圧電力及び高圧電力の供給に関し,公正取引委員会から独占禁止法にもとづく課徴金納付命令等を受けました。本命令の内容については,当社と公正取引委員会との間で,事実認定及び法解釈に見解の相違があるため,取消訴訟を提起し,司法の判断を求めてまいります。また,託送業務で知り得たお客さま情報などの不適切な取り扱いにつきましては,公正な競争を阻害するおそれのあるものであり,大変重く受け止めております。本事案を受け,中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズにおいて,それぞれ原因の分析や再発防止策を策定するとともに,当社も加えた3社で,再発防止策の妥当性や実施状況を確認しております。中部電力グループは,従前より,企業の社会的責任を果たすため,CSR宣言にもとづき事業活動を進めており,そのことがESGの観点を踏まえた事業経営の深化や,SDGsの課題解決に貢献するものと考えております。今後とも,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じて,コンプライアンスを徹底することで,CSRを完遂してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針,経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において判断したものである。 (1) 会社の経営の基本方針「くらしに欠かせないエネルギーをお届けし,社会の発展に貢献する」という当社グループの企業理念を実践していくために,「中部電力グループ 経営ビジョン2.0」を掲げております。新型コロナウイルスの感染拡大を契機として,暮らしや働き方などの新しい生活様式の浸透とともに,DX(デジタルトランスフォーメーション)や脱炭素への取り組みの進展により,社会構造そのものが大きく変容しております。とりわけ,2050年カーボンニュートラル実現を見据え,GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針が閣議決定されるなど,エネルギー事業を取り巻く環境は大きな転換点を迎えております。2018年3月に制定した経営ビジョンに掲げた,「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を目指す当社グループの行動姿勢は,変わるものではありませんが,こうした事業環境の激変を新たなビジネスチャンスと捉え,2050年の社会像を見据えて果敢にチャレンジしてまいります。まちづくりへの貢献,資源循環などの地域インフラ事業による脱炭素・循環型社会の構築,医療・健康といった生活関連事業の拡大などを通じて,「新しいコミュニティの形」の提供を加速し,2050年に向け,「安心・安全で強靭な暮らしやすい社会」の実現に貢献してまいります。2030年に向けては,2050年に実現すべき社会像からのバックキャストに基づき,取り組みを加速し,「2030年には連結経常利益2,500億円以上」及び「国内エネルギー事業と新しい成長分野や海外事業などの事業ポートフォリオの比率1:1」を目指すこととしております。当社グループは,この経営ビジョンのもと,お客さまや社会が求める価値を起点に新たなサービスを創出し,エネルギーとともにお届けするビジネスモデルへの変革に,当社グループの人財一人ひとりが取り組み,2050年に向けて持続的に成長してまいります。また,脱炭素社会への貢献,社会課題の解決,大規模災害時における事業継続,コンプライアンス経営の徹底など,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させることで,SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献し,持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。今後とも,お客さまや株主・投資家のみなさまに信頼,選択されるよう努め,地域社会の発展にも貢献してまいる所存です。 (2) 目標とする経営指標2022年4月,中期経営目標として「2025年度に連結経常利益1,800億円以上,ROIC3.0%以上」を設定いたしました。当社グループは,この目標の達成に向け,グループ一丸となって様々な取り組みを進めてまいります。 (3) 中長期的な会社の経営戦略・会社の対処すべき課題当社は,2020年4月から,送配電部門を中部電力パワーグリッド,販売部門を中部電力ミライズにそれぞれ分社し,これらにJERAを加えた3つの事業会社を核とする体制といたしました。パワーグリッドにおいては,一層の中立性・公平性を図るとともに,ミライズ・JERAにおいては,それぞれの市場,お客さまと向き合い,より強靭な企業グループへの成長を目指してまいります。このような事業体制のもと,以下の課題への対応をはじめ,グループを挙げてエネルギーの安定供給に努めるとともに,お客さまの期待を超えるサービスを実現・提供することにより,中部電力グループ全体の持続的成長と企業価値の向上を果たしてまいります。 (安全・安価で安定的なエネルギーのお届け)資源価格のボラティリティの激しさや,為替変動によって,エネルギー市場の不確実性が高まり,不安定な事業環境が継続しております。当社グループとして,あらゆるコストダウンに取り組んできましたが,経営努力だけでは対応できず,お客さまに安定して電気をお届けするため,2023年4月より特別高圧電力及び高圧電力の標準メニューの見直しを実施いたしました。引き続き徹底した経営効率化に取り組むとともに,いかなる状況においても,バリューチェーン全体で良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けするという「変わらぬ使命」をグループ一丸となって完遂してまいります。このため,燃料調達の安定化を図るとともに,電源調達ポートフォリオの見直しや,電力先物,燃料先物取引などのヘッジ手法を適切に組み合わせてまいります。さらに,お客さまに電気を効率的にご利用いただくデマンドレスポンスの活用などのサービス拡充にも取り組んでまいります。自然災害の激甚化や送配電設備の高経年化など,レジリエンス向上の取り組みもより一層重要となっております。引き続き,設備のメンテナンスを確実に行いつつ,中長期的な視点から,高経年化設備の更新を計画的に進めてまいります。また,太陽光発電をはじめとした自然変動電源が大量導入され,需要の増加と太陽光発電量などの低下が重なる冬季に需給ひっ迫が生じやすくなっております。この課題に対し,休止火力発電所の再稼働などを通じ,追加供給力の確保などに取り組むとともに,他の一般送配電事業者との連携も含めた日々の系統運用・需給調整により,周波数や電圧を適切に維持し,中部エリアの安定供給に努めつつ,全国の安定供給にも寄与してまいります。なお,不透明な環境が継続する状況ではありますが,物価高騰等によりお客さまが大変厳しい状況にあることを踏まえ,足元における資源価格の下落などに,当社グループ全体で取り組んでいるコストダウンなどの経営努力を加え,2023年6月から10月にかけて電気料金の負担軽減をはじめとした施策を実施いたします。 (浜岡原子力発電所の再稼働に向けた取り組み)浜岡原子力発電所については,「福島第一原子力発電所のような事故を二度と起こさない」という固い決意のもと,安全性向上対策を進めております。3・4号機については,原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査を受けており,基準地震動・基準津波の確定に向けて着実に進捗しております。これらが概ね確定した後は,プラント関係審査に対応していくとともに,これらにもとづき安全性向上対策の有効性をはじめ浜岡原子力発電所の安全性に係る理解活動を実施してまいります。エネルギー資源の乏しいわが国において,化石燃料価格の変動や地球温暖化という課題に対処しつつ,将来にわたり安定的にエネルギーを確保していくためには,原子力を引き続き重要な電源として活用することが不可欠であると考えております。今後も,新規制基準への適合性確認を早期にいただけるよう最大限努力するとともに,地域のみなさまのご理解をいただけるようコミュニケーションを図り,安全確保を大前提に浜岡原子力発電所の再稼働に向けて取り組んでまいります。 (脱炭素社会実現に向けた取り組み)中部電力グループは,経営ビジョン2.0,ゼロエミチャレンジ2050及びJERAゼロエミッション2050にもとづき,再生可能エネルギーの拡大や,水素・アンモニアサプライチェーンの構築を含むゼロエミッション電源の追求などに取り組むとともに,社会・お客さまと一体となって進めるエネルギー利用の電化・脱炭素化を通じて,脱炭素社会の実現を目指しております。また,国の「GXリーグ基本構想」に賛同し,CO2排出量削減に向けた取り組みを着実に進めてまいります。経営ビジョン2.0で掲げた「2030年頃に,保有・施工・保守を通じた再生可能エネルギーの320万kW(80億kWh)以上の拡大に貢献」という目標の達成に向け,短期的には太陽光発電,中期的には水力・バイオマス・陸上風力発電,長期的には洋上風力・地熱発電の開発・保有拡大を全国で積極的に推進してまいります。同時に,小規模分散が主体となる太陽光発電については,グループ会社による設備の保守・施工などに加えて,お客さまのお役立ちにつながる付加価値サービスを提供してまいります。また,他エリアとの電力融通の拡大に向けた設備増強に努めるなど,再生可能エネルギーの拡大に貢献してまいります。 (新しいコミュニティの形の創造に向けた取り組み)中部電力グループは,さまざまな領域で「つながることで広がる価値」を創出し,生活の質を向上させるサービスを充足させることで,地域社会やお客さまが求める新たな価値の提供を目指してまいります。不動産事業につきましては,日本エスコン,中電不動産を中心にまちづくりに一層貢献するとともに,資源循環・上下水道・地域交通などといった地域インフラ事業については,さまざまなパートナーのみなさまと連携して脱炭素・循環型社会の構築を進めてまいります。また,医療・健康といった生活関連事業の拡大により,地域の健康寿命の延伸などに寄与してまいります。今後も,地域のみなさまやパートナーとの連携を大切にしながら,「新しいコミュニティの形」の創造に挑戦してまいります。 当社及び中部電力ミライズは,2023年3月30日,中部地区等における特別高圧電力及び高圧電力の供給に関し,公正取引委員会から独占禁止法にもとづく課徴金納付命令等を受けました。本命令の内容については,当社と公正取引委員会との間で,事実認定及び法解釈に見解の相違があるため,取消訴訟を提起し,司法の判断を求めてまいります。また,託送業務で知り得たお客さま情報などの不適切な取り扱いにつきましては,公正な競争を阻害するおそれのあるものであり,大変重く受け止めております。本事案を受け,中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズにおいて,それぞれ原因の分析や再発防止策を策定するとともに,当社も加えた3社で,再発防止策の妥当性や実施状況を確認しております。中部電力グループは,従前より,企業の社会的責任を果たすため,CSR宣言にもとづき事業活動を進めており,そのことがESGの観点を踏まえた事業経営の深化や,SDGsの課題解決に貢献するものと考えております。今後とも,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じて,コンプライアンスを徹底することで,CSRを完遂してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(経営成績等の状況の概要) (1) 業績等の概要当連結会計年度におけるわが国経済は,新型コロナウイルスの影響が残る中,景気の緩やかな持ち直しの動きが継続した。一方で,世界的な金融引締めなどにより,景気の下振れが懸念されている。燃料価格については,ウクライナ情勢や急激な円安進行などを背景として大幅に高騰した。足元ではピーク時から比較すると一時的に下落したものの,ボラティリティ(変動性)が高い状態が継続している。 このような中,当連結会計年度の収支状況について,売上高は,3兆9,866億円となり,前連結会計年度と比べ1兆2,815億円の増収となった。 経常損益は,651億円の利益となり,前連結会計年度と比べ1,244億円改善した。 (2) 生産,受注及び販売の状況当社グループは,電力・ガスの販売と各種サービスの提供を行う「ミライズ」,電力ネットワークサービスの提供を行う「パワーグリッド」,燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売を行う「JERA」等が,バリューチェーンを通じて,電気事業を運営している。 当社グループにおける生産,受注及び販売の状況については,その大半を占める電気事業のうち主要な実績を記載している。 ① 発電実績種別当連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)対前年増減率(%)発電電力量(百万kWh)水力8,3370.4原子力――新エネルギー3851.8合計8,7220.5出水率(%)94.8― (注) 1 発電電力量及び出水率は,中部電力㈱の実績を記載している。2 出水率は,1991年度から2020年度までの30カ年平均に対する比である。3 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。 ② 販売実績ア 販売電力量及び料金収入種別当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)対前年増減率(%)販売電力量(百万kWh)低圧30,583△6.1高圧・特別高圧71,846△5.9合計102,429△6.0料金収入(百万円)2,457,37645.9 (注) 1 販売電力量及び料金収入は,中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。2 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。3 料金収入には「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に基づいて受領した電気・ガス価格激変緩和対策補助金収入56,343百万円を含む。 〔参考1〕グループ合計の販売電力量(百万kWh)113,003△4.1 (注) 中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の実績を記載している。なお,グループ内の販売電力量は除いている。 〔参考2〕他社販売電力量(百万kWh)11,3450.2 (注) 中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。なお,中部電力ミライズ㈱の子会社及び関連会社への販売電力量は除いている。 イ 中部エリアの需要電力量及び料金収入種別当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)対前年増減率(%)中部エリアの需要電力量(百万kWh)124,349△2.4料金収入(百万円)585,923△3.1 (注) 1 中部エリアの需要電力量及び料金収入は,中部電力パワーグリッド㈱の実績を記載している。2 料金収入は,接続供給託送収益(インバランスの供給に係る収益を除く)を記載している。 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)当社グループに関する財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析については,連結財務諸表に基づいて分析した内容である。 (1) 財政状態の分析 ① 資産固定資産については,減価償却の進行はあったものの,設備投資などにより固定資産が増加したことなどから,前連結会計年度末と比べ537億円増加し,5兆2,884億円となった。流動資産については,現金及び預金が増加したことなどから,前連結会計年度末と比べ2,266億円増加し,1兆1,666億円となった。 ② 負債有利子負債が増加したことなどから,負債合計は,前連結会計年度末と比べ2,414億円増加し,4兆2,928億円となった。 ③ 純資産配当金の支払いはあったが,親会社株主に帰属する当期純利益の計上やその他の包括利益累計額の増加などから,純資産合計は,前連結会計年度末と比べ389億円増加し,2兆1,622億円となった。この結果,自己資本比率は,31.9%となった。 〔資産・負債・純資産比較表(要旨)〕項 目前連結会計年度末(2022年3月31日)当連結会計年度末(2023年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)資 産固定資産52,34752,8845371.0 電気事業固定資産23,58623,7421560.7 その他の固定資産4,1834,3631794.3 固定資産仮勘定4,2254,3861613.8 投資その他の資産18,40418,459550.3流動資産9,40011,6662,26624.1 現金及び預金2,0323,6131,58177.8 受取手形,売掛金及び契約資産3,4423,6552136.2 棚卸資産1,9071,964563.0 合 計61,74764,5512,8034.5負 債 ・ 純 資 産固定負債28,09330,3262,2327.9 社債7,9278,6297018.9 長期借入金13,97315,4811,50810.8流動負債12,40012,5851841.5 1年以内に期限到来の固定負債2,6202,349△271△10.3 短期借入金2,6902,8021124.2 コマーシャル・ペーパー790―△790― 支払手形及び買掛金2,7923,27448217.3 負債合計40,51442,9282,4146.0株主資本18,91418,91720.0 利益剰余金13,92713,93130.0その他の包括利益累計額1,2561,69043434.6非支配株主持分1,0611,013△47△4.5 純資産合計21,23221,6223891.8 合 計61,74764,5512,8034.5 前連結会計年度末(2022年3月31日)当連結会計年度末(2023年3月31日)増 減増減率(%)自己資本比率(%)32.731.9△0.8―有利子負債残高(億円)28,00229,2571,2544.5 (注) 億円未満切り捨て (2) 経営成績の分析中部電力ミライズ㈱の販売電力量は,他事業者への切り替え影響や,産業用電力の需要減などから,前連結会計年度と比べ65億kWh減少し1,024億kWhとなった。 なお,中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の合計の販売電力量は,前連結会計年度と比べ48億kWh減少し1,130億kWhとなった。 〔販売電力量〕 前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)増 減増減率(%)低圧(億kWh)326306△20△6.1高圧・特別高圧(億kWh)763718△45△5.9合 計1,0891,024△65△6.0 (注) 1 販売電力量は,中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。2 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。 〔参考1〕グループ合計の販売電力量(億kWh)1,1781,130△48△4.1 (注) 中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の実績を記載している。なお,グループ内の販売電力量は除いている。 〔参考2〕他社販売電力量(億kWh)11311300.2 (注) 中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。なお,中部電力ミライズ㈱の子会社及び関連会社への販売電力量は除いている。 中部エリアの需要電力量は,夏季の気温影響による冷房設備の稼動増はあったものの,産業用電力の需要減や冬季の気温影響による暖房設備の稼動減などから,前連結会計年度と比べ31億kWh減少し1,243億kWhとなった。 〔中部エリアの需要電力量〕 前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)増 減増減率(%)中部エリアの需要電力量(億kWh)1,2751,243△31△2.4 (注) 中部エリアの需要電力量は,中部電力パワーグリッド㈱の実績を記載している。 収支の状況については,売上高(営業収益)は,燃料費調整額(燃調収入)の増加などから,前連結会計年度と比べ1兆2,815億円増加し3兆9,866億円となった。経常損益は,燃料価格の変動が電力販売価格に反映されるまでの期ずれについて差損が縮小したことや,中部電力ミライズにおける電源調達ポートフォリオの見直しなどによる市場価格高騰影響の抑制,調達コストを踏まえた販売活動の展開などから,前連結会計年度と比べ1,244億円改善し651億円の利益となった。なお,期ずれを除いた連結経常利益は,1,560億円程度と,前連結会計年度と比べ890億円程度の増益となった。また,独占禁止法関連損失275億円や子会社などにおける固定資産の減損損失142億円を特別損失に計上した一方,政策保有株式の一部を売却したことなどにより有価証券売却益453億円を特別利益に計上した。この結果,親会社株主に帰属する当期純損益は前連結会計年度と比べ812億円改善し,382億円の利益となった。 当連結会計年度におけるセグメント別の業績(内部取引消去前)及び取り組みは以下のとおりである。 なお,㈱JERAは持分法適用関連会社のため,売上高は計上されない。 [ミライズ]〔業績〕電力・ガスの販売と各種サービスの提供に伴う売上高については,燃調収入の増加などから,前連結会計年度と比べ1兆626億円増加し3兆908億円となった。経常損益は,卸電力取引市場価格の高騰はあったものの,電源調達ポートフォリオの見直しなどによる市場高騰影響の抑制や調達コストを踏まえた販売活動の展開などから,前連結会計年度と比べ1,483億円改善し648億円の利益となった。〔当連結会計年度の取り組み〕電気・ガスなどのお届けを通じて築いてきたお客さまとのつながりをもとに,お客さまのくらしを豊かにするサービスや,ビジネス上の課題解決を実現するサービスの提供を進めている。脱炭素社会の実現に向けては,「ミライズGreenでんき」によるCO2フリー電気のお届けやお客さまに初期費用やメンテナンス費用をお支払いいただくことなく,太陽光発電をご利用いただけるサービスの提供を通じて,再生可能エネルギーの普及・拡大と地産地消に貢献している。さらに,デマンドレスポンスサービス「NACHARGE」の提供を開始するなど,電気を効率的にご利用いただくための取り組みを拡充している。今後もお客さまと一体となって,脱炭素などの社会課題の解決に取り組んでいく。また,燃料価格のボラティリティが高い中においても,お客さまに安定して電気をお届けするため,低圧の一部料金メニューの燃料費調整制度の変更や,特別高圧・高圧の標準料金メニューの見直しをさせていただいた。一方で,足元の燃料価格が標準料金メニューの見直し検討時に比べて低位で推移していることや,中部電力グループ全体で取り組んでいる経営努力を踏まえ,低圧のお客さまに対しては,省エネや脱炭素化,電気料金の負担軽減につながるキャンペーンなどを,特別高圧・高圧のお客さまに対しては,電気料金の負担軽減策を実施していく。 [パワーグリッド]〔業績〕電力ネットワークサービスの提供に伴う売上高については,再生可能エネルギー特別措置法に基づく購入電力の卸電力取引市場への販売単価の上昇や,需給調整取引に係る収益の増加などから,前連結会計年度と比べ2,166億円増加し1兆1,161億円となった。経常損益は,減価償却方法の変更による費用の減少に加え,効率化による費用削減や,需給バランス調整等を適切に実施するための調整力確保費用の低減に取り組んだことなどから,前連結会計年度と比べ218億円改善し70億円の利益となった。〔当連結会計年度の取り組み〕再生可能エネルギーの接続可能量の拡大に向けて,電力系統設備・運用の高度化に取り組むとともに,中部エリアの安定供給に必要な予備力・調整力の確保や,他エリアとの電力融通の拡大に向けた設備増強などを着実に進め,需給安定に努めている。また,「地域別電力需要予測」などを用いた分散型電源の最大限の活用や,送配電設備の合理化に取り組んでいる。ネットワークの次世代化については,当初の予定通りスマートメーターの設置は完了し,今後は次の定期取替に向け次世代スマートメーターの導入検討を進めるとともに,引き続き新型電圧調整器の設置などを進めていく。また,2023年4月より託送料金を改定したが,必要な投資を効率的かつ計画的に実施しながら,引き続きさらなる効率化に取り組むことで,託送料金の抑制に努めていく。そして,2050年における目指す姿を掲げた中部電力パワーグリッドビジョンの実現に向け,脱炭素化に向けた取り組みの推進及び地域のニーズに寄り添ったサービスの展開により,地域の未来像実現に貢献できるよう努めていく。 [JERA]〔業績〕燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売に伴う経常損益は,燃料価格の変動が電力販売価格に反映されるまでの期ずれについて差損の縮小はあったものの,LNGスポット価格の高騰による収支の悪化などから,前連結会計年度と比べ239億円悪化し242億円の損失となった。なお,期ずれを除いたJERAによる連結経常利益への影響は670億円程度となった。〔当連結会計年度の取り組み〕燃料上流・調達から発電,電力・ガス販売にいたるバリューチェーンの最適運用,効率的運営に努めつつ,安定的な燃料調達などエネルギーの安定供給確保における重要な役割も担っている。燃料制約や需給ひっ迫の回避に向けては,休止火力発電所の再稼働などを通じ,追加供給力の確保などに取り組むとともに,需給変化を迅速に捉え,㈱JERAの子会社であるJERA Global Marketsを通じた機動的な調達により,安定的な燃料確保に努めてきた。また,エネルギーの安定供給を確保しながら,2050年時点で国内外の事業から排出されるCO2を実質ゼロとするJERAゼロエミッション2050に向けた取り組みを進めている。まずは発電時にCO2を排出しない燃料であるアンモニアの混焼技術の確立を目指し,碧南火力発電所4号機において,アンモニア20%混焼の実証実験に着手する。さらに,燃料アンモニアの製造や調達に向けた協業の検討を進めるなどサプライチェーン構築にも取り組んでいる。(注) JERAゼロエミッション2050は,脱炭素技術の着実な進展と経済合理性,政策との整合性を前提としている。JERAは,引き続き,自ら脱炭素技術の開発を進め,経済合理性の確保に向けて主体的に取り組んでいく。 (目標とする経営指標の達成状況等)当社は,2022年4月に中期経営目標として,「2025年度に連結経常利益1,800億円以上,ROIC3.0%以上」を設定しており,当連結会計年度における期ずれ影響を除いた連結経常利益は1,560億円程度,ROIC(期ずれ除き)は2.9%となった。 〔連結収支比較表〕項 目前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)経常収益営業収益(売上高)27,05139,86612,81547.4営業外収益225107△118△52.5合 計27,27739,97412,69646.5経常費用営業費用27,58938,79511,20540.6営業外費用28052624587.5合 計27,87039,32211,45141.1(営業損益)(△538)(1,070)(1,609)(―)経常損益△5936511,244―渇水準備金△203△3200△98.4特別利益―453453―特別損失55417362658.4法人税等△43311354―非支配株主に帰属する当期純損益28△3△32―親会社株主に帰属する当期純損益△430382812― (注) 1 特別利益:当連結会計年度 有価証券売却益2 特別損失:当連結会計年度 減損損失,独占禁止法関連損失前連結会計年度 インバランス収支還元損失3 内部取引相殺消去後(億円未満切り捨て) (3) キャッシュ・フローの状況の分析営業活動によるキャッシュ・フローは,税金等調整前当期純損益が改善したことや,当連結会計年度に法人税等の還付があったことなどから,前連結会計年度に比べ2,741億円増加し2,957億円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは,固定資産の取得による支出の増加はあったものの,政策保有株式の一部売却による収入があったことなどから,前連結会計年度に比べ650億円支出が減少し1,969億円の支出となった。この結果,フリー・キャッシュ・フローは,前連結会計年度に比べ3,392億円改善し988億円の収入となった。財務活動によるキャッシュ・フローは,資金調達による収入が減少したことなどから,前連結会計年度に比べ1,931億円減少し732億円の収入となった。これらにより,当連結会計年度末の現金及び現金同等物は,前連結会計年度末と比べ1,723億円増加した。 資本の財源及び資金の流動性について,当社グループは,主に電気事業の運営上必要な設備資金を,社債発行や銀行借入等により調達し,短期的な運転資金は,主に短期社債により調達することを基本としている。 〔連結キャッシュ・フロー比較表(要旨)〕項 目前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)営業活動によるキャッシュ・フロー ①2162,9572,741大投資活動によるキャッシュ・フロー ②△2,620△1,969650△24.8財務活動によるキャッシュ・フロー2,664732△1,931△72.5 フリー・キャッシュ・フロー ①+②△2,4039883,392― 項 目前連結会計年度末(2022年3月31日)当連結会計年度末(2023年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)現金及び現金同等物の期末残高2,0113,7341,72385.7 (注) 億円未満切り捨て (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は,わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については,「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりである。当社グループは,固定資産の評価,繰延税金資産,貸倒引当金,退職給付に係る負債及び資産,企業結合などに関して,過去の実績や当該取引の状況に照らして,合理的と考えられる見積り及び判断を行い,その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しているが,実際の結果は見積り特有の不確実性があるため,これらの見積りと異なる場合がある。また,連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち,重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針,経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において判断したものである。 (1) 会社の経営の基本方針「くらしに欠かせないエネルギーをお届けし,社会の発展に貢献する」という当社グループの企業理念を実践していくために,「中部電力グループ 経営ビジョン」を掲げております。エネルギー事業を取り巻く環境の急激な変化に加えて,我が国における人口減少や経済成長の鈍化,それに起因する様々な社会課題が深刻化する状況を踏まえ,2018年3月に経営ビジョンを改定いたしました。この改定した経営ビジョンでは,発販分離型の事業モデルに移行してエネルギー事業の収益を拡大すること,また,これまでの事業領域を超え,お客さま・社会をむすぶ新しいコミュニティの形を提供することで新たな成長分野を確立して収益の柱に育てることを掲げております。これらの取り組みによって,成長を積極的に追求し,「2020年代後半には連結経常利益2,500億円以上」の企業グループを目指すこととしております。当社グループは,この経営ビジョンのもと,地球環境に配慮した,良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けするという「変わらぬ使命の完遂」に努めてまいります。同時に,これを礎として,時代の変化を見据えた「新たな価値の創出」に挑戦し続けることで,期待を超えるサービスを,先駆けてお客さまへお届けするリーディングカンパニーとして,「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を目指してまいります。そして,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,良き企業市民としての社会的責任(CSR)を完遂してまいります。また,低炭素社会の実現,社会課題の解決,大規模災害時における事業継続など,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させることで,SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献し,持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。今後とも,お客さまや株主・投資家のみなさまに信頼,選択されるよう努め,地域社会の発展にも貢献してまいる所存です。 (2) 目標とする経営指標2019年3月,中期目標として「2021年度に連結経常利益1,700億円以上を実現できる企業グループを目指す」ことを設定いたしました。当社グループは,この目標の実現に向け,グループ一丸となって様々な取り組みを進めてまいります。 (3) 中長期的な会社の経営戦略・会社の対処すべき課題エネルギー事業を取り巻く環境は,低炭素社会へのお客さま・社会の強い要請と再生可能エネルギーの拡大,デジタル化の急速な進展など,大きく変化しております。こうした中,本年1月以降,新型コロナウイルスの感染拡大が,国内外の経済を広範囲に下振れさせ,電力需要についても影響が避けられない状況にあります。また,新型コロナウイルスにより,経済情勢にとどまらず,社会構造そのものの変化が加速しており,新しい環境に的確かつ柔軟に対応していくことが求められております。しかし,いかなる事業環境においても,「地球環境に配慮した,良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けする」というエネルギー事業者としての使命は,これまでと変わるものではありません。中部電力グループは,この変わらぬ使命の完遂に努めると同時に,IT等の活用による働き方改革や新たな生活スタイルなど社会構造の変化をとらえ,お客さまや社会のお役に立てるサービスを提供するなど,新しい成長分野の事業化を加速し,時代の変化を見据えた新たな価値の創出に挑戦し続けることで,期待を超えるサービスを先駆けてお客さまへお届けするリーディングカンパニーとして,「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を目指してまいります。 具体的には,次の4つの重点的な取り組みをグループ一丸となって実施し,企業価値の最大化を図ってまいります。 ① 浜岡原子力発電所における安全性のさらなる向上② 新たな時代の安定供給③ 成長に向けた事業基盤の強化と持続的な成長の実現④ 新しい成長分野の事業化加速 ① 浜岡原子力発電所における安全性のさらなる向上浜岡原子力発電所3・4号機については,新規制基準を踏まえた安全性向上対策を着実に進めるとともに,同基準への適合性を早期に確認いただけるよう,社内体制を強化し確実な審査対応に努めてまいります。現在審査が進められている基準地震動・基準津波が概ね確定した後は,安全性向上対策の有効性や浜岡原子力発電所の安全性に係る理解活動につなげてまいります。 また,設備対策に加え,緊急時に設備を有効に機能させるための現場対応力や,万が一に備えた国・自治体との連携強化など,リスクマネジメントの強化に取り組んでまいります。2020年度から原子力規制委員会により新たな検査制度が導入されたことも踏まえ,浜岡原子力発電所の安全性を自主的により一層高める取り組みを継続的に行い,重要な電源として引き続き活用するための準備を進めてまいります。 これらの安全性向上の取り組みに関する情報発信を含め,地域の皆さまとのリスクコミュニケーションの充実に努め,社会の皆さまに信頼していただける発電所を目指してまいります。 ② 新たな時代の安定供給再生可能エネルギーの拡大等により,電気の流れが複雑化する中,中部電力パワーグリッドにおいては,中立性・公平性を確保しつつ,発電・販売の各事業会社などと確固たる連携をし,変わらぬ使命である安定供給の確保,電力品質・サービスの向上と低廉な託送料金の両立に努めてまいります。また,引き続き,再生可能エネルギーの接続可能量の増大に努めるとともに,天候等による発電出力の変動に適切に対応してまいります。 さらに,至近の自然災害で得られた教訓等を踏まえ,レジリエンス(強靭性・回復力)の強化に向けて,自治体などと連携しながら,予防保全のための樹木の事前伐採や無電柱化の一層の加速,水力発電用ダムの洪水発生時における治水協力等に取り組んでまいります。 ③ 成長に向けた事業基盤の強化と持続的な成長の実現低炭素社会の実現に向けては,発電・送配電及び販売にいたるバリューチェーンのあらゆる面において,取り組みを強化してまいります。具体的には,再生可能エネルギーカンパニーにおいて,水力・太陽光・バイオマス・陸上風力に加え,洋上風力や地熱も積極的に開発を進めるとともに,中部電力ミライズにおいて,環境に配慮したCO2フリーメニューの提供など,お客さまと連携した取り組みを強化してまいります。 電気・ガスの販売については,これまで培ってきたお客さまとの信頼関係をはじめ,技術力,提案力といった強みを活かし,新しい価値やサービスを組み合わせてお届けしてまいります。 海外事業においては,安定・安価なインフラサービスの提供により地域社会を支えるビジネスと,低炭素社会の実現に資するビジネスを軸に,国内同様,各国・地域の社会課題解決に貢献するとともに,収益の拡大に努めてまいります。 なお,JERAにおいては,国際エネルギー市場で競合他社と互角に戦うことができるグローバルなエネルギー企業体として,国際競争力のある電力・ガス等のエネルギー供給を安定的に行ってまいります。また,高効率火力発電の導入と低効率火力発電のフェードアウトなどにより低炭素化を目指すことで,中部電力グループの企業価値向上に貢献してまいります。 ④新しい成長分野の事業化加速当社は,お客さまの期待を超える一歩先を行く「お客さま起点」の新サービスを創出してまいります。省エネや快適な住環境から,医療・介護・見守り,さらには防災や防犯など人や地域の安全にいたるまで様々な領域で「つながることで広がる価値」を提供する「コミュニティサポートインフラ」を構築・提供する取り組みを進めます。こうした新たな価値をエネルギーサービスとともに提供することにより収益拡大を目指すとともに,社会課題の解決に貢献してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針,経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において判断したものである。 (1) 会社の経営の基本方針「くらしに欠かせないエネルギーをお届けし,社会の発展に貢献する」という当社グループの企業理念を実践していくために,「中部電力グループ 経営ビジョン」を掲げております。エネルギー事業を取り巻く環境の急激な変化に加えて,我が国における人口減少や経済成長の鈍化,それに起因する様々な社会課題が深刻化する状況を踏まえ,2018年3月に経営ビジョンを改定いたしました。この改定した経営ビジョンでは,発販分離型の事業モデルに移行してエネルギー事業の収益を拡大すること,また,これまでの事業領域を超え,お客さま・社会をむすぶ新しいコミュニティの形を提供することで新たな成長分野を確立して収益の柱に育てることを掲げております。これらの取り組みによって,成長を積極的に追求し,「2020年代後半には連結経常利益2,500億円以上」の企業グループを目指すこととしております。当社グループは,この経営ビジョンのもと,地球環境に配慮した,良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けするという「変わらぬ使命の完遂」に努めてまいります。同時に,これを礎として,時代の変化を見据えた「新たな価値の創出」に挑戦し続けることで,期待を超えるサービスを,先駆けてお客さまへお届けするリーディングカンパニーとして,「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を目指してまいります。そして,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,良き企業市民としての社会的責任(CSR)を完遂してまいります。また,低炭素社会の実現,社会課題の解決,大規模災害時における事業継続など,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させることで,SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献し,持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。今後とも,お客さまや株主・投資家のみなさまに信頼,選択されるよう努め,地域社会の発展にも貢献してまいる所存です。 (2) 目標とする経営指標2019年3月,中期目標として「2021年度に連結経常利益1,700億円以上を実現できる企業グループを目指す」ことを設定いたしました。当社グループは,この目標の実現に向け,グループ一丸となって様々な取り組みを進めてまいります。 (3) 中長期的な会社の経営戦略・会社の対処すべき課題エネルギー事業を取り巻く環境は,低炭素社会へのお客さま・社会の強い要請と再生可能エネルギーの拡大,デジタル化の急速な進展など,大きく変化しております。こうした中,本年1月以降,新型コロナウイルスの感染拡大が,国内外の経済を広範囲に下振れさせ,電力需要についても影響が避けられない状況にあります。また,新型コロナウイルスにより,経済情勢にとどまらず,社会構造そのものの変化が加速しており,新しい環境に的確かつ柔軟に対応していくことが求められております。しかし,いかなる事業環境においても,「地球環境に配慮した,良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けする」というエネルギー事業者としての使命は,これまでと変わるものではありません。中部電力グループは,この変わらぬ使命の完遂に努めると同時に,IT等の活用による働き方改革や新たな生活スタイルなど社会構造の変化をとらえ,お客さまや社会のお役に立てるサービスを提供するなど,新しい成長分野の事業化を加速し,時代の変化を見据えた新たな価値の創出に挑戦し続けることで,期待を超えるサービスを先駆けてお客さまへお届けするリーディングカンパニーとして,「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を目指してまいります。 具体的には,次の4つの重点的な取り組みをグループ一丸となって実施し,企業価値の最大化を図ってまいります。 ① 浜岡原子力発電所における安全性のさらなる向上② 新たな時代の安定供給③ 成長に向けた事業基盤の強化と持続的な成長の実現④ 新しい成長分野の事業化加速 ① 浜岡原子力発電所における安全性のさらなる向上浜岡原子力発電所3・4号機については,新規制基準を踏まえた安全性向上対策を着実に進めるとともに,同基準への適合性を早期に確認いただけるよう,社内体制を強化し確実な審査対応に努めてまいります。現在審査が進められている基準地震動・基準津波が概ね確定した後は,安全性向上対策の有効性や浜岡原子力発電所の安全性に係る理解活動につなげてまいります。 また,設備対策に加え,緊急時に設備を有効に機能させるための現場対応力や,万が一に備えた国・自治体との連携強化など,リスクマネジメントの強化に取り組んでまいります。2020年度から原子力規制委員会により新たな検査制度が導入されたことも踏まえ,浜岡原子力発電所の安全性を自主的により一層高める取り組みを継続的に行い,重要な電源として引き続き活用するための準備を進めてまいります。 これらの安全性向上の取り組みに関する情報発信を含め,地域の皆さまとのリスクコミュニケーションの充実に努め,社会の皆さまに信頼していただける発電所を目指してまいります。 ② 新たな時代の安定供給再生可能エネルギーの拡大等により,電気の流れが複雑化する中,中部電力パワーグリッドにおいては,中立性・公平性を確保しつつ,発電・販売の各事業会社などと確固たる連携をし,変わらぬ使命である安定供給の確保,電力品質・サービスの向上と低廉な託送料金の両立に努めてまいります。また,引き続き,再生可能エネルギーの接続可能量の増大に努めるとともに,天候等による発電出力の変動に適切に対応してまいります。 さらに,至近の自然災害で得られた教訓等を踏まえ,レジリエンス(強靭性・回復力)の強化に向けて,自治体などと連携しながら,予防保全のための樹木の事前伐採や無電柱化の一層の加速,水力発電用ダムの洪水発生時における治水協力等に取り組んでまいります。 ③ 成長に向けた事業基盤の強化と持続的な成長の実現低炭素社会の実現に向けては,発電・送配電及び販売にいたるバリューチェーンのあらゆる面において,取り組みを強化してまいります。具体的には,再生可能エネルギーカンパニーにおいて,水力・太陽光・バイオマス・陸上風力に加え,洋上風力や地熱も積極的に開発を進めるとともに,中部電力ミライズにおいて,環境に配慮したCO2フリーメニューの提供など,お客さまと連携した取り組みを強化してまいります。 電気・ガスの販売については,これまで培ってきたお客さまとの信頼関係をはじめ,技術力,提案力といった強みを活かし,新しい価値やサービスを組み合わせてお届けしてまいります。 海外事業においては,安定・安価なインフラサービスの提供により地域社会を支えるビジネスと,低炭素社会の実現に資するビジネスを軸に,国内同様,各国・地域の社会課題解決に貢献するとともに,収益の拡大に努めてまいります。 なお,JERAにおいては,国際エネルギー市場で競合他社と互角に戦うことができるグローバルなエネルギー企業体として,国際競争力のある電力・ガス等のエネルギー供給を安定的に行ってまいります。また,高効率火力発電の導入と低効率火力発電のフェードアウトなどにより低炭素化を目指すことで,中部電力グループの企業価値向上に貢献してまいります。 ④新しい成長分野の事業化加速当社は,お客さまの期待を超える一歩先を行く「お客さま起点」の新サービスを創出してまいります。省エネや快適な住環境から,医療・介護・見守り,さらには防災や防犯など人や地域の安全にいたるまで様々な領域で「つながることで広がる価値」を提供する「コミュニティサポートインフラ」を構築・提供する取り組みを進めます。こうした新たな価値をエネルギーサービスとともに提供することにより収益拡大を目指すとともに,社会課題の解決に貢献してまいります。
MD&A(経営者による分析)
3 【経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(経営成績等の状況の概要) (1) 業績等の概要当連結会計年度におけるわが国経済は,個人消費の持ち直しや雇用情勢の改善がみられたものの,生産や輸出などに減少がみられた。中部地域においても概ね同様の傾向にあった。また,本年1月以降,新型コロナウイルスの感染拡大が,国内外の経済を広範囲に下振れさせる要因となった。 このような中,当連結会計年度の収支状況について,売上高は,3兆659億円となり,前連結会計年度に比べ308億円の増収となった。 経常利益は,1,918億円となり,前連結会計年度に比べ788億円の増益となった。 (2) 生産,受注及び販売の状況当社グループは,ガス&パワーを中心とした総合エネルギーサービスを展開する「販売」,電力ネットワークサービスの提供を行う「電力ネットワーク」,燃料上流・調達から発電,電力・ガスの卸販売を行う「JERA」の3つのセグメント等が,バリューチェーンを通じて,電気事業を運営している。 当社グループにおける生産,受注及び販売の状況については,その大半を占める当社の営む電気事業のみを記載している。 ① 発受電実績 種別当連結会計年度(自 2019年4月1日至 2020年3月31日)対前年増減率(%)自社(百万kWh)水力発電電力量8,7072.1火力発電電力量――原子力発電電力量△248△4.7新エネルギー等発電電力量11062.5他社(百万kWh)送電電力量△13,93526.0受電電力量128,477463.9揚水発電所の揚水用電力量(百万kWh)△81022.7合計122,301△0.9出水率(%)101.2― (注) 1 火力発電電力量は,2019年4月1日付で,当社の燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等(以下,「火力発電事業等」という)を吸収分割により㈱JERAに承継させたため,当連結会計年度の実績はない。2 新エネルギー等発電電力量には,内燃力発電電力量(当連結会計年度△0百万kWh,前連結会計年度△0百万kWh)を含んでいる。3 他社受電電力量は,㈱JERAからの電力購入を開始したことなどにより,著しく増加している。4 揚水発電所の揚水用電力量とは,貯水池運営のための揚水用に使用する電力である。5 出水率は,1988年度から2017年度までの30カ年平均に対する比である。6 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。 ② 販売実績 種別当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)対前年増減率(%)販売電力量(百万kWh)低圧34,628△4.8高圧・特別高圧82,6180.9合計117,246△0.9料金収入(百万円)2,147,445△2.3 (注) 1 料金収入には,消費税等は含まれていない。2 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。 〔参考1〕グループ合計の販売電力量(百万kWh)122,542△0.9 (注)グループ合計の販売電力量は,当社及び連結子会社,並びに持分法適用会社の販売電力量を記載している。 〔参考2〕他社販売電力量(百万kWh)4,453△47.1 (注) 他社販売電力量は,発受電実績における他社送電電力量から電力ネットワークカンパニーの送電電力量(当連結会計年度△9,482百万kWh,前連結会計年度△2,640百万kWh)を除いている。 ③ 主要燃料の状況主要燃料の受払状況 火力発電事業等を承継させたことにより,火力発電用燃料の2018年度末在庫量は,すべて㈱JERAに承継されている。 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)当社グループに関する財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析については,連結財務諸表に基づいて分析した内容である。 (1) 財政状態の分析火力発電事業等を承継させたことにより,汽力発電設備などの資産や有利子負債などの負債は,㈱JERAに承継されている。なお,承継された資産,負債を相殺した純資産価値相当については,㈱JERAの株式として資産に計上している。以上により,総資産は,前連結会計年度末と比べ4,867億円減少し5兆5,008億円となった。純資産については,配当金の支払いはあったが,親会社株主に帰属する当期純利益などから,前連結会計年度末と比べ1,177億円増加し1兆9,620億円となった。この結果,自己資本比率は,34.4%となった。 〔資産・負債・純資産比較表(要旨)〕項 目前連結会計年度末(2019年3月31日)当連結会計年度末(2020年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)資 産固定資産48,93748,94250.0 電気事業固定資産30,91223,821△7,090△22.9 その他の固定資産2,9253,1101856.3 固定資産仮勘定4,5163,871△645△14.3 投資その他の資産8,73716,2517,51386.0流動資産10,9376,065△4,872△44.5 現金及び預金5,4601,485△3,974△72.8 受取手形及び売掛金3,4383,084△353△10.3 合 計59,87555,008△4,867△8.1負 債 ・ 純 資 産固定負債23,86923,645△224△0.9 社債5,5326,6321,10019.9 長期借入金12,27710,956△1,320△10.8流動負債17,33711,517△5,819 △33.6 1年以内に期限到来の固定負債2,8513,032180 6.3 短期借入金9,2562,749△6,506△70.3 コマーシャル・ペーパー―960960 ― 支払手形及び買掛金1,3351,927591 44.3 負債合計41,43135,387△6,044△14.6株主資本17,37118,6231,251 7.2 利益剰余金12,37613,6321,25610.2その他の包括利益累計額413320△92△22.5非支配株主持分658676182.7 純資産合計18,44319,6201,1776.4 合 計59,87555,008△4,867△8.1 (注) 億円未満切り捨て (2) 経営成績の分析当社の販売電力量は,中部エリア外での販売拡大はあったが,産業用の生産減や,競争の進展による他事業者への切り替えの影響などから,前連結会計年度と比べ10億kWh減少し1,172億kWhとなった。 なお,中部電力グループ全体の販売電力量は,前連結会計年度と比べ10億kWh減少し1,225億kWhとなった。 〔販売電力量〕 前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)増 減増減率(%)低圧(億kWh)364346△17△4.8高圧・特別高圧(億kWh)81982670.9合 計1,1831,172△10△0.9 (注) 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。 〔参考1〕グループ合計の販売電力量(億kWh)1,2361,225△10△0.9 (注) グループ合計の販売電力量は,当社及び連結子会社,並びに持分法適用会社の販売電力量を記載している。 〔参考2〕他社販売電力量(億kWh)8445△40△47.1 (注) 他社販売電力量は,発受電電力量における他社送電電力量から電力ネットワークカンパニーの送電電力量 (当連結会計年度△95億kWh,前連結会計年度△26億kWh)を除いている。 これに対して供給面では,浜岡原子力発電所全号機が運転を停止している中,水力発電電力量は,前連結会計年度並みの87億kWhとなった。また,火力発電電力量は,火力発電事業等を承継させたことにより,当連結会計年度の実績はない。一方,他社受電電力量は,㈱JERAからの電力購入を開始したことなどにより,前連結会計年度と比べ1,057億kWh増加し1,285億kWhとなった。 〔発受電電力量〕 前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)増 減増減率(%)自 社水力発電電力量(億kWh)858722.1(出水率%)(102.4)(101.2)(△1.2) 火力発電電力量(億kWh)1,040―△1,040―原子力発電電力量(億kWh)△3△20△4.7(設備利用率%)(―)(―)(―) 新エネルギー等発電電力量(億kWh)11062.5他社(億kWh)送電電力量△111△139△2926.0受電電力量2281,2851,057463.9揚水用電力量(億kWh)△7△8△122.7合 計1,2341,223△11△0.9 (注) 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。 収支の状況については,売上高(営業収益)は,販売電力量の減少はあったが,燃料費調整額の増加に加え,再生可能エネルギー特別措置法に基づく賦課金や交付金の増加などから,前連結会計年度と比べ308億円増加し3兆659億円となった。経常利益は,販売面での競争影響はあったが,グループを挙げた経営効率化に努めたことや,燃料価格の変動が電力販売価格に反映されるまでの期ずれ影響が差損から差益に転じたことなどから,前連結会計年度と比べ788億円増加し1,918億円となった。なお,期ずれ影響を除いた連結経常利益は,1,530億円程度と,前連結会計年度と比べ100億円程度の減益となった。また,2019年4月に火力発電事業等を承継させたことに伴い,190億円を特別利益に計上した。この結果,親会社株主に帰属する当期純利益は,前連結会計年度と比べ840億円増加し1,634億円となった。 当連結会計年度におけるセグメント別の業績(内部取引消去前)は以下のとおりである。 火力発電事業等を承継させたことに伴い,当連結会計年度より,報告セグメントの区分を「販売」,「電力ネットワーク」,「JERA」に変更しているが,㈱JERAは持分法適用関連会社のため,売上高は計上されない。なお,比較にあたって,「JERA」の前連結会計年度には,当社の火力発電事業等を含めている。 [販売]ガス&パワーを中心とした総合エネルギーサービスに伴う売上高については,販売面での競争影響などから,前連結会計年度と比べ891億円減少し2兆6,603億円となった。経常利益は,電源調達コストの低減に努めたが,販売面での競争影響などから,前連結会計年度と比べ193億円減少し450億円となった。 [電力ネットワーク]電力ネットワークサービスの提供に伴う売上高については,中部エリアの需要電力量の減少はあったが,再生可能エネルギー特別措置法に基づく交付金の増加などから,前連結会計年度と比べ43億円増加し7,507億円となった。 経常利益は,中部エリアの需要電力量の減少はあったが,ベースコストの効率化に努めたことなどから,前連結会計年度と比べ49億円増加し476億円となった。 [JERA]燃料上流・調達から発電,電力・ガスの卸販売に伴う経常利益は,コスト競争力の強化及び新たな収益源の創出に努めたことや,期ずれ差損が期ずれ差益へ転じたことなどから,前連結会計年度と比べ722億円改善し712億円となった。 (目標とする経営指標の達成状況等)2019年3月,中期目標として「2021年度に連結経常利益1,700億円以上を実現できるグループを目指す」ことを設定している。当連結会計年度における期ずれ影響を除いた連結経常利益は,1,530億円程度となった。 (新型コロナウイルス感染症による影響評価)当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの影響は限定的であったと評価している。一方,翌連結会計年度においては,中部エリアの電力需要の状況などを受け,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受けることが見込まれる。なお,影響度合は今後の収束時期や景気の回復状況等により変動する。 〔参考〕2020年4月,5月の中部エリアの電力需要の状況4月,5月の中部エリアにおける電力需要は,2019年4月,5月と比べそれぞれ5.0%,12.9%の減少となった。なお,新型コロナウイルス感染症の影響により,サービス業・小売業のお客さまにおいて,休業や営業時間短縮がなされていることに加えて,中部エリアの代表的な産業である自動車産業において,世界的な完成車需要の減少などにより工場の一部生産ライン停止や稼働減がなされていることなどから,電力需要への影響が一定程度出ていると考えている。 〔連結収支比較表〕項 目前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)経常収益営業収益(売上高)30,35030,659308 1.0営業外収益222878656294.7合 計30,57331,5389643.2経常費用営業費用29,09129,3512590.9営業外費用352268△83△23.7合 計29,44429,6201760.6(営業利益)(1,259)(1,308)(49)(3.9)経常利益1,1291,91878869.8特別利益―190190― 法人税等30043113143.9非支配株主に帰属する当期純利益3542721.2親会社株主に帰属する当期純利益7941,634840105.8 (注)1 特別利益:当連結会計年度 持分変動利益 2 内部取引相殺消去後(億円未満切り捨て) (3) キャッシュ・フローの状況の分析営業活動によるキャッシュ・フローは,火力発電事業等を承継させたことに伴う影響などから,前連結会計年度と比べ405億円減少し2,558億円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは,火力発電事業等を承継させたことによる設備投資の減少はあったが,㈱JERAへ調整金を拠出したことや,欧州で総合エネルギー事業を展開するEneco社株式の取得による支出があったことなどから,前連結会計年度と比べ2,792億円増加し6,476億円の支出となった。この結果,フリー・キャッシュ・フローは,前連結会計年度と比べ3,197億円悪化し3,917億円の支出となった。財務活動によるキャッシュ・フローは,資金調達が減少したことなどから,前連結会計年度と比べ 3,431億円減少し58億円の支出となった。これらにより,当連結会計年度末の現金及び現金同等物は,前連結会計年度末と比べ4,024億円減少した。なお,当連結会計年度末の有利子負債残高は,前連結会計年度末と比べ5,561億円減少し2兆4,250億円となった。 資本の財源及び資金の流動性について,当社グループは,主に電気事業の運営上必要な設備資金を,社債発行や銀行借入等により調達し,短期的な運転資金は,主に短期社債により調達することを基本としている。 〔連結キャッシュ・フロー比較表(要旨)〕項 目前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)営業活動によるキャッシュ・フロー ①2,9642,558△405△13.7投資活動によるキャッシュ・フロー ②△3,683△6,476△2,79275.8財務活動によるキャッシュ・フロー3,372△58△3,431- フリー・キャッシュ・フロー ①+②△719△3,917△3,197- 項 目前連結会計年度末(2019年3月31日)当連結会計年度末(2020年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)現金及び現金同等物の期末残高5,5001,475△4,024△73.2(参考)有利子負債残高29,81124,250△5,561△18.7 (注) 億円未満切り捨て (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は,わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については,「第5 経理の状況」に記載されているとおりである。当社グループは,固定資産の減損,繰延税金資産,貸倒引当金,退職給付に係る負債及び資産,企業結合などに関して,過去の実績や当該取引の状況に照らして,合理的と考えられる見積り及び判断を行い,その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しているが,実際の結果は見積り特有の不確実性があるため,これらの見積りと異なる場合がある。また,これらの会計上の見積り及び見積りに用いた仮定のうち特に重要なものは以下のとおりである。 (企業結合) 企業結合における事業の評価については,外部の評価専門家を利用し,識別可能資産及び負債の認識及び測定を行っており,特に無形資産の測定については,経営者による判断を伴う主要な仮定を含んでいる。当該無形資産の測定における主要な仮定は,事業計画に基づく将来キャッシュ・フロー及び割引率である。なお,当該仮定は,実際の結果が異なる可能性があること又は予想しない事象が見積りに影響を与える可能性があることから,翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性がある。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針,経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2019年6月27日)現在において判断したものである。 (1) 会社の経営の基本方針「くらしに欠かせないエネルギーをお届けし,社会の発展に貢献する」という当社グループの企業理念を実践していくために,「中部電力グループ 経営ビジョン」を掲げております。エネルギー事業を取り巻く環境の急激な変化に加えて,我が国における人口減少や経済成長の鈍化,それに起因する様々な社会課題が深刻化する状況を踏まえ,2018年3月に経営ビジョンを改定いたしました。この改定した経営ビジョンでは,発販分離型の事業モデルに移行してエネルギー事業の収益を拡大すること,また,これまでの事業領域を超え,お客さま・社会をむすぶ新しいコミュニティの形を提供することで新たな成長分野を確立して収益の柱に育てることを掲げております。これらの取り組みによって,成長を積極的に追及し,「2020年代後半には連結経常利益2,500億円以上」の企業グループを目指すこととしております。当社グループは,この経営ビジョンのもと,地球環境に配慮した,良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けするという「変わらぬ使命の完遂」に努めてまいります。同時に,これを礎として,時代の変化を見据えた「新たな価値の創出」に挑戦し続けることで,期待を超えるサービスを,先駆けてお客さまへお届けするリーディングカンパニーとして,「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を目指してまいります。そして,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,良き企業市民としての社会的責任(CSR)を完遂してまいります。また,中長期的な企業価値向上に向け,再生可能エネルギーの拡大等による低炭素社会の実現や,「新しいコミュニティの形」の提供による社会課題の解決,大規模災害時における事業継続など,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させてまいります。今後とも,お客さまや株主・投資家のみなさまに信頼,選択されるよう努め,地域社会の発展にも貢献してまいる所存です。 (2) 目標とする経営指標2019年3月,中期目標として「2021年度に連結経常利益1,700億円以上を実現できる企業グループを目指す」ことを設定いたしました。当社グループは,この目標の実現に向け,グループ一丸となって様々な取り組みを進めてまいります。 (3) 中長期的な会社の経営戦略・会社の対処すべき課題エネルギー事業を取り巻く環境は,電力・ガスの小売全面自由化に続き,2020年の送配電事業の法的分離など急激に変化しつつあります。一方,原子力発電については,他の電力会社において,新規制基準への適合性確認審査を経て再稼働した発電所もあるものの,依然としてわが国の原子力発電所の多くは運転停止が継続しております。しかし,いかなる事業環境においても,「地球環境に配慮した,良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けする」というエネルギー事業者としての使命は,これまでと変わるものではありません。中部電力グループは,この変わらぬ使命の完遂に努めると同時に,新しい成長分野の事業化を加速し,時代の変化を見据えた新たな価値の創出に挑戦し続けることで,期待を超えるサービスを先駆けてお客さまへお届けするリーディングカンパニーとして,「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を目指してまいります。 具体的には,次の4つの重点的な取り組みをグループ一丸となって実施してまいります。① 浜岡原子力発電所における安全性のさらなる向上② 新たな時代の安定供給③ 成長に向けた事業基盤の強化と持続的な成長の実現④ 新しい成長分野の事業化加速 ① 浜岡原子力発電所における安全性のさらなる向上浜岡原子力発電所3・4号機については,新規制基準を踏まえた安全性向上対策を着実に進めるとともに,同基準への適合性を早期に確認いただけるよう,社内体制を強化し確実な審査対応に努めてまいります。5号機については,海水流入事象に対する具体的な復旧方法の検討と並行して,適合性確認審査の申請に向けた準備を進めてまいります。また,防災体制の整備や教育・訓練の充実を図るとともに,住民避難を含む緊急時対応の実効性向上に向けて,国・自治体との連携を一層強化してまいります。今後も新規制基準への対応にとどまることなく,浜岡原子力発電所の安全性をより一層高める取り組みを継続的に行い,浜岡原子力発電所を重要な電源として引き続き活用するための準備を進めてまいります。当社は,これらの取り組みについて,地域をはじめ社会のみなさまに丁寧にご説明するとともに,不安や疑問にしっかりと向き合うことで,一人でも多くの方にご理解をいただけるよう努めてまいります。 ② 新たな時代の安定供給電気事業法で定められている2020年の送配電事業の法的分離にあたっては,発電と送配電が分社化することによって安定供給が損なわれることのないよう,発電側と送配電側が協調するルールが必要です。当社では,本年4月の既存火力発電事業のJERAへの統合により,発電と送配電が既に分社化しており,両者が協調するルールを策定し運用を始めております。今後の送配電事業の法的分離に際しても,引き続き安定供給を果たすことができるよう万全を期してまいります。電力ネットワークカンパニーにおいては,中部エリアの安定供給に必要な予備力・調整力を確保するとともに,中立性・公平性を確保しつつ,高い電力品質と低廉な託送料金が両立できるよう努めてまいります。また,再生可能エネルギーの接続可能量の増大に努めるとともに,天候等による発電出力の変動に適切に対応してまいります。販売カンパニーにおいては,供給力を安定的に確保し,お客さまに良質なエネルギーサービスを確実にお届けしてまいります。さらに,当社は,供給に関するレジリエンス(強靭性,回復力)を高める取り組みを着実に実施し,自然災害への備えを引き続き強化してまいります。 ③ 成長に向けた事業基盤の強化と持続的な成長の実現本年4月の既存火力発電事業のJERAへの統合に続き,2020年の送配電事業の法的分離,販売事業の分社化により「発販分離型の事業モデル」へ移行し,各事業会社が,それぞれの市場と向き合い自律的な取り組みを進めることで,より強靭な企業グループへの成長とエネルギー分野における収益拡大を目指してまいります。販売カンパニーにおいては,競争力ある料金メニューや新たなサービスの創出,電力・ガスをワンストップでお届けするガス&パワーを積極的に展開してまいります。また,これまで築き上げてきたサービスや技術を根幹としつつ,さまざまなパートナーとの連携を通じ,そのノウハウや顧客基盤も活かしながら多様化するお客さまのニーズに応えてまいります。再生可能エネルギーカンパニーにおいては,新たな目標として掲げた「2030年頃までに200万kW以上の新規開発」の達成に向けて開発を加速してまいります。なお,JERAにおいては,国際エネルギー市場で競合他社と互角に戦うことができるグローバルなエネルギー企業体として,国際競争力のある電力・ガス等のエネルギー供給を安定的に行うとともに,中部電力グループの企業価値向上に貢献してまいります。 ④新しい成長分野の事業化加速当社は,さまざまなデータを活用し,個人の生活の質の向上を図るサービスや,複数の社会インフラをつなぎ進化させることによる地域へのサービスなど,先端技術を活用した「コミュニティサポートインフラ」の提供を新たな成長分野として確立し,お客さまにお届けできる「新たな価値の創出」に取り組んでまいります。なお,本年4月には,事業創造本部を設置し,新たなビジネスモデルの実践を通じて事業化を加速してまいります。 当社は,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,良き企業市民としての社会的責任(CSR)を完遂してまいります。また,中長期的な企業価値向上に向け,再生可能エネルギーの拡大等による低炭素社会の実現や,「新しいコミュニティの形」の提供による社会課題の解決,大規模災害時における事業継続など,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させてまいります。今後とも,お客さまや株主・投資家のみなさまに信頼,選択されるよう努め,地域社会の発展にも貢献してまいる所存です。
対処すべき課題
1 【経営方針,経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2019年6月27日)現在において判断したものである。 (1) 会社の経営の基本方針「くらしに欠かせないエネルギーをお届けし,社会の発展に貢献する」という当社グループの企業理念を実践していくために,「中部電力グループ 経営ビジョン」を掲げております。エネルギー事業を取り巻く環境の急激な変化に加えて,我が国における人口減少や経済成長の鈍化,それに起因する様々な社会課題が深刻化する状況を踏まえ,2018年3月に経営ビジョンを改定いたしました。この改定した経営ビジョンでは,発販分離型の事業モデルに移行してエネルギー事業の収益を拡大すること,また,これまでの事業領域を超え,お客さま・社会をむすぶ新しいコミュニティの形を提供することで新たな成長分野を確立して収益の柱に育てることを掲げております。これらの取り組みによって,成長を積極的に追及し,「2020年代後半には連結経常利益2,500億円以上」の企業グループを目指すこととしております。当社グループは,この経営ビジョンのもと,地球環境に配慮した,良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けするという「変わらぬ使命の完遂」に努めてまいります。同時に,これを礎として,時代の変化を見据えた「新たな価値の創出」に挑戦し続けることで,期待を超えるサービスを,先駆けてお客さまへお届けするリーディングカンパニーとして,「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を目指してまいります。そして,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,良き企業市民としての社会的責任(CSR)を完遂してまいります。また,中長期的な企業価値向上に向け,再生可能エネルギーの拡大等による低炭素社会の実現や,「新しいコミュニティの形」の提供による社会課題の解決,大規模災害時における事業継続など,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させてまいります。今後とも,お客さまや株主・投資家のみなさまに信頼,選択されるよう努め,地域社会の発展にも貢献してまいる所存です。 (2) 目標とする経営指標2019年3月,中期目標として「2021年度に連結経常利益1,700億円以上を実現できる企業グループを目指す」ことを設定いたしました。当社グループは,この目標の実現に向け,グループ一丸となって様々な取り組みを進めてまいります。 (3) 中長期的な会社の経営戦略・会社の対処すべき課題エネルギー事業を取り巻く環境は,電力・ガスの小売全面自由化に続き,2020年の送配電事業の法的分離など急激に変化しつつあります。一方,原子力発電については,他の電力会社において,新規制基準への適合性確認審査を経て再稼働した発電所もあるものの,依然としてわが国の原子力発電所の多くは運転停止が継続しております。しかし,いかなる事業環境においても,「地球環境に配慮した,良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けする」というエネルギー事業者としての使命は,これまでと変わるものではありません。中部電力グループは,この変わらぬ使命の完遂に努めると同時に,新しい成長分野の事業化を加速し,時代の変化を見据えた新たな価値の創出に挑戦し続けることで,期待を超えるサービスを先駆けてお客さまへお届けするリーディングカンパニーとして,「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を目指してまいります。 具体的には,次の4つの重点的な取り組みをグループ一丸となって実施してまいります。① 浜岡原子力発電所における安全性のさらなる向上② 新たな時代の安定供給③ 成長に向けた事業基盤の強化と持続的な成長の実現④ 新しい成長分野の事業化加速 ① 浜岡原子力発電所における安全性のさらなる向上浜岡原子力発電所3・4号機については,新規制基準を踏まえた安全性向上対策を着実に進めるとともに,同基準への適合性を早期に確認いただけるよう,社内体制を強化し確実な審査対応に努めてまいります。5号機については,海水流入事象に対する具体的な復旧方法の検討と並行して,適合性確認審査の申請に向けた準備を進めてまいります。また,防災体制の整備や教育・訓練の充実を図るとともに,住民避難を含む緊急時対応の実効性向上に向けて,国・自治体との連携を一層強化してまいります。今後も新規制基準への対応にとどまることなく,浜岡原子力発電所の安全性をより一層高める取り組みを継続的に行い,浜岡原子力発電所を重要な電源として引き続き活用するための準備を進めてまいります。当社は,これらの取り組みについて,地域をはじめ社会のみなさまに丁寧にご説明するとともに,不安や疑問にしっかりと向き合うことで,一人でも多くの方にご理解をいただけるよう努めてまいります。 ② 新たな時代の安定供給電気事業法で定められている2020年の送配電事業の法的分離にあたっては,発電と送配電が分社化することによって安定供給が損なわれることのないよう,発電側と送配電側が協調するルールが必要です。当社では,本年4月の既存火力発電事業のJERAへの統合により,発電と送配電が既に分社化しており,両者が協調するルールを策定し運用を始めております。今後の送配電事業の法的分離に際しても,引き続き安定供給を果たすことができるよう万全を期してまいります。電力ネットワークカンパニーにおいては,中部エリアの安定供給に必要な予備力・調整力を確保するとともに,中立性・公平性を確保しつつ,高い電力品質と低廉な託送料金が両立できるよう努めてまいります。また,再生可能エネルギーの接続可能量の増大に努めるとともに,天候等による発電出力の変動に適切に対応してまいります。販売カンパニーにおいては,供給力を安定的に確保し,お客さまに良質なエネルギーサービスを確実にお届けしてまいります。さらに,当社は,供給に関するレジリエンス(強靭性,回復力)を高める取り組みを着実に実施し,自然災害への備えを引き続き強化してまいります。 ③ 成長に向けた事業基盤の強化と持続的な成長の実現本年4月の既存火力発電事業のJERAへの統合に続き,2020年の送配電事業の法的分離,販売事業の分社化により「発販分離型の事業モデル」へ移行し,各事業会社が,それぞれの市場と向き合い自律的な取り組みを進めることで,より強靭な企業グループへの成長とエネルギー分野における収益拡大を目指してまいります。販売カンパニーにおいては,競争力ある料金メニューや新たなサービスの創出,電力・ガスをワンストップでお届けするガス&パワーを積極的に展開してまいります。また,これまで築き上げてきたサービスや技術を根幹としつつ,さまざまなパートナーとの連携を通じ,そのノウハウや顧客基盤も活かしながら多様化するお客さまのニーズに応えてまいります。再生可能エネルギーカンパニーにおいては,新たな目標として掲げた「2030年頃までに200万kW以上の新規開発」の達成に向けて開発を加速してまいります。なお,JERAにおいては,国際エネルギー市場で競合他社と互角に戦うことができるグローバルなエネルギー企業体として,国際競争力のある電力・ガス等のエネルギー供給を安定的に行うとともに,中部電力グループの企業価値向上に貢献してまいります。 ④新しい成長分野の事業化加速当社は,さまざまなデータを活用し,個人の生活の質の向上を図るサービスや,複数の社会インフラをつなぎ進化させることによる地域へのサービスなど,先端技術を活用した「コミュニティサポートインフラ」の提供を新たな成長分野として確立し,お客さまにお届けできる「新たな価値の創出」に取り組んでまいります。なお,本年4月には,事業創造本部を設置し,新たなビジネスモデルの実践を通じて事業化を加速してまいります。 当社は,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,良き企業市民としての社会的責任(CSR)を完遂してまいります。また,中長期的な企業価値向上に向け,再生可能エネルギーの拡大等による低炭素社会の実現や,「新しいコミュニティの形」の提供による社会課題の解決,大規模災害時における事業継続など,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させてまいります。今後とも,お客さまや株主・投資家のみなさまに信頼,選択されるよう努め,地域社会の発展にも貢献してまいる所存です。
MD&A(経営者による分析)
3 【経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度から適用しており,財政状態の分析については,当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っている。 (経営成績等の状況の概要) (1) 業績等の概要当連結会計年度におけるわが国経済は,個人消費の持ち直し,設備投資・生産の増加,雇用・所得環境の改善を背景に,緩やかな回復基調が続いた。中部地域においても概ね同様の傾向にあった。 このような中,当連結会計年度の収支状況について,売上高は,3兆350億円となり,前連結会計年度に比べ1,817億円の増収となった。 経常利益は,1,129億円となり,前連結会計年度に比べ156億円の減益となった。 (2) 生産,受注及び販売の状況当社グループは,火力および再生可能エネルギーによる電力の供給を行う「発電」,電力ネットワークサービスの提供を行う「電力ネットワーク」,ガス&パワーを中心とした総合エネルギーサービスを展開する「販売」の3つのセグメントが,一体となって電気事業を運営している。 当社グループにおける生産,受注及び販売の状況については,その大半を占める当社の営む電気事業のみを記載している。 ① 発受電実績 種別当連結会計年度(自 2018年4月1日至 2019年3月31日)対前年増減率(%)自社(百万kWh)水力発電電力量8,526△0.3火力発電電力量103,969△3.8原子力発電電力量△2602.1新エネルギー発電電力量(5)67(△90.2)46.0他社(百万kWh)送電電力量△11,06040.5受電電力量22,78422.2揚水発電所の揚水用電力量(百万kWh)△660△46.8合計123,366△2.0出水率(%)102.4― (注) 1 火力発電電力量は,汽力と内燃力の合計である。2 新エネルギー発電電力量の( )内は,火力発電電力量のうちバイオマスに係る電力量を再掲している。3 揚水発電所の揚水用電力量とは,貯水池運営のための揚水用に使用する電力である。4 出水率は,1987年度から2016年度までの30カ年平均に対する比である。5 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。 ② 販売実績 種別当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)対前年増減率(%)販売電力量(百万kWh)低圧36,371△6.2高圧・特別高圧81,886△0.9合計118,257△2.6料金収入(百万円)2,197,1552.4 (注) 1 料金収入には,消費税等は含まれていない。2 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。 〔参考1〕グループ合計の販売電力量(百万kWh)123,602△1.4 (注)グループ合計の販売電力量は,当社および連結子会社,ならびに持分法適用会社の販売電力量を記載している。 〔参考2〕他社販売電力量(百万kWh)11,06040.5 (注)他社販売電力量は,発受電実績における他社送電電力量を記載している。 ③ 主要燃料の状況 主要燃料の受払状況 区分石炭(t)重油(kl)原油(kl)LNG(t)2016年度末在庫量420,72914,259460,141305,1772017年度受入量10,957,31112,545―12,350,8252017年度払出量11,058,23911,972257,63512,070,7082017年度末在庫量319,80114,832202,506585,2942018年度受入量10,610,77310,140―11,586,9302018年度払出量10,635,99410,84966,89411,486,9302018年度末在庫量294,58014,123135,612685,294 (注) 各年度の払出量には,販売の払出量を含む。 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)当社グループに関する財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析については,連結財務諸表に基づいて分析した内容である。 (1) 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は,我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については,「第5経理の状況」に記載されているとおりである。当社グループは,固定資産の減損,繰延税金資産,貸倒引当金,退職給付に係る負債及び資産,資産除去債務などに関して,過去の実績や当該取引の状況に照らして,合理的と考えられる見積り及び判断を行い,その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しているが,実際の結果は見積り特有の不確実性があるため,これらの見積りと異なる場合がある。 (2) 財政状態の分析 ① 資産固定資産については,減価償却の進行はあったものの,設備投資などにより固定資産が増加したことなどから,前連結会計年度末と比べ1,015億円増加し4兆8,937億円となった。流動資産については,株式会社JERAに対し,当社の既存火力発電事業等を承継するために必要な現金及び預金を確保したことなどから,前連結会計年度末と比べ3,565億円増加し1兆937億円となった。この結果,総資産は,前連結会計年度末と比べ4,581億円増加し5兆9,875億円となった。 ② 負債有利子負債の増加などから,負債合計は,前連結会計年度末と比べ4,056億円増加し4兆1,431億円となった。 ③ 純資産配当金の支払いはあったが,親会社株主に帰属する当期純利益の計上などから,純資産合計は,前連結会計年度末と比べ524億円増加し1兆8,443億円となった。 この結果,自己資本比率は,29.7%となった。 〔資産・負債・純資産比較表(要旨)〕項 目前連結会計年度末(2018年3月31日)当連結会計年度末(2019年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)資 産固定資産47,92148,9371,0152.1 電気事業固定資産31,37030,912△458△1.5 その他の固定資産2,7642,9251605.8 固定資産仮勘定3,4444,5161,07131.1 投資その他の資産8,5448,7371932.3流動資産7,37210,9373,56548.4 現金及び預金1,8165,4603,644200.7 受取手形及び売掛金2,9133,43852518.0 たな卸資産75091016021.3 合 計55,29459,8754,5818.3負 債 ・ 純 資 産固定負債25,49923,869△1,630△6.4 社債6,1925,532△659△10.7 長期借入金13,61712,277△1,340△9.8流動負債11,65017,3375,68748.8 1年以内に期限到来の固定負債2,5732,85127810.8 短期借入金3,7099,2565,546149.5 支払手形及び買掛金1,3301,33550.4 負債合計37,37441,4314,05610.9株主資本16,88117,3714902.9 利益剰余金11,88412,3764914.1その他の包括利益累計額415413△2△0.7非支配株主持分621658365.9 純資産合計17,91918,4435242.9 合 計55,29459,8754,5818.3 (注) 億円未満切り捨て (3) 経営成績の分析 ① 営業収支当社の販売電力量は,中部エリア外での販売拡大はあったが,競争の進展による他事業者への切り替えの影響などから,前連結会計年度と比べ32億kWh減少し1,183億kWhとなった。 なお,中部電力グループ全体の販売電力量は,前連結会計年度と比べ17億kWh減少し1,236億kWhとなった。 〔販売電力量〕 前連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)増 減増減率(%)低圧(億kWh)388364△24△6.2高圧・特別高圧(億kWh)826819△8△0.9合 計1,2141,183△32△2.6 (注) 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。 〔参考1〕グループ合計の販売電力量(億kWh)1,2531,236△17△1.4 (注) グループ合計の販売電力量は,当社および連結子会社,ならびに持分法適用会社の販売電力量を記載している。 〔参考2〕他社販売電力量(億kWh)791113240.5 (注) 他社販売電力量は,発受電電力量における他社送電電力量を記載している。 これに対して供給面では,浜岡原子力発電所全号機が運転を停止している中,水力発電電力量は,前連結会計年度並みの85億kWhとなった。また,他社送電電力量は,卸販売電力量の増加などにより,前連結会計年度と比べ32億kWh増加し111億kWhとなり,他社受電電力量は,中部エリア外の購入電力量および再生可能エネルギーの買取電力量が増加したことなどにより,前連結会計年度と比べ41億kWh増加し228億kWhとなった。この結果,火力発電電力量は,前連結会計年度と比べ41億kWh減少し1,040億kWhとなった。 〔発受電電力量〕 前連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)増 減増減率(%)自 社水力発電電力量(億kWh)8585△0△0.3(出水率%)(98.7)(102.4)(3.7) 火力発電電力量(億kWh)1,0801,040△41△3.8原子力発電電力量(億kWh)△2△3△12.1(設備利用率%)(―)(―)(―) 新エネルギー発電電力量(億kWh)01046.0他社(億kWh)送電電力量△79△111△3240.5受電電力量1872284122.2揚水用電力量(億kWh)△12△76△46.8合 計1,2591,234△25△2.0 (注) 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。 収支の状況については,売上高は,販売電力量の減少はあったが,燃料費調整額の増加などから,前連結会計年度と比べ1,817億円増加し3兆350億円となった。営業費用は,グループを挙げた経営効率化に努めてきたが,燃料価格の上昇に伴う燃料費の増加などから,前連結会計年度と比べ1,923億円増加し2兆9,091億円となった。これにより,営業利益は,前連結会計年度と比べ105億円減少し1,259億円となった。 当連結会計年度におけるセグメントごとの業績(内部取引消去前)は以下のとおりである。 [発電]火力および再生可能エネルギーによる電力の供給に伴う売上高については,燃料価格の上昇に伴う収入単価の上昇などから,前連結会計年度と比べ553億円増加し1兆1,529億円となった。一方,営業費用は,燃料価格の上昇に伴う燃料費の増加などから,前連結会計年度と比べ861億円増加の1兆1,454億円となった。この結果,営業利益は,前連結会計年度と比べ307億円減少の74億円となった。 [電力ネットワーク]電力ネットワークサービスの提供に伴う売上高については,中部エリアの需要電力量の減少はあったが,再生可能エネルギー特別措置法に基づく交付金の増加などから,前連結会計年度と比べ17億円増加し7,464億円となった。一方,営業費用は,ベースコストの効率化に努めてきたが,再生可能エネルギー特別措置法に基づく買取費用の増加や台風21号,24号による設備被害の復旧費用を要したことなどから,前連結会計年度と比べ39億円増加の6,933億円となった。この結果,営業利益は,前連結会計年度と比べ22億円減少の530億円となった。 [販売]ガス&パワーを中心とした総合エネルギーサービスに伴う売上高については,販売電力量の減少はあったが,燃料費調整額の増加などから,前連結会計年度と比べ1,156億円増加し2兆7,495億円となった。一方,営業費用は,燃料価格の上昇に伴う購入電力料の増加などから,前連結会計年度と比べ887億円増加の2兆6,845億円となった。この結果,営業利益は,前連結会計年度と比べ268億円増加の650億円となった。 ② 経常利益営業外収益については,前連結会計年度と比べ56億円減少し222億円となり,売上高と合わせた経常収益合計は,前連結会計年度と比べ1,761億円増加の3兆573億円となった。営業外費用については,前連結会計年度と比べ6億円減少の352億円となり,営業費用と合わせた経常費用合計は,前連結会計年度と比べ1,917億円増加の2兆9,444億円となった。この結果,経常利益は,前連結会計年度と比べ156億円減少の1,129億円となった。 ③ 親会社株主に帰属する当期純利益親会社株主に帰属する当期純利益は,前連結会計年度と比べ50億円増加し794億円となった。 ④ 目標とする経営指標の達成状況等当連結会計年度における,燃料費調整制度による期ずれ影響を除いた連結経常利益は,1,630億円程度となり,2016年3月に設定した中期目標(2018年度までに連結経常利益1,500億円以上)を達成した。 〔連結収支比較表〕項 目前連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)経常収益営業収益(売上高)28,53330,3501,8176.4営業外収益278222△56△20.2合 計28,81230,5731,7616.1経常費用営業費用27,16829,0911,9237.1営業外費用358352△6△1.7合 計27,52629,4441,9177.0(営業利益)(1,365)(1,259)(△105)(△7.8)経常利益1,2851,129△156△12.1渇水準備金△0―0―特別損失233―△233―法人税等284300155.5非支配株主に帰属する当期純利益23351147.2親会社株主に帰属する当期純利益743794506.8 (注)1 特別損失:前連結会計年度 減損損失 2 内部取引相殺消去後(億円未満切り捨て) (4) キャッシュ・フローの状況の分析営業活動によるキャッシュ・フローは,燃料価格の上昇に伴う燃料費支出が増加したことなどから,前連結会計年度と比べ1,277億円減少し2,964億円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは,固定資産の取得による支出が増加したことなどから,前連結会計年度と比べ238億円増加し3,683億円の支出となった。この結果,フリー・キャッシュ・フローは,前連結会計年度と比べ1,516億円悪化し719億円の支出となった。財務活動によるキャッシュ・フローは,資金調達額が増加したことなどから,前連結会計年度と比べ4,259億円増加し3,372億円の収入となった。これらにより,当連結会計年度末の現金及び現金同等物は,前連結会計年度末と比べ2,651億円増加した。なお,当連結会計年度末の有利子負債残高は,前連結会計年度末と比べ3,855億円増加し2兆9,811億円となった。 資本の財源及び資金の流動性について,当社グループは,主に電気事業の運営上必要な設備資金を,社債発行や銀行借入等により調達し,短期的な運転資金は,主に短期社債により調達することを基本としている。 〔連結キャッシュ・フロー比較表(要旨)〕項 目前連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)営業活動によるキャッシュ・フロー ①4,2412,964△1,277△30.1投資活動によるキャッシュ・フロー ②△3,444△3,683△2386.9財務活動によるキャッシュ・フロー△8863,3724,259― フリー・キャッシュ・フロー ①+②796△719△1,516― 項 目前連結会計年度末(2018年3月31日)当連結会計年度末(2019年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)現金及び現金同等物の期末残高2,8485,5002,65193.1(参考)有利子負債残高25,95629,8113,85514.9 (注) 億円未満切り捨て
経営方針・経営戦略
1 【経営方針,経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(平成30年6月28日)現在において判断したものである。 (1) 会社の経営の基本方針「くらしに欠かせないエネルギーをお届けし,社会の発展に貢献する」という当社グループの企業理念を実践していくために,「中部電力グループ 経営ビジョン」を掲げております。エネルギー事業を取り巻く環境の急激な変化に加えて,我が国における人口減少や経済成長の鈍化,それに起因する様々な社会課題が深刻化する状況を踏まえ,平成30年3月に経営ビジョンを改定いたしました。この改定した経営ビジョンでは,発販分離型の事業モデルに移行してエネルギー事業の収益を拡大すること,また,これまでの事業領域を超え,お客さま・社会をむすぶ新しいコミュニティの形を提供することで新たな成長分野を確立して収益の柱に育てることを掲げております。これらの取り組みによって,成長を積極的に追及し,「2020年代後半には連結経常利益2,500億円以上」の企業グループを目指すこととしております。当社グループは,この経営ビジョンのもと,地球環境に配慮した,良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けするという「変わらぬ使命の完遂」に努めてまいります。同時に,これを礎として,時代の変化を見据えた「新たな価値の創出」に挑戦し続けることで,期待を超えるサービスを,先駆けてお客さまへお届けするリーディングカンパニーとして,「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を目指してまいります。また,今後とも,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,良き企業市民としての社会的責任(CSR)を完遂し,お客さまや株主・投資家のみなさまに信頼,選択されるよう努め,地域社会の発展にも貢献してまいります。 (2) 目標とする経営指標平成28年3月,中期目標として「平成30年度までに連結経常利益1,500億円以上を実現できる企業グループを目指す」ことを設定いたしました。当社グループは,この目標の実現に向け,グループ一丸となって様々な取り組みを進めてまいります。 (3) 中長期的な会社の経営戦略・会社の対処すべき課題エネルギー事業を取り巻く環境は,電力・ガスの小売全面自由化に続き,平成32年の送配電事業の法的分離など急激に変化しつつあります。一方,原子力発電については,他の電力会社において,新規制基準への適合性確認審査を経て再稼働した発電所もあるものの,依然としてわが国の原子力発電所の多くは運転停止が継続しております。しかし,いかなる事業環境においても,「地球環境に配慮した,良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けする」という電気事業者としての使命は,これまでと変わるものではありません。中部電力グループは,この変わらぬ使命の完遂に努めると同時に,時代の変化を見据えた新たな価値の創出に挑戦し続けることで,期待を超えるサービスを,先駆けてお客さまへお届けするリーディングカンパニーとして「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を目指してまいります。 具体的には,次の4つの重点的な取り組みをグループ一丸となって実施してまいります。① 浜岡原子力発電所における安全性のさらなる向上② 新たな時代の安定供給③ 成長に向けた事業基盤の強化と持続的な成長の実現④ 環境変化に即応できる事業体制・経営基盤の構築 ① 浜岡原子力発電所における安全性のさらなる向上浜岡原子力発電所3・4号機については,新規制基準を踏まえた安全性向上対策を着実に進めるとともに,同基準への適合性を早期に確認いただけるよう,社内体制を強化し確実な審査対応に努めてまいります。5号機については,海水流入事象に対する具体的な復旧方法の検討と並行して,適合性確認審査の申請に向けた準備を進めてまいります。また,防災体制の整備や教育・訓練の充実を図るとともに,住民避難を含む緊急時対応の実効性向上に向けて,国・自治体との連携を一層強化してまいります。今後も新規制基準への対応にとどまることなく,浜岡原子力発電所の安全性をより一層高める取り組みを継続的に行い,浜岡原子力発電所を重要な電源として引き続き活用するための準備を進めてまいります。当社は,これらの取り組みについて,地域をはじめ社会のみなさまに丁寧にご説明するとともに,不安や疑問にしっかりと向き合うことで,一人でも多くの方にご理解をいただけるよう努めてまいります。 ② 新たな時代の安定供給電力の小売全面自由化や送配電事業の法的分離など事業環境が変化する中においても,各カンパニーが役割を果たしつつグループ内で連携し,バランスの取れた電源構成を実現するとともに,地球環境に配慮した,良質なエネルギーを安定的にお届けしてまいります。発電カンパニーにおいては,安価なベース電源である石炭火力の武豊火力発電所5号機の開発を着実に進めております。また,再生可能エネルギーについても導入拡大に向けた取り組みを引き続き推進してまいります。電力ネットワークカンパニーにおいては,中部地域の安定供給に必要な予備力・調整力を確保するとともに,中立性・公平性を確保しつつ,高い電力品質と低廉な託送料金が両立できるよう努めてまいります。また,再生可能エネルギーの接続可能量の増大に努めるとともに,天候等による発電出力の変動に適切に対応してまいります。販売カンパニーにおいては,供給力を安定的に確保し,お客さまに良質なエネルギーサービスを確実にお届けしてまいります。 ③ 成長に向けた事業基盤の強化と持続的な成長の実現電力・ガスの小売全面自由化などの環境変化を好機と捉え,成長の加速に向けた取り組みを進めてまいります。販売カンパニーにおいては,競争力のある料金メニューや新たなサービスの創出,電力・ガスをワンストップでお届けするガス&パワーの積極的な展開など,お客さまの期待を超えるサービスをお届けいたします。また,既存の販売体制に加え,大阪ガスと共同で設立したCDエナジーダイレクトを通じて首都圏における電力・ガス販売および暮らしやビジネスに関わるサービスの提供を加速してまいります。発電カンパニーにおいては,JERAを通じて,柔軟性・経済性・安定性に優れた燃料調達を実現することなどにより競争力を強化していくとともに,海外発電・エネルギーインフラ事業などにおいても事業規模を拡大してまいります。また,既存火力発電事業については,平成31年4月の事業統合に向けて必要な準備を進めてまいります。これらの統合効果を活用してJERAをグローバルなエネルギー企業体へ成長させることで,国際競争力のあるエネルギーの安定供給と,中部電力グループの企業価値向上を目指してまいります。今後もこれらの取り組みにとどまることなく,エネルギー事業で培った当社の強みを活かした新しい成長分野を確立し,将来的に収益の柱へと育ててまいります。 ④ 環境変化に即応できる事業体制・経営基盤の構築事業環境の変化に対応し持続的な成長を実現するため,各カンパニーへのさらなる機能移管による自律的な事業体制の構築を行うとともに,送配電事業の法的分離を見据え,発販分離型の事業モデルへの移行を検討してまいります。また,IoTやAI等の新たな技術も活用した事業基盤の強化,経営効率化のさらなる深掘りやリスクマネジメントの強化などを行ってまいります。 今後とも,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,良き企業市民としての社会的責任(CSR)を完遂し,お客さまや株主・投資家のみなさまに信頼,選択されるよう努め,地域社会の発展にも貢献してまいる所存です。
対処すべき課題
1 【経営方針,経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(平成30年6月28日)現在において判断したものである。 (1) 会社の経営の基本方針「くらしに欠かせないエネルギーをお届けし,社会の発展に貢献する」という当社グループの企業理念を実践していくために,「中部電力グループ 経営ビジョン」を掲げております。エネルギー事業を取り巻く環境の急激な変化に加えて,我が国における人口減少や経済成長の鈍化,それに起因する様々な社会課題が深刻化する状況を踏まえ,平成30年3月に経営ビジョンを改定いたしました。この改定した経営ビジョンでは,発販分離型の事業モデルに移行してエネルギー事業の収益を拡大すること,また,これまでの事業領域を超え,お客さま・社会をむすぶ新しいコミュニティの形を提供することで新たな成長分野を確立して収益の柱に育てることを掲げております。これらの取り組みによって,成長を積極的に追及し,「2020年代後半には連結経常利益2,500億円以上」の企業グループを目指すこととしております。当社グループは,この経営ビジョンのもと,地球環境に配慮した,良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けするという「変わらぬ使命の完遂」に努めてまいります。同時に,これを礎として,時代の変化を見据えた「新たな価値の創出」に挑戦し続けることで,期待を超えるサービスを,先駆けてお客さまへお届けするリーディングカンパニーとして,「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を目指してまいります。また,今後とも,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,良き企業市民としての社会的責任(CSR)を完遂し,お客さまや株主・投資家のみなさまに信頼,選択されるよう努め,地域社会の発展にも貢献してまいります。 (2) 目標とする経営指標平成28年3月,中期目標として「平成30年度までに連結経常利益1,500億円以上を実現できる企業グループを目指す」ことを設定いたしました。当社グループは,この目標の実現に向け,グループ一丸となって様々な取り組みを進めてまいります。 (3) 中長期的な会社の経営戦略・会社の対処すべき課題エネルギー事業を取り巻く環境は,電力・ガスの小売全面自由化に続き,平成32年の送配電事業の法的分離など急激に変化しつつあります。一方,原子力発電については,他の電力会社において,新規制基準への適合性確認審査を経て再稼働した発電所もあるものの,依然としてわが国の原子力発電所の多くは運転停止が継続しております。しかし,いかなる事業環境においても,「地球環境に配慮した,良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けする」という電気事業者としての使命は,これまでと変わるものではありません。中部電力グループは,この変わらぬ使命の完遂に努めると同時に,時代の変化を見据えた新たな価値の創出に挑戦し続けることで,期待を超えるサービスを,先駆けてお客さまへお届けするリーディングカンパニーとして「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を目指してまいります。 具体的には,次の4つの重点的な取り組みをグループ一丸となって実施してまいります。① 浜岡原子力発電所における安全性のさらなる向上② 新たな時代の安定供給③ 成長に向けた事業基盤の強化と持続的な成長の実現④ 環境変化に即応できる事業体制・経営基盤の構築 ① 浜岡原子力発電所における安全性のさらなる向上浜岡原子力発電所3・4号機については,新規制基準を踏まえた安全性向上対策を着実に進めるとともに,同基準への適合性を早期に確認いただけるよう,社内体制を強化し確実な審査対応に努めてまいります。5号機については,海水流入事象に対する具体的な復旧方法の検討と並行して,適合性確認審査の申請に向けた準備を進めてまいります。また,防災体制の整備や教育・訓練の充実を図るとともに,住民避難を含む緊急時対応の実効性向上に向けて,国・自治体との連携を一層強化してまいります。今後も新規制基準への対応にとどまることなく,浜岡原子力発電所の安全性をより一層高める取り組みを継続的に行い,浜岡原子力発電所を重要な電源として引き続き活用するための準備を進めてまいります。当社は,これらの取り組みについて,地域をはじめ社会のみなさまに丁寧にご説明するとともに,不安や疑問にしっかりと向き合うことで,一人でも多くの方にご理解をいただけるよう努めてまいります。 ② 新たな時代の安定供給電力の小売全面自由化や送配電事業の法的分離など事業環境が変化する中においても,各カンパニーが役割を果たしつつグループ内で連携し,バランスの取れた電源構成を実現するとともに,地球環境に配慮した,良質なエネルギーを安定的にお届けしてまいります。発電カンパニーにおいては,安価なベース電源である石炭火力の武豊火力発電所5号機の開発を着実に進めております。また,再生可能エネルギーについても導入拡大に向けた取り組みを引き続き推進してまいります。電力ネットワークカンパニーにおいては,中部地域の安定供給に必要な予備力・調整力を確保するとともに,中立性・公平性を確保しつつ,高い電力品質と低廉な託送料金が両立できるよう努めてまいります。また,再生可能エネルギーの接続可能量の増大に努めるとともに,天候等による発電出力の変動に適切に対応してまいります。販売カンパニーにおいては,供給力を安定的に確保し,お客さまに良質なエネルギーサービスを確実にお届けしてまいります。 ③ 成長に向けた事業基盤の強化と持続的な成長の実現電力・ガスの小売全面自由化などの環境変化を好機と捉え,成長の加速に向けた取り組みを進めてまいります。販売カンパニーにおいては,競争力のある料金メニューや新たなサービスの創出,電力・ガスをワンストップでお届けするガス&パワーの積極的な展開など,お客さまの期待を超えるサービスをお届けいたします。また,既存の販売体制に加え,大阪ガスと共同で設立したCDエナジーダイレクトを通じて首都圏における電力・ガス販売および暮らしやビジネスに関わるサービスの提供を加速してまいります。発電カンパニーにおいては,JERAを通じて,柔軟性・経済性・安定性に優れた燃料調達を実現することなどにより競争力を強化していくとともに,海外発電・エネルギーインフラ事業などにおいても事業規模を拡大してまいります。また,既存火力発電事業については,平成31年4月の事業統合に向けて必要な準備を進めてまいります。これらの統合効果を活用してJERAをグローバルなエネルギー企業体へ成長させることで,国際競争力のあるエネルギーの安定供給と,中部電力グループの企業価値向上を目指してまいります。今後もこれらの取り組みにとどまることなく,エネルギー事業で培った当社の強みを活かした新しい成長分野を確立し,将来的に収益の柱へと育ててまいります。 ④ 環境変化に即応できる事業体制・経営基盤の構築事業環境の変化に対応し持続的な成長を実現するため,各カンパニーへのさらなる機能移管による自律的な事業体制の構築を行うとともに,送配電事業の法的分離を見据え,発販分離型の事業モデルへの移行を検討してまいります。また,IoTやAI等の新たな技術も活用した事業基盤の強化,経営効率化のさらなる深掘りやリスクマネジメントの強化などを行ってまいります。 今後とも,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,良き企業市民としての社会的責任(CSR)を完遂し,お客さまや株主・投資家のみなさまに信頼,選択されるよう努め,地域社会の発展にも貢献してまいる所存です。
MD&A(経営者による分析)
3 【経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(経営成績等の状況の概要) (1) 業績等の概要当連結会計年度におけるわが国経済は,個人消費の持ち直し,生産の増加,雇用・所得環境の着実な改善を背景に,緩やかな回復基調が続いた。中部地域においても概ね同様の傾向にあった。 このような中,当連結会計年度の収支状況について,売上高は,2兆8,533億円となり,前連結会計年度に比べ2,497億円の増収となった。 経常利益は,1,285億円となり,前連結会計年度に比べ70億円の増益となった。 (2) 生産,受注及び販売の状況当社グループは,火力および再生可能エネルギーによる電力の供給を行う「発電」,電力ネットワークサービスの提供を行う「電力ネットワーク」,ガス&パワーを中心とした総合エネルギーサービスを展開する「販売」の3つのセグメントが,一体となって電気事業を運営している。 当社グループにおける生産,受注及び販売の状況については,その大半を占める当社の営む電気事業のみを記載している。 ① 発受電実績 種別当連結会計年度(自 平成29年4月1日至 平成30年3月31日)対前年増減率(%)自社(百万kWh)水力発電電力量8,549△0.3火力発電電力量108,046△2.0原子力発電電力量△2551.6新エネルギー発電電力量(48)46(△38.3)6.8融通・他社電力量(百万kWh)送電△7,87226.3受電18,63916.4揚水発電所の揚水用電力量(百万kWh)△1,24216.9合計125,911△1.1出水率(%)98.7― (注) 1 火力は,汽力と内燃力の合計である。2 新エネルギー発電電力量の( )内は,バイオマスの火力混焼による発電電力量を再掲している。3 揚水発電所の揚水用電力量とは,貯水池運営のための揚水用に使用する電力である。4 出水率は,昭和61年度から平成27年度までの30カ年平均に対する比である。 ② 販売実績 種別当連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)対前年増減率(%)販売電力量(百万kWh)低圧38,7870.0高圧・特別高圧82,644△0.5合計121,431△0.3料金収入(百万円)2,145,3285.8 (注) 料金収入には,消費税等は含まれていない。 〔参考〕グループ合計の販売電力量(百万kWh)(※)125,3090.9 ※ 当社および連結子会社の販売電力量を記載している。 ③ 主要燃料の状況 主要燃料の受払状況 区分石炭(t)重油(kl)原油(kl)LNG(t)平成27年度末在庫量263,86214,149552,163550,528平成28年度受入量10,844,39911,973―12,529,423平成28年度払出量10,687,53211,86392,02212,774,774平成28年度末在庫量420,72914,259460,141305,177平成29年度受入量10,957,31112,545―12,350,825平成29年度払出量11,058,23911,972257,63512,070,708平成29年度末在庫量319,80114,832202,506585,294 (注) 各年度の払出量には,販売の払出量を含む。 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)当社グループに関する財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析については,連結財務諸表に基づいて分析した内容である。 (1) 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は,我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については,「第5経理の状況」に記載されているとおりである。当社グループは,固定資産の減損,繰延税金資産,貸倒引当金,退職給付に係る負債及び資産,資産除去債務などに関して,過去の実績や当該取引の状況に照らして,合理的と考えられる見積り及び判断を行い,その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しているが,実際の結果は見積り特有の不確実性があるため,これらの見積りと異なる場合がある。 (2) 財政状態の分析 ① 資産固定資産については,関係会社への出資などから,前連結会計年度末に比べ729億円増加し4兆7,677億円となった。流動資産については,受取手形及び売掛金が増加したことなどから,前連結会計年度末に比べ449億円増加し7,624億円となった。この結果,総資産は,前連結会計年度末に比べ1,178億円増加し5兆5,301億円となった。 ② 負債有利子負債の減少はあったものの,未払税金及びその他の流動負債が増加したことなどから,負債合計は,前連結会計年度末に比べ506億円増加し3兆7,382億円となった。 ③ 純資産配当金の支払いはあったが,親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより,純資産合計は,前連結会計年度末に比べ672億円増加し1兆7,919億円となった。この結果,自己資本比率は,31.3%となった。 〔資産・負債・純資産比較表(要旨)〕項 目前連結会計年度末(平成29年3月31日)当連結会計年度末(平成30年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)資 産固定資産46,94847,6777291.6 電気事業固定資産30,80431,3705661.8 その他の固定資産2,6542,7641104.2 固定資産仮勘定3,9823,444△538△13.5 投資その他の資産7,7418,2995587.2流動資産7,1757,6244496.3 現金及び預金1,3371,81647835.8 受取手形及び売掛金2,3842,91352922.2 短期投資1,6581,062△595△35.9 たな卸資産688750629.0 合 計54,12355,3011,1782.2負 債 ・ 純 資 産固定負債26,04025,507△533△2.0 社債5,9926,1922003.3 長期借入金14,54113,617△924△6.4流動負債10,61011,6501,0399.8 1年以内に期限到来の固定負債2,9382,573△365△12.4 短期借入金3,5643,7091444.1 支払手形及び買掛金1,0931,33023721.7 負債合計36,87537,3825061.4株主資本16,37116,8815093.1 利益剰余金11,36811,8845164.5その他の包括利益累計額481415△65△13.5非支配株主持分39462122757.7 純資産合計17,24717,9196723.9 合 計54,12355,3011,1782.2 (注) 億円未満切り捨て (3) 経営成績の分析 ① 営業収支当社の販売電力量は,首都圏での販売拡大に加え,自動車関連・半導体の生産増や冬季の気温が前年に比べ低めに推移したことによる暖房設備の稼動増はあったが,競争の進展による他事業者への切り替えの影響などから,前連結会計年度に比べ0.3%減少し1,214億kWhとなった。 なお,中部電力グループ全体の販売電力量は,前連結会計年度に比べ0.9%増加し1,253億kWhとなった。 〔販売電力量〕 前連結会計年度(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)当連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)増 減増減率(%)低圧(億kWh)38838800.0高圧・特別高圧(億kWh)830826△4△0.5合 計1,2181,214△4△0.3 〔参考〕グループ合計の販売電力量(※)(億kWh)1,2421,253110.9 ※ 当社および連結子会社の販売電力量を記載している。 これに対して供給面では,浜岡原子力発電所全号機が運転を停止している中,水力発電量は,出水率が前連結会計年度を下回ったことから,前連結会計年度に比べ1億kWh減少し85億kWhとなった。また,融通・他社送電量は,卸供給が増加したことなどにより,前連結会計年度に比べ17億kWh増加し79億kWhとなり,融通・他社受電量は,再生可能エネルギーの買取量が増加したことなどにより,27億kWh増加し187億kWhとなった。この結果,火力発電量は,前連結会計年度に比べ22億kWh減少し1,080億kWhとなった。 〔発受電電力量〕 前連結会計年度(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)当連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)増 減増減率(%)自 社水力(億kWh)8685△1△0.3(出水率%)(99.8)(98.7)(△1.1) 火力(億kWh)1,1021,080△22△2.0原子力(億kWh)△2△2△01.6(設備利用率%)(―)(―)(―) 新エネルギー(億kWh)0006.8融通・他社(億kWh)送電△62△79△1726.3受電1601872716.4揚水用(億kWh)△11△12△116.9合 計1,2731,259△14△1.1 収支の状況については,売上高は,燃料費調整額の増加や,再生可能エネルギー特別措置法に基づく賦課金や交付金の増加などから,前連結会計年度に比べ2,497億円増加し2兆8,533億円となった。営業費用は,グループを挙げた経営効率化に努めてきたが,燃料価格の上昇に伴う燃料費の増加などから,前連結会計年度に比べ2,497億円増加し2兆7,168億円となった。この結果,営業利益は,前連結会計年度並みの1,365億円となった。 当連結会計年度におけるセグメントごとの業績(セグメント間取引消去前)は以下のとおりである。 [発電]火力および再生可能エネルギーによる電力の供給に伴う売上高は1兆976億円となり,前連結会計年度に比べ1,113億円増加となった。営業利益は382億円となり,前連結会計年度に比べ230億円減少となった。 [電力ネットワーク]電力ネットワークサービスの提供に伴う売上高は7,446億円となり,前連結会計年度に比べ117億円増加となった。営業利益は552億円となり,前連結会計年度に比べ201億円増加となった。 [販売]ガス&パワーを中心とした総合エネルギーサービスに伴う売上高は2兆6,338億円となり,前連結会計年度に比べ1,812億円増加となった。営業利益は381億円となり,前連結会計年度に比べ129億円減少となった。 ② 経常利益営業外収益については,前連結会計年度に比べ94億円増加し278億円となり,売上高と合わせた経常収益合計は,前連結会計年度に比べ2,592億円増加し2兆8,812億円となった。営業外費用については,前連結会計年度に比べ24億円増加し358億円となり,営業費用と合わせた経常費用合計は,前連結会計年度に比べ2,521億円増加し2兆7,526億円となった。この結果,経常利益は,前連結会計年度に比べ70億円増加し1,285億円となった。 ③ 親会社株主に帰属する当期純利益当連結会計年度は,火力発電所等の減損損失による特別損失233億円を計上したことなどから,親会社株主に帰属する当期純利益は,前連結会計年度に比べ402億円減少し743億円となった。 〔連結収支比較表〕項 目前連結会計年度(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)当連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)経常収益営業収益(売上高)26,03528,5332,4979.6営業外収益1842789451.2合 計26,21928,8122,5929.9経常費用営業費用24,67027,1682,49710.1営業外費用334358247.3合 計25,00527,5262,52110.1(営業利益)(1,364)(1,365)(0)(0.0)経常利益1,2141,285705.8渇水準備金△3△03―特別利益302―△302―特別損失―233233―法人税等352284△67△19.3非支配株主に帰属する当期純利益222315.2親会社株主に帰属する当期純利益1,146743△402△35.1 (注)1 特別利益:前連結会計年度 持分変動利益 2 特別損失:当連結会計年度 減損損失 3 内部取引相殺消去後(億円未満切り捨て) (4) キャッシュ・フローの状況の分析営業活動によるキャッシュ・フローは,燃料費調整額の増加などにより電灯電力料収入が増加したことなどから,前連結会計年度に比べ890億円増加し4,241億円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは,投融資による支出が減少したことなどから,前連結会計年度に比べ157億円減少し3,444億円の支出となった。この結果,フリー・キャッシュ・フローは,前連結会計年度に比べ1,048億円改善し796億円の収入となった。財務活動によるキャッシュ・フローは,資金調達を抑制したことなどから886億円の支出となり,支出は前連結会計年度に比べ1,097億円増加した。これらにより,当連結会計年度末の現金及び現金同等物は,前連結会計年度末に比べ90億円減少した。なお,当連結会計年度末の有利子負債残高は,前連結会計年度末に比べ791億円減少し2兆5,956億円となった。 資本の財源及び資金の流動性について,当社グループは,主に電気事業の運営上必要な設備資金を,社債発行や銀行借入等により調達し,短期的な運転資金は,主に短期社債により調達することを基本としている。 〔連結キャッシュ・フロー比較表(要旨)〕項 目前連結会計年度(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)当連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)営業活動によるキャッシュ・フロー ①3,3504,24189026.6投資活動によるキャッシュ・フロー ②△3,602△3,444157△4.4財務活動によるキャッシュ・フロー210△886△1,097― フリー・キャッシュ・フロー ①+②△2517961,048― 項 目前連結会計年度末(平成29年3月31日)当連結会計年度末(平成30年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)現金及び現金同等物の期末残高2,9392,848△90△3.1(参考)有利子負債残高26,74725,956△791△3.0 (注) 億円未満切り捨て