9508

九州電力(9508)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気・ガス業 電気・ガス

事業の概要

九州電力グループは、九州地域を中心に電気事業を展開しており、主に「発電・販売事業」と「送配電事業」で収益を上げています。発電・販売事業では、電気を作り、お客様に販売しています。送配電事業では、作った電気を家庭や工場に届けるための送電網や配電網を管理・運営しています。その他にも、海外での発電・送配電事業、電気設備の建設・保守、ガス・石炭販売、再生可能エネルギー事業、データ通信や情報システム開発などのICTサービス、不動産開発などの都市開発事業も手掛けています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

九州電力グループの事業セグメントは多岐にわたります。主なものとして、「発電・販売事業」があり、国内での発電と小売電気事業を担い、グループの売上の大部分を占める稼ぎ頭です。「送配電事業」は、九州域内での電気の送配電を主に行っています。「海外事業」では、海外での発電・送配電事業を展開しています。「その他エネルギーサービス事業」では、電気設備の建設・保守、ガス・LNG・石炭販売、再生可能エネルギー事業などを手掛けています。「ICTサービス事業」は、データ通信や情報システム開発など情報通信技術関連のサービスを提供。「都市開発事業」では、不動産開発や運営を行っています。これらのセグメントを通じて、地域に根差した事業展開と多角化を進めています。

2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
PowerGenerationAndRetailElectricityBusinessReportableSegment 地域 18,434 − −
ElectricityTransmissionAndDistributionBusinessReportableSegment 地域 2,552 − −
OverseasBusinessReportableSegment 地域 44 − −
OtherEnergyServiceBusinessReportableSegment 地域 1,365 − −
ICTServicesReportableSegment 事業 957 − −
UrbanDevelopmentBusiness 地域 176 − −
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|660 文字
3 【事業の内容】当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、子会社82社及び関連会社55社(2026年3月31日現在)で構成され、国内電気事業(発電・販売事業及び送配電事業)を中心とする事業を行っている。報告セグメントは、「発電・販売事業」、「送配電事業」、「海外事業」、「その他エネルギーサービス事業」、「ICTサービス事業」及び「都市開発事業」の6つとしており、当社は主に「発電・販売事業」を営んでいる。各報告セグメントの主な内容は、次のとおりである。 (1) 発電・販売事業国内における発電・小売電気事業を主たる事業とする。 (2) 送配電事業九州域内における一般送配電事業を主たる事業とする。 (3) 海外事業海外における発電・送配電事業を主たる事業とする。 (4) その他エネルギーサービス事業電気設備の建設・保守など電力の安定供給に資する事業、ガス・LNG販売事業、石炭販売事業、再生可能エネルギー事業を主たる事業とする。 (5) ICTサービス事業データ通信事業、光ブロードバンド事業、電気通信工事・保守事業、情報システム開発事業、データセンター事業を主たる事業とする。 (6) 都市開発事業不動産開発・運営事業、官民連携事業を主たる事業とする。 〔事業系統図〕当社グループの事業及び主な関係会社を事業系統図に示すと、以下のとおりである。 (注) 1 ㈱クラフティアは、2025年10月1日付で㈱九電工から社名を変更したものである。2 ㈱QTnetは、㈱戦国を2026年4月1日付で吸収合併している。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
燃料費調整制度や卸電力取引価格の電気料金への反映により、一定程度緩和されるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
国内電気事業は国のエネルギー政策や規制変更の影響を大きく受けるため。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:競争環境等の変化 / 原子力発電を取り巻く状況 / 市場価格の変動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 12 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

九州電力は、電力供給というインフラ事業において、国や自治体からの許認可や規制に強く依存している。これは参入障壁となり得るが、特定のブランド力や特許による明確な競争優位性は限定的。地域独占的な側面はあるものの、無形資産としての強度は中程度。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

電力自由化が進んでいるものの、既存の電力インフラや送配電網へのアクセス、契約手続きの煩雑さから、一般家庭や中小企業が他社へ容易に乗り換えることには一定のスイッチング・コストが存在する。特に、長年の契約者は乗り換えのメリットを感じにくい。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

電力供給事業は、ユーザーが増えることでサービスの価値が直接的に増大するネットワーク効果は基本的に見られない。供給能力や安定性が重要であり、ユーザー数とサービス価値の間に直接的な正の相関はない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

九州電力は、発電から送配電、小売まで一貫したインフラを保有・運営しており、地域内での効率的な事業運営が可能。燃料調達や設備投資において規模の経済を活かせる可能性があるが、老朽化設備更新や再生可能エネルギー導入コストなど、コスト構造は複雑化している。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

九州電力は、九州という広範な地域における電力供給を担う主要事業者であり、その事業規模は地域インフラとして最適化されている。競合他社がこの地域で同規模のインフラをゼロから構築することは極めて困難であり、寡占的な地位を確立している。

九州電力グループは、長年にわたり九州地域で培ってきた電力供給の技術とノウハウを基盤としています。特に、発電から送配電までを一貫して手掛けることで、安定した電力供給体制を確立している点が強みです。また、豊富な顧客接点とデータを活用したエネルギーソリューション事業の展開や、非化石価値と価格競争力に優れた電源の最大限活用により、競争が激化する国内電気事業において収益減少リスクの低減を図っています。さらに、海外事業での実績や、ICTサービス、都市開発といった多角的な事業展開も、安定的な収益基盤を支える要因となっています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループは、「ずっと先まで、明るくしたい。」をブランド・メッセージとする「九電グループの思い」のもと、「低廉で良質なエネルギーをお客さまにお届けすることを通じて、お客さまや地域社会の生活や経済活動を支える」ことを使命に、事業活動を進めている。 1 経営環境 中東地域における紛争など、世界情勢が不安定な状況が続く一方で、データセンターや半導体関連産業による電力需要の増加が見込まれるなど、人々の生活や社会経済活動を支える電力を安定的に供給することの重要性がこれまで以上に高まっている。また、当社グループは、2025年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」や「GX(グリーントランスフォーメーション)2040ビジョン」の方向性も踏まえ、日本政府の方針である「2050年カーボンニュートラル」の達成に向け、エネルギー事業者としての積極的な貢献が期待されている。加えて、生成AI等のデジタル技術の急速な進展や、少子高齢化による労働力人口の減少、仕事に対する価値観の多様化など、現在の経営環境は大きな転換期にある。 2 中長期的な経営戦略 当社グループは、事業を通じて「社会価値」と「経済価値」の双方を創出し、サステナブルな社会への貢献と当社グループの企業価値の向上を実現するサステナビリティ経営を推進している。経営環境が大きく変化するなかにおいても、当社グループが地域とともに持続的な成長を続けるために、2025年5月、中長期的に目指す経営の方向性として「九電グループ 経営ビジョン2035」を策定した。加えて、当社グループは、原子力安全を大前提に、総合エネルギーサービス事業の更なる成長を追求しながら、成長事業のより一層の発展を促し、「九電グループ 経営ビジョン2035」の達成に繋げていくため、純粋持株会社体制への移行を予定している。(図1)引き続き、「九電グループ 経営ビジョン2035」と「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」のもと、ROIC経営の推進、カーボンニュートラルの実現や人的資本経営推進などの取組みをグループ一体となって進めていく。また、「九電グループ 経営ビジョン2035」で掲げる「ありたい姿の実現に向けたグループ重点戦略」を、社会と当社グループのサステナビリティを実現していくうえでの経営上の重要課題(マテリアリティ)と位置づけ、その解決に向けた取組みを中期経営計画に反映させることで、マテリアリティ解決に向けた取組みの着実な推進を図り、持続可能な社会と当社グループの中長期的な成長の両立に繋げていく。(図2、3) [図1 持株会社体制図(2027年4月1日予定)] [図2 マテリアリティ(サステナビリティ実現に向けた経営上の重要課題)] [図3 サステナビリティに係る理念等の体系] [九電グループ 経営ビジョン2035(2025年5月策定)]当社グループとしての目指すべき方向性を「2035年のありたい姿」として定義し、その実現に向けた2030年・2035年における財務面・環境面・人材面の指標を経営目標として設定している。(図4)[図4 九電グループ 経営ビジョン2035] 〇 2035年のありたい姿 〇 経営目標(2030年度、2035年度) [九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050(2021年4月策定、2025年5月更新)]日本の脱炭素をリードする企業グループとなることを目指した「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」において、「電源の低・脱炭素化」と「電化の推進」に取り組む方針を定め、2050年のカーボンニュートラル実現に向けたロードマップを開示している。(図5)2050年のサプライチェーン温室効果ガス(GHG)排出量の「実質ゼロ」に挑戦するとともに、九州の電化率向上への貢献などにより、社会のGHG排出削減に大きく貢献していくことで、当社グループの事業活動全体の「カーボンマイナス」を2050年よりできるだけ早期に実現していく。(図6) [図5 カーボンニュートラルの実現に向けたロードマップ] [図6 カーボンマイナスのイメージ] 3 中長期的な経営戦略の実現に向けたグループ重点戦略 Ⅰ カーボンマイナスへの挑戦 電化の進展、半導体工場・データセンターの新設により電力需要は大きく増加し、低・脱炭素の電気に対する期待は今後より一層高まっていく。 当社グループは、電気事業をはじめとする各事業のサプライチェーン温室効果ガス(GHG)排出量を極力抑制し、加えて社会全体のGHG排出削減へ貢献し、社会の期待に応えていく。これにより、「GHG排出量」<「GHG排出削減貢献量」のカーボンマイナスを2050年よりできるだけ早期に実現する。 Ⅱ 多様なニーズを叶えるソリューション進化 お客さまの事業・生活の「低・脱炭素化」「効率化・最適化」「強靭化」に役立つソリューションを、更に強化・充実していく。各事業領域でプラットフォーム型ビジネスを展開し、他事業者の商品・サービスも取扱うことでソリューションの提供領域を拡大する。これにより、新たな技術・ビジネスの創出に資するデータや、お客さまのニーズ把握に資する顧客情報を蓄積していく。 将来的には、上記データを事業横断的に活用し、ソリューションを更に高度化させていく。加えて、お客さまの潜在ニーズを把握し、お客さまニーズにマッチしたソリューションを提供し、「快適で、そして環境にやさしい」社会の実現に貢献していく。 Ⅲ 地域共創による価値創造と成長 九州の地場企業として、地域ニーズ・課題の把握・解決に向け、幅広い専門力(エネルギー、ICT、都市開発等)と地域とのネットワーク・信頼関係をベースに、地域共創ビジネスを推進する。また、環境性の高い電気等の九州の強みを活かし、海外も含めデータセンターや半導体産業をはじめとした企業の誘致を推進する。 地域社会の発展と暮らしの充実を図り、エネルギー需要やサービス機会を増大させることにより、当社グループの成長につなげていく。そして、地域共創の取組みを更に充実していくことで、地域とともに持続的に成長していく。 Ⅳ 価値創出に向けた人的資本経営 少子高齢化による労働力人口の減少や、働き手の価値観の多様化が進展するなかでも、経営ビジョンを実現するため、各事業に必要な多様な強みを有する人材の獲得・育成など、DE&Iを推進していく。 また、従業員のチャレンジ意欲を喚起し、自律的に能力を磨き、活かし、活躍していくためのキャリア形成支援の強化を図るとともに、個人の思いを起点に価値創出につなげる組織マネジメントへの進化に取り組む。 これらの基盤である安全を最優先とした事業運営など、従業員が安心して働くための環境整備も更に進め、従業員エンゲージメント及び生産性を高め、人と組織が共に成長し、持続的な価値創出につなげる人的資本経営を推進していく。 Ⅴ 企業変革をリードするDX推進 顧客ニーズの多様化や働き手不足を背景に、AIなどの技術革新を活用した変革が求められていることを踏まえ、当社グループ一体でデジタル技術を最大限活用し、生産性向上や業務プロセスの効率化・高度化・自動化を推進していく。 Ⅵ 革新と成長を支えるガバナンス強化 各事業部門がROICを意識した事業運営を行うとともに、グループ大で経営資源配分を定期的に見直すことで、事業ポートフォリオ管理を高度化し、長期的な企業価値向上を実現する。さらに、スピーディな事業領域拡大・新たな知見の獲得に向け、これまで以上に他事業者とのアライアンス・M&Aを積極的に推進していく。 その他、コーポレート・ガバナンスの充実や、安全と健康、コンプライアンス経営の推進、リスクマネジメントシステムの強化を図っていく。 当社グループとしては、これらの取組みを通じて、ステークホルダーの皆さまへの価値提供を果たしていく。(文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したもの)
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループは、「ずっと先まで、明るくしたい。」をブランド・メッセージとする「九電グループの思い」のもと、「低廉で良質なエネルギーをお客さまにお届けすることを通じて、お客さまや地域社会の生活や経済活動を支える」ことを使命に、事業活動を進めている。 1 経営環境 中東地域における紛争など、世界情勢が不安定な状況が続く一方で、データセンターや半導体関連産業による電力需要の増加が見込まれるなど、人々の生活や社会経済活動を支える電力を安定的に供給することの重要性がこれまで以上に高まっている。また、当社グループは、2025年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」や「GX(グリーントランスフォーメーション)2040ビジョン」の方向性も踏まえ、日本政府の方針である「2050年カーボンニュートラル」の達成に向け、エネルギー事業者としての積極的な貢献が期待されている。加えて、生成AI等のデジタル技術の急速な進展や、少子高齢化による労働力人口の減少、仕事に対する価値観の多様化など、現在の経営環境は大きな転換期にある。 2 中長期的な経営戦略 当社グループは、事業を通じて「社会価値」と「経済価値」の双方を創出し、サステナブルな社会への貢献と当社グループの企業価値の向上を実現するサステナビリティ経営を推進している。経営環境が大きく変化するなかにおいても、当社グループが地域とともに持続的な成長を続けるために、2025年5月、中長期的に目指す経営の方向性として「九電グループ 経営ビジョン2035」を策定した。加えて、当社グループは、原子力安全を大前提に、総合エネルギーサービス事業の更なる成長を追求しながら、成長事業のより一層の発展を促し、「九電グループ 経営ビジョン2035」の達成に繋げていくため、純粋持株会社体制への移行を予定している。(図1)引き続き、「九電グループ 経営ビジョン2035」と「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」のもと、ROIC経営の推進、カーボンニュートラルの実現や人的資本経営推進などの取組みをグループ一体となって進めていく。また、「九電グループ 経営ビジョン2035」で掲げる「ありたい姿の実現に向けたグループ重点戦略」を、社会と当社グループのサステナビリティを実現していくうえでの経営上の重要課題(マテリアリティ)と位置づけ、その解決に向けた取組みを中期経営計画に反映させることで、マテリアリティ解決に向けた取組みの着実な推進を図り、持続可能な社会と当社グループの中長期的な成長の両立に繋げていく。(図2、3) [図1 持株会社体制図(2027年4月1日予定)] [図2 マテリアリティ(サステナビリティ実現に向けた経営上の重要課題)] [図3 サステナビリティに係る理念等の体系] [九電グループ 経営ビジョン2035(2025年5月策定)]当社グループとしての目指すべき方向性を「2035年のありたい姿」として定義し、その実現に向けた2030年・2035年における財務面・環境面・人材面の指標を経営目標として設定している。(図4)[図4 九電グループ 経営ビジョン2035] 〇 2035年のありたい姿 〇 経営目標(2030年度、2035年度) [九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050(2021年4月策定、2025年5月更新)]日本の脱炭素をリードする企業グループとなることを目指した「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」において、「電源の低・脱炭素化」と「電化の推進」に取り組む方針を定め、2050年のカーボンニュートラル実現に向けたロードマップを開示している。(図5)2050年のサプライチェーン温室効果ガス(GHG)排出量の「実質ゼロ」に挑戦するとともに、九州の電化率向上への貢献などにより、社会のGHG排出削減に大きく貢献していくことで、当社グループの事業活動全体の「カーボンマイナス」を2050年よりできるだけ早期に実現していく。(図6) [図5 カーボンニュートラルの実現に向けたロードマップ] [図6 カーボンマイナスのイメージ] 3 中長期的な経営戦略の実現に向けたグループ重点戦略 Ⅰ カーボンマイナスへの挑戦 電化の進展、半導体工場・データセンターの新設により電力需要は大きく増加し、低・脱炭素の電気に対する期待は今後より一層高まっていく。 当社グループは、電気事業をはじめとする各事業のサプライチェーン温室効果ガス(GHG)排出量を極力抑制し、加えて社会全体のGHG排出削減へ貢献し、社会の期待に応えていく。これにより、「GHG排出量」<「GHG排出削減貢献量」のカーボンマイナスを2050年よりできるだけ早期に実現する。 Ⅱ 多様なニーズを叶えるソリューション進化 お客さまの事業・生活の「低・脱炭素化」「効率化・最適化」「強靭化」に役立つソリューションを、更に強化・充実していく。各事業領域でプラットフォーム型ビジネスを展開し、他事業者の商品・サービスも取扱うことでソリューションの提供領域を拡大する。これにより、新たな技術・ビジネスの創出に資するデータや、お客さまのニーズ把握に資する顧客情報を蓄積していく。 将来的には、上記データを事業横断的に活用し、ソリューションを更に高度化させていく。加えて、お客さまの潜在ニーズを把握し、お客さまニーズにマッチしたソリューションを提供し、「快適で、そして環境にやさしい」社会の実現に貢献していく。 Ⅲ 地域共創による価値創造と成長 九州の地場企業として、地域ニーズ・課題の把握・解決に向け、幅広い専門力(エネルギー、ICT、都市開発等)と地域とのネットワーク・信頼関係をベースに、地域共創ビジネスを推進する。また、環境性の高い電気等の九州の強みを活かし、海外も含めデータセンターや半導体産業をはじめとした企業の誘致を推進する。 地域社会の発展と暮らしの充実を図り、エネルギー需要やサービス機会を増大させることにより、当社グループの成長につなげていく。そして、地域共創の取組みを更に充実していくことで、地域とともに持続的に成長していく。 Ⅳ 価値創出に向けた人的資本経営 少子高齢化による労働力人口の減少や、働き手の価値観の多様化が進展するなかでも、経営ビジョンを実現するため、各事業に必要な多様な強みを有する人材の獲得・育成など、DE&Iを推進していく。 また、従業員のチャレンジ意欲を喚起し、自律的に能力を磨き、活かし、活躍していくためのキャリア形成支援の強化を図るとともに、個人の思いを起点に価値創出につなげる組織マネジメントへの進化に取り組む。 これらの基盤である安全を最優先とした事業運営など、従業員が安心して働くための環境整備も更に進め、従業員エンゲージメント及び生産性を高め、人と組織が共に成長し、持続的な価値創出につなげる人的資本経営を推進していく。 Ⅴ 企業変革をリードするDX推進 顧客ニーズの多様化や働き手不足を背景に、AIなどの技術革新を活用した変革が求められていることを踏まえ、当社グループ一体でデジタル技術を最大限活用し、生産性向上や業務プロセスの効率化・高度化・自動化を推進していく。 Ⅵ 革新と成長を支えるガバナンス強化 各事業部門がROICを意識した事業運営を行うとともに、グループ大で経営資源配分を定期的に見直すことで、事業ポートフォリオ管理を高度化し、長期的な企業価値向上を実現する。さらに、スピーディな事業領域拡大・新たな知見の獲得に向け、これまで以上に他事業者とのアライアンス・M&Aを積極的に推進していく。 その他、コーポレート・ガバナンスの充実や、安全と健康、コンプライアンス経営の推進、リスクマネジメントシステムの強化を図っていく。 当社グループとしては、これらの取組みを通じて、ステークホルダーの皆さまへの価値提供を果たしていく。(文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したもの)
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況当連結会計年度のわが国経済は、米国の通商政策による影響が自動車産業を中心にみられるものの、個人消費や設備投資を中心に緩やかに回復している。九州経済も、雇用・所得環境が改善し個人消費が堅調に推移するなか、設備投資は高水準で推移し、緩やかに回復している。当社グループにおいては、「九電グループ経営ビジョン2035」の実現に向け、総合エネルギーサービス事業(発電・小売・送配電)と成長事業(再エネ・海外・ICTサービス・都市開発)の両軸での持続的な利益成長を目指し、様々な戦略を実行に移してきた。また、安全性の確保を前提とした原子力の最大限の活用などによる「電源の低・脱炭素化」や「電化の推進」など、カーボンニュートラルの実現に向けた取組みにもグループ一体となって取り組んできた。当連結会計年度の業績については、小売販売電力量の減少はあったものの、託送収益の増加や、火力発電構成の差異に伴う発電単価の低下による燃料費の減少などにより、前連結会計年度に比べ増益となった。当連結会計年度の小売販売電力量については、域内の契約電力が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ9.3%減の686億kWhとなった。また、卸売販売電力量については、取引所取引の増加などにより16.9%増の296億kWhとなった。この結果、総販売電力量は2.7%減の983億kWhとなった。小売・卸売に対する供給面については、原子力をはじめ、火力・揚水等発電設備の総合的な運用等により、また、エリア電力需給については、調整力電源の運用及び国のルールに基づく再エネ出力制御の実施等により、安定して電力をお届けすることができた。当連結会計年度の連結収支については、収入面では、国内電気事業において、小売販売電力量の減少などにより小売販売収入等が減少したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ1,096億円減(△4.7%)の2兆2,472億円、経常収益は1,071億円減(△4.5%)の2兆2,891億円となった。支出面では、国内電気事業において、燃料価格の下落などにより需給関係費用が減少したことなどから、経常費用は1,195億円減(△5.4%)の2兆820億円となった。以上により、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに前連結会計年度に比べ増益となり、経常利益は123億円増(+6.4%)の2,070億円、親会社株主に帰属する当期純利益は257億円増(+20.0%)の1,545億円となった。 報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。 当連結会計年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)対前年度増減率(%)金額(百万円)発電・販売事業売 上 高1,842,917△8.4経常利益136,42019.2送配電事業売 上 高720,599△3.7経常利益8,297△68.8海外事業売 上 高3,705△16.2経常利益12,63542.6その他エネルギーサービス事業売 上 高351,7608.5経常利益36,92111.2ICTサービス事業売 上 高152,06410.3経常利益10,6150.5都市開発事業売 上 高27,146△5.1経常利益5,16650.0 (注) 1 当連結会計年度より、九電ネクスト株式会社の事業セグメントを「その他エネルギーサービス事業」 から「発電・販売事業」に変更している。 2 対前年度増減率の数値は、セグメント変更後の区分により作成している。 [参考]国内電気事業再掲 当連結会計年度(2025年4月1日から 2026年3月31日まで)対前年度増減率(%)金額(百万円) 国内電気事業売 上 高1,980,882△6.2経常利益144,7182.6 (注) 「発電・販売事業」と「送配電事業」との内部取引消去後の数値を記載している。 ② 資産、負債及び純資産の状況資産は、設備投資による増加や退職給付に係る資産の増加などにより固定資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ2,093億円増(+3.6%)の5兆9,833億円となった。負債は、退職給付に係る負債の減少はあったが、未払税金や未払の工事代金などのその他の流動負債が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ147億円増(+0.3%)の4兆7,574億円となった。有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ217億円減(△0.6%)の3兆6,970億円となった。純資産は、配当金の支払による減少はあったが、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどから、前連結会計年度末に比べ1,945億円増(+18.9%)の1兆2,258億円となった。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.6ポイント向上し19.9%となった。 ③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、国内電気事業において、小売販売収入等の減少はあったが、卸売販売収入の増加や燃料代支出の減少などにより、前連結会計年度に比べ68億円収入増(+1.6%)の4,387億円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資による支出の増加や投融資の回収による収入の減少などにより、前連結会計年度に比べ248億円支出増(+6.9%)の3,837億円の支出となった。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入の増加などにより、前連結会計年度に比べ336億円支出減(△36.8%)の577億円の支出となった。以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ15億円増加し、3,511億円となった。 (2)生産、受注及び販売の実績当社グループの事業内容は、国内電気事業(発電・販売事業及び送配電事業)が大部分を占め、国内電気事業以外の事業の生産、受注及び販売の状況は、グループ全体からみて重要性が小さい。また、国内電気事業以外の事業については、受注生産形態をとらない業種が多いため、生産及び受注の状況を金額あるいは数量で示すことはしていない。このため、以下では、生産及び販売の状況を、国内電気事業における実績によって示している。 ① 発受電実績 種 別当連結会計年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)対前年度増減率(%)電力量(百万kWh)発 受 電 電 力 量発電電力量 水力発電電力量 4,678△3.4 火力発電電力量 24,103△1.0 原子力発電電力量 28,621△7.1 新エネルギー等発電電力量 1,411△2.2 融通・他社受電電力量 46,853△1.7 (水力再掲)(1,364)(△17.5) (新エネルギー等再掲)(21,413)(4.7) 揚水発電所の揚水用電力量 △2,89625.7 合 計 102,769△3.8 損失電力量等 4,518△22.2 総販売電力量 98,251△2.7 出水率 84.6%- (注) 1 百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。 2 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社、九電ネクスト株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載している。3 発電電力量は、送電端の数値を記載している。4 「新エネルギー等」は、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物及び地熱などの総称である。5 揚水発電所の揚水用電力量は、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量である。6 出水率は、当社の自流式水力発電電力量の1994年度から2023年度までの30か年平均に対する比である。 ② 販売実績 種 別当連結会計年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)対前年度増減率(%)販売電力量(百万kWh) 小売販売電力量68,613△9.3 電灯24,733△3.5 電力43,880△12.3 卸売販売電力量29,63816.9 総販売電力量98,251△2.7料金収入(百万円)小売販売収入1,357,557△7.4 電灯料559,570△3.8 電力料797,986△9.8卸売販売収入404,494△3.6合 計1,762,051△6.6 (注) 1 販売電力量の百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。2 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社、九電ネクスト株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載している。3 小売販売収入は小売販売電力量、卸売販売収入は卸売販売電力量に対応する料金収入である。4 卸売販売電力量には間接オークションに伴う自己約定を含んでいる。5 電灯料及び電力料には「電気・ガス料金負担軽減支援事業」により国が定める値引きの原資として受領する補助金収入は含んでいない。 ③ 資材の状況 石炭、重油、LNGの受払状況 区分当連結会計年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)期首残高対前年度増減率(%)受入対前年度増減率(%)消費期末残高対前年度増減率(%)発電用対前年度増減率(%)その他対前年度増減率(%)石炭(t)265,371△43.26,151,61718.35,985,69811.011,21419.6420,07658.3重油(kl)22,898△6.0223,5430.6218,753△2.226△54.527,66220.8LNG(t)170,097△14.11,292,569△19.31,083,117△22.4214,711△8.0164,838△3.1 (注) 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社)の合計値を記載している。 (3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容ア 売上高(営業収益)及び経常利益売上高(営業収益)は、前連結会計年度に比べ1,096億円減(△4.7%)の2兆2,472億円、経常収益は1,071億円減(△4.5%)の2兆2,891億円となった。一方、経常費用は1,195億円減(△5.4%)の2兆820億円となった。以上により、経常利益は123億円増(+6.4%)の2,070億円となった。 報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。[発電・販売事業]発電・販売事業は、国内における発電・小売電気事業等を展開している。売上高は、小売販売電力量の減少などにより小売販売収入等が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ1,696億円減(△8.4%)の1兆8,429億円となった。経常利益は、売上高の減少はあったものの、燃料価格の下落に伴う需給関係費用の減少などにより、219億円増(+19.2%)の1,364億円となった。 [送配電事業]送配電事業は、九州域内における一般送配電事業等を展開している。売上高は、エリア電力需要が減少したことや、需給調整市場に係る調整交付金の単価低下などにより収入が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ272億円減(△3.7%)の7,205億円、経常利益は183億円減(△68.8%)の82億円となった。 [海外事業]海外事業は、海外における発電・送配電事業等を展開している。売上高は、地熱IPPプロジェクトに係る収入の減少などにより、前連結会計年度に比べ7億円減(△16.2%)の37億円、経常利益は、持分法による投資利益の減少はあったが、為替差益や受取配当金の増加及び関係会社株式の売却益の計上などにより37億円増(+42.6%)の126億円となった。 [その他エネルギーサービス事業]その他エネルギーサービス事業は、電気設備の建設・保守など電力の安定供給に資する事業、お客さまのエネルギーに関する様々な思いにお応えするため、ガス・LNG販売、石炭販売、再生可能エネルギー事業等を展開している。売上高は、石炭販売収入の増加やLNG販売収入及びLNG輸送サービス事業収入の増加などにより、前連結会計年度に比べ274億円増(+8.5%)の3,517億円、経常利益は、持分法による投資利益の増加などもあり37億円増(+11.2%)の369億円となった。 [ICTサービス事業]ICTサービス事業は、保有する光ファイバ網やデータセンターなどの情報通信事業基盤や事業ノウハウを活用し、データ通信、光ブロードバンド、電気通信工事・保守、情報システム開発、データセンター事業等を展開している。売上高は、情報システム開発受託の増加や蓄電システム関連製品の受注増加などにより、前連結会計年度に比べ141億円増(+10.3%)の1,520億円、経常利益は、光ケーブル整備に関する補助金の減少などもあり、前連結会計年度並みの106億円となった。 [都市開発事業]都市開発事業は、不動産開発・運営事業、官民連携事業等を展開している。売上高は、オール電化マンション販売の減少などにより、前連結会計年度に比べ14億円減(△5.1%)の271億円、経常利益は、受取配当金の増加などにより17億円増(+50.0%)の51億円となった。 イ 渇水準備金引当又は取崩し 当連結会計年度は、出水率が84.6%と平水(100%)を下回ったことから、渇水準備引当金を7億円取り崩した。 ウ 特別損失当連結会計年度は、特別損失の計上はないが、前連結会計年度は、減損損失や関係会社事業損失により138億円を特別損失に計上した。 エ 法人税等法人税等は、当連結会計年度の課税所得の増加等に伴う法人税、住民税及び事業税の増加などから、前連結会計年度に比べ22億円増(+4.5%)の522億円となった。 オ 親会社株主に帰属する当期純利益親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ257億円増(+20.0%)の1,545億円となった。1株当たり当期純利益は54.51円増の314.65円となった。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 ア キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載している。 イ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループは、燃料代などの支払いや設備投資及び投融資、並びに借入金の返済及び社債の償還などに資金を充当している。これらの資金需要に対して、自己資金に加え、社債や借入金により資金調達を行うとともに、一時的な資金需要の変動に対しては、コマーシャル・ペーパーなどにより機動的な対応を行っている。また、流動性リスクについては、月次での資金繰により資金需要を的確に把握するよう努めるとともに、コミットメントラインや当座貸越、及びキャッシュ・マネジメント・サービスなどを活用することとしている。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。重要な会計方針については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。 当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、固定資産の減損、海外発電事業への投資及び海外における発電所建設等のサービスに係る金融資産の評価、繰延税金資産の回収可能性、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り、判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、特に重要なものは海外発電事業への投資及び海外における発電所建設等のサービスに係る金融資産の評価であり、詳細については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。 ④ 目標とする経営指標の達成状況等当社グループは、「九電グループ経営ビジョン2035」において、「連結経常利益1,800億円(2030年度)」「連結ROIC3.3%(2030年度)」の財務目標を設定している。当連結会計年度においては、小売販売電力量の減少はあったものの、託送収益の増加や、火力発電構成の差異に伴う発電単価の低下による燃料費の減少などにより、前連結会計年度に比べ増益となり、経常利益2,070億円、連結ROIC3.7%となった。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した財務目標の実現に向けて、「カーボンマイナスへの挑戦」をはじめとして、様々な追加投資や物価・金利の上昇を含む費用の増加が発生する可能性があるものの、半導体工場やデータセンターによる需要増等を機会とした総合エネルギーサービス事業の収益拡大に加え、再生可能エネルギー事業や海外事業をはじめとする成長事業への投資による収益拡大などの取組みを推進していくとともに、投下資本のスリム化・最適化に取り組んでいく。

事業リスク

主なリスクとして、国内電気事業では、気温や景気変動、競合他社との競争、国の政策、燃料市場や電力取引市場の状況により、販売電力量や価格が変動し業績に影響を与える可能性があります。海外事業では、カントリーリスク、市況変動(物価高騰、電力・燃料価格、金利・為替)、環境政策の見直しなど特有のリスクがあります。原子力発電については、法令・基準の変更や訴訟により稼働が制約される場合、代替電源費用や設備投資が増加するリスクがあります。また、燃料価格の国際市況や為替の変動も、発電コストに影響を与える可能性があります。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|14,218 文字
3 【事業等のリスク】Ⅰ リスクマネジメント体制及びプロセス九電グループの経営に影響を与えるリスクについては、九州電力のリスク管理に関する規程に基づき、毎年リスクの抽出、分類、評価を行い、全社及び部門業務に係る重要なリスクを明確にしている。各部門及び事業所は、明確にされた重要なリスク及び個別案件のリスク等への対応策を事業計画に織り込み、適切に管理している。複数の部門等に関わるリスク及び顕在化のおそれがある重大なリスクについては、関連する部門等で情報を共有したうえで、対応体制を明確にし、適切に対処している。特に、原子力については、社外の知見や意見等も踏まえ、幅広いリスクの把握に努めるとともに、取締役、執行役員等による情報の共有化を行い、継続的にその低減を図っている。また、非常災害等の事象が発生した場合に迅速、的確に対応するため、予めその対応体制や手順等を規程に定めるとともに、定期的に訓練等を実施している。こうしたリスクマネジメントの適正性の確保等を図るため、業務執行に対して中立性を持った内部監査部門により、各部門やグループ会社におけるリスクマネジメントの実施状況について監査を行っている。 (1) リスクマネジメント体制 (2) リスクマネジメントプロセス Ⅱ リスク認識と対応策当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があると経営者が認識している主要なリスクは、以下のとおりである。なお、2026年2月に発生した中東危機が当社グループへ与える影響については、「(1)競争環境等の変化 ②海外事業」、「(3)市場価格の変動 ①燃料価格の変動」、「(6)設備事故・故障、システム障害など ③燃料供給支障」に記載するとともに、「(参考)地政学リスクの高まり」に再掲している。文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものである。 (1) 競争環境等の変化① 国内電気事業リスク認識 当社グループは、発電・販売事業及び送配電事業を行っており、2025年度連結売上の大部分を占めている。 発電・販売事業については、データセンターや半導体関連産業による電力需要の増加が見込まれ、電力を安定的に供給することの重要性がこれまで以上に高まっている。 また、気温・気候の変化、経済・景気動向、カーボンニュートラルへ向けた電化や省エネの進展、競合他社との競争状況の変化、国の競争活性化施策や燃料市場・電力取引市場の状況など外部環境変化により、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。対応策 当社グループでは、カーボンニュートラルと安定供給を両立する最適な電源ポートフォリオ構築を進めるとともに、全国トップクラスの価格競争力と非化石電源比率を最大限活用した電力販売促進に取り組んでいる。また、環境価値を含めたお客さまに選ばれる料金メニューの開発や、豊富なお客さま接点やデータを活用したエネルギーソリューション事業の拡大などにより、国内電気事業の収益減少リスクの低減に取り組んでいる。 ② 海外事業リスク認識 当社グループは、これまで国内外の電気事業で培ってきた技術やノウハウを活用し、収益拡大が期待できる成長分野として、発電や送電などの海外事業を行っている。 海外事業には、競争環境の激化や事業環境の変化、カントリーリスク、市況変動(物価高騰、電力・燃料価格の変動、金利・為替変動など)、環境・エネルギー政策の見直しなど特有のリスクがある。また近年は、脱炭素化の流れのなか、再生可能エネルギー、送配電、蓄電池、デジタル化などによる新たなビジネスやイノベーションなど事業機会が増加していることから、同時にリスクとなる要因も多様化かつ複雑化している。これらのリスクが顕在化した場合は、当初想定のリターンが得られず、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。対応策 当社グループは、案件ごとの管理体制を整備し、適宜、市況変動(物価高騰、電力・燃料価格の動向、金利・為替動向など)のモニタリングを実施することで、リスクの早期発見や低減を図っている。また、定期的な案件ごとの収益性確認やリスク評価を行うことに加え、資産売却・入替えにより、アセット全体の最適ポートフォリオの見直しを行っている。 こうしたなか、2026年2月の中東危機発生を受け、当社グループでは、現地に滞在する社員の安全確保を最優先事項と位置付け、アラブ首長国連邦に派遣している従業員及び帯同家族全員の国外退避を含む必要な対応を迅速に実施した。 また、当社グループの中東危機継続による海外事業への影響については、現時点において、事業の継続や案件の収益性に対して重大な影響は確認されていないものの、地政学リスクの動向を注視しつつ、必要に応じて適切な対応を講じていく。 ③ その他エネルギーサービス事業リスク認識 当社グループは、電気設備の建設・保守などの電力の安定供給に資する事業、ガス・LNG販売事業、石炭販売事業や再生可能エネルギー事業に取り組んでいる。 他事業者との競争、自然災害や国際情勢などによる燃料国際市況の変動、再生可能エネルギーを巡る制度変更などの外部環境変化が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。対応策 当社グループでは、効率化によるコスト削減及び新たな技術への取組みにより、お客さまニーズに応じたエネルギーサービスを提供し、収益の向上を図るとともに、再生可能エネルギーを取り巻く事業環境変化を的確に捉えた開発を推進している。また、ガス・LNG販売事業のうち燃料上流権益については、案件ごとに収益性評価やリスク評価を行っている。 ④ ICTサービス事業、都市開発事業、新規領域の事業リスク認識 当社グループは、エネルギーサービス事業以外に、当社グループの強みを活かした成長事業として、ICTサービス事業、都市開発事業を展開している。 これらの事業は、社会ニーズの変化、技術の進展・普及、他社との競争激化、物価上昇など、事業環境の変化により、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。 また、新たな収益源を生み出す観点から、新規領域を含めたイノベーションにも取り組んでいるが、既存事業領域と異なるリスクを有しており、顕在化した場合は、投資額に見合うリターンを得られず、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。対応策 当社グループでは、適宜、事業環境の変化をモニタリングし、グループの強みを活かした収益拡大を図るとともに、案件ごとに収益性評価やリスク評価などを行っている。 (2) 原子力発電を取り巻く状況① 安全の確保を大前提とした原子力の最大限活用リスク認識 当社グループは、原子力発電をGHG排出抑制面やエネルギーセキュリティ面などで総合的に優れた電源であると考えており、国の新規制基準を遵守することに加え、更なる安全性・信頼性向上への取組みを自主的かつ継続的に進めているなど、安全の確保を大前提に、原子力を最大限活用することとしている。 しかしながら、法令・基準などの変更により原子力発電所の稼働が制約される場合や原子力発電所に係る訴訟の結果により、原子力発電所の運転停止を余儀なくされる場合は、原子力より割高である代替電源費用の発生や設備投資の増加など当社グループの業績に大きな影響を与える可能性がある。対応策 当社グループは、法令・基準などの変更に対し、国の審査や追加で安全対策が必要な場合の工事を適切に進めていく等、リスクの低減に取り組んでいる。また、訴訟においては、当社グループの主張を十分に尽くし、原子力発電所の安全性などについてご理解いただけるよう努めている。 ② 原子燃料サイクルリスク認識 当社グループは、原子燃料サイクル事業の実施主体である日本原燃株式会社に対して、2026年3月末時点で779億円の保証債務を保有しており、日本原燃株式会社の財務状態が悪化した場合、保証の履行を債権者より求められる可能性がある。対応策 当社グループでは日本原燃株式会社の再処理事業等の早期竣工及びその後の安定稼働に向けて、応援要員の派遣等の支援を行っている。 ③ 原子力バックエンド事業リスク認識 使用済燃料の再処理や原子力施設の廃止措置、特定放射性廃棄物の最終処分などの原子力バックエンド事業の費用は、今後の制度見直しや将来費用の見積額の変更などによって変動することから、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。対応策 現時点において、当社グループは、国の制度措置等に基づき、必要な費用を計上・拠出していることから、これらのリスクは一定程度低減されている。 上記の費用のうち、使用済燃料の再処理及び原子力施設の廃止措置に必要な資金については、使用済燃料再処理・廃炉推進機構に対し、「原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施及び廃炉の推進に関する法律」に規定する再処理等拠出金及び廃炉拠出金を納付し、費用計上している。 また、特定放射性廃棄物の最終処分に必要な資金については、原子力発電環境整備機構に対し、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に規定する拠出金を納付し、費用計上している。 (3) 市場価格の変動① 燃料価格の変動リスク認識 当社グループの発電事業における主要な燃料であるLNGや石炭の調達価格は、燃料調達先の設備・操業トラブル、自然災害や政治・経済動向などによる燃料国際市況の変動及び外国為替相場の変動影響を受けることがあり、調達価格の変動が当社グループの業績に影響を与える可能性がある。 特にLNGについては、長期間貯蔵することが困難であり貯蔵量が限られることから、供給元の情勢などによるLNG供給量の変動、電力需要の増減及び発電所の運転状況などにより、LNGを調達又は販売した場合、調達価格や販売価格によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。対応策 当社グループでは、燃料の調達先の分散化や燃料トレーディングなどによる燃料調整機能と電力の自社需給関連機能を一体的に運用することで調整機能を高め、調達の安定性・柔軟性の確保を行っている。 また、燃料の購入などに伴う外貨建債務などについては、必要に応じて為替予約取引や燃料価格スワップ取引などを利用することにより、為替変動リスク及び燃料価格変動リスクを低減している。 こうしたなか、2026年2月に中東危機が発生したが、当社は同地域から燃料を調達しておらず、影響は限定的である。 中東危機が長期化した場合、LNG価格が上昇する可能性があるが、燃料価格や外国為替相場の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」により、当社グループの業績への影響は一定程度緩和されている。 ② 金利の変動リスク認識 当社グループは、国内電気事業に必要な発電設備、送変電設備及び配電設備といった多数の設備を保有している。これら設備の建設や更新工事などを計画的に進めていくために多額の資金が必要である。 当社グループは、これらの必要資金に充当するため自己資金のほか金融機関からの借入及び社債の発行により資金調達しており、当社グループの有利子負債残高は、2026年3月末時点で3兆6,970億円(総資産の62%に相当)となっている。 このため、今後の市場金利の変動が、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。対応策 有利子負債残高の97%を占める社債や長期借入金の大部分を固定金利で調達していることなどにより、金利の変動による当社グループへの影響を限定化している。 ただし、今後新たに調達する資金においては、金利の変動による影響が見込まれるため、金利の動向や資金需要の状況などを見極めながら、適時適切な資金調達に努めていく。 ③ 卸電力取引所における取引価格の変動リスク認識 当社グループでは、低廉で安定した電気をお客さまにお届けするため、自社電源の運用や相対取引の他に、卸電力取引所を活用して電源調達を行っている。また、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」による電源調達を行っており、調達価格は卸電力取引所の取引価格と連動する。 卸電力取引所の取引価格は、売り入札(供給)と買い入札(需要)のバランスによって決定するため、猛暑・厳冬などによる電力需要の急伸又は発電所の計画外停止・電力系統の事故などによる供給力の低下により取引価格が急騰した場合は、購入電力料が増加し、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。対応策 当社グループでは、燃料価格や電力需給の動向に関する想定に基づき、電源調達手段を組み合わせた電源ポートフォリオの最適化やデリバティブ取引の活用などを行っている。 なお、卸電力取引所における取引価格の変動を高圧・特別高圧お客さまの電気料金に反映させる「市場価格調整制度」により、当社グループの業績への影響は一定程度緩和されている。 (4) 電気事業関係の制度変更等リスク認識 政府は、「第7次エネルギー基本計画」や「GX(グリーントランスフォーメーション)2040ビジョン」のもと、エネルギーの安定供給をはじめ、カーボンニュートラルの実現などの公益的課題の達成に向け、エネルギー政策に関する制度設計や市場整備を進めている。 上記を含めた電気事業を取り巻く制度の変更などに伴い、規制や制度に適合するための設備投資や費用などの増加、当社グループが保有する発電設備の稼働率の低下や各種電力取引市場からの収益変動などが発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。対応策 迅速かつ的確に対応できるよう、エネルギー政策、電気事業に係る制度、環境規制などに関する情報を積極的に収集の上、関係箇所で連携し、戦略や具体的対応の検討を実施している。 (5) 気候変動に関する取組みリスク認識 気候変動への関心が高まるなか、世界的に低・脱炭素社会実現に向けた取組みが進んでおり、政府はGX(グリーントランスフォーメーション)を通じて脱炭素、エネルギーの安定供給、経済成長を同時に実現すべく、中長期の見通しとして「GX2040ビジョン」を策定し、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法)の改正を行うなど、規制の具体化が進められており、将来的には強化されていくことが予想される。 特に、化石燃料賦課金や排出量取引制度をはじめとするカーボンプライシング制度の規制強化など、化石燃料の使用に過大な追加負担が課された場合、発電設備などの電力供給設備に対する投資、費用が増大するなど、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。 また、消費者や社会からの脱炭素ニーズの高まりや環境技術の進展に適応できない場合、事業の停滞など当社グループの業績に影響を与える可能性がある。 さらに、金融・資本市場でも、サステナビリティ情報を重視する傾向が強まっており、低・脱炭素化への取組みが不十分、あるいは気候変動に関する情報開示に的確に対応していないなどと判断された場合、株主・投資家から信頼・評価を失い、株価低迷や資金調達の困難化など、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。対応策 当社グループは、「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」のもと、エネルギー供給面(電源の低・脱炭素化)と需要面(電化の推進)の両面から取組みを推進しており、サプライチェーンGHG排出量の削減と社会のGHG排出削減への貢献により、2050年カーボンニュートラルの実現及びカーボンマイナスの早期実現を目指している。 この具現化に向けて、2025年5月に、2030年・2035年を対象とした経営目標(環境目標)及びその達成に向けたKPI(重要業績評価指標)を公表したところであり、カーボンプライシング導入による費用負担も踏まえつつ、電力の安定供給とカーボンニュートラル実現の両立に向けた取組みを一層推進していく。 また、当社グループは、気候変動対応を含めたサステナビリティの取組みを推進するため、「サステナビリティ推進委員会」、担当役員及び専任部署を設置し、情報開示の充実やステークホルダーとの対話を推進している。 (6) 設備事故・故障、システム障害など① 自然災害リスク認識 当社グループは、お客さまの生活や社会経済活動に欠かせない電力の安定供給に必要な発電設備や送変電設備、配電設備などの電力供給設備をはじめ、電気事業の遂行に必要となる多数の設備を広範囲に設置している。 地震・津波・台風・集中豪雨など自然災害が発生した場合には、設備・サプライチェーンが被害を受け、広範囲・長期間の停電により社会経済活動に重大な影響を及ぼし、社会的信用が低下する可能性があるとともに、収益の減少や多額の復旧費用など、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。対応策 当社グループでは、設備の耐力強化や復旧資機材の事前確保などを進めるとともに、自治体や自衛隊などの関係機関との協力体制構築により、災害予防、災害応急対策及び災害復旧に取り組んでいる。 また、九州電力送配電株式会社は一般送配電事業者10社連名による「災害時連携計画」を作成し、大規模災害が発生した場合には、他社からの応援受け入れや関係機関との連携などによる迅速な復旧対応が可能な体制を構築している。 なお、原子力施設については、自然災害に対する国の新規制基準の対応に加え、国内外の最新知見などを活かしながら継続して自主的に安全性向上対策を実施することで、自然災害に対する強化を図っている。 ② 設備の高経年化等リスク認識 当社グループは九州を中心に発電設備、送変電設備、配電設備などの多数の電力供給設備や情報通信設備などを保有している。 大規模発電所や超高圧送電線などで、経年劣化により故障発生確率が上昇し、重大な設備事故が発生した場合、当社グループの経済損失が発生するとともに、広範囲・長期間の停電により社会経済活動に重大な影響を及ぼし、社会的信用が低下する可能性がある。対応策 当社グループでは設備巡視による危険箇所の事前把握や設備状態に応じたきめ細やかなメンテナンスに取り組んでいる。また、経年の進んだ電力供給設備に対する重点的な点検・補修に加え、計画的な高経年設備の更新に取り組んでいる。さらに、ドローン、画像解析、AIなどの新技術を活用した設備保全の高度化・効率化にも取り組んでいる。 ③ 燃料供給支障リスク認識 当社グループが発電用の燃料を輸入する国や地域、または燃料輸送ルートにあたる地域やその周辺で戦争・テロ等が発生した場合、サプライチェーン途絶により燃料供給が滞り、電力供給に影響が出る可能性がある。対応策 当社グループは、燃料の供給国・地域ごとのリスク分析を踏まえた調達先の分散化による安定調達を図るとともに、燃料トレーディング機能の活用による調達の柔軟性向上や海外貯蔵設備での在庫確保等を通じて、リスクが顕在化した際においても安定調達が実現できるよう取組みを進めている。 こうしたなか、2026年2月に中東危機が発生したが、当社は同地域から燃料を調達しておらず、影響は限定的である。 ④ 資機材・役務調達の不安定化リスク認識 当社グループが調達する資機材・役務は、自然災害や地政学リスクの高まり、世界的な需要増による製造ラインの逼迫や、少子高齢化による労働力不足等に伴い、安定的な確保が困難となる可能性がある。対応策 当社グループは、取引先との対話活動を通じてサプライチェーンの課題等へ適切に対応し、パートナーシップ強化に努めるとともに、資機材調達情報の公開による新規取引先の参入促進や、早期の発注による製造能力・施工力の確保など、資機材の安定調達に向けた取組みを行っている。 ⑤ システム障害リスク認識 当社グループでは、お客さま情報や社内情報などを扱う情報処理システムを開発・運用している。また、成長事業として、社外に対してICTサービスを提供している。 このため、これら情報処理システムの動作不具合や停止などのトラブルにより、情報漏洩、業務の停滞及びICTサービス支障が発生した場合、事後対応費用や信頼の失墜など当社グループの業績に影響を与える可能性がある。対応策 当社グループでは24時間365日のシステム運用監視や計画的な設備更新など、システム障害の未然防止に取り組む一方、システム障害が発生した場合の速やかな初動・復旧体制の整備などを行い、万一の事態に備えている。 ⑥ サイバー攻撃リスク認識 当社グループに対するサイバー攻撃は年々増加しており、攻撃方法も巧妙かつ悪質化するなど、その脅威はますます増大している。 当社グループでは国内電気事業、ICTサービス事業など、幅広く事業を展開しており、サイバー攻撃により、機密性の高い内部情報や個人情報の流出、業務支障が発生する可能性がある。 また、海外では電力供給設備に対するサイバー攻撃による停電が発生しており、当社グループの電力供給設備がサイバー攻撃を受けた場合、電力の供給が停止する可能性がある。 いずれの場合にも、当社グループの信頼が失墜するとともに、事後対応費用が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。対応策 当社グループではサイバーセキュリティ対策室を中心に、多層防御として、組織的・人的・物理的・技術的な対策を講じており、当社グループ全体の情報セキュリティレベルの維持向上を図っている。 こうしたなか、2024年6月に当社のグループ会社が第三者による不正アクセスを受け、個人情報が漏洩したおそれがある事案が発生した。グループ会社が不正アクセスを受けたことを真摯に受け止め、今後、同様の事案が発生することがないよう、グループ一体となって情報セキュリティの確保に取り組んでいく。 (7) オペレーショナルリスク① 業務上の不備リスク認識 当社グループは、国内電気事業をはじめ、幅広く事業を展開しており、従業員の過失などによる業務上の不備が生じた場合、お客さまへのサービス提供に支障が出るのみならず社会活動に大きな影響を及ぼす可能性がある。 特に、国内電気事業においては、電力システム改革や再生可能エネルギーの普及などにより、従来と比べ需給運用が複雑化している。作業ミスなどにより、広範囲・長期間の停電や感電などの労働災害が発生した場合、当社グループの信頼が失墜するとともに、事後対応費用など当社グループの業績に影響を与える可能性がある。対応策 当社グループでは電力供給設備の作業時のミス未然防止に向けて、綿密な事前の計画、作業管理体制を整備するとともに、作業の教育・訓練を実施している。 また、労働災害・事故の防止にあたっては、「九電グループ安全行動憲章」に基づき、事業に関わるすべての人たちの安全と安心の永続的な確保に向け、重大災害の防止対策や災害の未然防止に向けた先取り型の安全諸活動にグループ一体となって取り組んでいる。この取組みにあたっては、社長を委員長とする「九州電力安全推進委員会」を中心とした安全推進体制を整備し、安全を最優先する風土・文化の醸成に努めている。 ② 法令違反等リスク認識 当社グループは、国内電気事業をはじめ、幅広く事業を展開しており、関連する法令や規制は多岐にわたる。また海外での事業運営においては、当該国の法的規制の適用を受けている。 当社グループでは、これらの様々な法的規制の遵守に努めているが、各種法令や電力システム改革に伴う行為規制などに対する理解が不十分または法令などが変更された際の対応が適切でなく、法令などに違反したと判定された場合や、従業員による個人的な不正行為などを含めて社会的要請に反した場合は、行政指導や行政処分、信頼の失墜、事後対応費用など、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。対応策 当社では法令理解の浸透を通じた法的規制の遵守はもとより、社会的規範や企業倫理を守ることをコンプライアンス経営と定め、コンプライアンス経営の最高責任者である社長を委員長とし、社外有識者を含むコンプライアンス委員会のもと、各業務執行機関の長を「コンプライアンス責任者」として、活動計画を策定・実践するとともに、社内外に相談窓口を設置するなどの体制を整備し、コンプライアンスを推進している。 また、グループ会社に対しては、コンプライアンス情報の共有や意見交換などを行い、グループ会社と一体となった取組みを推進しているほか、グループ会社の指導・支援に関する管理部門の役割を明確化するなど、当社グループ全体での推進体制の強化を図っている。 当社及び九電みらいエナジー株式会社は、公正取引委員会から独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)に違反する行為があったとして、2023年3月排除措置命令及び課徴金納付命令(九電みらいエナジー株式会社は排除措置命令のみ)を、同年7月には経済産業大臣から電気事業法に基づく業務改善命令を受けた。公正取引委員会からの各命令については、当社及び九電みらいエナジー株式会社と公正取引委員会との間で、事実認定等に見解の相違があることから、同年9月29日に取消訴訟を提起し、係争中である。 また、九州電力送配電株式会社及び当社において、行為規制にかかる情報漏洩及びその情報の不正閲覧があり、2023年4月に経済産業大臣から電気事業法に基づく業務改善命令、同年6月個人情報保護委員会から個人情報の保護に関する法律に基づく指導等を受けた。 これらの事案の発生を受け、策定した業務改善計画に基づき、着実に再発防止の取組みを進めており、引き続き、実効性のある再発防止の取組み及びコンプライアンスを最優先にした事業活動を徹底していく。 こうしたなか、2026年5月に、九州電力送配電株式会社において、お客さまの氏名や住所を含む個人情報を保存した外部記憶媒体が保管場所から所在不明となる事案が発生した。今回の事態を重く受け止め、今後、同様の事案が発生することがないよう、グループ一体となって情報セキュリティ確保及び個人情報保護を徹底していく。 ③ 人権侵害リスク認識 従業員、お客さま及びサプライチェーンにおいて、差別、製品・サービスによる事故、環境汚染・破壊、地域住民の権利の不適切な制限及びハラスメントといった人権侵害が起きた場合、社会的信用の低下とともに取引停止・調達困難・訴訟などによる業務支障や費用増加の可能性がある。対応策 当社グループでは、2023年度に策定した「九電グループ人権方針」のもと、企業が事業上の人権リスクを特定し、その防止・軽減を図るプロセスである「人権デュー・ディリジェンス」の実施、教育・研修の実施やサプライチェーンの管理、人権侵害に対する救済措置の整備を目的にした社内外向けの相談窓口の整備など、人権リスクの低減策に取り組んでいる。 ④ 知的財産侵害等リスク認識 知的財産の取組み(創造・保護・活用)が不十分な場合、知的財産権の侵害増大や競合他社との競争力低下の可能性がある。また、技術開発投資の回収が不確実になり、技術開発の成果を十分に活用出来ないおそれが高まることなどにより、企業価値の向上が妨げられる可能性がある。 更に、近年生成AI技術の進展に伴い、業務推進におけるAI活用は有益であるが、一方で他者の権利を侵害するリスク、または自社の権利が侵害され、自社の技術が流出するリスクがある。対応策 当社グループは、従来の研究開発等を通じて創出した知的財産の権利化や適正管理の取組みに加え、2023年12月に「知的財産戦略」を策定し、知財の創造・保護・活用の知的創造サイクルを回すことにより企業価値を向上させ、技術開発との連携により経営・事業戦略に知財面から貢献することとしている。 また、生成AI活用にあたり、社外有識者の講演会及び社内ルールによる注意喚起によって、他者権利の侵害の防止及び自社権利の保護、自社技術流出の防止に取り組んでいる。 更に、AI関連の法・制度等の動向を注視するとともに、知財ガバナンス機能により、必要な対策を講じていく。 ⑤ 環境負荷低減取組み不十分・環境汚染リスク認識 環境負荷を低減する取組みが不十分な場合、株主・投資家からの評価が低下し、株価低迷や資金調達の困難化など、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。 また、事業運営やサプライチェーンにおいて環境汚染などを引き起こした場合、社会的信用の低下とともに取引停止・調達困難・訴訟などによる業務支障や費用増加の可能性がある。対応策 環境負荷の低減については、「循環経済への貢献」、「ネイチャーポジティブへの貢献」、「環境管理の推進」の課題ごとにサステナビリティ指標を設定するとともに、その達成に向けた取組みを中期経営計画に反映させ、PDCAサイクルを回している。 事業運営における環境汚染などの防止については、環境アセスメントによる大気・水質・生物等の保全措置、関係地方公共団体との間で締結した環境保全協定を遵守した発電所等の設備運用及び排ガス・排水のモニタリング、産業廃棄物の適正管理・処理などを行い、リスクの低減に努めている。 サプライチェーンにおける環境汚染などの防止については、サプライチェーン全体で企業の社会的責任を果たし、持続可能な社会の実現に取組むことを目的に「サステナブル調達ガイドライン」を制定。サプライヤーに対し、環境・生物多様性保全についての取組みを推進していただくよう理解活動に努めている。 ⑥ 人材確保困難化・従業員エンゲージメントの低下リスク認識 少子化に伴う労働力人口の減少など労働市場が大きく変化するなか、事業戦略の実現に必要な多様な強みを有する人材の獲得・育成や、九電グループ全体での安定的な人材確保ができなければ、事業継続や中長期的な企業価値に影響を及ぼし、経営ビジョンの達成が困難になる可能性がある。 また、働き手の就業意識や価値観は多様化しており、従業員の主体的な意欲を引き出し、多様性を活かす環境の整備ができなければ、従業員のエンゲージメントは低下し、生産性の停滞や人材流出を招くおそれがある。対応策 人材の確保については、事業戦略の実現に必要な経験者・高度専門人材の採用拡大や複線型処遇の導入など、多様な強みを有する人材の獲得に向けた施策を強化している。また、合同採用説明会など、九電グループ全体での人材確保に資する取組みも実施している。さらに、自己選択型の研修機会の充実や、社内外の兼業・副業を可能とするなど多様な学びと成長を促進するとともに、こうした人材の経験や努力を活かす適所適材の配置に取り組むことで、従業員の自己実現の支援やその能力活用を図っている。 従業員エンゲージメントの維持・向上に向けては、個人の思いと組織のビジョン等を、職場での対話を通じて結び付け、人と組織がともに成長しながら価値創出につなげるQX(Qden Transformation)を全社で展開するとともに、時間・場所に捉われない柔軟な働き方ができる制度の充実や、心身ともに健康で活き活きと働ける心理的安全性の確保など、基盤づくりに取り組んでいる。また、DE&I推進の観点から、女性、高年齢者、障がい者など、多様な人材が活躍できる環境整備も進めている。 こうした取組みにより、価値創出や生産性向上を実現し、人的資本の価値最大化を図っている。 ⑦ DX停滞リスク認識 お客さまニーズの多様化や働き手不足を背景に、AI等の技術革新を活用した変革が求められている。 こうした環境下において、データ活用基盤構築やDX人材育成の遅延等によりDXの取組みが停滞し、デジタル技術を前提とした事業運営への対応が十分に進まなければ、当社グループの利益創出機会の逸失、生産性の低下を招くリスクが高まる。対応策 九電グループ経営ビジョン2035において、DXを企業価値創造に不可欠な経営中核戦略と位置付け、DX推進本部のもと、生成AIの活用やデータ分析基盤の強化、業務プロセスの抜本的改革、DX人材育成を含む全社的なDX施策を推進している。 さらに、DXに伴うリスクを重要な経営課題の一つと認識し、副社長(最高情報責任者:CIO)が委員長を務める全社IT推進委員会を通じて、DXの進捗状況や課題を継続的に把握・議論するなど、経営層の関与のもとでガバナンスを確保している。 この枠組みを通じて、デジタル技術を活用した企業変革を進めることで、競争力の向上や生産性の維持・向上を図っている。 (参考)地政学リスクの高まり(再掲)リスク認識 当社グループは、海外事業の展開、発電用燃料や資機材の調達等において、国際的な政治・経済情勢の影響を受ける可能性がある。 特に、昨今の地政学リスクの高まりにより、紛争地域及びその周辺地域の事業の環境悪化、燃料国際市況の変動、燃料供給量の変動が生じる可能性のほか、資機材の安定的な調達が困難となるおそれがある。 これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績や電力の安定供給に影響を及ぼす可能性がある。対応策 当社グループでは、海外事業において、案件ごとの管理体制を整備し、適宜、市況変動(物価高騰、電力・燃料価格の動向、金利・為替動向など)のモニタリングを実施することで、リスクの早期発見や低減を図っている。 こうしたなか、2026年2月の中東危機発生を受け、当社グループでは、現地に滞在する社員の安全確保を最優先事項と位置付け、アラブ首長国連邦に派遣している従業員及び帯同家族全員の国外退避を含む必要な対応を迅速に実施した。 なお、当社グループの中東危機継続による海外事業への影響については、現時点において、事業の継続や案件の収益性に対して重大な影響は確認されていない。 また、燃料の調達において、供給国・地域ごとのリスク分析を踏まえた調達先の分散化による安定調達を図るとともに、燃料トレーディング機能の活用による調達の柔軟性向上や海外貯蔵設備での在庫確保等を通じて、リスクが顕在化した際においても安定調達が実現できるよう取り組んでいる。 2026年2月に中東危機が発生したが、当社は同地域から燃料を調達しておらず、影響は限定的である。 中東危機が長期化した場合、LNG価格が上昇する可能性があるが、燃料価格や外国為替相場の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」により、当社グループの業績への影響は一定程度緩和され、現時点では当社グループの収支への影響は限定的である。 当社グループは、今後も地政学リスクの動向を注視しつつ、必要に応じて適切な対応を講じていく。

このページのバフェット流コメンタリーは順次自動生成中です。生成されると、ここに「数値の読み解き方」「同業比較」「投資判断のポイント」を表示します。

もっと深く分析したい?

モート先生 AI が 九州電力 の事業を 4 賢人の理論で詳しく解説します

モート先生に聞く →