9533

東邦瓦斯(9533)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気・ガス業 電気・ガス

事業の概要

  • ガス供給と関連サービス:東邦瓦斯グループは、愛知県、三重県、岐阜県を中心に、都市ガスの製造・販売を主力事業としています。家庭や企業にガスを供給し、ガス器具の販売や配管工事、検針、料金回収といった一連のサービスも提供することで収益を上げています。地域に密着したエネルギーインフラを支える重要な役割を担っています。
  • エネルギー多角化事業:ガス事業だけでなく、LPガス(液化石油ガス)やその他のエネルギー販売、さらには電気の販売も手掛けています。特にLPガスは、都市ガスが供給されていない地域や特定の産業向けに提供され、エネルギー供給の多様化を進めることで収益源を広げています。これにより、顧客の様々なエネルギーニーズに対応しています。
  • その他事業と海外展開:不動産の管理・賃貸、情報処理サービス、プラント・設備の設計施工など、多岐にわたる事業を展開しています。また、オーストラリアやカナダでの天然ガス開発・投資など、海外でのエネルギー資源開発にも積極的に関与しており、将来的な収益基盤の強化と事業ポートフォリオの多様化を図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • ガス事業:東邦瓦斯グループの基幹事業であり、2024年度の売上高は約4,243.95億円、営業利益は約205.49億円と、グループ全体の収益の大部分を占める稼ぎ頭です。愛知県、三重県、岐阜県を中心に都市ガスの製造・販売、ガス器具販売、配管工事、託送供給など、地域に密着したガス供給サービスを幅広く展開しています。安定したインフラ事業として、グループの収益を牽引しています。
  • LPガス・その他エネルギー事業:LPガス販売を主軸に、LNG販売や熱供給事業も手掛けており、2024年度の売上高は約1,000.64億円、営業利益は約25.91億円です。都市ガス供給エリア外や特定の産業向けにLPガスを提供することで、エネルギー供給の多様化を図っています。コークス・石油製品販売なども含め、幅広いエネルギーニーズに対応し、事業領域を拡大しています。
  • 電気事業:電気の販売を行っており、2024年度の売上高は約956.82億円、営業利益は約3.42億円です。ガス事業で培った顧客基盤を活かし、家庭用・業務用顧客へ電気を供給することで、総合エネルギー企業としての地位を確立しています。発電事業者からの調達と自社電源を組み合わせることで、安定供給と収益性のバランスを図り、事業の柱の一つとして成長を目指しています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Gas 事業 4,244 205 4.8%
LPGAndOtherEnergy 事業 1,001 26 2.6%
Electricity 事業 957 3 0.4%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,117 文字
3 【事業の内容】 当社グループは、東邦瓦斯㈱、子会社35社及び関連会社40社で構成され、ガス事業、LPG・その他エネルギー事業、電気事業、その他の事業を行っている。このうち、30社を連結子会社とし、10社を持分法適用関連会社としている。事業の内容と当社及び子会社、関連会社の当該事業における位置付けは次のとおりである。 (1) ガス東邦瓦斯㈱は、愛知県、三重県、岐阜県でガスの製造及び販売並びにガス機器の販売等を行っている。東邦ガスネットワーク㈱は、愛知県、三重県、岐阜県でガスの託送供給、ガス供給のための配管工事を行っている。東邦ガスライフソリューションズ㈱は、当社から家庭用のお客さま向けのガス及び電気の販売等を受託している。また、住宅設備機器の販売を行っている。東邦ガスコミュニケーションズ㈱は、当社からコールセンター及び料金事務業務を受託している。水島瓦斯㈱は、岡山県内においてガスの製造、供給及び販売、ガス供給のための配管工事並びにガス機器の販売を行っている。東邦ガス・カスタマーサービス㈱は、ガスメーターの検針及びガス料金の回収業務を行っている。東邦ガステクノ㈱は、ガス配管工事を行っている。TOHO GAS SINGAPORE PTE. LTD.は、主に当社から受託しているLNG取引等を行っている。 (2) LPG・その他エネルギー東邦瓦斯㈱は、LNG販売、熱供給事業を行っている。東邦液化ガス㈱等は、LPG販売、LPG機器販売、LPG配管工事及びコークス・石油製品販売等を行っている。 (3) 電気東邦瓦斯㈱等は、電気の販売を行っている。 (4) その他東邦瓦斯㈱は、LNG受託加工を行っている。東邦ガス不動産開発㈱は、不動産の管理・賃貸を行っている。東邦ガスエナジーエンジニアリング㈱は、プラント・設備の設計施工、CN×P事業を行うとともに、当社から業務用のお客さま向けのガス及び電気の販売等を受託している。東邦ガス情報システム㈱は、情報処理サービスの提供を行っている。東邦総合サービス㈱は、車両・設備機器等のリースを行っている。東邦冷熱㈱は、LNG冷熱及び液化窒素等の販売を行っている。東邦ガスセイフティライフ㈱は、ガス設備の保安点検を行っている。Toho Gas Australia Pty Ltd、Toho Gas Ichthys Pty Ltd及びToho Gas Ichthys Development Pty Ltd並びにToho Gas Canada Ltd.は、海外における天然ガス等に関する開発・投資等を行っている。 以上述べた事項を系統図によって示すと次のとおりである。 企業集団の事業系統図

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
原料費調整制度によって一定の範囲内でガス販売価格に反映されるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
都市ガス・LPガス・電気事業は、エネルギー政策・法令・制度等の変更による影響を受ける。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:需要変動による影響 / 原料価格の変動による影響 / エネルギー政策・法令・制度等の変更による影響
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

東邦ガスは地域独占的なガス供給事業者としての許認可を得ているが、これは規制緩和や新規参入の可能性により、絶対的な無形資産とは言えない。ブランド力は地域で確立されているものの、特許やIPによる競争優位性は限定的。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

都市ガスはインフラに接続されており、顧客が他社に切り替える際の初期費用や手間が大きい。特に家庭用顧客にとっては、ガス機器の交換や配管工事が必要になる場合があり、乗り換え障壁は比較的高い。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ガス供給事業には、ユーザー数が増えることでサービス価値が向上するようなネットワーク効果は基本的に見られない。供給網の拡大はコスト増につながる側面もある。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

大規模なインフラ投資と維持管理コストがかかるため、新規参入のハードルは高い。しかし、調達コストや設備投資効率において、他社との顕著なコスト優位性を示す具体的なデータは少ない。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

愛知県西部、岐阜県南部、三重県北部の広範な地域にガス供給網を構築・維持しており、その規模は地域における寡占状態を形成している。この広範な供給網は、効率的なインフラ運営とサービス提供を可能にしている。

  • 地域に根差したインフラ網:愛知、三重、岐阜の東海3県に広がる強固なガス供給インフラと顧客基盤が最大の強みです。長年にわたる事業運営で培われた信頼と、既存の供給網が新規参入者にとって高い障壁となり、安定的な収益を確保しています。地域社会の生活と産業を支える不可欠な存在として、強固な事業基盤を築いています。
  • 総合エネルギー供給体制:都市ガスだけでなく、LPガス、電気、熱供給など、多様なエネルギー源を提供できる総合力が競争優位性となっています。これにより、顧客は東邦瓦斯グループから複数のエネルギーサービスを一括して調達でき、利便性が向上します。顧客のエネルギーに関する様々なニーズに応えることで、顧客の囲い込みにも繋がっています。
  • 技術力と多角的な事業展開:ガス供給に付随する配管工事や設備設計施工、情報システム、不動産管理など、幅広い関連事業を展開する技術力とノウハウを持っています。これにより、単なるエネルギー供給にとどまらず、顧客の課題解決に貢献する付加価値の高いサービスを提供できます。また、海外での天然ガス開発投資も行い、将来の安定供給と収益源の確保を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。当社グループは、2022年3月に公表した「東邦ガスグループビジョン」において、当社グループの従業員が共通認識に立ち、新たな時代を切り拓けるよう2050年の社会像を思い描くとともに、中間地点となる2030年代半ばに目指す姿として、「地域におけるゆるぎないエネルギー事業者」「エネルギーの枠を超えたくらし・ビジネスのパートナー」「持続可能な社会の実現をリードする企業グループ」の3つを掲げている。目指す姿の実現に向けた第二ステップの前半戦にあたる中期経営計画(計画期間:2025~2027年度)の2年目として、事業戦略で掲げた4つのテーマの取組み、ならびに、計画方針に沿った財務戦略・人材戦略を着実に推進していく。 <東邦ガスグループ 中期経営計画> ■取り巻く経営環境グループビジョン策定時からつづく潮流サステナビリティに対する要請エネルギーを取り巻く5つのD(脱炭素化(De-carbonization)、人口減少(Depopulation)、制度改革(Deregulation)、デジタル化(Digitalization)、分散化(De-centralization))足元で生じている環境変化自然災害や地政学リスクの高まり経済環境の変化(金融政策の転換、基調的な物価・賃金上昇、資本コストや株価を意識した経営への要請の高まり) ■全体戦略および数値計画 ①利益・収益性 (2027年度)連結経常利益300億円 ROE6%+α ②株主還元・資本政策 (2027年度末)配当政策利益成長とともに累進的な増配を目指す 自己資本の最適化自己株式の取得を進め、自己資本4,000億円を目安に最適化 政策保有株式の売却1/3程度の売却※を完了 ※ 2023年度末の残高に対する比率。中期経営計画策定時点で、2027年度末の残高は自己資本対比で20%未満となる想定。 ■財務戦略①キャッシュアロケーション(2025~2027年度累計)キャッシュインキャッシュフロー創出※1 2,100億円程度借入れ余力(デット)活用※2 1,300億円程度キャッシュアウトコア事業投資 1,100億円程度戦略事業投資 1,300億円程度株主還元 1,000億円程度②B/S経営の深化 2030年代半ばに戦略事業をコア事業に並ぶ規模に成長させるべく、ROIC(投下資本利益率)による事業別の収支管理や、事業ポートフォリオが価値創造に資する状態であるかの定期的な点検を実施する。 B/Sマネジメントとして、コア事業資産のスリム化や政策保有株式の売却を進めつつ、戦略事業資産を増強する。また、適切な資本構成と資本コスト低減に向けて有利子負債と純資産の構成を見直す。 ※1 営業キャッシュフロー 600億円程度(2027年度) 政策保有株式等の売却 300億円程度(2025~2027年度累計)※2 D/Eレシオ 上限目安0.8倍 ■事業戦略①コア事業の安定的なキャッシュフロー創出 「事業構造の変革」の出発点となるコア事業で安定的にキャッシュフローを創出すべく、サプライチェーン各段階での取組みを推進する。●ガスの普及拡大と防災・保安対策の推進・第7次エネルギー基本計画において重要性が再認された都市ガス・LPG事業に関し、確固たる事業基盤・収益基盤の構築に向けた取組みを着実に進める。・都市ガス事業では、地域の低炭素化に資する燃料転換需要を的確に捉え、供給力の拡大や供給安定性に資する基幹路線の建設を進めるとともに、新規開発を推進する。加えて、高経年設備の保安対策や災害対応力を強化する。・LPG事業では、東海3県でのシェア拡大と広域圏(静岡・長野、北陸地方)での開発を強化し、お客さま数の拡大や民生用・工業用の燃料転換を推進する。●LNGの安定調達と取引体制の整備・調達地域の分散を図った長期契約による安定調達を基本としつつ、LNG取引の拡大に向けた体制の整備を進める。また、2026年度には将来の調達柔軟性に資する取組みとして、当社グループが出資するLNG船の竣工を予定している。●会員サイト「Club TOHOGAS」のリニューアル・開設から10年の節目を迎え、100万件以上のお客さまに利用いただいている会員サイト「Club TOHOGAS」のリニューアルや、ECサイト「Club TOHOGAS MALL」の取扱商品の拡充を行い、くらしを支えるデジタル基盤としての利便性や満足度の向上を図る。KPIコア事業の営業キャッシュフロー 450億円(2027年度) ②成長の原動力の育成 ガス事業で培った強み(基盤・技術・知見)を活かし、電気事業・海外事業を次代に向けた利益成長の原動力とすべく、収益性を意識した積極的な資源投下により、規模の拡大と競争力の強化に両輪で取り組む。●電気事業・事業規模の拡大に向けた販売面の取組みに加え、調達面での工夫や、知多火力発電所をはじめ需要に見合った発電容量の確保に向けた取組みを進め、事業の安定性の向上や中長期的な収益基盤の強化を図る。・2026年度は長期脱炭素電源オークション(第2回)にて落札した発電容量10万kW級のガスエンジン発電所の設計に着手する。●海外事業・今後も成長が見込まれる東南アジアにおいて、天然ガスの普及拡大や高度利用を加速させ、各国の低・脱炭素化への貢献を果たす。・2025年度に出資を決定した豪州の再エネ事業を着実に推進しつつ、さらなる案件の発掘を行う。・北米において、現地に設立済みの子会社に駐在員を派遣し、e-methane・バイオガスの製造・調達に向けた検討を進めるとともに、北米での事業活動を加速させる。KPIROICターゲット 電気事業3%+α/海外事業4%+α(2027年度) ③地域を基点としたビジネスの深耕 エネルギー周辺領域を中心に、地域のくらしやビジネス、自治体とのWin-Winの関係・共生に繋がる課題解決型ビジネスの深耕を図る。また、分野や業界を超えた企業間連携により、事業領域の拡大を目指す。●まちづくりを通じた地域価値の創出・自社保有地の有効活用を通じたまちづくりの一環として、開発を進めている「みなとアクルス」において「あいちペロブスカイト太陽電池推進協議会」の実証事業に参画する。また、社員寮跡地での分譲マンション建設を進める(2026年3月着工済)。他の保有地でも、立地特性や規模に応じ、住宅と商業施設との複合開発等の検討を進める。●リフォーム事業の深化と領域の拡大・お客さまの身近な相談窓口である「東邦ガスくらしショップ」とリフォーム専門ブランド「わが家のマイスター」において、リフォーム提案の充実を図る。・あわせて、既存住宅の活用促進と事業領域のさらなる拡大を目指し、市場拡大が続くマンションリノベーション事業への参画に向けた検討を開始し、パートナー企業※1とともに協業体制の構築を進める。KPI地域価値創造ビジネス群※2の事業利益 50億円(2027年度) ④カーボンニュートラルへの使命と責任 トランジション期における累積CO2排出量の削減に向け、国内外で天然ガスの普及拡大やソリューション提案に注力するとともに、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組みを加速する。●e-methaneプロジェクトの推進・2024年に開始した愛知県知多市でのe-methane製造実証において、低コスト化等の技術課題の解決に取り組んでいる。2026年度は、e-methaneの本格的な社会実装を見据え、2030年度中の製造開始および日本への輸出を目指した米国ネブラスカ州での「Live Oakプロジェクト」の基本設計を開始する予定である。・「CO2の地域循環モデル」の構築に向け、株式会社アイシン、株式会社デンソーと連携し、両社の工場から排出されるCO2を回収・輸送してe-methaneを製造する実証に取り組む。●CO2分離回収技術の社会実装・カーボンリサイクルの起点となるCO2分離回収技術について、産学官の連携のもと開発を推進しており、2026年度は、需要地の排ガスからCO2を分離回収する技術について製品スケールで回収性能や耐久性を確認し、社会実装フェーズ(製品化)への移行を目指す。●新たな水素製造技術の実証・知多緑浜水素製造プラントや水素ステーションを起点に水素の安定供給や需要創出に取り組んでおり、2026年度は、都市ガスの主成分であるメタンから熱分解によって製造するターコイズ水素に係る技術の実証に着手する。KPIガスのカーボンニュートラル化率 5%以上(2030年度)e-methane等導入量 1%以上(2030年度) 再エネ取扱量 50万kW(2030年度) ※1 2026年3月、同事業に係る国内有数の知見を有するリノベる株式会社に出資※2 地域を基点とした課題解決型ビジネスの総称。くらし・行政サポート、エンジニアリング、まちづくり・不動産開発、情報サービス、アグリ・フード等の事業群 ■人材戦略 従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、自律的な成長と成果へ結びつけるべく、働きがい・働きやすさを生み出す制度と組織風土の両面から変革を推進している。 2026年度は、新たな人事処遇制度を導入し、特定分野において高度な専門性を発揮できる従業員のキャリアパスを確立するとともに、成果・貢献を重視し、早期抜擢が可能な制度へと刷新する。 あわせて、多様な個性が輝く風土づくりと並行し、グループビジョンに掲げる「目指す姿」の実現に向けて、東邦ガスグループの結束をより強固なものにするための活動「未来のまんなかプロジェクト」を加速する。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。当社グループは、2022年3月に公表した「東邦ガスグループビジョン」において、当社グループの従業員が共通認識に立ち、新たな時代を切り拓けるよう2050年の社会像を思い描くとともに、中間地点となる2030年代半ばに目指す姿として、「地域におけるゆるぎないエネルギー事業者」「エネルギーの枠を超えたくらし・ビジネスのパートナー」「持続可能な社会の実現をリードする企業グループ」の3つを掲げている。目指す姿の実現に向けた第二ステップの前半戦にあたる中期経営計画(計画期間:2025~2027年度)の2年目として、事業戦略で掲げた4つのテーマの取組み、ならびに、計画方針に沿った財務戦略・人材戦略を着実に推進していく。 <東邦ガスグループ 中期経営計画> ■取り巻く経営環境グループビジョン策定時からつづく潮流サステナビリティに対する要請エネルギーを取り巻く5つのD(脱炭素化(De-carbonization)、人口減少(Depopulation)、制度改革(Deregulation)、デジタル化(Digitalization)、分散化(De-centralization))足元で生じている環境変化自然災害や地政学リスクの高まり経済環境の変化(金融政策の転換、基調的な物価・賃金上昇、資本コストや株価を意識した経営への要請の高まり) ■全体戦略および数値計画 ①利益・収益性 (2027年度)連結経常利益300億円 ROE6%+α ②株主還元・資本政策 (2027年度末)配当政策利益成長とともに累進的な増配を目指す 自己資本の最適化自己株式の取得を進め、自己資本4,000億円を目安に最適化 政策保有株式の売却1/3程度の売却※を完了 ※ 2023年度末の残高に対する比率。中期経営計画策定時点で、2027年度末の残高は自己資本対比で20%未満となる想定。 ■財務戦略①キャッシュアロケーション(2025~2027年度累計)キャッシュインキャッシュフロー創出※1 2,100億円程度借入れ余力(デット)活用※2 1,300億円程度キャッシュアウトコア事業投資 1,100億円程度戦略事業投資 1,300億円程度株主還元 1,000億円程度②B/S経営の深化 2030年代半ばに戦略事業をコア事業に並ぶ規模に成長させるべく、ROIC(投下資本利益率)による事業別の収支管理や、事業ポートフォリオが価値創造に資する状態であるかの定期的な点検を実施する。 B/Sマネジメントとして、コア事業資産のスリム化や政策保有株式の売却を進めつつ、戦略事業資産を増強する。また、適切な資本構成と資本コスト低減に向けて有利子負債と純資産の構成を見直す。 ※1 営業キャッシュフロー 600億円程度(2027年度) 政策保有株式等の売却 300億円程度(2025~2027年度累計)※2 D/Eレシオ 上限目安0.8倍 ■事業戦略①コア事業の安定的なキャッシュフロー創出 「事業構造の変革」の出発点となるコア事業で安定的にキャッシュフローを創出すべく、サプライチェーン各段階での取組みを推進する。●ガスの普及拡大と防災・保安対策の推進・第7次エネルギー基本計画において重要性が再認された都市ガス・LPG事業に関し、確固たる事業基盤・収益基盤の構築に向けた取組みを着実に進める。・都市ガス事業では、地域の低炭素化に資する燃料転換需要を的確に捉え、供給力の拡大や供給安定性に資する基幹路線の建設を進めるとともに、新規開発を推進する。加えて、高経年設備の保安対策や災害対応力を強化する。・LPG事業では、東海3県でのシェア拡大と広域圏(静岡・長野、北陸地方)での開発を強化し、お客さま数の拡大や民生用・工業用の燃料転換を推進する。●LNGの安定調達と取引体制の整備・調達地域の分散を図った長期契約による安定調達を基本としつつ、LNG取引の拡大に向けた体制の整備を進める。また、2026年度には将来の調達柔軟性に資する取組みとして、当社グループが出資するLNG船の竣工を予定している。●会員サイト「Club TOHOGAS」のリニューアル・開設から10年の節目を迎え、100万件以上のお客さまに利用いただいている会員サイト「Club TOHOGAS」のリニューアルや、ECサイト「Club TOHOGAS MALL」の取扱商品の拡充を行い、くらしを支えるデジタル基盤としての利便性や満足度の向上を図る。KPIコア事業の営業キャッシュフロー 450億円(2027年度) ②成長の原動力の育成 ガス事業で培った強み(基盤・技術・知見)を活かし、電気事業・海外事業を次代に向けた利益成長の原動力とすべく、収益性を意識した積極的な資源投下により、規模の拡大と競争力の強化に両輪で取り組む。●電気事業・事業規模の拡大に向けた販売面の取組みに加え、調達面での工夫や、知多火力発電所をはじめ需要に見合った発電容量の確保に向けた取組みを進め、事業の安定性の向上や中長期的な収益基盤の強化を図る。・2026年度は長期脱炭素電源オークション(第2回)にて落札した発電容量10万kW級のガスエンジン発電所の設計に着手する。●海外事業・今後も成長が見込まれる東南アジアにおいて、天然ガスの普及拡大や高度利用を加速させ、各国の低・脱炭素化への貢献を果たす。・2025年度に出資を決定した豪州の再エネ事業を着実に推進しつつ、さらなる案件の発掘を行う。・北米において、現地に設立済みの子会社に駐在員を派遣し、e-methane・バイオガスの製造・調達に向けた検討を進めるとともに、北米での事業活動を加速させる。KPIROICターゲット 電気事業3%+α/海外事業4%+α(2027年度) ③地域を基点としたビジネスの深耕 エネルギー周辺領域を中心に、地域のくらしやビジネス、自治体とのWin-Winの関係・共生に繋がる課題解決型ビジネスの深耕を図る。また、分野や業界を超えた企業間連携により、事業領域の拡大を目指す。●まちづくりを通じた地域価値の創出・自社保有地の有効活用を通じたまちづくりの一環として、開発を進めている「みなとアクルス」において「あいちペロブスカイト太陽電池推進協議会」の実証事業に参画する。また、社員寮跡地での分譲マンション建設を進める(2026年3月着工済)。他の保有地でも、立地特性や規模に応じ、住宅と商業施設との複合開発等の検討を進める。●リフォーム事業の深化と領域の拡大・お客さまの身近な相談窓口である「東邦ガスくらしショップ」とリフォーム専門ブランド「わが家のマイスター」において、リフォーム提案の充実を図る。・あわせて、既存住宅の活用促進と事業領域のさらなる拡大を目指し、市場拡大が続くマンションリノベーション事業への参画に向けた検討を開始し、パートナー企業※1とともに協業体制の構築を進める。KPI地域価値創造ビジネス群※2の事業利益 50億円(2027年度) ④カーボンニュートラルへの使命と責任 トランジション期における累積CO2排出量の削減に向け、国内外で天然ガスの普及拡大やソリューション提案に注力するとともに、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組みを加速する。●e-methaneプロジェクトの推進・2024年に開始した愛知県知多市でのe-methane製造実証において、低コスト化等の技術課題の解決に取り組んでいる。2026年度は、e-methaneの本格的な社会実装を見据え、2030年度中の製造開始および日本への輸出を目指した米国ネブラスカ州での「Live Oakプロジェクト」の基本設計を開始する予定である。・「CO2の地域循環モデル」の構築に向け、株式会社アイシン、株式会社デンソーと連携し、両社の工場から排出されるCO2を回収・輸送してe-methaneを製造する実証に取り組む。●CO2分離回収技術の社会実装・カーボンリサイクルの起点となるCO2分離回収技術について、産学官の連携のもと開発を推進しており、2026年度は、需要地の排ガスからCO2を分離回収する技術について製品スケールで回収性能や耐久性を確認し、社会実装フェーズ(製品化)への移行を目指す。●新たな水素製造技術の実証・知多緑浜水素製造プラントや水素ステーションを起点に水素の安定供給や需要創出に取り組んでおり、2026年度は、都市ガスの主成分であるメタンから熱分解によって製造するターコイズ水素に係る技術の実証に着手する。KPIガスのカーボンニュートラル化率 5%以上(2030年度)e-methane等導入量 1%以上(2030年度) 再エネ取扱量 50万kW(2030年度) ※1 2026年3月、同事業に係る国内有数の知見を有するリノベる株式会社に出資※2 地域を基点とした課題解決型ビジネスの総称。くらし・行政サポート、エンジニアリング、まちづくり・不動産開発、情報サービス、アグリ・フード等の事業群 ■人材戦略 従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、自律的な成長と成果へ結びつけるべく、働きがい・働きやすさを生み出す制度と組織風土の両面から変革を推進している。 2026年度は、新たな人事処遇制度を導入し、特定分野において高度な専門性を発揮できる従業員のキャリアパスを確立するとともに、成果・貢献を重視し、早期抜擢が可能な制度へと刷新する。 あわせて、多様な個性が輝く風土づくりと並行し、グループビジョンに掲げる「目指す姿」の実現に向けて、東邦ガスグループの結束をより強固なものにするための活動「未来のまんなかプロジェクト」を加速する。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度(以下、当期という。)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。 (1)経営成績当地域の経済は、米国政策の不透明感に加え、中東情勢をはじめとした地政学リスクの高まりにより、先行きを見通しづらい状況が続いている。また、エネルギー政策の面では、「S+3E」(安全性の確保+エネルギーの安定供給・経済効率性・環境への適合)の重要性が再認識されている。このような環境の中で、当社グループは、安全・安心、安定供給の責務を果たしつつ、2025年3月に公表した中期経営計画の方針に沿った取組みを進めてきた。都市ガス・LPGなどのコア事業では、お客さま数の増加に加え、カナダからの受入れを開始するなどLNG調達地域の分散を進めるとともに、高圧導管の整備などを推進した。また、戦略事業では、電気事業において電源の多様化を進めたほか、海外事業において米国などの拠点を拡充した。また、e-methaneプロジェクトなどカーボンニュートラルの実現に向けた取組みも着実に進めた。 当期末のお客さま数は、ガス・LPG・電気の合計で前期末と比べて3万4千件増加し312万1千件となった。ガスのお客さま数は、同9千件増加し175万9千件となった。LPGのお客さま数は、同1千件増加し64万6千件となった。電気のお客さま数は、同2万5千件増加し71万6千件となった。ガス販売量は、前期と比べて1.5%減少し33億㎥となった。用途別では、家庭用は前期並み、業務用等は、お客さま先設備の稼働が前期を下回ったこと等により同1.7%の減少となった。LPGの販売量は前期並みの47万3千トン、電気の販売量は、お客さま数の増加の影響等により同2.9%増加し28億9千7百万kWhとなった。売上高は、前期と比べて49億2千4百万円減少し6,510億8千5百万円となった。売上原価は、同113億7千4百万円減少 し4,717億9千万円となった。供給販売費及び一般管理費は、同55億5千3百万円増加し1,475億1千1百万円となった。これらの結果、経常利益は前期と比べて54億6千7百万円増加し378億7千9百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同59億9千4百万円増加し314億4千9百万円となった。当期は、原料費調整制度による原材料費と売上高の期ずれ差益が拡大したこと等により、前期と比べて増益となった。 <参考>平均気温・原油価格・為替レート 前連結会計年度(自 2024年4月 至 2025年3月)当連結会計年度(自 2025年4月 至 2026年3月)増減摘要平均気温(℃)17.717.7- 原油価格($/bbl)82.471.4△11.0全日本CIF価格為替レート(円/$)152.6150.7△1.9TTMレート セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。 <ガス>当期末の都市ガスのお客さま数は175万9千件(前期末比9千件増)となった。販売量は33億㎥(前期比1.5%減)となり、用途別では、家庭用は前期並み、業務用等はお客さま先設備の稼働が前期を下回ったことなどにより1.7%減となった。ガス事業の売上高は、4,265億8千5百万円(前期比0.6%減)となった。 <LPG・その他エネルギー> 当期末のLPGのお客さま数は64万6千件(前期末比1千件増)、販売量は47万3千トン(前期比0.2%減)となった。 LPG・その他エネルギー事業の売上高は、LPG単価の低下などにより967億5千1百万円(前期比4.8%減)となった。 <電気> 当期末の電気のお客さま数は71万6千件(前期末比2万5千件増)、販売量はお客さま数の増加の影響などにより28億9千7百万kWh(前期比2.9%増)となった。 電気事業の売上高は、988億6千8百万円(前期比3.0%増)となった。 <その他> その他事業の売上高は、610億7千7百万円(前期比0.1%減)となった。 (単位:百万円、%表示は対前期増減率) ガ スLPG・その他エネルギー電 気その他調整額合 計売 上 高△0.6%426,585△4.8%96,7513.0%98,868△0.1%61,077 △32,197△0.8%651,085営業利益△6.5%19,21018.2%3,063476.6%1,9723.9%5,810 1,7272.9%31,784 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりである。 当社グループにおいては、当社及び子会社が行うガス事業が生産及び販売活動の中心であり、外部顧客に対する売上高及び営業費用において連結合計の大半を占めている。ガス事業以外のセグメントにおける生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるが、生産規模は小さく、また受注生産形態をとらない製品も多い。このため以下は、ガス事業セグメントについて記載している。 ①生産実績当社及び水島瓦斯㈱においてガスの生産を行っている。最近2連結会計年度のガスの生産実績は次のとおりである。 製品名前連結会計年度(自 2024年4月至 2025年3月)当連結会計年度(自 2025年4月至 2026年3月)ガス(千m3)3,334,0473,285,298 ②受注実績ガス事業については、その性質上受注生産は行っていない。 ③販売実績当社は愛知県、三重県、岐阜県で、水島瓦斯㈱は岡山県内においてそれぞれガスの販売を行っている。最近2連結会計年度におけるガス販売実績は次のとおりである。 項目前連結会計年度(自 2024年4月至 2025年3月)当連結会計年度(自 2025年4月至 2026年3月)数量(千m3)金額(百万円)数量(千m3)金額(百万円)ガス販売実績 家庭用562,065104,966559,416102,257 業務用等2,788,030258,2802,740,518239,923計3,350,095363,2463,299,934342,181期末お客さま数(小売契約件数)1,750千件1,759千件 (2)財政状態総資産は、前期末比506億9千3百万円の増加となった。これは、投資有価証券が増加したことなどによる。負債は、前期末比215億6千8百万円の増加となった。これは、有利子負債が増加したことなどによる。純資産は、前期末比291億2千4百万円の増加となった。これは、保有株式等の時価の上昇に伴い、その他有価証券評価差額金が増加したことなどによる。これらの結果、自己資本比率は前期末の59.1%から59.0%となり、総資産当期純利益率(ROA)は、前期の3.4%から4.0%となった。 (3)キャッシュ・フロー 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上などにより、656億7百万円の収入となった。前期比では、174億8千9百万円の収入の減少となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資をはじめとして417億7千7百万円の支出となった。前期比では、33億8千7百万円の支出の減少となった。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得などにより、267億5千1百万円の支出となった。前期比では、79億8千1百万円の支出の増加となった。これらの結果、当期における現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べ20億9千万円減少し、429億8千8百万円となった。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりである。 資金調達については社債、コマーシャル・ペーパー及び銀行等金融機関からの借入により行っている。社債については、国内無担保社債を2025年11月に100億円発行した。なお、当期中の社債償還はない。当期末の借入金は、前期末に比べて14億5千3百万円増加した。また、適時に資金繰計画を作成・更新するなどの方法により、流動性リスクを管理している。 (4)目標とする数値計画の達成状況中期経営計画の初年度となる当期は、グループビジョンの目指す姿の実現に向け、「事業構造の変革」を着実に推進した。エネルギーを取り巻く環境変化が大きく、先行きを見通しづらい中にあったが、引き続きエネルギーを安全・安心、安定的にお届けするとともに、中期経営計画に掲げた事業・財務・人材の3つの各戦略に沿った取組みを進めた。具体的な活動としては、事業戦略では、エネルギー事業のお客さま数は中期経営計画で掲げた目標(314万件)に向け順調に推移し、312万件に達した。電気事業では事業の安定性や収益力の向上に向けて10万kW級のガスエンジン発電設備への投資を決定した他、海外事業では豪州での再生可能エネルギー事業へ参画するなど事業規模を拡大した。また、財務戦略では、将来の成長に向けた投融資を着実に実行するとともに、年間100億円の政策保有株式の売却など中期経営計画で掲げた資本政策に沿った取組みを推進した。加えて、人材戦略では、2026年度からの新人事制度の設計を完了させた他、変革を支える基盤を強固なものにすべく、組織を跨いだグループ社員の交流企画などを通じ、組織風土の改革に取り組んだ。 ○目標とする数値計画数値計画(利益・収益性)2025年度実績連結経常利益300億円(2027年度)378億円ROE6%+α(2027年度)6.8% (5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。 この連結財務諸表作成にあたり、見積りが必要な事項については、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っている。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。 (注) 本書面でのガス販売量は、すべて1㎥当たり45メガジュール換算で表示している。

事業リスク

  • 需要変動と競争激化:都市ガス・LPガス・電気事業は、景気変動、気候変動(猛暑や暖冬)、省エネルギー化の進展、産業構造の変化、そして小売全面自由化による競争激化の影響を受けやすいです。これにより販売量が変動し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、エネルギー選好の変化や新規参入者との競争は、収益性の低下に直結するリスクです。
  • 原料・電力調達価格の変動:都市ガスの主要原料であるLNG(液化天然ガス)の価格は、原油価格や為替相場の変動に大きく左右されます。原料費調整制度で一定範囲は価格転嫁できますが、タイムラグが発生し、期間収支に影響を与える可能性があります。また、電力調達価格の変動も業績に影響を及ぼすため、安定的な調達とコスト管理が重要です。
  • 政策・法令・制度変更とコンプライアンス:2050年カーボンニュートラルに向けた動きの中で、新たな環境規制や制度導入により追加的な費用負担が発生するリスクがあります。また、法令遵守は極めて重要であり、過去には独占禁止法に基づく警告や業務改善命令を受けています。コンプライアンス違反は、社会的信用の失墜や多額の損害賠償につながる可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|3,937 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの経営成績及び財務状況等に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクとしては、以下のようなものがある。文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループが判断したものである。 (1) 需要変動による影響当社グループの主要な事業である都市ガス・LPG・電気事業は、当地域の社会・経済動向のほか、猛暑や暖冬等の気候変動、小売全面自由化に伴う競争環境の変化、省エネルギーの進展や産業構造の変化、お客さまのエネルギー選好の変化等により、販売量が変動し、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。なお、中東情勢の動向により、当地域のエネルギー需要が影響を受ける可能性がある。当社グループは、新規需要開発を推進するとともに、新サービス等による付加価値の提供やデジタル技術活用等により、当地域におけるトータルエネルギーシェアの拡大を進めている。 (2) 原料価格の変動による影響都市ガスの原料であるLNG(液化天然ガス)の価格は、経済情勢や中東情勢を含む地政学リスク等による原油価格・為替相場等の変動の影響を受ける。原料価格の変動は、原料費調整制度によって一定の範囲内でガス販売価格に反映されることから業績への影響は緩和されるが、反映までのタイムラグにより期間収支に影響を受ける可能性がある。また、LNG調達先との契約更改、価格交渉の動向により原料価格が変動した場合、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。 (3) 電力調達価格の変動による影響電力調達は発電事業者・卸電力取引市場等からの調達と自社電源を組み合わせているが、 経済情勢や中東情勢を含む地政学リスク等の影響によって調達価格が変動した場合、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。当社グループは、発電事業者との相対契約の弾力性向上に取り組むとともに、調達比率の最適化を図り、調達コストの低減と収支安定化のバランスを図っている。 (4) 金利変動等による影響当社グループの保有する株式・年金資産等は株価・金利等が変動することによって、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。また、市場金利の動向により調達金利が変動することによって、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。ただし、有利子負債の大部分は固定金利で調達した長期借入金や社債であり、短期の金利変動による影響は限定的である。変動金利での調達は、一部に金利スワップ取引を利用して固定化を行っている。 (5) エネルギー政策・法令・制度等の変更による影響2050年カーボンニュートラルに向けた動きが広がり、新たな環境規制や制度の導入等により追加的な対応や費用負担が発生した場合、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。当社グループは、2021年7月、「東邦ガスグループ2050年カーボンニュートラルへの挑戦」、2022年3月、「東邦ガスグループビジョン」、2025年3月、中期経営計画(2025~2027年度)を策定し、カーボンニュートラルの実現に向けた対応の方向性と具体的な取組みを示した。2026年3月、環境変化や政策動向を踏まえた中長期的なカーボンニュートラルのロードマップ、及びこれまでの取組みの進捗を示すべく「東邦ガスグループ2050年カーボンニュートラルへの挑戦」を更新した。中期経営計画期間では、海外プロジェクトの案件探索・事業性検討、国内e-methane実証(知多e-methane製造・CO2の地域循環モデルの構築)、CO2分離回収技術の開発、CO2活用(CCU)・貯留(CCS)の事業性検討、自治体や協業先と連携したカーボンクレジットの創出・案件探索、知多緑浜水素製造プラントを核とした水素供給・需要創出に取り組む。 (6) 自然災害等による影響大規模な自然災害により、製造設備や供給設備、お客さま設備に広範に被害が発生した場合、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。また、不測の大規模停電等が発生した場合にも、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。当社グループは、自家発電設備や防消火設備等の設置に加え、防災体制の整備や工業用水等の備蓄など、災害の影響を最小限に止める対策を実施するとともに、ガス導管の耐震化など製造設備や供給設備等の耐震性の向上を図っている。 (7) 原料調達支障による影響都市ガスの主な原料であるLNGは海外から輸入しているため、輸入先のカントリーリスクや天然ガス生産設備・液化設備での操業上のトラブル、LNG船の運航上でのトラブル等により、原料が長期にわたり調達できない場合には、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。LNGの低廉かつ安定的な調達に向け、当社グループは、LNG調達地域の分散化により安定的な調達体制構築や受入基地の柔軟な運用に取り組んでいる。また、上流権益・中流事業や、LNG船への出資等により、調達するLNGのバリューチェーンへの関与を強化している。 (8) 製造、供給支障による影響事故等による大規模な設備トラブルに伴い都市ガスの製造、供給に重大な支障が生じた場合、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。当社グループは、工場やガス導管等の高経年設備の修繕、他工事による損傷防止、ガス導管の定期的な点検を実施するとともに、緊急保安体制を整備することで、一層のリスク低減に努めている。 (9) 情報システム支障による影響システム障害やサイバー攻撃等により基幹となる情報システムに重大な支障が生じた場合、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。当社グループは、システムの維持管理を徹底するとともに、各種のセキュリティ対策を実施し、サイバー攻撃対策訓練の実施やセキュリティ規程類に基づくチェックを継続的に行っている。 (10) ガス消費機器・設備トラブルによる影響ガスの消費機器・設備に関する重大なトラブルが生じた場合、社会的な責任を含めて有形無形の損害が発生する可能性がある。当社グループは、ガス消費機器の調査、安全点検、メンテナンス業務等の品質向上とともに、安全使用のための周知や安全機器への取替促進を行っている。 (11) 取扱商品・サービス等の品質による影響当社グループ及び委託先が取り扱う商品・サービス等に関する品質にトラブルが発生した場合、社会的な責任を含めて有形無形の損害が発生する可能性がある。当社グループは、社内外の研修等を通じて、当社グループ及び委託先が取り扱う商品・サービス等の品質向上に取り組んでいる。 (12) 商品・資機材等の納入遅延による影響調達先の工場操業停止や、中東情勢によるサプライチェーンへの影響等により商品・資機材等に重大な納入遅延が生じた場合、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。当社グループは、調達先と連携し生産及び納期状況を確認するとともに、調達多様化に向けた代替調達先の調査・検討を実施している。 (13) 投資環境の変化による影響原油価格等の市況の変化や景気動向等によっては、国内外投資について、将来の収益性の低下等により、適切に回収されず、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。また、海外投資については、事業を行う各国における法規制や商慣習等の変化により、事業運営の遅延や停滞、費用の増加などが発生する可能性がある。当社グループは、案件ごとに収益性やリスク等の事業性を慎重に吟味の上、必要な投資を行っている。また、市況の変化や景気動向等を注視し、減損の兆候がある場合、減損損失の認識・測定の要否に関する判定を行っている。 (14) コンプライアンス違反による影響法令、約款、若しくは企業倫理や社会的規範に反する行為が発生した場合、社会的な責任を含めて有形無形の損害が発生する可能性がある。当社グループは、内部統制・社会委員会を設置して、コンプライアンス活動の進捗確認と課題把握を行うとともに、教育・啓発や点検・調査活動を推進し、コンプライアンスの徹底を図っている。また、コンプライアンスに関する相談窓口を社内外に設置している。なお、当社は、2024年3月、公正取引委員会から独占禁止法に基づく警告を受領したこと等を受け、同年7月には、経済産業大臣からガス事業法に基づく業務改善命令、また、電力・ガス取引監視等委員会から業務改善指導をそれぞれ受けた。これを受け、当社は業務改善計画を策定し、同年8月に経済産業大臣等へ提出するとともに、競合会社との接触に係る事前承認・事後報告制度の施行、重層的かつ重点的な教育の実施等、当該計画に掲げた各施策に取り組み、これらの状況について、2025年8月に経済産業大臣に報告した。同年9月、当社は、今後とも経営層が先頭に立ち、こうした取組みを継続して実施していくことを対外公表するなか、再発防止に向け、引き続き全社を挙げて各施策に取り組んでいる。 (15) 情報漏洩による影響当社グループが取得、管理しているお客さまの個人情報が外部に流出した場合、社会的な責任を含めて有形無形の損害が発生する可能性がある。当社グループは、内部統制・社会委員会を設置して、個人情報保護に関する活動計画等の審議を行うとともに、教育・啓発や自主監査の活動を推進し、情報管理の徹底に取り組んでいる。 (16) 感染症の流行による影響大規模な感染症の流行により、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。

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