事業の概要
- 建設事業が中核西松建設グループは、建設事業を主力としており、土木・建築工事を国内外で手掛けています。具体的には、道路、ダム、トンネルなどの土木インフラや、オフィスビル、商業施設などの建築物の設計・施工を通じて収益を得ています。この事業は、グループ全体の売上の大部分を占める基盤事業です。
- 不動産関連事業も展開建設事業で培ったノウハウを活かし、不動産の販売、賃貸、管理を行うアセットバリューアッド事業も手掛けています。また、PPP(官民連携)事業にも参画し、公共施設の運営などを通じて安定的な収益源を確保しています。これにより、建設事業以外の収益基盤も構築しています。
- 環境・都市開発を強化今後は、アセットバリューアッド事業と地域環境ソリューション事業を統合し、「環境・都市開発事業本部」を新設する予定です。これは、再生可能エネルギー関連事業や都市開発など、持続可能な社会の実現に貢献する分野を強化し、新たな収益の柱として育成していく方針を示しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 土木事業売上高1,079.94億円、営業利益88.39億円。道路、ダム、トンネル、橋梁などの社会インフラ整備を担う事業です。公共投資の増加や維持・修繕需要の拡大が見込まれる中で、安定的な収益源となっています。西松建設の基盤事業の一つであり、高い技術力と実績を誇ります。
- 建築事業売上高1,931.54億円、営業利益64.21億円。オフィスビル、商業施設、マンション、工場などの建築物の設計・施工を行う事業です。国内建設市場において、新設需要の減少という長期的な課題があるものの、都市開発や再開発需要に対応することで、引き続きグループの主要な収益源となっています。
- 国際事業売上高383.17億円、営業利益-8.02億円。海外における建設プロジェクトを手掛ける事業です。売上は一定規模ありますが、営業利益は赤字となっており、投資フェーズや競争環境の厳しさを示唆しています。しかし、国内市場の縮小を見据え、将来の成長ドライバーとして期待されており、積極的な投資が継続される見込みです。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| CivilEngineering | 事業 | 1,080 | 88 | 8.2% |
| BuildingConstruction | 事業 | 1,932 | 64 | 3.3% |
| InternationalBusinessReportableSegment | 地域 | 383 | -8 | -2.1% |
| AssetValueAddedBusinessReportableSegment | 地域 | 268 | 75 | 27.9% |
| RegionalEnvironmentalSolutionsBusinessReportableSegment | 地域 | 5 | -7 | -137.2% |
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3 【事業の内容】 当社グループは、当社、子会社22社及び関連会社19社(うち持分法適用関連会社は2社)で構成され、建設事業、アセットバリューアッド事業及び地域環境ソリューション事業を主な事業内容としております。なお、当連結会計年度末後の2026年4月に、アセットバリューアッド事業本部と地域環境ソリューション事業本部を統合し、新たに環境・都市開発事業本部を設置しております。 当社グループの事業に係わる位置づけ及び報告セグメントとの関連は以下のとおりであります。 (建設事業(土木・建築・国際))・当社、連結子会社の泰国西松建設㈱他3社及び関連会社の㈱増永組他1社は、建設事業を営んでおります。当社はこれらの会社に工事の一部を発注することがあります。(アセットバリューアッド事業・地域環境ソリューション事業)・当社、連結子会社の西松地所㈱他4社、非連結子会社の嶋静商事㈱他3社及び関連会社の浜松中央西ビル㈱他2社は、不動産の販売・賃貸・管理・その他の事業を営んでおります。また、連結子会社の西松リアルエステート・デベロップメント(アジア)社他4社は海外において収益不動産への投資・その他の事業を行っております。・非連結子会社の新浦安駅前PFI㈱他1社及び関連会社の㈱徳島農林水産PFIサービス他11社は、PPP事業の主体企業であります。・連結子会社の山陽小野田グリーンエナジー㈱、非連結子会社の㈱サイテックファーム及び関連会社のエヌエナジー㈱他1社は、その他の事業を行っております。(その他の関係会社) ・その他関係会社の伊藤忠商事㈱と当社との間で、工事施工、資材調達、不動産開発・共同投資の取引がありま す。 ≪事業の系統図≫
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 資材価格や調達状況が大きく変わる場合、工事請負金額に反映できない可能性があるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 省力化・生産性向上・高品質化、社会インフラのリニューアル、防災・減災、環境関連技術の研究開発。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:資材価格及び労務費等の上昇リスク / 施工品質リスク / 長時間労働に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
西松建設は、長年の実績と信頼を築いてきたものの、特定のブランド力や特許技術といった無形資産による明確な競争優位性は限定的。建設業特有のノウハウは存在するが、他社との差別化要因としては弱い。
スイッチングコスト★★☆☆☆
建設プロジェクトにおいては、一度契約が締結されると、発注者側が建設会社を変更する際のコストや手間は大きい。特に大規模プロジェクトでは、設計変更や進捗遅延のリスクを伴うため、スイッチングコストは一定程度存在する。
ネットワーク効果★☆☆☆☆
建設業におけるネットワーク効果は限定的。ゼネコン間の連携や、協力会社、サプライヤーとの関係性は重要だが、顧客側が特定のゼネコンを選ぶ理由となるような、プラットフォーム型のネットワーク効果は存在しない。
コスト優位★★☆☆☆
建設業においては、大規模な設備投資や資材調達における交渉力、効率的な生産プロセスがコスト優位性の源泉となりうる。西松建設も長年の経験から一定のコスト管理能力を有していると考えられるが、他社との決定的な差は不明瞭。
規模の経済★★★★☆
西松建設は、売上高3668億円(FY2024)規模のゼネコンであり、大規模プロジェクトの遂行能力を持つ。規模の経済により、資材調達や建設機械の効率的な運用が可能であり、これがコスト競争力にも繋がる。
- 長年の「現場力」西松建設は創業以来培ってきた「現場力」を強みとしています。これは、粘り強さ、堅実さ、誠実さ、そして多様な関係者をまとめ上げる力といった「西松らしさ」を指します。この現場力を通じて、複雑な建設プロジェクトを確実に遂行し、顧客や社会からの信頼を得ることで、競争優位性を確立しています。
- 多角的な事業展開建設事業だけでなく、不動産開発やPPP事業、さらには環境ソリューション事業など、幅広い事業領域を展開しています。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、安定的な収益基盤を構築しています。特に、環境・都市開発事業への注力は、将来の成長機会を捉える上で重要な強みとなります。
- 技術開発への注力技術革新の遅れが競争力低下につながるリスクを認識し、技術開発と技術活用に積極的に取り組んでいます。これにより、新しい工法やソリューションを提供し、顧客ニーズに応えることで、他社との差別化を図っています。技術的な優位性は、高品質な建造物とサービスの提供に不可欠です。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- 「西松-Vision 2035」の策定西松建設は、2035年を見据えた長期ビジョン「西松-Vision 2035」を策定し、「魅力あるゼネコンNo.1」を目指しています。このビジョンでは、インフラ老朽化や自然災害の激甚化、人口減少といった社会課題に対応し、企業としての質と量の拡大を追求することで、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
- 本柱の経営戦略ビジョン達成のため、「強い事業ポートフォリオの構築」「人的資本経営による社員が創出する価値の最大化」「組織の筋肉質化による効率的経営」の3本柱を掲げています。具体的には、国内建設事業の拡大に加え、国際事業や環境・都市開発事業への積極投資、社員エンゲージメントの向上、DX・AI活用による生産性向上を通じて、収益基盤の強化と企業価値の向上を図ります。
- 財務健全性の強化と成長投資M&Aを含む積極的な成長投資を確実に実行するため、財務健全性の強化を重視しています。不動産や政策保有株式の売却により資産を圧縮し、得られたキャッシュを成長領域(GX・まちづくり、都市開発、人財、技術・DX・AI)への投資に充てる計画です。これにより、収益の拡大と資本効率の最大化を目指し、持続的な成長を実現します。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針 当社は、企業理念として掲げた「価値ある建造物とサービスで安心して暮らせる持続可能な社会をつくる」を実 践するため、サステナビリティスローガン(基本方針)「みんなでつくる みんなが輝く」を策定しております。 この基本方針のもと、当社は、ひと、まち、自然を大切につなぎ、人々が活き活きできる場を創ることで「みんなが輝く社会」を実現してまいります。 当社は、インフラ老朽化、自然災害の激甚化および人口減少・高齢化等を受け、将来のありたい姿や役割・提供する価値について改めて見つめ直し、長期ビジョンを2026年5月、「西松-Vision 2035」に刷新いたしました。 「西松-Vision 2035」では、「強い事業ポートフォリオの構築」「人的資本経営による社員が創出する価値の最大化」「組織の筋肉質化による効率的経営」を3本柱とし、基盤事業(国内土木、国内建築)の事業規模・領域を一層拡大するとともに、次世代に向けた成長事業(国際、環境・都市開発)の基盤を構築することを中長期の企業戦略と位置付け、2035年度のありたい姿「魅力あるゼネコンNo.1」を目指してまいります。また、本戦略の推進にあたっては、M&Aを含めた積極的な成長投資が重要であると認識しており、これらの投資を確実に実行するため、財務健全性の更なる強化を図ってまいります。 この変革は、単なる事業規模の拡大ではなく、企業としての"質"を伴った"量"の拡大を追求するものです。エンゲージメントスコアの向上と一人当たり付加価値額の向上により、提供サービスの質を高め、その結果としてステークホルダーのエンゲージメントが向上します。この「エンゲージメントの発展的連鎖」により、顧客・株主・協力会社および入職者から「評価される企業」、「選ばれる企業」となることを目指し、持続的な成長と新たな中長期的企業価値の創出を実現してまいります。 (2) 「西松-Vision 2035」の全体像 2035年に目指す定量目標指標2025年実績2035年目標営業利益280億円650億円ROE(注)13.1%12%程度自己資本比率28.4%35%程度D/Eレシオ1.19倍1.0倍程度一人当たり付加価値額20.7百万円35百万円以上社員エンゲージメントスコア3.764.00以上 (注)2025年度は政策保有株式の売却を期首の計画以上に進めたことにより、特別利益(投資有価証券売却益)83億円を計上しました。この影響を除くとROEは約10.1%となります。 (3) 外部環境認識 建設業界を取り巻く環境は、大きな転換期を迎えております。 ① 需要面における変化国内建設市場は、2030年度までは公共投資の増加、維持・修繕需要の拡大により堅調に推移する見込みですが、長期的には新設需要の減少により先行き不透明感が増しております。一方で、海外市場、都市開発、再生可能エネルギー、インフラ運営等の建設周辺市場は高い成長が期待されます。 ② リソース面における課題 労働規制の強化と就労人口の減少により、担い手不足が深刻化しております。 (4) 当社の強みと役割このような外部環境において、当社は創業以来培ってきた「現場力」という強みを最大限に発揮してまいります。現場力とは、粘り強さ、堅実・誠実さ、まとめ上げる力といった「西松らしさ」そのものであり、これを活かして多様なステークホルダーを巻き込み、社会課題の解決に、より広く・深く・永く貢献することが、当社の役割であると認識しております。 (5) 中長期の企業戦略(3本柱) ① 強い事業ポートフォリオの構築基盤事業である国内建設事業の更なる拡大を図りながら、次世代成長基盤となる国際事業、環境・都市開発事業への積極投資を加速させてまいります。2035年度には、国際、環境・都市開発、領域拡大の営業利益構成比を35%以上(2025年度:18.1%)へと引き上げ、強靭な収益構造を構築いたします。 ② 人的資本経営による社員が創出する価値の最大化「エンゲージメントの発展的連鎖」の起点となる社員エンゲージメントスコアが向上することで、ステークホルダーのエンゲージメント向上を実現してまいります。具体的には、活躍・貢献に応じた適切な評価・処遇制度の導入、挑戦を奨励する風土の醸成、全社・横断視点での最適な人財配置を推進し、社員エンゲージメントスコアを2025年度の3.76から2035年度には4.00以上へ向上させます。 ③ 組織の筋肉質化による効率的経営 DX推進、AI活用推進による労働時間削減、現場人員配置見直し、業務効率化等を通じて生産性を向上させます。並行して、管理部門の業務・人財のスリム化、生産現場への再配置等、全社・横断視点で人員配置・組織の最適化を図り、一人当たり付加価値額を2025年度対比で約2倍の35百万円以上へと引き上げてまいります。 (6) 対処すべき事業上及び財務上の課題(中期経営計画2028と計画達成に向けた課題と取り組み)当社を取り巻く環境は、インフラの老朽化や都市機能の衰退、自然災害の激甚化など、社会課題が一層深刻化する一方で、国・地方ともに人手及び財源の制約が強まっています。建設業界におきましては、政府建設投資、民間建設投資ともに増加傾向にあります。一方で、労務需給逼迫の影響や中東情勢をはじめとする国際情勢の動向は先行き不透明であり、経済環境は不確実性の高い状況が続いています。原油価格の変動に加え、建設資機材の価格や供給制約、エネルギーコストの動向等をはじめ、潜在的リスクを含め当社グループの事業環境に影響を及ぼす可能性が懸念されます。 また、金利上昇を背景とした金融環境の変化やインフレの進行、賃上げの動きを受け、労務費や外注費をはじめとする建設コスト全般の増加及びこれらの環境変化は民間建設投資の動向にも影響を及ぼす可能性があります。 今後、国内建設市場は2030年頃までは拡大が見込まれるものの、その後は人口減少や担い手不足の加速により、先行き不透明な事業環境が続くものと想定されます。 このような事業環境のもと、長期ビジョンを「西松-Vision 2035」に刷新するとともに、「中期経営計画2028」を策定いたしました。 「中期経営計画2028」では、基本方針として、「積極的な投資・M&Aによる新たな収益基盤の創出」「人財の確保・育成・活躍を促進する仕組みづくり」「DXによる全社効率化」「AIによる効率的組織への変革」を掲げております。この基本方針のもと、基盤である国内建設事業を強化・拡大しつつ、将来の収益柱となり得る事業への投資を加速させるほか、人財マネジメントや全社効率化を推進し、持続的成長に向けた土台を整備してまいります。「中期経営計画2028」における計画や主な取り組みは以下のとおりです。 ① 業績及び財務指標(連結)指標2025年度実績2028年度計画売上高3,960億円5,000億円営業利益280億円350億円資本効率ROE13.1%11%程度財務健全性自己資本比率28.4%35%程度D/Eレシオ1.19倍1.0倍程度株主還元配当自己資本配当率(DOE)5%程度の安定配当自己資本配当率(DOE)5%程度の安定配当 ② 財務計画事業の稼ぐ力の強化と、資産の戦略的な入替えによって生まれたキャッシュを成長投資と株主還元に適切に配分してまいります。不動産・政策保有株式の売却により資産を圧縮し、事業領域の拡大とそれらを支える人財開発、技術開発・DX・AIへ積極的な投資・M&Aを実施します。最適な資本構成と資金調達能力を維持しながら、成長投資による収益の拡大によって資本効率を最大化していきます。 キャッシュアロケーション(2026年度~2028年度 3年間累計)キャッシュインキャッシュアウト事業活動による キャッシュ創出650億円成長投資・M&A 成長領域 GX・まちづくり 都市開発 人財(費用性投資) 技術・DX・AI(費用性投資) 成長投資・M&A 合計 費用性投資 成長投資・M&A 改計 200億円300億円1,000億円 60億円100億円1,660億円 △160億円1,500億円不動産の売却1,000億円株主還元(DOE5%程度)300億円政策保有株式の売却150億円 ③ 投資計画 2026年度から2028年度の3年間で、総額1,660億円(NET660億円)のM&Aを含む成長投資を実行いたします。 成長投資・M&A投資分類投資方針2026~2028年度成長領域建設事業の更なる事業領域・規模拡大建設事業以外の成長領域への投資200億円GX・まちづくり環境に優しく、住みやすいまちづくりの推進300億円都市開発高採算物件への入替による収益力・インフレ耐性・資本効率向上1,000億円(売却による回収△1,000億円)人財事業拡大を支える多様な人財の獲得・育成・エンゲージメント向上60億円(費用性投資)技術開発・DX・AI生産性向上・革新的な技術を活用した価値創出100億円(費用性投資)総額1,660億円(NET 660億円) ④ 事業戦略 土木事業 2028年度目標:営業利益 123億円 (2025年度実績 91億円)環境認識国土強靭化、防災減災ニーズの高まりによる市場拡大維持・修繕需要の高まり資材価格高騰、労働力不足の深刻化課 題成長領域、領域拡大への対応技術開発の更なる推進、要素技術を用いた受注の拡大受注拡大に向けた応札体制、施工体制の整備重点施策トンネル、シールド、ダム、リニューアル工事の取組み強化トンネル他自動化施工に向けた技術開発・改良、床版取替え技術開発、DB(設計施工一括発注方式)・ECI(設計段階から施工者が関与する発注方式)への取組み推進応札部門の人員増強・育成、外部連携の推進、若手/再雇用所長の活躍推進、生産性向上に資する現場運営・DX、協力会社の確保 建築事業 2028年度目標:営業利益 169億円 (2025年度実績 137億円)環境認識労務不足、建設コストの上昇データセンター、冷凍冷蔵倉庫等の需要の高まり課 題ポートフォリオの再構築事業規模拡大に必要な人財の育成・確保現場職員一人当たり利益の向上重点施策メーカー顧客の拡大、事務所、データセンター、物流施設等への注力次世代所長の早期育成、スペシャリスト育成、設備職員の育成・確保、キャリア採用の強化、リテンション強化フロントローディング部門強化、BIM活用・DXの協力推進、現場業務改革(標準化・効率化・外注化) 国際事業 2028年度目標:営業利益 黒字化 (2025年度実績 △23億円)環境認識(土木)シンガポール、フィリピン、バングラデシュのインフラ整備市場・ リニューアル市場は拡大(建築)タイの市場成長は見込まれるが、日系企業は国内回帰の動きにより 減少傾向、外資企業や現地企業からの発注案件は競争環境激化課 題(土木)収益改善・安定化、人財の確保・育成(建築)ポートフォリオ改革、利益率・収益性の改善重点施策(土木)施工体制の早期構築、遅延要因の情報収集・早期交渉 次世代幹部の育成、若手職員の早期抜擢、現地人財主体の組織構築(建築)外資生産工場の比率拡大、成長領域(食品・消費財・電子部品・ DC等)の拡大、営繕・改修案件の獲得強化、現地人財の活躍推進(共通)環境・都市開発事業との連携による海外における建設ニーズの創出 環境・都市開発事業 2028年度目標:営業利益 58億円 (2025年度実績 69億円)環境認識不動産マーケットは堅調、建設コスト高騰により事業性確保が厳しい状況再生可能エネルギーや資源循環、インフラ分野は市場拡大が見込まれるが、制度や市場環境の変化が大きく、収益性や継続性の確保が困難課 題資産ポートフォリオの収益性向上、資産入替による資本効率の向上海外や新規分野など事業機会の創出、事業開発スキルの獲得重点施策高付加価値型事業の組成に注力、インフレに強い分野・用途のアセットに取組み注力、投下資金の収益性・効率性を向上収益性・成長性のある海外再エネ・PPP案件の強化、経験豊富なパートナー企業との共同事業参画を通じた事業ノウハウの獲得 ⑤ 機能戦略 人財戦略 2028年度目標:社員エンゲージメントスコア 3.80課 題多様な人財の活躍を最大化する人財ポートフォリオの構築社員が能力と挑戦意識を最大限発揮できる企業文化の醸成重点施策経営戦略・事業戦略と連動した人財配置、適財適所配置を実現するタレントマネジメントの拡充、ターゲットを明確化した採用活動、キャリア採用体制の強化キャリアの多様化、キャリア選択と学びの機会提供、対話機会の拡充と定着、Well-beingの推進、活躍貢献を促す評価処遇制度 技術戦略 2028年度目標:一人当たり出来高 1.11倍(2024年度比) :AI活用により管理部門の20%人員創出 :新たな価値につながる技術の事業適用 6件課 題技術とDX、人とAIによる生産性向上サステナブルな社会の実現に寄与する新たな価値の創出重点施策技術開発による施工の効率化・自動化推進、基幹業務システムを活用した業務プロセスの効率化、生成AI活用促進とAI市民開発による業務効率化公共インフラのリニューアルによる価値向上、木造建築や環境配慮型材料などによる新価値創出、地域課題解決による新価値創出 ⑥ 目指す未来 ~魅力あるゼネコンNo.1へ~2035年、当社は「魅力あるゼネコンNo.1」として、ステークホルダーの皆様から評価され、選ばれる企業になっていることを目指しております。 社員一人ひとりが自律的にキャリアを描き、挑戦し、成長実感を得られる環境。 多様な人財が協働し、現場力を最大限に発揮できる組織。それらから創造される価値が、社員、お客様、協力会社、株主・投資家、地域社会といったステークホルダーの皆様のエンゲージメントの向上と社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会づくりに繋がっていく──。 このような発展的連鎖を実現することで、当社が持続的に成長し、新たな中長期的企業価値を創出していく未来を描いております。 「西松-Vision2035」「中期経営計画2028」につきましては、当社ウェブサイトに掲載しておりますので、併せてご参照ください。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針 当社は、企業理念として掲げた「価値ある建造物とサービスで安心して暮らせる持続可能な社会をつくる」を実 践するため、サステナビリティスローガン(基本方針)「みんなでつくる みんなが輝く」を策定しております。 この基本方針のもと、当社は、ひと、まち、自然を大切につなぎ、人々が活き活きできる場を創ることで「みんなが輝く社会」を実現してまいります。 当社は、インフラ老朽化、自然災害の激甚化および人口減少・高齢化等を受け、将来のありたい姿や役割・提供する価値について改めて見つめ直し、長期ビジョンを2026年5月、「西松-Vision 2035」に刷新いたしました。 「西松-Vision 2035」では、「強い事業ポートフォリオの構築」「人的資本経営による社員が創出する価値の最大化」「組織の筋肉質化による効率的経営」を3本柱とし、基盤事業(国内土木、国内建築)の事業規模・領域を一層拡大するとともに、次世代に向けた成長事業(国際、環境・都市開発)の基盤を構築することを中長期の企業戦略と位置付け、2035年度のありたい姿「魅力あるゼネコンNo.1」を目指してまいります。また、本戦略の推進にあたっては、M&Aを含めた積極的な成長投資が重要であると認識しており、これらの投資を確実に実行するため、財務健全性の更なる強化を図ってまいります。 この変革は、単なる事業規模の拡大ではなく、企業としての"質"を伴った"量"の拡大を追求するものです。エンゲージメントスコアの向上と一人当たり付加価値額の向上により、提供サービスの質を高め、その結果としてステークホルダーのエンゲージメントが向上します。この「エンゲージメントの発展的連鎖」により、顧客・株主・協力会社および入職者から「評価される企業」、「選ばれる企業」となることを目指し、持続的な成長と新たな中長期的企業価値の創出を実現してまいります。 (2) 「西松-Vision 2035」の全体像 2035年に目指す定量目標指標2025年実績2035年目標営業利益280億円650億円ROE(注)13.1%12%程度自己資本比率28.4%35%程度D/Eレシオ1.19倍1.0倍程度一人当たり付加価値額20.7百万円35百万円以上社員エンゲージメントスコア3.764.00以上 (注)2025年度は政策保有株式の売却を期首の計画以上に進めたことにより、特別利益(投資有価証券売却益)83億円を計上しました。この影響を除くとROEは約10.1%となります。 (3) 外部環境認識 建設業界を取り巻く環境は、大きな転換期を迎えております。 ① 需要面における変化国内建設市場は、2030年度までは公共投資の増加、維持・修繕需要の拡大により堅調に推移する見込みですが、長期的には新設需要の減少により先行き不透明感が増しております。一方で、海外市場、都市開発、再生可能エネルギー、インフラ運営等の建設周辺市場は高い成長が期待されます。 ② リソース面における課題 労働規制の強化と就労人口の減少により、担い手不足が深刻化しております。 (4) 当社の強みと役割このような外部環境において、当社は創業以来培ってきた「現場力」という強みを最大限に発揮してまいります。現場力とは、粘り強さ、堅実・誠実さ、まとめ上げる力といった「西松らしさ」そのものであり、これを活かして多様なステークホルダーを巻き込み、社会課題の解決に、より広く・深く・永く貢献することが、当社の役割であると認識しております。 (5) 中長期の企業戦略(3本柱) ① 強い事業ポートフォリオの構築基盤事業である国内建設事業の更なる拡大を図りながら、次世代成長基盤となる国際事業、環境・都市開発事業への積極投資を加速させてまいります。2035年度には、国際、環境・都市開発、領域拡大の営業利益構成比を35%以上(2025年度:18.1%)へと引き上げ、強靭な収益構造を構築いたします。 ② 人的資本経営による社員が創出する価値の最大化「エンゲージメントの発展的連鎖」の起点となる社員エンゲージメントスコアが向上することで、ステークホルダーのエンゲージメント向上を実現してまいります。具体的には、活躍・貢献に応じた適切な評価・処遇制度の導入、挑戦を奨励する風土の醸成、全社・横断視点での最適な人財配置を推進し、社員エンゲージメントスコアを2025年度の3.76から2035年度には4.00以上へ向上させます。 ③ 組織の筋肉質化による効率的経営 DX推進、AI活用推進による労働時間削減、現場人員配置見直し、業務効率化等を通じて生産性を向上させます。並行して、管理部門の業務・人財のスリム化、生産現場への再配置等、全社・横断視点で人員配置・組織の最適化を図り、一人当たり付加価値額を2025年度対比で約2倍の35百万円以上へと引き上げてまいります。 (6) 対処すべき事業上及び財務上の課題(中期経営計画2028と計画達成に向けた課題と取り組み)当社を取り巻く環境は、インフラの老朽化や都市機能の衰退、自然災害の激甚化など、社会課題が一層深刻化する一方で、国・地方ともに人手及び財源の制約が強まっています。建設業界におきましては、政府建設投資、民間建設投資ともに増加傾向にあります。一方で、労務需給逼迫の影響や中東情勢をはじめとする国際情勢の動向は先行き不透明であり、経済環境は不確実性の高い状況が続いています。原油価格の変動に加え、建設資機材の価格や供給制約、エネルギーコストの動向等をはじめ、潜在的リスクを含め当社グループの事業環境に影響を及ぼす可能性が懸念されます。 また、金利上昇を背景とした金融環境の変化やインフレの進行、賃上げの動きを受け、労務費や外注費をはじめとする建設コスト全般の増加及びこれらの環境変化は民間建設投資の動向にも影響を及ぼす可能性があります。 今後、国内建設市場は2030年頃までは拡大が見込まれるものの、その後は人口減少や担い手不足の加速により、先行き不透明な事業環境が続くものと想定されます。 このような事業環境のもと、長期ビジョンを「西松-Vision 2035」に刷新するとともに、「中期経営計画2028」を策定いたしました。 「中期経営計画2028」では、基本方針として、「積極的な投資・M&Aによる新たな収益基盤の創出」「人財の確保・育成・活躍を促進する仕組みづくり」「DXによる全社効率化」「AIによる効率的組織への変革」を掲げております。この基本方針のもと、基盤である国内建設事業を強化・拡大しつつ、将来の収益柱となり得る事業への投資を加速させるほか、人財マネジメントや全社効率化を推進し、持続的成長に向けた土台を整備してまいります。「中期経営計画2028」における計画や主な取り組みは以下のとおりです。 ① 業績及び財務指標(連結)指標2025年度実績2028年度計画売上高3,960億円5,000億円営業利益280億円350億円資本効率ROE13.1%11%程度財務健全性自己資本比率28.4%35%程度D/Eレシオ1.19倍1.0倍程度株主還元配当自己資本配当率(DOE)5%程度の安定配当自己資本配当率(DOE)5%程度の安定配当 ② 財務計画事業の稼ぐ力の強化と、資産の戦略的な入替えによって生まれたキャッシュを成長投資と株主還元に適切に配分してまいります。不動産・政策保有株式の売却により資産を圧縮し、事業領域の拡大とそれらを支える人財開発、技術開発・DX・AIへ積極的な投資・M&Aを実施します。最適な資本構成と資金調達能力を維持しながら、成長投資による収益の拡大によって資本効率を最大化していきます。 キャッシュアロケーション(2026年度~2028年度 3年間累計)キャッシュインキャッシュアウト事業活動による キャッシュ創出650億円成長投資・M&A 成長領域 GX・まちづくり 都市開発 人財(費用性投資) 技術・DX・AI(費用性投資) 成長投資・M&A 合計 費用性投資 成長投資・M&A 改計 200億円300億円1,000億円 60億円100億円1,660億円 △160億円1,500億円不動産の売却1,000億円株主還元(DOE5%程度)300億円政策保有株式の売却150億円 ③ 投資計画 2026年度から2028年度の3年間で、総額1,660億円(NET660億円)のM&Aを含む成長投資を実行いたします。 成長投資・M&A投資分類投資方針2026~2028年度成長領域建設事業の更なる事業領域・規模拡大建設事業以外の成長領域への投資200億円GX・まちづくり環境に優しく、住みやすいまちづくりの推進300億円都市開発高採算物件への入替による収益力・インフレ耐性・資本効率向上1,000億円(売却による回収△1,000億円)人財事業拡大を支える多様な人財の獲得・育成・エンゲージメント向上60億円(費用性投資)技術開発・DX・AI生産性向上・革新的な技術を活用した価値創出100億円(費用性投資)総額1,660億円(NET 660億円) ④ 事業戦略 土木事業 2028年度目標:営業利益 123億円 (2025年度実績 91億円)環境認識国土強靭化、防災減災ニーズの高まりによる市場拡大維持・修繕需要の高まり資材価格高騰、労働力不足の深刻化課 題成長領域、領域拡大への対応技術開発の更なる推進、要素技術を用いた受注の拡大受注拡大に向けた応札体制、施工体制の整備重点施策トンネル、シールド、ダム、リニューアル工事の取組み強化トンネル他自動化施工に向けた技術開発・改良、床版取替え技術開発、DB(設計施工一括発注方式)・ECI(設計段階から施工者が関与する発注方式)への取組み推進応札部門の人員増強・育成、外部連携の推進、若手/再雇用所長の活躍推進、生産性向上に資する現場運営・DX、協力会社の確保 建築事業 2028年度目標:営業利益 169億円 (2025年度実績 137億円)環境認識労務不足、建設コストの上昇データセンター、冷凍冷蔵倉庫等の需要の高まり課 題ポートフォリオの再構築事業規模拡大に必要な人財の育成・確保現場職員一人当たり利益の向上重点施策メーカー顧客の拡大、事務所、データセンター、物流施設等への注力次世代所長の早期育成、スペシャリスト育成、設備職員の育成・確保、キャリア採用の強化、リテンション強化フロントローディング部門強化、BIM活用・DXの協力推進、現場業務改革(標準化・効率化・外注化) 国際事業 2028年度目標:営業利益 黒字化 (2025年度実績 △23億円)環境認識(土木)シンガポール、フィリピン、バングラデシュのインフラ整備市場・ リニューアル市場は拡大(建築)タイの市場成長は見込まれるが、日系企業は国内回帰の動きにより 減少傾向、外資企業や現地企業からの発注案件は競争環境激化課 題(土木)収益改善・安定化、人財の確保・育成(建築)ポートフォリオ改革、利益率・収益性の改善重点施策(土木)施工体制の早期構築、遅延要因の情報収集・早期交渉 次世代幹部の育成、若手職員の早期抜擢、現地人財主体の組織構築(建築)外資生産工場の比率拡大、成長領域(食品・消費財・電子部品・ DC等)の拡大、営繕・改修案件の獲得強化、現地人財の活躍推進(共通)環境・都市開発事業との連携による海外における建設ニーズの創出 環境・都市開発事業 2028年度目標:営業利益 58億円 (2025年度実績 69億円)環境認識不動産マーケットは堅調、建設コスト高騰により事業性確保が厳しい状況再生可能エネルギーや資源循環、インフラ分野は市場拡大が見込まれるが、制度や市場環境の変化が大きく、収益性や継続性の確保が困難課 題資産ポートフォリオの収益性向上、資産入替による資本効率の向上海外や新規分野など事業機会の創出、事業開発スキルの獲得重点施策高付加価値型事業の組成に注力、インフレに強い分野・用途のアセットに取組み注力、投下資金の収益性・効率性を向上収益性・成長性のある海外再エネ・PPP案件の強化、経験豊富なパートナー企業との共同事業参画を通じた事業ノウハウの獲得 ⑤ 機能戦略 人財戦略 2028年度目標:社員エンゲージメントスコア 3.80課 題多様な人財の活躍を最大化する人財ポートフォリオの構築社員が能力と挑戦意識を最大限発揮できる企業文化の醸成重点施策経営戦略・事業戦略と連動した人財配置、適財適所配置を実現するタレントマネジメントの拡充、ターゲットを明確化した採用活動、キャリア採用体制の強化キャリアの多様化、キャリア選択と学びの機会提供、対話機会の拡充と定着、Well-beingの推進、活躍貢献を促す評価処遇制度 技術戦略 2028年度目標:一人当たり出来高 1.11倍(2024年度比) :AI活用により管理部門の20%人員創出 :新たな価値につながる技術の事業適用 6件課 題技術とDX、人とAIによる生産性向上サステナブルな社会の実現に寄与する新たな価値の創出重点施策技術開発による施工の効率化・自動化推進、基幹業務システムを活用した業務プロセスの効率化、生成AI活用促進とAI市民開発による業務効率化公共インフラのリニューアルによる価値向上、木造建築や環境配慮型材料などによる新価値創出、地域課題解決による新価値創出 ⑥ 目指す未来 ~魅力あるゼネコンNo.1へ~2035年、当社は「魅力あるゼネコンNo.1」として、ステークホルダーの皆様から評価され、選ばれる企業になっていることを目指しております。 社員一人ひとりが自律的にキャリアを描き、挑戦し、成長実感を得られる環境。 多様な人財が協働し、現場力を最大限に発揮できる組織。それらから創造される価値が、社員、お客様、協力会社、株主・投資家、地域社会といったステークホルダーの皆様のエンゲージメントの向上と社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会づくりに繋がっていく──。 このような発展的連鎖を実現することで、当社が持続的に成長し、新たな中長期的企業価値を創出していく未来を描いております。 「西松-Vision2035」「中期経営計画2028」につきましては、当社ウェブサイトに掲載しておりますので、併せてご参照ください。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復が続きました。先行きについては、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の動向や、金融・為替市場の変動等の影響、物価上昇の継続によるわが国経済への影響について、引き続き十分注視する必要があります。建設業界におきましては、政府建設投資、民間建設投資ともに増加傾向にありますが、労務需給の逼迫の影響、原油などの価格上昇に伴う建設資機材価格やエネルギーコストへの影響について、注視が必要な状況が続いております。このような状況の中、当社グループの連結業績は以下のとおりとなりました。建設事業受注高は、国内建築工事及び海外工事が増加しましたが、国内土木工事が減少したことにより、前期比48,704百万円減少(11.3%減)の381,014百万円となりました。売上高は海外工事及び不動産事業等が減少しましたが、国内土木工事及び国内建築工事が増加したことにより、前期比29,219百万円増加(8.0%増)の396,030百万円となりました。営業利益は、主に国内建築工事の完成工事総利益が増加したことにより、前期比6,930百万円増加(32.8%増)の28,029百万円となりました。経常利益は、前期比7,159百万円増加(35.4%増)の27,384百万円となり、投資有価証券売却益を特別利益に計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比6,522百万円増加(37.2%増)の24,066百万円となりました。 報告セグメント等の業績は以下のとおりであります。(セグメントの業績は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。) イ 土木事業当セグメントは主に国内土木工事の売上により構成されております。当セグメントの売上高は、工事が概ね順調に進捗したことから、前期比12.9%増の121,904百万円となりましたが、セグメント利益は、売上高の増加に伴い完成工事総利益が増加し、前期比3.2%増の9,120百万円となりました。当社単体の国内土木工事の受注高は、前期末の豊富な手持ち工事量により当期は抑えた受注計画としたため、前期比107,959百万円減少(57.0%減)の81,594百万円となりました。 ロ 建築事業当セグメントは主に国内建築工事の売上により構成されております。当セグメントの売上高は、工事が概ね順調に進捗したことから、前期比12.1%増の216,739百万円となりました。セグメント利益は収益改善プランが順調に進捗したことや大型工事で設計変更を獲得できたことにより、前期比114.7%増の13,790百万円となりました。当社単体の国内建築工事の受注高は、大型再開発工事を受注したこと等により民間工事が増加し、前期比38,030百万円増加(18.5%増)の243,332百万円となりました。 ハ 国際事業当セグメントは主に海外土木工事及び海外建築工事の売上により構成されております。当セグメントの売上高は、土木工事の着工の遅れや建築子会社での受注の期ずれや失注により、前期比22.0%減の36,290百万円となり、売上高の減少や設計変更獲得見込の減少等により、セグメント損失は2,363百万円(前期は802百万円のセグメント損失)となりました。当社単体の海外工事の受注高は、フィリピンで大型土木工事を受注したことから、前期比29,844百万円増加(198.3%増)の44,892百万円となりました。 ニ アセットバリューアッド事業当セグメントは主に保有不動産の販売及び賃貸収入により構成されております。当セグメントの売上高は、主に販売事業が減少したことにより、前期比5.9%減の25,487百万円となりましたが、セグメント利益は、主に販売事業の利益の増加に伴い、前期比3.4%増の7,730百万円となりました。 ホ 地域環境ソリューション事業当セグメントは主に再生可能エネルギー事業及びまちづくり事業の売上により構成されております。当セグメントの売上高は、前期比40.0%増の748百万円となりましたが、セグメント損失は805百万円(前期は734百万円のセグメント損失)となりました。 当社グループの財政状態は以下のとおりであります。当連結会計年度末の資産合計は、受取手形・完成工事未収入金等や未成工事支出金が増加したこと等から、前連結会計年度末と比較して93,965百万円増加(15.9%増)の686,012百万円となりました。負債合計は、預り金や短期借入金等の有利子負債、未成工事受入金等が増加したことから、前連結会計年度末と比較して70,735百万円増加(17.2%増)の481,591百万円となりました。純資産合計は、当期純利益を計上したことやその他有価証券評価差額金が増加したこと等から、前連結会計年度末と比較して23,230百万円増加(12.8%増)の204,420百万円となりました。自己資本比率は、受取手形・完成工事未収入金等が一時的に大きく増加したため資産が増加し、前連結会計年度末と比較して0.7ポイント減少の28.4%となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して4,862百万円増加(11.2%増)の48,266百万円となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加等により資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益が33,986百万円と大幅に増加したことに加え、預り金や未成工事受入金の増加により資金が増加し、3,045百万円の収入超過(前連結会計年度は5,889百万円の収入超過)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却等により資金が増加したものの、有形固定資産の取得等により資金が減少し、7,458百万円の支出超過(前連結会計年度は36,250百万円の支出超過)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払により資金が減少しましたが、コマーシャル・ペーパーの発行等により資金が増加し、7,982百万円の収入超過(前連結会計年度は16,134百万円の収入超過)となりました。 ③ 生産、受注及び販売の状況当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び不動産事業等では、生産実績を定義することが困難であり、建設事業においては、請負形態をとっているため販売実績という定義は実態に即しておりません。また、当社グループにおいては、建設事業以外では受注生産形態をとっておりません。よって、受注及び販売の状況については、可能な限り「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの種類に関連付けて記載しております。なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。 建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況イ 受注工事高、完成工事高、繰越工事高及び施工高期別工事別前期繰越工事高(百万円)当期受注工事高(百万円)計(百万円)当期完成工事高(百万円)次期繰越工事高当期施工高(百万円)手持工事高(百万円)うち施工高(%)(百万円)第88期自 2024年4月1日至 2025年3月31日土木工事289,753204,591494,345130,250364,0940.024130,225建築工事295,710205,312501,022191,042309,9800.1257190,949計585,463409,904995,367321,293674,0740.0282321,175第89期自 2025年4月1日至 2026年3月31日土木工事364,094127,014491,108140,732350,3760.03140,711建築工事309,980242,805552,785214,507338,2780.0145214,394計674,074369,8191,043,894355,239688,6540.0149355,106 (注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更があったものについては、当期受注工事高にその増減額を含めて表示しております。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。2 次期繰越工事高の施工高は、支出金により手持工事高の施工高を推定したものであります。3 当期施工高は、(当期完成工事高+次期繰越工事施工高-前期繰越工事施工高)に一致します。4 当期受注工事高のうち海外工事の割合は、第88期 3.7%、第89期 12.1%であります。5 受注工事のうち主なものは、次のとおりであります。第88期 請負金額100億円以上の主なもの国土交通省関東地方整備局横浜湘南道路トンネルその4工事トヨタホーム(株)・ミサワホーム(株)・住友商事(株)(仮称)横浜港北物流施設新築工事国土交通省東北地方整備局鳥海ダム本体建設(第1期)工事成田国際空港(株)C滑走路北側造成工事住友不動産(株)(仮称)南青山四丁目計画新築本体工事 第89期 請負金額100億円以上の主なもの築地二丁目地区第一種市街地再開発事業個人施行者築地二丁目地区第一種市街地再開発事業 施設建築物等新築工事市川原木特定目的会社(仮称)CBREIM市川原木新築工事フィリピン共和国 運輸省(DOTr)マニラ地下鉄105工区工事蔵王特定目的会社プロロジスパーク東海1プロジェクト本田技研工業(株)本田技研工業(株)真岡用地 燃料電池工場改修工事 ロ 受注工事高の受注方法別比率工事の受注方法は特命と競争に大別され、その比率は次のとおりであります。期別区分特命(%)競争(%)計(%)第88期自 2024年4月1日至 2025年3月31日土木工事7.192.9100.0建築工事43.556.5100.0第89期自 2025年4月1日至 2026年3月31日土木工事10.090.0100.0建築工事54.445.6100.0 (注) 百分比は請負金額比であります。 ハ 完成工事高期別区分国内海外合計(B)(百万円)官公庁(百万円)民間(百万円)(A)(百万円)(A)/(B)(%)第88期自 2024年4月1日至 2025年3月31日土木工事78,10529,06323,08117.7130,250建築工事21,622169,41090.0191,042計99,727198,47323,0917.2321,293第89期自 2025年4月1日至 2026年3月31日土木工事81,15639,98719,58813.9140,732建築工事22,443192,591△527-214,507計103,599232,57819,0615.4355,239 (注) 1 海外工事の地域別割合は、次のとおりであります。地域第88期(%)第89期(%)東南アジア94.297.4その他5.82.6計100.0100.0 2 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。 第88期 請負金額100億円以上の主なもの(株)シーアールイーロジスクエアふじみ野A・B新築工事(同)ユニーク(仮称)大阪府茨木市蔵垣内一丁目計画新築工事(学)村崎学園徳島文理大学高松駅キャンパス新築工事(建築)(株)アライプロバンスアライプロバンス葛西A棟新築工事三菱商事都市開発(株)・(株)サンケイビル(仮称)南吹田物流施設計画 第89期 請負金額100億円以上の主なものシンガポール公益事業庁大深度下水幹線トンネルT10工区工事東急不動産(株)・伊藤忠商事(株)・伊藤忠都市開発(株)(仮称)LOGI’Q蓮田新築工事(株)大京・京阪電鉄不動産(株)・ミサワホーム北海道(株)・大和ハウス工業(株)北海道支店・(株)キムラ(仮称)札幌駅東PJ新築工事 3 完成工事高に対する割合が100分の10以上の相手先は、次のとおりであります。第88期該当事項はありません。 第89期該当事項はありません。 ニ 手持工事高 (2026年3月31日現在)区分国内海外(百万円)合計(百万円)官公庁(百万円)民間(百万円)土木工事192,68761,98495,703350,376建築工事35,468302,810-338,278計228,156364,79495,703688,654 (注) 手持工事のうち主なものは、次のとおりであります。請負金額100億円以上の主なもの築地二丁目地区第一種市街地再開発事業個人施行者築地二丁目地区第一種市街地再開発事業施設建築物等新築工事シンガポール陸上交通庁地下鉄クロスアイランド線CR110大断面トンネル工事市川原木特定目的会社(仮称)CBREIM市川原木新築工事フィリピン共和国 運輸省(DOTr)マニラ地下鉄105工区工事東海旅客鉄道(株)中央新幹線第一首都圏トンネル新設(東百合丘工区)ほか (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容イ 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度の経営成績の概要は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。また「中期経営計画2025」に基づく当連結会計年度業績計画の達成状況及び前期比較の分析は次のとおりであります。 連結業績2025年3月期実績2026年3月期期首計画2026年3月期実績建設事業受注高(億円)4,2974,7003,810売上高(億円)3,6684,2003,960売上総利益(億円)441495542営業利益(億円)210250280経常利益(億円)202240273親会社株主に帰属する当期純利益(億円)175176240 建設事業受注高は、前期比487億円減少(11.3%減)、期首計画比889億円減少(18.9%減)の3,810億円となりました。国内土木工事は前期末の豊富な手持ち工事量により抑えた受注計画としておりましたが、期首計画を上回りました。国内建築工事は大型再開発工事や物流施設を受注したことにより、前期実績、期首計画ともに上回りました。海外工事はフィリピンでのODA案件を受注したことにより、前期実績を上回りましたが、応札済みのODA案件の結果が期ずれとなったため、期首計画は下回りました。以上の要因により上記の結果となりました。売上高は、前期比292億円増加(8.0%増)、期首計画比239億円減少(5.7%減)の3,960億円となりました。国内土木工事および国内建築工事は工事が順調に進捗したことにより前期実績を上回りましたが、国際事業において工事着工の遅れや受注の期ずれ、失注があったほか、アセットバリューアッド事業において販売事業の計画を見直したこと等により、期首計画を下回る結果となりました。営業利益は、前期比69億円増加(32.8%増)、期首計画比30億円増加(12.1%増)の280億円となり、営業利益率は前期の5.8%から7.1%に改善しました。国内建築工事において収益改善プランが順調に進捗したことや大型工事で設計変更を獲得できたことから採算が改善し、国内建築工事の売上総利益率が前期比3.0ポイント増加の11.7%となったことが主な要因であります。 ロ 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度末の財政状態の概要は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。当連結会計年度末の総資産は、前期末比939億円増加(15.9%増)の6,860億円となりました。受取手形・完成工事未収入金等が511億円増加したことや未成工事支出金が72億円増加したこと等が主な増加の要因であります。負債は、前期末比707億円増加(17.2%増)の4,815億円となりました。これは、短期借入金などの有利子負債が186億円増加したことや、預り金が273億円増加したこと等が主な要因であります。なお、有利子負債残高(有利子負債は短期債務及び長期債務の合計よりリース債務を除外して算出しております。)は前期末比8.7%増の2,328億円(D/Eレシオ1.19倍)となりました。翌期につきましては、アセットバリューアッド事業等を中心に346億円の設備投資及び出資を行い、有利子負債の期末残高を2,400億円とする計画としております。純資産は、前期末比232億円増加(12.8%増)の2,044億円となりました。これは、配当金の支払いにより利益剰余金が87億円減少しましたが、当期純利益240億円を計上したことや、その他有価証券評価差額金が34億円増加したこと等が主な要因であります。この結果、受取手形・完成工事未収入金等が一時的に大きく増加したため資産が増加し、自己資本比率は前連結会計年度末と比較して0.7ポイント減少の28.4%となりました。 ハ セグメント情報に記載された区分ごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループは、セグメント情報に記載された区分ごとに資産及び負債を配分していないため、セグメント別の財政状態の分析・検討は記載しておりません。セグメント情報に記載された区分ごとの経営成績の状況の概要は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。また「中期経営計画2025」に基づく当事業年度業績計画の達成状況は次のとおりであります。なお、当社グループの受注高、売上高(完成工事高・不動産事業等売上高)及び売上総利益(完成工事総利益・不動産事業等総利益)は、その大半を当社単体で占めていることから、以下の分析・検討は、いずれも当社単体の数値を記載しております。 土木事業(当社単体) 2025年3月期実績2026年3月期期首計画2026年3月期実績受注高 (億円)1,895700815完成工事高 (億円)1,0711,1501,211完成工事総利益 (億円)151155164完成工事総利益率 (%)14.113.513.6 受注高は、期首計画比で115億円増加(16.6%増)の815億円となりました。前期末の豊富な手持ち工事量により抑えた受注計画としておりましたが、設計変更の確実な獲得もあり、期首計画を上回る結果となりました。完成工事高は、期首計画比で61億円増加(5.3%増)の1,211億円となりました。手持工事が順調に進捗したこと、竣工工事が多く設計変更獲得額が増加したことにより、目標を達成することができました。完成工事総利益は、期首計画比で9億円増加(6.0%増)の164億円となりました。これは、完成工事高と同様に、手持工事が順調に進捗したこと、竣工工事が多く設計変更獲得額が増加したことが主な要因であります。この結果、完成工事総利益率についても期首計画比0.1ポイント増加の13.6%となりました。 建築事業(当社単体) 2025年3月期実績2026年3月期期首計画2026年3月期実績受注高 (億円)2,0532,3002,433完成工事高 (億円)1,9102,2002,150完成工事総利益 (億円)165220250完成工事総利益率 (%)8.710.011.7 受注高は、期首計画比で133億円増加(5.8%増)の2,433億円となりました。これは、期首に見込んだ一部の案件で期ずれが発生したものの、大規模再開発案件が受注できたことが主な要因であります。工事種別でみると住宅などが前期比で減少し、事務所・庁舎や物流施設などが前期比で増加となりました。完成工事高は、期首計画比49億円減少(2.3%減)の2,150億円となりました。これは、手持工事は順調に進捗しておりましたが、期首に見込んでいた一部の新規受注案件において期ずれが発生したことが主な要因であります。完成工事総利益は、期首計画比で30億円増加(13.9%増)の250億円となりました。これは、当期完成の大型工事で採算が向上したことや受注時採算の向上によるものです。この結果、完成工事総利益率は、期首計画比1.7ポイント増加の11.7%となりました。 国際事業(当社単体) 2025年3月期実績2026年3月期期首計画2026年3月期実績受注高 (億円)1501,400448完成工事高 (億円)230230190完成工事総利益 (億円)8130完成工事総利益率 (%)3.55.70.3 受注高は、期首計画比で951億円減少(67.9%減)の448億円となりました。これは、フィリピンでのODA案件を受注しましたが、応札済みのODA案件の結果が期ずれとなったことが要因であります。完成工事高は、期首計画比で39億円減少(17.1%減)の190億円となりました。これは、大型工事の着工の遅れや受注の期ずれによるものです。完成工事総利益は、期首計画比で12億円減少(95.4%減)の0億円となりました。これは、当期完成工事の設計変更獲得見込が減少したことが要因であります。この結果、完成工事総利益率についても期首計画比5.4ポイント減少の0.3%となりました。 アセットバリューアッド事業、地域環境ソリューション事業(当社単体) 2025年3月期実績2026年3月期期首計画2026年3月期実績不動産事業等売上高 (億円)233290216不動産事業等総利益 (億円)856287不動産事業等総利益率 (%)36.521.440.4 不動産事業等売上高は、期首計画比で73億円減少(25.3%減)の216億円となりました。これは、アセットバリューアッド事業において販売事業の計画を見直したことが主な要因であります。不動産事業等総利益は、期首計画比で25億円増加(41.2%増)の87億円となりました。これは、販売事業において想定以上の利益を獲得できたことが主な要因であります。 ニ 経営成績等に重要な影響を与える要因の分析当社グループの経営成績等に重要な影響を与える主な要因は、景気動向に伴う建設市場の動向、資材価格の変動及び建設技能労働者確保の状況であります。国内建設市場の今後の見通しにつきましては、政府建設投資、民間建設投資ともに増加傾向にあります。一方で、労務需給逼迫の影響や中東情勢をはじめとする国際情勢の動向は先行き不透明であり、経済環境は不確実性の高い状況が続いております。原油価格の変動に加え、建設資機材の価格や供給制約、エネルギーコストの動向等をはじめ、潜在的リスクを含め当社グループの事業環境に影響を及ぼす可能性が懸念されます。また、金利上昇を背景とした金融環境の変化やインフレの進行、賃上げの動きを受け、労務費や外注費をはじめとする建設コスト全般の増加及びこれらの環境変化は民間建設投資の動向にも影響を及ぼす可能性があります。今後、国内建設市場は2030年頃までは拡大が見込まれるものの、その後は人口減少や担い手不足の加速により、先行き不透明な事業環境が続くものと想定されます。これらの要因に対処しつつ、持続的な成長を遂げるため、当社グループは、「西松-Vision 2035」及び「中期経営計画2028」に掲げる各種施策に取り組んでまいります。 ホ 目標とする経営指標の達成状況当社グループは、2023年度を初年度とする「中期経営計画2025」において、「連結売上高4,200億円」「連結営業利益250億円」「ROE10%」「自己資本比率30%程度」「D/Eレシオ1.5倍程度」を目標とする経営指標として掲げ、この達成に向けて各種施策に取り組んでまいりました。なお、計画最終年である当連結会計年度の達成状況は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(6) 対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであります。また、2026年度を初年度とする「中期経営計画2028」においては、「連結売上高5,000億円」「連結営業利益350億円」「ROE11%程度」「自己資本比率35%程度」「D/Eレシオ1.0倍程度」を目標とする経営指標を掲げ、この達成に向けて各種施策に取り組んでまいります。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの資金需要は、主として、建設事業(土木・建築・国際)に係る工事原価(材料費・労務費・外注費・経費)、アセットバリューアッド事業に係る固定資産の購入及び改修費用、地域環境ソリューション事業に係る再生可能エネルギー事業等への投資、営業費用としての一般管理費、並びに人財開発やDX等の投資資金等であります。当社グループは「西松-Vision 2035」において、2030年以降の国内建設市場の不透明化を見据え、基盤事業の更なる拡大、成長領域への投資を通じて事業領域・収益源を拡大するため、3,000億円を投資いたします。これにより、強い事業ポートフォリオの構築、人的資本経営による社員が創出する価値の最大化、組織の筋肉質化による効率的経営を実現してまいります。これらの資金需要については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債で対応していくこととしております。手許の運転資金については、子会社も含めたグループ全体としての余剰資金の管理に努め、資本効率の向上を図っております。また、機動的な資金調達を目的として主要取引銀行とコミットメントライン契約を締結しており、流動性リスクに備えております。キャッシュ・フローの状況の概要は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。次期につきましては、引き続き工事の立替資金の回収を図り、営業活動によるキャッシュ・フローの改善に努めてまいります。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積り及び判断が行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積り及び判断については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
事業リスク
- 人財不足の深刻化国内の生産年齢人口減少に伴い、土木・建築分野の技術者や現場をまとめる所長候補の人財が不足する可能性があります。これは、将来の事業継続や成長に大きな支障をきたすリスクです。技術者の確保や育成、生産性向上策が不十分な場合、プロジェクトの遅延や品質低下につながる恐れがあります。
- 建設コストの変動長期にわたる工事では、資材価格や労務費の予測が困難な場合があります。工期中にこれらのコストが大幅に上昇しても、請負金額に適切に反映できない場合、計画していた工事損益が悪化し、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。特に、国際情勢や経済環境の不確実性が高まる中で、このリスクは顕著です。
- コンプライアンス違反業務活動上の不祥事やハラスメント行為、情報セキュリティに関する問題は、顧客や株主からの信頼を失墜させ、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。情報漏洩やサイバー攻撃による損害賠償、復旧費用なども発生しうるため、厳格なコンプライアンス体制と情報セキュリティ対策が不可欠です。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。全社的リスク管理プロセス(ERM)として、サステナビリティ戦略会議において、長期視点に立ったリスクおよび事業活動におけるリスクの管理を行っております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 長期視点に立ったリスク長期視点に立ったリスクは、持続的な企業価値向上を目指し、中長期的なスパンにおいてバックキャストの視点でリスクマネジメントが必要な、企業レベルの重要リスクとして捉えております。サステナビリティスローガン(基本方針)やマテリアリティ等にもとづき、成長におよぼす影響度と発現時期の観点から評価した6項目と気候変動リスクを併せた下記7項目について、シナリオ分析をした上で対応方針を策定し、モニタリングしています。 ① 人財リスク(技術者不足)国内の生産年齢人口の減少に伴う当社グループの基幹である土木および建築分野の技術者不足は、将来の事業継続および成長に支障をきたす大きな可能性があります。よって、技術者の人数や能力の充足状況、技術革新による生産性向上、離職率や採用動向、技術継承の進捗などを中心に対応方針に基づき施策の効果をモニタリングし、必要な場合はさらなる施策を講じていきます。 ② 人財リスク(所長候補人財の不足)年代別の従業員構成比率の不均衡や価値観の変化などに伴う所長候補人財不足は、将来の事業継続および成長へ支障をきたす大きな可能性があります。よって、事業戦略に基づく現場所長の要員数に対する候補者の充足、所長候補者世代の人数および能力の充足、所長職の魅力向上などを中心に対応方針に基づき施策の効果をモニタリングし、必要な場合はさらなる施策を講じていきます。 ③ 建設業担い手不足のリスク生産年齢人口の減少や建設業界の入職者の減少に伴う業界内の下請け構造の変化は、労務費の上昇や事業活動に不可欠な協力会社の確保に困難をきたす大きな可能性があります。よって、建設労働者数、サブコンおよび協力会社数、Nネット会員企業の状況、同業他社の動向等を中心にモニタリングを継続しながら必要な施策を検討および実行します。 ④ 業界再編リスク昨今の建設業界を取り巻く業界再編の動きは、経営戦略および事業戦略の遂行に大きな影響を及ぼす可能性があります。よって、本リスクについては、経営層による的確かつ迅速な対応のため、随時経営会議で業界動向などのモニタリングを行います。 ⑤ 技術開発リスク当社グループにおける技術開発や技術活用といった技術革新の遅れは、競争力の低下および受注の逸失による事業継続や成長への大きな影響を及ぼす可能性があります。よって、技術開発の進捗や社会のニーズへの適合、同業他社との優位性等を中心にモニタリングを行い、必要な場合はさらなる施策を講じていきます。 ⑥ 長期市場リスク国内の人口減少に伴う将来的な建設市場縮小は不可避であるため、当社グループが市場の変化に対応できない場合は、事業継続および成長に影響を及ぼす大きな可能性があります。よって、経済成長、建設投資額の動向、当社の得意分野における建設投資額の動向、社会のニーズや価値観の変化などについて、西松-Vision2035策定の前提条件と乖離が生じていないかモニタリングを行い、必要な場合は施策実行や前提条件の見直しなどを講じていきます。 ⑦ 気候変動リスク※気候変動リスクの詳細に関しては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応」に記載のとおりです。 (2) 事業活動におけるリスク事業活動におけるリスクは、四半期ごとに個別リスクの管理状況のモニタリングと有効性評価を行います。個別リスクは影響度と発生可能性を3段階でリスクマップを用いて評価し、影響度については、財務、資産保全に関する定量的な指標、および業務継続に関する定性的な指標を社内で定めています。ただし、以下は多岐にわたる個別リスクを主要なリスクとして、一部集約して記載しています。 リスクマップの抜粋(○の番号はリスク項目に対応する個別リスクです) ① 資材価格及び労務費等の上昇リスク長期にわたる工事を受注する時点で将来の資材等調達価格を適切に予測することが困難な場合があるため、工期中に資材価格や調達の状況が大きく変わることがあります。これにより建設コストが大幅に増加することがありますが、当該建設コスト増加分を工事請負金額に反映させることができない場合には、受注時に計画していた工事損益が変動し、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。上記のリスクに対応するため、工事請負契約の締結にあたり、適正な価格、適正な工期で工事を実施できるよう、発注者に対して協議の申し入れを行っております。また、施工条件や資材価格動向の精査による物価変動リスクの定量評価、主要資材の早期調達等により、工事損益の確保に努めております。 ② 施工品質リスク工事目的物の品質管理には万全を期しておりますが、重大な欠陥が発生した場合には、顧客からの信頼を損なうことに加え、契約不適合責任に基づく損害賠償金の支払等により、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。上記のリスクに対応するため、各種の社内基準書に準拠した施工、品質パトロールの実施、社内組織を活用した施工管理検討の実施、契約不適合事例や不具合事例の全社水平展開、各種研修の実施等により、工事目的物の品質管理に努めております。 ③ 長時間労働に関するリスク長時間労働は、従業員の健康リスクを増大させるほか、エンゲージメントや生産性の低下および離職者の増加、さらには法令違反による行政指導を受けた場合の社会的信用の失墜など当社グループの事業遂行に重要な影響を及ぼす可能性があります。上記のリスクに対応するため、2017年度以降、フレックスタイム制度や在宅勤務制度の導入、現場工務革新センターの設置による現場業務の見直し、具体的な時間外労働削減の取組の全社共有などを進め、段階的に36協定届出の時間を低減してまいりました。また、時間外労働状況の見える化システムによるリスク管理を徹底し、工事進捗状況などにより長時間労働リスクの高まった現場に対しては、人員の増強、支社・支店による支援強化などの対策を適時に講じております。 ④ コンプライアンスリスク 業務活動上の不祥事や重大なハラスメント行為は顧客や株主等の信頼を失い当社グループの業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 上記のリスクに対応するため、社外出身者を委員長とするコンプライアンス委員会を設置し、内部通報を含む各種情報について審査、処分を含む措置を決定するとともに、必要な対策を展開しております。また、コンプライアンス意識を浸透させ企業文化に高めるため、幹部を始め全従業員に対してレベルごとの研修を毎年実施し、隔年毎のコンプライアンス意識調査により従業員の意識レベルを把握するとともに、部署ごとの具体的なコンプライアンスリスク管理状況を確認するため、毎年コンプライアンス監査を実施し効果の確認と新たなリスク抽出に努めております。 ⑤ 情報セキュリティリスク 当社グループの事業活動において、情報システムの利用とその重要性は増大しております。コンピュータウイルスその他の要因によって情報システムの機能に支障が生じた場合、当社グループの事業活動や業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、設計・施工をはじめとする事業活動を通じて構造物やお客様に関する情報、取引先の個人情報あるいは機密情報等を取り扱っております。これらの情報が外部からのサイバー攻撃(ランサムウェア、標的型メール等)や従業員の過失、内部不正等によって漏洩又は紛失した場合、損害賠償、復旧費用等の発生により、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 上記のリスクに対応するため、当社グループで情報セキュリティポリシーを定め、外部からの不正アクセス防止、コンピュータウイルス対策、クラウドサービス利用の可視化・制御、内部不正対策等の技術的対策、ならびに従業員の教育や標的型メール訓練の実施等の人的対策を通じて、情報セキュリティ対策の継続的な強化に努めております。 ⑥ 人財確保に関するリスク 事業活動に必要な専門性を持つ人財や、リーダーの確保と育成が推進できない場合には、経営計画の遂行に影響を及ぼす可能性があります。 上記のリスクに対応するため次の通り、人財の採用、育成、流出防止及び生産性向上に努めております。 採用は、少子化による新卒者数の減少を背景として、初任給の増額、現場勤務手当や若手社員の帰省旅費制度の創設など制度面の改定に加え、当社の魅力として評価されている「社員・社風の良さ」を体験してもらう機会としてのインターンシップや現場見学会の強化のためリクルーター制度などの新卒採用体制強化を図っております。また、アルムナイ採用やリファラル採用奨励を制度化したほか、各部門や支社支店の採用担当者と必要人財や求職応募者の情報共有を進め、全社的なキャリア採用体制強化も図っています。 育成は、専門力や一般教養を含めた多様な能力獲得の機会整備、マネジメント能力・リーダーシップ能力の開発を目的とした社員研修カリキュラムの充実を進めております。人財の流出防止のため、対話の活性化による心理的安全性の高い職場風土の醸成や柔軟な働き方の促進等を行うことでエンゲージメントの向上を図っております。加えて、現場における生産性向上に向けて、デジタル技術活用による「スマート現場」の実現をはじめとする、デジタルトランスフォーメーションの推進を積極的に進めております。 ⑦ 労働災害リスク施工中に予期せぬ重大事故や労働災害が発生した場合には、顧客その他ステークホルダーからの信頼を損なうとともに当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 上記のリスクに対応するため、過去事例の全社水平展開や定期的な現場パトロールのほか、当社職員や協力会社の職長・作業員に対する安全教育の継続的な実施により、労働災害を未然に防止するよう努めております。 ⑧ 事業環境の変化に関するリスク(市場)景気悪化等による建設需要の減少や不動産市場の縮小等、当社事業に係る著しい環境変化が生じた場合には、建設工事受注高の減少や不動産販売事業・賃貸事業の低迷など、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。上記のリスクに対応するため、当社グループは、長期ビジョン「西松-Vision2035」や「中期経営計画2028」を策定し、事業活動に取り組んでおります。また、計画時の想定を上回る事業環境の変化が生じた場合には、適宜計画の見直しを行い、業績等に与える影響の低減に取り組んでおります。 ⑨ 開発事業・投資リスク(自社開発、投資)不動産市況の悪化により出口戦略が予定どおり遂行されない場合の事業計画の変更や投資先の業績悪化等に伴う採算の悪化など、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。上記のリスクに対応するため、事業管理体制の確立、プロジェクトリスク評価の実施、事業計画の適時見直し、代替出口戦略の確保等により、業績への影響を低減させるよう努めております。新規事業は、経験者・専門家・第三者の意見を取り入れリスク項目を抽出し、最大リスクを考慮した感度分析を実施して、そのリスクに対応していきます。 ⑩ 自然災害・感染症リスク大規模な地震や台風・洪水等の自然災害は、施工中案件の被災、工程遅延、自社所有建物等への被害等、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、感染症の拡大により、当社および協力会社の職員の感染症患者が多数発生した場合には、感染拡大防止措置に伴う工程遅延や工事中断による工事損益の変動等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。上記のリスクに対応するため、事業継続計画(BCP)の策定及び定期的なBCP訓練の実施により、建設会社の社会的責任としてインフラ復旧工事に積極的に協力し、被災地の復旧・支援やお客様の事業の早期再開に貢献できるよう努めております。また、自然災害に備え、施工中案件においてはリスクに応じて建設工事保険を、自社所有建物等においては損害保険等を付保し損害低減策を講じております。 ⑪ 海外事業リスク(カントリーリスク、市場、戦略)当社グループは東南アジア・南西アジアを中心に海外事業を展開しているため、進出国におけるテロの発生や政治経済情勢の変動、法制度の変更等があった場合には、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、進出国における外資企業の活動制限、日系企業の投資状況等による発注量の伸び悩み等により受注量が変動し、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 上記のカントリーリスクに対応するため、外務省海外安全ホームページによる危険度レベルの定期的な確認や、「リスク確認チェックシート」によるカントリーリスクの定期的な評価や「海外危機管理マニュアル」の周知等により、事業継続や工事への悪影響を最小限に抑えるよう努めております。また、海外建築事業に関しては、日系企業投資が鈍化する中でより事業を安定化させるため、これまでの日系工場案件中心の取り組みから、現地・外資系案件の取り組みを拡大することで入札機会を増やすとともに、アセットバリューアッド事業との連携を強化します。運営体制のローカル化により価格競争力を高め、戦略的な受注を目指します。 ⑫ 為替変動リスク為替相場の大幅な変動等が生じた場合には、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。上記のリスクに対応するため、海外工事では原則、工事取下金と工事支出金の通貨を合致させることで為替リスクを回避し、為替レート毎の為替差損益の試算を行い、外貨残高の適正な管理を行います。国内工事では海外より資機材の調達を行う際には、為替予約等を検討することで、業績への影響を低減させるよう努めております。