事業の概要
- 建設エンジニアリング矢作建設工業グループは、建築、土木、不動産の3つの主要事業を展開しています。安全性、経済性、実用性を兼ね備えた社会に役立つモノや環境を創造することを目指しており、専門知識と土地、資金、情報などを統合して顧客に高付加価値を提供しています。これにより、多様な社会ニーズに応え、収益を上げています。
- 建築工事の請負建築セグメントでは、オフィスビル、商業施設、マンションなどの建築工事の請負が主な収益源です。子会社も建築事業や建設用資材の販売、さらには独自の外付耐震補強工法による耐震診断・コンサルティング・施工サービスを提供しており、名古屋鉄道からの駅舎建築工事受注も安定的な収益に貢献しています。
- 土木・不動産事業土木セグメントでは、道路舗装、鉄道工事、緑化工事、ゴルフ場の運営など多岐にわたる事業を展開しています。不動産セグメントでは、マンション分譲、不動産賃貸、不動産開発、ビル・マンション管理などを手掛け、特に矢作地所によるマンション工事受注がグループ全体の収益構造を支える重要な柱となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 建築事業売上高872.14億円、営業利益21.3億円。オフィスビル、商業施設、マンションなどの建築工事の請負が中心です。子会社が建設用資材販売や耐震補強サービスも提供し、名古屋鉄道からの駅舎建築工事も安定的な収益源となっています。グループ内で最も売上規模の大きい事業です。
- 土木事業売上高320.92億円、営業利益44.16億円。道路舗装、鉄道工事、緑化工事、ゴルフ場の維持管理・運営などが含まれます。特にヤハギ道路やヤハギ緑化が専門性の高いサービスを提供し、名古屋鉄道からの鉄道工事受注も貢献しています。売上規模は建築に次ぎますが、営業利益率は高い傾向にあります。
- 不動産事業その他売上高213.92億円、営業利益63.47億円。不動産の売買、賃貸、マンション分譲、不動産開発、ビル・マンション管理などが主な内容です。矢作地所がマンション分譲や開発を手掛け、矢作ビル&ライフが管理・賃貸を担っています。売上規模は最も小さいですが、営業利益は3セグメント中最も高く、収益性の高い事業です。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| BuildingConstruction | 事業 | 872 | 21 | 2.4% |
| CivilEngineering | 事業 | 321 | 44 | 13.8% |
| RealEstateDevelopmentAndOthers | 事業 | 214 | 63 | 29.7% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】 当社グループは、当社、子会社8社で構成され、建築、土木、不動産の事業を行っております。当社グループの事業に係る位置づけ及び報告セグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、次の3部門は「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げる報告セグメントの区分と同一であります。 (建築セグメント)当社が建築工事の請負並びにこれに付帯する事業を営んでいるほか、子会社では矢作ビル&ライフ株式会社と北和建設株式会社が建築事業、株式会社テクノサポートが建設用資材の販売を行っております。また、当社グループ独自の外付耐震補強工法による耐震診断やコンサルティング、調査、設計、施工など一連の耐震補強サービスの提供を矢作ビル&ライフ株式会社、株式会社テクノサポートが行っております。なお、その他の関係会社である名古屋鉄道株式会社より駅舎建築工事等を継続的に受注しております。(土木セグメント)当社が土木・鉄道工事の請負並びにこれに付帯する事業を営んでいるほか、子会社ではヤハギ道路株式会社が道路舗装及び土木工事の請負に関する事業、ヤハギ緑化株式会社が緑化工事及びゴルフ場の維持管理に関する事業、株式会社テクノサポートが補強土工法「パンウォール」に関する事業を営んでおり、南信高森開発株式会社は、ゴルフコース(コース名:高森カントリークラブ)を所有し、その運営を行っております。また、その他の関係会社である名古屋鉄道株式会社より鉄道工事等を継続的に受注しております。(不動産セグメント)当社が不動産の売買、賃貸等の不動産事業を営む他、子会社の矢作地所株式会社が分譲マンション、不動産賃貸及び不動産開発事業を行い、矢作ビル&ライフ株式会社がビル・マンション管理、不動産賃貸及び分譲マンションのカスタマーサービス事業を行っております。当社は、矢作地所株式会社よりマンション工事等を受注しております。※なお、2026年4月1日付で分譲マンション及び分譲マンション管理事業については譲渡しております。 以上に述べた事項の概略図を示すと、次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 独自の外付耐震補強工法や補強土工法「パンウォール」などの技術を持つため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 独自の外付耐震補強工法や補強土工法「パンウォール」などの専門技術。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 中程度 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:経営成績及び財務状況等に影響を及ぼすおそれのあるリスク / 予見できない又は重要とみなされていないリスクの影響 / サステナビリティに関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
矢作建設工業は、地域に根差した建設会社としての信頼と長年の実績を有しているが、特許やブランド力といった明確な無形資産は限定的。公共事業や民間建築において、地域社会との関係性が一定の優位性をもたらす可能性はある。
スイッチングコスト★★☆☆☆
建設業界では、施主とゼネコン間の関係性が重要であり、一度取引が始まると、仕様変更や新たな業者選定の手間から、乗り換えには一定のコストと時間がかかる。特に大規模プロジェクトでは、実績や信頼が重視されるため、スイッチングコストは中程度と考えられる。
ネットワーク効果★☆☆☆☆
建設業界におけるネットワーク効果は限定的。サプライヤーや協力会社との関係性は重要だが、それが直接的な競争優位に繋がるほどのネットワーク効果を生み出すわけではない。地域社会や官公庁との良好な関係は、受注機会に影響する可能性がある。
コスト優位★☆☆☆☆
建設業は、資材調達や人件費、設備投資など、固定費・変動費ともに大きい。規模の経済や効率化によるコスト優位性は存在するが、競合他社も同様の努力をしており、突出したコスト優位性を築くことは難しい。技術革新によるコスト削減が鍵となる。
規模の経済★★★☆☆
売上高1,000億円超、営業利益80億円超の規模は、建設業界において中堅以上の規模であり、一定の交渉力やプロジェクト遂行能力を持つ。大規模案件の受注や、多様な事業展開(土木、建築、不動産など)を可能にし、リスク分散にも寄与する。
- 多角的な事業展開矢作建設工業は、建築、土木、不動産という異なる事業領域をグループ内で展開しており、これにより特定の市場変動リスクを分散し、安定した収益基盤を築いています。各事業が相互に連携し、例えば不動産開発で得た案件を建築部門が受注するなど、グループ内でのシナジー効果も期待できます。
- 独自の技術力とサービス建築セグメントでは、独自の外付耐震補強工法による耐震診断から施工まで一貫したサービスを提供しており、これは他社との差別化要因となります。また、土木セグメントでは補強土工法「パンウォール」に関する事業も展開しており、特定の技術分野での専門性が競争優位につながっています。
- 名古屋鉄道との関係性その他の関係会社である名古屋鉄道株式会社から、駅舎建築工事や鉄道工事などを継続的に受注している点は、安定した事業基盤と収益源を確保する上で大きな強みです。これは、長年にわたる信頼関係と実績に裏打ちされたものであり、新規参入企業には容易に模倣できない競争優位性と言えます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- 課題解決&価値創造型企業への変革2030年度の目指す姿として「課題解決&価値創造型企業」を掲げています。これは、顧客、地域、社会が抱える課題を解決するだけでなく、建設エンジニアリングを通じて新たな価値を創造・提供することで、持続的な発展に貢献する企業を目指すというものです。
- 既存事業の深化と新規分野開拓中期経営計画(2021年度~2025年度)では、前半5年間で既存事業の質を高め、さらに新しい分野や領域の探索・開拓を同時に進める方針です。これにより、事業ポートフォリオを強化し、将来の成長ドライバーを育成することを目指しています。
- 持続的成長のための基盤構築中期経営計画の後半5年間では、前半で築いた基盤を元に加速度的な成長を実現することを目指しています。ESGやDEIといった社会課題への対応も経営戦略に組み込み、企業の社会的責任を果たしながら、従業員の成長と幸福、そして企業の持続的成長を追求していく方針です。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社が経営理念に掲げる建設エンジニアリングとは、安全性、経済性、実用性を兼ね備えた社会にとって有用なモノや環境を作り出すことです。私たちはこの目的を追求するために、これまで培ってきた建築・土木の専門的な知識に加え、土地や資金、情報等の様々な要素を統合することで、お客様のニーズを上回る付加価値を生み出していきます。 多様化する社会にエンジニアリングによる新しい価値を提供し続けることで、従業員一人ひとりの成長と幸福の実現、そして企業の持続的成長を目指してまいります。 (2)会社の経営環境と対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標 今後の経営環境につきましては、国内経済は企業収益が底堅く推移し、民間設備投資についてもデジタルトランスフォーメーションの推進や脱炭素化対応等を背景に一定の需要が見込まれる一方、物価上昇による個人消費への影響、地政学リスクの高まり、エネルギー価格や為替・金利動向の変動などにより、先行きは依然として不透明な状況が続くものと認識しております。建設業界においては、国土強靭化対策や防災・減災関連の公共投資が堅調に推移し、民間設備投資についても企業のデジタルトランスフォーメーション推進や脱炭素化対応の設備等を中心に底堅く推移するものと見込まれます。しかしながら、グローバルサプライチェーンの混乱等に伴う資材価格の高止まりが継続し、鉄鋼製品や建設用塗料をはじめとする石油製品の供給面における制約が顕在化する可能性があります。さらに、技能労働者不足による労働需給の逼迫が一層深刻化し、労務費の上昇圧力が強まることが想定されるなど、厳しい経営環境が続くものと認識しております。 このような事業環境のなか、当社グループは、前中期経営計画〔2021年度~2025年度〕において、建築事業、土木事業、不動産事業からなる事業ポートフォリオの構築及び経営基盤の強化に取り組んでまいりました。その結果、当連結会計年度においては、売上高169,399百万円、営業利益13,742百万円となり、前中期経営計画の数値目標を達成するとともに、事業規模の拡大と財務体質の強化において一定の成果を収めることができました。一方で、継続的な収益力及び資本効率の向上、将来の成長に資する新規事業領域の拡大、不動産事業における収益の安定性向上、並びに人財・技術・ブランド等の無形資産価値のさらなる向上については、引き続き取り組むべき重要課題であると認識しております。 当社グループは、2030年度の目指す姿である「課題解決&価値創造型企業」への変革を実現するため、2026年度を初年度とする新たな中期経営計画〔2026年度~2030年度〕を策定いたしました。本計画では、「多様なステークホルダーへの価値提供を通じた企業価値向上と持続的成長の循環サイクルを実現する」ことを基本方針としております。また、企業価値を「事業価値」と「無形資産価値」の掛け合わせと捉え、稼ぐ力である事業価値と、人財力、技術力、ブランド力、地域との信頼関係等からなる無形資産価値の双方を加速度的に増強することで、企業価値の持続的な向上を目指してまいります。 また、新中期経営計画の最終年度である2030年度における目標とする経営指標は、営業利益180億円以上、ROE12%以上、自己資本比率40%以上、D/Eレシオ1.0倍以下としております。成長投資はネット投資額500億円を計画し、株主還元につきましては、自己資本配当率(DOE)5%以上かつ累進配当を基本方針として、継続的かつ安定的な株主還元を実施してまいります。さらに、人的資本経営の進捗を測る指標として、2030年度におけるエンゲージメントレーティングAAの達成を目指してまいります。 「新中期経営計画(2026~2030年度)」の事業方針及び数値目標等は以下のとおりです。 ① 事業方針 ② 数値目標 ③ 投資計画
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社が経営理念に掲げる建設エンジニアリングとは、安全性、経済性、実用性を兼ね備えた社会にとって有用なモノや環境を作り出すことです。私たちはこの目的を追求するために、これまで培ってきた建築・土木の専門的な知識に加え、土地や資金、情報等の様々な要素を統合することで、お客様のニーズを上回る付加価値を生み出していきます。 多様化する社会にエンジニアリングによる新しい価値を提供し続けることで、従業員一人ひとりの成長と幸福の実現、そして企業の持続的成長を目指してまいります。 (2)会社の経営環境と対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標 今後の経営環境につきましては、国内経済は企業収益が底堅く推移し、民間設備投資についてもデジタルトランスフォーメーションの推進や脱炭素化対応等を背景に一定の需要が見込まれる一方、物価上昇による個人消費への影響、地政学リスクの高まり、エネルギー価格や為替・金利動向の変動などにより、先行きは依然として不透明な状況が続くものと認識しております。建設業界においては、国土強靭化対策や防災・減災関連の公共投資が堅調に推移し、民間設備投資についても企業のデジタルトランスフォーメーション推進や脱炭素化対応の設備等を中心に底堅く推移するものと見込まれます。しかしながら、グローバルサプライチェーンの混乱等に伴う資材価格の高止まりが継続し、鉄鋼製品や建設用塗料をはじめとする石油製品の供給面における制約が顕在化する可能性があります。さらに、技能労働者不足による労働需給の逼迫が一層深刻化し、労務費の上昇圧力が強まることが想定されるなど、厳しい経営環境が続くものと認識しております。 このような事業環境のなか、当社グループは、前中期経営計画〔2021年度~2025年度〕において、建築事業、土木事業、不動産事業からなる事業ポートフォリオの構築及び経営基盤の強化に取り組んでまいりました。その結果、当連結会計年度においては、売上高169,399百万円、営業利益13,742百万円となり、前中期経営計画の数値目標を達成するとともに、事業規模の拡大と財務体質の強化において一定の成果を収めることができました。一方で、継続的な収益力及び資本効率の向上、将来の成長に資する新規事業領域の拡大、不動産事業における収益の安定性向上、並びに人財・技術・ブランド等の無形資産価値のさらなる向上については、引き続き取り組むべき重要課題であると認識しております。 当社グループは、2030年度の目指す姿である「課題解決&価値創造型企業」への変革を実現するため、2026年度を初年度とする新たな中期経営計画〔2026年度~2030年度〕を策定いたしました。本計画では、「多様なステークホルダーへの価値提供を通じた企業価値向上と持続的成長の循環サイクルを実現する」ことを基本方針としております。また、企業価値を「事業価値」と「無形資産価値」の掛け合わせと捉え、稼ぐ力である事業価値と、人財力、技術力、ブランド力、地域との信頼関係等からなる無形資産価値の双方を加速度的に増強することで、企業価値の持続的な向上を目指してまいります。 また、新中期経営計画の最終年度である2030年度における目標とする経営指標は、営業利益180億円以上、ROE12%以上、自己資本比率40%以上、D/Eレシオ1.0倍以下としております。成長投資はネット投資額500億円を計画し、株主還元につきましては、自己資本配当率(DOE)5%以上かつ累進配当を基本方針として、継続的かつ安定的な株主還元を実施してまいります。さらに、人的資本経営の進捗を測る指標として、2030年度におけるエンゲージメントレーティングAAの達成を目指してまいります。 「新中期経営計画(2026~2030年度)」の事業方針及び数値目標等は以下のとおりです。 ① 事業方針 ② 数値目標 ③ 投資計画
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度における我が国経済は、物価上昇の影響等により個人消費に足踏みがみられたものの、企業収益は全体として底堅く推移し、景気は緩やかな回復基調となりました。一方、中東情勢の緊迫化に伴う地政学リスクの高まりにより、エネルギー価格の変動が続き、景気の先行きについては依然として不透明な状況が続きました。 建設業界においては、国土強靭化対策や防災・減災関連の公共投資が堅調に推移し、民間設備投資も企業のデジタルトランスフォーメーション推進や脱炭素化対応の設備等を中心に底堅く推移しました。しかしながら、グローバルサプライチェーンの混乱による資材価格の高騰が長期化し、鉄鋼製品や建設用塗料をはじめとする石油製品の供給不足が顕在化しました。さらに、技能労働者不足による労働需給の逼迫は一層深刻化し、労務費の上昇圧力が強まるなど、厳しい経営環境が続きました。 このような状況のもと、当社グループは持続的成長をしていくために、2030年度の目指す姿を「課題解決&価値創造型企業」と定め、この目指す姿を実現するための5カ年の中期経営計画(2021年度~2025年度)を策定し、その最終年度として計画達成に向けた取り組みを推進してまいりました。 この結果、当連結会計年度の業績は、受注高は160,194百万円(前期比9.6%増)、売上高は169,399百万円(前期比20.4%増)、営業利益は13,742百万円(前期比58.8%増)、経常利益は13,698百万円(前期比59.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,468百万円(前期比50.0%増)となりました。 また、当連結会計年度末の資産合計は147,662百万円(前期比2.4%増)、負債合計は71,652百万円(前期比5.0%減)、純資産合計は76,010百万円(前期比10.4%増)となりました。 受注高、売上高の部門別の内訳については、次のとおりであります。 〔受注高〕区分受注高構成比前期比増減率建設事業建築工事105,850百万円66.1%2.8%土木工事54,343百万円33.9%25.8%計160,194百万円100.0%9.6% 〔売上高〕区分売上高構成比前期比増減率建設事業建築工事112,339百万円66.3%29.8%土木工事37,817百万円22.3%17.5%小計150,156百万円88.6%26.5%不動産事業等19,243百万円11.4%△12.5%計169,399百万円100.0%20.4% (建設事業) 建築工事では、複数の大型マンション工事を受注したことにより、受注高は105,850百万円(前期比2.8%増)となりました。また、売上高は、大型物流施設工事を中心に、当期中に施工の最盛期を迎えた複数の大型工事が順調に進捗したことにより、112,339百万円(前期比29.8%増)となりました。 土木工事では、複数の大型官庁工事を受注したことにより、受注高は54,343百万円(前期比25.8%増)となりました。一方、売上高は、官庁工事、民間工事ともに、豊富な手持ち工事が順調に進捗したことにより、37,817百万円(前期比17.5%増)となりました。 (不動産事業等) 不動産事業では、分譲マンション事業において、新規供給戸数の減少に伴う販売戸数の減少により、売上高は19,243百万円(前期比12.5%減)となりました。 セグメントの業績(セグメント間の内部売上高等を含む)は次のとおりであります。(建築セグメント)耐震補強工事を含む建築工事全般及び建設用資材販売事業等から構成され、セグメント売上高は113,365百万円(前期比26.9%増)となり、セグメント利益は8,535百万円(前期比300.5%増)となりました。(土木セグメント)土木・鉄道工事全般及びゴルフ場の経営・コース維持管理に関する事業から構成され、セグメント売上高は38,746百万円(前期比20.2%増)となり、セグメント利益は6,111百万円(前期比38.4%増)となりました。(不動産セグメント)マンション分譲事業を中心とした不動産の売買、賃貸等に関する事業から構成され、セグメント売上高は18,841百万円(前期比13.0%減)となり、セグメント利益は4,935百万円(前期比22.2%減)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は16,230百万円(前期比611百万円増)となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動により得られた資金は、9,849百万円(前期は17,191百万円の資金の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を12,045百万円計上したことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動により得られた資金は、1,921百万円(前期は255百万円の資金の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入を2,967百万円計上したことによるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動により使用した資金は、11,160百万円(前期は13,149百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、借入金の返済によるものであります。 ③ 生産、受注及び販売の実績a. 受注実績セグメントの名称前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)(百万円)当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)(百万円)(増減率)建築セグメント 103,000 105,850( 2.8%)土木セグメント 43,182 54,343( 25.8%)合計 146,182 160,194( 9.6%) b. 売上実績セグメントの名称前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)(百万円)当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)(百万円)(増減率)建築セグメント 87,214 112,494( 29.0%)土木セグメント 32,092 38,481( 19.9%)不動産セグメント 21,392 18,424(△13.9%)合計 140,699 169,399( 20.4%) (注)1.当社グループでは、不動産セグメントは受注生産を行っておりません。2.セグメント間の取引については相殺消去しております。3.当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。4.最近2連結会計年度の主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)建築・不動産セグメント野村不動産株式会社35,81125.555,62032.8 ※ なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。 ④ 建設事業における受注工事高の状況a. 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高期別区分前期繰越工事高(百万円)当期受注工事高(百万円)計 (百万円)当期完成工事高(百万円)次期繰越工事高(百万円)前事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)建築工事98,49892,048190,54778,717111,829土木工事29,67334,71564,38823,27541,113計128,171126,764254,936101,992152,943当事業年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)建築工事111,82988,668200,498101,00199,497土木工事41,11342,07783,19027,19755,993計152,943130,746283,689128,198155,490(注)1.前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含めております。2.次期繰越工事高は、(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)に一致しております。 b. 受注工事高の受注方法別比率工事受注方法は、特命と競争に大別されます。期別区分特命(%)競争(%)計(%) 前事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)建築工事76.623.4100.0土木工事20.179.9100.0 当事業年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)建築工事87.912.1100.0土木工事21.578.5100.0(注)百分比は請負金額比であります。 c. 完成工事高期別区分官公庁(百万円)民間(百万円)計(百万円) 前事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)建築工事1,61377,10478,717土木工事7,30815,96623,275計8,92293,070101,992 当事業年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)建築工事35100,966101,001土木工事9,70417,49327,197計9,739118,459128,198(注)1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。前事業年度センコー株式会社 (仮称)センコー新小牧第2PDセンター新築工事野村不動産株式会社 (仮称)中区丸の内一丁目計画新築工事大和ハウス工業株式会社 (仮称)DPL高崎新築工事前田建設工業株式会社 南知多道路 武豊北インターチェンジ(仮称)新設工事国土交通省 中部地方整備局 令和3年度 国道23号蒲郡BP金野IC 道路建設工事 当事業年度野村不動産株式会社 Landport東海大府Ⅰ新築工事三井不動産レジデンシャル株式会社・トヨタホーム株式会社 パークホームズ刈谷ANESIA新築工事内浜化成株式会社 内浜化成豊田福受工場新築工事国土交通省 中部地方整備局 令和4年度設楽ダム国道257号4号橋下部工事名古屋鉄道株式会社 名古屋鉄道河和線養父森岡線鉄道交差事業に伴う本線軌道工事 2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。前事業年度野村不動産株式会社28,256百万円28%三井不動産株式会社10,438百万円10% 当事業年度野村不動産株式会社55,587百万円43% d. 次期繰越工事高(2026年3月31日現在)区分官公庁(百万円)民間(百万円)計(百万円)建築工事14099,35699,497土木工事31,59324,40055,993計31,733123,757155,490(注)次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。野村不動産株式会社 Landport東海大府Ⅱ新築工事2027年3月完成予定オパール合同会社 (仮称)CREDO野田プロジェクト2028年1月完成予定三菱地所株式会社 (仮称)錦三丁目5番街区計画(N3-5計画)/既存建物地下解体工事及び新築工事2026年12月完成予定名古屋高速道路公社 市道高速1号他栄工区改築事業(工事)2034年3月完成予定名古屋鉄道株式会社 名古屋本線 新清洲駅付近鉄道高架化事業に伴う仮線土木(五条川橋梁)工事2030年12月完成予定 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。 a. 経営成績の分析(売上高) 当社グループの当連結会計年度における売上高は、169,399百万円(前期比20.4%増)となりました。これは、不動産事業では、分譲マンション事業において、新規供給戸数の減少に伴う販売戸数の減少によって減収となったものの、建設事業において、大型物流施設工事を中心に、当期中に施工の最盛期を迎えた複数の大型工事が順調に進捗したことなどによるものであります。(売上総利益) 当社グループの当連結会計年度における売上総利益は、25,980百万円(前期比33.8%増)となりました。これは、不動産事業において販売戸数の減少により減益となったものの、建設事業は増収効果によって増益となったことによるものであります。(営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益) 不動産事業の減益に加え、販売費及び一般管理費の増加があったものの、建設事業の大幅な増益により、営業利益は13,742百万円(前期比58.8%増)、経常利益は13,698百万円(前期比59.0%増)となりました。 また、矢作地所株式会社が営む分譲マンション開発・販売事業の譲渡に伴い、同社が保有する販売用不動産の評価を見直したことによって発生した損失1,936百万円を特別損失に計上しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は8,468百万円(前期比50.0%増)と、前期実績を大きく上回りました。 b. 各事業の概況 当社グループは、建設事業においては、限られた経営資源の中で利益を最大化すべく、生産性の高い大型の一般建築・土木工事への取組みを強化してまいりました。 また不動産事業では、産業用地開発事業を中核とする総合不動産デベロッパーとして、産業用地開発事業のみならず、分譲マンション事業や、不動産賃貸事業、仲介・販売代理などの流通事業、マンション及びビルの管理事業に注力してまいりました。 なお、各セグメントごとの業績は、次のとおりであります。(建築セグメント) 建築工事の受注高は、複数の大型マンション工事を受注したことにより、前期実績を上回りました。また、売上高は、大型物流施設工事を中心に、当期中に施工の最盛期を迎えた複数の大型工事が順調に進捗したことにより、前期実績を上回りました。(土木セグメント) 土木工事の受注高は、複数の大型官庁工事を受注したことにより、前期実績を上回りました。また、売上高は、官庁工事、民間工事ともに、豊富な手持ち工事が順調に進捗したことにより、前期実績を上回りました。(不動産セグメント) 不動産事業では、分譲マンション事業において、新規供給戸数の減少に伴う販売戸数の減少により、売上高は前期実績を下回りました。 c. 財政状態の分析(流動資産) 当連結会計年度末における流動資産の残高は114,051百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,858百万円増加しております。これは販売用不動産が減少(21,978百万円から19,602百万円へ2,375百万円減)したものの、大型建築工事を中心に施工が進捗したことに伴い売上債権が増加(58,217百万円から66,590百万円へ8,372百万円増)したことが主要因であります。(固定資産) 当連結会計年度末における固定資産の残高は33,611百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,416百万円減少しております。これは賃貸物件の売却などにより有形固定資産が減少(25,138百万円から22,596百万円へ2,542百万円減)したことが主要因であります。(流動負債) 当連結会計年度末における流動負債の残高は58,154百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,681百万円増加しております。これは売上高の増加に伴い未払消費税等が増加(84百万円から4,732百万円へ4,647百万円増)したことが主要因であります。(固定負債) 当連結会計年度末における固定負債の残高は13,498百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,413百万円減少しております。これは、営業活動により得られた資金を原資として長期借入金の返済を進めたことにより、長期借入金が減少(12,000百万円から7,300百万円へ4,700百万円減)したことが主要因であります。(純資産) 当連結会計年度末における純資産の合計は76,010百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,174百万円増加しております。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加が主要因であります。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、内部留保資金と金融機関からの借入などの調達手段により確保しております。当連結会計年度末のグループ全体の現金預金残高は約162億円、金融機関からの借入は約308億円となっており、緊急時の対応を含めて、必要な量を確保しております。来期以降につきましても、適時適切な資金調達によって、安定的な資金運営を実施してまいります。 当社は財務の健全性確保と資本の有効活用のバランスを最優先に、安定的な株主価値の向上に努めることを資本政策の基本方針としておりますが、今後も収益基盤の確立に向けた成長投資を適切に行っていく考えです。 当期も継続的に開発案件への投資などを進め、その資金につきましては、当期の営業活動によって獲得した資金と財務活動による借入にて賄っております。 また、経営基盤の強化と企業価値の向上に向けて、長期的な視点に立って株主資本の充実に努めるとともに、企業収益の配分については、株主への安定的な配当を継続実施することを基本方針としております。なお、配当方針につきましては、自己資本配当率(DOE)5%以上、かつ累進配当を目標としており、毎期の具体的な配当金額は、各期の連結業績や財務状況等を総合的に勘案のうえ、決定してまいります。 ③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、2030年度の目指す姿を「課題解決&価値創造型企業」と定め、2021年度から2025年度までの中期経営計画において、加速度的成長に向けた「つくる(造る・創る)力」の増強と持続的成長への基盤構築に取り組んでまいりました。その結果、2025年度の売上高は169,399百万円、営業利益は13,742百万円となり、同計画で掲げた売上高1,300億円、営業利益100億円の数値目標を達成いたしました。一方で、収益力・資本効率のさらなる向上や新規事業領域の拡大については、引き続き取り組むべき課題であると認識しております。 これらを踏まえ、当社グループは、2026年度から2030年度までを対象とする新たな中期経営計画〔2026年度~2030年度〕を策定いたしました。本計画では、「多様なステークホルダーへの価値提供を通じた企業価値向上と持続的成長の循環サイクルを実現する」ことを基本方針とし、「企業価値=事業価値×無形資産価値」と定義したうえで、稼ぐ力である事業価値と、人財・技術・ブランド等の無形資産価値の双方を加速度的に増強させることで、企業価値の持続的な向上を目指してまいります。 本計画における経営戦略として、 ① コア事業における稼ぐ力の追求と価値創出の最大化 ② 成長領域への挑戦と未来に向けた事業変革の加速 ③ 積極投資による人財価値の最大化と組織風土改革による生産性向上 ④ 企業価値を持続的に向上させる経営基盤の強化を掲げております。 本計画の達成状況を判断するための客観的な指標として、2030年度において、営業利益180億円以上、自己資本当期純利益率(ROE)12%以上、自己資本比率40%以上、D/Eレシオ1.0倍以下を目標としております。また、成長投資については、中期経営計画期間累計でNET500億円を計画し、人的資本経営の進捗を測る指標として、エンゲージメントレーティングAAの達成を目指してまいります。 a. 数値目標 b. 配当方針 c. 投資計画 ④ 重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。これらの財務諸表の作成にあたっては、当社グループは重要な見積りや仮定を行う必要があります。会計方針の適用にあたり、特に重要な判断を要する項目は以下のとおりであります。 a. 収益及び原価の処理 当社の主要な事業である建築事業、土木事業において、一定の期間にわたり履行義務が充足される工事契約の収益認識については、工事原価総額を基礎として期末までの実際発生原価額に応じた進捗度に工事収益総額を乗じて完成工事高を算定しています。 一定の期間にわたり履行義務が充足される工事契約の収益認識については、以下の理由により、収益及び原価が変動する場合があるため、適時適切な見積りを実施する必要があります。Ⅰ.工事収益総額・・・施工中の工法変更あるいは施工範囲の変更に伴う契約変更や対価の変動などにより、請負金の変動が発生する可能性があることⅡ.工事原価総額・・・施工条件や資材、労務費、外注費等に係る価格変動などにより、工事原価総額の変動が発生する可能性があることⅢ.工事進捗度・・・・工事原価総額を基礎として算定されるため、工事原価総額の変動により工事の進捗度の変動が発生する可能性があること b. 退職給付 当社グループでは、確定給付型の制度として、退職一時金制度及び企業年金基金制度を採用しております。 従業員に対する確定給付費用及び確定給付制度債務は、・債務の割引率・企業年金の期待収益率・退職率及び死亡率などの数理計算上の基礎率などにより見積られており、実績と見積りとの差異は「その他の包括利益」として認識され、包括利益及び純資産へ影響を及ぼします。 したがって、これらの変数(見積り)については適時適切に見直しを実施しておりますが、実績との差異や仮定の変動は確定給付費用や債務に影響を与えます。 なお、これらに関する見積りや前提条件については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」を参照願います。 c. 販売用不動産の評価 当社グループは、建設事業に加えてマンション販売や開発事業など不動産事業も手掛けており、これに係る資産を「販売用不動産」として連結貸借対照表に計上しております。 個々の販売用不動産の評価に係る会計方針としては、原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)を採用しており、毎期行う収益性の評価の結果、評価額が帳簿価額を下回る場合は、評価損を計上することとなります。 販売用不動産の評価に際しては、個々の特性に応じて一定の評価手法で評価額を算定しておりますが、予測を超えた市場変化などが発生した場合、販売用不動産の評価に影響を及ぼす可能性があります。 d. 繰延税金資産の評価 当社グループにおいて繰延税金資産の計上に当たっては、個々の発生原因ごとにその解消時期の予測及びこれらを考慮した将来の課税所得予測に基づき、その回収可能性が確実でない場合については「評価性引当額」を計上し減額しております。 繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りや発生原因の解消時期の予測に依存するため、その前提とした条件や仮定に変化が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性に影響を及ぼし評価性引当額の増減が発生します。 当社グループの繰延税金資産及び評価性引当額については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」を参照願います。 e. 減損損失 当社グループは、固定資産の減損損失の判定に際しては原則として継続的に損益の把握を実施している建築、土木、不動産の3つの報告セグメント区分をベースに、資産のグルーピングを行っております。また、賃貸用不動産と遊休資産については個々の物件ごとにグルーピングを行い、本社・福利厚生施設等については、独立したキャッシュ・フローを生み出さないことから共用資産としております。 これらのうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。 なお、減損を認識した当該資産の回収可能価額は、主として正味売却価額(不動産鑑定評価に基づく鑑定価額)により測定しております。 f. 投資有価証券の評価 当社グループが保有する有価証券については、投資その他の資産に「投資有価証券」として計上しておりますが、個々の有価証券の実質価値が帳簿価額を著しく下回り、その低下が一時的でないと判断される場合には、評価損を計上しております。 評価損の計上に際しては、下落の期間や下落の程度など一定の基準により四半期ごとに計上の判断をしておりますが、予測を超えた市場変化などが発生した場合、有価証券の評価に影響を及ぼすおそれがあります。 g. 工事損失引当金 当社グループは、請負工事契約に基づく工事について損失が見込まれる場合には、将来の損失としてその金額を合理的に見積り、当該見積金額を工事損失引当金として計上しております。 なお、工事原価総額については、各工事の進捗状況や原価の発生見通しを織り込んだうえで、決算日時点で見直しを行っており、調達価格の変動、人件費の増減、下請工事の進捗遅延などにより、見積金額を上回る原価が発生する場合には、将来の業績に影響を及ぼすおそれがあります。
事業リスク
- 建設コストの上昇と人手不足建設業界全体で資材価格の高騰や人件費の上昇が続いており、これが工事原価を押し上げ、利益率を圧迫する可能性があります。また、時間外労働時間上限規制による労務のひっ迫や、熟練工の不足は、工事の遅延や品質低下につながるリスクがあります。
- 経済情勢の不確実性トランプ政権の通商政策など、国際的な経済情勢の不透明感が増しており、日本の輸出産業や金融政策に影響を及ぼす可能性があります。これにより、国内の設備投資や不動産需要が減退し、グループの受注環境や収益に悪影響を及ぼすリスクが考えられます。
- 人口減少と建設需要の減少中長期的に見て、日本の人口減少は建設需要の縮小につながる可能性があります。特に、新規のインフラ整備や大規模開発案件が減少することで、土木・建築事業の成長が鈍化するリスクがあります。また、産業の担い手不足も深刻化し、事業継続に影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 矢作建設グループでは、東海圏における建設業を中心とした事業を展開する中で、様々なリスクに直面しています。矢作建設グループが、財務の健全性を維持しつつ、社会の要請に応える持続可能な企業価値向上を図っていくうえで、多様なリスクに適切に対応していくことが、全てのステークホルダーに対する矢作建設グループが負う社会的責任です。 今般、矢作建設グループを取り巻く社会環境において接することとなるリスクを見直すとともに、事業などリスクの体系的な評価ができるようリスクマネジメントの改善に継続的に取り組むこととしました。 [矢作建設グループを取り巻くリスク分類] 従前のリスク区分を見直し、備えるべきリスクを18分類・27項目に整理しました。これらを当社グループが対処すべき重要課題として取り組むこととしました。リスク区分大項目細 目外的要因の強い分野①社会情勢リスク(1~3)②気候変動リスク③地政学リスク④DXリスク⑤大規模災害リスクガバナンス⑥グループ管理リスク業界関係法令⑦倫理・法令違反リスク(建設業関連法規、中小受託取引適正化法、独占禁止法、環境保護関連法規)CSR/コンプライアンス分野⑧財務リスク(1~3)⑨情報漏洩リスク(1~2)⑩反社会的勢力リスク事業継続⑪人材不足リスク⑫労働環境リスク⑬資材高騰リスク⑭設計施工リスク⑮遅延リスク⑯契約リスクSDGs⑰環境破壊リスク⑱人権リスク(1~5) 大項目:経営リスク/外的要因の強い分野① 社会情勢リスク1.金融危機、景気後退、インフレ、金利変動など、経済状況の変動は、当社の収益性や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。当社は、インフレ(資材・人件費高騰)への対策として、適切な価格転嫁の実施が行えるよう、建築資材高騰による受注時と仕入時の価格乖離に対し、顧客との協議を通じたインフレを反映した価格転嫁を進め、売上総利益率の維持・改善を図っております。また、施工の進捗に合わせ、主要資材の早期発注・確保を行うことで、急激な物価変動の影響を最小限に抑える取組みを行っております。金融・金利変動リスクへの対策として、多様な手法を検討して長期・安定的な資金を確保しております。 景気後退・収益性低下への対策として、建築、土木、不動産の各部門をバランスよく運営し、特定の市場悪化がグループ全体に及ぼす影響を軽減させる事業ポートフォリオによるリスク分散に努めております。なお、土地造成(土木)から設計・施工(建築)、販売・管理(不動産)まで自社グループで一貫した対応をすることで、開発プロジェクトの収益性を向上させ、景気変動への耐性を高めております。経営面においては、プライム上場企業の代表取締役経験者、税理士や弁護士などの独立役員による客観的な視点を取り入れ、投資判断や経営監視の質を向上させております。 2.人口減少、高齢化、働き方改革、消費者の価値観の変化などは、当社の事業戦略や組織運営に影響を与える可能性があります。当社は、将来の人口減少・高齢化への対策として、労働力不足を補うための、人の経験に頼りすぎない「仕組み化」を推進しております。過去の災害事例を学習し、現場の進捗に合わせた最適な安全対策を配信する安全支援システムを独自に開発し、若手の現場職員が多くの時間を費やすことなく、的確な安全指示ができることをサポートし、技術継承を補完しております。さらに熟練技術者の活躍を目的として、2021年4月よりグループ全従業員を対象に65歳定年制を導入し、高齢化社会に対応した雇用環境を整備しています。働き方改革への対応として、就業環境の抜本的改善を目的に業務の平準化とデジタライゼーションによる労働時間削減に取り組んでおります。例えば人事評価の目標設定に生成AIを活用し、管理職の事務負担を年間約1,800時間削減することを目標にするなど、定型業務の効率化を徹底しております。現場へのバックアップ体制を強化し、業務の平準化を推進。有給休暇の取得促進(目標10日以上)や総労働時間の削減にも取り組んでおります。福利厚生面においても、多様化するニーズや若手の価値観に合わせた戦略の展開を試みており、転勤先への家族の訪問は勿論、友人や恋人の訪問旅費に至るまで補助をする独自制度の導入など、従業員のエンゲージメント向上と採用ブランディングの強化に努めております。特に深刻化する技能労働者不足に対しては、株式会社海昌をグループ会社に迎え入れ、処遇の改善や地位の向上に向けた取組みを開始したところです。消費者の価値観変化や高付加価値なまちづくりへのニーズの高まりに対応するため、単なる建設だけでなく、空間デザインの提案力を強化し、サステナビリティやウェルビーイングなど居住性や環境性能を重視する顧客ニーズに対応しています。従前より建築、土木、不動産の各部門による事業戦略の多角化(バランス経営)を構築しております。 3.市場縮小(国内外の景気後退などにより民間設備投資の縮小、財政健全化などを目的とした公共投資の減少)により、当社の収益性や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。当社では、国内外の景気後退や財政再建に伴う市場縮小リスクに対し、「事業ポートフォリオの最適化」「地域密着型の総合力」「開発型ビジネスの推進」を軸とした対策を講じております。特定の市場環境の変化が業績に与える影響を分散・抑制するための取組みとして、民間設備投資や公共投資の変動による影響を抑えるため、3つのセグメント(建築・土木・不動産開発)を組み合わせた収益構造を構築し、民間建築需要が冷え込む時期でも、インフラ整備などの公共土木工事で下支えを図るなど、建築・土木両部門の受注バランスを確保しております。建設受注以外の収益源として、不動産賃貸事業や施設運営事業を展開し、特にグループ会社の矢作地所などを通じた多角的な展開により、不景気の影響を受けにくい体制を整えております。売上の大半が東海地方に集中している特性を活かし、地元の優良顧客や自治体との間で得た多くの成功事例をもとに、長年の信頼関係をベースとした継続的な受注環境を維持しております。土地情報の提供から設計・施工、アフターメンテナンスまでをグループで完結できる建設エンジニアリング能力を活かし、東海圏における競合他社との差別化を図るなど、市場縮小の場合でも競争優位性を確保しております。さらに、単なる請負工事にとどまらず、市場ニーズを踏まえ自ら事業を創り出すことで収益機会を確保しています。大府東海開発プロジェクトのような大規模な産業用地開発を自ら手掛けることで、土木造成から建築工事の受注までをセットで創出しています。これにより、外部の投資動向に左右されにくい「自社主導案件」を確保しております。さらに、付加価値の高い建築ニーズに対応し、市場が縮小しても顧客のニーズに応える価値提供にも努めております。また、不況時でも事業を継続できる強固な財務基盤を維持するため、40%を超える自己資本比率を維持し、金融情勢の変化や一時的な業績悪化に耐えうる財務体質を構築しております。 大項目:経営リスク/外的要因の強い分野② 気候変動リスク気候変動の物理的影響として、平均気温の上昇や気象災害が頻発・激甚化した場合、当社の事業の根幹である建設現場の操業に影響を及ぼす可能性があります。脱炭素社会・自然共生社会への移行に向けて、建築物の新築時や土地改変、自然資源由来の材料使用などに対する各種規制が強化された場合、新規建設需要が縮小する可能性があります。また、カーボンプライシングやネイチャーポジティブ(自然再興)達成に向けたオフセット取引市場の創設などがなされた場合、コスト増によって財務的影響を及ぼす可能性があります。当社は、激甚化する自然災害による直接的被害への備えとして、事業継続計画(BCP)の策定と構造物のレジリエンスを高めております。災害発生時に迅速に応急対策や工程の再構築を行える体制を整え、国土交通省中部地方整備局などから「災害時建設業事業継続力」の認定を継続して受けております。脱炭素社会の実現に貢献するため、太陽光発電など再生可能エネルギーの普及に貢献し、エネルギー自給率向上に取り組んでおります。また、環境に配慮した建築物の提供として、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)で高い評価(Aランク以上など)を獲得する設計を行っております。加えて、脱炭素化に伴う規制強化や市場変化に対応するため、温室効果ガス(GHG)排出削減に注力しており、2025年3月にパリ協定の目標に整合した削減目標について国際的イニシアチブであるSBT(Science Based Targets)の認証を取得しました。また、建物の運用時のエネルギー消費を抑えるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の設計・取得を積極的に進めております。他にも施工現場において、燃費基準達成機械の使用率向上など工事に伴う排出量を削減しております。なお、継続して適切な情報開示を行なった結果、企業の気候変動対策を評価する国際的な非営利団体CDPより、2024年度・2025年度と連続で「B」スコア(マネジメントレベル)の評価を受けております。 大項目:経営リスク/外的要因の強い分野③ 地政学リスク主な輸入建築資材や、外国人労働者の当事国における政治・経済情勢、為替、租税制度や法的規制などに著しい変化が生じた場合や、戦争・暴動などの発生、資材価格の高騰および労務単価の著しい上昇や労務需給のひっ迫があった場合には、当社の事業や経営状況に影響を及ぼす可能性があります。当社は、地政学的リスクによるサプライチェーンの混乱に備え、主要資材の早期発注・確保を行うとともに、請負契約後における資材価格の変動に対しては、請負代金への適切な価格転嫁を推進しています。近年、人権や社会的な公平性に関する国際的な要請が高まる中、差別的な規則や慣行の撤廃、適切な行動の促進に取り組んでおります。サプライチェーン・マネジメントとしての取組みとして、調達方針・ガイドラインを整備し、不適切な労働慣行や不正な取引に加担しないよう、協力会社を含めたリスク管理を行っております。また、弁護士などの専門職を含む社外取締役・監査役が、社会情勢の変化に照らして経営判断の妥当性を監視しております。当社は、国内(特に東海地方)への集中投資を強みとしておりますが、海外の政治リスクから波及するリスクを回避しつつ、地政学的なコスト増を吸収する強固な収益構造の構築に注力しております。 大項目:経営リスク/外的要因の強い分野④ DXリスク近年のデジタイゼーションや、ビッグデータ、AIシステムの活用により、これらを扱う際の「内部要因」「外部要因」「直接的事故」を起因とするシステム障害が生じた場合、当社や取引先企業、個人に影響を及ぼす可能性があります。当社は、システム障害や情報漏洩が個人のプライバシーや企業の信用を損なうリスクへの対策として、社内に情報セキュリティを統括する横断的な組織を置き、IT利活用に伴う法的リスクやセキュリティリスクを継続的に評価・管理しております。情報漏洩への対応として、プライバシーポリシーや社内規定を整備し、顧客や役職員の個人情報保護を徹底しております。サイバー攻撃などによるシステムの脆弱性を突いた被害を防ぐため、ネットワークの監視や定期的な役職員への教育を行い、社会的信用の毀損防止に努めております。事業継続計画(BCP)においては、システムが停止しても事業を継続させ、ステークホルダーへの影響を抑えるための仕組みとして財務報告の信頼性確保や資産の保全を目的とした内部統制システムを整備し、業務プロセスにおける不正やミスをシステムとルールの両面でチェックしております。さらに災害時などにシステムがダウンした場合でも、重要業務を停滞させないためのバックアップ体制や復旧手順を定め、企業活動の停止による経済的損失の回避に努めております。 大項目:経営リスク/外的要因の強い分野⑤ 大規模災害リスク地震、台風、洪水などの自然災害や、テロ、事故などの人為的な災害、広範囲にわたり復旧に長時間を要するような甚大な被害が発生した場合、当社の事業や経営状況に影響を及ぼす可能性があります。当社は、自社の事業継続だけでなく、地域インフラを支える企業としての役割を担っていると考え、多角的な準備として、防災・減災インフラへの対応として、国土交通省や自治体と地域の建設業者らとの合同による災害発生時の復旧活動を行うための協定を結び、災害発生時には官民一体となった復旧・支援活動を行うための資機材などの備蓄と協力体制を整えております。また近年の事業継続のための緊急対応として、従前の事業継続計画(BCP)の見直しを試みており、経営資源(ヒト・モノ・資金)への災害直後の応急、バックアップ拠点の選定や、クラウドを活用したデータ(図面・顧客情報)の保護・復旧手段の確保、緊急融資枠の確保や支払い計画の事前検討、長期化への備えと技術力の維持に取り組んでおります。 大項目:経営リスク/ガバナンス⑥ グループ管理リスク設計施工からメンテナンスまでの一貫したサービスの提供および建築、土木、不動産売買、不動産管理、技術開発分野における横断的グループシナジーの発揮に纏わるグループガバナンス、グループ管理体制の連携不足が生じた場合、当社の事業戦略や組織運営に影響を与える可能性があります。グループ各社が連携せずに動くことによる非効率やリスクを排除するため、明確なルールに基づいた管理を行うこととし、子会社からの協議事項や経営概況、重要な情報について定期的な報告を義務付ける「関連会社規程」を運用しています。これにより、グループ全体の経営状況を適時に把握し、連携不足を未然に防いでおります。また、グループ全体のリスクを統一的な基準で管理する「リスク管理規程」を制定し、不祥事やシステムトラブル、法的リスクに対してグループ一体で対応できる体制を整えております。部門や会社をまたぐプロジェクトにおいて、情報の断絶が起きないよう、法令遵守や品質管理、環境対策など、グループ全体に関わる重要課題を審議するCSR/ESG委員会などの組織横断的会議を設置しております。これにより、技術開発から不動産管理まで、異なる専門分野を持つ部門間の情報共有を促進しております。さらに24時間体制のサービスセンターの運用では、設計・施工段階での知見を管理・メンテナンスに活かし、施工後のメンテナンスを担う部門と情報を共有するなどして、メンテナンスでの気づきを設計にフィードバックさせる、循環する管理体制を構築しております。サービスの一貫性を担保するため、土地造成(土木)、設計・施工(建築)、宅地販売(不動産)、管理(メンテナンス)までのビジネスモデル自体に連携を組み込み、グループ内で建設エンジニアリングによる一貫対応できる体制を強みとしております。大規模な産業用地開発(大府東海プロジェクトなど)では、用地取得から造成、建物の設計施工まで全部門が連携して参画したことにより、プロセス自体が部門間シナジーを強制的に引き出し、連携不足を解消する実地訓練の役割を果たしました。グループ共通の企業理念である「誠実・進取・創造」や、経営理念、行動規範を役職員全員に周知させ、個々の判断基準を統一することで、組織間の壁を取り払い、共通の目標(持続的成長)に向かって連携する組織文化を醸成しております。なお、当社グループでは、事業領域の拡大や人財・技術基盤の強化を目的として、M&A(株式取得など)を実施する場合があります。しかしながら、買収後において、期待したシナジー効果が十分に発揮されない場合や、経営方針・企業文化・業務プロセスなどの統合(PMI)が計画通り進捗しない場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、買収に伴い計上したのれんや無形固定資産について、対象会社の収益性低下や事業環境の変化などにより期待収益を確保できない場合には、減損損失を計上する可能性があります。当社グループでは、M&A実施に際し、対象会社に対する財務・法務・事業面などのデューデリジェンスを実施するとともに、買収後においては、グループ共通の管理方針や内部統制の整備、人的交流、定期的なモニタリングなどを通じて、統合により生じるおそれのあるリスクの低減に努めております。 大項目:事業リスク/業界関係法令⑦ 倫理・法令違反リスク(建設業関連法規、中小受託取引適正化法、独占禁止法、環境保護関連法規)当社グループの主な事業分野である建設業界は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、独占禁止法や、安全・環境、労働など、さまざまな法的規制を受けており、当社グループにおいて違法な行為があった場合には、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、建設業法や独占禁止法などの多岐にわたる法的規制を遵守し、違法行為による損失や信用失墜を防ぐため、「ガバナンス体制の強化」「コンプライアンスの徹底」「リスクマネジメントの向上」について対策を講じております。まず、業務の適正を確保するための内部統制システムを整備し、CSR/ESG委員会と内部統制部会により、法令遵守や資産の保全を組織としてチェックする仕組みを運用しております。また、客観的な視点を取り入れることで、経営や現場での不正を未然に防ぐ体制として、法学分野の専門知識を持つ弁護士や、豊富な経営経験を持つ有識者として社外取締役の選任をしております。これにより、客観的な立場から的確な指導・助言を受け、透明性の高い適切な意思決定を行っております。社内のコンプライアンスを徹底するために、役員・役職員一人ひとりが倫理観を持って行動するための啓発活動として、「リーガルマインドの醸成」を標語として掲げ、法令遵守だけでなく、近年高まる社会のインテグリティ(企業倫理や社会的責任)に呼応する行動指針を明確にし、ハラスメントの撲滅や人権尊重に向けた取組みを含め、定期的に研修や啓蒙活動を行い、健全な組織基盤の構築に努めております。建設業界に特有のリスクに対しては個別の管理体制を敷いております。独占禁止法・談合対策としては競争回避を目的とした情報交換が厳しく制限される中、不公正な取引が行われないよう経営方針として発信するとともに、営業部門を中心にルールの周知と管理に特化した研修を行い違反行為防止を徹底しております。また、過去の災害事例を学習した安全支援システムや「AI配筋検査サービス」を導入することで、現場での人的ミスによる違法状態(労働安全衛生法違反や施工不良)をシステム面から回避できるよう取り組んでおります。不測の事態が発生した際に、影響を最小限に留めるための仕組みとして、潜在的なリスクを洗い出し、万が一の違法行為や不祥事が発生した際にも適切に対応できる手順を整備することで、企業価値の毀損を防いでおります。 大項目:事業リスク/CSR分野・コンプライアンス⑧ 財務リスク1.金融市場の混乱(金利の急激な上昇など)、金融機関の貸出態度硬化により、当社が必要な時期に想定した条件・規模で資金を確保できない場合や、不動産投資、M&A(合併・買収)、新事業展開などによる損失、保有する有形・無形固定資産(不動産、のれんなど)や投資有価証券の時価下落などにより、会計上の損失や財務状態の悪化が生じた場合など、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。建設業において安定的な運転資金の確保は経営の要です。当社グループでは、事業活動による短期および中長期の資金需要を把握し、経済状況および金融状況に鑑みた最適な資金調達方法を検討し、適時適切に資金確保を行っております。また、2024年にゼネコンとして日本初となるソーシャルローンによる資金調達(50億円)を実施しました。これは協力会社への支払いを「手形から全額現金」へ変更するための原資として活用され、サプライチェーンの安定化と自社の資金繰り管理を両立させております。また、事業の多角化(不動産、M&Aなど)に伴う損失リスクに対し、厳格なガバナンスおよび取得および評価基準を設け、適時適切に減損処理を行うなど、財務健全性を維持する判断を行っております。不動産事業や保有有価証券など資産価値の下落リスクについては、公正な市場価格に基づく評価を適切に行い、将来の損失可能性を財務諸表に適切に反映させております。 2.当社グループの主要な事業である建設事業においては、請負工事代金の回収が、目的物引き渡しから一定期間の後となることがあります。こうした場合、与信管理の不備や、債務者の倒産によって多額の完成工事未収入金が回収できない場合、当社グループの資金繰りや経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。当社グループでは、財務部門が中心となり、厳格な与信審査および目的物引き渡しに際しての顧客動向調査など、債権回収について厳格な体制を敷くとともに、立替資金負担を緩和すべく営業部門とともに請負工事代金回収条件の良化に努めております。具体的には、新規取引開始時や継続取引において、取引先の財務基盤、経営成績、外部機関の信用情報を基に、客観的な基準で与信限度額を設定することはもとより、取引先の経営状況を継続的に監視し、信用不安の兆候(支払遅延や風評など)が見られた場合には、速やかに取引条件の見直しや債権保全策の検討を行っております。社内組織においては、グループ全体のリスクを網羅的に把握・評価するリスク管理体制を整備し、信用リスクを含む重要事項を経営陣に報告する仕組みを運用しております。なお、回収可能性に懸念がある債権については、会計基準に基づき厳格に貸倒引当金を計上し、財務の健全性を維持しております。 3.会計・税務における誤謬または不正により財務諸表の信頼性を損なう記載がなされた場合、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。財務諸表の信頼性を確保するために、内部統制(J-SOX)の枠組みに基づいた重層的な対策を講じております。組織的な相互チェック体制として、営業部門、施工部門、経理部門など権限を明確に分離し、一つの組織だけで取引開始から決済までを完結することができない仕組みにより牽制を働かせて、不正な資金流用や架空発注などを防止しております。また、一定金額以上の取引や契約には上長や役員の承認を必須とする承認システムを導入し、改ざんや独断による処理を防止しております。さらには、建設業特有のリスクである「工事原価の見積り誤り」による虚偽表示を防ぐため、工事原価管理システムにより、実行予算と現況を適時に照合し、異常な原価の発生(予算との乖離)がないかモニタリングしております。一方で、独立した内部監査部門が、各部門や子会社の業務執行がルール通り行われているかを定期的に監査し、不正の芽を早期に発見できるようにしており、常勤監査役が取締役会や重要な会議に出席するほか、外部の会計監査人(監査法人)と定期的に情報を共有し、会計処理の妥当性を厳格にチェックするなど内部監査と外部監視の強化に努めております。さらに、不正を発見した役職員が、不利益を被ることなく社内外の窓口に通報できる内部通報制度を導入するとともに、全役職員に対して定期的なコンプライアンス研修を実施し「誤謬(ミス)」を隠さず報告するコンプライアンス意識の醸成を図っております。近時の会計処理においては、会計上重要な影響を及ぼす見積り項目などについて「訴訟損失引当金」「工事損失引当金」「固定資産の減損」「繰延税金資産の回収可能性」「退職給付債務の見積り」など、不確実性が相当程度に高いと識別される見積り要素が多く含まれており、これらの見積りの結果収益計上に大きな変動が発生するリスクがあります。当社グループでは、こうした会計上の見積りの適正性を担保するため、必要に応じて外部の専門家(弁護士、不動産鑑定士、税理士など)から意見を聴取し会計処理を行っております。 大項目:事業リスク/CSR分野・コンプライアンス⑨ 情報漏洩リスク1.内部のヒューマンエラーにより、当社が保有する情報が漏洩した場合、当社の企業イメージの毀損や損害賠償により、業績に影響を及ぼす可能性があります。内部不正による情報の不正利用や改ざんを防止するため、業務に必要な範囲に限定したアクセス権限の設定を行い、操作ログを継続的に保管・監視することで、不正の抑止と早期発見を図っております。パソコンなどの外部記憶媒体の持ち出しを届出制とし、やむを得ず持ち出す場合にはデータの暗号化を必須としております。不注意やミスに起因する漏洩を防ぐため、電子メール送信時には、宛先や添付ファイルを再確認させる仕組みなど誤操作防止策を導入しております。職場外では情報管理ルール(車内放置の禁止、移動時の直行など)を定め、紛失・盗難リスクの低減を図っております。これら制度を徹底するため、役職員に対して、情報セキュリティに関する定期的な教育・訓練を実施し、最新の脅威に対する認識と対応力の維持・向上を図っており、万が一事故が発生した際や弱点を発見した際に、直ちに報告を行うエスカレーション体制を整備するなど、リテラシー向上とガバナンス強化により、事故の発生防止に取り組んでおります。 2.外部からマルウェア、ランサムウェア、アカウントハッキングなどのサイバー攻撃による企業情報、顧客情報の流出やシステム停止が発生した場合、当社の事業継続に影響を及ぼす可能性があります。アカウントハッキング対策として、マルウェアやランサムウェアの挙動をリアルタイムで監視し、異常を検知した際に速やかに隔離・遮断する体制を整えております。また、外部からの不正アクセスを防ぐため、ネットワークの常時監視と、データの暗号化を徹底し、サイバー攻撃の侵入経路を遮断する対策を講じるとともに、万が一の侵入を早期に検知するためのシステムを導入しております。このリスク管理体制については、サイバー攻撃を含む重要リスクの特定、評価、および対策状況のモニタリングを経営レベルで実施しており、インシデント発生時に適切に対応するため、情報の収集・分析や関係各所への報告を行う体制を構築しております。また、高度化するサイバー攻撃に対抗するため、外部のセキュリティ専門家による定期的なシステム診断や脆弱性対策を行っております。人的な防御策として、リバース・ソーシャル・エンジニアリングなどの最新手法を想定した模擬メール訓練を行い、役職員の不審メールに対する判断力を養うと共に、全役職員を対象に定期的な情報セキュリティ研修を実施し、ランサムウェアの感染兆候やアカウント管理の重要性や、巧妙な標的型攻撃(ソーシャルエンジニアリングなど)への耐性を高めるための教育を実施しております。 大項目:事業リスク/CSR分野・コンプライアンス⑩ 反社会的勢力リスク反社会的勢力との関わりや取引への関与が行われた場合、上場廃止や、当社の事業継続に影響を及ぼす可能性があります。当社のみならず、企業において反社会的勢力(反社)との関わりを断つことは、企業存続に直結する極めて重要な課題です。そのため、すべての取引先(下請業者、資材業者、JVなど)との契約締結時に、反社でないことの確約と、違反時の「無条件解約条項」を必ず盛り込んでおり、取引開始前に、警察や暴力追放運動推進センターが持つデータベースや、記事検索、反社データベースにより定期的なスクリーニングを実施しております。また、現場でのトラブルや不当な要求に対し、担当者一人で対応させない体制を構築し、顧問弁護士や警察機関と平時からコンタクトを取ることで、緊密な連携体制を構築しております。現在、与信管理の一環として、取引先の適正性判断について再構築を行っており、「意図せず関わってしまった」を防止し、不当な要求や、反社の要求に与するようなことが無いよう、現場監督から末端の技能労働者まで、反社の手口やリスクをコンプライアンス研修を通じ、周知徹底しております。 大項目:事業リスク/事業継続⑪ 人材不足リスク建設業の担い手である技術労働者の高齢化や人材不足、新規入職者減少により、当社の事業活動へ影響を及ぼす可能性があります。当社は施工生産性の向上および担い手確保に向け、以下の取組みを推進しております。まず、生産性向上に向けては、AIを活用したデジタライゼーションを進めるとともに、図面確認・配筋検査の自動化や、独自に開発した安全支援システムなどにより、施工管理の効率化と現場負担の軽減を図っております。加えて、プレキャスト工法や施工のユニット化、二次製品の採用など、省力化・省人化に資する施工技術を積極的に活用し、限られた人員でも高い品質と安全を維持できる体制の構築に取り組んでおります。さらに、業務の平準化やデジタライゼーションによる業務改革など各部門のDXを、専門部署(デジタル推進グループ)が包括的に推進する体制としています。これにより、業務の質の向上ならびに効率化、生産性の向上を図っております。担い手確保の観点では、休日確保や時間外労働の削減に向けた業務の平準化やバックアップ体制の構築に加え、若手社員の定着支援として帰省費用補助や私的訪問旅費の支援などの制度を導入し、働きやすい環境づくりを推進しております。また、女性活躍推進に向けた行動計画の策定や外国人技術者の積極採用など、多様な人財の確保・育成にも取り組んでおります。さらに、自社のみならず施工を担う協力会社の担い手確保も重要な課題と認識しており、優れた技能を有する技能労働者を「YAHAGIマイスター」として認定し処遇改善を図るほか、適正なコスト負担を伴わない短納期発注の禁止や労務費相当分の現金支払いの徹底を明文化するなど、協力会社が安定的に経営・雇用を継続できる環境整備を進めております。加えて、自社および協力会社の若手社員を対象とした合同研修を実施し、技術継承と一体感の醸成にも取り組んでおります。 大項目:事業リスク/事業継続⑫ 労働環境リスク施工段階における人身事故、環境事故・不具合、優越的地位によるハラスメント、環境関連法令など違反が発生した場合には、その修復に多大な費用負担や工程遅延の発生、刑事・行政処分などによる事業上の制約を受けることにより、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。当社では、役職員および協力会社の安全と健康を最優先とし、独自の安全衛生環境マネジメントシステムを構築・運用しております。施工前には現場特性を踏まえた仮設・作業計画を策定し、施工時には安全指導員によるパトロールや現場間パトロールを通じて計画遵守状況を確認し、災害要因の早期排除を図っております。また、過去事例の水平展開や、協力会社と連携した雇入れ教育・送り出し教育、事業主パトロールの実施などにより、労働災害および公衆災害の防止に努めております。加えて、AIなどのデジタライゼーションによる図面確認や安全対策の高度化に取り組むとともに、「YAHAGIマイスター制度」や「優秀職長表彰」を通じて、協力会社を含めた安全意識および技能の向上を図っております。さらに、4週8休の実現に向けた適正工期の確保や時間外労働の削減、IT活用による業務効率化を進め、働きやすい環境づくりを推進しております。健康面では、定期健康診断やストレスチェックの実施などによる健康管理の強化に加え、ハラスメント相談窓口の設置や研修の実施により、安心して働ける職場環境の整備に努めております。また、環境方針に基づき、粉塵対策や廃棄物管理などの環境保全にも取り組んでおります。 大項目:事業リスク/事業継続⑬ 資材高騰リスク建設資材価格や労務単価などが、請負契約締結後に想定を大幅に上回る高騰となり、それを請負金額に反映することが困難な場合には、建設コストの増加につながり、損益が悪化する可能性があります。公共工事や民間工事において、物価変動を請負代金に反映させるスライド条項(インフレスライド・単品スライドなど)を適切に運用し、自社工事請負約款の見直しと積極的な活用により、発注者との協議を通じて、建設資材価格や労務単価などの価格調整を行うことができるよう取り組んでおります。工事損失引当金の計上実績を踏まえ、受注段階での原価見積を精緻化しております。無理な安値受注を避け、採算性の低い案件については慎重な判断を行うことで、原価割れリスクを抑制しております。原価管理・調達面では、社内ガイドラインを整備し、資材価格のさらなる上昇や工期遅延を防ぐため、着工初期段階での資材の早期発注・確保に取り組んでおります。特に、自社で設計と施工の両方を担うシナジーを活かし、設計段階からコストパフォーマンスの高い工法や代替資材を提案する「フロントローディング」や、適時に原価と予算を照合し、異常な乖離を早期に発見・対応する管理体制をデジタライゼーションにより運用しております。さらに、2024年より協力会社への支払いを全額現金化したことにより、協力会社の経営を支え、資材調達の滞りや連鎖的な倒産、それに伴う工期遅延リスクを未然に防いでおります。また、建設DXを推進し、先端技術の活用による事前シミュレーションを行うことで、現場での手戻りやムダを削減し、コストの把握や工期遅延と品質低下を防止しております。設計、施工、調達の各部署が情報を密に連携し、施工条件の変化に即応できる体制も整えております。 大項目:事業リスク/事業継続⑭ 設計施工リスク建設業において重要な設計業務における不備、または施工不良による瑕疵が生じた場合、当社の企業イメージや事業成績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、設計業務の全プロセスにおいて品質管理システムを適用し、多層的な品質確保の取組みを実施しております。その一環として、顧客要求確認シートなどを活用することでお客様のご要望を的確に把握し、ご要望に応える設計を推進しております。また、基本計画、基本設計、実施設計の各段階において「設計検証」を実施するとともに、設計部門と関連部署の責任者による「設計審査会」において図面検証を行うなど、設計業務における不備を未然に防止する体制を整えております。施工段階における瑕疵防止対策として、着工前の設計部門による施工勉強会、施工中の現場担当者の自主検査・工事監理者の監理検査・品質管理部門の中間検査、竣工検査からなる多層検査体制を構築し、施工不良による瑕疵の発生を防止しております。また、施工技術知見を蓄積した「標準図」の整備に加え、設計部門と生産設計部門との早期連携による施工図作成など「フロントローディング」を推進することで、全現場において統一された高品質な施工の実現に取り組んでおります。竣工後も当社グループの総合力を活かし、品質管理部門による1年検査、2年検査の実施や、グループ会社による経年劣化への補修提案・修繕対応を行っております。このような継続的なアフターサービスにより、お客様の建物の資産価値と安全性を長期にわたり維持できるよう取り組んでおります。 大項目:事業リスク/事業継続⑮ 遅延リスク天候不順などの不可抗力、不測の災害や想定を超える大規模災害、突発的事故により、工程遅延、引渡遅延が発生した場合、収益計上時期の遅延などにより当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。設計・施工段階において、天候影響を受けやすい作業や工程上のボトルネックを事前に把握し、施工計画の最適化、工程調整、代替工法のVE検討などを実施することで、遅延リスクの低減に努めております。また、労働災害などによる突発的な現場停止を防止するため、独自に開発した安全支援システムを活用した安全管理体制を導入し、安全指示や注意喚起を行うことで、事故発生の未然防止に取り組んでおります。加えて当社は、国土交通省より「災害時の事業継続力を備えている建設業者」として認定を受けており、BCP(事業継続計画)を策定・運用するとともに、協力会社との連携強化により、災害発生時においても早期復旧・工事再開が可能な体制を整えており、さらに、近年の気候変動リスクの高まりを踏まえ、BCPの継続的な見直し・強化を実施しております。なお、不可抗力による損失発生時には、工事請負契約約款に基づき、発注者との協議による工期延長や増加費用負担(スライド)を適切に行うほか、建設工事保険などへの加入により、財務的損失の軽減に努めております。 大項目:事業リスク/事業継続⑯ 契約リスク契約条件の不備、契約違反、法改正による条件の見直しや無効化が生じた場合、当社の事業成績や業績に影響を及ぼす可能性があります。契約不備・契約違反への対策として、契約内容の妥当性を確保し、違反を未然に防ぐためのチェック体制として、法務部門によるリーガルチェックの強化に取り組んでおり、経営面では、弁護士や学識経験者などの独立役員(社外取締役・監査役)による客観的な助言・指導を受ける体制を整え、取締役会による業務執行状況の相互監視・監督を通じ、独断による契約判断や法令違反を防止する牽制機能を強化しております。社会情勢の変化による法令の変化に適切に対応し、契約や業務の正当性を維持するため、継続的に法令改正などの早期周知や、法令遵守に係る研修を定期的に実施し、法改正による契約の無効化や不適合リスクの低減に取り組んでおります。CSR/ESG委員会(年4回開催)においては、法令遵守体制の整備と問題点の把握などを行い、全社レベルで契約リスク低減に努めております。 大項目:事業リスク/SDGs⑰ 環境負荷リスク当社の事業活動により自然環境の破壊、気候変動、大気汚染、海洋汚染、森林破壊、生物多様性の損失をもたらした場合、当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。2025年3月にパリ協定の目標に整合した温室効果ガス削減目標について国際的イニシアチブであるSBT(Science Based Targets)の認証を取得しました。これにより温室効果ガス(GHG)排出削減に向けた国際的な目標設定と排出量の削減を進めており、燃費基準達成機械の使用率向上など、施工現場での排ガス排出の削減を推進しております。建築設計においては、省エネ性能の高いZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の取得物件を増やすことで、建物運用時の環境負荷低減に取り組んでおります。また、自然共生社会にむけて、当社子会社のヤハギ緑化においてビオトープの整備に注力するなど生物多様性の保全活動を支援しております。建築物の環境性能を総合的に評価するCASBEEにおいて高いランク(Aランク以上など)を目指した設計を行い、周辺環境や植栽への配慮に努めています。他にも、森林破壊につながらない合法性の確認された木材の使用や、環境負荷の低い資材の選定を行うため社内の調達方針・ガイドラインを整備して、持続可能な調達に取り組んでおります。 大項目:事業リスク/SDGs⑱ 人権リスク事業活動を通じて起こり得る人権への負の影響が大きい人権課題として、1.労働安全衛生(安全で衛生的かつ健康的な労働環境を提供し、労働災害や事故の防止に努める)、2.適正な労働時間と賃金(労働時間の適正な管理、適切な賃金の支払いにより、適正な労働条件の整備に努める)、3.差別、ハラスメントの禁止(個人の基本的人権、多様性を尊重し、人種、民族、国籍、宗教、性別、性的指向、性自認、年齢、社会的身分、障がいや疾病の有無、身体的特徴などを理由とした差別やハラスメントを禁止する。)、4.外国人労働者の権利(外国人労働者の人権に関し、処遇など適切な配慮を行う)、5.地域社会への影響(事業活動が地域社会の人々に与える影響に配慮し、地域社会との共生に努める)が発生した場合、当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。 1.労働安全衛生については、健康管理強化のため、年次検診費用補助制度の導入、ストレスチェックと産業医面談の実施、メンタルヘルス相談窓口の設置、特定疾病予防の啓発セミナーの実施。安全衛生マネジメントシステム(矢作コスモス)に基づく安全計画作成、定期的な現場パトロール、安全衛生委員会の実施およびオンライン安全教育を通じて総合的な安全衛生管理体制を構築。快適な職場環境の維持に努め、定期的なオフィス環境測定の実施などをしております。2.適正な労働時間と賃金については、労働時間の適正化に向けて、就業管理システムによる就業時間管理、勤務間インターバル制度の実施。柔軟な勤務体系(時短勤務・時差出勤・半日有給休暇)、育児・介護支援の制度を導入しております。3.差別、ハラスメントの禁止については、ハラスメント防止のため、役職者教育、全役職員向け定期研修の実施や、ハラスメント相談窓口を設置しております。 4.外国人労働者の権利については、自社・グループ会社にて定める賃金規程や評価制度などに基づき、外国籍職員と日本人職員が同一条件の下での就労としております。5.地域社会への影響については、現場環境パトロールと環境マネジメントシステムを通じて環境負荷低減の取組みを実施しております。また、地域環境保全活動として河川清掃や植樹活動や、社会貢献活動として献血支援、地域活性化イベントへの参画、オフィス周辺清掃活動を実施しております。