1925

大和ハウス工業(1925)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

建設業 建設・資材

事業の概要

  • 多角的な事業展開
    大和ハウスグループは、戸建住宅、賃貸住宅、マンション、商業施設、事業施設、環境エネルギー、その他(金融など)の7つの主要事業を展開しています。これにより、特定の事業に依存せず、幅広い顧客ニーズに対応し、安定した収益基盤を築いています。
  • 住宅・不動産事業が中核
    戸建住宅の注文請負・分譲、賃貸住宅の開発・管理、マンションの開発・分譲など、住宅関連事業がグループの中核を占めています。国内外で多様な住宅形態を提供し、人々の生活基盤を支えることで収益を上げています。
  • 生活基盤産業への貢献
    物流・製造施設、医療介護施設などの事業施設開発や、再生可能エネルギー発電所の開発・運営など、社会インフラや生活に密着した事業にも注力しています。これにより、社会貢献と事業成長の両立を目指すビジネスモデルです。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 戸建住宅事業
    戸建住宅の注文請負や分譲を国内外で行っており、売上高1兆1353億円、営業利益698億円を計上しています。米国や豪州のグループ会社を通じてグローバルに展開し、多様なニーズに応える住宅を提供しています。
  • 賃貸住宅事業
    賃貸住宅の開発・建築から管理・運営、仲介までを一貫して手掛け、売上高1兆3739億円、営業利益1299億円とグループ内で高い収益を上げています。安定的な賃貸収入を確保し、ストックビジネスとして貢献しています。
  • 商業施設・事業施設事業
    商業施設の開発・建築・管理・運営に加え、物流・製造施設や医療介護施設などの事業施設開発・建設・管理・運営も行っています。商業施設事業は売上高1兆2214億円、営業利益1459億円、事業施設事業は売上高1兆3321億円、営業利益1596億円と、それぞれグループの主要な収益源となっています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
SingleFamilyHouses 地域 11,353 698 6.2%
RentalHousing 地域 13,740 1,300 9.5%
Condominiums 事業 2,608 109 4.2%
CommercialFacilities 事業 12,214 1,459 11.9%
LogisticsBusinessAndCorporateFacilities 地域 13,322 1,597 12.0%
EnvironmentAndEnergyReportableSegment 事業 860 124 14.4%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,636 文字
3 【事業の内容】当社グループ(当社、連結子会社507社、持分法適用関連会社207社及び持分法非適用関連会社1社(2026年3月31日現在)により構成)においては、戸建住宅、賃貸住宅、マンション、商業施設、事業施設、環境エネルギー及びその他の7事業を主として行っており、生活基盤産業への総合的な事業を展開しております。各事業における当社グループの位置付け等は次のとおりです。 (戸建住宅事業)戸建住宅事業においては、戸建住宅の注文請負・分譲を行っております。[主な関係会社]Stanley Martin Holdings, LLC、Rawson Group Pty Ltd、Trumark Companies, LLC、CRC Holdings LLC、CastleRock Communities LLC、大和ハウスリフォーム㈱、大和ハウスリアルエステート㈱、㈱デザインアーク、大和ランテック㈱ (賃貸住宅事業)賃貸住宅事業においては、賃貸住宅の開発・建築、管理・運営及び仲介を行っております。[主な関係会社]大和リビング㈱、North Clark LLC、DH MQW Pty Ltd、Daiwa House USA Member LLC、DH Phoenix, LLC、AP 355 N. Central Holdings, LLC、大和ハウス賃貸リフォーム㈱、Daiwa House Modular Europe B.V. (マンション事業)マンション事業においては、マンションの開発・分譲・管理を行っております。[主な関係会社]大和房屋(常州)房地産開発有限公司、大和ライフネクスト㈱、和宝(南通)房地産開発有限公司、玖心(常州)房地産開発有限公司、玖心(蘇州)房地産開発有限公司、Elephant Park Plot H11b LLP、Broadway Community Venture LLC、Broadway Community Owner LLC (商業施設事業)商業施設事業においては、商業施設の開発・建築、管理・運営を行っております。[主な関係会社]大和リース㈱、大和ハウスリアルティマネジメント㈱、ロイヤルホームセンター㈱、スポーツクラブNAS㈱、大和ハウスパーキング㈱ (事業施設事業)事業施設事業においては、物流・製造施設、医療介護施設等の開発・建設、管理・運営を行っております。[主な関係会社]㈱フジタ、大和物流㈱、Daiwa House Malaysia Logistic Sdn. Bhd.、住友電設㈱、㈱ダイワロジテック、若松梱包運輸倉庫㈱、神山運輸㈱、大和ハウスプロパティマネジメント㈱ (環境エネルギー事業)環境エネルギー事業においては、再生可能エネルギー発電所の開発・建築、再生可能エネルギーの発電及び電力小売事業等を行っております。[主な関係会社]大和エネルギー㈱、エネサーブ㈱ (その他事業)その他事業においては、金融事業及びその他の事業を行っております。[主な関係会社]PT. Daiwa House Indonesia、Daiwa House Malaysia Sdn. Bhd.、大和ハウスグループ投資事業有限責任組合、㈱メディアテック、㈱伸和エージェンシー、大和ハウスフィナンシャル㈱、大和ハウスインシュアランス㈱、ダイワロイヤルゴルフ㈱、大和ハウス・アセットマネジメント㈱、大和ハウス不動産投資顧問㈱ (注)地域統括会社等であるDH Asia Investment Pte. Ltd.、Daiwa House Australia Pty Ltd、Daiwa House USA Holdings Inc.、Daiwa House Texas Inc.については、上記7事業における主な関係会社に含まれておりません。 [事業系統図] 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。 2026年3月31日現在

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
原材料・資材価格高騰への対応策や、良質な住宅をお値打ちな価格で提供する方針
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
建設・不動産関連法令、環境関連法令、各種業法等、広範な法的規制の適用を受ける
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:法的規制の改廃や新設 / 海外事業における政治・経済情勢の不確実性 / 住宅関連政策・税制の変更
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 12 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

大和ハウス工業は、長年にわたり築き上げてきたブランド力と、住宅・建築業界における信頼性が強み。特に「xevo」シリーズなどの独自技術やデザインは、一定の差別化要因となっている。しかし、他社も同様の技術開発を進めており、模倣されやすい側面もある。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

住宅購入者は、一度契約すると他のハウスメーカーへの乗り換えは、契約金や設計変更の手間から非常に困難。リフォームやメンテナンスにおいても、長年の実績と信頼から継続利用につながりやすい。ただし、初期のハウスメーカー選定における比較検討は活発に行われる。

ネットワーク効果★☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

住宅販売においては、紹介や口コミが一定の影響を持つが、直接的なネットワーク効果は限定的。リフォームや賃貸事業などでは、顧客基盤の拡大が収益に寄与する可能性はあるが、強力なネットワークモートとは言えない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

スケールメリットによる仕入れコスト削減や、標準化された工法による効率化は進んでいる。しかし、建設業全体として資材価格の変動リスクは大きく、コスト優位性を永続的に維持することは難しい。独自の生産技術による大幅なコスト削減は限定的。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

日本国内における住宅・建築業界でトップクラスの売上規模を誇る。これにより、土地の仕入れ、資材調達、広告宣伝において有利な条件を引き出しやすい。全国的な販売網と施工体制は、他社が容易に模倣できない強みとなっている。

  • 広範な事業領域
    戸建住宅から商業施設、環境エネルギーまで多岐にわたる事業を展開しており、それぞれの市場変動リスクを分散しています。これにより、特定の市場の低迷がグループ全体の業績に与える影響を軽減できる可能性があります。
  • 国内外での事業展開
    日本国内だけでなく、Stanley Martin Holdings, LLC(米国)やRawson Group Pty Ltd(豪州)などの海外子会社を通じて、戸建住宅事業をグローバルに展開しています。これにより、海外市場の成長を取り込み、事業規模の拡大を図っています。
  • グループ総合力
    大和ハウスリフォーム、大和リビング、大和リース、大和物流など、各事業分野に特化した多数のグループ会社を保有しています。これにより、開発から建設、管理、運営まで一貫したサービスを提供し、顧客満足度を高めるとともに、グループ内でのシナジー効果を創出しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 <CEOメッセージ> 「未来価値」を創造し、グローバルで社会課題の解決に挑戦する。創業者精神を継承し、『創見』を生み出し続ける企業グループへ。 代表取締役会長/CEO 芳井 敬一 売上高10兆円に向けた道筋 ―“次の30年”の考え方 昨年2025年4月、大和ハウスグループは創業70周年を迎え、100周年まで残すところ30年となりました。これから30年の成長のあり方を具体的な構想に落とし込み、確かな道筋として示す段階に入ってきています。今、私が常に考えているのは、売上高10兆円をどのようなシナリオで実現するのか、そして当社グループはどのような姿でその時を迎えるべきか、ということです。売上高10兆円は一つの節目です。重要なのは、“達成そのもの”ではなく、「どのように達成するか」にあります。その中で私が念頭に置いているのは、「どのような人財とともに目標を実現していくのか」という点です。単なる規模の拡張を追い求めるだけであれば、持続的な発展にはつながりません。外部環境が大きく変化する中で、どのような事業ポートフォリオを描くのか、そして、その事業を担う人財をどう構築していくのかを、今からしっかりと準備していくことが重要だと考えています。当社グループは「儲かるからではなく、世の中の役に立つからやる」という創業者精神を原点に歩んできました。社会課題のあるところに事業機会を見いだし、その解決を通じて企業としての役割を果たしていく。この姿勢がこれまでの成長を支えてきました。この精神を次の世代へ確かにつなぎ、大和ハウスグループらしい成長をこれからも実現し続けてまいります。 今年の一文字「創」に込めた想い、“次の30年”に向けて新たな価値を創り続ける “次の30年”を見据える中で、創業者精神が社員一人ひとりの行動に根付いているのか意識しています。創業者は、常に新しいものを生み出し、世に送り出そうとする強い意志と実行力を持っていました。短期的な成果にとらわれると、過去の延長線上で物事を捉え、本来持つべき新しい発想が生まれにくくなります。だからこそ、原点に立ち返り、変化の時代にふさわしい創造性をもって行動することが求められます。その思いを込めて、2026年の年初に掲げる一文字に、「創」を選びました。「創」には「創見」という言葉が示すとおり、これまでにない新しい価値を生み出す意味があります。創業者の「停滞は後退」という言葉の本質は、現状維持にとどまるのではなく、新たな価値を生み出し続けることこそが大切であるという意味です。また、この「創」には、創業100周年となる2055年を見据えた長期的な価値創造への思いも込めています。過去70年の延長線上で未来を考えるのではなく、“次の30年”に向けて、どのような「未来価値」を築いていくのかを問い続けることが重要です。売上高10兆円の実現においても、“量”だけでなく“質”にこだわっていきたいと考えています。創業100周年、そして売上高10兆円の実現に向けて、私たちは“新たな価値を創り続ける”こと、そして“事業を通じて人を育てる”ことに、これからもこだわり続けます。そうした「大和ハウスらしさ」を大切にしながら、次の時代の成長を切り拓いていきます。 社会課題を起点に、「未来価値」を実装する ※ 大阪・関西万博 「いのちの遊び場 クラゲ館」 ※ 淀屋橋ゲートタワー 当社グループはこれまでも、さまざまな社会課題を起点に、次に生み出すべき「未来価値」を見極め、新たな事業提案や研究開発に取り組み、課題解決に資する技術力を培ってきました。社会の変化を的確に捉え、世の中に求められるものを先んじて形にしていくことは、私たちが大切にしてきた姿勢であり、今後も変わることのない進むべき道だと考えています。私たちは、ハウスメーカー、ゼネコン、デベロッパーの機能を兼ね備えています。社会の変化に応じて、既存事業の枠組みにとらわれず、新たな領域に挑戦してきたことが今日の成長につながっています。こうした枠を超えた挑戦の中にこそ、新たな可能性や次の成長機会があると考えています。この姿勢は今後も変わることなく、社会に必要とされる価値の創出に挑み続けていきます。その一例がデータセンター事業です。データやデジタルインフラは、社会や産業の根幹を支えるものであり、今後その重要性はさらに高まっていきます。データセンター事業の拡大を通じて、安全で安定したデジタル基盤の構築に貢献し、企業活動や社会の持続的な発展を支えていきたいと考えています。こうした価値を確実に実装していくためには、それを支える技術基盤の強化が不可欠です。当社は必要に応じて外部の知見を導入しながら、技術基盤の強化を進めてきました。2013年にフジタがグループ入りしたことで、用地取得からインフラ整備、建物建設までを垂直統合型で推進できる体制が整いました。さらにスーパーゼネコンで社長も務めた村田さんによる指揮のもと、大和ハウス工業単体にとどまらず、グループ全体での技術力の強化も進めており、サプライチェーン全体の技術・ものづくり基盤も着実に強化されています。大阪・関西万博、みなとみらい21中央地区52街区開発事業、淀屋橋ゲートタワーの再開発、大阪マルビルの建替といった大型案件を着実に進められているのも、こうした積み重ねの成果です。そのような中で私たちは、昨年、住友電設をグループに迎え入れたことで、同社が持つ設備分野の技術力と現場力が加わり、当社グループの技術基盤はさらに厚みを増しました。設計段階からの協業によって競争力が高まり、より付加価値の高いプロジェクトへの対応力も強化されると期待しています。また、社会課題への向き合い方は国内にとどまりません。創業者が掲げた「世の中の困り事を解決する」という原点は、国や地域を超えて広げていくべきものです。海外は、当社グループにとって、成長の機会であると同時に、グループの理念を世界へ展開していく場でもあります。東欧における復興支援への取り組みもその一つであり、困難に直面する人々に対し、事業を通じて応えていくことは、当社グループが社会の中で果たすべき使命だと考えています。今後も、既存の枠にとらわれることなく、社会に必要とされる新たな領域に挑戦し続け、「未来価値」の創造に取り組んでいきます。 事業を通じて人を育てる 当社グループが大切にしているのは、社是にも掲げる「事業を通じて人を育てる」という考え方です。“次の30年”を見据えたとき、企業の発展を左右するのは、どのような人財とともに新しい可能性を切り拓いていくかにかかっています。人は、答えを与えられるだけでは成長しません。自ら考え、挑戦し、やり抜く経験を通じてこそ、力を伸ばしていきます。現場の部門に問いを投げ、自ら考えさせ、対話を重ねる。その積み重ねこそが、人財の成長と組織の進化につながります。変化の激しい時代において、新しい価値を生み出す原動力は「人」です。人こそが、企業の成長を支える源泉であり、最大の強みです。当社グループが求めるのは、「挑戦する意欲」「走りながら考える力」「やりきる力」を備えた人財です。そうした人こそが、これからの時代に、新しい可能性を切り拓き、グループ全体の発展を支える存在になると確信しています。 株主・投資家の皆さまへ 私は、資本コストとは「投資家の皆さまが当社に期待するハードル」だと捉えています。私たちは、その期待を上回る価値を生み出し続けられているかを、常に自らに問い続けなければなりません。これは単なる数字の問題ではなく、経営姿勢そのものが問われるテーマだと考えています。株価につきましては、昨年に続き、2026年2月に上場来高値を更新しました。皆さまのご支援に心より感謝申し上げます。株価は経営の現況に対して、市場が当社の戦略や将来性をどう評価しているのかを示すものであり、重要なメッセージであると認識しています。私自身、現在の株価水準に満足しているわけではありません。創業100周年に向けて“次の30年”も創業者の理念を軸に据え、社会課題に正面から向き合い、新たな価値の創造に挑み続けていきます。尚、第8次中期経営計画は、2026年5月の公表を予定していましたが、中東情勢の影響による事業環境の変化を踏まえ、発表を見送っております。環境が整ったのち、改めてご説明させていただく予定です。これからも、皆さまの信頼と期待に応えるべく、持続的な成長と企業価値の向上に全力で取り組んでまいります。今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 <COOメッセージ> 100周年への持続的な成長に向けた中長期的な戦略 代表取締役社長/COO 大友 浩嗣 社長就任から1年を振り返る 2025年は創業70周年の節目や大阪・関西万博など、明るい話題が尽きない年でしたが、年が明けると、世界では想定を超える出来事が相次ぎ、事業環境の不確実性は一段と高まっています。各国の関税政策を巡る動きや中東情勢の緊迫化、物流・エネルギー供給の停滞といった地政学リスクに加え、国内では金利上昇傾向が鮮明となり、「金利のある世界」への対応も不可欠です。為替やエネルギー価格、人件費の上昇など、当社グループ単独ではコントロールが難しい課題も顕在化しており、短期・中期の両面から変化を的確に捉え、先を見据えた経営がますます重要になっています。2025年の社長就任以来、国内の多くの事業所、工場を訪問し、経営計画の進捗に加え、2大本部制の考え方や、現場の業務改善について説明するとともに、若手社員とのミーティングも実施してきました。従業員一人ひとりの声に真摯に耳を傾け、課題に迅速に取り組むとともに、中長期的な戦略についても現場との対話を重ねながら進めていくことが重要だと、あらためて実感しています。 第7次中期経営計画の成果と課題 持続的成長に向けた種まきと基盤整備が奏功し、定量目標を1年前倒しで達成 7次中計で掲げた営業利益5,000億円という大きな節目への確かな手応えを感じています。これは、「創業100周年にあたる2055年に売上高10兆円」という創業者の夢の実現に向けた道筋が、着実に具体化してきたことを示しています。7次中計の定量目標については、売上高と利益の目標を1年前倒しで達成できた一方で、未達となっている項目もあります。これらについては、引き続き責任を持って取り組み、積極的な成長を目指してまいります。7次中計において、将来の成長に向けた「種まき」として注力してきたのは、リブネス事業、非住宅分野における木造・木質化、データセンター事業本部の設立、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンドの運営です。これらの取り組みを通じて、事業ポートフォリオの再構築、ストック型事業の強化、設備投資やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、さらにはカーボンニュートラル戦略の深化など、持続的成長に向けた基盤整備を着実に進めています。 2大本部制への再編による組織の進化 2025年4月に、従来の7事業本部制から「ハウジング・ソリューション本部」と「ビジネス・ソリューション本部」の2大本部制へ移行しました。意思決定の迅速化と全体最適の視点に基づく事業運営・監督機能の強化を目的としており、1年を経て着実に機能し始めています。現在は類似機能の統合や権限移譲、業務移管を進めるとともに、顧客情報や技術の共有を通じて組織横断の連携を強化し、最適なソリューション提供と業務効率化を図っています。また、人財配置の最適化に向けて、収益を生み出す現場への人財シフトと業務変革を進めるとともに、人事評価制度も見直し、2026年度より年間評価へ移行しました。加えて、リーダー層については中長期的視点を重視する仕組みとし、企業価値向上や人財育成を促す文化の定着を目指しています。さらに、2025年10月には経営判断の迅速化と取締役会の役割明確化を目的に経営会議を設置し、業務執行と監督の役割分担を整理しました。これにより、モニタリング型の取締役会への移行を進めています。 今後の成長に向けた挑戦 資産効率を重視した経営の実現 7次中計では海外事業への投資を積極化してきましたが、足元では地政学リスクや政策変化を踏まえ、より慎重な経営判断が求められています。今後は、安定性・レジリエンス・サステナビリティを重視しながら、投資の方向性を見極めていきます。そのうえで、資産効率を意識した成長投資と将来の成長基盤構築、新規事業への挑戦の両立を目指し、資産効率改善や人財育成、生産性向上を通じて事業基盤の強化を進めます。これまで当社は不動産投資を積極的に進めてきましたが、今後は「金利のある世界」への本格的な移行に対応し、バランスシートを強く意識した経営を一層推し進めていく必要があります。そのため現場では、「踏み切り」、「割り切り」、「思い切り」の“三切り”を徹底し、長期滞留資産の資金化を着実に進めています。売れない、活用できないと判断した資産については、過去の意思決定に固執するのではなく、早期に判断し、資金を次の成長に振り向けていく。この資金の回転を高める姿勢こそが、「金利のある世界」において不可欠だと考えています。特に、次世代の経営を担う人財には、チャレンジの結果としての失敗を正しく受け止め、そのうえで「次にどう資金を回すのか」を主体的に考えられる力を身につけてほしいと考えています。あわせて、こうした資産回転率の改善と並行して、原価率の改善にも強い意識を持ち、収益体質の一段の強化に取り組んでいきます。 社会課題を成長の機会と捉え、国内事業の成長につなげる 国内事業については、少子高齢化や都市・地方間格差などの構造変化を成長機会と捉え、地域・事業ごとの状況に応じた戦略見直しを通じて、地域と共生しながら事業展開を進めています。成長を牽引するのは引き続き賃貸住宅、商業施設、事業施設の領域です。賃貸住宅では、オーナーさまの資産価値の最大化やファミリー向け需要の拡大などを踏まえ、お客さまの課題解決を通じた成長を図ります。商業施設・事業施設では、特に半導体関連工場やデータセンターを成長分野と位置づけ、施工技術・ノウハウの蓄積と提案力の強化を進めています。当社は土地情報を起点に多様なアセットを組み合わせ、価値最大化に向けた提案を強みとしており、今後は設備領域まで含めた提案力とグループ連携を強化し、競争優位性を高めていきます。戸建住宅事業については中核事業として再成長を目指し、「工業化」による工場生産比率の向上を通じてコスト競争力と品質の両立を実現します。地域特性に応じた戦略展開を進めるとともに、棟数ではなく一件当たりの価値向上に軸足を置き、収益性の改善を図っていきます。 リブネス事業を通じて顧客LTV、建物LTVの最大化を推進 当社は、2018年に立ち上げた住宅ストック事業「Livness(リブネス)」、2024年より開始した非住宅領域を対象とする「BIZ Livness(ビズ・リブネス)」を通じて、耐震性や環境性能の向上、プランニングの見直しなどにより、建物に社会価値や環境価値を付加し、単なる買取販売にとどまらない形で市場に提供することで、顧客LTV(ライフタイムバリュー)、建物LTVの最大化を目指してきました。「Livness」では、既存住宅であっても、住まい方や機能を進化させることで、さらなる価値向上の余地があると考えています。新築に比べて価格面での優位性を活かしつつ、建物の価値を適切に見極め、次の世代へ住み継いでいく仕組みを整えることで、住宅ストックの循環を促進しています。「BIZ Livness」では、建物再生を本格化しており、物件ごとの用途やニーズに丁寧に向き合い、解体・建替えを前提とするのではなく、改修やリフォームも含めた最適な手法を選択することで、建物価値の最大化を図っています。REITに組み入れた物件の中には築20年前後を迎えるものもあり、タイミングや条件を見極めながら再取得し、価値を高めたうえで再び市場に供給することも視野に入れています。これまでにお住まいを提供してきた200万件超のお客さまとの接点を基盤に、一人ひとりのお客さまの生活に寄り添いながら、建物の再生と循環を推進し、2030年代にはリブネス事業を売上高1兆円規模の事業へと成長させていきます。 創業者の理念を原点に、社会課題の解決を事業成長へ 財務的価値の追求と非財務的価値の最大化は経営の両輪です。当社は、サステナビリティへの取り組みを単なるコストではなく、中長期的な企業価値を創出するための重要な投資と位置付けています。そのため、環境、人財、地域社会といった非財務領域を経営会議や投資判断のプロセスに組み込み、財務指標と一体で管理しています。こうした取り組みは、ブランド価値や事業への信頼を高め、持続的な成長を支える基盤になります。収益性の向上に加え、取引先や地域社会との関係強化、建物LTV向上、脱炭素社会の実現に資する技術開発を進めてきたことが、今日の事業成長につながっています。引き続き、事業成長と財務基盤の強化を進めるとともに、環境分野では「気候変動の緩和と適応」「サーキュラーエコノミー」、社会分野では「人的資本」「地域社会」を重要課題と位置付け、価値創造モデルのさらなる進化を図っていきます。 気候変動の緩和と適応を、事業価値の向上につなげる 「つくる」「つかう」「再生する」を軸に循環を実装 当社では、環境負荷低減への取り組みを事業価値の向上と一体で推進しています。環境対応を付加価値創出の機会と位置付け、定量化・可視化を進めながら、事業活動に組み込み、ZEHやZEBの推進に加え、商品や建築資材における温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。国内ではモニタリング体制の整備がおおむね完了し、サプライチェーン全体での把握も進んでいます。海外については、各国・地域の事情を踏まえながら、最適なモニタリング手法の構築を進めていきます。「サーキュラーエコノミー」では、「つくる」「つかう」「再生する」をキーワードに取り組みを進めています。「つくる」では、新築建物の建設時に使用する主要建材への再生材活用を推進しています。「つかう」では、買取販売や保証延長工事などを通じて建物の長寿命化を図るとともに、資源投入量の削減効果の可視化を進めています。「再生する」では、当社グループの生産・新築・改修・解体の各現場から発生する廃棄物のうち、特に廃プラスチック類を対象にマテリアルリサイクル※を推進し、資源循環の高度化を図っています。こうした環境・資源循環の取り組みを進める上で、着目しているのが木材の活用です。当社では「Future with Wood」プロジェクトを通じて、木材の持つ環境価値や可能性を建築にどう生かすかを検討し、技術、設計、施工、サプライチェーンの体制整備を進めてきました。当社が開発に携わった3作品が「ウッドデザイン賞2025」を受賞するなど、木の特性を生かした提案も増えつつあります。耐火性や耐震性の面で鉄骨が優れている点もあるため、当社では木質化によるハイブリッド建築にも注力しています。なお、素材技術の進展により、木造でも高い耐火性能を備えた建築が可能となり、活用の幅は着実に広がっています。能登半島の復興支援では、地産地消の木材や大阪・関西万博で使用した木材を活用した木造復興住宅の建設を進め、地域課題への対応と事業価値の向上を両立する取り組みとして位置付けています。今後は、各事業本部およびグループ会社において、バリューチェーン全体の中でどのように循環を実装していくかを検討し、再生と循環の最適なバランスを追求していきます。※廃棄物を新しい製品の原料として再利用するリサイクル方法。 株主・投資家の皆さまへ 当社の企業価値への理解を深めていただくため、対話を重ねる 株式市場では、世界的な不確実性の高まりを背景に、株価の変動が大きい状況が続いています。当社では、株価は事業活動のみならず外部環境や投資家心理など多様な要因に左右されるものであり、一時点の株価が企業の本質的価値を示すものではないと考えています。一方で、PBRをはじめとする市場評価は、投資家からの重要なメッセージとして真摯に受け止め、経営改善や成長戦略の高度化につなげていきます。当社は多様な事業を展開しており、その構成について市場でさまざまな見方がある一方、各事業が相互に補完しながら成長してきた点に独自性があります。私は、事業構造改革において、個別課題への対応とグループ全体の価値向上の双方を重視していきたいと考えています。今後も、事業間のシナジーや変革の進捗を丁寧に説明し、対話を通じて当社の価値創造への理解を深めていただけるよう努めていきます。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 <CEOメッセージ> 「未来価値」を創造し、グローバルで社会課題の解決に挑戦する。創業者精神を継承し、『創見』を生み出し続ける企業グループへ。 代表取締役会長/CEO 芳井 敬一 売上高10兆円に向けた道筋 ―“次の30年”の考え方 昨年2025年4月、大和ハウスグループは創業70周年を迎え、100周年まで残すところ30年となりました。これから30年の成長のあり方を具体的な構想に落とし込み、確かな道筋として示す段階に入ってきています。今、私が常に考えているのは、売上高10兆円をどのようなシナリオで実現するのか、そして当社グループはどのような姿でその時を迎えるべきか、ということです。売上高10兆円は一つの節目です。重要なのは、“達成そのもの”ではなく、「どのように達成するか」にあります。その中で私が念頭に置いているのは、「どのような人財とともに目標を実現していくのか」という点です。単なる規模の拡張を追い求めるだけであれば、持続的な発展にはつながりません。外部環境が大きく変化する中で、どのような事業ポートフォリオを描くのか、そして、その事業を担う人財をどう構築していくのかを、今からしっかりと準備していくことが重要だと考えています。当社グループは「儲かるからではなく、世の中の役に立つからやる」という創業者精神を原点に歩んできました。社会課題のあるところに事業機会を見いだし、その解決を通じて企業としての役割を果たしていく。この姿勢がこれまでの成長を支えてきました。この精神を次の世代へ確かにつなぎ、大和ハウスグループらしい成長をこれからも実現し続けてまいります。 今年の一文字「創」に込めた想い、“次の30年”に向けて新たな価値を創り続ける “次の30年”を見据える中で、創業者精神が社員一人ひとりの行動に根付いているのか意識しています。創業者は、常に新しいものを生み出し、世に送り出そうとする強い意志と実行力を持っていました。短期的な成果にとらわれると、過去の延長線上で物事を捉え、本来持つべき新しい発想が生まれにくくなります。だからこそ、原点に立ち返り、変化の時代にふさわしい創造性をもって行動することが求められます。その思いを込めて、2026年の年初に掲げる一文字に、「創」を選びました。「創」には「創見」という言葉が示すとおり、これまでにない新しい価値を生み出す意味があります。創業者の「停滞は後退」という言葉の本質は、現状維持にとどまるのではなく、新たな価値を生み出し続けることこそが大切であるという意味です。また、この「創」には、創業100周年となる2055年を見据えた長期的な価値創造への思いも込めています。過去70年の延長線上で未来を考えるのではなく、“次の30年”に向けて、どのような「未来価値」を築いていくのかを問い続けることが重要です。売上高10兆円の実現においても、“量”だけでなく“質”にこだわっていきたいと考えています。創業100周年、そして売上高10兆円の実現に向けて、私たちは“新たな価値を創り続ける”こと、そして“事業を通じて人を育てる”ことに、これからもこだわり続けます。そうした「大和ハウスらしさ」を大切にしながら、次の時代の成長を切り拓いていきます。 社会課題を起点に、「未来価値」を実装する ※ 大阪・関西万博 「いのちの遊び場 クラゲ館」 ※ 淀屋橋ゲートタワー 当社グループはこれまでも、さまざまな社会課題を起点に、次に生み出すべき「未来価値」を見極め、新たな事業提案や研究開発に取り組み、課題解決に資する技術力を培ってきました。社会の変化を的確に捉え、世の中に求められるものを先んじて形にしていくことは、私たちが大切にしてきた姿勢であり、今後も変わることのない進むべき道だと考えています。私たちは、ハウスメーカー、ゼネコン、デベロッパーの機能を兼ね備えています。社会の変化に応じて、既存事業の枠組みにとらわれず、新たな領域に挑戦してきたことが今日の成長につながっています。こうした枠を超えた挑戦の中にこそ、新たな可能性や次の成長機会があると考えています。この姿勢は今後も変わることなく、社会に必要とされる価値の創出に挑み続けていきます。その一例がデータセンター事業です。データやデジタルインフラは、社会や産業の根幹を支えるものであり、今後その重要性はさらに高まっていきます。データセンター事業の拡大を通じて、安全で安定したデジタル基盤の構築に貢献し、企業活動や社会の持続的な発展を支えていきたいと考えています。こうした価値を確実に実装していくためには、それを支える技術基盤の強化が不可欠です。当社は必要に応じて外部の知見を導入しながら、技術基盤の強化を進めてきました。2013年にフジタがグループ入りしたことで、用地取得からインフラ整備、建物建設までを垂直統合型で推進できる体制が整いました。さらにスーパーゼネコンで社長も務めた村田さんによる指揮のもと、大和ハウス工業単体にとどまらず、グループ全体での技術力の強化も進めており、サプライチェーン全体の技術・ものづくり基盤も着実に強化されています。大阪・関西万博、みなとみらい21中央地区52街区開発事業、淀屋橋ゲートタワーの再開発、大阪マルビルの建替といった大型案件を着実に進められているのも、こうした積み重ねの成果です。そのような中で私たちは、昨年、住友電設をグループに迎え入れたことで、同社が持つ設備分野の技術力と現場力が加わり、当社グループの技術基盤はさらに厚みを増しました。設計段階からの協業によって競争力が高まり、より付加価値の高いプロジェクトへの対応力も強化されると期待しています。また、社会課題への向き合い方は国内にとどまりません。創業者が掲げた「世の中の困り事を解決する」という原点は、国や地域を超えて広げていくべきものです。海外は、当社グループにとって、成長の機会であると同時に、グループの理念を世界へ展開していく場でもあります。東欧における復興支援への取り組みもその一つであり、困難に直面する人々に対し、事業を通じて応えていくことは、当社グループが社会の中で果たすべき使命だと考えています。今後も、既存の枠にとらわれることなく、社会に必要とされる新たな領域に挑戦し続け、「未来価値」の創造に取り組んでいきます。 事業を通じて人を育てる 当社グループが大切にしているのは、社是にも掲げる「事業を通じて人を育てる」という考え方です。“次の30年”を見据えたとき、企業の発展を左右するのは、どのような人財とともに新しい可能性を切り拓いていくかにかかっています。人は、答えを与えられるだけでは成長しません。自ら考え、挑戦し、やり抜く経験を通じてこそ、力を伸ばしていきます。現場の部門に問いを投げ、自ら考えさせ、対話を重ねる。その積み重ねこそが、人財の成長と組織の進化につながります。変化の激しい時代において、新しい価値を生み出す原動力は「人」です。人こそが、企業の成長を支える源泉であり、最大の強みです。当社グループが求めるのは、「挑戦する意欲」「走りながら考える力」「やりきる力」を備えた人財です。そうした人こそが、これからの時代に、新しい可能性を切り拓き、グループ全体の発展を支える存在になると確信しています。 株主・投資家の皆さまへ 私は、資本コストとは「投資家の皆さまが当社に期待するハードル」だと捉えています。私たちは、その期待を上回る価値を生み出し続けられているかを、常に自らに問い続けなければなりません。これは単なる数字の問題ではなく、経営姿勢そのものが問われるテーマだと考えています。株価につきましては、昨年に続き、2026年2月に上場来高値を更新しました。皆さまのご支援に心より感謝申し上げます。株価は経営の現況に対して、市場が当社の戦略や将来性をどう評価しているのかを示すものであり、重要なメッセージであると認識しています。私自身、現在の株価水準に満足しているわけではありません。創業100周年に向けて“次の30年”も創業者の理念を軸に据え、社会課題に正面から向き合い、新たな価値の創造に挑み続けていきます。尚、第8次中期経営計画は、2026年5月の公表を予定していましたが、中東情勢の影響による事業環境の変化を踏まえ、発表を見送っております。環境が整ったのち、改めてご説明させていただく予定です。これからも、皆さまの信頼と期待に応えるべく、持続的な成長と企業価値の向上に全力で取り組んでまいります。今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 <COOメッセージ> 100周年への持続的な成長に向けた中長期的な戦略 代表取締役社長/COO 大友 浩嗣 社長就任から1年を振り返る 2025年は創業70周年の節目や大阪・関西万博など、明るい話題が尽きない年でしたが、年が明けると、世界では想定を超える出来事が相次ぎ、事業環境の不確実性は一段と高まっています。各国の関税政策を巡る動きや中東情勢の緊迫化、物流・エネルギー供給の停滞といった地政学リスクに加え、国内では金利上昇傾向が鮮明となり、「金利のある世界」への対応も不可欠です。為替やエネルギー価格、人件費の上昇など、当社グループ単独ではコントロールが難しい課題も顕在化しており、短期・中期の両面から変化を的確に捉え、先を見据えた経営がますます重要になっています。2025年の社長就任以来、国内の多くの事業所、工場を訪問し、経営計画の進捗に加え、2大本部制の考え方や、現場の業務改善について説明するとともに、若手社員とのミーティングも実施してきました。従業員一人ひとりの声に真摯に耳を傾け、課題に迅速に取り組むとともに、中長期的な戦略についても現場との対話を重ねながら進めていくことが重要だと、あらためて実感しています。 第7次中期経営計画の成果と課題 持続的成長に向けた種まきと基盤整備が奏功し、定量目標を1年前倒しで達成 7次中計で掲げた営業利益5,000億円という大きな節目への確かな手応えを感じています。これは、「創業100周年にあたる2055年に売上高10兆円」という創業者の夢の実現に向けた道筋が、着実に具体化してきたことを示しています。7次中計の定量目標については、売上高と利益の目標を1年前倒しで達成できた一方で、未達となっている項目もあります。これらについては、引き続き責任を持って取り組み、積極的な成長を目指してまいります。7次中計において、将来の成長に向けた「種まき」として注力してきたのは、リブネス事業、非住宅分野における木造・木質化、データセンター事業本部の設立、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンドの運営です。これらの取り組みを通じて、事業ポートフォリオの再構築、ストック型事業の強化、設備投資やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、さらにはカーボンニュートラル戦略の深化など、持続的成長に向けた基盤整備を着実に進めています。 2大本部制への再編による組織の進化 2025年4月に、従来の7事業本部制から「ハウジング・ソリューション本部」と「ビジネス・ソリューション本部」の2大本部制へ移行しました。意思決定の迅速化と全体最適の視点に基づく事業運営・監督機能の強化を目的としており、1年を経て着実に機能し始めています。現在は類似機能の統合や権限移譲、業務移管を進めるとともに、顧客情報や技術の共有を通じて組織横断の連携を強化し、最適なソリューション提供と業務効率化を図っています。また、人財配置の最適化に向けて、収益を生み出す現場への人財シフトと業務変革を進めるとともに、人事評価制度も見直し、2026年度より年間評価へ移行しました。加えて、リーダー層については中長期的視点を重視する仕組みとし、企業価値向上や人財育成を促す文化の定着を目指しています。さらに、2025年10月には経営判断の迅速化と取締役会の役割明確化を目的に経営会議を設置し、業務執行と監督の役割分担を整理しました。これにより、モニタリング型の取締役会への移行を進めています。 今後の成長に向けた挑戦 資産効率を重視した経営の実現 7次中計では海外事業への投資を積極化してきましたが、足元では地政学リスクや政策変化を踏まえ、より慎重な経営判断が求められています。今後は、安定性・レジリエンス・サステナビリティを重視しながら、投資の方向性を見極めていきます。そのうえで、資産効率を意識した成長投資と将来の成長基盤構築、新規事業への挑戦の両立を目指し、資産効率改善や人財育成、生産性向上を通じて事業基盤の強化を進めます。これまで当社は不動産投資を積極的に進めてきましたが、今後は「金利のある世界」への本格的な移行に対応し、バランスシートを強く意識した経営を一層推し進めていく必要があります。そのため現場では、「踏み切り」、「割り切り」、「思い切り」の“三切り”を徹底し、長期滞留資産の資金化を着実に進めています。売れない、活用できないと判断した資産については、過去の意思決定に固執するのではなく、早期に判断し、資金を次の成長に振り向けていく。この資金の回転を高める姿勢こそが、「金利のある世界」において不可欠だと考えています。特に、次世代の経営を担う人財には、チャレンジの結果としての失敗を正しく受け止め、そのうえで「次にどう資金を回すのか」を主体的に考えられる力を身につけてほしいと考えています。あわせて、こうした資産回転率の改善と並行して、原価率の改善にも強い意識を持ち、収益体質の一段の強化に取り組んでいきます。 社会課題を成長の機会と捉え、国内事業の成長につなげる 国内事業については、少子高齢化や都市・地方間格差などの構造変化を成長機会と捉え、地域・事業ごとの状況に応じた戦略見直しを通じて、地域と共生しながら事業展開を進めています。成長を牽引するのは引き続き賃貸住宅、商業施設、事業施設の領域です。賃貸住宅では、オーナーさまの資産価値の最大化やファミリー向け需要の拡大などを踏まえ、お客さまの課題解決を通じた成長を図ります。商業施設・事業施設では、特に半導体関連工場やデータセンターを成長分野と位置づけ、施工技術・ノウハウの蓄積と提案力の強化を進めています。当社は土地情報を起点に多様なアセットを組み合わせ、価値最大化に向けた提案を強みとしており、今後は設備領域まで含めた提案力とグループ連携を強化し、競争優位性を高めていきます。戸建住宅事業については中核事業として再成長を目指し、「工業化」による工場生産比率の向上を通じてコスト競争力と品質の両立を実現します。地域特性に応じた戦略展開を進めるとともに、棟数ではなく一件当たりの価値向上に軸足を置き、収益性の改善を図っていきます。 リブネス事業を通じて顧客LTV、建物LTVの最大化を推進 当社は、2018年に立ち上げた住宅ストック事業「Livness(リブネス)」、2024年より開始した非住宅領域を対象とする「BIZ Livness(ビズ・リブネス)」を通じて、耐震性や環境性能の向上、プランニングの見直しなどにより、建物に社会価値や環境価値を付加し、単なる買取販売にとどまらない形で市場に提供することで、顧客LTV(ライフタイムバリュー)、建物LTVの最大化を目指してきました。「Livness」では、既存住宅であっても、住まい方や機能を進化させることで、さらなる価値向上の余地があると考えています。新築に比べて価格面での優位性を活かしつつ、建物の価値を適切に見極め、次の世代へ住み継いでいく仕組みを整えることで、住宅ストックの循環を促進しています。「BIZ Livness」では、建物再生を本格化しており、物件ごとの用途やニーズに丁寧に向き合い、解体・建替えを前提とするのではなく、改修やリフォームも含めた最適な手法を選択することで、建物価値の最大化を図っています。REITに組み入れた物件の中には築20年前後を迎えるものもあり、タイミングや条件を見極めながら再取得し、価値を高めたうえで再び市場に供給することも視野に入れています。これまでにお住まいを提供してきた200万件超のお客さまとの接点を基盤に、一人ひとりのお客さまの生活に寄り添いながら、建物の再生と循環を推進し、2030年代にはリブネス事業を売上高1兆円規模の事業へと成長させていきます。 創業者の理念を原点に、社会課題の解決を事業成長へ 財務的価値の追求と非財務的価値の最大化は経営の両輪です。当社は、サステナビリティへの取り組みを単なるコストではなく、中長期的な企業価値を創出するための重要な投資と位置付けています。そのため、環境、人財、地域社会といった非財務領域を経営会議や投資判断のプロセスに組み込み、財務指標と一体で管理しています。こうした取り組みは、ブランド価値や事業への信頼を高め、持続的な成長を支える基盤になります。収益性の向上に加え、取引先や地域社会との関係強化、建物LTV向上、脱炭素社会の実現に資する技術開発を進めてきたことが、今日の事業成長につながっています。引き続き、事業成長と財務基盤の強化を進めるとともに、環境分野では「気候変動の緩和と適応」「サーキュラーエコノミー」、社会分野では「人的資本」「地域社会」を重要課題と位置付け、価値創造モデルのさらなる進化を図っていきます。 気候変動の緩和と適応を、事業価値の向上につなげる 「つくる」「つかう」「再生する」を軸に循環を実装 当社では、環境負荷低減への取り組みを事業価値の向上と一体で推進しています。環境対応を付加価値創出の機会と位置付け、定量化・可視化を進めながら、事業活動に組み込み、ZEHやZEBの推進に加え、商品や建築資材における温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。国内ではモニタリング体制の整備がおおむね完了し、サプライチェーン全体での把握も進んでいます。海外については、各国・地域の事情を踏まえながら、最適なモニタリング手法の構築を進めていきます。「サーキュラーエコノミー」では、「つくる」「つかう」「再生する」をキーワードに取り組みを進めています。「つくる」では、新築建物の建設時に使用する主要建材への再生材活用を推進しています。「つかう」では、買取販売や保証延長工事などを通じて建物の長寿命化を図るとともに、資源投入量の削減効果の可視化を進めています。「再生する」では、当社グループの生産・新築・改修・解体の各現場から発生する廃棄物のうち、特に廃プラスチック類を対象にマテリアルリサイクル※を推進し、資源循環の高度化を図っています。こうした環境・資源循環の取り組みを進める上で、着目しているのが木材の活用です。当社では「Future with Wood」プロジェクトを通じて、木材の持つ環境価値や可能性を建築にどう生かすかを検討し、技術、設計、施工、サプライチェーンの体制整備を進めてきました。当社が開発に携わった3作品が「ウッドデザイン賞2025」を受賞するなど、木の特性を生かした提案も増えつつあります。耐火性や耐震性の面で鉄骨が優れている点もあるため、当社では木質化によるハイブリッド建築にも注力しています。なお、素材技術の進展により、木造でも高い耐火性能を備えた建築が可能となり、活用の幅は着実に広がっています。能登半島の復興支援では、地産地消の木材や大阪・関西万博で使用した木材を活用した木造復興住宅の建設を進め、地域課題への対応と事業価値の向上を両立する取り組みとして位置付けています。今後は、各事業本部およびグループ会社において、バリューチェーン全体の中でどのように循環を実装していくかを検討し、再生と循環の最適なバランスを追求していきます。※廃棄物を新しい製品の原料として再利用するリサイクル方法。 株主・投資家の皆さまへ 当社の企業価値への理解を深めていただくため、対話を重ねる 株式市場では、世界的な不確実性の高まりを背景に、株価の変動が大きい状況が続いています。当社では、株価は事業活動のみならず外部環境や投資家心理など多様な要因に左右されるものであり、一時点の株価が企業の本質的価値を示すものではないと考えています。一方で、PBRをはじめとする市場評価は、投資家からの重要なメッセージとして真摯に受け止め、経営改善や成長戦略の高度化につなげていきます。当社は多様な事業を展開しており、その構成について市場でさまざまな見方がある一方、各事業が相互に補完しながら成長してきた点に独自性があります。私は、事業構造改革において、個別課題への対応とグループ全体の価値向上の双方を重視していきたいと考えています。今後も、事業間のシナジーや変革の進捗を丁寧に説明し、対話を通じて当社の価値創造への理解を深めていただけるよう努めていきます。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。 1.財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における世界経済は、主要国を中心に緩やかな成長基調で推移したものの、通商政策の動向に加え、2026年2月以降の中東情勢の悪化等の地政学リスクにより、先行き不透明な状況が継続しました。わが国経済においては、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費は底堅く推移した一方、物価上昇や金利動向、為替変動等の影響から、本格的な回復にはなお時間を要する状況となりました。国内の住宅市場においては、2025年4月から2026年3月の累計新設住宅着工戸数は、持家、貸家及び分譲住宅が減少し、全体として前年比マイナスとなりました。一般建設市場では、建築着工床面積において、事務所、店舗、工場及び倉庫が減少し、全体として前年比マイナスとなりました。このような事業環境の中、当連結会計年度における売上高は5,576,861百万円(前連結会計年度比2.6%増)、営業利益は614,879百万円(前連結会計年度比12.6%増)、経常利益は571,971百万円(前連結会計年度比10.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は350,568百万円(前連結会計年度比7.8%増)となり、第7次中期経営計画において最終年度として計画していた2027年3月期の売上高及び営業利益目標を1年前倒しで達成いたしました。なお、上記の営業利益には退職給付数理差異等償却益115,675百万円を含んでおり、数理差異等を除いた営業利益は499,203百万円(前連結会計年度比12.2%増)となりました。 セグメント別の概況は次のとおりです。 当事業の売上高は1,342,252百万円(前連結会計年度比17.3%増)、営業利益は155,696百万円(前連結会計年度比123.0%増)となりました。国内では、自由設計と規格住宅のメリットを組み合わせた「Smart Made Housing.」の拡販及び各種販売キャンペーンの効果もあり、注文住宅及び分譲住宅ともに販売戸数が増加いたしました。さらに、リブネス事業におけるリフォームや買取販売事業も業績に寄与いたしました。なお、2026年2月にAIによる住宅プラン提案ツール「AIプランコンシェルジュ ver.2」の機能を強化するなど、設計効率化の取組みを通じて、提案力及び事業基盤の強化を進めております。海外では、米国における販売コミュニティの拡大や販売施策の強化により、累計受注・引渡戸数は前年比で増加いたしました。また、2025年10月末に実施した大型土地売却も業績に寄与いたしました。 当事業の売上高は1,429,273百万円(前連結会計年度比3.9%増)、営業利益は141,142百万円(前連結会計年度比8.6%増)となりました。賃貸住宅事業では、賃貸住宅の開発・管理・運営を通じて、オーナー様の資産価値向上に資する賃貸住宅経営の提案及びサポートを行いました。また、環境負荷低減に貢献する省エネ・創エネに対応したZEH-M物件の普及を進めました。大和リビング株式会社では、賃貸住宅「D-ROOM」の提供に加え、設備更新等を通じた住環境の向上に取組み、管理戸数の拡大と安定的な入居率を維持いたしました。大和ハウス賃貸リフォーム株式会社では、当社施工の賃貸住宅における定期点検や診断を通じたリレーションの強化を図り、保証延長工事やリノベーション提案を推進いたしました。海外では、2024年11月に持分法適用関連会社となったAlliance Residential Companyと、賃貸住宅開発に関する連携を進め、第一弾として、2026年2月より、米国テキサス州セリーナにおいて414戸の賃貸住宅開発「Prose Ownsby Farms(プロウズ・オウンズビー・ファームズ)」を着工いたしました。 当事業の売上高は279,622百万円(前連結会計年度比3.8%増)、営業利益は5,993百万円(前連結会計年度比45.1%減)となりました。これは、分譲マンションの引渡戸数が前年を下回ったことなどが主な要因です。マンション事業では、首都圏及び地方中核都市を中心に新築分譲マンションの販売を行いました。2026年2月より販売を開始した「プレミストタワー船橋」(千葉県)及び「プレミストタワー大分」については、駅前立地や複合開発といった特性が評価され、販売は概ね順調に推移いたしました。また、大和ライフネクスト株式会社では、マンション管理戸数が順調に増加しております。法人向け賃貸社員寮「エルプレイス」シリーズでは、77棟目となる「エルプレイス反町」(神奈川県)を開業するなど、事業は堅調に推移いたしました。 当事業の売上高は1,290,192百万円(前連結会計年度比5.1%増)、営業利益は162,492百万円(前連結会計年度比11.4%増)となりました。商業施設事業では、大型物件への取組み強化に加え、当社で土地を取得し、開発企画からテナントリーシング、設計・施工まで一体的に行った物件の分譲事業や、事業用施設の買取販売事業が増収増益に寄与いたしました。2026年1月には、オフィス・店舗・立体駐車場の複合施設である「d_ll HIROSHIMA(ディール広島)」が竣工し、オフィスは中四国最大級の規模となっております。また、大和リース株式会社では、宇都宮市中央卸売市場の跡地を活用した商業施設「フレスポうつのみや市場」や、Park-PFIを活用した総合公園「アークタウン宇都宮」を開業いたしました。大和ハウスリアルティマネジメント株式会社の都市型ホテル事業では、平均稼働率は前年比で増加したほか、高単価販売を戦略的に推進した結果、ADR(※1)及びRevPAR(※2)は前年比で増加いたしました。※1 客室平均単価。※2 販売可能客室1室当たり売上。 当事業の売上高は1,189,808百万円(前連結会計年度比13.1%減)、営業利益は127,645百万円(前連結会計年度比20.0%減)となりました。これは、開発物件売却の減少が主な要因です。物流施設関連では、「DPL埼玉深谷」及び「DPL静岡袋井」を着工いたしました。医療介護・R&D施設関連では、介護施設を中核とした複合施設「D-Medicare+名古屋一社」及び法人向け社員寮が竣工いたしました。事務所・工場等の拠点サポート関連では、大型案件の受注が堅調に推移し、自動車部品工場、冷凍冷蔵倉庫、船舶用部品工場等の案件に着手いたしました。リブネス事業では、既存物件の売却及び新規物件の取得を行い、資産の入替えを進めました。プロパティマネジメント事業では、大和ハウスプロパティマネジメント株式会社が物流施設等4棟で新規プロパティマネジメント契約を締結し、2026年3月末時点の管理棟数は269棟、管理面積は約1,124万㎡となりました。ロジスティクスサービス事業を展開するダイワロジテックグループでは、顧客企業のDX投資を背景にIT事業を中心とした受注が堅調に推移いたしました。また、大和物流株式会社では「物流の2030年問題」への対応の一環として、外部パートナーが開発するレベル2自動運転トラックの商用運行を開始したほか、若松梱包運輸倉庫株式会社において新規顧客の獲得が進み、物流センター稼働率が上昇いたしました。海外では、米国の「Blue Ridge Commerce Center」及びマレーシアの「DPL Malaysia Ⅲ」において、リーシング活動を進めました。 当事業の売上高は133,136百万円(前連結会計年度比1.5%増)、営業利益は13,835百万円(前連結会計年度比11.4%増)となりました。環境エネルギー事業では、EPC事業、PPS事業及びIPP事業の3事業を展開しております。EPC事業では、オフサイトPPA(※)及びオンサイトPPAの拡大により、再生可能エネルギー導入ニーズを着実に取り込みました。オフサイトPPAについては、2026年3月末時点で104ヶ所・152MWを運営しております。PPS事業では、電力卸売市場におけるスポット価格が安定的に推移したことに加え、常時バックアップの運用等により収益性が向上いたしました。IPP事業では、太陽光発電を中心に、風力発電及び水力発電を含む発電所を全国で825ヶ所運営しており、発電出力は1,046MWとなりました(2026年3月末日現在)。また、新たな取組みとして、蓄電所ビジネスへの参入に向け、当社九州工場において系統用蓄電所の実証事業を進めており、工事は完了し、2026年8月の運転開始を予定しております。海外では、タイにおいて、WHA Corporationとの合弁会社により、海外初となるオンサイトPPA案件が運転を開始いたしました。※ Power Purchase Agreement(パワー・パーチェス・アグリーメント)の略。電力購入契約。 (注) 各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものです。(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。) 2.キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加189,277百万円、投資活動による資金の減少726,053百万円、財務活動による資金の増加631,058百万円等により、あわせて97,633百万円増加いたしました。この結果、当連結会計年度末には424,588百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において営業活動による資金の増加は189,277百万円(前連結会計年度比55.0%減)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益を542,449百万円計上したものの、販売用不動産の取得や法人税等の支払いを行ったことによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において投資活動による資金の減少は726,053百万円(前連結会計年度は493,370百万円の減少)となりました。これは、主に大規模物流施設や商業施設等の有形固定資産の取得を行ったことや、住友電設株式会社を連結子会社化するために実施した株式取得等の支出によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において財務活動による資金の増加は631,058百万円(前連結会計年度は44,682百万円の減少)となりました。これは、主に株主配当金の支払いを行ったものの、借入やコマーシャル・ペーパーの発行による資金調達を行ったことによるものです。 3.生産、受注及び販売の実績① 生産実績当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。 ② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称受注高(百万円)前期増減率 (%)受注残高(百万円)前期増減率 (%)戸建住宅1,359,76020.4325,92610.3賃貸住宅1,388,375△0.2167,866△18.3マンション304,57717.1116,99739.4商業施設1,338,1095.5310,08621.6事業施設1,210,0166.51,120,47734.3環境エネルギー104,89925.718,901-その他28,18511.940-計5,733,9248.32,060,29623.0 (注) 各セグメントの金額は外部顧客への受注高・受注残高を表示しております。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額 (百万円)前期増減率 (%)戸建住宅1,334,83117.6賃貸住宅1,426,0943.8マンション271,5024.1商業施設1,283,0625.0事業施設1,146,215△14.0環境エネルギー87,0091.2その他28,14611.7合計5,576,8612.6 (注) 1.各セグメントの金額は外部顧客への売上高を表示しております。(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)2.総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。 (参考)提出会社個別の事業の状況は次のとおりです。受注高、売上高及び繰越高期別部門別前期繰越高(百万円)当期受注高(百万円)計(百万円)当期売上高(百万円)次期繰越高(百万円)第86期自 2024年4月1日至 2025年3月31日建築請負部門522,6661,043,7011,566,3671,056,628509,739不動産事業部門160,8821,041,0301,201,9121,015,938185,974その他事業部門-77,40777,40777,407-計683,5482,162,1382,845,6872,149,973695,713第87期自 2025年4月1日至 2026年3月31日建築請負部門509,7391,167,9891,677,7291,058,147619,582不動産事業部門185,9741,085,2611,271,2351,083,652187,583その他事業部門-86,32186,32186,321-計695,7132,339,5723,035,2862,228,120807,165 (注) 1.損益計算書においては、建築請負部門は「完成工事高」、不動産事業部門は「不動産事業売上高」、その他事業部門は「その他の売上高」として表示しております。2.前期以前に受注したもので契約の更改により金額に変更あるものについては、当期受注高及び当期売上高にその増減を含めております。3.次期繰越高は(前期繰越高+当期受注高-当期売上高)です。 4.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 <CFOメッセージ> 市場変化を先読みしたビジネスモデルの変革により持続的な成長を実現 代表取締役副社長/CFO 香曽我部 武 ビジネスモデルを変革し、第7次中期経営計画の目標を1年前倒しで達成当社は1955年の創業以来、社会のお困りごとに対応することで事業領域を拡げながら、着実な成長を重ねてきました。創業40周年にあたる1995年に売上高1兆円を達成し、その後も2012年に2兆円、2015年に3兆円、2018年には4兆円と、2010年代以降はとりわけ力強い成長軌道を描いてまいりました。2022年より開始した第7次中期経営計画の期間においては、コロナ禍の影響に加え、資材価格の高騰や米国戸建住宅事業における住宅ローン金利の高止まりなど、事業環境は決して平坦ではありませんでしたが、掲げた売上高・営業利益目標を1年前倒しで達成することができました。当社グループが持つ「数字にコミットする力」や「右肩上がりの成長を愚直に追求する姿勢」が着実に発揮された結果であると考えています。加えて、当社が力強い成長を実現できた大きな要因の一つが、ビジネスモデルの変革です。賃貸住宅事業や商業施設事業は、土地オーナーさまからのご依頼を受けて建物を建設する「請負事業」が中心ですが、近年は戦略の一環として、土地の取得から、開発、販売までを一貫して手がける「分譲事業」を拡大させています。賃貸住宅事業では、土地を保有していない資産家の方に対しても賃貸住宅の提案ができるようになり、商業施設事業においては、首都圏や主要地方都市におけるオフィスの開発や、インバウンド需要を捉えたアパートメントホテルの開発等にも取り組んでいます。これらの取り組みは、当社が有する土地情報力や将来需要を読む先見性、そして事業化を着実に進める実行力を背景に進展してきました。自社のバランスシートを戦略的に活用することで、新たな潜在顧客へのアプローチが可能となり、市場ニーズに即した提案活動へと広がっています。こうした変化を牽引する現場の姿に、当社グループの実行力と成長意欲の高さをあらためて感じています。今後も請負事業との適切なバランスを図りながら、資金効率と成長の両立を目指していきます。 現在のバランスシートに関する認識分譲事業の拡大等もあり、足元の総資産は8兆4千億円にまで拡大しており、その過半を占める不動産については、回転率の向上に向けた、滞留資産の圧縮や収益性のモニタリング強化等、不動産管理の一層の強化が必要であると考えています。米国戸建住宅事業の拡大や国内での分譲事業拡大に伴い、販売用不動産が増加していること自体は、必ずしも問題ではありませんが、重要なのは、残高の拡大に見合う回収が行われているか、という点です。事業や地域ごとにパフォーマンスの差はありますが、全ての事業において、回転率や保有不動産の内容を継続的にモニタリングし、残高と回収が適切なバランスとなるようコントロールしていきます。投資不動産については、不動産の質的な見極めの重要性が一段と高まっていると認識しており、現在保有している、または開発を検討している不動産が、社会から求められる不動産なのか、長期的に安定した収益が見込めるかといった点について、市況を注視しながら、現場と対話を重ねつつ管理を徹底していきます。現在の不動産残高が総資産の過半を占める状態は、価格下落をはじめとした様々なリスクを内包すると認識しており、2026年4月には、グループ全体のアセットマネジメント機能の強化等を目的として、アセットマネジメント戦略本部準備室を新設しました。今後は回転率の改善等を通じて、より安心感のあるバランスシートへと近づけていきたいと考えています。 「眠っている間も金利は働く」創業者の教えを現在の従業員へ 事業環境変動に伴うリスクとその対応~金利上昇の影響について~我々の事業は金利動向の影響を受けやすく、金利が上昇した場合には、住宅ローンを活用されるお客さまの購買意欲の低下や、不動産開発におけるキャップレートの上昇、有利子負債に係る支払利息の増加など、さまざまなリスクが生じる可能性があります。国内においては、現時点では住宅ローン金利上昇における顧客の購買意欲の低下は顕在化しておらず、資金調達についてもかねてより固定金利調達を進めており、足元での影響は限定的です。また、不動産開発の規模が拡大する中、金利の上昇に伴うキャップレートの上昇を危惧しておりましたが、金利上昇を見据え、不動産開発のハードルレートの見直しなどを先行して進めてきたことが功を奏し、現時点で業績に対して顕著な下押し要因となる影響は出ていません。しかし、持続的な成長を実現するためには、引き続き、金利上昇によるリスクを的確に認識しつつ、継続的に対策を講じていくこと、そして従業員一人ひとりが金利を意識した行動をより一層徹底していくことが重要であると考えています。 従業員一人一人が金利を意識した行動をしていくために創業者である石橋信夫は、「眠っている間も金利は働く」という言葉を用いて、金利を意識することの重要性を私たちに説き続けていました。現在の従業員には、長期にわたる低金利環境の中で入社した世代もおり、創業者が重視した金利感度を十分に実感しにくい状況にあります。そうした従業員に対し、金利に対する意識を高めることの重要性を伝えていくことは、私の重要な役割の一つです。2025年2月に、メッセージを通じて全従業員に「金利のある世界」への環境変化に合わせたマインドチェンジと行動変革を求めましたが、2026年4月には、金利上昇をより自分事として捉えられるよう、社内金利(管理会計制度の事業所ごとの投下資本に金利を課す仕組み)の水準を従来より引き上げました。加えて、他の事業ではすでに導入済みであった「滞留資産にペナルティ金利を課す仕組み」を、分譲事業の拡大を踏まえ商業施設事業にも導入しました。これらの取り組みを通じて、金利を意識した事業運営を全社的に根付かせていきます。全国の支店長やグループ会社社長が参加する会議においても、CEO、COO、CFOのそれぞれが金利をテーマに直接言及しており、こうした経営トップによる継続的な問題提起を通じて、現場にも意識の変化が表れ始めています。各事業部・事業所では、不動産の投資回収のバランスや滞留資産の削減を意識した取り組みを引き続き進めていきます。 海外事業を支える地域統括機能と人財育成の高度化海外事業は、2017年にStanley Martin社がグループ入りして以降、事業規模を着実に拡大し、2025年度には売上高1兆円を超える水準に到達しました。なかでも米国の戸建住宅事業が成長を牽引しており、重要な収益基盤としての存在感を高めています。海外事業は、国ごとに文化や商習慣が異なり、日本国内では想定しにくいリスクが顕在化する可能性があるため、海外事業を適切に管理できる人財の育成と体制の構築を進めていくことが重要です。当社では、海外事業の拡大を見据え、2022年よりRC(リージョナル・コーポレート)機能を整備し、役割を明確化したうえで、各国・各地域の文化や商習慣に応じたルールの設定と、実務を通じた経験の蓄積を進めてきましたが、足元の中東情勢に象徴されるように、海外事業を取り巻く環境は不透明さが増しています。このような環境下では、事業拡大を前提とするだけでなく、変化のスピードや不測の事態を踏まえ、必要に応じて撤退も含めた判断を機動的に行える体制が、これまで以上に重要になります。そのためには非常時に人財や資金を迅速に国内へ還流できる体制も整えておく必要性があると考えています。 築き上げてきた信用(格付)の維持と資本効率向上に向けた道筋 経営におけるROEの位置付けとその向上に向けてコーポレートガバナンスガイドラインに掲げているとおり、当社はROEを重要な経営指標の一つと位置づけ、維持・向上を意識しながら経営を推進しています。7次中計では、ROE13.0%以上という目標を掲げ、取り組んできましたが、2025年度は、12.7%という結果となりました。7次中計で当初発表したキャピタルアロケーションでは、大型不動産開発に2.2兆円を投資し、売却を進めることでネット7,000億円の増加を計画していましたが、4年間の進捗は計画を下回っています。一方で、戦略投資については、6,500億円の枠に対し、住友電設株式会社のM&Aや、分譲事業の拡大および米国戸建住宅事業における棚卸資産の増加などにより計画を大幅に上回る実績となりました。成長投資全体として、想定以上に進捗したことで、自己資本のコントロールによるROEの改善については、取り組みに一定の制約が生じました。ROEを分解すると、利益率×回転率×レバレッジとなりますが、今まさに我々がROEの向上を図るために重要なのは、回転率の向上だと考えています。従業員への「金利の意識づけ」と更に「金利の上昇に対応した行動」を強く求めることを継続していきます。ROEが投資家の皆さまに対する重要な約束である一方で、D/Eレシオは債権者や格付機関との信頼関係を支える指標です。どちらか一方に優先順位をつけるのではなく、双方を意識しながら経営していく姿勢は今後も変わりません。7次中計期間中に蒔いた種、例えば、国内各事業で強化してきた分譲事業や不動産開発事業における投資、米国におけるアライアンス社との協業、さらには住友電設のグループ化によって生まれるシナジーなどが、中長期的に安定したキャッシュ・フローの創出に寄与すると考えています。 D/Eレシオの水準に関する考え方当社の現在の格付はAA-(R&I)です。私はリーマンショック時に、AA格に満たない企業が社債を発行できなくなる状況を目の当たりにしました。当社グループがそのような状況に陥ることは、絶対に避けなければいけないと強く感じています。現在、D/Eレシオは約1.0倍まで上昇しており、毎年実施している格付会社とのミーティングでは、債務とキャッシュ・フローのバランス、資本負債構成が主な論点となっていますが、当社は、ビジネスモデルの変化や成長に向けた戦略的投資の考え方、将来CFの見方について丁寧に説明することで、将来の安定性について一定の理解を得ています。格付が低下した場合、調達金利の上昇や取引先からの信頼性の毀損につながるリスクがあります。そのため、当社の「稼ぐ力」の強化や成長投資がどのように利益成長につながっていくかを具体的に示し、今後の投資や将来の安定性について外部ステークホルダーの皆さまに安心感を持っていただくことが重要であると考えています。今後のD/Eレシオの目指すべき水準については、成長投資、財務健全性を踏まえつつ、外部環境の変化も考慮しながら検討していく必要があると考えています。 資本コストと株価を意識した経営の実現に向けてコーポレート・ガバナンスに関する直近の取り組みの中で、特に手応えを感じていることの一つが、経営会議の新設により、一部の執行に関する議論を経営会議へ権限移譲したことで、取締役会において、より中長期的な企業価値向上に向けた議論が増えてきたことです。これまでは、各プロジェクトの執行に関する議論に多くの時間を割いていましたので、より中長期的な企業成長について議論をしなければいけないという問題意識がありました。多様な知見、経験を持つ社外取締役の方のパフォーマンスを最大限に活かすことを企図して実施したこの改革は、非常に意義があったと思います。投資家の皆さまとの対話内容は継続して取締役会等で共有しており、経営や戦略の改善に活かしています。また「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて」というテーマのもと、私自身が複数回にわたって、取締役会で投資家の皆さまからの意見や他社の取り組み事例の共有を行い、議論や意見交換も重ねてきました。今後の経営戦略についても、取締役会等における社外取締役からの意見やアドバイス、そして「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて」において議論してきた内容を盛り込んでいきたいと思います。売上高10兆円に向けては、現在のガバナンス体制をベースに、監督機能と執行機能の実効性をさらに高めていくことが重要です。加えて、成長投資を進める中でも、選択と集中、そして全体のリスクコントロールを徹底していく必要があると考えています。 投資家や株主の皆さまへ現在、リスクフリーレート(10年国債)は上昇傾向にあり、理論的には株主資本コストも上昇することになります。そのため、今後は当社の成長戦略や資本効率改善に向けた具体的なストーリーを、これまで以上に明確に示していく必要があると考えています。当社は多角的な事業展開によって多様な社会ニーズに応え、事業を拡大してきた結果、市場環境の変動がある中でも安定した業績を維持し、16期連続の増配を実現できました。こうした成長性と安定性を兼ね備えた企業であることを、引き続き投資家・株主の皆さまに丁寧にお伝えするとともに、還元方針についてもより分かりやすい説明を心掛けながら、対話を重ねていくことで、当社の企業価値を正しくご評価いただけるよう努めてまいります。 Ⅰ.財政状態 財務の状況 2025年度末の総資産は、2024年度末比で1兆3,630億円増加し、8兆4,124億円となりました。その主な要因は、商業施設事業及び戸建住宅事業における販売用不動産の仕入により、棚卸資産が増加したことによるものです。負債合計については、2024年度末比で1兆575億円の増加となり、5兆3,901億円となりました。その主な要因は、販売用不動産等の取得や、連結子会社化した住友電設株式会社の株式取得等のために、借入やコマーシャル・ペーパーの発行による資金調達を行ったことによるものです。純資産合計については、2024年度末比で3,055億円増加し、3兆222億円となりました。その主な要因は、株主配当金958億円の支払いを行ったものの、3,505億円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによるものです。リース債務等を除く有利子負債残高は、2024年度末比で7,676億円増加し、3兆767億円となりました。D/Eレシオについては、0.98倍(※1)となり、第7次中期経営計画において0.6倍程度としていた財務規律を上回っております。これは、分譲事業の拡大や積極的なM&Aの実施等、ビジネスモデルの変化や成長に向けた戦略的投資を進めたことによるものです。資産内訳については、棚卸資産の残高が3兆1,796億円となり、大きな割合を占める状況となっております。今後も資産効率を意識した経営を推進するとともに、最適資本構成の検証により財務の健全性維持に努めてまいります。※1.公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)及びハイブリッドローン(劣後特約付ローン)のうち合計2,500億円について、格付上の資本性50%を考慮して算出しております。 [ 図1 ] 第5次中期経営計画の最終年度(2018年度)との比較を行っております。 ①流動比率は137%から177%へと上昇②固定比率は151%から128%へと低下③固定長期適合率は84%から66%へと低下④自己資本は1兆5,959億円から2兆8,967億円へと成長 [ 図2 ] ①棚卸資産は9,556億円から3兆1,796億円へ増加(図3参照)②賃貸等不動産は1兆560億円から1兆5,240億円へ増加③リース債務等を除く有利子負債は7,785億円から3兆767億円へ増加、また自己資本に対する比率(D/Eレシオ)も0.49倍から0.98倍へ上昇(ハイブリッドファイナンスの資本性考慮後) 資産増加の分析 2025年度末の棚卸資産は3兆1,796億円となり、2018年度対比で233%の増加となりました。主な増加要因は、各事業で当社の強みの一つである「土地を起点とした複合的な事業提案力」の強化を図り、投資不動産の購入を検討されているお客様に向けた販売用不動産の仕入を増加させたことにより、特に商業施設事業や賃貸住宅事業において残高が増加したものです。また米国戸建住宅3社(Stanley Martin社、Trumark社、CastleRock社)において、米国住宅市場の進出エリアが順調に拡大していることも棚卸資産の増加につながっております。投資不動産は1兆7,519億円となり、2018年度対比で63%の増加となっております。内訳としては流動化不動産(※2)が1兆3,858億円で88%の増加、収益不動産(※3)が3,661億円で7%の増加となっており、流動化不動産の増加が投資不動産の増加につながっております。主な増加要因は収益ドライバーの一つである物流施設の開発投資を拡大してきたことによるものです。資産の増加は棚卸資産や投資不動産の増加によるところが大きくなっていますが、これは成長のための投資を積極的に行っていることによるものです。投資に際しては、IRRを重要な指標として意思決定しており、売却時には資金回収及び収益獲得に寄与するものと考えております。今後も回転率や保有不動産の内容を継続的にモニタリングし、残高と回収を適切なバランスにコントロールすることで、資本効率の向上に努めてまいります。※2.流動化不動産:値上がり益を得る目的で投資後、早期に売却可能な不動産。※3.収益不動産:賃貸収益を得る目的で投資・開発した不動産。 [ 図3 ] [ 図4 ] Ⅱ.キャッシュ・フロー(CF) 基本的な考え方 キャッシュ・マネジメントについては、事業活動によるキャッシュ創出額を基準として投資を行うことを基本的な考え方としており、成長投資に必要な資金については、財務規律を定めた上で、外部からの資金調達も活用しております。第7次中期経営計画においては、財務規律としてD/Eレシオを0.6倍程度に設定しておりましたが、将来キャッシュ・フローの拡大のために、優良な投資機会に対して積極的に投資を行った結果、一時的にD/Eレシオは規律を上回っております。中長期的に資本に対する有利子負債の水準をコントロールするため、社内の投資判断基準を設定・運用していくことで、引き続き成長投資と財務健全性の両立に努めてまいります。 キャッシュ・フローの状況 2025年度における営業活動CFは1,892億円となり、2024年度に比べ2,312億円減少し、自己資本を1とした場合の営業活動CF比率は、2024年度の0.16から0.09ポイント下降し0.07となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益を5,424億円計上したものの、販売用不動産の取得や法人税等の支払いを行ったことによるものです。投資活動CFについては、第7次中期経営計画における投資計画に基づき、賃貸等不動産等の取得や、不動産開発事業への投資を3,227億円実行したことに加え、連結子会社化した住友電設株式会社の株式取得のための支出等により、△7,260億円となりました。その結果、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動CF+投資活動CF)は△5,367億円となりました。財務活動CFについては、主に株主配当金の支払いを行ったものの、借入やコマーシャル・ペーパーの発行による資金調達を行ったことにより6,310億円となりました。これらの結果、現金及び現金同等物の2025年度末残高は2024年度末から976億円増加し、4,245億円となりました。 [ 図5 ] [ 図6 ] 注 有利子負債は2019年度から、ハイブリッドファイナンスの資本性考慮後の指数を表記しております。 Ⅲ.損益の状況 自己資本利益率(ROE) 当社は、第7次中期経営計画において、ROE13%以上を経営目標に掲げてまいりましたが、当期の自己資本利益率(ROE)は12.7%となりました。収益性の改善を図りながら業績を拡大することが重要であると考えており、ROEの改善に向けて事業ポートフォリオの最適化による成長分野への投資や、非効率資産の圧縮等、さまざまな観点から資本効率の改善に向けて取組んでまいります。 [ 図7 ] (ROE分解)売上高当期純利益率 親会社株主に帰属する当期純利益は3,505億円となり、2018年度からの8年間の年平均成長率は5.7%となりました。退職給付会計における数理計算上の差異等の影響もありますが、当期純利益率については6.3%となりました。依然として資材価格や労務費の高騰による影響を受けておりますが、各事業において価格転嫁等の取組みを進めており利益率の改善につながっております。 [ 図8 ] (ROE分解)総資産回転率 売上高は5兆5,768億円となり、2018年度からの8年間の年平均成長率は4.3%となりました。総資産回転率(※4)については、前期の0.80回より0.08回低下し0.72回となりました。当社グループの事業は、投資が不要な建設請負事業から、不動産開発事業のように先行投資が必要な事業の割合が増加してきており、売上高に占める開発物件売却の割合も増加傾向にあります(図10参照)。さらに土地建物を販売する分譲事業を強化しており、このビジネスモデルの変革に伴い回転率は低下している状況ですが、ストックとフローのバランスを取りながら資産効率の向上を図るべく、棚卸資産の販売促進や投資不動産の売却、政策保有株式の売却等を推進してまいります。※4.総資産は期中平均で算出。 [ 図9 ] [ 図10 ] (ROE分解)財務レバレッジ 自己資本は2兆8,967億円となり、2018年度からの8年間の年平均成長率は8.9%となりました。財務レバレッジ(※5)は、前期と比べて11.7ポイント上昇し、280.6%となりました。D/Eレシオを財務規律として設定することで、財務レバレッジをコントロールしながら、成長投資への資金を確保し、財務基盤の強化に努めます。※5.総資産及び自己資本は期中平均で算出。 [ 図11 ] 投下資本利益率(ROIC) 税引後営業利益(NOPAT)(※6)は、4,268億円となり、投下資本(自己資本+有利子負債)(※7)5兆4,483億円に対する利益率(ROIC)は7.8%となりました。株主資本コストを上回る資本効率でリターンに結び付けるために、現場においては図13に示すような通常業務の改善に「凡事徹底」で取組み、ROICの向上に努めてまいります。※6.税引後営業利益(NOPAT):営業利益×(1-実効法人税率)※7.投下資本は期中平均で算出。 [ 図12 ] [ 図13 ] 海外業績 海外事業における売上高は1兆284億円、営業利益は1,370億円となり、2018年度からの8年間における年平均成長率は売上高20.5%、営業利益40.1%となりました。当社業績に占める海外事業の割合も上昇傾向にあり、売上高については2025年度では18.4%と、2018年度より11.7ポイント上昇しております。当社は米国の住宅会社のM&Aや海外での不動産開発等、海外事業に積極的に取組んでおります。第7次中期経営計画においては、地域密着型の海外事業による成長の加速を重点テーマの一つとし、当初最終年度としていた2026年度(※8)には、海外売上高1兆円・営業利益1,000億円を目標に取組んでまいりましたが、1年前倒しで売上高・営業利益ともに達成いたしました。※8.第7次中期経営計画は、当初2026年度を最終年度とした5ヵ年計画としておりましたが、1年前倒しで終了いたしました。 [ 図14 ] [ 図15 ] Ⅳ.事業別経営成績 収益性分析 営業利益においては、賃貸住宅、商業施設、事業施設事業の3つのセグメントで全体の約70%を占めております。戸建住宅事業においては、米国で引渡戸数が堅調に増加したことや高採算の大型土地売却の影響もあり、利益率が改善いたしました。また、マンション事業においては、一部海外の不採算プロジェクトの影響により利益率が低下しているものの、国内事業は好調に推移しております。 [ 図16 ] セグメント資産に対する営業利益率 セグメント資産に対する営業利益率については、分譲事業の推進により棚卸資産残高は増えているものの、請負事業や賃貸管理事業の利益貢献度の高い賃貸住宅事業が特に高い数値を示しております。事業施設事業については、物流施設やデータセンターなどの市場の成長に対応し、長期大型開発へ積極的な投資を行っております。現在は取得済みの土地に係る建設投資を進めていることから、現時点における資産利益率は低い水準となっておりますが、今後の投資回収期にはキャッシュ・フローに大きく寄与してくることを見込んでおります。 [ 図17 ] 注 セグメント資産は期中平均 事業投資の状況 事業投資の状況としては、持続的成長を見据え積極投資を維持し、収益ドライバーである物流施設を中心とした事業施設事業と地域ポテンシャルを引き出し雇用創出や賑わいに貢献する商業施設事業への開発投資を拡大しております。また、これらの事業によって創出された資金を活用し、新たな収益の柱として育成すべく新規事業や海外事業等への投資も併せて実施しております。 [ 図18 ] Ⅴ.投資の状況 従業員への還元 持続的な成長のためには、従業員の生活環境の維持・向上が重要な要素の一つです。2025年度における当社の従業員給与は、2018年度比で375億円増加(1人当たり平均21.4%、1,938千円増加)しております。営業利益に対する従業員給与の比率(※9)は2025年度においては38%となり大きな変動はありません。賃上げにおいて当社は、2025年4月より給与水準を改定し、年収で平均10%アップさせるとともに、新卒社員の初任給を月額25万円から35万円に引き上げました。今後も重要な成長の源泉である人財への投資を積極的に進めてまいります。※9.従業員給与/(営業利益+従業員給与) なお、従業員給与については、賞与及び基準外 賃金を含んでおります。 [ 図19 ] IT関連投資・研究開発 2025年度のIT関連投資は296億円となり、2018年度比で144%増加しております。IT関連投資は、バリューチェーン及びバックオフィスのデジタル化、さらにはオープンイノベーションの推進を通じて、新たな価値提案やビジネスモデル改革を進めるための重要な位置づけです。今後も資金の投下を積極的に行ってまいります。2025年度の研究開発費は119億円となりました。住宅系事業に係る研究開発費は39億円、建築系及びその他の事業に係る研究開発費は80億円です。基礎・応用研究から新技術・新商品開発、さらにはそれらの新技術の建築物やまちづくりへの活用・検証まで、多岐にわたる研究開発を行っております。これらの研究開発活動を通じて、社会課題の解決と新たな価値創出に取組み、事業競争力の強化と将来の成長基盤の構築につなげております。 [ 図20 ] 設備投資(固定資産の増加額) 不動産開発投資を除く設備投資額は、2,881億円となりました。前期からの主な増加要因は、新たに株式を取得し連結子会社とした住友電設株式会社について、資産及び負債を時価評価した結果、識別した無形固定資産によるものです。また、工場拠点の改修、生産ラインの改善や環境対応等に取組むと共に、建設業界における技術者・技能者不足という課題に対処すべく、現場の業務効率化や生産性向上に資する建設プロセスのデジタル化推進、DX投資を積極的に行っております。加えて2025年12月には、大阪・御堂筋のビジネスシーンに次代のゲートをひらくタワーオフィス「淀屋橋ゲートタワー」が竣工いたしました。御堂筋の玄関口で中之島に隣接する大阪随一のロケーションを活かし、上質な賑わいを創出するオフィス主体の大型複合ビルを整備いたしました。 [ 図21 ] Ⅵ.株主還元及び株価の状況 株主還元 当社は、第7次中期経営計画においては、配当性向を35%以上として業績に連動した利益還元を行うこととしております。2025年度は、年間配当金額175円(創業70周年記念配当10円を含む)、配当性向30.9%とし、16期連続の増配を実現いたしました。配当性向は30.9%となりましたが、退職給付会計における数理計算上の差異等の影響を除くと39.9%となります。株主還元については、利益の持続的な拡大により、配当を安定的に引上げていくことが最も重要と考えております。今後も利益成長を通じて株主の皆様の期待に応えてまいります。 [ 図22 ]注 退職給付会計の数理計算上の差異等の影響を除いて配当金額を決定しております。 株価純資産倍率(PBR) 1株当たり純資産(BPS)は4,677.09円となり、2018年度からの8年間の年平均成長率は10.0%、また株価純資産倍率(PBR)は、1.05倍となりました。株価は、現在の経営状況に対する市場からの重要なメッセージであると認識しております。現状の株価には満足せず、継続してROEの向上と事業ポートフォリオの最適化による資本効率の向上への取組みを進め、加えて財務健全性やガバナンスの強化、IR活動を通じた投資家の皆様との対話により、今後も企業価値の最大化を図ってまいります。 [ 図23 ] [ 図24 ] 2016201720182019202020212022202320242025時価総額(億円)21,20627,25423,35917,77921,20320,98720,51728,97130,54530,459最高株価(円)3,3674,5944,2933,8193,5523,9003,3204,7185,1755,805最低株価(円)2,500.53,0963,1192,230.52,332.03,0372,907.53,0803,6334,596 注 最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものです。なお、時価総額は期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)としております。 Ⅶ.中期経営計画の状況 当社は、2022年度を初年度とする5ヵ年計画「第7次中期経営計画」を推進してまいりました。原材料・エネルギー価格の高騰や金融資本市場の変動、地政学リスクの高まりなどにより厳しい事業環境が続く中、「収益モデルの進化」「経営効率の向上」「経営基盤の強化」の3つの経営方針のもと、持続的な成長モデルの実現に向け、海外事業とストック事業の拡大、重点分野での積極的なM&Aや不動産投資、カーボンニュートラルの実現に向けた取組みなど、各施策を推進してまいりました。以上の結果、売上高、営業利益、当期純利益のいずれにおいても計画を1年前倒しで達成し、2025年度をもって同計画を終了いたしました。また、第6次中期経営計画最終年度である2021年度との比較では、売上高は1兆1,373億円増収、退職給付会計における数理計算上の差異等の影響を除く営業利益は1,669億円の増益となり、着実な成長を実現しております。なお、2026年度を初年度とする第8次中期経営計画の公表を2026年5月に予定しておりましたが、事業環境の先行きに対する見極めに時間を要することから、発表時期を延期しております。 財務目標 [ 図25 ] 注 当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。2025年度の配当性向は退職給付会計における数理計算上の差異等の影響を除く。 D/Eレシオは、ハイブリッドファイナンスの資本性考慮後。増減額は、第6次中期経営計画最終年度である2021年度比。 事業別業績目標 [ 図26 ]

事業リスク

  • 法的規制の変更リスク
    国内外の建設・不動産関連法令、環境関連法令、各種業法などの法的規制が改廃されたり、新たな規制が設けられたりした場合、事業活動に制約が生じ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。違反時には社会的信用の毀損も懸念されます。
  • 海外事業特有のリスク
    海外事業では、進出国のインフレーション、為替変動、政治・経済情勢の不確実性、紛争、外貨規制、不動産政策の変更など、国際取引に特有の多様なリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合、事業収益の低下や事業遂行の遅延・不能につながる可能性があります。
  • 住宅関連政策・税制変更リスク
    住宅ローンの金利優遇措置、住宅取得・リフォーム補助金制度、消費税率や住宅ローン減税などの税制変更・廃止は、住宅需要を減退させる可能性があります。これにより、戸建住宅やマンションなどの購買意欲が低下し、住宅関連事業の業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|13,836 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)リスクマネジメント体制について当社は、「リスクマネジメント規程」を制定し、リスクを「大和ハウスグループに損失を与えるおそれのある事象」と定義した上で、リスクについての平時・有事の対応体制を明文化しております。具体的な体制は、以下のとおりです。1.平時の体制経営管理本部長をリスクマネジメント統括責任者に選任して、同責任者が当社グループ全体のリスクマネジメント体制の構築・運用・監督を実施する体制としております。そして、同責任者の監督の下、当社の各事業におけるリスクの顕在化の予防、顕在化したリスクへの対応を推進するための組織として、事業単位のリスク管理委員会(事業本部リスク管理委員会)を設置しております。これらの体制を含む当社グループ全体の内部統制システムを監督する組織として内部統制委員会を設置しており、同委員会の委員長は代表取締役社長が、副委員長は経営管理本部長が務めます。ただし、代表取締役会長職を設ける場合、代表取締役会長が委員長を、代表取締役社長は経営管理本部長とともに副委員長を務めることができます。また、リスクをはじめとする当社グループの持続的成長を阻害するおそれのある事実を早期に発見・是正することを目的として、「大和ハウスグループ内部通報規程」を制定し、複数の内部通報窓口を設置・運用しております。運用にあたっては、公益通報者保護法の趣旨を踏まえて通報者氏名・通報内容の厳秘や、不利益な取り扱いを禁止する旨を同規程に定めるとともに、「社内リーニエンシー制度」の導入や、利益相反する関係者を排除して通報に対応する仕組みの構築等、より実効性を高めるための取組みを実施しております。 2.有事の体制重大リスクが顕在化した場合には、緊急対策本部を立ち上げて対応し、業績等への悪影響の最小化に努めております。具体的には「リスクマネジメント規程」において、顕在化したリスクのうち当社グループ又はそのステークホルダーに特に重大な影響を及ぼすおそれのあるものについて、緊急対策本部を設置して、当該重大リスクへの対応・再発防止策の検討・推進を行うことを定めております。その上で、リスクマネジメント規程の下位規範である「緊急対策本部設置・運営細則」において、緊急対策本部の設置基準・メンバー・運営手順・業務等を明文化することで、速やかに緊急対策本部を立ち上げて適正な対応を執ることができる体制としております。 (2)当社グループの事業等に関するリスクについて、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を与える可能性がある事項には、以下のようなものがあります。なお、本項において将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものです。 <当社グループのリスク一覧>分類具体的内容外部要因1)法令・政策① 法的規制② 海外事業③ 住宅関連政策・税制の変更2)事業環境④ 特定の取引先・製品・技術等への依存⑤ 原材料・資材価格・人件費等の高騰⑥ 競合⑦ 建設技能労働者の減少3)不動産市場⑧ 不動産を含む資産の価値下落⑨ 不動産開発事業4)ファイナンス⑩ 金利の上昇⑪ 退職給付費用⑫ 賃貸用不動産における空室及び賃下げ5)ハザード・突発的事象⑬ 情報セキュリティ⑭ 自然災害・気候変動⑮ 感染症内部要因 ⑯ 事業戦略・グループ戦略⑰ 品質保証等⑱ 安全・環境 1.外部要因 1)法令・政策① 法的規制に関するリスクリスク内容国内、海外を問わず、法的規制が改廃されたり、新たな法的規制が設けられたりした場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、国内、海外における建設・不動産事業を行っており、国内においては会社法、金融商品取引法、建築・不動産関連法令、環境関連法令、各種業法等、海外においてはそれぞれの国や地域の法的規制の適用を受けます。また、グループ会社においては、ホテル事業、物流事業、保険事業、スポーツクラブ運営事業、クレジットカード事業等の多種多様な事業を行っており、各事業の業法その他の関連法令がそれぞれの会社に適用されます。このように、当社グループの事業に関連する法令は広範にわたっており、法的規制の改廃や新設によっての影響を受ける場面は少なからず存在しているものと考えられます。また、法的規制に違反した場合、処罰、処分その他の制裁を受けたり、当社グループの社会的信用やイメージが毀損されたりすることで、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。対応策当社グループの事業に関連する法的規制の改廃や新設に関する情報については、その動向を常にモニタリングしており、当社グループの事業内容や業績等に影響を及ぼすリスクがある情報を入手した場合は、リスクを最小化するために、事前に対策を講じる体制としております。また、当社グループにおいては、経営管理本部長をリスクマネジメント統括責任者に選任し、当社グループ全体のリスクマネジメント体制の構築・運用・監督を実施する体制とするとともに、その監督の下、リスクの顕在化の予防、顕在化したリスクへの対応を推進するための組織として、事業ごとにリスクマネジメントを行う体制を構築・運用しております。さらに、従業員に対する積極的な法令知識の研修・啓蒙や、各種マニュアル・チェックリストの作成を推進するなどの対策を講じております。万一、重大なリスクが顕在化した場合には、緊急対策本部を立ち上げて対応し、業績等への悪影響の最小化に努めるとともに、再発防止を徹底しております。 ② 海外事業に関するリスクリスク内容海外事業では、進出国における急激なインフレーション、為替相場の変動による事業収益の低下、政治・経済情勢の不確実性とそれに伴う物価を含む各種コスト上昇、紛争(内乱・暴動・戦争)の発生や日本との外交関係の悪化等に伴い実施される外貨規制による事業遂行・代金回収の遅延・不能(海外送金規制含む)等の発生、不動産事業の引き締め等を目的とする政策変更や法改正による購買意欲減退等、国際取引特有の外的要因に基づく様々なリスクを負っており、これらのリスクが顕在化した場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。対応策投資管理ガイドラインを当社グループとして定め、投資方針や具体事案の検討基準の可視化と当該基準に従った事案のリスク精査徹底に注力しております。また、フィルター機能として海外案件を諮問する専門委員会を設置し、事業毎のリスク精査とリスクへの対策の十分性を諮問することで、適切な投資判断の担保を図っております。また、事業推進中の経営状況の管理のため、海外を5つのエリアに分け、ガバナンス体制の構築を目的としてRegional Corporate機能(以下RC機能)を担う地域統括会社をエリア毎に決め、本社管理部門並びに海外本部より責任者を派遣しております。エリア、各国の特性を習得することがリスク回避に重要と言え、現地に根付いて文化・習慣、税務・法律解釈、労務問題等の情報収集によるノウハウの蓄積を進め、リスクの未然防止や対処力の向上を図っております。各RC機能人員がそれぞれの専門能力を発揮しエリア毎の経営基盤の強化を図ると共に、海外本部・経営管理本部を中心とした本社部門との情報共有を密にし、当社グループの経営方針に即した事業遂行と事業管理の実現に注力しております。 ③ 住宅関連政策・税制の変更に関するリスクリスク内容住宅ローンの金利優遇措置、住宅取得やリフォーム工事に対する補助金・助成金・給付金制度等の住宅需要刺激策の変更もしくは廃止により、住宅需要が減退し、当社グループの住宅関連事業に影響を与える可能性があります。また、消費税率の引き上げや住宅ローン減税等の税制の変更・廃止等により、住宅取得にかかるお客様の資金負担が増加した場合には、戸建住宅やマンション等の購買需要が減退する可能性があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。対応策各種補助金・助成金・給付金制度等については、制度内容の改変・廃止・受付終了等の情報を常にモニタリングし、制度の変更に応じた施策を講じております。また、住宅事業ではAIにより最適なプランを即時提案する革新的なツールを活用するなどして、コストパフォーマンスと住み心地を兼ねそろえた住宅をより多くのお客様へ提供することを方針としており、特に分譲住宅の拡販を図っております。お客様の需要を喚起し、住宅需要の減退が業績に与える影響を軽減する対応に努めております。 2)事業環境④ 特定の取引先・製品・技術等への依存に関するリスクリスク内容当社グループは、商品・サービスの提供や、商品の原材料の製造等の一部について、一定の技術を保有する事業者に委託しております。世界の地政学的リスクの発生や感染症、自然災害等に起因する資材高騰、材料逼迫、納期遅延により、突発的に商材・部品・素材の供給不安が発生するリスクや、取引先の倒産による供給停止が起こるリスクがあります。これらのリスクが顕在化した場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。対応策当社グループは、上記リスクの顕在化を未然に防止すべく、集中的に調達する物品について、安定的な供給体制の構築に努めております。例えば、一部の特別な仕様・性能・機能を持つ物品を除き、同一仕様の物品を2社以上のサプライヤーからエリアを分けて調達する複数購買を基本としております。又は、同等仕様の物品について複数のサプライヤーとあらかじめ基本契約を締結することで、特定の企業において物品供給が困難となった場合にも、代替品の供給が可能な体制の構築に努めております。特に重要度の高い(構造に関する物品、大臣認定品等)69物品(45社)については、購買先に対して、不測の事態における対応計画(災害時供給計画書)の整備を依頼し、有事に対する供給不安を未然に防止する対策を取っております。また、顧客に対し訴求力のある製品を除いては、オリジナル品からカタログ品への移行を推進し、調達難易度を下げる取組みを行っております。さらに、外部調査機関のデータを活用し、取引先に対する与信管理体制の強化を図っております。 ⑤ 原材料・資材価格・人件費等の高騰に関するリスクリスク内容当社グループでは建物の建築やサービスの提供にあたり、多くの原材料や資材の調達を下請事業者へ発注することで賄っております。資材価格は近年の地球規模の気候変動、ロシア・ウクライナ情勢によるエネルギー価格の高騰、円安の進行による海外からの輸入コストの増加等により急激な上昇が続いております。また、最近ではトランプ米大統領が発表した相互関税に伴い、輸入建設資材のコスト上昇が懸念されております。また、少子高齢化による労働人口の減少や最低賃金の引き上げなどが原因で人件費の増加は避けることができず、そのしわ寄せは建設業に限らず国内の生産労働人口の減少や人手不足による倒産が増加する要因となっております。対応策■原材料・資材価格等が高騰するリスクに対して① 代替品の採用② BCP対応を前提とする、購買先の一本化による調達効率向上を通じた原価低減③ モーダルシフトや共同輸送等を含む輸送方法の見直しによる物流関連費用の抑制④ 調達リードタイム見直しによる配送リードタイムの確保⑤ 山積表の活用による、建設現場の施工者の労働力の確保及び適正な労務費による発注⑥ グループ会社と連携し、手配数量を集約し一括購入するなどスケールメリットの追求⑦ 施工予定情報を早期に入手し、必要な数量を事前に取引先へ提示し価格上昇前における材料等の確保⑧ 購買先の新商品提案窓口を購買部門に集約することによる、技術連携強化・資材標準化及び原価低減の推進上記に挙げた複数の施策を実施することで、コスト上昇の抑制に努めております。加えて、工場においては、作業環境の改善により従業員の定着・確保を進めながら、製造ラインの効率改善のための設備投資により原価抑制を図っております。■人件費(労務単価)等が高騰するリスクに対して図面等のデジタル化や、ものづくりの見直しにより、現場施工の省人化・省力化を推進し、生産性の向上を図るなどして原価を抑えるように努めております。工場においては、高齢者を含め誰しもが安心して働ける職場を目指し、夏場の熱中症対策に加え、5K(きつい、きたない、きけん、くらい、くさい)+1U(うるさい)の作業環境の改善により快適職場作りの推進を図り従業員の定着・確保に取組んでおります。また製造ラインの効率改善のための設備投資による更なる自動化やDX化の推進により、省人化・省力化や生産性の向上を図り、原価抑制に努めております。■生産労働人口や人手不足に対して建設業界への若年層入職が減少している中、高校生、大学生を対象に建設業の魅力を伝え、まずはこの業界へ興味を持っていただく社会貢献活動の一環として「コンストラクションカレッジ」を開催しております。過去2回開催し、約150名の方に参加いただき好評を頂いております。2026年度も第3回目の開催を計画しております。ただ、この取組みに即効性は期待できませんので、一部の地域では、協力会の施工会社が、地元の学校等に対し、当社の現場での具体的な仕事内容を説明し、建設業に興味を持っていただき、入職を促す活動も行っております。 ⑥ 競合に関するリスクリスク内容当社グループは、建設・不動産事業をはじめとする様々な事業を行っており、これらの各事業において、競合会社との間で競争状態にあります。当社グループが、商品の品質や価格、サービスの内容、営業力等の観点から、これらの競合会社との競争において優位に立てない場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。対応策当社グループでは、ハウジング・ソリューション本部とビジネス・ソリューション本部からなる2大本部制及び事業本部制のもと、業界に属する他社動向に関する情報を収集・分析し、必要に応じて自社事業の戦略に反映しております。また当社独自の土地を起点とした情報力や開発力、顧客目線に立った課題解決力等の強みを活かし、競合他社との過度な競争に巻き込まれないよう努めております。 ⑦ 建設技能労働者の減少に関するリスクリスク内容当社グループの主たる事業である建設工事事業には多くの建設技能者が必要ですが、日本の建設業就業者数は右肩下がりであり、今後もさらに減少することが明確となっております。また、建設業界に入職される若年層も減少し、その分、高齢化が加速しております。この影響により、人件費の高騰や工程が伸びる傾向がより顕著になります。対応策当社はこのような技能者不足に陥ることを予測し、技能者の処遇改善や現場における作業の効率化、省力化、下請事業者の事務作業の負荷軽減及び工事代金の支払いに関する改善等を図り、以下に示すような施策を講じております。① 工事代金の支払いにおける手形の廃止② 建設現場における優秀な技能者への手当支給③ 施工店の技能者育成に対する補助金支給④ 当社が独自に定めたルールでの建退共証紙の支給⑤ 技能者キャリアアップ制度加入者及び当社への貢献度の対価に対する手当の支給⑥ DXを採用した建設現場における作業の省力化や効率化の推進⑦ 現場での作業量を削減するための更なるプレハブ化や標準化の推進⑧ 現場作業の省力化と品質確保のための作業ロボット等の導入と展開⑨ 建設現場にカメラを設置するなど遠隔地でも現場の状態がリアルタイムで見える仕組みを構築⑩ 電子受発注システムの環境を整備し、工事下請負契約の電子化等、事務作業の効率化と時短化を推進⑪ 現場4週8閉所を推進し、技能者の労務負荷を軽減⑫ 酷暑期における熱中症防止グッズに補助金を導入し格安で施工店へ提供⑬ 当社、事業主、技能者が掛金を負担し退職後に年金が受領できる「功労年金制度」を運用⑭ 施工店の技能者育成を応援する「技能者育成資金補助制度」を運用⑮ 技能者の退職金の補助となる「建設業退職金共済制度」を運用 3)不動産市場⑧ 不動産を含む資産の価値下落に関するリスクリスク内容当社グループは、国内及び海外において不動産の取得、開発、販売等の事業を行っており、景気後退等により不動産市況が悪化した場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、その場合には、当社グループが保有する不動産において収益性の低下等により、帳簿価額の引き下げを行う必要が生じる可能性があります。さらに、当社グループが所有する不動産以外の棚卸資産や有形固定資産、のれん等の無形固定資産、投資有価証券等の投資その他の資産についても、市場動向に応じて帳簿価額の引き下げを行う必要が生じる可能性があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。対応策当社グループは多岐にわたる事業展開を行っており、その中で所有する不動産に適した事業を選択することで資産価値向上に努めております。なお、自社所有の不動産については定期的に不動産鑑定評価を取得するなどモニタリングを行い、価値下落の兆候が認められるものについては適正に対処しております。また、不動産以外の市場価額の変動リスクがある資産は、事業上の必要性がある場合を除き、原則として保有しない方針としており、保有している資産の価格変動リスクについては定期的にモニタリングを行っております。 ⑨ 不動産開発事業に関するリスクリスク内容当社グループは、中長期的な戦略として不動産開発事業に重点を置き、住宅団地、分譲マンション、賃貸住宅、商業施設、物流施設、ホテル、データセンター等、様々な用途の不動産開発を行っております。これらのプロジェクトは完了までに多額の費用と長い期間を要する不動産開発事業であり、プロジェクト進行中において、様々な事由により、想定外の費用発生、プロジェクトの遅延もしくは中止を余儀なくされる場合があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。対応策当社グループでは、不動産を含む重要な投資の実行にあたっては、事業投資委員会で事業性やリスクを評価し審議しております。不動産開発事業の場合はIRRを主要な指標としておりますが、同時に、その事業が当社グループの経営理念・経営戦略・ブランドイメージと合致しているか、また、法的リスク、土壌・地下水汚染、地盤リスク、災害リスク(洪水等)、環境問題、建築費の妥当性等、ESGを含む多面的なリスク評価(15部門、25項目)を行い審議しており、経済的な観点からは基準を満たす投資案件であっても、当該投資実行が当社の目指すべき姿・ビジョンと大きく相違する場合や、環境への影響が大きい場合等には、当該投資は実施いたしません。なお、リスク評価項目の見直しは定期的に行っております。そのほか事業投資についても不動産開発と同様にリスク評価を行い、審議しております。 4)ファイナンス⑩ 金利の上昇に関するリスクリスク内容当社グループは、不動産開発を中心とした資金需要に対応するため、資本効率を考慮しながら、自己資本と共に有利子負債による資金調達を行っております。そのため、市場金利の上昇や当社格付の低下等により、資金調達コストが上昇し、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、市場金利の上昇によって、融資を利用して土地や建物を取得するお客様の支払総額が増加し、購買意欲が減退する事で業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。対応策当社では、運転資金について、調達コストの低い短期借入金やコマーシャル・ペーパー等を中心に調達しております。一方、不動産開発等の回収に時間がかかる投資については、長期調達により流動性リスクを低減しております。長期調達については、不動産の売却期間に合わせ期間5年程度を中心に調達しておりますが、有利子負債が増加する中、リファイナンスリスクを減らすため、さらに期間が長い超長期の調達も実施しております。また、金利環境の変化に合わせて、固定金利での調達と変動金利による調達をバランスよく組み合わせております。加えて、金融機関との良好な関係構築に努め、社債による直接金融での調達とともに、間接金融でも調達することで、安定的な資金調達を行っております。格付の維持については、目標とする財務規律を設定し、財務規律を意識した経営を行っております。更に、融資を利用されるお客様に対しては、常に各金融機関における最新の融資商品等を把握し、お客様のニーズに即した融資のご提案を行うとともに、国や自治体等が実施する各種支援策を積極的に提案すること、また税理士やファイナンシャルプランナー等の外部専門家と連携することで、お客様のトータル的なファイナンスサポートを行い、最適な土地建物計画のご提案ができるように努めております。 ⑪ 退職給付費用に関するリスクリスク内容当社グループは、確定給付型の制度として企業年金基金制度及び退職一時金制度、また、確定拠出型の制度として確定拠出年金制度を設けております。確定給付型の制度においては、株式市場や為替市場等の金融市場が変動した場合等に、割引率をはじめとした基礎率の変動による退職給付債務の多額の増減や、多額の年金資産運用損益が発生し、退職給付にかかる費用が大幅に変動する可能性があります。なお、当社グループでは退職給付会計における数理計算上の差異について、発生年度に一括して費用処理しているため、年金資産の運用環境が大幅に変動した場合や、退職給付債務の計算に用いる基礎率が変動した場合、当該事象が発生した事業年度の業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。対応策年金資産の変動リスクに対する対応策として、大和ハウス工業企業年金基金では資産運用委員会を設置し政策的資産構成割合の策定・見直し、運用受託機関の選任・評価等を実施しており、年金資産の運用は、許容可能なリスクの範囲内で、リスクリターン特性の異なる複数の投資対象に分散投資することを基本としております。しかしながら、当社グループの当期末退職給付債務残高は、5,280億円となっており、金融市場の影響を大きく受け、2026年3月期においては、主に退職給付債務の算定に用いる割引率の変更に起因する退職給付会計における数理計算上の差異等が1,156億円(費用の減少)発生いたしました。「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号)においては、数理計算上の差異は平均残存勤務期間以内の一定の年数で按分した額を毎期費用処理すると定められており、その中でいわゆる「遅延認識」を行う事で発生期の業績への影響を緩和する事が認められておりますが、当社グループは2003年3月期以降、発生年度に一括して費用処理しており、この費用処理方法を変更することは「会計方針の変更」に該当いたしますが、年金資産残高の増加や業績への影響が高まっていることは、会計方針の変更の正当な理由に当てはまらない事から、現在の会計制度では変更が認められておりません。なお、当期の営業利益6,148億円から数理差異等を除いた営業利益は4,992億円となります。 ⑫ 賃貸用不動産における空室及び賃下げに関するリスクリスク内容当社グループは、多くの賃貸目的の不動産を所有・管理しておりますが、入居者・テナント獲得の競争の激化等により、入居者や賃料が計画通りに確保できなくなる可能性があります。また、入居後も賃借人との協議等により賃料が減額される可能性があるほか、既存テナントが退去した場合、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下する場合もあります。その場合、代替テナント確保のため賃料水準を下げることもあり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、既存テナントが倒産した場合、賃料の支払遅延や回収不能となる可能性もあります。対応策賃貸目的の不動産を管理する事業毎に、エリアの特性や社会情勢等を踏まえ、入居者やテナント企業のニーズを的確に捉えた競争力の高い施設を提供することで、空室及び賃下げリスクを最小限にとどめるよう努めております。また、環境に配慮した開発を行うことで物件価値を向上させ、社会的意義のある建物を建設するよう努めております。 5)ハザード・突発的事象⑬ 情報セキュリティに関するリスクリスク内容当社グループは、DXによる新たな価値創造・事業の円滑・効率的な運用等を目的として、ITシステムの利活用を推進しておりますが、サイバー攻撃等により、ITシステムが長期間にわたり正常に作動しなくなった場合、当社グループの業務が著しく停滞し、業績等への悪影響が生じる可能性があります。また、個人情報や法人の秘密情報等が外部に漏えいした場合には、当社グループの社会的信用に影響を与え、損害賠償等を行う必要が生じることにより、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。対応策当社では、技術的・組織的・人的対策を組み合わせた情報セキュリティ管理体制の構築及び継続的な強化を行っております。技術的対策としては、外部からの不正アクセスや侵入を防止するファイアウォール等による入口対策・出口対策に加え、侵入検知・対応システムの導入、エンドポイントセキュリティの強化、並びに保護すべき情報へのすべてのアクセスを検証対象とする情報保護対策等を実施しております。また、重要データについては暗号化及びバックアップを行うことで、情報漏えいやデータ消失の防止に努めております。情報セキュリティインシデントが発生した場合には、迅速かつ適切に対応できるよう、セキュリティ専門組織としてCSIRT(Computer Security Incident Response Team)及びSOC(Security Operation Center)を設置しております。組織的対策としては、「個人情報保護規程」及び「情報管理規程」等の情報セキュリティ関連規程を整備するとともに、人的対策として、役職員等を対象に情報セキュリティに関するeラーニングや標的型攻撃メール訓練を継続的に実施し、教育・研修の徹底を図っております。さらに、海外を含むグループ会社に対しても、グループ全体共通のセキュリティポリシー及び基準(「グループIT基本規程」「グループITセキュリティ基準」「グループIT事業継続管理基準」)を整備し、セキュリティレベルの実態把握、セキュリティ施策導入の推進、問題解決に向けた指導、並びに脆弱性情報等のセキュリティ関連情報の共有を行っております。 ⑭ 自然災害・気候変動に関するリスクリスク内容当社グループは、国内及び海外に事務所・工場・研究開発等の施設を展開しており、地震や火山の噴火、台風や水害等の大規模な自然災害の発生により、従業員や施設・設備等への直接的な被害のほか、情報システムや通信ネットワーク、流通・供給網の遮断・混乱等による間接的な被害を受ける可能性があります。また、地震・台風・水害の際には、当社が過去に建築した建物に被害が生じる可能性があり、これらの場合には、被害回復のための費用や事業活動の中断等による損失、お客様の所有建物に対する点検・応急処置の実施やその他社会的な支援活動を行うための費用等が発生し、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、近年の地球温暖化がもたらす気温上昇が要因とされる熱中症の多発についても、特に生産・施工現場においては健康面や安全面、そして労働生産性の面からも看過できない事象となっております。対応策当社グループでは、気候変動の緩和策に取組むとともに、気候変動の適応策として「自然災害時の事業継続に関する規程」を制定し、自然災害発生時の対応を適正・迅速に行うことができるよう事前の対策を講じております。食料の備蓄、蓄電池設備の配備、IP無線や衛星電話の導入等の通信環境の整備、自社使用施設での止水板設置等の水害対策展開、サプライチェーンにおける事業継続計画の策定を行うなど、リスクが顕在化した場合の業績等への悪影響を最小化するための取組みを行っております。また、熱中症対策についても、生産・施工現場での屋内外休憩所や身体冷却設備の設置、空調機器の新増設のほか、協力会社への熱中症対策備品補助など対策を行っております。 ⑮ 感染症に関するリスクリスク内容当社グループでは、各営業拠点、工場のほか、建設現場や商業施設等の人が集まる施設を保有しており、重大な健康被害をもたらす感染症が大規模に蔓延した場合、感染拡大を防止する観点から、営業活動や工事現場の操業を停止せざるを得なくなる可能性があり、また不動産市況の悪化により、不動産の取得・開発等の事業に悪影響が出る可能性があります。特にホテル事業やスポーツクラブ運営事業等においては、稼働率の低下や単価の引下げにより、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。対応策上記のリスクは、外的要因に起因するものであるため、リスクが顕在化する可能性の程度や、業績等への悪影響の程度を合理的に見積もることは困難です。しかしながら、リスクが顕在化した場合には、まずは当社グループのステークホルダーの健康被害を最小化することを最優先に取組む方針であり、感染拡大を防ぐため、各保有施設等において感染予防対策措置を講ずるとともに、従業員には感染リスクの高い国・地域への渡航の禁止、テレワーク(在宅勤務)等の対策を実施しております。 2.内部要因⑯ 事業戦略・グループ戦略に関するリスクリスク内容当社グループは、事業戦略上、中長期的観点に立ち、必要に応じて企業や事業の買収、組織再編又は売却等を行っております。しかしながら、企業や事業の買収、組織再編及びこれらの実行後の統合手続等が想定どおりに進行せず、グループ内におけるシナジー効果が期待通りの成果をもたらさないことや、事業環境の前提条件の大幅かつ急激な変化等により、事業戦略上想定した利益が達成できない場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。対応策事業環境は常に変化することから、上記のリスクが顕在化する可能性の程度や、業績等への悪影響の程度を見積もることは困難です。しかしながら、当該リスクへの対策として、買収等検討の際は、買収目的を明確にし、買収前に各種専門家を交えてデューデリジェンスや株式価値評価を行うことで、買収先の企業価値、事業計画の実現可能性等を適正に評価し、買収の是非の判断を行う体制としております。さらに、買収実施後、一定のPMI期間を設けており、専門の部署と買収主体(事業本部又はグループ会社等)が連携してPMIを推進することにより、企図した目的を達成しシナジーの最大化を図っております。また、PMI期間終了後には、主管部門の移管を行い、事業本部制によるグループ経営に移行し、事業本部主導でシナジーを追求し、グループ全体での企業価値向上と中長期的成長を実現できるよう取組んでおります。また、事業の選択と集中に伴う事業ポートフォリオの再編に関しては継続的な見直しを行います。中長期視点で、当該事業の成長性や資本効率の改善が見込めない会社又は事業については、ベストオーナーへの売却等を含む施策の検討も視野にいれます。ただし、会社又は事業の売却にあたっては、想定どおりの条件での売却が実現しない可能性や、売却に伴い一時的な損失が発生する可能性があります。 ⑰ 品質保証等に関するリスクリスク内容当社グループの住宅関連事業は、お客様の満足度を高めるために長期保証システムを提供しております。品質管理には万全を期しておりますが、長期にわたるサポート期間の中で、予期せぬ事情により重大な品質問題が発生した場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。対応策設計時には建築関係法令への適合状況をダブルチェックすることで、法的規制の遵守状況を確認し、施工時においては、施工者、工事管理者による自主検査を実施し、更に施工部門と異なる第三者的立場の部門における品質検査を実施しております。お引渡し後は、建物の定期的な点検・診断を行い、劣化診断・メンテナンス提案等の長期サポートを通じて建物の品質状況についてのモニタリングを行い、重大な品質問題が生じていないことを確認し、万一発生が確認、懸念される場合は、ソリューション部門、コーポレート部門の関係部門で情報共有し、業績等に悪影響を及ぼす可能性を最小化するための活動を行う体制を構築しております。 ⑱ 安全・環境に関するリスクリスク内容当社グループは、工場、建設現場等を多数有しているため、特に安全、環境面を最優先に配慮、対策のうえ事業を行っております。しかしながら、これらの配慮、対策にもかかわらず現場災害、環境汚染等の事故等が発生した場合には、人的・物的な被害等により業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。対応策安全面でのリスクに対しては、施工現場の定期・特別パトロール、安全衛生協議会を通じて、当社及び施工会社の従業員に対する指導・教育を行い、リスクを低減しております。また、環境面でのリスクに対しては、有害化学物質を代替・削減する取組みを推進するとともに、教育や訓練を実施しており、建設業において重要度の高い土壌汚染問題に対しては、専門部署を設置するなどの方法によりリスクを低減しております。

このページのバフェット流コメンタリーは順次自動生成中です。生成されると、ここに「数値の読み解き方」「同業比較」「投資判断のポイント」を表示します。

もっと深く分析したい?

モート先生 AI が 大和ハウス工業 の事業を 4 賢人の理論で詳しく解説します

モート先生に聞く →