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新日本科学(2395)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

サービス業 情報通信・サービスその他

事業の概要

  • 医薬品開発支援
    製薬会社から新薬開発に必要な非臨床試験(動物や細胞での安全性・有効性確認)や臨床試験(治験)を受託し、医薬品開発をサポートする事業です。これにより、製薬会社は開発コストや時間を削減でき、新日本科学は専門知識と施設を提供することで収益を得ています。新薬承認申請業務も手掛けており、医薬品開発の幅広いプロセスに関与しています。
  • 独自技術の事業化
    自社開発の経鼻投与技術(SMART)や大学・バイオベンチャーの基礎研究を育成し、医薬品として事業化する「トランスレーショナルリサーチ(TR)事業」を展開しています。具体的には、経鼻片頭痛治療薬やパーキンソン病治療薬の開発会社をスピンアウトさせ、その支援も行っています。これにより、将来の収益源となる新薬の創出を目指しています。
  • 地域資源活用事業
    鹿児島県指宿市の広大な敷地「メディポリス指宿」の自然を活用し、地熱発電や宿泊施設運営を行う「メディポリス事業」を展開しています。環境に配慮したバイナリー式地熱発電や、健康をコンセプトにしたホテル運営(「別邸天降る丘」や患者専用宿泊施設「HOTELフリージア」)を通じて、地域貢献と収益の両立を図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 医薬品開発支援事業(CRO事業)
    製薬会社から医薬品開発に必要な非臨床試験(動物や細胞での安全性・有効性確認)や臨床試験(治験)を受託する事業です。安全性研究所や新日本科学イナリサーチセンターで非臨床試験を、新日本科学PPDで臨床開発を受託しており、売上高は315.14523億円、営業利益は72.57733億円と、同社の主要な収益源となっています。
  • トランスレーショナルリサーチ事業(TR事業)
    当社独自の経鼻投与基盤技術(SMART)の研究開発や、大学・バイオベンチャーの基礎研究を育成し、医薬品として事業化する事業です。経鼻片頭痛治療薬を開発するSatsuma Pharmaceuticals社などをスピンアウトさせた実績があります。売上高は0.54161億円と小さいですが、営業利益は-36.8052億円と先行投資段階にあり、将来の成長ドライバーとして位置づけられています。
  • メディポリス事業
    鹿児島県指宿市の広大な敷地を活用し、地熱発電や宿泊施設運営を行う事業です。環境に配慮したバイナリー式地熱発電や、ヒーリングリゾートホテル「別邸天降る丘」などを運営しています。売上高は4.70398億円ですが、営業利益は-4.22318億円と、こちらも投資フェーズにある事業と考えられます。地域貢献と持続可能なエネルギーへの取り組みを推進しています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
CRO 事業 315 73 23.0%
TranslationalResearch 事業 1 -37 -6,795.5%
Medipolis 事業 5 -4 -89.8%
USAssetManagementReportableSegment 地域 0 -1 -131.6%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|11,949 文字
3【事業の内容】(1) 事業の内容について当社グループの企業集団は、当社、連結子会社26社及び関連会社7社の合計34社で構成されております。主な事業の内容は、1.製薬企業等から非臨床試験(注1) 、臨床試験(治験)(注2)及び新薬承認申請業務を受託し、医薬品開発支援を行うCRO事業、2.当社が独自に開発した経鼻投与基盤技術(注3)並びに大学やバイオベンチャーの基礎的な知見や技術を育成してビジネス化あるいは投資していくトランスレーショナルリサーチ(TR)事業、3.当社が鹿児島県指宿市の高台に所有する広大な敷地(メディポリス指宿)の自然資本を活用して地熱発電や宿泊施設運営などを行うメディポリス事業(社会的利益創出事業)等を行っております。具体的には、CRO事業では、安全性研究所、株式会社新日本科学イナリサーチセンターにおいて非臨床試験の実施及び臨床試験の試料分析を、薬物代謝分析センターにおいて非臨床試験及び臨床試験の試料分析を、株式会社新日本科学PPDにおいて臨床開発(注4)をそれぞれ受託しております。当社に直属するTR事業本部では、独自の経鼻製剤技術と投与デバイス技術から成る経鼻投与基盤技術(SMART: Simple MucoAdhesive Release Technology、以下、SMART)の研究開発を実施しており、鼻粘膜からの全身吸収、鼻粘膜上での免疫、鼻から脳への薬物送達の3つの応用領域において創薬に注力しております。これまでに、TR事業として、独自のSMART技術を応用した、経鼻片頭痛治療薬を開発中の米国Satsuma Pharmaceuticals, Inc.及びパーキンソン病の治療薬を開発中の株式会社SNLDなどをスピンアウトさせた実績があり、TR事業本部としてこれらの開発会社の支援も行っています。Satsuma社の経鼻片頭痛治療薬「AtzumiTM」(開発名:STS101)は当社技術に基づき開発され、2025年4月30日(米国時間)に米国FDAから販売承認を取得し、早期の市場導入に向けた取組みを進めています。さらに、経鼻ワクチンに関する事業については、2023年4月に経鼻粘膜ワクチン研究開発センターを立ち上げ、遮断免疫作用を有する新規経鼻ワクチンの研究開発を推進しており、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント(注5)を含めた製剤化やデバイスの最適化にも取り組んでおります。その他、現重要投資先で核酸医薬品の開発を行う米国Wave Life Sciences Ltd.も、TR事業を起源とした企業です。メディポリス事業では、環境に配慮したバイナリ―式地熱発電(注6)事業を実施するとともに、人々の健康の実現(Wellbeing)をメインコンセプトとした2つのホテル宿泊施設(ヒーリングリゾートホテル「別邸天降る丘」及びメディポリス指宿に隣接する一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携した患者専用宿泊施設「HOTELフリージア」)を当社及びその子会社で運営するホスピタリティ事業を展開しています。香港の新日本科学(亜州)有限公司はアジアにおける事業を統括し、当社の持分法適用関連会社である中国本土の安凱毅博(肇慶)生物技術有限公司(旧 肇慶創薬生物科技有限公司)及び当社子会社であるカンボジア王国のSHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES(CAMBODIA)LIMITEDでは、実験用NHPの繁殖育成と検疫輸出を行っています。 (注1)非臨床試験:臨床試験に着手する前に、実験動物や細胞・細菌を用いて開発中の医薬品等の有効性と安全性を確認する試験です。(注2)治験:臨床試験のうち、厚生労働省から新薬の製造・販売承認を得るために実施する試験です。(注3)経鼻投与基盤技術:既に市販されている薬剤の剤型に工夫を施し、鼻から投与し、鼻粘膜から吸収させ、治療するシステムのことです。(注4)臨床開発:ヒトに対する薬の有効性と安全性を確認するための試験を実施するにあたり必要となる開発業務です。(注5)アジュバント:ワクチンの効き目を増強させる成分のことであり、ワクチンに添加することで、ワクチンに含まれる抗原の量やワクチン接種の回数を減らしたりすることができます。(注6)バイナリー式地熱発電:バイナリー発電方式とは、加熱源により沸点の低い媒体を加熱・蒸発させてその蒸気でタービンを回す方式です。加熱源系統と媒体系統の二つの熱サイクルを利用して発電することから、バイナリーサイクル発電と呼ばれています。 (2) 医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域について製薬企業は、医薬品を開発し、最終的に販売するまでには薬機法に基づく様々な試験を実施し、有効性と安全性を確認します。厚生労働省に新薬承認申請を行う際には、それらの試験の成績を添付し、同省諮問機関の専門家による厳密な審査を経て承認が得られるシステムになっております。医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域については、次のとおりです。 (3) セグメントについて 報告セグメントは、当社と連結子会社26社、持分法適用関連会社7社により、次のとおりCRO事業(非臨床事業・臨床事業)・トランスレーショナルリサーチ事業・メディポリス事業・米国不動産事業及びその他事業に区分されております。セグメント主な事業の内容主な構成会社CRO事業(非臨床事業)製薬企業等の委託者が開発中の医薬品等について、実験動物や細胞・細菌を用いてその有効性と安全性を確認する事業(臨床事業)ヒトにおける有効性と安全性を確認するための試験実施に関する開発事業当社株式会社新日本科学イナリサーチセンター株式会社CLINICAL STUDY SUPPORTSNBL U.S.A., Ltd.University Medicines International, LLC.新日本科学(亜州)有限公司SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES(CAMBODIA) LIMITEDANGKOR PRIMATES CENTER INC.株式会社新日本科学PPD(注1)安凱毅博(肇慶)生物技術有限公司(注1)トランスレーショナルリサーチ事業経鼻投与基盤技術等の開発及び大学、バイオベンチャー、研究機関などにおける基礎研究から派生してくる有望なシーズ技術や新規物質を発掘して、医薬品などの評価・承認に必要な非臨床試験や臨床試験を行いながら、付加価値を高めて事業化する事業等当社SNBL U.S.A., Ltd.株式会社Gemsekiインベストメント株式会社SNLDNDP Pharmaceuticals,Inc.SGG Management Services,LLC.Ruika Therapeutics, Inc.Satsuma Pharmaceuticals, Inc.SBI US Gateway Fund LP(注1, 2)メディポリス事業宿泊施設運営及び地熱発電事業等当社AMAFURU&Co.株式会社株式会社メディポリスエナジーGreen Hydrogen株式会社米国不動産事業米国子会社SNBL USA, Ltd.が保有する敷地内に建設した多目的産業用ビルを賃貸する事業SNBL U.S.A., Ltd.その他事業事務業務受託等当社株式会社新日本科学グループ株式会社メディポリスSNBLアセットマネジメント株式会社ふれあい・ささえあい株式会社トランクソリューション株式会社株式会社新日本総合建設FREESIA HD,INC.株式会社新日本科学Tasso(注1)株式会社JRMPC(注1)株式会社NANA(注1)(注1)持分法適用関連会社(注2)SBI US Gateway Fund LPは当連結会計年度において新たに出資したため、持分法の適用範囲に含めております。 当社及び連結子会社の会社別事業内容は、次のとおりであります。<会社別事業内容> セグメント当社(事業部)及び主な連結子会社所在地事業内容当社CRO事業安全性研究所鹿児島非臨床試験を行っております。また、臨床試験の試料分析を行っております。薬物代謝分析センター和歌山非臨床試験及び臨床試験の試料分析を行っております。トランスレーショナルリサーチ事業TR事業本部東京・鹿児島経鼻投与基盤技術等の開発を行っております。また、大学等と共同研究の推進、バイオベンチャー等の支援を行っております。メディポリス事業別邸天降る丘鹿児島ホテル宿泊施設を運営しております。発電事業部鹿児島地熱発電事業等を行っております。主な連結子会社CRO事業株式会社新日本科学イナリサーチセンター長野非臨床試験を行っております。また、臨床試験の試料分析を行っております。SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES (CAMBODIA) LIMITEDカンボジア王国プノンペン都実験動物の繁殖・育成・検疫等を行っております。トランスレーショナルリサーチ事業株式会社Gemsekiインベストメント東京投資事業・ファンド運営を行っております。株式会社SNLD東京TR事業本部のリソースを用い、経鼻製剤の開発を行っております。Satsuma Pharmaceuticals, Inc.米国 ノースカロライナ州FDA承認済み経鼻製剤の事業開発活動を行っております。メディポリス事業株式会社メディポリスエナジー鹿児島地熱発電事業を行っております。 米国不動産事業SNBL U.S.A.,Ltd.米国 ワシントン州保有する敷地内に建設した多目的産業用ビルを賃貸する事業を行っております。 (4) 非臨床事業について非臨床試験とは、製薬企業等が開発中の医薬品等(被験物質)の有効性と安全性について、実験動物や細胞・細菌などを用いて調べる試験です。非臨床試験は、その後に続く、ヒトによる臨床試験や製造販売後、診療の場における患者さんへの危害を未然に防止するために不可欠であり、その実施は薬機法等で定められております。当社グループで実施する非臨床試験には、安全性試験(単回・反復投与毒性試験、生殖発生毒性試験等)、薬理試験(安全性薬理試験等)、薬物動態試験があります。各試験の種類や試験内容は次のとおりです。非臨床試験の種類説明安全性試験単回投与毒性試験被験物質を単回投与し、その毒性を質的量的に明らかにする試験です。反復投与毒性試験被験物質を繰り返し投与したとき、明らかな毒性変化を示す用量とその変化の内容及び毒性変化の認められない用量を求める試験です。生殖発生毒性試験被験物質の生体への投与が、生殖・発生の過程において何らかの悪影響を及ぼすかどうかの情報を得ることを目的とした試験です。抗原性試験被験物質がヒトに対して免疫反応に関与する副作用を起こす可能性があるかどうかを調べる試験です。皮膚(光)感作性試験皮膚外用剤として用いる被験物質の皮膚での接触感作性、皮膚光感作性のリスクを予測するための試験です。遺伝毒性試験細胞や細菌を用いて、被験物質の遺伝子突然変異誘発性や染色体異常誘発性を推定する試験です。がん原性試験被験物質が、がん原性を示すかを調べる試験です。局所刺激性試験被験物質を局所に適用し、その刺激性を調べる試験です。吸入毒性試験吸入装置を用いて、被験物質を全身に暴露した場合、あるいは口や鼻から吸入した場合の毒性を調べる試験です。TK試験被験物質を投与した際の血漿あるいは血清中の薬物の濃度を測定し、全身的暴露量を経時的に調べる試験です。特性試験被験物質の特性として、純度、含量や性状等を調べる試験です。安定性試験被験物質の安定性を調べる試験です。依存性試験被験物質の薬物依存性を調べる試験です。薬理試験安全性薬理試験被験物質の薬理作用又は副作用の観察を目的として、ヒトでの安全性を予測するために行われる試験です。薬効試験被験物質の有効性を評価することを目的として行われる試験です。薬物動態試験被験物質投与後の生体内での被験物質及びその代謝物の時間経過に伴う吸収、分布、代謝、排泄等について調べる試験です。 非臨床試験は、厚生労働省が管轄する薬機法の下、GLP(注1)に従い実施しております。具体的には、運営管理者(注2)が指名した試験責任者(注3)の指揮監督の下で、試験計画書(注4)及び標準操作手順書(SOP)(注5)に従って適切に実験を実施し、その成績を最終報告書(注6)としてまとめ、委託者へ報告しております。なお、試験がGLPに従い適切に実施されていることについて、信頼性保証部門(注7)が試験全般にわたって客観的に調査することがGLPに定められております。委託者による試験依頼から最終報告書に至る試験の流れは、次のとおりであります。非臨床試験を実施するにあたっては、以下の要件が必要不可欠となります。・GLPの厳格な適用・専門知識と高い技術力を備えた人材の確保・清浄度の高い飼育施設の維持管理・試験成績の収集・測定・分析・解析等を行う専用機器の具備・資料保管施設等が充分に整った環境・高品質の実験動物の確保多様な試験を迅速に開始できる体制を整えるべく、経験豊富で高い技術力を備えた研究者の確保、容易に各種実験動物を準備できるだけの検疫施設及び飼育・繁殖体制の整備、研究施設の諸設備の充実等を図っております。当社では、ヒトとの遺伝子的類似性が高いことから医薬品の安全性と有効性を調べるのに有用性が高いとされている実験用NHPを用いた試験の実施が可能です。実験用NHPを用いた試験は、他の実験動物に比べて取扱いが困難であります。当社では自社開発した保定器具(国際特許取得)を用いることにより、安全に試験を実施できることに加え、動物にストレスを与えない状態で試験データ取得が可能で、信頼性の高い試験を実施できます。実験用NHPの取扱いは、輸入、検疫、飼育及び繁殖に関する基礎技術・ノウハウを保持している必要があります。加えて、当社敷地内には、農林水産大臣の指定を受けた検疫施設(保税倉庫)があり、実験動物としての品質や安定的数量を確保しております。(注1)GLP:Good Laboratory Practiceの略語で、「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」のことです。医薬品等の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、動物による安全性試験データの信頼性を確保するために、試験実施施設が遵守しなくてはならない事項を定めたものです。1979年6月に世界で最初に米国においてGLPが実施され、これを契機として各国において各種のGLPが制定されました。我が国においては、1983年4月に実施された医薬品GLPが始まりで、現在では1996年の旧薬事法等の一部改正に伴い厚生省令として定められ、1997年4月より施行されました。なお、国内では医薬品GLPの他7種類のGLPが施行されています。(注2)運営管理者:試験施設の運営及び管理について責任を有する者です。(注3)試験責任者(SD:Study Director):運営管理者によって試験毎に指名され、当該試験の計画、実施、記録、報告等について責任を有する者です。(注4)試験計画書(Protocol):試験の目的を達成するのに必要な試験方法、操作方法が確実に行われるようにするため、試験責任者が試験毎に作成した文書です。(注5)標準操作手順書(SOP:Standard Operating Procedures):試験が恒常的に適正に実施されるように試験の操作、動物の飼育管理、機器の維持管理等について、実施方法及び手順を記載した文書です。(注6)最終報告書(Final Report):試験責任者が、試験毎に試験成績を最終的に報告書として作成した文書です。(注7)信頼性保証部門(QAU:Quality Assurance Unit):信頼性保証部門は、試験の信頼性を保証するための個人又は組織です。信頼性保証部門責任者は運営管理者によって、試験の担当者以外の者から指名されます。さらに、信頼性保証部門責任者は信頼性保証部門担当者を指名し、この信頼性保証部門責任者及び担当者は、客観的な目で試験全般にわたって調査しています。必要に応じて、試験の過程で見られた試験計画書等に従わなかったこと等について指摘、改善を勧告する役割を負っています。その活動の記録、報告は全て文書によって保存されています。(5) 臨床事業について非臨床試験の次の段階である臨床試験(治験)は、ヒトにおける治験薬の有効性と安全性を確認する試験となります。これは、製薬企業等が実施するものと位置付けられておりますが、ヒトでの試験であることから、製薬企業等は医療機関(医師を含む)に治験への参画を依頼することとなります。即ち、製薬企業等が医療機関に治験の実施を依頼し、医療機関がそれを受託することにより実施されます。実施にあたって、製薬企業等(治験依頼者)は、治験の実施準備として、今までの非臨床試験を含めた成績をまとめて評価し、治験実施計画書(注1)案を作成し、その治験実施計画書案に従った治験ができる医師を選び、医師が所属する医療機関に治験の依頼手続きを行います。依頼を受けた医療機関は、治験実施計画書案が倫理的、科学的、医学的妥当性及び当該医療機関における実施可能性の観点から評価するために、治験実施の可否について治験審査委員会(IRB)(注2) に諮り、実施の承認を得て治験の契約を行います。その後、被験者の同意(インフォームド・コンセント)(注3) を得た上で、GCP(注4) 、治験実施計画書、標準業務手順書(SOP)(注5) 及び薬機法に従って治験を実施します。治験の結果は、症例報告書(注6)として作成され、治験終了通知書(注7)と共に治験依頼者に提出されて治験が終了します。これらの医療機関での治験の実施に関して、治験依頼者は治験がGCP及び治験実施計画書等に従って実施されていることを確認します。以上のように、治験は、製薬企業等と医療機関との間における様々な専門的な管理・運営の下で行われています。当社では、関連会社である株式会社新日本科学PPDが、主に製薬企業等から臨床試験の管理を受託し、製薬企業の代わりに医療機関に訪問して治験の進捗を管理する事業(CRO事業)を行っております。 医薬品開発がグローバル化する中で国際競争を展開する製薬企業は、開発のスピードアップを重点課題としており、開発業務をアウトソーシングする動きが活発化し、医療機関では治験体制の整備に関するニーズが高まっております。近年、CRO業界においては、新規参入が相次ぎ競争が激化してきております。当社グループのCROは非臨床事業と共に築き上げた製薬企業等との強い信頼関係を活かして積極的な展開を行っております。当社は、1999年に臨床開発事業本部(後に臨床事業部と改称)を開設してから、これまでの国内に限定した臨床試験の実施から多国間で同時に行う国際共同試験(以下「グローバル試験」) や日本を含むアジア周辺の複数国で同時に行うアジア試験にトレンドが移りつつある中で、グローバル試験の受注には、世界で同時に臨床試験を運営・管理・実施できる多国間のグローバルネットワークの構築が必須であると判断し、グローバルCRO(注8)であるPharmaceutical Product Development, LLC. ( 以下「PPD」) と2015年4月1日に国内での合弁会社を設立致しました。両社の日本における臨床事業を統合することで、当社は、グローバル試験の国内実施体制の基盤が強固となり、PPDのグローバルネットワークを活用して、日本国内の臨床試験の受託のみならず、グローバル臨床試験を含む幅広い試験の受託が可能となります。なお、株式会社新日本科学PPDは、当社の持分法適用会社であります。当社CRO事業における治験支援業務の種類及び業務内容は、次のとおりです。 業務の種類業務の内容治験薬概要書の作成支援非臨床試験成績及び先行して実施された臨床試験成績に基づいてまとめた的確な治験薬概要書の作成を支援しております。治験実施計画書の作成支援治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書の作成を支援しております。同意説明文書の作成支援被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる文書の作成を支援しております。治験責任医師の選定治験実施医療機関の選定治験を適切に実施できる治験責任医師及び実施医療機関を選定する業務です。治験薬割付治験薬の評価にバイアスを避けるために治験薬が特定できないようにする業務です。通常、記号と算用数字を組み合わせて、あるいは算用数字で表示します。治験の依頼・契約医療機関への治験の依頼及び契約をする業務です。モニタリング治験依頼者により指名されたモニターが、治験の進行状況を調査し、GCP及び治験実施計画書、標準業務手順書に従って、実施、記録及び報告されていることを保証する業務です。品質管理治験の品質管理を目的として行う点検業務です。データマネジメント(DM:DataManagement)治験データの確認業務のことで、DM業務担当者は、モニターが治験責任医師から入手した症例報告書の内容を確認して、治験実施計画書に定める事項からの逸脱、記入漏れ、不整合等を発見し、モニターを通じて治験責任医師にフィードバックします。データを固定後、統計解析業務担当者に提供する業務です。統計解析業務データマネジメント業務を通じて作成されたデータベースを用いて治験実施計画書に定めた統計手法に基づき有効性、安全性の統計解析を行う業務です。総括報告書の作成支援治験の終了後、治験の目的、方法及び成績等をまとめた治験に関する報告書の作成を支援しております。電子申請支援各種申請を支援しております。官公庁への申請書類提出支援官公庁への各種申請書類の作成や手続きを支援しております。薬事コンサルティング新薬の開発から申請、承認、製造販売後までにわたる様々な薬事コンサルティング業務です。 (注1)治験実施計画書(Protocol):治験依頼者(製薬企業等)が治験責任医師と協議の上作成するもので、治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書です。(注2)治験審査委員会(IRB:Institutional Review Board):治験を実施する医療機関に設置される委員会で、医学、薬学、看護学、法律学、倫理学等の専門家により構成されています。その医療機関が依頼を受けた治験を実施すべきかどうか等について、独立した立場で審査します。(注3)インフォームド・コンセント(Informed Consent):被験者が、治験の目的や方法等、あらゆる角度から十分な説明がなされた上で、自由な意志によって治験への参加に同意し、書面によってそのことを確認することです。インフォームド・コンセントは、被験者の記名捺印( 又は署名) と日付が記入された同意書をもって証明されます。(注4)GCP:Good Clinical Practiceの略語で、「医薬品の臨床試験の実施の基準」のことです。即ち、医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料収集のために行われる臨床試験(治験)を、十分な倫理的配慮のもとに科学的かつ適正に実施するための手順を定めたものです。1989年10月に厚生省薬務局長通知として公表され、翌1990年10月から実施に移されました。その後、より適正な臨床試験の実施と国際調和のために内容を見直された新GCPが、1997年3月に厚生省令として制定、1998年4月から本格施行され、以降適宜改正されております。(注5)標準業務手順書(SOP: Standard Operating Procedures):治験に係る各々の業務が品質を確保する目的で、恒常的かつ適正に実施されるよう手順を標準化したものです。(注6)症例報告書(CRF:Case Report Form):治験の成績等を治験依頼者に報告するために、治験実施計画書において規定されている各被験者の全ての情報を記録したものです。(注7)治験終了通知書:治験終了後に医療機関が作成し、治験依頼者に提出するものです。(注8)グローバルCRO:世界を網羅的にとらえて臨床試験を運営・管理・実施する多国間ネットワークを構築している国際的規模のCROのことを言います。 (6) トランスレーショナルリサーチ(TR)事業についてトランスレーショナルリサーチ(TR: Translational Research)とは、一般的には、基礎研究の領域と臨床応用の領域を繋ぐ橋をかけて、基礎研究の成果を臨床の現場で実証し、さらに臨床での成果を基礎研究の場にフィードバックさせる研究のことを言いますが、当社では基礎研究の成果を臨床における成果へと進展させ、更にそれを事業化することとして位置付けております。当社は、CRO事業において、非臨床試験から臨床試験に至る医薬品開発全般の支援業務を長年実施してきた実績を通じて、医薬品開発に関するノウハウが蓄積されたことに加えて、新規技術や候補物質の評価やそれを事業化するためのノウハウも蓄積されており、さらには人材面・資金面・経営面で支援を行うことも可能になりました。当社TR事業本部は、当社CRO事業によって培われた医薬品開発に関わる様々なリソースをフル活用して、自ら医薬品開発に取り組んでおります。TR事業本部は、独自の経鼻製剤技術と投与デバイス技術から成る経鼻投与基盤技術(SMART)の研究開発を実施しており、より効果的な全身作用を企図した鼻からの薬物吸収に関する応用、中枢作用を企図した鼻から脳への薬物送達に関する応用、及び感染防御を企図した鼻粘膜上の免疫に関する応用の、3応用領域において創薬を指向しております。その全体像を下図に示しました。これまでにTR事業本部から、経鼻片頭痛治療薬を米国Satsuma Pharmaceuticals, Inc.に、パーキンソン病の経鼻治療薬を国内株式会社SNLDにライセンスアウトしており、TR事業としてこれらの開発支援も行っています。2025年4月(米国時間)には、Satsuma社の経鼻片頭痛治療薬「AtzumiTM」(開発名:STS101)が当社技術に基づき開発されFDA承認を受けた第1号となりました。また、ワクチン事業に関しては、免疫学のオピニオンリーダー常駐のもとに、経鼻粘膜ワクチン研究開発センターにて遮断免疫作用を有する新規経鼻ワクチンの研究開発を推進しております。同事業は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(以下、AMED)内に設置された先進的研究開発戦略センターSCARDA(以下、AMED/SCARDA)から委託研究開発費を得て、効果を高めるため至適抗原の選定/経鼻免疫に適したデバイス開発/アジュバントを加えた製剤化、などの各要素をシステムとして統合し、安全かつ有効なワクチンに仕上げる研究開発が進んでおります。なお、TR事業本部とSNLDでは、臨床試験遂行のため、GCPに準拠した組織を構築しております。 (7) メディポリス事業について当社は、鹿児島県指宿市の高台に103万坪(340万㎡)の広大な敷地「メディポリス指宿」を保有しており、この自然資本を活用し社会的利益の創出を目指すメディポリス事業を展開しております。メディポリス事業では、発電事業並びにホスピタリティ事業を運営しています。前者では、純国産エネルギーの創出推進という国のエネルギー政策をうけて、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の施行により、自社保有するメディポリス指宿敷地内に環境に配慮したバイナリ―式地熱発電所(1500kW級)を建設し、売電事業を行っております。加えて、既存のホテル泉源の余剰蒸気を活用した温泉発電所が2025年4月10日に稼働を開始しております。ホスピタリティ事業では、Wellbeingをテーマとし、メディポリス指宿の自然を堪能できるヒーリングリゾートホテル「別邸 天降る丘」、医療機関メディポリス国際陽子線治療センターの患者専用宿泊施設「Hotel フリージア」および研修専用の「指宿ベイヒルズ」の3つの施設を運営しております。(8) 米国不動産事業について米国不動産事業は、米国子会社SNBL USA, Ltd.が保有する敷地内に建設した多目的産業用ビルを賃貸する事業を行っています。(9) その他事業について連結子会社となる特例子会社「ふれあい・ささえあい株式会社」は、身体が不自由な方や精神発達に遅れが出ている方が「働きたい」という思いを実現するために設立した会社です。新日本科学グループ内の業務支援として、清掃、事務、社内コンビニでの業務、福利厚生(鍼灸師によるマッサージ)などを行っています。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
CRO事業では、日本で唯一の実験用NHPを用いた生殖発生毒性試験を実施できる施設であるため
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
独自の経鼻投与基盤技術(SMART)と実験用NHPの繁殖供給体制を確立している点
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか ディフェンシブ
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:実験動物を安定的に調達できないリスク / 開発パイプラインの期待された有効性有用性の確認ができず、研究開発が中止となるリスク / 景気動向や海外情勢の影響を受けるリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 4 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

新日本科学の事業内容(医薬品開発支援、CRO事業)において、特許やブランドによる明確な無形資産の優位性は確認できない。受託研究が中心であり、顧客との関係性は重要だが、それが直接的な無形資産として評価できるレベルではない。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

医薬品開発は長期にわたるプロセスであり、CRO(医薬品開発業務受託機関)を変更する際には、プロジェクトの引き継ぎ、データ移行、関係構築などに時間とコストがかかる可能性がある。しかし、特定の技術やサービスにロックインされるほどの高いスイッチングコストは存在しないと考えられる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

新日本科学の事業モデルは、顧客(製薬会社)との直接的な契約に基づいており、ユーザー数の増加がサービス価値を向上させるネットワーク効果は発生しない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

CRO業界は競争が激しく、価格競争に陥る可能性がある。新日本科学が他社と比較して構造的に低いコスト構造を有しているという明確な証拠はない。効率的なオペレーションは重要だが、それが持続的なコスト優位に繋がるかは不明。

規模の経済★☆☆☆☆
根拠:弱い規模が参入障壁になる

新日本科学はCRO業界において一定の規模を持つが、グローバルな大手CROと比較すると規模の経済性は限定的である。業界全体が成熟しており、規模の拡大による圧倒的な優位性を築くことは難しい可能性がある。

  • 実験動物の安定供給体制
    CRO事業において、実験用NHP(非ヒト霊長類)の繁殖・供給体制を自社グループ内で確立している点が強みです。これにより、実験動物の安定的な調達が可能となり、非臨床試験の計画見直しや試験数減少のリスクを低減し、競合他社との差別化を図っています。特にバイオ医薬品の非臨床試験におけるNHPの需要拡大に対応できる体制です。
  • 独自の経鼻投与技術
    トランスレーショナルリサーチ(TR)事業では、独自の経鼻投与基盤技術「SMART」を保有しています。この技術は、鼻粘膜からの全身吸収、鼻粘膜上での免疫、鼻から脳への薬物送達といった応用領域で創薬に注力しており、既存薬の新たな剤形開発や新規ワクチンの研究開発にも応用されています。これにより、新しい医薬品市場を開拓する可能性を秘めています。
  • 多角的な事業展開とリスク分散
    医薬品開発支援(CRO)、独自技術の事業化(TR)、地域資源活用(メディポリス)と多角的な事業を展開している点が強みです。これにより、特定の事業領域のリスクに過度に依存することなく、事業全体のリスクを分散し、安定的な経営基盤を構築しようとしています。例えば、CRO事業の安定収益でTR事業の先行投資を支える構造です。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在(2026年3月31日)において当社グループが判断したものであります。(1)会社の経営の基本方針当社グループは、次の使命を掲げております。「創薬と医療技術の向上を支援し、人類を苦痛から解放する事を絶対的な使命とします。」当社グループは、この使命の具現化に向け、医薬品開発分野における非臨床試験および臨床試験の受託を通じて事業基盤の確立を図ってまいりました。1957年の創業以来、長年培った研究実績や豊富な経験を活かして、最新の設備と確かな技術をもって医薬品開発をサポートしております。一方、科学技術の進展により、医薬品の開発環境は大きく変化しました。このような新しい環境にも迅速に対応し、世界に通用するビジネスモデルを構築しております。当社の理念を共有でき優れた発想や卓越した才能を持つバイオベンチャーなどと共存共栄を図っていくTR事業にも積極的に取り組んでおります。社会貢献と企業価値の極大化を経営の基本方針として、株主、顧客、取引先、従業員等すべてのステークホルダーの期待に応えるべく努力を重ねてまいります。 (2)目標とする経営指標当社グループは、企業価値を向上させるため、各事業の創出する利益を極大化することを重視し、営業利益、経常利益の増大および利益率の改善を経営目標にしています。また資本収益性の指標についてはROE(自己資本利益率)とROIC(投下資本利益率)を重視し、取締役会での報告事項としております。さらに、資本コストを意識した経営を実践すべく、資本コストを上回るROEとROICの維持・向上を図るとともに、財務健全性の維持と株主還元のバランスの最適化に努めています。2026年3月期の業績をもとにした資本コストは5.3%と試算しております。β値は直近5年間の週次データをもとに0.94と算出しています。2026年3月期のROE 10.9%、ROIC 8.4%は、いずれも資本コストを上回っています。 (3)中長期的な会社の経営戦略当社は2022年10月に「統合報告書」を発行し、その中で当社の展望として「2028Vision」を掲げ、2028年度の財務KPI(目標)として「売上高500億円、経常利益200億円、売上高経常利益率40%、配当性向30~40%」としました。さらに2023年11月発行の「統合報告書2023」において、重視する資本収益性の指標としてROEとROICを加え、2028年度の財務KPIとして、「ROE10%以上」「ROIC10%以上」を設定しました。これは現在の基幹事業であるCRO事業が引き続き業績をけん引するという考えを基に作成しております。具体的には、第1の成長エンジンである実験用NHPを用いた非臨床事業、第2の成長エンジンである新日本科学PPDで実施している国際共同治験(Global Study)の受託による臨床事業の2つのエンジンが引き続き収益をけん引することを前提としていますが、中長期的には当社が独自に開発したSMARTによる経鼻医薬品が第3の成長エンジンになると思います。簡単に真似のできないビジネスモデルによる成長エンジンを拡大および増加させることで持続的成長を推進する経営戦略を進めてまいります。 (4)経営環境医薬品業界は、国内外において研究開発のスピードアップと費用の効率化ならびに規制当局への対応簡素化を期待してCRO(Contract Research Organization:医薬品開発業務受託機関)へのアウトソーシング(外部委託)が引き続き活発化しております。加えて核酸医薬、次世代抗体医薬、ペプチド医薬、遺伝子治療、細胞治療、再生医療などの新規創薬モダリティ(治療手段)の研究開発が本格化してきています。当社は、これら新しいタイプの治療薬の開発で需要が高まっている実験用NHPについて、自社グループ内に繁殖・供給体制を構築できている強みを持ち、実験用NHPを用いた試験の豊富な実績と知見をもとに、顧客の開発パートナーとして開発戦略に最適な非臨床試験をパッケージで提案、試験受託できることがグローバルベースでの高い評価につながっています。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題こうした中で、当社グループが対処すべき課題は次のとおりです。① CRO事業の更なる強化医薬品業界では、国内、海外問わず、ワクチン開発や治療薬開発が急速に進んでおります。また、次世代抗体医薬、核酸医薬、ペプチド医薬、再生医療、遺伝子治療など、創薬モダリティの多様化に伴い医薬品開発難度は上昇しており、研究開発費増加とともに迅速かつ質の高いCROへのアウトソーシングのニーズが高まっております。こうした中、次のような観点からCRO事業の強化を図ってまいります。サービス拡充の観点から当社は、ワクチン並びに感染症治療薬開発にCROとして参画するとともに、従来型の安全性試験に加え、候補化合物選定のための創薬スクリーニングから臨床試験に至るまで一貫して開発に必要な試験を受託することで、開発者側の視点に立ったより付加価値の高いサービスを提供することを目指します。上述した創薬モダリティの多様化が進む中、当社では新規安全性評価システム(New Approach Methodologies:NAMs)として期待されているMPS(MicrophysiologicalSystem:生体模倣システム)の受託専用実験室を設置し、国内CROとして初めて受託サービスを開始しております。今後も業界の動きにいち早く対応した幅広いサービスを提供してまいります。オペレーションの観点からは、作業工程におけるロボット化や自動化等のDX推進による内部業務プロセスの見直しと改善を進めています。医薬品開発において、非臨床試験のリードタイムを短縮することは新たな時間的価値創出につながることから、試験開始に要する時間短縮に加えて、実験終了から最終報告書草案提出までの期間短縮を目指し、AIを活用した最終報告書草案の自動作成にも取り組んでまいります。また、年々需要が高まっている新規創薬モダリティ医薬品開発に不可欠な実験用NHPのサプライチェーンマネジメントについて、日本・カンボジアのグループ関連施設における検疫・繁殖・育成能力をそれぞれ増強することにより、リスク分散を図りつつ今後の事業成長に必要な品質の高い実験動物を安定的に確保できる体制を構築していきます。2024年5月に竣工した鹿児島本社の新社屋・研究棟の本格稼働に加え、欧米顧客からの要望の高いEU規格の大型飼育ケージに特化したNHP実験施設「EU実験棟」の2027年秋頃の完成を目指し準備を進めることで、非臨床試験の大型受注に対応できる体制実現に取り組んでまいります。人財育成の観点からは、顧客に対してより効果的で効率的な試験を提示できる提案型CROを目指しており、若手研究員を中心にサイエンスレベル向上に引き続き注力してまいります。国立大学法人鹿児島大学、国立大学法人熊本大学との三者間協定契約を締結し、優秀な研究者や技術者の育成と学位取得を推進すると共に、国内外の学会において研究成果の発表及び論文発表を行ってまいります。中東情勢の影響につきましては、現時点において事業に必要な医療等製品・物資において入手困難な状況は出ておりません。今後も情勢を注視してまいります。 ② 第3の収益エンジンとしてのTR事業の推進TR事業では、当社グループの医薬品開発における経験とネットワークに、独自の知的財産に基づく基盤技術を加えることで、創薬型の医薬品開発事業へとパラダイムシフトするという戦略に基づき、以下の複数のプロジェクトに取り組んでおります。パーキンソン病のオフ症状治療のための点鼻レボドパ経鼻薬の開発を行っている連結子会社のSNLD社では、改良開発品であるTRN501について、2024年8月に臨床第1相試験における日本人健康成人への投薬を完了し、データ解析と総括報告書の作成を進め、今後学会にて結果発表を行う予定です。各国の薬事制度・市場調査を綿密に行い、今後の開発方針を慎重に見極めつつ、次の臨床治験計画を立案してまいります。経鼻ワクチン開発は、非臨床POC取得を達成したとの判断に基づきAMED/SCARDAから委託研究開発費の追加も含めた研究開発支援の延長(2029年3月31日まで)が決定されており、今後、開発試験期間内での第1相臨床試験の終了を目指してまいります。当社のSMARTのライセンス先であるSatsuma社は、2025年4月30日(米国時間)にFDAより経鼻片頭痛薬「Atzumi™」(開発コード:STS101)の販売承認を取得しており、最新の市況を踏まえて早期の市場導入に向けた取組みを進めてまいります。具体的には、Satsuma社が米国Nasdaqに上場した際の旧経営幹部が再度同社に参画し、同社内に製造・販売機能を持たせ、Atzumi™の付加価値を高めつつ、イギリス、中近東(サウジアラビア、イスラエル、UAE)、インド、シンガポール、台湾、韓国、日本などを含めたグローバル市場において、幅広いライセンス導出活動を推し進めてまいります。一方、Gemseki事業では、創薬シーズ・技術のグローバルライセンス仲介事業に加え、投資ファンドを通じた投資事業も推進しております。当社との事業シナジー創出を図りながら、豊富な創薬経験とグローバルネットワークを活用した開発支援サービスを幅広く提供してまいります。 ③ SDGs/ESGへの取組みを通した非財務価値の向上当社は「環境、生命、人材を大切にする会社であり続ける」という企業理念のもと、企業の持続的成長にサステナビリティ推進の取組みが重要であると強く認識し、持続可能な社会の実現に貢献しています。当社グループ全体のサステナビリティの取組みを中長期的な視野で体系的に拡充し推進させていく目的から、当社取締役会の任意の諮問機関として「SDGs委員会」を設置し、毎月開催しています。SDGs委員会は独立社外取締役を委員長として、サステナビリティに関する重要な案件について審議・策定しています。取締役会ではSDGs委員会からの報告を基に、サステナビリティに関する基本方針や重要事項を決定の上、社内で取組みに関する監督が適切に図られるよう体制を整えています。持続的な企業価値の向上に向けて、「社会課題の解決」と「経営基盤の強化」の観点から、7つのマテリアリティ(重要課題)を特定しています。マテリアリティの特定にあたっては、当社の将来ありたい姿を踏まえて、当社へのリスク・機会を検討しております。そのうえで、マテリアリティごとに非財務KPIを設定し非財務価値向上に取り組んでいます。 マテリアリティ主な機会主なリスク社会課題の解決創薬と医療技術向上の支援(医薬品アクセスの向上)・新たな創薬モダリティの開発加速による非臨床試験の需要増加・製薬企業のCROへのアウトソーシング化の加速・顧客ニーズへの対応力不足による信用力の低下・次世代の非臨床試験技術への対応の遅れによる競争力の低下健康な人生の提供(ウェルビーイングな暮らし)・超高齢化社会に伴う社会保障費増加による健康寿命の延伸、未病ニーズの拡大・リアルワールドデータ(RWD)の利活用による新規市場の獲得・ウェルネスプログラムにおける消費者ニーズとのミスマッチ・RWDの利活用システムの開発・整備や制度変更への対応の遅れによる市場獲得の失敗美しい地球環境の保全・カーボンニュートラル実現に寄与する地熱発電(再生可能エネルギー)の事業機会の拡大・異常気象に適応できる事業体制の強化・気候災害の激甚化による被害の発生・環境規制強化による対応費用の増加経営基盤の強化働く楽しさを実感できる組織づくり・優秀な人材の獲得の機会・働きがいのある職場環境の整備を通じた社員の生産性、モチベーションの向上・人材獲得競争激化によるコストの増加・職場環境の整備不足による優秀な人材の流出、生産性・モチベーションの低下DX/RPA*推進によるビジネスの進化・業務生産性、顧客とのコミュニケーションレベルの向上・単純作業から解放された社員のモチベーションの向上・DX対応失敗又は遅れによる競争力の低下・ニッチなニーズ対応に伴う費用の増加ステークホルダーエンゲージメントの向上・ステークホルダーとの関係強化による新規事業機会の獲得、信用度の向上・持続可能な調達体制の構築による災害時等におけるレジリエンス(回復力)の向上・事業活動、サプライチェーンの広域化による、モニタリングコストの増加・事業環境の変化に適切に対応出来ない場合に発生する事業遅延や信用力の低下企業理念を実現するガバナンスの構築・強固なガバナンス体制を確立することによる安定的な事業基盤の構築・ESGを中心とした社外評価の向上・内部統制の脆弱性による事業継続リスクの発生、予期せぬ損失の発生・コンプライアンス違反による企業信頼度低下*Robotic Process Automationの略。ソフトウェアロボットやAIを活用し、人が行っていた定型的な業務を自動化すること ④ 優秀な人材の確保と育成当社グループの事業継続及び拡大にあたっては、各分野における専門的な知識・技能を有する技術系研究員等の人材を多数確保する必要があります。また、クラウド化、AIなどのデジタル技術の発展やオンライン化によるビッグデータの獲得・活用など、IT技術が急速に浸透している中、変化する経営環境に適応するためのマネジメント能力を備えた人材を必要としています。当社グループの競争力を強化する上で最も強く求められるのは、顧客から高く評価される質の高いサービスの提供であり、これを実現するためには優秀な人材の確保とレベルアップが必要であります。こうした人材の確保や教育研修のために、当社では新卒採用を強化し、社内教育機関の「SNBLアカデミー」を中心として、職種、職位に応じた研修を最重要課題として取り組んでおります。また、女性が社員の過半数を占める当社では、女性活躍に注力しており、産休・育休からの復帰も100%の状況となる中、引き続き女性の管理職登用数の増加に努めてまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在(2026年3月31日)において当社グループが判断したものであります。(1)会社の経営の基本方針当社グループは、次の使命を掲げております。「創薬と医療技術の向上を支援し、人類を苦痛から解放する事を絶対的な使命とします。」当社グループは、この使命の具現化に向け、医薬品開発分野における非臨床試験および臨床試験の受託を通じて事業基盤の確立を図ってまいりました。1957年の創業以来、長年培った研究実績や豊富な経験を活かして、最新の設備と確かな技術をもって医薬品開発をサポートしております。一方、科学技術の進展により、医薬品の開発環境は大きく変化しました。このような新しい環境にも迅速に対応し、世界に通用するビジネスモデルを構築しております。当社の理念を共有でき優れた発想や卓越した才能を持つバイオベンチャーなどと共存共栄を図っていくTR事業にも積極的に取り組んでおります。社会貢献と企業価値の極大化を経営の基本方針として、株主、顧客、取引先、従業員等すべてのステークホルダーの期待に応えるべく努力を重ねてまいります。 (2)目標とする経営指標当社グループは、企業価値を向上させるため、各事業の創出する利益を極大化することを重視し、営業利益、経常利益の増大および利益率の改善を経営目標にしています。また資本収益性の指標についてはROE(自己資本利益率)とROIC(投下資本利益率)を重視し、取締役会での報告事項としております。さらに、資本コストを意識した経営を実践すべく、資本コストを上回るROEとROICの維持・向上を図るとともに、財務健全性の維持と株主還元のバランスの最適化に努めています。2026年3月期の業績をもとにした資本コストは5.3%と試算しております。β値は直近5年間の週次データをもとに0.94と算出しています。2026年3月期のROE 10.9%、ROIC 8.4%は、いずれも資本コストを上回っています。 (3)中長期的な会社の経営戦略当社は2022年10月に「統合報告書」を発行し、その中で当社の展望として「2028Vision」を掲げ、2028年度の財務KPI(目標)として「売上高500億円、経常利益200億円、売上高経常利益率40%、配当性向30~40%」としました。さらに2023年11月発行の「統合報告書2023」において、重視する資本収益性の指標としてROEとROICを加え、2028年度の財務KPIとして、「ROE10%以上」「ROIC10%以上」を設定しました。これは現在の基幹事業であるCRO事業が引き続き業績をけん引するという考えを基に作成しております。具体的には、第1の成長エンジンである実験用NHPを用いた非臨床事業、第2の成長エンジンである新日本科学PPDで実施している国際共同治験(Global Study)の受託による臨床事業の2つのエンジンが引き続き収益をけん引することを前提としていますが、中長期的には当社が独自に開発したSMARTによる経鼻医薬品が第3の成長エンジンになると思います。簡単に真似のできないビジネスモデルによる成長エンジンを拡大および増加させることで持続的成長を推進する経営戦略を進めてまいります。 (4)経営環境医薬品業界は、国内外において研究開発のスピードアップと費用の効率化ならびに規制当局への対応簡素化を期待してCRO(Contract Research Organization:医薬品開発業務受託機関)へのアウトソーシング(外部委託)が引き続き活発化しております。加えて核酸医薬、次世代抗体医薬、ペプチド医薬、遺伝子治療、細胞治療、再生医療などの新規創薬モダリティ(治療手段)の研究開発が本格化してきています。当社は、これら新しいタイプの治療薬の開発で需要が高まっている実験用NHPについて、自社グループ内に繁殖・供給体制を構築できている強みを持ち、実験用NHPを用いた試験の豊富な実績と知見をもとに、顧客の開発パートナーとして開発戦略に最適な非臨床試験をパッケージで提案、試験受託できることがグローバルベースでの高い評価につながっています。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題こうした中で、当社グループが対処すべき課題は次のとおりです。① CRO事業の更なる強化医薬品業界では、国内、海外問わず、ワクチン開発や治療薬開発が急速に進んでおります。また、次世代抗体医薬、核酸医薬、ペプチド医薬、再生医療、遺伝子治療など、創薬モダリティの多様化に伴い医薬品開発難度は上昇しており、研究開発費増加とともに迅速かつ質の高いCROへのアウトソーシングのニーズが高まっております。こうした中、次のような観点からCRO事業の強化を図ってまいります。サービス拡充の観点から当社は、ワクチン並びに感染症治療薬開発にCROとして参画するとともに、従来型の安全性試験に加え、候補化合物選定のための創薬スクリーニングから臨床試験に至るまで一貫して開発に必要な試験を受託することで、開発者側の視点に立ったより付加価値の高いサービスを提供することを目指します。上述した創薬モダリティの多様化が進む中、当社では新規安全性評価システム(New Approach Methodologies:NAMs)として期待されているMPS(MicrophysiologicalSystem:生体模倣システム)の受託専用実験室を設置し、国内CROとして初めて受託サービスを開始しております。今後も業界の動きにいち早く対応した幅広いサービスを提供してまいります。オペレーションの観点からは、作業工程におけるロボット化や自動化等のDX推進による内部業務プロセスの見直しと改善を進めています。医薬品開発において、非臨床試験のリードタイムを短縮することは新たな時間的価値創出につながることから、試験開始に要する時間短縮に加えて、実験終了から最終報告書草案提出までの期間短縮を目指し、AIを活用した最終報告書草案の自動作成にも取り組んでまいります。また、年々需要が高まっている新規創薬モダリティ医薬品開発に不可欠な実験用NHPのサプライチェーンマネジメントについて、日本・カンボジアのグループ関連施設における検疫・繁殖・育成能力をそれぞれ増強することにより、リスク分散を図りつつ今後の事業成長に必要な品質の高い実験動物を安定的に確保できる体制を構築していきます。2024年5月に竣工した鹿児島本社の新社屋・研究棟の本格稼働に加え、欧米顧客からの要望の高いEU規格の大型飼育ケージに特化したNHP実験施設「EU実験棟」の2027年秋頃の完成を目指し準備を進めることで、非臨床試験の大型受注に対応できる体制実現に取り組んでまいります。人財育成の観点からは、顧客に対してより効果的で効率的な試験を提示できる提案型CROを目指しており、若手研究員を中心にサイエンスレベル向上に引き続き注力してまいります。国立大学法人鹿児島大学、国立大学法人熊本大学との三者間協定契約を締結し、優秀な研究者や技術者の育成と学位取得を推進すると共に、国内外の学会において研究成果の発表及び論文発表を行ってまいります。中東情勢の影響につきましては、現時点において事業に必要な医療等製品・物資において入手困難な状況は出ておりません。今後も情勢を注視してまいります。 ② 第3の収益エンジンとしてのTR事業の推進TR事業では、当社グループの医薬品開発における経験とネットワークに、独自の知的財産に基づく基盤技術を加えることで、創薬型の医薬品開発事業へとパラダイムシフトするという戦略に基づき、以下の複数のプロジェクトに取り組んでおります。パーキンソン病のオフ症状治療のための点鼻レボドパ経鼻薬の開発を行っている連結子会社のSNLD社では、改良開発品であるTRN501について、2024年8月に臨床第1相試験における日本人健康成人への投薬を完了し、データ解析と総括報告書の作成を進め、今後学会にて結果発表を行う予定です。各国の薬事制度・市場調査を綿密に行い、今後の開発方針を慎重に見極めつつ、次の臨床治験計画を立案してまいります。経鼻ワクチン開発は、非臨床POC取得を達成したとの判断に基づきAMED/SCARDAから委託研究開発費の追加も含めた研究開発支援の延長(2029年3月31日まで)が決定されており、今後、開発試験期間内での第1相臨床試験の終了を目指してまいります。当社のSMARTのライセンス先であるSatsuma社は、2025年4月30日(米国時間)にFDAより経鼻片頭痛薬「Atzumi™」(開発コード:STS101)の販売承認を取得しており、最新の市況を踏まえて早期の市場導入に向けた取組みを進めてまいります。具体的には、Satsuma社が米国Nasdaqに上場した際の旧経営幹部が再度同社に参画し、同社内に製造・販売機能を持たせ、Atzumi™の付加価値を高めつつ、イギリス、中近東(サウジアラビア、イスラエル、UAE)、インド、シンガポール、台湾、韓国、日本などを含めたグローバル市場において、幅広いライセンス導出活動を推し進めてまいります。一方、Gemseki事業では、創薬シーズ・技術のグローバルライセンス仲介事業に加え、投資ファンドを通じた投資事業も推進しております。当社との事業シナジー創出を図りながら、豊富な創薬経験とグローバルネットワークを活用した開発支援サービスを幅広く提供してまいります。 ③ SDGs/ESGへの取組みを通した非財務価値の向上当社は「環境、生命、人材を大切にする会社であり続ける」という企業理念のもと、企業の持続的成長にサステナビリティ推進の取組みが重要であると強く認識し、持続可能な社会の実現に貢献しています。当社グループ全体のサステナビリティの取組みを中長期的な視野で体系的に拡充し推進させていく目的から、当社取締役会の任意の諮問機関として「SDGs委員会」を設置し、毎月開催しています。SDGs委員会は独立社外取締役を委員長として、サステナビリティに関する重要な案件について審議・策定しています。取締役会ではSDGs委員会からの報告を基に、サステナビリティに関する基本方針や重要事項を決定の上、社内で取組みに関する監督が適切に図られるよう体制を整えています。持続的な企業価値の向上に向けて、「社会課題の解決」と「経営基盤の強化」の観点から、7つのマテリアリティ(重要課題)を特定しています。マテリアリティの特定にあたっては、当社の将来ありたい姿を踏まえて、当社へのリスク・機会を検討しております。そのうえで、マテリアリティごとに非財務KPIを設定し非財務価値向上に取り組んでいます。 マテリアリティ主な機会主なリスク社会課題の解決創薬と医療技術向上の支援(医薬品アクセスの向上)・新たな創薬モダリティの開発加速による非臨床試験の需要増加・製薬企業のCROへのアウトソーシング化の加速・顧客ニーズへの対応力不足による信用力の低下・次世代の非臨床試験技術への対応の遅れによる競争力の低下健康な人生の提供(ウェルビーイングな暮らし)・超高齢化社会に伴う社会保障費増加による健康寿命の延伸、未病ニーズの拡大・リアルワールドデータ(RWD)の利活用による新規市場の獲得・ウェルネスプログラムにおける消費者ニーズとのミスマッチ・RWDの利活用システムの開発・整備や制度変更への対応の遅れによる市場獲得の失敗美しい地球環境の保全・カーボンニュートラル実現に寄与する地熱発電(再生可能エネルギー)の事業機会の拡大・異常気象に適応できる事業体制の強化・気候災害の激甚化による被害の発生・環境規制強化による対応費用の増加経営基盤の強化働く楽しさを実感できる組織づくり・優秀な人材の獲得の機会・働きがいのある職場環境の整備を通じた社員の生産性、モチベーションの向上・人材獲得競争激化によるコストの増加・職場環境の整備不足による優秀な人材の流出、生産性・モチベーションの低下DX/RPA*推進によるビジネスの進化・業務生産性、顧客とのコミュニケーションレベルの向上・単純作業から解放された社員のモチベーションの向上・DX対応失敗又は遅れによる競争力の低下・ニッチなニーズ対応に伴う費用の増加ステークホルダーエンゲージメントの向上・ステークホルダーとの関係強化による新規事業機会の獲得、信用度の向上・持続可能な調達体制の構築による災害時等におけるレジリエンス(回復力)の向上・事業活動、サプライチェーンの広域化による、モニタリングコストの増加・事業環境の変化に適切に対応出来ない場合に発生する事業遅延や信用力の低下企業理念を実現するガバナンスの構築・強固なガバナンス体制を確立することによる安定的な事業基盤の構築・ESGを中心とした社外評価の向上・内部統制の脆弱性による事業継続リスクの発生、予期せぬ損失の発生・コンプライアンス違反による企業信頼度低下*Robotic Process Automationの略。ソフトウェアロボットやAIを活用し、人が行っていた定型的な業務を自動化すること ④ 優秀な人材の確保と育成当社グループの事業継続及び拡大にあたっては、各分野における専門的な知識・技能を有する技術系研究員等の人材を多数確保する必要があります。また、クラウド化、AIなどのデジタル技術の発展やオンライン化によるビッグデータの獲得・活用など、IT技術が急速に浸透している中、変化する経営環境に適応するためのマネジメント能力を備えた人材を必要としています。当社グループの競争力を強化する上で最も強く求められるのは、顧客から高く評価される質の高いサービスの提供であり、これを実現するためには優秀な人材の確保とレベルアップが必要であります。こうした人材の確保や教育研修のために、当社では新卒採用を強化し、社内教育機関の「SNBLアカデミー」を中心として、職種、職位に応じた研修を最重要課題として取り組んでおります。また、女性が社員の過半数を占める当社では、女性活躍に注力しており、産休・育休からの復帰も100%の状況となる中、引き続き女性の管理職登用数の増加に努めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における売上高は32,524百万円と前連結会計年度に比べて111百万円(0.3%)の増加となっております。営業利益は2,653百万円と前連結会計年度に比べて331百万円(11.1%)の減少、経常利益は5,833百万円と前連結会計年度に比べて617百万円(9.6%)の減少となり、親会社株主に帰属する当期純利益は固定資産除売却損446百万円、減損損失11百万円を計上したこと等から、4,566百万円と前連結会計年度に比べて358百万円(7.3%)の減少となりました。 当社グループのセグメント別業績は次のとおりであります。(a) CRO事業売上高は31,277百万円と前連結会計年度に比べて317百万円(1.0%)の減少となり、営業利益は、6,909百万円と前連結会計年度に比べて348百万円(4.8%)の減少となりました。 (b) トランスレーショナルリサーチ事業(TR事業)売上高は108百万円と前連結会計年度に比べて54百万円(99.8%)の増加となり、営業損失は4,028百万円(前連結会計年度:営業損失3,680百万円)となりました。 (c) メディポリス事業売上高は804百万円と前連結会計年度に比べて239百万円(42.4%)の増加となり、営業損失は65百万円(前連結会計年度:営業損失422百万円)となりました。 (d) 米国不動産事業売上高は184百万円と前連結会計年度に比べて138百万円(301.0%)の増加となり、営業損失は1百万円(前連結会計年度:営業損失60百万円)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べて6,527百万円(55.1%)増加して、18,371百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果獲得した資金は8,327百万円と前連結会計年度に比べて1,291百万円(18.4%)の増加となりました。 主な内訳は、税金等調整前当期純利益6,247百万円、減価償却費3,318百万円、持分法による投資利益2,780百万円、売上債権の増加額596百万円、棚卸資産の増加額2,408百万円、前受金の増加額3,764百万円、利息及び配当金の受取額2,447百万円及び法人税等の支払額2,175百万円であります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は6,790百万円と前連結会計年度に比べて4,900百万円(41.9%)支出が減少となりました。 主な内訳は、有形固定資産の取得による支出5,173百万円及び投資有価証券の取得による支出1,521百万円があったこと等によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果獲得した資金は4,514百万円と前連結会計年度に比べて1,399百万円(23.7%)の減少となりました。 主な内訳は、短期借入金の純増加額が6,200百万円、長期借入れによる収入が10,000百万円あったことに対し、長期借入金の返済による支出9,457百万円を行ったこと及び配当金の支払を2,083百万円行ったためであります。 ③ 生産、受注及び販売の実績(a) 生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(千円)前期比(%)CRO事業31,099,31782.9トランスレーショナルリサーチ事業105,514194.8メディポリス事業717,061152.4米国不動産事業184,402401.0報告セグメント 計32,106,29584.3その他事業1,010,73076.7合計33,117,02584.1(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 金額は、販売価格によっております。 (b) 受注実績 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(千円)前期比(%)受注残高(千円)前期比(%)CRO事業35,539,368111.640,967,202118.9トランスレーショナルリサーチ事業96,334152.1--メディポリス事業717,061152.4--米国不動産事業184,402401.0--報告セグメント 計36,537,167112.740,967,202118.8その他事業117,95017.41,020,57883.9合計36,655,117110.741,987,781117.6(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 金額は、販売価格によっております。 (c) 販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(千円)前期比(%)CRO事業31,204,87299.0トランスレーショナルリサーチ事業105,514194.8メディポリス事業717,061152.4米国不動産事業184,402401.0報告セグメント 計32,211,850100.4その他事業313,10995.2合計32,524,960100.3(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 金額は、販売価格によっております。3 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満であるため記載を省略しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。(a) 概要医薬品業界は、研究開発のスピード向上やコスト効率化、規制対応の簡素化を背景に、CRO(Contract Research Organization:医薬品開発業務受託機関)へのアウトソーシング需要が国内外で引き続き拡大しております。加えて核酸医薬、次世代抗体医薬、ペプチド医薬、遺伝子治療、細胞治療、再生医療などの新規創薬モダリティ(治療手段)の研究開発が本格化しております。このような事業環境のもと、当社は新規創薬モダリティの研究開発支援に強みを持つ“オンリーワンのダントツCRO”として、顧客から第一に選ばれる存在を目指し、迅速かつ高品質なサービス提供体制の強化に取り組んでおります。(b) CRO事業CRO事業は、細胞・実験動物等を用いる非臨床試験(または前臨床試験)を受託する非臨床事業と、臨床試験を受託する臨床事業から構成されます。当社の非臨床事業は、業界では国内最大手であり、NHPを用いた数多くの試験実績から世界的に第2グループの一角と認識されています。2026年3月期の非臨床事業は、減収・減益となったものの、中長期的な観点からは順調に推移したと認識しており、当社がこれまで実施してきた以下の取組みが成果を表してきております。 ・CROとして世界で唯一構築できている「自社グループ内におけるNHP繁殖・供給体制」が新たな創薬モダリティの研究開発の本格化等により重要性を増しています。加えて海外でのNHPの入手困難な環境が当社にプラスに働き受注に繋がっています。また、2023年3月期より本格的に国内でのNHP繁殖体制を強化し、輸入リスクの軽減と品質向上を目指しております。2026年3月期には計画通り繁殖施設を増築し、既に稼働しています。これらの取組みは、特に欧米顧客から高い評価を受けております。・生体試料中の医薬品等開発候補品(被験物質)やバイオマーカーの濃度分析をバイオアナリシスと呼びます。当社は新たな創薬モダリティの有効性・安全性評価に必要な最新鋭装置を多数導入し、被験物質測定系やバイオマーカー評価系を早い時期から構築してきたことが、上記「自社グループ内におけるNHP繁殖・供給体制」構築と相乗効果を発揮し、バイオアナリシスの受注増に繋がっております。成長余地の高い領域と認識しており、2027年3月期も新たに4台のLC-MS/MSを導入予定で、海外からの受注増に対応できる体制を強化しております。・これらの取組みを高く評価いただいた複数の製薬企業とプリファード契約(予め選定したCROに優先的に委託する契約)を締結し、受注増に繋がっております。2026年3月期は新たに国内大手製薬企業1社とプリファード契約を締結しており、これにより合計4社の国内製薬企業とプリファード契約を実現しております。また、2024年11月に安全性研究所に海外顧客専任チーム(Global Study Team: GST)を新たに組成するなど、欧米からの受託を目指す営業活動を強化したことが奏功し、2026年3月期はグローバルメガファーマ1社からプリファードベンダー認定を取得しています。・国内大手製薬企業との創薬段階における包括的研究受託契約も顧客数が順調に推移しており、複数の企業から創薬初期段階からの開発研究を受注しております。・2022年12月から鹿児島本社で建設を進めてきた新社屋研究棟(地上8階建・2棟)は2024年9月から本格運用を開始しました。ここには、動物試験を補完する形で利用が進んでいくと予測されるMPS(Microphysiological Systems: 生体模倣システム)専用実験室を設置し、2025年4月に国内CROとして初めてとなる受託サービスを開始し、当第2四半期に2試験の受託契約に結びついております。国内・海外の製薬企業からの関心は高く、複数の問い合わせが継続しております。・2026年2月には、戦略的取組みの成果が出てきた欧米顧客からの受注取り込みを更に強化するため、欧米顧客からの要望の高いEU規格の大型飼育ケージに特化したNHP実験施設「EU実験棟」の新設を発表しました。地上4階建て総額約100億円の投資となり、当社の長年のNHP試験の経験から得たノウハウを豊富に取り入れ、新型MRI(3テスラ)やCT装置なども備えた、世界最高水準の施設になると自負しており、2027年11月の完成を目指して準備を進めてまいります。・実験終了から最終報告書草案提出までの期間短縮を企図して、AIを用いた最終報告書自動作成に取り組んでおります。2026年3月期はPoCを実施し満足いく結果が得られています。2026年5月より本実装へ向けた開発に着手し、2027年3月までには本仕組みを実装し新たな時間価値を顧客に提供する予定です。 上記取組みの結果、2026年3月期の非臨床事業の受注高は、35,728百万円と過去最高となり、前年度比3,620百万円(11.3%)の増加となりました。受注増加の主要因は、戦略的に取組みを強化している欧米顧客からの受注増加であり、欧米顧客からの受注高は前年度比35.2%増の13,225百万円と大きく伸長しています。海外受注高は前年度比25.7%増の15,505百万円、総受注高に占める海外受注高比率は43.4%(前年度は38.4%)となりました。年度末(2026年3月末)の受注残高は前年度末比6,526百万円(19.0%)増の40,920百万円と過去最高水準となっています。臨床事業は、米国に本拠を置くグローバル臨床CROのPPD,Inc.(以下、PPD社)との合弁会社である(株)新日本科学PPD(以下、新日本科学PPD)において、主に国際共同治験(Global Study)の受託事業を展開しており、2025年4月に設立10年を迎えました。PPD社は、2021年12月に世界的大手医療機器企業のThermo Fisher Scientific Inc.グループの傘下に加わることにより、受注シナジーを高めることを目指しております。新日本科学PPDは、PPD社が受託した国際共同治験における日本エリアの実施を主力事業としており、グローバル企業でありながら、当社がこれまで長年培ってきた経営・教育ノウハウを取り入れ、安定した定着率の高い職場環境を整えることで、ハイレベルな受注残高を背景に、設立以来高い成長率を実現してきております。新日本科学PPDの2025年度の業績は、売上高が前年度比6.0%減の20,593百万円、営業利益が同14.1%減の9,120百万円となりました。営業利益の減益は、前年度よりも為替が円高に推移したことや、前年度の受注が少なかった影響で新規開始試験からの売上が低調だったこと、主要顧客からの受注形態変更の影響などが要因ですが、営業利益率は44.3%と依然40%を上回る高い水準となっています。また、2025年度の受注は前年度を大きく上回っております。新日本科学PPDからの2026年3月期の「持分法による投資利益」は、2,769百万円(前期:3,272百万円)となっております。CRO事業の2026年3月期の売上高は、2026年3月期中の売上計上を見込んでいた複数の大型試験の完了が次年度にずれたことから31,277百万円と前年度比317百万円(1.0%)の減収となりました。同事業の営業利益は6,909百万円と前年度に比べ348百万円(4.8%)減益、売上高営業利益率は22.1%になっております。(c) トランスレーショナルリサーチ事業(TR事業)トランスレーショナルリサーチ事業(TR:Translational Research、以下、TR事業)とは、自社研究開発のほか、国内外の大学、バイオベンチャー、研究機関などにおいて基礎研究から生まれる有望なシーズや新技術を発掘し、付加価値を高めて事業化又は株式上場、あるいはM&Aにつなげる研究開発型の事業です。1997年以来、TR事業の主軸として探求してきた当社独自開発の経鼻製剤投与基盤技術(SMART:Simple MucoAdhesive Release Technology、以下、SMART)は、担体組成をベースとした、粉体製剤技術と投与デバイス(医療機器)を組み合わせたプラットフォーム技術です。鼻粘膜での薬物滞留を向上させることで薬剤の速やかで高い吸収を可能にしており、加えて注射に比べて投与が簡易であり、製剤の室温保存も可能という強みがあります。経鼻製剤投与の事業化は、Satsuma社が2025年4月30日(米国時間)にFDAから経鼻片頭痛薬「Atzumi™」(開発コード:STS101)の販売承認を取得しております。Satsuma社は承認取得後、販売パートナー候補企業とのパートナリング契約交渉を継続しています。STS101の臨床試験結果は、2025年6月に米国頭痛学会(American Headache Society: AHS)においてポスター発表され、2025年11月に雑誌Headache: The Journal of Head and Face Painに掲載されました。新日本科学本体のTR事業本部には、製剤・デバイスなど基盤技術を創出研究する部署と、パーキンソン病治療薬の臨床治験や経鼻粘膜ワクチンのPOC取得を管理する部署があります。パーキンソン病のオフ症状治療のための点鼻レボドパ経鼻薬(開発コード:TR-012001)及び改良開発品(TRN501)の開発は、当社連結子会社の(株)SNLD(以下、SNLD社)で進めています。SNLD社では、国内においてパーキンソン病患者(12例)を対象に実施した探索的臨床第2相試験の成績を、2025年4月に米国神経学会(American Academy of Neurology: AAN)年次総会にて発表し、5月の日本神経学会総会、7月の日本パーキンソン病・運動障害疾患学会、10月のMDS国際パーキンソン病・運動障害疾患学会では、第1相試験の成績を含めて複数の演題を発表しました。TRN501は、2024年8月に臨床第1相試験における日本人健康成人への投薬を完了し、データ解析と総括報告書の作成を進め、今後学会にて結果発表の予定です。各国の薬事制度・市場調査を綿密に行い、今後の開発方針を慎重に見極めつつ、次の臨床治験計画を立案中です。経鼻粘膜ワクチン開発はAMED/SCARDAから委託研究開発費を得て、研究開発を進めてきましたが、この度実施されたAMEDの中間評価で、当社が開発した粉体経鼻投与法を用いることで、鼻腔中に分泌型 IgA 産生が誘導され、鼻粘膜におけるインフルエンザウイルス感染成立を防ぐ効果を示すことをカニクイザルで示すことができたことから、「非臨床 POC (Proof of Concept)の取得を達成」したと判断され、中間評価で最高評価となる「評価A」の評価を得て、AMEDから委託研究開発費の追加も含めた研究開発支援の延長(2029年3月31日まで)が決定されました。今後、開発試験期間内での第1相臨床試験の終了を目指してまいります。Gemseki事業では、「創薬シーズの最適な活用を支援することで、人類に貢献する」ことをミッションに、創薬シーズ・技術に関するライセンス仲介事業をグローバルに展開しています。2025年6月に米国ボストンで開催された「BIO International Convention」、同年11月にウィーンで開催された「BIO-Europe」、ならびに2026年1月に米国サンフランシスコで開催された「J.P. Morgan Healthcare Conference」および「Biotech Showcase」を中心とする「JPM Week」に参加し、創薬ベンチャー、研究機関、製薬企業との面談を実施しました。これらの主要国際イベントを通じて、有望な創薬シーズ・技術を有する新規顧客の探索と契約獲得を推進するとともに、既存顧客が保有する創薬シーズ・技術の紹介活動を行いました。あわせて、ビジネス基盤となる創薬エコシステムを構成するグローバルな関係者とのビジネスネットワークを拡大しました。投資事業を展開している連結子会社の(株)Gemsekiインベストメントでは、2020年より運用を開始したGemseki投資事業有限責任組合から既存投資先1社への追加投資を行い、当ファンドからのポートフォリオ投資を完了しました。2024年に組成したGemseki2号投資事業有限責任組合を通じて投資活動を継続しており、当期は日本および北米のスタートアップ計6社に対して投資を実行しました。医薬品・医療機器の創出・育成に必要な支援をワンストップで提供するとともに、グループ間連携による付加価値の最大化を目指しております。当社は1999年以来、米国ワシントン州の拠点を中心にCRO事業およびTR事業を展開し、日米のアカデミア、投資家、プロフェッショナル企業などと強固なネットワークを構築してきました。創薬エコシステムの発展に取り組むべく、米国での事業を通じた経験およびネットワークを最大限に活用し、SNBL Global Gateway (SGG)事業を展開しております。SGG事業では、米国市場進出を目指す日本のバイオテック企業(創薬スタートアップ、大学発ベンチャー等)および、日本市場進出や日本企業との連携を目指す米国スタートアップ企業を対象に、日米双方の市場進出を包括的に支援しています。現地拠点の設立支援、市場分析、戦略立案、薬事/知財戦略策定、資金調達やパートナー企業とのマッチング、事業計画の策定/実行支援を一貫して提供しています。2026年3月期は、国内上場企業、バイオテック、ベンチャーキャピタルに対して支援を提供し、なかでも米国進出検討の初期段階にある日本のバイオテック企業に対して米国市場分析サービスおよび米国進出形態のアドバイザリーを重点的に提供してきました。また、複数の企業がビジネスインキュベーション施設でオフィスを開設しております。米国スタートアップの日本進出支援としては、シアトル発の「自己採血デバイス」を手掛けるスタートアップ企業Tasso, Inc.とともに、2025年3月に合弁会社の(株)新日本科学Tassoを設立し、8月に厚生労働省から管理医療機器として認証を取得、12月から販売を開始しました。2026年3月にはH.U.グループ傘下の企業と販売店契約を締結しております。さらに、日米のベンチャー企業およびその活動を支える関係者を結びつけ、新たなビジネスチャンスの創出と、世界的なバイオテクノロジー・創薬エコシステムの発展に取り組んでいます。本事業は、グローバル投資分野において豊富な実績を持つSBIグループと共同で推進し、ビジネスインキュベーション施設の運営に加え、ファンド運営にも注力しています。2024年11月には、米国シリコンバレーに本社を置く世界最大手のイノベーション・プラットフォーム・プロバイダーであるPlug and Play社が当社とSBIグループとの共同ファンドに参画し、当期は当該ファンドを通じた北米スタートアップへの投資も実行いたしました。こうした中、TR事業の2026年3月期の売上高は、108百万円(前年度:54百万円)となりました。営業損失は、Satsuma社の経鼻片頭痛治療薬「Atzumi™」の事業化に向けた経費2,781百万円が計上(前年度:2,369百万円)されたこともあり、営業損失が4,028百万円(前年度:営業損失3,680百万円)となりました。(d) メディポリス事業当社は、鹿児島県指宿市の高台に103万坪(340万㎡)の広大な敷地「メディポリス指宿」を保有しており、この自然資本を活用したメディポリス事業を社会的利益創出事業として、発電事業とホスピタリティ事業を展開しています。社会的利益創出事業は、「環境、生命、人材を大切にする会社であり続ける」と掲げた理念を体現するものであり、経済的利益のみならず、社会や環境課題といった視点の社会的利益を一体的に創出しています。具体的には、再生可能エネルギーを活用した発電事業、人々のWellbeing(ウェルビーイング)、つまり全人的な健康の実現をメインコンセプトとしたホテル宿泊施設の運営(ホスピタリティ事業)を行っております。発電事業では、2015年2月より約1,500kW級のバイナリー型地熱発電所を運営しております。地熱発電は、CO₂排出量がほぼゼロであり、天候や昼夜に左右されず安定的な発電が可能なベースロード電源です。当社発電所は年間約1,000万kWhを発電し、FIT制度を活用した安定的な売電収入を計上しております。また、2025年4月には、ホテルの泉源からの余剰蒸気を活用した温泉発電所が稼働を開始しました。年間発電量は約400万kWh(一般家庭約1,000世帯分)を見込んでおり、2026年3月期において業績に大きく寄与しております。同発電もFIT制度に基づき安定的な売電収入を計上しております。これらを合わせた想定年間発電量は、当社の年間消費電力量の約半分に相当します。ホスピタリティ事業は、お客様のニーズに合わせる形でヒーリングリゾートホテル「別邸 天降る丘」と、医療機関メディポリス国際陽子線治療センターの患者専用宿泊施設「ホテルフリージア」および研修専用の「指宿ベイヒルズ」の3つの施設を運営しております。「別邸 天降る丘」は、一般客のほか、当社を訪れる国内外のパートナーの滞在先としても活用されています。滞在者の満足度は高く、信頼関係の構築につながることで、当社事業の業績にも寄与しています。2025年6月、「別邸 天降る丘」は、世界的に知られるホテル評価機関であるTravel+Leisure Luxury Awards Asia Pacific 2025において、「日本のベストホテルスパ部門」で第8位に選ばれております。2025年12月にはさらに滞在者の満足度を高めるため新たにライブキッチンを取り入れたフレンチレストラン「Lueur(リュール)」の営業を開始しました。メディポリス国際陽子線治療センターは、2011年1月に治療を開始して以来、7,800件を超えるがん患者さんの陽子線治療の実績を積み重ねており、大手生命保険会社からは社会貢献団体として表彰を受けております。メディポリス事業の2026年3月期の売上高は、温泉発電の寄与もあり804百万円と前年度(564百万円)に比べ239百万円(42.4%)の増加となりました。営業損益は、65百万円の営業損失(前年度:営業損失422百万円)となりました。(e) 米国不動産事業当社は、米国子会社SNBL USA, LTD.が保有する約6万坪の敷地内に建設した多目的産業用ビルSTC: Seaway Technology Center(17,282㎡)を賃貸する米国不動産事業の営業を2025年から開始しています。米国不動産事業の2026年3月期の売上高は、テナントからの収入により184百万円と前年度(45百万円)に比べ138百万円(301.0%)の増加となりました。営業損失は、減価償却費等が計上されたこともあり、1百万円(前年度:営業損失60百万円)となりました。(f) 財政状態の分析当連結会計年度における前連結会計年度末からの財政状態の変動は、以下のとおりとなりました。当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ12,639百万円(13.7%)増加し、105,055百万円となりました。流動資産は、「現金及び預金」が6,504百万円(54.1%)増加したことや「棚卸資産」が2,496百万円(19.8%)増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ10,048百万円(30.5%)増加して42,988百万円となりました。固定資産は、「有形固定資産」が1,369百万円(3.9%)増加したことや「投資有価証券」が1,610百万円(8.2%)増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ2,590百万円(4.4%)増加して62,066百万円となりました。負債は、前連結会計年度末に比べ9,235百万円(17.6%)増加し、61,566百万円となりました。流動負債は、「短期借入金」が7,892百万円(67.0%)増加したことや受注拡大に伴い「前受金」が3,764百万円(34.4%)増加したことに対し、「未払法人税等」が1,251百万円(56.4%)減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ10,069百万円(34.4%)増加して39,325百万円となりました。固定負債は、「長期借入金」が1,150百万円(5.2%)減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ833百万円(3.6%)減少して22,240百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末に比べ3,403百万円(8.5%)増加し、43,489百万円となりました。これは主に「親会社株主に帰属する当期純利益」を4,566百万円計上し、配当金の支払を2,081百万円行ったことにより、「利益剰余金」が2,485百万円(12.4%)増加したこと、また「その他有価証券評価差額金」が1,879百万円(31.2%)増加したことに対し、「為替換算調整勘定」が1,306百万円(70.0%)減少したことなどによるものであります。(g) 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループは、医薬品開発に係わるGLPやGCPといった法的規制に対する適合性の調査等で高い評価を受けております。しかしながら、クライアントの創薬開発競争が激化し国際化、高度化及び大型化していく中で、当社グループは、サービスの質を継続的に高めていくと共に、グローバル化し複雑化していく顧客ニーズに対し的確に対応しつつ成長を維持していくために、設備、人材面での投資が不可欠となっております。人材の育成には時間を要する部分があり、また施設に対する投資も規模の経済性の観点からも先行的に行う必要が生じます。とりわけ、日本よりもはるかに巨大な市場を有する欧米等の海外クライアントからのニーズに迅速かつ的確に対応していくためには、海外の規格や法的規制に対応可能な体制を整えることが戦略的に重要であると考えております。海外の規格や基準に適合性をもつためには、十分なる準備や適合性に関する調査への対応が必要であります。従って、事業のグローバルな競争力の向上と事業規模拡大のためには、これらに継続的に取り組む必要があり、その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。(h) 戦略的現状と見通しCRO事業は、中長期的な視点で国内外の顧客からの要望に対して、確実に応えられる体制構築に取り組んでおります。抗体医薬、核酸医薬、遺伝子治療、再生医療などの新規創薬モダリティ分野の研究支援では、最新装置の導入及び評価系の構築などの投資へも積極的に取り組んでおり、他施設では実施困難な案件も受託できております。旺盛な欧米顧客からの需要を受け、受注取り込みを更に強化するため、欧米顧客からの要望の高い欧米規格の大型飼育ケージに特化したNHP実験施設「EU実験棟」建設に着工しました。また、更なる顧客満足度の向上のために実験終了から最終報告書草案提出までの期間短縮を企図して、AIを用いた最終報告書の自動作成に取り組んでおります。TR事業は、当社独自の経鼻投与基盤技術(SMART)を用いた既存薬剤の投与経路変更による医薬品開発や事業化準備を継続します。米国でFDAより経鼻片頭痛治療薬「Atzumi™」(開発コード:STS101)の販売承認を取得したSatsuma社に対し、米国においてはSatsuma社において製造販売が可能な状態を主体的に整えて早期導入を進めるとともに、米国以外においてはパートナリング活動を並行して行ってまいります。パーキンソン病のオフ症状治療のための点鼻レボドパ経鼻薬(開発コード:TR-012001)および更なる利便性向上を企図した、TR-012001の改良開発品(TRN501)の開発は、当社連結子会社のSNLD社で進めています。経鼻粘膜免疫作用を期待したワクチンの研究開発については、経鼻粘膜ワクチン研究開発センターを主体として「そもそも感染を起こさせないこと(遮断免疫)」を狙った画期的な経鼻粘膜ワクチンの研究活動を推進しております。また、Gemseki事業部において、創薬シーズ・技術に関するライセンス仲介事業をグローバルベースで積極的に展開すると共に、子会社Gemsekiインベストメント社において投資事業を推進してまいります。メディポリス事業では、従来の地熱発電所に加えて、2025年4月からは既存の泉源の余剰蒸気を活用した温泉発電所を稼働しております。ホテル宿泊施設の運営(ホスピタリティ事業)は、一般客のほか、当社を訪れる国内外の顧客の滞在先としても活用されております。サービスの質のさらなる向上に加え、より強固なブランディングを通して集客力の強化を行ってまいります。(i) 経営者の問題認識と今後の方針について当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、ここ数年の世界的な新薬開発における国際化、大型化、高度化等の動向や製薬企業のコスト意識の高まりから製薬業界の経営環境は大きく変化することが考えられ、経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。CRO事業においては、戦略的に取り組んできた欧米顧客からの引き合いが活発化しています。確立していた実験用NHPのサプライチェーンが功を奏し、新しいタイプの医薬品開発で需要が高まっているNHP試験を他社よりもリードタイムを短く、確実に実施できる点が、差別化のポイントとなっています。さらに、サービスを受けた顧客からは、品質の高さと柔軟性についても高い評価を受けています。今後もサプライチェーンマネジメントの強化施策を実施してまいります。その一環として、カンボジアの当社グループ施設の繁殖体制強化とともに、日本国内での繁殖育成の取組みも強化しております。今後も効率的かつ効果的に各種試験を適切なタイミングで行えるオンリーワンの事業価値を継続して提供してまいります。新たな取組みとしては、新しい安全性評価のアプローチであるNAMs(New Approach Methodologies)のひとつとして近年、注目を集めているMPS(Microphysiological System、生体模倣システム:生体組織や臓器の機能や構造を模倣したシステム)を、国内CROとして受託開始しており、新技術についても製薬企業のニーズをしっかり把握してまいります。TR事業では、SMARTを用いた医薬品がFDAから販売承認を得たことから、Satsuma社の事業は米国および米国以外でも商業化に向けた準備や交渉を進め、価値最大化を図ってまいります。同時に、SMARTを活用して開発中のパーキンソン病の治療薬やインフルエンザの予防ワクチンの開発については、その事業化の可能性を見極めながら開発に取り組んでまいります。2024年7月には、当社が米国ワシントン州に保有する施設を活用しバイオベンチャーのインキュベーション事業を行うSNBL Global Gateway (SGG)を開設しています。米国を拠点に日本と米国のバイオベンチャーを研究開発と資金の両面で支援することで、長期的には現在当社の主力であるCRO事業への貢献だけでなく、将来SGG事業を当社の収益の柱の一つとなるよう、成長させたいと考えています。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報(a) 資金需要当社グループの資金需要は、主に設備投資等の投資及び運転資金等となっております。設備投資等の投資を行うにあたっては、案件ごとに投資の回収可能性や収益向上の点から検討を行い、重要なものについては取締役会での決議を経て決定するなど、社内の所定の手続に従って決定しております。計画については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画(1)重要な設備の新設等」に記載のとおりです。(b) 資金の源泉営業キャッシュ・フローからの収入で賄いきれないものについて、借入により調達しております。また、設備投資の一部についてファイナンス・リースを利用しております。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物等の残高は18,371百万円となっております。(c) 有利子負債 当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は41,391百万円となっております。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定 当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。以下「連結財務諸表規則」) に基づいて作成しております。 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。

事業リスク

  • CRO事業における実験動物調達と代替技術
    非臨床試験で重要な実験動物(特にNHP)の安定調達が困難になるリスクや、動物実験を代替するin vitro試験(MPSなど)の進展により、NHPを用いた試験の優位性が低下するリスクがあります。これが顕在化すると、試験数の減少や競合との差別化が難しくなり、当社の市場優位性が損なわれる可能性があります。
  • TR事業における研究開発の中止
    トランスレーショナルリサーチ(TR)事業では、開発中の医薬品パイプラインが期待された有効性や有用性を確認できず、研究開発が中止となるリスクがあります。この場合、これまでに費やした多額の研究開発費用が回収不能となり、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に新製剤としての有効性や健康被害リスクの評価が重要です。
  • メディポリス事業の外部環境変動
    ホスピタリティ事業は景気動向や海外情勢(訪日外国客の減少など)の影響を受けやすく、稼働率の低下につながるリスクがあります。また、発電事業では地熱発電の蒸気量減衰や設備故障のリスクがあり、発電量の減少や停止により収益が低下する可能性があります。これらの外部要因は、事業の安定性に影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|6,337 文字
3【事業等のリスク】 当社の戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下の通りです。以下に記載したリスクは、当社の全てのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。主なリスクは、「各事業領域におけるリスク」と「事業共通のリスク」に分類しています。 なお、本文中における将来に関する事項は、特段の記載がない当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)各事業領域におけるリスク事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響CRO事業◆非臨床事業①実験動物を安定的に調達できないリスク②非臨床試験において、実験動物(特にNHP)を用いた試験の優位性が低下するリスク③試験施設における感染症等の発生のリスク④動物福祉に関する法令、指針、基準に反した行動が行われるリスク⑤地政学リスク、原材料・エネルギー需給の逼迫等の影響により、研究用試薬、実験関連消耗品、研究設備部材等の調達が困難となるリスク◆非臨床事業①実験動物の不足による、試験計画の見直し、試験数の減少②競合他社との差別化が十分に図れないことによる、当社の市場優位性の低下③感染症の発生による、試験計画の見直し、試験の一時的中断④法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁を受け、お客様からの信頼の失墜⑤研究用試薬、実験関連消耗品、設備部材等の調達遅延や価格高騰により、試験計画の見直し、試験開始・進行の遅延、コスト増加等が生じる可能性◆臨床事業①被験者に健康被害が生じるリスク◆臨床事業①治験の中断・中止主な対策◆非臨床事業①当社はCROとして唯一、自社グループ内における実験用NHPの繁殖供給体制を確立しており、安定的な調達体制を整えています。②現状、NHPはヒトとの遺伝子類似性が9割以上もあることから、非臨床試験における優位性は高いとされており、特に抗体医薬品、核酸医薬品や遺伝子治療薬等のバイオ医薬品の非臨床試験における当該需要は拡大する傾向にあるものと考えています。一方で、Microphysiological systems(MPS)をはじめとした動物や人由来の細胞や組織を用いたin vitro試験についても、動物実験の一部を代替する目的で研究が進んでおり、当社においても新規にMPSの受託を開始しています。③GLP基準に基づく研究施設は、試験従事者等の入退出管理を含めて、安全管理・衛生管理には万全の態勢を構築しています。また、当社グループの在外企業においては、所在する各国における関連法律・制度による諸規制を受けておりますが、いずれも国内と同様に、安全管理・衛生管理には万全の態勢を構築しています。④当社はGLP基準に適合した業務遂行を行うと共に、実験動物を用いるに際しては「動物の愛護及び管理に関する法律」、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」等の適用法令及び動物実験に関する指針を遵守し、実験動物の適正な管理を行うと共に、実験動物の苦痛の軽減に努め、試験に用いる実験動物数の削減につながる代替法の開発にも注力しています。⑤サプライチェーンに係るリスクに備え、ビジネスパートナー行動規範の制定、事業継続計画(BCP)の策定、重要物資の安全在庫の確保、複数サプライヤー化、代替調達先の検討、サプライヤーとの情報共有体制の構築等を通じ、安定的なサービス提供体制の維持に努めています。◆臨床試験①医薬品の開発元であるクライアントとしっかりと連携しながら、GCP基準に準拠した業務遂行を行っています。医薬品の安全性情報について、国内チームだけでなく、グローバル(PPD)の部門とも協働しながら、世界中の医薬品に関する情報を集積し、分析・評価し、適切な安全対策をとることによって、健康被害が生じるリスクの軽減に努めています。 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響TR事業①開発パイプラインの期待された有効性有用性の確認ができず、研究開発が中止となるリスク②被験者に健康被害が生じるリスク③開発品の商業化やパートナーシップ構築が計画通り進まないリスク①、②費やした多額の費用の回収不能②治験の中断、中止③期待した収益の実現時期の遅延や追加費用の発生主な対策①現在の開発パイプラインは、既に医薬品として承認された有効成分を用いた新製剤です。そのため、有効成分自身の有効性は担保されています。一方で、新製剤としての有効性については、GCP及び治験薬GMP基準に準拠した業務遂行を行うと共に、当社の非臨床事業と連携して、適切な評価動物の選択や評価方法の選択を含めた非臨床試験の実施による事前評価も行っています。②有効成分を含む既存承認薬の使用実績から、有効成分自身に関する健康被害リスクを予測することができるため、それに基づいた対策を講じています。一方で、新製剤としての健康被害リスクに対しては、GCP及び治験薬GMP基準に準拠した業務遂行を行うと共に、適切な非臨床試験による評価や想定する製品ライフサイクルを踏まえたリスク管理にも努めています。③開発初期段階から市場性や事業性を考慮した開発を進めるとともに、国内外のパートナー候補企業との協議を継続しています。また、開発品の事業価値最大化に向け、市場環境や事業特性を踏まえながら、商業化体制の整備を含めた柔軟な事業戦略を推進しています。 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響メディポリス事業◆ホスピタリティ事業①景気動向や海外情勢の影響を受けるリスク②食品の衛生事故が発生するリスク③人財確保の難化により、安定的な施設運営やサービス提供に影響が生じるリスク◆ホスピタリティ事業①個人消費の低迷や観光需要(訪日外国客の減少など)による稼働率の低下②一時的な営業停止、営業許可の取消、お客様からの信頼の失墜③人員不足によるサービス品質の低下、施設運営効率の悪化、運営コストの上昇◆発電事業①生産井の蒸気量が減衰するリスク②還元井の熱水還元能力が低下するリスク③発電設備・蒸気熱水処理設備の故障リスク④地震、火山活動、台風、落雷等の自然災害により、生産井、還元井、発電設備等に影響が生じるリスク◆発電事業①、②、③発電量の減少、発電停止④設備損傷や操業停止による発電量の減少、修繕費用の発生主な対策◆ホスピタリティ事業①国内外それぞれに対してマーケティングを強化し、それぞれに適したアプローチを行うことで、継続的な顧客集客ができる体制を構築しています。また、パンデミックのような有事の際は、グループ企業である強みを活かし、人の移動によって人件費のコントロールを行うことでコストの最小化を図る体制を整えています。②衛生管理マニュアルを作成、衛生管理責任者を設置し、常にチェックをしています。また、毎月の検査により、感染拡大を未然に防ぐ手段を講じています。感染が発覚した際は、感染者は再検査で陰性になるまで自宅待機としており、該当者が触れた部位に関してはハイクロソフト水で除菌を行っています。③従業員満足度の向上と働きやすい職場環境の整備を重要課題として認識し、適切な人員配置や人財育成に取り組んでいます。また、休館日を設けることで、従業員の負担軽減や働きやすさの向上を図り、サービス品質の維持・向上につなげています。◆発電事業①現在のところ、生産井から噴気する蒸気量の減衰は確認されていません。今後も随時蒸気量をモニタリングし、減衰が確認された場合には、補充井掘削等の必要蒸気量を供給するための対策を検討および実施してまいります。②熱水還元能力が低下する主要因としては、熱水に含まれるスケールが析出し、還元井内部を閉塞させていることが考えられます。当社では、定期的に還元井内部のスケール除去工事を実施することで長期的に熱水還元が継続出来るよう努めています。③日常点検や発電設備を停止して行う年次点検を基にした予防保全を実施しています。④各種設備の定期点検、防災対策、監視体制の強化等により、自然災害発生時の影響最小化に努めています。 (2)事業共通のリスク事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響人権①当社の事業活動により、サプライチェーンの取引先を含めて、直接または間接的に人権に影響を及ぼすリスク①企業に対する社会からの要請に十分に応えられないことによる企業価値の低下主な対策①当社は、「人権尊重に関するポリシー」を制定しております。「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」の理念に賛同し、「国際人権章典」および「労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」、「子どもの権利とビジネス原則(Children’s Rights and Business Principles)」等の人権に関する国際規範ならびに国内の関連法令を支持しています。当社企業理念である「環境・生命・人材を大切にする会社であり続ける」に則り、独自の倫理綱領を軸として、役職員、取引先、地域コミュニティ等のすべてのステークホルダーに対して人権を尊重した事業活動を推進しています。事業活動およびサプライチェーンにおける人権への影響を特定・評価し、防止および軽減するため、人権デューデリジェンスを継続的に実施しています。 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響環境①気候変動による物理的リスク②脱炭素社会への移行リスク③環境対応の不足、遅れによるレピュテーションリスク①温暖化による自然災害の激甚化等による一時操業停止②対応費用や炭素税などによるコストの上昇③企業に対する社会からの要請に十分に応えられないことによる企業価値の低下主な対策2020年10月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、気候変動に関連する当社のリスクおよび機会を継続的にモニタリングし、TCFD提言に沿った情報開示の拡充に取り組んでいます。snbl.com/esg/tcfd/(※TCFD提言に沿った情報開示は毎年夏頃に見直し・更新しています) 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響法的規制・コンプライアンス①法令違反や社会の要請に反した行動が行われるリスク①法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁を受け、お客様からの信頼の失墜主な対策①企業理念である「環境、生命、人材を大切にする会社であり続ける」に基づいた倫理綱領を制定し、ステークホルダーに対して新日本科学グループの一員として希求される行動規範を「コンプライアンス行動指針」としてまとめ、全役職員に理念手帳を配布し指針の周知徹底を図っています。また、コンプライアンスに関する最新情報や事例について、e-learningによる社内研修を原則として毎月実施しています。 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響財務・税務①外国為替相場の変動による円換算後の価値が変動するリスク②市場金利の変動による支払利息が変動するリスク①特に米ドルに対する円高進行が経営成績に悪影響を及ぼす可能性②市場金利の上昇に伴う支払利息の増加により金融収支が悪化する可能性主な対策①必要に応じて為替予約を利用するなどして為替変動リスクを低減しています。②長期借入金の大半を固定金利による調達とすることで、金利変動リスクの低減を図っています。 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響情報セキュリティ①サイバー攻撃、ランサムウェア感染、情報漏洩、システム障害等に関するリスク①個人情報や営業機密情報の漏洩、試験データへのアクセス制限、業務システム停止による試験進行への影響、お客様からの信頼失墜、損害賠償の発生主な対策①秘密情報を厳重に管理すると共に、役職員に対しては、個別に秘密情報の保全を義務付ける機密保持契約を締結し、在籍中、退職後を問わず、厳重に機密保持が遵守されるように注力しています。セキュリティインシデントを想定した訓練を定期的に実施するとともに、社内ネットワークへのウイルス拡散を防止するため、パソコン毎にセキュリティソフトウェア製品を導入しています。加えて、ランサムウェア等による情報漏洩対策として、パソコン毎にEDR(Endpoint Detection and Response)製品を導入しています。クラウドサービスの利用拡大に対処すべく、当社のセキュリティモデルを従来の境界型セキュリティモデルからゼロトラストセキュリティモデルへ転換し、認証と認可(アクセス権限のポリシー)がより厳密に適用可能な状態下でクラウドサービスを利用しています。 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響知的財産権①第三者に当社の知的財産権を侵害され、事業活動に不利益が生じるリスク②当社の事業活動が第三者の知的財産権に抵触するとして指摘を受けるリスク①当社技術の保護及び不利益回復のための、警告状の送付、侵害行為の差止請求、損害賠償請求等の訴訟提起等の対応を要する可能性②係争によるレピュテーション低下や事業戦略・事業計画の見直し、事業活動の一時制限や中断の可能性主な対策当社は、「知的財産に関するポリシー」を策定し、その権利を確実に保全することで企業価値の向上に努めています。有価証券報告書提出日現在、当社グループの開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生したという事実はありませんが、このような問題を未然に防止するため、事業展開に際しては顧問弁理士・弁護士への相談や特許事務所を活用して知的財産権の侵害等に関する事前調査を実施しています。 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響情報技術①DXの取組みが進まず、競合劣後となるリスク②DX人財の確保・育成が進まないリスク①業務生産性の向上や付加価値の創出が進まないことによる市場競争力の低下②DX推進の取組みの遅延主な対策①当社は、持続的な企業価値の向上にはDXによるビジネスモデルの深化が不可欠であると認識し、既存ビジネスモデルの深化と新規ビジネスモデルの創出の両面に取り組んでいます。 主力事業である非臨床事業では、顧客体験価値の向上(Front-End革新)と時間価値の創出(Back-End革新)を同時に実現するDXに取り組んでいます。財務会計や管理会計といった領域におけるDXにも積極的に取り組んでおり、DXを通して、データ連携によるプロセスの自動化・簡素化、専門性を更に高めるナレッジの共有や各事業へのサポート体制の構築を目指しています。AIに専門性を持つチームを立上げ、併せてプロジェクトマネジメントスキルをもつ人材を主要プロジェクトに投入することで、DXプロジェクトの着実な遂行を行っています。②DX人財の育成に向けては、社内従業員を対象として、DX人材育成研修を実施しており、社内公募で募ったメンバーに対してe-learning形式のDX研修を実施しています。(※本研修の対象者は全社員)また、社内でDX推進プロジェクトを推進する際は、適宜、参画メンバーを幅広く社内公募で募って推進しています。加えて、AIに専門性を持つ部門の立上げとDXプロジェクトの遂行を通じ、社内のDXに対する意識とナレッジを高めています。

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