事業の概要
- 多角的な事業展開アサヒグループは、酒類、飲料、食品、薬品の製造・販売を主軸としています。日本国内ではビール類、低アルコール飲料、焼酎、洋酒、ワイン、各種飲料、ベビーフード、菓子、フリーズドライ食品、サプリメントなどを幅広く手掛けています。これにより、消費者の多様なニーズに応え、安定した収益基盤を構築しています。
- グローバルな事業展開日本だけでなく、欧州、オセアニア、東南アジアといった海外市場でも事業を展開しています。特に欧州ではビール、オセアニアでは酒類と飲料、東南アジアでは飲料と乳製品の製造・販売に注力しており、地域ごとの特性に合わせた製品展開で収益を上げています。海外売上比率も高く、グローバル企業としての側面が強いです。
- サプライチェーンの垂直統合酒類販売設備の制作・保守、麦芽の受託加工、ビール粕の受託加工、製品の運送・物流センター管理・倉庫業など、製品の製造から販売に至るまでのサプライチェーンの多くの部分をグループ会社で担っています。これにより、効率的な事業運営と品質管理を可能にし、コスト削減にも繋げています。
出典: FY2024 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 日本事業酒類、飲料、食品、薬品の製造・販売を日本国内で行っています。アサヒビール株式会社がビール類や低アルコール飲料、焼酎、洋酒、ワインなどを、アサヒ飲料株式会社とカルピス株式会社が各種飲料を、アサヒグループ食品株式会社がベビーフード、菓子、フリーズドライ食品、サプリメントなどを手掛けています。グループ全体の売上収益の約46.4%を占める主要な事業地域です。
- 欧州事業主に酒類の製造・販売を欧州地域で行っています。Asahi Europe & International Ltdが地域統括会社として機能し、中東欧ではKompania Piwowarska S.A.などが、西欧ではBirra Peroni S.r.l.などがビールを製造・販売しています。グローバルブランドであるPeroni Nastro Azzurroなどを展開し、グループ全体の売上収益に大きく貢献しています。
- オセアニア・東南アジア事業オセアニア地域では酒類と飲料の製造・販売を、東南アジア地域では飲料と乳製品の製造・販売を行っています。オセアニアではAsahi Beverages Pty Ltdが統括し、CUB Pty Ltdがオーストラリアで酒類を、Asahi Beverages (NZ) Limitedがニュージーランドで酒類を、Asahi Lifestyle Beveragesがオーストラリアで飲料を扱っています。東南アジアではEtika Beverages Sdn. Bhd.などが飲料や乳製品を展開しており、これらの地域でグループ全体の売上収益の約53.2%を占めています。
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3【事業の内容】 当企業集団(アサヒグループ)は、当社、連結子会社196社及び関連会社33社により構成され、その主な事業内容と、主要な会社の当該事業に係る位置づけは次の通りです。 なお、当年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6 事業セグメント」の(報告セグメントの変更に関する事項)をご参照ください。(1)日本・東アジア(酒類、飲料、食品、薬品の製造・販売) 連結子会社であるアサヒグループジャパン㈱はアサヒビール㈱等の日本・東アジア地域子会社を統括する地域統括会社であります。 連結子会社であるアサヒビール㈱は全国でビール類、低アルコール飲料等の製造・販売及び焼酎、洋酒、ワイン等の販売を行っております。また、連結子会社であるニッカウヰスキー㈱は、焼酎、洋酒等の製造を行っており、アサヒビール㈱等へ販売しております。連結子会社であるエノテカ㈱は、ワインの販売を行っております。連結子会社であるアサヒドラフトマーケティング㈱は、酒類販売設備の制作、販売及び保守業務を行い、アサヒビール㈱より業務を受託しております。連結子会社であるアサヒビールモルト㈱は、アサヒビール㈱等の麦芽の受託加工等を行っております。連結子会社である㈱アサヒビールフィードはアサヒビール㈱のモルトフィード(ビール粕)の受託加工等を行っております。 連結子会社であるアサヒ飲料㈱及びカルピス㈱は各種飲料の製造・販売を行っております。 連結子会社であるアサヒグループ食品㈱はベビーフード・菓子・フリーズドライ食品・サプリメント等の製造・販売を行っています。 連結子会社であるアサヒロジ㈱等は、アサヒグループ製品等の運送、物流センターの管理、倉庫業を行っております。連結子会社であるアサヒユウアス㈱は、サステナブルプロダクツの開発・販売を行っております。 (2)欧州(酒類の製造・販売) 連結子会社であるAsahi Europe & International Ltdは等の欧州地域子会社を統括する地域統括会社であります。 連結子会社である、、Kompania Piwowarska S.A.、Ursus Breweries SA、Dreher Sörgyárak Zrt.は中東欧にて、Birra Peroni S.r.l.、Koninklijke Grolsch N.V.等は西欧にてビールの製造・販売を行っております。 (3)アジアパシフィック(酒類、飲料の製造・販売) 連結子会社であるAsahi Beverages Pty LtdはCUB Pty Ltd等のアジアパシフィック地域子会社を統括する地域統括会社であります。 連結子会社であるCUB Pty Ltdはオーストラリアにて、Asahi Beverages (NZ) Limitedはニュージーランドにて酒類の製造・販売を行っております。 連結子会社であるAsahi Lifestyle Beveragesはオーストラリアにて、Etika Beverages Sdn. Bhd.はマレーシアにて、飲料の製造・販売を行っております。 連結子会社であるEtika Dairies Sdn. Bhd.はマレーシアを中心とした東南アジアにて乳製品の製造・販売を行っております。 (4)その他 連結子会社であるアサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱はグループの持続的な発展につながる中長期的な研究を行っております。 連結子会社であるアサヒバイオサイクル㈱はアニマルニュートリション(飼料添加物等)、農業・緑化分野におけるバイオスティミュラント(肥料原料)、微生物利用の製品・サービスの提供を行っております。 連結子会社であるAsahi Group Beverages & Innovation, LLCは、米国サンフランシスコにて、ビールを中心とした既存事業の基盤を活かした新規領域での成長を目指し、スタートアップ投資ファンド Asahi Group Beverages & Innovation Fund の運営及び米国のスタートアップ企業へのマイノリティ出資等を行っております。 連結子会社であるAsahi Global Procurement Pte. Ltd.は、シンガポールにて、グループ全体の調達機能の高度化を目指し、アサヒグループのグローバル調達に関する戦略立案と管理を行っております。 なお、当社は特定上場会社等であります。特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 企業集団の状況 事業の系統図及び主要な会社名は次の通りであります。 ※ Asahi Beverages Pty. Ltd.はAsahi Holdings (Australia) Pty Ltd傘下の地域統括会社であります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2024時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 グローバルブランドや高付加価値ブランドの価値向上を目指しているため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | ブランド 『アサヒスーパードライ』や『Peroni Nastro Azzurro』などのグローバルブランドを保有。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 低い(分散) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:中長期経営方針の未達成 / 事業環境の変化(景気悪化、人口減少、嗜好変化) / 買収事業の期待成果未達、のれん・無形資産の減損
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 11 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
アサヒビール、スーパードライといった強力なブランド力を持つ。特に「スーパードライ」は長年にわたり日本のビール市場で高い認知度とシェアを維持しており、ブランドロイヤリティが高い。海外でも「ペローニ」「ピレネー」などのブランドが一定の評価を得ている。
スイッチングコスト★★☆☆☆
ビールは嗜好品であり、ブランドや価格、プロモーションによって消費者の選択が左右されやすい。ただし、長年の愛飲者や特定のブランドへのこだわりを持つ層は存在し、完全にスイッチングしやすいとは言えない。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
ビール製造・販売事業には直接的なネットワーク効果はほとんど見られない。プラットフォーム型ビジネスではない。
コスト優位★★☆☆☆
スケールメリットによる一定のコスト優位性は存在するが、原材料価格の変動や物流コストの影響を受けやすい。競合他社も同様の規模を持つため、圧倒的なコスト優位性は築きにくい。
規模の経済★★★★☆
国内ビール市場においてキリンホールディングスと並ぶトップクラスのシェアを誇り、生産・販売・物流における規模の経済を享受している。この規模は新規参入障壁となりうる。
- 強力なブランド力と市場シェアアサヒスーパードライやPeroni Nastro Azzurroといったグローバルブランドを保有しており、特に日本のビール市場では高いシェアを誇ります。長年にわたるブランド育成と品質へのこだわりが、消費者からの信頼と支持を獲得し、安定的な売上を支える強みとなっています。
- グローバルな事業基盤欧州、オセアニア、東南アジアに地域統括会社を置き、各地域で酒類や飲料の製造・販売を行っています。これにより、特定の地域市場に依存することなく、世界各地での需要を取り込むことが可能です。地域ごとの景気変動や消費トレンドの変化に対するリスク分散にも繋がっています。
- 研究開発とイノベーションへの投資アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社が中長期的な研究開発を担い、アサヒバイオサイクル株式会社がアニマルニュートリションやバイオスティミュラントといった新規分野での製品・サービスを提供しています。また、米国ではスタートアップ投資ファンドを運営し、新規領域での成長を目指すなど、将来を見据えたイノベーションへの積極的な投資が競争優位性を高めています。
出典: FY2024 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
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経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中には、中期経営方針等に関する様々な業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報が開示されています。これらの業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報は、将来の事象についての現時点における仮定及び予想、並びにアサヒグループが現在入手可能な情報や一定の前提に基づいているため、今後様々な要因により変化を余儀なくされるものであり、これらの予想や目標の達成及び将来の業績を保証するものではありません。 (1)グループ理念 アサヒグループは、純粋持株会社であるアサヒグループホールディングス株式会社のもと、日本・東アジア、欧州、アジアパシフィックを核として、主にビールを中心とした酒類、飲料、食品事業を展開しており、グループ理念「Asahi Group Philosophy(AGP)」をグループ共通の経営基盤、日本を含む全世界の事業活動の原点としています。 2019年のグループ理念導入以降、新型コロナウイルス感染症の拡大、環境課題の深刻化、地政学リスクの高まり、AI・デジタル化の進展など、外部環境は大きく変化しました。これらに加え、当社グループにおいても、グローバル化の進展や事業ポートフォリオの多様化に伴い、コーポレート・ガバナンス体制及びRegional Headquarters体制の進化を進めてきました。 このような変化を踏まえ、2026年6月にグループ理念を改訂しました。 改訂したグループ理念は、当社グループの存在意義や目指す姿、強みをより明確にするとともに、中長期的な企業価値向上に向けた共通の指針として、人や社会、地球に対してグループが果たすべき社会的な存在意義「Our Purpose(存在意義)」、中長期的・戦略的に実現を目指すグループの姿「Our Vision(目指す姿)」、意思決定や企業文化、働き方を支える共通の価値観と行動指針「Our Values(価値観)」を示しています。 この新たなグループ理念のもとで、複雑化・不確実性が増す経営環境のなかで、事業・地域を横断した一体的な取り組みを一層強化し、各事業の総和を超えた企業価値の創造と持続的な成長、環境変化への対応力(レジリエンス)の強化を目指します。 (2)中長期経営方針 『中長期経営方針』では、長期戦略のコンセプトとして「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」ことを掲げています。 目指す事業ポートフォリオの実現に向けた取り組みを推進するとともに、サステナビリティと経営の統合、DX (デジタル・トランスフォーメーション)やR&D(研究開発)といったコア戦略の一層の強化を図ります。また、人的資本の高度化やグループガバナンスの進化など戦略基盤を強化することにより、持続的な成長と全てのステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指しています。 1.『中長期経営方針』:長期戦略の概要※ BX:ビジネス・トランスフォーメーションの略 2.目指す事業ポートフォリオ 長期戦略における事業ポートフォリオでは、人々のウェルビーイングの変化に応えていくなかでの「リスクと機会」を捉え、ビールを中心とした既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスの拡大を目指しています。 既存事業については、主力ブランドを中心としたプレミアム戦略の推進などにより、各地域において販売単価の向上を実現したほか、グローバルブランドと位置付けている『Asahi Super Dry』と『Peroni Nastro Azzurro』において、世界的なパートナーシップを活用したマーケティング活動を強化し、グローバル展開を拡大しました。 新規領域については、各地域でビールテイスト飲料やRTD※1カテゴリーの取り組みを推進するなど、BAC※2への投資強化による新市場拡大を図りました。また、新たな成長ドライバーの探索を目指して設立した米国投資運用会社の活動に加えて、酵母・乳酸菌技術を活用した新たな領域拡大やデジタル技術を活かした新サービスの開発に取り組みました。 今後もビールを中心に培ってきたケイパビリティや事業基盤を活かし、BACや新商材・新サービスの領域で成長機会を拡大することで、最適な事業ポートフォリオを構築していきます。※1 RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。※2 BAC:Beer Adjacent Categoriesの略。ノンアルコール飲料、RTD、成人向け清涼飲料など、ビール隣接カテゴリーを指します。 3.コア戦略 ―サステナビリティ戦略― アサヒグループは、「サステナビリティと経営の統合」を掲げ、持続的な成長とさまざまなステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指していきます。 事業成長と社会価値の創出の最大化を目指して、重点方針を定めているほか、経営課題として取り組む領域を特定したマテリアリティ・取り組みテーマを設定し、適切で実効性のある取り組みにつなげています。 詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 4.コア戦略 ―DX戦略― アサヒグループのDXは単なるデジタライゼーションではなく、生き残りをかけた経営改革であると認識しており、DX=BXと捉え、「Business」「Process」「Organization」の領域において、三位一体でイノベーションを推進しています。 ①Business Innovation 一人ひとりの嗜好やシーン、状況に合わせ、商品とデジタルサービスにより新たな顧客体験を提供するパーソナライゼーション・モデルの実現を目指し、AI技術を活用したパーソナライズドリンクサービスを核に、外食市場の構造変化や飲食店が抱える課題の解決などに取り組んでいます。また、社会的意義と成長ポテンシャルを両立する新規事業として、持続的な価値創出を目指します。 ②Process Innovation サステナビリティチームとIT組織が協働し、当社のサステナビリティに関わるあらゆる情報・データを収集・集計するための最適なソリューションの導入に向け、取り組んでいます。また、サプライチェーンやグローバルマーケティングチームへのデジタルを活用した生産性の向上に継続的に取り組んでいます。 ③Organization Innovation デジタルネイティブ組織への変革を見据え、IT/データ活用を一部の専門スキルではなく、全社の共通基盤とする「IT/データ活用の民主化」を進めています。また、顧客起点で価値を創出する組織文化の実現に向け、アジャイルな働き方※の浸透を推進しています。※ 柔軟性と迅速性を重視し変化に素早く対応する働き方 5.コア戦略 ―R&D戦略― R&D戦略においては、中長期的な社会環境や競争環境の変化を見据え、未来のあるべき姿を描いたうえで、バックキャスティングの考え方に基づき、お客様のニーズを先取りした研究テーマを推進しており、これまでの研究で蓄積してきた技術・知見・ノウハウを踏まえ、以下の4つを重点領域として位置付け、新たな価値創造やリスク軽減に向けた商品・技術開発に取り組んでいます。また、海外を含む拠点間でのシナジーの醸成、異分野とのオープンイノベーション活用による新たな価値創造にも積極的に取り組んでいます。 ①アルコール関連 アルコールに対するニーズの多様化や社会の変化に対応し、BAC領域において新たな価値を創造するための研究開発に取り組んでいます。長年培ってきた酵母育種、発酵プロセス、調香、官能評価などの技術をベースとしつつ、心理学、脳科学、AIなどの最先端の技術を獲得し組み合わせることで、嗜好性や機能性のみならず、環境影響及びコストといった側面における優位性を追求しています。 これらの技術的取り組みを基盤として、海外市場における成果導出を実現する嗜好設計・商品開発を進め、「Asahi Super Dry」のエクステンション商品『Asahi Super Dry FUSIONS Lemon Yuzu』やRTD『Asahi ZEITAKU SHIBORI』などを開発・展開し、グローバルでの価値創造を推進しています。 ②ヘルス&ウェルネス 消費者の健康志向の高まりに対し、身体や心の健康をサポートするソリューションを提供することで、人々の健康維持増進への貢献に取り組んでいます。 健康な人の免疫機能の維持に役立つ「L-92乳酸菌」や、心理的なストレスを和らげ、睡眠の質(眠りの深さ)を高める機能や腸内環境を整える機能を持つ「ガセリ菌CP2305株」などオリジナルの機能性乳酸菌については、国内で機能性表示食品としての商品展開に向けた研究開発を進めるとともに、グローバルな活用に向けた取り組みを推進しています。「ガセリ菌CP2305株」は、2025年3月よりアサヒグループ以外の企業へ供給され、海外向けに販売が開始されるとともに、世界有数の食品原料見本市で受賞するなど高い評価を得ています。 今後も、人々の健康で豊かな生活をサポートするヘルス&ウェルネス研究を強化し、新しい価値提案を目指します。 ③サステナビリティ 環境・エネルギー分野における技術実装、気候変動に伴う原料コスト影響の最小化、容器包装の環境負荷低減などのサステナビリティに関する研究開発を通じ、社会的責務を果たすとともに、持続的な社会の発展に貢献しています。 環境分野においては、缶、びん、PETボトルなどの使い捨て容器の使用が廃止される未来を見据え、使い捨て容器を使用しなくても強炭酸が楽しめるサーバー『EXTRA BURST』の更なる展開に向けた技術開発を推進するとともに、繰り返し使用可能な専用タンブラーを活用することで大幅な環境負荷低減を目指しています。また、原料副産物の活用による新たな価値創出にも取り組んでいます。独自の酵母技術を生かし、酵母エキス製造時に生じる酵母細胞壁を主原料とする新素材を活用した非動物性ミルク『LIKE MILK』を開発し、2025年4月からテスト販売を開始しました。アレルギー特定原材料等を使用しない、まろやかな味わいを実現しています。 本取り組み以外に、グリーンエネルギー技術の開発にも力を入れており、今後も環境負荷低減の実効性向上を目指します。 ④新規事業 中長期的に目指す事業ポートフォリオの実現に向け、グループ内外の技術とビジネスモデルとの掛け合わせ等により、新規事業につながる非凡なシーズの創出に取り組んでいます。 アサヒグループがこれまでに活用してきた酵母や乳酸菌などの微生物関連技術に、AI・デジタル技術をはじめとした、さまざまな次世代技術を新たな視点をもって組み合わせることで、これまでにない新価値を創出し、新規事業を開拓していきます。 これらを実現するために、グローバル視点で革新的な外部技術を取り入れ、異分野技術の融合を積極的に推進することでイノベーション創出を目指します。 6.人的資本の高度化 アサヒグループでは、「ありたい企業風土の醸成」、「継続的な経営者人材の育成」及び「必要となるケイパビリティ※の獲得」の3つの取り組みを通じ、経営基盤を強化し、競争優位の源泉となる「人的資本の高度化」を実現することで、従業員と会社が共に成長し、中長期的な企業価値向上を推進しています。※ 戦略を実現するために必要な組織的能力 詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」をご参照ください。 (3)中期的なガイドライン 主要指標のガイドライン及び財務方針は、2030年までを目処として、2025年2月に以下のとおり更新しました。 主要指標については、収益性において、利益成長と資本政策が反映されるEPSに一本化し、CAGR(年平均成長率)として「一桁台後半から二桁」をコミットします。また、収益性だけでなく資本効率の向上を図るため、ROEとROIC※1を主要指標に追加し、ROEは11%以上、ROICは10%以上を目指し資本コストとのスプレッドを拡大していきます。 財務方針については、財務健全性を確保(Net Debt/EBITDA※2:2.5~3倍程度)しつつ、成長投資を優先していきますが、資本効率の向上や株主還元の充実にも資本を配分していきます。また、株主還元については、より安定的な増配を継続すべく、DOE※34%を目指して累進配当※4を実施するとともに、機動的に自己株式取得を行っていきます。 2025年については、各地域におけるプレミアム戦略の推進や収益構造改革などに取り組みましたが、日本で発生したサイバー攻撃に伴うシステム障害の影響等により、EPS及びROE、ROICはガイドラインを下回りました。 財務方針については、株主還元において、累進配当に基づき、当期の1株当たり配当額を52円に増額するとともに、機動的な自己株式取得を実施しました。財務健全性においては、システム障害の影響などに伴うEBITDA※5の減少により、Net Debt/EBITDAはガイドラインを超える水準となりました。 引き続き、規律ある成長投資により、事業ポートフォリオの強靭化やコア戦略を力強く推進するとともに、財務戦略による資本効率の向上、資本市場とのエンゲージメントによる資本コスト低減などに取り組み、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指していきます。※1 税引後事業利益を、純有利子負債と親会社の所有者に帰属する持分(ただし、在外営業活動体の換算差額とその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品への投資の公正価値の変動などを控除したもの)の合計で除して算出。※2 Net Debt/EBITDA(EBITDA純有利子負債倍率)=(金融債務-現預金)/EBITDA。※3 配当総額を、親会社の所有者に帰属する持分合計で除して算出。※4 累進配当とは、1株当たりの配当金額を毎年増配又は最低でも横ばいの水準で配当し続けることです。※5 EBITDAは、事業利益に無形資産償却費及び減価償却費を加えたものです。 ■主要指標のガイドライン 2025-2030年までのガイドライン2025年実績EPS(調整後EPS※1)・CAGR(年平均成長率):一桁台後半~二桁(CAGR(年平均成長率):一桁台後半~二桁)EPS成長率:△35.8%(△18.5%)ROE(調整後ROE※2)・11%以上 ※株主資本コスト:8%程度(14%以上)4.3%(8.4%)ROIC・10%以上※WACC(加重平均資本コスト):5.5~6%程度6.1%※1 調整後EPSは、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を控除して算出しています。※2 調整後ROEは、調整後親会社の所有者に帰属する当期利益(親会社の所有者に帰属する当期利益から、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を控除したもの)を親会社の所有者に帰属する持分合計(ただし、在外営業活動体の換算差額とその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品への投資の公正価値の変動などを控除したもの)で除して算出しています。 ■財務方針 2025-2030年までのガイドライン2025年実績株主還元・DOE:4%以上を目指した累進配当・機動的な自己株式取得DOE:2.7%財務健全性・Net Debt/EBITDA:2.5~3倍程度を維持3.70倍 (4)対処すべき課題 中長期的な外部環境としては、テクノロジーの発展が人類に新たな技術力と自由な時間を与え、気候変動・資源不足といった地球規模の課題を抱える中、社会・経済だけではなく人類の幸福(Well-being)のあり方も変化していくものと想定されます。 そうしたメガトレンドを踏まえて策定した『中長期経営方針』に基づき、各地域統括会社は、既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスを拡大していきます。さらに、サステナビリティと経営の統合などコア戦略の一層の強化により、グループ全体で企業価値の向上に努めていきます。 尚、アサヒグループの報告セグメントは、従来「日本」、「欧州」、「オセアニア」、「東南アジア」としていましたが、2025年度の中間連結会計期間より、「日本・東アジア」、「欧州」、「アジアパシフィック」に変更しています。 <地域統括会社の中期重点戦略>[日本・東アジア]① 変化を先読みする商品ポートフォリオ最適化とシナジー創出によるポテンシャル拡大② ニーズの多様化に対応したスマートドリンキングなどの推進、新価値提案の強化③ カーボンニュートラルなど社会課題の事業による解決、サプライチェーン最適化[欧州]① グローバルブランドの拡大と強いローカルブランドを軸としたプレミアム戦略の強化② ビールテイスト飲料やRTDなど高付加価値商品を軸とした成長の加速③ 再生エネルギーの積極活用や循環可能な容器包装の展開など環境負荷低減施策の推進[アジアパシフィック]① 酒類と飲料を融合したマルチビバレッジ戦略の推進、最適なプレミアムポートフォリオの構築② BACなど成長領域でのイノベーションの推進、健康・Well-beingカテゴリーの強化③ 新容器・包装形態などサステナビリティを重視した新価値提案、SCM改革の推進
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中には、中期経営方針等に関する様々な業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報が開示されています。これらの業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報は、将来の事象についての現時点における仮定及び予想、並びにアサヒグループが現在入手可能な情報や一定の前提に基づいているため、今後様々な要因により変化を余儀なくされるものであり、これらの予想や目標の達成及び将来の業績を保証するものではありません。 (1)グループ理念 アサヒグループは、純粋持株会社であるアサヒグループホールディングス株式会社のもと、日本・東アジア、欧州、アジアパシフィックを核として、主にビールを中心とした酒類、飲料、食品事業を展開しており、グループ理念「Asahi Group Philosophy(AGP)」をグループ共通の経営基盤、日本を含む全世界の事業活動の原点としています。 2019年のグループ理念導入以降、新型コロナウイルス感染症の拡大、環境課題の深刻化、地政学リスクの高まり、AI・デジタル化の進展など、外部環境は大きく変化しました。これらに加え、当社グループにおいても、グローバル化の進展や事業ポートフォリオの多様化に伴い、コーポレート・ガバナンス体制及びRegional Headquarters体制の進化を進めてきました。 このような変化を踏まえ、2026年6月にグループ理念を改訂しました。 改訂したグループ理念は、当社グループの存在意義や目指す姿、強みをより明確にするとともに、中長期的な企業価値向上に向けた共通の指針として、人や社会、地球に対してグループが果たすべき社会的な存在意義「Our Purpose(存在意義)」、中長期的・戦略的に実現を目指すグループの姿「Our Vision(目指す姿)」、意思決定や企業文化、働き方を支える共通の価値観と行動指針「Our Values(価値観)」を示しています。 この新たなグループ理念のもとで、複雑化・不確実性が増す経営環境のなかで、事業・地域を横断した一体的な取り組みを一層強化し、各事業の総和を超えた企業価値の創造と持続的な成長、環境変化への対応力(レジリエンス)の強化を目指します。 (2)中長期経営方針 『中長期経営方針』では、長期戦略のコンセプトとして「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」ことを掲げています。 目指す事業ポートフォリオの実現に向けた取り組みを推進するとともに、サステナビリティと経営の統合、DX (デジタル・トランスフォーメーション)やR&D(研究開発)といったコア戦略の一層の強化を図ります。また、人的資本の高度化やグループガバナンスの進化など戦略基盤を強化することにより、持続的な成長と全てのステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指しています。 1.『中長期経営方針』:長期戦略の概要※ BX:ビジネス・トランスフォーメーションの略 2.目指す事業ポートフォリオ 長期戦略における事業ポートフォリオでは、人々のウェルビーイングの変化に応えていくなかでの「リスクと機会」を捉え、ビールを中心とした既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスの拡大を目指しています。 既存事業については、主力ブランドを中心としたプレミアム戦略の推進などにより、各地域において販売単価の向上を実現したほか、グローバルブランドと位置付けている『Asahi Super Dry』と『Peroni Nastro Azzurro』において、世界的なパートナーシップを活用したマーケティング活動を強化し、グローバル展開を拡大しました。 新規領域については、各地域でビールテイスト飲料やRTD※1カテゴリーの取り組みを推進するなど、BAC※2への投資強化による新市場拡大を図りました。また、新たな成長ドライバーの探索を目指して設立した米国投資運用会社の活動に加えて、酵母・乳酸菌技術を活用した新たな領域拡大やデジタル技術を活かした新サービスの開発に取り組みました。 今後もビールを中心に培ってきたケイパビリティや事業基盤を活かし、BACや新商材・新サービスの領域で成長機会を拡大することで、最適な事業ポートフォリオを構築していきます。※1 RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。※2 BAC:Beer Adjacent Categoriesの略。ノンアルコール飲料、RTD、成人向け清涼飲料など、ビール隣接カテゴリーを指します。 3.コア戦略 ―サステナビリティ戦略― アサヒグループは、「サステナビリティと経営の統合」を掲げ、持続的な成長とさまざまなステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指していきます。 事業成長と社会価値の創出の最大化を目指して、重点方針を定めているほか、経営課題として取り組む領域を特定したマテリアリティ・取り組みテーマを設定し、適切で実効性のある取り組みにつなげています。 詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 4.コア戦略 ―DX戦略― アサヒグループのDXは単なるデジタライゼーションではなく、生き残りをかけた経営改革であると認識しており、DX=BXと捉え、「Business」「Process」「Organization」の領域において、三位一体でイノベーションを推進しています。 ①Business Innovation 一人ひとりの嗜好やシーン、状況に合わせ、商品とデジタルサービスにより新たな顧客体験を提供するパーソナライゼーション・モデルの実現を目指し、AI技術を活用したパーソナライズドリンクサービスを核に、外食市場の構造変化や飲食店が抱える課題の解決などに取り組んでいます。また、社会的意義と成長ポテンシャルを両立する新規事業として、持続的な価値創出を目指します。 ②Process Innovation サステナビリティチームとIT組織が協働し、当社のサステナビリティに関わるあらゆる情報・データを収集・集計するための最適なソリューションの導入に向け、取り組んでいます。また、サプライチェーンやグローバルマーケティングチームへのデジタルを活用した生産性の向上に継続的に取り組んでいます。 ③Organization Innovation デジタルネイティブ組織への変革を見据え、IT/データ活用を一部の専門スキルではなく、全社の共通基盤とする「IT/データ活用の民主化」を進めています。また、顧客起点で価値を創出する組織文化の実現に向け、アジャイルな働き方※の浸透を推進しています。※ 柔軟性と迅速性を重視し変化に素早く対応する働き方 5.コア戦略 ―R&D戦略― R&D戦略においては、中長期的な社会環境や競争環境の変化を見据え、未来のあるべき姿を描いたうえで、バックキャスティングの考え方に基づき、お客様のニーズを先取りした研究テーマを推進しており、これまでの研究で蓄積してきた技術・知見・ノウハウを踏まえ、以下の4つを重点領域として位置付け、新たな価値創造やリスク軽減に向けた商品・技術開発に取り組んでいます。また、海外を含む拠点間でのシナジーの醸成、異分野とのオープンイノベーション活用による新たな価値創造にも積極的に取り組んでいます。 ①アルコール関連 アルコールに対するニーズの多様化や社会の変化に対応し、BAC領域において新たな価値を創造するための研究開発に取り組んでいます。長年培ってきた酵母育種、発酵プロセス、調香、官能評価などの技術をベースとしつつ、心理学、脳科学、AIなどの最先端の技術を獲得し組み合わせることで、嗜好性や機能性のみならず、環境影響及びコストといった側面における優位性を追求しています。 これらの技術的取り組みを基盤として、海外市場における成果導出を実現する嗜好設計・商品開発を進め、「Asahi Super Dry」のエクステンション商品『Asahi Super Dry FUSIONS Lemon Yuzu』やRTD『Asahi ZEITAKU SHIBORI』などを開発・展開し、グローバルでの価値創造を推進しています。 ②ヘルス&ウェルネス 消費者の健康志向の高まりに対し、身体や心の健康をサポートするソリューションを提供することで、人々の健康維持増進への貢献に取り組んでいます。 健康な人の免疫機能の維持に役立つ「L-92乳酸菌」や、心理的なストレスを和らげ、睡眠の質(眠りの深さ)を高める機能や腸内環境を整える機能を持つ「ガセリ菌CP2305株」などオリジナルの機能性乳酸菌については、国内で機能性表示食品としての商品展開に向けた研究開発を進めるとともに、グローバルな活用に向けた取り組みを推進しています。「ガセリ菌CP2305株」は、2025年3月よりアサヒグループ以外の企業へ供給され、海外向けに販売が開始されるとともに、世界有数の食品原料見本市で受賞するなど高い評価を得ています。 今後も、人々の健康で豊かな生活をサポートするヘルス&ウェルネス研究を強化し、新しい価値提案を目指します。 ③サステナビリティ 環境・エネルギー分野における技術実装、気候変動に伴う原料コスト影響の最小化、容器包装の環境負荷低減などのサステナビリティに関する研究開発を通じ、社会的責務を果たすとともに、持続的な社会の発展に貢献しています。 環境分野においては、缶、びん、PETボトルなどの使い捨て容器の使用が廃止される未来を見据え、使い捨て容器を使用しなくても強炭酸が楽しめるサーバー『EXTRA BURST』の更なる展開に向けた技術開発を推進するとともに、繰り返し使用可能な専用タンブラーを活用することで大幅な環境負荷低減を目指しています。また、原料副産物の活用による新たな価値創出にも取り組んでいます。独自の酵母技術を生かし、酵母エキス製造時に生じる酵母細胞壁を主原料とする新素材を活用した非動物性ミルク『LIKE MILK』を開発し、2025年4月からテスト販売を開始しました。アレルギー特定原材料等を使用しない、まろやかな味わいを実現しています。 本取り組み以外に、グリーンエネルギー技術の開発にも力を入れており、今後も環境負荷低減の実効性向上を目指します。 ④新規事業 中長期的に目指す事業ポートフォリオの実現に向け、グループ内外の技術とビジネスモデルとの掛け合わせ等により、新規事業につながる非凡なシーズの創出に取り組んでいます。 アサヒグループがこれまでに活用してきた酵母や乳酸菌などの微生物関連技術に、AI・デジタル技術をはじめとした、さまざまな次世代技術を新たな視点をもって組み合わせることで、これまでにない新価値を創出し、新規事業を開拓していきます。 これらを実現するために、グローバル視点で革新的な外部技術を取り入れ、異分野技術の融合を積極的に推進することでイノベーション創出を目指します。 6.人的資本の高度化 アサヒグループでは、「ありたい企業風土の醸成」、「継続的な経営者人材の育成」及び「必要となるケイパビリティ※の獲得」の3つの取り組みを通じ、経営基盤を強化し、競争優位の源泉となる「人的資本の高度化」を実現することで、従業員と会社が共に成長し、中長期的な企業価値向上を推進しています。※ 戦略を実現するために必要な組織的能力 詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」をご参照ください。 (3)中期的なガイドライン 主要指標のガイドライン及び財務方針は、2030年までを目処として、2025年2月に以下のとおり更新しました。 主要指標については、収益性において、利益成長と資本政策が反映されるEPSに一本化し、CAGR(年平均成長率)として「一桁台後半から二桁」をコミットします。また、収益性だけでなく資本効率の向上を図るため、ROEとROIC※1を主要指標に追加し、ROEは11%以上、ROICは10%以上を目指し資本コストとのスプレッドを拡大していきます。 財務方針については、財務健全性を確保(Net Debt/EBITDA※2:2.5~3倍程度)しつつ、成長投資を優先していきますが、資本効率の向上や株主還元の充実にも資本を配分していきます。また、株主還元については、より安定的な増配を継続すべく、DOE※34%を目指して累進配当※4を実施するとともに、機動的に自己株式取得を行っていきます。 2025年については、各地域におけるプレミアム戦略の推進や収益構造改革などに取り組みましたが、日本で発生したサイバー攻撃に伴うシステム障害の影響等により、EPS及びROE、ROICはガイドラインを下回りました。 財務方針については、株主還元において、累進配当に基づき、当期の1株当たり配当額を52円に増額するとともに、機動的な自己株式取得を実施しました。財務健全性においては、システム障害の影響などに伴うEBITDA※5の減少により、Net Debt/EBITDAはガイドラインを超える水準となりました。 引き続き、規律ある成長投資により、事業ポートフォリオの強靭化やコア戦略を力強く推進するとともに、財務戦略による資本効率の向上、資本市場とのエンゲージメントによる資本コスト低減などに取り組み、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指していきます。※1 税引後事業利益を、純有利子負債と親会社の所有者に帰属する持分(ただし、在外営業活動体の換算差額とその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品への投資の公正価値の変動などを控除したもの)の合計で除して算出。※2 Net Debt/EBITDA(EBITDA純有利子負債倍率)=(金融債務-現預金)/EBITDA。※3 配当総額を、親会社の所有者に帰属する持分合計で除して算出。※4 累進配当とは、1株当たりの配当金額を毎年増配又は最低でも横ばいの水準で配当し続けることです。※5 EBITDAは、事業利益に無形資産償却費及び減価償却費を加えたものです。 ■主要指標のガイドライン 2025-2030年までのガイドライン2025年実績EPS(調整後EPS※1)・CAGR(年平均成長率):一桁台後半~二桁(CAGR(年平均成長率):一桁台後半~二桁)EPS成長率:△35.8%(△18.5%)ROE(調整後ROE※2)・11%以上 ※株主資本コスト:8%程度(14%以上)4.3%(8.4%)ROIC・10%以上※WACC(加重平均資本コスト):5.5~6%程度6.1%※1 調整後EPSは、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を控除して算出しています。※2 調整後ROEは、調整後親会社の所有者に帰属する当期利益(親会社の所有者に帰属する当期利益から、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を控除したもの)を親会社の所有者に帰属する持分合計(ただし、在外営業活動体の換算差額とその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品への投資の公正価値の変動などを控除したもの)で除して算出しています。 ■財務方針 2025-2030年までのガイドライン2025年実績株主還元・DOE:4%以上を目指した累進配当・機動的な自己株式取得DOE:2.7%財務健全性・Net Debt/EBITDA:2.5~3倍程度を維持3.70倍 (4)対処すべき課題 中長期的な外部環境としては、テクノロジーの発展が人類に新たな技術力と自由な時間を与え、気候変動・資源不足といった地球規模の課題を抱える中、社会・経済だけではなく人類の幸福(Well-being)のあり方も変化していくものと想定されます。 そうしたメガトレンドを踏まえて策定した『中長期経営方針』に基づき、各地域統括会社は、既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスを拡大していきます。さらに、サステナビリティと経営の統合などコア戦略の一層の強化により、グループ全体で企業価値の向上に努めていきます。 尚、アサヒグループの報告セグメントは、従来「日本」、「欧州」、「オセアニア」、「東南アジア」としていましたが、2025年度の中間連結会計期間より、「日本・東アジア」、「欧州」、「アジアパシフィック」に変更しています。 <地域統括会社の中期重点戦略>[日本・東アジア]① 変化を先読みする商品ポートフォリオ最適化とシナジー創出によるポテンシャル拡大② ニーズの多様化に対応したスマートドリンキングなどの推進、新価値提案の強化③ カーボンニュートラルなど社会課題の事業による解決、サプライチェーン最適化[欧州]① グローバルブランドの拡大と強いローカルブランドを軸としたプレミアム戦略の強化② ビールテイスト飲料やRTDなど高付加価値商品を軸とした成長の加速③ 再生エネルギーの積極活用や循環可能な容器包装の展開など環境負荷低減施策の推進[アジアパシフィック]① 酒類と飲料を融合したマルチビバレッジ戦略の推進、最適なプレミアムポートフォリオの構築② BACなど成長領域でのイノベーションの推進、健康・Well-beingカテゴリーの強化③ 新容器・包装形態などサステナビリティを重視した新価値提案、SCM改革の推進
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(業績等の概要)(1)業績 当期における世界経済は、米国においては、個人消費が底堅く推移するとともに、企業の投資活動も堅調に推移し、欧州においても、個人消費に下支えされ、景気は緩やかな持ち直しが見られました。また、日本においては、雇用・所得環境の改善に伴い、個人消費の緩やかな回復が見られ、総じて底堅い経済成長が維持されました。 こうした状況のなか、アサヒグループは、『中長期経営方針』に基づき、事業ポートフォリオの強靭化やサステナビリティと経営の統合などのコア戦略を推進するとともに、資本効率の向上や資本コストの低減など、持続的な成長と企業価値向上を目指した取り組みを強化しました。また、プレミアム戦略やマルチビバレッジ戦略を推進するとともに、各地域に蓄積されたリソースやベストプラクティス、マネジメントの強みを共有することにより、各事業の総和を超える価値創出に取り組みました。 一方で、2025年9月29日に発生したサイバー攻撃により、日本における受注・出荷などのシステムが停止し、商品供給が制約を受けたことから、第4四半期は大幅な減収・減益となりました。なお、本システム障害の影響は日本で管理しているシステムに限られており、欧州及びアジアパシフィックの業績への影響はありません。 その結果、アサヒグループの売上収益は2兆8,946億7千6百万円(前期比1.5%減)となりました。また、利益については、事業利益※1は2,629億9千7百万円(前期比7.8%減)、営業利益は1,858億7千万円(前期比30.9%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,215億7千4百万円(前期比36.7%減)、調整後親会社の所有者に帰属する当期利益※2は1,470億3千8百万円(前期比19.6%減)となりました。 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比1.4%の減収、事業利益は前期比7.8%の減益となりました。※3※1 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。※2 調整後親会社の所有者に帰属する当期利益とは、親会社の所有者に帰属する当期利益から事業ポートフォリオ再構築及び減損損失など一時的な特殊要因を控除したものです。※3 2025年の外貨金額を、2024年の為替レートで円換算して比較しています。 アサヒグループの実績 (単位:百万円) 実績前期比売上収益2,894,676△1.5%事業利益262,997△7.8%営業利益185,870△30.9%親会社の所有者に帰属する当期利益121,574△36.7%調整後親会社の所有者に帰属する当期利益147,038△19.6% 当年度の財政状態の状況は、連結総資産は前年度末と比較して6,250億8百万円増加し、6兆284億1千4百万円、負債は前年度末と比較して2,905億1千7百万円増加し、3兆198億7千万円となりました。また、資本は前年度末に比べ3,344億9千1百万円増加し、3兆85億4千3百万円となりました。 セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。 アサヒグループの報告セグメントは、従来「日本」、「欧州」、「オセアニア」、「東南アジア」としていましたが、2025年度の中間連結会計期間より、「日本・東アジア」、「欧州」、「アジアパシフィック」に変更しています。以下の前期比較は前年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。 事業セグメント別の実績(単位:百万円) 売上収益前期比事業利益前期比売上収益事業利益率営業利益前期比 為替一定 為替一定日本・東アジア1,327,191△3.7%△3.7%111,623△16.1%△16.1%8.4%62,584△53.1%欧州768,1920.7%△2.5%113,0818.1%3.6%14.7%79,38612.1%アジアパシフィック783,1960.1%3.7%107,450△1.4%2.2%13.7%63,214△22.2%その他26,6530.7%4.5%4,174△0.1%4.7%15.7%4,27711.3%調整額計△10,556--△33,058---△23,592-無形資産償却費---△40,273-----合計2,894,676△1.5%△1.4%262,997△7.8%△7.8%9.1%185,870△30.9%※1 為替一定とは、当年度の外貨金額を、前年度の為替レートで円換算したものです。※2 営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。 [日本・東アジア] 日本・東アジアにおいては、各事業の主力ブランドの強化に加え、高付加価値商品の展開を中心とした新たな価値提案により、成長基盤の拡大に取り組みました。また、各事業の枠を超えたシナジー創出による収益性向上に加えて、人的資本の高度化、サステナビリティの取り組み推進などにより、持続的な成長に向けた経営基盤の強化を図りました。 日本の酒類事業では、ビール類において、『アサヒスーパードライ』の“辛口のうまさ”をより一層引き立てる「冷え」に注目した広告・販促活動の強化に取り組むなど、「スーパードライ」ブランドの価値向上を図りました。また、2025年4月の『アサヒ ザ・ビタリスト』の発売に加え、イタリアンプレミアムビール※1『ペローニ ナストロアズーロ』の缶商品を展開するなど、ビールカテゴリーの更なる強化を図りました。RTD※2においては、『未来のレモンサワー』を全国で数量限定発売するなど、新価値創造を推進しました。アルコールテイスト飲料においては、『アサヒゼロ』のクオリティアップに加え、炭酸水の「ウィルキンソン」ブランドから『ウィルキンソン タンサン タグソバー』を発売するなど、お酒を飲む人も飲まない人も共に楽しめる生活文化の創造を目指し、「スマートドリンキング」の推進に取り組みました。 日本の飲料事業では、「ワンダ」ブランドをフルリニューアルし、ブランドロゴの刷新や“はじまりのコーヒー”を新コンセプトに中味とパッケージを一新するとともに、PETボトルコーヒー『ワンダ クリアブラック』『ワンダ ロイヤルラテ』を発売し、コーヒーカテゴリーの強化を図りました。また、熱中症対策設計商品である『三ツ矢塩サイダー』『カルピスウォーター ひんやりライチ』『しみわたるカルピス りんご&洋梨』を発売するなど、商品ラインアップの拡充を図りました。 日本の食品事業では、「ミンティア」ブランドにおいて、ご当地で果実を食べているような特別感を楽しめる『ミンティア あまおう苺』の発売や、大粒タイプの「ブリーズ」シリーズから『ミンティアブリーズ レモンライムドレス』のリニューアル発売などにより、同ブランドで過去最高の年間売上を達成しました。また、和光堂ブランドから、離乳食を卒業した1歳半頃からの子どもに向けた幼児食「ぱくぱくプレキッズ」シリーズを全国発売するなど、多様化するニーズへの対応に取り組みました。 東アジアでは、中国を中心に『Asahi Super Dry』などのグローバルブランドの拡販に取り組み、プレゼンスの拡大を図りました。 以上の結果、売上収益は、価格改定効果などはありましたが、サイバー攻撃によるシステム障害の影響や外食事業からの撤退影響などにより、1兆3,271億9千1百万円(前期比3.7%減)となりました。 事業利益は、各種コストの効率化などに取り組みましたが、システム障害の影響や原材料関連費用の増加などにより、1,116億2千3百万円(前期比16.1%減)となりました。※1 イタリアを起源とするプレミアムビールブランドのこと。※2 RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。 [欧州] 欧州においては、主要国におけるプレミアムビールやビールテイスト飲料の強化に加えて、世界的なパートナーシップなどを活用した『Asahi Super Dry』と『Peroni Nastro Azzurro』の拡大展開により、グローバルブランドの認知度向上を図りました。また、サステナビリティの取り組みやDXを推進することにより、成長基盤を更に強化しました。 欧州の主要地域では、チェコの『Pilsner Urquell』において、同国の国立劇場との協賛や大阪・関西万博のチェコパビリオンでの販売によりブランド露出を拡大したほか、イタリアの『Raffo』では店舗の販売活動を強化しました。また、ポーランドの『Lech』においては新たなフレーバービールを展開し、消費者の多様なニーズに対応する施策を推進したほか、『Zubr』では、絶滅危惧種を支援するキャンペーンを積極的に展開するなど、各国におけるブランド価値向上に注力しました。さらに、ビールテイスト飲料において、チェコの『Birell』やルーマニアの『Ursus Cooler』などでフレーバー展開を強化したほか、ポーランドの『Tyskie 0.0%』では、スポーツ選手を起用した広告活動を実施するなど、需要の高まりを背景に新たな飲用機会の創出に取り組みました。 グローバルブランドの拡大展開では、『Asahi Super Dry』において、「City Football Group」と「Rugby World Cup」とのパートナーシップを活かしたマーケティング活動に取り組みました。また、新たに、イングランドプレミアリーグの「Arsenal」と公式ビールパートナー契約を締結するなど、更なる認知度向上に向けた取り組みを強化しました。『Peroni Nastro Azzurro』においては、F1チーム「Scuderia Ferrari」とのパートナーシップを活用し、ビールテイスト飲料『Peroni Nastro Azzurro 0.0%』で新たな広告活動と消費者参加型のキャンペーンを開始するなど、グローバルでのブランド認知度の向上に努めました。 以上の結果、売上収益は、天候不順の影響などにより販売数量が減少しましたが、各国のプレミアムビールやグローバルブランドなどが堅調に推移したことや、為替変動の影響により、7,681億9千2百万円(前期比0.7%増)となりました。 事業利益は、販売数量の減少や人件費の増加などによる影響を受けましたが、売上単価の向上による効果や各種コストの効率化を推進したことなどにより、1,130億8千1百万円(前期比8.1%増)となりました。 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比2.5%の減収、事業利益は前期比3.6%の増益となりました。 [アジアパシフィック] アジアパシフィックにおいては、ビールの主力ブランドを中心とした商品ポートフォリオの強化に加え、高付加価値なRTDの展開などによるプレミアム化を推進しました。また、飲料事業における成長領域への参入など、酒類と飲料事業の強みを活かしたマルチビバレッジ戦略を推進しました。さらに、DXの加速やサプライチェーンの効率化による収益構造改革や、サステナビリティを重視した新価値提案などにより、事業基盤を一層強化しました。 オセアニアの酒類事業では、消費者嗜好の多様化や健康志向の高まりを背景に需要が拡大しているコンテンポラリー・ビール※において、アルコール分2.0%の『Great Northern Light』を発売したことや、「Australian Football League」のシーズンに合わせて『Carlton Dry 3.5%』の販促活動を強化しました。また、『Peroni Nastro Azzurro』やクラフトビール『Balter』による全豪オープンテニストーナメントとのパートナーシップを活用したマーケティングを展開しました。RTDにおいては、『Hard Rated Alcoholic Orange』を発売したことにより商品ポートフォリオを拡充し、プレミアムスピリッツにおいては、「Never Never」ブランドより豪州産原材料を使用したウォッカ商品を発売するなど、新たな飲用機会の創出を図りました。 オセアニアの飲料事業では、「Schweppes」ブランドにおいて豪州の国立美術館とのパートナーシップを活用したマーケティング活動を強化したほか、『SOLO Energy』をはじめとするエナジードリンクを発売するなど、新たな成長機会の創出に取り組みました。 東南アジアでは、マレーシアを中心に「CALPIS」ブランドの新フレーバーを発売したほか、春節と連動した販促活動を展開し、ブランド力の強化を図りました。また、「WONDA」ブランドでは地元の人気キャラクターとコラボレーション商品を発売し、「Goodday」ブランドでは子どもの挑戦する力を育むキャンペーンを積極的に展開したことで、地域の特性や幅広い年齢層に合わせた価値提案を行いました。 以上の結果、売上収益は、各国の主力ブランドが堅調に推移したことや、価格改定の効果などにより、7,831億9千6百万円(前期比0.1%増)となりました。 事業利益は、売上単価の向上や各種コストの効率化を図りましたが、物流費や人件費などの増加に加えて、為替変動の影響により、1,074億5千万円(前期比1.4%減)となりました。 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比3.7%の増収、事業利益は前期比2.2%の増益となりました。※ 苦味などを抑えた飲みやすいビールのこと。 [その他] その他については、売上収益は266億5千3百万円(前期比0.7%増)、事業利益は41億7千4百万円(前期比0.1%減)となりました。 (2)キャッシュ・フローの状況 当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益が1,792億8千1百万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加により、1,048億1千6百万円(前期比:2,989億6百万円の収入減)の収入となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、2,004億6千8百万円(前期比:818億2百万円の支出増)の支出となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出があった一方で、短期借入金の増加などがあり、1,259億3千9百万円(前期:2,727億8千4百万円の支出)の収入となりました。 以上の結果、当年度末では、前年度末と比較して現金及び現金同等物の残高は724億1千8百万円増加し、1,563億8千万円となりました。 (生産、受注及び販売の状況)(1)生産実績 当年度におけるセグメントごとの生産実績は以下の通りであります。セグメントの名称金額前期比日本・東アジア1,235,535百万円△3.6%欧州630,508百万円1.1%アジアパシフィック674,361百万円3.5%(注)1 金額は、販売価額によっております。2 IFRS会計基準に基づく金額を記載しております。3 日本・東アジアの生産高には、外部への製造委託を含めております。 (2)受注実績 当社グループでは受注生産はほとんど行っておりません。 (3)販売実績 当年度におけるセグメントごとの販売実績は以下の通りであります。セグメントの名称金額前期比日本・東アジア1,327,191百万円△3.7%欧州768,192百万円0.7%アジアパシフィック783,196百万円0.1%その他26,653百万円0.7%調整額△10,556百万円-合計2,894,676百万円△1.5%(注)1 調整額はセグメント間取引であります。2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、外部顧客への売上収益のうち、総販売高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容) 当年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下の通りであります。(1)重要性がある会計方針及び見積り 当社の連結財務諸表は、IFRS会計基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 5 重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。 (2)当年度の経営成績の分析① 売上収益 アサヒグループの当年度の売上収益は、前期比1.5%減、447億4千6百万円減収の2兆8,946億7千6百万円となりました。日本・東アジアにおいては、価格改定効果などはありましたが、サイバー攻撃によるシステム障害の影響や外食事業からの撤退影響などにより、1兆3,271億9千1百万円(前期比3.7%減)となりました。欧州においては、天候不順の影響などにより販売数量が減少しましたが、各国のプレミアムビールやグローバルブランドなどが堅調に推移したことや、為替変動の影響により、7,681億9千2百万円(前期比0.7%増)となりました。アジアパシフィックにおいては、各国の主力ブランドが堅調に推移したことや、価格改定の効果などにより、7,831億9千6百万円(前期比0.1%増)となりました。その他においては、前期比0.7%増の266億5千3百万円となりました。 ② 事業利益 当年度の事業利益は、前期比7.8%減、221億2千4百万円減益の2,629億9千7百万円となりました。日本・東アジアにおいては、各種コストの効率化などに取り組みましたが、システム障害の影響や原材料関連費用の増加などにより、1,116億2千3百万円(前期比16.1%減)となりました。欧州においては、販売数量の減少や人件費の増加などによる影響を受けましたが、売上単価の向上による効果や各種コストの効率化を推進したことなどにより、1,130億8千1百万円(前期比8.1%増)となりました。アジアパシフィックにおいては、売上単価の向上や各種コストの効率化を図りましたが、物流費や人件費などの増加に加えて、為替変動の影響により、1,074億5千万円(前期比1.4%減)となりました。その他においては、前期比0.1%減の41億7千4百万円となりました。 ③ 営業利益 営業利益は、事業利益の減益などにより、前期比30.9%減、831億8千2百万円減益の1,858億7千万円となりました。 ④ 税引前利益 当年度の税引前利益は、営業利益の減益に加え、金融収益が前期比20.7%増、37億5千6百万円増加の219億3千3百万円となったことや、金融費用が前期比37.2%増、77億3千5百万円増加の285億2千2百万円となったことなどにより、前期比32.9%減、877億9百万円減益の1,792億8千1百万円となりました。 ⑤ 親会社の所有者に帰属する当期利益 親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益の減益などにより、前期比36.7%減、705億6百万円減益の1,215億7千4百万円となりました。 また、基本的1株当たり利益は81.29円(前期126.66円)となり、親会社所有者帰属持分比率は49.8%(前期49.4%)となりました。 また、事業ポートフォリオ再構築など一時的な特殊要因を除いた親会社の所有者に帰属する当期利益を算出に用いた調整後基本的1株当たり利益は98.31円(前期120.65円)となりました。 なお、当社は、2024年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。前年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、基本的1株当たり利益及び調整後基本的1株当たり利益を算定しております。 (3)財政状態の分析① 総資産 当年度の連結総資産は、為替相場の変動によるのれん及び無形資産を含む外貨建資産の増加等により、総資産は前年度末と比較して6,250億8百万円増加し、6兆284億1千4百万円となりました。 ② 負債 負債は、社債及び借入金の増加等により、前年度末と比較して2,905億1千7百万円増加し、3兆198億7千万円となりました。 ③ 資本 資本は、前年度末に比べ3,344億9千1百万円増加し、3兆85億4千3百万円となりました。これは、配当金支出により利益剰余金が減少したものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により利益剰余金が増加したこと及び為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したこと等によるものです。 この結果、親会社所有者帰属持分比率は49.8%となりました。 また、事業ポートフォリオ再構築や為替変動など一時的な特殊要因を除いた「親会社の所有者に帰属する当期利益」及び「親会社の所有者に帰属する持分合計」を算出に用いた調整後親会社所有者帰属持分当期利益率は8.4%(前期10.7%)となりました。 (4)資本の財源及び資金の流動性についての分析① キャッシュ・フロー分析 キャッシュ・フローの状況につきましては、「(業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。 また、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下の通りであります。 前年度当年度親会社所有者帰属持分比率(%)49.449.8時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)46.139.8キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)3.517.2インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)25.74.8(注)親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/総資産時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い※ 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により算出しております。※ 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。※ キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。 ② 資金の調達 アサヒグループの資金の源泉は、主として営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入、社債の発行からなります。当社は経営方針として、有利子負債残高の圧縮を基本として掲げておりますが、「事業基盤強化・効率化を目指した設備投資」及び「M&Aを含む戦略的事業投資」については資金需要に応じて金融債務を柔軟に活用することとしております。一方、運転資金需要については、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーでまかなうことを基本としております。 ③ 資金の流動性 当社及び主要な連結子会社はCMS(キャッシュマネジメントシステム)を導入しており、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことにより、資金効率の向上と金融費用の極小化を図っております。 (5)戦略的現状と見通し 2026年度は、引き続き地政学リスクが複雑化するとともに、インフレによる経済減速リスクなどがより一層懸念されます。そうした環境のなかで当社は、引き続き『中長期経営方針』に基づき、各地域におけるプレミアム戦略の推進やグローバルブランドの拡大展開に加えて、BAC※への投資強化などによる事業ポートフォリオの強靭化を推進します。また、サステナビリティや人的資本の高度化など持続的な成長基盤を強化するとともに、成長投資に加えて資本効率の向上や株主還元の充実にも資本を配分することで、中長期的な企業価値の向上を目指します。 さらに、今般のサイバー攻撃を踏まえ、本年2月に策定した再発防止策を着実に実行し、継続的な監視と改善を前提とした体制へ移行すると共に、万一の事態が発生した場合でも影響を最小限に抑える仕組みを強化していきます。安全性と信頼性を重視したシステム運用のもと、環境や脅威の変化に応じた継続的な取り組みを行い、技術面及びガバナンス面の双方から再発防止に取り組みます。 日本・東アジアにおいては、酒類、飲料、食品事業の主力ブランドの強化に加え、高付加価値商品の展開を中心とした新たな価値提案により、成長基盤の拡大に取り組みます。また、サイバー攻撃によるシステム障害の影響も踏まえ、既存領域における収益力の回復・強化と事業構造の見直しを進めるとともに、東アジア市場も含めた成長戦略の推進などにより持続的な利益成長を図ります。さらに、サプライチェーンの最適化、人的資本の高度化、リスクマネジメントの強化などを通じて、強靭な事業基盤の構築を進めます。 欧州においては、主要国でのプレミアムビールやビールテイスト飲料のマーケティングを強化することに加え、『Asahi Super Dry』と『Peroni Nastro Azzurro』のグローバル展開を加速し、周辺国や北米などの新市場での成長を推進します。また、容器などの資源循環への取り組みやデジタル技術を活用した業務高度化を継続し、持続的成長に向けた基盤を強化します。 アジアパシフィックにおいては、酒類事業ではビールやRTDの主力ブランドの優位性を高めることに加え、『Asahi Super Dry』を軸に各国への拡大展開を促進します。また、飲料事業では機能性を中心とした成長領域における新たな価値提案を推進します。さらに、サプライチェーンの最適化やDXの加速などの取り組みを強化するとともに、酒類と飲料の強みを活かしたマルチビバレッジ戦略の推進を通じて、事業基盤を一層強化します。※ BAC:Beer Adjacent Categoriesの略。ノンアルコール飲料、RTD、成人向け清涼飲料など、ビール隣接カテゴリーを指します。 (6)経営者の問題認識と今後の方針について 経営者の問題認識と今後の方針につきましては、この文中に記載したほか、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。 (7)経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載の通りであります。
事業リスク
- 中長期経営方針の未達成リスクアサヒグループは持続的な成長と企業価値向上を目指し、中長期経営方針を策定していますが、これは将来の事象に関する仮定と予想に基づいています。原材料価格の高騰、競争激化、消費者の嗜好変化など、様々な外部要因により、計画通りの業績や財務目標を達成できない可能性があります。
- 国内市場の縮小と競争激化日本の売上収益が全体の約46.4%を占めており、国内の景気動向、人口減少、少子高齢化は酒類・飲料・食品の消費量に大きな影響を与える可能性があります。また、原材料・エネルギー価格の高騰やインフレにより、国内での競争が激化し、売上数量・金額の低下やコスト構造の悪化を招き、収益性が損なわれる恐れがあります。
- 海外市場の変動リスク欧州、オセアニア、東南アジアが売上収益の約53.2%を占めており、これらの地域での景気悪化、競争激化、消費者の嗜好変化などが、海外事業の売上収益低下や利益率悪化に繋がる可能性があります。為替変動リスクも海外事業の収益に影響を与える要因となり得ます。
出典: FY2024 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。 なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在においてアサヒグループが判断したものであります。 1.アサヒグループのリスクマネジメント体制 アサヒグループは、グループ全体を対象に、エンタープライズリスクマネジメント(ERM)を導入しています。この取り組みの中で、グループ理念「Asahi Group Philosophy」の具現化、並びに『中長期経営方針』の戦略遂行及び目標達成を阻害しうる重大リスクを、戦略、オペレーション、財務、コンプライアンス等の全ての領域から特定及び評価し、対応計画を策定、その実行及びモニタリングを継続的に実施することで、効果的かつ効率的にアサヒグループのリスク総量をコントロールしています。 ERMを推進するにあたり、代表執行役社長Group CEO以下の執行役、Group CxO及び委員長が指名するFunctionのHeadで構成されるリスクマネジメント委員会を設置しています。ERMはグループ全体を対象とし、リスクマネジメント委員会の委員長である代表執行役社長Group CEOが実行責任を負います。 アサヒグループ各社は、事業単位ごとにERMを実施し、リスクマネジメント委員会に取り組み内容を報告します。同委員会はそれらをモニタリングするとともに、委員自らがグループ全体の重大リスクを特定、評価、対応計画を策定し、その実行及びモニタリングを実施します。これらの取り組みは取締役会に報告され、取締役会はこれらをモニタリングすることで、ERMの実効性を確認します。 2.アサヒグループ リスクアペタイト アサヒグループは、ERMを推進するとともに、『中長期経営方針』の目標達成のために、「とるべきリスク」と「回避すべきリスク」を明確化する「アサヒグループ リスクアペタイト」を制定しています。 「アサヒグループ リスクアペタイト」は、アサヒグループのリスクマネジメントに関する「方針」です。ERMの運用指針及び意思決定の際のリスクテイクの指針となるものであり、リスクに対する基本姿勢を示す「リスクアペタイト ステートメント」と、実務的な活用を想定し、意思決定や事業遂行に大きく影響する主要なリスク領域に対する姿勢(アペタイト)を示す「領域別リスクアペタイト」で構成されます。グループ戦略、リスク文化とリスク状況、及びステークホルダーの期待をもとに検討し、取締役会にて決定、グループ全体に適用され、実施状況はリスクマネジメント委員会でモニタリング、取締役会へ報告されます。本取り組みを通じて、アサヒグループ全体で適切なリスクテイクを促進していきます。 3.アサヒグループのクライシスマネジメント体制 アサヒグループでは、ERMにおけるグループ全体の重大リスクの中でも、人・モノ・カネ・情報等の経営資源遮断の危機があり「即時対応」する領域を「クライシスマネジメント」の対象としています。 クライシスマネジメントの実効性を高めるため、平時から経営資源遮断の危機を想定した「リスクシナリオ」を作成し、クライシス発生時に混乱なく速やかに対応できるよう事前に備えています。 また、緊急時の即応体制については、クライシス類型に応じた対応主体を予め明確にし、危機発生時の初動における事実確認と重大性の評価を迅速・的確に実施し対応する体制を構築しています。 4.主要リスク 当社グループでは、「1.アサヒグループのリスクマネジメント体制」に記載の通り、代表執行役社長Group CEO以下の執行役及び委員長が指名するFunctionのHeadで構成されるリスクマネジメント委員会で、中長期経営方針の事業遂行及び目標達成を阻害しうる特に重大なリスクを特定及び評価し、以下の「(2)個別戦略リスク」として認識しています。 加えて、それ以外に考えられる当社グループの事業等のリスクについても、「(1)全体リスク」及び「(3)その他リスク」に記載しています。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があります。 また、前述の、当社グループリスクマネジメントの取り組みの中で、以下に記載する各リスクに対する対応策を含む種々の対応策をとりますが、それらの対策が有効に機能しない等によりリスクが解消できず、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (1)全体リスク1)中長期経営方針について 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指して、2019年に「Asahi Group Philosophy(AGP)」を制定し、2022年、それに基づいて、また、その後のグループ内外の環境変化も踏まえて中長期経営方針を更新しました。また、2025年に規律ある成長投資と資本効率の向上による、資本コストや株価を意識した経営を実践するため、主要指標のガイドライン及び財務方針を更新しました。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、これらの方針は、策定時に当社グループが入手可能な情報や適切と考えられる一定の前提に基づき、将来の事象に関する仮定及び予想に依拠して策定されたものです。そのため、本「3 事業等のリスク」に記載の各リスク等を含む様々な要因により変更を余儀なくされるものであり、当社グループの事業や業績が中長期経営方針内の同ガイドライン・方針等を達成できない可能性があります。 2)事業環境について 当社グループの売上収益において日本の占める割合は約44.7%(2025年12月期決算)となっています。今後の日本国内での景気の動向によって、酒類・飲料・食品の消費量に大きな影響を与える可能性があり、人口の減少、少子高齢化が進んでいくと、酒類・飲料・食品の消費量が減少する可能性があります。また、原材料・エネルギー価格の高騰やインフレの影響などにより、国内での競争環境がさらに激化することで当社売上数量・金額が低下するとともに、コスト構造の悪化を招き、当社グループ事業の収益性が想定より損なわれる可能性があります。 日本の売上収益のうち、ビール類は4割を超えます。このような状況は、当社グループのビール類商品に対するお客様の信頼を反映したものであり、当社グループ国内酒類事業での効率的な利益創出に寄与していますが、消費者の嗜好性の変化、世代交代等により、お客様の支持を失ってしまうと、本商品群の売上が低下し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループは海外での事業領域を拡大しており、2025年12月期決算での売上収益における欧州、アジアパシフィック(オセアニア、東南・南アジア)の占める割合は、約53.6%となっています。今後、欧州、オセアニア地域を中心とする当社グループが事業を展開する各国における景気の悪化、当該各国での競争環境の激化、消費者の嗜好の変化等、市場の需要動向が変化すること等により、当該地域における当社グループの売上収益の低下、利益率の悪化が生じる可能性があります。 当社グループは、中長期経営方針に『ビールを中心とした既存事業の成長と新規領域の拡大』を掲げ、『アサヒスーパードライ』や『Peroni Nastro Azzurro』などのグローバルブランドをはじめとした高付加価値ブランドの価値向上や新市場の創造を目指すとともに、今後の環境変化も見据えた収益構造改革を加速することで、本リスクが顕在化した場合の業績及び財政状態への影響の低減を図っていきます。また、ビール類に加えて、RTDなども含めたBACのラインアップを充実させることで売上収益を増加させるとともに、飲料、食品事業においては、消費の多様化や健康志向の高まりなどに応え、新たな付加価値提案を行い、事業拡大を図っていきます。 当社グループは、テクノロジーの発展が、人類に新たな技術力と自由な時間を与え、気候変動・資源不足といった地球規模の課題を抱える中、社会・経済だけではなく人類の幸福(Well-being)のあり方も変化していくものと想定しています。そうしたメガトレンドを踏まえて更新した「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」という方針のもと、変化しつつあるWell-beingへの迅速な対応、市場環境の変化を先取りした事業戦略の立案と展開、ならびに新たなオペレーティングモデルの構築を通じて、当社グループの戦略及び事業の競争力を強化していきます。 (2)個別戦略リスク 当社リスクマネジメント委員会は、中長期経営方針の事業遂行及び目標達成を阻害しうる特に重大なリスクを以下の通り認識しています。その中で、中長期的に顕在化が懸念されるリスクを①、短中期的に顕在化が懸念されるリスクを②、及び継続的に顕在化を留意すべきリスクを③、とそれぞれ分類し記載しました。 ① 中長期的に顕在化が懸念されるリスク1)事業拡大について 当社グループは、Schweppes Australia社の買収(2009年、買収額1,185百万豪ドル(適時開示の際に公表した金額、以下同じ))、カルピス社の買収(2012年、買収額920億円)、旧SAB Miller社の西欧ビール事業の取得(2016年、買収額2,550百万ユーロ)、中東欧ビール事業の取得(2017年、買収額7,300百万ユーロ)及びCUB事業の買収(2020年、買収額160億豪ドル)をはじめとして、国内外での事業領域拡大のため、積極的に外部の経営資源を獲得してきました。2020年6月には、CUB事業を取得する手続きを完了することで、日本、欧州に加え、オセアニア地域での事業を盤石にし、日本、欧州、オセアニアの3極を核としたグローバルプラットフォームを構築、成長基盤の拡大を実現しました。その後は、財務規律を重視しつつ、既存事業の収益性向上とキャッシュ・フロー創出力の強化に取り組んできましたが、2025年12月に、中長期経営方針に基づく成長戦略の一環として、東アフリカ市場において、Diageo plcの子会社が保有するDiageo Kenya Limited の株式の100%とUDV (Kenya) Limitedの株式53.68%の取得について決定し、Diageo plcの子会社2社と株式売買契約を締結しました。当社グループは、本件も含め、今後も財務健全性の確保を前提としながら、条件が整う場合には、成長に資する外部の経営資源の活用を検討していきます。 外部の経営資源獲得にあたっては、慎重に検討を行い、一定の社内基準をもとに、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合のみ実行します。しかしながら、営業、人員、技術及び組織の統合ができずコスト削減等の期待したシナジー効果が創出できなかった場合、アルコールや砂糖の摂取に対する社会の価値観の変化や人口動態の変化等により、買収した事業における製品に対する継続的な需要を維持できない場合、買収した事業における優秀な人材を保持し又は従業員の士気を維持することができない場合、高付加価値ブランドの育成不振等、効果的なブランド及び製品ポートフォリオを構築することができない場合、並びに異なる製品ラインにおける販売及び市場戦略の連携(クロスセルの拡大)ができない場合等により、当社グループの期待する成果が得られない可能性があります。 当社グループは、買収に伴い、相当額ののれん及び無形資産を連結財政状態計算書に計上しており、2025年12月末現在、のれん及び無形資産の金額はそれぞれ、連結総資産の40.0%(24,107億円)及び20.7%(12,471億円)を占めています。 当社グループは、当該のれん及び無形資産につきまして、それぞれの事業価値及び将来の収益力を適切に反映したものと考えていますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が将来にわたって大きく損なわれると判断された場合、又はカントリーリスクの顕在化等による金利高騰や市場縮小等により適用される割引率や長期成長率が大きく変動した場合等は、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、AGP及び中長期経営方針に基づいた価値創造経営により、事業の持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指しています。『ビールを中心とした既存事業の成長と新規領域の拡大』、や『持続的成長を実現するためのコア戦略の推進』とともに、『長期戦略を支える経営基盤の強化』の一環としてグループガバナンスの更なる実効性向上に向けた取り組みを実施することで、グループ戦略の実行と期待成果をより確実なものとします。 2)アルコール摂取に対する社会の価値観 アルコールの摂取は人々の生活を豊かにしてきた一方で、不適切な摂取による健康面や社会的影響が指摘されており、世界的に規制や社会的要請が強まる可能性があります。 今後、アルコールに対する社会の価値観の変化や、各国における規制強化の動きが進展した場合には、酒類業界全体や当社グループのレピュテーション、ブランド価値に影響を及ぼすとともに、消費者の需要が縮小し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、アルコール飲料を製造・販売する企業としての社会的責任を認識し、責任ある飲酒の促進や、低アルコール・ノンアルコールを含む商品の提供等を通じて、アルコールに起因する社会課題への対応に取り組んでいます。 今後も、社会的要請や価値観の変化を踏まえながら、事業活動への影響を低減するための取り組みを進めてまいります。 3)技術革新による新たなビジネスモデルの出現 当社グループが事業を展開する酒類・飲料・食品業界は、これまで比較的安定した競争環境にありましたが、近年では、低アルコール・ノンアルコール飲料の拡大、デジタル技術の進展、消費行動や価値観の変化等を背景に、技術革新を起点とした新たなビジネスモデルが出現しています。 こうした環境変化に適切に対応できない場合には、当社グループの事業がコスト構造や顧客体験の面で競合に劣後し、競争力の低下や市場における地位の喪失につながり、売上収益や事業利益の低下等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、中長期経営方針に基づき、DX及び研究開発を通じたイノベーション創出に取り組み、技術革新や市場環境の変化を踏まえた事業の高度化・変革を進めることで、これらのリスクの低減に努めてまいります。 4)気候変動に関わるリスク 地球温暖化による気候変動は、干ばつや洪水等の異常気象の激化を通じて、世界中の人々の生活や生態系に影響を与えています。自然資源に依存して事業を行う当社グループにとって、気候変動は中長期的に事業環境に影響を及ぼし得る重要なリスクと認識しています。 気温上昇や異常気象の激甚化により、主要な原材料の調達や価格、品質に影響が生じるほか、自然災害の発生によって生産設備や物流への影響、設備被害や機会損失、製品廃棄等の損失が発生する可能性があります。また、脱炭素社会への移行に伴う各国の政策や規制の動向によっては、炭素に関する新たな規制やコスト負担が生じ、当社グループの事業活動や収益性に影響を与える可能性があります。 当社グループは、こうした気候変動に関わるリスクを重要な経営課題の一つとして認識し、事業活動への影響を低減するための取り組みを進めています。今後も、事業環境の変化を踏まえながら、リスクの把握と対応を継続してまいります。 5)プラスチック使用 容器包装は、品質保持や輸送強度の確保に加え、デザインや表示によるコミュニケーション手段として重要な役割を担っています。一方で、不適切に廃棄されたプラスチック製の容器包装による環境汚染や、生態系への影響は、世界的な社会課題となっています。 今後、環境負荷が問題視される容器包装に対する規制の強化や、リサイクル素材や代替素材の需要増加に伴うコスト上昇、素材不足等が生じた場合には、当社グループの容器包装の調達やコスト構造に影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの事業活動や収益性に影響を与える可能性があります。 当社グループは、容器包装に関わる環境負荷の低減を重要な経営課題の一つとして認識し、資源循環への対応や素材に関する課題への取り組みを進めています。今後も、外部環境や規制動向を踏まえながら、事業への影響の低減に努めてまいります。 ② 短中期的に顕在化が懸念されるリスク1)主要原材料の調達リスク 当社がグローバルに事業展開する酒類・飲料・食品の製造においては、原材料の調達に関し、市況悪化による価格高騰、気候変動や自然災害及びパンデミック等による納期遅延や供給停止に陥るリスクがあります。このようなリスクに直面した場合、製造コストが上昇し、また製造数量が計画を下回ることで、グループの業績及び財政に大きな影響を及ぼす可能性があります。 このようなリスクに対し、当社では、コモディティリスクマネジメントポリシーを確立し、このポリシーのもと、特定コモディティについては、ガードレールに基づくヘッジを実践する等、グループグローバルで標準化したコモディティ管理の取り組みを行っています。 また、グループグローバル調達組織であるAsahi Global Procurement Pte. Ltd.が、コモディティ価格変動による影響の低減を目的に、グローバルリスクマネジメントコミッティを立ち上げ、グループの調達戦略をリードしています。 2)地政学的リスク 現在、当社グループは20を超える国に拠点を構え、グローバルに事業を展開しています。世界経済全体の動向に加え、当社グループが事業活動を展開する国・地域における政治、経済、社会、法規制、自然災害等の要素が、各事業に影響を与える可能性があります。 さらに、近年は、地政学的な要因が事業に影響を及ぼす可能性が高まっていると認識しています。例えば、ウクライナ情勢やイランを中心とした中東情勢、台湾を巡る緊張の高まり、米国と中国の対立関係、自国第一主義の政策などの要因により、当社グループが事業を展開する複数の国・地域において、輸出入制限、新たな関税導入、差別的な措置、商品不買運動、技術の分断、データに関する規制、人の移動に対する制約の高まり等の具体的なリスクが想定され、同時に、今後の事業の強化やエリアの拡大を進める上でも影響を与える要素となります。地政学的な要因によりこれらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの中長期経営方針の実行や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、地政学的リスクに関する動向の情報収集と分析をもとに、リスクシナリオの策定及びリスクの把握を行い、その影響を低減するための適切な対策の検討を進めていきます。また、事業展開国・地域のカントリーリスクの調査、情報収集、評価をもとに、リスクを早期に認識し、顕在化する前に具体的かつ適切な対処をする取り組みも継続しています。 3)情報セキュリティ 当社グループは、高い市場競争力を確保するため、事業活動の多くをITシステムに依存しています。停電、災害、ソフトウェアや機器の欠陥、または外部からの不正な行為等により、事業活動の中断、機密情報の喪失や個人情報の漏洩、EU一般データ保護規則(GDPR)等を含む各国法令違反等が発生する可能性があります。 これらのリスクが顕在化した場合、事業の中断や、損害賠償請求、セキュリティ対策費用の増加等によるキャッシュアウト、法令違反に伴う制裁金の発生等により、当社グループの業績及び財政状態、並びに企業ブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、2025年度に情報セキュリティに関する事象が発生したことも踏まえ、情報セキュリティリスクの低減に向け、技術的対策及びガバナンス体制の強化を進めています。あわせて、外部専門機関の知見も活用しながら、リスクの把握と対策の継続的な見直しに取り組んでいます。 今後も、情報セキュリティを重要な経営課題の一つとして認識し、脅威の変化に応じた継続的な改善を前提とした運営体制のもと、情報セキュリティリスクの低減に努めてまいります。 4)多様で有能な人材の確保 中長期経営方針の目標達成には、多様な価値観や専門性を持つ社員の貢献が不可欠です。そのため、当社グループは社員の多様性を尊重し、一人ひとりの成長を支援する人材育成プログラムへの投資を増やし、必要に応じて、経営幹部や一般社員を外部から採用する取り組みを進めています。しかし、グローバルな事業の成長に伴う人材需要の増加や必要なスキルの変化、高度化により、多様で有能な経営幹部や一般社員の確保、育成、定着が難しく、中長期経営方針の戦略実行に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは中長期経営方針で「目指す事業ポートフォリオの構築やコア戦略を支える高度な人的資本の確保」を掲げ、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進を通じて、戦略を支える経営基盤を強化し、従業員のエンゲージメントを高める企業文化を醸成しています。定期的にエンゲージメント調査を実施し、望ましい企業文化の実現度を確認しています。 また、経営者候補の育成を計画的に進めるため、多様な人材の成長と活躍を促進する方針を明文化したグローバルタレントフィロソフィーやグループ全体で共通のコンピテンシーモデルを策定し、将来の経営幹部候補を育成するグローバルリーダーシッププログラムを実施し、人材パイプラインを拡充・強化しています。さらに、各地域の人材を可視化し、国籍や性別に関係なく適材適所で配置するためのタレントレビューを実施し、多様な有能な人材の活用を推進しています。新しいケイパビリティを獲得するために、社外からの人材登用も積極的に行っています。 ③ 継続的に顕在化を留意するリスク1)大規模自然災害 国内外問わず世界各地で地震、津波、台風、洪水等の自然災害に関連するリスクは年々高まっており、大規模災害が現実のものとなっています。このような大規模自然災害の発生により、従業員の被害、工場損壊、設備故障及びユーティリティー(電気、ガス、水)遮断により製造が停止、倉庫損壊及び保管製品破損により出荷が停止、並びに物流機能停止により原材料資材の調達及び製品の出荷が不能になる可能性があります。さらに、事務所施設の損壊、交通機関マヒによる従業員の通勤不能、及びシステム障害に伴う重要データの消失等もあわせて、事業活動が停止する可能性があります。事業活動の復旧に長期を要した場合、施設等の改修に多額の費用が発生した場合、消費マインドが落ち込んだ場合等、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、大規模災害が発生した際に、いち早く従業員及びその家族の安否を確認する仕組みを導入するとともに、大規模地震を含め災害リスクが高い日本においては、早急に被災地の被害状況を把握するため、災害時優先電話や災害用無線の配備をはじめとした緊急時通信体制の強化を進めています。そのうえで、定期的な訓練を実施することで、有事の対応力を強化するとともに、災害対応意識の啓発に努めています。 また、生産工場では、建物倒壊対策のため、全建物を対象に耐震診断を実施しており、対策が必要な物件については、順次計画的に補強工事を実施しています。ボイラー、冷凍機等の大型エネルギー供給設備には大地震(震度5弱相当)を検知すると、安全に自動停止する機能が付属し、大型ビール工場では電力供給が遮断した場合でも、自家発電によりタンクを冷却させることで、半製品の大量腐敗を防止する等2次災害のリスク低減対策を進めています。 また、主要グループ会社において、過去の防災対策の実績及び自然災害の経験を踏まえた「事業継続計画(BCP)」の策定を行い、主要商品の供給を継続するための需給調整機能を早急に復旧する体制を構築するとともに、受発注処理等に関する重要なデータを処理するサーバーセンターのバックアップを備える等、大規模な自然災害が起こった場合であっても被災地以外での事業活動が継続出来るように備えています。 なお、大規模な災害等が発生した際には、代表執行役社長Group CEOを本部長とした「緊急事態対策本部」を設置して対応する危機管理体制を構築しており、平常時のリスクマネジメントにおいて、顕在化した際に即時対応を要するリスクを抽出し、その影響度と必要な対応を想定することで、危機発生時にクライシスマネジメントへ寸断なく移行できるよう準備しています。あわせて、危機の類型に応じてRHQと当社の役割を明確にするとともに、危機発生時の情報ラインの整流化を図り、グローバルなクライシスマネジメント体制の強化も進めています。 これらの事前対策により災害による被害の最小化、当社グループの業績及び財政状態に対する影響の低減に努めています。 2)人権尊重に関わるリスク 近年、企業活動における人権尊重に対する社会的要請は世界的に高まっており、ステークホルダーから企業に対して、人権への配慮や適切な対応を求める声が強まっています。 こうした動向を踏まえた対応が十分に行われない場合、法令違反や経済的損失、レピュテーションの低下等のリスクが顕在化し、当社グループの中長期経営方針の事業遂行及び目標達成、さらには業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、人権尊重を事業活動の基盤の一つと認識し、人権に関する最上位方針として「アサヒグループ人権方針」を定め、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」の考え方を踏まえた取り組みを進めています。また、人権に関する懸念や問題を早期に把握するための通報・相談の仕組みを整備しています。 今後も、社会的要請や事業環境の変化を踏まえながら、人権尊重に関わるリスクの把握と低減に継続的に取り組んでまいります。 3)法規制とソフトローのコンプライアンス 当社グループは事業の遂行にあたって、食品衛生法、製造物責任法、労働関連規制、贈収賄規制、競争法、GDPR等の個人情報保護規則、環境関連法規等の様々な法規制の適用を受けています。これらの法令が変更される、又は予期し得ない法律、規制等が新たに導入される等の理由による法令違反や社会規範に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、規制遵守対応のためのコストが増加し、又はお客様をはじめとしたステークホルダーの信頼を失うことにより、レピュテーションやブランド価値が毀損し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、事業活動を行う全ての国・地域において、適用される法令・ルールを遵守することを含め、企業倫理・コンプライアンスを実践するための「アサヒグループ行動規範」を制定し、グループ全体での実践を推進しています。そして、代表執行役社長Group CEOが委員長を務め、代表執行役社長Group CEO以下の執行役、Group CxO及び委員長が任命したFunctionのHeadで構成される「コンプライアンス委員会」を設置し、グループ全体の企業倫理・コンプライアンスを推進・監督するとともに、「アサヒグループ行動規範」に関する社員の研修等を通じてコンプライアンスのレベルを高め、法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。 ④ 個別戦略リスクのヒートマップ[評価変更リスク]②-3)情報セキュリティ 事業活動におけるITシステムへの依存度が高まる中、2025年度に発生した情報セキュリティに関する事象や外部環境の変化等を踏まえ、当社グループの事業活動及び業績に与え得る影響の大きさについて改めて認識しました。これにより、当該リスク顕在時の影響度及び起こりやすさが相対的に高いと評価し、リスク評価を見直しています。 (3)その他リスク1)品質について 当社グループは、研究開発、調達、生産、物流、販売、お客様とのコミュニケーションに至る全てのプロセスにおいて、お客様の期待を超える商品・サービスを提供することで、お客様の満足を追求することをグループ品質基本方針とし、いずれのグループ会社においても、品質を通じてお客様との信頼関係を構築することに不断の努力を続けています。 また、お客様の健康に密接に関連する事業を展開していることから、万一、不測の事態によりお客様の健康を脅かす可能性が生じた場合には、お客様の安全を最優先に考え、迅速に対応する方針としています。 しかしながら、万一、品質に問題が生じて、商品の安全性に疑義が持たれた場合には、商品の回収や製造の中止を余儀なくされ、その対応に費用や時間を要するだけでなく、お客様からの信頼を失う可能性があり、このような事象が発生した場合、中長期経営方針に掲げた「既存地域でのプレミアム化とグローバルブランドによる成長、展開エリアの拡大」の未達を含む、当社グループの業績及び財政状態、並びにレピュテーション及びブランド価値に対して影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、品質リスク低減を目的とした品質保証レベル向上の取り組みとして、サプライチェーンの全てのプロセスにおいて、品質に影響を与える業務や注意すべき事項を抽出し、その点検と是正による改善のPDCAサイクルをグローバル共通の仕組みとして展開しています。 また、食の安全に関わる分野においては、研究開発部門を中心に微生物・農薬・カビ毒・重金属・樹脂・放射性物質等多岐にわたる最新の分析技術を開発しており、グループ内の連携によりグローバルでの品質保証活動を展開する体制・仕組みを通じて、技術面からグループ全体をサポートしています。 さらに、各グループ会社の商品特性や製造工場の環境に応じて、国際的な品質・食品安全マネジメントシステムの考え方を取り入れ、必要に応じて外部認証取得しています。 2)財務リスク為替変動: 当社グループはグローバルに事業を展開しているため為替リスクを負っています。このうち、海外子会社及び関連会社における資産や負債については円高が進行すると在外営業活動体の換算差額を通じて自己資本が減少するリスクがあります。このため、必要に応じて為替リスクのヘッジをする等の施策を実行していますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。また、海外連結子会社等の損益の連結純利益に占める割合が比較的高く、これらの収益の多くが外貨建てであり、当社の報告通貨が円であることから、外国通貨に対して円高が進むと、連結純利益にマイナスのインパクトを与えます。一方、本国で行う輸出入、及び外国間等の貿易取引から発生する、外貨建債権及び債務等は為替レートの変動によるリスクを有しておりますが、このリスクは為替予約等と相殺されるため影響は限定されます。金利変動: 当社グループは銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース負債等の負債を保有しております。これらの資産及び負債に係る金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、金利リスクを回避する目的で、金利を実質的に固定化する金利スワップを利用することがあります。またヘッジ会計の要件を満たす取引については、ヘッジ会計を適用しております。格付低下: 当社グループに対する外部格付機関による格付けが引き下げとなり、当社グループの資本・資金調達の取引条件の悪化、もしくは取引そのものが制限される場合には、当社グループの業務運営や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。保有資産の価格変動:当社グループが保有する土地や有価証券等の資産価値の下落や事業環境の変化等があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 3)税務リスク 当社グループはグローバルに事業を展開しており、本国をはじめ展開する各国税制の適用を受けるため、予期しない改正や税務当局からの更正処分を受けた場合、コストの増加、競争環境の悪化、事業活動の制限等の可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 4)訴訟リスク 当社グループは、事業を遂行していくうえで、訴訟を提起される可能性があります。万一当社グループが訴訟を提起された場合、また訴訟の結果によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。