事業の概要
- 多角的な食品関連事業日清オイリオグループは、食用油を核とする「油脂事業」に加え、MCT(中鎖脂肪酸)食品やドレッシングなどを手掛ける「加工食品・素材事業」、さらには化粧品原料や化学品を扱う「ファインケミカル事業」を展開しています。これにより、幅広い分野で収益源を確保し、事業ポートフォリオの安定化を図っています。
- グローバルな事業展開油脂事業では、マレーシアや中国など海外にも生産・販売拠点を持ち、加工油脂製品の製造販売をグローバルに行っています。これにより、国内外の市場ニーズに対応し、事業規模の拡大とリスク分散を図っています。また、原材料の輸入から製品の物流まで、グループ内で一貫したサプライチェーンを構築しています。
- 多様な関連事業主要3事業の他にも、情報システムの開発保守、食品の販売促進、損害保険代理、不動産賃貸など、多岐にわたる事業活動を展開しています。これらの事業は、グループ全体の運営を支えるとともに、新たな収益機会の創出にも貢献しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 油脂事業食用油や飼料などに使われるミール製品の製造販売が中心です。売上高は4,289.62億円、営業利益は132.7億円と、グループ全体の収益の大部分を占める主力事業です。国内外に生産・販売拠点を持ち、特に海外では加工油脂製品の製造販売も手掛けています。
- 加工食品・素材事業MCT(中鎖脂肪酸)関連食品、ドレッシング・マヨネーズ類、チョコレート関連製品などを製造販売しています。売上高は787.08億円、営業利益は47.74億円で、健康志向の高まりに対応した製品や、製菓・製パン向けの素材を提供しています。
- ファインケミカル事業化粧品原料や化学品などの製造販売を行っています。売上高は208.3億円、営業利益は17.71億円です。この事業は、高度な技術力を活かして、高付加価値な製品を提供しており、グループの多様な事業展開の一翼を担っています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| OilFatAndMealBusinessReportableSegment | 地域 | 2,990 | 70 | 2.3% |
| ProcessedOilAndFatBusinessReportableSegment | 地域 | 1,299 | 63 | 4.9% |
| OilAndFatBusinessReportableSegment | 地域 | 4,290 | 133 | 3.1% |
| ProcessedFoodAndMaterialBusinessReportableSegment | 地域 | 787 | 48 | 6.1% |
| FineChemicalBusiness | 地域 | 208 | 18 | 8.5% |
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3 【事業の内容】当社グループは、当社、子会社25社、関連会社11社およびその他の関係会社1社で構成され、グローバル油脂・加工油脂事業、油脂・油糧および加工食品・素材事業、ファインケミカル事業を主な事業とし、さらに洗浄・消毒剤の製造販売および食品の販売促進、人材の派遣、情報システムの開発保守、損害保険代理、不動産賃貸等の事業活動を展開しております。当社グループの事業に係る位置付けおよびセグメントとの関連は、次のとおりであります。その他の関係会社1社とは、下記のセグメントの内、主にグローバル油脂・加工油脂事業、油脂・油糧および加工食品・素材事業、ファインケミカル事業で原料、食品、油脂、ミール等の売買を行っております。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。 〔グローバル油脂・加工油脂事業〕連結子会社であるIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.が加工油脂製品の製造販売を、Intercontinental Specialty Fats (Italy) S.r.l.が加工油脂製品の製造販売および精製受託を、Intercontinental Specialty Fats (Shanghai)Co., Ltd.が加工油脂製品の販売を行っております。上記以外の会社で、グローバル油脂・加工油脂事業を営んでいる子会社は3社、関連会社は1社であります。 〔油脂・油糧および加工食品・素材事業〕(油脂・油糧)当社が、油脂製品、加工油脂製品、ミール製品の製造販売を行っております。販売においては、油脂製品、加工油脂製品、ミール製品の販売の一部を連結子会社である日清商事㈱、㈱日清商会および上海日清油脂有限公司、関連会社である幸商事㈱を通じて、それぞれ行っております。生産においては、製油パートナーズジャパン㈱が、搾油受託を行っております。また、物流においては、輸入原材料の入出庫に係る港湾荷役および製品物流を日清物流㈱が行っております。関連会社である中糧日清(大連)有限公司が油脂製品・ミール製品の製造販売を行っており、統清股フン有限公司および張家港統清食品有限公司が加工油脂製品の製造販売を行っております。また、当社の製造において、Intercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.より加工油脂製品の一部を輸入しております。上記以外の会社で、油脂・油糧事業を営んでいる子会社は1社、関連会社は1社であります。 (加工食品・素材)当社がMCT(中鎖脂肪酸)関連食品、醸造用ミール、高齢者・介護関連食品およびドレッシング・マヨネーズ類等の製造販売を行っております。連結子会社である大東カカオ㈱、T.&C. Manufacturing Co.,Pte.Ltd.およびPT Indoagri Daitocacaoがチョコレート関連製品の製造販売を、㈱日清商会が食品大豆および醸造用ミールの販売を行っております。また、関連会社である㈱ピエトロはドレッシング等の食品製造販売および飲食店経営を、和弘食品㈱が麺類用スープ・天然エキス等の製造販売を行っております。上記以外の会社で、加工食品・素材事業を営んでいる子会社は2社、関連会社は1社であります。 〔ファインケミカル事業〕当社が化粧品原料、化学品等の製造販売を、連結子会社であるIndustrial Quimica Lasem,S.A.U.が化粧品原料等の製造販売を、日清奥利友(上海)国際貿易有限公司が化粧品原料等の販売を行っております。上記以外の会社で、ファインケミカル事業を営んでいる子会社は1社であります。 〔その他〕当社が不動産賃貸業を、連結子会社であるセッツ㈱が洗浄・消毒剤の製造販売等を、㈱NSPが情報システムの開発保守を、㈱マーケティングフォースジャパンが食品の販売促進等を、日清ファイナンス㈱が損害保険代理業を行っております。上記以外の会社でその他事業を営んでいる子会社は2社、関連会社は1社であります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 原材料価格に見合った販売価格の適正化、製造費等のコスト削減などを実施 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 長年の植物油脂研究で培った知見をベースに、油脂の栄養評価技術、おいしさに関する技術、油脂の製造および加工に関わる技術を強みとする。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:為替相場および原材料相場の変動 / 国内外の製品市況の変動 / 地震・津波、異常気象(風水害等)
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
「日清オイリオ」ブランドは長年の歴史と信頼性を背景に、消費者の間で高い認知度と安心感を得ている。特に家庭用食用油市場において、このブランド力は他社製品との差別化要因となっている。また、機能性油脂や特殊油脂分野での研究開発力も無形資産として評価できる。
スイッチングコスト★★☆☆☆
家庭用食用油においては、ブランドロイヤルティや価格、入手しやすさからスイッチングコストは限定的。業務用においては、特定の機能を持つ油脂製品(例:製菓用マーガリン、パン用油脂)は、顧客の製造プロセスや製品の品質に影響するため、一定のスイッチングコストが発生する可能性がある。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
ネットワーク効果が働く事業モデルではない。
コスト優位★★☆☆☆
原料調達(パーム油、大豆油など)におけるスケールメリットや、長年の製造ノウハウによる効率化は一定のコスト優位性をもたらす可能性がある。しかし、国際的な商品市況の影響を受けやすく、構造的なコスト優位性は限定的。
規模の経済★★★☆☆
食用油の精製・加工・販売において、国内有数の規模を持つ。これにより、原料調達や生産・物流における効率化が図られ、一定の競争優位性を確保している。特に家庭用市場におけるシェアは大きい。
- 長年の油脂事業の経験とノウハウ日清オイリオグループは、長年にわたり油脂製品の製造販売を手掛けており、この分野における豊富な経験と技術的ノウハウを蓄積しています。これにより、高品質な製品の安定供給を可能にし、顧客からの信頼を獲得しています。
- グローバルな生産・販売ネットワーク油脂事業では、海外に複数の生産・販売拠点を持ち、加工油脂製品の製造販売をグローバルに展開しています。これにより、特定の地域に依存しない安定した事業基盤を構築し、多様な市場ニーズに対応できる体制を確立しています。
- 多角的な事業ポートフォリオ油脂事業だけでなく、加工食品・素材事業やファインケミカル事業など、複数の事業領域を持つことで、特定の市場変動リスクを分散しています。これにより、安定した収益基盤を維持し、持続的な成長を目指せる体制を構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
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経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社の経営の基本方針当社の経営理念は、次のとおりです。1.企業価値の追求と、その最大化を通じた人々・社会・経済の発展への貢献2.「おいしさ・健康・美」の追求をコアコンセプトとする創造性、発展性ある事業への飽くなき探求3.社会の一員としての責任ある行動の徹底 ステークホルダーの皆様へお約束するコンセプトとして、「コアプロミス」を次のとおり定めています。日清オイリオグループは、健康的で幸福な「美しい生活」(Well-being)を提案・創造いたします。そのために私たちは、無限の可能性をもつ植物資源と、最高の技術によって、あなたにとって、あったらいいなと思う商品・サービスを市場に先駆けて創り続け、社会に貢献することを約束いたします。 また、「日清オイリオグループビジョン2030」において「2030年に目指す姿」を次のとおり定めております。私たちは、“植物のチカラ®”と“油脂をさらに究めた強み”で、食の新たな機能を生み出すプラットフォームの役割を担います。そして多様な価値を創造し、“生きるエネルギー”をすべての人にお届けする企業グループになります。 当社グループは、従来以上に事業活動による価値創造を通じて社会の持続可能性に貢献してまいります。「ビジョン2030」策定時に、当社グループが2030年に目指す姿に至るために、行動の基本とするValues(「真摯な姿勢」「つながる」「究める」「切り拓く」「しなやかに強く」)を定めました。また、理念を実践していくための行動指針である「日清オイリオグループ行動規範」のグループ内での浸透を図っています。 日清オイリオグループ理念体系は次のとおりです。 (2) 中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題近年、当社グループを取り巻く環境は、大きな変化の渦中にあります。地球規模での環境課題の累積や気候変動に伴う植物資源の収量不安定化、国際紛争などの発生によるサプライチェーンの混乱、国内における人手不足の深刻化、物流課題への対応、物価高による消費の冷え込み等、事業を取り巻く環境は厳しさを増しています。このような中、「ビジョン2030」で示した「2030年に目指す姿」と「戦略の指針」に沿って、当社グループは、社会課題の解決を通じた、多様な共有価値の創造(CSV)を成長のドライバーとすることで、将来にわたって持続的に成長し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 日清オイリオグループビジョン2030当社グループは、2021年3月「日清オイリオグループ ビジョン2030」を策定しました。2030年の目指す姿として、“植物のチカラ®”と“油脂をさらに究めた強み”で、食の新たな機能を生み出すプラットフォームの役割を担うとともに、多様な価値を創造し、“生きるエネルギー”をすべての人にお届けする企業グループになることを掲げています。「これまでより“もっとお客さまの近く”でビジネスを展開する」ことを基本方針とし、グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業への飛躍に向けた取り組みを進めています。 〇生きるエネルギー生きるために必要な根源的なエネルギーおいしい食事で人を元気にするエネルギー栄養機能で人を健康にするエネルギー美を演出し活力を与えるエネルギー油脂と相乗効果を発揮する素材・技術・事業から生み出されるエネルギー 価値創造モデル当社グループの価値創造の源泉は、無限の可能性をもつ植物資源と磨かれた技術力、そして価値創造力を掛け合わせた“植物のチカラ®”です。“植物のチカラ®”と私たちの“コアコンピタンスである油脂”を究めた強みでお客さまとともに社会課題を解決する油脂ソリューションを実現します。当社グループの事業に求められるニーズや当社グループが取り組むべきという視点で定めた6つの重点領域(マテリアリティ)、「すべての人の健康」、「おいしさ・美のある豊かな生活」、「食のバリューチェーンへの貢献」、「信頼でつながるサプライチェーン」、「地球環境」、「人材マネジメント」の領域の中で多様な価値を持つ“生きるエネルギー”を生み出し、その価値をすべての人にお届けします。“生きるエネルギー”は社会課題を解決する一方で、次なる成長のための植物資源の循環や技術の進化を可能とする資本を生み出します。再度投入された資本によって、さらに油脂を究め、社会課題を解決する“生きるエネルギー”を生み出します。このプロセスの循環を通じて、当社グループらしいサステナビリティを実現していきます。 また、「生きるエネルギー」をすべての人にお届けするためには、油脂を素材として提供するだけでなく、当社グループが持つ強みを活かして他の食品メーカーや素材メーカーなどと一緒に価値を共創することが非常に重要であると考えています。生活を支えるあらゆるチャネルでお客さまとの接点を持っている強みにより、社会課題解決のためのプラットフォームの役割を担うことで可能になると考えています。そして、2030年度に達成を目指す経営指標としてROE10%、ROIC7%を目標値として設定しており、持続的な利益成長と資本効率の改善を通じて、企業価値の向上に取り組んでまいります。 2025年度~2028年度 新中期経営計画「Value UpX」「ビジョン2030」で目指す姿の実現と、その先の次なる成長に向けて、2025年度~2028年度の4年間を対象期間とした、新中期経営計画「Value UpX」に取り組んでおります。「Value UpX」では、「ビジョン2030」の基本方針として掲げた「“Marketing”דTechnology”דGlobalization”」を結実、深化させ、当社らしい“勝ち筋”(無形資産の循環的創造によるイノベーションの体質化)により、加速的な成長を実現していきます。その実現に向けては、「将来の利益成長の柱となる成長戦略」、「Value UpXの成長ドライバーとなる基幹戦略」、「グループの安定的・持続的な成長を支える基盤戦略」の3階層からなる戦略を展開しています。また、それらの戦略を支える機能として「技術の深化・探索による価値創造」、「サプライチェーンの構築、強靭化」、「成長を加速させるデジタルイノベーション」、「地球環境・資源の保護・人権尊重」の取り組みを強化しています。そして、これらの戦略を強固でレジリエントな人材基盤の構築によって推進するとともに、ROICマネジメントを通じて、利益率の向上と投下資本の効率化による「資本収益性向上」に取り組み、更なる「成長投資」につながる好循環を生み出していきます。これらの取り組みを通じた、油脂ソリューションの創出力の最大化と、展開領域・エリアの拡大により、「グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業」への飛躍を果たし、最終年度の経営目標として、2028年度には、営業利益280億円(利益率5%以上)、ROE8%以上、ROIC6%以上の達成を目指してまいります。※中期経営計画「Value UpX」の経営目標は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づいて策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性などを含んでいることから、その達成や将来の業績を保証するものではありません。当中期経営計画のみに依拠して投資判断を下すことはお控え下さい。 図1:中期経営計画「Value UpX」の位置付け 図2:「Value UpX」における戦略の全体像 (3) 経営環境、課題及び対応〔事業環境及び課題〕世界経済については、緊迫化する中東情勢がエネルギー価格や海上物流に多大な影響を及ぼしたことに加え、各国の金融・通商政策の転換による影響も重なり、全体として先行き不透明かつ不確実性の高い状況で推移しております。国内経済におきましては、企業の継続的な賃上げの動きなどを背景に雇用・所得環境の改善が進み、実質GDP(国内総生産)につきましても底堅く推移し、緩やかな景気回復の兆しが見られました。しかしながら、海外要因に起因するエネルギー価格の高止まりや、生活必需品を中心とした継続的な物価上昇が実質所得を圧迫しており、個人消費は依然として力強さを欠く状況が続いております。先行きにつきましても、円安進行の懸念、日銀の追加利上げに伴う国内金利の上昇、海外景気の減速懸念や物価高による消費の下振れリスクに対し、引き続き警戒が必要な状況にあります。当社グループへの影響が大きい大豆、菜種、パーム油などの原材料につきましては、世界的な油脂需要の変動に加え、地政学リスクに起因するサプライチェーンの混乱などによる調達価格の高騰や安定調達に支障が生じる懸念があります。また、製造に関わるエネルギーコスト、物流費、包装資材費等の高騰も継続しており、当社を取り巻く事業環境は依然として不透明かつ厳しい状況にあります。喫緊・最優先の課題としては、資本収益性(ROIC)の向上が挙げられます。この解決に向け、利益率の向上と投下資本の効率化を通じた「成長投資」への好循環を生み出してまいります。国内油脂・油糧事業における収益力の抜本的な強化、グローバル市場における利益成長の加速と事業投資の実行、そしてこれらを支える機能強化投資を実行するとともに、効率化の視点から、投下資本の圧縮などに全社を挙げて取り組むことが重要となります。 〔2026年度の経営目標と取り組み〕「Value UpX」の初年度である2025年度は、国内油脂・油糧事業において、想定を超えるスピードで市場環境・消費行動が変化したことに加え、コストに見合った価格形成の遅れ等も重なり、当初描いていた収益シナリオの修正を余儀なくされました。この結果を厳しく受け止め、2026年度は、国内油脂・油糧事業の持続性・成長性の観点から環境変化を的確に捉え直し、短期的な収益改善に留まらず、将来に渡る資本収益性の向上を目指した構造改革に着手いたします。また、グローバルでの成長を加速する戦略・施策の着実な実行により、「Value UpX」実現へ向けた再始動の年といたします。2026年度の経営目標につきましては、売上高5,900億円、営業利益190億円、ROE5.7%、ROIC4.2%とし、全社を挙げて、目標達成に向けて取り組んでまいります。具体的には、次の取り組みを強力に推進します。国内においては、国内油脂・油糧事業における営業スタイル変革を起点とした生産・物流プロセスの変革に取り組みます。また、商品アイテムの適正化や在庫日数の管理強化を通じた投下資本の圧縮、および物流費の低減や一般管理費のコントロール等を通じたコスト削減・効率化を進めるとともに、適正な販売価格の形成および販売量の回復による収益改善と今後に向けた収益力の強化に取り組みます。 グローバルにおいては、Intercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd. (以下、ISF社)やファインケミカル事業を中心とした利益成長の加速を図るとともに、ファインケミカル事業における化粧品油剤の世界シェア拡大に向けた展開や、北米における事業基盤構築に向けた取り組みを着実に実行します。また、これらの事業成長を支える経営基盤の強化として、「技術の深化・探索」「サプライチェーンの構築・強靭化」「デジタルイノベーション」「サステナビリティ」に関わる機能強化の投資を実行するとともに、強固でレジリエントな人材基盤の構築および実効性の高いグループ・ガバナンスの確立などに全社を挙げて取り組んでまいります。 各事業の状況については、次のとおりです。 [グローバル油脂・加工油脂事業]マレーシアのISF社を中心に、パーム油を活用したチョコレート用油脂をはじめとする事業を展開しております。ISF社とそのグループ会社は、パーム油の分別・精製における高度な技術を有しており、欧州などの高い品質基準を求めるお客様を中心に付加価値品の拡販に努めています。また、北米ではNisshin OilliO America Inc.を中心に、加工用・業務用油脂事業を展開しております。チョコレート用油脂を取り巻く環境は、過去の歴史的なカカオ相場の高騰から一転し、足元では生産国の供給回復により相場が落ち着きを見せているものの、構造的な供給不安を背景に依然として平時を上回る価格水準にあり、こうしたコスト変動リスクの回避や、メーカーのコスト最適化ニーズを背景に、代替品としての需要は継続的な拡大が見込まれます。加えて、欧州における森林破壊防止規則(EUDR)の適用に向けた動きなど、持続可能でトレーサブルな原材料調達への要求が世界的に高まっております。ISF社においてはチョコレート用油脂を中心とする加工油脂の生産能力や販売機能を強化する投資も積極的に実施しております。成長市場において、EUDR等の環境規制にも対応するトレーサブルで高機能なチョコレート用油脂の提供を強化することで、収益を拡大させていきます。 [油脂・油糧および加工食品・素材事業](油脂・油糧)国内の油脂事業においては、主要原料相場、為替相場、物流費、資材費、エネルギーコスト、将来コスト・社会的コスト等を踏まえたうえで適正な販売価格を設定し、人々の暮らしや食品産業を支えるための安定供給が求められています。業務用および加工用では、レストランなどの外食、コンビニエンスストア・量販店などの中食、製菓・製パンや加工食品業界などに向けた販売を行っており、ユーザーベネフィットの追求を起点とした、機能性やソリューションを提供する商品の販売や提案を実施しています。また、新たな研究開発拠点である横浜磯子事業場内の「インキュベーションスクエア」を活用し、お客さまとの共創を一層深めることで、価値創造力のさらなる強化に取り組んでおります。 ホームユースにおいては、当社はキャノーラ油をはじめとしたクッキングオイルや、オリーブオイル、アマニ油などの健康価値の高い商品などにおいて高い市場シェアを有しています。さらに「味つけオイル」等の油脂の新しいカテゴリーの創出、こめ油シリーズのラインアップ拡充、環境に配慮した紙パック商品の展開を進めることで、油脂の栄養・健康機能、手軽さ・簡便さや環境意識の高まりといった消費者ニーズに応える新たな価値の提案し、需要の喚起と市場拡大を牽引しています。大豆、菜種、パームなどを主原料とする商品については、中東情勢の悪化に伴うエネルギーコスト・物流費・包装資材費の高騰やサプライチェーンの混乱、各国の金融、通商政策に起因する市況の混乱、さらには円安の進行などにより、不透明かつ厳しいコスト環境が継続することが予想されますが、原料調達先の複線化や生産技術・油脂加工技術の向上、生産・物流機能の最適化等により、強靭なサプライチェーンを構築し、持続的・安定的な供給に努めてまいります。また、ミールについては国内の需給などの影響もありますが、油脂・油糧事業における安定的な収益獲得を目的に、買付コストの低減および市況の動向に応じた適正価格での販売に取り組んでいます。中長期的には、国内の人口減少による油脂消費量の減少が見込まれることもあり、一層の合理化・効率化が必要と考えております。こうした環境が見込まれる中、2023年10月に株式会社J-オイルミルズとの共同出資により、製油パートナーズジャパン株式会社を設立し、国内搾油業の国際競争力強化と安定供給を長期にわたって確保する共同運営体制の構築を目指した取り組みを進めています。また、国内の生産拠点では、AIやIoTを活用した生産性向上に取り組んでおります。そして、脱炭素・循環型社会の実現に向けて、環境・社会課題への解決にも繋がる「次世代型搾油工場」の構築に向けた取り組みを推進していきます。(加工食品・素材)チョコレート関連事業、ドレッシングなどの調味料、MCTを中心とした機能素材・食品、大豆素材・食品から構成されます。チョコレートについては、カカオ相場の平時を上回る価格水準に伴う調達コストの変動リスク等の懸念はありますが、原料調達国の複線化や希少カカオ豆の生産性向上等に取り組むことでサプライチェーンの強靭化を図っています。また、市場動向については、中長期的にはチョコレートの需要は堅調に推移するものと考えておりますが、当面は国内・グローバル共に価格高騰に伴う短期的なチョコレート消費量の低下リスクを注視し、持続的な成長に努めてまいります。調味料においては、おいしさの追求やアマニ油、MCTオイルなどの健康価値を訴求する油脂への関心の高まりなどを背景に油脂の機能を活かした商品開発および販売を展開しています。機能素材・食品においては、MCTの脂肪燃焼やフレイル対策における栄養状態の改善など、健康機能の高さを引き続き啓発するとともに、マーケティングを強化し、売上拡大に向けた取り組みを進めています。大豆素材・食品においてはプラントベースドフードの市場拡大も見据え、油脂の活用による食感、おいしさなどのソリューションの提供に力を入れています。 [ファインケミカル事業]化粧品用の原料である油剤を主力商品としており、国内外の多くの化粧品メーカーと取引を行っております。世界の化粧品市場は、中長期的にはアジアを中心に中間所得層の増加が見込まれるエリアでの継続的な拡大が見込まれます。当社は、特に高付加価値なスペシャリティオイルを中核とする市場成長を取り込み、テクニカルサポート機能の発揮により、ソリューション提供を拡大することで、グローバル市場でのプレゼンスを更に高め、市場シェアを獲得するとともに利益率を高めてまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社の経営の基本方針当社の経営理念は、次のとおりです。1.企業価値の追求と、その最大化を通じた人々・社会・経済の発展への貢献2.「おいしさ・健康・美」の追求をコアコンセプトとする創造性、発展性ある事業への飽くなき探求3.社会の一員としての責任ある行動の徹底 ステークホルダーの皆様へお約束するコンセプトとして、「コアプロミス」を次のとおり定めています。日清オイリオグループは、健康的で幸福な「美しい生活」(Well-being)を提案・創造いたします。そのために私たちは、無限の可能性をもつ植物資源と、最高の技術によって、あなたにとって、あったらいいなと思う商品・サービスを市場に先駆けて創り続け、社会に貢献することを約束いたします。 また、「日清オイリオグループビジョン2030」において「2030年に目指す姿」を次のとおり定めております。私たちは、“植物のチカラ®”と“油脂をさらに究めた強み”で、食の新たな機能を生み出すプラットフォームの役割を担います。そして多様な価値を創造し、“生きるエネルギー”をすべての人にお届けする企業グループになります。 当社グループは、従来以上に事業活動による価値創造を通じて社会の持続可能性に貢献してまいります。「ビジョン2030」策定時に、当社グループが2030年に目指す姿に至るために、行動の基本とするValues(「真摯な姿勢」「つながる」「究める」「切り拓く」「しなやかに強く」)を定めました。また、理念を実践していくための行動指針である「日清オイリオグループ行動規範」のグループ内での浸透を図っています。 日清オイリオグループ理念体系は次のとおりです。 (2) 中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題近年、当社グループを取り巻く環境は、大きな変化の渦中にあります。地球規模での環境課題の累積や気候変動に伴う植物資源の収量不安定化、国際紛争などの発生によるサプライチェーンの混乱、国内における人手不足の深刻化、物流課題への対応、物価高による消費の冷え込み等、事業を取り巻く環境は厳しさを増しています。このような中、「ビジョン2030」で示した「2030年に目指す姿」と「戦略の指針」に沿って、当社グループは、社会課題の解決を通じた、多様な共有価値の創造(CSV)を成長のドライバーとすることで、将来にわたって持続的に成長し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 日清オイリオグループビジョン2030当社グループは、2021年3月「日清オイリオグループ ビジョン2030」を策定しました。2030年の目指す姿として、“植物のチカラ®”と“油脂をさらに究めた強み”で、食の新たな機能を生み出すプラットフォームの役割を担うとともに、多様な価値を創造し、“生きるエネルギー”をすべての人にお届けする企業グループになることを掲げています。「これまでより“もっとお客さまの近く”でビジネスを展開する」ことを基本方針とし、グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業への飛躍に向けた取り組みを進めています。 〇生きるエネルギー生きるために必要な根源的なエネルギーおいしい食事で人を元気にするエネルギー栄養機能で人を健康にするエネルギー美を演出し活力を与えるエネルギー油脂と相乗効果を発揮する素材・技術・事業から生み出されるエネルギー 価値創造モデル当社グループの価値創造の源泉は、無限の可能性をもつ植物資源と磨かれた技術力、そして価値創造力を掛け合わせた“植物のチカラ®”です。“植物のチカラ®”と私たちの“コアコンピタンスである油脂”を究めた強みでお客さまとともに社会課題を解決する油脂ソリューションを実現します。当社グループの事業に求められるニーズや当社グループが取り組むべきという視点で定めた6つの重点領域(マテリアリティ)、「すべての人の健康」、「おいしさ・美のある豊かな生活」、「食のバリューチェーンへの貢献」、「信頼でつながるサプライチェーン」、「地球環境」、「人材マネジメント」の領域の中で多様な価値を持つ“生きるエネルギー”を生み出し、その価値をすべての人にお届けします。“生きるエネルギー”は社会課題を解決する一方で、次なる成長のための植物資源の循環や技術の進化を可能とする資本を生み出します。再度投入された資本によって、さらに油脂を究め、社会課題を解決する“生きるエネルギー”を生み出します。このプロセスの循環を通じて、当社グループらしいサステナビリティを実現していきます。 また、「生きるエネルギー」をすべての人にお届けするためには、油脂を素材として提供するだけでなく、当社グループが持つ強みを活かして他の食品メーカーや素材メーカーなどと一緒に価値を共創することが非常に重要であると考えています。生活を支えるあらゆるチャネルでお客さまとの接点を持っている強みにより、社会課題解決のためのプラットフォームの役割を担うことで可能になると考えています。そして、2030年度に達成を目指す経営指標としてROE10%、ROIC7%を目標値として設定しており、持続的な利益成長と資本効率の改善を通じて、企業価値の向上に取り組んでまいります。 2025年度~2028年度 新中期経営計画「Value UpX」「ビジョン2030」で目指す姿の実現と、その先の次なる成長に向けて、2025年度~2028年度の4年間を対象期間とした、新中期経営計画「Value UpX」に取り組んでおります。「Value UpX」では、「ビジョン2030」の基本方針として掲げた「“Marketing”דTechnology”דGlobalization”」を結実、深化させ、当社らしい“勝ち筋”(無形資産の循環的創造によるイノベーションの体質化)により、加速的な成長を実現していきます。その実現に向けては、「将来の利益成長の柱となる成長戦略」、「Value UpXの成長ドライバーとなる基幹戦略」、「グループの安定的・持続的な成長を支える基盤戦略」の3階層からなる戦略を展開しています。また、それらの戦略を支える機能として「技術の深化・探索による価値創造」、「サプライチェーンの構築、強靭化」、「成長を加速させるデジタルイノベーション」、「地球環境・資源の保護・人権尊重」の取り組みを強化しています。そして、これらの戦略を強固でレジリエントな人材基盤の構築によって推進するとともに、ROICマネジメントを通じて、利益率の向上と投下資本の効率化による「資本収益性向上」に取り組み、更なる「成長投資」につながる好循環を生み出していきます。これらの取り組みを通じた、油脂ソリューションの創出力の最大化と、展開領域・エリアの拡大により、「グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業」への飛躍を果たし、最終年度の経営目標として、2028年度には、営業利益280億円(利益率5%以上)、ROE8%以上、ROIC6%以上の達成を目指してまいります。※中期経営計画「Value UpX」の経営目標は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づいて策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性などを含んでいることから、その達成や将来の業績を保証するものではありません。当中期経営計画のみに依拠して投資判断を下すことはお控え下さい。 図1:中期経営計画「Value UpX」の位置付け 図2:「Value UpX」における戦略の全体像 (3) 経営環境、課題及び対応〔事業環境及び課題〕世界経済については、緊迫化する中東情勢がエネルギー価格や海上物流に多大な影響を及ぼしたことに加え、各国の金融・通商政策の転換による影響も重なり、全体として先行き不透明かつ不確実性の高い状況で推移しております。国内経済におきましては、企業の継続的な賃上げの動きなどを背景に雇用・所得環境の改善が進み、実質GDP(国内総生産)につきましても底堅く推移し、緩やかな景気回復の兆しが見られました。しかしながら、海外要因に起因するエネルギー価格の高止まりや、生活必需品を中心とした継続的な物価上昇が実質所得を圧迫しており、個人消費は依然として力強さを欠く状況が続いております。先行きにつきましても、円安進行の懸念、日銀の追加利上げに伴う国内金利の上昇、海外景気の減速懸念や物価高による消費の下振れリスクに対し、引き続き警戒が必要な状況にあります。当社グループへの影響が大きい大豆、菜種、パーム油などの原材料につきましては、世界的な油脂需要の変動に加え、地政学リスクに起因するサプライチェーンの混乱などによる調達価格の高騰や安定調達に支障が生じる懸念があります。また、製造に関わるエネルギーコスト、物流費、包装資材費等の高騰も継続しており、当社を取り巻く事業環境は依然として不透明かつ厳しい状況にあります。喫緊・最優先の課題としては、資本収益性(ROIC)の向上が挙げられます。この解決に向け、利益率の向上と投下資本の効率化を通じた「成長投資」への好循環を生み出してまいります。国内油脂・油糧事業における収益力の抜本的な強化、グローバル市場における利益成長の加速と事業投資の実行、そしてこれらを支える機能強化投資を実行するとともに、効率化の視点から、投下資本の圧縮などに全社を挙げて取り組むことが重要となります。 〔2026年度の経営目標と取り組み〕「Value UpX」の初年度である2025年度は、国内油脂・油糧事業において、想定を超えるスピードで市場環境・消費行動が変化したことに加え、コストに見合った価格形成の遅れ等も重なり、当初描いていた収益シナリオの修正を余儀なくされました。この結果を厳しく受け止め、2026年度は、国内油脂・油糧事業の持続性・成長性の観点から環境変化を的確に捉え直し、短期的な収益改善に留まらず、将来に渡る資本収益性の向上を目指した構造改革に着手いたします。また、グローバルでの成長を加速する戦略・施策の着実な実行により、「Value UpX」実現へ向けた再始動の年といたします。2026年度の経営目標につきましては、売上高5,900億円、営業利益190億円、ROE5.7%、ROIC4.2%とし、全社を挙げて、目標達成に向けて取り組んでまいります。具体的には、次の取り組みを強力に推進します。国内においては、国内油脂・油糧事業における営業スタイル変革を起点とした生産・物流プロセスの変革に取り組みます。また、商品アイテムの適正化や在庫日数の管理強化を通じた投下資本の圧縮、および物流費の低減や一般管理費のコントロール等を通じたコスト削減・効率化を進めるとともに、適正な販売価格の形成および販売量の回復による収益改善と今後に向けた収益力の強化に取り組みます。 グローバルにおいては、Intercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd. (以下、ISF社)やファインケミカル事業を中心とした利益成長の加速を図るとともに、ファインケミカル事業における化粧品油剤の世界シェア拡大に向けた展開や、北米における事業基盤構築に向けた取り組みを着実に実行します。また、これらの事業成長を支える経営基盤の強化として、「技術の深化・探索」「サプライチェーンの構築・強靭化」「デジタルイノベーション」「サステナビリティ」に関わる機能強化の投資を実行するとともに、強固でレジリエントな人材基盤の構築および実効性の高いグループ・ガバナンスの確立などに全社を挙げて取り組んでまいります。 各事業の状況については、次のとおりです。 [グローバル油脂・加工油脂事業]マレーシアのISF社を中心に、パーム油を活用したチョコレート用油脂をはじめとする事業を展開しております。ISF社とそのグループ会社は、パーム油の分別・精製における高度な技術を有しており、欧州などの高い品質基準を求めるお客様を中心に付加価値品の拡販に努めています。また、北米ではNisshin OilliO America Inc.を中心に、加工用・業務用油脂事業を展開しております。チョコレート用油脂を取り巻く環境は、過去の歴史的なカカオ相場の高騰から一転し、足元では生産国の供給回復により相場が落ち着きを見せているものの、構造的な供給不安を背景に依然として平時を上回る価格水準にあり、こうしたコスト変動リスクの回避や、メーカーのコスト最適化ニーズを背景に、代替品としての需要は継続的な拡大が見込まれます。加えて、欧州における森林破壊防止規則(EUDR)の適用に向けた動きなど、持続可能でトレーサブルな原材料調達への要求が世界的に高まっております。ISF社においてはチョコレート用油脂を中心とする加工油脂の生産能力や販売機能を強化する投資も積極的に実施しております。成長市場において、EUDR等の環境規制にも対応するトレーサブルで高機能なチョコレート用油脂の提供を強化することで、収益を拡大させていきます。 [油脂・油糧および加工食品・素材事業](油脂・油糧)国内の油脂事業においては、主要原料相場、為替相場、物流費、資材費、エネルギーコスト、将来コスト・社会的コスト等を踏まえたうえで適正な販売価格を設定し、人々の暮らしや食品産業を支えるための安定供給が求められています。業務用および加工用では、レストランなどの外食、コンビニエンスストア・量販店などの中食、製菓・製パンや加工食品業界などに向けた販売を行っており、ユーザーベネフィットの追求を起点とした、機能性やソリューションを提供する商品の販売や提案を実施しています。また、新たな研究開発拠点である横浜磯子事業場内の「インキュベーションスクエア」を活用し、お客さまとの共創を一層深めることで、価値創造力のさらなる強化に取り組んでおります。 ホームユースにおいては、当社はキャノーラ油をはじめとしたクッキングオイルや、オリーブオイル、アマニ油などの健康価値の高い商品などにおいて高い市場シェアを有しています。さらに「味つけオイル」等の油脂の新しいカテゴリーの創出、こめ油シリーズのラインアップ拡充、環境に配慮した紙パック商品の展開を進めることで、油脂の栄養・健康機能、手軽さ・簡便さや環境意識の高まりといった消費者ニーズに応える新たな価値の提案し、需要の喚起と市場拡大を牽引しています。大豆、菜種、パームなどを主原料とする商品については、中東情勢の悪化に伴うエネルギーコスト・物流費・包装資材費の高騰やサプライチェーンの混乱、各国の金融、通商政策に起因する市況の混乱、さらには円安の進行などにより、不透明かつ厳しいコスト環境が継続することが予想されますが、原料調達先の複線化や生産技術・油脂加工技術の向上、生産・物流機能の最適化等により、強靭なサプライチェーンを構築し、持続的・安定的な供給に努めてまいります。また、ミールについては国内の需給などの影響もありますが、油脂・油糧事業における安定的な収益獲得を目的に、買付コストの低減および市況の動向に応じた適正価格での販売に取り組んでいます。中長期的には、国内の人口減少による油脂消費量の減少が見込まれることもあり、一層の合理化・効率化が必要と考えております。こうした環境が見込まれる中、2023年10月に株式会社J-オイルミルズとの共同出資により、製油パートナーズジャパン株式会社を設立し、国内搾油業の国際競争力強化と安定供給を長期にわたって確保する共同運営体制の構築を目指した取り組みを進めています。また、国内の生産拠点では、AIやIoTを活用した生産性向上に取り組んでおります。そして、脱炭素・循環型社会の実現に向けて、環境・社会課題への解決にも繋がる「次世代型搾油工場」の構築に向けた取り組みを推進していきます。(加工食品・素材)チョコレート関連事業、ドレッシングなどの調味料、MCTを中心とした機能素材・食品、大豆素材・食品から構成されます。チョコレートについては、カカオ相場の平時を上回る価格水準に伴う調達コストの変動リスク等の懸念はありますが、原料調達国の複線化や希少カカオ豆の生産性向上等に取り組むことでサプライチェーンの強靭化を図っています。また、市場動向については、中長期的にはチョコレートの需要は堅調に推移するものと考えておりますが、当面は国内・グローバル共に価格高騰に伴う短期的なチョコレート消費量の低下リスクを注視し、持続的な成長に努めてまいります。調味料においては、おいしさの追求やアマニ油、MCTオイルなどの健康価値を訴求する油脂への関心の高まりなどを背景に油脂の機能を活かした商品開発および販売を展開しています。機能素材・食品においては、MCTの脂肪燃焼やフレイル対策における栄養状態の改善など、健康機能の高さを引き続き啓発するとともに、マーケティングを強化し、売上拡大に向けた取り組みを進めています。大豆素材・食品においてはプラントベースドフードの市場拡大も見据え、油脂の活用による食感、おいしさなどのソリューションの提供に力を入れています。 [ファインケミカル事業]化粧品用の原料である油剤を主力商品としており、国内外の多くの化粧品メーカーと取引を行っております。世界の化粧品市場は、中長期的にはアジアを中心に中間所得層の増加が見込まれるエリアでの継続的な拡大が見込まれます。当社は、特に高付加価値なスペシャリティオイルを中核とする市場成長を取り込み、テクニカルサポート機能の発揮により、ソリューション提供を拡大することで、グローバル市場でのプレゼンスを更に高め、市場シェアを獲得するとともに利益率を高めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】1.経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。 (1) 財政状態及び経営成績の状況① 経営成績の状況当連結会計年度における世界経済は、各国における財政・金融緩和政策等が下支えとなり底堅い成長を維持しているものの、米国の関税政策や中東情勢をはじめとした地政学リスクの高まり等を受けて不安定な状況が続きました。日本経済は、雇用・所得環境の改善や財政政策による効果を背景に緩やかに回復しました。市場環境としては食料品価格上昇を受けた節約志向の高まりが継続しておりました。またコスト環境についても油脂コストや物流費等が上昇し、厳しさが続きました。このような環境下、当社グループは、ビジョン2030において6つの重点領域で設定したCSV目標を成長ドライバーとして成長路線を加速させるとともに、“植物のチカラ®”を価値創造の原点に、社会との多様な共有価値の創造を通じた持続的な成長を目指しております。また、株主資本コストを上回るROE水準の達成を重要な経営目標とし、収益性と資産効率性の向上に取り組んでおり、2025年度からの中期経営計画「Value UpX」(2025年度-2028年度)では、ROE8.0%以上、ROIC6.0%以上を2028年度の経営目標とし、取り組みを進めてまいります。当連結会計年度の業績については、以下のとおりとなりました。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)前期比売上高530,878554,251+23,373104.4%営業利益19,27817,027△2,25188.3%経常利益18,08916,030△2,05888.6%親会社株主に帰属する当期純利益12,85023,988+11,137186.7%ROE7.0%12.1%-+5.1PROIC4.6%4.5%-△0.1P (注) 1.ROIC(投下資本利益率)は、以下の算定式に基づき算出しております(いずれの数値も連結ベース)。 ROIC =(当連結会計年度の税引後営業利益+持分法投資損益)÷[{(当事業年度の投下資本)+(前事業年度の投下資本)}÷2]2.当連結会計年度において、固定資産の譲渡に伴い発生した譲渡益23,167百万円を、固定資産売却益として特別利益に計上しております。 ② 財政状態の状況当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ629億43百万円増加し、4,511億85百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が22億46百万円、棚卸資産が141億49百万円、その他の流動資産が166億80百万円、有形固定資産が229億18百万円、投資有価証券が24億62百万円、退職給付に係る資産が27億82百万円増加したことであります。負債は、前連結会計年度末に比べ390億24百万円増加し、2,291億80百万円となりました。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が45億58百万円、未払法人税等が45億92百万円、その他の流動負債が30億41百万円、社債が100億円、長期借入金が144億97百万円、繰延税金負債が49億7百万円、その他の固定負債が23億7百万円増加した一方で、短期借入金が15億36百万円、仕入債務が34億4百万円減少したことであります。純資産は、前連結会計年度末に比べ239億18百万円増加し、2,220億4百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が182億19百万円、その他の包括利益累計額が147億78百万円増加した一方で、自己株式を100億円取得したことであります。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)資産合計388,242451,185+62,943負債合計190,156229,180+39,024純資産合計198,086222,004+23,918 (2) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ105億33百万円増加し、249億53百万円となりました。〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕営業活動によるキャッシュ・フローは、104億60百万円の収入となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益351億91百万円、減価償却費115億70百万円、売上債権の減少23億80百万円によるキャッシュの増加および固定資産除売却損益224億60百万円、棚卸資産の増加97億7百万円、法人税等の支払42億49百万円によるキャッシュの減少であります。〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕投資活動によるキャッシュ・フローは、98億32百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の売却による収入210億87百万円によるキャッシュの増加および有形固定資産の取得による支出292億76百万円によるキャッシュの減少であります。〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕財務活動によるキャッシュ・フローは、82億31百万円の収入となりました。主な内訳は、長期借入による収入250億円、社債の発行による収入100億円によるキャッシュの増加および短期借入金の純減41億6百万円、長期借入金の返済による支出60億55百万円、配当金の支払57億46百万円、自己株式の取得による支出100億6百万円によるキャッシュの減少であります。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)営業活動によるキャッシュ・フロー21,16610,460投資活動によるキャッシュ・フロー△9,590△9,832財務活動によるキャッシュ・フロー△13,8858,231現金及び現金同等物の増減額(△減少)△2,06310,533現金及び現金同等物の期末残高14,42024,953 (3)生産、受注及び販売の実績 ① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前期比グローバル油脂・加工油脂事業153,571119.5%油脂・油糧および加工食品・素材事業油脂・油糧227,15598.2%加工食品・素材56,544103.6%小計283,70099.3%ファインケミカル事業11,31290.8%その他9,71399.2%合計458,297105.0% (注) 金額は、原価計算に利用した価格等により算定しております。 ② 受注実績当社グループでは、主として計画に基づく生産を行っているため、記載を省略しております。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前期比グローバル油脂・加工油脂事業138,848120.3%油脂・油糧および加工食品・ 素材事業油脂・油糧311,54499.7%加工食品・素材78,042100.3%小計389,58699.8%ファインケミカル事業15,509106.6%その他10,30798.1%合計554,251104.4% 2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容① 経営成績および財政状態の分析当連結会計年度における経営成績および財政状態の分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。 ② セグメントごとの財政状態及び経営成績の分析セグメント別の資産では、前連結会計年度末に比べグローバル油脂・加工油脂事業において210億64百万円増加、油脂・油糧および加工食品・素材事業において399億44百万円増加、ファインケミカル事業において21億92百万円増加しました。セグメントの業績は次のとおりであります。 ・売上高 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)前期比グローバル油脂・加工油脂事業115,418138,848+23,429120.3%油脂・油糧および加工食品・素材事業油脂・油糧312,623311,544△1,07999.7%加工食品・素材77,78378,042+258100.3%小計390,407389,586△82099.8%ファインケミカル事業14,54515,509+964106.6%その他10,50610,307△19998.1%合計530,878554,251+23,373104.4% ・〔参考〕売上高(単体) 前事業年度(百万円)当事業年度(百万円)増減額(百万円)前期比油脂・油糧および加工食品・素材事業油脂・油糧284,280280,362△3,91798.6% 業務用・加工用119,903124,828+4,924104.1% ホームユース67,85664,079△3,77794.4% 加工油脂13,03016,134+3,103123.8% 油糧83,48975,320△8,16890.2%加工食品・素材19,15818,488△67096.5%小計303,438298,850△4,58798.5%ファインケミカル事業7,8918,937+1,046113.3%その他403343△6085.0%合計311,733308,131△3,60298.8% ・営業利益 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)前期比グローバル油脂・加工油脂事業5,2344,766△46891.1%油脂・油糧および加工食品・素材事業油脂・油糧8,0686,706△1,36183.1%加工食品・素材4,6674,418△24994.7%小計12,73511,124△1,61187.3%ファインケミカル事業1,5901,559△3098.1%その他729524△20571.9%セグメント間消去・調整△1,011△946+64-合計19,27817,027△2,25188.3% セグメント別の概況 従来、報告セグメントの事業区分は「油脂事業」、「加工食品・素材事業」、「ファインケミカル事業」の3事業区分に分類しておりましたが、2025年度からの中期経営計画「Value UpX」の事業戦略に沿って、「グローバル油脂・加工油脂事業」、「油脂・油糧および加工食品・素材事業」、「ファインケミカル事業」に変更しております。 この事業区分の変更は、当社グループの経営管理の実態を適正に表示するためのものであります。 なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分方法により作成したものを記載しております。 ≪グローバル油脂・加工油脂事業≫ (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額前期比売上高115,418138,848+23,429120.3%営業利益5,2344,766△46891.1% パーム油相場は、インドネシアでのバイオ燃料政策によるパーム油需要増加、米国でのバイオ燃料政策による大豆油相場上昇等を背景に前期比で上昇しました。グローバル油脂・加工油脂事業セグメントでは、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.において、前期におけるカカオ豆相場の高騰を背景に、ココアバターと代替性のあるチョコレート用油脂需要が増加したことにより、販売数量は増加しました。また、パーム油相場が前期比で上昇したことから販売単価が上昇し、増収となりました。一方、利益面については、パーム油取引の時価評価の影響が大きく、減益となりました。 ≪油脂・油糧および加工食品・素材事業≫ (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額前期比売上高390,407389,586△82099.8%営業利益12,73511,124△1,61187.3% 油脂・油糧では、製造費や物流費、包装資材費上昇等の厳しいコスト環境に加え、油脂コストが上昇する中、価格改定を進めましたが想定よりも難航し、またホームユース製品を中心に販売数量が減少したことから、減収減益となりました。加工食品・素材では、主にチョコレートの原価上昇を背景とした販売価格の改定により増収となるも、海外子会社における販売数量の減少、原価上昇等の影響が大きく、減益となりました。セグメント全体では油脂・油糧の影響が大きく、減収減益となりました。 ◆油脂・油糧 (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額前期比売上高312,623311,544△1,07999.7%営業利益8,0686,706△1,36183.1% [原料の調達環境]原料の調達面では、前期に対してドル円相場が円高ドル安となり、また大豆相場も下落したことから、大豆価格は前期を下回りました。一方、菜種価格は、菜種相場が上昇した影響が大きく、前期を上回りました。 <主要原料相場>大豆相場は、米国の関税政策の発表により4月には一時9米ドル台まで下落しましたが、その後はバイオ燃料混合義務量増加の動きなどを材料に10米ドル台を中心に推移しました。10月下旬には米中合意により米国産大豆の輸出需要回復が期待され、11米ドル台まで上昇しました。その後は一時10米ドル台まで下落したこともあり、前期比では下落となりました。菜種相場は、カナダの減産懸念から6月には700カナダドル台半ばまで上昇しました。その後、8月に中国がカナダ産菜種へ反ダンピング関税を課すと発表すると需要減が意識され、さらにカナダの豊作期待を受け、600カナダドル台前半まで下落しました。10月から12月は概ね600カナダドル台で推移しましたが、前期比では上昇となりました。 <為替相場>ドル円相場は、米国の関税政策等の影響により4月下旬には一時140円割れまで円高ドル安が進行しました。その後は、米国の景気悪化懸念の後退や10月の自民党総裁選を受けた積極財政による財政悪化懸念等により、11月には150円台後半まで円安ドル高が進みましたが、前期比では円高ドル安となりました。 [油脂の販売]業務用については、コスト上昇を背景とした価格改定を優先したことや、ユーザーの節油志向等によりベーシック型製品の販売数量は減少しましたが、マーケティング・機能型製品の積極的な提案により業務用全体の販売数量は前期並みを維持しました。また、売上高については、価格改定による販売単価上昇により、増収となりました。加工用については、各業界での更なる価格改定を受けた生活防衛意識の高まりにより消費は減速しましたが、販売数量は前期並みを維持しました。また、売上高については、油脂コストに見合った価格改定交渉を粘り強く進めた結果、増収となりました。ホームユースについては、アマニ油などの「かけるオイル」の定着や、原料価格高騰により前期に市場が落ち込んだオリーブオイルの再拡大、マーケティング・機能型製品の継続的な浸透に努めました。また、汎用油の価格改定や、市場が拡大している「こめ油」の拡販など、クッキングオイルの収益構造の変革に取り組みました。しかしながら、物価上昇を背景とした生活防衛意識の高まりが長期化する中で、販売数量が前期比で減少したことから、減収となりました。利益面については、コストが上昇する中で価格改定に努めましたが、想定よりも難航したことで利益単価が前期比で低下し、またホームユース製品を中心とした販売数量減少の影響もあり、減益となりました。国内加工油脂については、課題やニーズに対応したソリューション提案活動による採用増加や、ココアバター高騰を背景としたチョコレート用油脂需要増加の継続もあり、販売数量は増加しました。また、チョコレート用油脂やショートニング等の価格改定により、増収増益となりました。 [ミールの販売]大豆ミールについては、大豆搾油量の増加を受けて販売拡大に努めたことで販売数量は増加しました。一方、シカゴ大豆粕定期が下落し、ドル円相場も前期比で円高ドル安となったため、販売単価は大きく低下し、減収となりました。菜種ミールについては、搾油量が減少したことで販売数量は減少しました。また、大豆ミール価格低下の影響等から販売単価も低下し、減収となりました。 ◆加工食品・素材 (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額前期比売上高77,78378,042+258100.3%営業利益4,6674,418△24994.7% チョコレートについては、国内チョコレートの価格高騰による市場規模縮小により、販売数量は前期比で減少しましたが、コストに見合った適正な販売価格への改定を進めた結果、増収となりました。一方、利益面については、国内チョコレートでの増益要因はあるものの、海外子会社における販売数量の減少、原価上昇等の影響が大きく、減益となりました。機能素材・食品については、MCTの価格改定により増収も、販売数量減少および原価上昇により、減益となりました。 ≪ファインケミカル事業≫ (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額前期比売上高14,54515,509+964106.6%営業利益1,5901,559△3098.1% ファインケミカル事業セグメントでは、メイク製品に加えてスキンケア製品についてもテクニカルサポートによるソリューション提案を展開し、主に国内での新規採用が寄与して販売数量が増加したことから増収となるも、利益面については海外での販売数量減少の影響により、減益となりました。 (2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度末に比べ105億33百万円増加し、249億53百万円となりました。当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益と減価償却費や売上債権の減少によるキャッシュの増加および固定資産除売却損益と棚卸資産の増加や法人税等の支払によるキャッシュの減少により104億60百万円の収入(前連結会計年度は211億66百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入などによるキャッシュの増加および有形固定資産の取得による支出などによるキャッシュの減少により98億32百万円の支出(前連結会計年度は95億90百万円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入や社債の発行による収入などによるキャッシュの増加および短期借入金の純減や長期借入金の返済による支出、配当金の支払、自己株式の取得による支出などによるキャッシュの減少により82億31百万円の収入(前連結会計年度は138億85百万円の支出)となりました。当社グループの資金運営は、事業活動にかかる運転資金については、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。また、資金調達方法として、当社取引銀行5行との間でシンジケーション方式により総額100億円のコミットメントライン契約を締結している等により、資金の流動性は確保しております。当社と国内子会社9社の間で「キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)」を構築しており、当該システムを利用し効率的な資金配分を行っております。設備資金、投融資資金等の長期的な資金需要については、金融市場動向、既存の社債の償還時期および借入金の返済時期等も総合的に勘案し、社債および借入金等による資金調達を行っております。今後の重要な資金の支出予定としては、国内の生産プロセス変革や生産体制再構築、北米のバリューチェーン構築等の投資を予定しております。 当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。当連結会計年度(2026年3月31日) 1年以内(百万円)1年超(百万円)短期借入金17,611-社債-25,000長期借入金10,54965,121リース債務7478,493合計28,90898,614 (3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表等の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。 ① 繰延税金資産当社グループは、将来の課税所得見込額等に基づいて回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。なお、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得等の見積りによるものであるため、その見積りの前提に変更が生じた場合は、繰延税金資産の計上に影響を及ぼす可能性があります。 ② 退職給付債務及び退職給付費用当社グループは、退職給付債務および費用について、昇給率、退職率等の基礎率及び割引率を用いて計算しております。なお、これらの前提に変動があった場合には、退職給付債務および費用に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 固定資産の減損当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価について、事業部等を基礎としてグルーピングされた資産グループごとの収益性の評価及び回収可能価額の算定を行い、収益性が著しく低下している資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額することとしております。市場環境等の変化により収益性が著しく低下した場合には、減損損失を計上する可能性があります。なお、当連結会計年度については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係) ※7減損損失」の内容に記載のとおりであります。 当連結会計年度の連結財務諸表を作成するにあたって行った会計上の見積りのうち、当該会計上の見積りが当連結会計年度の翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあると判断したものはありません。
事業リスク
- 為替相場および原材料相場の変動大豆、菜種、カカオなどの主要原材料は全量海外からの輸入に依存しており、為替相場の変動が原材料コストに直接影響を与えます。また、原油価格の高騰は輸送コストを押し上げ、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。為替予約や先物市場でのヘッジ取引、販売価格の適正化、コスト削減で対応しています。
- 国内外の製品市況の変動油脂やミール製品の国内販売価格は国際市況に連動する傾向があり、海外からの製品輸入動向も国内価格に影響を与える可能性があります。製品市況の変動が顕在化した場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。高付加価値商品の拡販や、コストに見合う適正価格での販売に努めています。
- 原材料の調達におけるリスク大豆、菜種、カカオなどの主要原料やオリーブ油、パーム油といった原料油脂の調達環境が悪化した場合、十分な量の原材料を確保できないリスクがあります。世界の人口増加や異常気象、生産国の政策動向、地政学リスクにより供給が不安定化する可能性があります。生産国やサプライヤーの複線化、期先までの需要を見据えた調達、在庫確保で安定供給に努めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】 (1) リスクマネジメントの考え方当社グループでは、「ビジョン2030」や中期経営計画「Value UpX」で目指す姿の実現や当社が取り組む事業に対してネガティブな影響を及ぼす不確実性を「リスク」と定義し、リスクマネジメントを行っています。リスクマネジメントに対する主体的な取り組みを通じて、企業として安定した収益を上げるだけでなく、社会的責任を果たすことを通じて更なる企業価値の向上と発展を目指すことを目的としています。リスクマネジメント体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項 (b) リスク管理体制の整備の状況」をご参照ください。 (2) 当社グループにおける重要リスクについて当社グループでは、取締役会が設置するリスクマネジメント委員会が全社的なリスクを総括的に管理しています。リスクマネジメント委員会では、以下のプロセスによって重要リスクを選定しています。 ① リスクマトリクス図を基に、当社グループにおけるリスクを俯瞰的・網羅的に確認し、重要項目を抽出。② 取締役会及びリスクマネジメント委員会での討議を踏まえ、重要性の高い項目に絞り込み。③ リスクコンサルティング企業による、上場企業を中心とする実態調査を参考にして客観性を担保。 <リスクマトリクス図>リスクの網羅的な把握・整理のため、リスクの4類型(縦軸)とバリューチェーン(横軸)の二軸によるマトリクス図を当社グループ全体に展開し、各部門・各グループ会社でリスクの俯瞰的なチェックを実施しています。 (3) 2026年度の当社グループにおける重要リスクについてリスクマトリクス図の中から、リスクマネジメント委員会で13項目を選定しています。重要リスクの内容と対応については次の通りです。なお、「中東情勢の緊迫化」については全社横断的に影響を及ぼす性質があると考えており、特出しのリスクとしてモニタリングするため、13項目とは分けております。 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、以下「対応」の一部で記載のある具体的な取り組みや実績は、当連結会計年度末までのものとなります。 重要リスクの内容対応※ 中東情勢の緊迫化 原油・物流・為替を通じた間接的な影響が、経営全般・サプライチェーン全体に拡大する可能性があります。 関連する各部門・グループ会社、執行役員会、リスクマネジメント委員会等の会議体が、それぞれ主体となり、影響とリスクのモニタリングを継続実施してまいります。 ① 品質関連トラブル 食品の品質および安全性についての社会的関心の高まりから、より一層厳格な品質管理体制が求められております。品質問題が発生した場合は、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社執行役員会が設置する品質マネジメント委員会にてグループにおける品質保証に関する方針、施策の審議および実行の確認を行っております。国内の主要工場におきましては、ISO9001の認証および食品安全マネジメントシステムに関する国際規格であるFSSC22000の認証を取得し、一部の製造工程ではGMP認証を得るなど、厳しい品質保証体制を構築しております。 ② サプライチェーンにおける人権課題への対応不備 当社グループおよび調達先による人権問題の発生や、人権上で問題のある調達を行った場合、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 2025年度は、当社の物流、資材領域のサプライヤーに対するSAQ調査や対面調査を実施しました。また当社およびグループ会社で人権教育を実施するとともに、当社グループ会社における人権デュー・ディリジェンスの仕組みの展開と導入の推進にも取り組みました。2026年度は、当社の製造委託先、原料調達先等へのSAQ調査の実施や、海外の当社グループ会社と連携したグループ全体での人権尊重に取り組み、PDCAサイクルでの継続的な人権デュー・ディリジェンスを推進してまいります。 重要リスクの内容対応③ 国内外における当社グループの統制に関わる問題の発生 当社グループは、日本国内のみならず、東南アジア、欧州等の国および地域において事業を展開しております。以下のような事象は、特に海外事業展開においては、リスクとなります。ⅰ法律等の諸規制の予期せぬ制定または改廃ⅱ不測の政治的・経済的事象の発生ⅲテロ、紛争等による社会的混乱およびその他の地政学リスク これらの事象が発生した場合には当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループにおきましては、これらのリスクを最小限に留めるべく、各地の当社グループ会社と連携し、情報収集に努め、危機管理体制のなかで的確かつ迅速に対応してまいります。 ④ 地震、津波 / 異常気象(風水害等)の発生 地震・津波に加え、近年異常気象による風水害等のリスクが年々高まっていると認識しております。このようなリスクにより、従業員の安全面をはじめ、生産拠点の製造設備、物流設備、インフラ等に被害が生じた場合、サプライチェーンの要所への影響から製品の安定供給に支障が生じ、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループでは、地震・津波等の災害発生時対策として、従業員等の安否を確認する安否確認システムおよびBCP(事業継続計画)を構築し、随時見直しを行うことで、実効性を高めています。並行して、従業員等の安全および生産体制の基盤強化のため設備面で耐震補強を進めるとともに、護岸・電力調達における地震対策の強化も行っております。また、総合防災訓練や教育を定期的に実施するとともに、近年の異常気象による風水害等のリスク軽減についても重要な課題とし、減災の取り組みも含め、推進しております。これらの対策を超える甚大な影響のある事象についても継続して検証を行い、可能な限り被害を最小化するとともに、保険の付保を行い、当社グループの業績および財政状態への影響を低減することに努めております。 ⑤ 大規模な事故(火災・爆発、物流事故他)の発生 火災・爆発などの大規模な事故を起こした場合は、製品の安定供給に支障が生じ、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、全社的な安全・防災管理にかかわる統括責任を有する安全・防災担当役員を設置するとともに、安全・防災会議を中心とした全社防災体制、および事業場防災体制を構築しております。 また、緊急時体制を規定のうえ、総合防災訓練や教育を定期的に実施し、事故の発生防止に努めるとともに、万一の発生に備えております。 これらの取り組みおよび保険の付保により、当社グループの業績および財政状態への影響を低減することに努めております。 ⑥ 人材の確保(育成)の不足による競争力の低下 「日清オイリオグループビジョン2030」で目指す姿の実現に向けては、多様な価値観や専門性を有した人材が必要不可欠であり、不足すると競争力低下を招いてしまいます。 また、安全・安心な製品を安定的に提供していくためには、特に製造や物流現場の活動を担う人材が不足することは事業継続性の大きなリスクであると認識しています。 さらに、社員一人ひとりが、公私ともに充実し、当社グループで意欲的に能力を発揮し続けていくためには、自身の健康が最も大切な要素です。社員の健康リスクの発生は生産性などに影響が生じる可能性があります。 当社グループは、社員の多様性を尊重するとともに、一人ひとりが成長できる人材育成プログラム投資の拡充や、必要に応じた外部からの人材登用、女性活躍の推進、健康経営の推進など、イノベーションを生み出す活力に満ち溢れた組織づくりに注力することで、必要な人材の確保と強化に取り組んでおります。 安全・安心な製品を安定的に提供するにあたり、継続的な採用や教育、テレワークの積極的な活用、労働環境の最適化などにより人材の確保・定着に取り組むとともに、IoTやAI等の活用による作業の効率化や省力化を推進しております。 当社グループでは、経営トップを健康経営の最高責任者とした推進体制を構築し、社員の心身の健康、働きがい、生産性向上を目的とした健康経営の各種取り組みを推進しております。 ⑦ 法令・コンプライアンス遵守の不徹底 当社グループは「日清オイリオグループ行動規範」に基づき、内部統制の体制を整え、グループ全体で法令・コンプライアンス遵守の徹底に努めております。それにも関わらず、当社グループの役員または従業員による法令・コンプライアンス違反などが発生した場合、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、「日清オイリオグループ行動規範」の理解浸透に努めるとともに、研修等の施策を通じてグループ全体の法令・コンプライアンス遵守に関する意識向上に取り組んでおります。 特に、毎年実施している「コンプライアンスモニタリング」の運用を、2025年度に全面的に見直しのうえ課題抽出機能を強化し、そこから得られた課題を施策に反映することで、法令・コンプライアンス遵守の徹底を図っております。 重要リスクの内容対応⑧ サイバー攻撃 当社グループでは、生産管理、物流管理、販売管理および財務・会計をはじめとした業務の円滑かつ効率的な遂行のため情報システムを構築しております。また、事業上の重要情報、事業の過程で入手した機密情報および個人情報を保有しています。大規模な災害や停電、またはコンピュータウイルスやサイバー攻撃などにより、システム停止に伴う業務遅延や情報漏洩等が発生した場合、お客さまや市場の信頼が失われ、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、情報システムの安定稼働、信頼性向上、情報漏洩防止のため、ツールによるセキュリティ対策を導入するとともに、従業員教育や訓練を実施し、リスクが顕在化しないように取り組んでおります。 また、セキュリティ事故発生に備え、対応マニュアルや連絡体制を整備しております。 情報セキュリティ会議では、情報セキュリティ対策について定期的な報告を受け、評価および見直しを実施しております。 ⑨ 原材料の安定調達に係るリスク 当社グループの製品に必要な原材料の中でも、特に油脂・油糧および加工食品・素材事業における大豆、菜種およびカカオなどの主要原料やオリーブ油およびパーム油をはじめとした原料油脂の調達環境が悪化し、十分な量の原材料が調達できない場合や、当社グループが求める品質・安全性を充たした原材料を確保できない場合には、製品の安定供給における多大なリスクが生じ、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 世界の人口増加や各地で頻発する異常気象等による食糧需給の不透明感は年々高まりつつあり、また、原材料の生産国における政策動向、地政学リスクの高まり等によっては供給が不安定化するリスクもありますので、細心の注意を要します。 当社グループは、干ばつなど天候の影響、生産国での政策動向、地政学リスクの高まり等による原料の調達環境の変化にも対応できるよう、原料および原料油脂ともに生産国やサプライヤーの複線化により、安定的な調達に努めております。 特に調達環境の動向が見通しにくい状況下においては、期先までの需要を見据えた調達、在庫確保に努めております。 なお、安全性が確保された原材料を調達するため、新規の産地・サプライヤーの原材料購買を行う場合には分析や現地視察などによる安全性評価を実施するとともに、既存の購買原材料についても定期的な安全性評価の実施や、原料産地の情報収集を行うことで、安全・安心な原材料の確保に努めております。 ⑩ 消費者ニーズへの適応力の低下 近年の消費者ニーズの変化は非常に早く、かつ多様化しており当社グループが認識する前に消費者のニーズが変化する可能性があります。また、認識しても対応できない可能性があり、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 消費者ニーズの変化については、生活者へのアンケート調査や定期的な市場概況の分析及びそれらの社内共有等により、早期に把握する体制を整えております。2025年度については、物価高騰による生活防衛意識の高まりや、調理時に使用する食用油の量の変化など、消費マインドの変化を捉えながら製品開発を行いました(例:日清キャノーラ油ハーフユース800gPET)。また、中食外食で提供される調理品の品質向上や、最終商品の食体験向上に向けて、炊飯や調味をサポートする専用商品の開発にも取り組みました。 ⑪ 気候変動、資源循環型社会移行への対応の遅れ 地球温暖化対策や海洋プラスチックごみ問題などが今日的な課題として注目を浴びており、これらの課題に対応できない場合、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 植物資源を事業のベースとする当社グループにとって、地球環境や資源の保護は事業の持続性そのものと考え、脱炭素社会、循環型社会の実現に向けて以下の取り組みを行いました。<気候変動対応>・堺工場の使用電力を100%再生可能エネルギー由来(再エネ電力)に変更。・横浜磯子事業場で水素混焼対応型高効率ガスタービンコージェネレーション設備の運用を開始。<プラスチック容器・包装の削減>・国内で初めて油付きPETボトルからの水平リサイクル(ボトルtoボトル)による再生材料を一部の商品に使用開始。工場から排出された油付きPETボトルの再生材料を800gPETボトル商品の一部に使用し、2026年3月から順次販売を開始。 重要リスクの内容対応⑫ 相場変動(為替、原材料) 当社グループでは、油脂・油糧および加工食品・素材事業における原材料である大豆、菜種、カカオ等は全量海外から輸入しております。また、マレーシアをはじめ東南アジア、欧州等において海外事業展開を行っております。このため、当社グループは原材料コストや外貨建てでの販売、外貨での借入金残高などにかかる為替変動リスクを有しており、為替相場の変動により業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 原材料においては、原材料国際価格の相場変動リスクに加え、原油価格高騰などに伴う輸送コスト等の変動リスクを有しております。原材料価格は当社グループのコストにとって重要な部分を占めることから、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼします。 当社グループでは、「デリバティブ・商品先物取引等管理規程」等の規定に則った為替予約、先物市場を利用したヘッジ取引を機動的に行うことで当該リスクに対応しています。なお、ヘッジ取引の実施状況については、当社執行役員会にて四半期に一度、情報の共有化とモニタリングを実施しております。さらに原料価格に見合った販売価格の適正化、製造費等のコスト削減などを実施することにより価格変動による影響の抑制を図っております。 ⑬ 国内外の製品市況の変動への対応の遅れ 特に油脂・油糧事業の販売におきましては、国内外の製品市況の変動による影響があります。油脂およびミール製品の国内販売価格は国際市況に概ね連動いたします。 また、海外からの製品輸入動向が国内販売価格への影響要因となる可能性もあります。これら国内外の製品市況の変動が顕在化した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼします。 当社グループでは、国内外の製品市況の変動に応じてコスト等に見合う適正価格での販売に努めております。また、高付加価値商品の拡販に取り組み、徐々にその構成比を上げています。売上原価と販売価格の変動にタイムラグが生じる等の場合もありますが、当該リスクの業績への影響の低減に努めております。当社執行役員会では、毎月、経営計画の進捗管理を行っており、必要な施策の実施につなげております。