事業の概要
- 賃貸DXプロパティマネジメント事業不動産所有者から物件を借り上げ、一般消費者に賃貸するサブリースが主力です。入居者募集や退去時の原状回復業務も行います。敷金・礼金・保証料が0円になる「ALL ZERO PLAN」や、さらに初回家賃・更新料も0円になる「SUPER ZERO PLAN」といった独自の賃料プランを提供し、多様なニーズに応えることで高入居率を維持し、安定的な収益を確保しています。
- 賃貸DX賃貸仲介事業営業店舗で、自社管理物件と他社管理物件の両方を一般消費者に紹介し、賃貸物件の仲介・斡旋を行います。引っ越し業者などの関連サービスも斡旋し、顧客の利便性を高めています。自社物件を優先的に紹介することで「他社では取り扱っていない物件」という強みを作り、顧客の問い合わせ動機を高めています。
- 売買DXインベスト事業リノベーションを施した住宅用不動産の販売と、新築投資用デザイナーズマンションの開発・販売が中心です。都内・首都圏の物件に付加価値を付けて販売し、子会社では「立地」「デザイン」「設備仕様」にこだわった自社ブランドマンションを展開。不動産投資クラウドファンディング「A funding」も運営し、幅広い層の投資家から資金を集め、収益源を多様化しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 賃貸DXプロパティマネジメント事業当社グループの主力事業で、不動産所有者から物件を借り上げて一般消費者に賃貸するサブリースや、入居者募集・原状回復業務を行います。最新年度の売上は約216.5億円、営業利益は約24.1億円と、グループ全体の収益の柱となっています。
- 賃貸DX賃貸仲介事業営業店舗で賃貸物件の仲介・斡旋を行う事業です。自社管理物件と他社管理物件の両方を取り扱い、顧客に多様な選択肢を提供します。最新年度の売上は約10.2億円、営業利益は約0.5億円で、主力事業を補完する役割を担っています。
- 売買DXインベスト事業リノベーション販売事業と新築投資用デザイナーズマンションの開発・販売を行う事業です。不動産投資クラウドファンディング「A funding」も運営し、収益源を多様化しています。最新年度の売上は約280.6億円、営業利益は約38.3億円と、売上・利益ともに最大のセグメントであり、グループの成長を牽引しています。
2025-06 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| LeasingDXPropertyManagementBusinessReportableSegment | 地域 | 216 | 24 | 11.1% |
| LeasingDXLeasingBrokerageBusinessReportableSegment | 地域 | 10 | 1 | 5.4% |
| SalesPurchaseDXInvestmentBusinessReportableSegment | 地域 | 281 | 38 | 13.7% |
| IncubationBusinessReportableSegment | 地域 | 0 | -0 | -394.8% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】(当社グループの状況) 当社グループは、当社(株式会社アンビションDXホールディングス)と連結子会社10社(株式会社アンビション・バロー、AMBITION VIETNAM CO.,LTD、株式会社ホープ少額短期保険、株式会社ヴェリタス・インベストメント、株式会社アンビション・エージェンシー、株式会社アンビション・レント、株式会社アンビション・ベンチャーズ、株式会社DRAFT、株式会社フレンドワークス及び株式会社LiVrA)、非連結子会社1社(株式会社ルームギャランティ)の計12社により構成されております。事業セグメント及び各社の分担は次のとおりとなっております。 また、当連結会計年度より、重要性が低下したため、インキュベーション事業をその他事業に区分変更しております。 なお、次の4事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 (1)賃貸DXプロパティマネジメント事業 当事業は、当社グループの主力事業であり、顧客(不動産所有者)から家賃保証付きで借上げた物件を一般消費者に賃貸する事業(サブリース)、不動産所有者の入居者募集代理業務や入退去時の原状回復業務等を行っております。当該事業につきましては、当社、株式会社ヴェリタス・インベストメント、株式会社アンビション・バロー、株式会社フレンドワークス及び株式会社ルームギャランティが行っております。当社グループの賃貸DXプロパティマネジメント事業については、当社グループのリーシング力を生かし、高入居率を維持することで、より高い保証家賃の設定を実現するとともに、独立系のサブリース業者として、主に自社で賃貸仲介事業機能を持たない投資用不動産販売会社を取引先としております。また、一般消費者に対して、引越時の初期費用を抑える「ALL ZERO PLAN」(敷金・礼金・保証料が0円)「SUPER ZERO PLAN」(敷金・礼金・保証料・初回家賃・更新料が0円)といった賃料プランを設定することで、多様なスタイルを実現し、一般消費者のライフスタイルに合わせた「住まい」の提供を図っております。高入居率の維持を目指すとともに、不動産賃貸管理に関わる業務をDXする『AMBITION Cloud』による業務効率化と生産性向上・仲介会社の利便性向上・顧客満足度向上を実現するDX施策を推進しております。 (2)賃貸DX賃貸仲介事業 当事業は、営業店舗において、賃貸物件を探している一般消費者に対し、賃貸DXプロパティマネジメント事業にて管理する物件(以下、「自社物件」という。)に加え、他社が管理する物件(以下、「他社物件」という。)を紹介し、賃貸物件の仲介・斡旋及び当該業務に付随する引っ越し等の業者を斡旋する業務を行っております。当該事業につきましては、株式会社アンビション・バロー、株式会社アンビション・エージェンシー及び株式会社アンビション・レントが行っております。 当社グループの賃貸DX賃貸仲介事業については、自社物件を優先的に一般消費者に対して情報提供することで、「他社では取り扱っていない物件」による当社への問合せ動機を高めております。また、AI×RPAツール『ラクテック』の活用により業務効率化・販管費の抑制に取り組んでおります。また、広告戦略の強化によるWEB集客、リモート接客・VR内見などの集客施策に加え、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用した当社独自の電子サイン『AMBITION Sign』による電子契約パッケージなどの非対面サービスの強化により、お部屋探しにおける顧客の体験価値向上を実現しております。 (3)売買DXインベスト事業 当事業は、当社が行うリノベーション販売事業と、子会社の株式会社ヴェリタス・インベストメントが手掛ける新築投資用デザイナーズマンションの開発・販売事業で構成されております。当社は、多様なルートからの仕入れ力を活かし、都内・首都圏を中心とした住居用不動産に付加価値の高いリノベーションを施し販売する一方、株式会社ヴェリタス・インベストメントでは「立地」「デザイン」「設備仕様」にこだわった自社ブランドの新築投資用デザイナーズマンションの開発・販売を手掛けております。 また、株式会社アンビション・エージェンシー及び株式会社アンビション・バローは、それぞれが持つ専門性とネットワークを活かし、売買仲介事業を展開しております。これらの仲介事業の強化により、不動産取引における包括的なソリューション提供が可能となり、インベスト事業全体の収益基盤の多様化と強化を図っております。 さらに、不動産特定共同事業の許可に基づき、2022年より一口1万円から投資可能な不動産投資クラウドファンディングサービス『A funding』の運営も行っております。本サービスを通じて、より幅広い層の投資家に不動産投資の機会を提供しております。 (4)その他事業 不動産DX事業(システム開発の海外子会社含む)、少額短期保険事業、ライフライン事業及びインキュベーション事業を総じて、その他事業としております。 不動産DX事業では、賃貸管理の次世代管理システム「AMBITION Cloud」を海外子会社であるAMBITION VIETNAM CO.,LTDなどで開発し、社内のDX化に優先的に取り組んでおります。賃貸DX事業におけるDX化は、IT重説と当社独自の電子サイン「AMBITION Sign」(ブロックチェーン技術を活用)との連携により、電子契約のパッケージ化を実現しております。また、入居者アプリ「AMBITION Me」は、入居・更新・退去に至るまでの様々なサービスを提供しており、オンライン診断、住まいのお役立ちサービス、生成AIを導入したFAQサービスを提供しております。 少額短期保険事業については、連結子会社である株式会社ホープ少額短期保険が、主に賃貸住宅入居者向けの家財保険商品を提供しております。 ライフライン事業については、電気・ガス提供会社の開設・切替の取り次ぎ、ウォーターサーバーなどの営業を、子会社の株式会社DRAFTにて行っております。 インキュベーション事業では、当社グループと親和性の高い事業を行うベンチャー企業への投資、資本業務提携、投資先企業の支援などを行っております。 これらの事業の系統図は次のとおりとなります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 「ALL ZERO PLAN」「SUPER ZERO PLAN」など多様な賃料プラン設定で顧客獲得を図る。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | ネットワーク 独立系サブリース業者として自社で賃貸仲介事業機能を持たない投資用不動産販売会社を取引先とする。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 成長投資 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:法的規制等の変更 / 事業環境の変化(景気変動、金利上昇等) / 情報管理・不正・訴訟リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 3 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
公開情報からは、特許、ブランド力、規制ライセンス等、明確な無形資産の存在を示す証拠は見当たらない。不動産賃貸仲介業という性質上、独自の技術やIPによる競争優位性は限定的と考えられる。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
賃貸物件の入居者にとっては、現在の物件から他の物件への移転に伴う手続きや、場合によっては敷金・礼金等の初期費用が発生する可能性がある。しかし、物件選択の自由度が高く、乗り換えコストは相対的に低いと考えられる。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
同社の事業モデルにおいて、ユーザー(入居者やオーナー)が増えることでサービスの価値が向上するようなネットワーク効果は確認できない。プラットフォームとしての規模の経済も限定的。
コスト優位★☆☆☆☆
不動産仲介業は一般的に仲介手数料が収益源であり、構造的なコスト優位性を築くことは難しい。IT化による業務効率化は進めている可能性があるが、競合他社も同様の取り組みを行っている可能性が高い。
規模の経済★☆☆☆☆
不動産賃貸仲介市場は多数のプレイヤーが存在する競争環境であり、同社が圧倒的なシェアや規模の経済を享受しているとは考えにくい。地域密着型や特定のサービスに特化した企業も多く、寡占化は進んでいない。
- 高入居率を維持するリーシング力独自の賃料プラン「ALL ZERO PLAN」や「SUPER ZERO PLAN」を提供することで、一般消費者の初期費用負担を軽減し、高い入居率を維持しています。これにより、不動産所有者に対してより高い保証家賃を設定できるため、サブリース事業の収益性を高める競争優位性となっています。
- DXによる業務効率化と顧客体験向上不動産賃貸管理業務をDXする『AMBITION Cloud』を導入し、業務効率化と生産性向上を実現しています。また、AI×RPAツール『ラクテック』による賃貸仲介業務の効率化や、ブロックチェーン技術を活用した電子サイン『AMBITION Sign』による非対面契約など、先端技術を積極的に活用し、顧客の利便性と体験価値を高めています。
- 多様な事業展開とシナジー効果賃貸管理、賃貸仲介、不動産売買・開発、ベンチャー投資、少額短期保険、ZEH・ライフライン事業など多角的な事業を展開しています。特に、賃貸DX事業とZEH・ライフライン事業は、管理物件の入居者や賃貸仲介顧客へのサービス提供を通じてシナジー効果を生み出し、収益基盤の安定化と強化に貢献しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)企業理念 「住まい」の未来を創造するという「大志」を抱いて、出会った人全てに「夢」を提供できる「リアルカンパニー」を目指します。「夢を目標に!目標を現実に!」 (2)経営方針 当社グループは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、業界に先駆けて不動産デジタルプラットフォームを構築することで、不動産業界のリーディングカンパニーへと進化してまいります。グループ全体でAIを積極的に活用し、業務効率化と顧客満足度向上を図ります。あわせて、従来の売上規模の拡大を重視した経営から、「利益の質の向上」および「株主還元の拡充」を重視した経営へと軸足を移行しております。首都圏を中心とした稼働率の高い賃貸管理によるストック基盤とDXの活用による生産性向上・固定費抑制を組み合わせることで高い利益率とROEを実現するとともに、これをDOEに基づく安定的な株主還元及び事業成長への再投資に振り向けることで、厳格な資本規律のもと企業価値の持続的な向上を図ってまいります。 (3)経営環境 当社グループの主力事業エリアである首都圏は、不動産への堅調な需要を背景に地価は上昇傾向を維持し、賃貸市場においても東京23区を中心に募集賃料の上昇が続くなど、不動産市況は総じて堅調に推移いたしました。 一方で、新設住宅着工戸数は建築基準法改正に伴う反動減や建築確認手続の長期化等を背景に減少し、建築資材費・労務費の高騰も継続しているほか、金融政策の正常化に伴う金利動向が不動産取引に及ぼす影響にも留意が必要な状況となっております。 (4)対処すべき課題① 主力事業の基盤拡大と収益性の追求 当社グループの成長を支える賃貸DXプロパティマネジメント事業及び売買DXインベスト事業について、規模の拡大と収益性の向上を同時に追求してまいります。イ.管理戸数の拡大と高入居率の維持 管理受託の拡大とサブリース戸数の積上げを進めるとともに、グループの賃貸仲介機能を活かしたリーシング力により、高い入居率を維持します。あわせて、一人当たり管理戸数の向上と原価管理の徹底により、規模の拡大が収益性の向上に直結する事業構造を確立します。ロ.保有資産の回転と資産効率の向上 好立地の物件に対象を絞った仕入れを継続するとともに、保有する販売用不動産の売却を着実に進めることにより、在庫回転を高め、資産効率の回復を図ります。 ② DX戦略の深化による「不動産デジタルプラットフォーム」の確立 DXを競争優位性確立のための中核戦略と位置づけ、生成AIの活用を加えて、取り組みを一層深化させてまいります。イ.DXソリューションの統合プラットフォーム化 これまで自社開発してきた複数のDXソリューション群を、データが双方向でシームレスに連携する「統合されたエコシステム」へと昇華させます。これにより、全てのステークホルダーに優れた体験価値を提供し、模倣困難な競争優位性を確立します。ロ.データドリブン経営への転換 開発から管理、仲介に至る不動産のライフサイクル全般で蓄積した独自の不動産ビッグデータを生成AIを含む高度な分析技術により戦略的に活用します。定型業務の自動化と意思決定の高度化を通じて、グループ全体の生産性を引き上げます。 ③ 新たな収益源の確立と事業エコシステムの拡張 既存事業の成長に加え、新たな収益の柱を確立し、非連続的な成長を目指します。イ.入居者接点を起点とした顧客生涯価値(LTV)の最大化 入居者アプリ『AMBITION Me』を基点として、入居・更新・退去に至るまでのサービスを拡充し、一戸当たりから得られる収益の多様化を図ります。少額短期保険事業については、先行投資の段階から早期に収益化の段階へ移行させ、グループ収益への貢献を実現します。ライフライン事業については、新たな経営体制のもとで、採算性を重視した事業構造への再構築を進め、収益基盤の立て直しを図ります。ロ.DXソリューションの外部提供及びM&A・アライアンスの推進 社内での有効性が実証されたDXソリューションについては、不動産業界の共通課題を解決するサービスとして、外部への提供の可能性を検討します。あわせて、当社グループと親和性の高い事業を対象としたM&A及びアライアンスを推進し、事業エコシステムを拡張します。 ④ 成長を支える財務基盤の構築と株主還元の充実 事業の拡大と財務の健全性を両立させ、資本コストを意識した経営を進めてまいります。イ.財務基盤の強化金融環境の変化を踏まえ、資金調達手段の多様化と金利変動リスクへの対応を進めます。また、利益の着実な積上げによる自己資本の拡充と資産効率の改善を通じて、成長投資を継続的に実行できる財務基盤を構築します。ロ.株主還元の充実株主の皆様への利益還元を経営上の重要な施策の一つと位置づけ、継続的かつ安定的な配当を基本方針として、財務基盤の強化との均衡に配慮しつつ、還元の充実に努めます。 ⑤ 持続的成長を支える経営基盤の強化 挑戦的な成長戦略を支えるため、人材とガバナンスを中心とした経営基盤の強化に努めます。イ.人材の確保・育成事業規模の拡大に対応した専門人材の採用と、次世代のリーダーの計画的な育成を進めます。また、一人ひとりの成長を正当に評価し、挑戦を奨励する文化を醸成することで従業員エンゲージメントを高め、人材の定着を図ります。ロ.ガバナンス・コンプライアンス体制の高度化 事業の拡大と多様化に対応し、すべてのステークホルダーの皆様からの信頼の礎となる、強固でスケーラブルなガバナンス・コンプライアンス体制を構築し続けます。法令遵守を徹底し、企業の社会的責任を果たしながら、成長に伴うリスクを適切に管理してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)企業理念 「住まい」の未来を創造するという「大志」を抱いて、出会った人全てに「夢」を提供できる「リアルカンパニー」を目指します。「夢を目標に!目標を現実に!」 (2)経営方針 当社グループは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、業界に先駆けて不動産デジタルプラットフォームを構築することで、不動産業界のリーディングカンパニーへと進化してまいります。グループ全体でAIを積極的に活用し、業務効率化と顧客満足度向上を図ります。あわせて、従来の売上規模の拡大を重視した経営から、「利益の質の向上」および「株主還元の拡充」を重視した経営へと軸足を移行しております。首都圏を中心とした稼働率の高い賃貸管理によるストック基盤とDXの活用による生産性向上・固定費抑制を組み合わせることで高い利益率とROEを実現するとともに、これをDOEに基づく安定的な株主還元及び事業成長への再投資に振り向けることで、厳格な資本規律のもと企業価値の持続的な向上を図ってまいります。 (3)経営環境 当社グループの主力事業エリアである首都圏は、不動産への堅調な需要を背景に地価は上昇傾向を維持し、賃貸市場においても東京23区を中心に募集賃料の上昇が続くなど、不動産市況は総じて堅調に推移いたしました。 一方で、新設住宅着工戸数は建築基準法改正に伴う反動減や建築確認手続の長期化等を背景に減少し、建築資材費・労務費の高騰も継続しているほか、金融政策の正常化に伴う金利動向が不動産取引に及ぼす影響にも留意が必要な状況となっております。 (4)対処すべき課題① 主力事業の基盤拡大と収益性の追求 当社グループの成長を支える賃貸DXプロパティマネジメント事業及び売買DXインベスト事業について、規模の拡大と収益性の向上を同時に追求してまいります。イ.管理戸数の拡大と高入居率の維持 管理受託の拡大とサブリース戸数の積上げを進めるとともに、グループの賃貸仲介機能を活かしたリーシング力により、高い入居率を維持します。あわせて、一人当たり管理戸数の向上と原価管理の徹底により、規模の拡大が収益性の向上に直結する事業構造を確立します。ロ.保有資産の回転と資産効率の向上 好立地の物件に対象を絞った仕入れを継続するとともに、保有する販売用不動産の売却を着実に進めることにより、在庫回転を高め、資産効率の回復を図ります。 ② DX戦略の深化による「不動産デジタルプラットフォーム」の確立 DXを競争優位性確立のための中核戦略と位置づけ、生成AIの活用を加えて、取り組みを一層深化させてまいります。イ.DXソリューションの統合プラットフォーム化 これまで自社開発してきた複数のDXソリューション群を、データが双方向でシームレスに連携する「統合されたエコシステム」へと昇華させます。これにより、全てのステークホルダーに優れた体験価値を提供し、模倣困難な競争優位性を確立します。ロ.データドリブン経営への転換 開発から管理、仲介に至る不動産のライフサイクル全般で蓄積した独自の不動産ビッグデータを生成AIを含む高度な分析技術により戦略的に活用します。定型業務の自動化と意思決定の高度化を通じて、グループ全体の生産性を引き上げます。 ③ 新たな収益源の確立と事業エコシステムの拡張 既存事業の成長に加え、新たな収益の柱を確立し、非連続的な成長を目指します。イ.入居者接点を起点とした顧客生涯価値(LTV)の最大化 入居者アプリ『AMBITION Me』を基点として、入居・更新・退去に至るまでのサービスを拡充し、一戸当たりから得られる収益の多様化を図ります。少額短期保険事業については、先行投資の段階から早期に収益化の段階へ移行させ、グループ収益への貢献を実現します。ライフライン事業については、新たな経営体制のもとで、採算性を重視した事業構造への再構築を進め、収益基盤の立て直しを図ります。ロ.DXソリューションの外部提供及びM&A・アライアンスの推進 社内での有効性が実証されたDXソリューションについては、不動産業界の共通課題を解決するサービスとして、外部への提供の可能性を検討します。あわせて、当社グループと親和性の高い事業を対象としたM&A及びアライアンスを推進し、事業エコシステムを拡張します。 ④ 成長を支える財務基盤の構築と株主還元の充実 事業の拡大と財務の健全性を両立させ、資本コストを意識した経営を進めてまいります。イ.財務基盤の強化金融環境の変化を踏まえ、資金調達手段の多様化と金利変動リスクへの対応を進めます。また、利益の着実な積上げによる自己資本の拡充と資産効率の改善を通じて、成長投資を継続的に実行できる財務基盤を構築します。ロ.株主還元の充実株主の皆様への利益還元を経営上の重要な施策の一つと位置づけ、継続的かつ安定的な配当を基本方針として、財務基盤の強化との均衡に配慮しつつ、還元の充実に努めます。 ⑤ 持続的成長を支える経営基盤の強化 挑戦的な成長戦略を支えるため、人材とガバナンスを中心とした経営基盤の強化に努めます。イ.人材の確保・育成事業規模の拡大に対応した専門人材の採用と、次世代のリーダーの計画的な育成を進めます。また、一人ひとりの成長を正当に評価し、挑戦を奨励する文化を醸成することで従業員エンゲージメントを高め、人材の定着を図ります。ロ.ガバナンス・コンプライアンス体制の高度化 事業の拡大と多様化に対応し、すべてのステークホルダーの皆様からの信頼の礎となる、強固でスケーラブルなガバナンス・コンプライアンス体制を構築し続けます。法令遵守を徹底し、企業の社会的責任を果たしながら、成長に伴うリスクを適切に管理してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。 ① 経営成績の状況 当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果に支えられ、緩やかな回復基調で推移いたしました。個人消費は物価上昇の影響を受けつつも持ち直しの動きがみられ、設備投資も持ち直すなど、内需を中心に底堅く推移いたしました。一方で、当連結会計年度の後半にかけては、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の上昇や、消費者物価の上昇の継続を背景に消費者マインドに弱さが残ったほか、日本銀行による政策金利の引き上げなど、金融環境にも変化がみられました。先行きにつきましては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるものの、中東情勢の影響に加え、金融資本市場の変動、米国の通商政策をめぐる動向、物価上昇の継続による消費者マインドへの影響などを引き続き注視する必要があります。 当社グループが属する不動産業界におきましては、大都市圏を中心とした不動産への堅調な需要が継続し、地価は上昇傾向を維持いたしました。2026年の地価公示では、全用途平均が全国で5年連続の上昇となり、東京圏では上昇幅が拡大しております。賃貸市場においても、東京23区を中心に募集賃料の上昇が続き、賃貸住宅に対する需要は底堅く推移いたしました。一方で、新設住宅着工戸数は、建築基準法改正に伴う反動減や建築確認手続の長期化等を背景に減少し、建築資材費・労務費の高騰も継続しているほか、金利の上昇が不動産取引に及ぼす影響にも留意が必要な状況となっております。 このような事業環境の中、当社グループはDXによって不動産ビジネスを変革し、デジタルとリアルを融合した不動産デジタルプラットフォーマーになるための取り組みを行っております。2014年9月に上場して以来、売上高は約8倍、営業利益は約22倍と大きく成長いたしました。 当連結会計年度において、主力の賃貸DXプロパティマネジメント事業は、管理戸数の増加を進めると同時に、次世代管理システム『AMBITION Cloud』により、管理受託や退去されるお部屋の物件募集までの生産性が向上したことに加え、人材投資が奏功し、リーシング力が向上した結果、入居率は98.4%と高水準で推移しております。売買DXインベスト事業は、子会社である株式会社ヴェリタス・インベストメントにおいて自社開発物件の販売を進めるとともに、当社インベスト部においては引き続き中古物件の仕入れ及び販売に注力いたしました。仕入れは予定通り順調に推移したものの、販売用不動産の売却時期が計画対比で後ろ倒しとなりました。その他事業に属する不動産DX事業は、主に入居者DXアプリ『AMBITION Me』の開発を進め、入居者の満足度とエンゲージメントの向上、LTV(顧客生涯価値)の実現に取り組んでおります。また、積極的なM&Aやアライアンスの推進も検討しております。 その結果、当連結会計年度の売上高は54,131,222千円(前期比3.4%増、1,758,898千円増)、営業利益は4,124,996千円(前期比4.5%増、178,577千円増)、経常利益は3,508,440千円(前期比0.5%減、16,290千円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,045,532千円(前期比13.0%減、305,060千円減)となりました。 なお、連結子会社である株式会社DRAFTにつきましては、販路拡大に向けた人材採用等の先行投資がかさみ営業損失を計上いたしました。当初想定した収益計画の達成が見込みがたい状況となり、事業の再構築を図る必要が生じたと判断したことから、同社に係るのれんの未償却残高の全額について減損損失238,340千円を特別損失に計上しております。また、同社に係る繰延税金資産の回収可能性を見直し、28,517千円を取り崩しております。 また、当連結会計年度より、重要性が低下したため、インキュベーション事業をその他事業に区分変更しております。 セグメントの業績は次の通りであります。 (賃貸DXプロパティマネジメント事業) 当事業は、主に住居用不動産の転貸借(サブリース)を行う当社グループ主力の事業で、管理戸数の増加及び高入居率の維持を基本方針としております。不動産賃貸管理に関わるあらゆる業務をDXする『AMBITION Cloud』により、業務効率化と生産性向上を実現しております。 当連結会計年度末におきましては、管理戸数については28,427戸(前期比1,073戸増)、サブリース管理戸数については16,437戸(前期比816戸増)と順調に増加いたしました。当連結会計年度末時点の入居率は98.4%(前期末は98.3%)となりました。 その結果、売上高は23,656,199千円(前期比9.3%増、2,006,203千円増)、セグメント利益(営業利益)は3,169,708千円(前期比31.4%増、758,306千円増)となりました。 (賃貸DX賃貸仲介事業) 当事業は、当社の管理物件を中心に賃貸物件の仲介事業を行っております。子会社のアンビション・エージェンシー(『ルームピア』を運営)、及び同アンビション・バロー(『バロー』を運営)にて、都内6店舗、神奈川県8店舗、埼玉県2店舗及び福岡県1店舗の計17店舗を展開しております。当事業のリーシング力の高さが主力のプロパティマネジメント事業における高入居率の維持に貢献しております。 当連結会計年度におきましては、AI×RPAツール『ラクテック』の活用により、引き続き入力業務の人員抑制・反響数のアップに取り組んでおります。また、法人営業の強化や広告戦略の強化によるWEB集客、リモート接客・VR内見などの集客施策に加え、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用した当社独自の電子サイン『AMBITION Sign』による電子契約パッケージなどの非対面サービスの強化により、お部屋探しにおける顧客の体験価値向上を実現しております。 その結果、売上高は1,083,158千円(前期比6.2%増、62,937千円増)、セグメント利益(営業利益)は78,903千円(前期比44.2%増、24,194千円増)となりました。 (売買DXインベスト事業) 当事業は、「立地」「デザイン」「設備仕様」にこだわった自社開発の新築投資用デザイナーズマンション販売を中心に展開する子会社ヴェリタス・インベストメント(以下、ヴェリタス)と、多様なルートからの物件仕入れ力により、立地を重視した分譲マンションのリノベーション販売を中心に展開する当社インベスト部で行っております。また当事業は、都内、首都圏を中心にした付加価値の高い物件の仕入れが、高単価物件の販売ならびに一件当たりの高い粗利益へとつながっております。 当連結会計年度におきましては、販売用不動産の売却時期が計画対比で後ろ倒しとなりました。この結果、当連結会計年度の売却戸数はヴェリタス226戸(前期比65戸減)となり、当社インベスト部は41戸(前期比28戸減)となりました。 その結果、売上高は27,916,460千円(前期比0.5%減、145,303千円減)、セグメント利益(営業利益)は3,629,566千円(前期比5.3%減、204,317千円減)となりました。 (その他事業) 不動産DX事業(システム開発の海外子会社を含む)、少額短期保険事業、ライフライン事業及びインキュベーション事業を総じて、その他事業としております。 不動産DX事業では、賃貸管理の次世代管理システム『AMBITION Cloud』を海外子会社のAMBITION VIETNAMなどで開発し、社内のDX化に優先的に取り組んでおります。賃貸DX事業におけるDX化は、IT重説と当社独自の電子サイン『AMBITION Sign』(ブロックチェーン技術を活用)との連携により、電子契約のパッケージ化を実現しております。また、入居者DXアプリ『AMBITION Me』は、入居・更新・退去に至るまでの様々なサービスを提供しており、オンライン診療、住まいのお役立ちサービス、生成AIを導入したFAQサービス等を提供しております。 少額短期保険事業では、子会社である株式会社ホープ少額短期保険において順調に新規契約を獲得するとともに、申込みから支払いまでペーパーレスで完結できる当社子会社開発システム『MONOLITH(モノリス)』によって、当社グループのDX推進の一端を担っております。 ライフライン事業では、電気・ガス提供会社の開設・切替の取り次ぎ、ウォーターサーバーなどの営業を、子会社の株式会社DRAFTにて行っております。当連結会計年度におきましては、販路拡大に向けた先行投資がかさんだことにより、営業損失を計上いたしました。同社につきましては、事業の再構築を図る必要が生じたことから、経営体制を見直したうえで、当該再構築に取り組んでおります。 インキュベーション事業では、当社グループと親和性の高い事業を行うベンチャー企業への投資、資本業務提携、投資先企業の支援などを子会社アンビション・ベンチャーズが行っております。当連結会計年度におきましては、新たに2社への投資及び2社の売却を実行し、当連結会計年度末時点における出資社数は32社となっております。 その結果、売上高は1,475,402千円(前期比10.1%減、164,939千円減)、セグメント損失(営業損失)は147,253千円(前期は12,375千円のセグメント利益)となりました。これは主に、ライフライン事業における先行投資の影響によるものであります。 ② 財政状態の状況(資産の部) 当連結会計年度末の総資産は45,860,691千円となり、前連結会計年度末に比べ6,552,429千円増加いたしました。これは主に、販売用不動産が6,871,311千円、現金及び預金が1,018,044千円、建物及び構築物が218,953千円増加し、仕掛販売用不動産が1,056,928千円、土地が443,254千円、のれんが320,930千円減少したことによるものであります。 (負債の部) 当連結会計年度末の負債合計は36,090,114千円となり、前連結会計年度末に比べ5,144,762千円増加いたしました。これは主に、短期借入金が2,750,800千円、1年内返済予定の長期借入金が1,603,675千円、長期借入金が464,410千円増加し、未払消費税等が178,559千円、賞与引当金が51,267千円減少したことによるものであります。 (純資産の部) 当連結会計年度末の純資産合計は、9,770,576千円となり、前連結会計年度末に比べ1,407,667千円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が1,298,026千円増加したことによるものであります。 ③ キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて1,000,006千円増加し、9,502,274千円となりました。 各活動区分別のキャッシュ・フローの状況及び主な要因は以下のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、540,687千円の収入(前連結会計年度は16,418千円の収入)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益3,313,026千円の計上、仕掛販売用不動産の減少による収入1,056,928千円、販売用不動産の増加による支出3,382,868千円があったこと等によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、3,682,325千円の支出(前連結会計年度は5,664,661千円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出3,494,223千円があったこと等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、4,140,107千円の収入(前連結会計年度は8,963,732千円の収入)となりました。これは主として、長期借入れによる収入10,669,700千円、短期借入金の純増額2,750,800千円、長期借入金の返済による支出8,633,569千円があったこと等によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績(生産実績) 当社グループが行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。 (受注実績) 当社グループが行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、受注実績に関する記載を省略しております。 (販売実績) 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(千円)(自 2025年7月1日至 2026年6月30日)前期比(%)賃貸DXプロパティマネジメント事業23,656,1999.3賃貸DX賃貸仲介事業1,083,1586.2売買DXインベスト事業27,916,460△0.5報告セグメント計52,655,8193.8その他1,475,402△10.1合計54,131,2223.4(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な取引先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合につきましては、すべての取引先の当該割合が100分の10未満のため記載しておりません。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積りを必要とする箇所があります。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内でかつ合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。 当社グループの連結財務諸表を作成するに当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりでありますが、特に以下の会計方針は当社グループの連結財務諸表作成においては重要であると考えております。 (棚卸資産の評価) 当社グループは、棚卸資産の評価に関する会計基準に従い、収益性の低下により正味売却価額が帳簿価額を下回っている販売用不動産及び仕掛販売用不動産の帳簿価額を、正味売却価額まで切り下げる会計処理を適用しております。会計処理の適用に当たっては、個別法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しております。具体的には、正味売却価額が販売用不動産等の帳簿価額を下回った場合には、正味売却価額をもって連結貸借対照表価額としております。 見積りの算出に用いた重要な仮定は、正味売却価額の算定の基礎となる売価、見積追加製造原価及び見積販売直接経費であります。 当該重要な仮定は連結財務諸表作成時点における最善の見積りに基づき決定しておりますが、見積りと将来の結果が異なる可能性があります。すなわち、経済環境の悪化等に伴う賃料の低下及び空室率の上昇、想定外の追加コストが発生すること等による賃貸費用の悪化、市場金利の変動に伴う割引率の上昇、住宅販売市況の悪化に伴う販売価格の低下等により、正味売却価額の算定に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (のれんの評価) 当社グループは、戦略的施策の一環として、買収・出資等を実施しており、これらの企業結合取引により生じた対象会社の超過収益力を、のれんとして計上しております。のれんの減損の兆候の把握、減損損失の認識の判定及び測定は、対象会社ごとに行っております。減損の兆候があると識別された対象会社について、残存償却期間に対応した対象会社から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額とのれんの帳簿価額とを比較し、前者が後者を下回る場合には、のれんの減損損失を認識します。 割引前将来キャッシュ・フローの算定は、その性質上、判断を伴うものであり、多くの場合、重要な見積り・仮定を使用します。当該割引前将来キャッシュ・フローの見積りに使用される仮定は、主として、資産グループにおける将来の事業計画に基づいております。 見積りの算出に用いた仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件及び経営環境の変化等がのれんの評価に不利な影響を与える可能性があります。不利な影響を受けた結果、将来の事業計画を見直し、割引前将来キャッシュ・フローが変動した場合、翌年度の連結財務諸表において、減損損失の認識の判定及び認識が必要な際の減損損失の測定に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(売上高) 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1,758,898千円増加し54,131,222千円(前期比3.4%増加)となりました。 主力事業である賃貸DXプロパティマネジメント事業では、管理戸数が安定して増加したこと及び高入居率をキープしたことにより、売上高は前期と比べ2,006,203千円増加し23,656,199千円となり、想定を上回る業績推移となっております。賃貸DX賃貸仲介事業では、法人営業の強化や広告戦略の強化によるWEB集客が好調だったことに加え、リモート接客・VR内見・電子契約など非対面サービスの強化などの集客効果が奏功した等により、売上高は前期と比べ62,937千円増加し1,083,158千円となり、増収となっております。売買DXインベスト事業では、計画通りに販売等が進捗したことにより、売上高は前期と比べ145,303千円減少し27,916,460千円となり、引き続き好調をキープしております。その他事業では蓄電池販売やライフラインサービスの提供などが好調に推移したことによる不動産関連事業の売上高の増加及び少額短期保険の契約件数増加等により、売上高は前期と比べ164,939千円減少し1,475,402千円となっております。 (営業利益) 当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ178,577千円増加し、4,124,996千円(前期比4.5%増加)となり、売上高営業利益率は7.6%(前期は7.5%)となりました。 主な要因は、主力事業である賃貸DXプロパティマネジメント事業では、管理戸数の増加、募集コストの減少により、前連結会計年度に比べ758,306千円増加し3,169,708千円となり、大幅増益となりました。賃貸DX賃貸仲介事業では、営業人員及びDX施策のための投資、広告宣伝費の増加等がありましたが、法人部門やDX効果による集客増加効果による売上高の増加がコスト増分を吸収し、前連結会計年度に比べ24,194千円増加し78,903千円となり、増益となりました。売買DXインベスト事業では、1戸当たりの売買価格の増加による利益の増加、内装工事を内製化したことによるコストの減少等により、前連結会計年度に比べ204,317千円減少し3,629,566千円となり、増益となりました。その他事業では、ZAH・ライフライン事業が軌道に乗り始めたこと、少額短期保険事業の新規契約数の増加及び不動産DX事業の先行投資の影響等により、前連結会計年度に比べ159,629千円減少し、147,253千円の営業損失となっております。 (経常利益) 当連結会計年度の営業外収益は、雑収入11,583千円、投資事業組合運用益5,906千円等を計上したことにより、36,281千円となり、営業外費用は、支払利息564,129千円、支払手数料76,315千円等を計上したことにより、652,837千円となりました。 以上の結果、営業利益に営業外収益・営業外費用を加減算した経常利益は3,508,440千円(前期比0.5%減少)となり、売上高経常利益率は6.5%(前期は6.7%)となりました。 (親会社株主に帰属する当期純利益) 当連結会計年度の特別損失は、のれんの減損損失238,340千円等の計上により、238,464千円となりました。税金費用は前期と比べ17.8%増加し1,261,655千円となりました。 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,045,532千円(前期比13.0%減少)となりました。 (経営成績に重要な影響を与える要因について) 当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境に由来するリスク、事業内容に由来するリスク等様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。 これらの経営成績に重要な影響を与えるリスクに対応するため、組織体制のさらなる強化等を行ってまいります。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループの主な資金需要は、販売用不動産の開発・購入資金及び運転資金等であります。これらの資金需要につきましては、金融機関からの借入による資金調達のほか、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金にて対応していくこととしております。販売用不動産の売却によって得られた資金については、販売用不動産の開発・購入した際の借入の返済へ優先的に充当し、それ以外の資金については、その都度、総合的に勘案して、手許資金や成長投資等へ充当しております。 キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
事業リスク
- 法的規制と事業環境の変化不動産事業は様々な法規制の適用を受けており、これらの法令改正や新たな制定があった場合、事業構造の変更や対応費用の発生により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、景気変動や金利上昇、人口減少などの事業環境の変化は、不動産需要の低下や市況悪化、賃料減少に繋がり、収益を圧迫するリスクがあります。
- 情報管理と不正行為のリスク顧客の個人情報や企業の機密情報を多数保有しており、外部からの不正侵入や内部不正による情報漏洩が発生した場合、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、損害賠償などにより、業績に重大な影響を与える可能性があります。また、事業拡大に伴う役職員数の増加により、贈収賄や横領などの不正行為が発生し、内部管理体制が追いつかないリスクも存在します。
- 特定の人物への依存と人材確保創業者の清水剛社長が経営方針や事業推進において極めて重要な役割を担っており、不測の事態により同氏の業務執行が困難になった場合、業績や今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。また、持続的な成長には優秀な人材の確保と育成が不可欠ですが、競争の激しい人材市場において、求める人材の確保が困難になったり、既存社員の離職率が高まったりするリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当該有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、記載の順序はリスクの重要度又は発生可能性の順位を示すものではありません。 (1)法的規制等について 当社グループは事業の遂行にあたり、宅地建物取引業法、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律、保険業法、建設業法、特定商取引法、個人情報の保護に関する法律、労働関係法令、電気通信事業法等、多岐にわたる法規制の適用を受けております。これらの法令に基づく免許・登録の取消しまたは業務停止等の行政処分を受けた場合には、当該事業の継続が困難となる可能性があります。 また、これらの法令・規制の改正または新たな制定が行われた場合、当社グループにおける事業構造や資金調達方法を変更せざるを得ない、またはこれらの制定や変更に対応するための費用が発生する可能性があります。近時においては、2026年4月1日施行の建物の区分所有等に関する法律及びマンションの管理の適正化の推進に関する法律等の改正(集会決議の多数決要件の緩和、老朽化したマンションの再生手続の整備)、同日施行の不動産登記法の改正(住所等の変更登記の義務化)、2026年6月施行予定の改正保険業法(保険業者の管理態勢の強化)、および人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律の施行等が、当社グループの各事業において具体的な対応コストの発生要因となっております。このような法規制の変更等によって、当社グループの事業、財政状態および経営成績等は悪影響を受ける可能性があります。 当社グループは、国内外の各種法令・規制の動向について、各種業界団体・専門家等からの情報を収集・分析し、影響の度合いや内容に応じて適切に対応してまいります。また、コンプライアンス委員会によるグループ横断的な法令遵守状況のモニタリングを継続してまいります。 (2)宅地建物取引業免許に係るリスク 当社グループの中核事業は国土交通大臣免許に基づく宅地建物取引業であり、宅地建物取引業法に違反する行為が発生した場合、業務停止命令または免許取消等の行政処分が科される可能性があります。当該処分を受けた場合には、当社グループの事業全体に重大な支障を来すおそれがあります。 また、生成AI技術の業務活用が急速に進展するなか、AIが生成した重要事項説明の内容に事実と異なる情報が含まれた場合、宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項説明義務の違反に直結しうる点を、当社グループとして特に留意すべき新たなリスク経路として認識しております。当社グループは、AIが生成した内容に係る人的確認プロセスの整備および生成AIの活用に関する社内ルール・利用ガイドラインの整備を進めるとともに、宅地建物取引士資格の取得推進を通じてリスクの低減を図っております。 (3)事業環境の変化によるリスク(金利・市況・建設コスト)景気変動、国内外の経済状況の変化、金利上昇、為替変動、物価変動、少子高齢化・人口減少、産業構造の変化等は、不動産需要の低下、市況の悪化による地価等の下落、個人消費の低迷等をもたらす可能性があります。こうした事業環境の変化に伴い、当社グループの業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 特に、日本銀行は2025年12月に政策金利を0.75%程度へ引き上げ、長期金利も上昇基調で推移しております。金融政策の正常化が継続した場合、①有利子負債に係る資金調達コストの増大、②住宅購入者の購買意欲の減退、③不動産投資家の要求利回りの上昇による保有資産価値の下落という経路を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼすリスクがあります。また、建設資材価格および労務費は高い水準で推移しており、公共工事設計労務単価が2026年3月の改定において前年比4.5%引き上げられるなど、開発採算を継続的に圧迫しております。さらに、価格の高騰による購買力の低下を背景として、不動産市況がピークアウトするリスクが高まっております。当社グループでは、市況変化の動向を継続的にモニタリングするとともに、事業計画の策定においてストレスシナリオを複数設定し、柔軟な対応を図ってまいります。 (4)有利子負債・財務流動性リスク 当社グループは、販売用不動産の取得資金のほか、M&A及びDX投資に係る資金の一部を、主として金融機関からの借入金によって調達しております。物件の仕入れ、M&A及びDX投資を継続的に推進していることから、有利子負債の残高は増加傾向にあり、自己資本比率は相対的に低い水準で推移しております。また、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額はマイナスで推移しており、借入による資金調達を前提とした事業構造となっております。なお、有利子負債の残高、自己資本比率及びキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。 当社グループの借入金には変動金利によるものが含まれており、今後さらに金利水準が上昇した場合には、支払利息が増加し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、市況の悪化や業績の下振れが重なった場合には、借入の継続またはリファイナンスが困難となる可能性があるほか、一部の借入金に付されている財務制限条項に抵触し、期限の利益を喪失する可能性も排除できません。当社グループは、借入ポートフォリオにおける固定金利比率の引上げを進めるとともに、取締役会および財務担当役員による財務モニタリング体制の強化に取り組んでまいります。 (5)販売用不動産(在庫)リスク 当社グループの売買DXインベスト事業においては、仕入れた不動産を販売用不動産(棚卸資産)として保有しております。仕入れの拡大に伴い販売用不動産の残高は増加しており、総資産に占める割合も高い水準にあります。なお、棚卸資産の残高につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。 当社グループが主として取り扱う東京23区を中心とした投資用不動産の市況が急激に悪化した場合、在庫の値下がりによって損失が発生するリスクがあります。具体的には、個別の物件ごとに正味売却価額が帳簿価額を下回った場合、収益性の低下による簿価の切下げ(評価損)を計上することとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、特定の国または地域の投資家の購買意欲が地政学リスクや為替の変動等により低下した場合、成約率が低下し、在庫の長期滞留につながるリスクがあります。当社グループでは、在庫物件の賃貸転換の可能性の検討、在庫回転期間のモニタリング、販売先の特定の国または地域への依存度の管理、新規案件の仕入れにおける市況感応度分析の実施により、在庫リスクの管理に取り組んでおります。 (6)サブリース・プロパティマネジメント事業のリスク 当社グループの賃貸DXプロパティマネジメント事業は、不動産オーナーから物件を借り上げて入居者に転貸するサブリース方式を中心としており、管理戸数は継続的に増加しております。当該方式においては、対象不動産の空室の状況にかかわらず契約した賃料をオーナーに支払うため、保証賃料の査定が結果的に不適切なものとなった場合や、国内景気の悪化・不動産市況の悪化により入居率が著しく低下した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの入居率は高い水準を維持しておりますが、この水準が将来にわたって持続するかどうかには不確実性が伴います。また、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律に基づく法令遵守の徹底と継続的な対応コストが必要であり、規模の拡大に伴い管理負荷が増大しております。当社グループは、グループのリーシング力を活かした高い入居率の維持と、AMBITION Cloudによる業務効率化を通じて、競争力の高いプロパティマネジメントサービスを提供してまいります。 (7)売買DXインベスト事業のリスク 当社グループの売買DXインベスト事業は、東京23区を中心とした新築デザイナーズマンションの開発・分譲および中古の住居用不動産の買取再販を行っており、不動産市況の変動、金利上昇による購買意欲の低下、建築費の高騰等が業績に直接影響するリスクがあります。また、物件の引渡時期が特定の時期に集中しやすい事業構造であることから、四半期ごとの業績変動が大きく、収益の予見性が相対的に低い点にも留意が必要であります。 さらに、2025年12月に閣議決定された令和8年度税制改正の大綱において、相続または贈与の前5年以内に取得または新築された一定の貸付用不動産について、通常の取引価額に相当する金額により評価する見直しが示されており、2027年1月1日以後の相続または贈与から適用される予定であります。これにより、相続税の負担軽減を目的とした投資用不動産の需要が制度変更の前後で急変するリスクがあります。当社グループは、市況感応度分析を投資判断に組み込むとともに、税負担の軽減のみを目的としない実需・エンドユーザー向け商品の展開を進めてまいります。 (8)少額短期保険事業のリスク 当社グループの子会社であるホープ少額短期保険株式会社は、保険業法の規制の下において、主として賃貸住宅の入居者向けの家財保険商品を提供しております。2026年6月施行予定の改正保険業法による管理態勢・ガバナンス要件の強化への対応コストが発生する見込みであるほか、保険業法その他の関連法規に違反する行為が発生した場合には、行政処分等が科される可能性があります。 また、自然災害の発生等により保険金の支払が増大した場合には、同社の収支に影響を及ぼす可能性があります。同社が当社グループの連結売上高に占める割合は限定的であり、現時点においてグループ全体の事業継続性および財務の安定性に対する影響は限定的であると認識しておりますが、事業規模の拡大に伴い当該影響が増大する可能性があります。当社グループは、再保険の活用による最大損害額の適切な管理と、保険料収支の定期的なモニタリングにより、当該事業の健全性の維持に努めてまいります。(9)DX・AI・テクノロジーリスク 当社グループの競争優位の源泉のひとつは、自社で開発した次世代管理システム「AMBITION Cloud」をはじめとするDXプロダクトにあります。これらのシステムの開発が遅延もしくは中断した場合、または技術的な問題が発生した場合には、グループ全体の効率化戦略に支障をきたす可能性があります。また、生成AI技術の急速な進展に伴い不動産テック分野への投資が拡大するなか、既存のDXプロダクトが競合他社の新技術によって急速に陳腐化するリスクがあります。 2025年7月に子会社化した株式会社LiVrAは生成AI技術を活用した事業を展開しておりますが、AI市場は競争が極めて激しく技術の変化が急速であることから、ビジネスモデルが陳腐化するリスクが高い点に留意が必要であります。当社グループは、AMBITION CloudへのAI機能の継続的な統合・強化を進めるとともに、AI市場および技術動向のモニタリングを行ってまいります。 (10)サイバーセキュリティ・情報漏洩リスク 当社グループは、不動産業および保険業を営むにあたり、入居者・オーナー・購入者・被保険者に係る大量の個人情報を保有しており、サイバー攻撃や情報漏洩が発生した場合には、社会的信用の失墜、事業の停止および法的な賠償責任の発生等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。近年、企業を標的としたランサムウェアによる被害が増加しており、当社グループにおいても重要なリスクとして認識しております。 当社グループにおいては、2026年8月6日、当社ネットワーク内のファイルサーバーにおいて第三者による不正アクセスを確認いたしました。同日以降、外部ネットワークの遮断および対象サーバーの隔離を実施するとともに、緊急対策本部を設置し、外部専門機関の協力を得て調査を進めております。その後の調査により、一部の情報資産について情報の漏洩を確認しており、漏洩した情報には、お客様、賃貸管理物件のオーナー様、入居者様、お取引先様および当社グループ役職員の氏名、住所、電話番号、メールアドレス等の個人情報が含まれる可能性があります。本書提出日現在、対象となる方および件数の特定には至っておらず、調査を継続しております。なお、本事案については警察に相談するとともに、個人情報の保護に関する法律第26条第1項に基づき個人情報保護委員会に報告しております。また、安全性を確認した新たなネットワーク環境への切替えを行い、業務で使用する各システムの復旧を完了しております。 本事案に関しては、調査費用およびシステムの再構築に係る費用等が発生する見込みであります。加えて、対象となる方への対応、損害賠償請求、行政上の措置、社会的信用の低下による営業機会の減少等が生じた場合には、翌連結会計年度以降の当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現時点において、これらの影響額を合理的に見積もることは困難であります。 特に、基幹システムであるAMBITION Cloudがランサムウェア攻撃を受けた場合には、複数の事業が同時に停止するリスクがあります。また、生成AIを活用した高度なフィッシング攻撃や攻撃コードの自動生成により攻撃の精巧化が進んでおり、取引先・投資先企業を経由したサプライチェーン攻撃も増加しております。当社グループは、EDR(エンドポイントにおける検知・対応)の導入推進、多要素認証の全社的な適用強化、インシデント対応手順の整備と定期的な訓練の実施、取引先および子会社のセキュリティ基準の向上、システムの冗長化・バックアップ体制の強化等の対策を継続的に進めてまいります。なお、本事案を踏まえ、ログの保全および監視体制の強化を含む再発防止策を検討し、順次実施してまいります。 (11)個人情報保護・データガバナンスリスク 個人情報保護委員会は、2026年1月にいわゆる三年ごと見直しに係る制度改正の方針を公表しております。主な改正項目は、①課徴金制度の新設、②同意規律の見直し、③Cookie ID等の特定の情報に対する規制の強化、④委託先の管理の厳格化等であり、施行は2027年から2028年頃が想定されております。課徴金制度が導入された場合には、法令違反が生じた際の財務的な影響が従来よりも大きくなる可能性があります。また、Cookie ID・連絡先情報に対する規制の強化は、賃貸仲介事業におけるWeb集客施策にも実務的な制約をもたらす可能性があります。 当社グループは、個人情報の保護に関する法律の改正の動向を継続的にモニタリングするとともに、個人情報に係る社内規程の整備・更新、同意取得フローおよびCookieの管理の見直しに向けた対応計画の策定、外部専門家との連携によるコンプライアンス体制の強化、個人情報管理規程のグループ統一的な整備に取り組んでまいります。 (12)特定人物への依存について 当社グループの経営方針・事業戦略の決定において、創業者である代表取締役社長清水剛の役割は極めて大きく、同氏の経営手腕、判断力および対外的な信用力に大きく依存しております。また、同氏は当社の主要株主でもあります。不測の事態により同氏の業務執行が困難となった場合、当社グループの業績および事業展開に重大な影響が生じる可能性があります。当社グループは、任意の指名・報酬委員会を設置し後継者の育成に向けた取り組みを進めるとともに、経営管理の標準化と権限委譲を段階的に推進し、経営の継続性とガバナンスの強化に取り組んでまいります。 (13)人材の確保・育成・定着について 不動産、IT、DXおよびAI等の各分野における有能な人材の確保・育成・定着は、当社グループの競争優位の維持に不可欠であります。当社グループの従業員数は事業の拡大に伴い増加しております。最低賃金の継続的な上昇および不動産・IT人材市場における競争の激化により、採用・処遇に係るコストが増大するリスクがあります。また、M&Aによる子会社の増加に伴い、グループ内の人材管理および企業文化の統合の難易度も上昇しており、買収後の統合作業の遅延が各子会社の収益貢献時期のずれ込みにつながる可能性があります。当社グループは、競争力のある処遇水準の維持と、業務の自動化・DXツールの活用による生産性の向上に継続的に取り組んでまいります。 (14)M&A及び買収後の統合に関するリスク 当社グループは、株式会社DRAFT(2023年4月子会社化)、株式会社フレンドワークス(2024年2月子会社化)、株式会社LiVrA(2025年7月子会社化)など、継続的なM&Aを実施しております。M&Aに伴うのれんおよび無形資産の評価、子会社間のシナジー創出の遅延または失敗、企業文化の統合の困難さ、買収後の統合に要するコストの増大等が、潜在的なリスクとなります。 これらのM&Aに伴い当社グループはのれんを計上しており、取得した会社の事業計画が当初の見込みを下回った場合には、のれんまたは無形資産の減損損失を計上する可能性があります。特にLiVrAは、生成AI市場という急速に変化する競争環境に属しており、取得時に見込んだシナジーが当初の計画どおりに実現しない可能性があります。当社グループは、M&A後の統合プロセスを取締役会において継続的にモニタリングするとともに、のれんの償却および減損の兆候の把握を適時適切に実施してまいります。 (15)自然災害・首都圏への集中・事業継続に関するリスク 当社グループの事業拠点および取扱物件は東京23区を中心とする首都圏に高度に集中しており、当該地域における大規模地震(内閣府の推計によれば、首都直下地震の30年以内の発生確率は70%程度とされております)、その他の自然災害またはテロ等の発生は、当社グループの業績に深刻な影響をもたらすリスクがあります。 大規模な自然災害が発生した場合には、販売用不動産の損壊・価値の毀損、基幹システムAMBITION Cloudの停止、管理物件の大規模な被害によるプロパティマネジメント収益の急減が重なり、有利子負債の返済に支障が生じる可能性があります。当社グループは、事業継続計画(BCP)の継続的な見直し、クラウドシステムの冗長化・バックアップ体制の強化、事業拠点の分散を段階的に進めてまいります。 (16)地政学リスク 国際的な武力紛争、中東情勢の緊迫化、主要国間の通商政策の変更等の地政学的な事象は、当社グループの事業に対して間接的な影響を与える可能性があります。為替相場が円高に転換した場合には、海外投資家による日本の不動産取得の妙味が低下し、売買DXインベスト事業の成約率が低下するリスクがあります。また、原油および原材料価格の高止まりが建設コストに波及する経路も、継続的なリスクとして認識しております。当社グループは、地政学的な事象の動向を継続的にモニタリングするとともに、販売先の特定の国または地域への依存度の管理に取り組んでまいります。 (17)競合他社の動向・市場構造の変化に関するリスク 大手の仲介・管理会社による多店舗展開と賃貸物件の自社への取り込みが進んでおり、当社グループが取り扱う賃貸物件の確保が困難になる可能性があります。また、生成AIを活用した仲介プラットフォームの普及により、従来の仲介手数料に依存した収益モデルが構造的な代替圧力にさらされるリスクがあります。当社グループは、DX戦略の継続的な深化と自社管理物件の優先的な提供による差別化、AIツールを活用した業務効率化と顧客体験価値の向上を通じて、競争優位性の維持・強化に取り組んでまいります。