有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)企業理念、行動指針、必達当社グループでは、創業者である高橋 義博が1968年に制定した社是<必達>を経営方針の中心に据えて経営に取り組んで参りました。職場の目に付くところに掲示し、社是<必達>に込められた精神、考え方を常に確認すると同時に、従業員への浸透を図ることを行ってきました。社是<必達>の精神は、現在においても何らその価値を失っていないものと考えますが、既存の仕事、製品を軸に、役職員個々人の心構えや行動に重点を置いた内容としているため、近年の社会環境、経済環境が変化していく中で、社内外の人との関連性、新しい技術革新、製品開発への一層の目配り、社会の中における当社との連環という視点で、不十分さを感じるような状況になってきました。そのため、2015年12月開催の当社取締役会において、社是<必達>の考え方に加える形で、新たに<企業理念>、<行動指針>を規定し、経営方針を一層充実したものといたしました。これは、すべての経済原則や経営理論は「人」の行動原理に基づくものであるとの理解に立ち、まずは社内外を問わず全ての「人」に興味を持つべきであるとし、技術革新や商品開発など新しいことへの取り組みが、人や企業の活性化につながるという点を改めて確認し、一方、未来に目を向けると、人も企業も他者との連環(関連)の中で生き抜いていかざるをえないことを再認識した上で、社会に必要とされ、社会の発展に資する姿勢を打ち出していくべきとしたものであります。比較的平易な表現とすることで、若手従業員から経営トップに至るまで、<必達>と合わせて、浸透を図ることを企図したものであります。これらを踏まえ、当社グループは以下の<企業理念>、<行動指針>、<必達>の社是の下、事業活動を行うに当たって人財の付加価値を一層高めることに努め、全てのステークホルダーを尊重し連携を図りながら、地球環境保全などサステナブル社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。 <企業理念>・人に興味を持とう・新しいことに興味を持とう・未来に興味を持とう <行動指針>人間は面白い。その面白い人間が作っているのが企業であり、また顧客である。全ての経済原則、経営理論は、人の行動原理に基本がある。人に興味を持とう。新しいことはワクワクする。技術革新や商品開発は顧客や市場を開拓すると同時に、人間も活性化する。新しいことに興味を持とう。未来を考えることは楽しい。未来は子供たちのものだ。未来を考えれば、人も企業も自分だけでは生きて行けないことが分かる。顧客の発展が無ければ、当社は富んでも長続きしない。更に、社会に生かされなければ、人も企業も存続し得ない。未来に興味を持とう。 一方、当社には1968年に制定した、社是「必達」が存在します。上記の企業理念と共に、歴史ある社是「必達」を、誇りを持って遵守しています。 <必達>私たちはカラーエイジを担う大日精化の社員として<必達>の社是のもとに誇りを持って仕事をすすめよう1.仕事は必ず目標を立てこれを必達しよう1.正しい製品知識を身につけ製品普及のチャンスを積極的に求めよう1.仕事を通じ製品を通じて会社の信用を更に高めよう1.社会人として常に教養を高め反省を深める機会を持とう1.仕事を通じて社会に貢献し大日精化を最高の企業体としよう(2)経営理念創業者 高橋 義博の「自分の生活が好きな色彩によって包まれたいと思うのが私たちの念願」との遺志を引き継ぎ、世界中の「もっと便利に、もっと安全に、もっと自由に彩りたい」という願いをかなえることを使命として、当社グループは企業理念や社是<必達>のもとに、企業としての持続的成長と価値向上を目指した「CSR・ESG基本方針」を、そしてこれを補完するために近年の社会的課題である地球環境、ガバナンス、人権尊重、情報管理、品質管理、安全衛生、人財育成、健康経営などに関する各種方針を制定し、役職員がこれらを徹底することで、全てのステークホルダーの課題に寄り添い、彩りと特性を持った素材をさまざまな分野に提供し、実現しております。また、2023年10月には社内公募により、新ブランドメッセージ「彩りの、その先へ(今日の未知は未来への道)」を決定し、コア技術である①有機無機合成・顔料処理技術、②分散加工技術、③樹脂合成技術を更に深化させ、「色彩のその先の可能性」を追求して「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニー」を目指しております。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、2024年6月に公表した2025年3月期を初年度とする3か年中期経営計画「明日への変革 2027」(以下、「本中期経営計画」といいます。)において、前中期経営計画を引き継ぎ、ROE(自己資本利益率)9%、ROA(総資産経常利益率)5%とすることを長期の経営目標として、またその過程として本中期経営計画の最終年度である2027年3月期の目標として、ROE5%以上(2025年5月に4.6%から修正)、ROA4.3%を掲げております。初年度である2025年3月期は、ROE8.4%、ROA4.0%、2年目である2026年3月期は、ROE6.1%、ROA4.2%の結果となりました。これは、2025年3月期においては、埼玉県川口市に所有していた当社旧川口製造事業所跡地の売却に伴う固定資産売却益77億6千1百万円を、2026年3月期においては、政策保有株式の売却により投資有価証券売却益28億1千2百万円をそれぞれ特別利益に計上したことが主要因です。また、コロナ禍後の原材料高騰に対して当初は価格改定に苦戦していましたが、ここ数年で回収が進んだことが、業績面で好転している要因です。 (4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等当社グループの置かれている経営環境については、以下のとおりと認識しております。 ①お客様の国内外の事業展開に寄り添い、収益性、効率性をご提案するために、当社では国内外の拠点の強みを活かし、国内、海外の一方に偏することなくバランスのよい業務展開をするべきであることが重要な課題であると認識しております。②当社グループの持続的な成長のためには、ESGへの取組みがあらゆる事業活動の基本理念であり、E(環境配慮)、S(社会貢献)の実現のための研究・開発が果たす役割が、特に重要であると認識しております。このため社会全体の持続性、安全性、収益性、効率性、採算性などの側面から十分に検証の上で、前述の「(2)経営理念」に記載の「3つのコア技術」を更に深化させること、新たな技術を取り入れることに、人財と設備、資金を投入していく必要があるものと認識しております。③ステークホルダーの皆様から信頼され常に選ばれる企業であり続けるためには、上記②で述べたように、長期的・持続的な成長とともに、製品や事業活動を通して地球規模の環境や社会問題へ取り組む企業姿勢と、意思決定の透明性、公正性を確保できるガバナンス体制の下で、従業員一人ひとりの思いが企業風土として醸成されることが企業価値の向上においても大きな影響を与えるものと再認識した上で、全社を挙げてE(環境配慮)、S(社会貢献)、G(企業統治)の側面から能動的に活動を促進することが必要と理解しております。また、2025年6月27日に開催いたしました第122期定時株主総会において、株主の皆様のご承認を得て、「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」へ移行しております。これは、委員の過半数が社外取締役で構成される監査等委員会が、取締役の業務執行の適法性、妥当性の監査・監督を担うことでより透明性の高い経営を実現し、国内外のステークホルダーの期待により的確に応えうる体制の構築を目指したものであります。④今後さらに、デジタル技術及びデータ分析の活用が当社グループの競争力の源泉のひとつとして重要性を増し、経営目標を達成するための重要な手段になると認識しております。当社は基幹システムを2018年10月に刷新し、さらなる活用のための周辺システムの整備も着々と進めてきておりますが、より高度化していく外部環境からの要請事項に対し、これまで以上に、適時かつ的確に対応していくことが必要であると認識しております。また、データ駆動型ビジネスへ転換し、効率的で確実性の高い戦略、独創性のある製品開発を強力に推進することが不可欠であり、そのためにも有効なデータ、優秀な人財と、柔軟で素早い意思決定が重要であると認識しており、これらへの取り組みを加速させるため、2024年11月にはグループウエアの刷新を行うことで、AIを日々の業務において活用できるようにしております。社内情報の共有化や組織を超えた連携など、DXを支える基盤になることを確信しております。⑤当社グループの掲げる長期目標の達成には、人的資本及び知的財産への投資と活用によるイノベーションの創出が不可欠であると認識し、企業にとって財産である「人財」の育成と活気溢れる企業風土の醸成は重要な経営課題のひとつと考え、従業員のモチベーションとエンゲージメント向上を目指したHR戦略を推し進めます。また別途定める「人財育成方針」「社内環境整備方針」に沿って、企業と人財が互いに高め合っていくビジョンを共有し、持続可能な成長に向けて地道にかつ着実に、相互に磨き上げていくことにより、当社グループの成長と人財の成長との間に好循環を生み出すことができるものと確信しております。本件については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本投資・人財育成及び人財の多様性の活用」にて詳細を記載しております。 これらを踏まえ、2024年6月に公表しております本中期経営計画を引き続き重点的に進めております。 a.技術主導による競争優位性の確保当社グループでは、保有する技術を、技術マネジメント手法を用いて再評価し、社会的なニーズ(ESG)への貢献を最優先課題として、オープンイノベーション、セグメント間のシナジー、知財戦略などを組み合わせ、3つのコア技術(1 有機無機合成・顔料処理技術、2 分散加工技術、3 樹脂合成技術)を深化させた技術開発に取り組んでおります。本中期経営計画においても、これらコア技術は重要な基盤として、市場規模・収益性・成長性を評価し、新規発展分野として(a) IT・エレクトロニクス 機能性材料、(b) ライフサイエンス・パーソナルケアの2つを、継続発展分野において環境配慮型製品へのより一層のシフトをテーマとする(c) モビリティ、(d) 環境配慮型パッケージングを開発の中心に据え、人財と設備と資金とを積極的に投入することを行い、技術主導による競争優位性の確保を目的とした体制の構築を進めております。その体制構築の一環として、2025年4月1日より、技術機構の組織を、保有技術ごとの縦割り体制から開発ステージごとの組織体制に刷新し、お客様と対面で開発を進めている事業機構の技術部門を一部取り込んでおります。加えて、従来から取り組んできたオープンイノベーションなどにより技術開発・製品開発力を強化することで、技術主導により事業創出できる体制を構築してきております。これらの取り組みにより、10年後のありたい姿である「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニー」を目指し、製品の差別化、品質向上により社会貢献度を高め、同時に収益性の確保を図ることとしております。本中期経営計画では、技術主導による新規開発製品の売上高を2027年3月期までに2024年3月期比26億円増加させることを目標に掲げて取り組んでおります。新規開発製品が売上に寄与するまでには一定程度の時間が必要となることから、本中期経営計画の2年目を終了した2026年3月末時点では、売上高は12億円の増加となりました。個々の開発テーマの進捗については概ね順調に進んでおります。また、採用内定案件も多数あり、引き続き目標達成に向け新規開発製品の早期売上寄与を目指してまいります。本中期経営計画の2年目を終了した2026年3月末時点における状況は、以下のとおりと認識しております。(a) IT・エレクトロニクス 機能性材料二次電池用部材、導電性部材、熱マネジメント部材、機能性ポリマー、高付加価値顔料・分散体などの製品分野において、電池部材や半導体周辺部材、精密電子機器部材、ディスプレイ用部材などで複数アイテムが実績化及び採用内定であることに加えて、多数の新規テーマを獲得することができました。引き続き複数の大学やメーカーとのオープンイノベーションにより、新たな技術シーズ創出を進めてまいります。これらと並行して完成した技術シーズを積極的に発信し、社会ニーズに対応すべく応用開発を進め、生産設備を整備し、売上高への早期寄与を図ってまいります。(b) ライフサイエンス・パーソナルケア天然物由来化粧品原材料においては、アップサイクル原料を用いた菌糸パルプ分散液の開発を進め、基本処方を確立しユーザーワークを開始しました。また、甲殻アレルゲンフリーのキトサン誘導体に関しては、原材料安定調達の面よりキノコ由来を中止、黒麴菌由来に変更して製品設計を行い、お客様の評価を仰いでおります。生分解性微粒子においては、生産プロセスの見直しとともに市場ニーズの高い高機能性ビーズの開発に注力しております。(c) モビリティ軽量・高強度樹脂コンパウンドにおいては、リサイクル素材の使いこなしに加え、天然物由来フィラーの微分散技術を確立しました。今後は展示会などで外部発信し、積極的に市場開拓を進めてまいります。ウレタン・アクリル・シリコーンポリマーでは、海外の厳しい法規制に対応する製品設計を完了しました。海外での量産体制を整備し、拡販に繋げてまいります。加飾フィルムでは、高分子合成技術と分散加工技術を駆使し、事業機構の技術部門との融合による新たな開発を進めてまいります。(d) 環境配慮型パッケージング水性フレキソインキでは完全水性品の特徴を活かし、海外の市場ニーズにも対応しつつ、新たに水性フレキソラミネート用インキ剤の開発に注力しております。今後も市場ニーズを探りつつ、開発、販売の鋭意強化に努めてまいります。ガスバリアコート材・環境配慮型接着剤では、キーマテリアルのパイロットプラントの稼働を開始し、市場への本格投入に繋げていきます。また、消耗品パッケージングではないインフラ向け高耐久インキで新規採用を得ることができ、新たな展開に踏み出すことができました。 b.事業基盤の強化のための海外事業の拡大当社グループの収益、成長の源泉は、国内・海外双方に存在し、GDP高伸長国での事業展開などバランスよく事業育成をしていく必要があるとの認識の基に事業を展開してまいりました。本中期経営計画では、海外事業の売上高を2027年3月期までに2024年3月期比36億円増加させることを目標に掲げて取り組んでおります。本中期経営計画の2年目を終了した2026年3月末時点では、売上高は2億円の増加(為替影響除く)となりました。東南アジアや中国における日系車、北米では欧米車の販売不振や中国の景気低迷の影響を受け、低調に推移しました。引き続き、「地産地消」の推進と海外拠点の拡充及び新規ビジネスの創出を軸に、積極的な業務の展開に注力してまいります。本中期経営計画の2年目を終了した2026年3月末時点における状況は、以下のとおりと認識しております。(a) カラー&ファンクショナル プロダクト高機能着色剤、機能製品の拡販に注力し、ケーブル用途などでアジアを中心に実績化に繋げることができました。情報電子分野のIJ分散液では、前期から継続して顧客開拓を行った結果、北米等で新規採用を獲得しました。コンパウンドでは、電装部品用途でタイで増設したラインが順調に稼働し販売に寄与しました。しかしながら、コンパウンド全体としては、東南アジアや中国におけるOA機器向けや日系車の販売不振に加え中国の景気低迷の影響を受け、低調に推移しました。今後も、高機能着色剤・機能製品ではアジアを中心とした拡販、情報電子分野では欧米の新規顧客開拓、コンパウンドでは高付加価値案件の獲得に引き続き注力していきます。(b) ポリマー&コーティング マテリアル北米では、車両メーカーの販売不振によりシート用表面処理剤が低調に推移しました。今後の車両メーカーの増産に備えるため、サステナビリティ貢献製品である水性表面処理剤の現地生産移管を計画通り進めると同時に、同製品の拡販に向けて注力していきます。また、中国では、好調に推移していたスポーツアパレル向けの透湿性ウレタン樹脂が欧州の業界自主規制のため減少しました。インドでは、接着剤事業の進展を図ることができました。今後も用途に合わせた商品開発とともに更なる拡販を進めていきます。(c) グラフィック&プリンティング マテリアルインドネシア現地法人では、期前半において海外メーカー参入による失注がありましたが、各種合理化施策の実行や従来から続けてきたタイムリーな製品の技術改良・開発により、期後半からは商権を奪還しました。今後も伸長する市場の中で付加価値を拡大させるため、インドネシア現地法人の隣地の土地取得を行っており、能力増強投資や技術力強化などの対応策を検討しております。また、アジア向けでは環境規制対応製品の販売にも注力していきます。c.サステナブル社会の実現に向けたESG重視の経営推進当社グループでは、サステナブルな社会の実現と中長期的な企業価値向上のため、ESG経営を本中期経営計画の戦略のひとつに掲げております。サプライチェーンパートナーとのあらたな価値の共創を目指して原材料調達段階から製品の廃棄に至るライフサイクル全体において、「(a) サステナビリティ貢献製品開発・拡販」、「(b) 気候変動への取り組み」、「(c) 資源循環促進」、「(d) 生物多様性への取り組み」、「(e) 社会貢献の一層の促進」、「(f) コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み」、「(g) 人的資本投資・人財育成」を推進しております。また、これら重要な経営課題におけるさまざまな外部環境、内部環境の変化に対して、リスクと機会に効率よく対処できるように統合型リスクマネジメント(ERM)を運用しております。本中期経営計画では、「d.HR戦略」と「e.DX推進」を戦略に追加し、10年後のありたい姿である「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニーになる」の実現に向け、当社グループ一丸となって価値共創に邁進してまいります。(a) サステナビリティ貢献製品開発・拡販当社グループでは、環境負荷低減に貢献できる環境配慮型製品に加え、人々の暮らしを豊かにする製品を含めたサステナビリティ貢献製品の拡販により、サステナブル社会の実現を推進しております。本中期経営計画では、サステナビリティ貢献製品の売上高を2027年3月期までに2024年3月期比30億円増加させることを目標に掲げて取り組んでおります。本中期経営計画の2年目を終了した2026年3月末時点では、自動車の内装向けウレタン樹脂表面処理剤や建材向けコーティング剤が低調に推移しましたが、情報電子材関連が好調に推移した結果、サステナビリティ貢献製品の売上高は、2024年3月期比で19億円増となりました。(b) 気候変動への取り組み当社グループでは、気候変動は地球規模で取組むべき喫緊の課題と捉えており、リスクと機会の両面から積極的に課題解決に取り組んでおります。日本政府が掲げる2050年カーボンニュートラルに貢献するために、事業活動に伴い発生する当社グループ全体のCO2排出量の削減について、最新の国際的な目標(※)に沿って2020年3月期を基準年度とし、2027年3月期までに31%削減、2031年3月期までに48%削減する中長期目標を立て、継続的な省エネルギー対策と再生可能エネルギーの導入を進めております。※Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC)の第6次報告の1.5℃シナリオ本中期経営計画の2年目を終了した2026年3月末時点では、国内生産拠点を中心に、再生可能エネルギーの導入、熱利用設備の効率改善、生産工程の高効率化などのCO2排出量削減対策を実施しました。その結果、当社グループ全体のCO2排出量(Scope1&2)は、2026年3月期に2020年3月期比で54%削減となり、中長期目標達成に向けて順調に推移しております(Scope2はGHGプロトコル・マーケット基準にて算定)。また、当社製品を通じて世の中のCO2排出量(Scope3)も削減できるようにTCFDの枠組みに沿って当社グループの気候変動に関するリスクと収益機会を管理し、企業価値向上に貢献してまいります。詳細は「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への取り組み TCFD提言に沿った情報開示」を参照ください。(c) 資源循環促進(サーキュラーエコノミー)当社グループでは、資源循環型社会への移行を成長の機会と捉え、プラスチック資源のライフサイクルの最適化に注力しております。特に世界的に関心の高まっているプラスチック資源の循環に関して、化石由来資源の枯渇防止と廃棄の際の環境負荷低減といった環境リスクの低減と収益機会の創出を目指し、当社グループでは、原材料のバイオマス化及び廃プラスチックの排出量抑制・リサイクル促進を進めております。当社グループでは、使用済みプラスチックは廃棄物ではなく資源であるという考え方に基づき、廃プラスチックのリサイクル率を前中期経営計画期間中3か年平均値から毎年1ポイント向上させることを本中期経営計画の目標に掲げて全社的に取り組んでおります。本中期経営計画の2年目を終了した2026年3月末時点では、8ポイント改善を達成しており、引き続き原材料のバイオマス化及び廃プラスチックの排出量抑制・リサイクル促進を目指し、生産工程から生じるロスを削減するための工程管理の強化と廃プラスチックの分別強化をグローバルに展開してまいります。(d) 生物多様性への取り組み化学物質を扱う当社グループは、事業活動のみならず製品のライフサイクル全般において生態系に与えるさまざまな影響をリスクと機会の両面から把握し、生態系への負荷を最小限に抑える義務があると認識しております。2024年3月期にはこの考え方に加え、当社技術を活かして「生物多様性の保全と持続可能な利用」に貢献する価値の創出に努めることが重要であると認識し、それまでの「環境負荷低減」というマテリアリティを「生物多様性の保全」に改訂いたしました。この課題解決に向けて、有機溶剤などの使用時に生じる大気汚染や水質汚染等の環境負荷軽減に向けた自らの管理活動と当社グループの製品使用段階で生じる環境負荷軽減に貢献する製品開発の両輪でTNFDの枠組みに沿って推進してまいります。また、当社グループが現在加盟しているCLOMAをはじめとするイニシアティブへの参加や事業所の近隣地域コミュニティーとの協働作業にも積極的に参加し、生物多様性の保全に努めてまいります。詳細は「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)生物多様性の保全に関する取り組み及び考え方」を参照ください。(e) 社会貢献の一層の促進お客様とのかかわりにおいては、お客様の信頼と期待に応えられるように適切な化学物質管理(新管理システムの導入、リスクアセスメントの徹底など)、品質保証(ISO9001による全社的なQMS活動実施、内部監査実施)、ビジネスパートナーとの共存・共栄を目指したパートナーシップ構築宣言の社内展開、責任ある原材料調達(CSR調達基準によるサプライヤー調査)、サステナブルな物流業務の展開(輸送ロットアップ、在庫拠点集約など)に取り組んでおります。また、お客様から積極的に選ばれるサプライヤーになるために、お客様からいただくサプライヤー調査には誠実に回答すると同時に自らの取り組みを反省する機会と捉え、お客様との対話の機会には積極的に参加させていただいております。このお客様との対話を通じて、当社グループの取り組みを見直す動きが盛んになり、当社内の制度の認識が深まり、見直しにもつながっております。従業員とのかかわりにおいては、ワークライフバランスの充実、女性、外国人、中途採用者の一層の活躍などの点から、人事制度の充実を図っております。また、サステナブルな成長を実現させるためには従業員の心身の健康維持・増進と多様な人財が働きやすい職場環境・企業風土づくりが重要であるという考えから、 2023年に健康経営宣言を行い、2026年3月も引き続き健康経営優良法人2026(大規模法人部門)に認定されております。健康経営を積極的に推進し、従業員がポテンシャルを最大限発揮することで事業活動を通じて社会に貢献してまいります。地域社会とのかかわりにおいては、生産拠点の近隣に対する安全・安心を最優先に、防災活動に加え、生物多様性の保全の一環として近隣の生態系に一層の配慮を行い、環境負荷の低減と自然環境の保全に努めてまいります。これらの諸施策は着実に、継続的に実施することにより効果を得られるものであるため、今後も注力して対応してまいります。(f) コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み単に法令遵守、ルール遵守に留まるだけでは実質的なガバナンスの向上につながらないとの認識から、コンプライアンスの徹底のために経営層からのメッセージの発信・従業員からのフィードバックを継続的に実施しております。経営層からのトップダウンと実行部門からのボトムアップを活性化させた双方向コミュニケーションを充実させ、経営戦略を社員一人ひとりが「自分ゴト」として捉えて行動できるように社内環境を整備しております。また、2025年6月27日開催の第122期定時株主総会での株主の皆様のご承認により、「監査等委員会設置会社」へ移行したことにより、委員の過半数が社外取締役で構成される監査等委員会が、取締役の業務執行の適法性、妥当性の監査・監督を担っており、より透明性の高い経営を実現することで、国内外のステークホルダーの期待により的確に応えうる体制を運営しております。加えて、2026年1月21日開催の当社取締役会において、取締役会は経営戦略の決定や監督に専念し、執行役員はその戦略を実行する役割を担うことや経営の効率性を向上し、迅速な意思決定を可能にすることを目的とした新執行役員制度の導入を決議しております。さらには、当社が特に重要と考える業務執行分野に関して、責任と権限の範囲を一層明確にし、業務執行を確実に推進することを目的としたチーフ・オフィサー制度の導入を決議しており、これらにより、より一層のコーポレート・ガバナンスの強化を図ってまいります。(g) 人的資本投資・人財育成当社グループでは、新たな価値の創出には、新たな発想が必要であり、それには“人の力”が不可欠と考えております。“人の力”を引き出し、“人を育成する”ことで、人は価値を生み出す企業の財産であるとの認識から、当社グループでは「人材」ではなく「人財」と表現しております。本中期経営計画では、最優先に取り組む施策として、モノづくりメーカーの従業員としての“働き甲斐”、“誇り”、“仲間への貢献意欲”といったエンゲージメント向上を目指した「人事制度改革」を重点戦略のひとつに掲げ、ステークホルダーの皆様と価値共創に努めてまいります。詳細は「d.HR戦略」をご参照ください。 d.HR戦略上記のa.~c.の戦略を推し進めるために、従業員の将来のありたい姿の実現に向けて「イノベーションが湧き上がる活力に満ちた企業風土」を醸成させていくことが不可欠であるとの認識を前提に、モノづくり企業の従業員としてのエンゲージメント向上を目指したHR戦略を推し進めてまいりました。2026年3月期に実施したエンゲージメント調査では、本中期経営計画のエンゲージメントスコア目標値3ポイントアップに対して3.4ポイントアップとなり、本中期経営計画の2年目で目標値を超えることができました。これは、本中期経営計画の諸施策が従業員に浸透したことにより、「会社が変わっていくことに対する期待」として捉えられた結果であると考えます。その中には、2025年4月に導入した新人事制度や、2年間にわたり経営層と従業員との対話の機会を増やしてきたことなどがその要因として挙げられると考えております。今後は新人事制度を更に発展させ、従業員の働きがいとエンゲージメントを更に高めていく段階と捉え、成長を支える研修体系の再構築により従業員のキャリアアップを支援し、「頑張って成果を出した人が報われる」仕組みを充実させることが重要と考え、人事制度を更に深化させてまいります。 e.DX推進上記のa.~c.の戦略を推し進めるために、業務のデジタル化による効率化、データ蓄積・共有の基盤構築を進め、データ駆動型ビジネスへの転換を目指し、効率的で確実性の高い戦略、独創性のある製品開発を重点的に推進します。本中期経営計画の2年目を終了した2026年3月末時点の状況としては、従業員の7割が生成AIを日常的に活用しており、生成AI浸透の元年と言える成果を上げました。今後の施策として、マーケティング分野では、部門横断的に市場ニーズをデータベースとして蓄積し、市場ニーズと当社技術を結び付け新規案件を開拓します。技術開発分野では、使用する原材料や開発情報を横断的にデータベースとして蓄積し、これらを組み合わせ、MI(マテリアルズ・インフォマティクス)により開発期間の短縮を図ります。これらの施策を加速させるために、AIを業務プロセスそのものに組み込み、分析に利用するデータの蓄積を高速化します。生産活動においては、製造工程をリアルタイムに見える化し、生産計画と生産実績を高度に連動させることで、生産活動の効率化を促進していきます。また、必要なデータの蓄積を進め、経営における迅速かつ的確な意思決定を支える強力な基盤として活用していきます。これらの施策を確実にするために、デジタルリテラシー向上やAI活用の研修、データ分析のOJTなども効率的に行うことにより、一層のデジタル人財の基盤強化を図ることといたします。 併せて、本中期経営計画にて掲げている中長期の経営目標を達成するために、2026年5月15日開催の当社取締役会において、成長事業や新規・育成事業などの戦略製品へ更なる設備投資や人的資源の集中的投下が必要であると判断し、全社的な事業構造改革として「事業ポートフォリオの見直し」、「国内における生産・販売及び間接業務の効率化、事業所の再編等に関する施策」を実施することを決議しております。本事業構造改革の具体的な内容につきましては、2026年秋頃の公表を予定しております。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)企業理念、行動指針、必達当社グループでは、創業者である高橋 義博が1968年に制定した社是<必達>を経営方針の中心に据えて経営に取り組んで参りました。職場の目に付くところに掲示し、社是<必達>に込められた精神、考え方を常に確認すると同時に、従業員への浸透を図ることを行ってきました。社是<必達>の精神は、現在においても何らその価値を失っていないものと考えますが、既存の仕事、製品を軸に、役職員個々人の心構えや行動に重点を置いた内容としているため、近年の社会環境、経済環境が変化していく中で、社内外の人との関連性、新しい技術革新、製品開発への一層の目配り、社会の中における当社との連環という視点で、不十分さを感じるような状況になってきました。そのため、2015年12月開催の当社取締役会において、社是<必達>の考え方に加える形で、新たに<企業理念>、<行動指針>を規定し、経営方針を一層充実したものといたしました。これは、すべての経済原則や経営理論は「人」の行動原理に基づくものであるとの理解に立ち、まずは社内外を問わず全ての「人」に興味を持つべきであるとし、技術革新や商品開発など新しいことへの取り組みが、人や企業の活性化につながるという点を改めて確認し、一方、未来に目を向けると、人も企業も他者との連環(関連)の中で生き抜いていかざるをえないことを再認識した上で、社会に必要とされ、社会の発展に資する姿勢を打ち出していくべきとしたものであります。比較的平易な表現とすることで、若手従業員から経営トップに至るまで、<必達>と合わせて、浸透を図ることを企図したものであります。これらを踏まえ、当社グループは以下の<企業理念>、<行動指針>、<必達>の社是の下、事業活動を行うに当たって人財の付加価値を一層高めることに努め、全てのステークホルダーを尊重し連携を図りながら、地球環境保全などサステナブル社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。 <企業理念>・人に興味を持とう・新しいことに興味を持とう・未来に興味を持とう <行動指針>人間は面白い。その面白い人間が作っているのが企業であり、また顧客である。全ての経済原則、経営理論は、人の行動原理に基本がある。人に興味を持とう。新しいことはワクワクする。技術革新や商品開発は顧客や市場を開拓すると同時に、人間も活性化する。新しいことに興味を持とう。未来を考えることは楽しい。未来は子供たちのものだ。未来を考えれば、人も企業も自分だけでは生きて行けないことが分かる。顧客の発展が無ければ、当社は富んでも長続きしない。更に、社会に生かされなければ、人も企業も存続し得ない。未来に興味を持とう。 一方、当社には1968年に制定した、社是「必達」が存在します。上記の企業理念と共に、歴史ある社是「必達」を、誇りを持って遵守しています。 <必達>私たちはカラーエイジを担う大日精化の社員として<必達>の社是のもとに誇りを持って仕事をすすめよう1.仕事は必ず目標を立てこれを必達しよう1.正しい製品知識を身につけ製品普及のチャンスを積極的に求めよう1.仕事を通じ製品を通じて会社の信用を更に高めよう1.社会人として常に教養を高め反省を深める機会を持とう1.仕事を通じて社会に貢献し大日精化を最高の企業体としよう(2)経営理念創業者 高橋 義博の「自分の生活が好きな色彩によって包まれたいと思うのが私たちの念願」との遺志を引き継ぎ、世界中の「もっと便利に、もっと安全に、もっと自由に彩りたい」という願いをかなえることを使命として、当社グループは企業理念や社是<必達>のもとに、企業としての持続的成長と価値向上を目指した「CSR・ESG基本方針」を、そしてこれを補完するために近年の社会的課題である地球環境、ガバナンス、人権尊重、情報管理、品質管理、安全衛生、人財育成、健康経営などに関する各種方針を制定し、役職員がこれらを徹底することで、全てのステークホルダーの課題に寄り添い、彩りと特性を持った素材をさまざまな分野に提供し、実現しております。また、2023年10月には社内公募により、新ブランドメッセージ「彩りの、その先へ(今日の未知は未来への道)」を決定し、コア技術である①有機無機合成・顔料処理技術、②分散加工技術、③樹脂合成技術を更に深化させ、「色彩のその先の可能性」を追求して「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニー」を目指しております。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、2024年6月に公表した2025年3月期を初年度とする3か年中期経営計画「明日への変革 2027」(以下、「本中期経営計画」といいます。)において、前中期経営計画を引き継ぎ、ROE(自己資本利益率)9%、ROA(総資産経常利益率)5%とすることを長期の経営目標として、またその過程として本中期経営計画の最終年度である2027年3月期の目標として、ROE5%以上(2025年5月に4.6%から修正)、ROA4.3%を掲げております。初年度である2025年3月期は、ROE8.4%、ROA4.0%、2年目である2026年3月期は、ROE6.1%、ROA4.2%の結果となりました。これは、2025年3月期においては、埼玉県川口市に所有していた当社旧川口製造事業所跡地の売却に伴う固定資産売却益77億6千1百万円を、2026年3月期においては、政策保有株式の売却により投資有価証券売却益28億1千2百万円をそれぞれ特別利益に計上したことが主要因です。また、コロナ禍後の原材料高騰に対して当初は価格改定に苦戦していましたが、ここ数年で回収が進んだことが、業績面で好転している要因です。 (4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等当社グループの置かれている経営環境については、以下のとおりと認識しております。 ①お客様の国内外の事業展開に寄り添い、収益性、効率性をご提案するために、当社では国内外の拠点の強みを活かし、国内、海外の一方に偏することなくバランスのよい業務展開をするべきであることが重要な課題であると認識しております。②当社グループの持続的な成長のためには、ESGへの取組みがあらゆる事業活動の基本理念であり、E(環境配慮)、S(社会貢献)の実現のための研究・開発が果たす役割が、特に重要であると認識しております。このため社会全体の持続性、安全性、収益性、効率性、採算性などの側面から十分に検証の上で、前述の「(2)経営理念」に記載の「3つのコア技術」を更に深化させること、新たな技術を取り入れることに、人財と設備、資金を投入していく必要があるものと認識しております。③ステークホルダーの皆様から信頼され常に選ばれる企業であり続けるためには、上記②で述べたように、長期的・持続的な成長とともに、製品や事業活動を通して地球規模の環境や社会問題へ取り組む企業姿勢と、意思決定の透明性、公正性を確保できるガバナンス体制の下で、従業員一人ひとりの思いが企業風土として醸成されることが企業価値の向上においても大きな影響を与えるものと再認識した上で、全社を挙げてE(環境配慮)、S(社会貢献)、G(企業統治)の側面から能動的に活動を促進することが必要と理解しております。また、2025年6月27日に開催いたしました第122期定時株主総会において、株主の皆様のご承認を得て、「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」へ移行しております。これは、委員の過半数が社外取締役で構成される監査等委員会が、取締役の業務執行の適法性、妥当性の監査・監督を担うことでより透明性の高い経営を実現し、国内外のステークホルダーの期待により的確に応えうる体制の構築を目指したものであります。④今後さらに、デジタル技術及びデータ分析の活用が当社グループの競争力の源泉のひとつとして重要性を増し、経営目標を達成するための重要な手段になると認識しております。当社は基幹システムを2018年10月に刷新し、さらなる活用のための周辺システムの整備も着々と進めてきておりますが、より高度化していく外部環境からの要請事項に対し、これまで以上に、適時かつ的確に対応していくことが必要であると認識しております。また、データ駆動型ビジネスへ転換し、効率的で確実性の高い戦略、独創性のある製品開発を強力に推進することが不可欠であり、そのためにも有効なデータ、優秀な人財と、柔軟で素早い意思決定が重要であると認識しており、これらへの取り組みを加速させるため、2024年11月にはグループウエアの刷新を行うことで、AIを日々の業務において活用できるようにしております。社内情報の共有化や組織を超えた連携など、DXを支える基盤になることを確信しております。⑤当社グループの掲げる長期目標の達成には、人的資本及び知的財産への投資と活用によるイノベーションの創出が不可欠であると認識し、企業にとって財産である「人財」の育成と活気溢れる企業風土の醸成は重要な経営課題のひとつと考え、従業員のモチベーションとエンゲージメント向上を目指したHR戦略を推し進めます。また別途定める「人財育成方針」「社内環境整備方針」に沿って、企業と人財が互いに高め合っていくビジョンを共有し、持続可能な成長に向けて地道にかつ着実に、相互に磨き上げていくことにより、当社グループの成長と人財の成長との間に好循環を生み出すことができるものと確信しております。本件については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本投資・人財育成及び人財の多様性の活用」にて詳細を記載しております。 これらを踏まえ、2024年6月に公表しております本中期経営計画を引き続き重点的に進めております。 a.技術主導による競争優位性の確保当社グループでは、保有する技術を、技術マネジメント手法を用いて再評価し、社会的なニーズ(ESG)への貢献を最優先課題として、オープンイノベーション、セグメント間のシナジー、知財戦略などを組み合わせ、3つのコア技術(1 有機無機合成・顔料処理技術、2 分散加工技術、3 樹脂合成技術)を深化させた技術開発に取り組んでおります。本中期経営計画においても、これらコア技術は重要な基盤として、市場規模・収益性・成長性を評価し、新規発展分野として(a) IT・エレクトロニクス 機能性材料、(b) ライフサイエンス・パーソナルケアの2つを、継続発展分野において環境配慮型製品へのより一層のシフトをテーマとする(c) モビリティ、(d) 環境配慮型パッケージングを開発の中心に据え、人財と設備と資金とを積極的に投入することを行い、技術主導による競争優位性の確保を目的とした体制の構築を進めております。その体制構築の一環として、2025年4月1日より、技術機構の組織を、保有技術ごとの縦割り体制から開発ステージごとの組織体制に刷新し、お客様と対面で開発を進めている事業機構の技術部門を一部取り込んでおります。加えて、従来から取り組んできたオープンイノベーションなどにより技術開発・製品開発力を強化することで、技術主導により事業創出できる体制を構築してきております。これらの取り組みにより、10年後のありたい姿である「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニー」を目指し、製品の差別化、品質向上により社会貢献度を高め、同時に収益性の確保を図ることとしております。本中期経営計画では、技術主導による新規開発製品の売上高を2027年3月期までに2024年3月期比26億円増加させることを目標に掲げて取り組んでおります。新規開発製品が売上に寄与するまでには一定程度の時間が必要となることから、本中期経営計画の2年目を終了した2026年3月末時点では、売上高は12億円の増加となりました。個々の開発テーマの進捗については概ね順調に進んでおります。また、採用内定案件も多数あり、引き続き目標達成に向け新規開発製品の早期売上寄与を目指してまいります。本中期経営計画の2年目を終了した2026年3月末時点における状況は、以下のとおりと認識しております。(a) IT・エレクトロニクス 機能性材料二次電池用部材、導電性部材、熱マネジメント部材、機能性ポリマー、高付加価値顔料・分散体などの製品分野において、電池部材や半導体周辺部材、精密電子機器部材、ディスプレイ用部材などで複数アイテムが実績化及び採用内定であることに加えて、多数の新規テーマを獲得することができました。引き続き複数の大学やメーカーとのオープンイノベーションにより、新たな技術シーズ創出を進めてまいります。これらと並行して完成した技術シーズを積極的に発信し、社会ニーズに対応すべく応用開発を進め、生産設備を整備し、売上高への早期寄与を図ってまいります。(b) ライフサイエンス・パーソナルケア天然物由来化粧品原材料においては、アップサイクル原料を用いた菌糸パルプ分散液の開発を進め、基本処方を確立しユーザーワークを開始しました。また、甲殻アレルゲンフリーのキトサン誘導体に関しては、原材料安定調達の面よりキノコ由来を中止、黒麴菌由来に変更して製品設計を行い、お客様の評価を仰いでおります。生分解性微粒子においては、生産プロセスの見直しとともに市場ニーズの高い高機能性ビーズの開発に注力しております。(c) モビリティ軽量・高強度樹脂コンパウンドにおいては、リサイクル素材の使いこなしに加え、天然物由来フィラーの微分散技術を確立しました。今後は展示会などで外部発信し、積極的に市場開拓を進めてまいります。ウレタン・アクリル・シリコーンポリマーでは、海外の厳しい法規制に対応する製品設計を完了しました。海外での量産体制を整備し、拡販に繋げてまいります。加飾フィルムでは、高分子合成技術と分散加工技術を駆使し、事業機構の技術部門との融合による新たな開発を進めてまいります。(d) 環境配慮型パッケージング水性フレキソインキでは完全水性品の特徴を活かし、海外の市場ニーズにも対応しつつ、新たに水性フレキソラミネート用インキ剤の開発に注力しております。今後も市場ニーズを探りつつ、開発、販売の鋭意強化に努めてまいります。ガスバリアコート材・環境配慮型接着剤では、キーマテリアルのパイロットプラントの稼働を開始し、市場への本格投入に繋げていきます。また、消耗品パッケージングではないインフラ向け高耐久インキで新規採用を得ることができ、新たな展開に踏み出すことができました。 b.事業基盤の強化のための海外事業の拡大当社グループの収益、成長の源泉は、国内・海外双方に存在し、GDP高伸長国での事業展開などバランスよく事業育成をしていく必要があるとの認識の基に事業を展開してまいりました。本中期経営計画では、海外事業の売上高を2027年3月期までに2024年3月期比36億円増加させることを目標に掲げて取り組んでおります。本中期経営計画の2年目を終了した2026年3月末時点では、売上高は2億円の増加(為替影響除く)となりました。東南アジアや中国における日系車、北米では欧米車の販売不振や中国の景気低迷の影響を受け、低調に推移しました。引き続き、「地産地消」の推進と海外拠点の拡充及び新規ビジネスの創出を軸に、積極的な業務の展開に注力してまいります。本中期経営計画の2年目を終了した2026年3月末時点における状況は、以下のとおりと認識しております。(a) カラー&ファンクショナル プロダクト高機能着色剤、機能製品の拡販に注力し、ケーブル用途などでアジアを中心に実績化に繋げることができました。情報電子分野のIJ分散液では、前期から継続して顧客開拓を行った結果、北米等で新規採用を獲得しました。コンパウンドでは、電装部品用途でタイで増設したラインが順調に稼働し販売に寄与しました。しかしながら、コンパウンド全体としては、東南アジアや中国におけるOA機器向けや日系車の販売不振に加え中国の景気低迷の影響を受け、低調に推移しました。今後も、高機能着色剤・機能製品ではアジアを中心とした拡販、情報電子分野では欧米の新規顧客開拓、コンパウンドでは高付加価値案件の獲得に引き続き注力していきます。(b) ポリマー&コーティング マテリアル北米では、車両メーカーの販売不振によりシート用表面処理剤が低調に推移しました。今後の車両メーカーの増産に備えるため、サステナビリティ貢献製品である水性表面処理剤の現地生産移管を計画通り進めると同時に、同製品の拡販に向けて注力していきます。また、中国では、好調に推移していたスポーツアパレル向けの透湿性ウレタン樹脂が欧州の業界自主規制のため減少しました。インドでは、接着剤事業の進展を図ることができました。今後も用途に合わせた商品開発とともに更なる拡販を進めていきます。(c) グラフィック&プリンティング マテリアルインドネシア現地法人では、期前半において海外メーカー参入による失注がありましたが、各種合理化施策の実行や従来から続けてきたタイムリーな製品の技術改良・開発により、期後半からは商権を奪還しました。今後も伸長する市場の中で付加価値を拡大させるため、インドネシア現地法人の隣地の土地取得を行っており、能力増強投資や技術力強化などの対応策を検討しております。また、アジア向けでは環境規制対応製品の販売にも注力していきます。c.サステナブル社会の実現に向けたESG重視の経営推進当社グループでは、サステナブルな社会の実現と中長期的な企業価値向上のため、ESG経営を本中期経営計画の戦略のひとつに掲げております。サプライチェーンパートナーとのあらたな価値の共創を目指して原材料調達段階から製品の廃棄に至るライフサイクル全体において、「(a) サステナビリティ貢献製品開発・拡販」、「(b) 気候変動への取り組み」、「(c) 資源循環促進」、「(d) 生物多様性への取り組み」、「(e) 社会貢献の一層の促進」、「(f) コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み」、「(g) 人的資本投資・人財育成」を推進しております。また、これら重要な経営課題におけるさまざまな外部環境、内部環境の変化に対して、リスクと機会に効率よく対処できるように統合型リスクマネジメント(ERM)を運用しております。本中期経営計画では、「d.HR戦略」と「e.DX推進」を戦略に追加し、10年後のありたい姿である「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニーになる」の実現に向け、当社グループ一丸となって価値共創に邁進してまいります。(a) サステナビリティ貢献製品開発・拡販当社グループでは、環境負荷低減に貢献できる環境配慮型製品に加え、人々の暮らしを豊かにする製品を含めたサステナビリティ貢献製品の拡販により、サステナブル社会の実現を推進しております。本中期経営計画では、サステナビリティ貢献製品の売上高を2027年3月期までに2024年3月期比30億円増加させることを目標に掲げて取り組んでおります。本中期経営計画の2年目を終了した2026年3月末時点では、自動車の内装向けウレタン樹脂表面処理剤や建材向けコーティング剤が低調に推移しましたが、情報電子材関連が好調に推移した結果、サステナビリティ貢献製品の売上高は、2024年3月期比で19億円増となりました。(b) 気候変動への取り組み当社グループでは、気候変動は地球規模で取組むべき喫緊の課題と捉えており、リスクと機会の両面から積極的に課題解決に取り組んでおります。日本政府が掲げる2050年カーボンニュートラルに貢献するために、事業活動に伴い発生する当社グループ全体のCO2排出量の削減について、最新の国際的な目標(※)に沿って2020年3月期を基準年度とし、2027年3月期までに31%削減、2031年3月期までに48%削減する中長期目標を立て、継続的な省エネルギー対策と再生可能エネルギーの導入を進めております。※Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC)の第6次報告の1.5℃シナリオ本中期経営計画の2年目を終了した2026年3月末時点では、国内生産拠点を中心に、再生可能エネルギーの導入、熱利用設備の効率改善、生産工程の高効率化などのCO2排出量削減対策を実施しました。その結果、当社グループ全体のCO2排出量(Scope1&2)は、2026年3月期に2020年3月期比で54%削減となり、中長期目標達成に向けて順調に推移しております(Scope2はGHGプロトコル・マーケット基準にて算定)。また、当社製品を通じて世の中のCO2排出量(Scope3)も削減できるようにTCFDの枠組みに沿って当社グループの気候変動に関するリスクと収益機会を管理し、企業価値向上に貢献してまいります。詳細は「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への取り組み TCFD提言に沿った情報開示」を参照ください。(c) 資源循環促進(サーキュラーエコノミー)当社グループでは、資源循環型社会への移行を成長の機会と捉え、プラスチック資源のライフサイクルの最適化に注力しております。特に世界的に関心の高まっているプラスチック資源の循環に関して、化石由来資源の枯渇防止と廃棄の際の環境負荷低減といった環境リスクの低減と収益機会の創出を目指し、当社グループでは、原材料のバイオマス化及び廃プラスチックの排出量抑制・リサイクル促進を進めております。当社グループでは、使用済みプラスチックは廃棄物ではなく資源であるという考え方に基づき、廃プラスチックのリサイクル率を前中期経営計画期間中3か年平均値から毎年1ポイント向上させることを本中期経営計画の目標に掲げて全社的に取り組んでおります。本中期経営計画の2年目を終了した2026年3月末時点では、8ポイント改善を達成しており、引き続き原材料のバイオマス化及び廃プラスチックの排出量抑制・リサイクル促進を目指し、生産工程から生じるロスを削減するための工程管理の強化と廃プラスチックの分別強化をグローバルに展開してまいります。(d) 生物多様性への取り組み化学物質を扱う当社グループは、事業活動のみならず製品のライフサイクル全般において生態系に与えるさまざまな影響をリスクと機会の両面から把握し、生態系への負荷を最小限に抑える義務があると認識しております。2024年3月期にはこの考え方に加え、当社技術を活かして「生物多様性の保全と持続可能な利用」に貢献する価値の創出に努めることが重要であると認識し、それまでの「環境負荷低減」というマテリアリティを「生物多様性の保全」に改訂いたしました。この課題解決に向けて、有機溶剤などの使用時に生じる大気汚染や水質汚染等の環境負荷軽減に向けた自らの管理活動と当社グループの製品使用段階で生じる環境負荷軽減に貢献する製品開発の両輪でTNFDの枠組みに沿って推進してまいります。また、当社グループが現在加盟しているCLOMAをはじめとするイニシアティブへの参加や事業所の近隣地域コミュニティーとの協働作業にも積極的に参加し、生物多様性の保全に努めてまいります。詳細は「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)生物多様性の保全に関する取り組み及び考え方」を参照ください。(e) 社会貢献の一層の促進お客様とのかかわりにおいては、お客様の信頼と期待に応えられるように適切な化学物質管理(新管理システムの導入、リスクアセスメントの徹底など)、品質保証(ISO9001による全社的なQMS活動実施、内部監査実施)、ビジネスパートナーとの共存・共栄を目指したパートナーシップ構築宣言の社内展開、責任ある原材料調達(CSR調達基準によるサプライヤー調査)、サステナブルな物流業務の展開(輸送ロットアップ、在庫拠点集約など)に取り組んでおります。また、お客様から積極的に選ばれるサプライヤーになるために、お客様からいただくサプライヤー調査には誠実に回答すると同時に自らの取り組みを反省する機会と捉え、お客様との対話の機会には積極的に参加させていただいております。このお客様との対話を通じて、当社グループの取り組みを見直す動きが盛んになり、当社内の制度の認識が深まり、見直しにもつながっております。従業員とのかかわりにおいては、ワークライフバランスの充実、女性、外国人、中途採用者の一層の活躍などの点から、人事制度の充実を図っております。また、サステナブルな成長を実現させるためには従業員の心身の健康維持・増進と多様な人財が働きやすい職場環境・企業風土づくりが重要であるという考えから、 2023年に健康経営宣言を行い、2026年3月も引き続き健康経営優良法人2026(大規模法人部門)に認定されております。健康経営を積極的に推進し、従業員がポテンシャルを最大限発揮することで事業活動を通じて社会に貢献してまいります。地域社会とのかかわりにおいては、生産拠点の近隣に対する安全・安心を最優先に、防災活動に加え、生物多様性の保全の一環として近隣の生態系に一層の配慮を行い、環境負荷の低減と自然環境の保全に努めてまいります。これらの諸施策は着実に、継続的に実施することにより効果を得られるものであるため、今後も注力して対応してまいります。(f) コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み単に法令遵守、ルール遵守に留まるだけでは実質的なガバナンスの向上につながらないとの認識から、コンプライアンスの徹底のために経営層からのメッセージの発信・従業員からのフィードバックを継続的に実施しております。経営層からのトップダウンと実行部門からのボトムアップを活性化させた双方向コミュニケーションを充実させ、経営戦略を社員一人ひとりが「自分ゴト」として捉えて行動できるように社内環境を整備しております。また、2025年6月27日開催の第122期定時株主総会での株主の皆様のご承認により、「監査等委員会設置会社」へ移行したことにより、委員の過半数が社外取締役で構成される監査等委員会が、取締役の業務執行の適法性、妥当性の監査・監督を担っており、より透明性の高い経営を実現することで、国内外のステークホルダーの期待により的確に応えうる体制を運営しております。加えて、2026年1月21日開催の当社取締役会において、取締役会は経営戦略の決定や監督に専念し、執行役員はその戦略を実行する役割を担うことや経営の効率性を向上し、迅速な意思決定を可能にすることを目的とした新執行役員制度の導入を決議しております。さらには、当社が特に重要と考える業務執行分野に関して、責任と権限の範囲を一層明確にし、業務執行を確実に推進することを目的としたチーフ・オフィサー制度の導入を決議しており、これらにより、より一層のコーポレート・ガバナンスの強化を図ってまいります。(g) 人的資本投資・人財育成当社グループでは、新たな価値の創出には、新たな発想が必要であり、それには“人の力”が不可欠と考えております。“人の力”を引き出し、“人を育成する”ことで、人は価値を生み出す企業の財産であるとの認識から、当社グループでは「人材」ではなく「人財」と表現しております。本中期経営計画では、最優先に取り組む施策として、モノづくりメーカーの従業員としての“働き甲斐”、“誇り”、“仲間への貢献意欲”といったエンゲージメント向上を目指した「人事制度改革」を重点戦略のひとつに掲げ、ステークホルダーの皆様と価値共創に努めてまいります。詳細は「d.HR戦略」をご参照ください。 d.HR戦略上記のa.~c.の戦略を推し進めるために、従業員の将来のありたい姿の実現に向けて「イノベーションが湧き上がる活力に満ちた企業風土」を醸成させていくことが不可欠であるとの認識を前提に、モノづくり企業の従業員としてのエンゲージメント向上を目指したHR戦略を推し進めてまいりました。2026年3月期に実施したエンゲージメント調査では、本中期経営計画のエンゲージメントスコア目標値3ポイントアップに対して3.4ポイントアップとなり、本中期経営計画の2年目で目標値を超えることができました。これは、本中期経営計画の諸施策が従業員に浸透したことにより、「会社が変わっていくことに対する期待」として捉えられた結果であると考えます。その中には、2025年4月に導入した新人事制度や、2年間にわたり経営層と従業員との対話の機会を増やしてきたことなどがその要因として挙げられると考えております。今後は新人事制度を更に発展させ、従業員の働きがいとエンゲージメントを更に高めていく段階と捉え、成長を支える研修体系の再構築により従業員のキャリアアップを支援し、「頑張って成果を出した人が報われる」仕組みを充実させることが重要と考え、人事制度を更に深化させてまいります。 e.DX推進上記のa.~c.の戦略を推し進めるために、業務のデジタル化による効率化、データ蓄積・共有の基盤構築を進め、データ駆動型ビジネスへの転換を目指し、効率的で確実性の高い戦略、独創性のある製品開発を重点的に推進します。本中期経営計画の2年目を終了した2026年3月末時点の状況としては、従業員の7割が生成AIを日常的に活用しており、生成AI浸透の元年と言える成果を上げました。今後の施策として、マーケティング分野では、部門横断的に市場ニーズをデータベースとして蓄積し、市場ニーズと当社技術を結び付け新規案件を開拓します。技術開発分野では、使用する原材料や開発情報を横断的にデータベースとして蓄積し、これらを組み合わせ、MI(マテリアルズ・インフォマティクス)により開発期間の短縮を図ります。これらの施策を加速させるために、AIを業務プロセスそのものに組み込み、分析に利用するデータの蓄積を高速化します。生産活動においては、製造工程をリアルタイムに見える化し、生産計画と生産実績を高度に連動させることで、生産活動の効率化を促進していきます。また、必要なデータの蓄積を進め、経営における迅速かつ的確な意思決定を支える強力な基盤として活用していきます。これらの施策を確実にするために、デジタルリテラシー向上やAI活用の研修、データ分析のOJTなども効率的に行うことにより、一層のデジタル人財の基盤強化を図ることといたします。 併せて、本中期経営計画にて掲げている中長期の経営目標を達成するために、2026年5月15日開催の当社取締役会において、成長事業や新規・育成事業などの戦略製品へ更なる設備投資や人的資源の集中的投下が必要であると判断し、全社的な事業構造改革として「事業ポートフォリオの見直し」、「国内における生産・販売及び間接業務の効率化、事業所の再編等に関する施策」を実施することを決議しております。本事業構造改革の具体的な内容につきましては、2026年秋頃の公表を予定しております。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。 (1)経営成績等の状況の概要①経営成績当連結会計年度の当社グループの主要な販売先動向は以下のとおりとなりました。輸送機器業界国内市場では、自動車メーカー減産影響が解消されコンパウンド・着色剤が堅調に推移した一方、ウレタン樹脂は採用車種の販売不振により低迷海外市場では、中国・北米向けが低調だった一方、タイ、インド、台湾の現地法人が好調に推移情報電子業界液晶ディスプレイ向け製品は、顔料が新製品の販売増加により好調に推移コーティング剤は堅調に推移オフィス事務機器及び商業印刷向けの顔料・着色剤は好調に推移包装・パッケージ業界グラビアインキは、インフレによる買い控えの影響を一部受けたものの、食品軟包装及び飲料ラベル用途ともに前年並みに推移海外では、インドネシア現地法人が第2四半期に競争激化等により低迷も、第3四半期以降は回復に転じ、好調に推移建材業界新築住宅向けの着色剤及びコーティング剤は、住宅着工件数が減少する中、リフォーム需要が下支え以上の結果、売上高は1,242億9千4百万円(前年同期比0.4%減)と減収になりましたが、収益性改善への取り組み等により、営業利益は76億1千万円(同8.6%増)、経常利益は84億9千万円(同9.4%増)といずれも増益を確保いたしました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、81億1百万円(同21.3%減)と減益になりました。政策保有株式の売却を計画的に進め、投資有価証券売却益28億1千2百万円を特別利益に計上したものの、前連結会計年度に旧川口製造事業所跡地等の固定資産売却益77億6千1百万円を計上していた反動により、前年実績を下回りました。次に報告セグメントの業績についてご報告いたします。 (カラー&ファンクショナル プロダクト)当セグメントでは、顔料・繊維用着色剤、プラスチック用着色剤、樹脂コンパウンド、顔料分散体、機能性材料など、顔料及び顔料の2次加工品を中心に製造・販売を行っています。情報電子業界向けの顔料及び分散体は、液晶ディスプレイ及びオフィス事務機器用途が好調に推移しました。輸送機器業界向けのコンパウンド・着色剤については、国内で自動車生産の回復による復調が見られたほか、海外において、中国・北米向けは低調でしたが、タイ、インド、台湾の現地法人を中心に好調に推移しました。これらの結果、当セグメントの売上高は690億5千万円(前年同期比2.6%増)、営業利益は41億4千万円(同32.1%増)と増収増益になりました。 (ポリマー&コーティング マテリアル)当セグメントでは、ウレタン樹脂、天然物由来高分子、紫外線・電子線硬化型コーティング剤など、合成樹脂及び特殊コーティング剤を中心に製造・販売を行っています。ウレタン樹脂は、情報・電子業界の半導体、電子機器用途及び産業資材業界の感熱記録用コーティング剤が堅調だった一方で、輸送機器業界向けは、主要採用車種の販売不振が響き、国内外とも低調となりました。また、情報電子業界向けの液晶ディスプレイ用コーティング剤については堅調に推移したものの、セグメント全体を補うには至りませんでした。これらの結果、当セグメントの売上高は241億3千2百万円(同4.8%減)、営業利益は25億8千7百万円(同17.7%減)と減収減益になりました。(グラフィック&プリンティング マテリアル)当セグメントでは、各種用途に対応した幅広い種類のグラビア・フレキソインキ、オフセットインキなど、パッケージ用及び広告出版用インキを中心に開発、製造及び販売を行っています。国内のグラビアインキは、インフレによる買い控えの影響を一部受けたものの、軟包装及び飲料ラベル向けを中心に、底堅く推移しました。一方、オフセットインキは低調に推移しました。海外では、インドネシア現地法人が第2四半期に競争激化等により低迷しましたが、第3四半期以降は回復に転じ、好調に推移しました。これらの結果、当セグメントの売上高は310億6千5百万円(同3.0%減)と減収になりましたが、営業利益は8億5千3百万円(同19.1%増)と増益になりました。 ②財政状態(資産)当連結会計年度末における資産合計は2,054億4千4百万円となり、前連結会計年度末と比べ86億6千万円増加しました。これは主に、退職給付債務の減少等により「退職給付に係る資産」が増加したこと並びに政策保有株式の売却を進めた一方で、保有株式の時価上昇により「投資有価証券」が増加したこと等によるものであります。 (負債)当連結会計年度末における負債合計は642億3千3百万円となり、前連結会計年度末と比べ20億5千2百万円減少しました。これは主に、「繰延税金負債」が増加した一方で、「短期借入金」や「長期借入金」等の有利子負債、並びに「退職給付に係る負債」が減少したこと等によるものであります。 (純資産)当連結会計年度末における純資産合計は1,412億1千万円となり、前連結会計年度末と比べ107億1千3百万円増加しました。これは主に、「自己株式」の取得により減少要因があった一方で、「利益剰余金」並びに「退職給付に係る調整累計額」や「その他有価証券評価差額金」等のその他の包括利益累計額が増加したこと等によるものであります。 ③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2億9千4百万円増加し、219億9千万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりとなっております。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、90億4千5百万円(前年同期比117.2%増)となりました。これは主に、運転資本の増加による資金の流出があったものの、「税金等調整前当期純利益」の計上及び非資金費用である「減価償却費」の計上等により、資金が増加したことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、20億6千2百万円(前年同期は14億1千5百万円の収入)となりました。これは主に、「投資有価証券の売却による収入」があった一方で、「有形固定資産の取得による支出」により資金が減少したこと等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、67億4千万円(前年同期比3.7%減)となりました。これは主に、借入金の返済や「配当金の支払額」に加え、「自己株式の取得による支出」などにより資金が減少したことによるものであります。④生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:t)セグメントの名称当連結会計年度(自2025年4月1日至2026年3月31日)前年同期比(%)カラー&ファンクショナルプロダクト189,963△2.0ポリマー&コーティングマテリアル22,232△10.5グラフィック&プリンティングマテリアル33,005△3.7報告セグメント計245,200△3.1その他--合計245,200△3.1b.受注実績当社グループは過去の販売実績と将来の予想に基づいて見込生産を行っており、受注生産は行っておりません。c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:百万円)セグメントの名称当連結会計年度(自2025年4月1日至2026年3月31日)前年同期比(%)カラー&ファンクショナルプロダクト69,0502.6ポリマー&コーティングマテリアル24,132△4.8グラフィック&プリンティングマテリアル31,065△3.0報告セグメント計124,248△0.4その他45△34.0合計124,294△0.4(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討等a.経営成績の分析当連結会計年度の当社グループの経営成績に対して特に重要な影響を与えた事象は、以下のとおりと考えております。当連結会計年度の当社グループを取り巻く環境は、前半は米国の関税政策への対応、後半は中南米や中東情勢の悪化に伴う地政学リスクの顕在化により、先行き不透明な状況で推移しました。日本経済は、こうした影響に加え日中関係の悪化等に見舞われたものの、堅調な個人消費に支えられ、内需主導による緩やかな回復基調が続きました。このような環境下、海外子会社においては、中国華南地区、アメリカ現地法人を除き前連結会計年度の好調が継続しました。業界別では、国内の車両向けは減産影響が無くなりコンパウンド・着色剤は回復したものの、ウレタン樹脂は国内外ともに中高級車を中心とした採用車種の不振により低調に推移しました。海外は、インド・台湾の各現地法人が好調に推移しました。液晶ディスプレイ向けは、カラーフィルター用顔料が新製品への採用により好調に推移、コーティング剤は年間を通して堅調に推移しました。包装パッケージ用のグラビアインキ・フレキソインキは、国内はインフレによる買い控えが見られたものの食品包装用途、飲料ラベル用途が堅調に推移し前年並みとなった一方で、海外はインドネシア現地法人が競争激化により一時的に商権を喪失したことから減収となりました。こうした社会的、経済的状況のもとで、売上高は、販売価格の見直しを進めたものの、販売数量が伸び悩んだことにより1,242億9千4百万円(前年同期比0.4%減)と減収になりました。利益面では、高付加価値製品が好調であったこと及びコスト上昇分の価格転嫁を進めたことにより営業利益は76億1千万円(前年同期比8.6%増)、経常利益は84億9千万円(前年同期比9.4%増)となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、81億1百万円(同21.3%減)と減益になりました。政策保有株式の売却を計画的に進め、投資有価証券売却益28億1千2百万円を特別利益に計上したものの、前連結会計年度に旧川口製造事業所跡地等の固定資産売却益77億6千1百万円を計上していた反動により、前年実績を下回りました。足元では、中東を始めとした地政学リスク、長短金利上昇、資源価格及び各種コスト増によるインフレ等により、先行き不透明な状況が続く事が予想されます。当社グループでは「3.事業等のリスク」で記載したとおり、引き続き各リスクに対応したリスク回避・削減策を積極的に推進していくことといたします。 各報告セグメントの概況は以下のとおりであります。なお報告セグメント毎の実績は上記「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に、生産実績・受注実績・販売実績は、同「④生産、受注及び販売の実績」にて、それぞれ記載しております。 (カラー&ファンクショナル プロダクト)当セグメントでは、顔料・繊維用着色剤、プラスチック用着色剤、樹脂コンパウンド、顔料分散体、機能性材料など、顔料及び顔料の2次加工品を中心に製造・販売を行っています。情報電子業界向けや輸送機器業界向けの戦略製品は好調に推移しました。情報・電子業界向けは、インクジェット用顔料・分散液は、テキスタイル向けの拡大と既存の商業印刷向けが回復して伸長、カラーフィルター用顔料は、パネル業界の堅調な動きに加えて、新規案件の獲得が大きく寄与し好調に推移しました。機能性材料は、半導体向け塗料が回復するとともに、半導体関連部材向けにカーボンナノチューブ分散体の新規採用が進みました。輸送機器業界向けの、自動車用コンパウンド・着色剤は、自動車メーカーの減産影響が解消され、HEVを中心とした需要の高まりを受けて国内外で好調に推移しました。海外は、タイ・インド・台湾の現地法人が好調に推移しました。 (ポリマー&コーティング マテリアル)当セグメントでは、ウレタン樹脂、天然物由来高分子、紫外線・電子線硬化型コーティング剤など、合成樹脂及び特殊コーティング剤を中心に製造・販売を行っています。情報・電子業界向けは好調に推移しましたが、輸送機器向けの低調により、セグメント全体では低調に推移しました。輸送機器業界向けは、高耐久性ウレタン樹脂は、採用車種の販売不振により低調もアパレル向けは堅調に推移しました。環境対応型ウレタン樹脂は、中国向けが伸長も採用車種の販売不振により水性表面処理剤が低調に推移しました。情報・電子業界向けは、耐熱性高機能樹脂が高機能化の進むスマートフォン向けが好調に推移し、コーティング剤は、液晶パネル向け、半導体向けが堅調に推移しました。また、CO2を原料とするHPU(ヒドロキシポリウレタン)のパイロットプラントの稼働を開始しました。坂東製造事業所では、コーティング剤の開発技術を製品化するプロセス開発拠点として「坂東プロセスラボ」の投資に着手しました。(グラフィック&プリンティング マテリアル)当セグメントでは、各種用途に対応した幅広い種類のグラビア・フレキソインキ、オフセットインキなど、パッケージ用及び広告出版用インキを中心に開発、製造及び販売を行っています。包装業界向けは、物価高による買い控えの影響が見られたものの、猛暑やインバウンド拡大もありラベル向けや水性フレキソインキは堅調に推移、海外は、インドネシア現地法人が期中に一時的に商権を失ったものの、技術フォロー等により奪還しました。情報・電子業界向けは、中国向けのスマートフォン特需が一服し低調に推移しました。なお、需要減少の流れを踏まえた合理化施策を進めているオフセットインキは、引き続き低調に推移しました。 b.財政状態の分析当連結会計年度末における総資産は2,054億4千4百万円(前連結会計年度末比86億6千万円増加)、負債計は642億3千3百万円(前連結会計年度末比20億5千2百万円減少)、純資産計は1,412億1千万円(前連結会計年度末比107億1千3百万円増加)となりました。資産合計は、運転資本(受取手形及び売掛金、棚卸資産、有形・無形固定資産から支払手形及び買掛金を差し引いた金額)は、前連結会計年度末から大きな変動はありませんでしたが、株価の上昇により、保有株式や企業年金基金の運用が好調に推移し、投資有価証券や退職給付に係る資産が大きく増加しました。負債及び純資産の部は、資産の部の増加に対応して、その他有価証券評価差額金や退職給付に係る調整累計額の包括利益や利益剰余金が大きく増加することとなりました。 (資産)「現金及び預金」は、234億3千6百万円(前連結会計年度末比8億1千4百万円減少)となりました。当社及び主要な国内子会社の計5社においては、効率的な資金運用を目的として、2024年3月にキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入し、日次で資金残高を把握、過不足がある場合には国内グループ会社間で貸付・借入を行う体制となりました。この結果、国内の資金残高は、月商の0.5ヶ月程度を目途に維持しております。海外会社においては、「地産地消」が主であり、取り扱う通貨の種類が多岐にわたることから、現時点においては、各社で月商2か月程度の残高を目指しております。売掛金・受取手形などの「売上債権」、原材料・製品等の「棚卸資産」及び仕入・電子記録債務などの「仕入債務」の運転資本については、事業運営の主体である各事業部ごとに回転率などで管理しております。「売上債権」については、成長投資等の資金需要に応じて流動化等の手法を検討しております。有形固定資産及び無形固定資産の合計は、510億4千万円(前連結会計年度末比8億4千6百万円増加)となりました。設備を59億3千4百万円取得した一方、減価償却費を51億2千万円計上したことによるものであります。主な取得資産は、当社東京製造事業所及び東海製造事業所の生産能力増強投資、インドネシア現地法人の隣地(借地権)等になります。2024年4月から開始した3か年中期経営計画において、総額150億円の設備投資を予定しており、2年目である2026年3月期は47億円(発注ベース)実施しました。戦略製品投資は、HPU(ヒドロキシポリウレタン)新製法パイロットプラント、タイ現地法人の能力増強、機能性ペースト新規生産設備等になります。一方、予定していた新技術棟の建設(約50億円)については、研究開発体制の再構築及び最新のDX技術を活用したR&D環境の刷新に伴い計画を一旦延期しました。3か年中期経営計画には含まれておりませんが、5か年計画においてアジア新工場建設(約40億円)を予定しておりましたが、中長期的に成長する市場環境に合わせて最適な投資タイミングを見極めるため投資時期を延期することとしました。「投資有価証券」は、206億3千万円(前連結会計年度末比21億1千6百万円増加)となりました。政策保有株式を計16銘柄33億9千2百万円売却しましたが、保有株式の時価上昇により残高は増加しました。政策保有株式については、毎年取締役会において、保有目的の適切さや保有に伴う便益・リスクが資本コストに見合っているか等を精査し、保有の適否を検証しております。3か年中期経営計画において、2024年3月末の政策保有株式残高154億9千7百万円から15%以上削減することを目標としており、2026年3月期末は、売却を進めたものの保有株式の時価が上昇したことから169億1百万円と約9%増加いたしました。「退職給付に係る資産」は、217億1千1百万円(前連結会計年度末比59億5千8百万円増加)となりました。企業年金基金の運用において、国内債券は軟調であったものの、国内外の株式及び海外債券の運用が好調に推移し、期待運用収益率(2.0%)を大幅に上回りました。加えて、長期金利上昇に伴う割引率の見直しにより退職給付債務が減少した結果、退職給付に係る資産は大幅な増加となりました。(負債)「短期借入金」や「長期借入金」等の有利子負債は、187億5百万円(前連結会計年度末比23億3千9百万円減少)となりました。3か年中期経営計画では、資本コストを意識し、借入金等の有利子負債で調達した資金でM&A等の成長投資を実施する計画としております。しかし、2026年3月期までの2年間は、案件を検討したもののM&A成立まで至らず、上述の政策保有株式の売却収入等を一時的に有利子負債の返済に充てたことにより減少したものであります。「退職給付に係る負債」は、23億8千3百万円(前連結会計年度末比9億7千3百万円減少)となりました。資産の部の「退職給付に係る資産」同様、退職給付債務が減少したことにより減少しました。「繰延税金負債」は、78億2百万円(前連結会計年度末比30億7千7百万円増加)と大きく増加しました。保有有価証券の評価益及び退職給付会計基準における未認識数理計算上の差異(有利差異)の発生により計上したものであります。 (純資産)「利益剰余金」は、959億8千3百万円(前連結会計年度末比50億7千2百万円増加)となりました。「親会社株主に帰属する当期純利益」を81億1百万円計上したことと配当金30億2千9百万円をお支払いしたことによるものであります。2025年5月に3か年中期経営計画期間中の株主還元方針を総還元性向50%以上に変更しました。これにより、2026年3月期の1株当たり年間配当金は、2025年3月期比64円増配の220円となり、配当性向は46.5%、総還元性向は60.1%となりました。この結果、当中期経営計画期間の2年間累計の総還元性向は41.0%となりました。「自己株式」は、26億7千6百万円となり、前連結会計年度末比6億3千万円の減少要因となりました。2025年7月に従業員持株会の入会会員に1人当たり110株(計219,780株)の譲渡制限付株式を自己株式から付与し4億8千4百万円処分したこと及び2025年8月に自己株式315,300株を11億1千3百万円で取得したことによるものであります。「その他の包括利益累計額」は、253億8百万円(前連結会計年度末比59億7千3百万円増加)と大きく増加しました。保有有価証券の評価益増加及び退職給付会計基準における未認識数理計算上の差異(有利差異)の発生により、「その他有価証券評価差額金」及び「退職給付に係る調整累計額」がそれぞれ増加したためです。この結果、自己資本比率は67.5%となり、前連結会計年度に比べ2.5ポイント上昇しました。事業の特性や成長戦略、市場環境などを総合的に勘案し、資本効率性を重視した活用を行ってまいります。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、219億9千万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。なお、連結キャッシュ・フロー計算書も併せてご参照ください。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動から得られた資金は90億4千5百万円となりました。これは「税金等調整前当期純利益」に「減価償却費」及び「売上債権」「仕入債務」「棚卸資産」などの増減を加味したものであります。前連結会計年度に、従業員の退職一時金の支払に備え信託財産に30億円拠出したこと及び環境対策費用を約30億円支出したことの反動により営業キャッシュ・フローは増加しました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、20億6千2百万円となりました。資金支出としては、当社東京製造事業所及び東海製造事業所を中心とした設備投資及びインドネシア現地法人の隣地(借地権)購入等により66億7千2百万円計上しました。一方、資金収入としては、政策保有株式の売却により34億8百万円を計上しました。その結果、投資活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度のキャッシュ・インからキャッシュ・アウトとなりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、67億4千万円となりました。有利子負債によるキャッシュ・フローは次のとおりであります。(単位:百万円)主な項目前連結会計年度(自2024年4月1日至2025年3月31日)当連結会計年度(自2025年4月1日至2026年3月31日)短期借入による収入3,6176,132短期借入金の返済による支出△4,834△7,604長期借入による収入1,1981,600長期借入金の返済による支出△4,134△2,432リース債務の返済による支出△154△128当社グループ内にて保有する資金のうちから営業活動の遂行にあたり必要となる資金相当分を控除した資金を活用することと合わせ、当該資金で不足する場合には、調達までの機動性や増資等による株式の希薄化を回避するためにも、主として銀行借入により調達しております。 ③資本の財源及び資金の流動性当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入金などにより、資金を調達しております。また、当社及び主要な国内子会社の計5社でキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、グループ内資金を一元管理し、現預金の水準を引き下げ、資金の効率化を図っております。財務上の方針としては、キャッシュ・フローの創出能力を最大化し、当社の長期的な経営目標としているROE(自己資本利益率)9%、ROA(総資産経常利益率)5%の達成に向けて、財務面から継続的に支援を行うこととし、規律ある積極投資の基準を設けるとともに、短期的な運転資金並びに設備投資や成長投資への資金につきましても有利子負債の活用を行う方針です。有利子負債に関する数値基準としては、D/Eレシオ1倍以下を目安としており、当連結会計年度末におけるD/Eレシオは0.13倍となっております。金融機関には充分な借入枠を有していること、また取引銀行4行と個別に計65億円の貸出コミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。 ④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、中期経営計画「明日への変革 2027」において、「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニーになる」ことを10年後のありたい姿として公表し、環境への負荷を減らす事業活動に努め、素材に機能を付与した「機能性マテリアル」を開発・供給し続けることで、当社グループを取り巻くあらゆるステークホルダーとWIN+WINの関係性を構築し、人々の暮らしを豊かにすることを目指しております。そして、事業の収益性・資本効率を重視する点から、ROE(自己資本利益率)9%、ROA(総資産経常利益率)5%を長期的な経営目標として掲げております。なお、技術開発に鋭意取り組んでいる新規発展分野及び継続発展分野への投資や海外新規ビジネス投資については、事業単位でのEBITDA(償却前・利払前利益)分析を行い事業評価を行うことなどにより積極的な成長機会を追求し、併せて、経営環境の変化に適時に対応するために、財務基盤の安定と成長を両立させることも重要な課題として認識しております。 ⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)企業理念、行動指針、必達当社グループでは、創業者である高橋 義博が1968年に制定した社是<必達>を経営方針の中心に据えて経営に取り組んで参りました。職場の目に付くところに掲示し、社是<必達>に込められた精神、考え方を常に確認すると同時に、従業員への浸透を図ることを行ってきました。社是<必達>の精神は、現在においても何らその価値を失っていないものと考えますが、既存の仕事、製品を軸に、役職員個々人の心構えや行動に重点を置いた内容としているため、近年の社会環境、経済環境が変化していく中で、社内外の人との関連性、新しい技術革新、製品開発への一層の目配り、社会の中における当社との連環という視点で、不十分さを感じるような状況になってきました。そのため、2015年12月開催の当社取締役会において、社是<必達>の考え方に加える形で、新たに<企業理念>、<行動指針>を規定し、経営方針を一層充実したものといたしました。これは、すべての経済原則や経営理論は「人」の行動原理に基づくものであるとの理解に立ち、まずは社内外を問わず全ての「人」に興味を持つべきであるとし、技術革新や商品開発など新しいことへの取り組みが、人や企業の活性化につながるという点を改めて確認し、一方、未来に目を向けると、人も企業も他者との連環(関連)の中で生き抜いていかざるをえないことを再認識した上で、社会に必要とされ、社会の発展に資する姿勢を打ち出していくべきとしたものであります。比較的平易な表現とすることで、若手従業員から経営トップに至るまで、<必達>と合わせて、浸透を図ることを企図したものであります。これらを踏まえ、当社グループは以下の<企業理念>、<行動指針>、<必達>の社是の下、事業活動を行うに当たって人財の付加価値を一層高めることに努め、全てのステークホルダーを尊重し連携を図りながら、地球環境保全などサステナブル社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。 <企業理念>・人に興味を持とう・新しいことに興味を持とう・未来に興味を持とう <行動指針>人間は面白い。その面白い人間が作っているのが企業であり、また顧客である。全ての経済原則、経営理論は、人の行動原理に基本がある。人に興味を持とう。新しいことはワクワクする。技術革新や商品開発は顧客や市場を開拓すると同時に、人間も活性化する。新しいことに興味を持とう。未来を考えることは楽しい。未来は子供たちのものだ。未来を考えれば、人も企業も自分だけでは生きて行けないことが分かる。顧客の発展が無ければ、当社は富んでも長続きしない。更に、社会に生かされなければ、人も企業も存続し得ない。未来に興味を持とう。 一方、当社には1968年に制定した、社是「必達」が存在します。上記の企業理念と共に、歴史ある社是「必達」を、誇りを持って遵守しています。 <必達>私たちはカラーエイジを担う大日精化の社員として<必達>の社是のもとに誇りを持って仕事をすすめよう1.仕事は必ず目標を立てこれを必達しよう1.正しい製品知識を身につけ製品普及のチャンスを積極的に求めよう1.仕事を通じ製品を通じて会社の信用を更に高めよう1.社会人として常に教養を高め反省を深める機会を持とう1.仕事を通じて社会に貢献し大日精化を最高の企業体としよう(2)経営理念創業者 高橋 義博の「自分の生活が好きな色彩によって包まれたいと思うのが私たちの念願」との遺志を引き継ぎ、世界中の「もっと便利に、もっと安全に、もっと自由に彩りたい」という願いをかなえることを使命として、当社グループは企業理念や社是<必達>のもとに、企業としての持続的成長と価値向上を目指した「CSR・ESG基本方針」を、そしてこれを補完するために近年の社会的課題である地球環境、ガバナンス、人権尊重、情報管理、品質管理、安全衛生、人財育成、健康経営などに関する各種方針を制定し、役職員がこれらを徹底することで、全てのステークホルダーの課題に寄り添い、彩りと特性を持った素材をさまざまな分野に提供し、実現しております。また、2023年10月には社内公募により、新ブランドメッセージ「彩りの、その先へ(今日の未知は未来への道)」を決定し、コア技術である①有機無機合成・顔料処理技術、②分散加工技術、③樹脂合成技術を更に深化させ、「色彩のその先の可能性」を追求して「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニー」を目指しております。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、2024年6月に公表した2025年3月期を初年度とする3か年中期経営計画「明日への変革 2027」(以下、「本中期経営計画」といいます。)において、前中期経営計画を引き継ぎ、ROE(自己資本利益率)9%、ROA(総資産経常利益率)5%とすることを長期の経営目標として、またその過程として本中期経営計画の最終年度である2027年3月期の目標として、ROE4.6%、ROA4.3%を掲げておりますが、初年度が経過した2025年3月期では、ROE8.4%、ROA4.0%の結果となりました。これは、埼玉県川口市に所有していた当社旧川口製造事業所跡地の売却に伴う固定資産売却益として約77億円を特別利益に計上したことが主要因ですが、業績面において、継続的な原材料価格の上昇はあるものの、コロナ禍における巣ごもり需要後の長期にわたるサプライチェーン上の在庫調整がようやく終了したことにより、当社を取り巻く事業環境が好転してきていることも要因の一つであります。また2025年5月には、本中期経営計画の最終年度である2027年3月期の目標ROEを5%以上とすることを公表しており、引き続き本中期経営計画の各施策を進めて参ります。 (4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等当社グループの置かれている経営環境については、以下のとおりと認識しております。 ①お客様の国内外の事業展開に寄り添い、収益性、効率性をご提案するために、当社では国内外の拠点の強みを活かし、国内、海外の一方に偏することなくバランスのよい業務展開をするべきであることが重要な課題であると認識しております。 ②当社グループの持続的な成長のためには、ESGへの取組みがあらゆる事業活動の基本理念であり、E(環境配慮)、S(社会貢献)の実現のための研究・開発が果たす役割が、特に重要であると認識しております。このため社会全体の持続性、安全性、収益性、効率性、採算性などの側面から十分に検証の上で、前述の「(2)経営理念」に記載の「3つのコア技術」を更に深化させること、新たな技術を取り入れることに、人財と設備、資金を投入していく必要があるものと認識しております。 ③ステークホルダーの皆様から信頼され常に選ばれる企業であり続けるためには、上記②で述べたように、長期的・持続的な成長とともに、製品や事業活動を通して地球規模の環境や社会問題へ取り組む企業姿勢と、意思決定の透明性、公正性を確保できるガバナンス体制の下で、従業員一人ひとりの思いが企業風土として醸成されることが企業価値の向上においても大きな影響を与えるものと再認識した上で、全社を挙げてE(環境配慮)、S(社会貢献)、G(企業統治)の側面から能動的に活動を促進することが必要と理解しております。また、2025年6月27日に開催いたしました第122期定時株主総会において、株主の皆様のご承認を得て、「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」へ移行しております。これは、委員の過半数が社外取締役で構成される監査等委員会が、取締役の業務執行の適法性、妥当性の監査・監督を担うことでより透明性の高い経営を実現し、国内外のステークホルダーの期待により的確に応えうる体制の構築を目指したものであります。④今後さらに、デジタル技術及びデータ分析の活用が当社グループの競争力の源泉のひとつとして重要性を増し、経営目標を達成するための重要な手段になると認識しております。当社は基幹システムを2018年10月に刷新し、さらなる活用のための周辺システムの整備も着々と進めてきておりますが、より高度化していく外部環境からの要請事項に対し、これまで以上に、適時かつ的確に対応していくことが必要であると認識しております。また、データ駆動型ビジネスへ転換し、効率的で確実性の高い戦略、独創性のある製品開発を強力に推進することが不可欠であり、そのためにも有効なデータ、優秀な人財と、柔軟で素早い意思決定が重要であると認識しており、これらへの取り組みを加速させるため、2024年11月にはグループウエアの刷新を行うことで、AIを日々の業務において活用できるようにしております。社内情報の共有化や組織を超えた連携など、DXを支える基盤になることを確信しております。 ⑤当社グループの掲げる長期目標の達成には、人的資本及び知的財産への投資と活用によるイノベーションの創出が不可欠であると認識し、企業にとって財産である「人財」の育成と活気溢れる企業風土の醸成は重要な経営課題のひとつと考え、従業員のモチベーションとエンゲージメント向上を目指したHR戦略を推し進めます。また別途定める「人財育成方針」「社内環境整備方針」に沿って、企業と人財が互いに高め合っていくビジョンを共有し、持続可能な成長に向けて地道にかつ着実に、相互に磨き上げていくことにより、当社グループの成長と人財の成長との間に好循環を生み出すことができるものと確信しております。本件については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」「(3)人的資本投資・人財育成及び人財の多様性の活用」にて詳細を記載しております。 これらを踏まえ、昨年公表しております本中期経営計画を引き続き重点的に進めております。 ア、技術主導による競争優位性の確保当社グループでは、保有する技術を、技術マネジメント手法を用いて再評価し、社会的なニーズ(ESG)への貢献を最優先課題として、オープンイノベーション、セグメント間のシナジー、知財戦略などを組み合わせ、3つのコア技術(1 有機無機合成・顔料処理技術、2 分散加工技術、3 樹脂合成技術)を深化させた技術開発に取り組んでおります。本中期経営計画においても、これらコア技術は重要な基盤として、市場規模・収益性・成長性を評価し、新規発展分野として①IT・エレクトロニクス 機能性材料、②ライフサイエンス・パーソナルケアの2つを、継続発展分野において環境配慮型製品へのより一層のシフトをテーマとする③モビリティ、④環境配慮型パッケージングを開発の中心に据え、人財と設備と資金とを積極的に投入することを行い、技術主導による競争優位の確保を目的とした体制の構築を進めております。具体的には、2025年2月14日に開催した当社取締役会において、2025年4月1日より保有技術ごとの縦割り体制であった技術機構組織から、開発ステージごとの組織体制に刷新することを決議し、実行しております。併せて、お客様と対面で開発を進めている事業機構の技術部門との融合と、オープンイノベーションなどから技術開発・製品開発力を強化することで、技術主導で事業創出できる体制を作ってまいります。これらの取り組みにより、10年後のありたい姿である「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニー」を目指し、製品の差別化、品質向上により社会貢献度を高め、同時に収益性の確保を図ることとしております。本中期経営計画では、技術主導による新規開発製品の売上高を2027年3月期までに2024年3月期比26億円増加させることを目標に掲げて取り組んでおります。初年度を終了した2025年3月末時点では、個々の開発テーマの進捗は概ね順調に進んでおり、売上高は7億円の増加となりました。新規開発製品が売上に寄与するまでには一定程度の時間が必要となることによりますが、引き続き、新規開発製品の早期売上寄与を目指してまいります。本中期経営計画の初年度を終了した2025年3月末時点における各セグメント毎の状況は、以下のとおりと認識しております。 ①IT・エレクトロニクス 機能性材料二次電池用部材、導電性部材、熱マネジメント部材、機能性ポリマー、高付加価値顔料・分散体などにおいて、電池部材や半導体周辺部材、精密電子機器部材などで多数の新規案件が獲得できました。新たに複数の大学やメーカーとオープンイノベーションを開始することで、新たな技術シーズ創出を進めるとともに、既にある技術シーズを積極的に発信し、社会ニーズに対応すべく応用開発を進め、遅延なく生産設備も導入し、売上高への早期寄与を図ってまいります。②ライフサイエンス・パーソナルケア天然物由来化粧品原料においては、大学発の技術を導入し、キノコ石突などのキノコ廃材や端材を原料とした菌糸パルプ分散液の開発に取り組みました。アップサイクル素材の化粧品原料として製品化を進めております。生分解性微粒子においては、量産化ラインの検討を開始し、さらなる高機能製品の開発も着実に進めてまいります。 ③モビリティ軽量・高強度樹脂コンパウンドにおいては、リサイクル素材の使いこなしに加え、天然物フィラーの微分散技術を向上させました。今後は積極的に市場開拓を進めてまいります。ウレタン ・アクリル・シリコーンポリマーでは海外の厳しい法規制に対応する環境配慮を更に強化した製品設計に目途がたちました。今後は海外での量産体制構築も見据え、拡販に繋げてまいります。加飾フィルムでは、高分子合成技術と分散加工技術を駆使し、新たな提案ができるような開発を進めてまいります。 ④環境配慮型パッケージング水性フレキソインキでは完全水性品の特徴を活かし、海外の市場ニーズにも対応しつつ、新たに水性フレキソラミネート剤の開発に注力しています。今後は市場ニーズを探りつつ、開発、販売の鋭意強化に努めてまいります。ガスバリアコート材・環境配慮型接着剤では、ユーザー評価を進めながらキーマテリアルのパイロットプラント導入に着手しました。来期中に稼働し、市場への本格投入に繋げていきます。また、消耗品パッケージングではない高耐久インキの開発にも着手し着実な一歩を踏み出すことができました。 イ、事業基盤の強化のための海外事業の拡大当社グループの収益、成長の源泉は、国内・海外双方に存在し、GDP高伸長国での事業展開などバランスよく事業育成をしていく必要があるとの認識の基に事業を展開してまいりました。本中期経営計画では、海外事業の売上高を2027年3月期までに2024年3月期比36億円増加させることを目標に掲げて取り組んでおります。初年度を終了した2025年3月末時点では、売上高は20億円の増加(為替影響除く)となりました。中国では家電やOA機器、輸送業界向けを中心に生産数量の低調が続きましたが、中国以外では、市況の回復や価格修正の効果により好調に推移しました。引き続き、「地産地消」の推進と海外拠点の拡充及び新規ビジネスの創出を軸に、積極的な業務の展開に注力してまいります。本中期経営計画の初年度を終了した2025年3月末時点における状況は、以下のとおりと認識しております。 (ア) カラー&ファンクショナル プロダクト高機能着色剤、機能製品の拡販に注力いたしましたが、中国では家電OA機器向けのコンパウンド・着色剤が低調に推移しました。また、情報電子分野のIJ分散液・顔料も欧州向けの輸出が減少しました。一方、タイ・ベトナムについてはEV化/電装部品用樹脂コンパウンドなどが順調に拡大、タイでは増設設備の稼働が販売に寄与しており、更なるラインの増設を進めています。今後は、情報電子分野で欧州を中心に新規顧客の開拓を行うと同時に、インド・東南アジアを中心として電線用などの高機能着色剤の拡販を目指します。 (イ) ポリマー&コーティング マテリアル北米でサステナビリティ貢献製品の水性表面処理剤の展開を図り、販売を拡大させることができました。今後も地産地消をより一層推進するため、北米企業向けや日系車両メーカーの海外拠点向けに国内生産していた水性表面処理剤の米国拠点への生産移管を引き続き進めて参ります。また、中国ではスポーツアパレル向けの透湿ウレタン樹脂が昨年度に続き好調に推移しました。今後は、欧州の業界自主規制によって透湿ウレタン樹脂は減少する見通しも、水性表面処理剤の伸長を見込んでいます。インドにおいても接着剤事業の進展を図ることができました。 (ウ) グラフィック&プリンティング マテリアルインドネシアにおいては、グラビアインキの拡販と適切な価格修正により販売計画を達成しており、旺盛な現地の需要に対応するために増能力投資を計画しています。一方、価格競争も激化しており、高品質製品を維持しながら事業拡大に向けた取り組みを推進してまいります。ウ、サステナブル社会の実現に向けたESG重視の経営推進当社グループでは、サステナブルな社会を実現するために、ESG経営を本中期経営計画の戦略のひとつに掲げ、お客様とのあらたな価値の共創を目指して原材料調達段階から当社製品を使用した製品が廃棄されるまでを含めたライフサイクル全体において、「(ア)サステナビリティ貢献製品開発・拡販」、「(イ)気候変動への取り組み」、「(ウ)資源循環促進」、「(エ)生物多様性への取り組み」、「(オ)社会貢献の一層の促進」、「(カ)コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み」を推進しています。同時にこれら重要な経営課題における様々な外部要因、内部要因の変化に対して、リスクと機会に効率よく対処できるように統合型リスクマネジメント(ERM)を活用しています。本中期経営計画では、「エ.DX推進」と「オ.HR戦略」を戦略に追加し、10年後のありたい姿である「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニーになる」の実現に向けて、ステークホルダーの皆様と価値共創に努めてまいります。 (ア) サステナビリティ貢献製品開発・拡販当社グループでは、環境負荷低減に貢献できる環境配慮型製品に加え、人々の暮らしを豊かにする製品を含めたサステナビリティ貢献製品の拡販により、サステナブル社会の実現を推進しております。本中期経営計画では、サステナビリティ貢献製品の売上高を2027年3月期までに2024年3月期比30億円増加させることを目標に掲げて取り組んでおります。初年度を終了した2025年3月末時点では、この目標を達成するために、顧客ニーズ、市場ニーズを的確に技術開発テーマにつなげスピーディに事業化していく事を目指した社内体制の整備を行いましたが、サステナビリティ貢献製品の多くを占める情報電子材関連、自動車関連向けの製品群が、中国をはじめとする主力市場の景気後退の影響を受け、サステナビリティ貢献製品の売上高は、2024年3月期比で5億円増に留まりました。 (イ) 気候変動への取り組み当社グループでは、気候変動は地球規模で取組むべき喫緊の課題と捉えており、リスクと機会の両面から積極的に課題解決に取り組んでおります。日本政府が掲げる2050年カーボンニュートラルに貢献するために、温室効果ガスの主たる要因であるエネルギー消費に伴い発生する当社グループ全体のCO2排出量の削減について、最新の国際的な目標(※)に沿って2020年3月期を基準年度とし、2027年3月期までに31%削減、2031年3月期までに48%削減する中長期目標を立て、継続的な省エネルギー対策と再生可能エネルギーの導入を進めております。※Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC)の第6次報告の1.5℃シナリオ本中期経営計画の初年度を終了した2025年3月末時点では、国内生産拠点を中心に、太陽光発電設備の設置、ボイラーの運用改善、生産設備の高効率化、照明器具のLED化などの省エネルギー対策を実施すると同時に、買電を再生可能エネルギー由来の電力に切り換えることを進めました。その結果、当社グループ全体のCO2排出量(Scope1&2)は、2025年3月期に2020年3月期比で49%削減となり、中長期目標達成に向けて順調に推移しています(Scope2はGHGプロトコル・マーケット基準にて算定)。また当社製品を通じて世の中のCO2排出量(Scope3)も削減できるようにTCFDの枠組みに沿って当社グループの気候変動に関するリスクと収益機会を管理し、企業価値向上に貢献してまいります。詳細は「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への取り組み TCFD提言に沿った情報開示」を参照ください。 (ウ) 資源循環促進(サーキュラーエコノミー)当社グループでは、資源循環型社会の実現に向けて、特に世界的に関心の高まっているプラスチック資源の循環に関して化石由来資源の枯渇防止と廃棄の際の環境負荷低減といった環境リスクの低減と収益機会の創出を目指し、当社グループでは、原材料のバイオマス化及び廃プラスチックの排出量抑制・リサイクル促進を進めております。当社グループでは、使用済みプラスチックは廃棄物ではなく資源であるという考え方に基づき、廃プラスチックのリサイクル率を毎年対前年度比で1ポイント向上させることを本中期経営計画の目標に掲げて全社的に取り組んでいます。本中期経営計画の初年度を終了した2025年3月末時点では、7ポイント改善を達成しており、引き続き原材料のバイオマス化及び廃プラスチックの排出量抑制・リサイクル促進を目指し、生産工程から生じるロスを削減するための工程管理の強化と廃プラスチックの分別強化をグローバルに展開してまいります。 (エ) 生物多様性への取り組み化学物質を扱う当社グループは、事業活動のみならず製品のライフサイクル全般において生態系に与える様々な影響をリスクと機会の両面から把握し、生態系への負荷を最小限に抑える義務があると認識しています。2024年3月期にはこの考え方に加え、当社技術を活かして「生物多様性の保全と持続可能な利用」に貢献する価値の創出に努める事が重要であると認識し、それまでの「環境負荷低減」というマテリアリティを「生物多様性の保全」に改訂いたしました。この課題解決に向けて、有機溶剤などの使用時に生じる大気汚染や水質汚染等の環境負荷軽減に向けた自らの管理活動と当社グループの製品使用段階で生じる環境負荷軽減に貢献する製品開発の両輪でTNFDの枠組みに沿って推進してまいります。また、当社グループが現在加盟しているCLOMAをはじめとするイニシアティブへの参加や事業所の近隣地域コミュニティーとの協働作業にも積極的に参加し、生物多様性の保全に努めてまいります。詳細は「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)生物多様性の保全に関する取り組み」を参照ください。 (オ) 社会貢献の一層の促進お客様とのかかわりにおいては、お客様の信頼と期待に応えられるように適切な化学物質管理(新管理システムの導入、リスクアセスメントなど)、品質保証(ISO9001による全社的なQMS活動実施、内部監査実施)、責任ある原材料調達(CSR調達基準によるサプライヤー調査)、サステナブルな物流業務の展開(輸送ロットアップ、在庫拠点集約など)に取り組んでおります。またお客様から積極的に選ばれるサプライヤーになるために、お客様からいただくサプライヤー調査には誠実に回答すると同時に自らの取り組みを反省する機会と捉え、お客様との対話の機会には積極的に参加し、当社グループにとって参考になる意見交換をさせていただいております。このお客様との対話を通じて、当社グループの取り組みを見直す動きが盛んになり、当社内の制度の認識が深まり、見直しにもつながっております。従業員とのかかわりにおいては、ワークライフバランスの充実、女性、外国人、中途採用者の一層の活躍などの点から、人事制度の充実を図っております。またサステナブルな成長を実現させるためには従業員の心身の健康維持・増進と多様な人財が働きやすい職場環境・企業風土づくりが重要であるという考えから、 2023年に健康経営宣言を行い、2025年3月に健康経営優良法人2025(大規模法人部門)に認定されました。健康経営を積極的に推進し、従業員がポテンシャルを最大限発揮することで事業活動を通じて社会に貢献してまいります。地域社会とのかかわりにおいては、生産拠点の近隣に対する安全・安心を最優先に防災活動に加え、生物多様性の保全の一環として近隣の生態系に一層の配慮を行い、環境負荷の低減と自然環境の保全に努めてまいります。これらの諸施策は着実に、継続的に実施することにより効果を得られるものであるため、今後も注力して対応してまいります。 (カ) コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み単に法令遵守、ルール遵守に留まるだけでは実質的なガバナンスの向上につながらないとの認識から、コンプライアンスの徹底のために経営層からのメッセージの発信・従業員からのフィードバックを継続的に実施しております。今期は経営層からのトップダウンと実行部門からのボトムアップを活性化させた双方向コミュニケーションを充実させ経営戦略を社員一人ひとりが「自分ゴト」として捉えて行動できるように社内環境を整備してまいりました。また、2025年6月27日に開催いたしました第122期定時株主総会において、株主の皆様のご承認を得て、「監査等委員会設置会社」へ移行しており、これにより委員の過半数が社外取締役で構成される監査等委員会が、取締役の業務執行の適法性、妥当性の監査・監督を担うことでより透明性の高い経営を実現し、国内外のステークホルダーの期待により的確に応えうる体制の構築を目指しております。 (キ) 人的資本投資・人財育成当社グループでは、新たな価値の創出には、新たな発想が必要であり、それには“人の力”が不可欠と考えています。“人の力”を引き出し、“人を育成する”ことで、人は価値を生み出す企業の財産であるとの認識から、当社グループでは「人材」ではなく「人財」と表現しております。本中期経営計画では、最優先に取り組む施策として、モノづくりメーカーの従業員としての“働き甲斐”、“誇り”、“仲間への貢献意欲”といったエンゲージメント向上を目指した「人事制度改革」を重点戦略のひとつに掲げ、ステークホルダーの皆様と価値共創に努めてまいります。詳細は「オ、HR戦略」をご参照ください。 エ、DX推進上記のア~ウの戦略を推し進めるために、業務のデジタル化による効率化、データ蓄積・共有の基盤構築を進め、データ駆動型ビジネスへの転換を目指し、効率的で確実性の高い戦略、独創性のある製品開発を重点的に推進します。本中期経営計画初年度を終えた現在の状況としては、オフィスワークにおけるITツールの強化や生成AIの活用を開始しており、業務の効率化を図りました。今後の施策として、具体的には①マーケティングにおいては、担当する部門に関わりなく市場ニーズをデータベースとして蓄積し、市場ニーズと当社技術を結び付け新規案件を開拓する、②技術開発においては、使用する原材料や開発情報を横断的にデータベースとして蓄積し、これらを組み合わせ、MIにより開発期間を短縮する、③生産部門においては、生産現場の負荷を軽減しながらデータの蓄積・見える化を進め、早期異常発見率を高めることにより生産効率を上げる、などを実施していきます。このために、デジタルリテラシー向上やAI活用の研修、データ分析のOJTなども効率的に行うことにより、一層のデジタル人財の基盤強化を図ることといたします。 オ、HR戦略上記エと合わせて、上記のア~ウの戦略を推し進めるために、従業員の将来のありたい姿の実現に向けて「イノベーションが湧き上がる活力に満ちた企業風土」を醸成させていくことが不可欠であるとの認識を前提に、モノ作り企業の従業員としてのエンゲージメント向上を目指したHR戦略を推し進めていくことといたします。具体的には、当社内のエンゲージメント調査結果から、経営方針や戦略を最前線の社員の目標まで落とし込む事が必要と認識しており、その対応として経営層と従業員との対話を深めお互いの期待感を共有し、具体化させていく機会を増やしてまいります。2025年4月より、新人事制度を導入いたしました。評価の仕組みについては、ジョブディスクリプション(JD)を策定し、明確性や公平性の確保、納得感の得られる評価、成長につながる評価、心理的安全性の高い評価などにつなげ、魅力ある会社になることで、エンゲージメントの向上と人財の育成を図ることができ、イノベーションの創出が達成できるものと期待しております。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)企業理念、行動指針、必達当社グループでは、創業者である高橋 義博が1968年に制定した社是<必達>を経営方針の中心に据えて経営に取り組んで参りました。職場の目に付くところに掲示し、社是<必達>に込められた精神、考え方を常に確認すると同時に、従業員への浸透を図ることを行ってきました。社是<必達>の精神は、現在においても何らその価値を失っていないものと考えますが、既存の仕事、製品を軸に、役職員個々人の心構えや行動に重点を置いた内容としているため、近年の社会環境、経済環境が変化していく中で、社内外の人との関連性、新しい技術革新、製品開発への一層の目配り、社会の中における当社との連環という視点で、不十分さを感じるような状況になってきました。そのため、2015年12月開催の当社取締役会において、社是<必達>の考え方に加える形で、新たに<企業理念>、<行動指針>を規定し、経営方針を一層充実したものといたしました。これは、すべての経済原則や経営理論は「人」の行動原理に基づくものであるとの理解に立ち、まずは社内外を問わず全ての「人」に興味を持つべきであるとし、技術革新や商品開発など新しいことへの取り組みが、人や企業の活性化につながるという点を改めて確認し、一方、未来に目を向けると、人も企業も他者との連環(関連)の中で生き抜いていかざるをえないことを再認識した上で、社会に必要とされ、社会の発展に資する姿勢を打ち出していくべきとしたものであります。比較的平易な表現とすることで、若手従業員から経営トップに至るまで、<必達>と合わせて、浸透を図ることを企図したものであります。これらを踏まえ、当社グループは以下の<企業理念>、<行動指針>、<必達>の社是の下、事業活動を行うに当たって人財の付加価値を一層高めることに努め、全てのステークホルダーを尊重し連携を図りながら、地球環境保全などサステナブル社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。 <企業理念>・人に興味を持とう・新しいことに興味を持とう・未来に興味を持とう <行動指針>人間は面白い。その面白い人間が作っているのが企業であり、また顧客である。全ての経済原則、経営理論は、人の行動原理に基本がある。人に興味を持とう。新しいことはワクワクする。技術革新や商品開発は顧客や市場を開拓すると同時に、人間も活性化する。新しいことに興味を持とう。未来を考えることは楽しい。未来は子供たちのものだ。未来を考えれば、人も企業も自分だけでは生きて行けないことが分かる。顧客の発展が無ければ、当社は富んでも長続きしない。更に、社会に生かされなければ、人も企業も存続し得ない。未来に興味を持とう。 一方、当社には1968年に制定した、社是「必達」が存在します。上記の企業理念と共に、歴史ある社是「必達」を、誇りを持って遵守しています。 <必達>私たちはカラーエイジを担う大日精化の社員として<必達>の社是のもとに誇りを持って仕事をすすめよう1.仕事は必ず目標を立てこれを必達しよう1.正しい製品知識を身につけ製品普及のチャンスを積極的に求めよう1.仕事を通じ製品を通じて会社の信用を更に高めよう1.社会人として常に教養を高め反省を深める機会を持とう1.仕事を通じて社会に貢献し大日精化を最高の企業体としよう(2)経営理念創業者 高橋 義博の「自分の生活が好きな色彩によって包まれたいと思うのが私たちの念願」との遺志を引き継ぎ、世界中の「もっと便利に、もっと安全に、もっと自由に彩りたい」という願いをかなえることを使命として、当社グループは企業理念や社是<必達>のもとに、企業としての持続的成長と価値向上を目指した「CSR・ESG基本方針」を、そしてこれを補完するために近年の社会的課題である地球環境、ガバナンス、人権尊重、情報管理、品質管理、安全衛生、人財育成、健康経営などに関する各種方針を制定し、役職員がこれらを徹底することで、全てのステークホルダーの課題に寄り添い、彩りと特性を持った素材をさまざまな分野に提供し、実現しております。また、2023年10月には社内公募により、新ブランドメッセージ「彩りの、その先へ(今日の未知は未来への道)」を決定し、コア技術である①有機無機合成・顔料処理技術、②分散加工技術、③樹脂合成技術を更に深化させ、「色彩のその先の可能性」を追求して「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニー」を目指しております。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、2024年6月に公表した2025年3月期を初年度とする3か年中期経営計画「明日への変革 2027」(以下、「本中期経営計画」といいます。)において、前中期経営計画を引き継ぎ、ROE(自己資本利益率)9%、ROA(総資産経常利益率)5%とすることを長期の経営目標として、またその過程として本中期経営計画の最終年度である2027年3月期の目標として、ROE4.6%、ROA4.3%を掲げておりますが、初年度が経過した2025年3月期では、ROE8.4%、ROA4.0%の結果となりました。これは、埼玉県川口市に所有していた当社旧川口製造事業所跡地の売却に伴う固定資産売却益として約77億円を特別利益に計上したことが主要因ですが、業績面において、継続的な原材料価格の上昇はあるものの、コロナ禍における巣ごもり需要後の長期にわたるサプライチェーン上の在庫調整がようやく終了したことにより、当社を取り巻く事業環境が好転してきていることも要因の一つであります。また2025年5月には、本中期経営計画の最終年度である2027年3月期の目標ROEを5%以上とすることを公表しており、引き続き本中期経営計画の各施策を進めて参ります。 (4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等当社グループの置かれている経営環境については、以下のとおりと認識しております。 ①お客様の国内外の事業展開に寄り添い、収益性、効率性をご提案するために、当社では国内外の拠点の強みを活かし、国内、海外の一方に偏することなくバランスのよい業務展開をするべきであることが重要な課題であると認識しております。 ②当社グループの持続的な成長のためには、ESGへの取組みがあらゆる事業活動の基本理念であり、E(環境配慮)、S(社会貢献)の実現のための研究・開発が果たす役割が、特に重要であると認識しております。このため社会全体の持続性、安全性、収益性、効率性、採算性などの側面から十分に検証の上で、前述の「(2)経営理念」に記載の「3つのコア技術」を更に深化させること、新たな技術を取り入れることに、人財と設備、資金を投入していく必要があるものと認識しております。 ③ステークホルダーの皆様から信頼され常に選ばれる企業であり続けるためには、上記②で述べたように、長期的・持続的な成長とともに、製品や事業活動を通して地球規模の環境や社会問題へ取り組む企業姿勢と、意思決定の透明性、公正性を確保できるガバナンス体制の下で、従業員一人ひとりの思いが企業風土として醸成されることが企業価値の向上においても大きな影響を与えるものと再認識した上で、全社を挙げてE(環境配慮)、S(社会貢献)、G(企業統治)の側面から能動的に活動を促進することが必要と理解しております。また、2025年6月27日に開催いたしました第122期定時株主総会において、株主の皆様のご承認を得て、「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」へ移行しております。これは、委員の過半数が社外取締役で構成される監査等委員会が、取締役の業務執行の適法性、妥当性の監査・監督を担うことでより透明性の高い経営を実現し、国内外のステークホルダーの期待により的確に応えうる体制の構築を目指したものであります。④今後さらに、デジタル技術及びデータ分析の活用が当社グループの競争力の源泉のひとつとして重要性を増し、経営目標を達成するための重要な手段になると認識しております。当社は基幹システムを2018年10月に刷新し、さらなる活用のための周辺システムの整備も着々と進めてきておりますが、より高度化していく外部環境からの要請事項に対し、これまで以上に、適時かつ的確に対応していくことが必要であると認識しております。また、データ駆動型ビジネスへ転換し、効率的で確実性の高い戦略、独創性のある製品開発を強力に推進することが不可欠であり、そのためにも有効なデータ、優秀な人財と、柔軟で素早い意思決定が重要であると認識しており、これらへの取り組みを加速させるため、2024年11月にはグループウエアの刷新を行うことで、AIを日々の業務において活用できるようにしております。社内情報の共有化や組織を超えた連携など、DXを支える基盤になることを確信しております。 ⑤当社グループの掲げる長期目標の達成には、人的資本及び知的財産への投資と活用によるイノベーションの創出が不可欠であると認識し、企業にとって財産である「人財」の育成と活気溢れる企業風土の醸成は重要な経営課題のひとつと考え、従業員のモチベーションとエンゲージメント向上を目指したHR戦略を推し進めます。また別途定める「人財育成方針」「社内環境整備方針」に沿って、企業と人財が互いに高め合っていくビジョンを共有し、持続可能な成長に向けて地道にかつ着実に、相互に磨き上げていくことにより、当社グループの成長と人財の成長との間に好循環を生み出すことができるものと確信しております。本件については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」「(3)人的資本投資・人財育成及び人財の多様性の活用」にて詳細を記載しております。 これらを踏まえ、昨年公表しております本中期経営計画を引き続き重点的に進めております。 ア、技術主導による競争優位性の確保当社グループでは、保有する技術を、技術マネジメント手法を用いて再評価し、社会的なニーズ(ESG)への貢献を最優先課題として、オープンイノベーション、セグメント間のシナジー、知財戦略などを組み合わせ、3つのコア技術(1 有機無機合成・顔料処理技術、2 分散加工技術、3 樹脂合成技術)を深化させた技術開発に取り組んでおります。本中期経営計画においても、これらコア技術は重要な基盤として、市場規模・収益性・成長性を評価し、新規発展分野として①IT・エレクトロニクス 機能性材料、②ライフサイエンス・パーソナルケアの2つを、継続発展分野において環境配慮型製品へのより一層のシフトをテーマとする③モビリティ、④環境配慮型パッケージングを開発の中心に据え、人財と設備と資金とを積極的に投入することを行い、技術主導による競争優位の確保を目的とした体制の構築を進めております。具体的には、2025年2月14日に開催した当社取締役会において、2025年4月1日より保有技術ごとの縦割り体制であった技術機構組織から、開発ステージごとの組織体制に刷新することを決議し、実行しております。併せて、お客様と対面で開発を進めている事業機構の技術部門との融合と、オープンイノベーションなどから技術開発・製品開発力を強化することで、技術主導で事業創出できる体制を作ってまいります。これらの取り組みにより、10年後のありたい姿である「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニー」を目指し、製品の差別化、品質向上により社会貢献度を高め、同時に収益性の確保を図ることとしております。本中期経営計画では、技術主導による新規開発製品の売上高を2027年3月期までに2024年3月期比26億円増加させることを目標に掲げて取り組んでおります。初年度を終了した2025年3月末時点では、個々の開発テーマの進捗は概ね順調に進んでおり、売上高は7億円の増加となりました。新規開発製品が売上に寄与するまでには一定程度の時間が必要となることによりますが、引き続き、新規開発製品の早期売上寄与を目指してまいります。本中期経営計画の初年度を終了した2025年3月末時点における各セグメント毎の状況は、以下のとおりと認識しております。 ①IT・エレクトロニクス 機能性材料二次電池用部材、導電性部材、熱マネジメント部材、機能性ポリマー、高付加価値顔料・分散体などにおいて、電池部材や半導体周辺部材、精密電子機器部材などで多数の新規案件が獲得できました。新たに複数の大学やメーカーとオープンイノベーションを開始することで、新たな技術シーズ創出を進めるとともに、既にある技術シーズを積極的に発信し、社会ニーズに対応すべく応用開発を進め、遅延なく生産設備も導入し、売上高への早期寄与を図ってまいります。②ライフサイエンス・パーソナルケア天然物由来化粧品原料においては、大学発の技術を導入し、キノコ石突などのキノコ廃材や端材を原料とした菌糸パルプ分散液の開発に取り組みました。アップサイクル素材の化粧品原料として製品化を進めております。生分解性微粒子においては、量産化ラインの検討を開始し、さらなる高機能製品の開発も着実に進めてまいります。 ③モビリティ軽量・高強度樹脂コンパウンドにおいては、リサイクル素材の使いこなしに加え、天然物フィラーの微分散技術を向上させました。今後は積極的に市場開拓を進めてまいります。ウレタン ・アクリル・シリコーンポリマーでは海外の厳しい法規制に対応する環境配慮を更に強化した製品設計に目途がたちました。今後は海外での量産体制構築も見据え、拡販に繋げてまいります。加飾フィルムでは、高分子合成技術と分散加工技術を駆使し、新たな提案ができるような開発を進めてまいります。 ④環境配慮型パッケージング水性フレキソインキでは完全水性品の特徴を活かし、海外の市場ニーズにも対応しつつ、新たに水性フレキソラミネート剤の開発に注力しています。今後は市場ニーズを探りつつ、開発、販売の鋭意強化に努めてまいります。ガスバリアコート材・環境配慮型接着剤では、ユーザー評価を進めながらキーマテリアルのパイロットプラント導入に着手しました。来期中に稼働し、市場への本格投入に繋げていきます。また、消耗品パッケージングではない高耐久インキの開発にも着手し着実な一歩を踏み出すことができました。 イ、事業基盤の強化のための海外事業の拡大当社グループの収益、成長の源泉は、国内・海外双方に存在し、GDP高伸長国での事業展開などバランスよく事業育成をしていく必要があるとの認識の基に事業を展開してまいりました。本中期経営計画では、海外事業の売上高を2027年3月期までに2024年3月期比36億円増加させることを目標に掲げて取り組んでおります。初年度を終了した2025年3月末時点では、売上高は20億円の増加(為替影響除く)となりました。中国では家電やOA機器、輸送業界向けを中心に生産数量の低調が続きましたが、中国以外では、市況の回復や価格修正の効果により好調に推移しました。引き続き、「地産地消」の推進と海外拠点の拡充及び新規ビジネスの創出を軸に、積極的な業務の展開に注力してまいります。本中期経営計画の初年度を終了した2025年3月末時点における状況は、以下のとおりと認識しております。 (ア) カラー&ファンクショナル プロダクト高機能着色剤、機能製品の拡販に注力いたしましたが、中国では家電OA機器向けのコンパウンド・着色剤が低調に推移しました。また、情報電子分野のIJ分散液・顔料も欧州向けの輸出が減少しました。一方、タイ・ベトナムについてはEV化/電装部品用樹脂コンパウンドなどが順調に拡大、タイでは増設設備の稼働が販売に寄与しており、更なるラインの増設を進めています。今後は、情報電子分野で欧州を中心に新規顧客の開拓を行うと同時に、インド・東南アジアを中心として電線用などの高機能着色剤の拡販を目指します。 (イ) ポリマー&コーティング マテリアル北米でサステナビリティ貢献製品の水性表面処理剤の展開を図り、販売を拡大させることができました。今後も地産地消をより一層推進するため、北米企業向けや日系車両メーカーの海外拠点向けに国内生産していた水性表面処理剤の米国拠点への生産移管を引き続き進めて参ります。また、中国ではスポーツアパレル向けの透湿ウレタン樹脂が昨年度に続き好調に推移しました。今後は、欧州の業界自主規制によって透湿ウレタン樹脂は減少する見通しも、水性表面処理剤の伸長を見込んでいます。インドにおいても接着剤事業の進展を図ることができました。 (ウ) グラフィック&プリンティング マテリアルインドネシアにおいては、グラビアインキの拡販と適切な価格修正により販売計画を達成しており、旺盛な現地の需要に対応するために増能力投資を計画しています。一方、価格競争も激化しており、高品質製品を維持しながら事業拡大に向けた取り組みを推進してまいります。ウ、サステナブル社会の実現に向けたESG重視の経営推進当社グループでは、サステナブルな社会を実現するために、ESG経営を本中期経営計画の戦略のひとつに掲げ、お客様とのあらたな価値の共創を目指して原材料調達段階から当社製品を使用した製品が廃棄されるまでを含めたライフサイクル全体において、「(ア)サステナビリティ貢献製品開発・拡販」、「(イ)気候変動への取り組み」、「(ウ)資源循環促進」、「(エ)生物多様性への取り組み」、「(オ)社会貢献の一層の促進」、「(カ)コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み」を推進しています。同時にこれら重要な経営課題における様々な外部要因、内部要因の変化に対して、リスクと機会に効率よく対処できるように統合型リスクマネジメント(ERM)を活用しています。本中期経営計画では、「エ.DX推進」と「オ.HR戦略」を戦略に追加し、10年後のありたい姿である「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニーになる」の実現に向けて、ステークホルダーの皆様と価値共創に努めてまいります。 (ア) サステナビリティ貢献製品開発・拡販当社グループでは、環境負荷低減に貢献できる環境配慮型製品に加え、人々の暮らしを豊かにする製品を含めたサステナビリティ貢献製品の拡販により、サステナブル社会の実現を推進しております。本中期経営計画では、サステナビリティ貢献製品の売上高を2027年3月期までに2024年3月期比30億円増加させることを目標に掲げて取り組んでおります。初年度を終了した2025年3月末時点では、この目標を達成するために、顧客ニーズ、市場ニーズを的確に技術開発テーマにつなげスピーディに事業化していく事を目指した社内体制の整備を行いましたが、サステナビリティ貢献製品の多くを占める情報電子材関連、自動車関連向けの製品群が、中国をはじめとする主力市場の景気後退の影響を受け、サステナビリティ貢献製品の売上高は、2024年3月期比で5億円増に留まりました。 (イ) 気候変動への取り組み当社グループでは、気候変動は地球規模で取組むべき喫緊の課題と捉えており、リスクと機会の両面から積極的に課題解決に取り組んでおります。日本政府が掲げる2050年カーボンニュートラルに貢献するために、温室効果ガスの主たる要因であるエネルギー消費に伴い発生する当社グループ全体のCO2排出量の削減について、最新の国際的な目標(※)に沿って2020年3月期を基準年度とし、2027年3月期までに31%削減、2031年3月期までに48%削減する中長期目標を立て、継続的な省エネルギー対策と再生可能エネルギーの導入を進めております。※Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC)の第6次報告の1.5℃シナリオ本中期経営計画の初年度を終了した2025年3月末時点では、国内生産拠点を中心に、太陽光発電設備の設置、ボイラーの運用改善、生産設備の高効率化、照明器具のLED化などの省エネルギー対策を実施すると同時に、買電を再生可能エネルギー由来の電力に切り換えることを進めました。その結果、当社グループ全体のCO2排出量(Scope1&2)は、2025年3月期に2020年3月期比で49%削減となり、中長期目標達成に向けて順調に推移しています(Scope2はGHGプロトコル・マーケット基準にて算定)。また当社製品を通じて世の中のCO2排出量(Scope3)も削減できるようにTCFDの枠組みに沿って当社グループの気候変動に関するリスクと収益機会を管理し、企業価値向上に貢献してまいります。詳細は「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への取り組み TCFD提言に沿った情報開示」を参照ください。 (ウ) 資源循環促進(サーキュラーエコノミー)当社グループでは、資源循環型社会の実現に向けて、特に世界的に関心の高まっているプラスチック資源の循環に関して化石由来資源の枯渇防止と廃棄の際の環境負荷低減といった環境リスクの低減と収益機会の創出を目指し、当社グループでは、原材料のバイオマス化及び廃プラスチックの排出量抑制・リサイクル促進を進めております。当社グループでは、使用済みプラスチックは廃棄物ではなく資源であるという考え方に基づき、廃プラスチックのリサイクル率を毎年対前年度比で1ポイント向上させることを本中期経営計画の目標に掲げて全社的に取り組んでいます。本中期経営計画の初年度を終了した2025年3月末時点では、7ポイント改善を達成しており、引き続き原材料のバイオマス化及び廃プラスチックの排出量抑制・リサイクル促進を目指し、生産工程から生じるロスを削減するための工程管理の強化と廃プラスチックの分別強化をグローバルに展開してまいります。 (エ) 生物多様性への取り組み化学物質を扱う当社グループは、事業活動のみならず製品のライフサイクル全般において生態系に与える様々な影響をリスクと機会の両面から把握し、生態系への負荷を最小限に抑える義務があると認識しています。2024年3月期にはこの考え方に加え、当社技術を活かして「生物多様性の保全と持続可能な利用」に貢献する価値の創出に努める事が重要であると認識し、それまでの「環境負荷低減」というマテリアリティを「生物多様性の保全」に改訂いたしました。この課題解決に向けて、有機溶剤などの使用時に生じる大気汚染や水質汚染等の環境負荷軽減に向けた自らの管理活動と当社グループの製品使用段階で生じる環境負荷軽減に貢献する製品開発の両輪でTNFDの枠組みに沿って推進してまいります。また、当社グループが現在加盟しているCLOMAをはじめとするイニシアティブへの参加や事業所の近隣地域コミュニティーとの協働作業にも積極的に参加し、生物多様性の保全に努めてまいります。詳細は「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)生物多様性の保全に関する取り組み」を参照ください。 (オ) 社会貢献の一層の促進お客様とのかかわりにおいては、お客様の信頼と期待に応えられるように適切な化学物質管理(新管理システムの導入、リスクアセスメントなど)、品質保証(ISO9001による全社的なQMS活動実施、内部監査実施)、責任ある原材料調達(CSR調達基準によるサプライヤー調査)、サステナブルな物流業務の展開(輸送ロットアップ、在庫拠点集約など)に取り組んでおります。またお客様から積極的に選ばれるサプライヤーになるために、お客様からいただくサプライヤー調査には誠実に回答すると同時に自らの取り組みを反省する機会と捉え、お客様との対話の機会には積極的に参加し、当社グループにとって参考になる意見交換をさせていただいております。このお客様との対話を通じて、当社グループの取り組みを見直す動きが盛んになり、当社内の制度の認識が深まり、見直しにもつながっております。従業員とのかかわりにおいては、ワークライフバランスの充実、女性、外国人、中途採用者の一層の活躍などの点から、人事制度の充実を図っております。またサステナブルな成長を実現させるためには従業員の心身の健康維持・増進と多様な人財が働きやすい職場環境・企業風土づくりが重要であるという考えから、 2023年に健康経営宣言を行い、2025年3月に健康経営優良法人2025(大規模法人部門)に認定されました。健康経営を積極的に推進し、従業員がポテンシャルを最大限発揮することで事業活動を通じて社会に貢献してまいります。地域社会とのかかわりにおいては、生産拠点の近隣に対する安全・安心を最優先に防災活動に加え、生物多様性の保全の一環として近隣の生態系に一層の配慮を行い、環境負荷の低減と自然環境の保全に努めてまいります。これらの諸施策は着実に、継続的に実施することにより効果を得られるものであるため、今後も注力して対応してまいります。 (カ) コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み単に法令遵守、ルール遵守に留まるだけでは実質的なガバナンスの向上につながらないとの認識から、コンプライアンスの徹底のために経営層からのメッセージの発信・従業員からのフィードバックを継続的に実施しております。今期は経営層からのトップダウンと実行部門からのボトムアップを活性化させた双方向コミュニケーションを充実させ経営戦略を社員一人ひとりが「自分ゴト」として捉えて行動できるように社内環境を整備してまいりました。また、2025年6月27日に開催いたしました第122期定時株主総会において、株主の皆様のご承認を得て、「監査等委員会設置会社」へ移行しており、これにより委員の過半数が社外取締役で構成される監査等委員会が、取締役の業務執行の適法性、妥当性の監査・監督を担うことでより透明性の高い経営を実現し、国内外のステークホルダーの期待により的確に応えうる体制の構築を目指しております。 (キ) 人的資本投資・人財育成当社グループでは、新たな価値の創出には、新たな発想が必要であり、それには“人の力”が不可欠と考えています。“人の力”を引き出し、“人を育成する”ことで、人は価値を生み出す企業の財産であるとの認識から、当社グループでは「人材」ではなく「人財」と表現しております。本中期経営計画では、最優先に取り組む施策として、モノづくりメーカーの従業員としての“働き甲斐”、“誇り”、“仲間への貢献意欲”といったエンゲージメント向上を目指した「人事制度改革」を重点戦略のひとつに掲げ、ステークホルダーの皆様と価値共創に努めてまいります。詳細は「オ、HR戦略」をご参照ください。 エ、DX推進上記のア~ウの戦略を推し進めるために、業務のデジタル化による効率化、データ蓄積・共有の基盤構築を進め、データ駆動型ビジネスへの転換を目指し、効率的で確実性の高い戦略、独創性のある製品開発を重点的に推進します。本中期経営計画初年度を終えた現在の状況としては、オフィスワークにおけるITツールの強化や生成AIの活用を開始しており、業務の効率化を図りました。今後の施策として、具体的には①マーケティングにおいては、担当する部門に関わりなく市場ニーズをデータベースとして蓄積し、市場ニーズと当社技術を結び付け新規案件を開拓する、②技術開発においては、使用する原材料や開発情報を横断的にデータベースとして蓄積し、これらを組み合わせ、MIにより開発期間を短縮する、③生産部門においては、生産現場の負荷を軽減しながらデータの蓄積・見える化を進め、早期異常発見率を高めることにより生産効率を上げる、などを実施していきます。このために、デジタルリテラシー向上やAI活用の研修、データ分析のOJTなども効率的に行うことにより、一層のデジタル人財の基盤強化を図ることといたします。 オ、HR戦略上記エと合わせて、上記のア~ウの戦略を推し進めるために、従業員の将来のありたい姿の実現に向けて「イノベーションが湧き上がる活力に満ちた企業風土」を醸成させていくことが不可欠であるとの認識を前提に、モノ作り企業の従業員としてのエンゲージメント向上を目指したHR戦略を推し進めていくことといたします。具体的には、当社内のエンゲージメント調査結果から、経営方針や戦略を最前線の社員の目標まで落とし込む事が必要と認識しており、その対応として経営層と従業員との対話を深めお互いの期待感を共有し、具体化させていく機会を増やしてまいります。2025年4月より、新人事制度を導入いたしました。評価の仕組みについては、ジョブディスクリプション(JD)を策定し、明確性や公平性の確保、納得感の得られる評価、成長につながる評価、心理的安全性の高い評価などにつなげ、魅力ある会社になることで、エンゲージメントの向上と人財の育成を図ることができ、イノベーションの創出が達成できるものと期待しております。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。 (1)経営成績等の状況の概要①経営成績当連結会計年度の当社グループの主要な販売先動向は以下のとおりとなりました。輸送機器業界自動車向けコンパウンド・着色剤・ウレタン樹脂は、国内は第2四半期会計期間を底に回復傾向、海外は、中国向けが低調も北米向けが好調に推移情報電子業界液晶ディスプレイ向けは、顔料が第2四半期以降低調に推移もコーティング剤は年間を通して堅調に推移、オフィス事務機器向け顔料及び着色剤は低調に推移包装・パッケージ業界グラビアインキは、食料品用途等の軟包装向けが流通在庫の解消により堅調に推移、飲料ラベル用途は、猛暑による天候要因、旺盛なインバウンド需要により堅調に推移建材業界新築需要向けの着色剤・コーティング剤は低調も、リフォーム用途の着色剤は堅調に推移以上の結果、売上高は、1,247億6千万円(前年同期比4.1%増)と増収になりました。営業利益は、海外法人が好調に推移したこと及び新工場移転完了による拠点統合効果等により、70億4百万円(同53.9%増)、経常利益は、77億6千4百万円(同55.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失に関係会社出資金売却損11億9千3百万円を計上しましたが、特別利益に旧川口製造事業所跡地等の固定資産売却益77億6千1百万円を計上したことなどにより、102億8千9百万円(同181.1%増)とそれぞれ増益になりました。次に報告セグメントの業績についてご報告いたします。 (カラー&ファンクショナル プロダクト)当セグメントでは、顔料及び顔料の2次加工品を中心に、顔料・繊維用着色剤、プラスチック用着色剤、樹脂コンパウンド、顔料分散体、機能性材料の製造・販売を行っています。情報電子業界向けの顔料及び分散体の売上高は、液晶ディスプレイ用途及びオフィス事務機器用途が低調に推移しました。輸送機器業界向けのコンパウンド・着色剤は、国内は第2四半期会計期間を底に回復基調で推移しました。海外のコンパウンド・着色剤は、タイ・ベトナム現地法人の食品包材・自動車向けコンパウンドが好調に推移した一方、中国現地法人の家電OA機器向けが低調に推移しました。これらの結果、当セグメントの売上高は673億2千5百万円(同2.8%増)、営業利益は31億3千4百万円(同27.7%増)と増収増益になりました。 (ポリマー&コーティング マテリアル)当セグメントでは、合成樹脂及び特殊コーティング剤を中心に、ウレタン樹脂、天然物由来高分子、紫外線・電子線硬化型コーティング剤の製造・販売を行っています。ウレタン樹脂は、北米の輸送機器業界向けは好調でしたが、自動車メーカーの生産台数減や販売不振により全体としては低調に推移しました。衣料品・服飾品業界のアウトドアウェア用途は好調に推移しました。産業資材業界向けの感熱記録用コーティング剤は、在庫調整が完了し回復しました。情報電子業界向けのコーティング剤は、年間を通して堅調に推移しました。海外は、中国現地法人の衣料品向け及び自動車向け、米国現地法人の自動車向けが好調に推移しました。これらの結果、当セグメントの売上高は、253億4千2百万円(同6.0%増)、営業利益は、31億4千5百万円(同18.3%増)と増収増益になりました。 (グラフィック&プリンティング マテリアル)当セグメントでは、パッケージ用及び広告出版用インキを中心に、各種用途に対応した幅広い種類のグラビア・フレキソインキ、オフセットインキの開発、製造及び販売を行っています。包装業界向けのグラビアインキは、食料品用途等の軟包装向けが流通在庫の調整が完了し堅調に推移、飲料ラベル用途も猛暑等の天候要因及び旺盛なインバウンド需要に支えられ堅調に推移しました。オフセットインキは、需要減少により低調に推移しました。海外は、インドネシア現地法人では、競争激化等により販売数量は横這いも販売価格の改定が進み増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は320億2千3百万円(同5.6%増)と増収になり、営業損益は、新工場移転完了による拠点統合効果及び海外子会社における販売価格の改定等により損益改善が進み7億1千6百万円(前年同期は5億6千1百万円の営業損失)と黒字転換しました。②財政状態(資産)当連結会計年度末における資産合計は1,967億8千4百万円となり、前連結会計年度末と比べ19億3千1百万円増加しました。これは主に「売掛金」が減少した一方で、「退職給付に係る資産」及び「機械装置及び運搬具」が増加したことによるものであります。 (負債)当連結会計年度末における負債合計は662億8千6百万円となり、前連結会計年度末と比べ93億9千8百万円減少しました。これは主に「繰延税金負債」が増加した一方で、有利子負債及び「退職給付に係る負債」が減少したことによるものであります。 (純資産)当連結会計年度末における純資産合計は1,304億9千7百万円となり、前連結会計年度末と比べ113億3千万円増加しました。これは主に配当金の支払の一方で、「親会社株主に帰属する当期純利益」の計上により「利益剰余金」が増加したこと及び「為替換算調整勘定」が増加したことによるものであります。 ③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2億7千1百万円増加し、216億9千6百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりとなっております。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、41億6千5百万円(前年同期比53.8%減)となりました。これは主に退職給付に係る負債の減少により資金が減少した一方、「税金等調整前当期純利益」及び「減価償却費」の計上により資金が増加したことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果得られた資金は、14億1千5百万円(前年同期は14億4千5百万円の使用)となりました。これは主に「有形固定資産の取得による支出」により資金が減少した一方、「有形固定資産の売却による収入」により資金が増加したことによるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、70億円(前年同期比31.4%減)となりました。これは主に借入金の返済及び配当金の支払により資金が減少したことによるものであります。 ④生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:t)セグメントの名称当連結会計年度(自2024年4月1日至2025年3月31日)前年同期比(%)カラー&ファンクショナルプロダクト193,8581.9ポリマー&コーティングマテリアル24,8436.9グラフィック&プリンティングマテリアル34,2743.1報告セグメント計252,9752.6その他--合計252,9752.6 b.受注実績当社グループは過去の販売実績と将来の予想に基づいて見込生産を行っており、受注生産は行っておりません。 c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:百万円)セグメントの名称当連結会計年度(自2024年4月1日至2025年3月31日)前年同期比(%)カラー&ファンクショナルプロダクト67,3252.8ポリマー&コーティングマテリアル25,3426.0グラフィック&プリンティングマテリアル32,0235.6報告セグメント計124,6914.1その他69△6.1合計124,7604.1(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討等ⅰ経営成績の分析当連結会計年度の当社グループの経営成績に対して特に重要な影響を与えた事象は、以下のとおりと考えております。 当連結会計年度の事業環境については、世界経済はインフレ圧力が続く中で、米国経済は堅調に推移した一方で、欧州・中国経済は停滞しました。中国以外のアジア地域では、インド、ASEANの一部諸国において比較的高い成長となりました。このような環境下、海外子会社においては、中国華南地区を除き総じて好調に推移しました。業界別では、車両向けは北米は好調でしたが、国内は2024年年明けの能登地震、車両生産台数の減少により2024年後半からの回復となり、全体としては低調に推移しました。液晶ディスプレイ用途については、カラーフィルター用顔料は商権移動による影響を受け低調に推移しましたが、パネル面積の拡大を受けてコーティング剤は好調に推移しました。国内においては、インバウンド消費の拡大、猛暑による消費拡大により飲料用途のグラビアインキ・フレキソインキが伸長、電化製品の小型化・高機能化により開発品の耐熱性高機能樹脂も伸長しました。こうした社会的、経済的状況のもとで、売上高は、販売価格の見直しを進めたこと、円安による為替換算の影響を受けたことにより1,247億6千万円(前年同期比4.1%増)となり、利益面ではコスト上昇分の価格転嫁を進めたこと、在庫調整の一巡したことなどから、営業利益は70億4百万円(同53.9%増)、経常利益は77億6千4百万円(同55.2%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、旧川口製造事業所跡地等の固定資産売却益77億6千1百万円を計上したことなどにより、102億8千9百万円(同181.1%増)となりました。足元では、インフレ、金融政策の転換、地政学的な緊張の高まりに加え、米国関税政策により、最終需要の減少の懸念や景気変動を先読みした金利や為替の変動が生じており、先行き不透明な状況が続くことが想定されます。当社グループでは「3.事業等のリスク」で記載したとおり、引き続き各リスクに対応したリスク回避・削減策を積極的に推進していくことといたします。各報告セグメントの概況は以下のとおりであります。なお報告セグメント毎の実績は上記「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に、生産実績・受注実績・販売実績は、同「④生産、受注及び販売の実績」にて、それぞれ記載しております。 (カラー&ファンクショナル プロダクト)当セグメントでは、顔料及び顔料の2次加工品を中心に、顔料・繊維用着色剤、プラスチック用着色剤、樹脂コンパウンド、顔料分散体、機能性材料の製造・販売を行っています。情報電子業界向けの液晶ディスプレイのカラーフィルター用顔料は商権移動による影響を受け低調に推移しました。オフィス事務機器用途は、需要先において一時的な生産調整があり低調に推移しました。車両業界向けのコンパウンド・着色剤は、2024年初の能登地震、車両生産台数の減少により第3四半期以降の回復となりましたが、全体としては低調に推移しました。海外は、中国華南地区がOA機器、車両用途で低調に推移しましたが、東南アジアで新規アイテムの獲得があり好調に推移しました。今後の受注増に備えて増能力投資を計画しています。 (ポリマー&コーティング マテリアル)当セグメントでは、合成樹脂及び特殊コーティング剤を中心に、ウレタン樹脂、天然物由来高分子、紫外線・電子線硬化型コーティング剤の製造・販売を行っています。ウレタン樹脂は、北米の輸送機器業界向けは好調でしたが、自動車メーカーの生産台数減や販売不振により全体としては低調に推移しました。衣料品・服飾品業界のアウトドアウェア用途は好調に推移しました。産業資材業界向けの感熱記録用コーティング剤は、在庫調整が完了し回復しました。情報電子業界向けの液晶ディスプレイ用コーティング剤は、年間を通して堅調に推移しました。電化製品の小型化・高機能化により高度な性能が要求される、耐熱性高機能樹脂が大きく伸長しました。また、二酸化炭素を原料とするヒドロキシポリウレタン(HPU)については、NEDOグリーンイノベーション基金事業として、量産化に向けたパイロットプラントの建設に着手しました。 (グラフィック&プリンティング マテリアル)当セグメントでは、パッケージ用及び広告出版用インキを中心に、各種用途に対応した幅広い種類のグラビア・フレキソインキ、オフセットインキの開発、製造及び販売を行っています。包装業界向けのグラビアインキ、フレキソインキは、国内は飲料ラベル用途等が堅調に推移しました。海外は、インドネシア子会社で競争激化等により販売数量は横這いでしたが、販売価格の改定が進み大幅に増収となりました。飲料ラベル用グラビアインキ、水性フレキソインキにつきましては、猛暑による消費拡大とインバウンド消費の拡大により伸長しました。また、情報・電子業界向けとしてスマートフォン用については需要が回復しました。グラビアインキ・フレキソインキ事業は、茨城県坂東市に開所しました坂東製造事業所への生産移管が2023年12月末に完了し、生産拠点統合による合理化効果を期初から得ることができました。また、最新の合理化された生産設備を用いてお客様の必要とされる品質とスペックを適時・的確に供給していくことについても継続して進めております。なお、需要減少の流れを踏まえた合理化施策を進めてきているオフセットインキは、引き続き低調に推移しました。 ⅱ財政状態の分析当連結会計年度末における総資産は1,967億8千4百万円(前連結会計年度末比19億3千1百万円増加)、負債計は662億8千6百万円(前連結会計年度年度末比93億9千8百万円減少)、純資産計は1,304億9千7百万円(前連結会計年度末比113億3千万円増加)となりました。総資産は、当連結会計年度末の為替レートが、前連結会計年度末に比べて5~8%円安となったことから、海外連結子会社が保有する資産の円換算額が増加したため実質は横這いから減少となりました。負債及び純資産の部は、為替レート差による負債・純資産の円換算による影響の他、連結損益計算書の特別利益に計上した旧川口製造事業所の売却収入を株主に対する還元、従業員に対する還元、M&Aを始めとする成長投資の原資として内部留保と3つに分配する方針で実行し、結果として大きく増減することとなりました。(資産)「現金及び預金」は、242億5千1百万円(前連結会計年度末比6億7千1百万円増加)となりました。円安により16億円弱増加していることから、実質的には10億円弱の減少となりました。当社及び主要な国内子会社の計5社においては、効率的な資金運用を目的として、2024年3月にキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入し、日次で資金残高を把握、過不足がある場合には国内グループ会社間で貸付・借入を行う体制となりました。この結果、国内の資金残高は、月商の0.5ヶ月程度を目途に維持しております。海外会社においては、「地産地消」が主であり、取り扱う通貨の種類が多岐にわたることから、現時点においては、各社で月商2ヶ月程度の残高を目指しております。売掛金・受取手形などの「売上債権」、原材料・製品等の「棚卸資産」及び仕入・電子記録債務などの「仕入債務」の運転資本については、事業運営の主体である各事業部ごとに回転期間などで管理しております。「売上債権」については、成長投資等の資金需要に応じて流動化等の手法を検討しております。有形固定資産及び無形固定資産の合計は、501億9千3百万円(前連結会計年度末比11億7千4百万円増加)となりました。設備を59億7百万円取得した一方、減価償却費を49億円1千2百万円計上したことによるものであります。主な取得資産は、当社東京製造事業所及び東海製造事業所の生産増能力投資等です。2024年4月から開始した3か年中期経営計画において、総額150億円の設備投資を予定しており、1年目である2025年3月期は41億円(発注ベース)実施しました。戦略製品投資は、カラーフィルター向け顔料、自動車向けコンパウンド、HPU生産設備、タイ工場の増能力等になります。また、2025年6月にインドネシア現地法人の生産能力増加及びR&D施設拡充を目的として約8億円の増資を決議しております。「投資有価証券」は、185億1千4百万円(前連結会計年度末比2億6千3百万円減少)となりました。これは、政策保有株式を計17銘柄3億円縮減したことなどによるものです。保有している政策保有株式については、毎年取締役会において、保有目的の適切さや保有に伴う便益・リスクが資本コストに見合っているか等を精査し、保有の適否を検証しております。3か年中期経営計画において、2024年3月末の政策保有株式残高154億9千8百万円から15%以上削減することを目標としており、2025年3月期については約3%削減いたしました。「出資金」は、6千1百万円(前連結会計年度末比8億7千2百万円減少)となりました。これは、2025年3月に持分法適用関連会社であったオランダ現地法人の持分全額の売却契約を締結、4月に売却完了したものによります。(2025年3月期をもって持分法適用関連会社からは除外済)同社は、各種樹脂コンパウンドの受託コンパウンド事業を運営しておりましたが、重点戦略地域であるインドなどアジア全般に経営資源を集中するために譲渡することとしたものであります。「退職給付に係る資産」は、157億5千3百万円(前連結会計年度末比16億5千2百万円増加)となりました。企業年金基金の運用はマイナスとなったものの、金利上昇による割引率上昇により退職給付債務が減少したことにより増加したものです。 (負債)「短期借入金」「長期借入金」などの有利子負債は、210億4千4百万円(前連結会計年度末比42億3千4百万円減少)となりました。3か年中期経営計画では、資本コストを意識し、借入金等の有利子負債で調達した資金でM&A等の成長投資を実施する計画としております。しかし、2025年3月期は成長投資に適した案件が少なくM&Aまで至らなかったため、上述の不動産売却収入等の資金を一時的に有利子負債の返済に充てたことにより減少したものであります。「退職給付に係る負債」は、33億5千7百万円(前連結会計年度末比36億7千8百万円減少)となりました。これも、上述の不動産売却収入の一部を従業員へ還元する一環として、将来の退職一時金の原資として退職給付信託に30億円を拠出したことによるものであります。 (純資産)「利益剰余金」は、909億1千万円(前連結会計年度末比68億8千7百万円増加)となりました。「親会社株主に帰属する当期純利益」を102億8千9百万円計上したことなどによるものであります。株主還元は、3か年中期経営計画期間中は、総還元性向40~50%相当とする方針でありますが、旧川口製造事業所売却益(法人税相当額控除後)の40%相当額を2024年3月期から4期間にわたり1株当たり年間30円・総額約20億円を特別配当として還元予定であることから、総還元性向は26.0%となっております。なお、普通配当原資(48億円)に対する配当性向は45%・総額21億円強となります。「自己株式」は、20億4千6百万円(前連結会計年度末比10億8千4百万円減少)となりました。2025年2月に自己株式500千株を消却したことによるものであります。また、同月に従業員持株会への入会会員に1人当たり110株の譲渡制限付株式を自己株式から付与することを決議しております。「その他の包括利益累計額」は、円安に伴い「為替換算調整勘定」が82億5千5百万円(前連結会計年度末比28億5千5百万円増加)と大きく増加となりました。この結果、自己資本比率は65.0%となり、前連結会計年度に比べ5.1ポイント上昇しました。事業の特性や成長戦略、市場環境などを総合的に勘案し、資本効率性を重視した活用を行ってまいります。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、216億9千6百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。なお、連結キャッシュ・フロー計算書も併せてご参照ください。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動から得られた資金は41億6千5百万円となりました。これは「税金等調整前当期純利益」に「減価償却費」及び「売上債権」「仕入債務」「棚卸資産」などの増減を加味したものであります。従業員の将来の退職一時金の支払に備え信託財産に30億円拠出したことにより「退職給付に係る負債」が大きく減少したこと等により、前連結会計年度に比べて営業キャッシュ・フローは減少しております。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動から得られた資金は、14億1千5百万円となりました。当社東京製造事業所及び東海製造事業所を中心に有形固定資産の取得により54億3千7百万円を支出した一方、旧川口製造事業所の土地売却等により「有形固定資産の売却による収入」を75億3千万円計上したことにより投資活動によるキャッシュ・フローはキャッシュ・インとなりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、70億円となりました。有利子負債によるキャッシュ・フローは次のとおりであります。(単位:百万円)主な項目前連結会計年度(自2023年4月1日至2024年3月31日)当連結会計年度(自2024年4月1日至2025年3月31日)短期借入による収入2,9703,617短期借入金の返済による支出△3,790△4,834長期借入による収入7571,198長期借入金の返済による支出△5,518△4,134リース債務の返済による支出△234△154 当社グループ内にて保有する資金のうちから営業活動の遂行にあたり必要となる資金相当分を控除した資金を活用することと合わせ、当該資金で不足する場合には、調達までの機動性や増資等による株式の希薄化を回避するためにも、主として銀行借入により調達しております。 ③資本の財源及び資金の流動性当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入金などにより、資金を調達しております。また、当社及び主要な国内子会社の計5社でキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、グループ内資金を一元管理し、現預金の水準を引き下げ、資金の効率化を図っております。財務上の方針としては、キャッシュ・フローの創出能力を最大化し、当社の長期的な経営目標としているROE(自己資本利益率)9%、ROA(総資産経常利益率)5%の達成に向けて、財務面から継続的に支援を行うこととし、規律ある積極投資の基準を設けるとともに、短期的な運転資金並びに設備投資や成長投資への資金につきましても有利子負債の活用を行う方針です。有利子負債に関する数値基準としては、D/Eレシオ1倍以下を目安としており、当連結会計年度末におけるD/Eレシオは0.16倍となっております。金融機関には充分な借入枠を有していること、また取引銀行4行と個別に計70億円の貸出コミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、中期経営計画「明日への変革 2027」において、「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニーになる」ことを10年後のありたい姿として公表し、環境への負荷を減らす事業活動に努め、素材に機能を付与した「機能性マテリアル」を開発・供給し続けることで、当社グループを取り巻くあらゆるステークホルダーとWIN+WINの関係性を構築し、人々の暮らしを豊かにすることを目指しております。そして、事業の収益性・資本効率を重視する点から、ROE(自己資本利益率)9%、ROA(総資産経常利益率)5%を長期的な経営目標として掲げております。なお、技術開発に鋭意取り組んでいる新規発展分野及び継続発展分野への投資や海外新規ビジネス投資については、事業単位でのEBITDA(償却前・利払前利益)分析を行い事業評価を行うことなどにより積極的な成長機会を追求し、併せて、経営環境の変化に適時に対応するために、財務基盤の安定と成長を両立させることも重要な課題として認識しております。 ⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)企業理念、行動指針、必達当社グループでは、創業者である高橋 義博が1968年に制定した社是<必達>を経営方針の中心に据えて経営に取り組んで参りました。職場の目に付くところに掲示し、社是<必達>に込められた精神、考え方を常に確認すると同時に、従業員への浸透を図ることを行ってきました。社是<必達>の精神は、現在においても何らその価値を失っていないものと考えますが、既存の仕事、製品を軸に、役職員個々人の心構えや行動に重点を置いた内容としているため、近年の社会環境、経済環境が変化していく中で、社内外の人との関連性、新しい技術革新、製品開発への一層の目配り、社会の中における当社との連環という視点で、不十分さを感じるような状況になってきました。そのため、2015年12月開催の当社取締役会において、社是<必達>の考え方に加える形で、新たに<企業理念>、<行動指針>を規定し、経営方針を一層充実したものといたしました。これは、すべての経済原則や経営理論は「人」の行動原理に基づくものであるとの理解に立ち、まずは社内外を問わず全ての「人」に興味を持つべきであるとし、技術革新や商品開発など新しいことへの取り組みが、人や企業の活性化につながるという点を改めて確認し、一方、未来に目を向けると、人も企業も他者との連環(関連)の中で生き抜いていかざるをえないことを再認識した上で、社会に必要とされ、社会の発展に資する姿勢を打ち出していくべきとしたものであります。比較的平易な表現とすることで、若手従業員から経営トップに至るまで、<必達>と合わせて、浸透を図ることを企図したものであります。これらを踏まえ、当社グループは以下の<企業理念>、<行動指針>、<必達>の社是の下、事業活動を行うに当たって人財の付加価値を一層高めることに努め、全てのステークホルダーを尊重し連携を図りながら、地球環境保全などサステナブル社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。 <企業理念>・人に興味を持とう・新しいことに興味を持とう・未来に興味を持とう <行動指針>人間は面白い。その面白い人間が作っているのが企業であり、また顧客である。全ての経済原則、経営理論は、人の行動原理に基本がある。人に興味を持とう。新しいことはワクワクする。技術革新や商品開発は顧客や市場を開拓すると同時に、人間も活性化する。新しいことに興味を持とう。未来を考えることは楽しい。未来は子供たちのものだ。未来を考えれば、人も企業も自分だけでは生きて行けないことが分かる。顧客の発展が無ければ、当社は富んでも長続きしない。更に、社会に生かされなければ、人も企業も存続し得ない。未来に興味を持とう。 一方、当社には1968年に制定した、社是「必達」が存在します。上記の企業理念と共に、歴史ある社是「必達」を、誇りを持って遵守しています。 <必達>私たちはカラーエイジを担う大日精化の社員として<必達>の社是のもとに誇りを持って仕事をすすめよう1.仕事は必ず目標を立てこれを必達しよう1.正しい製品知識を身につけ製品普及のチャンスを積極的に求めよう1.仕事を通じ製品を通じて会社の信用を更に高めよう1.社会人として常に教養を高め反省を深める機会を持とう1.仕事を通じて社会に貢献し大日精化を最高の企業体としよう(2)経営理念創業者 高橋 義博の「自分の生活が好きな色彩によって包まれたいと思うのが私たちの念願」との遺志を引き継ぎ、世界中の「もっと便利に、もっと安全に、もっと自由に彩りたい」という願いをかなえることを使命として、当社グループは企業理念や社是<必達>のもとに、企業としての持続的成長と価値向上を目指した「CSR・ESG基本方針」を、そしてこれを補完するために近年の社会的課題である地球環境、ガバナンス、人権尊重、情報管理、品質管理、安全衛生、人財育成、健康経営などに関する各種方針を制定し、役職員がこれらを徹底することで、全てのステークホルダーの課題に寄り添い、彩りと特性を持った素材をさまざまな分野に提供し、実現しております。また、2023年10月には社内公募により、新ブランドメッセージ「彩りの、その先へ(今日の未知は未来への道)」を決定し、コア技術である①有機無機合成・顔料処理技術、②分散加工技術、③樹脂合成技術を更に深化させ、「色彩のその先の可能性」を追求して「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニー」を目指しております。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、2021年8月に公表の2022年3月期を初年度とする3か年中期経営計画において、ROA(総資産経常利益率)5%、ROE(自己資本利益率)9%とすることを経営目標として掲げましたが、最終年度である3年目の2024年3月期では、ROA2.6%、ROE3.2%の結果となりました。これは、初年度はコロナ禍の落ち込みからの回復と同時に過剰な流通在庫が生じ、2年目以降コロナ禍の巣ごもり需要の反動減と長期にわたる在庫調整に加え、戦争影響、世界的なインフレ・原材料価格高騰の影響等を受けた結果と考えております。2025年3月期を初年度とする新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」においても、引き続き長期目標としてROA5%、ROE9%を掲げております。この目標に向けて、新中期経営計画の各施策を進めてまいります。 (4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等当社グループの置かれている経営環境については、以下のとおりと認識しております。 ①お客様の国内外の事業展開に寄り添い、収益性、効率性をご提案するために、当社では国内外の拠点の強みを活かし、国内、海外の一方に偏することなくバランスのよい業務展開をするべきであることが重要な課題であると認識しております。 ②当社グループの持続的な成長のためには、ESGへの取組みがあらゆる事業活動の基本理念であり、環境配慮(E)、社会貢献(S)の実現のための研究・開発が果たす役割が、特に重要であると認識しております。このため社会全体の持続性、安全性、収益性、効率性、採算性などの側面から十分に検証の上で、前述の「(2)経営理念」に記載の「3つのコア技術」を更に深化させること、新たな技術を取り入れることに、人財と設備、資金を投入していく必要があるものと認識しております。 ③ステークホルダーの皆様から信頼され常に選ばれる企業であり続けるためには、上記②で述べたように、長期的・持続的な成長とともに、製品や事業活動を通して地球規模の環境や社会問題へ取り組む企業姿勢と、意思決定の透明性、公正性を確保できるガバナンス体制の下で、従業員一人一人の思いが企業風土として醸成されることが企業価値の向上においても大きな影響を与えるものと再認識した上で、全社を挙げてE(環境配慮)、S(社会貢献)、G(企業統治)の側面から能動的に活動を促進することが必要と理解しております。 ④今後更に、デジタル技術及びデータ分析の活用が、当社グループの競争力の源泉のひとつとして重要性を増し、経営目標を達成するための重要な手段であると認識しております。当社は基幹システムを2018年10月に刷新し、さらなる活用のための周辺システムの整備も着々と進めてきておりますが、より高度化していく外部環境からの要請事項に対し、これまで以上に、適時かつ適切に対応していく仕組みが必要であると認識しております。また、データ駆動型ビジネスへの移行を進め、効率的で確実性の高い戦略、独創性のある製品開発を強力に推進することが不可欠であり、そのためにも有効なデータ、優秀な人財と、柔軟で素早い意思決定が重要であると認識しております。⑤当社グループの掲げる長期目標の達成には、人的資本及び知的財産への投資と活用によるイノベーションの創出が不可欠であると認識し、企業にとって財産である「人財」の育成と活気溢れる企業風土の醸成は重要な経営課題のひとつと考え、従業員のモチベーションとエンゲージメント向上を目指したHR戦略を推し進めます。また別途定める「人財育成方針」「社内環境整備方針」に沿って、企業と人財が互いに高め合っていくビジョンを共有し、持続可能な成長に向けて地道にかつ着実に、相互に磨き上げていくことにより、当社グループの成長と人財の成長との間に好循環を生み出すことができるものと確信しております。本件については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本投資・人財育成及び人財の多様性の活用」にて詳細を記載しております。 これらを踏まえ、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の創出のため、2024年3月末までの3か年の前中期経営計画の施策の達成状況等を踏まえ、2025年3月期を初年度とする新3か年中期経営計画「明日への変革2027」において、次の戦略とともに資本効率を重視した経営を重点的に進めております。 ア、技術主導による競争優位性の確保当社グループでは、保有する技術を、技術マネジメント手法を用いて再評価し、社会的なニーズ(ESG)への貢献を最優先課題として、オープンイノベーション、セグメント間のシナジー、知財戦略などを組み合わせ、3つのコア技術(1 有機無機合成・顔料処理技術、2 分散加工技術、3 樹脂合成技術)を深化させた技術開発に取り組んでおります。新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」においても、これらコア技術は重要な基盤として、市場規模・収益性・成長性を評価し、新規発展分野として①IT・エレクトロニクス 機能性材料、②ライフサイエンス・パーソナルケアの二つを、継続発展分野において環境配慮型製品へのより一層のシフトをテーマとする③モビリティ、④環境配慮型パッケージングを開発の中心に据え、人財と設備と資金とを積極的に投入することを行い、技術主導による競争優位の確保を目的とした「技術オリエンテッド」体制の構築を進めております。製品の差別化、品質向上により社会貢献度を高め、同時に収益性の確保を図ることとしております。2024年3月末時点における状況は、以下のとおりと認識しております。 ①IT・エレクトロニクス 機能性材料二次電池用部材、導電性部材、熱伝導性材料、機能性ポリマー、高付加価値顔料・分散体などにおいて、オープンイノベーション・産学連携を強化し、新技術導入を着実に進め、基礎技術力アップを図ると同時に、応用開発においてもお客様にご採用いただいたアイテムも多数獲得できました。パイロット生産設備等の導入も着実に進めており、今後、ビジネスフィールドの拡大を目指すと同時に、売上高への早期寄与を図ります。 ②ライフサイエンス・パーソナルケア化粧品材料においては、生分解性微粒子は量産化の検討に目途を付け、高性能化やコストダウン製法の構築を進めております。今後は、ご採用いただいたアイテムもあることから、更なる技術優位性の確保と量産プロセスの最適化を進め、拡販を進めます。キトサンは動物由来以外の原料による開発に着手し一定の進捗を得て、天然物由来の生分解性樹脂とともに、サンプルワークを開始し市場での性能評価を開始しております。 ③モビリティウレタン・アクリル・シリコーンポリマー、軽量・高強度樹脂コンパウンドなどにおいて、水性化、バイオマス化などの環境配慮強化、リサイクル素材を利用した高強度コンパウンドの生産プロセスに目途をつけることができました。特に、ウレタン・アクリル・シリコーンポリマーにおいては、環境配慮を強化した製品設計が完了したアイテムの量産体制を構築し、事業拡大に貢献することとなりました。今後も積極的に設備投資を行い、収益の向上に努めます。 ④環境配慮型パッケージングガスバリア性を付与したインキ、パッケージ及びラベルのリサイクルが可能なインキ、バイオマス由来のインキなどを上市し、サンプルワークを開始いたしました。その後、バイオマスインキ、水性インキといった環境配慮型製品の採用が進み、グラビアインキのサステナビリティ製品の占める割合は60%となりました。今後も環境配慮型製品の提供は継続し、新たに機能性コーティング剤をラインナップに加え、より一層社会貢献度を高めることといたします。イ、事業基盤の強化のための海外事業の拡大当社グループの収益、成長の源泉は、国内・海外双方に存在し、GDP高伸長国での事業展開もバランスよく事業育成をしていく必要があるとの認識の基に事業を展開してまいりましたが、中国を中心に景気停滞の影響を受け生産数量の低調が続きました。新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」においても、「地産地消」の推進と海外拠点の拡充及び新規ビジネスの創出を軸に、積極的な業務の展開に注力いたします。2024年3月末時点における状況は、以下のとおりと認識しております。 (ア) カラー&ファンクショナル プロダクト情報電子分野、高機能着色剤、機能性製品の開発テーマに注力いたしましたが、情報電子分野のIJ分散液・顔料は欧州向けの輸出が減少、また、高機能着色剤のフッ素樹脂用着色剤は、中国等の景気低迷等により低調に推移いたしました。今後は、情報電子分野で欧州を中心に新規顧客の開拓を行うと同時に、高機能カラーにおいてはインド、アジアにおけるフッ素樹脂用着色剤市場を拡大させることを目指します。また、樹脂コンパウンドの拡販を企図いたしましたが、EV化/電装部品は堅調な推移を辿ったものの、食品包装材用途は需要低迷により大幅に減少いたしました。今後は、生産能力の増強を含めた新規案件の検討を開始いたします。 (イ) ポリマー&コーティング マテリアル北米、中国を中心に水性化を中心としたサステナビリティ貢献製品の展開を図った結果、コロナ禍の影響もあり一時的に停滞は見られたものの、水性表面処理剤の販売を拡大させることができました。今後、北米企業向け、又は国内車両メーカーの海外拠点向けとして、国内生産していた水性表面処理剤を米国拠点で生産することを計画しています。 (ウ) グラフィック&プリンティング マテリアルインドネシアにおいては、グラビアインキの拡販と適切な価格修正により、販売計画を達成しております。今後は、旺盛な現地の需要に対応するために、増能力投資を計画しています。 ウ、サステナブル社会の実現に向けたESG重視の経営推進前中期経営計画では、ESG経営を重視し、当社を取り巻くサプライチェーン全体の重要な課題として原材料調達段階から当社製品を使用した製品が廃棄されるまでを含めたライフサイクル全体において、「(ア) サステナビリティ貢献製品開発・拡販」、「(イ) 気候変動への取り組み」、「(ウ) 資源循環促進」、「(エ)生物多様性への取り組み」、「(オ) 社会貢献の一層の促進」、「(カ) コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み」を進めてきました。これらの課題に対して当初計画していた様々な取り組みはほぼ予定通り実行できたと考えております。同時に、情勢の変化、社会の要求の変化に合わせ、前中期経営計画の途中で課題の追加、見直しも行ってきました。新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」においても、ESG経営の重視を継続し、前中期経営計画の中で認識した課題に向け 、当社内の改革に注力する必要があると考えています。特に前中期経営計画の2年目に追加した「(キ) 人的資本投資・人財育成」の重要性が日々高まっていると認識しており、新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」では、人的資本投資・人財育成の重要課題として、モノづくりメーカーとしての従業員のエンゲージメント向上を目指した「HR戦略」を重点施策のひとつに掲げ、さらなる価値創出に努めてまいります。 (ア) サステナビリティ貢献製品開発・拡販当社グループでは、環境負荷低減に貢献できる環境配慮型製品に加え、人々の暮らしを豊かにする製品を含めたサステナビリティ貢献製品の拡販により、サステナブル社会の実現を推進しております。前中期経営計画では、サステナビリティ貢献製品の売上高を20%向上させることを目標に掲げて取り組んでまいりました。一部の市場においてコロナ禍と半導体不足からの事業回復が想定外に鈍化したことで数量では目標を僅かに達成できませんでしたが、為替変動などの影響により売上高は23%増となりました。新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」では、前項「ア、技術主導による競争優位性の確保」で述べたように、製品開発を担う技術部門に経営資源を効率的に投入するとともに、人財の潜在能力を最大限に発揮させるHR戦略を、技術部門を始め大日精化グループ全社に積極的に活用してまいります。 (イ) 気候変動への取り組み前中期経営計画においては、省エネ対策として、太陽光発電設備の設置、ボイラーの運用改善、生産機械の高効率化、照明器具のLED化を実施すると同時に、買電を再生可能エネルギー由来の電力に切り換えることを進めました。合わせて、インターナルカーボンプライシングに関する社内整備を進めました。その結果、国内のCO2排出量(Scope1&2)は、2024年3月期に2021年3月期比で78%削減となり、前中期経営計画における目標を達成できました。(Scope2はGHGプロトコル・マーケット基準にて算定)新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」では、気候変動に関する政府間パネル(以下、「IPCC」といいます)第5次と第6次評価報告書及び環境省によるIPCC評価報告書の解説を基に行ったリスク分析に沿って、地球の平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えるための1.5℃シナリオ及び2050年カーボンニュートラルに向けた移行計画の策定に取り組んでまいります。新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」における目標は、1.5℃シナリオ実現に向けた国際的な目標をふまえて、当社グループのCO2排出量(Scope1&2)を、2027年3月期に2020年3月期比31%削減に設定します。この目標の達成に向けて、国内で培ってきた省エネ対策を海外拠点にも展開することと現地のエネルギー事情に合わせた再生可能エネルギーの導入など、グローバルな脱炭素化を促進させてまいります。また当社製品を通じて世の中のCO2排出量(Scope3)も削減できるようにTCFDの枠組みに沿って当社グループの気候変動に関するリスクと収益機会を管理し、企業価値向上に貢献してまいります。詳細は「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への取り組み TCFD提言に沿った情報開示」を参照ください。 (ウ) 資源循環促進(サーキュラーエコノミー)化石由来資源の枯渇防止と廃棄の際の環境負荷低減といった環境リスクの低減と収益機会の創出を目指し、当社グループでは、原材料のバイオマス化及び廃プラスチックの排出量抑制・リサイクル促進を進めてまいりました。前中期経営計画では、掲げていた目標を達成する事ができましたが、更なる改善の余地が確認できたことから、新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」においても、引き続き原材料のバイオマス化及び廃プラスチックの排出量抑制・リサイクル促進を目指し、生産工程から生じるロスを削減するための工程管理の強化と廃プラスチックの分別強化をグローバルに展開してまいります。新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」における目標は、前中期経営計画に引き続き当社グループの廃プラスチックのリサイクルにおき、廃プラスチックのリサイクル率を2027年3月期に前中期経営計画の平均値比3ポイント向上に設定します。 (エ) 生物多様性への取り組み化学物質を扱う当社グループは、事業活動のみならず製品のライフサイクル全般において生態系に与える様々な影響をリスクと機会の両面から把握し、生態系への負荷を最小限に抑える義務があると認識しています。前中期経営計画の3年目にはこの考え方に加え、当社技術を活かして「生物多様性の保全と持続可能な利用」に貢献する価値の創出に努める事が重要であると認識し、それまでの「環境負荷低減」というマテリアリティを「生物多様性の保全」に改訂いたしました。この課題解決に向けて、有機溶剤など化学物質の使用時に生じる大気汚染や水質汚染等の環境負荷軽減に向けた自らの管理活動と当社グループの製品使用段階で生じる環境負荷軽減に貢献する製品開発の両輪でTNFDの枠組みに沿って推進してまいります。また、当社グループが現在加盟しているCLOMAをはじめとするイニシアティブへの参加や事業所の近隣地域コミュニティーとの協働作業にも積極的に参加し、生物多様性の保全に努めていまいります。詳細は「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)生物多様性の保全に関する取り組み」を参照ください。(オ) 社会貢献の一層の促進お客様とのかかわりにおいては、お客様の信頼と期待に応えられるように適切な化学物質管理(新管理システムの導入、リスクアセスメントなど)、品質管理(ISO9001による全社的なQMS活動実施、内部監査実施)、責任ある原材料調達(CSR調達基準によるサプライヤー調査)、サステナブルな物流業務の展開(輸送ロットアップ、在庫拠点集約など)に取り組んでまいりました。またお客様から積極的に選ばれるサプライヤーになるために、お客様からいただくサプライヤー調査には誠実に回答すると同時に自らの取り組みを反省する機会と捉え、当社グループの改善につなげています。従業員とのかかわりにおいては、ワークライフバランスの充実、女性、外国人、中途採用者の一層の活躍などの点から、人事制度の充実を図っております。またサステナブルな成長を実現させるためには従業員の心身の健康維持・増進と多様な人財が働きやすい職場環境・企業風土づくりが重要であるという考えから、2023年に健康経営宣言を行いました。健康経営を積極的に推進し、従業員がポテンシャルを最大限発揮することで事業活動を通じて社会に貢献してまいります。地域社会とのかかわりにおいては、生産拠点の近隣に対する安全・安心を最優先に防災活動に加え、生物多様性の保全の一環として近隣の生態系に一層の配慮を行い、環境負荷の低減と自然環境の保全に努めてまいります。これらの諸施策は着実に、継続的に実施することにより効果を得られるものであるため、今後も注力して対応してまいります。 (カ) コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み単に法令遵守、ルール遵守に留まるだけでは実質的なガバナンスの向上につながらないとの認識から、コンプライアンスの徹底のために経営層からのメッセージの発信・従業員からのフィードバックを継続的に実施しております。経営層からのトップダウンと実行部門からのボトムアップを活性化させた双方向コミュニケーションを充実させ、経営戦略を社員一人一人が「自分ゴト」として捉えて行動できるように社内環境を整備しています。また業務の有効性と効率を更に向上させるために、内部統制とコーポレート・ガバナンスの連携強化を図っております。 (キ) 人的資本投資・人財育成当社グループでは、新たな価値の創出には、新たな発想が必要であり、それには“人の力”が不可欠と考えています。“人の力”を引き出し、“人を育成する”ことで、人は価値を生み出す企業の財産であるとの認識から、当社グループでは「人材」ではなく「人財」と表現しております。前中期経営計画の3年目には、「人財育成方針」とその人財育成を実現するための「社内環境整備方針」を策定し、具体的な施策の検討を進めてまいりました。新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」では、最優先に取り組む施策として、モノづくりメーカーの従業員としての“働き甲斐”、“誇り”、“仲間への貢献意欲”といったエンゲージメント向上を目指した「人事制度改革」を重点戦略のひとつに掲げ、さらなる価値創出に努めてまいります。 エ、HR戦略・DX推進ア~ウの戦略を下支えするものとして、HR戦略とDX推進に注力してまいります。(ア) HR戦略中長期的な企業価値の向上のためには、イノベーションが湧き上がる活力に満ちた企業風土を醸成させていくことが不可欠であると認識しております。「会社の目標達成=個々の従業員の理想の実現」となる状態を目指すことで、モノ作り企業の従業員としてのエンゲージメント向上を目指したHR戦略を推し進めていくことといたします。具体的には、経営方針や戦略を各従業員が理解・共感したうえで日々遂行する業務の目標に落とし込む事が必要と認識しており、その対応として経営層と従業員との対話を深めお互いの期待感を共有し、具体化させていく機会を増やしてまいります。また、従業員がお互いに仲間と組織のために自主的に貢献しようという意欲を醸成し、その意欲に基づき従業員が自ら高い目標を設定し、目標の達成に向けて挑戦し続けることができるよう指導し、かつ併走する管理職を養成するプログラムも含めた社内・社外の研修を充実させてまいります。業績評価の仕組みにおいては、従業員の階層ごとに評価項目や基準を明確化することで、納得感の得られる評価、成長につながる評価、心理的安全性の高い評価などの考え方を取り入れ、魅力ある会社になることで、エンゲージメントの向上と人財の育成を図ることができ、イノベーションの創出が達成できるものと期待しております。 (イ) DX推進業務のデジタル化による効率化、データ蓄積・共有の基盤構築を進め、生成AIによる業務効率化や当社グループ独自データ活用による戦略策定など、データ駆動型ビジネスへの移行を進め、効率的で確実性の高い戦略、独創性のある製品開発を強力に推進します。具体的には、①オフィスワークにおいては、ITツールの活用により情報探索・情報共有の効率を上げ、意思決定スピードを引き上げる、②マーケティングにおいては、担当する部門に関わりなく市場ニーズをデータベースとして蓄積し、市場ニーズと当社技術を結び付け新規案件を開拓する、③技術開発においては、使用する原材料や開発情報を横断的にデータベースとして蓄積し、これらを組み合わせ、MIにより開発期間を短縮する、④生産部門においては、生産現場の負荷を軽減しながらデータの蓄積・見える化を進め、早期異常発見率を高めることにより生産効率を上げる、などを実施していきます。このために、デジタルリテラシー向上のための研修や、具体的なプロジェクトなどを活用したOJTなども効率的に行うことなどにより、一層のデジタル人財の基盤強化を図ることといたします。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)企業理念、行動指針、必達当社グループでは、創業者である高橋 義博が1968年に制定した社是<必達>を経営方針の中心に据えて経営に取り組んで参りました。職場の目に付くところに掲示し、社是<必達>に込められた精神、考え方を常に確認すると同時に、従業員への浸透を図ることを行ってきました。社是<必達>の精神は、現在においても何らその価値を失っていないものと考えますが、既存の仕事、製品を軸に、役職員個々人の心構えや行動に重点を置いた内容としているため、近年の社会環境、経済環境が変化していく中で、社内外の人との関連性、新しい技術革新、製品開発への一層の目配り、社会の中における当社との連環という視点で、不十分さを感じるような状況になってきました。そのため、2015年12月開催の当社取締役会において、社是<必達>の考え方に加える形で、新たに<企業理念>、<行動指針>を規定し、経営方針を一層充実したものといたしました。これは、すべての経済原則や経営理論は「人」の行動原理に基づくものであるとの理解に立ち、まずは社内外を問わず全ての「人」に興味を持つべきであるとし、技術革新や商品開発など新しいことへの取り組みが、人や企業の活性化につながるという点を改めて確認し、一方、未来に目を向けると、人も企業も他者との連環(関連)の中で生き抜いていかざるをえないことを再認識した上で、社会に必要とされ、社会の発展に資する姿勢を打ち出していくべきとしたものであります。比較的平易な表現とすることで、若手従業員から経営トップに至るまで、<必達>と合わせて、浸透を図ることを企図したものであります。これらを踏まえ、当社グループは以下の<企業理念>、<行動指針>、<必達>の社是の下、事業活動を行うに当たって人財の付加価値を一層高めることに努め、全てのステークホルダーを尊重し連携を図りながら、地球環境保全などサステナブル社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。 <企業理念>・人に興味を持とう・新しいことに興味を持とう・未来に興味を持とう <行動指針>人間は面白い。その面白い人間が作っているのが企業であり、また顧客である。全ての経済原則、経営理論は、人の行動原理に基本がある。人に興味を持とう。新しいことはワクワクする。技術革新や商品開発は顧客や市場を開拓すると同時に、人間も活性化する。新しいことに興味を持とう。未来を考えることは楽しい。未来は子供たちのものだ。未来を考えれば、人も企業も自分だけでは生きて行けないことが分かる。顧客の発展が無ければ、当社は富んでも長続きしない。更に、社会に生かされなければ、人も企業も存続し得ない。未来に興味を持とう。 一方、当社には1968年に制定した、社是「必達」が存在します。上記の企業理念と共に、歴史ある社是「必達」を、誇りを持って遵守しています。 <必達>私たちはカラーエイジを担う大日精化の社員として<必達>の社是のもとに誇りを持って仕事をすすめよう1.仕事は必ず目標を立てこれを必達しよう1.正しい製品知識を身につけ製品普及のチャンスを積極的に求めよう1.仕事を通じ製品を通じて会社の信用を更に高めよう1.社会人として常に教養を高め反省を深める機会を持とう1.仕事を通じて社会に貢献し大日精化を最高の企業体としよう(2)経営理念創業者 高橋 義博の「自分の生活が好きな色彩によって包まれたいと思うのが私たちの念願」との遺志を引き継ぎ、世界中の「もっと便利に、もっと安全に、もっと自由に彩りたい」という願いをかなえることを使命として、当社グループは企業理念や社是<必達>のもとに、企業としての持続的成長と価値向上を目指した「CSR・ESG基本方針」を、そしてこれを補完するために近年の社会的課題である地球環境、ガバナンス、人権尊重、情報管理、品質管理、安全衛生、人財育成、健康経営などに関する各種方針を制定し、役職員がこれらを徹底することで、全てのステークホルダーの課題に寄り添い、彩りと特性を持った素材をさまざまな分野に提供し、実現しております。また、2023年10月には社内公募により、新ブランドメッセージ「彩りの、その先へ(今日の未知は未来への道)」を決定し、コア技術である①有機無機合成・顔料処理技術、②分散加工技術、③樹脂合成技術を更に深化させ、「色彩のその先の可能性」を追求して「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニー」を目指しております。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、2021年8月に公表の2022年3月期を初年度とする3か年中期経営計画において、ROA(総資産経常利益率)5%、ROE(自己資本利益率)9%とすることを経営目標として掲げましたが、最終年度である3年目の2024年3月期では、ROA2.6%、ROE3.2%の結果となりました。これは、初年度はコロナ禍の落ち込みからの回復と同時に過剰な流通在庫が生じ、2年目以降コロナ禍の巣ごもり需要の反動減と長期にわたる在庫調整に加え、戦争影響、世界的なインフレ・原材料価格高騰の影響等を受けた結果と考えております。2025年3月期を初年度とする新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」においても、引き続き長期目標としてROA5%、ROE9%を掲げております。この目標に向けて、新中期経営計画の各施策を進めてまいります。 (4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等当社グループの置かれている経営環境については、以下のとおりと認識しております。 ①お客様の国内外の事業展開に寄り添い、収益性、効率性をご提案するために、当社では国内外の拠点の強みを活かし、国内、海外の一方に偏することなくバランスのよい業務展開をするべきであることが重要な課題であると認識しております。 ②当社グループの持続的な成長のためには、ESGへの取組みがあらゆる事業活動の基本理念であり、環境配慮(E)、社会貢献(S)の実現のための研究・開発が果たす役割が、特に重要であると認識しております。このため社会全体の持続性、安全性、収益性、効率性、採算性などの側面から十分に検証の上で、前述の「(2)経営理念」に記載の「3つのコア技術」を更に深化させること、新たな技術を取り入れることに、人財と設備、資金を投入していく必要があるものと認識しております。 ③ステークホルダーの皆様から信頼され常に選ばれる企業であり続けるためには、上記②で述べたように、長期的・持続的な成長とともに、製品や事業活動を通して地球規模の環境や社会問題へ取り組む企業姿勢と、意思決定の透明性、公正性を確保できるガバナンス体制の下で、従業員一人一人の思いが企業風土として醸成されることが企業価値の向上においても大きな影響を与えるものと再認識した上で、全社を挙げてE(環境配慮)、S(社会貢献)、G(企業統治)の側面から能動的に活動を促進することが必要と理解しております。 ④今後更に、デジタル技術及びデータ分析の活用が、当社グループの競争力の源泉のひとつとして重要性を増し、経営目標を達成するための重要な手段であると認識しております。当社は基幹システムを2018年10月に刷新し、さらなる活用のための周辺システムの整備も着々と進めてきておりますが、より高度化していく外部環境からの要請事項に対し、これまで以上に、適時かつ適切に対応していく仕組みが必要であると認識しております。また、データ駆動型ビジネスへの移行を進め、効率的で確実性の高い戦略、独創性のある製品開発を強力に推進することが不可欠であり、そのためにも有効なデータ、優秀な人財と、柔軟で素早い意思決定が重要であると認識しております。⑤当社グループの掲げる長期目標の達成には、人的資本及び知的財産への投資と活用によるイノベーションの創出が不可欠であると認識し、企業にとって財産である「人財」の育成と活気溢れる企業風土の醸成は重要な経営課題のひとつと考え、従業員のモチベーションとエンゲージメント向上を目指したHR戦略を推し進めます。また別途定める「人財育成方針」「社内環境整備方針」に沿って、企業と人財が互いに高め合っていくビジョンを共有し、持続可能な成長に向けて地道にかつ着実に、相互に磨き上げていくことにより、当社グループの成長と人財の成長との間に好循環を生み出すことができるものと確信しております。本件については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本投資・人財育成及び人財の多様性の活用」にて詳細を記載しております。 これらを踏まえ、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の創出のため、2024年3月末までの3か年の前中期経営計画の施策の達成状況等を踏まえ、2025年3月期を初年度とする新3か年中期経営計画「明日への変革2027」において、次の戦略とともに資本効率を重視した経営を重点的に進めております。 ア、技術主導による競争優位性の確保当社グループでは、保有する技術を、技術マネジメント手法を用いて再評価し、社会的なニーズ(ESG)への貢献を最優先課題として、オープンイノベーション、セグメント間のシナジー、知財戦略などを組み合わせ、3つのコア技術(1 有機無機合成・顔料処理技術、2 分散加工技術、3 樹脂合成技術)を深化させた技術開発に取り組んでおります。新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」においても、これらコア技術は重要な基盤として、市場規模・収益性・成長性を評価し、新規発展分野として①IT・エレクトロニクス 機能性材料、②ライフサイエンス・パーソナルケアの二つを、継続発展分野において環境配慮型製品へのより一層のシフトをテーマとする③モビリティ、④環境配慮型パッケージングを開発の中心に据え、人財と設備と資金とを積極的に投入することを行い、技術主導による競争優位の確保を目的とした「技術オリエンテッド」体制の構築を進めております。製品の差別化、品質向上により社会貢献度を高め、同時に収益性の確保を図ることとしております。2024年3月末時点における状況は、以下のとおりと認識しております。 ①IT・エレクトロニクス 機能性材料二次電池用部材、導電性部材、熱伝導性材料、機能性ポリマー、高付加価値顔料・分散体などにおいて、オープンイノベーション・産学連携を強化し、新技術導入を着実に進め、基礎技術力アップを図ると同時に、応用開発においてもお客様にご採用いただいたアイテムも多数獲得できました。パイロット生産設備等の導入も着実に進めており、今後、ビジネスフィールドの拡大を目指すと同時に、売上高への早期寄与を図ります。 ②ライフサイエンス・パーソナルケア化粧品材料においては、生分解性微粒子は量産化の検討に目途を付け、高性能化やコストダウン製法の構築を進めております。今後は、ご採用いただいたアイテムもあることから、更なる技術優位性の確保と量産プロセスの最適化を進め、拡販を進めます。キトサンは動物由来以外の原料による開発に着手し一定の進捗を得て、天然物由来の生分解性樹脂とともに、サンプルワークを開始し市場での性能評価を開始しております。 ③モビリティウレタン・アクリル・シリコーンポリマー、軽量・高強度樹脂コンパウンドなどにおいて、水性化、バイオマス化などの環境配慮強化、リサイクル素材を利用した高強度コンパウンドの生産プロセスに目途をつけることができました。特に、ウレタン・アクリル・シリコーンポリマーにおいては、環境配慮を強化した製品設計が完了したアイテムの量産体制を構築し、事業拡大に貢献することとなりました。今後も積極的に設備投資を行い、収益の向上に努めます。 ④環境配慮型パッケージングガスバリア性を付与したインキ、パッケージ及びラベルのリサイクルが可能なインキ、バイオマス由来のインキなどを上市し、サンプルワークを開始いたしました。その後、バイオマスインキ、水性インキといった環境配慮型製品の採用が進み、グラビアインキのサステナビリティ製品の占める割合は60%となりました。今後も環境配慮型製品の提供は継続し、新たに機能性コーティング剤をラインナップに加え、より一層社会貢献度を高めることといたします。イ、事業基盤の強化のための海外事業の拡大当社グループの収益、成長の源泉は、国内・海外双方に存在し、GDP高伸長国での事業展開もバランスよく事業育成をしていく必要があるとの認識の基に事業を展開してまいりましたが、中国を中心に景気停滞の影響を受け生産数量の低調が続きました。新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」においても、「地産地消」の推進と海外拠点の拡充及び新規ビジネスの創出を軸に、積極的な業務の展開に注力いたします。2024年3月末時点における状況は、以下のとおりと認識しております。 (ア) カラー&ファンクショナル プロダクト情報電子分野、高機能着色剤、機能性製品の開発テーマに注力いたしましたが、情報電子分野のIJ分散液・顔料は欧州向けの輸出が減少、また、高機能着色剤のフッ素樹脂用着色剤は、中国等の景気低迷等により低調に推移いたしました。今後は、情報電子分野で欧州を中心に新規顧客の開拓を行うと同時に、高機能カラーにおいてはインド、アジアにおけるフッ素樹脂用着色剤市場を拡大させることを目指します。また、樹脂コンパウンドの拡販を企図いたしましたが、EV化/電装部品は堅調な推移を辿ったものの、食品包装材用途は需要低迷により大幅に減少いたしました。今後は、生産能力の増強を含めた新規案件の検討を開始いたします。 (イ) ポリマー&コーティング マテリアル北米、中国を中心に水性化を中心としたサステナビリティ貢献製品の展開を図った結果、コロナ禍の影響もあり一時的に停滞は見られたものの、水性表面処理剤の販売を拡大させることができました。今後、北米企業向け、又は国内車両メーカーの海外拠点向けとして、国内生産していた水性表面処理剤を米国拠点で生産することを計画しています。 (ウ) グラフィック&プリンティング マテリアルインドネシアにおいては、グラビアインキの拡販と適切な価格修正により、販売計画を達成しております。今後は、旺盛な現地の需要に対応するために、増能力投資を計画しています。 ウ、サステナブル社会の実現に向けたESG重視の経営推進前中期経営計画では、ESG経営を重視し、当社を取り巻くサプライチェーン全体の重要な課題として原材料調達段階から当社製品を使用した製品が廃棄されるまでを含めたライフサイクル全体において、「(ア) サステナビリティ貢献製品開発・拡販」、「(イ) 気候変動への取り組み」、「(ウ) 資源循環促進」、「(エ)生物多様性への取り組み」、「(オ) 社会貢献の一層の促進」、「(カ) コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み」を進めてきました。これらの課題に対して当初計画していた様々な取り組みはほぼ予定通り実行できたと考えております。同時に、情勢の変化、社会の要求の変化に合わせ、前中期経営計画の途中で課題の追加、見直しも行ってきました。新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」においても、ESG経営の重視を継続し、前中期経営計画の中で認識した課題に向け 、当社内の改革に注力する必要があると考えています。特に前中期経営計画の2年目に追加した「(キ) 人的資本投資・人財育成」の重要性が日々高まっていると認識しており、新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」では、人的資本投資・人財育成の重要課題として、モノづくりメーカーとしての従業員のエンゲージメント向上を目指した「HR戦略」を重点施策のひとつに掲げ、さらなる価値創出に努めてまいります。 (ア) サステナビリティ貢献製品開発・拡販当社グループでは、環境負荷低減に貢献できる環境配慮型製品に加え、人々の暮らしを豊かにする製品を含めたサステナビリティ貢献製品の拡販により、サステナブル社会の実現を推進しております。前中期経営計画では、サステナビリティ貢献製品の売上高を20%向上させることを目標に掲げて取り組んでまいりました。一部の市場においてコロナ禍と半導体不足からの事業回復が想定外に鈍化したことで数量では目標を僅かに達成できませんでしたが、為替変動などの影響により売上高は23%増となりました。新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」では、前項「ア、技術主導による競争優位性の確保」で述べたように、製品開発を担う技術部門に経営資源を効率的に投入するとともに、人財の潜在能力を最大限に発揮させるHR戦略を、技術部門を始め大日精化グループ全社に積極的に活用してまいります。 (イ) 気候変動への取り組み前中期経営計画においては、省エネ対策として、太陽光発電設備の設置、ボイラーの運用改善、生産機械の高効率化、照明器具のLED化を実施すると同時に、買電を再生可能エネルギー由来の電力に切り換えることを進めました。合わせて、インターナルカーボンプライシングに関する社内整備を進めました。その結果、国内のCO2排出量(Scope1&2)は、2024年3月期に2021年3月期比で78%削減となり、前中期経営計画における目標を達成できました。(Scope2はGHGプロトコル・マーケット基準にて算定)新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」では、気候変動に関する政府間パネル(以下、「IPCC」といいます)第5次と第6次評価報告書及び環境省によるIPCC評価報告書の解説を基に行ったリスク分析に沿って、地球の平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えるための1.5℃シナリオ及び2050年カーボンニュートラルに向けた移行計画の策定に取り組んでまいります。新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」における目標は、1.5℃シナリオ実現に向けた国際的な目標をふまえて、当社グループのCO2排出量(Scope1&2)を、2027年3月期に2020年3月期比31%削減に設定します。この目標の達成に向けて、国内で培ってきた省エネ対策を海外拠点にも展開することと現地のエネルギー事情に合わせた再生可能エネルギーの導入など、グローバルな脱炭素化を促進させてまいります。また当社製品を通じて世の中のCO2排出量(Scope3)も削減できるようにTCFDの枠組みに沿って当社グループの気候変動に関するリスクと収益機会を管理し、企業価値向上に貢献してまいります。詳細は「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への取り組み TCFD提言に沿った情報開示」を参照ください。 (ウ) 資源循環促進(サーキュラーエコノミー)化石由来資源の枯渇防止と廃棄の際の環境負荷低減といった環境リスクの低減と収益機会の創出を目指し、当社グループでは、原材料のバイオマス化及び廃プラスチックの排出量抑制・リサイクル促進を進めてまいりました。前中期経営計画では、掲げていた目標を達成する事ができましたが、更なる改善の余地が確認できたことから、新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」においても、引き続き原材料のバイオマス化及び廃プラスチックの排出量抑制・リサイクル促進を目指し、生産工程から生じるロスを削減するための工程管理の強化と廃プラスチックの分別強化をグローバルに展開してまいります。新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」における目標は、前中期経営計画に引き続き当社グループの廃プラスチックのリサイクルにおき、廃プラスチックのリサイクル率を2027年3月期に前中期経営計画の平均値比3ポイント向上に設定します。 (エ) 生物多様性への取り組み化学物質を扱う当社グループは、事業活動のみならず製品のライフサイクル全般において生態系に与える様々な影響をリスクと機会の両面から把握し、生態系への負荷を最小限に抑える義務があると認識しています。前中期経営計画の3年目にはこの考え方に加え、当社技術を活かして「生物多様性の保全と持続可能な利用」に貢献する価値の創出に努める事が重要であると認識し、それまでの「環境負荷低減」というマテリアリティを「生物多様性の保全」に改訂いたしました。この課題解決に向けて、有機溶剤など化学物質の使用時に生じる大気汚染や水質汚染等の環境負荷軽減に向けた自らの管理活動と当社グループの製品使用段階で生じる環境負荷軽減に貢献する製品開発の両輪でTNFDの枠組みに沿って推進してまいります。また、当社グループが現在加盟しているCLOMAをはじめとするイニシアティブへの参加や事業所の近隣地域コミュニティーとの協働作業にも積極的に参加し、生物多様性の保全に努めていまいります。詳細は「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)生物多様性の保全に関する取り組み」を参照ください。(オ) 社会貢献の一層の促進お客様とのかかわりにおいては、お客様の信頼と期待に応えられるように適切な化学物質管理(新管理システムの導入、リスクアセスメントなど)、品質管理(ISO9001による全社的なQMS活動実施、内部監査実施)、責任ある原材料調達(CSR調達基準によるサプライヤー調査)、サステナブルな物流業務の展開(輸送ロットアップ、在庫拠点集約など)に取り組んでまいりました。またお客様から積極的に選ばれるサプライヤーになるために、お客様からいただくサプライヤー調査には誠実に回答すると同時に自らの取り組みを反省する機会と捉え、当社グループの改善につなげています。従業員とのかかわりにおいては、ワークライフバランスの充実、女性、外国人、中途採用者の一層の活躍などの点から、人事制度の充実を図っております。またサステナブルな成長を実現させるためには従業員の心身の健康維持・増進と多様な人財が働きやすい職場環境・企業風土づくりが重要であるという考えから、2023年に健康経営宣言を行いました。健康経営を積極的に推進し、従業員がポテンシャルを最大限発揮することで事業活動を通じて社会に貢献してまいります。地域社会とのかかわりにおいては、生産拠点の近隣に対する安全・安心を最優先に防災活動に加え、生物多様性の保全の一環として近隣の生態系に一層の配慮を行い、環境負荷の低減と自然環境の保全に努めてまいります。これらの諸施策は着実に、継続的に実施することにより効果を得られるものであるため、今後も注力して対応してまいります。 (カ) コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み単に法令遵守、ルール遵守に留まるだけでは実質的なガバナンスの向上につながらないとの認識から、コンプライアンスの徹底のために経営層からのメッセージの発信・従業員からのフィードバックを継続的に実施しております。経営層からのトップダウンと実行部門からのボトムアップを活性化させた双方向コミュニケーションを充実させ、経営戦略を社員一人一人が「自分ゴト」として捉えて行動できるように社内環境を整備しています。また業務の有効性と効率を更に向上させるために、内部統制とコーポレート・ガバナンスの連携強化を図っております。 (キ) 人的資本投資・人財育成当社グループでは、新たな価値の創出には、新たな発想が必要であり、それには“人の力”が不可欠と考えています。“人の力”を引き出し、“人を育成する”ことで、人は価値を生み出す企業の財産であるとの認識から、当社グループでは「人材」ではなく「人財」と表現しております。前中期経営計画の3年目には、「人財育成方針」とその人財育成を実現するための「社内環境整備方針」を策定し、具体的な施策の検討を進めてまいりました。新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」では、最優先に取り組む施策として、モノづくりメーカーの従業員としての“働き甲斐”、“誇り”、“仲間への貢献意欲”といったエンゲージメント向上を目指した「人事制度改革」を重点戦略のひとつに掲げ、さらなる価値創出に努めてまいります。 エ、HR戦略・DX推進ア~ウの戦略を下支えするものとして、HR戦略とDX推進に注力してまいります。(ア) HR戦略中長期的な企業価値の向上のためには、イノベーションが湧き上がる活力に満ちた企業風土を醸成させていくことが不可欠であると認識しております。「会社の目標達成=個々の従業員の理想の実現」となる状態を目指すことで、モノ作り企業の従業員としてのエンゲージメント向上を目指したHR戦略を推し進めていくことといたします。具体的には、経営方針や戦略を各従業員が理解・共感したうえで日々遂行する業務の目標に落とし込む事が必要と認識しており、その対応として経営層と従業員との対話を深めお互いの期待感を共有し、具体化させていく機会を増やしてまいります。また、従業員がお互いに仲間と組織のために自主的に貢献しようという意欲を醸成し、その意欲に基づき従業員が自ら高い目標を設定し、目標の達成に向けて挑戦し続けることができるよう指導し、かつ併走する管理職を養成するプログラムも含めた社内・社外の研修を充実させてまいります。業績評価の仕組みにおいては、従業員の階層ごとに評価項目や基準を明確化することで、納得感の得られる評価、成長につながる評価、心理的安全性の高い評価などの考え方を取り入れ、魅力ある会社になることで、エンゲージメントの向上と人財の育成を図ることができ、イノベーションの創出が達成できるものと期待しております。 (イ) DX推進業務のデジタル化による効率化、データ蓄積・共有の基盤構築を進め、生成AIによる業務効率化や当社グループ独自データ活用による戦略策定など、データ駆動型ビジネスへの移行を進め、効率的で確実性の高い戦略、独創性のある製品開発を強力に推進します。具体的には、①オフィスワークにおいては、ITツールの活用により情報探索・情報共有の効率を上げ、意思決定スピードを引き上げる、②マーケティングにおいては、担当する部門に関わりなく市場ニーズをデータベースとして蓄積し、市場ニーズと当社技術を結び付け新規案件を開拓する、③技術開発においては、使用する原材料や開発情報を横断的にデータベースとして蓄積し、これらを組み合わせ、MIにより開発期間を短縮する、④生産部門においては、生産現場の負荷を軽減しながらデータの蓄積・見える化を進め、早期異常発見率を高めることにより生産効率を上げる、などを実施していきます。このために、デジタルリテラシー向上のための研修や、具体的なプロジェクトなどを活用したOJTなども効率的に行うことなどにより、一層のデジタル人財の基盤強化を図ることといたします。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。 (1)経営成績等の状況の概要①経営成績当連結会計年度の当社グループを取り巻く経済環境は、インフレ等による世界的な需要の減少により欧州・中国経済が停滞する一方、日本経済は、好調な自動車生産やインバウンド需要により緩やかに回復となりました。このような環境の中、当社グループは、最終年度を迎えた中期経営計画の基本戦略である「技術主導による競争優位性の確保」「サステナブル社会の実現に向けたESG重視の経営推進」「事業基盤の強化のための海外事業の拡大」と資本効率を重視した経営に基づく施策を引き続き進めてまいりました。当社グループの主要な業界別の売上動向ですが、輸送機器業界向けは、サプライチェーン上の在庫調整が概ね完了し、下期から回復しましたが、年明け以降、震災等の影響により弱含みとなりました。情報電子業界の液晶ディスプレイ向けは、前期の落ち込みから回復しましたが、下期にかけて再び弱含みで推移し、包装業界及び建材業界向けは物価高を背景とした消費低迷により低調に推移しました。海外は、中国現地法人が景気低迷により低調に推移しました。この結果、売上高は、1,198億2千4百万円(前年同期比1.8%減)と減収になりました。一方、営業利益は、原材料価格は高止まりましたが、販売価格の改定を進め45億5千万円(同72.7%増)と増益になりました。また、経常利益は、50億3百万円(同48.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に政策保有株式売却による投資有価証券売却益、特別損失に固定資産の減損損失を計上した結果、36億6千万円(同82.3%増)とそれぞれ増益になりました。次に報告セグメントの業績についてご報告いたします。 (カラー&ファンクショナル プロダクト)当事業は、顔料・繊維用着色剤・プラスチック用着色剤・コンパウンド・顔料分散体・機能性材料の製造・販売を行っております。情報電子業界向けの顔料及び分散体の売上高は、期初から好調でありました液晶ディスプレイ用途が期末にかけて弱含みで推移しました。輸送機器業界向けのコンパウンド・着色剤は、在庫調整の完了により回復しましたが、年明け以降は震災等の影響により弱含みで推移しました。海外のコンパウンド・着色剤は、インド子会社の自動車向けが好調に推移した一方、中国子会社の家電OA機器向けが低調に推移しました。これらの結果、当セグメントの売上高は、655億1千7百万円(同2.5%減)と減収になりましたが、営業利益は、販売価格の改定を進めた事により24億5千3百万円(同22.4%増)と増益になりました。 (ポリマー&コーティング マテリアル)当事業は、ウレタン樹脂・UV・EBコーティング剤・天然物由来高分子の製造・販売を行っております。ウレタン樹脂は、輸送機器業界向けが期初より回復しましたが、年明け以降、震災等の影響により弱含みで推移しました。衣料品・服飾品業界向けは、中国で一部需要低迷がありましたが、総じて堅調に推移しました。情報電子業界の液晶ディスプレイ向けのコーティング剤は、期初から好調に推移しましたが、第4四半期以降、市況低迷により低調に推移しました。これらの結果、当セグメントの売上高は、239億6百万円(同1.1%増)、営業利益は、26億5千9百万円(同34.5%増)と増収増益になりました。 (グラフィック&プリンティング マテリアル)当事業は、グラビアインキ・オフセットインキの製造・販売を行っております。包装業界向けのグラビアインキは、物価高により食料品向け軟包装用途が低調に推移しました。海外は、インドネシア子会社で販売価格の改定が進み増収となりました。オフセットインキは、需要減少により低調に推移しました。これらの結果、当セグメントの売上高は303億2千6百万円(同2.4%減)と減収になりましたが、営業損失は、前期に新工場移転費用の計上があったこと及び海外子会社において損益改善が進み、5億6千1百万円(前年同期は13億6千2百万円の営業損失)と損失は縮小しました。②財政状態(資産)当連結会計年度末における資産合計は1,948億5千2百万円となり、前連結会計年度末と比べ20億8千6百万円増加しました。これは主に「原材料及び貯蔵品」が減少した一方で、「売掛金」及び「退職給付に係る資産」が増加したことによるものであります。 (負債)当連結会計年度末における負債合計は756億8千5百万円となり、前連結会計年度末と比べ27億7千8百万円減少しました。これは主に「繰延税金負債」が増加した一方で、有利子負債が減少したことによるものであります。 (純資産)当連結会計年度末における純資産合計は1,191億6千6百万円となり、前連結会計年度末と比べ48億6千5百万円増加しました。これは主に「自己株式」の取得により減少した一方で、「親会社株主に帰属する当期純利益」の計上により「利益剰余金」が増加したこと、「為替換算調整勘定」及び「退職給付に係る調整累計額」が増加したことによるものであります。 ③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ16億7千8百万円減少し、214億2千5百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりとなっております。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、90億2千万円となりました。これは主に売上債権の増加により資金が減少した一方、「税金等調整前当期純利益」及び「減価償却費」の計上により資金が増加したことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、14億4千5百万円となりました。これは主に「投資有価証券の売却による収入」により資金が増加した一方、「有形固定資産の取得による支出」により資金が減少したことによるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、102億9百万円となりました。これは主に「自己株式の取得による支出」及び借入金の返済により資金が減少したことによるものであります。 ④生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:t)セグメントの名称当連結会計年度(自2023年4月1日至2024年3月31日)前年同期比(%)カラー&ファンクショナルプロダクト190,182△12.1ポリマー&コーティングマテリアル23,230△2.3グラフィック&プリンティングマテリアル33,239△8.3報告セグメント計246,651△10.8その他--合計246,651△10.8 b.受注実績当社グループは過去の販売実績と将来の予想に基づいて見込生産を行っており、受注生産は行っておりません。 c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:百万円)セグメントの名称当連結会計年度(自2023年4月1日至2024年3月31日)前年同期比(%)カラー&ファンクショナルプロダクト65,517△2.5ポリマー&コーティングマテリアル23,9061.1グラフィック&プリンティングマテリアル30,326△2.4報告セグメント計119,750△1.8その他74△2.0合計119,824△1.8(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討等ⅰ経営成績の分析当連結会計年度の当社グループの経営成績に対して特に重要な影響を与えた事象は、以下のとおりと考えております。当連結会計年度の事業環境については、世界経済はロシアによるウクライナ侵攻長期化等の影響による原材料価格高止まりが継続し、インフレが引き続き進行、欧州・中国経済が停滞しました。また、コロナ禍にあった2021年、車両生産の急激な立ち上がりに対して半導体不足への対応もあり、サプライチェーン上に実需以上の在庫が発生し、その結果、2023年夏頃まで在庫調整が残ることになりました。液晶ディスプレイについては、在庫調整が一巡し期初から受注は回復しましたが、市況から第4四半期以降は低調に推移しました。国内においては、インフレから日用品や食品の買い控えが生じ、当社着色剤やグラビアインキで影響を受けました。こうした社会的、経済的状況のもとで、売上高は、販売価格の見直しを進めたこと、円安による為替換算の影響を受けたことにより1,198億2千4百万円(前年同期比1.8%減)となり、利益面ではコスト上昇分の価格転嫁を進めたこと、主要得意先での在庫調整が一巡したことなどから、営業利益は45億5千万円(同72.7%増)、経常利益は50億3百万円(同48.3%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式の売却を進め投資有価証券売却益を計上しましたが、「グラフィック&プリンティング マテリアル」セグメントにおいて減損損失が発生したことなどにより、36億6千万円(同82.3%増)となりました。 足元では、インフレの進行により最終需要の減少が更に進行することが懸念される中、景気変動を先読みした金利変動が為替に影響を与えており、先行き不透明な状況が続くことが想定されます。当社グループでは「3.事業等のリスク」で記載したとおり、引き続き各リスクに対応したリスク回避・削減策を積極的に推進していくことといたします。 各報告セグメントの概況は以下のとおりであります。なお報告セグメント毎の実績は上記「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に、生産実績・受注実績・販売実績は、同「④生産、受注及び販売の実績」にて、それぞれ記載しております。(カラー&ファンクショナル プロダクト)当事業は、顔料・繊維用着色剤・プラスチック用着色剤・コンパウンド・顔料分散体・機能性材料の製造・販売を行っております。情報電子業界向けのディスプレイ用顔料は、長期の在庫調整から脱し期初から回復が見られましたが、第4四半期以降は最終需要から小幅な在庫調整が生じ低調に推移しました。オフィス事務機器用途はコロナ禍前までは届かないものの堅調に推移しました。車両業界向けのコンパウンド・着色剤の売上高は、国内は長期の在庫調整から夏以降、徐々に回復が見られましたが、2024年初の能登地震による減産影響などによる自動車生産低迷により低調となりました。海外は、欧州・中国経済の停滞により低調に推移しました。当事業はお客様が必要とされる品質の製品を適時かつ的確に供給することが必要ですので、市場動向、需要動向・原材料動向に関してお客様と情報交換を緊密にしつつ、引き続き国内外で収益確保・拡大を図ってまいります。また、お客様の需要予測に対して生産能力が将来不足することが明確になった事業に対しては、積極的に増能力投資を計画し実行すると同時に、研究開発に必要な設備についての増強も計画し実行しております。 (ポリマー&コーティング マテリアル)当事業は、ウレタン樹脂・UV・EBコーティング剤・天然物由来高分子の製造・販売を行っております。ウレタン樹脂の売上高は、サステナビリティ製品である水性表面処理剤が自動車用途で日本、中国、米国において伸長し、アパレル向けも一部需要低迷の影響は出たものの概ね堅調に推移しました。海外の産業資材向けは、在庫調整が長引き低調に推移しました。また、二酸化炭素を原料とするヒドロキシポリウレタン(HPU)については、NEDOグリーンイノベーション基金事業として引き続き開発を進めております。情報電子業界の液晶ディスプレイ向けのコーティング剤は、長期の在庫調整から脱し期初から回復が見られましたが、第4四半期以降は最終需要から小幅な在庫調整が生じ減速しました。 (グラフィック&プリンティング マテリアル)当事業は、グラビアインキ・オフセットインキの製造・販売を行っております。包装業界向けのグラビアインキは、国内は飲料ラベル用途等が堅調に推移しました。海外は、インドネシア子会社で販売価格の適正化が進み、大幅に増収となりました。グラビアインキにつきましては、継続してバイオマス由来の原材料を使用した製品の開発を進めた結果、グラビアインキの60%がサステナビリティ製品となりました。グラビアインキ事業は、茨城県坂東市に開所しました坂東製造事業所への生産移管が完了し、生産拠点統合による合理化を推し進めることができる環境が整いました。また、最新の合理化された生産設備を用いてお客様の必要とされる品質とスペックを適時・的確に供給していくことについても継続して進めてまいります。一方で、原材料価格の高止まりの影響を大きく受けた事業であることから販売価格の見直しを引き続き進め利益の確保に努めることといたします。なお、需要減少の流れを踏まえた合理化施策を進めてきているオフセットインキは、引き続き低調に推移しました。 ⅱ財政状態の分析(資産)当連結会計年度末における総資産は1,948億5千2百万円となり、前連結会計年度末と比べ、20億8千6百万円増加いたしました。これは「有形固定資産」は減損損失計上により減少しましたが、期末休日により「受取手形」及び「売掛金」が増加したこと、政策保有株式売却を進めましたが株価上昇により「投資有価証券」としては増加したこと、年金資産運用好調により「退職給付に係る資産」が増加したことなどによるものです。保有している政策保有株式については、毎年取締役会において、保有目的の適切さや保有に伴う便益・リスクが資本コストに見合っているか等を精査し、保有の適否を検証してきておりますが、外部環境の変化から、引き続きお客様と話し合いのうえで合意ができたものから解消を進めてまいります。 (負債)当連結会計年度末における負債合計は756億8千5百万円となり、前連結会計年度末と比べ、27億7千8百万円減少いたしました。「短期借入金」「1年以内返済予定の長期借入金」及び「長期借入金」の合計となる外部借入債務は、304億4千1百万円から249億3千8百万円となり、前連結会計年度末と比べ、55億2百万円減少いたしました。これはグループ内資金の一層の効率化を諮ったことによるものです。(純資産)当連結会計年度末における純資産合計は、1,191億6千6百万円となり、前連結会計年度末と比べ48億6千5百万円増加いたしました。この結果、自己資本比率は59.9%となり、前連結会計年度末に比べ1.8ポイント上昇いたしました。財務の健全性に加えて、引き続き資本の効率性を重視し活用を行ってまいります。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、214億2千5百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。なお、連結キャッシュ・フロー計算書も併せてご参照ください。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動から得られたキャッシュ・フローは90億2千万円となりました。これは「税金等調整前当期純利益」に「減価償却費」及び「売上債権」「仕入債務」「棚卸資産」などの増減を加味したものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果支出した資金は、14億4千5百万円となりました。IT顔料向け増産設備・ウレタン樹脂増産設備・2軸押し出し機増設など有形固定資産の取得に44億5千4百万円支出する一方で、政策保有株式の持合解消にともなう投資有価証券の売却収入などが33億3千6百万円あったことによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果支出した資金は、102億9百万円となりました。(単位:百万円)主な項目前連結会計年度(自2022年4月1日)至2023年3月31日)当連結会計年度(自2023年4月1日)至2024年3月31日)短期借入による収入2,5432,970短期借入金の返済による支出△1,813△3,790長期借入による収入4,500757長期借入金の返済による支出△7,315△5,518リース債務の返済による支出△201△234 投資活動に支出した資金をまかなうために、当社グループ内にて保有する資金のうちから営業活動の遂行にあたり必要となる資金相当分を控除した資金を活用することと合わせ、当該資金で不足する場合には、調達までの機動性や増資等による株式の希薄化を回避するためにも、主として銀行借入により調達しております。 ③資本の財源及び資金の流動性当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入金などにより、資金を調達しております。また、当社及び主要な国内子会社の計5社でキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、グループ内資金を一元管理し、現預金の水準を引き下げ、資金の効率化を図っております。財務上の方針としては、キャッシュ・フローの創出能力を最大化し、当社の中長期的な経営指標としているROA(総資産経常利益率)5%、ROE(自己資本利益率)9%の達成に向けて、財務面から継続的に支援を行うこととし、規律ある積極投資の基準を設けるとともに、経済の不安定要素に対する影響を抑えるため有利子負債の上限値を設け、資金調達コストを抑制しております。有利子負債に関する数値基準としては、D/Eレシオ1倍以下を目安としており、当連結会計年度末におけるD/Eレシオは0.22倍となっております。金融機関には充分な借入枠を有していること、また取引銀行4行と個別に計70億円の貸出コミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、環境の変化に的確に対応し、持続的な社会の実現に貢献する製品、サービスを提供する技術オリエンテッドのソリューションカンパニーとして、事業の収益性・資本効率を重視する点から、ROA(総資産経常利益率)5%、ROE(自己資本利益率)9%を中長期的な経営目標として掲げております。なお、技術開発に鋭意取り組んでいる新規発展分野及び継続発展分野への投資や海外新規ビジネス投資については、事業単位でのEBITDA(償却前・利払前利益)分析を駆使して事業評価を行うことなどにより積極的な成長機会を追求し、併せて、経営環境の変化に適時に対応するために、財務基盤の安定と成長を両立させることも重要な課題として認識しております。 ⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)企業理念、行動指針、必達当社グループでは、創業者である高橋 義博が1968年に制定した<必達>を経営方針の中心に据えて経営に取り組んで参りました。職場の目に付くところに掲示し、役職員で毎朝唱和することにより、<必達>に込められた精神、考え方を常に確認すると同時に、従業員への浸透を図ることを行ってきました。<必達>の精神は、現在においても何らその価値を失っていないものと考えますが、既存の仕事、製品を軸に、役職員個々人の心構えや行動に重点を置いた内容としているため、近年の社会環境、経済環境の変化をみたとき、社内外の人との関連性、新しい技術革新、製品開発への一層の目配り、社会の中における当社の連環という視点に不十分さをぬぐえない状況にありました。そのため、2015年12月開催の当社取締役会において、<必達>の考え方に加える形で、新たに<企業理念>、<行動指針>を規定し、経営方針を一層充実したものといたしました。これは、すべての経済原則や経営理論は「人」の行動原理に基づくものであるとの理解に立ち、まずは社内外を問わず全ての「人」に興味を持つべきであるとし、技術革新や商品開発など新しいことへの取り組みが、人や企業の活性化につながるという点を改めて確認し、一方、未来に目を向けると、人も企業も他者との連環(関連)の中で生き抜いていかざるをえないことを再認識した上で、社会に必要とされ、社会の発展に資する姿勢を打ち出していくべきとしたものであります。比較的平易な表現とすることで、若手従業員から経営トップに至るまで、<必達>と合わせて、浸透を図ることを企図したものであります。 これらを踏まえ、当社グループは以下の<企業理念>、<行動指針>、<必達>の社是の下、事業活動を行い、社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。 <企業理念>・人に興味を持とう・新しいことに興味を持とう・未来に興味を持とう <行動指針>人間は面白い。その面白い人間が作っているのが企業であり、また顧客である。全ての経済原則、経営理論は、人の行動原理に基本がある。人に興味を持とう。新しいことはワクワクする。技術革新や商品開発は顧客や市場を開拓すると同時に、人間も活性化する。新しいことに興味を持とう。未来を考えることは楽しい。未来は子供たちのものだ。未来を考えれば、人も企業も自分だけでは生きて行けないことが分かる。顧客の発展が無ければ、当社は富んでも長続きしない。更に、社会に生かされなければ、人も企業も存続し得ない。未来に興味を持とう。 一方、当社には1968年に制定した、社是「必達」が存在します。上記の企業理念と共に、歴史ある社是「必達」を誇りを持って遵守しています。 <必達>私たちはカラーエイジを担う大日精化の社員として<必達>の社是のもとに誇りを持って仕事をすすめよう1.仕事は必ず目標を立てこれを必達しよう1.正しい製品知識を身につけ製品普及のチャンスを積極的に求めよう1.仕事を通じ製品を通じて会社の信用を更に高めよう1.社会人として常に教養を高め反省を深める機会を持とう1.仕事を通じて社会に貢献し大日精化を最高の企業体としよう(2)経営理念創業者 高橋 義博の「自分の生活が好きな色彩によって包まれたいと思うのが私たちの念願」との言葉にもありますように、世界中の「もっと自由に彩りたい」という願いをかなえるために、当社グループは、彩りと機能性を持った素材をさまざまな分野での企業活動を通じて提供し、社会やお客様の願いに貢献することとしております。お客様の声に十分に耳を傾け、これまで培ってまいりました3つのコア技術、すなわち、①有機無機合成・顔料処理技術、②分散加工技術、③樹脂合成技術と、これらを組み合わせ、素材が持つ特性や機能を生かした製品開発、すなわち、ファンクションテクノロジーを一体となって機能させることにより、お客様の課題解決を提案してまいりました。その結果、生み出してまいりました製品は、色材、機能材、合成樹脂、天然物由来高分子など多岐にわたっており、自動車・電気機器・建材などの部品から日常生活に関連する繊維・パッケージ・情報関連素材まで広範囲な製品に利用・活用されております。今後とも、地道で着実な研究開発とものづくりを通して、お客様や社会の課題解決に貢献することにより、持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を目指してまいります。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、昨年、中期経営計画の公表に合わせ、ROA(総資産経常利益率)5%、ROE(自己資本利益率)9%を中長期的な経営目標として掲げましたが、初年度が経過した2022年3月末時点では、ROA4.2%、ROE5.9%の結果となりました。 (4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等当社グループの置かれている経営環境については、下記のとおりと認識しております。 ①お客様の国内外の事業展開に対して的確にキャッチアップする必要があることと同時に、販売、生産に係る収益性、効率性などの点から、国内外における積極的な業務展開は引き続き不可欠な状況にあり、国内、海外の一方に偏することなくバランスのよい業務展開をするべきであることは引き続き重要な課題であると認識しております。 ②持続的な成長のためには、ESGへの取組みがあらゆる事業活動の基本理念であり、環境配慮(E)、社会貢献(S)に対し研究・開発が果たす役割が、引き続き特に重要であると認識しております。このため本項(2)経営理念で前述のとおり、3つのコア技術を更に深化させるとともに、新たな技術を取り入れた上で融合し、社会全体の持続性、安全性、収益性、効率性、採算性などの側面から十分に検証の上で、引き続き資金と人財を投入していく必要があるものと認識しております。 ③上記②に述べたように、長期的・持続的成長分野への対応にあたりESG、SDGsを念頭に、単なる製品開発という点にとどまることなく、地球規模の環境や社会問題へ取り組む企業姿勢と、透明かつ公正な意思決定を可とするガバナンスが、当社グループの安定的かつ長期的な成長及び将来の企業価値においても大きな影響を与えるものと再認識した上で、お客様や投資家様を始めとするステークホルダーから常に選ばれる企業となるために、全社を挙げて、E(環境配慮)、S(社会貢献)、G(企業統治)の側面から能動的に活動を促進することが必要と理解しております。 ④上記①乃至③に加え、デジタル技術の活用は、当社グループの競争力の源泉のひとつであり、経営上の目標を達成するための重要な手段であると認識しております。新基幹システムを、2018年10月に国内拠点への導入後、海外拠点においても現地の事情に適応したシステム導入を順次進めており、また、新基幹システムのさらなる活用のための周辺システム整備も着々と進めてきておりますが、より高度化していく外部環境からの要請事項に、これまで以上に、適時に、かつ的確に対応していく仕組みが必要であると認識しております。 これらを踏まえ、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の創出のため、昨年公表しております中期経営計画の施策を重点的に進めることといたします。ア、技術主導による競争優位性確保当社グループでは、技術マネジメント手法を用いて保有する技術を再評価し、社会的なニーズ(ESG)への貢献を最優先課題として、オープンイノベーション、セグメント間のシナジー、知財戦略などを組み合わせ、市場規模・収益性・成長性を評価して、保有している3つのコア技術(1 有機無機合成・顔料処理技術、2 分散加工技術、3 樹脂合成技術)を深化させた技術開発に取り組んでおります。 これらを重要な基盤として、昨年、中期経営計画の施策を策定するにあたり、従来の注力4分野(環境、エネルギー、パーソナルケア、IT・エレクトロニクス)を改めて、①IT・エレクトロニクス 機能性材料、②ライフサイエンス・パーソナルケアの二つを新規発展分野、③モビリティ、④パッケージングの二つを継続発展分野として開発対象の中心に据え、資金と人財を積極的に投入することを行い、技術主導による競争優位の確保を目的とした「技術オリエンテッド」体制の構築を目指すことといたしました。これにより、製品の差別化、品質向上により社会貢献度を高め、同時に収益性の確保を図ることといたしました。初年度を終了し、現時点での状況は以下のとおりと認識しております。 ①IT・エレクトロニクス 機能性材料二次電池用部材、導電性部材、熱伝導性材料、機能性ポリマーなどにおいて、基礎技術に目途を付けると同時に、サンプルワークによる性能評価を進め、また、産学連携による新技術を付加することにより、着実な一歩を踏み出すことができました。今後、早期の実績化、生産体制増強に向けて、研究開発を進めてまいります。②ライフサイエンス・パーソナルケア生分解性微粒子、化粧品材料において、量産化設備に目途を付け、また、植物由来キトサンの開発に着手するなど一定の進捗を得ることができました。今後、一層の性能面のアップなどを目指して、継続的に注力してまいります。③モビリティ ウレタン、アクリル、シリコーンポリマー、軽量・高強度樹脂コンパウンドなどにおいて、水性化、バイオマス化などの環境配慮強化、リサイクル素材を利用した高強度コンパウンドの生産プロセスに目途をつけることができました。今後、早期の実績化を目指し、引き続き注力してまいります。④パッケージングガスバリア性を付与したインキ、パッケージおよびラベルのリサイクルが可能なインキ、バイオマス由来のインキなどを上市し、サンプルワークを開始しました。現時点でグラビアインキの50%以上をESG製品で占めており、今後もバイオマス由来の原材料の採用を増やし環境配慮製品の開発、販売の鋭意強化に努めてまいります。 イ、ESGを重視した経営による企業価値向上に向けた改革の推進中期経営計画を策定するにあたり、ESGの取組みは、当社グループを取り巻くサプライチェーン全体の重要な課題として認識し、原材料調達段階から当社製品を使用した製品が廃棄される段階までを含めたライフサイクル全体において、(ア)ESG貢献製品開発・拡販、(イ)気候変動への取り組み、(ウ)資源循環促進、(エ)社会貢献の一層の促進、(オ)コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組みを実施することといたしました。初年度を終了し、現時点での状況は以下のとおりと認識しております。 (ア)ESG貢献製品開発・拡販上記アで一部述べたとおり、地球温暖化防止、資源循環促進、水資源保護、フードロス削減などの観点から、二次電池用部材、導電性部材、熱伝導性材料の開発やバイオマス由来製品の開発などを積極的に進めてまいりました。今後も、この分野の製品開発・拡販には注力してまいります。(イ)気候変動への取り組み省エネ対策として、太陽光発電設備の設置、ボイラーの運用改善、生産機械の高効率化、照明器具のLED化を実施すると同時に、買電を再生可能エネルギーによる電力に切り換えることを進めました。合わせて、インターナルカーボンプライシングに関する社内整備を進めました。今後も、これらの施策をTCFD提言に沿って鋭意継続することとし、海外生産拠点も含めたグローバルな展開を行うことといたします。(ウ)資源循環促進プラスチック製品の原材料のバイオマス化への対応を加速化させると同時に、廃プラスチックの排出量抑制とリサイクル促進を進めてまいりました。今後も、これらの対策を鋭意継続するとともに、生産工程から生じるロスを削減するため工程管理を強化することなども行うことといたします。(エ)社会貢献の一層の促進お客様とのかかわりにおいては、適切な化学物質管理(新管理システムの導入、リスクアセスメントなど)、品質管理(ISO9001による全社的なQMS活動実施、内部監査実施)、責任ある原材料調達(CSR調達基準によるサプライヤー調査)、サステナブルな物流業務の展開(輸送ロットアップ、在庫拠点集約など)に取り組んでまいりました。従業員とのかかわりにおいては、ワークライフバランスの充実、女性、外国人、中途採用者の一層の活躍などの点から、人事制度の充実を図っております。合わせて地域社会とのかかわりにおいては、生産拠点の近隣に対する安全・安心を最優先に防災活動と環境負荷低減に努めてきております。これらの諸施策は着実に、継続的に実施することにより効果を得られるものであるため、今後も注力して対応してまいります。(オ)コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み単に法令順守、ルール順守に留まるだけでは実質的なガバナンスの向上につながらないとの認識から、コンプライアンスの徹底のために経営層からのメッセージの発信・従業員からのフィードバックを継続的に実施、社内イントラシステムなどを利用した継続的な研修の実施、ガバナンス体制上の委員会活動にESGの視点を大幅に追加するなど、より一層「風通し」のよい組織体制づくりに向けて、今後も地道な活動をひとつずつ積み上げてまいります。 ウ、海外事業拡大に向けた事業基盤の強化~海外売上高比率の向上~当社グループの収益、成長の源泉は、国内・海外双方に存在し、GDP高伸長国での事業展開もバランスよく事業育成をしていく必要があるとの認識の基に、中期経営計画を策定するにあたり、(ア)「地産地消」の推進と海外拠点の拡充、(イ)新規ビジネスの創出に注力することといたしました。初年度を終了し、現時点での状況は以下のとおりと認識しております。 (ア)「地産地消」の推進と海外拠点の拡充自動車内装材用をはじめとした、環境配慮型ウレタン樹脂製品に対する海外からの強い供給要請に応えるため、積極的な事業展開を実施してきました。今後も、新規採用のための拡販活動に取り組んでまいります。(イ)新規ビジネスの創出東南アジア、中国、欧州におけるエンジニアリングプラスチック事業の展開と生産設備の増強、欧州の商業印刷分野におけるデジタル印刷需要取り込みなどの事業を展開いたしました。海外における新規ビジネスの創出は一朝一夕に成就しがたいものであるとの認識に立ち、これらの事業を中心におき、今後とも、鋭意、注力していくことといたします。 中期経営計画の公表に合わせ掲げましたROA(総資産経常利益率)5%、ROE(自己資本利益率)9%の経営目標を達成するためにも、以上のような施策を引き続き強力に推し進めていくことといたします。 合わせて、当社グループの置かれている経営環境と要請される事項に的確に対応するため、DXの推進により、デジタル技術を更に活用し、社内データの整備や業務改善に直結する事象の把握と改善への取組みなど、生産性の向上や経営基盤の強化に積極的に取り組んでまいります。また、デジタルリテラシー向上のための研修や、具体的なプロジェクトなどを活用したOJTなども効果的に行うことなどにより、一層のデジタル人財の基盤強化を図ることといたします。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)企業理念、行動指針、必達当社グループでは、創業者である高橋 義博が1968年に制定した<必達>を経営方針の中心に据えて経営に取り組んで参りました。職場の目に付くところに掲示し、役職員で毎朝唱和することにより、<必達>に込められた精神、考え方を常に確認すると同時に、従業員への浸透を図ることを行ってきました。<必達>の精神は、現在においても何らその価値を失っていないものと考えますが、既存の仕事、製品を軸に、役職員個々人の心構えや行動に重点を置いた内容としているため、近年の社会環境、経済環境の変化をみたとき、社内外の人との関連性、新しい技術革新、製品開発への一層の目配り、社会の中における当社の連環という視点に不十分さをぬぐえない状況にありました。そのため、2015年12月開催の当社取締役会において、<必達>の考え方に加える形で、新たに<企業理念>、<行動指針>を規定し、経営方針を一層充実したものといたしました。これは、すべての経済原則や経営理論は「人」の行動原理に基づくものであるとの理解に立ち、まずは社内外を問わず全ての「人」に興味を持つべきであるとし、技術革新や商品開発など新しいことへの取り組みが、人や企業の活性化につながるという点を改めて確認し、一方、未来に目を向けると、人も企業も他者との連環(関連)の中で生き抜いていかざるをえないことを再認識した上で、社会に必要とされ、社会の発展に資する姿勢を打ち出していくべきとしたものであります。比較的平易な表現とすることで、若手従業員から経営トップに至るまで、<必達>と合わせて、浸透を図ることを企図したものであります。 これらを踏まえ、当社グループは以下の<企業理念>、<行動指針>、<必達>の社是の下、事業活動を行い、社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。 <企業理念>・人に興味を持とう・新しいことに興味を持とう・未来に興味を持とう <行動指針>人間は面白い。その面白い人間が作っているのが企業であり、また顧客である。全ての経済原則、経営理論は、人の行動原理に基本がある。人に興味を持とう。新しいことはワクワクする。技術革新や商品開発は顧客や市場を開拓すると同時に、人間も活性化する。新しいことに興味を持とう。未来を考えることは楽しい。未来は子供たちのものだ。未来を考えれば、人も企業も自分だけでは生きて行けないことが分かる。顧客の発展が無ければ、当社は富んでも長続きしない。更に、社会に生かされなければ、人も企業も存続し得ない。未来に興味を持とう。 一方、当社には1968年に制定した、社是「必達」が存在します。上記の企業理念と共に、歴史ある社是「必達」を誇りを持って遵守しています。 <必達>私たちはカラーエイジを担う大日精化の社員として<必達>の社是のもとに誇りを持って仕事をすすめよう1.仕事は必ず目標を立てこれを必達しよう1.正しい製品知識を身につけ製品普及のチャンスを積極的に求めよう1.仕事を通じ製品を通じて会社の信用を更に高めよう1.社会人として常に教養を高め反省を深める機会を持とう1.仕事を通じて社会に貢献し大日精化を最高の企業体としよう(2)経営理念創業者 高橋 義博の「自分の生活が好きな色彩によって包まれたいと思うのが私たちの念願」との言葉にもありますように、世界中の「もっと自由に彩りたい」という願いをかなえるために、当社グループは、彩りと機能性を持った素材をさまざまな分野での企業活動を通じて提供し、社会やお客様の願いに貢献することとしております。お客様の声に十分に耳を傾け、これまで培ってまいりました3つのコア技術、すなわち、①有機無機合成・顔料処理技術、②分散加工技術、③樹脂合成技術と、これらを組み合わせ、素材が持つ特性や機能を生かした製品開発、すなわち、ファンクションテクノロジーを一体となって機能させることにより、お客様の課題解決を提案してまいりました。その結果、生み出してまいりました製品は、色材、機能材、合成樹脂、天然物由来高分子など多岐にわたっており、自動車・電気機器・建材などの部品から日常生活に関連する繊維・パッケージ・情報関連素材まで広範囲な製品に利用・活用されております。今後とも、地道で着実な研究開発とものづくりを通して、お客様や社会の課題解決に貢献することにより、持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を目指してまいります。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、昨年、中期経営計画の公表に合わせ、ROA(総資産経常利益率)5%、ROE(自己資本利益率)9%を中長期的な経営目標として掲げましたが、初年度が経過した2022年3月末時点では、ROA4.2%、ROE5.9%の結果となりました。 (4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等当社グループの置かれている経営環境については、下記のとおりと認識しております。 ①お客様の国内外の事業展開に対して的確にキャッチアップする必要があることと同時に、販売、生産に係る収益性、効率性などの点から、国内外における積極的な業務展開は引き続き不可欠な状況にあり、国内、海外の一方に偏することなくバランスのよい業務展開をするべきであることは引き続き重要な課題であると認識しております。 ②持続的な成長のためには、ESGへの取組みがあらゆる事業活動の基本理念であり、環境配慮(E)、社会貢献(S)に対し研究・開発が果たす役割が、引き続き特に重要であると認識しております。このため本項(2)経営理念で前述のとおり、3つのコア技術を更に深化させるとともに、新たな技術を取り入れた上で融合し、社会全体の持続性、安全性、収益性、効率性、採算性などの側面から十分に検証の上で、引き続き資金と人財を投入していく必要があるものと認識しております。 ③上記②に述べたように、長期的・持続的成長分野への対応にあたりESG、SDGsを念頭に、単なる製品開発という点にとどまることなく、地球規模の環境や社会問題へ取り組む企業姿勢と、透明かつ公正な意思決定を可とするガバナンスが、当社グループの安定的かつ長期的な成長及び将来の企業価値においても大きな影響を与えるものと再認識した上で、お客様や投資家様を始めとするステークホルダーから常に選ばれる企業となるために、全社を挙げて、E(環境配慮)、S(社会貢献)、G(企業統治)の側面から能動的に活動を促進することが必要と理解しております。 ④上記①乃至③に加え、デジタル技術の活用は、当社グループの競争力の源泉のひとつであり、経営上の目標を達成するための重要な手段であると認識しております。新基幹システムを、2018年10月に国内拠点への導入後、海外拠点においても現地の事情に適応したシステム導入を順次進めており、また、新基幹システムのさらなる活用のための周辺システム整備も着々と進めてきておりますが、より高度化していく外部環境からの要請事項に、これまで以上に、適時に、かつ的確に対応していく仕組みが必要であると認識しております。 これらを踏まえ、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の創出のため、昨年公表しております中期経営計画の施策を重点的に進めることといたします。ア、技術主導による競争優位性確保当社グループでは、技術マネジメント手法を用いて保有する技術を再評価し、社会的なニーズ(ESG)への貢献を最優先課題として、オープンイノベーション、セグメント間のシナジー、知財戦略などを組み合わせ、市場規模・収益性・成長性を評価して、保有している3つのコア技術(1 有機無機合成・顔料処理技術、2 分散加工技術、3 樹脂合成技術)を深化させた技術開発に取り組んでおります。 これらを重要な基盤として、昨年、中期経営計画の施策を策定するにあたり、従来の注力4分野(環境、エネルギー、パーソナルケア、IT・エレクトロニクス)を改めて、①IT・エレクトロニクス 機能性材料、②ライフサイエンス・パーソナルケアの二つを新規発展分野、③モビリティ、④パッケージングの二つを継続発展分野として開発対象の中心に据え、資金と人財を積極的に投入することを行い、技術主導による競争優位の確保を目的とした「技術オリエンテッド」体制の構築を目指すことといたしました。これにより、製品の差別化、品質向上により社会貢献度を高め、同時に収益性の確保を図ることといたしました。初年度を終了し、現時点での状況は以下のとおりと認識しております。 ①IT・エレクトロニクス 機能性材料二次電池用部材、導電性部材、熱伝導性材料、機能性ポリマーなどにおいて、基礎技術に目途を付けると同時に、サンプルワークによる性能評価を進め、また、産学連携による新技術を付加することにより、着実な一歩を踏み出すことができました。今後、早期の実績化、生産体制増強に向けて、研究開発を進めてまいります。②ライフサイエンス・パーソナルケア生分解性微粒子、化粧品材料において、量産化設備に目途を付け、また、植物由来キトサンの開発に着手するなど一定の進捗を得ることができました。今後、一層の性能面のアップなどを目指して、継続的に注力してまいります。③モビリティ ウレタン、アクリル、シリコーンポリマー、軽量・高強度樹脂コンパウンドなどにおいて、水性化、バイオマス化などの環境配慮強化、リサイクル素材を利用した高強度コンパウンドの生産プロセスに目途をつけることができました。今後、早期の実績化を目指し、引き続き注力してまいります。④パッケージングガスバリア性を付与したインキ、パッケージおよびラベルのリサイクルが可能なインキ、バイオマス由来のインキなどを上市し、サンプルワークを開始しました。現時点でグラビアインキの50%以上をESG製品で占めており、今後もバイオマス由来の原材料の採用を増やし環境配慮製品の開発、販売の鋭意強化に努めてまいります。 イ、ESGを重視した経営による企業価値向上に向けた改革の推進中期経営計画を策定するにあたり、ESGの取組みは、当社グループを取り巻くサプライチェーン全体の重要な課題として認識し、原材料調達段階から当社製品を使用した製品が廃棄される段階までを含めたライフサイクル全体において、(ア)ESG貢献製品開発・拡販、(イ)気候変動への取り組み、(ウ)資源循環促進、(エ)社会貢献の一層の促進、(オ)コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組みを実施することといたしました。初年度を終了し、現時点での状況は以下のとおりと認識しております。 (ア)ESG貢献製品開発・拡販上記アで一部述べたとおり、地球温暖化防止、資源循環促進、水資源保護、フードロス削減などの観点から、二次電池用部材、導電性部材、熱伝導性材料の開発やバイオマス由来製品の開発などを積極的に進めてまいりました。今後も、この分野の製品開発・拡販には注力してまいります。(イ)気候変動への取り組み省エネ対策として、太陽光発電設備の設置、ボイラーの運用改善、生産機械の高効率化、照明器具のLED化を実施すると同時に、買電を再生可能エネルギーによる電力に切り換えることを進めました。合わせて、インターナルカーボンプライシングに関する社内整備を進めました。今後も、これらの施策をTCFD提言に沿って鋭意継続することとし、海外生産拠点も含めたグローバルな展開を行うことといたします。(ウ)資源循環促進プラスチック製品の原材料のバイオマス化への対応を加速化させると同時に、廃プラスチックの排出量抑制とリサイクル促進を進めてまいりました。今後も、これらの対策を鋭意継続するとともに、生産工程から生じるロスを削減するため工程管理を強化することなども行うことといたします。(エ)社会貢献の一層の促進お客様とのかかわりにおいては、適切な化学物質管理(新管理システムの導入、リスクアセスメントなど)、品質管理(ISO9001による全社的なQMS活動実施、内部監査実施)、責任ある原材料調達(CSR調達基準によるサプライヤー調査)、サステナブルな物流業務の展開(輸送ロットアップ、在庫拠点集約など)に取り組んでまいりました。従業員とのかかわりにおいては、ワークライフバランスの充実、女性、外国人、中途採用者の一層の活躍などの点から、人事制度の充実を図っております。合わせて地域社会とのかかわりにおいては、生産拠点の近隣に対する安全・安心を最優先に防災活動と環境負荷低減に努めてきております。これらの諸施策は着実に、継続的に実施することにより効果を得られるものであるため、今後も注力して対応してまいります。(オ)コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み単に法令順守、ルール順守に留まるだけでは実質的なガバナンスの向上につながらないとの認識から、コンプライアンスの徹底のために経営層からのメッセージの発信・従業員からのフィードバックを継続的に実施、社内イントラシステムなどを利用した継続的な研修の実施、ガバナンス体制上の委員会活動にESGの視点を大幅に追加するなど、より一層「風通し」のよい組織体制づくりに向けて、今後も地道な活動をひとつずつ積み上げてまいります。 ウ、海外事業拡大に向けた事業基盤の強化~海外売上高比率の向上~当社グループの収益、成長の源泉は、国内・海外双方に存在し、GDP高伸長国での事業展開もバランスよく事業育成をしていく必要があるとの認識の基に、中期経営計画を策定するにあたり、(ア)「地産地消」の推進と海外拠点の拡充、(イ)新規ビジネスの創出に注力することといたしました。初年度を終了し、現時点での状況は以下のとおりと認識しております。 (ア)「地産地消」の推進と海外拠点の拡充自動車内装材用をはじめとした、環境配慮型ウレタン樹脂製品に対する海外からの強い供給要請に応えるため、積極的な事業展開を実施してきました。今後も、新規採用のための拡販活動に取り組んでまいります。(イ)新規ビジネスの創出東南アジア、中国、欧州におけるエンジニアリングプラスチック事業の展開と生産設備の増強、欧州の商業印刷分野におけるデジタル印刷需要取り込みなどの事業を展開いたしました。海外における新規ビジネスの創出は一朝一夕に成就しがたいものであるとの認識に立ち、これらの事業を中心におき、今後とも、鋭意、注力していくことといたします。 中期経営計画の公表に合わせ掲げましたROA(総資産経常利益率)5%、ROE(自己資本利益率)9%の経営目標を達成するためにも、以上のような施策を引き続き強力に推し進めていくことといたします。 合わせて、当社グループの置かれている経営環境と要請される事項に的確に対応するため、DXの推進により、デジタル技術を更に活用し、社内データの整備や業務改善に直結する事象の把握と改善への取組みなど、生産性の向上や経営基盤の強化に積極的に取り組んでまいります。また、デジタルリテラシー向上のための研修や、具体的なプロジェクトなどを活用したOJTなども効果的に行うことなどにより、一層のデジタル人財の基盤強化を図ることといたします。
MD&A(経営者による分析)
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 (1)経営成績等の状況の概要①経営成績当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の変異株拡大により、経済活動に対する緩和・規制が繰り返され、また、期後半においては、ロシアによるウクライナ侵攻の影響などによりインフレが進み、世界経済の不透明な状況が続きました。このような環境の中、当社グループは、昨年8月に外部公表した中期経営計画において、10年後に在りたい姿として、「技術力を生かしニッチマーケットで社会に貢献し続ける」「サステナブル社会の実現に向けた課題解決と新たな価値創造に取り組む」をミッションに掲げるとともに、基本戦略として「技術主導による競争優位性の確保」「サステナブル社会の実現に向けたESG重視の経営推進」「事業基盤の強化のための海外事業の拡大」に基づく施策を推進しました。この結果、売上高は、上期はコロナ禍の落ち込みから回復が続き、下期は得意先の半導体等の部品不足による生産調整の影響を受けましたが、輸送業界向けのコンパウンド・着色剤・ウレタン樹脂及び情報電子業界向けのコーティング剤が好調に推移した結果、1,219億3千3百万円となりました。なお、当期より「収益認識に関する会計基準」(以下「収益認識会計基準」)等を適用し、従来の会計処理方法に比べて売上高と売上原価がそれぞれ461億1千5百万円減少しております。一方、営業利益は、需給逼迫による原材料価格の高騰、海運等の物流網の混乱による調達難が継続しましたが、一部販売価格の見直しを実施し利益の確保に努めたこと、「収益認識会計基準」等の影響を除くと実質的に売上高は大幅な増収であったことから、74億4千6百万円(前年同期比51.3%増)となりました。また経常利益は、83億1千5百万円(同48.1%増)となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に計上した投資有価証券売却益が減少したことなどにより、61億6千6百万円(同2.8%減)と減益になりました。 次に報告セグメントの業績についてご報告いたします。なお、当連結会計年度の期首より、報告セグメントを変更しております。前連結会計年度との比較数値については、変更後のセグメントに組み替えて記載しております。 (カラー&ファンクショナル プロダクト)当事業は、顔料・繊維用着色剤・プラスチック用着色剤・コンパウンド・顔料分散体・機能性材料の製造・販売を行っております。輸送業界向けのコンパウンド・プラスチック用着色剤の売上高は、期初よりコロナ禍からの回復が続き、下期以降に自動車生産減産の影響が一部ありましたが、国内外ともに好調に推移しました。情報電子業界向けの顔料及び分散体の売上高は、巣ごもり特需の継続によるディスプレイ用途の伸長及びオフィス事務機器用途の回復により好調に推移しました。これらの結果、当セグメントの売上高は、702億3千2百万円となり、営業利益は49億2千9百万円(同215.8%増)となりました。なお、「収益認識会計基準」等の適用により、売上高と売上原価がそれぞれ460億4千6百万円減少しております。 (ポリマー&コーティング マテリアル)当事業は、UV・EBコート剤・ウレタン樹脂・天然物由来高分子の製造・販売を行っております。ウレタン樹脂の売上高は、輸送機器の内装材料、産業資材用途が好調に推移、また衣料品服飾品向け用途に需要回復が見られる等全般的に好調に推移しました。輸送業界向けは、一部で自動車生産減産の影響を受けましたが、採用車種の拡大もあり好調に推移しました。情報電子業界向けのUVコート剤は、ディスプレイ用途が引き続き好調に推移しました。これらの結果、当セグメントの売上高は236億3百万円、営業利益は33億7百万円(同24.3%増)となりました。(グラフィック&プリンティング マテリアル)当事業は、グラビアインキ・オフセットインキの製造・販売を行っております。包装業界向けのグラビアインキの売上高は、国内は堅調、海外はインドネシア子会社で新型コロナウイルス感染症拡大の影響により低調に推移しました。広告出版業界向けのオフセットインキは、夏場の緊急事態宣言による影響により低調に推移しました。これらの結果、当セグメントの売上高は280億1千6百万円となり、営業損失は、原材料価格の高騰及び坂東製造事業所稼働による減価償却費及び生産移管完了までの固定費増加の影響により8億2千5百万円(前年同期は6億9千4百万円の営業利益)となりました。 ②財政状態(資産)当連結会計年度末における資産合計は1,967億9百万円となり、前連結会計年度末と比べ10億7百万円減少しました。これは主に「受取手形」、「売掛金」及び「棚卸資産」が増加した一方で、「現金及び預金」が減少したことによるものであります。 (負債)当連結会計年度末における負債合計は862億2千2百万円となり、前連結会計年度末と比べ78億3千4百万円減少しました。これは主に「有利子負債」が減少したことによるものであります。 (純資産)当連結会計年度末における純資産合計は1,104億8千7百万円となり、前連結会計年度末と比べ68億2千6百万円増加しました。これは主に「親会社株主に帰属する当期純利益」の計上により「利益剰余金」が増加したことによるものであります。 ③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ95億5千9百万円減少し、248億7千9百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりとなっております。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、75億7千9百万円(前年同期比34.2%減)となりました。これは主に「税金等調整前当期純利益」及び「減価償却費」を計上したことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、66億4千3百万円(同76.3%増)となりました。これは主に当社坂東製造事業所など「有形固定資産の取得による支出」として支出したことによるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、114億2千4百万円となりました。これは主に前連結会計年度のコロナ禍当初に厚めに確保していた資金を「長期借入金の返済による支出」として支出したことによるものであります。④生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:t)セグメントの名称当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)前年同期比(%)カラー&ファンクショナルプロダクト244,876125.5ポリマー&コーティングマテリアル27,106116.4グラフィック&プリンティングマテリアル36,24399.0報告セグメント計308,225120.9その他――合計308,225120.9 b.受注実績当社グループは過去の販売実績と将来の予想に基づいて見込生産を行っており、受注生産は行っておりません。 c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:百万円)セグメントの名称当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)前年同期比(%)カラー&ファンクショナルプロダクト70,232―ポリマー&コーティングマテリアル23,603―グラフィック&プリンティングマテリアル28,016―報告セグメント計121,852―その他80―合計121,933―(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。なお、収益認識に関する会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、前連結会計年度に対し、新たな会計方針を遡及適用しておりません。これにより、当連結会計年度と比較対象となる前連結会計年度の収益認識基準が異なるため、売上高の増減率の記載は省略しております。(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討等ⅰ経営成績の分析当連結会計年度の当社グループの経営成績に対して特に重要な影響を与えた事象は、以下のとおりと考えております。当連結会計年度の事業環境については、世界経済は新型コロナウイルス感染症の変異株拡大により、経済活動に対する緩和・規制が繰り返されましたが、総じて回復基調を辿りました。その一方で、需給逼迫による原材料価格の高騰、海運等の物流網の混乱による調達難などが、当社グループの生産・販売活動に大きな影響を与えましたが、当社製品の安定供給を最優先事項として取り組むことといたしました。こうした社会的、経済的状況のもとで、売上高は、1,219億3千3百万円となりました。当連結会計年度から新たに「収益認識会計基準」等を適用しておりますが、前連結会計年度から適用したと仮定した場合の売上高と比較した場合、実質14.3%ほどの増収となりました。原材料価格の高騰に対しては、販売価格の見直しを行い、利益の確保に務めたことにより、営業利益は74億4千6百万円(前年同期比51.3%増)、経常利益は83億1千5百万円(同48.1%増)となりました。 足元では、米国のインフレが進行し、金利が適正化される流れの中で、為替が大きく変動するなど景気の先行き不透明な状況が続くことが想定されます。当社グループでは「2 事業等のリスク」で記載したとおり、引き続き各リスクに対応したリスク回避・削減策を積極的に推進していくことといたします。 各報告セグメントの概況は以下のとおりであります。なお、当社グループの報告セグメントは、従来「化成品事業」、「化学品事業」、「高分子事業」、「印刷総合システム事業」及び「その他事業」としておりましたが、当連結会計年度より、「カラー&ファンクショナル プロダクト」「ポリマー&コーティング マテリアル」及び「グラフィック&プリンティング マテリアル」に変更しました。 この変更は、中期経営計画の策定を契機に、今後の事業基盤の再構築や、製品開発の強化、新規事業の育成など、中長期的な成長に向けた事業戦略の推進のため、行ったものです。なお報告セグメント毎の営業実績は上記「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に、生産実績・受注実績・販売実績は、同「④生産、受注及び販売の実績」にて、それぞれ記載しております。(カラー&ファンクショナル プロダクト)当事業は、顔料・繊維用着色剤・プラスチック用着色剤・コンパウンド・顔料分散体・機能性材料の製造・販売を行っております。輸送業界向けのコンパウンド・プラスチック用着色剤の売上高は、期初よりコロナ禍からの回復を受け、国内外で数量を伸ばしました。下期以降に自動車の減産の影響が一部ありましたが、内装部材など高付加価値の製品群は引き続き需要が堅調に推移しました。情報電子業界向けの顔料及び分散体の売上高は、巣ごもり特需の継続によるディスプレイ用途が引き続き堅調に推移しました。オフィス事務機関連は、コロナ禍からの経済活動再開に伴うオフィスなどへの出社比率の回復により、販売数量に回復が見られました。当事業はお客様の必要とされる品質とスペックの製品を適時にかつ的確に供給することが必要ですので、市場動向、需要動向・原材料動向に関してお客様と情報交換を緊密にしつつ、引き続き国内外で収益確保・拡大を図ってまいります。 (ポリマー&コーティング マテリアル)当事業は、ウレタン樹脂、UV・EBコート剤、天然物由来高分子の製造・販売を行っております。ウレタン樹脂の売上高は、自動車業界向けの内装材料が採用車種の拡大もあり好調に推移しました。産業資材用途向けも海外市場で高い評価をいただいております。自動車内装材用をはじめとした、環境配慮型ウレタン樹脂製品に対する海外からの強い供給要請に応えるため、当事業は国内外で積極的な事業展開を進めております。情報電子業界向けのUVコート剤は、ディスプレイ用途が引き続き好調に推移しました。逼迫する原材料調達課題に対しては、調達先の多様化など様々な施策を実行してまいりました。引き続き予断を許さない状況が続きますが、グループ総力をあげて対応してまいります。 (グラフィック&プリンティング マテリアル)当事業は、グラビアインキ・オフセットインキの製造・販売を行っております。グラビアインキは、一般包材向けパッケージ関連の売上高が国内は堅調に推移したものの、海外子会社の業績は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、低迷しました。オフセットインキにつきましては、需要減少の流れを踏まえた合理化施策をさらに進めております。グラビアインキにつきましては、環境課題に端を発する最終消費財の供給、消費のありかたやその廃棄・処理に関する社会の考え方の変化は、最重要の対応すべき課題と認識しております。現時点におきましてもグラビアインキの50%以上はESG製品で占めておりますが、引き続きバイオマス由来の原材料の採用を増やし、環境配慮型製品の開発に努めてまいります。原材料価格高騰への対応と茨城県坂東市に開所しました新工場への生産移管の推進を当面の重要な課題と捉え、前者につきましては販売価格の見直しを進め利益の確保に努めることとし、後者については、新たに合理化された生産設備を用いて、お客様の必要とされる品質とスペックを適時・適格に供給できる体制の確立を最優先で進めてまいります。 ⅱ財政状態の分析(資産)当連結会計年度末における総資産は1,967億9百万円となり、前連結会計年度末と比べ、10億7百万円減少いたしました。これは、原材料の調達難に備えて、「商品及び製品」や「原材料及び貯蔵品」などの在庫積み増しを行う一方、コロナ禍における経営環境を勘案し手元流動性を確保してまいりましたが、資金の平準化を目途として借入金の返済などへ充当いたしました結果、「現金及び預金」を103億円減少させたことによるものです。また、「投資有価証券」の減少は保有株式の時価下落及び株式の持合いの解消に伴い売却を進めたことによるものです。保有している政策保有株式については、毎年取締役会において、保有目的の適切さや保有に伴う便益・リスクが資本コストに見合っているか等を精査し、保有の適否を検証してきております。(負債)当連結会計年度末における負債合計は862億2千2百万円となり、前連結会計年度末と比べ、78億3千4百万円減少いたしました。「短期借入金」、「1年以内返済予定の長期借入金」及び「長期借入金」の合計となる外部借入債務は、418億円から322億円へと減少しました。資産の部で述べましたとおり、通常の運転資金について、コロナ禍で確保しておりました手元流動性の水準から、資金の水準の見直しを行い、また金利の上昇局面に備えて、借入債務の返済を進めたことによるものです。 (純資産)当連結会計年度末における純資産合計は、1,104億8千7百万円となり、前連結会計年度末と比べ68億2千6百万円増加いたしました。この結果、自己資本比率は55.1%となり、前連結会計年度末に比べ3.6ポイント増加いたしました。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ95億5千9百万円減少し、当連結会計年度末には248億7千9百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。なお、連結キャッシュ・フロー計算書も合わせてご参照ください。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動から得られたキャッシュ・フローは合計75億7千9百万円となりました。これは「税金等調整前当期純利益」に「減価償却費」、「売上債権」、「支払債務」、「棚卸資産」などの増減を考慮したものであります。当連結会計年度においては、コロナ禍からの急激な需要の回復、原材料価格の高騰及び調達難に備えた「棚卸資産」の増加金額が51億3千5百万円となり、営業活動によるキャッシュ・フローに大きな影響を与えました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、合計66億4千3百万円となりました。有形固定資産の取得の内訳としては、国内生産体制拡充に資するために、茨城県坂東市におけるグラビアインキ、特殊コーティング剤新工場などの建物への投資や佐倉製造事業所における新技術棟・研究棟の投資を実行すると同時に、効率的な生産実施のために機械設備購入に引き続きに資金投下した結果であります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、合計114億2千4百万円となりました。(単位:百万円)主な項目前連結会計年度(自 2020年4月1日)至 2021年3月31日)当連結会計年度(自 2021年4月1日)至 2022年3月31日)短期借入による収入4,0492,444短期借入金の返済による支出△6,468△3,751長期借入による収入12,717-長期借入金の返済による支出△9,193△8,451リース債務の返済による支出△282△267 投資活動に使用した資金をまかなうために、当社グループ内にて保有する資金のうちから営業活動の遂行にあたり必要となる資金相当分を控除した資金を活用することと合わせ、当該資金で不足する場合には、調達までの機動性や増資等による株式の希薄化を回避するためにも、主として銀行借入により調達しております。なお、坂東製造事業所建設資金の効率的な調達を行うため、取引銀行4行と総額83億円のコミット型シンジケートローン契約を締結し、47億3千9百万円の借入を行っております。③資本の財源及び資金の流動性当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入金などにより、資金を調達しております。財務上の方針としては、キャッシュ・フローの創出能力を最大化し、当社の中長期的な経営指標としているROA(総資産経常利益率)5%、ROE(自己資本利益率)9%の達成に向けて、継続的に財務面から支援を行うこととし、規律ある積極投資の基準を設けるとともに、経済の不安定要素に対する影響を抑えるため有利子負債の上限値を設け、資金調達コストを抑制しております。有利子負債に関する数値基準としては、D/Eレシオ1倍以下を目安としており、当連結会計年度末におけるD/Eレシオは0.30倍となっております。金融機関には充分な借入枠を有していること、また、取引銀行3行と総額80億円の貸出コミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。 ④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、環境の変化に的確に対応し、持続的な社会の実現に貢献する製品、サービスを提供する技術オリエンテッドのソリューションカンパニーとして、事業の収益性・資本効率を重視する点から、ROA(総資産経常利益率)5%、ROE(自己資本利益率)9%を中長期的な経営目標として掲げることといたします。なお、技術開発を促進している新規発展分野及び継続発展分野への投資や海外新規ビジネス投資については、事業単位でのEBITDA(償却前・利払前利益)分析を駆使して事業評価を行うことなどにより積極的な成長機会を追求し、合わせて、経営環境の変化に適時に対応するために、財務基盤の安定と成長を両立させることも重要な課題として認識しております。 ⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営方針当社グループは以下の<企業理念>、<行動指針>、<必達>の社是の下、事業活動を行い、社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。 <企業理念>・人に興味を持とう・新しいことに興味を持とう・未来に興味を持とう <行動指針>人間は面白い。その面白い人間が作っているのが企業であり、また顧客である。全ての経済原則、経営理論は、人の行動原理に基本がある。人に興味を持とう。新しいことはワクワクする。技術革新や商品開発は顧客や市場を開拓すると同時に、人間も活性化する。新しいことに興味を持とう。未来を考えることは楽しい。未来は子供たちのものだ。未来を考えれば、人も企業も自分だけでは生きて行けないことが分かる。顧客の発展が無ければ、当社は富んでも長続きしない。更に、社会に生かされなければ、人も企業も存続し得ない。未来に興味を持とう。 一方、当社には1968年に制定した、社是「必達」が存在します。上記の企業理念と共に、歴史ある社是「必達」を誇りを持って遵守しています。 <必達>私たちはカラーエイジを担う大日精化の社員として<必達>の社是のもとに誇りを持って仕事をすすめよう1.仕事は必ず目標を立てこれを必達しよう1.正しい製品知識を身につけ製品普及のチャンスを積極的に求めよう1.仕事を通じ製品を通じて会社の信用を更に高めよう1.社会人として常に教養を高め反省を深める機会を持とう1.仕事を通じて社会に貢献し大日精化を最高の企業体としよう (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、総資産の効率的な運用を行い、収益力を高め、財務体質の改善・強化を図るため、連結ROA(総資産経常利益率)5%以上を達成することを主な経営目標に掲げております。 (3)経営環境及び対処すべき課題等当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の創出のため、次の4つの施策を重点的に進めてまいります。 ア.海外売上比率50%の達成 「攻略市場と戦略製品の選択と集中」を図ります。「生産拠点の再構築」も検討し、グローバルな視点から適材適所での拠点化を進めます。高分子事業では、米国の新工場本格稼働開始を2019年度内に予定しています。化学品事業では、タイに第二工場の建設を進めています。2020年初頭からの本格稼働を見込んでいます。同じくインド、およびメキシコでは、高い経済成長率を背景に、当社グループ製品の市場開拓を継続推進し、同市場での存在を更に高めます。引き続き海外のM&Aも検討し、シナジー効果の期待される案件をJVや資本参加も選択肢とし鋭意進めて参ります。 イ.国内生産体制の拡充 印刷総合システム事業および化学品事業では、新たに茨城県坂東市に7万平米の用地を取得し新工場を建設中です。2021年中の本格稼働を目指しております。当地では、グラビアインキ、特殊コーティング材等向けの効率の高い新設備、省人化設備の導入、適切な設備配置など、技術や生産面での効率アップを進めます。高分子事業では、赤羽製造事業所から佐倉製造事業所への移転計画は完了し、本年4月より、生産プロセスの改善、増産対応、新規開発品の生産対応など、新たな生産体制で運営しています。なお、防災管理、安全管理などの面について、組織の再編拡充を含め、より一層強化してまいります。ウ.発展分野の研究開発に注力 MOT(※)の手法を導入し、既存分野に新たな技術を投入し、技術開発を促進します。 同時に、業界の発展分野であるつぎの4つに当社の技術力の投入を検討します。 ・環境分野(例:二酸化炭素を原料とした樹脂、生体模倣樹脂) ・エネルギー分野(例:カーボンナノチューブ分散体、電池用材料) ・パーソナルケア分野(例:化粧品用材料、バリア接着剤) ・ITエレクトロニクス分野(例:高機能ポリマー、機能性顔料) これらの分野に対し、長期的視点に立った技術開発を検討してまいります。※MOT(Management of Technology):技術を事業の核とする企業が、持続的な成長のために、技術成果を事業に結びつけ、企業価値を創出していくマネジメント。エ.新システムの活用 ・新基幹システムの活用 国内および導入済みの海外拠点については、2018年10月より導入・稼働した新基幹システムを活用し、合理的な事業運営をすすめてまいります。未導入の海外拠点については、本社システムとの経営情報の共有を目指し、適切と思われるシステムを順次導入する予定です。 ・物流システムの合理化 国内において導入した3PL(※)システムを活用し、上昇する輸送、在庫コストを抑制し、同時にサービス向上を図ってまいります。また、導入した上記基幹システムを活用し、上昇する輸送、在庫コストを抑制し、同時にサービス向上を図ってまいります。(※)3PL(Third-party logistics):物流業務を専門業者に包括的に委託することにより、全社の物流業務を最適化すること。 (4)株式会社の支配に関する基本方針について 会社法施行規則第118条第3号に定める「株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(以下「会社の支配に関する基本方針」といいます。)の内容は以下のとおりであります。① 会社の支配に関する基本方針 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業理念、企業価値の様々な源泉、当社をご支持くださる多数のステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保、向上させる者でなければならないと考えております。 当社株主の在り方は、当社株式の市場における自由な取引を通じて決定されるものであり当社の支配権の移転を伴う大規模な買付提案等がなされた場合であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概に否定するものではなく、これに応じるか否かのご判断も、最終的には株主の皆様のご意思に基づき行われるべきものと理解しております。 しかしながら、近年、資本市場における株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、その目的が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうことが明白であるもの、当社や株主の皆様に対して買付けに係る内容及び代替案等を検討するための十分な時間や情報を提供しないもの、買付けに応じることを株主の皆様に強要するような仕組みを有するもの、買付条件が不適切であるもの等々、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも想定されます。 このような大規模な買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適切でないと考えております。② 会社の支配に関する基本方針の実現に資する取組み 当社は、1931年(昭和6年)に顔料の製造・販売を目的に設立し、プラスチック時代の幕開けとなった1940年代半ばより、国産化・自社開発に拘りながら各種プラスチック製品の着色化に貢献、また合成繊維の誕生に合わせて化・合成繊維の原液着色の技術を開発しました。1970年代より海外市場へ展開し、日本企業の海外進出に合わせ、エリアを拡大してまいりました。創業以来培ってきました技術の継承と新規分野の研究開発を背景に、材料特性を熟知した素材メーカーとして、カラー化時代の先取りと様々なユーザーニーズに応える分散・加工・配合等の基本技術と応用展開の結実として、現在、各種合成樹脂着色剤、各種印刷インキ、合成樹脂に加えて時代の要請に即した機能性付与製品や情報記録関連の製品、環境配慮型製品まで多様な製品ラインアップを擁し、広範な業界の多数のお取引先から厚い信頼を得ております。 このように、当社は創立以来蓄積してきた「有機無機合成・顔料処理技術」「分散・加工技術」「樹脂合成技術」の3つのコア技術を企業価値の源泉とし、品質・コスト競争力とブランドの向上に努めながら、株主の皆様、取引先の皆様、従業員、さらには地域社会等との長年に亘る信頼関係を構築しております。これらは、数値に表れ難い企業価値として重要な要素と認識しております。 当社は、「大日精化環境方針」、「環境に関する経営基本方針」を制定しております。人類文化の保護発展と自然環境を護り、「環境・安全・健康・品質」を良好に保つことを企業目的の一つとしております。国際規則及び国内外の関係法令を順守するとともに、企業活動に伴う資源・エネルギーの効率的な利用、産業廃棄物の減量、再資源化・再利用化、安全のための予防・緊急対策等をも含めて化学メーカーとしての行動指針としております。 また、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化を通じて、経営の透明性及び効率性を確保し、株主の皆様をはじめとするステークホルダーの信頼をより高め、社会責任を全うするため、ガバナンス機能の充実が経営上の重要な課題であると認識しております。法令順守及びリスク管理等の徹底のために、「CSR・リスク管理推進本部」を設置し、内部監査の独立部門である内部監査室と情報の共有化を図り、内部統制システムの充実に積極的に取り組んでおります。 以上、当社では多くの投資家の皆様に中長期的に当社への投資を継続していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の向上のため、役員・社員一丸となって上記のような取組みを実施しております。今後とも株主の皆様、お取引先、従業員、地域社会等のステークホルダーからの信頼を磐石なものとするため一層その充実、拡充に努める所存であります。これらの取組みは上記①会社の支配に関する基本方針の実現にも資するものと考えております。③ 会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止する取組み 当社は、会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるための取組みとして「当社株式の大規模買付行為に関する対応策」(以下「本プラン」といいます。)について、2017年6月29日開催の第114期定時株主総会(以下「本株主総会」といいます。)において、株主の皆様にご承認いただき継続しております。 本プランの対象となる当社株式の大規模買付行為とは、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為をいい、かかる買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。 本プランにおける大規模買付時における情報提供と検討時間の確保等に関しては、次のとおり一定のルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)を設けており、大規模買付ルールによって、①事前に大規模買付者が当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供し、②必要情報の提供完了後、対価を現金のみとする公開買付による当社全株式の買付けの場合は最長60日間、またはその他の大規模買付行為の場合は最長90日間を当社取締役会による評価・検討等の取締役会評価期間として設定し、取締役会評価期間、また株主検討期間を設ける場合には取締役会評価期間と株主検討期間が経過した後に大規模買付行為を開始するというものです。 本プランにおいては、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合には、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置は講じません。ただし、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合、遵守しても当該大規模買付行為が当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断する場合には、必要かつ相当な範囲で新株予約権の無償割当て等、会社法その他の法律及び当社定款が認める検討可能な対抗措置をとることがあります。 このように対抗措置をとる場合、その判断の客観性及び合理性を担保するために、取締役会は対抗措置の発動に先立ち、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外監査役または社外有識者から選任された委員で構成する独立委員会に対して対抗措置の発動の是非について諮問し、独立委員会は対抗措置の発動の是非について、取締役会評価期間内に勧告を行うものとします。当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かの判断に際して、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとします。なお、本プランの有効期限は2020年6月に開催予定の当社第117期定時株主総会の終結の時までとします。本プランは、本株主総会において継続が承認され発効した後であっても、①当社株主総会において本プランを廃止する旨の株主の一定割合の意思表示が行われた場合、②当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議等が行われた場合には、その時点で廃止されるものとします。 継続後の本プランの詳細につきましては、インターネット上の当社ウェブサイト(http://www.daicolor.co.jp/)に掲載しております。④ 本プランが会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて 本プランは、①買収防衛策に関する指針において定める三原則を充足していること及び経済産業省に設置された企業価値研究会が2008年(平成20年)6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の内容も踏まえたものとなっていること、②当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること、③株主総会での承認により発効しており、株主意思を反映するものであること、④独立性の高い社外者のみから構成される独立委員会の判断を重視するものであること、⑤デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策でないこと等の理由から、基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうものでなく、かつ、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営方針当社グループは以下の<企業理念>、<行動指針>、<必達>の社是の下、事業活動を行い、社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。 <企業理念>・人に興味を持とう・新しいことに興味を持とう・未来に興味を持とう <行動指針>人間は面白い。その面白い人間が作っているのが企業であり、また顧客である。全ての経済原則、経営理論は、人の行動原理に基本がある。人に興味を持とう。新しいことはワクワクする。技術革新や商品開発は顧客や市場を開拓すると同時に、人間も活性化する。新しいことに興味を持とう。未来を考えることは楽しい。未来は子供たちのものだ。未来を考えれば、人も企業も自分だけでは生きて行けないことが分かる。顧客の発展が無ければ、当社は富んでも長続きしない。更に、社会に生かされなければ、人も企業も存続し得ない。未来に興味を持とう。 一方、当社には1968年に制定した、社是「必達」が存在します。上記の企業理念と共に、歴史ある社是「必達」を誇りを持って遵守しています。 <必達>私たちはカラーエイジを担う大日精化の社員として<必達>の社是のもとに誇りを持って仕事をすすめよう1.仕事は必ず目標を立てこれを必達しよう1.正しい製品知識を身につけ製品普及のチャンスを積極的に求めよう1.仕事を通じ製品を通じて会社の信用を更に高めよう1.社会人として常に教養を高め反省を深める機会を持とう1.仕事を通じて社会に貢献し大日精化を最高の企業体としよう (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、総資産の効率的な運用を行い、収益力を高め、財務体質の改善・強化を図るため、連結ROA(総資産経常利益率)5%以上を達成することを主な経営目標に掲げております。 (3)経営環境及び対処すべき課題等当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の創出のため、次の4つの施策を重点的に進めてまいります。 ア.海外売上比率50%の達成 「攻略市場と戦略製品の選択と集中」を図ります。「生産拠点の再構築」も検討し、グローバルな視点から適材適所での拠点化を進めます。高分子事業では、米国の新工場本格稼働開始を2019年度内に予定しています。化学品事業では、タイに第二工場の建設を進めています。2020年初頭からの本格稼働を見込んでいます。同じくインド、およびメキシコでは、高い経済成長率を背景に、当社グループ製品の市場開拓を継続推進し、同市場での存在を更に高めます。引き続き海外のM&Aも検討し、シナジー効果の期待される案件をJVや資本参加も選択肢とし鋭意進めて参ります。 イ.国内生産体制の拡充 印刷総合システム事業および化学品事業では、新たに茨城県坂東市に7万平米の用地を取得し新工場を建設中です。2021年中の本格稼働を目指しております。当地では、グラビアインキ、特殊コーティング材等向けの効率の高い新設備、省人化設備の導入、適切な設備配置など、技術や生産面での効率アップを進めます。高分子事業では、赤羽製造事業所から佐倉製造事業所への移転計画は完了し、本年4月より、生産プロセスの改善、増産対応、新規開発品の生産対応など、新たな生産体制で運営しています。なお、防災管理、安全管理などの面について、組織の再編拡充を含め、より一層強化してまいります。ウ.発展分野の研究開発に注力 MOT(※)の手法を導入し、既存分野に新たな技術を投入し、技術開発を促進します。 同時に、業界の発展分野であるつぎの4つに当社の技術力の投入を検討します。 ・環境分野(例:二酸化炭素を原料とした樹脂、生体模倣樹脂) ・エネルギー分野(例:カーボンナノチューブ分散体、電池用材料) ・パーソナルケア分野(例:化粧品用材料、バリア接着剤) ・ITエレクトロニクス分野(例:高機能ポリマー、機能性顔料) これらの分野に対し、長期的視点に立った技術開発を検討してまいります。※MOT(Management of Technology):技術を事業の核とする企業が、持続的な成長のために、技術成果を事業に結びつけ、企業価値を創出していくマネジメント。エ.新システムの活用 ・新基幹システムの活用 国内および導入済みの海外拠点については、2018年10月より導入・稼働した新基幹システムを活用し、合理的な事業運営をすすめてまいります。未導入の海外拠点については、本社システムとの経営情報の共有を目指し、適切と思われるシステムを順次導入する予定です。 ・物流システムの合理化 国内において導入した3PL(※)システムを活用し、上昇する輸送、在庫コストを抑制し、同時にサービス向上を図ってまいります。また、導入した上記基幹システムを活用し、上昇する輸送、在庫コストを抑制し、同時にサービス向上を図ってまいります。(※)3PL(Third-party logistics):物流業務を専門業者に包括的に委託することにより、全社の物流業務を最適化すること。 (4)株式会社の支配に関する基本方針について 会社法施行規則第118条第3号に定める「株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(以下「会社の支配に関する基本方針」といいます。)の内容は以下のとおりであります。① 会社の支配に関する基本方針 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業理念、企業価値の様々な源泉、当社をご支持くださる多数のステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保、向上させる者でなければならないと考えております。 当社株主の在り方は、当社株式の市場における自由な取引を通じて決定されるものであり当社の支配権の移転を伴う大規模な買付提案等がなされた場合であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概に否定するものではなく、これに応じるか否かのご判断も、最終的には株主の皆様のご意思に基づき行われるべきものと理解しております。 しかしながら、近年、資本市場における株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、その目的が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうことが明白であるもの、当社や株主の皆様に対して買付けに係る内容及び代替案等を検討するための十分な時間や情報を提供しないもの、買付けに応じることを株主の皆様に強要するような仕組みを有するもの、買付条件が不適切であるもの等々、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも想定されます。 このような大規模な買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適切でないと考えております。② 会社の支配に関する基本方針の実現に資する取組み 当社は、1931年(昭和6年)に顔料の製造・販売を目的に設立し、プラスチック時代の幕開けとなった1940年代半ばより、国産化・自社開発に拘りながら各種プラスチック製品の着色化に貢献、また合成繊維の誕生に合わせて化・合成繊維の原液着色の技術を開発しました。1970年代より海外市場へ展開し、日本企業の海外進出に合わせ、エリアを拡大してまいりました。創業以来培ってきました技術の継承と新規分野の研究開発を背景に、材料特性を熟知した素材メーカーとして、カラー化時代の先取りと様々なユーザーニーズに応える分散・加工・配合等の基本技術と応用展開の結実として、現在、各種合成樹脂着色剤、各種印刷インキ、合成樹脂に加えて時代の要請に即した機能性付与製品や情報記録関連の製品、環境配慮型製品まで多様な製品ラインアップを擁し、広範な業界の多数のお取引先から厚い信頼を得ております。 このように、当社は創立以来蓄積してきた「有機無機合成・顔料処理技術」「分散・加工技術」「樹脂合成技術」の3つのコア技術を企業価値の源泉とし、品質・コスト競争力とブランドの向上に努めながら、株主の皆様、取引先の皆様、従業員、さらには地域社会等との長年に亘る信頼関係を構築しております。これらは、数値に表れ難い企業価値として重要な要素と認識しております。 当社は、「大日精化環境方針」、「環境に関する経営基本方針」を制定しております。人類文化の保護発展と自然環境を護り、「環境・安全・健康・品質」を良好に保つことを企業目的の一つとしております。国際規則及び国内外の関係法令を順守するとともに、企業活動に伴う資源・エネルギーの効率的な利用、産業廃棄物の減量、再資源化・再利用化、安全のための予防・緊急対策等をも含めて化学メーカーとしての行動指針としております。 また、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化を通じて、経営の透明性及び効率性を確保し、株主の皆様をはじめとするステークホルダーの信頼をより高め、社会責任を全うするため、ガバナンス機能の充実が経営上の重要な課題であると認識しております。法令順守及びリスク管理等の徹底のために、「CSR・リスク管理推進本部」を設置し、内部監査の独立部門である内部監査室と情報の共有化を図り、内部統制システムの充実に積極的に取り組んでおります。 以上、当社では多くの投資家の皆様に中長期的に当社への投資を継続していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の向上のため、役員・社員一丸となって上記のような取組みを実施しております。今後とも株主の皆様、お取引先、従業員、地域社会等のステークホルダーからの信頼を磐石なものとするため一層その充実、拡充に努める所存であります。これらの取組みは上記①会社の支配に関する基本方針の実現にも資するものと考えております。③ 会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止する取組み 当社は、会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるための取組みとして「当社株式の大規模買付行為に関する対応策」(以下「本プラン」といいます。)について、2017年6月29日開催の第114期定時株主総会(以下「本株主総会」といいます。)において、株主の皆様にご承認いただき継続しております。 本プランの対象となる当社株式の大規模買付行為とは、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為をいい、かかる買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。 本プランにおける大規模買付時における情報提供と検討時間の確保等に関しては、次のとおり一定のルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)を設けており、大規模買付ルールによって、①事前に大規模買付者が当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供し、②必要情報の提供完了後、対価を現金のみとする公開買付による当社全株式の買付けの場合は最長60日間、またはその他の大規模買付行為の場合は最長90日間を当社取締役会による評価・検討等の取締役会評価期間として設定し、取締役会評価期間、また株主検討期間を設ける場合には取締役会評価期間と株主検討期間が経過した後に大規模買付行為を開始するというものです。 本プランにおいては、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合には、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置は講じません。ただし、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合、遵守しても当該大規模買付行為が当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断する場合には、必要かつ相当な範囲で新株予約権の無償割当て等、会社法その他の法律及び当社定款が認める検討可能な対抗措置をとることがあります。 このように対抗措置をとる場合、その判断の客観性及び合理性を担保するために、取締役会は対抗措置の発動に先立ち、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外監査役または社外有識者から選任された委員で構成する独立委員会に対して対抗措置の発動の是非について諮問し、独立委員会は対抗措置の発動の是非について、取締役会評価期間内に勧告を行うものとします。当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かの判断に際して、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとします。なお、本プランの有効期限は2020年6月に開催予定の当社第117期定時株主総会の終結の時までとします。本プランは、本株主総会において継続が承認され発効した後であっても、①当社株主総会において本プランを廃止する旨の株主の一定割合の意思表示が行われた場合、②当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議等が行われた場合には、その時点で廃止されるものとします。 継続後の本プランの詳細につきましては、インターネット上の当社ウェブサイト(http://www.daicolor.co.jp/)に掲載しております。④ 本プランが会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて 本プランは、①買収防衛策に関する指針において定める三原則を充足していること及び経済産業省に設置された企業価値研究会が2008年(平成20年)6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の内容も踏まえたものとなっていること、②当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること、③株主総会での承認により発効しており、株主意思を反映するものであること、④独立性の高い社外者のみから構成される独立委員会の判断を重視するものであること、⑤デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策でないこと等の理由から、基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうものでなく、かつ、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
MD&A(経営者による分析)
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものです。(1)経営成績等の状況の概要①経営成績当連結会計年度の海外経済は、米国経済は個人消費が鈍化しつつあるものの依然潜在成長率を上回る堅調を維持しましたが、中国経済は米国の輸入関税引き上げにより輸出が減少するなど減速傾向となり、その他アジア新興国地域も中国経済の減速により総じて輸出が低迷しました。日本経済は、海外経済の減速により輸出が減少する一方、雇用・所得環境は改善傾向が続き個人消費は回復が続きました。このような経済環境のもとで、当連結会計年度の売上高は、1,703億9千4百万円(前年同期比1.8%増)の増収となりました。一方、営業利益は、ナフサ価格上昇及び中国環境規制影響による原材料価格上昇、製品価格改定の遅れ、システム導入関連費用及び物流コスト増加の影響により87億1千8百万円(同33.3%減)と減益になりました。また、経常利益は92億6千4百万円(同32.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、清算中のブラジル子会社の固定資産売却益を計上しましたが、赤羽製造事業所売却決定により固定資産の減損損失を計上したことなどにより38億7千6百万円(同53.6%減)とそれぞれ減益となりました。次に事業セグメントの業績についてご報告いたします。なお、営業利益につきましては、全社費用等の配分前で記載しております。(化成品事業)当事業は、塗料・印刷インキ、情報表示・記録用の無機・有機顔料及び加工顔料、繊維用着色剤の製造・販売を行っております。情報表示・記録用顔料は前年並みに推移しました。また、その他汎用顔料は堅調に推移しました。これらの結果、当セグメントの売上高は255億9千9百万円(同0.4%増)となり、営業利益は34億7百万円(同16.4%減)となりました。(化学品事業)当事業は、マスターバッチ、樹脂コンパウンドなどのプラスチック用着色剤、紫外線・電子線硬化型コーティング剤の製造・販売を行っております。車両業界向けは樹脂コンパウンド及び海外向けのマスターバッチが堅調に推移しました。コーティング剤は情報・電子業界向けが堅調に推移しました。海外連結子会社においては東南アジアの樹脂コンパウンドが好調に推移しました。これらの結果、当セグメントの売上高は944億9千6百万円(同2.2%増)となり、営業利益は原材料価格の上昇の影響により55億5千3百万円(同22.4%減)となりました。(高分子事業)当事業は、ウレタン樹脂、天然物由来高分子の製造・販売を行っております。産業資材業界向けの特殊コーティング剤及びアパレル業界向けの樹脂が好調に推移致しました。海外連結子会社においては中国・アメリカの事業拠点の業績が引き続き堅調に推移しました。これらの結果、当セグメントの売上高は199億2千1百万円(同3.3%増)となり、営業利益は35億1千2百万円(同13.0%減)となりました。(印刷総合システム事業)当事業は、印刷インキの製造・販売及び事業に付帯する商品とサービスを提供しております。グラビアインキは一般包材向けのパッケージ関連を中心に堅調に推移しました。海外連結子会社においては、インドネシアの拠点の業績が堅調に推移しました。一方、オフセットインキは需要減少が続きました。これらの結果、当セグメントの売上高は298億7千8百万円(同3.3%増)の増収となりましたが、営業利益は原材料価格上昇の影響により21億6千8百万円(同25.2%減)の減益となりました。(その他事業)当事業は、グループ各社等への不動産賃貸及び金融事業等を行っております。当セグメントの売上高は4億9千7百万円(同61.6%減)となり、営業損失は1億5千万円となりました。②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ82億6千3百万円減少し、当連結会計年度末には214億1千9百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は2億6千6百万円(前年同期比97.8%減)となりました。これは主に「税金等調整前当期純利益」を計上した一方、「仕入債務」が減少したことなどによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は69億2千5百万円(同19.7%減)となりました。これは主に「有形固定資産の取得による支出」として支出したことなどによるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は11億8千3百万円(同75.4%減)となりました。これは主に「配当金の支払額」として支出したことなどによるものであります。③生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)前年同期比(%)化成品事業(t)13,93199.7化学品事業(t)237,081100.4高分子事業(t)26,697103.8印刷総合システム事業(t)38,20296.6その他事業(t)1,31791.0合計(t)317,228100.1b.商品仕入実績 当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)前年同期比(%)化成品事業(百万円)3,514123.3化学品事業(百万円)1,865117.4高分子事業(百万円)1,913114.8印刷総合システム事業(百万円)6,679118.7その他事業(百万円)703151.0合計(百万円)14,675120.3(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。c.受注実績 当社グループは過去の販売実績と将来の予想に基づいて見込生産を行っており、受注生産は行っておりません。d.販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)前年同期比(%)化成品事業(百万円)25,599100.4化学品事業(百万円)94,496102.2高分子事業(百万円)19,921103.3印刷総合システム事業(百万円)29,878103.3その他事業(百万円)49738.4合計(百万円)170,394101.8(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。(2)経営者の視点による財政状態、経営成績等の状況に関する分析・検討内容①経営成績の分析経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載しています。②財政状態の分析 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。(資産)当連結会計年度末における総資産は1,907億1百万円となり、前連結会計年度末と比べ102億4千7百万円減少いたしました。これは、「現金及び預金」が減少したことなどによるものであります。(負債)当連結会計年度末における負債合計は946億4千6百万円となり、前連結会計年度末と比べ92億7千6百万円減少いたしました。これは、「支払手形及び買掛金」が減少したことなどによるものであります。(純資産)当連結会計年度末における純資産合計は960億5千5百万円となり、前連結会計年度末と比べ9億7千万円減少いたしました。これは、「親会社株主に帰属する当期純利益」の計上により「利益剰余金」が増加した一方で、「その他有価証券評価差額金」及び「為替換算調整勘定」が減少したことなどによるものであります。③資本の財源及び資金の流動性当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入金などにより、資金を調達しております。財務上の方針としては、キャッシュ・フローの創出能力を最大化し、事業成長・企業価値向上に向けて、継続的に財務面から支援を行うこととし、規律ある積極投資の基準を設けるとともに、経済の不安定要素に対する影響を抑えるため有利子負債の上限値を設け、資金調達コストを抑制しております。有利子負債に関する数値基準としては、D/Eレシオ1倍以下を目安としており、当連結会計年度におけるD/Eレシオは0.45倍となっております。金融機関には充分な借入枠を有していること、また、取引銀行3行と総額80億円の貸出コミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、総資産の効率的な運用を行い、収益力を高め、財務体質の改善・強化を図るため、連結ROA(総資産経常利益率)5%以上を達成することを主な経営目標に掲げております。当連結会計年度における連結ROAは4.7%であり、前連結会計年度と比べて2.4ポイント下落いたしました。今後も当該指標の達成に努めていく所存であります。