4188

三菱ケミカルグループ(4188)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

化学 素材・化学

事業の概要

  • 多角的な事業展開
    三菱ケミカルグループは、スペシャリティマテリアルズ(高機能素材)、MMA&デリバティブズ(メタクリル酸メチル関連製品)、ベーシックマテリアルズ&ポリマーズ(基礎化学品・樹脂)、ファーマ(医薬品)、産業ガスという幅広い分野で事業を展開しています。これにより、特定の市場変動に左右されにくい安定した収益構造を目指しています。
  • グローバルな事業体制
    子会社386社、関連会社等142社からなる大規模なグループを形成し、国内外で事業活動を行っています。これにより、世界中の市場ニーズに対応し、多様な地域での収益機会を追求しています。
  • セグメント別の収益管理
    事業内容を5つの主要セグメントとその他の区分に分け、それぞれの事業特性に応じた収益管理を行っています。これにより、各事業の状況を明確にし、効率的な経営判断を可能にしています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 高機能素材事業
    このセグメントでは、品質や性能が常に進化を求められる特殊な素材を扱っています。例えば、情報電子関連製品の原材料や、液晶パネルなどに使われる各種フィルム・シート製品などが含まれます。市場のニーズに合った製品を迅速に開発・提供できるかが重要で、特定の地域やサプライヤーに依存する原材料の確保も課題です。
  • 基礎化学品・樹脂、MMA関連、産業ガス事業
    このセグメントは、ナフサなどの大量の原料や電気・蒸気を消費する事業が中心です。原油価格やナフサの需給バランス、為替レートの変動が製品価格に転嫁できない場合、業績に大きな影響が出ることがあります。また、世界経済の景気後退や他社の生産能力増強による需給バランスの崩れもリスクとなります。
  • 医薬品事業
    有価証券報告書には詳細な記載はありませんが、ファーマセグメントとして医薬品事業を展開しています。医薬品は研究開発に多大な投資が必要であり、新薬開発の成否や特許切れ、規制強化などが業績に影響を与える可能性があります。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|624 文字
3 【事業の内容】当社グループは、当社、子会社350社及び関連会社等139社から構成されており、スペシャリティマテリアルズ、MMA&デリバティブズ、ベーシックマテリアルズ&ポリマーズ、産業ガスの4つのセグメント及びその他の区分において、事業活動を行っております。 当連結会計年度末日において、各事業会社のセグメント毎の主要な事業及びその主要な子会社等は、次の表のとおりであります。なお、当連結会計年度の期首より、報告セグメントの区分を変更しておりますが、詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.事業セグメント (1)報告セグメントの概要」に記載のとおりです。 (注)1 関連会社等には、ジョイント・ベンチャー(共同支配企業)及びジョイント・オペレーション(共同支配事業)を含んでいます。2 産業ガスセグメントの大陽日酸㈱、ニッポン・ガシズ・ユーロ・ホールディング社及びマチソン・トライガス社は、2026年4月1日付でそれぞれ、日本酸素㈱、ニッポン・サンソ・ユーロ・ホールディング社及びニッポン・サンソ・マチソン社に商号を変更しております。 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当するため、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については、連結財務諸表の数値に基づいて判断することとなります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
原油価格、原燃料またはナフサの需給バランス、為替レート等の影響による急激な価格変動に対し、製品価格の是正を十分に行うことができない場合があるため
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
新薬の研究開発期間が長期にわたり、製品化の確度及び時期の予測が困難なため
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:サプライチェーンの分断 / 原材料・エネルギー価格、物流費の高騰 / 地政学リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 11 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

三菱ケミカルグループは、長年にわたる研究開発により、高機能樹脂、半導体材料、医薬品中間体などの分野で独自の技術と特許ポートフォリオを蓄積している。特に、炭素繊維複合材料(CFRP)やLED用材料などの分野で高い技術力を有するが、競合他社も同様の技術開発を進めており、絶対的な独占性は限定的。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

顧客は、特定の用途向けにカスタマイズされた化学製品や素材を採用している場合、仕様変更やサプライヤー変更に伴う開発コストやリスクを考慮するため、一定のスイッチング・コストが発生する。しかし、汎用性の高い製品も多く、代替品の選択肢は比較的多い。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

化学製品の製造・販売事業は、基本的に個々の取引関係に基づき、ネットワーク効果による価値向上は見られない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

グローバルな生産拠点を持ち、規模の経済を活かした効率的な生産体制を構築している。また、原料調達における交渉力や、長年の操業ノウハウによるコスト管理能力は一定の競争優位性をもたらす。しかし、原油価格の変動やエネルギーコストの上昇はコスト構造に影響を与える。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

化学業界は、大規模な設備投資と生産能力が競争力の源泉となる。三菱ケミカルグループは、世界有数の総合化学メーカーとして、幅広い製品ポートフォリオとグローバルな事業展開により、業界内で確固たる地位を築いている。この規模は、研究開発投資やM&Aの余力にもつながる。

  • 広範な事業ポートフォリオ
    高機能素材から医薬品、産業ガスまで多岐にわたる事業を展開しており、特定の市場や製品に依存しない安定した収益基盤を築いています。これにより、市場変動リスクを分散し、持続的な成長を目指せる点が強みです。
  • 強固なグループ体制
    386の子会社と142の関連会社からなる広範なネットワークは、製品開発、生産、販売においてシナジーを生み出し、効率的な事業運営を可能にしています。これにより、グローバル市場での競争力を高めています。
  • リスク管理体制の整備
    全社的なリスク管理体制を構築し、ERM委員会を中心に重大リスクの特定とモニタリングを行っています。これにより、経営環境の変化に迅速に対応し、事業目標の達成に向けた適切なリスクテイクを推進できる点が競争優位につながります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものです。(1) 経営方針当社グループは、革新的なソリューションで、人、社会、そして地球の心地よさが続いていくKAITEKIの実現をリードしていくことをPurposeとして掲げています。そして、2024年11月に発表した経営方針「KAITEKI Vision 35」と「中期経営計画2029」のもと、収益力の強化と事業の成長の実現を通した企業価値の向上に取り組んでおり、昨年12月の経営方針説明会では、収益性と成長性の観点から、事業ポートフォリオにおける各事業の位置づけを分類しております。詳細は当社ウェブサイト掲載の資料をご覧ください。(https://www.mcgc.com/ir/pdf/02499/02739.pdf) (2) 経営環境当社グループを取り巻く経営環境については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ②経営環境と今後の見通し」に記載のとおりです。 (3) 対処すべき課題当社グループは、2024年11月に発表した経営方針「KAITEKI Vision 35」と「中期経営計画2029」のもと、「事業選別の3つの基準」と「規律ある事業運営の3原則」に沿ったポートフォリオ変革と収益改善に取り組んでいます。 中期経営計画で掲げた2029年度の目標達成のためには、「規律ある事業運営の3原則」の徹底、スペシャリティマテリアルズのさらなる成長、市況影響が大きい素材ビジネスの再構築が急務です。加えて、中東情勢を背景とした原料調達環境の悪化に対しては、調達先の多様化等を進めるとともに、採算維持のための適切な製品価格転嫁に努めております。 昨年12月の経営方針説明会では、収益性と成長性の観点から、事業ポートフォリオにおける各事業の位置づけを、「成長ドライバー」・「次世代」・「収益基盤」・「構造改革」に分類しました。コークス・炭素材の事業撤退やエチレン製造設備の集約など、構造改革を着実に実行するとともに、収益基盤で創出したキャッシュを基に、成長ドライバー・次世代に資源を重点配分して、成長を一段と加速させてまいります。 当社グループのPurposeは、革新的なソリューションで、人、社会、そして地球の心地よさが続いていくKAITEKIの実現をリードしていくことです。化学に立脚する当社グループは、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーに対応し、持続可能な社会の実現に貢献することが求められています。「社会課題に最適なソリューションを提供し続け、素材の力で顧客を感動させる『グリーン・スペシャリティ企業』になる。」という2035年のありたい姿の実現に向け、グリーンケミカル戦略を積極的に推進してまいります。 以上に加え、企業の持続的成長の基盤として、安全管理・コンプライアンスの徹底、内部統制システムの適切な運用とグループガバナンスの強化に引き続き取り組んでまいります。当社グループは、これら経営の諸課題にグループの総力を挙げて対処し、企業価値・株主価値の向上を図ってまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものです。(1) 経営方針当社グループは、革新的なソリューションで、人、社会、そして地球の心地よさが続いていくKAITEKIの実現をリードしていくことをPurposeとして掲げています。そして、2024年11月に発表した経営方針「KAITEKI Vision 35」と「中期経営計画2029」のもと、収益力の強化と事業の成長の実現を通した企業価値の向上に取り組んでおり、昨年12月の経営方針説明会では、収益性と成長性の観点から、事業ポートフォリオにおける各事業の位置づけを分類しております。詳細は当社ウェブサイト掲載の資料をご覧ください。(https://www.mcgc.com/ir/pdf/02499/02739.pdf) (2) 経営環境当社グループを取り巻く経営環境については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ②経営環境と今後の見通し」に記載のとおりです。 (3) 対処すべき課題当社グループは、2024年11月に発表した経営方針「KAITEKI Vision 35」と「中期経営計画2029」のもと、「事業選別の3つの基準」と「規律ある事業運営の3原則」に沿ったポートフォリオ変革と収益改善に取り組んでいます。 中期経営計画で掲げた2029年度の目標達成のためには、「規律ある事業運営の3原則」の徹底、スペシャリティマテリアルズのさらなる成長、市況影響が大きい素材ビジネスの再構築が急務です。加えて、中東情勢を背景とした原料調達環境の悪化に対しては、調達先の多様化等を進めるとともに、採算維持のための適切な製品価格転嫁に努めております。 昨年12月の経営方針説明会では、収益性と成長性の観点から、事業ポートフォリオにおける各事業の位置づけを、「成長ドライバー」・「次世代」・「収益基盤」・「構造改革」に分類しました。コークス・炭素材の事業撤退やエチレン製造設備の集約など、構造改革を着実に実行するとともに、収益基盤で創出したキャッシュを基に、成長ドライバー・次世代に資源を重点配分して、成長を一段と加速させてまいります。 当社グループのPurposeは、革新的なソリューションで、人、社会、そして地球の心地よさが続いていくKAITEKIの実現をリードしていくことです。化学に立脚する当社グループは、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーに対応し、持続可能な社会の実現に貢献することが求められています。「社会課題に最適なソリューションを提供し続け、素材の力で顧客を感動させる『グリーン・スペシャリティ企業』になる。」という2035年のありたい姿の実現に向け、グリーンケミカル戦略を積極的に推進してまいります。 以上に加え、企業の持続的成長の基盤として、安全管理・コンプライアンスの徹底、内部統制システムの適切な運用とグループガバナンスの強化に引き続き取り組んでまいります。当社グループは、これら経営の諸課題にグループの総力を挙げて対処し、企業価値・株主価値の向上を図ってまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績ⅰ 業績全般当連結会計年度(2025年4月1日~2026年3月31日:以下同じ)における世界経済は、米国の通商政策の影響が世界各地域に広がりを見せるも、米国の底堅い個人消費やAI関連需要に伴う設備投資、日本の雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しや堅調な企業収益を背景とした設備投資に加え、中国の景気刺激策、欧州の堅調な雇用環境を背景とした安定的な個人消費に支えられ総じて底堅い経済成長を維持しました。2026年3月以降は中東を中心とした地政学リスクの高まりを受け一部原燃料価格が高騰するなど、先行き不透明な状況が継続しています。このような状況下、当社グループの売上収益は、2,436億円減(△6.2%)の3兆7,040億円となりました。利益面では、コア営業利益は同38億円減(△1.7%)の2,250億円、営業利益は同1,115億円減(△78.8%)の301億円、税引前利益は同985億円減(△99.3%)の7億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同332億円減(△73.7%)の118億円となりました。なお、当社の連結子会社であった田辺三菱製薬㈱(現 田辺ファーマ㈱)の全株式の譲渡に伴い、同社及びその子会社等の事業を非継続事業に分類しており、当連結会計年度及び前連結会計年度の売上収益、コア営業利益、営業利益及び税引前利益は、非継続事業を除いた継続事業の金額を表示しております。 (金額単位:億円) 前連結会計年度自 2024年4月1日至 2025年3月31日当連結会計年度自 2025年4月1日至 2026年3月31日増減額増減率(%)売上収益39,47637,040△2,436△6.2コア営業利益 (注2)2,2882,250△38△1.7営業利益1,416301△1,115△78.8税引前利益9927△985△99.3当期利益1,056784△272△25.8 親会社の所有者に帰属する当期利益450118△332△73.7ナフサ (円/KL) (注3)75,60065,200△10,400 為替 (円/$) (注3)152.6151.1△1.5 (注)1 当社グループは、IFRS(国際会計基準)に基づいて、連結財務諸表を作成しております。2 コア営業利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益(事業撤退や縮小から生じる損失等)を除いて算出しております。3 それぞれ、2024年4月~2025年3月、2025年4月~2026年3月の概算平均値です。 ⅱ 各セグメントの業績各セグメントにおける売上収益及びコア営業利益の状況は、以下のとおりです。なお、当社グループは当連結会計年度の期首より報告セグメントを変更しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.事業セグメント (1)報告セグメントの概要」に記載のとおりです。(金額単位:億円)セグメント前連結会計年度当連結会計年度増減額売上収益コア営業利益売上収益コア営業利益売上収益コア営業利益スペシャリティマテリアルズ10,71323910,596323△11784MMA&デリバティブズ4,1763573,519△15△657△372ベーシックマテリアルズ&ポリマーズ9,866△1467,907△42△1,959104産業ガス13,0111,86113,5252,007514146その他1,7101191,493135△21715調整額-△142-△158-△17合計39,4762,28837,0402,250△2,436△38 (注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。 <コア営業利益 増減要因>(金額単位:億円) 前連結会計年度 当連結会計年度 増減 売買差数量差コスト削減その他(注)全社 2,288 2,250 △38△26641622△435 スペシャリティマテリアルズ 239 323 8481155138△290 MMA&デリバティブズ 357 △15 △372△403△34560 ベーシックマテリアルズ&ポリマーズ △146 △42 104114971△90 産業ガス 1,861 2,007 146△96△80335△13 その他・調整額 △23 △23 038△973△102 (注) その他には、在庫評価益の前連結会計年度(△72億円)と当連結会計年度(△40億円)の差額32億円、持分法投資損益の前連結会計年度(81億円)と当連結会計年度(73億円)の差額△8億円が含まれております。 為替影響3535--- 内、換算差50 セグメント前連結会計年度から当連結会計年度への主なコア営業利益の増減要因スペシャリティマテリアルズ売買差:販売価格の維持・向上により各種製品の売買差が改善したことにより増益。数量差:精密洗浄サービスを中心とした半導体関連、半導体製造装置向け高機能エンプラ及びロボタクシー向けを中心とした炭素繊維コンポジットパーツ等の増販により増益。コスト削減:各事業の生産拠点の見直し等による合理化により増益。その他:三菱ケミカル英国社のソアノール製造設備減損により減益。MMA&デリバティブズ売買差:MMAモノマー等の市況下落による売買差悪化により減益。ベーシックマテリアルズ&ポリマーズ売買差:ポリオレフィンにおいて原料と製品の価格差が拡大したこと及びコークス事業の構造改革による売買差改善により増益。コスト削減:コークス事業構造改革により増益。その他:酸化エチレン・エチレングリコール類製造設備減損等により減益。産業ガスコスト削減:DX活用、プラント操業最適化などの生産性向上活動により増益。 セグメント別の業績の概要の詳細は、以下のとおりです。 (ⅰ) スペシャリティマテリアルズセグメント売上収益は前連結会計年度に比べ117億円減少し1兆596億円となり、コア営業利益は同84億円増加し323億円となりました。アドバンストフィルムズ&ポリマーズサブセグメントにおいては、販売価格の維持・向上があったものの、ジェイフィルム株式会社の株式譲渡及びトリアセテート繊維等の事業譲渡に加え、ディスプレイ用途において前期の旺盛な需要の反動減に伴う顧客在庫調整等の影響により、売上収益は減少しました。アドバンストソリューションズサブセグメントにおいては、各種製品の販売価格の維持・向上があったものの、一部子会社の株式譲渡、EV用途の欧米における需要減退による販売数量の減少や、国内を中心とした住宅・建設資材の販売数量の減少等により、売上収益は減少しました。 アドバンストコンポジット&シェイプスサブセグメントにおいては、炭素繊維事業における汎用焼成ラインの一部休止に伴う販売数量の減少等があったものの、高機能エンジニアリングプラスチックにおいて半導体製造装置用途を中心に需要が増加したことに加え、炭素繊維コンポジットパーツの増販や、為替影響等により、売上収益は増加しました。当セグメントのコア営業利益は、英国におけるソアノール関連固定資産の減損損失の計上や、インフレ等に伴うコスト増加等あったものの、前期に計上したジェレスト社の生産設備・無形資産の減損損失影響の解消に加え、半導体関連事業などで総じて販売価格が向上したこと等による売買差の改善、高機能エンジニアリングプラスチックの半導体製造装置用途を中心とした需要の増加や炭素繊維コンポジットパーツ等の増販、各事業の生産拠点の見直し等による合理化効果等により、増加しました。 (ⅱ) MMA&デリバティブズセグメント売上収益は前連結会計年度に比べ657億円減少し3,519億円となり、コア営業利益は同372億円減少し15億円の損失となりました。MMAサブセグメントにおいては、 MMAモノマー等の市況の下落を主要因として売上収益は減少しました。 コーティング&アディティブスサブセグメントにおいては、販売価格の維持・向上があったものの、塗料・接着剤・インキ・添加剤用途等の需要が減退したことによる販売数量の減少により、売上収益は減少しました。 当セグメントのコア営業利益は、 MMAモノマー等の市況の下落による売買差の悪化や、総じて需要が減退したことに伴う販売数量の減少等により、減少しました。 (ⅲ) ベーシックマテリアルズ&ポリマーズセグメント売上収益は前連結会計年度に比べ1,959億円減少し7,907億円となり、コア営業利益は同104億円増加し42億円の損失となりました。マテリアルズ&ポリマーズサブセグメントにおいては、高純度テレフタル酸事業における特定子会社の株式譲渡の影響に加え、原料価格の下落に伴い販売価格が低下したことや、ポリオレフィン等の販売数量の減少、為替影響等により、売上収益は減少しました。炭素サブセグメントにおいては、コークス事業における特定子会社の株式譲渡の影響やコークス生産能力縮小に伴う販売数量の減少、原料価格の下落及び需要の低迷に伴うコークスの販売価格低下等により、売上収益は減少しました。当セグメントのコア営業利益は、マテリアルズ&ポリマーズにおいて在庫評価損益が悪化したことやインフレ等に伴うコスト増加、酸化エチレン及びエチレングリコール類製造設備における減損損失の計上等があったものの、ポリオレフィン等における原料と製品の価格差の拡大に加え、炭素事業における在庫評価損益の改善や、同事業の構造改革による売買差改善、コスト削減等により、改善しました。 (ⅳ) 産業ガスセグメント売上収益は前連結会計年度に比べ514億円増加し1兆3,525億円となり、コア営業利益は同146億円増加し2,007億円となりました。総じて国内外の需要が軟調に推移したことによる減販があったものの、為替の影響、及び各地域で推進する価格マネジメントの効果に加え、ヨーロッパにおけるプラントエンジニアリング会社やオーストラリア及びニュージーランドにおける産業ガス事業等を買収の上、連結した影響により売上収益は増加しました。当セグメントのコア営業利益は、米国における電力単価等の上昇や欧米を中心とした数量差の悪化はあったものの、価格マネジメント及びコスト削減の効果により増加しました。 (ⅴ) その他売上収益は前連結会計年度に比べ217億円減少し1,493億円となり、コア営業利益は同15億円増加し135億円となりました。 なお、当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、また、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。また、主な販売先別の販売実績及び総販売額実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。 ② キャッシュ・フロー(金額単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度営業活動によるキャッシュ・フロー5,5284,363投資活動によるキャッシュ・フロー△2,7541,245フリー・キャッシュ・フロー2,7745,608財務活動によるキャッシュ・フロー△2,467△3,752為替換算差等5154現金及び現金同等物の期末残高3,2615,271 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払いもありましたが、税引前利益や減価償却費等により、4,363億円の収入(前連結会計年度比1,165億円の収入の減少)となりました。連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得があったものの、田辺三菱製薬㈱(現 田辺ファーマ㈱)等の子会社の売却による収入5,175億円等により、1,245億円の収入(同3,999億円の収入の増加)となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フロー)は、5,608億円の収入(同2,834億円の収入の増加)となりました。当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の返済による支出2,507億円や配当金の支払い673億円、自己株式の取得500億円等により、3,752億円の支出(同1,285億円の支出の増加)となりました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末と比べて2,010億円増加し、5,271億円となりました。 ③ 財政状態(金額単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度資産58,94658,766負債36,10034,619 (内、有利子負債)21,78520,219資本22,84624,147親会社所有者帰属持分比率(%)29.530.0ネットD/Eレシオ (注)1.060.83 (注) ネットD/Eレシオ=ネット有利子負債(*1)/親会社の所有者に帰属する持分(*1)ネット有利子負債=有利子負債-(現金及び現金同等物+手元資金運用額(*2))(*2)手元資金運用額は、当社グループが余剰資金の運用目的で保有する現金同等物以外の譲渡性預金・有価証券等です。 当連結会計年度末の資産合計は、円安の進行に伴う在外連結子会社の資産の円貨換算額の増加や、田辺三菱製薬㈱(現 田辺ファーマ㈱)の譲渡対価の入金による手元資金の増加もありましたが、田辺三菱製薬㈱(現 田辺ファーマ㈱)の譲渡に伴う資産の減少等により、前連結会計年度末に比べ180億円減少し、5兆8,766億円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、社債及び借入金の減少等により、前連結会計年度末に比べ1,481億円減少し、3兆4,619億円となりました。なお、当連結会計年度末のリース負債を含む有利子負債は、前連結会計年度末に比べ1,566億円減少し、2兆219億円となりました。当連結会計年度末の資本合計は、配当や自己株式の取得による減少等もありましたが、在外営業活動体の換算差額の増加や、非支配持分の当期利益の計上もあり、前連結会計年度末に比べ1,301億円増加し、2兆4,147億円となりました。これらの結果、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末と比べて0.5ポイント増加し、30.0%となりました。なお、ネットD/Eレシオは、前連結会計年度末と比べて0.23減少し、0.83となりました。 (2) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容① 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等「中期経営計画2029」で設定した財務目標に対する達成・進捗状況については、以下のとおりです。 売上収益・コア営業利益推移注1)当社の連結子会社であった田辺三菱製薬㈱(現 田辺ファーマ㈱)の全株式及び関連資産を吸収分割により譲渡する契約の定時株主総会(2025年6月25日)での承認に伴い、同社及びその子会社等の事業を2025年7月1日付で譲渡いたしました。同社及びその子会社等の事業を非継続事業に分類しており、売上収益、コア営業利益は、非継続事業を除いた継続事業の金額を表示しております。 収益性・安定性指標推移注1)EPSは継続事業に係る1株当たり利益を表示しています。田辺三菱製㈱(現 田辺ファーマ㈱)及びその子会社等の事業を非継続事業に分類しており、FY24、FY25について非継続事業に係る利益は除いております。注2)ROEについては、FY29目標を開示しておりません。 各種指標の算定式指標算定式ROE親会社の所有者に帰属する当期利益/親会社の所有者に帰属する持分(期首・期末平均)ROICNOPAT(*1)/投下資本(期首・期末平均)(*2) (*1) NOPAT=(コア営業利益-コア営業利益に含まれる持分法による投資損益)×(1-税率)+コア営業利益に含まれる持分法による投資損益+受取配当金 (*2) 投下資本=資本合計+有利子負債 2026年3月期の事業環境は、スペシャリティマテリアルズは概ね堅調に推移したものの、MMAやマテリアルズ&ポリマーズにおいては引き続き軟調な状況が継続し、3月以降は中東を中心とした地政学リスクの高まりを受けて、先行き不透明な状況が継続しています。ケミカルズ事業のコア営業利益は、243億円の黒字となりました。スペシャリティマテリアルズにおける売買差・数量差を中心とした収益の伸長に加え、コークス事業の構造改革による売買差改善やコスト削減効果を積み上げました。一方でMMAモノマーの市況悪化に加え、英国ソアノール関連固定資産の減損損失の計上が大きく影響し、前期比43%の減益となりました。産業ガスは堅調であったこともあり、グループ全体では前期比2%の減益にとどまりました。 ② 経営環境と今後の見通し当社グループを取り巻く世界経済は、AI関連需要に伴う設備投資や各国の経済対策による下支えがあるものの、中東を中心とした地政学リスクの高まりを受け一部原燃料価格が高騰するなど先行き不透明な状況が継続しており、下振れリスクに十分留意する必要があります。 翌連結会計年度の連結業績予想につきましては、スペシャリティマテリアルズにおける各製品の増販及びコスト削減に加え、MMAモノマー市況の底打ち、反転等による増益を見込み、売上収益は3兆8,000億円、コア営業利益は3,050億円、営業利益は3,000億円、税引前利益は2,700億円、当期利益は2,000億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,270億円となる見込みです。 上記の見通しにおける主要指標の想定値は以下のとおりです。(金額単位:億円) 2026年3月期2027年3月期設備投資額3,0883,391減価償却費 2,6782,794研究開発費587562為替(円/US$) (注1)151.1150.0ナフサ価格(円/KL) (注2)65,20063,000 (注)それぞれ、2025年4月~2026年3月、2026年4月~2027年3月の平均 (3) 資本の財源及び資金の流動性① 財務方針当社グループは、経営方針で定めた財務目標を達成すべく、2024年11月に発表した新しい経営方針「KAITEKI Vision 35」と「中期経営計画2029」に基づき、企業価値の向上をめざしております。ネットD/Eレシオ0.8倍程度が当社にとって適切な水準と考えております。資本コストを意識しながら適度に借入を活用し、負債と自己資本のバランスを整えることが、持続的な経営の基盤となると考えています。なお、「KAITEKI Vision 35」及び「中期経営計画2029」の詳細については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題」をご参照ください。 ② 企業価値の向上当社グループでは、企業価値向上に向けて、管理指標にROICを用い、全社を挙げて資本効率の改善に取り組んでおります。ROICの向上に向けては、利益の極大化のため、売上総利益の改善余地がある取引先と交渉しマージンを拡大する努力を続けるとともに、間接部門の合理化を通じて固定費の圧縮を図り、損益水準を恒常的に引き上げることに努めていきます。また、投下資本の極小化のため、運転資金の改善にも取り組んでおり、データに基づく精緻な分析を通じて改善項目や課題を特定し、具体的なアクションを設定・実行・モニタリングすることで、着実なROICの改善を実現します。「中期経営計画2029」の最終年である2029年度には想定資本コストを超える7%をめざします。 ③ 資金調達及び資金配分方針当社グループは、運転資金及び設備資金については、内部資金に加え借入金、社債等による調達を実施しているほか、複数の金融機関とのコミットメント・ラインの設定に加え複数の金融機関との間のアンコミットメントベースの当座借越契約、コマーシャル・ペーパー発行枠及び国内社債発行登録枠等の確保により資金調達手段の多様化を図り、十分な流動性の確保を行っております。資金については、安定的な株主還元・財政基盤の確立と積極的な成長投資を両立させるため、株主還元・負債返済に約25%、設備投資・投融資に約75%を目安として配分する方針です。 (4) 重要な会計上の見積り連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。見積り及びその基礎となる仮定は、継続して見直されます。会計上の見積りの変更による影響は、その見積りが変更された会計期間及び影響を受ける将来の会計期間において認識されます。 当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある会計上の判断、見積り及び仮定に関する主な情報は、以下のとおりです。 ① 非金融資産の減損 ⅰ 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額当社グループは、連結財政状態計算書に、有形固定資産2,096,630百万円、のれん891,032百万円、無形資産377,656百万円を計上しております。なお、当連結会計年度において減損損失を98,458百万円計上し、連結損益計算書の「その他の営業費用」に含めております。減損損失の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 17.減損損失」をご参照ください。ⅱ 連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報(ⅰ)算出方法当社グループは有形固定資産、のれん及び無形資産について、減損の兆候がある場合、及び資産に年次の減損テストが必要な場合、その資産の使用価値や処分費用控除後の公正価値の算定を行っております。使用価値の算定にあたっては、貨幣の時間価値及びその資産に特有のリスクについて現在の市場の評価を反映した税引前の割引率を用いて、見積将来キャッシュ・フローの割引現在価値を計算しております。なお、将来キャッシュ・フローの見積りにあたって利用する事業計画は原則として5年を限度とし、事業計画の予測の期間を超えた後の将来キャッシュ・フローは個別の事情に応じた5年を超える期間の長期平均成長率をもとに算定しております。(ⅱ)主要な仮定使用価値の算定における主要な仮定は、原則として5年を限度とする事業計画における将来キャッシュ・フローの見積り、割引率及び5年を超える期間の長期成長率です。将来キャッシュ・フローの見積額は主として、売上収益の予測及び市場の成長率に影響を受けます。(ⅲ)翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響主要な仮定について、経営者は妥当と判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、前提とした状況が変化すれば回収可能価額の算定結果が異なる可能性があります。 ② 繰延税金資産の回収可能性ⅰ 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額繰延税金資産(純額) 88,293百万円ⅱ 連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報(ⅰ)算出方法当社グループでは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、予定される繰延税金負債の取崩、予測される将来課税所得及びタックス・プランニングを考慮し、繰延税金資産を計上しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性のある会計方針 (6) 法人所得税」をご参照ください。 (ⅱ)主要な仮定将来課税所得の基礎となる将来の事業計画における主要な仮定は売上収益の予測です。(ⅲ)翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響認識された繰延税金資産については、過去の課税所得水準及び将来減算一時差異と繰越欠損金の解消が予測される期間における将来課税所得の予測に基づき、回収される可能性が高いと考えております。将来課税所得の予測及び主要な仮定について、経営者は妥当と判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、前提とした状況が変化すれば繰延税金資産の回収可能性の評価の算定結果が異なる可能性があります。 ③ 確定給付制度債務の測定 ⅰ 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額退職給付に係る負債 95,383百万円ⅱ 連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報確定給付制度に係る負債又は資産は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定しております。確定給付制度債務は年金数理計算により算定しており、その前提条件には割引率等の見積りが含まれております。主要な仮定について、経営者は妥当と判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、前提とした状況が変化すれば確定給付制度債務の評価額の算定結果が異なる可能性があります。確定給付制度債務に係る詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 29.退職給付」をご参照ください。 ④ リストラクチャリング引当金 ⅰ 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額リストラクチャリング引当金 71,295百万円 なお、上記の金額は、連結財政状態計算書の「引当金」に含めております。ⅱ 連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報当社グループは、リストラクチャリングに関する詳細な公式計画を有し、かつ、当該計画の実施を開始するか、又は当該計画が影響を受ける関係者に対して発表された時点で、当該計画に係る費用等を合理的に見積もり、リストラクチャリング引当金を認識しております。 主に、三菱ケミカル㈱において、コークス及び炭素材事業の撤退を決定したことに関連して、設備撤去費用及び特別退職金等を当該リストラクチャリングに関する計画に基づき計上しております。なお、リストラクチャリング引当金の主要な部分を占める設備撤去費用は、撤去対象資産の重量、面積、基数等に対して、それぞれの単位当たりの将来の撤去工事の単価を見積もり、それらを乗じて計算しております。主要な仮定について、経営者は妥当と判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、前提とした状況が変化すれば引当金の見積額の算定結果が異なる可能性があります。リストラクチャリング引当金に係る詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 30.引当金」をご参照ください。 ⑤ 金融商品の公正価値ⅰ 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額公正価値ヒエラルキーがレベル3の株式及び出資金(売却目的で保有する資産を除く) 60,299百万円 なお、上記の金額は、連結財政状態計算書の「その他の金融資産」に含めております。ⅱ 連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報当社グループにおいて活発な市場における公表価格が入手できない非上場株式及び出資金の公正価値は、合理的に入手可能なインプットにより、類似企業比較法又はその他の適切な評価技法を用いて算定しております。選択された価値評価技法と主要な仮定について、経営者は妥当と判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、前提とした状況が変化すれば公正価値の評価額の算定結果が異なる可能性があります。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 37.金融商品 (8) 金融商品の公正価値」をご参照ください。 また、上記のほか、当連結会計年度において見積りを行う上での特に重要な仮定は以下のとおりです。 (中東情勢の影響に関する仮定)中東情勢による当社グループへの影響は、その動向及び継続期間により異なります。早期に収束する場合には、原料価格上昇の影響について一定の価格転嫁等の対応により、影響は限定的であると想定しております。一方、長期化した場合には、原料供給の停滞により生産活動に支障が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、現時点では先行きは不透明であるものの、当該情勢の長期化を前提とした仮定は置いておりません。

事業リスク

  • 市場ニーズの変化と製品開発リスク
    高機能素材セグメントでは、市場ニーズの高度化に対応した製品をタイムリーに開発・提供できない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に情報電子関連製品は海外メーカーへの依存度が高く、供給停滞リスクも存在します。
  • 原材料価格と為替変動リスク
    基礎化学品、MMA関連、産業ガスセグメントでは、原油・ナフサなどの原材料価格や為替レートの急激な変動が、製品価格への転嫁が遅れることで業績に影響を与える可能性があります。特定のサプライヤーへの依存もリスク要因です。
  • 地政学・サプライチェーン・情報セキュリティリスク
    国際情勢の不安定化による地政学リスク、原材料や製品の調達・供給網の寸断リスク、サイバー攻撃などによる情報セキュリティリスクは、グループ全体に大きな影響を及ぼす重大リスクとして特定されています。これらは事業継続や企業価値に多大な損害を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|11,741 文字
3 【事業等のリスク】 1.当社グループのリスク管理について(1)リスクに対する考え方当社では、外部環境の複雑さと不安定さが増しているなか、リスクを企業経営における目標達成に影響をもたらす不確かな事象と捉え、先を見越したリスクの管理・低減と適切なリスクテイクによる機会の最大化を推進しています。経営に重大な影響を及ぼすリスクの特定、評価、対応を経営視点で統括するERM(Enterprise Risk Management)を整備、運用することで事業戦略を実現し、企業価値の維持、向上に努めていきます。 (2)リスク管理体制当社は、執行役社長をERM統括責任者とし、執行役社長と執行役等から構成されるERM会議を設置しています。同会議では、ERMの基本方針といった重要事項の審議や、重大リスクの決定、その管理状況のモニタリングを行います。また、その運用状況は、取締役会に報告し、その監督を受けています。 (3)リスク管理プロセス ①リスク特定、リスク評価各リスクの所管部門が、戦略、機能、プロセス別に区分したリスクカテゴリに基づきリスクを特定します。各所管部門は、特定したリスクのシナリオを作成し、具体的な事態・事象を想定した上で、その影響度と発生可能性の2軸からリスクを評価します。②重大リスクの決定各部門から挙げられた優先度の高いリスクに、外部環境分析から得られたリスクトレンドを加味した上で重大リスク候補を選定します。選定した候補は、影響度と発生可能性のリスクマップによる優先度の評価、シナリオによる確からしさの確認を経て、ERM会議にて審議され、当社グループ重大リスクに決定します。③リスク対応策の策定、実行重大リスクの所管部門は、担当役員の指揮のもと、アクションプランを策定し、実行します。また、リスクカテゴリに基づくリスクの所管部門や事業部門は、それぞれが管理するリスクに対する対応策を策定し、講じます。 ④モニタリング各部門は、それぞれ対応策の実施状況をモニタリングし、必要に応じ対応策の改善や追加を行います。また、ERM会議では、重大リスクの対応状況と、グループのリスク管理の運用状況について、各部門から定期的に報告を受け、適切な対応が講じられるようモニタリングを行います。 (4)重大リスクへの対応当社は、2025年度、地政学、経済安全保障、大規模自然災害、サイバーセキュリティ(情報セキュリティ)などのリスクを重大リスクとして決定し、当社の経営成績及び財政状態への影響の回避、低減に取り組んでいます。当該リスクの詳細は「2.事業活動における個別リスク」に記載のとおりです。 (5)戦略リスクへの対応中長期の戦略、事業目標や計画、投資など経営判断に起因して顕在化しうる戦略リスクは、機会の側面と脅威の側面の両方を有します。当社は、戦略立案から投資の意思決定に至るまでの成長機会と脅威双方の把握と可視化を行い、将来の期待利益だけでなく、脅威に関する評価を視点に加えた適切なリスクテイクを伴う経営を推進しています。 (6)クライシス(危機)への対応 当社グループでは、グループの役職員等の生命及び安全、並びに事業継続、社会的信用、企業価値等に多大な影響を与えるリスクが顕在化またはそのおそれがある事態が生じた場合に、損害の拡大抑止と迅速な復旧を行うための危機管理体制の整備を進めています。対象とする危機事象には、「2.事業活動における個別リスク」に記載のリスクも含まれます。各部門は、危機事象の発生に備え、平時から事前対策の実行、BCPの整備、訓練の実施などの活動を行うとともに、危機事象の発生時には、有事の危機管理体制のもと、人命・安全確保を最優先として、当社グループの財産・資産並びに社会に与える影響の最小化、社会的信用の保護を基本方針として、事態の収束に向けて最善を尽くします。 2.事業活動における個別リスク 当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには、以下のようなものがあります。 なお、以下の事項は有価証券報告書提出日(2026年6月22日)現在において判断した記載となっています。 (1)セグメントごとのリスク 当社グループの製品の多くは、国内外の需要や製品市況、原油・ナフサ・ユーティリティ等の原燃料・材料の価格や調達数量、為替、関連法規制等によって影響を受ける可能性があります。セグメントごとに想定されるリスクとその対応策は以下のとおりです。なお、現時点における想定・予測を超えて事業環境が変化した場合、また当社の講じるリスク対応策が有効に機能しない場合には、当社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。 ①スペシャリティマテリアルズセグメントセグメントスペシャリティマテリアルズセグメント想定されるリスク及び影響 スペシャリティマテリアルズセグメントの製品は、品質・性能面で絶えず高度化が求められており、市場ニーズに合致した製品を適時に開発・提供する必要があります。市場ニーズが当社グループの予想を超えて大きく変化した場合または市場ニーズに合致した製品を適時に提供できない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、特定の地域やサプライヤーに依存している原材料もあり、必要な原材料を適時に確保できない場合は、業績に影響を与える可能性があります。 情報電子関連製品の中には、海外のメーカーから原材料を購入しているもの、海外の顧客に販売している製品も多く、その生産拠点で災害その他の要因により生産が停滞するなど、供給体制に不測の事態が生じた場合は、業績に影響を与える可能性があります。また、各種フィルム、シート製品については液晶パネル等の需要に負うところが大きく、需要動向が予測以上に変化した場合は、業績に影響を与える可能性があります。リスク対策 このような事業の特性を踏まえ、当社グループにおいては業績に影響を及ぼす機会の追求とリスクの最小化を図るべく、以下の対策を講じております。・製品の品質・性能面での継続的な高度化・原材料の複数購買化及び代替原料の検討・販売動向予測に基づく生産計画の調整及び在庫管理の徹底・製造コストダウンによる競争力の確保・新規顧客の獲得及び新規用途の開発 これらの対策により、急激な価格変動や需給バランスの変化、特定地域・サプライヤーの供給体制の変動に備えています。 ②ベーシックマテリアルズ&ポリマーズ、MMA&デリバティブズ及び産業ガスセグメントセグメントベーシックマテリアルズ&ポリマーズ、MMA&デリバティブズ及び産業ガスセグメント想定されるリスク及び影響 ベーシックマテリアルズ&ポリマーズ、MMA&デリバティブズ及び産業ガスセグメントでは、ナフサ等の原料を大量に消費するとともに、製造プロセスにおいて相当量の電気や蒸気を使用しております。そのため、原油価格、原燃料またはナフサの需給バランス、為替レート等の影響による急激なナフサ・燃料等の価格変動に対し、製品価格の是正を十分に行うことができない場合または製品価格の是正が遅れた場合は、業績に影響を与える可能性があります。また、特定の地域やサプライヤーに依存している原燃料もあり、必要な原燃料を適時に確保できない場合は、業績に影響を与える可能性があります。さらに、世界的な景気後退や他社による生産能力増強等により、各製品の需給バランスが崩れ、設備投資に見合う収益、成果を上げられない場合などには、業績に影響を与える可能性があります。 また、ベーシックマテリアルズ&ポリマーズ、MMA&デリバティブズ及び産業ガスセグメントの製品には特定の取引先への依存度が高いものがあり、特定の取引先における需要等が、業績に影響を与える可能性があります。リスク対策 このような事業の特性を踏まえ、当社グループにおいては業績に影響を及ぼす機会の追求とリスクの最小化を図るべく、以下の対策を講じております。・原燃料価格動向の早期の情報収集・販売動向予測に基づく生産計画の調整及び在庫管理の徹底・原燃料の複数購買化の実施・製造コストダウンによる競争力の確保・特許対応による知的財産の保護 生産及び販売体制の最適化に向けた構造改革等対策により、急激な価格変動や需給バランスの変化、特定の取引先の需要変動に備えています。 ③その他セグメントその他想定されるリスク及び影響 エンジニアリングや物流といった当社グループのサービス業務を担う会社において、これらの会社は当社グループ外からの受注もあります。これらの顧客とは、日常的にコミュニケーションをとり、顧客要望の的確な把握、提案型営業の強化に努めていますが、グループ内外の需要や市況等の大幅な変動があった場合には、業績に影響を与える可能性があります。リスク対策 エンジニアリングや物流等のサービス業については、各事業の特性を踏まえ、業績に影響を及ぼす機会の追求とリスクの最小化を図るべく、以下の対策を講じております。・DX(デジタルトランスフォーメーション)ツールの導入による各種管理活動の自動化、効率化の推進・市場動向の早期情報収集・物流業界や建設業界における、適切な労働環境の整備や従事者の処遇改善 これらの対策により、市場環境の変化、特定の取引先の需要変動に備えています。 (2)グループ全体に影響のあるリスク①サプライチェーン・地政学に関連するリスクリスク項目サプライチェーン(地政学リスク・経済安全保障リスクを含む)想定されるリスク及び影響・当社グループの事業に関連する国・地域における大規模な自然災害、パンデミック、重大事故・トラブル、政治的・軍事的緊張の高まり(地政学リスク)、貿易摩擦や経済制裁の影響、その他、法規制面、税務面、労働環境や当該国・地域固有のリスクに起因する予測困難な事態の発生などにより、サプライチェーンが分断され、業績に影響を与える可能性があります。・当社グループ製品が、法令違反、サプライチェーンにおける環境影響及び人権侵害に係る問題、経済安全保障に係る問題を生じさせた場合、または、経済安全保障に関して他国・地域から経済的な外圧影響等を被るなどした場合に、原材料の調達や製品の販売に影響が生じ、業績に影響を与える可能性があります。・当社グループの事業に関連する国・地域における紛争、テロリズム、内乱、暴動、デモ、治安悪化等の地政学的問題、法規制や税務面、その他労働環境や慣習等に起因する予測困難な事態の発生などのカントリーリスクにより、当社グループ製品の生産・販売活動に支障を来し、業績に影響を与える可能性があります。リスク対策・調達先の分散や代替原材料の検討、また、安全操業による製品の生産や製品の品質の維持・向上に努め、安定的な調達・生産・供給体制を構築していくとともに、売上債権についても保険等の活用により、保全に努めています。・経済安全保障にかかるリスク対応推進体制を構築し、国際情勢や法令の制定・改正、規制動向などの情報収集・分析・提供をするなど、経済安全保障関連法令リスクについて適切な対応を行っています。・当社グループ会社での情報収集や外部機関等を通じて事業を展開している国・地域のカントリーリスクの調査・情報収集・評価を行い、リスク対応のアクションプランの高度化を推進しています。・有事に備えた安全管理体制の整備・運用、事業継続計画(BCP)の強化などを行っています。 ②情報セキュリティに関連するリスクリスク項目情報セキュリティ想定されるリスク及び影響 ・ハードウェアやソフトウェアの脆弱性、利用者の情報セキュリティリテラシー不足などを要因として、サイバー攻撃により当社のシステムや利用するクラウドサービスが侵害された場合、生産、販売、出荷、決済、開発などの企業活動が停止する可能性があります。また、その影響は取引先にも及ぶおそれがあります。その結果、復旧対応や補償対応に多大な時間及び費用を要するだけでなく、社会的信用の低下やブランド価値の毀損につながる可能性があります。・当社が保有する技術情報が漏洩し、競合他社や国外へ流出した場合、不正な利用や転用が行われ、当社の競争力が低下するおそれがあります。また、秘密保持契約(NDA)違反として責任を問われる可能性もあります。・個人情報が漏洩し、それが犯罪などに悪用された場合、当該個人から損害賠償請求を受ける可能性があります。加えて、個人情報保護委員会をはじめとする各国の監督当局から指導・制裁を受ける可能性や、個人情報保護法などの関連法令に基づく刑事罰の対象となる可能性があります。・自然災害や事故などによる大規模なシステム障害が発生した場合、当社が保有する技術情報や個人情報が漏洩または消失する可能性があります。リスク対策 ・情報管理委員会を設置し、情報セキュリティに関するポリシーや規則の制定、各種セキュリティ施策をグローバルで推進しています。・セキュリティインシデント対応チーム(CSIRT)及びセキュリティオペレーションセンター(SOC)を設置し、社内ネットワークやインターネット通信の常時監視を行っています。アンチウイルスソフト(NGAV)やふるまい検知(EDR)などのセキュリティ機能を活用した端末挙動の監視により、不正侵入の兆候を早期に検知し、迅速な対応に努めています。また、インシデント対応訓練を継続的に実施し、対応力の強化を図っています。・高度化・ビジネス化するサイバー攻撃に対しては、防御及び検知体制の継続的な改善を行うとともに、ゼロトラストの考え方(全てを確認する)に基づいたセキュリティ対策を推進しています。なお、OT領域(Operational Technology)におけるプラント制御システムのセキュリティ対策についても強化を推進していく方針です。・IT資産(ハードウェア、ソフトウェア等)の脆弱性を定期的に点検し、必要に応じてパッチ適用や各種対策を実施することで、セキュリティレベルの維持・向上を図っています。またインターネットなど外部に公開されている情報資産についても、リスクの把握と対策に取り組んでいます。・サイバー攻撃への迅速かつ未然の対応を可能とするため、最新のサイバー脅威情報を継続的に収集・分析し、その内容を踏まえてセキュリティ対策の更新・強化に努めています。・情報資産の管理レベルに応じて保管区分や持ち出し・閲覧手続きを厳格化するとともに、PCの管理者権限の制限やデータの読み取り・書き出しの制御などを通じて、情報の不正な持ち出しを防止するための管理体制を強化しています。・情報セキュリティに関する知識と意識の向上を目的として、全従業員を対象に、E-learning(情報セキュリティ、情報管理等)や標的型攻撃メール訓練を継続的に実施しています。・自然災害や事故などによる情報システム障害に備え、システムや情報資産の重要度に応じた冗長化を実施しています。これにより、一部のシステムが停止した場合でも情報の消失を防ぎ、業務継続が可能な環境の整備を進めています。 ③DXに関連するリスクリスク項目デジタルトランスフォーメーション(DX)想定されるリスク及び影響 ・レガシーシステムが残存することにより、旧式のシステムや業務プロセスの更新が十分に進まず、業務の円滑な運営や業務改革が効率的に進まない可能性があります。・進化するデジタル技術を効果的に活用できない場合、競合他社に対して競争力で後れを取る可能性があります。その結果、新たな市場機会を逸するだけでなく、既存製品についても市場ニーズに十分に対応できず、売上収益の減少につながるなど、将来における当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。・優秀なデジタル人材の確保及び育成が継続的に行われない場合、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が遅れる可能性があります。・計画的かつ適切なDX投資が行われない場合、将来的に過大な投資が必要となるなど財務面での負担が生じる可能性があります。また、必要な改革プロジェクトの進行が遅れ、将来のビジネス機会を逸する可能性があります。リスク対策 ・当社グループは、持続的な企業価値向上に向け、業績改善に資する業務プロセスの改革及び効率化を実現するDXを推進しています。・従業員一人ひとりがデジタル技術やデジタルビジネスモデルを活用した働き方を実現する「スマート人材」となることを目指し、人材育成のための教育体系の整備を進めています。・事業部門におけるDX推進(市民開発)を支援するため、教育・サポート体制の整備に加え、DXツールや生成AIの利用に関するガイドラインの整備を進めています。・ビジネスプロセスの標準化・自動化の加速に取り組んでいます。・データ戦略に基づき、全社データ基盤の整備とデータ利活用の推進に取り組んでいます。・基幹システムの統合をはじめ、DXツールやソリューションの標準化を通じて、グローバルでのIT・業務の全体最適化を推進しています。・デジタルインフラの整備及び更新に向け、計画的かつ継続的な投資を行っています。 ④法規制対応/コンプライアンスに関連するリスクリスク項目法規制対応/コンプライアンス想定されるリスク及び影響・法令・社内規則違反等のコンプライアンス違反が発生した場合、違反の内容によっては、業務停止・許認可の取消・課徴金の支払等の行政処分、取引停止・取引先への損害の賠償、刑事罰等が課せられる可能性があります。これらの場合、当社グループに多額の損失が発生するだけでなく、当社グループのブランドイメージ・社会的信用力が著しく低下することも予想され、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。・上記の違反に対しては、是正及び再発防止措置をとる必要があり、その程度によっては業務負荷が大幅にかかることになり、従業員の疲弊、モチベーションの低下、離職率の増加につながるおそれがあります。・当社グループが事業活動を進めるなかで影響し得る国内外の各種法規制の変更や強化、新たな法制度の整備等により、事業活動の機会も影響を受け、法規制への対応のために投資や労務負荷などの追加コストが発生する可能性があります。リスク対策・チーフコンプライアンスオフィサーを頂点とする「コンプライアンス体制」を整備するとともに、グループワイドに適用される「コンプライアンス・プログラム」を制定しています。活動の方向性として、「不正のトライアングル」を意識しています。・上記「コンプライアンス・プログラム」に沿って、経営トップによるコンプライアンスメッセージの発信や必要な規則類の整備、各種の啓発・教育活動や内部通報制度の整備・運用に加えて、従業員のコンプライアンス意識に係る定期的なモニタリングを実施しています。 ・各法分野、各地域に担当の部門を設置し、現地法律事務所などを活用しながら各国の法規制動向をモニタリングしています。・コンプライアンス違反が発生した場合には、その迅速な是正対応や適切な社内処分を行う体制を整備しています。 ⑤人権に関連するリスクリスク項目人権想定されるリスク及び影響・近年欧米を中心とした児童労働や強制労働などを禁止する人権に関する法規制の強化がなされるなか、当社グループだけでなく、当社グループと取引のあるサプライチェーン先において、人権侵害に関与する事案が発生することにより、社会的信頼やブランド力の低下、取引停止などにつながり、業績に影響を与える可能性があります。 ・職場で差別やハラスメント行為が発生した場合には、従業員の健康の悪化やモチベーションの低下、離職率の増加などにつながるだけでなく、当該行為が悪質だった場合、または、その対応が遅れたり、対応を誤った場合には、当事者による訴訟の提起やマスメディアによる批判など社会的な信用度の低下を招くおそれがあります。リスク対策・世界人権宣言、国連グローバル・コンパクト、国連のビジネスと人権に関する指導原則、及びISO26000などの国際規範に準拠した具体的な指針として「人権の尊重並びに雇用・労働に関するグローバルポリシー」を定めて、従業員への啓発や教育への取組みを行い、また、人権侵害の是正・救済体制の整備も実施しております。・各国で適用される法令や人権に関する最善の慣行の遵守、従業員満足度の向上に努めています。・適切なサプライチェーンを運営しながらグローバルな事業活動を持続的に展開していけるよう、社内や取引先等への人権デューデリジェンスを進めております。 ⑥大規模自然災害に関連するリスクリスク項目大規模自然災害想定されるリスク及び影響・地震、津波、台風、洪水、山火事等の大規模な自然災害が発生することにより、従業員とその家族への人的な被害の発生、事業所等における建屋や設備の損壊、道路、公共交通機関や社会インフラ(電気・ガス・水道)の寸断が生じ、当社グループにおける開発・製造・販売等の事業活動が一時的に停止する可能性があります。・当社グループに対する自然災害の直接の影響が軽微であったとしても、サプライチェーンや物流関係が被害を受けることで、原材料の調達不足、輸送手段の確保困難により製造や出荷等の遅延、停止が想定され、市場への製品供給に支障が出るおそれがあります。・自然災害の被害が広範囲に及び、その復旧・復興が長期にわたる場合には、製造設備等の復旧費用の増大、事業計画の大幅な見直し、消費マインドの冷え込みによる需要減少など、当社グループの業績に多大な影響を与える可能性があります。リスク対策・大規模自然災害が発生した場合に備え、BCM(Business Continuity Management)ガイドラインや災害対策本部マニュアル等を策定するとともに、いち早く従業員とその家族の安否確認を行う仕組みを導入しています。・各事業所において事業継続計画(BCP)を策定するとともに、有事発生時の情報収集体制を整備し、平時から事業所間及び本社との情報共有にも力を入れています。・平時より緊急時に備えた訓練を各事業所において実施するとともに、想定される最大規模の被害を基準として、これに耐え得る設備の防災性能強化を継続的に図り、対策の改善に努めています。・万一大規模自然災害が発生した場合には多大な損害が生じることが想定されるため、損害を軽減させるために損害保険へ加入するなどの対策を講じております。 ⑦事故・事業活動に起因する災害に関連するリスクリスク項目事故・事業活動に起因する災害想定されるリスク及び影響・製造プラントにおいて火災爆発などの事故が発生した場合、設備復旧の費用だけでなく、製造、販売などの事業活動の停止による影響も想定され、当社グループの事業目標や業績に多大な影響を与える可能性があります。また、死傷者などの人的被害や地域社会へ影響を与えた場合、補償や復旧のための費用だけでなく、社会的信頼性の低下を招く可能性があります。・製造プラントにおいては様々な化学物質を取り扱っており、これらの化学物質が製造所外に漏洩した場合、人的被害や環境汚染などの地域社会に影響を生じさせるだけでなく、これを解決、解消するための費用やレピュテーションによる社会的信頼性の低下を招き、業績に影響を与える可能性があります。リスク対策・製造プラントの運転管理、設備管理、プロセス安全評価、変更管理等の安全活動を継続的かつ確実に実施することで、事故・災害等の未然防止、被害・影響の拡大防止、再発防止に努めています。・DX技術(ビッグデータやAI等)を使用した類似災害情報データベース等、災害防止のためのシステム構築・利活用等にも取り組んでいます。・万一事故が発生した場合には多大な損害が生じることが想定されるため、損害保険への加入や事業継続計画(BCP)に基づく情報収集体制を整え、中核となる事業の継続や事業の早期復旧への取組みを進めています。 ⑧品質・安全性に関連するリスクリスク項目製品の品質・安全性想定されるリスク及び影響・当社グループで製造・販売している各種製品において品質・安全性上の問題が発生した場合には、製品の出荷停止や回収のための追加費用が発生する可能性があります。さらに、品質や安全性上の問題に起因して人的被害が発生した場合には、その補償を含め多大な損害が発生することになります。また、取引先や社会からの信頼も失墜し、当社ブランドの価値が著しく低下する可能性があります。・当社グループで製造・販売している各種製品の品質・安全性上の問題が製造物責任(PL)問題に発展した場合は、業績に多大な影響を与える可能性があります。リスク対策・国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO9001等に従って各種製品を製造・販売しており、また、各国・地域の法規制にも対応したそれぞれの事業特性に最適な品質保証体制を構築しています。・万一重大な品質問題が発生した場合に備え、社内外の関係者と連携し、適切な対応を協議した上で、速やかに対応するとともに、再発防止に向けた対応を協議・実施する体制を整えています。・新製品上市時や品質改善時には、事前に製造物責任(PL)のリスク検討を確実に実施することでPL問題の未然防止を図っております。・当社グループで製造・販売した製品等に起因する製造物責任賠償への対策として、PL保険に加入し、万一の事態に備えております。 ⑨知的財産権に関連するリスクリスク項目知的財産想定されるリスク及び影響・当社グループが製造・販売する各種製品が他社の知的財産権等を侵害していた場合、第三者から差止請求や損害賠償請求等の訴訟を提起され、その解決に伴う訴訟費用がかかるだけでなく、当社の主張が認められないときには、対象製品の販売停止や商標の使用禁止、賠償金や当該製品の販売継続のためのロイヤルティー等の支払いが発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。・第三者によって当社グループの知的財産権が侵害されることによって、当社製品の売上の減少、当社グループのブランドイメージの低下等の影響が考えられます。リスク対策・当社グループは、新商品の開発や既存製品の改良などに即して、第三者の知的財産権の監視、対策を継続的に実施しています。・商標の使用可否判断を網羅的、継続的に実施しています。・当社グループは、知的財産を適切に保護し、権利化を継続的に実施しています。・第三者による当社グループの知的財産権の侵害を発見した場合には、適切かつ厳正な措置対応を実施しています。 ⑩為替変動・金利変動に関連するリスクリスク項目為替レートの変動/有利子負債・金利変動想定されるリスク及び影響・当社グループは、海外において広く生産・販売活動を展開しており、輸出入を中心とした外貨建て取引に係る為替相場の変動が業績に影響を与える可能性があります。また、連結財務諸表においては、各地域における外貨建の売上、費用、資産、負債等は日本円に換算して表示しているため、換算に使用する為替相場の変動が業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。・金融マーケットで金利が上昇した場合や当社グループの業績変動等に伴い格付けが低下した場合には、借入や社債発行等の財務活動において条件が悪化し、支払利息が増加するなど、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。リスク対策・当社グループでは、為替予約等を使ったヘッジにより、為替相場の変動が業績や財政状態に与える影響を低減するように努めております。・当社グループは、国内外における事業の資金需要や社債償還、長期資金の期限到来に伴う返済に対し、フリー・キャッシュ・フローの状況を見ながら、資金調達手段及びソースの多様化を図り、安定的な資金調達を行っています。また、長期資金調達を固定利率にて行うこと等により、金利変動リスクの抑制に努めるとともに、継続的に財務体質の強化に取り組み、資金調達力の維持、向上を図っています。 上記以外にも、サステナビリティに関連するリスク、人的資本に関連するリスクを認識しており、当該リスクについては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。なお、本報告書に記載したリスクが発現して当社の事業に悪影響を及ぼした場合には、繰延税金資産の取り崩しや、非金融資産の減損損失が発生する可能性があります。また、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、対応策もこれらのリスクを完全に排除するものではありません。

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