事業の概要
- 多角的な化学品製造・販売ダイセルグループは、株式会社ダイセルとその子会社・関連会社から構成され、メディカル・ヘルスケア、スマート、セイフティ、マテリアル、エンジニアリングプラスチックといった多岐にわたる領域で製品の製造・販売を行っています。例えば、健康食品や自動車エアバッグ用部品、高機能フィルム、酢酸セルロースなど、幅広い産業に不可欠な化学製品を提供しており、それぞれの事業が独立しつつもグループ全体で収益を上げています。
- グローバルな事業展開同社は日本国内だけでなく、海外にも多数の子会社を展開し、製品の製造・販売、技術サービスをグローバルに行っています。特に、光学異性体分離カラムや自動車エアバッグ用インフレータなどは海外子会社が販売・製造を担っており、国際的なサプライチェーンと販売網を構築することで、世界中の顧客に製品を届けています。
- 垂直統合と水平連携一部の事業では、グループ内で原料の供給から製品の製造・販売までを一貫して行う垂直統合型のビジネスモデルを採用しています。例えば、マテリアル事業では協同酢酸株式会社が当社から原料供給を受けて酢酸を製造し、当社に供給する関係があります。また、複数の子会社が特定の事業部門に携わることで、専門性と効率性を高め、グループ全体の競争力向上に貢献しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- マテリアル事業この事業は、アセテート・トウ、酢酸セルロース、酢酸誘導体、化粧品原料などの製造・販売を手掛けています。売上高は1834.04億円、営業利益は296.26億円と、グループ内で最も高い利益を上げており、同社の収益の柱となっています。協同酢酸株式会社が当社から原料供給を受け酢酸を製造するなど、グループ内での連携も特徴です。
- エンジニアリングプラスチック事業ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどの高機能プラスチックの製造・販売を行っています。売上高は2479.86億円とグループ内で最大規模であり、営業利益も270.06億円と高い水準です。ポリプラスチックス株式会社をはじめとする子会社が国内外で事業を展開し、当社も液晶ポリマー原料を供給するなど、密接な関係があります。
- セイフティ事業自動車エアバッグ用インフレータやイニシエータの製造・販売を主に行っています。売上高は976.2億円、営業利益は39.31億円です。ダイセル・セイフティ・システムズ株式会社が製造し、当社が販売する体制をとっており、国内外の子会社がグローバルに事業を展開しています。自動車産業の動向に大きく影響される事業です。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| MedicalHealthcareReportableSegment | 事業 | 144 | 3 | 1.8% |
| SmartReportableSegment | 事業 | 373 | -8 | -2.1% |
| SafetyReportableSegment | 事業 | 976 | 39 | 4.0% |
| MaterialsReporatbleSegment | 事業 | 1,834 | 296 | 16.2% |
| EngineeringPlasticsReportableSegment | 事業 | 2,480 | 270 | 10.9% |
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3 【事業の内容】当社グループは、株式会社ダイセル(当社)および子会社58社、関連会社11社より構成されております。当社グループが営んでいる主な事業内容は、メディカル・ヘルスケア、スマート、セイフティ、マテリアル、エンジニアリングプラスチックの各領域における製品その他の製造・販売であり、当該事業に係る当社および子会社、関連会社の位置付けは次のとおりであります。 メディカル・ヘルスケア事業:当社が、健康食品、光学異性体分離カラムなどを製造・販売しております。連結子会社Chiral Technologies, Inc.、Chiral Technologies Europe S.A.S.、Daicel Chiral Technologies (China) Co., Ltd.、Daicel Chiral Technologies (India) Pvt. Ltd.が、光学異性体分離カラムを販売するとともに、同事業に関する技術サービスを行っております。上記の他7社が当事業部門に携わっております。 スマート事業:当社が、カプロラクトン誘導体、エポキシ化合物、電子材料向け機能品、高機能フィルムなどを製造・販売しております。連結子会社大日ケミカル㈱が、各種化学薬品を製造・販売しております。また、同社は当社よりカプロラクトンモノマーなどの供給を受けるとともに、当社にポリカプロラクトンなどを供給しております。連結子会社ダイセルビヨンド㈱が、高機能フィルムを製造・加工しております。連結子会社Daicel ChemTech, Inc.、Daicel (Asia) Pte. Ltd.、Daicel (Europa) GmbHが当社の供給製品を海外において販売しております。上記の他3社が当事業部門に携わっております。 セイフティ事業:連結子会社ダイセル・セイフティ・システムズ㈱が、自動車エアバッグ用インフレータを製造し、当社が販売しております。連結子会社Daicel Safety Systems Americas, Inc.、Daicel Safety Systems(Thailand)Co., Ltd.が、自動車エアバッグ用インフレータ、インフレータ用イニシエータを製造・販売しております。連結子会社Daicel Safety Systems Europe Sp. z o. o.、Daicel Safety Systems(Jiangsu) Co., Ltd.、Daicel Safety Systems India Pvt. Ltd.が、自動車エアバッグ用インフレータを製造・販売しております。上記の他4社が当事業部門に携わっております。 マテリアル事業:当社が、アセテート・トウ、酢酸セルロース、酢酸誘導体、化粧品原料などを製造・販売しております。連結子会社協同酢酸㈱が、当社から原料の一酸化炭素およびメタノールの供給を受けて酢酸を製造・販売しております。また、同社は当社に酢酸を供給し、当社が販売しております。連結子会社Daicel ChemTech, Inc.、Daicel (Asia) Pte. Ltd.、Daicel (Europa) GmbHが当社の供給製品を海外において販売しております。上記の他7社が当事業部門に携わっております。 エンジニアリングプラスチック事業:連結子会社ポリプラスチックス㈱、Polyplastics Taiwan Co., Ltd.、Polyplastics Asia Pacific Sdn. Bhd.およびDP Engineering Plastics (Nantong) Co., Ltd.が、ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどのエンジニアリングプラスチックを製造・販売しております。また、当社が液晶ポリマー原料の無水酢酸をポリプラスチックス㈱へ供給しております。連結子会社ダイセルミライズ㈱が、水溶性高分子、包装用フィルム、AS樹脂などを販売しております。上記の他29社が当事業部門に携わっております。 その他:連結子会社ダイセン・メンブレン・システムズ㈱が、水処理用分離膜モジュールなどを製造・販売しております。連結子会社ダイセル物流㈱が、グループ各社の製品、原材料の保管、運送を行っております。上記の他5社が当事業部門に携わっております。 (注)上記の他に2社あり、連結子会社Daicel (China) Investment Co., Ltd.が、中国におけるグループ会社の統括などを、連結子会社Daicel America Holdings, Inc.が、米国におけるグループ会社の統括などを行っております。また、事業部門別の会社数は、複数の事業部門に携わっている会社については当該事業部門各々に含めて算出しております。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 原燃料高騰時に製品販売価格への転嫁を検討しているため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 高付加価値の高機能化学製品に注力しており、原材料の品質規格が厳しく特殊なためサプライヤーが限られる。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:市場の急激な変動に係るリスク / 為替変動に係るリスク / 主要原料(メタノール)の価格変動に係るリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
セルロース事業における高い技術力とブランド力、特にセルロースアセテートは世界トップクラスのシェアを誇る。その他、光学フィルム用トリアセテートフィルムや、医薬品添加剤、香料など、ニッチながらも高い技術力が求められる分野で強みを持つ。
スイッチングコスト★★☆☆☆
医薬品添加剤や電子材料分野では、顧客の製造プロセスに組み込まれるため、切り替えにはコストと時間がかかる。しかし、汎用的な化学品においてはスイッチングコストは限定的。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
ネットワーク効果を享受する事業モデルではない。
コスト優位★★☆☆☆
長年の製造ノウハウによる効率化や、一部原料の調達力はあるものの、グローバルな価格競争に晒される分野もあり、絶対的なコスト優位性は限定的。
規模の経済★★★☆☆
セルロースアセテートやトリアセテートフィルムなど、特定の製品分野においては世界でも有数の生産規模を持ち、効率的な生産体制を構築している。
- 多様な高機能製品群ダイセルグループは、メディカル・ヘルスケアから自動車部品、電子材料、エンジニアリングプラスチックまで、幅広い分野で高付加価値な機能性化学品を提供しています。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、多様な産業ニーズに対応できる強みを持っています。例えば、自動車エアバッグ用インフレータや液晶ポリマーなど、高い技術力を要する製品が多数あります。
- グローバルな生産・販売体制世界各地に製造拠点と販売ネットワークを持つことで、地域ごとの需要変動や為替リスクに対応し、安定的な供給体制を構築しています。特に、海外売上高比率が67.3%(2025年3月期)と高く、国際市場での競争力を有しています。これにより、特定の国や地域に依存しない事業展開が可能です。
- 研究開発と技術力有価証券報告書からは直接的な記述はありませんが、高機能化学品を多数手掛けていることから、継続的な研究開発投資と高い技術力が競争優位の源泉であると推察されます。特に、光学異性体分離カラムや電子材料向け機能品など、専門性の高い製品は独自の技術に基づいていると考えられます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において当社が合理的と判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は実際の結果とは異なる可能性があり、確実性を保証するものではありません。 (1) 会社経営の基本方針世の中が変化しても変えてはいけない当社グループが大切にする考え方を示すため、基本理念の表現を「価値共創によって人々を幸せにする会社 ~ Sustainable Value Together ~ 」と改めるとともに、新たにサステナブル経営方針を2020年度に定めました。 <サステナブル経営方針>・Sustainable Product:人々の豊かな生活を実現する新しい価値を創造し提供します・Sustainable Process:全てのステークホルダーとともに地球環境と共生する循環型プロセスを構築します・Sustainable People:多様な社員が全員、存在感と達成感を味わいながら成長する「人間中心の経営」を進めます ダイセルグループは、創業時の基本的な思想を受け継いだ基本理念、「価値共創によって人々を幸せにする会社」であり続けるために、サステナブル経営方針を策定しています。この経営方針を具現化していくために、私たち一人ひとりが、あらゆる行動において常に意識し実践していく行動指針として「ダイセルグループ行動指針」、すべての企業活動領域で普遍的に適用する規範を「ダイセルグループ倫理規範」に定め、社会から信頼され期待される事業運営を行うとともに、良き企業市民として社会に貢献する企業グループであることを目指します。 また、「サステナブル経営方針」に沿ってダイセルグループが描く未来像を「長期ビジョン DAICEL VISION 4.0」に、長期ビジョン実現に向けた具体的な施策や考え方を「中期戦略 Accelerate 2025」・「中期戦略 Accelerate 2030」に示し、持続可能な社会と中長期的な企業価値向上の両立に向けた事業活動を行っていきます。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標当社グループが変わらず大切にする思いとともに、今後大胆に変えなければならないことを、2020年度を開始年度とする長期ビジョン『DAICEL VISION 4.0』および中期戦略『Accelerate 2025』で明確にいたしました。2026年度には、これまでの基本戦略を踏襲しつつ『Accelerate 2025』での成果と残された課題、さまざまな社会的変化の影響を含む経営環境を踏まえ、新中期戦略『Accelerate 2030』を策定しております。 ① 長期ビジョン『DAICEL VISION 4.0』の概要注力するドメインサステナブル経営方針の具現化に向け、以下の4つのトリガーと注力する市場で価値を提供し、人々の幸せの実現と、当社グループの持続的な成長を目指します。 4つのトリガー注力する市場健康(ヘルスケア・ライフサイエンス)コスメ・健康食品・メディカル安全・安心(セイフティ)モビリティ・インダストリー便利・快適(スマート)ディスプレイ・IC/半導体環境水処理・生分解性樹脂 長期ビジョン実現への道のりOperation-I(原ダイセル)では自社の現状の事業に加え、注力するドメインを含めた領域で、事業構造の転換とアセットライト化(徹底したコストダウン)を進めます。Operation-Ⅱ(新ダイセル)では、既存事業の周辺領域でのM&Aや提携による領域拡大、既存事業の再編や合弁会社の抜本的見直しに取り組むとともに、グループ全体でのアセットスーパーライト化を目指します。Operation-Ⅲ(新企業集団)では、グループの枠を超えて、まず垂直統合方向のバリューチェーン(サプライチェーン)を強化し、その共通顧客に対する価値創造(共創)に取り組むとともに、同業他社や大学など、水平方向にも共創を拡大することで、より大きな価値の提供を目指します。 ② 中期戦略『Accelerate 2030』の概要前中期戦略『Accelerate 2025』では、基本理念実現に向けて、既存事業の強化・成長による価値の提供と、「循環型社会構築への貢献」を目指してまいりました。新中期戦略においても引き続き取り組むとともに、前中期戦略期間中に顕在化した諸課題を最優先に解決し、新しい成長の姿を明確にしてまいります。 1.全社戦略引き続き、クロスバリューチェーン実現に向けた取り組みとしてバリューチェーンの垂直/水平方向との連携を推進し、新企業集団を見据えた、組織変更に対して柔軟に組み替え可能なバーチャルカンパニーの実現に向けた取り組みを進めます。また、事業ポートフォリオマネジメントの更なる強化を図り、「健康」「安全・安心」「便利・快適」「環境」における価値提供型事業へのシフトを加速します。最適な資源配分と迅速なアクションの展開により、売上高、営業利益ともに「次世代育成」事業と「成長牽引」事業のシェアを高めてまいります。 2.事業戦略 収益基盤であるセルロース事業の強化、積極的な設備投資を行ってきたエンジニアリングプラスチックス事業の確実な成長、他社協業を起点とした次世代育成や成長牽引事業へのダイセル式生産革新の活用などを通じ、企業価値向上を図ります。[エンジニアリングプラスチック(ハイパフォーマンスポリマーズ)事業] ・ポリプラスチックス統合(一体化)によるリソースの戦略的活用、意思決定迅速化 ・増強供給力を活かし、現地材料・市場開発体制で成長市場(中国・インド)を着実に刈り取り ・高付加価値領域への展開強化(ハイエンド樹脂のラインナップ拡充・他社協業の強化) ・COCの第2プラントの万全な立ち上げと安定的に利益を創出できる事業構造へ変革[マテリアル事業] ・酢酸セルロースの環境素材市場開拓 ・アセテート・トウの大手顧客との長期的な関係強化 ・温室効果ガス削減対策の実施[セイフティ事業] ・成長市場である中国・インドを引き続き注力市場として拡販 ・現地調達推進やカタログ化による採算性強化 ・グローバルシェア拡大・事業強化のため他社協業推進(垂直・水平)[スマート事業] ・半導体市場への材料供給及び関連事業の拡大 ・大型ディスプレイ表面処理フィルム市場への参入 ・ターゲットアプリケーションに沿った高耐熱エポキシ樹脂/カプロラクトン誘導体の投入[ライフサイエンス事業] ・独自の嫌気発酵技術をベースに体感性の高い腸内代謝物のラインナップ拡充 ・無針注射器のメリットを活かしワクチン市場へ参入 ・自社固有技術から派生する新商材群のグローバル展開加速※発表時点の事業セグメントで記載しております。 3.機能別戦略引き続き、R(Research:ユーザー目線によるシーズの掘り起こし)とD(Development:事業化力の強化)の自立を図り、Proactive IP(開発、事業化のアンテナ機能)、R、Dの相互作用による事業創出を目指します。生産(プロダクション)については、安全・品質のあくなき追求、究極のアセットライト、現場活躍の基盤強化を実践し、現場の力を結集してバーチャルカンパニーでパートナーに価値を提供します。デジタルトランスフォーメーションについては、権限委譲を進める組織改革やそれに伴う働き方改革をサポートすることを主眼に、あらゆる業務領域へのAI、IoTの活用を進めてまいります。人事については、ポリプラスチックス統合に伴い、新しい人事制度を導入し、多様な社員が存在感と達成感を味わいながら成長できる環境を整えてまいります。また、コーポレート部門の効率化と高度化を図り、リスク対応力の強化や意思決定の迅速化、アセットライト経営の実現など、経営基盤の一層の強化に取り組みます。 4.全社業績・経営指標新中期戦略『Accelerate 2030』では、2028年を目標達成に向けた重要な年度と位置づけ、中間目標をおいております。最終年度となる2030年度とあわせ、以下の全社業績および経営指標をターゲットとしております。 全社業績:(2028年度)売上高 6,750億円、営業利益 630億円、親会社株主に帰属する当期純利益 440億円、 EBITDA 1,200億円(2030年度)売上高 7,500億円、営業利益 1,000億円、親会社株主に帰属する当期純利益 650億円、 EBITDA 1,700億円経営指標:(2028年度)営業利益率 9.3%、ROE 12%、ROIC 7%、ROA 5%、棚卸資産回転日数 100日(2030年度)営業利益率 13.3%、ROE 15%、ROIC 10%、ROA 7%、棚卸資産回転日数 90日 株主還元 2026年度より、配当をDOE(株主資本配当率)5%以上、総還元性向 60%以上に変更 5.資金創出力キャッシュフローのうち成長投資(含む環境対応)に5割以上を振り向けトップライン拡大に注力します。 収益力強化に加え適正在庫化などキャッシュコンバージョンサイクル削減効果で資金創出力向上を図ります。また、政策投資株式売却などにより資金創出力をさらに高め、余裕資金を成長投資や株主還元に活用します。株主還元は総還元性向60%以上をターゲットとし、自己株式取得も活用し、柔軟に対応してまいります。 (3) 経営環境及び会社の対処すべき課題地球規模の環境問題や自然災害、感染症リスクの継続、地政学的緊張の高まり、さらにはAIをはじめとする技術革新の急速な進展など、当社を取り巻く経営環境は変化の幅と速度の両面において、かつてない水準にあります。特に中東情勢をはじめとする国際情勢は流動性を増しており、経済活動やサプライチェーンの分断・ブロック化が進行するなど、不確実性の高い環境が常態化しています。このような状況下において、企業には環境変化や不測の事態に対して柔軟かつ持続的に対応し、長期的な価値創出を持続させる経営がこれまで以上に強く求められています。当社は、長期ビジョン「DAICEL VISION 4.0」で掲げる「循環型社会構築への貢献」を企業活動の根幹に据え、中期戦略「Accelerate 2025」で掲げた各種施策を推進してまいりました。また富山フィルタートウ株式会社の完全子会社化、包材事業およびレンズ事業の譲渡など、事業ポートフォリオの見直しを通じた選択と集中を進めてきました。これらの取り組みは、経営資源の最適配分と将来成長に向けた基盤強化を目的としたものであり、引き続き継続的な活動として推進してまいります。また、ポリプラスチックス株式会社を吸収分割し、新たにハイパフォーマンスポリマーズSBUを設置することで、成長牽引事業の推進、経営効率化による競争力強化を図ります。一方、前中期戦略期間中において、COC新規プラントの建設計画遅延と事業計画の見直し、COプラントのトラブル、新興国競合の台頭による競争激化、次世代事業の育成遅れ等により、目標に掲げた各種経営指標は未達となりました。2026年5月に公表いたしました新中期戦略「Accelerate 2030」においては、前中期戦略期間中に顕在化した諸課題の解決を最優先とし、新しい成長の姿を明確にしてまいります。また、長期ビジョン達成に向けた継続的な取り組みとして、生産効率の向上、新プロセスの開発、CO₂の有効利用を推進し、エコノミーとエコロジーを両立したカーボンニュートラル/ネガティブの実現を目指します。社会課題と真摯に向き合い、持続可能な循環型社会の構築に資するソリューションを提供することで、企業価値の向上と社会への貢献を両立してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において当社が合理的と判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は実際の結果とは異なる可能性があり、確実性を保証するものではありません。 (1) 会社経営の基本方針世の中が変化しても変えてはいけない当社グループが大切にする考え方を示すため、基本理念の表現を「価値共創によって人々を幸せにする会社 ~ Sustainable Value Together ~ 」と改めるとともに、新たにサステナブル経営方針を2020年度に定めました。 <サステナブル経営方針>・Sustainable Product:人々の豊かな生活を実現する新しい価値を創造し提供します・Sustainable Process:全てのステークホルダーとともに地球環境と共生する循環型プロセスを構築します・Sustainable People:多様な社員が全員、存在感と達成感を味わいながら成長する「人間中心の経営」を進めます ダイセルグループは、創業時の基本的な思想を受け継いだ基本理念、「価値共創によって人々を幸せにする会社」であり続けるために、サステナブル経営方針を策定しています。この経営方針を具現化していくために、私たち一人ひとりが、あらゆる行動において常に意識し実践していく行動指針として「ダイセルグループ行動指針」、すべての企業活動領域で普遍的に適用する規範を「ダイセルグループ倫理規範」に定め、社会から信頼され期待される事業運営を行うとともに、良き企業市民として社会に貢献する企業グループであることを目指します。 また、「サステナブル経営方針」に沿ってダイセルグループが描く未来像を「長期ビジョン DAICEL VISION 4.0」に、長期ビジョン実現に向けた具体的な施策や考え方を「中期戦略 Accelerate 2025」・「中期戦略 Accelerate 2030」に示し、持続可能な社会と中長期的な企業価値向上の両立に向けた事業活動を行っていきます。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標当社グループが変わらず大切にする思いとともに、今後大胆に変えなければならないことを、2020年度を開始年度とする長期ビジョン『DAICEL VISION 4.0』および中期戦略『Accelerate 2025』で明確にいたしました。2026年度には、これまでの基本戦略を踏襲しつつ『Accelerate 2025』での成果と残された課題、さまざまな社会的変化の影響を含む経営環境を踏まえ、新中期戦略『Accelerate 2030』を策定しております。 ① 長期ビジョン『DAICEL VISION 4.0』の概要注力するドメインサステナブル経営方針の具現化に向け、以下の4つのトリガーと注力する市場で価値を提供し、人々の幸せの実現と、当社グループの持続的な成長を目指します。 4つのトリガー注力する市場健康(ヘルスケア・ライフサイエンス)コスメ・健康食品・メディカル安全・安心(セイフティ)モビリティ・インダストリー便利・快適(スマート)ディスプレイ・IC/半導体環境水処理・生分解性樹脂 長期ビジョン実現への道のりOperation-I(原ダイセル)では自社の現状の事業に加え、注力するドメインを含めた領域で、事業構造の転換とアセットライト化(徹底したコストダウン)を進めます。Operation-Ⅱ(新ダイセル)では、既存事業の周辺領域でのM&Aや提携による領域拡大、既存事業の再編や合弁会社の抜本的見直しに取り組むとともに、グループ全体でのアセットスーパーライト化を目指します。Operation-Ⅲ(新企業集団)では、グループの枠を超えて、まず垂直統合方向のバリューチェーン(サプライチェーン)を強化し、その共通顧客に対する価値創造(共創)に取り組むとともに、同業他社や大学など、水平方向にも共創を拡大することで、より大きな価値の提供を目指します。 ② 中期戦略『Accelerate 2030』の概要前中期戦略『Accelerate 2025』では、基本理念実現に向けて、既存事業の強化・成長による価値の提供と、「循環型社会構築への貢献」を目指してまいりました。新中期戦略においても引き続き取り組むとともに、前中期戦略期間中に顕在化した諸課題を最優先に解決し、新しい成長の姿を明確にしてまいります。 1.全社戦略引き続き、クロスバリューチェーン実現に向けた取り組みとしてバリューチェーンの垂直/水平方向との連携を推進し、新企業集団を見据えた、組織変更に対して柔軟に組み替え可能なバーチャルカンパニーの実現に向けた取り組みを進めます。また、事業ポートフォリオマネジメントの更なる強化を図り、「健康」「安全・安心」「便利・快適」「環境」における価値提供型事業へのシフトを加速します。最適な資源配分と迅速なアクションの展開により、売上高、営業利益ともに「次世代育成」事業と「成長牽引」事業のシェアを高めてまいります。 2.事業戦略 収益基盤であるセルロース事業の強化、積極的な設備投資を行ってきたエンジニアリングプラスチックス事業の確実な成長、他社協業を起点とした次世代育成や成長牽引事業へのダイセル式生産革新の活用などを通じ、企業価値向上を図ります。[エンジニアリングプラスチック(ハイパフォーマンスポリマーズ)事業] ・ポリプラスチックス統合(一体化)によるリソースの戦略的活用、意思決定迅速化 ・増強供給力を活かし、現地材料・市場開発体制で成長市場(中国・インド)を着実に刈り取り ・高付加価値領域への展開強化(ハイエンド樹脂のラインナップ拡充・他社協業の強化) ・COCの第2プラントの万全な立ち上げと安定的に利益を創出できる事業構造へ変革[マテリアル事業] ・酢酸セルロースの環境素材市場開拓 ・アセテート・トウの大手顧客との長期的な関係強化 ・温室効果ガス削減対策の実施[セイフティ事業] ・成長市場である中国・インドを引き続き注力市場として拡販 ・現地調達推進やカタログ化による採算性強化 ・グローバルシェア拡大・事業強化のため他社協業推進(垂直・水平)[スマート事業] ・半導体市場への材料供給及び関連事業の拡大 ・大型ディスプレイ表面処理フィルム市場への参入 ・ターゲットアプリケーションに沿った高耐熱エポキシ樹脂/カプロラクトン誘導体の投入[ライフサイエンス事業] ・独自の嫌気発酵技術をベースに体感性の高い腸内代謝物のラインナップ拡充 ・無針注射器のメリットを活かしワクチン市場へ参入 ・自社固有技術から派生する新商材群のグローバル展開加速※発表時点の事業セグメントで記載しております。 3.機能別戦略引き続き、R(Research:ユーザー目線によるシーズの掘り起こし)とD(Development:事業化力の強化)の自立を図り、Proactive IP(開発、事業化のアンテナ機能)、R、Dの相互作用による事業創出を目指します。生産(プロダクション)については、安全・品質のあくなき追求、究極のアセットライト、現場活躍の基盤強化を実践し、現場の力を結集してバーチャルカンパニーでパートナーに価値を提供します。デジタルトランスフォーメーションについては、権限委譲を進める組織改革やそれに伴う働き方改革をサポートすることを主眼に、あらゆる業務領域へのAI、IoTの活用を進めてまいります。人事については、ポリプラスチックス統合に伴い、新しい人事制度を導入し、多様な社員が存在感と達成感を味わいながら成長できる環境を整えてまいります。また、コーポレート部門の効率化と高度化を図り、リスク対応力の強化や意思決定の迅速化、アセットライト経営の実現など、経営基盤の一層の強化に取り組みます。 4.全社業績・経営指標新中期戦略『Accelerate 2030』では、2028年を目標達成に向けた重要な年度と位置づけ、中間目標をおいております。最終年度となる2030年度とあわせ、以下の全社業績および経営指標をターゲットとしております。 全社業績:(2028年度)売上高 6,750億円、営業利益 630億円、親会社株主に帰属する当期純利益 440億円、 EBITDA 1,200億円(2030年度)売上高 7,500億円、営業利益 1,000億円、親会社株主に帰属する当期純利益 650億円、 EBITDA 1,700億円経営指標:(2028年度)営業利益率 9.3%、ROE 12%、ROIC 7%、ROA 5%、棚卸資産回転日数 100日(2030年度)営業利益率 13.3%、ROE 15%、ROIC 10%、ROA 7%、棚卸資産回転日数 90日 株主還元 2026年度より、配当をDOE(株主資本配当率)5%以上、総還元性向 60%以上に変更 5.資金創出力キャッシュフローのうち成長投資(含む環境対応)に5割以上を振り向けトップライン拡大に注力します。 収益力強化に加え適正在庫化などキャッシュコンバージョンサイクル削減効果で資金創出力向上を図ります。また、政策投資株式売却などにより資金創出力をさらに高め、余裕資金を成長投資や株主還元に活用します。株主還元は総還元性向60%以上をターゲットとし、自己株式取得も活用し、柔軟に対応してまいります。 (3) 経営環境及び会社の対処すべき課題地球規模の環境問題や自然災害、感染症リスクの継続、地政学的緊張の高まり、さらにはAIをはじめとする技術革新の急速な進展など、当社を取り巻く経営環境は変化の幅と速度の両面において、かつてない水準にあります。特に中東情勢をはじめとする国際情勢は流動性を増しており、経済活動やサプライチェーンの分断・ブロック化が進行するなど、不確実性の高い環境が常態化しています。このような状況下において、企業には環境変化や不測の事態に対して柔軟かつ持続的に対応し、長期的な価値創出を持続させる経営がこれまで以上に強く求められています。当社は、長期ビジョン「DAICEL VISION 4.0」で掲げる「循環型社会構築への貢献」を企業活動の根幹に据え、中期戦略「Accelerate 2025」で掲げた各種施策を推進してまいりました。また富山フィルタートウ株式会社の完全子会社化、包材事業およびレンズ事業の譲渡など、事業ポートフォリオの見直しを通じた選択と集中を進めてきました。これらの取り組みは、経営資源の最適配分と将来成長に向けた基盤強化を目的としたものであり、引き続き継続的な活動として推進してまいります。また、ポリプラスチックス株式会社を吸収分割し、新たにハイパフォーマンスポリマーズSBUを設置することで、成長牽引事業の推進、経営効率化による競争力強化を図ります。一方、前中期戦略期間中において、COC新規プラントの建設計画遅延と事業計画の見直し、COプラントのトラブル、新興国競合の台頭による競争激化、次世代事業の育成遅れ等により、目標に掲げた各種経営指標は未達となりました。2026年5月に公表いたしました新中期戦略「Accelerate 2030」においては、前中期戦略期間中に顕在化した諸課題の解決を最優先とし、新しい成長の姿を明確にしてまいります。また、長期ビジョン達成に向けた継続的な取り組みとして、生産効率の向上、新プロセスの開発、CO₂の有効利用を推進し、エコノミーとエコロジーを両立したカーボンニュートラル/ネガティブの実現を目指します。社会課題と真摯に向き合い、持続可能な循環型社会の構築に資するソリューションを提供することで、企業価値の向上と社会への貢献を両立してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度の世界経済は、景気が緩やかに回復していたものの、中国など一部地域において景気に弱さがみられる状態となりました。また、米国の関税政策や中東情勢の影響など、先行き不透明な状況のうちに推移しました。当連結会計年度の売上高は5,796億29百万円(前年度比1.2%減)、営業利益は420億69百万円(同31.0%減)、経常利益は451億30百万円(同27.6%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、現在建設中のCOC樹脂の新規プラント(第2プラント)について、需要拡大の遅れや投資額の増加により収益性の低下が認められるため、減損損失を計上したことなどにより、101億80百万円(同79.4%減)となりました。 当期のセグメント別の状況 [メディカル・ヘルスケア事業]ライフサイエンス事業は、キラルカラムの販売数量が増加したことなどにより、増収となりました。ヘルスケア事業は、顧客のサプリメントの販売が好調に推移したことなどにより健康食品素材の販売数量が増加し、増収となりました。当部門の売上高は、162億27百万円(前年度比12.4%増)、ヘルスケア事業の販売数量増加などにより、営業利益は、4億27百万円(同63.6%増)となりました。 [スマート事業]ファンクショナルプロダクツ事業は、中国における価格競争などによりカプロラクトン誘導体の販売が減少したものの、欧米での拡販などによりエポキシ化合物の販売が増加し、増収となりました。アドバンストテクノロジー事業は、半導体材料市場の需要が堅調であり、電子材料向け溶剤の販売が増加したものの、機能フィルムの販売減少などにより、減収となりました。当部門の売上高は、377億46百万円(前年度比1.2%増)、前年度の有機半導体事業撤退による損益改善などにより、営業利益は、5億36百万円(前年度は営業損失7億80百万円)となりました。 [セイフティ事業]自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生装置)などのモビリティ事業は、中国市場での中国自動車メーカーの生産回復や、インドでの拡販などにより販売数量が増加し、増収となりました。当部門の売上高は、1,041億64百万円(前年度比6.7%増)、販売数量の増加や北米拠点の生産性改善などにより、営業利益は、60億95百万円(同55.0%増)となりました。 [マテリアル事業]アセチル事業の酢酸は、前年度に原料(一酸化炭素)プラントのトラブルにより販売調整を実施していたことから販売数量は増加したものの、主要誘導品の酢酸ビニルや高純度テレフタル酸の需要が引き続き低調であることなどにより市況が低下し、減収となりました。アセテート・トウは、一部顧客での在庫調整の影響により販売数量が減少したことや、為替の影響などにより、減収となりました。ケミカル事業の酢酸セルロースは、ディスプレイ材料用途が増加したものの、中国市場における繊維やプラスチック用途などの需要減少により、減収となりました。その他のケミカル製品は、市況低下や競争環境激化の影響を受けた製品があったものの、1,3-ブチレングリコールの化粧品市場での需要が堅調に推移したことなどにより、微増収となりました。当部門の売上高は、1,613億24百万円(前年度比12.0%減)、販売数量の減少や前年度からの繰越在庫の影響、為替の影響などにより、営業利益は、149億53百万円(同49.5%減)となりました。 [エンジニアリングプラスチック事業]ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどポリプラスチックス株式会社の事業は、ポリアセタール樹脂において諸工業向けなどの販売数量減少や期初の需要減少時に価格対応を行った影響があったものの、ポリアセタール樹脂以外の製品での電子材料向けなど高付加価値製品の販売増加や、販売価格の是正などにより、増収となりました。水溶性高分子、包装フィルム、AS樹脂などダイセルミライズ株式会社の事業は、2024年7月から樹脂コンパウンド事業を持分法適用会社ノバセル株式会社へ移管したことにより、減収となりました。当部門の売上高は、2,547億18百万円(前年度比2.7%増)、減価償却費の増加や定期修繕費用の増加などにより、営業利益は、191億51百万円(同29.1%減)となりました。 [その他]その他部門は、水処理用分離膜モジュールなどのメンブレン事業の販売減少などにより、減収となりました。当部門の売上高は、54億48百万円(前年度比5.5%減)、営業利益は、9億4百万円(同6.3%減)となりました。 財政状態は、次のとおりであります。総資産は、有形固定資産等の増加により、前連結会計年度末に比し200億98百万円増加し、8,339億29百万円となりました。負債は、長期借入金等の増加により、前連結会計年度末に比し247億55百万円増加し、4,635億49百万円となりました。また純資産は、3,703億80百万円となりました。純資産から非支配株主持分を引いた自己資本は、3,555億99百万円となり自己資本比率は42.6%となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比し20億63百万円増加し、668億30百万円(前連結会計年度末比3.2%増)となりました。 営業活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、678億38百万円(前年同期は、934億6百万円の増加)となりました。資金増加の主な内容は、減価償却費433億26百万円および減損損失328億45百万円であり、資金減少の主な内容は、法人税等の支払額250億44百万円および投資有価証券売却損益174億86百万円であります。 投資活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、477億2百万円(前年同期は、478億69百万円の減少)となりました。資金増加の主な内容は、投資有価証券の売却及び償還による収入204億15百万円であり、資金減少の主な内容は、有形固定資産の取得による支出653億27百万円であります。 財務活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、228億14百万円(前年同期は、488億55百万円の減少)となりました。資金増加の主な内容は、長期借入れによる収入361億62百万円であり、資金減少の主な内容は、社債の償還による支出200億円0百万円、長期借入金の返済による支出175億84百万円、配当金の支払額159億12百万円、自己株式の取得による支出137億53百万円であります。 ③ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績 セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)生産高(百万円)前年同期比(%)メディカル・ヘルスケア事業8,74732.26スマート事業34,13212.57セイフティ事業90,708△10.90マテリアル事業149,581△11.33エンジニアリングプラスチック事業225,388△1.90報告セグメント計508,557△5.33その他2,879△12.79合計511,436△5.38 (注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。 b.受注実績当社グループは、見込生産を行っているため、該当事項はありません。 c.販売実績 セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)販売高(百万円)前年同期比(%)メディカル・ヘルスケア事業16,22712.39スマート事業37,7461.16セイフティ事業104,1646.70マテリアル事業161,324△12.04エンジニアリングプラスチック事業254,7182.71報告セグメント計574,180△1.13その他5,448△5.53合計579,629△1.18 (注) セグメント間の取引については相殺消去しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月17日)現在において判断したものであります。 ① 経営成績等中期戦略『Accelerate 2025』では2025年度に以下の全社業績および経営指標をターゲットとしておりました。全社業績:売上高 6,600億円、営業利益 820億円、親会社株主に帰属する当期純利益 580億円、EBITDA 1,360億円経営指標:営業利益率 12.4%、ROE 17.1%、ROIC 9.3%、ROA 7.7%株主還元 中期戦略発表時の1株当たり配当金額(年間32円)を下限、総還元性向 40%以上 ※2024年度より、配当をDOE(株主資本配当率)4%以上、総還元性向 40%以上に変更。 本中期戦略最終年度である当連結会計年度は、需要の回復による販売機会を着実に捉えるとともに、徹底したコストダウンを実施してまいりましたが、売上高は5,796億29百万円(前年度比1.2%減)、営業利益は420億69百万円(同31.0%減)、経常利益は451億30百万円(同27.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、現在建設中のCOC樹脂の新規プラント(第2プラント)について減損損失を計上したことなどにより、101億80百万円(同79.4%減)となりました。 なお、新中期戦略『Accelerate 2030』では以下の全社業績および経営指標を掲げております。2028年度計画売上高 6,750億円、営業利益 630億円、親会社株主に帰属する当期純利益 440億円、EBITDA 1,200億円、ROE 12%、ROIC 7%、ROA 5%、棚卸資産回転日数 100日 2030年度挑戦売上高 7,500億円、営業利益 1,000億円、親会社株主に帰属する当期純利益 650億円、EBITDA 1,700億円、ROE 15%、ROIC 10%、ROA 7%、棚卸資産回転日数 90日以下 株主還元については、2026年度より、配当をDOE(株主資本配当率)5%以上、総還元性向 60%以上に変更しております。 これらの実現へ向け、最重要基盤である安全・安定性のさらなる進化とともに、収益基盤の盤石化と事業成長の両立に向けた取り組みを推進してまいります。 経営成績売上高および営業利益売上高、営業利益の概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 営業外損益営業外損益は31億円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比し18億円改善いたしました。主に持分法による投資利益の影響などによるものであります。 特別損益特別利益は200億円を計上いたしました。投資有価証券売却益174億円などによるものであります。特別損失は390億円を計上いたしました。減損損失328億円などによるものであります。 法人税等税効果会計適用後法人税の負担率(実効税率)は56.3%と、前連結会計年度に比し33.3ポイント増加いたしました。 非支配株主に帰属する当期純利益非支配株主に帰属する当期純利益は13億円と、前連結会計年度に比し3億円(27.0%)増加いたしました。 親会社株主に帰属する当期純利益親会社株主に帰属する当期純利益は102億円と、前連結会計年度に比し393億円(79.4%)の減益となりました。 また、ROEは2.9%となり、前連結会計年度に比し10.9ポイント悪化しました。ROICは4.2%、EBITDAは854億円となりました。 財政状態資産、負債および純資産の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。なお、有利子負債比率は37.4%となりました。また、2025年11月6日取締役会決議に基づく自己株式の取得を138億円実施しております。 ② 経営成績に重要な影響を与える要因当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 ③ 資本の財源及び資金の流動性キャッシュ・フローキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 資金需要当社グループにおける主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入、労務費など製造費用と、製品の仕入、販売費及び一般管理費等の支払いであります。当社グループでは、製造設備の増強および更新などのほか、安全向上対策ならびに現業各設備の合理化・省力化を継続的に行っております。当連結会計年度の設備投資額は前連結会計年度に比し34億円増加し、728億円(前連結会計年度比4.8%増)、減価償却費は前連結会計年度に比し20億円増加し、433億円(前連結会計年度比4.8%増)となりました。当社グループでは、既存事業の強化拡大および新事業創出のための研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費は前連結会計年度に比し4億円減少し、256億円(前連結会計年度比1.4%減)となりました。 財務政策当社グループは、設備投資計画に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行により調達しております。短期的な運転資金は、キャッシュマネジメントサービスを通じてグループ内で余剰資金を活用しておりますが、地域、通貨、金利動向等を考慮した結果、銀行借入等による調達を行う場合があります。当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は3,122億円であります。新中期戦略『Accelerate 2030』におきましては、キャッシュアロケーションにおいて、収益力強化に加え適正在庫化などキャッシュコンバージョンサイクル改善により資金創出力向上により得た資金を、トップライン拡大につながる成長投資への配分を強化します。また、株主還元は総還元性向60%以上、DOE(株主資本配当率)は5%以上を目標とし、自己株式取得も機動的に活用して、株主還元も強化してまいります。そして、有利子負債の水準はネットD/Eレシオを指標に増加を抑制し、エクイティ/デッドの水準を適切にコントロールしてまいります。 ④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
事業リスク
- 市場の急激な変動リスク自動車関連やIC半導体・電子デバイス分野など、同社の主要な対面市場は景気変動の影響を受けやすく、需要の急激な減少や供給過剰が販売価格や販売量に大きな影響を与える可能性があります。また、米国の関税政策などの国際情勢も世界経済の減速を通じて業績に影響を及ぼす可能性があります。
- 為替変動と原料価格高騰海外売上高比率が67.3%と高いため、為替相場の変動は輸出入取引や海外子会社の業績に影響を与えます。特に円高は業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、主力製品の原料であるメタノールを含む原燃料価格の変動は、コスト増となり業績を圧迫するリスクがあります。
- 海外事業展開と人財確保の課題積極的に海外事業を拡大しているため、予期せぬ法律・規制の変更、地政学的リスク、経済安全保障上の問題などが事業展開に支障をきたす可能性があります。また、少子高齢化や労働人口減少により、国内外で経営戦略を担う人財や専門技術に精通した人財の確保・育成が計画通りに進まない場合、事業の継続的な発展に影響を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、ここに記載した事項は、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。また、将来に関する事項につきましては、有価証券報告書提出日(2026年6月17日)現在において判断したものであります。当社のリスク管理体制については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ全般③リスク管理」をご参照ください。 (1) 市場リスク① 市場の急激な変動に係るリスク経済の変調による需要の急激な減少や、他社の大型プラント建設による供給過剰など、市場環境は様々な要因の影響を受ける可能性があります。当社グループの対面市場である自動車関連やIC半導体・電子デバイス分野はマーケット環境の変化が激しく、その変化が当社製品の販売価格のみならず販売量にも大きな影響を及ぼします。また、米国をはじめとする各国の関税政策や中東情勢などの地政学リスクの顕在化による世界経済の減速が当社や当社顧客製品の商流や需要などに変化をもたらし、業績に影響を及ぼす可能性があります。[対応策]当社グループでは、市場環境の変化に対応した新規用途・市場の開拓とともに、コストダウンの徹底など、販売数量・収益の確保の取組みを強化しております。また、各国の関税政策については、その動向と事業への影響を適時把握し、状況に応じて最適地からの供給への切り替えや価格転嫁に取り組むとともに、中東情勢の悪化に対しては、製品の安定供給を第一とし、原材料や物流コストの増加は販売価格に転嫁することで、当社収益の確保に努めております。② 為替変動に係るリスク為替相場の変動は、当社グループの輸出入取引に係る交易条件、および海外グループ会社の業績の邦貨換算結果等に対して影響を及ぼします。通常、円安は当社グループの業績に好影響を、円高は悪影響を及ぼす傾向にあります。また、海外グループ会社においては、その所在国通貨と異なる外国通貨との為替相場変動により、業績等に影響を及ぼす可能性もあります。[対応策]先物為替予約取引等を用いてヘッジを行っておりますが、当該リスクを完全に回避できるものではありません。なお、当社グループの海外売上高比率は、2026年3月期において65.6%であります。また、当社の試算では米ドル・円レートが1円変動すると、連結売上高で年間約23億円、連結営業利益で年間約7億円の変動をもたらすと算定しております。③ 主要原料(メタノール)の価格変動に係るリスク当社の特徴として主力製品の多くのものが直接あるいは間接的にメタノールを原料としていますが、メタノールは化学品の原料だけでなく、近年はクリーンエネルギーとしての需要も伸びています。一方で、サプライヤーの生産設備は大規模化しており、定期修繕や設備故障などに伴う供給能力の変動がメタノール市況に影響し、当社主要事業の収益に影響を及ぼすリスクがあります。[対応策]主要なサプライヤーとの長期契約やメタノール製造会社への出資などを通じて安定した数量確保を図るとともに、異なる地域ごとの市況差なども考慮した複数の調達先を確保することで、比較的安価なメタノールを安定的に購入するための手段を講じております。その上で市況上昇に伴う原料コストの増加は、各製品の販売価格に転嫁することで収益の確保に努めております。④ その他原燃料価格の変動に係るリスク当社グループは、石油由来の化学品などメタノール以外の原材料や、工場の操業に必要な熱源としての燃料の調達を行っています。こうした原燃料においても、需給バランスの変動や、近年では地政学的リスクの顕在化に伴う市況変動があり、当社グループの収益に影響を及ぼすリスクがあります。[対応策]常日頃からさまざまな原燃料の需給バランスや市況、サプライヤーの動向などの情報収集を行い、最適調達に努めております。また、生産設備の改善や製法転換などによる原材料使用率の改善、省エネによる燃料消費の削減など、原燃料コストの低減につながる技術開発にも継続的に取り組んでおります。その上で、自社努力で吸収しきれない原燃料市況の上昇分は、販売価格に転嫁することで収益確保に努めております。 (2) 事業リスク① 海外事業展開拡大に係るリスク当社グループは、引き続き積極的に海外事業を拡大しており、それに伴う、予期しえない法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、人財確保の困難、テロ・戦争等による地政学的なリスクは増大していると考えられます。特に同じ事業を中国・アジア地域・欧米などで広域に展開している例も多く、そのために経済安全保障上の問題により事業展開に支障が生じるリスクも存在していると考えております。[対応策]当社グループではグローバルでのサプライチェーン体制の見直しを実施するなど、特定国の政策変更等が発生した場合でもその影響を軽減すべく取組みを進めております。② 人財確保に係るリスク当社グループが事業の継続的な発展を実現するためには、経営戦略やグローバルな組織運営を担えるマネジメント能力に優れた人財の確保や育成、専門技術に精通した多様な人財の確保が重要な課題であると認識しております。しかし、日本国内での少子高齢化や労働人口の減少、海外拠点での雇用環境の変化によって、必要な人財の確保・育成が計画通りできなかった場合、長期的観点から当社グループの事業運営や業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。[対応策]当社グループでは、積極的な新卒採用や経験者の通年採用を展開し、公正な人事評価・処遇制度等の仕組みを構築することで、自律的に活躍する人財の育成、定着を図っております。また、次世代経営人財の教育プログラムでは後継者候補の育成にも取り組んでおります。③ 物流に係るリスク日本国内の物流環境は、少子高齢化による労働人口減少に加え、働き方改革関連法における「時間外労働の上限規制」等の影響もあり、運送ドライバーや荷役作業員の人手不足や物流費高騰の傾向にあり、当社グループ製品の競争力低下につながるリスクがあります。[対応策]従前より当社グループでは系列の物流専門の企業を持ち、グループ全体のガバナンスの中で効率的且つ合理的な輸送体制の実現に注力してまいりました。また2022年よりグループ横断の「物流改革プロジェクト」を設置し、他社連携やグローバル物流強化に向けた戦略の策定、施策を実行しております。2023年からは経済産業省および国土交通省主導による、化学品ワーキンググループにも参画し、共同物流の具現化に向けて取り組んでおります。④ 原材料等の調達に係るリスク当社グループは、高付加価値の高機能製品に注力しており、その原材料も品質規格が厳しく特殊なものが多いため、サプライヤーの数も限られます。そのため新規調達先の確保や要因変更の対応に迫られるなどの原材料等の調達に係るリスクがあります。[対応策]原材料を複数のサプライヤーから購入することにより安定調達を図り、生産に必要な原材料を十分に確保するよう努めております。⑤ 資本提携・企業買収等に係るリスク当社グループでは、さらなる事業成長を目指して、グループのシナジー効果が期待できる資本提携・企業買収等に積極的に取り組んでおります。これらの投資について予期した成果が獲得できない場合、また事業環境等の急激な変化により事業計画に大幅な修正が生じた場合には、のれんの減損や投資損失が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。[対応策]自社による調査の他、外部機関も活用して徹底したデューデリジェンスを行った上で、投資を決定しております。なお、予期した成果が獲得できないと判断した場合は、速やかに撤退等事業計画の見直しを行っております。⑥ 設備投資に係るリスク当社グループは、事業成長に向けた製造設備の新増設や更新、安全対策、合理化・省力化等を目的として、継続的に設備投資を実施しております。これらの設備投資においては、建設資材価格や労務費の上昇、為替変動等により、当初計画を上回る投資額が発生する可能性があります。こうした投資額の増加は、投資採算の低下を招き、将来キャッシュ・フローの悪化を通じて減損損失の計上が必要となる可能性があります。また、建設人材の不足、資機材の調達遅延、工事の進捗遅延等により工期が当初計画より遅延した場合には、供給機会の逸失、計画販売の遅延等を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。[対応策]当社グループでは、設備投資案件の審議に際して、事業性および投資計画の妥当性を十分に検証するとともに、特に大型投資案件については、建設に係るリスクの棚卸およびその対応策の検討を行っております。投資実行段階においては、関係部門による定期的な会議体を通じて、建設コストの変動、工程の進捗状況および個別リスクへの対応状況を継続的に確認しております。建設スケジュールについては重要工程の進捗管理を徹底し、大型投資案件における長納期機材については必要に応じて計画段階で先行して決裁、手配を行うことで、工期遅延リスクの低減に努めております。また、設備投資案件を適切に推進するための人財育成を進め、プロジェクト遂行力の向上を図っております。 (3) 環境リスク① 気候変動に係るリスク 気候変動に伴う異常気象等が当社グループの工場の操業やサプライチェーンに影響を及ぼす物理的リスク、GHG(温室効果ガス)排出削減のための設備投資が増加するリスク、あるいは低炭素社会への移行に対応できずに原燃料価格や電力価格が上昇するリスクは、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、主要顧客からの具体的な排出量削減成果の要請や、日本国内における排出量取引制度(GX-ETS)の義務化など、具体的なGHG排出削減に関する費用発生のリスクが高まってきていると考えております。[対応策]ダイセル式生産革新を基盤とした生産プロセスにおけるムダ・ロスの徹底的排除や革新的技術の導入、グループ全体のエネルギー使用量の最適化等、省エネルギーに努め、GHG排出量の削減に取り組んでおります。また、二酸化炭素を化学品原料に変換する技術など、カーボンニュートラルに資する技術の開発も進めております。 ② 環境規制に係るリスク環境保全に対する社会要請の高まりにより、環境規制の強化が進んでいます。また、当社製品である化学物質自体の環境に及ぼす影響も重視されてきており、環境規制による販売への影響が、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。[対応策]当社グループでは、規制に関する法令改正の動向をモニタリングし、最新の法規制に適合した生産プロセスとするための設備改善投資を進めるとともに、環境規制に適合した製品の改善に取り組むとともに、新たな規制を新事業探索の機会と捉え、さまざまな新製品の開発にも取り組んでおります。③ 自然災害に係るリスク自然災害により重大な損害を被った場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの主要な生産拠点のひとつである富士工場は「東海地震に係る地震防災対策強化地域」内に立地していることや、南海トラフ地震等各地で巨大地震が発生した場合には、瀬戸内海沿岸の当社グループ各工場への被害や、原材料・製品の物流に甚大な影響が及ぶリスクがあります。[対応策]事業の継続あるいは早期復旧を図るための事業継続計画(BCP)を策定・運用しており、耐震強度補強や災害発生に備えた防災訓練、必要な物品の備蓄、初動対応訓練等を実施しております。また、サプライヤーの被災の影響による原材料調達不可・遅延が発生する可能性も考慮し、常日頃からサプライヤーとの情報交換を密にしております。④ 感染症に係るリスク新型インフルエンザや新型コロナウイルスなどの重大な感染症については、感染拡大予防のため経済活動が制限されたり、当社グループや取引先で罹患者が大量に出た場合に、プラントの稼働低下や生産停止、サプライチェーンの分断が発生するなど、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。[対応策]感染症発生時には対策ガイドラインを策定し、在宅勤務の併用等により従業員の健康を確保してまいります。また、損害や業務レベルの低下を最小限化しつつ、事業の継続あるいは早期復旧を図るための事業継続計画(BCP)を策定・運用しております。 (4) 品質・製造リスク① 製品品質保証・製造物責任に係るリスク当社グループが製造した製品に起因する損害が販売先等で発生した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社製品は幅広い領域で使用されており、最終製品の回収が行われることになれば、大きな賠償責任を負う可能性もあります。[対応策]製品の品質保証体制を確立し、製品の安全性確保および不具合品の流出防止に努めております。また、万一に備え、賠償責任保険も付保しております。② 事故に係るリスク当社グループは、化学品を扱う企業であり、工場で火災・爆発等の産業事故災害が発生した場合や、工場内での労働災害による作業者の生命・健康への重篤な被害が発生した場合などには、操業停止や損害賠償など、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。[対応策]日頃よりリスクアセスメントを実施し、危険源の特定とその対策を講じており、当社グループ内で発生したトラブルについては、原因の掘り下げや対策の妥当性等を討議し、類似災害防止に取り組んでいます。さらに、火災・爆発等の発災を想定したクライシスアセスメントの強化や、遠隔消化設備の導入など人的被害を最小限に抑制し発災時の対応を行うインフラ面の強化、保安防災訓練の継続的な実施等を行っております。また、労働災害の防止についても、設備的な安全対策の強化を進めるとともに、安全教育や安全懇談会など作業者への安全啓発活動の継続・強化に努めております。 (5) 研究開発リスク① 研究開発に係るリスク当社グループでは、既存事業の強化および新規事業創出のため積極的に研究開発活動を行っております。しかし、近年ますます技術革新のスピードは速くなっているため、計画通りに新製品の開発ができなかった場合や事業化につながらなかった場合は、投下した研究開発費を回収できないリスクがあります。[対応策]研究テーマの選定や資源配分について経営次元での徹底した議論を行い、判断するともに、産学官共同研究、他社との協業等を通じて研究開発の効率を上げ、事業化に結びつけて行くよう取り組んでおります。② 知的財産権に係るリスク当社グループは、「当社グループの知的財産を保全するとともに、他者の権利侵害は行いません」というダイセルグループ倫理規範のもと、知的財産関連情報の調査、知的財産権の取得・管理、適切な契約の締結・管理等戦略的な活動に取り組んでおります。しかしながら、当社グループが第三者の知的財産権を侵害している等の予期せぬ警告や訴えを受けたり、第三者に知的財産権を無断で使用されるおそれがあります。このような事態が発生した場合には当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。[対応策]当社グループは、「当社グループの知的財産を保全するとともに、他者の権利侵害は行いません」というダイセルグループ倫理規範のもと、知的財産関連情報の調査、知的財産権の取得・管理、適切な契約の締結・管理等戦略的な活動に取り組み、リスクの低減を図っております。特に新製品や新技術の開発時に、先々の当社の事業展開を優位に進め、他社からの侵害訴訟をけん制するためにも競合相手の事業を意識した知的財産権取得の重要性を認識し、注力しております。 (6) コンプライアンスリスク① 訴訟に係るリスク当社グループは、国内外の法令等や契約の遵守に努めております。しかしながらグローバル、かつ多様な分野で事業を推進する中で、訴訟、係争、その他の法的手続きの対象となるリスクがあり、重要な訴訟等の提起を受ける可能性があります。裁判等において不利益な決定や判決がなされた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。[対応策]当社事業に関連する法令等の情報を収集し、教育・啓発に努めるとともに、重要な契約締結や法令等の遵守のために必要な手続きの仕組みを設け、リスクの低減に努めております。② 情報セキュリティに係るリスク通信ネットワークに生じた障害や、ネットワーク又はコンピュータシステム上のハードウエアもしくはソフトウエアの不具合・欠陥、コンピュータウィルス・マルウェア等外部からの不正な手段によるコンピュータシステム内への侵入等の犯罪行為や役職員もしくは委託業者の過誤等により、社内情報が流出したり、改ざんされるリスクがあります。[対応策]管理体制の構築、IT技術動向の変化に応じたセキュリティソフトや端末の導入・更新等を行っております。また、全役職員を対象に「不審メール対応研修」等の教育を実施しております。③ 人権に係るリスク近年、人権に係るリスクは重要になっており、人権の尊重は当社グループ内で徹底されていればよいのではなく、当社グループ外にも求めていくべきものであると考えております。特に新興国を中心としたサプライチェーンにおける人権確保が重要になっており、人権侵害や児童労働等の事実が確認された場合、原材料調達および生産活動の遅延等に関するリスクが顕在化する可能性があります。[対応策]当社グループでは「ダイセルグループ人権方針」を定め、人権に関するデューデリジェンスを定期的に実施しています。また、主要サプライヤーには、CSR調達に関するSAQ(Self-Assessment-Questionnaire)への回答を依頼しており、その中に人権尊重および労働環境に関係する評価項目を入れ、サプライチェーン上の人権リスクを確認しています。 (7) その他のリスク① 固定資産の減損に係るリスク当社グループが自ら使用、または第三者に貸与する機械および装置、土地および建物等は、投資計画通りに収益が得られず、投資額の回収が見込めない等資産価値の下落に起因する潜在的な減損のリスクにさらされております。当連結会計年度末において、有形固定資産および無形固定資産の帳簿価額の合計は3,454億円であり、想定した事業環境が大きく変わることによる減損のリスクがあります。固定資産の減損損失が発生した場合、当社の経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。[対応策]営業上のリスク、技術上のリスク、建設スケジュールや投資額の適切性・妥当性を社内評価し、経営戦略上の位置づけ、投資回収年、効率性等も勘案し、総合的に検討・判断したうえで投資を実行しておりますが、案件毎に社内外の有識者も投資審議プロセスに参加するなど、投資計画の精度向上を図っております。