事業の概要
- 多岐にわたる化学製品事業第一工業製薬グループは、界面活性剤、アメニティ材料、ウレタン材料、機能材料、電子デバイス材料、ライフサイエンスといった幅広い分野で製品の製造・販売を行っています。これは、特定の産業に依存せず、多様な市場ニーズに対応することで安定した収益基盤を築いていることを示しています。例えば、洗剤などに使われる界面活性剤から、健康食品まで手掛けています。
- グローバルな事業展開当社グループは、日本国内だけでなく、中国、アジア諸国、欧州などにも子会社や関連会社を展開し、グローバルに事業を展開しています。これにより、各地域の市場特性に合わせた製品供給や、地域ごとの需要変動リスクの分散を図っています。特に、アジア地域での生産・販売拠点の設立は、成長市場への積極的なアプローチを意味します。
- 研究開発と技術力有価証券報告書からは直接的な言及はありませんが、多岐にわたる高機能化学製品を製造していることから、それぞれの分野で高い技術力と研究開発能力を有していると推測されます。これにより、顧客の多様なニーズに応えるカスタマイズ製品やソリューション提案が可能となり、競争優位性を確立していると考えられます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 機能材料事業が最大の収益源機能材料事業は売上高271.51億円、営業利益40.44億円と、全事業セグメントの中で最も高い売上と利益を上げています。光硬化樹脂材料や水系ウレタン樹脂、難燃剤などを手掛けており、高い付加価値を持つ製品群が収益を牽引していると考えられます。これは、同社の技術力が特に活かされている分野と言えるでしょう。
- 界面活性剤事業も堅調な収益界面活性剤事業は売上高193.18億円、営業利益15.47億円と、機能材料に次ぐ規模で安定した収益を上げています。非イオン界面活性剤やアニオン界面活性剤など、幅広い種類の界面活性剤を製造・販売しており、日用品から産業用途まで幅広い分野で需要があるため、安定的な事業基盤を形成しています。
- ウレタン材料と電子デバイス材料の課題ウレタン材料事業は売上高92.47億円に対し営業利益が-2.19億円、電子デバイス材料事業は売上高79.67億円に対し営業利益が-0.53億円と、それぞれ赤字を計上しています。これらの事業は、ポリエーテルポリオールや電池材料などを扱っており、市場競争の激化や原材料価格の変動、あるいは設備投資などにより、収益性が圧迫されている可能性があります。今後の改善が期待される分野です。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| Surfactants | 事業 | 193 | 15 | 8.0% |
| AmenityMaterials | 事業 | 91 | 8 | 8.5% |
| PolyurethaneMaterials | 事業 | 92 | -2 | -2.4% |
| FunctionalMaterials | 事業 | 272 | 40 | 14.9% |
| ElectronicDevicesMaterials | 事業 | 80 | -1 | -0.7% |
| LifeScienceRepotable | 事業 | 4 | -7 | -168.8% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】 当社グループは、当社、子会社12社及び関連会社2社(2026年3月31日現在)で構成され、電子・情報、環境・エネルギー、ライフ・ウェルネス、コア・マテリアルの製造、販売を主たる業務としています。 当社グループの事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりです。 なお、当連結会計年度において報告セグメントの区分を変更しています。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等) 1.報告セグメントの概要」に記載のとおりです。事業区分主要製品主要な会社電子・情報低誘電樹脂材料、水系ウレタン樹脂、イオン液体、射出成形用ペレット、難燃剤、各種界面活性剤当社、四日市合成㈱、第一セラモ㈱、晋一化工股份有限公司、DDFR Corporation Ltd.環境・エネルギー電池材料、セルロース系高分子材料、合成潤滑油、電子部品用導電性ペースト、ウレタンシステム、各種界面活性剤当社、四日市合成㈱、京都エレックス㈱、帝開思(上海)国際貿易有限公司、蘇州開翼電子材料有限公司ライフ・ウェルネスショ糖脂肪酸エステル、ビニル系高分子材料、アクリル系高分子材料、健康食品、消臭・除菌剤、各種界面活性剤当社、ゲンブ㈱、㈱バイオコクーン研究所、池田薬草㈱、Sisterna B.V.、PT DAI-ICHI KIMIA RAYAコア・マテリアル各種界面活性剤、難燃剤、アミド系滑剤、ポリエーテルポリオール、ウレタンプレポリマー当社、四日市合成㈱、第一建工㈱、晋一化工股份有限公司、PT DAI-ICHI KIMIA RAYA、帝開思(上海)国際貿易有限公司、ケイアンドディーファインケミカル㈱、DDFR Corporation Ltd. 事業の系統図は次のとおりです。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 原材料価格の高騰を販売価格に転嫁しきれない可能性、競合他社との価格競争 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 高付加価値付与品の研究開発、セルロースナノファイバーの新規用途開発、特許出願206件 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:原材料の市況変動 / 為替の変動 / グローバル経済の変動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
第一工業製薬は特定の強力なブランドや特許、規制ライセンス、独占的IPを前面に押し出した事業モデルではない。汎用的な化学品や機能性化学品を扱っており、無形資産による明確な競争優位性は見出しにくい。
スイッチングコスト★★☆☆☆
顧客は特定の用途向けにカスタマイズされた化学品を使用している場合、代替品への切り替えには製品性能の検証や製造プロセスの変更が必要となる。しかし、汎用的な化学品も多く、スイッチングコストは限定的。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
同社の事業モデルは、ユーザー数の増加によって製品やサービスの価値が向上するネットワーク効果を生まない。BtoBの化学品メーカーであり、直接的な消費者ネットワークは存在しない。
コスト優位★★☆☆☆
長年の事業経験と生産ノウハウは一定のコスト効率に寄与する可能性があるが、原料価格の変動や競合他社との価格競争に晒されており、構造的なコスト優位性は確立されていない。
規模の経済★★★☆☆
製薬・化学業界において、特定のニッチ分野や機能性化学品において一定の生産規模と市場シェアを有している。これにより、効率的な生産体制を維持し、業界内での地位を確保していると考えられる。
- 多様な製品ポートフォリオ界面活性剤から電子デバイス材料、ライフサイエンスまで、幅広い製品群を持つことで、特定の市場変動リスクを分散し、安定した事業運営を可能にしています。例えば、洗剤や化粧品に使われる界面活性剤と、電子部品に使われる材料では市場の動きが異なるため、どちらかの市場が低迷しても、もう一方で補うことができます。
- グローバルな生産・販売網中国やアジアを中心に海外に生産・販売拠点を設けているため、各地域の市場ニーズに迅速に対応できるだけでなく、生産コストの最適化やサプライチェーンの強靭化にも貢献しています。これにより、特定の地域に依存せず、世界中の顧客に製品を供給できる体制が整っています。
- 顧客密着型のソリューション提案競合他社との差別化戦略として、顧客との関係を密にし、ソリューション提案や製品のカスタマイズ化を推進していると記載されています。これは、単に製品を販売するだけでなく、顧客の課題解決に貢献することで、長期的な信頼関係を構築し、高いスイッチングコストを生み出す可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断しています。(1)経営方針 当社グループは、創業以来『品質第一、原価逓減、研究努力』の3つの社訓を経営の規範として会社を運営してまいりました。創業者は『品質第一』と『原価逓減』が、「より良い製品を、より安価に、お客様に提供することが会社隆昌の基本」であり、この「2つの社訓を実現する原動力となるのは不断の研究活動である」と3つ目の『研究努力』を説いています。この創業精神に則り、当社グループは、事業環境の急速な変化および市場の多様化に対応し、持続的な企業価値の向上を図ります。2025年4月より、従来の「材料別6セグメント」から、分野別の「電子・情報」、「環境・エネルギー」、「ライフ・ウェルネス」、「コア・マテリアル」の4セグメントへと開示セグメントの区分を変更しました。これにより、各分野の特性に即した戦略立案を可能とするとともに、ステークホルダーの皆様に対する事業内容の理解促進を図り、経営資源の効率的な管理・分析を通じて事業運営を高度化させてまいります。 <各事業セグメントの方針>■ 電子・情報・次世代高速通信に対応した低誘電材料の拡販・技術トレンドに沿ったディスプレイ向け先端材料の開発促進・独自技術を生かした次世代半導体材料への新規参入■ 環境・エネルギー・サステナブル社会実現に貢献するリチウムイオンバッテリー関連材料の開発・電動化、電装化とともに循環社会に貢献する樹脂材料で拡大・再生可能エネルギーの推進に貢献する太陽電池用材料の拡大■ ライフ・ウェルネス・認知機能維持をサポートする機能性表示食品「冬虫夏草」の拡販・界面活性剤の技術を基盤に、食品添加物、香粧品、クリーニング用薬剤、においビジネスの拡大を図り、新しい用途への素材開発を推進■ コア・マテリアル・脱炭素社会へ貢献する環境負荷の少ない天然由来原料の活用・コア技術である界面技術を注力分野3分野へ展開・伝統ある製品・技術が産業界の基盤強化と発展に寄与 中長期的な成長を見据えた柔軟かつ持続的な経営基盤の構築に努め、安定的な収益を生み出すための企業体質強化の取り組みを継続します。「こたえる、化学。」をミッションに掲げ、当社グループの成長戦略を確実に軌道に乗せるための諸施策を、全社員が一丸となり確実に実行し、新たな会社の歴史を作ります。社訓『品質第一、原価逓減、研究努力』を礎に、社是「産業を通じて、国家・社会に貢献する」の実現に努めてまいります。 (2)経営戦略等 当社は、2025年4月より、5カ年中期経営計画「SMART 2030(スマート ニイゼロサンゼロ)」を始動しました。2030年度の業績目標を設定し、持続的な企業価値の向上を目指しています。本計画においては、以下の基本方針のもと経営体制および事業運営の強化を図ります。1.事業運営体制の強化 事業本部制を導入し、営業部門および研究部門が一体となった分野別の事業部を設置しています。これにより、顧客課題への迅速な対応および新規開発テーマへの取り組みを可能とする体制を構築し、併せて、事業責任の明確化を通じた機動的な組織運営を推進します。2.研究開発体制の強化 経営直轄組織として「生産技術研究所」および「京都中央研究所」を設置し、研究開発力の強化とスピードアップを図ります。取り組むテーマを短期および中長期に区分し、開発期間の短縮を図ることで、事業効率および競争力の一層の向上に取り組んでいます。3.人事制度改革と人財育成の推進 新たな人事制度を導入することで、労働生産性の向上を図っています。成果を正当に評価する制度の構築により、社員一人ひとりの成長が企業の成長に直結する仕組みを整備するとともに、挑戦する社員を賞賛する企業風土の醸成を進めています。また、当社は、従業員の健康を維持・増進することで生産性の向上を図り、ひいては企業価値の向上を目指し、「健康経営」の推進に取り組んでいます。その成果として、経済産業省と日本健康会議が主催する「健康経営優良法人 ~ホワイト 500~」に9年連続で認定されています。これらの取り組みは、役員が出席する会議体において結果の報告を行い、それに基づき策定された計画について承認を得る体制としており、企業の生産性ならびに企業価値の一層の向上を図ってまいります。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 2025年4月から開始した中期経営計画「SMART 2030」の1年目が終了しました。わが国経済は、緩やかな回復基調にあるものの、円安や原材料価格の高騰、海外需要の減速により、先行き不透明な状況が続きました。世界経済においても、米国の金融政策や中国・欧州の景気停滞を背景に成長が鈍化しています。化学業界では、電子材料やエネルギー関連分野で需要が回復した一方、汎用化学品における価格競争の激化など、総じて厳しい事業環境が続いています。 このような状況のもと、中期経営計画「SMART 2030」の1年目は、当社はハイエンドサーバー向け低誘電樹脂材料や新規電池材料の負極用複合接着剤の引き合いが一段と強まり、市場からの評価が着実に向上しています。その結果、成長領域における需要の拡大が業績を牽引し、増収増益となりました。「SMART 2030」の2年目は、2027年4月から開始するPhase2への移行を見据え、初年度に策定した方針および施策を着実に遂行し、その成果を企業価値の向上として具現化していく重要な期間と位置付けます。また、本計画の推進にあたって影響のある要因としては、原材料価格およびエネルギーコストの高騰、金利上昇、経済市況の悪化、ならびに地政学リスクの継続等が考えられます。なお資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応については以下のとおりです。当社グループのPBR(株価純資産倍率)は、2026年3月期末時点で、1倍を上回る水準ですが、これを一過性の成果と捉えることなく、引き続き資本コストを意識した経営の重要性を強く認識しています。引き続き、資本効率の向上に加え、成長投資の推進、株主還元の充実、IR活動による市場との対話に取り組み、株主価値の持続的な向上を図ります。中期経営計画「SMART 2030」では、ROIC(投下資本利益率)を重要指標としています。今後もWACC(加重平均資本コスト)を上回るROICと投資収益を確保し、企業価値の向上に努めます。配当については、事業成長に必要な内部留保とのバランスを図りつつ、長期的かつ安定的な配当を基本方針としています。「SMART 2030」計画の2030年3月期の連結配当性向を高めることを目標とし、積極的な株主還元を実施してまいります。内部留保は、国際競争力の強化や将来の成長に向けた投資に活用し、企業価値の増大を図ります。 (4)経営環境 当連結会計年度は、ハイエンドサーバー向け低誘電樹脂材料や新規電池材料の負極用複合接着剤の引き合いが一段と強まり、市場からの評価が着実に向上しました。その結果、成長領域における需要の拡大が業績を牽引し、増収増益となりました。 2025年4月に始動した中期経営計画「SMART 2030」は、初年度を終え、研究開発の強化とスピードアップによる競争力強化を加速させています。営業と研究を一体化した「事業本部制」のもと、部門間の連携が深化しました。また、新設した生産技術研究所や京都中央研究所も連動し、重点分野での技術革新を推進しています。さらに、新人事制度の運用を通じて成果を正当に評価し、挑戦を称える企業文化の定着を図ってまいります。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題企業価値を高めていくために会社が対処すべき課題は、次の3点と認識しています。中期経営計画2年目として、当社グループが重点的に取り組むべき課題は以下のとおりです。第一の課題は収益力の強化と事業ポートフォリオの改善です。特に収益性に課題を有する事業につきましては、初年度の取り組みを踏まえ、事業方針のさらなる明確化、販売戦略の見直しなどを進め、早期の収益改善を図ります。また継続的な価格改定や販売数量の拡大を通じて、安定的な利益創出の構築に取り組みます。第二の課題は、研究開発の強化とスピードアップによる更なる競争力強化です。営業と研究を一体化した事業本部制のもと、顧客課題を起点としたテーマ創出から、開発、評価、市場投入までのプロセスをさらに高度化し、意思決定の迅速化と責任体制の明確化を通じて競争力のある製品・サービスの創出を推進します。第三の課題は、人財を最重要な経営資源と位置づけ、その能力を最大限に引き出す組織づくりです。挑戦を評価し、失敗から学び改善につなげる企業文化への定着を図ることで、社員一人ひとりの創意工夫を新たな付加価値の創出へと結びつけ、「挑戦し、選ばれる会社へ」という年度標語の実現につなげます。 2026年度は中期経営計画「SMART 2030」の2年目にあたり、初年度に定めた方針および施策を着実に実行し、その成果を具体的な業績および企業価値の向上として結実させていく重要な一年です。また、変化の激しい事業環境の中においても、自ら挑戦を続け、市場やお客様から選ばれ続ける企業となることを目指します。 中期経営計画「SMART 2030」では「ユニ・トップ」「サステナビリティ」「チャレンジ」の3つをキーワードに、行動規範を整備し、人財の充実に取り組むとともに、人的資本を含む無形資産の最大化と企業の持続的成長を連動させることを基本方針としています。さらに、サステナビリティ開示の充実に取り組みます。気候変動、人的資本、人権尊重などの課題に対処するための活動を拡充していきます。地球温暖化や資源の枯渇などの環境問題、また少子高齢化などさまざまな社会課題が私たちの暮らしを取り巻いています。当社は、環境や生活の安全性や快適性などを高めるため、「こたえる、化学。」を追求します。 今後とも当社グループへのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。 (免責・注意事項) 本計画に記載されている当社の現在の計画、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の実績等に関する見通しであり、リスクや不確定な要因を含んでいます。そのため、実際の業績につきましては、一般的経済状況、製品需給や市場価格の状況、市場での競争の状況、為替の変動等のさまざまな要因により、これら見通しと大きく異なる結果となることがあり得ます。 従って、当社として、その確実性を保証するものではありませんので、ご承知おきください。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断しています。(1)経営方針 当社グループは、創業以来『品質第一、原価逓減、研究努力』の3つの社訓を経営の規範として会社を運営してまいりました。創業者は『品質第一』と『原価逓減』が、「より良い製品を、より安価に、お客様に提供することが会社隆昌の基本」であり、この「2つの社訓を実現する原動力となるのは不断の研究活動である」と3つ目の『研究努力』を説いています。この創業精神に則り、当社グループは、事業環境の急速な変化および市場の多様化に対応し、持続的な企業価値の向上を図ります。2025年4月より、従来の「材料別6セグメント」から、分野別の「電子・情報」、「環境・エネルギー」、「ライフ・ウェルネス」、「コア・マテリアル」の4セグメントへと開示セグメントの区分を変更しました。これにより、各分野の特性に即した戦略立案を可能とするとともに、ステークホルダーの皆様に対する事業内容の理解促進を図り、経営資源の効率的な管理・分析を通じて事業運営を高度化させてまいります。 <各事業セグメントの方針>■ 電子・情報・次世代高速通信に対応した低誘電材料の拡販・技術トレンドに沿ったディスプレイ向け先端材料の開発促進・独自技術を生かした次世代半導体材料への新規参入■ 環境・エネルギー・サステナブル社会実現に貢献するリチウムイオンバッテリー関連材料の開発・電動化、電装化とともに循環社会に貢献する樹脂材料で拡大・再生可能エネルギーの推進に貢献する太陽電池用材料の拡大■ ライフ・ウェルネス・認知機能維持をサポートする機能性表示食品「冬虫夏草」の拡販・界面活性剤の技術を基盤に、食品添加物、香粧品、クリーニング用薬剤、においビジネスの拡大を図り、新しい用途への素材開発を推進■ コア・マテリアル・脱炭素社会へ貢献する環境負荷の少ない天然由来原料の活用・コア技術である界面技術を注力分野3分野へ展開・伝統ある製品・技術が産業界の基盤強化と発展に寄与 中長期的な成長を見据えた柔軟かつ持続的な経営基盤の構築に努め、安定的な収益を生み出すための企業体質強化の取り組みを継続します。「こたえる、化学。」をミッションに掲げ、当社グループの成長戦略を確実に軌道に乗せるための諸施策を、全社員が一丸となり確実に実行し、新たな会社の歴史を作ります。社訓『品質第一、原価逓減、研究努力』を礎に、社是「産業を通じて、国家・社会に貢献する」の実現に努めてまいります。 (2)経営戦略等 当社は、2025年4月より、5カ年中期経営計画「SMART 2030(スマート ニイゼロサンゼロ)」を始動しました。2030年度の業績目標を設定し、持続的な企業価値の向上を目指しています。本計画においては、以下の基本方針のもと経営体制および事業運営の強化を図ります。1.事業運営体制の強化 事業本部制を導入し、営業部門および研究部門が一体となった分野別の事業部を設置しています。これにより、顧客課題への迅速な対応および新規開発テーマへの取り組みを可能とする体制を構築し、併せて、事業責任の明確化を通じた機動的な組織運営を推進します。2.研究開発体制の強化 経営直轄組織として「生産技術研究所」および「京都中央研究所」を設置し、研究開発力の強化とスピードアップを図ります。取り組むテーマを短期および中長期に区分し、開発期間の短縮を図ることで、事業効率および競争力の一層の向上に取り組んでいます。3.人事制度改革と人財育成の推進 新たな人事制度を導入することで、労働生産性の向上を図っています。成果を正当に評価する制度の構築により、社員一人ひとりの成長が企業の成長に直結する仕組みを整備するとともに、挑戦する社員を賞賛する企業風土の醸成を進めています。また、当社は、従業員の健康を維持・増進することで生産性の向上を図り、ひいては企業価値の向上を目指し、「健康経営」の推進に取り組んでいます。その成果として、経済産業省と日本健康会議が主催する「健康経営優良法人 ~ホワイト 500~」に9年連続で認定されています。これらの取り組みは、役員が出席する会議体において結果の報告を行い、それに基づき策定された計画について承認を得る体制としており、企業の生産性ならびに企業価値の一層の向上を図ってまいります。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 2025年4月から開始した中期経営計画「SMART 2030」の1年目が終了しました。わが国経済は、緩やかな回復基調にあるものの、円安や原材料価格の高騰、海外需要の減速により、先行き不透明な状況が続きました。世界経済においても、米国の金融政策や中国・欧州の景気停滞を背景に成長が鈍化しています。化学業界では、電子材料やエネルギー関連分野で需要が回復した一方、汎用化学品における価格競争の激化など、総じて厳しい事業環境が続いています。 このような状況のもと、中期経営計画「SMART 2030」の1年目は、当社はハイエンドサーバー向け低誘電樹脂材料や新規電池材料の負極用複合接着剤の引き合いが一段と強まり、市場からの評価が着実に向上しています。その結果、成長領域における需要の拡大が業績を牽引し、増収増益となりました。「SMART 2030」の2年目は、2027年4月から開始するPhase2への移行を見据え、初年度に策定した方針および施策を着実に遂行し、その成果を企業価値の向上として具現化していく重要な期間と位置付けます。また、本計画の推進にあたって影響のある要因としては、原材料価格およびエネルギーコストの高騰、金利上昇、経済市況の悪化、ならびに地政学リスクの継続等が考えられます。なお資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応については以下のとおりです。当社グループのPBR(株価純資産倍率)は、2026年3月期末時点で、1倍を上回る水準ですが、これを一過性の成果と捉えることなく、引き続き資本コストを意識した経営の重要性を強く認識しています。引き続き、資本効率の向上に加え、成長投資の推進、株主還元の充実、IR活動による市場との対話に取り組み、株主価値の持続的な向上を図ります。中期経営計画「SMART 2030」では、ROIC(投下資本利益率)を重要指標としています。今後もWACC(加重平均資本コスト)を上回るROICと投資収益を確保し、企業価値の向上に努めます。配当については、事業成長に必要な内部留保とのバランスを図りつつ、長期的かつ安定的な配当を基本方針としています。「SMART 2030」計画の2030年3月期の連結配当性向を高めることを目標とし、積極的な株主還元を実施してまいります。内部留保は、国際競争力の強化や将来の成長に向けた投資に活用し、企業価値の増大を図ります。 (4)経営環境 当連結会計年度は、ハイエンドサーバー向け低誘電樹脂材料や新規電池材料の負極用複合接着剤の引き合いが一段と強まり、市場からの評価が着実に向上しました。その結果、成長領域における需要の拡大が業績を牽引し、増収増益となりました。 2025年4月に始動した中期経営計画「SMART 2030」は、初年度を終え、研究開発の強化とスピードアップによる競争力強化を加速させています。営業と研究を一体化した「事業本部制」のもと、部門間の連携が深化しました。また、新設した生産技術研究所や京都中央研究所も連動し、重点分野での技術革新を推進しています。さらに、新人事制度の運用を通じて成果を正当に評価し、挑戦を称える企業文化の定着を図ってまいります。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題企業価値を高めていくために会社が対処すべき課題は、次の3点と認識しています。中期経営計画2年目として、当社グループが重点的に取り組むべき課題は以下のとおりです。第一の課題は収益力の強化と事業ポートフォリオの改善です。特に収益性に課題を有する事業につきましては、初年度の取り組みを踏まえ、事業方針のさらなる明確化、販売戦略の見直しなどを進め、早期の収益改善を図ります。また継続的な価格改定や販売数量の拡大を通じて、安定的な利益創出の構築に取り組みます。第二の課題は、研究開発の強化とスピードアップによる更なる競争力強化です。営業と研究を一体化した事業本部制のもと、顧客課題を起点としたテーマ創出から、開発、評価、市場投入までのプロセスをさらに高度化し、意思決定の迅速化と責任体制の明確化を通じて競争力のある製品・サービスの創出を推進します。第三の課題は、人財を最重要な経営資源と位置づけ、その能力を最大限に引き出す組織づくりです。挑戦を評価し、失敗から学び改善につなげる企業文化への定着を図ることで、社員一人ひとりの創意工夫を新たな付加価値の創出へと結びつけ、「挑戦し、選ばれる会社へ」という年度標語の実現につなげます。 2026年度は中期経営計画「SMART 2030」の2年目にあたり、初年度に定めた方針および施策を着実に実行し、その成果を具体的な業績および企業価値の向上として結実させていく重要な一年です。また、変化の激しい事業環境の中においても、自ら挑戦を続け、市場やお客様から選ばれ続ける企業となることを目指します。 中期経営計画「SMART 2030」では「ユニ・トップ」「サステナビリティ」「チャレンジ」の3つをキーワードに、行動規範を整備し、人財の充実に取り組むとともに、人的資本を含む無形資産の最大化と企業の持続的成長を連動させることを基本方針としています。さらに、サステナビリティ開示の充実に取り組みます。気候変動、人的資本、人権尊重などの課題に対処するための活動を拡充していきます。地球温暖化や資源の枯渇などの環境問題、また少子高齢化などさまざまな社会課題が私たちの暮らしを取り巻いています。当社は、環境や生活の安全性や快適性などを高めるため、「こたえる、化学。」を追求します。 今後とも当社グループへのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。 (免責・注意事項) 本計画に記載されている当社の現在の計画、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の実績等に関する見通しであり、リスクや不確定な要因を含んでいます。そのため、実際の業績につきましては、一般的経済状況、製品需給や市場価格の状況、市場での競争の状況、為替の変動等のさまざまな要因により、これら見通しと大きく異なる結果となることがあり得ます。 従って、当社として、その確実性を保証するものではありませんので、ご承知おきください。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。 ①財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度におけるわが国経済は、地政学リスクの高まりを背景に原材料・エネルギー価格の上昇圧力が続くなか、金融政策を巡る不透明感や為替変動の影響もあり、先行き不透明な状況で推移しました。また、中国・アジア勢の供給拡大を背景とした国際的な価格競争の激化など、厳しい事業環境が継続しました。 一方、国内では生産活動に持ち直しの動きが見られるなど、景気は緩やかな回復基調で推移しました。個人消費については力強さを欠く状況が続いたものの、雇用環境の改善が下支えとなりました。また、円安の影響や脱炭素への対応、人手不足といった課題が顕在化するなか、各企業においては中長期的な成長を見据えた取り組みが進められています。 このような事業環境のもと、当社グループでは、ハイエンドサーバー向け低誘電樹脂材料および電池用材料をはじめとする高収益製品が大きく伸長し、収益の拡大に大きく寄与しました。 その結果、売上高、営業利益、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、いずれも前期比で増加し、過去最高を更新しました。 2025年4月から始動した中期経営計画「SMART 2030」の初年度は、順調な歩み出しとなり、次年度以降の成長に向けた確かな足掛かりを築きました。当社は年度標語に「挑戦し、選ばれる会社へ」を掲げ、引き続き、持続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。 当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 a.財政状態 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ178億90百万円増加し、1,150億3百万円となりました。 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ41億37百万円増加し、567億46百万円となりました。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ137億53百万円増加し、582億57百万円となりました。 b.経営成績 当連結会計年度の経営成績は、売上高は828億86百万円(前期比13.1%増)、営業利益は101億7百万円(前期比88.9%増)、経常利益は103億72百万円(前期比80.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は61億69百万円(前期比138.6%増)となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりです。 なお、当連結会計年度より、当社グループの報告セグメントの区分を、材料別の「界面活性剤」、「アメニティ材料」、「ウレタン材料」、「機能材料」、「電子デバイス材料」、「ライフサイエンス」の6セグメントから、分野別の「電子・情報」、「環境・エネルギー」、「ライフ・ウェルネス」、「コア・マテリアル」の4セグメントへ変更しています。また、前期比につきましては、変更後の区分方法により作成した前連結会計年度の数値と比較しています。 電子・情報の売上高は305億7百万円(前期比21.8%増)、営業利益は62億3百万円(前期比27.8%増)となりました。 環境・エネルギーの売上高は233億4百万円(前期比24.5%増)、営業利益は31億42百万円(前期は97百万円の損失)となりました。 ライフ・ウェルネスの売上高は138億92百万円(前期比1.1%増)、営業利益は5億99百万円(前期比105.6%増)となりました。 コア・マテリアルの売上高は151億82百万円(前期比3.6%減)、営業利益は1億62百万円(前期比46.4%減)となりました。 ②キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて72億73百万円増加し、238億30百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果、得られた資金は99億62百万円(前期は75億28百万円)となりました。これは、売上債権の増加11億50百万円(前期は12億96百万円の増加)、棚卸資産の増加26億55百万円(前期は15億62百万円の増加)、法人税等の支払13億75百万円(前期は4億30百万円)などにより資金が減少したことに対し、税金等調整前当期純利益98億92百万円(前期は51億94百万円)、減価償却費32億21百万円(前期は32億23百万円)、仕入債務の増加17億84百万円(前期は13億7百万円の増加)などにより資金が増加したことによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果、使用した資金は35億36百万円(前期は21億38百万円)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出36億22百万円(前期は21億40百万円)などにより資金が減少したことによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果、得られた資金は8億54百万円(前期は50億45百万円の支出)となりました。これは、長期借入金の返済58億72百万円(前期は70億27百万円)、配当金の支払い11億61百万円(前期は8億61百万円)などにより資金が減少したことに対し、自己株式の処分による収入51億51百万円、長期借入れによる収入30億円(前期は40億円)などにより資金が増加したことによるものです。 ③生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前期比(%)電子・情報(百万円)13,505138.9環境・エネルギー(百万円)22,161121.0ライフ・ウェルネス(百万円)9,62496.4コア・マテリアル(百万円)16,97695.8合計(百万円)62,267111.7(注)1.生産実績の金額は平均販売価格で表示しています。2.当連結会計年度より、セグメント区分の変更を行っており、「前期比(%)」は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組替えて算出しています。 b.受注実績 当社グループは、受注生産を行っていないため、該当事項はありません。 c.販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前期比(%)電子・情報(百万円)30,507121.8環境・エネルギー(百万円)23,304124.5ライフ・ウェルネス(百万円)13,892101.1コア・マテリアル(百万円)15,18296.4合計(百万円)82,886113.1(注)1.当連結会計年度より、セグメント区分の変更を行っており、「前期比(%)」は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組替えて算出しています。2.最近2連結会計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りです。相手先前連結会計期間(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)交洋貿易株式会社6,2798.579,11411.0 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成に当たり採用した会計方針及びその適用方法については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているとおりです。 当社グループの連結財務諸表の作成において、損益または資産の状況に影響を与える見積り及び判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っていますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものはありません。 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a.経営成績等1)財政状態(資産合計) 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ178億90百万円増加し、1,150億3百万円となりました。 流動資産は693億82百万円となり、前連結会計年度末に比べ121億34百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が72億79百万円、受取手形及び売掛金が15億21百万円、商品及び製品などの棚卸資産の合計が28億24百万円増加したことなどによるものです。 固定資産は456億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ57億56百万円増加しました。これは主に、投資有価証券が29億3百万円、建設仮勘定が22億45百万円増加したことなどによるものです。 (負債合計) 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ41億37百万円増加し、567億46百万円となりました。 流動負債は395億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ130億30百万円増加しました。これは主に、支払手形及び買掛金が18億74百万円、1年内償還予定の社債が60億円、未払法人税等が14億76百万円増加したことなどによるものです。 固定負債は171億83百万円となり、前連結会計年度末に比べ88億92百万円減少しました。これは主に、社債が60億円、長期借入金が26億82百万円、リース債務が11億68百万円減少したことなどによるものです。(純資産合計) 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ137億53百万円増加し、582億57百万円となりました。公募による自己株式の処分等により資本剰余金が30億39百万円増加し、自己株式が22億86百万円減少したことに加え、親会社株主に帰属する当期純利益61億69百万円及び剰余金の配当11億61百万円により利益剰余金が50億7百万円増加したことなどによるものです。 2)経営成績 当連結会計年度の業績としましては、『電子・情報』セグメントのハイエンドサーバー向け低誘電樹脂材料や『環境・エネルギー』セグメントの電池用材料の負極用水系複合接着剤が大幅に伸長したことから、売上高は828億86百万円(前期比13.1%増)となりました。 損益面につきましては、『電子・情報』セグメントや『環境・エネルギー』セグメントの売上高が伸長したことにより、営業利益は101億7百万円(前期比88.9%増)、経常利益は103億72百万円(前期比80.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は61億69百万円(前期比138.6%増)となりました。 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 2025年4月から始動した中期経営計画「SMART 2030」の初年度は、順調な歩み出しとなりました。売上高は、『電子・情報』セグメントのハイエンドサーバー向け低誘電樹脂材料や『環境・エネルギー』セグメントの電池用材料の負極用水系複合接着剤が大幅に伸長したことから増収となりました。また、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、『電子・情報』セグメントや『環境・エネルギー』セグメントの売上高が伸長したことにより、収益性が改善し増益となりました。 c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報1) 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。2) 資金需要 当社グループの事業活動による資金需要は主に、製品の原材料の仕入、製造に要した費用、外注費及び販売費といった運転資金需要や、新製品を創製するための研究開発費などがあります。また、投資活動による資金需要は主に、生産性の向上や新製品の製造のための設備の購入、IT設備投資などがあります。 3) 財務政策当社グループは、新中期経営計画「SMART 2030」において、成長投資と株主還元のバランスを重視したキャッシュ・アロケーション方針を策定し、持続的な企業価値向上に資する財務運営を基本方針としています。営業キャッシュ・フローについては、事業ポートフォリオの見直しや収益力強化により安定的な創出を図り、その資金を成長投資に優先配分するとともに、株主還元の充実に努めています。資金調達は、銀行借入や社債発行に加え、2025年8月に実施した自己株式の処分等の資本市場活用も含め、多様な手段を組み合わせて財務基盤の強化と資本効率の向上を図っています。流動性については、コミットメントラインにより機動的な資金確保体制を維持し、海外子会社は邦銀の現地拠点等から直接調達しています。また、資産効率の改善や資本収益性の向上にも継続的に取り組んでいます。 d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等新中期経営計画「SMART 2030」では、2030年3月期を最終年度として、数値目標を掲げています。①連結売上高 1,000億円②連結営業利益 100億円③連結営業利益率 10.0%④総資産回転率 1.0回⑤設備投資額 300億円(5年累計)⑥ROE 10.0%⑦ROIC 8.0% e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(電子・情報)電子・情報セグメントの売上高は、総じて大幅に伸長しました。ハイエンドサーバー向け低誘電樹脂材料が国内、海外ともに大幅に伸長しました。一方、ディスプレイ等に用いられる特殊界面活性剤は低調に推移し、難燃剤は大きく落ち込みました。その結果、当セグメントの売上高は305億7百万円(前期比21.8%増)となりました。営業利益は、高付加価値品の売上高が伸長したことにより、62億3百万円(前期比27.8%増)となりました。 (環境・エネルギー)環境・エネルギーセグメントの売上高は、総じて大幅に伸長しました。電池用材料の負極用水系複合接着剤が大幅に伸長しました。モビリティの電装部材に用いられる基板用封止剤や接着剤も大幅に伸長しましたが、環境配慮型の合成潤滑油は低調に推移しました。また、太陽電池用途の高性能導電性ペーストは、国内は大幅に伸長しましたが、海外は大きく落ち込みました。その結果、当セグメントの売上高は233億4百万円(前期比24.5%増)となりました。営業利益は、高付加価値品の売上高が伸長したことにより、31億42百万円の営業利益(前期は97百万円の損失)となりました。 (ライフ・ウェルネス)ライフ・ウェルネスセグメントの売上高は、総じて堅調に推移しました。食品用途のショ糖脂肪酸エステルは国内、海外ともに堅調に推移し、香粧品用途は海外が堅調に推移しました。石鹸・洗剤用途は低調に推移しました。その結果、当セグメントの売上高は138億92百万円(前期比1.1%増)となりました。営業利益は、ショ糖脂肪酸エステルを中心に採算性が改善したことにより、5億99百万円(前期比105.6%増)となりました。 (コア・マテリアル)コア・マテリアルセグメントの売上高は、総じて低調に推移しました。ゴム・プラスチック製品加工用途の難燃剤は低調に推移し、土木・建築用途のトンネル崩落防止剤は大幅に落ち込みました。その結果、当セグメントの売上高は151億82百万円(前期比3.6%減)となりました。営業利益は、販売費を中心とした営業経費の増加により、1億62百万円(前期比46.4%減)となりました。
事業リスク
- 原材料価格の変動リスク当社グループは主に石油化学製品系の原材料を使用しており、原油・ナフサ価格の高騰は主要原材料の価格上昇に直結し、生産コストを押し上げる可能性があります。これにより、製品の販売価格に転嫁できない場合、利益率が悪化し、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。
- 為替変動による影響中国などのアジアを中心に海外展開を積極的に行っており、在外子会社の財務諸表を円換算する際に、為替相場の大きな変動が経営成績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、外国通貨建ての取引においても、為替予約などの対策を講じていても、想定外の変動が収益を圧迫するリスクがあります。
- グローバル経済と地政学リスク海外での事業展開において、予期せぬ外国の法律・規則の変更、産業基盤の不安定性、紛争や政治情勢の不安定化など、経済的・社会的なリスクが常に存在します。特に、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢、保護主義的な政策の動向といった地政学リスクは、サプライチェーンの分断やエネルギー・原材料価格の高騰を引き起こし、企業活動に大きな影響を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 当社グループでは、リスク管理に関し、組織的な対応として「リスクマネジメント統制委員会」を設置して、活動計画の策定、活動のレビュー、リスクの特定と対応策の検討などを行っています。当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー等に影響を及ぼす可能性があるリスクには、以下のようなものがあります。なお、これらのものは、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれに限られるものではありません。①原材料の市況変動(顕在化する可能性:高、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループでは、主に石油化学製品系の原材料を使用しています。代理店・サプライヤー・顧客との連携を含む生産コスト削減や販売価格の是正に努めていますが、原油・ナフサ価格の高騰による主要原材料の価格の上昇は当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。 なお、原材料価格は、中東情勢等の地政学的要因に起因して急激に変動する可能性があります。②原材料の調達(顕在化する可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループで使用する原材料の一部については、特殊性があることから、調達先が限定されているものや、代替が困難なものが存在しています。これらの安定的な調達のため、契約条件の見直し、代替品の検討、調達先の複数化等、継続的に対応策を講じています。しかしながら、調達先における自然災害、事故等に加え、中東情勢等の地政学的リスクの高まりに伴う国際物流の停滞や供給網の混乱が生じた場合には、原材料の安定的な調達が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。③為替の変動(顕在化する可能性:高、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループは、中国などのアジアを中心に生産拠点や販売拠点を設立するなど、積極的な海外展開を行っています。在外連結子会社等の財務諸表については、資産及び負債を期末日の為替レートで、収益及び費用を期中平均為替レートで円換算しているため、為替相場の大幅な変動により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、外国通貨建取引については、為替予約等によりリスクを軽減させる措置を講じていますが、為替相場の大幅な変動により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。④グローバル経済の変動(顕在化する可能性:低~中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループは、海外にも生産拠点や販売拠点を設立するなど、グローバルな事業展開を行っています。このような海外展開において、予期し得ないような外国の法律・規則の変更、産業基盤の不安定性、人財確保の困難性、紛争・政治不安定化など、常に経済的、社会的リスクが存在し、これらが顕在化することによって、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。⑤大口顧客への取引集中に関するリスク(顕在化する可能性:低~中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループでは、当社グループの製品を使用する顧客と協力してエンドユーザーのニーズを先取りする開発を推進し、一部の製品については特定の大口顧客が存在しています。これらの大口顧客との取引条件の変更、契約の解除、製品需要の減退、または大口顧客の経営状況の悪化等が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。 このようなリスクを低減するため、当社グループでは新規顧客の開拓をはじめ、特定の大口顧客の動向に左右されにくい事業基盤の確立に向けた取り組みを継続的に推進しています。⑥競争の激化(顕在化する可能性:高、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループは、顧客との関係を密にしたソリューション提案や製品のカスタマイズ化などによる差別化戦略の推進により競争優位性の維持・向上に努めていますが、競合他社の技術水準や生産力の向上による他社安価品への置き換え等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。⑦地政学に関するリスク(顕在化する可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢、米国における保護主義的な政策の動向等により、地政学リスクが著しく高まっています。こうした政治的・社会的情勢の不安定化や外交関係の緊迫化、紛争等により事業環境が悪化し、当社グループの企業活動に対して、エネルギーや原材料価格の高騰、サプライチェーンの分断などが発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。⑧特有の法的規制等に係る課題(顕在化する可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 法規制あるいは当局の法令解釈が従来よりも厳しくなること等により、当社グループの事業が規制を受ける可能性またはこれらの法規制に適合するために当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。 ⑨自然災害・事故等(顕在化する可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 大規模地震等の大きな自然災害、感染症の拡大、製造拠点における火災事故等が発生した場合には、生産活動や原料搬入・製品搬出などが中断させられる可能性があります。当社グループでは、製造・物流拠点の分散・見直し、在庫の分散保有等の事業継続計画(BCP)に基づく対策強化を進めていますが、これらが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。⑩知的財産(顕在化する可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中) 当社グループでは、事業活動に関わる知的財産権の取得に努める一方、第三者の知的財産権侵害を防ぐため、第三者の知的財産等の調査を行っています。しかしながら、第三者との知的財産に関わる問題発生の可能性が無いとは言えず、訴訟等が発生した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。⑪情報セキュリティ(顕在化する可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループは、事業活動において、顧客情報、個人情報、機密情報を保有し、電子情報の形式で保管しています。したがって、情報セキュリティ方針、対策基準及び実施手順を定め、インフラ基盤を随時最適化することにより情報漏洩等に対する対策を講じています。しかしながら、サイバー攻撃や不正アクセス、コンピューターウイルスの感染により、当社グループが保有する情報の漏洩や改ざん等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。⑫製品品質(顕在化する可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中) 当社グループでは、品質マネジメントシステムを構築し、品質保証の基本方針を遵守して高い品質の確保と顧客満足の向上に取り組んでいますが、予期せぬトラブル等により品質に関する問題が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。⑬気候変動に係るリスク(顕在化する可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループは、さまざまな化学物質を取り扱うなかで「環境・安全・健康」を確保するためレスポンシブル・ケア活動を推進し、地球環境に配慮した事業活動を行っていますが、気候変動による気温上昇を抑制するためにカーボンプライシングや炭素税等が導入された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社は、気候変動を重要な経営課題の一つとして認識し、2022年3月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しています。TCFDの提言に沿ったシナリオ分析を行い、気候変動が当社の事業活動に与える影響等について情報開示を進め、持続可能な社会の実現にむけた施策を推進しています。⑭固定資産の減損(顕在化する可能性:高、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小~中) 当社グループが保有する製造設備等の固定資産について、事業環境の変化に伴う収益性の低下や資産価値の下落等により減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。