有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 タケダの企業理念当社の企業理念は、当社が誰であるか、何を行うか、どのように行うか、なぜそれが重要なのかというタケダのストーリーを伝えています。私たちは、次の時代に踏み出すにあたり、より健康な世界の実現という世代を超えて受け継がれる約束を果たすべく、引き続き取り組んでまいります。私たちの存在意義は、世界中の人々の健康と輝かしい未来に貢献することにあります。このため私たちは、革新的な医薬品を創出し続けるというビジョンを追求しています。当社の従業員はこの存在意義のもとに結束し、245年にわたり当社の礎となってきた誠実、公正、正直、不屈の価値観に基づいて行動しています。そして、患者さん、株主、社会に対する長期的な価値を創造し、従業員、関わる地域コミュニティ、私たちが暮らす地球に対して良い影響を提供し続けることができるよう努めています。 事業環境グローバルなバイオ医薬品企業を取り巻く外部環境は引き続き複雑であり、地政学的分断の進行や国際的な政策の不確実性が続いています。また、継続する緊張関係や同盟関係の変化、貿易政策の変容により、国境を越えた事業運営や長期的な投資計画に対する不透明さが長引いています。こうした動向は、規制の枠組みやサプライチェーンの強靭性、さらにはグローバルな医療市場全体の安定性に対する影響を強めています。主要地域においては、薬価への圧力が引き続き大きな課題となっています。また、各国政府は予算配分を防衛分野にシフトさせており、景気減速やインフレーション、広範な財政圧力を背景に、公的医療費への制約が強まり、薬価への圧力がさらに高まっています。各国政府は患者さんの治療アクセスの拡大を目指しているものの、医療予算の制約は続いています。その結果、薬価や保険適用の条件がより厳格化され、市場導入に要する期間も世界的に長期化しています。米国では、薬価政策の変更が継続的に実施されていることにより、革新的な治療法に係る見通しの不透明性が高まり、今後の投資判断に影響を及ぼす可能性があります。欧州および日本においては、財政的な制約が構造的に存在しており、複数の治療領域における成長が抑えられています。一方で、科学および技術の進展のペースは一段と加速しています。プラットフォームサイエンス、データ分析、オートメーション化、人工知能といった分野の進歩は、新薬の創製・開発・提供の在り方を大きく変えつつあります。このような状況において、当社は、重点疾患領域に経営資源を集中し、製造・供給・品質に係る規律を一層高め、人を軸としながらも積極的にテクノロジーを活用する変革を推進し、科学的妥当性の確保と患者さんからの信頼維持に努めていきます。当社は、研究開発において着実な進展を遂げており、将来に向けて良好な基盤を築いています。重点疾患領域に注力した取り組みとデジタル技術の活用の拡大により、革新的な医薬品をより迅速かつ効率的に患者さんにお届けする体制を強化しています。外部環境の厳しさが増す中にあっても、患者さんを最優先に考え、責任をもって科学を前進させることは、今後も事業運営の根幹であり続けます。 私たちが描く将来ビジョン科学の急速な進展と医療を取り巻く国際的な事業環境の複雑化が進む中、当社の戦略は、革新的な新薬を連続的に上市していく取り組みを通じて、短期的に確かな成果を積み重ね、成長の加速に向けた基盤を整えるものです。2025年には、後期開発段階にあるoveporexton、rusfertideおよびザソシチニブの3つの主力パイプラインにおいて、臨床第3相試験で良好な結果を得ることができました。いずれも数十億米ドル規模の売上収益をもたらす可能性を有しています。これらの成果は、当社パイプラインの層の厚さと研究開発の質の高さを示すとともに、厳格な規制要件や製品の市場展開において求められる重要なマイルストンを達成する当社の実行力を示しています。当社は、事業成長を段階的に実現する考え方として、短期に変革を進めるHorizon1と、中長期の成長と患者さんへのさらなる貢献を加速するHorizon2という二つの時間軸を設定し、事業を展開していきます。Horizon1では、投資と全社的な変革により、競争力と成長の基盤を短期的に強化します。Horizon2では、複数の新薬の市場浸透と規模の拡大を通じて、中長期的な成長を加速し、より多くの患者さんにさらに貢献し、株主の皆様に長期的な価値を創出します。当社は、私たちの存在意義と価値観に基づき、二つのHorizonを通じて、革新的な医薬品を一日でも早く患者さんにお届けしていきます。Horizon1:成長に向けた変革Horizon1では、新薬の上市、後期開発段階にある強固なパイプラインの推進、およびオペレーションの変革に取り組みます。本年1月以降、CEO交代計画の最終段階として、当社は組織体制および業務運営の見直しを進めてきました。次期CEOのジュリー・キムは、新たな経営体制を構築し、患者さんや顧客により近いところでの事業意思決定を可能にする組織の再設計を行いました。この新しい組織体制のもと、業務の標準化・簡素化を進めながら先進技術の導入を加速し、当社の価値観をゆるぎない軸として維持しながらも、スピードと成果に対するこだわりを追求していきます。主要な研究開発活動の内容および進捗の詳細については、「6 研究開発活動」をご参照ください。Horizon 1では、今後12カ月の間に予定している複数の新薬の上市を確実に遂行するため、必要な経営資源の確保を進めます。また、この期間では、5つの後期開発品をはじめとする、重点疾患領域(消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、オンコロジー)におけるパイプラインの開発を進めながら、一方で、厳しい市場環境下においても、ENTYVIOやGAMMAGARD LIQUID/KIOVIGなどの製品が競争力を維持できるよう取り組んでいきます。Horizon 1の中核を成すのは、コスト規律の徹底と戦略的な投資の両立です。その一環として、当社は2028年度までに年換算で2,000億円以上の費用を節減し、その成果を新薬の上市、パイプラインの強化およびテクノロジーへの投資に充当していきます。こうした取り組みを通じて、財務の健全性を維持しながら、さらなる成長に向けた基盤を強化していきます。この間、調整後フリー・キャッシュ・フロー(注)を潤沢に創出し続けることが、成長に向けた投資と株主還元を両立させるための礎となります。(注)定義については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。Horizon2:成長の加速Horizon1で規律ある投資を進めながら新薬上市を成功させることで、Horizon 2でタケダの次なる成長期を切り拓く牽引役が、成熟化が進む既存ポートフォリオから新たな主力製品群へ移行していきます。この新たな製品群には、oveporexton、rusfertide、ザソシチニブに加え、現在の後期開発パイプラインからさらなる新薬が順次加わることを見込んでいます。これら新主力製品群の収益貢献に加え、事業運営のさらなる効率化を継続的に推進することで、既存ポートフォリオの成熟化を乗り越える持続的な成長を実現していきます。当社は、次世代の科学とテクノロジーを駆使しながら、医薬品とそれによって実現される治療の成果において、可能性そのものを再定義することに挑んでいきます。この挑戦こそが、患者さんの生活と社会にもたらす価値を最大化することにつながると信じているからです。変革の原動力となるテクノロジーこの新たな時代において、テクノロジーはそれ自体が目的ではなく、当社の変革を実現するための中核を成すものです。テクノロジーは、私たちが価値を創出・開発し、提供していく取り組みと不可分に結びつき、探求心や創造力、チームが持つ集合知を一層引き出す力となっています。人工知能、デジタルプラットフォームおよび高度なデータ分析は、現在、バリューチェーンのあらゆる段階に組み込まれています。これらのテクノロジーは、意思決定や業務遂行のスピードを高め、その質を向上させるとともに、部門間の壁を取り払い、迅速な学習、部門横断的な機動性の向上および業務運営の最適化を重視する文化を育んでいます。当社において、テクノロジーは単なるツールにとどまらず、協働しながら可能性を広げる存在となっています。高度なプラットフォームとデータに基づく知見を従業員が活用することで、患者さんの差し迫ったニーズへの対応、意義ある価値の創出、成長の推進、そしてあらゆるステークホルダーとの持続的な信頼関係の構築といった、最も重要な課題に注力できる環境を整えています。 コラボレーションと成果が切り拓く未来医療における意義ある前進は、パートナーシップによってもたらされるものと考えています。私たちの目指す未来は、社内にとどまらず、バイオ医薬品業界全体、さらには科学コミュニティ、規制当局、患者さんコミュニティとの幅広い連携に根ざしています。官民のパートナーシップ、グローバルな連携、地域社会との対話を通じて、日々多様な声を積極的に取り入れ、解決策を共に創り上げています。こうしたパートナーシップへのコミットメントは、次のイノベーションの創出の在り方にも表れます。オープンサイエンスや共有プラットフォームの活用、また、様々な関係者との連携は、今後ますます複雑化する医療課題に向き合う上で重要な役割を果たします。分野や地域を越えて協働することで、医療へのアクセスを拡大し、公平な治療成果の実現を後押しし、私たちの取り組みがもたらす価値を将来にわたり一層広げていきます。 財務展望強固な財務基盤と明確な戦略フレームワークのもと、当社は持続的な成長と長期的な価値創造を財務面から支える取り組みを進めています。短中期的(Horizon 1)には、成熟化が進む既存ポートフォリオの安定性と競争力を基盤としつつ、oveporexton、rusfertide、ザソシチニブなどの有望な新製品について、薬事承認および上市にむけた重要なマイルストンの達成に注力するとともに、後期開発段階にあるパイプライン全体の開発を着実に推進していきます。収益性を維持するため、組織体制の最適化を進めるとともに、データおよびテクノロジーを活用し、意思決定と業務運営双方の効率性を改善していきます。こうした取り組みに加え、事業構造再編費用を含むその他の営業費用の削減と、有利子負債の返済を通じた金融費用の削減により、まずは、配当の持続性を確保する、ROE5%を上回る水準の財務上当期利益を達成することを目標とします。当社の事業は強い現金創出力を持ちますが、資本配分の規律を維持し、資本効率を持続的に向上させていきます。成長に向けた継続的な投資を行いながらも潤沢な調整後フリー・キャッシュ・フロー(注)を確保し、さらなる有利子負債の削減を進めるとともに、累進配当を維持していきます。長期的(Horizon 2)には、成熟化が進む既存ポートフォリオに代わり、新製品の収益貢献が当社の成長加速の牽引役になるものと考えています。費用管理の規律を維持しながら売上高を伸ばすことが、30%台前半から半ばのCore営業利益率(注)に向けた、収益性改善のドライバーとなっていきます。また、調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率(注)は2倍を目標水準とし、持続的な成長に向けたさらなる投資を可能にする強固な財務基盤を構築していきます。当社は、これらの取り組みを通じて業績を持続的に改善し、その取り組みの積み重ねにより、企業価値の向上および競争力ある株主総利回りを実現していきます。 (注)定義については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。 [主要製品一覧]消化器系疾患領域における主要製品は以下のとおりです。・ENTYVIO(ベドリズマブ):ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎・クローン病に対する治療剤です。ENTYVIOは、2014年に米国および欧州において発売以来、売上が伸長しており、2026年3月期の当社グループの売上トップ製品でした。現在、ENTYVIOは世界70カ国以上で承認され、エンタイビオ皮下注射製剤は米国、欧州および日本において承認されています。エンタイビオ皮下注射製剤は、その利便性および患者アクセスの向上により、当該製品の使用拡大を牽引しています。また、当社は、さらなる国・地域での承認取得および適応症の拡大を通じて、本剤の可能性の最大化に取り組んでいます。2026年3月期におけるENTYVIOの売上収益は9,580億円となりました。・GATTEX/レベスティブ(テデュグルチド[DNA組換え型]):非経口(静脈栄養)サポートを必要とする短腸症候群(SBS)の治療薬です。成人用および小児用の効能を有するGATTEX/レベスティブが米国、欧州、日本において発売されました。2026年3月期におけるGATTEX/レベスティブの売上収益は1,457億円となりました。・タケキャブ/VOCINTI(ボノプラザンフマル酸塩):酸関連疾患の治療剤タケキャブは、2015年に日本で発売され、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制などの効能により飛躍的な成長を遂げました。タケキャブ(中国の製品名:VOCINTI)は、2019年に胃食道逆流症の治療剤として中国で承認されました。2026年3月期におけるタケキャブ/VOCINTIの売上収益は1,437億円となりました。・EOHILIA(ブデソニド経口懸濁液):EOHILIAは好酸球性食道炎(EoE)の治療薬で、コルチコステロイド薬です。FDAによる承認を受けた初めてかつ唯一の11歳以上のEoE患者さんへの12週間の投与を適応とする経口治療薬です。2024年2月に米国FDAによる承認取得後発売されました。2026年3月期におけるEOHILIAの売上収益は88億円となりました。希少疾患領域における主要製品は以下のとおりです。・タクザイロ(ラナデルマブ):タクザイロは、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作予防に用いられます。タクザイロは、HAEの患者さんにおいて慢性的に制御不能な酵素である血漿カリクレインに選択的に結合し、減少させる完全ヒト型モノクローナル抗体です。タクザイロは(12歳以上の患者さんへの適応として)2018年に米国と欧州にて、2020年に中国にて、2022年に日本にて承認され、さらなる地理的拡大を目指しています。2023年に、2歳以上の小児患者さんに対する治療薬として、FDAおよび欧州委員会の承認を取得しました。また、2025年2月に、12歳以上の遺伝性血管性浮腫患者さんへの皮下投与用のタクザイロの追加の選択肢である2mLのプレフィルドペンが欧州医薬品庁(EMA)および厚生労働省から承認されました。2026年3月期におけるタクザイロの売上収益は2,239億円となりました。・アドベイト(抗血友病因子(遺伝子組換え型)):アドベイトは、血友病A(血液凝固第Ⅷ因子欠乏)の治療薬であり、出血の制御と予防、周術期管理および出血の頻度を予防または軽減するために行う定期補充療法に使用されます。2026年3月期におけるアドベイトの売上収益は1,055億円となりました。・エラプレース(イデュルスルファーゼ):エラプレースは、ハンター症候群(ムコ多糖症II型またはMPS II)に対する酵素補充治療薬です。2026年3月期におけるエラプレースの売上収益は1,005億円となりました。・リプレガル(アガルシダーゼ アルファ):リプレガルは、ファブリー病に対して米国以外の市場で販売され、2020年に中国でも承認された酵素補充療法治療薬です。当社は、2022年2月に大日本住友製薬株式会社から「リプレガル」の日本における製造販売承認を承継し、同剤の販売の移管を受けました。ファブリー病は、脂肪の分解に関与するリソソーム酵素α-ガラクトシダーゼAの活性の欠如に起因する遺伝子性の希少疾患です。2026年3月期におけるリプレガルの売上収益は804億円となりました。・ビプリブ(ベラグルセラーゼアルファ点滴静注用):ビプリブはI型ゴーシェ病に対する長期酵素補充療法治療剤です。2026年3月期におけるビプリブの売上収益は572億円となりました。・アディノベイト/ADYNOVI(抗血友病因子(遺伝子組換え型) [PEG化]):アディノベイト/ADYNOVIは、血友病A治療薬であり、遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤です。アディノベイト/ADYNOVIは遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤アドベイトと同じ製造工程で作られ、当社がネクター社より独占的にライセンス取得しているPEG化(体内での循環時間を延長し、投与頻度を減らすための化学修飾処理)技術を追加したものです。2026年3月期におけるアディノベイト/ADYNOVIの売上収益は567億円となりました。・リブテンシティ (maribavir):リブテンシティは、成人患者さんと小児患者さん(12歳以上で体重35kg以上)に対する、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、またはシドフォビルに対して遺伝子型抵抗性(無しも含みます)を示す難治性の移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療薬であり、2021年12月に米国において発売され、2022年11月に欧州、2023年12月に中国において承認されました。リブテンシティは、高いアンメット・メディカル・ニーズによる順調な市場浸透、急速なエリア拡大、迅速なマーケットアクセスにより、上市後も好調な業績となりました。2026年3月期におけるリブテンシティの売上収益は469億円となりました。・アジンマ(遺伝子組換え ADAMTS13-krhn):アジンマは先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の成人および小児患者さんの予防的治療薬ならびに酵素補充療法であり、欠乏したADAMTS13酵素を補充することによりcTTP患者さんのアンメット・メディカル・ニーズに対応するFDAに承認された初めてかつ唯一の遺伝子組換えADAMTS13(rADAMTS13)です。 また、アジンマ(一般名: アパダムターゼ アルファ(遺伝子組換え)/シナキサダムターゼ アルファ(遺伝子組換え))が、日本においては12歳以上の患者さん、欧州(EMA市場)においてはすべての年齢層の患者さんを対象としたcTTP治療薬として承認されました。2026年3月期におけるアジンマの売上収益は120億円となりました。血漿分画製剤(PDT)領域における主要製品は以下のとおりです。・GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG(静注用人免疫グロブリン10%製剤):GAMMAGARD LIQUIDは、抗体補充療法用免疫グロブリン(以下、「IG」)の液体製剤です。GAMMAGARD LIQUIDは、原発性免疫不全症(PID)の成人および2歳以上の小児患者さんに対して使用され、静注または皮下注のいずれかの方法で投与します。また、GAMMAGARD LIQUIDは、成人の多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者さんに対しても静注投与にて使用されます。2024年1月に、米国において、GAMMAGARD LIQUIDが、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんの治療薬として承認されました。GAMMAGARD LIQUIDは、米国以外の多くの国で製品名KIOVIGとして販売されています。KIOVIGは、欧州において、CIDPを含む、複数の適応症への使用が承認されています。・ハイキュービア(ヒト免疫グロブリン注射製剤10%):ハイキュービアは、ヒト免疫グロブリン(IG)および遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ(Halozyme社よりライセンス取得)からなる製剤です。ハイキュービアは、PID患者さんに対して最長で1ヶ月に1回の投与で、1回あたりの注射部位一ヶ所でIGの全治療用量の投与が可能な唯一のIG皮下注用治療薬です。ハイキュービアは、米国では成人PID患者さんへの使用、欧州においてはPID症候群および骨髄腫患者さんまたは重度の続発性低ガンマグロブリン血症および回帰感染を伴う慢性リンパ性白血病患者さんへの使用、また日本においてはPID患者さんまたは無又は低ガンマグロブリン血症を伴う続発性免疫不全症の患者さんへの使用が承認されております。2024年1月に、ハイキュービアは、米国において、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんの再発予防の維持療法として、また、欧州においては、すべての年齢のCIDPの患者さんの維持療法として承認されました。• キュービトル(ヒト免疫グロブリン皮下注用20%製剤):キュービトルは、原発性体液性免疫不全症の成人および2歳以上の小児患者さんに対する補充療法に用いられます。キュービトルは、欧州では特定の続発性免疫不全の治療薬としても承認されています。キュービトルは、プロリン不含で、投与部位1ヶ所あたりの耐用量内で最大60 mL(12g)および1時間あたり60 mLまで投与可能な唯一の20%皮下IG治療薬であり、従来の皮下IG治療薬と比較してより少ない投与部位および短い投与時間での使用が可能です。2026年3月期におけるGAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤の売上収益は7,906億円となりました。・FLEXBUMIN(ヒトアルブミンバッグ製剤)およびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤):FLEXBUMINおよびヒトアルブミンは、濃度5%、20%および25%の液体製剤として販売されています。両製品とも、血液量減少症、一般的な原因および火傷による低アルブミン血症、ならびに心肺バイパス手術時のポンプのプライミングに使用されます。また、FLEXBUMIN 25%製剤は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびネフローゼに関連する低アルブミン血症、ならびに新生児溶血性疾患(HDN)にも適応されます。2026年3月期におけるFLEXBUMINおよびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤入り)を含むアルブミン製剤の売上収益は1,403億円となりました。オンコロジー領域における主要製品は以下のとおりです。・アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン):アドセトリスは、ホジキンリンパ腫(HL)および全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)の治療に使用される抗癌剤で、2020年5月には中国で承認され世界70カ国以上で販売承認を受けております。当社は、現在Pfizer Inc.の完全子会社であるSeagen, Inc.とアドセトリスを共同開発し、米国およびカナダ以外の国での販売権を保有しています。2026年3月期におけるアドセトリスの売上収益は1,402億円となりました。・リュープリン/ENANTONE(リュープロレリン):リュープリン/ENANTONEは、前立腺がんや乳がん、小児の中枢性思春期早発症、子宮内膜症や不妊治療、子宮筋腫による貧血の症状改善に用いられる治療薬です。リュープロレリンの特許期間は満了していますが、製造の観点から後発品の市場参入は限定的です。2026年3月期におけるリュープリン/ENANTONEの売上収益は1,208億円となりました。・ニンラーロ(イキサゾミブ):ニンラーロは、多発性骨髄腫(MM)治療に対する初めての経口プロテアソーム阻害剤です。ニンラーロは、再発又は難治性の多発性骨髄腫の効能で、2015年に米国で承認されて以来、2016年に欧州、2017年に日本、2018年に中国で承認されております。日本においては、多発性骨髄腫の維持療法の治療薬としても承認を受けております。2026年3月期におけるニンラーロの売上収益は821億円となりました。・アイクルシグ(ポナチニブ塩酸塩):BCR-ABLに作用するチロシンキナーゼ阻害薬であり、慢性骨髄性白血病(CML)とフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ ALL)の治療に適応となります。2016年に米国において全面的な承認を取得した後、2020年と2024年に米国において適用拡大の承認を取得しました。当社は米国とオーストラリアにおいて販売権を取得しております。米国とオーストラリア以外の地域では、認可を受けたパートナー5社により60を超える市場において販売されており、当社はこれらのパートナーから、供給、ロイヤリティおよびマイルストンの支払を受領しており、その水準はパートナーによって異なります。2026年3月期におけるアイクルシグの売上収益は750億円となりました。・FRUZAQLA(フルキンチニブ):フルオロピリミジン、オキサリプラチン、およびイリノテカンを含む化学療法、抗VEGF療法、および抗EGFR療法(RAS野生型で医学的に適切な場合)の治療歴があるmCRC成人患者さんに対する治療薬です。FRUZAQLAは、3種類のVEGF受容体キナーゼすべてに対して選択性を有する内服阻害薬として、米国、欧州、日本のほか、世界中の幾つもの国々で承認されております。当社は中国本土、香港、マカオ外でのフルキンチニブのグローバル開発、商業化および製造をさらに進めるための独占的ライセンスを有しています。フルキンチニブは中国ではHUTCHMED社により開発および販売されています。2026年3月期におけるFRUZAQLAの売上収益は551億円となりました。・アルンブリグ(ブリグチニブ):アルンブリグは、非小細胞肺がん(NSCLC)治療に使用される経口投与の低分子未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤であり、クリゾチニブ投与中に進行した、またはクリゾチニブに不耐性を示す患者さんに対する治療薬として、2017年に米国で迅速承認され、2018年にEUにおいて、クリゾチニブの治療歴を有する患者さん向けの販売承認を取得しました。2020年に米国とEUの両方において、新たにALK陽性転移性NSCLCと診断された患者さんに対する効能が追加されました。2021年1月に、日本において、ファーストラインおよびセカンドラインの治療薬として承認されました。また2022年3月に、アルンブリグは中国において承認されました。2026年3月期におけるアルンブリグの売上収益は369億円となりました。ニューロサイエンス領域における主要製品は以下のとおりです。・VYVANSE/ELVANSE(リスデキサンフェタミンメシル酸塩):VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)は、6歳以上の注意欠陥・多動性障害(ADHD)患者さんおよび成人の中程度から重度の過食性障害患者さんの治療に用いられる中枢神経刺激剤です。2023年以降、米国において後発品が市場に参入したことにより、売上は減少しました。2026年3月期におけるVYVANSE/ELVANSEの売上収益は2,032億円となりました。・トリンテリックス(ボルチオキセチン臭化水素酸塩):トリンテリックスは、成人大うつ病性障害の治療に適応される抗うつ薬です。トリンテリックスはH. Lundbeck A/S社と共同開発し、当社は米国および日本での販売権を保有しており、米国では2014年、また日本では2019年より販売しています。2026年3月期におけるトリンテリックスの売上収益は1,218億円となりました。ワクチン領域における主要製品は以下のとおりです。・QDENGA(4価デング熱ワクチン):QDENGAは4つのデングウイルス血清型すべての遺伝子的“バックボーン”となる、弱毒化した生のデング2型ウイルスを基盤に構築されています。QDENGAはテング熱流行国および渡航市場を含む40カ国以上で承認されています。2026年3月期における QDENGAの売上収益は408億円となりました。売上収益の地域別内訳は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 事業セグメントおよび売上収益」をご参照下さい。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 タケダの企業理念当社の企業理念は、当社が誰であるか、何を行うか、どのように行うか、なぜそれが重要なのかというタケダのストーリーを伝えています。私たちは、次の時代に踏み出すにあたり、より健康な世界の実現という世代を超えて受け継がれる約束を果たすべく、引き続き取り組んでまいります。私たちの存在意義は、世界中の人々の健康と輝かしい未来に貢献することにあります。このため私たちは、革新的な医薬品を創出し続けるというビジョンを追求しています。当社の従業員はこの存在意義のもとに結束し、245年にわたり当社の礎となってきた誠実、公正、正直、不屈の価値観に基づいて行動しています。そして、患者さん、株主、社会に対する長期的な価値を創造し、従業員、関わる地域コミュニティ、私たちが暮らす地球に対して良い影響を提供し続けることができるよう努めています。 事業環境グローバルなバイオ医薬品企業を取り巻く外部環境は引き続き複雑であり、地政学的分断の進行や国際的な政策の不確実性が続いています。また、継続する緊張関係や同盟関係の変化、貿易政策の変容により、国境を越えた事業運営や長期的な投資計画に対する不透明さが長引いています。こうした動向は、規制の枠組みやサプライチェーンの強靭性、さらにはグローバルな医療市場全体の安定性に対する影響を強めています。主要地域においては、薬価への圧力が引き続き大きな課題となっています。また、各国政府は予算配分を防衛分野にシフトさせており、景気減速やインフレーション、広範な財政圧力を背景に、公的医療費への制約が強まり、薬価への圧力がさらに高まっています。各国政府は患者さんの治療アクセスの拡大を目指しているものの、医療予算の制約は続いています。その結果、薬価や保険適用の条件がより厳格化され、市場導入に要する期間も世界的に長期化しています。米国では、薬価政策の変更が継続的に実施されていることにより、革新的な治療法に係る見通しの不透明性が高まり、今後の投資判断に影響を及ぼす可能性があります。欧州および日本においては、財政的な制約が構造的に存在しており、複数の治療領域における成長が抑えられています。一方で、科学および技術の進展のペースは一段と加速しています。プラットフォームサイエンス、データ分析、オートメーション化、人工知能といった分野の進歩は、新薬の創製・開発・提供の在り方を大きく変えつつあります。このような状況において、当社は、重点疾患領域に経営資源を集中し、製造・供給・品質に係る規律を一層高め、人を軸としながらも積極的にテクノロジーを活用する変革を推進し、科学的妥当性の確保と患者さんからの信頼維持に努めていきます。当社は、研究開発において着実な進展を遂げており、将来に向けて良好な基盤を築いています。重点疾患領域に注力した取り組みとデジタル技術の活用の拡大により、革新的な医薬品をより迅速かつ効率的に患者さんにお届けする体制を強化しています。外部環境の厳しさが増す中にあっても、患者さんを最優先に考え、責任をもって科学を前進させることは、今後も事業運営の根幹であり続けます。 私たちが描く将来ビジョン科学の急速な進展と医療を取り巻く国際的な事業環境の複雑化が進む中、当社の戦略は、革新的な新薬を連続的に上市していく取り組みを通じて、短期的に確かな成果を積み重ね、成長の加速に向けた基盤を整えるものです。2025年には、後期開発段階にあるoveporexton、rusfertideおよびザソシチニブの3つの主力パイプラインにおいて、臨床第3相試験で良好な結果を得ることができました。いずれも数十億米ドル規模の売上収益をもたらす可能性を有しています。これらの成果は、当社パイプラインの層の厚さと研究開発の質の高さを示すとともに、厳格な規制要件や製品の市場展開において求められる重要なマイルストンを達成する当社の実行力を示しています。当社は、事業成長を段階的に実現する考え方として、短期に変革を進めるHorizon1と、中長期の成長と患者さんへのさらなる貢献を加速するHorizon2という二つの時間軸を設定し、事業を展開していきます。Horizon1では、投資と全社的な変革により、競争力と成長の基盤を短期的に強化します。Horizon2では、複数の新薬の市場浸透と規模の拡大を通じて、中長期的な成長を加速し、より多くの患者さんにさらに貢献し、株主の皆様に長期的な価値を創出します。当社は、私たちの存在意義と価値観に基づき、二つのHorizonを通じて、革新的な医薬品を一日でも早く患者さんにお届けしていきます。Horizon1:成長に向けた変革Horizon1では、新薬の上市、後期開発段階にある強固なパイプラインの推進、およびオペレーションの変革に取り組みます。本年1月以降、CEO交代計画の最終段階として、当社は組織体制および業務運営の見直しを進めてきました。次期CEOのジュリー・キムは、新たな経営体制を構築し、患者さんや顧客により近いところでの事業意思決定を可能にする組織の再設計を行いました。この新しい組織体制のもと、業務の標準化・簡素化を進めながら先進技術の導入を加速し、当社の価値観をゆるぎない軸として維持しながらも、スピードと成果に対するこだわりを追求していきます。主要な研究開発活動の内容および進捗の詳細については、「6 研究開発活動」をご参照ください。Horizon 1では、今後12カ月の間に予定している複数の新薬の上市を確実に遂行するため、必要な経営資源の確保を進めます。また、この期間では、5つの後期開発品をはじめとする、重点疾患領域(消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、オンコロジー)におけるパイプラインの開発を進めながら、一方で、厳しい市場環境下においても、ENTYVIOやGAMMAGARD LIQUID/KIOVIGなどの製品が競争力を維持できるよう取り組んでいきます。Horizon 1の中核を成すのは、コスト規律の徹底と戦略的な投資の両立です。その一環として、当社は2028年度までに年換算で2,000億円以上の費用を節減し、その成果を新薬の上市、パイプラインの強化およびテクノロジーへの投資に充当していきます。こうした取り組みを通じて、財務の健全性を維持しながら、さらなる成長に向けた基盤を強化していきます。この間、調整後フリー・キャッシュ・フロー(注)を潤沢に創出し続けることが、成長に向けた投資と株主還元を両立させるための礎となります。(注)定義については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。Horizon2:成長の加速Horizon1で規律ある投資を進めながら新薬上市を成功させることで、Horizon 2でタケダの次なる成長期を切り拓く牽引役が、成熟化が進む既存ポートフォリオから新たな主力製品群へ移行していきます。この新たな製品群には、oveporexton、rusfertide、ザソシチニブに加え、現在の後期開発パイプラインからさらなる新薬が順次加わることを見込んでいます。これら新主力製品群の収益貢献に加え、事業運営のさらなる効率化を継続的に推進することで、既存ポートフォリオの成熟化を乗り越える持続的な成長を実現していきます。当社は、次世代の科学とテクノロジーを駆使しながら、医薬品とそれによって実現される治療の成果において、可能性そのものを再定義することに挑んでいきます。この挑戦こそが、患者さんの生活と社会にもたらす価値を最大化することにつながると信じているからです。変革の原動力となるテクノロジーこの新たな時代において、テクノロジーはそれ自体が目的ではなく、当社の変革を実現するための中核を成すものです。テクノロジーは、私たちが価値を創出・開発し、提供していく取り組みと不可分に結びつき、探求心や創造力、チームが持つ集合知を一層引き出す力となっています。人工知能、デジタルプラットフォームおよび高度なデータ分析は、現在、バリューチェーンのあらゆる段階に組み込まれています。これらのテクノロジーは、意思決定や業務遂行のスピードを高め、その質を向上させるとともに、部門間の壁を取り払い、迅速な学習、部門横断的な機動性の向上および業務運営の最適化を重視する文化を育んでいます。当社において、テクノロジーは単なるツールにとどまらず、協働しながら可能性を広げる存在となっています。高度なプラットフォームとデータに基づく知見を従業員が活用することで、患者さんの差し迫ったニーズへの対応、意義ある価値の創出、成長の推進、そしてあらゆるステークホルダーとの持続的な信頼関係の構築といった、最も重要な課題に注力できる環境を整えています。 コラボレーションと成果が切り拓く未来医療における意義ある前進は、パートナーシップによってもたらされるものと考えています。私たちの目指す未来は、社内にとどまらず、バイオ医薬品業界全体、さらには科学コミュニティ、規制当局、患者さんコミュニティとの幅広い連携に根ざしています。官民のパートナーシップ、グローバルな連携、地域社会との対話を通じて、日々多様な声を積極的に取り入れ、解決策を共に創り上げています。こうしたパートナーシップへのコミットメントは、次のイノベーションの創出の在り方にも表れます。オープンサイエンスや共有プラットフォームの活用、また、様々な関係者との連携は、今後ますます複雑化する医療課題に向き合う上で重要な役割を果たします。分野や地域を越えて協働することで、医療へのアクセスを拡大し、公平な治療成果の実現を後押しし、私たちの取り組みがもたらす価値を将来にわたり一層広げていきます。 財務展望強固な財務基盤と明確な戦略フレームワークのもと、当社は持続的な成長と長期的な価値創造を財務面から支える取り組みを進めています。短中期的(Horizon 1)には、成熟化が進む既存ポートフォリオの安定性と競争力を基盤としつつ、oveporexton、rusfertide、ザソシチニブなどの有望な新製品について、薬事承認および上市にむけた重要なマイルストンの達成に注力するとともに、後期開発段階にあるパイプライン全体の開発を着実に推進していきます。収益性を維持するため、組織体制の最適化を進めるとともに、データおよびテクノロジーを活用し、意思決定と業務運営双方の効率性を改善していきます。こうした取り組みに加え、事業構造再編費用を含むその他の営業費用の削減と、有利子負債の返済を通じた金融費用の削減により、まずは、配当の持続性を確保する、ROE5%を上回る水準の財務上当期利益を達成することを目標とします。当社の事業は強い現金創出力を持ちますが、資本配分の規律を維持し、資本効率を持続的に向上させていきます。成長に向けた継続的な投資を行いながらも潤沢な調整後フリー・キャッシュ・フロー(注)を確保し、さらなる有利子負債の削減を進めるとともに、累進配当を維持していきます。長期的(Horizon 2)には、成熟化が進む既存ポートフォリオに代わり、新製品の収益貢献が当社の成長加速の牽引役になるものと考えています。費用管理の規律を維持しながら売上高を伸ばすことが、30%台前半から半ばのCore営業利益率(注)に向けた、収益性改善のドライバーとなっていきます。また、調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率(注)は2倍を目標水準とし、持続的な成長に向けたさらなる投資を可能にする強固な財務基盤を構築していきます。当社は、これらの取り組みを通じて業績を持続的に改善し、その取り組みの積み重ねにより、企業価値の向上および競争力ある株主総利回りを実現していきます。 (注)定義については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。 [主要製品一覧]消化器系疾患領域における主要製品は以下のとおりです。・ENTYVIO(ベドリズマブ):ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎・クローン病に対する治療剤です。ENTYVIOは、2014年に米国および欧州において発売以来、売上が伸長しており、2026年3月期の当社グループの売上トップ製品でした。現在、ENTYVIOは世界70カ国以上で承認され、エンタイビオ皮下注射製剤は米国、欧州および日本において承認されています。エンタイビオ皮下注射製剤は、その利便性および患者アクセスの向上により、当該製品の使用拡大を牽引しています。また、当社は、さらなる国・地域での承認取得および適応症の拡大を通じて、本剤の可能性の最大化に取り組んでいます。2026年3月期におけるENTYVIOの売上収益は9,580億円となりました。・GATTEX/レベスティブ(テデュグルチド[DNA組換え型]):非経口(静脈栄養)サポートを必要とする短腸症候群(SBS)の治療薬です。成人用および小児用の効能を有するGATTEX/レベスティブが米国、欧州、日本において発売されました。2026年3月期におけるGATTEX/レベスティブの売上収益は1,457億円となりました。・タケキャブ/VOCINTI(ボノプラザンフマル酸塩):酸関連疾患の治療剤タケキャブは、2015年に日本で発売され、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制などの効能により飛躍的な成長を遂げました。タケキャブ(中国の製品名:VOCINTI)は、2019年に胃食道逆流症の治療剤として中国で承認されました。2026年3月期におけるタケキャブ/VOCINTIの売上収益は1,437億円となりました。・EOHILIA(ブデソニド経口懸濁液):EOHILIAは好酸球性食道炎(EoE)の治療薬で、コルチコステロイド薬です。FDAによる承認を受けた初めてかつ唯一の11歳以上のEoE患者さんへの12週間の投与を適応とする経口治療薬です。2024年2月に米国FDAによる承認取得後発売されました。2026年3月期におけるEOHILIAの売上収益は88億円となりました。希少疾患領域における主要製品は以下のとおりです。・タクザイロ(ラナデルマブ):タクザイロは、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作予防に用いられます。タクザイロは、HAEの患者さんにおいて慢性的に制御不能な酵素である血漿カリクレインに選択的に結合し、減少させる完全ヒト型モノクローナル抗体です。タクザイロは(12歳以上の患者さんへの適応として)2018年に米国と欧州にて、2020年に中国にて、2022年に日本にて承認され、さらなる地理的拡大を目指しています。2023年に、2歳以上の小児患者さんに対する治療薬として、FDAおよび欧州委員会の承認を取得しました。また、2025年2月に、12歳以上の遺伝性血管性浮腫患者さんへの皮下投与用のタクザイロの追加の選択肢である2mLのプレフィルドペンが欧州医薬品庁(EMA)および厚生労働省から承認されました。2026年3月期におけるタクザイロの売上収益は2,239億円となりました。・アドベイト(抗血友病因子(遺伝子組換え型)):アドベイトは、血友病A(血液凝固第Ⅷ因子欠乏)の治療薬であり、出血の制御と予防、周術期管理および出血の頻度を予防または軽減するために行う定期補充療法に使用されます。2026年3月期におけるアドベイトの売上収益は1,055億円となりました。・エラプレース(イデュルスルファーゼ):エラプレースは、ハンター症候群(ムコ多糖症II型またはMPS II)に対する酵素補充治療薬です。2026年3月期におけるエラプレースの売上収益は1,005億円となりました。・リプレガル(アガルシダーゼ アルファ):リプレガルは、ファブリー病に対して米国以外の市場で販売され、2020年に中国でも承認された酵素補充療法治療薬です。当社は、2022年2月に大日本住友製薬株式会社から「リプレガル」の日本における製造販売承認を承継し、同剤の販売の移管を受けました。ファブリー病は、脂肪の分解に関与するリソソーム酵素α-ガラクトシダーゼAの活性の欠如に起因する遺伝子性の希少疾患です。2026年3月期におけるリプレガルの売上収益は804億円となりました。・ビプリブ(ベラグルセラーゼアルファ点滴静注用):ビプリブはI型ゴーシェ病に対する長期酵素補充療法治療剤です。2026年3月期におけるビプリブの売上収益は572億円となりました。・アディノベイト/ADYNOVI(抗血友病因子(遺伝子組換え型) [PEG化]):アディノベイト/ADYNOVIは、血友病A治療薬であり、遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤です。アディノベイト/ADYNOVIは遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤アドベイトと同じ製造工程で作られ、当社がネクター社より独占的にライセンス取得しているPEG化(体内での循環時間を延長し、投与頻度を減らすための化学修飾処理)技術を追加したものです。2026年3月期におけるアディノベイト/ADYNOVIの売上収益は567億円となりました。・リブテンシティ (maribavir):リブテンシティは、成人患者さんと小児患者さん(12歳以上で体重35kg以上)に対する、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、またはシドフォビルに対して遺伝子型抵抗性(無しも含みます)を示す難治性の移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療薬であり、2021年12月に米国において発売され、2022年11月に欧州、2023年12月に中国において承認されました。リブテンシティは、高いアンメット・メディカル・ニーズによる順調な市場浸透、急速なエリア拡大、迅速なマーケットアクセスにより、上市後も好調な業績となりました。2026年3月期におけるリブテンシティの売上収益は469億円となりました。・アジンマ(遺伝子組換え ADAMTS13-krhn):アジンマは先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の成人および小児患者さんの予防的治療薬ならびに酵素補充療法であり、欠乏したADAMTS13酵素を補充することによりcTTP患者さんのアンメット・メディカル・ニーズに対応するFDAに承認された初めてかつ唯一の遺伝子組換えADAMTS13(rADAMTS13)です。 また、アジンマ(一般名: アパダムターゼ アルファ(遺伝子組換え)/シナキサダムターゼ アルファ(遺伝子組換え))が、日本においては12歳以上の患者さん、欧州(EMA市場)においてはすべての年齢層の患者さんを対象としたcTTP治療薬として承認されました。2026年3月期におけるアジンマの売上収益は120億円となりました。血漿分画製剤(PDT)領域における主要製品は以下のとおりです。・GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG(静注用人免疫グロブリン10%製剤):GAMMAGARD LIQUIDは、抗体補充療法用免疫グロブリン(以下、「IG」)の液体製剤です。GAMMAGARD LIQUIDは、原発性免疫不全症(PID)の成人および2歳以上の小児患者さんに対して使用され、静注または皮下注のいずれかの方法で投与します。また、GAMMAGARD LIQUIDは、成人の多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者さんに対しても静注投与にて使用されます。2024年1月に、米国において、GAMMAGARD LIQUIDが、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんの治療薬として承認されました。GAMMAGARD LIQUIDは、米国以外の多くの国で製品名KIOVIGとして販売されています。KIOVIGは、欧州において、CIDPを含む、複数の適応症への使用が承認されています。・ハイキュービア(ヒト免疫グロブリン注射製剤10%):ハイキュービアは、ヒト免疫グロブリン(IG)および遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ(Halozyme社よりライセンス取得)からなる製剤です。ハイキュービアは、PID患者さんに対して最長で1ヶ月に1回の投与で、1回あたりの注射部位一ヶ所でIGの全治療用量の投与が可能な唯一のIG皮下注用治療薬です。ハイキュービアは、米国では成人PID患者さんへの使用、欧州においてはPID症候群および骨髄腫患者さんまたは重度の続発性低ガンマグロブリン血症および回帰感染を伴う慢性リンパ性白血病患者さんへの使用、また日本においてはPID患者さんまたは無又は低ガンマグロブリン血症を伴う続発性免疫不全症の患者さんへの使用が承認されております。2024年1月に、ハイキュービアは、米国において、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんの再発予防の維持療法として、また、欧州においては、すべての年齢のCIDPの患者さんの維持療法として承認されました。• キュービトル(ヒト免疫グロブリン皮下注用20%製剤):キュービトルは、原発性体液性免疫不全症の成人および2歳以上の小児患者さんに対する補充療法に用いられます。キュービトルは、欧州では特定の続発性免疫不全の治療薬としても承認されています。キュービトルは、プロリン不含で、投与部位1ヶ所あたりの耐用量内で最大60 mL(12g)および1時間あたり60 mLまで投与可能な唯一の20%皮下IG治療薬であり、従来の皮下IG治療薬と比較してより少ない投与部位および短い投与時間での使用が可能です。2026年3月期におけるGAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤の売上収益は7,906億円となりました。・FLEXBUMIN(ヒトアルブミンバッグ製剤)およびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤):FLEXBUMINおよびヒトアルブミンは、濃度5%、20%および25%の液体製剤として販売されています。両製品とも、血液量減少症、一般的な原因および火傷による低アルブミン血症、ならびに心肺バイパス手術時のポンプのプライミングに使用されます。また、FLEXBUMIN 25%製剤は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびネフローゼに関連する低アルブミン血症、ならびに新生児溶血性疾患(HDN)にも適応されます。2026年3月期におけるFLEXBUMINおよびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤入り)を含むアルブミン製剤の売上収益は1,403億円となりました。オンコロジー領域における主要製品は以下のとおりです。・アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン):アドセトリスは、ホジキンリンパ腫(HL)および全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)の治療に使用される抗癌剤で、2020年5月には中国で承認され世界70カ国以上で販売承認を受けております。当社は、現在Pfizer Inc.の完全子会社であるSeagen, Inc.とアドセトリスを共同開発し、米国およびカナダ以外の国での販売権を保有しています。2026年3月期におけるアドセトリスの売上収益は1,402億円となりました。・リュープリン/ENANTONE(リュープロレリン):リュープリン/ENANTONEは、前立腺がんや乳がん、小児の中枢性思春期早発症、子宮内膜症や不妊治療、子宮筋腫による貧血の症状改善に用いられる治療薬です。リュープロレリンの特許期間は満了していますが、製造の観点から後発品の市場参入は限定的です。2026年3月期におけるリュープリン/ENANTONEの売上収益は1,208億円となりました。・ニンラーロ(イキサゾミブ):ニンラーロは、多発性骨髄腫(MM)治療に対する初めての経口プロテアソーム阻害剤です。ニンラーロは、再発又は難治性の多発性骨髄腫の効能で、2015年に米国で承認されて以来、2016年に欧州、2017年に日本、2018年に中国で承認されております。日本においては、多発性骨髄腫の維持療法の治療薬としても承認を受けております。2026年3月期におけるニンラーロの売上収益は821億円となりました。・アイクルシグ(ポナチニブ塩酸塩):BCR-ABLに作用するチロシンキナーゼ阻害薬であり、慢性骨髄性白血病(CML)とフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ ALL)の治療に適応となります。2016年に米国において全面的な承認を取得した後、2020年と2024年に米国において適用拡大の承認を取得しました。当社は米国とオーストラリアにおいて販売権を取得しております。米国とオーストラリア以外の地域では、認可を受けたパートナー5社により60を超える市場において販売されており、当社はこれらのパートナーから、供給、ロイヤリティおよびマイルストンの支払を受領しており、その水準はパートナーによって異なります。2026年3月期におけるアイクルシグの売上収益は750億円となりました。・FRUZAQLA(フルキンチニブ):フルオロピリミジン、オキサリプラチン、およびイリノテカンを含む化学療法、抗VEGF療法、および抗EGFR療法(RAS野生型で医学的に適切な場合)の治療歴があるmCRC成人患者さんに対する治療薬です。FRUZAQLAは、3種類のVEGF受容体キナーゼすべてに対して選択性を有する内服阻害薬として、米国、欧州、日本のほか、世界中の幾つもの国々で承認されております。当社は中国本土、香港、マカオ外でのフルキンチニブのグローバル開発、商業化および製造をさらに進めるための独占的ライセンスを有しています。フルキンチニブは中国ではHUTCHMED社により開発および販売されています。2026年3月期におけるFRUZAQLAの売上収益は551億円となりました。・アルンブリグ(ブリグチニブ):アルンブリグは、非小細胞肺がん(NSCLC)治療に使用される経口投与の低分子未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤であり、クリゾチニブ投与中に進行した、またはクリゾチニブに不耐性を示す患者さんに対する治療薬として、2017年に米国で迅速承認され、2018年にEUにおいて、クリゾチニブの治療歴を有する患者さん向けの販売承認を取得しました。2020年に米国とEUの両方において、新たにALK陽性転移性NSCLCと診断された患者さんに対する効能が追加されました。2021年1月に、日本において、ファーストラインおよびセカンドラインの治療薬として承認されました。また2022年3月に、アルンブリグは中国において承認されました。2026年3月期におけるアルンブリグの売上収益は369億円となりました。ニューロサイエンス領域における主要製品は以下のとおりです。・VYVANSE/ELVANSE(リスデキサンフェタミンメシル酸塩):VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)は、6歳以上の注意欠陥・多動性障害(ADHD)患者さんおよび成人の中程度から重度の過食性障害患者さんの治療に用いられる中枢神経刺激剤です。2023年以降、米国において後発品が市場に参入したことにより、売上は減少しました。2026年3月期におけるVYVANSE/ELVANSEの売上収益は2,032億円となりました。・トリンテリックス(ボルチオキセチン臭化水素酸塩):トリンテリックスは、成人大うつ病性障害の治療に適応される抗うつ薬です。トリンテリックスはH. Lundbeck A/S社と共同開発し、当社は米国および日本での販売権を保有しており、米国では2014年、また日本では2019年より販売しています。2026年3月期におけるトリンテリックスの売上収益は1,218億円となりました。ワクチン領域における主要製品は以下のとおりです。・QDENGA(4価デング熱ワクチン):QDENGAは4つのデングウイルス血清型すべての遺伝子的“バックボーン”となる、弱毒化した生のデング2型ウイルスを基盤に構築されています。QDENGAはテング熱流行国および渡航市場を含む40カ国以上で承認されています。2026年3月期における QDENGAの売上収益は408億円となりました。売上収益の地域別内訳は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 事業セグメントおよび売上収益」をご参照下さい。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。 売上収益4兆5,057億円[前年度比758億円(1.7%) 減] 研究開発費6,759億円[ 〃543億円(7.4%) 減] 営業利益62億円[ 〃3,364億円(98.2%) 減] 税引前当期損失△1,424億円[ 〃3,174億円(-) 減] 当期損失△1,521億円[ 〃2,603億円(-) 減] 基本的1株当たり損失△96円75銭[ 〃165円11銭(-) 減] 資産合計15兆5,115億円[前年度末比1兆2,632億円(8.9%) 増] 負債合計8兆809億円[ 〃7,685億円(10.5%) 増] 資本合計7兆4,306億円[ 〃4,947億円(7.1%) 増] なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を省略しております。 ② キャッシュ・フローの状況「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照下さい。 ③ 生産、受注及び販売の状況 (a) 生産実績当年度における生産実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬品事業2,686,98219.5合計2,686,98219.5 (注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。 2 生産実績金額は、販売価格によっております。 (b) 受注状況当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しており、一部の受注生産における受注高および受注残高の金額に重要性はありません。 (c) 販売実績当年度における販売実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬品事業 4,505,720 △1.7 (国内)(433,110)(3.5) (海外)( 4,072,610)(△2.2)連結損益計算書計上額(うちライセンス供与による収益・役務収益) 4,505,720 △1.7 ( 82,609)( △3.5) (注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。 2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。 3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。 相手先前年度当年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)マッケソン・コーポレーションおよびそのグループ会社592,32312.9539,89012.0センコラ Inc.(旧称:アメリソースバーゲン・コーポレーション)およびそのグループ会社577,01712.6470,29510.4 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 当年度の経営成績の分析 (a) 当社グループの経営成績に影響を与える事項事業の概況当社グループは、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業として、消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、およびオンコロジーの重点疾患領域において、革新的な医薬品を創出し続けることを追求するとともに、血漿分画製剤およびワクチンをお届けすることにも注力しています。当社グループはパートナーとともに、強固なパイプラインを通じて、患者さんの治療体験の向上を図り、希少疾患および有病率がより高い疾患のいずれにおいても治療パラダイムの変革に取り組んでいます。また、バリューチェーン全体にわたり先進技術や人工知能(AI)の統合を進めることで、事業運営の有効性と効率性を高め、イノベーションを促進し、ステークホルダーへの提供価値の向上につなげています。当社グループは、約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点を有するとともに、日本および米国に主要な研究拠点を有しています。販売においては、米国、日本および欧州において非常に高いプレゼンスを有しており、中国においても成長している事業を展開しています。当社グループの従業員は、私たちの存在意義のもとに結束し、2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に根ざして行動しています。当社グループの事業は単一セグメントであり、資源配分、業績評価、および将来業績の予測においてマネジメントの財務情報に対する視点と整合しております。2026年3月期における売上収益および営業利益はそれぞれ4兆5,057億円および62億円であります。 当社グループの経営成績に影響を与える事項当社グループの経営成績は、グローバルな業界トレンドや事業環境における以下の事項に影響を受けます。 特許保護と後発品との競争医薬品は特に、特許保護や規制上の独占権によって市場競争が規制されることにより、当社グループの業績に貢献する場合があります。代替治療の利用が容易でない新製品は当社グループの売上の増加に貢献します。ただし、保護されている製品についても、効能、副作用や価格面で他社との競争が存在します。一方で、特許保護もしくは規制上の独占権の喪失や満了により、後発品が市場に参入するため、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼすことがあります。当社グループの主要製品の一部は、特許やその他の知的財産権保護の満了により、厳しい競争に晒されており、あるいは晒されると予想しています。以下は、過去2年間において、後発品またはバイオシミラーが発売された当社の一部の主要製品の業績を示しています。(「CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベース」の増減は、IFRSに準拠した指標ではありません。詳細については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。)(単位:億円、%以外) 売上収益 増減額 CERベース増減率前年度当年度VYVANSE/ELVANSE3,5062,032△1,474△43%アジルバ11871△47△39.5% 後発品の浸透の影響により、2023年8月に米国において物質特許が満了したVYVANSE/ELVANSEおよび2023年2月に日本において後発品が医薬品医療機器総合機構(PMDA)により承認されたアジルバ(競合品の薬価収載は2023年6月に承認)について、関連する国・地域において、両製品の売上収益が減少しました。VYVANSE/ELVANSEの売上収益は2025年3月期の3,506億円から2026年3月期には2,032億円に減少し、アジルバの売上収益は2025年3月期の118億円から2026年3月期には71億円に減少しました。2027年3月期においても、両製品ともに減少傾向が続くと見込んでいます。さらに、2026年3月期に1,218億円の売上収益を計上しているトリンテリックスについても、2026年12月に一定の独占期間が満了することに伴い、後発医薬品との競争に直面することが見込まれています。なお、後発品を販売する他社が特許権の有効性に対する申し立てに成功する場合、もしくは想定される特許侵害訴訟に係る費用以上のベネフィットを前提として参入することを決定する場合があります。また、当社グループの特許権の有効性、あるいは製品保護に対する申し立てが提起された場合には、関連する無形資産の減損損失を認識する可能性があります。 新製品の開発・商業化および既存製品の拡大当社は特に売上収益を伸長し、独占権喪失の影響を相殺することを目指しており、当社の事業において、新規のバイオ医薬品の開発・商業化のほか、既存製品の適応拡大および(または)地理的市場拡大による既存製品の拡大は重要な取組みです。これらの目標達成までのプロセスは長期にわたり多額の費用を伴い、多額の研究開発費が発生します。これらは当社の連結損益計算書上営業費用として計上しています。当社の研究開発の取組みに関する詳細については、本報告書の「6.研究開発活動」、製品に関連する研究開発費(償却および減損を含む)および無形資産の会計方針については、本報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」をご参照ください。2026年3月期において、当社は、当社のポートフォリオのうち一部の製品を「成長製品・新製品(注)」として特定し、当社の経営陣はこれらの製品を将来の主要な成長ドライバーとしてモニタリングしておりました。これらの成長製品・新製品は、2026年3月期において、当社の連結売上収益の51%を占める2兆3,133億円でありました。2026年3月期の内訳としては、ENTYVIOは9,580億円(当社の連結売上収益の21%)、当社の免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトル)は7,906億円(当社の連結売上収益の18%)、アルブミン製剤は1,403億円(当社の連結売上収益の3%)、タクザイロは2,239億円(当社の連結売上収益の5%)となりました。2027年3月期より、当社は、「成長製品・新製品」の区分を廃止し、発売後5年以内の製品から構成される「新製品(New Launches)」および、発売後6年以上が経過し、年間売上収益が1,000億円以上であり、かつ引き続き積極的に販売活動を行っている製品から構成される「コア製品(Core In-line Brands)」という区分を新たに設定しております。ライフサイクルの初期段階にある新製品は、連結売上収益への貢献は限定的である場合がありますが、当社の経営者はこれらの製品を将来の主要な成長ドライバーとしてモニターしており、これらの製品に関する情報は、当社が今後成長を見込んでいる領域を投資家に理解していただくにあたり有用であると考えています。当グループを構成する製品は随時変更され、臨床試験の結果や規制当局の認可取得等により、製品を追加または除外する場合があります。2027年3月期の期首時点において、新製品(New Launches)はEOHILIA、リブテンシティ、アジンマ、FRUZAQLAおよびQDENGAから構成され、コア製品(Core In-line Brands)はENTYVIO、GATTEX/レベスティブ、タケキャブ/VOCINTI、タクザイロ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN/FLEXBUMINを含む)およびアドセトリスから構成されています。2026年3月期において、当期に達成した良好な臨床第3相試験結果に基づき、oveporextonおよびrusfertideについてFDAへの承認申請を行い、これらの申請はFDAに受理され、両資産について優先審査(Priority Review)が付与されました。さらに、zasocitinibについては良好な臨床第3相試験結果が得られており、近い将来にFDAへの承認申請を行うことを見込んでいます。これらの資産について上記が成功した場合には、2026年から2027年にかけて上市され、当社が開示する製品区分において新製品(New Launches)として位置づけられる可能性があります。(注)本報告書日現在において、2026年3月期の成長製品・新製品は、以下のとおりです。ENTYVIO、EOHILIA、タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含む)、FRUZAQLA、アルンブリグおよびQDENGA 買収当社グループは、研究開発能力を拡大し(新たな手法に展開することを含みます。)、新しい製品(開発パイプラインや上市済み製品)やその他の戦略的領域を獲得するために、新たな事業または資産を買収する可能性があります。同様に、当社グループの主な成長ドライバーに注力するため、また当社グループのポートフォリオを維持するために、事業や製品ラインを売却しております。これらの買収は企業結合または資産の取得として会計処理されております。企業結合の場合、取得した資産および引き受けた負債は公正価値で計上されております。当社グループの業績は、通常、棚卸資産の公正価値の増加や、取得した有形固定資産および無形資産の償却費により影響を受けます。また、資産の取得の場合、取得した資産は取引価格で計上されております。企業結合または資産の取得の対価が追加的な借入金で賄われている場合、支払利息の増加も当社グループの業績に影響を与えます。2025年3月期および2026年3月期、ならびに本報告書提出日までにおいて、重要な事業または資産の買収はありません。なお、共同研究、ライセンス契約およびその他の資産取得については、本報告書の「6 研究開発活動 ライセンスおよび共同研究開発契約」ならびに「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 13 共同研究開発契約、ライセンス契約、その他の資産取得等」をご参照ください。 事業売却買収に加え、当社グループは、主要な成長ドライバーに注力し、また長期借入金を速やかに返済するための追加キャッシュ・フローを創出するため、事業や製品ラインを売却しております。以下は、2025年3月期において実施または発表された重要な事業売却になります。なお、2026年3月期、ならびに2026年4月1日から本報告書提出日までの期間において、重要な事業売却はありません。当社グループは、2025年3月期にTeva Pharmaceutical Industries Ltd.(「テバ社」)と日本国内において展開するジェネリック医薬品および長期収載品を中心とした合弁事業について、これを解消する方向でテバ社と協議することを決定しました。これに伴い、武田テバファーマ株式会社の全株式である関連会社株式を売却目的で保有する資産に分類し、2025年3月期において189億円の減損損失を計上しました。2025年3月に当該譲渡が完了したことによる売却収入は508億円の受取配当金を含む565億円であり、2025年3月期の連結キャッシュ・フロー計算書に計上された関連会社株式の売却による収入577億円の大部分を構成しています。また、過去の取引で発生した未実現利益が譲渡完了時に実現したことにより17億円と38億円をそれぞれ売上収益とその他の営業収益に計上しました。 原材料の調達による影響重要な原材料を社内外から調達することができない場合に、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ヒト血漿は当社グループの血漿分画製剤において重要な原材料であります。血漿をより多く収集するため、調達および外部との契約を強化し、原料血漿の収集や血漿分画に関連する施設への委託、および規制当局から承認を受けることに成功するための取り組みを行っております。 外国為替変動2025年3月期および2026年3月期において、当社グループでは日本以外の売上がそれぞれ90.9%、90.4%を占めております。当社グループの業績は、特に当社の表示通貨である日本円に対する米ドルおよびユーロの外国為替レートの変動に影響を受けます。円安は日本円以外の通貨による収益の増加要因となり当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の増加により相殺される可能性があります。とりわけ、2025年3月期および2026年3月期において、他の通貨に対する円安により、当社の売上収益はプラスの影響を受けました。反対に、円高は日本円以外の通貨による収益減少要因となり当社グループの業績に悪影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の減少により相殺される可能性があります。前年度からの為替レートの変動が当社グループの業績に与える影響を投資家がより良く理解できるよう、当社グループは、補足的にCER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減を「CER」の表記で示しています。IFRSに準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減は「AER」の表記で示しています。CERベースの増減率に基づく対前年度の業績比較分析については、下記の「(c) 当年度における業績の概要」及び「(d) 当年度におけるCore業績の概要」をご参照ください。また、「CERベースの増減」は、国際会計基準(IFRS)に準拠した指標ではありません。詳細については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。なお、為替変動リスクを低減するため、当社グループは重要な一部の外貨建取引について、特定のヘッジ手段を利用しております。これには、主に個別に重要な外貨建取引に対する先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプションが含まれます。 季節的要因当社グループの売上収益は、2025年3月期および2026年3月期において第4四半期に減少しています。これは、年末年始休暇および価格引き上げを控え、各国・地域において卸売業者が発注を増加させること、および暦年の年初の米国における保険の年間免責額の改定等によるものです。 (b) 重要な会計方針当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成されております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産および負債の金額、決算日現在の偶発資産および偶発負債の開示、ならびに報告期間における収益および費用の金額に影響を及ぼす見積りおよび仮定の設定を行うことが求められております。見積りおよび仮定は、継続的に見直されます。経営者は、過去の経験、ならびに見積りおよび仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき当該見積りおよび仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積りおよび仮定とは異なる場合があります。経営者の見積りおよび仮定に影響を受ける重要な会計方針は以下のとおりであります。なお、見積りおよび仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。 収益認識「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針 (5) 収益」をご参照ください。 のれんおよび無形資産の減損当社グループは、のれんおよび無形資産について、資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象または状況の変化がある場合には、減損テストを行っております。のれんおよび償却開始前の無形資産については、年次および減損の兆候を捕捉した時点で減損テストを実施しております。2026年3月31日時点において、当社グループはのれんおよび無形資産をそれぞれ5兆8,090億円および3兆4,193億円計上しており、これは総資産の59.5%を占めております。上市後製品に係る無形資産は特許が存続する見込期間または見込まれる経済的便益に応じた他の指標に基づき、3年から20年の耐用年数を用いて定額法で償却しております。仕掛研究開発品に係る無形資産は、特定の市場における商用化が規制当局により承認されるまで償却をしておりません。商用化が承認された時点で、当該資産の見積耐用年数を確定し、償却を開始しております。のれんおよび無形資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損していると判断されます。無形資産にかかる回収可能価額は個別資産、またはその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。のれんの減損テストは単一の事業セグメント単位(単一の資金生成単位)で実施しており、これはのれんを内部管理目的で監視している単位を表しています。回収可能価額の見積りには以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。·将来キャッシュ・フローの金額および時期·競合他社の動向(競合製品の販売開始、マーケティングイニシアチブ等)·規制当局からの承認の取得可能性·将来の税率·永続成長率·割引率将来キャッシュ・フローの金額および時期を見積るための重要な仮定には、研究開発プロジェクトの成功見込みおよび製品に係る売上予測があります。特にのれんにかかる回収可能価額の見積りにおいては、米国における特定の製品に係る売上予測が重要な仮定となります。これらの仮定に影響を与える事象としては、開発の中止、大幅な上市の遅延、規制当局の承認が得られないことによる研究開発プロジェクトの失敗、もしくは一般的には新たな競合製品の販売開始や供給不足による、一部の上市後製品にかかる売上予測の低下があげられます。これらの事象が発生した場合、プロジェクト獲得以降に実施した当初もしくは事後の研究開発投資額が回収できない、もしくは見積った将来キャッシュ・フローが回収できない可能性があります。これらの仮定に変更が生じた場合は、当該連結会計年度において減損損失および、のれんを除き、減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれん および 12 無形資産」をご参照ください。 訴訟に係る偶発事象当社グループは、通常の営業活動において主に製造物責任訴訟および賠償責任訴訟に関与しております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 31 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。偶発負債は、その特性から不確実なものであり複雑な判断や可能性に基づいております。訴訟およびその他の偶発事象に係る引当金を算定する際には、該当する訴訟の根拠や管轄、その他の類似した現在および過去の訴訟案件の顛末および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現時点における和解にむけた進行状況等を勘案しております。さらに、未だ提訴されていない製造物責任訴訟については、主に過去の訴訟の経験や製品の使用に係るデータに基づき、費用を合理的に見積ることができる範囲で引当金を計上しております。当社グループが関与する重要な訴訟のうち、それらの最終的な結果により財務上の影響が見込まれる場合であっても、その額について信頼性のある見積りが不可能な訴訟等については、引当金の計上は行っておりません。また、保険の補償範囲期間内である場合は保険による補償についても考慮しております。補償範囲の検討の際に、当社グループは、保険契約の制限や除外、保険会社による補償の拒否の可能性、保険業者の財政状態、ならびに回収可能性および回収期間を考慮しております。引当金および関連する保険補償額の見積りは、連結財政状態計算書上において負債および資産として総額で計上しております。2026年3月31日現在において、係争中の訴訟案件およびその他の案件について4,157億円の引当金を計上しております。 法人所得税当社グループは、税法および税規制の解釈に基づき税務申告を行っており、これらの判断および解釈に基づき税金引当額を計上しております。通常の営業活動において、当社グループの税務申告は様々な税務当局による税務調査の対象であり、これらの調査の結果、追加税額、利息、または罰金の支払いが課される場合があります。各法域における法律、規制および司法判断に基づく税法改正等により、多くの不確実な税務ポジションの評価には固有の不確実性を伴います。税務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと判断した場合、当社グループは、当該不確実性の予想される解決に基づき負債を認識します。また、不確実な税務ポジションは、事実および状況の変化に伴い調整されます。これらの税務ポジションは、例えば、現行の税法の改正、税務当局による新たな規制または行政上の解釈指針の発行、税務調査の際に入手した新たな情報、または税務調査の解決により調整が行われる可能性があります。当社グループは、不確実な税務ポジションに係る当社グループの見積りは、現時点において判明している事実および状況に基づき合理的であり、適切に反映されていると判断しております。しかしながら、これらの事項の最終的な結果は、計上された金額と重要な差異が生じる場合があります。また、各報告期間の末日において、繰延税金資産について実現可能額を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、将来加算一時差異の解消予定、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。予想される将来課税所得は、当社グループの事業計画に基づき見積られております。事業計画に用いられる売上収益の予測に関する判断が変更された場合、認識される繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。過去の課税所得の水準および一時差異が損金算入可能となる期間における将来課税所得の見積りに基づき、実現する可能性が高いと判断される税務上の便益の額を算定しております。2026年3月31日現在における繰延税金資産を認識していない未使用の繰越欠損金、将来減算一時差異、および未使用の繰越税額控除は、それぞれ1兆2,073億円、7,138億円、および294億円であります。将来における見積りおよび仮定の変更は、法人所得税費用に重要な影響を与える可能性があります。 事業構造再編費用当社グループでは、費用削減に関連した取り組みに関連して事業構造再編費用が発生します。退職金が事業構造再編費用の主な内訳であり、事業構造再編に係る引当金は、事業構造再編に係る詳細な公式計画を策定し、かつ計画の実施や影響を受ける関係者への主要な特徴の公表を通じて、影響を受ける関係者に当該事業構造再編が実行されるであろうという妥当な期待を惹起した時点で認識しております。事業構造再編に係る引当金の認識には、支払時期や、事業再編により影響を受ける従業員数等の見積りが必要となります。最終的なコストは当初の見積りから異なる可能性があります。2024年5月9日に当社は、事業の成長と利益率の改善を促進するための複数年にわたる全社的な効率化プログラムを実施することについて、公表しました。本プログラムには、人員の最適化策を伴う組織構造の簡素化、組織全体での生産性と効率性の向上を図るためのDD&Tへの投資、サプライチェーンおよびベンダー管理プロセスにおけるコスト削減と効率化が含まれております。主に、2024 年5月に公表した当該取り組みにより、2025年3月期に1,281億円の事業構造再編費用を計上し、2026年3月期には708億円を計上しました。2026年3月25日に当社は、長期的な成長力の向上および新製品上市の実行加速を目指す取り組みの次なるステップについて、取締役会が承認したことを公表しました。当該取り組みには、高度なテクノロジーの活用によるコーポレート機能の合理化およびプロセスの簡素化が含まれております。2027年3月期には1,700億円の事業構造再編費用の発生を見込んでおり、2028年3月期および2029年3月期には、事業構造再編費用は減少する見込みです。2026年3月31日現在、279億円の事業構造再編に係る引当金を計上しております。事業構造再編に係る引当金及び対前期比の変動の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 22 引当金」をご参照ください。 (c) 当年度における業績の概要 前年度および当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。 (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベース CERベース増減額増減率 増減率売上収益45,81645,057△758△1.7% △2.7%売上原価△15,802△15,71686△0.5% △1.9%販売費及び一般管理費△11,048△10,842206△1.9% △2.5%研究開発費△7,302△6,759543△7.4% △7.0%製品に係る無形資産償却費及び減損損失△6,432△6,33597△1.5% △1.7%その他の営業収益262247△15△5.6% △4.4%その他の営業費用△2,067△5,590△3,522170.4% 168.9%営業利益3,42662△3,364△98.2% - 金融収益及び費用(純額)△1,635△1,464171△10.5% △7.5%持分法による投資損益△40△2218△45.4% △52.9%税引前当期利益(△は損失)1,751△1,424△3,174- - 法人所得税費用△669△98572△85.4% △97.6%当期利益(△は損失)1,081△1,521△2,603- - 当期利益(△は損失)(親会社の所有者帰属分)1,079△1,524△2,603- - 本項において、前年度に対する、国際会計基準(IFRS)に準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減額および増減率は「AER」の表記で示し、国際会計基準(IFRS)に準拠しない恒常為替レート(Constant Exchange Rate)ベースの増減率は「CER」の表記で示しています。「CERベースの増減率」の定義については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。 〔売上収益〕売上収益は、4兆5,057億円(△758億円および△1.7% AER、△2.7% CER)となりました。この減収は、主に当社の6つの主要なビジネスエリアの一つであるニューロサイエンス(神経精神疾患)における減収によるものです。ニューロサイエンスにおける減収は、主に米国における注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤VYVANSEの後発品の市場浸透による減収影響を引き続き受けたことによるものです。当社の他の主要なビジネスエリアである消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、およびワクチンにおける売上収益は増収となりました。一部の製品は米国におけるメディケア・パートDの再設計および340Bプログラムの拡大による影響を受けたものの、米国以外の地域におけるその他の製品の需要は堅調に推移しました。当社の6つの主要なビジネスエリア以外の売上収益は、2,240億円(△334億円および△13.0% AER、△15.9% CER)となりました。 地域別売上収益各地域の売上収益は以下のとおりです。(単位:億円、%以外)売上収益:前年度当年度AERベースCERベース増減額増減率増減率 日本4,1854,3311463.5%3.4% 米国23,79721,648△2,148△9.0%△7.7% 欧州およびカナダ10,55311,4629108.6%3.0% 中南米2,3582,5411837.8%4.9% 中国1,9171,951341.8%1.4% アジア(日本および中国を除く)994987△7△0.7%△0.3% ロシア/CIS7247977410.2%0.7% その他(注)1,2881,339503.9%1.0% 合計45,81645,057△758△1.7%△2.7% (注) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。 当社グループの売上収益の大部分は、主要な医療用医薬品により占められております。当年度の各ビジネスエリアにおける主要製品の売上は以下のとおりです。 (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベースCERベース増減額増減率増減率消化器系疾患: ENTYVIO(注)19,1419,5804394.8%4.2%GATTEX/レベスティブ1,4631,457△6△0.4%△0.1%タケキャブ/VOCINTI(注)21,3081,4371299.9%9.6%DEXILANT385373△13△3.3%△5.2%EOHILIA55883361.0%63.2%RESOLOR/MOTEGRITY19573△122△62.7%△62.8%その他1,0241,068444.3%1.5%消化器系疾患 合計13,57014,0755043.7%3.1%希少疾患: タクザイロ2,2322,23980.3%△0.4%アドベイト1,1181,055△62△5.6%△6.8%エラプレース9721,005323.3%0.8%リプレガル779804263.3%△0.5%アディノベイト/ADYNOVI646567△79△12.3%△13.1%リブテンシティ33046913942.2%41.0%ボンベンディ2092534320.8%18.6%アジンマ711204968.8%65.1%その他1,1721,115△57△4.8%△6.2%希少疾患合計7,5287,627991.3%△0.3%血漿分画製剤: 免疫グロブリン製剤7,5787,9063284.3%4.1%アルブミン製剤1,4141,403△11△0.8%△2.1%ファイバ394329△66△16.6%△17.7%HEMOFIL/IMMUNATE/IMMUNINE256254△2△0.8%△4.8%その他685684△1△0.1%△0.8%血漿分画製剤合計10,32710,5752492.4%1.9%オンコロジー: アドセトリス1,2901,4021128.7%5.3%リュープリン/ENANTONE1,1931,208151.3%△0.4%ニンラーロ912821△91△10.0%△10.5%アイクルシグ707750436.1%5.6%FRUZAQLA(注)34805517214.9%14.6%アルンブリグ36436951.4%0.2%その他658699416.3%5.0%オンコロジー 合計5,6045,8011973.5%2.0%ワクチン: QDENGA3564085214.6%10.7%その他198188△10△5.0%△5.0%ワクチン 合計554596427.6%5.1%ニューロサイエンス: VYVANSE/ELVANSE(注)43,5062,032△1,474△42.0%△43.0%トリンテリックス1,2571,218△39△3.1%△1.9%ADDERALL XR284247△37△13.0%△12.1%その他610645355.7%4.4%ニューロサイエンス 合計5,6584,143△1,515△26.8%△27.2% (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベースCERベース増減額増減率増減率その他: ホスレノール7988911.8%7.4%アジルバ(注)211871△47△39.5%△39.5%その他2,3772,080△297△12.5%△15.5%その他 合計2,5742,240△334△13.0%△15.9%総合計45,81645,057△758△1.7%△2.7% (注)1 国内製品名:エンタイビオ 2 配合剤、パック製剤を含む。 3 国内製品名:フリュザクラ 4 国内製品名:ビバンセ 各ビジネスエリアにおける売上収益の前年度からの増減は、主に以下の製品によるものです。 - 消化器系疾患消化器系疾患の売上収益は、1兆4,075億円(+504億円および+3.7% AER、+3.1% CER)となりました。潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の売上は、9,580億円(+439億円および+4.8% AER、+4.2% CER)となりました。米国における売上は、6,237億円(+45億円および+0.7% AER)となりました。この増収は、皮下注射製剤の売上が伸長したことによるものですが、対米ドルでの円高による減収影響により相殺されました。欧州およびカナダにおける売上は、2,567億円(+293億円および+12.9% AER)となりました。この増収は、主に皮下注射製剤の継続的な使用拡大に伴い患者が増加したことに加え、対ユーロでの円安による増収影響によるものです。 酸関連疾患治療剤タケキャブ/VOCINTIの売上は、1,437億円(+129億円および+9.9% AER、+9.6% CER)となりました。この増収は、中国および日本における堅調な需要によるものです。好酸球性食道炎治療剤EOHILIAの売上は、88億円(+33億円および+61.0% AER, +63.2% CER)となりました。この増収は、米国における堅調な需要によるものです。慢性特発性便秘症治療剤RESOLOR/MOTEGRITYの売上は、73億円(△122億円および△62.7% AER、△62.8% CER)となりました。この減収は、主に米国において2025年1月から複数の後発品が参入したことによるものです。 - 希少疾患希少疾患の売上収益は、7,627億円(+99億円および+1.3% AER、△0.3% CER)となりました。移植後のサイトメガロウイルス感染/感染症治療剤リブテンシティの売上は、469億円(+139億円および+42.2% AER、+41.0% CER)となりました。この増収は、主に米国において市場浸透が継続して好調に進んだことに加え、欧州および成長新興国において引き続き販売エリアが拡大したことによるものです。先天性血栓性血小板減少性紫斑病治療剤アジンマの売上は、120億円(+49億円および+68.8% AER、+65.1% CER)となりました。この増収は、欧州において上市以降、売上が着実に増加したことによるもので、超希少疾患患者さんのアンメット・ニーズを反映しています。フォン・ヴィレブランド病治療剤ボンベンディの売上は、253億円(+43億円および+20.8% AER、+18.6% CER)となりました。この増収は、ボンベンディの適応拡大(成人患者に対する出血傾向の抑制のための定期補充療法)によるものです。血友病A治療剤アディノベイト/ADYNOVIの売上は567億円(△79億円および△12.3% AER、△13.1% CER)となりました。この減収は、主に米国における競争の激化によるものです。血友病A治療剤アドベイトの売上は1,055億円(△62億円および△5.6% AER、△6.8% CER)となりました。この減収は、主に米国における競争の激化によるものです。 - 血漿分画製剤血漿分画製剤の売上収益は、1兆575億円(+249億円および+2.4% AER、+1.9% CER)となりました。主に原発性免疫不全症、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎および多巣性運動ニューロパチーの治療に用いられる免疫グロブリン製剤の売上合計は、7,906億円(+328億円および+4.3% AER、+4.1% CER)となりました。この増収は、皮下注射製剤のキュービトルとハイキュービアの売上が伸長したことによるものです。静脈注射製剤のGAMMAGARD LIQUID/KIOVIGの売上は、米国におけるメディケア・パートDの再設計および対米ドルでの円高による減収影響を受けたものの、わずかに増収となりました。血友病Aおよび血友病B治療剤ファイバの売上は、329億円(△66億円および△16.6% AER、△17.7% CER)となりました。この減収は、全ての地域において、遺伝子組換え製剤との競争が激化したことによるものです。 - オンコロジーオンコロジーの売上収益は、5,801億円(+197億円および+3.5% AER、+2.0% CER)となりました。悪性リンパ腫治療剤アドセトリスの売上は、1,402億円(+112億円および+8.7% AER、+5.3% CER)となりました。この増収は、欧州および成長新興国における堅調な需要に加え、対ユーロでの円安による増収影響によるものです。大腸がん治療剤FRUZAQLA(国内製品名:フリュザクラ)の売上は、551億円(+72億円および+14.9% AER、+14.6% CER)となりました。この増収は、本剤が転移性大腸がんにおける新たな治療選択肢として、欧州、日本および成長新興国において上市後、着実に市場浸透したことによるものです。この増収は、米国における売上がメディケア・パートDの再設計による影響を受けて減少したことで一部相殺されました。白血病治療剤アイクルシグの売上は、750億円(+43億円および+6.1% AER、+5.6% CER)となりました。この増収は、主にカナダにおける売上が増加したことによるものです。子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がん・前立腺がん等の治療に用いられるリュープリン/ENANTONEの売上は、1,208億円(+15億円および+1.3% AER、△0.4% CER)となりました。この増収は、主に対ユーロでの円安による増収影響によるものです。多発性骨髄腫治療剤ニンラーロの売上は、821億円(△91億円および△10.0% AER、△10.5% CER)となりました。この減収は、主に米国における競争の激化と需要の減少によるものです。この減収は、成長新興国における売上が増加したことにより一部相殺されました。 - ワクチンワクチンの売上収益は、596億円(+42億円および+7.6% AER、+5.1% CER)となりました。デング熱ワクチンQDENGAの売上は、408億円(+52億円および+14.6% AER、+10.7% CER)となりました。この増収は、成長新興国における高い需要により上市以降、売上が増加したことによるものです。その他のワクチンの売上合計は、減収となりました。この減収は、主に日本における麻しん風しん混合ワクチンであるMRワクチンの一時的な出荷停止が継続したことによるものです。 - ニューロサイエンスニューロサイエンスの売上収益は、4,143億円(△1,515億円および△26.8% AER、△27.2% CER)となりました。ADHD治療剤VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)の売上は、2,032億円(△1,474億円および△42.0% AER、△43.0% CER)となりました。この減収は、主に米国において後発品の市場浸透が引き続き進んだことによるものです。 〔売上原価〕売上原価は、1兆5,716億円(△86億円および△0.5% AER、△1.9% CER)となりました。この減少は、売上収益の減少に加え、在庫に積み上がった為替影響を認識するプロセスの導入に伴い前年度に売上原価の調整を計上したことによるものです。一方で、これらの減少は、特に米国におけるVYVANSE後発品の市場浸透により製品構成が変化したことによる原価率の上昇や、対ユーロでの円安による為替影響により、大部分が相殺されました。 〔販売費及び一般管理費〕販売費及び一般管理費は、1兆842億円(△206億円および△1.9% AER、△2.5% CER)となりました。この減少は、主に全社的な効率化プログラムのコスト節減効果により費用が削減されたことによるものです。 〔研究開発費〕研究開発費は、6,759億円(△543億円および△7.4% AER、△7.0% CER)となりました。この減少は、ザソシチニブやelriterceptをはじめとする一部の後期開発パイプラインに係る費用が増加したものの、その他の開発プログラムにおいて開発の中止や臨床試験の進捗に伴い費用が減少したこと、メザギタマブに関しては共同開発資金を研究開発費の減額として認識したこと、および全社的な効率化プログラムのコスト節減効果による費用の減少があったことによるものです。 〔製品に係る無形資産償却費及び減損損失〕製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、6,335億円(△97億円および△1.5% AER、△1.7% CER)となりました。この減少は、無形資産減損損失が増加(+342億円)したものの、VYVANSE/ELVANSEに係る無形資産の償却終了などに伴い、無形資産償却費が減少(△439億円)したことによるものです。当年度の減損損失には、細胞療法研究の中止の決定に伴い計上したガンマ・デルタT細胞療法プラットフォームおよび関連するオンコロジーのプログラムに係る減損損失582億円、および将来の売上予測の低下により計上した非小細胞肺がん治療剤アルンブリグに係る減損損失319億円が含まれます。前年度の減損損失には、Maverick Therapeutics Inc.の買収により獲得したTAK-186およびTAK-280の開発中止の決定に伴い計上した減損損失278億円、およびソチクレスタット(TAK-935)の臨床第3相試験において主要評価項目を達成できなかったことにより計上した減損損失215億円が含まれます。 〔その他の営業収益〕その他の営業収益は、247億円(△15億円および△5.6% AER、△4.4% CER)となりました。この減少は、主に前年度において条件付対価契約に関する金融負債の公正価値変動に伴う収益を計上したこと、および当年度におけるその他の収益の減少によるものの、当年度に計上した事業売却益の増加により大部分が相殺されたものです。 〔その他の営業費用〕その他の営業費用は、5,590億円(+3,522億円および+170.4% AER、+168.9% CER)となりました。この増加は、主として、当年度において、AMITIZAに係る米国の反トラスト訴訟における陪審評決を受けて、関連する訴訟引当金4,035億円を計上したことによるものです。一方、全社的な効率化プログラムに関連する費用を含む事業構造再編費用が573億円減少したことにより、増加の一部は相殺されました。 〔営業利益〕営業利益は、上記の要因を反映し、62億円(△3,364億円および△98.2% AER)となりました。 〔金融損益〕金融収益と金融費用をあわせた金融損益は1,464億円の損失(△171億円および△10.5% AER、△7.5% CER)となりました。この減少は、主に武田テバファーマ株式会社の株式の売却に係る減損損失189億円を前年度に計上したことによるものです。 〔持分法による投資損益〕持分法による投資損益は、22億円の損失(△18億円および△45.4% AER、△52.9% CER)となりました。 〔法人所得税費用〕法人所得税費用は、98億円(△572億円および△85.4% AER、△97.6% CER)となりました。この減少は主に、当年度において、AMITIZAに係る米国の反トラスト訴訟における陪審評決を受けて訴訟引当金を計上したことに関連し、繰延税金資産が584億円増加したことによるものです。 〔当期利益(△は損失)〕上記要因を反映し、当期損失は、△1,521億円 (△2,603億円、前年度は1,081億円の利益)、当期損失(親会社の所有者帰属分)は、△1,524億円(△2,603億円、前年度は1,079億円の利益)となりました。 (d) 当年度におけるCore業績の概要 補足的分析:Core財務指標に基づく業績(IFRSに準拠しない指標)IFRSに準拠して作成された業績に加え、当社グループは、補足的に、Core財務指標に基づく業績も表示しております。投資家におかれましては、Core財務指標の定義、有用性の限界、最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標への調整を含む、より詳細な情報については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。当社グループは、また、Core財務指標のCERベースの増減率についても表示しております。詳細については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。 Core業績 (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベース CERベース増減額増減率 増減率Core売上収益45,79845,057△741△1.6% △2.6%Core営業利益11,62611,725980.8% △0.9%Core当期利益7,7588,1443865.0% 2.9%Core当期利益(親会社の所有者帰属分)7,7568,1413855.0% 2.9%Core EPS(円)491517265.2% 3.1% 〔Core売上収益〕Core売上収益は、4兆5,057億円(△741億円および△1.6% AER、△2.6% CER)となりました。この減収は、主に米国においてVYVANSEの後発品の市場浸透が引き続き進んだ影響を受けたことにより、ニューロサイエンスの売上収益が減少したことによるものです。タケダの成長製品・新製品(注)の売上収益は2兆3,133億円(+1,114億円および+5.1% AER、+4.5% CER)となりました。 (注)当年度のタケダの成長製品・新製品消化器系疾患:ENTYVIO、EOHILIA希少疾患:タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ血漿分画製剤(免疫疾患):GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤、 HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤オンコロジー:アルンブリグ、FRUZAQLAワクチン:QDENGA 〔Core営業利益〕Core営業利益は、1兆1,725億円(+98億円および+0.8% AER、△0.9% CER)となりました。Core営業利益の内訳は以下のとおりです。 (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベース CERベース増減額増減率 増減率Core売上収益45,79845,057△741△1.6% △2.6%Core売上原価△15,818△15,72692△0.6% △1.9%Core販売費及び一般管理費△11,050△10,847204△1.8% △2.5%Core研究開発費△7,304△6,760544△7.4% △7.0%Core営業利益11,62611,725980.8% △0.9% 報告期間における上記項目の増減は以下のとおりです。 〔Core売上原価〕Core売上原価は、1兆5,726億円(△92億円および△0.6% AER、△1.9% CER)となりました。この減少は、売上収益の減少に加え、在庫に積み上がった為替影響を認識するプロセスの導入に伴い前年度に売上原価の調整を計上したことによるものです。一方で、これらの減少は、特に米国におけるVYVANSE後発品の市場浸透により製品構成が変化したことによる原価率の上昇や、対ユーロでの円安による為替影響により、大部分が相殺されました。 〔Core販売費及び一般管理費〕Core販売費及び一般管理費は、1兆847億円(△204億円および△1.8% AER、△2.5% CER)となりました。この減少は、主に全社的な効率化プログラムのコスト節減効果により費用が削減されたことによるものです。 〔Core研究開発費〕Core研究開発費は、6,760億円(△544億円および△7.4% AER、△7.0% CER)となりました。この減少は、ザソシチニブやelriterceptをはじめとする一部の後期開発パイプラインに係る費用が増加したものの、その他の開発プログラムにおいて開発の中止や臨床試験の進捗に伴い費用が減少したこと、メザギタマブに関しては共同開発資金を研究開発費の減額として認識したこと、および全社的な効率化プログラムのコスト節減効果による費用の減少があったことによるものです。 〔Core当期利益〕Core当期利益は、8,144億円(+386億円および+5.0% AER、+2.9% CER)、Core当期利益(親会社の所有者帰属分)は、8,141億円(+385億円および+5.0% AER、+2.9% CER)となりました。Core当期利益は、Core営業利益に基づき、以下のとおり算出されます。 (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベース CERベース増減額増減率 増減率Core営業利益11,62611,725980.8% △0.9%Core金融収益及び費用(純額)△1,407△1,33275△5.3% △1.9%Core持分法による投資損益11△1△13- △82.1%Core税引前当期利益10,23110,3921611.6% △0.9%Core法人所得税費用△2,473△2,248225△9.1% △12.8%Core当期利益7,7588,1443865.0% 2.9%Core当期利益(親会社の所有者帰属分)7,7568,1413855.0% 2.9% 報告期間における上記項目の増減は以下のとおりです。 〔Core金融損益〕Core金融収益とCore金融費用をあわせた金融損益は、1,332億円の損失(△75億円および△5.3% AER、△1.9% CER)となりました。 〔Core持分法による投資損益〕Core持分法による投資損益は、1億円の損失(△13億円)となりました。 〔Core税引前当期利益〕Core税引前当期利益は、1兆392億円(+161億円および+1.6% AER、△0.9% CER)となりました。 〔Core法人所得税費用〕Core法人所得税費用は、2,248億円(△225億円および△9.1% AER、△12.8% CER)となりました。この減少は主に、当年度における繰延税金資産の回収可能性の見直しにより、Core法人所得税費用が減少したことによるものです。 〔Core EPS〕Core EPSは、517円(+26円および+5.2% AER、+3.1% CER)となりました。 ② 当年度の財政状態の分析 (単位:億円) 前年度末当年度末増減額資産合計142,483155,11512,632負債合計73,12480,8097,685資本合計69,36074,3064,947 〔資産〕当年度末における資産合計は、15兆5,115億円(+1兆2,632億円)となりました。主に為替換算の影響により、のれん、棚卸資産および有形固定資産が増加(+4,846億円、+1,793億円および+1,524億円)しております。主に、AMITIZAに係る米国の反トラスト訴訟における陪審評決を受けて訴訟引当金を計上したことに関連し、繰延税金資産が584億円増加したことや、無形資産の償却およびその他の繰延税金資産の回収可能性の見直しにより、繰延税金資産が増加(+1,755億円)しております。米国における売上債権の売却プログラムを減額したことなどによる売上債権残高の増加、ならびに為替換算の影響により、売上債権及びその他の債権が増加(+1,348億円)しております。主に日本における金利通貨スワップに係る公正価値変動により、その他の金融資産合計が増加(+1,102億円)しております。加えて、現金及び現金同等物が増加(+2,099億円)しております。これらの増加は、主に償却および減損による無形資産の減少(△2,122億円)により一部相殺されております。 〔負債〕当年度末における負債合計は、8兆809億円(+7,685億円)となりました。主にAMITIZAに係る米国の反トラスト訴訟における陪審評決を受けて訴訟引当金を計上したことにより、引当金合計が増加(+4,677億円)しております。社債及び借入金合計は4兆8,818億円(注)(+3,666億円)となり、償還および返済により一部相殺されたものの、主に為替の影響に加え、円貨建無担保普通社債および米ドル建保証付無担保普通社債の発行、ならびに新たなバイラテラルローンの借入により増加しております。 (注)当年度末における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ4兆6,568億円および2,250億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下のとおりです。 社債:銘柄(外貨建発行額)発行時期償還期限帳簿価額米ドル建無担保普通社債(500百万米ドル)2015年6月2045年6月813億円米ドル建無担保普通社債(1,500百万米ドル)2016年9月2026年9月2,377億円ユーロ建無担保普通社債(3,000百万ユーロ)2018年11月2026年11月~2030年11月5,476億円米ドル建無担保普通社債(1,750百万米ドル)2018年11月2028年11月2,784億円米ドル建無担保普通社債(7,000百万米ドル)2020年7月2030年3月~2060年7月1兆1,111億円ユーロ建無担保普通社債(3,600百万ユーロ)2020年7月2027年7月~2040年7月6,558億円円貨建無担保普通社債2021年10月2031年10月2,496億円ハイブリッド社債(劣後特約付社債)2024年6月2084年6月4,584億円米ドル建無担保普通社債(3,000百万米ドル)2024年7月2034年7月~2064年7月4,738億円円貨建無担保普通社債2025年6月2030年6月~2035年6月1,836億円米ドル建無担保普通社債(2,400百万米ドル)2025年7月2035年7月~2055年7月3,794億円合計 4兆6,568億円 借入金:名称 (外貨建借入額)借入時期返済期限帳簿価額バイラテラルローン2023年3月~2026年3月2029年3月~2034年3月1,850億円シンジケート ハイブリッド ローン(劣後特約付ローン)2024年10月2084年10月400億円その他 0億円合計 2,250億円 当社グループは、2025年4月25日に、バイラテラルローン100億円を満期返済しました。2025年6月12日には、発行総額1,840億円、償還期日2030年6月12日から2035年6月12日の円貨建無担保社債(「本円建社債」)を発行しました。本円建社債の発行により調達した資金は、コマーシャル・ペーパーの償還に充当されました。その後、2025年6月23日には、米ドル建無担保普通社債800百万米ドルを満期償還しました。また、2025年3月31日に借入れた500百万米ドルのバイラテラルローンについては、2025年7月3日まで月次で借換をしています。2025年7月2日には、発行総額2,400百万米ドル、償還期日2035年7月7日および2055年7月7日の米ドル建保証付無担保普通社債(「本米ドル建社債」)を、当社の間接的な完全子会社である武田U.S.ファイナンシング Inc.により発行しました。本米ドル建社債の発行により調達した資金は、2025年7月3日の500百万米ドルのバイラテラルローンの返済と2025年7月のコマーシャル・ペーパーの償還に主に充当されました。当社グループは、2026年3月31日に、満期を迎えたバイラテラルローン750億円を返済するとともに、同日に、返済期日2034年3月31日の新たなバイラテラルローン600億円の借入を実行しました。また、同日、円建3,500億円および米ドル建2,100百万米ドルのコミットメントファシリティー契約をそれぞれ締結しました。本コミットメントファシリティーはどちらも2026年3月31日から最低5年間有効です。なお、本コミットメントファシリティーの契約締結にあたり、2026年9月に期間満了を迎える予定であった既存の円建7,000億円のコミットメントファシリティー契約は、同日付で解約しました。新たに設定した本コミットメントファシリティーの使途は一般事業資金です。 (注)上記の社債及び借入金に関する説明に記載している金額は、元本金額で表示しております。 〔資本〕当年度末における資本合計は、7兆4,306億円(+4,947億円)となりました。この増加は、主に円安の影響による為替換算調整勘定の変動により、その他の資本の構成要素が増加(+9,455億円)したことによるものです。この増加は、配当金の支払いに伴う3,125億円の減少、ならびに当期損失1,521億円の計上に伴い、利益剰余金が減少(△4,752億円)したことにより一部相殺されております。 ③ 流動性および資金調達源資金の調達および使途当社グループにおいて流動性は、主に営業活動に必要な現金、資本支出、契約上の義務、債務の返済、利息や配当の支払いに関連して必要となります。営業活動においては、研究開発費、マイルストン支払い、販売およびマーケティングに係る費用、人件費およびその他の一般管理費、原材料費等の支払いにあたり現金が必要となります。また、法人所得税の支払いや運転資金にも多額の現金が必要となります。当社グループは、生産設備の能力増強・合理化、減価償却を終えた資産の入れ替え、業務管理の効率化等のために設備投資を行っています。無形資産に係る資本的支出は、主に第三者のパートナーから導入したライセンス製品に対するマイルストン支払い、およびソフトウェア開発費です。連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産および無形資産に係る資本支出は、2025年3月期および2026年3月期において、それぞれ3,194億円および4,269億円であります。また、2026年3月31日現在において、有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは77億円であります。加えて、2026年3月31日現在において、無形資産の取得に関して契約上の取決めを有しております。無形資産に係るマイルストン支払いの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 31 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。また、資本管理の一環として、当社グループは、資金需要、市場等の環境、またはその他の関連する要因に照らして、定期的に資本的支出の評価を行っております。当社の配当金の支払額は、2025年3月期および2026年3月期において、それぞれ3,039億円および3,132億円であります。2026年3月期については、1株当たり年間配当金額を200円(中間配当金および期末配当金それぞれ100円)としましたが、2027年3月期については、1株当たり、中間配当金および期末配当金をそれぞれ102円ずつとし、年間204円とすることを目指しています。当社の配当政策については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。当社グループは、有利子負債に対し元本と利息を支払う必要があります。2026年3月31日現在において、1年内に必要となる利息の支払額および負債の返済額は、それぞれ1,401億円、5,140億円であります。詳細は、「有利子負債および金融債務」をご参照ください。当社グループの資金の主な調達源は、主に現金及び現金同等物、短期コマーシャル・ペーパー、金融機関からのコミットメントラインによる借入、グローバル資本市場における社債発行を含む長期債務による資金調達であります。さらに、当社グループは、コンティンジェンシーの調達源として、2025年3月31日において金融機関から極度額1,500億円および750百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を、2026年3月31日現在において、金融機関から極度額1,500億円および650百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しております。当社グループは、キャッシュ・フロー予測に基づき保有外貨を監視し、調整しております。当社グループの事業の大部分は日本国外で行っており、多額の現金及び現金同等物を日本国外に保有しております。日本国内で必要なキャッシュ・フローを創出するために外貨を使用することは国内規制による影響を受ける可能性があり、また比較的影響は小さいものの、日本へ現金を移転することから生じる所得税による影響も受けます。当社グループは、引き続き、資金調達の状況について注視しており、短期的には、一般的な市況による資金調達不足または流動性不足は現在見込んではおりません。なお、必要に応じた市場およびその他の供給源からの追加の資金調達力に加えて、当社グループの資本支出計画を必要かつ適切な範囲で見直すことによって、資金調達および流動性の需要を管理する場合があります。2026年3月31日現在において、当社グループは、売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた預り金792億円を含む、5,951億円の現金及び現金同等物と、3,500億円および2,100百万米ドルの未使用のバンク・コミットメントライン契約を保有しております。加えて、公正価値ヒエラルキーにてレベル1に分類される米国債851億円を保持しております。したがって、利用可能な流動性の合計は1兆2,862億円となり、現在の事業活動に必要となる資金は十分に確保できていると考えております。また、当社グループは、事業活動を支えるため、持続的に高い流動性を保ち、資本市場へのアクセス拡大を追求していきます。 連結キャッシュ・フロー連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。(単位:億円) 前年度当年度増減額営業活動によるキャッシュ・フロー10,57210,414△158投資活動によるキャッシュ・フロー△3,671△3,691△21財務活動によるキャッシュ・フロー△7,514△4,9682,546現金及び現金同等物の増減額△6131,7552,368現金及び現金同等物の期首残高4,5783,851△727現金及び現金同等物に係る換算差額△114345459現金及び現金同等物の期末残高3,8515,9512,099 〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕営業活動によるキャッシュ・フローは、1兆414億円(△158億円)となりました。この減少は主に、その他の金融負債の減少などにより、引当金を調整した資産および負債の増減額が減少したことによるものです。この減少は、先物為替予約の決済(純額)による正味キャッシュ・フローが増加したこと、および非資金項目およびその他の調整項目を調整した当期利益(損失)の増加などにより相殺されております。〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕投資活動によるキャッシュ・フローは、△3,691億円(△21億円)となりました。無形資産の取得による支出の増加や、投資の取得による支出の減少など、個々の投資活動における変動が相殺されたことにより、前年度と比べ微減となりました。〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕財務活動によるキャッシュ・フローは、△4,968億円(+2,546億円)となりました。この増加は主に、社債および借入金の発行および償還・返済に伴う正味キャッシュ・フローの増加によるものです。 補足的分析:フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー(IFRSに準拠しない財務指標)フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、IFRSに準拠しない(以下、「Non-IFRS」)指標であります。詳細については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。IFRSに準拠した指標の中で、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローが最も類似します。(単位:億円) 前年度当年度営業活動によるキャッシュ・フロー(IFRS)10,57210,414フリー・キャッシュ・フロー(Non-IFRS)8,5648,654調整後フリー・キャッシュ・フロー(Non-IFRS)7,6906,845 フリー・キャッシュ・フローは、8,654億円(+90億円)となりました。この増加は、主に有形固定資産の取得による支出の減少によるものです。この増加は、営業活動によるキャッシュ・フローの減少により、一部相殺されております。調整後フリー・キャッシュ・フローは、6,845億円(△844億円)となりました。この減少は、主に無形資産の取得による支出が増加したことによるものです。 有利子負債および金融債務2025年3月31日および2026年3月31日現在において社債および借入金はそれぞれ4兆5,153億円、4兆8,818億円であります。これらの有利子負債は、当社グループが発行した無担保社債、普通社債、バイラテラルローン、およびシンジケートローン、また、Shire社買収に必要な資金の一部を調達するための借入金、およびShire社買収により引き受けた負債、借り換えた負債を含み、連結財政状態計算書に計上されております。当社グループの借入金は主に買収関連で発生したものであり、季節性によるものではありません。当社グループは、2025年4月25日に、バイラテラルローン100億円を満期返済しました。2025年6月12日には、発行総額1,840億円、償還期日が2030年6月12日から2035年6月12日の円貨建無担保普通社債(本円建社債)を発行しました。本円建社債の発行により調達した資金はコマーシャル・ペーパーの償還に充当されました。その後、2025年6月23日には、米ドル建無担保普通社債800百万米ドルを満期償還しました。また、当初借入実行日が2025年3月31日、満期日が2025年7月3日の500百万米ドルのバイラテラルローンの借換を実行しました。2025年7月2日には、発行総額2,400百万米ドル、償還期日2035年7月7日および2055年7月7日の米ドル建保証付普通社債(米ドル建社債)を、間接的な完全子会社である武田U.S.ファイナンシング Inc.により発行しました。米ドル建社債の発行により調達した資金は、2025年7月3日の500百万米ドルのバイラテラルローンの返済と2025年7月のコマーシャル・ペーパーの償還に主に充当されました。また、当社グループは、2026年3月31日に、満期を迎えたバイラテラルローン750億円を返済するとともに、同日に、返済期日2034年3月31日の新たなバイラテラルローン600億円の借入を実行しました。2026年3月31日に、3,500億および2,100百万米ドルのコミットメントファシリティー契約を締結しました。これらのコミットメントファシリティーの有効期間は最低5年間です。また、一定の制限条項が含まれており、制限条項に違反した場合には、当該コミットメントファシリティーの利用が制限される可能性があります。2026年3月31日現在において当社グループは当該制限条項を遵守しております。新たに設定した本コミットメントファシリティーの使途は一般事業資金です。新たにファシリティーを締結したことに伴い、2019年に設定され、2026年9月に失効予定の7,000億円のコミットメントファシリティーを、同日に解約しました。当社グループは、短期の流動性の管理のため、日本の無担保コマーシャル・ペーパープログラムを保有しております。2025年3月31日におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は2,700億円であり、2026年3月31日現在において、コマーシャル・ペーパーは保有しておりません。当社グループは、さらに2025年3月31日および2026年3月31日現在において、極度額1,500億円および750百万米ドル(2026年3月31日現在において、650百万米ドル)の短期アンコミットメントライン契約を締結しておりますが、借入はしておりません。社債及び借入金の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 19 社債及び借入金」をご参照ください。 信用格付け当社グループの信用格付けは、当社グループの財務の健全性、業績、債務の返済能力等に関する各格付機関の意見が反映されております。本報告書時点における当社グループの信用格付けは以下のとおりです。格付会社カテ
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 タケダの企業理念と「私たちの約束」当社の企業理念は、当社が誰であるか、何を行うか、どのように行うか、なぜそれが重要なのかというタケダのストーリーを伝えています。私たちの存在意義は、世界中の人々の健康と輝かしい未来に貢献することにあります。このため私たちは、「Patient」(すべての患者さんのために)、「People」(ともに働く仲間のために)、「Planet」(いのちを育む地球のために)の約束のもとに、データとテクノロジーの力を活用しながら、革新的な医薬品を創出し続けるという「私たちが目指す未来」(ビジョン)を追求しています。当社は、「私たちの価値観」(バリュー)に従い、あらゆるステークホルダーのことを考慮した上で意思決定を行っており、患者さん、株主、社会に対する長期的な価値を創造し、従業員、関わる地域コミュニティ、私たちが暮らす地球に対して良い影響を提供し続けることができるよう努めています。 事業環境現在の地政学的な環境は、世界的な緊張の高まりと分極化が進む状態にあります。このような状況を背景に、保護主義や貿易紛争が拡大し、世界貿易に圧力をかけるとともに、供給網に影響を及ぼし、世界経済の先行きに不確実性をもたらしています。当社のバリューチェーンは米国、欧州、日本およびシンガポールを中心に構築されており、特に米中間の貿易摩擦の影響を抑える役割を果たしています。また、当社は、患者さんに悪影響を与える懸念がある貿易障壁について、ヘルスケア製品を対象から除外するよう提言しています。 現在、バイオ医薬品業界が直面している最大の課題は、増大する需要に対して医療財源が不足していることにあります。この課題は、欧州や日本において価格圧力を増大させるだけでなく、市場成長を抑制する要因ともなっています。 米国のインフレ抑制法の導入は、医療費の個人負担の予測可能性の向上など、メディケア受給者に利点をもたらした一方、政府によるかつてない薬価交渉制度の設立は、製薬企業による米国内における研究開発投資を減速させる可能性があります。 当社では、がん免疫療法や細胞療法、遺伝子治療などの医療技術の探求に加え、近年急速に普及しているテクノロジーや人工知能(AI)の活用を通じて、イノベーションのスピードをさらに加速させています。また、これらのテクノロジーとAIは、将来的に当社の生産性を向上させるだけでなく、今後も続くと想定される価格圧力に対処する手段としても大きな役割を果たすと考えています。 このように困難で急速に変化する外部環境の中において、当社の患者さんへのコミットメントと、患者さんをサポートするための取り組みは、これまで以上に重要になっています。 Patient(すべての患者さんのために)当社の研究開発は、3つの重点疾患領域(消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、およびオンコロジー)における希少疾患とより有病率が高い疾患において、サイエンスにより、患者さんの人生を根本的に変え得るような非常に革新性が高い医薬品を創製することに注力しています。研究開発プログラムの優先順位付けは、アンメット・メディカル・ニーズ、科学的なバリデーション、開発プロセスの迅速化、および市場機会に基づいて行っています。また、パイプラインの開発加速から、製造工程における品質と効率性の向上、医療従事者や患者さんの対応に至るまで、データ、デジタルおよびテクノロジー(「DD&T」)とAIをバリューチェーンにわたって活用しています。 当社の2030年以降の持続的な成長は、後期開発段階のパイプラインに支えられる見込みです。2026年3月期(2025年度)の開始時点で、6つの臨床第3相開発プログラムを有しています。そのうちの最初のプログラムであるrusfertideは、2025年3月に良好な臨床第3相試験のデータを得ました。また、oveporextonのナルコレプシータイプ1、zasocitinibの乾癬に対する臨床第3相試験のデータ読み出しも、2025年末までに予定しています。これら3つのプログラムの承認申請は、2025年度から2026年度に実施できる見込みです。また、2027年度から2029年度にかけて、後期開発プログラムに係る追加の5つの承認申請も見込まれています。主要な研究開発活動の内容および進捗の詳細については、「6 研究開発活動」をご参照ください。 DD&Tは、医薬品開発のプロセスにおいて、ますます重要な役割を担っています。例えば、現在では、匿名化された大規模な患者データベースに照合することで、臨床試験プロトコルを検証し、より効果的な被験者募集方法を評価することが可能となりました。 タケダの成長製品・新製品は、患者さんやコミュニティに価値を提供し続けています。当社の売上高トップの製品であるENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の成長は、米国における皮下注射製剤の上市が寄与しています。ENTYVIO Penは中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病を対象としており、世界50カ国以上において患者さんに治療の柔軟性や選択肢を提供しています。 当社は患者さんを最優先に考え、医薬品の研究開発から製造、販売に至るまで、医療アクセスと公平性の観点を事業に取り入れており、価値に基づいた段階的な価格設定や患者さんのための支援プログラムを提供しています。また、世界中の地域コミュニティや政府と協力し、地域の医療システムの強化にも取り組んでいます。 また、デング熱ワクチンQDENGAのグローバル展開にも注力しています。QDENGAは、本ワクチンの需要が最も高い多くの流行国を含め、今や世界約30カ国で接種できるようになりました。特に低所得国や中所得国でのアクセス向上を重視しており、これらの地域での普及促進に力を入れています。当社は現在、生産拡大とともに、デング熱感染率の上昇に対抗するためQDENGAを必要とする世界中のコミュニティと連携することに取り組んでいます。 当社は、2030年までに年間1億回接種分のQDENGAの供給目標を達成するため、インドのBiological E社と提携契約を締結しました。ドイツのジンゲンにある当社工場のワクチン製造能力を補完する本契約により、同社は、年間最大5,000万回接種分を製造する予定です。 People(ともに働く仲間のために)当社は、科学技術がどれほど進歩しても、知識を核とした「人」の力が会社を支えることを認識しています。当社は、あらゆる種類の差別を排除し、多様性と包括性を推進する職場環境を整備しています。また、従業員の生涯学習とキャリア成長を支援し、心身の健康維持(ウェルビーイング)を推進しています。このようなアプローチが、人々の暮らしを豊かにする治療法を創出する能力の向上につながると考えています。 生涯学習とキャリア成長は従業員のやる気や専門性を高め、新しい発想につながり、結果的に患者さんへの価値創造につながります。当社は、従業員のスキルアップやケイパビリティを開発し、持続的な成長に向けて、機動的で柔軟な組織を構築しています。 また、AIは、人材開発へのアプローチをも変革しています。Career Navigatorのプラットフォームは、従業員が個々のキャリアパスを描くことを可能とし、AIを活用して社内の募集職種やメンターシップ、学習機会に関する情報を個別化することで、従業員が可能性を最大限に発揮できるよう支援しています。さらに、AIによるコーチングやロールプレイを通じて、従業員がリスクのない環境下で新しいスキルを実践できるよう支援しています。 当社は、事業の将来性をより確かなものとするため、従業員のデジタル活用能力をさらに向上させる必要があると考えています。2024年7月には、新たなデジタルデクステリティ(デジタル技術を迅速に習得し、効果的に活用する能力)の最初の重要なステップとして、当社の学習プラットフォームにおいてEveryday AI Learningを立ち上げました。Everyday AI Learningは、AIおよび生成AIに必要なスキルを育成するためのプラットフォームです。 また、当社では、生涯学習への取り組みを全社的に推進しています。例えば、製造部門および品質部門においては、従業員は毎月3時間をスキルの向上やスキルの再習得のために利用することができます。この時間は、必須のトレーニングや業務に関連したトレーニングの時間とは別に提供されています。 当社は、グローバルなバイオ医薬品企業として、世界中の従業員と患者さんの多様性を認識し受け入れるとともに、この強みを活かしてイノベーションを推進し続けています。 当社は、従業員が目標に向かって前進、成長し、可能性を最大限に発揮できるようウェルビーイングの向上に取り組んでいます。当社のグローバルなウェルビーイングプログラムは、精神的、身体的、社会的、経済的な側面を取り入れています。当社の全従業員はThrive Globalプログラムにアクセスし、睡眠、栄養、運動といったウェルビーイングの要素を管理することができます。また、この1年間において、ウェルビーイングの取り組みを強化するためにさらなる施策を講じました。この一環として、従業員支援プログラムをより多くの国に拡大させ、全ての従業員が同じ福利厚生や支援を利用できるようになりました。 当社は、職場における安全確保に取り組んでおり、製造拠点においては重大な傷害や死亡事故防止に焦点を当てた安全文化を醸成しています。リスク評価プロセスでは、事案につながる可能性のあった活動や体系的な安全プログラムの課題を特定しています。また、四半期毎に製造ネットワーク全体で「Lessons Learned(教訓)」イベントを開催し、発生した可能性のあった事案を紹介し、再発防止策について議論しています。 Planet(いのちを育む地球のために)当社は、「私たちの存在意義」(パーパス)に基づき、地球環境を損なうことのないよう事業を展開しています。公衆衛生は地球環境と密接に関連しており、気温の上昇に伴い、感染症は増加し、影響を受ける地域の患者さんの医療アクセスに係る困難な課題も増加する可能性があります。 当社は、環境課題に対する高い意識を持って積極的に取り組んでいます。「私たちの存在意義」(パーパス)を実現するためには、人々の健康には健全な地球環境が必要であり、人々の健康に貢献するだけでは充分ではないと考えています。当社では、環境負荷を低減するためにクリーンエネルギーを優先的に使用するだけでなく、ネットゼロの達成およびバリューチェーン全体で温室効果ガス排出を無くすべく、ネットゼロのロードマップを進めるための取り組みに注力するとともに、バリューチェーンを超えた自然の力を活かした炭素除去プロジェクトへの投資を継続しています。当社は、2035年度までに当社の事業活動における温室効果ガス排出量を、2040年度までにバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量をネットゼロにすることを目指しており、短期、長期を含めた目標について、SBTi(科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)の認証を取得しました。 当社は、温室効果ガス排出量削減の目標に向けて、着実に進展を続けています。例えば、最近、デング熱ワクチンを製造するドイツのジンゲンにある製造施設でバイオマス熱プラントの稼働を成功裏に開始したことを発表しました。この新しいバイオマスボイラーは、現在使用されているガスの多くを廃木材に置き換えることを目指しており、CO2排出量を最大80%削減することが期待されています。 また、当社は製品の設計や開発にライフサイクルの視点を取り入れることで、バリューチェーン全体で環境負荷を最小限に抑えることを目指しています。さらに、天然資源保全プログラムにおいては、気候変動以外の環境負荷の低減を目指す活動として水の保全、責任ある廃棄物処理、生物多様性保全などに取り組んでいます。 DD&Tは、当社の環境への取り組みを支える重要な要素でもあります。大阪工場では、水使用の各箇所にセンサーやモニターを設置、データを解析して水の使用量を最適化する方法を検討、成功事例を標準化することで、年間45万リットルの蒸留水の使用量を削減し、年間200万リットル以上の水道水の使用量を削減しました。同様のプロジェクトとして、電力消費量の削減や太陽光やその他のグリーンエネルギーの利用拡大にも取り組んでいます。 財務展望当社は、持続的な成長と長期的な価値創造を支える確固たる財務基盤を有しており、強固な枠組みのもと、戦略的な取り組みを柔軟に推進し、価値ある成果を生み出すことが可能となっています。 タケダの成長製品・新製品*は、中長期的に売上成長を牽引していく上で非常に重要であり、人々の暮らしを豊かにする治療法の発見や開発へのさらなる投資を支える役割を果たすものと期待しています。これら製品の力強い持続的な売上成長は、差し迫る医療課題に対応し、世界中の患者さんに深い恩恵をもたらす革新的な治療法を推進させることを可能にします。当社は、このようなビジョンを実現するため、組織の機動性を向上させるとともに、DD&TやAIを活用しながら全社的な効率化プログラムにも取り組んでいます。中長期的には、当社はCore営業利益率を30%台前半から半ばまでに引き上げることを目指しており、潤沢なキャッシュ・フローを維持してまいります。 また、当社は、売上成長を実現し事業運営の卓越性をさらに強化するため取り組むとともに、人生を変え得る治療法の発見や開発に対する長期的なコミットメントを堅持しています。研究開発投資は、価値創造を追求する上で重要な投資であり、6つの後期開発パイプラインはグローバルで、合計100億~200億米ドルのピーク時売上収益に達する可能性**を秘めています。これら後期開発プログラムを2030年までに上市し成功を収めることは、持続的な成長と現金の創出に大きく貢献することにつながります。 当社は、重要なフェーズにある開発を着実に進め、これらのプログラムを市場に投入してまいりますが、投資資本に対する魅力的なリターンを実現することについても引き続き注力してまいります。当社は、革新的な治療法の発見と開発に対する戦略的かつ規律ある投資を通じて、社会やすべてのステークホルダーに対して価値を創出していくことを目指しています。後期開発パイプラインを成功裏に上市させることとあわせ、事業運営の卓越性を引き続き高めることで、株主資本利益率やその他の財務指標、さらには企業価値の向上につなげてまいります。 * タケダの成長製品・新製品(2025年度)消化器系疾患:ENTYVIO、EOHILIA希少疾患:タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ血漿分画製剤:GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤、 HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤オンコロジー:アルンブリグ、FRUZAQLAワクチン:QDENGA ** ピーク時売上収益の範囲は、技術的及び規制上の成功確率を考慮して調整されていない推定値であり、予想または目標とみなされるべきではありません。ピーク時売上収益の範囲は、将来起こりうるとは限らないさまざまな商業的シナリオについての当社の評価に基づきます。 [主要製品一覧]消化器系疾患領域における主要製品は以下の通りです。・ENTYVIO(ベドリズマブ):ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎・クローン病に対する治療剤です。ENTYVIOは、2014年に米国および欧州において発売以来、売上が伸長しており、2025年3月期の当社グループの売上トップ製品でした。現在、ENTYVIOは世界70カ国以上で承認され、皮下注射製剤は米国、欧州および日本において承認されました。当社は本剤の可能性を最大化するため、その他の国においても本剤の承認取得を進め、さらなる適応症の開発を行ってまいります。2025年3月期におけるENTYVIOの売上収益は9,141億円となりました。・EOHILIA(ブデソニド経口懸濁液):EOHILIAは好酸球性食道炎(EoE)の治療薬で、コルチコステロイド薬です。米国食品医薬品局(FDA)による承認を受けた初めてかつ唯一の11歳以上のEoE患者さんへの12週間の投与を適応とする 経口治療薬です。2024年2月に米国FDAによる承認取得後上市しました。2025年3月期におけるEOHILIAの売上収益は55億円となりました。・タケキャブ/VOCINTI(ボノプラザンフマル酸塩):酸関連疾患の治療剤タケキャブは、2015年に日本で発売され、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制などの効能により飛躍的な成長を遂げました。タケキャブ(中国の製品名:VOCINTI)は、2019年に胃食道逆流症の治療剤として中国で承認されました。2025年3月期におけるタケキャブ/VOCINTIの売上収益は1,308億円となりました。・GATTEX/レベスティブ(テデュグルチド[DNA組換え型]):非経口(静脈栄養)サポートを必要とする短腸症候群(SBS)の治療薬です。成人用および小児用の効能を有するGATTEX/レベスティブが米国、欧州、日本において承認されました。2025年3月期におけるGATTEX/レベスティブの売上収益は1,463億円となりました。希少疾患領域における主要製品は以下の通りです。・タクザイロ(ラナデルマブ):タクザイロは、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作予防に用いられます。タクザイロは、HAEの患者さんにおいて慢性的に制御不能な酵素である血漿カリクレインに選択的に結合し、減少させる完全ヒト型モノクローナル抗体です。タクザイロは(12歳以上の患者さんへの適応として)2018年に米国と欧州にて、2020年に中国にて、2022年に日本にて承認され、さらなる地理的拡大を目指しています。2023年に、2歳以上の小児患者さんに対する治療薬として、FDAおよび欧州委員会の承認を取得しました。また、2025年2月に、12歳以上の遺伝性血管性浮腫患者さんへの皮下投与用のタクザイロの追加の選択肢である2mLのプレフィルドペンが欧州医薬品庁(EMA)から承認されました。2025年3月期におけるタクザイロの売上収益は2,232億円となりました。・リブテンシティ (maribavir):リブテンシティは、成人患者さんと小児患者さん(12歳以上で体重35 kg以上)に対する、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、またはシドフォビルに対して遺伝子型抵抗性(無しも含みます)を示す難治性の移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療薬であり、2021年12月に米国において発売され、2022年11月に欧州、2023年12月に中国において承認されました。リブテンシティは、高いアンメット・メディカル・ニーズによる順調な市場浸透、急速なエリア拡大、迅速なマーケットアクセスにより、上市後も好調な業績となりました。2025年3月期におけるリブテンシティの売上収益は330億円となりました。・アジンマ(遺伝子組換え ADAMTS13-krhn):アジンマは先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の成人および小児患者さんの予防的治療薬ならびに酵素補充療法であり、欠乏したADAMTS13酵素を補充することによりcTTP患者のアンメット・メディカル・ニーズに対応するFDAに承認された初めてかつ唯一の遺伝子組換えADAMTS13(rADAMTS13)です。 また、アジンマ(一般名: アパダムターゼ アルファ(遺伝子組換え)/シナキサダムターゼ アルファ(遺伝子組換え))が、日本においては12歳以上の患者さん、欧州(EMA市場)においてはすべての年齢層の患者さんを対象としたcTTP治療薬として承認されました。2025年3月期におけるアジンマの売上収益は71億円となりました。・エラプレース(イデュルスルファーゼ):エラプレースは、ハンター症候群(ムコ多糖症II型またはMPS II)に対する酵素補充治療薬です。2025年3月期におけるエラプレースの売上収益は972億円となりました。・リプレガル(アガルシダーゼ アルファ):リプレガルは、ファブリー病に対して米国以外の市場で販売され、2020年に中国でも承認された酵素補充療法治療薬です。当社は、2022年2月に大日本住友製薬株式会社から「リプレガル」の日本における製造販売承認を承継し、同剤の販売の移管を受けました。ファブリー病は、脂肪の分解に関与するリソソーム酵素α-ガラクトシダーゼAの活性の欠如に起因する遺伝子性の希少疾患です。2025年3月期におけるリプレガルの売上収益は779億円となりました。・アドベイト(抗血友病因子(遺伝子組換え型)):アドベイトは、血友病A(血液凝固第Ⅷ因子欠乏)の治療薬であり、出血の制御と予防、周術期管理および出血の頻度を予防または軽減するために行う定期補充療法に使用されます。2025年3月期におけるアドベイトの売上収益は1,118億円となりました。・アディノベイト/ADYNOVI(抗血友病因子(遺伝子組換え型) [PEG化]):アディノベイト/ADYNOVIは、血友病A治療薬であり、遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤です。アディノベイト/ADYNOVIは遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤アドベイトと同じ製造工程で作られ、当社がネクター社より独占的にライセンス取得しているPEG化(体内での循環時間を延長し、投与頻度を減らすための化学修飾処理)技術を追加したものです。2025年3月期におけるアディノベイト/ADYNOVIの売上収益は646億円となりました。・ビプリブ(ベラグルセラーゼアルファ点滴静注用):ビプリブはI型ゴーシェ病に対する長期酵素補充療法治療剤です。2025年3月期におけるビプリブの売上収益は535億円となりました。血漿分画製剤(PDT)領域における主要製品は以下の通りです。・GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG(静注用人免疫グロブリン10%製剤):GAMMAGARD LIQUIDは、抗体補充療法用免疫グロブリン(以下、「IG」)の液体製剤です。GAMMAGARD LIQUIDは、原発性免疫不全症(PID)の成人および2歳以上の小児患者さんに対して使用され、静注または皮下注のいずれかの方法で投与します。また、GAMMAGARD LIQUIDは、成人の多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者さんに対しても静注投与にて使用されます。2024年1月に、米国において、GAMMAGARD LIQUIDが、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんの治療薬として承認されました。GAMMAGARD LIQUIDは、米国以外の多くの国で製品名KIOVIGとして販売されています。KIOVIGは、欧州において、CIDPを含む、複数の適応症への使用が承認されています。・ハイキュービア(ヒト免疫グロブリン注射製剤10%):ハイキュービアは、ヒト免疫グロブリン(IG)および遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ(Halozyme社よりライセンス取得)からなる製剤です。ハイキュービアは、PID患者さんに対して最長で1ヶ月に1回の投与で、1回あたりの注射部位一ヶ所でIGの全治療用量の投与が可能な唯一のIG皮下注用治療薬です。ハイキュービアは、米国では成人PID患者さんへの使用、欧州においてはPID症候群および骨髄腫患者さんまたは重度の続発性低ガンマグロブリン血症および回帰感染を伴う慢性リンパ性白血病患者さんへの使用、また日本においてはPID患者さんまたは無又は低ガンマグロブリン血症を伴う続発性免疫不全症の患者さんへの使用が承認されております。2024年1月に、ハイキュービアは、米国において、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんの再発予防の維持療法として、また、欧州においては、すべての年齢のCIDPの患者さんの維持療法として承認されました。• キュービトル(ヒト免疫グロブリン皮下注用20%製剤):キュービトルは、原発性体液性免疫不全症の成人および2歳以上の小児患者さんに対する補充療法に用いられます。キュービトルは、欧州では特定の続発性免疫不全の治療薬としても承認されています。キュービトルは、プロリン不含で、投与部位1ヶ所あたりの耐用量内で最大60 mL(12g)および1時間あたり60 mLまで投与可能な唯一の20%皮下IG治療薬であり、従来の皮下IG治療薬と比較してより少ない投与部位および短い投与時間での使用が可能です。2025年3月期におけるGAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤の売上収益は7,578億円となりました。・FLEXBUMIN(ヒトアルブミンバッグ製剤)およびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤):FLEXBUMINおよびヒトアルブミンは、濃度5%および25%の液体製剤として販売されています。両製品とも、血液量減少症、一般的な原因および火傷による低アルブミン血症、ならびに心肺バイパス手術時のポンプのプライミングに使用されます。また、FLEXBUMIN 25%製剤は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびネフローゼに関連する低アルブミン血症、ならびに新生児溶血性疾患(HDN)にも適応されます。2025年3月期におけるFLEXBUMINおよびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤入り)を含むアルブミン製剤の売上収益は1,414億円となりました。オンコロジー領域における主要製品は以下の通りです。・アルンブリグ(ブリグチニブ):アルンブリグは、非小細胞肺がん(NSCLC)治療に使用される経口投与の低分子未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤であり、クリゾチニブ投与中に進行した、またはクリゾチニブに不耐性を示す患者さんに対する治療薬として、2017年に米国で迅速承認され、2018年にEUにおいて、クリゾチニブの治療歴を有する患者さん向けの販売承認を取得しました。2020年に米国とEUの両方において、新たにALK陽性転移性NSCLCと診断された患者さんに対する効能が追加されました。2021年1月に、日本において、ファーストラインおよびセカンドラインの治療薬として承認されました。また2022年3月に、アルンブリグは中国において承認されました。2025年3月期におけるアルンブリグの売上収益は364億円となりました。・FRUZAQLA(フルキンチニブ):フルオロピリミジン、オキサリプラチン、およびイリノテカンを含む化学療法、抗VEGF療法、および抗EGFR療法(RAS野生型で医学的に適切な場合)の治療歴があるmCRC成人患者に対する治療薬です。FRUZAQLAは、3種類のVEGF受容体キナーゼすべてに対して選択性を有する内服阻害薬として、米国、欧州、日本のほか、世界中の幾つもの国々で承認されております。当社は中国本土、香港、マカオ外でのフルキンチニブのグローバル開発、商業化および製造をさらに進めるための独占的ライセンスを有しています。フルキンチニブは中国ではHUTCHMED社により開発および販売されています。2025年3月期におけるFRUZAQLAの売上収益は480億円となりました。・リュープリン/ENANTONE(リュープロレリン):リュープリン/ENANTONEは、前立腺がんや乳がん、小児の中枢性思春期早発症、子宮内膜症や不妊治療、子宮筋腫による貧血の症状改善に用いられる治療薬です。リュープロレリンの特許期間は満了していますが、製造の観点から後発品の市場参入は限定的です。2025年3月期におけるリュープリン/ENANTONEの売上収益は1,193億円となりました。・ニンラーロ(イキサゾミブ):ニンラーロは、多発性骨髄腫(MM)治療に対する初めての経口プロテアソーム阻害剤です。ニンラーロは、再発又は難治性の多発性骨髄腫の効能で、2015年に米国で承認されて以来、2016年に欧州、2017年に日本、2018年に中国で承認されております。日本においては、多発性骨髄腫の維持療法の治療薬としても承認を受けております。2025年3月期におけるニンラーロの売上収益は912億円となりました。・アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン):アドセトリスは、ホジキンリンパ腫(HL)および全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)の治療に使用される抗癌剤で、2020年5月には中国で承認され世界70カ国以上で販売承認を受けております。当社は、現在Pfizer Inc.の完全子会社であるSeagen, Inc.とアドセトリスを共同開発し、米国およびカナダ以外の国での販売権を保有しています。2025年3月期におけるアドセトリスの売上収益は1,290億円となりました。・アイクルシグ(ポナチニブ塩酸塩):BCR-ABLに作用するチロシンキナーゼ阻害薬であり、慢性骨髄性白血病(CML)とフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ ALL)の治療に適応となります。2016年に米国において全面的な承認を取得した後、2020年と2024年に米国において適用拡大の承認を取得しました。当社は米国とオーストラリアにおいて販売権を取得しております。米国とオーストラリア以外の地域では、認可を受けたパートナー5社により60を超える市場において販売されており、当社はこれらのパートナーから、供給、ロイヤリティおよびマイルストンの支払を受領しており、その水準はパートナーによって異なります。2025年3月期におけるアイクルシグの売上収益は707億円となりました。ニューロサイエンス領域における主要製品は以下の通りです。・VYVANSE/ELVANSE(リスデキサンフェタミンメシル酸塩):VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)は、6歳以上の注意欠陥・多動性障害(ADHD)患者さんおよび成人の中程度から重度の過食性障害患者さんの治療に用いられる中枢神経刺激剤です。2023年以降、米国において後発品が市場に参入したことにより、売上は減少しました。2025年3月期におけるVYVANSE/ELVANSEの売上収益は3,506億円となりました。・トリンテリックス(ボルチオキセチン臭化水素酸塩):トリンテリックスは、成人大うつ病性障害の治療に適応される抗うつ薬です。トリンテリックスはH. Lundbeck A/S社と共同開発し、当社は米国および日本での販売権を保有しており、米国では2014年、また日本では2019年より販売しています。2025年3月期におけるトリンテリックスの売上収益は1,257億円となりました。ワクチン領域における主要製品は以下の通りです。・QDENGA(4価デング熱ワクチン):QDENGAは4種のワクチンウイルス型すべての遺伝子型の“バックボーン”として弱毒化された生の2型デングウイルスをベースに構築されています。QDENGAはテング熱流行国および渡航市場を含む29カ国において販売されています。2025年3月期における QDENGAの売上収益は356億円となりました。売上収益の地域別内訳は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 事業セグメントおよび売上収益」をご参照下さい。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 タケダの企業理念と「私たちの約束」当社の企業理念は、当社が誰であるか、何を行うか、どのように行うか、なぜそれが重要なのかというタケダのストーリーを伝えています。私たちの存在意義は、世界中の人々の健康と輝かしい未来に貢献することにあります。このため私たちは、「Patient」(すべての患者さんのために)、「People」(ともに働く仲間のために)、「Planet」(いのちを育む地球のために)の約束のもとに、データとテクノロジーの力を活用しながら、革新的な医薬品を創出し続けるという「私たちが目指す未来」(ビジョン)を追求しています。当社は、「私たちの価値観」(バリュー)に従い、あらゆるステークホルダーのことを考慮した上で意思決定を行っており、患者さん、株主、社会に対する長期的な価値を創造し、従業員、関わる地域コミュニティ、私たちが暮らす地球に対して良い影響を提供し続けることができるよう努めています。 事業環境現在の地政学的な環境は、世界的な緊張の高まりと分極化が進む状態にあります。このような状況を背景に、保護主義や貿易紛争が拡大し、世界貿易に圧力をかけるとともに、供給網に影響を及ぼし、世界経済の先行きに不確実性をもたらしています。当社のバリューチェーンは米国、欧州、日本およびシンガポールを中心に構築されており、特に米中間の貿易摩擦の影響を抑える役割を果たしています。また、当社は、患者さんに悪影響を与える懸念がある貿易障壁について、ヘルスケア製品を対象から除外するよう提言しています。 現在、バイオ医薬品業界が直面している最大の課題は、増大する需要に対して医療財源が不足していることにあります。この課題は、欧州や日本において価格圧力を増大させるだけでなく、市場成長を抑制する要因ともなっています。 米国のインフレ抑制法の導入は、医療費の個人負担の予測可能性の向上など、メディケア受給者に利点をもたらした一方、政府によるかつてない薬価交渉制度の設立は、製薬企業による米国内における研究開発投資を減速させる可能性があります。 当社では、がん免疫療法や細胞療法、遺伝子治療などの医療技術の探求に加え、近年急速に普及しているテクノロジーや人工知能(AI)の活用を通じて、イノベーションのスピードをさらに加速させています。また、これらのテクノロジーとAIは、将来的に当社の生産性を向上させるだけでなく、今後も続くと想定される価格圧力に対処する手段としても大きな役割を果たすと考えています。 このように困難で急速に変化する外部環境の中において、当社の患者さんへのコミットメントと、患者さんをサポートするための取り組みは、これまで以上に重要になっています。 Patient(すべての患者さんのために)当社の研究開発は、3つの重点疾患領域(消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、およびオンコロジー)における希少疾患とより有病率が高い疾患において、サイエンスにより、患者さんの人生を根本的に変え得るような非常に革新性が高い医薬品を創製することに注力しています。研究開発プログラムの優先順位付けは、アンメット・メディカル・ニーズ、科学的なバリデーション、開発プロセスの迅速化、および市場機会に基づいて行っています。また、パイプラインの開発加速から、製造工程における品質と効率性の向上、医療従事者や患者さんの対応に至るまで、データ、デジタルおよびテクノロジー(「DD&T」)とAIをバリューチェーンにわたって活用しています。 当社の2030年以降の持続的な成長は、後期開発段階のパイプラインに支えられる見込みです。2026年3月期(2025年度)の開始時点で、6つの臨床第3相開発プログラムを有しています。そのうちの最初のプログラムであるrusfertideは、2025年3月に良好な臨床第3相試験のデータを得ました。また、oveporextonのナルコレプシータイプ1、zasocitinibの乾癬に対する臨床第3相試験のデータ読み出しも、2025年末までに予定しています。これら3つのプログラムの承認申請は、2025年度から2026年度に実施できる見込みです。また、2027年度から2029年度にかけて、後期開発プログラムに係る追加の5つの承認申請も見込まれています。主要な研究開発活動の内容および進捗の詳細については、「6 研究開発活動」をご参照ください。 DD&Tは、医薬品開発のプロセスにおいて、ますます重要な役割を担っています。例えば、現在では、匿名化された大規模な患者データベースに照合することで、臨床試験プロトコルを検証し、より効果的な被験者募集方法を評価することが可能となりました。 タケダの成長製品・新製品は、患者さんやコミュニティに価値を提供し続けています。当社の売上高トップの製品であるENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の成長は、米国における皮下注射製剤の上市が寄与しています。ENTYVIO Penは中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病を対象としており、世界50カ国以上において患者さんに治療の柔軟性や選択肢を提供しています。 当社は患者さんを最優先に考え、医薬品の研究開発から製造、販売に至るまで、医療アクセスと公平性の観点を事業に取り入れており、価値に基づいた段階的な価格設定や患者さんのための支援プログラムを提供しています。また、世界中の地域コミュニティや政府と協力し、地域の医療システムの強化にも取り組んでいます。 また、デング熱ワクチンQDENGAのグローバル展開にも注力しています。QDENGAは、本ワクチンの需要が最も高い多くの流行国を含め、今や世界約30カ国で接種できるようになりました。特に低所得国や中所得国でのアクセス向上を重視しており、これらの地域での普及促進に力を入れています。当社は現在、生産拡大とともに、デング熱感染率の上昇に対抗するためQDENGAを必要とする世界中のコミュニティと連携することに取り組んでいます。 当社は、2030年までに年間1億回接種分のQDENGAの供給目標を達成するため、インドのBiological E社と提携契約を締結しました。ドイツのジンゲンにある当社工場のワクチン製造能力を補完する本契約により、同社は、年間最大5,000万回接種分を製造する予定です。 People(ともに働く仲間のために)当社は、科学技術がどれほど進歩しても、知識を核とした「人」の力が会社を支えることを認識しています。当社は、あらゆる種類の差別を排除し、多様性と包括性を推進する職場環境を整備しています。また、従業員の生涯学習とキャリア成長を支援し、心身の健康維持(ウェルビーイング)を推進しています。このようなアプローチが、人々の暮らしを豊かにする治療法を創出する能力の向上につながると考えています。 生涯学習とキャリア成長は従業員のやる気や専門性を高め、新しい発想につながり、結果的に患者さんへの価値創造につながります。当社は、従業員のスキルアップやケイパビリティを開発し、持続的な成長に向けて、機動的で柔軟な組織を構築しています。 また、AIは、人材開発へのアプローチをも変革しています。Career Navigatorのプラットフォームは、従業員が個々のキャリアパスを描くことを可能とし、AIを活用して社内の募集職種やメンターシップ、学習機会に関する情報を個別化することで、従業員が可能性を最大限に発揮できるよう支援しています。さらに、AIによるコーチングやロールプレイを通じて、従業員がリスクのない環境下で新しいスキルを実践できるよう支援しています。 当社は、事業の将来性をより確かなものとするため、従業員のデジタル活用能力をさらに向上させる必要があると考えています。2024年7月には、新たなデジタルデクステリティ(デジタル技術を迅速に習得し、効果的に活用する能力)の最初の重要なステップとして、当社の学習プラットフォームにおいてEveryday AI Learningを立ち上げました。Everyday AI Learningは、AIおよび生成AIに必要なスキルを育成するためのプラットフォームです。 また、当社では、生涯学習への取り組みを全社的に推進しています。例えば、製造部門および品質部門においては、従業員は毎月3時間をスキルの向上やスキルの再習得のために利用することができます。この時間は、必須のトレーニングや業務に関連したトレーニングの時間とは別に提供されています。 当社は、グローバルなバイオ医薬品企業として、世界中の従業員と患者さんの多様性を認識し受け入れるとともに、この強みを活かしてイノベーションを推進し続けています。 当社は、従業員が目標に向かって前進、成長し、可能性を最大限に発揮できるようウェルビーイングの向上に取り組んでいます。当社のグローバルなウェルビーイングプログラムは、精神的、身体的、社会的、経済的な側面を取り入れています。当社の全従業員はThrive Globalプログラムにアクセスし、睡眠、栄養、運動といったウェルビーイングの要素を管理することができます。また、この1年間において、ウェルビーイングの取り組みを強化するためにさらなる施策を講じました。この一環として、従業員支援プログラムをより多くの国に拡大させ、全ての従業員が同じ福利厚生や支援を利用できるようになりました。 当社は、職場における安全確保に取り組んでおり、製造拠点においては重大な傷害や死亡事故防止に焦点を当てた安全文化を醸成しています。リスク評価プロセスでは、事案につながる可能性のあった活動や体系的な安全プログラムの課題を特定しています。また、四半期毎に製造ネットワーク全体で「Lessons Learned(教訓)」イベントを開催し、発生した可能性のあった事案を紹介し、再発防止策について議論しています。 Planet(いのちを育む地球のために)当社は、「私たちの存在意義」(パーパス)に基づき、地球環境を損なうことのないよう事業を展開しています。公衆衛生は地球環境と密接に関連しており、気温の上昇に伴い、感染症は増加し、影響を受ける地域の患者さんの医療アクセスに係る困難な課題も増加する可能性があります。 当社は、環境課題に対する高い意識を持って積極的に取り組んでいます。「私たちの存在意義」(パーパス)を実現するためには、人々の健康には健全な地球環境が必要であり、人々の健康に貢献するだけでは充分ではないと考えています。当社では、環境負荷を低減するためにクリーンエネルギーを優先的に使用するだけでなく、ネットゼロの達成およびバリューチェーン全体で温室効果ガス排出を無くすべく、ネットゼロのロードマップを進めるための取り組みに注力するとともに、バリューチェーンを超えた自然の力を活かした炭素除去プロジェクトへの投資を継続しています。当社は、2035年度までに当社の事業活動における温室効果ガス排出量を、2040年度までにバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量をネットゼロにすることを目指しており、短期、長期を含めた目標について、SBTi(科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)の認証を取得しました。 当社は、温室効果ガス排出量削減の目標に向けて、着実に進展を続けています。例えば、最近、デング熱ワクチンを製造するドイツのジンゲンにある製造施設でバイオマス熱プラントの稼働を成功裏に開始したことを発表しました。この新しいバイオマスボイラーは、現在使用されているガスの多くを廃木材に置き換えることを目指しており、CO2排出量を最大80%削減することが期待されています。 また、当社は製品の設計や開発にライフサイクルの視点を取り入れることで、バリューチェーン全体で環境負荷を最小限に抑えることを目指しています。さらに、天然資源保全プログラムにおいては、気候変動以外の環境負荷の低減を目指す活動として水の保全、責任ある廃棄物処理、生物多様性保全などに取り組んでいます。 DD&Tは、当社の環境への取り組みを支える重要な要素でもあります。大阪工場では、水使用の各箇所にセンサーやモニターを設置、データを解析して水の使用量を最適化する方法を検討、成功事例を標準化することで、年間45万リットルの蒸留水の使用量を削減し、年間200万リットル以上の水道水の使用量を削減しました。同様のプロジェクトとして、電力消費量の削減や太陽光やその他のグリーンエネルギーの利用拡大にも取り組んでいます。 財務展望当社は、持続的な成長と長期的な価値創造を支える確固たる財務基盤を有しており、強固な枠組みのもと、戦略的な取り組みを柔軟に推進し、価値ある成果を生み出すことが可能となっています。 タケダの成長製品・新製品*は、中長期的に売上成長を牽引していく上で非常に重要であり、人々の暮らしを豊かにする治療法の発見や開発へのさらなる投資を支える役割を果たすものと期待しています。これら製品の力強い持続的な売上成長は、差し迫る医療課題に対応し、世界中の患者さんに深い恩恵をもたらす革新的な治療法を推進させることを可能にします。当社は、このようなビジョンを実現するため、組織の機動性を向上させるとともに、DD&TやAIを活用しながら全社的な効率化プログラムにも取り組んでいます。中長期的には、当社はCore営業利益率を30%台前半から半ばまでに引き上げることを目指しており、潤沢なキャッシュ・フローを維持してまいります。 また、当社は、売上成長を実現し事業運営の卓越性をさらに強化するため取り組むとともに、人生を変え得る治療法の発見や開発に対する長期的なコミットメントを堅持しています。研究開発投資は、価値創造を追求する上で重要な投資であり、6つの後期開発パイプラインはグローバルで、合計100億~200億米ドルのピーク時売上収益に達する可能性**を秘めています。これら後期開発プログラムを2030年までに上市し成功を収めることは、持続的な成長と現金の創出に大きく貢献することにつながります。 当社は、重要なフェーズにある開発を着実に進め、これらのプログラムを市場に投入してまいりますが、投資資本に対する魅力的なリターンを実現することについても引き続き注力してまいります。当社は、革新的な治療法の発見と開発に対する戦略的かつ規律ある投資を通じて、社会やすべてのステークホルダーに対して価値を創出していくことを目指しています。後期開発パイプラインを成功裏に上市させることとあわせ、事業運営の卓越性を引き続き高めることで、株主資本利益率やその他の財務指標、さらには企業価値の向上につなげてまいります。 * タケダの成長製品・新製品(2025年度)消化器系疾患:ENTYVIO、EOHILIA希少疾患:タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ血漿分画製剤:GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤、 HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤オンコロジー:アルンブリグ、FRUZAQLAワクチン:QDENGA ** ピーク時売上収益の範囲は、技術的及び規制上の成功確率を考慮して調整されていない推定値であり、予想または目標とみなされるべきではありません。ピーク時売上収益の範囲は、将来起こりうるとは限らないさまざまな商業的シナリオについての当社の評価に基づきます。 [主要製品一覧]消化器系疾患領域における主要製品は以下の通りです。・ENTYVIO(ベドリズマブ):ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎・クローン病に対する治療剤です。ENTYVIOは、2014年に米国および欧州において発売以来、売上が伸長しており、2025年3月期の当社グループの売上トップ製品でした。現在、ENTYVIOは世界70カ国以上で承認され、皮下注射製剤は米国、欧州および日本において承認されました。当社は本剤の可能性を最大化するため、その他の国においても本剤の承認取得を進め、さらなる適応症の開発を行ってまいります。2025年3月期におけるENTYVIOの売上収益は9,141億円となりました。・EOHILIA(ブデソニド経口懸濁液):EOHILIAは好酸球性食道炎(EoE)の治療薬で、コルチコステロイド薬です。米国食品医薬品局(FDA)による承認を受けた初めてかつ唯一の11歳以上のEoE患者さんへの12週間の投与を適応とする 経口治療薬です。2024年2月に米国FDAによる承認取得後上市しました。2025年3月期におけるEOHILIAの売上収益は55億円となりました。・タケキャブ/VOCINTI(ボノプラザンフマル酸塩):酸関連疾患の治療剤タケキャブは、2015年に日本で発売され、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制などの効能により飛躍的な成長を遂げました。タケキャブ(中国の製品名:VOCINTI)は、2019年に胃食道逆流症の治療剤として中国で承認されました。2025年3月期におけるタケキャブ/VOCINTIの売上収益は1,308億円となりました。・GATTEX/レベスティブ(テデュグルチド[DNA組換え型]):非経口(静脈栄養)サポートを必要とする短腸症候群(SBS)の治療薬です。成人用および小児用の効能を有するGATTEX/レベスティブが米国、欧州、日本において承認されました。2025年3月期におけるGATTEX/レベスティブの売上収益は1,463億円となりました。希少疾患領域における主要製品は以下の通りです。・タクザイロ(ラナデルマブ):タクザイロは、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作予防に用いられます。タクザイロは、HAEの患者さんにおいて慢性的に制御不能な酵素である血漿カリクレインに選択的に結合し、減少させる完全ヒト型モノクローナル抗体です。タクザイロは(12歳以上の患者さんへの適応として)2018年に米国と欧州にて、2020年に中国にて、2022年に日本にて承認され、さらなる地理的拡大を目指しています。2023年に、2歳以上の小児患者さんに対する治療薬として、FDAおよび欧州委員会の承認を取得しました。また、2025年2月に、12歳以上の遺伝性血管性浮腫患者さんへの皮下投与用のタクザイロの追加の選択肢である2mLのプレフィルドペンが欧州医薬品庁(EMA)から承認されました。2025年3月期におけるタクザイロの売上収益は2,232億円となりました。・リブテンシティ (maribavir):リブテンシティは、成人患者さんと小児患者さん(12歳以上で体重35 kg以上)に対する、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、またはシドフォビルに対して遺伝子型抵抗性(無しも含みます)を示す難治性の移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療薬であり、2021年12月に米国において発売され、2022年11月に欧州、2023年12月に中国において承認されました。リブテンシティは、高いアンメット・メディカル・ニーズによる順調な市場浸透、急速なエリア拡大、迅速なマーケットアクセスにより、上市後も好調な業績となりました。2025年3月期におけるリブテンシティの売上収益は330億円となりました。・アジンマ(遺伝子組換え ADAMTS13-krhn):アジンマは先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の成人および小児患者さんの予防的治療薬ならびに酵素補充療法であり、欠乏したADAMTS13酵素を補充することによりcTTP患者のアンメット・メディカル・ニーズに対応するFDAに承認された初めてかつ唯一の遺伝子組換えADAMTS13(rADAMTS13)です。 また、アジンマ(一般名: アパダムターゼ アルファ(遺伝子組換え)/シナキサダムターゼ アルファ(遺伝子組換え))が、日本においては12歳以上の患者さん、欧州(EMA市場)においてはすべての年齢層の患者さんを対象としたcTTP治療薬として承認されました。2025年3月期におけるアジンマの売上収益は71億円となりました。・エラプレース(イデュルスルファーゼ):エラプレースは、ハンター症候群(ムコ多糖症II型またはMPS II)に対する酵素補充治療薬です。2025年3月期におけるエラプレースの売上収益は972億円となりました。・リプレガル(アガルシダーゼ アルファ):リプレガルは、ファブリー病に対して米国以外の市場で販売され、2020年に中国でも承認された酵素補充療法治療薬です。当社は、2022年2月に大日本住友製薬株式会社から「リプレガル」の日本における製造販売承認を承継し、同剤の販売の移管を受けました。ファブリー病は、脂肪の分解に関与するリソソーム酵素α-ガラクトシダーゼAの活性の欠如に起因する遺伝子性の希少疾患です。2025年3月期におけるリプレガルの売上収益は779億円となりました。・アドベイト(抗血友病因子(遺伝子組換え型)):アドベイトは、血友病A(血液凝固第Ⅷ因子欠乏)の治療薬であり、出血の制御と予防、周術期管理および出血の頻度を予防または軽減するために行う定期補充療法に使用されます。2025年3月期におけるアドベイトの売上収益は1,118億円となりました。・アディノベイト/ADYNOVI(抗血友病因子(遺伝子組換え型) [PEG化]):アディノベイト/ADYNOVIは、血友病A治療薬であり、遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤です。アディノベイト/ADYNOVIは遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤アドベイトと同じ製造工程で作られ、当社がネクター社より独占的にライセンス取得しているPEG化(体内での循環時間を延長し、投与頻度を減らすための化学修飾処理)技術を追加したものです。2025年3月期におけるアディノベイト/ADYNOVIの売上収益は646億円となりました。・ビプリブ(ベラグルセラーゼアルファ点滴静注用):ビプリブはI型ゴーシェ病に対する長期酵素補充療法治療剤です。2025年3月期におけるビプリブの売上収益は535億円となりました。血漿分画製剤(PDT)領域における主要製品は以下の通りです。・GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG(静注用人免疫グロブリン10%製剤):GAMMAGARD LIQUIDは、抗体補充療法用免疫グロブリン(以下、「IG」)の液体製剤です。GAMMAGARD LIQUIDは、原発性免疫不全症(PID)の成人および2歳以上の小児患者さんに対して使用され、静注または皮下注のいずれかの方法で投与します。また、GAMMAGARD LIQUIDは、成人の多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者さんに対しても静注投与にて使用されます。2024年1月に、米国において、GAMMAGARD LIQUIDが、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんの治療薬として承認されました。GAMMAGARD LIQUIDは、米国以外の多くの国で製品名KIOVIGとして販売されています。KIOVIGは、欧州において、CIDPを含む、複数の適応症への使用が承認されています。・ハイキュービア(ヒト免疫グロブリン注射製剤10%):ハイキュービアは、ヒト免疫グロブリン(IG)および遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ(Halozyme社よりライセンス取得)からなる製剤です。ハイキュービアは、PID患者さんに対して最長で1ヶ月に1回の投与で、1回あたりの注射部位一ヶ所でIGの全治療用量の投与が可能な唯一のIG皮下注用治療薬です。ハイキュービアは、米国では成人PID患者さんへの使用、欧州においてはPID症候群および骨髄腫患者さんまたは重度の続発性低ガンマグロブリン血症および回帰感染を伴う慢性リンパ性白血病患者さんへの使用、また日本においてはPID患者さんまたは無又は低ガンマグロブリン血症を伴う続発性免疫不全症の患者さんへの使用が承認されております。2024年1月に、ハイキュービアは、米国において、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんの再発予防の維持療法として、また、欧州においては、すべての年齢のCIDPの患者さんの維持療法として承認されました。• キュービトル(ヒト免疫グロブリン皮下注用20%製剤):キュービトルは、原発性体液性免疫不全症の成人および2歳以上の小児患者さんに対する補充療法に用いられます。キュービトルは、欧州では特定の続発性免疫不全の治療薬としても承認されています。キュービトルは、プロリン不含で、投与部位1ヶ所あたりの耐用量内で最大60 mL(12g)および1時間あたり60 mLまで投与可能な唯一の20%皮下IG治療薬であり、従来の皮下IG治療薬と比較してより少ない投与部位および短い投与時間での使用が可能です。2025年3月期におけるGAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤の売上収益は7,578億円となりました。・FLEXBUMIN(ヒトアルブミンバッグ製剤)およびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤):FLEXBUMINおよびヒトアルブミンは、濃度5%および25%の液体製剤として販売されています。両製品とも、血液量減少症、一般的な原因および火傷による低アルブミン血症、ならびに心肺バイパス手術時のポンプのプライミングに使用されます。また、FLEXBUMIN 25%製剤は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびネフローゼに関連する低アルブミン血症、ならびに新生児溶血性疾患(HDN)にも適応されます。2025年3月期におけるFLEXBUMINおよびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤入り)を含むアルブミン製剤の売上収益は1,414億円となりました。オンコロジー領域における主要製品は以下の通りです。・アルンブリグ(ブリグチニブ):アルンブリグは、非小細胞肺がん(NSCLC)治療に使用される経口投与の低分子未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤であり、クリゾチニブ投与中に進行した、またはクリゾチニブに不耐性を示す患者さんに対する治療薬として、2017年に米国で迅速承認され、2018年にEUにおいて、クリゾチニブの治療歴を有する患者さん向けの販売承認を取得しました。2020年に米国とEUの両方において、新たにALK陽性転移性NSCLCと診断された患者さんに対する効能が追加されました。2021年1月に、日本において、ファーストラインおよびセカンドラインの治療薬として承認されました。また2022年3月に、アルンブリグは中国において承認されました。2025年3月期におけるアルンブリグの売上収益は364億円となりました。・FRUZAQLA(フルキンチニブ):フルオロピリミジン、オキサリプラチン、およびイリノテカンを含む化学療法、抗VEGF療法、および抗EGFR療法(RAS野生型で医学的に適切な場合)の治療歴があるmCRC成人患者に対する治療薬です。FRUZAQLAは、3種類のVEGF受容体キナーゼすべてに対して選択性を有する内服阻害薬として、米国、欧州、日本のほか、世界中の幾つもの国々で承認されております。当社は中国本土、香港、マカオ外でのフルキンチニブのグローバル開発、商業化および製造をさらに進めるための独占的ライセンスを有しています。フルキンチニブは中国ではHUTCHMED社により開発および販売されています。2025年3月期におけるFRUZAQLAの売上収益は480億円となりました。・リュープリン/ENANTONE(リュープロレリン):リュープリン/ENANTONEは、前立腺がんや乳がん、小児の中枢性思春期早発症、子宮内膜症や不妊治療、子宮筋腫による貧血の症状改善に用いられる治療薬です。リュープロレリンの特許期間は満了していますが、製造の観点から後発品の市場参入は限定的です。2025年3月期におけるリュープリン/ENANTONEの売上収益は1,193億円となりました。・ニンラーロ(イキサゾミブ):ニンラーロは、多発性骨髄腫(MM)治療に対する初めての経口プロテアソーム阻害剤です。ニンラーロは、再発又は難治性の多発性骨髄腫の効能で、2015年に米国で承認されて以来、2016年に欧州、2017年に日本、2018年に中国で承認されております。日本においては、多発性骨髄腫の維持療法の治療薬としても承認を受けております。2025年3月期におけるニンラーロの売上収益は912億円となりました。・アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン):アドセトリスは、ホジキンリンパ腫(HL)および全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)の治療に使用される抗癌剤で、2020年5月には中国で承認され世界70カ国以上で販売承認を受けております。当社は、現在Pfizer Inc.の完全子会社であるSeagen, Inc.とアドセトリスを共同開発し、米国およびカナダ以外の国での販売権を保有しています。2025年3月期におけるアドセトリスの売上収益は1,290億円となりました。・アイクルシグ(ポナチニブ塩酸塩):BCR-ABLに作用するチロシンキナーゼ阻害薬であり、慢性骨髄性白血病(CML)とフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ ALL)の治療に適応となります。2016年に米国において全面的な承認を取得した後、2020年と2024年に米国において適用拡大の承認を取得しました。当社は米国とオーストラリアにおいて販売権を取得しております。米国とオーストラリア以外の地域では、認可を受けたパートナー5社により60を超える市場において販売されており、当社はこれらのパートナーから、供給、ロイヤリティおよびマイルストンの支払を受領しており、その水準はパートナーによって異なります。2025年3月期におけるアイクルシグの売上収益は707億円となりました。ニューロサイエンス領域における主要製品は以下の通りです。・VYVANSE/ELVANSE(リスデキサンフェタミンメシル酸塩):VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)は、6歳以上の注意欠陥・多動性障害(ADHD)患者さんおよび成人の中程度から重度の過食性障害患者さんの治療に用いられる中枢神経刺激剤です。2023年以降、米国において後発品が市場に参入したことにより、売上は減少しました。2025年3月期におけるVYVANSE/ELVANSEの売上収益は3,506億円となりました。・トリンテリックス(ボルチオキセチン臭化水素酸塩):トリンテリックスは、成人大うつ病性障害の治療に適応される抗うつ薬です。トリンテリックスはH. Lundbeck A/S社と共同開発し、当社は米国および日本での販売権を保有しており、米国では2014年、また日本では2019年より販売しています。2025年3月期におけるトリンテリックスの売上収益は1,257億円となりました。ワクチン領域における主要製品は以下の通りです。・QDENGA(4価デング熱ワクチン):QDENGAは4種のワクチンウイルス型すべての遺伝子型の“バックボーン”として弱毒化された生の2型デングウイルスをベースに構築されています。QDENGAはテング熱流行国および渡航市場を含む29カ国において販売されています。2025年3月期における QDENGAの売上収益は356億円となりました。売上収益の地域別内訳は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 事業セグメントおよび売上収益」をご参照下さい。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。 売上収益4兆5,816億円[前年度比3,178億円(7.5%) 増] 研究開発費7,302億円[ 〃3億円(0.0%) 増] 営業利益3,426億円[ 〃1,285億円(60.0%) 増] 税引前当期利益1,751億円[ 〃1,223億円(231.7%) 増] 当期利益1,081億円[ 〃361億円(25.0%) 減] 基本的1株当たり利益68円36銭[ 〃23円73銭(25.8%) 減] 資産合計14兆2,483億円[前年度末比8,604億円(5.7%) 減] 負債合計7兆3,124億円[ 〃5,224億円(6.7%) 減] 資本合計6兆9,360億円[ 〃3,380億円(4.6%) 減] なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を省略しております。 ② キャッシュ・フローの状況「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照下さい。 ③ 生産、受注及び販売の状況 (a) 生産実績当年度における生産実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬品事業2,247,804△8.9合計2,247,804△8.9 (注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。 2 生産実績金額は、販売価格によっております。 (b) 受注状況当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しており、一部の受注生産における受注高および受注残高の金額に重要性はありません。 (c) 販売実績当年度における販売実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬品事業 4,581,551 7.5 (国内)(418,462)(△7.3) (海外)( 4,163,089)(9.2)連結損益計算書計上額(うちライセンス供与による収益・役務収益) 4,581,551 7.5 ( 85,579)( △14.5) (注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。 相手先前年度当年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)センコラ Inc.(旧称:アメリソースバーゲン・コーポレーション)およびそのグループ会社579,06513.6577,01712.6マッケソン・コーポレーションおよびそのグループ会社578,76713.6592,32312.9カーディナルヘルス Inc.およびそのグループ会社(注)436,95110.2-- (注)当年度におけるカーディナルヘルス Inc.およびそのグループ会社の販売実績および当該総販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満のため記載を省略しています。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容(a) 当年度の経営成績の分析 (ⅰ) 当社グループの経営成績に影響を与える事項事業の概況当社は、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。当社は、幅広い医薬品のポートフォリオを有し、研究、開発、製造、およびグローバルでの販売を行っています。主要ビジネスエリアは、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ワクチン、およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の6つに分けられています。研究開発においては、消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、およびオンコロジーの3つの重点疾患領域に取り組むとともに、血漿分画製剤にも注力しています。当社は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。当社は、患者さんやコミュニティに高品質の医薬品をできる限り早くお届けするために、希少疾患および有病率がより高い疾患のいずれにおいても、未だ有効な治療法が確立されていない疾患に対する高い医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)に集中して取り組んでいます。当社は、約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点を有するとともに、日本および米国に主要な研究拠点を有しています。販売においては、米国、日本および欧州において非常に高いプレゼンスを有しており、中国においては急成長している事業を展開しています。また、当社は事業運営をより効果的かつ効率的に行うため、データ、デジタルおよびテクノロジーの活用を促進し、イノベーションの創出の増進およびステークホルダーへの価値提供に取り組んでいます。当社グループの事業は単一セグメントであり、資源配分、業績評価、および将来業績の予測においてマネジメントの財務情報に対する視点と整合しております。2025年3月期における売上収益および営業利益はそれぞれ4兆5,816億円および3,426億円であります。 当社グループの経営成績に影響を与える事項当社グループの経営成績は、グローバルな業界トレンドや事業環境における以下の事項に影響を受けます。 関税措置およびその他の貿易制限措置他の品目と同様に、医薬品も関税措置や貿易制限措置の影響を受ける可能性があります。2025年1月に発足した米国政権は、新たな関税措置として、中国、メキシコ、カナダに対する措置や、医薬品を除く特定の品目に対する世界規模の措置を発表しました。これにより、中国を含む影響を受けた国々が報復措置を講じ、または講じる可能性があります。さらに、米国政権は、1962年通商拡大法第232条に基づき、医薬品および医薬品原料の輸入が国家安全保障に与える影響を評価するため、調査を実施することを発表しました。一部の政府当局者は、この調査の結果として、医薬品に関税が課される可能性があることを示唆しています。米国か他国により実施される、または実施される可能性のある関税措置の期間および範囲は不明であり、関税措置が当社グループの事業に最終的にどの程度の影響を与えるかも不明瞭な状況です。しかしながら、現時点の想定では、米国および中国政府による関税措置の影響は限定的であると見込んでいます。当年度の業績に基づくと、当社グループの米国売上収益の約8~10%(または連結売上収益の約4~5%)は米国以外を原産国とする輸入品の関税評価額に相当し、関税措置の対象となります。また、中国で販売する製品のうち、米国を原産国とする部分の関税評価額は中国売上収益の約12~15%(または連結売上収益の約0.5~0.6%)相当と見込んでいます。当社グループでは、在庫管理やサプライチェーン管理を中心に、グローバルな供給ネットワークにおける関税措置の影響の緩和策を実施しています。2025年5月8日時点において、当社グループはグローバルに22の製造拠点を有しており、そのうち20拠点が米国向けに供給しており、7拠点が米国内に所在しています。 特許保護と後発品との競争医薬品は特に、特許保護や規制上の独占権によって市場競争が規制されることにより、当社グループの業績に貢献する場合があります。代替治療の利用が容易でない新製品は当社グループの売上の増加に貢献します。ただし、保護されている製品についても、効能、副作用や価格面で他社との競争が存在します。一方で、特許保護もしくは規制上の独占権の喪失や満了により、後発品が市場に参入するため、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼすことがあります。当社グループの主要製品の一部は、特許やその他の知的財産権保護の満了により、厳しい競争に晒されており、あるいは晒されると予想しています。以下は、過去2年間において、後発品またはバイオシミラーが発売された当社の一部の主要製品の業績を示しています。(「CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベース」の増減は、IFRSに準拠した指標ではありません。詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。)(単位:億円、%以外) 売上収益 増減額 CERベース増減率前年度当年度ベルケイド5552△4△12.0%VYVANSE/ELVANSE4,2323,506△726△21.6%アジルバ336118△218△64.9% 2022年にベルケイドに含まれる有効成分であるボルテゾミブの特許権満了に伴い後発品が参入し、その影響でベルケイドの売上収益は、2024年3月期には55億円、2025年3月期には52億円までに減少しました。2023年8月には米国においてVYVANSEの特許権が満了しました。また、2023年2月にアジルバの後発品が日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)により承認されたことを受け(競合品の薬価収載は2023年6月に承認)、関連する国・地域において、両製品の売上収益が減少しました。VYVANSEの売上収益は2024年3月期の4,232億円から2025年3月期には3,506億円に減少し、アジルバの売上収益は2024年3月期の336億円から2025年3月期には118億円に減少しました。2026年3月期においても、両製品ともに減少傾向が続くと見込んでいます。後発品を販売する他社が特許権の有効性に対する申し立てに成功する場合、もしくは想定される特許侵害訴訟に係る費用以上のベネフィットを前提として参入することを決定する場合があります。また、当社グループの特許権の有効性、あるいは製品保護に対する申し立てが提起された場合には、関連する無形資産の減損損失を認識する可能性があります。 新製品の開発・商業化および既存製品の拡大当社は特に売上収益を伸長し、独占権喪失の影響を相殺することを目指しており、当社の事業において、新規のバイオ医薬品の開発・商業化のほか、既存製品の適応拡大および(または)地理的市場拡大による既存製品の拡大は重要な取組みです。これらの目標達成までのプロセスは長期にわたり多額の費用を伴い、多額の研究開発費が発生します。これらは当社の連結損益計算書上営業費用として計上しています。当社の研究開発の取組みに関する詳細については、本報告書の「6.研究開発活動」、製品に関連する研究開発費(償却および減損を含む)および無形資産の会計方針については、本報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」をご参照ください。当社は、当社のポートフォリオのうち、一部の製品を当社の成長製品・新製品として特定しております。特にライフサイクルの初期段階にある製品の多くは連結売上収益への貢献は限定的でありますが、当社の経営者はこれらの製品を将来の主要な成長ドライバーとしてモニターしており、これらの製品に関する情報は、当社が今後成長を見込んでいる領域を投資家に理解していただくにあたり有用であると考えています。当グループを構成する製品は随時変更され、臨床試験の結果や規制当局の認可取得等により、製品を追加または除外する場合があります。2025年3月期において、当社は次の製品を成長製品・新製品として特定しました:ENTYVIO、EOHILIA、タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN・FLEXBUMINを含む)、FRUZAQLA、アルンブリグおよびQDENGA2025年3月期において、これらの成長製品・新製品は、当社の連結売上収益の48%を占める2兆2,019億円でありました。2025年3月期の内訳としては、ENTYVIOは9,141億円(当社の連結売上収益の20%)、当社の3つの免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトル)は7,578億円(当社の連結売上収益の17%)、アルブミン製剤は1,414億円(当社の連結売上収益の3%)、タクザイロは2,232億円(当社の連結売上収益の5%)となりました。また、2024年3月期にアロフィセルおよびEXKIVITYの治験が失敗し、これらの製品の商業的予測が変更されたため、2025年3月期の成長製品・新製品(注)から除外しております。一方、新製品FRUZAQLAおよびQDENGAは今後成長し、長期的に収益成長に大きく貢献すると見込まれるため、これらの製品を追加しております。変更後の成長製品・新製品は、2025年3月期における連結売上収益の48%を占める2兆2,019億円となります。2026年3月期において、rusfertideのFDAへの承認申請、oveporextonとzasocitinibの臨床第3相試験データの読み出しを予定しています。成功した場合には、2026年または2027年に、これらの製品が成長製品・新製品として上市する可能性があります。(注)本年次報告書日現在において、2026年3月期の成長製品・新製品は、以下のとおりです。ENTYVIO、EOHILIA、タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含む)、FRUZAQLA、アルンブリグおよびQDENGA 買収当社グループは、研究開発能力を拡大し(新たな手法に展開することを含みます。)、新しい製品(開発パイプラインや上市済み製品)やその他の戦略的領域を獲得するために、新たな事業または資産を買収する可能性があります。同様に、当社グループの主な成長ドライバーに注力するため、また当社グループのポートフォリオを維持するために、事業や製品ラインを売却しております。これらの買収は企業結合または資産の取得として会計処理されております。企業結合の場合、取得した資産および引き受けた負債は公正価値で計上されております。当社グループの業績は、通常、棚卸資産の公正価値の増加や、取得した有形固定資産および無形資産の償却費により影響を受けます。また、資産の取得の場合、取得した資産は取引価格で計上されております。企業結合または資産の取得の対価が追加的な借入金で賄われている場合、支払利息の増加も当社グループの業績に影響を与えます。なお、2024年3月期および2025年3月期、ならびに本報告書提出日時点までにおいて、重要な事業または資産の買収はありません。 事業売却買収に加え、当社グループは、主要な成長ドライバーに注力し、また長期借入金を速やかに返済するための追加キャッシュ・フローを創出するため、事業や製品ラインを売却しております。以下は2024年3月期から2025年3月期および本報告書提出日時点において、実施または発表された重要な事業売却になります。当社グループは、2025年3月期にTeva Pharmaceutical Industries Ltd.(「テバ社」)と日本国内において展開するジェネリック医薬品および長期収載品を中心とした合弁事業について、これを解消する方向でテバ社と協議することを決定しました。これに伴い、武田テバファーマ株式会社の全株式である関連会社株式を売却目的で保有する資産に分類し、2025年3月期において189億円の減損損失を金融費用に計上しました。2025年3月に当該譲渡が完了したことによる売却収入は508億円の受取配当金を含む565億円であり、2025年3月期に連結キャッシュ・フロー計算書に計上された関連会社株式の売却による収入577億円の大部分を構成しています。また、過去の取引で発生した未実現利益が譲渡完了時に実現したことにより17億円と38億円をそれぞれ売上収益とその他の営業収益に計上しました。 原材料の調達による影響重要な原材料を社内外から調達することができない場合に、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ヒト血漿は当社グループの血漿分画製剤において重要な原材料であります。血漿をより多く収集するため、調達および外部との契約を強化し、原料血漿の収集や血漿分画に関連する施設への委託、および規制当局から承認を受けることに成功するための取り組みを行っております。 外国為替変動2024年3月期および2025年3月期において、当社グループでは日本以外の売上がそれぞれ89.4%、90.9%を占めております。当社グループの収益および費用は、特に当社の表示通貨である日本円に対する米ドルおよびユーロの外国為替レートの変動に影響を受けます。円安は日本円以外の通貨による収益の増加要因となり当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の増加により相殺される可能性があります。とりわけ、2024年3月期および2025年3月期において、他の通貨に対する円安により、当社の売上収益はプラスの影響を受けました。反対に、円高は日本円以外の通貨による収益減少要因となり当社グループの業績に悪影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の減少により相殺される可能性があります。前年度からの為替レートの変動が当社グループの業績に与える影響を投資家がより良く理解できるよう、当社グループは、補足的にCER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減を「CER」の表記で示しています。IFRSに準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減は「AER」の表記で示しています。CERベースの増減率に基づく対前年度の業績比較分析については、下記の「(ⅲ) 当年度における業績の概要」及び「(ⅳ) 当年度におけるCore業績の概要」をご参照ください。また、「CERベースの増減」は、国際会計基準(IFRS)に準拠した指標ではありません。詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。なお、為替変動リスクを低減するため、当社グループは重要な一部の外貨建取引について、特定のヘッジ手段を利用しております。これには、主に個別に重要な外貨建取引に対する先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプションが含まれます。 季節的要因当社グループの売上収益は、2024年3月期および2025年3月期において第4四半期に減少しています。これは、卸売業者は年末年始休暇に向けてあらゆる国・地域における在庫数を増やす傾向にあること、年間にわたって価格が上昇していること、暦年の年初の米国における保険の年間免責額の改定等によるものです。 (ⅱ) 重要な会計方針当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成されております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産および負債の金額、決算日現在の偶発資産および偶発負債の開示、ならびに報告期間における収益および費用の金額に影響を及ぼす見積りおよび仮定の設定を行うことが求められております。見積りおよび仮定は、継続的に見直されます。経営者は、過去の経験、ならびに見積りおよび仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき当該見積りおよび仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積りおよび仮定とは異なる場合があります。経営者の見積りおよび仮定に影響を受ける重要な会計方針は以下の通りであります。なお、見積りおよび仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。 収益認識「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針 (5) 収益」をご参照ください。 のれんおよび無形資産の減損当社グループは、のれんおよび無形資産について、資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象または状況の変化がある場合には、減損テストを行っております。のれんおよび償却開始前の無形資産については、年次および減損の兆候を捕捉した時点で減損テストを実施しております。2025年3月31日時点において、当社グループはのれんおよび無形資産をそれぞれ5兆3,244億円および3兆6,316億円計上しており、これは総資産の62.9%を占めております。上市後製品に係る無形資産は特許が存続する見込期間または見込まれる経済的便益に応じた他の指標に基づき、3年から20年の耐用年数を用いて定額法で償却しております。仕掛研究開発品に係る無形資産は、特定の市場における商用化が規制当局により承認されるまで償却をしておりません。商用化が承認された時点で、当該資産の見積耐用年数を確定し、償却を開始しております。のれんおよび無形資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損していると判断されます。無形資産にかかる回収可能価額は個別資産、またはその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。のれんの減損テストは単一の事業セグメント単位(単一の資金生成単位)で実施しており、これはのれんを内部管理目的で監視している単位を表しています。回収可能価額の見積りには以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。·将来キャッシュ・フローの金額および時期·競合他社の動向(競合製品の販売開始、マーケティングイニシアチブ等)·規制当局からの承認の取得可能性·将来の税率·永続成長率·割引率将来キャッシュ・フローの金額および時期を見積るための重要な仮定には、研究開発プロジェクトの成功見込みおよび製品に係る売上予測があります。特にのれんにかかる回収可能価額の見積りにおいては、米国における特定の製品に係る売上予測が重要な仮定となります。これらの仮定に影響を与える事象としては、開発の中止、大幅な上市の遅延、規制当局の承認が得られないことによる研究開発プロジェクトの失敗、もしくは一般的には新たな競合製品の販売開始や供給不足による、一部の上市後製品にかかる売上予測の低下があげられます。これらの事象が発生した場合、プロジェクト獲得以降に実施した当初もしくは事後の研究開発投資額が回収できない、もしくは見積った将来キャッシュ・フローが回収できない可能性があります。これらの仮定に変更が生じた場合は、当該連結会計年度において減損損失および、のれんを除き、減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれん および 12 無形資産」をご参照ください。 訴訟に係る偶発事象当社グループは、通常の営業活動において主に製造物責任訴訟および賠償責任訴訟に関与しております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。偶発負債は、その特性から不確実なものであり複雑な判断や可能性に基づいております。訴訟およびその他の偶発事象に係る引当金を算定する際には、該当する訴訟の根拠や管轄、その他の類似した現在および過去の訴訟案件の顛末および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現時点における和解にむけた進行状況等を勘案しております。さらに、未だ提訴されていない製造物責任訴訟については、主に過去の訴訟の経験や製品の使用に係るデータに基づき、費用を合理的に見積ることができる範囲で引当金を計上しております。当社グループが関与する重要な訴訟のうち、それらの最終的な結果により財務上の影響が見込まれる場合であっても、その額について信頼性のある見積りが不可能な訴訟等については、引当金の計上は行っておりません。また、保険の補償範囲期間内である場合は保険による補償についても考慮しております。補償範囲の検討の際に、当社グループは、保険契約の制限や除外、保険会社による補償の拒否の可能性、保険業者の財政状態、ならびに回収可能性および回収期間を考慮しております。引当金および関連する保険補償額の見積りは、連結財政状態計算書上において負債および資産として総額で計上しております。2025年3月31日現在において、係争中の訴訟案件およびその他の案件について125億円の引当金を計上しております。 法人所得税当社グループは、税法および税規制の解釈指針に基づき税務申告を行っており、これらの判断および解釈に基づいた見積額を計上しております。通常の営業活動において、当社グループの税務申告は様々な税務当局による税務調査の対象であり、これらの調査の結果、追加税額、利息、または罰金の支払いが課される場合があります。法律および様々な管轄地域の租税裁判所の判決に伴う法改正により、不確実な税務ポジションに関する負債の見積りの多くは固有の不確実性を伴います。税務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと結論を下した場合に、当社グループは、税務上の不確実性を解消するために必要となる費用の最善の見積り額を認識します。また、未認識の税務上の便益は事実および状況の変化に伴い調整されます。これらの税務ポジションは、例えば、現行の税法の大幅改正、税務当局による税制または解釈指針の発行、税務調査の際に入手した新たな情報、または税務調査の解決により調整が行われる可能性があります。当社グループは、不確実な税務ポジションに係る当社グループの見積りは、現時点において判明している事実および状況に基づき適切かつ十分であると判断しております。また、各報告期間の末日において繰延税金資産の回収可能性を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予想される将来加算一時差異の解消スケジュール、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。収益力に基づく将来課税所得は、主に当社グループの事業計画を基礎として見積られており、当該事業計画に含まれる特定の製品に係る売上収益の予測が変動した場合、認識される繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。過去の課税所得の水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来の課税所得の見積りに基づき、実現する可能性が高いと予想される税務上の便益の額を算定しております。2025年3月31日現在における繰延税金資産を認識していない未使用の繰越欠損金、将来減算一時差異、および未使用の繰越税額控除はそれぞれ1兆1,837億円、4,274億円、および270億円であります。将来における見積りおよび仮定の変更は法人所得税費用に重要な影響を与える可能性があります。 事業構造再編費用当社グループでは、費用削減に関連した取り組みに関連して事業構造再編費用が発生します。退職金が事業構造再編費用の主な内訳であり、事業構造再編に係る引当金は、事業構造再編に係る詳細な公式計画を策定し、かつ計画の実施や影響を受ける関係者への主要な特徴の公表を通じて、影響を受ける関係者に当該事業構造再編が実行されるであろうという妥当な期待を惹起した時点で認識しております。事業構造再編に係る引当金の認識には、支払時期や、事業再編により影響を受ける従業員数等の見積りが必要となります。最終的なコストは当初の見積りから異なる可能性があります。2024年5月9日に当社は、事業の成長と利益率の改善を促進するための複数年にわたる全社的な効率化プログラムを実施することについて、公表しました。本プログラムには、人員の最適化策を伴う組織構造の簡素化、組織全体での生産性と効率性の向上を図るためのDD&Tへの投資、サプライチェーンおよびベンダー管理プロセスにおけるコスト削減と効率化が含まれております。主に、2024 年5月に公表した当該取り組みにより、2025年3月期に1,281億円の事業構造再編費用を計上し、2026年3月期には480億円を計上することを見込んでいます。それ以降の年度においても徐々に減少する見込みです。2025年3月31日現在、140億円の事業構造再編に係る引当金を計上しております。事業構造再編に係る引当金及び対前期比の変動の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 23 引当金」をご参照ください。 (ⅲ) 当年度における業績の概要 前年度および当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。 (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベースCERベース増減額増減率増減率売上収益42,63845,8163,1787.5%2.9%売上原価△14,267△15,802△1,53510.8%6.5%販売費及び一般管理費△10,538△11,048△5094.8%0.6%研究開発費△7,299△7,302△30.0%△4.5%製品に係る無形資産償却費及び減損損失△6,521△6,43289△1.4%△6.0%その他の営業収益1942626835.3%30.8%その他の営業費用△2,065△2,067△20.1%△3.6%営業利益2,1413,4261,28560.0%51.2%金融収益及び費用(純額)△1,678△1,63542△2.5%△5.7%持分法による投資損益65△40△105- - 税引前当期利益5281,7511,223231.7%206.4%法人所得税費用914△669△1,583- - 当期利益1,4421,081△361△25.0%△33.1%当期利益(親会社の所有者帰属分)1,4411,079△361△25.1%△33.2% 本項において、前年度に対する、国際会計基準(IFRS)に準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減額および増減率は「AER」の表記で示し、国際会計基準(IFRS)に準拠しない恒常為替レート(Constant Exchange Rate)ベースの増減率は「CER」の表記で示しています。「CERベースの増減率」の定義については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。 〔売上収益〕売上収益は、4兆5,816億円(+3,178億円および+7.5% AER、+2.9% CER)となりました。これは主に、為替相場が円安に推移したこと、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)およびワクチンにおいて事業が好調に推移したことによるものです。当社の6つの主要なビジネスエリアのうち、ニューロサイエンス(神経精神疾患)については減収となり、これらのビジネスエリアの増収を一部相殺しました。ニューロサイエンスは、円安による増収影響があったものの、米国における注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤VYVANSEの独占販売期間満了に伴い、2023年8月以降、後発品が参入したことによる影響を引き続き大きく受けて減収となりました。加えて、当社の6つの主要なビジネスエリア以外における減収は、主に日本において高血圧症治療剤アジルバの減収によるものです。アジルバの売上は、118億円(△218億円および△64.9% AER、△64.9% CER)となり、日本において2023年6月以降の後発品の参入による影響を受け減収となりました。 地域別売上収益各地域の売上収益は以下のとおりです。(単位:億円、%以外)売上収益:前年度当年度AERベースCERベース増減額増減率増減率 日本4,5144,185△329△7.3%△7.4% 米国21,95723,7971,8398.4%2.5% 欧州およびカナダ9,66810,5538849.1%4.1% 中南米1,9812,35837719.1%19.7% 中国1,7481,9171699.7%4.8% アジア(日本および中国を除く)86499413015.1%11.6% ロシア/CIS726724△2△0.3%△1.0% その他(注1)1,1791,2881099.3%4.7% 合計42,63845,8163,1787.5%2.9% (注1) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。 当社グループの売上収益の大部分は、主要な医療用医薬品により占められております。当年度の各ビジネスエリアにおける主要製品の売上は以下のとおりです。 (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベースCERベース増減額増減率増減率消化器系疾患: ENTYVIO(注1)8,0099,1411,13214.1%8.5%GATTEX/レベスティブ1,1931,46327022.7%17.2%タケキャブ/VOCINTI(注2)1,1851,30812210.3%9.7%PANTOLOC/CONTROLOC(注3)465446△19△4.1%△8.2%DEXILANT453385△67△14.9%△16.5%EOHILIA255532,627.1%2,500.6%その他855773△83△9.7%△13.8%消化器系疾患 合計12,16213,5701,40811.6%6.8%希少疾患: タクザイロ1,7872,23244524.9%18.9%アドベイト1,2291,118△112△9.1%△13.4%エラプレース916972576.2%2.1%リプレガル736779435.8%2.1%アディノベイト/ADYNOVI663646△17△2.6%△6.0%ビプリブ513535224.2%△0.5%リブテンシティ19133013972.9%64.5%アジンマ471671,566.2%1,515.8%その他84684700.1%△4.4%希少疾患合計6,8847,5286449.4%4.6%血漿分画製剤: 免疫グロブリン製剤6,4467,5781,13217.6%11.5%アルブミン製剤1,3401,414745.5%1.1%その他1,2511,335846.7%1.5%血漿分画製剤合計9,03710,3271,29014.3%8.6%オンコロジー: アドセトリス1,0941,29019617.9%14.8%リュープリン/ENANTONE1,0741,19311911.1%8.2%ニンラーロ874912394.4%△0.2%アイクルシグ54770716029.3%23.0%FRUZAQLA(注5)101480379375.7%351.3%アルンブリグ2853647927.7%22.7%その他64965891.3%0.3%オンコロジー 合計4,6245,60498121.2%17.2%ワクチン: QDENGA96356260272.3%259.0%その他408198△210△51.4%△51.4%ワクチン 合計5045545110.0%7.5%ニューロサイエンス: VYVANSE/ELVANSE(注4)4,2323,506△726△17.2%△21.6%トリンテリックス1,0481,25720920.0%14.2%ADDERALL XR418284△133△31.9△35.3%その他572610386.6%4.5%ニューロサイエンス 合計6,2705,658△612△9.8%△14.1% (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベースCERベース増減額増減率増減率その他: アジルバ(注2)336118△218△64.9%△64.9%ホスレノール13579△56△41.5%△44.1%その他2,6852,377△309△11.5%△13.2%その他 合計3,1572,574△583△18.5%△20.0%総合計42,63845,8163,1787.5%2.9% (注1)国内製品名:エンタイビオ(注2)配合剤、パック製剤を含む。(注3)一般名:pantoprazole(注4)国内製品名:ビバンセ(注5)国内製品名:フリュザクラ 各ビジネスエリアにおける売上収益の前年度からの増減は、主に以下の製品によるものです。 - 消化器系疾患消化器系疾患の売上収益は、1兆3,570億円(+1,408億円および+11.6% AER、+6.8% CER)となりました。当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の売上は、9,141億円(+1,132億円および+14.1% AER、+8.5% CER)となりました。米国における売上は、6,192億円(+731億円および+13.4% AER)となりました。この増収は、炎症性腸疾患に対する生物学的製剤の新規投与の堅調な需要の維持および皮下注射製剤の上市以降、継続的に投与患者が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。欧州およびカナダにおける売上は、2,274億円(+316億円および+16.1% AER)となりました。この増収は、皮下注射製剤の継続的な使用拡大に伴い患者が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。短腸症候群治療剤GATTEX/レベスティブの売上は、1,463億円(+270億円および+22.7% AER、+17.2% CER)となりました。この増収は、主に米国における需要増加、処方拡大(小児適応拡大)、および円安による増収影響によるものです。 - 希少疾患希少疾患の売上収益は、7,528億円(+644億円および+9.4% AER、+4.6% CER)となりました。遺伝性血管性浮腫治療剤タクザイロの売上は、2,232億円(+445億円および+24.9% AER、+18.9% CER)となりました。この増収は、主に米国、欧州およびカナダにおける高い治療継続率および予防市場の成長により需要が増加していること、および円安による増収影響によるものです。移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療剤リブテンシティの売上は、330億円(+139億円および+72.9% AER、+64.5% CER)となりました。この増収は、主に米国において市場浸透が継続して好調に進んだことに加え、欧州および成長新興国において引き続き販売エリアが拡大したことによるものです。酵素補充療法のハンター症候群治療剤エラプレースの売上は、972億円(+57億円および+6.2% AER、+2.1% CER)となりました。この増収は、主に円安による増収影響、および成長新興国における堅調な需要によるものです。酵素補充療法のファブリー病治療剤リプレガルの売上は、779億円(+43億円および+5.8% AER、+2.1% CER)となりました。この増収は、主に円安による増収影響、および成長新興国での需要の増加によるものです。血友病A治療剤アドベイトの売上は1,118億円(△112億円および△9.1% AER、△13.4% CER)となりました。この減収は、主に米国における競争激化、および中国における需要減少によるものです。この減収は、円安による増収影響により一部相殺されました。 - 血漿分画製剤血漿分画製剤の売上収益は、1兆327億円(+1,290億円および+14.3% AER、+8.6% CER)となりました。免疫グロブリン製剤の売上合計は、7,578億円(+1,132億円および+17.6% AER、+11.5% CER)となりました。3つのグローバル製品の売上は、引き続きグローバルに需要が堅調に推移し供給量が増加したこと、および円安による増収影響により、2桁台の売上増加率となりました。これら3製品には、原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に用いられる静注製剤GAMMAGARD LIQUID/KIOVIGのほか、静注製剤に比べ投薬の利便性が高く、速いペースで成長している皮下注射製剤のキュービトルとハイキュービアが含まれます。主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられるHUMAN ALBUMINとFLEXBUMINを含むアルブミン製剤の売上合計は、1,414億円(+74億円および+5.5% AER、+1.1% CER)となりました。この増収は、主に円安による増収影響によるものです。 - オンコロジーオンコロジーの売上収益は、5,604億円(+981億円および+21.2% AER、+17.2% CER)となりました。大腸がん治療剤FRUZAQLA(国内製品名:フリュザクラ)の売上は、480億円(+379億円および+375.7% AER、+351.3% CER)となりました。この増収は、本剤が転移性大腸がんにおける新たな治療選択肢として、2023年11月に米国で最初に上市して以降、その他の国々でも上市されたことによるものです。悪性リンパ腫治療剤アドセトリスの売上は、1,290億円(+196億円および+17.9% AER、+14.8% CER)となりました。この増収は、成長新興国および欧州において、主にホジキンリンパ腫の一次治療の使用が増加し堅調な需要となったこと、および円安による増収影響によるものです。白血病治療剤アイクルシグの売上は、707億円(+160億円および+29.3% AER、+23.0% CER)となりました。この増収は、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)と新たに診断された患者さんの化学療法併用下での治療剤としての追加効能が2024年3月に米国において承認されたこと、および円安による増収影響によるものです。子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がん・前立腺がん等の治療に用いられるリュープリン/ENANTONEの売上は、1,193億円(+119億円および+11.1% AER、+8.2% CER)となりました。この増収は、主に米国および成長新興国における売上が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。 - ワクチンワクチンの売上収益は、554億円(+51億円および+10.0% AER、+7.5% CER)となりました。デング熱ワクチンQDENGAの売上は、356億円(+260億円および+272.3% AER、+259.0% CER)となりました。この増収は、デング熱流行国においてQDENGAのアクセスが拡大したことによるものであり、非流行国も含め、約30ヶ国で利用可能となっています。その他のワクチンの売上合計は、減収となりました。この減収は、主に新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンであるスパイクバックスの日本における流通契約が2024年3月に終了したことによるものです。 - ニューロサイエンスニューロサイエンスの売上収益は、5,658億円(△612億円および△9.8% AER、△14.1% CER)となりました。ADHD治療剤VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)の売上は、3,506億円(△726億円および△17.2% AER、△21.6% CER)となりました。この減収は、米国において2023年8月から複数の後発品が参入したことによるものです。この減収影響は、円安による増収影響により一部相殺されました。ADHD治療剤ADDERALL XRの売上は、284億円(△133億円および△31.9% AER、△35.3% CER)となりました。この減収は、主に米国における後発品である競合他社の即放性製剤が増加したことによるものであり、本剤に対してはマイナスの影響となりました。大うつ病(MDD)治療剤トリンテリックスの売上は、1,257億円(+209億円および+20.0% AER、+14.2% CER)となりました。この増収は、主に米国における価格に関する取引条件の改善、および円安による増収影響によるものです。 〔売上原価〕売上原価は、1兆5,802億円(+1,535億円および+10.8% AER、+6.5% CER)となりました。この増加は主に、製品構成の変動を含む主要なビジネスエリアの好調な売上の増加および円安による為替影響によるものです。 〔販売費及び一般管理費〕販売費及び一般管理費は、1兆1,048億円(+509億円および+4.8% AER、+0.6% CER)となりました。この増加は主に、円安による為替影響によるものです。また、効率化の取り組みにより、データ、デジタルおよびテクノロジーへの追加投資ならびにインフレの影響による費用の増加は大部分が相殺されております。 〔研究開発費〕研究開発費は、7,302億円(+3億円および+0.0% AER、△4.5% CER)となりました。効率化の取り組み、およびmodakafusp alfa (TAK-573)や非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYなどの開発プログラムが前年度に終了したことに伴う費用の減少があったものの、円安による為替影響に伴う費用が増加したことにより、前年度と比べ微増となりました。 〔製品に係る無形資産償却費及び減損損失〕製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、6,432億円(△89億円および△1.4% AER、△6.0% CER)となりました。この減少は、円安による為替影響により無形資産償却費は増加(+267億円)したものの、仕掛研究開発品および上市後製品に係る減損損失が減少(△355億円)したことによるものです。減損損失の減少は、前年度の計上額が当年度よりも大きかったことによるものです。前年度の減損損失には、主にクローン病に伴う複雑痔瘻治療剤アロフィセルに係る減損損失740億円、非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYの減損損失285億円、およびオンコロジーの仕掛研究開発品の開発中止の決定に伴い計上した減損損失が含まれておりますが、好酸球性食道炎治療剤EOHILIAの減損損失の戻し入れ357億円を計上したことにより一部相殺されております。当年度の計上額には、Maverick Therapeutics Inc.の買収により獲得したTAK-186およびTAK-280の開発中止の決定に伴い計上した減損損失278億円、およびソチクレスタット(TAK-935)の臨床第3相試験において主要評価項目を達成できなかったことにより計上した減損損失215億円が含まれます。 〔その他の営業収益〕その他の営業収益は、262億円(+68億円および+35.3% AER、+30.8% CER)となりました。この増加は主に、TACHOSIL(フィブリノゲン配合組織接着・閉鎖パッチ剤)の製造施設を含む事業売却が完了したことにより当年度に計上した売却益61億円によるものです。 〔その他の営業費用〕その他の営業費用は、2,067億円(+2億円および+0.1% AER、△3.6% CER)となりました。当年度において、主に全社的な効率化プログラムにより事業構造再編費用が増加(+468億円)したものの、前年度にAbbVie, Inc.(「AbbVie社」)との供給契約に関する訴訟引当金繰入額およびXIIDRA、EOHILIAに係る条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動による評価損を計上したこと、および当年度に承認前在庫に係る評価損の戻し入れを計上したことにより相殺され、前年度と比べ微増となりました。 〔営業利益〕営業利益は、上記の要因を反映し、3,426億円(+1,285億円および+60.0% AER、+51.2% CER)となりました。 〔金融損益〕金融収益と金融費用をあわせた金融損益は1,635億円の損失(△42億円および△2.5% AER、△5.7% CER)となりました。この減少は主に、為替差損益および為替取引に係るデリバティブ評価損益をあわせた損失が減少したことによるものですが、武田テバファーマ株式会社の株式の売却に係る減損損失189億円を当年度に計上したことにより大部分が相殺されております。 〔持分法による投資損益〕当年度の持分法による投資損益は、40億円の損失(△105億円)となりました。前年度の持分法による投資損益は、65億円の利益でした。 〔法人所得税費用〕法人所得税費用は、669億円(+1,583億円、前年度は914億円の便益)となりました。この増加は主に、前年度において、2014年にShire社がAbbVie社から受領した買収違約金の取り扱いに係る税務評価について、アイルランド歳入庁と和解したことに伴い和解金を超える部分の未払法人所得税を振り戻したことによる税金費用の減額635億円を認識したこと、当年度における繰延税金資産の回収可能性の評価の見直しによる税金費用の増加、および税引前当期利益の増加によるものです。 〔当期利益〕当期利益は、上記の要因を反映し、1,081億円(△361億円および△25.0% AER、△33.1% CER)、当期利益(親会社の所有者帰属分)は、1,079億円(△361億円および△25.1% AER、△33.2% CER)となりました。 (ⅳ) 当年度におけるCore業績の概要 補足的分析:Core財務指標に基づく業績(IFRSに準拠しない指標)IFRSに準拠して作成された業績に加え、当社グループは、補足的に、Core財務指標に基づく業績も表示しております。投資家におかれましては、 Core財務指標の定義、有用性の限界、最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標への調整を含む、より詳細な情報については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。当社グループは、また、Core財務指標のCERベースの増減率についても表示しております。詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。 Core業績 (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベースCERベース増減額増減率増減率Core売上収益42,63845,7983,1617.4%2.8%Core営業利益10,54911,6261,07810.2%4.9%Core当期利益7,5697,7581892.5%△3.4%Core当期利益(親会社の所有者帰属分)7,5687,7561882.5%△3.4%Core EPS(円)48449171.5%△4.3% 〔Core売上収益〕Core売上収益は、4兆5,798億円(+3,161億円および+7.4% AER、+2.8% CER)となりました。この増加は主に、為替相場が円安に推移したこと、および売上収益の合計が2兆2,019億円(+3,759億円および+20.6% AER、+14.7% CER)となったタケダの成長製品・新製品(注)が当社の事業を好調に牽引したことによるものです。これらの増加は、米国におけるVYVANSEおよび日本におけるアジルバの独占販売期間満了後の後発品の参入による売上の減少により一部相殺されました。 (注)当年度のタケダの成長製品・新製品消化器系疾患:ENTYVIO、EOHILIA希少疾患:タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ血漿分画製剤(免疫疾患):GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤、 HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤オンコロジー:アルンブリグ、FRUZAQLAワクチン:QDENGA 〔Core営業利益〕Core営業利益は、1兆1,626億円(+1,078億円および+10.2% AER、+4.9% CER)となりました。Core営業利益の内訳は以下の通りです。 (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベースCERベース増減額増減率増減率Core売上収益42,63845,7983,1617.4%2.8%Core売上原価△14,263△15,818△1,55510.9%6.6%Core販売費及び一般管理費△10,530△11,050△5214.9%0.7%Core研究開発費△7,296△7,304△70.1%△4.4%Core営業利益10,54911,6261,07810.2%4.9% 報告期間における上記項目の増減は以下の通りです。 〔Core売上原価〕Core売上原価は、1兆5,818億円(+1,555億円および+10.9% AER、+6.6% CER)となりました。この増加は主に、製品構成の変動を伴う主要なビジネスエリアの好調な売上の増加および円安による為替影響によるものです。 〔Core販売費及び一般管理費〕Core販売費及び一般管理費は、1兆1,050億円(+521億円および+4.9% AER、+0.7% CER)となりました。この増加は主に、円安による為替影響によるものです。また、効率化の取り組みにより、データ、デジタルおよびテクノロジーへの追加投資ならびにインフレの影響による費用の増加は大部分が相殺されております。 〔Core研究開発費〕Core研究開発費は、7,304億円(+7億円および+0.1% AER、△4.4% CER)となりました。効率化の取り組み、およびmodakafusp alfa (TAK-573)や非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYなどの開発プログラムが前年度に終了したことに伴う費用の減少があったものの、円安による為替影響に伴う費用が増加したことにより、前年度と比べ微増となりました。 〔Core当期利益〕Core当期利益は、7,758億円(+189億円および+2.5% AER、△3.4% CER)、Core当期利益(親会社の所有者帰属分)は、7,756億円(+188億円および+2.5% AER、△3.4% CER)となりました。Core当期利益は、Core営業利益に基づき、以下の通り算出されます。 (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベースCERベース増減額増減率増減率Core営業利益10,54911,6261,07810.2%4.9%Core金融収益及び費用(純額)△1,420△1,40713△0.9%△4.5%Core持分法による投資損益5911△48△81.2%△82.2%Core税引前当期利益9,18810,2311,04311.3%5.8%Core法人所得税費用△1,619△2,473△85452.7%48.7%Core当期利益7,5697,7581892.5%△3.4%Core当期利益(親会社の所有者帰属分)7,5687,7561882.5%△3.4% 報告期間における上記項目の増減は以下の通りです。 〔Core金融損益〕Core金融収益とCore金融費用をあわせた金融損益は、1,407億円の損失(△13億円および△0.9% AER、△4.5% CER)となりました。 〔Core持分法による投資損益〕Core持分法による投資損益は、11億円の利益(△48億円および△81.2% AER、△82.2% CER)となりました。 〔Core税引前当期利益〕Core税引前当期利益は、1兆231億円(+1,043億円および+11.3% AER、+5.8% CER)となりました。 〔Core法人所得税費用〕Core法人所得税費用は、2,473億円(+854億円および+52.7% AER、+48.7% CER)となりました。この増加は主に、Core税引前当期利益の増加、当年度における繰延税金資産の回収可能性の評価の見直しによるCore税金費用の増加、および前年度において税務上の不確実事項が有利に解決されたことによる税金費用の減少があったことによるものです。 〔Core EPS〕当年度のCore EPSは、491円(+7円および+1.5% AER、△4.3% CER)となりました。 (b)当年度の財政状態の分析 (単位:億円) 前年度末当年度末増減額資産合計151,088142,483△8,604負債合計78,34873,124△5,224資本合計72,74069,360△3,380 〔資産〕当年度末における資産合計は、14兆2,483億円(△8,604億円)となりました。この減少は、特定の無形資産の取得により一部相殺されたものの、償却、減損損失および為替換算の影響により、無形資産が減少(△6,431億円)したこと、主に為替換算の影響により、のれんが減少(△856億円)したこと、主に武田テバファーマ株式会社の株式の売却により、持分法で会計処理されている投資が減少(△790億円)したことによるものです。 〔負債〕当年度末における負債合計は、7兆3,124億円(△5,224億円)となりました。社債及び借入金合計は、米ドル建無担保普通社債の発行により一部相殺されたものの、主にシンジケートローンの事前返済および無担保普通社債の償還により減少し、4兆5,153億円(注)(△3,285億円)となりました。また主に米国における無形資産の償却により、繰延税金負債が減少(△786億円)しております。加えて、主にProtagonist Therapeutics, Inc.への支払いを含む、契約一時金に係る前年度の債務が大きかったことにより、当年度の仕入債務及びその他の債務は減少(△720億円)しております。(注)当年度末における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ4兆1,906億円および3,246億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下の通りです。 社債:銘柄(外貨建発行額)発行時期償還期限帳簿価額米ドル建無担保普通社債(1,301百万米ドル)2015年6月2025年6月~2045年6月1,953億円米ドル建無担保普通社債(1,500百万米ドル)2016年9月2026年9月2,190億円ユーロ建無担保普通社債(3,000百万ユーロ)2018年11月2026年11月~2030年11月4,822億円米ドル建無担保普通社債(1,750百万米ドル)2018年11月2028年11月2,597億円米ドル建無担保普通社債(7,000百万米ドル)2020年7月2030年3月~2060年7月1兆370億円ユーロ建無担保普通社債(3,600百万ユーロ)2020年7月2027年7月~2040年7月5,777億円円貨建無担保普通社債2021年10月2031年10月2,496億円ハイブリッド社債(劣後特約付社債)2024年6月2084年6月4,580億円米ドル建無担保普通社債(3,000百万米ドル)2024年7月2034年7月~2064年7月4,422億円コマーシャル・ペーパー2025年2月~2025年3月2025年4月~2025年6月2,700億円合計 4兆1,906億円 借入金:名称 (外貨建借入額)借入時期返済期限帳簿価額バイラテラルローン2016年3月~2024年4月2025年4月~2031年4月2,100億円バイラテラルローン(500百万米ドル)2025年3月2025年4月745億円シンジケート ハイブリッド ローン(劣後特約付ローン)2024年10月2084年10月400億円その他 1億円合計 3,246億円 当社グループは、2024年4月25日に、バイラテラルローン500億円を満期返済するとともに、同日に、2031年4月25日満期のバイラテラルローン500億円の借入を実行しました。その後、2024年6月25日には、発行総額4,600億円、償還期日2084年6月25日の60年無担保ハイブリッド社債を発行しました。2024年7月5日には、発行総額3,000百万米ドル、償還期日2034年7月5日から2064年7月5日の米ドル建無担保普通社債(本社債)を発行しました。本社債の発行により調達した資金を充当することにより、2024年7月12日に2026年9月満期の無担保普通社債1,500百万米ドルを公開買付で繰上償還するとともに、同年7月にコマーシャル・ペーパーを償還しました。2024年10月3日には、2084年10月3日満期のシンジケートハイブリッドローン400億円の借入を実行しました。2024年10月6日には、2024年6月25日に発行したハイブリッド社債により調達した資金とともに、シンジケートハイブリッドローンにより調達した資金を充当することにより、2019年6月に発行したハイブリッド社債5,000億円を2079年6月6日の償還期日に先立ち繰上償還しました。2025年3月31日には、シンジケートローン3,135億円および1,500百万米ドルを2026年4月27日から2030年4月26日の満期に先立ち期限前弁済しました。この期限前弁済のため、手元現金、2025年3月31日に借入れた短期ローン500百万米ドル、および短期コマーシャル・ペーパーにより調達した資金を充当しました。なお、当年度末におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は2,700億円となりました。社債及び借入金の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。 〔資本〕当年度末における資本合計は、6兆9,360億円(△3,380億円)となりました。利益剰余金の減少(△2,036億円)は、当期利益1,081億円の計上により一部相殺されたものの、主に配当金の支払いに伴う3,032億円の減少によるものです。その他の資本の構成要素の減少(△1,574億円)は、主に円安の影響による為替換算調整勘定の変動によるものです。 (c)流動性および資金調達源資金の調達および使途当社グループにおいて流動性は、主に営業活動に必要な現金、資本支出、契約上の義務、債務の返済、利息や配当の支払いに関連して必要となります。営業活動においては、研究開発費、マイルストン支払い、販売およびマーケティングに係る費用、人件費およびその他の一般管理費、原材料費等の支払いにあたり現金が必要となります。また、法人所得税の支払いや運転資金にも多額の現金が必要となります。当社グループは、生産設備の能力増強・合理化、減価償却を終えた資産の入れ替え、業務管理の効率化等のために設備投資を行っています。無形資産に係る資本的支出は、主に第三者のパートナーから導入したライセンス製品に対するマイルストン支払い、およびソフトウェア開発費です。連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産および無形資産に係る資本支出は、2024年3月期および2025年3月期において、それぞれ4,967億円および3,194億円であります。また、2025年3月31日現在において、有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは201億円であります。加えて、2025年3月31日現在において、無形資産の取得に関して契約上の取決めを有しております。無形資産に係るマイルストン支払いの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。また、資本管理の一環として、当社グループは、資金需要、市場等の環境、またはその他の関連する要因に照らして、定期的に資本的支出の評価を行っております。当社の配当金の支払額は、2024年3月期および2025年3月期において、それぞれ2,885億円および3,039億円であります。2025年3月期については、1株当たり年間配当金額を196円(中間配当金および期末配当金それぞれ98円)としましたが、2026年3月期については、1株当たり、中間配当金および期末配当金をそれぞれ100円ずつとし、年間200円とすることを目指しています。当社の配当政策については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。当社グループは、有利子負債に対し元本と利息を支払う必要があります。2025年3月31日現在において、1年内に必要となる利息の支払額および負債の返済額は、それぞれ1,128億円、5,489億円であります。詳細は、「有利子負債および金融債務」をご参照ください。当社グループの資金の主な調達源は、主に現金及び現金同等物、短期コマーシャル・ペーパー、金融機関からのコミットメントラインによる借入、グローバル資本市場における社債発行を含む長期債務による資金調達であります。さらに、当社グループは、コンティンジェンシーの調達源として、2024年3月31日および2025年3月31日現在において、金融機関から極度額1,500億円および750百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しております。当社グループは、キャッシュ・フロー予測に基づき保有外貨を監視し、調整しております。当社グループの事業の大部分は日本国外で行っており、多額の現金を日本国外に保有しております。日本国内で必要なキャッシュ・フローを創出するために外貨を使用することは国内規制による影響を受ける可能性があり、また比較的影響は小さいものの、日本へ現金を移転することから生じる所得税による影響も受けます。当社グループは、引き続き、資金調達の状況について注視しており、短期的には、一般的な市況による資金調達不足または流動性不足は現在見込んではおりません。なお、必要に応じた市場およびその他の供給源からの追加の資金調達力に加えて、当社グループの資本支出計画を必要かつ適切な範囲で見直すことによって、資金調達および流動性の需要を管理する場合があります。2025年3月31日現在において、当社グループは、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた預り金1,058億円を含む、3,851億円の現金及び現金同等物と、7,000億円の未使用のバンク・コミットメントライン契約を保有しております。加えて、公正価値ヒエラルキーにてレベル1に分類される米国債793億円を保持しております。したがって、利用可能な流動性の合計は1兆587億円となり、現在の事業活動に必要となる資金は十分に確保できていると考えております。また、当社グループは、事業活動を支えるため、持続的に高い流動性を保ち、資本市場へのアクセス拡大を追求していきます。 連結キャッシュ・フロー連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。(単位:億円) 前年度当年度増減額営業活動によるキャッシュ・フロー7,16310,5723,408投資活動によるキャッシュ・フロー△4,639△3,671968財務活動によるキャッシュ・フロー△3,544△7,514△3,970現金及び現金同等物の増減額△1,019△613406現金及び現金同等物の期首残高5,3354,578△757現金及び現金同等物に係る換算差額262△114△376現金及び現金同等物の期末残高4,5783,851△727 〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕営業活動によるキャッシュ・フローは、1兆572億円(+3,408億円)となりました。この増加は主に、引当金および棚卸資産の変動により資産及び負債の増減額が増加したことによるものです。この増加は、非資金項目およびその他の調整項目を調整した後の当期利益の減少により一部相殺されております。〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕投資活動によるキャッシュ・フローは、△3,671億円(+968億円)となりました。この増加は主に、無形資産の取得による支出の減少、および武田テバファーマ株式会社の株式の売却を含む関連会社株式の売却による収入によるものです。この増加は、米国債の取得による支出、AC Immune SAへの契約一時金の支払いおよびAscentage Pharma Group Internationalへのマイノリティ出資およびライセンスオプションの取得による支出を含む、他の投資活動により一部相殺されております。〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕財務活動によるキャッシュ・フローは、△7,514億円(△3,970億円)となりました。この減少は主に、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの純増加額の減少、シンジケートローンおよびハイブリッド社債の返済・償還、ならびに自己株式の取得によるものです。この減少は、ハイブリッド社債および米ドル建無担保普通社債等の社債の発行による収入により一部相殺されております。 補足的分析:フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー(IFRSに準拠しない財務指標)フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、IFRSに準拠しない(以下、「Non-IFRS」)指標であります。詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。IFRSに準拠した指標の中で、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローが最も類似します。(単位:億円) 前年度当年度営業活動によるキャッシュ・フロー(IFRS)7,16310,572フリー・キャッシュ・フロー(Non-IFRS)5,4098,564調整後フリー・キャッシュ・フロー(Non-IFRS)2,8347,690 フリー・キャッシュ・フローは、8,564億円(+3,155億円)となりました。この増加は主に、営業活動によるキャッシュ・フローが増加したことによるものです。調整後フリー・キャッシュ・フローは、7,690億円(+4,855億円)となりました。この増加は主に、フリー・キャッシュ・フローの増加に加え、無形資産の取得による支出が減少したことによるものです。 有利子負債および金融債務2024年3月31日および2025年3月31日現在において社債および借入金はそれぞれ4兆8,438億円、4兆5,153億円であります。これらの有利子負債は、当社グループが発行した無担保社債、普通社債、バイラテラルローン、およびシンジケートローン、また、Shire社買収に必要な資金の一部を調達するための借入金、およびShire社買収により引き受けた負債、借り換えた負債を含み、連結財政状態計算書に計上されております。当社グループの借入金は主に買収関連で発生したものであり、季節性によるものではありません。当社グループは、2024年4月25日に、バイラテラルローン500億円を満期返済するとともに、同日に、2031年4月25日満期のバイラテラルローン500億円の借入を実行しました。その後、2024年6月25日には、発行総額4,600億円、償還期日2084年6月25日の60年無担保ハイブリッド社債を発行しました。2024年7月5日には、発行総額3,000百万米ドル、償還期日2034年7月5日から2064年7月5日の米ドル建無担保普通社債(本社債)を発行しました。本社債の発行により調達した資金を充当することにより、2024年7月12日に2026年9月満期の無担保普通社債1,500百万米ドルを公開買付で繰上償還するとともに、同年7月にコマーシャル・ペーパーを償還しました。2024年10月3日には、2084年10月3日満期のシンジケート ハイブリッド ローン400億円の借入を実行しました。2024年10月6日には、2024年6月25日に発行したハイブリッド社債により調達した資金とともに、シンジケート ハイブリッド ローンにより調達した資金を充当することにより、2019年6月に発行したハイブリッド社債5,000億円を2079年6月6日の償還期日に
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の企業理念は以下の通りです。私たちの存在意義(パーパス)「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」私たちが目指す未来(ビジョン)当社のビジョンは、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために。私たちはこの約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続けること」です。私たちの価値観(バリュー):タケダイズムタケダイズムとは、まず誠実であること。それは公正・正直・不屈の精神で支えられた、当社が大切にしている価値観です。当社は、これを道しるべとしながら「1.患者さんに寄り添い(Patient)、2.人々と信頼関係を築き(Trust)、3.社会的評価を向上させ(Reputation)、4.事業を発展させる(Business)」を日々の行動指針とします。私たちの約束(インペラティブ)当社には、患者さん、ともに働く仲間、そして地域社会に対して果たすべき責任があります。この「私たちの約束」は「私たちの存在意義」と「私たちが目指す未来」を実現するために欠かせない要素です。すべての患者さんのために・私たちは、倫理観をもってサイエンスの革新性を追求します。そして、人々の暮らしを豊かにする医薬品の創出に取り組みます。また、私たちの医薬品を、より多くの人々に迅速にお届けします。ともに働く仲間のために・私たちは、理想的な働き方を実現します。いのちを育む地球のために・私たちは、自然環境の保全に寄与します。データとデジタルの力で、イノベーションを起こします・データを活用して導き出された成果をもとに、もっとも信頼されるバイオ医薬品企業として、これからも変革し続けます。世界の製薬産業においては、イノベーションのスピードはかつてよりも速くなっており、がん免疫療法や細胞療法、遺伝子治療等の新たな医療技術の登場によってさらに促進されています。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大が契機となり、世界中の人々に命を救うワクチンを驚異的な速さで提供するといった新しいイノベーションの時代が到来しました。このような医療イノベーションによる成果が現れてきた一方、高齢化社会の進展や生活スタイルの変化、複合疾患に対するより高度で先進的な治療法の利用等によってヘルスケアに対する投資額はここ10年、国内総生産や総所得を上回る速度で増加してきました。このため、保険者は保険償還対象となる医薬品をより厳格に選定するようになっており、各国政府は後発品やバイオシミラーの使用を促進し、薬価引き下げの圧力を強めています。しかしながら、アンメット・メディカル・ニーズ(未だ有効な治療法が確立されていない疾患に対する医療ニーズ)は多く存在しています。世界各国の医療制度はかつてないほどに逼迫しており、医療アクセスの格差がますます拡大していることから、医療の公平性について対処するための医療アクセスの改善や政策に対する必要性が高まっています。また、国家による地域紛争や多国間紛争により、地政学的な状況の変化や市場ダイナミクスの混乱が瞬く間に引き起こされることがあります。さらに、公衆衛生は気候変動が及ぼす影響と密接に結びついており、気温上昇に伴い拡大する疾患や影響を受ける地域の患者さんの医療アクセスに関連した課題が生じます。当社は、最も信頼され、サイエンスに基づき、データとテクノロジーの力を活用するバイオ医薬品企業を実現するため、引き続き成長していきます。現在の事業環境の下では、当社の患者さんへのコミットメントと、患者さんをサポートするための取り組みは、これまで以上に重要になっています。当社は、4つの重点疾患領域であるオンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の領域において、著しいアンメット・メディカル・ニーズのある疾患に対して、サイエンスから患者さんの人生を豊かにする革新的な医薬品を創出することを目指しています。当社のプログラムは、ヒトにおけるバリデーションが確実になされたターゲットに基づき、多様なモダリティ(治療手段)を網羅するものであり、細胞治療、遺伝子治療やデータサイエンスの領域で蓄積されつつある研究能力を活用して進められています。当社のグローバルな事業展開と多様な製品のポートフォリオは、イノベーションを拡大する基盤であり、当社は、患者さんへの新たな治療法の提供や、医薬品の適応症の拡大、既存製品の新たな地域での上市に引き続き取り組んでいきます。また、当社は、グローバル製品の成長と新製品の上市を通じた既存ポートフォリオの拡大によって、今後想定される一部製品の独占販売期間満了による収益の減少を上回る収益の増加を中期的に見込んでいます。当社は、この勢いを活かし、再構築された研究開発エンジンのもと、臨床段階にある約40の開発プログラムと200社以上との提携を通じて、多様なパイプラインの拡充に向けた取り組みを進めています。2022年4月、当社は、業務執行の創造性と革新性を確保し、重点戦略分野へのさらなる注力により、将来にわたって競争力を維持するため、タケダ・エグゼクティブ・チーム(以下、「TET」)の体制を戦略的に変更しました。TETは、世代、国籍、性的指向、性別、の側面において多様性を有するメンバーにより構成されるチームです。グローバル ポートフォリオ ディビジョンは、製品のライフサイクルマネジメント、地理的拡大、市場浸透を通じてグローバル製品を成長させるとともに、後期開発パイプラインを引き続き進捗させるための支援を行い、製品上市や中国における事業拡大を推進するなど、当社の将来の成功に向けて機能を結集して新設されました。また、TETでは、データ、デジタルおよびテクノロジーとサステナビリティの当社が注力する分野の体制変更も行いました。テクノロジーは、当社の事業に変革をもたらし、患者さんの人生を変え得る医薬品の創薬、開発、提供を通じて、より良い治療経験と治療結果を生み出しています。また、データとデジタルは、職場と働き方を抜本的に変革し、今後も引き続き変革を推進します。このように、データとテクノロジーの力を解き放つことが、当社の次の成長段階において重要となりますが、当社は既に、データやデジタルを活用した患者さん中心のハイブリッドなアプローチの臨床試験を取り入れて大きな前進を遂げており、今後もより多様な患者さんに臨床試験に参加していただけるよう取り組んでいきます。また、製造においては、自動目視検査機を備えた最先端の工場を建設しており、さらには、新しく入社した従業員向けの人工知能(AI)コンパニオンを使用したプログラムを作成しています。当社は、包括性や協同性を実現し、革新性を促進するため、すべての従業員がそれぞれにAIやデジタルを活用した経験を積めるよう取り組んでいきます。私たちの存在意義(パーパス)を実現するためのサステナビリティとは、大きな社会的課題を解決するために、当社の揺るぎない価値観や文化、研究開発の原動力、製造および販売能力といった中核の資産と能力を活用して、持続可能な価値を創出し、すべてのステークホルダーに対して提供するというものであり、換言すると、サステナビリティとは当社のビジネスに対するアプローチです。当社は、サステナビリティについて、環境という枠を超えて、持続可能な医療制度の実現を含め、バリューチェーン全体に目を向けています。この取り組みは、私たちの医薬品をより多くの人々に迅速に届けるために、政策提言、段階的な価格設定や患者支援プログラム、未承認薬の人道的使用等を通じて包括的な取り組みを行い、患者さんが適切なタイミングで必要とする医薬品や治療にアクセスできることを可能にすることから始まります。また、当社は、持続可能かつ公平な方法で革新的医療を提供すること、そして、医療制度が直面する課題に取り組む上では、価値に基づく医療(バリューベースヘルスケア)が不可欠であると考えています。多様な患者さんに価値を提供するためには、多様な人材を採用、育成し、確保することが重要です。また、当社は、多様性に富み、包括的で公平な職場環境を作ることが、従業員が積極的に当社の存在意義に沿って行動できる健全な企業文化を醸成するために不可欠であると考えており、従業員にとって理想的な働き方の実現を目指しています。当社の研究所や製造拠点、オフィスにおけるイノベーションは、ともに働く仲間の力を結集させてこそ創出することができるものであると考えています。当社は、従業員の意見を尊重し、従業員のウェルビーイング(心身の健康維持)と生涯学習のサポートを進めているほか、ハイブリッドなワーキングモデルにおける将来の理想的な働き方の検討に注力しています。当社は、地球温暖化や環境汚染が人々の健康と当社の存在意義(パーパス)の実現に影響を及ぼすことを認識しており、環境課題に対する高い意識とリーダーシップをもって取り組んでいます。当社は、2020年以降、バリューチェーン全体でカーボンニュートラルを達成していますが、今後は、2035年までに当社の事業活動に起因するすべての温室効果ガス排出量(スコープ1、2を含む)を、2040年までに当社のバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量(現在見積もっているスコープ3(注1)の温室効果ガス排出量を含む)をネット・ゼロにする(注2)ことを目指していきます。これは意欲的な挑戦となりますが、過去数年に得た経験から、当社の目指すべき目標であり、達成は可能であると考えています。また、当社は、プロダクト・スチュワードシップ、水資源の供給や廃棄物管理に注力し、環境汚染対策に積極的に取り組み、当社製品のライフサイクル全体を通して環境に対する影響を最小限に抑えています。(注1) 実際のスコープ3の排出量は測定が困難であり不透明性が残ることからも、これらは取り組みを進めていく上で今後克服すべき重要な課題です。(注2) 当社は、カーボンニュートラルと排出量ネットゼロを温室効果ガスプロトコルに基づき定義しています。 (新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による影響と当社の取り組み)① 当社の経営成績および財政状態に対するCOVID-19影響当社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大に対して、引き続きあらゆる取り組みを行っており、業界としても様々な支援を行っております。COVID-19に対するワクチンが広く普及しつつありますが、当社は、当社プロトコールに加えて、各国・地域の公衆衛生関連規制を引き続き遵守し、新しい変異株を含め、COVID-19が当社の事業活動に及ぼす潜在的な影響を注視してまいります。当社は、当社製品の需要動向について注視しておりますが、当社の医薬品は病院での待機手術を要しない重篤な慢性疾患や生命を脅かす恐れのある疾患に対するものが多く、COVID-19による影響は限定的です。グローバルなサプライチェーンにおいては、COVID-19の大流行による製品供給の重大な問題は発生しておらず、また、発生の可能性を予測しておりません。各国・地域の公衆衛生関連規制に従い、適切な場合においては、外勤の従業員は、医療従事者との対面の訪問業務を一部再開しております。前年度に一時的に休止しました臨床試験については、流行拡大の動向を注視しつつ、概ね再開しております。金融市場の動向も注視を続けており、流動性や資金調達に係る重要な問題は現在見込んでおりません。② COVID-19影響軽減のための当社の取り組み当社は、バリュー(価値観)に基づき、従業員の健康・安全確保、当社医薬品を必要とされている患者さんへの提供、当社従業員が就業・居住するコミュニティでの感染の軽減およびサポートを中心に引き続き取り組んでおります。COVID-19流行拡大に対する当社の取り組みについて、当年度における主なアップデートは次の通りです。・感染力が強い変異株であるオミクロン株の影響により、新しい働き方であるハイブリッド・ワーキングモデルの導入は一部で一時的に遅延しています。今後、公衆衛生関連規制の違いや流行の分布・動態の推移、実務基準によって、職種や地域・国レベルで本モデルの導入状況が異なる見込みです。・当社は、COVID-19の課題に対処するため二年以上にわたり支援を行ってきたグローバル危機管理委員会の活動を終了し、各国・地域の危機管理委員会が現地の保健機関からの情報に基づきガイダンスを提供する体制に移行しました。・当社は、COVID-19に対処するため様々な取り組みを世界中で行っており、これには、二つの提携案件を通じてCOVID-19ワクチンを日本に供給することが含まれます。一つ目は、Novavax社のCOVID-19ワクチンの日本における開発、製造、流通に関する提携です。2021年9月、当社は、当社が日本で生産する同ワクチンについて厚生労働省に1億5,000万回接種分を供給する契約を締結しました。2022年4月、当社は、組換えタンパクを抗原としたCOVID-19ワクチン「ヌバキソビッド筋注」について、厚生労働省より初回免疫および追加免疫に対する製造販売承認を取得しました。二つ目は、Moderna社のCOVID-19 mRNAワクチン「スパイクバックス筋注(旧販売名:COVID-19ワクチンモデルナ筋注)」の日本への輸入および供給に関するModerna社および厚生労働省との提携です。2021年5月以降、当社はModerna社の同ワクチンを日本において供給しています。当社とModerna社は、2021年10月、日本での1つのロットにおいて未穿刺のバイアル内に粒子状異物があるという報告を受け自主回収した計3ロットの同ワクチンについて、調査結果を公表しました。当調査結果では、本件は被接種者の安全を脅かすものではなく、この製品のベネフィット・リスク評価に悪影響を与えるものではないと記載されています。当社は、2021年12月にModerna社および厚生労働省と合意に達した追加の1,800万回接種分とあわせ、2022年に合計9,300万回接種分を日本国内に供給します。本供給については2022年1月より開始しています。2022年5月、当社およびModerna社は、2022年8月1日付で同ワクチンの製造販売承認を当社からモデルナ・ジャパンに継承することを発表しました。当社は、当面の間、COVID-19にかかわる特例臨時接種の枠組みの下、同ワクチンの流通を引き続き担います。 ③ COVID-19の世界的な拡大に伴う事業等のリスク「2 事業等のリスク」をご参照ください。 ④ 2021年度実績におけるCOVID-19影響当年度におけるCOVID-19のグローバルな流行拡大に伴う業績への影響は、軽微でありました。COVID-19が流行している期間においては、ニューロサイエンス(神経精神疾患)といった一部の疾患領域において、外出制限期間中に患者さんの医療機関訪問の頻度が減少する等のマイナス影響が見られてきました。これは前年度の最初の数ヶ月において顕著でした。以降この動向は断続的に発生し、COVID-19流行前の水準にまで完全に回復しておりませんが、当社の生命を救う一定数の医薬品はこのような環境下においても耐久力を示し、また、成長を遂げることが出来ています。なお、業績影響は軽微でしたが、下期においてはオミクロン株による感染拡大により、幾つかの製品の出荷の遅れや患者さんの診断数の減少といった若干の影響がみられました。 (ウクライナとロシアにおける事業について)すべての患者さんと従業員を大切にするという私たちの変わらぬ約束は、危機の中において、より重要なものとなっています。当社は従業員の安全を確保し、ウクライナや周辺地域の患者さんに必要な医薬品を提供し続けるために、あらゆる努力を重ねています。当社は、国際赤十字・赤新月社連盟に3億円(約260万米ドル)を寄付し、国際的な人道的活動を支援しています。国際赤十字・赤新月社連盟は、今回の事態を受け避難している方々に地域での緊急人道支援を積極的に行っています。また、当社は医療を必要としている患者さんのために、24時間体制で医療行為を行っている病院に医薬品を無償提供しています。当社は、患者さんへの医薬品の安定供給と従業員への支援を維持するために必要不可欠な活動を除き、ロシアにおける活動を中止しました。これには、すべての新規投資の中止、広告・宣伝活動の中止、新規の臨床試験を実施しないこと、および進行中の臨床試験への新規患者登録の中止を含みます。当社はタケダイズムと患者さんを中心に考えるという私たちの価値観、そして私たちの医薬品や治療法を必要とするウクライナやロシア、周辺地域の患者さんへの倫理的な責任に基づいた必要不可欠な活動に注力します。それと同時に、当社はロシアに課せられたすべての国際的な制裁を遵守しています。また、ウクライナで被害を受けた方々への寄付金や医薬品の無償提供などの人道的支援活動を強化します。そして、周辺地域の患者さんが必要とする、新たな支援についても検討を続けます。当社はこれからも状況を注視し、私たちの価値観に基づき、適切に行動してまいります。当年度のロシア/CISにおける売上収益は、連結の売上収益3兆5,690億円の1.7%でした(「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容、①当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容、(a)当年度の経営成績の分析、(iii)当年度における業績の概要」の地域別売上収益をご参照ください)。これら国々における危機による当年度の当社業績に対する重大な影響はありませんでした。しかしながら、今後の事態の進展によっては、当社の業績や財務状況に悪影響が生じる可能性があります。 [主要製品一覧]消化器系疾患領域における主要製品は以下の通りです。・エンティビオ/エンタイビオ(ベドリズマブ):「エンティビオ」は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎・クローン病に対する治療剤です。「エンティビオ」は、2014年に米国および欧州において発売以来、売上が伸長しており、2021年度の当社グループの売上トップ製品です。現在、「エンティビオ」は世界74カ国で承認されています。当社は本剤の可能性を最大化するため、その他の国においても本剤の承認取得を進め、さらなる適応症の開発を行うとともに、皮下注射製剤の開発を行います。2021年度の「エンティビオ」の売上収益は5,218億円となりました。・アロフィセル(ダルバドストロセル):「アロフィセル」は、非活動期/軽度活動期の成人の管腔型クローン病患者さんにおける、少なくとも一回以上の既存治療または生物学的製剤による治療が効果不十分であった複雑痔瘻に対する治療薬です。「アロフィセル」は、2018年に欧州の中央審査により販売承認(MA)された、欧州初の同種異系幹細胞療法であり、日本でも2021年に承認されました。2021年度の「アロフィセル」の売上収益は18億円となりました。・タケキャブ(ボノプラザンフマル酸塩):酸関連疾患の治療剤「タケキャブ」は、2015年に日本で発売され、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制などの効能により飛躍的な成長を遂げました。「タケキャブ」(中国の製品名:Vocinti)は、2019年に胃食道逆流症の治療剤として中国で承認されました。2021年度の「タケキャブ」の売上収益は1,024億円となりました。・GATTEX/レベスティブ(テデュグルチド[DNA組換え型]):非経口(静脈栄養)サポートを必要とする短腸症候群(SBS)の治療薬です。2019年、FDAより、「GATTEX」の1才以上の小児SBS患者さんへの適応拡大が承認されました。「レベスティブ」は2021年に日本において承認されました。2021年度の「GATTEX/レベスティブ」の売上収益は758億円となりました。・DEXILANT (dexlansoprazole):「DEXILANT」は、全グレードのびらん性逆流性食道炎の治療およびその維持療法、症候性非びらん性胃食道逆流症(GERD)に伴う胸やけの緩和・治療など、胃酸関連疾患の治療薬です。後発品の市場参入により、売上は減少傾向にあり、2021年度の「DEXILANT」の売上収益は508億円となりました。希少疾患領域における主要製品は以下の通りです。・タクザイロ(ラナデルマブ):「タクザイロ」は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作予防に用いられます。「タクザイロ」は、HAEの患者さんにおいて慢性的に制御不能な酵素である血漿カリクレインに選択的に結合し、減少させる完全ヒト型モノクローナル抗体です。「タクザイロ」は2018年に米国と欧州にて、2020年に中国にて、2022年に日本にて承認され、さらなる地理的拡大を目指しています。2021年度の「タクザイロ」の売上収益は1,032億円となりました。・LIVTENCITY (maribavir):「LIVTENCITY」は、成人患者さんと小児患者さん(12歳以上で体重35 kg以上)に対する、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、またはシドフォビルに対して遺伝子型抵抗性(無しも含みます)を示す難治性の移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療薬であり、2021年12月に米国において発売されました。「LIVTENCITY」はpUL97プロテインキナーゼとその天然基質を標的として阻害する経口投与可能な最初で唯一の抗CMV治療薬であり、発売当初から売上が順調に伸長しています。2021年度の「LIVTENCITY」の売上収益は13億円となりました。・エラプレース(イデュルスルファーゼ):「エラプレース」は、ハンター症候群(ムコ多糖症II型またはMPS II)に対する酵素補充治療薬です。2021年度の「エラプレース」の売上収益は731億円となりました。・リプレガル(アガルシダーゼ アルファ):「リプレガル」は、ファブリー病に対して米国以外の市場で販売され、2020年に中国でも承認された酵素補充療法治療薬です。当社は、2022年2月に大日本住友製薬株式会社から「リプレガル」の日本における製造販売承認を承継し、同剤の販売の移管を受けました。ファブリー病は、脂肪の分解に関与するリソソーム酵素α-ガラクトシダーゼAの活性の欠如に起因する遺伝子性の希少疾患です。2021年度の「リプレガル」の売上収益は517億円となりました。・アドベイト(抗血友病因子(遺伝子組換え型)):「アドベイト」は、血友病A(血液凝固第Ⅷ因子欠乏)の治療薬であり、出血の制御と予防、周術期管理および出血の頻度を予防または軽減するために行う定期補充療法に使用されます。2021年度の「アドベイト」の売上収益は1,185億円となりました。・アディノベイト/ADYNOVI(抗血友病因子(遺伝子組換え型) [PEG化]):「アディノベイト」は、血友病A治療薬であり、遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤です。「アディノベイト」は遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤「アドベイト」と同じ製造工程で作られ、当社がネクター社より独占的にライセンス取得しているPEG化(体内での循環時間を延長し、投与頻度を減らすための化学修飾処理)技術を追加したものです。2021年度の「アディノベイト」の売上収益は607億円となりました。血漿分画製剤(免疫疾患)領域における主要製品は以下の通りです。・GAMMAGARD LIQUID(静注用人免疫グロブリン10%製剤):「GAMMAGARD LIQUID」は、抗体補充療法用免疫グロブリン(以下、「IG」)の液体製剤です。「GAMMAGARD LIQUID」は、原発性免疫不全症(PID)の成人および2歳以上の小児患者さんに対して使用され、静注または皮下注のいずれかの方法で投与します。また、「GAMMAGARD LIQUID」は、成人の多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者さんに対しても静注投与にて使用されます。「GAMMAGARD LIQUID」は、米国以外の多くの国で製品名「KIOVIG」として販売されています。「KIOVIG」は、欧州においてPIDおよび特定の続発性免疫不全症患者さん、ならびに成人のMMN患者さんへの使用が承認されています。・HYQVIA(ヒト免疫グロブリン注射製剤10%):「HYQVIA」は、ヒト免疫グロブリン(IG)および遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ(Halozyme社よりライセンス取得)からなる製剤です。「HYQVIA」は、PID患者さんに対して最長で1ヶ月に1回の投与で、1回あたりの注射部位一ヶ所でIGの全治療用量の投与が可能な唯一のIG皮下注用治療薬です。「HYQVIA」は、米国では成人PID患者さんへの使用、また欧州においてPID症候群および骨髄腫患者さんまたは重度の続発性低ガンマグロブリン血症および回帰感染を伴う慢性リンパ性白血病患者さんへの使用が承認されております。・CUVITRU(ヒト免疫グロブリン皮下注用20%製剤):「CUVITRU」は、原発性体液性免疫不全症の成人および2歳以上の小児患者さんに対する補充療法に用いられます。「CUVITRU」は、欧州では特定の続発性免疫不全の治療薬としても承認されています。「CUVITRU」は、プロリン不含で、投与部位1ヶ所あたりの耐用量内で最大60 mL(12g)および1時間あたり60 mLまで投与可能な唯一の20%皮下IG治療薬であり、従来の皮下IG治療薬と比較してより少ない投与部位および短い投与時間での使用が可能です。2021年度の「GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG」「HYQVIA」「CUVITRU」を含む免疫グロブリン製剤の売上収益は3,859億円となりました。・FLEXBUMIN(ヒトアルブミンバッグ製剤)およびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤):「FLEXBUMIN」および「ヒトアルブミン」は、濃度5%および25%の液体製剤として販売されています。両製品とも、血液量減少症、一般的な原因および火傷による低アルブミン血症、ならびに心肺バイパス手術時のポンプのプライミングに使用されます。また、「FLEXBUMIN」25%製剤は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびネフローゼに関連する低アルブミン血症、ならびに新生児溶血性疾患(HDN)にも適応されます。2021年度の「FLEXBUMIN」および「ヒトアルブミン(ガラス瓶製剤入り)」を含むアルブミン製剤の売上収益は900億円となりました。オンコロジー領域における主要製品は以下の通りです。・アルンブリグ(ブリグチニブ):「アルンブリグ」は、非小細胞肺がん(NSCLC)治療に使用される経口投与の低分子未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤であり、2017年に米国で迅速承認され、2018年に欧州委員会より製造販売承認を取得しました。2020年5月に米国で初めて、新たにALK陽性転移性NSCLCと診断された患者さんに対する効能が追加されました。2021年1月に日本、2022年3月に中国において承認されました。2021年度の「アルンブリグ」の売上収益は136億円となりました。・EXKIVITY(mobocertinib)は、プラチナ製剤ベースの化学療法を実施中あるいは実施後に病勢が進行した上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う局所進行または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療薬であり、2021年9月に米国において迅速承認制度のもとで承認されました。発売以来、高度医療機関および開業医において売上が急速に伸長しています。2021年度の「EXKIVITY」の売上収益は10億円となりました。・ベルケイド(ボルテゾミブ):「ベルケイド」は、多発性骨髄腫(MM)や少なくとも治療を一つ受けたマントル細胞リンパ腫(MCL)に対する治療剤であり、2003年に米国において承認されました。2008年にミレニアム社を買収して以来、「ベルケイド」の売上収益は当社グループの売上収益の増加に貢献してきました。なお、2022年に米国において後発品が市場に参入することにより、今後売上は減少することが見込まれます。2021年度の「ベルケイド」の売上収益は1,100億円となりました。・リュープリン/ENANTONE(リュープロレリン):「リュープリン」は、前立腺がんや乳がん、小児の中枢性思春期早発症、子宮内膜症、不妊の治療や、子宮筋腫による貧血の症状改善に用いられる治療薬です。「リュープリン」の特許期間は満了していますが、製造の観点から後発品の市場参入は限定的です。2021年度の「リュープリン」の売上収益は1,065億円となりました。・ニンラーロ(イキサゾミブ):「ニンラーロ」は、多発性骨髄腫(MM)治療に対する初めての経口プロテアソーム阻害剤です。「ニンラーロ」は、再発又は難治性の多発性骨髄腫の効能で、2015年に米国で承認されて以来、2016年に欧州、2017年に日本、2018年に中国で承認されております。日本においては、多発性骨髄腫の維持療法の治療薬としても承認を受けております。2021年度の「ニンラーロ」の売上収益は912億円となりました。・アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン):「アドセトリス」は、ホジキンリンパ腫(HL)および全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)の治療に使用される抗癌剤で、2020年5月には中国で承認され世界70カ国以上で販売承認を受けております。当社は、Seagen社と「アドセトリス」を共同開発し、米国およびカナダ以外の国での販売権を保有しています。2021年度の「アドセトリス」の売上収益は692億円となりました。ニューロサイエンス領域における主要製品は以下の通りです。・バイバンス/ビバンセ(リスデキサンフェタミンメシル酸塩):「バイバンス」は、6歳以上の注意欠陥・多動性障害(ADHD)患者さんおよび成人の中程度から重度の過食性障害患者さんの治療に用いられる中枢神経刺激剤です。2021年度における「バイバンス」の売上収益は3,271億円となりました。・トリンテリックス(ボルチオキセチン臭化水素酸塩):「トリンテリックス」は、成人大うつ病性障害の治療に適応される抗うつ薬です。「トリンテリックス」はH. Lundbeck A/S社と共同開発し、当社は米国および日本での販売権を保有しており、米国では2014年、また日本では2019年より販売しています。2021年度の「トリンテリックス」の売上収益は823億円となりました。売上収益の地域別内訳は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 事業セグメントおよび売上収益」をご参照下さい。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の企業理念は以下の通りです。私たちの存在意義(パーパス)「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」私たちが目指す未来(ビジョン)当社のビジョンは、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために。私たちはこの約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続けること」です。私たちの価値観(バリュー):タケダイズムタケダイズムとは、まず誠実であること。それは公正・正直・不屈の精神で支えられた、当社が大切にしている価値観です。当社は、これを道しるべとしながら「1.患者さんに寄り添い(Patient)、2.人々と信頼関係を築き(Trust)、3.社会的評価を向上させ(Reputation)、4.事業を発展させる(Business)」を日々の行動指針とします。私たちの約束(インペラティブ)当社には、患者さん、ともに働く仲間、そして地域社会に対して果たすべき責任があります。この「私たちの約束」は「私たちの存在意義」と「私たちが目指す未来」を実現するために欠かせない要素です。すべての患者さんのために・私たちは、倫理観をもってサイエンスの革新性を追求します。そして、人々の暮らしを豊かにする医薬品の創出に取り組みます。また、私たちの医薬品を、より多くの人々に迅速にお届けします。ともに働く仲間のために・私たちは、理想的な働き方を実現します。いのちを育む地球のために・私たちは、自然環境の保全に寄与します。データとデジタルの力で、イノベーションを起こします・データを活用して導き出された成果をもとに、もっとも信頼されるバイオ医薬品企業として、これからも変革し続けます。世界の製薬産業においては、イノベーションのスピードはかつてよりも速くなっており、がん免疫療法や細胞療法、遺伝子治療等の新たな医療技術の登場によってさらに促進されています。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大が契機となり、世界中の人々に命を救うワクチンを驚異的な速さで提供するといった新しいイノベーションの時代が到来しました。このような医療イノベーションによる成果が現れてきた一方、高齢化社会の進展や生活スタイルの変化、複合疾患に対するより高度で先進的な治療法の利用等によってヘルスケアに対する投資額はここ10年、国内総生産や総所得を上回る速度で増加してきました。このため、保険者は保険償還対象となる医薬品をより厳格に選定するようになっており、各国政府は後発品やバイオシミラーの使用を促進し、薬価引き下げの圧力を強めています。しかしながら、アンメット・メディカル・ニーズ(未だ有効な治療法が確立されていない疾患に対する医療ニーズ)は多く存在しています。世界各国の医療制度はかつてないほどに逼迫しており、医療アクセスの格差がますます拡大していることから、医療の公平性について対処するための医療アクセスの改善や政策に対する必要性が高まっています。また、国家による地域紛争や多国間紛争により、地政学的な状況の変化や市場ダイナミクスの混乱が瞬く間に引き起こされることがあります。さらに、公衆衛生は気候変動が及ぼす影響と密接に結びついており、気温上昇に伴い拡大する疾患や影響を受ける地域の患者さんの医療アクセスに関連した課題が生じます。当社は、最も信頼され、サイエンスに基づき、データとテクノロジーの力を活用するバイオ医薬品企業を実現するため、引き続き成長していきます。現在の事業環境の下では、当社の患者さんへのコミットメントと、患者さんをサポートするための取り組みは、これまで以上に重要になっています。当社は、4つの重点疾患領域であるオンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の領域において、著しいアンメット・メディカル・ニーズのある疾患に対して、サイエンスから患者さんの人生を豊かにする革新的な医薬品を創出することを目指しています。当社のプログラムは、ヒトにおけるバリデーションが確実になされたターゲットに基づき、多様なモダリティ(治療手段)を網羅するものであり、細胞治療、遺伝子治療やデータサイエンスの領域で蓄積されつつある研究能力を活用して進められています。当社のグローバルな事業展開と多様な製品のポートフォリオは、イノベーションを拡大する基盤であり、当社は、患者さんへの新たな治療法の提供や、医薬品の適応症の拡大、既存製品の新たな地域での上市に引き続き取り組んでいきます。また、当社は、グローバル製品の成長と新製品の上市を通じた既存ポートフォリオの拡大によって、今後想定される一部製品の独占販売期間満了による収益の減少を上回る収益の増加を中期的に見込んでいます。当社は、この勢いを活かし、再構築された研究開発エンジンのもと、臨床段階にある約40の開発プログラムと200社以上との提携を通じて、多様なパイプラインの拡充に向けた取り組みを進めています。2022年4月、当社は、業務執行の創造性と革新性を確保し、重点戦略分野へのさらなる注力により、将来にわたって競争力を維持するため、タケダ・エグゼクティブ・チーム(以下、「TET」)の体制を戦略的に変更しました。TETは、世代、国籍、性的指向、性別、の側面において多様性を有するメンバーにより構成されるチームです。グローバル ポートフォリオ ディビジョンは、製品のライフサイクルマネジメント、地理的拡大、市場浸透を通じてグローバル製品を成長させるとともに、後期開発パイプラインを引き続き進捗させるための支援を行い、製品上市や中国における事業拡大を推進するなど、当社の将来の成功に向けて機能を結集して新設されました。また、TETでは、データ、デジタルおよびテクノロジーとサステナビリティの当社が注力する分野の体制変更も行いました。テクノロジーは、当社の事業に変革をもたらし、患者さんの人生を変え得る医薬品の創薬、開発、提供を通じて、より良い治療経験と治療結果を生み出しています。また、データとデジタルは、職場と働き方を抜本的に変革し、今後も引き続き変革を推進します。このように、データとテクノロジーの力を解き放つことが、当社の次の成長段階において重要となりますが、当社は既に、データやデジタルを活用した患者さん中心のハイブリッドなアプローチの臨床試験を取り入れて大きな前進を遂げており、今後もより多様な患者さんに臨床試験に参加していただけるよう取り組んでいきます。また、製造においては、自動目視検査機を備えた最先端の工場を建設しており、さらには、新しく入社した従業員向けの人工知能(AI)コンパニオンを使用したプログラムを作成しています。当社は、包括性や協同性を実現し、革新性を促進するため、すべての従業員がそれぞれにAIやデジタルを活用した経験を積めるよう取り組んでいきます。私たちの存在意義(パーパス)を実現するためのサステナビリティとは、大きな社会的課題を解決するために、当社の揺るぎない価値観や文化、研究開発の原動力、製造および販売能力といった中核の資産と能力を活用して、持続可能な価値を創出し、すべてのステークホルダーに対して提供するというものであり、換言すると、サステナビリティとは当社のビジネスに対するアプローチです。当社は、サステナビリティについて、環境という枠を超えて、持続可能な医療制度の実現を含め、バリューチェーン全体に目を向けています。この取り組みは、私たちの医薬品をより多くの人々に迅速に届けるために、政策提言、段階的な価格設定や患者支援プログラム、未承認薬の人道的使用等を通じて包括的な取り組みを行い、患者さんが適切なタイミングで必要とする医薬品や治療にアクセスできることを可能にすることから始まります。また、当社は、持続可能かつ公平な方法で革新的医療を提供すること、そして、医療制度が直面する課題に取り組む上では、価値に基づく医療(バリューベースヘルスケア)が不可欠であると考えています。多様な患者さんに価値を提供するためには、多様な人材を採用、育成し、確保することが重要です。また、当社は、多様性に富み、包括的で公平な職場環境を作ることが、従業員が積極的に当社の存在意義に沿って行動できる健全な企業文化を醸成するために不可欠であると考えており、従業員にとって理想的な働き方の実現を目指しています。当社の研究所や製造拠点、オフィスにおけるイノベーションは、ともに働く仲間の力を結集させてこそ創出することができるものであると考えています。当社は、従業員の意見を尊重し、従業員のウェルビーイング(心身の健康維持)と生涯学習のサポートを進めているほか、ハイブリッドなワーキングモデルにおける将来の理想的な働き方の検討に注力しています。当社は、地球温暖化や環境汚染が人々の健康と当社の存在意義(パーパス)の実現に影響を及ぼすことを認識しており、環境課題に対する高い意識とリーダーシップをもって取り組んでいます。当社は、2020年以降、バリューチェーン全体でカーボンニュートラルを達成していますが、今後は、2035年までに当社の事業活動に起因するすべての温室効果ガス排出量(スコープ1、2を含む)を、2040年までに当社のバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量(現在見積もっているスコープ3(注1)の温室効果ガス排出量を含む)をネット・ゼロにする(注2)ことを目指していきます。これは意欲的な挑戦となりますが、過去数年に得た経験から、当社の目指すべき目標であり、達成は可能であると考えています。また、当社は、プロダクト・スチュワードシップ、水資源の供給や廃棄物管理に注力し、環境汚染対策に積極的に取り組み、当社製品のライフサイクル全体を通して環境に対する影響を最小限に抑えています。(注1) 実際のスコープ3の排出量は測定が困難であり不透明性が残ることからも、これらは取り組みを進めていく上で今後克服すべき重要な課題です。(注2) 当社は、カーボンニュートラルと排出量ネットゼロを温室効果ガスプロトコルに基づき定義しています。 (新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による影響と当社の取り組み)① 当社の経営成績および財政状態に対するCOVID-19影響当社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大に対して、引き続きあらゆる取り組みを行っており、業界としても様々な支援を行っております。COVID-19に対するワクチンが広く普及しつつありますが、当社は、当社プロトコールに加えて、各国・地域の公衆衛生関連規制を引き続き遵守し、新しい変異株を含め、COVID-19が当社の事業活動に及ぼす潜在的な影響を注視してまいります。当社は、当社製品の需要動向について注視しておりますが、当社の医薬品は病院での待機手術を要しない重篤な慢性疾患や生命を脅かす恐れのある疾患に対するものが多く、COVID-19による影響は限定的です。グローバルなサプライチェーンにおいては、COVID-19の大流行による製品供給の重大な問題は発生しておらず、また、発生の可能性を予測しておりません。各国・地域の公衆衛生関連規制に従い、適切な場合においては、外勤の従業員は、医療従事者との対面の訪問業務を一部再開しております。前年度に一時的に休止しました臨床試験については、流行拡大の動向を注視しつつ、概ね再開しております。金融市場の動向も注視を続けており、流動性や資金調達に係る重要な問題は現在見込んでおりません。② COVID-19影響軽減のための当社の取り組み当社は、バリュー(価値観)に基づき、従業員の健康・安全確保、当社医薬品を必要とされている患者さんへの提供、当社従業員が就業・居住するコミュニティでの感染の軽減およびサポートを中心に引き続き取り組んでおります。COVID-19流行拡大に対する当社の取り組みについて、当年度における主なアップデートは次の通りです。・感染力が強い変異株であるオミクロン株の影響により、新しい働き方であるハイブリッド・ワーキングモデルの導入は一部で一時的に遅延しています。今後、公衆衛生関連規制の違いや流行の分布・動態の推移、実務基準によって、職種や地域・国レベルで本モデルの導入状況が異なる見込みです。・当社は、COVID-19の課題に対処するため二年以上にわたり支援を行ってきたグローバル危機管理委員会の活動を終了し、各国・地域の危機管理委員会が現地の保健機関からの情報に基づきガイダンスを提供する体制に移行しました。・当社は、COVID-19に対処するため様々な取り組みを世界中で行っており、これには、二つの提携案件を通じてCOVID-19ワクチンを日本に供給することが含まれます。一つ目は、Novavax社のCOVID-19ワクチンの日本における開発、製造、流通に関する提携です。2021年9月、当社は、当社が日本で生産する同ワクチンについて厚生労働省に1億5,000万回接種分を供給する契約を締結しました。2022年4月、当社は、組換えタンパクを抗原としたCOVID-19ワクチン「ヌバキソビッド筋注」について、厚生労働省より初回免疫および追加免疫に対する製造販売承認を取得しました。二つ目は、Moderna社のCOVID-19 mRNAワクチン「スパイクバックス筋注(旧販売名:COVID-19ワクチンモデルナ筋注)」の日本への輸入および供給に関するModerna社および厚生労働省との提携です。2021年5月以降、当社はModerna社の同ワクチンを日本において供給しています。当社とModerna社は、2021年10月、日本での1つのロットにおいて未穿刺のバイアル内に粒子状異物があるという報告を受け自主回収した計3ロットの同ワクチンについて、調査結果を公表しました。当調査結果では、本件は被接種者の安全を脅かすものではなく、この製品のベネフィット・リスク評価に悪影響を与えるものではないと記載されています。当社は、2021年12月にModerna社および厚生労働省と合意に達した追加の1,800万回接種分とあわせ、2022年に合計9,300万回接種分を日本国内に供給します。本供給については2022年1月より開始しています。2022年5月、当社およびModerna社は、2022年8月1日付で同ワクチンの製造販売承認を当社からモデルナ・ジャパンに継承することを発表しました。当社は、当面の間、COVID-19にかかわる特例臨時接種の枠組みの下、同ワクチンの流通を引き続き担います。 ③ COVID-19の世界的な拡大に伴う事業等のリスク「2 事業等のリスク」をご参照ください。 ④ 2021年度実績におけるCOVID-19影響当年度におけるCOVID-19のグローバルな流行拡大に伴う業績への影響は、軽微でありました。COVID-19が流行している期間においては、ニューロサイエンス(神経精神疾患)といった一部の疾患領域において、外出制限期間中に患者さんの医療機関訪問の頻度が減少する等のマイナス影響が見られてきました。これは前年度の最初の数ヶ月において顕著でした。以降この動向は断続的に発生し、COVID-19流行前の水準にまで完全に回復しておりませんが、当社の生命を救う一定数の医薬品はこのような環境下においても耐久力を示し、また、成長を遂げることが出来ています。なお、業績影響は軽微でしたが、下期においてはオミクロン株による感染拡大により、幾つかの製品の出荷の遅れや患者さんの診断数の減少といった若干の影響がみられました。 (ウクライナとロシアにおける事業について)すべての患者さんと従業員を大切にするという私たちの変わらぬ約束は、危機の中において、より重要なものとなっています。当社は従業員の安全を確保し、ウクライナや周辺地域の患者さんに必要な医薬品を提供し続けるために、あらゆる努力を重ねています。当社は、国際赤十字・赤新月社連盟に3億円(約260万米ドル)を寄付し、国際的な人道的活動を支援しています。国際赤十字・赤新月社連盟は、今回の事態を受け避難している方々に地域での緊急人道支援を積極的に行っています。また、当社は医療を必要としている患者さんのために、24時間体制で医療行為を行っている病院に医薬品を無償提供しています。当社は、患者さんへの医薬品の安定供給と従業員への支援を維持するために必要不可欠な活動を除き、ロシアにおける活動を中止しました。これには、すべての新規投資の中止、広告・宣伝活動の中止、新規の臨床試験を実施しないこと、および進行中の臨床試験への新規患者登録の中止を含みます。当社はタケダイズムと患者さんを中心に考えるという私たちの価値観、そして私たちの医薬品や治療法を必要とするウクライナやロシア、周辺地域の患者さんへの倫理的な責任に基づいた必要不可欠な活動に注力します。それと同時に、当社はロシアに課せられたすべての国際的な制裁を遵守しています。また、ウクライナで被害を受けた方々への寄付金や医薬品の無償提供などの人道的支援活動を強化します。そして、周辺地域の患者さんが必要とする、新たな支援についても検討を続けます。当社はこれからも状況を注視し、私たちの価値観に基づき、適切に行動してまいります。当年度のロシア/CISにおける売上収益は、連結の売上収益3兆5,690億円の1.7%でした(「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容、①当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容、(a)当年度の経営成績の分析、(iii)当年度における業績の概要」の地域別売上収益をご参照ください)。これら国々における危機による当年度の当社業績に対する重大な影響はありませんでした。しかしながら、今後の事態の進展によっては、当社の業績や財務状況に悪影響が生じる可能性があります。 [主要製品一覧]消化器系疾患領域における主要製品は以下の通りです。・エンティビオ/エンタイビオ(ベドリズマブ):「エンティビオ」は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎・クローン病に対する治療剤です。「エンティビオ」は、2014年に米国および欧州において発売以来、売上が伸長しており、2021年度の当社グループの売上トップ製品です。現在、「エンティビオ」は世界74カ国で承認されています。当社は本剤の可能性を最大化するため、その他の国においても本剤の承認取得を進め、さらなる適応症の開発を行うとともに、皮下注射製剤の開発を行います。2021年度の「エンティビオ」の売上収益は5,218億円となりました。・アロフィセル(ダルバドストロセル):「アロフィセル」は、非活動期/軽度活動期の成人の管腔型クローン病患者さんにおける、少なくとも一回以上の既存治療または生物学的製剤による治療が効果不十分であった複雑痔瘻に対する治療薬です。「アロフィセル」は、2018年に欧州の中央審査により販売承認(MA)された、欧州初の同種異系幹細胞療法であり、日本でも2021年に承認されました。2021年度の「アロフィセル」の売上収益は18億円となりました。・タケキャブ(ボノプラザンフマル酸塩):酸関連疾患の治療剤「タケキャブ」は、2015年に日本で発売され、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制などの効能により飛躍的な成長を遂げました。「タケキャブ」(中国の製品名:Vocinti)は、2019年に胃食道逆流症の治療剤として中国で承認されました。2021年度の「タケキャブ」の売上収益は1,024億円となりました。・GATTEX/レベスティブ(テデュグルチド[DNA組換え型]):非経口(静脈栄養)サポートを必要とする短腸症候群(SBS)の治療薬です。2019年、FDAより、「GATTEX」の1才以上の小児SBS患者さんへの適応拡大が承認されました。「レベスティブ」は2021年に日本において承認されました。2021年度の「GATTEX/レベスティブ」の売上収益は758億円となりました。・DEXILANT (dexlansoprazole):「DEXILANT」は、全グレードのびらん性逆流性食道炎の治療およびその維持療法、症候性非びらん性胃食道逆流症(GERD)に伴う胸やけの緩和・治療など、胃酸関連疾患の治療薬です。後発品の市場参入により、売上は減少傾向にあり、2021年度の「DEXILANT」の売上収益は508億円となりました。希少疾患領域における主要製品は以下の通りです。・タクザイロ(ラナデルマブ):「タクザイロ」は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作予防に用いられます。「タクザイロ」は、HAEの患者さんにおいて慢性的に制御不能な酵素である血漿カリクレインに選択的に結合し、減少させる完全ヒト型モノクローナル抗体です。「タクザイロ」は2018年に米国と欧州にて、2020年に中国にて、2022年に日本にて承認され、さらなる地理的拡大を目指しています。2021年度の「タクザイロ」の売上収益は1,032億円となりました。・LIVTENCITY (maribavir):「LIVTENCITY」は、成人患者さんと小児患者さん(12歳以上で体重35 kg以上)に対する、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、またはシドフォビルに対して遺伝子型抵抗性(無しも含みます)を示す難治性の移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療薬であり、2021年12月に米国において発売されました。「LIVTENCITY」はpUL97プロテインキナーゼとその天然基質を標的として阻害する経口投与可能な最初で唯一の抗CMV治療薬であり、発売当初から売上が順調に伸長しています。2021年度の「LIVTENCITY」の売上収益は13億円となりました。・エラプレース(イデュルスルファーゼ):「エラプレース」は、ハンター症候群(ムコ多糖症II型またはMPS II)に対する酵素補充治療薬です。2021年度の「エラプレース」の売上収益は731億円となりました。・リプレガル(アガルシダーゼ アルファ):「リプレガル」は、ファブリー病に対して米国以外の市場で販売され、2020年に中国でも承認された酵素補充療法治療薬です。当社は、2022年2月に大日本住友製薬株式会社から「リプレガル」の日本における製造販売承認を承継し、同剤の販売の移管を受けました。ファブリー病は、脂肪の分解に関与するリソソーム酵素α-ガラクトシダーゼAの活性の欠如に起因する遺伝子性の希少疾患です。2021年度の「リプレガル」の売上収益は517億円となりました。・アドベイト(抗血友病因子(遺伝子組換え型)):「アドベイト」は、血友病A(血液凝固第Ⅷ因子欠乏)の治療薬であり、出血の制御と予防、周術期管理および出血の頻度を予防または軽減するために行う定期補充療法に使用されます。2021年度の「アドベイト」の売上収益は1,185億円となりました。・アディノベイト/ADYNOVI(抗血友病因子(遺伝子組換え型) [PEG化]):「アディノベイト」は、血友病A治療薬であり、遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤です。「アディノベイト」は遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤「アドベイト」と同じ製造工程で作られ、当社がネクター社より独占的にライセンス取得しているPEG化(体内での循環時間を延長し、投与頻度を減らすための化学修飾処理)技術を追加したものです。2021年度の「アディノベイト」の売上収益は607億円となりました。血漿分画製剤(免疫疾患)領域における主要製品は以下の通りです。・GAMMAGARD LIQUID(静注用人免疫グロブリン10%製剤):「GAMMAGARD LIQUID」は、抗体補充療法用免疫グロブリン(以下、「IG」)の液体製剤です。「GAMMAGARD LIQUID」は、原発性免疫不全症(PID)の成人および2歳以上の小児患者さんに対して使用され、静注または皮下注のいずれかの方法で投与します。また、「GAMMAGARD LIQUID」は、成人の多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者さんに対しても静注投与にて使用されます。「GAMMAGARD LIQUID」は、米国以外の多くの国で製品名「KIOVIG」として販売されています。「KIOVIG」は、欧州においてPIDおよび特定の続発性免疫不全症患者さん、ならびに成人のMMN患者さんへの使用が承認されています。・HYQVIA(ヒト免疫グロブリン注射製剤10%):「HYQVIA」は、ヒト免疫グロブリン(IG)および遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ(Halozyme社よりライセンス取得)からなる製剤です。「HYQVIA」は、PID患者さんに対して最長で1ヶ月に1回の投与で、1回あたりの注射部位一ヶ所でIGの全治療用量の投与が可能な唯一のIG皮下注用治療薬です。「HYQVIA」は、米国では成人PID患者さんへの使用、また欧州においてPID症候群および骨髄腫患者さんまたは重度の続発性低ガンマグロブリン血症および回帰感染を伴う慢性リンパ性白血病患者さんへの使用が承認されております。・CUVITRU(ヒト免疫グロブリン皮下注用20%製剤):「CUVITRU」は、原発性体液性免疫不全症の成人および2歳以上の小児患者さんに対する補充療法に用いられます。「CUVITRU」は、欧州では特定の続発性免疫不全の治療薬としても承認されています。「CUVITRU」は、プロリン不含で、投与部位1ヶ所あたりの耐用量内で最大60 mL(12g)および1時間あたり60 mLまで投与可能な唯一の20%皮下IG治療薬であり、従来の皮下IG治療薬と比較してより少ない投与部位および短い投与時間での使用が可能です。2021年度の「GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG」「HYQVIA」「CUVITRU」を含む免疫グロブリン製剤の売上収益は3,859億円となりました。・FLEXBUMIN(ヒトアルブミンバッグ製剤)およびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤):「FLEXBUMIN」および「ヒトアルブミン」は、濃度5%および25%の液体製剤として販売されています。両製品とも、血液量減少症、一般的な原因および火傷による低アルブミン血症、ならびに心肺バイパス手術時のポンプのプライミングに使用されます。また、「FLEXBUMIN」25%製剤は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびネフローゼに関連する低アルブミン血症、ならびに新生児溶血性疾患(HDN)にも適応されます。2021年度の「FLEXBUMIN」および「ヒトアルブミン(ガラス瓶製剤入り)」を含むアルブミン製剤の売上収益は900億円となりました。オンコロジー領域における主要製品は以下の通りです。・アルンブリグ(ブリグチニブ):「アルンブリグ」は、非小細胞肺がん(NSCLC)治療に使用される経口投与の低分子未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤であり、2017年に米国で迅速承認され、2018年に欧州委員会より製造販売承認を取得しました。2020年5月に米国で初めて、新たにALK陽性転移性NSCLCと診断された患者さんに対する効能が追加されました。2021年1月に日本、2022年3月に中国において承認されました。2021年度の「アルンブリグ」の売上収益は136億円となりました。・EXKIVITY(mobocertinib)は、プラチナ製剤ベースの化学療法を実施中あるいは実施後に病勢が進行した上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う局所進行または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療薬であり、2021年9月に米国において迅速承認制度のもとで承認されました。発売以来、高度医療機関および開業医において売上が急速に伸長しています。2021年度の「EXKIVITY」の売上収益は10億円となりました。・ベルケイド(ボルテゾミブ):「ベルケイド」は、多発性骨髄腫(MM)や少なくとも治療を一つ受けたマントル細胞リンパ腫(MCL)に対する治療剤であり、2003年に米国において承認されました。2008年にミレニアム社を買収して以来、「ベルケイド」の売上収益は当社グループの売上収益の増加に貢献してきました。なお、2022年に米国において後発品が市場に参入することにより、今後売上は減少することが見込まれます。2021年度の「ベルケイド」の売上収益は1,100億円となりました。・リュープリン/ENANTONE(リュープロレリン):「リュープリン」は、前立腺がんや乳がん、小児の中枢性思春期早発症、子宮内膜症、不妊の治療や、子宮筋腫による貧血の症状改善に用いられる治療薬です。「リュープリン」の特許期間は満了していますが、製造の観点から後発品の市場参入は限定的です。2021年度の「リュープリン」の売上収益は1,065億円となりました。・ニンラーロ(イキサゾミブ):「ニンラーロ」は、多発性骨髄腫(MM)治療に対する初めての経口プロテアソーム阻害剤です。「ニンラーロ」は、再発又は難治性の多発性骨髄腫の効能で、2015年に米国で承認されて以来、2016年に欧州、2017年に日本、2018年に中国で承認されております。日本においては、多発性骨髄腫の維持療法の治療薬としても承認を受けております。2021年度の「ニンラーロ」の売上収益は912億円となりました。・アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン):「アドセトリス」は、ホジキンリンパ腫(HL)および全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)の治療に使用される抗癌剤で、2020年5月には中国で承認され世界70カ国以上で販売承認を受けております。当社は、Seagen社と「アドセトリス」を共同開発し、米国およびカナダ以外の国での販売権を保有しています。2021年度の「アドセトリス」の売上収益は692億円となりました。ニューロサイエンス領域における主要製品は以下の通りです。・バイバンス/ビバンセ(リスデキサンフェタミンメシル酸塩):「バイバンス」は、6歳以上の注意欠陥・多動性障害(ADHD)患者さんおよび成人の中程度から重度の過食性障害患者さんの治療に用いられる中枢神経刺激剤です。2021年度における「バイバンス」の売上収益は3,271億円となりました。・トリンテリックス(ボルチオキセチン臭化水素酸塩):「トリンテリックス」は、成人大うつ病性障害の治療に適応される抗うつ薬です。「トリンテリックス」はH. Lundbeck A/S社と共同開発し、当社は米国および日本での販売権を保有しており、米国では2014年、また日本では2019年より販売しています。2021年度の「トリンテリックス」の売上収益は823億円となりました。売上収益の地域別内訳は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 事業セグメントおよび売上収益」をご参照下さい。
MD&A(経営者による分析)
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。 売上収益3兆5,690億円[前年度比3,712億円(11.6%) 増] 研究開発費5,261億円[ 〃703億円(15.4%) 増] 営業利益4,608億円[ 〃484億円(9.5%) 減] 税引前当期利益3,026億円[ 〃637億円(17.4%) 減] 当期利益2,302億円[ 〃1,460億円(38.8%) 減] 基本的1株当たり利益147円14銭[ 〃93円58銭(38.9%) 減] 資産合計13兆1,780億円[前年度末比2,657億円(2.1%) 増] 負債合計7兆4,945億円[ 〃2,406億円(3.1%) 減] 資本合計5兆6,835億円[ 〃5,063億円(9.8%) 増] なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を省略しております。 ② キャッシュ・フローの状況「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照下さい。 ③ 生産、受注及び販売の状況 (a) 生産実績当年度における生産実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬品事業1,663,1855.6合計1,663,1855.6 (注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。 2 生産実績金額は、販売価格によっております。 (b) 受注状況当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しており、一部の受注生産における受注高および受注残高の金額に重要性はありません。 (c) 販売実績当年度における販売実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)医薬品事業3,569,00611.6 (国内)( 658,983 )( 17.7 ) (海外)( 2,910,022 )( 10.3 )連結損益計算書計上額(うちライセンス供与による収益・役務収益)3,569,006( 273,283 )11.6( 195.6 ) (注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。 相手先前年度当年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)アメリソースバーゲン・コーポレーションおよびそのグループ会社370,75911.6504,48714.1マッケソン・コーポレーションおよびそのグループ会社345,29210.8406,70911.4 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容(a) 当年度の経営成績の分析 (ⅰ) 当社グループの経営成績に影響を与える事項事業の概況当社は、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。当社は、幅広い医薬品のポートフォリオを有し、研究、開発、製造、およびグローバルでの販売を主要な事業としております。研究開発においては、オンコロジー、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。当社は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(治療手段)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。当社は、約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点を有するとともに、日本および米国に主要な研究拠点を有しています。当社はこれまで、地理的拠点の拡大、オンコロジー、消化器系疾患ならびにニューロサイエンス領域を強化するとともに、希少疾患および血漿分画製剤での主導的地位を構築し、パイプラインの拡充にも取り組んできました。販売においては、米国、欧州および成長新興国におけるプレゼンスを飛躍的に向上させました。当社は現在、売上の成長性を有し、競争力のある収益性を維持し、そして潤沢なキャッシュ・フローを創出することができる状況にあり、研究開発および血漿分画製剤の長期的な成長に向けた投資、新製品の上市、2019年1月のShire社買収に伴って計上した負債の返済、および株主還元に資本を配分しております。当社グループの事業は単一セグメントであり、資源配分、業績評価、および将来業績の予測においてマネジメントの財務情報に対する視点と整合しております。2022年3月期における売上収益および営業利益はそれぞれ3兆5,690億円および4,608億円であります。 当社グループの経営成績に影響を与える事項当社グループの経営成績は、グローバルな業界トレンドや事業環境における以下の事項に影響を受けます。買収当社グループは、研究開発能力を拡大し(新たな手法に展開することを含みます。)、新しい製品(開発パイプラインや上市済み製品)やその他の戦略的領域を獲得するために、新たな事業を買収する可能性があります。同様に、当社グループの主な成長ドライバーに注力するため、また当社グループのポートフォリオを維持するために、事業や製品ラインを売却しております。これらの買収は企業結合として会計処理され、取得した資産および引き受けた負債は公正価値で計上されております。当社グループの業績は、通常、棚卸資産、および有形固定資産の公正価値の増加や、無形資産の認識に伴う調整にかかる費用および償却費の計上を含む企業結合会計により影響を受けます。また、買収の対価が追加的な借入金で賄われている場合、支払利息の増加も当社グループの業績に影響を与えます。買収の影響により、当社グループの業績は期間比較ができない可能性があります。事業売却買収に加え、当社グループは、主要な成長ドライバーに注力し、また長期借入金を速やかに返済するための追加キャッシュ・フローを創出するため、事業や製品ラインを売却しました。2021年3月期から2022年3月期および本報告書提出日時点における主要な事業売却は以下となります。• 2020年11月、当社グループは、アジア・パシフィックの国々のみで販売する当社の非中核資産である一部の一般用医薬品および医療用医薬品を、マイルストンの支払を含め、総額2億7,800万米ドル(268億円)で、Celltrion Inc.に譲渡し、2021年3月期において158億円の譲渡益を計上しました。• 2020年12月、当社グループは、主にヨーロッパおよびカナダで販売する当社の非中核資産である一部の医療用医薬品を、総額5億6,200万米ドル(594億円)でCheplapharmに譲渡し、2021年3月期において214億円の譲渡益を計上しました。• 2021年1月、当社グループは、ラテンアメリカで販売する一部の医療用医薬品および一般用医薬品のポートフォリオを総額8億2,500万米ドル(825億円)でHypera S.A.に譲渡し、2021年3月期において353億円の譲渡益を計上しました。• 2021年1月、当社グループは、TachoSil® Fibrin Sealant Patchを3億5,000万ユーロ(429億円)でCorza Health, Inc.に譲渡し、2021年3月期において23億円の譲渡益を計上しました。• 2021年3月、当社グループは、一部の医療用医薬品および一般用医薬品のポートフォリオをOrifarm Groupに譲渡しました。クロージング時の現金による譲渡価格は5億500万米ドル(558億円)で、クロージング後4年以内に約7,000万米ドル(86億円(注1))を非条件付の現金で受け取ります。今後追加で最大9,500百万米ドル(116億円(注1))のマイルストンを受領する可能性があります。2021年3月期において147億円の利益を計上しました。• 2021年3月、当社グループは、武田コンシューマーヘルスケア株式会社を2,420億円でThe Blackstone Group Inc.及びその関連会社が運用するファンドが支配するOscar A-Co株式会社に譲渡し、2021年3月期において1,395億円の譲渡益を計上しました。• 2021年4月、当社グループは、日本における当社の非中核資産である一部の製品を、総額1,330億円で、帝人ファーマ株式会社に資産譲渡しました。2022年3月期において税引前当期利益に対する1,314億円の増益影響を計上しました。• 2022年3月、当社グループは、中国で販売する当社の非中核資産である一部の医療用医薬品を、総額230百万米ドル(281億円(注1))でHasten Biopharmaceutic Co., Ltd. (China) に資産譲渡し、2022年3月期において56億円の譲渡益を計上しました。(注1) 2022年3月31日期末為替レートである1米ドル122.2円を用いて日本円に換算しております。 特許保護と後発品との競争医薬品は特に、特許保護や規制上の独占権によって市場競争が規制されることにより、当社グループの業績に貢献する場合があります。代替治療の利用が容易でない新製品は当社グループの売上の増加に貢献します。ただし、保護されている製品についても、効能、副作用や価格面で他社との競争が存在します。一方で、特許保護もしくは規制上の独占権の喪失や満了により、後発品が市場に参入するため、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼすことがあります。当社グループの主要製品の一部は、特許やその他の知的財産権保護の満了により、厳しい競争に晒されており、あるいは晒されると予想しております。例えば、米国において当社グループの最大の売上製品の一つであるベルケイドに含まれる有効成分のボルテゾミブの特許権が満了したことにより、ボルテゾミブを含む競合製品が販売されています。これにより、ベルケイドの売上は今後減少することが見込まれており、競合品がさらに市場に参入することにより売上がさらに大幅に減少する可能性があります。後発品を販売する他社が特許権の有効性に対する申し立てに成功する場合、もしくは想定される特許侵害訴訟に係る費用以上のベネフィットを前提として参入することを決定する場合があります。また、当社グループの特許権の有効性、あるいは製品保護に対する申し立てが提起された場合には、関連する無形資産の減損損失を認識する可能性があります。 原材料の調達による影響重要な原材料を社内外から調達することができない場合に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。例えば、ヒト血漿は当社グループの血漿分画製剤において重要な原材料であります。血漿をより多く収集するため、調達および外部との契約を強化し、原料血漿の収集や血漿分画に関連する施設への委託、および規制当局から承認を受けることに成功するための取り組みを行っております。 外国為替変動2022年3月期において、当社グループでは日本以外の売上が81.5%を占めております。当社グループの収益および費用は、特に当社の表示通貨である日本円に対する米ドルおよびユーロの外国為替レートの変動に影響を受けます。円安は日本円以外の通貨による収益の増加要因となり当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の増加により相殺される可能性があります。反対に、円高は日本円以外の通貨による収益減少要因となり当社グループの業績に悪影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の減少により相殺される可能性があります。以下は、2022年3月期の売上収益を2021年3月期における同一の為替レートで換算し、2021年3月期の売上収益と対比させたものです。(単位:億円、%以外) 前年度当年度対前年度売上収益31,97835,6903,71211.6%為替レートによる影響 △1,691 前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益31,97833,9992,0216.3% 前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は、IFRSに準拠して作成された指標ではありません(以下、「非IFRS指標」)。投資家におかれましては、当社グループの過去の財務諸表全体を確認し、IFRSに準拠して表示されている指標を当社グループの業績、価値、将来の見通しを評価する際の主要な指標として使用し、非IFRS指標を補足的な指標として使用することを強く推奨します。前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益に対して最も直接的に比較可能な指標は、IFRSに準拠して作成された売上収益であります。上表には、前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益から売上収益への調整が示されております。当該指標が、当社グループの事業に対する為替レートの影響をよりよく理解し、為替レートの変動の影響を除外した場合に、当社の経営成績が対前年度でどのように変動したかを理解するために、投資家にとって有用であると考えられるため、当社グループは前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益を表示しております。当該指標は、当社グループの経営者が、当社グループの経営成績を評価するにあたって使用する主要な方法であります。また、証券アナリスト、投資家、その他のステークホルダーが、当社グループが属する業界の同業他社の経営成績を評価する際、類似する業績指標を使用することが多いため、投資家にとっても有用な指標であると考えています。前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は、ある会計年度において、当会計年度の売上収益を、対応する前会計年度の為替レートで換算した売上収益として定義されます。ただし、前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は、前会計年度においてIFRSに基づき表示された売上収益の算定に用いられた為替レートと同一の為替レートを用いて算定されていますが、当該会計年度中に締結された取引が同一の為替レートで締結された、または計上されたとは限らないという点で、この表示の有用性には重要な限界があります。当社グループの業界の同業他社が類似する名称の指標を使用している場合であっても、同業他社が当該指標を当社グループとは異なって定義し、異なる算定を行っている可能性があるため、指標が直接的に比較可能ではない場合があります。したがって、前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は単独で検討すべきではなく、またIFRSに準拠して作成、表示される収益の指標としてではなく、当該指標の代替的指標としてみなされるべきです。為替変動リスクを低減するため、当社グループは重要な一部の外貨建取引について、主に先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプションを利用しヘッジを行っております。 季節的要因当社グループの売上収益は、2021年3月期および2022年3月期において第4四半期に減少しています。これは、卸売業者は年末年始休暇に向けてあらゆる国・地域における在庫数を増やす傾向にあること、年間にわたって価格が上昇していること、暦年の年初の米国における保険の年間免責額の改定等によるものです。 (ⅱ) 重要な会計方針当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成されております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産および負債の金額、決算日現在の偶発資産および偶発負債の開示、ならびに報告期間における収益および費用の金額に影響を及ぼす見積りおよび仮定の設定を行うことが求められております。見積りおよび仮定は、継続的に見直されます。経営者は、過去の経験、ならびに見積りおよび仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき当該見積りおよび仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積りおよび仮定とは異なる場合があります。経営者の見積りおよび仮定に影響を受ける重要な会計方針は以下の通りであります。なお、見積りおよび仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。 収益認識当社グループの収益は主に医薬品販売に関連したものであり、製品に対する支配が顧客に移転した時点で認識されております。収益の認識額は、当社グループが製品と交換に受け取ると見込まれる対価に基づいております。一般的には、出荷時または顧客による受領時点もしくはサービスが履行された時点で収益は認識されます。収益の認識額は、当社グループが財またはサービスと交換に受け取ると見込んでいる対価に基づいております。契約に複数の履行義務が含まれる場合、対価は独立販売価格の比率で各履行義務に配分しております。当社グループが財またはサービスと交換に受け取る対価は固定金額または変動金額の場合があります。変動対価は重要な戻入れが生じない可能性が非常に高い場合のみ認識しております。売上高からは、主に小売業者、政府機関、卸売業者、医療保険会社およびマネージドヘルスケア団体に対する割戻や値引等の様々な項目が控除されております。これらの控除額は関連する義務に対し見積られますが、報告期間における当該収益に係る控除額の見積りには判断が伴います。総売上高からこれらの控除額を調整して、純売上高が算定されます。当社グループは、これらの控除額に係る義務を少なくとも四半期毎に確認しており、割戻の変動、リベート・プログラムおよび契約条件、法律の改定、その他重大な事象により関連する義務の見直しが適切であることが示されている場合には、調整を行っております。なお、これまで売上割戻に関する引当金に対する調整が、純損益に重要な影響を与えたことはありません。米国市場における収益控除に関する取り決めが最も複雑なものになっております。収益に係る調整のうち最も重要なものは以下のとおりであります。• 米国メディケイド: 米国のメディケイド・ドラッグ・リベート・プログラムは、連邦政府および州が共同で拠出した資金により医療費を賄えない特定の条件を満たす個人および家族に対して医療費を負担する制度であり、各州が運営を行っております。当プログラムに係る割戻の支払額の算定には、関連規定の解釈が必要となりますが、これは異議申し立てによる影響または政府機関の解釈指針の変更による影響を受ける可能性があります。メディケイドの割戻に係る引当金は、割戻の対象として特定された製品、過去の経験、患者さんからの要請、製品価格ならびに各州の制度における契約内容および関連条項を考慮して算定しております。メディケイドの割戻に係る引当金は関連する売上収益と同じ期間に計上されますが、メディケイドに係る割戻はその期間に全額が支払われません。当社グループの売上控除額計上時点から最終的なメディケイドに係る割戻の会計処理までには通常数カ月の差が生じます。当社グループの売上控除額の算定に用いる製品固有の条件は、当社グループの売上取引が米国のメディケイド・プログラムの対象となるかに関連しています。• 米国メディケア: 米国のメディケア・プログラムは65歳以上の高齢者もしくは特定の障害者向けの公的医療保険制度であり、当プログラムのパートDにおいて処方薬に係る保険が規定されております。パートDの制度は民間の処方薬剤費保険により運営、提供されております。メディケア・パートDに係る割戻は各処方薬剤費保険の制度内容、患者さんからの要請、製品価格ならびに契約内容を考慮して算定しております。メディケア・パートDの割戻に係る引当金は関連する売上収益と同じ期間に計上されますが、メディケア・パートDに係る割戻はその期間に全額が支払われません。当社グループの売上控除額計上時点から最終的なメディケア・パートDに係る割戻の会計処理までには通常数カ月の差が生じます。当社グループの売上控除額の算定に用いる製品固有の条件は、当社グループの売上取引が米国のメディケア・プログラムの対象となるかに関連しています。• 顧客に対する割戻: 当社グループは、マーケットシェアの維持と拡大、また、患者さんの当社グループ製品へのアクセスを確実にするために、購入機関、保険会社、マネージドヘルスケア団体およびその他の直接顧客ならびに間接顧客に対して米国コマーシャル・マネージドケアを含む割戻を実施しております。割戻は契約上取決めがなされているため、係る引当金は各取決めの内容、過去の経験および患者さんからの要請を基に算定しております。米国コマーシャル・マネージドケアの割戻に係る引当金は関連する売上収益と同じ期間に計上されますが、米国コマーシャル・マネージドケアに係る割戻はその期間に全額が支払われません。当社グループの売上控除額計上時点から最終的な米国コマーシャル・マネージドケアに係る割戻の会計処理までには通常数カ月の差が生じます。当社グループの売上控除額の算定に用いる製品固有の条件は、当社グループの売上取引が米国コマーシャル・マネージドケアの対象となるかに関連しています。• 卸売業者に対するチャージバック: 当社グループは特定の間接顧客と、顧客が卸売業者から割引価格で製品を購入可能とする取決めを結んでおります。チャージバックは卸売業者に対する当社グループの請求額および間接顧客に対する契約上の割引価格の差額であります。チャージバックの見積額は各取決めの内容、過去の経験および製品の需要を基に算定しております。当社グループは、売上債権とチャージバックを相殺する法的に強制可能な権利を有し、かつ純額で決済するか、または資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有しております。そのため、チャージバックの見積額は連結財政状態計算書において売上債権から控除しております。• 返品調整に係る引当金: 返品権付き製品を顧客に販売する際は、当社グループの返品ポリシーや過去の返品率に基づいた返品見込み額を引当金として計上しております。返品見込み率を見積る際は、過去の返品実績、予想される流通チャネル内の在庫量および製品の保管寿命を含む関連要因を考慮しております。引当額は見積りに基づくため、実際の発生額を完全に反映していない場合があり、特にどの売上取引が最終的にこれらの制度の対象とされるかどうかの判断において使用されるそれぞれの製品固有の条件により変動する可能性があります。当社グループは、一般的に製品が顧客に引き渡された時点から90日以内に顧客から支払を受けます。当社グループは主としてそれらの取引を本人として履行しますが、他の当事者に代わって販売を行うことがあります。その場合は、代理人として受け取ることが見込まれる販売手数料の金額が収益として認識されます。当社グループは、知的財産の導出および売却にかかるロイヤルティ、契約一時金およびマイルストンにかかる収益を計上しております。知的財産にかかるロイヤルティ収益は、基礎となる売上が発生した時点で認識しております。契約一時金にかかる収益は、一般的にはライセンスの使用権を付与した時点で認識されます。マイルストンにかかる収益は、一般的にはマイルストンの支払条件が達成される可能性が非常に高く、認識した収益の額の重大な戻入が生じない可能性が非常に高くなった時点で認識しております。導出した候補物質の研究開発等のその他のサービスにかかる収益については、サービスの提供期間に応じて認識しております。当社グループは、一般的に知的財産の導出契約の締結または顧客によるマイルストンの支払条件の達成の確認から60日以内に顧客から支払を受けます。当社グループはグループの知的財産を導出しているため、本人として契約を履行しております。また、当社グループはその他のサービスも本人または代理人として提供しております。 のれんおよび無形資産の減損当社グループは、のれんおよび無形資産について、資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象または状況の変化がある場合には、減損テストを行っております。のれんおよび償却開始前の無形資産については、年次および減損の兆候を捕捉した時点で減損テストを実施しております。2022年3月31日時点において、当社グループはのれんおよび無形資産をそれぞれ4兆4,077億円および3兆8,185億円計上しており、これは総資産の62.4%を占めております。上市後製品に係る無形資産は特許が存続する見込期間または見込まれる経済的便益に応じた他の指標に基づき、3年から20年の耐用年数を用いて定額法で償却しております。開発中の製品に係る無形資産は、特定の市場における商用化が規制当局により承認されるまで償却をしておりません。商用化が承認された時点で、当該資産の見積耐用年数を確定し、償却を開始しております。のれんおよび無形資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損していると判断されます。無形資産にかかる回収可能価額は個別資産、またはその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。のれんの減損テストは単一の事業セグメント単位(単一の資金生成単位)で実施しており、これはのれんを内部管理目的で監視している単位を表しています。回収可能価額の見積りには以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。·将来キャッシュ・フローの金額および時期·競合他社の動向(競合製品の販売開始、マーケティングイニシアチブ等)·規制当局からの承認の取得可能性·将来の税率·永続成長率·割引率将来キャッシュ・フローの金額および時期を見積るための重要な仮定には、研究開発プロジェクトの成功見込みおよび製品に係る売上予測があります。特にのれんにかかる回収可能価額の見積りにおいては、特定の製品に係る売上予測が重要な仮定となります。これらの仮定に影響を与える事象としては、開発の中止、大幅な上市の遅延、規制当局の承認が得られないことによる研究開発プロジェクトの失敗、もしくは一般的には新たな競合製品の販売開始や供給不足による、一部の上市後製品にかかる売上予測の低下があげられます。これらの事象が発生した場合、プロジェクト獲得以降に実施した当初もしくは事後の研究開発投資額が回収できない、もしくは見積った将来キャッシュ・フローが回収できない可能性があります。これらの仮定に変更が生じた場合は、当該連結会計年度において減損損失および減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれんおよび12 無形資産」をご参照ください。 訴訟に係る偶発事象当社グループは、通常の営業活動において主に製造物責任訴訟および賠償責任訴訟に関与しております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。偶発負債は、その特性から不確実なものであり複雑な判断や可能性に基づいております。訴訟およびその他の偶発事象に係る引当金を算定する際には、該当する訴訟の根拠や管轄、その他の類似した現在および過去の訴訟案件の顛末および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現時点における和解にむけた進行状況等を勘案しております。さらに、未だ提訴されていない製造物責任訴訟については、主に過去の訴訟の経験や製品の使用に係るデータに基づき、費用を合理的に見積ることができる範囲で引当金を計上しております。当社グループが関与する重要な訴訟のうち、それらの最終的な結果により財務上の影響が見込まれる場合であっても、その額について信頼性のある見積りが不可能な訴訟等については、引当金の計上は行っておりません。また、保険の補償範囲期間内である場合は保険による補償についても考慮しております。補償範囲の検討の際に、当社グループは、保険契約の制限や除外、保険会社による補償の拒否の可能性、保険業者の財政状態、ならびに回収可能性および回収期間を考慮しております。引当金および関連する保険補償額の見積りは、連結財政状態計算書上において負債および資産として総額で計上しております。2022年3月31日現在において、係争中の訴訟案件およびその他の案件について429億円の引当金を計上しております。 法人所得税当社グループは、税法および税規制の解釈指針に基づき税務申告を行っており、これらの判断および解釈に基づいた見積額を計上しております。通常の営業活動において、当社グループの税務申告は様々な税務当局による税務調査の対象であり、これらの調査の結果、追加税額、利息、または罰金の支払いが課される場合があります。法律および様々な管轄地域の租税裁判所の判決に伴う法改正により、不確実な税務ポジションに関する負債の見積りの多くは固有の不確実性を伴います。税務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと結論を下した場合に、当社グループは、税務上の不確実性を解消するために必要となる費用の最善の見積り額を認識します。また、未認識の税務上の便益は事実および状況の変化に伴い調整されます。これらの税務ポジションは、例えば、現行の税法の大幅改正、税務当局による税制または解釈指針の発行、税務調査の際に入手した新たな情報、または税務調査の解決により調整が行われる可能性があります。当社グループは、不確実な税務ポジションに係る当社グループの見積りは、現時点において判明している事実および状況に基づき適切かつ十分であると判断しております。また、各報告期間の末日において繰延税金資産の回収可能性を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予想される将来加算一時差異の解消スケジュール、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。収益力に基づく将来課税所得は、主に当社グループの事業計画を基礎として見積られており、当該事業計画に含まれる売上高の予測を決定する際の判断に変更があった場合、認識される繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。過去の課税所得の水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来の課税所得の見積りに基づき、実現する可能性が高いと予想される税務上の便益の額を算定しております。2022年3月31日現在における繰延税金資産を認識していない未使用の繰越欠損金、将来減算一時差異、および未使用の繰越税額控除はそれぞれ1兆7,298億円、2,409億円、および100億円であります。将来における見積りおよび仮定の変更は法人所得税費用に重要な影響を与える可能性があります。 事業構造再編費用当社グループでは、費用削減に関連した取り組みおよび買収に係る事業統合に関連して事業構造再編費用が発生します。退職金が事業構造再編費用の主な内訳であり、事業構造再編に係る引当金については、事業構造再編に係る詳細な公式計画を作成した時点で計上しております。事業構造再編に係る引当金の認識には、支払時期や、事業再編により影響を受ける従業員数等の見積りが必要となります。最終的なコストは当初の見積りから異なる可能性があります。当社グループは、将来において買収および売却に関連した事業統合に係る追加の事業構造再編費用を計上すると見込んでおります。2022年3月31日現在において、当社グループは、事業構造再編に係る引当金を134億円計上しております。詳細および事業構造再編に係る引当金の推移は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 23 引当金」をご参照ください。 (ⅲ) 当年度における業績の概要 当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。(単位:億円、%以外) 前年度当年度対前年度売上収益31,97835,6903,71211.6%売上原価△9,943△11,068△1,12511.3%販売費及び一般管理費△8,757△8,864△1071.2%研究開発費△4,558△5,261△70315.4%製品に係る無形資産償却費及び減損損失△4,219△4,729△51112.1%その他の営業収益3,180431△2,749△86.4%その他の営業費用△2,589△1,591998△38.6%営業利益5,0934,608△484△9.5%金融収益及び費用(純額)△1,431△1,4292△0.1%持分法による投資損益1△154△154-税引前当期利益3,6623,026△637△17.4%法人所得税費用99△724△823-当期利益3,7622,302△1,460△38.8% 〔売上収益〕売上収益は、前年度から3,712億円増収(+11.6%)の3兆5,690億円となりました。前年度の実勢為替レートを当年度に適用することにより算出した為替影響を除くと、売上収益は6.3%の増収となります。2021年4月、当社は、日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの1,330億円での帝人ファーマ株式会社への譲渡を完了し、これを売上収益に計上しました。当該譲渡価額は、売上収益の増加のうち、4.2パーセントポイントを占めます。なお、当該譲渡価額を除くと、当年度の売上収益は7.4%の増収となります。 当社ビジネスにおける主要な疾患領域(消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤(免疫疾患)、オンコロジー、およびニューロサイエンス(神経精神疾患))の売上収益は、前年度から3,211億円増収(+12.2%)の2兆9,449億円となりました。主要な疾患領域はそれぞれ全社の売上収益の増収に貢献しました。しかしながら、希少疾患領域では、特に希少血液疾患領域の一部の製品が競争の激化による影響を受け、円安によるプラス影響を除くと減収となりました。当年度の売上収益は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のグローバルな流行拡大による大きな影響はありませんでしたが、下期においてはオミクロン株による感染拡大により、幾つかの製品において出荷の遅れや患者さんの診断数の減少といった若干の影響がみられました。 当社の主要な疾患領域以外の売上収益は、日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの譲渡価額1,330億円の計上および日本におけるModerna社のCOVID-19ワクチン「スパイクバックス筋注」の供給による収益を含むその他の増収が前年度の事業等の売却による当年度の減収影響を吸収し、501億円増収(+8.7%)の6,241億円となりました。 地域別売上収益各地域の売上収益は以下のとおりです。(単位:億円、%以外)売上収益:前年度当年度 日本(注1)5,59717.5%6,59018.5% 米国15,67949.0%17,14448.0% 欧州およびカナダ6,66220.8%7,39220.7% アジア(日本を除く)1,5624.9%1,9705.5% 中南米1,2163.8%1,2853.6% ロシア/CIS5761.8%6211.7% その他(注2)6852.1%6891.9% 合計31,978100.0%35,690100.0% (注1) 当年度は、日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの譲渡価額1,330億円を含みます。(注2) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。 当社グループの売上収益の大部分は、主要な医療用医薬品により占められております。当年度の各領域における主要製品の売上は以下のとおりです。 (単位:億円、%以外) 前年度当年度対前年度消化器系疾患: エンティビオ(注1)4,2935,21892521.5%タケキャブ(注2)8481,02417620.7%レベスティブ64675811217.3%DEXILANT556508△48△8.7%PANTOLOC/CONTROLOC(注3)431403△28△6.6%アロフィセル81811135.1%その他997829△168△16.8%消化器系疾患 合計7,7788,75797912.6%希少疾患: 希少代謝性疾患: エラプレース688731436.3%リプレガル518517△0△0.1%ビプリブ3854243910.1%NATPARA/NATPAR36541850.7%希少代謝性疾患 合計1,6261,7261006.1%希少血液疾患: アドベイト1,2851,185△100△7.8%アディノベイト581607274.6%ファイバ445392△53△12.0%RECOMBINATE134123△11△8.2%その他4535307717.0%希少血液疾患 合計2,8982,837△61△2.1%遺伝性血管性浮腫: タクザイロ8671,03216519.1%フィラジル268267△1△0.5%その他258237△21△8.3%遺伝性血管性浮腫 合計1,3931,53614310.2%その他-1313-希少疾患合計5,9176,1121953.3%血漿分画製剤(免疫疾患): 免疫グロブリン製剤3,3493,85951015.2%アルブミン製剤57690032556.4%その他2793113111.2%血漿分画製剤(免疫疾患) 合計4,2045,07086620.6% (単位:億円、%以外) 前年度当年度対前年度オンコロジー: ベルケイド1,0111,100898.8%リュープリン9541,06511111.6%ニンラーロ874912384.4%アドセトリス5946929816.4%アイクルシグ34234971.9%アルンブリグ881364854.9%その他30243313143.4%オンコロジー 合計4,1654,68752212.5%ニューロサイエンス(神経精神疾患): バイバンス(注4)2,7153,27155520.4%トリンテリックス68982313419.5%その他769729△40△5.2%ニューロサイエンス 合計4,1734,82365015.6%その他: アジルバ(注2)822763△59△7.2%ロトリガ31832792.9%その他(注5)4,6015,15255112.0%その他 合計5,7416,2425018.7%総合計31,97835,6903,71211.6% (注1)国内製品名:エンタイビオ(注2)配合剤、パック製剤を含む。(注3)一般名:pantoprazole(注4)国内製品名:ビバンセ(注5)前年度においては、2021年3月31日に売却した武田コンシューマーヘルスケア株式会社の売上高を含む。当年度においては、2021年4月1日に売却した日本における糖尿病治療薬4剤(ネシーナ錠、リオベル配合錠、イニシンク配合錠、ザファテック錠)の帝人ファーマ株式会社への譲渡価額1,330億円を含む。 各疾患領域における売上収益の前年度からの増減は、主に以下の製品によるものです。 - 消化器系疾患消化器系疾患領域の売上収益は、前年度から979億円増収(+12.6%)の8,757億円となりました。当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」(国内製品名:「エンタイビオ」)の売上が伸長し、前年度から925億円増収(+21.5%)の5,218億円となり、売上成長を牽引しました。本剤の米国における売上は、炎症性腸疾患の潰瘍性大腸炎とクローン病に対する生物学的製剤の新規投与患者が増加したことにより、前年度から552億円増収(+18.8%)の3,495億円となりました。欧州およびカナダにおける売上は、前年度から270億円増収(+24.8%)の1,360億円となりました。成長新興国においては、主にブラジルおよび中国における売上が伸長し、前年度から78億円増収(+45.7%)の250億円となりました。酸関連疾患治療剤「タケキャブ」も、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制等の効能を中心として、主に日本において新規処方が拡大し、売上は176億円増収(+20.7%)の1,024億円となりました。短腸症候群治療剤「レベスティブ」の売上は、主に市場浸透が進んだこと、および日本を含む新たな国での上市により、112億円増収(+17.3%)の758億円となりました。「その他」に含まれる慢性便秘症治療剤「AMITIZA」は、2021年1月に米国において参入した後発品の影響により、売上は148億円減収(△69.6%)の65億円となりました。 - 希少疾患希少疾患領域の売上収益は、前年度から195億円増収(+3.3%)の6,112億円となりました。希少代謝性疾患領域の売上収益は、100億円増収(+6.1%)の1,726億円となりました。酵素補充療法のハンター症候群治療剤「エラプレース」は主に欧州および成長新興国において、ゴーシェ病治療剤「ビプリブ」は主に米国、欧州および成長新興国において、それぞれ増収となりました。希少血液疾患領域の売上収益は、61億円減収(△2.1%)の2,837億円となりました。「アドベイト」は100億円減収(△7.8%)の1,185億円となりました。「アディノベイト」は27億円増収(+4.6%)の607億円となりました。いずれも、米国の血友病Aのインヒビター非保有市場における競争の激化による影響を受けました。また、「ファイバ」の売上は、主に、成長新興国における政府による入札のタイミングが前年度と比較して後ろ倒しになった影響により、53億円減収(△12.0%)の392億円となりました。遺伝性血管性浮腫領域の売上収益は、143億円増収(+10.2%)の1,536億円となりました。「タクザイロ」は、主に予防薬市場の拡大、販売エリアの拡大、および処方の増加により、165億円増収(+19.1%)の1,032億円となりました。「その他」に含まれる「CINRYZE」は、主に「タクザイロ」への処方切り替えと他社の競合する新薬へのシフトにより、26億円減収(△11.8%)の193億円となりました。 - 血漿分画製剤(免疫疾患)血漿分画製剤(免疫疾患)領域の売上収益は、前年度から866億円増収(+20.6%)の5,070億円となりました。免疫グロブリン製剤の売上合計は、510億円増収(+15.2%)の3,859億円となりました。特に、原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に用いられる静注製剤「GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG」の売上は、グローバルに需要が堅調に推移し供給量が増加したことから、前年度から増収となりました。また、皮下注製剤である「CUVITRU」と「HYQVIA」は2桁台の増収率となりました。主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられる「HUMAN ALBUMIN」と「FLEXBUMIN」を含むアルブミン製剤の売上合計は、前年度の下期に影響を与えた「HUMAN ALBUMIN」の中国における出荷中断が解消されて売上が伸長したことと、「FLEXBUMIN」の中国および米国における需要が増加したことにより、前年度から325億円増収(+56.4%)の900億円となりました。 - オンコロジーオンコロジー領域の売上収益は、前年度から522億円増収(+12.5%)の4,687億円となりました。多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」の売上は、前年度から89億円増収(+8.8%)の1,100億円となりました。米国内の売上は、COVID-19の流行拡大初期に処方者が点滴や注射よりも経口投与の薬剤を選好したことで前年度第1四半期は売上が低下しましたが、当年度は需要の回復があったことから前年度から104億円の増収(+10.8%)となりました。また、本剤は新規患者さんの初期治療に使用される薬剤の一つとして、米国における成長に貢献しました。米国外の売上にかかるロイヤルティ収益は、後発品の浸透が継続したことにより減収となりました。子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がん・前立腺がん等の治療に用いられる特許満了製品の「リュープリン」(一般名:「リュープロレリン」)は、主に米国に向けた供給売上の増加があったものの日本における後発品の浸透および競合品による減収影響によって一部相殺され、前年度から111億円増収(+11.6%)の1,065億円となりました。多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」の売上は、前年度から38億円増収(+4.4%)の912億円となりました。米国においては、COVID-19拡大下において経口剤である本剤が選好され、前年度の初期に一時的に需要が増加したものの当年度はその影響がなかったこと、および当年度第4四半期には需要の減速が見られたことから減収となりましたが、他の国々、特に中国と日本においては引き続き好調に推移し増収となりました。また、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」の売上は、2020年5月に承認された中国を中心に成長新興国において伸長し、前年度から98億円増収(+16.4%)の692億円となりました。非小細胞肺がん治療剤「アルンブリグ」の売上は、全世界における上市および市場浸透により、前年度から48億円増収(+54.9%)の136億円となりました。 - ニューロサイエンス(神経精神疾患)ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の売上収益は、前年度から650億円増収(+15.6%)の4,823億円となりました。注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤「バイバンス」(国内製品名:「ビバンセ」)の売上は、前年度から555億円増収(+20.4%)の3,271億円となりました。同剤は、COVID-19パンデミックの期間を通じて、特に外出制限期間中の外来患者数および診断数の減少と、服薬の一時的な中断による減収影響を受けました。この傾向は2020年から変動してきましたが、当年度においては処方の増加によるプラス影響がありました。大うつ病(MDD)治療剤「トリンテリックス」の売上は、米国および日本における処方の増加により、前年度から134億円増収(+19.5%)の823億円になりました。これらの製品の増収は、主に日本において後発品参入による競争の継続的な影響を受けた「その他」に含まれるアルツハイマー病治療剤「レミニール」等の他のニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の製品の減収によって一部相殺されました。 〔売上原価〕売上原価は、主に前年度と比較し当年度において円安の影響を受けたこと、および原価率の高い品目の売上が増加したことにより前年度から1,125億円増加(+11.3%)の1兆1,068億円となりました。この増加は、Shire社買収に伴い計上された棚卸資産の公正価値調整等にかかる非資金性の費用が465億円減少したこと、および前年度に売却した製品にかかる売上原価の減少により一部相殺されております。 〔販売費及び一般管理費〕販売費及び一般管理費は、前年度から107億円増加(+1.2%)の8,864億円となりました。この増加は主に、当年度における円安の為替影響に伴うものです。 〔研究開発費〕研究開発費は、主に新規候補物質へのさらなる投資、および当年度における円安の為替影響により、前年度から703億円増加(+15.4%)の5,261億円となりました。 〔製品に係る無形資産償却費及び減損損失〕製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、開発中止を決定したTAK-721を含む一部の開発中の製品に係る減損損失、およびNATPARAに関連する無形資産の回収可能価額の再評価に伴う減損損失を当年度に計上したことにより、前年度から511億円増加(+12.1%)の4,729億円となりました。 〔その他の営業収益〕その他の営業収益は、前年度から2,749億円減少(△86.4%)の431億円となりました。この減少は主に、武田コンシューマーヘルスケア株式会社株式および関連資産の売却に伴う1,395億円、およびその他の非中核資産の譲渡に伴う894億円の合計2,289億円の譲渡益を前年度に計上したこと、また、前年度においてSHP647および関連する権利の売却に関する当社グループの義務を解除する2020年5月の欧州委員会の決定に伴い、当社グループがSHP647に関する臨床試験プログラムを中止する意思決定を行ったことを反映し、これまで計上していた当該プログラムに関連する負債の再見積りを行った結果、602億円の再評価益を計上したことによるものです。 〔その他の営業費用〕その他の営業費用は、前年度から998億円減少(△38.6%)の1,591億円となりました。この減少は主に、前年度において当社グループが譲渡したXIIDRAにかかる条件付対価契約に関する金融資産の公正価値の変動により729億円の損失を計上したこと、および主にShire社との統合費用の減少に伴い、事業構造再編費用が前年度から320億円減少したことによるものです。 〔営業利益〕営業利益は、上記の要因を反映し、前年度から484億円減益(△9.5%)の4,608億円となりました。 〔金融損益〕金融収益と金融費用をあわせた金融損益は1,429億円の損失となり、前年度から損失が2億円(△0.1%)減少しました。当社が株式を保有する企業のワラントにかかるデリバティブの再測定によるマイナス影響がありましたが、持分法適用会社であったMarverick Therapeutics社を2021年4月に買収したことに伴う投資の再測定に係る利益を当年度に計上したこと、および主に社債及び借入金の残高減少に伴う利息費用(純額)の減少等により相殺しております。 〔持分法による投資損益〕当年度の持分法による投資損益は、主に武田ベンチャー投資Inc.が保有する株式にかかる投資の損失を計上したことにより前年度の持分法による投資利益1億円に対して154億円の損失となりました。このマイナス影響は、武田テバファーマ株式会社で認識された減損損失の当社グループ持分相当額の減少により一部相殺されております。 〔法人所得税費用〕法人所得税費用は、前年度△99億円に対して、当年度は724億円となりました。これは主に、グループ内の組織再編により認識された税務上の便益の減少、および2014年にShire社がAbbVie社からの買収申し出の取下げに関連して受領した違約金に対するアイルランドでの課税を巡る税務評価から生じた税金および利息の合計と関連する税務便益5億円との純額654億円によるものです。また、未認識であった繰延税金資産の計上による税務便益が減少しております。これらは、前年度における事業等の売却に伴う税金費用、海外子会社における未分配利益にかかる繰延税金負債の減少影響、および税引前当期利益の減少による影響と一部相殺されております。 〔当期利益〕当期利益は、上記の要因を反映し、前年度から1,460億円減益(△38.8%)の2,302億円となりました。 (ⅳ) 当年度における実質的な成長の概要 Coreと実質的な成長の定義当社は、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しております。 「実質的な成長」は、当年度と前年度(四半期もしくは年間)の業績を共通の基準で比較するものであり、マネジメントによる業績評価に使用されています。これら共通の基準で比較される業績は、年間計画レートを用いた為替レートを一定として、事業等の売却影響およびその他の非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(非中核)事象による影響を控除し算定されます。当社は、この「実質的な成長」が、事業活動のパフォーマンスを表す共通の基準を提供するため、投資家に有用であると考えています。なお、本指標は、国際会計基準(IFRS)に準拠したものではありません。 当社は、「Underlying Revenue Growth」(実質的な売上収益の成長)、「Underlying Core Operating Profit Growth」(実質的なCore営業利益の成長)および「Underlying Core EPS Growth」(実質的なCore EPSの成長)を重要な財務指標としています。 実質的な売上収益は、為替レートを一定として、財務ベースの売上収益に、報告期間における非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響を調整して計算します。 実質的なCore営業利益は、為替レートを一定として、Core営業利益(以下に定義)に、報告期間における事業等の売却影響を調整して計算します。 実質的なCore EPSは、為替レートを一定として、純利益から、事業等の売却影響、およびCore EPS(以下に定義)の算出において控除された項目を調整した後、比較年度末の自己株式控除後の発行済株式総数で除して算定します。 Core売上収益は、売上収益から、重要性のある本業に起因しない(非中核)事象による影響を控除して算出します。 Core営業利益は、純利益から、法人所得税費用、持分法による投資損益、金融損益、その他の営業収益およびその他の営業費用、製品に係る無形資産償却費及び減損損失を控除して算出します。その他、非定常的な事象に基づく影響、企業買収に係る会計処理の影響や買収関連費用など、本業に起因しない(非中核)事象による影響を調整します。 Core EPSは、純利益から、Core営業利益の算出において控除された項目と営業利益以下の各科目のうち、重要性のある、非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(非中核)事象による影響を調整します。これらには、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、これらの調整項目に係る税金影響を控除した後、報告期間の自己株式控除後の平均発行済株式総数で除して算定します。 当年度の実質的な成長は、以下のとおりとなりました。 当年度実質的な売上収益の成長+7.4%実質的なCore営業利益の成長+5.4%実質的なCore営業利益率28.0%実質的なCore EPSの成長+9.4% 〔実質的な売上収益の成長〕実質的な売上収益の成長は、多様なグローバル製品の伸長と新製品の上市が牽引し、前年度から+7.4%となりました。タケダの14のグローバル製品(注)の実質的な売上収益は、実質的な売上収益全体の約42%を占め、前年度から+12.0%成長しました。(注)タケダの14のグローバル製品消化器系疾患:エンティビオ、レベスティブ、アロフィセル希少疾患:NATPARA/NATPAR、アディノベイト、タクザイロ、エラプレース、ビプリブ血漿分画製剤(免疫疾患):GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、CUVITRU、HUMAN ALBUMIN/FLEXBUMINオンコロジー:ニンラーロ、アルンブリグ 疾患領域別の実質的な売上収益の成長(注)当年度消化器系疾患+6.8%希少疾患△1.4%希少代謝性疾患+2.4%希少血液疾患△6.7%遺伝性血管性浮腫+4.3%血漿由来の免疫疾患治療+13.6%オンコロジー+7.6%ニューロサイエンス+9.5%その他+12.8%合計+7.4% (注) 実質的な売上収益は、為替レートを一定として、非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響を調整します。本調整前の疾患領域別の売上収益や主要な製品売上については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容 (a)当年度の経営成績の分析 (ⅲ) 当年度における業績の概要〔売上収益〕」をご参照ください。 実質的な売上収益の計算において控除した主な非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響(注)は次のとおりです。・2020年11月に売却が完了したアジア太平洋における一部の一般用医薬品および非中核資産に係る前年度の売上収益を控除して調整しております。・2020年12月に売却が完了した主に欧州における一部の非中核資産である医療用医薬品に係る前年度の売上収益を控除して調整しております。・2021年1月に売却が完了した中南米における一部の一般用医薬品および非中核資産に係る前年度の売上収益を控除して調整しております。・2021年1月に売却が完了した「TACHOSIL」(手術用パッチ剤)の前年度の売上を控除して調整しております。・2021年3月に売却が完了した主に欧州における一部の一般用医薬品および非中核資産に係る前年度の売上収益を控除して調整しております。・2021年3月に売却が完了した従来子会社であった武田コンシューマーヘルスケア株式会社の前年度の売上収益を控除して調整しております。・2021年4月1日に売却が完了した日本における糖尿病治療剤ポートフォリオ(ネシーナ錠、リオベル配合錠、イニシンク配合錠、ザファテック錠)に係る前年度の売上を控除して調整しております。また、売却完了により計上された非定常的な譲渡価額1,330億円は当年度の売上収益から控除して調整しております。(注)中国における一部の非中核資産である医療用医薬品に係る当年度と前年度の売上収益については、当第3四半期まで控除して調整しておりましたが、本件の売却が2022年3月末に完了し両年度が比較可能であることから当第4四半期においては両年度ともに調整を行っておりません。 〔実質的なCore営業利益の成長〕実質的なCore営業利益の成長は、実質的な売上収益の成長を反映し、前年度から+5.4%となりました。 日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの売却など、当社の本業に起因しない(非中核)事象による影響を控除した当年度のCore営業利益は9,552億円となりました。 〔当年度の実質的なCore営業利益率〕当年度の実質的なCore営業利益率は、28.0%となりました。 〔実質的なCore EPSの成長〕実質的なCore EPSの成長は、+9.4%となりました。 (b)当年度の財政状態の分析〔資産〕当年度末における資産合計は、前年度末から2,657億円増加し、13兆1,780億円となりました。のれんは、主に為替換算の影響により3,738億円増加しました。また、有形固定資産は資産の取得に加え、為替影響による増加もあり1,289億円増加し、棚卸資産は993億円増加しました。これらの増加は、現金及び現金同等物の減少1,165億円および主に償却による無形資産の減少906億円と一部相殺されております。また、主に当年度に売上債権売却プログラムを開始したことにより、売上債権及びその他の債権が864億円減少しております。 〔負債〕当年度末における負債合計は、前年度末から2,406億円減少し、7兆4,945億円となりました。社債及び借入金は、借入金の返済および社債の償還の結果、前年度末から2,900億円減少の4兆3,454億円(注)となりました。さらに、繰延税金負債が913億円減少しております。これらの減少は、仕入債務及びその他の債務の増加1,725億円と一部相殺されております。(注)当年度における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ3兆6,374億円および7,081億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下の通りです。 社債:銘柄(外貨建発行額)発行時期償還期限帳簿価額米ドル建無担保普通社債(1,520百万米ドル)2015年6月2022年6月~2045年6月1,860億円米ドル建無担保普通社債(4,000百万米ドル)2016年9月2023年9月~2026年9月4,660億円ユーロ建無担保普通社債(3,750百万ユーロ)2018年11月2022年11月~2030年11月5,072億円米ドル建無担保普通社債(3,250百万米ドル)2018年11月2023年11月~2028年11月3,953億円ハイブリッド社債(劣後特約付社債)2019年6月2079年6月4,982億円米ドル建無担保普通社債(7,000百万米ドル)2020年7月2030年3月~2060年7月8,494億円ユーロ建無担保普通社債(3,600百万ユーロ)2020年7月2027年7月~2040年7月4,860億円円貨建無担保普通社債2021年10月2031年10月2,494億円合計 3兆6,374億円 借入金:名称 (外貨建借入額)借入時期返済期限帳簿価額シンジケートローン2016年4月2023年4月~2026年4月2,000億円〃2017年4月2027年4月1,135億円〃(1,500百万米ドル)2017年4月2027年4月1,830億円その他のバイラテラルローン2016年3月~2017年4月2023年3月~2026年3月2,100億円その他 15億円合計 7,081億円 当社グループは、2017年7月に発行した米ドル建無担保普通社債の残高200百万米ドルについて、2022年1月18日の償還期日に先立ち、2021年5月17日に繰上償還を実行しました。2021年6月11日には、2018年12月3日に契約締結した株式会社国際協力銀行ローン(以下、「JBICローン」)3,700百万米ドルのうち2,000百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。2021年8月10日には、2018年11月に発行したユーロ建無担保普通社債1,500百万ユーロについて、2022年11月21日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。2021年10月14日には、無担保普通社債(満期10年、償還期日2031年10月14日)元本総額2,500億円を発行しました。2021年12月13日には、JBICローンの残高1,700百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。さらに、2022年3月24日には、2016年9月に発行した米ドル建無担保普通社債1,500百万米ドルについて、2023年9月23日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。 〔資本〕当年度末における資本合計は、前年度末から5,063億円増加し、5兆6,835億円となりました。この増加は、主に円安の影響による為替換算調整勘定の変動によりその他の資本の構成要素が5,681億円増加したことによるものです。この増加は、主に当年度の自己株式取得の実施による自己株式の増加565億円、および利益剰余金の減少302億円と一部相殺されております。利益剰余金は、当期利益の計上があったものの、主に2,842億円の配当金を支払ったことにより減少しております。 (c)流動性および資金調達源資金の調達および使途当社グループにおいて流動性は、主に営業活動に必要な現金、資本支出、契約上の義務、債務の返済、利息や配当の支払いに関連して必要となります。営業活動においては、研究開発費、マイルストン支払い、販売およびマーケティングに係る費用、人件費およびその他の一般管理費、原材料費等の支払いにあたり現金が必要となります。また、法人所得税の支払いや運転資金にも多額の現金が必要となります。当社グループは、生産設備の能力増強・合理化、減価償却を終えた資産の入れ替え、業務管理の効率化等のために設備投資を行っています。無形資産に係る資本的支出は、主に第三者のパートナーから導入したライセンス製品に対するマイルストン支払い、およびソフトウェア開発費です。連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産および無形資産に係る資本支出は、2021年3月期および2022年3月期において、それぞれ3,307億円および2,399億円であります。また、2022年3月31日現在において、有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは142億円であります。加えて、2022年3月31日現在において、無形資産の取得に関して契約上の取決めを有しております。無形資産に係るマイルストン支払いの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記32 コミットメントおよび偶発債務」をご参照ください。また、資本管理の一環として、当社グループは、資金需要、市場等の環境、またはその他の関連する要因に照らして、定期的に資本的支出の評価を行っております。当社の配当金の支払額は、2021年3月期および2022年3月期において、それぞれ2,837億円および2,842億円であります。1株当たり配当額は中間配当および期末配当金それぞれ90円ずつとし、年間180円を継続することを目指しています。当社の配当政策については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。当社グループは、有利子負債に対し元本と利息を支払う必要があります。2022年3月31日現在において、1年内に必要となる利息の支払額および負債の返済額は、それぞれ954億円、2,039億円であります。詳細は、「有利子負債および金融債務」をご参照ください。当社グループの資金の主な調達源は、主に現金及び現金同等物、短期コマーシャル・ペーパー、コミットメントラインによる借入、グローバル資本市場における社債発行を含む長期債務による資金調達であります。さらに、当社グループは、コンティンジェンシーの調達源として、2021年3月31日時点および2022年3月31日時点において、金融機関から極度額1,500億円および750百万ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しております。当社グループは、キャッシュ・フロー予測に基づき保有外貨を監視し、調整しております。当社グループの事業の大部分は日本国外で行っており、多額の現金を日本国外に保有しております。日本国内で必要なキャッシュ・フローを創出するために外貨を使用することは国内規制による影響を受ける可能性があり、また比較的影響は小さいものの、日本へ現金を移転することから生じる所得税による影響も受けます。当社グループは、COVID-19の大流行による資金調達に係る問題または流動性不足、金融市場およびその他の市場への影響は現在見込んではおりませんが、資金調達の状況および市場の動向について引き続き注視しております。必要に応じた市場およびその他の供給源からの追加の資金調達力に加えて、当社グループの資本支出計画を必要かつ適切な範囲で見直すことによって、資金調達および流動性の需要を管理する場合があります。2022年3月31日現在において、当社グループは、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた制限付き預り金2,075億円を含む、8,497億円の現金及び現金同等物と、7,000億円の未使用のバンク・コミットメントライン契約を保有しており、現在の事業活動に必要となる資金は十分に確保できていると考えております。また、当社グループは、事業活動を支えるため、持続的に高い流動性を保ち、資本市場へのアクセス拡大を追求していきます。 連結キャッシュ・フロー連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。(単位:億円) 前年度当年度営業活動によるキャッシュ・フロー10,10911,231投資活動によるキャッシュ・フロー3,935△1,981財務活動によるキャッシュ・フロー△10,884△10,703現金及び現金同等物の増減額3,161△1,453現金及び現金同等物の期首残高6,3769,662現金及び現金同等物に係る換算差額125288現金及び現金同等物の期末残高9,6628,497 営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度の1兆109億円から1,122億円増加の1兆1,231億円となりました。これは非資金項目およびその他の調整項目を調整した後の当期利益が増加したことによるものです。調整項目には、事業譲渡及び子会社株式売却益、前年度におけるパイプラインSHP647および関連する権利の売却に関する義務の解除による収益の調整が含まれます。また、主に当年度に売上債権売却プログラムを開始したことにより、売上債権及びその他の債権の減少がありました。これらの増加影響は、主にワクチン運営のための制限付き預り金の減少に伴うその他の金融負債の減少、および支払による引当金の減少と一部相殺されております。投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度の3,935億円から5,917億円減少の△1,981億円となりました。これは主に、前年度における非中核資産売却に伴う事業売却による収入(処分した現金及び現金同等物控除後)の減少5,022億円、投資の売却、償還による収入の減少577億円、事業取得による支出(取得した現金及び現金同等物控除後)の増加497億円、および有形固定資産の売却による収入の減少446億円によるものです。これらは、無形資産の取得による支出の減少625億円と一部相殺されております。財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度の△1兆884億円から181億円増加の△1兆703億円となりました。これは主に、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーにおける増加影響1,490億円および社債に係る金利先渡契約の決済による支出の減少348億円によるものです。これらは、社債の償還及び長期借入金の返済による支出(借換に伴う社債の発行による収入と相殺後)の増加886億円、および主に当年度に実施した自己株式取得に伴う、自己株式の取得による支出の増加754億円と一部相殺されております。 有利子負債および金融債務2021年3月31日期および2022年3月31日期において社債および借入金はそれぞれ4兆6,354億円、4兆3,454億円であります。これらの有利子負債は、当社が過年度に発行した無担保社債、普通社債、およびシンジケートローン、また、Shire社買収に必要な資金の一部を調達するための借入金、およびShire社買収により引き受けた負債、借り換えた負債を含み、連結財政状態計算書に計上されております。当社の借入金は主に買収関連で発生したものであり、季節性によるものではありません。当社グループは、2017年7月に発行した米ドル建無担保普通社債の残高200百万米ドルについて、2022年1月18日の償還期日に先立ち、2021年5月17日に繰上償還を実行しました。2021年6月11日には、2018年12月3日に契約締結した株式会社国際協力銀行ローン(以下、「JBICローン」)3,700百万米ドルのうち2,000百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。2021年8月10日には、2018年11月に発行したユーロ建無担保普通社債1,500百万ユーロについて、2022年11月21日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。2021年10月14日には、無担保普通社債(満期10年、償還期日2031年10月14日)元本総額2,500億円を発行しました。2021年12月13日には、JBICローンの残高1,700百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。さらに、2022年3月24日には、2016年9月に発行した米ドル建無担保普通社債1,500百万米ドルについて、2023年9月23日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。なお、当社グループは、2015年6月に発行した米ドル建無担保普通社債219百万米ドルについて、2022年6月23日の償還期日に先立ち、2022年4月23日に繰上償還を実行しております。2022年3月31日時点において、当社グループは一定の財務制限条項の含まれる長期融資
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社は、「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」というミッションを追求しています。また、当社は、「誠実:公正・正直・不屈」を企業活動の根幹に据え、「Patient(常に患者さんを中心に) 」、「Trust(社会との深い信頼関係を築く)」、「Reputation(当社の評価をさらに高める)」、「Business(ビジネスを成長させる)」を優先順位とする価値観に従います。過去4年にわたって、当社は、世界中の患者さんに画期的な医薬品と革新的な治療法をお届けし得る、機動的でグローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業の実現に注力し、変革を続けています。当社は、その価値観を守りながら、製品とイノベーションにより、その評価をさらに確固たるものとしています。当社は、2018年のタイジェニクスNVの買収、2017年のアリアド・ファーマシューティカルズInc.の買収、2011年のナイコメッドA/Sの買収、そして2008年のミレニアム・ファーマシューティカルズInc.の買収をはじめとする、国境を越えたM&Aおよび買収後の統合に成功してきた優れた実績を有しています。直近では、2019年1月にShire plc(以下「Shire社」)の買収を完了させました。この買収は、バリュー(価値観)、すなわち当社の経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考える、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業を誕生させる大きな一歩となりました。本買収は、当社に魅力的な地域別事業構成をもたらし、また、当社の3つの重点疾患領域のうちの2領域(消化器系疾患およびニューロサイエンス)における当社の地位を強化し、希少疾患および血漿分画製剤の領域における主導的地位をもたらします。さらに、強固かつモダリティ(創薬手法)の多様な、高度に補完的なパイプラインを創出し、イノベーションにフォーカスしたR&Dエンジンを強化します。財務面においては、キャッシュフロープロファイルの向上、シナジー創出および株主還元に対する経営陣のコミットメントを通じて、統合後の新会社に経済的利益を提供することになります。当社の経営陣は、経験豊富で多様性に富み、複雑な事業の統合と、大規模な変革を実行する確かな実績を有しています。当社は、当社の価値観を尊重しながら、統合に向けた努力を実行することに真摯に取り組んでまいります。当社は、持続可能で中長期的な成長を促進するため、以下の3つの明確な戦略的優先事項を掲げております。1) ビジネスエリアのフォーカス消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)の5つの主要ビジネスエリアにフォーカスします。各ビジネスエリアの主要製品については、[主要製品一覧]のとおりであります。2) R&Dエンジン疾患領域の絞り込み、先進的なパートナーシップモデルの推進、患者さんを中心に捉えたサイエンス主導のイノベーション文化に基づき、R&Dエンジンを強化します。具体的には、オンコロジー、消化器系疾患、希少疾患、ニューロサイエンスの4つの重点疾患領域と血漿分画製剤およびワクチンに研究開発分野を絞り込み、研究開発体制の変革に引き続き取り組みます。また、アンメットメディカルニーズの高い領域において意義のある価値を提供するため、革新性の高い医薬品にフォーカスしてパイプラインを推進します。3) 強固な財務プロファイル当社は、利益率の中長期的な向上にフォーカスし、事業投資や負債の返済、株主へのキャッシュの還元のため、キャッシュ・フローを創出します。また、ノンコア資産の選択的な売却を引き続き推進し、資金を得て、負債返済を加速させてまいります。Shire社の買収により、地理的な事業領域が拡大し、特に、イノベーションを推進する重要な市場である米国におけるプレゼンスが向上しました。当社は、地域戦略を実行するため、これらの国々を「米国」、「日本」、「ヨーロッパおよびカナダ」、ならびに中国、中南米、中東、アジア太平洋、ロシアおよびCIS(独立国家共同体)から構成される「成長新興国」の4つの地域グループに分け、それぞれに対応する地域体制を構築しました。Shire社との統合は進捗しており、優れた戦略的・地理的合致のある統合であるため、事業やパイプラインに与えるネガティブな影響は最低限にとどまる見込みです。統合にあたっては、(i)患者さん中心(より革新的な医薬品を開発することとともに、サービスとサポートを提供する)、(ⅱ)機動性とシンプルさ(複雑なプロセスを最小限にし、現地の判断を現地のリーダーに委譲する)、(ⅲ)効率性と集中(5つの主要ビジネスエリアに注力する)、の3つの原則を掲げ、これに従って統合を引き続き推進してまいります。[主要製品一覧]ビジネスエリア主要製品概要消化器系疾患エンティビオ/エンタイビオ (ベドリズマブ)「エンティビオ」は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎・クローン病に対する治療剤です。「エンティビオ」は、2014年の発売以来、売上が伸長しており、2018年度には当社グループの売上トップ製品に成長しました。現在、「エンティビオ」は世界50カ国以上で承認されており、当社はその他の国においても本剤の承認を求めています。 2018年度の「エンティビオ」の売上収益は2,692億円となりました。タケキャブ (ボノプラザンフマル酸塩)酸関連疾患の治療剤「タケキャブ」は、2015年に日本で発売され、2016年3月の投薬期間制限解除後に飛躍的な成長を遂げました。2018年度の「タケキャブ」の売上収益は582億円となりました。GATTEX/REVESTIVE(テデュグルチド[DNA組換え型])「GATTEX/REVESTIVE」注射用は、非経口(静脈栄養)サポートを必要とする成人の短腸症候群(SBS)患者の長期治療に対する初めての治療薬です。当社は、2019年1月のShire社の買収に伴い、「GATTEX/REVESTIVE」を消化器系疾患(GI)ポートフォリオに追加しました。2019年5月、米国FDAより、「GATTEX」の1才以上の小児SBS患者への適応拡大が承認されました。2019年5月、米国FDAより、「GATTEX」の1才以上の小児SBS患者への適応拡大が承認されました。2018年度の「GATTEX/REVESTIVE」の売上収益は128億円となりました。ALOFISEL (darvadstrocel)「ALOFISEL」(開発コード:Cx601)は、非活動期/軽度活動期の成人の管腔型クローン病患者における、少なくとも一回以上の既存治療または生物学的製剤による治療が効果不十分であった肛囲複雑瘻孔に対する治療薬です。「ALOFISEL」は、2018年に欧州の中央審査による販売承認(MA)を取得した、欧州初の同種異系幹細胞療法です。2018年度の「ALOFISEL」の売上収益は0.5億円となりました。希少疾患NATPARA (副甲状腺ホルモン)「NATPARA/NATPAR」注射用は、副甲状腺機能低下症(HPT)患者における低カルシウム血症をコントロールするため、カルシウムおよびビタミンDの補助として用いられます。 HPTは、副甲状腺からの副甲状腺ホルモン(PTH)分泌量不足、または分泌されたPTHの不活性によって起こる希少疾患です。当社は、2019年1月のShire社買収に伴い、「NATPARA/NATPAR」を希少疾患ポートフォリオに追加しました。2018年度の「NATPARA/NATPAR」の売上収益は71億円となりました。アディノベイト/ADYNOVI(抗血友病因子(遺伝子組換え型) [PEG化]) 「アディノベイト」は、「アドベイト」をもとにした血友病A治療薬であり、半減期延長遺伝子組換え血液凝固第VIII因子製剤です。「アディノベイト/ ADYNOVI」は、「アドベイト」と同じ製造工程で作られ、当社がネクター社より独占的にライセンス取得しているPEG化(体内での循環時間を延長し、投与頻度を減らす化学修飾処理)技術を追加したものです。当社グループは、2019年1月のShire社買収に伴い、「アディノベイト/ADYNOVI」を希少疾患ポートフォリオに追加しました。2018年度の「アディノベイト/ADYNOVI」の売上収益は107億円となりました。TAKHZYRO (ラナデルマブ)「TAKHZYRO」は、血漿カリクレインに特化して結合し減少させる完全ヒト型モノクローナル抗体です。「TAKHZYRO」は、遺伝性血管浮腫(HAE)患者において慢性的に制御不能な酵素である血漿カリクレインを選択的に阻害して発作を予防する、唯一のモノクローナル抗体(mAb)です。当社グループは、2019年1月のShire社買収に伴い、「TAKHZYRO」を希少疾病ポートフォリオに追加しました。2018年度の「TAKHZYRO」の売上収益は97億円となりました。ELAPRASE(イデュルスルファーゼ)「ELAPRASE」は、ハンター症候群(ムコ多糖症II型またはMPS II)に対する酵素補充治療薬です。当社グループは、2019年1月のShire社買収に伴い、「エラプレース」を希少疾病ポートフォリオに追加しました。2018年度の「エラプレース」の売上収益は151億円となりました。REPLAGAL(注射用アガルシダーゼ アルファ)(注射用)「REPLAGAL」は、ファブリー病に対して米国以外の市場で販売されている酵素補充療法治療薬です。ファブリー病は、脂肪の分解に関与するリソソーム酵素α-ガラクトシダーゼAの活性の欠如に起因する遺伝子性の希少疾患です。当社は、2019年1月のShire社買収に伴い、「REPLAGAL」を希少疾病ポートフォリオに追加しました。2018年度の「REPLAGAL」の売上収益は114億円となりました。VPRIV(ベラグルセラーゼ アルファ点滴静注用)「VPRIV」はI型ゴーシェ病に対する酵素補充療法治療薬です。当社は、2019年1月のShire社の買収に伴い、希少疾患ポートフォリオに「VPRIV」を追加しました。2018年度の「VPRIV」の売上収益は87億円でした。 ビジネスエリア主要製品概要血漿分画製剤(注)GAMMAGARD LIQUID(静注用人免疫グロブリン10%製剤)「GAMMAGARD LIQUID」は、抗体補充療法用免疫グロブリンの液体製剤です。「GAMMAGARD LIQUID」は、原発性免疫不全症(PID)の成人および2歳以上の小児患者に対して使用され、静注または皮下注のいずれかの方法で投与します。また、「GAMMAGARD LIQUID」は、成人の多巣性運動ニューロパチー症(MMN)患者に対しても静注投与にて使用されます。「GAMMAGARD LIQUID」は、米国以外の多くの国で製品名「KIOVIG」として販売されています。「KIOVIG」は、欧州においてPIDおよび特定の二次免疫不全症患者、ならびに成人のMMN患者への使用が承認されています。当社は、2019年1月のShire社買収に伴い、「GAMMAGARD LIQUID」を血漿分画製剤ポートフォリオに追加しました。GAMMAGARD S/D(静注用人免疫グロブリン製剤)「GAMMAGARD S/D」は、5%溶液中のIgA含有量は1 μg/mL未満であり、2歳以上のPID患者の治療に使われます。「GAMMAGARD S/D」は、低ガンマグロブリン血症およびB細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)による再発性細菌感染症における細菌感染症の予防、成人の慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者における血小板増加および出血予防・抑制、小児患者における川崎病による冠動脈瘤の出血予防・抑制にも使用されます。「GAMMAGARD S/D」は、IgA含有量の低い静注治療(5%溶液中のIgA含量1μg/mL未満)が必要な患者に使用されます。当社は、2019年1月のShire社買収に伴い、「GAMMAGARD S/D」を血漿分画製剤ポートフォリオに追加しました。HYQVIA(免疫グロブリン注射製剤10%(ヒト))「HYQVIA」は、人免疫グロブリン(IG)および遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ(Halozyme社よりライセンス取得)からなる製剤です。「HYQVIA」は、PID患者に対して最長で1ヶ月に1回の投与で、1回あたりの注射部位一か所でIGの全治療用量を投与出来る、唯一のIG皮下注用治療薬です。当社は、2019年1月のShire社の買収に伴い、「HYQVIA」を血漿分画製剤ポートフォリオに追加しました。「HYQVIA」は、欧州においてPID症候群および骨髄腫患者または重度の続発性低ガンマグロブリン血症および回帰感染を伴うCLL患者への使用が承認されており、米国では成人PID患者への使用が承認されています。CUVITRU 「CUVITRU」は、ヒト免疫グロブリン(IGSC)皮下注用20%製剤であり、原発性体液性免疫不全症の成人および2歳以上の小児患者に対する補充療法に用いられます。「CUVITRU」は、欧州では特定の二次免疫不全の治療薬としても承認されています。「CUVITRU」は、プロリン不含で、投与部位1か所あたりの耐用量内で最大60 mL(12g)および1時間あたり60 mLまで投与可能な唯一の20%皮下IG治療法であり、従来の皮下IG治療法と比較してより少ない投与部位および短い投与時間での使用が可能です。当社は、2019年1月のShire社の買収に伴い、血漿分画製剤ポートフォリオに「CUVITRU」を追加しました。FLEXBUMIN(ヒトアルブミン)「FLEXBUMIN」(バッグ入りヒトアルブミン)およびヒトアルブミン(ガラス瓶入り)は、濃度5%および25%の液体製剤として販売されています。両製品とも、血液量減少症、一般的な原因および火傷による低アルブミン血症、ならびに心肺バイパス手術時のポンプのプライミングに使用されます。また、「FLEXBUMIN」25%製剤は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびネフローゼに関連する低アルブミン血症、ならびに新生児溶血性疾患(HDN)にも適応されます。当社は、2019年1月のShire社買収に伴い、「FLEXBUMIN」を血漿分画製剤ポートフォリオに追加しました。 (注)2019年3月期の血漿分画製剤の売上収益は1,117億円となりました。 ビジネスエリア主要製品概要オンコロジーニンラーロ(イキサゾミブ)「ニンラーロ」は、多発性骨髄腫(MM)治療に対する初めての経口プロテアソーム阻害剤です。「ニンラーロ」は、2015年に米国で発売されて以来、売上を大幅に伸ばしています。「ニンラーロ」は、2016年に欧州で、2017年に日本で承認されており、当社はその他の多くの国においても製造販売承認を求めています。 2018年度の「ニンラーロ」の売上収益は622億円となりました。アドセトリス (ブレンツキシマブ ベドチン)「アドセトリス」は、ホジキンリンパ腫(HL)および全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)の治療に使用される抗癌剤です。「アドセトリス」は、2011年、2012年、2014年に、米国、欧州、日本でそれぞれ発売されました。「アドセトリス」は、世界60カ国以上で規制当局から販売承認を受けています。当社は、Seattle Genetics社と「アドセトリス」を共同開発し、米国およびカナダ以外の国での販売権を保有しています。2018年度の「アドセトリス」の売上収益は429億円となりました。ALUNBRIG (brigatinib)「ALUNBRIG」は、非小細胞肺がん(NSCLC)治療に使用される経口投与の低分子未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤です。「ALUNBRIG」はARIAD社によって開発されました。2017年4月に米国で迅速承認され、2018年11月に欧州委員会より製造販売承認を取得しました。2018年度の「ALUNBRIG」の売上収益は52億円となりました。ニューロサイエンスバイバンス/ビバンセ(リスデキサンフェタミンメシル酸塩))「バイバンス」は、アミノ酸のL-リシンとd-アンフェタミンの結合した中枢神経刺激剤であり、6歳以上の注意欠陥・多動性障害(AD/HD)患者および成人の中程度から重度の過食性障害患者の治療に用いられる中枢神経刺激剤です。当社グループは、2019年1月のShire社買収に伴い、「ビバンセ」をニューロサイエンス(神経精神疾患)ポートフォリオに追加しました。2018年度における「バイバンス」の売上収益は494億円となりました。トリンテリックス(ボルチオキセチン臭化水素酸塩)「トリンテリックス」は、成人大うつ病性障害の治療に適応される抗うつ薬です。「トリンテリックス」はH. Lundbeck A/S社と共同開発され、2014年に米国で発売されました。当社グループは、米国および日本において販売権を有しています。2018年度の「トリンテリックス」の米国での売上収益は576億円となりました。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社は、「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」というミッションを追求しています。また、当社は、「誠実:公正・正直・不屈」を企業活動の根幹に据え、「Patient(常に患者さんを中心に) 」、「Trust(社会との深い信頼関係を築く)」、「Reputation(当社の評価をさらに高める)」、「Business(ビジネスを成長させる)」を優先順位とする価値観に従います。過去4年にわたって、当社は、世界中の患者さんに画期的な医薬品と革新的な治療法をお届けし得る、機動的でグローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業の実現に注力し、変革を続けています。当社は、その価値観を守りながら、製品とイノベーションにより、その評価をさらに確固たるものとしています。当社は、2018年のタイジェニクスNVの買収、2017年のアリアド・ファーマシューティカルズInc.の買収、2011年のナイコメッドA/Sの買収、そして2008年のミレニアム・ファーマシューティカルズInc.の買収をはじめとする、国境を越えたM&Aおよび買収後の統合に成功してきた優れた実績を有しています。直近では、2019年1月にShire plc(以下「Shire社」)の買収を完了させました。この買収は、バリュー(価値観)、すなわち当社の経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考える、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業を誕生させる大きな一歩となりました。本買収は、当社に魅力的な地域別事業構成をもたらし、また、当社の3つの重点疾患領域のうちの2領域(消化器系疾患およびニューロサイエンス)における当社の地位を強化し、希少疾患および血漿分画製剤の領域における主導的地位をもたらします。さらに、強固かつモダリティ(創薬手法)の多様な、高度に補完的なパイプラインを創出し、イノベーションにフォーカスしたR&Dエンジンを強化します。財務面においては、キャッシュフロープロファイルの向上、シナジー創出および株主還元に対する経営陣のコミットメントを通じて、統合後の新会社に経済的利益を提供することになります。当社の経営陣は、経験豊富で多様性に富み、複雑な事業の統合と、大規模な変革を実行する確かな実績を有しています。当社は、当社の価値観を尊重しながら、統合に向けた努力を実行することに真摯に取り組んでまいります。当社は、持続可能で中長期的な成長を促進するため、以下の3つの明確な戦略的優先事項を掲げております。1) ビジネスエリアのフォーカス消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)の5つの主要ビジネスエリアにフォーカスします。各ビジネスエリアの主要製品については、[主要製品一覧]のとおりであります。2) R&Dエンジン疾患領域の絞り込み、先進的なパートナーシップモデルの推進、患者さんを中心に捉えたサイエンス主導のイノベーション文化に基づき、R&Dエンジンを強化します。具体的には、オンコロジー、消化器系疾患、希少疾患、ニューロサイエンスの4つの重点疾患領域と血漿分画製剤およびワクチンに研究開発分野を絞り込み、研究開発体制の変革に引き続き取り組みます。また、アンメットメディカルニーズの高い領域において意義のある価値を提供するため、革新性の高い医薬品にフォーカスしてパイプラインを推進します。3) 強固な財務プロファイル当社は、利益率の中長期的な向上にフォーカスし、事業投資や負債の返済、株主へのキャッシュの還元のため、キャッシュ・フローを創出します。また、ノンコア資産の選択的な売却を引き続き推進し、資金を得て、負債返済を加速させてまいります。Shire社の買収により、地理的な事業領域が拡大し、特に、イノベーションを推進する重要な市場である米国におけるプレゼンスが向上しました。当社は、地域戦略を実行するため、これらの国々を「米国」、「日本」、「ヨーロッパおよびカナダ」、ならびに中国、中南米、中東、アジア太平洋、ロシアおよびCIS(独立国家共同体)から構成される「成長新興国」の4つの地域グループに分け、それぞれに対応する地域体制を構築しました。Shire社との統合は進捗しており、優れた戦略的・地理的合致のある統合であるため、事業やパイプラインに与えるネガティブな影響は最低限にとどまる見込みです。統合にあたっては、(i)患者さん中心(より革新的な医薬品を開発することとともに、サービスとサポートを提供する)、(ⅱ)機動性とシンプルさ(複雑なプロセスを最小限にし、現地の判断を現地のリーダーに委譲する)、(ⅲ)効率性と集中(5つの主要ビジネスエリアに注力する)、の3つの原則を掲げ、これに従って統合を引き続き推進してまいります。[主要製品一覧]ビジネスエリア主要製品概要消化器系疾患エンティビオ/エンタイビオ (ベドリズマブ)「エンティビオ」は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎・クローン病に対する治療剤です。「エンティビオ」は、2014年の発売以来、売上が伸長しており、2018年度には当社グループの売上トップ製品に成長しました。現在、「エンティビオ」は世界50カ国以上で承認されており、当社はその他の国においても本剤の承認を求めています。 2018年度の「エンティビオ」の売上収益は2,692億円となりました。タケキャブ (ボノプラザンフマル酸塩)酸関連疾患の治療剤「タケキャブ」は、2015年に日本で発売され、2016年3月の投薬期間制限解除後に飛躍的な成長を遂げました。2018年度の「タケキャブ」の売上収益は582億円となりました。GATTEX/REVESTIVE(テデュグルチド[DNA組換え型])「GATTEX/REVESTIVE」注射用は、非経口(静脈栄養)サポートを必要とする成人の短腸症候群(SBS)患者の長期治療に対する初めての治療薬です。当社は、2019年1月のShire社の買収に伴い、「GATTEX/REVESTIVE」を消化器系疾患(GI)ポートフォリオに追加しました。2019年5月、米国FDAより、「GATTEX」の1才以上の小児SBS患者への適応拡大が承認されました。2019年5月、米国FDAより、「GATTEX」の1才以上の小児SBS患者への適応拡大が承認されました。2018年度の「GATTEX/REVESTIVE」の売上収益は128億円となりました。ALOFISEL (darvadstrocel)「ALOFISEL」(開発コード:Cx601)は、非活動期/軽度活動期の成人の管腔型クローン病患者における、少なくとも一回以上の既存治療または生物学的製剤による治療が効果不十分であった肛囲複雑瘻孔に対する治療薬です。「ALOFISEL」は、2018年に欧州の中央審査による販売承認(MA)を取得した、欧州初の同種異系幹細胞療法です。2018年度の「ALOFISEL」の売上収益は0.5億円となりました。希少疾患NATPARA (副甲状腺ホルモン)「NATPARA/NATPAR」注射用は、副甲状腺機能低下症(HPT)患者における低カルシウム血症をコントロールするため、カルシウムおよびビタミンDの補助として用いられます。 HPTは、副甲状腺からの副甲状腺ホルモン(PTH)分泌量不足、または分泌されたPTHの不活性によって起こる希少疾患です。当社は、2019年1月のShire社買収に伴い、「NATPARA/NATPAR」を希少疾患ポートフォリオに追加しました。2018年度の「NATPARA/NATPAR」の売上収益は71億円となりました。アディノベイト/ADYNOVI(抗血友病因子(遺伝子組換え型) [PEG化]) 「アディノベイト」は、「アドベイト」をもとにした血友病A治療薬であり、半減期延長遺伝子組換え血液凝固第VIII因子製剤です。「アディノベイト/ ADYNOVI」は、「アドベイト」と同じ製造工程で作られ、当社がネクター社より独占的にライセンス取得しているPEG化(体内での循環時間を延長し、投与頻度を減らす化学修飾処理)技術を追加したものです。当社グループは、2019年1月のShire社買収に伴い、「アディノベイト/ADYNOVI」を希少疾患ポートフォリオに追加しました。2018年度の「アディノベイト/ADYNOVI」の売上収益は107億円となりました。TAKHZYRO (ラナデルマブ)「TAKHZYRO」は、血漿カリクレインに特化して結合し減少させる完全ヒト型モノクローナル抗体です。「TAKHZYRO」は、遺伝性血管浮腫(HAE)患者において慢性的に制御不能な酵素である血漿カリクレインを選択的に阻害して発作を予防する、唯一のモノクローナル抗体(mAb)です。当社グループは、2019年1月のShire社買収に伴い、「TAKHZYRO」を希少疾病ポートフォリオに追加しました。2018年度の「TAKHZYRO」の売上収益は97億円となりました。ELAPRASE(イデュルスルファーゼ)「ELAPRASE」は、ハンター症候群(ムコ多糖症II型またはMPS II)に対する酵素補充治療薬です。当社グループは、2019年1月のShire社買収に伴い、「エラプレース」を希少疾病ポートフォリオに追加しました。2018年度の「エラプレース」の売上収益は151億円となりました。REPLAGAL(注射用アガルシダーゼ アルファ)(注射用)「REPLAGAL」は、ファブリー病に対して米国以外の市場で販売されている酵素補充療法治療薬です。ファブリー病は、脂肪の分解に関与するリソソーム酵素α-ガラクトシダーゼAの活性の欠如に起因する遺伝子性の希少疾患です。当社は、2019年1月のShire社買収に伴い、「REPLAGAL」を希少疾病ポートフォリオに追加しました。2018年度の「REPLAGAL」の売上収益は114億円となりました。VPRIV(ベラグルセラーゼ アルファ点滴静注用)「VPRIV」はI型ゴーシェ病に対する酵素補充療法治療薬です。当社は、2019年1月のShire社の買収に伴い、希少疾患ポートフォリオに「VPRIV」を追加しました。2018年度の「VPRIV」の売上収益は87億円でした。 ビジネスエリア主要製品概要血漿分画製剤(注)GAMMAGARD LIQUID(静注用人免疫グロブリン10%製剤)「GAMMAGARD LIQUID」は、抗体補充療法用免疫グロブリンの液体製剤です。「GAMMAGARD LIQUID」は、原発性免疫不全症(PID)の成人および2歳以上の小児患者に対して使用され、静注または皮下注のいずれかの方法で投与します。また、「GAMMAGARD LIQUID」は、成人の多巣性運動ニューロパチー症(MMN)患者に対しても静注投与にて使用されます。「GAMMAGARD LIQUID」は、米国以外の多くの国で製品名「KIOVIG」として販売されています。「KIOVIG」は、欧州においてPIDおよび特定の二次免疫不全症患者、ならびに成人のMMN患者への使用が承認されています。当社は、2019年1月のShire社買収に伴い、「GAMMAGARD LIQUID」を血漿分画製剤ポートフォリオに追加しました。GAMMAGARD S/D(静注用人免疫グロブリン製剤)「GAMMAGARD S/D」は、5%溶液中のIgA含有量は1 μg/mL未満であり、2歳以上のPID患者の治療に使われます。「GAMMAGARD S/D」は、低ガンマグロブリン血症およびB細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)による再発性細菌感染症における細菌感染症の予防、成人の慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者における血小板増加および出血予防・抑制、小児患者における川崎病による冠動脈瘤の出血予防・抑制にも使用されます。「GAMMAGARD S/D」は、IgA含有量の低い静注治療(5%溶液中のIgA含量1μg/mL未満)が必要な患者に使用されます。当社は、2019年1月のShire社買収に伴い、「GAMMAGARD S/D」を血漿分画製剤ポートフォリオに追加しました。HYQVIA(免疫グロブリン注射製剤10%(ヒト))「HYQVIA」は、人免疫グロブリン(IG)および遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ(Halozyme社よりライセンス取得)からなる製剤です。「HYQVIA」は、PID患者に対して最長で1ヶ月に1回の投与で、1回あたりの注射部位一か所でIGの全治療用量を投与出来る、唯一のIG皮下注用治療薬です。当社は、2019年1月のShire社の買収に伴い、「HYQVIA」を血漿分画製剤ポートフォリオに追加しました。「HYQVIA」は、欧州においてPID症候群および骨髄腫患者または重度の続発性低ガンマグロブリン血症および回帰感染を伴うCLL患者への使用が承認されており、米国では成人PID患者への使用が承認されています。CUVITRU 「CUVITRU」は、ヒト免疫グロブリン(IGSC)皮下注用20%製剤であり、原発性体液性免疫不全症の成人および2歳以上の小児患者に対する補充療法に用いられます。「CUVITRU」は、欧州では特定の二次免疫不全の治療薬としても承認されています。「CUVITRU」は、プロリン不含で、投与部位1か所あたりの耐用量内で最大60 mL(12g)および1時間あたり60 mLまで投与可能な唯一の20%皮下IG治療法であり、従来の皮下IG治療法と比較してより少ない投与部位および短い投与時間での使用が可能です。当社は、2019年1月のShire社の買収に伴い、血漿分画製剤ポートフォリオに「CUVITRU」を追加しました。FLEXBUMIN(ヒトアルブミン)「FLEXBUMIN」(バッグ入りヒトアルブミン)およびヒトアルブミン(ガラス瓶入り)は、濃度5%および25%の液体製剤として販売されています。両製品とも、血液量減少症、一般的な原因および火傷による低アルブミン血症、ならびに心肺バイパス手術時のポンプのプライミングに使用されます。また、「FLEXBUMIN」25%製剤は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびネフローゼに関連する低アルブミン血症、ならびに新生児溶血性疾患(HDN)にも適応されます。当社は、2019年1月のShire社買収に伴い、「FLEXBUMIN」を血漿分画製剤ポートフォリオに追加しました。 (注)2019年3月期の血漿分画製剤の売上収益は1,117億円となりました。 ビジネスエリア主要製品概要オンコロジーニンラーロ(イキサゾミブ)「ニンラーロ」は、多発性骨髄腫(MM)治療に対する初めての経口プロテアソーム阻害剤です。「ニンラーロ」は、2015年に米国で発売されて以来、売上を大幅に伸ばしています。「ニンラーロ」は、2016年に欧州で、2017年に日本で承認されており、当社はその他の多くの国においても製造販売承認を求めています。 2018年度の「ニンラーロ」の売上収益は622億円となりました。アドセトリス (ブレンツキシマブ ベドチン)「アドセトリス」は、ホジキンリンパ腫(HL)および全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)の治療に使用される抗癌剤です。「アドセトリス」は、2011年、2012年、2014年に、米国、欧州、日本でそれぞれ発売されました。「アドセトリス」は、世界60カ国以上で規制当局から販売承認を受けています。当社は、Seattle Genetics社と「アドセトリス」を共同開発し、米国およびカナダ以外の国での販売権を保有しています。2018年度の「アドセトリス」の売上収益は429億円となりました。ALUNBRIG (brigatinib)「ALUNBRIG」は、非小細胞肺がん(NSCLC)治療に使用される経口投与の低分子未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤です。「ALUNBRIG」はARIAD社によって開発されました。2017年4月に米国で迅速承認され、2018年11月に欧州委員会より製造販売承認を取得しました。2018年度の「ALUNBRIG」の売上収益は52億円となりました。ニューロサイエンスバイバンス/ビバンセ(リスデキサンフェタミンメシル酸塩))「バイバンス」は、アミノ酸のL-リシンとd-アンフェタミンの結合した中枢神経刺激剤であり、6歳以上の注意欠陥・多動性障害(AD/HD)患者および成人の中程度から重度の過食性障害患者の治療に用いられる中枢神経刺激剤です。当社グループは、2019年1月のShire社買収に伴い、「ビバンセ」をニューロサイエンス(神経精神疾患)ポートフォリオに追加しました。2018年度における「バイバンス」の売上収益は494億円となりました。トリンテリックス(ボルチオキセチン臭化水素酸塩)「トリンテリックス」は、成人大うつ病性障害の治療に適応される抗うつ薬です。「トリンテリックス」はH. Lundbeck A/S社と共同開発され、2014年に米国で発売されました。当社グループは、米国および日本において販売権を有しています。2018年度の「トリンテリックス」の米国での売上収益は576億円となりました。
MD&A(経営者による分析)
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。 売上収益2兆972億円[前年度比3,267億円( 18.5%)増] 研究開発費3,683億円[ 〃429億円( 13.2%)増] 営業利益2,050億円[ 〃368億円( 15.2%)減] 税引前当期利益949億円[ 〃1,223億円( 56.3%)減] 当期利益1,090億円[ 〃777億円( 41.6%)減] 基本的1株当たり利益113円50銭[ 〃125円85銭( 52.6%)減] 資産合計13兆8,723億円[前年度末比9兆7,659億円( 237.8%)増] 負債合計8兆7,087億円[ 〃6兆6,197億円( 316.9%)増] 資本合計5兆1,636億円[ 〃3兆1,462億円( 156.0%)増] なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を 省略しております。 ② キャッシュ・フローの状況(「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」参照) ③ 生産、受注及び販売の状況 (a) 生産実績当年度における生産実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)医薬品事業619,3530.2合計619,3530.2 (注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。2 生産実績金額は、消費税等を除いた販売価格によっております。 (b) 受注状況当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しております。一部の事業において受注生産を行っていますが、受注高および受注残高の金額に重要性はありません。 (c) 販売実績当年度における販売実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)医薬品事業2,097,22418.5 (国内)(571,016)(△1.6) (海外)(1,526,208)(28.2)連結純損益計算書計上額(うち知的財産権収益・役務収益)2,097,224(70,951)18.5(△7.5) (注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。 相手先前年度当年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)㈱メディパルホールディングスおよびそのグループ会社220,24912.4225,96210.8 4 販売実績金額は、消費税等を除いた金額であります。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容(a) 当年度の経営成績の分析 (ⅰ) 当社グループの経営成績に影響を与える事項事業の概況当社グループは、既存事業の自立的な伸長と企業買収を通じて成長してまいりました。これまで複数の企業買収を実施したことにより、疾患領域、地理的拠点、パイプラインの拡大を推進してまいりました。特に2019 年1月にShire社を買収したことにより、当社グループの消化器系疾患およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の領域が強化され、希少疾患と血漿分画製剤の主導的地位を獲得しました。また、研究開発エンジンのさらなる強化と相互補完的で強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)の多様なパイプラインの構築を実現しました。さらに、販売においては、本買収は米国におけるプレゼンスを飛躍的に向上させました。当社グループは、Shire社買収の対価の現金部分の資金を調達するため、多額の負債を計上しましたが、Shire社買収後の営業活動から生じるキャッシュ・フローを用いてレバレッジの低下を速やかに実現させる方針です。当社グループは、レバレッジの低下を加速させるため、また主要ビジネスエリアである消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)およびニューロサイエンス(神経精神疾患)により注力するため、ノンコア資産の処分を開始しております。当社グループの事業は単一セグメントであり、資源配分、業績評価、および将来業績の予測においてマネジメントの財務情報に対する視点と整合しております。2019年3月期における売上収益は2兆972億円であり、営業利益は2,050億円であります。 当社グループの経営成績に影響を与える事項当社グループの経営成績は、グローバルな業界トレンドや事業環境における以下の事項に影響を受けます。 買収 当社グループは、研究開発能力を拡大し(新たな手法に展開することを含みます。)、新しい製品(開発パイプラインや上市済み製品)やその他の戦略的領域を獲得するために、新たな事業を買収する可能性があります。同様に、当社グループの主な成長ドライバーに注力するため、また当社グループのポートフォリオを維持するために、随時、事業や製品ラインを売却しております。 これらの買収は企業結合として会計処理され、取得した資産および負債は公正価値で計上されております。当社グループの業績は、通常、棚卸資産、および有形固定資産の公正価値の増加や、主要な無形資産の認識に伴う償却費用の計上を含む企業結合会計により影響を受けます。また、買収が追加的な借入金で賄われている場合、支払利息の増加も当社グループの業績に影響を与えます。 当社グループは、2019年1月8日、約6兆2,100億円を対価としてShire社を買収し、このうち3兆294億円を現金にて、残額を主に当社普通株式にて支払いました。当社グループは、対価の現金部分の資金を調達するため、3兆2,959億円の有利子負債を計上し、また買収を通じ1兆6,032億円のShire社の有利子負債を引き受けました。当社グループはShire社買収に関して、3兆874億円ののれんおよび3兆8,993億円の無形資産を認識しております。Shire社買収は、当社グループの製品ポートフォリオや地理的なプレゼンスの大幅な拡大等を通して、当社グループの事業に大きな変化をもたらしました。当社グループの業績は、売上収益及び関連費用の増加、取得した無形資産に係る償却費、および在庫の公正価値調整の費用化に起因する追加的な費用、買収資金を調達するための借入金に関連する支払利息、また事業統合に係る費用の支払い等により、大きく影響を受けます。Shire社買収完了と当社事業への統合に伴い、Shire社買収完了から3期目の会計年度末までに、売上、販売管理機能、研究開発の合理化に向けた取り組みや製品の製造と供給における効率化を通じ、約20億米ドルの税引前シナジーが継続的に発生すると予想しております。当社グループは、このようなシナジーを実現するために、Shire社買収完了から会計期間3期にわたり、約30億米ドルの臨時的な費用を要すると考えております。当社グループは、Shire社買収により生じると予想される大幅なキャッシュ・フロー創出により、安定した配当政策や、買収完了後のレバレッジ低下を維持することができると考えており、速やかなレバレッジ低下を進めるため、ノンコア資産の処分を開始いたしました。 2017年2月16日、当社グループはARIAD社を5,831億円の対価で買収しました。ARIAD社は米国マサチューセッツ州ケンブリッジに本社をおき、希少疾患である慢性および急性の白血病、肺がん、その他の希少がん患者のための精密治療の発見、開発および販売に注力するバイオテクノロジー会社です。 買収および上記の影響により、当社グループの業績は期間比較ができない可能性があります。 事業売却 当社グループは、主要な成長ドライバーに注力し、ポートフォリオの管理を行い、また、長期借入金を速やかに返済するための追加キャッシュ・フローを創出するため、事業や製品ラインを売却しております。 2017年4月、当社グループが保有する和光純薬工業株式会社の株式を富士フイルム株式会社に1,985億円で売却し、2018年3月期において1,063億円の事業譲渡益を計上しました。和光純薬工業株式会社は、2016年3月期および2017年3月期において、それぞれ766億円、791億円の売上収益を計上しております。 2016年4月、当社グループは、日本における特定の長期収載品を武田テバ薬品株式会社に継承いたしました。同社は、当社とTeva Pharmaceutical Industries Ltd.の合弁会社である武田テバファーマ株式会社(以下、「武田テバファーマ」)の完全子会社であります。当社は継承した事業に対する対価として49%の武田テバファーマの株式を受領しております。事業継承時に、当社は受領した対価(武田テバファーマの株式)の公正価値と当該事業の帳簿価額との差額のうち、実現した範囲で譲渡益を認識しております。残りの譲渡益は繰り延べており、継承日から、継承された製品に係る無形資産の耐用年数である15年にわたり償却する予定です。2017年3月期において、当社グループは、1,154億円を事業譲渡益として計上しております。そのうち1,029億円は継承時点で認識し、残額は同会計期間における未実現利益の償却として収益計上しております。当社グループは武田テバファーマから、49%の持分法による投資損益に加え、製品の供給と流通に係る収益を受領しております。 当社グループは、経営にとってコアでない事業を売却し、売却資金で債務の返済を行うことを公表しており、2019年5月にShire社買収の一環として取得したドライアイの兆候・症状の治療薬Xiidra®および手術用パッチ剤Tachosiltmの売却を発表いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 注記33 後発事象」をご参照ください。 特許保護と後発品との競争 医薬品は特に、特許保護や規制上の独占権によって市場競争が規制されることにより、当社グループの業績に貢献する場合があります。代替治療の利用が容易でない新製品は特に当社グループの売上の増加に貢献します。ただし、保護されている製品においては、効能、副作用が無いようにすることや価格で他社と競争しなければなりません。一方で、特許保護もしくは規制上の独占権の喪失や満了により、後発品が市場に参入するため、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼすことがあります。当社グループの主要製品の一部は、特許やその他の知的財産権保護の満了により、厳しい競争に晒されている、あるいは晒されると予想しております。例えば、米国において当社グループの最大の売上の製品の一つであるベルケイドに含まれる有効成分のボルテゾミブの特許権が満了したことにより、ボルテゾミブを含む競合製品が販売されています。これにより、ベルケイドの売上が減少しており、競合品が市場に参入することにより当社製品の売上が大幅に減少する可能性があります。後発品を販売する他社が市場参入に成功する場合、もしくは想定される特許侵害訴訟に係る費用以上のベネフィットを前提として参入することを決定する場合があります。また、当社グループの特許権の有効性、あるいは製品保護に対する申し立てが提起された場合には、関連する無形資産の減損損失を認識する可能性があります。 原材料の調達による影響 原材料を社内外から調達することができない場合に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。例えば、ヒト血漿は当社グループの血漿分画製剤において重要な原材料であります。血漿をより多く収集するため、原料血漿の収集や血漿分画に関連する施設への委託、及び規制当局からの承認を受ける取り組みを行っております。2019年3月期において、当社グループの業績は、血漿分画製剤に必要となる重要な原材料の供給に対し、製造需要が上回っていたことによる影響を受けました。 外国為替変動 2019年3月期において、当社グループでは日本以外の売上が72.8%を占めており、今後年間のShire社業績が取り込まれることにより比率が拡大することを想定しております。当社グループの収益および費用は、特に当社の表示通貨である日本円に対する米ドルおよびユーロの外国為替レートの変動に影響を受けます。円安は日本円以外の通貨による収益の増加要因となり当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の増加により相殺される可能性があります。反対に、円高は日本円以外の通貨による収益減少要因となり当社グループの業績に悪影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の減少により相殺される可能性があります。為替変動リスクを低減するため、当社グループは重要な外貨建取引で、かつ、取引が個別に認識できる一部の外貨建取引について、先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプションを利用しヘッジを行っております。 季節的要因当社グループの売上収益、営業利益および当期利益は、主に日本国内での売上収益の変動により2017年度および2018年度において第4四半期に減少しています。日本の医薬品卸売業者は、一般的に3月31日である期末に向けて在庫数が減少するよう調整する傾向があり、第4四半期における当社グループの売上高の減少につながっています。また、日本の医薬品卸売業者は年末年始休暇に向けて在庫数を増やす傾向があり、10月1日から12月31日までの第3四半期に売上高が増加いたします。 (ⅱ) 重要な会計方針当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成されております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産および負債の金額、財務諸表の末日時点の偶発資産および偶発負債の開示、ならびに報告期間における収益および費用の金額に影響を及ぼす見積りおよび仮定の設定を行うことが求められております。見積りおよび仮定は、継続的に見直されます。経営者は、過去の経験および見積りおよび仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき当該見積りおよび仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積りおよび仮定とは異なる場合があります。経営者の見積りおよび仮定に影響を受ける重要な会計方針は以下の通りであります。なお、見積りおよび仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。 収益認識当社グループの収益は主に医薬品販売に関連したものであり、製品に対する支配が顧客に移転した時点で認識されております。収益の認識額は、当社グループが製品と交換に受け取ると見込まれる対価に基づいております。収益からは、主に小売業者、政府機関、卸売業者、医療保険会社およびマネジドケア組織に対する割戻や値引等の様々な項目が控除されております。これらの控除額は関連する義務に対し見積られますが、報告期間における当該収益に係る控除額の見積りには判断が伴います。総売上高からこれらの控除額を調整して、純売上高が算定されます。米国市場における収益控除に関する取り決めが最も複雑なものになっております。収益に係る調整のうち最も重要なものは以下のとおりであります。• 米国メディケイドおよびメディケア: 米国のメディケイド・ドラッグ・リベート・プログラムは、連邦政府および州が共同で拠出した資金により社会的弱者グループに対して医療費を負担する制度であり、各州が運営を行っております。当プログラムに係る割戻の支払額の算定には、関連規定の解釈が必要となりますが、これは異議申し立てによる影響または政府機関の解釈指針の変更による影響を受ける可能性があります。メディケイドの割戻に係る引当金は、過去の経験、製品売上高および人口の増加率、製品価格ならびに各州の制度における契約内容および関連条項を考慮して算定しております。米国のメディケア・プログラムは65歳以上の高齢者もしくは特定の障害者向けの公的医療保険制度であり、当プログラムのパートDにおいて処方薬に係る保険が規定されております。パートDの制度は民間の処方薬剤費保険により運営、提供されております。メディケア・プログラムのパートDに係る割戻は各処方薬剤費保険の制度内容、製品売上高および人口の増加率、製品価格ならびに契約内容を考慮して算定しております。当社グループの売上控除額計上時点から最終的なメディケアおよびメディケイドに係る割戻の会計処理までには通常数カ月の差が生じます。• 顧客に対する割戻: 当社グループは、マーケットシェアの維持と拡大、また、患者さんの当社グループ製品へのアクセスを確実にするために、購入機関、保険会社、マネージドヘルスケア団体およびその他の直接顧客ならびに間接顧客に対して割戻を実施しております。割戻は契約上取決めがなされているため、係る引当金は各取決めの内容、過去の経験および製品売上高の予想成長率を基に算定しております。• 卸売業者に対するチャージバック: 当社グループは特定の間接顧客と、顧客が卸売業者から割引価格で製品を購入可能とする取決めを結んでおります。チャージバックは卸売業者に対する当社グループの請求額および間接顧客に対する契約上の割引価格の差額であります。チャージバックの見積りに係る引当金は各取決めの内容、過去の経験および製品売上高の予想成長率を基に算定しております。• 返品調整引当金: 返品権付き製品を顧客に販売する際は、当社グループの返品ポリシーや過去の返品率に基づいた返品見込み額を引当金として計上しております。返品見込み率を見積る際は、過去の返品実績、予想される流通チャネル内の在庫量および製品の保管寿命を含む関連要因を考慮しております。 引当額は見積りに基づくため、実際の発生額を完全に反映していない場合があり、特に購入機関の種類、最終消費者および製品の売上構成により変動する可能性があります。これまで実績または見積りの見直しの反映による当初の見積りに対する調整額が、当社グループの業績に重要な影響を与えたことはありません。しかしながら、特定の製品に係る割戻は、当該製品の年ごとの売上高成長率の推移に重要な影響を与える可能性があります。また、当社グループが見積りに際して使用した比率、要因、評価、経験もしくは判断が将来の事象の見積りにおける適切な予測値ではなかった場合、当社グループの業績に重要な影響を与える場合があります。見積りの感応度は、制度、顧客の種類、および地理的位置により左右される可能性があります。 のれんおよび無形資産の減損当社グループは、償却を開始している無形資産について、その資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象または状況の変化がある場合には、減損テストを行っております。のれんおよびその他の現在まだ未償却の無形資産については、少なくとも年次で減損テストを実施しております。2019年3月31日時点において、当社グループはのれんを4兆1,614億円、無形資産を4兆8,604億円計上しており、これは総資産の65.0%を占めております。製品に係る無形資産は特許期間に応じた3年から20年の耐用年数を用いて定額法で償却しております。開発中の製品に係る無形資産は、特定の市場における商用化が規制当局により承認されるまで償却をしておりません。商用化が承認された時点で、当該資産の見積耐用年数を確定し、償却を開始しております。資産は、通常、その財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損していると判断されます。回収可能価額は個別資産、またはその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。のれんは、シナジーから便益を得ると見込まれる資金生成単位または資金生成単位グループに配分され、回収可能価額はその資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであり、当社グループが製品を販売する各国が該当します。回収可能価額の見積りには以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。·将来キャッシュ・フローの金額および時期·競合他社の動向(競合製品の販売開始、マーケティングイニシアチブ等)·規制当局からの承認の取得可能性·将来の税率·永続成長率·割引率 キャッシュ・フローが変動する可能性のある事象としては、研究開発プロジェクトの失敗もしくは上市後製品の価値の下落があげられます。研究開発プロジェクトの失敗には、開発の中止、大幅な上市の遅延、もしくは規制当局の承認が得られない場合が該当します。これらの事象が発生した場合、見積った将来キャッシュ・フローが回収できない、もしくは資産の取得後に実施した当初もしくは事後の研究開発投資額が回収できない可能性があります。 これらの仮定に変更が生じた場合は、当該会計年度において減損損失および減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれん および12 無形資産」をご参照ください。 退職給付およびその他の退職後給付制度当社グループは、当社グループの従業員の大半を対象とする年金およびその他の退職後給付制度を有しております。退職給付費用およびこれらの制度に係る負債の現在価値の算定には重要な仮定および見積りの設定を行うことが求められております。これには将来の確定給付債務および確定給付費用の見積りに使用する利率や将来の年金増加率が含まれます。さらに、これらの見積りに関連して、年金数理人が制度からの脱退率や死亡率等の統計情報を経営者に提供しております。市場状況および経済状況の変化、脱退率の増減、加入者の寿命の変化等の要因により、使用した仮定および見積りは実績と大幅に異なる場合があります。重要な数理計算上の仮定に係る感応度情報については「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 22 従業員給付」をご参照ください。見積りの大幅な変動は連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。2019年3月31日現在において、退職給付に係る純負債を1,565億円計上しております。 企業結合―公正価値企業結合の会計処理には、取得した資産および引き受けた負債ならびに条件付対価の公正価値を算定することが求められております。公正価値の見積りには、将来のキャッシュ・フロー予測、割引率、開発および承認マイルストン、市場動向に関する予測、ならびに条件付対価に関しては支払可能性額等の様々な仮定の設定が必要となります。条件付対価は各報告期間の末日おいて公正価値で計上しております。時間的価値に基づく公正価値の変動は金融費用として、その他の変動はその他の営業収益またはその他の営業費用としてそれぞれ連結純損益計算書に認識しております。2019年3月期において、公正価値の変動により、条件付対価が22億円減少しております。当社グループの見積りは、過去の経験や業界における知識に基づいております。見積りは合理的に算出されますが、実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。取得した資産グループや企業結合の価値を算出する際に使用される見積りの重要な変化は、当社グループによって取得された有形固定資産または無形資産の将来における減損につながり、当社グループの財政状態および業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。また、偶発負債を含む負債の価値が取得法によって過去に計上された金額と著しく異なる場合は、追加費用の計上が必要となり、当社グループの財政状態および業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。 訴訟に係る偶発事象当社グループは、通常の営業活動において主に製造物責任訴訟および賠償責任訴訟に関与しております。詳細については「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。偶発負債は、その特性から不確実なものであり複雑な判断や可能性に基づいております。訴訟およびその他の偶発事象に係る引当金を算定する際には、該当する訴訟の根拠や管轄、その他の類似した現在および過去の訴訟案件の顛末および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現時点における和解にむけた進行状況等を勘案しております。さらに、未だ提訴されていない製造物責任訴訟については、主に過去の訴訟の経験や製品の使用に係るデータに基づき、費用を合理的に見積ることができる範囲で引当金を計上しております。また、保険の補償範囲期間内である場合は保険による補償についても考慮しております。補償範囲の検討の際に、当社グループは、保険のポリシーの制限や除外、保険会社による補償の拒否の可能性、保険業者の財政状況、ならびに回収可能性および回収期間を考慮しております。引当金および関連する保険補償額の見積りは、連結財政状態計算書上において負債および資産として総額で計上しております。2019年3月31日現在において、係争中の訴訟案件およびその他の案件について468億円の引当金を計上しております。 法人所得税当社グループは、税法および税規制の解釈指針に基づき税務申告を行っており、これらの判断および解釈に基づいた見積額を計上しております。通常の営業活動において、当社グループの税務申告は様々な税務当局による税務調査の対象であり、これらの調査の結果、追加税額、利息、または罰金の支払いが課される場合があります。法律および様々な管轄地域の租税裁判所の判決に伴う法改正により、税務ポジションの見積りの多くは固有の不確実性を伴います。税務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと結論を下した場合に、当社グループは、税務上の不確実性を解消するために必要となる費用の最善の見積り額を認識します。また、未認識のタックス・ベネフィットは事実および状況の変化に伴い調整されます。これらの税務ポジションは、例えば、現行の税法の大幅改正、税務当局による税制または解釈指針の発行、税務調査の際に入手した新たな情報、または税務調査の解決により調整が行われる可能性があります。当社グループは、不確実な税務ポジションに係る当社グループの見積りは、現時点において判明している事実および状況に基づき適切かつ十分であると判断しております。また、各報告期間の末日において繰延税金資産の回収可能性を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予想される将来加算一時差異の解消スケジュール、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。過去の課税所得の水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来の課税所得の見積りに基づき、実現する可能性が高いと予想される税務上の便益の額を算定しております。2019年3月31日における未認識の繰延税金資産は2,594億円であります。将来における見積りの変更は法人所得税費用に重要な影響を与える可能性があります。 事業構造再編費用当社グループでは、費用削減に関連した取り組みおよび買収に係る事業統合に関連して事業構造再編費用が発生します。退職金およびリース解約費用が事業構造再編費用の主な内訳であり、事業構造再編に係る引当金については、計画が承認され、費用を見積もることができ、支払の確率が高い場合に引当金を計上しております。事業構造再編に係る引当金の認識には、支払時期や、退職金を受領した後一定期間会社に在籍する従業員数等の様々な見積りが必要となります。最終的なコストは当初の見積りから異なる可能性があります。当社グループは、将来において買収および売却に関連した事業統合に係る追加の事業構造再編費用を計上すると見込んでおります。2019年3月31日現在において、当社グループは、事業構造再編に係る引当金を497億円計上しております。詳細および事業構造再編に係る引当金の推移は「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 23 引当金」をご参照ください。 (ⅲ) 当年度における業績の概要 当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。 (単位:億円) 前年度当年度売上収益17,70520,972売上原価△4,959△6,597販売費及び一般管理費△6,281△7,176研究開発費△3,254△3,683製品に係る無形資産償却費及び減損損失△1,221△2,034その他の営業収益1,6941,599その他の営業費用△1,266△1,032営業利益2,4182,050金融収益395168金融費用△319△833持分法による投資損失△322△436税引前当期利益2,172949法人所得税費用△305141当期利益1,8671,090 当年度の連結業績には、Shire社買収に伴う影響および同社の2019年1月8日から3月31日における業績が含まれており、当社グループの業績に大きく影響を及ぼしております。当年度の業績に与えるShire社買収影響および前年度の業績からの推移は以下のとおりです。 (単位:億円、%以外) 連結業績Shire社買収影響Shire社買収影響を除く連結業績 当年度 対前年度Shire社業績企業結合会計影響買収及び事業統合関連費用当年度対前年度売上収益20,9723,26718.5%3,092--17,8801751.0%売上原価△6,597△1,63833.0%△1,016△817-△4,764196△3.9%販売費及び一般管理費△7,176△89514.2%△985△6△238△5,947334△5.3%研究開発費△3,683△42913.2%△430-△16△3,23717△0.5%製品に係る無形資産償却費及び減損損失△2,034△81266.5%-△992-△1,041180△14.7%その他の営業収益1,599△95△5.6%△14--1,612△82△4.8%その他の営業費用△1,032234△18.5%△49-△596△386880△69.5%営業利益2,050△368△15.2%598△1,816△8504,1181,70070.3%金融収益168△227△57.4%-2-166△229△57.9%金融費用△833△514160.9%△106△42△413△27148△15.1%持分法による投資損失△436△11435.5%3--△439△11736.4%税引前当期利益949△1,223△56.3%494△1,856△1,2633,5741,40264.5%法人所得税費用141446△146.3%△113440261△446△14146.3%当期利益1,090△777△41.6%381△1,417△1,0023,1281,26167.5% 〔売上収益〕売上収益は、Shire社買収影響の3,092億円を含め、3,267億円増収(+18.5%)の2兆972億円となりました。Shire社買収影響を除く売上収益は、事業等の売却による減収影響、および為替の円高による減収影響があったものの、3つのビジネスエリア(消化器系疾患、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患))の継続的な伸長により175億円の増収(+1.0%)となりました。 地域別売上収益各地域の売上収益は以下のとおりです。(単位:億円、%以外)売上収益:前年度当年度 日本5,803 32.8% 5,710 27.2% 米国5,983 33.8% 8,290 39.5% 欧州およびカナダ3,137 17.7% 4,056 19.3% ロシア/CIS6823.9%5972.8% 中南米7574.3%8814.2% アジア1,040 5.9% 1,054 5.0% その他302 1.7% 383 1.8% 合計17,705 100.0% 20,972 100.0% (注)その他地域には、中東、オセアニアおよびアフリカが含まれております。 当社グループの売上収益の大部分は、主要な医療用医薬品により占められております。当期の各ビジネスエリアにおける主要製品の売上は以下のとおりです。 (単位:億円、%以外)前年度当年度対前年度消化器系疾患: エンティビオ2,0142,69267833.7%デクスラント657692355.3%パントプラゾール658616△42△6.4%タケキャブ4855829820.1%アミティーザ338330△9△2.5%オンコロジー: ベルケイド 1,3731,279△94△6.9%リュープリン1,0811,101201.9%ニンラーロ46462215733.9%アドセトリス3854294411.4%アイクルシグ2312875624.1%ALUNBRIG28522484.0%ニューロサイエンス: トリンテリックス4845769219.0%その他: アジルバ6407086810.6%ネシーナ502548469.1%ユーロリック468511439.1%コルクリス403300△103△25.4%Shire社買収に伴い追加した製品: 免疫グロブリン—622622—バイバンス/ビバンセ—494494—アドベイト—321321—アルブミン—158158—GATTEX/REVESTIVE—128128—アディノベイト—107107—TAKHZYRO—9797—NATPARA—7171— ‐消化器系疾患当社グループのトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」(国内製品名:「エンタイビオ」)の売上が伸長し、678億円増収(+33.7%)の2,692億円となり、売上成長を牽引しました。「エンティビオ」は生物学的製剤の新規患者シェアを順調に拡大しました。日本でも、2018年7月に中等症から重症の活動期の潰瘍性大腸炎に対する治療剤として製造販売承認を取得し、2018年11月に販売を開始しました。酸関連疾患治療剤「タケキャブ」も、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍の再発抑制等の効能を中心として、日本において新規処方が拡大し、売上は98億円増収(+20.1%)の582億円となりました。 ‐オンコロジー多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」の売上が、米国をはじめとした各国で力強く伸長し、157億円増収(+33.9%)の622億円となりました。「ニンラーロ」は、高い有効性、安全性、利便性を有する週1回経口投与のプロテアソーム阻害剤です。また、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」は、日本およびブラジルでの伸長により44億円の増収(+11.4%)となりました。2017年2月のアリアド・ファーマシューティカルズ Inc.の買収により獲得した白血病治療剤「アイクルシグ」と肺がん治療剤「ALUNBRIG」は、それぞれ56億円増収(+24.1%)および24億円の増収(+84.0%)となりました。なお、多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」は前年度に米国における独占販売期間満了を迎えましたが、94億円の減収(△6.9%)に留まっています。 ‐ニューロサイエンス大うつ病治療剤「トリンテリックス」の売上は、処方医および患者さんによる同疾患に対する包括的な治療アプローチに同剤の組み入れが拡大したことにより、92億円増収(+19.0%)の576億円となりました。 なお、主な事業等の売却による影響としては、2017年5月に当社の日本の長期収載品7製品を武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に売却したことによる影響、2018年5月に当社の連結子会社であった広東テックプール・バイオファーマCo., Ltd.の株式を売却したことに伴う影響、および2018年3月に経口関節リウマチ治療薬JAK阻害剤「ゼルヤンツ」の日本におけるコ・プロモーションおよび当社による仕入販売を終了したことによる影響がありました。買収日以降のShire社の売上収益は、3,092億円となりました。統合の一環として、流通チャネルにかかる武田薬品の方針をShire社にも適用することにより、卸における流通在庫の回転日数が複数の品目において大幅に改善したものの、一時的な在庫調整の影響を受け、Shire社の売上収益が減少しました。売上収益の主な内訳は以下のとおりです。 ‐消化器系疾患消化器系疾患の売上収益は、主に短腸症候群治療剤「GATTEX/REVESTIVE」の売上128億円を含め、215億円となりました。 ‐希少疾患希少疾患の売上収益は1,112億円となりました。血友病A治療剤「アドベイト」および「アディノベイト」、遺伝性血管浮腫予防剤「TAKHZYRO」および副甲状腺機能低下症治療剤「NATPARA」の売上は、それぞれ321億円、107億円、97億円および71億円となりました。 ‐血漿分画製剤血漿分画製剤の売上収益は963億円となりました。主に原発性免疫不全症や多巣性運動ニューロパチーの治療に用いられる免疫グロブリン製剤および血液量減少症や低タンパク血漿の治療に用いられるアルブミン製剤の売上は、それぞれ622億円および158億円となりました。 ‐ニューロサイエンスニューロサイエンスの売上収益は、注意欠陥/多動性障害・過食性障害治療剤「バイバンス」(国内製品名:「ビバンセ」)の494億円の売上収益を含め、601億円となりました。 〔売上原価〕売上原価は、Shire社で発生した売上原価1,016億円および棚卸資産の公正価値調整にかかる非資金性の費用などの企業結合会計の影響817億円を含む、1,638億円増加(+33.0%)の6,597億円となりました。なお、Shire社買収影響を除く売上原価は、製品構成の改善等により196億円(△3.9%)減少しております。 〔販売費及び一般管理費〕販売費及び一般管理費は、895億円増加(+14.2%)の7,176億円となりました。Shire社で発生した販売費及び一般管理費985億円、およびShire社買収に係る買収関連費用238億円が発生しましたが、これらの増加は、Shire社買収影響を除く、その他の販売費及び一般管理費の減少334億円と一部相殺されております。これらの減少は、グローバル経費削減イニシアチブによる削減効果と株式報酬費用の減少等によるものです。 〔研究開発費〕研究開発費は、Shire社で発生した研究開発費により429億円増加(+13.2%)し3,683億円となりました。Shire社買収影響を除く研究開発費は、前年度からほぼ横ばいとなりました。 〔製品に係る無形資産償却費及び減損損失〕製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、Shire社買収に伴い取得した無形資産の償却費992億円の発生、および前年度において「コルクリス」の販売見通し改善による減損損失の戻入226億円を計上したことにより、対前年度812億円増加(+66.5%)の2,034億円となりました。上記増加は、「ベルケイド」の無形資産の償却が前年度中に終了したことによる減少影響367億円と一部相殺されております。 〔その他の営業収益〕その他の営業収益は、当年度、旧東京本社ビルを含む有形固定資産の売却益503億円および不動産事業の譲渡に伴う連結子会社株式譲渡益382億円を計上したものの、前年度に計上した和光純薬工業株式会社の株式売却益1,063億円の影響により、対前年度95億円減少(△5.6%)の1,599億円となりました。 〔その他の営業費用〕その他の営業費用は、対前年度234億円減少(△18.5%)の1,032億円となりました。この減少は、Shire社買収に関連した統合費用596億円を計上したものの、事業構造再編費用が対前年度228億円減少したこと、および前年度に計上された在外営業活動体の清算損415億円等を主要因として、その他の営業費用が880億円減少したことよるものです。 〔営業利益〕営業利益は、上記の要因を反映し、前年度から368億円減益(△15.2%)の2,050億円となりました。 〔金融損益〕金融収益と金融費用をあわせた金融損益は664億円の損失となり、対前年度741億円の減益となりました。この減益は主に、当年度においては、Shire社買収に関連する財務費用413億円を金融費用に計上したことによります。また、前年度においては上場株式等にかかる有価証券売却益304億円を金融収益に計上していたものの、新たな国際会計基準の適用により当年度からは当該売却益が金融収益に計上されないことによります。 〔持分法による投資損失〕持分法による投資損失は、対前年度114億円増加の436億円となりました。長期収載品事業およびジェネリック医薬品事業を営む武田テバファーマ株式会社において、事業環境の変化に伴い保有する資産の評価を見直した結果、減損損失が認識されたことなどによるものです。 〔法人所得税費用〕法人所得税費用は、前年度の305億円から446億円減少(△146.3%)の△141億円となりました。これは主にShire社買収に伴う税金費用の減少影響587億円によるものであります。Shire社買収影響を除く法人所得税費用は、当年度に子会社再編に伴い計上された税務上の損失があったものの、税引前当期利益の増加および前年度における米国の税制改革法の成立による影響により、全体では前年度から141億円の増加となりました。 〔当期利益〕当期利益は、上記の要因を反映し、前年度から777億円減益(△41.6%)の1,090億円となりました。 (ⅳ) 当年度における実質的な成長の概要 当社は、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しております。前年度との比較を可能にするため、Shire社買収影響を除いた「実質的な成長」を示しております。「実質的な成長」は、当年度と前年度(四半期もしくは年間)の業績を共通の基準で比較するものであり、マネジメントによる業績評価に使用されています。これら共通の基準で比較される業績は、為替レートを一定として、事業等の売却影響およびその他の非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を控除し算定されます。当社は、この「実質的な成長」が、事業活動のパフォーマンスを表す共通の基準を提供するため、投資家に有用であると考え、「Underlying Revenue Growth」(実質的な売上収益(1)の成長)、「Underlying Core Earnings Growth」(実質的なCore Earnings(2)の成長)および「Underlying Core EPS Growth」(実質的なCore EPS(3)の成長)を重要な財務指標としています。なお、本指標は、国際会計基準(IFRS)に準拠したものではありません。当年度の実質的な成長は、以下のとおりとなりました。旧武田薬品の実質的な成長 売上収益(1) +5.3%[ 対前年度 +891億円 ]Core Earnings(2) +38.7%[ 〃 +1,095億円 ]Core EPS(3) +29.0%[ 〃 +77円88銭 ] (1) Shire社買収影響を除く実質的な売上収益は、為替レートを一定として、財務ベースの売上収益に、報告期間における非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響を調整して計算します。当年度の実質的な売上収益の成長を算定するにあたっての調整項目の主な内容は、武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に当社の日本の長期収載品7製品を売却したことに伴う影響およびMultilab Indústria e Comércio de Produtos Farmacêuticos Ltda.、広東テックプール・バイオファーマCo,.Ltd.にかかる事業等の売却影響であります。(2) Shire社買収影響を除くCore Earningsは、純利益から、法人所得税費用、持分法にかかる投資損益、金融損益、その他の営業収益およびその他の営業費用、製品に係る無形資産償却費及び減損損失を控除して算出します。その他、企業買収に係る会計処理の影響や買収関連費用など、本業に起因しない(ノン・コア)とマネジメントが判断した事象による影響を調整します。当年度のCore Earningsを算定するにあたっての重要性のあるその他の調整項目の主な内容は、Shire社買収に向けた買収関連費用です。実質的なCore Earningsは、為替レートを一定として、Core Earningsに、報告期間における事業等の売却影響を調整して計算します。当年度の実質的なCore Earningsの成長を算定するにあたっての事業等の売却影響の主な内容は、武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に当社の日本の長期収載品7製品を売却したことに伴う影響およびMultilab Indústria e Comércio de Produtos Farmacêuticos Ltda.、広東テックプール・バイオファーマCo,.Ltd.にかかる事業等の売却影響であります。(3) Shire社買収影響を除く実質的なCore EPSの算定にあたっては、為替レートを一定として、純利益から、事業等の売却影響、およびCore Earningsの算出において控除された項目と営業利益以下の各科目のうち、重要性のある、非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を調整します。これらには、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、これらの調整項目に係る税金影響を控除した後、比較年度末の自社株式控除後の発行済株式総数で除して算定します。当年度の実質的なCore EPSの成長を算定するにあたっての営業利益以下の調整項目の主な内容は、Shire社買収に向けた財務費用および条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響であります。 旧武田薬品における実質的な売上収益の成長率は、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」+34.8%、多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」+36.1%、白血病治療剤「アイクルシグ」+24.6%、酸関連疾患治療剤「タケキャブ」+20.1%、大うつ病治療剤「トリンテリックス」+19.4%をはじめとしたタケダの成長ドライバーの製品が力強く伸長したことにより、対前年度+5.3%となりました。タケダの成長ドライバー全体では+11.1%の伸長となり、実質的な売上収益の63.3%を占めております。 旧武田薬品における実質的なCore Earningsの成長率は、実質的な売上収益の力強い成長や、グローバル経費削減イニシアチブ(4)による削減効果により前年度から大きく伸長し+38.7%となりました。実質的な売上原価は、製品構成の改善により、対売上収益比率が1.4pp向上しました。実質的な営業経費は、グローバル経費削減イニシアチブ(4)の削減効果により、対売上収益比率が3.9pp向上しました。上記の要因の組み合わせにより、実質的なCore Earningsの対売上収益比率は5.4pp向上し、22.3%となりました。(4) 消費量の削減、購買価格低減による経費削減、および組織の最適化によって実質的なCore Earningsの売上収益比率の向上を目指す、当社グループのイニシアチブ 旧武田薬品における実質的なCore EPSの成長率は、実質的なCore Earningsの力強い成長(+38.7%)を反映し、前年同期から+29.0%となりました。 (b)当年度の財政状態の分析[資産]当期末における資産合計は、前年度末から9兆7,659億円増加し、13兆8,723億円となりました。のれんおよび無形資産は、主にShire社買収影響により、それぞれ3兆1,322億円および3兆8,461億円増加しました。 [負債]当期末における負債合計は、前年度末から6兆6,197億円増加し、8兆7,087億円となりました。Shire社の買収に必要な資金を調達するために社債の発行および借入を実行したことにより社債及び借入金が4兆7,653億円増加し、5兆7,510億円(注)となったことによるものです。また、繰延税金負債もShire社買収影響により7,763億円増加の8,671億円となりました。 (注)当期末における社債、借入金の帳簿価額はそれぞれ3兆1,964億円および2兆5,546億円です。なお、社債および借入金の内訳は以下の通りです。 社債:銘柄 (外貨建発行額)発行時期償還期限帳簿価額14回 無担保社債2013年7月2019年7月600億円15回 無担保社債2013年7月2020年7月600億円米ドル建無担保普通社債 (1,925百万米ドル)2015年6月2020年6月~ 2045年6月2,119億円米ドル建無担保普通社債 (12,100百万米ドル)2016年9月2019年9月~ 2026年9月1兆2,785億円米ドル建無担保普通社債 (500百万米ドル)2017年7月2022年1月551億円ユーロ建無担保普通社債(7,500百万ユーロ)2018年11月2020年11月~ 2030年11月9,256億円米ドル建無担保普通社債 (5,500百万米ドル)2018年11月2020年11月~ 2028年11月6,053億円合計 3兆1,964億円 借入金:名称 (外貨建借入額)借入時期返済期限帳簿価額シンジケートローン2013年7月2019年7月~ 2020年7月1,200億円〃2016年4月2023年4月~ 2026年4月2,000億円〃2017年4月2027年4月1,135億円〃 (1,500百万米ドル)2017年4月2027年4月1,656億円〃2019年1月2019年7月5,000億円〃 (3,987百万米ドル)2019年1月2024年1月4,411億円〃 (3,047百万ユーロ)2019年1月2024年1月 3,783億円株式会社国際協力銀行(3,700百万米ドル)2019年1月2025年12月4,093億円その他 2,268億円合計 2兆5,546億円 [資本]当期末における資本合計は、前年度末から3兆1,462億円増加の5兆1,636億円となりました。資本金および資本剰余金は、Shire社買収の影響により発行した総額3兆1,313億円の普通株式により、それぞれ、1兆5,657億円および1兆5,595億円増加しました。 (c)流動性および資金調達源資金の調達および使途当社グループにおいて流動性は、主に営業活動に必要な現金、資本支出、契約上の義務、債務の返済、利息や配当の支払いに関連して必要となります。営業活動においては、研究開発費、マイルストン支払い、販売およびマーケティングに係る費用、人件費およびその他の一般管理費、原材料費等の支払いにあたり現金が必要となります。また、法人所得税の支払いや運転資金にも多額の現金が必要となります。当社グループは、生産設備の能力増強・合理化、減価償却を終えた資産の入れ替え、業務管理の効率化等のために設備投資を行っています。無形資産に係る資本的支出は、主に第三者のパートナーから導入したライセンス製品に対するマイルストン支払い、およびソフトウェア開発費です。連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産および無形資産に係る資本支出は、2018年3月期および2019年3月期において、それぞれ1,241億円および2,446億円であります。また、2019年3月31日現在において、有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは340億円であります。当社の配当金の支払額は、2018年3月期および2019年3月期において、それぞれ1,419億円および1,430億円であります。1株当たり配当額は中間配当および期末配当金それぞれ90円ずつとし、年間180円を継続することを目指しています。当社グループは、有利子負債に対し元本と利息を支払う必要があります。2019年3月31日現在において、1年内に必要となる借入金の返済額および利息の支払額は、それぞれ9,881億円、1,227億円であります。詳細は、「有利子負債および金融債務」をご参照ください。当社グループの資金の調達源は、主に現金及び現金同等物、短期コマーシャルペーパー、コミットメントラインによる借入、グローバル資本市場からの長期借入金であります。当社グループは、キャッシュ・フロー予測に基づき保有外貨を監視し、調整しております。当社グループの事業の大部分は日本国外で行っており、多額の現金を日本国外に保有しております。日本国内で必要なキャッシュ・フローを創出するために外貨を使用することは国内規制による影響を受ける可能性があり、また比較的影響は小さいものの、日本へ現金を移転することから生じる所得税による影響も受けます。2019年3月31日現在において、当社グループは7,021億円の現金及び現金同等物と3,000億円の未使用のコミットメントライン契約を保有しており、現在の事業活動に必要となる資金は十分に確保できていると考えております。当社グループは、事業活動を支えるため、持続的に高い流動性を保ち、資本市場へのアクセス拡大を追求していきます。 連結キャッシュ・フロー連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。(単位:億円) 前年度当年度営業活動によるキャッシュ・フロー3,7793,285投資活動によるキャッシュ・フロー△933△28,357財務活動によるキャッシュ・フロー△3,26229,462現金及び現金同等物の増減額△4174,390現金及び現金同等物の期首残高3,1952,945現金及び現金同等物に係る換算差額△46△313売却目的で保有する資産の純増減額213△1現金及び現金同等物の期末残高2,9457,021 当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度の3,779億円に対し、3,285億円となりました。これは、当期利益が777億円減少したことや主にShire社買収に伴う企業結合会計に係る非資金性の税金費用の減少影響により法人所得税費用が446億円減少したこと、また前年度に計上した在外営業活動体の清算損415億円等のマイナスの調整項目に加え、Shire社における支払賞与等による資産負債が増減した影響によります。これらの影響は、主にShire社買収に伴い計上した製品に係る無形資産償却費により減価償却費及び償却費が903億円増加したこと、棚卸資産の公正価値調整にかかる償却により棚卸資産が450億円減少したこと、また、Shire社買収に関連する財務費用を含む金融費用(純額)741億円等のプラスの調整項目の影響により一部相殺されております。投資活動によるキャッシュ・フローは、主にShire社買収に伴い2兆8,919億円(取得した現預金控除後)を支出したことにより、前年度933億円のマイナスに対して、当年度は2兆8,357億円のマイナスとなりました。この金額は、主に当年度に売却した旧東京本社ビルを含む有形固定資産の売却による収入507億円により一部相殺されています。財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度3,262億円のマイナスに対して、当年度は2兆9,462億円のプラスとなりました。これは、主にShire社買収のための資金調達において、短期借入金が3,673億円増加したこと、また、社債の発行および長期借入れによる収入2兆7,959億円を計上したことによります。 有利子負債および金融債務2018年3月期、2019年3月期において社債及び借入金はそれぞれ9,857億円、5兆7,510億円であります。これらの有利子負債は、当社が過年度に発行した無担保社債、普通社債、およびシンジケートローン、また、Shire社買収に必要な資金の一部を調達するための借入金、およびShire社買収により引き受けた負債を含みます。当社の借入金は主に買収関連のものであり、季節性によるものではありません。社債及び借入金の増加は、Shire社買収に係る資金調達によるもの、およびShire社より引き受けた負債であります。Shire社の買収に関連し、当社は、返済が完了したブリッジクレジット契約等複数の借入契約を締結いたしました。2019年3月期における借入金期末残高は以下のとおりであります。・タームローンクレジット契約の総借入限度額は、米ドル建ておよびユーロ建てで総額75億米ドルであり、2018年6月8日に締結し、2019年1月初旬に満額の借入を実行しております。本件借入金は、Shire社買収の対価として支払った現金の一部に充当しました。タームローンクレジット契約の借入金は無担保であり、変動金利に基づく利子の引当を行っており、2024年1月3日に償還する予定であります。・総額75億ユーロのユーロ建普通社債は、2018年11月に、総額55億米ドルの米ドル建普通社債と同時に発行しました(あわせて、「2018年社債」)。2018年に発行した社債は、以下のとおりです。- 総額12億5,000万ユーロの普通社債(固定金利0.375%、償還期日2020年11月21日)、総額10億ユーロの普通社債(変動金利、償還期日2020年11月21日)、総額15億ユーロの普通社債(固定金利1.125%、償還期日2022年11月21日)、総額7億5,000万ユーロの普通社債(変動金利、償還期日2022年11月21日)、総額15億ユーロの普通社債(固定金利2.250%、償還期日2026年11月21日)、および総額15億ユーロの普通社債(固定金利3.000%、償還期日2030年11月21日)。- 総額10億米ドルの普通社債(固定金利3.800%、償還期日2020年11月26日)、総額12億5,000万米ドルの普通社債(固定金利4.000%、償還期日2021年11月26日)、総額15億米ドルの普通社債(固定金利4.400%、償還期日2023年11月26日)、および総額17億5,000万米ドルの普通社債(固定金利5.000%、償還期日2028年11月26日)。2018年に発行した社債は、米国1933年証券法(以下、「証券法」)による登録の免除事由により私募により発行しました。固定金利の2018年社債の利息は、ユーロ建2018年社債については毎年後払い、米ドル建2018年社債については半年毎の後払いであります。変動金利の2018年社債の利率は3か月EURIBORおよび該当スプレッドを参考に四半期ごとに見直しが行われ、四半期毎に後払いしています。・2018年12月に、株式会社国際協力銀行(以下、「JBIC」)との総額37億米ドルの無担保ローン契約を締結しました。本件無担保ローン契約は、2019年1月初旬に満額の借入を実行し、償還期日は2025年12月11日であります。タームローンクレジット契約の借入は無担保であり、変動利率に基づく利息が発生しております。・2018年10月に、5,000億円のSenior Short Term(以下、「SSTL」)Facility契約および劣後ローン契約を締結しました。ショートタームローンについては、2019年1月初旬に借入を実行し、Shire社買収の対価として支払った現金の一部に充当しました。ショートタームローン契約の償還期日は、最長半年後であります。また、ショートタームローンの契約日において、ショートタームローンと同額の元本の借入を上限とする劣後ローン契約を締結しました。ただし、ショートタームローンは、下記のとおり2019年7月に発行したハイブリッド社債による収入で返済し、劣後ローン契約による借入は実行していません。ショートタームローンおよび劣後ローン契約は失効しました。Shire社買収に関連し、当社グループは買収前にShire社によって締結された複数の借入契約を引き受けました。Shire社より引き受けた借入のうち当年度末における残高は次のとおりであります。・米ドル建無担保普通社債(以下、「SAIIDAC社債」)はシャイア―社の100%子会社であるシャイアー・アクイジションズ・インベストメンツ・アイルランド Designated Activity Company(以下、「SAIIDAC」)が発行し、当社グループが保証しています。SAIIDAC社債の残高は2019年3月31日現在において総額121億米ドルであり、利息は半年毎に後払いしています。以下の一連のSAIIDAC社債は2019年3月31日現在において未償還であります。総額33億米ドル建社債(固定金利1.900%、償還期日2019年9月23日)、総額33億米ドル建社債(固定金利2.400%、償還期日2021年9月23日)、総額25億米ドル建社債(固定金利2.875%、償還期日2023年9月23日)、および総額30億米ドル建社債(固定金利3.200%、償還期日2026年)。・米ドル建無担保普通社債(以下、「Baxalta社債」)はバクスアルタ社が発行し、当社グループが保証しています。Baxalta社債の残高は2019年3月31日現在において総額19億2,500万米ドルであり、利息は半年毎に後払いしています。以下の一連のBaxalta社債は2019年3月31日現在において未償還であります。 総額4億450万米ドル建普通社債(固定金利2.875%、償還期日2020年6月23日)、総額2億1,940万米ドル建普通社債(固定金利3.600%、償還期日2022年6月23日)、総額8億50万米ドル建普通社債(固定金利4.000%、償還期日2025年6月23日)、および総額5億40万米ドル建普通社債(固定金利5.250%、償還期日2045年6月23日)。 2019年6月6日、当社は総額5,000億円のハイブリッド社債(劣後社債)を発行し、その収入でショートタームローンを返済しました。ハイブリッド社債の償還期日は、2079年6月6日であります。当社は、ハイブリッド社債の条件に基づき、2024年10月6日より利息支払日ごとに元本の全額返済が可能です。利息は、半年毎に支払い、利率は毎年見直されます。ハイブリッド社債は無担保であり、財務制限条項は付帯しておりません。当社グループは、短期の流動性の管理のため、日本の無担保コマーシャルペーパープログラムを保有しております。当社グループは、さらに2019年3月期において極度額3,000億円の短期コミットメントライン契約を締結しておりますが、借入はしておりません。当社グループは2019年3月31日時点において、財務制限条項が付されている借入金があります。このうち最も制限的な財務制限条項は、連続する2事業年度において税引前利益がマイナスにならないというものであります。2019年3月31日時点において、当社グループは、それらの財務制限条項を順守しております。これらは、コミットメントラインからの借入を制限するものではありません。借入金の詳細については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。 信用格付け当社グループの信用格付けは、当社グループの財務の健全性、業績、債務の返済能力等に関する各格付機関の意見が反映されております。本報告書時点における当社グループの信用格付けは以下のとおりです。格付会社カテゴリー信用格付評価構造S&Pグローバル・レーティング発行体格付け/外貨長期および国内通貨長期BBB+11段階の格付けのうち4番目であり、同じカテゴリーの中で最上位(例:BBB+,BBB,BBB-は同じカテゴリーに属する)発行体格付け(短期)A-26段階の格付けのうちの2番目ムーディーズ長期発行体格付および長期優先無担保格付けBaa29段階の格付けのうち上から4番目であり、同じカテゴリーの中で2番目(例Baa1,Baa2,Baa3は同じカテゴリーに属する この格付けは、社債の購入、売却、保有を推奨するものではありません。この格付けは指定された格付機関によって適宜改訂あるいは撤回される可能性があります。それぞれの財務の健全性レーティングは、独立評価されたものであります。 オフバランス取引 マイルストン支払新製品の開発に係る第三者との提携契約に基づき、当社グループは、パイプライン品目の開発、新製品の上市および上市後の販売等にかかる一定のマイルストン達成に応じた支払義務が生じる場合があります。2018年3月期および2019年3月期における潜在的なマイルストン支払の契約金額は、それぞれ5,170億円および6,555億円であります。これらは、開発中のパイプライン品目に係る潜在的なコマーシャルマイルストン支払を除いた金額であります。 契約負債2019年3月31日時点における契約負債は以下のとおりです。(単位:億円) 総契約額(1)1年以内1年超3年以内3年超5年以内5年超社債及び借入金の返済(2) (3) 社債37,902 5,07211,9778,49012,363借入金 27,8036,0362,2819,7849,702有形固定資産の取得に関する義務 340 340———ファイナンスリースに関する義務 3,331 691841942,885オペレーティングリースに関する義務 2,336 312 527 3841,113確定給付制度への拠出(4)7878———合計(5) (6)71,79011,90714,96918,85226,063 (1) 2019年3月31日時点の日本円以外の通貨建債務は、期末為替レートで日本円に換算しており、為替レートの変動により金額が異なる可能性があります。(2) 当社グループが関連する金融商品の制限条項違反を行った場合、返済義務が早まる可能性があります。(3) 利息支払義務を含みます。(4) 2020年3月31日以降の年金および退職後給付制度への拠出額については、拠出の時期が不確実であり、利率、運用収益、および法律およびその他の変動要因に依存するため、確定することはできません。(5) 確定給付債務、訴訟準備金および長期未払税金等、時期を見積もることができない契約負債、また、金額が公正価値の変動により変化するデリバティブ負債および条件付対価等の負債は含まれておりません。また、特定の将来の事象の発生に左右されるマイルストン支払いも含んでおりません。(6) 通常の事業活動における購買に関する発注は含んでおりません。 ② 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報IFRSにより作成した連結財務諸表と日本基準により作成した連結財務諸表における経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異は次のとおりです。前年度(自2017年4月1日 至2018年3月31日)当年度(自2018年4月1日至2019年3月31日)(のれんの償却停止)当社グループは、のれんおよび負ののれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が578億円減少しております。(のれんの償却停止)当社グループは、のれんおよび負ののれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が982億円減少しております。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社は、「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」というミッションを追求しています。当社は、「タケダイズム(誠実:公正・正直・不屈)」を企業活動の根幹に据え、「Patient(常に患者さんを中心に) 」、「Trust(社会との深い信頼関係を築く)」、「Reputation(当社の評価をさらに高める)」、「Business(ビジネスを成長させる)」を優先順位とする価値観に従います。当社は、世界レベルのガバナンスと多様性あるリーダーシップのもとに、イノベーションを追求する、グローバルかつ機動的な組織です。 当社は、「オンコロジー(がん)」、「消化器系疾患」、「ニューロサイエンス(神経精神疾患)」の3つの重点疾患領域と「ワクチン」に研究開発分野を絞り込み、高い実力を有する世界レベルの研究開発組織を構築するため、研究開発体制の変革に取り組んでいます。また、当社は、成長ドライバー(消化器系疾患、オンコロジー、ニューロサイエンス、新興国事業)への注力とコスト管理規律によって、収益力の向上をともなう成長戦略を推進します。当社は、「Grow Portfolio(事業ポートフォリオの成長)」、「Strengthen Pipeline(研究開発パイプラインの強化)」、「Boost Profitability(利益率の向上)」を中期的な優先事項として取り組んでいます。 Grow Portfolio(事業ポートフォリオの成長) ・主力の成長製品に注力 ・スペシャリティ事業の実力強化 ・資産売却および取得の機会追求 Strengthen Pipeline(研究開発パイプラインの強化) ・疾患領域の専門性をいかした革新的研究開発課題の推進 ・社内育成と外部提携を通じた研究開発力の強化 ・研究開発のオペレーションの実効性と文化の強化 Boost Profitability(利益率の向上) ・実質的なCore Earningsの売上収益比率の向上 ・Global Opex Initiative(グローバル経費削減イニシアチブ)の推進 ・遊休資産の現金化と収益力の向上をともなう成長への投資
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社は、「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」というミッションを追求しています。当社は、「タケダイズム(誠実:公正・正直・不屈)」を企業活動の根幹に据え、「Patient(常に患者さんを中心に) 」、「Trust(社会との深い信頼関係を築く)」、「Reputation(当社の評価をさらに高める)」、「Business(ビジネスを成長させる)」を優先順位とする価値観に従います。当社は、世界レベルのガバナンスと多様性あるリーダーシップのもとに、イノベーションを追求する、グローバルかつ機動的な組織です。 当社は、「オンコロジー(がん)」、「消化器系疾患」、「ニューロサイエンス(神経精神疾患)」の3つの重点疾患領域と「ワクチン」に研究開発分野を絞り込み、高い実力を有する世界レベルの研究開発組織を構築するため、研究開発体制の変革に取り組んでいます。また、当社は、成長ドライバー(消化器系疾患、オンコロジー、ニューロサイエンス、新興国事業)への注力とコスト管理規律によって、収益力の向上をともなう成長戦略を推進します。当社は、「Grow Portfolio(事業ポートフォリオの成長)」、「Strengthen Pipeline(研究開発パイプラインの強化)」、「Boost Profitability(利益率の向上)」を中期的な優先事項として取り組んでいます。 Grow Portfolio(事業ポートフォリオの成長) ・主力の成長製品に注力 ・スペシャリティ事業の実力強化 ・資産売却および取得の機会追求 Strengthen Pipeline(研究開発パイプラインの強化) ・疾患領域の専門性をいかした革新的研究開発課題の推進 ・社内育成と外部提携を通じた研究開発力の強化 ・研究開発のオペレーションの実効性と文化の強化 Boost Profitability(利益率の向上) ・実質的なCore Earningsの売上収益比率の向上 ・Global Opex Initiative(グローバル経費削減イニシアチブ)の推進 ・遊休資産の現金化と収益力の向上をともなう成長への投資
MD&A(経営者による分析)
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。 売上収益17,705億円[前年度比385億円( 2.2%)増] 研究開発費3,254億円[ 〃131億円( 4.2%)増] 営業利益2,418億円[ 〃859億円( 55.1%)増] 税引前当期利益2,172億円[ 〃739億円( 51.5%)増] 当期利益(親会社の所有者帰属分)1,869億円[ 〃719億円( 62.6%)増] EPS239円35銭[ 〃92円20銭( 62.7%)増] 資産合計41,065億円[前年度末比2,403億円( 5.5%)減] 負債合計20,891億円[ 〃3,088億円( 12.9%)減] 資本合計20,174億円[ 〃684億円( 3.5%)増] なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を省略しております。 ② キャッシュ・フローの状況(「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」参照) ③ 生産、受注及び販売の状況 (a) 生産実績当年度における生産実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)医薬品事業618,007△6.9合計618,007△6.9 (注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。2 生産実績金額は、消費税等を除いた販売価格によっております (b) 商品仕入実績当年度における商品仕入実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)医薬品事業168,167△25.4合計168,167△25.4 (注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。2 商品仕入実績金額は、消費税等を除いた実際仕入額によっております。3 商品仕入実績が前年度と比べ大幅に減少しておりますが、その主な理由は、ファイザー社との一部製品にかかる仕入販売契約の終了および和光純薬工業株式会社の連結除外により同社の商品仕入実績が当年度に含まれていないことによるものであります。 (c) 受注状況当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しております。一部の事業において受注生産を行っていますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。 (d) 販売実績当年度における販売実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)医薬品事業1,770,5312.2 (国内)(580,349)(△11.4) (海外)(1,190,182)(10.5)連結純損益計算書計上額(うち知的財産権収益・役務収益)1,770,531(76,693)2.2(27.5) (注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。 相手先前年度当年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)㈱メディパルホールディングスおよびそのグループ会社265,64615.3220,24912.4 4 販売実績金額は、消費税等を除いた金額であります。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 当年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容(a) 当年度の経営成績の分析 (ⅰ) 当年度の業績の概要〔売上収益〕 売上収益は、タケダの成長ドライバー(消化器系疾患領域、オンコロジー(がん)領域、ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域および新興国事業)の継続的な伸長と、為替の円安による増収影響(439億円)が、事業等の売却による減収影響(943億円)を吸収し、前年度から385億円増収(+2.2%)の17,705億円となりました。 為替影響と事業等の売却影響を除いた実質的な売上収益は、前年度から+12.8%と力強く伸長したタケダの成長ドライバーに牽引され、+5.5%の成長率となりました。(タケダの成長ドライバー) ・消化器系疾患領域の売上収益の成長率は+23.5%(実質ベース+21.6%)となりました。当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」の売上が伸長し、582億円増収(+40.6%、実質ベース+35.9%)の2,014億円となり、売上成長を牽引しました。「エンティビオ」は生物学的製剤の新規患者シェアを順調に拡大しております。承認国数は60カ国以上となり、日本でも2017年8月に厚生労働省に製造販売承認申請を行いました。酸関連疾患治療剤「タケキャブ」も、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍の再発抑制等の効能を中心として、日本において処方が拡大し、売上は210億円増収(+61.7%、実質ベース+61.7%)の551億円となりました。なお、2018年3月、当社とTiGenix NV(以下、「タイジェニクス社」)は、クローン病に伴う肛囲複雑瘻孔治療剤「ALOFISEL」について、欧州委員会より承認を取得したことを公表しました。「ALOFISEL」は、欧州で初めて承認された同種異系脂肪由来幹細胞懸濁剤であり、当社は米国外の独占的開発・販売権を有しています。 ・オンコロジー領域の売上収益の成長率は+14.6%(実質ベース+12.1%)となりました。多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」の売上が、米国をはじめとした各国で伸長し、171億円増収(+58.1%、実質ベース+54.2%)の464億円となりました。「ニンラーロ」は、高い有効性、安全性、利便性を有する週1回経口投与のプロテアソーム阻害剤です。また、2017年2月のアリアド・ファーマシューティカルズ Inc.(以下「アリアド社」)の買収により獲得した白血病治療剤「アイクルシグ」も231億円の売上を計上し、オンコロジーの売上成長に貢献しました。さらに、同買収により獲得した肺がん治療剤「ALUNBRIG」は、米国での販売を2017年5月に開始し、28億円の売上を計上しました。なお、多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」の売上については、前年度から微減の1,373億円(△0.2%、実質ベース△2.4%)となりました。 ・ニューロサイエンス領域の売上収益の成長率は+24.5%(実質ベース+22.6%)となりました。大うつ病治療剤「トリンテリックス」の売上は165億円増収(+51.6%、実質ベース+47.9%)の484億円となりました。「トリンテリックス」は、患者さんに対するエンゲージメント推進などにより、米国の抗うつ薬市場における先発品シェアを順調に拡大しています。なお、2018年3月、日本において、テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ社から導入したパーキンソン病治療剤「アジレクト錠」の製造販売承認を取得しました。 ・新興国事業の売上は66億円増収(+2.4%、実質ベース+2.0%)の2,781億円となりました。新興国事業では、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」などのオンコロジー領域や、「エンティビオ」をはじめとする消化器系疾患領域の製品ポートフォリオが伸長しています。 売上収益の内訳は下記のとおりです。 金額前年度比実質的な売上収益(注)金額実質的な成長医療用医薬品16,915億円1,227億円( 7.8%)増16,321億円+930億円+6.0% 米国5,983億円816億円(15.8%)増5,873億円+701億円+13.5%日本5,014億円33億円( 0.7%)減4,728億円△9億円△0.2%欧州およびカナダ3,137億円377億円(13.7%)増2,950億円+184億円+6.7%新興国2,781億円66億円( 2.4%)増2,769億円+54億円+2.0%コンシューマーヘルスケアおよびその他790億円842億円(51.6%)減790億円△41億円△4.9%合計17,705億円385億円( 2.2%)増17,111億円+889億円+5.5% (注) 実質的な売上収益:為替影響および事業等の売却影響を控除した実質ベースの売上収益です。 医療用医薬品にかかる売上収益は、1,227億円増収(+7.8%、実質ベース+6.0%)の16,915億円となりました。このうち、米国は816億円増収(+15.8%、実質ベース+13.5%)の5,983億円となり、欧州およびカナダは377億円増収(+13.7%、実質ベース+6.7%)の3,137億円となりました。日本は、成長ドライバー製品の伸長があったものの、ファイザー社との一部製品にかかる仕入販売契約が終了したことに伴う減収影響(316億円)などにより、33億円減収(△0.7%、実質ベース△0.2%)の5,014億円となりました。 (事業等の売却影響) ・当年度の事業等の売却影響は前年度から943億円の減収となりました。主な事業等の売却影響としては、当社の連結子会社であった和光純薬工業株式会社の株式を、2017年4月に売却したことに伴う同社連結除外の減収影響(791億円)に加え、2016年8月に肥満症治療剤「コントレイブ」の米国における独占販売契約を解消したことに伴う収益を前年度に計上したこと等による減収影響(111億円)がありました。また、当社の日本の長期収載品7製品を、2017年5月に武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に売却した件については、製品売上を失う減収影響の一方、売却時に当該製品の売却益に関連する売上収益を計上したことにより、全体としては2億円の減収影響となりました。その他にも事業等の売却がありましたが、これらはあわせて39億円の減収影響となりました。 〔営業利益〕前年度から859億円増益(+55.1%)の2,418億円となりました。 ・売上総利益は、成長ドライバー製品の売上の力強い伸長により、1,013億円増益(+8.6%)の12,746億円となりました。製品構成の改善により、事業等の売却影響と為替影響を除いた実質的な売上総利益は対前年度+9.7%となり、実質ベースの売上総利益率は69.1%から71.8%に向上しました。 ・販売費及び一般管理費は対前年度90億円の増加(+1.5%)の6,281億円となりましたが、主にグローバル経費削減イニシアチブの削減効果および規律ある経費管理により、売上収益の増加率(+2.2%)を下回りました。事業等の売却影響と為替影響を除いた実質的な費用は対前年度+2.0%となり、実質ベースでも売上収益の増加率(+5.5%)を下回りました。なお、当該増加は、株式報酬費用の増加(26億円)、売上収益の増収に伴う共同プロモーション費用の増加(48億円)、および業績連動賞与関連費用の増加(38億円)を含んでおり、これらの影響を除いた費用は対前年度+0.2%となります。 ・研究開発費は、131億円の増加(+4.2%)の3,254億円となりました。事業等の売却影響と為替影響を除いた実質的な費用は対前年度+4.5%となりました。 ・製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、対前年度346億円減少(△22.1%)の1,221億円となりました。無形資産償却費は、アリアド社の買収に伴う償却費(197億円)が当年度は年間を通じて発生し136億円の増加となりました。減損損失は、前年度において痛風治療剤「コルクリス」にかかる減損損失160億円を計上した一方、当年度においては、「コルクリス」の販売見通し改善により減損損失の戻入を226億円計上したことなどにより、482億円の減少となりました。 ・その他の営業収益は、対前年度259億円の増加(+18.0%)の1,694億円となりました。前年度は、日本における長期収載品事業の武田テバ薬品株式会社への事業譲渡益1,154億円(移管時1,029億円、繰り延べた事業譲渡益のうち前年度の実現額125億円)を計上しましたが、当年度は和光純薬工業株式会社の株式売却益1,063億円、繰り延べた長期収載品事業の事業譲渡益のうち当年度実現額275億円、および賃貸用オフィスビルの固定資産売却益160億円等を計上しました。 ・その他の営業費用は、対前年度537億円の増加(+73.6%)の1,266億円となりました。研究開発体制の変革やグローバル経費削減イニシアチブにかかる費用、アリアド社買収後の事業統合関連費用をはじめとする事業構造再編費用447億円、海外子会社再編に伴い資本の部に計上していた為替換算調整勘定が実現したことによる損失417億円、および「コルクリス」にかかる条件付対価(注)の変動に伴う費用95億円などが含まれています。 (注)企業結合に起因して、将来の特定事象が発生した場合に、追加的に発生する取得対価の公正価値を負債計上したものです。 〔当期利益(親会社の所有者帰属分)〕持分法による投資損失の増加があったものの、主に営業利益の増益により、前年度から719億円増益(+62.6%)の1,869億円となりました。 ・持分法による投資損失は、前年度から307億円増加の322億円となりました。長期収載品事業およびジェネリック医薬品事業を営む武田テバファーマ株式会社(その子会社である武田テバ薬品株式会社を含む)において、日本における2018年の薬価制度改革や事業環境の変化に伴い保有する資産の評価を見直した結果、減損損失が認識されたことなどによるものです。 ・法人所得税費用は、当年度において米国の税制改革法の成立による税金費用の減少がありましたが、税引前当期利益の増益による税金費用の増加に加えて前年度において海外子会社の減資に伴う税金費用の減少があったことなどにより、全体では前年度から27億円の増加(+9.6%)となりました。 ・基本的1株当たり当期利益(EPS)は、前年度から92円20銭増加(+62.7%)し、239円35銭となりました。 (ⅱ) 当年度の実質的な成長の概要 当社は、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しております。「実質的な成長」は、為替影響、事業等の売却影響およびその他の非定常的もしくは本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を控除し、当年度と前年同期(四半期もしくは年間)の業績を共通の基準で比較するものです。当社は、この「実質的な成長」が、実際の事業活動のパフォーマンスを表していると考え、「Underlying Revenue Growth」(実質的な売上収益(注1)の成長)、「Underlying Core Earnings(注2)Growth」(実質的なコア・アーニングスの成長)および「Underlying Core EPS(注3)Growth」(実質的なコアEPSの成長)を重要な経営指標としています。なお、本指標は、国際会計基準(IFRS)に準拠したものではありません。 当年度の実質的な成長率は、以下のとおりとなりました。 売上収益(注1)+5.5%[ 前年度比889億円増 ] Core Earnings (注2)+40.2%[ 〃 823億円増 ] Core EPS (注3)+44.8%[ 〃 86円16銭増 ] (注1)実質的な売上収益は、財務ベースの売上収益に、為替影響および事業等の売却影響を調整して計算します。当年度の実質的な成長を算定するにあたっての調整項目の主な内容は、和光純薬工業株式会社の株式を売却したこと、武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に当社の日本の長期収載品7製品を売却したことに伴う事業等の売却影響、および、肥満症治療剤「コントレイブ」の独占販売契約を前年度に解消したこと、並びに為替影響であります。 (注2)Core Earningsは、売上総利益から販売費及び一般管理費、および、研究開発費を控除して算出します。さらに、非定常的もしくは本業に起因しない(ノン・コア)事象であり、かつ、金額の大きい影響を調整します。これらには、自然災害による影響、企業買収に係る会計処理の影響、主な訴訟費用、事業構造再編費用、政府による法令変更の措置の影響などが含まれます。実質的なCore Earningsの成長の算定は、上記に加え、為替影響および事業等の売却影響を調整します。Core Earningsから当年度の実質的なCore Earningsの成長を算定するにあたっての調整項目の主な内容は、和光純薬工業株式会社の株式を売却したこと、武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に当社の日本の長期収載品7製品を売却したことに伴う事業等の売却影響、および、前年度においてミオバント・サイエンシズ社に女性疾患および前立腺がんの候補化合物relugolix等にかかる権利を供与したことに伴う収益、並びに為替影響であります。 (注3)Core EPSの算定にあたっては、Core Earningsから、営業利益以下の各科目のうち、非定常的もしくは本業に起因しない(ノン・コア)事象であり、かつ、金額の大きい影響を調整します。ここには、条件付対価に係る公正価値変動影響などが含まれます。さらに、これらにかかる税金影響に加え、Core Earnings調整に係る税金影響を合わせて調整します。Core EPSから当年度の実質的なCore EPSの成長を算定するにあたっての調整項目の主な内容は、和光純薬工業株式会社の株式を売却したこと、武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に当社の日本の長期収載品7製品を売却したことに伴う事業等の売却影響、および、前年度においてミオバント・サイエンシズ社に女性疾患および前立腺がんの候補化合物relugolix等にかかる権利を供与したことに伴う収益、並びに為替影響であります。なお、調整項目にかかる税金影響も控除しています。 ・実質的な売上収益の成長率は、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」や酸関連疾患治療剤「タケキャブ」、多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」、白血病治療剤「アイクルシグ」、大うつ病治療剤「トリンテリックス」をはじめとしたタケダの成長ドライバーの製品が力強く伸長したことにより、対前年度+5.5%となりました。タケダの成長ドライバー全体では+12.8%の伸長となりました。・実質的なCore Earningsの成長率は、実質的な売上収益の力強い成長や、グローバル経費削減イニシアチブの削減効果、および規律ある経費管理により前年度から大きく伸長し+40.2%となりました。製品構成の改善により、実質的な売上総利益率が2.8pp向上し、売上総利益は+9.7%伸長しました。実質的な営業経費は、グローバル経費削減イニシアチブの削減効果や、規律ある経費管理により、対売上収益比率が1.4pp向上しました。上記の要因の組み合わせにより、実質的なCore Earningsの対売上収益比率は4.2pp向上し、16.8%となりました。・実質的なCore EPSの成長率は、実質的なCore Earningsの力強い成長(+40.2%)を反映し、前年度から+44.8%となりました。 (b) 当年度の財政状態の分析[資産]当年度末における資産合計は4兆1,065億円となりました。和光純薬工業株式会社の株式売却や賃貸用オフィスビルの売却等により、売却目的で保有する資産が1,343億円減少しました。また、償却などで無形資産が488億円減少したことなどにより、資産合計は前期末から2,403億円の減少となりました。 [負債]当年度末における負債合計は2兆891億円となりました。社債の償還および借入金の返済により、社債および借入金が1,592億円減少しました。また、売却目的で保有する資産に直接関連する負債が854億円減少したことなどにより、前年度末から3,088億円の減少となりました。 [資本]当年度末における資本合計は2兆174億円となりました。当期利益が配当金による減少を上回り、利益剰余金が455億円増加し、為替の円安による影響等で在外営業活動体の換算差額が463億円増加した一方、和光純薬工業株式会社の株式売却により非支配持分が347億円減少したことなどにより、前期末より684億円の増加となりました。 親会社所有者帰属持分比率(注)は48.6%となり、前年度末から5.1 ポイント増加しております。(注)日本基準における自己資本比率に相当 (c) 当年度のキャッシュ・フローの状況の分析当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、当期利益が712億円増加したことにより、前年度よりキャッシュ・イン・フローが1,165億円増加し、3,779億円のプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度にアリアド社の買収に伴い 5,831億円を支払ったことによる影響で、前年度よりキャッシュ・アウト・フローが 5,623億円減少し、933億円のマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度は配当の支払がありましたが、アリアド社の買収に伴う短期ブリッジローンの借入を行ったことにより2,899億円のプラスとなりました。当年度は配当の支払に加え一部の借入金の返済および社債の償還を行った影響により、3,262億円のマイナスとなりました。これらの結果、当年度末における現金及び現金同等物の残高は、前期末より249億円減少し、2,945億円となりました。なお、当該減少には、売却目的で保有する資産を期首の現金及び現金同等物に振り戻したことによる218億円の増加が含まれております。 当社グループは、製品製造に使用される原材料の調達や設備への投資、営業活動で使用される財およびサービス、自社研究開発パイプラインや基盤技術、新製品上市に対する投資等に資金を投下しており、通常の営業活動に必要な資金については基本的に自己資金でまかなっております。また、持続的な成長のため、随時、提携や企業買収を実施する可能性があり、主に企業買収のために借入金および社債による資金調達も行っております。当年度については、アリアド社の買収に伴い生じた借入金の一部の返済に充当するため、2017年7月に563億円の社債を発行しました。また、2018年3月には800億円の借入金の返済、および600億円の社債の償還を行ったことにより、当年度末における当社グループの借入金残高は8,128億円、社債残高は1,729億円となっています。 ② 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報IFRSにより作成した連結財務諸表と日本基準により作成した連結財務諸表における経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異は次のとおりです。前年度(自2016年4月1日至2017年3月31日)当年度(自2017年4月1日至2018年3月31日)(のれんの償却停止)当社グループは、のれん及び負ののれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が445億円減少しております。(のれんの償却停止)当社グループは、のれん及び負ののれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が578億円減少しております。