事業の概要
- 医薬品の研究開発アステラス製薬グループは、医薬品の研究開発を主要な事業としています。これは、新しい薬の候補を見つけ出し、その効果や安全性を確認するための基礎研究から臨床試験までの一連のプロセスを含みます。特に、アステラス ファーマ グローバル ディベロップメント Inc.(米国)やアステラス インスティチュート フォー リジェネレイティブ メディシン(米国)などがこの機能の中心を担っており、革新的な医薬品の創出を目指しています。
- 医薬品の製造研究開発された医薬品を実際に生産する製造事業も重要な柱です。アステラス製薬は、自社工場だけでなく、アステラス アイルランド Co.,Ltd.(アイルランド)やアステラス製薬 (中国) 有限公司(中国)といった連結子会社を通じて、世界各地で医薬品を製造しています。安定した品質と供給量を確保することで、患者さんへ必要な医薬品を届けられる体制を構築しています。
- 医薬品の販売製造された医薬品を医療機関や患者さんに届ける販売事業も行っています。アステラス ファーマ US, Inc.(米国)、アステラス ファーマ GmbH(ドイツ)、北京アステラス医薬有限公司(中国)など、世界中の販売子会社がそれぞれの地域で医薬品のプロモーションや流通を担っています。これにより、グローバルな市場で医薬品を販売し、収益を上げています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 医薬品事業単一セグメントアステラス製薬グループは、医薬品の研究開発、製造、販売を主要な事業としており、事業セグメントの区分が存在しないため、報告セグメントは「医薬品事業」単一となっています。これは、同社が医薬品に特化した事業構造を持つことを示しており、経営資源を医薬品分野に集中させていることがうかがえます。
- グローバルな研究開発機能研究開発機能は、主にアステラス ファーマ グローバル ディベロップメント Inc.(米国)、アステラス インスティチュート フォー リジェネレイティブ メディシン(米国)、アステラス ジーン セラピー Inc.(米国)といった米国の子会社が担っています。これらの拠点が、新薬の創出に向けた基礎研究から臨床開発までを推進し、グループ全体の成長を支える役割を果たしています。
- 世界各地での製造・販売製造機能はアステラス アイルランド Co.,Ltd.(アイルランド)やアステラス製薬 (中国) 有限公司(中国)が、販売機能はアステラス ファーマ US, Inc.(米国)、アステラス ファーマ GmbH(ドイツ)、北京アステラス医薬有限公司(中国)など、世界各地の連結子会社が担っています。これにより、グローバルな市場で医薬品を供給し、収益を上げています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社80社、持分法適用会社6社から構成されており、医薬品の研究開発、製造及び販売を主要な事業としています。当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりです。なお、当社グループは、区分すべき事業セグメントが存在しないため、報告セグメントは医薬品事業単一となっています。 当社は研究開発、製造及び販売を行っており、各地域の関係会社へ原料及び製品の一部を供給しています。また、主に以下の関係会社が、研究開発、製造及び販売の各機能を担っています。機能主な関係会社の名称研究開発アステラス ファーマ グローバル ディベロップメント Inc. (米国)アステラス インスティチュート フォー リジェネレイティブ メディシン (米国)アステラス ジーン セラピーズ Inc. (米国)製造アステラス アイルランド Co.,Ltd. (アイルランド)アステラス製薬 (中国) 有限公司 (中国)販売アステラス ファーマ US, Inc. (米国)アステラス ファーマ GmbH (ドイツ)北京アステラス医薬有限公司 (中国)アステラス ファーマ S.A.S (フランス)アステラス ファーマ S.A. (スペイン)韓国アステラス製薬株式会社 (韓国) 以上で述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 規制 医薬品の承認取得には各国の規制当局による厳格な審査が必要であり、新規参入が困難。 |
|---|---|
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:サイバーセキュリティ / 地政学的緊張の高まりのサプライチェーンへの影響 / データナショナリズム及びプライバシー規制の分断化
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★★☆
アステラス製薬は、革新的な医薬品の研究開発を通じて、特許による強力な知的財産権(IP)を保有している。特に、がん領域や泌尿器領域におけるブロックバスター薬(例:イクスタンジ)は、長期間の特許保護により高い収益性を維持しており、これが無形資産としての競争優位性の源泉となっている。
スイッチングコスト★★★☆☆
医療用医薬品は、医師の処方箋に基づいて使用されるため、患者や医療機関が他の薬剤に切り替えるには、有効性、安全性、コスト、そして医師の慣習といった要因が複合的に影響する。特に、長年の実績を持つ薬剤や、特定の疾患に対する標準治療となっている薬剤からの切り替えは容易ではなく、一定のスイッチング・コストが存在する。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
医薬品の価値は、個々の製品の有効性や安全性に依存し、ユーザー(患者や医師)が増えることで製品自体の価値が直接的に向上するネットワーク効果は基本的に働かない。
コスト優位★☆☆☆☆
医薬品の製造には高度な技術と厳格な品質管理が求められるため、一般的な製造業のような規模の経済による大幅なコスト優位性を確立することは難しい。ただし、長年の経験や効率的な生産体制の構築により、一定の効率性は見られる可能性がある。
規模の経済★★☆☆☆
グローバルな製薬企業として、研究開発、製造、販売において一定の規模を有している。特に、新薬開発における巨額の投資能力や、世界各国での販売網は、小規模な競合他社に対する優位性となり得るが、業界内ではさらに巨大な企業も存在するため、絶対的な効率規模とは言えない。
- グローバルな研究開発体制アステラス製薬は、米国に研究開発拠点を複数持ち、再生医療や遺伝子治療といった最先端分野にも注力しています。これにより、世界中の医療ニーズに対応できる多様な医薬品候補の創出を目指し、将来の成長ドライバーとなる可能性のある技術や製品の開発を進めることができます。
- 多角的な製造販売ネットワークアステラス製薬グループは、アイルランドや中国に製造拠点を持ち、米国、ドイツ、中国、フランス、スペイン、韓国など世界各地に販売拠点を展開しています。この広範なグローバルネットワークにより、地域ごとの市場特性に合わせた製品供給と販売戦略を実行し、安定的な事業運営と収益確保に貢献していると考えられます。
- リスク管理体制の構築アステラス製薬は、グローバル・リスク&レジリエンス委員会(GRRC)を設置し、重要なリスクの監視と低減活動を行っています。サイバーセキュリティ、サプライチェーン、データプライバシー、サステナビリティなど多岐にわたるリスクに対し、具体的な軽減活動を計画・実行することで、事業の継続性と安定性を高める努力をしていることがうかがえます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中において将来について記載した事項は、提出日現在において判断したものです。(1) 経営理念当社の経営理念は、「存在意義」「使命」「信条」の3つのパートから構成されています。 アステラスの存在意義:先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する・生命科学の未知なる可能性を、誰よりも深く究めたい。・新しい挑戦を続け、最先端の医薬品を生み出したい。・高い品質を確かな情報と共に届け、揺るぎない信頼を築きたい。・世界の人々の健やかな生活に応えていくために。・世界で輝き続ける私たちであるために。 アステラスの使命:企業価値の持続的向上・アステラスは、企業価値の持続的向上を使命とします。・アステラスは、企業価値向上のため、お客様、株主、社員、環境・社会など、すべてのステークホルダーから選ばれ、信頼されることを目指します。 アステラスの信条アステラスの「信条」は、私たちが常に大事にする行動規範です。アステラスは、これらの信条に共鳴し実践する人々の集団であり続けます。 高い倫理観: 常に、高い倫理観をもって、経営活動に取り組みます。顧客志向: 常に、お客様のニーズを把握し、お客様の満足に向かって行動します。創造性発揮: 常に、現状を是とせず、未来志向で自己革新に挑戦し、新しい価値を創造します。競争の視点: 常に、視野広く外に目を向け、より優れた価値を、より早く生み出し続けます。 アステラスは、信条に則した行動を通じて、ステークホルダーの皆様への責任を適切に果たし続けるとともに、積極的な情報開示を行います。 (2) 対処すべき課題製薬産業を取り巻く事業環境は時代とともに大きく変化しています。当社は、これらの変化に柔軟に対応しながら、中長期的な視点で経営課題を的確に捉え、必要な対策を講じることにより、企業価値を持続的に向上させ、革新的な医療ソリューションを患者さんに届け続けていきます。 ①経営計画2026当社は、経営計画2026 (対象期間:2026年度~2030年度) を新たに策定しました。経営計画2026の戦略目標及び成果指標は以下のとおりです。 1) 戦略目標・高い収益成長によるキャッシュの創出経営計画2026では、収益性の高い5つの重点戦略製品 (PADCEV、IZERVAY、VYLOY、VEOZAH、XOSPATA) を軸に売上収益を最大化し、5つの重点戦略製品の2030年度の売上を2025年度比で2倍に拡大することを目指します。成長ドライバーとしては、PADCEV及びVYLOYの追加適応症の可能性に加え、成長市場における重点戦略製品の新規上市を見込んでいます。重点戦略製品は、収益性の高い持続的な成長の源泉となるとともに、パイプライン主導による当社の成長を支える資本を創出します。 ・パイプライン主導による成長の加速成長加速に向けた研究開発投資により、2029年度からの成長をパイプラインで牽引します。2024年度末から2025年度に、Focus Areaアプローチから生み出された複数のプログラムが臨床PoC (Proof of Concept) を達成し、第Ⅲ相試験へ移行しています。研究開発への継続的な投資と生産性の向上を通じて、経営計画2026期間中に10件以上の第Ⅲ相試験/ピボタル試験を開始し、そのうち5件以上を2027年度までに開始することを目指します。後期パイプライン価値の向上を目的として、自社創薬に加えて、自社の強みを生かすことで付加価値を創出できる「価値付加型事業開発」も実行しています。2030年代半ばにパイプラインの売上ポテンシャル約1兆円の実現を目指します。 ・規律あるキャッシュアロケーション当社は、十分な成長投資の確保と持続的な株主価値の向上を目指します。2027年度までにコア営業利益率 (注) 30%を達成し、経営計画2026期間中、研究開発費控除前のコア営業利益として累計4.3兆円以上を創出することで、当社の戦略を支える強固な内部資金基盤を確保します。研究開発投資前のコア営業利益率を50%に維持しつつ、パイプラインの進展に応じて研究開発投資を柔軟に拡大できる体制へと変革します。また、収益性の確保・維持、成長への投資、株主還元の実現に向け、経営計画2026期間中に累計2,000億円のコスト最適化を目指します。株主還元については、年間2円以上の増配を継続的に実施します。(注) 当社は、当社の収益力を示す指標としてコアベースの業績を開示しています。当該コアベースの業績は、フルベースの業績から当社が定めた特定の重要な調整項目を除外したものです。調整項目には、無形資産償却費、無形資産譲渡益、持分法による投資損益、減損損失、有形固定資産売却損益、リストラクチャリング費用、災害による損失、訴訟等による多額の賠償又は和解費用等のほか、当社が除外すべきと判断する項目が含まれます。 ・全社的な生産性向上当社は、働き方・企業文化・ガバナンスを基盤とした組織力を強化します。患者さんを中心に据えた「患者軸」への組織変革を経て、バリューチェーン全体にわたる成果の創出を加速させてきました。また、機能横断型のAsset Maximization Teamsに権限を委譲するなど、業務モデルの在り方を進化させています。その強固な組織基盤のもと、当社の「組織における価値観と行動」を羅針盤とし、持続的な成長を実現するとともに、VISION「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの『価値』に変える」の実現を目指します。 2) 成果指標・10件以上の第Ⅲ相/ピボタル試験 (注) を開始‐2027年度までに5件以上の第Ⅲ相/ピボタル試験(注) 第Ⅲ相/ピボタル試験の数は適応症ベース、重点戦略製品のライフサイクルマネジメントは含めない・研究開発費控除前コア営業利益:累計4.3兆円以上‐重点戦略製品の売上:2倍に拡大 (2025年度比)‐経常的なコスト最適化目標:2,000億円‐研究開発費控除前コア営業利益率:50%・配当の継続的な引き上げ‐毎年2円以上の増配 ②経営計画2021の振り返り売上収益については、2025年度のXTANDI及び重点戦略製品の売上は1兆4,411億円となり、成果目標「XTANDI及び重点戦略製品の売上は2025年度に1.2兆円以上」を達成しました。パイプライン価値については、経営計画2021の発表当時に既に開発が進行していたプロジェクトの中止が主要因となり、成果目標「Focus Areaプロジェクトからの売上は2030年度に5,000億円以上」には及びませんでした。しかしながら、Focus Areaアプローチにより、3つのPrimary Focusの旗艦プログラムから計4つの臨床PoCを達成し、将来の成長に向けた重要なマイルストンを積み上げました。コア営業利益率に関しては、成果目標「2025年度に30%以上」の達成には至りませんでしたが、“Sustainable Margin Transformation”を通じて継続的に財務基盤の改善を進めてきたことで、2025年度のコア営業利益率は26.0%に到達しました。 ③株主還元方針当社は、企業価値の持続的向上に努めるとともに、株主還元にも積極的に取り組んでいます。成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。経営計画2026期間中は、毎年2円以上の増配を目指します。また、自己株式の取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上を図ります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中において将来について記載した事項は、提出日現在において判断したものです。(1) 経営理念当社の経営理念は、「存在意義」「使命」「信条」の3つのパートから構成されています。 アステラスの存在意義:先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する・生命科学の未知なる可能性を、誰よりも深く究めたい。・新しい挑戦を続け、最先端の医薬品を生み出したい。・高い品質を確かな情報と共に届け、揺るぎない信頼を築きたい。・世界の人々の健やかな生活に応えていくために。・世界で輝き続ける私たちであるために。 アステラスの使命:企業価値の持続的向上・アステラスは、企業価値の持続的向上を使命とします。・アステラスは、企業価値向上のため、お客様、株主、社員、環境・社会など、すべてのステークホルダーから選ばれ、信頼されることを目指します。 アステラスの信条アステラスの「信条」は、私たちが常に大事にする行動規範です。アステラスは、これらの信条に共鳴し実践する人々の集団であり続けます。 高い倫理観: 常に、高い倫理観をもって、経営活動に取り組みます。顧客志向: 常に、お客様のニーズを把握し、お客様の満足に向かって行動します。創造性発揮: 常に、現状を是とせず、未来志向で自己革新に挑戦し、新しい価値を創造します。競争の視点: 常に、視野広く外に目を向け、より優れた価値を、より早く生み出し続けます。 アステラスは、信条に則した行動を通じて、ステークホルダーの皆様への責任を適切に果たし続けるとともに、積極的な情報開示を行います。 (2) 対処すべき課題製薬産業を取り巻く事業環境は時代とともに大きく変化しています。当社は、これらの変化に柔軟に対応しながら、中長期的な視点で経営課題を的確に捉え、必要な対策を講じることにより、企業価値を持続的に向上させ、革新的な医療ソリューションを患者さんに届け続けていきます。 ①経営計画2026当社は、経営計画2026 (対象期間:2026年度~2030年度) を新たに策定しました。経営計画2026の戦略目標及び成果指標は以下のとおりです。 1) 戦略目標・高い収益成長によるキャッシュの創出経営計画2026では、収益性の高い5つの重点戦略製品 (PADCEV、IZERVAY、VYLOY、VEOZAH、XOSPATA) を軸に売上収益を最大化し、5つの重点戦略製品の2030年度の売上を2025年度比で2倍に拡大することを目指します。成長ドライバーとしては、PADCEV及びVYLOYの追加適応症の可能性に加え、成長市場における重点戦略製品の新規上市を見込んでいます。重点戦略製品は、収益性の高い持続的な成長の源泉となるとともに、パイプライン主導による当社の成長を支える資本を創出します。 ・パイプライン主導による成長の加速成長加速に向けた研究開発投資により、2029年度からの成長をパイプラインで牽引します。2024年度末から2025年度に、Focus Areaアプローチから生み出された複数のプログラムが臨床PoC (Proof of Concept) を達成し、第Ⅲ相試験へ移行しています。研究開発への継続的な投資と生産性の向上を通じて、経営計画2026期間中に10件以上の第Ⅲ相試験/ピボタル試験を開始し、そのうち5件以上を2027年度までに開始することを目指します。後期パイプライン価値の向上を目的として、自社創薬に加えて、自社の強みを生かすことで付加価値を創出できる「価値付加型事業開発」も実行しています。2030年代半ばにパイプラインの売上ポテンシャル約1兆円の実現を目指します。 ・規律あるキャッシュアロケーション当社は、十分な成長投資の確保と持続的な株主価値の向上を目指します。2027年度までにコア営業利益率 (注) 30%を達成し、経営計画2026期間中、研究開発費控除前のコア営業利益として累計4.3兆円以上を創出することで、当社の戦略を支える強固な内部資金基盤を確保します。研究開発投資前のコア営業利益率を50%に維持しつつ、パイプラインの進展に応じて研究開発投資を柔軟に拡大できる体制へと変革します。また、収益性の確保・維持、成長への投資、株主還元の実現に向け、経営計画2026期間中に累計2,000億円のコスト最適化を目指します。株主還元については、年間2円以上の増配を継続的に実施します。(注) 当社は、当社の収益力を示す指標としてコアベースの業績を開示しています。当該コアベースの業績は、フルベースの業績から当社が定めた特定の重要な調整項目を除外したものです。調整項目には、無形資産償却費、無形資産譲渡益、持分法による投資損益、減損損失、有形固定資産売却損益、リストラクチャリング費用、災害による損失、訴訟等による多額の賠償又は和解費用等のほか、当社が除外すべきと判断する項目が含まれます。 ・全社的な生産性向上当社は、働き方・企業文化・ガバナンスを基盤とした組織力を強化します。患者さんを中心に据えた「患者軸」への組織変革を経て、バリューチェーン全体にわたる成果の創出を加速させてきました。また、機能横断型のAsset Maximization Teamsに権限を委譲するなど、業務モデルの在り方を進化させています。その強固な組織基盤のもと、当社の「組織における価値観と行動」を羅針盤とし、持続的な成長を実現するとともに、VISION「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの『価値』に変える」の実現を目指します。 2) 成果指標・10件以上の第Ⅲ相/ピボタル試験 (注) を開始‐2027年度までに5件以上の第Ⅲ相/ピボタル試験(注) 第Ⅲ相/ピボタル試験の数は適応症ベース、重点戦略製品のライフサイクルマネジメントは含めない・研究開発費控除前コア営業利益:累計4.3兆円以上‐重点戦略製品の売上:2倍に拡大 (2025年度比)‐経常的なコスト最適化目標:2,000億円‐研究開発費控除前コア営業利益率:50%・配当の継続的な引き上げ‐毎年2円以上の増配 ②経営計画2021の振り返り売上収益については、2025年度のXTANDI及び重点戦略製品の売上は1兆4,411億円となり、成果目標「XTANDI及び重点戦略製品の売上は2025年度に1.2兆円以上」を達成しました。パイプライン価値については、経営計画2021の発表当時に既に開発が進行していたプロジェクトの中止が主要因となり、成果目標「Focus Areaプロジェクトからの売上は2030年度に5,000億円以上」には及びませんでした。しかしながら、Focus Areaアプローチにより、3つのPrimary Focusの旗艦プログラムから計4つの臨床PoCを達成し、将来の成長に向けた重要なマイルストンを積み上げました。コア営業利益率に関しては、成果目標「2025年度に30%以上」の達成には至りませんでしたが、“Sustainable Margin Transformation”を通じて継続的に財務基盤の改善を進めてきたことで、2025年度のコア営業利益率は26.0%に到達しました。 ③株主還元方針当社は、企業価値の持続的向上に努めるとともに、株主還元にも積極的に取り組んでいます。成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。経営計画2026期間中は、毎年2円以上の増配を目指します。また、自己株式の取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上を図ります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下「経営成績等」) の状況の概要は次のとおりです。 ① 財政状態及び経営成績の状況[財政状態]当連結会計年度末の連結財政状態計算書の概要及び前連結会計年度末からの主な変動は以下のとおりです。 総資産は3兆5,670億円 (前連結会計年度末比2,275億円増) となりました。非流動資産は、2兆1,451億円 (同69億円増) となりました。有形固定資産は、3,584億円 (同295億円増) となりました。のれんは4,412億円 (同260億円増) 、無形資産は9,969億円 (同1,268億円減) となりました。流動資産は、1兆4,219億円 (同2,206億円増) となりました。現金及び現金同等物は2,816億円 (同932億円増) となりました。 資本合計は、1兆8,309億円 (同3,176億円増) となり、親会社所有者帰属持分比率は51.3%となりました。当期利益2,916億円を計上した一方で、剰余金の配当1,361億円を実施しました。 負債合計は、1兆7,362億円 (同901億円減) となりました。非流動負債は5,178億円 (同2,469億円減) 、流動負債は1兆2,184億円 (同1,568億円増) となりました。社債及び借入金の増減は以下のとおりです。 (単位:億円) 前連結会計年度(2025年3月期)当連結会計年度(2026年3月期)増減額社債3,2002,200△1,0001年以内償還予定の社債3001,000+700長期借入金2,4491,000△1,4491年以内返済予定の長期借入金5171,460+943コマーシャル・ペーパー1,649-△1,649短期借入金200-△200社債及び借入金合計8,3145,660△2,655 [経営成績]<連結業績 (コアベース) >当連結会計年度の連結業績 (コアベース) は下表のとおりです。売上収益、コア営業利益及びコア当期利益はいずれも増加しました。 [連結業績 (コアベース) ] (単位:百万円) 前連結会計年度(2025年3月期)当連結会計年度(2026年3月期)増減額(増減率)売上収益1,912,3232,139,245226,922(11.9%)売上原価349,206408,42659,220(17.0%)販売費及び一般管理費843,032860,31217,280(2.0%)研究開発費327,651314,827△12,824(△3.9%)コア営業利益392,435555,681163,246(41.6%)コア当期利益295,682424,413128,731(43.5%)親会社の所有者に帰属するコア当期利益295,682424,517128,835(43.6%)基本的1株当たりコア当期利益 (円)165.17237.0171.85(43.5%) (注) 当社は、当社の収益力を示す指標としてコアベースの業績を開示しています。当該コアベースの業績は、フルベースの業績から当社が定めた特定の重要な調整項目を除外したものです。調整項目には、無形資産償却費、無形資産譲渡益、持分法による投資損益、減損損失、有形固定資産売却損益、リストラクチャリング費用、災害による損失、訴訟等による多額の賠償又は和解費用等のほか、当社が除外すべきと判断する項目が含まれます。 売上収益・重点戦略製品の尿路上皮がん治療剤PADCEV、地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性治療剤IZERVAY、胃腺がん及び食道胃接合部腺がん治療剤VYLOY、及び閉経に伴う血管運動神経症状治療剤VEOZAHの売上が伸長したことに加え、前立腺がん治療剤XTANDIの売上が拡大したことも、増収要因となりました。 以上の結果、売上収益は2兆1,392億円 (前連結会計年度比11.9%増) となりました。 コア営業利益/コア当期利益・売上総利益は、1兆7,308億円 (同10.7%増) となりました。・販売費及び一般管理費は、8,603億円 (同2.0%増) となりました。SMT (注1) によるコスト最適化 (約110億円) を行った一方で、重点戦略製品 (注2) の更なる成長のための投資 (同約100億円増) や為替の影響 (同36億円増) などにより、総額として増加しました。なお、XTANDIの米国での共同販促費用を除いた販売費及び一般管理費は、6,121億円 (同3.7%増) となりました。・研究開発費は、3,148億円 (同3.9%減) となりました。SMTによるコスト最適化 (約100億円) をはじめ、重点戦略製品の臨床開発費の減少 (同約50億円減) や為替の影響 (同5億円減) などにより、総額として減少しました。 以上の結果、コア営業利益は5,557億円 (同41.6%増) 、コア当期利益は4,244億円 (同43.5%増) となりました。 (注) 1.SMT:Sustainable Margin Transformation2.重点戦略製品:PADCEV、IZERVAY、VYLOY、VEOZAH、XOSPATA <連結業績 (フルベース) >当連結会計年度の連結業績 (フルベース) は下表のとおりです。営業利益及び当期利益はいずれも増加しました。 フルベースの業績は、コアベースの業績に「無形資産償却費」、「無形資産譲渡益」、「持分法による投資損益」、「その他の収益」、「その他の費用」を戻し入れたものです。当連結会計年度における「無形資産償却費」は1,360億円 (前連結会計年度:1,368億円)、「その他の収益」は328億円 (同:203億円) 、「その他の費用」は724億円 (同:2,358億円) となりました。「その他の収益」として、第3四半期において膵腺がんを対象疾患としたプログラムの開発中止に伴うVYLOYの条件付対価の公正価値の変動 (128億円) 及び第4四半期において米国における過活動膀胱治療剤ミラベグロンの訴訟解決金 (92億円) を計上しました。また、「その他の費用」として、第1四半期において当社の子会社であるXyphos Biosciences, Inc.関連の一部プログラムに関する無形資産の減損損失 (120億円) 及び第4四半期において遺伝子治療薬resamirigene bilparvovec (AT132) の戦略的中断に伴う資産価値の見直しによる無形資産の減損損失 (164億円) を計上しました。 [連結業績 (フルベース) ] (単位:百万円) 前連結会計年度(2025年3月期)当連結会計年度(2026年3月期)増減額(増減率)売上収益1,912,3232,139,245226,922(11.9%)営業利益41,039382,633341,594(832.4%)税引前利益31,237376,587345,351(-)当期利益50,747291,575240,828(474.6%)親会社の所有者に帰属する当期利益50,747291,535240,788(474.5%)基本的1株当たり当期利益 (円)28.35162.77134.42(474.2%) 包括利益48,888449,472400,584(819.4%) <主要製品の売上> (単位:億円) 前連結会計年度(2025年3月期)当連結会計年度(2026年3月期)増減率PADCEV1,6412,21234.8%IZERVAY58377633.2%VYLOY122631415.6%VEOZAH (注)33846637.7%XOSPATA6807185.7%XTANDI9,1239,6085.3% (注) VEOZAH:米国外ではVEOZAの製品名で承認取得 <PADCEV> ・1L mUC (転移性尿路上皮がん患者を対象とした一次治療) の浸透に加え、米国でのシスプラチン不適応のMIBC (筋層浸潤性膀胱がん) における立ち上がりが順調に進んだことから、グローバル売上は大きく増加しました。 <IZERVAY> ・発売している米国において、着実に売上が拡大しました。 <VYLOY> ・Claudin 18検査が大きく浸透したことを背景に、発売しているすべての地域で売上が拡大し、グローバル売上は大きく増加しました。 <VEOZAH> ・米国を中心に、グローバル売上は着実に拡大しました。 <XOSPATA> ・地域ごとの増減はあったものの、グローバル全体の売上は堅調に推移しました。 <XTANDI> ・欧州を中心に米国以外の地域で売上が堅調に拡大し、グローバル売上は増加しました。 <地域別売上収益の状況>地域別の売上収益は下表のとおりです。全ての地域において、売上が増加しました。 (単位:億円) 前連結会計年度(2025年3月期)当連結会計年度(2026年3月期)増減率米国8,6649,4028.5%日本2,6702,8908.2%エスタブリッシュドマーケット4,8545,63616.1%チャイナ7831,01529.6%インターナショナルマーケット2,0352,30713.4% (注) エスタブリッシュドマーケット:欧州、カナダ 等チャイナ:中国、香港インターナショナルマーケット:中南米、中東、アフリカ、東南アジア、南アジア、ロシア、韓国、台湾、オーストラリア、輸出売上 等 [セグメント情報]当社グループは、医薬品事業の単一セグメントのため、記載を省略しています。 ② キャッシュ・フローの状況<営業活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、5,602億円 (前連結会計年度比3,657億円増) となりました。・法人所得税の支払額は986億円 (同131億円増) となりました。 <投資活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、△667億円 (同227億円支出減) となりました。 <財務活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、△4,048億円 (同1,434億円支出増) となりました。・社債及び借入金によるキャッシュ・フローは、2,674億円の支出 (同1,789億円増) となりました。・配当金の支払額は1,361億円 (同71億円増) となりました。 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、2,816億円 (前連結会計年度末比932億円増) となりました。 ③ 生産、受注及び販売の実績1) 生産及び仕入実績当連結会計年度における生産及び仕入実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)金額 (百万円)前連結会計年度比(%)医薬品事業2,133,09495.3合計2,133,09495.3 (注) 金額は、販売価格に基づいています。 2) 受注実績当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。 3) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)金額 (百万円)前連結会計年度比(%)医薬品事業2,139,245111.9合計2,139,245111.9 (注) 主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりです。相手先前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)金額 (百万円)割合 (%)金額 (百万円)割合 (%)McKesson Group291,48515.2312,50814.6Cencora Group271,97414.2307,12314.4 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。また、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報[キャッシュ・フロー]キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しています。 [財務政策]当社グループは、企業価値の持続的向上に努めるとともに、株主還元にも積極的に取り組んでいます。成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。また、自己株式の取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上を図ります。資金の流動性については、コマーシャル・ペーパー及び借入金による資金調達を行い、また流動性リスクに備えるため取引金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、当面の運転資金及び設備資金に加え、一定の戦略的投資機会にも備えられる現預金水準を確保しています。「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループの事業等は医薬品事業に特有のさまざまなリスクを伴っています。事業展開にあたっては、必要資金を円滑にかつ低利で調達できるよう財務基盤の健全性の維持に努めます。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループは、IFRS会計基準に準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定」に記載のとおりです。
事業リスク
- サイバー攻撃の高度化近年、サイバー攻撃は技術的に高度化し、攻撃手法も多様化・巧妙化しています。製薬業界が保有する機密性の高いデータが標的となる可能性があり、サイバー攻撃によって重要なシステムの障害や個人情報を含むデータの漏洩が発生した場合、事業運営の停止、信頼性の低下、多額の損害賠たらす可能性があります。
- 地政学的緊張によるサプライチェーン分断地政学的な不確実性の高まりは、医薬品の製造に必要な原材料の調達や製品の輸送に影響を及ぼす可能性があります。サプライチェーンが分断された場合、製造プロセスの遅延、製品の在庫切れ、患者さんへの医薬品供給の停止、さらには財務上の損失につながるリスクがあります。
- データナショナリズムとプライバシー規制の分断化各国政府が国内で生成されたデータに対する管理を強化する「データナショナリズム」の動きや、独自の個人情報保護規制の策定が進んでいます。これにより、国境を越えたデータ移転が制限されたり、ビジネスプロセスやITシステムの修正が必要になったりする可能性があり、追加費用や業務の複雑化、イノベーションの阻害につながるリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】(1) リスク・ガバナンス当社では、グローバル・リスク&レジリエンス委員会 (GRRC) 及び部門別リスク&レジリエンス委員会を設置し、重要なリスク及びその低減活動の監視を行っています。これらの委員会には監査部門がオブザーバー出席することで、監査計画立案時に、それらのリスクを適宜反映することを可能にしています。GRRCは、トップマネジメントの一部及びリスク関連部門の代表者により構成されています。GRRCにおいて検討されたリスクは、最終的に取締役会へ報告されます。 当社のリスク・ガバナンス体制図は以下のとおりです。 (2) エンタープライズ・リスク管理プロセスエンタープライズ・リスク管理 (ERM) においては、経営企画部門に設置されているリスク管理チームが社内ステークホルダーと連携の下、年次プロセスを進めています。リスク評価はトップダウン及びボトムアップの両面から実施しています。既存のリスク低減活動を加味した上でリスクの影響度及び発生可能性を評価することで、リスク対応における優先順位付けを行っています。リスク・オーナーは、必要に応じリスク・エクスポージャーを更に低減し、レジリエンスを強化するための行動計画を策定します。グローバル・リスク (全社レベルの注視が必要なリスク) は、GRRCにおいて議論し、承認されます。また、GRRCは、エマージング・リスク (当社が把握しているものの、その全容及び影響がまだ明らかではないトレンドから生じる不確実性) のモニタリングも行っています。GRRCでの議論後、特定のエマージング・リスクがグローバル・リスク又は部門リスクとしてリスクレジスターに追加される場合もあります。エンタープライズ・リスク管理プロセスについてはさらなる高度化・効率化のため随時見直しを行っております。2025年度には、内部監査部門によりエンタープライズ・リスク管理プロセスに対する監査を実施しました。 グローバル・リスクの概要は下表のとおりです。なお、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末において判断したものです。また、ここに記載されたものが当社の全てのリスクではありません。これらのリスクに加え、研究開発の不確実性、知的財産権を侵害される又は侵害するリスク、製品に副作用や安全性の問題が生じるリスク、当社グループのビジネスが他社の開発した医薬品のライセンス及び販売に一部依存するリスク等、製薬産業に特有のリスクのほか、競合品との競争、環境・安全衛生に関する関係法令違反、事業を行う過程において訴訟を提起されるリスク、災害等による製造の遅滞や休止、為替レートの変動等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるさまざまなリスクが存在しています。 グローバル・リスクの概要リスク分類背景リスク軽減活動 (例)サイバーセキュリティ***テクノロジーの高度化・AIの利用により、サイバー攻撃はこれまで以上に攻撃手法が多様化・巧妙化しており、製薬業界の持つ重要なデータも攻撃の対象となっています。悪意のある活動によって引き起こされるサイバー攻撃により、重要なテクノロジーシステムの障害や、個人を特定できる情報を含む機密データの侵害・漏洩につながる可能性があります。・米国国立標準研究所サイバーセキュリティフレームワーク (NIST CSF) に基づく情報セキュリティプログラムの設計 (統治、識別、防御、検知、対応、復旧の6機能で構成)・デジタル部門長 (Chief Digital Officer) の監督下で情報セキュリティ責任者 (Chief Information Security Officer) が情報セキュリティプログラムを管理・監督し、エグゼクティブ・コミッティ及び取締役会に定期的に進捗を報告・全社及び部門・役割に特化したフィッシングシミュレーションの定期的実施や、頻繁な啓発キャンペーンなど、情報セキュリティトレーニング及び意識向上に係る活動を広範に実施・既存のサイバーセキュリティ関連規制の遵守継続及び新たな外部規制の積極的なモニタリング・高度かつAIを利用したサイバー攻撃に対応するための最新ツールの導入等、情報セキュリティケイパビリティの深化の継続・情報セキュリティ活動をグローバルに支援するためのオペレーティングモデルの向上米国の薬価政策の変化***米国は、最恵国待遇薬価政策 (米国内の薬価を他の先進国の中で最も薬価が低い国の水準にまで引き下げを目指すもの) の導入を目指しています。このような政策が導入され、当社の製品に適用された場合、当社の米国市場における収益減少につながる可能性をはらむほか、その他の先進国市場における市場戦略にも影響をおよぼす可能性があります。・政策・規制動向のモニタリング・業界団体経由及び政府機関との直接のアドボカシー・最恵国待遇薬価政策が導入された場合、当社戦略製品売上に及ぼしうる金銭的影響の試算データナショナリズム及びプライバシー規制の分断化**現在、各国政府が国内で生成されたデータに対するコントロールを強める「データナショナリズム」の動きが進んでおり、具体的には国外へのデータの移転の禁止又は制限や移転に際する条件の設定等がみられます。また、これまでのグローバルスタンダードには沿わない独自の個人情報保護法令・規制策定の動きもみられます。今後の規制変更次第では、当社は、域外データ移転を前提とするビジネスプロセス・ITシステムを修正する必要がある可能性があります。これらは、追加費用、オペレーション・システムの複雑化、非効率化、イノベーションへの阻害等につながります。・関連規制動向のモニタリング・個人情報保護及びその他のデータガバナンス・デジタル関連規制へのコンプライアンスを確保するための、国・地域別プロジェクトの実施・2025年度は、米国データ安全保障プログラム (DSP: Data Security Program) の要件を運用化するためのコンプライアンスプログラムを実施。具体的には、DSPの影響を受ける事業活動の特定、コンプライアンスプロセスの文書化、従業員トレーニング、必要なプロセスの実施、モニタリング・監査・認証の取得等が含まれる リスク分類背景リスク軽減活動 (例)組織変革**次期中期経営計画の開始に先立ち、患者さんにとっての新たな「価値」を生み出し、届けていくために、当社は複数の組織変革に取り組んでいます。複数の取り組みを同時に実施する際には、相互関係を理解し、調整することが肝要です。こういった調整が不十分なまま組織変革が実行された場合、当社のカルチャーや外部からの評判に影響する可能性があります。・主要な取り組み間の調整を図るための会議体・メカニズムの運営・各種取り組みの随時状況把握を可能にするプラットフォームの提供・組織全体のチェンジマネジメントケイパビリティの構築医薬品関税**1995年のWTO (世界貿易機関) 発足以降、日米欧等のWTO加盟国は医薬品についてはゼロ関税措置を取ってきました。しかし、2026年4月時点で、米国は医薬品及び医薬品原材料に対する関税の導入を発表しました。これらの関税が具体的にどのように実施されるか次第で、当社の原価の増加につながる可能性があります。・複数の関税シナリオに基づき影響分析を実施 ・関税及びその他地政学的リスクの観点も組み込んだグローバルサプライチェーンネットワークの戦略的フレームワークを策定自然災害・異常気象*当社の拠点は地理的に分散しているため、各地における自然災害・気候変動による異常気象の影響を受けます。さらに、中長期的には、気候変動により、極端な気象 (高温、大雨、干ばつ等) の頻度が増加する可能性があります。特に、一般的な緊急時対応計画の範囲を超える破壊的な自然災害や異常気象現象が発生した場合、事業運営の中断、ひいては患者さんへの安定した医薬品供給に影響を及ぼす可能性があります。・事業継続計画体制の継続的な拡充及び訓練の実施・拠点ごとのリスクアセスメントにおける自然災害リスク評価項目の組み込み・気候変動が長期的に当社拠点に及ぼす影響の評価 (2024年度に実施した気候変動による物理的リスク分析の結果、瀋陽工場を高リスクとして特定。2050年における洪水、熱波、降水リスクの増大が潜在的な課題とされた。)AI規制への対応*製薬業界におけるAIの活用進展に伴い、GxP環境でのAIの活用に関し、規制当局がガイダンス等で活用条件を明確化し始めています。当社は現行法規制に基づくAIコンプライアンス体制を確保していますが、今後のこういった規制への進化に対応できるよう、今後も引き続き体制を強化していく必要があります。・責任あるAI原則の制定 (特定のAI利用方法の禁止を含む)・新たなAIプロジェクト実施に際する審査プロセス・上記の一環として、AIリスク評価の実施・GxPにおけるAI活用にかかるシステムバリデーションプロセスの制定 ***カタストロフィック・リスク:顕在化した場合、当社グループ全体に致命的な損害、事業の混乱を引き起こす可能性があるリスク。経営目標、ビジネスモデル、評判又は中核的な事業活動に深刻な影響を及ぼし、混乱させる可能性がある。 **スタンダード・リスク:会社の一部又は全体に多大な損害又は事業の混乱を引き起こす可能性があるリスク。*エマージング・リスク:当社が把握しているものの、その全容及び影響がまだ明らかではないトレンドから生じる不確実性。