事業の概要
- 医療用医薬品製造販売JCRファーマグループは、医療用医薬品、再生医療等製品、医薬品原料の製造、仕入れ、販売を主な事業としています。特に、希少疾病領域に特化した医薬品開発に注力しており、患者さんのQOL向上に貢献しています。
- 再生医療等製品アライドセル株式会社が再生医療等製品の研究開発、製造、販売を担っています。これは、従来の医薬品では治療が困難だった疾患に対し、細胞や組織を用いて治療を行う新しい医療分野であり、将来の成長が期待される領域です。
- グローバル展開JCRインターナショナル・エスエー(市場調査)、JCR USA,インク(治験管理)、JCR ド ブラジル ファーマ(臨床・薬事・開発)、JCRヨーロッパ・ビーブイ(臨床・薬事・開発)など、海外子会社を通じてグローバルに事業を展開し、世界中の患者さんへ医薬品を届けることを目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 医療用医薬品事業JCRファーマグループの主要な事業であり、医療用医薬品の製造、仕入れ、販売を行っています。特に、ヒト成長ホルモン製剤が売上の大部分を占めており、小児成長障害などの治療に貢献しています。
- 再生医療等製品事業アライドセル株式会社が担当しており、再生医療等製品の研究開発、製造、販売を手掛けています。これは、細胞や組織を活用して病気を治療する新しい医療分野であり、将来の成長が期待される事業セグメントです。
- 医薬品開発支援事業連結子会社であるPHC株式会社との共同開発や、JCR USA,インク、JCR ド ブラジル ファーマ、JCRヨーロッパ・ビーブイといった海外子会社が、治験や薬事、開発業務を担っています。これにより、新しい医薬品の創出とグローバル展開を推進しています。
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3【事業の内容】 当社グループは、当社、連結子会社8社、持分法適用関連会社1社およびその他の関係会社1社により構成されております。当社グループが営んでいる主な事業内容およびグループ各社の当該事業における位置付けの概要は、以下のとおりであります。 当社:医療用医薬品、再生医療等製品および医薬品原料の製造、仕入ならびに販売㈱クロマテック:購買業務ならびに医療用・研究用機器の仕入および販売㈱JCRエンジニアリング:設備管理業務JCRインターナショナル・エスエー:市場調査業務JCR USA,インク:治験に関する業務委託の管理監督業務アーマジェン,インク:医薬品の開発、知的財産・ライセンス等の管理JCR ド ブラジル ファーマ:ブラジルにおける臨床オペレーション・薬事・開発業務㈱メディパルホールディングス:医薬品の開発業務提携JCRヨーロッパ・ビーブイ:欧州における臨床オペレーション・薬事・開発業務JCRルクセンブルク・エスエー:医薬品及びその原料の流通管理 アライドセル(株):再生医療等製品の研究開発、製造および販売 以上の事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 医療用医薬品の薬価は健康保険法の規定に基づき厚生労働大臣が定めるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 規制 医薬品等の有効性及び安全性を担保するための様々な法規制、許認可等が必要。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | ディフェンシブ |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:特定製品(ヒト成長ホルモン製剤)への依存 / 研究開発の中止・遅延リスク / 法規制・薬価改定に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 6 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
JCRファーマは、再生医療等製品「テムセル®」や抗体医薬などの開発・製造販売を手掛ける。特に、骨髄移植後の急性GVHD(移植片対宿主病)治療薬「テムセル®」は、日本国内で初めて承認された再生医療等製品であり、その開発・製造ノウハウは強力な無形資産となる。また、新たなバイオ医薬品の研究開発パイプラインも無形資産の源泉となりうる。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
医薬品は、医師や病院が処方を変更する際には、有効性、安全性、コスト、そして慣習といった要因が複合的に影響するため、一定のスイッチングコストが存在する。しかし、新薬の登場やジェネリック医薬品の普及により、乗り換えのハードルが下がるケースもある。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
医薬品開発・販売ビジネスにおいて、直接的なネットワーク効果は限定的である。製品の普及は、臨床データ、医師への情報提供、販売チャネルの広さなどに依存する。
コスト優位★☆☆☆☆
医薬品製造には高度な品質管理と設備投資が必要であり、一般的にコスト競争力で優位を築くのは難しい。ただし、特定の製造技術やスケールメリットによる効率化の可能性はゼロではない。
規模の経済★☆☆☆☆
医薬品業界は研究開発費の高さや規制の厳しさから、一定の規模がないと競争優位を維持しにくい側面がある。JCRファーマは中堅規模であり、大手製薬企業と比較すると規模の経済性は限定的。
- 希少疾病領域特化JCRファーマは、希少疾病領域に特化した医薬品開発を強みとしています。この分野は患者数が少ないため、大手製薬企業が参入しにくい傾向があり、ニッチな市場で高い専門性を発揮することで競争優位性を確立しています。
- 独自の技術基盤J-Brain Cargo®(血液脳関門通過技術)という独自の技術基盤を有しており、これを活用した新薬「イズカーゴ®点滴静注用10mg」を上市しています。この技術は、脳の疾患に対する治療薬開発に大きな可能性を秘めており、今後の成長ドライバーとなることが期待されます。
- グローバル開発体制米国、ブラジル、欧州に子会社を設立し、治験や薬事、開発業務を現地で行う体制を構築しています。これにより、各国の規制や市場ニーズに合わせた迅速な医薬品開発が可能となり、グローバル展開を加速させる強みとなっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
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経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営方針当社は2025年9月に創立50周年を迎えました。当社が社会の中で果たすべき役割を改めて見つめ直すとともに、社員ひとりひとりが共有すべき価値観と行動指針を再定義し、事業や組織の在り方に即した、より具体的な企業理念へと2025年5月に改定いたしました。 企業理念私たちは、希少疾病にとどまらず、最も困難とされる治療の課題に挑戦し、答えを創り出していきます。 価値観(コアバリュー)人すべての起点は、人である。患者さん、ご家族、医療関係者、そしてともに歩む社員。私たちの取り組みは、ひとりひとりの想いに応えることから始まる。独創常識に縛られず、前例にとらわれず。誰にもつくれないものを、自分たちの方法で生み出す。それが、JCRのものづくりの原点にある精神。進化私たちは決して立ち止まらない。常に限界に挑み、研究の力で前へと進み続ける。患者さんとそのご家族の未来のために、歩みを止めない。卓越患者、社員、パートナー。私たちは人のために、最高水準を追求し続ける。「品質」へのこだわりは、私たちの誇りであり、責任でもある。 当社は、「最も困難とされる治療の課題に挑み、答えを創り出していく」という使命のもと、再生医療、遺伝子組換え、遺伝子治療などの先端技術を活用し、日本初・世界初の治療薬の研究開発に取り組み、挑戦を重ねてまいりました。創業50周年という節目の年を迎え、次なるステージへと踏み出すにあたり新たなコーポレートスローガン「Life is Rare」を制定いたしました。かけがえのない命の尊さ、患者さんひとりひとりの存在への敬意、当社が挑む領域の希少性と困難さ、生み出す技術の独自性と他にはない価値を追及する姿勢が込められております。そして、RareはRare Diseaseを指すだけでなく、未解決の医療課題に挑む姿勢を象徴しております。 当社は、2026年4月1日より新しい経営体制に移行いたしました。新たな経営体制のもと、次の50年間においても創立以来50年にわたり培ってきた価値観を基盤として、「最も困難とされる治療の課題に挑み、答えを創り出していく」という使命の実現に邁進いたします。 (2)経営戦略等当社は、2025年度決算において売上高403億19百万円(対前年度比72億47百万円増)、営業利益5億55百万円(前期は62億19百万円の営業損失)を計上いたしました。国内製品売上高は324億46百万円(対前年度比7億90百万円増)は好調に推移し、契約金収入も増加した結果、研究開発費に167億61百万円(前期比13億30百万円増)を要したものの、営業利益は対前年比67億75百万円の増加となりました。 当社は、2023年度に5ヵ年の中期経営計画「Reach Beyond, Together」をスタートいたしました。本計画のもと、独自技術である血液脳関門通過技術「J-Brain CargoⓇ」を適用したライソゾーム病治療薬を一日でも早く患者さんの元に届けるため、これまで経験したことのない挑戦を続けてまいりました。 研究開発、特に海外での臨床開発の推進、あるいは生産活動の拡充のため、体制の整備と、人員の拡充をおこなってまいりました。グループ全体の社員数は2025年3月末から2人減少し、2026年3月末には985人となりました。海外での開発体制の整備と積極的な開発活動により、JR-141のグローバル臨床第3相試験は被験者の登録を想定より前倒しで完了し、現在、グローバルでの製造販売承認申請に向けた活動に邁進しております。また、JR-141以外にも「J-Brain CargoⓇ」を適用した血液脳関門通過型の酵素補充療法(JR-171、JR-441、JR-446、JR-471、JR-479)の研究開発を進めており、複数の品目について近い将来の臨床試験入りを計画しております。研究領域では、従来の遺伝子治療の課題解決につながる「J-Brain CargoⓇ」を応用した新たな遺伝子治療技術「JUST-AAV」について、脳指向性に加え筋指向性を高め、かつ肝指向性を劇的に減少させる技術革新を実現し、新たな価値の創出に向けた取り組みを進めております。創出された新たな技術、研究品目の導出活動を積極的に進めた結果、2025年度には複数の製薬会社とのライセンス契約を締結いたしました。さらに、生産領域では、2021年のワクチン原薬の製造受託を契機として、当社の生産技術・ノウハウを活用した製造受託事業の可能性を見出しており、2025年7月には経済産業省の「再生・細胞医療・遺伝子治療製造設備支援事業費補助金」の対象に採択されました。また、2025年2月から着工した新製剤工場(経済産業省「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」に採択)については2026年度中の竣工に向けて順調に進捗しております。営業領域では、2023年度に競合他社の供給問題を機に拡大した、「グロウジェクトⓇ」の売上高は、今期もトップのマーケットシェアを維持しております。「イズカーゴⓇ」については、エビデンスの積上げと情報提供活動に全社を挙げて取り組んだ結果、売上は拡大を続けております。 当社は国内製品の売上と外部企業への導出契約等による契約金収入によって、将来に向けて積極的な成長投資を続けております。一方で、成長投資の原資を製品売上のみならず契約金収入に依存する損益構造をより安定したものに変革すべく、取り組んでおります。2025年度は、その一環としてデュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬であるGivinostatの国内導入契約を締結いたしました。2028年までの承認取得向け準備を進めてまいります。また、日本の製造販売承認を生かした海外企業への製品導出活動に着手いたしました。2025年10月には、アガルシダーゼベータBS点滴静注「JCR」について中東・トルコ・北アフリカの9か国における開発・販売権を許諾する契約を締結いたしました。 現在、我が国では国民に最新の医薬品を迅速に届けるため、創薬力の向上をはじめとした積極的な議論がなされております。また、米国では規制環境に大きな変化が起こりつつあります。当社はバイオ医薬品技術、遺伝子治療技術を有する数少ない日本企業のひとつとして、国内外の政策、規制環境の方向性を見極めつつ、独自の基盤技術とそれを応用した画期的な医薬品を我が国から世界に展開できるよう、中長期的な国内事業基盤の強化を優先課題とし、安定性を備えた事業展開を行ってまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営方針当社は2025年9月に創立50周年を迎えました。当社が社会の中で果たすべき役割を改めて見つめ直すとともに、社員ひとりひとりが共有すべき価値観と行動指針を再定義し、事業や組織の在り方に即した、より具体的な企業理念へと2025年5月に改定いたしました。 企業理念私たちは、希少疾病にとどまらず、最も困難とされる治療の課題に挑戦し、答えを創り出していきます。 価値観(コアバリュー)人すべての起点は、人である。患者さん、ご家族、医療関係者、そしてともに歩む社員。私たちの取り組みは、ひとりひとりの想いに応えることから始まる。独創常識に縛られず、前例にとらわれず。誰にもつくれないものを、自分たちの方法で生み出す。それが、JCRのものづくりの原点にある精神。進化私たちは決して立ち止まらない。常に限界に挑み、研究の力で前へと進み続ける。患者さんとそのご家族の未来のために、歩みを止めない。卓越患者、社員、パートナー。私たちは人のために、最高水準を追求し続ける。「品質」へのこだわりは、私たちの誇りであり、責任でもある。 当社は、「最も困難とされる治療の課題に挑み、答えを創り出していく」という使命のもと、再生医療、遺伝子組換え、遺伝子治療などの先端技術を活用し、日本初・世界初の治療薬の研究開発に取り組み、挑戦を重ねてまいりました。創業50周年という節目の年を迎え、次なるステージへと踏み出すにあたり新たなコーポレートスローガン「Life is Rare」を制定いたしました。かけがえのない命の尊さ、患者さんひとりひとりの存在への敬意、当社が挑む領域の希少性と困難さ、生み出す技術の独自性と他にはない価値を追及する姿勢が込められております。そして、RareはRare Diseaseを指すだけでなく、未解決の医療課題に挑む姿勢を象徴しております。 当社は、2026年4月1日より新しい経営体制に移行いたしました。新たな経営体制のもと、次の50年間においても創立以来50年にわたり培ってきた価値観を基盤として、「最も困難とされる治療の課題に挑み、答えを創り出していく」という使命の実現に邁進いたします。 (2)経営戦略等当社は、2025年度決算において売上高403億19百万円(対前年度比72億47百万円増)、営業利益5億55百万円(前期は62億19百万円の営業損失)を計上いたしました。国内製品売上高は324億46百万円(対前年度比7億90百万円増)は好調に推移し、契約金収入も増加した結果、研究開発費に167億61百万円(前期比13億30百万円増)を要したものの、営業利益は対前年比67億75百万円の増加となりました。 当社は、2023年度に5ヵ年の中期経営計画「Reach Beyond, Together」をスタートいたしました。本計画のもと、独自技術である血液脳関門通過技術「J-Brain CargoⓇ」を適用したライソゾーム病治療薬を一日でも早く患者さんの元に届けるため、これまで経験したことのない挑戦を続けてまいりました。 研究開発、特に海外での臨床開発の推進、あるいは生産活動の拡充のため、体制の整備と、人員の拡充をおこなってまいりました。グループ全体の社員数は2025年3月末から2人減少し、2026年3月末には985人となりました。海外での開発体制の整備と積極的な開発活動により、JR-141のグローバル臨床第3相試験は被験者の登録を想定より前倒しで完了し、現在、グローバルでの製造販売承認申請に向けた活動に邁進しております。また、JR-141以外にも「J-Brain CargoⓇ」を適用した血液脳関門通過型の酵素補充療法(JR-171、JR-441、JR-446、JR-471、JR-479)の研究開発を進めており、複数の品目について近い将来の臨床試験入りを計画しております。研究領域では、従来の遺伝子治療の課題解決につながる「J-Brain CargoⓇ」を応用した新たな遺伝子治療技術「JUST-AAV」について、脳指向性に加え筋指向性を高め、かつ肝指向性を劇的に減少させる技術革新を実現し、新たな価値の創出に向けた取り組みを進めております。創出された新たな技術、研究品目の導出活動を積極的に進めた結果、2025年度には複数の製薬会社とのライセンス契約を締結いたしました。さらに、生産領域では、2021年のワクチン原薬の製造受託を契機として、当社の生産技術・ノウハウを活用した製造受託事業の可能性を見出しており、2025年7月には経済産業省の「再生・細胞医療・遺伝子治療製造設備支援事業費補助金」の対象に採択されました。また、2025年2月から着工した新製剤工場(経済産業省「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」に採択)については2026年度中の竣工に向けて順調に進捗しております。営業領域では、2023年度に競合他社の供給問題を機に拡大した、「グロウジェクトⓇ」の売上高は、今期もトップのマーケットシェアを維持しております。「イズカーゴⓇ」については、エビデンスの積上げと情報提供活動に全社を挙げて取り組んだ結果、売上は拡大を続けております。 当社は国内製品の売上と外部企業への導出契約等による契約金収入によって、将来に向けて積極的な成長投資を続けております。一方で、成長投資の原資を製品売上のみならず契約金収入に依存する損益構造をより安定したものに変革すべく、取り組んでおります。2025年度は、その一環としてデュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬であるGivinostatの国内導入契約を締結いたしました。2028年までの承認取得向け準備を進めてまいります。また、日本の製造販売承認を生かした海外企業への製品導出活動に着手いたしました。2025年10月には、アガルシダーゼベータBS点滴静注「JCR」について中東・トルコ・北アフリカの9か国における開発・販売権を許諾する契約を締結いたしました。 現在、我が国では国民に最新の医薬品を迅速に届けるため、創薬力の向上をはじめとした積極的な議論がなされております。また、米国では規制環境に大きな変化が起こりつつあります。当社はバイオ医薬品技術、遺伝子治療技術を有する数少ない日本企業のひとつとして、国内外の政策、規制環境の方向性を見極めつつ、独自の基盤技術とそれを応用した画期的な医薬品を我が国から世界に展開できるよう、中長期的な国内事業基盤の強化を優先課題とし、安定性を備えた事業展開を行ってまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要① 当期の経営成績売上高は403億19百万円(前期比21.9%増)となりました。ムコ多糖症Ⅱ型治療剤「イズカーゴ®点滴静注用10mg」は好調に推移しました。遺伝子組換え天然型ヒト成長ホルモン製剤「グロウジェクト®」が2025年4月の薬価改定の影響があり減収となりましたが、製品売上は好調に推移し、契約金収入も増加した結果、前年同期に比べて増収となりました。また、積極的な研究開発活動に加えて、デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬Givinostatの日本における開発および商業化についての独占的ライセンス権をItalfarmaco社から取得したことに伴う契約一時金計上の結果、研究開発費は8.6%増加し167億61百万円(前期比13億30百万円増)となりました。これらの結果、営業利益は5億55百万円(前期は62億19百万円の営業損失)、経常利益は11億65百万円(前期は70億46百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億78百万円(前期は44億60百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)を計上しております。 前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)増減金額(百万円)金額(百万円)%売上高33,07240,31921.9営業利益又は営業損失(△)△6,219555-経常利益又は経常損失(△)△7,0461,165-親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)△4,4602,178-営業利益の増減は以下のとおりであります。・契約金収入の増加等による売上高の増加 7,247百万円・売上原価の減少 767百万円・販売費・一般管理費の減少 90百万円・研究開発費の増加 △1,330百万円 ② 主要な売上 前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)増減金額(百万円)金額(百万円)%ヒト成長ホルモン製剤 グロウジェクト®18,09817,933△0.9ムコ多糖症Ⅱ型治療剤 イズカーゴ®点滴静注用5,7186,76618.3腎性貧血治療薬 エポエチンアルファBS注「JCR」 ダルベポエチンアルファBS注「JCR」3,7841,6902,0933,6221,1212,501△4.3△33.719.5再生医療等製品 テムセル®HS注2,9042,831△2.5ファブリー病治療薬 アガルシダーゼベータBS点滴静注「JCR」1,1491,29212.4製品計31,65532,4462.5契約金収入5175,549972.8 ③ 研究開発の状況[ライソゾーム病治療薬]・当社では現在、17種類を超えるライソゾーム病治療薬について、独自の血液脳関門通過技術「J-Brain Cargo®」を適用した新薬の研究開発に重点的に取り組んでおります。 ・血液脳関門通過型ハンター症候群治療酵素製剤パビナフスプ アルファ(開発番号:JR-141)については、現在、グローバル臨床第3相試験を実施しております。試験の進捗は順調であり、目標症例数の組入れを達成いたしました。また、新薬承認申請の戦略について協議をするため、2025年6月に米国食品医薬品局(FDA)とミーティングを行いました。 ・血液脳関門通過型ムコ多糖症Ⅰ型治療酵素製剤lepunafusp alfa(開発番号:JR-171)については、日本・ブラジル・米国での13週間の臨床第1/2相試験およびその継続試験を完了いたしました。当該品目については、自社開発ではなくライセンスアウトにより開発を進める方針であり、パートナー候補との導出交渉を進めております。 ・血液脳関門通過型ムコ多糖症ⅢA型治療酵素製剤posnafusp alfa(開発番号:JR-441)については、ドイツにて臨床第1/2相試験が進行中であり、予定していた症例登録を完了いたしました。日本で実施中の臨床第1相試験についても、目標症例数の登録を完了し、試験は順調に進捗しております。なお、2022年1月に欧州委員会(EC)より、2023年12月にFDAより、そして2024年12月に厚生労働省より、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定を受けております。 ・血液脳関門通過型ムコ多糖症ⅢB型治療酵素製剤(開発番号:JR-446)については、2023年9月に株式会社メディパルホールディングスと、海外における事業化についての実施許諾契約および日本における共同開発・商業化契約を締結いたしました。2024年12月に日本国内において臨床第1/2相試験での治験薬投与が開始されました。また、2025年4月にはFDAより、2025年6月にはECより、そして2025年9月に厚生労働省より、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定を受けております。 ・J-Brain Cargo®を適用したその他の開発品目であるフコシドーシス治療薬候補(開発番号:JR-471)については、2022年10月に締結した実施許諾契約に基づき、株式会社メディパルホールディングスに対し、日本を除く全世界における研究・開発、製造および販売などの事業化に関する再実施許諾権付の独占的実施権を許諾いたしました。現在、当該疾患の自然歴データを収集する目的で臨床研究が行われています。さらに2025年8月には、同社との間で、GM2ガングリオシドーシスに対する治療薬候補(開発番号:JR-479)の海外における事業化についての実施許諾契約および日本における共同開発・商業化契約を締結いたしました。 [ヒト成長ホルモン製剤]・長時間作用型遺伝子組換えヒト成長ホルモン製剤redalsomatropin alfa(開発番号:JR-142)については、日本国内において臨床第3相試験を実施中であり、患者登録を完了しました。なお、臨床第2相試験の継続試験は引き続き実施中であります。・販売中の製品「グロウジェクト®」について、小児成長ホルモン分泌不全性低身長症患者を対象とした臨床第3相用量比較試験を日本国内において開始しました。これは、同疾患に対する日本と海外との用法用量のギャップを埋めることで、日本における成長ホルモン治療後の最終身長のさらなる改善や生活の質向上を期待するものです。 [デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬]・当社は2025年12月にデュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬Givinostat(欧米での販売名:Duvyzat®)の日本における開発および商業化についての独占的ライセンス権をItalfarmaco社から取得いたしました。日本における早期の承認取得を目指して本薬の開発計画を検討中であります。 [基盤技術の創出]J-Brain Cargo®・JCR独自の血液脳関門通過技術「J-Brain Cargo®」について、様々なモダリティへの応用可能性を広げる研究を進めるほか、技術の導出に注力しております。2025年7月、血液脳関門通過型アルツハイマー病治療薬の開発を目指して、Acumen Pharmaceuticals社へのJ-Brain Cargo®技術導出に関するライセンスのオプション契約を締結いたしました。JUST-AAV・J-Brain Cargo®技術に続く新たな基盤技術の創出に注力しており、その成果のひとつとして、アデノ随伴ウイルスベクターを用いた新しい遺伝子治療技術「JUST-AAV」を創出いたしました。特定の組織へと効率的にベクターを送達できるだけではなく、肝臓へのベクターの集積を低減することで副作用の軽減も期待され、新たなプラットフォーム技術として開発を進めております。この技術に関連して、2023年12月より株式会社モダリスと本技術を用いた新規遺伝子治療の開発に向けた共同研究を開始し、2025年1月に本共同研究において初期の技術コンセプトの検証を達成したため、新たな共同研究契約を締結いたしました。また、2025年7月に新規遺伝子治療用製品の開発を目的として、アレクシオン・アストラゼネカ・レアディジーズ社にJUST-AAV技術を導出するライセンス契約を締結いたしました。 [その他]・2025年12月に、Italfarmaco社と希少疾病治療薬についての戦略的提携についての契約を締結いたしました。これにより、両社のポートフォリオの拡充を目指すとともに、当社の研究開発パイプラインおよび基盤技術における共同の機会を探求いたします。・バイオ医薬品の研究開発および基盤技術の創出を促進するため、神戸医療産業都市のクリエイティブラボ神戸内に新たな研究拠点「先進バイオ医薬研究所」を設置しました(2026年4月1日付で稼働)。 ④ キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ8億11百万円増加して140億7百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況および主な要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動に使用した資金は、1億35百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益32億24百万円、減価償却費の計上額25億57百万円があった一方で、売上債権19億27百万円、助成金収入18億82百万円、棚卸資産18億53百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動に使用した資金は、125億4百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得114億27百万円などによるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動で得られた資金は、133億5百万円となりました。これは主に、短期借入金の純増額150億87百万円、配当金の支払24億41百万円によるものであります。 ⑤ 生産、受注及び販売の実績(1)生産実績 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)生産高(百万円)前年同期比(%)医薬品事業34,157100.1合計34,157100.1(注) 金額は販売価格により表示しております。 (2)受注実績 当社グループは見込生産によっており、受注生産は行っておりません。 (3)販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)販売高(百万円)前年同期比(%)医薬品事業40,319121.9合計40,319121.9(注) 主な相手先別の販売実績およびそれぞれの総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)株式会社メディパルホールディングス(注)20,80062.925,68163.7キッセイ薬品工業株式会社3,87111.73,6659.1(注)売上高には、当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する売上高を含めております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、棚卸資産、有価証券、特許権、貸倒引当金、退職給付に係る負債および繰延税金資産などについて、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」および「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に記載のとおり、資産・負債および収益・費用の数値に影響を与える見積りおよび判断を行っております。従いまして、実際の結果は、見積りの不確実性により異なる場合があります。 ② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容・財政状態 当連結会計年度末における資産合計は1,092億36百万円(前連結会計年度末比43億86百万円増)、負債合計は618億77百万円(前連結会計年度末比47億62百万円増)、純資産合計は473億59百万円(前連結会計年度末比3億75百万円減)となりました。 流動資産は、売掛金及び契約資産および棚卸資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ45億88百万円増加して560億76百万円となりました。固定資産につきましては、新製剤工場建設に伴う建設仮勘定等の有形固定資産が増加した一方で、神戸サイエンスパークセンター補助金確定の圧縮記帳に伴い有形固定資産が減少したことや投資有価証券が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ2億1百万円減少して531億60百万円となりました。 流動負債は、圧縮未決算勘定が減少した一方で、短期借入金および未払法人税等が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ44億52百万円増加して481億35百万円となりました。固定負債は、長期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ3億9百万円増加して137億41百万円となりました。 純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益を計上した一方で、配当金の支払やその他有価証券評価差額金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ3億75百万円減少して473億59百万円となりました。 これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.2ポイント低下して42.9%となりました。 当社グループがグローバルで持続的な成長を行うため、機動的かつ安定的に資金調達手段を確保する必要があり、各金融機関との間で、バックアップラインとして運転資金を確保する事を目的として、総額495億円のコミットメントライン契約を締結しております。 なお、このうち265億円については、新製剤工場の建設に関する資金調達のために締結したものであります。この新製剤工場の建設は、経済産業省「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」に採択されており、同事業における補助金を用いて当該建設を行いますが、当コミットメントライン契約につきましては、補助金受領までの必要資金に充当することを目的としたものであります。 ・経営成績売上高は前連結会計年度に比べ72億47百万円(21.9%)増加して403億19百万円となりました。主力製品であるヒト成長ホルモン製剤「グロウジェクト®」につきましては、薬価改定の影響はありましたが販売数量が増加したことにより、前期比1億64百万円(0.9%)の減収となりました。2027年3月期につきましては、減収を見込んでおります。「イズカーゴ®点滴静注用10mg」につきましては、販売開始以降順調に市場への浸透が進んでおり、前期比10億47百万円(18.3%)の増収となりました。2027年3月期につきましても、引き続き増収を見込んでおります。腎性貧血治療薬につきましては、短期型腎性貧血治療薬「エポエチンアルファBS注JCR」・持続型腎性貧血治療薬「ダルベポエチンアルファBS注JCR」の売上高は、腎性貧血治療薬合計で36億22百万円(前期比162百万円・4.3%)の減収となりました。2027年3月期につきましても、減収を見込んでおります。再生医療等製品「テムセル®HS注」につきましては、前期比73百万円(2.5%)の減収となりました。2027年3月期につきましても、減収を見込んでおります。国産初のライソゾーム病治療薬であるファブリー病治療薬「アガルシダーゼベータBS点滴静注JCR」につきましては、前期比1億42百万円(12.4%)の増収となりました。2027年3月期につきましては、減収を見込んでおります。契約金収入につきましては、前期比50億32百万円(972.8%)の増収となりました。2027年3月期につきましては、新たな契約締結を計画しており増収となる見込みです。なお、売上高合計としましては、契約金収入が増加する影響により増加する見込みです。研究開発費につきましては、167億61百万円と前期比13億30百万円(8.6%)の増加となりました。研究開発活動につきましては、将来のさらなる飛躍に向けた重要な位置づけと捉え、ここ数年間は積極的な投資に取り組んでおり、2027年3月期につきましては193億円(当期比15.1%増・対売上高比42.2%)の研究開発費を見込んでおります。その結果、営業利益は11億円、経常利益は5億円、親会社株主に帰属する当期純利益は2億円を見込んでおります。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報a.当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。b.当社グループの資本の財源および資金の流動性・資金需要の主な内容当社グループにおきましては、原材料等の仕入れ、研究開発費、人件費および販売費などの運転資金、ならびに生産および研究開発を目的とする設備投資に主たる資金需要が生じます。なお、研究開発費につきましては、将来のさらなる飛躍に向けた重要な位置づけと捉え、ここ数年間は積極的な投資を見込んでおります。また、株主還元についても、経営上の重要な施策の一つとして位置づけております。剰余金の配当等につきましては、将来の利益の源泉となる新薬開発や経営体質強化のための内部留保を確保しつつ、業績およびキャッシュ・フローの状況を勘案しながら継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としており、ご期待に応える株主還元と財務の健全性のバランスを重視し、配当性向につきましては30%を目安としております。・資金調達これらの資金需要に対しましては、営業活動によるキャッシュ・フローからの充当を基本とし、不足する場合は金融機関からの借入金による調達を実施しております。当連結会計年度末時点の現金及び現金同等物残高は140億7百万円となっており、事業遂行に必要な資金を十分確保しております。また、当社グループがグローバルで持続的な成長を行うために、機動的かつ安定的に資金調達手段を確保する必要があり、各金融機関との間でバックアップラインとして運転資金を確保する事を目的として、当連結会計年度に総額495億円のコミットメントライン契約を締結しております。なお、このうち265億円については、新製剤工場の建設に関する資金調達のために締結したものであります。この新製剤工場の建設は、経済産業省「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」に採択されており、同事業における補助金を用いて当該建設を行いますが、当コミットメントライン契約につきましては、補助金受領までの必要資金に充当することを目的としたものであります。
事業リスク
- 特定製品への依存売上高の54.7%をヒト成長ホルモン製剤が占めており、この製品への依存度が高いことがリスクです。少子化による市場縮小や競合品の参入により、将来的に売上が減少する可能性があります。新しい技術を用いた製品開発で依存脱却を目指しています。
- コンプライアンス違反医薬品産業は厳格な法規制を受けており、社会規範や企業倫理に反する行為があった場合、社会的信用を失い、業績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。社内委員会や研修を通じて法令遵守を徹底していますが、リスクは存在します。
- 研究開発の不確実性医薬品開発は、有効性と安全性の厳格な審査を経て承認されるため、研究開発の中止や遅延のリスクが常に伴います。これにより、多額の研究開発費が回収できず、期待される収益が得られない場合、業績に大きな影響を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】当社グループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載いたします。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、提出日現在における状況の変化につきましては、末尾に記載しております。 (1)コンプライアンスに関するリスク医薬品産業等は、医薬品等の有効性及び安全性を担保するために様々な法規制を受けております。さらに、法規制の範囲に限らず、製薬企業が高い倫理観を以て事業活動にあたることが重要であります。当社グループでは、社内規範と企業倫理に沿った経営並びに法令遵守のためコンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス行動基準の制定と従業員へのハンドブックの配布、および研修を通じてコンプライアンス周知・啓発を行っております。加えて、薬機法に基づく法令遵守ガイドラインが施行されており、当社はその体制として、法令遵守担当取締役を含む責任役員を選任したほか社内研修等を実施しております。しかしながら、社会規範あるいは企業倫理に反する行為が認められ、社会的信用が失墜することにより、結果的に当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を受ける可能性があります。 (2)特定製品への依存のリスク当社グループの販売品目のうち、ヒト成長ホルモン製剤の売上高が総売上高に占める割合は、当連結会計年度において44.5%になります。ヒト成長ホルモンは主に小児成長障害に使用される医薬品であることから、日本国内における少子化の影響を受けます。市場統計によれば、ヒト成長ホルモン市場は各社の新たな適応追加や疾患啓発活動の結果、これまでのところ拡大を続けてきましたが、将来的には減少に転じる可能性が高いと認識しております。また、ヒト成長ホルモン市場における競合品として持続性製剤の参入もあり、当社品シェアへの影響も想定されます。したがって、これらの不確定要因が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、本製剤は当社グループとPHC株式会社で共同開発した専用注入器グロウジェクター®Lを使用しなければ、自己注射することができません。グロウジェクター®LはPHC株式会社が製造し、同社とはリスク管理も含めた契約を締結しており、繰り返し使用できる機器(耐用年数3年)であることから、同社の生産に支障を生じた場合であっても、業績への影響は低いと認識しております。ただし、長期に渡り支障を生じた場合は、新規患者の獲得や機器の更新が滞り、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、J-Brain Cargo®(血液脳関門通過技術)を用いた新薬「イズカーゴ®点滴静注用10mg」を2021年5月に薬価基準収載し、上市後の年間売上高は伸長しております。当製品については、海外における上市を計画しております。さらに、イズカーゴ®に引き続き、J-Brain Cargo®技術を基盤とした複数の研究開発を着実に進捗させ、ヒト成長ホルモン製剤への依存状態から脱却することを目指しております。 (3)安定供給・設備投資に関するリスク当社グループでは、国民皆保険制度の下、全国の患者さんに平等かつ安定的に医薬品を供給する責務があると認識しております。そのため、供給不安のリスク対策として、製造に必要な資材及び原料確保状況を定期的に確認し、それら供給元の事業状況を把握しつつ、可能な限りダブルソース化を図っております。また、GLPやGMP等のガイドラインを遵守するなど、品質保証体制を徹底しております。しかしながら、当社グループの製造施設等や原材料供給元において、技術的もしくは法規制上の問題、大規模災害による影響、国際紛争による政治的混乱等が発生することにより、製品の安定供給に支障が発生する可能性があります。特に、昨今の新型コロナウイルス感染症等の新たな脅威や、ロシア・ウクライナ情勢、米国の政権交代による関税政策およびこれに伴う為替変動等の状況によって、世界的に天然資源、建材、電子部品等の供給不足の影響があるなか、今後、新規施設建設計画や研究・生産機器等の発注納期について、影響を受ける可能性は否定できません。その動向によっては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (4)法規制に関するリスク当社グループの事業は、関連法規の厳格な規制を受けており、各事業活動の遂行に際して種々の許認可等を受けております。これらの許認可等を受けるための諸条件および関連法令の遵守に努めており、現時点においては当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかしながら、法令違反等によりその許認可等が取り消しとなる場合等には、規制の対象となる製商品の回収、または製造ならびに販売を中止することを求められる場合もあり、これらにより当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが取り扱う医療用医薬品の薬価は、医療制度が国民皆保険を前提としていることから、健康保険法の規定に基づき、厚生労働大臣の定める薬価基準収載価格とされております。薬価基準の改定頻度が高まることや、競合品との競争激化など、薬価改定による売上低下のリスクが存在しております。当社は、製品固有の価格リスクを継続的に評価し、製品価値に見合った仕切価の設定を行うなど、対応を行っております。(5)研究開発に係るリスク当社グループは、希少疾病領域での積極的な研究開発活動に取り組んでおりますが、医薬品は所轄官庁の定めた有効性と安全性に関する厳格な審査により承認されてはじめて上市することが可能となります。したがって、研究開発の途上において、当該開発品の有効性もしくは安全性が承認に必要とされる基準を満たさない懸念があることが判明し、研究開発の中止もしくは遅延を要する場合は、研究開発費の回収や期待される収益の確保が困難もしくは遅延するリスクがあります。そのような場合は当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの売上高は、主に医薬品・医療機器・再生医療等製品の製造販売の他、技術ライセンスに基づく契約金収入により構成されております。また、これら契約金収入は、営業利益等の各利益に大きな影響を及ぼすことがあります。したがって、パイプラインの研究開発に中止・遅延を要する事象が発生した場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 (6)グローバル展開に向けた活動のリスク当社グループでは、J-Brain Cargo®という技術基盤を活用し、希少疾病を適応とした革新的医薬品を提供することで、グローバルスペシャリティーファーマを目指しております。しかしながら、各国固有の法規制・特許・医療制度等において事業展開のリスクが異なり、想定外の事態が発生することで、事業の進捗や提携先の企業から得られるロイヤルティの見込み時期もしくは有無に変動が生じるリスクがあり、この規模によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (7)競合品に係るリスク当社グループの製品およびパイプラインには、いずれも競合となりうる他社の開発品目が存在いたします。これら競合品目の開発が進捗し、発売された場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 (8)人的リソースに係るリスク近年の売上高の増加と研究開発の進捗に伴い研究開発部門、生産部門を中心に人的リソースを拡充しております。今後も複数のパイプラインのグローバル臨床試験、上市を見込んでいることから、引き続き人的リソースの拡大傾向が継続するものと認識しております。近年では、グローバル経験のある人材の確保に取り組み、さらにグローバルに活躍できる人材の教育計画を立案するなど、将来のJCRを牽引する人材を育む取り組みを進めております。しかしながら、人材の採用が困難になる場合あるいは離職率が上昇する場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (9)副作用の発現リスク現在のパイプラインには、人体にとっては未知の物質に相当する融合たんぱく質であるものが含まれております。新規医薬品では、未知の副作用の発生は常にリスクとして認識すべきものと考えられます。また一般的に、人体は未知の物質に対して抗原抗体反応により体内より排除する機構を持っていることから、これらの薬物が抗原抗体反応を惹起することにより、好ましくない副作用の発現リスクが存在いたします。現在までの臨床試験において、特段留意が必要なリスクは顕在化しておりませんが、今後、長期に投与した際に看過できない副作用が発現した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (10)知的財産権の侵害リスク当社グループの血液脳関門通過技術については、競争力のある形で知的財産権の確保に努めております。2020年に米国ArmaGen社を買収することで、米国等におけるJ-Brain Cargo®(血液脳関門通過技術)に関する知的財産権を取得したため、現段階において当該技術に関して他社の知的財産権を侵害するリスクは低いものと判断しております。しかしながら、血液脳関門通過技術を有した他社製品が開発されている状況にあり、将来において知的財産権を巡る訴訟が起こる場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (11)訴訟に関するリスク当社グループは製造物責任(PL)関連、独占禁止法関連、環境関連やその他に関して訴訟を提起される可能性があります。これらの訴訟に対応すべく、損害保険への加入等のリスク対策を講じておりますが、訴訟が発生した場合、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を与える可能性があります。 (12)自然災害に係るリスク当社グループの製品に係る原薬、製剤工場は神戸市西区に集中しております。地震、風水害には強い立地条件ではあるものの、大規模停電、想定を超える事象が発生した場合は一定期間操業できなくなることで当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (13)筆頭株主との関係当社グループは、筆頭株主である株式会社メディパルホールディングスとの間で、複数のパイプラインに関する開発投資契約等を締結しており、今後、両社が出資し米国に設立した合弁会社を通じて各種医薬品候補物質の臨床開発を行うほか、2022年には超希少疾病に対するグローバル事業化の独占的交渉権の付与、およびフコシドーシス治療薬の事業化についての実施許諾契約を締結するなど広範囲な業務提携をおこなっております。当社グループは、同社との戦略的提携関係を維持し、両社の更なる企業価値の向上に努める所存でありますが、何らかの理由により同社との戦略的提携に変更があった場合、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を与える可能性があります。 (14)金融市況の影響について株式市況、為替相場および金利の動向によっては、保有する有価証券等の時価の下落、原材料等の輸入価格上昇、退職給付債務および支払利息の増加等、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を受ける可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の影響により社会情勢が大きく変化する可能性を加味し、運転資金を確保することを目的として、2020年4月にバックアップラインとして各金融機関との間で、既存の当座借越枠に加え、コミットメントライン契約を締結しております。 上記のほか、環境保全上の問題の発生、製品を取り巻く環境の変化、ライセンスまたは提携の解消、システム障害および情報流出等、様々なリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループの全てのリスクではありません。