有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 中期経営計画(2023~2025年度)の振り返り中期経営計画(2023~2025年度)では、エネルギーと素材の安定供給の使命を果たしながら、事業構造改革投資と人的資本投資の両輪により、事業ポートフォリオの転換を推進してきました。事業構造改革投資においては、既存事業の収益力強化で着実な成果を上げ、2025年度での営業利益及び持分法投資損益に加え、ROE(自己資本利益率)でも、計画時に掲げた目標水準を達成しました。一方、原油価格の変動等、一過性の外部要因による押し上げ影響も大きく、安定的な収益基盤の構築と更なる資本効率の向上は今後の課題であると認識しています。また、2050年のCN・循環型社会に向けた事業ポートフォリオの転換においては、「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」「スマートよろずや」の3つの事業領域を定め、社会実装に向けて着実に前進してきました。脱炭素に向けた社会的な動きが変化する中においても、ブルーアンモニアやSAF(持続可能な航空燃料)の事業化検討、リチウム固体電解質のパイロット装置建設に関する意思決定、使用済みプラスチックの油化設備の完工、モビリティサービスに特化した「apolloONE」の展開など、社会や顧客のニーズに応じたソリューション提供に向けた準備を着実に進めています。 (2) 経営環境の認識近年、当社グループを取り巻く経営環境は、地政学的リスクの顕在化、エネルギー政策の揺り戻し、新興国の台頭など、大きな構造変化の局面にあります。足元では、中東産油国の情勢悪化により、原油調達のみならず製造・販売を含むサプライチェーン全体において、当社グループの事業に大きな影響が生じています。こうした状況に限らず、地政学的リスクが一層高まる中、対応力を強化していくことは、今日の企業経営において不可欠な要素となっています。一方、欧米を中心に進んできた脱炭素政策については、エネルギー安全保障や経済合理性の観点から、化石燃料の役割を再評価する動きも見られます。このように政策動向は一様ではなく、エネルギー転換の進展は、より複線的な時間軸で進むものと認識しています。また、グローバルサウスの台頭により国際秩序にも変化の兆しが見られる中、成長市場においては、エネルギーの安定供給を確保するとともに、現地ニーズに即した事業展開が一層求められています。以上のような不確実性の高い経営環境において、エネルギーの安定供給という社会的使命を果たしつつ、当社の持続的成長を実現するためには、環境変化への対応を念頭においた戦略構築・実行プロセスが重要であると認識しています。 (3) 中期経営計画(2026~2030年度)① 中期経営計画の骨子中期経営計画(2026~2030年度)では、2030年ビジョン「責任ある変革者」のもと、事業戦略「GRIT」「GROWTH」「CNX」と、人財戦略である「全ての社員を変革の主役に」「もっと共創&イノベーションを」を両輪とし、これらを支えるビジネスプラットフォームの強靭化を柱に取り組んでいきます。これらの戦略を着実に推進することで、2030年度の財務目標としてROE13%やROIC7%の達成を目指すとともに、これまで以上の企業価値向上に努めていきます。 ② 事業戦略方針事業戦略のリバランスを行い、より実践的な取り組みにより「稼ぐ力」を強化することで、中長期的な成長の実現を目指していきます。事業戦略は『GRIT:既存事業の深化』『GROWTH:成長事業の創出』『CNX:低/脱炭素事業への挑戦』の3テーマで推進し、持続的成長を実現しつつ社会課題解決に貢献します。まずは、燃料油など、社会的な重要性が再認識されている既存事業の基盤を強化・深化し、エネルギーの安定供給に努めるとともに、収益力及び資本効率の向上に粘り強く取り組んでいきます(GRIT)。また、中長期的な成長が見込まれる電化・電動化、ICT、海外事業などの分野において、当社の技術力や国内外のネットワークといった強みを活かした事業創出を拡大していきます(GROWTH)。更に、2050年CN実現や中長期的なエネルギー安全保障への貢献を見据え、時間軸を見極めながら、低/脱炭素事業へ挑戦していきます(CNX)。これらの取り組みを5つの事業セグメント横断で推進するとともに、パートナーとの共創を通じて、企業価値の向上と社会課題の解決の両立を図っていきます。 <GRIT “既存事業の深化”>わが国におけるエネルギー安全保障の確保などの観点から、燃料油をはじめとする当社の既存事業は、社会的・経済的意義が一層高まっています。原料調達ソースの多角化や製油所・事業所の稼働率向上に向けた施策など、供給安定化/効率化に向けた取り組みを推進するとともに、全国の特約販売店やSSネットワークを活用した販売強化に注力していきます。また、事業の統合/再編や課題事業の構造改革などを通じて、資本効率の向上に向けた取り組みも、引き続き力強く進めていきます。 <GROWTH “成長事業の創出”>中長期的な社会変化やメガトレンドを捉え、新たな事業の創出と拡大を進めます。中でも当社が今中計期間中に注力するのは、電化・電動化やICTの進展、海外市場の成長、モビリティ関連サービス、循環型経済の拡大を見据えたサーキュラービジネスです。当社が有する技術力や全国のサービスステーション網など、既存の強みを活かしながら成長分野に挑戦することで、将来の収益の柱を育て、持続的な成長につなげていきます。 <CNX “低/脱炭素事業への挑戦”>前中計で推進してきた低/脱炭素事業については、エネルギー・素材の安定供給に資する多様化の観点も加えつつ、社会情勢や時間軸を見極めながら引き続き推進していきます。長期的には、様々なニーズに合わせた低/脱炭素ソリューションの提供を通じて、2050年カーボンニュートラルの実現と持続的な企業価値向上の両立を目指します。 ③ 人財戦略2030年度財務目標の達成及び持続的成長の実現に向けて、「変革」を強力に推進する人財戦略を展開していきます。新たな人財戦略では、「現場力強化」「共創促進」「新価値創出力向上」といった活動の変化を生み出すため、二つのテーマで取り組みを進めます。一つ目のテーマは「全ての社員を変革の主役に」です。当社には「攻める」「守る」「支える」といった多様な役割がありますが、そこに優劣は無く、いずれの領域にも変革の機会があります。全社員を、変革を生み出す主役として位置付け、既存の延長上にない未来を切り拓いていくために、「全社員の働きがい・成長実感を極限まで高める」「行動指針の下に全社員が一丸となる」の二点を重点項目として掲げます。二つ目のテーマは「もっと共創&イノベーションを(DE&Iの更なる深化)」です。当社のDE&Iは、4年連続のなでしこ銘柄の取得等、独自の取り組みが社外から評価されています。この強みを活かして、女性活躍を引き続き最重要課題に据えつつ、今後は、DE&Iを共創やイノベーションの創出に直結させる取り組みに深化させていきます。重点項目として「多様な変革リーダーを養成する」「多様な人財が活躍できるフィールドを整備する」の二点を掲げ、着実に推進していきます。 ④ ビジネスプラットフォーム<DX/AX戦略>近年のAI技術の急速な進展を機会と捉えて、DX/AX(デジタルトランスフォーメーション/AIトランスフォーメーション)を推進して、経営プロセスの高度化に取り組んでいきます。当社グループが有する幅広い事業領域における顧客データや社内の事業・人財データを構造化・一元化して、AIによる高度な分析・予測を事業判断に活用していきます。併せて、AI活用を前提として業務プロセスの再設計を行い、データ・AIを最大限に活用した業務プロセス変革を加速させていきます。先行して取り組んでいるMI(マテリアル・インフォマティクス)による材料開発に加え、当社の業務領域全体へAI活用の対象範囲を拡大していきます。 <イノベーション戦略>社会の変化から生まれるニーズを捉え、新たな価値を創出するため、2028年3月完工予定のイノベーションセンターをハブとして、世界のベストパートナーとの共創を推進し、事業化の蓋然性と速度を向上させます。イノベーションセンターの完成により、これまで複数拠点に分散していた生産技術・開発技術等の研究機能を集約し、研究開発から商業生産までを一体で推進できる体制を構築します。また、ハード面の整備に加え、高度MI(マテリアル・インフォマティクス)環境の更なる進化や、研究から社会実装までをリードする人財の育成に取り組むことで、社内外の共創を後押しします。こうした取り組みにより、中長期的な環境変化を捉えた成長領域において、社会課題の解決に貢献するとともに、持続的な企業価値の向上を実現していきます。 ⑤ 投資計画2026~2030年累計投資額は1兆8,000億円を予定しています。うち、GRITに8,300億円を充当し、中でも燃料油セグメントにおいては、前中期経営計画比+30%の操業維持投資を実行し、事業基盤強化に取り組みます。中長期的成長も見据えたGROWTH・CNXには、電化・電動化/ICT2,600億円、グローバル展開3,500億円等、計8,100億円の投資を実行します。DX/AXへの投資やイノベーションセンター新設等、ビジネスプラットフォームの強化にも計1,600億円を投じます。 ⑥ 株主還元2023~2025年度については、2023年11月に年間配当を24円から32円へ増配、更に2024年11月に年間配当を32円から36円へ増配し、併せて下限配当水準に設定しました。加えて、株価水準を意識した機動的な自己株式取得を推進しました。また、資本効率の更なる向上を図るため、株主還元方針に加え1,000億円の自己株式取得を実施しました。2026~2030年度については、5カ年累計の在庫影響を除く当期純利益に対し、総還元性向50%以上を継続します。初年度の2026年度は年間配当単価を36円とし、これを下限に業績に応じた累進配当を導入します。配当への配分を高め、より安定した株主還元を実現するとともに、自己株式取得についても、株価水準を意識し機動的に実施します。 ⑦ 業績見通し(2026年度)2026年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、2026年度見通しはIFRSに基づき算出しています。2025年度まではセグメント利益を「営業利益+持分法投資損益」としていましたが、2026年度以降は「金融費用除き税引前損益」に変更します。中東情勢の鎮静化時期に関する予測は困難ではあるものの、業績予想の前提としては、2026年度第1四半期までは原油価格高が継続すると想定しています。2026年度末にはドバイ原油価格は中東情勢悪化前の水準まで下落する前提の結果、大幅なマイナスのタイムラグ影響により減益すると想定しています。引き続き不透明な事業環境が想定されるものの、足元では国内に対する燃料油・石油化学製品等の安定供給を最優先しつつ、更なる収益改善に向けた取り組みを推進していきます。 2026年度連結業績見通し (日本会計基準)2025年度実績(IFRS基準)2026年度見通し営業利益+持分法投資損益※2,441億円-金融費用除き税引前損益※-1,400億円当期純利益※1,923億円900億円*在庫影響除き ※2026年度よりIFRSを任意適用することに伴い会計基準の変更及びセグメント利益の定義を変更するため、前年との単純比較はできません。 主要市況前提 2025年度実績2026年度見通し増減ドバイ原油価格($/バレル)71.881.3+9.5豪州一般炭※($/トン)105.4126.1+20.7為替(円/$)150.7151.3+0.6※1~12月平均
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 中期経営計画(2023~2025年度)の振り返り中期経営計画(2023~2025年度)では、エネルギーと素材の安定供給の使命を果たしながら、事業構造改革投資と人的資本投資の両輪により、事業ポートフォリオの転換を推進してきました。事業構造改革投資においては、既存事業の収益力強化で着実な成果を上げ、2025年度での営業利益及び持分法投資損益に加え、ROE(自己資本利益率)でも、計画時に掲げた目標水準を達成しました。一方、原油価格の変動等、一過性の外部要因による押し上げ影響も大きく、安定的な収益基盤の構築と更なる資本効率の向上は今後の課題であると認識しています。また、2050年のCN・循環型社会に向けた事業ポートフォリオの転換においては、「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」「スマートよろずや」の3つの事業領域を定め、社会実装に向けて着実に前進してきました。脱炭素に向けた社会的な動きが変化する中においても、ブルーアンモニアやSAF(持続可能な航空燃料)の事業化検討、リチウム固体電解質のパイロット装置建設に関する意思決定、使用済みプラスチックの油化設備の完工、モビリティサービスに特化した「apolloONE」の展開など、社会や顧客のニーズに応じたソリューション提供に向けた準備を着実に進めています。 (2) 経営環境の認識近年、当社グループを取り巻く経営環境は、地政学的リスクの顕在化、エネルギー政策の揺り戻し、新興国の台頭など、大きな構造変化の局面にあります。足元では、中東産油国の情勢悪化により、原油調達のみならず製造・販売を含むサプライチェーン全体において、当社グループの事業に大きな影響が生じています。こうした状況に限らず、地政学的リスクが一層高まる中、対応力を強化していくことは、今日の企業経営において不可欠な要素となっています。一方、欧米を中心に進んできた脱炭素政策については、エネルギー安全保障や経済合理性の観点から、化石燃料の役割を再評価する動きも見られます。このように政策動向は一様ではなく、エネルギー転換の進展は、より複線的な時間軸で進むものと認識しています。また、グローバルサウスの台頭により国際秩序にも変化の兆しが見られる中、成長市場においては、エネルギーの安定供給を確保するとともに、現地ニーズに即した事業展開が一層求められています。以上のような不確実性の高い経営環境において、エネルギーの安定供給という社会的使命を果たしつつ、当社の持続的成長を実現するためには、環境変化への対応を念頭においた戦略構築・実行プロセスが重要であると認識しています。 (3) 中期経営計画(2026~2030年度)① 中期経営計画の骨子中期経営計画(2026~2030年度)では、2030年ビジョン「責任ある変革者」のもと、事業戦略「GRIT」「GROWTH」「CNX」と、人財戦略である「全ての社員を変革の主役に」「もっと共創&イノベーションを」を両輪とし、これらを支えるビジネスプラットフォームの強靭化を柱に取り組んでいきます。これらの戦略を着実に推進することで、2030年度の財務目標としてROE13%やROIC7%の達成を目指すとともに、これまで以上の企業価値向上に努めていきます。 ② 事業戦略方針事業戦略のリバランスを行い、より実践的な取り組みにより「稼ぐ力」を強化することで、中長期的な成長の実現を目指していきます。事業戦略は『GRIT:既存事業の深化』『GROWTH:成長事業の創出』『CNX:低/脱炭素事業への挑戦』の3テーマで推進し、持続的成長を実現しつつ社会課題解決に貢献します。まずは、燃料油など、社会的な重要性が再認識されている既存事業の基盤を強化・深化し、エネルギーの安定供給に努めるとともに、収益力及び資本効率の向上に粘り強く取り組んでいきます(GRIT)。また、中長期的な成長が見込まれる電化・電動化、ICT、海外事業などの分野において、当社の技術力や国内外のネットワークといった強みを活かした事業創出を拡大していきます(GROWTH)。更に、2050年CN実現や中長期的なエネルギー安全保障への貢献を見据え、時間軸を見極めながら、低/脱炭素事業へ挑戦していきます(CNX)。これらの取り組みを5つの事業セグメント横断で推進するとともに、パートナーとの共創を通じて、企業価値の向上と社会課題の解決の両立を図っていきます。 <GRIT “既存事業の深化”>わが国におけるエネルギー安全保障の確保などの観点から、燃料油をはじめとする当社の既存事業は、社会的・経済的意義が一層高まっています。原料調達ソースの多角化や製油所・事業所の稼働率向上に向けた施策など、供給安定化/効率化に向けた取り組みを推進するとともに、全国の特約販売店やSSネットワークを活用した販売強化に注力していきます。また、事業の統合/再編や課題事業の構造改革などを通じて、資本効率の向上に向けた取り組みも、引き続き力強く進めていきます。 <GROWTH “成長事業の創出”>中長期的な社会変化やメガトレンドを捉え、新たな事業の創出と拡大を進めます。中でも当社が今中計期間中に注力するのは、電化・電動化やICTの進展、海外市場の成長、モビリティ関連サービス、循環型経済の拡大を見据えたサーキュラービジネスです。当社が有する技術力や全国のサービスステーション網など、既存の強みを活かしながら成長分野に挑戦することで、将来の収益の柱を育て、持続的な成長につなげていきます。 <CNX “低/脱炭素事業への挑戦”>前中計で推進してきた低/脱炭素事業については、エネルギー・素材の安定供給に資する多様化の観点も加えつつ、社会情勢や時間軸を見極めながら引き続き推進していきます。長期的には、様々なニーズに合わせた低/脱炭素ソリューションの提供を通じて、2050年カーボンニュートラルの実現と持続的な企業価値向上の両立を目指します。 ③ 人財戦略2030年度財務目標の達成及び持続的成長の実現に向けて、「変革」を強力に推進する人財戦略を展開していきます。新たな人財戦略では、「現場力強化」「共創促進」「新価値創出力向上」といった活動の変化を生み出すため、二つのテーマで取り組みを進めます。一つ目のテーマは「全ての社員を変革の主役に」です。当社には「攻める」「守る」「支える」といった多様な役割がありますが、そこに優劣は無く、いずれの領域にも変革の機会があります。全社員を、変革を生み出す主役として位置付け、既存の延長上にない未来を切り拓いていくために、「全社員の働きがい・成長実感を極限まで高める」「行動指針の下に全社員が一丸となる」の二点を重点項目として掲げます。二つ目のテーマは「もっと共創&イノベーションを(DE&Iの更なる深化)」です。当社のDE&Iは、4年連続のなでしこ銘柄の取得等、独自の取り組みが社外から評価されています。この強みを活かして、女性活躍を引き続き最重要課題に据えつつ、今後は、DE&Iを共創やイノベーションの創出に直結させる取り組みに深化させていきます。重点項目として「多様な変革リーダーを養成する」「多様な人財が活躍できるフィールドを整備する」の二点を掲げ、着実に推進していきます。 ④ ビジネスプラットフォーム<DX/AX戦略>近年のAI技術の急速な進展を機会と捉えて、DX/AX(デジタルトランスフォーメーション/AIトランスフォーメーション)を推進して、経営プロセスの高度化に取り組んでいきます。当社グループが有する幅広い事業領域における顧客データや社内の事業・人財データを構造化・一元化して、AIによる高度な分析・予測を事業判断に活用していきます。併せて、AI活用を前提として業務プロセスの再設計を行い、データ・AIを最大限に活用した業務プロセス変革を加速させていきます。先行して取り組んでいるMI(マテリアル・インフォマティクス)による材料開発に加え、当社の業務領域全体へAI活用の対象範囲を拡大していきます。 <イノベーション戦略>社会の変化から生まれるニーズを捉え、新たな価値を創出するため、2028年3月完工予定のイノベーションセンターをハブとして、世界のベストパートナーとの共創を推進し、事業化の蓋然性と速度を向上させます。イノベーションセンターの完成により、これまで複数拠点に分散していた生産技術・開発技術等の研究機能を集約し、研究開発から商業生産までを一体で推進できる体制を構築します。また、ハード面の整備に加え、高度MI(マテリアル・インフォマティクス)環境の更なる進化や、研究から社会実装までをリードする人財の育成に取り組むことで、社内外の共創を後押しします。こうした取り組みにより、中長期的な環境変化を捉えた成長領域において、社会課題の解決に貢献するとともに、持続的な企業価値の向上を実現していきます。 ⑤ 投資計画2026~2030年累計投資額は1兆8,000億円を予定しています。うち、GRITに8,300億円を充当し、中でも燃料油セグメントにおいては、前中期経営計画比+30%の操業維持投資を実行し、事業基盤強化に取り組みます。中長期的成長も見据えたGROWTH・CNXには、電化・電動化/ICT2,600億円、グローバル展開3,500億円等、計8,100億円の投資を実行します。DX/AXへの投資やイノベーションセンター新設等、ビジネスプラットフォームの強化にも計1,600億円を投じます。 ⑥ 株主還元2023~2025年度については、2023年11月に年間配当を24円から32円へ増配、更に2024年11月に年間配当を32円から36円へ増配し、併せて下限配当水準に設定しました。加えて、株価水準を意識した機動的な自己株式取得を推進しました。また、資本効率の更なる向上を図るため、株主還元方針に加え1,000億円の自己株式取得を実施しました。2026~2030年度については、5カ年累計の在庫影響を除く当期純利益に対し、総還元性向50%以上を継続します。初年度の2026年度は年間配当単価を36円とし、これを下限に業績に応じた累進配当を導入します。配当への配分を高め、より安定した株主還元を実現するとともに、自己株式取得についても、株価水準を意識し機動的に実施します。 ⑦ 業績見通し(2026年度)2026年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、2026年度見通しはIFRSに基づき算出しています。2025年度まではセグメント利益を「営業利益+持分法投資損益」としていましたが、2026年度以降は「金融費用除き税引前損益」に変更します。中東情勢の鎮静化時期に関する予測は困難ではあるものの、業績予想の前提としては、2026年度第1四半期までは原油価格高が継続すると想定しています。2026年度末にはドバイ原油価格は中東情勢悪化前の水準まで下落する前提の結果、大幅なマイナスのタイムラグ影響により減益すると想定しています。引き続き不透明な事業環境が想定されるものの、足元では国内に対する燃料油・石油化学製品等の安定供給を最優先しつつ、更なる収益改善に向けた取り組みを推進していきます。 2026年度連結業績見通し (日本会計基準)2025年度実績(IFRS基準)2026年度見通し営業利益+持分法投資損益※2,441億円-金融費用除き税引前損益※-1,400億円当期純利益※1,923億円900億円*在庫影響除き ※2026年度よりIFRSを任意適用することに伴い会計基準の変更及びセグメント利益の定義を変更するため、前年との単純比較はできません。 主要市況前提 2025年度実績2026年度見通し増減ドバイ原油価格($/バレル)71.881.3+9.5豪州一般炭※($/トン)105.4126.1+20.7為替(円/$)150.7151.3+0.6※1~12月平均
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要①経営成績の状況ア.一般経済情勢及び当社グループを取り巻く環境当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用や所得環境の改善を背景として、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、米国の通商政策や為替相場の動向等には引き続き注意が必要であり、また、中東地域におけるイラン情勢の悪化やホルムズ海峡封鎖により、原油価格やエネルギー需要の不安定化が進み、企業活動を取り巻く環境は依然として不透明な状況が続いています。国内石油製品販売量は、乗用車保有台数の減少や燃費改善、物流の効率化などの構造変化を背景に、緩やかな減少基調で推移しました。原油価格は、2025年4月上旬の米国の関税公表などによる経済悪化懸念やOPECプラスの増産発表による供給過剰感により下落し、イラン・イスラエル情勢による地政学リスクや米国の対露制裁強化等により6月以降上昇に転じ、2026年2月末以降はイラン情勢の悪化やホルムズ海峡封鎖を背景に短期間で大きく上昇しました。この結果、ドバイ原油の平均価格は前期比6.7ドル/バレル下落の71.8ドル/バレルとなりました。ドル円の為替相場は、米国の関税公表による景気悪化懸念や米政権によるドル安誘導の思惑を受けて円高が進行しましたが、それ以降は米政権の関税交渉やイラン・イスラエル情勢による地政学リスクの影響で上昇と下落を繰り返しました。高市政権発足後は、積極財政や金融緩和志向から円安が進み、イラン情勢悪化により更に円安が加速しました。この結果、平均レートは前期比1.9円/ドル円安の150.7円/ドルとなりました。 イ.業績当社グループの当期の売上高は、燃料油セグメントにおける原油価格の下落の影響などにより、8兆1,059億円(前期比△11.8%)となりました。売上原価は、7兆3,514億円(前期比△13.5%)となり、販売費及び一般管理費は、5,423億円(前期比+2.9%)となりました。営業損益は、燃料油セグメントにおける原油価格急騰によるプラスのタイムラグ影響が資源セグメントにおける石炭市況の下落による影響を上回ったことなどにより、2,122億円(前期比+30.8%)となりました。営業外損益は、持分法投資利益の減少などにより、174億円(前期比△66.8%)となりました。その結果、経常損益は2,296億円(前期比+6.9%)となりました。特別損益は、負ののれん発生益等の計上があったものの、固定資産の減損損失の計上などにより、△75億円(前期比+489億円)となりました。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用は、570億円(前期比+1.2%)となり、非支配株主に帰属する当期純損益は△68億円(前期比△48億円)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,719億円(前期比+65.2%)となりました。 セグメント別売上高(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減 (2025年3月期)(2026年3月期)増減額増減率燃料油76,96467,934△9,030△11.7%基礎化学品5,8724,914△958△16.3%高機能材5,0345,032△2△0.0%電力・再生可能エネルギー1,276982△294△23.0%資源2,6522,035△617△23.3%その他・調整額105163+58+55.7%合計91,90281,059△10,843△11.8% セグメント別利益又は損失(△)(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減 (2025年3月期)(2026年3月期)増減額増減率燃料油(在庫評価影響除き)1,221(1,520)1,777(2,071)+556(+551)+45.5%(+36.3%)基礎化学品△80△68+11-高機能材282334+52+18.5%電力・再生可能エネルギー△123△18+105-資源774331△442△57.2%その他129△2△20.0%調整額△238△218+20-合計(在庫評価影響除き)1,848(2,147)2,147(2,441)+299(+294)+16.2%(+13.7%)(注)セグメント別利益又は損失(△)は、セグメント別の営業損益と持分法投資損益の合計額です。 (ア)燃料油セグメント燃料油セグメントについては、売上高は原油価格の下落の影響などにより、6兆7,934億円(前期比△11.7%)となりました。セグメント損益は、大規模定期修繕などの費用が増加したものの、ホルムズ海峡封鎖に伴う原油価格上昇によるプラスのタイムラグ影響などにより、1,777億円(前期比+45.5%)となりました。 (イ)基礎化学品セグメント基礎化学品セグメントについては、売上高は4,914億円(前期比△16.3%)となりました。セグメント損益は3月のナフサ価格の急騰に伴うプラスのタイムラグ影響があったものの、製品マージンが低水準で推移したことなどにより、△68億円(前期比+11億円)となりました。 (ウ)高機能材セグメント高機能材セグメントについては、売上高は5,032億円(前期比△0.0%)となりました。セグメント損益は、潤滑油事業の海外販売が好調に推移したことやアグリライフ事業における新規連結会社の寄与などにより、334億円(前期比+18.5%)となりました。 (エ)電力・再生可能エネルギーセグメント電力・再生可能エネルギーセグメントについては、売上高は982億円(前期比△23.0%)となりました。セグメント損益は、前年に発生した発電所トラブルの解消による収益改善やバイオマス発電設備の減損に伴う償却費の負担軽減などにより、△18億円(前期比+105億円)となりました。 (オ)資源セグメント(石油・天然ガス開発事業・地熱事業)石油・天然ガス開発事業・地熱事業については、生産数量の減少や原油価格の下落などにより、売上高は388億円(前期比△4.0%)、セグメント損益は140億円(前期比△24.8%)となりました。 (石炭事業・その他事業)石炭事業・その他事業については、石炭市況の下落に伴う価格要因などにより、売上高は1,647億円(前期比△26.8%)、セグメント損益は191億円(前期比△67.5%)となりました。 以上の結果、資源セグメントの売上高は2,035億円(前期比△23.3%)、セグメント損益は331億円(前期比△57.2%)となりました。 (カ)その他セグメントその他セグメントの売上高は163億円(前期比+55.7%)、セグメント損益は9億円(前期比△20.0%)となりました。②財政状態の状況要約連結貸借対照表(単位:億円) 前連結会計年度(2025年3月期)当連結会計年度(2026年3月期)増減流動資産26,49929,657+3,158固定資産21,25723,631+2,374資産合計47,75653,288+5,532流動負債20,97423,514+2,540固定負債9,40510,263+858負債合計30,37933,777+3,398純資産合計17,37719,511+2,134負債純資産合計47,75653,288+5,532 ア.資産の部当期末における資産合計は、富士石油(株)を連結の範囲に含めたことなどにより、5兆3,288億円(前期末比+5,532億円)となりました。 イ.負債の部当期末における負債合計は、富士石油(株)を連結の範囲に含めたことや有利子負債の増加などにより、3兆3,777億円(前期末比+3,398億円)となりました。 ウ.純資産の部当期末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や為替換算調整勘定の増加、配当金の支払いなどにより、1兆9,511億円(前期末比+2,134億円)となりました。 以上の結果、自己資本比率は前期末の36.0%から当期末は36.0%(前期末比△0.0ポイント)となりました。また、当期末のネットD/Eレシオは0.6(前期末:0.6)となりました。 ③キャッシュ・フローの状況要約連結キャッシュ・フロー計算書(単位:億円) 前連結会計年度(2025年3月期)当連結会計年度(2026年3月期)営業活動によるキャッシュ・フロー4,7673,924投資活動によるキャッシュ・フロー△1,185△2,916財務活動によるキャッシュ・フロー△3,435△1,049現金及び現金同等物に係る換算差額1874現金及び現金同等物の増減額(△は減少)16633現金及び現金同等物の期首残高1,3691,643連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少)228連結子会社の決算期変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少)106△133現金及び現金同等物の期末残高1,6431,571 当期末の現金及び現金同等物は、1,571億円となり、前期末に比べ、72億円減少しました。その主な要因は次のとおりです。 ア.営業活動におけるキャッシュ・フロー税金等調整前当期純利益や減価償却費、売上債権及び棚卸資産の減少などの資金増加要因が、仕入債務や未払金の減少などの資金減少要因を上回ったことにより、3,924億円の収入となりました。 イ.投資活動におけるキャッシュ・フロー製油所設備の維持更新投資等による有形固定資産の取得などにより、2,916億円の支出となりました。 ウ.財務活動におけるキャッシュ・フロー有利子負債の返済や配当金の支払いなどにより、1,049億円の支出となりました。 ④生産、受注及び販売の実績ア.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)燃料油3,755,000100.2基礎化学品447,28794.0高機能材319,00297.6電力・再生可能エネルギー--資源143,07076.6その他--合計4,664,36198.4(注)上記の金額は、資源セグメントは販売金額、その他のセグメントは製品生産額によって記載をしています。 イ.受注実績当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。 ウ.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)燃料油6,793,41688.3基礎化学品491,36583.7高機能材503,156100.0電力・再生可能エネルギー98,17877.0資源203,50076.7その他16,273155.7合計8,105,89188.2(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。2.「主な相手先別の販売実績」に該当する販売相手先はないため、記載を省略しています。3.各セグメントの販売実績は、外部顧客への売上高を記載しています。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容①経営成績の分析経営成績の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」における「イ.業績」に記載しています。 ②資本の財源及び資金の流動性についての分析ア.資金需要当社グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原油・原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払いなどによるものです。投資資金については、エネルギー・素材の安定供給に努めつつ収益最大化と資本効率向上を実現するための投資、電化・電動化/ICTや海外をはじめとする成長領域への投資、低/脱炭素ソリューションの事業化に向けた投資等の需要があります。 イ.財務政策当社グループは、中長期的な成長を維持するために資本効率と財務健全性のバランスを勘案しつつ、必要な運転資金及び設備投資資金を、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、社債・コマーシャル・ペーパーの発行、及び流動性確保のための特定融資枠契約(コミットメントライン契約)の維持等、多様なリソースから効果的に組み合わせて調達しています。なお、国内子会社は、当社が一括して資金調達し、子会社に融通するグループ金融を通じて運転資金及び設備投資資金を調達しています。また、海外子会社は金融機関からの借入のほか、子会社間のグループ金融を通じて運転資金及び投資資金を調達しています。また、円滑な資金調達を行うため、当社は格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)の2社から格付けを取得しています。当連結会計年度末において当社の格付けはR&IがA+(方向性:安定的)、JCRがA+(見通し:安定的)となっています。 (特定融資枠契約)当社グループは、運転資金の効率的な調達や十分な流動性確保、また、災害発生時の円滑な資金調達のため、取引先銀行で作られるシンジケート団と短期借入を実行できる特定融資枠契約2,100億円を締結し、機動的・安定的な資金調達が可能な体制を敷いています。当連結会計年度末において同契約にかかる借入残高はありません。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標当社グループは、2030年ビジョン「責任ある変革者」の実現に向けて、事業構造改革投資と人的資本投資の両輪により事業ポートフォリオの転換を進めるため、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、ネットD/Eレシオ、自己資本比率を主要な経営指標としています。2026年3月期の自己資本利益率(ROE)が前期対比で増加している主な要因は、燃料油・基礎化学品でのタイムラグにより当期純利益が増加した事によるものです。タイムラグ等を補正した実態投下資本利益率(ROIC)の主な減少要因は、燃料油の定修影響や基礎化学品での市況悪化を背景とした在庫影響除き税後営業利益の減少によるものです。 当社グループの主要な経営指標のトレンドは次のとおりです。 2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期2026年3月期自己資本利益率(ROE)(%)9.214.211.37.110.6投下資本利益率(ROIC)(%)(全社計)6.86.28.46.06.5実態投下資本利益率(ROIC)(%)(既存事業計)-3.44.86.53.9ネットD/Eレシオ(倍)0.90.90.70.60.6自己資本比率(%)30.733.235.936.036.0(注)1.各指標は、以下の計算式によって計算しています。自己資本利益率(ROE):在庫影響除き親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均)※2024年3月期より算定方法を変更しています。その結果、2022年3月期及び2023年3月期の指標も変更しています。投下資本利益率(ROIC):(在庫影響除き税後営業利益+持分法投資損益)/(株主資本+有利子負債)※2024年3月期より算定方法を変更しています。その結果、2022年3月期及び2023年3月期の指標も変更しています。実態投下資本利益率(ROIC):計算式は投下資本利益率(ROIC)と同様。ただし、大きな外部環境影響を除いて比較するため、燃料油セグメントのタイムラグ影響、資源セグメントの石炭価格(実績を2026年3月期計画前提である120USD/tへ)等を補正ネットD/Eレシオ:(有利子負債-現預金及び短期運用有価証券)/(純資産-非支配株主持分)自己資本比率:(純資産-非支配株主持分)/総資産2.有利子負債は、短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債及び長期借入金として連結貸借対照表に計上されている金額及びリース債務の金額を使用しています。3.2022年3月期の実態投下資本利益率(ROIC)については、主要な経営指標に含んでいなかったため記載していません。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)2050年ビジョン・2030年ビジョン当社はカーボンニュートラル・循環型社会を見据え、3つの事業領域「一歩先のエネルギー」、「多様な省資源・資源循環ソリューション」、「スマートよろずや」の社会実装を通して、「人びとの暮らしを支える責任」「未来の地球環境を守る責任」を果たしていくことを、2050年ビジョン「変革をカタチに」として定めています。その手前では2030年ビジョン「責任ある変革者」を掲げ、エネルギー・マテリアルの安定供給責務を果たしながら、カーボンニュートラル・循環型社会に向けた取組みを具現化させる時期と位置づけています。 (2)2030年基本方針現行の中期経営計画の期間中、様々な地政学リスクやカーボンニュートラルの世界的潮流において大きな環境変化に直面したものの、当社は掲げた中長期ビジョンを軸にぶれることなく、引き続きエネルギー・マテリアルの安定供給という使命を果たしながら、既存事業の資本効率・収益力の更なる向上と、カーボンニュートラル・循環型社会に向けた準備を並行して進めています。これにより当社は持続的に成長を続け、社会とともに未来に進んでいけるものと考えています。また、事業構造改革と並んで、当社の経営戦略の根幹となる人財戦略については、人的資本投資を通じて、従業員の成長・やりがいの最大化を図り、競争力の源泉となる人財育成を推進しています。事業構造改革と人財戦略を柱とする経営戦略を加速させるべく、ビジネスプラットフォームの進化に向けDX戦略やガバナンスの進化にも取組み、変革の基盤を築いていきます。(3)中期経営計画2年目の進捗①事業構造改革の取組み―既存事業の資本効率・収益力向上当社では、エネルギー・マテリアルの安定供給を果たすためには、既存事業の資本効率・収益力の更なる向上が非常に重要だと考えています。この方針の下、2023年度は機能化学品事業の構造改革、太陽光発電システムのオンサイトでの導入、潤滑油事業では車両の低コスト化や高性能化へ貢献するEVやHEVの駆動ユニット向けオイルなどの高付加価値製品の新開発・販売拡大、また資源事業ではボガブライ鉱山への石炭生産の集約等に取り組みました。さらに2024年度は以下の主な取組みを通じ、資本効率・収益力の向上に加えCO₂排出量の削減を加速させました。 <2024年度の主な取組み> 精製・製造拠点の競争力の強化 ・西部石油㈱の精製機能停止とCNXセンター化に向けた検討推進・富士石油㈱との資本業務提携・三井化学㈱との千葉地区エチレン装置集約による生産最適化検討 サービスステーション(SS)ネットワークの維持・強化と顧客体験価値の向上 ・「スマートよろずや」に向けた、SSの収益力を強化する各種施策の全国展開・顧客体験価値を向上させる「DriveOn(アプリ)」の普及拡大(1,100万ダウンロード突破)と新業態の展開(apolloONE・Type Green) 高機能材、先進マテリアル領域の拡大 ・海外市場における潤滑油“Idemitsu Brand Motor Oil”の販売拡大・アグロ カネショウ㈱の完全子会社化によるバイオ・ライフソリューション事業の基盤強化 次世代燃料導入の加速 ・「出光バイオディーゼル5」の販売開始・「出光リニューアブルディーゼル」の販売開始・「出光バイオ重油」の船舶燃料実証 ②事業構造改革の取組み―カーボンニュートラル・循環型社会を見据えた取組み当社は前述のとおりカーボンニュートラル・循環型社会を見据え、3つの事業領域「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」、「スマートよろずや」の社会実装を通じて、事業ポートフォリオの転換を推進しています。2024年5月にブルーアンモニア、e-メタノール、SAF、リチウム固体電解質を重点4事業に設定しました。また、使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル装置の建設を開始しました。 <2024年度の主な取組み>●一歩先のエネルギー ブルーアンモニア 石炭や重油の代替として期待されるアンモニアは、石油製品と同様の輸送・保管が可能であり、既存設備やサプライチェーンの活用が可能です。当社は徳山事業所のアンモニア供給基地化及び周南コンビナート各社への供給インフラの構築に向け検討を進めているほか、2024年10月、三菱商事㈱とともに、エクソンモービル社が推進する製造プロジェクトへの参画、アンモニア調達等の共同検討など、2030年までに年間100万トン超の供給体制構築に向けた取組みを進めています。アンモニアの次世代の製造技術の研究開発においても、2024年7月、常温・常圧下で進行するアンモニアの連続電解合成で世界最高性能の達成を発表しました。 徳山事業所 (アンモニア貯蔵検討を進めているLPGタンク) e-メタノール e-メタノールなどのe-fuel(合成燃料)は、自動車等の内燃機関(エンジン)に手を加えることなく利用可能であり、早期の実用化が期待されています。当社は、再生可能エネルギーをベースにした合成燃料製造プロジェクトを推進するグローバル企業、HIF Global社にJOGMECと共同で出資するなど、政府機関とも連携を行いつつ、海外からの調達に向けた検討を進めています。当社北海道製油所のある苫小牧エリアにおいても、パートナー企業と連携して水素サプライチェーン構築とe-メタノール製造の検討を進めています。これら国内外の拠点において、2030年までに年間28万トン規模の供給体制構築を目指し取組みを進めていきます。 北海道製油所 SAF(持続可能な航空燃料) 国内航空業界では、2030年に使用燃料の10%(年間約170万KL)をSAFへ置き換える目標を掲げるなど、近い将来の需要が見込まれています。当社は2030年までに年間50万KLの国内供給体制の構築へ向けた取組みを進めており、2028年度までの生産開始を目指し、千葉・徳山両事業所において製造装置の建設に向けた検討を進めています。海外では、豪州Jet Zero Australia社との協業のほか、安定的な原料確保に向け、2025年1月から豪州にて米国Terviva社と原料(ポンガミア)の試験植林を開始するなど、グローバルサプライチェーンの構築に向けた取組みを進めています。 ●多様な省資源・資源循環ソリューション リチウム固体電解質 安全面のほか、充電時間短縮や航続距離などの飛躍的な性能向上が期待される、次世代のEVバッテリー「全固体電池」について、主要原料である固体電解質の開発・量産に向けた取組みを進めています。2027~28年度の全固体電池実用化を目指し、トヨタ自動車㈱と固体電解質の量産技術開発、性能向上に向けた協業を行うとともに、製造設備建設に向けた取組みを進めています。2024年10月、大型パイロット装置の基本設計を開始したほか、2025年2月に固体電解質の中間原料である硫化リチウムの大型製造装置の建設を決定しました。 固体電解質 使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル 2025年度の商業運転開始を目指し、千葉事業所隣接エリアにて使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル装置(処理能力年間2万トン)の建設を進めています。2024年3月、㈱本田技術研究所とともに実証実験を実施し、使用済自動車由来プラスチックスからケミカルリサイクル油を生産、あわせて石油化学製品原料としての有用性を確認しました。 ③人的資本―人財戦略当社では事業を通じて人を育てる、「人が中心の経営」を実践することを大切にしています。現行の中期経営計画では「企業理念・ビジョンの体現」「DE&Iの深化」「個々人の能力・個性の発揮」の3本の柱として各施策を推進し、いかなる環境になろうとも難題を克服できる人財を育てていきます。人財戦略の詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本の多様性に関する戦略並びに指標及び目標」に記載のとおりです。 ④ビジネスプラットフォームの進化―DX人財の育成と生産性向上当社は、事業構造改革を成し遂げるためにデジタル化を進め、「変革をカタチに」することを目指しています。エネルギーや産業構造の変化に対応し、ITインフラの再構築や様々なデジタルツールを活用し、仕事の質やビジネスモデルの革新に取り組んでいます。この変革の鍵は「ひとのチカラ」であり、DX人財の育成が重要であると考えています。多くの従業員が仕事の中で、自然とデジタル技術を活用できている状態を目指しています。2024年度は、DX人財の育成と生産性向上を図るべく、以下の主な取組みを行いました。 <2024年度の主な取組み> DXを支える人財育成 ・DXリテラシー研修の受講者が4,000名を突破 AIの活用による生産性向上と価値創出 ・陸上配車・外航船配船システムへのAI活用・製油所・事業所のデータの一元化・生成AIによる人財マッチング 研究領域におけるMI*+AI活用の強化 体系的研修を導入し、研究者の3割がMIスキル保有者*マテリアルズ・インフォマティクス(ITを活用した材料開発) ⑤業績見通し (中期経営計画期間累計及び2025年度)中期経営計画期間(2023-2025年)累計の業績見通しについては、中期経営計画策定時点(2022年11月)の当初目標を上回る想定です。2025年度業績見通しは、米国の関税政策による影響を踏まえ、ドバイ原油価格、豪州一般炭市況等の前提を引き下げた結果、前年対比減益を想定しています。不透明な事業環境が想定されるものの、事業所稼働の更なる安定化、海外トレーディング事業の拡大、M&Aの加速といった追加施策を今後具現化し、更なる収益改善に向けた取組みを推進していきます。 中期経営計画期間(2023-2025年)累計業績見通し 当初目標最新見通し増減営業+持分損益※5,600億円6,722億円+1,122億円当期純利益※3,800億円4,369億円+569億円※在庫影響除き2025年度連結業績見通し 2024年度実績最新見通し増減営業+持分損益※2,147億円1,470億円△677億円当期純利益※1,248億円1,200億円△48億円※在庫影響除き主要市況前提 2024年度実績2025年度見通し増減ドバイ原油価格($/バレル)78.565.0△13.5豪州一般炭*($/トン)134.895.0△39.8為替(円/$)152.6145.0△7.6*1~12月平均⑥資本・財務戦略及び株主還元投資配分については、戦略投資を中期経営計画より増額し、既存事業の収益力強化のための投資を促進すると共に、重点4事業を中心としたカーボンニュートラル投資を通じてCO₂排出量削減と事業ポートフォリオ転換を推進しています。株主還元については、2023年11月に年間配当を24円から32円へ増配、さらに2024年11月に年間配当を32円から36円へ増配し、併せて2025年度までの下限配当水準に設定しました。加えて、株価水準を意識した機動的な自己株式取得を推進するなど、株主還元の更なる充実を図っています。また、財務構成の最適化については、現行格付維持による財務安定性の確保を前提として、資本効率の更なる向上を図るため、株主還元方針に加え1,000億円の自己株式取得を実施する方針を2024年5月に決定し、2024年度中に取得を完了しています。なお、2025年度の配当については、不透明な事業環境ではあるものの、株主還元方針に基づき1株当たり年間36円(中間18円、期末18円)を予定しています。 株主還元方針2023~2025年度の3カ年累計の在庫影響除き当期純利益に対し、総還元性向50%以上の株主還元を実施します。 配当 1株当たり36円、当水準を下限とする 自己株式取得 株価水準を意識し機動的に実施する
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)2050年ビジョン・2030年ビジョン当社はカーボンニュートラル・循環型社会を見据え、3つの事業領域「一歩先のエネルギー」、「多様な省資源・資源循環ソリューション」、「スマートよろずや」の社会実装を通して、「人びとの暮らしを支える責任」「未来の地球環境を守る責任」を果たしていくことを、2050年ビジョン「変革をカタチに」として定めています。その手前では2030年ビジョン「責任ある変革者」を掲げ、エネルギー・マテリアルの安定供給責務を果たしながら、カーボンニュートラル・循環型社会に向けた取組みを具現化させる時期と位置づけています。 (2)2030年基本方針現行の中期経営計画の期間中、様々な地政学リスクやカーボンニュートラルの世界的潮流において大きな環境変化に直面したものの、当社は掲げた中長期ビジョンを軸にぶれることなく、引き続きエネルギー・マテリアルの安定供給という使命を果たしながら、既存事業の資本効率・収益力の更なる向上と、カーボンニュートラル・循環型社会に向けた準備を並行して進めています。これにより当社は持続的に成長を続け、社会とともに未来に進んでいけるものと考えています。また、事業構造改革と並んで、当社の経営戦略の根幹となる人財戦略については、人的資本投資を通じて、従業員の成長・やりがいの最大化を図り、競争力の源泉となる人財育成を推進しています。事業構造改革と人財戦略を柱とする経営戦略を加速させるべく、ビジネスプラットフォームの進化に向けDX戦略やガバナンスの進化にも取組み、変革の基盤を築いていきます。(3)中期経営計画2年目の進捗①事業構造改革の取組み―既存事業の資本効率・収益力向上当社では、エネルギー・マテリアルの安定供給を果たすためには、既存事業の資本効率・収益力の更なる向上が非常に重要だと考えています。この方針の下、2023年度は機能化学品事業の構造改革、太陽光発電システムのオンサイトでの導入、潤滑油事業では車両の低コスト化や高性能化へ貢献するEVやHEVの駆動ユニット向けオイルなどの高付加価値製品の新開発・販売拡大、また資源事業ではボガブライ鉱山への石炭生産の集約等に取り組みました。さらに2024年度は以下の主な取組みを通じ、資本効率・収益力の向上に加えCO₂排出量の削減を加速させました。 <2024年度の主な取組み> 精製・製造拠点の競争力の強化 ・西部石油㈱の精製機能停止とCNXセンター化に向けた検討推進・富士石油㈱との資本業務提携・三井化学㈱との千葉地区エチレン装置集約による生産最適化検討 サービスステーション(SS)ネットワークの維持・強化と顧客体験価値の向上 ・「スマートよろずや」に向けた、SSの収益力を強化する各種施策の全国展開・顧客体験価値を向上させる「DriveOn(アプリ)」の普及拡大(1,100万ダウンロード突破)と新業態の展開(apolloONE・Type Green) 高機能材、先進マテリアル領域の拡大 ・海外市場における潤滑油“Idemitsu Brand Motor Oil”の販売拡大・アグロ カネショウ㈱の完全子会社化によるバイオ・ライフソリューション事業の基盤強化 次世代燃料導入の加速 ・「出光バイオディーゼル5」の販売開始・「出光リニューアブルディーゼル」の販売開始・「出光バイオ重油」の船舶燃料実証 ②事業構造改革の取組み―カーボンニュートラル・循環型社会を見据えた取組み当社は前述のとおりカーボンニュートラル・循環型社会を見据え、3つの事業領域「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」、「スマートよろずや」の社会実装を通じて、事業ポートフォリオの転換を推進しています。2024年5月にブルーアンモニア、e-メタノール、SAF、リチウム固体電解質を重点4事業に設定しました。また、使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル装置の建設を開始しました。 <2024年度の主な取組み>●一歩先のエネルギー ブルーアンモニア 石炭や重油の代替として期待されるアンモニアは、石油製品と同様の輸送・保管が可能であり、既存設備やサプライチェーンの活用が可能です。当社は徳山事業所のアンモニア供給基地化及び周南コンビナート各社への供給インフラの構築に向け検討を進めているほか、2024年10月、三菱商事㈱とともに、エクソンモービル社が推進する製造プロジェクトへの参画、アンモニア調達等の共同検討など、2030年までに年間100万トン超の供給体制構築に向けた取組みを進めています。アンモニアの次世代の製造技術の研究開発においても、2024年7月、常温・常圧下で進行するアンモニアの連続電解合成で世界最高性能の達成を発表しました。 徳山事業所 (アンモニア貯蔵検討を進めているLPGタンク) e-メタノール e-メタノールなどのe-fuel(合成燃料)は、自動車等の内燃機関(エンジン)に手を加えることなく利用可能であり、早期の実用化が期待されています。当社は、再生可能エネルギーをベースにした合成燃料製造プロジェクトを推進するグローバル企業、HIF Global社にJOGMECと共同で出資するなど、政府機関とも連携を行いつつ、海外からの調達に向けた検討を進めています。当社北海道製油所のある苫小牧エリアにおいても、パートナー企業と連携して水素サプライチェーン構築とe-メタノール製造の検討を進めています。これら国内外の拠点において、2030年までに年間28万トン規模の供給体制構築を目指し取組みを進めていきます。 北海道製油所 SAF(持続可能な航空燃料) 国内航空業界では、2030年に使用燃料の10%(年間約170万KL)をSAFへ置き換える目標を掲げるなど、近い将来の需要が見込まれています。当社は2030年までに年間50万KLの国内供給体制の構築へ向けた取組みを進めており、2028年度までの生産開始を目指し、千葉・徳山両事業所において製造装置の建設に向けた検討を進めています。海外では、豪州Jet Zero Australia社との協業のほか、安定的な原料確保に向け、2025年1月から豪州にて米国Terviva社と原料(ポンガミア)の試験植林を開始するなど、グローバルサプライチェーンの構築に向けた取組みを進めています。 ●多様な省資源・資源循環ソリューション リチウム固体電解質 安全面のほか、充電時間短縮や航続距離などの飛躍的な性能向上が期待される、次世代のEVバッテリー「全固体電池」について、主要原料である固体電解質の開発・量産に向けた取組みを進めています。2027~28年度の全固体電池実用化を目指し、トヨタ自動車㈱と固体電解質の量産技術開発、性能向上に向けた協業を行うとともに、製造設備建設に向けた取組みを進めています。2024年10月、大型パイロット装置の基本設計を開始したほか、2025年2月に固体電解質の中間原料である硫化リチウムの大型製造装置の建設を決定しました。 固体電解質 使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル 2025年度の商業運転開始を目指し、千葉事業所隣接エリアにて使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル装置(処理能力年間2万トン)の建設を進めています。2024年3月、㈱本田技術研究所とともに実証実験を実施し、使用済自動車由来プラスチックスからケミカルリサイクル油を生産、あわせて石油化学製品原料としての有用性を確認しました。 ③人的資本―人財戦略当社では事業を通じて人を育てる、「人が中心の経営」を実践することを大切にしています。現行の中期経営計画では「企業理念・ビジョンの体現」「DE&Iの深化」「個々人の能力・個性の発揮」の3本の柱として各施策を推進し、いかなる環境になろうとも難題を克服できる人財を育てていきます。人財戦略の詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本の多様性に関する戦略並びに指標及び目標」に記載のとおりです。 ④ビジネスプラットフォームの進化―DX人財の育成と生産性向上当社は、事業構造改革を成し遂げるためにデジタル化を進め、「変革をカタチに」することを目指しています。エネルギーや産業構造の変化に対応し、ITインフラの再構築や様々なデジタルツールを活用し、仕事の質やビジネスモデルの革新に取り組んでいます。この変革の鍵は「ひとのチカラ」であり、DX人財の育成が重要であると考えています。多くの従業員が仕事の中で、自然とデジタル技術を活用できている状態を目指しています。2024年度は、DX人財の育成と生産性向上を図るべく、以下の主な取組みを行いました。 <2024年度の主な取組み> DXを支える人財育成 ・DXリテラシー研修の受講者が4,000名を突破 AIの活用による生産性向上と価値創出 ・陸上配車・外航船配船システムへのAI活用・製油所・事業所のデータの一元化・生成AIによる人財マッチング 研究領域におけるMI*+AI活用の強化 体系的研修を導入し、研究者の3割がMIスキル保有者*マテリアルズ・インフォマティクス(ITを活用した材料開発) ⑤業績見通し (中期経営計画期間累計及び2025年度)中期経営計画期間(2023-2025年)累計の業績見通しについては、中期経営計画策定時点(2022年11月)の当初目標を上回る想定です。2025年度業績見通しは、米国の関税政策による影響を踏まえ、ドバイ原油価格、豪州一般炭市況等の前提を引き下げた結果、前年対比減益を想定しています。不透明な事業環境が想定されるものの、事業所稼働の更なる安定化、海外トレーディング事業の拡大、M&Aの加速といった追加施策を今後具現化し、更なる収益改善に向けた取組みを推進していきます。 中期経営計画期間(2023-2025年)累計業績見通し 当初目標最新見通し増減営業+持分損益※5,600億円6,722億円+1,122億円当期純利益※3,800億円4,369億円+569億円※在庫影響除き2025年度連結業績見通し 2024年度実績最新見通し増減営業+持分損益※2,147億円1,470億円△677億円当期純利益※1,248億円1,200億円△48億円※在庫影響除き主要市況前提 2024年度実績2025年度見通し増減ドバイ原油価格($/バレル)78.565.0△13.5豪州一般炭*($/トン)134.895.0△39.8為替(円/$)152.6145.0△7.6*1~12月平均⑥資本・財務戦略及び株主還元投資配分については、戦略投資を中期経営計画より増額し、既存事業の収益力強化のための投資を促進すると共に、重点4事業を中心としたカーボンニュートラル投資を通じてCO₂排出量削減と事業ポートフォリオ転換を推進しています。株主還元については、2023年11月に年間配当を24円から32円へ増配、さらに2024年11月に年間配当を32円から36円へ増配し、併せて2025年度までの下限配当水準に設定しました。加えて、株価水準を意識した機動的な自己株式取得を推進するなど、株主還元の更なる充実を図っています。また、財務構成の最適化については、現行格付維持による財務安定性の確保を前提として、資本効率の更なる向上を図るため、株主還元方針に加え1,000億円の自己株式取得を実施する方針を2024年5月に決定し、2024年度中に取得を完了しています。なお、2025年度の配当については、不透明な事業環境ではあるものの、株主還元方針に基づき1株当たり年間36円(中間18円、期末18円)を予定しています。 株主還元方針2023~2025年度の3カ年累計の在庫影響除き当期純利益に対し、総還元性向50%以上の株主還元を実施します。 配当 1株当たり36円、当水準を下限とする 自己株式取得 株価水準を意識し機動的に実施する
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況ア.一般経済情勢及び当社グループを取り巻く環境当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用や所得環境の改善を背景として、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の緊迫化など地政学リスクの影響の長期化や米国新政権の政策動向等、依然として不安定な状況が続いています。国内石油製品販売量は、ガソリン等主燃料は2020年以降のコロナ禍における需要減からの回復が一服し、前年度から減少しました。ジェット燃料は需要の回復が続くものの、当社においては官公庁向け入札案件の減少により前年度から減少しました。原油価格は、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルとガザ地区での緊張などの地政学リスクの高まりによる一時的な上昇局面はあったものの、米中の経済指標の弱さから景気減速が意識され、年間を通じて下落基調で推移しました。この結果、ドバイ原油価格は前期比3.8ドル/バレル下落の78.5ドル/バレルとなりました。円の対米ドルレートは、日米の金融政策の差異を背景に円安ドル高が進行し、7月には160円/ドルに近い水準に到達したものの、8月以降は日米金利差を背景に上昇と下落を繰り返し、結果として、平均レートは前期比8.0円/ドル円安の152.6円/ドルとなりました。 イ.業績当社グループの当期の売上高は、円安影響などにより、9兆1,902億円(前期比+5.4%)となりました。売上原価は、8兆5,008億円(前期比+8.0%)となり、販売費及び一般管理費は、5,272億円(前期比+5.3%)となりました。営業損益は、燃料油セグメントにおける原油価格下落による在庫影響や基礎化学品セグメントにおける数量減少及び製品市況の下落、資源セグメントにおける石炭市況の下落などにより、1,622億円(前期比△53.2%)となりました。営業外損益は、持分法投資利益の増加などにより、526億円(前期比+35.1%)となりました。その結果、経常損益は2,148億円(前期比△44.3%)となりました。特別損益は、固定資産の減損損失の計上などにより、△564億円(前期比+21億円)となりました。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用は、563億円(前期比△43.6%)となり、非支配株主に帰属する当期純損失は20億円(前期比+22.0%)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,041億円(前期比△54.5%)となりました。 セグメント別売上高(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減 (2024年3月期)(2025年3月期)増減額増減率燃料油70,80876,964+6,156+8.7%基礎化学品6,0165,872△144△2.4%高機能材5,1545,034△120△2.3%電力・再生可能エネルギー1,4151,276△139△9.9%資源3,7052,652△1,052△28.4%その他・調整額95105+9+9.9%合計87,19291,902+4,710+5.4% セグメント別利益又は損失(△)(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減 (2024年3月期)(2025年3月期)増減額増減率燃料油(在庫評価影響除き)2,197(1,672)1,221(1,520)△975(△152)△44.4%(△9.1%)基礎化学品220△80△300-高機能材276282+7+2.4%電力・再生可能エネルギー△76△123△47-資源1,169774△396△33.9%その他512+6+122.0%調整額△161△238△77-合計(在庫評価影響除き)3,630(3,106)1,848(2,147)△1,782(△959)△49.1%(△30.9%)(注)セグメント別利益又は損失(△)は、セグメント別の営業損益と持分法投資損益の合計額です。 (ア)燃料油セグメント燃料油セグメントについては、売上高は原油価格が下落したものの、円安影響などにより、7兆6,964億円(前期比+8.7%)となりました。セグメント損益は、国内製品マージンが堅調であったものの、海外マージン悪化に伴う輸出利益の減少などにより、1,221億円(前期比△44.4%)となりました。 (イ)基礎化学品セグメント基礎化学品セグメントについては、製品市況の悪化及び定期修繕や製造装置トラブルに伴う数量減などにより、売上高は5,872億円(前期比△2.4%)、セグメント損益は△80億円(前期比△300億円)となりました。 (ウ)高機能材セグメント高機能材セグメントについては、機能化学品製造設備の定期修繕に伴う数量減があったものの、潤滑油事業の販売ポートフォリオの改善などにより、売上高は5,034億円(前期比△2.3%)、セグメント損益は282億円(前期比+2.4%)となりました。 (エ)電力・再生可能エネルギーセグメント電力・再生可能エネルギーセグメントについては、トラブルに伴う調達コストの増加やバイオマス原料コストの増加などにより、売上高は1,276億円(前期比△9.9%)、セグメント損益は△123億円(前期比△47億円)となりました。 (オ)資源セグメント(石油・天然ガス開発事業・地熱事業)石油・天然ガス開発事業・地熱事業については、円安影響があったものの、原油価格の下落などにより、売上高は404億円(前期比+5.4%)、セグメント損益は187億円(前期比△2.3%)となりました。 (石炭事業・その他事業)石炭事業・その他事業については、石炭市況の下落に伴う価格要因などにより、売上高は2,248億円(前期比△32.3%)、セグメント損益は587億円(前期比△40.0%)となりました。 以上の結果、資源セグメントの売上高は2,652億円(前期比△28.4%)、セグメント損益は774億円(前期比△33.9%)となりました。 (カ)その他セグメントその他セグメントの売上高は105億円(前期比+9.9%)、セグメント損益は12億円(前期比+122.0%)となりました。②財政状態の状況要約連結貸借対照表(単位:億円) 前連結会計年度(2024年3月期)当連結会計年度(2025年3月期)増減流動資産29,16826,499△2,670固定資産20,95521,257+303資産合計50,12347,756△2,367流動負債21,92520,974△951固定負債10,0739,405△668負債合計31,99830,379△1,619純資産合計18,12517,377△748負債純資産合計50,12347,756△2,367 ア.資産の部当期末における資産合計は、原油価格の下落等による棚卸資産の減少や前期末の休日影響等による売掛債権の減少などにより、4兆7,756億円(前期末比△2,367億円)となりました。 イ.負債の部当期末における負債合計は、有利子負債の減少や前期末の休日影響による未払金の減少などにより、3兆379億円(前期末比△1,619億円)となりました。 ウ.純資産の部当期末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加がありましたが、自己株式の取得や配当金の支払いなどにより、1兆7,377億円(前期末比△748億円)となりました。 以上の結果、自己資本比率は前期末の35.9%から当期末は36.0%(前期末比+0.1ポイント)となりました。また、当期末のネットD/Eレシオは0.6(前期末:0.7)となりました。 ③キャッシュ・フローの状況要約連結キャッシュ・フロー計算書(単位:億円) 前連結会計年度(2024年3月期)当連結会計年度(2025年3月期)営業活動によるキャッシュ・フロー3,7744,767投資活動によるキャッシュ・フロー△658△1,185財務活動によるキャッシュ・フロー△2,805△3,435現金及び現金同等物に係る換算差額2718現金及び現金同等物の増減額(△は減少)338166現金及び現金同等物の期首残高1,0311,369連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少)-2連結子会社の決算期変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少)-106現金及び現金同等物の期末残高1,3691,643 当期末の現金及び現金同等物は、1,643億円となり、前期末に比べ、274億円増加しました。その主な要因は次のとおりです。 ア.営業活動におけるキャッシュ・フロー税金等調整前当期純利益や減価償却費等、運転資本の減少などの資金増加要因が、未払金の減少などの資金減少要因を上回ったことにより、4,767億円の収入となりました。 イ.投資活動におけるキャッシュ・フロー製油所設備の維持更新投資等による有形固定資産の取得などにより、1,185億円の支出となりました。 ウ.財務活動におけるキャッシュ・フロー有利子負債の返済や自己株式の取得、配当金の支払いなどにより、3,435億円の支出となりました。 ④生産、受注及び販売の実績ア.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)燃料油3,748,76393.7基礎化学品475,85991.0高機能材327,004107.7電力・再生可能エネルギー--資源186,84874.8その他--合計4,738,47693.3(注)上記の金額は、資源セグメントは販売金額、その他のセグメントは製品生産額によって記載をしています。 イ.受注実績当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。 ウ.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)燃料油7,696,391108.7基礎化学品587,19597.6高機能材503,36697.7電力・再生可能エネルギー127,57390.1資源265,24671.6その他10,452109.9合計9,190,225105.4(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。2.「主な相手先別の販売実績」に該当する販売相手先はないため、記載を省略しています。3.各セグメントの販売実績は、外部顧客への売上高を記載しています。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容①経営成績の分析経営成績の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」における「イ.業績」に記載しています。 ②資本の財源及び資金の流動性についての分析ア.資金需要当社グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原油・原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払いなどによるものです。設備投資資金については、エネルギー安定供給のための操業維持投資に加え、販売・供給体制の競争力強化を目的とした投資、一歩先のエネルギーや多様な省資源・資源循環ソリューション及びスマートよろずや等の事業ポートフォリオ転換推進投資、石油開発事業等における保有鉱区の開発・安定生産継続に向けた投資等の需要があります。 イ.財務政策当社グループは、中長期的な成長を維持するために資本効率と財務健全性のバランスを勘案しつつ、必要な運転資金及び設備投資資金を、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、社債、コマーシャル・ペーパーの発行、及び流動性確保のための特定融資枠契約(コミットメントライン契約)の維持等、多様なリソースから効果的に組み合わせて調達しています。なお、国内子会社は、当社が一括して資金調達し、子会社に融通するグループ金融を通じて運転資金及び設備投資資金を調達しています。また、海外子会社は金融機関からの借入れの他、子会社間のグループ金融を通じて運転資金及び設備投資資金を調達しています。また、円滑な資金調達を行うため、当社は格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)の2社から格付けを取得しています。当連結会計年度末において当社の格付けはR&IがA(方向性:安定的)、JCRがA+(見通し:安定的)となっています。 (特定融資枠契約)当社グループは、運転資金の効率的な調達や十分な流動性確保、また、災害発生時の円滑な資金調達のため、取引先銀行で作られるシンジケート団と短期借入を実行できる特定融資枠契約2,100億円を締結し、機動的・安定的な資金調達が可能な体制を敷いています。当連結会計年度末において同契約にかかる借入残高はありません。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標当社グループは、2030年ビジョン「責任ある変革者」の実現に向けて、事業構造改革投資と人的資本投資の両輪により事業ポートフォリオの転換を進めるため、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、ネットD/Eレシオ、自己資本比率を主要な経営指標としています。2025年3月期の自己資本利益率(ROE)が前期対比で減少している主な要因は、基礎化学品セグメントにおける数量減少及び製品市況の下落、資源セグメントにおける石炭市況の下落などによる、在庫影響除き親会社株主に帰属する当期純利益の減少によるものです。また、同様に実態投下資本利益率(ROIC)の主な増加要因は、燃料油セグメントにおける国内製品マージン堅調などによる在庫影響及びタイムラグ影響を除いた営業利益の増加、自己株式の取得や借入返済に伴う投下資本の減少によるものです。 当社グループの主要な経営指標のトレンドは次のとおりです。 2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期自己資本利益率(ROE)(%)2.69.214.211.37.1投下資本利益率(ROIC)(%)(全社計)2.86.86.28.46.0実態投下資本利益率(ROIC)(%)(既存事業計)--3.44.86.5ネットD/Eレシオ(倍)1.00.90.90.70.6自己資本比率(%)29.130.733.235.936.0(注)1.各指標は、以下の計算式によって計算しています。自己資本利益率(ROE):在庫影響除き親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均)※2024年3月期より算定方法を変更しています。その結果、2021年3月期、2022年3月期及び2023年3月期の指標も変更しています。投下資本利益率(ROIC):(在庫影響除き税後営業利益+持分法投資損益)/(株主資本+有利子負債)※2024年3月期より算定方法を変更しています。その結果、2023年3月期の指標も変更しています。実態投下資本利益率(ROIC):計算式は投下資本利益率(ROIC)と同様。ただし、大きな外部環境影響を除いて比較するため、燃料油セグメントのタイムラグ影響、資源セグメントの石炭価格(実績を2026年3月期計画前提である120USD/tへ)等を補正ネットD/Eレシオ:(有利子負債-現預金及び短期運用有価証券)/(純資産-非支配株主持分)自己資本比率:(純資産-非支配株主持分)/総資産2.有利子負債は、短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債及び長期借入金として連結貸借対照表に計上されている金額及びリース債務の金額を使用しています。3.2021年3月期及び2022年3月期の実態投下資本利益率(ROIC)については、主要な経営指標に含んでいなかったため記載していません。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループは、2019年4月1日の統合新社の発足に先駆け、2018年10月16日に統合新社のビジョン及び事業戦略を公表しました。以下では、新社の経営方針等を記載しています。なお、現在新社の中期経営計画を策定中であり、2019年秋に公表する予定です。 (1) 経営方針 私たちは、ダイバーシティ&インクルーシブネスをもとに、環境・社会と調和を図りながら、お客様・ステークホルダーとともに、新たな価値創造に挑戦し続ける日本発のエネルギー共創企業です。ア.多様なエネルギー・素材を、安定的に届けます。イ.培ってきた課題解決力を、世界に展開します。ウ.変化への適応性に富む、レジリエントな企業体を作ります。 (2) 経営戦略等① 基本戦略・ レジリエントな事業ポートフォリオを構築するため、基盤事業である燃料油事業と基礎化学品事業の競争力の強化を図るとともに、成長市場・分野への取り組みを加速します。・ 石油のノーブルユースを追求し、国内6製油所、石油化学工場の競争力を高めるとともに、2018年11月14日付で商業運転を開始したベトナムのニソン製油所を含め、アジア圏におけるバリューチェーン全体の競争力強化を図ります。・ 本経営統合の主要目的の一つである統合シナジーについては、2021年度に600億円を実現します。・ 成長分野である高機能材事業、電力・再生可能エネルギー事業を国内外で積極展開します。・ キャッシュ・フローについては、株主還元、戦略投資、財務基盤の強化に最適配分を行います。・ 経営環境の変化に対応するためリスクマネジメントを一層重視するとともに、先進的なガバナンス体制を構築します。・ 持続可能な社会作りに、より積極的に取り組みます。・ 事業を通じて社員ひとり一人が能力を発揮し、成長できる環境を実現します。 ② 統合新社の経営目標、株主還元方針、中期経営計画ア.経営目標(2019年度〜2021年度)・ 当期純利益 5,000億円以上(3年間累計)2,000億円(2021年度)・ 統合シナジー 600億円/年(2021年度)・ ROE 10%超(2021年度)・ ネットD/Eレシオ 0.5倍以下(2021年度)・ 総還元性向 50%以上イ.キャッシュ・フロー配分 安定収益を確保し株主還元を充実させつつ、成長市場・成長分野・構造改革への集中投資を行います。また、引き続き財務基盤の強化にも努めていきます。ウ.投資戦略投資総額5,000億円(3年間累計:内、戦略投資3,000億円)・ 燃料油事業、基礎化学品事業:2,500億円製油所高度化対応、海外拠点整備・拡充、SSネットワーク強化・ 高機能材事業、電力・再生可能エネルギー事業:1,200億円海外拠点(潤滑油、機能化学品、有機EL)、国内外電源確保、固体電解質、新規事業・ 資源事業:1,300億円ベトナムガス田開発、北海鉱区開発エ.シナジーの追求 2017年5月より開始した経営統合に先立ち協働事業を強化・推進する取り組みは、原油調達、生産、物流、共同調達等様々な分野に広がっています。2019年には、2015年対比で300億円のシナジーが具体化する上、本経営統合により、以下のとおり2021年度末までにさらに300億円の追加シナジーを見込んでいます。分野主要な項目期待効果原油調達・原油の共同調達・原油タンカーの共同配船・傭船/新造船コスト削減15億円需給・海外物流・販売・最適生産計画システム一体化・7製油所の石油製品・半製品の相互融通・出荷基地の相互利用、共同配送・輸出入の一体化と海外販売の拡大・出荷基地の統廃合290億円製造部門調達部門・精製マージン改善施策のベストプラクティス展開・共同調達による調達コストの削減・IMO対応の最適化、揮発油需要減少への対応等205億円共通・組織統合による重複コスト削減(オフィス統合等)・設備投資の最適化・潤滑油基地の相互利用・その他(ITシステム、BPRの推進等)90億円合計600億円オ.株主還元方針 株主への利益還元が経営上の重要課題であるとの認識のもと、統合効果の実現を通じ着実に収益を確保し、株主還元を実現します。2019年度〜2021年度の当期純利益目標を累計5,000億円以上とし、このうち50%又はそれを上回る株主還元の実施を目指します(なお、各事業年度に当該株主還元額の10%以上を自己株式取得に充てる予定です)。カ.中期経営計画 2019年秋を目途に長期ビジョンを含んだ中期経営計画を公表する予定です。 (3) 事業上及び財務上の対処すべき課題① 経営環境 国内経済は、雇用・所得の環境が改善するなか、個人消費の回復基調が継続しています。一方で、中国経済の減速に加え、一部先進国での保護主義的傾向の高まりや米中の貿易協議の停滞により、世界的な景気低迷が懸念されています。また、中東・アジア・南米等での地政学リスクは前年度より増してきている状況です。 石油製品の需要について、国内市場は、電気自動車やプラグインハイブリッド車(PHV)の普及や省エネルギーの進展に伴い、中長期的な需要の減少が避けられませんが、海外ではアジアの新興国を中心に、当面は堅調な需要の伸長が見込まれています。 ② セグメント毎の課題 当社のセグメント毎の具体的な課題は以下のとおりです。ア. 燃料油セグメント(ア)石油精製の最適化 石油精製については、長期的なコスト競争力向上と設備信頼性向上のために、継続的且つ効率的に投資を行っていきます。それにより、アジア・太平洋地域の新鋭製油所に伍する精製競争力を有し、引き続き社会に必要とされる製油所群であることを目指します。既に、統合LP(リニアプログラミング)も活用し、富士石油㈱を含めた7製油所における最適生産計画を策定できる環境を整備しています。なお、東亜石油㈱のコーカー、富士石油㈱のユリカ装置を最大限活用するとともに、千葉事業所における装置改造等により、グループ全体での重油生産比率を低減することで、2020年に予定されているIMO規制への対応を進めています。 (イ)燃料油事業の海外展開 今後も需要が拡大するアジア・太平洋地域におけるトレーディング事業、ベトナムにおけるニソン製油所の操業(2018年11月14日付で商業運転を開始)とSSの展開、北米における卸事業、豪州における卸小売事業の展開を通じて、引き続き海外での燃料油事業の拡大を進めていきます。 (ウ)特約店、販売店のネットワーク強化 特約店、販売店ネットワークは、燃料油、ガス等の地域で必要となるエネルギー供給の担い手です。特約店、販売店の経営力の安定化のため、また、地域の抱える課題の解決に貢献するために、今まで両社で培ってきたリテール施策を通じて、コンサルティング、情報処理、商品・サービスの開発・投入を行い、より一層強固な関係を構築していきます。両ブランドの6,500店のSSネットワークは、立地上の補完関係にあります。お客様には両ブランドのネットワークを最大限活用していただけるよう、価値提供を行います。 また、デジタル技術(ICT)を活用した出荷予測、SS在庫情報、船舶、ローリー運行状況等の情報をリアルタイム且つ双方向に高度に連携することで、物流システムの最適化、サービスの向上を実現しつつ、物流の需要密度低下と現場人材不足に対応していきます。 イ. 基礎化学品セグメント 国内事業の収益基盤の安定化を更に進めるため、千葉、四日市、山口のコンビナート顧客と連携し、事業環境に応じた安定生産と最適化、原料多様化によるコスト競争力強化を図ります。 燃料油事業と一体となった「Fuel to Chemical」の推進により、効率的な装置稼働と収益力向上に取り組むとともに、需要伸長が大きいアジアマーケットでベトナム・ニソン製油所から生産される製品(ベンゼン・パラキシレン)の販売拡大を確実に進めます。統合新社として、供給ソースが増える製品を軸に事業拡大とポートフォリオの選択幅を広げ、オレフィン、アロマ製品の事業基盤の安定化と収益の拡大を目指します。 ウ. 高機能材セグメント(ア)潤滑油 国内外の内燃機自動車の省燃費化に貢献するとともに、生産効率の向上につながる工業用潤滑油の開発に取り組みます。また、電気自動車、ロボット等の最新技術製品に対応する新油の開発を行います。さらに、海外生産拠点を拡充し、国内外自動車メーカーへの供給力を向上させていきます。 (イ)機能化学品 エンジニアリングプラスチック、粘接着基材などの独自技術をベースに、国内外の成長市場や需要拡大が見込まれる用途での販売拡大を進めます。技術革新が速い自動車・電装部品や情報通信機器、アジアを中心として需要が拡大している生活消費財などが主なターゲットとなります。市場のニーズに応えながら安定生産と事業規模拡大を進めるため、水添石油樹脂の海外生産を2019年度から開始し、シンジオタクチックポリスチレン樹脂の海外生産の検討も進めていきます。 (ウ)電子材料 市場拡大期に入った有機EL材料需要への対応のため、更なる性能向上を実現できる研究開発体制を整備し、海外製造拠点を増強することで、ユーザーの期待に応えます。 (エ)高機能アスファルト 国内唯一の総合アスファルトメーカーとして、これまで培ってきた独自の技術力とノウハウを活かし、環境にやさしい商品を開発、提案していきます。特に施工後の長寿命化や、施工性改善を通して国内外の社会インフラ強靭化に貢献していきます。 (オ)アグリバイオ 食の安全と農業の生産性向上を目指し、生物農薬の開発を進め、将来的な環境規制強化に対応し得る新たな農薬市場の開拓に取り組みます。 (カ)全固体リチウムイオン電池向け固体電解質 全固体化による電池性能向上によって、充電時間の大幅短縮や蓄電能力向上が図られ、EVをはじめリチウムイオン電池の活用範囲を広げることが可能となる全固体電池向け固体電解質の製品化研究を早め、2020年代の上市を目指します。 エ. 電力・再生可能エネルギーセグメント これまで国内で整備してきた競争力ある自社電源を基盤としつつ外部調達を最適化することで、お客様に電力を供給します。また、当社は、風力、太陽光、バイオマスといった多様な再生可能エネルギー電源を有しており、今後も積極的に開発を推進するとともに、低炭素化社会のニーズに適応した販売メニューを展開します。ソーラーパネル事業においては、独自の薄膜系太陽電池技術を活かした製品を供給し、且つ、分散型電源として自家消費型モデル等の開発に取り組みます。さらに、海外におけるガス火力発電事業、再生可能エネルギー事業、バイオマス事業等に取り組みます。加えて、マイクログリッド等の次世代のエネルギーマネジメント事業の開発に取り組んでいきます。 オ. 資源セグメント 世界的なエネルギー需要拡大を踏まえ、既存の石油、石炭の資源資産価値の維持・向上とアジア圏でのガス田開発に取り組みます。石炭については、安定且つ低廉なエネルギー源として資源開発を継続するとともに、環境負荷低減を図るため高効率燃焼技術の提案や石炭への混焼比率を高めることができるバイオマス燃料の製造技術を確立します。また、地熱開発については、大分地熱事業の維持・継続とともに、新規事業の調査・実証を進めます。 カ. 研究開発及び新ビジネス開発 当社は有機化学、無機化学、環境負荷物質の低減における知見、技術的強みを有しており、これらを高めることで新たな素材やプロセスの開発につなげていきます。社会的課題の解決に向け、コーポレート研究や各事業に属する製品研究で培ってきた技術をクロスファンクショナルにテーマ化し、国内外の大学、研究機関と連携するオープンイノベーションを推進します。 同時に、内外にインキュベーション機能を持ち、ベンチャー企業との提携、資本参加の積極的推進により、研究開発を加速するとともに、新たなビジネスを創生していきます。さらに、デジタル技術(ICT)を取り入れ、次世代(Society5.0)のエネルギーインフラ構築と新たなビジネスモデル型事業の開発に取り組みます。 ③ サステナビリティへの取り組み 化石燃料を事業の中心とする統合新社にとって、地球環境への配慮・貢献や、SDGsの達成に向けた社会課題解決への貢献は必須であると考えています。以下の活動を通して、持続可能な地球環境と社会を実現しつつ、企業としての持続的成長を目指します。・ 事業活動上排出する温室効果ガス(GHG)を削減する。・ 外部機関の評価を積極的に活用し、事業活動目標に結びつける。・ 当社グループの事業にかかわる全ての人々が活き活きと仕事に取り組める職場環境を整備する。・ 当社グループの持つ事業資産と低炭素化技術を組み合わせ、課題解決につながる新たな事業創出を行う。なお、具体的な数値目標及び行動計画については、2019年秋に発表する中期経営計画で示します。 ④ 財務上の課題 統合新社の経営目標の達成に向け、成長市場での事業展開を積極的に推進していきます。そのためには、リスク対策及び海外展開の強化に向けた資金調達力の向上の観点から更なる財務基盤の強化が必要と考えています。 (4) 会社の支配に関する基本方針 当社は、当社グループの企業価値・株主共同の利益の確保・向上のため、安定的かつ持続的成長の実現に努めています。 したがって、当社株式を大量に取得しようとする者の出現等により、当社グループの企業価値・株主共同の利益が毀損されるおそれがある場合には、法令・定款で許容される範囲内において適切な措置を講じることを基本方針とします。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループは、2019年4月1日の統合新社の発足に先駆け、2018年10月16日に統合新社のビジョン及び事業戦略を公表しました。以下では、新社の経営方針等を記載しています。なお、現在新社の中期経営計画を策定中であり、2019年秋に公表する予定です。 (1) 経営方針 私たちは、ダイバーシティ&インクルーシブネスをもとに、環境・社会と調和を図りながら、お客様・ステークホルダーとともに、新たな価値創造に挑戦し続ける日本発のエネルギー共創企業です。ア.多様なエネルギー・素材を、安定的に届けます。イ.培ってきた課題解決力を、世界に展開します。ウ.変化への適応性に富む、レジリエントな企業体を作ります。 (2) 経営戦略等① 基本戦略・ レジリエントな事業ポートフォリオを構築するため、基盤事業である燃料油事業と基礎化学品事業の競争力の強化を図るとともに、成長市場・分野への取り組みを加速します。・ 石油のノーブルユースを追求し、国内6製油所、石油化学工場の競争力を高めるとともに、2018年11月14日付で商業運転を開始したベトナムのニソン製油所を含め、アジア圏におけるバリューチェーン全体の競争力強化を図ります。・ 本経営統合の主要目的の一つである統合シナジーについては、2021年度に600億円を実現します。・ 成長分野である高機能材事業、電力・再生可能エネルギー事業を国内外で積極展開します。・ キャッシュ・フローについては、株主還元、戦略投資、財務基盤の強化に最適配分を行います。・ 経営環境の変化に対応するためリスクマネジメントを一層重視するとともに、先進的なガバナンス体制を構築します。・ 持続可能な社会作りに、より積極的に取り組みます。・ 事業を通じて社員ひとり一人が能力を発揮し、成長できる環境を実現します。 ② 統合新社の経営目標、株主還元方針、中期経営計画ア.経営目標(2019年度〜2021年度)・ 当期純利益 5,000億円以上(3年間累計)2,000億円(2021年度)・ 統合シナジー 600億円/年(2021年度)・ ROE 10%超(2021年度)・ ネットD/Eレシオ 0.5倍以下(2021年度)・ 総還元性向 50%以上イ.キャッシュ・フロー配分 安定収益を確保し株主還元を充実させつつ、成長市場・成長分野・構造改革への集中投資を行います。また、引き続き財務基盤の強化にも努めていきます。ウ.投資戦略投資総額5,000億円(3年間累計:内、戦略投資3,000億円)・ 燃料油事業、基礎化学品事業:2,500億円製油所高度化対応、海外拠点整備・拡充、SSネットワーク強化・ 高機能材事業、電力・再生可能エネルギー事業:1,200億円海外拠点(潤滑油、機能化学品、有機EL)、国内外電源確保、固体電解質、新規事業・ 資源事業:1,300億円ベトナムガス田開発、北海鉱区開発エ.シナジーの追求 2017年5月より開始した経営統合に先立ち協働事業を強化・推進する取り組みは、原油調達、生産、物流、共同調達等様々な分野に広がっています。2019年には、2015年対比で300億円のシナジーが具体化する上、本経営統合により、以下のとおり2021年度末までにさらに300億円の追加シナジーを見込んでいます。分野主要な項目期待効果原油調達・原油の共同調達・原油タンカーの共同配船・傭船/新造船コスト削減15億円需給・海外物流・販売・最適生産計画システム一体化・7製油所の石油製品・半製品の相互融通・出荷基地の相互利用、共同配送・輸出入の一体化と海外販売の拡大・出荷基地の統廃合290億円製造部門調達部門・精製マージン改善施策のベストプラクティス展開・共同調達による調達コストの削減・IMO対応の最適化、揮発油需要減少への対応等205億円共通・組織統合による重複コスト削減(オフィス統合等)・設備投資の最適化・潤滑油基地の相互利用・その他(ITシステム、BPRの推進等)90億円合計600億円オ.株主還元方針 株主への利益還元が経営上の重要課題であるとの認識のもと、統合効果の実現を通じ着実に収益を確保し、株主還元を実現します。2019年度〜2021年度の当期純利益目標を累計5,000億円以上とし、このうち50%又はそれを上回る株主還元の実施を目指します(なお、各事業年度に当該株主還元額の10%以上を自己株式取得に充てる予定です)。カ.中期経営計画 2019年秋を目途に長期ビジョンを含んだ中期経営計画を公表する予定です。 (3) 事業上及び財務上の対処すべき課題① 経営環境 国内経済は、雇用・所得の環境が改善するなか、個人消費の回復基調が継続しています。一方で、中国経済の減速に加え、一部先進国での保護主義的傾向の高まりや米中の貿易協議の停滞により、世界的な景気低迷が懸念されています。また、中東・アジア・南米等での地政学リスクは前年度より増してきている状況です。 石油製品の需要について、国内市場は、電気自動車やプラグインハイブリッド車(PHV)の普及や省エネルギーの進展に伴い、中長期的な需要の減少が避けられませんが、海外ではアジアの新興国を中心に、当面は堅調な需要の伸長が見込まれています。 ② セグメント毎の課題 当社のセグメント毎の具体的な課題は以下のとおりです。ア. 燃料油セグメント(ア)石油精製の最適化 石油精製については、長期的なコスト競争力向上と設備信頼性向上のために、継続的且つ効率的に投資を行っていきます。それにより、アジア・太平洋地域の新鋭製油所に伍する精製競争力を有し、引き続き社会に必要とされる製油所群であることを目指します。既に、統合LP(リニアプログラミング)も活用し、富士石油㈱を含めた7製油所における最適生産計画を策定できる環境を整備しています。なお、東亜石油㈱のコーカー、富士石油㈱のユリカ装置を最大限活用するとともに、千葉事業所における装置改造等により、グループ全体での重油生産比率を低減することで、2020年に予定されているIMO規制への対応を進めています。 (イ)燃料油事業の海外展開 今後も需要が拡大するアジア・太平洋地域におけるトレーディング事業、ベトナムにおけるニソン製油所の操業(2018年11月14日付で商業運転を開始)とSSの展開、北米における卸事業、豪州における卸小売事業の展開を通じて、引き続き海外での燃料油事業の拡大を進めていきます。 (ウ)特約店、販売店のネットワーク強化 特約店、販売店ネットワークは、燃料油、ガス等の地域で必要となるエネルギー供給の担い手です。特約店、販売店の経営力の安定化のため、また、地域の抱える課題の解決に貢献するために、今まで両社で培ってきたリテール施策を通じて、コンサルティング、情報処理、商品・サービスの開発・投入を行い、より一層強固な関係を構築していきます。両ブランドの6,500店のSSネットワークは、立地上の補完関係にあります。お客様には両ブランドのネットワークを最大限活用していただけるよう、価値提供を行います。 また、デジタル技術(ICT)を活用した出荷予測、SS在庫情報、船舶、ローリー運行状況等の情報をリアルタイム且つ双方向に高度に連携することで、物流システムの最適化、サービスの向上を実現しつつ、物流の需要密度低下と現場人材不足に対応していきます。 イ. 基礎化学品セグメント 国内事業の収益基盤の安定化を更に進めるため、千葉、四日市、山口のコンビナート顧客と連携し、事業環境に応じた安定生産と最適化、原料多様化によるコスト競争力強化を図ります。 燃料油事業と一体となった「Fuel to Chemical」の推進により、効率的な装置稼働と収益力向上に取り組むとともに、需要伸長が大きいアジアマーケットでベトナム・ニソン製油所から生産される製品(ベンゼン・パラキシレン)の販売拡大を確実に進めます。統合新社として、供給ソースが増える製品を軸に事業拡大とポートフォリオの選択幅を広げ、オレフィン、アロマ製品の事業基盤の安定化と収益の拡大を目指します。 ウ. 高機能材セグメント(ア)潤滑油 国内外の内燃機自動車の省燃費化に貢献するとともに、生産効率の向上につながる工業用潤滑油の開発に取り組みます。また、電気自動車、ロボット等の最新技術製品に対応する新油の開発を行います。さらに、海外生産拠点を拡充し、国内外自動車メーカーへの供給力を向上させていきます。 (イ)機能化学品 エンジニアリングプラスチック、粘接着基材などの独自技術をベースに、国内外の成長市場や需要拡大が見込まれる用途での販売拡大を進めます。技術革新が速い自動車・電装部品や情報通信機器、アジアを中心として需要が拡大している生活消費財などが主なターゲットとなります。市場のニーズに応えながら安定生産と事業規模拡大を進めるため、水添石油樹脂の海外生産を2019年度から開始し、シンジオタクチックポリスチレン樹脂の海外生産の検討も進めていきます。 (ウ)電子材料 市場拡大期に入った有機EL材料需要への対応のため、更なる性能向上を実現できる研究開発体制を整備し、海外製造拠点を増強することで、ユーザーの期待に応えます。 (エ)高機能アスファルト 国内唯一の総合アスファルトメーカーとして、これまで培ってきた独自の技術力とノウハウを活かし、環境にやさしい商品を開発、提案していきます。特に施工後の長寿命化や、施工性改善を通して国内外の社会インフラ強靭化に貢献していきます。 (オ)アグリバイオ 食の安全と農業の生産性向上を目指し、生物農薬の開発を進め、将来的な環境規制強化に対応し得る新たな農薬市場の開拓に取り組みます。 (カ)全固体リチウムイオン電池向け固体電解質 全固体化による電池性能向上によって、充電時間の大幅短縮や蓄電能力向上が図られ、EVをはじめリチウムイオン電池の活用範囲を広げることが可能となる全固体電池向け固体電解質の製品化研究を早め、2020年代の上市を目指します。 エ. 電力・再生可能エネルギーセグメント これまで国内で整備してきた競争力ある自社電源を基盤としつつ外部調達を最適化することで、お客様に電力を供給します。また、当社は、風力、太陽光、バイオマスといった多様な再生可能エネルギー電源を有しており、今後も積極的に開発を推進するとともに、低炭素化社会のニーズに適応した販売メニューを展開します。ソーラーパネル事業においては、独自の薄膜系太陽電池技術を活かした製品を供給し、且つ、分散型電源として自家消費型モデル等の開発に取り組みます。さらに、海外におけるガス火力発電事業、再生可能エネルギー事業、バイオマス事業等に取り組みます。加えて、マイクログリッド等の次世代のエネルギーマネジメント事業の開発に取り組んでいきます。 オ. 資源セグメント 世界的なエネルギー需要拡大を踏まえ、既存の石油、石炭の資源資産価値の維持・向上とアジア圏でのガス田開発に取り組みます。石炭については、安定且つ低廉なエネルギー源として資源開発を継続するとともに、環境負荷低減を図るため高効率燃焼技術の提案や石炭への混焼比率を高めることができるバイオマス燃料の製造技術を確立します。また、地熱開発については、大分地熱事業の維持・継続とともに、新規事業の調査・実証を進めます。 カ. 研究開発及び新ビジネス開発 当社は有機化学、無機化学、環境負荷物質の低減における知見、技術的強みを有しており、これらを高めることで新たな素材やプロセスの開発につなげていきます。社会的課題の解決に向け、コーポレート研究や各事業に属する製品研究で培ってきた技術をクロスファンクショナルにテーマ化し、国内外の大学、研究機関と連携するオープンイノベーションを推進します。 同時に、内外にインキュベーション機能を持ち、ベンチャー企業との提携、資本参加の積極的推進により、研究開発を加速するとともに、新たなビジネスを創生していきます。さらに、デジタル技術(ICT)を取り入れ、次世代(Society5.0)のエネルギーインフラ構築と新たなビジネスモデル型事業の開発に取り組みます。 ③ サステナビリティへの取り組み 化石燃料を事業の中心とする統合新社にとって、地球環境への配慮・貢献や、SDGsの達成に向けた社会課題解決への貢献は必須であると考えています。以下の活動を通して、持続可能な地球環境と社会を実現しつつ、企業としての持続的成長を目指します。・ 事業活動上排出する温室効果ガス(GHG)を削減する。・ 外部機関の評価を積極的に活用し、事業活動目標に結びつける。・ 当社グループの事業にかかわる全ての人々が活き活きと仕事に取り組める職場環境を整備する。・ 当社グループの持つ事業資産と低炭素化技術を組み合わせ、課題解決につながる新たな事業創出を行う。なお、具体的な数値目標及び行動計画については、2019年秋に発表する中期経営計画で示します。 ④ 財務上の課題 統合新社の経営目標の達成に向け、成長市場での事業展開を積極的に推進していきます。そのためには、リスク対策及び海外展開の強化に向けた資金調達力の向上の観点から更なる財務基盤の強化が必要と考えています。 (4) 会社の支配に関する基本方針 当社は、当社グループの企業価値・株主共同の利益の確保・向上のため、安定的かつ持続的成長の実現に努めています。 したがって、当社株式を大量に取得しようとする者の出現等により、当社グループの企業価値・株主共同の利益が毀損されるおそれがある場合には、法令・定款で許容される範囲内において適切な措置を講じることを基本方針とします。
MD&A(経営者による分析)
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況ア.一般経済情勢及び当社グループを取り巻く環境 当連結会計年度におけるわが国経済は、設備投資や雇用環境の改善傾向が続き緩やかな回復基調にある一方で、米中貿易摩擦の激化や中国経済の急減速などの影響により先行きが不透明な状態が続きました。 国内石油製品は、ガソリンについては車両の燃費改善など構造的要因による若干の需要減に加え、暖冬の影響による灯油等の中間留分、電源の多様化などの影響に伴う電力向け重油の需要減少により、石油製品全体では前年度を下回りました。 ドバイ原油価格は、米国の対イラン経済制裁に伴う供給懸念などを背景に秋口まで1バレル80ドル超まで上昇していたものの、11月以降は需給の緩和や世界経済の先行き不透明感などにより50ドル台まで下落しました。その後、OPEC協調減産の効果などにより戻り基調となりました。この結果、平均価格では前期比13.5ドル/バレル上昇の69.3ドル/バレルとなりました。 石油化学製品は、アジアを中心に需要が堅調に推移しました。石油化学原料であるナフサの平均価格は、前期比で101ドル/トン上昇の621ドル/トンとなりました。 円の対米ドルレートは、年度初めは107円台でスタートしましたが、米国の政策金利の引き上げなどにより10月には114円台まで円安が進みました。その後、概ね1ドル109円台から113円台の範囲で安定して推移し、平均レートはほぼ前期と同じ110.8円/ドルとなりました。 イ.業績 このような環境下、当社グループの当期の売上高は、原油価格及びナフサ価格の上昇による石油製品セグメント及び石油化学製品セグメントでの増収などにより4兆4,251億円(前期比+18.6%)となりました。 売上原価は、原油価格及びナフサ価格の上昇などにより3兆9,374億円(前期比+21.6%)となりました。販売費及び一般管理費は、3,084億円(前期比+5.4%)となりました。 営業利益は、資源価格上昇による資源セグメントでの増益があった一方で、精製用燃料費の増加や在庫評価影響による石油製品セグメントの減益などにより1,793億円(前期比△10.9%)となりました。 営業外損益は、利息や配当金の受取が増加したものの、持分法投資損益の減少などにより102億円(前期比△352億円)の損失となりました。その結果、経常利益は1,691億円(前期比△25.3%)となりました。 特別損益は、石油開発事業において油田プレミアム契約解消益を計上した一方で、固定資産の減損損失やLPG事業に係る違約金負担額などを計上したことにより、244億円(前期比△103億円)の損失となりました。 法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用は、税金等調整前当期純利益が減少したものの、前期に関係会社株式に係る過年度損失額を税務上損金算入したことによる税金費用の減額などがあったことにより579億円(前期比+126億円)となりました。 非支配株主に帰属する当期純利益は、資源セグメントでの増益などにより53億円(前期比+18.5%)となりました。 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は815億円(前期比△49.8%)となりました。 ウ.事業の経過及び成果 セグメント別の事業の経過及び成果は以下のとおりです。 セグメント別売上高(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減(2018年3月期)(2019年3月期)増減額増減率石油製品28,70834,889+6,181+21.5%石油化学製品5,0075,554+547+10.9%資源2,8943,080+186+6.4%その他698728+30+4.3%合計37,30744,251+6,945+18.6% セグメント別営業利益(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減(2018年3月期)(2019年3月期)増減額増減率石油製品(在庫評価影響除き)886(575)565(505)△321(△70)△36.3%(△12.2%)石油化学製品422318△104△24.7%資源668871+203+30.4%その他7378+5+6.9%調整額△36△39△3-合計(在庫評価影響除き)2,013(1,702)1,793(1,733)△220(+31)△10.9%(+1.8%) (ア)石油製品セグメント 石油製品セグメントにおいては、国内の供給・販売体制の競争力強化及び海外市場への事業拡大を基本戦略として、次のような取り組みを行いました。(燃料油事業) 供給においては、需給環境や販売状況を踏まえた原油処理を行い、供給コスト削減と安定供給に努めました。また、愛知製油所ではFuel to Chemicalの推進のためミックスキシレン回収装置の商業運転を開始しました。 販売においては、新たな事業モデルの構築の柱である「出光オートフラット」を軸としたTCS事業を強化するとともに、「PIT in plus」や「ドライブコンサルタント」といった新たなWeb施策を打ち出すことで、カーライフステーションへの転換に取り組みました。 海外においては、ベトナムにおいてニソンリファイナリー・ペトロケミカルリミテッドの運営するニソン製油所が2018年11月14日付で商業運転を開始し、成長するアジア市場での事業展開を進めています。また、環太平洋地域等の海外成長市場での燃料油の供給から販売に至る事業基盤構築のため、シンガポール現地法人の出光アジア(IDEMITSU INTERNATIONAL(ASIA) PTE. LTD.)を中心に海外拠点の事業拡充を進めました。(潤滑油事業) 潤滑油販売数量は、好調なアジア・北米を中心とした海外販売の伸長を背景に国内・海外合計で120万KLを超え、過去最高を更新しました。グローバルマーケットでの強固な販売・供給体制の構築に向け、販売体制の見直しと海外生産能力の増強検討を進めました。 石油製品セグメントの売上高は、原油の輸入価格が上昇したことなどにより3兆4,889億円(前期比+21.5%)となりました。営業利益は、製品マージンの改善があったものの、精製用燃料費の増加や在庫評価影響の減少などにより565億円(前期比△36.3%)となりました。なお、営業利益に含まれる在庫評価益は60億円です。 (イ)石油化学製品セグメント 石油化学製品セグメントにおいては、基礎化学品事業の更なる収益基盤の強化と、機能化学品事業の成長市場における事業規模拡大を基本戦略として、次のような取り組みを行いました。(基礎化学品事業) 基礎化学品事業においては、三井化学㈱と共同運営している千葉ケミカル製造有限責任事業組合のエチレン装置の改修により原料選択の多様化を図りました。また、良好な市場環境下でエチレン装置、芳香族装置等の主要装置の安定稼働を維持することにより、コンビナート各社、自社誘導品へのオレフィン・芳香族の安定供給を実施しました。(機能化学品事業) エンジニアリングプラスチック事業においては、ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロン®)とシンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレック®)等を中心に国内外への増販を図りました。 粘接着基材事業では、ホットメルト接着材の粘着付与剤として需要伸長が期待できる水添石油樹脂(商品名:アイマーブ®)において、台湾FPCC社(Formosa Petrochemical Corporation)と共同で新プラントを建設中です。また、従来の結晶性ポリプロピレン樹脂と比べて大幅に融点が低く軟質特性を有する機能性軟質ポリプロピレン(商品名:エルモーデュ®)については、従来からの衛生材向け接着基剤、不織布の改質材などに加え新たな用途開拓に国内外で取り組んでいます。 石油化学製品セグメントの売上高は、ナフサ価格が上昇したことなどにより5,554億円(前期比+10.9%)となりました。営業利益は、製造用燃料費の増加及びスチレンモノマー等の市況要因などにより318億円(前期比△24.7%)となりました。 (ウ)資源セグメント 資源セグメントは、安定生産の継続、徹底したコスト削減と生産性向上による保有資産の価値向上と資産ポートフォリオ見直しを基本方針として、次のような取り組みを行いました。(石油開発事業・地熱事業) 石油開発事業においては、既存油田の安定操業・生産とともに操業改善活動を行った結果、ノルウェー領北海において原油換算で日量2.7万バレルの原油・ガスを生産しました。また、ベトナム沖において発見したガス田について、オペレーターとして開発作業に取り組みました。 地熱事業においては、大分県滝上地区にてバイナリー発電を含めて順調な操業を継続するとともに、秋田県湯沢市小安地域にて、事業実証を目的に環境アセスメントに着手しました。その他、東北地区等での調査活動を行いました。 石油開発事業・地熱事業の売上高は、原油価格が上昇したものの、生産数量の減少などにより775億円(前期比△4.1%)となりました。営業利益は370億円(前期比+36.0%)となりました。(石炭事業・その他事業) 石炭事業においては、日本企業唯一のオペレーターシップを活かし競争力ある鉱山経営を行い、その結果、豪州・インドネシアの自社炭合計で12.5百万トンを生産しました。また、低炭素ソリューションの提供のため、当社、郵船商事㈱、日本郵船㈱の3社で共同開発した石炭ボイラ制御最適化システム「ULTY-V plus」の販売を進めるとともに、バイオマス燃料のサンプル製造を開始しました。 その他、ウラン事業においては、カナダのシガーレイク鉱山において生産したウラン精鉱の販売をしています。 石炭事業・その他事業の売上高は、石炭事業で石炭価格が大幅に上昇した影響などにより2,305億円(前期比+10.5%)となりました。営業利益は501億円(前期比+26.6%)となりました。 以上の結果、資源セグメントの売上高は3,080億円(前期比+6.4%)、営業利益は871億円(前期比+30.4%)となりました。(エ)その他セグメント その他セグメントのうち、電子材料事業、アグリバイオ事業、再生可能エネルギー事業においては、次のような取り組みを行いました。(電子材料事業) 有機EL材料分野においては、中国における需要拡大に備えて四川省成都市に現地法人を設立しました。また、「有機EL素子及び有機発光媒体の発明」において、2018年度全国発明表彰「恩賜発明賞」と「発明実施功績賞」を受賞しました。(アグリバイオ事業) 農業緑化資材においては、販売会社である出光アグリ㈱を通じ、先進的生産団体への生物農薬の拡販活動に取り組んでいます。 家畜用補助飼料においては、牛、鳥、豚の胃腸を健康に保つ「ルミナップ®」「クロストップ®」「モルッカ」について、国内での大型農場を中心とした採用拡大に取り組むとともに、海外の販路拡大に向けた準備を進めました。(再生可能エネルギー事業) 再生可能エネルギーへの取り組みとして、北九州市門司区、兵庫県姫路市、福島県いわき市において太陽光発電所(メガソーラー、発電能力計 15,210kW)を運営しています。バイオマス発電は、稼働中の土佐グリーンパワー㈱(当社出資比率50%、発電出力6,250kW)及び㈱福井グリーンパワー(当社出資比率10%、発電出力7,340kW)が稼働中です。また、風力発電は、二又風力開発㈱(当社出資比率40%、発電出力51,000kW)が稼働中です。 以上の結果、その他セグメントの売上高は728億円(前期比+4.3%)、営業利益は78億円(前期比+6.9%)となりました。 ② 財政状態の状況要約連結貸借対照表(単位:億円) 前連結会計年度(2018年3月期)当連結会計年度(2019年3月期)増減流動資産12,08212,254+172固定資産17,12016,649△471資産合計29,20328,903△300流動負債11,61611,958+342固定負債8,5278,156△372負債合計20,14320,114△30純資産合計9,0598,789△270負債純資産合計29,20328,903△300 ア.資産の部当期末における資産合計は、原油の輸入価格の上昇によるたな卸資産の増加などがあったものの、スノーレ鉱区買収時に締結した油田プレミアム契約の解消に伴う油田プレミアム資産の取り崩しや持分法投資損失の計上に伴い投資有価証券が減少したことなどにより、2兆8,903億円(前期末比△300億円)となりました。 イ.負債の部当期末における負債合計は、原油の輸入価格の上昇などによる一時的な運転資金需要に伴い有利子負債(9,514億円)が増加した一方、スノーレ鉱区買収時に締結した油田プレミアム契約の解消に伴う油田プレミアム負債の取り崩しなどの影響により、2兆114億円(前期末比△30億円)となりました。 ウ.純資産の部当期末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益815億円を計上した一方、自己株式の取得(559億円)や配当金の支払い(185億円)及び円高による為替換算調整勘定の減少などにより8,789億円(前期末比△270億円)となりました。 以上の結果、自己資本比率は前期末の29.7%から当期末は29.1%(前期末比△0.6ポイント)となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況要約連結キャッシュ・フロー計算書(単位:億円) 前連結会計年度(2018年3月期)当連結会計年度(2019年3月期)営業活動によるキャッシュ・フロー1,3681,510投資活動によるキャッシュ・フロー△899△1,223財務活動によるキャッシュ・フロー△519△202現金及び現金同等物に係る換算差額8△47現金及び現金同等物の増減額(△は減少)△4339現金及び現金同等物の期首残高901868連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少)10△1現金及び現金同等物の期末残高868907 当期末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、907億円となり、前期末に比べ、39億円増加しました。その主な要因は次のとおりです。 ア.営業活動におけるキャッシュ・フロー原油の輸入価格の上昇に伴うたな卸資産の増加や法人税等の支払などの資金減少要因を、税金等調整前当期純利益や減価償却費などの資金増加要因が上回ったため、1,510億円の収入となりました。 イ.投資活動におけるキャッシュ・フロー設備投資による有形固定資産の取得(763億円)や長期貸付金の増加(197億円)などにより、1,223億円の支出となりました。 ウ.財務活動におけるキャッシュ・フロー短期借入金・コマーシャル・ペーパーによる資金調達が増加した一方で、自己株式の取得(559億円)や配当金の支払い(185億円)などにより、202億円の支出となりました。 ④ 生産、受注及び販売の実績ア.生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)石油製品1,837,286120.0石油化学製品494,876109.8資源223,940101.7その他14,52389.3合計2,570,628115.9(注)1.上記の金額は、製造会社は製品生産額、資源部門については、販売金額によって記載をしています。2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。 イ.受注実績 当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。 ウ.販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)石油製品3,488,938121.5石油化学製品555,405110.9資源307,976106.4その他72,824104.3合計4,425,144118.6(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。2.「主な相手先別の販売実績」に該当する販売相手先はないため、記載を省略しています。3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。4.各部門の販売実績は、外部顧客への売上高を記載しています。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 経営成績の分析経営成績の分析については、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」における「イ.業績」及び「ウ.事業の経過及び成果」に記載しています。 ② 資本の財源及び資金の流動性についての分析ア.資金需要当社グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払いなどによるものです。営業費用の主なものは、人件費、物流費、作業費、研究開発費等です。設備資金については、各事業分野別に以下の資金需要があります。(ア)燃料油事業・基礎化学品事業については、販売・供給体制の再構築と競争力強化を目的とした投資や海外成長市場への進出による事業拡大のための投資(イ)潤滑油事業・機能化学品事業・電子材料事業・アグリバイオ事業については、環境配慮型商品の開発強化やグローバル展開による事業拡大に向けた投資(ウ)石油開発事業・石炭事業・ウラン事業については、保有鉱区の安定生産の継続と探鉱開発による埋蔵量確保に向けた投資 イ.財務政策 当社グループは、中長期的な成長を維持するために必要な運転資金及び設備投資資金を、財務体質とのバランスを勘案しつつ、営業活動によるキャッシュ・フロー、借入、社債やコマーシャル・ペーパーの発行及び特定融資枠契約(コミットメントライン契約)の活用、更に資本増強等を効果的に組み合わせて調達していきます。 当期末の短期借入金の残高は1,547億円、長期借入金の残高は5,312億円、社債(1年以内償還分を含む)の残高は600億円、コマーシャル・ペーパーの残高は2,040億円となりました。 なお、国内子会社は、当社が一括して資金調達し子会社に融通するグループ金融を通じて運転資金及び設備投資資金を調達しています。また、海外子会社は、各々の子会社が現地通貨を借入にて調達するほか、子会社間のグループ金融を通じて運転資金及び設備投資資金を調達しています。 (特定融資枠契約) 当社グループは、運転資金の効率的な調達及び十分な流動性確保並びに、災害発生時の円滑な資金調達のため、取引先銀行5行で作られるシンジケート団と、2020年3月までの契約期間において短期借入を実行できる特定融資枠契約(災害型コミットメントライン契約)を締結し、機動的・安定的な資金調達が可能な体制を敷いています。なお、当連結会計年度末において同契約にかかる借入残高はありません。特定融資枠契約の極度額 1,000億円 ③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標 当社グループは、レジリエントな事業ポートフォリオの実現と持続的な成長を目指しています。この経営の基本戦略を達成するため、自己資本利益率(ROE)、ネットD/Eレシオ、自己資本比率を主要な経営指標と考えています。 当該指標のうち前期対比で変動した自己資本利益率(ROE)の主な悪化要因は、以下のとおりです。(ア)在庫評価影響の減少などによる石油製品セグメントの減益、及び製造用燃料費の増加などによる石油化学製品セグメントの減益(イ)事業構造改善に伴う損失やLPG事業に係る違約金負担額などの特別損失の計上(ウ)上記などによる親会社株主に帰属する当期純利益の減少 当社グループの主要な経営指標のトレンドは次のとおりです。 2015年3月期2016年3月期2017年3月期2018年3月期2019年3月期自己資本利益率(ROE)(%)--16.322.39.5ネットD/Eレシオ(倍)1.51.61.60.91.0自己資本比率(%)21.520.822.129.729.1(注)1.各指標は、以下の計算式によって計算しています。自己資本利益率(ROE):当期純利益/自己資本(期首期末平均)ネットD/Eレシオ:(有利子負債-現預金及び短期運用有価証券)/(純資産-非支配株主持分)自己資本比率:(純資産-非支配株主持分)/総資産2.有利子負債は、短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債及び長期借入金として連結貸借対照表に計上されている金額及びリース債務の金額を使用しています。3.2015年3月期及び2016年3月期の自己資本利益率(ROE)については、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載していません。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針 出光は、創業以来経営理念である「人間尊重」を事業を通じて実践し、広く社会で期待され信頼される企業となることを目指しています。 この考え方を踏まえ、以下のとおりステークホルダーの皆様への5つの約束を、当社グループの経営方針としています。「人」が中心の経営を更に深化・発展させていくことで、あらゆるステークホルダーの方々から信頼される企業を目指していきます。 ◆新しい価値の創出と提供→「お客さま」 お客さまに安心・活力・満足を感じていただける商品・技術・サービスを提案、提供します。 そして、新しい価値の創出に努めます。◆社会への貢献→「社会・環境」 安全を基盤とし、自然環境の維持・向上に努めます。 そして、地域・文化・社会に貢献します。◆確かな成果の還元→「株主」 企業としての社会的責任を果たし、健全で持続的な成長を図ります。 そして、株主に確かな成果の還元に努めます。◆パートナーとの協働→「パートナー」 販売店はじめ、共に事業に携わっている方々とお互いに協力し、お客さまの安心・活力・満足を実現します。 そして、成果と成功の共有を目指します。◆自己成長・自己実現の追求→「社員」 社員一人ひとりが、自己成長と自己実現を追求することができる環境をつくります。 そして、各人が尊重される人間となるべく努力します。 (2)経営戦略 当社グループは、このたび長期環境想定を元に、2030年の経営ビジョン及び経営目標を設定するとともに、2018年度から2020年度までの3年間を対象とする「第5次連結中期経営計画」を次のとおり策定しました。① 現状認識ア.当社の事業構造は、燃料油、石油開発、石炭の3事業に収益の多くを依存しています。「エネルギーの安定供給」という社会的使命に直結する、これらの事業群の重要性は今後とも変わりません。イ.一方、資源価格やマーケットの変動による収益の不安定さ、パリ協定を見据えた地球温暖化対策の推進という観点から、これらの事業群へ過度に依存し続けることは、持続的成長の上で問題があります。ウ.時代とともに求められるエネルギーは変化しており、これらの変化に対応した事業構造が求められています。 ② 2030年の経営ビジョン及び経営目標ア.経営ビジョン 当社グループは、日本とアジアを中心とした世界各国のフィールドで「環境・社会との調和を図りながら、新たな価値創出に挑戦し続ける日本発のエネルギー共創企業」となることを2030年のビジョンとして掲げます。このビジョンを実現するため、レジリエントな事業ポートフォリオを持った企業体へ変革し、以下に取り組みます。 ・エネルギー・素材のサプライヤ―として社会基盤を支えます ・高機能材を通じてより豊かな社会と生活に貢献します ・日本で培った技術・ノウハウにより各国・地域の経済発展に寄与します ・次世代の素材・サービス開発により新たな事業を創出します イ.経営目標(2030年度) 継続的に収益力の拡充を図るとともに、燃料油・資源事業等の構造改革と、成長市場・成長分野事業の拡大及び新規事業の創出を車の両輪としてレジリエントな事業ポートフォリオへの変革を推進します。(ア)営業利益(持分法投資利益を含む) : 2,500億円(イ)3事業構成比(営業利益) : 50%以下(1,200億円)(ウ)成長市場・成長分野事業+新規事業構成比(営業利益) : 40%以上 ③ 第5次連結中期経営計画(2018~2020年度)ア.重点課題(ア)レジリエントな事業ポートフォリオの実現 ・3事業の構造改革 (燃料油、石油開発、石炭事業) ・成長市場・成長分野での事業拡大 ・2050年を見据えた新規事業創出(イ)環境・社会・ガバナンス視点での取り組み強化 イ.経営目標 (2020年度)(ア)営業利益(持分法投資利益を含む) : 2,030億円(イ)当期純利益 : 1,300億円(ウ)自己資本利益率(ROE) : 10%超 (当期純利益/自己資本)(エ)ネットD/Eレシオ(※) : 0.7以下※(有利子負債-現預金及び短期運用有価証券)/(純資産-非支配株主持分) ウ.キャッシュ・フロー配分 将来の成長のための戦略投資は厳選して実施しながら、フリーキャッシュフロー1,800億円(3年間累計)を確保し、株主還元の拡充と財務体質の改善を進めていきます。 エ.投資戦略 投資総額3,900億円(3年間累計:戦略投資2,600億円、更新投資1,300億円) 戦略投資は成長投資と新規事業創出に1,600億円、事業基盤強化に1,000億円を充当する予定です。(ア)成長投資、新規事業創出燃料油(海外)/事業拡大、資源/ガス田開発(新鉱区)、潤滑油/海外拠点強化、電子材料/有機EL製造能力増強、新規事業/新素材開発等(イ)事業基盤強化燃料油(国内)/SSネットワーク維持、製油所高度化対応、資源/事業基盤維持 オ.株主還元 安定配当を基本に、収益及びフリーキャッシュフローの状況を踏まえて、段階的に株主還元の拡充を目指します。 (3) 事業上及び財務上の対処すべき課題① 経営環境 国内経済は個人消費、雇用の面で緩やかな回復基調が継続しています。また、海外においても米国やアジア圏に加え、欧州の復調を背景に経済は堅調さを維持すると考えます。しかし、中東・アジア等では地政学リスクの高まりが指摘されるほか、一部先進国での保護主義的傾向が世界全体の景気に水を差す可能性もあり、先行きは予断を許しません。 石油製品の需要について、国内市場は、電気自動車やプラグインハイブリッド車(PHV)の普及や省エネルギーの進展に伴い、中長期的な需要の減少が避けられませんが、海外ではアジアの新興国を中心に当面、堅調な需要の伸長が見込まれています。 ② セグメント毎の課題上述の第5次連結中期経営計画におけるセグメント毎の具体的な課題は以下のとおりです。ア.石油製品セグメント 国内燃料油事業では、昭和シェル石油㈱とのアライアンスの推進とシナジーの早期実現(2019年以降、両社合計 年間300億円以上)を目指します。また、販売店・SSの経営力強化につながる新しいビジネスメニューの投入、環境変化・法対応を踏まえた設備稼働信頼性の向上とコスト競争力の強化に取り組みます。 海外では、需要の拡大する環太平洋(東南アジア、オセアニア、北米西海岸)を中心に2020年度の取扱量21百万KLを目標にバリューチェーンの強化に取り組みます。また、ベトナムのニソン製油所・石油化学コンプレックスの安定操業と早期フル稼働を目指します。 潤滑油事業では、東南アジアや中国、米国を中心に海外工場の新設・能力増強を図るとともに、出光ブランドの自動車用潤滑油、工業用潤滑油・グリース販売を強化します。 イ.石油化学製品セグメント 基礎化学品事業では、オレフィン分野においてコンビナート向け原料供給により高稼働と安定収益を確保するとともに、原料多様化と装置高効率化によるコスト競争力の強化を目指します。アロマ分野では、ベトナムのニソン製油所・石油化学コンプレックスの運転開始に伴い、パラキシレン、ベンゼンの販売を拡大します。 機能化学品事業では、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)樹脂・ポリカーボネート樹脂等のエンジニアリングプラスチック分野、及び水添石油樹脂や機能性軟質ポリプロピレン等の粘接着基材分野で独自技術を軸に成長市場における事業を拡大します。また、水添石油樹脂においては台塑石化股份有限公司(FPCC社)との合弁会社「台塑出光特用化学品股份有限公司」を通して年産2万5千トンの製造装置を建設中(2019年運転開始予定)であり、SPS樹脂についても海外での製造装置新設を検討中です。 ウ.資源セグメント 石油開発事業では、ノルウェーにおいて油田開発による埋蔵量確保を図りつつ、ベトナムで新規ガス田開発を進め、東南アジアでのガスビジネスの展開に取り組みます。 石炭事業では、自社鉱山操業・調達・物流・販売のバリューチェーン全体で更なる競争力強化を図ります。また、低炭素ソリューションの推進のため、石炭・環境研究所の燃焼技術の活用強化や石炭と混焼可能な新規バイオマス燃料の開発・生産等の環境調和型事業の検討・推進に取り組みます。 ウラン事業では、カナダ シガーレイク鉱山における安定生産・販売を目指します。 地熱事業では出光大分地熱㈱の安定操業継続に加え、新規案件(秋田県小安地域、北海道阿女鱒岳地域等)の検討を推進します。 エ.その他セグメント 電子材料事業では、韓国・中国の主要ディスプレイメーカーとの関係強化、自社開発力の強化、材料メーカーとの戦略的提携の拡大及び生産能力の増強を通して拡大する有機EL材料の需要の捕捉を目指します。 アグリバイオ事業では、既存生物農薬・化学農薬や牛用混合飼料「ルミナップ®」、鶏用混合飼料「クロストップ®」の普及拡大と海外展開の強化により、「安全・安心な食」「増大する食糧需要」に貢献するニーズ対応型の事業を展開します。 ガス事業では、姫路天然ガス発電㈱の事業化検討を進めます。また、北米のLPG(液化石油ガス)のアジア向け輸出・販売事業の更なる拡大に取り組みます。 再生可能エネルギー事業では、風力・バイオマス・太陽光・水力等の電源開発検討を行うとともに、再生可能エネルギー電源を積極的に活用した電力小売事業を拡大していきます。 ③ 財務上の課題当社は、平成29年7月の公募増資に伴う資本増強及び高収益の達成に伴う親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、ネットD/Eレシオは1.0を下回る水準まで財務体質は大幅に改善しました。今後、第5次中期経営計画を推進するため、成長市場での事業展開を積極的に推進していきます。そのため、リスク対策及び海外展開の強化に向けた資金調達力の向上の観点から更なる財務基盤の強化が必要と考えており、2020年度末においてネットD/Eレシオ0.7以下を目指します。 ④ 昭和シェル石油㈱との経営統合の検討に関して当社は、平成27年7月30日にロイヤル・ダッチ・シェル ピーエルシーの子会社(以下RDS社)から昭和シェル石油㈱の株式を取得する旨の株式譲渡契約を締結し、以降昭和シェル石油㈱と経営統合に向けた協議を進めています。平成28年12月19日に公正取引委員会より、当社及び昭和シェル石油㈱が申し出た問題解消措置の実施を前提に、「排除措置命令を行わない旨の通知書」を受領するとともに、RDS社から昭和シェル石油株式117,761,200株(議決権比率31.3%)の取得を完了しました。 また、平成29年5月9日に、昭和シェル石油㈱と企業グループを形成して協働事業を強化・推進することに関し、趣意書を締結致しました。 当趣意書の骨子は以下のとおりです。ア. 目的両社は対等なパートナーとしてアライアンスを組み、経営統合に向けた各種プロセスを再開又は加速しながら、広範囲にわたって協業を深化させ、経営統合が実現するまでの時間も最大限有効に活用し、両社の企業価値をさらに向上させるべく、シナジー効果の先取りを図ります。 イ. アライアンス名 「Brighter Energy Alliance(ブライターエナジーアライアンス)」 ウ. アライアンスの内容(ア)国内石油事業における統合シナジーの追求(イ)シナジー目標2019年以降、両社合計で年間300億円以上のシナジー創出を目指します。なお、シナジー取組み項目は以下のとおりです。 分 野 項 目 期待効果 原油調達①原油共同調達②原油タンカー共同配船/傭船コスト削減10億円 供給①最適生産計画システム一体化による収益改善②石油製品・半製品の相互融通(グループ内)120億円 製造・調達①精製マージン改善施策のベストプラクティスの展開②共同調達70億円 物流・販売①出荷基地の相互利用②共同配送(陸上、海上)40億円 間接部門共同調達(ITシステム、コーポレート費用等)60億円 計300億円以上※上記に記載されている将来の見通しに関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的 であると判断する一定の前提に基づいており、実際のシナジー効果等は様々な要因により大きく 異なる可能性があります。(ウ)重複分野における事業戦略のすり合わせ(エ)アライアンスグループ及び統合新社の戦略検討(オ)人的融和の推進(カ)お客様視点での新たなサービス開発(キ)社会貢献活動の一層の推進(ク)低炭素社会実現への取り組み推進以上のとおり、「屈指の競争力を有する業界のリーディングカンパニー」及び「日本発の新しいエネルギー企業」として飛躍を遂げるべく、昭和シェル石油㈱と協働事業の取り組みを加速させると同時に、引き続き経営統合に向けた協議を進めていきます。また、相互理解推進のために平成29年11月からは両社人事部門での人的交流を開始し、平成30年4月からは役員レベルの相互交流へ拡大しています。組織面では平成30年3月から一部部門での執務室を統合させるなど、着実に組織の融和・人的融和を推進しています。 なお、前述のうち将来に関する記述は、現時点で入手可能な情報に基づくものであり、実際の業績は今後の様々な要因によって、目標と相違する場合があります。 (4) 会社の支配に関する基本方針 当社は、当社グループの企業価値・株主共同の利益の確保・向上のため、安定的かつ持続的成長の実現に努めています。 したがって、当社株式を大量に取得しようとする者の出現等により、当社グループの企業価値・株主共同の利益が毀損されるおそれがある場合には、法令・定款で許容される範囲内において適切な措置を講じることを基本方針とします。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針 出光は、創業以来経営理念である「人間尊重」を事業を通じて実践し、広く社会で期待され信頼される企業となることを目指しています。 この考え方を踏まえ、以下のとおりステークホルダーの皆様への5つの約束を、当社グループの経営方針としています。「人」が中心の経営を更に深化・発展させていくことで、あらゆるステークホルダーの方々から信頼される企業を目指していきます。 ◆新しい価値の創出と提供→「お客さま」 お客さまに安心・活力・満足を感じていただける商品・技術・サービスを提案、提供します。 そして、新しい価値の創出に努めます。◆社会への貢献→「社会・環境」 安全を基盤とし、自然環境の維持・向上に努めます。 そして、地域・文化・社会に貢献します。◆確かな成果の還元→「株主」 企業としての社会的責任を果たし、健全で持続的な成長を図ります。 そして、株主に確かな成果の還元に努めます。◆パートナーとの協働→「パートナー」 販売店はじめ、共に事業に携わっている方々とお互いに協力し、お客さまの安心・活力・満足を実現します。 そして、成果と成功の共有を目指します。◆自己成長・自己実現の追求→「社員」 社員一人ひとりが、自己成長と自己実現を追求することができる環境をつくります。 そして、各人が尊重される人間となるべく努力します。 (2)経営戦略 当社グループは、このたび長期環境想定を元に、2030年の経営ビジョン及び経営目標を設定するとともに、2018年度から2020年度までの3年間を対象とする「第5次連結中期経営計画」を次のとおり策定しました。① 現状認識ア.当社の事業構造は、燃料油、石油開発、石炭の3事業に収益の多くを依存しています。「エネルギーの安定供給」という社会的使命に直結する、これらの事業群の重要性は今後とも変わりません。イ.一方、資源価格やマーケットの変動による収益の不安定さ、パリ協定を見据えた地球温暖化対策の推進という観点から、これらの事業群へ過度に依存し続けることは、持続的成長の上で問題があります。ウ.時代とともに求められるエネルギーは変化しており、これらの変化に対応した事業構造が求められています。 ② 2030年の経営ビジョン及び経営目標ア.経営ビジョン 当社グループは、日本とアジアを中心とした世界各国のフィールドで「環境・社会との調和を図りながら、新たな価値創出に挑戦し続ける日本発のエネルギー共創企業」となることを2030年のビジョンとして掲げます。このビジョンを実現するため、レジリエントな事業ポートフォリオを持った企業体へ変革し、以下に取り組みます。 ・エネルギー・素材のサプライヤ―として社会基盤を支えます ・高機能材を通じてより豊かな社会と生活に貢献します ・日本で培った技術・ノウハウにより各国・地域の経済発展に寄与します ・次世代の素材・サービス開発により新たな事業を創出します イ.経営目標(2030年度) 継続的に収益力の拡充を図るとともに、燃料油・資源事業等の構造改革と、成長市場・成長分野事業の拡大及び新規事業の創出を車の両輪としてレジリエントな事業ポートフォリオへの変革を推進します。(ア)営業利益(持分法投資利益を含む) : 2,500億円(イ)3事業構成比(営業利益) : 50%以下(1,200億円)(ウ)成長市場・成長分野事業+新規事業構成比(営業利益) : 40%以上 ③ 第5次連結中期経営計画(2018~2020年度)ア.重点課題(ア)レジリエントな事業ポートフォリオの実現 ・3事業の構造改革 (燃料油、石油開発、石炭事業) ・成長市場・成長分野での事業拡大 ・2050年を見据えた新規事業創出(イ)環境・社会・ガバナンス視点での取り組み強化 イ.経営目標 (2020年度)(ア)営業利益(持分法投資利益を含む) : 2,030億円(イ)当期純利益 : 1,300億円(ウ)自己資本利益率(ROE) : 10%超 (当期純利益/自己資本)(エ)ネットD/Eレシオ(※) : 0.7以下※(有利子負債-現預金及び短期運用有価証券)/(純資産-非支配株主持分) ウ.キャッシュ・フロー配分 将来の成長のための戦略投資は厳選して実施しながら、フリーキャッシュフロー1,800億円(3年間累計)を確保し、株主還元の拡充と財務体質の改善を進めていきます。 エ.投資戦略 投資総額3,900億円(3年間累計:戦略投資2,600億円、更新投資1,300億円) 戦略投資は成長投資と新規事業創出に1,600億円、事業基盤強化に1,000億円を充当する予定です。(ア)成長投資、新規事業創出燃料油(海外)/事業拡大、資源/ガス田開発(新鉱区)、潤滑油/海外拠点強化、電子材料/有機EL製造能力増強、新規事業/新素材開発等(イ)事業基盤強化燃料油(国内)/SSネットワーク維持、製油所高度化対応、資源/事業基盤維持 オ.株主還元 安定配当を基本に、収益及びフリーキャッシュフローの状況を踏まえて、段階的に株主還元の拡充を目指します。 (3) 事業上及び財務上の対処すべき課題① 経営環境 国内経済は個人消費、雇用の面で緩やかな回復基調が継続しています。また、海外においても米国やアジア圏に加え、欧州の復調を背景に経済は堅調さを維持すると考えます。しかし、中東・アジア等では地政学リスクの高まりが指摘されるほか、一部先進国での保護主義的傾向が世界全体の景気に水を差す可能性もあり、先行きは予断を許しません。 石油製品の需要について、国内市場は、電気自動車やプラグインハイブリッド車(PHV)の普及や省エネルギーの進展に伴い、中長期的な需要の減少が避けられませんが、海外ではアジアの新興国を中心に当面、堅調な需要の伸長が見込まれています。 ② セグメント毎の課題上述の第5次連結中期経営計画におけるセグメント毎の具体的な課題は以下のとおりです。ア.石油製品セグメント 国内燃料油事業では、昭和シェル石油㈱とのアライアンスの推進とシナジーの早期実現(2019年以降、両社合計 年間300億円以上)を目指します。また、販売店・SSの経営力強化につながる新しいビジネスメニューの投入、環境変化・法対応を踏まえた設備稼働信頼性の向上とコスト競争力の強化に取り組みます。 海外では、需要の拡大する環太平洋(東南アジア、オセアニア、北米西海岸)を中心に2020年度の取扱量21百万KLを目標にバリューチェーンの強化に取り組みます。また、ベトナムのニソン製油所・石油化学コンプレックスの安定操業と早期フル稼働を目指します。 潤滑油事業では、東南アジアや中国、米国を中心に海外工場の新設・能力増強を図るとともに、出光ブランドの自動車用潤滑油、工業用潤滑油・グリース販売を強化します。 イ.石油化学製品セグメント 基礎化学品事業では、オレフィン分野においてコンビナート向け原料供給により高稼働と安定収益を確保するとともに、原料多様化と装置高効率化によるコスト競争力の強化を目指します。アロマ分野では、ベトナムのニソン製油所・石油化学コンプレックスの運転開始に伴い、パラキシレン、ベンゼンの販売を拡大します。 機能化学品事業では、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)樹脂・ポリカーボネート樹脂等のエンジニアリングプラスチック分野、及び水添石油樹脂や機能性軟質ポリプロピレン等の粘接着基材分野で独自技術を軸に成長市場における事業を拡大します。また、水添石油樹脂においては台塑石化股份有限公司(FPCC社)との合弁会社「台塑出光特用化学品股份有限公司」を通して年産2万5千トンの製造装置を建設中(2019年運転開始予定)であり、SPS樹脂についても海外での製造装置新設を検討中です。 ウ.資源セグメント 石油開発事業では、ノルウェーにおいて油田開発による埋蔵量確保を図りつつ、ベトナムで新規ガス田開発を進め、東南アジアでのガスビジネスの展開に取り組みます。 石炭事業では、自社鉱山操業・調達・物流・販売のバリューチェーン全体で更なる競争力強化を図ります。また、低炭素ソリューションの推進のため、石炭・環境研究所の燃焼技術の活用強化や石炭と混焼可能な新規バイオマス燃料の開発・生産等の環境調和型事業の検討・推進に取り組みます。 ウラン事業では、カナダ シガーレイク鉱山における安定生産・販売を目指します。 地熱事業では出光大分地熱㈱の安定操業継続に加え、新規案件(秋田県小安地域、北海道阿女鱒岳地域等)の検討を推進します。 エ.その他セグメント 電子材料事業では、韓国・中国の主要ディスプレイメーカーとの関係強化、自社開発力の強化、材料メーカーとの戦略的提携の拡大及び生産能力の増強を通して拡大する有機EL材料の需要の捕捉を目指します。 アグリバイオ事業では、既存生物農薬・化学農薬や牛用混合飼料「ルミナップ®」、鶏用混合飼料「クロストップ®」の普及拡大と海外展開の強化により、「安全・安心な食」「増大する食糧需要」に貢献するニーズ対応型の事業を展開します。 ガス事業では、姫路天然ガス発電㈱の事業化検討を進めます。また、北米のLPG(液化石油ガス)のアジア向け輸出・販売事業の更なる拡大に取り組みます。 再生可能エネルギー事業では、風力・バイオマス・太陽光・水力等の電源開発検討を行うとともに、再生可能エネルギー電源を積極的に活用した電力小売事業を拡大していきます。 ③ 財務上の課題当社は、平成29年7月の公募増資に伴う資本増強及び高収益の達成に伴う親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、ネットD/Eレシオは1.0を下回る水準まで財務体質は大幅に改善しました。今後、第5次中期経営計画を推進するため、成長市場での事業展開を積極的に推進していきます。そのため、リスク対策及び海外展開の強化に向けた資金調達力の向上の観点から更なる財務基盤の強化が必要と考えており、2020年度末においてネットD/Eレシオ0.7以下を目指します。 ④ 昭和シェル石油㈱との経営統合の検討に関して当社は、平成27年7月30日にロイヤル・ダッチ・シェル ピーエルシーの子会社(以下RDS社)から昭和シェル石油㈱の株式を取得する旨の株式譲渡契約を締結し、以降昭和シェル石油㈱と経営統合に向けた協議を進めています。平成28年12月19日に公正取引委員会より、当社及び昭和シェル石油㈱が申し出た問題解消措置の実施を前提に、「排除措置命令を行わない旨の通知書」を受領するとともに、RDS社から昭和シェル石油株式117,761,200株(議決権比率31.3%)の取得を完了しました。 また、平成29年5月9日に、昭和シェル石油㈱と企業グループを形成して協働事業を強化・推進することに関し、趣意書を締結致しました。 当趣意書の骨子は以下のとおりです。ア. 目的両社は対等なパートナーとしてアライアンスを組み、経営統合に向けた各種プロセスを再開又は加速しながら、広範囲にわたって協業を深化させ、経営統合が実現するまでの時間も最大限有効に活用し、両社の企業価値をさらに向上させるべく、シナジー効果の先取りを図ります。 イ. アライアンス名 「Brighter Energy Alliance(ブライターエナジーアライアンス)」 ウ. アライアンスの内容(ア)国内石油事業における統合シナジーの追求(イ)シナジー目標2019年以降、両社合計で年間300億円以上のシナジー創出を目指します。なお、シナジー取組み項目は以下のとおりです。 分 野 項 目 期待効果 原油調達①原油共同調達②原油タンカー共同配船/傭船コスト削減10億円 供給①最適生産計画システム一体化による収益改善②石油製品・半製品の相互融通(グループ内)120億円 製造・調達①精製マージン改善施策のベストプラクティスの展開②共同調達70億円 物流・販売①出荷基地の相互利用②共同配送(陸上、海上)40億円 間接部門共同調達(ITシステム、コーポレート費用等)60億円 計300億円以上※上記に記載されている将来の見通しに関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的 であると判断する一定の前提に基づいており、実際のシナジー効果等は様々な要因により大きく 異なる可能性があります。(ウ)重複分野における事業戦略のすり合わせ(エ)アライアンスグループ及び統合新社の戦略検討(オ)人的融和の推進(カ)お客様視点での新たなサービス開発(キ)社会貢献活動の一層の推進(ク)低炭素社会実現への取り組み推進以上のとおり、「屈指の競争力を有する業界のリーディングカンパニー」及び「日本発の新しいエネルギー企業」として飛躍を遂げるべく、昭和シェル石油㈱と協働事業の取り組みを加速させると同時に、引き続き経営統合に向けた協議を進めていきます。また、相互理解推進のために平成29年11月からは両社人事部門での人的交流を開始し、平成30年4月からは役員レベルの相互交流へ拡大しています。組織面では平成30年3月から一部部門での執務室を統合させるなど、着実に組織の融和・人的融和を推進しています。 なお、前述のうち将来に関する記述は、現時点で入手可能な情報に基づくものであり、実際の業績は今後の様々な要因によって、目標と相違する場合があります。 (4) 会社の支配に関する基本方針 当社は、当社グループの企業価値・株主共同の利益の確保・向上のため、安定的かつ持続的成長の実現に努めています。 したがって、当社株式を大量に取得しようとする者の出現等により、当社グループの企業価値・株主共同の利益が毀損されるおそれがある場合には、法令・定款で許容される範囲内において適切な措置を講じることを基本方針とします。
MD&A(経営者による分析)
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況ア. 一般経済情勢及び当社グループを取り巻く環境 当連結会計年度におけるわが国経済は、設備投資や雇用拡大に向けた企業マインドの改善や、欧米経済の堅調な推移による内外需の好調を背景に、企業収益は高水準を維持しました。 国内石油製品は、ガソリンについては車両の燃費改善など構造的要因により若干の需要減となる一方で、中間留分は国内の景気回復や小口配送需要の増加により軽油の需要が伸長したほか、寒波到来により灯油も前期需要を上回る結果となりました。石油化学原料も好調なアジア経済を背景にエチレン装置が高稼働を維持した結果、前期を上回る需要となりましたが、電力向けの重油は再生可能エネルギー等の電源の多様化が進展した結果、需要が大きく減少しました。この結果、石油製品全体ではほぼ前期並みの需要となりました。 ドバイ原油価格は、OPEC協調減産延長への期待と中東での地政学リスクの高まりを受け、11月以降は60ドル/バレルを上回る水準で推移しました。この結果、平均価格では前期比8.9ドル/バレル上昇の55.9ドル/バレルとなりました。 石油化学製品需要は、アジア圏を中心に堅調に推移し、国内生産は前期比増加しました。石油化学原料であるナフサの平均価格は、前期比82ドル/トン上昇の520ドル/トンとなりました。 円の対米ドルレートは、4~12月は概ね1ドル110円台から115円台の範囲で安定して推移していましたが、1月以降は米政権の強硬な貿易姿勢やシリア情勢緊迫化などから円高が進み、平均レートは前期比2.5円/ドル円安の111.9円/ドルとなりました。 イ. 業績 このような環境下、当社グループの当期の売上高は、主に原油の輸入価格の上昇による石油セグメントでの増収により3兆7,307億円(前期比+16.9%)となりました。 売上原価は、円建て原油価格及びナフサ価格の上昇などにより3兆2,368億円(前期比+16.8%)となりました。販売費及び一般管理費は、2,926億円(前期比+2.9%)となりました。 営業利益は、資源価格上昇による資源セグメントでの増益や国内石油製品のマージン改善による石油製品セグメントの増益などから2,013億円(前期比+48.9%)となりました。 営業外損益は、その他セグメントに含まれる昭和シェル石油㈱の増益による持分法投資利益の増加などにより250億円(前期比+428.0%)の利益となりました。その結果、経常利益は2,263億円(前期比+61.7%)となりました。 特別損益は、資源セグメントにおいて関係会社株式売却益を計上する一方で、確定拠出年金制度への移行に伴う損失などを計上したことにより、前期比28億円損失減の142億円の損失となりました。 法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用は、税金等調整前当期純利益の増加により454億円(前期比+129億円)となりましたが、当期に売却した関係会社株式に係る過年度損失計上額が、当期に税務上損金算入可能となったことによる税金費用の減額などにより、税金等調整前当期純利益に対する負担率は21.4%となりました。 非支配株主に帰属する当期純利益は資源セグメントでの増益などにより45億円(前期比+90.8%)となりました。 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,623億円(前期比+84.1%)となりました。 ウ. 事業の経過及び成果 セグメント別の事業の経過及び成果は以下のとおりです。 セグメント別売上高(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減 (平成29年3月期)(平成30年3月期)増減額増減率石油製品24,38228,708+4,326+17.7%石油化学製品4,6125,007+395+8.6%資源2,2732,894+621+27.3%その他636698+62+9.8%合計31,90337,307+5,403+16.9% セグメント別営業利益(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減 (平成29年3月期)(平成30年3月期)増減額増減率石油製品(在庫評価影響除き)770(460)886(575)+116(+115)+15.1%(+25.0%)石油化学製品400422+23+5.7%資源166668+502+302.3%その他5173+22+43.4%調整額△34△36△2-合計(在庫評価影響除き)1,352(1,021)2,013(1,702)+661(+680)+48.9%(+66.6%) (ア)石油製品セグメント 石油製品セグメントにおいては、国内の供給・販売体制の競争力強化及び海外市場への事業拡大を基本戦略として、次のような取り組みを行いました。(燃料油事業) 供給においては、需給環境や販売状況を踏まえた原油処理を行い、供給コスト削減と安定供給に努めました。 また、競争力ある生産体制の構築に向けて千葉製油所・工場は平成29年10月に一事業所化を実現しました。なお、愛知製油所では揮発油留分の付加価値向上のための改質ガソリンキシレン回収装置が完成しました。 販売においては、出光カード会員が350万件を突破、㈱イエローハットとのジョイント店舗である「アポロハット」が200店を達成するなど、SSネットワークの強化を図り顧客利便性の向上に努めました。 また、昭和シェル石油㈱とのブライターエナジーアライアンスの下、平成29年10月から出荷基地の相互利用を開始し、平成30年4月より法人向けカードの相互乗り入れを開始するなど着実にシナジーの創出を進めています。 海外においては、ベトナムにおいてIdemitsu Q8 Petroleum LLC社が外資として初のSSの運営を開始しました。なお、ニソン製油所・石油化学コンプレックスも平成30年5月に製品出荷を開始しています。また、豪州では独立系燃料油販売会社Trinity社を買収するなど需要が伸長する成長市場での活動を拡大させています。このような環太平洋地域等の海外成長市場での燃料油の供給から販売に至る事業基盤構築のため、シンガポール現地法人 出光アジア(IDEMITSU INTERNATIONAL(ASIA) PTE. LTD.)を中心に海外拠点の事業拡充を進めました。(潤滑油事業) 潤滑油販売数量は、好調なアジア・北米を中心とした海外販売量の伸長を背景に国内・海外合計で120万KLを超え、過去最高を更新しました。グローバルマーケットでの強固な販売・供給体制の構築に向け販売体制の見直しと海外生産能力の増強検討を進めました。 以上の結果、石油製品セグメントの売上高は、原油の輸入価格が上昇したことなどにより2兆8,708億円(前期比+17.7%)となりました。営業利益は、高度化法等による需給バランスの適正化に伴う製品マージンの改善などの増益要因により886億円(前期比+15.1%)となりました。なお、営業利益に含まれる在庫評価益は311億円です。(イ)石油化学製品セグメント 石油化学製品セグメントにおいては、基礎化学品事業の更なるコスト競争力強化と、機能化学品事業の構造改革による収益力向上を基本戦略として、次のような取り組みを行いました。(基礎化学品事業) 基礎化学品事業においては、三井化学㈱と共同運営している千葉ケミカル製造有限責任事業組合のエチレン装置の改修により原料選択の多様化を図りました。また、良好な市場環境下でエチレン装置、芳香族装置等の主要装置の安定稼働を維持することにより、コンビナート各社、自社誘導品へのオレフィン・芳香族の安定供給を実施しました。(機能化学品事業) エンジニアリングプラスチック事業においては、前期までに台湾FCFC社(Formosa Chemicals & Fibre Corporation)へ生産体制の集約を完了したポリカーボネート樹脂(商品名:タフロン®)と千葉事業所の生産能力の増強を行ったシンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレック®)等を中心に国内外への増販を図りました。 粘接着基材事業では、ホットメルト接着材の粘着付与剤として需要伸長が期待できる水添石油樹脂(商品名:アイマーブ®)において、台湾FPCC社(Formosa Petrochemical Corporation)と共同で新プラントを建設しています。また、従来の結晶性ポリプロピレン樹脂と比べて大幅に融点が低く軟質特性を有する機能性軟質ポリプロピレン(商品名:エルモーデュ®)については、従来からの衛生材向け接着基剤、不織布の改質材などに加え新たな用途開拓に国内外で取り組みました。 以上の結果、石油化学製品セグメントの売上高は、ナフサ価格が上昇したことなどにより5,007億円(前期比+8.6%)となりました。営業利益は、スチレンモノマー等の製品マージンの拡大や販売増などにより422億円(前期比+5.7%)となりました。 (ウ)資源セグメント 資源セグメントは、安定生産の継続、徹底したコスト削減と生産性向上による保有資産の価値向上と資産ポートフォリオ見直しを基本方針として、次のような取り組みを行いました。(石油開発事業・地熱事業) 資産ポートフォリオの再構築のため、英領北海資産を譲渡しました。また、ベトナム沖において発見したガス田について開発に向けた具体的な検討を進めました。 既存油田の安定操業・生産とともに操業改善活動を行った結果、ノルウェー領北海、英領北海において原油換算で日量3.7万バレルの原油・ガスを生産しました。 地熱事業においては、平成29年3月に商業運転を開始したバイナリー発電を含め、大分県滝上地区で順調な操業を継続するとともに、事業拡大に向けて秋田県小安地域にて掘削井の能力把握のための仮噴気試験を実施しました。その他、北海道阿女鱒岳地域と福島県での調査活動を進めています。 石油開発事業・地熱事業の売上高は、原油価格が上昇した影響などにより808億円(前期比+9.8%)となりました。営業利益は272億円(前期比+220.6%)となりました。(石炭事業・その他事業) 石炭事業においては、日本企業唯一のオペレーターシップを活かし競争力ある鉱山経営を行い、その結果、豪州・インドネシアの自社炭合計で過去最大の13.4百万トンを生産しました。また、低炭素ソリューションの提供のため、当社、郵船商事㈱、日本郵船㈱の3社で石炭ボイラ制御最適化システム「ULTY-V plus」を共同開発し、販売を開始しました。 ウラン事業においては、カナダ シガーレイク鉱山において生産したウラン精鉱の販売をしています。 石炭事業・その他事業の売上高は、石炭事業で石炭価格が大幅に上昇した影響などにより2,086億円(前期比+35.7%)となりました。営業利益は396億円(前期比+387.9%)となりました。 以上の結果、資源セグメント合計の売上高は2,894億円(前期比+27.3%)、営業利益は668億円(前期比+302.3%)となりました。(エ)その他セグメント その他セグメントのうち、電子材料事業、アグリバイオ事業、ガス事業、再生可能エネルギー事業においては、次のような取り組みを行いました。(電子材料事業) 有機EL材料分野においては、需要伸長が見込まれる中国での顧客対応強化のため上海市に現地法人を設立しました。また、高性能な有機EL材料の開発促進のため、中国BOE Technology Group Co.,Ltd.社と戦略的提携関係の構築に基本合意、 韓国LG Chem社とは有機EL材料関連分野における特許の相互利用に関する提携契約を締結、東レ㈱とは有機EL材料に関わる技術提携に合意しました。(アグリバイオ事業) 農業緑化資材においては、販売会社である出光アグリ㈱を通じ先進的生産団体への生物農薬の拡販活動に取り組んでいます。 家畜用補助飼料においては、牛、鳥、豚の胃腸を健康に保つ「ルミナップ®」「クロストップ®」「モルッカ」について、国内での大型農場を中心とした採用拡大、海外の販路拡大に向けた取り組みを進めました。(ガス事業) 兵庫製油所跡地(兵庫県姫路市)において、天然ガス発電事業の検討及び準備を進めるために、大阪ガス㈱との共同出資により姫路天然ガス発電㈱を平成28年4月に設立し、事業化検討を実施しています。 カナダのアルタガス社(AltaGas Ltd.)と共同出資で設立したAltaGas Idemitsu Joint Venture Limited Partnershipを通じて株式を保有するペトロガスエナジー社(Petrogas Energy Corp.)では、米国西海岸にあるファンデール基地(ワシントン州)から日本・アジア向けのLPG(液化石油ガス)の輸出強化に引き続き取り組みました。(再生可能エネルギー事業) 再生可能エネルギーへの取り組みとして、北九州市門司区、兵庫県姫路市、福島県いわき市において太陽光発電所(メガソーラー、発電能力計 15,210kW)を運転しています。バイオマス発電は、土佐グリーンパワー㈱(当社出資比率50%、発電出力6,250kW)及び㈱福井グリーンパワー(当社出資比率10%、発電出力7,000kW級)が稼働中です。また、風力発電は、二又風力開発㈱(当社出資比率40%、発電出力51,000kW)が稼働中です。 以上の結果、その他セグメントの売上高は698億円(前期比+9.8%)、営業利益は73億円(前期比+43.4%)となりました。 ② 財政状態の状況要約連結貸借対照表(単位:億円) 前連結会計年度(平成29年3月期)当連結会計年度(平成30年3月期)増減流動資産9,59812,230+2,632固定資産16,81916,973+154資産合計26,41629,203+2,786流動負債11,45011,627+177固定負債8,7678,516△251負債合計20,21720,143△74純資産合計6,1999,059+2,860負債純資産合計26,41629,203+2,786 ア.資産の部当期末における資産合計は、原油の輸入価格の上昇及び月末休日要因に伴う売掛債権・たな卸資産の増加などにより、2兆9,203億円(前期末比+2,786億円)となりました。 イ.負債の部有利子負債に関しては、フリーキャッシュフローの増加等により返済を進め8,936億円(前期末比△1,587億円)と大幅な削減となりましたが、負債合計では原油価格の上昇による買掛債務の増加や月末休日による未払揮発油税の増加などの影響により2兆143億円(前期末比△74億円)となりました。 ウ.純資産の部当期末の純資産合計は、公募増資の実施に伴い資本金及び資本剰余金がそれぞれ597億円増加したことに加え、1,623億円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどにより9,059億円(前期末比+2,860億円)となり、財務体質は大幅に改善しました。 以上の結果、自己資本比率は前期末の22.1%から当期末は29.7%と7.6ポイント改善しました。 ③ キャッシュ・フローの状況要約連結キャッシュ・フロー計算書(単位:億円) 前連結会計年度(平成29年3月期)当連結会計年度(平成30年3月期)営業活動によるキャッシュ・フロー5351,368投資活動によるキャッシュ・フロー△2,148△899財務活動によるキャッシュ・フロー1,361△519現金及び現金同等物に係る換算差額△368現金及び現金同等物の増減額(△は減少)△287△43現金及び現金同等物の期首残高1,188901連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少)-10現金及び現金同等物の期末残高901868 当期末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、868億円となり、前期末に比べ、33億円減少しました。その主な要因は次のとおりです。 ア.営業活動におけるキャッシュ・フロー原油の輸入価格の上昇及び月末休日要因などにより必要運転資金は増加したものの、資源セグメントや石油製品セグメントでの増益などにより1,368億円の収入となりました。 イ.投資活動におけるキャッシュ・フロー設備投資による有形固定資産の取得(581億円)や長期貸付金の増加(222億円)などにより、899億円の支出となりました。 ウ.財務活動におけるキャッシュ・フロー新株式発行により1,186億円を調達した一方で、有利子負債の返済(1,543億円)や配当金の支払い(123億円)などにより、519億円の支出となりました。 ④ 生産、受注及び販売の実績ア. 生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)石油製品1,531,290117.3石油化学製品450,875120.5資源220,240134.7その他16,262101.3 (注)1.上記の金額は、製造会社は製品生産額、資源部門については、販売金額によって記載をしています。2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。 イ. 受注実績当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。 ウ. 販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)石油製品2,870,802117.7石油化学製品500,664108.6資源289,386127.3その他69,837109.8合計3,730,690116.9 (注)1.「主な相手先別の販売実績」に該当する販売相手先はないため、記載を省略しています。2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。3.各部門の販売実績は、外部顧客への売上高を記載しています。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 経営成績の分析経営成績の分析については、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」における「イ.業績」及び「ウ.事業の経過及び成果」に記載しています。 ② 資本の財源及び資金の流動性についての分析 ア.資金需要当社グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払い等によるものです。営業費用の主なものは、人件費、物流費、作業費、研究開発費等です。設備資金については、各事業分野別に以下の資金需要があります。(ア)燃料油事業・基礎化学品事業については、販売・供給体制の再構築と競争力強化を目的とした投資や海外 成長市場への進出による事業拡大のための投資(イ)石油開発事業・石炭事業・ウラン事業については、保有鉱区の安定生産の継続と探鉱開発による埋蔵量確 保に向けた投資(ウ)潤滑油事業・機能化学品事業・電子材料事業・アグリバイオ事業については、環境配慮型商品の開発強化 やグローバル展開による事業拡大に向けた投資 イ.財務政策当社グループは、中長期的な成長を維持するために必要な運転資金及び設備投資資金を、財務体質とのバランスを勘案しつつ、営業活動によるキャッシュ・フロー、借入、コマーシャル・ペーパーや社債の発行及び特定融資枠契約(コミットメントライン契約)の活用、更に資本増強等を効果的に組み合わせて調達していきます。当期末の短期借入金の残高は1,429億円、長期借入金の残高は5,462億円、社債(1年以内償還分を含む)の残高は650億円、コマーシャル・ペーパーの残高は1,380億円となりました。国内子会社は、当社が一括して資金調達し子会社に融通するグループ金融を通じて運転資金及び設備投資資金を調達しています。海外子会社の運転資金及び設備投資資金については、各々の子会社が現地通貨を借入にて調達するほか、子会社間のグループ金融を通じて調達しています。 なお、当社は、平成29年7月20日に実施しました公募による新株式発行(4,800万株)により1,195億円を調達しました。新株式発行により調達した資金のうち522億円を戦略投資資金に充当する予定です。また、残額は昭和シェル石油㈱の株式取得を行った際に金融機関より借入れた短期借入金の返済に充当しました。 (特定融資枠契約) 当社グループは、運転資金の効率的な調達及び十分な流動性確保並びに、災害発生時の円滑な資金調達のため、取引先銀行5行で作られるシンジケート団と、平成31年3月までの契約期間において短期借入を実行できる特定融資枠契約(災害型コミットメントライン契約)を締結し、機動的・安定的な資金調達が可能な体制を敷いています。なお、当連結会計年度末において同契約にかかる借入残高はありません。特定融資枠契約の極度額 1,000億円 ③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標 当社グループは、レジリエントな事業ポートフォリオの実現と持続的な成長を目指しています。この経営の基本戦略を達成するため、自己資本利益率(ROE)、ネットD/Eレシオ、自己資本比率を主要な経営指標と考えています。 なお、前期と比較し当期の指標がそれぞれ改善している主な理由は、以下のとおりです。(ア)資源価格上昇による資源セグメントでの増益や石油製品セグメントの増益(イ)上記による親会社株主に帰属する当期純利益の増加と、平成29年7月の公募増資による純資産の増加(ウ)フリーキャッシュフローと公募増資での調達資金の一部を原資とした有利子負債の削減 当社グループの主要な経営指標のトレンドは次のとおりです。 平成26年3月期平成27年3月期平成28年3月期平成29年3月期平成30年3月期自己資本利益率(ROE)(%)5.4--16.322.3ネットD/Eレシオ(倍)1.31.51.61.60.9自己資本比率(%)23.521.520.822.129.7 (注)1.各指標は、以下の計算式によって計算しています。自己資本利益率(ROE):当期純利益/自己資本(期首期末平均)ネットD/Eレシオ:(有利子負債-現預金及び短期運用有価証券)/(純資産-非支配株主持分)自己資本比率:(純資産-非支配株主持分)/総資産2.有利子負債は、短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債及び長期借入金として連結貸借対照表に計上されている金額及びリース債務の金額を使用しています。3.平成27年3月期及び平成28年3月期の自己資本利益率(ROE)については、親会社株主に帰属する 当期純損失を計上しているため記載していません。
経営方針・経営戦略
3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針 出光は、創業以来経営理念である「人間尊重」を事業を通じて実践し、広く社会で期待され信頼される企業となることを目指しています。 この考え方を踏まえ、以下のとおりステークホルダーの皆様への5つの約束を、当社グループの経営方針としています。「人」が中心の経営を更に深化・発展させていくことで、あらゆるステークホルダーの方々から信頼される企業を目指していきます。 ◆新しい価値の創出と提供→「お客さま」 お客さまに安心・活力・満足を感じていただける商品・技術・サービスを提案、提供します。 そして、新しい価値の創出に努めます。◆社会への貢献→「社会・環境」 安全を基盤とし、自然環境の維持・向上に努めます。 そして、地域・文化・社会に貢献します。◆確かな成果の還元→「株主」 企業としての社会的責任を果たし、健全で持続的な成長を図ります。 そして、株主に確かな成果の還元に努めます。◆パートナーとの協働→「パートナー」 販売店はじめ、共に事業に携わっている方々とお互いに協力し、お客さまの安心・活力・満足を実現します。 そして、成果と成功の共有を目指します。◆自己成長・自己実現の追求→「社員」 社員一人ひとりが、自己成長と自己実現を追求することができる環境をつくります。 そして、各人が尊重される人間となるべく努力します。 (2) 対処すべき課題① 環境認識 国内経済は個人消費、雇用の面で緩やかな回復基調が継続しています。一方、海外は、米国やアジア圏を中心に全体的に底堅く推移すると予想されるものの、一部先進国での保護主義的政策の動きや、北朝鮮やシリア問題等の地政学リスクの高まり等により、先行きが不透明な環境にあります。 国内市場では、電気自動車、プラグインハイブリッド車(PHV)の普及や省エネルギーの進展に伴い、中長期的な石油製品需要の減少が避けられませんが、海外ではアジアの新興国を中心に堅調な需要の伸長が見込まれています。 ② 昭和シェル石油㈱との経営統合の検討に関して当社は、平成27年7月30日にロイヤル・ダッチ・シェル ピーエルシーの子会社(以下RDS社)から昭和シェル石油㈱の株式を取得する旨の株式譲渡契約を締結し、以降昭和シェル石油㈱と平成27年11月から経営統合に向けた協議を進めています。平成28年12月19日に公正取引委員会より、当社及び昭和シェル石油㈱が申し出た問題解消措置の実施を前提に、「排除措置命令を行わない旨の通知書」を受領するとともに、RDS社から昭和シェル石油株式117,761,200株(議決権比率31.3%)の取得を完了しました。 また平成29年5月9日に、昭和シェル石油㈱と企業グループを形成して協働事業を強化・推進することに関し、趣意書を締結しました。 当趣意書の骨子は以下のとおりです。ア. 目的両社は対等なパートナーとしてアライアンスを組み、本統合に向けた各種プロセスを再開又は加速しながら、広範囲にわたって協業を深化させ、本統合が実現するまでの時間も最大限有効に活用し、両社の企業価値をさらに向上させるべく、シナジー効果の先取りを図ります。イ. アライアンス名 「Brighter Energy Alliance(ブライターエナジーアライアンス)」ウ. アライアンスの内容(ア)国内石油事業における統合シナジーの追求・原油の調達と輸送の最適化、生産計画の最適化・生産最適化のための製品・半製品の相互融通(両社製油所の定期修繕期間を含む)・物流分野における配送効率化(陸上、海上)・精製コストの削減・省エネ、精製マージン改善施策のベストプラクティスの展開・製造部門の共同調達の推進による調達コストの削減(イ)シナジー目標2017年4月から3年以内に年間250億円以上のシナジー創出を目指します。なお、シナジー取組み項目は以下のとおりです。 分 野 項 目 期待効果 原油調達①原油共同調達②原油タンカー共同配船/傭船コスト削減10億円 供給①最適生産計画システム一体化による収益改善 ・重油基材の最適化による分解装置最大活用 ・各製油所への最適原油選択②石油製品・半製品の相互融通(グループ内) ・プラント定期修繕時の協力 ・輸出入の最適化 ・重油転送コスト削減。120億円 製造・調達①精製マージン改善施策のベストプラクティスの展開 ・精製コスト削減等②共同調達 ・副資材(触媒、薬品等) ・工事、工事資材70億円 物流・販売①出荷基地の相互利用②共同配送(陸上、海上)40億円 間接部門共同調達(ITシステム、コーポレート費用等)10億円 計250億円以上※上記に記載されている将来の見通しに関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的 であると判断する一定の前提に基づいており、実際のシナジー効果等は様々な要因により大きく 異なる可能性があります。(ウ)重複分野における事業戦略のすり合わせ(エ)アライアンスグループ及び統合新社の戦略検討(オ)人的融和の推進(カ)お客様視点での新たなサービス開発(キ)社会貢献活動の一層の推進(ク)低炭素社会実現への取り組み推進以上のとおり、「屈指の競争力を有する業界のリーディングカンパニー」及び「日本発の新しいエネルギー企業」として飛躍を遂げるべく、昭和シェル石油㈱と協働事業の取り組みを加速させると同時に、引き続き経営統合に向けた協議を進めていきます。 ③ 中長期的な会社の経営戦略当社は、2013~2015年度までの第4次中期経営計画において、「エネルギーの確保と有効利用並びに高機能材のグローバル展開を通じて経済と環境の調和のある社会の発展に貢献する」を経営方針とし、持続的成長を実現するための事業構造改革を推進し、積極的な戦略投資を実施してきました。 今後、2017年度から2020年度頃までを、第4次中期経営計画の成果の刈り取りと更なる成長領域へ展開するフェーズと位置付け、経営課題に取り組んでいきます。 セグメント別の具体的な課題は以下のとおりです。 ア.石油製品セグメント 国内燃料油事業では、昭和シェル石油㈱との協働事業の強化・推進によりシナジーの早期創出を目指します。海外では、ベトナムのニソン製油所・石油化学コンプレックスの商業運転開始やシンガポールを中心拠点とした燃料油販売事業の展開により、需要の拡大するアジア圏における事業拡大を図ります。潤滑油事業では、環境対応型商品や技術革新に対応した高機能商品の開発を進めるとともに、海外での生産拠点の拡大によりグローバル展開を加速します。 イ.石油化学製品セグメント 基礎化学品事業では、誘導品を含めたサプライチェーンの最適化を進めます。製油所とのインテグレーション、原料多様化等を進め、一層の競争力強化に取り組みます。その一環として平成29年10月に千葉製油所と千葉工場を統合し、千葉事業所を発足します。また、ベトナムのニソン製油所・石油化学コンプレックスの商業運転開始に伴い、パラキシレン、ベンゼンの販売を拡大します。 機能材料事業では、シンジオタクチックポリスチレン樹脂・ポリカーボネート樹脂等のエンジニアリングプラスチック分野、及び水添石油樹脂や機能性軟質ポリプロピレン等の粘接着基材事業分野をコア事業とし、事業拡大を加速するため、経営資源を集中して育成を図ります。 なお、水添石油樹脂においては平成28年9月に台塑石化股份有限公司(FPCC社)と、台湾にて年産2万5千トンの製造装置を建設することを決定し、同社と合弁会社「台塑出光特用化学品股份有限公司」を設立しています。 ウ.資源セグメント 資源事業の共通課題は、第4次中期経営計画期間に実施した生産能力の拡大投資(クナル油田、ボガブライ鉱山等)とポートフォリオの見直し・コスト削減等の一連の施策の成果を着実に刈り取ることです。 石油開発事業では、コスト・投資の削減を進めつつ、既存油田の安定生産と厳選した探鉱活動を通じた埋蔵量確保に取り組みます。 石炭事業では、自社鉱山操業・調達・物流・販売のバリューチェーン全体で更なる競争力強化を図ります。また、低炭素社会への対応として、石炭・環境研究所による燃焼技術支援、バイオマス混焼の推進等に取り組みます。 ウラン事業では、カナダ シガーレイク鉱山における安定生産・販売を目指します。 エ.その他セグメント 電子材料事業では、平成29年1月に有機EL材料の研究拠点としてスイスにIdemitsu OLED Materials Europe AGを設立し、研究体制を強化しました。有機EL材料の高性能・低コスト化の技術開発を継続し、拡大する需要を着実に捉えて販売を拡大し、事業を成長軌道に乗せる取り組みを加速していきます。 アグリバイオ事業では、既存生物農薬・化学農薬や牛用混合飼料「ルミナップ®」、鶏用混合飼料「クロストップ®」の普及拡大、海外展開の強化により、「安全・安心な食」「増大する食糧需要」に貢献するニーズ対応型の事業を展開します。 ガス事業では、姫路天然ガス発電㈱の事業化検討を進めます。また、北米のLPG(液化石油ガス)のアジア向け輸出・販売事業の更なる拡大に取り組みます。 再生可能エネルギー事業では、風力・バイオマス・太陽光・地熱・水力等の電源開発検討を行うとともに、再生可能エネルギー電源を積極的に活用した電力小売事業を拡大していきます。 当社グループ全体としての重点課題は以下の3点です。・国内基盤事業(燃料油・基礎化学品)の構造改革継続・海外事業展開の継続・高機能材事業の拡大(潤滑油・機能材料・電子材料) 当社は、安定した収益基盤の確立、持続的な成長戦略の構築を通じて企業価値の向上に取り組んでいきます。 なお、前述のうち将来に関する記述は、現時点で入手可能な情報に基づくものであり、実際の業績は今後の様々な要因によって、目標と相違する場合があります。 (3) 会社の支配に関する基本方針 当社は、当社グループの企業価値・株主共同の利益の確保・向上のため、安定的かつ持続的成長の実現に努めています。 したがって、当社株式を大量に取得しようとする者の出現等により、当社グループの企業価値・株主共同の利益が毀損されるおそれがある場合には、法令・定款で許容される範囲内において適切な措置を講じることを基本方針とします。
対処すべき課題
3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針 出光は、創業以来経営理念である「人間尊重」を事業を通じて実践し、広く社会で期待され信頼される企業となることを目指しています。 この考え方を踏まえ、以下のとおりステークホルダーの皆様への5つの約束を、当社グループの経営方針としています。「人」が中心の経営を更に深化・発展させていくことで、あらゆるステークホルダーの方々から信頼される企業を目指していきます。 ◆新しい価値の創出と提供→「お客さま」 お客さまに安心・活力・満足を感じていただける商品・技術・サービスを提案、提供します。 そして、新しい価値の創出に努めます。◆社会への貢献→「社会・環境」 安全を基盤とし、自然環境の維持・向上に努めます。 そして、地域・文化・社会に貢献します。◆確かな成果の還元→「株主」 企業としての社会的責任を果たし、健全で持続的な成長を図ります。 そして、株主に確かな成果の還元に努めます。◆パートナーとの協働→「パートナー」 販売店はじめ、共に事業に携わっている方々とお互いに協力し、お客さまの安心・活力・満足を実現します。 そして、成果と成功の共有を目指します。◆自己成長・自己実現の追求→「社員」 社員一人ひとりが、自己成長と自己実現を追求することができる環境をつくります。 そして、各人が尊重される人間となるべく努力します。 (2) 対処すべき課題① 環境認識 国内経済は個人消費、雇用の面で緩やかな回復基調が継続しています。一方、海外は、米国やアジア圏を中心に全体的に底堅く推移すると予想されるものの、一部先進国での保護主義的政策の動きや、北朝鮮やシリア問題等の地政学リスクの高まり等により、先行きが不透明な環境にあります。 国内市場では、電気自動車、プラグインハイブリッド車(PHV)の普及や省エネルギーの進展に伴い、中長期的な石油製品需要の減少が避けられませんが、海外ではアジアの新興国を中心に堅調な需要の伸長が見込まれています。 ② 昭和シェル石油㈱との経営統合の検討に関して当社は、平成27年7月30日にロイヤル・ダッチ・シェル ピーエルシーの子会社(以下RDS社)から昭和シェル石油㈱の株式を取得する旨の株式譲渡契約を締結し、以降昭和シェル石油㈱と平成27年11月から経営統合に向けた協議を進めています。平成28年12月19日に公正取引委員会より、当社及び昭和シェル石油㈱が申し出た問題解消措置の実施を前提に、「排除措置命令を行わない旨の通知書」を受領するとともに、RDS社から昭和シェル石油株式117,761,200株(議決権比率31.3%)の取得を完了しました。 また平成29年5月9日に、昭和シェル石油㈱と企業グループを形成して協働事業を強化・推進することに関し、趣意書を締結しました。 当趣意書の骨子は以下のとおりです。ア. 目的両社は対等なパートナーとしてアライアンスを組み、本統合に向けた各種プロセスを再開又は加速しながら、広範囲にわたって協業を深化させ、本統合が実現するまでの時間も最大限有効に活用し、両社の企業価値をさらに向上させるべく、シナジー効果の先取りを図ります。イ. アライアンス名 「Brighter Energy Alliance(ブライターエナジーアライアンス)」ウ. アライアンスの内容(ア)国内石油事業における統合シナジーの追求・原油の調達と輸送の最適化、生産計画の最適化・生産最適化のための製品・半製品の相互融通(両社製油所の定期修繕期間を含む)・物流分野における配送効率化(陸上、海上)・精製コストの削減・省エネ、精製マージン改善施策のベストプラクティスの展開・製造部門の共同調達の推進による調達コストの削減(イ)シナジー目標2017年4月から3年以内に年間250億円以上のシナジー創出を目指します。なお、シナジー取組み項目は以下のとおりです。 分 野 項 目 期待効果 原油調達①原油共同調達②原油タンカー共同配船/傭船コスト削減10億円 供給①最適生産計画システム一体化による収益改善 ・重油基材の最適化による分解装置最大活用 ・各製油所への最適原油選択②石油製品・半製品の相互融通(グループ内) ・プラント定期修繕時の協力 ・輸出入の最適化 ・重油転送コスト削減。120億円 製造・調達①精製マージン改善施策のベストプラクティスの展開 ・精製コスト削減等②共同調達 ・副資材(触媒、薬品等) ・工事、工事資材70億円 物流・販売①出荷基地の相互利用②共同配送(陸上、海上)40億円 間接部門共同調達(ITシステム、コーポレート費用等)10億円 計250億円以上※上記に記載されている将来の見通しに関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的 であると判断する一定の前提に基づいており、実際のシナジー効果等は様々な要因により大きく 異なる可能性があります。(ウ)重複分野における事業戦略のすり合わせ(エ)アライアンスグループ及び統合新社の戦略検討(オ)人的融和の推進(カ)お客様視点での新たなサービス開発(キ)社会貢献活動の一層の推進(ク)低炭素社会実現への取り組み推進以上のとおり、「屈指の競争力を有する業界のリーディングカンパニー」及び「日本発の新しいエネルギー企業」として飛躍を遂げるべく、昭和シェル石油㈱と協働事業の取り組みを加速させると同時に、引き続き経営統合に向けた協議を進めていきます。 ③ 中長期的な会社の経営戦略当社は、2013~2015年度までの第4次中期経営計画において、「エネルギーの確保と有効利用並びに高機能材のグローバル展開を通じて経済と環境の調和のある社会の発展に貢献する」を経営方針とし、持続的成長を実現するための事業構造改革を推進し、積極的な戦略投資を実施してきました。 今後、2017年度から2020年度頃までを、第4次中期経営計画の成果の刈り取りと更なる成長領域へ展開するフェーズと位置付け、経営課題に取り組んでいきます。 セグメント別の具体的な課題は以下のとおりです。 ア.石油製品セグメント 国内燃料油事業では、昭和シェル石油㈱との協働事業の強化・推進によりシナジーの早期創出を目指します。海外では、ベトナムのニソン製油所・石油化学コンプレックスの商業運転開始やシンガポールを中心拠点とした燃料油販売事業の展開により、需要の拡大するアジア圏における事業拡大を図ります。潤滑油事業では、環境対応型商品や技術革新に対応した高機能商品の開発を進めるとともに、海外での生産拠点の拡大によりグローバル展開を加速します。 イ.石油化学製品セグメント 基礎化学品事業では、誘導品を含めたサプライチェーンの最適化を進めます。製油所とのインテグレーション、原料多様化等を進め、一層の競争力強化に取り組みます。その一環として平成29年10月に千葉製油所と千葉工場を統合し、千葉事業所を発足します。また、ベトナムのニソン製油所・石油化学コンプレックスの商業運転開始に伴い、パラキシレン、ベンゼンの販売を拡大します。 機能材料事業では、シンジオタクチックポリスチレン樹脂・ポリカーボネート樹脂等のエンジニアリングプラスチック分野、及び水添石油樹脂や機能性軟質ポリプロピレン等の粘接着基材事業分野をコア事業とし、事業拡大を加速するため、経営資源を集中して育成を図ります。 なお、水添石油樹脂においては平成28年9月に台塑石化股份有限公司(FPCC社)と、台湾にて年産2万5千トンの製造装置を建設することを決定し、同社と合弁会社「台塑出光特用化学品股份有限公司」を設立しています。 ウ.資源セグメント 資源事業の共通課題は、第4次中期経営計画期間に実施した生産能力の拡大投資(クナル油田、ボガブライ鉱山等)とポートフォリオの見直し・コスト削減等の一連の施策の成果を着実に刈り取ることです。 石油開発事業では、コスト・投資の削減を進めつつ、既存油田の安定生産と厳選した探鉱活動を通じた埋蔵量確保に取り組みます。 石炭事業では、自社鉱山操業・調達・物流・販売のバリューチェーン全体で更なる競争力強化を図ります。また、低炭素社会への対応として、石炭・環境研究所による燃焼技術支援、バイオマス混焼の推進等に取り組みます。 ウラン事業では、カナダ シガーレイク鉱山における安定生産・販売を目指します。 エ.その他セグメント 電子材料事業では、平成29年1月に有機EL材料の研究拠点としてスイスにIdemitsu OLED Materials Europe AGを設立し、研究体制を強化しました。有機EL材料の高性能・低コスト化の技術開発を継続し、拡大する需要を着実に捉えて販売を拡大し、事業を成長軌道に乗せる取り組みを加速していきます。 アグリバイオ事業では、既存生物農薬・化学農薬や牛用混合飼料「ルミナップ®」、鶏用混合飼料「クロストップ®」の普及拡大、海外展開の強化により、「安全・安心な食」「増大する食糧需要」に貢献するニーズ対応型の事業を展開します。 ガス事業では、姫路天然ガス発電㈱の事業化検討を進めます。また、北米のLPG(液化石油ガス)のアジア向け輸出・販売事業の更なる拡大に取り組みます。 再生可能エネルギー事業では、風力・バイオマス・太陽光・地熱・水力等の電源開発検討を行うとともに、再生可能エネルギー電源を積極的に活用した電力小売事業を拡大していきます。 当社グループ全体としての重点課題は以下の3点です。・国内基盤事業(燃料油・基礎化学品)の構造改革継続・海外事業展開の継続・高機能材事業の拡大(潤滑油・機能材料・電子材料) 当社は、安定した収益基盤の確立、持続的な成長戦略の構築を通じて企業価値の向上に取り組んでいきます。 なお、前述のうち将来に関する記述は、現時点で入手可能な情報に基づくものであり、実際の業績は今後の様々な要因によって、目標と相違する場合があります。 (3) 会社の支配に関する基本方針 当社は、当社グループの企業価値・株主共同の利益の確保・向上のため、安定的かつ持続的成長の実現に努めています。 したがって、当社株式を大量に取得しようとする者の出現等により、当社グループの企業価値・株主共同の利益が毀損されるおそれがある場合には、法令・定款で許容される範囲内において適切な措置を講じることを基本方針とします。