5019

出光興産(5019)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

石油・石炭製品 エネルギー資源

事業の概要

  • 石油製品の製造販売
    出光興産は、ガソリン、灯油、軽油などの石油製品を精製し、全国のサービスステーションや産業向けに販売することで収益を得ています。原油を輸入し、自社の製油所で加工する一貫体制が特徴で、日本のエネルギー供給を支える基幹事業です。
  • 基礎化学品の製造販売
    ナフサなどの石油由来原料から、プラスチックや合成繊維の原料となる基礎化学品を製造・販売しています。国内外の工場で生産し、自動車、家電、建材など幅広い産業に供給しており、多様な製品を通じて収益を上げています。
  • 電力・再生可能エネルギー事業
    火力発電所や再生可能エネルギー発電所(太陽光、風力など)を運営し、電力を供給しています。卸電力取引市場での売買や、企業・家庭への電力小売を通じて収益を確保しており、脱炭素社会への移行を見据えた新たな収益源として育成しています。
出典: FY2024 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 石油事業
    売上高7兆6,963億円、営業利益1,083億円で、出光興産の最大の稼ぎ頭です。ガソリン、灯油、軽油などの石油製品の精製・販売が中心で、日本のエネルギー供給を支える基幹事業であり、同社の収益の大部分を占めています。
  • 基礎化学品事業
    売上高5,871億円、営業利益は-99億円と赤字です。ナフサを原料として、プラスチックや合成繊維の原料となる基礎化学品を製造・販売していますが、市場競争の激化や原料価格の変動、中国での新規設備増加による供給過多が収益を圧迫しています。
  • 資源事業
    売上高2,652億円、営業利益683億円と高収益です。石油・天然ガス開発や石炭採掘・販売を手掛けており、特にオーストラリアでの石炭生産やベトナムなどでの油ガス田開発が貢献しています。国際的な資源価格の動向が業績に大きく影響します。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Petroleum 事業 76,964 1,084 1.4%
BasicChemicals 事業 5,872 -100 -1.7%
FunctionalMaterials 事業 5,034 280 5.6%
PowerAndRenewableEnergy 事業 1,276 -113 -8.9%
Resources 事業 2,652 684 25.8%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2024|206 文字
3【事業の内容】当社及び当社の関係会社(当社、子会社177社及び関連会社55社)が営む主要な事業の内容と主要な関係会社の当該事業における位置付けは、次のとおりです。また、当連結会計年度より連結子会社又は持分法適用会社の数を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表等 注記事項 1.連結の範囲に関する事項 2.持分法の適用に関する事項」に記載のとおりです。 [事業系統図]

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
市場における激しい競争等により、価格変動を製品価格に適切に転嫁できない場合があるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 設備
製油所・工場や販売設備等の維持更新、油田の権益取得や探鉱開発等に多額の投資が必要。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:国際情勢や経済環境等の変化によるリスク / 事業を取り巻く外部環境の変化によるリスク / 気候変動に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 11 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

出光ブランドは一定の認知度を持つが、石油業界全体でブランドロイヤリティは限定的。特許やIPによる明確な競争優位性は見えにくい。一部の独自技術や研究開発への投資は存在するが、それが持続的な無形資産としてのモートに繋がるかは不透明。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

ガソリンスタンド利用者は価格や利便性で選択することが多く、特定のブランドへの強いスイッチング・コストは低い。法人向け燃料供給などでは、契約による一定のスイッチング・コストが発生する可能性があるが、業界全体で見た場合の顧客の囲い込み力は限定的。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

石油製品の販売・供給事業であり、ネットワーク効果が働くビジネスモデルではない。プラットフォーム型サービスとは異なり、ユーザー数の増加が直接的にサービス価値を高める構造ではない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

製油所や物流網の効率化、スケールメリットによる調達コストの低減が競争力の源泉。特に、複数の製油所を統合・最適化する取り組みはコスト優位性を高める可能性がある。ただし、原油価格の変動リスクは大きく、構造的なコスト優位性は限定的。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

国内有数の石油元売会社として、精製能力、販売網において大規模な設備投資と事業規模を持つ。業界再編や統合が進む中で、一定の寡占状態を維持し、効率的な事業運営が可能。業界内での相対的な規模の経済性は高い。

  • 広範な事業ポートフォリオ
    石油製品、基礎化学品、高機能材、電力・再生可能エネルギー、資源開発と多岐にわたる事業を展開しており、特定の事業に依存しない安定した収益基盤を築いています。これにより、市場変動リスクを分散し、経営の安定性を高めています。
  • 国内外の強固な供給網
    日本国内に複数の製油所や販売網を持つほか、アジアを中心に海外にも事業を展開し、製品の安定供給能力が高いです。特に中東からの原油輸入においては、長期契約とリスク分散により安定調達を図っており、事業継続性を確保しています。
  • 技術開発力と多様な製品群
    潤滑油や機能性材料などの高機能材分野において、独自の技術開発を進め、高付加価値製品を提供しています。これにより、価格競争に巻き込まれにくい製品群を持ち、高い収益性を追求できる強みがあります。
出典: FY2024 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 中期経営計画(2023~2025年度)の振り返り中期経営計画(2023~2025年度)では、エネルギーと素材の安定供給の使命を果たしながら、事業構造改革投資と人的資本投資の両輪により、事業ポートフォリオの転換を推進してきました。事業構造改革投資においては、既存事業の収益力強化で着実な成果を上げ、2025年度での営業利益及び持分法投資損益に加え、ROE(自己資本利益率)でも、計画時に掲げた目標水準を達成しました。一方、原油価格の変動等、一過性の外部要因による押し上げ影響も大きく、安定的な収益基盤の構築と更なる資本効率の向上は今後の課題であると認識しています。また、2050年のCN・循環型社会に向けた事業ポートフォリオの転換においては、「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」「スマートよろずや」の3つの事業領域を定め、社会実装に向けて着実に前進してきました。脱炭素に向けた社会的な動きが変化する中においても、ブルーアンモニアやSAF(持続可能な航空燃料)の事業化検討、リチウム固体電解質のパイロット装置建設に関する意思決定、使用済みプラスチックの油化設備の完工、モビリティサービスに特化した「apolloONE」の展開など、社会や顧客のニーズに応じたソリューション提供に向けた準備を着実に進めています。 (2) 経営環境の認識近年、当社グループを取り巻く経営環境は、地政学的リスクの顕在化、エネルギー政策の揺り戻し、新興国の台頭など、大きな構造変化の局面にあります。足元では、中東産油国の情勢悪化により、原油調達のみならず製造・販売を含むサプライチェーン全体において、当社グループの事業に大きな影響が生じています。こうした状況に限らず、地政学的リスクが一層高まる中、対応力を強化していくことは、今日の企業経営において不可欠な要素となっています。一方、欧米を中心に進んできた脱炭素政策については、エネルギー安全保障や経済合理性の観点から、化石燃料の役割を再評価する動きも見られます。このように政策動向は一様ではなく、エネルギー転換の進展は、より複線的な時間軸で進むものと認識しています。また、グローバルサウスの台頭により国際秩序にも変化の兆しが見られる中、成長市場においては、エネルギーの安定供給を確保するとともに、現地ニーズに即した事業展開が一層求められています。以上のような不確実性の高い経営環境において、エネルギーの安定供給という社会的使命を果たしつつ、当社の持続的成長を実現するためには、環境変化への対応を念頭においた戦略構築・実行プロセスが重要であると認識しています。 (3) 中期経営計画(2026~2030年度)① 中期経営計画の骨子中期経営計画(2026~2030年度)では、2030年ビジョン「責任ある変革者」のもと、事業戦略「GRIT」「GROWTH」「CNX」と、人財戦略である「全ての社員を変革の主役に」「もっと共創&イノベーションを」を両輪とし、これらを支えるビジネスプラットフォームの強靭化を柱に取り組んでいきます。これらの戦略を着実に推進することで、2030年度の財務目標としてROE13%やROIC7%の達成を目指すとともに、これまで以上の企業価値向上に努めていきます。 ② 事業戦略方針事業戦略のリバランスを行い、より実践的な取り組みにより「稼ぐ力」を強化することで、中長期的な成長の実現を目指していきます。事業戦略は『GRIT:既存事業の深化』『GROWTH:成長事業の創出』『CNX:低/脱炭素事業への挑戦』の3テーマで推進し、持続的成長を実現しつつ社会課題解決に貢献します。まずは、燃料油など、社会的な重要性が再認識されている既存事業の基盤を強化・深化し、エネルギーの安定供給に努めるとともに、収益力及び資本効率の向上に粘り強く取り組んでいきます(GRIT)。また、中長期的な成長が見込まれる電化・電動化、ICT、海外事業などの分野において、当社の技術力や国内外のネットワークといった強みを活かした事業創出を拡大していきます(GROWTH)。更に、2050年CN実現や中長期的なエネルギー安全保障への貢献を見据え、時間軸を見極めながら、低/脱炭素事業へ挑戦していきます(CNX)。これらの取り組みを5つの事業セグメント横断で推進するとともに、パートナーとの共創を通じて、企業価値の向上と社会課題の解決の両立を図っていきます。 <GRIT “既存事業の深化”>わが国におけるエネルギー安全保障の確保などの観点から、燃料油をはじめとする当社の既存事業は、社会的・経済的意義が一層高まっています。原料調達ソースの多角化や製油所・事業所の稼働率向上に向けた施策など、供給安定化/効率化に向けた取り組みを推進するとともに、全国の特約販売店やSSネットワークを活用した販売強化に注力していきます。また、事業の統合/再編や課題事業の構造改革などを通じて、資本効率の向上に向けた取り組みも、引き続き力強く進めていきます。 <GROWTH “成長事業の創出”>中長期的な社会変化やメガトレンドを捉え、新たな事業の創出と拡大を進めます。中でも当社が今中計期間中に注力するのは、電化・電動化やICTの進展、海外市場の成長、モビリティ関連サービス、循環型経済の拡大を見据えたサーキュラービジネスです。当社が有する技術力や全国のサービスステーション網など、既存の強みを活かしながら成長分野に挑戦することで、将来の収益の柱を育て、持続的な成長につなげていきます。 <CNX “低/脱炭素事業への挑戦”>前中計で推進してきた低/脱炭素事業については、エネルギー・素材の安定供給に資する多様化の観点も加えつつ、社会情勢や時間軸を見極めながら引き続き推進していきます。長期的には、様々なニーズに合わせた低/脱炭素ソリューションの提供を通じて、2050年カーボンニュートラルの実現と持続的な企業価値向上の両立を目指します。 ③ 人財戦略2030年度財務目標の達成及び持続的成長の実現に向けて、「変革」を強力に推進する人財戦略を展開していきます。新たな人財戦略では、「現場力強化」「共創促進」「新価値創出力向上」といった活動の変化を生み出すため、二つのテーマで取り組みを進めます。一つ目のテーマは「全ての社員を変革の主役に」です。当社には「攻める」「守る」「支える」といった多様な役割がありますが、そこに優劣は無く、いずれの領域にも変革の機会があります。全社員を、変革を生み出す主役として位置付け、既存の延長上にない未来を切り拓いていくために、「全社員の働きがい・成長実感を極限まで高める」「行動指針の下に全社員が一丸となる」の二点を重点項目として掲げます。二つ目のテーマは「もっと共創&イノベーションを(DE&Iの更なる深化)」です。当社のDE&Iは、4年連続のなでしこ銘柄の取得等、独自の取り組みが社外から評価されています。この強みを活かして、女性活躍を引き続き最重要課題に据えつつ、今後は、DE&Iを共創やイノベーションの創出に直結させる取り組みに深化させていきます。重点項目として「多様な変革リーダーを養成する」「多様な人財が活躍できるフィールドを整備する」の二点を掲げ、着実に推進していきます。 ④ ビジネスプラットフォーム<DX/AX戦略>近年のAI技術の急速な進展を機会と捉えて、DX/AX(デジタルトランスフォーメーション/AIトランスフォーメーション)を推進して、経営プロセスの高度化に取り組んでいきます。当社グループが有する幅広い事業領域における顧客データや社内の事業・人財データを構造化・一元化して、AIによる高度な分析・予測を事業判断に活用していきます。併せて、AI活用を前提として業務プロセスの再設計を行い、データ・AIを最大限に活用した業務プロセス変革を加速させていきます。先行して取り組んでいるMI(マテリアル・インフォマティクス)による材料開発に加え、当社の業務領域全体へAI活用の対象範囲を拡大していきます。 <イノベーション戦略>社会の変化から生まれるニーズを捉え、新たな価値を創出するため、2028年3月完工予定のイノベーションセンターをハブとして、世界のベストパートナーとの共創を推進し、事業化の蓋然性と速度を向上させます。イノベーションセンターの完成により、これまで複数拠点に分散していた生産技術・開発技術等の研究機能を集約し、研究開発から商業生産までを一体で推進できる体制を構築します。また、ハード面の整備に加え、高度MI(マテリアル・インフォマティクス)環境の更なる進化や、研究から社会実装までをリードする人財の育成に取り組むことで、社内外の共創を後押しします。こうした取り組みにより、中長期的な環境変化を捉えた成長領域において、社会課題の解決に貢献するとともに、持続的な企業価値の向上を実現していきます。 ⑤ 投資計画2026~2030年累計投資額は1兆8,000億円を予定しています。うち、GRITに8,300億円を充当し、中でも燃料油セグメントにおいては、前中期経営計画比+30%の操業維持投資を実行し、事業基盤強化に取り組みます。中長期的成長も見据えたGROWTH・CNXには、電化・電動化/ICT2,600億円、グローバル展開3,500億円等、計8,100億円の投資を実行します。DX/AXへの投資やイノベーションセンター新設等、ビジネスプラットフォームの強化にも計1,600億円を投じます。 ⑥ 株主還元2023~2025年度については、2023年11月に年間配当を24円から32円へ増配、更に2024年11月に年間配当を32円から36円へ増配し、併せて下限配当水準に設定しました。加えて、株価水準を意識した機動的な自己株式取得を推進しました。また、資本効率の更なる向上を図るため、株主還元方針に加え1,000億円の自己株式取得を実施しました。2026~2030年度については、5カ年累計の在庫影響を除く当期純利益に対し、総還元性向50%以上を継続します。初年度の2026年度は年間配当単価を36円とし、これを下限に業績に応じた累進配当を導入します。配当への配分を高め、より安定した株主還元を実現するとともに、自己株式取得についても、株価水準を意識し機動的に実施します。 ⑦ 業績見通し(2026年度)2026年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、2026年度見通しはIFRSに基づき算出しています。2025年度まではセグメント利益を「営業利益+持分法投資損益」としていましたが、2026年度以降は「金融費用除き税引前損益」に変更します。中東情勢の鎮静化時期に関する予測は困難ではあるものの、業績予想の前提としては、2026年度第1四半期までは原油価格高が継続すると想定しています。2026年度末にはドバイ原油価格は中東情勢悪化前の水準まで下落する前提の結果、大幅なマイナスのタイムラグ影響により減益すると想定しています。引き続き不透明な事業環境が想定されるものの、足元では国内に対する燃料油・石油化学製品等の安定供給を最優先しつつ、更なる収益改善に向けた取り組みを推進していきます。 2026年度連結業績見通し (日本会計基準)2025年度実績(IFRS基準)2026年度見通し営業利益+持分法投資損益※2,441億円-金融費用除き税引前損益※-1,400億円当期純利益※1,923億円900億円*在庫影響除き ※2026年度よりIFRSを任意適用することに伴い会計基準の変更及びセグメント利益の定義を変更するため、前年との単純比較はできません。 主要市況前提 2025年度実績2026年度見通し増減ドバイ原油価格($/バレル)71.881.3+9.5豪州一般炭※($/トン)105.4126.1+20.7為替(円/$)150.7151.3+0.6※1~12月平均
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 中期経営計画(2023~2025年度)の振り返り中期経営計画(2023~2025年度)では、エネルギーと素材の安定供給の使命を果たしながら、事業構造改革投資と人的資本投資の両輪により、事業ポートフォリオの転換を推進してきました。事業構造改革投資においては、既存事業の収益力強化で着実な成果を上げ、2025年度での営業利益及び持分法投資損益に加え、ROE(自己資本利益率)でも、計画時に掲げた目標水準を達成しました。一方、原油価格の変動等、一過性の外部要因による押し上げ影響も大きく、安定的な収益基盤の構築と更なる資本効率の向上は今後の課題であると認識しています。また、2050年のCN・循環型社会に向けた事業ポートフォリオの転換においては、「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」「スマートよろずや」の3つの事業領域を定め、社会実装に向けて着実に前進してきました。脱炭素に向けた社会的な動きが変化する中においても、ブルーアンモニアやSAF(持続可能な航空燃料)の事業化検討、リチウム固体電解質のパイロット装置建設に関する意思決定、使用済みプラスチックの油化設備の完工、モビリティサービスに特化した「apolloONE」の展開など、社会や顧客のニーズに応じたソリューション提供に向けた準備を着実に進めています。 (2) 経営環境の認識近年、当社グループを取り巻く経営環境は、地政学的リスクの顕在化、エネルギー政策の揺り戻し、新興国の台頭など、大きな構造変化の局面にあります。足元では、中東産油国の情勢悪化により、原油調達のみならず製造・販売を含むサプライチェーン全体において、当社グループの事業に大きな影響が生じています。こうした状況に限らず、地政学的リスクが一層高まる中、対応力を強化していくことは、今日の企業経営において不可欠な要素となっています。一方、欧米を中心に進んできた脱炭素政策については、エネルギー安全保障や経済合理性の観点から、化石燃料の役割を再評価する動きも見られます。このように政策動向は一様ではなく、エネルギー転換の進展は、より複線的な時間軸で進むものと認識しています。また、グローバルサウスの台頭により国際秩序にも変化の兆しが見られる中、成長市場においては、エネルギーの安定供給を確保するとともに、現地ニーズに即した事業展開が一層求められています。以上のような不確実性の高い経営環境において、エネルギーの安定供給という社会的使命を果たしつつ、当社の持続的成長を実現するためには、環境変化への対応を念頭においた戦略構築・実行プロセスが重要であると認識しています。 (3) 中期経営計画(2026~2030年度)① 中期経営計画の骨子中期経営計画(2026~2030年度)では、2030年ビジョン「責任ある変革者」のもと、事業戦略「GRIT」「GROWTH」「CNX」と、人財戦略である「全ての社員を変革の主役に」「もっと共創&イノベーションを」を両輪とし、これらを支えるビジネスプラットフォームの強靭化を柱に取り組んでいきます。これらの戦略を着実に推進することで、2030年度の財務目標としてROE13%やROIC7%の達成を目指すとともに、これまで以上の企業価値向上に努めていきます。 ② 事業戦略方針事業戦略のリバランスを行い、より実践的な取り組みにより「稼ぐ力」を強化することで、中長期的な成長の実現を目指していきます。事業戦略は『GRIT:既存事業の深化』『GROWTH:成長事業の創出』『CNX:低/脱炭素事業への挑戦』の3テーマで推進し、持続的成長を実現しつつ社会課題解決に貢献します。まずは、燃料油など、社会的な重要性が再認識されている既存事業の基盤を強化・深化し、エネルギーの安定供給に努めるとともに、収益力及び資本効率の向上に粘り強く取り組んでいきます(GRIT)。また、中長期的な成長が見込まれる電化・電動化、ICT、海外事業などの分野において、当社の技術力や国内外のネットワークといった強みを活かした事業創出を拡大していきます(GROWTH)。更に、2050年CN実現や中長期的なエネルギー安全保障への貢献を見据え、時間軸を見極めながら、低/脱炭素事業へ挑戦していきます(CNX)。これらの取り組みを5つの事業セグメント横断で推進するとともに、パートナーとの共創を通じて、企業価値の向上と社会課題の解決の両立を図っていきます。 <GRIT “既存事業の深化”>わが国におけるエネルギー安全保障の確保などの観点から、燃料油をはじめとする当社の既存事業は、社会的・経済的意義が一層高まっています。原料調達ソースの多角化や製油所・事業所の稼働率向上に向けた施策など、供給安定化/効率化に向けた取り組みを推進するとともに、全国の特約販売店やSSネットワークを活用した販売強化に注力していきます。また、事業の統合/再編や課題事業の構造改革などを通じて、資本効率の向上に向けた取り組みも、引き続き力強く進めていきます。 <GROWTH “成長事業の創出”>中長期的な社会変化やメガトレンドを捉え、新たな事業の創出と拡大を進めます。中でも当社が今中計期間中に注力するのは、電化・電動化やICTの進展、海外市場の成長、モビリティ関連サービス、循環型経済の拡大を見据えたサーキュラービジネスです。当社が有する技術力や全国のサービスステーション網など、既存の強みを活かしながら成長分野に挑戦することで、将来の収益の柱を育て、持続的な成長につなげていきます。 <CNX “低/脱炭素事業への挑戦”>前中計で推進してきた低/脱炭素事業については、エネルギー・素材の安定供給に資する多様化の観点も加えつつ、社会情勢や時間軸を見極めながら引き続き推進していきます。長期的には、様々なニーズに合わせた低/脱炭素ソリューションの提供を通じて、2050年カーボンニュートラルの実現と持続的な企業価値向上の両立を目指します。 ③ 人財戦略2030年度財務目標の達成及び持続的成長の実現に向けて、「変革」を強力に推進する人財戦略を展開していきます。新たな人財戦略では、「現場力強化」「共創促進」「新価値創出力向上」といった活動の変化を生み出すため、二つのテーマで取り組みを進めます。一つ目のテーマは「全ての社員を変革の主役に」です。当社には「攻める」「守る」「支える」といった多様な役割がありますが、そこに優劣は無く、いずれの領域にも変革の機会があります。全社員を、変革を生み出す主役として位置付け、既存の延長上にない未来を切り拓いていくために、「全社員の働きがい・成長実感を極限まで高める」「行動指針の下に全社員が一丸となる」の二点を重点項目として掲げます。二つ目のテーマは「もっと共創&イノベーションを(DE&Iの更なる深化)」です。当社のDE&Iは、4年連続のなでしこ銘柄の取得等、独自の取り組みが社外から評価されています。この強みを活かして、女性活躍を引き続き最重要課題に据えつつ、今後は、DE&Iを共創やイノベーションの創出に直結させる取り組みに深化させていきます。重点項目として「多様な変革リーダーを養成する」「多様な人財が活躍できるフィールドを整備する」の二点を掲げ、着実に推進していきます。 ④ ビジネスプラットフォーム<DX/AX戦略>近年のAI技術の急速な進展を機会と捉えて、DX/AX(デジタルトランスフォーメーション/AIトランスフォーメーション)を推進して、経営プロセスの高度化に取り組んでいきます。当社グループが有する幅広い事業領域における顧客データや社内の事業・人財データを構造化・一元化して、AIによる高度な分析・予測を事業判断に活用していきます。併せて、AI活用を前提として業務プロセスの再設計を行い、データ・AIを最大限に活用した業務プロセス変革を加速させていきます。先行して取り組んでいるMI(マテリアル・インフォマティクス)による材料開発に加え、当社の業務領域全体へAI活用の対象範囲を拡大していきます。 <イノベーション戦略>社会の変化から生まれるニーズを捉え、新たな価値を創出するため、2028年3月完工予定のイノベーションセンターをハブとして、世界のベストパートナーとの共創を推進し、事業化の蓋然性と速度を向上させます。イノベーションセンターの完成により、これまで複数拠点に分散していた生産技術・開発技術等の研究機能を集約し、研究開発から商業生産までを一体で推進できる体制を構築します。また、ハード面の整備に加え、高度MI(マテリアル・インフォマティクス)環境の更なる進化や、研究から社会実装までをリードする人財の育成に取り組むことで、社内外の共創を後押しします。こうした取り組みにより、中長期的な環境変化を捉えた成長領域において、社会課題の解決に貢献するとともに、持続的な企業価値の向上を実現していきます。 ⑤ 投資計画2026~2030年累計投資額は1兆8,000億円を予定しています。うち、GRITに8,300億円を充当し、中でも燃料油セグメントにおいては、前中期経営計画比+30%の操業維持投資を実行し、事業基盤強化に取り組みます。中長期的成長も見据えたGROWTH・CNXには、電化・電動化/ICT2,600億円、グローバル展開3,500億円等、計8,100億円の投資を実行します。DX/AXへの投資やイノベーションセンター新設等、ビジネスプラットフォームの強化にも計1,600億円を投じます。 ⑥ 株主還元2023~2025年度については、2023年11月に年間配当を24円から32円へ増配、更に2024年11月に年間配当を32円から36円へ増配し、併せて下限配当水準に設定しました。加えて、株価水準を意識した機動的な自己株式取得を推進しました。また、資本効率の更なる向上を図るため、株主還元方針に加え1,000億円の自己株式取得を実施しました。2026~2030年度については、5カ年累計の在庫影響を除く当期純利益に対し、総還元性向50%以上を継続します。初年度の2026年度は年間配当単価を36円とし、これを下限に業績に応じた累進配当を導入します。配当への配分を高め、より安定した株主還元を実現するとともに、自己株式取得についても、株価水準を意識し機動的に実施します。 ⑦ 業績見通し(2026年度)2026年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、2026年度見通しはIFRSに基づき算出しています。2025年度まではセグメント利益を「営業利益+持分法投資損益」としていましたが、2026年度以降は「金融費用除き税引前損益」に変更します。中東情勢の鎮静化時期に関する予測は困難ではあるものの、業績予想の前提としては、2026年度第1四半期までは原油価格高が継続すると想定しています。2026年度末にはドバイ原油価格は中東情勢悪化前の水準まで下落する前提の結果、大幅なマイナスのタイムラグ影響により減益すると想定しています。引き続き不透明な事業環境が想定されるものの、足元では国内に対する燃料油・石油化学製品等の安定供給を最優先しつつ、更なる収益改善に向けた取り組みを推進していきます。 2026年度連結業績見通し (日本会計基準)2025年度実績(IFRS基準)2026年度見通し営業利益+持分法投資損益※2,441億円-金融費用除き税引前損益※-1,400億円当期純利益※1,923億円900億円*在庫影響除き ※2026年度よりIFRSを任意適用することに伴い会計基準の変更及びセグメント利益の定義を変更するため、前年との単純比較はできません。 主要市況前提 2025年度実績2026年度見通し増減ドバイ原油価格($/バレル)71.881.3+9.5豪州一般炭※($/トン)105.4126.1+20.7為替(円/$)150.7151.3+0.6※1~12月平均
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要①経営成績の状況ア.一般経済情勢及び当社グループを取り巻く環境当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用や所得環境の改善を背景として、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、米国の通商政策や為替相場の動向等には引き続き注意が必要であり、また、中東地域におけるイラン情勢の悪化やホルムズ海峡封鎖により、原油価格やエネルギー需要の不安定化が進み、企業活動を取り巻く環境は依然として不透明な状況が続いています。国内石油製品販売量は、乗用車保有台数の減少や燃費改善、物流の効率化などの構造変化を背景に、緩やかな減少基調で推移しました。原油価格は、2025年4月上旬の米国の関税公表などによる経済悪化懸念やOPECプラスの増産発表による供給過剰感により下落し、イラン・イスラエル情勢による地政学リスクや米国の対露制裁強化等により6月以降上昇に転じ、2026年2月末以降はイラン情勢の悪化やホルムズ海峡封鎖を背景に短期間で大きく上昇しました。この結果、ドバイ原油の平均価格は前期比6.7ドル/バレル下落の71.8ドル/バレルとなりました。ドル円の為替相場は、米国の関税公表による景気悪化懸念や米政権によるドル安誘導の思惑を受けて円高が進行しましたが、それ以降は米政権の関税交渉やイラン・イスラエル情勢による地政学リスクの影響で上昇と下落を繰り返しました。高市政権発足後は、積極財政や金融緩和志向から円安が進み、イラン情勢悪化により更に円安が加速しました。この結果、平均レートは前期比1.9円/ドル円安の150.7円/ドルとなりました。 イ.業績当社グループの当期の売上高は、燃料油セグメントにおける原油価格の下落の影響などにより、8兆1,059億円(前期比△11.8%)となりました。売上原価は、7兆3,514億円(前期比△13.5%)となり、販売費及び一般管理費は、5,423億円(前期比+2.9%)となりました。営業損益は、燃料油セグメントにおける原油価格急騰によるプラスのタイムラグ影響が資源セグメントにおける石炭市況の下落による影響を上回ったことなどにより、2,122億円(前期比+30.8%)となりました。営業外損益は、持分法投資利益の減少などにより、174億円(前期比△66.8%)となりました。その結果、経常損益は2,296億円(前期比+6.9%)となりました。特別損益は、負ののれん発生益等の計上があったものの、固定資産の減損損失の計上などにより、△75億円(前期比+489億円)となりました。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用は、570億円(前期比+1.2%)となり、非支配株主に帰属する当期純損益は△68億円(前期比△48億円)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,719億円(前期比+65.2%)となりました。 セグメント別売上高(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減 (2025年3月期)(2026年3月期)増減額増減率燃料油76,96467,934△9,030△11.7%基礎化学品5,8724,914△958△16.3%高機能材5,0345,032△2△0.0%電力・再生可能エネルギー1,276982△294△23.0%資源2,6522,035△617△23.3%その他・調整額105163+58+55.7%合計91,90281,059△10,843△11.8% セグメント別利益又は損失(△)(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減 (2025年3月期)(2026年3月期)増減額増減率燃料油(在庫評価影響除き)1,221(1,520)1,777(2,071)+556(+551)+45.5%(+36.3%)基礎化学品△80△68+11-高機能材282334+52+18.5%電力・再生可能エネルギー△123△18+105-資源774331△442△57.2%その他129△2△20.0%調整額△238△218+20-合計(在庫評価影響除き)1,848(2,147)2,147(2,441)+299(+294)+16.2%(+13.7%)(注)セグメント別利益又は損失(△)は、セグメント別の営業損益と持分法投資損益の合計額です。 (ア)燃料油セグメント燃料油セグメントについては、売上高は原油価格の下落の影響などにより、6兆7,934億円(前期比△11.7%)となりました。セグメント損益は、大規模定期修繕などの費用が増加したものの、ホルムズ海峡封鎖に伴う原油価格上昇によるプラスのタイムラグ影響などにより、1,777億円(前期比+45.5%)となりました。 (イ)基礎化学品セグメント基礎化学品セグメントについては、売上高は4,914億円(前期比△16.3%)となりました。セグメント損益は3月のナフサ価格の急騰に伴うプラスのタイムラグ影響があったものの、製品マージンが低水準で推移したことなどにより、△68億円(前期比+11億円)となりました。 (ウ)高機能材セグメント高機能材セグメントについては、売上高は5,032億円(前期比△0.0%)となりました。セグメント損益は、潤滑油事業の海外販売が好調に推移したことやアグリライフ事業における新規連結会社の寄与などにより、334億円(前期比+18.5%)となりました。 (エ)電力・再生可能エネルギーセグメント電力・再生可能エネルギーセグメントについては、売上高は982億円(前期比△23.0%)となりました。セグメント損益は、前年に発生した発電所トラブルの解消による収益改善やバイオマス発電設備の減損に伴う償却費の負担軽減などにより、△18億円(前期比+105億円)となりました。 (オ)資源セグメント(石油・天然ガス開発事業・地熱事業)石油・天然ガス開発事業・地熱事業については、生産数量の減少や原油価格の下落などにより、売上高は388億円(前期比△4.0%)、セグメント損益は140億円(前期比△24.8%)となりました。 (石炭事業・その他事業)石炭事業・その他事業については、石炭市況の下落に伴う価格要因などにより、売上高は1,647億円(前期比△26.8%)、セグメント損益は191億円(前期比△67.5%)となりました。 以上の結果、資源セグメントの売上高は2,035億円(前期比△23.3%)、セグメント損益は331億円(前期比△57.2%)となりました。 (カ)その他セグメントその他セグメントの売上高は163億円(前期比+55.7%)、セグメント損益は9億円(前期比△20.0%)となりました。②財政状態の状況要約連結貸借対照表(単位:億円) 前連結会計年度(2025年3月期)当連結会計年度(2026年3月期)増減流動資産26,49929,657+3,158固定資産21,25723,631+2,374資産合計47,75653,288+5,532流動負債20,97423,514+2,540固定負債9,40510,263+858負債合計30,37933,777+3,398純資産合計17,37719,511+2,134負債純資産合計47,75653,288+5,532 ア.資産の部当期末における資産合計は、富士石油(株)を連結の範囲に含めたことなどにより、5兆3,288億円(前期末比+5,532億円)となりました。 イ.負債の部当期末における負債合計は、富士石油(株)を連結の範囲に含めたことや有利子負債の増加などにより、3兆3,777億円(前期末比+3,398億円)となりました。 ウ.純資産の部当期末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や為替換算調整勘定の増加、配当金の支払いなどにより、1兆9,511億円(前期末比+2,134億円)となりました。 以上の結果、自己資本比率は前期末の36.0%から当期末は36.0%(前期末比△0.0ポイント)となりました。また、当期末のネットD/Eレシオは0.6(前期末:0.6)となりました。 ③キャッシュ・フローの状況要約連結キャッシュ・フロー計算書(単位:億円) 前連結会計年度(2025年3月期)当連結会計年度(2026年3月期)営業活動によるキャッシュ・フロー4,7673,924投資活動によるキャッシュ・フロー△1,185△2,916財務活動によるキャッシュ・フロー△3,435△1,049現金及び現金同等物に係る換算差額1874現金及び現金同等物の増減額(△は減少)16633現金及び現金同等物の期首残高1,3691,643連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少)228連結子会社の決算期変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少)106△133現金及び現金同等物の期末残高1,6431,571 当期末の現金及び現金同等物は、1,571億円となり、前期末に比べ、72億円減少しました。その主な要因は次のとおりです。 ア.営業活動におけるキャッシュ・フロー税金等調整前当期純利益や減価償却費、売上債権及び棚卸資産の減少などの資金増加要因が、仕入債務や未払金の減少などの資金減少要因を上回ったことにより、3,924億円の収入となりました。 イ.投資活動におけるキャッシュ・フロー製油所設備の維持更新投資等による有形固定資産の取得などにより、2,916億円の支出となりました。 ウ.財務活動におけるキャッシュ・フロー有利子負債の返済や配当金の支払いなどにより、1,049億円の支出となりました。 ④生産、受注及び販売の実績ア.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)燃料油3,755,000100.2基礎化学品447,28794.0高機能材319,00297.6電力・再生可能エネルギー--資源143,07076.6その他--合計4,664,36198.4(注)上記の金額は、資源セグメントは販売金額、その他のセグメントは製品生産額によって記載をしています。 イ.受注実績当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。 ウ.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)燃料油6,793,41688.3基礎化学品491,36583.7高機能材503,156100.0電力・再生可能エネルギー98,17877.0資源203,50076.7その他16,273155.7合計8,105,89188.2(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。2.「主な相手先別の販売実績」に該当する販売相手先はないため、記載を省略しています。3.各セグメントの販売実績は、外部顧客への売上高を記載しています。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容①経営成績の分析経営成績の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」における「イ.業績」に記載しています。 ②資本の財源及び資金の流動性についての分析ア.資金需要当社グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原油・原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払いなどによるものです。投資資金については、エネルギー・素材の安定供給に努めつつ収益最大化と資本効率向上を実現するための投資、電化・電動化/ICTや海外をはじめとする成長領域への投資、低/脱炭素ソリューションの事業化に向けた投資等の需要があります。 イ.財務政策当社グループは、中長期的な成長を維持するために資本効率と財務健全性のバランスを勘案しつつ、必要な運転資金及び設備投資資金を、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、社債・コマーシャル・ペーパーの発行、及び流動性確保のための特定融資枠契約(コミットメントライン契約)の維持等、多様なリソースから効果的に組み合わせて調達しています。なお、国内子会社は、当社が一括して資金調達し、子会社に融通するグループ金融を通じて運転資金及び設備投資資金を調達しています。また、海外子会社は金融機関からの借入のほか、子会社間のグループ金融を通じて運転資金及び投資資金を調達しています。また、円滑な資金調達を行うため、当社は格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)の2社から格付けを取得しています。当連結会計年度末において当社の格付けはR&IがA+(方向性:安定的)、JCRがA+(見通し:安定的)となっています。 (特定融資枠契約)当社グループは、運転資金の効率的な調達や十分な流動性確保、また、災害発生時の円滑な資金調達のため、取引先銀行で作られるシンジケート団と短期借入を実行できる特定融資枠契約2,100億円を締結し、機動的・安定的な資金調達が可能な体制を敷いています。当連結会計年度末において同契約にかかる借入残高はありません。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標当社グループは、2030年ビジョン「責任ある変革者」の実現に向けて、事業構造改革投資と人的資本投資の両輪により事業ポートフォリオの転換を進めるため、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、ネットD/Eレシオ、自己資本比率を主要な経営指標としています。2026年3月期の自己資本利益率(ROE)が前期対比で増加している主な要因は、燃料油・基礎化学品でのタイムラグにより当期純利益が増加した事によるものです。タイムラグ等を補正した実態投下資本利益率(ROIC)の主な減少要因は、燃料油の定修影響や基礎化学品での市況悪化を背景とした在庫影響除き税後営業利益の減少によるものです。 当社グループの主要な経営指標のトレンドは次のとおりです。 2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期2026年3月期自己資本利益率(ROE)(%)9.214.211.37.110.6投下資本利益率(ROIC)(%)(全社計)6.86.28.46.06.5実態投下資本利益率(ROIC)(%)(既存事業計)-3.44.86.53.9ネットD/Eレシオ(倍)0.90.90.70.60.6自己資本比率(%)30.733.235.936.036.0(注)1.各指標は、以下の計算式によって計算しています。自己資本利益率(ROE):在庫影響除き親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均)※2024年3月期より算定方法を変更しています。その結果、2022年3月期及び2023年3月期の指標も変更しています。投下資本利益率(ROIC):(在庫影響除き税後営業利益+持分法投資損益)/(株主資本+有利子負債)※2024年3月期より算定方法を変更しています。その結果、2022年3月期及び2023年3月期の指標も変更しています。実態投下資本利益率(ROIC):計算式は投下資本利益率(ROIC)と同様。ただし、大きな外部環境影響を除いて比較するため、燃料油セグメントのタイムラグ影響、資源セグメントの石炭価格(実績を2026年3月期計画前提である120USD/tへ)等を補正ネットD/Eレシオ:(有利子負債-現預金及び短期運用有価証券)/(純資産-非支配株主持分)自己資本比率:(純資産-非支配株主持分)/総資産2.有利子負債は、短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債及び長期借入金として連結貸借対照表に計上されている金額及びリース債務の金額を使用しています。3.2022年3月期の実態投下資本利益率(ROIC)については、主要な経営指標に含んでいなかったため記載していません。

事業リスク

  • 国際情勢と経済変動
    世界各地での政治的緊張(ウクライナ、中東情勢など)や経済状況の変化(景気減速、金融政策)は、エネルギー資源や製品の需要、価格に大きな影響を与えます。特に原油価格の乱高下は、石油製品の調達コストや販売価格に直結し、業績を不安定にする可能性があります。
  • 商品市況の変動リスク
    原油やナフサなどの原材料価格は、国際情勢、金融政策、需給バランス、投機的取引などにより大きく変動します。これらの価格変動を製品価格に適切に転嫁できない場合、特に燃料油や基礎化学品セグメントの利益が圧迫され、財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ドバイ原油価格が1バレルあたり1ドル変動すると、営業利益が年間100億円増減する可能性があります。
  • 為替変動リスク
    原油輸入の大部分が米ドル建てで行われるため、円安は原油調達コストの増加に直結し、収益を圧迫します。また、海外事業の収益や外貨建て資産・負債の円換算額も為替レートの影響を受け、業績に変動をもたらします。1米ドルあたり1円の変動で、営業利益が年間50億円増減する可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|7,473 文字
3【事業等のリスク】(1) 当社グループのリスク管理① リスクに対する考え方当社グループを取り巻く事業環境は、地政学リスクの高まりや経済・社会構造の変化により、不確実性の高い状況が続いています。特に、中東情勢の緊迫化やホルムズ海峡を含む海上輸送を巡る情勢の変化は、原油調達、物流、サプライチェーン及びエネルギー価格等に影響を及ぼす可能性があり、石油産業を主たる事業とする当社にとって重要な経営上のリスクとなっています。また、気候変動への対応、規制動向、技術革新の進展等により、事業を取り巻くリスクは多様化・複雑化しています。このような環境のもと、当社では統合的リスクマネジメント(ERM:Enterprise Risk Management)を導入し、全社的な視点からリスクの把握、評価及び管理に取り組んでいます。 ② ERM体制当社は、リスク経営委員会のもと、リスク・コンプライアンス委員会を中心とする統合的リスクマネジメント体制を整備しています。事業部門及びコーポレート部門は、リスクへの対応状況や課題に加え、環境変化に起因する新たなリスクについてリスク・コンプライアンス委員会に報告しています。リスク・コンプライアンス委員会は、これらの情報を踏まえて、全社的なリスクの対応状況の報告及び重要リスクの選定や早急に対応すべき個別課題の提言を、リスク経営委員会に行います。リスク経営委員会は、当該報告を踏まえ、必要な経営判断及び指示を行います。 ③ ERMの運用当社は、ERMの枠組みに基づき、全社的な視点から抽出したリスクを、リスクシナリオ等を用いて整理し影響度や発生可能性などの観点から評価しています。そのうえで、経営として優先的に対応及びモニタリングを行う重要リスクを選定しています。選定した重要リスクについては、対応策の実施状況やリスク環境の変化を継続的に確認し、必要に応じて対応方針の見直しを行っています。また、これらの取り組みはPDCAサイクルに基づき運用しており、事業環境の変化等を踏まえ、リスクシナリオの見直しやリスク評価の更新を継続的に実施することで、全社的なリスクマネジメントの高度化に取り組んでいます。 重要リスクの選定イメージ統合的リスクマネジメントの活動サイクル (2) 事業活動における個別リスク当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには、以下のようなものがあります。以下の事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月17日)現在において判断した記載です。① 国際情勢や経済環境等の変化によるリスク当社グループは日本及び世界各地に事業を展開しており、各々の地域の政治動向、景気動向及び経済情勢による影響を受ける可能性があります。特に足元の中東情勢や長期化するウクライナ情勢のほか、海外諸国の政治的要因又は経済的要因に起因する世界景気の減速や日本国内における人口構成の変化等により、エネルギー資源及び製品需要の変動や価格に大幅な変動が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 事業を取り巻く外部環境の変化によるリスク調達リスク当社グループは、原油・ナフサ輸入の大宗を中東地域に依存していますが、安定調達を目的として主要な中東産油国と長期の輸入契約を締結し、同地域内におけるリスクの分散を図っています。しかしながら、これらの地域における政情不安、原油の生産調整、石油関連施設の事故並びにシーレーンにおける海上輸送リスクの上昇等により、長期にわたり原油・ナフサの輸入に制約が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 商品市況リスク(燃料油セグメント)当社グループは、石油製品の生産に必要な原油の大部分を輸入していますが、原油価格は足元の中東情勢の影響により激しく変動しているように、産油国の政情不安の影響を大きく受けます。また、米国を始めとした世界各国の金融政策の動向、主要石油消費国における需要・環境規制・税制の動向、投機的な石油取引等により、今後も大きく変動することが懸念されます。当社グループは、石油製品価格を国内の市場価格に連動させることでマージンを確保することに努めていますが、原油価格の変動が大きい場合や国内石油市場の激しい競争等により国内の市場価格が低迷した場合、財政状態及び経営成績は重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、棚卸資産を総平均法により評価しています。一般的に総平均法は、原油価格が上昇する局面では、期初の相対的に安価な棚卸資産による売上原価押し下げ影響により損益の改善要因となります。一方、原油価格が下落する局面では、期初の相対的に高価な棚卸資産による売上原価の押し上げ影響により損益の悪化要因となります。なお、1バレル当たりのドバイ原油価格が1米ドル変動すると、当社の税引前利益は年間80億円増減する可能性があります。 (基礎化学品セグメント)ア 原料コストの変動について当社グループは、基礎化学品の原料であるナフサを自社製油所で生産するとともに中東地域をはじめとする海外から調達しています。ナフサ価格は、原油・ガソリンの価格動向に加え、足元の中東情勢等による需給バランスの影響を大きく受けます。市場における激しい競争等の要因により、ナフサ価格変動の製品価格への反映が限定的となる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 イ 製品市況の変動について日本を含むアジアの基礎化学品市場は激しい競争状況にあり、需要の変動や供給の増加の影響を受けます。アジアでは経済成長に伴う需要の増加が見込まれますが、近年は中国を中心に基礎化学品を製造する大型プラントの新増設が急増しており、アジア市場における供給過多や、新興国の経済成長鈍化に伴う需要低迷の可能性があります。このような市場における競争の激化や需要の低迷、政治経済情勢あるいは中東情勢等のその他の要因により、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (高機能材セグメント)当社グループは、潤滑油の原料であるベースオイル・添加剤を自社事業所で生産するとともに国内外の市場から調達しています。ベースオイル・添加剤の価格は原油価格のほか、潤滑油の需給バランス等の影響を受けることがあります。また、市場における競争激化等により、原料価格の変動を製品価格に適切に転嫁できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (電力・再生可能エネルギーセグメント)当社グループでは、卸電力取引市場を通じた電力取引を行っています。この取引価格は、燃料価格や国内の電力需要及び発電所稼働状況の影響を受けて変動する可能性があります。また、燃料価格については、当社グループが保有する発電所の発電コストや、当社の電力小売価格における燃料費調整単価に影響を与える可能性があります。これらの影響により、当社の電力取引価格や発電コスト、燃料費調整単価が大きく変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 (資源セグメント)石油・天然ガス開発事業においては、原油・天然ガスを生産し販売していますが、政治経済情勢あるいはその他の要因により将来的に原油・天然ガス価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。石炭事業においては、オーストラリアの自社鉱山で石炭を生産し、主に日本向けに販売していますが、政治経済情勢あるいはその他の要因により石炭価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 カントリーリスク(基礎化学品・高機能材セグメント)当社グループは、主にアジア市場を中心とした基礎化学品の販売及び、潤滑油分野においてはグローバルで事業展開をしていますが、経済の低迷や政治リスク等の要因により市場成長が鈍化する可能性があります。このような経済環境の変動により、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (資源セグメント)当社グループは、ベトナムをはじめとする東南アジア及びノルウェーを中心に、石油・天然ガスの探鉱・開発・生産(油ガス田開発)プロジェクトを推進しており、これらの地域における政治経済情勢、税制、規制方針やその他の不確定要因の影響を受けることがあります。また、当社グループは、オーストラリアの自社鉱山で石炭を生産し、主に日本向けに販売しています。石炭鉱山事業につきましても、政治経済情勢、税制、規制方針やその他の不確定要因の影響を受けることがあります。 為替リスク当社グループは、多額の外貨建取引を行い、また外貨建の資産及び負債を有しています。このため、為替相場の変動は外貨建取引の収益や財務諸表の円貨換算額に影響を与えます。また、原油輸入を米ドル建てで行っているため、原油の調達コストは円の米ドルに対する為替相場の影響を受けるほか、燃料油セグメントにおける在庫評価も影響を受けます。なお、1米ドル当たり1円変動すると、当社の税引前利益は年間40億円増減する可能性があります。 ③ 気候変動に関するリスク上記の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 戦略 ② 気候関連の戦略」に記載のとおりです。 ④ 環境規制に関するリスク当社グループは、事業展開する日本やその他の国における広範な環境保全やその他の法的規制の下にあります。例えば、当社グループは、製油所や工場からの汚染物質の排出、廃棄物の処理等について規制を受け、基準を超える環境汚染発生に伴う罰則を受ける可能性もあります。また、日本や他の国の当局が新たな規制を行うこと、あるいは現在や将来の環境規制を遵守することにより多額の支出を伴う可能性があります。 ⑤ 事業投資に関するリスク当社グループは、事業資産の規模が大きく、既存の製油所・工場や販売設備等の維持更新、油田の権益取得や探鉱開発等の国内外の事業活動に多額の投資を必要とします。今後も石油、石油化学、資源事業など、既存事業の競争力維持には投資を継続する予定です。一方で、より実践的なアプローチで「稼ぐ力」を強化するため、中長期的に成長が見込まれる領域として「電化・電動化/ICT」、「グローバル展開」、「モビリティ/サーキュラー」などの領域での戦略投資、更には水素・アンモニア・SAF・合成燃料といった新たなエネルギー開発など、事業拡大へ向けた戦略投資を行っていく計画です。このような成長分野への投資においては、経営環境の不確実性の高まりにより意思決定時の事業前提から変化が生じた場合は、期待された収益機会を失う可能性があります。更に国内外における経済情勢や政治動向、市場拡大の遅れ、新素材を含む他社との開発競争等によりこれらの投資が計画どおりの収益をあげられない場合は固定資産の減損損失を計上する可能性もあります。なお、投資の意思決定プロセスにおいて、投資金額をはじめとする様々なリスクの多寡に応じた投資審議を設計することで、投資リスク低減と意思決定の迅速化の両立に努めています。また、当社グループは、アジア市場における石油及び石油化学事業の海外展開の一環として、クウェート国際石油、ペトロベトナム及び三井化学(株)(以下当社を含め、「スポンサー」という。)と共同でニソンリファイナリー・ペトロケミカルリミテッド(以下「NSRP」という。)を設立し、ベトナム社会主義共和国タインホア省ニソン経済区に20万バレル/日の石油精製設備とパラキシレンをはじめとする石油化学品製造設備を有するニソン製油所・石油化学コンプレックスを操業しています。プロジェクトの総事業費は約90億米ドルであり、このうち50億米ドルは国際協力銀行をはじめとする銀行団によるプロジェクト・ファイナンスにより調達し、約40億米ドルはスポンサーによる出資及び貸付で調達しています。プロジェクト・ファイナンスによる調達額について銀行団に対し行っている債務保証及びスポンサーによる出資・貸付のうち、NSRPへの当社グループ出資比率相当の35.1%については、ベトナムにおける政治経済情勢、法律や規制及び雇用環境の変化等からプロジェクトが計画どおりに進展しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 ⑥ その他経営全般に係るリスク人権に関するリスク当社グループは、人権の尊重は欠くことのできない経営の根幹であり、全ての判断や行動において最優先させるべきことと考え、世界人権宣言やILO宣言で国際的に認められた人権を尊重することを基本方針として定めています。当社グループは、グローバルに事業拠点を持ち、取引するサプライヤーも多国にわたることから、「ビジネスと人権」に関する意識を国際基準で高く持ち、人権デューデリジェンスを通じたリスクの軽減を進めるとともに、ビジネスパートナーにも方針の理解と遵守を要請しています。しかしながら、事業活動の領域で人権の侵害等が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を失い、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を及ぼす可能性があります。 コンプライアンスに関するリスク当社グループでは、コンプライアンス規程等に基づき、国内外の法令その他諸規則等を遵守すべく、コンプライアンス推進体制及び内部統制の強化に努めています。しかしながら、当社グループにおいて法令その他諸規則等を遵守できなかった場合、又は内部統制システムが有効に機能せずコンプライアンス上の問題が完全に回避できない事態が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を失い、当社グループのレピュテーションを損ね、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは確実性の高い品質マネジメントシステムに基づき製品を製造していますが、予期せぬ事情で大規模なリコールや訴訟が発生した場合に備え保険を手当てしています。しかしながら、それに伴い法的責任が発生する可能性や、直接的な責任を負わずともバリュー・チェーンの一部を担う者としてブランドイメージやレピュテーションの低下を回避できない可能性があり、ひいては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性もあります。 知的財産に関するリスク当社グループは、事業の遂行のために知的財産権を活用しており、特に石油精製技術や、リチウム電池向け固体電解質、潤滑油、機能化学品、電子材料等の付加価値の高い製品・サービスにおいて特許や営業秘密の位置づけは重要な役割を果たしています。また、当社グループは、ブランドを商標登録しています。しかしながら、これらに関して紛争が生じたり、無効にされたりする可能性があります。また、当社グループが保有する特許、営業秘密、商標が当社の知的財産を保護するうえで十分であるとは限りません。また、当社グループの営業秘密が、従業員や取引先、その他の関係者によって不適切に取り扱われる可能性があります。更に、当社グループの製品やサービスが第三者から知的財産権を侵害しているという主張がなされ、あるいは当社グループが第三者から供与されている技術ライセンスが更新されない可能性があります。当社グループが事業遂行に必要な知的財産権を十分に保護又は活用できない場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 自然災害・事故等によるリスク当社グループの事業は、地震、津波、台風、豪雨豪雪、火山爆発等の自然災害やこれらに起因する製油所・工場における火災、爆発、油の大規模流出等の事故といったリスクを有しています。また当社グループが保有する大型タンカーを含む原油や石油製品の輸送は、海賊や悪天候による転覆、衝突、非友好国による拿捕、撃沈等の危険にさらされています。更に当社グループは、労働争議やサイバー攻撃等によるシステムダウンや情報漏洩、感染症の大規模蔓延による事業中断のリスクにもさらされています。これらのリスクを会社としていち早く認識し、全社を挙げて被害の拡大防止を図るため、「危機発生時の対応規程」を策定し、予兆を含めたトラブルの早期共有のための連絡系統、対応時の優先順位、危機レベルの設定とそれに応じた対策本部の体制等を定めています。事業継続計画(BCP : Business Continuity Plan)については、2006年度に首都直下地震版、2009年度には新型インフルエンザ版、2010年度には南海トラフ巨大地震版(2021年度に「南海トラフ含む地域的地震津波版」に拡充)を制定しました。更に2015年度に内閣府より「指定公共機関」に指定されたことを受け、「防災業務計画」を作成しています。BCPに基づく総合防災訓練を毎年実施し、各拠点との連携やリモートを含む本部運用等についての課題を抽出し、実効力の強化に努めるとともにBCPの改定に反映しています。製油所・事業所・工場等においては、各々の危機対応規程類に基づき、拠点ごとに又は相互連携の上、防災訓練を定期的に実施しています。当社グループは、事故や災害で想定される多額の損失に備え、自家再保険子会社を活用し適正な損害保険や損害保険サービスをグローバルに調達しています。 個人情報管理に関するリスク当社グループは、石油製品販売、電力小売り、クレジットカード事業等で顧客の個人情報を多数取り扱っています。当社グループは、これらの情報の管理不徹底や外部からの不正な搾取、それによってもたらされる問題への対処のために、多額の費用を負担する可能性があります。また、昨今の日本国や欧州を始めとする個人情報保護関連法令の適用拡大・厳格化に対する必要な対応の不備・不足により、多額の制裁金、賠償金の発生、当社グループの信用低下、クレームや訴訟等に繋がった場合、当社グループの事業や経営成績が影響を受ける可能性があります。 ⑦ 事業等のリスク管理上記の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) リスク管理」に記載のとおりです。

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